| Name | Dialogue |
| scene1 | ブランの花 |
| コレット | ふんふふふ~ん |
| コレット | 今日は天気がいいからお花にしっかりお水をあげないとね |
| コレット | 綺麗な花壇になるといいなぁ |
| コレット | ふんふふ~ん♪ |
| シェリア | あ、いたいた。コレット、ここだったのね |
| コレット | シェリア!見て見て。お花、もうすぐ咲きそうだよ |
| シェリア | 本当!綺麗な花壇になりそうね。ところでこれって、何ていう花? |
| コレット | えっと…何だったかな… |
| シェリア | コレット…せっかくなんだから、花の名前と花言葉ぐらい覚えておいた方がいいわよ? |
| シェリア | そうすれば、花を育てるのがもっと楽しくなるから |
| コレット | うん。今度調べておくね |
| コレット | それはそうと、私に何か用?捜してたみたいだったけど… |
| シェリア | あ、そうだった!ねぇ、コレット。一緒に市都ファルカームに行かない? |
| コレット | いいよ。ファルカームまで行くなんて、買い出しかな? |
| シェリア | ふふ…実は今、ラザリス様がファルカームに来ていらっしゃるんですって |
| コレット | ラザリス様が?わあ、すごいね! |
| シェリア | 視察で訪れているそうよ。という事はもしかすると、生誕祭の時よりも… |
| コレット | 近くでお目にかかれるかも! |
| シェリア | そうね。目が合っちゃったりして |
| コレット | またお話を聞けるかな? |
| シェリア | ふふ、それはどうかしら。けど、お姿を見られるだけでも十分幸せな事だと思うわ |
| シェリア | どうする?ファルカームへ行ってみる? |
| コレット | うん、行きたい! |
| シェリア | コレットったら、あの生誕祭以来、ますますラザリス様への憧れが強くなってるものね |
| コレット | うん!シェリアもだよね? |
| シェリア | ええ、勿論よ |
| シェリア | それじゃ、早速準備をして出発しましょうか |
| コレット | 楽しみだね |
| scene2 | ブランの花 |
| シェリア | いいお天気。絶好のお出かけ日和ね |
| コレット | うん。日差しも穏やかで、気持ちいいね |
| コレット | …!シェリア、向こうを見て |
| シェリア | あれは… |
| | |
| コレット | わあ、綺麗。お花がこんなにいっぱい…! |
| シェリア | これはブランの花かしら。一面、白いじゅうたんみたいで絶景ね… |
| コレット | ブランの花っていうんだ。可愛い名前 |
| コレット | そだ、シェリア。お花の名前と花言葉を知るといいって言ってたよね? |
| コレット | ブランの花言葉は何かな? |
| シェリア | 確か…「大切なあなたを守る」よ |
| コレット | わぁ、素敵だね |
| シェリア | ええ。だからこの花は、恋人に気持ちを伝えるために使われる事も多いの |
| シェリア | そういうのって憧れるわよね。私もいつか好きな人が出来たら、ブランの花を贈ってもらいたいわ |
| コレット | 好きな人、かぁ…いつか素敵な人に出会えるといいね |
| シェリア | ふふ、そうね |
| コレット | ねぇ、シェリア。花を贈るのって、恋人じゃないといけないの? |
| シェリア | そんな事ないわ。大切にしたいって想う相手なら誰に贈ってもいいのよ |
| コレット | そっか |
| シェリア | どう?花言葉を知れば、そのお花をもっと好きになるでしょ? |
| コレット | うん。「大切なあなたを守る」…そんな気持ちが込められたお花だって思うと、もっと綺麗に見えてきたよ |
| コレット | そだ!このお花をラザリス様に贈るのって、どうかな? |
| シェリア | ブランの花を…? |
| コレット | ラザリス様に私達の気持ちが伝わるんじゃないかな |
| コレット | ラザリス様は私達みんなのために平和を祈ってくださってるけど、私達も大切なラザリス様を守りたい… |
| コレット | …そういう気持ちって、言葉では言い尽くせないけど、お花に込めれば伝えられるかも |
| シェリア | そうね、いい考えだわ |
| シェリア | お渡しする機会さえあれば、きっと喜んでいただけるんじゃないかしら |
| コレット | だよね!それじゃ、たくさん摘んでいこ! |
| シェリア | ええ。二人で最高の花束を作りましょう |
| | |
| コレット | たくさん摘めたね |
| シェリア | 綺麗な花束になったわ。ラザリス様への気持ちがこもった素敵な贈り物よ |
| コレット | ラザリス様、喜んでくれるといいなぁ |
| シェリア | そうね。それじゃあ、そろそろファルカームへ向かいましょう |
| コレット | あっ、待って、シェリア |
| シェリア | コレット?どうかしたの? |
| コレット | シェリアにもこれ…はい |
| シェリア | ブランの花輪…?これを私に? |
| コレット | うん。シェリアのために作ったの。親友の証! |
| コレット | ラザリス様は勿論だけど、シェリアも、私にとって大切な人だから |
| シェリア | ありがとう、コレット。あなたの気持ち、すごく嬉しいわ |
| コレット | えへへ… |
| シェリア | 私もお返しをしなくちゃね。親友の証だもの、同じ花輪がいいかしら… |
| | |
| | ガサッ… |
| コレット | …あれ? |
| シェリア | 何の音? |
| | |
| | ガルルルル! |
| コレット | 大変、魔物が! |
| シェリア | …追い払いましょう。この綺麗な花畑を荒らさせはしないわ…! |
| scene1 | 天帝を訪ねて |
| コレット | 無事に着いたね。市都ファルカーム! |
| シェリア | オルシャ村に比べて大きな街なのは確かなんだけど… |
| シェリア | それにしたって、こんなに人が多かったかしら? |
| | ザワ…ザワ… |
| コレット | ほんとだね。たまにお買い物に来るけど、こんなの初めて見たよ |
| シェリア | そっか…これみんな、ラザリス様の事を聞きつけて来たんだわ |
| コレット | 私達と同じだね。それで、ラザリス様は街のどこにいるのかな…? |
| シェリア | ええと… |
| 街の女1 | ちょっと聞いた?ラザリス様、今日はすぐそこの広場にいらっしゃってるそうよ |
| 街の女2 | 本当かい?いつも通りかかる広場にラザリス様がいらっしゃるなんて、ありがたいったらないねぇ |
| シェリア | …聞くまでもなかったわね |
| コレット | ラザリス様は広場だね。早く行こ! |
| シェリア | 広場ってまだ先よね…。既にこんなに混んでるなんて |
| | ザワ…ザワ… |
| コレット | すごい人だかり…。通れるかな… |
| | ドンッ |
| コレット | わぁっ!? |
| シェリア | コレット!? |
| 街の男 | おっと、ごめんよ。怪我はないか、お嬢ちゃん |
| コレット | だいじょぶです。こっちこそごめんなさい |
| 街の男 | いや、無事なら何より。何せこの人だかりだからな… |
| 街の男 | お嬢ちゃん達、危ないから気を付けなよ |
| コレット | はい。ありがとうございます |
| シェリア | 確かに、この先に進むにはそれなりの覚悟がいりそうね… |
| シェリア | でも、ここまで来て諦められないわ。行きましょう、コレット。お花、潰されないように気を付けてね |
| コレット | うん。…あれ? |
| シェリア | どうかしたの? |
| コレット | な、ない…。お花がないよ。どこかで落としちゃったのかな… |
| シェリア | えぇっ!?大変じゃない! |
| シェリア | 仕方ないわね…来た道を戻ってみましょう |
| シェリア | お花、お花…見つからないわね… |
| コレット | ひょっとして、さっきの人とぶつかった時に落としちゃったのかなぁ… |
| シェリア | えぇ…けど、あの辺りだとしたらとても探せる状況じゃ… |
| コレット | どしよ… |
| ??? | あ、あの…ちょっといいかな |
| コレット | はい。…あっ! |
| シェリア | その手に持っているのって… |
| ??? | ごめん、いきなり話しかけたりして |
| ??? | この花束なんだけど、君達の落とし物、だよね? |
| コレット | あっ、それ、探してたの。拾ってくれたんだね、ありがとう! |
| ??? | 渡せてよかった。すぐに声をかけようと思ったんだけど、人がすごくて… |
| シェリア | ありがとう。本当に助かったわ |
| ??? | どういたしまして |
| コレット | よかった。これでラザリス様にちゃんと渡せるね |
| シェリア | その前に、無事に広場までたどり着ければ…だけどね |
| ??? | あの…二人共、広場に行きたいの? |
| ??? | それだったら、いい裏道があるよ。よかったら案内しようか? |
| コレット | そんな道があるんだ |
| ??? | うん。街の人でもあまり知らないとっておきの抜け道なんだ |
| ??? | そこを通れば、人だかりを避けてすぐ広場に行けると思う |
| シェリア | えっと…気持ちはとても嬉しいけど、どうして私達にそこまで? |
| ??? | ラザリス様にお花を贈りたいんだよね。それを手伝いたいと思って |
| コレット | えへへ、ありがとう! |
| シェリア | そういう事なら…お言葉に甘えてもいいかしら? |
| ??? | 勿論だよ |
| ルカ | あ、まだ自己紹介してなかったね。僕はルカ・ミルダ |
| コレット | ルカさんだね。よろしく。私はコレット・ブルーネルです |
| ルカ | さん、なんてつけなくていいよ。ルカって呼んで |
| シェリア | 私はシェリア・バーンズ。私達も、さんづけじゃなくていいからね |
| ルカ | わかった。コレットにシェリアだね。よろしく |
| ルカ | それじゃ、早速行こう。こっちだよ、ついて来て |
| コレット | うん |
| scene2 | 天帝を訪ねて |
| ルカ | ──なるほど。コレットとシェリアは、オルシャ村から来たんだね |
| コレット | うん。ラザリス様が、ファルカームにいらっしゃるって聞いて |
| シェリア | 生誕祭にも行ったんだけど、あの時は遠くからしか見られなかったから |
| ルカ | 気持ちはわかるよ。ラザリス様に間近でお会い出来る機会なんて、滅多にないしね |
| ルカ | 僕もこの街にラザリス様がいらっしゃったって聞いた時は、夢かと思ったよ |
| コレット | いいなぁ。いつかオルシャ村にも来てくださるかな? |
| シェリア | どうかしら。ファルカームと違って、小さな街だから… |
| ルカ | きっとオルシャ村にも来てくれるよ |
| ルカ | ラザリス様はお忙しい中、時間を作っては、こうやって各地を回ってるらしいし |
| ルカ | 民を想ってそこまでしてくださる素晴らしいお方なんだ。街の大きさなんて関係ないと思うよ |
| シェリア | そっか…そうかもしれないわね |
| | |
| | ザワ…ザワザワ… |
| コレット | あ…また大勢の人の話し声が |
| ルカ | この先が広場だからね。もう少しだよ |
| シェリア | いよいよね… |
| コレット | ドキドキしてきた… |
| ルカ | ここを曲がれば広場だよ |
| コレット | この先に、ラザリス様が…! |
| シェリア | コレット、そんなに急いだら転ぶわよ。気を付けて |
| シェリア | 全く… |
| ルカ | よっぽど楽しみだったんだね。気持ちはわかるよ。僕達も行こう |
| scene1 | 静かなる慟哭 |
| ラザリス | … |
| 民衆 | ラザリス様!ラザリス様! |
| ラザリス | … |
| ラザリス | 今回も成果はなし。一体どこに… |
| 警備兵 | ラザリス様。そろそろシャングレイスへお戻りになられますか? |
| ラザリス | そうしようか。今頃は逃げた鼠を追いかけるのに大わらわだろうけどね |
| 警備兵 | 逃げた鼠…? |
| ラザリス | … |
| ラザリス | …ん? |
| コレット | わわわわ…! |
| | |
| | ずってーーん! |
| ラザリス | …? |
| 警備兵 | 何者だ!? |
| | |
| コレット | いたた… |
| ラザリス | …誰? |
| コレット | えっ…あっ… |
| コレット | わあっ!ラ、ラザリス様…! |
| 警備兵 | ラザリス様、お下がりください。この前の生誕祭の件もあります |
| シェリア | コレット!大丈夫!? |
| ルカ | ごめんなさい!僕達、怪しい者じゃありません |
| ルカ | 裏道を通ってきたら、たまたまここに出てしまって…。本当にすみません! |
| 警備兵 | 三人共、動くな。妙な動きをしたら、容赦出来んぞ |
| シェリア | そんな!私達、本当に怪しい者じゃ… |
| ルカ | シェリア。ここは大人しく従った方が── |
| ラザリス | … |
| コレット | あ…ラ、ラザリス様… |
| 警備兵 | ラザリス様、危険です。近づかれては… |
| ラザリス | 花… |
| コレット | え…? |
| ラザリス | 落とし物だよ |
| コレット | あ!ありがとうございま── |
| | |
| コレット | …!何…これ… |
| ラザリス | …? |
| コレット | この感じ… |
| コレット | …これってもしかして、ラザリス様の…「感情」──…? |
| ラザリス | …… |
| | |
| ラザリス | …君、名前は…? |
| コレット | え?あ…えと…その、私…コレットです!コレット・ブルーネルって言います! |
| ラザリス | …コレット |
| ラザリス | 面白いね、君。…近い内にまた会える事を祈ってるよ |
| コレット | …え? |
| ラザリス | さ、帰るよ |
| 警備兵 | ラ、ラザリス様!お待ちください! |
| ルカ | みんな、行っちゃったみたい |
| シェリア | 私達、見逃してもらえたのかしら |
| ルカ | 多分ね… |
| コレット | … |
| シェリア | コレット、大丈夫?怪我はない? |
| コレット | あ、うん。大丈夫… |
| シェリア | よかったわ |
| シェリア | それにしても、すごいじゃない!ラザリス様にお声をかけていただけるなんて |
| ルカ | 一時はどうなる事かと思ったよ。けど、ラザリス様とお話出来たのは嬉しい誤算だったね |
| ルカ | ねぇ、コレット。ラザリス様とどんなお話したの?僕、よく聞こえなかったんだ |
| シェリア | いいなぁ。私もお話したかったわ。コレット、感想を教えてよ |
| コレット | …あ、うん |
| ルカ | あれ?コレット、その花束ラザリス様に渡せなかったんだ |
| シェリア | きっと緊張でそれどころじゃなかったのよ。でしょ? |
| コレット | … |
| シェリア | …?コレット、聞いてる? |
| コレット | …!あ、えと…ごめんシェリア。何…? |
| シェリア | …コレット…? |
| scene2 | 静かなる慟哭 |
| ルカ | ──じゃあこの部屋を使ってね |
| シェリア | 本当に泊めてもらってもいいの? |
| ルカ | うん。もう遅いから。夜道を歩いて帰るのは、危ないしね |
| ルカ | 僕は自分の部屋にいるから、何か必要な物とかあれば、いつでも気軽に声をかけてね |
| シェリア | ありがとう。助かるわ |
| ルカ | それじゃ、おやすみなさい。ゆっくり休んで |
| | バタン |
| シェリア | 大きなお屋敷ね…。部屋もベッドも余ってるなんて… |
| シェリア | お蔭で助かったわ。昼間の事といい、ルカにはお世話になりっぱなしね |
| シェリア | 何かお礼しなくちゃ。ねぇ、コレット? |
| コレット | …あ、うん。そだね |
| シェリア | コレット…? |
| コレット | … |
| シェリア | どうしたの?心ここにあらずって感じだけど… |
| コレット | え…?そ、そかな? |
| シェリア | ええ。じっと花束を見つめたまま、ずっと考え込んでたわよ |
| コレット | あ… |
| シェリア | ラザリス様とお話してからずっとその調子じゃない |
| シェリア | もしかして花束を渡せなかった事が、心残りなの? |
| シェリア | 今日は駄目だったけど、いつかまた、お渡し出来る機会が来るわよ |
| シェリア | だから… |
| | |
| コレット | えと…そうじゃないの |
| コレット | 私がずっと考えてたのは、花束を渡せなかった事じゃなくて…その… |
| シェリア | 何か心配事でもあるの?よかったら話してみて |
| コレット | えとね…ラザリス様から花束を受け取った時… |
| コレット | 突然、不思議な感じがして… |
| シェリア | 不思議な…? |
| コレット | 上手く言えないんだけど…ラザリス様の感情が私の心に入って来るみたいな… |
| コレット | 不安で…悔しくて悲しくて…寂しくて… |
| コレット | 冷たくて苦しい…けど焦がれるように熱い… |
| コレット | 心が辛くなるような気持ちが全部、渦になって混ざってる…そんな感情だったの… |
| シェリア | そんな…ラザリス様が…? |
| コレット | あのラザリス様が、あんな苦しくて辛い想いを抱えてる… |
| コレット | そう思ったら、私… |
| シェリア | コレット… |
| コレット | ねぇ、シェリア。もしかしたら、ラザリス様、何かお困りなのかな…? |
| コレット | 私達に見せないような悩みがあるのかもしれないって私、不安で… |
| コレット | もしラザリス様に、誰も相談する相手がいないんだったら… |
| コレット | 私が助けになれればいいのに、とか…そんな風にも思ったりして |
| シェリア | なるほどね… |
| コレット | もし私の思い過ごしだったら、それでいいの |
| コレット | けど、そうじゃないなら… |
| コレット | …ラザリス様のために私に出来る事って何かあるかな…? |
| シェリア | うーん…難しいわね…。ただの一般人でしかない私達に出来る事なんて… |
| シェリア | …そうだわ。宮廷神子になるのはどうかしら |
| | |
| コレット | 宮廷…神子? |
| シェリア | ラザリス様のお側にお仕えして、身の回りのお世話をするお役目よ |
| シェリア | 時にはラザリス様の名代として街を巡回し、お言葉を伝えたりもするらしいわ |
| シェリア | ラザリス様とお近づきにもなれるはず |
| コレット | その宮廷神子って、私もなれるの? |
| シェリア | 試験に合格すれば、ね |
| シェリア | 聞く話によると、宮廷神子になるための試験というものがあるらしいわ |
| シェリア | それを受けるためにシャングレイスには毎日のように志願者が訪れてるとか… |
| シェリア | ただ、公に募集しているわけじゃないみたいだから、突然行って受けられるかはわからないけど… |
| コレット | 宮廷神子の試験… |
| コレット | …ありがとう、シェリア。私、シャングレイスに行ってみるよ |
| コレット | 宮廷神子になって…ラザリス様の支えになりたい |
| シェリア | …そう。なら決まりね。私も一緒に行くわ、同じ志願者として |
| コレット | シェリアも? |
| シェリア | いけない?ラザリス様を支えたい気持ちは、私だって同じよ |
| シェリア | もし一緒に試験を受ける事になったら、私達、ライバルになるわね |
| コレット | シェリアがライバルじゃ、勝てる気がしないよ… |
| シェリア | ふふ…ようやく表情も晴れたわね |
| シェリア | じゃあ、早速だけど明日このままシャングレイスに向かいましょうか。善は急げって言うしね |
| コレット | うん! |
| コレット | ラザリス様をお支えする宮廷神子か…なれるといいなぁ |
| シェリア | さ、明日に備えて今日は寝ましょう。おやすみなさい |
| コレット | おやすみ、シェリア |
| scene1 | 白き獅子の牙 |
| コレット | 無事、シャングレイスに着いたね |
| シェリア | 相変わらず大きな街ね。あのファルカームが小さく思えるぐらい… |
| コレット | でも、ファルカームもいい街だったよね。ルカともお友達になれたし |
| シェリア | 彼には本当にお世話になったわね。宮廷神子の事も応援してるって言ってくれたし |
| コレット | ルカにいい報告が出来るように、頑張らないとね |
| コレット | …でも、どこに行けばいいのかな? |
| シェリア | うーん、ひとまず宮殿に行けば詳しい事がわかるんじゃないかしら |
| コレット | それもそだね。それじゃ、宮殿に行ってみよっか |
| コレット | こうして歩いてると、何だか生誕祭の事を思い出すね |
| コレット | また奇術団とか来てないかな? |
| シェリア | わからないけど、ああいうのはお祭りの時だけじゃないかしら |
| コレット | ジュードやカイルも元気にしてるといいなぁ |
| シェリア | そんなに昔の事でもないのに、何だか懐かしいわ。忘れられない思い出になったわね |
| シェリア | そういえば…ファルカームで誰かが噂してるのを聞いたんだけど… |
| シェリア | 生誕祭でラザリス様を襲った女の人が脱獄したそうよ。今、白き獅子が捜してるんだって |
| コレット | そなんだ。それでかな?何だか街が落ち着かない空気だなって思ってたんだけど… |
| シェリア | 確かにそうね…。けど脱獄って何日も前の事らしいし、街の外に逃げたって聞いたけど… |
| 街の男1 | おい、聞いたか。新しい咎人が出現したって話 |
| 街の男2 | ああ。例の脱獄した女もまだ捕まらないんだろ?白き獅子は大忙しだとよ |
| コレット | 新しい咎人… |
| シェリア | なるほど…街が落ち着かない空気なのはそういう理由だったのね |
| シェリア | あの女の人の脱獄に、新しい咎人…帝都では事件が続いてるんだわ… |
| コレット | 何だか怖いね… |
| シェリア | 白き獅子が動いてるならすぐに解決するとは思うけど…用心するに越した事はないわね |
| シェリア | コレット、いい?知らない人に声かけられても、絶対について行っちゃ駄目よ |
| コレット | うん。だいじょぶだよ |
| シェリア | 早く宮殿に行きましょう |
| scene2 | 白き獅子の牙 |
| シェリア | 宮殿の前まで来てみたけど…どこに行けばいいのかしら? |
| シェリア | あ。あそこにいるの宮殿の衛兵よね。ここで待ってて。私、ちょっと聞いて来るから |
| コレット | うん。わかった |
| コレット | シェリアは頼りになるなぁ。私も、宮廷神子を目指すならしっかりしなくちゃ… |
| ??? | ん?あれ、お前… |
| コレット | え、私ですか? |
| シェリア | ただいま…って、あら?コレット? |
| コレット | シェリアー!こっちこっちー! |
| シェリア | あっ…!コレット…! |
| コレット | シェリア!宮廷神子の試験の場所、教えてもらったよ |
| シェリア | コレット。知らない人について行っちゃ駄目って言ったばかりじゃない |
| コレット | だいじょぶだよ、よく知ってる人だから |
| ファング | 用心深いのはいいけどいきなり怪しい人みたいに言わないでくれよな |
| シェリア | わっ…!も、もしかして、あなたは…ファング様!? |
| シェリア | 知ってる人って……嘘、まさか… |
| シェリア | 申し遅れました!私、シェリア・バーンズって言います |
| シェリア | まさかこんな形でファング様とお話出来るなんて…夢みたいです |
| ファング | そんな風に言ってもらえて俺も嬉しいよ |
| シェリア | 親友のコレットがいつもお世話になっているようでありがとうございます |
| コレット | …? |
| シェリア | 本当ならすぐにでも挨拶すべきところだったのに、この子ったら何も言ってくれなくて… |
| シェリア | でも、コレットがファング様のような方とお知り合いだったなんて、親友としてもすごく鼻が高いです…! |
| コレット | あれ…?何か… |
| シェリア | ファング様、これからもコレットの事末永くよろしくお願い── |
| コレット | シェリア…あの…何か誤解してる、かも…? |
| シェリア | …?誤解って… |
| コレット | えと、その…ファング様は「知ってる人」だけど「知り合い」とはちょっと違って… |
| シェリア | へ…? |
| シェリア | ──まさか「ファング様と知り合い」なんじゃなくて「コレットが一方的に知ってる」だけだったなんて… |
| コレット | えへへ…ごめんね。でも私、ファング様の事は結構いろいろ知ってるんだよ |
| コレット | 白き獅子の幹部をしてるすごい人って事とか…他にも、剣を二本使って戦う事とか! |
| ファング | おお、よく知ってるな! |
| シェリア | そ、そんなのエンテレスティア中の人が知ってるわよ! |
| シェリア | はあ…私の早とちりだったわけ…?恥ずかしい… |
| シェリア | ファング様。重ね重ね、失礼いたしました |
| ファング | まぁ気にするなって。そんな事もあるある |
| ファング | ところで、シェリアも宮廷神子の志願者なのか? |
| ファング | 実は、コレットが宮廷神子になるって言ってたのが聞こえてさ |
| ファング | それだったら大聖堂で聞けばいいって教えてたところなんだ |
| シェリア | そうだったんですか。ありがとうございます |
| ファング | おーい、そこの衛兵!悪いけど、この二人を、大聖堂へ案内してやってくれないか? |
| 衛兵 | はっ。かしこまりました |
| コレット | そんな、みなさんお仕事中なのに… |
| ファング | 心配するなって。みんなの助けになるってのも、俺達の大事な役目だからさ |
| ファング | 大聖堂に神官がいるから、そこで詳しい話を聞くといいよ |
| コレット | はい。ありがとうございます! |
| ファング | これくらいお安い御用だ。本当は俺が案内してやりたいんだけどこれから出なくちゃならなくてさ |
| シェリア | あ、もしかして噂の咎人を捜しに… |
| ファング | 悪い、詳しい事は内緒なんだ |
| ファング | それよりさ、もし二人が宮廷神子になれたらラザリス様に仕えるんだよな |
| ファング | だったら、またどっかで会えるかもな |
| コレット | は、はい。そうですね |
| ファング | そうなるように祈ってるぜ。宮廷神子の試験頑張れよ、コレット、シェリア |
| コレット | はい! |
| シェリア | ありがとうございます! |
| シェリア | 白き獅子の幹部って、もっと厳しい人かと思ってたけど、案外気さくな人だったわね |
| コレット | うん。いい人だったね |
| 衛兵 | それでは大聖堂までご案内します |
| コレット | よろしくお願いします |
| scene3 | 白き獅子の牙 |
| コレット | ここが大聖堂… |
| シェリア | わざわざ連れて来ていただいて、ありがとうございました |
| 衛兵 | では、私はこれで |
| コレット | あの…ファング様にも、よろしくお伝えください |
| 衛兵 | わかりました |
| シェリア | さて…ファング様は神官がいるって言ってたけど… |
| コレット | あそこに誰かいるよ!行ってみよ! |
| コレット | あの、すみません |
| ??? | はい…? |
| ??? | … |
| ??? | … |
| コレット | あ…えと… |
| シェリア | 何だか睨まれてるわね…? |
| ??? | まあ、またお客様ですか |
| ??? | ひょっとして、あなた方も宮廷神子に志願されるのですか? |
| コレット | はい、そうです |
| ??? | また増えた… |
| ??? | しかも今度は二人まとめてだなんて… |
| ライラ | 私は当大聖堂の神官を務める、ライラと申します |
| ライラ | ちょうど今から、こちらにいるマルタさんとアリエッタさんに試験の説明をするところでした |
| コレット | 今からでも参加出来ますか? |
| ライラ | ええ、大歓迎ですわ |
| マルタ | そんなぁ、ライバルが二人も増えちゃうなんて… |
| アリエッタ | …何人増えても、同じ |
| ライラ | まぁまぁ、そう構えずに…。何はともあれ、みなさん自己紹介をしませんか? |
| コレット | あ、私、コレット・ブルーネルと言います。よろしくお願いします |
| シェリア | シェリア・バーンズです。よろしくお願いします |
| マルタ | …マルタ・ルアルディよ |
| アリエッタ | …アリエッタ…です |
| コレット | マルタとアリエッタだね。一緒に頑張ろうね |
| マルタ | ライバルだっていうのに呑気ね。私、負けないから |
| ライラ | さて…自己紹介も済んだようですし早速ですが、試験の説明をしますわね |
| ライラ | ここシャングレイスの北西、湖のほとりにある洞窟…その奥に、小さな祠があります |
| ライラ | みなさんにはその祠に祀られているクリスタルを持ち帰っていただきたいのです |
| マルタ | それだけですか? |
| ライラ | はい |
| コレット | 思ったより簡単…かな? |
| シェリア | どうかしら… |
| アリエッタ | … |
| ライラ | …ただし。クリスタルは、一つしかありません |
| コレット | え… |
| マルタ | じゃあ、合格出来るのは一人だけって事ですか? |
| ライラ | はい。合格させてあげられるのは、お一人だけになります |
| コレット | 私達の中から、一人だけ… |
| ライラ | この試験では、特別な能力は必要ありません |
| ライラ | 必要なのは、ラザリス様を想う強い気持ちだけですわ |
| ライラ | とは言え…洞窟の中は危険もあります |
| ライラ | 元は天然の洞窟なので魔物もいますし、多くの難関が待ち受けている事でしょう |
| ライラ | 下手をすれば大怪我をしたり、最悪、命の危険に陥る可能性もないとは言えません |
| コレット | …! |
| ライラ | 宮廷神子に志願するくらいですから、みなさん、ラザリス様を強くお慕いしているのでしょう |
| ライラ | ですが、今一度よく考えてください。命を懸けてまで試練に臨まれる覚悟はおありでしょうか? |
| ライラ | それをご自分に問いかけた上で、試験を受けるかどうかを決めていただきたいのです |
| コレット | … |
| ライラ | マルタさん、アリエッタさん、コレットさん、シェリアさん |
| ライラ | 宮廷神子になるための試験を、受けられますか? |
| マルタ | …私は受けるわ! |
| マルタ | ラザリス様を想う気持ちは、誰にも負けないんだから…! |
| アリエッタ | アリエッタも…参加します |
| アリエッタ | あの子を見返すには、宮廷神子になるのが一番って言われたから… |
| アリエッタ | だから…アリエッタ、宮廷神子になる |
| シェリア | 私も受けます |
| シェリア | 覚悟…って言われると、不安も勿論ありますけど… |
| シェリア | でもラザリス様にお仕え出来るって考えたら、そんな不安も吹き飛んでしまうから |
| シェリア | この気持ち、貫いて見せます! |
| ライラ | コレットさんはいかがでしょう? |
| コレット | えと… |
| コレット | 私、ラザリス様とお会いした時、…思ったんです |
| コレット | この人の力になりたい、支えになりたいって… |
| マルタ | …… |
| コレット | だから…試験は勿論受けます。私、宮廷神子になりたいです |
| ライラ | わかりました。では全員参加、ですね |
| ライラ | みなさん、事情は違えど、強い意気込みをお持ちですのね。健闘をお祈りいたしますわ |
| ライラ | それでは、試験開始です。お気を付けて行ってらっしゃいませ |
| マルタ | じゃあ、行ってきます |
| アリエッタ | アリエッタが一番!…です! |
| シェリア | さ、私達も急ぎましょう |
| コレット | あ、待って… |
| コレット | あの、ライラ様。この花束を、預かってもらっていいでしょうか? |
| ライラ | まあ、綺麗ですね |
| コレット | ラザリス様にお渡ししたくて。だから試験が終わるまでここに置かせてください |
| ライラ | 勿論です。責任を持ってお預かりいたしますわ |
| コレット | よろしくお願いします |
| | |
| マルタ | …来たわね |
| コレット | あ、待っててくれたんだ |
| マルタ | 待ってたんじゃなくて、確認したい事があったの。あなた、ラザリス様にお会いしたの? |
| コレット | あ、はい。ファルカームで |
| マルタ | 何だ、同じじゃない。私もファルカームでラザリス様にお会いしたのよ |
| マルタ | しかも、目が合ったんだから! |
| マルタ | あの瞬間、わかったの。私は、ラザリス様のためにお仕えする運命にあるんだって… |
| シェリア | あら。コレットはラザリス様と直接お話もしたのよ |
| マルタ | 何ですって!?本当なの!? |
| コレット | う、うん… |
| マルタ | ま、まぁ、いいわ。私、アリエッタと組む事にしたから |
| アリエッタ | 組むなんて言ってない…。力を貸すって言うから、一緒にいるだけ… |
| マルタ | それが組むって事なの |
| マルタ | アリエッタは、ヴァン宰相と知り合いらしいのよ |
| マルタ | ラザリス様と会った私と合わせればあなた達なんか目じゃないわ |
| シェリア | それを言ったら、私だってラザリス様にお会いしてるわよ? |
| マルタ | えっ!? |
| マルタ | うぅ…これで勝ったと思わないでよ。試験では負けないんだからね! |
| マルタ | 行くわよ、アリエッタ! |
| アリエッタ | う、うん… |
| コレット | マルタ、気合十分だったね。私達も頑張ろうね、シェリア |
| シェリア | ……はあ |
| scene1 | クリスタルを求めて |
| コレット | ここが試験の洞窟?入口には何もないけど… |
| シェリア | そうね。試験っていうからには、もっととんでもない洞窟を想像してたわ |
| マルタ | 楽そうでいいじゃない。それじゃ、お先に |
| コレット | あ、待って。せっかくだから、みんなで一緒に行かない? |
| コレット | その方が、何かあった時も心強いよ |
| マルタ | 何言ってるの。クリスタルは一つしかないんだから、早い者勝ちよ! |
| シェリア | …まあ、それもそうよね |
| マルタ | じゃあ行くわよ、アリエッタ! |
| アリエッタ | …早い者勝ちの競争なのにどうしてアリエッタだけ一緒に行くの? |
| マルタ | だから言ったでしょ、二人で組むって |
| マルタ | コレットとシェリアは組んでるのよ。こっちも協力しないと不利になっちゃうじゃない |
| アリエッタ | 協力とかいらないもん。クリスタルはアリエッタが見つける |
| マルタ | あっ、ま、待ちなさいよぉー! |
| シェリア | 私達も急いでクリスタルを探しましょう |
| コレット | そだね。この辺りにはなさそうだし、とにかく奥に進もう |
| | カチッ |
| コレット | …あ |
| シェリア | 何、今のカチッて音 |
| | ズドドドドッ! |
| コレット | わっ、何、何…!? |
| シェリア | コレット、危ない!足下が── |
| コレット | わぁっ…! |
| | どしーーん! |
| シェリア | コレット!? |
| マルタ | 今の音、何!? |
| アリエッタ | これは…落とし穴…?結構、深い…です |
| コレット | いたたた… |
| シェリア | コレット、大丈夫!? |
| コレット | あ、うん。ちょっと尻餅をついただけ |
| マルタ | 落とし穴か…。私達も気を付けないと |
| マルタ | それじゃあ、悪いけどお先にー!アリエッタも早く! |
| シェリア | もう。手伝ってくれたっていいのに |
| シェリア | コレット、私の手、掴める?引き上げてあげるわ |
| コレット | あ、うん、ありがと…!よいしょ… |
| シェリア | ん…っと |
| シェリア | ふう…何とか上がって来られたわね。怪我はない? |
| コレット | うん、だいじょぶ。ごめんね、シェリア。迷惑かけちゃって |
| シェリア | コレットが無事ならいいわ。それじゃ、私達も行きましょ |
| コレット | いきなり出遅れちゃったね… |
| シェリア | 別に大した事ないわよ。きっとすぐ追いつくわ |
| シェリア | 慌てる事なく、私達は私達のペースでやりましょう |
| コレット | うん |
| scene2 | クリスタルを求めて |
| シェリア | この洞窟、随分と広いのね |
| コレット | …なのに、クリスタルは一つしかないんだよね。見つけられるかなあ… |
| シェリア | 祠に祀られてるって話だから見ればすぐにわかるわよ |
| コレット | そだね。じゃあいろんな場所を探してみよ |
| マルタ | あっ… |
| コレット | …あ |
| コレット | マルタ、アリエッタ。そっちの方は、何もなかった? |
| アリエッタ | なかった…です |
| マルタ | もう、アリエッタ!ライバルに情報を漏らしちゃ駄目じゃない |
| シェリア | 別にいいじゃない。情報交換ぐらい |
| コレット | 向こうも何もなかったよ |
| アリエッタ | じゃあ、次はあっち… |
| マルタ | あっ、アリエッタ!私より先に行かな── |
| | カチッ |
| マルタ | カチッ? |
| コレット | あ |
| | ズドドドドッ! |
| マルタ | きゃあああっ!? |
| | どしーーん! |
| コレット | マルタ!平気!? |
| マルタ | いたた…また落とし穴があるなんて… |
| マルタ | アリエッタ、お願い。引き上げて──… |
| シェリア | アリエッタならもう行っちゃったわよ |
| マルタ | まさか気付かなかったの!?嘘でしょ、戻って来てよー! |
| コレット | マルタ、すぐに引き上げるね |
| マルタ | えっ、どうして…!? |
| コレット | どうしてって…だって、出られないと困るでしょ? |
| コレット | だから、はい。手、伸ばして |
| マルタ | …コレット。でも… |
| シェリア | ほら、マルタ。意地張ってないで、早く掴まって |
| マルタ | ううう… |
| コレット | よいしょ… |
| シェリア | ん、しょ… |
| マルタ | …ありがと |
| マルタ | けど、借りがあっても試験は別なんだからね |
| マルタ | 私を助けた事、後悔しても知らないから |
| コレット | 後悔なんてしないよ。むしろ助けなかったら、その方が後悔しちゃうと思うな |
| マルタ | … |
| シェリア | それにしても、こんな仕掛けがいくつもあるのね。試験のために作られた物かしら… |
| コレット | だったら、この先も気を付けないと── |
| | |
| ??? | きゃあっ!? |
| | |
| シェリア | 今の声… |
| マルタ | アリエッタよ! |
| コレット | 行こう! |
| アリエッタ | 来ないで… |
| | グオオオオッ! |
| アリエッタ | どうして…このコ達、言葉、通じない… |
| マルタ | アリエッタ!大丈夫!? |
| アリエッタ | 駄目…このコ達、普通の魔物じゃない… |
| マルタ | どういう事…?確かに変わった魔物だけど… |
| シェリア | これもひょっとして、試験用の魔物かしら… |
| コレット | アリエッタ、今助けるからね! |
| scene3 | クリスタルを求めて |
| コレット | ふう…何とか倒せたね |
| シェリア | ええ… |
| マルタ | アリエッタ、大丈夫!? |
| アリエッタ | うん… |
| コレット | あ、アリエッタ!膝、怪我してるよ |
| アリエッタ | このぐらい平気… |
| シェリア | 駄目よ。すぐ治療するから、じっとしてて |
| | パアア… |
| シェリア | はい、これでいいわ |
| アリエッタ | 痛くない… |
| シェリア | よかった。治ったみたいね |
| マルタ | … |
| コレット | マルタ、どうしたの? |
| マルタ | その…コレット、シェリア…二人共、今までごめんなさい |
| マルタ | 二人は私やアリエッタを心配して手を貸してくれるのに、私は突っかかってばかりで… |
| マルタ | 私、自分が宮廷神子になるんだって、その事ばっかり考えてた… |
| マルタ | けど二人を見てたら、急にそれが恥ずかしくなって…。本当にごめんなさい… |
| アリエッタ | それ、アリエッタも…同じかも… |
| コレット | マルタ、アリエッタ… |
| コレット | …いいんだよ。だって、それって二人が本気で宮廷神子になりたいから、だよね? |
| コレット | その気持ちは私も同じだし、謝るような事じゃないと思うの |
| コレット | だから気にしてないよ |
| マルタ | コレット…ありがとう… |
| アリエッタ | …コレット、優しい |
| マルタ | 私…あなた達が困った時、今度はちゃんと助けるわ |
| コレット | ありがと。じゃあその時はよろしくね |
| シェリア | ま、そんな事にならないのが一番いいんだけど… |
| シェリア | 一筋縄では行かなさそうよね。他にも仕掛けがあるかもしれないし、見慣れない魔物もいたし… |
| マルタ | そうだ、アリエッタ。さっき言ってた、魔物が普通じゃないってどういう事? |
| アリエッタ | …アリエッタ、魔物とお話が出来るの |
| アリエッタ | だけど…あのコ達とは話せなかった… |
| マルタ | 魔物と仲良くなれるって事?すごいわね… |
| コレット | でも、どうしてここの魔物にはお話通じなかったのかな? |
| アリエッタ | わからない…こんな事、初めて |
| マルタ | あの仕掛けといい、変な魔物といい…さすがは宮廷神子の試験ね。何が起こるかわからないわ |
| コレット | そだね。でも、みんなで協力して進めばだいじょぶだよ |
| アリエッタ | 異議なし…です |
| マルタ | わかったわ |
| マルタ | でも、あくまで試験は試験。悪いけどそこは遠慮しないからね |
| コレット | うん、わかってるよ。試験に合格するため、みんなで頑張ろ |
| マルタ | 本当にわかってるのかしら…? |
| シェリア | ふふ…それじゃ、行きましょう |
| scene1 | 最後の審判 |
| コレット | ──そっか。アリエッタはヴァン宰相から宮廷神子になる事を勧められたんだ |
| アリエッタ | うん…いつもアリエッタの事を馬鹿にするあの子を見返したくて… |
| シェリア | そういえば大聖堂でもそんな事、言ってたわね |
| アリエッタ | ラザリス様にお仕えしたら、あの子ももう根暗ッタなんて言えなくなるはず… |
| アリエッタ | そのためにアリエッタ、絶対に宮廷神子になりたい… |
| コレット | そっか、じゃあ頑張らないとね |
| マルタ | ちょっと…呑気に応援してる場合じゃないでしょ |
| マルタ | 試験に合格出来るのは一人だけ。アリエッタが宮廷神子になるって事はコレットはなれないって事なのよ? |
| コレット | それはそだけど…でもアリエッタを応援したい気持ちはほんとだよ |
| コレット | 勿論、マルタやシェリアも同じように応援してる |
| コレット | みんながそれぞれ精一杯力を出せたら、誰が選ばれても私は嬉しいよ |
| コレット | あっ、私も一生懸命頑張るからね |
| マルタ | コレット… |
| コレット | みんな一緒に宮廷神子になれたら…ほんとはそれが一番いいのにねぇ |
| シェリア | それが出来ないから試験をしてるんじゃない…ほんと昔から前向きというか、純粋というか… |
| アリエッタ | …コレットはいい人 |
| マルタ | …私だって、他の誰が宮廷神子になっても、それはそれで嬉しいと思うわよ |
| マルタ | けど宮廷神子になるのは私だから、そんな事はないってだけ |
| マルタ | 私、ラザリス様と目が合った時に感じた運命を信じてるから…! |
| シェリア | はあ…マルタも、コレットとは違う意味ですごく前向きで純粋ね… |
| アリエッタ | あ… |
| コレット | アリエッタ、何か見つけたの? |
| アリエッタ | …向こうに何かある |
| コレット | きらきら光ってるね |
| マルタ | あれって、まさか…! |
| シェリア | 行ってみましょう |
| | |
| シェリア | あれは…祠かしら?中で輝いてるのは… |
| アリエッタ | …クリスタル? |
| シェリア | そうだわ、きっと! |
| コレット | あれがクリスタル… |
| マルタ | ここからは、正々堂々と勝負よ! |
| シェリア | マルタ! |
| アリエッタ | 勝つのはアリエッタ…! |
| コレット | 待って…! |
| コレット | わっとと…! |
| シェリア | コレット!?足場が悪いから、気を付けて |
| マルタ | やった!一番乗り…! |
| マルタ | クリスタルを手に入れたわ! |
| コレット | という事は… |
| コレット | 試験はマルタが合格? |
| アリエッタ | …これで終わり? |
| シェリア | 取られちゃったわね… |
| マルタ | 何だか悪いわね。でも、これも試験だから── |
| | |
| | ヴオン! |
| マルタ | …な、何? |
| コレット | クリスタルが光ってる…? |
| マルタ | よく見たらこのクリスタル、何か刻まれてるわ… |
| マルタ | これは…魔法陣? |
| | |
| | ズシン…! |
| マルタ | わっ、今度は何よ!? |
| コレット | これは…何かの足音!? |
| アリエッタ | マルタ、何したの…!? |
| マルタ | 私は何もしてないわよ! |
| | ズシン…ズシン…! |
| シェリア | また…!これも試験の仕掛けなのかしら |
| アリエッタ | ここから出た方がいい。この揺れ、洞窟崩れるかも…です |
| コレット | そだね。行こ、マルタ |
| マルタ | ええ。せっかくクリスタルを手に入れたんだもの。絶対、無事に帰って── |
| マルタ | …な、あ、あれ…! |
| コレット | …?どうしたの、マルタ? |
| マルタ | な、何なのあいつ…! |
| コレット | え…? |
| | |
| | グオオオオオッ! |
| | |
| マルタ | ま、魔物!? |
| コレット | すっごい大きい…! |
| | グアアアアッ! |
| マルタ | きゃああっ!? |
| コレット | 壁が崩れるよ! |
| シェリア | みんな、大丈夫!? |
| マルタ | な、何とか… |
| | グアアアアッ! |
| コレット | わっ、また…! |
| シェリア | とにかく逃げましょ! |
| コレット | ね、ねぇ。こっちに来るよ! |
| マルタ | そうだ、アリエッタ!あなた魔物と話せるんでしょ!?仲良くしてって頼んでよ! |
| アリエッタ | …無理みたい。さっきの変な魔物と一緒。言葉が通じない… |
| マルタ | そんな… |
| | スゥ──… |
| コレット | …?何か吸い込んでる? |
| マルタ | 違う、あれは── |
| | ゴオオッ! |
| シェリア | ブレスよ!みんな、避けて! |
| | ピキーーン! |
| | |
| | ピキピキピキ!! |
| シェリア | 嘘…吐いたブレスが結晶に…! |
| マルタ | 道が…!これじゃ通れないじゃない! |
| | スゥ──… |
| コレット | またブレスが…! |
| シェリア | そこの岩陰よ!隠れて! |
| | ゴオオッ! |
| | |
| コレット | はあ…はあ…何とか助かったけど… |
| マルタ | 何なのよ、もう…! |
| アリエッタ | …こっち来た |
| | グルル… |
| マルタ | 私達を捜してるみたい… |
| コレット | どうしよう…? |
| シェリア | 来た道は結晶で通れなくなっちゃったから他の道を探すしかないんだけど… |
| マルタ | あんなのがウロウロしてたらそれどころじゃないわよ |
| アリエッタ | …倒す? |
| マルタ | 無理言わないでよ。一撃で岩の壁を壊すような奴よ?それに見たでしょ、あのブレス! |
| コレット | でも、ずっと隠れてるわけにもいかないよね |
| シェリア | ええ。この岩が砕かれたら、隠れるところさえなくなってしまうわ |
| コレット | うーん、どうしよ… |
| マルタ | はぁ…せっかくクリスタルを取ったっていうのに、こんなの無理じゃない… |
| コレット | クリスタル…!そっか、クリスタルだよ! |
| マルタ | え、何…? |
| コレット | あの魔物、マルタがクリスタルを取ったら現れたよね |
| マルタ | そういう仕掛けなんでしょ。宮廷神子になるための最後の試練って事じゃないの? |
| コレット | じゃあクリスタルを元に戻せば、魔物も消えたりしないかな? |
| シェリア | 確かに、賭けてみる価値はありそうね |
| マルタ | でも…祠へ戻るには、あいつをすり抜けていかないといけないわ |
| マルタ | そんなの、現実的じゃない。命がいくつあっても足りないわよ…! |
| コレット | … |
| コレット | …危険だけど…これしかないよね… |
| コレット | …ねぇ、マルタ、そのクリスタル、ちょっと貸してもらっていい?私に考えがあるの |
| マルタ | え…?で、でもこのクリスタルは合格の条件── |
| マルタ | …ううん、今はそんな事言ってる場合じゃないわね。はい、これ |
| コレット | ありがと |
| マルタ | でも、どうするつもり? |
| コレット | 私が戻して来るよ |
| マルタ | えっ… |
| コレット | みんなはその間に、上手く脱出してね |
| シェリア | だ、駄目よ!危険すぎるわ! |
| アリエッタ | …あのブレスから身を守るのは、絶対無理…と思う |
| コレット | そだね。ちょっと怖いけど… |
| コレット | 私、みんなを守りたいんだ。そう考えたら、不思議なんだけどすごく勇気が湧いてきて… |
| コレット | みんなのためなら、何でも出来るって気がするの。だから、だいじょぶだよ |
| コレット | みんなの事は、必ず私が守るから |
| シェリア | コレット! |
| シェリア | あの子…私達のために… |
| マルタ | …あれ?あの子、何か落として行ったわ |
| マルタ | 何これ…?花輪…? |
| シェリア | …!これ…あの時の… |
| シェリア | … |
| | |
| コレット | シェリアのために作ったの。親友の証! |
| コレット | シェリアも、私にとって大切な人だから |
| | |
| シェリア | コレット… |
| シェリア | …よし! |
| シェリア | コレットだけを危険な目に遭わせるわけにいかないわ。私も行く! |
| マルタ | シェリア! |
| アリエッタ | どうしよう… |
| マルタ | …アリエッタはここに隠れてて |
| マルタ | 魔物がコレットを追っていったのは多分、クリスタルを持ってるから。そういう試験だから… |
| マルタ | だったら、私だけ逃げるわけにいかない!今度は私が助ける番! |
| アリエッタ | ア…アリエッタも行く。あの時の恩返し、します! |
| scene2 | 最後の審判 |
| コレット | はあ…はあ… |
| コレット | 何だろう…さっきからずっと身体の内側が熱いような──… |
| | グオオッ! |
| コレット | もう近くまで来てる…! |
| コレット | でも、あそこの岩陰までたどり着けたら、あと少し…! |
| | スゥ──… |
| コレット | あっ…間に合わ── |
| シェリア | 危ない!伏せて! |
| | ゴオオオオオオッ! |
| | ピキン…ピシピシ…! |
| シェリア | うぅっ…! |
| コレット | シェリア!?私を庇って…! |
| シェリア | コレット、大丈夫? |
| コレット | うん。シェリアこそ… |
| シェリア | 私も平気。それより早く、祠へ── |
| | スゥ──… |
| シェリア | また来る…! |
| コレット | シェリア、こっち! |
| | ゴオオオオオオッ! |
| | ピシッ…!ピシピシピシッ…! |
| | |
| コレット | はぁ、危なかった… |
| シェリア | 助かったわ。ありがとう、コレット |
| コレット | 私こそシェリアのお蔭で助かったよ。けど、どうして… |
| シェリア | 親友だもの。約束したでしょ。「大切なあなたを守る」って |
| コレット | シェリア…。ありがと |
| シェリア | …さて、問題はクリスタルね。祠まであと少しなのに、今出たらあのブレスに巻き込まれるわ |
| コレット | シェリア。私、思うんだけど、あの魔物はクリスタルを持ってる人を追いかけてるんじゃないかな |
| コレット | だから、今度は── |
| ??? | こらー!そこの大きいの!こっちを見なさい! |
| コレット | …!あの声は… |
| | |
| マルタ | ほらほらどうしたの!?かかってきなさいよ! |
| アリエッタ | コレット達に酷い事したら許さない! |
| | グオオッ! |
| マルタ | き、来た…!でもこの隙があればコレットは… |
| | スゥ──… |
| マルタ | いきなりブレス!?まずい、隠れる場所が…! |
| マルタ | アリエッタ!私の後ろに隠れて! |
| アリエッタ | え、でも…! |
| マルタ | 早く! |
| コレット | 駄目ぇーーーっ! |
| | グオ… |
| コレット | マルタ!アリエッタ! |
| マルタ | あ、ちょっと!どうして大声出すのよ!せっかく… |
| | ガアアアッ! |
| コレット | わっ…! |
| マルタ | ほら見つかった!おとりの意味、ないじゃない! |
| コレット | おとり!?そんなの危ないよ! |
| マルタ | 言ったでしょ。借りは返すって |
| マルタ | あなただけにいい格好なんてさせてあげないんだから! |
| コレット | マルタ… |
| | ガアアアッ! |
| コレット | わっ、来た! |
| マルタ | コレット、逃げて!多分だけどそいつ、クリスタルを持ってる人を── |
| コレット | うん!わかってる! |
| コレット | 魔物さん!クリスタルを持ってる私はこっちだよー |
| | ガアアッ! |
| | |
| コレット | よし、十分離れたかな… |
| コレット | シェリア、今だよ! |
| マルタ | シェリア…?そういえば、どこに… |
| アリエッタ | あっ…!岩陰から… |
| | |
| シェリア | はぁ、はぁ…祠まであと少し… |
| シェリア | コレットったら、また無茶して…止める暇もなくクリスタルを置いて飛び出すんだから |
| シェリア | けどお蔭で隙が出来た。一気に走り抜けるわよ…! |
| | |
| | グルルル… |
| コレット | …!魔物の動きが止まった。もしかして… |
| | ガアアッ! |
| コレット | シェリアの方を見てる!私がクリスタルを持ってないってバレたの…!? |
| | スゥ──… |
| コレット | やめてぇーーっ! |
| マルタ | させない! |
| | ザシュッ! |
| | グオオオッ! |
| コレット | マルタ! |
| マルタ | …コレット。あなたが飛び出して行って、私、わかったの |
| マルタ | あなたがみんなで一緒にって言うのはただのお気楽でも、打算でもない… |
| マルタ | 人が傷つくのを見るのが嫌なのよね?例えライバルでも、いざとなれば守りたいとか考えてるんでしょ |
| マルタ | それも生半可な優しさとか人のよさだけじゃない…命を懸けるほどの覚悟がある |
| マルタ | すごいと思うわ。でも、それに黙って甘えていられる私じゃないの! |
| マルタ | コレットが犠牲になるなんて私は絶対に嫌だからね! |
| マルタ | あいつを食い止めるわよ…!クリスタルを祠に返すまで、シェリアには近づけさせないわ! |
| コレット | マルタ… |
| アリエッタ | アリエッタも…借りは返すんだから! |
| コレット | アリエッタ… |
| コレット | うん、そだね。一緒にシェリアを守ろう |
| コレット | 力を合わせて、四人で一緒にここを出ようね…! |
| マルタ | 勿論よ! |
| scene3 | 最後の審判 |
| | グルル… |
| コレット | はあ…はあ… |
| マルタ | シェリアは、まだなの…!? |
| アリエッタ | アリエッタ…負けないもん。シェリアのために持ち堪えるんだからぁ…! |
| | スゥ──… |
| マルタ | またブレス…!?も、もう避けられ… |
| コレット | わっ、何…!? |
| | |
| マルタ | 眩し…!目、開けてられない…! |
| | |
| マルタ | う…光、消えた…?何だったの…? |
| コレット | あれ?魔物が消えてる… |
| マルタ | た、助かった…の? |
| シェリア | ふぅ。間に合ってよかったわ… |
| コレット | シェリア!じゃあ、魔物が消えたのって… |
| シェリア | ええ。魔物を足止めしてくれていたお蔭で、何とか祠までたどり着けたわ |
| シェリア | みんな、無事? |
| マルタ | 戦ってた相手を考えれば、無傷と言ってもいいぐらいの軽傷よ |
| アリエッタ | アリエッタも。全員無事って、すごい… |
| コレット | 私も平気。大事なくてほっとしたよ |
| マルタ | やっぱりクリスタルと魔物は関係してたのね |
| シェリア | そうね。賭けだったけど、何とか成功してよかったわ… |
| マルタ | でも、これじゃクリスタルを持ち帰るなんて絶対に無理じゃない |
| シェリア | 今在職中の宮廷神子の人達も、みんなこの試験を乗り越えたのかしら |
| シェリア | ちょっと信じられないわね… |
| アリエッタ | 現役の宮廷神子は…みんな、ムキムキなの |
| コレット | そなんだ…! |
| マルタ | 絶対、違うと思う… |
| シェリア | さて…これ以上ここに留まっていても仕方ないわね |
| コレット | そだね。クリスタルはもう触らない方がいいと思うし… |
| マルタ | 大聖堂に戻りましょうか… |
| | |
| ライラ | ──ふう…試験は無事に終わったようですね |
| ライラ | あの方は…きっと素晴らしい宮廷神子になるでしょう |
| ラザリス | … |
| ライラ | まあ…!ラザリス様…! |
| ライラ | お越しになられていたとは露知らず、失礼いたしました |
| ライラ | 視察からお戻りになられていたのですね |
| ラザリス | まあね |
| ライラ | こちらにいらっしゃるなんて珍しいですわね。何か御用でしょうか? |
| ラザリス | 少し、気になる事があってね。宮廷神子の試験を行ってるんだって? |
| ライラ | はい。ちょうど今、試験が終わったところですわ |
| ライラ | 新たな宮廷神子を一名、迎える事になりそうです |
| ラザリス | へえ、どんな子? |
| ライラ | ラザリス様の事を心から大切に想っている、素敵な方ですわ |
| ライラ | ご覧ください、この花束。その子がラザリス様を想って用意したものですのよ |
| ラザリス | …その花束… |
| ラザリス | …ふふ、そうか。どうりで見つからなかったわけだよ |
| ラザリス | 僕の探し物、あの子が持っていたとはね |
| ライラ | ラザリス様…? |
| ラザリス | … |
| scene1 | 宮廷神子 |
| コレット | ただ今戻りました |
| ライラ | みなさん、おかえりなさい |
| ライラ | 試験、お疲れ様でした。無事に終えられたようで、何よりですわ |
| シェリア | 無事に…とは、言えないかもしれません… |
| マルタ | 魔物がいるとは聞いてましたけど、あれは反則だと思います |
| ライラ | クリスタルを持ち帰れなかったのですね? |
| アリエッタ | あんなの無理に決まってる、です |
| ライラ | 一度は手に取ったのに惜しかったですね |
| コレット | あれ?今、どうして、手に取ったってわかったんですか? |
| ライラ | ふふ…実はですね… |
| ライラ | みなさんの様子は、こちらでずっと見ておりました |
| シェリア | そんな事が出来るんですか!? |
| ライラ | はい。ここにある大きな結晶には洞窟内の様子が映し出されるんです |
| ライラ | その事とも関係あるのですが…実はみなさんにお知らせしておきたい事があります |
| ライラ | 実は、クリスタルを持ち帰っても試験は合格になりません |
| シェリア | えっ…!? |
| ライラ | というよりも、クリスタルを持ち帰るかどうかは、実は合否とは関係ありません |
| マルタ | そ、それって…あの時の試験の説明は嘘だったって事ですか!? |
| ライラ | いいえ。私、嘘は申し上げませんわ |
| ライラ | 私は、一つしかないクリスタルを持ち帰っていただきたいとお願いいたしましたが… |
| ライラ | 持ち帰れば合格だとも、持ち帰らなければ失格だとも、告げてはいないでしょう? |
| シェリア | そういえば…そうだったような… |
| コレット | それじゃあ、本当の試験って何だったんですか? |
| ライラ | はい。では改めて試験の本質についてご説明いたしましょう |
| ライラ | クリスタルを目指す道中、困難に直面したみなさんがどう振る舞うのか… |
| ライラ | それを観察する事がこの試験の狙いだったのですわ |
| ライラ | 私、大変心を打たれました。みなさんはこの短時間で、素晴らしい友情を育まれたのですね |
| ライラ | 四人がお互いを想い、力を合わせて困難に立ち向かう姿はとても素晴らしかったです |
| ライラ | さすがラザリス様にお仕えしたいと、望まれるだけの事はありますね |
| コレット | じゃ、もしかして、みんな合格とか…? |
| ライラ | いえ…みなさん全員を宮廷神子としてお迎えしたい気持ちは山々なのですが… |
| ライラ | 初めに申し上げた通り、残念ながら、合格させられるのはお一人のみなのです |
| ライラ | さて、今回の合格者ですが── |
| マルタ | ま、待ってください! |
| マルタ | 誰が合格か言う前に…その人を選んだ理由を教えてください |
| マルタ | 私は宮廷神子になりたい…。けど他のみんなも、同じぐらい真剣に宮廷神子を目指して頑張ったんです |
| マルタ | もしいい加減な理由だったら、私が選ばれても嬉しくない… |
| マルタ | だから先に、それを確認させてください |
| ライラ | なるほど…承知しました |
| ライラ | マルタさん。試験が始まった時のあなたなら、そんな事、気にしなかったでしょう |
| ライラ | マルタさんだけではありません。他の方も、この試験を通じて自分を省みる部分があったはずです |
| ライラ | その結果、みなさんは一回り成長された事と思います |
| ライラ | では、みなさんの心に影響を与え突き動かすきっかけとなったのはどなたの言動だったでしょう? |
| マルタ | … |
| マルタ | そういう事ね |
| シェリア | なるほど… |
| アリエッタ | 納得 |
| コレット | えっ、何?みんな、誰の事かわかったの!? |
| ライラ | みなさんにご納得いただけたところで… |
| | |
| ライラ | コレットさん |
| コレット | はい… |
| | |
| ライラ | おめでとうございます!宮廷神子の試験、合格です! |
| コレット | え…私…?本当に、私が…宮廷神子…ですか? |
| コレット | やった…!合格したんだ、私!宮廷神子になれたんだ! |
| シェリア | よかったわね、コレット。おめでとう! |
| コレット | あ、でも…という事は、みんなは… |
| シェリア | コレット、そんな顔しないで。みんな、あなたが選ばれた事に納得してるんだから |
| マルタ | …私も、あなたなら認めるわ |
| アリエッタ | アリエッタも、コレットならいいと思う |
| シェリア | コレットならいい宮廷神子になると思うわ。おめでとう |
| コレット | みんな…。ありがとう、私、頑張るよ…! |
| ライラ | では早速ですが…コレットさん、こちらにお着替えください |
| コレット | これは…? |
| ライラ | 宮廷神子の装束ですわ |
| シェリア | 素敵…!早く着替えて見せて |
| コレット | うん! |
| | |
| シェリア | わあ… |
| コレット | ど、どうかな…? |
| シェリア | すっごくよく似合ってる。素敵よ、コレット |
| アリエッタ | コレット…ううん、コレット様…かも |
| マルタ | そうね。上手く言えないけど、まさに宮廷神子って感じ。コレット様、いいなぁ… |
| シェリア | あ、私も。宮廷神子コレット様!…なんてね |
| コレット | や、やめてよみんな。普通でいいよ |
| ライラ | ふふ。微笑ましいですわね |
| ライラ | コレットさん、この装束に身を包んだ今この瞬間からあなたは宮廷神子になったのです |
| ライラ | 気を引き締めてラザリス様にお仕えしてくださいね |
| コレット | は、はい…!ご期待に沿えるよう、精一杯務めさせていただきます |
| ライラ | はい。では、自覚も芽生えたところでコレットさんには早速、宮廷神子としての仕事をお願いします |
| コレット | な、何でしょうか |
| ライラ | 実は先ほどまで、こちらにラザリス様がいらっしゃったんです |
| シェリア | ラザリス様が? |
| ライラ | ラザリス様はコレットさんの宮廷神子就任を祝し、お言葉をくださるそうですよ |
| ライラ | なので、ラザリス様のいらっしゃる宮殿まで行っていただけますか |
| シェリア | それって…ラザリス様がコレットをお待ちになってるって事!? |
| マルタ | 羨ましすぎる! |
| アリエッタ | コレット、すごい… |
| コレット | じゃあ私、行ってきます |
| コレット | あ、そだ…!すみません、ライラ様。先ほど預かっていただいたお花は… |
| ライラ | はい。こちらですね |
| コレット | ありがとうございました。それじゃ、私は宮殿に行きます |
| シェリア | 宮殿の前までは私達も行くわ。みんなでコレットの門出を見送ってあげる |
| コレット | ありがとう、シェリア |
| scene2 | 宮廷神子 |
| シェリア | さ、宮殿前に着いたわ。私達がついて行けるのは、ここまでね |
| コレット | 宮殿… |
| コレット | どうしてかな…何度も見た事あるはずなのに、何だか新鮮に見える… |
| シェリア | それはそうよ。あなたはもう、ここから眺めるだけの立場ではないんだもの |
| コレット | そっか…私、これからあの宮殿に入って行くんだね… |
| マルタ | 頑張ってね、コレット。落ち着いた頃に様子を見に来るわ |
| マルタ | その時、ラザリス様にご迷惑かけてるようだったら、承知しないから |
| コレット | うん。マルタの分まで、しっかり頑張るね |
| アリエッタ | アリエッタも応援します |
| コレット | ありがと |
| マルタ | さて…それじゃ私は、このまま家に帰るわ |
| マルタ | それじゃ、コレット。元気でねー |
| アリエッタ | あっ、アリエッタもそっち |
| コレット | 二人共、気を付けてねー |
| | |
| シェリア | さて…。私もオルシャ村に帰るわ。コレットの事、みんなに報告したいし |
| コレット | シェリアも帰っちゃうんだ。寂しくなっちゃうね… |
| シェリア | 寂しいのは私も一緒だけど…それ以上に私、嬉しいのよ |
| シェリア | ドジで、放っておけない子だったあのコレットが、これから宮廷神子として頑張ろうとしてる… |
| シェリア | そう思えば、寂しさなんて吹き飛んで、誇らしい気持ちでいっぱいになるわ |
| シェリア | だからコレットも、寂しいなんて言ってないで頑張ってね |
| コレット | シェリア… |
| シェリア | もう、コレットったら。まだそんな顔してるの? |
| コレット | …だって、オルシャ村を出てここまでずっと一緒だったんだよ |
| コレット | それだけじゃない。小さい頃から、私の隣にはいつもシェリアがいてくれて──… |
| コレット | 楽しい事も辛い事も全部二人でわけ合ってきた…。なのに… |
| シェリア | コレット…。大丈夫よ |
| シェリア | これまでみたいには会えなくなるかもしれないけどそんな事、関係ないわ |
| シェリア | 私はずっとコレットの事を想ってる。離れていても、想い合っていれば、何も変わらないわよ |
| シェリア | それにあなたは、これからラザリス様にお仕えするのよ |
| シェリア | 悲しい顔してちゃ駄目よ。ちゃんと笑ってないと |
| コレット | うん… |
| | |
| コレット | こう、かな? |
| シェリア | そうそう。やっぱりコレットはこうでなくちゃ |
| シェリア | その笑顔で、しっかりとラザリス様をお支えするのよ |
| シェリア | それじゃ、私もそろそろ行くわ。またね、コレット…。近い内に必ず、また会いに来るから |
| コレット | うん。シェリア、元気でね |
| コレット | … |
| コレット | あ、いけない。笑顔、笑顔 |
| コレット | ラザリス様が待ってる…宮殿に行かなくちゃ |
| scene1 | 届いた願い、届かぬ想い |
| コレット | これが宮殿の中…。思ってた通り、すっごく綺麗… |
| 衛兵 | む?君は… |
| コレット | あ、すみません。私… |
| 衛兵 | その格好…宮廷神子か |
| コレット | はい。今日から宮廷神子になったコレット・ブルーネルと言います |
| コレット | えと…ラザリス様がお呼びと伺ってここに来たんですけど、宮殿の中に入るのは初めてで… |
| 衛兵 | なるほど、そういう事か。なら私が案内── |
| ??? | その必要はないよ |
| ラザリス | その子は僕が案内する |
| コレット | ラザリス様…! |
| 衛兵 | ラ、ラザリス様が直々にお出迎えなさるとは… |
| ラザリス | 君を迎えに来たんだ |
| コレット | 私を…? |
| ラザリス | こっちだよ。ついておいで |
| コレット | は、はい…! |
| scene2 | 届いた願い、届かぬ想い |
| | コツ…コツ… |
| ラザリス | … |
| コレット | …ここは、地下通路…? |
| コレット | すごく広いし一人だと迷っちゃいそう──… |
| コレット | あ、ラザリス様がもうあんなところに…急がないと…! |
| ラザリス | … |
| コレット | あ、あの…ラザリス様 |
| ラザリス | …何? |
| コレット | 覚えておいででしょうか。私、ファルカームでラザリス様と… |
| ラザリス | コレット・ブルーネルでしょ? |
| コレット | あ… |
| コレット | はい…!覚えてくださってたんですね! |
| コレット | またこうしてラザリス様にお会い出来て、本当に嬉しいです |
| コレット | 近い内に会える事を祈ってるって言ってくださった事…本当になりましたね |
| ラザリス | …そうなる運命だったからね |
| コレット | …!光栄です!すっごく嬉しいです! |
| コレット | あっ、そだ!これ…ラザリス様に |
| コレット | ほんとはファルカームでお渡ししたかったんですけど、うっかりしちゃってて… |
| コレット | ブランの花って言うんです。「大切なあなたを守る」っていう花言葉があるんです |
| コレット | その花言葉のように私もラザリス様をお守りしたいと思って… |
| ラザリス | 守る?僕を、君が? |
| コレット | 私、ラザリス様をお助けしたいと思ってるんです |
| コレット | だから、もしお辛い事や、お困りの事があるなら、私に何でも言ってほしいんです |
| ラザリス | …何の事? |
| コレット | あ、えと…実は…ファルカームでラザリス様にお花を拾っていただいた時… |
| コレット | 不思議なんですけど、ラザリス様の感情が私の中に流れ込んできたんです |
| コレット | 何だか暗くて…寂しくて、苦しいような… |
| コレット | もしラザリス様がそんなお気持ちでいらっしゃるなら、私、支えになりたくて… |
| ラザリス | … |
| コレット | えっと…。す、すみません。突然不躾な事を… |
| ラザリス | 君は…そんな花よりももっと大事な物を持ってきてくれた |
| ラザリス | それだけで十分、力になってくれているよ |
| コレット | あ、ありがとうございます…! |
| コレット | ラザリス様…!では、ブランの花、受け取っていただけますか? |
| ラザリス | ああ…君が預かっておいてよ。花を飾るのも宮廷神子の仕事だろう? |
| コレット | はい…!では後で、お部屋に飾っておきますね |
| | |
| ラザリス | …さて。着いたよ |
| ラザリス | ここだ |
| コレット | 大きな扉…ここは…? |
| ラザリス | 「救済の儀式」…確かそんな言い方をしていたかな。それを行う場所だよ |
| コレット | あ…もしかして宮廷神子はその儀式のお手伝いをするのでしょうか |
| ラザリス | …どんな事をすると思う? |
| コレット | それは、えっと…お祈りするとか… |
| ラザリス | そうだね。祈る者もいる… |
| コレット | あの、ごめんなさい。私その儀式の事、初めて聞いて… |
| ラザリス | 心配はいらない。あっと言う間に終わるよ |
| ラザリス | さあ、中に入ろう |
| コレット | は、はい… |
| scene3 | 届いた願い、届かぬ想い |
| | ギイイ──… |
| コレット | わっ…中は暗いんですね |
| ラザリス | …すぐに目が慣れるよ |
| コレット | あ、少しずつ見えてきました。何だろ…何か大きな物が、たくさん並んで… |
| | |
| コレット | …!これは… |
| コレット | 部屋の中に結晶が…これって、試験の時の… |
| コレット | あれ?結晶の中に…何か──… |
| コレット | …! |
| コレット | こ、これ…人ですか!? |
| コレット | 人間が、結晶の中に… |
| コレット | これだけじゃない…こっちも…あっちも…! |
| コレット | よ、よく見たら、この結晶の塊…ぜ、全部…中に人が… |
| コレット | この人達…生きてるんですか…? |
| ラザリス | 死んではいないよ。どう、気に入った? |
| コレット | どうして…?どうしてこんな事に── |
| | |
| コレット | う…! |
| コレット | こんな事…前…にも‥? |
| ラザリス | … |
| コレット | ラザリス様…あの…この人達は、一体… |
| ラザリス | ここにいるのは全て咎人だよ。僕の世界を汚す有害なヒト… |
| ラザリス | けど、何よりも…誰よりも邪魔なのは「君」だ |
| ラザリス | ずっと探してたのに…全然見つからないと思ったら、まさかそんなところに隠れてたとはね |
| コレット | ラザリス様…? |
| ラザリス | かくれんぼはお終いだ。…出ておいで、「世界の意志」 |
| コレット | 世界の…意志…? |
| コレット | ううっ… |
| コレット | 何…今の… |
| ラザリス | 上手く隠れたものだね。ファルカームで会った時も、君の存在までは気が付かなかったよ |
| ラザリス | …だけど、残念だったね。君の選んだ器は、誰よりも強く純粋な意志を持っていた |
| ラザリス | おそらく君の器であるコレットは、宮廷神子の試験でその強い意志を見せたのだろう |
| ラザリス | …そして、その意志は衰弱しきっていた君に力を与えた。僕に検知されてしまうほどに |
| ラザリス | けど…ディセンダーを生み出した時ほどの力はまだ取り戻していないようだね |
| コレット | ラザリス様…?えと、何の事だか、私には…君って…誰ですか? |
| ラザリス | 君には眠ってもらうよ。器の少女ごと…永遠にね |
| コレット | ラザリス様…?な、何をするんですか?まさか… |
| ラザリス | … |
| コレット | わ、私、咎人じゃありません!ラザリス様!私はラザリス様の支えになりたくて… |
| コレット | だからお花も…なのに…どうして── |
| ラザリス | … |
| | ピキ…ピキピキ… |
| コレット | …!ラ、ザリス様…どうして… |
| コレット | …私はただ…あなたを── |
| ラザリス | 動けもしないのに、僕の心配かい? |
| コレット | 動け…ない…? |
| コレット | …!この結晶……私、前にもこんな事… |
| コレット | ──ううぅっ…! |
| ラザリス | … |
| コレット | ……そんな…どうして私…今まで…… |
| コレット | 駄目…助けて…ロイド──… |
| | ピシ…ピシピシピシ! |
| | |
| ラザリス | … |
| ラザリス | ──さよなら |
| ラザリス | …ん? |
| | |
| ラザリス | ブランの花、だっけ… |
| ラザリス | … |
| ラザリス | 「苦しい」「寂しい」だって?この僕が… |
| ラザリス | … |
| ラザリス | ふ…ははっ… |
| | |
| | ──グシャッ! |
| ラザリス | …ふざけるなっ!! |
| ラザリス | お前に何が…何一つ知らないくせに… |
| ラザリス | …… |
| scene1 | 目覚めし意志 |
| ??? | ──…ット |
| ??? | コレット |
| | |
| ロイド | おい、コレット |
| ゼロス | コレットちゃん?どうしたんだよ、ぼーっとして |
| コレット | あれ…ロイド?それに、ゼロス |
| コレット | ここは…?晶化した人達は? |
| ロイド | 何言ってるんだよ、コレット。それより、早く行くぞ |
| コレット | 待って、ロイド!行くって、どこへ? |
| ゼロス | コレットちゃん、大丈夫か?ぼーっとしてると危ないぜ? |
| コレット | ゼロス、待ってよ…。置いて行かないで──… |
| | |
| コレット | …!あ、足が動かない…何で… |
| | ピシ…ピシピシピシ! |
| コレット | あっ…ああっ、やだ…待って、ロイド…!助けて、ゼロス…! |
| ラザリス | 行かせないよ。君は…永遠に眠るんだ |
| コレット | いやああぁぁぁっ──…! |
| | |
| コレット | ──はっ! |
| コレット | あ、あれ…私… |
| コレット | …動ける… |
| コレット | ロイドー!ゼロスー! |
| コレット | …夢…だったのかな… |
| コレット | …この場所は… |
| コレット | そうだ…私…ラザリス様とここに来て… |
| コレット | …ラザリス様は…? |
| コレット | …いない。どこに行ったんだろう… |
| コレット | … |
| | |
| コレット | ラザリス様…どして私を… |
| コレット | それに「世界の意志」って一体… |
| コレット | それに他のみんなは晶化したままなのに、何で私だけ助かったのかな… |
| コレット | …うぅ…わかんないよ。何も… |
| コレット | …!私、前にもこんな事… |
| コレット | あちこちで起きてた晶化現象がメルトキオでも起きて、それで…… |
| コレット | 何で…どしてこんな大事な事…今まで忘れちゃってたのかな… |
| コレット | もしかして…あの晶化現象もラザリス様が──… |
| コレット | …ううん、そんなはずない。ラザリス様があんな事… |
| コレット | でも…ここの人達や私を晶化させたのは… |
| コレット | … |
| コレット | うぅ…どうなってるのかわかんないよ…! |
| コレット | これから…どうすればいいんだろう |
| コレット | この晶化した人達も何とか助けてあげたいけど…どうしたら… |
| コレット | …!? |
| コレット | …そ、そんな…まさか…!あの結晶の中にいるのって…! |
| scene2 | 目覚めし意志 |
| コレット | そんな…やっぱり…この晶化してる人は──… |
| | |
| ゼロス | … |
| コレット | ゼロス…! |
| コレット | そんな…ゼロスまで… |
| コレット | 何でこんな事…だって、ゼロスはスレイ達と旅してて… |
| コレット | じゃあスレイは…?他の人達は…?どうなっちゃったの!? |
| コレット | ロイド…ロイドは!? |
| コレット | 嫌だよ…。ロイド、ゼロス…私…! |
| コレット | ごめんなさい…!みんなの事、忘れてて…私、何も知らなくて、出来なくて…! |
| コレット | ゼロス…!ごめんなさい、私… |
| コレット | 何が出来たかわからないけど… |
| コレット | こんな事になる前に…助けてあげたかった──… |
| コレット | ごめんなさい、何もしてあげられなくて… |
| コレット | でも私…必ずゼロスを助けるから。絶対、結晶から出してあげるから…! |
| コレット | 私、みんなとまた会いたい |
| コレット | ゼロスや、ロイドや…みんなに会って、それで今度は、こんな事にならないように… |
| | |
| コレット | 大切なみんなを守りたい…! |
| コレット | うっ…今の光は一体──… |
| ゼロス | うぅ… |
| コレット | …!ゼ…ゼロス! |
| | |
| ゼロス | ん…?ここは…? |
| ゼロス | コレットちゃん…? |
| コレット | 何で…?結晶はどこに… |
| ゼロス | 結晶…?ああ、そうか。俺、咎人として捕まって、天帝に── |
| ゼロス | …って、コレットちゃん!?もしかして記憶あるのか!? |
| コレット | うん。多分…。さっきまで、いろいろ忘れちゃっててちょっと混乱してるけど… |
| ゼロス | そうか、それはよかった! |
| ゼロス | でも、ここにいるって事は、コレットちゃんも咎人として捕まったのか? |
| コレット | 違う…と思うんだけど…私にもよくわからなくって… |
| ゼロス | …とにかく落ち着いて何があったのか、順に話してくれ |
| コレット | うん…。実は── |
| | |
| ゼロス | なるほどな…その服装は宮廷神子の制服ってわけか |
| ゼロス | んで、どうしてなのかわからねーけどコレットちゃんは晶化を解く力を持ってる…と |
| コレット | うん…ゼロスを助けたいって強く願ったら、急に身体の内側が熱くなって… |
| コレット | シルヴァラントにいた頃はこんな事、出来なかったのに… |
| ゼロス | 俺も記憶を取り戻してからあちこち調べ回ってたけど、そんな力は聞いた事がねぇな… |
| ゼロス | 情報が足りなくて推測しか出来ねぇけど… |
| ゼロス | 天帝が言ってたっていう「世界の意志」ってのが関係してそうだな |
| ゼロス | そいつが原因だと考えれば、いろいろと辻褄が合いそうだ |
| コレット | そう…なのかな… |
| ゼロス | だとすれば、急いでここを出た方がいいな |
| ゼロス | 天帝は「世界の意志」って奴が晶化を解くなんて力を持ってるとは気付いてなかったと見える |
| ゼロス | 俺もコレットちゃんも、想定外の復活ってわけだ。この状況を最大限に利用しねぇと |
| ゼロス | コレットちゃん。あいつに見つかる前にここから抜け出すぞ! |
| コレット | うん。けど…ここにいる他の人達は?私、もしかしたら助けられるかも… |
| ゼロス | 助けたいのは俺も一緒だけど、今はちょっとまずいな |
| コレット | どうして? |
| ゼロス | ここにいる連中は、咎人って奴だ。奴ら、救済だとか言って、咎人をここで晶化してやがる |
| ゼロス | それでも十分酷い事だけど、どういうわけか命は取られてねぇ。みんな俺と同じように生きてんだ |
| ゼロス | けど、もし、晶化した連中が逃げ出したなんて事になったら… |
| コレット | ラザリス様が…そんな酷い事するのかな… |
| コレット | …ねぇ、ゼロス。世界を晶化させたのって、本当にラザリス様なの…? |
| ゼロス | …ああ、そいつは間違いねぇ |
| コレット | そんな… |
| ゼロス | …コレットちゃん。戸惑うのはわかるけど、今は俺さまを信じてくれねぇか? |
| コレット | … |
| コレット | …うん、わかった。でも後で絶対、この人達の事、助けに来ようね |
| ゼロス | ああ、当たり前だ。これ以上あいつらの好きにさせてたまるかってな |
| ゼロス | そのためにも、まずはここを抜けださねぇとな。…作戦の立て直しはそっからだ |
| コレット | うん…! |