| Name | Dialogue |
| 僕の型、君の型 | scene1 |
| フレン | はぁぁ…!! |
| フレン | 爪竜連牙斬!!! |
| ユーリ | これでもくらえっ!! |
| ユーリ | 爪竜連牙!はぁっ! |
| | ギャアアアアアア!!! |
| フレン | ふぅ…。今ので最後かな? |
| ユーリ | ああ、あっちにいた魔物は片付けておいたぜ |
| エル | すごー!!二人とも強いね!! |
| フレン | ありがとう。でもまだまだだよ。もっと精進しないとね |
| エル | でも、なんでだろ |
| ユーリ | ん?どうしたエル |
| エル | 二人とも、同じ技の名前をさけんでいたのに、全然ちがう動きしてたよ? |
| エル | ソーリュー…なんとか!って言いながら… |
| エル | フレンは、こう…剣でザックザック斬るんだけど |
| エル | ユーリは、ポーンって剣を投げてクルクル回りながら敵に攻撃してたよ |
| フレン | その事なんだが… |
| フレン | ユーリ、君には前々から言いたかった事がある |
| フレン | いい機会だから、言わせてもらう |
| ユーリ | 何だよ、改まって |
| フレン | そもそも、爪竜連牙斬とは流れるように連続で敵を斬りつける剣技だ |
| フレン | それを君ときたら… |
| フレン | 蹴りは混ぜるし、エルの言う通り、しまいには剣まで放り投げているじゃないか |
| フレン | あんな無駄の多い動きではいつか隙ができる |
| フレン | いや、その前に自分が怪我をする事になる |
| ユーリ | …またその話かよ。別にいいだろ |
| ユーリ | オレにはオレのやりやすいやり方ってもんがあんだよ |
| エル | ユーリのは、クルクル回っておもしろいからエルは好きだよ! |
| ユーリ | サンキュ |
| ユーリ | ほらエルだってこう言ってる。不毛な話はやめにしようぜ |
| フレン | また君はそんな── |
| | ガルルルルル… |
| エル | ユーリ、フレン…!…魔物が出たよ…!! |
| フレン | …ちょうどいい。今から僕はもう一度、本来の爪竜連牙斬で戦う |
| フレン | それを見てよく考えて欲しい。爪竜連牙斬として理に適った型がどういうものなのか |
| フレン | いいね、ユーリ? |
| ユーリ | 何度見たって同じだっての。オレはオレのやり方で戦うまでだ |
| ユーリ | なんならいっそ勝負といくか? |
| ユーリ | どっちの爪竜連牙斬が敵を仕留めるか |
| フレン | …いいだろう。行くぞ! |
| 僕の型、君の型 | scene2 |
| フレン | はあ…はあ…倒したのはどっちだ…? |
| ユーリ | オレの方がちょいとばかし早かったんじゃねえか?なあ、エル? |
| エル | うーん、エルには一緒に見えたなぁ |
| ユーリ | だとさ、フレン。どうする、まだやんのか? |
| フレン | …与えた傷の深さは同じ。威力、速さ、ともに申し分ないのは認めるよ |
| ユーリ | そらみろ。だったら── |
| フレン | でも、それとこれは話が別だ!先人が苦労して編み出した技を軽々しく改変するなんて |
| ユーリ | おいおい、なんか論点ずれてきてねえか? |
| ユーリ | ったく、そこまで言うなら力づくで言う事聞かせてみろよ |
| フレン | ユーリ… |
| フレン | 仕方ないな |
| エル | え、ちょっと、二人ともどうしたの!? |
| フレン | … |
| ユーリ | … |
| | ギャオオオオオオ!! |
| フレン | また魔物が!? |
| フレン | しまった、エルは… |
| ユーリ | ちっ、間に合え! |
| エル | きゃあああ! |
| フレン、ユーリ | 爪竜連牙斬!!!! |
| | ギャアアアアアアア!! |
| フレン | エル、大丈夫か? |
| フレン | すまない、僕らのミスだ |
| エル | へ、へいきだし! |
| エル | …ちょっと怖かったけど… |
| エル | でも、二人とも、かっこよかったよ!! |
| エル | フレンは、ユーリのソーリュー…の事を、おかしいっていってたけど… |
| エル | フレンは動きがビシッてしててカッコ良かったし |
| エル | ユーリはクルクル回ってて、サーカス見てるみたいでとってもおもしろかったよ! |
| ユーリ | … |
| エル | だから、ケンカとかしちゃダメだよ。二人とも大人なんだし! |
| フレン | いや、これはケンカというわけじゃ… |
| ユーリ | やれやれ、こんな小さなお姫様に説教されたんじゃオレ達も形無しだな |
| ユーリ | どうすんだ、まだ続けるか? |
| フレン | … |
| フレン | いや、ここまでにするよ |
| エル | イッケンラクチャクだね!もうケンカしちゃダメだよ |
| ユーリ | ああ、大丈夫、心配いらねーって |
| ユーリ | なあ、フレン? |
| フレン | …うん |
| フレン | … |
| フレン | 剣の型にはちゃんと理由がある。そう思うのは今も変わらない |
| フレン | それでも… |
| フレン | 僕はその型というものに少しこだわりすぎていたのかもしれないな |
| フレン | 守るべき者を守るために必要な力を発揮する時、そこに型の正しさは関係ない |
| フレン | ユーリがエルを守ったのなら、その剣技は「正しい」。それでいいのかもしれないな |
| ユーリ | なに一人でニヤニヤしてんだよ、気持ち悪いな |
| フレン | なっ…ユーリ。やっぱり君にはもう少し言っておく事が… |
| エル | もー!そこ!!ケンカはダメっていったでしょ!! |
| ユーリ | そうそう、いいぞ、エル、もっと言ってやれ |
| フレン | ユーリ! |
| フレン | それじゃあ、任務があるから一足先に帰るけど、二人とも気をつけて |
| ユーリ | 結局、あの後もニヤニヤしたまんまだったな |
| ユーリ | どうしちまったんだ、フレンの奴? |
| エル | でも、フレン、とってもいい顔してたね |
| ユーリ | ああいうのをいい顔って言うのか? |
| ユーリ | そんなもんかね |
| エル | うん!! |
| エル | そういうものだよ!! |
| それぞれの立場 | scene1 |
| フレン | おや、あそこにいるのはまさか… |
| フレン | エステリーゼ様! |
| エステル | フレン!奇遇ですね、どうしたんです? |
| フレン | エステリーゼ様こそ、供も連れずにこんな街中で何をなさっておられるのですか? |
| エステル | はい。世の中には、まだまだわたしの知らない事がいっぱいありますから |
| エステル | もっと自分の目で見て回ろうと思って… |
| フレン | そうでしたか…ですが街中とはいえ危険がないとは言い切れません。護衛も付けずに出歩くというのは… |
| エステル | 大丈夫ですよ。街の人たちもとても親切な方ばかりですし |
| フレン | それはそうかもしれませんが…しかし、万が一という事もあります |
| エステル | フレン… |
| エステル | あ、そうです! |
| フレン | どうされました? |
| エステル | だったらフレンがわたしの護衛になってくれませんか? |
| フレン | え?いや、それは…確かにそれなら間違いはないですが… |
| フレン | ですが私も見回りの途中で… |
| エステル | …やっぱりそうですよね。フレンも忙しいのに我がまま言ってしまいました。ごめんなさい |
| フレン | エステリーゼ様… |
| フレン | …わかりました |
| エステル | え? |
| フレン | その代わり、一回りしたらお城に戻っていただきます。いいですね? |
| エステル | はい!ありがとうございます |
| フレン | それで、どちらに行けばいいのでしょう? |
| エステル | そうですね…わたしも特に決めていたわけでは… |
| エステル | あ、待ってください |
| エステル | あそこにいる人たち、どうしたんでしょう。なんだか慌てているみたいです |
| フレン | 本当ですね。話を聞いてみます |
| | |
| フレン | すみません。何かあったんですか? |
| 街の人 | あ、ああ、騎士様か。ちょうどよかった。街の近くに魔物が現れたんです |
| フレン | 何ですって! |
| エステル | 大変です!フレン、すぐに行きましょう |
| フレン | いえ、エステリーゼ様はここにお留まりください |
| エステル | え?ですが、わたしも一緒に── |
| フレン | いけません!エステリーゼ様の身に何かあったら大変です。ここでお待ちください |
| エステル | あ、フレン! |
| | |
| フレン | 街に被害が出る前に退治しないと…! |
| それぞれの立場 | scene2 |
| | ギガアアアッ! |
| フレン | くっ、予想以上に数が多い。だが通すわけにはいかない! |
| フレン | はあっ! |
| | ギイイイイッ! |
| フレン | しまった! |
| エステル | スターストローク! |
| | ガアアアア… |
| フレン | エ、エステリーゼ様!?ここは危険です、すぐに… |
| エステル | いいえ。誰かに守られているばかりでは学べないものを、わたしは学ばなくてはならないんです |
| エステル | わたしも戦います! |
| フレン | しかし… |
| フレン | …わかりました。ですが、絶対に無理はなさらないでください |
| フレン | 危険を感じたらすぐに下がってください。いいですね? |
| エステル | はい! |
| それぞれの立場 | scene3 |
| フレン | どうやら終わったようですね |
| エステル | やりましたね、フレン |
| フレン | エステリーゼ様の加勢のお蔭です |
| フレン | ですが、やはり騎士として今回のような事を認めるわけにはいきません |
| エステル | フレン… |
| フレン | 約束してください。もうあんな危険な事はしないと |
| エステル | …… |
| エステル | …ごめんなさい |
| フレン | エステリーゼ様! |
| エステル | フレンに迷惑をかけた事はわかっています。自分がこれまで沢山の人達に守られてきた事も── |
| エステル | でも、フレンが他の人達のために頑張っているように、わたしも人々の助けとなりたい |
| エステル | そのための力と正しい知識を身に付けたいんです。ずっと守られる存在でいるのではなく |
| フレン | そのために…城を出て、外の世界を見て回るというのですね |
| フレン | …わかりました |
| エステル | フレン! |
| フレン | ただし条件があります。今後はたとえお忍びでも必ず護衛を連れていく事 |
| エステル | …はい |
| フレン | でも今日のところは私がお供します。どこにでもお付き合いしますよ |
| フレン | どちらに参りましょうか? |
| エステル | フレン…! |
| エステル | ふふ、そうですね、それじゃあ… |