| Name | Dialogue |
| 温泉宿は大騒ぎ | |
| アニス | きゃわ~ん!温泉だ~! |
| ウィンガル | 浮かれているようだが、これは温泉宿の偵察任務だという事を忘れるなよ |
| アニス | ちゃんとわかってますよぅ。けど温泉には入っていいですよね?役得、役得~ |
| ウィンガル | …気楽なものだな。プレザ達が他の任務に出ていたから同行させたが… |
| ウィンガル | 私一人でもよかったかも知れないな |
| アニス | そう言わないでくださいよぅ。お仕事は真面目にやりますから |
| ウィンガル | 頼んだぞ。念のため、任務の内容を再確認しておくが… |
| ウィンガル | 我々はこのウィンドルに新しく出来た温泉宿の偵察に来た。その理由はわかっているな? |
| アニス | 毎年、お月見の時期になると四象刃に手伝いを依頼してくるア・ジュールの温泉宿がピンチなんでしたっけ |
| ウィンガル | そうだ。今年は予約がほとんど入らず手伝いは不要だと言ってきた |
| ウィンガル | 不思議に思って調べたところ、ウィンドルに新しく温泉宿が出来てそこも月見の名所だという… |
| アニス | 完全に競合ですね! |
| ウィンガル | その通りだ。しかし、完全な競合なら客は分かれるのが自然だ |
| ウィンガル | だが実際は、ほとんどの客がこちらに流れてきている。それには何か理由があるはずだ |
| アニス | なるほど。それを見極めるための偵察って事ですね |
| ウィンガル | そうだ。月が昇り、宴会が始まれば調査どころではなくなるかもしれん。ここからは手分けするとしよう |
| ウィンガル | お前はまず、貸衣装を調べてくれ。他の温泉宿にはない斬新なサービスだと聞いている |
| アニス | 貸衣装ですね。わかりました! |
| ウィンガル | 私は宴会場に集まっている客に聞き込みをする。それでは、任務開始だ |
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| ウィンガル | この部屋が宴会場か。用意されている食器の数から見て、かなりの人数が参加するようだな |
| ウィンガル | 早速、話を聞いて回るか。まずは… |
| ワルトゥ | …ふむ。どうしてこの温泉宿に来たのか…ですか? |
| ウィンガル | ああ。似たような温泉宿が他にもあるはずだ |
| ワルトゥ | 確かに…昨年までは、ア・ジュールの温泉宿を利用していました |
| ウィンガル | では何故、今年はこちらに? |
| ワルトゥ | 深い理由などありませんよ。ただ目新しさでこちらに来てみた…それだけです |
| ワルトゥ | ア・ジュールの温泉宿には老舗ならではのよさがある…次はあちらに戻るかもしれません |
| ウィンガル | なるほど…目新しさは年々薄まるが老舗のよさは深まっていく…そこで勝負を仕掛ければ勝機もあるか |
| ワルトゥ | それでも新しいものが好きという人もいるでしょうがね |
| ウィンガル | 参考になった。貴重な意見、感謝する |
| ワルトゥ | いえいえ |
| ウィンガル | 今回ほど客が偏らないのであれば手の打ちようは出て来るな |
| ウィンガル | もう少し情報を集めてみるか。次は、そうだな… |
| アリーシャ | この温泉宿の魅力…?難しいな… |
| ウィンガル | 老舗のア・ジュールではなくこちらを選んだ理由を聞かせてほしい |
| アリーシャ | それなら簡単だ。シルヴァラントからなら、こちらの方が近かったからだよ |
| アリーシャ | 今回の休暇は短くてね。ア・ジュールは遠くて諦めていたがこちらなら来られたんだ |
| ウィンガル | …なるほど。という事はア・ジュールに来るはずの客が流れただけでなく… |
| ウィンガル | ア・ジュールに来られないはずの客もこちらなら近いからと来ている可能性があるのか… |
| アリーシャ | 少なからずいるとは思う。シルヴァラントではこの温泉宿の開店を喜ぶ声をよく聞いたからね |
| ウィンガル | …つまりア・ジュールの温泉宿では賄えなかった範囲の市場を持っているという事か… |
| ウィンガル | その規模がわかれば上手く利用して減収どころか利益につなげられる可能性もあるな… |
| アリーシャ | 参考になっただろうか |
| ウィンガル | もう一つ訪ねたい。この温泉宿に、他にない魅力があるとすれば、何だと思う? |
| アリーシャ | そうだな…魅力はいろいろあるが、他にないとなると、貸衣装だろうか |
| ウィンガル | 噂の貸衣装か。気になってはいたが、その服もそうか? |
| アリーシャ | ああ。美しいだろう?それに、この耳だ |
| アリーシャ | お月見に合わせて、ウサギの耳を貸し出しているなんて、洒落が効いているだろう? |
| ウィンガル | 確かに斬新だ。…なるほど、目新しさが薄れても老舗に負けないような個性があるのか |
| アリーシャ | 私が言える事はこんなところだ。お役に立てただろうか |
| ウィンガル | 意見としては十分だ。礼を言う |
| ウィンガル | 情報は集まったな。だが具体策に踏み切るには決め手に欠ける… |
| ??? | すみません、料理を運ぶので道を空けてもらえますか |
| ウィンガル | 失礼──ん?お前は… |
| フレン | あなたは、ア・ジュールの…! |
| マリク | フレン、どうした。配膳はオレがするから料理をこっちに── |
| ウィンガル | また見覚えのある顔だな。確かウィンドル騎士団のフレンとマリクだったか |
| マリク | ア・ジュールの四象刃…名はウィンガルだったか。どうしてここにいる? |
| ウィンガル | そう驚く事もないだろう。新しい温泉宿が出来たと聞いて月見にやってきただけだ |
| ウィンガル | そちらこそ、なぜ騎士が給仕のような事をしている? |
| マリク | ま、ちょっとした成り行きでな |
| フレン | 我々は新しい観光地の警備を手伝うためにやって来たんです |
| フレン | ところが想定より来客が多くて、急遽、宴会の準備も手伝う事になったんですよ |
| ウィンガル | 昨年までの我々と似たような状況か… |
| マリク | そんなわけで忙しいんだ。情報収集なら他でやってくれないか |
| ウィンガル | 見抜かれていたか。節穴ではないようだな |
| ウィンガル | …… |
| ウィンガル | …いや、待て手は足りているのか?もしよければ手伝うぞ |
| マリク | それは助かるが…手伝ったところで特に新たな情報は得られないと思うぞ |
| ウィンガル | 情報はもう十分得た。私も温泉宿の仕事は経験がある。役に立てる事もあるだろう |
| フレン | ありがたい申し出ですが…我々の一存では決められませんね |
| マリク | だが猫の手も借りたいのは事実だ。女将に相談するとしよう |
| ウィンガル | ああ。頼む |
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| アニス | 貸衣装、調査してきましたよぉ。こんなに可愛い衣装がありましたぁ~ |
| アニス | 普通の浴衣とか無難なのもあって老若男女に大人気って感じでしたよ~ |
| ウィンガル | そうか、ご苦労だった。その格好を見れば、どれほど個性的な衣装が揃っているかよくわかるな |
| アニス | ところで、何してるんですか?それも貸衣装? |
| ウィンガル | これは、この温泉宿の番頭の服だ。手伝うと言ったら喜んで迎え入れてくれた |
| アニス | あ、そんな事言って、手伝ってるふりをしながら何か作戦があるんですね |
| ウィンガル | ああ。だが手伝いというのも本当だ。これはア・ジュールにとってもこの温泉宿にとっても得になるからな |
| アニス | どういう事ですか? |
| ウィンガル | 今日は想定よりも多くの客が集まったのだそうだ。その結果が、この帳簿だ |
| アニス | 数字いっぱいですね。えっとぉ…要するに月見団子が足りてないって事ですか? |
| ウィンガル | そうだ。他の食材は、献立を工夫する事で人数分に合わせる事が出来たようだが |
| ウィンガル | 工夫の余地のない月見団子だけはどうしても不足してしまっている |
| ウィンガル | そこでア・ジュールの温泉宿から至急、月見団子を届けるように手配しておいた |
| アニス | でもぉ、間に合うんですかぁ? |
| ウィンガル | テノスの飛空船の使用許可を得た。あれを使えば、まもなく届くだろう |
| アニス | えぇっ!?そこまでして敵に塩を送るんですか? |
| ウィンガル | そうではない。この温泉宿に、ア・ジュールの月見団子を定着させるのが目的だ |
| アニス | …どういう事ですか? |
| ウィンガル | 情報を集めた結果、ここには本来ア・ジュールまでは来られない客も来ている事がわかった |
| アニス | その情報、私も聞きました。シルヴァラントの人とかがそうだって… |
| ウィンガル | つまりここでア・ジュールの月見団子を売る事が出来れば… |
| アニス | …!そっか、本来は買えない人達にも売る事が出来るんですね! |
| ウィンガル | そうだ。幸いにもウィンドルは、リチャードまんじゅうを売り出すなどア・ジュール同様の菓子文化がある |
| アニス | うちもガイアスまんじゅうとかありますもんねぇ。同じ物がウケるかもですね |
| ウィンガル | 私の計算では、この市場拡大で我が国は昨年以上の利益を得られる事になるだろう |
| ウィンガル | 月見団子を作っている温泉宿も生き延びる事が出来るというわけだ |
| アニス | すっご~い!問題解決ですね! |
| ウィンガル | まだ解決していない。月見団子を定着させられるかどうか…勝負はここからと言ってもいい |
| アニス | あ、そっか。定着って、どうやるんですか? |
| ウィンガル | ここからは単純な作業だ。客、従業員は問わない。みなに月見団子を食べさせるのだ |
| ウィンガル | そして我々の月見団子が是非ほしいとなれば、継続的に取引する流れとなるだろう |
| アニス | わかりました。月見団子を配りまくればいいんですね |
| ウィンガル | そういう事だ。ア・ジュール製の物だと宣伝する事も忘れずにな |
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| ??? | その月見団子、持ってきてやったぞ |
| ウィンガル | …!この声は! |
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| アグリア | おら。山ほどあるから全部、客の口につっこむぞ |
| ウィンガル | アグリア!どうしてここに… |
| ジャオ | わしらもおるぞ。忙しいと聞いて、飛空船に飛び乗って来たわい |
| プレザ | 前の任務が終わったから、手伝いがてら温泉にでもつかろうと思ったのよ |
| ウィンガル | お前達…勝手な事を…。まあ、いい。人海戦術といこう |
| ウィンガル | 月見団子を一人でも多くの人に配りウィンドルの市場に浸透させるぞ |
| ジャオ | うむ。その後はのんびり温泉といこう |
| アニス | さんせ~い♪ |
| ウィンガル | 士気も高まったな。では、宴会までそれほど時間がない始めるとしよう |