NameDialogue
scene1運命の交差
カイルおーい!みんなー!いたら返事してくれー!
カイル……駄目か。転移してきた森まで戻ってきたはいいけど、やっぱり誰もいないな…
カイルみんな…どこにいるんだろう。無事だといいけど…
カイルそれに…
ジューダスカイル…!後は任せたぞ
カイルジューダス!
カイルジューダス…!世界の結晶化に巻き込まれるなんて…
カイルオレ、目の前にいたのに、ジューダスを助けられなかった…!
カイル結晶化の原因はきっと、この過去にあるはずなんだ!
カイル待っててくれ、ジューダス!オレが必ず助けてみせるから!
カイル……とはいったもののここ本当にオレ達の世界の過去なのかな…?
カイル「永遠に続く平和と幸福」か…前に来た時にはそんな話、全然聞かなかったのに
カイルそれに…祈りを捧げるみんなの姿、何かこう…変な感じだったし…
カイルもしかして、オレだけ転移する場所がズレちゃったとか…?
カイルだったら早くみんなと合流しないと!場所は違っても、きっとこの時代に来てるはずだ!
カイルオレが転移したのは、この先だな。何か手掛かりがあるかもしれないし、よく探してみないと
カイルあの時は変な人達に追いかけられたし、慎重に…
カイル…あれ?何だろう、この看板
カイルえっと、何なに「この先の立ち入りを禁ずる」…?
カイルこんな森の奥なのに、立ち入り禁止なんて…
カイルうーん、困ったな…。この先を調べたいのに…
???そこで何してるんだ?その先は入っちゃ駄目だぞ
カイルあ、すみませ──
カイル…ああっ!父さ──あ、っと
スタン…父さん?
カイル…あ、い、いえ!驚いてちょっと間違えたっていうか…
スタン間違い…それって、俺が君くらいの子どもがいる年齢に見えたって事か?
カイルい、いや、そうじゃなくて──
スタンつまり、貫禄があるって事だよな!何だか照れるけど、ありがとう!
カイル…わあ
カイルこの感じ、やっぱり父さんだな…
スタンあ、そうそう。そこの看板に書いてある通り、この先は「立入禁止区域」なんだ
スタン「白き獅子」が管理する特別な場所だからな。無断で入ると捕まっちゃうぞ
カイル「白き獅子」…
スタン…って、余計なお世話か。誰でも知ってる事だもんな
スタン俺はスタン。君は?
カイルえっ…
カイルな…何言ってるんですか!オレですよ、オレ!忘れちゃったんですか!?
スタン…どこかで会った事あったっけ?んー…
スタンもしかして…実は俺の知らない、生き別れの弟だったりするのか?
カイルお、弟!?
スタンはは、冗談だよ。でも何だか、他人とは思えないって感じがしたんだよな
カイルあー、えっと…それは…
???う、うわぁぁ!
ギャオオオッ!
カイルこれは…魔物の声!
スタンそれに、人の叫び声も…!
スタン・カイル助けないと!
スタンお、気が合うな!
カイルそうですね!
カイルって、笑ってる場合じゃないですよ!
スタンそうだった!よし、行こう!
scene2運命の交差
カイルよかった。どこにも怪我はないみたいだね
行商人あ、ああ…。君達のお蔭で助かったよ…
スタン気にしなくていいって。それより街まで送っていくよ
行商人いや、それには及ばないよ。ホーリィボトルを持ってるからね
行商人売り物だからってケチらないで、使っていく事にするよ
行商人魔物に襲われるのは、もうこりごりだからね…。それじゃあ、助けてくれてありがとう
カイルあ、うん!気をつけてね!
スタン無事に助けられてよかったな!それにしても…
スタン君、すごいな!かなりの剣の腕前じゃないか!
スタンそれに、魔物を恐れずに人助けなんて勇気がなくちゃ出来ない事だよ
カイル当然!オレは、英雄になる男だから
スタン英雄かぁ!大きな目標だけど、なれる気がする。君なら…
スタン…あれ?そういえばまだ名前、聞いてなかったよな
カイルあ…ええと
カイルやっぱりオレの事、覚えてない…?でも、ここまで綺麗に忘れられる事なんてあるのかな…?
スタンん?どうかしたか?
カイルあ、いえ!何でもないです
カイル…その…オレ、カイルっていいます
スタンカイル…うん、いい名前だな!
スタンそれでカイルはこんなところで何をしてたんだ?うっかりして、って言ってたけど
カイルえっと…人捜しです。実はオレ、離れ離れになった仲間を捜して旅をしてて…
スタンそうなのか…それは大変だな…
スタン…ん?仲間と離れ離れに?そういえば、俺の地元の街にも同じ事を言ってる人がいたなぁ
カイル…え?そ、それ、どんな人ですか!?
スタン最近やってきた女の人なんだけど、ピンクのぼさぼさした髪で…
スタンあ、そうそう!何かいつも変なもの作ってるんだ
カイルそれって…!スタンさん、その人、多分オレの仲間です!
スタン本当か?よし、それならその人のところまで案内するよ
スタン市都アルメリアまではちょっと遠いし一人じゃ退屈だったんだ。カイルと一緒なら楽しそうだな!
カイルは、はい!オレも…スタンさんと一緒なら楽しいと思います…!
スタンははっ、俺達気が合いそうだもんな。じゃあ、早速向かおうか
カイルはい!あっ…
カイル立入禁止区域…結局、この先には何があるんだろ
スタンカイル?あんまりのんびりしてると日が暮れちゃうぞ?
カイルあ、はい!それじゃあ、行きましょう──
カイルい、っつ…!
スタンカイル!大丈夫か!?
スタンお前…足を怪我してるじゃないか!もしかしてさっきの戦いで…?
カイルへ、平気です!これくらい、何ともないんで!
スタン平気なわけないだろ!この傷じゃあ、歩くだけでも大変だろうし…
スタン…よし!街までは、俺が背負っていくよ!
カイルえっ…
スタンこうやって、俺もしゃがめば…どうだ?これで乗りやすいか?
カイル…父さんが…俺をおんぶ…
スタン…カイル?どうかしたか?
カイルあ、いえ!だ、大丈夫です!オレ、ちゃんと歩けますから!
スタンアルメリアは結構遠いんだけどな…。本当に大丈夫か?
カイルはい!このぐらい、何ともありません!
スタン…わかった。でも、途中でひどくなったら遠慮せず言ってくれよ
カイルわかりました!オレ、最後まで歩き切りますから!
スタン無理はしなくていいんだけどなぁ…
scene1超絶天才居候様
スタンほら、着いたぞ。ここが市都アルメリアだ
カイルうぅ…結局、背負われてしまった…
スタンだから、距離があるって言ったろ?その怪我でここまで歩くのは無茶だったって
カイルでも迷惑かけっぱなしっていうか…オレ、重かったですよね?
スタンいやぁ、軽かったぞ?カイルもう一人分は背負えそうだな
カイルええっ!?お、オレ、そんなに軽いですか!?結構鍛えてるつもりなのに…
スタンははっ、ごめんごめん。要するに、気にするなって事だよ
スタンさてと、例の仲間かもって女の人は──
カイルま、待ってください!街中でまでこの状態ですか!?恥ずかしいから降ろしてください!
スタン遠慮する必要はないって。恥ずかしさよりも、カイルの足の方が大事だろ?
カイルま、街の中を歩くくらいなら、大丈夫ですから!
スタンそんなに恥ずかしがる事ないのに…わかった、降ろすよ
スタンでも辛そうだったら無理やりにでも背負うからな?
カイルだ、大丈夫ですって見ててください…
カイルほら、この通り!ちゃんと歩けますから!
スタンはは、心配しすぎだったみたいだな。それじゃあ、ゆっくり目的地に向かうか!
カイルここって宿…ですか?
スタンああ。俺の友達がやってるんだ
スタンおーい、アスベルー!
アスベルはい、今行きます!
アスベル…って、スタンか。どうしたんだ、急に来て
アスベル…ん?そっちの彼は?
スタンカイルっていうんだ。こっちに戻ってくる時に知り合ったんだけど…
スタンカイルはすごいんだよ!魔物にも恐れず向かって行くし、剣の腕もかなりのものなんだ
アスベルへぇ、知り合ったばかりなのにずいぶん気に入ったみたいだな
アスベルけどわかる気がするよ。二人、何か似てるもんな。兄弟みたいっていうか──
カイルそ、それは…その…
アスベルよろしく、カイル。俺はアスベル。スタンの友人だ
カイルは、はい!よろしくお願いします!
アスベルそれで、スタン。俺のところに来たのは、カイルを紹介してくれるためか?
スタンいや、カイルははぐれた仲間を捜して旅してるらしいんだ
スタンそれでアスベルのところにいる、あの…
アスベル…ああ、なるほど。彼女が仲間かもしれないってわけか。わかった、呼んでこよう
スタンあ、それと、カイルが足首を怪我してるんだ。出来れば治療も頼む
アスベルそれなら彼女に頼むのがいいだろ。回復術が使えるはずだから
アスベルおーい、ちょっと来てくれ!
???何よ~…せっかく実験がいいところだったのに…
???…って、カイルじゃない!
カイルやっぱり、ハロルドだったんだな!
カイルよかった…やっと一人仲間を見つけられた…
カイルねえハロルド、他のみんなは──
ハロルドや~、無事だったのね~!安心したわ~!
カイルう、うん!ハロルドも無事でよかったよ!いろいろ相談したい事があって…
ハロルドうんうん、そうよね。でも、そんなに急ぐ事ないわよ。とりあえず、私の部屋で…
カイルいや、早くみんなを見つけないと!だって、ここって──
ハロルドは~い、そこまで~!ちょっとこっちにいらっしゃい
カイルも、もが!?な、何するんだよ!
ハロルドあっ、アスベル。ちょっとこの子、借りるわよ~
アスベルあ、ああ。それはいいんだが、カイルは足を怪我して──
ハロルドそれなら大丈夫、ちゃ~んと治療しておくから。それじゃ~ね~
スタン…本当に大丈夫かなぁ…
アスベルさあ…?
scene2超絶天才居候様
ハロルドさ、ここが私の借りてる部屋よ。入って入って
カイルお邪魔しま──
カイルって、何だこの部屋!本当に借りてる部屋なの!?
カイル変な機械ばかりで、未来のハロルドの部屋、そのまんまじゃんか!
ハロルドそのまんまなわけないでしょ?数も性能も、ちーっとも大した事ないんだから
ハロルドま、アスベル達に便利グッズを売りつけた程度のお金にしては、上等なものを揃えられたけどね♪
カイルう、売りつけるって…
ハロルド宿の売り上げには貢献してるから、オッケーオッケー。次の商品にも期待されてるしね
カイルそ、そっか…。さすがはハロルド…
カイル…それで、この機械って何なの?
ハロルド「解析君仮設3号」よ。マナの生成量と異空間における歪みの発生、時間軸の連動計測を──
カイルえ、えっと…ごめん。つまりはどういう事?
ハロルド要するに、多方面から計測してこの世界の変化を調べてるってわけ
ハロルドまぁ、結果も今から説明するけど、その前に…
ハロルドカイル。あんたの目的って、何?
カイルえ…それは勿論、あの「結晶化」の原因を調べて、ジューダスを助ける事だよ
カイルだけどまずは、リアラとソフィと合流しないと。二人共、無事だといいけど…
ハロルドふむふむ…。記憶の改変は受けてないみたいね
カイルえっと…記憶の改変って?
ハロルド…やっぱりわかってなかったか。まあ、それも含めて治療しながら説明するわ
カイルう、うん。お願い
ハロルドまずは…そうね。簡単なところから一言で言っちゃうと…
ハロルド私達の世界は、なくなっちゃったのよ
カイル世界が…なくなった…!?
scene3超絶天才居候様
カイルハロルド、どういう事なの?オレ達の世界がなくなったって…
ハロルド私達が行くはずだった、過去の世界は消滅しているって事
ハロルドで、その時間軸の延長線上である私達の世界も、消えている可能性が高いのよね
カイル消滅…!?
ハロルド正確に言うと、今いるこの世界が元の世界を基礎にして創った新世界、という感じかしら
ハロルド消滅した、というより、創り変えられた、と言った方がいいかもね
カイル創り変えられたって…それ、本当なの…?
ハロルド私の計測を疑ってんの?いくら仲間捜しの片手間とはいえ、こんな事で間違えるわけないでしょ
カイル…っ!?ハロルド、リアラ達の事も探していてくれたの!?
ハロルド当然でしょ。私を誰だと思ってるのよ
カイルあはは…ごめんごめん
ハロルド全く…とにかく、今は情報もないし、リアラ達の事は置いておいて話を続けるわよ
ハロルド私達の住んでいた未来に現れたあの「結晶」とこの新世界に何か関わりがあるのは確かみたいね
カイルあの「結晶」が…!?
ハロルドま、今の段階じゃまだ憶測の域を出ないけど私の見立てじゃほぼ間違いないわ
ハロルドそれと、もう一つ起こっている重大な変化が…人々の記憶の改変よ
カイル…それ、さっきも言ってたよね。記憶の改変って、どういう事なの?
ハロルドこの世界の人々は、元の世界の出来事を覚えてないのよ
ハロルド自分達は、最初からこの新世界で生まれて、育ってきたと思ってる…。まるっと記憶を改変されているの
ハロルドだから世界が創り変えられた事にも気付かないし疑問にも思わないの
カイル…!そういえばオレ、違和感あったんだ
カイル前にもこの時代に来た事はあったけどその時は「天帝」なんていなかった
カイルなのに、みんな今では当たり前のように受け入れてるから…
ハロルドそれが記憶改変よ。今の世界にとって「天帝」がいるのは当たり前になってるって事
カイルじゃあ…やっぱり、スタンさんも?
カイルオレ、前の世界でさっきのスタンさんに会った事があるんだ
カイルそれなのに、オレの事、全然覚えてないみたいだったから…
ハロルド当然改変されているわね
ハロルドそれで?憧れの父親と再会出来た感想は?
カイルそれは勿論すごく嬉しかっ…って、ハロルド知ってたの!?
ハロルドあら、やっぱりそうなの。あの青年の名前を聞いた時からそうだろうとは思ってたのよ
カイルハロルド…
ハロルドシルヴァラントに名を残すほどの英雄もここでは単なる一般市民ってわけね
ハロルド未来では、行方不明になった後でさえ絶大な人気を誇っていたのに
カイル…うん。俺も、過去に戻って父さんにまた会えて嬉しかったんだけど…
カイル…ねえ、ハロルド!どうにかして父さんの記憶を取り戻す事は出来ないの?
ハロルド記憶を取り戻す人はいるみたいよ。でも方法はわからないし何よりも危険よ
カイル危険?どうして?
ハロルド…あんた、この世界に来てから「咎人」って言葉に聞き覚えない?
カイル咎人…?あっ、そういえば生誕祭で捕まった人の事をそんなふうに言ってたような…?
ハロルドなら話は早いわね。その咎人こそが、元の世界の記憶を取り戻した人よ
カイル…!それ、本当なの!?
ハロルド本当よ。何ならこの結論に達した理由をいちから説明してあげてもいいけど…聞きたい?
カイルむ、難しい話はちょっと…
ハロルドじゃ、重要な事だけ。どうやら天帝は、片っ端から咎人を捕らえているらしいわ
カイルなっ…!
ハロルド記憶を取り戻しても、咎人だとばれて捕まったりしたら…何されるかわかったもんじゃない
ハロルドだからカイル。悪いけれど、スタンの記憶は、一旦諦めなさい
カイルそんな事言われたって…放っておけるわけないよ!
カイルオレだったら、リアラや、みんなとの思い出を変えられて生きていくのなんて嫌だ
カイルだから…父さんもアスベルさんも記憶を取り戻してあげたいんだ!
ハロルドスタンはともかくアスベルも?あんた、アスベルとも知り合いなの?
カイルうん、アスベルさんはリチャードさんの親友だよ
カイルオレも何度かウィンドルの王宮で会った事があるし
ハロルドあんた、いつの間に王宮なんか出入りするようになったわけ?
カイル前にリチャードさんが星のカケラの邪念にとりつかれた事があっただろ
カイルそれを救って以来、時々王宮に招いてもらってたから
ハロルドなーるほど、ソフィのオマケってわけね。あの子、リチャード王と仲良かったし
カイルオマケって!オレだってリチャードさんと友達だし!
ハロルドはいはい。どっちにしろ、記憶を取り戻すなんて駄目よ
ハロルド今、下手に動いて天帝に捕まったりしたら本末転倒でしょ。リアラ達を捜す事も出来なくなるわよ
カイルリアラ…
カイル…わかったよ。今はリアラ達を見つける事に専念する
ハロルドよろしい。それじゃ、しばらくはここを拠点にして情報を集めましょ
scene1仮初の縁
ハロルドお待たせ~。ばっちり治療が終わったわよ~
スタンお、ようやく戻ってきたか!カイル、もう大丈夫なのか?
カイルはい、すっかり治りました!
アスベル結局、ハロルドはカイルの仲間だったって事でいいんだな?
カイルはい、そうです!それで、アスベルさんにも聞いておきたいんですが…
カイルオレ達の仲間について、何か心当たりとか──
ハロルドちょい待ち!カイル!こっちに来なさい!
カイルな、何だよ。どうかした?
ハロルド正直、私もまだこの世界に来てからそれほど時間が経ってないから、掴めていない情報も多いの
ハロルドだから…考えなしに質問ばかりするのはやめておいた方がいいわよ
カイルえっと…どういう事?
ハロルドつまりね…何が原因で咎人だと思われるのか、わからないって事よ
ハロルドただの質問が、この世界の禁忌に触れてしまって、それが原因で咎人と思われる可能性だってある
ハロルド今は必要だから仕方ないけど、本来なら私達が仲間を捜してる事すら隠しておくべきなんだから
カイルいやいや…ただ仲間の居所を聞いただけで、咎人扱いされるなんて…
ハロルドないって、絶対に言える?私達はこの世界について、まだほとんど何も知らないのよ?
カイルうっ…確かにそうだけど…
ハロルドリアラ達の事は私の方でも情報を集めておくからそれまでは大人しくしてなさい
カイルうぅ…。でも、こんな時にオレだけじっとなんかしてられないよ
カイルオレも街で情報を集める!ハロルドには迷惑かけないって約束するから…!
ハロルドあのね…私の話聞いてた?
カイルうん。だからこそ、こんな危険な世界にリアラやソフィを放っておけないよ
カイルそれに…ジューダスの事だってある。オレは少しでも早くジューダスを助けだしたいんだ
ハロルドはあ…。わかったわ。言われて諦めるあんたでもないし、街で情報を集めるのは許してあげる
ハロルドただし、細心の注意を払う事。いいわね?
カイルうん!ありがとう、ハロルド
ハロルドあ、話を中断してごめんねー。さ、どんどん続けてよ
アスベルあ、ああ…えーと、仲間の心当たりの話だったよな
アスベル残念だけど、ハロルド以外でそれらしい人物はわからないな
カイルそうですか…
スタンそう落ち込むなって!仲間捜しなら、俺も協力するから
カイル本当ですか!?
スタンああ!友達が困ってるっていうのに放ってなんておけないからな
ハロルド…ふーん、やっぱり似てるわ
スタンん?何だって?
ハロルド何でもないわ。続けてどうぞ?
スタンん、ああ。それでカイル。仲間はまずどこで捜すつもりなんだ?
カイルえっと…最初はこの街で捜すのがいいかなって思うんですけど…
スタンこの街からか。だったらこの街にいる間は、俺の家に寝泊まりすればいいよ
カイルえ、いいんですか!?
ハロルドちょ、ちょっとカイル──…!
スタン勿論だよ!困った時はお互い様だろ?
カイルやった!スタンさんと一緒に過ごせるなんて夢みたいだ…!
カイルスタンさん、よろしくお願いします!
ハロルドあー…やっぱり、こうなるわよね…
ガチャ…
???ただいま。アスベル、今帰ったよ
カイル…え?あなたは…!
scene2仮初の縁
???賑やかだな。お客さん…ではないみたいだけど
アスベルおかえり、リチャード!
スタン帝都まで商品の買い付けに行ってたんだってな!お疲れ様!
カイルやっぱり…リチャード、さん…!
ハロルド…わかってるわよね?
カイルも、勿論。リチャードさんとは初対面、でしょ?
アスベルカイル、彼はリチャード。俺と一緒にこの店を経営しているんだ
カイルは、はじめまして、リチャードさん。カイルです
リチャードはじめまして、カイル。よろしく頼むよ
アスベルカイルはスタンが連れてきたんだが、どうやらハロルドが捜していた仲間の一人らしい
スタンアスベルとリチャードはすごく仲がいいんだ!昔からずっと一緒にいるしな
リチャードまあ、僕はアスベルには助けられてばかりだけどね
リチャード今だって、親の商売を引き継いだ僕を助けてくれているし
リチャード正直、僕一人ではきっと店を維持するのも難しかったと思うよ
リチャードいつもありがとう、アスベル。感謝しているよ
アスベル何をいってるんだよ。俺達は家族みたいなもんだろ。気にしないでくれ
リチャード家族か…。ああ、そうだな
カイルこんなリチャードさん見た事ないや…やっぱり、未来とは少し雰囲気が違うな…
アスベルカイル、どうしたんだ?
カイルい、いや、何だか二人を見てると仲間の事を思い出しちゃって…
スタンへぇ、って事はカイルの仲間達もすごく仲がいいんだな!
カイルはい、それは勿論!
リチャード…仲間か。そういえば、まだ全員は見つかっていないんだな
リチャード仲間の事は僕も気にかけておこう。何かあればすぐに知らせる
カイルはい、ありがとうございます!
アスベル結構、話し込んでしまったな。そろそろ仕事に戻らないと
リチャードそうだな。買い付けた商品の確認もある。アスベルはそちらを頼む
アスベルああ、わかったよ
リチャード僕達は仕事に戻るが何か協力出来そうな事があれば言ってくれ
スタンさて、それじゃあ俺達も帰るか!
カイルはい!
ハロルドあっ、ちょっと、カイル。待ちなさい
カイルわ、っとと。ど、どうかした?
ハロルドもう一度忠告しておくけどこっちの世界の人々と不要な縁を結ぶのはやめておきなさい
カイル不要って…どうしてさ
ハロルド私達は元の世界を取り戻すために動く事になる
ハロルドでもそれは、今ここにいる記憶を改変された人達を消滅させるという事なのよ
カイルそ、それは…!
ハロルド私達は、いつか彼らと別れなければいけない
ハロルド仲良くなればなるほどその時がつらくなるわよ
カイル……
ハロルドそうならないためにもカイル、特にスタンとは距離を置きなさい
カイルう、うん。わかった…
カイルオレだって、父さんとは敵対したくないから
ハロルドそう…
スタンおーい、カイル!まだかー?
カイルあ、今、行きます!
カイルそれじゃあね、ハロルド!
ハロルド…本当に大丈夫なのかしら?
scene1黄昏に陰る心
カイルふぁ、あ…おはよーございます…
スタンおっ、起きたな!朝ごはん、出来てるぞ
カイルう、ん…朝ごはん…
カイル──朝ごはん!?
カイルす、すみません!オレ、居候なのに全然手伝わなくて!
スタンいいっていいって。それにしても、カイルも朝が弱いんだな
カイルうぅ…。そうなんです…
スタン実は俺もなんだ…。朝起きられなくて、本当に困っちゃうんだよなぁ
スタンどうにかしなくちゃとは思うんだけどさ…
カイル父さんも…。そっか…オレの寝起きの悪さって本当に父さん似なんだ…
スタン…まあ、悩んでても仕方ないし、飯にするか!
カイルはい、いただきます!
スタンとは言っても、俺も起きたばかりだから大したものは作ってないんだけどな
カイルそんな事…!すごく嬉しい、です…
スタンはは、そうか?それじゃ、遠慮なく食べてくれ
スタンそれで、カイルはこれからどうするんだ?
カイル仲間の情報はハロルドが集めてくれるって言ってるんですけど…
カイルでも、じっとしていられませんし、オレも街で聞き込みをしようと思ってます
スタンそっか…。そうだよな。俺も友達とはぐれちゃったら居ても立ってもいられないと思う
スタンよし!そういう事なら俺も一緒に行くよ!協力するって言ったしな!
カイルえっ!?でも、そんなの悪いですよ!
カイル家に置いてもらってるだけでありがたいのに…
スタンそうは言うけど俺もカイルの事が心配なんだよ
カイル…オレ、そんなに頼りないですか?
スタンいや、そういうわけじゃないんだ。だけど、最近、咎人の話をよく聞くからな
スタン生誕祭で騒ぎを起こした咎人は脱走したらしいし、カルミナ街でも咎人が出たらしいんだ
カイル咎人…ですか
スタンああ。そんな状態だから、用心するに越した事はないだろ?咎人は、人を惑わすと言うし
スタン早く咎人が捕まってくれれば安心出来るんだけど
カイル……
カイル…オレ、やっぱり、一人で行きます!
スタンえっ?でも、街には入り組んだ通りもあって慣れてないと迷いやすいし…
カイルと、とにかくオレ一人で大丈夫ですから!ごちそうさま!
スタン…カイル、急にどうしたんだ…?
カイル…急に飛び出したりして父さん心配してるかな…?
カイルここは一回戻って、謝った方が…
カイルいや、駄目だ!深く関わるなってハロルドも言ってたじゃないか!
カイルそれに…
スタン早く咎人が捕まってくれれば安心出来るんだけど
カイル記憶を書き換えられている今の父さんにとって、咎人は悪でしかないんだ…
カイル少し距離を置かないと…
カイル…オレの今やるべき事は、リアラ達を捜す事。…とにかく聞き込みだ!
scene2黄昏に陰る心
カイル…迷った
カイルオレ、どっちから来たっけ?全然、覚えてない…
カイルはぁ…オレ、何やってんだろ。結局リアラ達の情報も、何一つ見つけられなかったし…
カイルジューダスの事だって早く助け出さなくちゃいけないのに…
男の子パパ、早く早く!
男の子の父親こらこら!あんまり急ぐと転ぶぞ!
男の子だったらパパが手、繋いでて!いいでしょ?
カイル…親子、か
カイルオレだって、今は父さんと一緒だけど…
カイルでも、今の父さんは本当の父さんじゃないんだよな…
カイル今の父さんにかけられた言葉も…背中の温もりも…
カイル父さんとの生活も…本当じゃないんだ
カイル…オレが、帰る場所なんて…
カイルやっぱり、このまま一人でも街を出てリアラ達を捜した方が──
???カイル、ここにいたんだな
カイル…!スタンさん…
スタンなかなか戻ってこないから捜してたんだ
カイルオ、オレをですか…?
スタン勿論。心配したんだぞ?さあ、家に帰って一緒に温かい飯でも食べよう!
カイル…それは…でも…
スタン……
スタン…なあ、カイル。ちょっといいか?
カイルえっ?
スタンカイルが仲間を心配する気持ちはわかる
スタンでも、同じように俺もカイルの事が心配なんだ
カイルオレの事が…
スタン何があったかは、今は聞かない。でもな、あんまり一人で抱え込みすぎるなよ
スタン俺もハロルドも、アスベル達もいる。辛い時は、頼ってくれていいんだ
スタンカイルは、一人じゃないんだからさ
カイル…!一人じゃ、ない…
カイル…はい。スタンさん、ありがとうございます!
スタンいいって。それじゃ、帰ろう!晩飯は気合入れるぞ
スタンあ、そうそう、明日は何を言われようと、カイルについていくからな
カイル父さんは…記憶がなくたってやっぱり父さんなんだ…
カイル偽物なんかじゃない…。むしろ、本当の事を言えてないのはオレの方だ…
カイル仕方がない事だってのはわかるけど…でも…!
カイル本当に…それでいいのかな…?
scene1信じる強さ
スタンよし、それじゃ、早速聞き込みをはじめるとしようか
カイルはい、そうですね…
スタンまあ、今のところ何の情報もないから地道にやるしかないな
スタン絶対に、カイルの仲間の情報を見つけような!
カイル……
スタンうーん…やっぱり簡単には見つからないな…
スタン少し休憩にするか。ご飯も買ってきた事だし
カイルはい…
スタンほら、カイル。近くの屋台で買ってきたんだけど美味いんだ、これ!
カイルあ、はい…。ありがとうございます…
スタン…なあ、カイル。どうしたんだ?どうも今日は、元気がないというか…
スタンもしかして、お腹でも痛いのか?
カイルち、ちがうんです!えっと、その…仲間達の事が心配で…!
スタン…そうだよな
スタンなあ、カイルの仲間ってどんな人達か、聞いてもいいか?
カイル…あ、はい、勿論…
カイル一緒に旅をしていたのは、ハロルド以外だとリアラとソフィっていう女の子で…
カイルみんな…オレの大事な仲間なんです
カイルソフィは、身体は細いけど、すっごく強いんですよ
カイル自分よりずっと大きな魔物もどかんと殴り飛ばしちゃうし、頼りになる子なんです
スタンへぇ…すごいんだな!もう一人の仲間…リアラだっけ?そっちはどんな人なんだ?
カイルリアラは…オレにとって一番特別な子です
カイルとにかくすっごく可愛いんだ!オレの夢も応援してくれるし…
カイルリアラと出会えたから、今のオレはここにいるんです…だから…!
カイル何があっても絶対にオレはリアラを守るって決めたんです!
スタン…そっか。とても大事な人なんだな
カイルはい!
スタンやっぱりカイルはすごいな…
カイル…え?
スタンその歳で、守りたい人がいて…守るっていう覚悟もある。それってすごい事だと思うぞ?
スタンなかなか出来る事じゃないよ。もしかして、その歳で旅をしてるのもリアラって子のためなのか?
カイル…いえ。オレには、オレのための旅をする理由があるんです
カイルオレ…父さんに憧れてて…
カイルオレの父さんはすごいんです。英雄として、みんなに尊敬されてて…
カイルそれに…実際に会ってみると、強くて優しくて温かくて…
カイルオレ、そんな父さんと同じように旅をして…
カイル父さんのような、英雄になりたいんです
スタン…そうか。息子からそんな風に尊敬してもらえるなんて父親は嬉しいだろうな
カイルそう…なのかな?
スタンそりゃそうさ
スタン少なくとも、俺にそんな息子がいたらすごく嬉しいと思う
カイル…ありがとうございます。すごく…すごく嬉しいです。でも…
カイル……
スタン…。カイル、このあとちょっと俺に付き合ってくれないか?
カイルへっ?は、はい…それはいいですけど…?
スタンよかった!実は街はずれに俺のお気に入りの場所があるんだ
スタンきっといい気晴らしにもなると思うから。さぁ、行こう
scene2信じる強さ
スタンほら、カイル。着いたぞ
カイルここが…スタンさんのお気に入りの場所…
スタンいいところだろ?何だかここだけ、時がゆっくり流れているような感じがして…
カイルはい。わかる気がします…
スタン…なあ、カイル。もし、悩み事があるなら俺に相談してくれよ
スタン俺を父親だと思ってさ。男同士、腹割って話そう!
カイルスタンさん…
カイル…実はオレ、大切な人にずっと隠し続けてる事があるんです
カイルその人は、オレにとってかけがえのない人で…オレにすごくよくしてくれるんです
カイルでも、だからこそ、秘密を隠し続けている事が辛くて…
スタン…それでも隠してるって事はそうしなきゃならない事情があるって事か?
カイル…はい
カイル秘密を話したら、きっと今のままの関係じゃいられないから…それが、すごく怖くて…
カイルそれに、その秘密を話してしまうと捜している仲間達にも迷惑がかかってしまうかもしれなくて
カイルでも、秘密を隠したまま付き合うだなんて本当に正しい事なのかな…?
スタン……
カイルって、こんな事言われてもスタンさん、困っちゃいますよね…
スタンそんな事ない。俺、難しい事はあんまりわからないけど…
スタン大事なのは、「正しい」と信じる心の強さじゃないかな
カイル信じる心…?
スタンカイルは誰かを傷つけるために隠し事をしてるんじゃないんだろ
スタンそんなカイルの信じる相手ならその気持ちをわかってくれるはずだ
スタン少なくとも俺なら、絶対に嫌いになったりしない!
カイルスタンさん…
スタンだから、その相手を信じて──相手を信じた自分を信じるんだ
スタンそうすれば、自分にとって本当に「正しい」と信じられる事がわかると思う
カイル相手を信じたオレを信じる…
カイル……
カイル──わかりました。オレ、もっと考えてみます!
スタンああ。でも考えて考えて、わからない事があったら…
スタン俺でもハロルドでも、誰でもいい。ちゃんと頼ってくれよな
スタン最後はきっと上手くいくからさ!
カイル…はいっ!ありがとうございます
ハロルドあ、いたいた!もう、大人しくしてなさいって言ったでしょ!
カイルハロルド!?そんなに慌ててどうしたの?
ハロルドはぐれた仲間の情報が手に入ったの!
カイルほんとに!?詳しく教えてよ!
スタンよかったな、カイル!
カイルはい!
ハロルド…と、その前に急いだから喉が渇いたわね…
ハロルドスタン、飲み物を用意してきてくれないかしら
スタンお、おお!わかったよ
ハロルドさてと、今の内に話したい事があるの
ハロルド旧市街に黒髪で細身の少年がいるらしいの。二本の剣を使うって話よ
カイル黒髪…二本の剣…それってもしかしてジューダス!?
カイルあ、いや…でも、それだけでジューダスだって判断するのは…
ハロルドそれから目つきが悪くって、ずっと不機嫌そうな顔をしてて、話しかけるとさらに不機嫌になるとか
カイルジューダスだ、間違いない!
カイルあれ…?でも、ジューダスは未来の世界で結晶に包まれたはずだよね…
カイルって事は別の人なんじゃ…?
ハロルドそれがそうとも限らないのよ。言ったでしょ、この新世界は元世界を土台に創られてるって
カイルう、うん…えっと…マナ計測だかをして、確かめた…んだっけ?
ハロルドそ。ただ土台にすると言っても何らかの方法で元世界の情報を取得しなきゃいけないはずなのよね
ハロルドそんで、世界を創り変えるなんてとんでも現象を起こすんだから、それ相応の前触れがあったはず
ハロルド結果には必ず原因が付随するわ。私達が今まで知り得た情報の中で原因に足り得るものと言ったら…
カイルちょ、ちょっと待って!難しくてよくわからないよ!
ハロルドもう、しょうがないわね。つまり、あの結晶がこの世界を創りあげた犯人で…
ハロルドそんでジューダスも、結晶に覆われた事で、こっちの世界に来ている可能性があるって事よ
カイルなるほど!つまり、旧市街に行けばジューダスに会えるって事だよね!
ハロルドま、あくまでも可能性だけどね。会いに行ってみる価値ぐらいはあるんじゃないかしら
カイルそれなら迷う必要なんてない。…行ってみるよ、旧市街へ!
scene1解き放たれる想い
スタン着いたぞ、カイル。ここが旧市街だ
カイルここに、ジューダスが…?
カイル…何か思ってた以上に寂しそうなところですね
スタン今は誰も住んでいないからな。俺も、旧市街に来るのは初めてだし…
スタン…でも、何でだろう…この街並み、何か懐かしい感じがするんだよなぁ
カイル確かに…言われてみればオレも見覚えがあるような…
スタン…まあ、いいや。今はそんな事よりカイルの仲間を捜さないとな!
カイルは、はい!ありがとうございます!
スタン人影一つないし、誰かいればすぐわかると思うんだけど──…ん?あそこに誰か…
カイルジューダス…!?おーい、待ってくれよ!
スタンあっ、おいカイル!一人で行くなって──
???……
カイルジューダス!
カイル…って…あれ…?ジューダスじゃ、ない…?
???…うるさい奴だな。向こうへ行け。人違いだ
カイルた、確かに仮面もしてないし、雰囲気も何か違う気がするけど…でも…
カイルねぇ、本当にジューダスじゃないの?もしかして、記憶改変の影響で何か…
???記憶だと…?お前、まさか…
スタンやっと追いついた。カイル、この人がお前の捜していた「ジューダス」なのか?
???…!
スタン…な、何か睨まれてるぞ、俺。えっと…ジューダス?
???…二人そろって何だ。そんな名前など聞いた事がない
リオン僕の名前は…リオンだ
スタンそうか、人違いだったのか。残念だったな、カイル……カイル、どうしたんだ?
カイルリオン…って。もしかして、あのリオン・マグナス…?
リオン…何?
スタンん?ジューダスではないけど、カイルの知り合いなのか?
カイルあ、いやその…父さんの親友に、同じ名前の人がいて…
リオン…お前は…
スタンへー、あのすごい親父さんの。って事は、リオンもすごい人なのか
リオン…何だ、その手は
スタン何って、握手だよ。俺はスタン、よろしくな!
リオン…ふん。相変わらず能天気な奴だ
スタン相変わらず…?俺、お前とは初めて会ったと思うんだけど…
スタン…でも、何でだ…?何だか、前にも会った事があったような気が…
リオン……
リオン…話にならんな。これ以上、お前達の相手をするつもりはない
スタンお、おい!ちょっと待てよ!もう少し話ぐらい──
リオンそんな暇、僕にはない
スタンあ、おい!待ってくれって!
リオン…!いい加減にしろ、いつだってお前はそうだ!
スタンいつだって…?
スタン…リオン、何言ってるんだ?俺達、初対面だろ…?
リオン……
リオン──いや、違う。僕はお前を知っている
リオンこうしてお前を前にしたら嫌でも思い出す…その、能天気で図々しい性格を
スタン…?さっきから何を言ってるんだ…?
カイルまさか…リオンさん、あなたは…
リオンああ、そうだ。僕は咎人だ。だからどうした?
スタン咎人…!なら放っておく事は出来ない。ここで捕まえる!
リオンそうか。だが、お前に付き合う義理はない
スタン待て、リオン!このまま逃がすわけには──
リオン近寄るな。これ以上、僕に近寄るようなら…
シャキン…
カイルえ…!?リオンさん!?どうして剣を抜く必要が…!
スタン……。出来れば手荒な真似はしたくなかったけど…
チャキ…
カイルス、スタンさんまで…!
リオン…くだらん。さっさと片づけてやる
スタンそう簡単には行くものか!
カイルこのままじゃ…このままじゃ二人が戦う事に…!本当は親友同士なのに!
カイルオレは…オレはどうしたらいいんだ…?
カイルあの二人が戦うなんて、絶対に正しくないのに…!
スタンそうすれば、自分にとって本当に「正しい」と信じられる事がわかると思う
カイル自分が「正しい」って信じられる事…
カイル……
カイルそんなの、もう決まってる…!
カイル二人共…待って!
scene2解き放たれる想い
カイル待って、リオンさん!剣を収めてください!
スタン何をしているんだ、カイル!リオンは咎人だ、それ以上近付くな!
カイル…!スタンさん…違うんです、これは──
リオン……
リオン…何故、スタンに味方する?お前も咎人だろう?
スタンえ…?
カイル……
スタン嘘だろ…いや、嘘だ!それこそ、咎人の妄言に決まってる…!
カイル…ううん、リオンさんの言う通りなんです。オレは…咎人です
スタンなっ…!そんな…どうして…
スタン…どうしてだ?どうして嘘をついてたんだ…?
スタン短い間だったけど俺はカイルの事を本当の家族みたいに思ってたんだ!
スタンそれなのに…何で…!
カイル…スタンさん。今まで黙ってて、ごめんなさい
カイルオレもスタンさんと同じ気持ちです。スタンさんの事、本当の家族だって思ってた…
カイルずっと、このままスタンさんと一緒にいられたらなって
カイル…だから、本当の事が言えなかった。オレが咎人って事を話したら、この関係は壊れちゃうから…
スタン…………
カイルでも、「自分と相手を信じろ」って言ってくれたスタンさんの言葉…
カイルあの言葉があったから、オレは決意出来たんです
スタン俺の言葉が…?
カイルはい。咎人だって事が知られたらもう今のままじゃいられなくなるってわかってました
カイルだけど…だから黙ってるっていうのはやっぱり違うって思って
カイルもしこれで咎人として追われる事になっても…オレは後悔なんてしません
カイルオレは…オレが信じた「正しい」と思う事をして仲間達を助けます
カイルそれがきっと…英雄なんだ!
スタンカイル…
リオン……
ギャオオオッ!
カイルな、何?魔物!?どうしてこんなところに…!?
リオン…人のいなくなった街は、格好の住処だったというわけか
リオンまずは先にこいつらを片付ける必要がありそうだ
カイルくっ…!こんな時に!
scene3解き放たれる想い
カイルはあっ!
ザシュ!
リオンふっ…!
ザシュ!ザシュ!
リオン…面倒だな。数ばかり多くてきりがない
カイルくそ、このままじゃ…!
スタンくっ…
カイル……
カイルスタンさん…!スタンさんはあの時、オレを信じるって言ってくれました
カイルだから、今度はオレがスタンさんを信じます!
スタンカイル…一体何を…
カイルこっちはオレ一人で食い止めます!その隙に、二人は魔物の手薄なところを切り開いてください
スタンなっ…!カ、カイル!
スタンまさか、あの数の魔物を一人で相手する気なのか!?そんなの無茶だ…!!
スタン…けど…カイルは…咎人、で…
リオン……
リオンカイル…と言ったか。あいつ、少しも後ろを警戒していないな
リオンお前に後ろから斬られるとは微塵も考えていないんだろう。全くおめでたい頭だ…
スタンカイル…。お前は、俺を信じて…
スタン…!
スタンうっ…何だ…?一体何が──…
スタン…ゼロス、お前しかいないんだ
スタンお前なら絶対に開けられるって、俺は信じてる。だから、…ここは頼む!
スタンみんな、行こう!急がないと…!
スタン…今のは…?何なんだ…ゼロスって誰だ…
スタンぐっ…頭が…!
カイル…っ、スタンさん!?どうしたんで──っ、しまった…!
ザシュ!
リオン戦闘中に余所見をするな
カイルリオンさん…!ありがとうございます!
スタンカイル…リオン…ぐうっ!ま、また…!
スタン大丈夫か、スレイ!
スレイああ、助かったよ。ありがとう、スタン
スタン気にするな。互いに助け合わないと
スタンく、ぅ…!
スタンまたさっきと同じ…!これは、いつの話だ…?俺は…俺はこんなの知らない…!
カイルリ、リオンさん!スタンさんの様子が…!
リオンまさか、記憶を取り戻しかけているのか…!?
カイル記憶を…!?
スタンはぁ…はぁ…俺、どうしちゃったんだよ…
スタン頭の中に、知らない人達が…知らない、俺自身の言葉が、どんどん浮かんでくる…
スタン俺は…俺って、いったい…!
カイル──スタンさんっ、オレ、信じてますから!
スタン…!カイル…?
カイルオレは何があってもスタンさんを信じ続けます…!
カイル記憶があってもなくても…スタンさんの心は変わらない事、オレは知ってますから!
カイルだから…絶対に、大丈夫です!
スタン俺を、信じて──……うっ!
スタン心配いらないさ。ゼロスなら、必ずやってくれる
スタンああ見えてやる時はやるし、頼りになる奴だって事、俺は知ってる
スタン俺はゼロスを信じてる…!だから、絶対大丈夫だ!
スタンそうだ…俺は…
カイルこのぉぉぉ!
リオンはぁぁっ!
カイル…はぁはぁ、ちょっと数が多すぎるな。このままじゃ、不味いかも…
カイル…くっしまっ──
スタンさせるかああっ!
ズバッ!!
スタン悪い、遅くなった!
カイルスタンさん…!
スタン最後はきっと上手くいく…。ははっ、俺が言った言葉だったな。けど本当にその通りになったみたいだ
スタンありがとう、カイル。お蔭で全部思い出せた!
カイル記憶を…!よかった…本当に…!
スタンリオン、協力してくれ!三人で追い払おう!
リオン全く…手のかかる奴だ
スタンははっ、迷惑かけたな。でもいつもの事だろ?
リオン…ふん。そうだな、お前はそういう奴だ。ならいつも通り、さっさと片づけるぞ
スタンああ!カイルもいけそうか?
カイルは、はい!大丈夫です!
スタンそれじゃ、一気に倒すぞ!
scene1取り戻したもの
リオン…ふん。数は多かったが、大した事はなかったな
スタンリオンがいてくれたお蔭だよ。それと…
スタンカイル、ありがとう
スタンあの時のカイルの言葉がなかったら俺は今でもカイルの事もリオンの事も全部…忘れたままだったと思う
スタン俺を信じてくれて本当にありがとうな
カイルスタンさん…よかった…!オレ…!
スタンカイル…泣きそうじゃないか
カイルし、仕方ないじゃないですか。スタンさんが思い出してくれた事が嬉しかったんですから…!
スタンはは…心配かけたな
スタンでも…どうして急に記憶が戻ったんだろうな?
リオンおそらくだが…何らかのきっかけで元世界の記憶が刺激されたんだろう
スタン…なるほどな。そう言われてみると、わかるような気がするよ
スタン俺も、カイルの行動を見て、仲間達と一緒に天帝の御座に乗り込んだ時の事が蘇ってきたんだ
スタンきっと、それがきっかけだったんだと思う
カイルお、オレの行動がですか?
リオンあの向こう見ずな行動がきっかけになるとは、わからないものだな
スタン向こう見ずだなんて言ってやるなよ。あの時のカイル、かっこよかったじゃないか
カイルか、かっこいい…
スタンだいたい、そういうリオンは記憶を取り戻したきっかけって何だったんだ?
リオン……話す気はない
スタン何だよ、別に隠す事じゃないだろ?
リオン…何故、僕がそこまで話さないとならない。お前には関係な──
ギャオオオッ!
カイル魔物…!?まだいたのか!
スタン仕方がない。この話は後回しだな!
リオン…くどい!話すつもりはないと言ってるだろう!
リオン…全く、話すわけないだろう
リオン図々しくて能天気な奴に助けられたあの出来事が、僕の記憶を取り戻すきっかけになったなんて…
scene2取り戻したもの
スタンよし、魔物は退治出来たし…これから、どうする?
カイルえっと…ハロルドへ報告したいんで一度アルメリアに戻りませんか?
スタンそうか。そういえば、ハロルドも記憶があるのか?
カイルあ、はい!それどころかこの世界の調査をやってくれてるみたいで…
スタンだったら、ちゃんと報告しとかないとな!アルメリアに戻ろう!
リオン…そうか。では僕は別行動だ
スタン何だよ、リオン。せっかく合流出来たんだから一緒に来ればいいだろ?
カイルスタンさんの言う通りですよ!オレ達と一緒に行きましょう!
リオン僕にだってその前にやるべき事がある。協力は、その後だ
カイルやるべき事、ですか?
リオン「立入禁止区域」の調査だ。元々、旧市街まで来たのもそのためだからな
カイルえっ、立入禁止区域ってこの近くにもあるんですか?
リオンああ、街の外れで見た。白き獅子が警備していて近付けなかったがな
リオン…それよりカイル。「この近くにも」というからには、他の立入禁止区域を知っているのか?
カイルあ、はい。実は、ここに来る前に森の中で立入禁止区域を見たんです
カイルここからだと、ちょっと遠いけど…
スタンああ、トイマイの森か。そういえば、そこでカイルと会ったんだったな
リオンなるほど…。それならば、そっちも調べてみよう
カイルでも、立入禁止区域ってそもそも何があるんだろう?リオンさんは何か知ってるんですか?
リオンそれがわからないから調査をするんだ。少しは自分の頭で考えろ
カイルうぐ…その言い方、やっぱりジューダスに似てる…
リオン何をわけのわからない事を…そもそも、僕達はまだこの世界がどうなっているかも知らないだろう
スタン確かになぁ…天帝が関わっているんだろうな、っていうのは、わかるんだけど…
リオン天帝が…?根拠はあるのか
スタンああ、実は…
カイル天帝の目覚めを防ぐために戦った…そんな事が…
リオンだとすると…この世界が生まれた事自体、天帝の仕業という可能性もあるか…
カイル…そういえば、ハロルドもこの世界は創り変えられた世界だって言ってました
リオン創り変えられただと…?…やはり不明点が多すぎる
リオンその謎を少しでも解くためにも、僕は立入禁止区域を調べてくる
リオン天帝が見張りまで立てて人を近寄らせまいとしている場所だ
リオンこの世界について何かしらの鍵になる事は間違いないだろう
スタン鍵ねぇ…だったら、みんなで調査すればいいんじゃないか?
リオンあまり目立ちたくないからな。一人の方が都合がいい
リオンそれに、スタン、お前が何か失敗した時にも、別動隊がいた方が支援に入りやすい
スタン何だよ、俺が絶対に失敗する、みたいに言うなって
リオン別に何も間違ってないだろう。大体お前はいつも──
カイルストーップ!ケンカはやめてください!
リオンむ…
スタンけ、ケンカはしてないぞ?リオンとは、いつもこんな感じだし
カイルええ?そんなものなんですか?もっと親友って感じかと…
スタンまぁ、じゃあとりあえず…リオンが立入禁止区域を調べるなら俺達は別方面を当たってみるよ
リオン…ほう。何か手掛かりがあるのか
スタン手掛かりっていうわけじゃないけど…まずは、スレイ達の行方を捜したいと思ってる
カイルスレイさん…スタンさんと一緒に天帝達と戦った仲間ですね!
スタンうん。みんなと合流出来ればきっと打開策だって見つけられると思うんだ
リオン…わかった
リオン調査が終われば僕も合流するつもりだ。それまでせいぜい、上手くやるんだな
スタンわかってるよ。心配してくれるなら、そう言えばいいのに…
スタン全く…リオンは本当に素直じゃないなぁ…
リオンうるさい!僕はもう行くぞ
カイルあ、はい!リオンさんも気を付けて!協力してくれて、ありがとうございます!
スタン…さあ、俺達は一旦戻るか
カイルはい!
scene1小さな英雄
カイルただいま、ハロルド!
ハロルド遅い!私をこんなに待たせるなんて覚悟は出来てるんでしょうね~?
カイルご、ごめん…!えっと、その…いろいろあって…
ハロルドふーん…ま、いいわ。とりあえず、報告を聞きましょうか
カイルあ、うん。ジューダスについてだけど…噂の人は、ジューダスじゃなかったよ
カイルリオンっていう、スタンさんの知り合いだった
ハロルドそう…でも、だったら噂の段階でスタンにも見当がついてたんじゃない?
スタンいや、知り合いだったのは元の世界での話だ。この新世界では、初対面だったよ
ハロルドなっ…!スタン、あなた記憶が戻ったの?
スタンああ、カイルのお蔭でな!
ハロルドカイルのお蔭…?あんた一体、何をしたのよ?
カイルいや、それは…何というか…
スタンカイルが俺を信じてくれたんだ!
ハロルドちょっと意味がわからないわ。詳しく説明して
カイルう、うん…
ハロルドはあー。じゃあ結局、私が言った事は全然守れなかったって事ね
カイルうっ…ごめん…
ハロルドま、別にいいわ。私もカイルが我慢し続けられるなんて思ってなかったし
ハロルドカイルっぽくていいんじゃない?
カイルえ?どういう意味さ
ハロルドあんたがアホって事。悪い意味じゃなくてね
カイルな、何だよ!悪い意味じゃないアホって!
ハロルドでも…記憶への刺激がきっかけになるのなら、他の人間にも何か出来る事があるかも…
カイル何かいい方法が思い付いたの!?
ハロルドまだ、わからないけどね。でも、調べてみる価値はありそう
ハロルドそれにしても、まさか元世界の過去の時代で、そんな事があったなんてね…
スタン俺も驚いたよ。まさかカイル達が未来の人間だったなんて…
スタンあ。もしかして、未来の俺にも会った事あるのか?
カイルえ!?えっと、それは…
ハロルドはいはい、脱線しないの。「晶化現象」に「立入禁止区域」と話す事は山積みなんだから
ハロルド私達のいたところで起こった現象も「晶化現象」だったんでしょうしね
カイル結晶に包まれても生きてるんだよね!それならジューダスも無事って事だよね?
スタンああ。きっと大丈夫なはずだ
カイルよかった…
ハロルド解決はしてないけど、とりあえず命に別条はないって事ね
ハロルド「立入禁止区域」については、ちょっと気になるし、私の方でも調べてみるわね
カイルうん。リオンさんも、そこに何かしらの鍵があるんじゃないかって言ってた
ハロルド鍵ねぇ…確かに、隠しておきたい「何か」があるのは疑いようがないわね
ハロルド記憶の戻し方に、立ち入り禁止区域…グフフ、忙しくなるわ~
カイル調査はハロルドに任せるとして…それじゃあオレ達は──
スタン天帝に反撃、だな
カイル天帝…この新世界は、天帝と、ヴァンって奴が創ったものなんですよね?
スタンああ、俺達は奴らを止める事が出来なかった…
スタンけど、もう奴らの好きにはさせない!
ハロルドふむふむ。それじゃあ天帝に反撃するためにも、スタンの目標は仲間捜しってところかしら
スタンああ。スレイ達と合流して打開策を考える
スタンスレイ達は一緒に戦った仲間…みんなだって俺と同じように思うはずだ
スタンなのに、記憶を改変されてその想いすら忘れているとしたら…早く記憶を取り戻させてやらないと
カイル仲間捜し…
カイル…ねえ、ハロルド。咎人だってバレる危険とか、いろいろあるのはわかってきたけど…
ハロルドいいんじゃない?スタンと一緒に、行ってきなさいよ
ハロルド私はここで研究を続けるから、リアラ達の事はよろしく頼むわ
カイル…え?
ハロルドあれはやるな、これはやるなってうるさく言ってきたけど…もういいわ。あんたに任せる
カイル…!い、いいの?
ハロルドスタンもいるしね。まぁ、危なっかしいのは変わらないけど…
スタンえー。そうかぁ?
ハロルドま、何とかするのがあんた達でしょ。アスベルとリチャードの記憶も気がかりでしょうけど…
ハロルドその辺りは全部私に任せて、あんた達は仲間を捜しにいってらっしゃいな
カイルう、うん、わかったよ!リアラ達の事は俺に任せて!
スタン…けど、本当にいいのか?いろんな事をハロルド一人に任せちゃう事になるけど…
ハロルド何言ってんの。あんた達に、足を使わせずに頭を使わせてどうするのよ
ハロルド自分に出来る事をやるのが一番。特にカイル。ぼさっとしてる暇はないわよ?
カイルえ、どういう意味?
ハロルド咎人の少女が目撃されたのよ。場所はナムザ街、スタンは知ってるでしょ?
スタン知ってるけど…その咎人の少女って、もしかして…
カイルリアラだ!
ハロルドそうとは限らないけど、他に手掛かりがないのなら行ってみて損はないと思うわ
カイルうん!そうするよ!
スタンじゃあ、まずはナムザ街に向かうとするか
スタン他の仲間の情報を集めるためにも、いろいろな街へ行ってみるのはいい手だと思うし…
スタン何より、カイルの仲間の事は気がかりだからな
ハロルド頼んだわね。それじゃあ私は、研究に戻るとするわ
カイルえ?見送りもナシ?
ハロルドそんな暇がどこにあるのよ。仲間の記憶を取り戻して、立入禁止区域を調べて…
ハロルドおまけに、世界を元に戻すっていう仕事まであるんだからね
カイル世界を、元に…!?ハロルド、そんな事出来るの!?
ハロルドまあね。スタンの話を聞いて確信を持てたわ
ハロルド言ったでしょ?この世界は、元の世界を土台にしてるって
ハロルドスタンがその証拠。別人になったわけじゃないから、こうして記憶も戻った…
ハロルドそれって、全世界を元に戻す事も出来ると思わない?
カイル言われてみれば、そんな気が…。すごいや、ハロルド!
ハロルド褒めるのはまだ早いわよ。もっと研究を進めて、確実な方法を導き出してやるんだから
ハロルド見てなさい。この天才に不可能はないって事、天帝とやらに見せつけてやるわ!
スタンはは。これは本当に、反撃の方法が見つかるかもしれないな
カイルはい!それじゃあ、そっちは任せるね!ハロルド!
scene2小さな英雄
カイルそれじゃあ…ナムザ街に向かいましょう!
スタンああ!っとその前に…リチャードとアスベルにも挨拶しないとな
カイルあ…そうですよね。でも、店にはいないようでしたし、少し街を捜して──
リチャードスタン、カイル!こんなところでどうしたんだ?
カイルあっ!リチャードさん、アスベルさん!ちょうどいいところに!
アスベルどこかに出かけるのか?
カイルはい、仲間の手掛かりが見つかったんです。だから、捜しにいこうと思って…
カイル二人にはお世話になりました!ありがとうございます!
リチャードいや、むしろ何も出来なくてすまない…
カイルそんな事ないですよ!それに、ハロルドも引き続き居候させてもらうし…
リチャードなるほど、手分けするわけか…
リチャード店の事なら気にしなくていいさ。むしろ、仲間を見つけたら是非連れてきてくれ
リチャードカイルの仲間には僕も会ってみたい
カイルリチャードさん…ありがとうございます!
アスベルスタンも一緒に行くのか?
スタン…ああ。カイルの手助けをしたくてさ
アスベルそうか…。二人がいなくなると寂しくなるな
リチャードそうだな…。だが、カイルの仲間を捜すためだ。応援しているよ
アスベル目的を果たしたらいつでも戻って来いよ
カイルはい、ありがとうございます!
スタンそれじゃあ、行ってくる!
カイル…あの二人も、元の世界での記憶は持ってないんですよね…
カイル元の世界と同じで、仲がいいままなのはよかったですけど…
スタンそうだな…
スタンなあカイル。二人のためにも、絶対に元の世界を取り戻そうな!
カイルはい!そのためにもナムザ街に急がなきゃ!
スタンあ、カイル!足元をよく見──
カイルうわぁぁ!
カイルいたた…
スタンだ、大丈夫か?ほら、俺の手に掴まって──
カイル…いえ
カイル大丈夫です。オレ、一人で立てますから
スタン…そうか。うん、余計な心配だったな
スタンそれじゃあ、改めてナムザ街を目指そう!
カイルはい!