| Name | Dialogue |
| 何やってんだオレは… | scene1 |
| カロル | あ、いたいた。ねえねえ、ユーリ! |
| ユーリ | ん、カロル?パティもか。どうしたんだ?二人して |
| パティ | うむ、ハロウィンの季節じゃからな。うちらもハロウィンパーティをやらんかと思っての |
| カロル | ね、大勢呼んでやろうよ、ハロウィンパーティ! |
| ユーリ | カロルはともかくパティまでとは、また珍しい事言い出したもんだな。別にやりたきゃやったらいいだろ |
| カロル | やったー!じゃあ早速取り掛かろうよ!色々準備もあるしさ |
| ユーリ | …オレにも手伝えってか?当日、食いもんと飲み物でも用意すりゃいいのか? |
| パティ | うんにゃ。実はユーリにはもっと大事な役目があるのじゃ |
| ユーリ | 大事な役目?何だそりゃ |
| パティ | じゃじゃーん!これじゃ! |
| パティ | ハロウィン用にこの衣装を着るのじゃー! |
| ユーリ | …何だこりゃ。一人だけこんなの着ろってのか?冗談だろ |
| パティ | こういう姿で雰囲気を盛り上げる役がハロウィンで一番大事と聞いたぞ。うちの旦那に相応しい大役なのじゃ |
| ユーリ | 誰が旦那だ。っていうか、そういうのはおっさんの役だろ。第一、お前らは着ねえのかよ |
| パティ | 分かっておらんのう。うちらやおっさんでは様にならんのじゃ。ユーリが着るからこそ絵になるのじゃ |
| パティ | この役にはユーリしかおらん!さぁ、受け取るがいいぞ |
| カロル | 頼むよ、ユーリ。ちゃんと当日、着てきてよ! |
| ユーリ | って言われてもなあ… |
| | |
| パティ | 待ちに待ったハロウィンパーティなのじゃ! |
| カロル | うん、すっごく楽しみだね!…ユーリ、あの衣装を着てちゃんと盛り上げてくれるといいな |
| ユーリ | よう、お二人さん。会場へはこっちでいいのか? |
| カロル | あ、ユーリ!って、どうしたのさ。いつもと同じ格好じゃんか! |
| パティ | 本当じゃ。渡した衣装はどうしたのじゃ、ユーリ |
| ユーリ | 勘弁しろって |
| ユーリ | その代わり、料理作ったり、それなりに手伝ったぜ? |
| カロル | ええ、そんなぁ… |
| ユーリ | そんな顔すんなって。んじゃ、会場に行こうぜ |
| | ガサガサ |
| ユーリ | ん?何か今、聞こえなかったか? |
| カロル | あ、リタ達が来たんじゃない?少し遅れて行くって言ってたけど、もう来たのかも |
| ユーリ | …いや、どうやらそういうわけじゃなさそうだ |
| パティ | 何じゃ、それはどういう…!いかん、魔物じゃ! |
| ユーリ | ったく、こんな時にのこのこと! |
| 何やってんだオレは… | scene2 |
| ユーリ | よし、これで招かれざる客はいなくなったな |
| ユーリ | とんだ邪魔が入っちまったな。さあ、会場に向かおうぜ |
| | … |
| ユーリ | ん?暗い顔して、どうかしたのか? |
| カロル | だって…せっかくの衣装、絶対盛り上がると思ったのに… |
| パティ | リタ姐達と思いきや魔物じゃったしのう… |
| ユーリ | いや衣装はともかく、魔物が現れたのはオレのせいじゃ── |
| | … |
| ユーリ | …やれやれ…ったく |
| ユーリ | あー、今の魔物との戦いでえらく服が汚れちまったなーこのままじゃ染みになっちまうなー |
| ユーリ | ちょっくら何とかしてくっから、お前ら、ここで待ってろ。いいな? |
| カロル | え!?ちょ、ちょっと、ユーリ!今さら、どこ行くのさ! |
| パティ | 鮫のように脇目も振らず行ってしまったのじゃ |
| ユーリ | ったく、カロルといいパティといい、そこまで期待されてたとはな |
| | |
| ユーリ | これでよし、と。これであいつらも少しは機嫌直すだろ |
| ユーリ | しかし…この格好なあ… |
| ユーリ | …ま、ハロウィンって事で深く考えるのはやめにしとくか。早いとこ戻らないとな |
| | |
| ユーリ | この辺りだったはずだが…あいつらどこ行ったんだ? |
| | ガサガサ… |
| ユーリ | お、いたな。せっかくこんな格好してんだしご期待に沿えるとすっか |
| ユーリ | おい、お菓子をくれなきゃイタズラ…って、あん? |
| | !! |
| リタ | ちょっと、あんたいきなり何なのよ! |
| リタ | っていうか…ぷっ |
| リタ | 何その格好、いい年して恥ずかしくないの?馬鹿っぽい |
| ユーリ | いや、これはカロルとパティが… |
| リタ | あんたにそんな趣味があるとはねー。ね、エステル |
| ユーリ | いやだから、これはハロウィンの… |
| エステル | ユーリ、気にする事はないですよ。誰でも色んな一面がありますから。少し驚きはしましたけど… |
| ユーリ | だから聞けって! |
| ユーリ | っていうか、カロルとパティはどこ行ったんだ!? |
| リタ | あの二人ならとっくにパーティ会場に行くって言って先行ったわよ |
| エステル | たくさんお菓子をもらうんだって、はしゃいでいましたね |
| ユーリ | … |
| ユーリ | やれやれ、勝手に立ち直られてちゃ立場ねえな |
| ユーリ | んじゃま、会場でお披露目といくか… |
| 恐怖!大魔王ユーリ | scene1 |
| エル | ねえねえ、ユーリ。お願いがあるんだけど… |
| ユーリ | ん?改まってどうした? |
| エル | エル、街でやってるハロウィンパーティに行きたい! |
| エル | 一緒に行こうよ! |
| ユーリ | …ハロウィンパーティ、ね。どこもかしこも判を押したみたいによくやるもんだな |
| ユーリ | せっかくだが、そういうのはフレンの奴にでも──って、おい、エル! |
| ユーリ | …行っちまった。付いて来ると信じて疑わねえのな。しょうがねえな、ったく |
| | |
| ユーリ | へぇ、結構にぎわってるもんなんだな |
| 街の子ども | お菓子をくれなきゃイタズラするぞー! |
| ユーリ | ん?…ああ、わりぃな、オレ、今菓子なんて持ってな── |
| エル | もー、ユーリはしょうがないなー。はい!エルが持ってるおかしあげる! |
| 街の子ども | わーい!ありがとう! |
| ユーリ | なんだエル、お前まさか、わざわざ配る菓子、持ってきたのか? |
| エル | ハロウィンパーティなんだからトーゼンだし! |
| ユーリ | そりゃまた用意のいいこった |
| ユーリ | にしても、面白い格好してるやつばっかだな。オレ達の方が浮いちまいそうだぜ |
| エル | へーきだよ!おかしと一緒にハロウィンで着る服ももってきたし |
| エル | はい、これ! |
| ユーリ | ん、何だこれ… |
| ユーリ | って、おいおい、何でお前がこれ持ってんだ? |
| エル | ユーリ、この服隠してたでしょ?エル、見つけちゃったんだー |
| エル | エルはハロウィンの服持ってないし、ユーリがこれ着て、エルの代わりにみんなからお菓子をもらってきてね |
| ユーリ | 勘弁してくれ…ってここまで来てそれも野暮ってもんか |
| ユーリ | 分かったよ、ちっと待ってな |
| エル | まだかなぁ、ユーリ… |
| ユーリ | 待たせたな、エル |
| エル | !! |
| ユーリ | どうだ?お望みどおり着てやったぞ |
| エル | ユ、ユーリ…その…格好…思ってたより怖いかも… |
| ユーリ | そうか?けど、この前着た時と違って周りがハロウィン一色だと案外恥ずかしくねえもんだな |
| ユーリ | んじゃ、早速行ってみるとすっか |
| ユーリ | えーっと、確か… |
| ユーリ | 「お菓子をくれなきゃ、 イタズラするぞ」! |
| 女の子 | うう…こわいよぅ… |
| 男の子A | ホンモノのアクマがでたー!助けてー! |
| エル | ユーリ、やりすぎだし!みんな怖くて逃げちゃっているよ! |
| ユーリ | って言われてもな。オレは普通にハロウィンの流儀に従ってるだけなんだが |
| 男の子B | こわいよー!ママー! |
| エル | みんな、ダイジョーブだよ!このヒトはただの── |
| ??? | みんな、大丈夫か!?何があったんだ? |
| ユーリ | げっ、この声は… |
| ユーリ | やっぱりお前か、フレン。よりによって何でここで現れるんだよ |
| フレン | ユーリ!君こそどうして… |
| フレン | って、何だその格好は?…ぷっ |
| ユーリ | 笑いたきゃ笑えよ。こちとらエルの頼みを聞いてやってるだけだからな |
| エル | でも、もともとユーリがもってた服だよ |
| フレン | なるほど。エルや子ども達のために一肌脱いだ、いや、むしろ着たというわけなんだな |
| フレン | しかし、子ども達は本気で怖がっているみたいだし…その衣装は少々やりすぎじゃないか? |
| 男の子A | ねえねえ、お兄さん勇者なの?ダイマオーやっつけに来てくれたの? |
| フレン | え、勇者?…あ、この格好がそう見えたのかな |
| フレン | それに大魔王…はは、大魔王ユーリ、か |
| フレン | 君、ごめんよ。悪いが僕は── |
| ユーリ | 大魔王様の攻撃だ!食らうがいい! |
| | バシッ! |
| フレン | な、何をするんだ、ユーリ!? |
| ユーリ | 何をって、せっかくのハロウィンだ。子ども達の夢を壊しちゃ悪いだろ? |
| ユーリ | 大魔王に勇者様がそろってんだ。一つ、盛り上げてやろうじゃねえか |
| エル | エルもサンセー!そのほうが面白そう! |
| フレン | …なるほど、分かった。そういう事なら… |
| フレン | ゆくぞ、大魔王!はぁっ! |
| ユーリ | ぐわあああっ!おのれー勇者め! |
| 子ども達 | おおーっ!いいぞー勇者!やっつけちまえ! |
| エル | みんな、ちょー盛り上がってる!ふたりとも、そのチョーシ! |
| フレン | 子ども達も喜んでいる。この調子でもうしばらく── |
| 街の女性 | きゃあーっ!魔物よ! |
| ユーリ | っと、本物が来ちまったか。しょうがねえ、芝居はここまで、行くぜ、フレン! |
| フレン | …って待ってくれ、ユーリ!その格好のままで行くのか!? |
| 恐怖!大魔王ユーリ | scene2 |
| ユーリ | 魔物は退治できたが、あの格好のままで戦ったのはちっとばかし無理があったな |
| フレン | せっかくの衣装が破れてしまった。芝居の続きを待っている子ども達をがっかりさせてしまうな |
| ユーリ | ま、しょうがねえさ。魔物は着替える間待ってちゃくれねえからな |
| ユーリ | とにかく戻ろうぜ |
| ユーリ | さて、どう説明したもんかな。そういやエルは── |
| 男の子A | あ!勇者とダイマオーが戻ってきたよ!さっきはカッコよかったぜ! |
| 男の子B | おかえりー!ダイマオー!あれ?ダイマオーが人間みたいな服着てるぞ! |
| ユーリ | おいおい、何だよ。さっきまでオレを怖がってたくせに、今度はやけにべたべたと… |
| エル | ユーリが魔物を倒すのを見て、みんなカンドーしたみたい! |
| エル | ダイマオーが今度はヒーローになっちゃったね |
| 女の子 | ダイマオーが街を守ってくれた!ありがとう、ダイマオー!はい、これ!お菓子あげる! |
| 男の子A | ボクのお菓子もあげるよ!ダイマオー、カッコいい! |
| 男の子B | オレのも、ほら!ありがとう!ダイマオーすっげー強いんだな! |
| ユーリ | はいはい、ありがとよ。ったく、子どもは単純でいいよな |
| フレン | そう言いながらまんざらでもなさそうじゃないか。たまにはこういうのも悪くないんじゃないか |
| ユーリ | …よせよ、ガラじゃねえって |