NameDialogue
「光と闇の救世主」編
リオンここは…
リッドお前も気付いたか、リオン
リタ何よこれ…気温は変化ないのに、この階に来た途端、急に何だか…
ルークくそっ、肌がちりちりしてうぜえったらねえ。なあ、これって…
ミラ奴はこの階にいる。そう考えて間違いはあるまい
リッドやれやれ。いよいよ大詰めってわけだ
アスベル
ミラアスベル…?浮かない顔をしてどうした?
ルークおいおい、まさか今更怖気づいたとか言わねーだろうな
アスベルそんなわけないだろ。ただ…
アスベル…ここまで一緒に連れて来てしまったが、本当に大丈夫か?
アスベル俺達はこれから、最後の戦いに臨む
アスベルだが、相手の力は強大だ。勝って、無事に戻れるという保証はどこにもない
アスベルそれでも…俺達と一緒に来るか?
アスベル…わかった。それなら、もう俺も何も言わない
アスベル…お前も俺達の大事な仲間だ。世界を救うために、何としても最後の戦いに勝利しような
リオン話は終わったか?
アスベルああ。待たせてすまなかった
リタ全く、あんたってほんと心配性よね
ミラだがそれが、アスベルらしいところでもある
リッドじゃ、出発と行こうぜ
異変のはじまり
アスベルくっ…!何だこの揺れは!?地震か!?
アスベル…地震にしては、揺れ方がおかしい?
アスベル…これは、ただの地震なのか!?
アスベルあ、あれは…地割れ!?これは一体…
アスベルとにかくここは危険だ…。みんなに一時撤退を知らせなければ!
リッドおいおい、どうなってんだ!?いつまで経っても収まらねえどころかでかい地鳴りまで…
リッドこいつは明らかに今までと違う…!一体何が起きて…
リッド街のみんなは…!?ああ、それにファラもか。また首を突っ込んでなきゃいいけどな
リッドやれやれ。これはのんびりしてられる状況じゃなさそうだな…しかたねえ、街へ戻るか
リタ…!また光った…
リタあっちは確か、ウィンドルとア・ジュールの国境地帯だったはず
リタあの光…ただの雷にしては不可解な点が多すぎるわね
リタもし和平交渉が決裂して、また戦いが始まったんだとしたら何か人為的な――…
リタちょっと!?何よこの地震!大きすぎ!
リタああもう、一体何が起きたっていうのよ!?
ルークうおっ!?な、何だ?おちおち立ってもいられねーぞ!
ルークじ、地面が…割れていく…!
ルーク…!
ルークお、おい…マジかよ!このままじゃ落っこち――
ルークう…うわあああああっ!?
ミラウィンドルとア・ジュールが、戦争を再開しただと…?
ミラあれから、世界は和平への道を歩み始めたのではなかったのか!
ミラ…ウンディーネ。人間界で何が起きて――
ミラウンディーネ…?どこだ?ウンディーネ!
ミライフリート!シルフ!ノーム!
ミラどういう事だ…?四大の気配がまるで感じられない…。…一体何が起きているのだ
リオン
リオン…また地震か…今度は前より大きいな
リオン
リオン…聞いている。別に話をそらしたつもりはない。…それで、話は終わりか?
リオンお前達の望みはわかった。それさえ果たせばいいんだな
リオン…いいだろう。必ず、やってやるさ。…何に代えても、な…

NameDialogue
scene1戦場の少女
アスベルこの辺りには誰もいない…みんな無事に撤退できたようだな
ゴゴゴ…
アスベルまた揺れている…。…この地震は一体いつまで続くんだ?
アスベル辺りの地割れもひどいしこの様子じゃいつ地面が崩落してもおかしくなさそうだ…
アスベルよし、そろそろ俺も撤退してリチャードにウィンドル軍撤退完了の報告を…
アスベル…ん?あれは…
アスベル女の子…?まさか…どうしてあんなところにまだ人が残っているんだ!?
アスベルおい、しっかりしろ。おい!
???
アスベル気を失ってるのか。怪我は…特になさそうだな
アスベルとにかく、ここは危険だ。安全なところへ連れて行こう
アスベルよっ…と…
???ん…
アスベル起きたか?
???あ…
???あなたは…?
アスベル俺はアスベル・ラント。ウィンドル王国の騎士だ。君の名も教えてくれるか
???私は…
カノンノ…カノンノ。うん、そう。カノンノだよ
アスベルわかった。カノンノ、ここにいるのは危険だ。俺と一緒に安全な所へ行こう
カノンノあ、うん…
アスベル一人で歩けるか?
カノンノうん、大丈夫
アスベルよし。それじゃ、出発しよう
scene2戦場の少女
アスベルカノンノ、君はどうしてこんな危険な場所にいたんだ?
アスベルこの辺りが戦争の激戦区である事は誰しもが知っているはず。なのに、こんな場所にいるなんて…
カノンノうーん、どうしてかな…
アスベル君一人か?他に誰か、一緒にいなかったのかい?
カノンノううん、一人…だと思う
アスベルだと思う、か…。…あ、じゃあ、住んでいるところは?
カノンノうーん…ごめん、わからない
アスベルひょっとして、記憶喪失――…まさかこの戦争に巻き込まれて…
カノンノ…?
アスベル…ごめん、カノンノ。今無理に思い出す必要はないんだ。まずは、安全の確保を――
カノンノあ…!
チャリ…
アスベルネックレスか、綺麗だな。それに、変わった形をしている。星をモチーフにしているような…?
カノンノ…これはとっても大切なものなんだよ絶対に放しちゃいけない、そんな気がするの
アスベル…そうか。そのネックレスが何か、君の手掛かりになればいいな。大事に持っておくんだぞ
ゴゴゴ…
カノンノさっきから、地震が多いね
アスベルああ。この分だと、おそらくウィンドル全域で、被害が出ているだろう
アスベルあちこち見て回ったが、もう他にウィンドル軍は残っていないようだ早くバロニアへ帰還した方がいいな
カノンノバロニアって?
アスベルウィンドルの王都、俺の住んでいる街さ。そうだ、カノンノも一緒に来ないか?
カノンノ私も?どうして?
アスベルおそらく君は今、戦争もしくはこの大地震のショックで、一時的に記憶が混乱している状態なんだと思う
カノンノ記憶が混乱…
アスベルああ。帰る場所もままならない今、一人でこの辺りをうろつくのは危険だし…どうだ?
カノンノ…うん、そうだね。じゃあ私、一緒に行くよ!ありがとう、アスベルさん
アスベルああ。よし、そうと決まったら早速…
ガルルル!
カノンノな、何!?今の…
アスベル魔物か!
scene1バロニアを目指して
カノンノそういえば、アスベルさんは騎士だって言ってたけど、どんな事をしているの?
アスベル国王陛下と、国…あとは民を守る、それが騎士の務めだ
カノンノすごい!立派なお仕事だね!じゃあ、アスベルさんの住むバロニアってどんなところ?
アスベルウィンドル王国の中心にあって、多くの人が住んでいる都だ。すごく栄えていて、賑やかな街だよ
アスベル俺は物心がついた頃からバロニアで暮らしてるんだ
アスベルバロニアには親友もいるし、俺にとって思い入れの深い故郷の街なんだ
カノンノ故郷…
アスベルこのところ、いろんな事があってリチャードも苦労しているから、俺も何とか力になりたいんだけどな
アスベルあ、リチャードっていうのはウィンドルの国王なんだが、俺の親友なんだ
カノンノアスベルさん、王様と知り合いなの?すごいね!
アスベルいや、友達がたまたま王様だっただけで…他にもシェリアって…
アスベルう…!
カノンノあ…!
カノンノ…!アスベルさん…!この崖は…!?
アスベルこの辺りにこんな崖はなかった…地震の影響がここまでとは…
アスベルウィンドル…いや、世界中がこんな事になっているとしたら…くっ、早くバロニアへ戻らないと!
アスベル
アスベル亀裂の両端も見えない…どうやら完全に大陸が分断されてしまったようだな
アスベル方角的にはこの崖の向こうにバロニアへ続く道があるはずだが、亀裂を越える事は出来なさそうだ
カノンノそんな…
アスベル…陸路でバロニアへ戻れないとなると海路を使うしかないが…西にある港はア・ジュールの領内…
アスベル俺一人でも危険なのにカノンノを連れたまま、国境を越えて港まで行けるだろうか?
アスベル…考えても他に方法はない、か。カノンノ、来た道を戻る事になるが、西の方へ行こう
アスベル少し遠回りにはなってしまうが、港からウィンドル方面への船が出ていたはずだ
アスベル危険な道だが、俺についてきてくれ。少なくとも、ここに留まるよりは安全なはずだ
カノンノ帰れる方法はあるんだね…よかった!じゃあ、早速港を目指そう
アスベルああ…ん?あれは…
???困りました…
???どうしよう、エリー。ジュード君、やっぱりこの下に落っこちちゃったのかな?
アスベルおい、君達!そんなところで何をしている?
???…!
アスベル君達…こんなところでどうした?保護者はいないのか?
???わたし達…ウィンドルから来てて…ジュードを…お友達を捜してるんです
???お前達こそ、誰だー!?
カノンノぬいぐるみが喋った…
アスベル驚かせてすまなかった。俺達は怪しい者じゃない
アスベル俺はウィンドル王国の騎士、アスベル・ラントだ。こっちはカノンノ
???
エリーゼわたしは…エリーゼ・ルタス。この子は…お友達のティポ…です
アスベルエリーゼにティポか、よろしく。それにしても…こんなところに友達がいるのか?
アスベル両軍撤退しているとはいえここは戦場だ。地震も頻発しているし一刻も早く家に――
エリーゼジュードを…見ませんでしたか?
カノンノジュード…さっきも言っていた、お友達?
ティポそうそうー、地面ががーっと揺れて気付いたらジュード君、いなくなってたんだよねー
アスベル…まさか、この亀裂に?
エリーゼわかりません…。はぐれてからずっと亀裂の周りを捜してるんですけど、見つからなくて…
エリーゼ
アスベルそういう事だったのか…。だったら、君達も俺達と一緒に来ないか?
カノンノ私達、この亀裂の向こう側にあるバロニアへ向かってる最中なの。よかったら一緒に行こうよ
ティポ…どうする、エリー。悪い人達じゃないみたいだけどー
エリーゼでも…ジュードを捜さなきゃ…
アスベルバロニアへ着いたら、俺が騎士団にそれらしい人を見なかったか尋ねてみる。だから一緒に行こう
エリーゼ
ティポエリー、これだけ捜しても見つからなかったんだし、バロニアなら何か知ってる人がいるかもよー
エリーゼそうですね…じゃあ、お願いします
カノンノよかった。じゃあ改めてよろしくね、エリーゼ、ティポ
エリーゼ
カノンノ…ん?エリーゼ、どうかした?
エリーゼカノンノの髪…ピンクでかわいい…です
カノンノ…そ、そうかな?ありがとう
アスベル女の子二人にぬいぐるみか…何だか、不思議な顔ぶれになってきたな
scene2バロニアを目指して
アスベルやっとア・ジュール港についたな…ここは敵地だから、目立つ事は控えて、おとなしくしていてくれよ
カノンノウィンドルへ行く船、出てるといいね
アスベルさすがに普通の船は無理だろう…。戦時下に敵国へ向かう船なんてそうそうないよ
ティポえー、じゃあ、何で港に来たのー!船が出てないなら意味ないよー!
アスベルしっ!ティポ、大きな声を出すな。こういう時に出航する船は軍用…おっと、隠れて!
ザッザッザッ…
カノンノア・ジュール軍の兵士だね…あんなにたくさん…
アスベルよし、あの兵士達の後をつけてみよう。二人ともついて来てくれないか
ティポあーっ!アスベル君!ぼくを数に入れてないぞー!
エリーゼ…ティポをのけ者にしないでください
アスベルごめんごめん。三人とも…これでいいか?
ティポもー、忘れないでよねー
???
???あ、戻って来た。首尾はどうだった?
ア・ジュール兵はっ。タトリン殿のご命令通り、ウィンドル港へ向かう民間船を一隻、何とか手配いたしました
ア・ジュール兵民間船も、天変地異の影響でほとんど破損しておりました。しばらくはこの港から船は出せないでしょう
ア・ジュール兵我々は作戦通り、密輸船に偽装してウィンドル港へ侵入、任務を遂行します
ティポ何だかこうやってると、ぼく達スパイみたいだねー
アスベルしっ!
アニスご苦労様。じゃあ準備が出来次第、現地に向かってね
アニス私は本部に戻って、大佐に報告しとくから。よろしくー
ザッザッザッ…
エリーゼ今、話をしていた女の子も、ア・ジュール軍の関係者…ですか?
アスベルああ。口ぶりからして間違いないだろう
アスベルあの兵士達、ウィンドルへ潜入して国内の状況を探るようだ。放置してはおけない
エリーゼ…!
カノンノどうしたの、エリーゼ?
エリーゼそこの岸壁のへりに、何かが…
グオオオオッ!
ティポわー!魔物だー!?
scene1最悪の再会
カノンノあ!あそこにさっきの兵士達がいるよ
ア・ジュール兵準備を急げ!完了し次第出航する
アスベルくそっ、何とかして止めたいがここで騒ぎを起こしても捕まるだけだ…何か手はないのか…
カノンノアスベルさん、あの船はウィンドルまで行くんだよね?
アスベルそうだな…このまま放っておくと残念ながらそういう事になる
カノンノだったら、あの船に乗ってウィンドルに行くのはどうかな?
アスベル!?密輸船に偽装しているとはいえ敵国の軍隊が乗っているんだ…!
アスベル……いや、待てよ。いいアイディアかもしれない…
ティポえー!?アスベル君、本気なのー!?
エリーゼお願いして乗せてもらえるような船じゃないですよね…?
アスベルああ。最初はこっそり乗り込むしかないだろう。船がウィンドル港に着くまで身を隠して…
アスベル港に着いたところで港の軍に協力を要請して奴らを捕まえてもらおう
アスベル無茶な手段かもしれないがア・ジュール領内に残るのも危険だし他の船も出る気配はなさそうだ
アスベルこんな手段で申し訳ないが、俺と一緒に船に乗ってもらえないか?
カノンノ…あの船に乗ればウィンドルヘ行けるんだよね。だったらやってみようよ
エリーゼ…怖いですけど、それしか方法がないのなら、わたしも…それがいいと思います
ティポ残っても、ウィンドルの人が、ア・ジュールにいるのは危険だしー
アスベル…ありがとう。三人の身に危険が及ばないよう、俺が必ず守ってみせる
カノンノじゃあ、急いで船に乗り込もう!もう出航だって言ってたし
エリーゼはい…!
???
???ヒューッ。思わぬところで獲物発見。美味しくいただいちゃいますか?いただかれちゃいますか?
scene2最悪の再会
ボーッ…
カノンノ汽笛が鳴ってる
エリーゼ今、船はどの辺りにいるんでしょう…?
アスベルア・ジュール港を出てだいぶ経つ。そろそろウィンドル港に着いてもいい頃だ
ティポうまく船に乗り込めてよかったねー
アスベルまあな…。だが、最後まで油断は禁物だ。みんなしっかり荷物の隅に隠れて――
カノンノ何だかスリルがあって楽しいね
ティポだねー
エリーゼハラハラします…
アスベル…。みんなこの緊迫した状況を本当に理解しているんだろうか…
ティポ入り口に鍵もかけたし、大丈夫だよー!アスベル君、心配しすぎー
エリーゼ気持ちはわかりますけど…
カノンノアスベルさんがそうやって張りつめすぎてると、私達まで緊張しちゃうかも
アスベルう…そうか。ごめん
アスベルはあ…俺もまだまだ未熟だな。もう少し心に余裕を持たないとな
カノンノアスベルさんなら大丈夫だよ。そのうち出来るようになると思う。何となくだけど…
アスベル励ましてくれてありがとう。カノンノは優しいな
ア・ジュール兵おい、話し声が聞こえないか?船倉に誰かいるのか?
アスベル…!
ガチャガチャ!
ア・ジュール兵中から鍵がかかってる…!やはり誰かいるんじゃないか?おい!
ドンドン!
ティポどうしよう、気付かれちゃったよー!
エリーゼこのままここに、立てこもりますか…?
アスベルいや、そんな事をしてもいずれ扉をこじ開けられ、見つかってしまうだけだ
アスベル…俺が出る。カノンノ達はここで隠れているんだ
カノンノ私も一緒に…
アスベルいや、俺一人でいい。みんなは隙を見つけて、別の場所へ移動、いいな?
ドンドン!
ア・ジュール兵早くここを開けろ!…くっ…
アスベル
ガチャ…
ア・ジュール兵
アスベルすみません。俺は…
ドサッ!
アスベルえ…?
カノンノいきなり倒れた…?
エリーゼどうしちゃったんでしょう…?
???さてさてここで問題です。このア・ジュール兵は、どうしていきなり倒れたんでしょーか
ティポ誰!?
アスベルこの声は…!
???1ば~ん 波がとっても高いから2ば~ん 海がとっても青いから3ば~ん 船に乗れて嬉しかったから
ティポさ……さんばん!
???ぶっぶ~、正解は5番!
ティポ聞いてないよー!
ハスタハスタ様の気まぐれですよっと!
アスベルハスタ隊長!?
ハスタあっれー、アスベル君、ウィンドル軍を除名されたオレをまだ隊長って呼んでくれるのー?
カノンノアスベルさんの知り合い…?
ハスタアスベル先生ェ…。いたいけな女子を二人もはべらせて、何とも楽しそうですなあ
アスベルあなたは戦争中に国王の命に背いて勝手に略奪を行った罪で指名手配されていたはず…
アスベル一体どこにいたんですか?それに、この倒れた兵士達は…
ハスタ質問は順番にでおじゃるよ!もっともそうしたところで、素直に答えるとは限らねーデスが
ハスタ騎士団は除名じゃなくてやめたのサ。陛下ってば、ツキモノが落ちたようにすっかりおとなしくなっちまったし
アスベル今の陛下が、本当の陛下です。騎士団を辞められたとはいえ不敬な発言は止めてください
ハスタこれからどうしよ~とか途方に暮れてたんだけど、いきなりの戦争再開!天変地異!
ハスタオレさまの時代アゲイン!そう思って張り切ってたところで、アスベル先生を見かけたってワケ
ハスタアスベル君、昔リンネル村でオレさまにケチつけたの覚えてる~?
ハスタアレが未だオレさまの中でプッツンきたまま忘れられなくて~いっそ殺してもいいかな~って思いまして
アスベルそれで、見かけた俺達の後をつけてきた、という事ですか…
エリーゼ…この人、すごく嫌な感じ、です…
ハスタさあ、初めましての方も含めてここで潔く死んでもらおうか。オレの気晴らしにね…
ティポいやー!そんなの理不尽ー!
ハスタ人生とは理不尽なものなのサ。ドゥーユーアンダスタン?オーケイ、レディゴー!
アスベルくっ…!
scene1シルヴァラントの傭兵
ハスタう~ん…ああ、お花畑が見える…な~んちゃってェ!
アスベルハスタ…。今でも、あなたのやり方が正しかったとは到底思えない
アスベルそんなあなたですが…
アスベル一度は隊長を務めた方のこんな姿は見たくなかった…
ハスタよし、聞くんだいい子達。こういうのはどうだろう?オレをいっそ仲間にするというのは?
ティポええー
エリーゼそんなの…嫌です…
カノンノこの人…正気?
ハスタおいおい、オレの脳内会議では過半数で即時可決なんだぜ?何て冷たい反応!ひどくなーい?
ガタンッ…
ハスタお、どうやらお船が港に到着したようデスね
ハスタよし、そこで提案その3だ
ティポその2はどうなったのさー!
ハスタかわいこちゃんをババッとさらって、オレさま華麗にエスケープ!
ハスタきゅぴーん!
カノンノアスベルさん!!
ティポカノンノ君がさらわれたー!
アスベル待て!!
アスベルこんな卑怯な真似はやめてください!
ハスタんん~、ボクちん、そういうの全然気にしない主義!
ハスタおお~っと、それ以上近付くなよ。かわい子ちゃんのどてっ腹に大きな風穴が開いちまうゼ?
カノンノアスベルさん…ごめんなさい…
ティポ最低だー!
エリーゼ卑怯…です…
ハスタいいねェ、この、いかにもって感じの悪役感!オレさま最高!ヒーハー!
アスベル…?あれは…
バシィッ!
ハスタグフゥォァッ!
???大丈夫か
カノンノう、うん…
アスベルカノンノーーッ!
アスベル怖かっただろう…怪我はないか?どこか痛めなかったか?
カノンノだ、大丈夫だよ。捕まってたのは、ちょっとだけだから
ハスタおぅのぅれぇ、せっかく勝ったと思ったのにまさかこんな目に…あぁぁな口惜しやぁぁ
ハスタな~んてね!はい、お時間終了です。形勢不利になったし、か~えろっと!
アスベルハスタ!
ハスタ覚えとけよ、カッコつけマン。あとそこのロン毛野郎も。アスタ・ラ・ビスタ・ベイベー!
アスベルか、カッコつけマン…
アスベル…と、とにかく兵士を呼ぼう。ハスタは彼らに追ってもらった方がいい
エリーゼア・ジュールの船も捕まえてもらわないといけませんね
アスベルそうだな。それと…
???
アスベルカノンノを助けていただいて、ありがとうございました
カノンノありがとうございます
???たまたま奴の死角にいたのでな。そう恐縮しなくてもいい
クラトス私はクラトス・アウリオン。傭兵だ
クラトスあの地震後、治安が悪くなっている。旅をするなら気を付ける事だな
アスベル俺はアスベル・ラント。ウィンドルの騎士です
アスベル何かお礼をしたいのですが…
クラトス出来る事をしたまでだ。ああいう男は私も好かん。気にするな
アスベルあいにく持ち合わせもないし…バロニアへ戻れば、いろいろ融通も利くのですが…
クラトスバロニア?ちょうど、私もバロニアへ向かっていたところだ
アスベルでは、一緒に行きませんか。バロニアには知り合いがいるので、お仕事をご紹介出来ると思います
クラトス…それは助かる。では、ありがたく同行させてもらおう
アスベルよろしくお願いします
エリーゼクラトスみたいな強い人が一緒に行ってくれると心強いですね
アスベルじゃあ、行きましょう。俺は警備班に報告と指示を出してきますね
scene2シルヴァラントの傭兵
カノンノウィンドルって、ア・ジュールとは景色が違うんだね
アスベル向こうは雪がたくさん降ったりして、気候もだいぶ異なるからな
アスベルそれにしても…この辺りの森はちっとも変わらないな
アスベル昔何度か遊びに来た事があるよ
カノンノそうなんだ…
アスベルあの時は楽しかったな。みんなで弁当を食べたり、ひなたぼっこしたり…
ティポひなたぼっこ気持ちよさそー
エリーゼ楽しそう…です
ゴゴゴ…!
カノンノ地震…!
クラトスとてもひなたぼっこを楽しめる状況ではなさそうだな
アスベルそうですね…。それに、今は一刻も早く、バロニアを目指さないと
アスベル戦争は中断状態とはいえリチャードやシェリア、それに街の人達の事も心配ですし…
エリーゼジュード達の事を知っている人がいないか捜さないと…です
アスベルそういえば…クラトスさんは傭兵ですから、各国の事情に詳しそうですね
クラトスそうだな。それなりには情報も入ってくる
アスベル今、世界はどうなっているんですか?
アスベルキムラスカやシルヴァラントも、異変に見舞われているんですか?
クラトスどこも似たり寄ったりだそうだ
クラトス地震の影響で崩壊する街…さらには大陸に生じた亀裂に飲み込まれる者も続出しているらしい
クラトスさらにはあの港で会った男のように、この混乱に乗じて悪事を働く者も後を絶たない
アスベル…ハスタ…あの後、捕まえられただろうか
ティポこの地震ってさー自然現象なのかなー?
クラトスそうだ、と言いたいところだが…
アスベル何か気になる事でも?
クラトスシルヴァラントにあるルイニス街を知っているか?
アスベルはい。以前に騎士団の任務で訪れた事があります
アスベルあの街がどうかしましたか?
クラトス今回の異変と機を同じくして、街全体が氷漬けになった
アスベル氷漬け…?住んでいた人達は?
クラトス無論、一緒に凍った
カノンノそんな…
エリーゼ怖い…です
クラトスそういう事だ。今各地で起きている異変が、ただの天災とは考えにくい
クラトスあまりに不自然な点が多いからな
アスベルそうですね…この世界は、一体どうなってしまったのか…
ガサッ…
ティポそこの草むらに何かいるよー
エリーゼウサギか何かでしょうか…?
ギャオオオッ!
カノンノ違う!魔物…!
scene1忘れられた祭壇
アスベル結構歩いたな…
アスベルだが、バロニアまでもう少し…よし、このまま一気に進もう
カノンノう、うん…
エリーゼふう…
クラトス
クラトス…アスベル。この辺りでいったん、休憩を挟んではどうだ?
アスベルここで、ですか?
アスベルバロニアまであと少しです、街の事も気がかりですし、ここは一気に…
クラトスカノンノもエリーゼも、だいぶ疲れている。このまま進むのは酷だと思うが
アスベルあ…
カノンノ…わ、私は大丈夫だよ!
エリーゼ…わたしも、まだ頑張れます!
ティポもう動きたくないよーゆっくり休んでお菓子を食べたいよー
エリーゼティ、ティポ!
アスベル…クラトスさん、ありがとう
アスベルみんな、すまない。ここで休憩にしよう!
アスベル確かこの奥に、泉があります。冷たい水を飲めば元気が出るかも…
ティポわーい、泉、泉ー!エリー、行こ!
クラトス私も一緒に行こう。アスベルはここで、カノンノを見ていろ
アスベルわかりました
アスベルティポの奴、動きたくないとか言ってたわりに結構元気じゃないか
カノンノごめんね、アスベルさん。足手まといになっちゃって
アスベルあ、いや…カノンノが謝る事はない。俺の方こそ気付けなくてすまなかった
カノンノううん、仕方ないよ。それだけバロニアの事が、心配だったんだよね
アスベルはは、まずはみんなの身の安全を確保しようと焦っていた
アスベルそして、バロニアの事も…
アスベルバロニアには、俺の大切な人やものがたくさんあるんだ
カノンノ大切なもの、か…。何だかうらやましいな
カノンノここまでの旅の間、アスベルさんがリチャードさんやシェリアさんの事を話してくれた時…
カノンノすごく優しい顔をしてた
カノンノアスベルさんにとって二人やバロニアはとっても大事な存在なんだよね
アスベルあ…
アスベル…その、ごめん。カノンノはまだ記憶が…
カノンノ大丈夫だよ、気にしないで!その事も、そのうち何とかなるって思ってるし
カノンノバロニアもきっと大丈夫!勿論、リチャードさんやシェリアさんも
アスベルカノンノ…
アスベルああ、そうだな
アスベルカノンノの記憶の事も、きっと何とかするからな
カノンノうん、ありがとう。その気持ちだけでもうれしいよ
ティポただいまー!
カノンノおかえりなさい
エリーゼアスベルとカノンノに冷たいお水を汲んできました
アスベルありがとう、エリーゼ。助かるよ
クラトスもう少しここで休んでから、出発するのがいいだろう
アスベルはい、そうしましょう
scene2忘れられた祭壇
ティポアスベル君、バロニアまだー?
アスベルあと本当にもう少しだから。もう少しでこの森を抜ける。そうしたら…
カノンノ…?
エリーゼどうしたんですか、カノンノ
カノンノ何だか…この森の奥が、気になって…
クラトス気になる…?魔物でもいるのか?
カノンノ
アスベルおい、カノンノ!
ティポカノンノ君、何かヘンだったよー!追いかけよー!
アスベルカノンノ、待つんだ!
カノンノあ…
エリーゼここは…?
クラトス祭壇のようだな。それもかなり古い
アスベル森の奥にこんな場所があるなんて、知らなかった…
カノンノ祭壇…崩れちゃってる…
ティポ地震のせいかなー?
カノンノ何だろう、ここ…
カノンノ懐かしい…?ううん、そうじゃない…何かわからないけど、不思議な感じ…
アスベルここに来た事があるんじゃないのか?
カノンノそうかな…わからない
カノンノ…?これ、何だろ
クラトス石版だな。何やら文字が書かれているようだが
エリーゼ何て書いてあるんでしょう…?
カノンノあ…
ティポカノンノ君のネックレスが、光ってるよー!
アスベルどういう事だ…?
カノンノ私にもわからない…
カノンノでも、何かが…何かの力が伝わってくるような感じがするよ…
カノンノこれは一体――…
???どうやらそのネックレスは、精霊の存在に反応しているようだな
アスベル誰だ!?
???
カノンノあなたは一体…
クラトス…いつからそこにいた?
???…俺にかまける前に魔物を倒す方が賢明だと思うが
???…手は貸してやる
エリーゼどういう――…!
グオオオオッ!
ティポうわーー!また魔物だよー!
アスベル…くっ!
scene1カノンノのネックレス
クラトス終わったか…
カノンノあ、あの…
???おい、お前!
???そのネックレスをどこで手に入れた?いつ?どうやって?
???お前は精霊について何を知っている?他に反応のあった場所は?全て答えろ!
カノンノあ…あの…私…
???隠すな、言え!
アスベルやめろ!カノンノが怖がっているだろう!
エリーゼやめてください…!
ティポそだー!強引すぎるぞー!
???ちっ…お前はこの娘の何だ?
アスベル俺はアスベル・ラント。カノンノは大切な仲間だ
???仲間、だと?
アスベルああ。俺の仲間は俺が守る。お前に勝手な事はさせない!
???
リヒター俺はリヒター・アーベント。精霊について調べている
クラトス精霊だと?
クラトス…そのようなものを調査するお前が、カノンノに何の用があるというのだ?
リヒター…。話したところでお前達にはわからん
クラトス
リヒター質問はこれで全部か?
リヒター次はお前に答えてもらおう。まずはそのネックレスの話からだ
カノンノ…リヒターさん、ごめんなさい。私、以前の事をよく覚えていなくて
カノンノどこでネックレスを手に入れたとか、そういうの、全然わからないんです
リヒター
アスベルこれで気は済んだか?それじゃ俺達は、そろそろ出発しよう
リヒター…ちょっと待て。お前達はこれからどこへ行くんだ?
エリーゼバロニア…です
リヒター
リヒター…奇遇だな。俺もそこへ行く予定だ
ティポホントー?カノンノ君についてきたいだけじゃないのー!?
リヒター目的地が同じなのだから同行しても問題はないだろう?
アスベルいや、俺は反対だ
アスベル危険人物でないか、確証が持てない。カノンノ、お前も怖いだろう?
カノンノ…調べ事をしてて、それについて知りたかったんだよね?
カノンノ悪気があってしたわけじゃないなら私は気にしないよ
カノンノ私も自分の事なら必死になっちゃうかもしれないし
エリーゼ…カノンノは優しいんですね
カノンノそれに、このネックレスの事なら私も知りたいから…
カノンノリヒターさんが力になってくれそうな気がするの
カノンノだからアスベルさん、私からもお願い。リヒターさんと一緒に行きたいの
アスベル…カノンノがそこまで言うなら…
アスベルリヒター、共に行こう。ただし、もうカノンノに怖い思いをさせないでくれ
リヒター…ああ
クラトス
scene2カノンノのネックレス
ティポバロニアに着いたー!ジュード君の事何かわかるかなー?
カノンノここがバロニア…
アスベルああ。だけど…いつもと雰囲気が違うな
ゴゴゴ…
エリーゼまた地震…です
アスベルこの異変のせいかな…
アスベル普段はもっと活気に溢れて、賑やかな街なのに…
アスベル空気は張り詰めているし、出歩く民も数えるほどしかいない
アスベル…いるのは警戒にあたる兵士達ばかりだ…
クラトス戦争と異変で物流が滞り、物資も少なくなってきているはずだ。そういう事も影響しているのだろう
アスベルなるほど…。建造物の被害がそこまで酷くない事が唯一の救いだな…
リヒター…その理由は、ここが「王都」だからだろう。国の都だ、壊れた建物もすぐ補修されるはずだ
アスベルそういう事か…
アスベルだとしたら、他の街は…?シェリアは…
アスベルくっ…
カノンノアスベルさん…大丈夫、大丈夫だよきっと!
アスベル…そうだな
アスベルとにかく、一旦俺は城へ…リチャードの元へ向かう
アスベルみんな、一旦ここで待っていてくれるか?
エリーゼアスベル、わたし達、ジュードの事知っている人がいないか調べていてもいいですか?
ティポカノンノ君も一緒だよー
カノンノ私達の事は気にしなくて大丈夫!ゆっくりリチャードさんと話して来てね
アスベルああ、わかった。リヒター、お前はどうするんだ?
リヒター
リヒターもう少しお前達と一緒にいてやる
エリーゼ別に一緒にいたいなんて、頼んでませんけど…
クラトス私もエリーゼ達に同行しよう。心配せず行ってくるがいい、アスベル
アスベル助かります。じゃあ、俺は行ってくる!
リヒター
scene1故郷への帰還
アスベルただいま戻りました、リチャード陛下
リチャードアスベル!よかった、無事だったんだね
リチャード撤退の殿という任務を頼んだものの地震も続くし、気が気ではなかったよ
リチャード今は他に誰もいない。かしこまって話す必要はないよ。君が無事で本当によかった…
リチャード前線で起きた事に関しては、既に報告を受けた。もう戦争をしている場合ではないな…
アスベルああ。地震はこの辺りでも起きているみたいだが…あの辺りはすさまじいものだった…
リチャードア・ジュールとの国境付近は地割れの影響で大陸が分断されたと報告を受けている
リチャードあんな状態ではア・ジュール軍も進軍出来ないだろうから、当面は侵攻の恐れはないだろうし…
リチャードあの魔導器を再び使う事なく戦争を収束出来ればいいんだが…
リチャード今回起きた異変は、僕が許されざる選択をした事に対する天罰なのかもしれない…
アスベル天罰って…どういう事だ?
リチャードせっかくソフィ達が、僕を邪念から解き放ち、やり直す機会をくれたというのに…
リチャードその機会を、僕は無にしてしまった。敵への反撃とはいえ魔導器を使用し、戦争で大勢の兵達を死なせて…
アスベルリチャード…
アスベル確かに、戦争は再開してしまった…
アスベルけど、あの時リチャードが応戦の指示を出さなければ、この国は確実に滅んでいた…
リチャード
アスベルこれが正しい判断だったのかは俺にもわからない…だけど――…
アスベルだけど…この国を守るための判断をしたお前を俺は全力で支えたいと思う
アスベルお前は一人じゃない。俺にも、お前の重荷を背負わせてくれ
リチャードアスベル…
アスベル異変の事は、それこそお前への天罰なんかじゃない。あれは天災――…
アスベル…天災…?
リチャード…アスベル、どうかしたのか?
アスベルあ、いや。何でもない。とにかく、自分一人で責任を背負い込むのはよせ
アスベルこの状況からどうやってこの国を守り救っていけるかを共に考えよう。俺達や、この国のみんなで…
リチャードアスベル…その気持ち、嬉しいよ。感謝する
リチャードだが…やはり僕は国を統べる者として己の責任を軽く考えたくはないんだ
アスベルリチャード…
リチャード…そういえば、シェリアさんとは無事に会えたかい?君を心配してバロニアまで出向いていたようだが…
アスベルシェリアが…?
リチャードまだ会えていないのか…。しばらく街で君の帰りを待つと言っていたが…
アスベルそうか…ありがとうリチャード。街へ戻ったら、シェリアを捜してみるよ
アスベルリチャード、落ち込んでいたな…。大丈夫だろうか…
アスベルリチャードのために…この国のために、俺に出来る事は一体――…
ティポ何一人でブツブツ言ってんのー
アスベルうわあ!?びっくりした!
カノンノおかえりなさい、アスベルさん
エリーゼアスベル、大丈夫ですか…?ずっと一人でしゃべってました
アスベルごめん、少し考え事をしていたんだ…
アスベルそれはそうと、お前達の捜していたジュードっていう友達の事は何かわかったのか?
エリーゼいえ…、バロニアでもそれらしい話は聞けませんでした…
ティポもしかしたら、本当に亀裂に落ちちゃったのかもー…
アスベルそうか…
アスベルカノンノ、お前はどうだ?何か思い出したか?
カノンノ記憶の方は全然…
カノンノでもね、クラトスさんにいろんな話を聞いたよ。シルヴァラントの事とか…
リヒターただの傭兵にしては、いろいろと知りすぎている気もするがな
クラトス
アスベルあ!そうだ、そういえばシェリアがこの街に来ているとリチャードが言ってたんだ
カノンノ本当に!?よかったね、アスベルさん。じゃあ早速シェリアさんのところに…
騎士アスベル殿!お待ちください!
アスベルどうした?何かあったのか!?
騎士ユーリさんが、城に押し入ろうと城門でフレン隊長ともめています…!今にも決闘でもしそうな剣幕です
ティポ決闘だってー!
アスベル…あの二人が?そんな馬鹿な!
騎士とにかく、私達では、あの方達を止められません!
アスベルわかった。すぐ行く
騎士ありがとうございます!私は、念のため増援を呼んできます!
scene2故郷への帰還
カノンノあそこに、にらみ合っている人達がいるよ
アスベル間違いない、ユーリとフレンだ!何だってこんな事に…
ユーリどけよ、フレン。悪ぃが、お前と遊んでる暇はねえんだ
フレン出来るわけないだろう。そんな頭に血が上っている状態の君を陛下に会わせる事など出来ない!
クラトスどうやらまだ決闘には至っていないようだな…
ティポでも、今にも戦いが始まりそうー!怖いよー
フレン一体どうしたっていうんだ。いくら君でもこんな…
ユーリどうもこうもねえ。やっと終わりかけた戦争をまたおっぱじめやがって
ユーリおまけに、人がせっかくイニル街の魔導器をぶっ壊したってのに、またあんな物騒なもん出しやがって
フレン戦争再開は陛下にとっても苦渋の選択だったんだ。魔導器の使用だって…
ユーリ向こうが仕掛けてきたから、だろ?
ユーリんな事はわかってる。けど、それで大勢死んだ
フレン応戦しなければもっと大勢の人間が死んだかもしれないんだぞ!
リヒター魔導器、と言ったな…
カノンノアスベルさん、魔導器って?
アスベルア・ジュールを迎え撃つにあたり、急遽、今回の戦闘に投入される事が決まった装置の事だ
アスベル兼ねてから我が国で研究していた魔導器を、兵器として機能させるべく手を加えられたと聞いている
ユーリあの魔導器を使い続けりゃ、そんなもんじゃ済まなくなる。わかってるはずだぜ
フレン…戦争が最善の道だとは言わない。だけどこの国を守るために、あの時は他に方法がなかった!
ユーリかもな。けど、戦争だけでもたくさんなのに話はそれじゃ終わらねえんだ
ユーリこの国を守ろうとして、世界をおしゃかにしちまうんじゃ意味ねえだろ
フレン世界?何を言っているんだ?我々はあくまで防衛のためにあれを…
ユーリそういう意味じゃねえよ
ユーリこの世界にはマナってのがあってな。そいつが世界のあらゆるもんを支えているんだそうだ
ユーリあの魔導器はマナを大量に消費する。それがこの天変地異を引き起こしてんじゃねえかって話だ
フレン世界を支えるマナ…それが天変地異を…
フレン本気で言っているのか?
ユーリ冗談でこんなとこまで来やしねえよ
フレン
ユーリ
フレン
フレン…そうだな。僕の知っているユーリは不真面目だけど、少なくともこういう冗談を言うような男じゃない
ユーリほっとけ
フレンそれに重大な事であればあるほど、憶測で動いたりもしない
フレンわかった。君を陛下に会わせよう。ただし、もう少し頭を冷やしてからだ。いいね?
ユーリ…オレとしちゃ、お前が信じてくれたんなら任せて帰りたいくらいだけどな
フレンそういうわけにはいかないだろう。第一、もっと詳しい話があるはずだ
ユーリまあ、な。例えば──
騎士フレン隊長、ご無事ですか!皆、ユーリ・ローウェルを押さえろ!
ユーリおっと、時間切れか。申し開きはガラじゃねえ。後、任せた
フレンユーリ!恩赦を無駄にするような無茶だけは──
ユーリその恩赦もこの世あっての物種だからな。それより魔導器の件、頼んだぜ
ユーリ世界を終わらせたくなけりゃ二度と国王の奴に使わせるんじゃねえぞ!
フレンユーリ、待ってくれ、ユーリ!
ティポアスベル君ー、あのユーリって人行っちゃうよー?
アスベル
アスベル…ユーリを追いかけよう!
scene3故郷への帰還
アスベルユーリ!待ってくれ!
ユーリあん?何だお前…ってアスベルじゃねえか
アスベルユーリ、すまない。立ち聞きするつもりはなかったんだがさっきの話、詳しく聞かせてほしい
アスベル今起きている異変の原因が、魔導器にあるというのは本当か?
ユーリオレが聞いた限りでは、な。マナは生命の源。で、魔導器はそのマナを動力源にするって話だ
ユーリ魔導器を使えば使うほどマナは激減、世界の調和とか秩序とかいったもんが壊れちまうんだとさ
ユーリ今、世界中で、地震だの亀裂だの、おかしな異変が起こってんだろ。その原因がこれってわけだ
アスベルユーリ…その話は一体どこで…
ユーリ知り合いに、その手の事に詳しい奴がいてな
ユーリそいつからの受け売りだよ
アスベル世界の調和と秩序が壊れる、その結果が…この大地震だっていうのか?
リヒター「マナ」に目をつけるとは、な…なかなか興味深い奴だ
カノンノリヒターさん…?
アスベル…異変は天災とは考えにくい
アスベル…ユーリの話が本当なら、クラトスさんが前に話していた読みの通りですね
クラトス出来れば、そうあってほしくはなかったがな…
アスベル…おかしいとは思っていたんだ。未だかつて起きた事のないほどの大きな地震が頻発するなんて…
アスベルでも、その異変の原因が俺達の使った魔導器だったなんて…
アスベル幸い、リチャードは魔導器の使用に積極的じゃない。魔導器が今後大量のマナを消費する事はないだろうが…
アスベル
ユーリ起きちまった事は取り消せねえ。肝心なのは、それでどうするか、だ。違うか?
アスベル
カノンノアスベルさん…
ユーリま、国王がもう魔導器使うつもりがねえんなら、ここに用はねえ
ユーリとんだ無駄骨だぜ、ったく
ユーリそんじゃ、オレは行くぜ。あんまり調子こいてる余裕はなさそうなんでな
ユーリオレ達自身の手で何とかするってティルグの奴に大見得切った以上、ちったあ頑張るさ
エリーゼティルグ…?
ユーリん?ああ、こっちの話だ。じゃあな
アスベル
アスベル…ユーリ、待ってくれ!俺も君と共に行く
ユーリアスベル…?
アスベル異変を止めたいんだ。この国を…この世界を守りたいんだ!
アスベル自国を守るための判断だったとはいえ俺達は、取り返しのつかない事をしてしまった
アスベル世界からしてみれば、勝手な事を言っているのはわかってる
アスベルだけど、今の俺に出来る事は、壊れ始めている世界を守る事だ!
ユーリわかった、わかった。相変わらず生真面目な奴だな
ユーリ別に構わねえさ。ただ条件が一つある
ユーリこの異変を止めるためには、とにかくもう、あの魔導器を使わせるわけにはいかねえ
ユーリもしまた魔導器が使われるようならその時は国王と事を構える事だってあり得る
ユーリそれでも来るか?
アスベル…そうならないよう全力を尽くすのも俺の義務だと思っている
カノンノアスベルさん…
アスベルカノンノ…。すまない…お前の記憶の事も何とかしてやらなきゃならないのに…
カノンノううん、それはいいの。どうにかしようとして戻るものじゃないし
カノンノそんな事より、私もアスベルさん達と一緒に行ってもいいかな?
カノンノ私、自分の住んでいたところすらまだわからないままだけど…
カノンノそれでも世界の事をもっと知りたいし、守りたいって思う。だから…
アスベル勿論、それは構わないが…
アスベル俺達と一緒だと、何かと大変な事になるかもしれないぞ?
アスベルそれに、危険に巻き込んでしまう可能性だって――
カノンノ大丈夫だよ!アスベルさんったら本当に心配性なんだから
アスベルそ、そうか…
アスベル…よし、わかった。カノンノ、お前も一緒に行こう。何があっても俺が必ず守るからな
カノンノうん!またよろしくね、アスベルさん
アスベル…あ、そうだ!これを機に、その「アスベルさん」って呼び方はやめにしないか?
アスベル俺の事は「アスベル」でいい
アスベル新たな旅立ちを機に、堅苦しいのは抜きって事でさ
カノンノ…うん!何だか、本当に「仲間」って感じがするね
カノンノありがとう、アスベル
アスベルいや、こちらこそありがとう。じゃあ、改めてよろしくな
エリーゼ…その天変地異って、あの亀裂も関係してるんでしょうか…?
ティポもしそうなら、アスベル君について行けばジュード君が見つかるかもー!
エリーゼ…でも、わたし達がついて行くと迷惑になってしまうかもしれないです…
アスベル迷惑なんて、そんな事はないさ。お前達の捜しているジュードの事も引続き、一緒に捜そう
エリーゼアスベル…ありがとうございます。これからもよろしくお願いします…
クラトス私もこのまま同行しよう
クラトス世界の危機…決して他人事ではないからな
カノンノリヒターさんは?
リヒター…このまま共に行ってやろう
ティポえ~、まだついてくるのー
アスベルクラトスさんに、リヒター…
アスベル二人共ありがとう。心強いよ
ユーリおいおい、いきなりまた大所帯になっちまったもんだな
ユーリま、よろしく頼むぜ
アスベルユーリ、改めてよろしく頼むよ
ユーリああ、当てにさせてもらうぜ
アスベルああ!
リヒター既に暴走は、取り返しのつかない段階に至っている
リヒター果たしてどこまで食い止められるか…
クラトス
リヒター何、ほんの戯れ言だ
クラトス

NameDialogue
scene1異変の影響
ゴゴゴゴ…
リッドおっと…今度の地震は大きいな
リッドこんなのがずっと続いたら、街が潰れちまう。早く収まってもらわねぇと…
???リッドー!
リッドファラ、無事だったか?
ファラうん、わたしは大丈夫。リッドこそ何ともない?
リッドああ。見ての通り、ピンピンしてるぜ
ファラよかった
ファラ…それにしても、何なんだろうね。この大きな地震…
ファラとにかく、街のみんなが心配だし見て回らなきゃ!
ファラリッドも手伝ってくれない?
リッドおい、ファラ!
リッド行っちまった…やれやれ。相変わらずのお節介だな
リッド仕方ねぇ、オレも行くか…。ファラ、待てって!
scene2異変の影響
ファラとりあえず、大ケガをした人はいないみたいだね
リッドああ、けど安心は出来ねえぞ。地震はまだ続くかもしれねえだろ
リッドこんな調子で続いたら、崩れる建物だって出るかもしれねえ
ファラそっか。そうなる前に建物の補強をしておかないといけないよね!
街の男リッド、ファラ!大変だ!崩れた外壁から魔物の群れが入ってきた!
リッド何だって!?
ファラ大変!何とかしないと
ファラリッド、行こう!
リッドやれやれ、今日は本当に慌ただしい日だな…
リッドああ、わかった。行くって
ガルル…
???エミル…
エミル安心しな。マルタの事は俺が守ってやる
エミルはああっ!
ギャウウッ!
エミルよし!終わったぜ
グオオッ!
リッドおい、後ろだ!まだ終わってねえ、油断するな!
エミルえっ!?
バシッ!
ギャオオッ!
リッドふぅ、危なかったな
エミルあ、ありがとうございます。助けてくれて
ファラあなた達、見ない顔だね。どこから来たの?
エミルええと…キムラスカから…
エミル僕はエミル・キャスタニエです
エミルこっちはマルタ・ルアルディ。よろしくお願いします
マルタどうも…
ファラよろしくね、二人とも
リッドお前ら、旅行か何かか?早くキムラスカに帰った方がいいぜ
エミル僕達もそうしたいと思ってはいるんですが…
ガルルルル!
ファラまた魔物が!
リッドまだいたのかよ。エミル、マルタ、ここはオレ達に任せて逃げろ!
エミル僕も一緒に戦います。マルタ、離れてて!
マルタう、うん
ファラ来るよ!
scene3異変の影響
リッドふう。何とか倒したか
エミルマルタ、終わったよ
マルタ
ファラ慣れない土地で怖い目に遭って、怯えてるんだね。でももう安心…
ズガガガガッ!
エミルまた地震!?
リッド今度のはさらにでかいぞ!
ファラな、何これ…
マルタエミル…!
ズザッ!
マルタ…!
エミルマルタ!
リッド地面に亀裂が!?
ファラウソ…!
マルタエミル!
マルタきゃああああっ!
ファラ大変!
エミルマルタ…!マルターッ!!
リッドやめろ、エミル!お前まで落ちちまうぞ!
エミルは、離して!早くしないと間に合わない!
ファラいくら大地震っていっても、地面にこんな大きな亀裂が出来るなんて…
エミル離してくれ…!離せ…!
エミル離せって…言ってんだろうがあああ!
リッドうおっ!?
エミルマルタ、今行くぞ!
バシィッ!
エミルぐあっ!
ファラ亀裂に虹色のバリアが現れてエミルが弾かれた…?一体何が起きたの?
エミルくそっ、間に合わなかった…!
エミルお前のせいだぞ!お前が邪魔しなけりゃ…!
リッドオレのせいで間に合わなかったってどういう事なんだ?説明してくれ。全くわからねえよ
エミルうるせえ!
エミルちくしょう…マルタ、待ってろよ!
ファラエミル…
ファラ…リッド、エミルの後を追おう!
リッドな、何でだよ!?
ファラマルタが亀裂に落ちちゃったんだよ!?早く助けないと!
リッド…ああ。わかったよ。放っておけってのもムリな話だしな
リッド…行こうぜ
scene1亀裂の謎を追って
エミル他の亀裂が発生する様子もない…。駄目だ…
エミルマルタ、ごめん…。僕がついていながら…
ファラあ、いたいた。エミルー!
エミルあなた方は…
エミルさっきはごめんなさい。せっかく助けてもらったのに、あんな態度を取っちゃって…
リッドいや…別にそれはいいんだけどよ。お前を止めたのはオレだしな
リッド…なあ、ファラ。こいつ、たまに話し方が変わるけど何なんだろうな…
ファラわたし達の方こそごめんなさい。一緒にいたのに、マルタを助けられなくて…
エミル
ファラエミル、あなたはあの亀裂について何か知ってるみたいだったけど、よかったら話してくれない?
エミルこの街へ来る前にも、別のところで亀裂が生じるのを目の当たりにしたんです
エミルその時も人が飲み込まれて…。助けようとしたんだけど、さっきと同じように弾かれて
リッドなるほどな。それで、ああなる事を知ってたのか
エミルあれは地震によってできたただの亀裂なんかじゃありません
エミルうまく言えないけど…あの亀裂からは何か、異質な力が溢れ出ているんだと思います
ファラじゃあ、その力のせいで、亀裂の中に入れないって事?
リッドでも、それはおかしくねえか?現にマルタは目の前で…
エミルそう、だから僕思ったんです。亀裂が出来たその瞬間だけ、入れるんじゃないかって…
ファラだからさっき、急いで亀裂に飛び込もうとしてたんだね
リッド…そりゃ、知らねえとはいえ止めちまって悪かったな
リッド…で、エミルはこれからどうすんだ?
エミル勿論、何としてでもあの亀裂の中に入って、マルタを助けに行きます
エミルマルタは絶対に生きている。あの亀裂の奥底で、僕が来るのを待ってるんだ。だから…
ファラ助けに行くんだね!きっと無事だよ。わたしも信じる!
ファラねえエミル、よかったら、わたし達にもマルタを助けるのを手伝わせてくれない?
リッドわたし達って…おいファラ、オレもかよ!?
ファラだって、わたし達の目の前でマルタが落ちちゃったのに助けられなかったんだよ?
ファラねえエミル、お願い。わたし達にも手伝わせて
エミル協力してもらえるなら、僕は助かりますけど…本当にいいんですか?
ファラもちろん!ねえ、リッド
リッドやっぱりこうなるワケか。まあ、ファラがいりゃあこうなるよな
リッドで、具体的にはどうするんだ?マルタを助ける方法に心当たりでもあんのかよ?
ファラ王都メルトキオに行ってみない?
ファラあそこなら人も大勢いるから、あの亀裂の力について何かわかるかも
リッド…ファラ。街はどうすんだよ。魔物が入って来た時に誰が相手すんだ?
ファラう~ん。確かにそうだけど…。街に残ったって、根本の解決にはならないじゃない
ファラだったらメルトキオへ行って、情報を集めた方がいいって
ファラエミルもそう思わない?
エミルあ、はい。僕もそれがいいと思います
エミル場所については、お任せします
エミルシルヴァラントの事はよくわからないし
ファラよ~し、決まり!街の事はちゃんと他の人にお願いしてメルトキオへ向かおう
ファラというわけで、改めてよろしくね、エミル!
エミルあ、はい。よろしくお願いします
リッドやれやれ…勝手に決めやがって
scene2亀裂の謎を追って
ファラそっか…エミルはキムラスカの騎士なんだ
リッド今起きている異変が、この辺りだけって事はねぇだろうからキムラスカもきっと大変なんだろうな
エミルはい。本当はすぐにでも国へ帰るべきなんだろうけど…
ファラそうかも知れないけど、とにかく今はマルタを助ける事だけ考えよう?ね?
エミル…そうですね。ありがとうございます
ゴゴゴ…
リッドおっと、また揺れ始めたな
エミル…!どうかこれで亀裂が発生してくれるといいんだけど
ズザッ!
リッドおい、あそこだ!亀裂ができたぞ!
エミルよし、今度こそ!
バシッ!
エミルうっ…!
ファラエミル、大丈夫!?
ファラ…本当に弾かれちゃったね…。どうしたらいいんだろう
エミル亀裂の中には謎の力がはびこっているみたいで…飛び込んでも、こんな風に虹色のバリアに弾かれるんです
エミルやっぱり、故意的に入るのは難しいのかな
ファラ諦めるのはまだ早いよ!
ファラ次に見つけたら、すぐに、三人で飛び込もう
リッドオレもかよ!?
ファラ当然でしょ。マルタを助けないといけないんだから
リッド考えなしに飛び込むのはやめた方がいいんじゃねえか?
リッド先がどうなってるかわからねえ
リッドそれに、そもそも違う亀裂から中に入って、マルタのいるところに繋がってるのかもわからねえだろ
エミル亀裂に飛び込むのは僕だけでいいです。リッドさんやファラさんにそこまでさせるわけには…
ファラ大丈夫!
ファラわたし達、マルタが見つかるまで、とことん協力するつもりだから
リッドとことんって…
リッドおいおい、だからファラ、勝手に――
???バイバ!
エミルばいば?
リッドこの声、まさか…
???ワイール!リッド!ファラ!
ファラメルディ!?メルディじゃない!元気だった?
メルディはいな!ゲンキだったよぅ
メルディメルディ、またリッドがファラ、二人と会えて嬉しいよー!
エミルえっと…お友達?
ファラうん!紹介するね
ファラこの子はメルディ。昔、一緒に旅をした事があるんだ
メルディ「はじめがまして」!メルディだよぅ。よろしくー!
リッドそれを言うなら「はじめまして」な
リッド…ところでメルディ、お前こんなところで何してんだ?
メルディうんとなー、実は今、困った事がなってて…
ファラ困った事…?
ガルルルル!
エミルあ、あれは…みんな、魔物だ!
リッド話くらいさせろっての…。仕方ねえ、先にあいつを片づけるぞ!
scene1メルトキオの夜
リッドふう、何とか片付いたか
メルディいきなり魔物が襲ってきて、ビックリだなー
ファラ話が途中になっちゃったけど…
ファラメルディ、困った事って何?わたし達でよければ力になるよ
メルディほんとか!?
メルディあのな、メルディな、同じ村に住んでる友達のレイアが事、捜してるよ
リッドメルディが住んでるところって、確かア・ジュールの、リンネル村だったよな
メルディはいな!そのリンネル村、前にウィンドルが兵士達に襲われてしまったよ…
メルディ村を建て直すがために、メルディとレイア、それに村の人達、みんなで頑張ってたけど…
メルディある日、レイアが買い出しに行った。でも、そのまま帰って来なかったよ
メルディメルディ、レイアが事心配…。それで捜しに来たんだよぅ
ファラそうだったの…
リッドそのレイアってのは、どこまで買い出しに行ったんだ?
メルディえとな…
メルディ確かシルヴァラントのメルトキオってトコロ
ファラ何だ、わたし達の行くところと一緒じゃない!
メルディバイバ!本当か?
ファラ本当、本当
ファラだったらこのまま一緒に行こうよ。せっかく会えたんだし
メルディワイール!ファラが一緒、メルディ嬉しいよ!ありがとな!
ファラえっと、そうそう
ファラこの人はエミル。メルディと同じで友達を捜してるんだ
エミルよ、よろしくお願いします。メルディさん
メルディエミルも友達捜してるかー
メルディ早く見つかるといいな!…エミルが友達は、マイゴなのか?
エミル迷子っていうか…うん、まあそんなところですね
メルディそっかー
メルディメルディ、力になれる事あったら協力するよぅ!
エミルありがとう
ファラじゃあ、改めて…メルトキオへ向け出発!
scene2メルトキオの夜
エミルここがメルトキオか…大きな街ですね
エミルバチカルと同じくらいかな
リッドまあ、王様が住んでるところだしな
メルディ思い出した
メルディそういえばメルディ、前もここ来た事あったよ
メルディあの時はルークと、ミュウと、プレセアも一緒だったなー
エミルルーク?それって、ルーク・フォン・ファブレの事?
メルディはいな
メルディエミル、ルークが事知ってるのか?
エミル同じキムラスカの人間だから
エミルそっか、メルディさんはルークとも知り合いなんですね
ファラへえ、偶然だね
リッド世界ってのは思ったより狭いんだな
リッドさて、情報を集めるとするか
ファラ亀裂の力に関する情報と、メルディの友達のレイアの情報だよね
ファラ早く見つかるといいけど…
ゴゴゴ…!
リッド地震だ!
エミルどこかに亀裂は――…
エミルいや、今度のは揺れが小さい、駄目だ…
ファラここ!って時は出ないんだね。悔しいなあ
リッドそう都合よくできるはず――
リッド…つかオレ達、地震が起こるのを待ってるみたいで、何か妙な気分になるな…
メルディ…?
ファラどうしたの、メルディ?
メルディあそこにいるの…
メルディレイア!
エミルガイさん!
ガイエミルじゃないか。こんなところでどうしたんだ?
レイアメルディ?どうしてここに?
メルディレイア、無事でよかったー!
メルディメルディ、レイアが事心配で、捜してたんだよぅ!
エミル僕はマルタを助けるために…ガイさんこそどうしてメルトキオに?
ガイ実はルークが行方不明になってな。それで捜して回っているとこなんだ
エミルえ!?ルークがいなくなったって…まさかルークも亀裂に?
ファラ…それにしてもエミルの友達と、メルディの友達が、一緒にいるなんて…
リッド偶然もここまで重なると、恐ろしいぜ。ホント、世界ってのは狭いんだなぁ…
ガイマルタが…そうか。そっちも大変だったんだな
エミルルークがいなくなったのも、もしかしたら…マルタと一緒で、亀裂に飲み込まれたのかも…
ガイその可能性は考えた事がなかったがあり得ない話じゃなさそうだな
ガイ亀裂の情報も集めた方がよさそうだ
ガイエミル、しばらく俺も君達に同行させてくれないか
エミルはい、僕も助かります
エミルえっと、レイアさんはどうされるんですか?
ファラえっと…ねえ、待って
ファラ聞いてもいい?レイアとガイは、元々知り合いだったの?
ガイいや、会ったのは最近だ
ガイ故郷へ帰れなくて困ってたから、相談に乗っていたのさ
メルディレイア、どうしてリンネル村に帰れなかったか?
レイアこの大地震で出来た地割れのせいであちこちの道が崩れちゃったんだ
レイア船もみんな欠航になっちゃって、どうしよう!って困ってた時にガイと会ったんだよ
レイアでも、そんな状態なのに、メルディはよくこっちに来られたね
メルディメルディがこっちに来た時はまだ船が動いてたよ!でも、港が着いた時にドーンってなってな、大変だったよ
レイアそっか。船に乗ってる時じゃなくてよかったよ
レイア海上も結構大変な事になってるって話だし…
ファラいろいろあったみたいだけど…メルディ、無事レイアに会えてよかったね
メルディはいな!ファラ達がおかげ!ありがとな!
リッドこれからメルディ達はどうするんだ?
リッドレイアと一緒に、村に帰る方法を探すのか?
メルディうーん…そだなー
レイアその事なんだけど…
街の女きゃあああ!
ガイ!何だ!?
ガルルルル!
レイア魔物!?こんな人の多い街で…!
リッドったく、次から次へと…。行くぞ!
scene3メルトキオの夜
ガイ何とか倒したか
ファラ王都なら治安もいいかと思ったけど、そうでもないんだね
リッド大地震の影響もあるし、今はどこもかしこもこんな感じなんだろ
リッドコルテア街もどうなっている事やら…
レイアねえメルディ、リンネル村に帰るのは、もう少し後にしない?
レイアガイには色々助けてもらったし、ルークっていう人を一緒に捜してあげたいと思うんだけど
メルディメルディも同じ事考えてたよぅ!
メルディルークはメルディが友達、心配よ
メルディそれに、エミルとも約束したよ
メルディエミルが友達捜すの、メルディも協力するって
エミルお二人とも、ありがとうございます
ガイ申し出はありがたいが、本当にいいのか?
レイアいいって!村へ帰るにも、どのみち方法は探さなきゃいけないし
レイア…というわけで、今後ともよろしく!
ファラわあ、仲間が増えたね!楽しくなりそう!
リッドすっかり大所帯になったなあ…
ガイそろそろ日も暮れる事だ
ガイ今日は宿に泊まって、明日からまた行動再開としないか?
リッドそうしようぜ
リッドいい加減疲れたし、腹も減ったしな
ファラじゃあ、宿を探そうか
リッド何だファラ、まだ起きてんのか
ファラうん。ちょっとね。…昔の事、思い出しちゃって
ファラ…人がこうやっていなくなると、どうしても、思い出しちゃうんだ
ファラ子どもの頃にあった、街の大火事の事
リッド…昔の事じゃねえか。あの時、オレ達ガキに何ができた?あれは誰かの火の不始末。それだけだろ
ファラそれでも!それでも…
ファラ人は死んじゃったし、街もひどい有様だった
ファラわたしにも本当は何か出来たんじゃないかって今だって夢に見るくらい…
リッドお前がやたらと人にお節介をやくようになったのはその頃からだ
リッド…あと、自分が無理してまで他人を庇うようになったのもな
ファラ…そう、だったっけ
リッドそうだよ。今回の事だってそうだろ?
リッド困った人は放っておけない。それだけで動いてる。違うか?
ファラわかんない。自覚…ないかも
リッド…そっか
リッド…いいんじゃねえか?ファラらしくて
ファラひっどーい。バカにしてる?
リッドしてねえよ
ファラ…ねえ、リッド。わたし、マルタを助けたい
ファラエミルが苦しまないように
ファラそれからルークも。顔も見た事ない人だけど、それでガイが喜ぶなら
リッド…ああ。そうだな
ファラリッド。わたし、リッドが幼なじみでよかった
リッド…は?いきなり何言い出すんだよ
ファラリッドって、面倒くさいとか、やれやれ、とか言うけど何だかんだ言って、助けてくれるから
ファラ…いつも、ありがとう
リッドバーカ。何言ってんだよ
リッドファラがしおらしいなんて、珍しすぎて大雨が降っちまう
ファラ…ふふ。明日は大きな傘が必要だね
ファラ何か、話したらすっきりしたかも
ファラ眠れないからどうしようかって思ってた
リッド…そっか。よかったな。寝れんなら、早く寝とけよ
ファラ…うん。ありがとう
ファラリッドは?
リッドオレも寝るよ
リッドじゃ、おやすみ
ファラ…おやすみ、リッド
scene1突然の別れ
リッドふああ…
ガイおはよう、リッド。夕べはよく眠れたか?
リッドまあな。さて、これからどうすんだ?
ガイとにかく、まずは情報集めだな。有益な手がかりが、掴めるといいんだが
ファラ王様のところへ、話を聞きに行くのはどうかな?
レイアそれってお城を訪ねるって事だよね。いきなり行って、入れてくれるようなものなのかな?
メルディメルディが前にルークと来た時は、すぐに入れたよぅ!王様はビョーキで会えなかったけどな
ガイそれは、ルークが一緒にいたからじゃないか。ああ見えて、あいつはキムラスカ国王陛下の甥だし
レイアへえ、そのルークって、そんなに偉い立場の人だったんだ
ガイ偉いというか、まあそんなところさ
ガイとにかく、まずは街の人達に話を聞くとしよう
ファラうん!王様に会えるツテも見つかるかもしれないしね
レイアじゃあ、みんなで手分けして情報収集…しばらくしたら、ここでまた集合って事でいいかな?
ガイああ、わかった。それじゃ、早速行こうか
エミル亀裂の力に関する手がかりが見つかりますように…
メルディエミル!メルディ頑張るよ!キレツが情報、集めるからな!
ファラリッド、さぼらないで、ちゃんとやらないと駄目だよ?
リッドへいへい
リッドうーん、いろんな話は聞けたもののイマイチぱっとしねえな
ファラそうだね…。でも、わたし達は駄目でも他のみんながいい情報を見つけてきてくれるかもだし
リッドお、エミルとレイアが戻って来たぞ
ファラあ、向こうからメルディも戻ってきた!おーい!
レイアリッド、ファラ、何かわかった?
リッドいいや。そっちは?
レイア駄目。わたしの方も収穫なし
エミル今回の異変の影響で、みんなが困っているって事はよくわかったけど肝心な情報は全然…
メルディメルディもダメだったよ…。役に立てなくてごめんな
ファラそっか…。あとはガイを待つしかないね
ガイやあ、みんなそろってるな
エミルどうでした?
ガイいや駄目だったよ。ルークに関してはろくに情報が得られなかった
ガイここまで足取りが掴めないとなると、例の亀裂に飲み込まれたって可能性もいよいよ無視できないな
メルディルーク…
レイア亀裂の方は、何かわかった?
ガイああ、手がかりと呼べるかどうかまだわからないが、そっちは少し気になる話を聞けた
ガイこの国の司祭様が中心になって、今回の異変に関する情報を集めているそうなんだ
ガイその司祭様に会えば、何かわかるかもしれない
ファラ司祭様だったら王様よりは会うのは難しくない…のかな?
ガイそこは断言できないな。何でも国王に代わって政務を執り行うほどの立場らしいからな
メルディそのシサイサマは、フィリアが事か?フィリアなら前に神殿で会ったよー
ガイ本当かい?だったら多少は望みがあるかもしれないな
レイアメルディ、いつの間に司祭様と…。でも、知り合いがいるなら司祭様もきっと会ってくれるよね
ガイ…ただ、司祭様は今神殿にはいない。南のスールズ村にいるらしいんだ。ここで帰りを待つか、それとも…
ファラ待ってなんていられないよ!わたし達も今すぐ、スールズ村に向かおう
ガイそう言うだろうと思ったよ。それじゃ、このままみんなでスールズ村へ行くって事でいいか?
エミルはい、急ぎましょう!
レイアそうそう、早く行かなきゃ入れ違いになっちゃうかもしれないし
メルディはいな!
ファラリッドもそれでいいよね?
リッド…嫌だって言っても、ファラの事だからみんなを引っ張ってでも行くんだろ?
ファラえへへ…じゃあ、決まりだね!行こう、スールズ村へ!
scene2突然の別れ
ゴゴゴ…!
メルディあ、ジシン!
ガイ頻繁に地震が起きるものの、ここ最近は、揺れの小さいものばかりだな
エミル
ファラ大丈夫だよ、エミル。司祭様に会えばきっと何かわかる。きっといい方法が見つかるよ
ファラだから今は、スールズ村に行く事だけを考えよう?大丈夫だから。ね?
リッドいい方法、ねぇ…。本当にあればいいけどな
ファラあるよ。あるって信じなくちゃ。大丈夫、イケる、イケる!
レイアファラはいつも前向きなんだね
ファラそうかな?うん、そうかも。でも、元気があってもなくても、とにかく、やってみなくちゃ!
リッド
ゴゴゴゴゴ…!
エミルまた揺れ出した
ガイ気をつけろ!今度はでかそうだぞ!
ズザッ!
メルディバイバ!?
ファラウソ、メルディの足元に亀裂が…!危ない、メルディ!!
リッドおい、ファラ!?
ドンッ!
ファラきゃああああっ!!
リッドファラーーーーーーーーーっ!!
レイアファラが亀裂に…そんな…
メルディあ…あ…
リッドくっ…ファラ!今行く!
バシィッ!
リッドぐっ!
エミル駄目だ…間に合わない!
リッドファラ、ファラーーー!!…くそっ!
ガイリッド達を弾いた…今のが例の「亀裂にはびこる力」なのか…
レイアそんな…どうして…!
メルディリッド…リッド、ごめんな…メルディがせいで、ファラが…メルディがもっと、しっかりしてたら…
リッド…くそ…!
ジリ…
エミル…!魔物か!?
ガルルルル!
レイアこんな時に…!
リッド
scene1仲間を信じて
リッド
エミルファラさんまで亀裂に落ちてしまうなんて…
レイアリッド…
メルディリッド、ごめんな…。メルディがせいで、ファラが…ファラが…
リッドファラがお前を助けたくてやったんだ。お前が謝る事じゃねえよ
メルディでも…
リッド
エミルリッドさん、あの…
リッド…なあ、エミル
リッド亀裂に飲み込まれた連中は…生きてるんだよな
エミル…あ、はい。僕は絶対そうだって信じてます
リッド信じる…か。まあ、そうでもねえと自分がやってる事、ワケわからなくなっちまうもんな
ガイああ、俺もそう思う。だから俺達もやれる事をしよう
レイア…うん。まずは一刻も早くスールズ村に行こう。それでフィリア司祭に会わなきゃ
リッド…そうだな
リッド…ま、ファラの事だ。あいつなら大丈夫だろ
リッドむしろ、先に落ちたヤツらの事を助けてるんじゃないか?
リッドそうでもなってたら、それこそファラに「来るのが遅い」って怒られちまう
リッドほら、とっとと方法を探そうぜ
エミルリッドさん…うん、そうですね!
ガイよし、それじゃスールズ村に急ごう。みんな、いいな?
レイアうん!
リッド
メルディリッド…
メルディファラ、マルタ…みんな…待っててな、メルディ達が助けるよ。絶対に…
scene2仲間を信じて
リッド…ん?
レイア向こうから誰か来るよ
???あん?
エミルこの人…ただ者じゃない。すごい迫力だ…
???ワレら!通行の邪魔じゃ。もっと端っこ歩かんかい
レイア…!ごめんなさい。今すぐ…
リッドどく必要はねえよ、レイア
リッドこっちは普通に歩いてるだけだろ。文句を言われる筋合いはねえ
???ホウ。ワイにそがあな口きいて、ただで済むと思うちょるんか
ガイリッド、よせ
リッド…別に何もしてねえよ
???スカした兄ちゃんじゃのォ。普段のワイなら見逃しちゃるところじゃが…
???今のワイはすこぶる虫の居所が悪い。ちょっとツラ貸してもらおうかの
エミルリッドさん…どうしましょう…
ゴゴゴゴ…!
リッド…!
???…!
メルディみんな!あっちが地面にヒビ入ってるよぅ!間に合うか!?
リッド何だって!?行くぞ、エミル!!
???ちょお、ワレ!待たんかい!
リッドお前と話してるヒマなんてねえんだよ!オレ達はあの亀裂に入らなきゃなんねえ!
???ワイもそこに用があるんじゃあ!
リッドはあ!?
エミルうわっぷ!?リッドさん、急に止まらないで!
メルディあ~…。間に合わなかったよぅ…
レイア…この距離だったら、どちらにしろムリだったかもね…
???…というワケじゃ。ワイは何としても子分達を助けんといけん
レイアそっか。あなたの仲間も亀裂に落ちちゃったんだね…
???後から飛び込んでも弾かれるしのう。入る方法を知っちょるなら聞こうと思ったんじゃが、ジャマして悪かった
リッドどっちにしろ間に合わない距離だったんだ。お互い様って事にしておこうぜ
モーゼスワイはモーゼス・シャンドル。ワレらの名前も、聞かせてもらえるか
リッドオレはリッド・ハーシェル。一緒にいるのはエミル、ガイ、メルディ、レイアだ
リッドモーゼス、あの亀裂の事で知っている事があったら、教えてくれないか
モーゼスワイも詳しい事は知らんが…あの亀裂に飲み込まれたもんは、相当な数に登っとるようじゃ
モーゼスで、これは噂じゃが、あの亀裂から生きて帰ってきたっちゅう人間もおるらしいんじゃ
モーゼスリスだかサルだかって名前の、亀裂に飲み込まれたもんを助けて回っとるヤツがおるとか…
エミルそれ本当ですか!?じゃ、その人達を見つければ亀裂に飲まれたマルタも…
モーゼスあくまで噂じゃ。ワイは自力で何とかしよう思っちょる
モーゼスワイが知っとるのはそんなとこじゃ。他の子分が各地で情報集めちょるから何かわかったら教えちゃる
モーゼスワレらの仲間が無事に見つかるよう、祈っちょるからの
メルディモーゼスがコブンもな
モーゼスオウ。またどこかで会えるといいの
ガイ一時はどうなるかと思ったが、貴重な情報も聞けたし、結果的によかったな
リッド亀裂に落ちた人を助けようとしてるヤツがオレ達の他にもいるんだな
レイアそうだね。モーゼスも言ってたけど、それだけ多くの人が、あの亀裂に飲まれたって事だよね…
メルディみんな無事でいてほしいよ…。ファラもマルタも…他の人も…
リッド
ガイ亀裂に飲み込まれた人達を助けている連中がいるという話も気になるな
メルディそれってフィリアが事か?
エミルどうなんだろう…
エミル…!また向こうから誰か来ます
ガイあれは…人じゃない、魔物だ!
ガルルルル!
リッドったく、次から次へと!
scene1司祭の行方
ガイここがスールズ村か。やっと着いたな
エミルフィリア司祭はどこだろう。せっかくここまで来たんだから、会えるといいけど
リッドメルディは前に会った事があるんだよな。顔、まだ覚えてるか?
メルディはいな、オボえてる!でも、この辺りにはいないみたいよ
レイアうーん…入れ違いになったりしてなければいいんだけど
エミル向こうから誰か来る。あの人に聞いてみましょう
エミルあの…
???おい!
エミルは、はい!何でしょう?
???お前達、コハクを見なかったか?
リッドコハク?コハクって何だ?何の話だ?
???長い黒髪、目はぱっちり、色白で、元気な俺の妹だ!
レイアああ、なるほど。コハクって、人の名前だったんだ
ガイいや、すまないが見ていないと思う。何か他に特徴はないのか?
???…ええい、もういい!
メルディ行っちゃったよぅ。すごく怒ってた。コハクってヒトも、亀裂が落ちたか?
リッド…わかんねえけど、そうなのかもな。今やどこでも誰かが誰かを捜してるって感じだな
エミルはい…
レイア本当、一体どうなってるんだろう…。地震もずっと続いてるし、このままじゃもっと被害が…
リッド
ガイ気がかりなのも無理はないが、とにかく今は、最初の予定通り、フィリア司祭を捜さないか?
リッド…ああ、そうだな
scene2司祭の行方
???どこ行っちゃったんだろう…
レイアあれ?あの子…
エミル長い黒髪、目はぱっちり…それにとっても色白だ
ガイさっきの男が捜していたのもそんな特徴の人じゃなかったか…?
レイアきっとそうだよ!よかった、亀裂に飲み込まれてたってわけじゃなかったんだね!
???あなた達、ちょっといいかな?
???わたし、シングって男の子を捜してるんだけど、どこかで見なかった?
リッドさっき会った男の事か?それだったら…
???え、会ったの?どこで?
???コハク!ここにいたのか!
???あ、お兄ちゃん。シングは見つかった?
???いや、いねえ…。つか、そっちは捜してねえ
???もう!ちゃんと捜してって言ったじゃない
コハクっと、ごめんね。わたしはコハク・ハーツ。こっちは兄のヒスイだよ
ヒスイ何だお前達か、また会ったな
リッドおいおい、今気付いたのかよ…
ガイそのシングという人はどうしたんだ?ひょっとして姿を消したのか?
コハクうん…。あちこち捜してるんだけどなかなか足取りを掴めなくって…
レイアまさか、その人も地震の亀裂に飲み込まれてしまったんじゃ…
ヒスイその人、も…?
リッドああ。オレ達は仲間があの亀裂に飲み込まれちまって、助ける手段を探してるところだ
コハクそうなんだ…
レイア…それでわたし達、フィリア司祭に会いに来たんだ。この村にいるって聞いたんだけど
コハク司祭様なら、さっき出ていったよ。わたし達の故郷のシーブル村に向かったって聞いたけど
メルディ残念…イレチガイかー
レイア落ち込んでる場合じゃないよ。わたし達もすぐシーブル村に向かおう
ガイシーブル村はここからだと、西の方角だったか…そんなに遠くないはずだ
リッドよし、行くか
コハクあなた達の大切な仲間が、無事に見つかるよう、祈ってるからね
ヒスイお前らも、亀裂とやらに飲み込まれんなよ!
エミルあなた達も!
scene1それぞれの想い
リッドここがシーブル村か
ガイ今度こそフィリア司祭に会えるといいんだがな
レイア見て。向こうに人だかりができてる
エミルあれは…
村の男妻を助けていただき、ありがとうございます!
村の女このご恩は、一生忘れません!
???ユリウスさん、私からもお礼を申し上げます。本当にありがとうございます
ユリウスいや…
メルディあ、いた!あのヒトがフィリア!
エミルやっと会えた…
ガイ一緒にいる男は誰なんだろうな
リッド話をすればわかんだろ。行こうぜ
リッドなあ、ちょっといいか。聞きたい事が――
村の女お願いします!どうか私の子も、あの亀裂から助け出してください!
村の男私の恋人も…ユリウスさん、あなただけが頼りなんです!
リッド…ユリ…ウス?ひょっとして…モーゼスが言っていた「リスだかサルだか」の…?
リッドユリウス、とかいったか、亀裂に飲み込まれた人達を救い出してるのはあんたか?
ユリウスああ、そうだが…君達は?
エミルモーゼスさんに聞いた話は本当だったみたいですね
ガイああ、そうらしいな
リッド…オレ達はあの亀裂に入る方法を探してる
リッドどうやったら入る事ができんだ?その方法を教えてくれ
ユリウス
エミルお願いします!あなたの邪魔はしません!
メルディメルディもお願いするよ!ファラを…みんなが事助けたいよ!
ユリウスみんなを助けたい、か…
フィリアまあ、メルディさん…!
フィリアユリウスさん、私からもお願いします。彼らの話を聞いてくださいませんか?
ユリウス司祭の君にそこまで言われては、断るわけにはいかない。それにそれなりの事情もあるようだしな
レイア「時空の歪み」…?
ユリウスああ。今大陸の各所に生じている亀裂の先にある空間を、俺達はそう呼んでいる
ユリウス何かの影響を受け、時空に歪みが生じたと考えられるが…詳しい事は俺にもわからない
ユリウス時空の歪みはただの空間じゃない。異世界に通じるトンネルのようなものだと考えた方がいい
ガイ異世界…?
ユリウス…時空を隔てて存在するこことは全く別の世界さ
メルディファラ達はそのイセカイに落ちてしまったか?
ユリウス亀裂に飲み込まれたのなら、その可能性が高いだろう
リッド落ちた後はどうなる?無事なのか?
ユリウスそれは何とも言えん。向こうにも魔物がいるからな
フィリアユリウスさんは、時空の歪みに飲み込まれた人々を何人も救っているそうです
フィリア私もこの亀裂について調べている時にユリウスさんと出会ったのです
リッドユリウス、頼む。オレ達もその時空の歪みに、連れて行ってくれないか?
エミル僕達にはどうしても助けたい人がいるんです。どうか…!
ガイ俺からも頼む。捜している奴がそこにいるかもしれないんだ
ユリウス
ユリウスだが、俺も時空の歪みに巣食う魔物達を把握出来ているわけではない。中には凶暴なものもいるだろう
ユリウスそれに…例えば俺が死んだ場合など、時空の歪みから出られなくなる可能性がないわけでもない
ユリウスそんな危険なところに、君達を連れて行くわけにはいかない。その仲間の事は俺に任せて――
リッド…確かに危険なところかも知れねえ。でも、このまま黙って待ってる事なんて出来ねえんだ
リッド頼む、連れて行ってくれ
エミルうん…!どんな危険なところでも構わない…絶対にマルタを…みんなを助け出したいんだ!
ガイああ。それに、仲間だけじゃない、他の人達を救い出すのにも、協力させてくれ
ユリウス君達…
フィリアこの方達なら、大丈夫だと思います
フィリア上手く説明はできませんが、彼らからは強い意志の力を感じます。きっと、あなたの助けになるでしょう
ユリウス…わかった。君達を連れて行こう
レイアやった!
ユリウスその代わり、絶対に無理はしない事。何かあればすぐに脱出する、だから俺から離れない事を約束してくれ
リッドああ、わかった
ガイその点は任せてくれ
ユリウスよし。ではさっそく出発だ
レイアよかった…!これでみんなを救う事ができる
エミル司祭様、ありがとうございます
フィリア神のお導きと、ご加護があらん事を…
scene2それぞれの想い
ユリウス詳しい説明は省くが、俺と弟のルドガーには、特別な能力がある
ガイその能力を使って、時空の歪みとこの世界を行き来してるってわけか
レイアねえ、ユリウス。さっき話していた「時空の歪みを生じさせた影響」って…
ユリウス何が影響させたのか…その原因は不明だ。いろいろ調べてはいるんだが
ユリウスだから、もし君達も向こうに着いて、何か気付いた事があれば、随時俺に教えてほしい
メルディはいな!メルディ、気づいた事あったらたくさん言うよ!
リッド…「時空の歪み」の原因、か。ファラ達は助けるにしても
リッドどうしてこんな事になったのか、その原因を突き止めてどうにかしねぇとな…
リッドじゃねえと、いつまた誰かがそいつに飲まれちまうかわかったもんじゃねえし
エミルリッドさんの言う通りです。僕達に何が出来るか、今はまだわからないけど…
レイアそれでも、わたし達の出来る事からやってくしかないよね
レイアそのために、まずはみんなを救い出さなきゃ!
ガイところで…一体どこまで行くんだ?
ユリウス亀裂にはびこる虹色のバリアのような力の存在は知っているか?
リッドああ、それは知ってる。そいつに弾かれたせいで、中に入る事ができなかったからな
ユリウスそうか。今向かっている地点には、その力が比較的弱い亀裂がある。…そこから中へ進入する
ユリウスこれだけ大所帯での移動だ、歪みへ与えるリスクの可能性を考えると、ここを出発地点とするのがベストだ
リッドなるほどな
ユリウスさあ、この先だ。行こう
scene3それぞれの想い
エミルあ…
リッドこんなでかい亀裂が…
ユリウスここから時空の歪みに進入する
ユリウス俺が能力を発動すれば、そう簡単に引き返す事は出来ない。覚悟はいいな?
レイア勿論!絶対にみんなを助け出すんだから!
メルディファラ、マルタ、待っててな!メルディ今から行くよ
ガイルークの奴もうまい事そこにいてくれるといいんだが…
ユリウスよし、ではみんな、少し下がっていてくれ…
リッド頼むぞ、ユリウス
ユリウス
ユリウス…はああああっ!
エミル光り出した…
レイアうっ…!どんどんまぶしく――
ユリウスむ…?
リッドお、おい!亀裂の奥から何か…あれは何だ!?
ユリウスあれは…!

NameDialogue
scene1墜落の果てに
???…様
???…人様
???…ご主人様、しっかりしてくださいですの!
ルークう…
ルークうるせえぞ、ブタザル!耳元でぎゃーぎゃー大声出しやがって
ミュウみゅうう…ごめんなさいですの
ルークったく…ん?見慣れねえ光景だな…おい、ここはどこだ?
ミュウご主人様、覚えてないんですの?
ルーク覚え…あ、そうか。思い出したぞ
ルーク森を歩いてたら、いきなりでっかい地震が起きて、それで地面が割れたんだ
ミュウその通りですの。ご主人様は地面に出来た亀裂に飲み込まれたですの
ミュウボク、ご主人様を助けようとして、でも助けられなくて…一緒にここへ落ちて来たんですの
ルークじゃあここは、亀裂の底っつー事か。薄暗くて、周りがどうなってんのかよくわからねーな
ミュウ空も見えないですの。どれくらい下まで落ちたのか、見当もつかないですの
ルークマジかよ。ま、そんだけ落ちた割にはどこも怪我してねーのはラッキーだったな!
ルークよし、とにかく早いとこ上に登れる道探さねーとな。行くぞ、ブタザル!
ミュウはいですの!
scene2墜落の果てに
ルーク…何だよここ。地震で出来たっつー割には、やけにだだっ広くねえか?
ミュウボクもそう思ったですの。何だか不思議な場所ですの…
ルークったく、わけがわからねー。変な地震は起きるし、戦争は再開しやがるし…
ルークせっかく星のカケラの一件も片が付いて、のんびりできると思ったのによ…
カタ…
ミュウ何か音が聞こえたですの…!
ルークん?誰かいるのか?
ガウウウウッ!
ミュウみゅうう!
ルーク魔物だと!?
ミュウご、ご主人様、どうしたらいいですの!?
ルークどうするも何も、戦うしかねーだろ!
グオオオオッ!
???はっ!
ズバッ!
ギャウウッ!
ミュウすごいですの!魔物を一撃で倒したですの…!
???大丈夫だったかい、キミ達?
ルーク…お前、誰だ?
コンウェイボクはコンウェイ・タウ。キミは?
ルークキムラスカのルーク・フォン・ファブレだ。名前くらいは知ってんだろ?
コンウェイルークくん…。いや、残念ながら知らないな
ルーク何で知らねーんだよ!俺は有名人だぞ!選ばれし者としての俺の活躍、聞いてんだろ?
コンウェイ「選ばれし者」…心当たりはないね。キミ、本当に有名人なのかい?
ルークおい、何だよその言いぐさ。世界中で話題になったっつーのに知らないお前が…
ルーク…って、ああ、そうか。そういやこの話って、うちの国じゃ一部の人間しか知らねーんだっけ…
コンウェイ…なるほど。どうやらボク達は面白い事態に遭遇しているようだね
ミュウ面白い事態って何ですの?
コンウェイそれは――…ん?
ガウウッ!
ルークちっ、また魔物かよ!
コンウェイ話は後だ。先にあいつを片付けよう。キミ達は下がっていてくれるかな?
ルークあんな奴、どうって事ねーよ。お前こそ下がってろ。さっきの借りを返してやるからな!
scene1時空の歪み
ギャウウウ!
ルークよし、これで終わりっと!
コンウェイへえ、言うだけあって、なかなかの実力だね
ルークへっ、まあな
ルークそんな事よりここは一体何なんだ?
ルーク亀裂の底にしちゃ広すぎるし魔物まで出てくるなんてよ…
ルークお前、何か知らねーのか?
コンウェイ亀裂の底…?
ルークああ、地震でできた亀裂に飲み込まれちまってよ。気付いたらここに来てたっつーわけだ
コンウェイ亀裂に飲まれて、か…。キミが別の世界の住人である事はわかっていたけれど…
コンウェイ…まさかそんな方法でここへたどり着いていたなんてね
コンウェイここは「時空の歪み」と呼ばれる、特別な空間だよ
ルーク時空の歪み?何だそりゃ。聞いた事ねーぞ
コンウェイそうだろうね。この類の空間は滅多にお目にかかる事が出来ない希少な空間…
コンウェイ何か特別な作用がなければ、本来なら中に人が入り込む事すら出来ないような場所さ
ルークますますよくわかんねーけど、何でそんなとこに地面の亀裂が繋がってんだよ?
コンウェイそれはボクにもわからない。興味深い話だとは思うけどね
ルークお前の興味とかどうでもいいっつーの!マジで何なんだよ、ここは…
コンウェイ別々の世界を結びつける、結節点とでも言えばいいかな
コンウェイ要するにキミ達は、別の世界へ通じるトンネルの中にいるようなものだって事さ
ルークトンネルか…。何かわかったよーな、やっぱわかんねえよーな…
ミュウコンウェイさんは、どうしてそんな事を知っているんですの?
コンウェイボクはキミ達とは別の世界の住人でね
コンウェイ以前からいろいろな世界を渡り歩いているんで、その手の事には詳しいのさ
コンウェイもっとも、今いるこの世界には不意に迷い込んだクチなんで、不明な点も多いんだけど…
ルーク別の世界とかマジかよ…
ミュウボク達、元の世界に、戻れるんですの?
コンウェイ少なくともここからでは無理だね。キミ達の世界に通じるゲートを見つけないと
ルークゲート?
コンウェイ別の世界への入り口となりうる場所さ
ルーク何かいろいろややこしいな…。まあ、じゃ、そのゲートを探そうぜ。コンウェイ、お前も手伝えよ
コンウェイ随分強引なんだね、キミは
ミュウはいですの。ご主人様はいつもこうですの!
ルーク適当な事言ってんじゃねーぞ、このブタザル!
ミュウみゅうううう!
コンウェイまあ、一緒に行くのは構わないよ。ボクもちょうど、自分の世界に戻る手段を探していたところだしね
ルークよし、決まりだな。それじゃ早く行こうぜ
ミュウよろしくですの!
scene2時空の歪み
ルークなあ、コンウェイ。どこまで行けばお前の言ってたゲートっての、見つかるんだ?
ミュウさっきの場所から、もうたくさん歩いたですの…
コンウェイそれはわからないよ。すぐかもしれないし、ずっと見つからないかもしれない
ミュウもしずっと見つからなかったら、どうなるですの?
コンウェイこの世界で一生を過ごすか…それともボクと一緒に、いろいろな世界を旅してみるかい?
ルーク…どっちもお断りだっつーの!俺は一刻も早く、元の世界に戻りてーんだよ
コンウェイまあ、キミならそう言うだろうと思ってたよ
???…を出して。ほら
ルークん?ブタザル、今何か言ったか?
ミュウボク、何も言ってないですの
ルークじゃあ、コンウェイ、お前か?
コンウェイボクも喋ってないよ
ルーク変だな…確かに今、何か声が聞こえたような…
ミュウ…!ご主人様、今ボクにも聞こえたですの!
ルーク俺達の他にも誰かいるって事か?
コンウェイ珍しい事もあるものだね、まさかボク達の他にも人間がいるなんて
ルークあっちの方から聞こえたよな?よし、行ってみようぜ
マルタエミル…エミル…
ティアマルタ、しっかりして。落ち込んでいる場合じゃないわ。とにかく行動しないと
ルークあれ…?何だよ、ティアにマルタじゃねーか
ティアルーク!?
マルタあ…
ルーク何やってんだ、お前ら。こんなとこで
ティア何って…ガイと手分けしてあなたの行方を捜していたのよ
ティアその最中に、地震によって出来た亀裂に飲み込まれてしまったの
ティア…でも、とりあえずあなたも無事だったみたいだし、よかったわ
ルークよくねえだろ!俺を捜してるお前まで落ちてどうすんだっつーの!
ルーク…って、待てよ。それじゃ、俺が落ちたとこ以外にも亀裂が出来てるって事なのか?
ティアええ、その通りよ。飲み込まれてしまった人もたくさんいるみたい
ミュウマルタさんも、ティアさんと一緒に飲み込まれたんですの?
マルタ
ティア彼女と会ったのは、ここへ来てからよ。元々はシルヴァラントにいたそうよ
ルークシルヴァラント!?そんなとこで落ちて、ここまで歩いてきたのかよ?
ティアそんなに歩いたようには見えないけど…もしかしたら全ての亀裂がここに繋がってるんじゃないかしら
コンウェイどうやらキミ達のいた世界は、よほど不安定な状態になっているようだね
ティアルーク、こちらは…?
ルークそうだ、紹介しておくぜ。こいつはコンウェイってんだ。俺もさっき会ったばかりだけどな
ティア私はティア・グランツ…ひょっとして、あなたがルークを助けてくれたのかしら?
コンウェイうん。まあそんなところかな
ティアありがとう。お蔭で助かったわ
ミュウボク達、元の世界へ通じるゲートを探してるですの。ティアさん達も、一緒に行くですの
ティアゲート…?よくわからないけど、そこに行けば元の世界に戻れるの?わかったわ、行きましょう。マルタ?
マルタ
ルーク何だよマルタ、珍しく黙り込んで。エミルと離ればなれになって、落ち込んでんのか?
マルタ
ルーク
ルークけっ、それにしても、エミルもだらしねーな
ルークここに一緒にいないって事は、マルタが亀裂に飲み込まれるのを黙って見てたって事だろ?
ティアルーク!?あなた、何を…
マルタ違う!エミルはちゃんと、私を助けようとしてくれたもん!
マルタ見てもいないくせに、勝手な事言わないで!
ガルルル…!
ミュウ今、何かうなり声が聞こえなかったですの?
コンウェイ聞こえたね。これは恐らく…
ガルルルル!
ティア魔物!?
コンウェイやっぱりね
ルークやっぱりね、じゃねーだろ!来るぞ!
scene1大精霊・クロノス
ティアあんな魔物がいるなんて…ここは一体何なの?
ルークコンウェイの話じゃ、時空の歪みとかいうとこらしいぜ
ティア時空の歪み…?
ルーク俺もよくわかんねー。詳しく知りたきゃコンウェイに聞けよ
ルークほらマルタ、さっさと行くぞ
マルタ
ルーク…ずっとこっちでぐずぐずしてると、エミルの奴に忘れられちまうぞ。それでもいいのかよ?
マルタエミルはそんな薄情じゃないよ!勝手な事言うと許さないんだから!
ルーク何だ、元気じゃねーか。ったくよ
ティアルーク…もしかしてマルタを気遣って…?
マルタえ…
ルークな、うるせー!
ルーク何で俺がこいつの気遣いなんかしなきゃなんねーんだよ!
マルタ…もう!行くなら早く行きましょ!こうしている時間がもったいないもん!
ミュウマルタさんが元気になったですの!
グオオッ!
コンウェイ今のも魔物のうなり声かな?他にもいるみたいだね
???食らえ!
ティアこの声…誰かが魔物と戦っている!?
マルタねえみんな、向こうを見て!
ルークあれは…
???くっ…こいつ、手強いな…
グルルル…
コンウェイ苦戦しているみたいだね
ルーク何だよ、しょうがねーな。面倒かけやがって
ルークとおっ!
ズバッ!
ギャウウッ!
ルークおい、大丈夫か?
???う、うん。助けてくれてありがとう
ジーニアスボクはジーニアス・セイジ。もしかして君達も、例の亀裂に飲み込まれて…?
ティアええ、そうよ
ジーニアス…だったら、少し協力してくれない?
ルーク協力?何をだよ?
ジーニアスボク達がいるこの変な場所は何か精霊の働きによるものだと思う
ジーニアスだからボク、その精霊に会って、元の世界へ帰してもらおうと思って…
ティアその精霊捜しを手伝って欲しい、という事かしら
ジーニアスうん
コンウェイ精霊の活動が時空の歪みの原因になるというのはあり得る話だね。なかなか興味深いな
コンウェイキミが言う事が事実だとしたら、それがこの時空の歪みから出る手っ取り早い方法だろうね
ルーク本当にゲートっての探すより確実なのか?適当な事言ってたら承知しねーからな
ルーク…じゃ、さっさとその精霊ってのを捜そうぜ
ジーニアスありがとう!
ティアそれで、その精霊はどこに行けば見つかるのか、あてはあるの?
ジーニアス気配を追って来てたんだけど、さっきの魔物との遭遇で見失っちゃって…
ジーニアスおそらく、この近くにいるとは思うんだけど…
マルタじゃあ、この辺りをみんなで捜せばいいって事ね!
ジーニアスうん!
ルークじゃあ、さっさと行こうぜ
scene2大精霊・クロノス
ジーニアスそういえば、まだみんなの名前を聞いてなかったね
ルークああ、俺はルーク。こっちはティアにマルタ、コンウェイ、あとブ…ミュウだ
ミュウよろしくですの!
ジーニアスよろしく…って、もしかして君、ルーク・フォン・ファブレ?
ルークおっ、何だ?俺の事知ってんのか?
ジーニアスボク、ロイドと友達なんだ。それで君の話を聞いてて…
ルークロイドの友達だって、マジかよ!あいつ元気にしてんのか?
ジーニアスうん!今頃は世界中で起きている異変からみんなを救おうと、あちこち駆け回ってるんじゃないかな
ルークへっ、あいつらしいや
ルークな、コンウェイ、聞いたろ。やっぱ知ってる奴は知ってんだよ。俺の事
コンウェイボクがキミを知らなかった事を、まだ気にしていたのかい?
ミュウご主人様は、物事をよく覚えているですの!
マルタそれ、執念深いって言うのよ
ルークだーっ!うるせーぞ、お前ら!
ティアみんな静かにして。何だか周囲の空気が変わったわ
ジーニアス…精霊の気配だ。きっとすぐ近くにいる。ここからは慎重に行った方がいいね
コンウェイ精霊を実際にこの目で見るのは初めてだよ。楽しみだな
ミュウ何だか不安ですの…
マルタエミルがいてくれれば、心配なんてしなくて済むのに…
ルーク…!あれは…
???
ティアあれが…精霊?
ジーニアス間違いない。前に調べた文献で、記述を見た覚えがあるよ。あれは確か…
ジーニアスそう、クロノスだ。時空を操る強力な精霊だよ
クロノスぐっ…
マルタ何だか苦しんでるみたい
ミュウ辛そうですの…
ルークけっ、俺達がこんな目に遭ってるのはあいつのせいかもしんねーんだろ?だったら、別に気にする事ねーよ
ルークさっさと話をつけて、元の世界に戻してもらおうぜ。おい、お前!
ジーニアス待って、ルーク。何だか様子が変だ!
クロノスぐ…はぁ、はぁ…
クロノスぐああぁぁぁ!
コンウェイおやおや、怒らせてしまったようだよ
マルタルークの馬鹿!もっと慎重に行動しなさいよ!
ルーク何でだよ!俺はただ話しかけただけだっつーの!
コンウェイこの様子じゃ、一戦交えるのは避けられそうにないね
ティア精霊と戦う…
クロノスなに…が…起きている…力が…抑えられない…!
ジーニアス…来る!
scene3大精霊・クロノス
ルークこれでも食らえっ!
クロノスぐああっ!
ティアどうなったの…?
クロノス
コンウェイ動きが止まったみたいだね
ルークへっ、手間取らせやがって。俺にかかればこんなもんだぜ
マルタルーク一人で戦ったわけじゃないでしょ
ミュウでも、どうしてクロノスさんは怒っていたんですの?
ジーニアス…それはボクにもわからない。文献で見たクロノスのイメージとは違うし、やっぱり様子がおかしいよ…
ジーニアスでも、とにかく話をしてみなきゃわからないよね…
コンウェイ不用意に近付いて大丈夫なのかい?
クロノスうおおおっ!
マルタまた暴れ出したわ…!
ジーニアス…!
ルークジーニアス、危ねえ!
ブオッ!
ルークうおっ!?
ルークぐっ…か、身体が…!くそっ、何だこれ!?飲み込まれるぞ…!
ティアルーク!
ミュウご主人様!
コンウェイこれは…!別の世界へ飛ばされるのか?でもこんな現象、今まで見た事が…
ルークくっ…う、うあああああっ!!
ジーニアスルーク!?ルーク、一体どこへ!?
ミュウ大変ですの…!ご主人様が消えてしまったですの!
scene1奇妙な出会い
ルークぬおおおおおおおおーーーっ!?
ルークおおおおーー……って、あ、あれ?ここは…
ルーク森…?ここは一体…
ルークおいミュウ!ティア!マルタ!コンウェイ!ジーニアス!
ルークちっ、誰もいやしねえ…
ルークつーか、さっきまでいたあの空間とは全然違うな…
ルークひょっとして、俺だけどっか別の場所に飛ばされちまったのか?
ルーク見たとこ、ただの森みてーだし、空も見える…もしかして元の世界に戻って来たのか?
ルークティア達も飛ばされてるかもしれねーし…とにかく、少し捜してみた方がいいよな
ガサガサッ
ミュウ…!
ルークお、早速ブタザル発見!
ルーク何だよ、やっぱりみんなも戻れてたんだな
ルーク…やり方は乱暴だったけどよ、クロノスの奴、ちゃんと俺達を元の世界に戻してくれたみたい──
ミュウクロノス?元の世界って何ですの?
ルークは?何って…おいおい、何言ってんだ?
ミュウティアさん、ガイさん!来て欲しいですのー!
ガイどうした、ミュウ。見つけたのか!?
ティア…!
ルークよし、ティアも発見、と
ルークけどガイ、お前、いつの間に合流したんだ?
ガイお前…ここで何をしている?ここは一般人は立ち入りを禁止されている森だぞ?
ティア気を付けて、ガイ。アッシュ様を狙う刺客かも知れないわ
ルークアッシュ?刺客?お前らまで何言ってんだ?
ガイ…ティア、少なくとも刺客には見えないな。多分、迷い込んだんだろう
ティアだとしても、万が一にも間違いがあるわけにはいかないわ。捕えて尋問すべきだと思うわ
ルークだーっ!いい加減にしろよ、お前ら。怒るぞ!
ガイ何だかおかしな奴だな。確かに、話くらいは聞いた方がいいかもしれないな
ティアええ。それにもしかしたらアッシュ様を見ているかもしれないし
ルーク…もういい。お前達のつまらねー冗談に、これ以上つきあうのはまっぴらだ
ルーク俺は一人で帰る。お前らは勝手にしろ!
ガイあ、おい、待て!
scene2奇妙な出会い
ルーク
ミュウあ、ガイさん、こっちですの!
ルークだーっ、ついてくんな!しつこいんだよ、ブタザル!
ガイどこに行くつもりなんだ?少し話を聞かせてもらいたいんだが
ルーク決まってんだろ。バチカルに帰るんだよ
ティアそっちはシルヴァラントに向かう道よ
ルークうっ…
ミュウ大丈夫ですの。ガイさんもティアさんもひどい事したりはしないですの
ルークだからいい加減にしろよ。何なんだよ。意味分かんねー──
ガサッ…
???ガイ、ティア!ここに――…
???…!
???お前は…
ルークえっ…?
ガイアッシュ様!
ティアどこにいらしたんですか、アッシュ様
ミュウアッシュ様!やっと見つけたですの!
ルークこいつが、アッシュ…?
アッシュ何者だ?この森に無断で入るとは…
ルークい、いや、俺は…
ティア申しわけありません。どうやって侵入したのか…
アッシュふん、まあいい。とにかく、この間抜け面は捕えておけ
ガイはっ、ただちに
ティアおとなしく言う事を聞いておけばよかったのに…馬鹿な人
ルークお、おい、ティア!ガイ!お前ら、本気でこんな奴の言う事聞く気かよ!どうなってんだ!
アッシュ…うるさい奴だ。おい、もう構わないから、この場で斬り捨ててしまえ
ガイえ、ですが、さすがにそれはまずいのでは…。国王陛下の方針にも反します
アッシュちっ、ならば構わん。俺が直接片を付けてやる!
ルークな、ちょっと待てよ!俺はそんな…
アッシュ今さら言いわけか!死ね、屑が!
ルークじょ、冗談じゃねえぞ!
scene1アッシュという男
アッシュぐっ…!
ルークこれで終わりだ!
ミュウアッシュ様!
ガイそうはさせない!
ルークな、何だよお前ら…。どうしてみんなして、そいつの事をかばうんだよ
ルークガイ、ティア!お前らはその…俺の教育係だろ!?
ルークそれにブタザル!お前の主人は…俺じゃねーのかよ!?
ルークそれなのに…どうして…
ティア近寄らないで
ルークティア…!
ティアまさかアッシュ様に勝つなんて…。やはり、うつけの振りをした刺客だったのね
ガイああ、危うく騙されるところだった。だがこれ以上、アッシュ様に手は出させないぜ
ミュウですの!
ルークお前ら…マジかよ。マジでそんな事…
ルーク
ルーク何だよ…何で…何がどうなってんだよ…
ルーク…くそっ!
アッシュ逃がすな!あいつを捕らえろ!
ガイはっ!
ティアわかりました
ルークやっと振り切ったか…?しつこく追いかけてきやがって
ルーク…ったく、何が刺客だ。冗談じゃねっつーの
ルークガイもティアもミュウも、あんな奴の肩を持ちやがって。何がどうなってんだ
ルークあいつら…あいつらだけは何があっても俺の味方だと思ってたのによ…
ルークあー、やめだやめだ!これ以上考えたって仕方ねえ。とにかくバチカルだ
ルークバチカルに帰ってそれで…って、待てよ。どっちに行きゃいいんだ?
ルークん?誰かいるぞ…?
???どうして…?どうしてわたし、こんな…
ルーク何だ、あの女。何か様子が変だぞ…
ルーク…待てよ、またさっきみたいな目はたくさんだ。ここはちょっと隠れて様子見だな
???
ルークどこへ向かってんだ…?
scene2アッシュという男
???
???ここは…一体どこなの…?
ルーク…何だ?ここはどこって、まさかあいつ…
ルーク俺みたいに飛ばされてきたのか?
ルークいや、まだわかんねえぞ。あのアッシュの手下かもしんねーし…
???あの街は本当に…
???そんな…どうして…あれはずっと昔に――…
???あ…あああ…
ルークん?どうしたんだ?急にガタガタ震え出したぞ?
???まさか…まさか…
ルーク何だ、あいつ。どんどん様子が変になってくじゃねーか
???あああああ…!
ルークだーもう、くそっ!
ルークおい!
???!?
ルーク急に震えたりなんかして、何があったんだよ!?
???あ…あそこ…
ルークあそこ…?
ルーク何だ…火か?
ルークって、街が燃えてるじゃねーか…!
グオオオオッ!
街の男うわああああっ!
街の女きゃーーっ!
ルーク魔物の声に人の悲鳴…まさか…襲われてるのか…!?
ルーク…!おい、お前ひょっとしてあの街の…
ガサッ!
ルーク…!
グオオオッ!
ルークちっ、こっちにまで来やがった!おい、お前!
???え…?
ルークぼさっとしてんじゃねえ!逃げるか一緒に戦うか、どっちかにしろ!
scene1少女と心の闇
ルークふう、何とか倒せたみてーだな
???
ルークって、おい!何でじっとしてんだよ!ありゃお前の街じゃねーのかよ!?
???そう…だと思うけど…何かが違う…でも…
???あ…ああ…やめて…!火を、消さないと…!!人が、死んじゃう…!…ううっ!!
ルークおい、どうした!?
???おか、しいな…身体が、震えちゃって…動かない…
???昔の事だって…子どもの頃の事だろってリッドが言ってくれたのに…
ルークあーもう意味わかんねー!お前の街も何かあったってのかよ?
???…うん。子どもの頃に、街が火事になったの…人が死んで…大変な事になって…
ルーク子どもの頃って、何だ昔の話かよ。それより今の方が重要じゃねーの?
街の女きゃあああ!
ルーク!だーもう、何で俺がこんな事!
???…どこに行くの?
ルーク知るかよ、くそっ!ただ、これ以上悲鳴とか聞きたくねーんだよ!
???で、でも…
ルークそこでうだうだやってたきゃ勝手にしろ!俺は行くからな!
???あ…
???
???街を救う…
???わたしにも…できるのかな…今なら…できるのかな…?
???…昔の事より…今の事の方が重要…
???…待って!わたしも行く!
scene2少女と心の闇
ルークって、何だよ結局来たのかよ。お前本当に大丈夫なのか?
???うん、平気…。街を助けるって走っていったあなたの姿を見て、思ったの
???わたしも…今だからこそ、出来る事をしなくちゃって
ルーク…だったら好きにしろよ。足手まといになるんじゃねーぞ
???うん、ありがとう…
女の子きゃああっ!
グオオオオッ!
ルークおい、やめろ!!
バシィッ!
ギャオオッ!
ルーク怪我はねーか?
女の子う、うん。お姉ちゃん、お兄ちゃん、ありがとう…
???早く逃げて。街を出て、火事が収まるまでは森に隠れているといいよ
ルークふーん、お前、一応ちゃんと戦えんだな
???…うん。そう、みたい。あなたのお蔭、かな
ファラそういえば、まだ名前を聞いてなかったね。わたし、ファラ
ファラあなたは?
ルーク俺はルーク。ルーク・フォン・ファブレだ
ファラありがとう、ルーク。元気付けてくれて
ルーク…別にそんなんじゃねーよ
ルーク目の前でうじうじされてたんじゃ迷惑ってだけだっつーの
グオオオオッ!
ファラ新手の魔物!?
ルークちっ、一匹だけじゃなかったのかよ
ファラこれ以上、好きにはさせない!
scene3少女と心の闇
ルーク今度こそ終わったか?
ファラだといいんだけど…
ガウウッ!
ルークまだいるのかよ!
グオオッ!
ファラルーク、気を付けて!こっちからも来てる!
ルークだーっ!どんだけいやがるんだ!
グルル…
ファラこれ以上増えると、さすがに二人じゃ厳しいね
ルークくそ…
グオオッ!
ファラくっ…!
ズバッ!
ギャウウ!
ルーク今のは…!?
???二人とも大丈夫か?
ルーク誰だ、お前?
ルドガー俺はルドガー・ウィル・クルスニク。君達を助けに来た
ファラわたし達はまだ平気!だからお願い早く街の人を避難させてあげて!
ルドガー君の気持ちもわかるけど、俺は「君達」のような人を助けるために活動をしているんだ
ファラわたし達を…助けに?
グルル…
ルーク…何だあの魔物…
ルーク黒いモヤみてえなもので身体がおおわれてやがる…
ルドガー時歪の因子(タイムファクター)…ここにいたか。先にあいつを倒そう!
ルドガー説明は後でするよ
ルークなっ、何だその格好…!?
ルーク…ちっ、しょうがねえな。後でちゃんと話聞かせろよ!いくぞ、ファラ!
ファラあ…うん!
scene1再会、そして脱出
ルドガーはああっ!
ズバッ!
ギャウウッ!
ルドガーよし、あとはこの魔物…時歪の因子を破壊すれば元の世界に戻れる
ルークお、おい、お前…今変身してたよな?一体どうなってんだ!?
ファラ変身した途端すっごく強くなったし…あなた…何者なの?
ルドガー変身…ああ、驚かせてごめん
ルドガーこの骸殻の力を使わないと、時歪の因子を破壊出来ないんだ
ルークガイカク…?何だそりゃ…
ルドガー特異な力だし、あまり公にはしていないんだ
ファラちょ、ちょっと待って。あなた、ルドガーって言ってたよね。話の続きを聞かせてくれる?
ルドガーああ、そうだったな
ルドガーいきなりだけど…君達はこの世界の住人じゃない…、そうじゃないか?
ファラえ…
ルーク何言ってんだ?この世界も何も俺は…
ルドガー…うーん、言い方が少し悪かったかな
ルドガーじゃあ、これならどうだ?
ルドガー君達が今いるこの世界は、君達が本来知っているはずの世界と、微妙に何かが違っていたりしないか?
ファラあ…
ルーク…そうだ!
ルーク俺を知ってるはずの奴らが俺の事知らねーとか言って…
ファラ何年も前に起きたはずの出来事が、当時ととても似た場所でまた繰り返されてて…
ルドガーやっぱりそうか
ルークどういう事なんだ!?ルドガー、お前知ってるのか?
ルドガーここは分史世界といって、君達が元々いた世界から分岐した別の可能性の世界なんだ
ファラ別の…可能性…
ルーク時空の歪みってのを聞いた事あるけどよ、それとは違うのか?
ルドガー元の世界とは別世界、という点では同じだけど基本的には別物だよ
ルドガーそうだな…分史世界と元の世界をつなぐ空間が時空の歪み、という感じかな
ルーク…よくわかんねー。けど、ちっと安心したぜ
ルークやっぱりあいつらは、俺の知ってるあいつらじゃなかったって事だよな
ファラねえ、ルドガー。この分史世界から、元の世界に戻る事は出来るの?
ルドガーああ、それは俺に任せてくれ
ルドガー君達を救い出すために、ここへ来たんだから
ルドガー本来、分史世界へは、骸殻の力を持つ人間しか入る事が出来ないんだけど、
ルドガー時空の歪みの影響で、君達みたいに力を持たない人達が分史世界に迷い込むようになってしまったんだ
ルドガーだから、今俺と兄さんで迷い込んだ人達を助けて回ってるんだ
ルドガー早速、君達を連れて元の世界へ脱出したいんだけど、いいかな?
ルークそういや助けるって言ってたよな。じゃあ早速頼むぜ…
ルークって、ちょっと待った!
ルドガーどうかしたのか?
ルークその…元の世界に戻る前に、時空の歪みに行く事は出来ないか?
ルークまだ他にも何人かいるんだ
ルドガー他にも仲間がいるって事だよな?わかった、時空の歪みに連れて行くよ
ルドガー分史世界と違って、時空の歪みへは骸殻の力を使えば自由に行き来できるんだ
ルーク本当か?本当に行けるんだな?おし、頼んだからな!
ルドガー任せてくれ。それじゃ、いくぞ!
ルドガーはっ!
scene2再会、そして脱出
ミュウご主人様…
ティアルークがどこへ消えたのか、捜す手がかりはないの?ジーニアス
ジーニアスゴメン…ボクも、クロノスの事は文献で見た事くらいしかわからなくて…一体何が起きたのか…
ティアコンウェイ、あなたは何かわかる?
コンウェイいや。ボクの知らない現象だったから、はっきり言ってお手上げだね
ミュウみゅうう…ご主人様、どこへ行ったんですの…
ジーニアスボクのせいだ…。ボクがあの時、不用意にクロノスに近付いたりしたから…
マルタルーク…
ルークすげー。本当に戻って来れたぜ
マルタル、ルーク!?
ミュウご主人様!
ルークよう、お前ら。よしよし、ちゃんと全員揃ってるみてーだな
ジーニアスルークーー!無事だったんだね、よかったよー!
ミュウみゅうう~~!ご主人様、嬉しいですの~~!
ルーク…!
ルーク…ちょっと待てよ、お前ら、本当に俺の知ってるお前らだよな?
マルタはあ?
ティア何を言っているの、ルーク?
ルークいや、あれは何とかって別の世界だしガイとかも見当たらねーし、…大丈夫っぽいな
ミュウご主人様…大丈夫ですの?
マルタさあ…?
ティアルーク、しっかりして。あなたが何を言っているのか、さっぱりだわ
マルタ別のところに飛ばされた時に、頭でも打ったんじゃないの?
ルークおっ、そのうっせー口調…!へへっ、やっぱり本物だな
ミュウご主人様、何だか嬉しそうですの
ティアマルタの言った通り、頭でも打ったのかしら…?
マルタき、気持ち悪い…どうしちゃったの…?
コンウェイところで、キミと一緒に現れた二人は誰だい?
ルークん?ああ、忘れてたぜ。ファラとルドガーだ。こっから飛ばされた先の世界で会ったんだ
ルドガー初めまして。ルドガー・ウィル・クルスニクだ
ファラわたしはファラ。これから、よろしくね
マルタ…!あれ…あなた、確か…
ファラマルタ…!
ファラマルタだよね?よかった!無事だったんだね!
ティア知り合いなの、マルタ?
マルタあ、うん。元の世界で、私が亀裂に落ちる直前に出会ったんだけど…
マルタファラ、どうしてあなたがここに?あと、エミルは無事?
ファラエミルはどうにかしてあなたを助けようと、あちこち駆け回ってたんだよ
ファラわたしとリッドも、その手伝いをしてたんだけど…わたしだけ亀裂に落ちちゃって
マルタそうだったんだ…。ファラ、ありがとう…戻ったらみんなにもお礼言わなくちゃね
ルドガー落ちた人を助けようとして亀裂に落ちている人もいるのか…
ルドガー根本的な原因を突き止めて解決しないと、どうにもならなそうだな…
マルタエミル…。お願い、どうか無事でいて…
ファラマルタ…。きっと大丈夫だよ。だから、早く元の世界に戻らないとね
ルーク…あ、そうだ!そういえばクロノスはどうした!?
ルークあの野郎、俺をあんなところに…
ジーニアスそれが…
グオオオッ!
ルーククロノスか!?
コンウェイ違うね。あれは別の魔物だ
ルドガー突っ込んで来るぞ!
scene3再会、そして脱出
ルークったく、てっきりクロノスかと思ったのに…雑魚はお呼びじゃねーっつーの!
ティアクロノスだったら、ここにはもういないわ
ジーニアスルークを別のところに飛ばした後、クロノスもどこかへ行っちゃったんだ
ルーク何だよ、捕まえておけよな!
ルークせっかく戻って来たら、借りを返してやろうと思ったのに
コンウェイ…当初の目的を忘れてないかい?最初はあくまでクロノスと、話し合いをする予定だったはずだけど
マルタルークが近寄ったら、怒って襲い掛かって来たんだよね
マルタルークが何か変な事したんじゃない?
ミュウご主人様…
ルークいやだから、俺は話しかけただけだっつーの!
ルークそれに、元の世界へはルドガーが連れて帰ってくれるんだ
ルークだから別に問題ねーだろ
コンウェイへぇ、キミが…。時空の歪みを自由に出入りできる力なんて、興味深いな
ルーク俺がクロノスにあっちに飛ばされたからこそ、ルドガーに会う事が出来たんだからな
ルーク元の世界に戻れるのは言ってみれば俺のお蔭だよな!
ティア…呆れた
ルドガーこれから君達を元の世界へ連れて帰る
ルドガーみんな、俺の周りに集まってくれ
ティア無事に出られるといいのだけど…
ルーク心配すんなって。さっきもちゃんとここへ帰って来たんだからよ
ルーク…ん?つか、コンウェイ
ルークお前は自分の世界に帰る方法を探してたんじゃねーのかよ?
コンウェイまあ、必ずしもここに帰る手段があるとは言い切れないし…それに、少し興味が湧いてきたんだ
コンウェイキミ達の世界に…
ルークふーん。ま、お前がいいんなら別にいいけどよ
ルドガーそれじゃあ、準備はいいか?
マルタうん!無事にエミルのところに帰れますように…!
ミュウお願いしますですの…
ルーク行き先、間違えるんじゃねえぞ
ルドガーああ、任せてくれ。じゃあ…
ルドガーいくぞ、元の世界へ!

NameDialogue
scene1捉えた違和感
ゴゴゴ…ゴ…
リタやっと揺れが収まった…一体何なのよ、この地震は
ゴゴゴ…!
リタ…!また…!
ズバッ!
リタ地面に亀裂まで…。どう見てもただ事じゃないわね
リタとにかく、急いでメルトキオに戻った方がよさそうだわ
リタ街もいつになく騒然としてるわね…。あんな大地震が起こったんだし無理ないけど…
リタそれにしても、さっきのあの光…。タイミングから考えて、地震の発生に何か関係してる可能性も――…
リタ
リタ光…海の向こうからでも見えるほどの…あれだけの強さを出せるもの…
リタ…まさか…
リタ調べてみる必要がありそうね。あの本…確か図書館の書庫よね。面倒だけど行かなきゃ
???
scene2捉えた違和感
リタ…算出される力の総量…なるほど…ありえない話じゃない。でもどうして…
???およ、こんなところで何してんの、リタっち?
リタレイヴン!?…って、いきなり驚かすんじゃないわよ!おっさんこそ何してんのよ!
レイヴンいやあ、リタっちが深刻そうな顔して図書館に入っていくのが見えたから、どうしたのかなーって思ってさ
リタまあ深刻は深刻だけど…別におっさんには関係ないでしょ
レイヴンおーおー、冷たいねえ。まあ、そう言わずに、俺様に相談してみなさいって
レイヴンこう見えても人の相談に乗るの、結構得意な方なんよ?
リタどこがよ。うさんくさいわね
リタ…まあ、いいわ。ちょうど考えを整理したいと思ってたとこだし、あんたを壁だと思って喋る事にする
レイヴンちょ、壁って…
リタあたし、さっき妙な光を見たの。場所は、ウィンドルとア・ジュールの国境地帯辺りだと思う
リタで、その閃光について、思い当たる節があったからここでいろいろ調べてたってわけ
レイヴンウィンドルとア・ジュールの国境の閃光?またまた、そんなの見えるわけないでしょ。それより地震よ大地震
リタ壁がしゃべるな!その光がこの大地震の発生に関係してるかもしれないんだから
レイヴンえ、それホント?
リタあたしが見た閃光の正体は、魔導器(ブラスティア)。おそらくそれは間違いないわ
レイヴンなるほど。リタっちは魔導器の専門家だもんねぇ。そんで何かしら気付くところがあったと
レイヴンで、それがどうこの大地震と関係してるわけ?
リタあれだけの閃光の原因として考えられるものは多くないわ。魔導器は、その数少ない一つ
リタで、その直後の地震でしょ。関連性があると考える方が自然じゃない
リタでもあくまで仮説だし、わからない事も多すぎる。だから確かめないと
リタそれに本当にあれが魔導器だとしたら、相当無茶な事をしてるはずよ
リタそんな事するバカはとっちめてやらないとあたしの気が済まないわ
リタ大体、海を越えて視認できるなんて既存の魔導器とはケタ違いの出力よ。そんなの研究していたとしたら…
リタ何であたしを呼ばないのよ!
リタ…って、そうじゃなくて、国境で何でそんな魔導器を…
レイヴン戦闘用に特別な魔導器を使ったとか?国境の辺りで見えたってんなら、いかにもありそうな話じゃない?
レイヴンウィンドルとア・ジュールが戦争を再開、魔導器を使って派手にやりあったとかね
リタそれはそうかもしれないけど…
リタ…そもそも、もうすぐ和平交渉をするってところまで修復された二国が、何でまた戦争を始めたりするのよ?
レイヴンさあねえ。魔導器と大地震の関係はともかく、戦争なんてのは案外、簡単に始まるもんかもよ?
レイヴンちょっとしたきっかけで火がついてそのままあっさりケンカ沙汰…人間同士よくある話でしょ
リタ政治に興味ないあたしでさえ、両国が和平を急いでたって事は知ってる。それなのに…
レイヴンふーん。何がそんなに気になるのかおっさんにはわからんけど、でも実際、どうするわけ?
リタ自分の目で確かめる
レイヴンはい?
リタこれ以上ここであれこれ考えてたって仕方がないもの。行って確かめる
レイヴン行くって、あの、リタさん?もしかして国境地帯の事、仰ってる?戦争やってるかもしれないのに?
リタ危険かもしれないけどしょうがないわ。本当に未知の魔導器があるなら確かめないと
レイヴンいやいやリタっち。いくら何でもそりゃ無茶でしょ。もうちょっと考えた方がいいって
リタじゃあどうすればいいのよ。傭兵でも雇えっての?そんな金ありゃしないわよ
レイヴンいやそうじゃなくてね…あーもう、しょうがない。こうなったら、おっさんも付き合いますよ
リタはあ?あんた、話聞いてた?あたしは観光に行くわけじゃないの!わかってる?
レイヴンだからよ。リタっち一人、そんなとこ行かせたとなれば、周りから何て言われるやら。ね?
リタはあ…なら好きにすれば?おっさんがいようがいまいが役に立つとは思えないけど
レイヴンありがとー、リタっち!よし、じゃあ早速しゅっぱ~つ!
リタ…何なのよ、あの呑気っぷりは。バカっぽい…
リタ…何だか一気に、先行きが不安になってきた…。本当に大丈夫なの?あのおっさん…
scene1国境地帯への道
レイヴンんでリタっち、国境地帯へはどうやって行くつもり?やっぱり船で?
リタそうね。シルヴァラント港へ行ってウィンドル港かア・ジュール港、先に着く船に乗ろうと思ってる
レイヴンおっさんは、どちらかといえばウィンドル経由の方がいいかなあ。寒いところは苦手でさ
リタあんたの希望なんて聞いてないから
リタっていうか、この状況で船が出てるかどうかだって──
ゴゴゴ…
レイヴンおおっと。また地震…
レイヴン一向に収まる様子がないけど、一体世界に何が――
ズゴゴゴゴ…!
レイヴンちょっとちょっと…!これ、今までより大きいんじゃない?
ズザッ!
レイヴンリタっち、足元!!地面にヒビが…!
リタえ!?ちょ、落ち――…!!
???はあっ!
レイヴンなっ!?
???大丈夫か
リタう、うん…
リタって、あんた!ヴェイグ!?
リタ久しぶりじゃない。前にロイドと一緒にあんたを訪ねて、遺跡の事を教えてもらったわよね
ヴェイグああ、あの時の…
リタ…あ、ありがと。助かったわ
リタそれにしても、こんなところで会うなんて偶然ね
???よかった、間に合ったみたいね
レイヴン…!ちょっと…!この輝かしいお嬢様はどこの誰様!?
ヴェイグ俺の幼なじみの…クレアだ
クレアクレア・ベネットです。よろしく
レイヴンクレアちゃんね!俺様はレイヴン。よろしく~!
クレアよろしくお願いします
リタはあ、このおっさんは…全く。…ところで、あんた達はどうしてここに?
ヴェイグ…メルトキオに用がある
リタこんな状況で出歩くとか正気なの?
リタって、人の事言えた義理じゃないわね
ゴゴゴ…
レイヴンううむ、また揺れたねえ
クレアヴェイグ、村は大丈夫かしら…。みんなが心配だわ
ヴェイグああ…早く用を済ませて村へ戻ろう。それにしても、この地震は一体…
ヴェイグ地震の規模、それに頻度も…
ヴェイグ世界に何らかの異変が起きているとしか思えない…
リタ同感ね。これだけ続くのは普通じゃないわ
クレアこの地震の影響で世界中が混乱してて船も休航しているみたいだし…どうなってしまうのかしら…
リタえっ、ちょっと、それ本当!?
リタあたしら、これから港へ行って、船に乗るつもりだったんだけど
ヴェイグそれは諦めた方がいい
ヴェイグ海も荒れているし当分は難しいだろう
レイヴンあちゃー、やっぱしか
レイヴンとなると陸路でウィンドルへ行くしかないかねえ
リタ…そうするしかないか
リタ何としてでも、あの光の原因を自分の目で確かめてやるんだから!
ヴェイグ地震の影響を受け、どこも足場が悪い状況だ。道中はくれぐれも気をつけろ
リタありがとう、あんた達もね
クレアあ、そうそう。ちょっと待って
クレアもしよかったらピーチパイを持っていかない?
クレアお腹が空いたら、どうぞ
リタ…いいの?結構、手が込んでるみたいだけど
クレアええ。今日の朝に焼いたばかりで、作りすぎてしまったの
リタじゃあ、ありがたくもらっとくわ。ありがと
ヴェイグでは、オレ達はもう行く
ヴェイグまたどこかで会おう
レイヴンいやあ、クレアちゃん、美人だったねえ
リタそんなに気に入ったなら、向こうについていけば?
レイヴンそんな事言わないでって。リタっち~!
リタうざ…
レイヴンそんなつれなくしないで、もらったピーチパイでも食べて、機嫌直してってば
リタ…何このピーチパイ。すごく美味しい
レイヴンクレアちゃんは料理も上手か
レイヴンこれで甘いものじゃなかったらよかったんだけどねえ
リタ美味しいものを食べたら、何か元気出てきたわ
リタじゃ、改めてウィンドルへ向かうわよ
レイヴンへいへーい
scene2国境地帯への道
レイヴンようやくウィンドルに入った…やっぱり歩きだと疲れるねえ
リタ不満があるなら、ついてくんのやめたら?
レイヴンもー、リタっちったら、冷たいんだから
リタリタっちって言うな!
レイヴンおーっと、向こうに村らしきものを発見!
レイヴンあそこでちょっち休憩しない?
リタ…あのバカ、疲れたって言いながら、元気に走ってんじゃない
レイヴンはて、この村は一体…?
リタあんまりのんびり出来そうな雰囲気じゃないわね…
リタそこかしこの民家に焼けたような跡…
リタ大きな火事でもあったのかしら
レイヴン地震の影響…ではなさそうだねえ。修理されてる部分もあるみたいだし…
レイヴン過去に戦場になった、とか?
リタア・ジュールがここまで攻めて来たって事?
リタ国境からはだいぶ離れてるけど…
???あんた達、旅の人?
リタ…!
アーチェあたし、アーチェ・クライン。あんた達は?
リタリタよ。リタ・モルディオ
リタこっちはただのおっさん
レイヴンただのおっさんって…
レイヴンまあおっさんだけど。俺様はレイヴン。よろしくね
アーチェリタにレイヴンね、よろしく!
アーチェここはトーティス村だよ。あんた達、ここには初めて来たの?
リタあ、うん。まあ…
アーチェだったら、びっくりしたでしょ?あちこち焼け焦げててさ
アーチェ元騎士団員に悪い奴がいてさ、そいつにやられたらしいよ
アーチェひどい事するよね
リタ何よそれ…
アーチェあ、でもその悪い奴はクレスが倒してたって話なんだけどね
アーチェそんな事があって村の人もだいぶ減ったけど、今は残った人達で何とか村を再建しようとしてるの
アーチェあたしは元々旅人だったんだけど、ここで手伝っている内に、放っておくわけにもいかなくなってさ
レイヴン再建のお手伝いをしてるってわけね
レイヴン偉い!アーチェちゃん、偉いよ!おっさん感動して泣いちゃう
アーチェ当ったり前じゃない!
アーチェ…ま、あたしが勝手に居ついてるってのもあるんだけどね
???おーい、アーチェ!油売ってないでこっち手伝えよ!
アーチェうっさいわねぇ!あたしは人と話してんの!後でちゃんと行くわよ!
チェスター早く来いよ!って…ん?お前達誰だ?見ない顔だな
アーチェリタにレイヴンだよ。二人は旅人で…
アーチェえーと…どこから来たんだっけ?
リタシルヴァラントよ
チェスターシルヴァラント…?
チェスターわざわざこんなところに何で――
村の男うわあ!魔物だ!チェスター、助けてくれ!
チェスターちっ、また魔物かよ!どこからともなく現れやがって…今行く!
レイヴンありゃ結構な大物だねぇ…リタっち、どうする?
リタ決まってんでしょ!
リタほらおっさん、あたし達も加勢するわよ!
レイヴンはいはい、じゃあいっちょ行くとしますか!
scene1悲劇の村、トーティス
アーチェ助かったーありがとね!二人とも強いんだねー、びっくりしちゃった
リタあんた達こそ、なかなかやるじゃない
チェスター二人が加勢してくれたお蔭で助かったぜ。ありがとよ
チェスターところで…お前達、どうしてわざわざシルヴァラントから?
リタああ、その話ね…
アーチェ妙な閃光、ね…
リタうん、あの光は地震の発生と関連しているんじゃないかって疑ってるんだけど
レイヴンさらに言えばその光、戦争再開の印だったんじゃないかなーっておっさん、予想したんだけど。どう?
チェスターお前達の予想通り、ウィンドルとア・ジュールが戦争を再開したのは事実だ…
チェスターさらに、その戦闘でウィンドル軍が新兵器を投入したって噂も耳にした
リタ新兵器…。それが魔導器かもしれないって事ね
リタはあ…。そもそも魔導器ってのは、人間の生活を豊かにする目的で生み出されたはずなのに…
レイヴン…そんな便利な装置も、ちょっと手を加えれば、簡単に人を殺すための兵器になってしまうって事よ
チェスター…でもよ、リタの言う光と地震の関係性が本当だったとしたら…許せねえよ…!
チェスターあいつらの戦争のせいで、各地で大地震が起きてるって事だろ?
チェスター軍人同士勝手に戦争するだけでも迷惑だってのに…
チェスターちょっと前だってオレ達の村をめちゃくちゃにして…
チェスターこの村の次は、世界か…?あいつらは、一体どれだけのモンを犠牲にすりゃ気が済むんだよ!
アーチェチェスター…
チェスター
チェスター…よし、決めた。リタ、オレもお前達と一緒に行く!
チェスター知りたいんだ、真実を…
アーチェちょっと、チェスター!クレスとの約束を忘れたの?この村はどうすんのよ!?
アーチェ村の復興はまだ途中で、さっきみたいに魔物だって簡単に入ってきちゃう状況だし…
アーチェあんたまで村を離れちゃったら残された村の人達はどうすんの?一体誰がみんなを守るの?
チェスターそれはそうだけど…でも、オレは――
アーチェクレスにも村を頼むって言われたんでしょ!
アーチェ親友の頼みを無視するの?
チェスターそうは言ってねえよ!
村の男おーい、チェスター!手が空いたらこっちに来てくれ!見せたいものがあるんだ!
チェスター
アーチェねえ。あんたはクレスにさ、ただ村の守り「だけ」を任されたとでも思ってんの?
アーチェみんなあんたをすっごい頼りにしてるんだからさ
アーチェそこは、あたしでも代わってはあげられない…代わりたくても、代われないの
レイヴン慕われてんだねえ
チェスター…そんなんじゃねえよ
チェスターみんながオレを頼りに…か。そう、だな…
チェスター今オレが離れちまったら、せっかくここまで再建した村も、魔物に荒らされちまうかもしれねえ
アーチェそうそう。あんたはそれでいいのよ。あんたはこの村を守んなきゃ。死んじゃった妹のためにもさ
アーチェその代わり…
アーチェこのあたしがリタ達についてって、真実を見てきてあげる
チェスターはぁ!?
レイヴンアーチェちゃんが?
アーチェそ。あたしの実力は、もうわかったでしょ?バンバン力になっちゃうから!
リタありがとう、アーチェ。あんたが一緒に来てくれると、心強いわ
チェスター全く、相変わらず勝手なヤツだな…
チェスターじゃあアーチェ、そっちは頼むぞ。後、クレスの事もな
アーチェそうそう。放っておけないよね!クレスったら戦争が再開したって聞いた途端飛び出してっちゃってさ!
アーチェま、その事も何かわかったらちゃんと知らせてあげるから!どーんと任せなさいって☆
レイヴン丸く収まったところで、それじゃ、そろそろ行くとしますかね
レイヴンこのまま例の国境地帯へ向かう?
リタええ、勿論
レイヴン…あ、確かその途中にバロニアがあったよね。先にそっちに寄った方がいいかも
リタ何でバロニアに寄らなきゃいけないのよ。これ以上の寄り道なんてゴメンだわ
レイヴンでもさ、この国とア・ジュール、戦争になってんのよ
レイヴンいろいろ準備とか…やる事があるでしょ
アーチェあー、それがいいかも
アーチェヘタに動いて牢屋にでも入れられたら、それこそリタは調査に行けなくなるじゃん
リタうー…もう!わかったわよ!
リタとっとと行って、用事済まして一日でも早く国境に行くわよ!
レイヴンせっかちだねえ。ま、それじゃ、バロニアを目指すって事で
アーチェじゃあ行ってくるね、チェスター!しっかり村を守るのよ!何かあったら許さないんだから!
チェスターバーカ。オレがいる限りそんな事させねえよ
チェスター三人とも、気を付けて行けよ!
scene2悲劇の村、トーティス
レイヴンふいー。ようやくバロニアに到着っと
リタ相変わらず大きな街ね
リタでも、何だか前に来た時とは様子が違う…。活気に欠けるっていうか
アーチェ確かにいつもはもっと賑やかだよね。やっぱり戦争が始まったのと、地震が頻繁に起きてるせいかなあ
リタそうかもね…
レイヴンさて、じゃあ始めますかね
リタ具体的に何を準備するのよ?無駄な寄り道までさせといて
レイヴンまあまあ。ここは情報収集が鉄則ってもんよ
レイヴンおっさんに任せときなさいって
アーチェそうだね。魔導器の事とか新兵器の事とか、光の事とか…知ってる人がきっと見つかるよ
リタ…そんなうまくいくものなの?
リタうーん…一通り聞いて回ったけど…
アーチェ新兵器の事は、みんな知らないみたいだね
レイヴンわかった事といえば、戦争が再開したキッカケくらいか
レイヴンみんな口を揃えて、ア・ジュールが攻撃を仕掛けてきたからだって話してたねえ
レイヴンそもそもの両国の争いの発端は星のカケラを巡って、ウィンドルがア・ジュールに攻め込んだって話よね
レイヴンア・ジュールはその事を根に持ってて和平交渉をエサにウィンドルを油断させて、総攻撃を仕掛けた…
アーチェ…ウィンドルはア・ジュールの攻撃に対抗するために、やむなく兵器を使った、みたいな感じかな?
リタまあ、ア・ジュール側の話を聞いていない以上、まだ何とも言えないけどね
リタ…よし。こうなったら奥の手よ。二人とも、お城へ行くわよ
アーチェあたし達がいきなり行って、お城へ入れてくれるかな?
リタ何とかなるでしょ。あそこには知り合いもいるしね
レイヴン知り合い…ああ、そういう事ね
警備兵怪しい者を城内へ通す事は、まかりならん
リタ何でよ!
レイヴンリタっち…さっきの余裕は一体どこに…
リタうっさい、おっさんは黙ってて!
リタ仕方ないわね…こうなったら、中に入る事は諦めるわ
リタ代わりに、エステル…
リタエステリーゼをここへ呼んでくれる?
警備兵お前のような不審者がエステリーゼ様と知り合いなわけがないだろう。嘘をつくならもっとマシなものにしろ
リタなっ…嘘なんかつくわけないでしょ!
リタあたしはエステル…、エステリーゼの…
警備兵エステリーゼ様の、何だ?
リタだから、エステリーゼの……
警備兵だから、何だと言うのだ!フン、どうせ答えられんのだろう。ほら、さっさと立ち去れ!
レイヴンリタっち、どうしたのよ?言えばいいじゃない、友達だって
リタ…う、うっさいわね!
リタあーもうっ、早く呼びなさい!じゃないと、ファイア…
レイヴンわー!ちょっとちょっと!ここでファイアボールはまずいって!
アーチェん?お城の中から、誰か出て来たよ
???何の騒ぎです?
リタあ、エステル…ちょうどいいところに来たわ!
エステルまあ、リタ!来てくれたんですね!
警備兵ほ、本当にエステリーゼ様と、お知り合いだったのか…?
リタだから言ったじゃない。これでもまだあたしを疑うっての?
警備兵し、失礼いたしました!ご無礼のほど、お許しください!
レイヴン嬢ちゃん、久しぶり。元気してた?
エステルレイヴンも一緒だったんですね!
エステルはい、わたしは元気です。二人もお元気そうで何よりです
アーチェねえねえ、リタ。まさかこのエステリーゼ様ってウィンドルのお姫様とか…?
リタうん、そうよ
アーチェお姫様と友達だったなんて二人ともすごいんだねえ。驚いちゃった…
エステルええと、そちらの方は…?
レイヴンああ、この娘はアーチェちゃん
レイヴントーティス村再建のお手伝いをしてるんだって
エステルまあ、ではクレスの…
エステル初めまして、エステリーゼ・シデス・ヒュラッセインです
アーチェは、初めまして!
アーチェエステリーゼ・シデひゅ…シデス・ひゅら…?
エステルあ、エステルって呼んでください。言葉も普通でお願いします。二人のお友達ならわたしのお友達ですから
エステル…それより、どうしたんです?こんな大変な状況の時に、揃ってバロニアへ来るなんて…
リタそれなんだけど、実は――
街の女きゃあああ!
警備兵な、何だ!?
街の女魔物が突然街へ入ってきて…
アーチェ…!大変、早く助けないと!
エステルはい、行きましょう!
警備兵エステリーゼ様…!魔物退治へは私が――
リタいいから!魔物の事はあたし達に任せてあんたはここを守る、いい?
警備兵で、ですが…!
エステル城内には国王陛下もいらっしゃいます
エステル魔物を中へ入れるわけには行きません!
レイヴンおっさんはお任せしたいとこだけど、そういうわけにもいかないか
レイヴンよし、みんな!俺様の後に続いて…
レイヴン…って、もう行っちゃった!?おっさん悲しい…
scene3悲劇の村、トーティス
エステルこれで魔物はいなくなりましたね。みなさん、ありがとうございます
アーチェあんなの、どうって事ないわ!
アーチェそんな事よりエステル、さっき「クレス」って言ったよね?
アーチェエステルはクレスとも友達なの?クレスが今どこで何をしてるのか、知らない?
エステルクレスなら、少し前にバロニアへ来ていました
エステル今はもう行ってしまいましたけど…
エステルどこに向かったのかは、わたしも聞かなかったのでわかりません
エステルすみません…
アーチェうーん。入れ違いってヤツかあ。本当どこで何やってんだろ
リタところで、エステル。さっきの話の続きで、あんたに頼みがあるんだけど…
エステル──なるほど、そうだったんですね
レイヴン嬢ちゃんは、今回の戦いでウィンドルが投入した新兵器について何か知らないの?
エステル確かにリタの言う新兵器が投入されたという話は聞いています
エステルでも、魔導器かどうかはわかりません
エステルア・ジュールの所有する兵器は特殊な力を持つそうで、普通の兵器だと対抗出来ないそうです
エステル…ア・ジュールの兵器が魔導器であるのかも、わかりません。ごめんなさい、リタ
リタそっか…
リタでも別にあんたが謝る必要なんてないわよ
アーチェねえ、両国の新兵器が魔導器かどうかって重要なの?兵器って事には変わりないじゃん
レイヴンリタっちにとっては重要なのよ。魔導器大好きだもんね、リタっち
リタう、うっさい!
エステル魔導器…そういえば…
リタ何か思い出したの?
エステル確か、西にあるイニル街に、魔導器研究に使っていたという施設があると聞いた事があります
リタイニル街…?
リタあれ、その街の名前…どっかで聞いたような……
リタあ、思い出した!!
リタそこって確か、一時変な病気が流行ってたとかどうとか…
アーチェ変な病気…何それ、こわいじゃん!今は勿論、治まってるんだよね?
リタそのはずよ
リタま、あたしも人づてに聞いた話だから詳しくは知らないけど
レイヴン魔導器の研究施設…リタっち、これは行ってみる価値アリじゃない?何かわかるかもよ?
リタうーん…正直これ以上寄り道したくはないんだけど。あたしが行きたいのは国境だし…
リタでも、もしかしたらこの国の魔導器があの光や地震と関係があるかもしれないんだし、調べる価値はある、か…
エステル…リタ、わたしも一緒に連れて行ってもらえませんか?
リタいきなり何言い出すのよ、エステル
リタ自分の国がこんな状態の時にあんたみたいな立場の人間が…
エステル戦争が再開されると知った時からずっと考えていたんです
エステル本当にこうするしかないのかって
エステルわたしだけじゃありません。陛下も、最後までその判断を出すのに悩ましい様子だったそうです
エステル結局、答えは出ないまま、応戦せざるを得ない状況となり戦争再開になってしまいましたが…
レイヴン嬢ちゃん…
エステル戦争そのものばかりか、それが異変を引き起こしているとしたら。二重に人々を苦しめているとしたら…
リタエステル…。まだそうだと決まったわけじゃないわ
エステルだからこそ、異変の原因を突き止めなければならないと思うんです
エステル出来れば自分の目で…耳で知りたい。そして責任を取りたいと思うんです。ただの我がままかもしれませんが…
エステルリタがお城に来たのは偶然じゃないって思うんです。お願いです。一緒に連れて行ってください
リタエステル…
リタ分かった。そこまで言うなら。だけど、一つ言っとくわ
リタあたしは、この件であんたが責められる必要なんてないと思ってるから
リタあたしはただ真相が知りたいだけ
リタだからその…あんたがここで責任を感じる必要はないっていうか…
エステル…わかってますよ、リタ。ありがとうございます
アーチェじゃあ、改めてよろしくね。エステル!
アーチェ…うわあ、お姫様と旅なんてすっごいじゃん!
レイヴンさてさて、そんじゃ警備に見つかってお尋ね者にされる前に、さっさと行こうじゃないの
レイヴンって、よく考えたら四人で男はおっさん一人…こりゃなかなか照れるねえ
リタ誰も気にしてないから、好きなだけ勝手に照れてれば?
レイヴンひどっ!
アーチェこれでもっと賑やかになるね!さってと、じゃ、次の目的地のイニル街に向かおっか
scene1リタとエステル
アーチェねえ、結構歩いた気がするんだけど…イニル街って、遠いの?
エステルそこまで遠くはないはずですが…ひょっとして、道に迷ってしまったのでしょうか…
レイヴンこの辺りで、一旦休憩にしない?おっさん、歳だから疲れちゃって
リタ情けない…
アーチェまあ、何だかんだでずっと歩き通しだったしね。少しくらいならいいんじゃないの?
リタ仕方ないわね。まあいいわ、この時間を利用して…
エステルリタ、どこへ行くんです?あ…読書ですか?
リタまあね
レイヴン何なに?わざわざ別のとこなんて行かないで、ここで読めばいいじゃないの
リタ気が散るから嫌。言っとくけど、邪魔したらぶっ飛ばすからね
レイヴンお~こわいこわい
アーチェま、いいんじゃない?一人で集中したい時もあるでしょ。あたしもちょっと散歩してくるね
エステル
リタよいしょっと…この辺りなら静かだし、集中できそうね
リタ
エステル
ガサガサ…
リタん…?何か音が…まさか、魔物…?
???ナァ~
リタ猫!?こんなところで…あんた、どこから来たの?
リタふーん。毛並みもいいし、野良じゃなさそうね
リタほら、おいでおいで
リタナァ~♪
???
リタナァ?ナァ~
リタあ…ちょっと!
リタあーあ、行っちゃった…
エステル可愛かったですね
リタにゃーっ!
リタエ、エステル…!ちょ…何でここに…
エステルリタと少しお話がしたいなって後を追ってきたんです
リタ
エステル…?
ギャオオオオ!
エステルこれは…魔物の声です!
リタもしかしてあの猫…大変!
グルルルル…!
???フーッ!
エステルあそこにいました!
リタちょっと!その子から離れなさい!
scene2リタとエステル
リタよかった、無事みたいね
???ナァ~♪
エステルリタにお礼を言ってるみたいですよ
リタそ、そう?どうだか
リタ今度は気をつけて帰んなさいよ
エステル行ってしまいましたね
リタそれでエステル…さっきの事なんだけど…その…
エステルリタ、猫が好きなんですね。物真似、とても上手でした
リタ…!あ、あれはその――
エステルわたし、リタの新たな一面が見られて、すごく嬉しいです
エステルリタの事、もっと好きになりました
リタ…!ば、バカな事言ってないでほら、みんなのところに帰るわよ!
エステルえ?リタ?でも、今休憩し始めたところで…
リタもう終わり!この話も休憩も、終わりよ…!
エステル…?
レイヴンあ、いたいた。二人ともどこに行ってたのよ?
レイヴンアーチェちゃんもどこかに行っちゃったみたいだし…
エステル向こうの方に猫がいて、それでリタが…
リタわー!!…えーっとその…
リタそう、向こうで少し話してたの!…それだけよ!
レイヴン話?何の話をしてたのよ?
リタそ、それは…
エステルあ…それは、その…内緒です!わたしとリタ、二人だけの秘密です!
リタ…ほっ
レイヴンえー、ずるい。おっさんにも教えてよ。でないと泣いちゃうから
リタか、勝手に泣け!
リタとにかく、別におっさんにわざわざ話すような事じゃないわよ
レイヴン隠し事なんてリタっち冷たい…じゃあエステルちゃん、教えて?
エステル…ふふっ、二人だけのヒミツです
リタ…!
レイヴンえー。ずるいずるいずーるーいー
リタと、とにかく…これで休憩は終わり!
リタほら、おっさん、あんたはさっさとアーチェを呼んでくる!いい?
レイヴンへいへーい…まったく人使い荒いんだから…
scene1イニル街の傷跡
リタへえ、ここがイニル街…
レイヴン見たところ普通の街だけど…本当にこんなとこで、魔導器が研究されてたっていうの?
???ナァ~
アーチェあー、あんなところに猫が…
エステル…!リタ、あの猫…
リタうん、さっき街道で見た子に間違いないわね
レイヴンおんや、リタっち。あの猫と面識有って感じ?
リタま、まあ、ちょっとね…って
リタあ…!
アーチェ行っちゃったね…
リタ
エステル…リタ、あの子の後、追いかけてみませんか?
リタえ…
アーチェあ、それいいじゃん!
アーチェ聞き込みしようにもアテもないし、あの子の飼い主とかちょうどいいかも
レイヴンそういう事なら早いとこ追いかけた方がいいんじゃない?
レイヴンあの猫、見た目の割に足が速そうだったし
リタえ、ええと…
エステルリタもほら、早く行きましょう!
リタわ、わかってるわよ!
???はい、ルル。ご飯だよ
ルルナァ…
???もしかして、ロイヤル猫缶がいいの?
???駄目だよ、あれは晩ごはんの時だけ!ルドガーにも言われてるんだから
リタあの猫、ルルって言うんだ…
???あれ?あなた達、誰?
エステルこんにちは。その猫、あなたが飼っているんです?
エルルルの飼い主はエルじゃなくて、ルドガーだよ。エルはお世話をしてるだけ
エルルドガーはね、ちょっと前にエルのおうちのお隣に引っ越してきたの
エルでも、この前のジシンでエルのおうち壊れちゃったから…
エル今、ルドガーのところでイソーローしてるんだ
アーチェそっか。いい人がお隣でよかったね
エルうん!
リタところでエル、そのルドガーって人はどこ?あたし達聞きたい事があるんだけど
エルルドガーは、今いないよ。メガネのおじさんと一緒にヒトダスケしに行くんだって。
アーチェメガネのおじさん?
エルメガネのおじさんは、ルドガーのお兄ちゃんだよ
エルユリウスって名前なんだけど、エルはメガネのおじさんって呼んでるんだー
エル二人とも、出かけちゃったから、エルがお留守番してるの
レイヴンありゃりゃ…エルちゃん、こんなに小さいのに一人でお留守番してるなんて…偉いのね
リタまあ、いないなら仕方ないわね
リタじゃあ一応聞くけど、エル、あんた魔導器について何か知らない?
リタこの街に、魔導器を研究してた施設があるって聞いて来たんだけど
レイヴンちょ、ちょっとリタっち!こんな小さな子に聞いたってさすがにわかるわけ――
エルうん、知ってるよ
レイヴンえ、本当に!?
エル前に王様が作ってた魔導器はもう壊れちゃってるけど、それでもいいならエル、案内するよ
エステル是非、お願いします
レイヴンほへー聞いてみるもんだねえ
アーチェこんな小さい子が魔導器の事知ってるなんて、ちょっと意外~
リタじゃあ、早速お願いするわ。ルル、また後でね
ルルナァ~
scene2イニル街の傷跡
エルここだよ
リタここが例の研究施設…?
エルうん。ここで魔導器を作ってたんだよ
エルたくさんハイエキが出てそのせいで街の人がいっぱい変なビョーキになっちゃったの
リタ…廃液…なるほど、それが奇病の正体ってわけね。どういう――
エルエル、ミラとユーリと一緒に魔導器を壊して、そうしたら、みんなのビョーキが治ったんだよ
リタはあ!?ユーリが魔導器を壊した!?
レイヴンユ…ユーリって、まさか…あの黒髪長髪の青年の事かしら…?
エステル騎士団を脱退したという話は聞いていますが…まさかユーリが壊したなんて…
リタ壊すとか何考えてんのよ!
リタ…あ、でも奇病の原因になってたのよね。うー…
リタその場にあたしがいたら、きっと壊さずに止める方法を見つけられたかもしれないのに…
エルリタは、魔導器壊すのイヤだったの?…ビョーキでみんなが、困ってても?
リタそ、そんな事言ってないでしょ!
リタただ…本当に悪いのはそういう使い方する奴で、魔導器は、その…
エルふーん…
アーチェそれにしても、魔導器って本当は人の生活を豊かにするいいものなんでしょ?
アーチェなのに、扱い方によっては簡単に凶器になっちゃうんだね…
リタ
リタそれは魔導器に限った話じゃないわ。どの道具であっても同じ事でしょ
レイヴンまあ、そうだわねえ
エステルじゃあ早速、中に入ってみます?
エル入り口はこっちだよ。前はハイスイコウから入ったんだけど今はフツーに入れると思うよ
レイヴンそりゃありがたい。おっさん、水に濡れるのは勘弁よ
アーチェ何にもないわね…
エステルせめて残骸でも残っていればよかったんですが…
エル怖い顔した兵隊さん達がいろいろ持って行っちゃったよ
リタまぁ、見張りもいない研究所に、大事なもの残すバカはいないわよね。でも逆に…
リタここまで綺麗に何もないとよっぽど人には知られたくない事をしてた、って考えるのが妥当ね
リタそれが何かがわからないのは悔しいけど
レイヴン結局、バロニアでもイニル街でも、大した収穫はなかった、か。おっさん、面目ないわ
リタ別に大して期待してなかったし。やっぱりこのまま国境地帯に…
アーチェあー、ごめん、それ無理!
リタな、何よ、いきなり大声出して
アーチェイニル街の手前で聞いたんだけど、国境の辺りにすごい地割れが出来て大陸が分断状態なんだって
アーチェ伝えるの忘れてた、ごめん!
リタ忘れてたって、あんたねえ…って、じゃあ、もうこのまま進んだって意味ないって事じゃない
レイヴンこりゃ国境は諦めるしかないかねえ。閃光の原因探るどころじゃないわ
リタ…国境は仕方ないわね。アーチェの話が本当ならそもそも封鎖されているかもしれないし
リタそれに、ウィンドルの新兵器は魔導器かどうかわからない、ってエステルも言ってたわけだし…
リタだったら、他の方法で光の正体を探るまでよ。あたしはア・ジュールに行くわ
レイヴンへ?ア・ジュール!?
リタそう。ウィンドル側は手詰まり。国境にも行けない
リタとなれば、次はア・ジュールを調べるのは当然よ
アーチェア・ジュールか…。じゃあ、ウィンドル港から船でア・ジュールへ向かうんだね
アーチェっていうか、エステルを敵国に連れて行っちゃっていいの?見つかったらまずいんじゃない?
エステルそれは…でも出来ればわたし、やはり最後まで一緒に行きたいです
エステル駄目でしょうか…
レイヴンまあ、ここから一人で帰れってのも、それはそれで無茶だわなあ
レイヴンあ、でもさ、クレアちゃん達の話じゃ船止まってんじゃなかったっけ?
レイヴン動いてりゃいいんだけどねえ
エルお話、終わった?
エルエル、そろそろ帰らないとだし
リタ…ああ、そうだったわね。エル、案内ありがと。助かったわ
エルどういたしまして。じゃあ、エルは帰るね!
エルあ、そうだ!
エルもしルドガーとメガネのおじさんに会ったら、エルは元気だよって、伝えてくれる?
アーチェおっけ。もし会えたら、とびきり元気にしてたよって伝えておいてあげる
エルありがとう!
リタじゃ、そろそろ行くわよ
scene1ア・ジュールの協力者
アーチェウィンドル港に着いたけど…海、荒れてるね…
船員現在、各国行き定期船の航行は全て休止です。再開の見込みは立っていません!
リタやっぱりまだ船は動いてないか…
リタでも、何としてもア・ジュールに行かなきゃ…!
リタ…あそこに小船があるわ。海が荒れていようが非公式だろうが渡航できれば何でもいい。行くわよ
アーチェちょっとぉ!リタ、本気なの!?
アーチェ行きたい気持ちはわかるけどさあ、これ、命に関わっちゃうレベルだよ?
レイヴンおっさんもアーチェちゃんに賛成~。この状況で無断で国境越えなんて無謀過ぎ!
レイヴン命あっての物種だよ?
リタ来たくないなら来なくていいわ。あたしは一人でも行ってみせる
エステルわたしも行きます!
エステルあ…小船の近くに人がいます!交渉してみましょう、リタ!
アーチェあ~ん、もう!誰も行かないなんて言ってないでしょ!
アーチェ置いていくなーー!!
レイヴンあ~あ~、みんなしてもー。これが若さってやつ?
レイヴンしょうがないね、どーも…
エステルあの、すみません。この船の持ち主の方です?
???…?そうだが…
レイヴンただの船乗りにしては鋭い目つき…ただもんじゃなさそうねえ
エステルわたし達、どうしても、ア・ジュールへ行きたいんです。船を出していただけませんか?
???この状況を見てわからないのか?今、海に繰り出すのは危険だ。悪い事は言わない、やめておけ
エステル海が荒れているのはわかっています
エステルでも…それでも、行きたい…いえ、行かなければならないんです
???
リタあたし達、今回の戦争で使われた兵器について調べてるの。それがこの天変地異の原因かもしれないから
リタだから、どうしてもア・ジュールに行く必要があんのよ。わかる?
レイヴンちょっと、リタっち。そんな上から目線な…
???…天変地異の原因だと?
???確かに、ただの自然現象とは思えないほどの事態だが…
エステル詳しい事はまだわかりません
エステルですがア・ジュールへ行けば何か手がかりが得られるかもしれないんです…!
???お前達、そんなに必死に天変地異の原因を探ってどうする?
???原因がわかれば得る物でもあるのか?
エステル苦しんでいる人々を助けるのに、何かできる事があるなら行動したい。それだけです
リタ…あたしは新兵器の正体を確かめたい。それだけよ
リタそれが本当に魔導器で、変な使い方してるなら、相手をぶん殴ってでも止めさせるわ
???詳しい事情はわからない、…けど、お前達が真剣だって事はよくわかった
???…いいだろう。ア・ジュールへ連れて行ってやる
アーチェほんと!?
???ただし、この異変の影響で海も大荒れ…それに、いつまた大地震が来るとも限らない
???それ相応の覚悟をしておけ
レイヴン念のため、聞いておきたいんだけど、覚悟って…
???勿論、海の藻屑となる覚悟だ
レイヴンあー、やっぱり…
セネル俺はセネル・クーリッジ。海上から人々の救助活動を行っているシーブル村のマリントルーパーだ
セネル…本来ならば人命救助を行う立場の俺が、人が死ぬかも知れない荒れた海に船を出す事自体間違っているが…
セネル最近、天変地異を境に人が行方不明になる現象が何件も確認されている
セネル俺は海に落ちたのではないかと考え、独自に調査を進めていた
セネルだが、手がかりはなしだ
セネル…お前達が天変地異の調査をしているというなら、情報が交換条件だ
セネル…了承するなら全員すぐに乗り込め
エステルわかりました。何かわかったらセネルにもお知らせしますね!
エステルよろしくお願いします
レイヴンとほほ…藻屑にならないといいけど…
scene2ア・ジュールの協力者
セネルア・ジュール港の近くに着いた。歩けばすぐ港街に入れるだろう
セネル…藻屑にならなくてよかったな
リタよくないわよ…気持ち悪い…うっぷ
アーチェリタってば船酔いー!?ちょっと、大丈夫なの?
セネルじゃあ、俺はもう行く。ここに長居していると、ア・ジュールの奴らに目を付けられる
エステルありがとうございました、セネル。このご恩は忘れません
セネル交換条件の事、忘れるなよ。俺も何かわかったら知らせる
セネル…またな
アーチェうん、まったねー
レイヴンやれやれ。改めて考えると旅に出てからいろんな人に会って、いろいろ手助けしてもらったもんだねぇ
エステルはい。こんな風に世界中の人々が手を取り合う事ができれば、戦争など起こらないと思うのですが…
アーチェほんとよね…どうして戦争なんか――
リタうえっぷ…
レイヴンちょっとリタっち、本当に大丈夫?顔色真っ青よ?
ア・ジュール兵お前達、何者だ。どこから来た?
エステルあの、わたし達は…
レイヴン…嬢ちゃんは立場上あまり顔を出さない方がいいかもね。後ろに下がっといで
エステルは、はい…
リタ…あたし達、シルヴァラントから来たの
ア・ジュール兵シルヴァラントだと?目的は?
リタ…ちょっとした調べ物。船酔いで気持ち悪いから、もう行っていいでしょ?
ア・ジュール兵怪しいな。お前達、本当はウィンドルのスパイなんじゃないのか?
アーチェは?何言ってんの。そんなわけないじゃん!
ア・ジュール兵いいや、やはり怪しい。こうなったら全員の身柄を拘束し、徹底的に調べてやる!
レイヴンそりゃまずい…ねえ旦那ぁ、そう固い事言わないでさ、ね?
ア・ジュール兵抵抗すると痛い目に遭わせるぞ!
リタあーもう、うっさい!
リタ人が気持ち悪くて吐きそうなのに、ごちゃごちゃ騒ぐんじゃないわよ!
リタあたしは、あんたらの国が使った兵器の事を知りたいだけ!邪魔するとぶっ飛ばすわよ!!
ア・ジュール兵何だと…!
レイヴンあちゃー…リタっち、それだけは言っちゃ駄目
ア・ジュール兵兵器の偵察…!?お前達、やはりウィンドルのスパイだな!全員牢屋にぶち込んで――
???あー、ちょっと待ってくれ。彼らはオレの知り合いだ
ア・ジュール兵あ、あなたは…スパーダ・ベルフォルマ様!
スパーダお役目ご苦労
スパーダ彼らの対応についてはオレに任せてくれ。いいな?
ア・ジュール兵はっ!
???君達、大丈夫?乱暴な事されなかった?
スパーダオレについてきな。何、悪いようにはしねェよ
アーチェ…う…うん。わかった…
アーチェど、どうしようもないもんね、この場合…
スパーダ無事に脱出成功っと。うまくいったな、ヒャハハハ!
スパーダおっと、自己紹介がまだだったな
スパーダオレはスパーダ、こいつはルカだ。よろしくな
ルカよろしくね
アーチェスパーダにルカだね。二人ともありがと!お蔭で助かったよ
エステルリタ、船酔いの方は大丈夫です?
リタうう…ようやく治まったって感じ
レイヴンお蔭で助かったけどもさ、おたくら、何だってあんな事してくれたわけ?
スパーダそいつが、うちの兵器の事を話してたからさ。オレ達も調べてたところでな
スパーダ単刀直入に聞くぜ。お前達、魔導兵器の事、どこまで掴んでる?
リタ魔導兵器…?
リタやっぱり、ア・ジュールの所有する兵器は、魔導器を使ったものなの?
スパーダあ?そんな事も知らなかったのか
スパーダ何だ、もっといろんな事を知ってるのかと期待したんだがな
エステルお役にたてなくて、すみません…
レイヴンそういうおたくらは、どれくらいの事を知ってるのよ?
スパーダ軍事用に開発した魔導器を、うちの国じゃ魔導兵器って呼んでる
スパーダヤバそうな代物だったんで、一度ぶっ壊したんだが、どういうわけか今回の戦争に投入したって話だ
スパーダオレ達が壊した魔導兵器の他にも隠し持っていたのか、あるいは新たに作り出したのか…
リタ…ふうん、なるほどね。あんた達が魔導兵器について、何を疑問視してるかは何となくわかったわ
リタ…それで、今回の戦争で使われた魔導兵器ってのは、今どこにあるの?
スパーダおそらく、北東にあるテノス兵器工場だろうな。元々そこで作ってたもんだし
ルカそれに…僕達見たんだ、テノス兵器工場にすごい数の資材が持ち込まれるのを…
アーチェテノス兵器工場…ねえ
アーチェ待って。あんたら、何でそこまで知ってるなら自分達で調べに行かないワケ?
アーチェあんた達の疑問もそこに行けば解決するんじゃないの?
スパーダま、それにはウチもいろいろと理由があんだよ。だから、信じる信じないはお前らに任せる
スパーダオレの実家はカン・バルクにある
スパーダベルフォルマ家って言えば、すぐにわかる。待ってるぜ
リタ待ってるって…どういう意味よ。調べて来て情報を寄越せっての?
リタ…そもそも、あんたア・ジュールの人間なんでしょ?どうしてあたしらに情報なんか…
スパーダだから言ったろ?ワケありなんだよ。オレやルカは今、自由に動ける状況じゃねェんだ
スパーダじゃ、同じ魔導兵器を調べるモン同士仲良くしようぜ!ヒャハハ!
ルカ詳しく話せなくてゴメンねじゃあ、また!
アーチェ…怪しいわね。テノス兵器工場だっけ?これが罠って可能性ない?
レイヴンそうねえ。はいそうですかって言って行ってみてとっ捕まるのはちょっとね
リタなら、カン・バルクに行くべきね。ベルフォルマ家ってのを調べましょ
リタ…また寄り道なのは気に食わないけど
リタ問題はア・ジュールの本拠地にエステルを連れて行く事になるって事だけど…
エステルわたし…やっぱりみなさんの足かせになっているんですよね。すみません…
リタそ、そういう意味で言ったんじゃないわよ!
リタとにかく目立たないようにすればいいんだから。いい?
ガサ…
レイヴンん?今何か音がしなかった?
ギャオオオオ!
アーチェちょ、ちょっと!いきなり魔物なんて…!
リタったく…あたし達、あんたの相手をしてる暇なんてないの!悪いけど、さくっと終わらせるわよ
scene1食えない男
エステルここがア・ジュールの都、カン・バルクなんですね。見咎められず入れてよかったです
リタさ、とっととベルフォルマ家ってのを探して、素性を探るわよ。って…また地震!?
ゴゴゴ…
アーチェ…収まった。結構頻繁に揺れてるけど、今回のはちょっと大きかったね
レイヴン戦争が再開したのに加えてこう地震が続いた日にゃ、みんなしんどいわよねぇ
アーチェでも、もたもたしてられないじゃん。ほら、ベルフォルマ家の情報を集めようよ!
リタそうね。これで誰も聞いた事がない家ならあたし達は騙されてたって事がわかる
リタ早くわかればそれだけ早くここを離れられるってもんだし
エステルすみません、リタ…わたしがいるばっかりに…
リタだ、だからあんたのせいじゃないってば!ほら、あんたら調査!目立つのはナシ!後でここに集合ね!
レイヴンもし万が一何かあったら、リタっちにどやされるからエステル嬢ちゃんはおっさんと一緒に行動ね
リタどやされるじゃ済まないわよ。しっかり任せたわよ、おっさん
アーチェ…ホンモノじゃん!!ベルフォルマ家って、ア・ジュールのホンモノの貴族じゃん!!
リタますますもって意味がわからないわ。あのスパーダって奴が偽者かと思ったけど、容姿も噂のままだったし
レイヴン普通、貴族がお上に楯突くなんてするもんじゃないからねえ。こりゃ信用してもいいんでないの?
エステル名高い一族のようですし、あまり目立っては動き辛いという話も納得がいきます
リタ確かにあいつにはリスキーな話よね。目的はよくわからないけど、あのスパーダって奴は信用してよさそう
アーチェじゃあスパーダが言ってたテノス兵器工場ってトコに行ってみる?
リタそうね。でもせっかくここに来たんだし、もう少し情報収集して行っても――
レイヴン…!?しっ。…みんな静かに。ここの兵士だ。話が聞けるかもしれないよ
ア・ジュール兵タトリン様、お帰りなさいませ
リタ…!
???ただいま。大佐はどこ?
ア・ジュール兵カーティス大佐でしたら、いつものカフェにいらっしゃいます
???また?まあいいか。じゃあ私、大佐に報告しに行ってくるから
ア・ジュール兵はっ
エステルリタ、今の…
アーチェカーティス「大佐」だってさ。この国の相当偉い人じゃん
リタあの女の後をつけるわよ。その大佐って奴を言いくるめて、うまい事情報を引き出してやる
レイヴンやれやれ。面倒な事にならなきゃいいけどね
scene2食えない男
???大佐ー!
???おや、アニスではないですか
リタあれがカーティス大佐って奴?てか、軍人なのにカフェでお茶しながら部下に報告させるってどうなの?
アニス部下があちこち駆け回っている時にこんなところで優雅にお茶だなんて、ずるくないですか
???これも情報収集の一環ですよ。市井の人々の声に耳を傾けるのも、大事な事ですからね
アニスふーん…まあいいですけど。言いつけ通り、ウィンドルの件、進めておきましたよ~☆
???ご苦労様でした。後は、有力な情報を持ち帰る事を期待して待ちましょうか
レイヴンリタっち。おっさんにはわかる。ああいう輩は相手にしたらいけないタイプよ
リタ大佐だか何だか知らないけど、そこに軍の幹部がいるのよ?こんな機会逃す手はないわ
リタ誰も知らない魔導兵器の情報を聞き出す、絶好のチャンスじゃない。行ってくるわ
リタ…ねえ、そこのあんた達!
レイヴンえ、ちょ、ちょっと、おっさん知らないよ~!?
アニス…?
???どなたですか?
リタ単刀直入に聞くわ。魔導兵器の事を教えなさい
アニス…!
???これはこれは…いきなりすごい事を尋ねますね。何故そんな事を知りたがるんですか?
リタあたしは魔導器の研究者よ。魔導器を使った兵器を作ったりして、あんた達、一体どういうつもりなの?
リタそれにあんたの国が魔導兵器を使って戦争再開させたそうじゃない。何考えてんのよ。バカじゃないの?
アニス何言ってんの?先に仕掛けてきたのは、ウィンドルじゃ――
???まあまあ、アニス
???いやー、興味深いですね。まさかカフェで魔導器研究者の方と話をする機会があるとは思いませんでした
???ご質問の魔導兵器の件ですが、残念ながら詳しい事はお教えできません。重要機密ですから
???ところであなた、魔導兵器の事をどこで知ったのですか?機密情報ですから本来、知るはずがないのですが
???知るはずのない情報を知っているあなたは尋問対象となる資格を十分満たしていると言えます
???とはいえ、この店で騒ぎを起こしたくありませんので…
???情報元を教えていただければ、見逃して差し上げますよ
???悪い取引ではないと思いますがね。いかがです?
レイヴン…リタっち!これ以上は、ヤバいって…!
リタ情報の出処?研究者としての、あたしのカンよ。何か文句ある?
???…勘、ですか。わかりました。…そういう事にしておきましょうか。今は、ね
???では、話は終わりです。騒ぎにならないうちに、早めにお帰りになる事をお勧めしますよ
アーチェも、もう!リタってば無謀過ぎるよ!ヒヤヒヤさせないでよぉ…!
リタ…気に食わないわね、あの軍人。もういいわ、行きましょ
アニス大佐…あの連中…
???
レイヴンちょっと、リタっち、おっさん正直肝が冷えたわよ。目立つの禁止って自分で言っておいてさ
リタ食えない奴だったわ。あのまま話してても、ボロなんて絶対に出さなかったでしょうね
エステルあのまま話していたら、リタが捕まってしまったかも知れないんですよね…
リタカフェにいるから騒ぎを起こしたくないなんて、わざとらしいにもほどがあるわ。これから見張られるかも
アーチェうう~。やめてよね~。もうこの街から離れた方がいいよ。こうなったらテノス兵器工場に逃げ込んじゃおうよ
レイヴン…ますます敵の懐に入る感じがして、おっさん嫌だわ。ま、向こうさんにとっては予想外だと信じたいとこだね
scene1導き出した答え
アーチェさっすが…兵器工場ってだけあって、大きい建物ね。警備も随分と厳重だし…
リタスパーダの言ってた通り、ここに魔導兵器が存在する可能性は高そうね
ア・ジュール兵1異常はないか
ア・ジュール兵2はっ
アーチェ…で、どうやって中に入るのさ?軍事機密だし、見張りもいるしさっきみたいな直球じゃあ
アーチェ入れてもらえるどころか捕まっちゃうのがオチだと思うけど…
リタ正面から入れないなら、裏から入るまでよ
エステル…侵入するって事です?そんな事をしてしまって、大丈夫でしょうか…
レイヴン大丈夫…じゃあないと思うけどね。見つかったら、牢屋に入れられてそんでもって拷問とかされて――…
アーチェ
リタ捻り潰すわよおっさん…って言いたいところだけど、おっさんの言う事は一理あるわ
リタ何度も言ってるけどあたしは魔導器を変な使い方する奴が許せないの。これはそのあたしが勝手にやってる事
リタだから、嫌ならついて来なくていい。ましてや軍事機密の施設に乗り込むんだから。殺される可能性だってあるわ
レイヴン…それでもリタっちは行くんだよねえ
リタ当然でしょ。何のためにここまで来たのよ。このまま帰るなんてごめんだわ
アーチェだよね~。リタって「こう!」って決めたら、絶対諦めなさそうだもんね…オッケー。あたしも行く
アーチェあたし、逃げ帰ったなんてチェスターに言いたくないもん。…笑われるし
エステルリタ、わたしも行きます。止めたって駄目です!
レイヴンま、こうなるのはわかってたけどね。おっさんだけ帰るなんて出来ないし、さ、こっちこっち
エステルえ?レイヴンは侵入できる場所を知ってるんです?
レイヴンこういうのは排水口って相場が決まってるもんよ、嬢ちゃん。じゃ、行きますかね
エステルよいしょ…っと。あ、通路のような場所に出ましたね。侵入成功です!
レイヴン嬢ちゃん、嬉しいのはわかるけど声の大きさに気をつけてね。そこらに兵士、うじゃうじゃいるから
リタ…ますますもって怪しいわね。絶対に魔導兵器作ってる奴ぶっとばしてやる
アーチェ…向こうから兵士が来る…!みんな、隠れて!
コツ…コツ…コツ…
リタ
レイヴン…行ったかしら?
アーチェもう大丈夫だと思う。ふう、ひやひやしちゃった
エステル中も警備は厳重みたいですね
リタ見つかったら一巻の終わりね。…手早く済ませましょ
ア・ジュール兵お前達、何者だ!?
アーチェやば!もう見つかっちゃったじゃん!!
ア・ジュール兵貴様達、さてはウィンドルのスパイだな?
レイヴン残念。うちらの所属はバラバラ、言わば連合国の部隊ってとこかね
リタバカ言ってんじゃないわよ!みんな、逃げるわよ!
ア・ジュール兵待て!
scene2導き出した答え
リタまだ追いかけてくる…ったく、しつこいわね!エステル、そこの扉よ!入って!
エステルはい!
バタン!
アーチェ…逃げ切ったかな?ちょっと距離あったもんね。扉に入るところは見られなかったと思うけど
レイヴンでも、見つかるのは時間の問題よ。向こうも血眼になって捜してるだろうし
リタ通路にいる兵士の気配がなくなったらこの部屋を出て魔導兵器の探索。発見、調査次第すぐに脱出。いい?
エステルわかりました!
リタ実物を調べればわかるかもしれない。この異変を引き起こした原因が…。ううん。絶対に突き止めてやるわ…
???そこにいるのは誰?
リタ…!何、あんた…?
レイヴン浮いてる…
???あなた達…見ない顔ね。新しく入った人?
レイヴンそ、そうそう!おっさん達最近配属になった新人。よろしくね、お嬢さん
???そう…。で、私に何か用かしら?魔導兵器の調整なら、もう少し時間がかかるわよ
リタ…魔導兵器!?これが…!?
レイヴン…調査するも何も、この部屋が魔導兵器の実験室だったワケね。こら、ツイてるわ
???…本当はこんな兵器、もう使いたくなかったんだけどね。ガイアスも、よく思ってないし…
エステルガイア…いえ、陛下が…?そうなんですか…
リタねえ、この国…えーっと…あたし達の国の魔導兵器って、いわゆる一般的な魔導器と同じなの?
???原理的にはね。ただ、魔導兵器はその力を最大限に引き出せるよう、魔導器の出力を上げたもの
???そのせいで、魔導兵器が消費するマナの量は、通常の魔導器とは格段に違う…
リタなっ…それは本当なの!?
???ええ。あなたの指す一般的な魔導器が何なのかはわからないにせよ、比にもならないわ
リタ比にもならないって…。そんな…何て事なの…
レイヴンあーちょっと、リタっち?いまいち状況が飲み込めないんだけど今一体どういう話になってんの?
リタ…マナってのは、あらゆる生命の源でこの世界の調和を司る物質の事で、魔導器の動力源でもあるの
リタそのマナがなくなれば、人間はおろか、世界そのものの生命にだって影響が出てくる
アーチェ世界そのものの、生命…?
エステルじゃあ、魔導兵器を使用した今は、マナが大量に消費され、世界の命が蝕まれている状態だという事です?
???…そういう事よ。もしかしたら、今この世界で起きている異常も…
レイヴン…!て事はリタっちの予想通り…
リタそんな危険なものだって知りながら何でそんなもの使ったのよ!?攻撃するにしても何か別の――
???…背に腹は代えられない
???向こうが魔導器を使っていたのよ。こちらも対抗措置を講じていなければこの国は滅んでいたわ。確実にね
エステル…!それじゃ、ウィンドルの新兵器も、やはり魔導器だったんですね…
エステルあの…教えてください、ウィンドルの魔導器も、この国の魔導兵器と同じ仕組みなのでしょうか?
???このマナの枯渇状況からみて、マナを食い潰しているのはウィンドルの魔導器も同じでしょうね
エステルそんな…
リタ…当然よね。出力の高い魔導器を使用すれば、消費するマナの量も比例して上がる…
リタ予感はしてたけど、両国とも魔導器を使ってた…それも最悪な使い方で…!許せない…!!
???…?あなた、一体――…
ア・ジュール兵ミュゼ様!不審者が内部に侵入しました。ウィンドルの工作員かもしれません!
アーチェ…!やば…
ミュゼウィンドルの工作員ですって…?まさかあなた達…
ア・ジュール兵こ、こいつらは…!!ミュゼ様、こいつらが侵入者です!間違いありません!
レイヴンちっちっち。若人。我々は連合国の部隊だってば。ウィンドルだけじゃないんだよね
ミュゼやたらと魔導器に詳しい子がいるとは思ったけど、ウィンドルのスパイだったなんてね
ミュゼよほど自信があるのかしら
ミュゼでも…、ガイアスのために作った魔導兵器をみすみすウィンドルの人間に渡すわけにはいかないわ!
レイヴンいやだから、うちらはウィンドルの人間だけじゃないんだけど…おっさんの話、聞いてくんない?
リタ作ったですって!?こんなバカな真似したのはあんただっていうの!?
エステルリ、リタ、落ち着いてください。あの、ミュゼさん、わたし達は…!
ミュゼごちゃごちゃうるさい!あなた達はここで始末するわ!
scene3導き出した答え
ミュゼ…っ!やるわね…!でも、これで私を止められると思わないで
リタ別にあんたを殺したいわけじゃない。あたしはただ魔導器でバカな真似をするのをやめさせたいだけで…
ミュゼどんな御託を並べても無駄よ。あなたの目的はこの魔導兵器の情報を盗む事でしょう
エステル侵入するという手段を取った事は謝ります!ですが、決して情報を盗むつもりなんて…
ミュゼ本当かしら。そもそも、先に攻撃を仕掛けてきたのはウィンドルよ。これ以上ガイアスの邪魔はさせない!
レイヴンだからこっちはウィンドルじゃなくてって、聞く耳持たずを地で行ってるわこりゃ
ミュゼ今度こそ、覚悟しなさい!
???双方、そこまでです
リタあんた…!
アーチェカン・バルクの何とか大佐じゃん!まさかホントにつけられてたってワケ!?
ミュゼジェイド!?…なぜ止めるの?
ジェイドこの方達に下手な事をすると、ウィンドルとの関係が、余計こじれてしまいますのでね
ミュゼどうして?たかがスパイの一人や二人…
ジェイドそれが、たかがでもないんですよ。ですよね。エステリーゼ・シデス・ヒュラッセイン殿下?
リタなっ…!あんた、エステルの正体を知って…
レイヴン…そりゃそうでしょ。カン・バルクでリタっちが勝手に聞きに行っちゃうしおっさん、アピール頑張ったんだから
リタは、はあ!?あんたがエステルの事、バラしたっての!?あのメガネに!?ふざけんな!
レイヴンじゃないとあの場で処刑だって。それに顔バレてないワケないでしょ。嬢ちゃんが、さ。…でしょ?
ジェイドどこまで本気かは図りかねましたが必死に彼女の顔を指さしていましたからね。いやあ、見ものでした
ジェイドリタでしたか。あのままあなたが魔導兵器の情報源を教えてくれれば私はどちらでもよかったのですが
ジェイドテノスに向かったという情報を得たので、ここで待たせてもらいましたよ。殿下が殺されては厄介ですからね
ミュゼ王族が工作員なんてね…。いきなり戦争を仕掛てきたりするし、ウィンドルは何を考えているのかしら
リタウソね。ア・ジュールが先に仕掛けたって聞いたわ。卑怯なのはどっちなの?
ジェイド…無駄な議論はその辺にしませんか、二人とも
ミュゼ無駄な議論?攻め込んできたのは、ウィンドル。これは間違いない事でしょう?
アーチェ…あのさ、何かおかしくない?
アーチェ今さ、この戦争仕掛けたのってウィンドルとア・ジュール、両方だって言い合ってたじゃん
アーチェ何でどっちかってわかんないの?どうしてどっちもなの?同時に仕掛けたんだったらわかるよ?
アーチェでも、違うんだよね?これっておかしくない?でさ、思ったんだけど…
レイヴンいや、それはどっちもただ自分の都合のいい事を言ってるだけなんじゃ…
アーチェ勿論そうかもだけどさ、でももし、どっちも正しかったらどうなるのかなーって
エステル…どういう事です?
ジェイド興味深い話です。続けてください
アーチェ要するに、最初の一発目はどっちの国も撃ってないって事だよ。この戦争が始まる時のさ
ジェイド…その可能性に思い当たったのはあなたが最初ではありませんよ。ここに報告書があります
リタ…報告書?
ジェイドはい。我が軍が作成したものです。攻撃時間について記録が残っています
ジェイドウィンドルからの攻撃、7時12分。我が軍の応戦時刻、7時…20分
ミュゼウィンドルから攻撃を仕掛けたっていうのはまぎれもない事実ね
ジェイドところが記録は、これだけではないんですよ
ジェイド私の部下がウィンドルにいましてね。そこで入手したウィンドルの攻撃時間の記録です
レイヴン…それこそスパイってわけね。それで?
ジェイド…この記録によればア・ジュールからの攻撃が7時12分、と記録されています
リタそれ、ウィンドルもア・ジュールも同じ時間に攻撃を始めたって事になるじゃない
ミュゼ…どういう事?偽物を掴まされているんじゃない?
ジェイドその点は私も疑いました。ですのであなたにお聞きします。エステリーゼ様
エステルは、はい
ジェイドこのサインと印鑑に見覚えは?
エステルウィンドルが使用しているものです。…間違いありません
ミュゼつまり、その書類はウィンドルの正式な記録という事?でも、この人が嘘をついている可能性だってあるわ
ジェイド確かにその可能性は否定できません。時間をかけて真贋を調べる事も出来ますが、必要ないと思いますよ
ミュゼジェイド、あまりはぐらかさないで。…あなた、第三者が攻撃をしたって言いたいの?
リタ第三者…?あたしが見た最初の光が、第三者によるものの可能性…?
リタ…確かにあの爆発だけがケタ違いだった。それもシルヴァラントから視認できる程の威力…
ジェイド話が早い方ばかりで助かります。私もこの両国の報告書を読んでから疑問を持つようになりましてね
ジェイドとはいえ、私もア・ジュールの軍人。戦時下で迂闊な事を言えば、自分の首が危ないんですよ
ジェイドそれに戦争や天変地異で国民が不安がっている中、こんな紙切れで皆が皆、納得するとも思えません
ジェイドそこにあなた方が現れたんですよ。ウィンドル王族に魔導器に詳しい方、その他もろもろがね
レイヴンその他もろもろ…随分な言われようだ事
ジェイドさて、ここからが本題です。エステリーゼ様、この状況をどうお考えですか?
エステルわたしは…戦争を終わらせたいです。真実をリチャード陛下に伝え、すぐにでも停戦を
エステルそれにミュゼさんが言っていた事も気になります
エステル魔導兵器の使用でマナが減り、天変地異にも関係があるかもしれない、という事が
リタ…もし戦争を誘発、魔導兵器を使用させ、マナを枯渇させようとしている第三者がいるとしたら…
ミュゼ…目的は戦争や地震だけかしら?マナがなくなれば、命どころか世界が破滅するのよ
ジェイド推論はそこまでにしましょう。ここで予想を立てたところで全ては机上の空論にしかなりません
レイヴン確かにね。最初の爆発、第三者の存在天変地異、マナの枯渇。ぜーんぶ仮定のまま話が進んじゃってるからね
アーチェじゃあそれぜーんぶ確かめに行くって事?誰が?
ジェイドもちろん、あなた方と私がです
ミュゼジェイド、あなた本気!?相手は敵国ウィンドルの人間よ!
ジェイドああ、そうでした。ではみなさん。いかがでしょうか。私を「捕虜」にしてみては?
リタはあ!?捕虜!?…あんた、何考えてんのよ!
ジェイド極めて現実的かつ建設的に物事を考えているつもりですよ
ジェイド別に好きで戦争をやっているわけではありませんのでね。ですが止めるにも理由と証拠が必要です
ジェイド先程も言いましたが、私はこの国の軍人ですので、ウィンドルを正々堂々調べるわけにもいきません
ジェイドもちろんスパイを使って探る事はできますが、リスクもあります
レイヴンバレれば、国間の仲はますます険悪になる、って事ね
ジェイドその通り。ですので、私はあなた方の捕虜になり、同行する事で堂々とウィンドルに入ろうと思います
アーチェ無茶苦茶だよ…
ジェイド…という事で、今から私はあなた方の捕虜になります。こほん。「あー、捕まってしまいましたー」
リタ…あんた絶対楽しんでるでしょ。まあいいわ。情報も聞けたし、次はこいつ連れてウィンドルに行きましょ
エステル…あの、リタ!
リタ何、エステル。気になる事でもあったの?
エステル…わたしも捕虜として、ここに残ろうと思います
リタな、何でよ!あんたが残る意味なんて――
エステルあります。カーティス大佐を捕虜とした場合、この国の方が怒ると思うんです
エステルこれ以上国の関係を悪くしたくはありません。ですから…
エステルわたしは独断でア・ジュールへ停戦を申し込みに行った事にできませんか?
ジェイド…ふむ、助かりますがやや困りもしますね
ジェイド私がウィンドルに行った場合、エステリーゼ様を捕虜とした国の人間として非難される事になります
エステルでしたら、リチャード陛下に親書を。それと、リタ達にもウィンドル内を調査できるよう、手紙を書きます
ジェイドそれはありがたい。感謝しますよ。…という事です、ミュゼ。彼女の事を宜しくお願いします
ミュゼ…ジェイド。今の状況で、ガイアスを置いていくつもり?もし、ガイアスを裏切るのであれば…
ジェイドそこは信用していただくしかないですね
ジェイドそれに陛下は大丈夫ですよ。…あなたもいますしね
ジェイドここしばらく陛下にも会っていないでしょう?彼女を連れて行くのは城へ帰るいい口実だと思いますが?
ミュゼ…わかったわ。ガイアスもあなたの事は信頼しているし。この人を連れて城へ帰るわ
エステル本当ですか!?よかった…よろしくお願いしますね、ミュゼさん
ミュゼ…ミュゼでいいわ
ジェイドくれぐれも丁重な扱いをお願いしますよ。何かあった場合…わかっていますね?
ミュゼわかってるわよ!
ジェイド結構です。それと、皆さんも私の事はジェイドと呼んでください
アーチェうう~。こいつおっかないよぉ…
レイヴンおっさんも同感。おっかなーい
エステルこんな事を言い出してごめんなさい、リタ。でも、わたし、リタを信じて待っていますから
リタエステル…
エステルお願いです。戦争を止めてください。わたしも、出来る事をしますから。どうか…気をつけて
リタわかったわ。…任せて
レイヴンおーっとリタちゃん、泣いちゃう?寂しくて泣いちゃう感じ?
リタうっさい、おっさん!!
ジェイドいやー、楽しそうな仲間で心が躍りますねぇ
アーチェあたしはあんたがおっかなくて心が重いわよ…

NameDialogue
scene1襲撃
ミラウンディーネ!イフリート!シルフ!ノーム!
ミラ一体どこへ行ってしまったのだ…。こんな事は今まで一度も――
ミラ…む?
ミラこのただならぬ気配は一体…
ミラまさか、人間界で何か異変が起きているのか…?
ゴゴゴ…
ミラ…!?何だ、この音は…
ゴゴゴゴゴ…!
メリッ…!
ミラなっ…空間に穴が空いた、だと!?
ミラ何という力だ…このままでは吸い込まれて――
ゴォォォ!!
ミラくっ…!これまでか…
ミラ
ミラう…
ミラむ…?
ミラここは……人間界か?
ミラ…!
ミラこれは一体どういう事だ…!?地面は大きく割れ、辺り一面が荒廃している…
ミラそれに、このマナの激減…。さっき感じた人間界の異変の原因は、これだったのか…
ミラまさか、ウンディーネが話していた戦争再開が原因か?
ミラ…いずれにせよ、地上にこれほどの影響を及ぼすほどのマナの減少はいまだかつて見た事がない…
ミラん?これは、精霊達の気配…
ミラ
ミラ激減したマナの影響を受けこの世界の精霊達に何か異変が生じているようだ…
ミラ今のは…ウンディーネの気配…!?
ミラ…そうか、あいつらも私同様人間界へ落とされていたというわけか
ミライフリート達も気がかりだが、まずは気配が一番近くに感じられるウンディーネを捜そう
ゴゴゴゴゴ…!
ミラ地震か!?強い揺れだ…!
ミラおそらく、この地震もマナの減少が原因なのだろう
ミラ…この激減したマナを元に戻さねば、近い将来、人間界は滅びる
ミラそれだけではない。人間界と精霊界は表裏一体、精霊界にも大きな影響が出るだろう
ミラ…今思えば、精霊界で突然空間に穴が空いたのも、人間界のマナが激減した事が原因だったのだろう
ミラ…クレスやユーリ、ルーク、それにロイド…。皆はどうしているだろうか?
ミラ無事であってくれるといいが…
scene2襲撃
ゴゴゴ…!
ミラまた地震か…
ミラ早く四大と合流し、マナ減少の原因を突き止めなければ…
???そう上手くいくかな?
ミラ…む?お前達は…
ミラ…どうやら友好的な雰囲気ではなさそうだな
ミラ私に何の用だ?
???おやおや、強気な態度だねぇ。俺達なんて恐れるに足らないって事か?
ミラそれもあるが、そもそも私はお前達に行く手を阻まれる理由などないからな
???理由がない?ははは、度胸はいいけど、察しはあまりよくないみたいだな
???君は俺達の目的を邪魔しようとしている。行く手を阻まれるのには十分な理由だと思うが?
ミラ何だと…?お前達は何者だ?
???今ここで死んでいく君に名乗る必要なんてないだろ?
ゴゴゴゴゴ…!
ミラくっ…こんな時に地震か!?
ズザッ!
ミラ地面に亀裂が…
???くく…順調だな
ミラ…順調?何の話だ?
???ま、直にわかるさ
部下リドウ様。この女の始末は、我らにお任せください。リドウ様は精霊の回収を
リドウ精霊の方は既に手は打ってある
リドウ…けど、やらなきゃならない事は山積みだしな。ここは君達に任せるとしよう
ミラ精霊の回収だと…待て!お前は一体何を…!
部下おっと。貴様の相手は我らだ
ミラ邪魔をしないでもらおう!奴にはまだ聞きたい事がある!
scene1思いがけぬ再会
ミラはあ…はあ…
ザッ、ザッ…
ミラなっ、新手だと…!?
部下この女は弱っているぞ!全員で挟み撃ちにするんだ!
ミラくっ…!
部下逃がすな、追え!
ミラ行ったか…?
ミラあの程度の敵をさばき切れぬとは…四大の助力なしだと、私はここまで無力なのか…
ミラそれにしても、あの男…リドウといったか
ミラ精霊の回収と言っていたが、何を企んでいる…?
ミラそもそも人間界において、精霊の存在を知る者は限られていると聞く
ミラそれに地震で生じた亀裂を奴が見た時の反応…
ミラマナ減少の原因にも、何か関係があるとみるべきだろうな
ミラあの男…リドウにはもう一度会って、詳しい話を聞き出さなければなるまい
ミラそのためにも、まずは四大を捜し出し、力を取り戻さねば…
ミラ早くウンディーネの元に…
ミラうっ……
ミラだが、思っていた以上に、身体に傷を負ってしまったようだな…
???あれ――?もしかして、ミラ?
ミラ…!ジュード!
ジュードミラ、どうしてこんなところに――
ジュード…ちょっと待って!ミラ、全身傷だらけじゃない!?
ミラ…心配するな、ジュード。これくらい、どうという事はないよ
ジュードそんなの駄目だよ!すぐ治療するからそこに座って!
ミラ楽になった…ジュード、ありがとう
ジュード…ミラ、何があったの?ミラがこんなに傷だらけになるなんて…
ミラ……。話をすると長くなるが…
ジュード…じゃあ、今多発している地震は人間界のマナが激減している事が原因になっていたんだ…
ミラおそらくな。だから、私は一刻も早く四大を捜し出し、マナ減少の原因を取り除かねばならない
ジュードミラを襲ったリドウっていう人も何か知っていそうだね
ミラああ。私もそう考えている
ミラ奴にはもう一度会って、詳しい話を聞き出さなければなるまい
ジュード(…でも、四大精霊の力がない ミラをこのまま一人で 行かせたら――)
ミラところで、ジュードは何故こんなところにいたのだ?
ミラ街からもだいぶ離れた場所のようだが…
ジュード僕は知人に頼まれ事をされて、エリーゼと一緒にカン・バルクへ向かっているところだったんだ
ミラエリーゼも一緒だったのか?
ジュードうん。でも、向かっている最中、ウィンドルとア・ジュールの国境地帯で大きな地震に遭って…
ジュード地面が崩落するぐらい大きな揺れだったんだけど、身を伏せて何とか凌いだんだ
ジュードでも…、気付いたらエリーゼがいなくて…
ミラはぐれてしまった、というわけか
ジュードうん…。あちこち捜してみてはいるんだけど、見つからなくって…
ミラそうか…。エリーゼ、無事だといいが…
ミラ…ジュード。すまないが私は先に急がねばならない。エリーゼの事は頼むぞ
ジュード
ジュード…ねえ、ミラ。僕も一緒に行っていいかな?
ジュード今のミラは四大精霊の力が使えないんでしょ?ミラを襲った人達の事もあるし、放っておけないよ
ミラ…エリーゼの事はどうする?
ジュードわかってる。エリーゼの事だって諦めたわけじゃないよ
ジュードこれだけ捜したのに見つからないのはエリーゼがもう別の場所に移動しているからだと思うんだ
ジュード僕もここから移動するんだったら、あてもなく移動するより、ミラと一緒に行動した方がいい
ジュードそれなら、ミラの手伝いも出来るし、行く先々でエリーゼを捜す事も出来るでしょ?
ミラ……
ジュード僕じゃ四大精霊の代わりとまではならないだろうけど、出来る限り力になるから
ジュード駄目、かな…?
ミラふふふ…。相変わらず君はお節介だな
ミラでは、共にエリーゼを捜しながら行く事にしよう。私もエリーゼの事が心配だからな
ジュード…ありがとう、ミラ!
ミラでは、まずここから南へ向かおう。先ほどからウンディーネの気配を感じる。そう遠くはないはずだ
ジュードわかった。この辺りは国境付近だから、戦争に巻き込まれないように気を付けよう
scene2思いがけぬ再会
ミラ…ここは、汽水湖か
ジュード確かここは、テレヌ湖……って、あれ?こんなに大きな湖だったかな?
ミラふむ、異変の影響が地形にも変化を及ぼしているのだろう。…さて――
ミラウンディーネ、私だ!出て来てくれ!
ゴオオ…
ジュード水面に渦が…
ゴオオオオ…!
ウンディーネ
ジュードこれが水の大精霊ウンディーネ…?
ミラウンディーネ、無事か?もう大丈夫だ。さあ、私の元へ…
ウンディーネウウウ…
ジュードミラ、ちょっと待って。何だか様子がおかしい――
ウンディーネグオオオオッ!
ミラウンディーネ…何をする!?私がわからないのか…?
ウンディーネガアアアアッ!
ジュード駄目だ!ミラの声は、ウンディーネに届いていないみたい!
ミラどうしたというのだ…!?ウンディーネ…!
ウンディーネグオオオオッ!
ミラうっ…!
ジュードミラ!!
ジュードこうなったら…力づくでも止めないと…
ミラ待て、ジュード。ウンディーネを攻撃するのは…
ジュードでも…このままだとミラが傷つく一方だよ!
ミラ…だが!くっ、どうすればいいのだ…
ウンディーネグアアアアッ!
ミラ…!
バシィッ!
ウンディーネグアッ!
ジュード君は…?
???大丈夫か
ミラあ、ああ。すまない…
???何をためらっているのか知らないが、相手は本気だ。このままだと、二人共死ぬぞ
ジュードミラ…
ミラ
ミラ…止むを得まい。ウンディーネを止める
ミラジュード、力を貸してくれ!
ジュードうん!わかった、ミラ!
ウンディーネグルル…
???また来るぞ!
scene3思いがけぬ再会
ウンディーネウウ…
???…よし、何とか倒せたようだな
ミラ
???…どうした?
ミラウンディーネがこうなってしまった原因もマナだろう
ミラマナが減少し、自我を保てなくなっているのかもしれん
ミラこの様子だと、ウンディーネに限らず他の精霊達も自我を失い、暴走状態にあるやもしれん
ジュード暴走状態…
ミラ…何としてでもマナ減少の原因を突き止めなくては…
???おい、お前達…見ろ!
ジュードウンディーネの身体が…消えていく…?
ミラいや、これは…
???何が起こった?新たな攻撃か?
ミラそうか…。もう大丈夫なのだな
ジュードミラ、ウンディーネは…?
ミラ…ああ、心配ない
ミラウンディーネは私の元に戻った事により姿を見せる必要がなくなっただけだ
ジュードそっか、よかった…
???よくわからないが…もう危険はないと考えていいのか?
ミラ大丈夫だ。さっきはすまなかったな、礼を言う
ジュードありがとう、お蔭で助かったよ。僕はジュード、こっちはミラ。君は?
セネルセネル・クーリッジ、シーブル村のマリントルーパーだ
ミラふむ…そうか
セネル…?誰に返事をしている?
ジュードさっきの精霊…ウンディーネと話しているんだよ。ミラ、何かわかった?
ミラいや…ウンディーネにも今この世界で何が起きているのかはわからないようだ
ミラただ、このマナの減少は、やはりウィンドルとア・ジュールの戦争再開が関係している可能性が高い
ミラ人間界のマナが急激に減少したのは二国間で戦争が再開された後からだ
ミラウンディーネ達が、私の前から急に姿を消したのも、戦争によって急激にマナが減少した事が原因だろう
ジュードそうなると、マナに大きな影響を与えるような原因が戦争にはある、って事になるよね
セネル…やっぱりあいつらの推測通りか…
ミラ…?セネル、お前何か知っているのか?
セネルここでお前達と会う前に、似たような事を話す奴らと会った
セネルこの天変地異の発生は、戦争で使われた兵器が原因かもしれない、…そう話していた
ミラ兵器だと…?その話をしていた者達は、今どこにいるか知っているか?
セネル真相を探るために、ア・ジュールへ向かったようだ
ジュードア・ジュール…
セネルさて、俺はそろそろ行く
セネルお前達がこの先、この異変の原因を追究しようと考えているなら、…またいずれ会う事になるだろう
ミラセネル、お前はこれからどうするのだ?
セネルお前達やあいつらの話が本当なら、この異変を放っておく事は出来ない
セネル未だに地震は頻発しているし、被害も一向に減る気配がない。…もはや根本の原因を取り除く他ないだろう
ミラ私達もお前も目指すところは同じ、という事だな
セネルああ。俺は海の見回りをしつつ引き続き情報を集める事にする。何かわかったら知らせよう
ジュードありがとう、セネル!気を付けてね
ジュードさて、僕達も行こうか。次はどこかな?
ミラ少し待っててくれ
ミラ……。ここからさらに南の方角に、シルフの気配を感じる
ジュードじゃあ、このまま南に進もう
ミラああ。ウンディーネの事もある、早くシルフを捜し出そう
ミラ(…マナ減少の原因は戦争の再開。 では、リドウの行動も 戦争と何か関係しているのか?)
ジュードミラ、どうかしたの?
ミラいや、何でもない。それでは、出発しよう
scene1精霊を案ずる者
ジュード森に入ってしばらく経つね。結構奥の方まで来たけど、ここにシルフがいるの?
ミラああ。正確には森を抜けた先だが。おそらく、風の通りがいい場所にいるのだろう
ジュードなるほど……ん?
ジュード…!ミラ、あれ!
ガアアッ!
???うっ…!
ジュード魔物相手に、苦戦をしているみたい!ミラ!
ミラわかった。行くぞ、ジュード!
ミラはああっ!
ズバッ!
???…!?
ジュード下がっていてください!いくよ!僕達が相手だ!
ジュードもう魔物はいないね。怪我はありませんか?
???ああ、大丈夫だ。君達のお蔭で助かった。感謝する
???む…?これは精霊の気配か…?
ミラ人間にしては感覚が鋭いな。ウンディーネが私の傍らにいる
???ウンディーネといえば…水を司る大精霊じゃないか!まさか契約に成功したという事か?
ミラ契約?何だそれは?
???精霊を喚び出すには、その精霊と「契約」を交わす必要がある。どの文献にもそう書いてあるだろう?
ミラ…?人間の知識や常識で、私を測られても困るのだが…
ジュードま、まあまあ!話がややこしくなりそうだからその辺りで…
???そうか、すまない。精霊の話を聞くと冷静さを欠いてしまうようだ。助手にも注意されているんだがな
クラース私はクラース・F・レスター。精霊の研究をしている
クラース最近頻発している大地震の影響で、世界各地の精霊達に異変が起きているのではないかと、私は考えていてな…
クラースそれを調べようと、この森に来たんだが、さっきの魔物と鉢合わせてしまった
ミラ精霊の異変…?お前も気付いていたのか。人間ながら大したものだ
クラース…私にも理由はよくわからないが、精霊の気配のようなものは、昔から感じる事が出来るようなんだ
クラースだから研究者を志しているのかもな。…さて、その話しぶりだと君達も精霊の異変に気付いていたようだが
ミラああ。彼らは今、暴走状態に陥っている可能性が高い
クラース暴走状態…?精霊が暴走とは…信じられんな。やはり地震が関係しているのか…?
ジュード僕達は、その精霊達を救うために動いてるんだ。…って言っても、目的はそれだけじゃないんだけどね
ジュード
ミラ大丈夫だ、ジュード。…エリーゼも必ず見つかる
クラース
ミラどうだクラース、お前も私達と共に来るか?
クラース君達があのウンディーネと共にあるというのならば、研究者である私にとっては願ってもない話だ。頼む
クラースジュード、といったか。そのエリーゼという人を捜すのも、手伝わせてもらおう
ジュードありがとう、クラース
クラースしかし…君は一体何者だ?契約なしにウンディーネと共にあり、精霊が暴走しているという情報まで…
ジュードその辺りはあまり気にしない方向で…とにかく、先へ進まない?
ミラああ、そうだな
scene2精霊を案ずる者
クラース…なるほど。話は理解した。まさか精霊達の異変の背景でそんな事が起きていたとはな…
ミラこの状況を打破するためにも四大の力は必要不可欠だと考えている
クラースしかし、何度聞いても驚かされる。契約もなしにウンディーネと行動を共にしているなど…
ミラ信じられないか?
クラースいや、そういうわけではない。現にこうして気配を感じているからな
クラース精霊を研究している私からすれば何としてもその原理を解き明かしたいところではあるが…
クラース契約をしていないとなれば、精霊との関係性の違いか…?ミラ、一つ質問をさせてもらおう
クラースミラから見て、四大精霊はどういう存在なんだ?
ミラそうだな。口うるさい小姑みたいな奴ら…という感じだろうか
クラースこ、小姑…!?
ミラ驚く事でもないだろう?精霊にも人間と同様感情があるし、性格も、皆それぞれ違う
ミラ例えば、ここにいるウンディーネは温厚だが、シルフは少々皮肉屋な性格だ
ミラ皆それぞれ私への接し方が違うが、私に世話を焼きたがるところは変わらないな
クラースなるほど…。非常に興味深い話だな
ミラそうか?人間同士でも、そういう事はあるだろう?
クラースそうかもしれないが、人間同士でも、なかなか他人を指して「口うるさい小姑」とは言えないものだ
ジュードミラにとって、四大精霊はきっと家族のようなものなんだね。お互いを理解し合っている感じがするよ
ミラ家族か…。ふむ…深く考えた事はなかったが、そうなのかもしれないな
クラース人間と精霊が互いを理解し合う、か…確かにそのような関係を築ければ契約など必要ないのかもしれないな…
ジュードあはは…そうだね、僕もそう思うよ
ヒュウウ…
ジュードん?風が…
クラース周囲の気配が変わったな。これは…
ミラよく気付いたな。ここにシルフがいる
クラースシルフ…風の大精霊か…!
ミラシルフ!私だ!
シルフ
ジュードこれがシルフ…!
クラースこれぞまさしく文献で見た大精霊…!確かに様子がおかしいようだな…。どれどれ…文献との違いは…
ジュード不用意に近付くのは危険だよ!
シルフグオオオオッ!
クラースうおっ!?
ジュードクラース、大丈夫?
クラースああ、すまない。本物の大精霊を見るのは初めてでやや興奮してしまったようだ
ジュード気持ちはわかるけど、今のシルフは危険だよ
ミラシルフ…やはりお前も暴走して、我を失っているようだな
ジュードミラ…
ミラああ、わかっている
ミラシルフ…少しの間、がまんしてくれ。すぐに正気に戻す!
クラースなっ…大精霊と戦うというのか!?確かに暴走状態とは聞いていたが、そんな無謀な事は――
シルフグアアアアッ!
ジュード来るよ!ミラ、クラース、気を付けて!
scene3精霊を案ずる者
シルフウ…ウ…
クラースはあ、はあ…。ま、まさか世界を支える存在と戦う事になるとはな…予想もしていなかった…
ジュードミラ、どう?
ミラシルフ…すまなかったな。もう大丈夫だ
クラース消えた…だが、気配はまだここにあるな。一体どういう状況なんだ…?
ジュードええと、ウンディーネの時もそうだったんだけど、安定したからもう姿を見せる必要がないんだって
クラースそうか…無念だ…。文献との違いを検証したかったのだが…
ミラ心配ない。今はウンディーネと共に私のすぐ傍にいる。だが……
ジュード…どうかしたの?
ミラ…いや、ウンディーネもそうだったのだが、シルフも弱っているように見えるのが気になってな
ミラお前達、どうしたのだ?
ミラそうか…そういう事か…
ジュード何かわかったの?
ミラ…ウンディーネもシルフも、マナ減少の影響で、力が弱体化してしまっているようだ…
ジュードじゃ、四大精霊の力を取り戻しても、ミラの力が完全に元通りになるわけじゃないって事…?
ミラああ…マナの減少を食い止めなければ、状況は悪くなる一方だ
クラース
クラースシルフだけでなく、四大精霊を取り戻すだと…?何とも信じがたい…
クラース…いや、しかし現にシルフの気配は彼女の傍にある。ふむ…信じざるを得ないようだ…
ミラ……。すまないが、先を急ごう
ジュード…そうだね。四大精霊を捜し出さないといけない状況は変わらないし
ミラああ…。次はノームのところへ向かおうと思う
クラースノーム…地の大精霊か。ミラは居場所がわかるのか?
ミラここからさらに南…シルヴァラントの方だな
ジュードシルヴァラント…。大陸を移動する前にエリーゼに会えればいいんだけど…
ミラジュード…
scene1ロイドの友
クラースよし、シルヴァラントへ入ったな。この辺りで一休みしていくか?
ミラ私は別に疲れてはいない。それより…
ジュード…やっぱり見つからない
ミラエリーゼの事か?
ジュードあ、ああ…ミラ!ごめん、知らない間に二人から離れちゃってたみたいだね…
ジュード結局ここまで、何の手がかりも掴む事が出来なかったなと思って…
ジュードこれだけ捜しても会えないって事はひょっとして、あの国境地帯の亀裂と一緒に飲み込まれてしまったとか…
ミラ…。可能性は否定出来んが、まだそうと決まったわけではない
ミラ大陸が分断された際に亀裂を隔てて離ればなれになった可能性だってある
ジュード…だとしたら、エリーゼはア・ジュールに…?
ミラああ。あくまで可能性の一つに過ぎないが…
ミラ…とにかく、諦めるのはまだ早い。エリーゼの事は私も心配だ。一段落着いたらア・ジュールへ行ってみよう
ミラ戦争の事もある。なるべく早く捜しに行かねばな…
ジュードミラ…。そうだね、ありがと――
ミラおっと…
若い女1ちょっと、何ぼーっとしてるのよ!
???まあまあ、抑えて抑えて、俺さまのかわいい子猫ちゃん達ーそこのクールな彼女ー、怪我はない?
ミラこの程度で怪我などしていたら、身がもたないぞ?
若い女2んまあ、何その態度!せっかくゼロス様が心配して、声をかけてくださったというのに!
クラースやれやれ。世界がこんな状態だというのに、呑気な奴らもいるものだ…
若い女3何よこのオッサン!ゼロス様は大地震の中私達を助け出してくれた王子様――
ジュードああ、火に油を…ど、どうもすみませんでした!ほら、もう行こう、ミラ
ゼロスミラ…?もしかして光の神殿へ行ったミラか?
ミラああ、そうだが
ゼロスそうか!あんたがあのミラさまか!いやあ、会いたかったぜ~!
ゼロスロイドくんから話は聞いてるぜ。一緒に光の神殿へ行ったって
ミラなるほど。ロイドの知り合いだったか
ゼロスミラさまには、是が非でも言わなきゃならねえ事があるんだ。と、その前に…
ゼロス子猫ちゃん達をすぐそこの街まで送り届けてくるから、少しここで待っててくれ
ジュードえ…でも…
ゼロスなぁに、すぐ戻るからよ!
ミラ…。騒々しい男だな
ゼロスまず礼を言わせてくれ。妹のセレスを助けてくれて、ありがとな!
ミラ妹…そういう事か。話が繋がったぞ
ミラロイドが星のカケラに願い、救おうとしていたのはお前の妹の事だったのだな
ゼロスああ。ミラさまのお蔭でセレスもすっかり回復してる。本当にありがとう
ミライニル街の事は、私だけの功績ではない。ユーリ、エル…皆で力を合わせたからこそ成し得たのだ
ミラ…それにしても、不思議な巡り合わせだな。まさかこんな形でロイドの友人に出会うとは…
ミラ今、ロイドはどうしているのだ?
ゼロスロイドなら、シルヴァラントのある街を救うために、王都を飛び出したって話なんだけど…
ゼロスそれ以降の足取りが掴めなくて、俺さまも今こうして捜してるってわけ
ゼロスロイドには、いろいろ世話になったし力になれる事があんなら…と思ってな
ミラ友人を捜しているという割には、女子を脇にはべらせて、楽しそうにしているようだったが
ゼロスさっき子猫ちゃん達も言ってただろ?俺さまは、困ってるあの子達を助けてあげただけ!
ゼロスま、俺さまってばどこへ行っても大人気だからさ、あの子達が懐いちゃうのも仕方ないんだけどな
ジュード何か、変わった人だね…
ミラ何はともあれ、ロイドが無事だとわかって安心したぞ。また会えるとよかったのだがな
ゼロス…だったら、ミラさまも俺さまと一緒にロイドを捜すのを手伝ってくれない?
ミラふむ…。そうしたいのは山々だ。だが、マナの減少を食い止めなければこの世界が滅びてしまうからな
ゼロス世界が滅びるだって?何か、やばそうだけど詳しい話を聞かせてくれ…
ゼロスまさか、そんな状況だとは…
ゼロス…。だったら、俺も一緒に行くぜ
ジュード…!でも、その友達は…
ゼロス別にその四大精霊って奴を集めながらでも、ロイドは捜せるだろ?どこかでバッタリ会うかもしれねえし
ゼロス何より、そんな話を聞いて、放っておけるわけねえだろ
ゼロスミラさまにも恩がある、そいつも返さないといけねえしな。俺さま、案外役に立つぜ?
ミラ…やはりロイドの友、だな。いいだろう、こちらとしても助かる
ゼロス…?
ゼロスあ、そういや俺さまちゃんと名乗ってなかったよな
ゼロス俺さまはゼロス・ワイルダー。よろしくな!
ジュードゼロス、だね。僕はジュード、あと、こっちはクラース
ジュード改めて、これからよろしく――
ゼロスあ、野郎はどうでもいいやそんな事より、はりきって行こうぜ!
クラース何というか…軽そうな男だな
ジュードそ、そうだね…
scene2ロイドの友
ミラそれにしても…ウィンドルとア・ジュールは、何故戦争を再開したのだ?
ミラ私達は光の神殿で、世界中に満ちていた負の感情を浄化する事をティルグに願い、かなえられた
ミラその上で、実際の世界平和は自分達の手で成し遂げると、皆で誓い合った
ミラ現に両国は戦いをやめ、和平交渉を開始するところまで進んでいたはずだ
ミラそれなのに、何故…。お前達は戦争が再開された理由を知っているか?
ゼロス何でも、ア・ジュールが突然攻撃を仕掛けてきたのがきっかけって話だぜ
ゼロスま、元々のあの二国の争いは星のカケラを求めてア・ジュールに攻め入ったウィンドルの国王が原因だ
ゼロス今更態度を改めたところで、ア・ジュールが許せるはずがねえと思っても、不思議じゃねえよな
ゼロス…何にせよ、今はこの異変の影響で戦争どころの騒ぎじゃなくなっちまってるけどな
ジュードそっか。これだけ地震や地割れが多発していると、軍の被害も大きくなるもんね
ゼロスああ。特に戦場だった国境地帯が巨大な地割れで崩壊しちまったからな
ゼロスどっちの軍も撤退を始めて、いまじゃ事実上の停戦状態になっているらしいぜ
クラース私も、戦争のきっかけについてはゼロスと同じ認識だ
ミラア・ジュールの攻撃か…。これについてもちゃんと調べる必要がありそうだな…
ジュードこのまま戦争が続くと、ますますマナが減っていくっていう事だよね?
ミラセネルの話だと戦争に、何らかの兵器が使用されているらしい。おそらくそれが原因の可能性が高い
ミラ今は停戦状態とはいえ、戦争が再開されれば、さらにマナの枯渇は進む。そうなる前に――
ゴゴゴ…!
ゼロスおっと、地震か
ゼロスこれもそのマナの減少が原因なんだよな…
ゼロスまさか、この大地震の背景にそんなスケールのでかい話が隠れていたとはな…
ジュードエリーゼ…無事だといいけど…
ミラジュード、君だけでもエリーゼを捜しに行ってもいいのだぞ?
ジュードううん。一人でもやれる事は今とあまり変わらないからね。だったら、ミラの手伝いをしながらの方が――
ガサ…
クラースむ…?
ギャオオオオ!
クラースみんな、気を付けろ。魔物だ!
scene1寂寞の荒野
ゼロスこりゃまた…随分と荒れ果てた、寂しいところに来たもんだな
ジュードここにノームがいるの?
ミラああ。間違いない
クラース確かに精霊の存在を強く感じる。興味深い場所だ
ゼロス興味深い、ねえ…。俺さまにはその感覚はわかんねえなー
クラースそれは残念だ。お前との感性の違いという奴だろう。そもそも精霊というものはだな――
ゼロスあー!俺さま話を聞くなら、野郎よりミラさまがいい!出来れば、二人っきりで
クラース…確かにミラには劣るが、私にも精霊の知識はあるっ!
ジュードまあまあ、二人ともその辺りで
ミラむ…
ジュードどうしたの、ミラ?
ミラ気配が乱れている…
クラース…ああ、確かにこれまでの様子とはまた少し異なる
ゼロス俺さまは何も感じないけどなー。ジュード、お前は?
ジュード僕も何も…
ミラこの先にノームがいる
ミラだがこの気配は……誰かと戦っているのか…?
ジュード戦ってるって…一体誰が…
ゼロス俺さま達の他にも、四大精霊を正気に戻そうとしてる奴がいるって事か?
ミラ…!まさか、リドウ…?
クラースお、おい!ミラ!?どうしたんだ突然…!
ジュードリドウって…確かミラを襲った…
ゼロスジュード!お前も早く来い!
ジュードう、うん!
scene2寂寞の荒野
???グオオオオッ!
???このヤロウ、コハクを離しやがれ!
ミラあれは…リドウではなかったか
ミラノーム!やめろ!
ジュード傍に人が…やっぱり戦ってるみたいだ!
クラース一人はノームに捕まっているんじゃないか?
ゼロス女の子の前でかっこつけようとして、いらんちょっかいでも出したのかね
ジュードすぐに助けないと!
ノームグオオオオッ!
???危ない…!お兄ちゃん避けて!!
???くっ…駄目か…!
ガシッ!
???え…?
ミラ間に合ったか…おい、大丈夫か?
???ああ、ギリギリ何とかな。…ところでお前達は――
ミラ説明は後だ。それよりあの娘は…
???俺の妹のコハクだ
ゼロス妹だと…?
???ここを歩いていたら、いきなりあのヤロウに襲われて…
クラースあのヤロウ呼ばわりは感心しないな。あれは地の大精霊、ノームだぞ!
???ああ?そんな事知るかよ!精霊だろうが何だろうが、コハクを傷つけるヤツは許さねえ!
ゼロスふっ…
ジュードゼロス…?
ゼロスそれだったら…かっこいいとこ見せねーとな
ノームグアアアアッ!
???くっ、また…!
ザンッ!
ゼロスおいたはここまでだぜ
クラース…まるで別人のような動きだったな、ゼロス。どうかしたのか?
ゼロスなーに、妹を守ろうと必死になっているそこの兄貴にちょっとばかり共感しただけ
ゼロス兄貴ってのは…妹を守るもんだからな
ゼロスそれにまあ…ロイドくんの熱血ぶりに感化されちまったのかもな
ミラ…大口を叩くだけあって腕も確かなようだな。見直したぞ
ゼロスだろ?
ミラ…それにしても、あの温厚なノームが人に襲い掛かるとは…
ノームグオオオオッ!
ミラ待っていろ、今正気に戻してやるぞ…!
scene3寂寞の荒野
???ふう…助かったぁ…
???コハク!大丈夫か!?
ゼロスコハクちゃん、俺さまの活躍見てくれた?キミのために、俺さま頑張ったんだぜ
???ゴルァ!俺の目の前で、コハクをナンパしてんじゃねー!
コハクあ、あはは…
ジュードゼロス…戦ってる時は、あんなにきりっとして、かっこよかったのに…
クラースこれがノーム…地の大精霊か。ふむふむ…なるほど…!やはり、ついてきた甲斐があった…!
ミラよく頑張ったな、ノーム
???あいつ、何やってんだ?倒した魔物を嬉しそうに眺めて
ジュード魔物じゃなくて「精霊」だよ。クラースが聞いたら、また怒るよ…
コハクえ…あれ…?さっきの魔物…じゃなくて、精霊が消えた…
???一体何が起きたんだ…?
クラース話せば長いが、あのミラという女性につくと、姿を現す必要がなくなるそうだ
???へぇ。わかったようなわかんねぇような…危険がねぇなら問題ないけどよ
ミラああ…わかっている。マナ減少の影響で、お前達の力が元に戻っていない事も
ミラ精霊界と人間界、そしてお前達のためにも必ずマナ減少の原因を取り除く
ミラそのためにはノーム、お前の力が必要なのだ。…すまないが力を貸してくれ
ミラありがとう…。あとはイフリートが戻れば再び皆が集まる。もう一息だ…
クラース
クラース…なるほどな。うむ。今なら理解出来る
ジュードん?何が?
クラース前に話した事を覚えているか?お前はミラと精霊は家族のようなものだ、と言った
クラース私は精霊と繋がるには、契約しかないと考えていた。だが…違う。今確信したよ
クラース彼らには契約など必要としない、深い絆がある。心から繋がっているんだ
ジュードクラース…うん。そうだね
コハクあの、さっきは助けてくれて本当にありがとう!わたしはコハク、こっちは兄のヒスイだよ
ジュードコハクとヒスイ、だね。君達はどうしてこんな何もないところを歩いていたの?
コハクわたし達、行方不明になった友達を捜していて、たまたまここを通りかかったの
ヒスイまあ、俺はシングなんてどうでもいいがな
コハクあなた達、シングを見なかった?すごく元気がよくって、明るい男の子なんだけど…
ジュードシング…うーん、聞いた事はないな…。力になれなくてごめんね
ゼロス俺さまも記憶にねえな。しかし、そっちも人捜しなんてな…大地震の影響を改めて思い知らされるぜ
ジュードエリーゼの次は、シングか…地震のせいで行方がわからない人って他にもたくさんいるのかもしれないね
ゴゴゴ…!
コハクあ、地震…
ヒスイまたか…。この地震は一体いつまで続くんだ?本当にいい迷惑だぜ
ミラ酷くなる事はあっても、まだしばらくは収まるまい…
ヒスイ…それはどういう事だ?
ゼロス…というわけだ。ま、俺さまも精霊やマナ云々の事はあんまりよくわからねえけどな
コハク不思議な力のはびこった亀裂があちこちに出来てるって話だし、何か変だとは思ってたけど…
コハクまさか、そんな状況だなんて…
ヒスイ
ジュードミラ、次はどこへ?
ミラ次はイフリートだ。これで全ての四大が揃う事になる
ゼロスそいつさえ取り戻せば、ミラさまも本調子になるってわけだな!んじゃ、はりきって行こうぜ!
コハクあの、わたし達も、一緒に行っていいかな?
ヒスイコハク?まさか…
コハクこのままだと世界が崩壊してしまうって事でしょ?そんな話聞いて、放っておけないよ
コハクそれに、みんなも人捜しをしてるなら協力し合えるかもしれないし
ミラコハク…
ゼロス勿論!コハクちゃんなら大歓迎さ。あ、野郎は別にいいから
ヒスイ俺も行くに決まってんだろ!コハクがあのノーテン菌を捜しに行くってだけでも心配だってのに…
ヒスイお前みてえな野蛮な男がいるところにコハクを任せられっかよ!
ゼロスちぇっ、うるさい兄貴付きかよ…
ゴゴゴ…
クラースむ…?またか…。地震発生の頻度が増しているように感じるのは気のせいか?それに――
ゴゴゴゴゴゴ…!!
ミラ…何だ!?このすさまじい揺れは!
ジュード立っているのもやっとだ…!
ズガッ!
コハクそ、そんな…地面に亀裂が…!
ヒスイくっ、風も強いぞ…!何なんだ突然…何が起きてる!?
ミラ大地が震えている…これは、まさか…
scene1成すべき事は…
ゴゴゴ…
コハクようやく収まったみたいだね…
ミラ
クラース
ジュード今度の地震は、随分大きかったね
ヒスイああ、今までの地震とは比べものになんねぇな。こんなにでっかい亀裂まで出来ちまって…
クラース
ジュードクラース?それにミラも…二人共どうしたの?急に黙りこくって…
ミラ
クラース私は精霊と話が出来るわけではないがかなり危険な予感がする。何故だか違和感を覚えた…
クラースこれは…精霊達からの警告…なのか?
コハク精霊達からの…警告?
ミラ…事態は、想像以上に深刻な状況にある、という事だ
ミラ世界のマナの残量からして、枯渇寸前とはいえ、もう少し余裕があるものだと思っていた
ミラ…だが、マナは予想だにしない速さで今も尚、減り続けている
ジュードマナが?…でも、どうして?原因だった戦争は今は停戦状態なはず…
ジュードそうなると、戦争の他にもマナを減少させる原因があるっていう事?
ミラ…おそらくな。その原因として考えられるとすれば、大精霊達の暴走の影響…
ジュード大精霊…?それってイフリート達の事?
ミラいや、違う
クラース大精霊とは、精霊の中でもより強大な力を持つ精霊達の事だ。そこに分類される精霊は、四大精霊だけではない
ジュードそんな…
ミラその大精霊達が暴走する事で、自然の均衡が崩壊し、マナの減少を加速させている
ミラ…あくまで、これも推測に過ぎんがな
ゼロスミラさまの言う通りなら、それって相当やばいって事?
ミラ
クラースとにかく…一刻も早くイフリートの元へ行った方がよさそうだ
ミラああ…この大地震は、世界のうめきそのもの…
ミラ早急に手を打たなければ、本当に取り返しのつかない事になる…
ジュードあ…ミラ!クラース!
ゼロス…行っちまったぜ
ヒスイあの二人、相当ピリピリしてやがったな
ジュード仕方ないよ…。あの二人…特にミラは精霊達の事やマナについて直に感じ取る事が出来る…
ジュードきっとそれほどまでに切羽詰まった状況って事なんだと思う
コハクミラ…
ゼロスとにかく、見失う前に早くあの二人を追いかけようぜ
コハクうん、そうしよう!
ジュード
ジュードミラ…
scene2成すべき事は…
コハクアグニラス山がこんな火山になってるなんて…。本当にここにイフリートが?
クラースああ、強い気配を感じる。…それにしても、いかにもイフリートが好みそうな場所だ
ミラ
ヒスイおい、ミラ!一人で突き進むのは危険――
ヒスイったく…何だありゃ。人の話をまるで聞いてねえ
コハクわたし達…ひょっとしてついて来なかった方がよかったかな?
ゼロスないない、それはないって。ミラさまは今、少しばかりナイーブなだけ!
ゼロスコハクちゃんが心配する必要は全くないから!
ジュード
ミラ急がねば…
ジュードミラ、気持ちはわかるけど、そんなに焦るのはよくないよ
ミラ…焦らずにいられる状況だと思うか?今世界がどれほど危うい事態なのか君達はわかっていないのだ
ジュード確かに僕達はミラみたいに精霊やマナ、それに世界の状況を把握出来ていないのかもしれない
ジュード…けど、今のミラが明らかに冷静さを欠いているって事はわかるよ
ミラ…何だと?
ジュードイフリートに会って、正気を取り戻させるために戦うんでしょ?
ジュード…なのに、ミラがそんな状態じゃ危険だと思うよ
ミラ
ゼロスジュードくんも大変だねえ。せっかく尽くしても、肝心のミラさまがあれじゃな
ジュード別に僕は尽くしているつもりはないよ
ジュードミラが焦るのも仕方ないと思う
ジュード…ただ、今のミラはいつもと違うからすごく心配なんだ
ゼロスジュードくんは健気だね
ミラこの辺りか…
クラースああ、私も感じる。濃密な気配を
ミライフリート、私だ。出て来い!
コハク…!ねえ、お兄ちゃん…この空気の感じ…
ヒスイああ。張りつめてきやがった。何が出て来るんだ?
イフリート
ゼロスあれが…イフリートか?
クラースああ、あれこそが火の大精霊…だが、これは…
ジュード今までに会った他の四大精霊の時とは雰囲気が全然違う…!
クラース暴走がそれだけ、深刻化しているという事か…?
イフリートグオオオオッ!
ゼロスおっと、いきなりかよ。あっぶねー
クラース相当気が高ぶっているようだ。こちらも覚悟してかからなければ間違いなく返り討ちに遭うぞ
ジュードそうだね。全員で協力して…
ミライフリート!すぐに元に戻す!
ジュードなっ、ミラ!!一人で先走るのは危険だ!
イフリートガアアアアアッ!
ヒスイ突っ込んで来るぞ!みんな、備えろよ!
scene3成すべき事は…
ヒスイったく、キツイ戦いだったぜ…
コハクすごい力だったね…これが暴走した四大精霊…
ミラ全く…時間がないというのに…
ゼロスミラさま…。ノームと戦った後はもう少し優しかったのに…
クラースよほど余裕がないのだろう
ジュード
ジュードあ…イフリートが動いて…
ジュード危ない!ミラ!!
ミラ…!
イフリートグオオオオッ!
ズガッ!!
ジュードう…っ
クラースジュード!
ゼロス大丈夫か!?
コハク大変!
ヒスイしっかりしろ!
ジュードぐっ…
ミラジュ、ジュード…
ミライフリート!目を覚ませ…!!
ザシュッ!!
イフリート
ミラくっ…
ジュードん…
ミラジュード、大丈夫か!?しっかりしろ!
ジュードあ、あれ…僕は…?
クラースイフリートの攻撃からミラをかばった後気絶したんだ。痛むところはないか?
ジュードえっと…うん、大丈夫だよ
ジュード…って、そうだ!イフリートは…!?
ミラああ、無事正気を取り戻した。今、お前を心配そうに覗き込んでいる
ジュード…成功したんだね!よかった…
ジュードこれで無事、四大精霊がみんな揃ったって事だよね
ミラジュード…
ミラ…すまない、君の忠告を聞き入れるべきだった。確かに私は、焦るあまり冷静さを欠いていた
ミラそれゆえに、イフリートの状態を見極める事も出来ずに、がむしゃらに挑んでいき…結果、君を傷付けた…
ジュードミラ…
ミラ世界の事もそうだ。目的を成す事だけに囚われていた
ミラマナや精霊、世界の動きにもっと目を向けながら動いていれば、事態は変わっていたかもしれない…
ジュード…何もかもを一人で抱えすぎないで大丈夫だよ
ミラ…?
ジュード確かに、マナや精霊達を感じ取れるミラと僕達は立場が違う…
ジュードでも、この世界に生きているという点では、一緒のはずでしょ?
ミラ
ジュードこの世界を何とかしたい、何とかしなくっちゃって気持ちを、誰もが持っているはずなんだ
ジュードだから…一人で背負わず、僕達の事を頼ってほしいんだ
ミラジュード…
ミラお前達…
ミラ…ああ、そうだな
クラース四大精霊と話をしているのか?
ミラああ、四大に叱られた。ジュードの言う通りだとな
ミラ…皆、すまない
コハク謝る必要はないよ、ミラ
コハクあなたが世界を救いたいと思う強い気持ちがあるからこそ、必死だったんだと思うの
ヒスイシングのヤツも突っ走りがちだけどお前もそういうタイプだったとはな。意外だったけど、悪かないと思うぜ
ゼロスそれにさ、自分の駄目なところに気付いたなら直していけばいい。それだけの話だろ?
クラース人は失敗を重ね、誤りを自覚する事で成長するものだ。何も気にする事はない
ジュードミラは一人じゃないよ。僕も…みんなもいるから
ミラジュード、それに皆…ありがとう
クラースでは、気を取り直していくか
ゼロス次のミッションは、マナの減少を食い止める、だっけ?
ミラああ、そうだ。そのためには、マナを減少させている全ての要因を潰す必要がある
ミラマナをここまでの状況に追いやった根本の原因は、ウィンドルとア・ジュールの戦争のはずだ。だが…
コハク今は、停戦を余儀なくされている、…だよね?
ジュード…という事は、さっきミラが言ってた大精霊達の暴走を鎮めて自然の均衡を元に戻す事に注力すべきなのかな?
ミラそうなるな。…とはいえ、二国の戦争も遅かれ早かれ再開する事になるだろう
ミラこちらも、早々に対処する必要はありそうだが…
クラースそっちも警戒しつつ動くしかないだろうな
ヒスイああ、そうだな
ミラ…ところで、ジュード…それにクラース、ゼロス、コハク、ヒスイ。お前達はこの先どうする?
ミラ皆、それぞれ目的があるだろう?
ミラ各地にいる大精霊達を鎮めるとなれば辺境の地へ赴く機会も増える
ミラ戦争が再開されれば、戦地に行く事もあるかもしれない。そうなると再会出来る機会も…
クラース大精霊に会える機会など滅多にあるものではない。無論、私は同行させてもらう
ゼロスミラさまったら、水臭えな。ここまで来たら俺さまも最後まで一緒に行くぜ?
ゼロスロイドの奴がここにいたら、きっと間違いなくミラさまと一緒に行く道を選ぶと思うぜ
ゼロスそう考えれば、ミラさまに協力する事は、俺さまからすりゃあいつに力を貸してるも同然だろ?
コハクわたし達も一緒に行くよ、ミラ!シングを捜してるのは今も一緒、だけど…
コハク無事会えたとしても、この世界がなくなってしまったら本末転倒でしょ?
コハク大精霊達を鎮めていく中でシングに会えないとも限らないし。ね、お兄ちゃん?
ヒスイ…シングの奴はどうでもいいが、コハクがミラと共に行くというなら俺も一緒に行く、それだけだ!
ミラクラース、ゼロス、コハク…それにヒスイ…感謝する
クラースジュード、お前はどうする?兼ねてから捜しているエリーゼを捜しに行っても、誰も咎めはしないぞ
ジュードううん、僕も一緒に行く。エリーゼが気がかりなのは今も変わらないよ
ジュードだけど、これ以上マナが減少したら、この世界そのものが破滅しちゃうかもしれない…
ジュードだから、そうしないためにも、僕はこのままミラを手伝うよ。勿論、エリーゼを捜しながらね
ゼロスぐぬ…まだ見ぬエリーゼちゃんと麗しのミラさまを両天秤に…
ゼロス今のは聞き捨てならねえセリフだな、ジュードくん~?
ジュード…え?あの…僕、そんな意味じゃ…
クラースま、何はともあれ話はまとまったか。では、時間もない事だ、早速動き出すとしようか
ミラああ!

NameDialogue
scene1悲劇の街
リオン
リオン何故だ…
リオン何故こんな事になってしまったんだ…
リオン…くっ、何としてでも――
???リオン!
リオンスタン…!いつ戻って来た?
スタンたった今だよ!それよりこれはどういう事なんだ!?街が氷漬けじゃないか!!
リオン
スタンリリスは!?街のみんなは!?
スタン…!
スタンみんなこの中だって言うのかよ!街ごと氷漬けで…まるで時間が止まったみたいに…
スタン俺が…俺が今助けてやるからな!
スタンうぉおおおおっ!!
ガン!ガン!ガン!
リオン…やめろ、スタン。拳で叩こうが、剣を当てようが無駄だ
リオンこの氷は炎でも溶けない。力任せに砕く事も出来ない
リオン仮に砕けたとしても、中にいる人間が傷付く可能性の方が高い
リオンこの氷は、普通の氷ではない。…おそらく何か特別な力が働いているのだろう
スタンそんな…
ゴゴゴ…
リオンまた地震か…
スタンこの地震のせいで、他の街でもあちこちで建物が壊れたり、地割れが起きているみたいなんだ
スタンそれでルイニス街が心配になって、戻って来たんだけど、まさかこんな事になっていたなんて…
スタン…なあ、リオン。街がこうなったのは地震が頻繁に起きているのと何か関係があるんじゃないか?
リオン…僕が知るわけないだろう
スタンそうだよな…。くそっ…!俺にはどうする事も出来ないのか…!
リオン
スタンどこへ行くんだ、リオン!みんなを置いてく気か!?
リオン…ここにいても仕方あるまい。僕はメルトキオに行く
スタンメルトキオ?
スタンああ、そうか!情報収集に行くんだな!確かにあそこなら人もたくさんいるし
スタンよし!俺も一緒に行く!みんなを助けるためだもんな!
リオン…勝手に決めるな。何故僕が、お前と行動を共にしなければならない
スタンどうしてこうなったのかわからないけど街を救いたいのは俺も同じだ!
スタンみんなを…この街を元に戻さないと!だから…!
リオン
リオン…勝手にしろ
スタンリリス…みんな…待っててくれ。必ず助けてやるからな…!
スタンリオン!待ってくれよ!
scene2悲劇の街
スタンでも、突然どうしてこんな事に…。どうすればみんなを助けられるんだ?
リオン
スタンなあリオン、何かあてはあるのか?
リオン…あればとっくにやっている
スタンそうだよな…。街が氷漬けなんて聞いた事もないもんな
リオン
スタン…なあ、リオン。やっぱり、この地震と街の氷は何か関係があるんじゃないか?
スタンこんな何回も起きる大きな地震は今まで一度だってなかったし、それに街が凍るなんて話も聞いた事がないし
スタンそれがこんないっぺんに起こるなんて何か関係があるとしか…
リオンうるさい、僕が知るか!
リオンお前が考えるだけ無駄だ。少し黙ってろ
スタン…ごめん。そうかもな。何もわからないのに、俺ばっかり喋ってもしょうがないよな
スタンよし、まずは情報収集だ!話はそこからだよな、リオン!
リオン…ああ
スタンリオンが街のみんなの事を、本当に大切に想っていたのは知ってる。…何としてでも俺達で救おうな
リオン…。知ったような口を利くな。お前に僕の何がわかると――
ゴゴゴ…!
スタンまた地震だ、大きいぞ!
ゴゴゴゴゴ…!
???キャアアーーッ!
リオン…!?
???だ、誰かーっ!
スタンあれは…女の子か!?亀裂に落ちそうになってるぞ!
リオンちっ…!おい!手を伸ばせ!
???えっ…!?う、うん!
???た、助かったぁ…。ありがとう、剣士さん
スタン助かってよかったよ。でも、こんな深い亀裂に飲み込まれたらどうなっちゃうんだろうな
リオンスタン、覗き込むのはよせ。足を滑らせて落ちても…
バシィッ!
スタンうわっ、何だこれ!?
スタン七色の光に弾かれたような…?どうなってるんだ?
???亀裂が出来た瞬間は落ちるんだけど、そのあとすぐバリアみたいなものが張られて、入れなくなるみたいなの
リオンただの亀裂ではない、という事か…
???あ、改めてお礼を言わなきゃ。本当にありがとう、助かったわ
ルビア自己紹介も遅れちゃった。あたし、ルビア・ナトウィック。あなた達は?
スタン俺はスタン・エルロン。こっちはリオン・マグナスだ
ルビアスタンにリオンね。ホントありがと。もう少しでその亀裂に落ちて、どこかへ消えちゃうとこだった
リオン消える…?「死ぬ」と考えるのが普通のように思うが…
ルビアううん。ちょっと違うみたいなの。さっきも軽く話したけどあたしが聞いた話だと…
スタンまさかそんな事が…
リオン
ルビア…とにかく、本当に助かったわ。カイウスを捜すあたしまで行方不明になっちゃうわけにはいかないしね
ルビアじゃあ、あたしはもう行くわ。助けてもらっておいてなんだけど、あなた達も、亀裂には気を付けてね!
スタンああ、ルビアも気を付けて!
スタン人を捜してるって言ってたな。一人で大丈夫かな?またさっきの亀裂に巻き込まれなきゃいいけど…
スタンルイニス街の氷といい、今の亀裂の話といい…おかしな事ばかりだな
スタン何だってこんな妙な事が立て続けに起こるんだ…?
リオン…まさか、な
スタンん?リオン、何か言ったか?
リオン何でもない。それより、向こうを見てみろ
グオオオオッ!
リオン…魔物だ
スタンええっ!?気配なんてまるでなかったのに!
scene1友達
スタンメルトキオに着いたな。そういえば、前にここに来た時はルーティが一緒だったっけ
スタンルーティ、亀裂に落ちてなければいいけど
リオン…ふん、あの女の事だ。亀裂に落ちるとしてもタダで落ちるとは思えんな
???リフィル先生、やっぱりジーニアスは街にはいないんじゃないか…?街の外を捜しにいこうぜ
リフィル待って、ロイド。この状況で気軽に街を離れるのは…
リオンあいつは…
ロイドん?リオン…?リオンじゃないか!
スタン知り合いか?
リオンそんなところだ
ロイド久しぶりだな、元気だったか?ん?今日は友達も一緒か
スタンああ!俺はスタン・エルロン、よろしくな!
ロイド俺はロイド・アーヴィング。で、こっちはリフィル先生だ!
リフィルリフィルよ。よろしくね
ロイドしかし、リオンにこんな賑やかな友達がいるなんて、何か意外だな
リオン友達だと?勘違いするな。そんな関係でもないし、こいつが勝手について来ただけだ
スタンええっ?そうなのか!?俺はリオンの事、友達だと思ってたんだけどなあ
リオンふん。勝手に言っていろ
リオンいいか?この際だから、はっきり言っておく。お前とは断じて、友達なんかじゃない
リオン僕はお前のように、能天気で、図々しくて、馴れ馴れしい奴が大嫌いだ
ロイドお、おい…リオン…何もそこまで…
スタンうーん。それでも俺は、やっぱりリオンの事を、友達だと思ってるんだけどなあ
リオン…この馬鹿が。いいか、何度も同じ事を言わせるなよ
リフィル喧嘩するほど仲がいいとは言うけど…そこまでにしなさい
リオンだから違うと言っている!一体僕とこいつのどこが仲がいいと…
ロイドまあまあ、…で、リオン達はどうしてメルトキオに?
リオンそれは…
スタンリオン、ここは俺が話すよ。二人共聞いてくれ。実は――
ロイドまさか、ルイニス街がそんな事に…!?
リフィル氷漬けだなんて…。疑うわけではないけれど、にわかには信じがたい話ね
リオン…紛れもない事実だ
ロイドうーん。何かよくわからねえけど、それって本当に自然の力なのか?何か、ええと…「わざと」みたいな?
スタンお、ロイドもそう思うか?実は、俺もそう考えてたんだ
スタン前に聞いた亀裂の変な力の事も気になるし…とにかく俺は街の事も「自然の力じゃない」って考えてる
ロイド自然の力でもそうじゃなくても、ルイニス街を放っておくわけにはいかないよな。先生、どう思う?
リフィル話を聞いた感じだと、普通の氷とは思えないわね。ただ熱して溶かすというわけにもいかないでしょうし…
リフィル確証はないけれど…炎の大精霊イフリートの力を用いれば何とか出来るかもしれない
リオン精霊…イフリート、だと?
リオンおい。その話、詳しく聞かせろ
スタンリオン…?どうしたんだよ。急に
リオンスタン、お前は黙っていろ。…リフィルと言ったな。精霊がいる場所を知っているなら、教えてくれ
リフィル…ごめんなさい。私は専門ではないから、詳しい事はわからないわ
リオン…そうか
リフィルそれに、今の話もあくまで確証のない一つの可能性でしかない
リオン
スタンでも、今のところそれしか考えられる方法がないなら試すしかない!そうだろ?リオン
リオン…ああ
リフィル…だったら、クラースを訪ねてみるといいわ
リオン…クラース?
リフィルええ、ウィンドルにいるクラース・F・レスター。精霊研究の第一人者よ
リフィルその人に聞けば、もっと確かな事がわかるでしょう
スタンリオン、行ってみよう。少しでも街を救える可能性があるなら、賭ける価値はある
リオン…そうだな
ロイドよし、だったら俺も一緒に行く!
リオン…お前が?
ロイド俺も友達のジーニアスを捜すために街を出ようと思ってたんだ。どうせなら一緒に行こうぜ!
ロイド同じ国の街がそんな事になってるのに黙って見てるわけにはいかないしな!
ロイドいいよな?先生
リフィルそうね、いい提案だと思うわ。ただ、私はこの街を――
ゴゴゴゴ…!
ロイドまた地震か!こんな時に…
街の男リフィル先生、大変です!今の地震で学校の壁が崩れて…!と、とにかく来て下さい!
リフィル何ですって?わかりました、すぐ行きます
リフィル…ロイド。ジーニアスの事も気がかりだけど…やっぱり私、この街を離れるわけにはいかないわ
リフィルもしかしたらちょっと遠出しているだけかもしれないし、街の外を捜すのはあなたに任せます
ロイドうう…確かに、リフィル先生がいなくなると困る人は大勢いるもんな
リフィルルイニス街の氷については、私も調べておきます。何かわかったら知らせるようにするわ
リオン…ああ
スタンリフィルさん、ありがとう!それじゃあ行くか、リオン、ロイド
ロイドああ!リフィル先生、ジーニアスの事も必ず何か手がかりを掴んでくるから
リフィルええ、ありがとう
ロイド…さて、そのクラースって人はウィンドルにいるって話だったっけ?
スタンああ、そう言ってたな
リオンならばバロニアだ。あの街にはアカデミーや研究施設があると聞いた事がある
リオンクラースは研究者だ。面識がある者がいてもおかしくはない
スタンさすがリオン、頭いいな!じゃあ、バロニアに行こう。改めてよろしくな、ロイド!
ロイドこちらこそ!リオンも、よろしくな
リオン
ロイド何だ?どうしたんだ?リオンの奴
スタン…多分、リオンはルイニス街の事で頭がいっぱいなんだと思う
ロイドそういう事か。まあ、確かに住んでるところが氷漬けなんて、とんでもねえ話だもんな
ロイドとりあえず、リオンを見失う前に追いかけようぜ!
スタンああ、そうだな!
scene2友達
ロイドあ、そういえば、このところウィンドルへ行く船はずっと欠航してるって聞いたぞ
スタンじゃあ港へ行っても無駄か。ウィンドルへ向かうなら、東に歩き続けるしかないかあ
リオン
スタンなあ、本当に俺達について来てよかったのか、ロイド?
ロイド気にすんなって。どうせ俺もジーニアスを捜しに、あちこち行くつもりだったしさ
ロイドそれに「友達」が困ってるのを、見過ごすなんて出来ないし
リオン…また「友達」か。まさかとは思うが…
ロイドもちろんお前の事だよ、リオン!俺達、友達だろ?
スタンお!だよな!俺もリオンとロイドの事は「友達」だと思ってるぜ!
ロイドおう!
リオン…くだらん。勝手に言っていろ。何故こうも馬鹿ばっかり集まるんだ。僕は先に行く
ロイドう…。相変わらず容赦ねえなー
スタンあはは。口ではああ言ってるけど、きっとリオンも俺達の事、友達だって思ってるよ
ロイドそうだよな。あいつ、あんま素直じゃないだけだよな
スタンところで、クラースって人はどういう人なんだろう?
ロイドあのリフィル先生と知り合いってくらいだからな。きっとすごい精霊マニアだと思うぜ
リオン
ロイドちなみにリフィル先生は、筋金入りの遺跡マニアなんだよ。通じるものがあるんじゃないかな
スタンへえ…そうなのか。早いところ会いに行かないとな
スタンあと、ジーニアス!ロイドの友達のジーニアスも早く見つかるといいな
ロイドああ、そうだな!…なあスタン。俺思ったんだけどさ、お前、面白い奴だよな
スタンえ?そうか?俺もロイドと話してるとすっごく楽しいぞ?
ロイドそっかあ。気が合うのかもな、俺達!
スタンそうだなー!俺もそう思うよ!改めてよろしくな、ロイド!
リオン…気が合うも何もあいつらの共通点は間違いなく「馬鹿」だと思うが…
リオン何故こうも僕の周りには…
リオン…はあ
scene1バロニアの情報屋
リオンここがバロニアか…。被害状況はメルトキオと大差ないようだな
スタンメルトキオもバロニアも王都だしな。それなりに頑丈なんじゃないか?
スタン…とはいえ、やっぱり地震の影響か街の空気はどんよりしているな。まあ、この状況じゃ仕方ないけど…
ロイドとにかく、クラースとジーニアスについて、何か知らないか街の人達に聞いて回ろうぜ
リオンああ
ロイドどうだった?
スタン駄目だ…クラースの事を知っている人はいたけど、居場所までは…。そっちは?
ロイド俺もだ…。ジーニアスに至っては全くの空振りだったし…。リオン、お前はどうだった?
リオン…有益な情報はなかった
スタン全滅か…でも考えてみればそれも当然か。これだけ大きな街なんだし
ロイド確かに、顔も知らない人を聞き込みだけで捜し出すのは難しいかも知れないな
スタン…!リオン、どこへ行くんだ?
リオン…こうしている時間が惜しい。僕は他の場所に行く
ロイド待てって。こういうのはちゃんと分担して情報を集めた方がいい。勝手に行ったらわからなくなるだろ?
スタンロイドの言う通りだ。他の場所で聞き込みをするにしても分担した方が効率的だと思うんだ
リオン
ロイドじゃあ、あっちに移動して、場所の分担を――
???ちょっとそこ、どいて!
リオン…!
スタンこの声…!
???どいてって言ってんの!何でこんな狭い道で話し込んでるの?通行の邪魔じゃない!
スタンルーティ!ルーティじゃないか!バロニアにいたんだな!無事でよかった…
ルーティあら、スタンじゃない。それにリオンまで…
ルーティ…あんた達、いつの間に、一緒にバロニアに来るほど仲良くなったの?
リオン別に仲良くなったわけじゃない。こいつらが勝手について来ただけだ
ルーティふーん。あっそ…ってこんな事してる場合じゃなかった!
ルーティあたし急いでるの!じゃあね!
スタンあ、ルーティ!どうしたんだよ!待てって!
リオンおい、スタン!何故追う必要がある?放っておけ
スタン何でって…ルーティは情報屋だからだよ!クラースの事も知ってるかもしれない!
リオンちっ。…仕方ない。追うぞ!
scene2バロニアの情報屋
スタンルーティ、いないな…どこに行ったんだ?
ロイドいたぞ、あそこだ!
ガルルル…
女の子ルーティお姉ちゃん…
ルーティ大丈夫。あたしがついてるわ
ロイド…子どもを魔物から助けようとしているのか!?
スタンこうしちゃいられない!ルーティ、加勢するぞ!
リオン…全く、面倒事ばかりだな…
ズバッ!
ギャウウッ!
女の子あ、ありがとう…
ルーティ怪我がなくてよかったわ。ほら、先にうちに帰ってなさい
ルーティあんた達、助っ人ありがとね。頼んだわけじゃないけど、一応お礼は言っとくわ
ロイドまだ自己紹介をしてなかったな。俺、ロイド・アーヴィング。よろしくな!
ルーティルーティ・カトレットよ。詳しい事は、面倒だからスタンにでも聞いて
スタンえ?ええっと…ルーティは俺やリオンと同じく、ルイニス街に住んでたんだ
スタン…とにかく、ルーティが無事で本当によかった
スタンリリスだけじゃなくルーティにまで何かあったら、俺…
ルーティリリス…?ちょっと、話が見えないんだけど。あんたの妹に何かあったの?
ルーティそんな…ルイニス街が氷漬けに?
リオンああ、そうだ
スタンリリスも、街の人達もみんな…一緒に氷漬けになってるんだ
スタンそれで、精霊イフリートの炎なら、その氷を溶かせるかもしれないって話を聞いて…
ロイド精霊に詳しいクラースに会うために、バロニアまで来たってわけさ。そうだよな、リオン?
リオン…ああ、そういう事だ
リオンルーティ。お前は情報屋だろう?知っているなら、すぐにクラースの居場所を教えろ
ルーティクラース…?クラースねえ…
ルーティああ、身体中に妙なペイントをしてる精霊研究者のクラース・F・レスター!
スタン知ってるのか!?さすがルーティ!
ルーティあたしは直接面識ないんだけどちょっと変わった風貌だから、それなりに有名なのよ
リオンどこに行けば会える?
ルーティ残念だけど、今はこの街にいないわ
リオン何だと?
ルーティ少し前に街を出てったって話よ。…旅支度をしていたとも聞いたし、この街には戻らないんじゃないかしら
スタンそんな…
ロイドクラースがどこに向かったか、わからないか?
ルーティうーん…さすがにそこまではね…
リオン
スタンどこへ行くんだ、リオン?
リオンクラースがいないなら、この街に用はない。近隣の街を片っ端から訪ねて、行方を捜す
ロイド…そうだな、近くの街に立ち寄ってる可能性だってあるし…
スタンそうだ、ルーティも一緒に来ないか?いつまた地震が起きるかわからないしそれに――
ルーティ…ルイニス街の事は心配よ。リリスの事も、街のみんなの事も。だけど…
女の子ルーティお姉ちゃん…あっちにも一人ぼっちの子がいるの…あと大人の人が、魔物がまた出たって
ルーティ…わかった!すぐ行くから、先におうちに連れて行ってあげて!魔物はあたしが何とかするわ。急いで
スタンあの子達は…孤児か…?
ルーティ…そうよ。この大地震の影響で親とはぐれて、孤児になってしまった子達がたくさんいる
リオン
ルーティスタン。悪いけどあたしはこの子達を置いて、あんた達と一緒には行けない
スタンルーティ…
スタンああ!ルイニス街の事は、俺達で何とかする!だからルーティも全力でその子達を守ってやってくれ!
スタンでも、地震は今も続いてる。…ルーティがみんなを支えるなら、ルーティが気を付けないとな
ルーティバカね。あたしがそんなヘマするわけないじゃない。あんた達こそ気を付けるのね
ルーティあ、それと!今回の情報料は特別にまけとくわ!でも、次はきっちりもらうからね
ロイドなっ…金を取るのか?
ルーティ当然でしょ。情報ってのは大事な商売品なのよ?
スタン相変わらずだなあ…
ルーティじゃ、またね!
ロイドルーティ、偉いな。たった一人で街を駆けまわって、子ども達を助けてるって事だろ?
スタン俺、ルーティがあんなに頑張ってるのはじめて見たかも。子どもには優しいのかもな。な、リオン
リオン…無駄話はいい。さっさと街を出るぞ
ロイド…あ、ああ…
スタンそうだよな。俺達は俺達の出来る事をしないと。情報集め、頑張ろうな!
scene1異変の原因
スタン
ロイドどうした?スタン
リオン…?
スタンごめん、ここでちょっと待っててくれないか?
ロイド…!わかった、あれだろ?大自然の摂理!
スタンおお!すごいなロイド!そうそう、その通り!いい勘してるな!
ロイドいや、俺もちょうど行きたいと思ってたんだよ
リオン
スタンじゃあ一緒に行くか!
ロイドいいぜ!リオンもどうだ?
リオン誰が行くか!
ロイドたまには一緒もいいもんだぞ?
リオンふざけるな。行きたければさっさと行け。ぐずぐずしていると置いて行くぞ
ロイドわかったよ。じゃあちょっと、待っててくれよな
リオン…全く
リオン
リオン…あいつら、どこまで行ったんだ?いつまで待たせれば気が済む――…
???きゃあっ!
リオン今の悲鳴は…
グルル…
???…くっ…負け…ません…!
リオンはっ!
ズバッ!
ギャオオッ!
リオンおい、怪我はないか
???は、はい。助かりました。ありがとうございますあの、あなたは…?
スタンリオン、お待たせ!
ロイドん?その子は…
???ミントだ
ミントアルヴィンさん!
スタンアルヴィンさんにも連れがいたのか。俺はスタン、こっちはロイドだ。よろしくな!
スタンリオン、紹介するよ。アルヴィンさんだ
リオン…リオン・マグナスだ
アルヴィンよろしくな
ミントみなさん、よろしくお願いします
リオン
ロイドせっかくだから景色のいいところで、と思って探している途中で偶然知り合ったんだ
リオン余計な時間を使うな!
スタン悪い悪い
アルヴィンそういえば、スタン達から聞いたぜ。人を捜してるんだってな。えーと…何とかっていう…
リオン…クラース。クラース・F・レスターだ
ロイドそれと、ジーニアスもな!
ミントみなさん、クラースさんをお捜しなんですか?
リオン知っているのか?
ミントはい。あの方でしたら…
きゃああああっ!
スタン…!向こうから悲鳴が!
ロイド行ってみよう!
リオンおい、話はまだ…!
リオン…ちっ!
scene2異変の原因
スタン女の人が魔物に襲われてる!
た、助けて…!
ロイド今行く!
スタンはあっ!
ズバッ!
ギャウウッ!
ミント大丈夫ですか?
は、はい…
…つっ、膝が…
アルヴィン膝を怪我しているようだな。ミント、治療出来るか?
ミントはい、今…!
楽になりました…ありがとうございます
ミントこの辺りは魔物が多いみたいですから、気を付けてくださいね
はい…!すぐに帰ります。このご恩は忘れません
ロイドあの人、無事でよかったなー。それにミントは治癒術が使えるんだな。すげえや
スタン俺はロイドもすごいと思うけどなあ。足すっごい速いんだな!あっという間に走ってったし
ミントロイド…ロイド…さん?あ…もしかして、ロイドさんって…
ミント…あの、ロイドさん。ひょっとして、クレスさんをご存知ではありませんか?
ロイドクレス?ああ、知ってるぜ!…って、ミントもクレスの知り合いなのか?
ミントはい!
アルヴィンへえ、共通の知り合いがいるのか。世間って狭いもんだな
ミントクレスさんからロイドさんの話を聞きました。とても強くて、いつもみなさんを引っ張っていたとか…
ロイドクレスの奴、そんな事言ってたのか?…何だか照れるな!
ロイドクレスこそ、すっごく強くて頼りになる奴だったぜ!
ロイド…そういえば、今あいつは?
ミント戦争が再開したと聞いてトーティス村を飛び出して行ったそうなのですが
ミント詳しい事は私にもわかりません。無事でいてくれるといいのですが…
スタンん?ちょっと待ってくれ。さっき、戦争って言ったか?どういう事だ?
アルヴィン…もしかして知らないのか?ウィンドルとア・ジュールの戦争がまた、再開したって話だぜ
ロイドな、何だって!?それ、本当か!?
ミントはい、間違いありません。何でも国境付近の戦場は特に被害が深刻だそうで…
スタン知らなかった…そんな事になっていたなんて
リオン…戦争の話はどうでもいい。それより、お前はクラースを知っていると言っていたな
ミントは、はい…
リオンどこに行けばそいつに会える?
ミントクラースさんは、普段からあちこち出歩く事が多いので、正確な場所は私にも…
ミントただ、最後にお会いした時は、シルヴァラントの方へ向かうとおっしゃっていましたが
リオンシルヴァラントだと…!
スタン俺達の国じゃないか!まさか入れ違いになったとか…?
リオン
ロイド
スタン…ん?どうかしたのか、ロイド?
ロイド何で戦争がまた起こってんだ…?俺達がティルグと約束したのは、そういうのをやめさせるって事で…
スタンティルグ…?
ロイドいや、こっちの話だ。…そんな事よりアルヴィン、二国の戦争再開について知っている事を教えてくれ
ロイドそもそもあの二国の戦争は終結して、和平交渉を進めてるって話じゃなかったのか?
アルヴィン何でも、ア・ジュールがいきなり奇襲攻撃を仕掛けたらしいぞ
アルヴィン特殊な兵器を使われたからウィンドルも応戦せざるを得なかったという話らしいが…
ロイド特殊な兵器…。まさかミラが話していた魔導兵器とか何とかじゃ…
アルヴィンミラ…?もしかしてミラ=マクスウェルの事か?
ロイド…!アルヴィンもミラの事知ってるのか?
スタンそのクレスって人といい、ミラって人といい…何だかすごい偶然だな
ロイドああ…でも、だったら話は早い。ミラいわく、魔導兵器はマナっていう生命の…えーっと、何だっけ…
アルヴィン生命の源たるマナを、エネルギーにしている、か?
ロイドそうそう、それだ!だから、そのア・ジュールが使った兵器が魔導兵器だったとしたら…
ミントそのマナを消耗してしまう、という事ですか?
ロイドああ、それもごっそりって話だ…。生命の源っていうくらいだし、かなりの悪影響が出るはず…
ロイド確か、ウィンドルでも同じような魔導器を作ってて、それが原因である街では変な病気が流行ったらしい
アルヴィンそりゃ、イニル街の話だろうな。奇病が流行ってるって話は聞いてたが、原因は魔導器か
ロイドああ、そうなんだ。俺の仲間の妹もそれにやられた…
ロイドミラは魔導兵器があると、この世界が滅びるって言ってた…。だから使わせないように壊したって
リオン
ゴゴゴ…!
ミントまた地震が…
スタン本当に多いよな。世界は今、どうなってるんだろう
アルヴィンふむ…これはもしかしたら、もしかするかもな
ミント何がですか?
アルヴィン今みたいな地震もそうだが、このところ世界中で異変が起きてるだろ?
アルヴィンその事と、戦争が再開したのは、もしかしたら関係があるんじゃないかと思ったのさ
リオン
ミント確かにタイミング的には、同じですが…そんな事があり得るんでしょうか
アルヴィンあくまで推測だけどな。けど、魔導兵器ってのを使うとマナが大量になくなるんだろ?
アルヴィン本当に戦争で魔導兵器が使われたならマナがかなり減少しているはずだ
アルヴィンイニル街の事もあるし、何が起きても不思議じゃない状況とは言えるかもしれないな
スタンじゃあ…もしかして、ルイニス街が氷漬けになったのも…
アルヴィン氷漬け…どういう事だ?
ロイド…俺達がクラースを捜してるってのも氷漬けの街を救うためなんだ
アルヴィン…なるほどな。大体話はわかったぜ
ミントそれで、クラースさんを捜し、精霊について話を聞こうとしているのですね…
リオン…ああ、そうだ
スタンルイニス街の氷も、やっぱり…その魔導兵器ってヤツの影響なんじゃないのか?
アルヴィン想像も出来ない事がこういくつも重なって起きてりゃ、可能性としてあり得る話だと思うが…
スタン…!じゃあ、ルイニス街を救うためには、その魔導兵器を何とかしないと、って事になるのか?
リオン
アルヴィンそうかもしれないが、全ては推測だ。まず魔導兵器が本当に異変に関係しているか。調べるならそっからだろ
ロイドそうだな!じゃあ、まずはイニル街へ行ってみないか?
ロイド魔導器があって、奇病が発生したのもあの街だ。何かわかるかも――
リオン…無駄だ
スタン…リオン?
リオン魔導器だか魔導兵器だか知らんがそんな事を調べても、時間の無駄だと言っている
アルヴィン…無駄、ね。確かに推測に過ぎないが、そこまで断定出来るものかね?
リオン試す価値はない。あの街に必要なのは、精霊の力だけだ
アルヴィン
リオンお前達がイニル街を目指すなら好きにすればいい。僕はクラースを追う
ロイドでも…
リオンだから、行きたければ、行けと言っている!
リオン勘違いするな。…僕は初めから、お前達と行動を共にする気などない
リオンお前達がどこへ行こうと、何をしようと、知った事か
リオン僕は僕の判断で動く。当初の予定通り、クラースを捜し、精霊の情報を得る
アルヴィンおやおや、仲間割れか?
スタン
スタン…わかった。シルヴァラントへ戻ろう
ロイドスタン…
スタン…リオンはただ、あの街を救いたいだけなんだ
スタン街を救いたくて、リフィルさんに精霊の情報をもらって…必死に追いかけて来たんだもんな
スタン急に方向転換をしようと思っても、納得できない気持ち、俺、わかるよ。だろ?リオン
リオン
アルヴィンま、俺の話もあくまで推測だしな
スタンじゃあ、当初の通り、精霊捜しと、その手がかりになるクラースって人に会う事を優先しよう
ロイド…そうだな!ま、戦争に関してはクレスも動き出してるみたいだし…
ロイド俺も引続き、クラース捜しを手伝う事にする!ジーニアスの事も手がかりすら掴めてないしな
ミントあの、でしたら私達も、ご一緒させていただけませんか?
ミント私は世界の異変と戦争で傷付いた人を一人でも助けられるのなら、と思い、旅に出ました。ですが…
ミント氷漬けの街と聞いて、黙ってなどいられません。氷を溶かした後は、きっと治癒の力が必要になると思うんです
ミントですから、私もルイニス街のみなさんを助けるお手伝いをさせてください
ミントあ…すみません、アルヴィンさん。勝手に話を進めてしまって
アルヴィン俺は構わないぜ。今はミントの用心棒だからな。何なりと仰せのままに
スタンさ、リオン!改めて、みんなで一緒にシルヴァラントに戻ろう!
ロイドじゃ、まずはメルトキオってとこか。急ごうぜ!
リオン
アルヴィンありゃりゃ。そっちの少年はご機嫌斜めか?
ロイドいや、ずっとあんな調子だ。それだけ余裕がないって事だろ
アルヴィン…余裕がない、ねぇ
scene1疑心
アルヴィンどうだ?クラースの情報は聞けたか?
ロイドいや、何も…。それらしい人を見たって話もない
スタン…俺もだ。クラースは、メルトキオに来てないんじゃないか?
ロイドシルヴァラントの王都だし、立ち寄るんじゃないかと思ったんだけどな
ロイド先生の話じゃジーニアスもまだ戻って来てないらしいし…本当にどこ行っちまったんだろう…
ミントどうしましょう…他の街に向かいますか?
リオンああ
スタンじゃあ、コルテア街なんかどうだ?
スタンあそこはルイニス街からも近いし、ひょっとしたら何か知ってる人がいるかもしれない
リオンコルテア街か…いいだろう。どのみちしらみつぶしに街を回るつもりだ。どの街からでも構わん
ロイド決まりだな。じゃあ早速…
バサバサ…
ミントあら?向こうから、鳥が飛んで来ましたよ
スタン何だ?あの鳥…アルヴィンさんの手に止まったぞ
アルヴィンほい、ご苦労さん
バサバサ…
ミントアルヴィンさん、鳥を飼っているんですか?
アルヴィン知り合いと連絡のやり取りをするのに使ってるのさ
アルヴィン
アルヴィン…なるほどな
アルヴィン今届いた情報によると、メルトキオの南に、大規模な亀裂が出来たらしいな
スタン大規模な亀裂…。妙な力が働いてるっていう、あの亀裂か?
アルヴィンさあ、どうだろうな。そこまでは書いていない
アルヴィンあんたらの知る亀裂か、はたまた、何か別の事象で出来たものか。直接見てみない事にはわからないな
アルヴィン行って確かめてみるか?
リオン…聞かれるまでもない。行く必要はない
アルヴィン
アルヴィン前にミラから聞いたんだが、精霊ってのは、いろいろと不思議な事象を起こす事が出来るんだとさ
リオンその亀裂は精霊の力によるもの。…そう言いたいのか?
アルヴィンその可能性も、あるんじゃないかって話だ
アルヴィンそれに考えてもみろよ。コルテア街へ行ったところで、クラースに会えるとは限らない
アルヴィン一方で、もしその亀裂が精霊にまつわる物なら、そっちの方にクラースが現れる可能性は高い
アルヴィン今の話を聞いた上で、おたくはどう思う?
リオン
リオン…いいだろう。そこまで言うなら行ってやる。早く行くぞ
アルヴィン
ロイドアルヴィン、リオンを説得するの、うまいな
アルヴィン何となく考えてる事がわかるんだよ。案外、似た者同士なのかもな
ミントいずれにせよ、早く精霊の手がかりが見つかるといいですね
スタンうん、そうだな。じゃあ亀裂のところへ行こうか
ロイドああ、そうしよう
scene2疑心
ロイドこれが亀裂か…
リオン
ミント随分、大きいんですね
スタン確か、亀裂が出来た瞬間だけ落ちるって話だったよな。想像するだけでぞっとするよ
ロイドジーニアス…まさか亀裂に落ちちまったって事はないよな…
リオン
スタンリオン…どうした?
リオン…いや。亀裂がここまで大規模なものだと思っていなかった。それだけだ
ロイドそうだよな…。こうやって改めて見ると、やっぱり自然現象じゃないんじゃって…
アルヴィン悪かったな、リオン。あてが外れちまって
リオンもういい。ここにクラースはいない。精霊の情報もない。次はコルテアへ向かうぞ
ミントそうですね、では早速――…!
グルル…
スタンくっ!魔物か!
グアアアアッ!
リオンちっ…邪魔をするな!
scene3疑心
ロイド日が暮れたな…足元がだいぶおぼつかなくなってきたぞ
ミント無理に進むのは危険です。今日はこの辺りまでにしてあの小屋で休みませんか?
スタン小屋?…ああ、本当だ!旅人用の小屋なのかな?…俺、ちょっと見てくるよ!
リオン
スタンみんなー!やっぱりここは、旅人用の小屋みたいだ!野宿よりは安全だし、ここで休ませてもらおう!
ミント…ちょっと、落ち着きましたね
ロイドミントが小屋を見つけてくれてよかったよ。あのままじゃ夜通し歩くか、野宿するところだったからな
ロイド…そういえば、アルヴィンってミントの用心棒なんだっけ?どこで知り合ったんだ?
ミントアルヴィンさんが魔物と戦って怪我をした時に、たまたま私が通りかかったんです
アルヴィンそれで、治療してもらった礼に、用心棒を買って出たってわけさ。こう見えても義理堅いんでね
ロイド偶然の出会いって奴か。俺が最初にリオンに会った時も、そんな感じだったよな
ロイド森で魔物に襲われそうになったところを助けてくれたのが最初で、その後にルイニス街で再会したんだ
ロイド俺の幼なじみのコレットがさらわれて大変だった時もリオンが情報をくれてさ…
ロイド本当、リオンにはいろいろと助けてもらいっぱなしなんだぜ。ありがとな!
スタンへえ。さすがリオン!やるなあ!
リオン別に、大した事じゃない
ミント人と人の縁って、不思議ですよね。たまたま出会った人と、すごく仲良くなったり…
ロイドクレスともそうだったのか?
ミントそ、そういう意味で言ったわけではありません…!
ロイド…ん?そういう意味って、どういう意味だ?
スタンそういえば、俺とリオンはどうやって知り合ったんだっけ?
リオン…さあな
スタンえーっと…確か、何か気付いたらいつの間にか知り合いになってて、街の人達も、みんな優しくて…
リオン
スタンルイニスは本当にいい街なんだ。居心地はいいし、みんないい人で…それに食べ物だってうまい
ロイドそうそう、宿の飯がうまかった。コレットやリタも喜んでたよ
スタンそれなのに…どうしてあんな事に…
ミントスタンさん…
アルヴィン今考えると、お前達二人が氷漬けに巻き込まれなかったのが唯一の救いだな
スタンああ、本当にな。…そういえばリオン、お前はどうして巻き込まれずに済んだんだ?
スタン俺が街に戻った時、既に街は氷漬けで、リオンがたった一人で街を見てて…
リオンそれは…
アルヴィン
リオン…僕も、街の外にいたんだ
スタンそうか…って事は、街が氷漬けになった瞬間は見てないって事だよな…
スタンどうやって氷漬けになったのかを見ていたら、街を救う方法がわかるかもしれないと思ったんだが…
ロイド気を落とすなよ、スタン。とにかくイフリートを捜そうぜ。それできっとどうにかなる。な?
リオン
アルヴィン
ホウ…ホウ…
リオン
アルヴィンどうした、リオン。眠れないのか?
リオンお前は…。僕に何の用だ
アルヴィンそんな怖い顔するなよ。俺も目が冴えちまってな。せっかくだ、少し話でもしないか?
リオンお前と話す事など何もない
アルヴィン本音をひた隠しにして振る舞うってのも、結構大変なもんだよな
リオン…!
リオン…何の話だ
アルヴィンあくまで一般論さ。別におたくの事を、言ってるわけじゃない
リオン
アルヴィンそれはそうと、一つ聞かせてくれ。どうしてそうまでして、精霊を捜す事にこだわる?
リオン…ルイニス街を救うためだ
アルヴィンでも、その方法ってのも確実なものじゃないんだろ?スタンやロイドが言ってたぜ
アルヴィンだが、その割に随分と「精霊」に固執するんだな
リオン
リオン何が言いたい?
アルヴィンお前が精霊にそこまでこだわるのは、何か理由があるんじゃないかって事だよ
リオンフン、くだらん。勝手に言っていろ
アルヴィンま、確かに証拠があるわけじゃない。…一応、もう一度聞いておくぜ。何か理由があるんじゃないのか?
リオン答える必要もない
アルヴィン…仕方ない。じゃ、俺は答えてももらえないショックに打ちひしがれながら寝るとするか
アルヴィンじゃあな。おやすみ
リオンあいつ…わざわざ今の話を、僕にするために起きてきたとでもいうのか…?
リオン…アルヴィン、か。わけのわからない奴だ。あいつの目的は何だ…?
scene1コルテアでの収穫
チュン…チュン…
リオン
アルヴィンお早い出発で
リオン…!
アルヴィン一人でどこに行くつもりだ?
リオンお前…何を考えている?
アルヴィンこうなるんじゃないかと思って、早起きして待ってた甲斐があったな
アルヴィンおーい、みんな起きた起きた!出発するぞ!
ロイドうー、おはよう…何だ、アルヴィンもリオンも、もう支度終わってるのか
アルヴィンそういう事だ。ロイドも急いでくれ。あと、スタンは?
ロイドあれ…?
スタンすこー…すこー…
アルヴィンまだ夢の中か。ロイド、起こして来てくれるか?
ロイドああ
ミントおはようございます
アルヴィンおはよう。さすがミントは女子だな。朝からぴしっと決まってる
ミントそんな事は…
ロイドおいスタン、起きろ
スタンむにゃむにゃ…あともうちょっと…すかー…
リオン
ロイド早く起きろって。もう寝てるのお前だけなんだぞ
スタンすこー…
アルヴィンほら、早く支度しろよ。あいつに置いて行かれるぞ
スタンうぅ…ん…?
スタンあ、アルヴィンさん、みんな…おはよう
ロイド急ごうぜ、スタン!マジで置いてかれちまう
スタン…置いて行かれるのはいやだな…うん…起きるよ…
リオン…おい。お前、何を考えている?
アルヴィン別に大した事は考えてないって。単純におたくの事が心配なだけさ
リオン
スタンお待たせ。じゃあコルテア街に向かうか
ロイドよし、出発だ!
scene2コルテアでの収穫
ミントここがコルテア街ですか
スタンクラースって人に会えるか、せめて手がかりだけでも見つかるといいんだけどな
リオン
ゴゴゴ…
アルヴィンおっと、また地震か
街の女また地震よ…!早く逃げないと!
街の男ああ!またあの亀裂が出来るかもしれない!足元には注意しろよ!
スタン亀裂って…あの変な力の…?
リオンむ…?
ロイド街の中に、こんなに大きな亀裂が…!
スタンひどい有様だ…。この街の人達が地震を怖がる理由がわかった気がする…
???ふむ…地震後の亀裂の状態に、変化は特になし、と。全く、休む暇もないな
???それにしても、リッドとファラの奴、亀裂について何か情報を掴んだだろうか
リオンおい、そこのお前
???…?ぼくに何か用か?
リオンクラース・F・レスターという男を捜している。心当たりはないか
???クラース…?
ロイド精霊マニア…じゃなかった、研究者。身体にペイントをしてるらしくて見た目はかなり特徴的らしいんだけど
???身体に…ああ、そういえば…
アルヴィン心当たりがあるのか?
???名前は知らないが、それらしい人物の話は聞いた
ミント本当ですか?
???ああ、何人かで連れ立ってアグニラス山へ向かったという話を耳にした
ロイドアグニラス山?
???南の火山だ。何でも、イフリートの調査のためという話らしいが…
スタンイフリートだって!?
???驚くのは当然だ。あの大精霊イフリートだからな
ロイドそれなら知ってる。リフィル先生に話を聞いてるからな。でも、この辺に火山なんてあったか?
???いや、なかった。最近出来たものだ
???大地震や亀裂の発生…世界に起きている異変と同時期に突然、山が噴火して出来たんだ
???それまで火山活動がなかった山だ。普通なら考えられない現象だって事でイフリートの関与が予想されている
アルヴィンって事は、クラースだけでなく、同時にイフリートにも会えるかもしれないって事だな
リオン…ああ
ミント私達もすぐに向かいましょう。南へ行けばいいんですね?
???ああ
スタン貴重な情報をありがとう。助かったよ
???もし首尾よくイフリートを見つけられて、またこの街に戻る事があったら、詳しい話を聞かせてくれ
???本当はぼくも行きたいんだが、ここの亀裂の調査があるから、今は動けそうにない
アルヴィン覚えておくよ。そういや、名前を聞いてなかったな?
キールキール・ツァイベルだ
ロイドありがとな、キール!じゃあ、早速行こうぜ!
リオンああ
アルヴィンまさかここへ来てイフリートの情報を聞けるとはな
スタンイフリート…。これでルイニス街を救えるかもしれないって事だよな…
ロイドああ…そうだな!やっと有力な手がかりを得たんだ。急いで向かおうぜ!
scene1手がかりを追って
アルヴィンここがアグニラス山か…。ただの山が、突然こんな状態になっちまったって事だよな?
ロイド…まだ信じられない。ここは本当にシルヴァラントか?
ミントやはりイフリートが関わっているんでしょうか…
アルヴィンイフリートといえば、確か炎の大精霊って話だったよな
アルヴィンそう考えると火山を創る事くらい造作もなさそうだが…実際のところはどうなんだろうな?
スタンもしこの炎がイフリートの力で出来ているなら、ルイニス街の氷も溶かせそうな気がする!
スタン…だろ?リオン!ようやく希望の光が見えてきたぞ!
リオン…そうだな
スタンリオン?どうした?嬉しくないのか?気分でも悪いのか?
リオン…何でもない
アルヴィン
ロイドよし、じゃあ進むか。クラースとイフリートが奥でお待ちかねだぜ
リオン…!ここからでも熱気が伝わってくる…
スタン向こうの方からみたいだ…
ロイドもしかしてこの熱気の先には…
アルヴィンイフリートがいるって事か…!
スタンそうか…よし!気合いを入れないとな!
ロイドああ、俺もだ!一気に駆け抜けてやろうぜ、イフリートのところまで!
アルヴィンスタンもロイドも、随分力が入っているな
ミント無理もありません。ずっと追っていた大精霊がそこにいるかもしれないのですから
リオンイフリート、か…
scene2手がかりを追って
スタン暑い…
ロイドさすが火山だな…俺も汗だくだ…
アルヴィン早々に飛ばしすぎてバテてんじゃねえか、お前ら…
ミントでも…奥に進むにつれて熱気よりも、気迫のようなものを強く感じるようになった気がします
リオンああ、そうだ――…!
スタンあれ…?何か急に空気が軽くなったっていうか…
ミント私も感じます。どうしてでしょう?
ロイドまさかイフリートが、いなくなっちまったんじゃ?
アルヴィンもしかしたら先客がいて、そいつが何かしたのかもしれないぞ
スタンじゃあ、クラースって人じゃないか?キールが言ってたじゃないか、火山に向かったって!
リオンちっ…!ようやくここまで来たというのに…
カラ…
ロイドリオン、危ない!足元が崩れるぞ!
ガラガラガラッ!
リオンくっ…!
スタンリオン!!
スタン大丈夫か
リオンあ、ああ…すまない。助かった
アルヴィンお…
スタンへへ…
リオン…どうした?何故、僕の顔を見て笑う?
スタンいや、リオンに礼を言われたのが嬉しくてさ。めったにないだろ?
リオン…礼を言ったつもりはない。いいから行くぞ
スタンおう!
アルヴィン…青春だねえ。見てるこっちが気恥ずかしくなるな
ミントリオンさんは冷たく振舞っているようですが、みなさん全員、仲がいいという事なんでしょうね
グルルルル…
ロイドん?今のは…
ギャオオオオッ!
ロイドみんな、気を付けろ!魔物だ!
scene3手がかりを追って
リオン…終わったか
アルヴィンやれやれ。とんだ足止めを食ったな
アルヴィンそれにしても…あれ以来熱気も静まってきているようだな。イフリートはいなくなったって事か?
ミントわかりません。とにかく、先を急いでクラースさん達を捜すのがいいと思います
ロイドそうだな、奥にいたんなら何か知ってるかもしれないし…
リオン…!あれは…
スタンリオン、どうしたんだ?急に立ち止まって――って、…あの身体の柄は…
ミントクラースさんです!
アルヴィンあれは…?どういうわけか、俺の見慣れた顔もいるようだ
ロイドまさか、こんなところで会えるなんてな…よし、行こうぜ!
リオン

NameDialogue
scene1動き始めた影
ゴォォォ…
???
キイイーーン…
キイイイイーーーーンン…!
???
???ここも…手遅れか
???
リッドお、おい!亀裂の奥から何か…あれは何だ!?
エミル光り出した…
レイアうっ…!どんどんまぶしく──
ユリウスむ…?あれは…!
ルークうおおおおーーーっ!?
マルタちょっとルーク、そんなに大声出さないでよ。耳がキーンってなるでしょ
ルークう、うっせえな、ちっと驚いただけだっつーの!
ティアここは…
ミュウ元の世界ですの?戻って来たですの?
コンウェイへえ…
ガイルーク!?それにティアとミュウも!
ルークガイ!?
マルタあーっ!エミル!!
エミルマルタ…!無事だったんだね!
リッドファラ!
ファラリッド!?メルディ!?
メルディワイール!ファラが帰って来たよう!それにルークもいるよう!
レイアこんな偶然って…とにかくよかったよ、みんな無事で
ルドガー兄さん!
ユリウスルドガー、無事のようだな。偶然だが、彼らの仲間を連れて帰って来てくれたようだな
ガイふう…
ルーク何だよ、ガイ。俺に会えて嬉し泣きしてんのか?
ガイまあ、泣くってほどじゃないが、お前の顔を見たら、何だかどっと疲れが湧いてきたよ
ファラリッド…心配かけちゃったよね。ごめん
リッドそんな事ねえよ。お前だったら何とかやってると思ってたからな
リッドま、無事でよかったよ
マルタエミル、私を助けるために、駆け回ってくれたんでしょ?ファラから聞いたよ
マルタありがとう…やっぱりキミは、私の王子様だね
エミルえ、いや…そんな事…
コンウェイこれがキミ達の世界か。自然豊かないい場所のようだね。それと…
コンウェイお迎えの人達も個性的な人が多い。興味深いな
ジーニアスはは…そうだね
scene2動き始めた影
リッド分史世界…?
ルークああ。お前も知ってる時空の歪みとはまた別に、そういうところがあんだよ
ルーク俺達はそこへ飛ばされちまったんだ。だよな、ルドガー?
ルドガーああ
メルディブンシ世界…よくわからないけどファラとルークが無事でメルディ嬉しいよぅ
ファラルドガーとルークのお蔭だよ。わたし一人じゃ絶対出て来られなかったと思う
ルークそんな事より、クロノスの奴、あの野郎、俺をあんなところに…絶対もう一回ぶん殴ってやる!
マルタまだそんな事言ってる…相変わらずしつこい
ガイははは…
ガイまあ何にしても、無事でよかったよ
ユリウスクロノスか…どうも引っかかるな
ルドガー兄さんも?実は、俺もなんだ
レイアどういう事?
ユリウスクロノスといえば、時空を司る大精霊だと聞いた事がある
ユリウス時空の歪みにそのクロノスがいたという事は、この時空の歪みはやはり異変の影響などではなく…
ジーニアスうん。時空の歪みはクロノスの能力によって作られた空間だと思う。異変の影響とは思えない
ルーク何かわかんねーけど、時空の歪みがクロノスのせいだっつーんなら異変だってそれが原因じゃねえのか?
ガイそう言い切るにはまだ情報が足りないんじゃないか。もっと調べてみない事にはな
ファラ
ファラ…わかった、みんなで異変の原因について調べよう!
リッドファラ、お前また…
ファラ原因がわかればきっとこの異変は止められるよ!
ファラリッドもそう思わない?
ファラたくさんの人が苦しんでるんでしょ?わたしに出来る事なら、何でもしたいから
リッド…ファラ
リッドまあ、それもそうだな。またおてんばファラにいなくなられて捜しに行くのも面倒だし
ジーニアスボクも賛成!
ジーニアス…クロノスの様子が変だった事も気がかりだし、今世界で何が起きているのか、調べてみるべきだと思う
ルドガーああ、そうだな
ルーク俺もやる。このままじゃ収まらねえ
ルークけど調べるって、何からすりゃいいんだ?
ティア待って、ルーク。何をするにしても、まずは陛下にあなたの無事を知らせないと
ティアただでさえ大変な状況よ。何も知らせないまま、次の行動に移るのは、混乱を広げるだけだわ
メルディ…。メルディ、異変が事心配よ…リンネル村が事も心配だよぅ…
ルーク
リッドおいおい、何むくれてんだよ。仕方ねえだろ。物には順序ってモンがあんだよ
ルークべ、別にむくれてなんかねえ!
ガイ…とにかく、全員で一緒に行動する必要もないわけだし誰がどうするのか一度整理してみないか?
ファラそうだね、それがいいかも。じゃあ早速…
ガルル…
ジーニアスん?このうなり声…
ギャオオオオ!
ミュウま、魔物ですの!
リッドやれやれ…話をしてる最中だってのに
scene3動き始めた影
ルドガーさてと。邪魔が入ったけど、改めて誰がどうするか決めないとな
ルーク俺は異変の原因を調べに行くぜ
ルーク伯父上にはティアが知らせりゃ、俺が行く必要はねーし
ティアルーク、ちょっとあなたね…
ファラわたしはルークと一緒に行くよ!何としてでもこの異変を止めなきゃ
リッド…となると、自動的にオレも、だな
リッドファラ一人じゃ何するかわからねえ
ガイなら俺も行かないわけにいかないか。今度こそ、ルークから目を離さないようにしないとな
ガイティア、すなまいが、ルークの言うように、陛下への報告は君に頼むよ
ティアあなたもなの、ガイ?
ティアはあ…止めても無駄みたいね
ティアわかったわ。それなら先に行って。陛下に報告したら私も後を追うから
コンウェイボクもルークくん達と行くよ。その方が、いろいろと面白いものが見られそうだしね
ジーニアス勿論、ボクもね
ユリウスなら、ルドガーも同行させよう。俺も行きたいが、亀裂に飲まれた人を放っておく事は出来ないからな
ルドガーよろしく
ファラうん、こちらこそ
ファラルドガーが一緒に来てくれるのは心強いよ
ミュウボクは勿論ご主人様と一緒に行くですの!
ティアそれなんだけど、ミュウ。あなたは私と一緒に、一度戻った方がいいかもしれないわ
ティア出発する時、気になる噂を聞いたの。チーグルの森でも異変が起きているらしいって
ミュウみゅ!?チーグルの森が大変な事になってるですの!?
ルークお、おい、マジなのか?被害とか…
ティア詳しい事はわからないわ
ティアでも各地の異変は見たでしょう?もう、どこだろうと楽観は出来ない状況なんだと思うわ
ティア…その意味ではルーク、あなたの選んだ行動は、確かに今すべき事かもしれない
ティアミュウの事は私に任せて
ルーク…わかった
ミュウで、でも…ご主人様と離れるのは心配ですの…
ルークう、うるせぇっ!ブタザル。とっとと行けよ
ルークお前なんかいても足手まといだしな
ルークなんだったら、当分戻らなくていいくらいだぜ
ミュウみゅうぅぅぅ…
エミル僕はマルタと一緒に、一旦キムラスカに帰ります
エミルマルタを無事街まで送り届けたら後から合流しようと…
マルタエミル、気を付けてね
メルディメルディはレイアと、リンネル村に戻るよ
レイア村がどうなってるか心配だからね
レイアガイが捜していたルークも無事に見つかったし!
ガイ二人共、いろいろ手伝ってくれてありがとうな。本当に助かったよ
レイアいいって、いいって!助かったのはお互いさまでしょ
ユリウスリンネル村はア・ジュールか。それなら船がいるな
ユリウス俺と一緒に来るといい。フィリア司祭に船の手配を頼んでみよう
メルディホントか!?ワイール!ありがとな!
リッドよし。これで全員の行き先が決まったな
ゴゴゴ…
エミルまた地震だね
ガイここでのんびりしている余裕はなさそうだな。早速出発するか
レイアそうだね。名残惜しいけど…
リッドみんな、気を付けろよ
ユリウス何かあったら、必ず力になる
ルドガーああ
ファラみんなで力を合わせれば、きっと何とかなるよ
ファラうん、イケるイケる!
ルーク話は終わったのかよ?んじゃ、行こうぜ
scene1街道沿いの廃墟
ティアそれじゃ、私達も行くわ。ガイ、ルークの事、頼んだわね
ミュウみゅうう、ご主人様、心配ですの…
ガイ心配ないさ。ルークだってもう子どもじゃないんだ。そうだろ、ルーク?
ルークうるせーぞお前ら
ルークごちゃごちゃ言ってねーでさっさと行けっつーの!
エミルじゃあね、ルーク
マルタみんなに迷惑かけないでよ!
コンウェイルークくんは、周囲の人間に信用されていないようだね
ガイ信用されていない、か…
ガイそれは少し違うな
ガイ何だかんだ言ってみんなルークの事が心配なんだよ。いい意味でさ
ガイそれにルークだって気遣ってるのさ。ミュウが行きやすいようにわざときつい言い方したりしてな
コンウェイ
コンウェイルークくんはああ見えて意外と気を使うのか。ボクの認識不足だったね
リッドメルディ達も出発したみたいだな
ファラうん。ユリウスが一緒だから、心配はいらないと思う
ジーニアスじゃあ、ボク達も行こうか
ジーニアスまずはそうだな…異変の発生について調べてみる事にしない?
ガイなら、ウィンドルとア・ジュールの国境地帯へ行ってみるのはどうかな
ガイ会ったばかりの頃にレイアから聞いたんだ。両国の国境地帯で突然巨大な亀裂が生じた、ってね
リッド巨大な亀裂…ここより大きいのか?
ガイ比べものにならないだろうな。何せ、大陸が分断される規模だそうだからな
ファラ大陸が分断…!?
ファラそれってもう、「亀裂」なんて規模じゃないじゃない
ガイ巨大亀裂は一連の異変のかなり早い時期に出現したらしい。あるいは何かあるのかもしれないな
リッドその可能性はなくはねえな
リッドじゃあ、その国境地帯に行ってみるか
ルドガーここからだったら、陸路でウィンドルに入り、北上していくルートがよさそうだな
ルークよし、そうと決まれば早速行こうぜ!
scene2街道沿いの廃墟
ルークふー…
ガイどうした、ルーク。もう疲れたのか?
ルークうるせーな。こう見えても俺は、デリケートなんだよ
ファラ近くに街か村でもあれば、ひと休み出来るんだけど…
リッド向こうに何か建物が見えるぞ
ルーク本当か!?
ルークよし、行こうぜ!ぐずぐずすんじゃねーぞ、お前ら!
コンウェイいきなり元気になったね
ジーニアス調子がいいなあ
コンウェイあれは…風車か?
ルドガーひどい…まるで廃墟みたいだ
ガイかなり徹底して破壊されているな。やられたのは最近のようだが
ジーニアスどうしてこんな事に…
ファラ
リッドファラ、一応言っておくがこの街は…
ファラ…大丈夫。ここがわたし達の街じゃない事は、ちゃんとわかってるから
コンウェイ地震が多いとは聞いていたけれどこの様子、地震の被害とは思えないね
コンウェイ建物の崩れ方もそうだし、周辺に漂う黒煙…異変の影響にしては不自然な点が多すぎる
ルドガーそれって、人為的に破壊されているって事か?
リッド誰が一体こんな事を?
ルーク戦争にしても前線からは遠いよな
ガイ怪我人がいるかもしれない。念のため、この辺りを見て回ろう
ルドガーああ、そうだな。じゃあ俺はこっちを──
ガサ…
リッドん?今瓦礫の辺りから音が…
ルーク何だ、誰かいるのか?
ガアアアアッ!
ジーニアス危ない!ルーク離れて!魔物だ!
scene3街道沿いの廃墟
ルークせいっ!
ズバッ!
ギャウウウッ!
ルークへっ、なめんなっつーの。俺にかかればこんなもんだぜ
ガイやれやれ。終わったか
???君達、大丈夫かい!?
リッドん?誰だ?
???誰かが魔物と戦闘をしてるような音が聞こえたから、来てみたんだけど…
???どうやら戦いは、既に終わっていたようだね。みんな、怪我はないかい?
ルーククレス!クレスじゃねーか!
クレスルーク!?
ファラ知り合い?
クレスああ。ルークとは光の神殿で出会ったんだ。大切な仲間だよ
ジーニアスああ、あの…ロイドから話は聞いてるよ
ルークこんなところでお前に会えるとは思わなかったぜ。一体何やってんだ?
クレス僕はウィンドルとア・ジュールの戦争が再開された原因を、探っていたんだ
クレス戦場でついに魔導器が使われてしまったという噂もある…
クレスティルグに顔向け出来ないよ…
ルーク魔導器!?…って、あの魔導兵器の仲間だよな。ヤバいんじゃないのか?
クレスああ…。いろいろ情報を聞いて回って得た情報だから、間違いない
コンウェイその「魔導器」とは、どういうものなんだい?
クレスこの世界に充満しているマナを消耗して動く特殊な機械の事だよ
クレスそのマナというのは世界を司るエネルギーで、枯渇すれば世界が危機に陥るそうなんだ…
ルーク確か、マナが減ったら生き物もみんな死んじまうとか何とか…
コンウェイなるほどね
ルドガーどうしてそんなものを…
ジーニアス
クレス最近、世界中で異変が起きているのは君達も知っているだろう?
クレス僕はあれも、魔導器の使用によるマナの減少が原因じゃないかと思っているんだ
ジーニアス異変の全てがそのマナの減少のせいだって事?
クレスうん、おそらくね
ジーニアス
ルークマジかよ…何であんなヤバイもん使って戦争なんかやってんだよ…
リッドだとしたら、一刻も早くその魔導器ってヤツが使われるのを止める必要があるんじゃねえのか?
リッド今は戦争どころじゃないとはいえ、状況が落ち着きゃ、いつまた使うかもわからねえし
クレスああ、同感だよ。僕もそれを国王に伝えるためにバロニアへ向かおうと思っていたところなんだ
クレス肝心の、戦争が再開された原因まではわかっていないけど、この情報は一刻も早く伝えるべきだと思ってね
ルークよし、わかった。そういう事なら俺達も一緒に行くぜ!
ファラ…そうだね、今ですらこんなひどい状態なのに、これ以上魔導器を使わせるわけには…
ジーニアス…本当に魔導器が全ての原因なのかな?
ルドガージーニアス?
ジーニアス時空の歪みにはクロノスが関わってる。…マナの減少で発生した現象だとは思えないんだ
コンウェイ確かに、あの空間の中でボク達はクロノスに会った。時空の歪みは彼の力の影響なんじゃないかな
ジーニアス今の話を聞いて、魔導器の使用がまるっきり関係ないとは思わないけど…それでも、やっぱり腑に落ちないよ
ガイふむ…まだ何か未知の要素があるって事か
リッドやれやれ、面倒になってきたな
リッド…じゃあ、ここでまた二手に別れりゃいいんじゃねーか?
リッド別にどっちに進んだところでこの異変をどうにかしたいっていう目的は同じわけだし
ルークしょうがねえな。で、誰が誰とどうすんだ?
ルドガー…よし、俺はジーニアスと一緒に行こう
ルドガー魔導器の話は信憑性が高そうだけど、時空の歪みにクロノスが関わっている以上、こっちも無視は出来ない
ルドガークロノスと戦う事になったら、俺の能力が役に立つだろうし
コンウェイボクもジーニアスくんと行こう。そっちの方が面白そうだ
ルーク何だよ、みんな国境地帯行きかよ
ルーククレスと一緒にバロニア行くのは俺とガイだけか?
ガイもともと国境行きを提案したのは俺なんだが…まあ構わないさ
ファラだったらわたしとリッドが、ルーク達と一緒に行くよ
リッド…はあ、また勝手に決めやがって
リッドどうもオレとガイはお守役から抜けられねえみたいだな
クレス話はまとまったようだね
クレスじゃあ、そろそろ行こうか。バロニアへは僕が案内するよ
ルークおう、頼んだからな、クレス
コンウェイそれじゃ、ここで一旦お別れって事でいいかな?
ルーク何かわかったら、必ず教えろよ。忘れたら承知しねえからな!
ルドガーああ。こっちも終わったらそっちに合流する
ルドガーじゃあ、気を付けて
ファラルドガー達もね
ガイジーニアス達は行ったな
リッドじゃ、オレ達も早速バロニアへ向かうとしようぜ
scene1追い求めていたもの
クラースよし、時間もない事だ、早速大精霊達を鎮めるために動くとしよう
ミラああ!
ヒスイん…?
ザッザッザッ…
ロイドおーい、ミラ!
ミラロイド…?どうしてここに
ゼロスなっ、ロイド!?
ロイドあれ、ゼロスもいたのか?何でミラと一緒に?
ミントクラースさん!
クラースおお、ミントじゃないか!
ジュードアルヴィン!
アルヴィンよう、ミラにジュード。奇遇だな
コハクお兄ちゃん、もしかしてみんな知り合いなのかな?
ヒスイそうみてぇだな。偶然再会、っていうにしちゃヘンな場所だけどよ
ゼロスハニー元気にしてたかい?いきなり街を飛び出したって聞いて、俺さま心配してたんだぜ~?
ロイドまあ、いろいろあってな
ロイドそれより、ジーニアスを知らないか?行方がわからないんだ
ゼロス何だ、ジーニアスもかよ
ロイド今はほら、変な亀裂があちこち出来たりしてるだろ?落っこちたりしてないか、心配でさ
ゼロスうーん…少なくとも俺の耳には入ってねーけどな
ゼロスでも、あいつの事だし大丈夫だろ
ミント私達、クラースさんを捜していたんです。お会い出来てよかった
クラース私を捜していた?何故だ
ミントそれは…
リオンお前がクラース・F・レスターか
リオン精霊に詳しいそうだな。イフリートはどこにいる?
スタン火山を登ってくる途中で、急に熱気が静まったように感じたから何かあったのかと思って
クラースイフリートの事なら、私よりも、ミラに聞くといい
ミライフリートならここにいるぞ。お前達の目には見えないだろうが
リオン傍に…いる、だと?
スタン本当か!?…だったら力を貸してくれ。ルイニス街が大変なんだ
ジュードルイニス街…?
クラース…どういう事だ?事情を話してくれ
リオン…ああ、わかった。だが、時間もない、話は山を下りながら、だ
scene2追い求めていたもの
ミラ街全体が氷漬けになっただと…?
リオン…ああ
スタン建物だけじゃなくて、街の人も一緒に凍ってしまったんだ。俺の妹のリリスも…
ロイドリフィル先生が言うには、炎の精霊イフリートの力を借りれば、何とか出来るかもしれないって
ミントそれで精霊に詳しいクラースさんを捜していたんです
アルヴィンま、そういう事だ
クラースなるほどな…。確かにその氷が精霊の力によるものだとしたら、イフリートの力で救えるかもしれない
クラースだが、今ある情報だけで判断する事は難しい…
クラース…ミラ、どう思う?
ミラふむ…
ミラ街が丸ごと氷漬けになるとは…ただの自然現象とは思えないな
ミラ精霊が原因となっている可能性も、否定は出来ない。実際、氷を司る精霊も存在している
リオン
ロイド氷を司る精霊…じゃあ、そいつの仕業かもしれないって事か?
ミラあくまで一つの可能性だ。まだそうと決まったわけではない。実際に見てみない事にはわからない
スタンだったら一緒に来てくれないか?頼む!
ミント私からもお願いします…!どうかご協力いただけませんか?
リオン
ミラううむ…
アルヴィン何か気がかりな事でもあるのか?
ジュード気がかりというか…
ジュード僕達はマナの減少を食い止めるため、世界中にいる大精霊の暴走を鎮めに行こうと話していたんだ
ミラルイニス街の事も気がかりだがこちらも一刻を争う状況でな…
コハクミラの身体が二つあればよかったのにね
ヒスイそれよか、イフリートを二つに分けりゃいいんじゃねぇか?
クラースお前達!精霊を二つに分けるなどと、滅多な事を言うな。トカゲのしっぽとは違うんだぞ
クラースこほん。…では、こうしよう。大精霊の事は、私が先行して調査を進めておく
ゼロスクラースが?
クラースミラほどではないが、私も精霊に関する知識は持っているし多少なら気配も感じ取れる
クラース精霊の調査は私が進めておくからその間に、ミラはリオン達とルイニス街へ行ってはどうだ?
クラースイフリートの力を試すのは、ミラにしか出来ない事だしな
ジュードそれはいい案かもしれないね
ジュードもしルイニス街の件に精霊が関わっているとしたら、何か情報を得られるかもしれないし…一石二鳥じゃない?
ミラ確かに。…では、精霊捜しはクラースに任せて私はルイニス街へ向かう事にしよう
クラース何かあればメルトキオで落ち合おう、いいな?
ミラああ
スタンやった!これでみんな助かるかもしれないな!なあ、リオン!
リオン…ああ、礼を言う
コハクじゃあ、わたしとお兄ちゃんはクラースさんと一緒に行くよ。一人で行くよりは心強いでしょ?
ヒスイ俺達がバッチリ送り届けてやるよ。クラースならコハクにちょっかい出す事もねぇだろうしな
ロイドじゃあクラース、コハク、ヒスイ以外は全員でルイニス街を目指すって事でいいんだな?
アルヴィンいいんじゃねーの?それじゃ、時は金なりだ。早速出発しようぜ
ミラすまないな、クラース
ミント私からもお礼を…。クラースさん、ありがとうございます
クラース気にするな。ルイニス街の件、上手く解決するよう祈っている
コハクみんな、気を付けてね!途中でもしシングに会ったらわたし達の事、伝えておいてね!
ゼロスおう、任せとけ!コハクちゃんも気を付けてな!野郎二人はどうでもいいけど!
クラース、ヒスイ
ミラさて。それではルイニス街へ案内してもらおうか
スタン任せてくれ!
リオン念のためもう一度聞く。イフリートは確かに、お前の傍にいるのだな?
ミラああ
リオンそうか。それならばいい
アルヴィン
scene3追い求めていたもの
ミラむ…?
リオンどうかしたのか?
ミラこの近くから、妙な気配を感じるこれは…大精霊…?
ジュード近くに大精霊がいるって事?
ミラいや。まだそうと決まったわけではない。似ているような、違うような…
リオン
ジュードこの近くに何かの気配があるのは間違いないんだよね?だったら、正体を確認してみようよ
ミラわかった。では行ってみよう
アルヴィンさて。何が出てくるのかね
ミントここは…遺跡ですか?
リオンそのようだ
ジュードここに大精霊が…?
ズズーーーン!
ロイド何の音だ!?
スタン遺跡の中から聞こえてきたぞ。何か崩れたんじゃないか?
ドドドドド…!
???うわあああああ!?
アルヴィン悲鳴?
ゼロス誰か出て来るぞ!
???わああああ…って、あ、あれ?あなた達は…?
ロイドそれはこっちのセリフだ。大丈夫か?
ミントお怪我はありませんか?
???あ、うん。心配してくれてありがとう
スタン中で何があったんだ?
???遺跡を見てたら、いきなり壁が崩れ始めて……
アルヴィンかなり古い遺跡のようだしな。ちょっとした弾みで崩壊しても、おかしくはないだろうな
???あー、もったいない!いい遺跡だったから、もっとじっくり見たかったのに!
ゼロス危うく生き埋めになりそうになったくせに、よくそんな事言えるな
???オレ、遺跡が好きなんだ。珍しいモノが見られるんなら少しくらいの危険は何ともないよ
ロイド遺跡好きかあ…リフィル先生と話が合いそうだな
リオンミラ、大精霊の気配はどうなった?
ミラ…こいつだ
ミントえ?
ミラ例の気配は、この男から発せられている。間違いない
ミラお前は誰だ?ただ者ではないな
スレイオレはスレイ。ただの人間だよ。何か感じるっていうのはミクリオの事かな?
スレイほら、ここに…
リオンふざけているのか?今僕達の目の前にいるのはお前だけだ
スレイそっか。ちょっと違う気がしたんだけど…
スレイやっぱりみんな「普通の人間」なんだね
スレイオレの友達…ミクリオは天族なんだ
ミント…天族?何でしょう、初めて聞きました
スレイ天族っていうのは人間とは違う種族で、普通の人間には見えないんだ
スレイ実は今もオレの隣にいるんだけど、誰にも見えてないんだよね?
ジュードそうだね。僕には君の姿しか…ミラは?
ミラ私の目にも見えない。だが、何かの気配は確かに感じる
アルヴィンどうやらミラが感じ取っている気配はその天族とやらのもののようだな
スレイ気配がわかるだけでもすごいと思います。ミラさん、ですよね?
スレイ他の人にはない特別な力を感じる……よくはわからないけど、ミラさんのすぐ傍に何か……
ミラ四大の存在に気付いたか。やはりただ者ではないな
ミラスレイと言ったな。よかったら、私達と一緒に来ないか?
スレイオレ達も…?
ミラお前のような人間は初めて会う。ミクリオという天族の事ももっと知りたいしな
スレイ道に迷っちゃったみたいだし、そうさせてもらえると助かります
スレイな?ミクリオ?
スレイえ?でも、悪い人達には見えないよ……それは……まぁそうだけど…………
スレイえっと、すみません
スレイせっかく親切にしてもらったけど、オレ達やらなきゃいけない事があって…
スレイもう少しこの辺りを調べて、大丈夫そうだってわかったら、みなさんと一緒に行きたいです
スレイわがままですけど…
ミラああ。それで構わない。また会えるのを楽しみにしているよ
スレイありがとうございます!
スレイ……うん。わかってる
スレイそれじゃ、オレ達は行きます。みなさんも気を付けて
スタンじゃあな!
ミント変わった方でしたね…
アルヴィンどこかズレてたしな。悪い奴じゃなさそうだが
ミラ彼…いや、彼らか。彼らの事は気がかりだが、縁があればまた会えるだろう
スタンじゃあ改めて、ルイニス街へ向かおう
ジュードうん、そうだね
scene1不穏な足音
ミント…!これは…
ゼロス本当に街全体が凍っちまってる…
アルヴィン今まで疑っていたわけじゃないが、ここまでとはな…
リオン
ジュードミラ、どうなの?やっぱり街がこうなったのって、精霊が原因?
ミラ……
ミラいや、精霊の気配は感じられない。別な要因のようだ
ロイド精霊の力でもないなら、一体どうやって…
アルヴィン…なあミラ、おたくならイフリートの力を自在に制御できるだろ?
アルヴィン原因の方はさておき、イフリートの炎でこの氷を溶かせないか、試してみたらどうだ?
ミラそうだな。力をうまくセーブすれば、人に危害を与えずに済むだろう
スタン頼む!
リオン
ミライフリート!
ゼロスどうだ…?
ミラ…駄目だ。イフリートの炎でも、氷を溶かすどころかびくともしない
ミラ力を抑えているとはいえ、炎の大精霊の力だ。ただの氷であれば何かしらの変化はあるはず
ジュードじゃあ、この氷は…
ミラああ、何か特殊な力を使って作られたもしくは特殊な力が氷に作用している、という事だろうな…
スタンそんな…
リオンくっ、イフリートでも駄目か…
スタン街を救う唯一の望みだったのに…一体どうすれば…
アルヴィンリオン、スタン…
リオン
ミラ力になれず、すまない…
スタン
ロイドでも、あれだ…!これで精霊の力でもどうにもならないって事はわかったしそれだけで前進した、そうだろ?
スタンそうだけど…
リオン
ロイド二人共、そうがっかりするなって!
ロイドまだ他にも手はあるはずだ。諦めなきゃ絶対に何とかなる!そうだろ?
スタン…ああ、そうだな。ロイドの言う通りまだ諦めるわけにはいかない…そうだよな、リオン?
リオン…!
リオン黙れ!お前に何がわかると──
ミントリオンさん、どうかしましたか?あまり顔色が優れないようですが…
リオン…済ませなければならない用を思い出した、それだけだ。お前達はここにいろ
スタンお、おい…リオン?
ロイド用って何だろうな?
アルヴィン
ゼロスさてと。ミラさま、これからどうする?クラース達と合流するか?
ミラそのつもりだが、その前にもう少しだけ街を調べさせてくれ
ミラ原因を探る手がかりがどこかにあるかもしれない
ミントそうですね、みんなで手分けして探しましょう
スタンじゃあ俺が、街を案内するよ。凍ってる人に触ったりしないように気を付けてくれよ
アルヴィン
ジュードアルヴィン?何か気になるものでも見つけた?
アルヴィン…ん、いや別に。ちょっと考え事をしていただけさ
ロイドそれじゃ頼むぜ、スタン
スタンああ
アルヴィン
scene2不穏な足音
リオンこんなところにいるとは一体どういうつもりだ
リオン
リオン僕の行動を、逐一お前に報告する義理はない
リオン
リオン…言うまでもない。他に手段がないのはわかっている
リオン
リオン…消えろ。目障りだ。僕が何をすべきか…そんな事はお前に言われなくてもわかっている
ロイド大精霊の暴走!?
ミラウィンドルとア・ジュールの戦闘が中断された今もマナ減少が続くのはおそらくそれが原因だろう
ジュード世界中のマナが減少する事が、大精霊の暴走を誘発し、さらなるマナの減少につながる…
ジュードその一連の流れが、世界各地で異変を引き起こす原因にもなっているって事だよね
ミラそうだ
アルヴィン悪循環だな…
ゼロスその悪循環を止めるためにミラさまと動き出そうとした矢先、お前達と出会ったってわけさ
ロイド異変の原因が、マナの減少と関係があるかもしれないってのは、やっぱり当たってたんだな
アルヴィンま、そういう事になるな
ミラ今、世界はマナ減少によって自然界のバランスが大きく崩れている
ミラその影響でこの街が氷漬けになった可能性も考えられなくはない
ミラ自然界の力が歪んだ形で氷に作用していたとしたら、イフリートの炎が利かなかった事にも納得がいく
リオン
スタンあ、リオンおかえり!もう用事は済んだのか?
リオンああ
ロイド…なあ、リオン。話があるんだ、聞いてくれ
リオン何だ?
スタンリオンがいない間にミラ達から話を聞いたんだ、大精霊の暴走について…
リオン大精霊の暴走、だと…?
ミントミラさんはこの街を覆っている氷は、今世界中で起きている異変と関わりがあるとお考えのようです
リオン…で、その大精霊の暴走がこの異変とどう関わっているというんだ?
アルヴィン平たく言えば、暴走する大精霊達を鎮め、異変を止める事が出来れば、街の氷は溶けるかもしれないって事さ
リオン
ロイド…なあリオン、ミラに協力して一緒に大精霊を鎮めに行こうぜ?
スタンリオンがすぐにでも街を救いたいと考えてるのはわかってる
スタンけど、街を救える方法は今のところ、これしか思い付かない
スタンやる事が大きいだけに、街が元に戻るまで、少し時間がかかるかもしれない。それでも──
リオン大精霊か…、…いいだろう
ロイド…本当か!?
アルヴィンへえ、今回はやけに素直だな。またいつかの仲間割れが勃発しちまうんじゃないかと冷や冷やしてたんだぞ
リオン…。それしか方法がないならばそれを成し遂げるだけだ
ロイドとにかくよかったよ、リオン。何としてでも異変を止めて、この街を救おうぜ!
ミントよかったですね。スタンさん、ロイドさん
スタンな?俺の言った通りだったろ?リオンはちゃんと話せば、きっとわかってくれるって
アルヴィン
リオンそれで、肝心の大精霊はどこにいる?
ゼロスウィンドルの方だってよ
ミラ詳しい場所はわからない。気配を辿りながら進む事になるだろう
ジュードウィンドル方面だと、ここから少し離れてるね。早速、行ってみよう
ロイドああ、そうだな
リオン
アルヴィン
scene1大精霊アスカ
スタンここは、確かテムザ山だっけ…?
ミントこの山に、本当に大精霊がいるんですか?
ミラ間違いない、この山中から強い気配を感じる
ゼロス言われてみれば、確かにそれっぽい感じがするな
ロイド大精霊の気配がわかるのか?ゼロス、すごいな!
ゼロスいやあ…ミラさまに言われて何となく、そんな気がしただけ
ジュードクラースだったら、何か感じ取れたのかもね
リオン
アルヴィンどうした、リオン?
リオン…別に。少し考え事をしていただけだ
ロイドルイニス街の事か?…やっぱり一刻も早く助けたいよな。気持ちはわかるよ
リオン
スタンリオン、辛いだろうけど聞いてくれ。俺達が今やろうとしている事は決して回り道なんかじゃない
スタン大精霊を鎮め、異変を止める事が街を救う事にもつながる。そう信じて、行動しよう
リオン…ああ
ミラでは、進むとするか
アルヴィンさて…何が待ち受けているやら
scene2大精霊アスカ
アルヴィンへえ、山道の脇にこんな広い洞窟があったとはな…
ゼロスミラさま、ここに大精霊が?
ミラおそらくな。この奥から強い力を感じる
ジュード確かに、そう言われるとひんやりとしてる気がするよ。空気が張り詰めてるっていうか…
リオン
スタンん?あそこに何か影が…大精霊か…?
リオン…!
???
ロイドいや、あれは人間だ…
キイイイーーーン
???グオオオオオオオ…!
ロイドな、何だ今の声は!?
ミント魔物でしょうか?あの人は一体何を…
ミラ…!まさか…
ジュードちょっと、ミラ!?突然どうしたの!?
ビシッ!
???グウウ…
???む…
???…やはり、ここも同じか
???
???お前達は…?ここへ何をしに来た
ミラお前こそ、アスカに剣を向け一体何をしている?
???アスカを知っているのか
???グ…ゥ…
リオンこれが、大精霊か…
ミラああ、光を司る大精霊…アスカだ
???
チャキ…
ミラ私達は大精霊の暴走を鎮めるためにここへ来た。お前の行いによっては今ここで戦ってでも止めさせてもらう
???剣をしまうがいい。無意味を重ねても仕方あるまい
チャキ…
リオン…勘違いするな。貴様にその気があろうがなかろうがそんな事は関係ない
リオン逃がすか倒すかを決めるのは僕達だ。…さあ、何をしていたのか言え
???知らずともよい事を聞かせるつもりはない
???だが大精霊を鎮める試み…敢えて行うというなら止め立てはすまい
???それが無益な試みであろうとも
ゼロスな、何だって?何でそんな事がお前にわかるんだよ
ジュードそうだよ!四大精霊の暴走だって鎮める事が出来たんだ、ミラになら必ず出来る!
???
アスカグオォ…!
ミント…!ミラさん、大精霊の様子が…
ミラ何!?
アスカグオオオオオオオッ!!
アルヴィンおーおー、いきり立ってるねぇ。さっきまでは大人しそうにしてたのに完全にお目覚めってわけか
スタンすごい迫力だ…!立ってるだけで、足がすくむような…これが、大精霊アスカ…!
ロイドミラ、どうする?今にも突っ込んで来そうな勢いだぞ!
ミラどうやら戦闘は避けられないようだ。力ずくで大人しくさせるしかない
???人の身で大精霊に挑むか。だが忠告はした
リオンちっ、あの男…
ミラリオン!今は目の前にいるアスカに集中しろ
ミラ相手は大精霊だ。気を抜くなよ!
リオン…ああ
scene3大精霊アスカ
リオンはあっ!
ズドッ!
アスカグオオオオオッ!
アスカオ…オ…
スタン何とか大人しくなったか…?
アルヴィンああ、多分な
ミラよし、今の内だ。アスカに正気を取り戻させる
ロイドどうやって?
ミラ私のマナを分け与えるのだ
ミラかつて今のアスカと同じ状況にあった四大が自我を取り戻したのは、私のマナを感じ取ったからだ
リオン
ジュードミラ、気を付けて
ミラわかっている。イフリートの時と同じ轍は踏まない
ミラもうすぐだ…必ず救い出してやるぞ、アスカ
アスカグ…
ミント待ってください!様子が…!暴走が鎮まっていないのでは…!?
アスカガアアアッ!
ゼロスなっ、危ねえ!
アルヴィンミラ、危険だ。アスカから離れろ!
ミラ…何故だ?どうしてアスカは正気を取り戻さない…!?
リオンちっ…!
アスカグオオオオッ!
ジュードミラ、危ない!!
バシィッ!
ミラ四大!?
スタンな、何だ今の!?
ジュード間に合ってよかった…四大精霊が守ってくれたみたいだ
ミラどういう事だ…?何故、アスカの暴走を鎮められない
ミラ確かに四大はこの方法で鎮められた。アスカも同じ大精霊である事は変わりない。一体どうなっているのだ…
アスカグオオオオオオッ!!
ズザッ!!
ロイドくっ、速い…!さっきより凶暴になってねえか!?
スタン俺もそんな気がする…!これ以上は危険だ、一旦ここから離れた方がいいんじゃないか?
ミント…私もそれがいいと思います!態勢を立て直しましょう、ミラさん!
ミラしかし…!
ジュードミラ、大丈夫だよ。きっとアスカは救える、だから今は一旦退こう、いいね?
ミラくっ…!
アルヴィン参ったな。あれじゃ手も足も出ない
ミラ…すまない結局、あの男の言った通りだった…
ロイドミラ…
ジュード落ち込まないで、ミラ。詳しい事はわからないけど、僕、思うんだ
ジュード四大精霊の暴走を鎮める事が出来たのは、ミラと四大精霊の間に特別な絆があったからじゃないかな?
ミラ特別な絆、だと…?
ジュード僕、ミラが四大精霊を救っていく姿を見てたじゃない?…で、思ったんだ。本当に家族みたいだなって…
ジュードミラの四大精霊を想う気持ちがマナを通じて彼らに伝わり、きっと彼らも、ミラの元に帰りたいって頑張った…
ジュード互いに想い合ってるからこそ、四大精霊は自我を取り戻す事が出来たんじゃないかな?
ジュードだから…ミラの力不足とか、そういう事じゃないと思うんだ
ミラジュード…
ジュード四大精霊を救えたんだ、きっとアスカの暴走を鎮めて救ってあげる事は出来ると思う
ジュードだからミラ、その方法を一緒に探そう?
ミラ…ああ、そうだな。ありがとう、ジュード
アルヴィンいやー、優等生。ちょっと見ない間にえらく大人になっちゃって
ジュードえ?そ、そうかな…ただ思った事を言っただけ…
ゼロス前にも思ったんだけど、ジュードくんって大人しそうに見えて実は案外やり手だったり…
ロイドん?ジュードが何だって?
ゼロスああ、いや…こっちの話だ。とりあえずメモメモ…っと…
ジュードちょ、ちょっとみんなー!茶化さないでよ
ミントとにかく、ジュードさんのお蔭でミラさんの心も落ち着いたようですし…
スタンああ、一安心だ。な、リオン?
リオン…馬鹿馬鹿しい
ロイドそれにしても、あの男…一体何者だったんだろうな
ロイドまさか…アスカを暴走させてた、なんて事、ないよな?
リオン何故そう思う?
ミラ確かに、あの男が剣を向けたのとアスカのマナが激しく乱れたのは同時だったが…
アルヴィンふむ…マナを乱れさせて、暴走を促進させようとしていたところ俺達とかち合って退いた…
アルヴィンっていう事か?
スタンだけど、大精霊を暴走させるって…そんな事が出来るのか?
ミラあの男の剣が魔導器の類だったとすれば…不可能ではないはずだ
ロイド…!そういう事か…
ミントでも、どうしてそんな事を…
ミラ理由はわからない。だが…
ミラ私達とは別の目的で、精霊に近付こうとする者は奴の他にも存在する
ジュードそれってまさか…リドウの事?
リオン…!
アルヴィン
ミラああ。リドウとあの男の行動は私達と明らかに敵対している
ミラそう考えれば、あの二人が組んでいる可能性も考えられなくはない
ジュードそ、そんな…
ゼロスそのリドウって奴、何者だ?
ミラ私は人間界に来て早々、謎の集団に襲われた。それを率いていた男の名だ
ミラリドウは、精霊を回収する事を目的として動いているようだ。そのために、私が邪魔なのだと…
リオン
ミラ詳しい事は私にもわからない。再び会い、情報を聞き出す必要があると考えていたところだ
アルヴィンリドウ、ねえ…
リオン…アルヴィン、リドウを知っているのか?
アルヴィン
アルヴィンんー…
アルヴィン…いや、どこかで聞いた事があるかどうか考えていたんだが、悪ぃ、勘違いだったわ
リオン
ゼロス何だよ。思わせぶりな態度取りやがって
アルヴィンはは、すまんね
スタンとにかく、目的はみんな違うけど精霊をどうにかしようと考えてるのは俺達だけじゃないって事だよな…
ロイドけど、絶対あいつらの好きにさせるわけにはいかない。そうだろ、ミラ?
ミラああ、あの男の事はともかく、リドウが大精霊を狙っているのは紛れもない事実だからな
ミラ大精霊を守るためにも、暴走を鎮める方法を探さなければ…
リオン
ミラ…!
ミラああ、四大も感じているのか
ジュードどうしたの?
ミラここから北西の位置、そこから何か、不思議な力の気配を感じる…
ミラ詳細はわからないが、その力に安らぎを感じ取れる
ミラもしかしたら、この力でアスカを救う事が出来るかもしれない
ロイド北西っていったら、バロニアの方角か?その力って一体…
リオン…ミラ、その情報は確かなのか?
ミラ勿論だ
リオンならば、そこへ向かいその力の正体を突き止める…
リオン今は打つ手なしの状況だ。可能性があるなら調べてみる価値はあるだろう
アルヴィン俺もリオンの意見に同感だ。例え期待しているものじゃなくとも情報は多いに越した事はないからな
ロイドよーし、じゃあ早速向かおうぜ。ミラと四大精霊の導く場所に!
ジュードそうと決まったら、ミラ。早速案内してよ
ミラああ、任せてくれ
リオン
scene1忠告
アーチェエステル、大丈夫かな
ジェイド心配ですか?ああ見えて、ミュゼは結構面倒見がいいんですがねえ
ジェイド一応、釘も刺しておきましたし、エステリーゼ様の事は心配いりませんよ、多分ね
リタ多分って…あんた、わざと不安にさせようとして言ってるわね
ジェイドおや、心外ですねえ。どんな相手にも誠実であれ、というのが私の信条なんですが
レイヴン自分で誠実ですっていう奴に限って、大体裏があるもんだけどねえ
リタおっさんが言うと説得力あるわね。…まあ今さら言っても無意味だし、さっさとウィンドルに行くわよ
リタ急げばそれだけエステルも早く解放されるんだし
アーチェまずはア・ジュール港だね。前はセネルに送ってもらったけど、今度はどうする?
ジェイドああ、それでしたら、特別船を手配するよう、指示を出しておきましたから
リタバカに手回しがいいわね
ジェイドどうも。そういう性分なもので
アーチェ自分で船の手配をする捕虜なんて、普通いないと思うけど
ジェイドいいじゃありませんか。その捕虜の助けがあるお蔭であなた方は海を越えられるんですから
ジェイドまあ、細かい事は気にせず張り切ってウィンドルへ行きましょう
レイヴンこんだけ胡散臭い捕虜もそうそういないわよ?
リタあーもう…何だか頭が痛くなってきた…
scene2忠告
レイヴンさて。港まで戻って来ましたよっと
ジェイド私は船の様子を確認してきます。大丈夫だとは思いますが、手違いがあってはいけませんから
リタちょっとあんた、勝手に…
アーチェ行っちゃった
レイヴンあんなフリーダムな捕虜、前代未聞よね
アーチェ放っといて大丈夫?あいつ、逃げるんじゃないの?
リタわからないけど…あいつ自身、ウィンドルには行きたがってるわけだし
リタここであたし達を裏切っても何の意味もないはずだけど…
アーチェ釈然としない、って感じだよね~。気持ちはわかるよ。あいつ、意味わかんないもん
レイヴンしかし、何とも大変な展開になったもんだねえ
アーチェホントにね。トーティス村を出る時には、こんな事になるなんて想像もしてなかったよ
アーチェ両国の戦争を誘発し、マナを枯渇させようとしている第三者…本当にいるのかな
リタあたしは今のところ、それが一番可能性が高いと思ってる。だから必要なのは証拠よ
リタ何としても見つけないと…エステルのためにも
???第三者…何故そう思う
レイヴンなっ、いつの間に…
リタあんた、誰?
アーチェあたし達の話、聞いてたの?
???どうやってその推察に至ったにせよ、深入りはやめておくがいい
リタ何を言って…って、あんた、何か知ってるの?
???
リタな…無視!?待ちなさいよ、あんた!
レイヴンリ、リタっち!?ちょっとどこ行く──
ドンッ
リタきゃっ!いたた…
ジェイドこれはすみません、お怪我は──と、あなたでしたか
リタあんたこそどこ見てんのよ!…って、そんな事よりあいつは!?
アーチェ行っちゃったみたい。この人混みじゃあ追いかけるのはムリだね
リタああ…もう!
ジェイドどうしたんです、そんなに慌てて。一体何があったんですか?
リタ今、怪しい男がいたのよ!あの口振り…今回の第三者について何か知ってるかもしれない
アーチェ少し話してただけなんだよ。なのに、話の全部を理解してるみたいな感じだったし…
ジェイドそれは興味深いですね。第三者と関わる人物、あるいは当事者の可能性も…
ジェイドいずれにせよ、これまで以上に注意を払った方がよさそうですね
レイヴン旦那の部下を使ってこの辺りを調査させておいた方がいいんでない?
ジェイドええ、勿論そのつもりです。…ですが、皆さんは波止場へ。船の準備が整ったようです
ジェイド時間が惜しい。私達は予定通り、このままウィンドルへ向かいましょう
リタ…仕方ないか。その代わり、しっかりあんたの部下に捜させなさいよ!
scene1招かざる来訪者
クラトスさて、アスベル、ユーリ、これからどうする?
アスベルまず俺達が向かうべきところはア・ジュールだ
アスベル今回の戦争でア・ジュールが投入した兵器も、我が国の魔導器と同じ類の特殊兵器だと聞く
ユーリおいおい、それってまさか…魔導兵器の事か?
アスベル…ああ。その事もあって、リチャードは魔導器を使用するという苦渋の決断をした
ユーリどっちもどっちってか。やれやれ想像以上に最悪って奴だな、ったく
ユーリ…とにかくそうとわかりゃさっさとア・ジュールに向かおうぜ
ユーリ魔導兵器の使用は何としてでも止めさせなきゃならねえからな
アスベルああ、そうだな
クラトス話はついたようだな。次の目的地はア・ジュールか
アスベルはい。カノンノやエリーゼには来た道を引き返す形になってしまってすまないけど…
エリーゼ大丈夫です
ティポぼくもー!それにジュード君、ひょっとしたらア・ジュールにいるかもだしー
カノンノ私も、全然構わないよ!それより…アスベル、シェリアさんを捜さなくていいの?
カノンノこの街にいるんだよね?見つかった?
アスベルいや、さっきから捜してみてはいるんだけど、この辺りにはいないみたいだな…
アスベルひょっとしたら、地元に戻ったのかもしれない
カノンノそんな…。アスベル、あんなに心配してたのにシェリアさんと会えないなんて…
ユーリおいおい、何だか深刻っぽい話みたいだが、大丈夫なのか?
アスベルカノンノ、ユーリ…ありがとう
アスベルシェリアの事なら大丈夫だから。この件が落ち着いたら会いに行こうと思ってる
アスベルだからカノンノもそんな顔するな。な?
カノンノアスベル…。うん、わかった
アスベルよし、じゃあ早速──
???あーーーーっ!
ティポなになに、今のー!?
???ユーリ!ユーリじゃない!
ユーリリタ?お前、こんなところで何やってんだ
リタあんたこそ何やってんのよ!って、今はそんな事はいいわ
リタ本当はフレンを捜してたんだけど…この際あんたでいいわ!来て!
ユーリおいおい、何の真似だ。こっちだって取り込み中──
リタ取り込み中なのはこっちも一緒よ!エステルの身が危ないの!
ユーリ何!?
アスベルエステリーゼ様の身が危ないって、どういう事だ!?
ユーリあいつ、まさか城にいないのか?
リタ詳しい話は後!いいからとにかく来て!
アスベル行こう、ユーリ!エステリーゼ様に何かあったら…
ユーリったく、あのお姫様、今度は何やらかしたんだか…
scene2招かざる来訪者
ユーリそれで?一体オレ達をどこまで連れて行く気だ?
リタいいからもう少しだから黙って──ほら、あそこ!
リヒターあの大勢の兵士達は…おい、あそこに何がある?
クラトス誰かを取り囲んで、尋問しているように見えるが…
警備兵捕虜というには態度が大きすぎる!そもそも貴様はア・ジュールのどういう役職の人間なのだ?
ジェイドしかるべき方にお会いした時に、きちんとお話しますよ。失礼ですが、あなた方のような末端ではちょっと
レイヴンあの、ちょっと旦那ぁ…もう少し穏便な態度を取った方がいいんでないの?
アーチェレイヴン、言ってもムダだって。こいつ、明らかにこの状況を楽しんでるじゃん
リタちょっと!大人しく待ってろって言ったでしょ!
レイヴンおろ、ユーリじゃん。ご無沙汰~
ユーリおっさんまで…。お前ら、マジで何やってんだ?
アスベルあいつは…!
カノンノアスベルの知り合い?
アスベル知り合いというか、一方的に知っているというか…
ジェイドいや、これはどうも。予想していた以上の歓迎ぶりですね。感激ですよ
アスベル
アスベル何故あなたがここにいるんですか?ア・ジュール軍大佐、ジェイド・カーティス殿
クラトスア・ジュール軍の大佐だと…
ジェイドおや、私の事をご存知でしたか。それなら話が早い
ジェイド実は私、この度貴国の捕虜となってしまいまして。こうして連行されて来た次第です
リヒター捕虜だと?そんな様子には到底見えん
ティポリヒター君に同感ー!捕虜のくせに態度がデッカイぞー
ジェイドはっはっは、まあとにかく、こちらの警備の方々にも信じてもらえず、困っていたところですよ
リタそれで、フレンを連れてくれば何とかなるかもって思って捜してたんだけど…
ユーリ代わりにオレを見つけて、連れて来たってわけか
ジェイドまあエステリーゼ様からお預かりした親書もありますから、いざとなればそれをお見せしようとは思ってました
ジェイドただ、いきなりそれに頼るのも安易すぎると思いまして
アーチェやっぱり楽しんでる…
ユーリで、エステルは今どこに?
リタア・ジュールで保護されてる。ジェイドを捕虜にする代わりに、彼女が向こうに残るって言い出して
アスベル何だって…
ユーリ自分から、か。エステルらしい話だな
アスベル何て事だ…。あの方はご自分の立場を、わかっているのか…
ユーリ慌てるなよ、アスベル。こいつらの様子からして、そうヤバイ状態にはなってなさそうだぜ
ユーリとにかく、状況はわかった。こいつらの身元はオレが保証するから放してやってくれねえか?
警備兵フレン隊長がお前の誤解を解いて下さった
警備兵お前を捕まえるようなマネはしない。ただ、「元」騎士団員のお前に保証されてもな…
ユーリだ、そうだ
リタ何よそれ。役立たずじゃない!
アスベルだったら俺も保証しよう。その人達の身元は問題がない
警備兵わかりました。アスベル殿でしたら、問題ありません
エリーゼアスベル、信用されているんですね
ユーリ日頃の行いの差ってやつか。やれやれ
レイヴンふいー、助かった~
アーチェホントのホントだよ!ジェイドの悪ふざけのせいで一時はどうなる事かと思った~
リタでも、あの場にアスベルがいてくれて助かったわ
アスベル…ではカーティス大佐。何故このような事になったのか、事情を聞かせてもらえますか
ジェイドそうですねえ…と、言いたいところですが…
ガルルルル…
ジェイド招かれざる客が来たようです。話はその後ですね
レイヴン騎士団何やってんの!こんなところに魔物がいちゃまずいでしょうが!
アスベルくっ…!
scene1新たな情報
アスベルウィンドルとア・ジュールの戦争を誘発し、マナの枯渇を目論む第三者がいる…?
ジェイド現時点ではあくまで仮説にすぎませんがね
クラトスここまでの仕掛けだ、マナの枯渇が最終目的ではなかろう。放置してはおけないな
ユーリくだらねえ事をしでかしてるくだらねえ奴らの親玉か。さっさとぶっ倒すに限るな
リヒター
リタで、とにかくウィンドル側にもそれを伝えようって事になってジェイドとここまで来たってわけ
ジェイドアスベル、あなたはこの国の騎士ですね?私をリチャード陛下の元に連れて行っていただけませんか
アスベル…事情はわかりました。ですが、まず先に確認させて下さい、カーティス大佐
アスベルエステリーゼ様の安全は、本当に保証されていますね?
アスベルもしあの方の身に何かあれば、ウィンドルとア・ジュールが手を取る事は、未来永劫ないでしょう
ジェイドそこは信用していただくより他ありません。私にあるのは軍人としての公的な身分だけですから
ジェイド万が一の時は、私の身をいかようにしていただいても結構ですよ。王族の代価には不足でしょうがね
アスベル…わかりました。あなたを国王陛下の元へご案内します
アスベルそこで改めて、今の第三者のお話をお願いします
ジェイド話が早くて助かります。いや、あなたがいてくれて本当によかった
ジェイドあなたはリチャード陛下と特別親しい間柄のようですからね。アスベル・ラントさん
アスベル…!そんな事まで知っているんですか
ジェイド何、他国に関する情報収集は安全保障上の基本ですから
レイヴンさらっと笑顔で言ってるけどもさ、何か空気ぴりぴりしてきてない?
ユーリ捕虜が聞いて呆れるな
エリーゼ怖いです…
リタほんと、とんだ食わせ者よね。油断ならないったらないわ
アスベルでは、陛下のところへ行きましょう
ジェイドええ、よろしく頼みますよ
クラトス
scene2新たな情報
ジェイド…ふむ。以前来た時のバロニアはそれは活気に満ちた街だったと記憶していますが
ジェイドさすがにあの時と同じというわけにはいかないようですね。これも戦争と異変の影響といったところでしょうか
リタあんた、ア・ジュールの人間のくせにバロニアの事詳しいの?
ジェイドええ、何度も訪れていますから。他国の軍人ですので、常に堂々と、というわけではありませんが
エリーゼそんな簡単に、来られるんですか…?
ジェイド物事、その気になればやり方はいくらでもあるものですよ
アスベル…。まずは我が国の警備体制を根本的に見直さないと駄目だな…
カノンノ何だかよくわからないけど…アスベル、大変そうだね
ルークおい、ユーリ!ユーリじゃねーか!
ユーリあん?って…ルークか!?
ルークへっ、元気そうじゃねーか!バロニアに来たらいるんじゃねーかってクレスと話してたとこだぜ
ユーリって事は、クレスも来てんのか?
クレス久しぶり、ユーリ。何だかこうして揃うと懐かしいね
ユーリまあな。けど、今日は一体どうなってんだ?お前らは何で──
アーチェあーっ、クレスじゃん!
クレスアーチェ、どうして君が?もしかして、チェスターも一緒かい?
アーチェチェスターもホントは来たがってたんだけどね…トーティス村を離れるわけにはいかないでしょ?
クレスそうか…。でも、チェスターがいてくれるなら村は安心して任せられるよ
ルークそれにしても、「選ばれし者」が三人も偶然会うなんて、すげえよな
ルークあとはミラとロイド、それにソフィがいれば完璧だったのによ
ジェイドおやルーク。私との再会は、喜んでいただけないんですか?寂しいですねぇ
ルークげっ、ジェイド!?…ってア・ジュールの軍人のお前が何でここにいるんだ?
ジェイドこの度私、捕虜になりましてね。リチャード陛下のところへ、連行されていくところなんですよ
ルークリチャード…って国王の事か?ちょうどいい。俺達も国王に用があるんだ。一緒に行くぜ
アスベルそんな簡単に言われても相手は国王陛下だぞ?
ガイあー、雑な言い方ですまない。一応、ちゃんとした理由があるんだ
リッド国王陛下に、どうしても報告しなきゃならねえ事がある。オレからも頼む
アスベルうーん…とにかく、まずは事情を──
うわあああ!
ファラ今の悲鳴はもしかして…リッド、行こう!
リッドったく、休む間もねぇな。先行くぜ
クラトス話は街に入り込んだ魔物を倒してからだ
scene3新たな情報
リヒター時空の歪みだと…
ルークああ。俺達はそこへ行ってたんだ。だよな、ファラ
ファラうん
ジェイド実に興味深い話ですね。国境地帯に出来た亀裂からも、その時空の歪みへ行けるのですか
リッドどうだろうな。だが、時空の歪みについては今オレ達の仲間が調べてるはずだ
アスベル確かに、大陸のあちこちで亀裂が起きていたのは目撃したけど、まさかそんな事になっていたなんて…
ユーリ世界中のマナが枯渇してる状況だ、何が起きても不思議じゃねえって気はするけどな
クレスミラがいてくれたら、これらの異変についても、もう少し詳しい事がわかっただろうけど…
エリーゼミラと知り合いなんですか?
ユーリ前に一緒に旅をした事があってな
アーチェクレス達が見たっていう廃墟の話も、気になるね
アスベル地理的にも戦線からは遠いし…戦争の影響とは考えにくいな
ジェイド私が把握している限りでは我が軍は国境地帯にしか展開していなかったはずです
ジェイド規律から逸脱した部隊がいないと断言は出来ませんが、単独で敢えて敵地奥深く侵入するとも思えませんね
クレス戦争の影響でないとすると、異変の影響なのか…?
リッドいや、あの廃墟は誰かの意志によって破壊されたものだ。でないとあんな痕が残るわけがない
リタだとしたら、やっぱり…
リヒター戦争を引き起こさせた第三者の行い、という可能性も出てきたな
カノンノ何にしたってひどいよ、そんなの…
クラトス
ルークとにかくこれで俺達の話はわかったはずだし、国王のところに行くので文句ねえだろ?
アスベルああ、そうだな。確かに、国王陛下に伝えておいた方がいい情報だ
ガイちなみに当初の目的は、魔導器の使用をやめるよう、リチャード陛下に訴える事だったんだが…
ファラそっちは既にみんなも気付いてたんだね。よかった…
ユーリま、何にしてもここまで話がでかくなっちまったんじゃ、国王を巻き込んだ方が早いだろうな
アスベルとにかく、陛下の元へ行きたいところだが…さすがにここにいる全員で王宮へ行くのは気が引ける
クラトス無論、国王陛下の事を考えても、ここは王宮へ赴く人間を絞るべきだろう
アスベルそうですね。じゃあ…
カノンノ…決まった?
アスベルああ。まずは捕虜であるカーティス大佐と、あとはリタ。そしてルーク、リッド、クレス
アスベル案内役の俺とユーリ以上7名だ
ユーリオレもかよ
リタ古巣でしょ。文句言ってんじゃないわよ
アスベルルーク、リッド、クレスには、異変の影響である時空の歪みと廃墟の件の報告をしてほしい
ルークまたさっきと同じ話をすんのかよ。しゃーねーな
リッド堅苦しいのは苦手なんだけどな…。この際仕方ねえか
クレス大丈夫だよリッド、僕もあまり得意じゃないから
ジェイドよろしく頼みますよ、皆さん。私としても、ここまでやってきて骨折り損にはしたくありませんからね
クラトス待ってくれアスベル、私も是非、その場に同行させてほしい
ティポ急にどうしたの?クラトス君ー?
クラトス私は傭兵だが、実はシルヴァラント国王陛下の意を受けて活動している
クラトスその立場から、どうしてもリチャード陛下にお話ししたい事があるのだ
アーチェちょっと待ってよ。一介の傭兵にそんな重要な事頼むかなぁ?本当に王様の依頼なの?
クラトスあまり気軽に見せるものではないが…この通り、国王直筆の親書もある。これで信用に足るか?
レイヴンへー、ちゃんと本物みたいね。いい雇用主がいておっさんうらやましいわ―
アスベルシルヴァラント国王の…!そうだったんですね。何か事情があるだろうとは思っていましたが…
アスベルわかりました。ではクラトスさんも一緒に
ルーク今度こそ決まりか?じゃあ、ぐずぐずしてねーで、早いとこ国王の元へ行こうぜ!
ユーリ残り8人は留守番だな。おっさん、年長者なんだからしっかり引率してくれよ
レイヴンえー。せっかく待ってる間、酒場にでも行こうと思ってたのに
ガイ相手はウィンドル国王なんだ。キムラスカ王家としての立場を忘れるなよ、ルーク
ルークわ、わかってるっつーの!おい、レイヴン、しっかりガイの奴、見張っとけよな!
レイヴンへいへーい。ま、ゆっくり行っといでー
リタ…やっぱり不安だわ、あのおっさん…
カノンノそれじゃ、行ってらっしゃい、アスベル
アスベルああ、ありがとうカノンノ!
scene1不思議な力の正体
ミラここは、バロニアか。確かに、北西の方角といえば、ここしか思い浮かばなかったが…
ジュードまさかバロニアだったなんてね
スタン何か、俺達バロニアとメルトキオを行ったり来たりって感じだよな
ロイドお、そういえば…本当だな!
リオン…全く、呑気な奴らだ
リオンそれよりミラ、例の力の気配はこの街の中にある、という事か?
ミラ…ああ、間違いない
ゼロスこの街の、一体何に反応してるんだろうな
アルヴィンま、行って確かめりゃすぐにでもわかるさ
ジュードそうだね、早速行ってみようか。じゃあミラ、案内を──
がぶっ
ジュードも、もが~!
ミント…!ジュ、ジュードさんの顔に…
スタンぬいぐるみがかぶりついた…?これは…
ジュードぷはっ!
ジュードちょっと、こんな事するのってまさか…
ティポジュード君ー!
ジュードティポ!
ジュードって事はエリーゼもここに…?
エリーゼジュード!
ジュードエリーゼ!
ジュードよかった、無事だったんだね!ずっと捜してたんだ
エリーゼジュード!わたし、わたし…よかった…ぐすっ
ティポ死んじゃってたらどうしようってずっと心配だったんだよー!ジュード君のバカー!
ジュードええっ、ご、ゴメンよ。エリーゼ、ティポ…
ティポゴメンで済んだらケーサツはいらないよー!うわーん!
エリーゼううっ、ジュード、ぐすっ…
ジュードどう、落ち着いたかな?
エリーゼはい…泣いちゃって、すみません。でも、ジュードが無事で本当によかった
エリーゼわたしもずっとティポと一緒に捜してたんです
ティポそうそうー!アスベル君やカノンノ君も協力してくれたんだよねー
ミラジュード、無事エリーゼが見つかってよかったな
アルヴィン元気そうで何よりだ、お姫様
エリーゼ…!ミラとアルヴィンも一緒だったんですね
カノンノエリーゼ?どうかしたの?
ミラ…!
エリーゼあ、カノンノ!ごめんなさい、捜していた人を見つけたので、つい…
ジュード君がカノンノ?
ジュードエリーゼと一緒に、僕を捜してくれてたんでしょ?ありがとう
カノンノあなたが、ジュードさん?
カノンノよかった、無事だったんだ!
カノンノエリーゼもティポもあなたの事すごく心配してたんだよ。本当によかった──
ティポねーねー、カノンノ君のネックレス、何か光ってるけどー?
カノンノ…え?この光は…
リオン…!
リオンミラ、これはまさか…
ミラ
カノンノ…?
scene2不思議な力の正体
ゼロスこのネックレスは一体…?これがまさか例の不思議な力とか?
カノンノ不思議な力…?それって何の事?
リオン僕達が聞きたい。そのネックレスは何だ、どこで手に入れた?
カノンノえ?えーっと…どうやって手に入れたかはわからない…
カノンノでも多分、とても大切なものだと思う
リオン多分、だと…?ふざけているのか
カノンノそ、そうじゃなくって…何ていうか…
エリーゼふざけてなんかいません。カノンノは今…記憶が混乱してるんです
エリーゼだから、これ以上の事は…
ミラ記憶が混乱…何かあったのか?
カノンノ気が付いたら一人で国境地帯にいて…
カノンノその前の事は何も思い出せないの。ごめんね
リオン
スタン覚えてないんだったら仕方ない、そうだろ?リオン
リオン
カノンノううん、私こそ役に立てなくってごめんなさい
ティポうーん、何かこのカンジ、リヒター君と会った時と一緒だねー!
ティポそう思わない、カノンノ君?
カノンノ確かに、そう言われれば…
カノンノ
カノンノ何かの力が伝わってくるような不思議な感覚までもがあの時と同じ…
ロイドあの時って何の話だ?
カノンノ前にね、同じようにネックレスが光った事があるの
カノンノその時に、リヒターさんは精霊に反応してるって言ってた
アルヴィン精霊に反応、だと…?って事はミラ…
ミラああ、間違いない。感じ取っていたのはこの力…
ミラ…四大?
ミラ…!
ミラこれは一体…?
ミントミラさん?四大精霊に何かあったんですか?
ミラ暴走後に失われていたままだった四大のマナが回復していく…
ミラ私のマナを分け与えても、完全に復調するまで至らなかったのだが
ミラこれなら暴走前の力を取り戻せそうだ
リオンネックレスの影響か?
ミラそのようだ。ネックレスから温かい力が伝わってくる、そう四大は話している
カノンノ温かい力…
ミラ…カノンノ、私達はお前のネックレスについて少しでも情報が欲しい
ミラさっき話していたリヒターという奴の元へ案内してくれないか?
カノンノうん、わかった…!さあこっち、リヒターさんはみんなと広場の方にいるはずだよ
リオンよし、じゃあ早速その広場へ向かうぞ
scene1リヒター・アーベント
ガイそういえば、カノンノとエリーゼの姿が見えなくないか?
レイヴンまたまた、そこにいるでしょ…ってあれ!?
アーチェげっ、いないじゃん!あの二人、何だか楽しそうな様子でしゃべってたのに
ファラ大変、捜しに行かなくちゃ!近頃じゃ魔物が街に入り込んで来る事だってめずらしくないし…
ガイそうだな。何かあってからでは遅い、辺りを手分けして――
リヒター…!
リヒターその必要はなさそうだ
アーチェあ、帰って来たみたい!あんた達一体どこ行ってたのよ!…って、ん?一緒にいるのって…
ミントまあ、アーチェさん!アーチェさんまでバロニアにいるなんて、偶然ですね
アーチェミントこそ、こんなところで何してるのよ!それに、カノンノ達と一緒だし
ミントついさっき知り合ったんです。ある方に用があって、カノンノさんにここへ連れて来てもらったんです
ファラある方…?
カノンノリヒターさん、少しこの人達の話を聞いてあげてほしいんだけど…
リヒターそのネックレスの光は……!
リヒター…お前は何者だ?この状況下で、どうやってそいつらの暴走を鎮めた?
ミラ…驚いたな、四大の存在を感じ取っているようだな。それに──
リオン…ああ。「この状況下」と言った。今大精霊に起きている事態も既に把握している、といったところか
カノンノリヒターさん…?そうなの…?
リヒター
リオンおい、お前。ネックレスから放たれる力の正体は何だ?答えろ
リヒター…。まずはお前達の事を知りたい。その上で必要な事を教えよう
ガイおいおい、一体何がどうなってるんだ…?
レイヴン大精霊の暴走…?また途方もない話が出てきたみたいだけど、本当なのそれ?
ミラああ、間違いない。一刻の猶予も許されないほど事態は深刻だ
ファラやっぱり、時空の歪みもクロノスの影響だったって事だよね
ミラ状況からして、その可能性は高いだろう
ミラ戦争や異変、第三者…お前達の話と大精霊の暴走は全て関連があるはず
ガイジーニアスが言ってたクロノスの様子が変だって話は、暴走の影響だったって事だな
ロイド精霊って言われても未だにピンと来てないのに…さすがジーニアスだよな
ロイドその二つが関係してる事に気付くなんて…
ゼロスけど、やっぱハニーの言ってたようにあいつ亀裂に落ちちまってたんだな。ま、助かったみたいだけどよ
レイヴンんで、おたくらはその大精霊の暴走を鎮めるために動いてるって話だけどもさ
レイヴンそれと、カノンノちゃんのネックレスがどう関係してるわけ?
ミラ私達は不思議な力の存在を感じ、それをたどってここ、バロニアに来たのだ
ガイ不思議な力?
ミラ…カノンノのネックレスから発されている力だ
ミラこの力を受け、四大の枯渇したマナは今、徐々に回復し始めている
ミラもしかしたら、この力を使えば大精霊の暴走を鎮める事が出来るかもしれない
カノンノまさか…
ジュード確かに、四大精霊を救ったって事は、他の大精霊に効果があるって可能性も十分考えられるね
リオン詳細を聞こうにも、カノンノは記憶が混乱している状況だ…。これ以上この力について知る術はない
リオンそこで、お前なら何か知っているのではないかとここへ来た
アルヴィン…これは現状を打破する大きな切り札になるかもしれないな。何でもいいから知ってる事を話してくれないか?
リヒター
リヒター…まさか、そんな力だったとはな
リヒターだが、これは俺にとっても好都合…ディセンダーに頼らずとも、大精霊の暴走を鎮める事が出来るかもしれん
ゼロスディセンダー…?それは一体何の事──
リヒター急かすな。…順を追って説明してやる
カノンノ
scene2リヒター・アーベント
エリーゼリヒター、一つ質問があります。あなたの目的は何なんですか…?
エリーゼ…ずっと気になっていたんです。ここまでついて来たのも、カノンノを見張るのが目的みたいで…
リヒター…俺は、大精霊について独自に調査を進めていた。全ては暴走を止めるためにな
リヒターお前達の言ったように、確かに、俺は今の大精霊の状況に早い段階で気付いていた
アーチェ早い段階って、どれくらい前なの?
リヒター異変が起こり始めて間もない頃だ。思い付く限りの方法を試し、大精霊の暴走を鎮めようとしたが駄目だった
リヒターそれで、俺は最後の望みである「ディセンダー」を捜す事を決めた。…こいつらと出会ったのはその時だ
カノンノディセンダー…
ロイドそれ、さっきも言ってたよな?ディセンダーって、一体何なんだ?
ミラ「世界の危機に誕生し、 世界を再生させる存在」…
リオン…!お前、知っているのか?
ミラいや、私もディセンダ―についてはその程度の知識しかない
リヒター世界の危機というのは万物の礎となる大精霊の危機を指す
ゼロスって事は、大精霊が暴走している今、そのディセンダーは誕生しているかも、って事か?
リヒターああ。ディセンダーは、世界のバランス異常を正すべくして生まれる存在
リヒターそいつの力をもってすれば大精霊の暴走は収束、それと同時に世界異変も収まる可能性が高い
ファラそれで、ディセンダーを捜してたんだね
アルヴィンおたくの事情はわかったが、結局、ネックレスの力は何なんだ?
リヒター…それを調べるために俺はこの娘に同行、監視してきた
リヒター大精霊に悪影響を与えるようならネックレスは破壊する。必要ならこの娘も…
カノンノ
エリーゼそんな…ひどいです
ティポこのヒトデナシー!
リヒター
ミラだが、ネックレスの力の効果を知った今、その必要はなくなった。違うか?
リヒター…ああ
リヒターむしろ、お前達の話が本当だとしたら情報の少ないディセンダーを追うより遥かに現実的だとさえ感じている
レイヴンとにかく、このネックレスが精霊の暴走を鎮める鍵になりそうって事はわかったけど…
レイヴン結局のところ、それ以外は全くわからないって事ね
リオンカノンノ、お前は本当に何も思い出せないのか?
カノンノ…ごめんなさい、本当に──…
カノンノ
スタンまあ、落ち着けよリオン。ミラも言ってただろ?
スタン詳しい事はわからないにせよ、このネックレスの力があれば、大精霊の暴走を鎮める事が出来るかも…
カノンノリプリ…カーム…
カノンノうっ…
アーチェちょ、ちょっとカノンノ!?大丈夫?
カノンノうん、大丈夫…ありがとう
ミラリプリカーム…カノンノ、それは何だ?
カノンノわからない…けど、もしかしたら、このネックレスの力の事かもしれない
カノンノどうしてかわからない…、だけど、そんな気がするの…
リオン他に何かわからないのか?
カノンノ思い出そうとしたら…頭が…これ以上の事は…ごめんなさい
ファラ大丈夫、大丈夫だよ。無理に思い出そうとしないで
カノンノミラさん…、ごめんなさい。私、本当に何にもわからなくて…でも、これ──
ミラネックレスを私にくれるというのか?お前の大切なものなのだろう?
カノンノいいの。…これが世界を救うためになるなら、私が持ってるよりあなたが持っている方がいいと思う…
ロイドで、でもいいのか?記憶を取り戻す手がかりになるかもしれないのに…
カノンノありがとう、…でも本当にいいの!私もこの人達と一緒で、世界を救いたいって思ってる。だから…
カノンノこれはあなたが持ってて!
ミラカノンノ…、礼を言うぞ。必ずお前の願いをかなえると約束──…む?
リヒター…!
リオン光が消えた、だと…
ミラ…それだけじゃない。四大へのマナの供給も、光の消失と同時に止まったようだ
カノンノど、どうしてそんな…
エリーゼカノンノが持っている時だけ効果を発揮するという事でしょうか…
ミラそのようだな…。気持ちはありがたいが、これはカノンノへ返した方がよさそうだ
スタンこれからどうする?…って言ってもカノンノに協力してもらうしか方法はない気がするんだけど…
ミラ…ふむ
ガイまずは王宮へ行くべきじゃないか?
ガイ今ルーク達が国王の元へ行ってるのはさっき話したと思うが、大精霊の暴走については誰も一切把握していない
ガイだがミラが言ったように、もしこれが戦争や異変とも関わりがあるなら、切り離したままではおけないはずだ
ガイこの際、合わせて国王に伝えて協力を得られるよう働きかける方がいいと思うんだが
アルヴィン俺もガイの意見に同感だ。ミラ、カノンノを連れて事の状況を説明をしてこいよ
ミラああ、確かにそれがよさそうだな。ではカノンノ、行くぞ。他の皆はここで待っていてくれ
カノンノ国王様かぁ…。私、上手く説明できるかな
リオン待て、僕も行く。他の者の情報にも興味がある
アルヴィンおいおい、おたくも行くのかよ。あまり大勢はどうかと思うぜ?
スタンミラ、俺からも頼むよ!ルイニス街に関する情報が聞けるかもしれないし
ミラわかった、リオンも来るといい。ここで揉めても仕方あるまい
リヒター…では、この件の報告は頼んだぞ
ミラリヒター、どこへ行くつもりだ
リヒター俺がここへ来たのは、この娘のネックレスについて調べるため。もうここに用はない
ミラ元のように単独で動く形に戻る、という事か
リヒターその方が性に合っている
ミラ…わかった。精霊に関して感覚の鋭いお前がいてくれれば心強いが…仕方ない
ミラ何かわかったら知らせてくれ
リヒター…そのつもりだ。暴走している大精霊の情報が入れば知らせよう
ジュード行っちゃったね。…ひょっとしてリヒターって、クラースみたいに精霊に詳しかったりするのかな?
ミラどうだろうな…。とにかく時間もない事だ、カノンノ、リオン、行くとしよう
リオンああ
scene1明らかになる真実
リチャード…戦争を誘発し、マナの枯渇を目論む第三者か…
ユーリ突拍子もねえ話だが、いろいろつじつまは合う
アスベルリチャード、どうだろうか?
リチャード確かに、カーティス大佐の所持している攻撃記録は、正真正銘、我が国のものだった
リチャード念のため、我が軍の保有している別の攻撃記録も再調査させたが…結果は同じ──
リチャード両軍共に同時刻に被弾したという事実…
リッドという事は、やっぱり最初の攻撃はウィンドルでもア・ジュールでもないって事だよな
リタ目的は何であれ、最初の攻撃が第三者によるものだって事は間違いなさそうね
ルーク…許さねえ。どこの誰だか知らねーが、ふざけた真似しやがって!
リチャード同感だ。…そうとわかれば手をこまねいてはいられない
リチャード真実をガイアス王に告げ、今この機をもって正式に和平交渉を締結する必要がある
リチャード第三者の煽動に巻き込まれない体制を作り上げなければ…
クレス僕もそれがいいと思います。事実を知ればガイアス王もきっと理解を示してくれるはずです
ジェイドその点は心配無用でしょう。もとよりガイアス陛下も戦争など望んではおられませんから
クラトスならば私も、シルヴァラント国王陛下のお考えを、リチャード陛下にお伝えしよう
クラトス国王陛下は、国民及び自国の防衛を最優先にお考えになられている
クラトスそのために、二国が今後も戦争を遂行する意志があるのかどうかを非常に気にされていた
アスベルクラトスさんはそれを見極めるためにこの国に…?
クラトスああ、そういう事だ。事前に詳しい事を話せずすまなかった
クラトスだが、今こうしてリチャード陛下にお会いし、ウィンドルがこれ以上争う意志がないという事は重々理解した
クラトス我が国の国王陛下もきっと、世界の和平実現に向けお力を貸してくださる事だろう
ルークだったら俺も、伯父上に話をするぜ。そうすりゃキムラスカも、足並みを揃えられるしな
ユーリそういやルークはこう見えてキムラスカ国王の甥とかいうお偉いさんだったっけな
ルークこう見えて、は余計だっつーの!
クレスでも、これでうまくいけば、ウィンドルとシルヴァラント、それにキムラスカ三国の協力体制が作れるね
アスベルああ、後は我が国とア・ジュールさえ手を携える事が出来れば…
リチャードそれは是が非でも実現させたい。カーティス大佐、仲介の労を取っていただけるだろうか
ジェイドそのために拝謁したと言っても過言ではありませんからね。謹んでお受けします、リチャード陛下
リチャードでは早速ア・ジュールへ向かう。アスベル、準備を──
アスベルな、リチャード…!?まさか直接ア・ジュールへ行こうと考えてるわけじゃないよな…?
リチャード…ア・ジュールは事実を知らない。いつ再び魔導兵器を起動させてもおかしくない状況だ…
アスベル事態が一刻を争う状況なのはわかってる!だけど、お前が直接乗り込む事には賛成出来ない
アスベル…リチャード、頼む。和平交渉の件は俺に任せてくれ!必ず話をまとめてみせる
リチャードアスベル…
リチャード…わかった、この件は君に任せる。だが、失敗は許されない…何としてでもガイアス王の理解を得てくれ
アスベルああ、必ずだ!
scene2明らかになる真実
ジェイドリチャード陛下御自らお見送りいただけるとは恐縮です
リチャードいや、こちらこそ身を挺してまで状況を知らせてくれた事に感謝するよ
リチャードそれと、エステリーゼの件だが…
ジェイド殿下の事はご心配なく。責任をもって可能な限り速やかに安全な帰国の手配をいたします
リタエステル、待っててね。もう少しだから…
警備兵ええい、駄目なものは駄目だ!
クレスん…?
ユーリ何だ?随分騒がしいな
クラトスあれは…
警備兵何度言えばわかる。身元のはっきりしない者を、王の元へ通すわけにはいかん!
リオンちっ、ならば仕方ない。力ずくで通るしか──
カノンノあっ、アスベル!
アスベルカノンノ!?
ユーリおいおい、一緒にいるのはまさかミラか?
ミラユーリ!それにクレス、ルークも…皆、元気そうで安心したぞ
クレスまさかミラがまた、この世界にいるなんて…
ルークつか、何でカノンノと一緒にいんだよ?
アスベルカノンノ、どうしたんだ?街で待っているはずじゃ…
カノンノ会えてよかった。アスベルに聞いてもらいたい事があって、後を追ってきたの
リチャードアスベル達の知り合いかい?ならば心配はいらない、通してくれ
警備兵はっ…
ミラお前がウィンドルの国王か…
リチャードああ、そうだが君は…
ミラミラ=マクスウェルだ
ミラ…今回の争いをきっかけにこの世界は未だかつてない破滅の危機に晒されている
ミラお前は一国の王として、魔導器が世界に与える影響を考えた事はあるのか?
アスベル…!おい、そんな事いきなり…
リチャード…いや、いいんだアスベル。本当の事だ
リチャード今起きている状況については、アスベル達から話を聞いた
リチャード魔導器の使用によるマナの枯渇…全ては僕の責任だ。すまなかった
アスベルリチャード…
ジェイド…で、あなた方の話とは?
ジェイドこの一刻を争う危機的状況で、まさか王宮に押し入ってまでして糾弾したかったわけではないでしょう?
ミラ…すまない。今はその事について話している場合ではなかった
リオン僕達がここへ来たのはお前達に知らせなければならない重要な話があるからだ
リッド重要な話?
リタカノンノが一緒って事は、あたし達が得た情報は大体把握済でしょ?他にもまだ何かあるっていうの?
リオンああ。お前達も知らない事だ
リチャード…わかった、とにかく再び王室へ。詳しい話はそこで──
警備兵うわあああっ!
ルークな、何だ!?
警備兵王宮前に魔物が出現!突破されるぞ!
グオオオオオッ!
ユーリ…ちっ、こんなところにまで魔物が入り込んで来るとはな
クラトス止むを得ん、先にあの魔物を始末するぞ
クレスよし、みんな!行こう!
scene1決断と決意
リチャード大精霊の暴走…
ミラああ、それが今現在、世界が直面している最大の危機だ
ミラ戦争を止め、これ以上魔導器を使用しない状況を作る事も勿論重要だが、大精霊の暴走を鎮めない事には…
リッド世界崩壊は免れねえって事か…
リチャード何という事だ…
ルークでもよ、大精霊の暴走を鎮めるったって具体的にどうすりゃいいんだ?
リオン…おい、カノンノ
アスベル…?
カノンノこのネックレスを使うの
カノンノここから溢れ出るリプリカームは、苦しむ大精霊達にマナを与え癒す事が出来るんだって
リタリプリカーム…?
アスベル確かに、以前リヒターがネックレスは精霊に反応している、と言っていたが…
ルークマジかよ、何でそんな事が出来んだ?
ミラ原理は今のところわかっていない。だが、現にこのリプリカームが四大のマナを補ったのは事実──
ミラその事を踏まえると、おそらく、この力を使えば大精霊の暴走を鎮められる
ユーリなるほど。マナの枯渇で暴走したならそれを補えば暴走を鎮められる、そういう事だな
クレスまさかカノンノのネックレスにこんな力があったなんて…
カノンノ自分でも驚いてる。…最初は少し戸惑ったけど、今はすごく嬉しいよ
カノンノ私もみんなの役に立てる、一緒に世界を救う事が出来る
アスベルカノンノ…
リオンとにかく、これで状況はわかったはずだ
リッド大精霊捜しは一刻を争うって事か。急ぐのは性分じゃねえけどやるしかねえな
ミラ…リチャード、おそらく既に理解しているだろうが改めて言わせてくれ
ミラ和平交渉と同時に、事態の収拾を全世界で協力して行える体制を築いてほしい
リチャード…ああ、約束しよう。ア・ジュールとの和解も勿論進めるが…
リチャードキムラスカ、シルヴァラントも含め、世界で一致団結出来る体制を必ず作り上げてみせる
ジェイド既に事態が個々の国家の利害を超えたものとなっている以上、協力は最善の道でしょう
ジェイド私もア・ジュールの軍人として及ばずながら、微力を尽くしますよ
ルーク当たり前だっつーの!お前んとこの国も魔導兵器ぶっ放ったんだろーが
リチャード…アスベル、事情が変わった。やはり僕も一緒に行く。思っていた以上に時間がないようだ
アスベルそれは駄目だ!さっきも言ったが、この件は俺に任せて、リチャードは…
リチャードいや、駄目だ。ガイアス陛下とお会いして、直接話をつける
リチャードここに来て、事態はより深刻な状況である事がわかった
リチャード我が国とア・ジュール間のわだかまりを取り除き、迅速かつ確実に協力体制を作り上げる必要がある
アスベルそれは、勿論わかっている!国王だからだけじゃない、友達としてお前が心配なんだ!
リチャードアスベル、ありがとう。さっきは君の言葉に甘え、任せる事を考えたが…
リチャードア・ジュールと、このように争う関係になるに至った根本の原因は僕のかつての行いにある
リチャードここで全てのわだかまりを取り除くには、やはり僕が出向ききちんと話をする事が必要だと思う
リチャード時間がないという事もあるが、直接、誠意をもってガイアス陛下に謝意を伝えたいんだ
リチャード…それに、アスベル。君も力を貸してくれるんだろう?
アスベルリチャード…
アスベル…はぁ。わかった、わかったよ。全く、お前には敵わないな
ジェイド僭越ながら私も賛成は出来ません。状況的にあまりに危険すぎます
ジェイドですが、陛下御自ら出向かれたとなれば、ガイアス陛下も好感を抱かれる事は間違いないでしょう
リッドややこしい事はわからねえが、出るヤツが出てきっちり話を終わらせる。…そういう事ならオレも賛成だ
クラトス確かに、間に人を介さない分、話が早いのは確かだろう
クレス僕は、今の国王陛下の想いを尊重したい。そういう意味で、リッド達と同意見かな
リタ話はまとまった?とりあえず、待ってるみんなのとこに戻りましょ
カノンノうん!
scene2決断と決意
アーチェあ、クレス達が帰って来た!おーい!こっちこっち!
カノンノ何だか改めて見ると…
アスベル結構な大所帯だな…
スタンリオン、おかえり!大精霊の話はちゃんと出来たのか?
リオンああ
ユーリ何だ、ロイドもいたのか。久しぶりだな、元気だったか
ロイドユーリ!みんないるって聞いてたから会えるの楽しみにしてたんだ!
ルークあとは、ソフィがいりゃみんな揃うのによ
ミラ仕方あるまい。ソフィは生きている時代が違うからな
クレスそうだね、でも住む世界が違うミラともこうして会えてるんだから、きっといつかまた会えるさ
ロイドそれにしてもクラトス!まさかこんなところにいるなんて、また傭兵の仕事か?
クラトスまあ、そんなところだ。…と、ゼロスも一緒だったか
ゼロス今気付いたのかよ!俺さまってばそんなに存在感薄い…?
ファラリッド、おかえり!どうだった?やっぱり王宮の中って緊張する?
リッドんー、まあ確かに豪華だったぜ。緊張は…どうだろうなあ。よく覚えてねえや
クレスミント!?まさか君がこんなところに…
ミントクレスさん…!無事でよかったです
ガイ…なあ、ルーク、お前の隣にいるのってまさか…
リチャード
ルークああ、こいつか?ウィンドルの国王だよ
エリーゼえ…
ティポほ、本物ー!?
アスベルおいルーク!陛下を「こいつ」呼ばわりは──
リチャード僕は構わないよ。ほら、ちょっとしたカモフラージュになるかもしれないしね
レイヴンちょっとちょっと!大声でする話じゃないっしょ。けど、何だって王様直々に?
リタ協議の結果、一緒にア・ジュールへ行く事になったのよ
アルヴィン何だって?そりゃ驚きの展開だな
アスベル…その話なんだけど、みんな、少しいいかな?
アスベルみんなも知っていると思うが、さっき国王陛下やカーティス大佐と一連の出来事について協議した
アスベル事態は深刻で、各国が手を取り合い協力体制を作る事が必要だという結論に至った
アスベル俺達は二国間の戦争をここで収束させ大精霊の暴走を鎮めるという大きな問題の解決を目指す事になる
アスベル…みんな、大変な事だとは思うが引続き、力を貸してほしい
ファラ勿論だよ!ね、みんな!
ガイアスベル、実はその事について、こっちでもみんなで話し合ってたんだ
アルヴィン当面の大きな目的としては大精霊を鎮める事だが、他にも宙に浮いている問題がいろいろとある
アルヴィン…だが、一刻を争う事態だ。呑気にみんなで固まって情報を一つずつ洗っている時間はない
リッド手分けして動くべき、そういう事か?
ガイああ、その通りだ
ガイ大精霊の暴走については、アスベル達に一任し、俺達は別の情報収集にあたろうと思う
ジェイド確かにいろいろと交錯した状況ですしその方が効率よさそうですが、調べるのは第三者についてですか?
レイヴンそそ。正体どころか目的も何もわからない状況っしょ?それじゃ手の打ちようがないってね
ジュード各地の被害状況も調べるつもりだよ。僕達が動き出したところで、すぐに被害が収まるわけじゃない
ジュード現に今も尚苦しんでいる人達はたくさんいるからね
ガイ主にこの二つの件で動くべきだという話でまとまったんだが、どうだろうか?
アスベルああ、俺もその方がいいと思う。みんな、ありがとう
ルークよし、そうと決まりゃ誰がどう動くか、手っ取り早く決めちまおうぜ
ガイよし、じゃあまずア・ジュールへ向かうのは…
アスベル国王陛下と──
リチャード堅苦しいから、いつも通り呼んでくれていいよ
アスベルあ、ああ、そうだな。そうさせてもらうよ。では──
アスベルリチャードとカーティス大佐、それにミラ、リオン、リッド、ルーク、リタ、カノンノ、俺の9人だ
カノンノ足手まといにならないように頑張るから、よろしくね
リタ外交と大精霊要員…妥当なとこね
レイヴンじゃあ次は、第三者について調査する面子かね
ゼロスまずは俺さまだろ、それにレイヴン、あとロイドとスタンも。それと…
ユーリオレも混ぜてもらうとすっか。一番荒事に出くわしそうだしな
アーチェあ、待って待って!あたしとクレスも一緒に行くから、全部で7人かな
ミント私達は、被害状況の調査と人命救助にあたります。同行者は…
ジュード僕とミント、それにファラ、エリーゼ、ティポ…、かな
アルヴィンあー優等生、俺もこっちに混ざるわ。男手が必要な事もあるだろ?
アルヴィンそうだ、リオン。あんまり一人で突っ走るなよ?わかっちゃいると思うがな
リオン
ジュードアルヴィン、ありがとう。あと、出来ればガイもこっちに来てくれると助かるんだけど、どうかな?
ルークへ?ガイは俺と一緒だろ?
ガイルーク、お前な…。さっきの人選、ちゃんと聞いてなかっただろ
ガイ正直、護衛役としてはやっと見つけたお前とまた離れるのは問題なんだが…状況が状況だ、ジュードと行くよ
ガイ後でティアにどやされるだろうが、今のお前ならきっと大丈夫だと思う。頑張れよ、ルーク
ルークなっ、お、俺はもともと大丈夫だっつーの!
エリーゼクラトスはどうするんですか?
クラトス私は一度メルトキオへ戻る。国王陛下に状況報告をせねばならんからな
エリーゼそうですか…気を付けてくださいね
クラトスああ、ありがとうエリーゼ
スタン今この場にいる仲間だけじゃなく、クラースさんとか、他のところで動いてる仲間とも協力出来るといいな
ロイドああ、そうだな。みんなの力を合わせて何としてでもこの世界を救おうぜ
ティポみんなで頑張ろー!
ルークユーリ達は出発したみてーだな
リッドそのようだな。そうこう言ってる間にジュード達も早速動き出したみたいだぜ
ミラでは、私達も出発するか
リオンああ
リチャード…アスベル。こんな形で君と行動を共にする事になるとは思わなかったよ
リチャードこの状況で少し不謹慎かもしれないが昔を思い出されるようでどこか気持ちが昂っている
アスベル確かに、子どもの頃はよく一緒にいろんなところへ出かけたよな
アスベル成長してお前は王になり、俺は騎士になって、そう簡単に一緒に出かけられなくなってしまったしな
アスベルそう考えると、俺も今この状況に相応しくないが少しわくわくしている気がするよ
リチャード…アスベル
リチャード無事大精霊達の暴走を鎮め、かつての平和な世界を取り戻す事が出来たら、昔のように、共に出かけよう
リチャードそのためにも必ず、ア・ジュールと手を取り合い、協力体制の構築を成し遂げてみせる
scene1二国の王
ジェイド長旅お疲れ様でした。ここがア・ジュールの都、カン・バルクです
リチャードここが…カン・バルク…
ミラどうしたリチャード?ここへ来るのは初めてか?
リチャード幼い頃に一度来たっきりだ。それ以降もずっと訪れたいと思っていたがなかなか機会がなくてね
リチャード…雪に包まれる立派な街並み、我が国では見る事の出来ない光景だ。相変わらず、素晴らしい都だよ
ジェイドお褒めに預かり光栄です。きっとガイアス陛下もお喜びになると思いますよ
リタそんな事より、あんた、エステルはどこなの?
ジェイド殿下はミュゼと一緒にいるはずです。気がかりなのはわかりますが、今は陛下の元へ行くのを先に願います
リタわ、わかってるわよ!
アスベルふう…
リオンどうした?深いため息などついて
アスベルいや、無事にたどり着けてほっとしただけさ。道中、気が気じゃなかったからな
ルーク心配性だな、アスベルは
リッドまあ、アスベルの立場を考えたら心配するのは当然だろうけどな
カノンノ大変だったね、アスベル。お疲れさま
警備兵カーティス大佐、お疲れ様です
ジェイドご苦労。陛下は王宮に?
警備兵はい。リチャード陛下のご来訪を、お待ちしているとの事です
ジェイドだ、そうです。それではうちの陛下のところへ、ご案内しましょう
scene2二国の王
???リチャード陛下、我が国までのわざわざのご足労、痛み入る
リチャードお初にお目にかかる。ガイアス陛下
ガイアスようやく会えたな
リチャードああ、ようやくだ
カノンノすごい緊張感…
アスベル戦争最中にある国同士の初対面だからな
リタちょっと、大丈夫なんでしょうね。いきなり斬り合ったりとか…
リオン
リチャードまず初めに、謝罪を。既に使者を通し伝わっているとは思うが、改めて自らの言葉で伝えたい
リチャード先の星のカケラを巡る争乱においては貴国に多大な迷惑をかけた。心より、お詫び申し上げる
リチャード本当は貴国の民を前に頭を下げ、謝罪の意を伝えたいくらいだ
アスベルリチャード…
リチャードそれと、今回の戦闘再開の件も。第三者の煽動があったとはいえ、決断を下した僕の責任は免れない
ガイアスあらかたの話はミュゼから聞いた。その件に関しては俺も貴国の行いを批判する気はない
ガイアス言うなれば同罪であろう
ガイアスさらに貴公の潔い態度と、ここまで乗り込んできた勇気は称賛に値する
リチャードガイアス陛下…
カノンノよかった…
ジェイド安心するのはまだ早いですよ。ようやく入口をくぐっただけですからね
ミラ問題はここからだがな
リッドったく…見ているこっちがハラハラするぜ
リオン…!あれは…
ミュゼミラ、しばらくね
ミラミュゼ…
ガイアス来たか、ミュゼ。客人は?
ミュゼええ、ここに…
リタエステル!
アスベルエステリーゼ様!
エステルリタ…!それに…リチャード陛下…?
エステル陛下ご自身がア・ジュールに…わたしのせい、ですよね…。申し訳ありません
エステルアスベルも…心配をかけてしまいました
アスベルご無事で何よりです
リチャード元気そうで安心した。困った事はなかったかい?
エステルあ、はい。この国の方々には大変よくしていただきました
ジェイドとの事ですが、納得していただけましたか、リタ?
リタや、約束守ったってだけじゃないの。偉そうに言ってんじゃないわよ
リチャードエステリーゼ。君が祖国を愛するがゆえ、このような行動に出たという事は理解している
リチャードだがそれと同等に、君も祖国の人々に愛されている。その点は忘れないで欲しい
リチャードこんな状況下で、もし君の身に万が一の事があれば人々の悲しみは計り知れないからね
エステルはい…本当に申し訳ありませんでした
ガイアスジェイドも無事に戻った事だ。エステリーゼ殿下は、この場でお返ししよう
ガイアス…さて、挨拶は終わりだ。本題に入る
リチャードああ
ガイアス大精霊の暴走か…
ガイアス第三者の存在に関してはミュゼから報告を受けていたが、問題はそれだけではないという事か
ガイアス…それで、リチャード陛下は、これからどうするべきだと考える?
リチャードまずは、現在停戦状況となっている戦争の完全終結を改めて宣言したい
リチャードそれと同時に、我が国と貴国間において和平交渉を開始させたいと考えている
ガイアス
リチャード
ガイアス…続けてくれ
リチャード先ほど説明した通り、事態は、未だかつてないほど深刻な状況だ
リチャード世界各国が一丸となり、協力し合える体制を作る事こそ、事態を収束させるために必要な事だと考えている
リチャード万全の体制を構築した上で、全ての真相解明と、問題解決に向けた共同調査の実施を提案したい
ガイアス
リタ妥当な提案でしょ。今の状況で戦争なんて馬鹿やってる場合じゃないんだし
ミラああ、これが成立すれば魔導器及び魔導兵器の使用は止められる事になるからな
ジェイド
アスベル…ジェイド?
リチャード既にシルヴァラントの国王陛下にも、僕の意志は伝わっているはずだ。おそらく、協力を得られると思う
リチャードまた、キムラスカとの連携も、そこにいるルークに仲介を頼めば不可能ではないだろう
リチャード世界中の国が、同じ目的の下、協力し合えるかもしれない。そのためにも…
ガイアス…まずは我が国と貴国が手を取り合う必要があるというわけか
ガイアスリチャード陛下、貴公の考えはわかった。おそらく俺が陛下の立場でも、同じ事を提案しただろう
リチャードでは…
リオン…まずいな
リッドリオン?まずいって、何が──
ガイアス…だが、首を縦に振る事は出来ぬ
ルークな、何でだよ!?
ガイアス理由は簡単だ。両国間に出来た溝は、お前達が考えているほど浅いものではない
アスベルガイアス陛下…
ガイアス…はっきりと言う。我が国は今、貴国への憎悪で溢れている
ガイアスウィンドルに裏切られた、そう考えているのだ
アスベルしかし、それは第三者による煽動で──
ガイアス第三者の存在があったところで我が国の民の感情は変わらん
ガイアスいかなる状況であれ、ウィンドルが我が国へ再び攻撃を放ったのは事実だ
ガイアス自国の行いについての懺悔を口にし平和を誓った矢先にも関わらず、だ
リチャードそれは──…
ガイアス応戦したのは我が国も同じ。その立場を棚に上げて貴国のみを非難するつもりは毛頭ないが…
ガイアスいざ戦争再開となった時に疼き出すのはかつての古傷だ
ガイアス私欲による無意味な侵略、非道な暴挙…抑えようとしていたはずの感情は憤りと共に溢れ始める
ガイアスこの感情こそが、貴国の侵略行為の真の傷痕…
ガイアス貴公の判断により負わされた心の傷は決して癒える事のない傷として、今も尚、俺の民を苦しめている
リチャードガイアス陛下…
ガイアス貴国と手を取り合うという事は互いに信じ、背を預け合う事…
ガイアス貴国とは、いかなる状況においても出来ん相談だ
ミュゼ
ジェイド陛下…
ミラガイアス、お前の言い分はわかる。だが…お前も状況は理解したはずだ
ミラ今ここでア・ジュールの協力がなければ、世界は確実に崩壊する。すなわち、お前の愛する国の民も──
リチャード…いや、ガイアス陛下の言う通りだ。僕はそれだけの事をした、理解はしている
アスベルリチャード…
リチャード…だが、それを承知の上でも、引き下がる事は出来ない。世界の存亡がかかっているのだから
ガイアス
リチャード…ガイアス陛下。あなたの言葉の意を重々理解した上で尚重ねてお願いしたい
リチャード今この時だけでもいい。どうか、力を貸してくれないだろうか
リチャード貴国が、我が国への信頼を欠いているのは全て、僕に責任がある
リチャード今後の対応については、その行いから判断してくれて構わない。僕の命を懸けてもいい
アスベル…リチャード…!
ガイアス
リチャード…この事態は、貴国の協力なしに収拾する事は不可能なんだ。だから、どうか頼む!
リチャード貴国の民も、我が国の民も、国なんて関係ない。ただ、人々と世界を救いたいんだ…
ガイアス
ガイアス…ジェイド、俺の剣を持て
ジェイド…かしこまりました、陛下
ルークお、おい、何が始まろうとしてんだ?
カノンノ剣って…どういう事…?
アスベル…リチャード…事によっては割って入る
リチャードアスベル。ここは僕とガイアス陛下の交渉の場だ。下がっていてくれ
アスベル…リチャード…
ジェイド御剣をお持ちしました
ガイアスリチャード陛下。繰り返して言うが、この状況での貴国との和平交渉に応じる事は出来ぬ
ガイアスだが、今回に限り…己の直感に従って決断したいと考えている
ミュゼガイアス!?あなた本気なの!?
ガイアス…リチャード陛下、剣を取れ。貴公が信頼に値するかどうか、その身をもって証してもらいたい
アスベルそんな…!
リチャード剣を交えれば全てがわかると?
ガイアス極めて原始的で直截なやり方だが、それゆえ真実は見極めやすい
リタ国王同士の決闘で決めようっていうの!?無茶苦茶よ!
リッドおいおい、本気かよ…!とんでもねえ王様だな
アスベルリチャード、駄目だ!いくら何でもそんな危険な事は…!
リチャードわかった。お受けしよう
ミラ
アスベルリチャード!
リチャードそうする事で、僕の想いを証明出来るのなら拒む理由は何もない
リチャード全ての決意を剣に込め、渾身の力でお相手しよう
ガイアスいい覚悟だ
アスベル俺も援護するぞ、リチャード。お前を守ると約束したんだ
ミュゼガイアスが直接戦う事はないわ!私がガイアスの代わりに戦う!
リチャードアスベル、駄目だ。手出しはするな。これは僕とガイアス陛下の交渉なんだ
ガイアスミュゼ、お前も邪魔はするな
アスベルくっ…!
ジェイド全く予想外の展開というわけでもないですが…こうなってはもう見守るしかありません
リタちょ、ちょっと正気なの!?あんたのところの王様だって大怪我するかもしれないのよ?
ガイアスでは見せてもらおう。リチャード陛下の覚悟を!
リチャード行くぞ!
scene3二国の王
リチャードこれでどうだ!
ズバッ!
ガイアスぐっ…!
ミラ決まったな
リチャードガイアス陛下…今、わざと僕の剣を…
ガイアス
ミュゼガイアス!
ジェイド陛下、大丈夫ですか?
ガイアス…問題ない
リチャードガイアス陛下…、僕の想いを感じていただけただろうか
ガイアス鋭く、それでいて真っ直ぐでいい剣筋だ。私欲のみで国を動かす王の剣とはとても思えぬ
ガイアスリチャード陛下、貴公の誠意と民を想う気持ちは十分に伝わった
リチャードでは…
ガイアスまずは、一時休戦を俺の責任において保証する。現状で俺に出来る事はここまでだ
ガイアス…だが、この剣を介し、貴公の誠意はしかと受け取った
ガイアス今は難しくとも、我が国と貴国がわかり合える日はいずれ来るかもしれん
ガイアス和平交渉が始められる時はそう遠くないかもしれんな
リチャードガイアス陛下…。あなたの誠意に心から感謝する
ガイアス
ミュゼガイアス…本当にいいの?
ガイアス俺に二言はない
ミュゼ
リッド一時休戦か…現状を考えればそれが限界って事か
リオンそういう事だろう。だが、この二国において大きな前進である事は間違いない
カノンノアスベル、これでよかったの?
アスベルああ。これは今後に向けての大きな一歩だ。一時休戦を、恒久的平和へと繋げていけばいい
ジェイド一時はどうなるかと思いましたが、何とか収まるところに収まったようで何よりです
リタ何、他人事みたいに言ってんのよ。自分の王様が危険だったかもしれないってのに
ジェイドうちの陛下はあれしきでは堪えませんよ。勿論、いざという時は割って入るつもりでしたがね
ガイアス大精霊の暴走を鎮めるための共同調査に関しては、可能な限りの協力を約束する
ガイアス調査にあたる者は、我が国を自由に往来して構わない。要請があれば、援助もいとわぬ
ガイアス我が国の協力体制については、ジェイド、お前が指揮を取れ
ガイアス調査に出る必要があれば、それも許可する
ジェイドやれやれ、やはりそうなりますか。かしこまりました
リタこれで戦争に関しては、ひとまず落ち着いたわね
エステルはい。両国が刃を交える事は、なくなるはずです。陛下を信じましょう
ルークったく、冷や冷やさせやがって。けど、これで次の行動に移れるって事だよな!
アスベルああ、そうだな
アスベル大精霊の暴走を鎮めつつ、第三者の正体を探る…やるべき事はまだまだ山積みだが──
アスベルこの二国が手を取り合った今、世界は一丸となって俺達に力を貸してくれるだろう
カノンノ私達も頑張らなきゃね…!
リッドまあ、何とかなるだろ
ミラでは、話はまとまった事だ、早速大精霊を捜すとしよう
リオンああ…そうだな

NameDialogue
scene1リチャードの想い
ルーク──上手い事話もまとまって、これで肩の荷が一つ降りたって感じだな!
リッドああ、そうだな。とにかく、これでもう魔導器や魔導兵器が使われる心配はなくなったってわけだ
リチャードみんな、本当にありがとう
リチャード無事ガイアス陛下の力添えを得る事が出来──
リチャード更には我が国とア・ジュールの関係修復においても、講和への足掛かりを得る事が出来た
リチャードみんなからの報告がなければ、この交渉は勿論、事態の把握すら出来ていなかっただろう
リチャード…下手をすれば、自らの手でこの世界を崩壊させていたかもしれない
エステルリチャード陛下…
リチャード改めて、礼を言わせてほしい。これも全て、みんなのお蔭だ。心から感謝する
アスベル何を言うんだ。それは俺達も同じだ
アスベルあのガイアス陛下を相手に、よく渡り合えたと思う。それは紛れもなくリチャード、お前のお蔭だ
リタまあ、そうね。国王同士の直談判だったからこそ上手くいったようなもんじゃない?
リッド難しく考える必要はねえよ。誠意ってのがあいつに伝わったんだろ
ミラ…リチャード。かつての行いから、私はお前に対しいい印象を持っていなかった
ミラだが、お前は変わろうとしている。ガイアスとの話でそれがよくわかった。認識を改めねばな
リチャード…ありがとう。勿論、僕に出来る事は何でもする。…だが、認識を改める必要はない
リチャードいくら償おうとも、僕の行いによって出来た人々の心の傷や苦しみ、恐怖を完全に取り除く事は出来ない
リチャード…だからこそ、過去の行いも含めて僕を見ていてほしいんだ
リチャード彼らの痛みや想いを受け止め、その上で僕は全力を尽くしたい、かつての平和な世界を取り戻すために
ミラリチャード…お前の想いはわかった。お前の変わっていく様を、私達がしっかり見届けよう
リチャードああ、ありがとう
エステルリタ、それにみなさん、本当にありがとうございました。わたしも出来る限りお手伝いします
アスベルありがとうございます、エステリーゼ様
カノンノ早速だけど…私達が次にやるべき事は、大精霊の暴走を鎮めるって事かな?
リオンああ。戦争の原因となった第三者の調査に関しては、スタン達が動いているはずだからな
ジェイドこれはどうも、皆さんお揃いで
リタ何、またあんた?ついさっき別れたばっかりじゃない
ジェイドリチャード陛下とエステリーゼ殿下を船までお見送りするよう、ガイアス陛下より仰せつかりましてね
カノンノ二人共、帰っちゃうの?
リチャードこの状況下で、いつまでも国を空けているわけにはいかないからね
エステルわたしは出来れば、このままリタ達と一緒に行きたいのですが…
アスベル駄目です
エステル…そうですよね…やっぱり…。わかりました。リチャード陛下と共にひとまず国に戻ります
エステルリタ、何かあればすぐにバロニアへ来てください。わたしに出来る事があれば、何でもしますから
リタわかったわ。ありがと、エステル
ジェイドでは、港に参りましょうか。あまり船員を待たせては気の毒ですしね
リッドじゃあ、オレ達も一緒に港まで見送りに行くか
リタそうね。行きましょ
scene2リチャードの想い
リチャードん…?
アスベルあれは…
アスベルフレンじゃないか!護衛兵を引き連れているようだが…
フレンやあ、アスベル。どうやら無事だったみたいだね。陛下と殿下の護衛、ご苦労様
フレン国王陛下、エステリーゼ殿下、お迎えにあがりました
エステルフレン、どうしてここに?
フレン陛下がご出発された後、ユーリと会い、話を聞きました
フレン護衛はアスベルのみと聞き、慌てて全力で後を追い、つい先ほど、港で船と合流しました
リチャードなるほど。世話をかけたね、フレン
ジェイドいやはや、今日は歴史的な日ですね。国王陛下と、ウィンドルが誇る高名な騎士お二方のご来駕を賜るとは
カノンノ高名な騎士って…?
リオン…騎士、というからにはフレンとアスベルの事だろうな
リッドなるほどな。お前らは前からジェイドに名前を知られてたってわけだ
ルークそんなにすげー事か?俺もキムラスカじゃ、知らない奴はいねーけどな
リタ何自慢してんのよ。それは別に当たり前でしょ
リタでも、戦争が続いてたらウィンドルの要人がカン・バルクを訪れるなんてあり得なかったわけだし
リタそう考えると、確かに結構すごい事かもしれないわね
リチャードアスベル、フレンも来てくれた事だ。見送りはここまでで大丈夫だよ
アスベルえ?でも…
リチャード時間がないのだろう?君達はすぐにでも次の行動に移った方がいい
アスベル…そうか。わかった。そうさせてもらう
フレン心配ないよ、アスベル。陛下と殿下は、僕がウィンドルまで安全にお連れすると約束する
エステルみなさん、どうか気を付けて。何かあれば必ず力になります
アスベルエステリーゼ様、ありがとうございます
リッドあんたらの協力は必要不可欠だ。何かあったらすぐに連絡する。その時はよろしく頼むぜ
リチャード勿論だ。ではアスベル、僕達は行く。吉報を待っているよ
アスベルああ、約束するよ。必ずやり遂げてみせる
フレンそれでは参りましょう
ジェイド私はこのまま陛下達と港まで行きます。皆さん、それではお元気で
リタ…さてと、エステル達も無事に行ったわね
ルークよし、じゃあ俺達も早いとこ動き出そうぜ。…で、どこへ行けばいいんだ?
リオンまずは所在のはっきりしているアスカの元へ戻るべきだろう
ミラああ、私も同感だ
アスベルそのアスカっていう大精霊は、テムザ山にいるという話だったよな
ミラそうだ
ルークちょっと待てよ、テムザって確かウィンドルの山じゃねーか!そういう話は早く言えっつーの!
ルークエステル達の船に乗ってテムザまで行けばよかっただろ!
リッドそうかもしれねえけど、お偉方の船に便乗ってワケにもいかねえだろ、普通
アスベルああ、そうだな。俺達は俺達の力で出来る事をするべきだ
リタ何でもいいけど、船がいるならさっさと探せば──
きゃああああ!
リタ何、今の!悲鳴!?
カノンノみんな、向こうから魔物が!
ガアアアアッ!
アスベルくっ、こいつ…!
scene1新たな気配
ルークよし、魔物は片付いたし、とっととアスカの元へ行こうぜ
リタとんだ邪魔が入ったわね急ぎましょ
ミラ…!これは…
アスベルミラ…?
リオンどうした。四大精霊が何か言っているのか?
ミラいや、そうではない。だが、ただならぬ気配を感じるのだ…
カノンノただならぬ気配…それってまさか、アスカの…?
ミラ…いや、この気配はテムザ山とは逆の方向…もっと近い場所から感じられる
リッドって事はアスカじゃなくて、別の大精霊の気配がするって事か?
ミラああ、おそらくそう考えて間違いはなさそう──
リッド…ん?何か騒がしいのがいるな
スパーダだから何度言ったらわかンだよ。ルカはここに残れって
ルカいくらスパーダでも一人じゃ危険だよ。僕も一緒に行く
スパーダ心配してくれるのは嬉しいけどよ──
ミラあれは…スパーダ?
リタルカ!?
スパーダお?ミラじゃねーか。久しぶりだな!それと一緒にいる顔にも見覚えが…
リタリタよ。その節は世話になったわね
スパーダへえ、まさかお前がミラの仲間だったとは思いもしなかったぜ。世間ってのは案外狭いモンだな
スパーダところでリタ、前に話してた魔導兵器はどうなった?
リタひとまず当座の危険はなくなったわ。だからって他にも問題が山積みなのは変わらないけど
ミラスパーダは、ここで何をしていたのだ?随分と騒がしかったようだが
ルカ実は…
スパーダここから西にあるニブル湖が凍ったってんで、ちと様子を見に行こうと思ったのさ
ルーク湖が凍った?すっげーな。寒い国だとそんな事になんのか
スパーダバカ言え、いくらア・ジュールが寒いからって、そうそう湖は凍らねェよ
アスベル…?どういう事だ?
ルカ…何だか不自然なんだ。湖は勿論、その辺り一帯まで氷漬けの状態になってしまったみたいで…
リオン氷漬け…だと?
ルカうん…。極寒のア・ジュールでもそんな異常寒波が起こった事は今まで一度だってない…
リオン
スパーダさらにその寒波が広まってやがって、近隣の村まで被害が及んでるって状況らしいぜ
スパーダ本当だとしたら放っては置けねェ。一度調査に行って、本当なら陛下に陳情しようと思ってたんだ
ミラまさか…
リッドア・ジュールの西といえば…確かメルディがいるリンネル村があるところか?
ルークああ、そうだそうだ。行った事があるから間違いねーぜ
アスベルリンネル村…
スパーダよく知ってるな。そのリンネル村も、下手すりゃ影響を受けてるかもしれねェ
リッド何だと!?それじゃあメルディ達が危ねえじゃねえか!
スパーダそうかもな。どうなってるかわからねェから、まずニブル湖に調査に行こうと思ってんだ
ミラそういう事か。…なら、スパーダ。私達をその湖へ案内してくれないか?
リタ大精霊の事はどうするわけ?そりゃ氷漬けの話も気にはなるけど、こっちだってあまり時間が──
ミラだから行くのだ
リオン…まさか、その湖の氷漬けも大精霊によるものだというのか?
ミラ私が強い気配を感じたのもここから西の方角だ。…湖の氷が大精霊の影響である可能性は高い
リオン
カノンノ…ねえ、みんな。行こう、その湖に。今にも被害が及びそうな村があるのに放ってなんかおけないよ
アスベルああ、俺もそれがいいと思う。その氷が大精霊の力の影響だとしたら遅かれ早かれ、いずれは行く事になる
アスベルだったら今は、アスカよりも、村の安全がかかっているこちらを優先させるべきだ
リッドオレも同感だ。さくっと片付けちまえば、リンネル村に影響が出る前に何とか出来るかもしれねえ
リタわかった。聞いての通りよ、スパーダ。あたし達も一緒に行くから
スパーダお前達が同行する事は構わねェが…何がどうなってんだ?大精霊がどうとか…話が見えねえ
ミラ事情は道々説明する。今は時間がない
スパーダ…わかったよ。まあミラ達なら、信用出来るしな
スパーダルカ、そういうわけで、オレはこいつらと行く。それなら問題ないだろ?
ルカう、うん。わかったよ…これだけ人数がいれば、安心…かな
ルカみなさん、どうかスパーダの事を、よろしくお願いします
スパーダそんじゃ、早速出発すっか
ルーク湖を氷漬けにしちまう大精霊か…。一体どんな奴なんだろーな
リオン
scene2新たな気配
ミラ…そういう事情で、暴走した大精霊を鎮めるために行動しているのだ
スパーダまさか、オレの知らないとこでそんな事態になってたとはな…
スパーダ…決めた、オレも協力するぜ。大精霊の暴走と世界の危機…決して他人事じゃねェからな
ミラお前ならきっと、そう言ってくれると思っていた。よろしく頼むぞ、スパーダ
カノンノふう…
アスベル大丈夫か、カノンノ。カン・バルクから歩き通しで、疲れたんじゃないか?
カノンノううん、平気だよ
アスベル無理はするなよ。いざとなったらお前をおぶってやる事だって──
リタおぶるって…アスベル、あんたねえ、いくら何でも心配性すぎない?
リッド確かにリタの言う通りだな。子どもじゃねえんだし、一人で歩けるだろ。な、カノンノ?
カノンノありがとう、アスベル。本当に辛かったら言うから、大丈夫だよ
カノンノそれよりも…私、本当についてきてよかったのかな。足手まといになってないかな
アスベルそんな事はないさ。カノンノはよくやってる
リッドああ、そんな心配すんなよ
カノンノでも私、みんなみたいに、強くないし…
ミラ戦うだけが強さではない。強さの形は、人それぞれで誰にでもあるものだ
ルークお、いい事言うじゃねーか。だいたいお前にはリプリカームって力があるんだし、それで充分だろ
カノンノうん…。ありがとう、みんな
リッドそれにしても、カノンノのネックレスに、まさかあんな特殊な力があったなんてな
アスベル…そうだな。俺も驚いたよ
アスベル変わった形のネックレスだし失った記憶の手がかりになればいいと思っていたが
アスベルまさか世界の危機を救うために必要となるものだなんて…
アスベルその時は、想像すらしなかったよ
カノンノアスベル…
カノンノ私も驚いてるよ。でも、それと同時に嬉しいとも思ってる
カノンノ私は今もまだ、自分がどこの誰なのかわかってない。正直に言うと、少し不安だったの
カノンノ…でも、このネックレスが、世界を救う力を持っているって知ってすごく嬉しかった
カノンノ何だか、得体のしれない自分が世界に認めてもらえたって気がして…
カノンノ…なんてね!なかなか記憶が戻らないから少し不安になってただけ…!単純に嬉しいよって話だよ!
アスベルカノンノ…
カノンノとにかく…!無事、このリプリカームで大精霊の暴走を鎮められるといいね
ミラ…ああ、頼むぞカノンノ
リオンおい、お前達…
ルークん?どうかしたのかリオン──
リオン…無駄話はそこまでにしてさっさと歩け
ルークんだよ、相変わらず愛想悪ぃ奴だな
スパーダ随分ピリピリしてんな、あいつ
ミラ無理もないだろう。今回の件はリオンにとっても無関係ではないからな
リッド無関係じゃない…?何があったんだ?リオ──
カサ…
リタ…?今、そこの雪の塊、動かなかった?
グオオオオッ!
リッド雪じゃねえ、魔物だ!
ルークったく、紛らわしいんだっつーの!
scene1逸る気持ち
ミラむ?あれは集落か…?
スパーダリンネル村だ。ニブル湖は、この先をもう少し西へ進んだところにある
リッドあれがメルディの村か。あいつ、無事だといいんだけどな…
ルークへえ、前の戦争で焼かれた建物が、だいぶ建て直されてるみてーだな
リッドそんなに復興してんのか。メルディの奴、頑張ってるんだな
アスベル
リタ今のところ、氷結で大きな被害は出てなさそうだけど…ここから例の湖まではどのくらいあるの?
スパーダそんなに遠くはねえよ。今被害が出ていなくても、楽観は出来ねェ距離だと思うぜ
ルークったく、とことんついてねー村だな。次から次へと厄介事に巻き込まれてよ
リッド…前にメルディから聞いたよ。村の連中は、何も悪い事なんてしてないのにな
アスベル
カノンノアスベル、どうかしたの?何だか悲しそうな顔してる
アスベル…いや、何でもない。ちょっといろいろと思い出しただけさ
リタミラ、例の気配はどうなの?
ミラ…ああ、ここへ来て大精霊の気配はより高まっている
ミラここからもう少し西…その辺りに大精霊がいるはずだ
リオン西…やはり、湖か
ミラおそらくな
カノンノじゃあ、ニブル湖へ急いだ方がよさそうだね
ルークあーあ。せめて村に寄って腹ごしらえくらいしたかったぜ
カサ…
アスベル気持ちはわかるが仕方ないさ。あとで寄れるなら寄って、その時に──
アスベル…ん?
カノンノあ、ウサギ…
トトト…
リッドお、よかったなルーク。どうやら飯にありつけそうだぞ
リタ飯って…リッド、あんたまさかあのウサギを獲るつもり?
ルークマジかよ。そんな事出来るのか?
リッドオレは猟師だぜ。まあ見てろって
メルディダメーーーー!!!
リッドうおっ!?な、何だ?
ルークメルディ!?
メルディリッド、あのウサギ、ごはんと違うよぅ!あれは村の女の子が友達!
リッドペットって事か?
メルディはいな。だから食べるのダメ。触るはいいよ。でも、優しくしてな?
メルディ…って、あれ?ウサギ、もういないな
リオンお前の声に驚いて、とっくに逃げたぞ
メルディバイバ!大変!すぐに追いかけないと!メルディ、ウサギが事サガしてたよ!
メルディこの辺りは魔物もオオカミもたくさんいるよ。放っておいたら、ウサギ、食べられちゃうよぅ!
メルディお願いよ!ウサギが事、捕まえて欲しいよぅ!ウサギ、みんなが友達!
リッドウサギが友達って言ってもなぁ…
リオンおい、こんな事に無駄な時間を使うつもりか?僕達にはやる事があるはずだ
メルディヒドいよぅ!みんなは、友達が怖がっててもヘーキか?
カノンノ…ねえ、みんな。メルディのお願い、聞いてあげない?
リタそりゃ、気持ちはわからないでもないけど…
アスベル…よし、メルディ。やってみよう。友達は放っておけないもんな
メルディバイバ!本当か!?ありがとな!メルディも頑張るよぅ!
リッド…やれやれ。これじゃあ捕まえようとしたオレだけが悪者みたいじゃねえか
リッドわかったよメルディ、オレもやる
スパーダウサギはあっちに行った。やるなら早くやっちまおうぜ
ミラああ。皆、急ぐぞ!
scene2逸る気持ち
カノンノいた!あのウサギじゃない?メルディ
メルディそう、あのウサギ!よかった、魔物に食べられてないよー!
アスベル見つけたはいいが、どうやって捕獲したらいいんだ?傷付けるわけにもいかないし…
リッドそこで猟師の出番ってわけだ。アスベル、カノンノ。何かロープになりそうなものはねえか?
カノンノえっと…あ、植物のつるならここにあるよ
リッド上等だ。アスベル!そいつが逃げねえように、オレの反対側に回ってくれ!
アスベルわかった!
リッドこれを輪っかにして──よっと!
ヒュンッ!
キュッ!
カノンノわあ!足に絡まった!
リッド無傷で捕獲完了、ってわけだ
アスベルへえ、上手いもんだなあ
リッドメルディ、ウサギは任せた。今度は逃がすなよ
メルディはいな!
メルディやったー!捕まえたよー!
アスベルよかったな
リッドああ、そうだな。もう少しで食われちまうところだったからな
リッド…ルークに
ルークおい!飯だっつったのはリッド、お前じゃねーか!俺は悪くねえ!
???メルディー!
メルディあ、レイア!
レイアウサちゃん捕まった?…って、リッドにルーク!それに、ミラも…!
ミラ久しぶりだな、レイア
メルディリッドがお蔭で、無事にウサギを捕まえられたよー
レイアありがとう、リッド。でも、どうしてここに?
ルークこの近くのニブル湖が氷漬けになったってんでちょっと様子見に来たんだよ
レイアあの氷の事ね…。本当にどうしてこんな事になっちゃったんだろ…
メルディリンネル村がオトナ達、みんな集まって、これからどうするか相談してるよ
レイア…湖のすぐ傍にあった小さな村が氷に覆われてしまったみたいなの
レイアこの様子だと、リンネル村がああなってしまうのも時間の問題だろうって…
レイアそれに、聞いた話だと逃げ遅れた人達の何人かが、氷漬けになっちゃったっていうし…
ミラ村も、人々も氷漬けに…
リオン…くっ
アスベルおいリオン、待ってくれ。どこへ行くんだ?
リオン…ニブル湖に決まっているだろう
リタちょっと待ちなさいよ。もう少し二人の話を聞いた方がいいわよ。情報は多いに越した事ないんだから!
リオン勝手にしろ、僕は先に行く
リタさっきから何なの、あいつ!
ミラ
ミラ…この際だ、リオンについて少し話しておく
スパーダまさかシルヴァラントにも氷漬けになった街があるなんてな…
アスベルルイニス街の話はクラトスさんから聞いていたが、そこまでひどい状況だったとは…
カノンノ…リオンさんはきっと、自分の街と、今回の出来事を重ねてしまったんだね
ルークったく…それならそうと、早く言えっつーの
ミラ私も実際にルイニス街をこの目で見たが、悲惨な状況だった。リオンが焦る気持ちもわからなくはない…
リタだったら早いとこリオンを追った方がよくない?あの調子じゃあいつ、一人で大精霊に挑みかねないわよ
リッド確かにな。じゃあ、早速──
レイア待って、ミラ!
レイア大精霊とか、あまりよくわかってないけど、わたし達も手伝うよ
レイア…村を守りたいの。だから、出来る事は協力させて
ミラレイア…。なら、お前達は村へ戻って万が一の事態に備えてほしい
ミラ状況によっては、村を出て避難する必要が出て来るかもしれない
メルディせっかく村の修理、みんなで頑張ったのにまたなくなってしまうか?
リッド大丈夫だ。そんな事にならないように、みんなで何とかする
ルーク大精霊を大人しくさせたらまた来るから、そん時はうまい飯食わせろよ
メルディ…わかった、たくさん用意して待ってるよぅ
レイアリンネル村の事は任せて。みんな、気を付けてね
アスベルああ、ありがとう。よし、じゃあ行こうか
カノンノうん!
リオン
ミラリオン!
ルークやっと追い付いたぜ…、つか、早すぎんだよ、お前。面倒かけやがって
リッドホントだぜ。焦んのもわかんなくねえけど、ちょっとは待ってろって
アスベルリオン、ミラから事情は聞いた。お前の気持ちはわかるけど、一人で行くのは危険だ
ミラ私もイフリートと戦った時、今のお前と同じように一人で抱え込んで焦っていた。だからこそ言う──
ミラ一人で全てを背負い込むな、もっと私達の事を頼ってほしい
ミラお前の傍には、同じ目的を持って行動する私達がいる。それを忘れないでくれ
リオン
リオン…わかった
リタとにかく、これで全員揃ってニブル湖へ行けるわね
スパーダよし、じゃあ先へ進もうぜ。こうしている間にもドンドン時間は過ぎてくからな
リッド…っと、悠長に話してるヒマもなさそうだぜ。魔物のおでましだ
グオオオオッ!
scene1ニブル湖の異変
ルーク…はーくしょん!うう…さみぃ
リタバカっぽい。そんな腹出しの格好なんかしてるからよ
ルークなっ…バカとは何だ!べ、別に腹は寒くねーし!
リタそんな真っ赤なお腹して…どの口が言うんだか
ルーク…!
リッド腹出しっぱなしにしてりゃ意外と慣れるモンだぜ
リッドで、今はどの辺だ?そろそろ例の湖に着くのか?
アスベル近付いてはいると思う。リンネル村の辺りと比べると徐々に冷え込みが増してきているし
スパーダああ、この丘を登ればもう湖畔が見えるはずだぜ…ほら、見えてきたろ…って…
リオンむ…?
カノンノまさか、あれが…?
ミラ…!
リタ湖って…見えるのはでっかい氷の山ばかりじゃない
リッドどうりで寒いと思ったぜ。あんな巨大な氷の塊が、すぐ近くにあるんじゃな
ルークで、湖は一体どこなんだよ?
スパーダ…あそこだ
ルークあ?だから、氷の山しかねーじゃん。俺が聞いてんのは、湖で──
スパーダだから、その氷山のとこだって。元は、あそこが湖!地図で見ても間違いはねェ
アスベル…まさか、湖の水が凍って氷山になったとでも言うのか?そんな事が本当にあり得るのか?
スパーダ湖が凍る事自体めったにねェ話なんだ。ましてや氷山なんて…普通じゃあり得ねェよ!
カノンノつまりこれは普通じゃなくって、大精霊の力…
リオンおいミラ、大精霊の気配は?
ミラ…間違いない、あの氷山の中だ。強い力を感じる。氷を砕き、今にも飛び出してきそうなほどの強い力だ…
ミラ力の主は、セルシウス。氷を司る大精霊…そう考えて間違いないだろう
リッドなっ…氷を司る大精霊だって!?そんな奴がいんのか?
ミラああ、この氷山を見て確信した。これほどまでに強大な氷の力を使える大精霊は彼女しかいない
ミラまさか、セルシウスほどの大精霊まで暴走に飲み込まれていたとは…
リオン
スパーダそのセルシウスって奴は強いのか?
ミラ精霊の中でもかなり強力な力を持つ大精霊だ。苦戦を強いられる事になるだろう…
ミラ覚悟してかからねば、返り討ちに遭う。確実にな…
リッドそれでも、やるしかねえんだろ?
ミラああ、その通りだ
リオン…セルシウスの暴走を鎮めなければ…。…何としてでも
リタやらないと、あたし達の世界が破滅してしまうんだし。贅沢言ってる余裕なんてないわ
アスベルそうだな。相手が強力な大精霊でも、力を合わせればきっと何とかなる、そう信じて進むしかない
カノンノ私も、出来る限りの事はするよ
ミラ…覚悟は揺らいでないな。安心したよ
ルーク今更怖気づくかっつーの!風邪ひく前に、とっととあの氷山を調べに行こうぜ
scene2ニブル湖の異変
ルークセルシウスは氷山の中にいるんだよな?って事は入口を探さねーと…
カノンノ私もそう思ってさっきから探してるんだけど…それらしいものは──
カノンノ…!
アスベルカノンノ、どうした?何か見つけ…
アスベル…!これは…!
リオンどうかしたのか?
アスベルリオンは来るな!
リオン何…?
リタアスベル、あんた何を言って──
リタ…あ
ミラこれは…
リオン…!
ルークな、何だこりゃ!?人間が、こ、氷漬けに…マジかよ…
リッドリオンに来るなって言ったのは…これがあったからか…
スパーダひでえな…。話には聞いてても、実際に見ると…
リタ…ルイニス街の人達もこんな風になってしまったの?
リオン…ああ
アスベルとにかく、一刻も早くセルシウスの元へ急ごう。暴走を鎮められたらこの人達を救えるかもしれない…!
ヒュオオオオオ!
カノンノきゃあっ!?
リタちょっと、いきなり吹雪!?
ルーク…っぷ!目を開けてられねーぞ!
アスベルみんな、大丈夫か!?
ビシッ!
リオン何の音だ?
ビシッ!ビシビシビシッ!
スパーダまずいぜ!周辺の氷が割れ始めてる!
リッドおいおい、冗談じゃねえぞ。氷の下は湖だろ?落ちたら死んじまうじゃねえか!
アスベルこのままでは危険だ。足場のしっかりしたところまで一旦退避しよう!
リタでもこの吹雪じゃ、どっちへ進めばいいのか…
ゴゴゴ…
ズゴゴゴゴゴ!
ルークじ、地震まで始まりやがった!マジでこのままじゃヤバいっつーの!
アスベルまずい、足場の氷にヒビが…!
リッドおいみんな、向こうに洞窟の入口がある。ひとまずあそこに避難するぞ!
スパーダえ、洞窟?それはそれで危ねェんじゃ…
リッド足場が割れるよりはマシだろ。急げ!
ミラリッドに続け!遅れるな!
ズガガガガガッ!ガラガラガラッ!
ルークうわっ!?今度は氷山まで崩れて来やがった!
リオンくっ…!
アスベルカノンノ、どこだ?カノンノーーッ!
scene1それぞれの動向
ルークアスベル、おい!しっかりしろ!
アスベルう、うう…
アスベルあ…ルーク…
ルークったく、焦らすなっつーの。なかなか起きねーから死んじまったのかと思ったじゃねーか
リタリオンとスパーダを見つけてきたわよ。二人とも怪我はない?
スパーダああ、何とかな…
リオン吹雪と地震は収まったのか…?
リタみたいね。あくまで今のところは、だけど
アスベルカノンノは?あと、ミラとリッドも
ルークそれが…さっきから捜してるんだが、三人共見つからねーんだ
アスベル何だって…!
スパーダそういや、洞窟の入口がどうこうって誰かが叫んでたな。あれ、リッドの声だったような…
アスベル洞窟に逃げ込んだって事か?でもそんな洞窟、どこに…
リタみんなを捜すついでに一応見たんだけど、それらしいものはなかったわ
ルークさっきの氷山の崩落でこの辺りの様子も様変わりしちまったしな…
リタ崩れた氷の下に閉じ込められたりしてなきゃいいけど…
アスベルそんな…!
アスベルとにかく、みんなを捜そう!
リッド…?ここは…洞窟の中か?
リッドいてて…さっきのすさまじい吹雪と地震は一体何だった……ん?あれは…
リッドおいミラ、カノンノ、しっかりしろ!
カノンノん…、リッド…?あれ…ここは…?
ミラ…洞窟の中か、何とか避難出来たようだな。他の者達は?
リッドこの辺りには見当たらない。ひょっとしたら他の奴らは洞窟の外にいるのかもしれねえな
カノンノそんな…
リッドとにかく一度外に出て、他の奴らを捜そう。入口は…
ミラあそこのようだが…
カノンノ氷が崩れて完全に塞がってしまってる…
リッドこの状態じゃ出ようにも出られねえな。外から入ってくるのも難しそうだ
ミラならば、イフリートの力を使うか。大精霊の力による氷だ、イフリートの炎なら溶かす事が出来るはずだ
リッドいや、やめた方がいい。ここは洞窟だ。ヘンに崩して落盤でもすりゃ、それこそ大惨事だ
ミラ確かにそうだな。…それはそうと、リッド、身体は動くか?
リッドああ、大きなケガもねぇし、いつも通り戦えるぜ。急にどうした?
ミラ…幸か不幸か、この洞窟はセルシウスの居場所に繋がっている。気配がぐっと近く感じられるのだ
ミラ洞窟の奥から冷気も吹き寄せている。まず間違いあるまい
カノンノそんな…。奥へ進めば出口があって出られるかもしれないのに…
ミラ覚悟を決めるしかないだろう。ここにずっと留まっているわけにもいかないからな
リッドこのまま三人でセルシウスの元へ行く…そういう事だな
カノンノ三人で…?
ミラああ。おそらく先ほどの吹雪も、この氷山も、全てはセルシウスの力によるものだ
ミラここから出るにも、セルシウスの暴走を鎮める他ない
カノンノ私達だけでセルシウスと渡り合うなんて…本当に出来るのかな…?
リッド確かに戦力としては半分以下だけど…まあ、何とかなんだろ
カノンノ
ミラああ、いずれにせよ、ここで立ち止まっても仕方あるまい
リッドそうだな。んじゃ、さっさとセルシウスのところへ行くとしようぜ
カノンノ
scene2それぞれの動向
リオン洞窟への入口は見つかったか?
リタ駄目ね。こっちは見当たらないわ
アスベルくそ、一体どこにあるんだ?こんなに探しても見つからないなんて…
スパーダおい…!もしかして、ここじゃないか?
アスベル…!
ルークここが…って、完全に崩れて塞がってんじゃねーか。どうりで気付かなかったわけだぜ
リオン…外でこの様子だ、中の方も何かしらの影響が出ているだろう
スパーダおいおい、あいつら本当に無事なのかよ…
アスベルとにかく、急いで入口を塞いでいる氷を取り除こう
リタあたしに任せなさい。術でぶっとばすわ!
リタファイアボール!
ズバッ!
シュン…ッ
ルークなっ、…あれだけの炎をぶつけられたのにびくともしてねーぞ
リタ…!もう1回いくわよ!
ズバッ!
シュン…ッ!
アスベル駄目だ…
リオン
カノンノふう…
リッド妙な気分だな。だいぶ歩いたような気がするが、辺りの風景が変わらねえ…本当に進んでんのか?
カノンノ確かに、ずっと氷に囲まれてて、同じところをぐるぐる歩いているみたいだね
ミラ安心しろ、セルシウスの気配は徐々に強まっている。私達が進んでいる事は確かだ
リッドそれを聞いて安心したぜ。…にしてもすげーな、この氷。ここが湖だったなんて信じられねえぜ
カノンノうん…大精霊の力ってすごいんだね。氷山の中に入って、改めてそう感じるよ
カノンノねえ、ミラさん…出来るかな、私達…セルシウスを鎮められる?
カノンノだって、こんなすごい力を持っているんでしょ
ミラ上手くいく保証はどこにもない。だが、皆と合流出来ない以上、私達だけでやるしかない
カノンノ
カノンノうん…それはわかってる…けど…
リッド不安なのか?
カノンノ…うん
リッド…カノンノ、お前も見ただろ?あの氷漬けになっちまった奴らを
リッド今ここでオレ達がやらなきゃあっという間に広まってあちこちで同じ事が起きちまう
カノンノそれは駄目…!何としても食い止めなきゃ…
リッドだろ?だったら、厳しかろうが何だろうが、オレ達三人でセルシウスの暴走を鎮めるしかねえ
カノンノ
リッドまあ、そんな心配すんな。人間腹をくくりゃあ大体何とかなるってもんだ
リッド少なくともオレはこれまで、それでやって来られたからな。だから、お前も大丈夫だろ。多分な
カノンノ腹をくくる…
カノンノ…うん、そうだね。そうだよね
カノンノ不安ばかり言ってても仕方ないよね。何としてでも私達はやり遂げなきゃならないんだもん
リッドああ、その意気だ
カノンノうん!…ありがとう、リッドさん
ミラリッド…
カノンノ…よーし、元気出てきた!二人共、心配かけてごめんね。もう大丈夫だから
ミラわかった。では改めて、先へ進もう──……と、言いたいところだが…
グルルル…
ミラその前に、片付けなければならない相手がいるようだ
ガアアアアッ!
リッドったく。これ以上面倒事を増やすなって!
scene1大精霊セルシウス
リタファイアボール!
ズバッ!
シュン…ッ
スパーダこんだけの炎をぶつけて、やっと、チュンチュンの涙ほどしか溶けねえなんて…
ルークくそっ、火が駄目ならと思って斬りつけてみたけど、それも駄目みてーだ
ルーク全力で叩き斬ろうとしてもびくともしねーし、下手すりゃ剣の方が折れちまいそうだ
リオン
アスベルくっ…!こうなったら、全員で一斉に技を──
リオン…無駄だ、やめておけ
ルークリオン…?
リオンこの氷は、ルイニス街のものとは違いわずかではあるが溶けはするようだな
リオンだが、こんな氷山に囲まれた中では何をしたところで無意味だ
アスベルそんな…じゃあ、一体どうすれば…
カノンノそういえば…アスベル達、大丈夫だったかな?
リッドあいつらなら心配ねえだろ。まあ、今頃オレ達がどうなったかとやきもきはしてるだろうがな
ミラ…!
カノンノミラさん?どうかしたの?
ミラ…セルシウスだ、近いぞ。気配が強まって──
カノンノあ…ネックレスが…
リッド光り出したな…これは、セルシウスの気配に反応してるって事だよな?
ミラああ、間違いない
ミラしつこいようだが改めて言っておく。これから私達がまみえるセルシウスはとにかく強力な大精霊だ
ミラ暴走に陥り、理性を失っている状態となれば危険性はさらに高い
リッドああ、わかってる
ミラ…さらにはこの人数だ。私達の連携が上手くいくかどうかが勝敗の分かれ目となるだろう
ミラ協力し合い、しっかりと連携を取れれば勝機はある。だが、逆に乱れるようであれば…
リッド…死ぬ、って事だろ
カノンノ私、頑張るよ。絶対、二人の足手まといにはならないようにするから
リッドよし、何が何でもセルシウスの奴を正気に戻してやろうぜ
カノンノうん…!
ミラよし、では先へ進もう。ここからは、いつセルシウスが姿を現してもおかしくない。慎重にな
scene2大精霊セルシウス
アスベルこの冷気の中では、炎の威力も弱まって氷を溶かす事は出来ない…。一体どうすれば…
リオン
スパーダ思うんだけどよ…
スパーダ今頃三人で、大精霊のところに向かってるんじゃねーか?オレがあいつらの立場ならそうするぜ
アスベルそんな…
ルーク三人が無事で、出口がなくて、奥に進むしかないってんならそうかもな
リタ…普通の手段で溶かせないこの氷を何とかするためには、根本の原因を排除する必要があるのは確かだけど…
アスベルだが、相手は大精霊だぞ?彼らの脅威はミラから聞いている。たった三人で挑むなんて無茶だ!
リオン…だが、他に選択肢がないならば例え無茶でもやるしかないだろう
スパーダま、ミラがいるから大丈夫だろ。あいつとは前に一緒に戦った事があるから、実力はよく知ってる
ルークそれを言うなら、リッドもそれなりに腕は立つはずだぜ。まあ、俺にはかなわねーけどな
リタ…アスベル、カノンノの事が心配なのはわかるけど、今はこれ以上どうしようもないわ
リタ大精霊の事を一番よく知ってるミラが一緒なら、多分、そんな軽はずみな真似はしないと思う
アスベル
アスベル心配なのはカノンノだけじゃない。あの二人は強いし、信頼もしているがやっぱり無茶だ…
アスベル合流する手立てを諦めては駄目だここでじっとしていても何も前には進まない…
アスベル洞窟の入口がわかりにくかった例もあるし…もう一度探してくる!
スパーダ心配で、いてもたってもいられねーか。まあ、それもそうだな
リタあたし達も他に入口がないか探してみましょ。要は合流出来ればいいんだから
ルークま、ここで寒い中、何もしねーでじっとしてたって仕方ねーしな。やろうぜ、リオン
リオン僕に指図するな。お前に言われなくともそうしている
ミラ…!…近いぞ
カノンノネックレスの光も、ますます強くなったみたい
リッドいよいよお出ましってわけか
ヒュウウ…
カノンノ…!冷たい風が…
リッドこの冷気…何だか妙な感覚だぜ。ゾクゾクするっていうか…
ミラセルシウスも私達の存在に気付いているようだな
リッド威嚇してるってわけか
ミラそんなところだろう。暴走して正気を失っているとはいえ本能で察知するのは可能な──
ビュンッ!
カノンノ…!
ミラカノンノ、危ない!
ズバァァァッ!!
ミラうっ…!
カノンノミラさん!?
リッド何だ、この氷の槍みてえなのは!?冗談じゃねえぜ!おい、ミラ大丈夫なのか!?
ミラ大丈夫だ…これくらいの傷、何ともない…
カノンノ嘘だよ。こんな深い傷…何ともないわけないじゃない!立ってる事さえ辛いんじゃ…
ミラ…何ともない、大丈夫だ。心配するな…
カノンノでも…!
リッドおい、向こうを見ろ!
カノンノあれは…
???
リッドあいつがまさか、セルシウスか…?
ミラああ、そうだ
カノンノだとしたら、この氷の槍も…
セルシウスウウウ…
リッド…随分と怒ってるみてえだな。どっからどう見てもマトモに話は出来なさそうだ
ミラ暴走に飲み込まれているからな。…力ずくで大人しくさせるしか方法はあるまい
セルシウスガアアアアッ!
ビュンッ!
ミラまたさっきの攻撃か…!カノンノ、避けろ!
カノンノ…!駄目、間に合わな──
バシッ!
リッドふう…間一髪だな。カノンノ、大丈夫か?
カノンノう、うん…ありがとう。もう駄目かと思った…
ミラ何とか間に合ったか…。リッド、礼を言うぞ
リッド「連携」だろ?気にすんな。そんな事より…
リッドおい、セルシウス!目を覚ましやがれ!
セルシウスウウウウウ…!
リッド呼びかけても無駄、か。だろうなあ。やっぱりミラが言うように、力ずくで大人しくさせるしかねえみてえだ
チャキ…
リッド行くぞ、セルシウス。…これもお前のためだ、悪く思うなよ
ミラ待っていろ、今暴走から解放してやる…
セルシウスガアアアアッ!!
カノンノ来るよ!二人共気を付けて!
scene3大精霊セルシウス
カノンノ本当に倒せた、の…?私達、本当に…
カノンノ信じられない…
リッドああ、…結構手間取ったけど何とかなったみてえだな
カノンノや、やった…!
ミラリッド、負傷しているようだが…大丈夫か?
リッドこの程度ならどうって事ねえよ
ミラそうか…ならよかった。お前が前に出て戦ってくれたお蔭だ。助かったよ
リッドお前こそ、深手を負っているとは思えないくらいの動きだ。大したもんだぜ
リッドそれにカノンノ、お前も。よく頑張ってくれたな
カノンノ私なんてまだまだ…セルシウスを倒せたのは本当に二人のお蔭──
ミラう…
ドサッ!
カノンノミラさん!?
リッドおいおい、大丈夫かよ…ってこいつはヤバイな。すぐに手当しねえと…
ミラ…大丈夫だ。このくらいの傷、何とも…
カノンノお願い、動かないで…!押さえても血が噴き出しちゃう…!
ミラカノンノ、私の事は後回しでいい、それより早くセルシウスの元へ…。リプリカームを与えるのだ
ミラ枯渇状態にあるセルシウスのマナを補えば、暴走は鎮まり正気を取り戻すだろう
ミラ…私達もこの状況だ、この機を逃せば、再びセルシウスを抑止する事は難しい…
カノンノでも…
リッドカノンノ、頼む。ミラはオレが見てる。だから今の内にやってくれ
カノンノわかった。じゃあ…
セルシウスグ…グァ…
カノンノ…!
ミラリッド!まずい…セルシウスが…!
セルシウスグオオオオオオオッ!
リッドちっ…させるかよ!
ビュンッ!
カノンノ…!?狙いは私じゃない…?まさか…
カノンノリッドさん、危ない!!氷の槍が…!
リッド何っ…!?
ズバッ!
カノンノ…っ!
ミラ…っ!
リッドぐ…
カノンノ…!ウソ…!リッドさん…!氷が…胸に…刺さってる…!?
カノンノそんな…
ビュンッ!ビュンッ!
ミラカノンノ、危ない!離れろ!
リッド悪ぃ…カノンノ…逃げ…てくれ…
ドサッ!
ミラリッド…!
カノンノそんな…嘘でしょ…?ねえ、リッドさん…リッド…
カノンノリッドーーッ!!
scene1同じ想いを胸に
カノンノリッドさん…!もう少し頑張って、今そっちに──
ミラカノンノ、やめるんだ!気持ちはわかるが、今動くとセルシウスの標的になるぞ!
カノンノでも…リッドさんは…胸を押さえて…倒れてるのに…!早く手当て…手当てをしないと…
カノンノ…死んじゃうよ…!
ミラ今は自分の事を考えるんだ!…リッドだってお前が傷付く事を望んではいない
カノンノでも…
セルシウスウウウ…
ミラセルシウス…
ミラリッドすまない…私の判断が間違っていた…
ミラアスベル達を信じて待つ事も出来たのだ…それを……
セルシウスウウウウ…!
ミラカノンノ、私が隙を作る。その間に逃げろ
カノンノえ?
ミラ私達には世界を救うために、大精霊の暴走を鎮めるという使命がある
ミラこの使命を遂行する意志を持っていたのはリッドも同じ…
ミラリッドのためにも、ここでお前まで失うわけにはいかない
カノンノミラさん…
カノンノ私もやる…例え二人でも、絶対にセルシウスの暴走を鎮めよう
ミラカノンノ…いいのだな?
カノンノ…うん!
ミラ…わかった。ありがとう、カノンノ。私の背中はお前に任せたぞ
ミラセルシウス!お前の暴走は必ず私達が鎮めてみせる!
セルシウスシャアアッ!
scene2同じ想いを胸に
カノンノはあ…はあ…セルシウス、いい加減目を覚まして!
セルシウスシャアアッ!
ミラセルシウスが元の勢いを取り戻している…
ミラそれにここは…。どうやら私達は戦いながらより動きやすい広い場所へ誘導されていたようだな
ビュンッ!
カノンノ…!
ミラくっ…!危ない、カノンノ!
ドン!
ザシュ!
ミラうぐっ…!
カノンノミラさん…!
ミラ私の事は気にするな…それより、怪我はないか…?
カノンノミラさんが庇ってくれたから私は大丈夫だけど、でも…
セルシウスウウウ…!
ビュンッ!
カノンノっと…!危ない、もう少しで…
ミラぐっ…!
カノンノミラさん、大丈夫!?
ミラ無論だ…と言いたいところだが、さすがにこうも攻撃が続くといささか厳しい…
ミラこちらに攻撃を仕掛ける隙すら与えてくれそうにないからな
セルシウスガアアッ!
ビュンッ!
シャアアッ!
ビュンッ!
ミラまずい…このままでは──
セルシウスガアアアアッ!
ビュンッ!
ザシュ!
カノンノうっ…!
ミラカノンノ!
セルシウスウオオオッ!
カノンノ…!
バシィッ!
カノンノ
カノンノ…?
ミラセルシウスの動きが止まった…?これは一体…
セルシウスウ…
リッド…もう終わりにしようぜ、セルシウス
カノンノ…!その声は…まさか…
リッドああ、オレだ
ミラリッド!まさか、生きていたのか…
リッド当たり前だろ。勝手に殺すなよ
カノンノでも、胸に氷が刺さったのに…!
リッド胸?オレが食らったのは肩だよ。運がいい事に左肩、ときたもんだ。左腕はヤバそうだが、剣は振れそうだ
リッドあの氷のせいで肩は痛えし、本当はあのまま昼寝してたかったけど寒くて寝てなんかいられねえよ
リッド昼寝の続きは、こいつをどうにかしてから、だな。…さ、やろうぜ
カノンノ昼寝って…もう…リッドさん…!
ミラふっ、お前という奴は…
リッドおい、ミラ、カノンノ。お前らもケガ、ひでえじゃねえか
カノンノ大丈夫だよ、このくらい!
ミラああ、私も問題ない
リッドそうは思えねえがな…まあ…やるしかねえよな
リッドよし、これ以上体力を消耗する前に連携して一気に攻撃を畳みかける。いいな?
カノンノうん!
ミラああ
リッドそれじゃ、もうひと踏ん張りといくか
リッド覚悟しろよ、セルシウス!今度こそケリをつけてやる
セルシウスウウウ…!
scene3同じ想いを胸に
リッドこれで…どうだ!
ズバーンッ!!
セルシウスウ…
ドサッ
カノンノ今度こそ終わった…?
ミラああ…大丈夫だろう
セルシウス
リッドよし…今の内だ。カノンノ、リプリカームを
カノンノうん
ミラまた突然暴れ出すかもしれん。警戒を怠るな
カノンノ大丈夫、わかってるよ
カノンノネックレスが光り出した…
リッドうっ…このまぶしい光は…っておいおい、光がセルシウスの身体に流れ込んで…
ミラセルシウスの枯渇したマナがどんどん回復している…。四大の時と同じだ
リッドじゃあ、これでセルシウスの暴走は鎮まるってわけだな
ミラ実際にリプリカームを暴走した状態の大精霊に与えるのはこれが初めてだ
ミラゆえに、まだ断言は出来んが、この様子ならおそらく問題ないだろう…
カノンノあ、光が収まった…
ミラむ…!今、セルシウスが動いたぞ。気は抜くな
リッド頼むから、正気に戻ってくれよ…?さすがにもう一度やり合うのは勘弁だぜ
カノンノお願い…!
セルシウスう…
セルシウスここは…?わたしは…何を…?
リッドセルシウスが喋った…って事は…、暴走はちゃんと鎮められたのか?
ミラああ、そのようだな
カノンノよかった…!
セルシウスあなた達は…?
ミラ私はミラ=マクスウェル、隣の二人は、リッドとカノンノだ
ミラ…セルシウス、お前はマナの枯渇により今まで暴走状態に陥っていたのだ
セルシウスマナの枯渇…それに、暴走…?
セルシウスまさか、そのような事になっていたなんて…
カノンノ何も知らない間に暴走に陥ってしまったんだね…。かわいそう…
セルシウスええ…最後に覚えているのは一瞬にして世界中のマナが減少していった事…
リッドそれが、お前達大精霊を暴走させたきっかけだったって事だろうな
セルシウスとにかく、これ以上人に被害を及ぼす前にわたしを止めてくれた事…本当に感謝するわ
ミラ礼ならカノンノに言うといい。お前の暴走を鎮める作用をしたのは、彼女のリプリカームという力だ
セルシウスリプリカーム…?
カノンノこのネックレスから溢れ出る力の事だよ。あなた達精霊にマナを与えて癒す事が出来るんだって
セルシウスそんな力が存在するなんて、初めて知ったわ
ミラ…やはり、お前も知らないのか。精霊にまつわる力だ、誰かが知っていてもおかしくないはずなんだが…
セルシウスとにかく、本当にありがとう。カノンノ、リッド、ミラ…
カノンノううん、いいんだよ。役に立てたなら私も嬉しい
セルシウスそれにしても…わたしは取り返しのつかない事をしてしまったのね…
ミラ湖畔の辺りで氷漬けになっていた人々の事か…
カノンノセルシウスの力なんだよね?氷を溶かせば、助かるんじゃないの?
セルシウス…いいえ。わたしの力は自然の力と同じもの…
セルシウス氷漬けになった人は助からないでしょう…。…ごめんなさい…
リッド雪山で遭難したのと同じって事か…
セルシウス…本当にごめんなさい。暴走していたとはいえ、誰かを傷付けるつもりなどなかったのに…
ミラお前が悪いわけではない。悪いのはこの状況を裏で煽ってる奴だ
リッドそれに、オレ達人間のせいでもある。まんまとそいつの企てに乗せられて魔導器を使っちまったんだから
カノンノそうだよね…
ミラ…とにかく、これでセルシウスは正気を取り戻した。湖周辺の危機は一旦去ったと捉えていいだろう
ミラだが、これで終わりではない。セルシウスの他にも、世界の各地で暴走状態に陥っている大精霊がいる
セルシウス
リッドそうだな。のんびりしてられねえ。早いとこ、ここから外へ出ないとな。アスベル達も待ってる事だろうし
カノンノセルシウス、この氷山から出られるよう、力を貸してくれる?
セルシウスええ、勿論。その前に──
セルシウスわたしもあなた達の目的に協力させて
セルシウス暴走していたとはいえ、多くの人間達を傷付けた事に変わりはない。…その償いをしたいの
セルシウスそれに、今も尚、わたしと同じように暴走し苦しんでいる仲間がいる…。放っておけないわ
カノンノセルシウス…。あなたの気持ちはわかる、勿論、断る理由なんてないよ
リッドこんだけ強いセルシウスが力を貸してくれるっていうならむしろ、ありがてえ話だと──
ミラ…!これは…
カノンノネックレスが光って…──でも、何だろうこれ…?何だか今までとは様子が…
セルシウス…カノンノの意志にネックレスが共鳴している
リッド共鳴…?それは一体どういう事だ?
セルシウス…どうやら、そのネックレスはわたしとあなたを結ぶ、契約の証となってくれるみたい
ミラ契約…確かクラースが話していたな。精霊を喚び出すには契約を交わす必要があると…
セルシウスええ、人間と精霊が共にあろうとすると「契約」が必要となる
セルシウスその契約に必要不可欠となるのが契約の証
セルシウスカノンノ、そしてそのネックレス。…これが、あなたの「役割」なのかも知れないわね
カノンノまさか、そんな事が…
リッドカノンノの意志に共鳴してるって事は契約はカノンノにしか出来ない、そういう事だよな?
ミラリプリカームの事も踏まえると、そう考えるべきだろうな。…ますます不思議な代物だ
リッド…まさか、リプリカームだけじゃなくそんな役割まで果たしちまうとか、すげえな…
セルシウス…カノンノ、もう一度聞かせて。あなたとの契約のために…
セルシウスこのわたしを…人を殺してしまったわたしを…受け入れてくれる…?
セルシウスもしあなたや、あなたの仲間達がわたしを受け入れてくれるのならば…
セルシウスそのネックレスをわたしに向かって、掲げて…
カノンノ…うん、わかった。やってみるね。みんな…いいよね?
リッド・ミラああ、勿論だ
カノンノセルシウス…私達に力を貸して──…
リッドおい、セルシウスはどこだ?消えちまったのか…?
カノンノ…ううん、ここにいるよ
リッドな、ネックレスの色が変わった…!?まさか、この中に?
カノンノそうみたい。セルシウスみたいなきれいな色になったね
ミラ契約は成功した、という事か。…セルシウスか、とても心強い味方が出来たな
リッドま、とにかくこれでカタは付いた事だし外へ出ようぜ。あいつらも待ってんだろ
ミラああ、そうだな
ルーク──駄目だ。どーにもなんねー!
アスベルくっ…こうしている間にもカノンノ達は…。何か手はないのか…?
リオン精霊に詳しいクラースやリヒターがいれば、何かいい手を思い付いたかもしれんが…
ビシッ!
リタ…!ねえ、ちょっとあれを見て!氷山が…
ビシッ!ビシビシビシッ!
スパーダな、何だ?すげえ勢いでヒビが…まさか崩れちまうんじゃ…!
ドカッ!スザ…ガラガラガラッ!
ルークなっ、氷が砕けて穴が…
ミラようやく外に出られたようだな。リッド、長らく肩を借りてすまなかったな
リッド別に構わねえ、こっちの肩は無傷だ。やれやれ、出るのも一苦労だったな。カノンノ、お前も怪我は大丈夫か?
カノンノうん、私は大丈夫だよ。二人こそ早く手当しなくちゃ
アスベルカノンノ!リッド!ミラ!
リタ無事だったのね!
リオン…こいつらのどこが「無事」なんだ。どう見ても「無事」には見えん
スパーダ中で何があった?まさかセルシウスと戦ったのか?
ミラああ、何とかセルシウスの暴走を鎮める事に成功した。更には私達に力を貸してくれると…
アスベルセルシウスが…?それは一体どういう事だ?
ミラ世界を救いたいという想いは人間も精霊も同じ、という事だ
リタそれにしてもあんた達、本当に三人だけでやってのけたっていうの?
リッド…他に誰がいんだよ。まあ、苦労したのは確かだけどな…
アスベルそうか…協力出来なくてすまなかった
カノンノ謝らないで。あの状況じゃ、仕方なかったよ
ルークま、とにかく結果オーライって事でいーんじゃねーの?
ルークじゃ、リンネル村に戻ろうぜ。メルディ達にも、避難する必要はねーって伝えなきゃなんねーし
リタそれにリッド達もちゃんと手当した方がいいんじゃないの?ボロボロよあんた達。早いとこ──
リオン待て。その前に確認しておきたい。氷漬けになった人間は、元に戻るのか?
カノンノそれは…
ミラ…残念ながら無理だ。湖の氷はいずれ自然に元に戻るが、…命は救えない
ミラすまない…
リオンくっ…
ミラリオン、聞いてほしい
ミラここで起きた現象は、ルイニス街とは別だ。お前の街で起きた現象に精霊は干渉していない
ミラルイニス街の氷の原因がわからない以上断言は出来ないが、街の人々を救える可能性はある。だから──
リオン…わかっている
リッドリオン…。氷が溶けたら、せめて丁寧に弔ってもらえるといいな…
スパーダああ、そうだな。ガイアス陛下にはオレが責任を持って伝えて、頼んでおくよ
ミラありがとう、スパーダ
カノンノあ、ネックレスが…セルシウスが何か言ってるの…?
ミラ…すまない、そう言っている。ひどく心を痛めているようだ
リオン
ミラニブル湖で失った命は、決して忘れない…これからの行動で償っていきたい──だそうだ
アスベル…そうか…
リッド…うぐっ…!
カノンノリッドさん!?みんな、お願い。リンネル村でリッドさんとミラさんを休ませてあげて!ひどいケガなの…!
スパーダったく、喋ってる場合じゃねェだろ!お前らホントにボロボロじゃねーか!…おら、オレに掴まれよ!
アスベル俺も手伝う。みんな、急いでリンネル村へ向かおう!

NameDialogue
scene1次に目指すは、再び──
ゴゴゴ…
リドウこうして高い場所から見下ろすと、俺達の計画は順調に進んでいる事が目に見えてわかる
リドウいい光景だと思わないか?
???ああ、そうだな。くく…大精霊の力がこれほどのものだったとはな
リドウ
???それはそうと、こうやって顔を合わせるのはあの時以来か
???思わぬところで得た大精霊の暴走という大きな戦力で、当初の計画よりも事は遥か順調に動いている。だが──
リドウ
???私達のこの計画を揺るがそうと目障りな「虫」が動いている事にはお前も気付いているな、リドウ
リドウ勿論。…けど、脅威じゃない
リドウ今更どうあがこうと、この状況を覆す事は不可能。そうだろ?
リドウそんな一匹の「虫」を気に掛けるより俺達は速やかに計画を成し遂げるべく動く方が賢明ってものさ
???…ふん、いいだろう。確かに現時点ではお前の言う通り、さしたる脅威ではない
???だがいずれ、奴とまみえる日は必ず来る事になるだろう。その時には、必ず息の根を──
???む…?
リドウどうかしたのか?
???僅かではあるが、大精霊どもの暴走する勢いが弱まった…?
リドウ弱まった…?
???
???これは一体…
ミラう…
レイアミラ…?
ミラレイア…
レイアよかった。目が覚めたみたいね
ミラここは…
レイアリンネル村だよ。まさか、覚えてないの?
ミラいや、完全に覚えていないわけではないが…どうやら村に着いた瞬間気を失ってしまったようだな
レイア村に着くなりその場で倒れ込むくらいボロボロだったもんね
ミラつっ…
レイアあ、無理しちゃ駄目だよ。怪我の治療をしたばかりなんだから
ミラいや、今はのんびり寝ている暇など……そうだ、リッドとカノンノは?
ミラ確か、あの二人もかなりの傷を負っていたはずだが
レイアリッドも随分大怪我を負ってたみたいだけど、だいぶ回復したかな
レイアカノンノの方は、怪我の程度が軽かった事もあってもう何ともないって
ミラ…そうか。それはよかった
リッドミラ、起きたか。具合はどうだ?
ミラ私の心配をするよりも自分の具合は大丈夫なのか?
リッドああ、完全復活とまではいかないけどマシになってきたぜ
ルークやっと起きたのかよ。このまま目が覚めないんじゃねーかとヒヤヒヤしたぜ
ミラああ。皆に心配をかけてしまったな、すまない
リタ別に謝る事ないわよ。これだけの大怪我を負ったんだから少しくらい休んで当然よ
メルディはいな。メルディもそう思うよ
ミラ…?スパーダの姿が見えないようだが
ルークああ、あいつなら俺達と一緒にお前らをここまで運んだ後、カン・バルクに戻ったぜ
ルークニブル湖の状況を、ガイアスに伝えるんだってよ
レイアミラが目覚めたらよろしく伝えてほしいって言ってたよ
ミラそうか…
アスベルリッドとカノンノから詳しい話は聞いた。氷山の中では、大変だったな
アスベル…何より、みんなが無事でいてくれて本当によかった
リッドま、結果何とかなったからよかったものの、今思い返したら結構な冷や汗モンだったよな
カノンノうん…もう駄目かもって何度も思ったけど、リッドさんとミラさんのお蔭で何とか切り抜ける事が出来たよ
カノンノ…ミラさんが起きたら、改めてお礼を言いたいと思ってたの。本当にありがとう
ミラいや、礼を言いたいのは私も同じだ
ミラリッドがいない間、私の背中を守ってくれたのはカノンノ、お前だからな
カノンノミラさん…
リオンとにかく、これでリプリカームに大精霊の暴走を鎮める効果がある事は立証された
リタしかも、その大精霊があたしらに力を貸してくれる事になるなんてね。想像もしなかったわ
リッド心強い味方が出来たって事は確かだぜ。あいつの力は実際に戦ったオレ達がよく知ってる
リオン…カノンノ、例のネックレスは?
カノンノここにあるよ
カノンノあのセルシウスがネックレスの中にいるなんて、何だか今でも不思議な感じ…
ルークだよな。話は聞いたけど信じられねーっつーか…
ミラだが、彼女はここにいる。紛れもない事実だ
リオン
アスベルリオン、どうかしたのか?ネックレスをじっと見つめて…
リオン…何でもない。大精霊がその中にいる、と言われても実感がわかない、と考えていただけだ
リオンそんな事より、ミラも目覚めた事だ。速やかに次の大精霊のところへ向かうべきではないのか?
ミラそうだな。私達にはゆっくりしている時間など──
ミラうっ…
アスベルミラ…!大丈夫か?気が焦るのはわかるが、無理はするな
ミラいや、そういうわけにはいかない
ミラこうしている間にも、大精霊の暴走による影響で事態は刻々と悪化している
ミラ早く手を打たねば、手遅れになる。今すぐここを発つべきだ
リタそんな事言って、大丈夫なの?そりゃ時間がないのはわかるけど…
カノンノミラさん…何かあったらすぐに声をかけてね…?
ミラ…ありがとう、カノンノ
リッドなら、早いとこ行くとしようぜ。次の目的地は…
リオン言うまでもない、大精霊アスカのいるテムザ山だろう
ミラああ。前にアスカと会った時は結局傷付けるだけ傷付け、暴走を鎮めてやる事は出来なかった
ミラ…今度こそ、必ず救ってやりたい
リオン
リタだったら、まずはア・ジュール港ね。そろそろ船も用意出来てるだろうし
ミラ船…?
アスベルスパーダが、今回の報告と合わせて船を手配するよう、話をしておいてくれる事になってるんだ
ミラ…そうか。では、その厚意に甘えるとしよう
カノンノうん!じゃあ出発しよう
scene2次に目指すは、再び──
ミラ世話になったな
レイアううん、全然いいの!それより、村を救ってくれて本当にありがとう
メルディ村がなくならなくてメルディ本当に嬉しいよぅ。ありがとな!
リッド氷漬けの心配はなくなったにしろ、まだ異変が収まったわけじゃねえ
リッドもし何か起こったら次はお前らが村を守るんだぞ
メルディはいな!マカせてほしーよ、リッド!
カノンノん?あの人達は…?
レイアあ、来た来た!みんなが助けてくれたウサちゃんの飼い主と、そのお母さんだよ
女の子あの…どうもありがとう
リッドああ、あの時のか。もうウサギを逃がすなよ?
女の子うん!
母親みなさんには本当にお世話になりました
アスベル礼を言うのはこちらです。村の再建で大変な時に、こんな大勢で押しかけてしまって
ルークメシも食わせてもらったしな。城のほどじゃねーけど、結構うまかったぜ
女の子また村に遊びに来てね。約束だよ?
リタわかった、約束する。また来るわ
女の子じゃーねー!
ミラそれでは私達も行くか。レイア達も、村の再建を頑張ってくれ
レイアうん、ありがとう。みんなもね!何かあればいつでも声をかけて。出来る事なら何でもするから
メルディはいな!みんながところにすぐ駆けつけるよ
アスベルああ、その時はよろしくな
カノンノリンネル村の人達、みんな温かくていい人達ばかりだったね
リタあたしらがニブル湖から戻った時は不安で仕方ないって顔してたけど、元気を取り戻したみたいでよかったわ
ルークあの調子なら、割とすぐに再建出来んじゃねーか?
アスベルそうだな。彼らのためにも、一刻も早く他の大精霊の暴走も鎮めて平和な世界を取り戻さないとな
カノンノうん…!
ミラよし、では行こう。ここから南下すればア・ジュール港、地割れで足場が悪いから注意して──
ガサガサ…
カノンノ何…?今、そこの草むらで何か…
ガルル…
リオン魔物か…!
グオオオオッ!
scene1すれ違う気持ち
???大精霊の暴走が弱まる、可能性として考えられるとすれば…
リドウ各地にいる大精霊の内、自我を取り戻した奴がいるって言いたいわけ?
???それしか考えられん
???…だが、今の状況で大精霊が自発的に自我を取り戻す事は不可能だ
リドウ考えられるとしたら、誰かが大精霊に自我を取り戻させた、という事かな
???他に考えられる可能性はない
リドウ
???あの「虫」の仕業か?…いや、奴の力をもってしても、成し得るとは思えない。だとしたら…
???…リドウ。お前が襲撃したという例の女…確か、取り逃がしたという話だったか
リドウ部下からそう報告を受けている。その物言いだと、あの女が暴走を鎮めたと思っているわけだ
???そう考え得る事が出来る
リドウへえ…
???くっ!どのような手立てを用いたのだ…
???大精霊の暴走は、今や計画遂行には欠かせない「手段」の一つと言える
???これらを止められるわけにはいかない。断じてな
???…リドウ、今すぐ例の女を捜し出し始末する。お前も手を貸せ
リドウその必要はないさ
???…何?
リドウ既に手は打ってある
リドウ…と、そういえば、今回君を呼び出した理由についてまだ何も話していなかったな
???呼び出した理由…だと?
リドウああ、世界各地を襲撃して回るのはもうやめにしよう、そう言いに来たんだ
???…!貴様…それはどういう意味だ
???私達の行いはマナ枯渇を促進…即ち、大精霊の暴走を促進させている
???動く事をやめれば、どうなるかは察しがつくはずだが
リドウへぇ…やっぱり、そこまで気付いていたんだ。さすがだな
リドウ…だからこそ、俺達は襲撃をやめて、静かに「その時」を待つべきなんだよ
リドウ大精霊の暴走が鎮まる時、俺達は新たな力を手に入れる…
リドウくくく、楽しみだね…
???
???…どういうわけか、説明してもらおうか
カノンノア・ジュール港に着いたね
アスベル船の手配は既に整っているはずだ。…と言っても港は案外広いし探すのは大変そうだな
ルークなら聞いてみりゃ早いだろ。おい、そこのお前!
リタお前って…あんたね、少しは言い方ってもんを──
ア・ジュール兵お前達は…!
ミラ私達はガイアスの知り合いだ。船の手配の話が通っているはずだが、どこへ行けばいい?
ア・ジュール兵
リッドん?もしかして、話が通ってねえのか?
ア・ジュール兵…話は聞いている。船に乗りたければ桟橋へ行け
ルークけっ、何だよあいつ。感じ悪ぃな
リタあんたの言い方が気に障ったんじゃないの?
アスベル…とにかく、話は通っているみたいだし桟橋の方へ行ってみよう
カノンノうん、そうだね
ジェイド──そうそう、船の操舵係に、これを渡すのを忘れないでくださいね
アニス……
アニス…大佐ぁ、本当にここまでしてあげる必要あるんですか?
ジェイドこれが私達にとっても大事な作戦である事はわかっていますよね、アニス
アニスそれはわかってますけどぉ…
アニス
ジェイド…釈然としない様子ですね。備えあれば憂いなしという奴ですよ
アニス…でも、大佐──
ジェイドあなたの納得出来ない気持ちもわからないではありませんがね、アニス
ジェイドですが、これは個人の感情より重要な話です。あなたも軍人ならそこは割り切るよう願いますよ
アニス
リタジェイド!?何でまたあんたがここに…
ジェイドまたご挨拶ですねえ。皆さんの船を用意していたんですよ。スパーダから話は聞いています
カノンノジェイドさんも、一緒に行くの?
ジェイドそうしたいのは山々ですが、あいにくとやる事が山積みでしてね。宮仕えの悲しいところです
ジェイドウィンドルまでは私の部下が案内しますのでその点はご心配なく
ルーク部下ね。ま、誰でも構わねーけどよ……ん?って、アニスじゃねーか
アニスほえ?ルーク様!?どうしてこんなところに…
ジェイドおや、そういえばアニスには話していませんでしたね
ジェイドルークも大精霊の暴走を鎮めるためにウィンドルの皆さんと行動を共にしているんですよ
リタ別にここにいる全員がウィンドルの人間ってわけじゃないけどね
アニス
ルークおいアニス、お前が俺達をウィンドルまで案内してくれるのかよ?
アニスそれは…うー、大佐に聞いてください
ルーク…何だ、アニスの奴。いつもと何か様子が違ったな。怒ってるみたいっつーか…
ミュゼどうしてそんな態度になるか、ちょっと考えればわかるんじゃないかしら?
リタミュゼ!?あんたまで来てたわけ!?
リッドちょっと考えればわかるって、どういう意味だ?
ミュゼ今回のウィンドルとの一時休戦を快く思わない者がこの国には大勢いるという事よ
ミュゼア・ジュールの民は、ウィンドルを許したわけじゃない。そこは忘れないで欲しいわね
アスベル
ルークまだそんな事言ってんのかよ。今は過ぎた事なんか構ってる場合じゃねーだろ
ミュゼあなたはキムラスカの人間でしょ?なら、ア・ジュールの人間の気持ちはわからないでしょ?
ルーク何だと、てめえ…!
アスベル…やめろ、ルーク
ルークちっ…んだよ、ったく…
ミュゼミラ、あなたもあなたよ。どうしてこんな連中と一緒に行動するの
ミラ私はこの世界を救うために、必要だと思う事をしている。何も不思議な点はないはずだが
ミラミュゼ、お前には世界を救いたいという気持ちはないのか?
ミュゼ
カノンノミュゼさん…
アスベル心配するな、カノンノ。これはちょっとした気持ちのすれ違いだ。いつか必ずわかり合える…
リオン…そうには見えんが…
ジェイドまあ、うちもいろいろですから。とにかく、船へ向かいましょうか。準備は既に整っていますので
リッドああ、そうしてくれ
ジェイドちなみに、ウィンドルまでは迂回する航路を使います
ジェイド最短航路の海域が、どうやら大荒れのようでしてね。無理はしない方がいいでしょう
アスベル構いません。急いでいるとはいえ、その海域で何かあっては元も子もありませんから
リタ…あまり揺れないといいんだけど。船酔いはもうこりごりだわ
ジェイド迂回航路なら、その辺りも大丈夫ですよ。…では、こちらへ
scene2すれ違う気持ち
ルークジェイドが言っていた通り、海、全然荒れてねーな。迂回して正解だったってわけか
リッド今のところはな。でも油断は禁物だぜ。海の上は天候も変わりやすいって言うし
リタこのまま何事もなくウィンドルまでたどり着く事を祈るわ…
ア・ジュール兵
アスベルあ、ちょっといいかい?ウィンドルまで、あとどれくらいだろう?
ア・ジュール兵
アスベルあ…
カノンノ…行っちゃったね。聞こえてなかったのかな…?
ルークこの距離で聞こえねーはずねえだろ。無視しやがったに決まってるぜ
ルーク…けっ、相変わらず感じ悪ぃな
リッドせっかく休戦したってのにこれじゃ、本当の和平実現は当分先になりそうだな
アスベル…仕方ないさ。つい先日まで、彼らにとってウィンドルは憎き敵国だったんだ
アスベルそう簡単に、全てを水に流せるはずがない
カノンノ
ミラカノンノ、どうかしたのか?何か考え込んでいるようだが
カノンノあ、うん…アスベルと会ったばかりの頃の事を思い出してたの
カノンノあの時も、ア・ジュールからウィンドルまで、こうやって船に乗ったなって
カノンノずっと船倉に隠れてたから、外の景色は見られなかったけどね
リタ船倉?何でそんなところに…って、まさか、忍び込みでもしたわけ!?
アスベルう…それしか方法がなかったんだ。俺の立場も明かせなかったし…
リッドだからって、さすがに密航はまずいんじゃねえのか?お前一人ならまだしも…
カノンノでも、アスベルはちゃんと私の事もエリーゼの事も守ってくれたよ?
ルークおいおい、カノンノだけじゃなくエリーゼも一緒だったのかよ。ったく、ガキ連れでよくやるぜ…
アスベルし、仕方ないだろ!みんなを守りつつ、安全にバロニアへ帰るにはあれしか方法がなかったんだから
アスベルルークだって、俺の立場に置かれたらきっと同じようにしていたさ
ルークやるかっつーの、んな事
アスベルいや、やるさ!それしか手段がなかったんだからな
リオン全く、どいつもこいつも騒がしい馬鹿ばかりだな
リタここはあんたに賛成するわ。くだらない事で言い争って本当バカっぽい…
カノンノ…でも、こんな風に大精霊を捜して世界中を回る事になるなんて、あの時は想像もしてなかったな…
ミラ不安か?
カノンノ…不安といえば、そうなのかもしれない
カノンノミラさんとリッドさんのお蔭で何とか無事にセルシウスを元に戻す事は出来た
カノンノ…けど、私がいた事でミラさんとリッドさんは酷い怪我を負ったし…
カノンノ大精霊の暴走を鎮めるのに私の力が必要だとしても、私のせいで誰かを傷付けたくはないよ
リッドカノンノ…
ミラ私の傷の事は気にするな。あれは油断していただけの事だ
カノンノでも…
ミラ…リッドが倒れた後、二人でセルシウスに立ち向かった時の事を覚えているか?
ミラ迷いが消えたお前は、あの時の私にとってとても心強い存在だった。だからこそ、背中を預けられた
ミラ…カノンノ。お前は強い心を持っている。それを忘れないで欲しい
カノンノミラさん…
リッドそうだぜ。セルシウスを相手にあんだけやり合えたんだ、もっと自信を持っていいんじゃねえのか?
カノンノリッドさん…。二人共、本当にありがとう
カノンノあ…ネックレスが…
ミラセルシウスがお前に語りかけている。お前の心まで傷付けてしまった事を謝りたいそうだ
ミラお前のように苦しむ人間をこれ以上生まないためにも、他の大精霊の事も救い出してほしい、そう言っている
カノンノセルシウス、あなたもありがとう…。あなたの気持ちはわかってる、一緒に力を合わせて頑張ろうね
ルーク何だあいつら、急に仲良くなりやがって気持ちわりーな
アスベル仲良く…?
アスベルふっ、確かにそうかもしれないな
アスベル…よーし、カノンノ。これを機に、俺以外のみんなの事も名前だけで呼んでみたらどうだ?
カノンノ…え?アスベル、突然どうしたの…?
アスベルその方が、より「仲間」って感じがするだろ?お前も言ってたじゃないか
ルークそういや、カノンノってアスベル以外の奴の事は「さん」付けで呼んでるよな
アスベル元々は俺の事もアスベルさんって呼んでたんだ
アスベルだが、堅苦しいのはよそうって事で呼び名を改めたんだ。な、カノンノ?
カノンノうん
リッドへぇ。言われてみりゃ確かに堅苦しいってのもわからなくはねえが…ま、オレはどっちでも構わねえぜ
リタ別にカノンノの呼びやすいように呼べばいいんじゃないの?
カノンノ本当?じゃあ…
カノンノふう…
カノンノ…リッド、ミラ、ルーク、リタ、リオン、それにアスベル…みんな、改めてよろしくね!
ミラああ
リタはいはい、よろしく
ルーク俺もそれでいいぜ…って、何だよ、リオン。お前も返事くらいしろよな
リオン…僕は呼び名なんかに興味はない。好きにすればいいだろう
ルークんだよ。相変わらずノリの悪い奴──
ズズーーン!
リッドっと!?何だ、この揺れは!
リタまさか、暗礁にでも乗り上げたんじゃ…?
リオン…!違う、あれを見ろ!
ガアアアアアッ!
ルークちっ、魔物かよ!
ミラ船の上は揺れるから、態勢は崩さないように気をつけろ!
scene1危難の海
リオン…終わったか
リッド何とかな。ったく、突然何だって──
ズズーーン!
アスベル今度は何だ…!?船体が急に傾いたぞ?
リタまさか、また魔物!?
ア・ジュール兵大変だ!船倉から浸水して船が沈みかかっているぞ!
リオンまさか、さっきの魔物の仕業か?
カノンノそんな…!
ルークじょ、冗談じゃねーぞ!こんな海のど真ん中で沈んじまったらおしまいじゃねーか!
ミラなら、今出来る事をするしかないだろう。何か方法はないのか?
ア・ジュール兵船倉の穴はいったん塞ぐが、それでもこの船は港までは持たないだろう
ア・ジュール兵とにかく最短航路で陸地を目指し、なるべく陸に近いところで救命艇に乗り換えるしかない
アスベル最短航路って、確か…
リオンああ、海域が大荒れになっているという話だったな
リタちょっと…そんな危ないところに浸水した状態で突っ込むなんて自殺行為じゃない!
ア・ジュール兵このまま迂回航路で目的地を目指しても確実に船は沈む…
ミラそれしか方法がない、という事だな。…わかった、ここはお前達の判断に任せよう
ミラ船の事は私達より彼らの方が専門だ。従うしかあるまい
ルークくそ、何でこんな事になんだよ…。いいかお前ら、何としても絶対無事に陸地にたどり着けよな!
ア・ジュール兵お前に言われるまでもない!
リッドやれやれ…一難去ってまた一難とは、この事だな
リオン
カノンノお願い…どうか無事に目的地に着いて…!
scene2危難の海
ズズズ…!
ルークうおっ!?ますます船体が傾きやがった!
リオン喫水線もだいぶ上がっている…!かなり浸水が進んでいるようだ
リッドおいおい、間に合うのかよ…
アスベルもう少しだ…もう少しだけ、もってくれ!
ミラむ…、あれは…?
リタ何よあれ…海が割れてる!?ちょっと、あれってまさかルーク達が言ってた時空の歪み…?
ルーク言われてみりゃ確かに似てるような…マジかよ、海にまであんなもんが…まるで馬鹿でかい滝みてーじゃねえか
リッドまさか大陸だけじゃなく海にまであんなモンが出来てたとはな…
カノンノこの辺りの海域が荒れてるのは、あの海面に発生した亀裂のせいだったのかも…
ザアァァァ…!
カノンノきゃあっ!?
アスベルカノンノ、大丈夫か!
ルークおい、何やってんだよ。ちゃんと船を操縦しろ!
ミラいや、あの滝の勢いに飲まれ船が流されているのだ
リオンくっ…このままじゃ船体ごとあの亀裂に飲み込まれてしまう…!もっと出力を上げられないのか!?
ア・ジュール兵…ぐああ!
リオンおい、何かあったのか?…!
グオオオオオッ!
リタなっ、魔物!?こんな時に何でよ、もう!
リッド…仕方ねえ、一気に片を付けるぞ!
scene3危難の海
リタファイアボール!
ズバーン!
グオオオオッ
ルークったく、こんなタイミングに出てきやがって、空気読めっつーの!
リッド…っと、船はどうなった?亀裂から少しは離れられたのか?
ザアァァァ…!
リオンいや、離れるどころかますます亀裂に近付いている
リタ何かさっきより船体の傾きもひどくなってない?まずいわ、このままじゃ…
ミラむ…?そういえば、アスベルとカノンノの姿が見えないようだが…
カノンノみんなー!大変!
リタ何、カノンノ!?どうしたの?
カノンノ船を操縦していた兵士さんが、意識を失ってたのさっきの魔物にやられたみたい…
リッド何だって!?…そりゃ、亀裂に近付くわけだ。確か舵は甲板にあったよな。急ぐぞ!
カノンノうん
アスベルおい、しっかりしろ!
ア・ジュール兵う…うう…
ミラここにいたか、アスベル
リオンどんな具合だ?舵を取れる状態なのか?
アスベルとりあえず、応急処置を施した
アスベル意識は戻ったみたいだが…腕に酷い傷を負っていてとても舵を取れる状態じゃない
ルークなっ、…それじゃあこの船の操縦は誰がすんだよ!俺は出来ねーぞ?
ア・ジュール兵う、うう…もう駄目だ…
ア・ジュール兵よりによって、ウィンドルの連中と一緒に死ぬ事になるなんて…
アスベル諦めるな!まだ終わりじゃない!
ア・ジュール兵気休めを言うな…。この船の操縦士は俺一人だ、もうあの亀裂から逃れる術はない
アスベル大丈夫だ。俺が船を操縦する
カノンノアスベルが?そんな事出来るの?
アスベルこの人は腕を負傷しているが、幸い意識はあるようだ。やり方を聞いて、俺が舵を取る
ア・ジュール兵…!?
アスベル頼む、教えてくれないか!
ア・ジュール兵
アスベル死んでしまえばそれまでだ、今は敵も味方も言ってられないだろう。世界を救うために協力してくれ…!
ア・ジュール兵…。…仕方がない。いいか、まずは――
アスベルありがとう!だいたいは把握出来たよ
ア・ジュール兵うう…不覚だ
アスベル…こんなところで、誰も死なせたりはしない。全員でウィンドルまでたどり着こう
ザアアアアア!
ルークうぉっ!?ますます引っ張られてくぞ!
リッド…よし、アスベル。早いとこ頼む。このままじゃオレ達全員があの亀裂に飲み込まれちまう
アスベルわかった
リタどう?何とかなりそう?
アスベルくっ…操縦は問題なさそうだが亀裂の勢いが強すぎて…思うように進まない!
リタそんな…
カノンノ…!そうだ…セルシウス、お願い、力を貸して…!
ピシィィィッ…!
ザァァ……
リッド滝の一部が凍って…亀裂に吸い込まれる水の勢いが弱まってるぞ
ルークおし!これなら何とかなるかもしれねえ!アスベル、今の内だ!
アスベルわかってる!何とかしたいのは山々なんだが…
リオンちっ…まずい、船の浸水も深刻だ。このままだと沈没も時間の問題だろう
アスベル…そうだ!船が浸水しているところも、凍らせればいいんじゃないか?
リタやってみる価値あるわね
カノンノセルシウス、お願い…!
ピシッ…!
ズ…ズズ…
リタ…駄目か。表面が凍っているみたいだけど、浸水の勢いの方が強いわ
アスベルくっ!時間稼ぎにしかならないって事か
カノンノ
リタ亀裂に飲み込まれるか、沈没か…そんなの、どっちもごめんよ!何とかならないの!?
ドドド…
ミラ…この音は?
リッド…おい!向こうから何か来るぞ!
リオンあれは…ア・ジュールの船か?
ジェイド皆さん、急いでこちらへ!アニス、牽引ロープを!
アニスわかってます!
ヒュンッ!
ルークジェイドにアニス!?お前らどうして…
ジェイドその説明は後です!皆さん、こちらに乗り移ってください
リッドわかった。みんな、急げ!
ア・ジュール兵う…
アスベルよかったな、これで助かるぞ!よし、俺の肩に掴まれ。少し傷が痛むかもしれないが辛抱しろ
ア・ジュール兵あ、ああ…
ズズズ…
リタ沈んでく…。あと少し遅かったら、あたしらもあの船と一緒に沈んでたわね
ジェイド何とか間に合ったようで何よりです。私としても来た甲斐がありました
ミラ礼を言うぞ、ジェイド。…だが、どうして私達の居場所がわかったのだ?
ジェイドああ、これのお蔭です。出航前にあなた方の船に、これと同じものを仕込ませていただきましてね
リオンこれは、通信機…か?
リッド通信機って、そいつはどういう事だ?オレ達の話を盗聴してたって事かよ?
ジェイド盗聴とは人聞きの悪い。万が一に備えての処置ですよ
ジェイド私にしてみれば、皆さんが互いにどう呼び合うかなんて別にどうでもよい事ですから
ルークしっかり盗み聞きしてんじゃねーか!
ジェイドまあともあれ、現にこうして功を奏したわけですし、それでよかったとしませんか?
アスベル…確かに、結果救われた事には変わりませんね。ありがとうございます
リタ相変わらず、いちいち鼻に付くけど…
リッドアスベルとセルシウスにも感謝しねえとな
アスベル俺はあまり大した事は出来なかったけどな…。まあ、全員無事で本当によかったよ
ア・ジュール兵
ジェイドさて、危険も去った事ですし、このまま皆さんをウィンドルまでお送りしましょう
ジェイドこちらの船は最新式で、出力も大幅に向上していますから、今度こそ快適な船旅を約束しますよ
ルークだったら最初から、こっちに乗せろっつーの
ジェイドまあそう言わずに。こちらにもいろいろと事情がありましてね
ジェイドそれでは改めて…ウィンドルへ向けて全速前進!
scene1マナの異変
???
???…まさかと思っていたが、実際に大精霊が姿を消している以上、事実と考えるしかあるまい
???だが、どういう理屈だ…?あの状況から自ら正気を取り戻す事は不可能のはず。だとすれば──
???…あの女か
???
???いずれにせよ大精霊の存在しないこの場に用はない──
???…いや
???マナの減少する速度も緩やかになっている
???大精霊の暴走が鎮まったとはいえ、それだけでマナ減少がここまで急速に緩やかになるとは考えにくい
???考えられる可能性は一つ
???
???奴め…何を企んでいる
ジェイド長らくご苦労様でした。ウィンドル港に着きましたよ
ルークやれやれ…やっとかよ
リタア・ジュール港を出航した時は、こんな大冒険になるとは思わなかったわ…
アスベルお忙しいところ、わざわざありがとうございました
ジェイドいえいえ。こうして無事にお送り出来て、よかったですよ
ジェイドあなたの身にもし何かあれば、リチャード陛下の心象が著しく悪化した事でしょうしね
ア・ジュール兵あの…アスベル殿…
カノンノあ、あなたは船を操縦してた──
ア・ジュール兵…さっきはありがとうございました。あなた達のお蔭で、何とかこうして生き延びる事が出来ました
アスベル礼ならカーティス大佐に。結局のところ、俺は何も出来ていませんから
ア・ジュール兵いえ、私の心が折れそうになった時、懸命に励ましてくださいました
ア・ジュール兵私は…あなた達ウィンドルの方々の事を誤解していたかもしれない
ア・ジュール兵あなた達のこれからの無事を心よりお祈りしています。それでは…!
ジェイドいがみ合っていた者同士が、共に苦難を乗り越える事で信頼を育む…美しい光景ですねぇ
アニス
ジェイドほら、アニスもお礼を言わないと。あの兵士は、あなたの直属でしょう
アニス…ありがとうございました
アスベルあ、いや…どういたしまして
ジェイドそれでは、私達はア・ジュールへ戻りますね
ミラ気をつけて帰ってくれ。いろいろと助かった
ジェイドいえいえ。またお会いする機会を楽しみにしていますよ
カノンノ…アスベルが言ってた通りみんなただ、気持ちがすれ違ってしまってるだけなのかもしれないね
アスベル…ああ。時間はかかるかもしれないがいずれは手を取り合う事が出来る。改めて俺も、そう感じたよ
ミラ何はともあれ無事ウィンドルへ到着した事だ。早速テムザ山へ向かうとしよう
リオン…ああ
scene2マナの異変
ルークあれから結構歩いたけど、テムザ山はまだなのかよ。たりぃ…
ミラ安心しろ、もうすぐ着く。この道をさらに南へ進めば──…ん?
リオンどうかしたのか?
ミラマナに変化が生じている…これは一体…
カノンノ変化…?
ミラ
ミラ…やはり、気のせいではなさそうだ。わずかではあるが、マナの減少速度が緩やかになっている
ミラ無論、完全に止まったわけではないが…
アスベルセルシウスの暴走を鎮めたから、という事じゃないのか?
ミラ確かにセルシウスの暴走を鎮めた時もマナの減少速度は変化したが、その時よりさらに遅くなっているのだ
ミラ…セルシウスの暴走を鎮めた以外にも、マナに影響する何かが起こったという事か…?
リッド…何かよくわかんねえけど、マナの減り具合がマシになったって事なら、いい事じゃねえのか?
ミラだといいが…
リオン腑に落ちない点があるにしろ、原因がわからないなら、今考えたところで仕方ないだろう
アスベル…それもそうだな。確かに気がかりではあるけど、いい方向に動いているのかもしれない
アスベルこれによって俺達のやるべき事が変わるわけじゃないし、今はとにかくアスカの暴走を鎮める事を考えよう
ミラ…ああ、そうだな。では、気を取り直して先へ進むと──
ガサ…
リタみんな、気をつけて!すぐ近くに何かいる!
ルーク魔物か!?
リッド…そのようだぜ。みんな、気をつけろ!
scene1アスカ、再び
ミラようやく、戻って来られた…
ルークここがテムザ山か。そういや、クレス達と合流する前近くを通ったっけな
リッドああ、何かでっけえ山があるとは思ってたけど、まさかここに大精霊がいたなんてな
アスベルああ、俺も何だか信じられない、というか…不思議な気分だ
カノンノ不思議な気分?
アスベルテムザ山には今まで何度も来た事があるんだ。前回は確か、ユーリと一緒だった
ルークユーリと?男同士でピクニックでもしてたのかよ?
アスベルまさか!騎士団を抜けたばかりのユーリと、行動を共にしていたんだ
アスベルフレンがユーリを追って来て、二人が戦う羽目になってしまって…大変だったんだぞ
リタふーん、あの二人が…そんな事があったのね
リッドリオンは、前にミラと一緒にここへ来て、アスカとやり合ってんだよな?
リオンああ
リオンだが…
ルークセルシウスでうまくいったんだ。前の時の失敗は気にしなくていーんじゃねーの?
ルークリプリカームの効果はお墨付きなんだろ? それにこの俺もいるんだしな!
リタ…はあ、あんたのその自信は一体どこから沸いてくるんだか…
ミラ
カノンノミラ、一緒に必ずアスカを救ってあげようね!
ミラ…ああ、そうだな。よし、では山を登るとしよう
ミラアスカは中腹にある洞窟にいた。まずはそこを目指そう
ルークよーし、待ってろよ、アスカ!
scene2アスカ、再び
リタここが、例の…?
アスベルこんなところに洞窟があったなんて初めて知ったよ
リッド異変の影響であちこち地形が変わっちまってる。こいつが元々あったモンかはわからねえけどな
ミラ…皆、気を付けろ。周囲の気がかなり張り詰めている
ルークこの奥にアスカがいるっつー事か
カノンノうん、間違いないみたい…。ネックレスも反応を示してる
リオン
ミラ…待てリオン、単独で動くのは危険だ。以前とは違うただならぬ気配を感じる
ミラアスカの暴走がより進行しているのだろう…
アスベル暴走が進行!?…確かに、前にミラ達がここへ来てから時間も経っているが、でもだからって…
ミラそれ以外にも、思い当たる事はある…
リオン…あの男か
リタあの男って?
ミラ前にここへ来た時、妙な男に出くわしたのだ
ミラ奴は、魔導器とおぼしき剣を向けアスカに何かを施していた
ルークブ、魔導器だって!?それって一体…
リオンその男がアスカのマナを乱し暴走を促進させようとした。…僕達はそう考えている
ミラ具体的にその男が何をしていたか確証がない分、あくまで仮説にすぎないがな
カノンノそんな…
リタ魔導器で精霊に干渉…?そんな魔導器があったとして、どうしてそんな事を…
リッドさあな。想像もつかねえよ。リタは魔導器に詳しいんだろ?
リッドその魔導器を使ってるヤツに心当たりはねえのか?
リタわからない…。研究者だとしてもそんな魔導器が存在するなんて聞いた事ないし…
リタあ!
リタ妙な男、で思い出したけど、あたしも前にア・ジュール港でわけ知り風な怪しい男に会ったわ
アスベルわけ知り風って、どういう事だ?
リタ今回の一連の出来事について、何か知ってそうな感じだった
リタ一連の戦いの裏事情を知る…あるいは、例の第三者に直接何らかの関わりを持っているのかも…
リタそういえば、そいつの事はジェイドが部下を使って調査してくれてるはずなんだけど、どうなってんのかしら
ミラいずれにせよ、今回の一連の出来事に誰かの陰謀が関わっている事は明らかだ
ミラ私の見た男とリタの会った男が、何者かわからないにせよ、警戒は怠らないに越した事はない
ミラリドウの事もあるしな
ルークん?リドウ?何だそれ、初耳だぜ?
ミラ私を襲撃した男だ。精霊回収を目的としているが故に邪魔な存在となる私を消そうとした
リオン
カノンノそんな…一体何のために…
ミラ目的まではわからない。…だが、私とは相反する目的を持ち動いている事は確かだ
リタ…なら、そのリドウって奴と例の怪しい男が共謀してる可能性も無きにしも非ずって事ね
ミラああ、私もそう考えていた。二人は、明らかに私達とは敵対した行動をとっているからな
ルークま、リドウだか何だか知らねーがその辺りの事は、ユーリやクレスが調べてんだし、大丈夫じゃねえの?
リッドああ、だといいんだけどな…
カノンノあ…みんな!ネックレスの光が急に強く…
ミラ…これは警告だ。アスカが近付いて来ている…!
リオン僕達の存在に気付いたようだな
アスカウッ…ウオオォォォォォォッ!
アスベル…!これはアスカの──…くっ、何だ!?このすさまじい風は一体…!?
リッドおい、まさかあれが…!
アスカグオオオーーーッ!
アスベルこれが大精霊アスカか…
リタすごい迫力…。さすがは大精霊ってとこね
カノンノでも、何だか苦しそう
ルーク苦しんで…そういやクロノスも苦しんでたよな。…って事は、待てよ、あの時のあいつも暴走…?
アスカグオオオオオッ!
ミラアスカ…。今度こそ必ず救い出してみせる!
アスカグアアアアアアアアアッ!
リッド来るぞ!
scene1引き離された仲間
ミラアスカ、これで最後だ…目を覚ませ!
ザシューーーッ!
アスカグア…
アスカガ…
ルークはあ…はあ…よし、これで大人しく──
アスカグオオオオッ!
アスベルくっ…駄目か!
リッドあれだけの攻撃を与えたのに…まさか効いてねえとか言うんじゃねえだろうな…!
リオン…いや、アスカをよく見てみろ。傷はある。効いていないはずがない
ミラリプリカームを与えるためにもアスカの暴走を一時的に鎮める事は必要不可欠だ…
ミラもう一度、攻撃を仕掛ける…皆、援護を頼む!
ルークしょうがねえな、任せろ!
リタあたしは遠方から援護するわ!カノンノ、あんたもここにいなさい
カノンノうん、わかった
ズドッ!
アスベルぐっ…!
アスカグアアアア!
リオンちっ…
アスカガアッ!!
ミラくっ…アスカ!お前を傷付ける事は本意ではない…
ミラ頼む、早く大人しくなってくれ…!
ザシュッ!!
アスカグア…
リッドミラの攻撃でアスカが怯んだ!みんな、今の内だ!
ルークよし、行くぜアスカ!!
アスカグアア…
アスカグアアアアアアッ!
ルークな、おい…!どこに行きやがんだ──
カノンノきゃあっ!?
リタなっ、カノンノがアスカに捕まったわ…!
アスベルカノンノ!!アスカ、カノンノを離すんだ!
ルークおい、あの野郎、まさかあのまま飛び去ろうっつーんじゃねーだろうな!?
ミラそうはさせるか!
ガシッ
アスカグオオオーーッ!
リオンミラ!アスカに掴まって、何をする気だ!
アスベル更に高く…!カノンノをどこへ連れて行く気だ!?
リッドミラ!無茶すんな!早く降りろ!
バサァッ、バサァッ
アスベルおい、待て!ミラ、カノンノ!
アスベルカノンノーーッ!
ルークミラーーッ!
カノンノお願い、話を聞いて!アスカ!
ミラカノンノ、今は何を話しても無駄だ。それより振り落とされないようしっかりと捕まっていろ
ミラ隙を見て、お前を安全な場所へ連れて行く、だから今は──
アスカグアアアアーーッ!
ミラなっ…!!このまま振り落とす気か!?
カノンノお願いアスカ、ミラを落とさないで!こんな高さから落ちたら…!
アスカクアアアアーーッ!
ミラくっ…!落ちる!カノンノ、私が行くまで、無事で…!
カノンノそんな…
カノンノミラ!ミラーーーーーーッ!!
scene2引き離された仲間
リオンアスカはこの洞窟の天井の穴から飛び去った。おそらく山頂の方を目指せば…
ルーク途中で見つけられるかもしれねーって事だよな?よし、なら早いとこ追いかけようぜ!
リッドああ、それがいい。早く追いつかねえと見失っちまう
リタあたしらは大精霊の居場所を感知出来ないしね…。急いだ方がいいわ
アスベル…カノンノ、ミラ。すぐに行く、どうか無事でいてくれ…
ミラうっ…ここは…
ミラ…ああ、そうか私は落下して──…
ミラ…そうだ、カノンノ!?
ミラうっ…!落下した時の衝撃で…傷を負ったか
ミラだが、幸い大きな傷にはなっていないようだ
ミラ四大…
ミラ心配をかけてすまない、私は大丈夫だ。カノンノもアスカも、必ず救ってみせる…!
ミラお前達も落下の衝撃から私を守ってくれたのだろう?弱っているのに、すまないな
ミラ…いや、だが休む暇はない。カノンノを追わねば…
ミラ世界や大精霊を救うにはカノンノの存在は不可欠だ…
ミラ取り返しのつかない事態になる前に何としても…!
ミラ
ミラ…アスカは山頂の方か。よし、早速──
カラ…
ミラむ…?頭上から石が…
グオオオオッ!
ミラ…くっ、魔物か!あいにくだがお前と遊んでいる時間はない!
scene1想いの果てに
ミラようやく山頂にたどり着いたか。アスカとカノンノはどこだ…?この辺りにいるはずだが…
アスカギィィッ
ミラここにいたか…。アスカ、今お前をその苦しみから救い出してやるぞ。だからカノンノを…
ミラ…!アスカ…カノンノはどこだ?彼女をどこへやった!?
ミラまさか…!
アスカグアアッ!
ミラくっ…馬鹿な、何て事を…!!
ミラカノンノはお前を救える唯一の存在、それをお前は…!
アスカガアアッ!
ミラくっ…
アスカグオオッ!
ミラはあ、はあ…話が通じるはずもないか。ならば──…
アスカガアアアアッ!
ミラなっ…!あの速さは避けきれな──
バシィッ!
アスカグアッ!
ミラ何だ…?何が起きた?
???こんなところで死ぬつもり?世界を救うって話は嘘だったのかしら
ミラ…!お前は…
ミラミュゼ…どうしてお前がここに?
ミュゼ…そんな事より、ミラ。あなたの捜しものは、この子でしょ?
カノンノ
ミラカノンノ!
ミュゼ大丈夫よ、気を失っているだけだから
ミラミュゼ、お前がカノンノを救ってくれたのか?
ミュゼこの子が死んで困るのは別にあなた達だけじゃないって事よ
ミラ確かにそうだな。だが、理由は何であれ礼を言う
ミラここでカノンノを失えば、大精霊を救う事はおろか、世界も破滅の一途をたどる事になっていたからな
ミュゼ…何があってもこの子だけは守れ、…ガイアスからの指示よ
ミュゼ…とにかく、これで私の役目は終わり。この子は返すわ
ミュゼどういう理由か知らないけど、ウィンドルの連中もいない状態で勝機はない
ミュゼこの子を死なせたくないなら今は身を引くべき──
アスカグアアアアアアアッ!!
ミラ…!
ミラ…ミュゼ、悪いがついでにもう一つ頼みを聞いてくれないか
ミラ安全な場所へカノンノを連れて行き、守ってやってほしい
ミュゼ…あなたはどうするのよ
ミラ私はここでアスカと戦う
ミュゼ…無茶な事言わないで
ミュゼ一人で太刀打ち出来る相手じゃない事くらい、あなたが一番よくわかっているはずよ
ミュゼ更には全身に傷を負って…そんな状態で戦うなんて死ににいくも同然──
ミラ…アスカの力はよく知っている。だが、それでも今引く事は出来ない
アスカガアアアアッ!
ミラ来い、アスカ!お前の相手はこの私だ!!
ミュゼちょっと、ミラ!
scene2想いの果てに
カノンノう…
ミュゼ
カノンノん…あれ…ミュゼさん?
ミュゼあら、やっとお目覚め?
カノンノどうしてミュゼさんが…?私…確かアスカに連れ去られて…
カノンノ…そうだ、ミラ!ミラも一緒だったの…!でも、途中でアスカに振り落とされてしまって…
ミュゼ振り落とされて…?…あの全身の傷はそういうわけだったのね
カノンノ全身の傷って…ミュゼさん、ミラに何かあったの!?ミラは大丈夫な──
ドォーーン!
カノンノ…!何の音!?あっちの方から聞こえて…
アスカガアアアアッ!!
ミラくっ…
カノンノあれは…
ミュゼ…見ての通り、ミラはアスカと戦ってるわ
カノンノまさか一人で…?
ミュゼええ、そうよ。止めたって聞きやしないんだから…
カノンノ大変…一人だなんて無茶だよ…!私もそっちに…
ミュゼ…待ちなさい。あなたをミラのところへ行かせるわけにはいかないわ
カノンノミュゼさん!?お願い、そこを通して…!
ミュゼ駄目よ。あなたが死ねば、世界を救う手だてはなくなって、ガイアスが悲しむもの
カノンノ
ミラはっ!
アスカグオオオッ!
ミラくっ、寸時に攻撃をかわされたか…ならば、これでどうだ!
ザシュッ!
アスカグア…
ミラよし、今の内に一気に──…
アスカガ…ガアアッ!!
ミラなっ…!
ズカッ!
ミラうぐっ…!
カノンノミラ…!!
ミュゼ
カノンノお願いミュゼさん!ミラのところに行かせて…!このままじゃミラが…
ミュゼ…駄目よ
カノンノ一人でアスカを倒すなんて無理だよ!ただでさえ、ミラはセルシウスと戦った時に深い傷を負ってる
カノンノその傷だって完全に癒えてないのに、新たな怪我まで負って…。一人でどうにか出来る状態じゃ…
ミュゼそんな事、あなたに言われなくてもわかってるわよ
ミュゼミラには忠告したわ。一人で敵う相手じゃない、あなたを連れて身を引けと…
ミュゼそれでも聞かなかったのはミラよ。…自業自得だわ
カノンノ自業自得…?
カノンノどうしてそんな風に言えるの!?ミラは必死に頑張ってるんだよ、世界と大精霊達を救うために
カノンノ私欲のために戦ってるんじゃない…。…お願いだから、そんな言い方はしないで…!
ミュゼ
ミラはあ…はあ……せめてもう少し、思うように身体が動けば…
アスカグオオ!
ミラ…アスカの動きにはまるで隙がない。やはりミュゼの言ったように勝機は微塵もないのか…?
アスカガアアアアアッ!
ミラうっ!
ミラ…ぐ…それでも…私は諦めるわけにはいかない
ミラ必ず救い出してやるぞ…アスカ!
ミュゼミラ…
ミュゼどうして?どうしてそこまでして一人で立ち向かおうとするの…?
ミュゼここで身を引き、態勢を立て直し新たに挑む事だって出来たはず。なのに──…
カノンノミラは、一刻も早くアスカを救い出してあげたいんだと思う…
ミュゼアスカを…?
カノンノうん。このネックレスの力の存在が明らかになる前、ミラは一度アスカと戦った事があるみたい
カノンノその時は、結局アスカを救う事が出来なかったみたいで…ミラ、本当に悔しそうにしてた
カノンノ今身を引いたら、その分アスカの苦しみは長引く。…そんな風に考えてるんじゃないかな
ミュゼ
カノンノそれに、ミラってね、四大精霊やセルシウスと、よく話をしているの
カノンノいつも本当に楽しそうで何だか、親友だったり家族と話しているみたいな感じなんだよ
ミュゼ家族…
カノンノそう、家族。ミラにとって大切な存在だからこそ、どんなに不利な状況でも逃げずに救おうとしてるんだと思う…
ミュゼ
カノンノミュゼさん…お願い。私をミラのところに行かせて
カノンノ私にとって、ミラは…みんなは、大切な存在なの!失いたくないよ…
ミュゼ
ミュゼ…ごめんなさい、カノンノ
ミュゼあなたの気持ちは十分伝わったわ。…だけど、答えは変えられない、私にはあなたを守る義務があるから
カノンノな、何を…
アスカグオオオッ!
ズドッ!
ミラうっ…!
ミラ…やはり、どうあがこうと私一人では無理なのか…?
ミラくっ…四大が万全の状態であれば…一人でも…
ミラ…いや、私には仲間がいる。せめて、アスベル達がここにたどり着くまではやられるわけには──
アスカガアアッ!
ミラ…!あれは…
バサバサ…
ミラアスカが遥か上空へ…まずい、まさかこの一撃で私を仕留めるつもりなのか…?
ミラくっ、何としてでもこの攻撃だけはかわさねば…
ズキン!
ミラうっ…こんな時に足の傷が…
アスカグアアアアアアアアアッ!!
ミラしまった…!
ドカッ!
ミラ…!
ミュゼ…全く、手のかかる妹ね
ミラミュゼ!?
ミラどうして戻って来た!?カノンノは…
ミュゼあの子は無事よ。そんな事より──
アスカガアアアアッ!
ミュゼまずは目の前のアスカをどうにかすべきね
ミラあ、ああ
ミュゼ…ミラ、あなたは下がってなさい。その傷じゃ足手まといになるわ。アスカは私が倒す
ミラいや、アスカは私が救う。ここで引き下がる事はしない。断じてな…!
ミュゼ本当に聞きわけのない子…。なら勝手にしなさい、邪魔になるようなヘマはしないでよね
ミラお前こそ、遅れを取るなよ!
scene3想いの果てに
ミラこれで決める!
ミュゼ受けなさい!
ミラ・ミュゼはあああああっ!
ズバーーーーッ!!
アスカクアアアアーーーッ!
アスカア…アア…
ミュゼ何とか大人しくなったみたいね
ミラああ、そのようだな…
ミラでもまさか、一時は対立し剣を交えたお前と、こうして共に戦う事になるとはな…
ミラ…妙な感覚だった。いや、だが姉妹である事を考えれば本来は自然な形なのかもしれんが
ミュゼ
ミラ…ミュゼ、礼を言う。今日は二度も危機を救われたな
ミラどちらの時も、お前が来てくれていなければ私は確実にやられていただろう
ミラアスカを倒す事が出来たのもお前の協力があっての事だ
ミュゼ協力って…、勘違いしないでよね。私はあくまでガイアスからの指示、…ガイアスのためにやった事よ
ミラガイアスの指示はカノンノを守る事、だろう?
ミラそれなら、私に構わずカノンノを連れここから立ち去れば済んだ事、…私を救ったのはやはりお前の意志だ
ミュゼう、うるさいわね!意志なんて、そんな明確なものは何もないわ…ただ──
カノンノミラ!ミュゼさん!
ミラカノンノ!…無事だったか!
カノンノうん、私は大丈夫。ずっとあそこの岩陰に隠れてたから
カノンノそれより…ミラとミュゼさんこそすごい怪我…大丈夫なの?
ミラああ、問題ない。ミュゼもこう見えてタフだからな
ミュゼタフって…それは褒めてるのかしら?
カノンノ
ミラそうだ、それよりもカノンノ、早速アスカにリプリカームを与えてやってほしい
カノンノうん、そうだね!
ミュゼ
ミラ早速始めてやってくれ
カノンノうん!アスカ…お願い、元に戻って──…
アスベルカノンノ!ミラ!
リタ二人とも大丈夫!?…って、そこに倒れてるのってアスカじゃない!
リオンネックレスの光がアスカに…
リッドああ、セルシウスの時と同じだ
ルークあれが大精霊の暴走を鎮めるリプリカームって奴なのか…?
カノンノお願い、どうか…アスカを助けてあげて…
アスカクウウ…
ミラ…アスカ?私の言っている事がわかるか?
アスカ
ミラアスカ…
ミラ皆、アスカは無事正気を取り戻す事が出来たようだ
リオン
アスベル暴走が鎮まった、という事だよな…よかった…
ミラ…カノンノ、お前に礼を言っているぞ
カノンノううん、お礼ならミラに言って。あなたを救うために必死に頑張ってくれたんだよ
カノンノ例えリプリカームがあったとしても、ミラがいなかったら、きっとあなたを救う事は出来なかった
ミラカノンノ…
アスカ
ミラいや、礼には及ばん。むしろ、もっと早く救ってやれなかった事を詫びねばいけないくらいだ…
ミラ…それよりアスカ。目覚めたそばからすまないが、私達に力を貸してくれないか
ミラお前と同じ暴走状態に陥り今も尚苦しんでいる大精霊が世界各地にいる
ミラそれにより自然の調和が取れなくなり世界の命を蝕んでいる状況だ…
ミラ既にセルシウスの協力は得られる事になっている。…アスカ、お前の力も貸してほしい
アスカ
ミラアスカ…
アスベルミラ、アスカは何て言ってるんだ?
ミラ…快く承諾してくれた。私達と共に、仲間と世界を救いたいそう言ってくれている
カノンノアスカ…ありがとう。あなたが力を貸してくれる事、本当に心強く思うよ
リッド…なら、契約ってワケだな
リタ確か精霊の力を借りるにあたって必要な儀式、よね
ミラああ。ではカノンノ、早速ネックレスを
カノンノうん!
リオンネックレスの色がまた変わったな
リタ未だに信じられないわ、この中にセルシウスとアスカがいるなんて…
リオン
ルークそれよりミラ、大丈夫なのかよ?どこもかしこも傷だらけじゃねーか
ミラああ、心配は無用だ
リオン…そうには見えんがな
アスベル遅くなってしまって悪かったな。あちこち必死に捜し回ったんだがなかなか見つけられなくて…
リタカノンノとミラがいなきゃ、あたしらは大精霊の気配すらたどれないものね
リッド…にしても、まさかお前達だけでアスカを倒しちまうなんてな
カノンノ私は何もしてない、アスカを倒せたのはミラと──
カノンノ…あれ?
ルークあ?他に誰かいるのか?お前ら二人だけじゃねーのか?
ミラ
リオンミラ、どういう事だ?お前達以外にも誰かいたのか?
ミラ…ああ。私の姉がな
アスベル姉…?
ミラああ、危険を顧みず私の窮地を救ってくれた、この上なく心強い、頼れる姉だ
リタ──これでアスカの暴走も無事鎮められたわけだけど…次はどこへ行けばいいの?
ルーク…なあ、次はクロノスのところに行かねーか?
リオンクロノス…。時空の歪みにいたという大精霊か
ルークああ、アスカを見て思ったんだ。あいつもきっと暴走してたんじゃねーかって。だから…
カノンノきっと、今も苦しんでるんだよね…
ルーク
ルーク…わからねえ。けど…あの時の借りは返さねえと俺の気がすまねえ
ルークあいつを元に戻して…そしたら、もう一回ぶん殴ってやる!
リッド元に戻してから、か。へえ、案外いいとこあんじゃねえか
ルークう、うっせーな!とにかく、クロノスのところに行く!いいなお前ら!
ミラ私は異存なしだ。奴なら既に居所もわかっている事だしな
ルーク何はともあれ、まずはメルトキオの方へ向かおうぜ
ルーク時空の歪みの入口がある亀裂はあっちの方だろ
リタちょっと待って。ルドガーかユリウスの力がないと亀裂には入れないんじゃなかった?
ルークそ、そんなのわかってるっつーの!メルトキオに行きながらどうやって会うか考えればいいだろ!
リタバカっぽい……
カノンノとにかく、早速出発しようよ!メルトキオに向かう時に、どこかでばったり会えるかもしれないし
アスベルそれもそうだな。じゃあ、行くとしよう!

NameDialogue
scene1メルトキオを目指して
ユーリ…ここもひでえ有様だな
ロイドこんなように廃墟みたいになった街や村を見るのは、これで何度目だ?
ゼロス数えちゃいねーが、相当な数だな。しかも、世界中のあちこちで起きてやがる…
クレスくっ…一体何のためにこんなひどい事を…
レイヴン目的はわからんけども、これがもし例の第三者の仕業だとしたら、相当、執念深そうな連中だねえ
スタン最初に第三者の話を聞いた時、本当にそんな奴がいるのかなって思ったんだけど…
スタンこうして実際に破壊された村を見て、本当なんだって実感したよ。…これは間違いなく人の仕業だ
ユーリああ。ただの火事でこんな風に焼けたり崩れたりはしないもんだ。やったのは目的と意志をもった奴だ
ロイドウィンドルとア・ジュールの戦争を引き起こしたのもその第三者だとすると…
ロイドかなりでっかい組織なのかもな…
クレスうん。範囲も広いし、規模も大きい。少なくとも敵が一人でない事は確かだと思うよ
アーチェこんな事…絶対に許せないよ!何としてもそいつらの正体を突き止めないと
ユーリ何とか尻尾を掴めるといいんだが…この様子じゃ大した手がかりはなさそうだな
スタンなら、別の村に行ってみよう。確か、ここからもう少し進んだ先に村があったはずだ
ゼロス…よし、早速行ってみようぜ
リッド…それにしても、まさかあのミュゼがミラの姉だったとはな
リッドカン・バルクで会った時も特別親しい感じもなかったし、姉妹だとは思ってもみなかったぜ
ミラ姉妹とはいっても、私もそれを知ったのは最近の事だ
ミラお前達が気付かないのも無理はない
ルークけどよ、だからってあの女が本当に助けてくれるなんて、何か未だに実感湧かねえっつーか…
カノンノ…ミュゼさんは優しいよ、とても。ミラとアスカが戦っている時も二人の事、ずっと見てたし
ミラ
カノンノ…きっとね、すれ違っていたミュゼさんと私達の気持ちが一つになったんだよ
アスベルカノンノ…。ああ、きっとそうだな
アスベルにしても、肝心のミュゼはどこへ行ってしまったんだ?一言、礼を言いたかったんだが…
ミラおそらくア・ジュールへ戻ったのだろう。じきに会えるさ
リタ…ま、何はともあれ、お蔭でアスカの暴走は鎮められたわけだしあたしらも先を急ぎましょ
リオンああ、そうだな
scene2メルトキオを目指して
ルークやっとシルヴァラントに入ったぜ。あの先にあんの、メルトキオだよな?まだ結構距離がありそうだな
リタ文句言わないの。それだけ、時空の歪みの亀裂にも近づいたって事なんだから
リッドああ、でも先にルドガーかユリウスを捜さねえと、だろ?オレ達だけじゃ亀裂に入れねえからな
リタユリウスは、亀裂に飲み込まれた人達を助けるために、時空の歪みを行き来してて…
リタルドガーは、ジーニアス達と一緒にウィンドルとア・ジュールの国境地帯に行ってるはずなのよね?
リオン…ジーニアスと一緒にいる、だと?なら、目的地はこのままメルトキオで問題はないはずだ
リオン国境地帯での調査を終え、奴が街へ戻って来ていれば、ルドガーの居場所を聞く事が出来るかもしれん
リッドリオン、お前ジーニアスの事知ってるのか?
リオン僕が知っているのはリフィルだ。彼女には弟がいて名がジーニアスだと前に聞いた事があっただけだ
ルークへえ、あいつにも姉貴がいたのかよ
ミラとにかく、一度メルトキオへ行ってみるか
アスベル
リタそうね…
リタって、ちょっと聞いてんの、アスベル?
アスベルえ…ああ、ごめん。メルトキオへ行くって話だったよな?
カノンノ…アスベル、どうかしたの?何だか元気ないみたい
アスベル…いや、少し驚いていただけだ
アスベル正直戦場じゃないシルヴァラントまでこんなひどい状態になっているとは思ってなかったからさ…
カノンノそうだよね。地震のせいであちこちに亀裂があるし
リタ崩れている建物も、目立つわね
アスベル改めて事態の深刻さを感じた、というか…気付いたんだ
アスベル今、この世界に安全だと言い切れる場所なんてどこにもないんだって…
カノンノアスベル…
カノンノもしかして…シェリアさんの事、考えてた?
アスベルあ、うん…。よくわかったな?
アスベル今頃どうしているかと思ってさ
アスベルあいつ、大人しそうに見えて、結構無茶するところもあるからさ。危ない目に遭ってないといいけど…
カノンノやっぱりあの時、シェリアさんを捜すべきだったね。そうすれば直接話も出来たのに…
カノンノアスベル、次に会えそうな機会があったら、絶対ちゃんと会いに行ってね?
カノンノシェリアさんだってきっと、すごく心配してると思う…
アスベルああ、そうだな──
ガサッ
リタ…?ねえ、今そこで何か動かなかった?
ミラああ、黒い影が見えた。そこの草むらに何か…
ガルルルル!
ミラ魔物か…!
scene1尋ね人の行方
シェリアそうですか、この辺りでは騎士は見かけていないんですね…。ありがとうございます
シェリア…ふぅ
シェリアこっちも駄目ね…。国境地帯の方にもいなかったし、本当にどこに行っちゃったの…?
シェリア戦場に出向いていた他の騎士団員達はみんな帰って来たっていうのにどうしてアスベルだけ…
シェリア…やっぱり、何かあったとしか…
シェリア…あら?
シェリアここは一体どの辺りかしら…?初めてかも、この森…
シェリア考え事をしている内に道を間違えてしまったのかしら…。…とにかく、ここを早く出ないと
シェリアもう、またここ…!?しんっじられない!
シェリアどう進んでも辿り着く場所は同じ…。ひょっとして、ますます迷い込んでしまってるんじゃ…
シェリアやっぱり…あのままバロニアに留まっていた方がよかったのかな…
シェリア…ううん、そんな事ない怪我してる人を助けられた事もあったじゃない。それに…
シェリアアスベルが危険な目に遭ってるかもしれないのに、ただ待ってるなんて私には出来ない…!
シェリアとにかく…一刻も早くここから出てアスベルを捜さなくちゃ──
カラ…
シェリア…?
ガラガラガラ…!
シェリア…!崖が崩れ…!
シェリアきゃああああっ!
ドサッ!
シェリアう…
シェリアどうしよう…身体が動かない…痛い…
シェリア私…このまま死んじゃうの…?
シェリアアスベル…お願い、助けて…アスベル…
リッドメルトキオはもうすぐか。もっと歩くかと思ったけど、意外と早かったな
ルークどこがだよ!ずっと歩きづめで、ようやくじゃねーか!
リタこら、文句ばっか言ってんじゃないわよ
アスベル…?
カノンノアスベル、どうかしたの?
アスベル今、誰か…俺の事を呼ばなかったか?
ミラ誰も呼んでいないぞ
リオン僕も何も聞こえなかった
リタ空耳か何かじゃないの?
アスベルそうか…気のせいならいいんだが…
アスベルさあ、あと少しだ。メルトキオへ急ごう
カノンノうん!
scene2尋ね人の行方
カノンノここがメルトキオ…
アスベルああ、シルヴァラントの王都だ。もしかして、見覚えがあるのか?
カノンノそうだといいなと思ってあちこち見てたんだけど特に何も…
アスベルそうか…
ルークよし、それじゃ早速、ジーニアスの姉貴って奴のとこに行ってみようぜ
ミラリオン、場所はわかるのか?
リオンああ、概ね見当はつく
リッドよし。なら、さっさと行こうぜ
アスベルうん?あれは…
リオンあの女がリフィルだ。他の奴は知らな──
ルークルドガーじゃねーか!ジーニアスとコンウェイまで一緒かよ!
コンウェイやあ、キミ達。久しぶりの人と初めましての人が混ざっているようだね
リフィルあら、あなたはリオン…
リタ…手がかりを探しに来て、あっさりその当の本人に会えてしまうとか、何だか拍子抜けだわ
ミラああ。だがルドガーを捜す手間は省けた。リオンの提案に乗って正解だったな
ジーニアスルーク、リッド。二人共どうしてここに?
ルークそれはこっちのセリフだっつーの!国境地帯から戻ってたんならとっとと連絡寄越せよ!
ジーニアスごめん、ごめん…。実はボク達も、ついさっき帰って来たところなんだ
ジーニアス…それより、ちょうどよかったルーク達に話したい事があるんだ。すごい事がわかったんだよ!
ジーニアス今、世界中で異変が起きているのは、各地の大精霊がおかしくなったのが原因だったんだ
ジーニアスボクはクロノスが今回の異変と関わりがあるって言ったよね?その仮説は正しかったんだよ!
リッドああ、まあそうだな
ジーニアス…?何か反応薄い…
ルークあのな、そんな事、俺達もとっくの昔に気付いてるっつーの
ジーニアスえー、知ってたの?せっかくみんなの役に立てると思ったのになあ
ルドガーところで、さっき俺を捜す手間がどうのって話してたよな?
ルドガーもしかして、それも異変と何か関係あるのか?
ルークっと、そうだった。ルドガー、俺達をもう一度、クロノスのところへ連れてってくれよ
ルドガークロノス…時空の歪みか。まずは、状況を説明してくれ
ミラ…わかった
ルドガー…大精霊の暴走、そういう事だったのか
コンウェイでも、まさかキミ達が既にその暴走を鎮めるべく動き出していたとはね
リオン時空の歪みにいるクロノスも、おそらくマナ減少の影響を受け、暴走状態に陥っているはずだ
アスベル世界の崩壊を食い止めるためには一刻も早くクロノスの暴走を鎮めなければならない…
アスベルそのために、力を貸してくれないか?
ルドガー勿論だ。この世界は俺達全員で守るべきだ、喜んで協力するよ
カノンノよかった…
アスベルじゃあ早速、時空の歪みに入れるという亀裂へ向かおう
コンウェイボクも引き続き同行させてもらうよ。暴走する大精霊を鎮めるなんて、そう見られるイベントじゃないしね
ジーニアスボクも行く!
リフィル駄目よ、ジーニアス。あなたは私と一緒に街の人達の手助けをする、そう約束したでしょう
ジーニアスでも…
リフィル約束は約束です。それに、メルトキオに留まっていればロイドが戻って来るかもしれない
リフィルロイドは、あなたを心配してずっと捜してくれていたのだから会って、きちんとお礼を言いなさい
ジーニアスわかったよ、姉さん…一緒に行くのは諦める。君達、クロノスの事は任せたからね
リッドああ。どうなるかわからねえが、やれるだけやってみるさ
リタそれじゃ、早速時空の歪みへ向かいましょ。ルドガー、よろしく頼むわ
ルドガーわかった。じゃあ早速メルトキオの南にある大きな亀裂へ向かおう。移動はそこから──
きゃあああ!
カノンノな、何!?今の悲鳴は…
ガルルルル!
アスベルまずい、あんなところに魔物が…!早く仕留めないと街の人達が…
リオンちっ、面倒な奴らだ…。仕方ない、さっさと片付けるぞ
scene1いざ、時空の歪みへ
ゼロスこの村もひどいもんだな
ロイド状況からすると、この村が破壊されたのは最近みたいだ
クレスくっ…。何でもいい、とにかく何か手がかりになりそうなものを──
レイヴンちょい待ち。向こうから誰か来るみたいよ?
スタン村の住人か?
アーチェ…わかんない。とにかくみんな隠れて!ほらほら!
???
ユーリあいつは…?
クレスわからない。でも、あの人が持つ雰囲気…ただ者ではなさそうだ
スタン…ちょっと待て。あいつ、確か前に会った事があるぞ
クレス本当かい?どこで?
ゼロスミラさま達とテムザ山へ行った時だ。俺さまも一緒だったからな、間違いねえぜ
アーチェあ、あたしもあたしも!前、ア・ジュール港であいつに会ったよ!
ロイド何だって?って事は、そっちでもあいつは大精霊に何かしてたのか?
アーチェ大精霊に何かって…ちょっとロイド、それ、どういう…
レイヴンしっ…みんな、声がでかいって
???…そこで何をしている
クレス気付かれた…!
ユーリ…やれやれ。こんな大所帯じゃ息を潜めるのも一苦労ってか。仕方ねえな
???お前達は…
スタンあの時以来だな。俺達の事、覚えてるか?
ゼロスここで会えたが百年目ってな。お前さんには聞きたい事がたくさんあるんだよ
???……
アーチェちょっと、待ちなさ──
ユーリそう慌てんなって
ユーリ時間を取らせるつもりはねえ。ちょいとばかし、こっちの質問に答えてくれりゃいいだけだ
???
ユーリ単刀直入に聞くぜ。この村をこんな風にしたのはあんたか?
???……
ユーリここだけじゃねえ、あちこちの街や村がこんな目に遭っていて、オレ達はその犯人を追っている
ユーリもう一つ。ウィンドルとア・ジュールの戦争再開を仕掛けた奴がいるらしい
ユーリそのせいで、大精霊って奴が暴走して、今、世の中はとんでもない異変に見舞われている
ユーリオレ達はこの両方が同じ奴の仕業だと睨んでいる
ユーリそこへ来てオレ達の行く先々に現れるあんただ
ユーリ答えてくれ。あんたなのか?あんた、何者なんだ?
???以前にも忠告したはずだ。深入りはするな、と
レイヴンこっちが真剣に尋ねてんのに、そりゃあんまりな答えじゃないの?
???ならば聞くがいい。この村より後、滅びた街はない
スタン何だって…
クレスどうしてそんな事がわかるんだ?
ゼロス決まってんだろ、こいつが破壊の手を止めたからだ。やっぱりこいつが俺さま達の捜してた──
ゴゴゴ…
ロイド…!まずい、地震か!?
ゴゴゴゴゴ…!
スタンみんな、気を付けろ!大きいぞ!
アーチェ何だってこんな時に…って、ちょっと!あいつが行っちゃう…!
ロイドおい、待て!話はまだ済んでな──
ドドーーン!
クレスくっ…!家が崩れてくるなんて…!
スタン逃げられた…。手がかりを掴むチャンスだと思ったのに
ゼロス悪運の強い野郎だぜ。次に見つけたら、今度こそ取っ捕まえてやる
クレス何か事情を知っていそうだったし、やっぱり例の第三者はあの男なんだろうか…?
ロイド事情に詳しいだけじゃない。あいつには、アスカをより暴走させてたって疑惑もあるしな
アーチェだとしたら、やっぱりあいつが今回の首謀者って事?
ユーリ…どうだろうな
レイヴンおよ、青年、何か思うところでもあんの?
ユーリってわけでもないんだが…ただそう簡単に決めつけていいもんなのか気になってな
レイヴンまあ、関わりありそうってだけで判断するのは、確かにねえ
クレス…どちらにせよ、ここで彼に話を聞けなかったのは痛かったね
ロイドああ、そうだな
ユーリ
アスベルルドガー、例の亀裂まではあとどれくらいで着くんだ?
ルドガーそう遠くない。この先を進んだところだ
ミュウご主人様、会いたかったですの!
エミルルーク!リッドさん!それに他のみんなも!
ルークエミル、それにブタザル!?お前らこんなとこで何やってんだ?
ミラルーク達の知り合いか
リッドああ、お前達と合流する前に時空の歪みを一緒に調べてた仲間だ
エミルマルタ達を無事バチカルまで送り届けた事だし、僕もみんなと合流しようと思って
ミュウボクもご主人様のお手伝いをするですの!
ルークうるせえ!っていうか、エミルはまだしも、ブタザル、お前はチーグルの森の事が…
ミュウ森の方は、ティアさんやエミルさんが力を貸してくれたお蔭でもう大丈夫ですの!
ミュウ心配してくれてありがとうございますですの。やっぱりご主人様は優しいですの!
ルークだ、誰が心配してるんだっつーの!
ルーク俺はただ、お前が途中で放り出したら俺の立場がねえと思ったっつーか…
リッドエミル、マルタはどうしているんだ?
エミルうん。バチカルや近隣の街の人達の救護活動に当たってるよ
ルークへー、あいつの事だから絶対うだうだ言うかと思ったのに、案外すんなり出て来られたんだな
エミル状況が状況だしね。そうも言っていられないよ
リッドま、そりゃそーだな
エミルところで、みんなはこれからどこへ?
ミラ時空の歪みだ。クロノスの暴走を鎮めるためにな
リオンそのために、入口となる亀裂を目指している
ミュウだったらボク達も、お供させて欲しいですの
エミルお願いします
ルーク…しょうがねーな。足手まといになんじゃねーぞ?
カノンノ心強い仲間が増えたね。ね、アスベル
アスベルああ!
リタ今さら少し増えたって関係ないけど、とにかく亀裂に行くんでしょ。急ぎましょ
ミラああ、そうだな
scene2いざ、時空の歪みへ
エミル王様に会ったり、各地の大精霊を鎮めて回ったり…ルーク達は本当に大忙しだったんだね
ルークま、まあな!俺の活躍がなけりゃ、今頃この世界は崩壊してたぜ
ミュウさすが、ご主人様ですの!今ボクがこうしていられるのもご主人様のお蔭ですのー!
リタはいはい、バカやってればいいわよ
コンウェイ世界の滅亡か…ボクはこれまでにもいろんな世界を見てきたけれど…
コンウェイこの世界は、そうだな…言うなれば存在そのものが安定を欠き、揺らいでいる──
コンウェイ今は小康状態にあるみたいだけれども中々危険な状態だと思うよ。急いだ方がいいんじゃないかな
ミラああ、状況は勿論把握している。だからこそ、こうして私達も必死に動いているのだ。手遅れになる前にな
カノンノ一日も早く世界を元に戻して、みんなが元通り暮らせるようになるといいね
アスベルそうだな。必ず事態を収拾させて、この危機を乗り越えないと──
ゴゴゴ…
リオン…!地震か…
ゴゴゴゴゴ!
エミル…!大きい!
アスベルみんな、気をつけろ!
ズザッ!
カノンノ…!
ミュウカノンノさん、危ないですの!
リタ二人の足下に亀裂が!?
ミラカノンノ!ミュウ!
カノンノきゃあああーーーっ!?
ミュウご、ご主……!
ルークブタザル!カノンノ!
ガシッ
ミュウみゅううぅ!ご主人様、そんなに強く引っ張ったら痛いですのー!
ルークうるせえ!落っこちたくなけりゃ、我慢しろ──
ルーク…って、うわわっ!?
ルークうおおおおおおおおっ!!?
リオンルーク!
アスベルくっ、そうはさせな──
バシィッ!
アスベルうわっ!?
ミラアスベル、大丈夫か
アスベル亀裂に飛び込もうとしたら光に弾かれて…今のは一体!?
リッドこの亀裂には、特殊なバリアみたいなモンがあって、故意に中に入ろうとすると弾かれちまうんだ
リッドルークが一緒に入れたのは偶然、ってヤツだろうな
コンウェイルークくんはつくづく時空の歪みと縁が深いみたいだね
アスベルくそっ、目の前にいたのに…俺は…っ
リッド…!アスベル、嘆いているヒマはねえぞ
ガサッ!
アスベル…くっ、魔物か
グルルルル!
scene3いざ、時空の歪みへ
アスベルはああ!
ズバッ!
ギャウウッ!
ミラよし、魔物は倒したな
アスベルくっ…カノンノ、ルーク、ミュウ…!
ルドガーアスベル、気を落とすな。ここから追えなくても心配ない。そのために俺がいる
ルドガー当初の予定通り、亀裂から時空の歪みに侵入し、カノンノ達を捜し出すんだ
アスベルルドガー…
アスベルああ、そうだな。ありがとう
リタそれにしても、さっきアスベルを弾いた力ってやっぱり…
ミラああ、確証はないがおそらくあの力もクロノスによるものだろう
ミラ…嫌な予感がする
コンウェイ奇遇だね、ボクもだ。クロノスの暴走がより深刻な状況になっていないといいけれど
リオンとにかく、先を急ぐべきだ
ルドガーそうだな。ルークがついているとはいえ、早く合流するに越した事はない
アスベルすぐに追いつくからな。どうか無事でいてくれ…
scene1侵入
ルドガーみんな、ここが例の亀裂だ。ここから時空の歪みへ向かう
リオン…相変わらず桁外れの大きさだ
リタリオン、あんたここに来た事があるの?
リオンああ。その時は時空の歪みの存在すら知りもしなかったがな
エミル時空の歪みに侵入したら、ルーク達にはすぐ会えるんですか?
ルドガーいや、それは何とも言えない。運よくルーク達の近くへたどり着ければいいけど…
コンウェイこれまでの話の中で何となく察しはついているかもしれないけれど向こうは普通の場所じゃない
コンウェイキミ達が今いるこの世界の常識が、そのまま通用するとは思わない方がいいよ
アスベルそれじゃ、カノンノ達は…!
リッド落ち着け、アスベル。コンウェイだって、別に会えないって言ってるわけじゃねえだろ?
アスベルう…そうだな。ごめん、つい焦って
リタとにかく、行きましょ。ルドガー、お願い
ルドガーわかった。ではみんな、下がっていてくれ
ルドガー
ルドガー…はああっ!
ミラこの光は…!
エミル前にユリウスさんがやった時と、同じだ
アスベルま、まぶしい…!
ポタ…ポタ…
…ピチャン!
ルークうっ…冷てえ
ルークん…?ここは…
ルーク…そうか。時空の歪みに落っこちて…
ルークって、そうだ!おい、カノンノ!ブタザル!大丈夫か!?
カノンノん…
カノンノあれ…、ルーク…?
ルークどうやらお前らも怪我はねえみてーだな
カノンノ私、一体何を……あ、そうか。私が亀裂に飲み込まれそうになって、ミュウとルークも…
ルークそういうこった。ったく、段取り狂っちまったぜ
カノンノって事は、ここが時空の歪み…?
ルークああ。しかも俺達しかいねーんだ。これからどうすりゃ…って
ルーク起きろっつーの、このブタザル!
ボカッ
ミュウみゅううう!?
ミュウ痛いですのー…あ、あれ?ご主人様…どうしてここにいるんですの?
ミュウあの時亀裂に落ちたのはボクとカノンノさんだけで…
ルーク憶えてねーのかよ!お前が落ちそうになったから…って忘れてんじゃねえ!
ミュウそうだったですの!ご主人様はボクを助けようとしてくれたですの、感謝ですの!
ルークったく…ま、今さら言ったってしょうがねーか。とにかく行くぞ、お前ら
ミュウどこへ行くですの?
ルークどこって、クロノスを捜すに決まってんだろ。そのためにここ目指してたんだから
カノンノでも…!クロノスと戦う前にここでアスベル達を待った方が…
ルーク大丈夫だろ。ルドガーの奴が一緒なんだし、すぐ追いついてくるって
ルークそれに、俺達が先行してクロノスを見つけておけば、手間も省けるってもんだろ
ルークおら、わかったら二人共とっとと行くぞ!
カノンノう、うん…
ルーク…よし、クロノス。待ってろよ!
ミュウみゅうう…本当にボク達だけで、大丈夫なんですの…?
scene2侵入
リオン…ここは時空の歪みの中か?
ルドガーああ。既に侵入している
リタここが時空の歪み…こんな風になってんのね。興味深い…
リッドファラの奴、こんなとこに来てたのか…
アスベルカノンノ!
エミルルーク!ミュウ!
ミラ返事がないな。どうやらカノンノ達は、この近くにはいないようだ
コンウェイせめて、三人が一緒だといいんだけどね。バラバラだと捜すのも大変だから
ルドガーとにかく今は、カノンノ達と合流する事を最優先に考えよう
ミラああ、それがいい。仮にクロノスに遭遇しても、カノンノの力なしに暴走を鎮める事は出来ないからな
リタもしカノンノ達と会う前に、クロノスを見つけちゃったら?
リオン暴走を鎮める手だてなしに、クロノスを刺激するのは避けるべきだ
エミルクロノスとの戦闘を避けながら、ルーク達と合流する…そういう事ですか?
アスベルああ、それが最善の策だろう
アスベルミラ、クロノスの気配には常に注意を払って、何かあったら声をかけてほしい
ミラ勿論だ
リッドよし。方針も決まったところで、動くとしようぜ
カノンノ…時空の歪みって、随分広いんだね
ミュウボク達も初めてここに来た時はたくさん迷ったですの…
ルークああ。どこまでも同じような景色で進んでんのかどうかも、さっぱりわからねえ
カノンノ…ねえ、ルーク。私達、本当にアスベル達と合流出来るのかな…?
ルーク…何とかなんだろ。前にここに来た時も、結構いろんな奴と出くわしたし
ルークそれにいざって時はこの俺がいるんだから、心配いらねーって
ミュウはいですの!ご主人様はとっても強いですの!
カノンノふふ、そうだね。ありがとう、ルーク、ミュウ
ガサ…
ミュウみゅ…?
ルークどうした、ブタザル?
ミュウ今何か音が聞こえたですの…
ルークああ?何も聞こえねえぞ?カノンノ、お前は聞こえたか?
カノンノううん…私も何も──
ガサ…!
ミュウやっぱり何かいるですの…!カノンノさんの後ろ──
ガウッ!
ミュウみゅ!?
カノンノミュウ、危な──
ガウウッ!!
カノンノきゃあっ…
ルークカノンノ大丈夫か!?くそっ、一匹じゃねえのかよ!
カノンノルーク、駄目!動かないで…囲まれてる…!
ルークくそっ、まさかここは…魔物の巣なのか!?
ガウウウウッ!
scene3侵入
カノンノえいっ!
ズバッ!
ギャウウッ!
カノンノはあ…はあ…
ルークおいカノンノ、無理すんな!
ミュウ息を切らして、苦しそうですの…
カノンノだ、大丈夫…まだまだ…
グオオオオ!
ミュウま、また別の魔物が出てきたですの…
ルークちっ…!次から次へと
カノンノはあ…はあ……うっ
ミュウカノンノさん!
カノンノあ…ごめんね、ミュウ…ありがとう、大丈夫だよ
ルークくそっ、カノンノは限界みてーだし、このままじゃマジでヤバいな
ルーク逃げようったって、この有様じゃ逃げ切れそうにねーし…
カノンノルーク達だけなら大丈夫だよ…!…私がここで足止めする、その間に二人は早く──
ルークなっ…馬鹿言ってんじゃねえ!んな事出来るわけねーだろ!
カノンノでも…
ルークでも、じゃねえ!駄目なもんは駄目だっつーの!!
ルーク忘れたのかよ。クロノスを元に戻せんのはお前だけなんだからな!
グルル…
ミュウご、ご主人様、また囲まれたですの…!
ルーク…こうなったら仕方ねえ。俺が奴らを引き付けるからその隙にお前らは逃げろ
ミュウみゅ!?それは駄目ですの!ボクはご主人様を守るですの!
ルークるせぇ!言う通りにしろ!
カノンノルーク…駄目だよ、そんなの…
ルークうだうだ言ってんじゃねえ!魔物に食われたいのかよ!とっとと行けっつーの!!
ミュウご主人様…わかったですの!カノンノさんを安全なところに連れてったらすぐ戻ってくるですの!
ミュウカノンノさん!急ぐですの!
カノンノそんな…ルーク…!ごめんなさい…ごめん…
ルーク…ったく、手間かけさせんじゃねえっつーの
ルークおい、お前ら、魔物の分際で好き勝手させねえ!
カノンノはあ…はあ…
ドタッ!
ミュウカノンノさん!?
カノンノうっ…足が…
グオオオオッ!
ルークあ、こらてめえ、どこ行きやがる…
ルークって、カノンノ?!まだ、そんなとこにいたのかよ!?
ルークくそっ、魔物の奴!お前の相手は俺だ!戻ってきやがれ!
ルーク駄目だ、カノンノ、逃げろ!カノンノ!!
ヒュンッ!
ズドッ!
ギャウウウッ!
カノンノえ…?な、何が…?
ミュウ矢が飛んできて魔物をやっつけたですの…!
ルーク矢だって…?一体誰が…
???そこのあなた!怪我はなくって?
ルークな…ナタリア!?どうしてお前がここに…
ナタリアルーク…?あなた、ルークですの!?
アッシュナタリア、間に合ったか?
ルークお前は…アッシュ!?
アッシュ…!
カノンノルークの…知り合い?
ルークお前…けど、あれは別の世界の…何で…
アッシュちっ…!
scene1二人の赤髪
ルークおい、ナタリア。どういう事だよ、何でお前がこいつと一緒にいんだよ!
ナタリア何でって、お友達だからですわ。あなたこそ、どうして彼の事を知っているんですの?
ルークどうしてって…分史世界で俺はそいつと──
カノンノはあ…はあ…
ミュウカノンノさん、大丈夫ですの?
カノンノごめんね…足手まといになっちゃって…
ルークったく無理すんなよ。お前、俺と違ってあんまり頑丈じゃなさそうなんだし
ミュウそうですの!無理は禁物ですの!
ルークそれはそうと、おいアッシュ!何でお前がここにいんのか、説明しろ
アッシュ
ルークお前はルドガーの言ってた分史世界の人間じゃねーのかよ…って
ルーク…いや、待てよ…?
ルークひょっとして分史世界の奴が時空の歪みに入り込んで…って事は…このナタリアもあっちの世界の…?
アッシュ…?何をわけのわからん事を…
ルークだーっ!頭がこんがらがってきた!
ルークこの際何でも構わねー!とにかく、お前を見てるとムカつくんだよ!とっとと消えろ!
ナタリアちょっとルーク、そんな言い方をするものではありませんわ
ルークうるせーな!お前こそ何なんだよ「お友達」って。そんな事、納得出来るわけねーだろ
ルーク大体、王位継承者で、俺の婚約者のくせにこんなとこでふらふらしてんじゃねえっつーの
カノンノこ、婚約者…?
ミュウナタリアさんはキムラスカの王女様で将来ご主人様と結婚する事が決まっているですの!
ルークどこで知り合ったか知らねーが、どうせそいつに何か調子のいい事言われたんだろ
ナタリアまあ、何を仰いますの!?アッシュはそんな人では──
アッシュナタリア、よせ
アッシュそんな屑は放っておけ。いちいちつき合う必要もない
ナタリアですけど…
ルークな…!屑だと…!?俺は屑じゃねー!ふざけんな!
ルークそれに話はまだ終わってねーぞ!待てよこら!
カノンノルーク!
ミュウご主人様!
scene2二人の赤髪
ルークくそっ、あいつらどこ行きやがった?
ミュウご主人様、向こうですの!
アッシュ…ここは前に通った場所だ。くそっ、どうなってやがる…!
ナタリアどこもかしこも変わり映えしない景色ですわね…どうすればここから出る事が出来るのでしょう
ルークおい、お前ら!
ナタリアルーク!?
ルークその様子だと、道に迷って困ってんだろ。ざまあねえな
アッシュ
ルークここは時空の歪みって呼ばれる、特殊な空間だ。闇雲に歩いても元の世界には戻れねーんだよ
アッシュ…時空の歪み、だと?
ルーク俺の仲間のルドガーは別だけどな。そいつには、この時空の歪みを出入りする特殊な能力がある
ルークナタリア、俺達と来いよ。話したとこ、お前はいつも通りだし分史世界の住人じゃねーって気がする
ルーク俺達はもうすぐルドガー達と合流するから、一緒に来ればここから出られるぜ
ルークだけどアッシュ、お前は駄目だ
ナタリアな…
カノンノルーク…アッシュさんだけ、ここへ置いていくつもりなの?
ルークしょうがねえだろ。こいつは分史世界って別の住人だ。俺達の世界に来たって──
ナタリアルーク、さっきから何を仰ってますの?アッシュは他の世界の人なんかじゃありませんことよ
ルークああ?そんなはずないだろ。俺はこいつを分史世界で見たんだ
ルークこいつが俺達と同じ世界の住人なら、こいつは一体何者なんだよ
ナタリア何者って、私のお友達ですわ。それだけでは不十分ですの?
ルークこんな場所でいきなりそんな話されたって、簡単に信じられるかっつーの!
ルークおい、アッシュ、答えろ!お前は何者なんだよ!
アッシュ……
アッシュ俺は…俺はお前の…
ルークあ?
ミュウみゅ?
アッシュ…いや、何でもない
ナタリア…アッシュ?
ルーク何だ?言いかけた事があるなら最後まで言えよ!おい!
アッシュうるせえ、屑!お前なんざと馴れ合うなんぞ俺の方こそ願い下げだ!
ルーク何だとこの野郎…!
カノンノルーク、駄目!
ミュウご主人様、落ち着いてですの!
アッシュこいつの馬鹿面を見ていると反吐が出る。行くぞ、ナタリア
ナタリアあ、お待ちになって、アッシュ!
ミュウ行ってしまったですの…
ルーク何だあの野郎、思わせぶりな態度ばっかしやがって。むかつくっつーの!
ルークナタリアもナタリアだ!そんなにあいつがいいなら、勝手にしろ!
カノンノルーク…
ミュウアッシュさん、何だかご主人様に雰囲気が似てたですの。心配ですの…
ルークああ?あいつと俺が似てるってのか?ふざけんじゃねーぞ、このブタザル!
ミュウみゅううう!ごめんなさいですの!
カノンノ…ねえ、ルーク。二人の後を追わなくていいの?このままじゃきっと…
ルーク放っとけ。野垂れ死にしたけりゃ、勝手にしろっつーんだ
カノンノでも…
ルークあいつらがどうなろうと俺には関係ねえ!
カノンノルーク…
ガサ…
カノンノ…え?今の音…
グルルルル!
ミュウご主人様、魔物ですの!
ルーク…ちっ!
scene1未来からの来訪者
リッドやれやれ…ルーク達の姿はどこにも見当たらねえな
コンウェイ時空の歪みは広大だからね。注意深く捜していくしかないと思うよ
リオンルドガー。お前の力でルーク達の居場所を探知する事は出来ないのか?
ルドガーすまない、そこまでは…
エミルそう上手くは、いかないって事ですね…
アスベルどこだ…?カノンノ達は一体どこに──
ゴゴゴ…
リタえ…?待って、これって地震…?
ミラ
ゴゴゴゴゴ…!
リオン時空の歪みの中でも地震が起こるのか…
コンウェイ普通なら、考えられないんだけどね
アスベルだけど、現にこうして起きている。一体どういう事なんだ…?
ミラ…どうやら、近くにクロノスがいるらしい
ミラ今の揺れと同時期に大精霊の強い力を感じ取った
ルドガーだとしたら、まずいんじゃないのか?ルーク達と合流する前にクロノスと遭遇したら…
ミラ
リタカノンノ抜きで戦うのは無意味よ。今すぐここから離れるべきだわ
ミラ…いや、待て。この状況は逆に好機かもしれない
アスベル好機…?ミラ、説明してくれ。どういう事なんだ?
ミラカノンノはネックレスを通じクロノスの気配を感知する事が出来る
ミラ仮にカノンノがクロノスの居場所を突き止めたとしよう。そうすれば、彼らは確実に動く…クロノスの元へな
リタ待って。ミラには悪いけど、そうはならないと思う
リタカノンノは、ルドガーの能力の事も知ってるし、あたしらがすぐに助けに来るだろう事もわかってるはずよ
リタいくらクロノスの存在を感知したってさすがにあたし達と合流する前に向かうなんてバカはしないと思う
ミラああ、カノンノ一人ならクロノスから身を潜め、私達を捜していたかもしれない
ミラだが、ルークが一緒だとしたら…おそらくクロノスの元へ向うだろう。じっとしていられる性格ではないしな
ミラルークは確かに短気でわがままだが、剣の腕はたつ。クロノスとも少しの間なら渡り合えるはずだ
ミラ…ルークは、かつて光の神殿でも行動を共にした仲間だ。彼の性格と腕は、多少わかるつもりだ
アスベルそんな…、カノンノ達だけでクロノスに挑むなんて無茶だ…!
ミラあいにく、ルーク本人はそうは考えていないだろう
アスベルじゃあ俺達が取るべき最善の手は、このままクロノスの近くで待つって事か?
ミラああ。危険を伴うが、このままあてもなく捜し回るよりは、会える見込みは高い
リタなるほどね…。確かにルークならやりかねないわね。わかった、前言撤回するわ
リオン僕も異論はない。クロノスと戦闘にならない距離を保つ事もミラがいればどうにかなるだろう
ミラそれについては、任せてくれ
ルドガーじゃあ、決まりだな
リッド罠を仕掛けて、獲物がかかるのを待つ時に似てるな。猟師のオレには馴染み深い感覚だぜ
アスベルカノンノ…こっちへ来てくれよ…
カノンノルーク…やっぱり、ナタリアさん達の後を追った方がいいよ
ミュウミュウもその方がいいと思うですの。ナタリアさん達が心配ですの
ルーク俺に指図すんじゃねー!だいいち、離れてったのはあいつらだろーが!
カノンノそうだけど…でも、このままじゃ二人共時空の歪みからずっと出られなくなっちゃうよ…
カノンノそれに、さっきアッシュさん、ルークに何か言いかけていたよね?
カノンノもう一度、ちゃんと話をした方がいいと思う
ルーク
カノンノこんな機会は滅多にないかもしれないよ
カノンノアッシュさんもきっと伝えたい事あるんじゃないかな?
カノンノ私がルークの立場だったらアッシュさんと話をしようとするよ
カノンノその時の感情で話をしないまま、それっきり会う事もなくて…
カノンノもしその人に何かあったら、私はきっと、話をしなかった事を後で後悔すると思うから
ルーク
ミュウボクもご主人様に、そんな想いはして欲しくないですの…
ルークだー!指図すんなって言っただろ!わーったよ、追えばいいんだろ!追えば!
カノンノ本当に!?
ミュウやっぱりご主人様は優しいですの!
ルークやかましい!勘違いすんじゃねえ!俺はただ、あいつらが勝手に死んだら後味悪いって思っただけだからな!
ルークましてや、あのアッシュの野郎なんかどうだっていいんだ
ルークただ、ナタリアの奴があいつと一緒にいるから仕方なく追いかけてやるだけだ!
カノンノうん、それでいいよ。それじゃ急いで行こう!
ミュウ行くですの!
ルークって、こら、お前ら!俺より先にずんずん行くんじゃねー!
scene2未来からの来訪者
カノンノナタリアさんとアッシュさん、どこに行ったのかな
ミュウもうこの辺りにはいないかもしれないですの…
ルークったく、はた迷惑な連中だぜ。大人しくじっとしてろっつーの
ズドーーーン!ドゴーーーン!
カノンノな、何?何かすごい音が…
ミュウ何かが暴れているみたいですの!
ギャウウッ!
ルーク今の声…魔物か!?
カノンノナタリアさん達が、魔物と戦ってるんじゃない?助けないと!
カノンノナタリアさん、アッシュさん!大丈夫──
カノンノ…って、あれ…?
???ふう…
ミュウみゅみゅ!?違う人ですの!
ルーク…!あいつは…!
???…あ、ルーク
ルークソフィ!やっぱりお前かよ!
カノンノルークの知り合い?
ルークああ、ミラやユーリ達と同じ光の神殿に一緒に乗り込んだ仲間だ
ルークまたお前に会えるとは思ってもみなかったぜ!しかもこんなところでよ!
ソフィここ…どこなの?知らないところみたい…
ルーク時空の歪みってんだ。何でも別の世界同士を繋ぐトンネルみたいな空間なんだと
ソフィ時空の歪み…
カノンノあの…こんにちは
ソフィ…こんにちは
ルークおっと、そうだった。紹介するぜ。カノンノと──
ミュウミュウですの。よろしくですの!
ルークあ、こら、勝手に自己紹介してんじゃねえ、このブタザル!
ソフィカノンノに、ミュウだね。よろしく。わたしは、ソフィ
ルークったく…。で、何でソフィは、こんなところにいるんだ?
ソフィ実は…またわたし達の時代でおかしな事が起きてて…
ソフィ過去に原因があるかもっていう話になって、わたしが調べる事になったの
ソフィそれでリアラに、転移させてもらったんだけど…
ルークリアラって確か、未来にいるソフィの仲間だったよな
ソフィうん…。でも転移してる途中で、突然変な感じになって
ソフィ急にどこかへ引っ張られる感じになって、気付いたらここにいたの
ルーク引っ張られる感じ、か…。もしかしたらそいつも、クロノスの影響かもしれねーな
ソフィクロノス?
ルーク時空を司るとかいう大精霊だ。こっちはこっちで、また大変な状況になってんだよ
ソフィそんな事になってたんだ…大変だったんだね
ルーク…まあ、つーわけで、俺達はクロノスの暴走を鎮めなきゃならねーんだ
ルークソフィ、お前も俺達と来いよ。お前の時代の妙な異変って奴もこの影響かもしれねーだろ
ソフィうん、いいよ。わたしの調べる事にも関係してるかもしれないし
ミュウソフィさんが一緒に来てくれると、心強いですの
カノンノうん、そうだね
ルーク他の奴らも時空の歪みに来てるはずだからそのうち会えると思うぜ
ルーク…って言っても、お前に馴染みがあるのはミラくらいか…。アスベルとか、知らねーだろ?
ソフィ…!アスベルがいるの?
カノンノソフィさん、アスベルとも知り合いなの?
ソフィうん。…でも、こっちのアスベルはまだわたしの事を知らないと思う
ミュウみゅう~…何だかややこしいですの…
ルークまあいいや。とにかく行こうぜ。まずはナタリア達を見つけねーと
カラ…
ソフィ…!そこに何かいる!
ガルルル!
カノンノみんな、気をつけて!来る!
scene1クロノスとの再会
ルーク…あれ?って事はもしかしたら──…
ミュウ…?ご主人様、どうかしたんですの?
ルークいや、思ったんだけどよ、ソフィは未来の世界から来ただろ?
ルーク…って事はつまり、お前が生きてる時代まで、この世界は滅びないっつー事じゃねーのか?
カノンノ確かに、そう言われてみたら…
ソフィ必ずしもそうなるかはわからない…
ソフィジューダスが言ってたの、未来はとても変わりやすいものなんだって
ルークジューダス?誰だ、そいつ?
ソフィジューダスは友達だよ
ルーク何かよくわからねーけど、つまりは、アテには出来ねーって事か
ルークちえっ、いい考えだと思ったのに、そう甘くはねーってか
ルークま、ソフィだってこうやって自分の時代を救うためにここへ来てんだもんな
カノンノふう…
ミュウカノンノさん、大丈夫ですの?
カノンノううん、大丈夫。心配かけてごめんね
ソフィさっきからずっと同じような場所を歩いてる…
ルークそうなんだよな。前もそれで苦労したぜ
ソフィこうやってただ歩いてるだけで、クロノスを見つけられるの?
ルークああ、その点は大丈夫だ。大精霊が近くにいれば、カノンノのネックレスが光るからな
ソフィそうなんだ。すごいね
カノンノどうしてそうなるのか、理由はわからないんだけどね
カノンノあ…
ミュウネックレスが光り始めたですの!
ルーク言ったそばからマジかよ!
ソフィこの近くにクロノスがいる…?
カノンノナタリアさんとアッシュさん、大丈夫かな
ルーク考えたらあいつら、クロノスの事は何も知らねーだろうし、俺達より先に出くわしたらヤベーかもな…
カノンノ早くクロノスを見つけないと
ミュウ頑張るですの!
ソフィうん、頑張ろう
scene2クロノスとの再会
カノンノネックレスの光が…
ミュウますます強くなっているですの!
ルークどこだ?クロノスの奴、どこにいやがる!
ソフィ…!
ソフィ空気が震えてる…何かが近くで戦ってるみたい
カノンノまさかナタリアさん達が…!?
ルークくそっ…ソフィ、空気が震えてるのは、どっちの方向かわかるか?
ソフィ…多分、あっち…
ルークよし、お前ら、急ぐぞ!
ミュウ…見つけたですの!
クロノスグゥゥ…
ナタリアアッシュ、私に構わず、お逃げになって!
アッシュ馬鹿な事言うな!そんな事出来るわけねえだろうが!つっ…!
カノンノアッシュさん、怪我してる…!
ソフィルーク、行かなきゃ…あの人達死んじゃう…!
ルークちっ…!
ナタリアアッシュ、駄目ですわ!退かなくては!
ナタリアあなた一人ならここから逃げる事も出来ますわ。ですから…
アッシュ何度も同じ事を言わせるな!俺だけ逃げるなどとそんな──
クロノスグアアッ!
ナタリアアッシュ!
アッシュくっ…!
バシィッ!
アッシュな…!?
ルーク…けっ、さっきの借りはこれで返したからな!
ナタリアルーク…!
アッシュお前…どうしてここに…
ルーク…どうしても何も、俺達はこいつの暴走を鎮めるために時空の歪みへ来たんだよ
アッシュ暴走…だと…
ルーク大精霊のクロノスってんだ。時空の歪みもこいつの暴走のせいだ
ルーク…こいつの相手は俺がやる。お前はナタリアを連れて後ろに下がってろ!
ナタリアルーク…この魔物は普通の魔物ではありませんわ!あなた一人ではどうにも──
ソフィルークだけじゃないよ、わたしもいる
ナタリア
ルークっつーわけだ。とにかく、お前らは大人しく傷の手当でもしてるんだな!
アッシュ
クロノスグウウ…
ソフィクロノス…何だか苦しそう
カノンノ今まで会った他の大精霊も、みんなこんな感じだったよ…
ミュウ助けてあげないといけないですの
ソフィそうだね…何としても
ルークやっと会えたぜ、クロノス。待ちわびたぜ。お前とは──
クロノスガアアアアッ!
ルーク何だよ、最後までしゃべらせろよ!せっかく、会ったら何て言うかずっと考えてたのに!
クロノスグオオオッ!
ソフィルーク、来るよ!
ルークちっ、ったく…せわしない奴だぜ!
scene3クロノスとの再会
ソフィやああっ!
バシィッ!
クロノスグア…!
ルークはああっ!
ズバッ!
クロノスグ…ウウ…
ルークはあ…はあ…今の攻撃は手ごたえがあったぜ…!どうだクロノス、何とか言えよ
クロノスウ…アア…ア…
ドサッ!
ミュウクロノスの動きが、止まったですの!
カノンノこれでリプリカームを与えられる…!
ルークいてて…へっ…何とかなったみてーだな
ソフィうん…、よかった…
ルークおい、ナタリア、アッシュ。…お前らの方は大丈夫なのか?
ナタリアええ…あなた達のお蔭で傷を癒す事が出来ましたし、随分楽になりましたわ
アッシュ
ナタリアそれにしても…まさか本当にあの魔物を倒すなんて…
ルーク…ま、俺にかかりゃ余裕だぜ。それとさっきも言ったけど、こいつは魔物じゃねえ。大精霊だ
ナタリア大精霊…
ルークよし、カノンノ、こいつがまた動き出さねえ内に早いとこ暴走を鎮めちまえよ
カノンノあ、うん…!わかった、すぐに──
クロノスグ…ァ…
ナタリアルーク、後ろ!クロノスが…!!
ミュウクロノスがまた動き出したですの!
ルークなっ…!たいがいしぶとい野郎だな…!大人しくしてろっての!
クロノスグオオ…
ルークって…まさかその構え…また俺達を分史世界へ飛ばそうとか考えてんじゃねーよな…?
ルークそうはさせるかよ!!
ミュウご主人様…!ボクも手伝いますの!
ルークこれでも食らえっ!はああああっ!
ズバーーッ!
クロノスグ…
ルークよし、今度こそ…
ルークうぉっ!?しまっ…!
ミュウみゅ…か、身体が──…
ソフィルーク!?ミュウ!?
カノンノどうなってるの!?光がまぶしくて二人が見えない…!ルーク!ミュウ!
ルークぬおおおおーーーーっ!
ミュウみゅうううーーーーっ!
ソフィう…光が収まったみたい…
ソフィ──ルーク…?ルーク!?
ナタリアそんな…ルークとミュウが…消えてしまいましたわ…
アッシュクロノスの姿もない…!くそっ、馬鹿な!一体どこへ…
カノンノそんな…ルーク!ミュウ!
scene1死闘
リオンクロノスの気配を感じ取ったのはこの方向で間違いないんだな?
ミラああ、間違いない!あのすさまじい力は間違いなくクロノスのものだ
ミラ…だが、この感じは……
ミラおそらくクロノスは今、何者かと戦闘状態にある
ルドガー何者か…か。せめて一市民でない事を願うばかりだ
ミラ安心しろ、その可能性は低い。相手が戦う術を持たない人間なら、このような強い力を放つはずがない
アスベルだとしたら、カノンノ達か…?くっ、とにかくこのまま急いでクロノスの元へ──
ミラ…!これは…
リッドどうした、ミラ?
ミラクロノスの気配が消えた…何が起きたというのだ…?
リタちょっと…それって一体どういう事なのよ!?
ミラ…私にもわからない。すぐ傍にあったはずの強い気配が跡形もなくこつ然と消えたのだ
コンウェイ…もしかしたら、例の分史世界ってところに移動してしまったのかもしれないね
ルドガー分史世界か、大いに考えられる話だな…
リタ…あるいは、ルーク達がクロノスを倒して暴走を鎮めたとか?楽観的すぎる気もするけど…
エミルとにかく、さっきクロノスの気配があった場所まで行ってみよう
ルドガー…あそこに、誰かいるみたいだ
アスベル…!カノンノ!
カノンノアスベル!
ソフィアスベル…?
アスベル…?そうだけど、君は一体…
ミラソフィ…ソフィではないか!
ソフィミラ…!
アスベルソフィ…?
エミルあなたは…ナタリア様…!?どうしてこんなところに…
ナタリア…?あなたは?どうして私の事を…?
エミル…!失礼いたしました、私はキムラスカ王国の騎士、エミル・キャスタニエです
ナタリアまあ、キムラスカの…
リッド知らない奴らがいると思ったら、みんな誰かの知り合いみたいだな
リタそうみたいね
アスベルそれにしてもカノンノ、本当に無事でよかった…。どこも怪我はないか?
カノンノ私は大丈夫…!
カノンノでも、ルークとミュウがクロノスと一緒に…
コンウェイ…消えた、という事かな?
アッシュ何故わかる?
コンウェイ既に経験済みだからね。ま、前回はクロノスの同行はなかったけど
コンウェイ…それにしても、二度も同じ手にかかるなんてルークくんも懲りないなあ
リタあんたね…そんな呑気な事言ってられる場合じゃないでしょ?
リタルーク達がクロノスと一緒にどこか孤立した空間へ行ったとしたら…状況はかなりまずいわ
ミラああ、相手はクロノスだ。とてもじゃないが、ルークとミュウだけで、倒せる相手ではない…
ミラ仮に上手く倒せたとしても、カノンノがここにいる以上クロノスを鎮める事は出来ない…
アスベル…カノンノ、とにかく詳しい状況を聞かせてくれ
カノンノうん…
ルークぬおおおおーーーっ!
ルーク…っと、ここはどこだ…?例の分史世界って奴か!?
ルーククロノスの野郎…また性懲りもなく俺をわけのわからねー場所に飛ばしやがって…
ミュウご主人様!
ルークブタザル!?何でお前までこっちにいんだよ
ルーク…!
クロノス
ルークそこにいたのか、クロノス
ルーク俺達を放り出して逃げ出したわけじゃなかったんだな。誉めてやるぜ
クロノスグアアアアアア!
ルークって、何だよ…!あれだけ叩きのめしてやったのにもう元気を取り戻しやがって
ルーク…こっちはさっきの戦いでヘトヘトだってのに、不公平じゃねーか
クロノス…グ…ウ…アアアアッ!
ミュウでもやっぱり…苦しそうですの
ルーク
クロノスグ…ウ…ウ…
ルークおい、クロノス。お前、今「暴走」してるって自覚あんのかよ?
ルークその暴走って奴、お前自身の意志じゃねーんだろ?そんなの悔しくねーのかよ!?
クロノスグ…ア…
ルーク大精霊のくせに悔しくねーのかよ、何とか言ってみろよ!
クロノスグオオオオオオッ!!
ミュウご主人様…!危ないですの!
ルークくそっ、問答無用かよ。暴走してんのに俺の声なんか聞こえるわけねーか…
ルーク
ルーク…上等じゃねえか。こうなったら力ずくでも、目を覚まさせてやる
ミュウミュウもご主人様と一緒に、戦うですの!
ルーク馬鹿、お前に何が出来るんだよ。邪魔だから引っ込んでろ
ミュウご主人様、怪我してるですの…ボクはご主人様を守るですの!頑張るですの!
ルークだからってお前が戦えるわけじゃねーだろが!危ねーから下がれ!
ミュウ嫌ですの!ご主人様一人で戦わせないですの!
クロノスグアアアアアアッ!!
ルークちっ…、しょうがねえ。勝手に死ぬんじゃねえぞ、ブタザル!
scene2死闘
リタやっぱり、ミラが感じ取ったのは、あんた達とやり合ってた時に放ったクロノスの力だったのね
リッドで、ルーク達が飛んでったのはやっぱり分史世界とかいうところなのか?
ルドガーそこまではわからない。カノンノの話を聞いただけでは何とも…
コンウェイ時空の歪みは、いろんな世界と通じているからね。可能性を挙げればキリがないよ
ルドガー残念だが、コンウェイの言う通りだ
ルドガーさらには、暴走したクロノスの力は時空の歪み内のみにとどまらずあらゆる時空に影響を及ぼしている
ルドガー新たなる空間が出来ている事も考えられる以上、下手に動く事は避けた方がいい
リオン手の打ちようがないという事か…
ナタリア私のせいですわ…。私とアッシュを助けようとしたためにルークはこんな…
エミルナタリア様、ご自分を責めないでください。ナタリア様のせいではありません
ミラエミルの言う通りだ。例えお前達がいようがいまいが、ルークの選択は変わらなかったはずだ
アッシュ
リタねえ、もしルークとミュウがクロノスを倒す事に成功したら、ここへ戻って来る事は可能なの…?
ミラ仮にそうする事が出来たなら一時的にクロノスの力は消失する。可能性としては十分にある、が…
アスベルルーク…とミュウだけでクロノスを倒す事自体が難しい、そういう事か
ミラああ…。ルークに限った話ではなく、大精霊が相手である以上誰であっても厳しいだろう
ソフィそんな…
コンウェイいずれにせよ、今はルークくんに一縷の望みを託す他ないだろうね
エミルルーク…君なら出来る…。僕は信じて待つよ
カノンノルーク…ミュウ…どうか無事で戻って来て…
アスベル
アッシュちっ…
ソフィアスベル…
アスベル君は…ソフィだったね
ソフィうん…
アスベルそうか、君だね…。リチャードを助けてくれたのは
ソフィあ…、うん…アスベル、わたしの事知ってるの?
アスベルああ、リチャードから話は聞いてる。まさかこんなところで会う事が出来るなんてな
アスベルずっと会いたいと思ってたんだ。直接お礼が言いたくてさ、…本当にありがとうな
アスベルリチャードは俺の大切な友達なんだ。君がいなければあいつを失うところだった
ソフィううん、いいの。リチャードはわたしにとっても大切な友達だから
ソフィそれと、…アスベルも。この時代のアスベルに会えて、わたし本当に嬉しいよ
アスベルこの時代の…?
ソフィリチャードが元に戻って、未来が変わって…
ソフィ今ではわたしの時代にもアスベルがいるんだよ。今よりだいぶ大人だけど
アスベルそ、そうか…。そういう話を聞くと、何だか不思議な感じだな
ソフィアスベル…ルークの事、本当にごめんなさい。わたし、すぐ傍にいたのに…
アスベルソフィのせいじゃない。気にする事はないさ
アスベルルークとミュウの無事を、一緒に祈ろう
ソフィうん…!
ルークがはっ…!ぐ…強ぇ…
クロノス
ルークちくしょう…ここに来て形勢逆転…かよ…
ルーク
ルークくっ…駄目だ…身体がびくとも動かねー…
ルークミラはミュゼと二人でアスカの暴走を鎮めたってのに…俺じゃ無理だっつーのかよ…
ルーク…おいブタザル…無事か…?
ルークお前…傷だらけじゃねえか!だから引っ込んでろっつったのに…
ルーク
クロノスグアア…
ルークくそっ…!クロノスがこっちに来るってのに…身体が…動かねえ…
ルークマジかよ…こんなとこで、俺、死んじまうのか…?
ミュウみゅ…う…
ルーク何だ、ブタザル…動けんのかよ…だったら、お前だけでもさっさと逃げ──
ミュウご主人様を殴ったら…駄目です…の
ルークばっ…馬鹿、何やってんだ!そんなとこに突っ立ってたらクロノスの野郎に…
ガッ!
ミュウみゅううぅ…
ルークそらみろ!動けるならさっさと…
ミュウみゅ…ご主人様は…ボクが…守るですの…!
ルークわけわかんねー事言ってんじゃねえ!いいから早く──
ドガッ!!
ルークやめろ!早く逃げろって!マジで死んじまうぞ…!
ミュウご主人様を…守る…ですの…
ルークブタザルのくせにかっこつけてんじゃねえ!お前なんかに守ってもらう必要はねえんだ。いいから早く──
ミュウご主人様は…いつもボクの事を…気にかけて…優しくしてくれるですの…
ミュウボクは…そんなご主人様が…大好きですの…だから──…
バキィィィッ!!!
ミュウ
ルークおい…ブタザル…?
ミュウ
ルーク…ブタザル!?返事をしろよ…おい!
ミュウ
ルークまさか…ミュウ!
クロノスグアア…
ルーク
ルーククロノス、この野郎…!!
ルーク何でだよ…!ブタザルの事なんか放っときゃよかっただろーが!
ルーク何で…何でこんな…!
ルーク許さねえ…絶対に許さねえぞ!!
クロノスウウウ…
ルーク俺のこの手でぶっ飛ばして、二度と立ち上がれなくしてやる!
ルーク覚悟しやがれ、クロノス!
クロノスグオオオオオオッ!!
ルークうおおおおっ!
scene3死闘
ルークはあ…はあ…思い知ったか、この野郎…
クロノスグ…
ルーク…これで、終わりだ!
ズバーーーッ!
クロノスグ…アア…ア…
ドサッ!
ルーク
ルーク…おいブタザル、終わったぜ
ミュウ
ルークへっ…まるでボロ雑巾じゃねーか……ったく、ブタザルのくせに余計な事するから…こんな事に……
ルーク
ルーク…なあ、お前がいなくなっちまったらティアもガイも悲しむじゃねーか…どうしてくれんだよ…
ミュウ
ルーク本当に…本当に余計な事しやがって──…
ドサッ!
リオン…僕達が知っている情報は、大体こんなところだ
ナタリアクロノスの暴走を鎮める、ルークが話していた事はそういう事でしたのね…
リッドそれはそうと…ナタリアがキムラスカの王女だって事は、エミルから聞いたけどよ…
リタナタリアと一緒にいるアッシュは、何者なわけ?
カノンノ
ナタリアアッシュは…私の古くからの友人ですわ
ナタリアたまたま二人でいる時に、亀裂が生じて…それでそのままここへ…
アッシュ
コンウェイま、細かい事はいいんじゃないかな。今はルークくんの無事を祈ろう
カノンノあ…ネックレスが…
ミラ…!大精霊の気配だ。近いぞ
アスベルひょっとして、ルーク達がクロノスを倒したんじゃ…
リオン…だといいが。念のため、すぐに戦闘に入れるよう身構えておけ
アスベルルーク!ミュウ!
ソフィクロノスもいるよ!
リオンこれが…クロノス…
リッドそんな事より、これを見ろ…!ルークもミュウもひどい怪我をしてるじゃねえか
エミル…!まさか…
ミラ…辛うじて息はしているようだが、二人共虫の息だ。すぐに治療しなければ手遅れになる
ナタリアルークは私がやりますわ!
ソフィミュウはわたしが
エミル二人の容態はどうですか?
ナタリアそれが…傷が想像以上に深くて…大丈夫だと信じたいのですけど…
ソフィミュウも…。回復が追い付かなくてどんどん弱くなっていく…
カノンノそんな…!嫌だよそんなの!
アスベル落ち着け、カノンノ。今は出来る限りの事をして、様子を見るしかない
カノンノ…。ルーク、ミュウ…
カノンノありがとう、二人のお蔭で無事クロノスの暴走を鎮めてあげる事が出来るよ
カノンノ…ここからは私達に任せて、ゆっくり休んでね
ミラカノンノ…
ルドガーネックレスの光が…クロノスに注がれているのか?
アッシュこれが…大精霊の暴走を鎮める力…
リッドそれにしても、ルークの奴、まさか本当にクロノスをぶっ倒して戻って来るとはな…
ミラ…ああ、私も驚いている。クロノスを相手にまさかここまで……
リタだからって…こんなボロボロになっちゃ…
ソフィミュウ…
ソフィクロノスがわたし達みんなをどこかへ飛ばそうとした時もルークと一緒に庇ってくれたね…
ソフィだから、今度はわたし達が助けるよ。だからもう少し、頑張って…!
アスベルルークもミュウも本当によく頑張ってくれた
アスベルカノンノの事もきちんと守り切ってくれたんだ…なのに、ここで倒れては駄目だ…!
ナタリア…それだけじゃありませんわ
ナタリアルークは、私やアッシュの危機も救ってくれましたのよ。危険を顧みず、勇敢に…
ナタリアですわよね、アッシュ…?
アッシュ
アッシュ…ああ
カノンノアッシュさん…
カノンノリプリカーム、終わったよ
コンウェイさて、クロノスの様子はどうかな?
クロノスう…
ミラ己を取り戻す事は出来たか、クロノス?
クロノス我は…ここは一体──
リオンどうやら、正気を取り戻したようだ
クロノス正気だと…?一体何の事を話している…?
クロノスマナの枯渇…まさか世界がこのような事態に陥っていたとはな
カノンノ…うん。だからね、今こうしてあなた達の暴走を鎮めて回っているの
カノンノこの世界には、今もまだ暴走状態に陥り苦しんでいるあなたの仲間達がいる
カノンノ…そのためにも、クロノス。私達に力を貸してもらえないかな?
クロノス我をこのような事態に貶めたのは身勝手な貴様ら人間の愚かな行為が原因だろう?
クロノスそれをこの期に及んで我に力を貸せとはよく言えたものだ
ミラクロノス…
ミラお前の怒りは理解出来る。人間の身勝手さに苛立つ気持ちも。…だが、人間全てがそうではない
ミラ私もかつてはお前と同じように考えていた
ミラ一部の人間の行いから全てを判断し人間は争いを好む愚かな生き物だ、…そう感じた事もある
ミラだが、気付いたのだ。全てがそうではないのだと…
クロノス
カノンノねえ、クロノス。この二人を見てほしい
カノンノルークとミュウは、あなたを暴走の苦しみから解放するために必死にあなたに立ち向かったんだよ
クロノス
カノンノぶっきらぼうなところもあるけど、ルークはあなたの事を必死に救い出そうとしてた
カノンノあなたの言うように、人間には愚かな一面もあるかもしれない
カノンノでも、こういう人間もいるって事もわかってもらえると嬉しいかな…
クロノス
アスベルカノンノ…
カノンノ…じゃあまたね、クロノス。もし、また苦しくなったりしたらすぐに私のところへ来て
カノンノその時は、このリプリカームで少しは楽にしてあげられると思うから
リッドお、おい…カノンノ?何言ってんだ?だって、契約はまだ──
カノンノ…ううん、いいの。契約はお互いの信頼関係があってこそ成り立つものだと思う
カノンノクロノスが望んでない今、無理強いするわけには──
クロノス…しばらくの間なら、力を貸してやっても構わん
リオン…!
カノンノえ…?どうして…本当にいいの?
クロノス勘違いしないでもらおう。精霊達を危機から救うためだ
クロノス…それにそこで寝ている奴らへの借りもある
カノンノ…クロノス、ありがとう。勿論、あなたの気が済むまでの間でいいよ
エミルネックレスの色が変わったね。…これが契約出来たって印?
カノンノうん
ナタリアでも、何だかいたたまれませんわ…。世界崩壊の脅威となっている大精霊の暴走が人間の行いによる結果だなんて
アスベルそれはそうだな。クロノスの話していた事は間違ってはいなかった
アスベル俺達人間は今一度自分達の行いについて深く考える必要がある…
ルドガーよし、そろそろ元の世界へ戻ろう。時空の歪みでやるべき事は、これで片付いたはずだ
リオン…ああ
コンウェイじゃあボクは、ひとまずここで失礼するよ
リッド何だ、行っちまうのかよ
コンウェイキミ達の世界も十分堪能したし、ボクも本格的に自分の世界へ戻る手だてを探す事にするよ
コンウェイクロノスが正気に戻った今、時空の歪みと他の世界の繋がりも閉じてしまうかもしれないからね
ミラそうか…寂しくなるな。今までいろいろと助かった、感謝している
リタ達者でね
コンウェイキミ達もね。まあ縁があったらまた会おう
コンウェイそのうちまたひょっこり、この世界に顔を出せるかもしれない。その時はよろしく
リッドルークが寝てる間に行っちまうなんてあっさりしたモンだな。ま、コンウェイらしいけど
リタさて、そろそろあたし達も戻るとしましょ
アスベルそうだな、ルーク達もちゃんとベッドで休ませた方がいいだろう
アスベルルークは肩を担げば何とか運べそう──…あ
アッシュ…こいつは俺が担ぐ
アスベルアッシュ…?だけど、お前も傷の具合が…
カノンノ任せても大丈夫だよ。ね?アッシュさん
アッシュ…ふん
ナタリア私からもお願いしますわ。アッシュの望むようにさせてあげてくださいませ
アスベル…?ああ、勿論構わない。よろしく頼むよ
ルーク
アッシュふん、屑なりに頑張ったってとこか。だが、これしきでいい気になるなよ。まだ先は長いんだからな…
アスベルよし、それじゃあ早速ここから出よう。ルドガー、頼めるか?
ミラ…いや、アスベル。少し待ってくれ
ルドガーどうかしたのか?
カノンノ…ふふ
リオン…カノンノ?
カノンノ…みんな、あのねクロノスが、私達を元の世界に帰してくれるんだって…!
リッドへえ、案外いいとこあんじゃねえか
リタついさっきまで、契約する事すら拒んでたのが嘘みたいね
カノンノきっと、ルークやミュウ、それにみんなの想いを理解してくれたんだと思う
アスベル…ミラ、クロノスに伝えてくれるか?ありがとうって
ミラああ、勿論だ
アスベルよーし、じゃあ改めて…みんなで帰ろう、俺達の世界に。カノンノ、クロノス準備はいいか?
カノンノうん!
カノンノ行くよ、クロノス。力を貸して──…

NameDialogue
scene1勝利の代償
リフィルふう…
ジーニアスどう?姉さん
リフィル二人共峠は越したわ。時間はかかるけど、何とか持ち直すでしょう
カノンノよかった…!
リタルークもミュウも助かるのね。ほっとしたわ
リッド一時はどうなる事かと思ったぜ。ま、無事で何よりだ
アスベルああ、そうだな。本当にありがとう、ジーニアス、リフィルさん
リフィルここへ来るまでに施した応急処置が功を奏したのよ。賢明な判断だったわ
リフィル…さてと、ここはあなた達に任せて私はそろそろ戻るわね
リフィル彼らが目を覚ますまで、ゆっくりしていくといいわ。…後はお願いね、ジーニアス
ジーニアスうん、任せといて
ジーニアスあーあ、二人共こんなにボロボロになっちゃって…
ルドガーまさかルーク達だけでクロノスに勝ったなんてな
ミラ何とか勝利を得たが、その分、代償も大きい
エミル…そうだね。二人共助かったからいいものの、ここまでひどい怪我を負うなんて
アスベルルーク達はしばらくここで安静にしていてもらわないとな
ソフィルークとミュウが治るまで、わたし達もここにいるの?
リオン…いや、僕達に立ち止まっている時間はない
リタそうね、二人はここに残してあたしらだけで次の大精霊のところへ行くしかないわ
カノンノルーク…ミュウ…
ジーニアス大丈夫、二人の事はボクが責任を持って見てるから安心して
エミル僕もここに残ります。二人が心配だし…
ミラお前達が見ていてくれるならルーク達も心強いだろう
ルークう…
ソフィルーク!?
ルドガー意識が戻ったのか?
ルークあれ…?ここ、どこだ…?
ジーニアスボクの家だよ。思ったより早く意識が戻って安心したよ
ルークジーニアス…?お前の家っつー事は、ここはメルトキオか…?
リッドああ、結構前に戻って来たんだ。お前はずっと意識がなかったからわからないのも無理ねえけどな
ルーク…そうか、俺は確か時空の歪みでクロノスと戦って……
アスベルルーク、本当によくやってくれたな。お前達のお蔭でクロノスの暴走を鎮められたんだ
カノンノそれだけじゃないよ、クロノスが私達に協力してくれる事になったの。本当にありがとう、ルーク
ルークいや…俺はただ…ブタザルの奴が──
ルークそうだ、あいつは!?ブタザルはどこだ!?
リタミュウならあそこに──
ミュウ
ルーク……!!くっ…!
カノンノちょ、ちょっとルーク!?駄目だよ急に起き上がったりしたらまた傷が…
ルークうるせー…!傷なんかどうでも──
ルークいつっ…!
ソフィルーク、無理しちゃダメ
ルークおい、ブタザル…
ミュウ
ルークブタザル!おい、起きろ!おい!!
ルークくそっ…やっぱり…だから逃げろってあれほど…
ルーク……
エミルルーク…。大丈夫だよ、安心して。ミュウは生きてる
ルークへ?……マジか?本当か、エミル!?
エミルうん、本当だよ。ちゃんと息してるでしょ?
ルーク……本当だ。弱々しいけど…息してる…
ルーク…けっ、何だよ!ブタザルのくせに脅かしやがって、こいつ…
エミル安心した?
エミル…それなら、そろそろ腕を放して欲しいんだけど?
エミル嬉しいのはわかるけど、そんなに強く掴まれると…
ルークなっ、べ、別に嬉しいとかそんなんじゃねーっつーの!
ルークてっきり死んだと思ってたからびっくりしただけだ!
ルークつーか、お前らもお前らだ!生きてるなら生きてるって早く言えよ!
リタあんたが勝手に早合点しただけでしょ。ほんと、バカっぽいんだから
ルークお前らがそろいもそろって辛気くせー顔してるからだろーが!俺は悪くねえ!
カノンノルークは本当にミュウの事が大好きなんだね
ルーク誰がだよ!こいつを死なせたらティア達に何言われるかってだけで──
ソフィ…ふふ
ルークあ、こら!何笑ってんだソフィ!
リッド何はともあれルークも怪我はしてっけど一応元気そうだし、一安心だな
アスベルああ、そうだな
ルドガー…よし、ルークの目覚めも確認出来たところで、今度こそ出発しようか
ルーク出発?次の大精霊のところか?
ミラああ、そうだ
ルークそうか。じゃあ、俺も一緒に…
ルークいてっ!
ジーニアス駄目だよ、ルーク。大人しく寝てないと
エミル大精霊の事はしばらくみんなに任せてルークは治療に専念して。僕も一緒にいるから
ルークけっ、こんな傷、屁でもねーよ。動いてる内に治るっての
カノンノ駄目だよ。アッシュさん達とも約束したの、ルークに無理はさせないって
ルークアッシュ…!?そういやあいつらは一体どこに…
アスベルメルトキオまで一緒に戻って来たんだけどな、その後すぐにどこかへ行ってしまったんだ
カノンノアッシュさんもナタリアさんもルークの事、すごく心配してたんだよ
カノンノだから約束したの、ルークの事は安心して任せて、無理はさせないからって
ルークナタリアはともかく……あいつが俺の心配なんかするわけねーだろ
カノンノ本当だよ…!気を失ったルークをここまで運んでくれたのもアッシュさんなんだよ
ルークあいつが俺を…?信じらんねえ…
アスベルいや、カノンノの話は事実だ。彼自身も傷を負っていたし、俺が運ぶと言ったんだが、それでもって…
ルークマジかよ…。何であいつがそんな…
ルークって、いてて…くそ
アスベルルーク…?
リオンいずれにせよ、今の負傷した状態のお前では足手まといだ。…まずは傷の治療に専念しろ
ミラ…私も同感だ。傷が癒えたらまた合流すればいい
ルーク……
リタちょっと、あいつ大丈夫なの?何かぼーっとしちゃってるけど
エミルうーん、僕にもわからない…。急にどうしちゃったんだろう
ジーニアス…とにかく、ルーク達の事はボクらに任せて、君達は早く動き出した方がいいんじゃない?
リッドそれもそうだな
リオンミラ。次の大精霊の居場所はどこだ
ミラ…ここから西の方角に大精霊の強い気配を感じる
ソフィ西…じゃあ、そっちの方に向かえばいいんだね
アスベルああ
リッドじゃあなルーク、オレ達は行く
ルーク
ミラでは、エミル、ジーニアス後は頼んだぞ
エミルうん、わかった。みんな、気をつけて
ジーニアス外まで見送るよ。みんな、行こう
scene2勝利の代償
リタありがと、ジーニアス。見送りはここまででいいわ。ルーク達の事、頼んだわよ
ジーニアスうん、任せて。姉さんもいる事だし、二人の事は心配いらないよ
ジーニアス…それにしても、コンウェイが帰っちゃったのは残念だったなー。もっといろいろと話したかったのに
ルドガー縁があればまた会えるだろ。そうガッカリするなよ
エミルちょ、ちょっとルーク!駄目だって…
ルークうるせー!邪魔すんじゃねーって言ってんだろ!
カノンノあれって…
エミルごめん、みんな…。頑張って止めたんだけど全然言う事聞いてくれなくて…
ルークおい、お前ら!俺を置いて行こうったって、そうはいかねーからな!
ソフィいつものルークに戻ってる…
アスベルそ、そうだな…
ルークここまで来たからには追い返したって無駄だからな。俺も一緒に行くぜ!
アスベル一緒にって、無茶を言うな。そんな大怪我をしているのに
ルークこんな怪我、どうって事ねーっつーの!
ルーク大体、怪我が完全に治ってねーのはミラやリッドも一緒だろ
リッドう…それは…まあ…
ルークほらみろ!なのに俺だけなんて不公平じゃねーか
ルドガーいや、でも…
ルークそんなに俺を休ませたけりゃさっさと大精霊、全部元に戻そうぜ。そうすりゃ俺も休んでやるからよ
ソフィ
ルーク何だよ、ソフィ。文句でもあんのか
ソフィううん、そうじゃない
ソフィルークが大精霊を心配してるって気持ちはわかった。…だから、来てもいいよ
ルーク別に心配してねーっつーの。俺はただ早いとこ面倒事を終わらせたいってだけで…
ソフィうん、わかった。…でもね、一つだけ約束してほしいの
ソフィ辛くなったらすぐに言って。わたしがルークを守るから
ルーク…わーったよ、ったく。必要ねーけど、約束してやる。これでいいか?
ソフィうん、ありがとう
リタ結局ついてくるわけ?みんな、あんたのためを思って言ってたってのに、呆れた…
リタとにかくついてくる以上、絶対足手まといになんじゃないわよ?いい?
ルークへっ、任せとけっつーの!
ルークじゃ、そういう事でエミル、それにジーニアス、ブタザルの面倒は頼んだぜ
エミル…う、うん、わかった。ルークも気をつけて
リオン…よし、そうと決まればさっさと行くぞ。お前達、これ以上無駄に時間を使うな
ルーク無駄って言い方はねーだろ!大体リオン、お前はいつも──
きゃああああっ!
ルドガー何だ、今の悲鳴は…
ミラ見ろ、魔物だ!
ガルル…
リッドやれやれ、これじゃあまた「時間を無駄にするな」ってリオンに言われちまうな
アスベル街の人達に被害が及ぶ前にあの魔物を倒さないと…。よし、みんな急ごう!
scene1大精霊の気配
ロイド…あれからあちこち見て回ったけど新たに破壊された街や村は見つからなかったな
スタンあいつの言った通りだったって事か…
アーチェやっぱ、あの白い髪のヤツが犯人なんじゃない?犯人じゃないとわかんないような事知ってたじゃん
ゼロス俺さまもアーチェちゃんに同感だ。あいつがアスカを暴走させてたって事とも話が繋がるし…
ユーリ
クレスユーリ、君はどう思う?何か引っかかっている事があるように見えるけど
ユーリん?
ユーリああ…まあ、大した事じゃねえんだがちっとばかし気になる事があってな
ユーリあいつが犯人だとして、何で出くわした時、オレ達には手を出さなかったのか…
スタンう~ん。わからないけど、俺達の方が人数が多かったから、とか、そんな理由じゃないのか?
ユーリ街一つ滅ぼしてのけたのかもしれない奴がか?どうだろうな
ユーリそれに、あいつが例の第三者って奴だとしたら、単独ってのも考えにくいんじゃないのか
レイヴンうーん…まあ、確かに…
ユーリテムザ山でロイド達が最初に会った時点で、言ってみりゃ奴はオレ達の目的を知ったわけだ
ユーリもし、あいつが第三者なら尻尾を掴もうとしているオレ達を野放しにする理由がわからねえ
クレスなるほど。確かにそうだね…
ロイドじゃあ、あの男は第三者じゃないって事か?
ユーリそれも現時点じゃ断定出来ないな。詳しい事情を知る存在だって事は間違いねえだろうけどな
ゼロスだったら、何にせよやる事は一緒だ。何としてもあの男を捜し出して、洗いざらい吐かせるしかねーだろ
ユーリ…まあな
レイヴンとにかく、当面の目的はあの男の捜索って事で決まりかね
クレスああ。…とは言うものの彼の行先は見当もつかないし、どこへ向かったらいいんだろう…
ドガッ!
ロイドん?この音は何の音だ?
ガルルルル!
グオオオオ!
バキィッ!
スタン叩きつけるような音と…魔物の声が…たくさん…?
アーチェ近くで誰かが魔物と戦ってるんじゃない!?
レイヴン音だけじゃ何とも言えんけど、もしかしたら、助けが必要だったりするかもねえ
クレスとにかく、音のする方へ行ってみよう!
ルークいてて…。…ったく、クロノスの野郎手加減なしで殴りやがって…
カノンノ仕方ないよ。あれはクロノスの意志じゃないんだし…
カノンノクロノスが言ってたよ。ルーク達に借りが出来た、それを返すために私達に力を貸してくれるって
カノンノきっとルーク達に、とても感謝してるって事だよ
ルーク
ルーク…けっ、まあ仕方ねーからそういう事にしてやるけどよ
カノンノふふっ
ルドガーじゃあ、俺はそろそろ行くよ
ルークん?何だ、ルドガー、一緒に来ないのかよ?
ルドガーああ、俺は兄さんと合流して時空の歪みに取り残された人達を一緒に助けに行く
ルークそうか…ってそういや、時空の歪みはどうなったんだ?
ルドガー現状はそのままで、完全にこの世界との繋がりが断たれるのは、先の話になると思う
ミラあれだけの空間だからな、完全に繋がりを断つには時間が必要だ
ルークって事は…また地震が起きたら時空の歪みに落っこっちまうかもしれねーって事か?
カノンノそれは安心して。その心配はなくなるみたい
ミラクロノスが自我を取り戻した今、亀裂が生じたとしても、時空の歪みと繋がる事はない
ミラ更に言えば、幸いマナの減少も徐々に緩やかになっている
ミラ地震などの異変も静まりつつある事を踏まえると、亀裂が発生する事自体少なくなっていくだろう
ルークややこしいな…要するにどういう事なんだ?
ルドガー要は、新たな被害が出る事はない、後は取り残された人達を救い出せば、一件落着って事だ
ルークよくわかんねーけど、とにかくもう大丈夫って事だな
ルドガーま、そんなところだ
アスベルルドガー、今まで本当にありがとうな。お蔭でいろいろと助かったよ
アスベルここからは別行動になるが、時空の歪みに取り残された人達を必ず救い出してあげてほしい
ルドガーああ、勿論。絶対最後の一人まで救い出してみせる
ルドガー…それじゃ、俺はそろそろ行くよ。また俺で力になれる事があったらいつでも声をかけてくれ
リッドああ、ユリウスにもよろしく伝えておいてくれ
scene2大精霊の気配
リッドこの辺りの魔物は凶暴なヤツが多いから注意して進めよ
アスベル…ん?
アスベルああ、そういえば、リッドはコルテア街に住んでるって言っていたな
リッドああ。異変が起こる前は、この森でよく狩りをしてたからな、それなりに詳しいぜ
リッドそういや、ルイニス街も近いよな。リオンなら、この辺りの事に詳しいんじゃねえのか?
リオン…さあな
カノンノこの森の荒れようじゃ動物達も居場所をなくしてしまってるかもしれないね…
リタそれは魔物にも言える事ね。森を出て、周辺の街や村に被害を与えてなきゃいいけど
ルーク…つーか、ミラ。何かどんどん森の奥に進んでるけど方向、合ってんのかよ?
ミラああ、問題ない。目指す方角は、概ね変わりない
リッドこの方角って言ったら、コルテア街があるところじゃねえか
アスベルそんな…ミラ、大精霊はコルテア街にいるのか?
ミラいや、今の時点では正確な位置まではわからない
ソフィ街じゃないといいね…
アスベルとにかく、大精霊の居場所が特定出来ないとしても急いだ方がいい
カノンノうん、そうだね。ミラ、引続き道案内を…
ガサッ
リッド…!今の音はまさか…
ガルルル!
リッドやっぱり魔物か!
scene1偶然の再会
ロイドあちこちに魔物の死体が…。戦闘は既に終わったみたいだな
ゼロスああ、…にしてもこれだけの魔物を倒すなんてただ者じゃなさそう──
ガアアッ!
アーチェなっ、魔物!?
レイヴンうおっと…!まだお仲間が潜んでたか
セネル…どけっ!
セネルふっ、はっ、食らえっ!
ギャウウッ!
セネルふう…
クレス素手で魔物を…君は一体…?
セネルすまない、驚かせてしまったな
セネル俺はセネル・クーリッジ。シーブル村の…
アーチェあーっ!!誰かと思ったらセネルじゃん!
ロイド何だアーチェ、知り合いか?
レイヴンそそ、リタっち達とア・ジュールに行った時にお世話になったんよ。なー、セネルちゃん
セネルお前達…。まさかこんなところで再会するとはな。他の二人は一緒じゃないのか?
アーチェ二人?ああ、リタとエステルの事ね。今はいろいろあって別行動してるの
アーチェそれより、あんたこそどうしてこんなとこに?海で救助活動を続けるって話じゃなかったっけ?
セネル…少し気になる話を聞いてな
セネル海の荒れは収まりつつあるし、救助活動は中断して、今はその「気になる話」を追う事にした
クレス気になる話…?セネル、よかったらその話、僕達にも聞かせてくれないかい?
セネルああ、勿論だ
セネル西にある小さな孤島を知っているか?
ゼロスルイニス街の西にある孤島…確かバレル島だったか
セネルああ。そこで妙な雷雲が発生しているらしい
セネルそいつは、普通じゃ考えられないほどの速さで拡大、遂には本土に差しかかるまで広がっているそうだ
ゼロス雷雲ねえ…雷が鳴って、大雨が降るってだけじゃねーの?
セネルただの雷雨だけなら、俺もわざわざ調べになんか行かない
ユーリって事は、何か妙なとこがあんだな
セネル雨は降らないらしいが、雷がな。自然現象で起こる雷とは比にもならない威力だって話だ
アーチェ比にもならない威力ってどんくらいなのよ?
セネルこれ以上の事は俺にもわからない、だから確かめに行くんだ
セネルその情報が本当だとしたら…雷雲が拡大している以上周辺の街にも被害が出る可能性がある
スタン
ユーリ異常な威力の落雷か…嫌な感じだな
クレス…僕も同じ事を考えてたよ。ひょっとすると、これは、大精霊の影響なのかもしれないね
ユーリ考えられるな。ま、オレは専門じゃねえし詳しい事はわからねえが
セネル大精霊の影響?一体どういう事だ?
セネルお前達はミラとも知り合いなんだな
ユーリて事は、お前もか?世間ってのは案外狭いもんだな
レイヴンあのさ、もし本当に大精霊絡みなら、ミラちゃん達にこの雷の話、伝えた方がいいんでないの?
クレスそうだね…彼女に伝えた方がいいとは思うけど…
ユーリ慌てんなって。本当に大精霊が関わってんなら、ミラだってもう向かってるかもしれねえぜ
セネルミラが…そうか。なら、お前達、俺と一緒にシーブル村へ来るか?
アーチェシーブル村…?何で?孤島はルイニス街の西にあるんじゃ…
セネルバレル島へ行くには、シーブル村から船を出し、南の海上を進むしか方法はない
セネル…仮にミラが動き出しているとしたら遅かれ早かれ、必ずシーブル村を目指す事になるだろう
レイヴン闇雲に動くよりは、セネルくんに同行した方が、ミラちゃん達と会える可能性は高いって事ね
ゼロスじゃあ、今はあの男の捜索は後回しにしよーぜ!俺さま、野郎よりミラさまを追う方がいいっ!
スタン…なあ、セネル…その雷雲の事だけど、今どの辺りまで広がってるんだ?
セネルバレル島から一番近い街…ルイニス街の上空辺りまで拡大していると聞いている
ロイドルイニス街だって!?おい、スタン…
スタン…ああ
スタン…悪い、みんな。俺、一旦ルイニス街に行くよ。ここからならそう遠くないし
セネルルイニス街へ?今街へ行ったとしても、お前がそこで出来る事はないだろう?
スタンルイニスには妹のリリスがいるんだ。もし雷が当たったら…!
セネル妹か…
セネル…スタン、だったらなおさら、街へ行くのはよせ
スタン何でだよ!
セネル…妹を救いたいなら、俺と一緒に来て大きな被害になる前に落雷を止める方法を探すべきだ
セネル俺にも妹がいる。お前の気持ちは痛いほどわかるが、むやみに突っ走らず冷静になれ
スタンセネル…
ロイドスタン、俺もそれがいいと思う。ここはみんなでシーブル村に向かってミラを捜そう
スタンシーブル村だな、わかった。…リリス…街のみんな…絶対に雷は止めてやるからな…!
セネルよし、そうと決まれば早速行こう
リッドコルテア街はもうすぐだ
リッドまさか本当に大精霊がコルテア街にいるって言うんじゃねえだろうな…
ミラいや、気配はここからさらに北西…。被害を心配するならおそらくルイニス街の方だ…
ルークお、おい、待てよリオン!
ミラそうか…ルイニス街は今も……
リオン
ミラ…リオン、気を落とすな。気休めにしかならないかもしれないが聞いてくれ
ミラ私達が出会ってすぐの頃、氷漬けの街を元に戻すべくイフリートの力を借りた事を覚えているか?
リオン…ああ。それがどうした
ミラ大精霊イフリートの力を用いても、街の氷が溶ける事はなかった。すなわち──
リオン…あの氷に覆われている以上ルイニス街が大精霊の影響を受ける事はない、という事か…
ミラ確証はないが、その可能性は高い
リオン
リオン…ふん、まさか街があの氷に守られる事になるとはな。皮肉なものだ
ルークわかるように言えよ。つまりルイニス街は大丈夫って事か?
リタ多分ね。でも、切羽詰まってるって状況に変わりはないわよ
リタそれにルイニス街だけじゃないわ。あの辺だって、他にも街や村はたくさんあるし
アスベルリタの言う通りだ。とにかく俺達は一刻も早く大精霊の元へ急いだ方がいい
ソフィうん、急ごう
scene2偶然の再会
アーチェ孤島に行ってミラと会えると思う?別の大精霊のところに行っちゃってすれ違っちゃったりしないかな?
ユーリどうだろうな。けど、バレル島で何が起きてるか、確かめるのも無駄じゃないだろ
ゼロスん?おい、みんな…向こうから来る奴らってもしかして…
ミラユーリ?
ユーリミラ…!?…おいおい、偶然にもほどがあるだろ
アーチェホント、嘘みたい…
アスベル俺達もびっくりしたよ
ミラまさか、大精霊の気配を追って来てお前達と会う事になるとはな
ロイド…大精霊の気配…!?やっぱりそうだったのか!
ロイド聞いてくれミラ。セネルの話だと――
カノンノ西の孤島に発生した妙な雷雲…?
ソフィミラ…それって…
ミラああ、発生している現象から考えても大精霊による影響とみて間違いはなさそうだ
ミラ更に言えば、雷雲の発生したバレル島は、私達が追っていた大精霊の気配と同じ方角にある
リオンつまり、僕達の追っていた大精霊こそルイニス街周辺に雷雲をもたらしている元凶、という事か…
スタンリオン、早く何とかしないと、ルイニス街が──
リオン…街への影響は今のところ問題ないと考えていいようだ
スタン問題ない…?それはどういう事だ?
リオン街を覆う氷だ。同じ大精霊であるイフリートの炎でも、影響を受けなかった事を考えると…
スタン雷の影響も受けないって事か!?
ミラ…おそらく、だがな
スタンよかった…少し安心したよ。とはいえ、雷は何とかしないとな
スタンルイニス街の氷が結局何なのか、全然わかってないし、確実に安全だとも言い切れない
スタンそれに、例えルイニス街が大丈夫だとしても、他の街が危険に晒されてるかもしれないし
スタンそうだろ、リオン?
リオンああ…
スタンなら、俺もバレル島に連れて行ってくれ!このまま黙って見てるなんて、俺には出来ない!
クレス…よし、じゃあ、こうしないか?
クレス僕達は、引続き第三者を追う。大精霊の事はミラ達に任せたい
クレススタン、君はミラ達と一緒に大精霊のところへ行くといい。第三者の事は僕達で何とかするから
スタンクレス…
クレスミラ、これでどうかな?彼にとってあの街は、家族のいる大切な場所なんだ
クレスだから、同行させてやってほしい
ミラわかった。スタン、では共に行くぞ
スタンありがとう!
ロイドやっぱり大精霊だったんだな…
ユーリどうやってお前らにそれを伝えたもんかと思ってたんだが手間が省けて助かったぜ
ミラ私達もここでユーリ達に出会わなければルイニス街に向かっていただろう
ミラまさか、気配のありかが海を隔てた孤島にあったとは、想像すらしていなかったからな
アスベル…とにかくこれで大精霊の居所ははっきりした。俺達は急いでバレル島へ向かうべきだ
ソフィうん、わかった
リッドバレル島に行くにはシーブル村に行かないといけねえんだったな
セネルああ。そこからでしか島へは行けない
ルーク決まりだな。んじゃ、とっとと行こうぜ
アスベルユーリ、情報ありがとうな。大精霊の事は任せてくれ、必ずどうにかする
ユーリああ、頼んだぜ。オレらは第三者の情報収集に専念させてもらうさ
ロイド大精霊の事、頼んだぜ!
リタおっさん、あんたもぼーっとしてないでしっかり働きなさいよ
レイヴンへいへい。全く、たまに会ったと思えば、つれない言い草なんだから…
ロイドじゃあ、俺達は行くぜ。しっかりやれよ!
ゼロス俺さまもミラさまと一緒に行きたいけど、ま、しょーがねえかぁ。気をつけろよー!
カノンノうん!みんなも、気をつけてねー!
ソフィシーブル村…
アスベルソフィはシーブル村に来た事があるのか?
ソフィうん。優しい人達がたくさんいてすごくいいところだった
アスベルそうか、それはよかったな。村の人達と久しぶりに会えるといいな
アスベルじゃあ、改めて出発しよう。みんな、準備はいいか?
ガサ…
リオン…!待て、そこの茂みに何かいる
カノンノひょっとして…
ガアアアアッ!
ルークけっ、魔物かよ!
scene1シーブル村へ
セネルここまで来れば、シーブル村まではあと少しだ
ミラそうか──…ん?あれは…
ガルル…
フィリア
セネル誰かが魔物に襲われているようだな
スタン大変だ、助けないと!
アスベルああ!
???たああーーーっ!
ズバッ!
ギャオオオッ!
セネルあいつ…
アスベル…?セネルの知り合いか?
???フィリア、大丈夫!?
フィリアはい…!ありがとうございます、シングさん
セネルシング!
シングあ、セネル!どこ行ってたんだよ
セネルそれはこっちの言い分だ。お前こそどこへ行っていた?
シングそれが…実は、時空の歪みってところにうっかり迷い込んじゃってさ
シング詳しく話すと長いんだけど、ユリウスさんって人に助けてもらってようやく戻って来れたんだよ
ソフィあ!シング…!
シングソフィ!
シング…って、あれ!?オレも知った顏がちらほら…
シングみんなに久しぶりに会えて嬉しいよリタも一緒にいるんだね!
リタいつぞやは情報提供、助かったわ。お蔭で赤い髪の男もコレットも見つける事が出来たわ
フィリアこんにちは、ルークさん
ルークフィリアじゃねーか。何でメルトキオの司祭がここにいるんだ?
セネル司祭?
シング少し前までは、オレを助けてくれたユリウスさんの手伝いをしてたらしいんだけど…
シング今はいろいろあってシーブル村で怪我人達の救護を手伝ってくれてるんだ
スタンへえ。この状況で司祭様がいてくれるなんて、村の人達も心強いだろうな
シングところでセネル、コハクとヒスイを見なかったか?ずっと村に帰ってないらしいんだ
スタンコハクとヒスイって、兄妹の?その二人なら、俺、ちょっと前に会ったぞ
スタン…って待てよ、そういえばシングを捜してるとか何とか言ってたような…
シングええーっ!?コハクはともかく、ヒスイまでオレを捜しに?
シングそれは悪い事しちゃったな…
シングでも無事でよかった、ずっと心配してたんだ
スタン二人共元気そうだったよ。確か今は、クラースさんって人と行動を共にしてるはずだ
シングありがとう、スタン。二人の事がわかって安心したよ
シング本当はオレも二人を捜しに行きたかったんだけど、今は村も物騒な事になっててさ…
シングさっきの魔物、見ただろ?ああいった魔物がしょっちゅう村に侵入して来るような状態なんだ
フィリアシングさんが戻られてからは、魔物の被害がかなり減ったんですがそれでも怪我人は後を絶たなくて…
セネルそれで、シーブル村に留まり救護を手伝ってくれてるのか…
フィリアええ…
シングでもまあ、セネルも村に戻って来たしシーブル村もこれでちょっとは安心かな?
セネル…いや、シング。悪いが、俺はまた少し村を離れなければならない…
シング…何かあったのか?
スタンああ、実は…
フィリアバレル島に妙な雷雲…ですか
シングへぇ…そんな事になってたんだ
セネルシーブル村の事も気がかりだが、雷雲を放っておけば被害が生まれる可能性が高い
スタン島から近い街や村にも危機が迫ってるんだ。一刻も早く孤島へ行かないと!
シングだったら、村の事は心配しないで!オレが頑張るからさ
シングフィリアも手伝ってくれてる事だし、こっちはこっちで何とかするよ
セネルすまないな
シングじゃあ、とにかく早いところ村へ戻ろう
フィリアそうですね
scene2シーブル村へ
セネルよし、村に着いた
セネル…にしても随分と荒れているな。これも天変地異の影響か…
シングうん、オレが戻って来た時にはもうこんな感じで──
きゃああ!
シング…!あの悲鳴は!?
女の子た、助けて…
グルルル…
リッドおいおい、まずい状況だぜ。村のど真ん中に魔物が…!
アスベルその子に手出しはさせない!
バシッ!
ギャウウッ!
リタふう…アスベルが咄嗟に割って入ったお蔭で何とか間に合ったみたいね
フィリア怪我はありませんでしたか?
女の子う、うん…ありがとう
シングはあ…全く、心臓が止まるかと思ったよ。近頃はあんな事ばっかりさ
シングさっきは魔物を追いかけて村の外へ出てたんだけど…やっぱり村を離れちゃ駄目だね
ソフィあんなにいいところだったシーブル村がどうして…
ミラこれも全て、異変の影響なのだろうな
セネル…シング。こんな状況で、お前一人に村を任せてすまないが…
シング気にしないで!確かにもう少し人手が欲しいけど、魔物はそんなに強くないし、オレ一人で何とかするよ
ソフィ
ソフィねえ、シング。わたしがここに残って手伝う。それだと少しは助かる?
アスベルソフィ…お前、いいのか?
ソフィうん。この村はね、わたしが前にこの時代に来た時に、初めて来た場所なの
ソフィ村の人達はみんな親切でわたしにとても優しくしてくれた
ソフィそれにね、シングとコハクに助けてもらった事もあるんだよ
ソフィだから、今度はわたしがシングや村のみんなを助けたい…
カノンノソフィ…
シング力を貸してくれるっていうならオレ達としては大助かりだけど…でも、ソフィ、本当にいいのか?
ソフィうん、いいよ
シングそれなら、ありがたくお願いするよ!ありがとう、ソフィ
フィリア私からもお礼を…。ありがとうございます、ソフィさん
ソフィアスベル…。わたしはこの村に残る、だから、大精霊の事はお願いしてもいい?
ソフィ…大精霊の事は、すごく大事な事だってわかってる。けど、困ってるシングを置いていけない…
アスベルああ、わかるよ、ソフィ。大丈夫、大精霊の事は俺達に任せてくれ。必ず暴走を鎮めると約束する
ソフィ…ありがとう、アスベル!
ソフィあと、ミラ…ルークの事、見ててあげてね。無理しないように…
ミラ大丈夫だ、目を配っておく
ルークあのな、お前ら!二人そろって俺をガキ扱いすんじゃねー!
セネル…とにかくソフィ、本当に感謝する。だが、ここは安全だとは言えない。十分に気をつけてくれ
ソフィうん、ありがとう。セネル達も気をつけてね
セネルああ!じゃあ、みんな行こう。船は波止場に係留してある
リオン…!またか…
ガルル…
リッドやれやれ、また魔物かよ。ソフィもこれから大忙しだな…
ルークとにかく、とっとと片付けちまおーぜ!
scene1雷鳴響く孤島
ルークおい、岩にぶつかるぞ!
セネル大丈夫だ、よけられる!
リタこっちに大きい渦があるわ!
セネルわかってる!
アスベルそれにしてもひどいな、この海域は…難所なんてものじゃないぞ
リオンそこかしこに岩があり、潮の流れも早い。確かに抜けるのは容易ではないな
ミラ
リッドなあ、ミラ。さっきから全く話してないよな。何か気になる事でもあるのか?
ミラ…いや、何でもない。気にするな
アスベル…?本当に大丈夫なのか?
ミラああ、心配をかけてすまない。今は無事この荒れた海を乗り越えられる事だけを祈ろう
カノンノうん、そうだね…
カノンノお願い…どうか無事に、バレル島に着けますように…
リタ何とか無事にたどり着けたわね…。船酔いしてる余裕すらなかったわ
ルークふー…本当にもう何度も死ぬかと思ったぜ…
リッドにしても、これだけ大荒れの海で何とか島までたどり着けたのはセネルの腕のお蔭かもな
スタンああ、本当だな。ありがとな、セネル
セネル礼には及ばない。むしろ本番はここからだ
アスベルああ。それにしても、この薄暗さは…
リオン陽の光が全く入らないな…。まるで雷雲が全てを遮っているようだ
ゴゴゴ…
カノンノ雷の音…?今にも落雷しそう──
ズドドドドーーーン!!
カノンノきゃあっ!?言ってるそばから…
ルーク…おいおい、やべーんじゃねえのか?あんなでっかい稲光を見たのは初めてだぜ…
リッドああ…それに稲光から雷が落ちるまでそんなに間がなかった。こいつは近いな…
リタって事は、大精霊も…
リオン…!
スタンカノンノのネックレスが、光り出した…?
ミラ間違いない、大精霊はすぐ近くにいる
ミラこの雷雲を生み出している、雷を司る大精霊…ヴォルトがな
カノンノヴォルト…
リオン…行くぞ。相手がどんな大精霊であろうと、やる事は同じだ
アスベルああ、リオンの言う通りだ。…みんな、一刻も早くヴォルトを捜し出そう!
scene2雷鳴響く孤島
ゴゴゴゴ…
ルークずっと空がゴロゴロ鳴ってやがる。またいつ雷が落ちてきても、おかしくねえぞ
リタちょっと、やめてよ。そういう事言うと…
ズドドドドーーーン!
カノンノきゃーっ!!
リッドうおっ、またかよ!
リタだからやめてって言ったのに!
ルークた、ただの偶然だ!俺のせいじゃねっつーの!
アスベルカノンノ、大丈夫か?
カノンノう、うん…いきなりでびっくりしたけど…
スタンまずいな…。こんな調子じゃ、いつ雷に打たれてもおかしくないぞ
ミラ…だが、それでも行くしかない。今私達が行かなければ、この雷が各地の街を襲う事になる
アスベルそうはさせない…!必ず止めてみせるさ
セネル…よし、みんな。出来るだけ姿勢を低くしながら進め。警戒は怠るなよ
カノンノう、うん…!
リオン…!ここは…
リッド木が焼けて煙が出てる…。さっきのでっかい雷が落ちたんだろうな
ルークマジかよ…。ズタズタの黒焦げじゃねーか…
アスベル想像していた以上に深刻な事態だ…。こんな落雷が直撃したら、人間なんてひとたまりもない…
リオン
スタンなあリオン。ちょっといいか?
スタンこれまでみんなが戦ってきたっていう大精霊の話、聞いたよ。すごい力を持ってるんだってな
リオン
スタンみんなあちこち怪我してるみたいだし…これまで相当苦労してきたんだろうな
リオン…だから、何だ?
リオン大精霊の話を聞いて怖気づいたのなら帰れ。セネルに帰りの船を出してもらえばいい
スタン帰りたい、なんて言ってないだろ!むしろその逆だ
リオン逆…?
スタン…リオン、俺さ、みんなから話を聞いて考えたんだ
スタンヴォルトとの戦いは、俺達が前に出て戦わないか?
リオン…何?お前、何を考えている?
スタンええと…。ほら、ルークとかリッドとか…みんな、結構ひどい怪我じゃないか
スタン俺は今のところ、大きな怪我もしてないだろ?だから、だよ
スタンこれ以上怪我人を増やさないために、俺とリオンで頑張りたいんだ。リオンと俺なら、きっとやれる
リオン
スタンお前がルイニスのために頑張ってる事はわかってるつもりだ。だから、俺もその手伝いがしたいんだよ
リオンスタン…
リオン
スタンごめん、説明がわかりにくかったか?ええと、だからさ…
リオンお前の下手な説明はもういい。無駄口を叩く暇があるならさっさとヴォルトを捜せ
スタンおい、リオン…!
スタン…って、行っちゃったか。どうしたんだ?リオンの奴…
リッドやれやれ。スタン、お前も大変だな
アスベル口では大丈夫だって言っていても、リオンはやっぱりルイニス街の事が気がかりなんだろう
ミラ…だとしても、視界や足場の悪いこの状況で、単独で動く事には賛成出来ない
スタンミラの言う通りだな…。とにかく、リオンを連れ戻さないと
スタンおーい!リオ──
ズドドドドドーーーーン!!!
ルークぐあっ!
ミラルーク!
カノンノきゃあっ!
アスベルカノンノ!?
リオン今の落雷…まさか!
アスベルう…
カノンノアスベル、大丈夫!?私を守ろうとして、こんな…
アスベルよかった…無事みたいだな。俺の事は心配しなくていい、大丈夫だから…
ミラ…ルーク、立てるか?
ルークぐ…あ、ああ、なんとかな。てっきり全員消し炭にされたと思ったけどよ…
リタミラが咄嗟に防御陣を展開してくれたからよ。でなかったら今頃…
リタって、セネル、あんたその肩…!
セネル…問題ない、気にするな。それよりも今の落雷…あれじゃ気配を感じ取るのは難しそうだ
リッドああ、本当にこんなの直撃したら笑えねえよ…
スタンすごい雷だったな…。これがただの雷だったとしたら、ヴォルトはもっとすごいんだろうな…
リオンおい、お前達!無事か!?
アスベルああ、何とかな…。リオン、お前は大丈夫か?
リオン僕は何ともない。…だが、ヴォルトと戦う前に負傷者を増やす事になるとは…
リッド…とにかく、ここから離れるべきだ。また雷が落ちてくるようじゃ、次こそ一巻の終わりだろうしな
リオンよし、動ける者から離れろ。今度は分散した方がいいだろう。直撃の確率が減る
リオン…スタン、僕に掴まれ
スタンああ、助かるよ。ありがと──
スタン…なっ…!リオン、後ろ…!!
リオン…!
ヴォルトヴヴヴ
カノンノ…!みんな、ネックレスの光がどんどん強くなってる…
リオンでは、こいつが…
ミラああ、間違いない。ヴォルトだ
リタこっちが負傷してから出て来るなんて、いい度胸してるじゃない…!
ルークけっ、どんなマネをしようが結局お前が俺達に倒されるって事は変わらねーけどな!
ヴォルトガガガ
セネル…!ヴォルトを見ろ、光を帯び始めたぞ…
ヴォルトガガ…ガガガ…
アスベルどうやら、一気に俺達にトドメを刺すつもりでいるらしい…!
スタンみんな、気をつけろ!来るぞ!
scene1大精霊ヴォルト
スタンリオン、今だ!
リオンはああっ!
ズバッ!
ヴォルトヴヴ…
セネルはあ…はあ…やったか?
リッドいや、まだだ…。だが、ヤツは確実に弱ってるぞ!リオン、今の内にトドメを刺せ!
リオン言われなくてもわかっている
ヴォルトヴヴヴ…ガガ…
リオンこれで…終わりだっ!
ヴォルトガガガガガガ
バチバチッ
リオン…!ヴォルトの周囲に光が…まさか、これは──…まずい!
ミラ…!
リオンお前達、離れろ!!
ズババババッ!
リオンぐっ…!
カノンノきゃあああっ!
アスベルカノ──…ぐああっ!
ルークうわあああっ!
リッドうぐっ!
スタンぐわああっ!!
ミラくっ…!
スタンう…
リオンスタン、大丈夫か
スタン何とか…リオン、お前は…?
リオンああ。僕は無事だ
カノンノアスベル…何度も庇ってもらってありがとう…大丈夫…?
アスベル俺は大丈夫だ…、それより、みんなは…!?
ルークみんな…何とか無事みたいだ。つか、今度こそマジで死んだかと思ったぜ…
ミラ渾身の一撃を放ったというわけだな。何とか全員直撃は免れたようだが…
セネルまた、ミラの防御陣に助けられたな
ミラああ…。だが、今の雷撃でもう防御陣は展開出来そうにない…
リタ…ヴォルトはどこ!?姿が見当たらないわ
リオン雷撃を放った後、ここから去って行った
リオン周囲の木々をなぎ払いながらあの森の奥に入って行った
スタンあいつは逃げたって事だよな?だとしたら、きっとヴォルトも相当なダメージを負っているはずだ
スタンすぐに追いかけよう!
リッドそうだな…逃がすわけにはいかねえ
ルークつっ…
ミラルーク、傷が痛むのか?
ルークこのくらい何ともねえ…!…お前ら、とっととヴォルトをぶっ倒して元に戻すぞ
カノンノうん…!
リオン…こっちだ。動ける奴は僕について来い
スタンああ、わかった!
scene2大精霊ヴォルト
リタ見事に辺りの木々はズタボロね。すごいエネルギーだわ…
スタン大精霊の力がここまでのものだなんて…。話は聞いてたけど、想像以上だ…
ルーク…ああ、あの雷撃はヤバすぎるぜ
セネルミラのお蔭で何とか直撃せずに済んでいたが、次まともにあいつを食らったら…
リオンおそらく全滅は免れないだろう。例え生き残る者がいたとしてもカノンノを失えばそれまでだ…
アスベル何か方法はないのか…?ヴォルトの雷撃を避けて倒す方法は…
リタ今までだってギリギリだったのよ?近づけばそれだけ不利になるわ
リッドなら、雷撃を放つ前に倒しちまうってのはどうだ?
ルークどうやってだよ!あれだけみんなで攻撃してもまだ倒せなかったんだぞ!?
ミラ…いや、出来ない事もなさそうだ。あまり気は進まないがな…
アスベルなっ…本当か!?
ミラああ。さっきのヴォルトとの戦闘の最中、奴の周囲のマナの密度が大きく低下する変化が見られた
カノンノマナの密度が低下…?それってどういう事?
ミラ簡単に言えば、一時的にヴォルトが無防備な状態になった、という事だ
ミラその機を狙えばおそらく一瞬で片を付ける事も出来なくはないだろう…
スタンじゃあ、そのタイミングを狙うべきだ。そうだろ?
ミラ…ああ、だが──
リオン…その攻撃方法にはお前の気の進まぬ理由がある、という事だな
ミラ…察しがいいな。いや、リオンは気付いていたか…
アスベルヴォルトの身体が光に包まれた瞬間だって…?
リオンああ。間違いない。ヴォルトは光に包まれた後に雷撃を放っていた
セネル…つまりは、その瞬間こそヴォルトを倒せる唯一のタイミングだって事か?
ミラそういう事だ
リッドそれって…失敗したら、問答無用で雷撃を食らっちまうって事だよな。さすがに、それは無茶じゃねえのか?
ミラ勿論、無茶は承知の上だ。だが、ヴォルトの雷撃がある以上、この方法しかないだろう
スタンそんな…
リオン闇雲に挑んだところで、雷撃が放たれれば、どのみち終わりだ
リオン…命を懸けるなら、僕は勝機のある方法を選ぶ
アスベルリオン…
アスベルああ、そうだな、俺もリオンに賛成だ!
セネル俺も反対はしない。だが、その方法でいくとしてももう少し詳細を詰めた方がいい
リタ同感ね。うっかり全滅はごめんだわ。それに、さっきみたいに逃げられないようにもしないと
リッドじゃあ、オトリ作戦ってのはどうだ?
カノンノオトリ?
リッドああ。ヴォルトが無防備な状態を狙うトドメ役は誰か一人に任せて残りは全員オトリ役になるんだ
リッドオトリ役は分散して攻撃を仕掛けてヴォルトの注意を引きつけておくってワケだ
ミラいい案かもしれない。ヴォルトの気が逸れる分、トドメ役の成功率は上がる
セネル少なくとも、闇雲に突っ込むよりは勝算がありそうだ
ルークけど、誰がそのトドメ役をやるんだ?そいつが失敗したら元も子もねーって事だろ?
カノンノうーん…
スタンその役目、俺はリオンが相応しいと思うんだけど、どうかな?
スタン剣の腕はみんな知ってるだろ?それにリオンはすごく冷静だし…俺はリオンが適任だと思うんだ
ミラ確かにその通りだな。リオンの腕が立つというのは、私も同感だ
カノンノヴォルトの雷撃にいち早く気付いて私達に声を掛けてくれたのもリオンだったしね
アスベル確かに、観察力や判断力という部分でもリオンは鋭いし、申し分はない
リッド素早さって点でも問題ねえしな。スタンの言う通り、オレもリオンが適任だと思うぜ
セネル俺も特に異存はない
ルークいつも態度がそっけないのは気にいらねーけどな
リタこの際態度はどうでもいいでしょ。やる事さえやってくれれば
アスベル…そういうわけだ。リオン、お前にトドメ役を頼みたい。引き受けてくれるか?
スタン勝手に進めてごめんな、リオン。押し付ける気はないんだ。大切な役だし…リオンに決めて欲しい
リオン僕は…
リオン
リオン…いいだろう、引き受けてやる。だがスタン、勘違いするなよ。僕は別に臆しているわけじゃない
リオンお前達が僕の足を引っ張らないか心配だった、それだけの事だ
スタンははは、リオンらしいな!…頼むぞ、リオン!
リオン…やり遂げてやるさ、必ずな。ただし、お前達は誰一人として僕の足を引っ張るな。…いいな?
スタンああ、勿論約束するよ。な、みんな?
リッドおう!オレは元々猟師だからな。こういうヤツなら任せとけって
ルークそれより、リオン!お前、役割重大なんだからな!
ルーク言ってみりゃ、俺達の命はお前にかかってんだから…集中してやれよ、マジで!
リオンそんな事は言われなくてもわかっている
アスベルよし。方針も決まって、光明が見えてきたな
カノンノうん、そうだね
スタンみんな、リオンを信用してるんだな!俺もずっとお前を頼りにしてたけど…やっぱりお前はすごいよ、リオン!
リオン
スタン…どうした、リオン?やっぱり不安になったのか?
リオン…何でもない。考え事だ。…カノンノ、お前は僕と一緒に来い
リオンオトリ役から離れたところで待機し、僕がヴォルトを仕留めた後で僕のところに来い。いいな?
カノンノえ…?
カノンノ私は大丈夫だよ。みんなと一緒に、オトリ役をやるから
リオンお前は、オトリ役よりももっと重要な役目を担っている。忘れたわけではあるまい?
カノンノで、でも…
アスベル…カノンノ、俺からも頼む。ここはリオンの指示に従ってくれ
カノンノアスベル…私大丈夫だよ?みんなと一緒にきっと上手く──
ミラカノンノ、私も二人と同意見だ
カノンノミラ…
ミラお前には大精霊の暴走を鎮めるという重要な役割がある
ミラここで万が一お前を失えば世界を救う希望を失う事になる…
ルーク大精霊の暴走を鎮められるのはカノンノしかいねーしな
カノンノ
アスベル…お前を信じていないわけじゃない。ただ、この作戦は危険だ、下手すれば全滅する可能性だってある
アスベルお前には、お前にしかやれない事があるんだ
カノンノ…うん、わかった。じゃあ私は、リオンと行って、離れて待ってるね。みんなの無事を祈ってる
リタあんたこそ、気をつけなさいよ。油断してやられんじゃないわよ
スタンよし!それぞれ役割も決まったところで、早速動きだそう
セネルああ、そうだな。ヴォルトはこの森を更に奥へ進んだところにいるはずだ
リッドじゃ、早いとこ行くとしよう…
リッド…ん?
ガサガサッ!
リオン…!そこの陰に何かいるぞ!
リタまさかヴォルト…!?
ガルルルル!
ルーク魔物かよ!…ったく、もう作戦失敗かと思ったじゃねーか!脅かすんじゃねえっつーの!
scene1雷雲を切裂く者
セネル…!
セネル…みんな、姿勢を低くしろ。見つけたぞ、ヴォルトだ…
リタあんなところに…
リッドおい、こっちだ。気付かれたらまずい。注意しながら進むぞ
ヴォルト
スタン大丈夫、まだ気付かれてはなさそうだな
ルークへっ、今度はこっちから奇襲をかけてやるぜ。覚悟してろよ、ヴォルト…!
ミラでは皆、準備はいいな?先ほど決めた作戦の通りに動いてくれ
リッドああ、問題ねえ。攻撃は頼んだぜ、リオン
リオン…わかっている
カノンノアスベル…
アスベル俺達の事は大丈夫だ、お前はリオンの指示に従って自分の身を守ってくれ、いいな?
カノンノう、うん…
ルークよし、それじゃ始めよーぜ!ヘマするなよ、お前ら!
スタンうおおおおーーっ!
ヴォルト…!
ルーク今度は逃がさねーぞ、ヴォルト!
ヴォルトジジ…ガガガガ…
アスベルそうだ…こっちを見ろ。お前の相手は俺達だ
ミラヴォルトの注意を引きつけつつ、雷撃のタイミングを見極めなければ…
リタリオンの奴、大丈夫なんでしょうね。失敗したら承知しないんだから
カノンノ始まった…みんな大丈夫かな…
カノンノ…大丈夫だよね。きっと。うん、絶対大丈夫
リオン
スタンせいっ!
セネルふっ!はっ!食らえっ!
ヴォルトガガガ…ガガガ
リタやっぱり大して効いてない…雷撃はまだなの!?
リッド…!光に包まれ始めてる…ひょっとしたら…
アスベル来るか…!?
セネル…いや、まだだ!
ルークくそっ、まぎらわしい事してんじゃねーよ!
ヴォルトヴヴ…
ミラもっとだ…!もっと攻撃を重ねてヴォルトの気を引くんだ!
スタンよし!来い!うおおおおっ!
scene2雷雲を切裂く者
セネルはあっ!
ズドッ!
ヴォルトヴヴヴ
アスベル次はこっちだ。食らえ!
ズバッ!
ヴォルトヴ…
リッドさっきから相当攻撃を当ててるぞ。この分だと雷撃を出す前に、決着をつけられるんじゃねえか?
ヴォルトヴヴ…ガガガッ!
ヴンッ!
リッドうおっ!?
ミラ油断するな、リッド!これしきの事でヴォルトが倒れるとは思えん
スタンさっき逃げたのは一体何だったんだよ!
ルークぐっ…くそっ…!さっきの傷が…
リタちょっと、ルーク!?…まずいわ、このままじゃあたしらの方が先にバテちゃいそう…
ヴォルトジジ…ガガガガ…
バチバチ…
スタンみんな、あれを見ろ…!ついに雷撃の準備が始まったんじゃ…
ミラ…!間違いない、ヴォルトの周辺にあるマナの密度に変化が生じている
セネルここからが本番だな…!
アスベルあと一息だ。みんな、頑張ろう!
カノンノ見て、ヴォルトの方…!ヴォルトに光が集まって来てる…
リオン
カノンノ雷撃を放つ準備をしてる…きっとそうだよね、リオン?
カノンノ…リオン?私の事をじっと見てるけど…何かついてる…?
リオン…そういうわけじゃない
カノンノ…とにかくお願い、みんなのところに行ってあげて!指示通り私はここで待ってるよ
カノンノリオンの攻撃はきっと成功する…私もみんなも信じてるよ。だから──
リオン…来い
カノンノ…え?
カノンノリ、リオン?そんなに腕を強く引っ張らないで…ねえ、どうしたの…?
リオン…黙ってついて来い
カノンノで、でも…みんなが…!一体どこに行くの!?ねえ、リオン…!?
リオン
ヴォルトジジ…ガガ
バチバチバチッ…!!
リッドどうやら本格的に雷撃を放つ準備に入ったみたいだな…!攻撃を仕掛けるにはいい頃合いだ
リタそうね。後はリオンが、上手く決めてくれれば…
スタン頼むぞ…リオン!
カノンノ本当に、どこに行くつもりなの…?ヴォルトやみんなのいるところから、どんどん遠くなっちゃうよ?
リオン
カノンノリオン、お願い…わけがわからないよ…ねえ…
リオン
リオン…お前はただ黙って僕に従えばいい
カノンノリオン…
バチバチバチッ…!
リタちょっと、スタン!リオンはまだなの!?ヴォルトの奴、今にも雷撃を放ちそうな勢いよ!?
スタンじきに来るはずだ…!だからもう少し踏ん張ってあいつの注意を引きつけててくれ!
ヴォルトガガガガガガ
アスベルヴォルトを覆っている光がどんどん増している…攻撃するなら今が絶好の機会だ…!
セネルくっ…なのに何故来ない!?このままじゃ…本当に間に合わないぞ…!
ルークだーっ!何やってんだよリオンの奴!
スタンルーク、最後まで信じろ!!大丈夫だ、必ず来る…!リオンは必ず…
バチバチバチッ!!
リッドちっ、駄目だ、もう間に合わねえ…!
スタンそんな…!絶対そんなはず……
ミラ
ズバーーーーッ!
ヴォルトジ…ジジ…
リタうっ…!光が拡散して視界が…
セネル光が収まった…。今のは一体…?
リオン…どうやらヴォルトの雷撃は収まったようだ
スタンリオン…!!
ルークったく、遅えんだよ!ギリギリすぎるっつーの!
ミラ…いや、ルーク。リオンの攻撃は絶妙なタイミングで繰り出されている
ミラマナの密度の変化には十分に注意を向けて見ていた。それは間違いない…
ミラヴォルトの攻撃パターンにもあの短時間で気付いていたリオンだ
ミラ雷撃のタイミングも観察していたのかもしれないな
アスベルそうだったのか…。俺も、遅いと感じていたが時期を見計らってたんだな…
スタンさすがリオンだ!本当にありがとうな!これでヴォルトも倒せて──
リオン…いや、まだだ
ヴォルトヴヴヴ…
リタちょっと、嘘でしょ!?
セネル…いや、だが見てみろ。ヴォルトの様子が明らかにおかしい。攻撃は確実に効いている
ミラ今なら、雷撃を気にする事なく、攻撃を仕掛けられる。全員で一気に畳みかけるぞ!
アスベルああ!
リッド行くぞ、ヴォルト!
ヴォルトガガガ
scene3雷雲を切裂く者
リオンはああああっ!
ズバーーン!
ヴォルトヴ…
ヴォルト
ルークヴォルトの奴、やっと大人しくなりやがった
リッドやれやれ、ようやくってワケか
リタ8人がかりでやっとだなんて、ほんと随分と手こずらせてくれたもんだわ
スタン本当にな…って、ほら見てみろよ。今気付いたけど、周辺があちこち焼け焦げてるぞ
アスベルうわ…本当だ…おそらくヴォルトの電撃の影響だろうな
セネル…周辺の様子もそうだが、それだけじゃない。スタン、お前顔をやけどしてるぞ
スタンえ?…あれ、本当だ。全然気付いてなかったよ
ミラこれくらいで済んだのは、むしろ幸いだ
ミラこれまで相手にした大精霊と比べても、ヴォルトの強さは相当なものだったからな
リオン
スタンやったな、リオン!絶対決めてくれるって、俺、信じてたよ!
リオンうるさい!耳元で大声を出すな
スタンへへ…
アスベルところで…カノンノはどこだ?
リタそう言えば、姿が見えないわね。リオン、あんた一緒だったわよね?カノンノはどこに行ったの?
リオン
アスベルどうしたんだ…?…まさか、カノンノの身に何かあったんじゃ…
アスベルリオン、カノンノはどこだ…?教えてくれ、一体何が──
カノンノおーい!
カノンノはあ…はあ…みんな、無事でよかった…!
アスベルカノンノ…!どこにいたんだ!?姿が見えないから、てっきり何かあったのかと思って…
カノンノごめんね、戻って来るのが遅くなっちゃって…心配をかけちゃったみたいだね
カノンノでも、まずはその事で、リオンにお礼を言わなきゃ…。さっきは本当にありがとう
リタ何の話?
カノンノ実はね、本当なら私はそこの木の影に隠れておく話になってたんだけど…ほら、見て
リッドん?黒焦げになって倒れてる木が…
リッドってまさか…
カノンノうん、あのままあそこにいたら私もきっと今頃無事ではいられなかったと思う
カノンノけどね、リオンが機転を利かせて私を別の安全な場所まで連れてってくれたの
カノンノリオン、さっきは本当にありがとう!
リオン…ああ
カノンノじゃあ、私は早速ヴォルトのところに行くね
アスベルリオン、カノンノの事、本当にありがとう。俺からも礼を言わせてくれ
リオン…僕は…
リオン
カノンノ──ありがとう、ヴォルト…
リオンヴォルトとの契約は終わったのか?
カノンノうん
ミラセルシウス、アスカ、クロノス、そしてヴォルト…これでまた新たなる大精霊を救う事が出来たな
リオンこれで4体か…
アスベル大精霊との戦闘は苦難を強いられる事も多いが着実に成果は得られてる
ルークこの調子でやっていけば、異変が収まる日も結構近いって事だよな?
リッドああ、徐々にではあるが着実にマシにはなってきてるしな
リタあと少し…引続き、頑張らないとね
カノンノうん!
カノンノ…あ、見て。空が…
リッドお、陽の光か…?
セネル辺り一面に広がっていた雷雲が晴れてきたようだな
カノンノきれい…
アスベルああ、きれいだな
スタンああいう風にさ、俺達のやっている事が、世界を照らす光になるといいよな
アスベル…きっとそうなる、いや、必ずそうしてみせるさ
カノンノアスベル…
カノンノうん、そうだね!よーし、これからも頑張ろうね、みんな!
アスベルああ!
リオン

NameDialogue
scene1キムラスカの異変
シング──にしても、本当によかったよ。そのオトリ作戦が成功して…
ソフィ…失敗してたらみんな死んじゃってたんだよね
フィリア腕利きの剣士だという噂は兼ね兼ね耳にしておりましたが、さすがですわ、リオンさん
ルーク何かリオンだけがおいしいとこ持ってったみてーで、気に入らねーけどな
リオン勘違いするなよ。そもそも僕が自ら志願したわけじゃない
ルークんだよ、その態度!そうやっていつも偉そうにしやがって、むかつくっつーの!
スタン待ってくれ、ルーク。リオンは悪気があって言ってるんじゃないんだ
リッドまあ、細かい事はいいじゃねえか。ヴォルトも元に戻ったし、オレ達も全員無事だったワケだろ?
ルークあのな、そうやってお前らが甘やかすから、こいつがどんどん調子に乗って──
リタあーもう、うっさい!いい加減にしないとファイアボールぶち込むわよ!?
アスベルさてと…じゃあ気を引き締めて、そろそろ行こうか、みんな
シング傷の方はもう大丈夫なの?村に戻ってきた時はかなり傷だらけだったのにさ
カノンノフィリアさんやソフィのお蔭でみんなよくなったみたい!
リッド柔らかいベッドでたっぷり寝させてもらったからな。体力もすっかり回復したぜ
シングそっか、ならよかった。またいつでも立ち寄ってよ
ミラああ、そうさせてもらう。礼を言うぞ、シング
セネル…シング、ヴォルトの件も落ち着いたし俺も一旦この村に残ろうと思う
セネル魔物の襲撃も続いているようだしな
シングそうしてくれると助かるよ。みんながバレル島へ行った後も結構大変だったんだ。な、ソフィ?
ソフィうん
ソフィそれでね、アスベル…。わたしももう少し村に残りたい。しばらく様子を見ていたいの
セネルソフィ…、俺達としては助かるが本当にいいのか?
ソフィうん。セネルもいるけど…心配がなくなるまでちゃんと見届けたい…
アスベルそうか、わかった。その判断はソフィに任せるよ
ソフィありがとう
ミラ次の目的地だが、まずは北へ向かう。詳しい事は歩きながら話そう
フィリアみなさん、どうかお気をつけて。これからの旅のご無事をお祈りいたしますわ
シングあ、そうだ。もしどこかでまた、コハク達に会ったら、オレは無事だから帰って来てって伝えてよ
ミラああ、勿論だ。会えた折には必ず伝えておく
シング助かるよ。じゃあ、みんな気をつけて!
ルークおう!お前らこそ魔物にやられんじゃねーぞ!
scene2キムラスカの異変
リオン…で、次はどこに行くんだ?大精霊の居所について、何かあてはあるのか?
ミラああ、目星はついている。次に向かうのはキムラスカだ
ルークキムラスカ?マジかよ、俺んとこに大精霊がいるってのか!?
ミラああ。バレル島への道中、わずかだが大精霊の気配を感じていた
リッドあ、ひょっとしてセネルの船に乗ってた時か?
アスベルそうだ、確かあの時ミラが急に黙って…
ミラああ。その時感じ取った気配は脅威には値しない小さなものだった。ゆえに──
リタ…あたしらの注意がヴォルトから逸れないために、敢えて言わなかったってわけ?
ミラそういう事だ
ルークでもよ、キムラスカに大精霊がいるなんて本当なのか?そんな話、今まで聞いた事ねーぞ
リオン普通の人間は大精霊の存在を知らない。僕達もミラ達に話を聞くまで知らなかっただろう
リタつまり、ルークが知らなくても別に不思議じゃないって事ね
アスベルとにかく、キムラスカの状況を確認しに行こう
スタンそうだな、じゃあ早速キムラスカを目指して──……ん?あれって、もしかして…
コハククラースさん、早く早く!
クラース待て待て。そんなに急がせてどうするつもりだ
ヒスイったく、それでもそんなトロトロ歩いてちゃ間に合うもんも合わなく──
ミラクラース、コハク、ヒスイ!
ヒスイミラ!?
コハクあ、お兄ちゃん!リオンやスタンも一緒にいるよ!
スタンコハク!元気そうだな!
リオン
コハクスタンもリオンも元気そうだね!久しぶりに会えて嬉しいよ
クラースお前達、シーブル村から出て来たのか?
ミラああ、その通りだ。これからキムラスカへ行く
スタンこんなに早く二人に会えるなんて!シングから伝言を頼まれたんだ。「オレは無事だから帰って来て」って
スタン二人の事、すごく心配してたから早く伝えられてよかった
コハク帰って来て…?ひょっとして、シングはシーブル村に帰ってるって事!?
スタンああ!入れ違いにならなくてよかったな。早く会いに行ってやってくれよ
リオンそれより、お前達は何故このタイミングで戻って来た?
ヒスイこの大陸の西の方にあるバレル島付近で、すごい雷雲が発生してるのを知ってるか?
クラースその辺りから大精霊の気配を感じ取ってな。調べに行こうとしてたんだ
コハクバレル島へは、シーブル村からしか行けないの。だから、村に戻ってセネルに船を出してもらおうと思って
リッドなるほど、そういう事か。だったらもう、心配はねえぜ。な、カノンノ?
カノンノうん!その雷雲を生み出していた大精霊…ヴォルトは、ここにいるよ
クラース…む?ここにいるとは一体どういう事だ?まさか…
ミラああ、ヴォルトは正気を取り戻し私達に力を貸してくれる事になった
クラースそうか…。暴走を鎮めるだけではなく契約まで取り交わしていたとはな…
クラースどうりで、行く先々で大精霊が姿を消しているわけだ
コハクわたし達はずっと、ミラ達が回った場所を追うかたちで進んでたんだね
ヒスイったく…二度手間だったって事かよ
クラース仕方ないだろう。大精霊の気配を感じ取れるとはいえ私とミラでは能力に雲泥の差がある
クラース…にしても、本当にすごい事だ。あの強大な力を持つ大精霊達の暴走を鎮めるとは…
ミラ皆で力を合わせなければ到底成し得る事は出来なかっただろう
リタそれとカノンノのリプリカームね。結局のところ、その力があるからこそ暴走を鎮める事が出来るんだし
クラース…彼女が切り札という事か
クラースふむ…中々に興味深い能力だ。大精霊を救うというその力を、是非この目で見てみたい
ヒスイなら、クラース。お前はミラ達と一緒に行ったらいいんじゃねえのか?
ヒスイ俺達は村へ戻るだけになっちまったし何も一緒に来る必要もねえだろ
コハクやっとシングに会えるんだね
ヒスイシングの事はどうでもいいが、村が魔物に襲われてるってのは、聞き捨てならねえ。何とかしねえと
クラースだが、村の方は大丈夫なのか?状況も状況だ、人手は多いに越した事はないだろう?
コハクそっちはきっと大丈夫だよ!
コハクシングやセネル、それにソフィや司祭様まで手伝ってくれてるみたいだし
コハククラースさんは大精霊に詳しいし、ミラ達といた方が力を発揮出来るんじゃないかな?
クラースふむ、ではお前達の言葉に甘えて私はミラ達と同行させてもらおう。それで問題ないか?
アスベル勿論です。現状大精霊に関してはミラに頼りきりなので、俺達としても、とても助かります
ミラアスベルの言う通りだ。お前がいてくれれば心強い。是非力を貸してくれ
リッドよし、決まりだな。じゃあ早速行動開始と行こうぜ
コハクじゃあみんな、気をつけて
スタンそっちもな。シング達によろしく!
リタさ、あたしらも早いところキムラスカへ向かいましょ
リオンむ…
ガサガサッ!
アスベルこの気配は…
ギャオオッ!
アスベルやはり魔物か!
scene1胸騒ぎ
エステルここがキムラスカの王都、バチカル…ようやくたどり着きましたね
フレンはい。想定していたよりも遥かに時間がかかってしまいました
フレンエステリーゼ様もお疲れでしょうしまずは、宿屋でご休息を取られてはいかがですか?
エステルありがとうございます。でも、大丈夫ですよ、フレン
エステルそれより一刻も早く、キムラスカ国王にお会いしたいです
エステルリチャード陛下の名代としてこの国に来たからには、必ず務めを果たさないと
フレンエステリーゼ様…。わかりました。ではこのまま行きましょう
フレンそれにしても、リチャード陛下もよくエステリーゼ様のキムラスカ行きをお許しになりましたね
エステル…本当は陛下がご自分で行くとおっしゃっていたんです
エステルでも、世界中で異変が起きている今、陛下がウィンドルを離れるべきではないと思ったんです
エステルそれで、わたしが代わりに行く事を陛下に提案しました
エステル最初は反対されましたけど、フレンが同行するならと、認めてくださいました
フレン陛下の期待に応えられるよう全力を尽くします
エステルすみません。巻き込むようなかたちになってしまって
フレンとんでもありません。王族の方々をお守りするのは、騎士団員の当然の務めですから
エステルありがとうございます、フレン。それでは、キムラスカの王宮へ行きましょう
フレンはい
スタンルイニス街、何ともなくてよかったな!リオン
リオンヴォルトの雷の影響がなかったと言うだけだ。依然氷漬けなのは変わらない…
リッドルイニス街も過ぎたからバチカルももう遠くないな
ルークああ。景色にも見覚えがあるぜ
カノンノバチカルはルークの生まれ育った街なんだよね
ルークまあな。そこらの街とは大違いの都会だぜ。景色はいいし食いものは美味いし──
リオン無駄話はそこまでにしてさっさと歩け
ルークなっ、無駄話とは何だ!バチカルに来た事もねーくせに!
スタンバチカルなら俺もリオンも前に行った事あるぞ
スタン確かに、ルークの言うように食いものがすごい美味かった!だよな?リオン
リオン…ふん
ルーク…き、来た事あるならあるって言えっつーの。何なんだよ、ったく…
カノンノ大精霊の件が落ち着いたら、バチカルをゆっくり見て回りたいな。その時は案内をお願いしてもいい?
ルークお、おう、任せとけ
ミラ
アスベルミラ、どうかしたのか?もしかして、大精霊の気配を…
ミラああ。先ほどよりも強い気配を感じる。北西の方角だ
クラース私はまだ何も感じないが…ミラが言うのだから、間違いないのだろうな
リタここから北西…ねえ、それって、もろにバチカルの方じゃない
ルーク…おいおい、まさかバチカルに大精霊がいるとか言うんじゃねーだろうな
ミラそれはまだわからない。そうでない事を祈る他ない
アスベル…とにかく急ごう
scene2胸騒ぎ
リオンバチカルが見えた。ミラ、大精霊の気配は?
ミラますます強くなっている。この近くにいるのは、間違いなさそうだ
アスベルもしかして、本当に街の中に…?
ルークそれマジ勘弁だぜ。けど、今のところ何か起きてる感じはねーよな…?
ミラ
クラースどうしたんだ、ミラ
ミラ意識を集中して、大精霊の気配を探っている。場所を特定出来るかもしれない
ミラ
リタどう?上手くいきそう?
ミラバチカルの北にある高い山岳…。あそこから強い気配を感じる
ルーク北の山岳?あの辺りの山に大精霊がいるって事か?
ミラおそらくな
カノンノ山に気配があるなら街は大丈夫だって事だよね
リオン…いや、安心するのはまだ早い。あの山岳は、街からそう離れていない
リタそうね。本当に暴走している大精霊があの山岳にいるなら、いつバチカルに被害が及んでもおかしくないわ
スタンそんな…
クラースミラ、山岳にいるのはどの大精霊なのかはわからないのか?
ミラ残念だが、場所を特定するだけで精一杯………!これは…
カノンノみんな…!ネックレスが光り始めたよ…!
クラース感じる…私も精霊の気配を感じるぞ。これは…
リッドおい、山岳の方を見ろ!頂上が光ってるぞ!
リタ何よ、あの光…!拡散したと思ったらまるで雨みたいに降り注いで…
スタンあんなの初めて見た…まるで光の雨だ…!
クラースレイという光の術があるが、それを強化したもののようにも見えた
ミラレイか…。あれが大精霊の仕業だとすると、もしかして…
アスベル…!あれを見ろ!バチカルから煙が上がってないか!?
カノンノうん!煙が見える!
リオンちっ、光の雨の影響か…!
ルークまさか今のでバチカルが…くそっ!
リッドおい、ルーク!
アスベルみんな、ルークを追おう!大精霊の事も気がかりだが、バチカルも放っておけない!
カノンノうん!
ミラやむを得ないな
スタン…!っと、ちょっと待て。その前に厄介なのが来たぞ…!
ガルルルル!
リオンちっ、魔物か…!こいつは僕がやる、お前達は先に行け
リタあたしも手伝う。さっさと片付けるわよ!
scene1破壊の雨
エステル…というわけで、ウィンドルとア・ジュールの戦争の危機は、ひとまず回避されました
エステル今は世界が直面している危機を共に乗り越えるべく、手を携え、協力体制を築きつつあります
エステルつきましては、キムラスカとも是非連携を強化したいと、こうしてお願いに上がった次第です
インゴベルト六世ふむ…
フレン
エステルシルヴァラント国王陛下にも同じ提案を行い、ご快諾いただいています
インゴベルト六世ふむ…それは結構な事だ。だが、よその国はよその国。我が国は我が国であるからな
エステル…あの、もしかして、わたしの申し上げた事に、何かご懸念がおありでしょうか?
インゴベルト六世いや、そういうわけではない
インゴベルト六世リチャード陛下のお考えはよくわかった
エステルでは…
インゴベルト六世とはいえ、極めて高度な問題だ。そう簡単に答えを出すわけにもいかぬ
インゴベルト六世政に軽挙は禁物。その点はご理解いただけような
エステルは、はい…。それは勿論…
フレン
ズドドドドーーン!!
エステル…!
フレンエステリーゼ様!伏せて下さい!
インゴベルト六世今のすさまじい音は…衛兵、一体何事だ!?
衛兵申し上げます!突然街の北部に光の雨が降り注ぎ、一部の建物が損壊しました!
フレン光の雨…?原因は何なのです!?
衛兵いえ、今のところ不明です…。ですが、損壊の範囲は広く負傷者も出ている可能性があります
衛兵陛下とエステリーゼ殿下におかれましては、ただちに安全な場所にご避難いただきたく!
インゴベルト六世うむ、わかった。では、エステリーゼ殿下、私と一緒に──
エステル…いえ、わたしは残ります
フレンエステリーゼ様…?
エステルわたしは治癒術が使えます。怪我人が出ているかもしれないのに自分だけ避難するわけにはいきません
エステルわたし、街に行って負傷者の救助に協力します!
フレンエステリーゼ様!お待ち下さい!
インゴベルト六世
リタこの橋を渡ればバチカルに入れるのね。この辺りには特に被害はなさそうだけど…
アスベル煙の出所はどこだ?
スタンあ、あれ!向こうだ!
リッド北側の方か…。山岳に近い地域で被害が起きてるってワケか
ルークマジかよ…。あの辺りは建物が密集してる地域だぞ…
クラースだとしたら、建物の損壊に火災…いずれにせよ、何かの拍子で被害が一気に拡大する恐れがある
リオンとにかく行くぞ。こうして話している時間すら惜しい
カノンノうん、そうだね
ミラでは、皆、急いで街の北側に向かうぞ!
scene2破壊の雨
リッドおい、あれを見ろ!建物が燃えてるぞ!
カノンノ大変…!早く火を消さないとどんどん燃え広がっちゃう…!
ミラウンディーネ、頼む!
ザザーーッ!
クラースおお!
アスベル火が消えた…
リタいい判断ね。やるじゃない、ミラ
ミラ安心するのはまだ早い。火は消し止めたが、至るところで建物が崩れかけている…
スタンあんなのに、街の人達が巻き込まれたら──
カノンノ見て!向こうに子どもが!
男の子ふえ…ママ、どこ…?
ズズ…
ルークおい、ガキ!後ろの建物が崩れるぞ、こっちに走れ!
カノンノル、ルーク!
ガラガラ…
男の子…!
リタ駄目…!間に合わな──
ティアはっ!
ルークあっ!?
ガラガラガラッ!
リッド建物が崩れちまった…。間に合ったのか…?
スタン…!よかった…無事みたいだぞ!
アスベル間一髪だったな。助かってよかった…
ティア怪我はない?
男の子うん…だいじょうぶだよ…お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう…
母親坊や!
男の子あ、ママー!
母親この子を助けていただいて、ありがとうございました
ティアこの辺りは危険です。早く安全なところに避難してください
母親はい、わかりました
ルークティア!
ティアルーク!?それにリッドまで…どうしてあなた達がここに?
リッドまあ、それについてはいろいろとあってな。話せば長くなりそうだ
ティアそう…。それより、少し前にメルトキオにいるエミルから手紙を受け取ったわ
ティアルーク、あなたが怪我を負ったとあったけど…大丈夫なの?
ルークああ、もう何ともねーよ。それより──
きゃああああっ!
クラース今度は何だ!?
カノンノ向こうを見て!
グルルルル…
スタン魔物だ!山岳の方から降りてきたのか…?
アスベル何であれ、放ってはおけない。みんな、行こう!
scene1エステルとの再会
ティアまさかそんな事になっていたなんて…
ティアひょっとしてルークが怪我したというのも…
リッドああ、大精霊との戦いの中で負ったもんだ
ティアエミルからの手紙にかなり重い傷を負ったとあったの
ティアすぐにでもメルトキオに向おうと思っていたのだけど…見たところ、元気そうね
ルーク言ったろ、もう何ともねーって。それより、その手紙の中にブタザルの事は何か書いてあったか?
ティアええ、あったわ。ミュウはまだメルトキオで療養しているそうよ
カノンノそっか…早く回復してほしいね
ルーク…大丈夫だろ。エミルやジーニアスがみてんだから
ルークそれより、今は大精霊だろ。そっちを先に何とかしねーと
ティア光の雨…あなた達の話では、その原因である大精霊が山岳にいるんだったわね
ミラああ。街に一番近い山から大精霊の気配がする
ティア街に一番近い山…グーベック山ね
ミラ光の雨が降る位置から考えてもそのグーベック山にいる可能性が高い
クラース光の雨は、これだけ広範囲に被害を及ぼしている。一刻も早く止めなければ…
スタン…だけど、街の方も結構な被害だ。このまま放って行くっていうのも──
衛兵ティア様!
ティアどうしたの?
衛兵こちらにウィンドルのエステリーゼ殿下はいらっしゃいませんでしたか?
アスベルエステリーゼ殿下…!?
リタちょっと、どういう事!?エステルがここにいるって…
ティアエステリーゼ殿下は、ウィンドル国王陛下の名代として、現在我が国にいらっしゃっているの
アスベル名代って、一体どういう事だ?
ティア詳しい事は私も聞いていないわ
ティア…でも、エステリーゼ殿下は陛下と共に、安全な場所へ避難していただいているのではないの?
衛兵それが…突然いなくなられてしまいまして
アスベルな…
リタ何ですって!?
衛兵その場にいた者の話では、街へ行き人々の救助に協力する、と王宮を出られたようです…
リタあの子らしい話だけど、無茶よ!いつまた光の雨が降ってくるかも分からないのに…!
ティア…まずいわ。殿下ご自身の事も気がかりだけど、それだけではすまない
ティア…キムラスカ国内で、もし殿下の身に何かあれば、国際問題にもなり兼ねないわ…
アスベル…ティアの言う通りだ。一刻も早くエステリーゼ様を見つけ出さないと…
アスベルおそらくエステリーゼ様はこの地域におられるはずだ。みんな、悪いが協力してほしい
リタ当然よ。あたしはあっちを捜すわ!
カノンノわたしはこっちを見てくるね
リッド仕方ねえ、オレ達も見に行くぞ、リオン
リオン全く、世話の焼ける…
scene2エステルとの再会
リッドおい、こっちだ!エステルがいたぞ!
リタエステル!
エステルリタ!?どうしてここに?
リタどうしてもこうしてもないわよ。エステルこそ、何やってんのよ!
エステル何って、街がひどい事になって怪我人もいるみたいだったので、それで…
リタああもう!いつもそうなんだから!
リタちょっとは立場ってもんを考えなさいってのよ。何かあったらどうするつもり?
エステルあ…すみません…
リタ…まあ、あんたらしいけどね…
フレンアスベル、しばらくだね
アスベルフレンもいたのか
フレンああ。エステリーゼ様の護衛でね
アスベルそうか…。フレンが一緒なら、ここまで心配する必要はなかったか
アスベルところで、エステリーゼ様
エステルはい
アスベルエステリーゼ様は、リチャ…国王陛下の名代としてこの国へいらしたと伺いました
アスベルこんな状況で恐縮ですが、手短に事情をお聞かせいただけませんか?
エステルわかりました。実は…
ミラなるほど。リチャードは、各国との協力体制を強化すべく動いてくれていたのだな
エステルはい。シルヴァラント国王陛下にはご協力をいただける事になりました
エステルキムラスカとも同じように出来たらと思うんですが、これまであまり交流がなかったので…
クラースそれで国王の代理として、エステリーゼ殿下がキムラスカへ来ていた、というわけか
ルークそういや、伯父上には俺が話をつけるって言ってたのにそのままだった。悪ぃ…
エステルいえ、そんな、気にしないでください
エステルキムラスカとウィンドルの今後を考えれば、むしろこれはいい機会だと思います
エステルリチャード陛下もきっと、そう考えてくださると思います
アスベルリチャード…。あいつも遠く離れたウィンドルから、世界を守ろうと頑張っているんだな…
フレンああ、だからこそ僕らも全力で陛下を支えなければ。そうだろう?
アスベルそうだな
エステルそれにしても、さっきの光の雨、驚きました…
エステル大精霊というのは、あれほどの力を持った存在なんですね…
ティア…本当に大精霊がグーベック山にいるなら、すぐにでも向かうべきだわ
ティアこれほどの被害を出すあの光の雨が次はバチカルの中心部を襲わないとも限らない
ティアそうなったら、被害の大きさは想像を絶するものになるわ
リオン中心部の被害で済めばいいがな。街全体が壊滅する事だって十分に考えられる
ルークそんな真似させるかよ。よし、早いとこ、大精霊の暴走を鎮めに行こうぜ
スタンでも、街の方は大丈夫なのか?この様子じゃ混乱を収めるにも人手が必要だろ…
ティアそれはそうだけど、それでも今は光の雨の元凶をどうにかする方を優先させるべきだと思うわ
ミラ同感だ。皆、ここはティアに任せて私達はグーベック山へ急ごう
ティアエステリーゼ殿下も、この場は私にお任せいただき、急いで避難なさってください
エステル…ごめんなさい、ティア。わたしはアスベル達と共にグーベック山に行こうと思います
リッド何だって…?
アスベル無茶です、エステリーゼ様!ご自身の身と立場を考えてください
アスベルキムラスカでもしあなたの身に何かあれば、国同士の関係にも取り返しのつかない事態に陥ります
フレン私もアスベルと同感です。ここは避難すべきです。危険すぎます
エステル…王族としての立場の重さはわかっているつもりです
フレンでしたら…!
エステル……わたしはリチャード陛下の名代として、両国の協力関係を築くためにここに来ました
エステルそのためには、この国のみなさんの信頼を得る事が不可欠です
エステルでも危険が迫っている時、自分だけ安全な場所に逃げる者の言葉に耳を傾ける人はいないと思います
エステルそれにこの地区の被害を見れば、バチカルのどこにいても危険な事に変わりはないと思います
エステルですから、今なすべき最善はこれ以上被害を出さない事。そのためにわたしも協力したいんです
アスベルですが、エステリーゼ様…!
エステルお願いです、アスベル、フレン。わたしにも出来る事をさせてください
フレンエステリーゼ様…
リタ…相手は強大な大精霊だし、エステルみたいな治癒術師がいてくれれば、心強いのは確かね
アスベルリタ!?ちょっと待ってくれ、そんな軽はずみな事を言って──
リタエステルの言ってる事は無茶に聞こえるかもしれないけど理に適っていると思う
リタここに残ったって、次にまたあの光の雨が襲ってきた時無事に済む保証はどこにもない
リタといって、今この街を離れればエステルの言う通り、誰も彼女の言う事なんて聞かなくなる
リタそれに、どのみちグーベック山の大精霊はどうにかしないといけないんだし
リタだったら下手に残るよりあたし達に力を貸してくれた方がまだいいと思うわ
エステルリタ…ありがとうございます!
リタただし、一つ約束して。絶対に一人で勝手な行動は取らない事。いい?
エステル……はい!
アスベル…わかりました。では、一緒に行きましょう
フレンアスベル!?本気で言ってるのか?
アスベルああ。エステリーゼ様のお気持ちは十分に理解したし、リタの言う事も一理ある
アスベル…フレン、エステリーゼ様の事は、何があっても守ると約束する。だから──
フレン…わかった、なら、僕も一緒に行こう
フレン僕はリチャード陛下から直々にエステリーゼ様の護衛役を仰せつかっている
フレンエステリーゼ様が行く以上、それがどこであろうと、僕も行くよ
エステルフレン…。いつもすみません
フレンそんな、気にしないでください。騎士として当然の事ですから
フレンたとえ何があろうとエステリーゼ様は私がお守りします
フレン…とういうわけだ、アスベル。そう長い間ではないと思うが、よろしく頼む
アスベルああ、こちらこそ
リオン話はまとまったようだな。なら、さっさと行くぞ
ルークああ、ぐずぐずしてたら、また光の雨が降ってくるかもしれねーしな
ティア…そうね。次はもっと大きな被害が出るかもしれないし
ティア本当は市民をバチカルから避難させるべきなのかもしれないけど…多すぎて、すぐには難しいわね
ティアそれに街の外は外で魔物がいる危険があるし、どうすればいいのかしら…
クラース…その話で一つ相談だ。私はこの街に残ろうと思うんだが…
カノンノクラースさんが…?
クラース能力としては劣るが…私もミラやカノンノのネックレスと同様、大精霊の気配を感じ取る事が出来る
クラース光の雨がまた降るような事があれば、事前にそれを感知し、住人に注意を促す事も出来るだろう
ティア…一応、軍の緊急用の鐘を使えばバチカルのどこだろうと知らせる事だけは出来ると思うけど…
クラース避難には間に合わないだろうし、被害がなくなるわけでもなかろうが警告がないよりはマシだろう
リッドでも、いいのかよ?リプリカームで大精霊を救う瞬間を見たくて、オレ達と来たんだろ?
クラース人命を守る事の方が大切だろう。私は次の機会を待つさ
ミラクラース、ありがとう。街にお前がいてくれれば心強い。頼んだぞ
クラースそう言ってもらえるとありがたい。では、大精霊の事は任せたぞ
スタン俺もここに残ろうと思う
リオン何だと?
スタン大精霊の方はさ、リオンやみんながいるから、大丈夫だって思えるんだ
スタン…でも、街の方はただでさえ人手も足りなそうだし…何ていうか、放っておけないんだ
ティアありがとう、二人共。本当に助かるわ
ルークけど、お前ら何で…その、キムラスカは別にお前らの国でもねーのに…
スタンええと…上手く説明出来ないけど、俺がそうしたいって思っただけだよ。大精霊の事は、任せたからな!
ルーク…おう、任せとけ!
リタさて、じゃあ早速大精霊のところに向かうとしましょ
ティアこの先を真っ直ぐ進んだところにグーベック山の山道へ通じる道がある。そこから行くといいわ
リッドわかった。じゃあとっとと行こうぜ
ルーク待ってろよ、大精霊!
scene1グーベック山の大精霊
カノンノここがグーベック山…
リッド大精霊がいるとしたら、やっぱり山頂か?
ミラおそらくはな。光の雨が降る直前、山頂が光るのが見えた
エステル既に大精霊が移動していて、もう山頂にはいないという可能性はないんです?
リタ否定は出来ないわね。こうして歩いている間に、いきなり襲われるかもしれない
リオンその通りだ。油断するなよ
エステルそうですよね…気を引き締めないと
アスベルエステリーゼ様、足下にもお気をつけください。崩れやすくなっていますので
エステルあ、はい
フレン道がところどころ崩れているのは、例の光の雨のせいだろうか?
ルークわかんねーけど、いくら崖沿いだからって、ここまで歩きにくいもんか?ったく、たりぃ…
ミラ光の雨もそうだが、これだけの荒れようだ。以前に頻発していた地震の影響でもあるだろう
ガラ…
ガラガラガラ…!
エステル…!
リタエステル、危ない!
フレンエステリーゼ様、大丈夫ですか!?
エステルは、はい…リタのお蔭で…何とか…
エステルすみません、リタ。早速助けてもらってしまって
リタ別に大した事ないわ
リッド二人とも崖から落ちるんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたぜ
エステル役に立つどころかいきなり足手まといになって、駄目ですね、わたし…
リタだ、だから今のは崖が勝手に崩れただけで、別にあんたのせいじゃないってば
リタそうだ、ルーク、あんた大精霊の件が片付いたら、国王にこの道、整備するように言いなさいよ
ルークへ?な、俺が?何でそんな事…
リタあんた、国王の甥なんでしょ?たまにはその立場を役立てなさいよ
リタあんた達もエステルを守るのが仕事なんでしょ!もっとしっかりしなさい!
フレン、アスベルすみません…
エステルふふ…
リタエステル?どうかしたの?
エステルいえ…こうやってリタと話すのも、久しぶりだなって
リタそういや、そうね。ア・ジュールで再会してからもそれ以降は別行動だったし
エステルはい。一緒にイニル街に行ったり、兵器工場に忍び込んだりしたのが随分昔の事のようです
エステル何ていうか…こんな風に言うと怒られてしまうかもしれませんが…
エステルリタと旅をした時間はわたしにとって、とても有意義で、それでいて楽しい時間でした
エステルまたこうして、リタと行動を共にする事が出来て嬉しいです
リタう、嬉しいって…あんたねえ。これは遊びじゃないんだからしゃきっとしなさいよ
エステル…そうですよね、すみません
リタだからそうじゃなくて、別に謝って欲しいとかじゃなくて、えーと…
エステル…?
リタあーもう!何でもない!この話は終わり!ほら、さっさと先を進むわよ!
エステルリタ…?
scene2グーベック山の大精霊
カノンノふう…ふう…
ミラカノンノ、疲れたのか?
カノンノううん、平気だよ。みんな頑張ってるんだから、これくらい…
アスベル気持ちはわかるが、無理はするなよ
カノンノうん、大丈夫──……あっ!
リッドカノンノのネックレスが光り出したぞ
ルークって事は、この近くに大精霊がいるのか?
ミラ…いや、大精霊の気配に動きは見られない
カノンノうーん…何だかいつもの光り方と少し違うような…
アスベル言われてみれば…確かにそんな気も──
ミラ…!この声は…
ミラお前は…アスカか?
アスベルアスカって、ネックレスの中にいるアスカだよな?…何かあったんだろうか
ミラ
ミラ…ふむ
フレンネックレスの中の大精霊と対話しているのか…
フレン話には聞いていたが、実際に見ると何とも不思議な感じだな
ミラ…わかった、約束しよう
ルークおいミラ、アスカの奴、何だって?
ミラこの山にいる大精霊について教えてくれたのだ
ミラ私も、光の雨を見た時にもしやとは思っていたが…
リタ正体がわかったってわけ?何者なの、その大精霊は
ミラ大精霊の正体は月を司る大精霊、ルナ…
エステルルナ…
ミラああ、この山岳に入ってすぐ、アスカはルナの存在を感じていたらしい
ミラ彼女はアスカの対になる存在…言わば、パートナーのようなものだ
ミラいつ何時でも互いを必要とし、寄り添うように過ごしてきた
ミラ…かつての自分のように苦しんでいるルナを、一刻も早く救い出してやってほしい──
ミラアスカはそう訴えている…
カノンノアスカ…
アスベルミラに語りかけてまで知らせたいんだ、それほど真剣だという事だろうな
エステルアスカにとって、ルナはとても大切な存在なんですね。何とか救い出してあげたいです
リタ…そうね
ルーク…よし、とにかくさっさとルナのところへ急ごうぜ
ミラああ。アスカとの約束は必ず果たす
カノンノ疲れたなんて言ってられない、急がないと…!
カラ…
フレン…!待つんだカノンノ!
カノンノえ…?
ガアアア!
リッドカノンノ、伏せてろ!
ザシュ!
カノンノリ、リッド…!ありがとう
リオンちっ、まだだ!いつの間にか挟まれている!
ガアアアアアッ!!
アスベル来るぞ!フレン、そっちを頼む!
フレンああ、任せてくれ!
scene1大精霊ルナ
フレンだいぶ上の方まで来たみたいだな。バチカルがよく見渡せる
アスベルもうすぐ頂上みたいだしな。…にしても、よかったよ。ここまで無事にたどり着けて
フレン大丈夫か、ずいぶん気を張り詰めているように見えるけど
アスベルエステリーゼ様の御身を預かってるんだ、当然だろ
アスベルそれにしても、フレン、お前には迷惑をかけてしまって悪かったな
フレン迷惑?
アスベル騎士団の事さ。大精霊の件があるとはいえ、騎士団の任務はお前や他の団員達に任せきりになってしまってる
フレン気にする事はないさ。それに、君の方がよほど重い任務を負っているんだからね
フレンウィンドルの事だけじゃない、各国や、世界の存続をかけて戦っているんだ
フレン迷惑どころか、同じ騎士団の一員として誇りに思うよ
アスベルフレン…ありがとう。俺も同じように、お前やリチャード、騎士団の仲間達を誇りに思ってるよ
アスベルみんなの協力があったからこそここまで来れた、そう思うんだ。引続き、一緒に戦おうな!
フレン勿論だ。もう一息、頑張ろう
リタ盛り上がってるとこ悪いんだけど、そろそろ話進めてもいい?
アスベルリタ!?…あ、ああ、もう大丈夫だ
ミラどうやら、あの辺りが山頂らしい。…ルナの強い気配が感じられる
カノンノネックレスもほら、反応し始めてるの
フレンいよいよ、という事か…
ミラここからは、いつルナと戦闘になったとしてもおかしくはない
ミラ常に警戒を怠らず、慎重に近付いて──…
ミラ…!これは…
ルークミラ!?何かあったのかよ
ミラくっ…まずい状況だ…
ミラこの辺り一帯のマナの密度に、変化が生じ始めている。これはおそらく…
リオン光の雨を降らせる予兆、という事か…
ミラああ…
エステルなら急いで止めないと!これ以上バチカルの人々を危険に晒すわけにはいきません!
ミラうむ…慎重に進んでいるような余裕はなさそうだ。前言撤回だ
リッドやれやれ…んじゃ一気にルナを追い詰めるとしようぜ
アスベルよし、行こう!
カノンノどうかお願い…間に合って…!
scene2大精霊ルナ
リオン山頂に着いたぞ
リッドどこだ…ルナはどこにいる?
フレン…!ひょっとしてあそこにいるのは…
エステルあれが…ルナ…
ルナ
ルークなっ、何だ!?すげー光がルナを包んで…
ミラ光の雨だ…!まずい、この規模だとバチカルはおろか、周辺一帯に影響が及ぶ事になる…!
カノンノそんな…!駄目だよ、止めなくちゃ!
アスベルわかってる!だがこの距離だと、もう…
リタぶっ飛べ!ファイアボール!
ルナ…!
シュゥゥゥ…
ルークルナの光が消えた…?
リタよかった…何とか間に合ったみたいね
エステルリタ…!さすがです…!!
リッド術でルナの邪魔をしたってワケか。あの状況でよく考えたな
リタ一か八かだったけどね。しかもこれでルナにこっちの存在が気付かれちゃったわ
ルナグゥゥ…
フレンこっちを睨んでいる…。完全に僕達を敵だと認識したらしい
カノンノ…!みんな、ネックレスがまた光って…これってもしかして…アスカ?
ミラ…ああ。アスカが必死に訴えかけている、ルナを救ってくれ、とな…
ミラルナは苦しんでいる。苦しみ、悶えている、辛くて見ていられない、と…
リッド何とかしてえのはオレ達だって同じだぜ。でも、そのためには──
リタあんた達、避けて!
ルナグアアッ!
ドン!
ズドーン!
エステルきゃあっ!
フレンエステリーゼ様!
エステルはい、何とか大丈夫です…!…って、あ、カノンノ!?
カノンノルナ、お願い!話を聞いて!ここにアスカがいるの!あなたの事をとても心配してる!
ルナグオオッ!
ドン!ドン!
カノンノまた攻撃を…そんな…お願い、聞いて──
リオン…ちっ!カノンノ!ぼさっとするな!!
ズドーン!ズドドドーーン!
エステルリオン、カノンノ!…よかった、間一髪のところで間に合いましたね。でも、このままじゃ…
リオン…無駄だ、カノンノ。暴走状態で僕達の話を聞く大精霊が今までにいたか?
カノンノでも…
ルナグアア!
アスベル危ない、カノンノ!
カノンノ…!
リタスパイラルフレアッ!
シュゥゥゥ…
ルナグゥゥゥッ…!
リタカノンノ、下がって!リオンの言う通り、今は話が通じる状態じゃないわ
カノンノそうだね…ごめんなさい、リタ
ミラとにかく、一刻も早くルナを大人しくさせる、暴走を鎮めるにはそれしか方法はない
ルークけど、どーすんだよ!また光の雨とか出されたりしたら、うかつに近寄ることも出来ねーぞ!
リタ…あたしが術であいつの邪魔をするわ
リタその間にあんたらは近づいて一気に叩いて
エステルそんなことしたら、リタがルナに狙い撃ちにされかねないです!
リタこのままうだうだやっててまたルナに光の雨降らされるよりマシでしょ。さっさとやるわよ!
リタあたしだって、無限に術を使えるわけじゃないんだから
リッド…わかった、じゃあ、ここは任せたぞリタ
エステルリタ…無理はしないで。約束ですよ
リタあんたもね。大丈夫、任せなさい!
リタさあ、ルナ!これ以上、そのふざけた力は使わせないわよ!
ルナアアアアッ!
リタファイアボール!
シュゥゥゥ…
ルナグオオッ!
リタファイアボール!
バシュゥゥ…
ルナ
リタはあ…はあ…
リタもう打ち止め?案外大した事ないじゃない
ルナグオオオオ!
リタ何?バカにされてくやしいってわけ?なら、そんな離れたところにいないでもっとこっちに来たらどう?
ルナウオオオオオッ!
リタ…かかったわね
ルナ…!
リオンはっ!
ザシュッ!
ルナグアッ…!?
リオン…やったか?
ルークこら、リオン、お前また自分だけいいとこ持っていきやがって!
リオン意識してやっているわけじゃない。勘違いするな!
ルナググ…
フレンあれだけの攻撃を受けてまだ立ち上がるのか…?
アスベル彼女らは普通の魔物とは違う。相手は大精霊…ここからが本番だ
ミラリオンの攻撃が効いているのは間違いない。皆、一気に決着をつけるぞ!
カノンノうん…!
ルナグオオオオオーーッ!
scene3大精霊ルナ
フレンはあ…はあ…
アスベルどうだ…?
ルナウ…
エステルルナ…
リタ気をつけて、エステル。まだ油断は禁物よ
エステルは、はい
ズズズ…
ガラガラ…
リッドうおっと!?危ねえ、足場が崩れやがった…
リオン気をつけろ、リッド。ルナとの戦いの影響で、足場の状態は更に悪くなっている
アスベル今にも、あちこちが崩れ落ちそうだ…
フレンアスベル、あまり身を乗り出すと危険だ
ルナウウウ…
ミラ…!まずい、ルナの様子が──
ルナグオオオ…!
フレンう、浮かび上がった…距離を取ろうとしているんだ!
リッド見ろ、ルナに光が集まって…まさかあれは光の雨か!?
リタさせるもんですか!また術で──
ルナグオオオオオッ!
リタ…駄目、間に合わない!みんな、逃げて!
アスベルくっ…光の雨で足場が…!みんな、急げ!この一帯が崩落するぞ…!
ズドドドドドド…!
リオンちっ、崩落が始まったか…!
ゴゴゴゴゴ…
ルークうぐっ…!
ミラルーク、大丈夫か!?私の手を取れ!
リッド行くぞカノンノ!もう少し…踏ん張れ!
カノンノうっ…うん…!
ズドドドドドド…!
リタいっつ……まずいわ…エステル、早くここから──
ズザッ!
リタなっ…あ、足場が…!
エステルリタ!!
ゴゴゴゴゴ…
アスベルくっ、砂埃のせいで視界が…
アスベルみんな、無事か!?
フレンアスベル!エステリーゼ様とリタがいない!
アスベル何だって!?そんな…エステリーゼ様!リタ!
フレンエステリーゼ様ーーー!
scene1大切な存在
ズズズ…
リッドようやく崩落も収まったみてえだな
カノンノ砂埃も晴れて、視界もだいぶよくなってきた…
リオンルナの姿が見当たらない。混乱に乗じて逃げられたようだな
リッドどっちにしろ、今襲いかかられてまずいのはオレ達の方だ。案外ラッキーだったかもしれねえぜ
リッドそれより、みんな大丈夫か?
ミラああ、何とかな。多少傷を負った者もいるが皆、致命傷でなかった事は救いだな
ルークいつつ…にしても、ヤバかったな
ルークリタのお蔭で咄嗟に逃げたからよかったけどよ…って、ん?そういやあいつ、どこ行ったんだ?
カノンノリタだけじゃない…。エステルさんやフレン、それに、アスベルも──
リッドいや、待て。あれを見ろ!誰か、こっちに向かってくるぞ
アスベルみんな無事だったか、よかった…!
フレンエステリーゼ様とリタも一緒か!?
ミラいや、ここにはいない
フレンそんな…。まさか、さっきの崩落に巻き込まれてしまったんじゃ…
リオン
リオン…そう考えて間違いはなさそうだ。見ろ、あいつらが立っていた足場は大きく崩落している
カノンノそんな…
リッドとにかく、すぐ助けに行かねえと
ミラもしや、ルナはリタ達を狙っているのか…?
アスベルミラ、それは一体どういう事だ?まさか、ルナはリタ達の後を追って行ったとでも言うのか!?
ミラルナの気配の動きからしてそう考えられるだろう…
ルークくそっ!何だよ、ルナの奴、人数が少ない方を狙うなんて卑怯じゃねーか!
ミラおそらく常にルナの攻撃を食い止める役をこなしていたリタに狙いを定めたのだろう
アスベル何はともあれ、二人が心配だ…早く行こう!
リッドああ
フレンエステリーゼ様…、リタ…。二人共、どうか無事でいてくれ…!
リタう…
リタいたた…あれ…?ここは一体…
リタ…!そうだ。確か、ルナの放った光の雨のせいで足場が崩れちゃって…
リタ──って事は、あれ…?崩落に巻き込まれたはずなのに…
リタ…ああ、なるほど。この茂みがクッション代わりになって助かったってわけね
リタエステル…それにみんなは…?ちゃんと避難出来たのかしら…
リタ…とにかく、こうしちゃいられないわ。早くみんなのところに戻らないと──
???う…
リタ…!今の声って…まさか!
エステル
リタエステル!大丈夫なの!?今そっちに行くから!
scene2大切な存在
リタエステル!エステル!!
エステルう…
エステルあ…リタ
エステル怪我…ありませんか?
リタかすり傷よ、どうって事ないわ。あんたこそ…
エステルわたしも大丈夫です。…リタが無事で安心しました
エステルところで、ここ…一体どこなんです?
リタ覚えてる?ルナが光の雨を降らせて崖が崩落したの
リタそれでエステルが──…って、そうだ!思い出した…!
リタどうしてあんな危ない事したのよ!
エステル…何の事です?
リタ覚えてないの?足場が崩れた時、あんた、あたしを助けようとしたでしょ!
リタだから、あんたまでこんなところに落ちちゃったんじゃない!
エステルそうでしたっけ?
リタそうよ!無茶はしないって約束したのに、もう…!
エステル…ごめんなさい、リタ
エステルあの時、わたし…無我夢中で正直、自分がどう動いたのかよく覚えていないんです
エステルでも、わたしにとってリタはかけがえのない大切な友達です
エステルその友達を守りたいと思った。それだけははっきりと覚えています
エステルそしてその事を後悔はしていません
リタエステル…
リタ…まあ、助けてくれたのは事実だし…その、一応、お礼は言っとくわ。…ありがと
リタけど、こんな思いはもうこりごり。心臓がいくつあっても足りないわ
リタ倒れてるあんたを見た時だって本当に心臓が止まったかと思ったし…
リタ…あたしだって、もしエステルがいなくなったら…
エステルえ?リタ、今何て…
リタ…!な、何でもない!とにかく、行くわよ!
リタアスベル達は今頃ルナと戦ってるだろうしあたしらも早く合流しないと
エステルそれもそうですね。じゃあ、また山頂を目指して──
エステル…!リタ、待ってください!あれって…
ルナ
リタルナ…!どうしてここに!?
ルナグアア…
リタわざわざあたしらの方を追っかけて来るなんて、よほど腹に据えかねてんのね
リタ…ま、無理もないわね。散々あんたの邪魔してやったし
エステルルナ…!リタはあなたを救うために…
リタエステル、今話しかけたって無駄よ
リタ…ここはあたしが何とかする。エステル、あんたは下がってて
エステル
リタちょっと、エステル!?
エステルわたしもリタと一緒に戦います
リタ駄目よ!言ったでしょ、もうさっきみたいな思いをするのはこりごりだって…
エステル…わたしだって、リタの事が心配なんです!
エステルわたし、リタと助け合う関係でありたいです
エステルどちらか一方だけが相手に守られるのではなく、対等に…
リタエステル…
リタ…仕方ないわね。そこまで言うならいいわ、あたしと一緒に戦って
リタただ一つ、約束よ。絶対に死なないってね
エステル勿論です…!その約束、リタも必ず守ってくださいね
リタ当たり前でしょ
ルナグググ…!
リタさあ、来なさいルナ!
リタあたしらが大人しくさせてあげるわ!
ルナグアアアアアッ!!
scene3大切な存在
リタぶっ飛べ!
ドドーン!
ルナグオッ!
リタよし、あと少し…!エステル、お願い!
エステルはああっ!
ズバーーッ!
ルナグアアアアーーー…!
ルナアア…
ドサッ
エステルはあ…はあ…ルナが大人しくなって…
リタそうね…随分手こずらされたけど
リタいっ…つ…
エステルリタ!
エステルリタ、大丈夫です?
リタあはは…
リタさすがにちょっと、頑張り過ぎたみたい
リタルナの攻撃に合わせてずっと術を撃ちっ放しだったし…
エステルそれだけじゃありません。今の戦いでも、わたしの事をずっとサポートしてくれてましたよね
エステルごめんなさい。わたし、結局リタのお荷物になってしまって──
リタそんな事ないわよ。あんたがいたからこそ、あたしだって頑張れたんだし
エステルリタ…!
リタまあ、こんな事そうそうやるもんじゃないけどね。って……いたた…
エステルリタ、動かないでください!とにかく、すぐに治療します
リタあたしの事は後でいいわ!それより、急いでカノンノをここに連れてこないと…
リタルナにリプリカームを与えられるのは大人しくなってる今しかないんだから
エステル…わかりました。でも、リタを置いてはいけません。さあ、わたしの肩につかまって
リタあ、ありがと…
フレンエステリーゼ様!リタ!
エステルフレン!アスベル!
アスベルよかった、二人共無事だったみたいだ…
ルークお、おい、あそこに倒れてんのってまさか…
ミラルナ…!お前達、まさかたった二人でルナを倒したのか…?
リタ…まあね。来てくれて、ちょうどよかったわ。カノンノ、ルナをお願い
カノンノうん、わかった…!
カノンノさあルナ、今からリプリカームを──…って、あれ…?ネックレスが光って…
カノンノあ…この光…。もしかして、アスカが何か言ってるの?
ミラああ。ルナを心配して懸命に声を掛けている
ミラ…アスカ、大丈夫だ。カノンノを信じろ
カノンノ約束するよ、ルナは必ず助けるからね、アスカ…
カノンノじゃあ、いくよ
リオン終わったようだな
リッドルナの様子はどうだ?
ルナう…
ルナ…ここは…どこ…?あなた達は一体…
エステルよかった…目覚めたようですね
ルナ私は…今まで一体何を…
ルナ…!アスカ…アスカはどこ?アスカがいなければ、私は──…
カノンノ落ち着いて、ルナ。アスカならここにいるよ
ルナえ…?
ルークうおっ!この光は何だよ!何でこんな急に──……って、うわあ!
アスカ
ルナアスカ…!
ルナああ…アスカ…よく無事で…
ルークったく、いきなり現れやがって驚かすなっつーの!
カノンノずっと会いたかったんだよね、本当によかった…
エステル大切に想う相手と、ようやく再会出来たんですね。…よかったです
リタ…うん、そうね
ルナそうですか…。世界がそのような事態に陥っていたとは…
ルナアスカや私、それに他の仲間達をも救ってくれたあなた達には多大なる恩義があります
ルナ私もあなた達に力を貸しましょう
カノンノ…ルナ、ありがとう!すごく心強いよ
ルナでは、契約の証に誓いを…。私もアスカと共にあなた達を見守っています
フレンルナがネックレスに…。これで契約完了という事か…
アスベルああ、また一人頼もしい仲間が増えたな
エステルこれで、ルナとアスカはずっと一緒にいられるんですよね。…本当によかった
リタそうね……うっ…
リッドおい、リタ!大丈夫なのか?
リタ平気よ、このくらい。少し休めば治る──
エステル駄目です、リタ。今度こそちゃんと治療させてください
リタだ、大丈夫よ。傷ならエステルだって…
エステルわたしの方が軽傷です。リタが身を呈して守ってくれましたから
エステルだから、今度はわたしの番です
リタわ…わかったわよ、もう…
カノンノリタとエステルさんって、本当に仲良しなんだね
カノンノお互いがお互いをとても大切に想ってるのが、見てて伝わってくる…
カノンノ何だか、ルナとアスカみたいだね
リタなっ…!ちょっとそこ、何バカ言ってんのよ!あたしらは別にそんな──
エステルはい。わたしにとって、リタはかけがえのない大切な存在です
リタ大切な…存在…
リタ
エステルみなさん、お待たせしました。リタの応急処置は終わりました
リタだから、別に元から大丈夫だって言ってるのに…
ルークおいおい、何が大丈夫だよ。腰抜かしてたくせに強がってんじゃねーっつーの!
リタ強がってなんかないわよ!あんたなんか年中腰抜かしてるくせに!
ルークなっ!誰が年中腰抜かしてるだ、この──
リッドやれやれ、元気になった途端これかよ…
リオン…歩けるようになったのならとにかく山を下るべきだ
ミラ光の雨の危機は去ったのだ。この事を早く街の者にも伝えてやらなければならないからな
アスベルそうと決まったら、早速バチカルへ戻ろう
カノンノうん…!

NameDialogue
scene1面影
リッドさて、ルナの暴走も鎮まった事だ。そろそろバチカルへ戻るとしようぜ
ミラそうだな。もう心配はない事を街の人達に伝えてやらなければ
エステル
フレンエステリーゼ様、どうしましたか?
エステルあ、はい。見てください。ここからだとバチカルの街がすごくよく見えるんです
カノンノ本当だ。きれいな街並み…
フレン何とか僕達が街を出た時以上の被害を出さずに済んだようだね
アスベルそうだな…
エステルバチカルへ戻ったら、インゴベルト六世陛下にも、謝罪しなければなりませんね
エステルいきなり飛び出したりしてしまって、ご心配をおかけしているかもしれませんし…
リタなら、ルークを連れてったら?こんなんでも一応、国王の甥だし
ルークこんなんでも、は余計だっつーの!
エステルふふ、大丈夫ですよ、リタ。自分のした事のけじめは自分でつけるつもりですから
リオンとにかく、ここに留まる理由はもうない。行くぞ
アスベルそうだな、では行こう。みんな、足元には注意してくれ
scene2面影
カノンノ…ふう。無事に山を下りて、街に戻って来られたね
アスベル街の人達の混乱ももう収まっているみたいだな。少し安心したよ
ティアルーク!
ルークおう、ティア。救護活動は上手くいってんのか?
ティアええ。光の雨が降らなくなったから本格的に活動を始めているわ
ティアところで、あなた達が戻って来たという事は大精霊の暴走は鎮められたのよね?
リッドああ、安心してくれ。そっちの心配はもういらねえ
リオングーベック山にいた大精霊ルナは、正気を取り戻した。この街が再び光の雨の被害に遭う事はない
クラースルナ…月の大精霊か。任せたのは確かだが、やはりこの目で見てみたかったものだな
スタン…にしても、さすがだな!みんななら絶対何とかしてくれるって信じてたよ
ミラルナの暴走を鎮められたのはリタとエステルの活躍があったからだ
ミラ二人がいなければ、あのままルナを取り逃がしていたかもしれない
ティア何はともあれ全員無事で本当によかったわ。バチカルを守ってくれてありがとう
ティア…じゃあ、早速だけど私は陛下の元へ向かうわ。事態の収束をご報告しないと
エステルわたしもご一緒させていただいて構いませんか?ちょうど国王陛下の元へ伺おうと思っていたので…
ティアわかりました。ご案内いたします
フレンアスベル、僕はエステリーゼ様に随行する
アスベルああ、わかった。大精霊の事は俺達に任せてくれ
フレンすまない、健闘を祈るよ
アスベルありがとう、そっちもな。エステリーゼ様を頼む
エステルリタ、それじゃここでお別れですね
リタえ?あ、ああ、そうね
エステル…無茶は駄目ですよ?
リタそりゃあたしのセリフ!あんたこそ気をつけなさいよ。後先考えないですぐ突っ走るんだから
エステルはい、わかりました
ティアルーク。あなたの事は、私から陛下にお伝えしておくわ
ルークおう、頼むぜ。大精霊の暴走を鎮めてる事ちゃんと伝えてくれよな
ティア…みんな、彼が調子に乗って無茶をしないように見てもらえると助かるわ
アスベルああ、任せてくれ。ルーク、団体行動だぞ?
ルークあのな、人をガキ扱いすんじゃねえっつーの!
リッドさてと。オレ達も、次の大精霊のところへ行かないとな
クラースよし、今度こそ私はお前達と共に行くからな
女の子お兄ちゃん!無事だったのね!ずっと捜してたのに一体どこに行ってたのよ!?
スタンうわっ!ごめん、リリス……じゃないな。ええと、君は?
女の子ご、ごめんなさい!私の兄に後ろ姿が似てたから…。じゃあ、やっぱりお兄ちゃんは…
スタン君の兄さんがどうかしたのか?
女の子閉じ込められたかもしれないの!街の人達の話だと、崩れた家があるって聞いて…
女の子これだけ捜しても見つからないならもうそこしかないの…!お願い、手伝っていただけませんか!?
スタン何だって!?わかった、すぐ行く!
スタン…みんな、ごめん。俺はもう少しここに残って街の人達の手助けをしようと思う
ミラスタン…。そうだな、光の雨が止まったとはいえまだ街の一角はこの状況だ
ミラお前さえ構わないなら、その方が、街の人々からしても心強いかもしれないな
スタンああ、俺はそうしたい。むしろ、何て言うか…放っておけないんだ
スタンさっきの子、リリスに似てたのもちょっとあるかも知れないけど、俺はこの街のみんなを助けたい
カノンノリリス…さん?
リオン…スタンの妹の名だ
アスベル妹…!じゃあひょっとして、ルイニス街の氷に…
スタン…うん。そうなんだ
カノンノそんな…。初めて聞いたよ
スタンルイニス街の氷は俺の力じゃどうにもならないから…かな。あまりみんなに話したくなかったんだ
スタンルイニス街で何も出来なかったから…だからこそ、俺の力で助けられる人がいるなら、助けたい
スタン勝手ばかりでリオンやみんなには悪いけど、俺──
リッドいや、別に全然悪くなんかねえよ。街の人を助けてやりてえのはオレ達だって同じだしな
スタンありがとう、リッド。でも、大精霊の事も早く何とかしないといけない
スタンバチカルみたいな被害に遭う人達をなくすためにも…。みんなにこの先を託したいんだ
ルーク…考えたら俺こそ残んなきゃなんねーのに何つーか、その…ありがとな
スタンそう言ってもらえると、気が楽になるよ。この街は、俺に任せてくれ!
スタンリオン、勝手言ってごめんな?後で必ず追いかけるからさ
リオン…別にお前が、どこで何をしようと僕には関係ない
リオン後になって、来る来ないも僕が知った事か。好きにしろ
スタンははは。リオンらしいな。…じゃあみんな、大精霊の事は頼むよ!またな!
リタホント相変わらずね、あんた。また後で会おうって、素直にそう言えばいいのに
リオン…ふん。お前とルークには言われたくない台詞だな
ルークおい、待てよ!何でそこで俺の名前が出るんだよ!
リッド…やれやれ。人数減っても会話の内容は変わらねえなあ
カノンノ仲良くなったって事だよ!ほら、言うでしょ?喧嘩するほど仲がいいって
アスベルはは、そうだな。よし、じゃあ俺達もそろそろ──
街の男ひいぃ、助けてくれ!
クラースむ…?何事だ?
ミラ…!見ろ、向こうに魔物が!
ルークくそっ、おい!魔物のくせにでかい顔すんじゃねえ!
scene1邂逅
リッドで、次はどこへ行けばいいんだ?
クラース救護活動を手伝っている時に、街の人間にも話を聞いてみたが、めぼしい情報は得られなかったな
アスベルそうか…。ミラ、大精霊の気配は感じないのか?
ミラ先ほどから探ってはいるのだが近くにはいないようだ
ミラ少し待ってくれ。意識を集中し、さらに遠くまで大精霊の気配を探ってみる
クラース相変わらずすごいな、ミラは。出来る事ならその能力、私にもわけてほしいところだ
ルーク何だよ、クラースは出来ねえのか?お前も精霊が好きなんだろ?
クラース残念だが興味と素質は別の話だ。ミラと私では素質に格段の違いがあるからな
ミラ
ミラ…!見つけたぞ
リッドどこにいるんだ?
ミラああ。南東の方角から、大精霊の気配を感じる
ミラ伝わってくる気配の感じからすると、ここからかなり距離はありそうだ
リタ南東って事はシルヴァラントの方って事よね
アスベルとにかく南東へ向かってみよう。大精霊に近づけばミラが場所の特定をしやすいだろうし
ルークだな。…にしても、大精霊ってのは一体どんだけいるんだ?
ルークこれまでも結構な数の大精霊を元に戻して来たけど、終わりが見えねえっつーか…
ミラそうぼやくな。ここまで私達がやって来た事は、確実に成果となって表れている
ミラマナの減少速度も、以前よりずっと緩やかになったし、自然の均衡も元に戻りつつある
アスベル異変が収まりつつあるようだと俺も思っていた
アスベル頻繁に起きていた地震も少なくなって来ているしな
リタそうは言っても、暴走したままの大精霊が残っている以上、ここで止めるわけにはいかないんでしょ
カノンノうん、そうだね。他の大精霊もみんな助けてあげないと
リオン何はともあれ先に行くぞ。ミラ、場所の特定を急げ
ミラ勿論だ
scene2邂逅
リタそれにしても、バチカルって案外広い街なのね。メルトキオと比べても負けず劣らずだったわね
ルーク言ったろ、バチカルは大都会だって。メルトキオなんかと一緒にすんなっつーの
アスベルそろそろシルヴァラント領内に入ったはずだが…
リオンああ。ここはメルトキオ近郊の森だ
ルーク
ミラむ?どうかしたのか、ルーク。何をそわそわしている?
ルークべ、別に、そわそわなんかしてねーよ
ルーク
リタ思いっきりしてるじゃないの、落ち着きないわね。何か気になる事でもあるわけ?
ルークだから、何でもねーって!
カノンノルークはミュウの事が心配なんだよね?
ルークあ…ち、違うっつーの!むしろ、ブタザルの事なんかすーっかり忘れてたっつーの!
リタわざとらしい…
カノンノせっかく近くまで来てるんだし少し様子を見に行ってもいいんじゃないかな?
ルーク…いい。ジーニアス達がついてるはずだし、それに…今は大精霊を見つける方が先だろ
アスベルルーク…。そうだな、早く──
???きゃあっ!?
クラース何だ!?今の悲鳴は…
ミラ女の声だったな…
アスベル魔物に襲われているのかもしれない。行ってみよう!
リオン待て、アスベル!
アスベル…!
ガルルルル!
リッドげっ、マジで魔物が出やがった!
ルークこいつがさっきの悲鳴を上げてた奴を襲ったのかよ?
クラースいや、悲鳴が聞こえたのはもっと遠くの方だった。この魔物はおそらく関係ないだろう
リタとにかく、さっさと片付けるわよ!
アスベルああ!
scene3邂逅
リッドったく、魔物に足止めされたお蔭でとんだ時間を食っちまったぜ…
アスベルさっきの悲鳴は確かこの辺りから聞こえたはずなんだが…
カノンノ見て!あそこ!
ミラあれは…ミントにジュードではないか!何故こんなところに…
クラースおーい、ミント、ジュード!
ジュードえ?クラース…?それにミラも!
ミントお久しぶりです、みなさん
カノンノさっき、こっちの方で悲鳴が聞こえて駆けつけてきたんだけど…ひょっとして、今のって…
ミントあ、私です。薬草を採っていたら、いきなり魔物が出て来て…
ジュードでも、魔物の方は倒したから、もう大丈夫だよ
ミントみなさんに心配をかけてしまったようですね。すみません
クラースいや、構わんさ。誰も怪我をしていないなら、それでいい
リタそれはそうと、あんた達二人だけなの?
ルークそういや、確かバロニアで別れた時は、ガイや他の奴らも一緒だったよな
ミントあ、みなさんでしたら──…
ガイルーク!
ルーク何だ、いたのかよ。噂した途端に現れるとか、相変わらずだな、ガイ
ガイそういうお前こそ、変わりなさそうじゃないか。安心したよ
カノンノエリーゼ、ティポ、久しぶり!またこうして会えて嬉しいよ
ティポぼくもだよー!
エリーゼはい!わたしも嬉しいです
ファラリッド、ちゃんとみんなの役に立ってる?迷惑をかけたら駄目だよ
リッド迷惑なんてかけてねえよ。ファラこそ、まわりを見ずに突っ走ったりすんなよ?
アスベルよし、せっかく会えた事だ、お互いの情報を交換しておくか
リタそうね
ミント本当に聞いた通りですね。順調なようで何よりです
リオン聞いた通り、だと?
ガイああ、実は救援活動で各地を回っていた中で、みんなの話は耳にしてたんだ
ルーク俺達の話?誰から聞いたんだよ?
ジュードレイア達だよ
ミラレイア…?では、リンネル村へも行ったのか?
ファラうん!メルディとも会ったよ。そこで、ニブル湖の大精霊とか、みんなの活躍は聞いてたの
ジュードそれから徐々に地震も減ったし、亀裂の被害も聞かなくなったから、順調なんだとは思っていたけど…
ガイまさか既に5体もの大精霊を元に戻したなんてな。大したもんだ
ルーク任せろっつーの。残りの大精霊も全部元に戻してみせるぜ
ミラまだ油断は出来ない。先日のバチカルのような被害が、どこかの街で出ないとも限らないからな
ミントバチカル…。光の雨が降った、という話でしたね…
ガイなぁ、ジュード。俺達の次の目的地は、バチカルにしてもいいか?
ガイ被害が大した事なさそうとはいえそれでも非常時には違いない。きっと何か必要とされると思うんだ
ファラわたしもそう思う。行こう?バチカルならそう遠くないし!
ファラ大精霊はリッド達が何とかしてくれるでしょ?
リッド何とかって、お前なあ…
ガイそれに、やはり自分の街だけに気になるんだ。我がままなのはわかってるんだが…頼むよ
ジュードそうだね。きっと人手は多いに越した事はないだろうし。よし、じゃあ僕達はバチカルに行こう
エリーゼ決まり…ですね
ティポよーし!バチカルへゴーゴー!
ミントみなさん、ちょっと待ってください。そういえば、アルヴィンさんの姿が…
リオン
ミラそうか、アルヴィンも同行していたのだったな。どこへ行ったのだ?
エリーゼ野暮用がある…とか言ってましたけど…
ティポせっかく気分が盛り上がったのに、何だよもー!アルヴィン君のバホー!
ジュードアルヴィン…一体どこへ行ったんだろう…?
リオン
scene1頼れる仲間
リドウ──これだけ言っても本当に気は変わらないのか?
アルヴィンったく…。おたくも大概しつこいねえ
アルヴィン何度言おうが、俺の答えは同じ、お前の悪趣味に付き合う気はさらさらないね
リドウ…ふうん、相変わらず食えない奴だね。ま、それならいいけど
リドウ滅びゆくこの世界と運命を共にしたいって言うなら止めはしないさ。じゃあな
アルヴィン待てよ
リドウ
アルヴィン俺達が今何をしているか、お前はよく知っているはずだ
リドウ何が言いたいのかな?
アルヴィン俺達と相反する行動をしているお前を俺が大人しく見逃すと思うのか?
アルヴィン…お前とは、気付けばそれなりに古い付き合いになるが、それも今日までだな
カチャ…
リドウおいおい、そんな物騒なものをこっちに向けないでくれよ
リドウ何より、俺をここで殺しても意味ないぜ
アルヴィン…どういう意味だ?
リドウ俺一人を殺したところで、世界が死ぬ運命は変えられないからだ
アルヴィンお前以外にも、同じような事を企んでる仲間がいるって事か?
アルヴィンだが、ここでお前を殺さないでいい理由にはならないな
リドウなるほど。確かにそうだな
リドウ…だけど、俺が死んだら困る奴がいるんだよね。それも君の知り合いに
アルヴィン何?
リドウ「みんなの頼れる仲間」に対して君が今みたく銃を向けられるとは俺には到底思えないがな
アルヴィン…!
リドウほら、隙が出来た!
アルヴィンつっ…!
リドウ歴戦の傭兵さんでもさすがにうろたえちゃったみたいだね
リドウせいぜい気をつけなよ。特に背中には、ね
アルヴィン…!!待て、リドウ…
アルヴィン逃げ足の速い奴だ…
ジュード本当に、どこに行っちゃったのかなアルヴィン…
リオンあの男が戻って来るまで、僕達が待っている必要はないだろう。…行くぞ
リタそうね。いつまでもこんなところで時間を無駄には──
ファラあ、戻って来たよ!
アルヴィンおーおー、これはこれはみなさんおそろいで
ティポアルヴィン君、遅いぞー!
エリーゼアルヴィン…!今まで何をしていたんですか
アルヴィンあれ?さっき野暮用だって、エリーゼ姫に伝言しなかったっけか?
ガイ野暮用にしたって、少々長すぎるんじゃないのか
ミントあまりにも帰って来ないものですから何かあったのかと心配したんですよ
アルヴィン悪い悪い。ほら、この通り何ともないさ
リオン
アルヴィン
アルヴィン何だ、リオン?俺がいなくて寂しかったのか?
リオン…僕に馴れ馴れしい口を利くな。目障りだ
アルヴィン何だよ、一緒に旅した仲じゃねえか。相変わらずつれないねえ
カノンノリオンとアルヴィンさんって仲がよかったんだね
ミラ仲がいい、か…。アルヴィンが一方的に仲良くしているといったように見えるが…
アルヴィンおいおい、ミラ。そりゃねえだろ
アルヴィン…ま、とにかくこうしてまた会えて、よかったよ。ひとまず安心したぜ
リオン
クラースあの二人、何かあったのか?
アスベルクラースさんもそう思いますか?何だか急にリオンがピリピリし出したというか…
ジュードアルヴィン、僕達はこれから、バチカルへ向かおうと思うんだけど
アルヴィンへいへい。ミラ達も一緒か?
ミラいや、私達は大精霊の気配を追い南東の方角を目指す。バチカルとは反対だな
アルヴィンそうか…
アルヴィン…じゃあ俺も、ここからはミラ達について行くとしようかね
リオン…!
アルヴィン各地の被害も収まりつつあるし、ここからは大精霊の方に力を入れた方が──
リオン断る。お前はジュード達とバチカルに行け
アスベル…リオン?
リオンこっちの人手は十分足りている。お前はミントの用心棒だっただろう?それを投げ出す気か?
ガイああ、そう言えばそんな話だったな。駄目じゃないか、職務怠慢だぞ
ガイさっきだってジュードがお前の代わりしてたんだからな
リオン
アルヴィンそういえば、そうだったわ。悪ぃ悪ぃ。じゃあ、俺はバチカル組だな
アルヴィン…で、いいんだよな、リオン?
リオン
ジュードよし、そうと決まったら僕達は早速バチカルへ向かうよ。お互い頑張ろうね!
アスベルああ!街にいるスタンやティア達にもよろしく伝えてくれ
ガイわかった。それとルーク、あまり無茶するなよ?
ルーク言われなくてもわかってるっつーの!
カノンノじゃあみんな、気をつけてねー!
リッドあいつらは行ったみてえだな。じゃ、そろそろオレ達も行くか
クラースそうだな
リオン
アスベル
scene2頼れる仲間
シェリアう…
ルビア…!
シェリアここは…?
ルビアよかった、目が覚めたのね!
シェリアあなたは…?
カイウス目を覚ましたって!?
ルビアこら!女の子が寝てるところにノックもなしに入って来るなんて、サイテーよ、カイウス!
カイウスうわっ、ごめん!後で出直すよ!
トントン
カイウス…ちょっと時間あけたけど、どうだ?入っていいか?
ルビアさっきは突然でごめんなさい。カイウスを入れても構わない?
シェリアえ、ええ。どうぞ…
ルビアあたしはルビア・ナトウィック。こっちのうるさいのは、カイウス・クオールズよ
カイウスうるさいは余計だよ
シェリア私はシェリア…シェリア・バーンズよ
ルビア具合はどう?
シェリアええ、大丈…つっ…!
ルビアあ、無理はしないで!まだ怪我は治ってないんだから
カイウスルビアと一緒に森を抜けようとしていた時に、あんたが倒れているのを見つけたんだ
カイウス近くが崖になってたから、そこから落ちて来たんだろうなって
シェリアそういえば…
ルビア呼び掛けても全然目を覚まさないから心配になって、近くにあったこの村まで運んで来たのよ
シェリア村…?
カイウスここはトーティス村ってとこらしい。オレ達は初めて立ち寄ったんだけど…知ってる?
シェリアここがトーティス村…。名前は知ってるけど、来るのは私も初めてだわ
シェリア確か、少し前に自国の騎士団に襲われて…。たくさんの人が犠牲になったって…
ルビアうん…。だけどね、みんな立て直すために頑張ってるんだって
ルビアこの宿屋のおばさんも、通りがかる旅人や商人が休めるようにって無理して続けているみたい
ざわ…ざわ…
シェリア…?何かしら。随分と外が騒がしいみたいだけど…
カイウスああ…何か変な仮面を被った奴が村の広場で演説をしてるんだよ
シェリア演説…?
カイウスまあ、オレは興味ないけどさ。そんな事より、シェリアが目を覚ましてよかったよ
シェリアごめんなさい、私のせいで。あなた達には他に用事があったんじゃない?
ルビアううん、気にしないで。あたし達は故郷へ帰るだけだったから
カイウスオレ達は旅の途中だったんだけど、大地震が起きたり、地面に変な亀裂が出来たりしただろ?
カイウスだから、少し心配になって故郷に帰ろうって話になったんだ
シェリアそうだったの…時間を取らせてしまったのね。ごめんなさい
シェリア私はもう大丈夫よ
ルビアでも…
シェリア心配してくれてありがとう。故郷や大切な人達を心配する気持ち、私にもわかるわ
シェリアきっと故郷の人もあなた達の事心配していると思うわ。だから、早く帰ってあげて
シェリアあなた達は命の恩人ね。助けてくれて、本当にありがとう
カイウスシェリア…
カイウス…わかった。じゃあお言葉に甘えて。行こう、ルビア
ルビアう、うん。それじゃあ…
ルビアシェリアはアスベルって人を捜してるんでしょ?見つかるといいわね
シェリア…!ど、どうしてアスベルの事を!?
カイウス気を失っている時に、何度もそのアスベルって奴の名前を呼んでたんだってよ
カイウスアスベル、どこなの…とか、どうか無事でいて…とか言ってたんだろ?だよな、ルビア
シェリアあ…
ルビアも、もうカイウス!余計な事言わないで!!
ルビアそれじゃあ、あたし達は行くね。怪我が完全に治るまで、無理しちゃ駄目よ
ルビアゆっくり休んでいいって、宿屋のおばさんも言ってたから
シェリアうん、ありがとう。あなた達も気をつけて行ってね
カイウスまた会おうな!
ざわ…
シェリアあ…また…
男の声何か、胡散臭い話だな。本当に財宝なんてあるのか?
女の声そんな眉唾物の話なんて信じられないよ…
男の声いや、でも財宝があるなら…
シェリア…何だか、あまりいい雰囲気じゃなさそうね。何の話をしているのかしら…
リタ──ジュード達、無事にバチカルに着いたかしら
リッドどうだろうな。道中何もなけりゃ、そろそろ着いていてもいい頃だろうが
リオン
アスベルリオン、ちょっといいか?
リオン…何だ?
アスベルアルヴィンと何かあったのか?
リオン…何故そんな事を聞く
アスベルお前達のやり取りを見ていて少し気になったんだ。不穏な空気だった気がして…
リオン…何もない
アスベルそうか…。だったらいいんだが、何かあればいつでも──
リオンお前には関係ない
アスベルリオン…
ルーク何だ、喧嘩か?
カノンノリオン、行っちゃったね。アスベル、リオンがどうかしたの?
アスベル…いや、大した事じゃないんだ。そんな事より先を急がなくちゃな
リタ……?
scene1閉ざされた扉
シェリアいたた…
シェリアうーん、ああは言ったもののやっぱりまだ少し傷が痛むわね…
ざわ…
シェリア…!あ、あれが噂の仮面の男…?
???──もう一度言う!国王やその取り巻きの言う事を、決して信じてはならない!
???あいつらは狡猾だ。甘言に惑わされてはいけない。自分以外はみんな敵と知れ!
???みんな知っているはずだ!戦争を止めると言った傍からあいつらは戦争を再開した!
中年の男そうだ…国王のやる事は、何も信用出来ねえ…
???国王はこの村の事など決して顧みはしない!
???何故なら、この村にした仕打ちを微塵も悪いと思っていないからだ
???真に村を復興したいと思うのなら国の助けにすがろうなどと思ってはならない!
???生き延びたければ自力で財を成せ!幸い、この村の近くには財宝が眠るとされる遺跡がある!
???この石を見るがいい。これこそがその遺跡の財宝に至る鍵だ!
???この村が受けた仕打ちを繰り返すのが嫌ならこれを使って力を掴むがいい!
若い女遺跡の鍵って…あんなのただの石じゃない…
中年の女どこへ行くんだい
若い男家に戻って、武器を探す。決めたよ。俺はシンクについていく
中年の女何を言っているんだい!?こんな話を信じるのかい?
若い男待っているだけじゃ駄目なんだ!遺跡の財宝があれば復興が出来るじゃないか
中年の男それにシンクは誰よりこの村の事を考えてくれている…!
中年の男2俺もついて行くぞ!
シェリアそんな…リチャード陛下はちゃんとこの村の事を考えてるわ…。どうしてこんな話をしているの?
チェスターみんな、こいつの妄言に、耳を貸すな!
シンク妄言とは、言ってくれるね
チェスター遺跡や財宝なんて嘘っぱちだ!あったらとっくに持って行かれてるぜ!
チェスターそれに、この村にはちゃんと国からの使者が来て、復興のために調査をしていったんだ!
チェスターみんな、こいつの話に耳を傾けるな!根拠なんかどこにもねえ!
シンクボクの言葉を信じるなって言うけどさ。アンタがそう言い切る根拠は何なのさ?
シンクボクは遺跡の場所を知っているし、こうしてその鍵も持っている。それが嘘だっていう証拠は?
チェスター何?
シンク国からの使者だって、形だけかもしれないし、それこそ偽者だったかもしれない
チェスターそんな事は…
シンクこの村がかつてどんな目に遭ったか、ボクは知っているよ。自国の騎士団に一方的に蹂躙されたんだ
チェスターそれは…
シンクアンタだって家族の一人くらい犠牲になってるんじゃないの?
チェスター違う…妹は…アミィは…
シンクそらみなよ。それなのにまだ、あんな奴らを信じて助けを待つって言うのかい?
チェスターくっ…
シェリアやめなさい!
シェリアどうしてあなたは、そうやって人の心を不安にさせる事ばかり言うの?
シェリア確かにこの村は、かつてとてつもない悲劇に見舞われたわ…
シェリア国王陛下は直接その事に関わってはいなかったけれど、自らの責任を痛感されている!
シェリアそして二度と同じ悲劇を起こさない事を誓って、平和の実現に向けて努力しているの
シェリア私は王都バロニアで、そうした努力を実際目にしてきた。嘘ではないわ!
シンクふーん、バロニアで実際に目にしてきた、ね。だから信じろってわけだ
シンクじゃあ、今この村の状況をどう説明するのさ。このどこが復興が進んでるっていうのさ?
シェリア今は…世界各地で起きた異変に一つ一つ対応されているわ!事態が落ち着けばきっと──
シンクどこでも、おめでたい奴ってのはいるもんだね…目障りだよ
チェスターおっと。手を出そうってのか?そうはさせねえ!
シンクフッ…
チェスター何っ!?
ガスッ!
チェスターうぐっ…!は、速すぎる…そんな、馬鹿な…
ドサッ!
シェリア大丈夫ですか!?しっかりしてください!
シンク粋がる割には大した事ないね
シンクさて、また邪魔されても面倒だ。この際、二人まとめて退場してもらった方がいいかもね
村の男シンク、この二人はまた騒がれないようにオレ達が連れてくよ!
シェリア…!
ルーク──あれ?もう日が暮れたのかよ?
リタそんなわけないでしょ、バカね。まだそんな時間じゃないわ
リオン日が暮れたのではない、これは霧のせいだ。辺り一帯に霧が立ち込めている
クラースしかも、ただの霧ではないぞ。闇のような、黒い霧だ…。これは一体…
ルーク霧?これ霧なのか?霧って白いモンだろ!?
アスベル視界が遮られるほどの「黒い」霧…。こんなもの、今まで一度も──
アスベル…もしかして、これは…!
ミラああ、大精霊によるものだろう。先ほどから、気配が格段に強くなっている
カノンノって事は、今度の大精霊は「霧」に関係する大精霊っていう事…?
ミラいや、これは霧ではなく、闇そのもの…。気配の主は、闇の大精霊シャドウだろう
クラース…シャドウか。そういう事ならこの状態にも納得がいく
ルークなら、早速そのシャドウって奴を捜そうぜ
リタ…見つからないわね
リッドシャドウの闇のせいで視界が悪いのも厄介だな
ルーク本当にここであってんのかよ?
ミラ間違いない。気配のありかはこの周辺、そう遠くはないはずなのだが…
カノンノあ…
リタカノンノのネックレスが光った!?って事は、やっぱり──
リオン…徹底的に周囲を捜索するしかなさそうだ
リッドでも、これだけ捜していねえのに、他にどこを──
アスベルおい、みんな来てくれ!ここに大きな岩がある!
ルーク岩?その岩がどうかしたのかよ?別に珍しくも何とも…
アスベルよく見てくれ。岩に割れ目があって、そこから下に降りられるようになっている
アスベルそれに、シャドウの闇もここから出ている
リタこの下に洞窟でもあるのかしらね
ミラ
ミラ確かにこの裂け目の奥から、気配を感じる
カノンノネックレスも少し光が強くなったみたい!
リオン…よし、降りるぞ
アスベルああ!
scene2閉ざされた扉
キキィィ…!
ルークうおっ!な、何だ今の!?
リッド落ち着けルーク、ただのコウモリだ
ルークな、何だよ…脅かすなっつーの!
リタそれにしても…ほんっと暗いわね、ここ。洞窟にしても妙にひんやりしてるし…
ミラそうだな。いかにもシャドウが好みそうな場所だ
アスベルみんな、足元に注意して進んでくれ。カノンノ、お前も気をつけて歩くんだぞ
カノンノうん、大丈夫!
カノンノありがと──…あっ!
リオンぼさっとするな
カノンノあ、ごめん。ありがとう、リオン
リッドこう暗くちゃ歩きづれえったらねえな…
カノンノあ…!
ミラこれは…大精霊、アスカとルナの力だな
カノンノふふっ、ありがとう!アスカ、ルナ!歩きやすくなったよ
ルークへへっ、こりゃ便利だな!
ミラむ…?
アスベルどうかしたのか、ミラ?
ミラ…どうやら、行き止まりのようだ
ルークマジかよ!?ここまで来て冗談だろ!
リタ…ちょっと待って。ここ、ただの壁じゃないわ。あれを見て
リオン…扉か
カノンノ本当だ、大きい扉…。でも、どうしてこんなところに扉が?
アスベル理由は見当もつかないが…ミラ、シャドウの気配はこの奥で間違いないか?
ミラああ、そのようだ
ルークだったら、早いとこ開けちまおうぜ。おいリッド、お前も手伝えよ
リッド仕方ねぇな…
リッド・ルークせーの!
リオン微動だにしていないようだが…
ルークおい、リッド!お前手抜いてんじゃねーぞ!
リッド冗談よせよ。オレは全力出したって
アスベル古そうな扉だし、傷んでいてそう簡単に動かないのかもしれない
カノンノだったら、全員で一斉に押してみようよ
アスベルああ、それがいい。じゃあ、行くぞ!せーの…!
リッドこのっ…!
ルークぐぬぬ!
ミラはぁぁっ!
リタ…駄目ね。やっぱりびくともしない
クラースどうやら力ずくで開けるのは難しそうだ。これは参ったな…
カノンノねえ、みんなちょっと見て。ここに変なくぼみがあるよ
アスベルくぼみ…?本当だ。…何だか不思議な形だな。人の手で作られたものみたいだ
リタ…扉の仕掛けを動かすためのものかしら
クラースもしそうだとするとそこにはまるものが鍵の役割を果たしそうだな
リタ専門外だから断言は出来ないけど、可能性はあると思……あれ?
ルーク何だ?どうかしたのかよ
リタよく見たら、この仕掛けと扉の意匠、何だか見覚えがある…
リタ…もしかして、ここってあの「封じられた遺跡」なんじゃ…
クラース「封じられた遺跡」だと?
リッドまさか!あれって単なる言い伝えじゃねえのかよ?
リオン…いや、現にこの扉は言い伝えのように、鍵で硬く閉ざされている。可能性としてあり得ない話ではない
ルークお前ら、俺にもわかるように話せっつーの!つーか、そんな話聞いた事ねーぞ
リタそりゃあんたは知らないでしょうよ。でもシルヴァラントじゃこれは割と有名な言い伝えなの
クラースシルヴァラントに?ああ、それでリッドやリオンは知っているというわけか
アスベルその「封じられた遺跡」っていうのは一体何なんだ?
リタこの大陸のどこかにあるという「人々の望むもの」が眠る遺跡よ
リタそれを持ち出される事を恐れた大昔のシルヴァラントの王が、遺跡ごと封じたって言われてる
リタただのおとぎ話みたいだけど、真面目な歴史書とか学術書にも言及があるんで気になってたのよね
アスベル人々の望むもの?それは一体何なんだろう…
ルークどうせ隠し財宝だとか、そういうもんじゃねーの?
ミラいや、そういった物質的なものではなく、特別な力のような目には見えないものかもしれんぞ
リッドま、何でも構わねえが、シャドウがこの奥にいるなら、まずこの扉を開く方法を見つけねえと
クラース…という事は、鍵となるものを探し出す必要があるが
カノンノ鍵なんて一体どこにあるの…?
クラース少なくとも、ここには落ちてないだろうな。そんな親切な話があるはずがない
リタそうね…ここをもっと調べてもいいけど…
リタもしここが本当に例の遺跡なら手間だけどメルトキオまで戻った方がいいかも
リタあそこの図書館なら文献も充実してるし、何か手がかりが見つかるかもしれない
リオン確かに、闇雲に探すより手がかりを見つけられる可能性は高そうだ
アスベルよし、メルトキオに戻ろう
ルークマジかよ。ここまで来て引き返すのかよ、ったりぃ…
リオン…やむを得ん。そうと決まれば、さっさとここから…
グルルル…
リッドおい、今のは──
ガルルル!
ミラ魔物か!
scene1仮面をつけた男
チェスターう…
シェリア…!
シェリア大丈夫…?
チェスターお前…
チェスターいつっ…ここはどこだ…?
シェリア広場近くの小屋の中。閉じ込められたの
チェスターそうか…
チェスター…さっきはすまねえ。割って入ったのに庇ってやれなくて…情けねえよ
チェスターあのシンクって奴の演説はオレが止めるべきだったんだ
チェスターあいつの取り巻き…あいつらは村の奴らなんだ…。お前を巻き込んで…すまねえ
シェリア助けてくれたんだもの、謝る事なんてないわ
チェスターオレはチェスター・バークライト。この村の住人だ。お前、そういや確か怪我をして…
シェリアええ、たまたま通りがかったカイウスとルビアって二人が運んでくれたと聞いたわ
シェリア私はシェリア。シェリア・バーンズよ
チェスターシェリアか。お前には感謝してるぜ
シェリア私に感謝?どうして?
チェスター村が襲われたのは事実だ。そのせいで妹も死んだ。国王を恨んでねえって言やあ、ウソになる
チェスターあいつの話を聞いている内に心の底にしまっていたはずのあの時の感情がどんどん溢れてきて…
チェスター
シェリアチェスター…
シェリアこの村がどんな目に遭ったか、私も聞いていたわ
シェリアあなたがそんな風に考えてしまうのも、仕方のない事だと思う
チェスターああ…でも、お前の言葉を聞いて完全に目が覚めたぜ。ありがとな
チェスターあいつは村の人々の悲しみを、利用している
チェスターつらい気持ちにつけ込んで財宝だなんだって言って村のみんなを煽っているんだ
チェスター遺跡の財宝の話で村のみんながバラバラになっちまって…。こんなんじゃ復興もままならねえ
チェスター財宝の話だって眉唾もんだ…。せっかくここまでみんなで頑張って来たってのに…
シェリアシンクが村の人達をいたずらに煽って村の復興の足止めをしているのだとしたら、見過ごせないわ
シェリアまずはここから脱出しないと…!全てはそこからよ
チェスターああ、そうだな
クラースメルトキオまで、あとどれくらいだ?
リッドあと半分弱ってとこじゃねえか?そう遠くないとは思うが
クラース…!まだ半分近くもあるのか…
リタちょっとクラース。何よ、まさかもう疲れたとか言うんじゃないでしょうね?
クラース…そのまさかだ。ずっと歩き──
???あー!!!
カノンノ…!な、何今の声…!?
アーチェリター!みんなー!久しぶりー!って、あれ、クラースも一緒じゃん!
リタアーチェ!?あんたこんなところで何してんのよ?
アスベルユーリ達は一緒じゃないのか?
アーチェそれがさ、ちょっといろいろあって今はあたしとクレスだけ別行動してんの
アーチェ…って、そうそう!そのクレスがいなくなっちゃったんだ~。みんな一緒に捜すの手伝ってよ!
ルークいなくなっただあ?どーせお前の方がうろうろしててはぐれたんじゃねーの?
アーチェ違うってば!ホント失礼しちゃう!
アーチェとにかく捜して!アーチェちゃんのお・ね・が・い★
クラース人使いが荒いな。やれやれ…
scene2仮面をつけた男
リッド見つけたぞ、クレスだ!
リオンあれは…
ガルルル…
クレスやああっ!
ギャウウッ!
クレスふう…
アーチェクレス!
クレスアーチェ!どこへ行ってたんだ。捜したんだぞ…って、あれ?
クレスアスベル達も一緒だったのか。君達がアーチェを見つけてくれたのかい?
ルーク見つけてくれた…?ははーん、そういう言い方するってことは、やっぱはぐれたのは…
アーチェあーもう!バカ!違うって言ってんでしょ!
ミラところで、お前達は何故ユーリ達と別行動を取っているのだ?
カノンノもしかして…喧嘩しちゃったとか?
アーチェ違う違う!ついさっきまで一緒にいたし、全然そういうんじゃないよ
クレス今は別行動だが、ユーリ達とは後で合流する手筈になっているんだ。その点は心配いらないよ
アスベルじゃあ、どういう事なんだ?
クレス偶然君達と再会して以来、僕達は引続き第三者の情報を追っていたんだ
アーチェその中でね、ある村に立ち寄ったの。そこで妙な光景を目にしてさ…
リタ妙な光景?
クレス…その村の人達は、みんなどこか様子がおかしかったんだ
クレス妙に疑心暗鬼な様子だったり、攻撃的になっていたり…
アーチェそれで、少し探りを入れてみたの。そしたら、仮面を付けた妙な男が村を訪れていた事がわかってさ
クレス詳しい事情はわからないけど、どうやら彼が村人達に何かよからぬ事を吹き込んだらしいんだ
クレスその男の名前はシンクと言うらしい
アスベル仮面の男…シンク…
カノンノ…ねえ、アスベル。ひょっとしてその人って
リオン心当たりがあるのか?
アスベルああ、俺とカノンノが出会って間もない頃に、仮面を付けた男に会った事があるんだ
アスベル彼は街頭に立って、人々を煽ったり不安に陥れるような演説をしていた
カノンノアスベルが必死に止めようと説得を試みたんだけど話を聞いてくれなくって…
アスベルその彼もシンクと名乗っていた…。仮面も付けていたし、行いからしてもおそらく同一人物だと思う
クレス…!
アーチェクレス、とにかく急ごう!早くトーティス村に帰らないと
ルークトーティス村?何だよ、急に。あの村がどうかしたのか?
アーチェさっきの話には続きがあって、その仮面の男、次はトーティス村に向かったって話なの
クレストーティス村は僕の出身地だ。先の事件でみんな、身体にも心にも深い傷を負っている…
クレスそんな彼らが、おかしな演説で不安を煽られでもしたら、と思ったらいても立ってもいられなくてね…
アーチェそれで、あたしとクレスは一旦トーティス村に向かうために別行動させてもらってたってワケ
カノンノそんな…
アスベル
リタただでさえこんな状況でみんなが不安を抱えてるってのに、本当最低ね、そいつ…
リッドとにかく、事情はわかった。お前達は早いとこトーティス村へ帰ってやれよ
クレスありがとう、リッド。そうさせてもらうよ
クレスじゃあ、僕達はこれで──
アスベルクレス、待ってくれ!
カノンノアスベル…?
アスベル俺は前にシンクに会った時、彼のやっている事を止める事が出来なかった…
アスベル彼が未だに、人々に不安や失望といった悪い影響を与え続けているんだとしたら…
クレスアスベル…。君のせいじゃない
アスベルいや、止められる機会があったんだ。あの時、彼を止めるべきだったんだ
アスベル…すまない、リオン、ミラ、リッド…俺もクレス、アーチェと共にトーティス村へ行く
アスベルシンクに、何の目的があるのかわからない
アスベルけど、行く先々でみんなを不安に陥れているのだとすれば
アスベル今、シンクを食い止めなければ、この先トーティス村や他のところでも混乱を招き続けるかもしれない
アスベルみんなは、あの扉を開ける手がかりを見つける事を優先してほしい
リオンだが──…
リッド別にいいんじゃねえのか?全員で動いたところで、オレ達はすぐシャドウに会えるわけでもねえし
リタそうね。遺跡の情報を集めるだけなら、あたしらだけでも問題ないわ
ミラ確かに、アスベルの言うように、人の心をかき乱すような者を放っておくのは危険だ
クラースふむ…同感だな。そんな物騒な状況になっているならもう少し誰か同行した方がいいだろう
クラース幸い、急を要しているとはいえ私達が今動ける事といえば、情報収集しかない事だしな…
アスベルありがとう…。クラース、みんな
リタあたしはメルトキオに行くわよ
ルーク俺はトーティス村に行くぜ。図書館で調べものとかたりぃし
ミラ私もトーティス村に行こう
ミラメルトキオより遺跡に近いトーティス村ならば、シャドウの気配の変化があった時に動きやすい
リッドじゃあオレは、メルトキオに行くかな
リオン僕もメルトキオへ行く。一刻も早く、手がかりを手に入れたい
クラース私もメルトキオへ行こう。調べ物ならば協力出来る事もあるだろう
アスベルカノンノは…トーティス村は危険かもしれない…
クラースいや、カノンノはアスベルと一緒の方がいいだろう
カノンノうん。私も、シンクの事は止めたい!
カノンノアスベルと一緒に、トーティス村に行くよ!
ミラどうやら上手く二分したようだな。では、早速それぞれ動き出すとしよう
リタいいわ。こっちは任せといて
リタじゃ、行くわよ
アスベル頼んだぞ、みんな。トーティス村の件が片付いたら、こちらもすぐメルトキオに向かう
カノンノみんな、気をつけてね!
ミラ私達はトーティス村に急ごう
クレスありがとう、助かる。村へは僕が案内するよ。さあ、こっちだ
アスベルああ、頼む!
scene1遺跡の鍵
ドン!ドン!
チェスター…ちっ。これだけ体当たりを繰り返しても、開きやしねえ!
シェリアあまり無理はしないで…
シェリア誰か!いませんか?!
シェリア何の反応もないわね…。外まで声が届いていないのかしら
チェスターこの小屋は、今じゃガラクタまみれの廃屋みたいになっちまってるが、元々は食料を備蓄していたところだ
チェスターだから壁も扉も、とりわけ頑丈に作られてる。以前の騒動の時も燃えずに残ったしな
シェリア扉に体当たりしても開かなかったり、外に声が届いてる様子がないのは、そういう事だったのね…
シェリア私達に打てる手は、何かないのかしら…
チェスターそうだな…
チェスター壁も扉も駄目となると、あと狙えるのは上だけだな
シェリア上って…屋根?
チェスターそういう事だ。確か、この小屋の屋根は木製だ。木ならぶち破る事も出来るだろ
チェスター弓があれば楽勝なんだが、あいつに取られちまったみたいだし…
チェスター…仕方ねえ、ここにあるもので何とかするしかねえな
チェスター…よし、落ちてた廃材で何とか弓矢っぽいものを作れたぞ
シェリアすごい…。随分手先が器用なのね
チェスター村を再建するために、いろいろな事をやったからな。…危ないから離れててくれ
チェスターそれじゃ、行くぞ…はっ!
ビュンッ!
バゴーーーン!
ガラガラガラッ…!
シェリアきゃっ!?
チェスターおっと、大丈夫か?破片に気をつけろよ
シェリアええ、ありがとう。大丈夫よ
チェスター何とか成功だな。あのくらいの穴なら人も通れそうだ。後はあそこから出るだけだ
シェリアでも、どうやって?だいぶ高さがあるし、壁を登るのは難しそうだわ
チェスター任せとけって。オレに考えがある
チェスターさてと…
ミラここがトーティス村か…
ルーククレスから話は聞いてたけど、こんなひでえ有様になってたのかよ…
クレスこれでもかなり持ち直した方なんだ
アーチェそうだね、みんな、村の再建のために一生懸命頑張ったもんね
カノンノアスベル…この村、前に何かあったの?
アスベルそれは…
クレスちょっと前に、不幸な事件に巻き込まれてね。…壊滅近くまで追い込まれたんだ
カノンノえ…
カノンノそうだったんだ…。ごめんなさい、私、何にも知らなくて…
アーチェいいのいいの。カノンノが謝る事じゃないよ
中年の女おや、アーチェにクレス。戻って来たのかい
アーチェあ、おばさん!
アーチェ最近村の様子はどう?変な奴が来てたりしない?仮面を被ったヤツなんだけど
中年の女ああ、シンクの事かい?
中年の女やだね、あんないい子を変な奴だなんて
中年の女シンクは、あたしらの村を助けてくれるって言ってくれているんだよ
中年の女国なんて当てにしてられないからね。いい子が来てくれて助かったよ
ルーク…いい子、だってよ。仲良くやってるみたいじゃねーか
ミラそうだな…
クレスそれで、そのシンクは、今も村に?
中年の女ああ。広場で話をしているよ。クレス、あんたも腕が立つんだからシンクを手伝ってあげなよ
アーチェあれ?そういえば、チェスターは?
中年の女チェスターかい?あの子はちょっとね…
アーチェ何かあったの?
中年の女村で騒ぎを起こした女の子がいて、何故かその子を守ろうとしてそれで一緒に捕まってるらしいよ
クレス捕まったって…どこにいるんですか!?
中年の女なに、心配する事はないさ。今は村の空き小屋で、二人そろって頭を冷やしているだけだよ
中年の女じきに出て来るはずさ
アーチェ女の子って、誰?あたしの知ってる人?
中年の女いいや、村の子じゃないね。全くのよそ者さ
アーチェよそ者って言ったって…
クレスチェスターの事も心配だ…。とにかく、広場の方に行ってみよう!空き小屋もその辺りにある
アスベルああ、案内を頼む!
scene2遺跡の鍵
ミラここが広場か
クレス…!村のみんながこぞって集まっている。これは…
カノンノアスベル、あそこを見て!
アスベルあれは…!
シンク
アスベルやっぱり、シンクだったか…
ルークあいつがシンクか。本当に仮面被ってんのかよ…
村の男シンク、財宝の眠る遺跡はどこにあるんだ?
シンクこの村の南、シルヴァラント領にある
村の女遺跡には魔物がいるんじゃないの?
シンク心配いらないさ。魔物はボクが蹴散らしてあげよう
ミラ村の南…シルヴァラントにある遺跡だと?
カノンノそれってシャドウのいる遺跡の事?
ルークおいおい、あんなところに村の連中をつれてこうってのかよ?
シンクみんな、準備はいいか!村の復興のために遺跡に出発する
村人達おー!
アスベル待ってくれ!
シンク…!
シンク誰かと思ったらアンタか
アスベルシンク、お前が行こうとしている遺跡はとても危険な場所だ
アスベルそんな場所に村の人達を行かせるわけにはいかない
シンクここでもボクの邪魔をしに来たのかい。相変わらずしつこいね
クレス村の人達を危険な目に遭わせるような真似はやめてくれないか
アーチェそうだよ!せっかくここまで立ち直ったのに!
アーチェここでみんながバラバラになったら今度こそ、この村は駄目になっちゃう!
シンクふん…
ミラ…このように各地の人々を混乱させて回る、お前の目的は一体何なのだ?
ルークわざわざあっちこっちで適当な事吹き込んでんじゃねーぞ!
シンク適当?ボクは力のない人達のために自分が出来る事をしているだけさ
シンクこの村の人達に必要な事を教えて自発的な行動を促したに過ぎない
シンクこうやって横槍入れると言う事はアンタ達も財宝が目当てなのかな?
カノンノ違うよ!あの遺跡は危なくて…!
シンクどうだかね。そんな事を言って財宝を横取りする気なんじゃないの?
村の男何だって…
アスベル…!
クレス村のみんな…。僕の話を聞いてくれ!
クレス僕達は財宝なんてなくても村を元に戻せる。そうだろう?
クレス今までこうしてやって来れたんだこれからだって、出来るはずだ!
村の若者クレス…
クレス自分達の力を信じてくれないか?僕やチェスターも、出来る事をする。今までと同じように!だから…!
村人達
シンク
シンク…この村に寄ったのは無駄足だったみたいだね
シンクアンタらみたいな奴はさっさと潰しておけばよかったよ
ルークてめえ、やる気かよ!
シンクああ、そうさ。今度こそアンタ達には消えてもらう
クレスみんな、来るぞ!
scene3遺跡の鍵
シンクくっ…
ミラ動くな。その傷では、もうまともに戦う事は出来まい
ルークへっ、いくら腕に自信あったって、この人数相手に喧嘩売るなっつーの
アスベルシンク、こんな事はもうやめるんだ。俺達は別にお前と争いたいわけじゃない
シンクふん…情けをかけているつもりかい?反吐が出るね
カノンノ私達は別にそんなつもりじゃ…
シンクアンタ達の空虚な言葉で、ボクの心が動く事は断じてない。説得出来るなんて思わないでほしいね
アーチェまだ抵抗するつもり?
シンクそうしたいのは山々だけど…さすがに分が悪い。ここは退かせてもらう
ルークおい、待てよこら!
チェスターおっと、待ちな
シェリアあなたをこのまま行かせるわけにはいかないわ
シンク…!
アーチェチェスター!
チェスターお、アーチェにクレス!戻って来てたのか
アスベルシェリア!まさかお前だったのか!?
シェリアア、アスベル!?
カノンノあれがシェリアさん…
クレス君達は空き小屋に捕まっていたと聞いていたんだけど、無事だったんだね。安心したよ
チェスター小屋の中にあった廃材で、弓の代用品を作ってな。そいつで屋根をぶっ飛ばしたのさ
シェリアそれから、鉄の棒に縄を括りつけて、外まで飛ばして…何とか脱出する事が出来たの
ミラ上手く機転を利かせたようだな
クレスさすがチェスターだ
チェスター…みんながこいつの事を止めてくれたみてえだな。助かったぜ
チェスターこいつはな、財宝が眠る遺跡の鍵を持ってる、とかぬかしやがって
チェスターあるかもわからねえ財宝の話にみんなを巻き込もうとしてたんだ
ミラ何…シンクは遺跡の鍵を持っているのか!?
チェスター鍵って言っても、こいつが持ってたのは変な形の石だぞ?
ルーク変な形の石…。おいおい、それってまさか…
シンク「封じられた遺跡」の鍵さ。この村の南にある遺跡のね
アスベル…!
シンクふーん…その反応…。アンタ達はこの鍵が必要なんだ…
アスベルシンク、お前、本当に鍵を持っているのか?
シンクふふっ…こんな鍵ボクにはもう必要ないからね…
シンクくれてやるよ!
カノンノあっ──!
アーチェおっとっと!危ないじゃない!誰かに当たったらどーすんのよ!
シンク人間は、絶望や恐怖に、打ち勝つ事は出来ない…。せいぜい、闇に飲まれてくればいい
アスベル闇に飲まれるだって…?それは一体どういう──
シンク
アスベル待て!シンク!
チェスターあいつ!…逃げられたか!
カノンノまた、逃げられちゃった…
アスベル他のところで、同じような事を繰り返すのだろうか…
ルークどうだっていいだろ、あんな奴。どうせあんだけ痛めつけられてりゃしばらくは何も出来ねーって
チェスター今度はぜってぇ村に近寄らせねえよ、あんなヤツ!
scene1迫る侵食
アスベル…それにしても、まさかこんなところでシェリアに会うなんてな
シェリア本当、私も驚いたわ。あれだけ捜し回って、足取りすら掴めなかったのに
アスベル捜し回ったって…俺の事をか?
シェリアええ…
シェリアしばらくバロニアで待ってたんだけど、どうしても会えなかったから
シェリア諦めて故郷に帰る前に、少しだけ周辺の街や村を、巡ってみる事にしたの
シェリアその途中で迷い込んだ森の中で崖から落ちちゃって…気付いたらこの村に運ばれてて
アスベルごめん…シェリアがそんな事になっていたなんて、俺、全然知らなくて…
シェリアいいの。私が勝手にやっていただけだから気にしないで
シェリアでもそうやって怪我をしたから、この村に来られて、アスベルにも会えたのよね。不思議なものだわ
アスベル俺もバロニアにいる時に、シェリアが来てるって聞いて、ちょっと捜してみたんだけど…
アスベルあの時もっと、気にすればよかったな
シェリア仕方ないわよ。アスベルにはやらなくちゃいけない事が、たくさんあったんでしょう?
アスベル…まあな
シェリアねえ、アスベル。一体何があったの?よかったら話してくれない?
アスベルああ、勿論だ。実は──
シェリア大精霊…。そんな存在がいるのね
シェリア普通じゃ考えられない異変が、各地で起こっていた事は知ってるわ
シェリア…でもまさか、その原因が大精霊だったなんて…
アスベルああ。…でも、それもじきに全て終わる
アスベルみんなで力を合わせて、大精霊を元に戻す事に成功しているんだ
アスベルただ…次のシャドウっていう大精霊のところへ行くのには、ちょっと手間取ってるけどな
シェリアシャドウ?
アスベル闇を司る大精霊…だそうだ。シルヴァラントの南東にある遺跡にいるのはわかってる
アスベルただ、その地下遺跡の入口である扉は硬く閉ざされていて、開けるには鍵が必要だったんだ
シェリアそれが、さっきシンクが投げた石なのね?
アスベル本物だという確証はないけど、有力な手がかりである事は間違いない
アスベル早速みんなを集めて出発しよう
クレス何はともあれ、この村の騒動は収まった。アスベル達の協力のお蔭だよ
クレスみんなにはしばらく村の外に出ないように頼んできたよ。安全になったら知らせないとな
アーチェこのまま、遺跡に財宝探しに行かれても困っちゃうからね。シャドウの事もあるし
アーチェあ、シンクと一緒にいた村の人がシンクが逃げて行ったって話をしてくれたみたいだよ
アーチェこれで村のみんなに話が伝わって騙されてたって事に気付いてくれるといいんだけど
シェリア私とチェスターを閉じ込めた事も反省してるって伝えてくれたわ
チェスター一時はどうなる事かと思ったけどこれならもう村は大丈夫だろ
アーチェわざわざ来てくれてありがとね!
ルークま、上手い具合に探してたもんも見つかったし、結果オーライって奴じゃねーの?
ミラでは、私達はメルトキオへ向かいリタ達と合流後、再び例の地下遺跡に向かおうと思う
クレス僕も一緒に行くよ。今度は僕の方に、君達の手助けをさせてほしい
ルーククレスはユーリ達と合流する事になってんじゃねーのか?
クレスみんなとは、この村で落ち合う事になってるんだ
クレスもし僕が君達と行ったとしてもアーチェから状況は伝わるだろうし心配はいらないよ
ミラそういう事なら、是非力を貸してほしい。クレスが共に来てくれるなら私達としても心強い
チェスター本当はオレも一緒に行きてえところだが、シンクの一件の後始末をしないといけねえ
シェリア私もここに残ってチェスター達の手伝いをするわ
シェリア…って言っても、怪我がまだ完治してないからやれる事には限りがあると思うけど…
アスベルシェリア…大丈夫か?
シェリア私の事は心配しないで。アスベルこそ、あまり無茶はしないでね
シェリアカノンノの事も、ちゃんと守ってあげるのよ
カノンノシェリアさんに会えてよかった。想像通り優しくて素敵な人…
カノンノアスベルから話を聞いてどんな人だろうって、ずっと気になってたから本当に嬉しかったよ
シェリアふふっ、私も会えて嬉しかったわ。カノンノ、アスベルの事をお願いね。しっかり見ててあげて
カノンノうん、任せて!
クレスよし、それじゃ僕達はそろそろ行こうか
アスベルああ!
scene2迫る侵食
ルークシルヴァラントに入ったか。早いとこリタ達と合流して鍵が手に入った事を知らせねーとな
アスベルだから、まだその石が遺跡の鍵と決まったわけじゃ…
ミラ…!
カノンノミラ?急に立ち止まったりして、どうかしたの?
ミラ…少しまずい状態だ
クレスまずいって…それは一体何の話だい?
ミラシャドウだ…。奴の気配が、以前に比べて急激に高まっている
アスベル何だって…
ルークお、おい、あれ…南東の方。あれ、シャドウの闇じゃねーのか!?
カノンノ本当だ…!これだけ距離があるのに、こんなにもはっきり見えるなんて…
ミラシャドウによる闇が大陸を侵食し始めている…
ミラこれは、すぐに止めなければ取り返しのつかない事になるぞ…
ルーク具体的に、どうなるんだよ?
ミラ大陸中、ひいては世界全体が闇に包まれる事になる。そうなれば…
アスベル光がなくなれば植物は枯れて、食べものもなくなる…
ミラそうだ。それに、食糧不足は飢えをもたらすだけではなく、争いも引き起こす事になるだろう
ミラただでさえ、光のない生活は、不安を増長させ、人間の心を蝕む
ミラ闇を司る大精霊とは、それだけの力を持つ存在なのだ
ルークとんでもねー野郎だな…
クレスそれがここまで拡大してるって事は、時間がないって事じゃないのかい?
ミラああ…。まさかこの短時間で、ここまで急速に影響が拡大するとは…
ルークだったらさっさと遺跡に行ってシャドウの奴を止めちまえばいいんじゃねーのか?
アスベルこの石が地下遺跡の鍵である確証はないが、この形状はあの扉にあったくぼみと似ている
アスベル今なら閉ざされた扉の先に入れるかもしれないしな…
クレスそれを確かめる意味でも、今はまず地下遺跡に向かう事を優先すべきだと思う
ミラそうだな…。シャドウの事は、早めに対処する必要がある。可能性があるのであればそれに賭けよう
アスベルよし、じゃあ進路を変更してとにかく俺達は地下遺跡を目指そう
ミラああ。リタ達には申し訳ないが…。異変に気付いて駆けつけてくれるとよいのだが
ルークおし、決まりだな!じゃあとっとと行こうぜ
カノンノうん!
ガサッ!
クレス…!今の音、まさか…
ガルルルル!
アスベル魔物か!…みんな、時間もない事だ。協力して一気に切り抜けよう!
scene1育まれる絆
アスベルさて、ようやくここまで戻って来たな
クレス話を聞いて、どんなところかと思っていたけど…想像以上に空気が重いね
カノンノ霧も前より濃くなったみたい。視界がさらに悪くなったね…
アスベルアスカとルナが照らしてくれなければとても歩いて来られなかったな
ミラそれほど、シャドウの状態が悪化しているという事だ。先を急ごう
カノンノあ…ネックレスが
クレスこの扉の先にシャドウがいるんだね
ルークとにかく、早いとこ例の石でここを開けられるかどうか試してみようぜ
アスベルああ、そうだな。よし、じゃあこのくぼみに例の石をはめてみるぞ
カノンノお願い…上手くいって…!
ゴト…
ミラどうだ…?
ガコン!
ズズズ…!
カノンノ扉が開いたよ!
ルークそら、俺の言った通りだったろ!やっぱりこいつがこの扉の鍵だったじゃねーか!
ミラとにかく、あまり猶予はない。慎重に進みつつも、早い段階でシャドウを見つけ出さなければ…
クレスああ、そうだね…
scene2育まれる絆
クレス中は、さらに暗いね。それに音も何一つ聞こえない…。不思議な感覚だ
アスベル確かに静かだ…。音が、遠くに吸い込まれていくような…
クレス…何だか懐かしいね。あの時を思い出すよ
ルークあの時?
クレスこの先何が起こるのかわからない…、光の神殿の中を進んでいた時も今と似たような感覚だった
ミラ確かに、わからなくはないな
ルークそういやあ、今ってあの時の顔ぶれが半分もいるんだな…
アスベル光の神殿か…。三人は、光の神殿で初めて会ったんだっけ?
クレスうん。そんなに昔の事じゃないのに、こうやって改めて話すと、随分懐かしく感じるね
クレス最初はさ、お互い警戒し合って、連携も上手くいかなかったんだ
ミラ最初だけではなかったぞ。途中で分裂の危機に陥った事もあっただろう
ルーク…いろいろあったのは確かだけどよ。け、けど、最後は何とかなったんだし、いいじゃねーか
アスベルそんな事があったのか…。何だか今のみんなを見てると信じられないな
クレス勿論、今はそうじゃないけどね。でも、知り合った当初は本当にいろんな問題があったさ
クレス今となってはそれもいい思い出だけど
カノンノ何だか、今のみんなみたいだね
アスベルん?
カノンノ最初はね、ただ世界を救うっていう目的のために一緒に行動しているって感じだったけど、今は違う
カノンノ何だろう、本当の仲間っていうか…日に日にね、みんながすごく仲良くなっていってる気がするよ
アスベルカノンノ…
アスベル…ふっ、何だか他人事みたいに言ってるけど、お前もその中の一人なんだって事、忘れるなよ?
カノンノ…!うん、そうだね。ありがとうアスベル
ミラ確かに…いつの間にかお前達にも躊躇なく背中を預けられるほどの信頼が芽生えている
ミラ…不思議なものだな。何か特別な話をしたわけでもないのに
ルーク
クレス信頼や友情、仲間との絆が生まれる瞬間なんてきっと、そういうものなんだよ
ルーク…お前ら、よくそんな臭い事平然と言えるな。聞いてて背中がむずむずしてきたっつーの!
ルークおら、くだらねー事言ってねーで、さっさと先に進むぞ!
アスベル…?ルークの奴、突然どうしたんだ?
カノンノふふっ、大丈夫だよ。きっと恥ずかしいだけで──
ルーク…!うおっ、何だこいつ!?いつからここにいた!?
ミラ
???
ルークな、何だよこいつは…!
クレスひょっとして、こいつがシャドウか!
アスベルああ。状況的に間違いないはずだ
ミラ待て。妙だ…奴からは気配を感じない…
カノンノ私のネックレスも反応してないよ
ルークじゃあ、目の前にいるこいつはシャドウじゃなくて何だっつーんだよ!
ヒュンッ
ルークうおっと!
アスベル今は考えている場合じゃないこのまま戦うぞ!
scene3育まれる絆
アスベルはああっ!
ズバッ!
シャドウ?
カノンノやった…!シャドウが倒れたよ!
ミラ
ルーク何だ、他の大精霊と比べると全然大した事なかったな
クレスこいつは本当に大精霊なのか?
アスベル手ごたえはないが…カノンノ!念のため、シャドウにリプリカームを
カノンノうん!
ミラ…!カノンノ待て、奴の様子がおかしい
カノンノえ?
ルークちっ、また復活するっつーなら、そうはさせ──
シュウウ…
カノンノどうして?!…シャドウが消えて…
クレスこれは…!アスベル、今までもこういう事はよくあったのかい?
アスベル…いや、こんな事象が起きた事はない。一体何が起きているんだ…?
ルークもしかして逃げやがったのか!?
カノンノ…!あ、あれ…見て!
シャドウ?
ミラくっ!いつの間に…!?
クレス消滅したわけではなく、瞬間的に移動したのか…?
ルーク…!お、おい…、こっちにも別のシャドウが…
シャドウ?
アスベルなっ…!シャドウが2体も…!
ミラ何!?
ルークくそっ、しかも挟み撃ちかよ!
クレスとにかく、迎え撃つしかない!みんな、互いに背中を預けるように立つんだ!
アスベルわかった!カノンノ、早く俺達の傍に──…!カノンノ!?
シャドウ?
カノンノ…!
ルークおい、あいつカノンノを狙ってやがるぞ!
アスベルくそっ…カノンノ!!
???せいっ!!
ズバッ!ズバズバッ!
シュウウ…
アスベル!?
カノンノシャドウが…消えて…
???危ないところだったな。大丈夫か?
カノンノあなた達は──
scene1大精霊シャドウ
カノンノあなた達は──
ルークユーリ!ロイド!それに…
ソフィみんな…!
クレスソフィまで…!
ミラどうしてお前達がここに…?
ユーリトーティス村へ行って、アーチェ達からお前らの話を聞いてな
ロイドメルトキオに追いかけても行き違いになるかもと思って俺とユーリは先回りしたんだが…
ロイドさらに俺達の読みの先行ってたな!封印されてたっぽい扉が開いてて驚いたぜ
ルークてっきりリタ達が来たのかと思ったら、お前らだったのかよ
ユーリ来たのがオレ達じゃ不満か?
ルークべっ、別にそんな事言ってねーだろ!
ミラとにかく、よく来てくれた。礼を言う
アスベルそれにしてもソフィ、どうしてお前がここにいるんだ?シーブル村にいたはずじゃ…
ソフィみんなが行ってから少ししてコハクとヒスイが村に戻って来たの
ソフィだからもう大丈夫かなって思ってアスベル達と一緒に行こうとキムラスカに向かったの
ソフィそしたら、その途中の村で黒い霧の話を聞いて…。村の人達がすごく怖がってたから…
アスベル放っておけなくなって、調べに来たのか
ソフィうん
ロイドで、黒い霧の発生地点を見つけてここに来た時に、俺達と会った。…だよな?ソフィ
ソフィそれでね、ロイド達と一緒にみんなを捜していたの、でも明るかったからすぐ見つけられたよ
ロイドそういえば、何でお前らの周りこんなに明るいんだ?
ミラ大精霊、ルナとアスカが力を貸してくれているのだ
ロイドへー便利だな!俺達、ここまで来るのに苦労したんだぜ?
ユーリレイヴンとゼロスはメルトキオに向かったぜ。アーチェは村に残るってよ
クレスうん…そうだろうな。アーチェには、村の事を頼んできたから
クレスレイヴン達は、リタの方と会えるといいんだが…
ユーリそれはそれとして、今のが例の大精霊って奴か?思ったより手応えなかったんだが
ロイドそうなんだよ。弱いとまでは言わないけど、こう…もっと強いのを想像してたから
ルークそんな事ねえっつーの。他の大精霊はマジでヤバかったんだ。ただ、シャドウだけが…
ミラやはり、そうか…
アスベルミラ?何かわかったのか?
ミラ先ほど私達が倒したのは、おそらくシャドウの「幻」だ
ミラ奴らはシャドウであり、シャドウではない
ルークシャドウなのにそうじゃない…?おい、わけがわからねーぞ。どういう事だよ
ミラつまり、シャドウの力で生み出された本体とは異なる別の存在という事だ
ロイド要するに、その…今倒した奴は偽者って事だよな?
ミラああ、簡単に言えばそうだな
クレス近くに現れても、ミラやカノンノが全く気配を感知出来なかったのは、そのせいか
ソフィどうして、偽者だってわかるの?
ミラ奴と戦っている最中、私は目の前のシャドウからではなく別の場所に気配を感じていた
ミラ今も、シャドウの気配は途絶えていない。本体は別の場所にいる
ユーリなるほどな。その本体を倒さない限り、いくら偽者倒したって無駄ってわけだ
カノンノなら、急いで見つけないと
ルークったく、たりぃけどやるしかねえな。ユーリ、ロイド、ソフィ、お前らも手伝えよ
ソフィうん。そのためにここに来たんだよ
ロイドん?よく見たら、光の神殿に行った時の顔ぶれが全員そろってるじゃないか!
ユーリ今頃気付いたのか?そういう巡り合わせらしいぜ、オレ達は
ロイド何だ、だったら早く教えてくれよ!
カノンノ頼もしい仲間が来てくれたね
アスベルああ。この顔ぶれなら、シャドウ本体を相手にしても決してひけを取らないはずだ
クレスよし。それじゃ、シャドウの本体を捜そう
ユーリああ
scene2大精霊シャドウ
ユーリ──にしても、この「封じられた遺跡」ってのは、どういうもんなんだ?
ユーリただの遺跡にしちゃ、作りが随分頑丈に見えるし、雰囲気もちっとばかし特別な気がするんだがな
ロイド「封じられた遺跡」の話は俺も聞いた事あるってくらいでそこまで詳しい事はわからないんだ
ロイドましてや本当に存在してたなんて、それすら信じられないくらいだ
カノンノそうなんだね。でも大丈夫、きっとリタ達がいろいろと調べてくれてるよ
ルークリタの奴、俺達が先に遺跡に入った事を知ったら、また怒鳴り散らすんじゃねーのか?
ミラそうか?きっとリタもあの黒い霧を見れば私達がどういう行動を取るかわかってくれると思うが
ロイド黒い霧が広がっている様子は、俺達も確認したぜ。しかも、どんどんひどくなっていって…
ロイドあれを放っておいたらまずいって事は俺達だってわかったよ。だから、リタもわかってくれるって!
ルークならいーけどよ、後でぎゃあぎゃあ言われんのは…
ユーリ…おっと、おしゃべりはそこまでみたいだぜ
ソフィひょっとして、シャドウ…?
ミラ…ああ、奴らだ
シャドウ(幻)
シャドウ(幻)
シャドウ(幻)
カノンノ今度は3体も…!
ルークったく、次から次へと湧き出てきやがって…うぜーんだよ!
ヴンッ…!
ロイド…?あれ…?シャドウが消えて──
シャドウ(幻)
アスベル…!まずい、こっちだ!囲まれたぞ…
ユーリ見かけによらず素早いこった。さてどうしたもんだ、これは?
ミラシャドウの本体よりは戦闘力が劣るとはいっても、普通の魔物よりは遥かに強い
クレスわずかでも背を見せれば確実にそこを突いてくるだろうね…。下手に動くのは避けた方がいい
ロイドなら、3体まとめて倒す…とか?
ユーリま、それしか思いつかねーな
クレスよし、じゃあ僕が様子を見て合図を出す
クレスユーリ、ルーク、ロイド、ミラ、ソフィ。君達は一斉にそれぞれの「幻」の元へ散ってくれ
クレスそして、アスベル。君はこの場に留まり、何としてでもカノンノを守ってほしい
カノンノえ…?
ユーリこの分だと、いつどこから新たな「幻」が湧き出て来るか、わかったもんじゃねえって事だろ
アスベルしかし…
ロイドカノンノに何かあったら大変だろ?何たって俺達の切り札だぜ
ミラこのシャドウは私達に任せてアスベルはカノンノを守る事に専念してほしい
ルーク何だよ、俺達だけじゃ不安だとでも思ってんのかよ
アスベルいや、そういうわけじゃない。だけど、みんなだけが危険に身を晒すなんて──
ユーリ偶然にもこうやってオレ達がここに集まったのも、そうしろっていう誰かさんのお導きかもしれねえぜ?
ソフィもしかして、ティルグかな?
クレスティルグか…。そうかもしれないね。じゃあ、とにかくみんな、行こう!
ユーリよし、あいつはオレに任せろ!
ルークお、おい!待てよユーリ!そうやっていつも一人で、カッコつけようとすんじゃねー!
ミラ私も遅れを取るわけにはいかんな。ロイド、ついて来れるか?
ロイド当然!
クレスソフィ、残りの「幻」は僕達二人で何とかしよう!準備はいいかい?
ソフィうん!
カノンノアスベル…!
アスベル大丈夫だ。ここはみんなを信じて任せよう
アスベル彼らはあの「選ばれし者達」だ。俺達にとっては、この上なく心強い味方だよ
scene1闇を打ち払いし者
リタはあ…
リッドあの様子だと、遺跡の鍵を手に入れるのは難しそうだな
クラースふむ…。遺跡の由来や鍵の形状の情報が手に入ったまではよかったのだがな…
リオン肝心の鍵のありかがわからないのでは、どうにもならん
リタまさかその鍵となる石が、盗まれていたなんて…!
リッドま、ないものは仕方ねえさ。とにかく、これ以上打つ手はねえし、早いとこアスベル達と合流しようぜ
クラース急ぐと言っても…彼らはメルトキオに来ると言っていただろう
クラース随分と時間も経ってしまったが彼らはまだトーティス村にいるのだろうか
リオン仮にいないとしても、鍵がない以上あいつらも他に行く場所はない。僕達との合流を急ぎここへ来るはずだ
リッドじゃあ大人しく待ってようぜ移動して行き違いになるのはごめんだ
クラース…!
リオン…クラース、どうかしたのか?
クラースこれは…?
リタ…もしかして、シャドウの気配を感じ取ってるの?
クラース何となくだがな
クラースこれほど離れた場所にいる私ですら感知出来るという事は、事態は着実に深刻さを増しているという事か…
レイヴンあ、いたいた、リタっち発見!
ゼロス地下遺跡に関する調査は順調か?
リタおっさんにゼロス!?何であんた達がここに?
レイヴンそりゃ勿論、リタっち達のお手伝いをするためよ
ゼロス大変だったんだぜ?レイヴンが絶対図書館にいるって言ったのに、行ったらいなかったしよ
リッドそいつは惜しかったな。図書館なら、この街に来て一番最初に行ったぜ
クラースそこで、ある程度遺跡に関する情報を手に入れた後、場所を移して鍵の情報を追っていたというわけだ
レイヴンなるほどね。…ところで、アスベル達はまだここには来てないのかな?
リタ…?来てないけど?
ゼロス…って事は、レイヴン?
レイヴンアスベル達はシャドウのいる遺跡に向かったって線が濃厚だねえ
リオン遺跡へ向かった、だと?
リタどういう事?説明して
リッドじゃあ、そのシンクって仮面の男が遺跡の鍵を持ってたのか
ゼロスそういう事。で、それを持ってアスベル達はこの街に向かうって話していたらしいんだが…
レイヴンどうやら来てないみたいだしひょっとしたら、先に地下遺跡に行っちゃったのかもね
リッドその石が本物かどうか試しにでも行ったのか?
リタアーチェにそう言ったからには最初は本当にメルトキオに行くつもりだったんだと思う
クラース…ミラが大精霊の異変を強く感じ、その石が本物の鍵だと信じて賭けに出た──
クラース考えられるとしたら、そんなところか
リッド何はともあれ、あいつらが地下遺跡に向かっている以上、オレ達もすぐに後を追うべきじゃねえのか?
リッドクレスや、ユーリ、ロイド達が追いかけてるとはいえ人数は多いに越した事はねえだろ
クラースああ、そうだな
レイヴンんじゃ、早速向かいますか
ゼロスおう!
ユーリ…どうやらシャドウの「幻」はあらかた片付いたようだな
ソフィとても動きが早くてどうしようかと思ったけど、何とかなったね…
カノンノみんな、ありがとう。やっぱりすごく強いね
アスベルさすが息が合っていて、俺の出る幕はなかったみたいだな
クレス倒した数はこれで6体か…。一体何体いるんだろう
ミラシャドウ本体の暴走を鎮めるまで、無限に現れると思っておいた方がいい
ミラ「幻」をいくら倒そうと、本体の力は弱っている気配はない…。「幻」と本体は全くの別物と考えていいだろう
ソフィ本体を倒さないと終わらないって事なんだね…
ユーリそれはそれで厄介だな…。戦闘力は大した事ねえとはいえ、数によっちゃこっちがへばっちまう
ルークだったら早いとこ本体を見つけてケリつけよーぜ
ミラそういう事だ。では、先を急ごう
アスベルああ!
scene2闇を打ち払いし者
アスベルユーリ達6人がそろうのって久しぶりなんだよな?
ユーリん?そういやそうだな。何人かとは時々顔合わせちゃいるが
クレス6人全員がそろうのはあの時以来だよね
ロイド何だか本当懐かしいよな。そんなに昔の事じゃないはずなのに
クレス本当だね。僕もさっき、同じ事を言ったばかりさ
ミラ私達が共に行動したのはほんの短い間に過ぎなかったが、随分いろんな事があったな
ルークらせん階段じゃ、てっきりユーリが死んじまったと思ったしな
ロイドそうだそうだ、そんな事もあったよな
ユーリさすがにオレもあん時はどうなるかと思ったが、ま、お蔭さんでこうしてまた会えたってわけだ
カノンノふふ、でもさっきは本当に驚いたよ。久しぶりに一緒に戦ったはずなのに、全員の息がぴったりなんだもん
アスベルそういられるのはきっと君達6人が強い絆で結ばれているからだろうな
アスベル君達と同じ目標を持ち共に進む事が出来て、本当に心強いよ
ユーリ…相変わらず律儀な奴だな、お前も。けど、心強いのは同感だ
ユーリま、共に進むにはちっとばかしクセのある奴ぞろいだけどな
ロイドそうだなあ。我の強い連中だから、衝突も多かったし…
ミラ我の強さで言うと、今協力してくれている者達も負けず劣らずだがな
アスベルふっ、…確かにそうかもしれないな
ルークまーなんつーの?「英雄」が一緒なら心強くて当然つーか…
ミラ「英雄」ではない、正しくは「選ばれし者」だぞ?
ルークお、同じようなもんだろ。いちいち細かい事気にすんなっつーの!
ソフィふふっ
ソフィあのねアスベル。わたしアスベルとも絆で結ばれてるって、そう思うよ
クレスそうだね、僕達は仲間だ。何があってもアスベルとなら乗り越えて行けると信じてるよ
アスベル…ありがとう、みんな
ミラむ…!
ソフィどうしたの、ミラ。何か見つけた?
ミラシャドウの気配が急激に強くなった…近いぞ…!
カノンノあ、私のネックレスも…!
ユーリへえ、本当に独りでに光るんだな
アスベル…!あれは…
シャドウ(幻)
シャドウ(幻)
ロイドみんな、早速おでましだぞ
クレス「幻」の方か…!それにしても、何て数なんだ…。次々と現れて…
ズズズ…!
シャドウ(幻)
ソフィ囲まれる…!
ミラシャドウの気配が強い…この中にシャドウの本体がいるぞ
ルークけっ、「幻」を隠れ蓑にしようってわけかよ!
ユーリこう多いと、いちいちミラに本体を見分けてもらうより、まとめてぶっ倒した方が速そうだな
クレス元よりそのつもりさ。アスベル、カノンノを頼む
アスベルわかった!カノンノ、下がってくれ!
チャキッ
カノンノううん、今度は私も戦う!
カノンノこんなに相手の数が多いんじゃ、みんなに任せきりには出来ないもの
カノンノそれに私も、みんなの役に立ちたいの。お願い!
アスベルカノンノ…。わかった、絶対に無茶はするなよ。あと、俺の傍から離れるな
カノンノうん!
クレス気を抜くな!この数だ、本物のシャドウを取り逃がしてしまうかもしれない!
ミラよし、やるぞ!
ルークおう!
ミラはっ!
クレスとうっ!
ソフィやああっ!
ルークうおおっ!
ロイド倒れろ!
ユーリこいつはどうだ!
アスベル食らえっ!
カノンノたああっ!
シャドウ(幻)
シュウウウ…
ルークよし、やったぜ!これでかなり数が減って──
ズズズ…!
シャドウ(幻)
クレスくっ…また新手が…
ロイド倒しても倒しても次々に湧いてくる。これじゃ、きりがないぞ!
ルークおいミラ、やっぱ早いとこシャドウの本体を見つけられねーのかよ!?
ミラさっきから試みているが戦いながらでは──
ゴオオオオオ…
アスベル黒い霧が…!
ミラ…!まずい、皆、伏せろ!
ソフィえっ…!?
バシュンッ!!!
カノンノきゃあっ!
ソフィカノンノ!危ない…っ!
クレスくっ…みんな…大丈夫か?
カノンノう、うん…ソフィが助けてくれたから
ソフィうっ…
アスベルソフィ…!怪我をしたのか?…大丈夫か?
ソフィうん…ありがとう…アスベル
ユーリちっ、なるほどな。これが大精霊様の本気ってわけか
ルークああ、ミラの一声のお蔭でマジ助かったぜ…
ミラ…だが、これではっきりした。今の攻撃を放ったのが、シャドウの本体だ…!
シャドウグ…アアア…
クレスあいつが…
ミラ奴を倒せば「幻」も消えるはず
ユーリそうとわかりゃ、早いとこ仕留めちまうか。行くぜ!
ソフィうん!
ロイドうおおおおっ!「幻」は邪魔だ、そこをどけ!
ザシュッ!ズバッ!
ロイドはあ…はあっ
ズズズ…!
シャドウ(幻)
ルーク…ロイド!後ろだ、くそっ!
ルークおらあっ!!
ズバッ!
カノンノはあ…はあ…
シャドウ(幻)
アスベル…囲まれた。俺が合図をするまで動くな
カノンノうん…わかった…!
アスベルこっちだ…。俺の方に引きつけて…
アスベル…今だ!
アスベルはああっ!
ザシュッ!
ミラはっ!
ズバッ!
ミラよし、道は開けた…!これで本体の元へ──
ズズズ…!
シャドウ(幻)
ミラくっ…!また新たな「幻」が…!
ユーリミラ、屈め!
ユーリお前ら、邪魔だっ!
ズバーッ!
クレスはあっ!
ソフィたあっ!
ズバッ!ザシュッ!
クレス…まずい、倒しても倒しても「幻」の数は増える一方だ…!
ソフィシャドウに近づけない…!みんなも辛そう…このままじゃ…
クレスきっと何か方法があるはずだ、シャドウの本体に近づく方法が──…
シャドウグアア…
ゴオオオオオ…
クレス…!あれは…
ソフィシャドウの本体にシャドウの「幻」が集まってる…
ロイドおい…あれだけいた「幻」達がどんどん消えてくぞ?
シャドウガアアアアアアアッ!
バシュンッ!!
アスベル…うっ……
アスベル何も見えない…。みんな!無事か…!?
クレス…アスベル…、ああ…僕は何とか…。他のみんなは──
ミラくっ…シャドウの攻撃がここまでとは…
カノンノルナとアスカ…どうしちゃったの?明かりが消えちゃった
ミラいや、消えたのではない…
ミラ先ほどの攻撃で吐き出した闇が光も飲み込むほど強いのだろう
ロイドそんな…
シャドウグアア…アアッ…
ルークちっ、シャドウの野郎!あっちか?
ソフィルーク…!
クレス闇雲に動いては駄目だ!仲間を傷付けてしまうかもしれない
ロイドくそっ…。シャドウは、どっちだ…?ちっとも目が慣れねえ…!
ユーリこうも暗いと攻撃されてもわからないな
ミラ攻撃が来る前に何か手立てを考えねば…
ソフィわたし達…このまま死んじゃうのかな…?
ユーリ気が早い事言うなって。こういうのは諦めの悪さが肝心──
シャドウグア…アア…
全員
ロイド…シャドウの奴、なかなか攻撃してこないぞ…!いるのか?
カノンノわからない…。本当に何にも見えなくて、まるで真っ暗な闇に飲まれたみたい──
アスベル闇に…?…あの時シンクが言っていたのはこの事だったのか…?
ミラ闇に飲まれろ…、シンクは去り際にそう言い放っていったな…
クレス人間は、絶望や恐怖に打ち勝つ事は出来ない…とも言っていた
アスベル
ユーリフン…。陰気な奴が言いそうなこった
シャドウグオオオオオオオオッ!!
カノンノ…!もう駄目…今度こそ…
ユーリちっ…!
アスベル…。守ると決めたんだ…
アスベルこの世界を…大切な仲間のいるこの世界を、何としても守ると心に決めたんだ…
アスベル感覚を…心を澄ませば…見極められるはずだ
シャドウグオオオオオオオオッ!!
アスベルそこだっ!!
ズバーーーーーーーーッ!!
アスベルはあ…はあ…
シャドウグア…アア…
ミラ…!やったのか…!
カノンノそうみたい!アスカとルナの光でみんなが見えるようになったよ!
アスベル…ここで倒れるわけにはいかない。俺達の肩には、世界の存亡や大切な者達の命がかかっている…!
アスベルだから…絶対に、負けられない…!
アスベル闇も、恐怖も、自分自身が生み出した幻だ!
カノンノアスベル…
クレス…うん、そうだね。アスベルの言う通り、僕達は絶対に負けられない
ソフィこの世界は、わたし達の大切な世界だから…
ロイド…よし、みんな!今がチャンスだ!一気に奴を叩くとしようぜ!
ルークったく、…んな事お前に言われなくてもわかってるっつーの!
ユーリんじゃ、気が変わらない内にとっととやろうぜ
ミラ皆、アスベルに続け!全員の力を結集するのだ
カノンノうん!
アスベルみんな…ありがとう!
アスベル何としてでも、お前の暴走は鎮めてみせる…行くぞ、シャドウ!
アスベルはああああっ!
scene3闇を打ち払いし者
アスベルこれで終わりだ!
ズバーーーーーーッ!!
シャドウグア…ア…ア…
シャドウ
アスベルはあ…はあ……終わった、か…?
ロイドそうみたいだな
ユーリそう願いたいね。もう一戦ってのはちょいとばかしキツイぜ
カノンノふう…終わった…よかっ──…
トスンッ
アスベルカノンノ!?大丈夫か?
カノンノえ!?うん!大丈夫…!…その…何て言うか、ほっとしたら急に力が抜けちゃって…
ミラ何だ?腰を抜かしたのか?
カノンノう…た、多分…
アスベルふっ…ははは…!
カノンノもう!笑わないでよ…!
アスベルごめんごめん。さあ、カノンノ、リプリカームを頼む
カノンノあ、そうだね、座り込んでる場合じゃないね
カノンノシャドウ、もう、落ち着いたかな?
シャドウ
カノンノシャドウ?
ルークおい!何とか言えっての!
シャドウ
シャドウ…我……力を示せし者と契約す…
アスベルシャドウ…俺達に力を貸してはくれないだろうか…
ロイド契約してくれるのか!?
ルーク何だよ!俺やカノンノの事は無視したくせにアスベルにはやけに素直じゃねーか!
ユーリやれやれ…物わかりがいいのか何なんだか
ミラシャドウの闇を打ち払ったのはアスベルだ。力を示したアスベルに応えたのだろう
カノンノそうだったんだね!
シャドウ
ルークしゃべれるなら最初からそう言えっての…
カノンノ──ありがとう、シャドウ…
ロイドシャドウがネックレスに…。これで契約が完了したって事か?
カノンノうん、そうだよ。ほら、ネックレスの色が変わったでしょ?ここに、シャドウがいるって事だよ
クレス話には聞いていたけど…実際目の当たりにすると不思議な感覚になるね
アスベル…カノンノ、本当によく頑張ったな
カノンノううん、私なんかより、アスベルだよ!
カノンノシャドウに勝てたのは、アスベルのお蔭だよ。本当にありがとう
カノンノシャドウが契約してくれたのも、アスベルの強さを認めてくれたんだよ
アスベル俺のお蔭だなんて、そんな…。これはみんなで力を合わせた結果だよ
ソフィ…でも、あの時アスベルが立ち上がっていなかったら、みんな無事じゃなかったかもしれない
ミラソフィの言う通りだ。シャドウの攻撃から守ってくれた、という点でもそうだが──
ミラ何より、半ば諦めかけていた私達を再び奮い立たせてくれたのもまた、アスベルだ
クレス僕も同じように思うよ。これは紛れもなく、君が導いた勝利だ
アスベルみんな…。…ありがとう
アスベル…でも、これだけは言わせてくれ
アスベル俺の行動がきっかけだったとしても、やっぱり勝因は、あの時みんなが立ち上がってくれた事だと思う
アスベル俺一人では成し遂げられなかったし、それはみんなも同じなんだ。…だから、俺からも言わせてほしい
アスベルみんな、本当にありがとう
ロイドアスベル…
ユーリ…ふっ。どんな時もアスベルはアスベル、だな
ルークああ、そうだな。頑固っつーか、何ていうか…
アスベル頑固だって…?そ、そうかなあ…
クレスはは、悪い意味じゃないよ。気にしなくていいさ
ユーリま、何はともあれ、シャドウの暴走はこれで鎮まったわけだ
ロイドとなると、遺跡周辺を覆っていた黒い霧も…
ミラああ、徐々に解消されるはずだ
ソフィよかった…
アスベルよし、じゃあそろそろ外へ出ようか
ルークああ、そうしようぜ。外の様子も知りてーしな
クレスうん、じゃあ行こう!
ユーリさてと。外はどんな具合だ?
ソフィ黒い霧が全部消えたわけじゃないけど…少し薄くなったみたい
クレスでも、最初にここに来た時と比べたら、随分明るくなってる気がしないか?
ロイドこの調子だと完全に解消されるまで、そう時間はかからなさそう──
リタちょっと、あんた達!
ルークお、リタじゃねーか!
ロイドそっちも無事に合流出来たんだな
ゼロス何だかんだ言ってリタちゃん達を捜し出すまで結構時間食っちまったけどな
レイヴンそれより、みなさんそろって随分と清々しい顔しちゃって…、その様子だとひょっとして…
カノンノうん。シャドウの暴走は無事鎮められたよ!あと、契約も交わしてくれたの
クラースやはりそうか…。薄らと感じていた気配が、道中急になくなったから、そのような気はしていたが…
ミラすまないな、クラース。本来はお前達と合流してから地下遺跡へ向かうはずだったのだが…
クレス遺跡周辺が深刻な事態に陥っていたんです。それで、僕達だけで先を進もうという判断になって…
クラースいや、そんな事だろうと大体想像はついていた。その判断は正しかったと思うよ
クラース……ただ、私が大精霊と縁がないだけなのだろう…。はあ…また見られなかったか…
ルークだーっ!うじうじすんなっつーの!
リタそれにしても遺跡の鍵が手に入るなんて運がいいわよね
アスベルああ、俺も驚いたよ。実は──
リッドオレ達もあれからこの地下遺跡についていろいろと調べてたんだ
リッド例の石は、メルトキオのとある家系で代々大切に守られてきた
リッドちゃんとその家は存在してたんだがオレ達が訪ねた時にはもうなかったんだ
リッド地割れで家屋が半壊したところに盗みが入ったらしい
ルーク何者かに盗まれた…?じゃあ、その犯人がシンクだったって事かよ?
リタそいつが持ってたんだから、その可能性が高いでしょうね。誰かからもらったのかもしれないけど
クレスシンクは、何でその鍵を持ってたんだろう。そこにいるのはシャドウだって知っていたようだし
ミラ確かに…。前にリタ達が話していた「人々の望むもの」と思しきものも、何もなかったしな
クラース…それについても、話そう。今回の調査の中でいろいろとわかった事があるのだ
リタここが、前にあたしらの話してた「封じられた遺跡」である事は間違いないわ
リタ…ただ、伝わっていたものと現実は少し違ったみたいだけどね
カノンノ違った?
リッドこの地下遺跡は、過去に存在したとある王族の墓なんだとよ
ユーリ墓だって?…そういや、確かに古い遺跡にしてはやけにしっかりした造りだったっけな
リタ昔この大陸には二つの国があったの。でも、時代が流れる中で、ある時一つの国となった
ソフィそれが、今のシルヴァラントって事?
リオンそういう事だ。そして、歴史の闇に消えたもう一つの国の王族があの遺跡にあるものを封じた
リッドけど、長い年月が経つ中で、元の歴史は忘れ去られちまって…
ロイド俺達の知ってる「封じられた遺跡」の話になったってわけか…
ミラ…だとすると、あの扉の仕掛けは墓が荒らされる事を防ぐための仕掛けだったという事か
クラースそうだ。鍵となる例の石は、失われた王族の血を継ぐ者が代々厳重に管理してきたそうだ
アスベルそれで、さっき話していた鍵が盗まれたって話に繋がるわけか…
リッドま、何はともあれお前達が無事でほっとしたぜ
リタ…ったく、ほんとそれよ。心配して急いでこっちに来たのに何か損した気分じゃない
ルーク仕方ねーだろ、黒い霧が広がって相当ヤバい状況だったんだ……つーかやっぱり…
リタ…?何がやっぱり、よ?
ルークおい、ミラ。な、やっぱ俺の言った通りだろ?
ルークリタの事だから、絶対後で何かごちゃごちゃ言ってくるって──
リタごちゃごちゃとは何よ、失礼ね。あんたの事だからどうせ──
ミラ…違うんだ、聞いてくれ。その話なら続きがあって、お前ならきっとわかってくれるだろうと──
リタ何よ、ミラ。あんたまでこのバカと一緒になってそんな話してたってわけ?
リオン…リタ、落ち着け
リッドやれやれ、リオンの言う通りだ。結果何とかなったんだし、この際細かい事はどうでも──
リタ全然細かくないわよ!だいたい遺跡を調べるチャンスだって逃しちゃったし──…あ!
リタそうだ、せっかくここまで来たんだし遺跡の扉が開くところくらい見てみたいわね…
リタって事で、ルーク。案内しなさいよ
クラースおっ、遺跡に行くのか?私も連れて行って──
ルークだー!もう、付き合いきれねーっつーの!
カノンノあ…ルークが逃げた
リタあ、こら!ちょっと、遺跡の中で何見たのか教えなさいよ!
アスベルルーク、リタ!?
ソフィ行っちゃったね…
ユーリこの期に及んで鬼ごっことはルークの奴、元気なこった
レイヴンリタっちもね。ここへ着くまで相当ピッチ上げてお疲れモードだったってのに…
カノンノふふっ、でも何だかみんな楽しそう
アスベル
アスベル…本当だな
ルークだから!中は暗いから危ねぇんだって!
ソフィ…戻って来た
リタあんた達はその暗い中をどうやって進んだってのよ
ロイドああ、それは大精霊が周囲を照らしてくれて──
クラース何!大精霊が!?カノンノ、是非私にも見せてほしい!
カノンノええ!クラースさん!?
アスベル待ってください!大精霊をむやみに喚び出しちゃ駄目ですよ!
ゼロスおいおい、カノンノちゃんまで連れてかれちゃったぜ
ロイド何だかみんな楽しそうだしいいんじゃないのか?
リッド…オレは腹減ったな
ミラ私も、お腹が空いてきたな…。誰か食べ物を持って来ていないか?
リオンもう少し我慢しろ。全く…自分勝手な奴ばかりだ
クレス
クレスアスベルは、いい仲間に出会えたね
ソフィ…みんなにこにこしてて、楽しそう
ユーリ…さてと、そんじゃ遺跡探検組の気が済むまで、ここで一休みさせてもらうとすっか
クレスうん、そうしよう

NameDialogue
scene1理想の世界
ユグドラシル
ユグドラシル…リドウか
ユグドラシルマナの減少速度が、一段と緩やかになった
リドウへぇ。奴らがまた大精霊を、鎮めたって事だね。順調なようで結構だ
ユグドラシルくく…そうだな
リドウ楽しそうだねぇ。まあ、それも当然か
リドウもうすぐ世界に真の平和が訪れるとなれば、楽しくないわけがない
ユグドラシル
リドウ君の目指す世界は、俺が望む世界そのものでもある
リドウ理想の世界の到来まで、あと少しだ…
ユグドラシル…お前の言う通り、私達の計画はあと僅かで完遂する
ユグドラシルあれを叩き起こす時もそう遠くはないだろう
リドウつまり、俺達の仕事も大詰めってわけだ
リドウじゃあ…せっかくだから、少し下準備でもして来るよ
ユグドラシル下準備だと?一体何をしようというのだ、リドウ
リドウ君は知らないかもしれないけど、俺はこう見えても、心配性でね…
リドウこの目で確認しておかないといざ、何かあった時に何も対処出来ないと困るだろう?
リドウだから念には念を入れておこうと思ってさ
ユグドラシルそんな事か。…好きにするがいい
リドウ相変わらず冷たいねぇ。でも、まあいいさ。じゃあ、行かせてもらうよ
リドウ…例のあれは大陸の南東、だったか。少し骨を折る事になりそうだが…まあ、目的の為なら安いものか
ソフィ…!ミラ達が帰ってきたよ
リッドよう、お帰り
リオン例の鍵は、元の持ち主に返せたのか?
ゼロスおう、ばっちりだぜ!
クレス後はロイド達の帰りを待つだけだね
リオン…どうやら、戻って来たようだぞ
カノンノただいま。遅くなってごめんね
アスベルいや、大丈夫だ
ソフィお帰りなさい。ミュウには会えたの?
ルークん?ああ、まあな
クラースジーニアスとエミルが、しっかり看病している。もう少しで完治するだろう
ミラそうか。それはよかった。ルークもこれで一息つけたのではないか?
ミラずっと気にかけていただろう?
ルークなんで俺がブタザルの事なんか気にかけなきゃなんねーんだっつーの!
ロイド嘘をつくなって。ミュウが元気になってるのを見て、あんなに喜んでたじゃないか
ルークなっ…!つーか喜んでたのは俺じゃなくて、お前の方じゃねーか!
カノンノロイドもジーニアスに、やっと会えたしね
ロイドそうなんだよ。ずっと会えてなくてさ
ロイドやっぱり直接顔を見ると安心出来るよな!
クラース私もリフィルと会って、話が出来たのはよかった。実に有意義な時間だったよ
クレスどうやらみんな、それぞれ目的を果たせたようだね
ユーリだな。そんじゃ、本来の目的に戻るとすっか
scene2理想の世界
ミラでは私達は、次の大精霊の元へ向かおう
ミラ大精霊の気配を掴めないか、探ってみる。少し時間をくれ
ミラ
クラース私もミラのように、広範囲で大精霊の気配を感じ取れればいいんだが…
リッドまあ仕方ねえだろ。ミラは特別、ってヤツだ
リタ少しとはいえ、人間の身で、大精霊の気配を感じ取れるだけでも十分すごいと思うけど
ミラ…!?
ミラこれは…?
リオンどうした、ミラ。大精霊の気配が見つかったのか?
ミラ確かに気配は見つかったのだが…
ミラ
ルーク何だよ。もったいつけてねーで、早く教えろよ
ミラ何やら、気配が奇妙なのだ。なんと説明すればよいのか…こんな感覚は初めてだ…
ソフィ奇妙…?
カノンノ今までミラが、こんな風に言った事ってなかったよね…
ミラ
ルークなんだかわかんねーけど、ここで突っ立ってるわけにもいかねーんじゃねーの?
リッドそれもそうだな。ミラ、どこから気配を感じたんだ?
ミラウィンドルの方面だ
アスベルな…!ミラ、案内を頼む
ゼロスんじゃ俺達は、例の第三者捜しの続きだな
レイヴンそれに関しちゃ、もう少しこの街で聞き込みして情報を集めてみてもいいんじゃない?
ユーリ確かに特に他にあてがあるわけでもねえし、いいんじゃないか?
ユーリとなりゃ、オレ達はこのままここに残るとして、とりあえずミラ達を見送るとするか
カノンノわざわざありがとう
ゼロスいいんだって。子猫ちゃん達のためなら、お安いご用さ
クレスこ、子猫ちゃん…。そ、それじゃ、行こうか
アスベルああ
ユーリ…街の外、それもこうして開けた場所だと、空が広いな
リッドいい天気だなあ。これぞ出発日和ってヤツだ。…オレは昼寝してた方がいいけど
リオン…おい
リッド冗談だって。…でもよ、こうも天気がいいと、平和なんだな、って感じがしてくるだろ?
クラースふむ、一理あるな。我々も多少は空を見る余裕が出てきた、という事だろうか
リタそういえば世界のマナの減少は順調に歯止めがかかっているのよね?
ミラああ。大精霊の暴走を鎮める事でマナの減少はより緩やかになっている
アスベルこのまま大精霊を救っていく事が出来れば、マナ枯渇の危機も止められる
ソフィ頑張らないと…
ミラああ、そうだな
リオン
カノンノ…?リオン、どうかしたの?
リオンいや…何でもない
クレスそれじゃ、見送りはこの辺りまでにして僕達は街へ戻ろうか
アスベルここまで来てくれて、ありがとう
ゼロス気をつけて行けよ。無茶して怪我でもしたら、つまらねーからな
リタそっちもね
ロイドじゃあ、またな!
レイヴン健闘祈ってるよー
scene1異なる気配
カノンノミラ…さっき言ってた奇妙な気配ってどういう事なの?
ミラこれまで感じて来た大精霊の気配と異なるのだ
ミラ例えるならそうだな…音がいいだろうか?
ミラすごく小さい音で今までに聴いた事がない異質な音、といったところだ
ルークなんだそりゃ。それで何がマズいんだ?
リオンこれまで見てきた大精霊と何かが違うかもしれないと言う事だろう
リタ相手は大精霊よ。何が起きているのかわからないなら用心するに越した事はないわ
ミラそうだな。警戒は怠らないようにしよう。どうも悪い予感がするのだ
ルークお、おい、悪い予感って…脅かすなよ
ミラ気配の質を鑑みると、この気配の小ささが引っ掛かってな…
ミラ暴走が行きすぎ、衰弱状態にでもあるのか…
カノンノ
アスベル例え今までと違ったとしても、俺達は前に進むしかない
アスベル…大丈夫だ。俺達はこれまでだって、様々な苦難を乗り越えてきた
アスベル俺達がこれまで成し遂げた事、ここまでやって来られた自分の力を、信じよう
ミラ…そうだな
ミラお前達の言う通りだ。私達のやるべき事は一つしかない
リオン…早く大精霊の元へ向かうぞ
scene2異なる気配
???…!
???この気配は…
???残るはかの者のみのはず
???…しかし大精霊にしては気配が弱い。あの女の仕業か?
???…確かめねばなるまい
ユーリおっと、待ちな
???
クレスそれらしい人物の目撃情報を得て急いで後を追って来たけど、どうやら当たりだったみたいだね
ロイドようやく会えたな世界中を散々捜し回ったぜ
ユーリあんたに聞きたい事が山ほどある。悪ぃが少し付き合ってくれねえか
???
リッドやれやれ、あれから随分歩いたな…
リオン…この森か?ミラが大精霊の気配を感じたのは
ミラああ。間違いない
カノンノあれ、この森って確か…
ソフィ知ってるの?
アスベル前にカノンノやエリーゼ達と一緒に、通った事があったよな
カノンノそうそう。アスベルと会って、まだ間もない頃だったよね
カノンノそう言えば、あの時…森の中に古い祭壇があったね
アスベル大精霊がいるのって、もしかして、あの祭壇か?
カノンノきっとそうだよ!あの祭壇のところで、ネックレスも光ってたし
クラース古い祭壇か…興味深いな
ルーク心当たりがあるなら話が早えーや。さっさとその祭壇とやらに行ってみよーぜ
アスベル確かこの森には、魔物も多く生息していたはずだ。気をつけて進もう
カサ…
リタ…何かいるわ!
リッド…アスベルの言う通りだな。早速お客さんのお出ましのようだ
ガルルルル!
カノンノ…!ま、魔物!
ルークおいおい!お呼びじゃねぇぞ!
ソフィみんな、気をつけて!
scene1デューク・バンタレイ
???
???お前達に話す事など何もない
ゼロスおいおい、そりゃないだろ。こっちはお前と話したくてわざわざ会いに来たってのによ
クレスなら、僕達の話を聞いてくれないか?
クレス僕達は、今回の大精霊を巡る一連の騒動の、黒幕ともいうべき第三者を追っている
クレスウィンドルとア・ジュールの戦争を再開させたり、おそらくだけど各地の破壊行為を行ったりしているんだ
クレス実を言うと、あなたがその第三者じゃないかという意見も出ていたんだけど…
???
レイヴンまあ実際にうちらと事を構えようとする様子がないんで、そこは違うかもって言ってたんだけどね
ロイドだけど、お前はアスカを暴走させてただろ?
???
クレス話す気がない事はわかっているけど、どうかこれだけは教えて欲しい。君がアスカを暴走させたのかどうかを
クレス僕達はあなたがどういう立場でどういう行動を取っているかわからないんだ
ユーリオレ達が用があるのはクレスの言う黒幕だけだ
ユーリそれがあんたじゃないってんなら早いとこ、誤解を解いて、次を当たりたいんだがな
???
ロイド何か言ってくれよじゃないとお前が何をしたいのかわからないだろ!
ゼロスよせって、ロイドくん
ゼロス俺達の仲間が今、大精霊の暴走を鎮めて回ってる
ゼロスだけど、全ての大精霊の暴走を鎮めても、混乱の原因を作った黒幕を野放しにしてたんじゃ意味がねえ
クレス僕達はその黒幕を、何としても見つけたいと思っている
クレスあなたは何か知っていそうだったからこうして話をしに来たんだ
???…なるほどな
???だがそれにしてもあの女、どのような手段を使って大精霊を…?
ユーリあの女ってのが誰の事かは知らねえが大精霊の暴走を鎮めてんのはカノンノだぜ
レイヴンそそ。リプリカームって力がずばーっと大精霊をね
レイヴンって、おっとおっさん、ちょいとしゃべりすぎちゃったか
???リプリカーム…
???
ロイドっ、おい待てよ
???お前達に付き合う理由はない。私は私の意志に従うまで
???…ユグドラシルの好きにはさせぬ
ユーリユグドラシル?
レイヴンなんとかその辺の話、もう少し聞かせてくれないもんかねえ。協力出来るかもしれないっしょ?
???協力する事など何もない
レイヴンもう行っちゃうの?
ゼロスおいおい、せめて名前くらい教えてくれてもいいだろ?
デューク…デューク・バンタレイ。それが我が名だ
ユーリデューク…
ユーリあっ、おい!話はまだ──
グルオオオオオ!
ゼロス魔物っ?!こんな時に邪魔なんだっての!
レイヴンあらら、やっこさんが行っちゃうんだけど
ユーリちっ、数が多い。今は魔物を片付けんのが先だ!
クレスみんな、武器を構えるんだ!行くぞ!
クレス…ふう、魔物の群れは撃退出来たけど、デュークが行ってしまったね
ゼロスまだ遠くには行ってないはずだ。さっさと追いかけようぜ
ゼロスあの口振りからするとまだ情報が出てきそうだ
クレス…僕はユグドラシル、という人の名前らしきものも気になる。その人物が黒幕なんだろうか?
ロイドそのユグドラシルって奴の事、デュークは、何か知ってるみたいだったよな
レイヴンだねえ。となると早いとこ、追いかけた方がいいんでない?
ゼロス野郎だけど仕方がねぇ、聞きたい事はまだまだあるってな
ユーリよし、デュークの後を追うぞ
クレスああ!
ミラふむ…
リオンどうだ、ミラ
ミラやはり、今進んでいる方角で、間違いないようだ。この先に大精霊はいる
ミラ相変わらず気配が小さいままなのは気になるが…
ルークけどよ、本当にこの森の中に祭壇なんかあるのかよ?別に普通の森にしか見えねーけど
アスベル俺も前に見つけるまで全然知らなかったんだが、祭壇があるのは間違いないよ
カノンノ私の記憶が確かなら、そろそろ祭壇が見えてくるはずだよ
scene2デューク・バンタレイ
アスベルほら、ここがその祭壇だ
ソフィ祭壇…崩れてるね…
リタ規模はそんなに大きくないけど、結構凝った造りをしているわね
カノンノあ…ネックレスが
リオン光り出したな
カノンノ前もこの祭壇の近くに来たらネックレスが光ったんだよ
ルーク…?いつもこんな光り方だったか?
カノンノどうだろう…いつもより光が弱いような気もするけど
アスベルそう言えば前は、リヒターが一緒にいて、精霊に反応しているって言い出したんだったな…
ミラディセンダーを捜す過程で、ここでアスベルやカノンノ達とリヒターが出会ったという事か
ルークディセンダー?
アスベル何なんだ、そのディセンダーって
ミラうん?お前達には説明していなかったか
カノンノディセンダーはね、世界の危機に際して誕生し、世界を再生させる存在…
カノンノ世界のバランスが崩れた時にそれを正すべくして生まれる存在だったよね?
リオンああ。確かにそう言っていた
ミラ私達も、それ以上に詳しい事を知っているわけではないのだがな
ミラ世界の危機というのは、万物の礎たる大精霊の危機だとリヒターが言っていた
ミラそしてこの度の大精霊の危機でディセンダーが誕生しているかもしれんとな
アスベルディセンダー…世界を再生させる存在、か
ルークふーん。そんな奴がいるのか。だったら俺達が苦労しなくても、そいつが何とかするって事か?
ミラディセンダーについては未知なるところが多いのだ。確実に存在する保証もない
クラース不確実な存在に頼る事なく、自分達の力で目的を達せられるよう努力すべきだな
リタま、そういう事よね
リッドとりあえず…この祭壇あたりに大精霊がいるのは間違いねえんだな?
ミラああ
ソフィでも…いないみたい…
アスベルそうだな…。ここで立ち話をしていても、始まらない
ミラ…ここか…
リッドミラどうかしたのか
ミラ…僅かだがここから大精霊の気配を感じる
カノンノ祭壇の下に入れるんだね。あの時は外からしか見てなかったから…
ザザザッ
リオン…!下がれ、カノンノ
カノンノえ、あっ!
ガルルルル!
ミラ魔物か!行くぞ!
リッドわかってるって!ったく、祭壇の中から魔物がこんにちはってか?笑えねえぜ
リタみんな、来るわよ!
scene1ヴェンデ遺跡
ロイドみんな、こっちだ!
クレスここは…
レイヴン森…だねえ
ユーリデュークの奴、この森の中に入っていったのか?
ロイドデュークの立ち去った方角からいくと、こっちで間違いない
クレス待ってくれ。彼は、僕達をまこうとしているのかもしれない
ロイドどういう事だ?
クレスこの辺りは、僕の故郷のトーティス村からそんなに離れていないんだけど
クレスこの森は慣れない人間にとっては迷いやすい、厄介な場所だよ
レイヴン面倒くさいところに入ってくれちゃったのね
ゼロスふーん…何の変哲もない森に見えるけどな
ユーリこの森自体が、デュークの目的地だって可能性はあるか?
クレスそれはないんじゃないかな…迷いやすい点を除けば、ゼロスの言う通りただの森だから
ロイドじゃあ、通り抜けようとしているだけって事か。森を出た先はどうなってる?
クレス平原だよ。森の出口からだと王都バロニアと、イニル街が近いと言えば近いかな
ゼロス大体の位置がわかったぜ。俺さまもイニル街には、行った事があるしな
レイヴンデュークの目的地は、バロニアかイニル街のどちらかはたまた、また別のどこかか…
ゼロスよし。だったらこうしようぜ森を迂回して、デュークの先回りをする
ゼロスそれで、バロニアとイニル街、どっちへ向かうかはっきりわかる地点で、奴を待ち伏せるのさ
ゼロス後をつけているのがバレてるなら、デュークに追跡をあきらめたと勘違いさせる事も出来るんじゃない?
ロイドさえてるな、ゼロス!
ゼロス任せてくれ。こういう計算はお手の物だぜ
ユーリそう上手く運べばいいけどな。ま、とにかくやるだけやってみるか
クレスああ
ルークふーん…祭壇の下は結構広いんだな
リッド・リタ
リッド入口が小さかったから、中も大した事ねえかと思ったけど…雰囲気あるよな…
リタへ、変な事言ってんじゃないわよ。大精霊がいるんなら、普通じゃなくて当然でしょ
クラース各所の損壊具合から推察するに、相当昔に作られた物だろう
クラース…む?このレリーフ…
ソフィクラース、どうかしたの?
クラースこのレリーフに用いられている意匠を、前に文献で見た事がある
クラース文献に書かれていたのは…そうだ、ヴェンデ遺跡だ!こんなところに存在していたとは…
ミラヴェンデ遺跡だと!?
カノンノミラ…?
リオン何故、そんなに驚く?
ミラここがヴェンデ遺跡ならば…皆にあらかじめ伝えておくべき事がある
ルーク伝えておくべき事?
ミラ私が感じた気配の正体…大精霊の正体に関してだ
ミラこの遺跡の奥にいるのは、おそらく──…
scene2ヴェンデ遺跡
???ぐ…
???う…うう…
???やめろ…私を蝕むな…
???私は屈しない…何があろうと…
ミラこの遺跡の奥にいるのは、おそらく──オリジン
リオンオリジン?
クラース根源を司る大精霊それがオリジンだ
ミラ…!クラースはオリジンを知っているのか?
クラースああ。文献から得た知識にはなるが…
クラース精霊の王と呼ばれている事やヴェンデ遺跡は、かつてオリジンを祀るものであった事は知っている
リタ…本当にここがオリジンに関係ある遺跡だとして、ここにいるのがそのオリジンだって確証はあるの?
ミラこの場に大精霊の気配があるという事実とクラースの話を併せて考えると可能性は高いだろう
ミラだが何故だ…?感じる気配がこれほどまでに小さいとは
リオンオリジンに何かあったという事か?
ミラそれもわからない。確かめるためにも、私達は先に進まなければ
アスベル…よし。行こう
カラ…
リタ…?!
グオオオオオ!
リタ魔物!?ああもう、こんな時に!
scene1人間と精霊
ロイドデュークの奴、まだなのか?待ち伏せしてから結構経ったと思うんだけど…
クレスそろそろだと思うけどなぁ…
クレスあの森を出て、バロニアなりイニル街へ向かうとすれば、必ずこの場所を通るはずだからね
レイヴン…!ちょい待ち!向こうから来るお一人様は…
ユーリどうやらゼロスの作戦勝ちだな。気付かれる前に、みんな、急いで隠れろ
レイヴンさてと、やっこさん、この先の分かれ道、どっちに進むのかな?
クレス右へ行けばバロニア、左へ行けばイニル街だけど…
ロイドあれ…
ゼロス何だあれ。右でも左でもねえ。真っ直ぐ進みやがった
レイヴン真っ直ぐ…っていうとどこに着くんだっけ?
クレス別の森にぶつかるね
ユーリまた森かよ。どういうつもりなんだ、あいつ?
クレス森を抜けてさらに先へ進むと、ア・ジュールとの国境地帯が見えてくる
ロイドもしかして、ア・ジュールを目指してるのか?
ユーリ方角だけじゃ見当もつかねえな。ここで考えてたって埒あかねえし追いかけるしかないんじゃねえか?
クレスそうだね。彼との距離が離れる前に出発した方がよさそうだ
クラースふうむ…
リッドどうした、クラース。さっきから壁ばっか見てっけど…気になるモンでもあんのか?
クラースいや、なに…感慨に耽っていたのさ
クラース今まで文献の中でしか知りえなかったヴェンデ遺跡が、こんなところにあったとは、とな
ソフィ有名なところなの?
クラースああ!研究者の間ではな。しかしどこに存在しているかまではわからなかったんだ
カノンノじゃあもしかして、大発見…って事?
リタその筋の人達にとってはそういう事になるんじゃない?あたしは畑違いだけど
ルークま、俺は興味ねーけどな
リタあんたが興味ないのは別に考古学に限った事じゃないでしょ。バカっぽい
ルークなんだと!バカとは何だよ、バカとは!
ソフィ
リタ…どうしたの、ソフィ?物珍しそうに見回したりして
ソフィ昔の人はどうしてこの遺跡をつくったのかなって思ったの。お家だったのかな
クラース人間にとって大精霊とは、かつて畏怖と敬意の対象だったからな
クラースそうした精霊を敬う気持ちが、こうした祭壇や神殿を造らせたのさ
カノンノでも、そんなに敬ってたのに今の人が大精霊を知らないのはどうして?
クラース人間が精霊を忘れてしまったのだ。昔はもっと身近な関係だったようだ
アスベル何故忘れてしまったのだろうか…
クラース文明の発展に伴い人間は精霊達の力を必要としなくなり、それ故精霊も人間に近寄らなくなった
クラース詳しい事は私にもわからないがそんなところだろうか
クラース今回の大精霊の暴走の一件は勿論不幸な出来事ではあるが…
クラース一方で、人間の精霊に対する理解を深めるいい機会にもなりうると思う
リッドそうだな
リオンお前達、無駄話をするのは構わんが、油断はするなよ
ルーク言われなくてもわかってるっての。慎重に進まねーとな
scene2人間と精霊
ユーリデュークの奴、真っ直ぐ森の奥へ進んでるようだが…あいつ、どこ目指してんだろうな
ゼロス行けども行けどもただの森だな。こんなところに目的地があるとは考えにくいぜ
ゼロスん…?おい、あれを見ろ
デューク
ロイド何だあれ。祭壇か?デュークの奴、祭壇の下に入ってくぞ
レイヴンただの森と思いきや、こんな古めかしい代物があるとは驚きだわ
ロイドここがデュークの目的の場所だったって事か?
レイヴンその可能性が大きそうだねえ。もっともただの抜け道って事もありえるけど
ゼロスこれからどうするよ?つっても、ここまで来たんなら後を追うしかないと思うけどな
ロイド
レイヴンおよ?どうした、少年
ロイドかなり古そうな遺跡だしさ。…気味が悪いっていうかなんか出そうなところだよな!
ユーリ馬鹿言ってねえでさっさと行くぞ
カノンノあれ…?
アスベルカノンノ?
カノンノ今、何か聞こえなかった?
リオン何か、とは?
カノンノうめき声…みたいな…
ルークう、うめき声…?おい、ソフィお前なんか聞こえたか?
ソフィうん、聞こえなかったよ?
リタそ、空耳じゃないの?
リッド
クラースいや、そうとも言えない。私にも、それらしい声が聞こえた
アスベルクラースさんまで…
ソフィミラは?
ミラ…私も聞こえた。うめき声というより、むしろ叫び声だったが
リオン…誰かがいるのだろう。大精霊か…あるいは人間か
ミラ…やはりまだ小さいが気配が増してきている
ミラこの気配の質からして、大精霊である事は間違いないだろう。そして、オリジンの可能性が高い
カノンノあ…ネックレスが光り出したよ
クラース私も気配を感じる
ソフィだんだんオリジンに、近付いてるって事だね
リタそういう事ね。とにかく、このまま進みましょ
ルークいきなりその辺りから飛び出して来たりしねーだろうな…
ルークん?
ガルルルル!
ルークうわっ!言ってるそばから、本当に出て来やがった!
リオン落ち着け。こいつはただの魔物だろうが
リタバカ言ってないでやるわよ!
ミラああ。すぐに撃退するぞ!
ルークわ、わかってるっての!くそっ、ただの魔物なんかに負けるかよ!
scene1再生の能力
ルークところでよ…オリジンって、どんな大精霊なんだ?
リッドあ、それオレも知りてえ
アスベルそうだな。また戦う事になるのなら、あらかじめわかっている事は知っておきたい
ソフィどんな力を持っているのかな
リタクラースはどれくらい知ってるの?
クラース具体的な能力に関しては知らないな
クラース精霊の王と呼ばれているが、何を以ってそう呼ばれるに至ったのか…
カノンノ王っていうくらいだから、すっごく強いとか…?
リオンどうなんだ、ミラ?
ミラオリジンは根源を司る大精霊だ。その能力は物質の再生──
リッド物質の再生…?
ミラ物質を本来の姿に戻すそれが物質再生の能力だ
ミラ例えば…壊れた物を元に戻す…。そんな力だと説明すればわかりやすいだろうか?
クラースそんな能力を持っているなら人々から畏怖や敬意の念をもたれてもおかしくない
クラースその能力が精霊の王たる所以か…
ミラオリジンは長きに渡りこの世界を守ってきた精霊だ。人間にあまり干渉はしないが、
ミラオリジンの協力が得られたらあるいは、今の荒れ果てた世界を元に戻す助けになるかもしれんな
カノンノオリジンって、そんなにすごい力を持ってるんだね…
ソフィオリジン…手伝ってくれるといいね
アスベル…オリジンの暴走を鎮めないとな。その上で協力を仰げれば一番だ
リッド物質ってのはよくわからねえけど何度も復活して全然倒せねえヤバイ奴って事はないよな?
ルークそんなんだったら悪夢どころじゃねーな
カノンノ…暴走でオリジンが苦しんでいるのなら、早く癒してあげたいよ
リオン…なら、さっさと先に進め。置いていくぞ
リタあ、ちょっと待ちなさいよ、リオン!…ほんっと、無愛想なんだから
リタでもまあのんびりしてるわけにいかないのも確かね。行くわよ、カノンノ
カノンノう、うん!わかった!
scene2再生の能力
???う…、ウ…
???うおお…オオオ!
アスベル何だ、今のうなり声は!?
カノンノ…っ、この声!さっき聞いた声と同じだよ!
リタ今度はあたしにも聞こえたわ。どうやら近いみたいね。みんな油断禁物よ
ソフィカノンノのネックレスの光が、強くなってるね…
カノンノうん…でも、強く光った後に時折光が弱くなったりしてて…変な光り方なの
ミラ気をつけろ。この気配…これまで暴走していた大精霊達とは違う…いったい何が…
クラース私にも伝わってくるぞ。強く、そして奇妙な気配が
リッドミラとクラースがそろって言ってんだ。まじで気を引き締めねえとな
リオン…いつ遭遇してもいいように、警戒しながら進むぞ
ルークああ
ルオオ…
ソフィ?今、また声が聞こえたよね。これって…
グルオオオオオオ!
リッド!?
リッドっ、ちっ。また魔物か?こいつらに用はねえってのによ!
ガアアアッ!
リッド!うおっ、危ねえな!
カノンノ大丈夫!?
アスベル相手がただの魔物だからと言って、油断は禁物だ。いくぞ!
scene1大精霊オリジン
アスベルかなり歩いて来たが…そろそろ最奥部に近いみたいだな
リッドああ。途中の道と比べると、ここは明らかに特別な部屋っぽいしな。ここで最後なんじゃねえか?
ミラ私もそう思う。…オリジンの気配の高まりが尋常ではない
ソフィ…!
カノンノどうしたの、ソフィ
ソフィみんな、向こうを見て。何かいるよ!
ミラっ!あれは…っ!
???う…グッ…
クラースこの気配…!間違いない、大精霊だ!まさか実際にこの目で見れるとはっ…
カノンノあれが…オリジン…
ルーク感動してる場合かっつの!なんかすげー苦しそうだし…やっぱり暴走してんじゃねーのか?
カノンノ…!すぐに助けなきゃ…
アスベルカノンノ、この状況だと何があるかわからない。俺の後ろに下がるんだ
リッドああ、近づくにしても慎重にな…
???…ぐ…ウ…
???む…?
???お前達…何者だ?
ミラ…!オリジン、私達を認識出来るのか…?
オリジン私の名を知っている…?
ミラまさか、暴走に飲み込まれていない大精霊がいたとは…!
ミラこうして意思の疎通が出来るとは思っていなかったぞ
オリジン…っ私に寄るな…!
カノンノ…!
オリジンぐ、う…ウオオ…
リタやっぱり苦しそう…まるで何かと戦ってるみたい
オリジンうぐ…ッ…私が、っ負ける、わけには…!
ミラ…!オリジン、お前まさか自らの意志で暴走を抑制しているのか?
オリジン…ッウウ…ぐ…
アスベル自らの意志で暴走を抑制って…そんな事が可能なのか?
リオンこれまで暴走を抑制出来る大精霊はいなかったが…
リタでも、実際に今、オリジンは暴走を抑え込もうとしているように見えるわ
リッド信じられねえけどよ。これが精霊の王の力、ってヤツなのか?
ミラオリジン、安心してくれ。お前の苦しみ、私達にならば取り除く事が出来る
オリジン何…?
ミラ私達の仲間には、お前を助けられる力を持つ者がいるのだ
ミラカノンノ、行けるか?
カノンノうん
オリジンこの娘は…
オリジン…!私に何を…
ルークいいから、大人しくしてろって。今から治してやるから
ソフィお願い、オリジン。カノンノの事を信じて。きっとすぐ、楽になるから
オリジン!?これは…?苦しみが和らいで…
オリジングゥ…うおお…
アスベルあと少し、我慢してくれ。オリジン…
ミラカノンノは必ず、お前を救い出してくれる。私達を信じてくれ
scene2大精霊オリジン
オリジンうぐ…ッ…ウオオオッ!ぐぅ、っ
ソフィ…大丈夫かな、オリジン。苦しそう…
ミラしかし、オリジンの失われていたマナは回復している。大丈夫だ、きっと助かる…
オリジン…っうおおおおおっ!
オリジン
アスベル光が収束していく…もう暴走の心配はないのか?
クラースおそらく…
カノンノふう…終わったよ。これでもう、大丈夫だと思う
ルークどうだ?ちゃんと楽になっただろ?
ソフィ具合はどう?
オリジン
オリジン完全にとはいかないが…かなり快復したようだ
カノンノ!よかった…
オリジン…不思議なものだ。私の異変を、人間が収めるとは
オリジン改めて聞くがお前達は一体何者だ?それに、そのネックレス…
カノンノこのネックレスには、大精霊の暴走を鎮める力があるみたいなの
オリジン暴走を、だと?…なるほどな
オリジン私を蝕んでいた、あの苦しみは暴走ゆえのものだったのか
ミラしかし大したものだな、オリジン。今までよく暴走に飲まれず自我を保ち続けたものだ
オリジン一度は屈したが自らの意志の力で、意識を取り戻したのだ
ミラ!まさか一度は屈した暴走に対するとはさすがと言うべきか
オリジンしかしこの苦しみは幾度も私を蝕もうとしてきた
オリジン屈してはならないと、苦しみの中抗い続けていた。そこにお前達が来たのだ
ミラなるほど…暴走への抵抗。それがここに来るまでに感じていた奇妙な気配の正体か
リタミラが捉えていた大精霊の気配が弱々しかったり、奇妙だと感じていたりしていたのは
リタオリジンが暴走に抵抗していたって言うのと、抵抗してその力を消耗してたから、って事ね
ミラああ、そういう事だ
オリジン…私からもお前達に、聞きたい事がある
ソフィ聞きたい事?
オリジン…この世界の事だ。私が暴走を抑え込んでいた間、この世界に何があった?
オリジンあれだけ世界に満ちていたマナがほぼ枯渇しているようだ。その理由を、お前達は知っているな?
アスベルああ。知っている事を全て話そう
オリジン…人間の行いのせいで世界のマナが枯渇しかけ…
オリジン私を含む各地の大精霊を暴走させ世界中に異変を起こすとは…
オリジンその上で私の力を借りたいと言うのか
オリジンいつの世も愚かなものだな。人間は
ミラお前が人間にそう思うのもわからないでもないが
ミラしかし今日の混乱を引き起こしたのも人間なら、贖おうとしているのもまた同じ人間なのだ
オリジン
クラースあなたは物質再生の能力を持っていると、ミラに聞いた
ソフィその力をわたし達が世界を元に戻すために貸して欲しいの
アスベル俺達はこの世界を救いたい…そのためにここまで来たんだ
オリジン
オリジン…この世界を救いたい、か
オリジン私も長きに渡り、この世界を見守って来た…
オリジン愚かな行いをする者それを正そうとする者…先ほど、ああは言ったが
オリジン人間にも様々な考えを持った者がいる、という事はわかっている。そして何より…
オリジン現にお前達は私を救ってくれた。その事には感謝している
カノンノじゃあ…
オリジンだが、その事と、私がお前達に力を貸すかどうかは、また別の話だ
リオン何だと…
オリジン世界を救うなどと口で言うのは簡単な事だ
オリジンお前達に力を貸したとして人間がまた同じ過ちを繰り返さないという根拠がどこにある?
アスベルオリジン…お前の問いに対する答えになるか、わからないけど…
アスベル今回の一件で、俺達のほとんどは、初めて大精霊の存在を知った
アスベル今まで当たり前だと思っていた世界のありようが、精霊達の力で守られていたものだとわかった
アスベルそんな精霊達の存在を、踏みにじるような行為をした事は、本当に申し訳なかったと思っている
アスベルけどこれだけは信じてくれ。俺達人間は、世界を元通りにしたいと、心から思っている
アスベル…初めはただ、自分の周りの仲間を守りたかった
アスベル世界を救おうと動き始めた時もそうだ。けど、その旅の途中で新たに出会った仲間や人々、大精霊…
アスベル彼らに触れて、守りたいと感じるものはより一層増えた
アスベルそして、世界そのものの大切さを深く知ったんだ
アスベルこんな状態になってしまってからようやくその事に気付くなんて、遅すぎるかもしれない
アスベルお前の言うように人間は同じ過ちを繰り返すかもしれない…
オリジン
アスベルでも…俺達は何度だって世界を救うために立ち上がって見せる。だから俺達に力を貸してくれ!
リッド…オレからも頼む。もうあんな思いはまっぴらだ
ルーク俺からも頼むぜ。戦争とかもうこれ以上見たくねえ
リタあたしも同感。どうせなら壊すより作り上げる事がしたいしね
クラースどうか聞き届けてくれ
リオン
ミラどうだろうか、オリジンよ
オリジン心よりそう願うならお前達の覚悟のほどを私に示すがいい
ソフィ…!覚悟って…
ルークお、おい、構えたりして何の真似だ。まさか、暴走鎮めてやったってのに、戦うってのかよ!?
オリジン世界に対する想い。そして私が力を貸すに相応しい力を持った者達なのか…
オリジンお前達の全てを戦いの中で我に見せるがいい
ブウウーーンン!
ミラ…?何だ…力が…
オリジンはあああぁっ!!
ガキィィン!
リッド大丈夫か、ミラ!
ミラあ、ああ…すまない、リッド…
ソフィミラ…?
リオンよそ見をするな!来るぞ!
オリジン二度目は外さん。私の力…見せてやろう!
scene1共闘
カノンノはあ…はあ…
ソフィう、くっ…
オリジンどうした。これがお前達の全力か?他愛もない…
オリジンたかがこの程度の覚悟で世界を救いたいとは、笑わせてくれる
ルークふざ、けんな…そんな事、ねえっつーの
クラースとはいえ、やはり強い…これで本当に、衰弱していたのか
リタ…さすが精霊の王と呼ばれるだけの事はあるってわけね…
ミラ
リオン先ほどから気を散らしすぎだ。何をしている、ミラ
ミラ…すまない、リオン。実はこの戦いが始まってから四大の力が上手く発揮出来んのだ…
アスベル四大精霊の…?
ミラ戦いに入る直前、オリジンが周囲一帯に独自の力場を展開したようだった…
リッドそれで上手く戦えないって事か?
オリジン多少力を奪ったくらいでもう音を上げるのか?
オリジンその程度の意志で世界を救うなど到底不可能!
ソフィな、何を…?
オリジンはあああっ!!
ルークうわあっ!?
リタきゃああっ!?
リオンぐっ…
ミラうっ…
カノンノつ、強すぎるよ…
オリジンもう終わりか。口程にもないな…
アスベルくっ…!
カノンノここで…
ソフィ終わるわけには…!
オリジン
ルーク…?オリジンが動きを止めた?
オリジン──誰だ
デュークオリジン…既に暴走から解き放たれていたか
ミラ…っ!お前!
リタあんた、あの時の!
scene2共闘
デューク
ミラテムザ山以来だな。またしても大精霊の元で会うとは…何をしに来た?
リタあんた、ア・ジュール港でも思わせぶりな事を言ってたわよね
ミラん?
リタえ?
カノンノ…えっと、どういう…二人共この人の事を知ってるの?
ミラ二人共、だと?もしやリタの言っていた怪しい人物はまさか…
リタそのようね。ミラとあたし、同じ相手を怪しんでたみたい
デューク
ルークな、何だよ。やる気か?
クラース今ここで、別の相手とも戦うのは、かなり厳しいぞ…
カノンノ私達、どうすれば…
デューク…お前は…こんなところにいたとはな
カノンノ…え?
オリジンふむ…
オリジンどうやらお前は、普通の人間とは違う存在のようだな
デューク
オリジンここへ何をしに来た。単なる傍観か?
アスベル・リッド
デューク
オリジン沈黙、か。ならば私もこれ以上聞かぬ
オリジン早々に、決着をつけるとしよう
ソフィ…!また来るよ!
オリジンはああああ!!
デューク…!
カシーーーーンン!!
カノンノえ…?
リタあたしらを…かばった?
ルークど、どうなってんだ?
オリジン貴様…どういうつもりだ
デュークこれ以上、傷つけさせるわけにはいかぬ
オリジンなるほど。…いいだろう
オリジンこの者達と手を組み、私に挑むというのであればまとめて相手をしてやる
リオンおい、お前…オリジンと戦うつもりなのか?
デューク
ルークオリジンに向かって剣を構えやがった…マジでやる気みたいだ
ミラどうやら、そのつもりのようだな
クラースふむ…これは心強い味方が出来たと思っていいのか…
ルーク味方って、大丈夫なのかよ、こんな奴信用して
リッド考えるのは後だ!ぐずぐずしてっと、また攻撃が来るぜ!
アスベルわかった!よし、みんな、もう一度行くぞ!
アスベル何としてもオリジンに、俺達の事を認めてもらうために!
カノンノうん、そうだね!
ミラ行くぞ、お前達!
ルークだーもう、こうなりゃ、やってやるぜ!
リタどうせ決着つけなきゃならないんだし、やるわよ!
ソフィうん、行こう!わたし達なら…大丈夫!
scene3共闘
アスベルこれが俺達の、想いの全てだ…っ!
ズバーーーーッ!!
オリジンうおおおおっ!
アスベルはあ…っはあ…っ
オリジンくっ…
ドサッ
リッドお、終わった…のか?
ルークわからねえ、けど…
クラース動きは、完全に止まったようだ
デューク
リオン…!
オリジン
ソフィオリジン…!
リッドおいおい、まだやんのか!?
オリジンお前達の覚悟のほど、確かに見極めさせてもらった
アスベル
オリジン強き想いは、戦いに宿る。お前達の一撃は、私が動くに値する重みと受け取った
カノンノじゃあ…
オリジンお前達と契約を結び、私の力を貸す事を約束しよう
アスベルありがとう、オリジン!
ルークやった…!へへっ、やったぜ!
リタよかった…。これで駄目ならどうしようかと思ったわよ
オリジン…その想いに偽りない行動を示せ、人間よ
リッドああ、わかってるさ
ミラ私からも礼を言わせてくれ。ありがとう、オリジン
オリジン…これからどうするかは、お前達次第だ
ミラああ、そうだな
オリジンでは契約を
リオン…カノンノ
カノンノうん!
デューク
ミラ
リッドミラ?
ミラお前には聞きたい事がある。テムザ山でアスカに何をしていたのだ?
デューク何もしてなどいない。確かめただけだ
リタはっきり言いなさい!何を確かめたって言うの?
デュークお前達の理解など求めてはいない。また理解も出来まい
ミラアスカを暴走させたわけではない…そういう事か?
ルークじゃあ、俺達を助けてくれたし敵じゃないって事か?
デューク大精霊の暴走を鎮めるという目的に関する限りにおいてはな
クラース終わったのか?
カノンノうん
クラースなるほど…今までもこうやって大精霊と契約して来たのか。興味深い…
ソフィカノンノのネックレス今までと色が変わったみたい…
カノンノ本当だ。虹色になったね!
ソフィきれい…
リオン
アスベル契約も無事終了したし、ミラに次の大精霊の居場所を探って貰おう
ミラ──…
リッドどうだ?
ミラ…何も感じない。どうやらこのオリジンが、最後のようだ
ルークって事は…
アスベル全ての大精霊の、暴走を鎮めたって事だよな?
ミラ…ああ
リタやったじゃない!
リオン
ルークん?どうした、リオン。嬉しくねーのかよ?
リオン別に…そんな事はない
アスベル先程は手を貸してもらえて助かりました
デューク
ルークあ!おいちょっと待てよ
リタそうよ、あんたにはまだ聞きたい事があるわ
リタ戦争を誘発してマナを枯渇させようとしている第三者がいるかもって話をしてた時、
リタ深入りはやめておけってあんた言ったわよね。あれはどういう意味?
デューク
アスベル実は俺達の仲間が、ウィンドルとア・ジュールの戦争を引き起こしたと思われる人物を追っているんです
アスベルもし、何か知っている事があれば教えてもらえないでしょうか
デューク戦争…第三者…。以前、同じ問いをしてきた者達がいた。あれはお前達の仲間か
リッド!ユーリ達を知ってるのか?
デューク
リッドオレ達以外でこいつに黒幕の話を聞くっつーんなら、ユーリ達に間違いねえ。それで、どうなんだ?
アスベル大精霊の暴走もマナの減少が原因です
アスベルマナの減少を誘発しているのもその第三者だと俺達は睨んでいます
アスベル大精霊の暴走が鎮まったとはいえ放って置くわけにはいかないんです
デューク
???黒幕はユグドラシルって奴らしいぜ
デューク
???そうなんだろ、デューク?
ルークお前…!
ルークユーリじゃねえか!
ソフィクレス!ロイドも…
クレスソフィ、こんなところに来ていたんだね
ゼロスあ!ミラ様やカノンノちゃんリタちゃんもいるじゃないの
レイヴンはぁい、皆の衆、お元気?
リタ…おっさんにゼロスまで?何よ、勢揃いじゃない
カノンノみんな…どうしてここに…
ユーリそこのデュークを追いかけてたらたまたま、な
ユーリやっと追いついたんだ。いい加減、ユグドラシルの事も含め、聞かせてもらうぜ、デューク
リッドおい、ちょっと待ってくれよ。そのユグドラシルってのは、誰なんだ?
ルークそいつがウィンドルとア・ジュールの戦争の原因を作った奴って事なのか?
デューク戦争など奴の計画のほんの一部にすぎん
リタつまり、ユグドラシルは戦争を誘発した第三者で今回の騒動の黒幕って事?
デューク
ユーリ否定しねえって事は、あながち間違ってもいない。そう解釈させてもらうぜ
デューク…好きにするがいい
ミラどうやら私達の、次にやるべき事が決まったようだな
ルークそのユグドラシルって奴を見つけ出して、ぶっ飛ばせばいいって事だろ!
デューク
アスベル…デューク
アスベルあなたはこれからどうするんですか?
アスベルもしかして、あなたもユグドラシルを倒す気ですか?だったら、俺達と…
デューク無用だ
デューク私は誰の手助けも必要としていない。…お前達も期待はするな
ユーリあっ、おい!
アスベル駄目か…少しはわかり合えたかと思ったんだが
ゼロスまあ仕方ねえよ。相当な偏屈野郎みてーだしな
リッドまあ、いいんじゃないか?ユグドラシルって奴を探してればまた会えるかもしれないだろ
リッドそれより早くここから出ようぜ
リタ大精霊の暴走も鎮まった事だし、安全になったって他の人達にも教えてあげないとね
カノンノそうだね。ここに来るまでにお世話になった人達にも教えてあげたいね
アスベルここからだとバロニアが近いな
アスベルまずはリチャードに報告をして各国に大精霊の暴走は全て鎮めたと伝えてもらおう
アスベルそれから、一度関係者で集まってこれまでの事を情報交換しないか?
カノンノみんなで集まるの、楽しみだね、リオン!
リオン…好きにしろ…
ユーリよし。そんじゃとりあえず、バロニアを目指すとしようぜ
scene1ひとときの休息
ルーク──なんでやっと街に戻ってきたのに宿で一息つく暇もなく、引っ張り出されなきゃなんねーんだよ
ルークつーか、そもそも俺達をどこに連れてく気なんだ、アスベル?
クラースリチャード陛下への報告は終わったのだろう?
アスベルああ。大精霊の危機が去った事は報告し終わった
アスベル今はバロニア城に向ってる。みんなを連れてくるようリチャードに言われたんだ
アスベル今まで協力してくれた人達を集めて近況報告出来たらいいなって話をしたら
アスベルリチャードの方で関係各所への連絡や、集まる場所の提供をしてくれるってさ
ソフィすごいね、リチャード。お城に行くだけでいいの?
アスベルそうみたいだ
ロイド!おい、みんな!向こうを見てみろ!
ユーリん?何だ?
レイヴンあそこにいるのは、もしかして…
シェリアアスベル!無事でよかったわ
アスベルシェリアこそ元気そうで何よりだ
リタちょっ、エステル!あんたもここに来たの?
エステルはい、リチャード陛下にリタ達が帰ってきたと聞いたんです。無事でよかったです、リタ
ジュードミラ!聞いたよ、大精霊の暴走を鎮め終えたんだって?
ミラああ、そうだ
ティア・ガイルーク!
ルークティア!?と…ガイもじゃねえか!なんでお前ら…
ファラリッド、大丈夫だった!?
リッドファラ!ああ、まあな。この通り生きてるぜ。なんとかな
スタン無事か、リオン!
リオン…当然だ
リチャードやあどうやらみんな、来たようだね
アスベルリチャード…ありがとう、みんなを集めてくれて
リチャードアスベルの提案は僕も素晴らしいと思ってね。場を整える役割くらい任せて欲しかったのさ
リチャード各国には君から伝えられた大精霊の暴走は鎮まり、直面の危機は過ぎ去った事
リチャードそして、ユグドラシルと呼ばれる今回の騒動の黒幕と思しき人物が浮上した事も伝えてあるよ
リタ各国からの使節に、縁のある人達…よくもまあこれだけ揃えたもんね
リチャードここに集った人達にも、もちろん伝えてあるけれど、君達の口から直接聞きたいんじゃないかな
カノンノここにいる沢山の人達と私達…みんなの力が合わさって、ここまで来れたんだね
アスベルああ、そうだな
ジェイドガイアス陛下の名代で参りました。皆さん、この度はご苦労様でした
アニス
ジェイドどうしたんです、アニス?ここにいる皆さんのお蔭で我が国も救われたんですよ?
アニスそ、そりゃわかってますけどー、うー、なんか釈然としないっていうか…むー
フィリアシルヴァラント国王陛下の名代として参りました。心より御礼を申し上げます
フィリア勿論我が国の陛下も、今回のみなさんのご活躍を大変喜んでおられますわ
ティア改めまして、キムラスカ国王陛下の使者として参りました。みなさん、大変お疲れさまでした
ティアルーク、頑張ったわね。正直どうなる事か不安だったけど、…余計な心配だったみたい
ルーク当たり前だろ。ったく…俺を誰だと思ってんだよ
ガイはは、そうむくれるなよ。それだけみんな、お前を気にしてたって事さ。とにかく無事でよかったよ、本当
アスベル今日は、集まっていただきありがとうございます
アスベル世界が直面していた大精霊に関する危機は収まりました
アスベル俺達が大精霊の暴走を鎮める事が出来たのは、ここにいるみんなや世界中の仲間…
アスベルそして、各国が手を携えた結果だと思います
アスベルご協力いただけた皆様にお礼を申し上げます
アスベル今回の件を一つの好機として、各国の交流がますます進んでいく事を願ってやみません
リチャード僕もそう願っているよ
ジェイド私も同感です
フィリアええ
ティアそう思うわ
リチャードアスベル、挨拶はそれくらいにして次は楽しい話をしよう
アスベル楽しい話?
リチャード実はね、勝手ではあるが僕の方でみんなを労うために食事の席を用意して置いたんだ
リチャードそれぞれ親しい人達との積もる話もあるだろうからね、どうか存分に楽しんで欲しい
ロイドまじか、やったぜ!
ゼロスそれじゃお言葉に甘えて、存分に楽しませてもらうとするか!
カノンノうわあ、楽しそうだね!
ソフィうん
リオン…全く、呑気な奴らだ
カノンノまだ全てが終わったわけじゃないのはわかってるけど…
カノンノこうやってみんなが笑顔でいるのを見ると、私まで嬉しくなっちゃうな
アスベル…そうだな
ルークよーし、食うぞ!あんだけ苦労したんだし、このくらいは当然だよな!
リタ呆れた。でもそうね。みんな頑張ったからこそこうやってまた集まれたんだし
ミラ確かに大精霊の事は、一段落したと言っていい。だが肝心なのはむしろこれからだ
リッド…ユグドラシル、か
ミラああ。何としても正体を突き止め、手を打たねばならん
ルークどこのどいつだろうと、見つけ出してぶっ飛ばすだけだろ!
リタそんな簡単にいけば苦労しないわよ。とにかくもっと情報が必要ね
アスベル明日からまた頑張らないと
ミラああ。そうだな気持ちを引き締めて──
ティポミラくーん!みんなー!
ミラおお、ティポか
ティポどうしてみんな、こんなところで集まって、真面目な顔してるのー
ジュード一緒に食べようよって、誘いに来たんだけど…
エリーゼお邪魔…でしたか?
ミラぐーきゅるる~
リタお腹空いてるんでしょ?行ってくれば?
リッド今のオレ達にだって腹いっぱいメシを食うくらいの権利はあるよな
リタはあ…あんたもルークやミラと一緒なの?好きなだけ食べればいいわよ、もう
ルーク言われるまでもねーっての!ぼやぼやしてっと、全部食っちまうからな!
ミラ…そうだな。腹が減っては何とやらと言うからな
ティポわーい!それじゃいこいこー
ミラあ、おい、ティポ!そんなに強く引っ張るな──…
カノンノ大切な人と一緒に過ごせるとみんな元気になるんだね。リチャードさんに感謝しなくちゃ
アスベルそうだな。俺達も食事にしよう
リオン…ああ
カノンノうん、そうしよう!
リチャードアスベル。それにソフィにカノンノも、本当にお疲れ様
アスベルエステリーゼ様から聞いたよ。各国がまとまるきっかけを作ったのは、リチャードだって
アスベルありがとう、リチャード…
リチャード何、僕は僕に出来る事をしたまでさ
シェリアアスベル…あなたも無事でよかったわ
アスベルシェリア、怪我の具合はどうなんだ?
シェリアええ、もう大丈夫。痛みもなくなったし
アスベルそれはよかった。今後はあまり無茶をするなよ
シェリアそれはこっちの台詞よ。アスベルこそ…
シェリアねえカノンノ、アスベルは無茶をしていなかった?
アスベルえ?いや、していないよな?
カノンノうーん…少し、してたかな
アスベルおいおい、カノンノ俺は無茶なんて…
シェリアやっぱり…!
アスベルやっぱりって──…
リチャードソフィ、また君に、助けてもらったね。何てお礼を言ったらいいか
ソフィリチャードも頑張ったってわたし知ってるよ
ソフィこの時代のみんなが頑張ってくれるお蔭で、未来のわたし達があるんだよ
リチャードソフィ…そう言ってもらえると、嬉しいよ
エステルお疲れ様でした、リタ。今回も大変だったんじゃないんです?
リタ別にどうって事ないわよ。エステルの方こそ、どうだったの?
リタティアがキムラスカの使節として来てるって事は…交渉は上手くいったみたいね
エステルええ。インゴベルト六世陛下に、こちらの真意をご理解いただけました
リタやるじゃない。あんたも王族らしくなってきたわね
エステルリタ達のした事に比べれば、大した事じゃありません
リタ何言ってんの。そもそも比べるようなもんじゃないでしょ
エステルじゃあ、わたし達二人とも頑張った、って事ですね!
リタあ…うん、まあ…そう、ね
レイヴンはいはーい、ちなみにおっさんも頑張ったわよー。褒めて褒めて
リタウザ。あたしはエステルと話してるの。おっさんはお呼びではないの
エステルリタったら、そこまで言わなくても…
エステル勿論、レイヴンも頑張ったのは知ってますから
リタあんまり褒めない方がいいわよ。どうせすぐ調子に乗るんだから
レイヴンとほほ…リタっちは相変わらず手厳しいのね…
ファラリッド、おめでとう!ついにやったんだね!
リッドありがとよ。まあ、何とか一段落って感じだけどな
ファラ思えば…本当に長かったね。わたしが亀裂に落ちた時から…もう随分経ったなぁ
リッドああ。でも、んな事はもう起きねえ
ファラだね。これもリッド達のお蔭だよあっ、そう言えば…
ファラ旅の間、ちゃんと食事は取れた?
リッドそいつは大丈夫だ。…ファラのオムレツは食えなかったけどな
ファラじゃあ村に帰ったら、たっくさん作ってあげるから!
リッドそいつは楽しみだ
ルドガーやあ、リッド。それにファラも
ユリウスお疲れ様
リッドルドガー達もきてたんだな、お疲れ。時空の歪みに迷い込んだ人達はどうなってるんだ?
ルドガー兄さんと手分けして、全員救出できたよ
ファラよかった…わたしみたいな目に遭う人はもういないって事だよね
ユリウスああ。そういうわけで、俺達も一度、イニル街に帰ろうと思っているところだ
ルドガー兄さん、せっかくだからさ、エルとルルにお土産を買っていこう。長い事、留守番をしてもらったし
ユリウスそうだな。ルルはロイヤル猫缶でいいとして…エルのはどうするか
ルドガー女の子が喜ぶお土産を考えるのは、難しいな…
ファラだったら、わたしが相談に乗ってあげるよ!
リッド相談に乗るのはいいけど、変なモン選ぶなよ、ファラ
ルドガーファラ、よろしく頼むよ
ファラうん。わたしでよければ、いくらでも!
ミュウご主人様~!会いたかったですの!
ルークだーっ、うるせー!まとわりつくんじゃねえっつーの!
ガイミュウも元気になって、よかったな
ミュウはいですの!エミルさんとジーニアスさんのお蔭ですの、感謝しているですの!
エミル気にしなくていいんだよ。マルタにも、ちゃんとついてるよう言われてたしね
ジェイドいやあ、皆さん。お役目ご苦労様でした
ジェイドあなた方ならやってくれると信じていましたよ
ルークへっ、どーだか。取ってつけたように言われたって別に嬉しくねーっての
アニス信用されてませんね~大佐
ジェイドおやおや、心外ですねえ
ジェイドところで今回の件、キムラスカの国王陛下もきっとお喜びでしょうね
ティアええ、国王陛下がよくやったとおっしゃられていたわ、ルーク
ルークへへっ、まあな!俺の活躍、伯父上にも見せてやりたかったぜ!
ティアそういうところは相変わらずね…。あなた一人で全部やり遂げたわけじゃないでしょう?
ルークなんだよ、ケチつけやがって。大精霊を相手に俺の剣技がどんだけ…
ミュウあっ、ご主人様、口にケチャップがついてますの!拭いてあげますの!
ジェイドはっはっは、どんな英雄でも食事のマナーをおろそかにしてはいけませんねえ
ルークなっ…このブタザル!てめーのせいだかんな!
ミュウみゅうう~!
ミラそういえば、ジュード達の救護活動はどうなった?
ジュード一区切りついたんだ。これからも焦らず着実にやっていこうと思ってるよ
ミラそうだな。それが一番だ
ミラ私達も、今回の黒幕と思わしき人物の名前がわかった
ミラこちらも焦らず、気を引き締めていくよ
ジュードはは、ミラらしいね。じゃあ、僕は僕で頑張らないとだね
ティポジュードくーん、ミラくーん
ティポおいしいケーキが向こうにあるよ。食べに行こうよー
エリーゼ一緒に食べたくて…それで、呼びに来たんです
ミラ…だそうだ。どうする、ジュード?
ジュードじゃあ僕も、食べに行こうかな。ミラも行くでしょ?
ミラああ、もちろんだ
ティポじゃあ、みんなでレッツゴー!
スタンリオン!こっち来いよ、これおいしいぞ
リオンお前には遠慮というものがないのか…
スタン俺達のために用意してくれたんだ食べなきゃ失礼だろ?
ジーニアススタンとリオンって、本当に仲がいいんだね
ロイドそうだな。俺とジーニアスみたいなもんか
スタンああ!俺達は大の親友さ!
リオン勝手に言っていろ
ゼロスまたまたー。恥ずかしがらなくたっていいんだぜ?
リオン恥ずかしがってなどいない。勝手に決めつけるな
ゼロス素直じゃないんだから。まあ、そういう事にしておきますか
スタン俺、リオンならきっと大精霊を何とかしてくれるって、信じてたよ!
フィリアスタンさんはリオンさんが大精霊の事を解決してくれるって話をしてくれていたんですよ
リオン
スタンリオン…ルイニス街の氷だってこうやって解決出来るって信じてる
スタンだから、これからも頑張ろうな!
アルヴィン
セネル…お前は誰との会話にも、参加しないのか?
アルヴィンこういう場では、みんなが笑い合っている様を眺める方が性に合ってるもんでね
セネルお前もそうか。実は俺もなんだが
アルヴィンま、これはこれで、悪くはないよな
アルヴィン距離を置く事で、見えるものもあるしな
セネルそうだな…
リオン
アルヴィン何もなければいいんだがな…
セネル?何か言ったか?
アルヴィンいや、何でもないさ
scene2ひとときの休息
ルークふああ…ねみい
リッドルーク、眠そうだな…
アスベル昨日はみんなと話せたか?
ルークああ。ブタザルが引っ付いてきてマジうざかったぜ
アスベルはは、元気になったようでなによりだな
リッドリタも眠そうだ…
リタエステルと話してたら何か話が弾んじゃってね。この位の寝不足なら平気よ
ルーク…あとはカノンノとリオンか。遅せーな、あいつら。なにやってんだ?
リタ珍しいわね。ルークが来てるのにリオンとカノンノが来てないなんて
ルークおい…どういう意味だよ
リタ待ち合わせ場所はここって伝えてあるのよね?
アスベルああ。それは間違いない
リッドあの二人が寝坊なんて、珍しい事もあるもんだな
ミラもう少し待ってみるとしよう
リタ…ちょっと…
アルヴィンん?どうしたんだ、リタ
リタ何でアルヴィンがここにいるのよ
アルヴィンお前さん達がバロニアを出る前に、話しておいた方がいいかなーって思った事があってね
アルヴィンぜひ聞いといてもらいたいんだが…聞いてくれるか?
ルーク何だよ、もったいぶらずに話せよ
アルヴィンお、ありがとよ
ミラ話というのは?
アルヴィン実はな…
カノンノみんな、大変!大変なの!
アスベルどうした?カノンノ
カノンノ私のネックレスが…なくなっちゃったの!
ミラなくなっただと!?
リタ!…ちょっと、それって、大精霊達が宿ったネックレスの事!?
カノンノうん。どこを探しても見つからなくて…
アスベルそれは一大事だな…宿の部屋はくまなく探したのか?
カノンノ…うん
ミラ食事の席に忘れていったという可能性は?
カノンノそれはないよ。寝る前に枕元にちゃんと置いておいたもの!
ルークじゃあ…
リッドあんまり考えたくねえけど…盗まれたって可能性もありえるな
カノンノそんな…
スタンおーい!みんなーー!
ルークだーっ!今度は何なんだよ!
スタンみんながバロニアからでるなら見送りでもと思って…あれ?リオンは?
アスベルまだ、ここには来てないんだ宿にはもういないのか?
スタンああ、てっきりみんなのところにいるのかと思ったんだけど
ミラ待ち合わせの事を忘れて、先に出発したというのか?
リタ行き先も決めてないのに?
アルヴィンいや。…おそらく、リドウのところへ向かったんだろう
リタリドウ…?
ミラリドウだと?何故ここでその名が出て来る
ミラお前は何を知っているのだ、アルヴィン!
アルヴィン

NameDialogue
scene1アルヴィンの告白
アルヴィンリオンは…
アルヴィン…きっとリドウのところへ向かったんだろう
リタリドウ…?
ミラリドウだと?何故ここで、その名が出て来る
ミラお前は何を知っているのだ、アルヴィン!
アルヴィン
アルヴィンそう急かすなって。そんなに睨まなくてもちゃんと話すよ
アルヴィン本当はリオンがいる時に聞いてもらいたかったんだが
アルヴィン話すタイミングが遅くなっちまったな…
リタもったいつけてないで早く話しなさいよ
アルヴィン
アルヴィンまずはリドウの目的から話をさせてもらうか
アルヴィン奴は、世界の破滅を目的としているんだ
ルークはぁ!?そのリドウって奴、一体──
アルヴィンまあ、待てって!まだ話し始めたばっかりだろ。もう少し聞いてくれ
ミラいや…待て、アルヴィン。何故お前がリドウの目的を知っているのだ?
アルヴィンそこは誤解されたくないから答えておくが、実はリドウとは古い付き合いでね
アルヴィン手を組まないかと誘われた事があったんだ
アスベルリドウと手を組む…?
アルヴィン勿論断ったぜ
アルヴィンちょっと手荒な方法で奴の事も止めるつもりだったんだが、逃げられちまってな…
アルヴィンだが、その時奴は自分一人殺しても無駄だ、みたいな事を仄めかしていてな
アルヴィン他に仲間がいるという事かと思ったものの、確証が持てなかったんだが…
アルヴィン昨晩、ユグドラシルって奴の存在を聞いてピンと来たんだ
アルヴィンそのユグドラシルが、リドウと世界を破滅させようとしている奴なんじゃないかってな
リッドユグドラシルは戦争を起こす以外にも計画を用意してるみたいな事デュークも言ってたな…
ミラユグドラシルが戦争を誘発し、大精霊を暴走させていた行為は世界を破滅させるためだった…と
アルヴィンそういう事だ
アスベルリドウとユグドラシルが協力関係にあるかも知れない事はわかった
リタでもそこに、リオンがどう関わってくるわけ?
アルヴィンリドウは俺達の中に内通者がいるような事も言ってたんだ
リタ…リオンがその内通者だって言いたいの?
ルーク!?リオンが?
アルヴィン俺の予測だがな
カノンノそんな…
アルヴィン状況からして、リオンはおそらくカノンノのネックレスを持ってリドウの元に向っているだろう
リタあいつが…でも待って。仮にそうだとして、何をするつもりだっていうの?
リタあのネックレスだってカノンノ以外が触れても何の反応もしないのよ?
ミラしかし、あれほどの力を持つ大精霊が宿ったネックレスだ
ミラネックレスを利用する何かしらの当てもあるのかもしれない
ルーク何にしたって、ロクでもねー事に使われる気しかしねーな
リッドアルヴィンの言っている事が本当ならまずい状況なんじゃねぇのか?
アスベル…アルヴィンはどうしてリオンが内通者だと思ったんだ?
アルヴィンああ。それについても説明するよ
アルヴィン俺がリオンと出会った頃…。世界の異変の原因が大精霊の暴走にあるとは、明るみになっていなかった
アルヴィンそれなのに、リオンは初めから大精霊に対して、やたら固執していたんだ
リタ原因がわかる前から大精霊を気にしていたって事?
スタン…。それに関しては、アルヴィンの言う通りかも知れない
リッドアルヴィンの言う通りかもって、そうなのか?スタン
スタン…実は、ルイニス街の氷をどうすれば溶かす事が出来るかリオンと話をしてた時…
スタンリフィルさんから大精霊イフリートの話を聞いたんだ
スタンその時、リオンの反応が急に変わって…
ミラ出会った当初、確かにリオンとお前はイフリートを捜していたが、それはルイニス街の氷を溶かすためだろう?
アルヴィンだが、ルイニス街の氷がイフリートの炎で溶けないと知った後も、リオンの行動は大精霊に固執したものだった
アルヴィンそれに、お前達と会う前はイフリートを捜すというより大精霊を捜しているような行動も取ってたんだ
アルヴィンリオンだけが大精霊の暴走を鎮めるのとは別の思惑でお前達と行動していたと考えれば…
ミラリドウと同じく、リオンも大精霊を回収するために動いていた。そう言いたいのか?
アルヴィンああ
アルヴィンもし、リオンがリドウの元に行くなら全ての大精霊がネックレスに宿ったこのタイミングかと考えてな
アルヴィンお前達の前で、俺の情報を明かした後リオンに事の真相を追及しようと思っていたんだが…
カノンノネックレスもなくなっちゃったし、リオンもいなくなっちゃった…
アルヴィンああ。一足、遅かった
ミラ…信じがたい事だな
リッド大精霊を回収するためにオレ達と一緒にいたって事か?笑えねえよ…
ルークリオンの奴、ずっと俺達を騙してたっていうのかよ…
アスベルリオン…
カノンノ
スタン…リオンが俺達を裏切るなんて、そんな事、あるわけがない
アスベルスタン…
スタンリオンは、ルイニス街が氷漬けになった事を心の底から悲しんでいたんだ
スタンそのリオンが…世界の破滅を企むような奴らと、手を組むはずがない!
スタンネックレスを持っていったのがリオンだったとしても、絶対に理由があるはずなんだ…
アルヴィン俺もそう思ってるよ。リオンは何かしらの理由で無理矢理リドウに従わされているんじゃないかってな
ルーク理由って…あ!もしかして何か弱みを握られたとかか?
アルヴィンおそらく、な。俺はそう踏んでいる
カノンノリオンの弱みって?
アルヴィン想像の域は出ないが、俺が思いつくのはルイニス街だな
スタンリオンはルイニス街を何より大切にしてるから…
リッドだとしたら、ルイニス街を盾に取られて従っちまってるのかもな…
ミラリドウがリオンを通じて情報を得ていたのなら、大精霊の宿るネックレスの事も知っていただろう
ミラ信じたくはないが、もしリドウがネックレスを狙い…
ミラそしてアルヴィンの言う通りリオンが内通者だったとすれば…
ミラ今回のネックレスがなくなった件も、リオンが同時に消えた事も辻褄が合うな…
ルークくそっ、何がどうなってんだ。どうすりゃいいんだよ!
リタ考えるまでもないわ。リオンを追いかけるのよ。リドウの元にたどり着く前にね
ミラそうだな。ネックレスを持って行動しているのなら、大精霊の気配をたどればリオンを追えるだろう
アスベル俺達はネックレスがリドウの手に渡るのを阻止しなければ…
ルークだったらぐずぐずしてねーで、早く行こうぜ!追いつけなくなっちまう
カノンノリオン…
アスベル心配するな、カノンノ。必ずリオンを連れ戻し、ネックレスも取り戻そう
カノンノうん…
scene2アルヴィンの告白
リオン約束の岬はこの先か…
リオン
リオン
アスベルとにかく、こうしてはいられない。ミラ、ネックレスは今どこに?
ミラ
リッド気配を探ってるみたいだ邪魔しないようにしようぜ
アスベルああ…すまない
スタン…。俺も一緒に行かせて欲しい
アスベルスタン…
スタンもしリオンが、本当にカノンノのネックレスを持ち出したなら…
スタン何か事情があるはずなんだ。絶対に!
スタンそれがルイニス街の事なら尚更…。だから何としても俺が助けたいんだ
アスベルスタン…そうだな
ルークまあ、リオンも他の奴よりはまだスタンの話の方が聞く耳あるかもしんねーもんな
カノンノうん、そうだよね。一番の友達だもんね
アルヴィン俺も同行させてくれないか
リタあんたも?
アルヴィンま、俺がついてったところで、どうだってのもあるんだが…
アルヴィンいろいろと思うところがあってね。俺が上手く動いてたら、こうはならなかったんじゃないかってな
アルヴィンそれに、リドウの目的は世界の破滅だ。見て見ぬふりはしてられない
アスベル…わかった。アルヴィンも一緒に行こう
アルヴィンありがとな、アスベル。急ぎで、ジュード達にも事情を話して来るぜ
スタン俺もユーリ達に、今の状況を伝えてくる。すぐに行くから!
リタじゃ、街の入口で落ち合いましょ。先に行って待ってるから
scene1リオンの行方
スタンみんな、待たせてごめん!
ミラ二人とも来たな。では早速行くとしよう
リッドどこに向えばいいかわかったのか?
ミラああ、大精霊達の気配は南から感じ取れる
アスベルよし、みんな。南へ向かおう
リタええ、急ぎましょ
カノンノうん、行こう…
スタンリオン…
scene2リオンの行方
アスベルこの辺りは確か、トーティス村の近くだったな
リタそう言えばそうね。ミラ、大精霊の気配は?
ミラトーティス村より南の方から感じる。まだ近くはないな
スタン
アスベルリオンの事が気になってるみたいだな…大丈夫か?スタン
スタンああ、大丈夫だ
アスベルリオンが誰にも話さずにいたのも何か事情があったのかも知れない。気を落とすなよ
スタン…。違うんだ、アスベル。俺は…自分が情けないだけなんだ
アスベル情けない?
スタンリオンが一人で悩みを抱えて、苦しんでたってのに…
スタンどうして俺はその事に気付いてやれなかったんだろうって
スタン一緒にいたのに、俺はリオンの事何もわかってなかったんだ、って…
カノンノスタン…それは違うと思うよ
カノンノリオンは、みんなに迷惑をかけられないって思ってたんじゃないかな
カノンノそこまでリオンの事考えて落ち込んでるスタンは、情けなくなんかないよ
スタン…。そう、なのかな?
アルヴィンリオンの事は、これ以上俺らが推測しても仕方がない。後は確かめないとわからない事だ
スタン…アルヴィンさんの言う通りまずはリオンに会わなくちゃな
カノンノ今は一刻も早く大精霊の気配に追いついて本当の事、確かめなきゃ…だよね?
ルークアルヴィンの話が本当ならリドウの奴、ただじゃおかねー!
ルークリオンもリオンだ!リドウなんかに従ってんじゃねえっつーの!
リタそうね。あたし達に相談もなしにネックレス持って行った事、後悔させてやりましょ
リッドおいおい…。こえーよ
リッド…ん?
ガサ…
ガルルルル!
リッド魔物か…。ことごとくオレ達の邪魔をしてくるな
アスベル時間を無駄にしたくない。このまま突っ切ろう
ミラああ、そうだな。みんな、行くぞ!
scene1対峙
リドウよく来たな、リオン。元気そうで何よりだ
リオンここに呼びだしたのはお前だろう
リドウ何だか怒ってるみたいだねぇ。怖い怖い
リオン
リドウああ、そうそう。お仲間には、きちんと断りを入れてここに来たのかな?
リドウ何の挨拶もせずに飛び出して来てるんだったら、今頃彼らから悪者扱いを受けてるかもよ
リドウまあ、俺には関係ない事だけどねぇ
リオン
リオン…約束の物だ、受け取れ
ヒュンッ
リドウおっと
リオンそのネックレスに、これまでに契約した全ての大精霊が宿っている
リドウへえ…これにねえ
リドウ…ほう…
リドウあれだけの大精霊を、このちっぽけなネックレスに押し込めておけるとは、すごいもんだな
リドウこれなら零(ゼロ)の塔を復活させるのも楽そうだ…
リオン零の塔…?一体何の話をしている
リドウ教えてほしいなら特別に教えてやろうか?俺のために動いてくれたお礼だ
リオンいちいち勿体ぶるな。僕の時間を潰すつもりか
リドウつれないねえ。まあ、確かに君にとってはいらない情報だろうし…
リドウそれよりも、ほら…何だったかな。君が一番気にしていたあの街の事の方がいいか?
リオンルイニス街の氷は、溶かしたんだろうな
リドウおいおい、あんまりがっつくと、嫌われるぜ。言われた事ないか?
リオン
リドウわかったよ。ルイニス街の氷だが──
scene2対峙
リドウルイニス街の氷だが、あれは…
リドウある意味、確実に解放される。だから、もう君が気にする必要はないんだよ
リオン何…?それは、どういう意味だ
リドウ君がくれた、このネックレスのお蔭で零の塔を復活させる事が出来る
リドウすると、必然的に氷に閉じ込められた君の街は解放される事になるってわけさ
リオン
リドウまぁ、塔が復活するって事は世界の破滅と同義なんだけどね
リオン!リドウ、貴様…
リオン街どころか、この世界の人間まるごと消し去ろうというのか
リドウ遅かれ早かれ、塔が復活すれば世界の破滅はやって来る
リドウリオン。君は特別に、俺の手で解放してやるよ
リオンその姿…
リドウすぐにルイニス街の連中も後を追わせてやるさこれが俺の優しさってやつだ
リオン…もう一度聞く。氷を溶かす手段はないという事か?
リドウあれはね、俺も解き方はわからないんだ
リオンわからない?わからないとはどういう事だ
リドウ言葉通りの意味だよ。元に戻す必要がないから、解き方も知る必要もない
リドウあー、絶望させちゃったかな?ま、それもすぐ終わらせてやるよ
リオン終わらせる?それは僕のセリフだ。貴様は僕の手で終わらせてやる
リドウハッ、言うねえ
scene1ユグドラシル
リドウぐおおおおっ!
リドウがっ…くそがぁ…
ドサッ
リオンはぁっ…はぁっ…
リオンこれは…返してもらう
チャリ…
リオンルイニス街の氷を溶かす方法を他に探さなければ──…
リッドおい、いたぞ!
リオン…!
スタンリオン!こんなところまで来てたんだな
リオンスタン、それにお前達まで、何故ここに…
ミラネックレスの中の大精霊の気配を追って来たのだ
ルークったく、急にいなくなるとか驚かせやがって…って
ルークうぉっ!?人が倒れてるぞ!
アルヴィンこいつは…リドウだな
リオン
カノンノリオン…。もしかしてリドウと戦ったの?
カノンノ怪我してない?突然いなくなっちゃって本当に心配したんだから…
リオン
リオン僕は何ともない
リオン…これはお前に返しておく。勝手に持ち去って、悪かった
カノンノう、うん…
アスベルネックレスに変わりはないか?
カノンノうん、何ともないみたい
ミラ大精霊達の気配も正常だ
リオン
アスベルなぁ…リオン。カノンノのネックレスを持ち去った理由を教えてくれないか
リタそれと、どうしてリドウがそこに倒れてるのかも聞きたいわ
スタンリオン…
scene2ユグドラシル
リオン
リタカノンノのネックレスを持ち出しておいて、何も話さないつもりなの?
ミラお前なら、そのネックレスがどれほど重要なものかわかっているはずだ
リッド何か事情があったんだろ?リドウのとこにネックレスを持って来なきゃいけない理由が
リオン
ルークへっ、どうせあのリドウって奴に脅されてたんだろ?
リオン
スタンリオン…
アルヴィンみんなお前の事を心配してここまで来たんだ。何か答えてやれよ、リオン
リオン僕の事を嗅ぎ回っていた奴がわざわざ、ここまで来るとは余程の暇人だな
アルヴィンこりゃ、どうも。こいつらもそうだけど、俺も一人で突っ走るお前が心配でね
リオン
アルヴィン
リオン全てが振り出しに戻ったというだけだ
アルヴィンそれは、ルイニス街の氷の事か?
リオン僕があの時、リドウを止められていれば、こんな事にはならなかった…
スタンあの時?
リオン世界に異変が起こったあの日、ルイニス街はリドウからの襲撃を受けたんだ
スタンルイニス街が!?
リオンああ、そうだ。僕はその時にリドウと戦った。だが戦いの最中…
リオン奴はルイニス街の全てを一瞬の内に氷漬けにしたのさ
スタンそんな…
リオンそして、大精霊を回収し引き渡せばルイニス街の氷を溶かすと言ってきた
スタンリドウの奴…!やっぱりか…!
アルヴィンリオン、お前…
リオンだが、初めから守る気もなかったんだろう
リオンネックレスを渡すと用済みだとばかりに襲ってきたからな
カノンノ初めから守る気がなかったなんて…。じゃあ、街の人達はまだ…
スタン
ルークけっ、リドウの奴、とことんムカつく野郎だな。けど、それでリオンに倒されてちゃ、ざまあねーな
リタだからって無茶しすぎよ。返り討ちに出来たからいいようなものの…
リッドにしても、リドウの奴…大精霊の宿るネックレスをどうやって使うつもりだったんだ?
ミラわざわざリオンを使ってまで手に入れようとしたのだ。何も手立てがないと言う事はあるまい
ミラリオンは何かリドウから聞いたりはしていないのか?
リオン
リオンネックレスをどう使うつもりなのかは知らないが…
リオン「零の塔を 復活させる事が出来る」そう言っていた
アスベル零の塔?
リッド零の塔…。聞いた事がない名前だな
リッドアルヴィンはリドウと面識があったんだろ?
リッドなら、その零の塔ってのも知ってるんじゃないか?
アルヴィンいや、初耳だ。リドウと塔に関する会話なんてしてないし、心当たりもない
リタ待って。零の塔…零…
リタどこかで聞いた事あるような…。…あー悔しい、思い出せない!
ルーク負けず嫌いで言ってんじゃねーだろうな…
スタンリオン。ルイニス街は今もあのままなんだな…
リオン…ああ
スタン…っ
リオン…無駄足だったな
スタン…リオン!俺が言いたいのは、そんな事じゃない!
スタンお前は…お前って奴は…!
スタンどうして俺に、何も話してくれなかったんだ!
リオン…!
スタン俺だってルイニス街を救いたいのに、黙ってるなんて水臭いじゃないか
スタンお前は大概の事は一人で出来るしそれはよく知ってるさ
リオン
スタン俺は頼りないかもしれない
スタンでも何で一人で抱え込むんだ!俺達、友達だろう!
リオン何度も言わせるな、僕は──…
スタンお前が何と言ったって関係ない!
スタン俺はお前が、一人で苦しむなんて嫌だ!
リオンリドウを止める事が出来なかった。これは僕の問題だ…。お前には関係ない
スタンリオン!
アルヴィン落ち着け、二人とも。リオン、今回はお前が無事だったからよかったようなものの…
アルヴィン独断で動くと悪い状況になった時助けられないだろう
リオン僕を助けるためにお前はあれこれ探っていたというわけか。余計なお世話だ
リッドおい、そういう言い方はねえだろ。事情があるにしろ、お前のやり方はいただけねえよ
ルークだよな。ごめんの一言もねーし、こんな友達持ってるスタンも苦労するよな
リオンふん、だからどうした!
アスベル俺達は一緒に戦った仲間だ。少しは信用してくれてもいいだろう?
リオン
リオン僕は──…
全員
カノンノ何?この光…
アスベル眩しくて見えない…っ
???大精霊の回収もままならないか…。リドウめ、口ほどにもない
アスベル
アルヴィンリドウや大精霊の事を知ってるのか?
ミラ何者だ?
ルーク何だこいつ、一体どっから出てきやがった!?
リタ光の羽根…!?
リッドまさかこいつがデュークやユーリ達が言ってた…
ミラ世界のマナを減少させて大精霊の暴走を促した存在…
アスベルユグドラシル、なのか?
ユグドラシルほう…
ユグドラシル私の名を知っている人間がいるとは。面白い事もあるものだ…
アスベル!お前がユグドラシル…!?
リタ向こうから現れてくれるなんて、捜す手間が省けたわね
ユグドラシル私が直接片を付けなければならないようだな
アスベル何だと?
ユグドラシルむ…
カノンノ…?
ユグドラシルふっ…お前か…
カノンノう…!?
アスベルカノンノ、どうした!?
カノンノわからない…。けど一瞬胸が締め付けられて…
ユグドラシルくくっ…
ユグドラシルそのネックレスを、渡してもらおうか
カノンノ
ルークおい、ふざけんじゃねーぞ!誰が素直に渡すかっつーの!
ミラアルヴィンの予想通りリドウの仲間は、ユグドラシルだったと言う事か…
リッドなら、世界を破滅させようとしている奴って事だな
リタそんな奴に大事なカノンノのネックレスを渡すもんですか
ユグドラシル私の名を知るだけではないのか。実に面白い
アスベルお前にカノンノのネックレスは渡さない、ユグドラシル!
ユグドラシルふはははは!誰を前にしてそんな事を言っているのか教えてやろう──
アスベル来るぞ!
scene1孤高の剣士
ユグドラシル…なるほど。大精霊の暴走を鎮めただけの事はある
ユグドラシルそれなりにはやれるようだな
ルーク!?俺達の攻撃が、効いてないのか?
リタそんな…
ユグドラシルだが所詮、お前達の攻撃などこの私にしてみれば、児戯にも等しい
リッド何なんだよ、こいつ…!
ユグドラシルお前達に教えてやろう。攻撃とは…こういう事を言う
ズドオオオオオンッッ!
全員!?
アスベル──…っ!がはっ!
リオンくっ…!
ミラうっ…!
ユグドラシルお前達と私の間には圧倒的な差がある事を、理解出来たか?
カノンノ…!
カノンノどうして…
カノンノどうしてあなたは、こんな事をするの…?
ユグドラシルどうして、だと?くくっ…お前がそれを言うのは非常に滑稽だな
カノンノどういう事?
ユグドラシルこの世界のたどる道筋に変わりはない。お前達が何をしようとも世界は破滅する
ユグドラシル真の平和のためには世界の破滅が必要不可欠なのだ
アスベル真の平和、だと…?
カノンノ破滅って…そんな…
リオン
ルーク平和のために世界を破滅とか意味不明だっつーの!
リタ大勢の人が巻き込まれた戦争や大精霊の暴走…それが全部、こいつの仕業だったっていうの…?
ユグドラシル愚かな。私はただ導いてやっただけの事
ユグドラシルあるべき世界への回帰のために、必要となる破滅への道筋にな
ユグドラシル人間の間に戦争を引き起こし、マナを濫用させ、大精霊の暴走を引き起こす
ユグドラシルそれにより世界は荒廃し破滅の一途をたどる…
ユグドラシルしかし、零の塔を使うのも面白いと思ってな
リタ零の塔…
リッドリオンも言ってたけど零の塔って何なんだよ。たかが塔が世界を破滅させるってのか?
ユグドラシルお前達の方がよく知っているだろう?零の塔は、この世界で魔導器と呼ばれる代物だそうだ
リタまさか…。零の塔って…
リッドリタ、何か思い出したのか?
リタええ。昔読んだ文献で、その名前を見た気がする
リタ詳しい事は書いてなかったけど、世界を滅ぼす力を持つ魔導器の塔が、世界のどこかに封印されてるって…
ユグドラシル塔は長き時を経た今、その力を失っている
ユグドラシルそれを復活させるには、大量のマナが必要なのだ。──そのネックレスのな
ミラ…今のカノンノのネックレスは、大精霊が集合した高濃度のマナの塊でもある…
リッド塔を復活させるにはうってつけってわけか
アスベルお前はカノンノが全ての大精霊と契約し終えるのを、待っていたんだな
ユグドラシルお前達には感謝をしなければならないかもしれないな
リタ文献の通り、世界を滅ぼすほどの力を持つ危険な塔なのだとしたら…
リタ…そんな物が存在するなんてにわかに信じがたい話だけど…でももし、その話が本当なら
リタカノンノのネックレスを奪われたらあいつが、世界を滅ぼすだけの力を手に入れてしまうって事よね
リタそんな事、させるわけにいかないわ
チャキ…
リオン
ユグドラシル私に剣を向けるとは、愚かな…まだ楯突こうとしているのか…
リオン
ユグドラシルこいつらの仲間のふりなどする必要はないぞ
リオン
ユグドラシルリドウに協力していた貴様など人間達は信用しない
カノンノ何て事言うの!リオンは私達の仲間──…
ユグドラシル言葉では何とでも言えよう。しかし、こいつがお前達を欺いていた事実は変わらない
リオン
scene2孤高の剣士
ユグドラシルリドウに協力した時点でお前の手は既に汚れている
ユグドラシルその女のネックレスを持って私の元へ来い
リオン
スタンおい、ユグドラシル!勝手な事を言うな!
スタンリオンの手は汚れてなんかない…
スタンリオンはルイニス街のみんなを救いたかったから、リドウに従っていたんだ!
スタン何があろうとリオンは俺の友達で、俺達の仲間だ!
カノンノそうだよ。これまでずっと一緒に頑張って来たんだから!
リタリオン、こんな奴の言う事なんか耳を貸す必要ないわ
ミラ私達はリオンを信頼している。それはこれからも変わらない
アスベルユグドラシルの言葉に耳を貸すな。お前の居場所は、ここにある!
リオン
ユグドラシル…とんだ茶番だな
リオンユグドラシル。お前の言う通り僕はリドウに従った
リオンだが、勘違いするな。世界を破滅させようとする奴らに同調した覚えはない!
チャキ…
ユグドラシルくく…
リオン何を笑っている
ミラ…!
リッドどうした?
ミラカノンノ、避けろ!!
カノンノ!?
リドウうおおおおっ!
ガキイィィンッ!
リオンリドウ…貴様!ぐっ…
カノンノリオン!
アルヴィンリドウ、お前まだ…!
リドウネックレスを…そいつを寄こせ!!
ルークちっ、カノンノ下がれ!
リドウ俺の邪魔を──…するなああああっっ!
scene3孤高の剣士
リドウぐうぉぉぉ…っ
リドウ俺はぁ…っ、真の平和のために…!
ルークお、おい!まだ、やろうってのかよ!?
リドウその…ネックレスは…俺達のものだ!
リドウ死ねえええっ!
カノンノいやっ…!
ユグドラシル
リドウなっ…!
ユグドラシル「俺達の」と言ったな、リドウ。だが…今邪魔なのは、貴様の方だ
カノンノえっ!?きゃああっ!?
アスベルカノンノ!?
リッドっと…、カノンノ、大丈夫か?
カノンノだ、大丈夫
ミラユグドラシルに突き飛ばされなければリドウの攻撃が当たっていた…。カノンノを助けたのか?
アルヴィンユグドラシルの奴何を考えてやがる…?
リドウな、何故…
ユグドラシルリドウ、このままでは私の計画が狂うのだよ
ユグドラシル悪いが、ここで消えてもらおう
リドウ何!?
キィィイイン──…
ルークユグドラシルの奴何やってんだ!?
アスベルあの位置だとリオンが攻撃に巻き込まれる!
カノンノそんな…!リオン!逃げてっ!
ユグドラシルまずは一つ
ズドオオオオオンッッ!
リドウぐおおおおおっっ!
リオンぐああっ!
リタ!リオン…!?
リッドおい!ユグドラシルの攻撃で、崖が崩れるぞ!
ズズズ…!
アルヴィンみんな、下がれ!ここだと全員崩落に巻き込まれる!
スタンリオン!!早くこっちに…
リドウうおおおおおっっ!!
リオン…!?
リドウせめて、あの女と…、大精霊を巻き添えにしてやる!おおおおおっ──!
ルークリドウ!あいつ、まだ立ち上がれるのかよ!
リッドくそっ、カノンノを狙ってこっちに…
リドウうおおおお!
リオンくっ…そうはさせん!はああっ!
ガキィィンッ──
リドウリオンっ!お前…っ邪魔をするなあああ!
アスベルリオンっ!?このままじゃ、お前まで…!
スタンリオン!早く逃げ──…
ユグドラシルもういい、下がれリドウ。塵芥となり、消えるがいい──
ズドオオオオオンッッ!
カラ…
アスベル
アスベル!?
リタ何よ、これ…崖がまるごと崩れ落ちてるじゃない…!
カノンノそ、んな…リ…オン…?リオンは!?
ルークリオンも、リドウもいねぇ…っ!おい、リオンはどこいったんだよ!
スタンまさか、リドウもろとも崩落に巻き込まれて…
ユグドラシル初めから、こうしておけばお前達のくだらない戯言に付き合う事もなかったな
ユグドラシルまぁ、目的のものは手に入れたのだ。お前達には感謝しよう
チャリ…
ミラあれはっ!カノンノのネックレスが何故奴の元に…!
リッドカノンノを突き飛ばした時にネックレスを奪っていたのか!?
ユグドラシルくくっ…これさえ手に入れば、お前達に、用はない
ミラ待て、ユグドラシル!
スタンリオン!リオン!!
リタ嘘…でしょ?そんな…こんな事って…っ
カノンノリオンっ…
scene1友を信じる
全員
アスベルリオン…
アルヴィンこの高さからでは…
スタン
スタン…いや、リオンは生きてるはずだ。すぐ捜しに行こう!
リッド崖が吹っ飛んじまったんだぞ?あれじゃ誰だろうと、助からねぇよ…
スタン俺はリオンの事を信じてる。あいつは生きてるはずだ
ミラスタン…気持ちはわかるが…
スタンあのリオンがこれくらいの事で死ぬわけないだろ!
ルーク
カノンノ私も、そう思いたい。リオンはきっと生きてるよ
アスベルスタン…カノンノ…
スタン俺は…リオンを捜してくる!
リタちょっと!スタン!?
リッド…ん?何だありゃあ
ミラどうした、リッド
リッド海が凍ってないか?ずっとあっちの方まで…
ミラふむ、確かにそんな風に見えるが…。ともかく、下に降りてみよう
scene2友を信じる
ザッパーン
カノンノいないね…リオン
スタン捜しきれてないところだってある!俺は諦めないぞ
アルヴィン
リタ本当に凍ってるのね…
リタ…でも、変ね。この気温で海が凍りつくなんて…
リッド普通の氷じゃねえって事か。だとしたら、大精霊の力で…
ミラ…いや、違うぞリッド。あの氷…大精霊によるものではない
ルークじゃあ何だってんだよ、ミラ
ミラあれはおそらく、ルイニス街の氷と同じものだ
ミラ普通の氷でもなく、大精霊によるものでもないとしたら、そう考えて間違いはないはずだ
スタンルイニス街の…。でも、どうしてこんなところに?
アルヴィン…もしかすると、海もリドウが凍らせたのかもな
ルークどういう事だよ?
アルヴィンユグドラシルは、南東の方に飛んで行ったろ?
アルヴィンここから南東の方角には島が見える。ユグドラシルはあの島に向かった可能性が高い
アスベルミラ、ユグドラシルの持ち去ったネックレスの気配は…
ミラ…そうだな。あの島の方から感じる
アルヴィンユグドラシルもリドウも零の塔について話していた
アルヴィンリドウもネックレスを奪ってあの島に行くつもりだったとしたら…
アルヴィン零の塔はあの島にあるんじゃないか?
リッドリドウもあの島に行くため、海を凍らせていたってわけか
リタそれだけのために、わざわざこんな芸当をやってのけたっていうの?
リッド…氷は島まで繋がってるみたいだな
ルークって事は俺達も歩いて島まで行けるって事だろ
ルークどうせユグドラシルは追わなきゃなんねーんだ。ちょうどいいじゃねーか
リタちょっと、島まで氷の上を歩いて行くっていうの?
アスベル確かに危険かもしれないが…。船を手配している猶予はない。ここを進むしかないだろう
カノンノうん…。そうだね
スタン…みんなは、ユグドラシルの行方を追ってくれ
スタンリオンは…俺が必ず見つける
アルヴィン俺も残ろう
アスベルアルヴィン…
アルヴィンアスベル、お前さん達は、ユグドラシルを追うっていう大事な仕事が残ってんだろ?
アルヴィンこんな状況だが、やらなきゃいけない事は見失っちゃあいけないぜ
アルヴィンリオンならそっちを優先しそうだ。たぶん、だがな
アルヴィンだから…リオンの事は俺達に任せてお前達はユグドラシルを追ってくれ
アスベル…ああ、そうだな。リオンの事は頼んだ、アルヴィン
カノンノでも…
ミラカノンノ、ここはスタンとアルヴィンに託そう
スタン絶対にリオンを見つけて、ルイニス街も元通りにしてみせるさ!
カノンノスタン…。リオンをお願い
スタンああ、任せてくれ
リタユグドラシルはネックレスを手に入れた…って事は、いつ例の塔を復活させてもおかしくないのよね
ミラああ。一刻も早くあの島へと向かうべきだろう
ミラユグドラシルを止め、この世界を守らねば
ルークくそっ、何だよムカつく!何だってこんな事になんだよ!
ルークユグドラシルの奴、会ったらぜってーぶっ飛ばしてやる。リオンの分もな!
リッド…だな。すぐにユグドラシルを追いかけるぞ
scene1海上の氷
アスベルこの氷、思ったより頑丈だな
リッド寒くないのに氷の上を歩いてるって変な気分だ
リタもしルイニス街の氷と同じなら…炎でも溶けない、削る事もできない、って事よね…
ミラここら辺りが海岸と島の、ちょうど中間か
アスベルそうだな
カノンノ
アスベルカノンノ、この辺りからは氷の幅が狭くなっている。もっと真ん中を歩いた方がいい
ルーク海もここまで来ると深そうだな。急に氷が割れたりして海にドボンとかねーだろうな
リッド不吉な事言うんじゃねえよ、全く…
ルーク何だよ、ビビってんのか?冗談に決まってんじゃねーか。さっさと走って抜けちまおうぜ!
リタちょ、ちょっと!急がなきゃいけないのはわかるけどもう少し慎重に…
ピシッ!
カノンノ何の音…?
アスベルまさか…
ピシッ!
ピシピシピシッ!
ミラ氷にひびが…!
リッド見ろ!後ろの氷が崩れてるぞ!
アスベルここも危ない──…みんな、急いで島へ!
カノンノう、うん!
scene2海上の氷
ビシッ!
ビシビシビシッ!!
リタはあ…はあ…ちょっと…。どうなってんのよ!
ルークじょ、冗談じゃねーぞ!溶けたり削れたりしねーんじゃなかったのかよ!
ビシィッ!
バキバキバキッ!
ミラくっ…!後ろだけでなく、前まで崩れ始めたか!
リッドみんな、ついて来れるか?カノンノは?
カノンノうん…平気…
ピシッバキバキバキッ!
カノンノきゃあっ!?
アスベル…っ!カノンノ!
カノンノだ、大丈夫っ!ちょっと足を取られただけ!
リッドよし、もう少しだ!
アスベルいや、待て!
リタ…氷が割れてるわ。先がつながってない…これじゃ先に進めないわ!
ミラ…。これだけ氷が残っていればギリギリ行けるか…
アスベルミラ?
ミラ四大よ、私に力を貸してくれ。ウンディーネ!
カノンノわあ…!氷が集まってくる…!
リタ水流で氷を押さえてくれてるのね
ミラウンディーネの力で前方の氷を留めている内に、みんな渡れ!
アスベルわかった!みんな、急ぐんだ!
scene1孤島の地下
ミラ…海上の氷は、だいぶなくなってしまったな…
ルークったく…けど、何とか島にたどり着けたじゃねーか
リッドふー…。ミラがいてくれてよかったぜ…
リタはぁ…はぁ…。どうなる事かと思ったわ。スタン達も大丈夫かしら
アスベル比較的岸の側を捜しているだろうから異変を感じたら、すぐ避難しているとは思うが…
カノンノミラ、さっきはありがとう。ウンディーネにもお礼を言いたいんだけど…
アスベルああ、そうだな
ミラお前達の声は四大にも届いている。ウンディーネも力になれてよかったと言っているよ
ルークそれにしても何で急に氷が溶けだしたんだ?ルイニス街の氷と同じなんだろ?
ミラそのはずだが何故…
アスベルあの氷が溶けるきっかけがあったのだろうか?
リタリドウが仕掛けた氷なら本人がいなくなった事で溶けた…とか?
リッド…ルイニス街の氷も溶けてたりしてな…
ミラ…そう願いたいが…。今はユグドラシルを追う事に専念しよう
ルークっと、あぶねーな。地面に足を取られて、歩きにくいったらねーぜ
リタどこもかしこも泥みたいね。まるでつい最近、海の底から盛り上がって出来たみたい
アスベル新しく出来た島なのか…?ユグドラシルはこの島に向かって行ったんだよな?
リッド塔、なんて見当たらねえぞ…
ミラだが、ネックレスの気配は近い。少なくともユグドラシルは、この島にいるはずだが…
ミラ…!
アスベルミラ?
ミラこの気配…!マナの急激な流れを感じる
カノンノどういう事?
ミラおそらく、ユグドラシルが、ネックレスに宿る大精霊のマナを奪い始めたのだ
アスベル!?何だ、今の光は!
ゴゴゴ…
カノンノこの音…。地鳴り、なのかな?
ゴゴゴゴゴ!
リタ何、地震!?
リッドでかいぞ!
ルークお、おい、この地震も、ユグドラシルのせいなのか?!
ズズズ…
カノンノ収まる気配がないね…
リタ完全に揺れが収まるのを待ちたいところだけど…。悠長にしてる場合じゃないわね
アスベルああ。ユグドラシルを捜さなければ
scene2孤島の地下
ゴゴゴ…!
カノンノまた大きな揺れが…!
ルーク今度のもでかいぞ!
ゴゴゴゴ…!!
アスベルくっ…!
ズズ…
リタ…収まった?
リッドいや、まだ細かい揺れが続いてる
リタこの調子だと、地震は当分収まらなさそうね
ミラ…。この辺りなのだが…
アスベルネックレスの気配か?
ミラああ
リッドここって…岩が連なってるだけだな
ルークユグドラシルなんか、どこにもいねーぞ。塔も見当たらねーし
ミラしかし、確かに気配を感じるのだ。この下からな…
リタ下!?って事は地下にユグドラシルがいるっていうの?
ルーク塔に行ったんじゃねーのかよ?
ミラ気配からすれば、この下で間違いない
アスベル…という事は、どこかから地下に行けるところがあるのかもしれない。手分けして──…
リッドおい、アスベル。わざわざ捜すまでもなさそうだぜ。こいつを見てみろ
リタ何よ、ただの岩じゃない。…あら?
リタ割れ目があるわね。どうにか人が一人通れそうな…。っていうか──
リタよく見たらこの割れ目…自然に出来たんじゃないみたい
リタひょっとして、まさか…
リッドユグドラシルはこの先にいるって考えてもよさそうだな
アスベルよし、降りてみよう。みんな、気を付けてな
ガルル…
カノンノ!?魔物の唸り声が聞こえるよ
ルークこんなところにも魔物がいるってのかよ!?
ガルルル!
リッドちっ、やっぱりか!魔物が飛び出してきやがった!
アスベル倒して先に進む以外、道はない。行くぞ!
scene1零の塔
ズズ…ズズズ…
ピチャン…ピチャン…
リッド…っ!つめてぇ…。水が顔に来やがった
カノンノ揺れが起きる度に、水滴が落ちてくるね
リッドしかもしょっぺえな。海水か?
アスベル周りは海だからな…。あり得るだろうな
リタ人が歩けるように作られてる…
リッドん?どうしたんだ、リタ
リタユグドラシルが岩を割ってこの通路を作ったって思ってたんだけど、違うみたい
リタ足場があるのよ、この通路。あいつなら飛べるから足場なんてなくたっていいじゃない?
アスベルそれなら…。リドウが作った通路かもしれないな
アスベル一人でこの岩場に通路を作るのは難しいと思うが…
ミラリドウに会ったばかりの時は、部下がいたようだった。その者達に作らせたのではないだろうか
リタ何にしても、ろくな事しない連中よ。この先も何があるかわかったもんじゃないわ
アスベルああ…。慎重に進もう
ミラむ…。開けた場所に出たな…
アスベルここは…遺跡か?
カノンノ薄っすらだけど、灯りが点いてる…
リタこれが、ユグドラシルが言ってた零の塔なの…?
ルークんなわけねーだろ。ここ地下なんだぞ。塔ってのは、地上に建ってるもんだろ
リタそうとも言い切れないわ。文献じゃ零の塔は大昔に封印された事になってる
リタ封印されるような物は大抵の場合、同時に慎重に隠されるものよ
リタもし塔が文献通りのものなら、誰も見つけられない場所…
リタ海の底や地の底に隠す事だって、考えられるわ
リタユグドラシルは、大量のマナで塔を復活させるって言ってた。そしてあいつはここに来た
リタもしあいつがここで、ネックレスを使っているとしたら…
カノンノここが…零の塔の中…
ミラ大精霊の気配は、さらにこの下から感じる。ここは、埋もれてしまった塔の上層なのかも知れないな
ルークまだ下があるのかよ…
ミラああ、おそらくな。下に降りる方法を探そう
リッド扉があるぞ。おっと、これは上に行く階段だな
カノンノみんな、こっちにまだ下に降りられる階段があるよ!
アスベル…よし、とにかく、下に行ってみよう。ユグドラシルに追いつかなくては
リッドそうだな。こうなったら、とことん行くしかねえ
scene2零の塔
カノンノ降りて来たけど…。何だろう、この部屋。すごく嫌な感じが…
ミラむ、これは!?
カノンノどうしたの、ミラ?
ミラ大精霊の悲鳴が聞こえる…!
リッドおい!みんな、向こうを見てみろ!
アスベルユグドラシルがいたぞ!
ルークやっと見つけたぜ。今度こそ逃がさねえ!
リタユグドラシルがネックレスをかざしている球体は何…って…
リタまさか、あれは魔核!?
ユグドラシルほう…。ここまで来たのか…
ユグドラシルだが…もう遅い
リッド何をして…、くっ…!ネックレスの光が強くなっていくぞ!
リタ魔核に大精霊のマナを注ぎ込んでるんでしょ!それしか考えられない!
ミラマナを吸い取られた大精霊が、苦悶の叫びを上げている…!
カノンノひどい…もうやめて!
ユグドラシル大人しく眺めていろ。零の塔、復活の瞬間を…
ルークふざけんな!今すぐそのネックレスをこっちに返しやがれ!
ユグドラシルマナの注入が終われば、こんな物いつでも返してやる
リタその前に返せって言ってるのよ!
アスベルユグドラシル!お前の計画はここで止めてやる!
リッド世界の破滅なんてさせねぇ!
ミラ塔の復活などさせない!大精霊達も返してもらうぞ!
アスベルみんな行くぞ!
ユグドラシルくくっ…無駄な事を…
scene3零の塔
ユグドラシル
ミラ今度はどうだ…?
ユグドラシル私の力には到底及ばない…。何故、それが理解出来ない?
リタそんな…!
カノンノ信じられない…
リッド化け物か、こいつ…
ズズズ…
ゴゴゴゴ!!!
ルークうおっ!また地震かよ!?
リタしかも今までの中で、一番大きいわ!
アスベル何が起きているんだ!?
ユグドラシル…これで全ての準備は整った
ミラ魔核が輝いて…!?まさか、マナの流入が終わってしまったというのか!?
ユグドラシルくくっ、これは用済みだ。返してやろう
ヒュンッ!カツン…
カラカラ…
カノンノあ…!
リタネックレスの光が消えかかってる…!
ミラ…大精霊の宿るネックレスをぞんざいに扱うなど!
ゴゴゴゴ!!!
カノンノきゃっ!
ユグドラシル遂に零の塔が、復活の時を迎えたのだ
ユグドラシル世界はもはや、破滅から逃れる事は出来ない
カノンノどうしてそこまでして、世界を滅ぼそうとするの!?
ユグドラシルふっ…
リタ!?ちょっと、待ちなさいよ!ユグドラシル!
ズゴゴゴゴ…!
ミラまた地震が…!
ゴゴゴゴッ
ズドンッ、ガラガラガラ…
アスベル壁が崩れてる!?
ドドドドド…!
リッド崩れたところから、水が入って来てるぞ!
リタまさか…海水!?
アスベルユグドラシルは上に向かっていた。とにかく今はあいつを追いかけよう!
リタそうね。みんな、登るわよ!
ビシッ!
ガラガラガラ!
ドドドドド…!
ルークくそっ、あちこち崩れて、どんどん水が入ってきやがる!
アスベルすごい勢いだな…。早く上に向かわないと溺れてしまうかもしれない…
リッドこっちだ!この扉の先に上に向かう階段が…!
ガシャッ!
リッドっ!?開かねぇ!
リッドこの部屋って最初に入ってきた部屋だよな?
カノンノうん!登りの階段がこの先にあったよ!
ミラ鍵が掛かっているのか?
リタ塔にマナを注入した事で、塔の設備が機能し始めたのかも…。それともユグドラシルの奴が…
ドドドドド…!
ルークおいおい、どうすんだよ。立ち止まってる間に、ここも水に浸かっちまうぞ!
アスベル仕方がない…。階段の先がどうなっているのかもわからない。これ以上は危険だ
アスベルユグドラシルを追うのは一旦中止だ。元来た通路で地上に出よう!
ミラアスベルの言う通り、今はこの状況から脱する事が先決だ
リタ塔から出るわよ!みんな急いで!
リッド何とか…、外に出られたみたいだな
リタ助かった…
カノンノはぁ…はぁ…
アスベルカノンノ、大丈夫か?
カノンノう、うん…
ゴゴゴゴゴ…!
ルークまた、でかい揺れがっ!
ズズズ…!
ガラガラガラ…!
アスベル岩が崩れる!みんな、離れるんだ!
リタうっ、立ってられな…
リタ…!ちょっと、あれ…!
カノンノ何か、地面から出てくる!
ドドドドドド…!!
ドドド…!!
ドオオオン!
リッドあれは…
ルークまさか…
ミラ塔…?
アスベルこ、これが…
カノンノ
リタ零の塔…!

NameDialogue
scene1上へ
カノンノ…これが…
アスベル零の塔…
リッドこんなでっけえのが地中に埋まってたのか…
リタ
リタ信じられない。巨大な塔が丸ごと魔導器だなんて…
ミラ辺りのマナの流れが変わった。何なのだ、これは…
ミラ胸騒ぎがする。やはりただの塔というわけではないようだ
アスベルこの塔が「世界を破滅させる」とユグドラシルは言っていたな。兵器を搭載してるという事だろうか
リッドそれらしいものは見えねえが…
カノンノ
ルーク
ルークどうした、カノンノ
カノンノ私達が塔から脱出する時、壁や天井が壊れてきて、危なかったよね?
リッドああ。ボロボロ崩れてきたな
カノンノ私には、あの時壊れていたはずの塔の壁が直っていくように見えるんだけど…
ルークはあ?何言って…
ルークって、おい、マジだ!壁の穴が勝手に塞がってってる!
リッド信じられねえ。どういう事だ?
ルーク自分で自分を直してんのか?何なんだよ、この塔。気持ち悪いぜ
アスベルあれは塔の力なのか…?
リタどうやら、そのようね。自己修復機能を備えた魔導器なんて聞いた事もないけど
ミラ今まで見てきた魔導器とは一線を画す存在…
ミラ塔自体を攻撃しても無意味という事か
リタええ。修復が追いつかないほど強力な攻撃でも出来れば別でしょうけどね
リタどのみち、魔導器を止める一番確実な方法は他にあるわ
ミラあの部屋にあった、魔核を壊すのだな
リタ魔核は魔導器の心臓と頭脳を合わせたようなものよ。あれがなければ魔導器は動かない
リタ…二つとない貴重な古代の遺産、本当ならそんな事したくない
リタ…けど、仕方ないわ
カノンノ魔核って、ユグドラシルが大精霊のマナを注入したあの大きい球体の事だよね
アスベルそうか…
アスベルよし、なら俺達がやるべき事は決まったな
ミラああ。塔の魔核を壊すぞ。皆がいる、この世界を救うために
カノンノうん、私も頑張るよ!
リッド目的が決まったんならここで立ってても仕方ねぇ。さっさと行こうぜ
ルークよし、みんな俺に続け!すぐに上まで登って…って
ルークおいリッド!先に行くんじゃねー!
ミラ私達も続くぞ
scene2上へ
リッドここは…
ミラ最初に入った場所とは全く異なる…。ここが塔本来の最下層部なのだろう
ルークずいぶん広いな。天井もすげー高いし
リタ広いのはここが基部だからよ。さっき、塔の外観を見たでしょ?基部が大きく、上に行くほど細かった
リタ当然、上に行けば行くほど、内部も狭くなっていく理屈ね
リタ魔核のあったところはここよりかなり狭かった。という事は…
ルークすげー上の方って事か?マジかよ…
アスベル奥に階段が見える。あれを登っていけば、塔の上に行けるかもしれない
ミラそうだな。かなり高さはありそうだが、急ごう
アスベルしかし、静かだ。何が起きてもおかしくないと覚悟していたんだが…
ルーク全くだ。気合入れてた分、拍子抜けだっつーの
リッドユグドラシルの奴、何でオレ達に何もしてこねぇんだろうな
カノンノ私達の事、邪魔なはずだよね?
リタ相手にする価値もないって思われてるのかもしれないわよ
ルーク無視かよ。それはそれで腹が立つっつーの!ユグドラシルの野郎!
アスベルそれよりも気がかりなのは…
アスベル塔は起動されてるよな。なのに何故、何も起きてないんだ?
リッド
リッドそう言やそうだな…。あんなに世界破滅とか言ってたのにな
アスベルこの静けさが、かえって不安にさせるな…
ミラここまで来る間に何も起きなかっただけで、これから何があるかはわからないぞ
リタそうね。それに例え塔の機能を止められたとしても…
リタユグドラシルを野放しにしておいたら意味ないわ。あいつの事だからまた何をしでかすか…
リッドああ。塔の稼働を止めた後は、ユグドラシルを止める。絶対に、だ
カノンノうん。この世界を守る。大精霊のみんなと、約束したから
チャリ…
カノンノ…あれ?ネックレスが…
ルークおいカノンノ、そのネックレス、何かボーっと光ってんじゃねーか
カノンノまさか、これって…
ミラリプリカームだな。カノンノの手の内に戻った事で、大精霊の力が徐々にだが、戻りつつあるようだ
ミラ心配したが、大精霊達が無事なようで何よりだ…
リッドん?何だ、この光…
アスベル…?
アスベルこれは…宙に浮いて…
ルークよっと、…。掴めないな。実体はないって事か
リタ大精霊の力とかではないわけ?
ミラ彼らの力ではない事はわかる。皆まだ、動ける状態ではないからな…
アスベル…。悪いものではなさそうだ。特に異常も見当たらない
リタ気になるけど調べてる時間もないし、今は放っておいて先行きましょ
リッドそうだな。登りながら考えりゃいい
リッドっと、ん…?
グルルルルル…
カノンノ魔物!こんなところにまでいるなんて…
リタこんな塔の中にいる魔物…どんな力があるかわからないわ。みんな、気をつけて!
アスベルそう簡単には登らせてはくれないか
アスベルみんな、行くぞ!
scene1これまでの旅路
アスベル何だ、ここは…
カノンノ階段…?ううん、橋かな…?
リタここを進めっていうの?落ちたら助からない高さよ
リッドそれしかなさそうだが…。しかし、あの真ん中にある青い光のゲートみたいなのは何だ?
リタ何かの装置みたいね。移動用かもしれないけど、侵入者撃退用の仕掛けかも
アスベルどうだろう、探せば他の通路もあるかもしれないが…
ルークんな事言ったって、迷ってる時間はねーんだろ?
ルークためしに近づいて様子を見てみりゃいいじゃねーか
アスベル早まるなルーク!俺が行く
アスベルみんなはここで待っててくれ
ルークなっ、おいアスベル!一人でカッコつけようったってそうはいかねーからな!
アスベルあっ、ルーク!
ルーク…ほ、ほらみろ。何ともねーじゃねーか
ルークみんな早く来いよ!
ミラ相変わらずだな、ルークは。行くぞ
アスベルみんな無事か?さっき、光のゲートの下あたりでちょっとフラッときたんだが…
カノンノそういえば、私もほんの少し…
リッド足場が悪いわけじゃねぇし…。気味が悪ぃな
リタ自己修復すらやってのけるような塔の中だし、変な事されてなきゃいいんだけどね
ルークどうせもうやっちまったんだし、今さら気にしたって仕方ねーだろ。うだうだ言ってねーで行こうぜ
アスベルそうだな。ありがとう、ルーク
scene2これまでの旅路
リタそれにしても、ルーク。さっきは何もなかったからよかったようなものの…
ルークんだよ、お前らがぐずぐずしてっからだろ
リタだからって後先考えなしに動けばいいって事にはならないでしょ
ルークそのお蔭で余計な時間かけずに来れたんじゃねーか。感謝されたっていいくらいだっつーの
リタそれで周りに気苦労かけてりゃ世話ないって言ってんの
ルークっせーな。いつも無茶ばっかしてるやつにんな事言われたくねえぜ
リタ無茶ってどこがよ
ルーク忘れてんじゃねえ!グーベック山でルナとやりあった時だっつーの
ルーク術で注意引いて自分を囮にしてたじゃねーか。どっちが無茶だっての
リタ…あ、あれは…あの時はああするしかなかったんだし、しょうがないじゃない…
ルークしょうがねーじゃねえだろ
ルーク一人で危ない真似すんじゃねーっての!
リタその言葉、そっくりあんたにお返しするわ
カノンノ
ミラカノンノ、何を笑っているのだ?
カノンノやっぱり、日に日にみんながすごく仲良くなってるなぁって思って
ルーク・リタ!?
カノンノ仲間との絆があるからこそ、大変だった事や辛かった事もこうして話せるんだよね
カノンノクレスさんも、ミラも前に言ってたよね
カノンノ特別な話をしたわけじゃないけど、いつの間にか背中を預けられるほど信頼してたって
カノンノそれって、今のルークとリタみたいな感じなんだろうなって思ったら、嬉しくて…
アスベル仲間、か
リタやめてよ、そういうの
リタそりゃ、信用してなきゃそもそもこんなとこまで一緒に来ないけど…
リッド仲間とか、よくわかんねえけどこうしてここまで来てんだしそうなんじゃねえの?
カノンノ…リッドは私が大精霊の暴走を鎮められるか、不安になってた時、私の背中を押してくれたよ
カノンノそういうのが仲間って事だよね
リッドそうだったっけか…?覚えてねぇな…
カノンノセルシウスの暴走を鎮める時にね
カノンノほら、腹をくくる、だよ!リッド
リッド
リッドよく覚えてんな、カノンノ
カノンノえへへ、勇気をもらった言葉だからね
ミラそうだな。セルシウスの時は、リッドにもカノンノにも助けられた。改めて、礼を言う
リッドガラじゃねえけど…そう言ってもらえて嬉しいぜ
アスベル俺達はあの時、リッド達と分断されて、気が気じゃなかったな…
リタそうね、いくらファイアボールを氷に当てても焼け石に水だったし
リタそういえば大精霊の話で思い出したけど、クロノスの暴走を鎮めに行った時…
リタミラ、ルークの事、褒めてたわよね。短気でわがままだが、剣の腕は立つ、…だっけ?
ルークおい!何だよそれ。短気でわがままって、全然褒めてねーじゃねーか!
ミラいや、褒めているぞ?お前はまだ若い。未熟な部分があるのは当然だ
ミラたとえ未熟な部分があったとしても他の者と協力しあい、乗り越えていく。精霊も、それを見守っているぞ
リッドそうだな。オレ達は、欠点だらけの自分達を支えあって何とか生きてるっつー事だ
ルーク…なんかみんなして俺を言いくるめようとしてねーか?
リタま、ルークは置いとくとして、ミラ、あんたには苦手とかあるの?想像がつかないけど…
ミラ勿論だ。私もまた未熟…
ミラ以前、仲間を頼るという事を、ジュードに教えられてな…
ミラそれに加えて、この世界の現状だ。未来はいかにあるべきか、常に学び、模索せねば
ルーク…なんかミラって悩みも小難しいのな
リッド悩み、か…
アスベルリッド?
リッドいや、ふいにさ。リオンはずっとルイニス街の事で悩んでたんだな…と思い返しちまって
アスベルリオン…
カノンノリオンは…
カノンノ
アスベルリオンは命を懸けるなら、勝機のある方法を選ぶと、そう言っていたな
カノンノ…うん。あの時はリオンのお蔭で、ヴォルトの暴走を鎮められたけど…
カノンノ今は…
カノンノ……
ミラカノンノ、今はスタン達がリオンを見つけてくれると信じて、前に進むぞ
カノンノミラ…
リッドあんな頑固で意志の強いやつが死ぬわけねえって
ルークあいつならルイニス街の事が心配で死んでも生き返るんじゃねえか?
リタそう、かもね…
アスベルスタン達、それにリオンを信じて──
アスベル!?
ズ─ン…ズズズズズ…!
カノンノ塔が…揺れてる…
リッドこの揺れ、大きくなりそうだな…
リッドみんな、何かに掴まっとけ!
…ズズ…ガゴゴゴゴ…
…ズズ………ズ……
ルーク落ち着いたのか?
ルーク!?
ルーク光の粒が増えたぞ?
カノンノこの光…!集まりながら上へ登っていく…!
ミラまずい、何がきっかけかはわからんが周囲のマナも急激に流れ始めたぞ…この動きは…
ミラ
ミラまさか、いや…。しかし…
カノンノミラ?
ミラどうやらこの光の粒は、マナが可視化されたもののようだ
リッドこれがマナだって?ミラが見えてるものが、オレ達に見えてるって事か?
ミラいや、私はマナが感じ取れるだけでこの目で見ているわけではないのだ
ミラだが、私の感じ取るマナの流れと光の粒の流れを追ってみれば、全く同じ動きをしている
ルークへぇ…こいつが…マナってやつなのか
ミラ何故このような事になっているのかはわからないが、そうだと考えて問題なさそうだ
アスベルこれも塔の力のせいなのだろうか…。もしそれがミラの言うとおりなら…
アスベル俺達が今見ているように上の階層へと大気中のマナが移動している、という事だよな?
ミラああ、そうだ。しかし…
ミラここからは見えないが、上から降りてきているマナの流れも感じる
リタユグドラシルは魔核にマナを注入したわ。その魔核のマナじゃないの?
ミラいや、それとは異なるマナの塊を感じるのだ
ミラあの魔核からそのもう一つの塊へと、少しだがマナが降りてきている…
リッド別のマナの塊だって?
ミラ何なのだ、これは…
リッドそいつが何なのかはわからねぇ。でもよ、動きがあるって事は何かが起きる可能性はあんだろ
リッドさっさと確かめねぇとな…
ミラっ!?何だ…?
ミラもう一方の塊に流れ込むマナの量が急速に増えたぞ…!
アスベル…みんな、急いでくれ!
アスベル塔のこの揺れと、マナの動き、嫌な予感がする──
scene1一撃
ズズズズズ…ゴゴゴゴゴ…
ユグドラシルほう…始まったか
ユグドラシル零の塔よ、古に封印され忘却されたその真の力…いま存分に、解放するがいい
ユグドラシル…!
ユグドラシルくくっ、心地よい空気だ…
ユグドラシル愚かな人間共め、所詮お前達など歪みの元凶…
ユグドラシル自らの愚かさゆえにこの塔を作り、そして、その愚かさゆえに死ぬのだ。これが人の必然でなくて何であろう
ユグドラシル…私が望む理想の世界のために。まずはくだらん人間と、この世界を綺麗に片さなくてはな
ユグドラシルくっ…くくくくく…
ユグドラシルハァーッハッハッハッハ!
ユグドラシル私はここで、この世界の終焉を見物させてもらおう…
ズズズズズ…ゴゴゴゴゴ…
アスベル…!
アスベル光の粒の流れが速くなってきている…!
リッドまるで、何かに引き寄せられてるみたいだぜ
リタこれほどの技術が世界の破滅のためだなんて…!
ミラリタ、この塔は長い間封印されていたのだったな?
リタ少なくとも、古い文献にはそう書かれてる
リッド封印するくらいならいっそ塔を木端微塵にふっ飛ばしといてくれればよかったんだけどな
ミラ壊せないから、封じたのか…。この塔は余程恐ろしい代物なのだろう…
アスベルくっ…何だ!?急に光が…っ
カノンノ──っ!眩しいっ!
カノンノ光がどんどん集まって…
キュンッ!ギュイーンッ!
ルーク今度は何だ?変な機械音がするぞ!
リタ何、ルークっ!?うるさくて聞こえないんだけど!
リタこの上で一体何が起きてるっていうの!?
ズズズズズ…ズゥン…
アスベル…止まった…のか?
リッド…っ!みんな、屈めっ!
ルークえっ?どうしたんだリッド!?
アスベルあれは…っ!
アスベル上の階層を見てみろ!…光が、溢れて…!
アスベル──…っ!
キュイイィィン──…
ズドオオオオオンッッッ!!!!
全員なっ!?
ゴオッ!
リタわっ、風が!
カノンノ飛ばされるっ!うう…
ミラくっ!
リッド掴まれ、リタ!
アスベルカノンノ、こっちへ!
ルークミラ、手ぇ出せ!
…ビュオオォォ…
カノンノ風は落ち着いたね…
ルーク何なんだ、今のは……何がどうなったんだ
アスベル上の階層から、砲撃のようなものが放たれていた…。まさか…
リッド
リッドおい、みんな!あっちの方角を見ろ!
ルーク!?何だよ、あれ!
リタ大地が燃えてる!
リッド闇の中で、炎が燃え盛ってる一帯…。今の砲撃のせい、なんだろうな…
アスベル…ああ…。さっきの光の方角から言ってもそうだろう…
リッドこれが、この塔の力か…!
ミラくっ…!森だけではなく、民家にまで火が…!
ミラあそこに住んでいた者は…
ルークみんな、死んじまったって事か…!?
アスベル村も、人も…一瞬で…っ…
リタ何て力…これじゃ本当に世界が滅ぼされてしまう…
アスベル
アスベルそんな事は、絶対にさせない…絶対にだ!
カノンノアスベル…
アスベルすぐに出発しよう…!みんな、立てるか?
ルーク…なんか急に暗くなったな…
リタあれだけ光の粒が浮いてたのに、攻撃した後、消えたわね
ミラ消えたのは大気中のマナだけではない。魔核とは別のマナの塊も、だ
ミラ攻撃の瞬間にマナの塊が消え、その後大気中のマナの流れも止まった…
リッド大気中のマナを使って攻撃したって事か?
ミラいや、あくまであの攻撃は魔核に宿ったマナの一部を消費して撃たれているのだと思う
ミラこの辺りの大気中のマナ程度で、あのような破壊力を生み出す事は難しいだろう
ミラおそらく大気中のマナは、攻撃を放つ力を溜める時に引き寄せられた副産物にすぎないのではないだろうか
リタ…連続して発射されないところを見ると、一回の発射につきそれなりの時間が必要みたいね
リタ少なくとも、あたし達が塔の入口からここまで上ってくるくらいの時間はかかると見ていいはずよ
リタ塔が地上に出てすぐに攻撃出来なかったのも、起動で力を使ったからだと思う
アスベルこんな攻撃が何発も撃たれたら、世界は破滅だ…!
ルークなんて…なんて事しやがるんだ、許せねえぞ!ユグドラシルのやつ!
アスベル落ち着け、ルーク
ルーク落ち着いていられるかよ!俺達の世界を何だと思ってやがる!
ミラルーク、皆お前と同じ気持ちだ。誰もが危機感を抱いている…。同時にユグドラシルへの怒りもな
カノンノ私も…どうにかしなきゃって思ってる。大精霊の力を…こんな…!
アスベル俺達は、ここにいないみんなの気持ちも背負っている
リタそうね。余計な事を考えている余裕もないわ。とにかく上を目指すわよ
scene1背中を任せて
リッドふう、開けた場所に出たな
リッドん?何だここは…
ルーク雰囲気ががらりと変わったな。なんか気味が悪ぃ…
リタ不気味なくらい静かね。やたら広いだけで何にもないし…
アスベル奥に見える、あれが出口のようだな
カノンノ階段はここで終わってるから、この部屋を抜けるしかないのかな
アスベルああ、みんな、気をつけて進んでくれ
…ガコン…ガコン…
アスベル…ん、何の音だ?
バキッ…ガコンッ…ガココッ
リタあ、あそこ見て!壁が勝手に動き出してるわ!
ルーク何だ、あれ…どうなってんだ?
ヒュンッ…ドゴッ!
ルークうおっ!?危ねぇ!飛んできたぞ!
リッド壁にはまっていた石板が外れた!?
リタ何なのかはわからないけど…!あたし達を狙ってる…!?
ミラ…自己修復すら可能な塔だ。侵入者を排除する機能があっても不思議ではない
アスベルこの塔ならではの防衛装置か…!そして、侵入者というのは…
リッドオレ達って事だろ…っと!
ズガガガガガッ
カノンノきゃあぁっ!
ミラカノンノ、こっちへ!みんな、早く出口へ急ぐんだ!
リッドおいおい、さっきの石板が扉に集まって…出口を塞いでるみてえだぞ!
リタちょっと!入口もだわ!
アスベルこれは、俺達を閉じ込めようとしているのか…?
アスベルくそっ、しかしこう数が多くては…!
ルークただの石の分際で…この野郎!食らえ!
ガキイィン!
ドザァ…ッ
ルークおい、こいつら破壊出来るぞ!こうなりゃ、手当たり次第に叩っ切ってやる!
リタルーク、飛んでくるやつはあたしらに任せて、あんたは出口の石板を!
ルーク指図すんな!言われなくてもわかってるっつーの!
ルークおりゃああっ!
ドザッ…
ルークよし、行けそうだ!もう一回…
ルークん?
フシュウウッ
ルークなっ…こいつ、元通りになりやがった!?
リッド…また自己修復かっ…!キリがねぇぞ
ミラまともに壊していては体力を奪われるだけだ…!
リタって言っても、このままじゃ部屋からは出られないし、何か方法は…
アスベルカノンノ!俺の後ろに隠れろ!リッドはそっちを頼む!
カノンノう、うん!
リッドまずいな…。これじゃ袋のネズミだ
リッドルーク、出口はどうだ?
ルーク駄目だ、何度やっても塞がれちまう…!
ミラリタ、私達はこっちからくる石板を防ごう。ばらばらに動くと防ぎきれない
リタああ、もー!数が多すぎるわ!
アスベル…くっ!俺達を的確に狙ってくるな。まるでどこかから見ているみたいだ
リタ…そう、よね。何でこんなに…ユグドラシルが見ているとか?
リタそれとも、塔が自律して動作している…?
リッド…!?
リッドリタ!あれを見ろ!何か変だ!
リッドルークの少し左、その壁の上にあるあの石板だけが、動いてねえ
ルークん?本当だな。何かコレ光って…?
リタルーク、どいて!
リタファイアボールっ!!
ミラ!?石板の動きが一瞬乱れたぞ!
カノンノその石板が関係あるのかな?
ルークよおおし!
ザンッ…
ゴゴゴ…ギュルルルルルッ…
…ピシッ…
カノンノあっ!動きが全部止まった…!?
リッドやべえ!石板にヒビが…!降ってくるぞ!
ドガガガガガッ…!
scene2背中を任せて
ルークげほっ、げほっ…。すっげえホコリだ…やったのか?
リタうん…。ごほっ…みたいね…さっきの光ってた石板が親玉だったってわけ…
アスベルみんな、…いっつ…
カノンノどうしたの、アスベル?
カノンノ!手のところ、怪我してる…
アスベルカノンノ…心配いらない、大丈夫だ。みんなは、無事か?
ミラこちらは無事だ。出口を塞いでいた石板も崩れた。これで先に進めるぞ
アスベルやっと脱け出せたな。どうなる事かと思ったが…
ウォーン!グルルルルル…
全員
リッド魔物か…。まるで待ち構えてたみてぇに出てきやがって
ルークくそっ、休む暇もねえのかよ。…時間がねえ、倒しながら行くぞ!
scene1突き動かされる想い
ギャオオッ…!
アスベルこっちは今ので最後だ。魔物はまだいるか?
リッドいや、そいつで全部だ。向かってきたやつは退治しきったぜ
リタこうも度々出てくると、上へと進むだけでも消耗するわね…
ミラ…?ん?
ミラ誰か先に進んで魔物を倒してきたのか?
リタ先に?いえ、全員ここから動いてないはずだけど
ミラなら、あの魔物は誰が倒したのだ
ルークへっ?
リタこれは…魔物の死体…
カノンノわっ!いっぱい倒れてる…
リッド互いにやりあった…わけでもなさそうだぜ。見ろ…これは刃物によるものだ
カノンノじゃあ…私達以外にも別の誰かがこの階段を登ってるって事…?
ミラそうかもしれん
ルークユグドラシルのやつの仕業か?
ルークもし違うっていうんなら…誰だっていうんだよ?
アスベル…こいつらを倒した者が、俺達の敵でない事を祈ろう。こちらも急がなければ…
アスベル?何だ…
カノンノこれって…
アスベル光の粒が増え始めた…!しかも上に流れていくこの動き…
ミラ戦いに気を取られ、気付いていなかったが…
ミラ先ほどと同じだ…。再び魔核からもマナが降りてきて、塊となっている
リッド急いで登って来たけどよ、さっきの部屋でちょいとばかし時間を食っちまったっぽいな…
ルークくそっ、あんなもん何度も撃たせて、たまるかよ!早く行くぞ!
リタ待ちなさい。焦る気持ちはわかるけど、慎重さは忘れるべきじゃないわ
リタここであたし達が全滅したら、誰も塔を止められなくなるんだから
ルークんな事くらい、言われなくてもわかってるっつーの!
アスベル急ぎつつも慎重に行動しよう
ミラ砲撃が撃たれた場所は近い。みんな、心して進め
カノンノ…うん!
ビュウウウウッ
リッド何だ、この煙…。きなくせえな
リタ炎…それに、どこもかしこも崩れて自己修復中…
リタでも何で?
ミラ
ミラ中央にマナの集まっているところがある
カノンノ何かが浮いてるよ!
ルークずいぶん小せえな。箱…か?光の粒が集まってるな
アスベルこの部屋の核となるべきものかもしれない。あれは魔核か?
リタ魔核には見えないけど…。それに、この塔の魔核はもっと大きかったじゃない
ミラしかし、あれがマナを集めているのは確かだ
アスベルあの砲撃はどこから撃たれたんだろう…。それらしいものは見当たらないが
リッドこの箱にマナが集まってるんだろ。ならこいつが兵器なんじゃねえのか?
ルークこんなちっぽけなもんが、あんなすげー攻撃をするってのか?
リタ…!
リタまさか部屋の中から直接、発射するんじゃ…だから部屋がこんなに崩れて…
ミラ待て…!
キュイイイイイン…ギュイイインッ
カノンノ何!?この音…!
アスベルうっ…く…っ!光…がっ…!
ミラ…っ!
ミラ周囲のマナも引き寄せられている!攻撃をするつもりだ!
リッドやっぱりあの核が攻撃を…!早く壊すぞ!
ビュウウッ
ルーク熱っちぃ!熱風が…!
リッドそこに見えてるってのに近づけねぇ…!
ミラ壊さなければ…!
リタくうっ…っ…こんな至近距離で、あの攻撃を撃たれたら、あたし達もただじゃすまない…!
ビュウウウウッ
アスベル…っ駄目だ!今は一旦ここから退避しよう!攻撃の巻き添えになるぞ!
リッドあれを壊すのは後だ!
リッドここから離れろ!オレ達が死ぬぞ!
カノンノうん…!
キイイインッ…
全員──!
カッ──
ズドオオオオオオンッッッ
全員ぐぁぁぁっっ!!!
scene2突き動かされる想い
シュウウウゥゥッ…
アスベルいっ…つ…生きてる…
アスベル壁に、叩きつけられたか…。身体が…思うように動かない…
アスベル大陸が…。攻撃されてしまった…
アスベル!…そ、そうだ、みんなは…!?
ルークうっ…くそっ
リッドいってぇ…
ミラくっ…大丈夫か、リタ…?
リタありがと…あたしは何とか…
リタ…!カノンノ!カノンノは…!?
カノンノうっ…
アスベル…あんなところに…!カノンノ!大丈夫か!?今助け──…
ズズズズ…グラララッ!
リタ!天井が崩れ…危ない!
ドガアアアアン…ズズ…ズズズ…
リッドアスベル、このバカ野郎っ!後先考えず突っ込むな!
アスベル離せっ…カノンノを…助けないとっ!
アスベル…カノンノ!動けないのか!?
カノンノア…ス、ベル…
ズズズズ…
アスベルこのままだとカノンノが…っ、瓦礫に押し潰される!
リッドアスベル…落ち着け!死ぬ気か!?
ズズズズ…グラララッ!
ミラまずい…!崩れ落ちるぞ!!
アスベルくっ…
アスベルカノンノおおおっっ!!
???──ふっ!
ドガァンッ
ズゥゥン…
アスベル!?
リタあれ、は…
???──いつまでそこにいるつもりだ。さっさと立て、カノンノ
???それともお前はここで死にたいのか?
カノンノう…あ、あなたは…!
アスベルお…お前は──…っ
???
全員リオンっ!?
アスベルお前…っ、生きていたのか!
リオン…何を呆けている。腑抜けた馬鹿面を晒すな
リオン見てわからないか?生きているに決まってるだろう
リオンそれともお前達の目は節穴か?
ルークくっ、この嫌味な返し、間違いなく本物のリオンだ。この野郎、生きてたんだな…
アスベル…リオン!
アスベルお前がっ、お前が生きていて…本当によかった
リタ生きてるなら生きてるで早く顔見せなさいよね…!
ミラリオン、無事で何よりだ…
リッドああ、本当によかった…。お前一体どうやって助か…
リッド…っ!リオン!後ろだ!
グルウウオオオッ!
カノンノ魔物…!?
ザンッ!
リオンふん…。雑魚が。嗅ぎ付けてきたか
リオン時間もない…ここにいては、いずれにせよ倒壊に巻き込まれる
リオンお前達はあの出口からとっとと上に登る事だ
アスベルしかし…!二人を置いていくわけには…!
リオン分断された以上、個々に行動するしかないだろう
アスベルくっ…
リオン別の道は見つけてある。後で合流だ。カノンノは僕が連れていく
リタ…アスベル、出来るだけ早くここを離れた方がいいわ。リオンの言う通り、後で合流──
ズズズズズ…
全員
ミラ…修復機能があるとはいえ、この様子では、部屋の崩壊が先だ
リッドなら、今のうちに残した仕事を片すしかねえ。あの核を、壊すぞ!
リタちょっと、待ちなさいよ!あの状態の魔核に衝撃を与えたら、何が起きるか…
ルークんなの知るか!今壊さなくていつ壊すんだっつーの!!
リタそれは…
ズズズズズッッッ
全員!?
リッドちっ、言ってる場合か!はっ!
パキィィンッ
シュゥン…
リタ!!何も…起きない…?
ミラ壊せたな…。これで大陸を焼く、あの攻撃も止まる
ガララ…ッ
ルークいてっ!石が降って来やがった
リタ…今の核、この部屋の制御も受け持ってたみたいね
リタこうなれば、部屋全体が崩れるのもすぐよ!急いで!
アスベル…リオン!必ず無事に合流すると約束してくれ
アスベルカノンノを頼む!
リオンわかったから早く行け!ぐずぐずするな!
ドドドドドド……
ミラ何とか、脱出出来たな…
ルーク…ったく、どこまで意地が悪いんだっつーの、この塔は
リタ──でも、驚いたわね…。まさかリオンが、それもこんなとこに現れるなんて
ルークああ、まだ信じられねー気がするぜ。あいつ、実は幽霊だったって事はねえよな?
ミラ腕にまだ怪我を負っていた。以前、ユグドラシルからカノンノを庇った時のものが、完治していないのだろう
リッドよく見てるな、ミラ。しかし手負いの状態でカノンノを守り切れるのか?
アスベルリオンは後で合流すると言っていた。その言葉を信じて先に進もう
ルークそうだな。さっきの危ねえ核みたいなのは壊せたけど、まだユグドラシルがいるしな
ミラマナは相変わらず上に引き寄せられている…。やはり一刻も早く塔の魔核を壊すべきだろう
リタそうね。カノンノの事はリオンを信じて、あたし達も行きましょ
scene1戻らない理由
カノンノ…ご、ごめん、リオン。少し休憩してもいい、かな…
リオン
リオンつらいのなら我慢せず言え。いざ魔物が出てきた時足手まといになられても困るからな
リオン僕が周囲を警戒しておくからここで休め。あまりゆっくりは出来ないがな
カノンノ……う、うん、ありがとう、リオン…
リオン
カノンノ…本当によかった
リオンふん、この状況でか?おかしな奴だな
カノンノふふっ、違うよ。リオンが、生きていてくれた事だよ
カノンノ
カノンノ夢、じゃ…ないよね…。ふぅ…、はぁ…
リオン少し黙って、息を整えろ
カノンノうん…。そう、だね…
リオン……
カノンノ……
リオン…ユグドラシルは、上にいるのか
カノンノ…うん。みんなも、そこに向かってるはず…
チャリ…
カノンノ…また、みんなに心配かけちゃったな
リオン
カノンノリオンは、どうしてここに?スタン達には会えた?
リオンああ。なんとか岸にまでたどり着いて力尽きていたところにスタン達がやってきたらしい
カノンノ二人共、リオンの事をすごく心配してたから、見つかってほっとしたと思うよ
リオン
カノンノ本当に無事でよかった…
カノンノ!あっ、そうだ。リドウっていう人は…?
リオンリドウの事は知らん。だが、リドウはおそらく死んだのだろう…
カノンノ死んだ…!?
リオンスタン達から聞いたが、ミラが海上の氷とルイニス街の氷は同質だと言っていたらしいな
カノンノうん。私もその話は聞いたよ。あと、海を凍らせる必要があるのはリドウしか考えられないって事も
リオン奴は氷を溶かす方法を知らないと言っていた。にも関わらず海上の氷は溶け始めた
カノンノそうだね…
リオンとなれば、仕掛けた本人の力が消えたのだろう。死という形でな
カノンノ
リオンおそらくは、ルイニス街の氷も溶けているはずだ
カノンノでも、どうしてルイニス街には戻らなかったの?すぐにでも街の無事を確認したかったんじゃ…
リオンルイニス街の事は…。不本意ではあるが、スタンとアルヴィンに任せた
カノンノよかったの?
リオンルイニス街の氷が溶けたとしてもユグドラシルによって世界が破滅させられれば、意味がない
リオン奴を確実に仕留める…。僕はそのために来たんだ。お前達だけでは心許ないからな
カノンノ…ふふ、つまり、私達を心配して来てくれたって事だよね
リオン
リオン…それだけの口が叩けるなら、休息はもう十分だろう。出発するぞ
カノンノうん!
カノンノこっちにも道があったんだ!アスベル達に話してた別の道ってここの事だったんだね
リオンふん、僕が後先考えず動くわけがないだろう
カノンノそっか…あれ?リオン、見て…!壁や床に大きな割れ目が…!
リオンこれは…。人間業とは思えない太刀筋だな
リオンだが、故意に付けられたものだ。誰かが僕達よりも先に、ここを通ったのか…
カノンノこの傷跡、先にもあるよ。アスベル達は、ここを通っていないはずだよね…
カノンノそういえば、さっきも誰かが魔物と戦ったような痕跡があった…
リオンお前達が通る前にか?
カノンノうん…。魔物同士が戦った跡じゃないってリッドが言っていたよ
リオン…となると…
カノンノリオン?
リオンいや、何でもない
リオン何者が待っていようと、立ち塞がる者は切り伏せるまでだ。行くぞ
カノンノう、うん…!
scene2戻らない理由
アスベルここは、塔のどのあたりだろうか…。もう、かなり登って来たはずだが
ルークなーんもねえ…ん?いや、奥に扉だけがあるぜ
リタちょっと、迂闊に先に行かないでよ。もっと警戒して…
ミラ何もない…。それがかえって不安にさせるな
リッドん?扉んとこに光の枠みたいのがある…
リタ何か、これ…
リタ…え?
ルークうおっ!?何だ!?急に真っ暗になっちまった
アスベルみんな!無事か!?
リタぶ、無事だけど…何も見えない…。下手に動くと危ないわ
リッド本当にな…。目が慣れれば、少しは見えんじゃねえか…?
アスベル何の音もしない。静かだ…
アスベルとにかく、出口方面に進んでみよう…。確かこっちだったな
リタカノンノがいたらルナの光で…
リタあたしの魔術で火でも出す?誰か火だるまにしちゃうかもだけど
リッドミラの四大精霊でも無理か?
ミラふむ、ではイフリートに火を灯してもらおうか
ルークそりゃ助か…
ジジ…ジジ…
アスベルん、ルーク?
……
アスベル返事が途切れた?急に気配が…
アスベルおーい!みんな、聞こえるか?
……
アスベル…くっ、どうしたんだ?
アスベルルーク!リッド!リタ!ミラ!大丈夫か?返事をしてくれ!
……
アスベル…一体どうなって…!
カノンノ
アスベル…!
カノンノ
アスベルカノンノ!?
アスベルどうして…。追いついてきたのか!リオンはどうし…
カノンノうん、アスベルに言いたい事があって
カノンノ…あのね、アスベル
アスベルどうした、カノンノ?どこか痛む──…
カノンノ私…思ったの。もうこれ以上頑張らなくてもいいんじゃないかな
アスベルえっ、カノンノ…何を言って…
カノンノ私達がどうあがいたって世界は破滅するんだよ
カノンノ一緒に消えようよ、アスベル
scene3戻らない理由
リタ──みんな、どうしたの!?
リタさっきまで傍にいたはずなのに…
リタ誰か、いるなら答えて!
リタ!?
ルークはぁっ!
ガキィィンッ
リタルーク!?
リタ…くっ、あんた何してんのよ!ふざけるにも限度があるわよ!
ルークふざけてんのはお前の方だろ?俺はお前を助けてるだけだっての!
リタ助ける?思いっきり攻撃してきたじゃない!っていうか、みんなは…
ルーク逃げたんだろ。正解だぜ。このまま先に進んでも世界なんか救えねーからな!
ルーク家に帰って寝てりゃ、その間に全部が終わる。そっちの方が何も考えなくていいから楽だろ?
ルークリタも、塔を登るのは諦めて、ここから逃げようぜ。あー…面倒くせー…
リタ……
リタ先に謝っとく。ごめん、ルーク
ルークは?
リタはぁっ!
ルークくっ、何すんだよリタ!
ドゴォッ!
ジジ…ジジジ……
リタ!やっぱり、変だわ。今、あんたの身体が蜃気楼みたいに揺れた…
リタそれってあんたに実体はないって事よね
ルークはぁ?実体とか、蜃気楼とか、わけわかんねぇ!
ガキィィンッ!
ジ…ジジ……
リタ
リタまた!やっぱりあんた、ルークじゃないわね
リタあんたは幻影よ。映し出されただけのルークの偽者!
ルーク偽者?何言ってんだ。俺は俺だろ
リタ全然違うわよ!
リタルークは馬鹿だけど、あんたみたいな馬鹿とは違うの。クロノスと戦った時みたいにね
リタ諦める?逃げる?ここまで来て、あいつがそんな事言うとか、ありえないわ!
ルークちっ!
リタ偽者は消えなさい!
リタファイアボールっ!!
フシュウウウウウッ…
リタ…。消えた…
リタあれ?ここって…最初に見えた奥の扉の先?
リタ通り抜けられたって事?
リタ…誰もいないわね
リタあの部屋を抜けられたのは、今のところあたしだけって事かしら
リタにしてもあのルーク、中身は本物と違ってたけど、姿は完璧に再現出来てた…
リタそっくりな人間を映し出す…。どんな仕掛けなのかしら──…
リタあっ!
リタそういえば、リッドがここの扉に、光の枠っぽいのがあるって言ってたわね
リタ扉…光…で考えられるのって…
リタ!!
リタもしかして、あたし達が塔を登る途中でくぐった光のゲート!?
リタあのゲートをくぐった時身体がふらっとするような感覚があった…
リタそれって、あの時にあたし達の情報を読み取ってたって事なんじゃ…
リタこの仕掛け、読み取った情報を利用して、仲間割れさせて同士討ちさせようって罠なのかしら
リタはぁ、自滅させようなんて趣味が悪いったらないわよ
リタでも、今のあたし達なら大丈夫よ。きっと、ね…
scene1真偽の行方
ルーク──何だよ、みんなどこ行っちまったんだ?
ルーク出口もわかんねーし、右も左も見えねーし、ああ、くそっ!
ジジ…ジ…
リッドん?何だ、ルークか
ルークリッド!?
ルークおい、お前どこにいたんだよ!つか、急に出てくんな!びっくりするだろうが!
リッド悪い、迷っちまって…
ルークはー…よかったぜ。このまんま誰も見つかんねーんじゃねーかって…
リッドところでルーク、お前は何で塔を登って来たんだ?
ルークあ?何言ってんだよ。魔核を壊して、ユグドラシルの野郎をぶっ飛ばして、世界を救うためだろ!
リッドいや、違うな
リッドオレ達は塔を降りた方がいい。そうだろ、ルーク!
ザンッ
ルークなっ!?…リッドてめえ、何しやがんだ!
リッド避けたか。グズのルークにしては出来すぎだな?
リッドいつもみんなの足手まといでピーピー言ってるくせに
ルークな、何だと、お前何言って…
リッドわかんねえ奴だな。オレ達に何度迷惑をかけりゃ気がすむんだ。いい加減お前に愛想尽きているんだぜ
ルークなっ…何だよ、言いたい放題言いやがって!
ルークだいたい、てめえ、今までそんな事、一言も…
ルーク…一言も言った事…ねえぞ
リッドどうせお前には何にも出来ねぇ。ならオレ達に任せてさっさと塔を降りるんだな!
ガキィィンッ!
ルークうわっ、っとと…
ルーク…おい、リッド。お前、何か変だ
リッド変?
ルークお前って、すげー前向きってわけでもねぇけど…それでも、後ろ向きって感じでもないだろ
ルークそれに、俺には負けるけどよ、何だかんだ言いつつ、お前だってここまで来たんじゃねーか
ルークなのに、らしくねー事ばっか言いやがって!そうじゃねえだろ!
ルークリッドはそんな事言わねえ!
ルークまさか操られてんのか?
ルークでなきゃ…お前は偽者だ!
リッド偽者?何でお前にそんな事言われなきゃいけねえんだよ
リッド甘ちゃんで、世間知らずで、何もわかってないお前に、偽者呼ばわりされる方が頭にくるぜ
ルークうるせえ!!あいつは俺と一緒に世界を救うんだよ!
ルーク俺もあいつもそのために腹くくったんだ。お前なんかがごちゃごちゃ言うな!
ルークてめぇなんか絶対、リッドじゃねぇ!
リッドそうやって都合のいいオレしか信じねぇって事か
リッドはぁっ!!
ガキィィンッ…!
ルークあいつは誰かを邪魔だとか足手まといとか言ったりしねえ!
ルーク面倒臭そうにしてても仲間を放っておけねえのがリッドだろうが!
リッドくっ…
ルークうおおおお!!
ミラ──皆、無事か!?誰の声も聞こえない…
ミラしかも、妙だ…。四大の声も聞こえない…。困ったな…
カツン…カツン…
ミラっ…誰だ!
リタそんなに驚かないでよ。人を化け物か何かみたいに。失礼ね
ミラそ…そうか。すまない
ミラ目が慣れたのか、姿が見えてきたな。リタが無事でよかった
リタ当たり前でしょ。こんなところでぐずぐずしてるわけにはいかないもの。他のみんなは?
ミラそれが、はぐれたみたいでな。声も返ってこないのだ
リタふーん、なら無闇に動かない方がいいわね
ミラこのままここに…か?
ミラいや、とにかく皆と合流して先に進まなければならないだろう
リタ先に進むって…この暗闇の中を?どこに行くのよ。右?左?わからないでしょ?なら…
リタここにいるのが一番いいわ。何もせずに、誰かが来るのを待ちましょ
ミラ…何もせずに、だと
リタそういう事。何もしないのが一番安全だわ
ミラリタ、…お前が慎重に進んだ方がよいと考えていたとしても何もしないは、おかしいだろう
リタどうして?突破口が見えないなら、じっと待つのも一つの手じゃない
ミラリタ…?
リタそれにこの塔は古代の知恵の宝庫よ。危険だからってだけで壊すなんて、間違ってる
ミラ
ミラなぁ、リタ。聞いてくれ
リタ何よ、急に
ミラ私はな、お前と自分が少し似ていると感じる事が時々ある
ミラ上手くは言えないが、頑固なところというか…そうだな
ミラ不器用と言った方が正しいかもしれん
リタ不器用?
ミラリタ、お前はいざとなれば自分が危険へと飛び込む。ルナの時のように
ミラ私も…時折、守りたい者のためなら自分の事など忘れてしまったかのように行動してしまう
ミラリタはルークの事を、後先考えないと言うが…案外私達の方が考えてない部分があるのかもしれんな
リタ…それがどうしたってのよ
ミラリタ、本来のお前であればここに留まる提案などしないはずだ。何故なら…
ミラ私もここに留まるべきではないと思っているからな…
リタは?ばっかじゃないの?自分とあたしが似てるからって事?
ミラああ。行動を共にしてきたからこそわかる
ミラリタは、必ず先への道を探す。大切な者を守るためなら、立ち止まる事など考えにもないはずだ
ミラその信頼は揺るぎない
ミラだからリタ…いや、リタの偽者よ
リタ
ミラ本物のリタをどこへやったのだ?
ミラ答えないというのであれば、少々手荒な真似をさせてもらうぞ
リタ…そんな必死になって、馬鹿っぽい
リタ何で進むのよ。死ぬかもしれないのよ?ここに留まれば安全なのに
ミラ進まねばならぬ理由があるからだ。さあ、リタはどこなのだ?
リタどうだっていいじゃない。あんたはここにずっといるんだから
ミラ行く手を阻むというのであれば致し方ない
ミラお前を倒して、前へ進ませてもらう!
リッドおーい
リッド…はぁ。みんなどこ行ったんだ?無事でいるならいいけどよ…
アスベル──はっ!
リッド!?
ガキィィンッ!
リッドくっ…あ、アスベル!?
アスベルはぁっ!
リッドちっ、何がどうなって…
リッドおい、アスベル!目ぇ覚ませ!
アスベルふっ!
キィィンッ!
リッドくそっ、アスベルに攻撃出来るわけねぇだろ!やめろ、アスベル!
アスベル俺は騎士として、守らなければ。この塔を…
リッドぐっ…この塔を…だと?
アスベル…無駄だリッド。このまま進んでも、お前達に世界を守る事など出来ない
リッドっ!何だ、それは…アスベル、お前らしくねぇぜ!
リッド出来るか出来ねぇかは関係ねぇ。やるか、やらないかだろ!お前は…っ!
ガキィィンッ!
リッド守りたいもののためにっ!真っ直ぐなヤツだろうが!
リッドはぁっ!
ガキィンッ!
リッドちっ、本当にどうなって──
リッド!?
リッドおい、アスベル!お前、さっき怪我してたはずだよな?
リッドそいつが何で、綺麗さっぱり治ってんだよ!
リッドはぁっ!
ガキィィッン
ジジ…ジ…
リッドアスベルの身体が揺れて…
リッドはっ、やっぱりな。アスベルじゃなかったってワケか
アスベルくっ…
リッド幻であっても、その姿でらしくねぇセリフを言われたかねぇぜ!
リッド…くらえ、閃空双破斬!
ズバアァッ…!
scene2真偽の行方
リタ…リッド!
リッドリタ!みんなも、無事か?
ミラ大丈夫だ、問題ない
ルークああ。すぐに脱出して…
ルークって、おいリッド、お前、本物だよな?
リッド何を言って…
リッドって、そうか!ルークはオレの偽者と戦ったってわけか。オレはアスベルだったが…
ミラアスベルの偽者だと?
リッドああ。にしても何なんだ、あれは…
リタあたしのところにも偽者が出て来た。あれはきっと、あたし達の姿を模して塔が生み出した幻影よ
ルークマジかよ。どうやってそんなの作り出したんだ?
リタ下の部屋で通った、あの不自然な光のゲート…覚えてる?あの部屋の入り口にもあったわ
リタあそことここは多分繋がってるのよ。最初のゲートであたし達の情報を得てあの部屋で幻影を見せたのね
リッド最初あのゲートをくぐった時、いやな感じしたよな…。あの時何かされたんだな
リッド手の込んだ事をしてくれるぜ、全く…
ルークおい、それはいいけど、アスベルはどうしたんだ?
リッド来ないな…。幻影に苦戦しているのか…
アスベル──カノンノ頼む、やめてくれ!
カノンノ全部あなたの自己満足じゃない!もうたくさん…!
キィィンッ!
アスベルさっきから何を言っているんだ?いつも明るくて、前向きなお前が…
カノンノ明るくして、笑っていないと置いて行かれるから。一人になっちゃうから…
カノンノ考えるのが怖くて、ずっと逃げて前向きなフリしてただけ
アスベル
カノンノずっとみんなの顔色をうかがっていたの
カノンノ守ってくれなんて頼んでいない!
アスベルカノンノ、お前はそんな事を思って…
カノンノアスベル、もう終わりにしたい…
カノンノ一緒に消えて!
アスベルくっ…、カノンノ!
キィィンッ!
カノンノみんなに会う前の事なんて何もわからない。弱くて、何も出来なくてみんなの足手まとい
カノンノみんなといていいの?自分に何が出来るのかわからない…
カノンノ記憶がない私なんてっ!
アスベル…?
アスベルカノンノ…それは…本当にお前自身の言葉なのか?
カノンノ…そうだよ。アスベル
アスベル…カノンノ、お前は覚えてるはずだ。俺達が出会い、そしてここまで歩いてきた旅の事を
アスベル初め、記憶がないお前を心配していたのは俺の方だ
アスベルでも、お前は記憶を見つける事よりも俺達と一緒に行きたいと言ってくれた
アスベル俺達とこの世界をもっと知りたい、守りたいと──…
カノンノやめて…やめて…!そんなの全部嘘よ!
アスベル危険な目に遭うと心配する俺に大丈夫だと笑顔で言ってくれたよな
ガキィィンッ!
アスベル俺は、その笑顔を見て、どんな事があろうともカノンノを守ると決めたんだ
カノンノぐうっ…
アスベル俺は、ずっと笑顔のカノンノに勇気付けられていたんだ。そんなカノンノが…
アスベルここまで来て、自分の気持ちを見失うはずがない!
カノンノあなたに何がわかるの!?
カノンノ私だって消えてしまいたい時がある!いつでも明るいわけがないっ!
アスベルだったら、もっと早く投げ出す事も出来たはずだ。俺はずっと一緒にいたからわかる!
アスベル今ここにいるお前は俺と旅をしてきたカノンノとは違う…
アスベルお前は…カノンノじゃない!
ガキィィンッ!
カノンノアスベ…ル…っ!
アスベル俺はこの世界を救う…!カノンノも、みんなもいるこの世界を…!
アスベルカノンノが待っている!俺はこんなところで立ち止まってはいられない!
ジジ…ジ…
カノンノア…スベル…。どう…して…?私の何がわかる…の…?
アスベルカノンノ…
リタあっ、来た!遅いじゃない、アスベル!
アスベルみんな!先に出ていたんだな。すまない…
アスベルカノンノにそっくりな幻影が出てきたんだ…。焦ったよ
ミラそれなら、私達も似たような事が起きていた
アスベル!本当か!?
リッドオレはアスベルと戦ったぜ。本物とは比べ物にならねぇほど駄目なヤツだったけどな
ルーク俺のとこはリッドだったけどよ…
ルークだー!やっぱり思い出したら腹が立ってきたぜ!
ルークおいリッド!お前、俺の事さんざん馬鹿にしやがって!
リッドはぁ!?それは、オレじゃないだろ!
リタあたしを襲ってきた偽者のルークは、世界なんか救えるわけない、とか言ってきたわよ
リタったく、だらしないわよね
ルークんな事言ってねぇ!俺じゃねぇっつーの!
リタそうね。あたしもそう思ったから遠慮なく焼き尽くしてやったわ
ルーク…本当にわかっててやったんだろうな
ミラ
リタミラには、誰の幻影が出てきたわけ?
ミラ…リタだ。リタらしくなかったが…故にいろいろと考えさせられたな
ルーク俺はムカつく話ばっかで、考えるまでもなかったけどな
リッド相手によるんじゃねえか?オレは馬鹿馬鹿しくて聞いちゃいられなかったけどな
アスベル
ミラアスベル…?
アスベル確かに、カノンノの顔と声で、あんな事言われると…考えてしまうな
ルーク何だよ?何言われたんだ?
アスベル…。例え偽者だったとしても、言われた言葉に一瞬はっとしたんだ…
アスベル明るく、笑っていないと一人になるからって…守ってくれなんて頼んでないと…
アスベル俺は、ちゃんとカノンノの本当の気持ちや望みを理解していたのかと思って…
リタアスベル、あんたまさかその言葉を信じるの?
アスベル
アスベルそれはないが…
リタならいいわ。それを信じるなんて言ったら一発殴ってやるところよ
リッドリタの言う通りだな。あれはこの塔が作り出した幻だぜ?
ミラそうだ。その言葉を信じてしまうという事は、本当のカノンノの信頼を裏切ってしまう事にもなる
ルークだいたい、アスベル、お前が迷ってどーすんだよ
ルークカノンノを信じろっつーの!
アスベル
アスベルそうだよな。みんな、ごめん。お蔭で目が覚めた
ルークっていうか、まさかこんな簡単に惑わされるなんて、お前本当にアスベルなのか…?
アスベルはは…。ちゃんと俺だよ。みんな、ありがとう。もう大丈夫だ
アスベル俺は、カノンノを信じてる。みんなの事もな
リタほらほら!先を急ぐわよ!待ちくたびれたわ
アスベルすまないな、リタ。行こう!
リッド…ミラ、魔核はもう近いんだよな
ミラああ。このすぐ上にマナを引き寄せる大きな塊を感じる。大精霊のマナを注がれた魔核だ
アスベルそうか、急がなければ…
アスベル
ミラ…アスベル、何を考え込んでいるのだ。さっきのカノンノの事か?
アスベル
アスベルすまない、紛らわしい態度を取ってしまったな。違うんだ、ミラ
ミラ違う?
アスベルああ、カノンノの事はみんなに言ったように、信じている。それとは別で、何というか…
アスベル今までの旅、これまでの出来事が急に頭の中を巡ったんだ。特に、すべての始まりの、あの時の事が
ルークあの時ってーと、カノンノと出会った時の事か?
アスベルそうだ。あの時…カノンノは戦場に倒れていた。その後バロニアまで戻って…
アスベル…。故郷やリチャード…みんなを守りたい。最初はただ、それだけだったんだ。でも…
アスベルこの世界の危機に触れ、それを必死で何とかしたいと旅をして、みんなとも出会った…
アスベルそして今、俺はみんなと…仲間と、ここにいる
アスベル俺は…大切な人々のいるこの世界を守り抜きたいだけなんだ。それはずっと変わらない
ミラ…そうだな。私も、アスベルと同じ気持ちだ
リタ心配しなくても、そう思ってんのはあんただけじゃないわ
リッドオレもな。この世界には、平穏が一番似合うぜ
ルークまあアスベルだけじゃ不安だからな。特別に俺も最後まで付き合ってやるぜ
アスベルみんな……ありがとう
ミラ皆、気持ちは固まっているようだな。後はやるべき事を成すだけだが…
全員
グォオオオオオゥッ…
ルークここまで来て魔物かよっ!
リッドおい!あの魔物の背後…。あれが魔核の部屋に通じる階段か?
アスベル時間が惜しい、正面から突破する!みんな、気を付けろ!
ああ!
scene1魔核
ルーク…ついに来たな
ブゥウウウン…
アスベル…魔核…
リッドずいぶん禍々しくなりやがって…。早いとこカタつけようぜ
ルークユグドラシルもいないようだしな。やっちまおうぜ!
ゴゴゴゴゴゴゴ…
ルークうおっ…!な、何だ!?すげえ光だ…!
ルーク光の粒子がどんどん集まって…
ミラ
ミラ魔核のマナの流れが変わった!?
ミラここよりもさらに上に集約されはじめている。ユグドラシルが向かったところか…?
ミラしかも…!このマナの量、大精霊のものに匹敵するぞ!
リタそれって…でもそんな莫大な力、一体何に使うっていうの…?
リッド道中にあった兵器みたいな奴は確実にぶっ壊したはずだ。なら、こいつは…
リタあれよりもはるかに強力な攻撃のために準備している…?世界を破滅させるほどの…!
ミラ先ほどの攻撃とは魔核から送られるマナの量が桁違いだ
ミラ先のものでも地域一帯を焼き尽くすほどだった。今度のは止めなければ、世界がなくなるぞ…!
リタ上まで行って探る時間はないわ!
リタ今すぐ攻撃を止めるには、この塔の機能を止めるしか…
アスベルつまり、この魔核を破壊するしかないという事だな
アスベルよし、いくぞ、ルーク!
ルーク任せろ!くらえ、デカブツ!
バシーン!
ルークぐあっ!?
ルーク何だ、見えない壁みてーなのが…
リタルーク、アスベル!気を付けて!魔核にシールドみたいなものが…
リタ…きゃっ!
バシュウッ!
リッドうっ…!何か飛んできたぞ!
アスベル光線か!魔核自体も攻撃するのか!?
リッドそう簡単には魔核には触らせてもらえねえか!
ミラこのシールドを壊すしかない…。リッド、側面を頼む!
リッドああ、わかった!
リッドルーク!お前は反対側だ!
ズバババババッ
アスベル!魔核からの攻撃が激しい…!
ズバババババッ
ルークこれじゃ、シールドに当てるどころか、近づく事も出来ねーじゃねーか!
リタよく見て!どこかに攻撃の隙があるはずよ!
ルーク隙だあ!?簡単に言うなよ!
バシュウッ!
リタ当てた…!けど…!
リッド…いや、まだ弱い!もっと食らわせろ!
アスベルわかった!──今だっ!
ズバババババババッ
ミラ何!?攻撃がますます激しく…!
リッドぐっ…!一旦退くか…!?
ルークくそっ、避けるだけで、手一杯だぜ!
ミラしかし…こいつを止めないと…!
キュイイインッ──…
アスベル力を溜めている…!?
アスベルみんな、下がれ――…!!
scene2魔核
ドオオオオンッッ!!
ビシッ!ビシビシッ…!
全員!?
ミラ…シールドが、消えた…!?今のは誰が──!
リオン数に頼んでこのザマか。全く…
ルークリオン!?
リオンあれくらいの攻撃に手こずるとは情けない
リッドリオン、お前…!
リオン何だ、約束は守っただろう。来るのが遅かったとでも言うのか?
ミラ無事で何よりだ…
ミラっ!という事は、カノンノも無事か!?
カノンノ私もいるよ!待たせてごめんね、みんな!
アスベルカノンノ!…二人共、無事でよかった!
ルークったく、お前ら、心配かけてんじゃねーよ!
リッド憎まれ口は相変わらずだな…
ヴヴ…ヴヴヴ…
リッドおっと!魔核がまた動き始めたぞ!
リタ再会を喜ぶのは後ね!
リタシールドはなくなったけど…!攻撃が余計激しくなった…!
リタリオン!魔核に叩きこめる!?
リオン誰に言っている。当然だ!
カノンノアスベル、私も頑張るよ!援護するから!
アスベルリオン…カノンノ…!
アスベルああ!ありがとう!
リオンアスベル!今はこいつを破壊する事に集中しろ!
カノンノリオン…そうだね!絶対に──…!
アスベル
カノンノ?アスベル?どうしたの?
アスベルカノンノ、俺はカノンノの事を信じてるからな
カノンノ…うん!私も、アスベルの事…信じてるよ!
ミラこれは、一人の力では無理だ!全員、一気に全力をぶつけるぞ!
ルークおう、渾身の一撃をお見舞いしてやるぜ!
リッド任せろ!
アスベルみんな、魔核に一斉攻撃だ!行くぞ!
全員ああ!
scene3魔核
ズバシュウウウウッ…!
ブゥウウ…ゥンン…
カノンノはぁっ…はぁっ…魔核の動きが…
ルーク止まった…のか…?
ゴゴゴゴゴ…
バキイインッ
全員
アスベル魔核が…
リッド何とか壊せた、な…
ルーク塔の、世界を破滅させる攻撃は、止められたんだよな…?マジで死ぬかと思ったぞ…
ミラっ!マナが…!
カノンノミラ?
ミラ魔核に留まっていた、膨大な量のマナが散った…!
カノンノ
ミラ魔核が壊れ、マナがなくなった事で、この塔にはもう攻撃する力は残っていないはずだ
ミラ現に上昇していたマナも、次第に流れを止め、散り始めている…
カノンノ本当によかった…!私達、ちゃんと止められたんだよね
リタこれで…今度こそ、この塔は魔導器としての機能が失われたはずよ
リタ…でも、あたし達がやるべき事がまだ残ってる。そうでしょ?
アスベルああ。この瞬間の、世界の破滅は免れたが…
リオンまだ、終わってはいない…。奴を──
???…やはり、貴様達か。魔核を壊したのは
アスベルこの声は…!
カノンノユグドラシル…!
リッド奴の姿の一部が、蜃気楼みてえに揺らいでるぜ…
リタあたし達が真っ暗な部屋で戦った幻影と同じ仕組みを使って、姿を現してるんだわ
ミラこやつに攻撃しても意味がないという事か
ルークはっ!残念だったな、ユグドラシル!魔核はもう、ぶっ壊したぜ
ユグドラシル…そのようだな。人間風情が、小癪な真似を…
アスベル魔核は失われた。この塔による世界の破滅は起こらない。あとはユグドラシル…お前を止めるだけだ!
リオンどうした。怖気づいて、偽の姿しか見せられないのか
ユグドラシル…ほう、貴様生きていたのか
リオン
ミラユグドラシル、お前の負けだ。大人しく…
ユグドラシルくくっ…くくく…
ミラ…何がおかしい
ユグドラシルまぁいい…遊びがすぎた。どうやら、このガラクタを当てにしすぎたようだな…
リタふん、そのガラクタに必死になってたくせに。あんたのせいで貴重な古代の魔導器が失われたわ
ユグドラシル威勢のいい事だ。そこで吠えているがいい、人間
ユグドラシルいずれにせよ、世界は滅ぶ。塔の力ではなく、この私自身の力によってな
リッド!待て、ユグドラシル!どこにいる!オレ達から逃げるのか!
ユグドラシル…逃げるだと?ふっ、笑わせるのも大概にしろ
ユグドラシル…私は塔の最上階にいる。来たければ来るがいい、貴様らごときに逃げも隠れもしまい
アスベル…くっ!ユグドラシルの元へ向かうぞ!
ルークああ!今度こそぜってー逃がさねえ!
リオン
アスベル…リオン、ありがとう。カノンノを助けてくれて
ルーク全く、よく生きてたよな。てっきりもう駄目だと思ったぜ
リッド崖から落ちた後、あれからどうなったんだ?
リオン後にしろ。無駄話をするつもりはない
カノンノあのね、スタンとアルヴィンがリオンを助けてくれたんだって!あと──
ルーク──なるほどな
リタやっぱりルイニス街の氷は、もう溶けたって事ね
リオンそう考えるのが自然だろう
リッドよかったな、リオン!それで、今度はオレ達を助けに来てくれたのか…
アスベル本当に、来てくれて助かった。ありがとう、リオン
リオンお前達だけでは不安だからだ。それに…
リオン全ての元凶、ユグドラシルを倒す。僕はそのために、ここへ来た
ルーク当たり前だ。ユグドラシルなんかに世界を好きにさせてたまるかってんだ!
カノンノ私達が止めなきゃ。もうこれ以上、人を死なせたくない
リタ魔導器を使って人々を苦しめようとする奴は、あたしが許さないわ
リッドユグドラシルを倒して、のんびり暮らせる世界に戻りてえな
ミラああ、マナを減少させ、この世界を乱す者をこれ以上野放しには出来ない
アスベルここは…初めてこの塔に入った時に来た部屋…?
ルークユグドラシルはここじゃねえのか。じゃあ、もっと上か?
リタみんな、あれを見て
カノンノ扉が…開いてる!!前に塔から脱出しようとした時は、開いてなかったのに…
リタ…?魔核を破壊したからかしら。…それとも…
ミラアスベル。その先はどうなっている?
アスベルまっすぐ上に続く階段だ。おそらく、この先にユグドラシルがいる
リッド…いよいよ、だな
アスベルよし、みんな。行こう
scene1終わりと始まり
カノンノふう…ふう…
ミラ大丈夫か?カノンノ
カノンノあ、うん。平気だよ
リッドこの階段、長ぇな。そろそろ最上階に着いてもいいんじゃねえか?
アスベル最上階か…そこにユグドラシルがいるんだな
ルーク今までの借りを全部返してやる。首を洗って待ってろよ、ユグドラシルの奴!
リオン…あいつだけは絶対に許すわけにはいかない。必ず、僕が仕留める
リタあんた一人で先走るんじゃないわよ。あたしら全員でやるんだから
ミラここにいる者だけではない、この場にいない仲間達の想いも私達は背負っている
ミラその事を忘れないようにしなくてはな
アスベルああ、そうだな。みんなでこの世界を救う──
アスベルそのために、ユグドラシルを倒さなければならない。何としてでも…
リオンここは…
リッドお前も気付いたか、リオン
リタ何よこれ…気温は変化ないのに、この階に来た途端、急に何だか…
ルークくそっ、肌がちりちりしてうぜえったらねえ。なあ、これって…
ミラ奴はこの階にいる。そう考えて間違いはあるまい
リッドやれやれ。いよいよ大詰めってわけだ
アスベル
ミラアスベル…?浮かない顔をしてどうした?
ルークおいおい、まさか今更怖気づいたとか言わねーだろうな
アスベルそんなわけないだろ。ただ…
アスベル…カノンノ
カノンノどうかした?
アスベル…ここまで一緒に連れて来てしまったが、本当に大丈夫か?
アスベル俺達はこれから、最後の戦いに臨む
アスベルだが、相手の力は強大だ。勝って、無事に戻れるという保証はどこにもない
アスベルそれでも…俺達と一緒に来るか?
カノンノアスベル…
カノンノうん。勿論、一緒に行くよ
カノンノ…私ね、みんなと出会って、この世界が大好きになったんだよ
カノンノどんな事をしても、この世界を救いたいって思ってる
カノンノだから、私もちゃんと見届けたい。みんなの想いが力となって世界を救うその瞬間を…
アスベルカノンノ…
アスベル…わかった。それなら、もう俺も何も言わない
アスベル…お前も俺達の大事な仲間だ。世界を救うために、何としても最後の戦いに勝利しような
リオン話は終わったか?
アスベルああ。待たせてすまなかった
リタ全く、あんたってほんと心配性よね
ミラだがそれが、アスベルらしいところでもある
リッドじゃ、出発と行こうぜ
カノンノ
カノンノ何だろう、この感覚…。私、どこかで同じ光景を見た事があるような気がする
カノンノ優しくて力強い仲間達と、私の中に流れ込んでくる温かい気持ち──…
scene2終わりと始まり
リッドおい、あそこに誰かいるぞ!
ユグドラシル
リオンユグドラシル…!
リタ…ちょっと待って!もう一人、誰かいるわ
ルークけっ、まだ手下がいやがんのかよ。邪魔だっつーの!
ミラ…いや、違う。奴は…
デューク
リタあんたは…デューク!
デューク
アスベルどうしてお前がここに…
デューク私の目的は知っているはず。驚くにはあたるまい
ミラだとすれば、デューク…お前もユグドラシルを倒しに来た、という事か?
デューク…そうだ
デュークこの男は世界をありのままの形から捻じ曲げ、混沌をもたらそうとした
デューク精霊達が鎮まり、当座の危険は去ったとはいえ、その元凶を放置しておくわけにはいかぬ
ユグドラシルふはははは!賢明な判断だ、デューク。マテスでの教訓か?
デューク
アスベルマテス…?
デューク…我らの故郷。かつて生まれ育ったこことは異なる別の世界の名だ
リッド同郷…?なるほど、だから面識があるような口ぶりで話していたのか
リオンそのマテスにいたお前達が、どうしてこの世界にいる?
デュークもはや存在しないからだ。この男の手によって
ルークな…おい、それじゃまさか、元の世界を滅ぼして、それで今度はこの世界を滅ぼそうっていうのかよ?
リタユグドラシル、あんたの目的は何…?いろんな世界をめちゃくちゃにして一体何がしたいっていうの?
ユグドラシル人間どもが構築してきた世界を滅し、全てが無に返った世界、それこそが私の求める理想
アスベルなっ…!お前は自分の理想を求めるためにマテスを滅ぼしたというのか!?
リッド何だよそれ…。お前の私欲、ってヤツで世界を壊してるって事かよ
ユグドラシル私欲ではない、私の理想の世界こそ、真の平和の姿…
ユグドラシル全てが無に返り、地上の生命は全て新たな生命として誕生する事になろう
ユグドラシル種族も血も、全てが一つとなれば何者にも差別される事のない私の理想の世界が確立されるのだ
リオン差別される事のない世界…?
アスベル…確かに差別はよくない。でも…だからって、それが世界を破壊させていい理由にはならない
アスベル種族や血が違ったって、話し合って解決していく事だって──
ユグドラシル黙れ!
ユグドラシル話し合えるだと?…馬鹿な。そんな事で解決出来るなら、我が姉マーテルが死ぬ事はなかった!
ミラ死んだ、だと…?
ユグドラシルマテスは、異種族間の争いが絶えず…特に人間とエルフの対立が激しかった
ユグドラシルハーフエルフである私達姉弟は、両種族の血を引く存在。ゆえに、双方から迫害を受けてきたのだ
ユグドラシルそんな辛い毎日の中でも、姉さまはいつだって笑っていた
ユグドラシルハーフエルフである自分達こそが対立する種族間の架け橋となれる存在なのだと……なのに!
リッド…殺された、か
ユグドラシル姉さまは最後まで人間を信じていた。だがある時、その人間に裏切られ、命を落とす事となったのだ
カノンノそんな…
ユグドラシル姉さまは死の間際、私にこう言ったのだ。「この歪んだ世界を戻して」と
ユグドラシル姉さまを殺した人間こそ歪みの元凶…ゆえに私は人間を滅ぼす事にした。姉さまの遺志を実現するためにな
ユグドラシル…デューク、ずっと彼方の場所から見ていたお前は知らなかっただろう?
ユグドラシルお前が必死に守ろうとしていたマテスはこんなにも血生臭く薄汚れた世界だったのだ
デュークたとえそうだとしても変わらず守ろうとしただろう。今またお前を討とうしているように
デュークあるがままの世界の存続こそが我が願い。お前が何をしようといささかも揺らぎはしない
ユグドラシルデューク…貴様!
ユグドラシル…まあいい。お前が何を言おうとマテスでの目的は果たせたのだ
ルークちょっと待てよ、そのマテスって世界を滅ぼしたんなら、もうそれで十分じゃねーのかよ!?
ルーク何でこの世界まで…
ユグドラシル愚かなる人間共が、私欲のために争いを繰り返しているのはマテスだけではなくこの世界も同じ
ユグドラシルこの世の生命全てを一つにしてこそ、本当の意味で姉さまの願いをかなえられる
リッドユグドラシル…お前の姉がどういうヤツだったのかオレは知らねえ。けどよ…
リッドお前…意味をはき違えてるんじゃねえか?本当にそれがお前の姉の願いなのかよ
ユグドラシル…!知った口を叩くな、お前に姉さまの何がわかるというのだ
ミラ確かに、お前の姉は差別のない世界を望んでいたのかもしれん
ミラ…だが、結局今お前が人間に対して抱いている感情は何だ?
リオン忌み嫌う人間を滅ぼした上に成立する差別のない世界…
リオン最後まで互いに分かり合う事を諦めず差別をなくそうとしたお前の姉が望む理想の世界だとは、到底思えない
ユグドラシル…黙れ!!私は人間共とは違う、差別で人間を滅するのではない!
アスベル…ユグドラシル
アスベルお前の考えや想いはわかった。確かに、人間はお前の言うように愚かな面もある
アスベルせっかくティルグにもらった世界平和への機会も、自らの手で失わせてしまった
アスベル魔導兵器を使い、自然のバランスが保てなくなるほどまでにマナを消耗させた
アスベルあの状態が続けば、俺達はきっと、自らの手で世界を崩壊させていただろう
リッドああ…ユグドラシルがきっかけだったとしても、頼まれてもねーのに破壊行為に便乗したのはオレ達人間だ
アスベル皮肉にも、世界の危機をきっかけにこの世界は一つになった。争い、いがみ合ってきた国同士も全て
アスベル…そして、本当の危機に陥って初めて守りたいものがたくさんあるこの世界の大切さに気が付いたんだ
カノンノアスベル…
アスベル遅すぎたと思う…でも、今回の危機を経た事で、この過ちは繰り返してはならないのだとみんなが認識を改めた
アスベル…お前の話を聞き、亡き姉の事も同じ二度と繰り返してはならない悲劇だと強く思った
ユグドラシル
アスベルお前の姉を死に追いやった人間を憎く思うと同時に、同じ人間として悲しい…俺はそう感じてる
アスベルユグドラシル、約束する。お前の想いや理想は、俺が必ずこの世界で実現させる
アスベルだから──…
ユグドラシル…笑わせるな!人間など信用出来るはずがない!私は私の手で姉さまの理想を貫く
ユグドラシル共感すると言うのなら、私に抗う事をやめ、世界崩壊を受け入れるんだな
アスベルお前の姉が望んでいた世界は、全ての種族が共存し、互いに認め合える世界だろう?
アスベル今お前が創ろうとしている「理想の世界」とは違うはずだ!
ユグドラシル黙れ!!違う、姉さまは…
ユグドラシル…私は姉さまとの約束を果たすのだ!人間は裏切るもの…お前達は姉さまを殺した人間…
ユグドラシル…何を言おうが、歪みの元凶はお前達人間…!!償いの情があるというのならここで朽ち果てろ!
アスベル…ユグドラシル
リタ…大切な人を失くす辛さ、今のあたしには想像出来る。だから、少しは同情してたのに…
リタこいつ自分の恨みにばかりこだわって、わかり合おうなんて気持ち全然ないじゃない!
リオン…だったら、今ここで倒すまでだ。僕達はこの世界を守らなくてはならない、何としてでも…
ルーク勝手な理由で俺達の世界を滅ぼされてたまるかっつーの。みんな、いくぜ!
全員ああ!
デューク
アスベルデューク…?お前も力を貸してくれるというのか?
デューク…勘違いするな
デューク私は今度こそ世界を守る。そのために必要な事をする。それだけだ
ルーク…ったく、終始よくわかんねー野郎だぜ
リッドま、どっちでも構わねえよ。手は多いに越した事ねえからな
ユグドラシル何人集まったところで私の目的を阻止する事は出来ん!さあ、来るがいい!
カノンノユグドラシルを倒す…!絶対にこの世界は、私達が守──…
ドクン!
カノンノ…な、何…今のは…?
scene3終わりと始まり
ユグドラシルぐっ…
アスベルここまでだ、ユグドラシル
ミラ再び立ち上がる事は出来まい。お前の野望もここで潰える
ユグドラシル…何があろうと、私は必ず姉さまとの約束は果たしてみせる…
リッドまだ立ち上がる気かよ!?
リオンそこまで傷ついた身体で立ち上がって何が出来る?無駄だという事がまだわからないのか?
リタそうよ、あたし達は何度でもあんたを倒す!絶対にあんたの思う通りになんかさせない!
ユグドラシル…ふん、お前達が何を言おうが私の理想は確実に形成される。その運命は変わる事はない
ルークけっ、負け惜しみも大概にしろっつーの!
ユグドラシル…出来る事ならこの手で、姉さまとの約束を果たしたかったが…この際手段は問わぬ
アスベル手段…?どういう事だ、ユグドラシル!何を言っている…?
ユグドラシルこの世界が滅びる運命は変わらぬ、という事だ。私の生死問わずにその意志は引き継がれる、確実にな…
デューク何…?
カノンノ…そんな事絶対にさせない!!あなたの意志が引き継がれ再び危機が訪れようと、私達が全て断ち切る!
カノンノ絶対にこの世界は守ってみせる!あなたの思うようにはさせな──…
ドクン!
カノンノう…またこの感覚…
ミラカノンノ、どうした?
カノンノ…わからない。何か胸の辺り…変な感じがする…上手く表現出来ないんだけど──
ユグドラシル…!
ドクン!
カノンノあ…
リッドカノンノが光に包まれた…一体何が起きているんだ…?
デュークこれは──…
リオンデューク、何か知っているのか?
デューク能力が発現しようとしている。しかし何故…?
リタカノンノの…能力?
デュークあの娘はディセンダーだ
ユグドラシル
リッドな、何だって!?
ルークディセンダーって…前に言ってた世界を再生させる存在、とかいうやつか…!?
アスベルカノンノがディセンダー…。デューク、お前はいつからその事を?
デューク…ディセンダーが誕生して、まもなくの頃だ
ミラ…確かに、カノンノがディセンダーである事を前提として考えれば、今まで腑に落ちなかった事柄の辻褄は合うな
リッドでも、何で今このタイミングで能力が発動するんだ?危機的状況なら今までだって、いくらでもあったはずだろ?
デュークわからない。何かが引き金になったはずだが
カノンノう…、アスベル…?
アスベルカノンノ…!何ともないのか!?
カノンノ今も身体の中で不思議な力が溢れてきてて…変な感じ。でも、大丈夫だよ、ありがとう
カノンノみんなの話もちゃんと聞こえてた…。私、ディセンダーだったんだね
カノンノ…だとしたら、私の能力でこの世界を再生させる事が出来るって事だよね?
ミラああ、おそらくな
デュークディセンダーとして完全に覚醒した時、お前はその再生の力を使う事が出来るはずだ
リタじゃあ、これで世界は救われる…カノンノのお蔭で…そういう事?
リッドカノンノ、お前…すごいヤツだったんだな
ルークマジかよ!知ってたんならもっと早くに教えろっつーの!
デュークディセンダーについては未知の要素も多い。一方でその存在を知れば、その力を狙う者も現れるだろう
デューク誰もが軽々しく触れてよい知識ではない
リオン…確かにな。だが、これで世界は再生される。…出来るか、カノンノ
カノンノ私、みんなのように強くないし…足手まといになっていないかずっと不安だった
カノンノ…だけど、これで私も本当の意味でみんなの役に立てる…
アスベルカノンノ…
カノンノユグドラシル…あなたとお姉さんの意志は、私が引き継いで実現させる。救い、守り抜いたこの世界で
ユグドラシル…くくっああ、創り上げてくれ。私の理想の世界を──
ドクン!ドクン!
カノンノうっ…ああ…
リオン…カノンノ?
ユグドラシル…ふははははは!
デューク…ユグドラシル、ディセンダーに何をした!?
ユグドラシル言っただろう?運命は変わる事はない、と
ユグドラシルこの世界は滅ぼされる運命にある。ディセンダーであるこの女によってな
カノンノあああ…!
ユグドラシルデューク、お前はディセンダーが誕生した時に存在を察知した、と言ったな?
ユグドラシルこの女の存在を察知したのは、お前だけではない
デューク…!
リタまさかあんた、もうその時にカノンノに何かしてたの!?
ユグドラシルくく…察しがいいな。ディセンダーが誕生してすぐ、その身体に一つの種を植え付けたのだ
ユグドラシル発芽した時、この女の持ち得る使命は本来の使命と反転するよう、細工を施した種をな
リッド反転!?…って事は、覚醒した時にカノンノがやろうとする事ってのは再生じゃなくて…
ユグドラシルそう、「世界を崩壊させる」だ。私の植え付けた種の発芽タイミングはこの女の変化に乗じる
ユグドラシルすなわち、ディセンダーとして完全に覚醒したその時に、世界を破滅させる意志を持つ存在として誕生する
ルークユグドラシル!てめぇ!!
ユグドラシルディセンダーが誕生したその瞬間から遅かれ早かれ、いつか覚醒する事は決まり切った道理…
ユグドラシル…だがまさか、このタイミングでその時が来るとはな…。運命は、私の示す世界を望んでいるようだぞ
ユグドラシルディセンダー、私と姉さまの意志を継ぐお前に、最後のプレゼントだ
ユグドラシル精霊達の力を取り込み、よりその破壊能力を高めるがいい!はあああああ…!
ユグドラシルその力を以て、人間も世界も…全てを滅するのだ!全ては…理想の世界のために──…
カノンノああああっ!!
リオンネックレスが…カノンノの体内に吸収されていく…!
デューク…くっ
アスベルユグドラシルーーーッ!!
リタユグドラシルが消滅した…だけど…
カノンノうう…あ…
リッドまた光がカノンノを包み始めたぞ…
ルークでも、さっきと光り方が違う…何か様子が変じゃねーか!?
アスベルカノンノ、しっかりしてくれ!カノンノ!
カノンノう…ああ…ああああああっ!!
リタカノンノ!?うっ、この光は…!?まぶしくて何も見えない…!!
scene1世界を再生する者
カノンノきゃああああっ!
アスベルカノンノ!どうした?しっかりしろ!
ルークユグドラシルの細工のせいか!?一体何が起こってんだ…!
カノンノ身体の内側から…何かものすごい衝動が溢れてきて…飲み込まれそう…ああっ…!
ミラ衝動だと…
リタユグドラシルの話が本当だとしたら…カノンノはもうすぐディセンダーとして覚醒して…
リタそれと同時に、世界を破壊させる存在になる、そういう事…?
リッドああ、そういう事だろうな。けど、きっと何か方法があるはずだ!ユグドラシルの細工を解く方法が…!
アスベルああ、その通りだ!カノンノ、心配はいらない。必ず俺達がどうにかする!
アスベルだから、諦めるな!衝動に打ち勝つんだ!
カノンノ…みんな…
デューク
リオンおい、カノンノを見ろ
ミラあれは…
リッドカノンノの様子が…
カノンノ
デュークこの光の強さと溢れ出すマナ…。ディセンダーの力の発現と明らかに同調している…
デュークおそらく、ユグドラシルが植え付けた種の影響と考えて間違いないだろう
リオンどうにかその種を取り除く方法はないのか?
デューク
カノンノ…ううっ!
ルークカノンノ!大丈夫か!?
カノンノ…ごめんなさい、せっかく私、みんなの役に立てる…世界を救えると思ったのに…
ミラ…カノンノ、心配するな。お前は、私達が必ず救ってみせる
リタそうよ、一緒に世界を救うんでしょ?あんた自身が諦めたらそれまでよ。弱音を吐くのは許さないわ
カノンノミラ…、リタ…
リッドアスベル…
アスベルああ、絶対にカノンノに世界を壊させやしない…!
scene2世界を再生する者
カノンノうう…あああ…あ…
ルークちっ…カノンノを包む光がますます強くなってるぞ!何とかなんねーのかよ…!
デューク…そこをどくがいい
チャキッ
ミラデューク!?一体どういうつもりだ…
デューク…そこをどけ
リタ質問に答えなさい!その剣で何をしようっての!?答えによっては…許さないわよ
デュークディセンダーの覚醒は目前だ。その時、その力は世界を覆う
デューク取り込まれた精霊達の力さえ今や脅威を高める働きでしかない。その覚醒は世界の破滅と同義だ
デュークならば今排除するしかあるまい
リオンそんな事はわかっている!しかし…!
ルークじょ、冗談じゃねーぞ!カノンノを殺すっていうのかよ。何か…何か他の方法があんだろ!
デュークお前達は今、その娘の命と世界の存続を天秤にかけているという事を理解しているのか?
アスベル…そんな事は理解の上だ!だが…お前も知っているだろう、カノンノがどれほど世界を救う事を望んでいたか
リッドああ。オレ達はカノンノを見捨てるわけにはいかねえ
デューク仮にユグドラシルの細工を解く事が出来たとしても、早晩ディセンダーは覚醒するだろう
デュークそうなった時、ディセンダーの力が正しく発現するという保障はどこにもあるまい
ルークだ、だからって、カノンノに絶対悪い影響があるかどうかだってわからねーじゃねーか!
デュークどちらに転ぶかわからない以上、私は世界を危険にさらさない方を選ぶ
アスベル
カノンノアスベル…みんな…
アスベルカノンノ…!大丈夫だ、しっかりしろ!俺が…俺達が絶対に何とかする!
カノンノう…ああああああああ…っ!
ミラカノンノ!!
デューク…時間がない。もう一度言う、そこをどけ
デューク今ディセンダーが覚醒すれば、この世界は確実に滅びる
アスベル
デュークどうあってもどかぬのならお前達も排除する
アスベルさせるかあっ!
カキーン!
リタアスベル!
アスベル俺は絶対に諦めない。何としてもカノンノを元に戻し、世界も救ってみせる
リッドオレもだ。カノンノが助かる可能性が少しでもあるなら、オレはそれに賭ける
ミラああ。ここでカノンノを救えなければ本当の意味で世界を救ったとは言えないからな
デュークその言葉、覚悟あってのものなのだろうな
リタ覚悟も何も、最初っからずっとあたし達はカノンノを助けるって言ってんでしょ!?
リオンそれでもカノンノに手をかけると言うのなら、僕達が相手だ
ルーク今さら謝っても遅ぇからな、デューク!
デューク…よかろう。ならばこの一戦は世界を賭けたもの。心して来るがいい!
デュークはああああああ!
アスベル来い、デューク!カノンノは、俺達が守る!!
scene3世界を再生する者
リッドせやっ!
ズトッ!
デュークう…
リオンここまでだ、デューク
デューク…何故そうまでしてあの娘を守る。世界を危険にさらしてまで何故…
デューク世界を傷付け、それでも世界に生き…お前達にとって世界とは何なのだ?
ミラデューク、お前の言う事も理解は出来る。だが、同意は出来ない
ルークカノンノと世界、救うなら両方だろ。どっちか選べとか無理だっつーの
デュークその情が世界を滅ぼすとしてもか
アスベルカノンノを諦めれば世界は救える。だが、カノンノを諦めたら、世界を救えないも同然なんだ
アスベル俺達が世界を守りたいと思う理由はそこに大切なものがあるからなんだ
アスベル故郷や友達、家族。それに、仲間…この世界は、かけがえのない大切なもので溢れている
アスベル…カノンノは大切な仲間だ。だから、何としてでも救いたい。可能性があるなら諦めたくないんだ!
デューク
リタちょっと…カノンノはどこ!?さっきまでそこにいたのに…!
アスベル何…!
リオンちっ、目を離した隙に…。まさか、ディセンダーとして覚醒してしまったのか…?
ミラ…いや、そのような気配は感じない。となると、戦いの最中に自分でどこかへ移動したと考えるのが自然か
リッドあれだけ苦しんでたんだ。そう遠くには行けないだろ
ルークお、おい!あそこ見ろよ!まだ上があるみてーだぞ…!
リタ階段…?ここが最上階ってわけじゃなかったのね
アスベルカノンノはあの先に?
ルークもたもたしてる場合じゃねえ。急いで後を追うぞ!
リッドああ!
デューク大切な仲間がいるからこそこの世界を守りたい、か…
ドサッ
光と闇の救世主
カノンノウ…
カノンノア…ア…
ドサッ!
カノンノドウシテ…ドウして私、こんな…
カノンノアスベル…ミラ…リッド…リタ…ルーク…リオン…
カノンノみんな…
リッドおい、向こうを見ろ!
カノンノ…!
リオンカノンノ…!やはりここだったか
カノンノあ…
ミラカノンノ、大丈夫か?
ルークやっと見つけたぜ。いきなりいなくなったからびっくりしたじゃねーか!
カノンノごめん…
カノンノごめんね、みんな…私、もう…
アスベル心配するな、カノンノ。俺達が必ずお前を、元に戻してやる
リタユグドラシルの思い通りになんて絶対させないから!
カノンノ私…
アスベルカノンノ。俺達が、初めて会った時の事…覚えているか?
アスベル出会った時のお前は記憶もあやふやで自分の事まであんまりわかってなくて…まるで迷子みたいだったよな
アスベルあれから俺達は、いろんなところへ行って、たくさんの人達に出会って、多くのものを見てきた
アスベルお前もさまざまな事を考え、感じてきたはずだ
アスベル確かにこの世界は、争いが絶えず、悲しい事や苦しい事がたくさんあるでも、それだけじゃない
アスベル楽しい事や嬉しい事も同じだけ、いや、それ以上に存在している
アスベルそれら全てを含めて、かけがえのない大切な場所だと思っているのはお前も一緒だろう?
アスベルそんな世界を、お前が破壊するわけがない俺達はお前を信じている
カノンノ私…私は…
カノンノう…ウアアアア!
カノンノ「使命を…遂行する…」
リタカノンノ…?
カノンノ「我が使命…それは… …世界…及び全ての生命の 完膚なきまでの…破壊──…」
ルーク悪い冗談はよせっての。それじゃユグドラシルみてーだぞ!
カノンノ「時は満ちた… これより使命を遂行する…」
リオンくっ…!何だこのエネルギーは…これでは近づけん!
ミラすさまじいマナだ…。カノンノと精霊が共に暴走して相乗効果が生まれているのか
カノンノハアアッ!
リッドうわっ!
リタきゃああっ!
ミラくっ、腕をかざしただけで、私達全員をたやすく吹き飛ばすとは…
アスベルカノンノ、落ち着くんだ!飲み込まれてはだめだ!
カノンノヤアアアッ!
ルークぐっ…!
ルーク俺達の声、まるでカノンノは聞こえてねえみてーじゃねえか!
ミラあのすさまじい力…どうやら完全に覚醒してしまったようだ…!
リッドそんな…じゃあもう、打つ手はねえって事か?
アスベル…いや!俺は絶対に諦めない!
アスベル俺達の声が届かないなら…届くところまで近付けばいい。それだけの事だ
リタアスベル……そうね、あんたなかなかいい事言うじゃない
リッド…ま、それしかねえよな
リオンここで諦めるわけにはいかない
ミラカノンノから放たれるマナを跳ね返し何としてもそばにたどり着く…皆、それでいいな?
ルークああ!…ったく、カノンノのやつ、手間かけさせやがって…!もうひと踏ん張り、やるしかねーか!
アスベル行くぞ!
カノンノトオオオオッ!
光と闇の救世主
アスベルカノンノ…
カノンノ
全員
アスベル本当にこうするしかなかったのか?
リオン
リタこんな…こんな終わりのためにあたし達、ここまで戦ってきたっていうの?
リタ本当にこれが正しい答えだったの?あの子の望みに応えてあげられたの?…
ミラ…私達が止めなければ、カノンノはさらに深い悲しみを背負う事になる
ミラ彼女にそんなものを背負わせるわけにはいかない
アスベル
リオンアスベル、カノンノの顔を見てみろ
アスベル…?
ルーク…笑顔…?
リッド何だか…優しい表情、してんな…
アスベルカノンノ……!
ミラリッド…、アスベル……ん?
デューク
リッドお前は…デューク
ルークてめぇ、何をしにきた!?カノンノは死んだ…、もう俺達に用はねーはずだろ!?
リオンやめろ、ルーク
デュークこの世界は救われた
リタ…!あんた…
デューク
カノンノ
デューク…お前達、そこをどけ
ミラ…!カノンノに何をするつもりだ!
チャキ…
デューク
アスベルデューク!!お前──…うっ!!
ルークくっ…このまぶしい光は何だ!?
リタ一体何が起こってるの!?
リッドやっと収まったか…今の光は一体……あ、あれは!?
リオンカノンノの身体が光に包まれて…
デューク
アスベルデューク、お前カノンノに何をしたんだ!?
デューク…ユグドラシルの植え付けた種の浄化を試みた。成功するか否かは本人次第だ
リオン種の浄化だと…?そんな事が出来るのなら何故最初に行わなかった
デューク言ったはずだ。細工が解けたとしてもディセンダーとしての力が正しく発現するという保証はどこにもない、と
リッドじゃあ、何で今なんだよ。カノンノが死んじまった後なのに…オレが殺したようなもんなのに…
デューク仲間を想う強い気持ち…
アスベル…デューク?
デューク事情は変わった。…変えたのはお前達自身だ
ルーク今さらそんな事やって何の意味があんだよ!カノンノはもう…
デュークディセンダーは死んではいない
リタ…な、何を言って…だって、さっき確かに呼吸だって…
カノンノうう…っ!
アスベルカノンノ!!まさか!?
デュークディセンダーの身体を覆うマナの波動に一瞬だが動きが感じられた
デューク死んでいれば、ありえない事だ
デューク先ほどの戦闘でディセンダーも種も共に消耗し尽した。浄化を試みるなら今をおいてない
ミラカノンノが生きている…!
デューク
デュークディセンダーの身体から放射されるマナの性質が先ほどとは全く異なっている
デュークユグドラシルの種が活動を止めた証拠だろう
ルーク何か…よくわからねえけどとにかく奇跡っつー事だよな
デュークあの状態から生きながらえた、これもディセンダーの力によるものか…
アスベル…いや、それは違う
リタアスベル?
アスベルディセンダーの能力なんかじゃない。カノンノが必死に生きようと頑張っているからだ
リッド…ああ、そうだな。こいつ…頑張ってたもんな
ミラ力が暴走しても、必死に私達の呼び掛けに応えようとしていた
リオンきっと、今も…な
カノンノく…ああ…ううっ!
リタカノンノ、どうしたの!?苦しんでるじゃない!どういう事、デューク!
デューク種が停止しても、そこにこめられたユグドラシルの憎悪の念はまだ生きている
デュークそれがディセンダーの力や精神とせめぎあっている。本人次第と言ったのはそういう事だ
ルークちっ、ユグドラシルの奴しつけーんだよ!カノンノ、絶対負けんじゃねーぞ!!
ミラ大丈夫だ、お前なら必ず打ち勝てる!
リッドオレ達はここにいる!頼む、頑張ってくれ!
カノンノあ…あああああ!
アスベルカノンノ!!
――…
ルークな、何だこれ…?まさかこれが、ユグドラシルの植え付けた…
アスベル種──…
リオンカノンノの身体に取り込まれていたネックレスも出てきたようだ…。これは…
リッドじゃあ、これでカノンノは…!!
カノンノんん…
アスベルカノンノ…?
カノンノ…あれ…みんな…?
リタカノンノ!!
リッドやった…!やったぞ!
ルークったく、心配させやがって!
リオン…戻ってきたか
ミラカノンノ、よく頑張ったな
カノンノみんな…
アスベルカノンノ…
アスベル…よく帰ってきたな。おかえり!
カノンノアスベル…ただいま…!
リッド何だアスベル、お前、泣いてるのか?
アスベル違う!別に俺は泣いてなんか…
リッドごまかす必要はねえだろ。出るモンは出るんだ。お前もそうだろ、リオン?
リオンな、なぜ僕にその話を振るんだ!
リタあんたが一番鼻声になってるからじゃないの?
リオン僕が泣くわけないだろう!
ルークへっ、今さら隠すなっつーの!
カノンノアスベル…みんな…本当にごめんなさい。みんなにはとても辛い事をさせてしまったね
アスベルお前が謝る必要はない。あの時、俺達にはああする事しか出来なかった、それだけなんだ
アスベル…お前を守ると約束したのに、結局俺は守ってやれな──
カノンノアスベル、それは違う!
カノンノ…私、あの時ね、みんなを傷付けて世界も壊してしまうくらいなら死んだ方がマシ、本気でそう思ってた
カノンノみんなは、そんな私の気持ちを守るために戦ってくれた。私の意志を、守ってくれたんだよ!
カノンノ例え、本当に死んでいたとしても、アスベル達に感謝してるこの気持ちは変わらない
アスベルカノンノ…
ミラこうしてカノンノが生きていたのもアスベルの強い想いがあったからなのかもしれないな
リタ想いが力になったとでもいうわけ?そんな非科学的な話──
リッドまあまあ、そう言うなって
リタ
アスベルデューク、本当にありがとう
デュークユグドラシルの思念を退けたのはディセンダー自身。私ではない
アスベル…それでも、デュークがいなかったら今こうして再び会える事はなかったかもしれない
デューク
リッド…改めて見ると、相当酷い光景だな
ミラああ、あの美しかった世界の面影は欠片も残っていない
ルーク…本当に俺達はこの世界を救えたんだよな?
リタ今更何言ってんのよ!あんた、今までの苦労を忘れたわけ?
リオンこの有り様だ。疑いたくなるのも無理はない
アスベルユグドラシルもいない。その怨念も討ち消し、脅威となる存在も浄化された
アスベル俺達は世界を救う事が出来たんだ…
アスベル今はまだ、あちこちボロボロだけどみんなで力を合わせればきっと取り戻す事が出来るはずだ
アスベルあの美しかった世界の姿を
ミラそうだな。人にはどんな困難をも乗り越える意志の力がある。それに──
カノンノあ…ネックレスが…
リタカノンノのネックレスが光り始めた…
カノンノ精霊達が世界へ還ってゆく…
デューク種が浄化され、ディセンダーが正常化した事で精霊達も再び鎮まり、元の役割に戻ったのだ
ルークいろいろ終わったと思った途端薄情な奴らだぜ…ったく、お前らの暴走のお蔭でどんだけ苦労したと……
リオン見ろ!あいつらは、ただ世界へ還ったというわけではなさそうだ
ミラ精霊達も世界を元に戻すために、力を貸すと言ってくれている
ミラ人も精霊もこの世界を想う気持ちは一緒だからな
カノンノオリジン、セルシウス…みんなありがとう
カノンノ私も、その使命を果たすね…
アスベルう…カノンノ…?この光は一体──…
リオン宙に浮いている、だと…?
カノンノ私はディセンダー…世界を再生させる存在…
ルークディセンダーって…お前、ユグドラシルの怨念は浄化されたんじゃなかったのかよ!?
カノンノルーク、大丈夫。私はカノンノ、私のままだよ
カノンノみんなが私を救ってくれた事で本来覚醒すべきかたちで目覚める事が出来たの
リタそれって…世界を再生させる存在として、覚醒したって事?
カノンノうん…私、わかったの。私の生まれた理由、成すべき使命、世界の意志が…
カノンノ世界の源より賜りし再生の力でこの傷付いた世界を癒し、美しき世界へと再生させる…
カノンノここより世界の隅々まで、あまねく届けん…
ミラこの光は…柔らかくて、暖かい…これはカノンノの想いなのか
デュークこれがディセンダー…ひいては世界樹のもたらす真の再生か
リッドおい、みんな見てみろ!カノンノの光に包まれたところからどんどん世界が修復されていく…
カノンノ…あっ
アスベル…おっと!
カノンノあ、アスベル…ごめん!ありがとう
アスベルいや、大丈夫だ。カノンノこそ大丈夫なのか?
カノンノ私は大丈夫…ただ…
カノンノディセンダーの能力がなくなったみたい。使命を果たしたからかな…?
アスベルそういう事か…カノンノが無事ならそれでいいんだ
リタねえ、ちょっと!みんな見て…!あれだけ荒廃していた世界が…
アスベルこれが…ディセンダーの再生の力…
ルークすげー…本当にキレイに元通りだ…
リオン…だが、そう喜んでばかりもいられん。肝心なのはこれからだ
リッドああ、元凶はユグドラシルとはいえ、オレ達人間にも、非がねえわけじゃねえからな
リッド今回のきっかけになった戦争だってそうだし、ユグドラシルの言ってた差別にしたって…
アスベルそうだな。互いを想い合ったり、分かり合う気持ちがあれば、どちらも起こり得ないものだ
リタ当たり前に出来そうな事なのに案外、難しかったりするもんよね、ルーク?
ルークああ!?リタてめえ…何で俺なんだよ!
アスベル…とにかく、もう二度と同じ事を繰り返さないためにも、今一度みんなで話し合う必要がある
デュークそうするがいい
デューク再び道を誤る事のないよう心して歩め。私は常に見ている
カノンノデューク…
カノンノ約束するよ、同じ事は絶対に繰り返したりしない
アスベルデューク、俺も約束する。かけがえのないこの世界をよりよい方向へ導いていく事を
ミラ人間だけではない、精霊にとってもこの世界はかけがえのないもの。私も精霊の主として力を尽す
デューク…その言葉、決して忘れるな
リッド…デューク、どこへ行くんだ?
デュークここで為すべき事は終わった。これ以上留まる理由はない
アスベルそうか。じゃあ、最後に…これだけは言わせてくれ。デューク、ありがとう
ルーク敵か味方か、結局ずーっとよくわかんねぇ野郎だったけど、カノンノも助けてくれたしな!
ミラお前の世界に対する想い、信念はしかと受け取った
デューク…さらばだ
リオン行ってしまったな
リタ言葉足らずで、何考えてるのかわかんないところもあったけど、案外いい奴だったのかもね
カノンノうん…
リッド…じゃあ、そろそろ俺達も行くとすっか!
ルークくっ、まぶしい…
リッドこんなに清々しく晴れた空を見るのは久しぶりだな
リタ風が気持ちいい…
ミラこれから私達を待ち受けているのは、果てしなく困難な道のりだろうが…諦めるわけにはいかない
リッドそうだな。またこんな事になったらたまったもんじゃないしな
ルークああ、それにあの調子じゃデュークの野郎も絶対どっかで見張ってるに違いねーし…
アスベル何より、ユグドラシルやデュークのいうような世界にしていく事は、俺達全ての人間に課せられた使命だ
カノンノ私も一緒に頑張るよ
アスベルそうだ、カノンノ。帰りに俺の故郷に寄っていかないか?
カノンノうん、行きたい!
アスベルよし、決まりだな。きっとみんな、喜んで迎えてくれるぞ
ミラ私も同行させてもらえないか?人の世界をもっと見ておきたい。皆もどうだ?
ルークったく、面倒くせぇな。でもまあ、そんなに言うんなら行ってやっても──
リタ面倒ならあんたは来なくていいわよ?じゃ、ルーク一人だけ、ここで解散って事で!
ルークぐ…!な、何でそうなるんだよ…!
リッドんじゃ、オレとリオンもアスベル達についてくか!な、リオン!
リオン僕は…!…まあ、いいだろう
ミラよし、では行くとしよう
リオン大切な人達の元に
アスベル俺達の進むべき未来に
リタ希望の明日に
ルーク俺達の帰りを待ってる奴らの元に
リッド交わした約束を果たしに
カノンノそれじゃ、出発!