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「双星の宿命」編
オリエさて、最後に、全世界の運命を決する戦いに挑んだみなさんにお話を伺います
オリエお聞きした内容は、本の中で「双星の宿命(さだめ)」編という題でまとめさせていただきます
ルドガーよろしく頼むよ
エルエル、たくさん話すね!
オリエはい、よろしくお願いします
オリエそれから、この度は各分史からもお越しいただき、ありがとうございます
ミクリオこちらこそ、声をかけてもらえて光栄だよ
メルディはいな。メルディいつでも来るよ!
アッシュこれも世界間交流の一環だ
オリエ尚、今回は正史世界での事情を知るみなさんにもお越しいただいています
スレイオレは殆ど眠ってたけど…ミクリオから話は聞いてるから、大体は話せると思うよ
キールぼくは今回の事件を通して起こった現象の調査をしていた。それも踏まえて話が出来ると思う
ルーク俺は一緒に分史に行っちまったから正史世界での事情はわかんねぇけど…ま、よろしくな
オリエはい。みなさん、よろしくお願いします
オリエそれではまず、事件の発端についてお聞かせいただけますか?
ルドガー発端と言えるのかはわからないけど、最初に起こった異変はスレイが倒れた事件だったな
スレイあの時は心配かけちゃったな
エルエル、すごいびっくりしたよ。スレイから黒いモヤモヤ出てたし
エルエルが触ったら、時計がピカーッてなってルドガーいなくなっちゃうし
オリエ時計がピカーッ…ですか?
ルドガーああ。エルが肌身離さず持っている懐中時計だよ
ルドガー後でわかった事だけど、あれはヴィクトルが預けた骸殻能力者の時計だったんだ
ルドガーだから負の因子に反応して、時空の裂け目を出現させたんだ
オリエその時計にはそんな秘密があったんですね…!
ルドガー俺も驚いたよ。そして、その時空の裂け目を抜けた先は分史世界だった
ルドガー正史よりずっと未来の世界…そこでは、人間と天族が争っていたんだ
ミクリオ…僕の世界だね
ミクリオ僕とスレイは、人間と天族の争いを止めるために手を尽くしたけど、仲間達がどんどん傷付いていって…
ミクリオその頃からスレイの様子が変わっていったんだ
オリエスレイさんの様子が…?
ミクリオ具体的には、黒いモヤを出し、攻撃的な性格になった
ルドガー負の因子に憑りつかれていたんだな
オリエ負の因子…。それは、どういったものなのですか?
ルドガーどの世界でも事件の元になったりしていたものだけど…どう説明すればいいかな…
キールぼくが説明しよう。負の因子については随分調べたからな
キール負の因子は、人に憑りついてその人の内面にある欲や負の感情を増幅、暴走させる物なんだ
キール元はオリジンの審判に使う道標と呼ばれる物をヴィクトルが改造したと聞いている
ミクリオ僕達の世界には負の因子に関連する伝説も文献もなく調べても原因がわからなかった…
ミクリオだから、自我が残っている内にスレイを封印する事にしたんだ
ミクリオ僕はそれから解決方法を探し続けた…けど数百年、方法は見つからないまま
ミクリオそしてスレイの封印は解けてしまい…目覚めたスレイは人間と天族の争いに自ら参加するようになった
ミクリオ僕はこのままスレイが罪を犯すのなら…殺すしかないとまで思っていた
スレイ…!
ミクリオ辛い事だが…。それにスレイは世界を滅ぼそうとする者に利用されそうにもなっていた
ミクリオそれなら僕がこの手でケジメを付ける方がいいと思ったんだ
ルドガースレイを利用する者…シュヴァルツの事だな
ミクリオああ
オリエシュヴァルツさん…ですか。どういう方だったのでしょうか?
ルドガー彼女は世界を無に帰そうとしていたんだ
ミクリオああ。だがこちらにも協力者…ルドガーやライフィセット、それにグリューネが現れた
ミクリオみんなで力を合わせてシュヴァルツと戦い、追い詰めたが──
ミクリオそこに…スレイが来て、弱ったシュヴァルツの力を全て取り込んだんだ
ミクリオそしてスレイは、全ての人間を滅ぼす事でこの争いを終わらせると宣言した
ミクリオそれで僕も腹を括る事にしたんだ。もう命を奪ってでもスレイを止めるしかないって…
スレイ……。分史のオレの事だとしても悩ませたし、つらい決断させたな…
ミクリオ結果から言うと、僕はスレイを殺さずに済んだよ…。協力してくれたみんなのお蔭でね
ルドガー負の因子の破壊に成功したし、分離したシュヴァルツも無事に封印出来たからな
スレイみんなのお蔭でオレは目を覚ます事が出来たんだね
ルドガーああ
スレイオレ、ルドガーからその話を聞いて実は今、導師としての力をつけるため修行してるんだ
スレイライラに精神的な修行をしてもらって負の因子以外にも瘴気とか、そういう力に抗えるように備えてる
ミクリオ頼もしいな
スレイあんな辛い出来事、繰り返したくないからね
オリエ他の世界の事件を教訓として対策する…これも新しい世界の形ですね
オリエさて、スレイさんの異変は解決したと思いますが、その後、ルドガーさんはどうされたのですか?
ルドガーああ。分史から戻った後、俺は負の因子が正史の異変と関係してる可能性を考えた
ルドガーそれをリチャードに報告しようとバロニアに行ったらキール達と出会ったんだ
キールぼく達もちょうど異変について調べていたところだったからな
エル王様と話してる時、エルの時計を見せたらまた時空の裂け目が出たんだよね
エルそれでエルと王様とファラが吸い込まれちゃって、ルドガーが追ってきてくれたんだよ!
メルディメルディが世界に来た時の話だな
ルドガーああ。あの世界での、ア・ジュールの王家はメルディの一族なんだよな
メルディはいな。おカーサン女王でメルディが王女。それからキール、王室専属研究員よ
メルディメルディ、ウィンドルが王様から政略結婚を迫られておカーサン反対してたな
メルディそれなら戦争言われたから、キール、戦争したくなくなるぐらい強い兵器造ろうしてたよ
メルディメルディ、それが悲しくておカーサンやキールと何度も喧嘩したよ
ルドガーウィンドルの王…メルディの世界ではセルディクだったな
メルディはいな。だけど正史から来たリチャードがお蔭でセルディクの弱み握れたよ
メルディおカーサン、それなら戦争いらない兵器開発やめる言ってくれたな!
メルディけどキールが心配、政略結婚だけじゃなかったよ…
ルドガーメルディが時歪の因子だったから…俺達クルスニク一族に殺されると考えていたんだよな
ルドガー負の因子の影響で攻撃的になっていた事もあって俺を殺そうとしてきたんだ
メルディキール、メルディが事守るためって全部背負い込んでたな…
メルディだから、辛い事、一緒に乗り越えようって…大好きだからって言ったよ
メルディそしたら、負の因子壊れてくれたな
キールそ、そんな事を言ったのか…。それで、そっちのぼくは、何と?
メルディ同じ気持ちって言ってくれたよ!
キールそ、そうか…
ルドガーあっちのキールは負の因子の事についてもいろいろと調べていたんだ
ルドガーその情報を持ち帰ってこっちのキールに渡した事で調査が進んだんだよな
キールああ。あの資料はかなり役に立ったよ
キールお蔭でバロニアの研究施設でのぼくの評価も上がったしな
メルディじゃあこっちのキールも国に認められた偉い研究者になったか?
キール…いや。確かに発言権は得たが、地位はもらっていない。それに、今は研究施設を出てるからな
メルディバイバ!研究施設で何かあったか!?
キールそうじゃない。一人で自由気ままに研究するため組織に属するのをやめただけさ
メルディそうだったか
キールそれに…その方がリッド達や…メルディと会える機会も増えるしな
メルディワイール!こっちが世界のキールもメルディが事、大好きな!
キールち、違っ…!
キール…こほん!それより、話の続きだ!
キールもらった資料のお蔭で異変の兆候を検知出来るようになったんだ
ルークルドガーがキムラスカに来て話してたやつか
ルドガーああ。けどまさかルークに異変が起こってるとは思わなかった
ルークあの時はびっくりしたぜ。いきなりみんなが俺の事を忘れてまるで見えてねぇみたいになって…
ルドガー負の因子の影響だったな。それで一緒に時空の裂け目に飛び込んで、分史に向かったんだ
アッシュ…それが俺の分史というわけか
ルドガーああ
アッシュこっちではちょうど、ルークが俺を陥れるために偽の親善大使になった後だった
アッシュ国の和平方針に反対する強硬派のアレクセイが、ルークをけしかけたんだ
ルークそこに俺が現れたもんだから勘違いされてシルヴァラント兵に追いかけられたんだよな
ルークその上、アッシュまで襲い掛かってくるしよ
アッシュ俺はお前をルークの偽物だと考えたからな
アッシュさすがに他の世界から来たルークがいるなど推測は出来ん
ルークそりゃそうだろうけどよ…
オリエそれで、偽の親善大使の件はどうなったのですか?
ルーク俺やルドガーも手伝って、アレクセイとあっちの俺をとっ捕まえたんだよ
アッシュだが国の信頼関係を回復するために犯人であるルークを差し出す必要があった
アッシュ負の因子を破壊したルークは素直にそれを受け入れたが…
ルーク俺が天才的な作戦を思いついたんだ。俺が罪を背負って、あっちの俺を無罪にしたんだぜ!
オリエそんな事をして、大丈夫だったんですか?
ルークああ。俺はシルヴァラントに引き渡される途中で崖から飛び降りて生死不明…
ルドガー…と見せかけて、崖の下に出した時空の裂け目に飛び込んで正史に戻って来たんだ
オリエ飛び降り…!大胆な作戦ですね…!
アッシュあの作戦は上手くいった。シルヴァラントとの信頼関係は以前より強まったぐらいだ
アッシュ改めて礼を言う
ルークいやいや!ははは!
ルークまぁ俺も、お前らのお蔭でこっちのアッシュの事、受け入れられたし、感謝してるよ
アッシュ…正史にも俺がいるのか。俺の世界に来た時は、兄弟はいないような反応だったが…
ルークあー、何か伯父上が事情あって隠してたらしいんだがこっちでも双子の兄弟だったんだ
ルークナタリアが密かに知ってたらしくて引き合わせてくれてよ
ルーク突然の事だったし、分史でお前達と会ってなかったら向き合えなかったかも知れねぇ
ルークだから感謝してるって言ったんだ
アッシュそういう事か。…こっちの俺はどんな印象だった?
ルークどうもこうもねえよ
ルークあいさつ代わりに剣の腕比べしたら強ぇのなんのって。決着つかねぇでやんの
ルーク次は勝つからなって約束して今は毎日鍛錬してるところだ
アッシュ…そうか
オリエ言外の挨拶!剣の腕比べから始まる兄弟の絆…!素敵ですね!
ルークそんなんじゃねぇよ。…まだ兄弟ってどういうもんかよくわかんねぇし
ルークルドガーも兄貴がいるよな?今度、話を聞かせてくれよ
ルドガーいいけど、そういうのは人によって違うから参考になるかどうか…
エルルドガーはメガネのおじさんとずっと仲よしだもんね
エルだから、キムラスカから帰った後、ルドガーがメガネのおじさんの事思い出せなくなってて、怖かった
ルドガーああ…俺も思い返すとぞっとするよ。エルに言われるまで忘れてる事にも気付けなかった…
ルドガーだから、異変かもしれないと思ってキールに相談したんだ
キールあの時か…ルドガーを調べたけど、最初は何が何だかわからなかったな
キールリタが調べて、負の因子の影響を魔導器で抑えてるって事まではわかったけど…
キールそれが急に力を増して、時空の裂け目が開いたんだからな
エルそれはね。ヴィクトルが魔導器で自分の負の因子を制御していたからだよ
ルドガーエル!?
エルあっ!おとなのエルだ!
オリエエルさん!ようこそお越しくださいました
オリエ改めてご紹介しますね。ヴィクトルさんの事情をよく知る特別ゲストの、エルさんです!
エルよろしく。私やヴィクトルがやってた事とか話していくね
ルドガーありがとう。俺もよく知らない部分もあるから助かるよ
エル早速、さっきの話…ルドガーの負の因子が突然力を増して時空の裂け目が開いた事だけど
エル他の道標が揃ったからルドガーを私達の世界に呼ぶ頃合いって事でヴィクトルが力を解放したの
キールじゃあ、時空の裂け目が開いてそっちの世界に行く事まで全部想定済みだったという事か
エルそういう事だね
ルドガーそうとも知らず俺は分史の自分を見つけて異変を解決しようと調べていた
エルで、私に会ったんだよね
ルドガーああ。まさか隙を見て俺達を襲撃するつもりとは思わなかったよ
エル道標を手にしてもらうためにどうしてもヴィクトルとルドガーは戦う必要があった…
エルだけど私の分史では同じような流れで戦ってパパが死んだ…
エルその歴史を繰り返さないためにルドガーの戦力を少しでも削りたかったんだ
エル結局…ヴィクトルの負の因子が暴走して全力で戦う事になったけど…
ルドガー…でもヴィクトルは生きている。二人のエルが、彼を守ったんだ
エルだそうよ、小さいエル
エルパパもルドガーも、どっちも大事だし!二人共、無事でよかった
ルドガーそうだな。俺も守ってもらったよ。…ありがとう
ルドガー…でも、それで終わりじゃなかったんだよな
エルヴィクトルの計画は最初から、オリジンの審判の達成だったからね
エル負の因子の影響がなくなってもヴィクトルの強い意志に代わりは無かった…
エルルドガーが正史に戻ったのを見計らって、人造精霊クロノスの力で道標のみんなを正史に転移させたの
エル正史に道標を揃え、世界の楔への道を拓くために
ルドガーヴィクトルは、世界の楔を繋ぎ変え、自分の世界を決して破壊されない正史にしようと考えていた
ルドガーだけどそうすると正史世界は滅んでしまう…
ルドガーその事を嗅ぎつけたダオスがヴィクトルを阻止しようとしたんだ
ルドガーダオスはオリジンの審判の願いを利用して全ての分史を破壊する事で正史を救おうとした
ルドガーでも俺は、どちらも犠牲にしたくなかったんだ。だから…
オリエそれが今の世界の状況…全ての分史が正史としてそのまま存在する世界ですね
ルドガーああ。だけど世界をこの形にするという俺の提案は最初受け入れられなかった
アッシュ一つとなった世界でみんなが助け合う…確かに理想的だが実現は容易ではない
アッシュダオスはより確実な方法として分史の破壊を強行しようとしやがった
ルドガーダオスとも話し合いたかったんだけど結局戦う事になってしまって…
エルでもパパとルドガー、協力したから敵なしだった!
ルドガーダオスはかなり強かったけどな
オリエそしてオリジンの審判で全ての世界を繋げたんですね
ルドガーああ
アッシュだがこの世界が本当に何も犠牲にせず成り立つかはこれからの俺達にかかっている
ルドガーそうだな。新しい世界はまだ始まったばかり…これからが大切だ
オリエはい。これはすごい偉業だってティルグさんも仰ってました
オリエだから安心して、この世界を離れる事が出来るのだと
ルドガー伝説の光の使者にそうやって認めてもらえるのは光栄だな
???…否。安心は出来ぬやもしれぬ
ルドガー…!今の声は…!
ミクリオみんなにも聞こえているのか?頭の中に直接響くようだったが…
ルークこの声は、忘れねぇ──
ルークティルグだ!