| Name | Dialogue |
| 桃のお祭り? | scene1 |
| エステル | やっぱり城下は、いつ来ても色々な発見があって楽しいです |
| エステル | あれ…?あそこにいるのは… |
| エステル | ユーリ! |
| ユーリ | エステル? |
| ユーリ | こんなところで護衛もつけずに何してんだ? |
| エステル | はい、たまにこうやって一人で城下をお散歩してるんです |
| エステル | ユーリはどこへ行くんです? |
| ユーリ | オレか?ちょっくら果樹園にな |
| エステル | 果樹園…?果物屋さんでは駄目なんです? |
| ユーリ | 別に食いたいわけじゃねえって。それにオレが特別用があるって話でもないんだけどな |
| ユーリ | カロルの書き置きがあったんだよ |
| ユーリ | 果樹園で桃を取りたいから手伝いに来てくれってな |
| エステル | そうだったんですね |
| エステル | あれ?でも、桃って確か今の季節は… |
| ユーリ | ま、オレもそう思うんだけどな |
| ユーリ | とはいえ、放っても置けねえし、行ってくるぜ |
| エステル | あ、わたしも一緒に行ってもいいですか? |
| ユーリ | 別に構わねぇが…、お前、勝手に街を出ても大丈夫なのか? |
| エステル | はい、ユーリが一緒ならきっと大丈夫です! |
| ユーリ | …だといいけどな。ま、いいさ |
| ユーリ | んじゃ、行くとすっか |
| 桃のお祭り? | scene2 |
| エステル | カロル~! |
| 果樹園スタッフ | おや、少年のお連れの方かな? |
| ユーリ | どうしたんだ、カロル。いきなり桃を取りに果樹園に行くなんて |
| カロル | うん、その…昔、この時期に「桃の節句」というお祭りがあったって聞いたんだ |
| カロル | 桃が食べられるお祭りだと思って、桃を採りに来たんだけど、1個もなってなくて… |
| 果樹園スタッフ | なるほど、だから桃の事を聞いてきたのか |
| カロル | せっかく、みんなで食べようと思ったのに… |
| エステル | 桃が採れるのは、まだまだ先ですから… |
| ユーリ | 残念だったな |
| ユーリ | ま、そんな事もあるだろ。気を落とすなよ |
| 果樹園スタッフ | 今は桃の花が咲く時期なんだよ。そのお祭りも桃の花に関係があるものだったんじゃないかな? |
| エステル | そういえば、桃の花は今時分ですね。そうかもしれません。ね、カロル |
| カロル | そっか…花か… |
| 果樹園スタッフ | そうだ!桃の実はないが、よかったら花のついた枝を持って帰るかい? |
| エステル | え?いいんです? |
| 果樹園スタッフ | ついさっき、大きな鳥がぶつかって折れてしまった枝があってね |
| 果樹園スタッフ | せっかく来てくれたんだ。手ぶらで帰るのも寂しいだろうし、これでよかったら持って帰っていいよ |
| ユーリ | 粋な計らいじゃねえか |
| ユーリ | せっかくの厚意だ。もらっておけよ、カロル |
| エステル | 次は、桃の実がなる季節にみんなで一緒に来ましょう |
| カロル | うん…そうだね! |
| | |
| エステル | そういえば、カロルは桃の節句の事を誰に教えてもらったんです? |
| カロル | 知り合いの学者さんだよ。昔の事とかよその国の文化を研究してるんだって |
| カロル | ほら、あそこの人だよ。おーい、せんせーい! |
| 学者 | カロル君?…どうしたんだい、その桃の花… |
| 学者 | それとお連れの方は…エ、エステリーゼ様!?一体どうされたのですか!? |
| カロル | あ、エステルとはその、知り合いみたいなもので…ええと、それより先生、実は… |
| 学者 | はははは!なるほど。説明が足りなくてごめんよ |
| 学者 | カロル君には、桃の節句というお祭り…というか、お祝い事のような文化があるとしか言わなかったからね |
| 学者 | 果樹園の人の言う通り、桃の節句と言うのは桃の花にちなんでるんだよ |
| カロル | やっぱりそうだったんだ |
| エステル | あ、それならせっかく桃の花もいただいた事ですし、お祭りをやってみませんか? |
| ユーリ | お祭りって…何すりゃいいんだ? |
| 学者 | 本来は、部屋に人形を飾ったり特別な料理を作ったりするんだよ |
| 学者 | 簡単でよかったら、その辺は僕も手伝おう |
| カロル | へぇー、特別な料理かぁ。何かすごそうだね! |
| 学者 | 階段状になっているところに綺麗な人形が飾ってあってね |
| 学者 | …っと、そうだ!エステリーゼ様、少しよろしいでしょうか? |
| エステル | え?わ、わたしです? |
| | |
| カロル | わっ!エステル!どうしたの、その服!? |
| ユーリ | へぇ、こりゃまた見違えたもんだな |
| エステル | あ、ありがとうございます… |
| エステル | 本来は人形が着る服で、学者さんが文献を元に復元したんだそうです |
| 学者 | ふむふむ…桃の花と着物の色が相まって風情があるなぁ…! |
| ユーリ | で、その学者さんは復元の結果にご満悦、と |
| カロル | あははは!本当だ! |
| エステル | カロル達は何を食べてるんです? |
| カロル | えっと…ちらし寿司っていう料理だよ! |
| カロル | 桃の節句ではこういうご飯を作って食べるんだって |
| ユーリ | やってる事は祭りにかこつけて何でもありのどんちゃん騒ぎって感じだけどな |
| エステル | でも、色んなお料理があってどれも美味しそうです |
| カロル | だよね!あ、ボクあっちにある料理取ってくるよ! |
| カロル | おーい!ユーリも早く来──…あ、うわぁああ! |
| | ズデン |
| カロル | いたた…尻もちついちゃった |
| ユーリ | あ、おい!カロル!ったく、相変わらずそそっかしい奴だな |
| ユーリ | ついでにお前の分も取ってきてやるからそこで待ってな、エステル |
| エステル | あ、はい。ありがとうございます |
| エステル | …でも、カロルもお料理のお蔭で元気が戻ってよかったです |
| エステル | ふふ、桃の実はなかったけど、きれいな花に着物…素敵なお祭りですね |
| 女の子だけで | scene1 |
| 司書 | エステリーゼ様。新しく入荷した本をお持ちいたしました |
| エステル | いつもありがとうございます。この後、時間があるのでさっそく読ませてもらいますね |
| 司書 | はい、他にも本をお探しの際は何なりとお申し付けください。では、失礼いたします |
| エステル | どれも面白そうな本ばかり |
| エステル | えっと…この本は… |
| エステル | 昔の伝承などを記した本なんですね |
| | ペラペラ… |
| エステル | あ、この前カロル達とした「桃の節句」についても書かれてます |
| エステル | ええと…「桃の節句」とは… |
| リタ | 急に呼び出したりしてどうしたのよ?何事かと思ったじゃない |
| パティ | なんじゃ、今日はユーリはおらんのか? |
| エステル | はい、今日は女の子だけなんです |
| ジュディス | どうして女子だけなのかしら? |
| エステル | 今日は、みんなで「ひな祭り」をしようと思うんです! |
| パティ | ひな祭り…? |
| パティ | はて、聞いた事あるようなないような… |
| エステル | 正しくは「桃の節句」という、昔の伝統行事だそうです |
| リタ | ああ、この前ガキんちょ達とパーティーみたいな事をしたって言ってたやつね |
| エステル | はい、それであの後、桃の節句について詳しく書いてある本が手に入ったんです |
| エステル | ええと… |
| | ペラペラ… |
| エステル | 「桃の節句」とは「ひな祭り」とも呼ばれており、女子のすこやかな成長を祈る行事である…ってあります |
| パティ | 女子のすこやかな成長を祈る…なにやら優しげな行事じゃのう |
| ジュディス | なるほど、それで私達だけなのね |
| エステル | はい、この前はユーリやカロルとパーティーのような感じでやりましたが… |
| エステル | 女の子が主役のようなので、女の子同士でお祝いできたら楽しいかなと思ったんです |
| リタ | ふ~ん。昔の人って変わった事してたのね |
| リタ | で、具体的には何をするわけ? |
| エステル | 用意する食べ物や飾りについても本に載っていたので、まずはそれを用意しようと思います |
| パティ | ふむふむ…料理ならうちに任せておけ! |
| ジュディス | ふふ、何だか楽しそうだし、私も手伝わせてもらおうかしら |
| リタ | ま、いいか。せっかく来たんだし |
| ジュディス | それで、まずは何をすれば良いのかしら? |
| エステル | わたし達だけで用意できそうな物はこの紙に書いておきました |
| パティ | 了解したのじゃ。これを集めればいいのじゃな! |
| エステル | はい!それじゃ、さっそく始めましょう |
| 女の子だけで | scene2 |
| ジュディス | 「ひしもち」用のお餅、作って焼いてきたわ |
| パティ | うちもあられせんべいを買ってきたぞ。これで「あられ」は万全じゃの |
| リタ | 飾るための人形っていうからぬいぐるみとかを持ってきてみたけど… |
| リタ | 本当に合ってるの、これ?何か、雰囲気がちぐはぐしてるっていうか… |
| ジュディス | 馴染みのない昔の文化だし、違和感を感じるのは仕方ないかもしれないわね |
| ??? | すみません、遅くなりました~! |
| リタ | エステル?その格好…? |
| ジュディス | あら、素敵ね。似合ってるわよ、エステル |
| エステル | あ、ありがとうございます… |
| エステル | 昔の文化や異国を研究している学者さんに、ひな祭りにまつわる着物をお借りしてきたんです |
| リタ | へぇ…そういう服装でやるお祭りだったの? |
| エステル | あ、いえ。これは飾っている人形が着ている服なんだそうです |
| パティ | うむ!なにやら一気にそれっぽくなった気がするのう! |
| ジュディス | ええ。その衣装のお蔭で雰囲気がまとまった感じがするわ |
| リタ | それで後はこのちらし寿司っていうのを食べるのよね?ちょうどお腹も空いてきたわ |
| エステル | はい!いただきましょう! |
| パティ | ふ~、満喫したのじゃ! |
| エステル | ふふ、楽しんでもらえてよかったです |
| ジュディス | エステル、ひな祭りについて書かれていた本、見せてもらってもいいかしら? |
| エステル | あ、はい!この本です |
| ジュディス | ありがとう |
| ジュディス | …色々な文化について書かれているのね |
| ジュディス | …あら?大変 |
| リタ | ん?どうしたのよ? |
| ジュディス | ひな祭りは、祭りが終わった後、早めに片付けをしないと婚期が遅れる…って説があるそうよ? |
| パティ | な、なんじゃと!!?本当か、ジュディ姐!? |
| ジュディス | ええ。ひな祭りについてのページの最後にそう書いてあるわ |
| エステル | 早く片付けないと結婚できなくなってしまうんです? |
| パティ | た、大変なのじゃ!エステル!今すぐ片付けるのじゃ! |
| エステル | は、はい! |
| ジュディス | あら… |
| ジュディス | すぐと言っても、別に今すぐ片付けなくても大丈夫みたいだけれど |
| リタ | あんたね…。そういうのは早く言ってやりなさいよ… |