| Name | Dialogue |
| お化けなんていない | scene1 |
| リタ | んー、良い天気ね |
| リタ | 最近、研究で室内に篭もりっきりだったけど、たまには外に出るのも悪くないわね |
| リタ | …あれ? |
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| カロル | うう…どうしよう… |
| リタ | ガキんちょじゃない。何やってんのよ? |
| カロル | リ、リタ~…! |
| リタ | ちょ、ちょっと、なに半べそかいてんのよ? |
| カロル | …この森の奥に、色んな果物がなってるって話知ってる? |
| リタ | 知らないわよ、そんなの。っていうか色んな果物って…誰かが育ててるわけ? |
| カロル | あ、ううん。そういうわけじゃないみたいなんだ |
| カロル | そこに行ったっていう人から聞いたんだけど… |
| カロル | 多分、鳥や動物が捨てた種から自然に生えたんじゃないかって |
| リタ | ふうん…なるほどね |
| カロル | しかも、そこでなってる果物はかなり美味しいんだって! |
| カロル | ボクも行って食べてみたいんだけど… |
| リタ | なら、さっさと行けばいいじゃない |
| カロル | 行きたいよ!でも、この森はお化けが出るって噂が昔からあるんだよ |
| リタ | お、お化けって…あんたねぇ…まさかそんな物を信じてこんなところで泣いてたわけ? |
| カロル | だ、だって、実際に何か白い物が動いてるのが見えたし… |
| リタ | 見間違いでしょ、バカバカしい。そんな非科学的な話、あるわけないじゃない |
| カロル | で、でも、聞いた話では地面から白い手が伸びてきて人間をあの世に引き込むって… |
| リタ | … |
| カロル | …あれ、リタ? |
| リタ | 白い手が…地面に引き込む…? |
| カロル | ねえ、リタ、もしかして…怖がってる? |
| リタ | ば、ばっかじゃないの!!そんなわけないでしょ! |
| リタ | ほら!行くわよ!お化けなんていないって証明してやろうじゃない! |
| カロル | えっ!?ちょ、ちょっと!リタ!待ってよ~~~!! |
| お化けなんていない | scene2 |
| カロル | ううう… |
| リタ | いつまで怖がってんのよ…。いい加減慣れ── |
| カロル | うわああああっ! |
| リタ | きゃっ!?な、ななななな、何!? |
| カロル | 今、足首を何かがさわって── |
| リタ | う、嘘…まさか本当に…!? |
| カロル | ……あ、ごめん。よく見たら、木の根っこだった |
| | ぽかっ! |
| カロル | い、いたたたっ…なにも殴らなくたって… |
| リタ | あんたが紛らわしい事言うからでしょ! |
| カロル | そ、そんな事言ったって怖いものは怖いんだし… |
| リタ | うっさい、さっさと先行くわよ! |
| カロル | あ、リタ待ってよー! |
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| カロル | やっと着いた~~! |
| カロル | すごいよ、本当に美味しそうな果物が沢山なってる! |
| リタ | …まったく、何がお化けよ。やっぱり何もなかったじゃない |
| リタ | …はぁ…。着いたと思ったら何だか疲れてきた… |
| カロル | わぎゃぁぁぁああ!!! |
| リタ | わあああっ!? |
| リタ | こ、今度は一体何だっていうのよ!? |
| リタ | どうしたのカロルっ!? |
| カロル | リ、リタ… |
| リタ | まさか魔物?どこ!? |
| カロル | ち、ちが…む、虫が…!! |
| リタ | …は? |
| カロル | ひぃっ…!み、見てよこの木!大きな虫がいるんだよ! |
| リタ | そりゃ虫くらいいるでしょ。木だけじゃなくて果物の中にいる事だってあるわよ |
| カロル | く、果物に…!? |
| カロル | か、帰ろう、リタ! |
| リタ | まったく何かと思えば…虫くらいで情けないわね |
| カロル | だって…あ、そうだ |
| カロル | ……ねえ、リタ。あっちの木の根元、よく見たら地面から白い手が…… |
| リタ | ひっ!ど、どこ?どこよ!? |
| カロル | …やっぱり怖いんだ。さっきだって、やたらと地面気にしてたし |
| リタ | なっ…!あんた、まさか嘘ついたの!? |
| カロル | へへん、リタも人の事が言えないって事だよね |
| | ぽかっ! |
| カロル | ふぎゃっ!! |
| リタ | うっさい、この馬鹿っ!だ、だいたい、地面から白い手なんてあり得ないんだから! |
| カロル | な、何も本気でぶたなくったっていいじゃんか… |
| 価値のあるもの | scene1 |
| リタ | ──これでよし、っと。あとは起動してしばらく様子を… |
| | ポチッ…プスン |
| リタ | へ?煙…?ちょっと、嘘でしょ!? |
| リタ | どうなってんのよ、もう。えっと、工具工具は…っと… |
| リタ | …どれどれ…げっ、なにこれ。回路が焼き切れてるじゃない! |
| リタ | …どうやら入り込んだ虫の仕業ね。あたしとした事が、こんなの見落とすなんて… |
| リタ | さすがにこれは部品を交換するしかないか…。はあ…情けないったらないわ |
| | |
| リタ | よいしょっと…研究中断して部品調達とか、本当嫌になるわ |
| リタ | よりによってスペア切らしてる部品がやられるなんて、どこまでついてないのよ… |
| ジュディス | あら、リタ、お出かけかしら? |
| リタ | ん…、まぁそんなところ |
| ジュディス | ずいぶん大きな鞄ね。それに色々入ってるようだけど、重くないのかしら? |
| リタ | ああこれ?重くない事もないけど、しょうがないのよ |
| リタ | 魔導器の部品を壊しちゃったんで、ぴったり合う替えのを探しに行くんだけど |
| リタ | 部品同士の相性もあるから、本体持って行かないわけにいかないわけ |
| ジュディス | それは災難だったわね。でも、あなたでも失敗する事があるなんて、なんだか意外だわ |
| リタ | う、うるさいわね。あたしだって、たまにはミスくらいするわよ! |
| リタ | …あたし、もう行くわ。早いとこ店で部品調達して、研究に戻りたいんだから |
| ジュディス | 私もご一緒していいかしら? |
| リタ | え?そりゃ…別に構わないけど、なんでよ? |
| ジュディス | そうね…ちょうど、私も同じ方に行こうとしていたから…じゃ駄目かしら? |
| ジュディス | それに、一人で移動するより二人で移動した方が安全だと思うのだけれど |
| リタ | 二人の方が安全って、あんたが言うセリフとは思えないんだけど… |
| リタ | 好きにすれば? |
| ジュディス | ふふ、ありがとう。それじゃ行きましょう |
| | |
| ジュディス | それにしても、その鞄、大きいだけでなく、とてもしっかりした作りに見えるけど |
| リタ | そりゃ、精密機器を運ぶための特別仕様だもの。衝撃にだって強いし、防水も… |
| ??? | そこ行くお嬢さん方ァ…。お荷物重そうですねぇ |
| リタ | …誰、あんた |
| ??? | 運ぶの大変でしょう?俺が運びますよぉ |
| ジュディス | ご親切にありがと。でも私たち、強盗に頼むような荷物も無分別も持ち合わせてないの |
| 強盗 | へっへっへ、なかなか鋭いねえ。けどまあ、だったら話が早い。その荷物、こっちに寄越しな! |
| リタ | あぁ、もう!うざっ!! |
| 価値のあるもの | scene2 |
| リタ | ∠=∞(ウォリス)!! |
| 強盗 | げ!?な!?ぐああああ!!! |
| ジュディス | あら、もう終わりかしら?私の番がまだなのだけれど |
| 強盗 | く、くそっ!!な、なんだこいつ、ただもんじゃねえ…! |
| リタ | ったく、どうしようもない奴ね。いい?あたしらはあんたが欲しがるようなものは何も持ってないわよ |
| リタ | 狙うならもっと金持ちを狙いなさい、金持ちを |
| ジュディス | それもどうかと思うけど |
| 強盗 | くっ…じゃ、じゃあそのその大事そうに抱えた鞄には何が入ってんだよ! |
| リタ | 工具に壊れた魔導器の部品に…とにかく素人が手にしたってなんにもなりゃしないわ |
| 強盗 | はぁ!?そんな大層な鞄だってのに中身はガラクタだってのか!? |
| リタ | ガ、ガラク…!!? |
| 強盗 | なんだくそっ!紛らわしい鞄なんか持って期待させやがって! |
| リタ | あああ、あんたねぇ!これは── |
| ジュディス | ガラクタの価値も分からないならその人はガラクタ以下──って言った人がいるそうだけど |
| 強盗 | あん? |
| リタ | え? |
| ジュディス | それが正しいかどうかはともかく、少なくとも、その鞄の中身の価値を決めるのはあなたではないわね |
| ジュディス | 持ち主が大切と思えば、それは何にも代えがたい宝物。否定する事は誰にも出来ない |
| 強盗 | な、何、わけのわかんねー事… |
| ジュディス | はっ! |
| 強盗 | ふぎゃっ!…きゅう |
| リタ | あんた… |
| ジュディス | 余計な時間を取られたわ。さ、行きましょ |
| リタ | あ、ええと、ねえ、こいつは?こいつはどうするわけ?ねえ──! |
| | |
| ジュディス | 無事に街に着けてよかったわ。やっぱり二人だと安心ね |
| リタ | どこがよ。むしろ強盗が出てきて嬉しそうだったじゃない… |
| ジュディス | …あら? |
| リタ | な、何よ |
| ジュディス | いつものあなたなら、もっと思い出して怒るかと思ったのだけれど |
| リタ | 何よそれ。人がいっつも怒ってるみたいに |
| リタ | …そりゃ変な奴に余計な事言われて腹立ったのは確かだけど… |
| リタ | 文句言う前にあんたが倒しちゃったから言う機会をなくしちゃったわ |
| ジュディス | ごめんなさい。なんだかあの人がひどい事を言った気がしたものだから |
| リタ | …まあ、あたしの代わりをやってくれたみたいなもんだし……一応、お礼言っとくわ |
| リタ | …ありがと |
| ジュディス | ふふ、どういたしまして。さあ、それじゃお互い用事をすませてしまいましょ |
| リタ | …なんか調子狂う |
| リタ | ま、いいか。早いとこ魔導器直して研究再開よ! |