| Name | Dialogue |
| 見た事があるんです | scene1 |
| ルーティ | 着いたわ。旅の行商人達が店を開いてる通りは、ここよ |
| エステル | すごい活気で楽しそうです!誘ってくれてありがとうございます、ルーティ |
| ルーティ | でしょう? しかも、結構な掘り出し物のお宝が眠ってるらしいのよね |
| エステル | この辺りは骨董品の商売が盛んなんですね |
| 骨董商 | ええ、それはもう盛んですとも。骨董品の聖地と言っても過言じゃないくらいですよ |
| ルーティ | だ、そうよ |
| ルーティ | …てかあんた、気安く話しかけないでよね |
| 骨董商 | ああ、失礼いたしました。私、旅をしながら骨董品を売り歩いている者です |
| 骨董商 | どうです、よければうちの商品も見ていきませんか |
| 骨董商 | この花瓶なんていかがです?保存状態もよくて、綺麗でしょう? |
| エステル | …これは… |
| ルーティ | あー、パスパス。あたしは掘り出し物のお宝を探しに来たのよ。花瓶なんかじゃないわ |
| 骨董商 | そうおっしゃらずに、なかなか市場に回らない人気のある陶芸家の作品なんですよ |
| 骨董商 | この逸品にふさわしい美しいお嬢様方のお手元に是非置いていただきたいのです! |
| ルーティ | しつこいわね…。あんたも商売人なら引き際ってヤツをわきまえなさいよね |
| エステル | でもルーティ、これよくできてますよ?本物そっくりです |
| ルーティ | え?本物「そっくり」?それって… |
| エステル | ただちょっと違うのが、ほら、ここ、花瓶の表面。ツルツルしてますよね? |
| エステル | 本物は表面の加工をしないのでザラザラしているんです。この陶芸家の特徴なんだそうですよ |
| 骨董商 | な、何を仰ってるんですか!?これは── |
| エステル | それと花瓶の底にあるはずの作者のサインがないですね…それ以外はすごく似ています |
| 骨董商 | っ!! |
| ルーティ | エステル!あんた、花瓶ってか…骨董品の事がわかるの!? |
| エステル | 骨董品とかよくわかりませんけど…でもこの花瓶なら本物を見た事がありますから |
| 骨董商 | なっ…そんなわけがない!ここにある花瓶こそが正真正銘… |
| ルーティ | あんた、あんまりしつこいと衛兵呼ぶわよ |
| 骨董商 | くそっ! |
| ルーティ | ふん。偽物売ろうなんてヤツどこにでもいるんだろうけど、アレはちょっとひどかったわね |
| ルーティ | それにしてもすごいじゃないエステル。意外と目利きなのね |
| エステル | えっと、どうなんでしょう…?自分ではよくわからないです |
| ルーティ | 実際、骨董品の本物と偽物を見分けたんだもの。たいしたもんだわ |
| ルーティ | …そうだ!エステルに骨董品を見分けて貰えば… |
| ルーティ | 安く仕入れて、高く売る事だって出来るんじゃない…? |
| エステル | ルーティ?ぼそぼそと一人で何をしゃべってるんです? |
| ルーティ | あ、ううん!なんでもないの! |
| ルーティ | それより、エステル。あたしにいい骨董品を選んでくれないかしら? |
| エステル | え?それは構いませんけど… |
| ルーティ | あたしの家、よく来客があるから壺でも置いて家の雰囲気をよくするのもいいかなって思ったのよ |
| ルーティ | ただ、お金はあまり持ってないから、できるだけ安くて上等な骨董品が欲しいんだけど… |
| ルーティ | ほら、さっきあんた、偽物を見抜いたじゃない。その要領でお願い出来ない? |
| エステル | …でも、あれはたまたま… |
| ルーティ | たまたまでも大丈夫よ。さっきの一件であたしが見るよりあんたの方が適任だってわかったもの |
| エステル | そうでしょうか… |
| ルーティ | エステル、お願い!あたしを助けると思って、ね? |
| エステル | …わかりました。そこまで言うなら見てみますね? |
| ルーティ | ありがと!じゃあ、さっそく骨董品探しにレッツゴー! |
| 見た事があるんです | scene2 |
| ルーティ | ふう…これで、おおかた見て回ったかしら |
| エステル | はい。いろんな壺や陶器…見ていてとても楽しかったです! |
| ルーティ | そんな事より…どうだった!? |
| ルーティ | これ!っていう骨董品はあった? |
| エステル | あの、それなんですけど… |
| エステル | 一緒に見た中には本物はありませんでした。ルーティは、その…本物が欲しいんですよね? |
| ルーティ | うっそー!?あんなに見たのに全部偽物なの!? |
| ルーティ | はぁぁあ~… |
| エステル | ルーティ…ため息までついて…そんなに骨董品が欲しかったんです? |
| ルーティ | あ、ううん!大丈夫よ!気にしないで |
| ルーティ | しっかしあんた、ホントすごいわね。作者や年代もバラバラなのに全部偽物ってわかるなんて |
| エステル | あ、それは簡単でした。全部、お城に本物があるものばかりでしたから |
| ルーティ | え? |
| ルーティ | お城に…本物が!? |
| エステル | はい、いろんな壺や陶器…今度ルーティをお招きしてお見せしますね! |
| ルーティ | さ、さすがお姫様…ね |
| 強くなりたいんです! | scene1 |
| エステル | 今日もいい天気ですね。こんな日は街の外に遊びに行ってみたくなります |
| エステル | でもそうすると、護衛が必要だからとフレン達を煩わせてしまう事になってしまいますよね… |
| エステル | …わたし、フレン達騎士団の方々に守られてばかりですね… |
| エステル | 自分の身くらい自分で守れるように強くなりたいです… |
| エステル | あ、いい事を考えました! |
| | |
| エステル | フレン! |
| フレン | エステリーゼ様、どうされました? |
| エステル | はい、あの…お願いがあるんです |
| エステル | わたしに騎士団の剣術の稽古をつけてくれませんか!? |
| フレン | 剣術の稽古…ですか?それはまたどういう… |
| エステル | 魔物達に襲われても、自分の身くらい自分で守れるようになりたいんです |
| フレン | 素晴らしいお心がけですが、エステリーゼ様は充分お強いですし、今さら稽古の必要はないと思いますよ |
| フレン | それにもし本当に危険がある時は私たち騎士団が命に賭けてお守りします |
| フレン | ですから、エステリーゼ様がそのような心配をなさる必要は── |
| エステル | それじゃ駄目なんです!! |
| エステル | みんなに守られるばかりではなく、自分の身くらい自分で守れるようになりたいんです! |
| フレン | …自分の身を守れる力ですか… |
| フレン | …わかりました。そこまでおっしゃるのでしたら |
| フレン | 私でよければ、稽古のお相手をさせていただきます |
| フレン | ただし、危険のない形で行います。それでよろしいですね? |
| エステル | はい、ありがとうございます! |
| フレン | それでは、あちらで稽古を始めましょう |
| 強くなりたいんです! | scene2 |
| エステル | やぁっ! |
| フレン | はっ! |
| フレン | さすがですね、エステリーゼ様。使い慣れてない武器だというのにお見事です |
| エステル | …フレン、本気出してませんよね? |
| フレン | え、い、いえ!そんな事は… |
| エステル | なら、どうして私に打ち込んで来ないんです? |
| エステル | 確かにフレンは強いです。でも、だからといって、そんなに手を抜かれては稽古にならないです |
| フレン | ですから、これは稽古ですし、危険のない形で行うと… |
| エステル | 駄目です。真剣味がなくては本当の稽古になりません |
| フレン | しかし… |
| エステル | …こうしませんか? |
| エステル | もし今から5分の間に、わたしが一本でも取れたら、手を抜かずに稽古をつけてください |
| エステル | 逆に、できなかったら稽古は諦めます |
| フレン | エステリーゼ様… |
| フレン | わかりました、そのご提案お受けいたしましょう |
| フレン | …行きますよ! |
| エステル | はいっ! |
| フレン | はっ!! |
| エステル | つっ…! |
| エステル | きゃっ…っ! |
| | ずでんっ |
| フレン | エステリーゼ様!大丈夫ですか!? |
| エステル | 隙あり…ですっ!! |
| フレン | なっ…! |
| | カキンッ! |
| エステル | 弾き返されてしまいました…残念です… |
| フレン | まさか転んだ体勢のまま攻撃を繰り出すとは…驚きました |
| エステル | 時間切れになりそうだったので、つい夢中で… |
| エステル | でもさすがフレンですね。隙を狙ってみたけど駄目でした |
| フレン | いえ、あの状況ですかさず攻撃へ転じるなんてそう出来る事ではありませんよ |
| エステル | 当てる事は出来ませんでしたが…なんだか、すっきりしました |
| エステル | わたしのわがままを聞いてくれて、ありがとうございました |
| エステル | では、約束通り、おとなしく城の中に戻りますね |
| フレン | …ふぅ、あの攻撃はさすがに危なかったな |
| フレン | あの状況でも諦めない…エステリーゼ様はご自分で思っているより、ずっとお強い… |