| Name | Dialogue |
| 一人と一匹の雨宿り | scene1 |
| クレス | ずいぶん歩いたね。疲れてないかい? |
| ラピード | ワウッ! |
| クレス | ははっ、大丈夫そうだね。じゃあ、もう少しだけ進んだら休憩しようか |
| クレス | バロニアまでは、まだ距離もあるし無理はしないようにしないと── |
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| | ゴロゴロゴロ… |
| クレス | ん?今の音は… |
| ラピード | ワンッ!!!! |
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| | ザ──────!!!! |
| クレス | うわわっ!雨!?困ったな… |
| ラピード | ガウッ!! |
| クレス | あそこに大きな木があるから、あの木の下で雨宿りしよう! |
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| | ザ──────… |
| クレス | ふぅ…。いきなり酷い雨だなぁ…。早く止んでくれるといいんだけど |
| ラピード | ブルル… |
| クレス | ああ、大丈夫かい?待ってて、今拭くものを── |
| ラピード | !…ウウウ |
| クレス | ん…?どうしたんだい? |
| | ガサガサッ |
| クレス | っ!? |
| | ガルルルル… |
| ラピード | グルルルルル… |
| クレス | 魔物…!?すごい数だ…! |
| | ガァァァアアッ! |
| クレス | くっ!とにかく何とかしないと… |
| ラピード | ワウゥゥゥッ! |
| 一人と一匹の雨宿り | scene2 |
| ラピード | ガウッ! |
| クレス | はぁ…はぁ…。何とか、全部倒せたみたいだね… |
| クレス | 雨宿りしようと思ってたのに、びしょびしょだ |
| ラピード | ブルブルッ |
| クレス | …はっくしゅ! |
| クレス | 通り雨なら、すぐに止むだろう。もうしばらくの間は、ここで休んでいよう |
| クレス | 僕も君も、これ以上雨にあたっていたら風邪をひいてしまいそうだし |
| ラピード | ワンッ! |
| | ザァァアアア──── |
| クレス | う〜ん…しばらく止みそうにないなぁ… |
| ラピード | … |
| クレス | …トーティス村の方も雨が降っているんだろうか… |
| クレス | 屋根が壊れているところもあったし、チェスターや村の人達も濡れてないといいんだけど |
| クレス | …みんな、大丈夫かな… |
| ラピード | ワフッ |
| クレス | ん? |
| クレス | 体をくっつけて…暖かいな、君は |
| ラピード | … |
| クレス | …もしかして、励ましてくれてるのかな? |
| クレス | 言葉が通じないから、都合よく解釈しちゃってるかもしれないけど… |
| クレス | ありがとう、君がいてくれてよかったよ |
| ラピード | ワウッ! |
| クレス | そうだね、僕が落ち込んでる場合じゃないな |
| クレス | 必ず村を襲った奴らの正体を突き止めてやる…! |
| ラピード | ワンッ! |
| 頼れるワンコ | scene1 |
| レイヴン | よっ!青年、こんなところで会うなんて奇遇だねぇ~ |
| ラピード | ワンッ! |
| ユーリ | 何だよ、おっさんか…。あんたこそどうしたんだよ。こっちに酒場はねぇぞ |
| レイヴン | あら、失礼しちゃうね。おっさんだって酒場以外に行く事だってあるわよ |
| レイヴン | っと、冗談は置いといて、お仕事よ、お仕事 |
| ユーリ | 仕事? |
| レイヴン | そそそ。最近この辺、魔物が入り込んでるって話っしょ? |
| ユーリ | …ああ、そういや、フレンの奴もそんな事言ってたな |
| ユーリ | 詳しくは知らねえが──…ん? |
| 子犬 | クゥ~ン… |
| ラピード | ワンッ |
| レイヴン | およ?ワンコのとこにちっこいワンコが… |
| ユーリ | どうやらラピードに用があるみたいだな。…にしても、やけに傷だらけだな |
| ラピード | ワン、ワンッ! |
| 子犬 | クゥ~ン… |
| ラピード | ワンッ! |
| レイヴン | お、どうやら話が終わったみたいよ |
| ラピード | ワンッ!ワンワンッ! |
| レイヴン | …?一体何を話してたのかね? |
| ユーリ | さぁな |
| レイヴン | …もしかしたら、俺様が追ってる魔物と関係あったりしてね |
| ユーリ | あの犬が魔物と? |
| レイヴン | いやどうもその例の魔物ってのがさ、意外と臆病で、他の小さい動物の餌とか狙うやつらしいのよ |
| レイヴン | 案外、このチビワンコも自分の餌を守ってその魔物と戦ったのかも、なんてね |
| ラピード | ワンッ! |
| ユーリ | お、どうやら当たりみたいだな |
| ユーリ | それでラピードのところに助けを求めに来た…ってとこか |
| ラピード | ワンワンッ! |
| レイヴン | でさ、その魔物だけど、最近は市場に潜り込んで商品を食い荒らしたりもしてるみたいなんだよねえ |
| ユーリ | 臆病なりに大胆になった、ってか。んで?おっさんはその退治でも依頼されたのか? |
| レイヴン | まあそんなとこ。ホントのトコは仕事といいつつロハなんだけどもね |
| ユーリ | ただ働きなのか?そりゃまたどういう風の吹き回しだ? |
| レイヴン | 市場の商人でちょいとばかし恩があるおっちゃんがいてね、相談されちゃったんよ |
| ユーリ | 恩? |
| レイヴン | そ。前においしーいお酒を奢ってもらっちゃってさ。なんとかしてあげたいわけ |
| ユーリ | 何かと思えば酒絡みかよ。ま、おっさんらしいっちゃおっさんらしいな |
| レイヴン | 市場でも罠とか仕掛けてみちゃいるんだけどなかなかうまくいってないみたいでね |
| ユーリ | だからこっちから捜し出して叩いちまおうって腹か |
| ラピード | バゥッ! |
| レイヴン | そういう事。どうやら、ワンコもやる気満々みたいね |
| ユーリ | らしいな。ラピードがその気ならオレも付き合うぜ |
| レイヴン | そりゃ大助かりだわ。そんじゃここはひとつ共同戦線って事で |
| ユーリ | だな。よし、行こうぜラピード |
| ラピード | ワウッ!! |
| 頼れるワンコ | scene2 |
| ラピード | ワオーンッ!!! |
| レイヴン | お、ワンコお手柄じゃない~! |
| ユーリ | やったな、ラピード |
| ラピード | ワンッ |
| レイヴン | そんじゃ、街に報告に戻るとしますかね |
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| ユーリ | ん…?あれは…? |
| レイヴン | さっき会ったちっこいワンコみたいね |
| ラピード | ワンッ |
| レイヴン | あら。もしかして、魔物退治の事でお礼でも言われてるのかしら |
| ユーリ | そんなとこらしいな |
| 子犬 | クゥーン、キャンキャン! |
| レイヴン | 〝聞いたよ、聞いたよ! あいつやっつけて くれたんでしょ?〟 |
| レイヴン | 〝本当にありがとう!〟 |
| ラピード | ワンッワンワンッ |
| ユーリ | 〝別に礼を言われるほどの 事でもねぇよ〟 |
| レイヴン | ぷぷぷ。青年、なかなかノリいいじゃない。本当にワンコがしゃべってるみたいよ |
| ユーリ | おっさんに言われたくねえけどな |
| ユーリ | ま、当てずっぽうだが、そんな間違っちゃないだろ |
| レイヴン | んん?ワンコやニャンコが集まってきたけど…? |
| ユーリ | みんな何か咥えてるみてぇだな |
| ラピード | バウッ!ワン! |
| ユーリ | 〝おいおい、 礼ならいらねえって──〟 |
| 子犬 | キャンキャン!キャンッ! |
| レイヴン | 〝そんな事言わないで。 みんなお礼がしたいんだ!〟 |
| レイヴン | 〝大した事はできないんだけど… よかったらこれ 受け取ってくれる?〟 |
| ラピード | ワンッ!ワンッ! |
| ユーリ | 骨、鶏肉、魚…みんなからのお礼って事か? |
| レイヴン | ワンコ、モテモテじゃないの! |
| ユーリ | ラピードの活躍のお蔭だからな。ま、これであいつらも安心して過ごせるだろ |
| ユーリ | よかったな、ラピード |
| ラピード | ワオーーーン! |