NameDialogue
幻の島と隠されし財宝
ザァ…ザァ…
パティ潮風が気持ちよいのう。絶好の航海日和なのじゃ!
ユーリ海が穏やかなお蔭で船の揺れも少ないしな。快適な船旅だ
フレンパティ。「幻の島」への進路はこのままでいいのかな
パティうむ、東へ一直線じゃ。本に書いてあったから間違いないのじゃ
ユーリここから東って言や、魔の海域って言われてる辺りだよな
フレン魔の海域…か。パティ、その本は信用出来るのかい?
パティうむうむ。何といっても、大海賊グランカレイの航海日誌じゃからの
ユーリその本を信頼すんのはいいが、この船で魔の海域ってのは超えられるのか?
パティ魔の海域は、激しい渦潮に囲まれておるからな。どんな船もカレイのように海の底じゃ
フレン穏やかな話じゃないね。でも、君の事だ。何か策があるんだろう?
パティよくぞ聞いてくれたのじゃ!
パティうちはグランカレイの航海日誌に隠されていた暗号文を解き明かしたのじゃ
パティそれによると、数年に一度だけ、渦潮の流れが船を導き「幻の島」へ辿り着けるとあったのじゃ
ユーリなるほどな。それが今日ってわけか
パティそうなのじゃ。冒険家として船を出さんわけにはいかんのじゃ!
ユーリ冒険心に火がついたって事か
ユーリま、「幻の島」が存在するってんなら、見てみたいよな
パティさすがユーリ、誘った甲斐があるというものじゃ
ユーリしっかし、まさかフレンまで来るとは意外だったな
フレン少し気になる事があったからね
ユーリ騎士団絡みか?
フレンああ。今、騎士団で追いかけている海賊団が大規模な活動をするための準備をしているという情報があってね
フレンパティから今日しか行けない「幻の島」と聞いてもしかしたらと思ったんだ
ユーリなるほどな。そいつらも「幻の島」の財宝を狙ってる可能性があるって事か
フレンそうなんだ。けど海賊団の狙いが「幻の島」だって確証はないから、他の騎士達は動かせない
フレンもしも僕の予想が外れて、海賊団が街や商船の襲撃を計画していた時のために備えておいてもらわないとね
ユーリそれで一人で来たのか。確証がない中では妥当なところだな
パティもし他の海賊がいても、うちとユーリがついておる!大船に乗ったつもりで任せるのじゃ!
フレンありがとう、二人共。頼りにさせてもらうよ
ユーリ…ところで、パティ。俺達まで海賊の格好する必要あったか?
パティ何を言っとるのじゃ、ユーリ。大冒険には、それに相応しい格好というものがあるのじゃ
パティうちも気合いを入れて、いつもと違う服にしたのじゃ
ユーリそんなもんかね
フレンよく似合ってるよ、ユーリ。本物の海賊みたいだ
ユーリへっ、お前もなかなか様になってるぜ
パティお、もうすぐ魔の海域なのじゃ!「幻の島」に向けて全速前進なのじゃ!
ユーリよっ、と。無事に着いたみたいだな。ここが「幻の島」か?
パティうむ。渦潮から渦潮へと流れ流され辿り着いたこの島こそ、まさに本にあった「幻の島」じゃ!
パティじゃが…先客がおるようじゃ
フレンああ。あそこに停泊している船…間違いない、例の海賊団の旗印だ
ユーリでかい船だな。三人で一網打尽ってわけにはいかなさそうだ
フレンそのようだね。この場で捕えるのは無理だろう。だからまず、財宝探しを優先しよう
パティフレンはそれでよいのかの?
フレンああ。今は相手の情報を集めたい。財宝を探す内に、見えてくる事もある
フレンその情報を持ち帰って改めて騎士団を総動員した捕獲作戦を立てる事にするよ
ユーリそういう事なら、とっとと行こうぜ。先に財宝を見つけられちまったら情報収集も出来なくなるからな
パティでは財宝探しに出発なのじゃ!
フレンすいぶん山を登ったね。特に何かありそうには見えないけど…
ユーリなあパティ。これも航海日誌に書かれてたのか?
パティいや。うちの冒険家としての勘じゃ
ユーリおいおい…じゃあ、あてもなく歩いてるのかよ
パティうちの知るグランカレイの人物像から財宝を隠しそうな場所を考察しておるのじゃ
パティ同じ冒険家として勘を働かせれば自ずと道が見えてくるのじゃ
ユーリそういうもんか?
フレンふふっ、ここはパティを信じよう
パティうむ!大船に…いや宝船に乗ったつもりでついて来るのじゃ!
ユーリ自信たっぷりだな。んじゃ任せるぜ、船長
パティあったのじゃ!怪しい入り口なのじゃ!
ユーリマジで見つけるとはな
フレン慎重に入ろう。ここに財宝があるんだとしたら罠が仕掛けられているかもしれない
ユーリそうだな。用心しておくに越した事はな──
???…この出会い、運命を感じるぜぇ
ユーリなっ…!?
ガキィィンッ!
ザギユーリ・ローウェル!
ユーリザギ!?何でこんなところにいやがる!
海賊1ザギ先生の知り合いか?だったら話が早い。死にたくなけりゃここから手を引きな
海賊2ここは子ども連れで来るような場所じゃねぇぞ
フレンお前達は…!
パティ例の海賊団の船員じゃろうな。先生と呼ばれておるという事は、ザギは戦闘員の助っ人かのう
海賊1へっ、その通りだ。俺達は大国の騎士団にも目を付けられてるもんでな
海賊2そこで一騎当千と名高いザギ先生にお出ましいただいたってわけだ。わかったら、とっとと消えな
ユーリ…って言ってるが、見逃してくれんのか?
ザギあぁ!?逃がすわけねぇだろ
ザギオレはおまえを、絶対この手で殺す!
ガキンッ!
ユーリちっ…相手するしかなさそうだな
ザギあはははははっ!今日こそ殺してやる!斬り刻んでやるぞ、ユーリィ!
パティユーリ、手伝うのじゃ!
フレン加勢するよ!
ユーリああ、助かる!
ガキン、ガキン!
ザギあはははははっ!やるじゃないか!最高だ!
フレンくっ、強いな…
ユーリこのままじゃ埒があかないか。次で終わらせるぞ
フレンわかった
ザギ終わってたまるか!もっと、もっと上り詰めようぜ!
パティそこじゃ!
バキュゥン!
ザギいいねぇ!もっとくれよ!
パティ崖際に追い詰めたのじゃ!今じゃ、二人共!
ユーリ行くぜ、フレン!
フレンああ!
ユーリ・フレン武神双天波!
ザシュザシュッ!
ザギぐっ──!
ザギくっくっく、うわはははは!
海賊1ザギ先生ーーー!やべぇ、崖から落ちたぞ!
海賊2撤退だ!俺達も下に降りるぞ!
フレン……
ユーリ見逃していいのか?あの二人ぐらいなら捕えられるぞ
フレンああ、問題ないよ。戦力の情報は得られたからね
フレンもしこれ以上の戦力があるならもう一度やってくるだろう
ユーリあいよ
ユーリ何にしろ敵にここを知られたんだ。早いとこ財宝を見つけて船に戻ろうぜ
パティわかったのじゃ!
パティユーリ、フレン!ついに見つけたのじゃ!宝箱じゃ!
フレン本当にあったんだ…!信じてなかったわけじゃないけどこの目で見ると実感がわくね
ユーリんじゃ、あの海賊共が来ない内にこれ持ってさっさと帰ろうぜ
パティ…いや、まだそういうわけにはいかないようなのじゃ
ユーリん?どういう事だ?
パティ伝説に残っておる財宝はこんな量ではないのじゃ。他にも財宝が隠されているのじゃ
パティきっとさっきの海賊達もそれに気付いたからあっさり帰ったのじゃ
フレンなるほど。無理に戦わなくても他の宝を狙えばいいと判断したのか
ユーリ今見つけた財宝だけでも十分じゃねぇか?
パティそういう事ではないのじゃ
パティ冒険家としてまだ財宝があるとわかっていて、放って帰る事など出来ないのじゃ!
パティだからお願いなのじゃ!他の財宝を探すのを手伝ってはくれんかの?
ユーリわかったよ。最後まで付き合うぜ
フレンそうだね、僕も付き合うよ。海賊達の情報は多い方がいいからね
パティ二人共…ありがとうなのじゃ!
ザギの声どこに行った、ユーリィィィ!
ユーリはぁ…しぶとい奴だぜ
パティまた来てもユーリがいれば平気なのじゃ♪
ユーリあれに絡まれる身にもなってくれ。ほら、見つからねぇ内に、次の財宝を探しに行くぞ
パティうむ!それでは引き続き、冒険に出発なのじゃー!