| Name | Dialogue |
| 何かがおかしい… | scene1 |
| アスベル | ここか、今日の宿は… |
| アスベル | 遠征先のルイニス街でどんな宿屋か心配だったけど、これならきちんと準備が整えられそうだ |
| フレン | 僕は少し辺りを見回ってくるから、アスベルは先に宿に入っていてくれ。後で合流しよう |
| リオン | 急いで宿へ戻って来たが…どうやら仕立屋はまだ来ていないようだな |
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| リオン | …マントを破くとは、僕らしくもない服と共に新しいものを手配しておいて正解だったな |
| リオン | 届いていてもいいはずだが… |
| アスベル | うん、部屋の中も綺麗に掃除されている |
| アスベル | …ん? |
| アスベル | 何だ、この包みは? |
| アスベル | 俺の部屋宛のようだが… |
| | ガサゴソ… |
| アスベル | 服?どうして…騎士団からの支給品か何かか? |
| アスベル | …まあ、何にせよちょうどよかった!今日の任務で、この服もかなり汚れてしまっていたし |
| アスベル | せっかくだから洗濯の間着替えておくとしよう |
| アスベル | んー…着てはみたものの…これはちょっと違和感あるな… |
| アスベル | それになかなか思い切ったデザインだ |
| アスベル | …だが、服が綺麗になるまでの辛抱、せっかく遠征に来た事だし、気を取り直して俺も散策でもしよう |
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| 街の女 | あ、あの人… |
| 街の男 | おい、あれ見ろよ… |
| アスベル | ?…みんな、何だか俺を見てヒソヒソ話しているみたいだ |
| アスベル | うーん、さすがに派手…だよな。この大きなマントのせいなのかも。こういう服装は珍しいんだろう |
| ??? | アスベル! |
| フレン | 宿屋にいるはずじゃなかったのか? |
| フレン | いや、それより、どうしたんだ、その格好は? |
| アスベル | や、やあ、フレン。宿屋に戻ったら俺の部屋宛にこの服が届いていたんだ |
| アスベル | おそらく騎士団からだと思うんだが、何か心当たりないか? |
| フレン | いや、僕は聞いていない。…本当に騎士団絡みなのかい? |
| アスベル | 遠征先の宿と、俺の部屋を知っているとなると、騎士団からなんじゃ… |
| 街の女 | きゃあーっ! |
| アスベル | 何だ!? |
| 街の男 | おい!街の外れに魔物が出た!頼む、手を貸してくれ! |
| アスベル | 魔物だって!? |
| フレン | アスベル、そっちを頼む。僕はあっちを見てくる! |
| アスベル | わかった!行ってくる |
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| 街の男 | ありがとう!さすが、ウワサどおりの素晴らしい腕前だ |
| アスベル | ウワサ…? |
| アスベル | あ、いえ、みなさんを守るのは当然の事ですから |
| アスベル | さて、無事に魔物を倒せたし街の人を守る事ができた。そろそろ俺は── |
| 街の女 | きゃあーっ! |
| 街の男 | おい!あっちに魔物が出やがった!助けてくれリオン!あんただけが頼りなんだ! |
| アスベル | リ…リオ…? |
| アスベル | ──ってそんな事を言ってる場合じゃない! |
| アスベル | わかりました!すぐ向かいます! |
| 何かがおかしい… | scene2 |
| アスベル | なかなか凶暴な魔物だった。散策に出て正解だったな… |
| 街の男 | いやぁ、いつもすまねえな。あんたには感謝してもし足りないよ |
| アスベル | いつも?…とにかく、ご無事でよかったです |
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| フレン | アスベル、そっちは大丈夫だったかい? |
| アスベル | ああ、魔物は全て倒したよ。街の人達も怪我はない、みんな無事だ |
| 街の男 | うわぁーっ!おい、あんた魔物が出たんだ!退治してくれ! |
| アスベル | また魔物か!? |
| アスベル | …それにしても、さっきから街の人達はみんな、魔物を見つけてはわざわざ俺を呼びに来ているような… |
| フレン | 次々と来るな。早く被害が出ないうちに… |
| アスベル | …あ、フレン!俺が行く、任せてくれ! |
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| アスベル | もう大丈夫ですよ。魔物は全て倒しました |
| 街の女 | ありがとう!クールな人だって聞いてたけど、そんな事ないのね |
| アスベル | クール?誰がそんな事を… |
| 街の女 | あなたは街の有名人よ。青い服に薄紅色のマント、華麗な剣術… |
| 街の女 | この街を守ってくれる頼れる剣士様。これからもよろしくね |
| アスベル | は、はあ…。やはりどこか会話がかみ合ってないんだよなぁ |
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| フレン | おはよう、アスベル |
| フレン | そういえば昨日の服はもう着るのをやめたんだな |
| アスベル | ああ、やっぱりこっちの方が落ち着くからな |
| アスベル | そんな事より、一晩中、気になっていたんだが… |
| アスベル | 昨日出会った街の人達、何だかみんな俺の事を知っているような口ぶりだったんだが…なぜだろう… |
| フレン | それだけ君の騎士としての振る舞いが記憶に残るものだったということじゃないのかな |
| アスベル | そんな事はないだろう。この街にも昨日来たばかりだぞ |
| フレン | 人の印象に時間の長さは関係ないさ。違うかい? |
| アスベル | …それはそうだけど…。うーん、やっぱり何か違うような… |
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| リオン | …遅い! |
| リオン | 仕立屋の奴、いつまで僕を待たせるつもりだ! |
| そういう事か! | scene1 |
| フレン | この街での遠征任務も今日で終わりだ。お疲れ様、アスベル |
| フレン | 準備が出来次第、出発するとしよう |
| フレン | 僕の方はもう済んでるけど、君は── |
| アスベル | 悪い、フレン!帰り支度がまだだった!先に帰っててくれ! |
| フレン | アスベル! |
| フレン | …って行ってしまった。でも仕方ないかな |
| フレン | この街でも色々あったし、昨晩はきっと疲れて寝入ってしまったんだろう |
| ??? | おい、邪魔だ。どけ |
| フレン | あ、あぁ…すまない |
| フレン | あれ?今の人…。あの格好は確か… |
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| アスベル | 帰り支度の事、すっかり忘れていたな。早く支度しないと…! |
| アスベル | !! |
| | ビリビリッ! |
| アスベル | ああっ!こんなところに釘がでて…服が破れてしまった! |
| アスベル | 慌てると、ろくな事がない… |
| アスベル | 仕方がない、この服に着替えて帰るか |
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| アスベル | 騎士団のみんなは行ってしまったか…遅れをとってしまったが、仕方ない。後を追うか… |
| | きゃぁーっ! |
| アスベル | この声は…! |
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| アスベル | こんな街の近くにまで魔物が… |
| | ギャオオオ! |
| アスベル | なに、こんなにたくさん…街へ入れるわけにはいかない!何とかしないと! |
| アスベル | はぁっ! |
| スタン | さっき、この辺りから悲鳴が聞こえたみたいだけど… |
| スタン | あれは、リオン!? |
| スタン | あんな大群相手に一人じゃ危険だ! |
| スタン | リオン!今行くぞ! |
| アスベル | くそっ!挟まれたか! |
| アスベル | これはさすがに… |
| スタン | はぁっ! |
| スタン | 大丈夫か!?リオン! |
| スタン | あれっ…リオンじゃ…ない? |
| スタン | じゃあ、その服は一体── |
| アスベル | はぁはぁ…。誰だか知らないが、助かったよ |
| | ギャオオオ! |
| スタン | お前が誰だかわからないけど…今はこの魔物を倒そう!行くぞ! |
| そういう事か! | scene2 |
| アスベル | ありがとう。お蔭で発見した魔物は全て倒す事ができたよ |
| スタン | いや、こちらこそありがとう! |
| スタン | しかし驚いたな、俺の友達だと思って駆けつけてみたら全然違う人だなんて |
| スタン | 服装が一緒の人もいるんだなあ。俺、初めて知ったよ!あいつの服、有名なんだな! |
| アスベル | 服装が…一緒? |
| アスベル | もしかして… |
| スタン | ? |
| アスベル | 実はこの服、ついこの間宿泊先で俺の部屋に届いた物なんだ |
| アスベル | …で、さっき、元々着ていた服が破れてしまって―― |
| アスベル | 身に憶えはなかったんだけど他に着る物がなかったから、この服を着てたんだけど… |
| スタン | へえ、そういう事だったのか |
| アスベル | ひょっとしたら、お前の友達の服じゃないのか? |
| アスベル | 何かの手違いで届いたのだとしたら… |
| スタン | うーん、確かにリオン以外にその服を着てる奴なんて見た事ないしリオンの服なんだろうけど… |
| スタン | でもお前、今は破れた服しか持ってないんだろ? |
| スタン | 破れた服で歩きまわるわけにもいかないもんなー |
| スタン | …その服、もらっていけばいいんじゃないか? |
| アスベル | ほ、本当にいいのか?さすがにそれは… |
| スタン | 大丈夫だよ |
| スタン | 俺の友達、口は悪いけど、いい奴だから!じゃあな! |
| アスベル | 名前を聞くのを忘れたけど、面白い奴だったな… |
| アスベル | それにしても、やっぱりこの服は、別の誰かへ届けられるはずの物だったんだな |
| アスベル | あ、もしかして…初めてこの服を着て街に出た時もみんな、そいつと俺を勘違いして…? |
| アスベル | そうだとしたら全ての辻褄は合う |
| アスベル | …結局この服は貰って帰る事になったけど、大丈夫なんだろうか… |
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| スタン | ただいま! |
| スタン | リオン、今日も街に魔物が出てさ… |
| スタン | あれ、リオン、どうかしたのか? |
| リオン | …うるさい。今僕に話しかけるな |
| スタン | そう言うなって。聞いてくれよ |
| スタン | 魔物が街にいっぱい出てさ、俺と一緒に戦ってくれた人がいたんだ |
| スタン | その人がさ、リオンと同じ服を着てたから俺、びっくりしちゃったよ |
| リオン | 何…!? |
| スタン | そうそう、そいつ、自分の服が破けて困ってたみたいだったから、そのまま着ていけって言っといたよ |
| リオン | 何だと!? |
| リオン | お前はまた勝手な事を!それは僕が頼んでおいた服だ! |
| リオン | お前に僕の服を他人に譲渡する権利などない! |
| スタン | いいじゃないか、困ってたんだし。それに、その人、すごい似合ってたんだぜ? |
| リオン | そういう問題ではない! |
| スタン | ご、ごめん。悪かったよ!今度その人に会ったらちゃんとリオンに── |
| リオン | ……どうした? |
| スタン | うん。名前聞くの、忘れてたなって! |
| リオン | …この…バカが!! |
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| アスベル | うっ…へっくしょい!何か今、寒気がしたぞ… |