NameDialogue
「結晶の大地と導きの光」編
響き渡るみんなの笑い声、野を駆けるたくさんの動物達、それら全てを包み込むような青い空…
オレ達はそんな、絵に描いたような穏やかな世界で毎日を暮らしていた
だけど──
それはいつの頃からか、世界各地で見られるようになっていた
自然の木々や草花が、ある時突然、謎の結晶に包まれてしまう異様な現象
結晶の正体はおろか、発生する理由も、元に戻す方法も、何一つ明らかにならないまま…
常軌を逸した光景は世間を戸惑わせ、しかし一方で、その神秘的な煌めきがどこか人の心を魅了した
…やがて人々は、妖しくも美しいその現象を「晶化現象」と呼ぶようになる──
ルドガーミルクに、トマト…よし、必要なものは全てそろったな。じゃあ、そろそろ家に──
エルトマト…。エル、トマトいらない!
ルドガーエル、好き嫌いは駄目だ。そんな事言ってたら大きくなれないぞ?
エルエルのはシュチョーですー!シュチョーはケンリだから好き嫌いじゃな……あれ?
エルルドガー、あの草のとこ何だろう…。キラキラしてる!行ってみよ!
ルドガーエル、急に走ったら人にぶつかる…うわ、これは…
エルわあ、クローバーがキラキラしてホーセキみたい!
ルドガーこれは結晶…。例の「晶化現象」って奴か
エルショーカゲンショー…。メガネのおじさんが言ってた。これの事なんだね!キレー!
ルドガー
エルルドガー?
ルドガーえ、あ…ああ。確かに綺麗だな。お、エルが持っているもの、四つ葉じゃないか
エルあ、ホントだ!これならクローバーも枯れないし、お守りになるね!
エルすごーい!メガネのおじさんと、あ、ルルにも見せてあげよう!
ルドガー
スタンすこー…ぐごー…
リリスはあ…こうなったら仕方ないわね
リリス右手におたまを!左手にフライパンを!横たわりし者に正義の鉄槌を!
リリス唸れ、エルロン家秘技!死者の目覚め!
ガンガンガンガン!
スタンう、うわああっ!?…って、あれ…リリス。おはよう
リリスおはよう、じゃないわよ。お兄ちゃんったらほんっと寝起きが悪いんだから
リリスとにかく、布団から出る!今日もすごくいい天気だよ。いつまでも寝てちゃ勿体ないでしょ
スタンお、本当だな!気持ちいいくらいの青空──………ん?あれって…
スタン木の枝が凍ってる…のか?まさか…大変だ、これじゃまた街が…!
リリスお兄ちゃん、落ち着いて。私も確かめたんだけど、木の枝は凍っているんじゃないわ
リリス噂には聞いてたけど…どうやらあれは「晶化現象」みたい
スタン晶化現象…。そっか…。俺、また街が氷漬けになったのかと思ったよ
リリス晶化は木々や草花にしか発生しないんだって。だから大丈夫だよ
スタン…ほんとに氷みたいだ。けど、違うんだな…
スタン
ゼロス「晶化現象」ねぇ、一体何が起こってんだか…
コレットあ、ゼロスー!こんなとこにいたんだね
ゼロスよう、コレットちゃんじゃねえか
コレット…あれ?手に持ってるのはお花?
ゼロスああ、そこの草むらで見つけたんだ。晶化した花ってのも、儚い感じがしてなかなか粋なもんだろ?
コレットそだね、すごく綺麗!…あ、それよりゼロス。そろそろ行かないと間に合わないよ?
ゼロス行くって、どこにだ?
コレット王宮だよ。神子は今日集まらないと駄目だって前に言われたよね
コレットゼロスも神子なんだからちゃんと行かないと駄目だよ?
ゼロスああ、あれか…。どうせ「天啓の儀式」の話だろ?だったら、俺さまはパス!
ゼロス儀式に参加する神子は一人いりゃいいって話だし、コレットちゃんさえいれば十分だろ
コレット百年ぶりの儀式だよ?王様だって参加するし、ゼロスも行った方がいいよ?
ゼロス優しい司祭様もいるし大丈夫さ。そんな事よりほら、頑張り屋さんの子猫ちゃんにプレゼントだ
コレットわあ、ほんとにお花が固まってる。キレイだねぇ…
コレットあ、あれ?ゼロス?どこ行っちゃったの?
ヴェイグクレア?…どこにいるんだ?
クレアヴェイグ!こっちよ!
ヴェイグクレア、あんまり一人で目の届かないところに行くな。また地震でも起きたりしたら…
クレアあの異変が収まって随分経つし、もう大丈夫よ
クレアね、ヴェイグ。それより、手を出して
ヴェイグこれは…水晶か何かか?
クレア水晶…なのかしら?でもよく見て、結晶の中に石があるでしょう?
クレア多分この石が晶化したんじゃないかと思うの
ヴェイグ「晶化現象」か…。話には聞いていたが、実際に見るのは初めてだな
クレアええ、私もよ。何だか神秘的な輝き…
クレアあまりにも綺麗だったから、あなたにあげるわ
ヴェイグそうか…。ありがとう、クレア
ティアルーク!
ティアルーク!!どこに行ったの?まさか窓から逃げるなんて…
ティア礼儀作法の勉強って聞いた途端これだもの…
ティアこの中庭を通らないと外には行けないはずなんだけど…。もう逃げてしまったかしら
ティアはあ…。本当、逃げ足だけは早いんだから…
ティア…あ、あれは──
ティアまさかこんなにたくさんの花を咲かせていたなんて…
ティアついこの間来た時は小さな蕾しかなかったのに──…?茎の根元に何か…
ティアこれは、まさか結晶…?話には聞いていたけれど…
ティア
ティア「晶化現象」がこんなところにまで…
エリーゼふふ、いいお天気で何だか楽しくなっちゃいますね
ティポエリー、お弁当まだー?ぼくもう腹ペコだよー!
エリーゼそうですね、日陰のあるところ…。あ、あそこにある大きな木の下でお弁当にしましょうか
ティポサンセー!…って、エリー!大変だよ、あれ見て!!
エリーゼ…!あれは…
エリーゼ木が凍ってる…?
ティポカチンコチンだねー
エリーゼこんなに暖かい日なのにどうして──……って、あれ?
ティポどうかしたの、エリー?冷たくてビックリってカンジ?
エリーゼ逆です…。冷たいのかなと思って触ってみたのに全然冷たくなくて──
ピキピキ…ッ
エリーゼきゃっ…!
ティポねえねえ、今この氷、ちょっと大きくなったよねー?
エリーゼティポにもそう見えましたか!?
エリーゼ…でもこの氷…冷たくないんです。だとしたら、これは──…
エリーゼみんなの話していた「晶化現象」なのかもしれません…
天啓の儀式
スレイ──今思い出しても、やっぱサザ遺跡はすごかったよなあ~。特にあの壁画!あんなの初めて見た…
ミクリオ確かに、あそこまで保存状態のいい壁画はそうあるものじゃない。ここまで足を延ばした甲斐はあった…
ミクリオだけど、あんな遺跡の中にまで晶化現象が発生していた。その事が、やっぱり気になる…
スレイシルヴァラントには他にもたくさん遺跡があるけど、そっちでも晶化現象が起きてるかもしれない?
ミクリオああ、十分考えられる可能性だろ?これから先、僕達も注意した方がいいのかもしれない…
スレイミクリオ、晶化ってまだわからない事だらけだろ?注意するって具体的にどう──
──パンッ、パンッ!
スレイ…!今の音は?まさか銃声?
ミクリオいや、多分何かの合図だろうね。方角からすると、メルトキオで打ち上げられたんだと思う
スレイヘぇ…。何の知らせだろう?
ミクリオ忘れたのかい?さっきすれ違った人間が話していたじゃないか
ミクリオ今日はメルトキオで「天啓の儀式」が行なわれる日だって
スレイ「天啓の儀式」…?そういえば…ジイジが言ってたよな
スレイ時代の節目となる過去の出来事を記した石碑があって、それを読み解く特別な儀式があるって
ミクリオそう。その石碑が、およそ百年ぶりに出現したらしい
スレイ突如出現した石碑…。なあ、ミクリオ。さっきの晶化現象と関係ないとは思うけど…
ミクリオああ、僕もその話を聞いて以来、実はずっと何かが引っかかってる…
ミクリオここ最近、いろいろ起きすぎてるからね
ミクリオ例の天変地異も、ついこの間まで続いていたわけだし…
スレイジイジに聞いた時も思ったけど、不思議な話だよな
スレイその石碑がいつどこで、何故現れるのかは謎のまま…誰かが作ったものなんだろうけど…
ミクリオま、そんな神秘的な現象だからこそ神聖視されているって事なんだろうね
ミクリオいろいろと興味深いものなのは確かだ
スレイなあ、ミクリオ?せっかくだし、帰る前にメルトキオに寄っていかないか?
ミクリオそう言うだろうと思ったよ。でも、街に行ったとしても儀式を直に見る事は不可能だよ
ミクリオ儀式は王族や司祭、その他はごく限られた者達だけで執り行われるそうだから
スレイそれぐらい、オレだってわかってるよ
スレイだけど儀式が見れなくたって、他に面白いものがあるかもしれないだろ?
ミクリオ…?
スレイ久しぶりの「天啓の儀式」で、さっきの人も見物のために街に向かうって言ってた
スレイ今ごろ街はたくさん人が集まってすっごく賑やかになってるはずだろ?
ミクリオ…なるほど、祭りの見物に行こうって事か
スレイ百年ぶりに起きた奇跡とそのお祝い、見逃す手はないだろ?
ミクリオまあ、別に急いで帰らなくちゃいけないわけじゃないからね
ミクリオただし、くれぐれも注意してくれよ?大勢の人間の集まっているところで何か騒ぎを起こしたりしたら──
スレイおーい!早く行こうぜ、ミクリオ!
ミクリオ…やれやれ
スレイすっげー…!これがシルヴァラントの王都、メルトキオ…!
スレイこんなにたくさんの人が集まってる場所に来るのは初めてだよな、ミクリ──…
ワンッ!ワンワンッ!!
ミクリオス、スレイ…。犬だ!
スレイおー、よしよし…。可愛いなぁ、ミクリオも撫でてみろよ
ミクリオ…僕はいい、遠慮する…
スレイ人懐っこそうだし、いきなり噛みついたりしないって
ミクリオそういう事を言ってるんじゃない。第一、僕がその犬と遊んだりしたらどういう光景になるかわかるだろ…
スレイミクリオは心配しすぎなんじゃ──……ん?
女の子お兄ちゃん…誰とお話してるの?
スレイあ、いや…これはー…そ、そう!お兄ちゃんは、この犬とお話してたんだよ!?
女の子ママー!変なお兄ちゃんがいるよー!わんちゃんとお話してるー!
スレイちょっ! 犬と話してたって言っただけで変な人扱い!?
ミクリオスレイ!ショックを受けてる場合じゃない!今は行こう!
スレイあ、ああ!
ミクリオやれやれ…着いて早々、こういう事になるとはね…
スレイうーん…オレが悪いのかもしれないけど、ビミョーに納得いかない…
ミクリオ気持ちはわからなくはないけど、ここは「普通の人間の街」で、しかも都会だ
ミクリオ君や僕とは感覚が違って当然だよ
ミクリオ…とにかく、こういう事があったんだ。あえて、もう一度言わせてもらう
ミクリオ僕達天族は、人間とは異なる種族だ。「普通の人間」は僕達の姿を見る事が出来ない。君とは違ってね
ミクリオその事を念頭に置いて行動するように
スレイ…りょーかい。今度はちゃんと気をつけるよ
ミクリオうん。さて、それじゃあまずは神殿の方に行ってみようか
ミクリオ「天啓の儀式」は、この街の奥にある神殿で行われるらしい。その神殿だけでも見ておきたいだろ?
スレイ当然!…神殿っていうからには、きっとすごく豪華なんだろうな…
スレイあ!でも、確か儀式が終わったら街の広場で天啓が公開されるって、すれ違った人達が話してたような…
ミクリオ…そうなのか?なら、神殿を見た後は広場まで引き返そう。少し急ぐ事になるけど、仕方ない
ミクリオただ、移動中はくれぐれも気をつけてくれ
ミクリオ君も天族に育てられて人間の世の中には不慣れなんだしね
スレイわかってる!さ、早く行こうぜ、ミクリオ!
フィリア国王陛下、大臣の皆様方、本日はお集まり下さりありがとうございます
フィリアこれより「天啓の儀式」を執り行わせて頂きます
フィリア四大国建国以前のはるか古より、「天啓の石碑」は存在したと言われております
フィリアそこに記される言葉は「星の記憶」と呼ばれ、私達はその意味を読み解き後世に残す事を使命と捉えております
フィリアしかし…。久しくこの石碑の出現は途絶え、約百年余りが過ぎていました
フィリア今、この時に「天啓の石碑」が現れた事に、神のご意志を感じずにはいられません
フィリア変わる事なき神のご加護に深き感謝の意を──
フィリア神子、コレット。「天啓の石碑」の前へ
コレット
フィリア大丈夫ですよ、コレットさん。石碑に触れて、何も考えず、心を穏やかに…
フィリアあなたを通して紡がれた神の言葉は「星の記憶」として後の世へ受け継がれる事でしょう
コレットはい、司祭様…
コレット大いなる世界の意志よ、我が主たる地上の神よ
コレット我、コレット・ブルーネルを汝の代行者と認めるならば、その言葉を我に聞かせたまえ──
大臣1この光は…!
マリウス・テセアラ18世神子が触れ、眩い光を放つ…先代より聞いていた通りだ…
フィリア
コレット
コレット『命源は燦爛たる結晶となり、 猛き君主を醒めぬ夢へ攫った』
コレット『零れ落ちた星の雫は 波紋の如く世界に拡がる──』
コレット
大臣1燦爛たる結晶…?
大臣2それに、「猛き君主」とは…
マリウス・テセアラ18世…神子コレットよ。今読み上げたものが、今回記されていた天啓の全てか?
コレット…?はい…
マリウス・テセアラ18世この言葉が何の事を指しているのか心当たりのある者はいるか?
大臣1いえ、私めは何一つ…
フィリア私も何の事かわかりません…。過去に現れた「天啓の石碑」とは随分異なるようです
フィリアこの国だけの事とも限らないので私達が知らない出来事を指しているのかもしれませんね
マリウス・テセアラ18世一国の君主に何かあったのなら、我々の耳にも入るだろうが…
マリウス・テセアラ18世憶測で考えても仕方があるまい。各国にもこの意味に心当たりがないか確認を取るように
大臣2それがよろしいでしょう。ここで記されるのは過去の出来事…。いずれかの国は特定出来るのでは
コレットあの、私…。何か間違えちゃったでしょうか…
フィリアいいえ、コレットさん。あなたは立派に神子の役目を果たしてくれました
フィリアここにいるみんなが、儀式を行うのは初めてなので予期しない出来事に少し戸惑っているだけですわ
コレットそう…ですか…
スレイ──くぅ~、満喫したぁ!結構いろんなとこ見に行けてラッキーだったよな、ミクリオ?
ミクリオ君は少しはしゃぎ過ぎだよ。全く、変に目立たないように注意してくれと言ったじゃないか…
スレイでも、「天啓」について何にも動きがなかったし、ただ待ってるより全然よかっただろ?
街の男天啓の儀式、終わったらしいぞ。そろそろ内容が公表されるそうだ
街の女そうなの?じゃあ見に行ってみましょうよ。そうお目にかかれないでしょうし
ミクリオ…ようやくだね。スレイ、広場に戻ろう
スレイああ!
ミクリオこれは…ものすごい人数が集まってるな…
スレイそれだけみんな、この天啓の儀式に関心があるって事だな
ミクリオだけど、一般の大衆が単なる過去の出来事の解読にこれだけ興味を持つのは少し意外だ
スレイやっぱり、百年ぶりに行われる儀式っていうのが好奇心をかき立ててるんじゃないか?
ミクリオそんなところだろうね。儀式そのものが見られないっていうのもあるんだろうし──
街の女1あんた、天啓を見たかい?あれって一体何の話なのかしら…
街の女2「猛き君主」って誰だろうね。そんな出来事あったかねえ…
ミクリオスレイ、聞いたか?
スレイうん。何か、みんな首を捻って不思議そうな顔をしてる…
ミクリオああ、あの人達だけじゃない。妙な雰囲気だな…。どんな事が書かれていたんだろう
スレイ…とにかく、早くオレ達も天啓を読んでみようぜ
ミクリオスレイ、どうやらアレだね。人だかりの中心にある掲示板…
スレイ
スレイ『命源は燦爛たる結晶となり、 猛き君主を醒めぬ夢へ攫った』
ミクリオ『零れ落ちた星の雫は 波紋の如く世界に拡がる──』
スレイこれで天啓は全文?ミクリオは何が書いてあるかわかる?
ミクリオ…いや、見当もつかないな。だけど、すごく気になる…
スレイ
スレイこれは一体、何の出来事を指してるんだ…?

NameDialogue
scene1旅立ち
スレイこの辺りに来ると帰って来たって感じがするよなぁー!
ミクリオ遺跡が地下にあって空気がかなりよどんでいたからね。無理もない
ミクリオさっき話していたけど、イズチには戻らずに行くんだろう?
スレイジイジに探検の許可はもらってるし遺跡探検の場所を一個増やしても問題ないって!
ミクリオ全く…。それで?ここから次に行く遺跡の場所、ちゃんと地図で調べたのか?
スレイ勿論。これから行くレユ遺跡はシルヴァラントの方だったよな?
ミクリオああ。この前行ったサザ遺跡から比較的近い場所にあるはずだ
スレイサザ遺跡か。確か、あそこは内部にも晶化現象が発生し始めていたな…
ミクリオ
ミクリオ晶化現象、か…
スレイイズチで暮らしているだけなら一見何にも変わらないように思えるけどさ
スレイ旅をしていると、晶化現象が徐々に広がっている噂ばかり耳にしないか?
ミクリオ…確かにそうかもしれない
ミクリオ大地や草花にしか影響しなかったものが、昆虫や動物にも生じ始めているという話も聞く
ミクリオ僕もずっと気にかかってはいるけど──
ザザザ…ドサッ!
スレイ…!
スレイ何か木から落ちて来たみたいだ。何だろう?
ミクリオ…スレイ、あそこだ
スレイこれは…
スレイ鳥だ…!鳥が凍って──…いや待てよ、これってまさか…
ミクリオああ、晶化だ…!間違いない
スレイそんな…!助けてやらないと…!
カッ!カッ!
ミクリオ傷付けないように気をつけろ
スレイわかってるって!
カッ!カッ!
スレイ…駄目だ、いくら叩いてもヒビすら入らない…
ミクリオ
ミクリオ動物が晶化したのを実際に見るのはこれが初めてだ
ミクリオウィンドルの国王が晶化したと聞いた時は、にわかに信じがたかったけど
ミクリオこうして鳥が晶化しているのを見ると、現実味を帯びてきたな
スレイ
スレイ…ミクリオ。オレ、決めたよ
スレイ晶化現象について、もっと知りたい。そのための旅に出る
ミクリオ近くの遺跡を探索するのとはわけが違う。自分が言ってる事の意味、わかってるのか?
スレイ…いろいろ危険はあると思う。でも、自分で確かめないといけない
スレイ世界に今、何が起きてるのか…
ミクリオ各国の学者、研究者達が未だに何も解明出来てないという話だ
ミクリオ学者や研究者でもない君が見ても何かが変わるわけじゃ…
スレイそれもわかってる
スレイけど、旅をすれば、世界各地の情報を集める事だって、広める事だって知識のないオレにも出来るし…
スレイそれに、こんな風に動物達が晶化していくのを見ているだけなんて、オレは嫌だ
ミクリオスレイ…
ミクリオわかった。じゃあ、僕も一緒に行く
スレイミクリオ…いいのか?
ミクリオスレイを、一人で行かせるのは心配だからな
ミクリオそれに、原因不明の晶化現象に不安を抱いているのは僕達だけじゃない
ミクリオイズチのみんなもだ。みんなのためにも僕達に出来る限りの事をしよう
スレイありがとう。ミクリオが来てくれるなら、心強いよ
ミクリオただし、ジイジを説得出来たらの話だ
ミクリオ今回は、いつもの遺跡探索とはわけが違う
スレイう…問題はそれだ
ミクリオだけど、ジイジの説得すら出来ないようじゃ、晶化現象の情報を集める事なんて到底出来ない
ミクリオそこは、スレイのお手並み拝見といったところかな
スレイど、努力はする…
ミクリオとりあえず、一度イズチに帰ろう。ジイジに旅の許可をもらいに!
スレイああ
スレイ…っと、その前にミクリオ、待ってくれ
ミクリオ何だ?
スレイこの鳥を、村に持って帰って安全な場所に移そう
スレイ晶化を解く方法が見つかったらまた飛べるかもしれないし
ミクリオスレイ…
scene2旅立ち
ジイジこのバッカもーーん!
スレイうっ…
ミクリオ
ジイジ何が晶化現象の事をもっと知りたい、じゃ!
スレイやっぱり…こうなるよなぁ…
ジイジお前の事じゃ、詳しく知れば、次は何とかしたいと言い出すに決まっとる!
スレイそ、それは知ってみないとわかんないけど…
ジイジ原因不明の現象に立ち向かう事が危険な旅になるかもしれん事くらいわかっておらんわけではなかろう?
ミクリオスレイなりに考えてはいるみたいですが…
ジイジ
ジイジ…許そう
ミクリオえ?
スレイ本当!?ジイジ
ジイジ…スレイ、お前は幼い頃から、人間には見えぬこの特殊な杜でワシらと共に暮らしてきた
ジイジそれが故に、世の中の事はどこか遠くに捉えていただろうと思う
ジイジしかし、お前は人間だ。それに、人間と天族もお互いが無関係というわけでもない
ジイジお前が、やるべき事を見つけて広い世界に出るというなら止める理由などない
スレイ…ジイジ…
ジイジ晶化現象の事は、杜の者達もみな気にしておる。人間が晶化したという話も聞こえて来とるしな
ジイジ今のところイズチの者は無事じゃが…お前達の言う通り、ワシら天族なら同じ目に遭わんとは言い切れまい
ジイジ自分のため、みなのため…各地で知り得た情報や経験はきっと何らかの役に立つはずだ
ジイジ行くからには、覚悟を持って気をつけて行ってこい。何かあれば、力にもなろう
スレイジイジ…ありがとう!オレ、頑張るよ。晶化現象をもっと知って──
スレイ…って、あれ?でも…最初から許すつもりだったなら、オレ達、怒鳴られ損じゃ…
ジイジそれはそれ、これはこれじゃ
スレイ何か釈然としない…けどまあ、いいか
スレイ善は急げだ。すぐ旅の支度を整えるよ!
ジイジやれやれ…あわただしい奴じゃのぅ
ミクリオええ、全く。…でもジイジ、許してくれてありがとうございます
ジイジなに、いずれ来たであろう時が来ただけの事じゃ
ジイジ…ミクリオよ、スレイの気持ちはまっすぐで正しい。じゃが、それ故の困難も多かろう
ミクリオ…はい
ジイジいかなる時も二人で力を合わせ、無事、帰ってこい。…よいな?
ミクリオジイジ…。当然、そのつもりです
ジイジ…うむ。では、旅に出るにあたって、いくつか助言をしておこう。まずは──
スレイ来た来た。遅いぞ、ミクリオ
ミクリオジイジにいろいろ心構えを聞かされていたんだ
スレイみんなに挨拶も済ませたし、出発しよう。まずはどこへ向かおうか?
ミクリオその事なんだけど、ジイジからいい話を聞いたよ
ミクリオメルトキオに「図書館」という、歴史的資料や文献が多く集められた施設があるらしい
スレイへえ、面白そうだな!そんなところがあるなんて、さすが大都会だな
ミクリオまずはその図書館に行って、晶化現象の情報を探すのがいいと思う
スレイだな。じゃあ、メルトキオに向けて出発!と、行きたいところだったけど…
ガサッ
ミクリオ…はあ。やれやれ、水を差してくれるね
ガルルル!
スレイ行くぞ、ミクリオ!
ミクリオああ!
scene1不思議な少女
スレイそれにしても、本当にいい天気だな
ミクリオああ、そうだね
スレイこうして見ていると、のどかで平和な、いつもの光景なんだけど…
スレイその一方で、晶化現象は徐々に広がってて…。何だか信じられないよな
ミクリオだが、それがまごう事なき現実だ。僕らも目の当たりにしただろう?晶化現象が発生した鳥を…
スレイうん…さっきの鳥…
スレイ結晶の中で、まるで時間が止まったみたいに固まってたけど、生きてるよな…?
ミクリオ見ただけでは何とも言えないね
ミクリオ結晶が解ければ、すぐにでも飛び立ちそうに見えたけど…
スレイ生きてるといいよな。あの鳥も、ウィンドルの国王も…
ミクリオ
ミクリオ…そのウィンドルの王様なんだけど、例の天啓、覚えてるかい?
スレイ『命源は燦爛たる結晶となり、 猛き君主を醒めぬ夢へ攫った』
ミクリオ『零れ落ちた星の雫は、 波紋の如く世界に拡がる』
ミクリオこの天啓について、ウィンドル国王の晶化を予言したものじゃないかって噂が流れているらしい
スレイ予言?そんな話になってるのか…。ミクリオはどう思う?
ミクリオ猛き君主…確かに、ウィンドルの国王は年若いにも関わらず、立派な人物らしい
ミクリオ燦爛たる結晶という言葉も、晶化現象を暗示していると読めなくはない
ミクリオあれを未来予知だと捉える者が出てくる事自体は、理解出来なくはないね
スレイそっか…
ミクリオただ、「天啓は未来予知だ」と人間が本気で考えるようになったら、少し厄介な事になると思う
スレイ厄介?
ミクリオそれがいい事ならまだしも、今回の王の晶化みたいに実は不吉な内容だった場合さ
ミクリオ晶化の件があって、世間には微かだけど不安が広まってる
ミクリオその不安が一気に高まるような事態も…
スレイそんな事起きるのか?あくまで噂なんだし…
ミクリオいや、むしろ当然だよ。晶化現象が人、動物、植物、何にでも起こり得るという事は──
ミクリオ晶化したそれ自体の命が失われるかもという心配以前に、まずは食糧の問題が出てくる
スレイそれはわかるよ。晶化がどんどん拡大していったら、漁も狩りも収穫も全部出来なくなるもんな
ミクリオそう。晶化してしまったものは、どう考えても食べられそうにない
ミクリオ僕達天族と違って、人間が生きていくには一定量の食糧が絶対に必要だろ?
スレイ晶化のせいで、世界中で飢餓が起きるかもしれない、か…
スレイ
scene2不思議な少女
ミクリオやっとメルトキオだね
スレイ久しぶりだけど、相変わらず賑やかな街だな
スレイまずは…ジイジから聞いた「図書館」ってところだな。どこにあるんだろう
ミクリオ誰かに聞いてみたらどうだい?
スレイうん、それもそうだな。あの、すみませ──
街の男1やっぱりこの間の天啓は、これから起こる事を暗示した未来予知なんだって
街の男2未来予知といや、他国の連中の中には我が国が未来予知を独占してるって非難してる奴もいるらしい
スレイ未来予知を独占?そんな話も出てきているのか…
ミクリオ天啓はこの前広場で公開していたはず。何だってそんな話に──
ドンッ!
???きゃっ!?
スレイうわっ!?
ミクリオスレイ!?
スレイいてて…
???ご、ごめんなさい…!急につまずいちゃって…怪我してませんか?
スレイオレは全然…!こちらこそ、すみません!
スレイ君の方こそ、派手に転んだみたいだけど大丈夫、かな?
???私はだいじょぶです。こういうの慣れてるから…
スレイ慣れてる?
???えへへ…私、ドジだからうっかり転んだりする事が多くて。今だって──
???……?
スレイ…どうかした?
???あれ?えっと…
???何だろう…不思議な感じがする。あなたのすぐ傍、まるで誰かがいるみたい…
ミクリオ…!ひょっとして、この女の子僕の気配を感じ取っているのか?
スレイまさかそんな──…あの…もしかしてわかるんですか?
???…?うん、えと…
???おーい、コレット!どこだー?
コレットあ、ロイドー!こっちこっちー
ミクリオ…はっきり見えるわけではないみたいだ
スレイ以前もこんな事あったな
ミクリオああ、異常な天変地異が続いていた頃だね。遺跡探索中に壁が崩れて生き埋めになりかけた時だ
ミクリオあの時もこんな風に僕の存在に気付いた人がいたね。ミラ、という女性だったか
ロイド一人で急に行くなって!慌てて転んだらどうするんだ
コレットもう転んじゃった。えへへ
ロイドおいおい…大丈夫か?
ロイドコレットがすみません…って、お前は…!
スレイあなたは確かミラさんと一緒にいた…
ロイドやっぱり!何か見た顔だと思ったんだよな
ロイド俺はロイド。ロイド・アーヴィングだ!えっと、確か名前は…
スレイスレイって言います。覚えていてくれたんだ
ミクリオ噂をしていたら、あの時の人に会うなんてすごい偶然だ
コレットロイド、この人と知り合い?
ロイド大精霊の事を調べていた時にな。ミラが感じ取った妙な気配を追ってたら──…
スレイあ、あの時は危なかったんですよね!遺跡の壁が崩れてきて、逃げ出したところにちょうど…
ロイドそうそう!驚いたぜ!遺跡の中から音がしたと思ったら急に人が飛び出してくるんだもんな
ロイド…で、コレットは何でスレイと一緒にいるんだ?
コレット私がつまづいてぶつかっちゃったんだよ。本当にごめんなさい
ロイドそうだったのか…。スレイ、コレットが迷惑かけてごめんな。怪我はしてないか?
スレイオレは本当に大丈夫。ロイドさん、心配してくれてありがとう
コレット迷惑かけちゃったお詫びに何か私に出来る事…ありませんか?街の案内とか…
ミクリオスレイ。この人達に、図書館の事を聞いてみてはどうだろう
スレイ…だな。ロイドさん、コレットさん、ちょっと聞きたいんですが──
ロイドロイドでいいよ。見たところ、歳も変わらないし
コレットそだね!私もコレットって呼んでくれてだいじょぶだよ!
スレイロイドとコレット、だね。改めてよろしく
スレイこの街に大きな図書館があるって聞いたんだけど、どこかな?
ロイド図書館に用があるのか?いいぜ、案内してやるよ!
スレイえ、いいのか?二人でどこかに行くところだったんじゃ…
コレットだいじょぶだよ。私達もちょうどそっちの方に用があったから。ね、ロイド!
ロイドああ!
ミクリオ…いいのか、案内までさせて。場所を聞くだけでも十分だと思うけど
スレイ図書館まで案内してもらうだけだし、それくらいなら問題ないって
ロイド…?どうしたんだ、スレイ独り言か?
スレイな、何でもないさ。二人共、ありがとう。図書館までの道案内、お願いするよ
コレットうん!任せて!
ロイドそれにしても、図書館に用なんて…。遺跡探検といい、スレイは勉強が好きなんだな
スレイ…そうかな?単に遺跡や歴史に興味があるってだけだよ
コレットふふ、ロイドは図書館が苦手なんだよね?
スレイ苦手?図書館には本があるって聞いたけど…
ロイド本しかないからなぁ…。頭が痛くなっちまうんだ
コレットロイドもたまにはリフィル先生と一緒に──…
街の女神子様!聞きたい事があってずっと捜しておりました…!
コレットえと、それは…
街の女先の天啓が、未来予知だと他国で噂されているようです。それは本当でしょうか?
ロイド悪い、そういう話は、神殿のフィリア司祭に聞いてくれ。コレットは何も知らないんだ
街の女はあ…
ロイドやれやれ。最近、ああいう連中が増えたな
コレットうん…。でもみんな、それだけ心配してるって事だと思うよ
ミクリオ神子って事はこの子が例の天啓を読み解いた…
スレイ…みたい、だな
ロイドまあいいや、気を取り直して行くとしようぜ
スレイあ、ああ
scene1お騒がせな科学者
ミクリオここがメルトキオ図書館…。ここまで案内してくれたあの二人に感謝しないとな
スレイうん、親切な人達だった。それにしても、コレットっていう子不思議な雰囲気があったな
ミクリオたまに僕の方を見ていたからやっぱり何か感じていたんだろうな。さすがは神子なだけあるね
スレイ神子って、近寄りがたい感じの人なのかと思ってたけど、随分穏やかで親しみやすかったな
ミクリオ一緒にいたロイドの影響が大きいのかもしれないね。すごく仲がよさそうだった
スレイそれにしても…
スレイすっげー…山のように本がある!
ミクリオまさに知の殿堂と呼ぶにふさわしい施設と言えるね
スレイこれだけ多くの本があると、きっと遺跡に関する文献もたくさんあるんだろうなあ…!
ミクリオ…さて、そろそろ目的の文献を探そう。スレイ、君はこの棚を…
スレイあ…ミクリオ、この本…
ミクリオ…!もう見つけたのか?どれどれ…
ミクリオってこれ、遺跡の本じゃないか!スレイ、僕達がここへ来た理由は──
???…コホン!
スレイ・ミクリオ…?
???あなた達、ここは公共の場所よ。大声で話すのは感心しないわね
???…って、あら?あなた一人…?誰かと話しているような気がしたのだけれど
スレイ…あ、えっと…すみません、今のはオレの独り言で…
???随分大きな独り言ね。…ともかく図書館では静かになさい。基本的なマナーは守らないと
スレイごめんなさい、今後は気をつけます
???素直でよろしい。あら、その本…あなたも遺跡に興味があるの?
スレイえ、ええ。遺跡をよく探検したりします
???素晴らしい!若いのにいい趣味をしているわね
???その本、スヴェン卿の代表作、「夢とロマンを追い求めて」ね。私も何度も読んだわ
???その本が気に入ったなら、師匠のザマランの著書もお勧めよ
???各国を旅をして得た知識を元に考察された物語仕立ての本は一読の価値があるわ
スレイへえ、面白そうですね…!今度必ず読んでみます
スレイその、あなたも…遺跡がお好きなんですね
???好き?…ふっ
???好きとか嫌いとか、そんな単純な捉え方で言い表せるものではないわ
???そもそも私にとって、遺跡とは──…
子どもリフィル先生~
リフィルいけない。つい熱くなるところだったわね。生徒達を引率しているのに
リフィルあなたとは、またゆっくり話をしてみたいわ。私はリフィル・セイジ。あなたは?
スレイオレは、スレイって言います
リフィルふふふ。ではまたね、スレイ
ミクリオ…あの人も、僕達に負けず劣らず騒がしかったと思うけど
スレイあはは。でもいい人だったね。時間がある時に、遺跡の話をしてみたいな
スレイ…よし、じゃあそろそろ本格的に晶化現象の事を調べようか
ミクリオそうだな。スレイ、君はそっちの棚を頼む。僕は奥を見てくる
スレイりょーかい!
スレイ…うーん、手がかりになるような本は見つからないな…。ミクリオは?
ミクリオこっちもだ。歴史書を中心に見ているけど…。晶化…生物学の方がいいだろうか
スレイこれだけの数だもんな、そう簡単に見つかるはず──
???ぎゃーーー!
ドサドサドサ!
スレイな、何だ!?今の悲鳴は…
ミクリオ向こうの方から聞こえてきたぞ。スレイ、行こう!
スレイああ!
scene2お騒がせな科学者
ミクリオスレイ、見ろ!
スレイあんなところに、人が…!?
パスカルた~す~け~て~!お~ち~る~!
ミクリオ脚立が傾いてる…!あんな高いところにある本を取ろうと…?
グラッ…
スレイあっ…!危ない!倒れる!
パスカルひいい~もうダメ~!
ミクリオくっ…!間に合うか…!
パスカルぐえっ、いった~…
パスカル…くない。あれ?
スレイ二人共大丈夫か!?
ミクリオくっ……
パスカル大丈夫…だけど…何で!?あたし今落っこちて…なのに、痛くないし…
パスカルんん?何というか、誰かに抱えられたような…!?超常現象、はあり得ないとして…
パスカルだとすると…君…?じゃないよね。離れてるし
スレイあ、はい…
パスカルじゃあ、誰だろ?他には誰も見当たらないのに
ミクリオ…やれやれ…
スレイえぇ~っと…
パスカルん…そういえば君、さっき「二人共大丈夫」って言ったよね?
パスカルそれって、あたし以外にもう一人いるって事だよね?
ミクリオ何なんだ、この人間…。随分食いついてくるな
パスカルつまり、あたしには見えないもう一人が、君には見えてる?その人が助けてくれたって事?
パスカルそれって誰なの?透明人間?まさか幽霊!?ねえねえ!
スレイええと…それはつまり…
ミクリオ…スレイ
スレイごめん…。何かこの人、すごく言い逃れしにくいっていうか…
スレイええっと…信じてもらえないかもしれないけど、確かに、ここにはもう一人います
スレイ天族っていう特殊な種族で、普通の人間の目には見えないんだ
パスカル天族…!?初めて聞く…!でも、どうして君はその「天族」が見えるの?
スレイそれはオレが天族のみんなと一緒に育ったから…かな?
パスカルうーんと、天族って、おばけや精霊とは違うんだよね。見える人もいるし、触れるし…
パスカルふむふむ…。ねぇ、今はどこにいるの~?
ミクリオ全く……。旅に出てまだ間もないのに、ハプニング続きにもほどがある…
パスカルあ、そうだ!自己紹介が遅れてごめんね。あたしパスカル。
スレイあ、オレは…スレイです。天族の友達は、ミクリオ
パスカルスレイにミクリオだね。よろしく~
パスカルそれよりミクリオ、助けてくれてありがとう!
ミクリオ…妙な人間だな。僕の事が見えていないのに、この押しの強さは何なんだ?
スレイあ~、えっと、ミクリオが、「どういたしまして」って
パスカルそっかそっか!で、二人は図書館で何してたの?
スレイオレ達は、晶化現象について調べるためにここに来たんです
パスカルお~、奇遇だね!実はあたしもなんだよ
パスカル謎に包まれた晶化現象…そのメカニズムを解明したいと思ってね
パスカルヒントを探しに来てみたんだけど、気付いたら空中にいてさ~あはは!
パスカルそうだ!見えないけど、天族は存在してる…って事はあれが使えるんじゃないかな?
スレイあれって?
パスカルえーっとね、ちょっと待ってね。今出すから…
ごそごそ…
スレイ…?
ミクリオ鞄にいろんなものが入っているな…。どうにも嫌な予感がするけど…
パスカルじゃーん!取り出しましたるこの解析機1号!
スレイ解析機?
パスカル晶化物の解析のために作ってみたんだけど、結局未知の物質としかわからなくってさ
パスカル役には立たなかったんだけど不可視物質を可視化するものだからもしかして天族にも作用するかも!
ミクリオまさか…そんな事あるはずないだろう
スレイ…本当に、ミクリオが…?
パスカル理論上はいけるはずだし、構造にも間違いないはずなんだ
パスカルまあ、天族に試した事は勿論ないけど、光を当てるだけ。害もないよ
スレイ…だってさ、ミクリオ。どうする?
ミクリオ断わるに決まってるだろ。怪しすぎる
スレイパスカルさん、ミクリオはやっぱり不安だって
パスカル大丈夫大丈夫!自分にも試したけど何ともなかったから。ほら、自分にやってみるよ?
パスカルここのボタンを、チャカチャカポン…っと!
ピピピピ…パチン!
スレイあ!そっちは…!
ミクリオう…眩しい…!
スレイミクリオ…!
パスカルわお!そんなとこにいたんだ!やったね、大成功ー!トロピカルヤッホ~ゥイ!!
ミクリオ何?僕は今、君に見えているのか…!?
スレイオレの目には何も変わってないんだけど…
パスカルスレイには元々見えてたんでしょ?そりゃ変わらないよ
パスカルへえ、君がミクリオなんだ。はじめましてー!
ミクリオ本当に僕が見えているのか…?…念のため聞かせてくれ、僕は、何本指を立てている?
パスカル2本!
ミクリオ正解だ…。本当に僕が見えているのか。あんな…胡散臭いもので…?
スレイあれ?姿だけじゃなくて声も聞こえてるんじゃないか?普通に会話してるみたいだけど…
パスカルあれ、そういえば…!これは思わぬ効果だね、大発見!
スレイ…もう何が何だか。ミクリオ、身体に異変はないか?
ミクリオ…特に異常は感じない。今のところ、だけど
パスカルごめんごめん!何ともなかったから結果オーライって事で!
ミクリオ元には戻せるのか?
パスカル出来ると思うよ。元に戻りたい?
ミクリオ…いや、今はいい。せっかくだし、聞きたい事がある
ミクリオ…パスカル、君は科学者のようだけど世界中で広がる晶化現象についてどこまで知ってるんだ?
ミクリオ晶化したウィンドルの国王や動物達は生きているのか、死んでいるのか…
スレイ晶化について、もし知ってたらオレ達に教えてほしいんです
パスカルああ、それならちゃんと生きてるよ。晶化した動物を調べたら、生命反応があったから
スレイよかった…やっぱり生きてるんだな
パスカルでも、長期間観察したわけじゃないから、この状況が続いたらどうなるかはわからないけど…
パスカル今生きてるからこそ、何としてもこのメカニズムを解明して晶化を解く方法を見つけたいんだ
ミクリオ…全くの未知の現象に対応策が見つかるというのは、確かに大きな意味があるけど…
パスカルねえ!だったら、協力しようよ!目的だって同じなわけだし
スレイ協力…ですか。オレ達でよかったら──
ミクリオ…もう一つ聞きたい。どうしてそこまで簡単に、僕達を信用出来る?
スレイミクリオ…
ミクリオ目には見えない天族という種族。君にとっては魔物にも等しいはずだ。なのに何故?
パスカルだって助けてくれたし、二人共いい人なのは間違いないでしょ?
パスカルそれにミクリオって、何だか弟君に雰囲気似てるんだよねぇ
パスカル目つきとか後ろのヒラヒラとか、色とか!!
ミクリオ色!?そもそも、弟君って誰の事だ…?彼女には姉弟がいるのか?
スレイ…正直オレもよくわかんないけど、すごく気に入られたんじゃないか、ミクリオ…
パスカルささ、話もまとまった事だし、さっそく調べものしていい?
パスカルあ、そうだ!その前に、崩れてきた本片付けないとだよね?二人も手伝ってよー!
ミクリオやれやれ…
scene1記された伝説
パスカル──そっか。スレイとミクリオは遺跡が好きなんだね~
パスカルあたしも、遺跡は研究の一環でいくつか行った事あるよ
スレイへえ…!じゃあ、シルヴァラントにあるサザ遺跡は行った事はある?
パスカルあー、行った事あるかも。…確か、大きな壁画がある遺跡じゃなかった?
スレイそうそう。変わった表現技法の壁画がある遺跡だったんだ
ミクリオサザ遺跡、か…
パスカル何なに?その遺跡が、どうかしたの?
ミクリオ最近そこに足を運んだんだけど、遺跡内部の草木にまで晶化現象が発生していてね…
パスカルそっか…遺跡の中にまで影響が出てきてるんだね…
ミクリオ
スレイん?どうしたんだ、ミクリオ
ミクリオいや…想像していた以上に、図書館には数多くの書物が集められているんだと思ってね
パスカルメルトキオの図書館は、他の国の図書館と比べても特に充実してるんだよ
スレイへぇ…!確かに、すごい量だもんな…
パスカルだからこそ、期待してたんだけど…肝心の晶化現象の資料はなかなか見つからないんだよね~
パスカル晶化現象に注目が集まったのもここ最近だから、研究資料は図書館に集まってないのかも
ミクリオリチャード国王の件からか…。何にせよ、せっかく来たんだ、もう少し手分けして調べよう
ミクリオ僅かな情報も、今の僕達には次の手がかりになるかもしれない。やるべき事はやっておかないとね
スレイうーん…
パスカルこれにも、ないな~
ミクリオこれも違うな…
スレイへえ…。すごい、こんなものが…
ミクリオ何か見つかったのか、スレイ?
スレイあ、いや。晶化現象とは関係ないんだけど、面白そうな記述を見つけてさ
スレイほら、この本なんだけど、面白い話が書かれてる
パスカルどんな話?
スレイ「湖の乙女の護りし祭壇の聖剣を 抜きし者、求めし答えを 必ずや得るであろう」だって
パスカルどの地域の言い伝えかなぁ…。こんなの初めて聞いたよ?
スレイ求めし答え…。これが何を示しているのか、何だか気になってさ
ミクリオ史実が元になっているかはわからないけど、おそらく英雄譚の一種だろうね
パスカル聖剣を抜いた人が知りたい事わかっちゃうって事でしょ?
スレイ…って事は、オレ達が抜けば晶化現象について何かわかるのかな?
ミクリオあくまで伝説だ。そんな都合のいい話はさすがにないだろう
パスカルそれに、その一文だけだと聖剣の場所もわからないしね~
ミクリオ…スレイ、今は晶化現象を調べる事が先決だ
スレイそうだよな。…何か、気になっちゃって。オレ、あっち見てくるよ
ミクリオスレイ…?
scene2記された伝説
パスカルうーん…かなりの量の文献を調べたけど…
スレイ結局肝心の晶化現象に関しては、何にもわからなかったな
街の女性…きゃっ
ミクリオ失敬、すまなかった
街の女性こちらこそ、ごめんなさいね?
ミクリオ
パスカルミクリオ?そんなとこで固まっちゃって、どうかした?
ミクリオいや、やっぱりパスカル以外にも、全ての人間に見えているんだなと思ってね
ミクリオスレイ以外の人間と普通に対話出来るというのは意外と新鮮味がある
パスカルあ、そっか。今までは、ミクリオが話してても相手には聞こえないはずだもんね
ミクリオ当然だけど、すれ違う通行人の視線も感じる。不快ではないけど、今までにはなかった感覚だ
スレイ…ミクリオ、もしかして街を歩くのが嫌なのか?
ミクリオそんなわけない。たった今、不快ではないって言ったじゃないか
スレイああ。…でも、何かあったらオレ達に遠慮しないでくれよ?
ミクリオスレイ…さすがにそれは気にしすぎだよ。気持ちはありがたいけど…
パスカルふふ、それじゃあこれからどうしよっかね~?
スレイオレ達も図書館以外は…。結局、振り出しに戻っちゃったな
パスカルうーん、情報集めに関してはここが最有力候補だったし…街の人に聞いてみるとか──
街の男1聞いたか?ウィンドルの話。辺り一面に結晶が、ゴロゴロあるって話だ
街の男2ああ、怖い話だな。各地で見られるようになったとはいえ何でまた、特定の地域がそんな…
全員…!
ミクリオスレイ…!
スレイああ…
スレイすみません、今の話詳しく教えてくれませんか
街の男1何だ、ウィンドルの晶化現象の話か?実は、噂なんだが──
パスカル晶化現象が特に進行した地域かぁ…。一体、何があったんだろ?
ミクリオ晶化に結びつく何かがあった…と考える事も出来るけど…
ミクリオさすがに、ウィンドルのどこかまでは彼らも知らなかったようだ。確かめるのは難しいかもしれないね
パスカルどうするの、二人共?
スレイ…ウィンドルへ行こう
ミクリオまあ当然だね。ウィンドルに入れば、どこの地域かわかるかもしれないし
パスカルうんうん、あたしも賛成~!三人で頑張ろ~!
ミクリオ三人、って…パスカル、まだ一緒に来る気なのか?
パスカル何で~?駄目かなぁ?二人といると、楽しそうだし!
パスカル得意不得意の分野はあるけどいろいろ役には立てると思うよ?
スレイさっきの機械のお蔭でミクリオが見えるようになったんだし頼りになるのは確かだけど…
パスカルじゃあ、決まり!先を急ぎたいけど、今日はもう遅いし…
きゃあああっ!
ミクリオ今の悲鳴は…!?
パスカルスレイ、ミクリオ!あれ見て、魔物が街の中に…!
スレイこんな街中に…!行こう!
scene1強者の博物学者
スレイここはもうウィンドルなんだよな?
パスカルうん、そうだよ
ミクリオここまでは何事もなく来れたけど、異常に晶化が進んだ場所の情報も手に入らずじまいか…
パスカルバロニアへ行けば、誰かしらは何か知ってるんじゃない?
ミクリオバロニア…、ウィンドルの王都か…
パスカルあそこにはあたしの知り合いもいるし…
ザザッ…!
スレイ…!こっちに何か向かって…!?
???危ない、よけろ!
パスカルふぇ?
グオオオッ!
スレイうわっ!
???逃がすか!
ガッ!ズカッ!
ギャウウー!
スレイ強い…!
???驚かせてすまん。怪我はなかったか?
スレイあ、いえ!大丈夫です。あなたこそ…
???オレは見ての通り無傷だ。君達は旅人のようだがどこから来た?
スレイイズ…いえ、シルヴァラントからです
スレイオレ、スレイって言います。こっちはミクリオにパスカル
ウィルほう、礼儀正しい若者だな。オレはウィル・レイナードだ
ウィルこの辺りは魔物が多い。十分気をつけて旅を続けてくれ
ウィル最近は魔物だけでなく、他にも不穏な現象が起きているしな
ミクリオ不穏な現象…
パスカルそれってもしかして、晶化現象の事だったり?
ウィルああ。近頃は植物だけじゃなく動物や魔物にまで晶化が見られるようになった
ウィルとはいえ、この辺りの晶化具合はこの間訪れた遺跡の周りと比べれば軽微なものだがな
パスカル晶化が進行した場所にあるウィンドルの遺跡…。ひょっとして、これってビンゴ!?
ウィル…何だ?
ミクリオその遺跡は、ウィンドル国内に?
ウィルん、そうだが…君達、遺跡に興味があるのか?
スレイウィルさん、その遺跡の場所を教えてもらえませんか?
ウィルあんな場所に一体何の用だ?物見遊山で訪れるような場所ではないぞ
スレイオレ達、晶化現象の事を調べているんです
ミクリオ危険かもしれない、というのは十分承知しているつもりだ
ミクリオだが、その晶化が進んだ遺跡にあの現象と結びつく手がかりがあるかもしれない
スレイオレ達の住んでいた場所でも晶化があちこちで起きてて…
スレイだから、知りたいんです。晶化って何なのか…、世界に何が起きてるのか…
ウィル…なるほど。理由はわかった
パスカルでも、そんな危険な場所に何しに行ってたの?
ウィルこう見えてオレの本職は博物学者だからな。その遺跡へは珍しい化石を求めて辿りついたんだ
パスカルおお、なるほど~。まだ見ぬものへの探究心だね!それで、場所はどこ~?
ウィル遺跡の名は、ピュール遺跡。バロニア北部の湖近くにある遺跡だ
ウィルあの辺りは辺鄙な場所で、魔物もここ以上に多い。行くならくれぐれも注意した方がいい
ミクリオ情報の提供、感謝する。スレイ、パスカル、教えてもらった遺跡に行ってみよう
スレイうん!ウィルさんも気をつけて
ウィルありがとう
ウィルああ、スレイ。もし行くのなら遺跡内の最深部に行ってみるといい。面白いものがそこにある
スレイ面白いもの…?
ウィル最深部には祭壇があるんだ。その中央の台座に剣が刺さっている
ウィルオレも抜いてみようと剣を握ったがびくともしなかった…。力には自信はあるつもりなんだがな
ウィルもしかしたら、何かの儀式のために作られたのかもしれないが、正体はわからずじまいだ
パスカル祭壇に剣…?あれ?どっかで聞いたような…
スレイ…!
スレイ図書館で読んだ、伝説の一節…!
ミクリオ
パスカルだとしたら、その遺跡に伝説の湖の乙女がいたりして!
ミクリオ…偶然にしては出来すぎているような気がするけど…
スレイミクリオはあの伝説の事、気にならないか?
ミクリオ…勿論、気にはなる。ただ……いや、ここで話していても仕方ない。まずは目的地を目指そう
パスカルいやぁ、思わぬ新展開!あたし達ツイてるかも~
スレイウィルさん、貴重な話、ありがとうございました!
ウィル役に立ったのなら、何よりだ
ウィルそれにしても、君は礼儀正しいな。セネルに君の爪の垢を煎じて、飲ませてやりたいものだ
ミクリオ…?
ウィルいや、こっちの話だ。では、オレもそろそろ行く。くれぐれも気をつけてくれ
スレイはい!
パスカルよーし!ピュール遺跡を目指して、しゅっぱーつ!
scene2強者の博物学者
スレイ──あれは…
パスカルん?スレイ、どうかしたの?
スレイあそこに見える大きな街…あれがバロニア?
パスカルそうそう。あ、せっかくだしちょっと寄ってく?新しい情報の収集も兼ねて
ミクリオさっきのウィルという男も遺跡周辺は魔物が多いと言っていた。準備は万全に整えたい
パスカルそれもそうだね。んじゃあ、行こうか~
スレイここも王都なだけあって、すっごい都会なんだなぁ。メルトキオと同じくらい?
ミクリオいや、それ以上かもしれない。建造物もかなり違う
ミクリオメルトキオは宗教に縁のある建物が多かったけど、それに比べて…
街の女ねえ、広場で大公殿下が演説をするんだってさ
街の男何の話をするんだろうな。聞きに行ってみるか
スレイミクリオ、セルディク大公って確か…
ミクリオリチャード国王が晶化した事を、公言した人物だ。どんな演説を行うのか…
パスカルねぇ、二人共聞きに行ってみない?何か新しい情報があるかも
ミクリオ確かに…。国王の晶化状態について何か発表があるかもしれない
パスカルよし、広場に行こっか。こっちだよー
scene1二つの騎士団
スレイすごい人だかりだ…
ミクリオそれだけ国民が、自国の動向を気にしているって事だろう
パスカル二人共、こっちこっち!ここからなら見えやすいよ!
スレイ…へぇ~、ここなら演説する場所も見えるね
パスカルあ、セルディク大公が出てきたみたい
セルディク親愛なるウィンドル王国の民よ!
ミクリオ始まったか…
スレイあれがセルディク大公…
セルディク私は今、深い悲しみと、強い憤りに包まれている!
セルディク悲しみの理由は他でもない。諸君が敬愛する国王陛下が痛ましいお姿になられたが故だ
セルディク知れ渡っている通り…リチャード国王陛下は、晶化現象に倒れてしまわれた!
セルディク晶化現象の解決法がない今、亡くなった、と認識せざるを得ない状況である…
ざわ…ざわざわ…
街の男リチャード陛下…おいたわしい…
街の女どうしてこんな事に…
セルディクそして憤りの理由は…この重大な事実が、民に対して伏せられていたためだ!
セルディク私が真実を明らかにしたからこそア・ジュールのガイアス王も動き、ようやく事実が明るみになった
セルディクこの事を忘れてはならない。私があの時動かなければ、真実は今も尚伏せられたままだっただろう
セルディクすなわち、諸君はいつ我が身に降りかかるかわからない晶化現象を警戒する事すら出来ずにいたのだ
セルディク本来ならば、即刻真実を公表し、諸君らへ用心を促すべきだったはず。にも関わらず、今のこの国は──
セルディク民の身を案ずるどころか、他国との情勢が不利になる事を恐れ事実を隠蔽した…
セルディクこれは許すまじき行為だ。陛下…いや、我が甥リチャードも決してこんな事態は望まないはず
セルディク今も尚、陛下の周囲にいる臣下の者達は、自らの保身を優先し続けている
セルディクそんな我が国の今の体制を信用する事が出来るのだろうか?忠誠を尽くす事が出来るだろうか?
セルディク今改めて、諸君らに問い掛けたい
ざわ…ざわざわ…
街の男何という事だ…。国民の安全を最優先にしないとは…
街の女リチャード国王がいれば…これからどうしたらいいの?
セルディク諸君らは舵取りの利かぬ船に乗っているも同然…ではこの状況を打開するにはどうするべきか?
セルディクその答えは諸君の目の前にある。そう、私だ!
セルディク私なら亡き陛下に代わって、ウィンドルを束ね、この腐りきった国の体制を変える事が出来る!
セルディク旧弊にとらわれる事のない、全く新しい王国を作る事が出来る!私はただ、諸君を守りたいのだ!
街の男そうだ、こんな状況では大公殿下が王になった方が…
街の女私達をお導き下さい、セルディク大公殿下!
ミクリオ…妙だな
スレイどうしたんだ?ミクリオ
ミクリオかく言うセルディク大公だって重役である一人だ。陛下の叔父でもある
ミクリオ十分に発言権がある立場のはずだ。こんなあからさまな体制批判を、国民に向ける必要はないと思うけど…
スレイ言われてみれば…
街の男でも、陛下はまだ生きているんじゃ…
街の女いいえ!今のウィンドルにはセルディク大公殿下しかいないわ!
ミクリオそもそもこれは、本当に国民の声…なのか?
ミクリオ同意の声がすぐ上がる事にも妙な違和感を覚える…。聴衆の中に彼の仲間が紛れているんじゃないのか
パスカル確かに変だね?噂だけど、そんなに評判いい人じゃなかった気がするなぁ…
街の男大公殿下万歳!
街の女ウィンドルには、新しい王が必要だ!
セルディク諸君の熱い声、私の耳にしかと届いている。今こそ──…
???お待ち下さい!
セルディクむ?
パスカルん?あれって…アスベルじゃん!
ミクリオパスカルの知り合いか?
パスカルうん
セルディクお前達、知っているぞ。騎士団のアスベル・ラントにフレン・シーフォだな
セルディクたかが一介の騎士が大公たる私の演説を妨げるか
アスベル不敬に対するお咎めは、後でいくらでも受けます
アスベルしかし、事実と異なる事が本当のように喧伝されるのを、看過するわけにはいきません!
フレンアスベルの言う通りです。リチャード陛下は生きておられます
フレンそれに、事実の公表が遅れたのは、民を不安に陥れたくないという配慮からだと伺っております
アスベル決して民を蔑ろにしたわけではありません。デール公もそう仰られていました
セルディクふん…デールの言う事など、あてになるか。所詮あやつは、陛下の腰巾着にすぎぬ
セルディク民を不安に陥れたくない?笑わせるな
セルディクそうやって手をこまねいている間に我が国の民が危機に見舞われたら、どう責任を取るつもりだったのだ
フレン…っ!ですが、我々も手をこまねいていたわけでは…
セルディク諸君、今のやり取りを聞いたな?これではっきりわかっただろう!
セルディク今のウィンドル騎士団は、国と民を守るという本分を忘れた、国王の私兵に過ぎぬという事が!
アスベルなっ、そんな事──
セルディクふん、ちょうどいい機会だ。ここでお披露目といこう。私が組織した、「赤の騎士団」を!
スレイ赤の騎士団…?
ザッ、ザッ…
セルディク諸君、これが赤の騎士団。王国に真の忠誠を尽くす、勇敢、清廉なる騎士の集まりだ
セルディク騎士団を率いる団長には、信頼のおける人物を任命した
セルディク紹介してやろう。来い、カーツ・ベッセル!
カーツ
アスベルセルディク大公!
アスベル国王陛下のお許しも得ず、新たな騎士団を組織するなど、越権行為ではありませんか!
フレンそうです。私兵というなら、これこそ私兵ではありませんか。陛下がお認めになるわけが──
セルディク黙れ!一介の騎士に過ぎない貴様達に指図されるいわれはない!
セルディク大公セルディクの名において命じる。今すぐこの場から去れ!
街の男1そうだ、出て行け!
街の女1赤の騎士団、万歳!
アスベルそんな…!
街の男2いいや、そんな事はない!アスベル様、フレン様の言っている事は間違ってない!
街の女2そうよ!ウィンドル騎士団はいつでも私達を助けて下さった、私はフレン様達を信じるわ!
街の男1甘い!これを機に、騎士団の構成は一新すべきだ!
街の女1ウィンドル騎士団は必要ない!これからは赤の騎士団がいるもの!
フレンくっ…何て事だ…
パスカルアスベル…
フレン…アスベル、行こう
アスベルフレン!しかし…
フレン大公の言う通り、我々は一介の騎士に過ぎない。この場を覆すのは難しい
フレンこれ以上騒ぎが大きくなっても不利になるばかりだ。ここは一旦引いた方がいい
アスベル
アスベルわかった…
カーツ
セルディク諸君、すまなかった。とんだ邪魔が入ってしまったな。さあ、話を続けよう
街の男大公殿下、万歳!
街の女ばんざーい!
ミクリオ…晶化の情報を期待していたけど、まさかここまではっきりと、この国の現状を理解出来るとはね…
ミクリオ今後、ウィンドルのような国が他にも出てくる可能性は十分にある…
スレイ…よくない雰囲気だと思うけど、オレ達には何も出来ないんだよな…
パスカル…スレイ、ミクリオ、行こ!
スレイえ?行くってどこに?
パスカルアスベルのとこ。このまま放ってはおけないよ
ミクリオさっきの騎士のところ?行って何を──
パスカルいいから、早く早く!
スレイちょ…パスカル!?そんなに引っ張ったらミクリオの腕が!!
scene2二つの騎士団
フレン──まさかこんな事になるとはね。「赤の騎士団」か…
アスベル騎士団まで用意していたなんて…この機会を狙ったとしか考えられない
アスベルセルディク大公は、以前から陛下を目の敵にしているところがあったからな
フレンだからといって、陛下の不在で国民の不安を煽るとはあんまりなやり方だ…!
アスベル彼は有能な王になれるかもしれない。だが、大公の野心を考えたら、他国との摩擦は避けられない…
パスカルアスベル!
アスベル…!パスカルじゃないか
パスカル広場での騒ぎ、見てたから追って来たんだ。大変だったね?
アスベルまあな…
フレンアスベル、知り合いなのか?
アスベルああ、こっちはパスカルで、この二人は…
パスカル二人共あたしの友達だよ。メルトキオで知り合ったんだ!
スレイえーっと…はじめまして、オレ、スレイって言います
ミクリオミクリオだ。よろしく
アスベル俺はアスベル・ラント。そして、こっちはフレン
フレンフレン・シーフォだ。よろしく
スレイ二人共騎士団の人、でしたね?よろしくおねがいします
パスカルそれにしても、大丈夫?国の体制とかアスベル達の事とか、すごい言われようだったけど…
アスベル大丈夫…ではないかな
ミクリオ質問してもいいだろうか。国王の件を、敢えて伏せていたというのは──
アスベル国民や他国との混乱を避けるため、公にしなかったのは事実だ
アスベルだからといって、危険を野放しにしようとしていたわけじゃない
フレンうん、それより問題はセルディク大公だ
フレンさっきの演説では、陛下の事を心配しているような口ぶりだったが、実際は反国王派と言ってもいい
アスベルその陛下がいない今を狙ってセルディク大公が狼煙をあげた、という事だ
ミクリオなるほど…
フレン大公が陛下の一件について国が方針を慎重に検討していたのを知らなかったはずがない
フレンおそらく、それを意図的に捻じ曲げて人々の前で発表したんだ。この国の実権を握るためにね
ミクリオならつまり、あの会場に集まった人間の中には…
フレン…大公の手の者が紛れ込んで周囲の人々を煽っていた可能性は否定出来ない。証拠は何もないけどね
アスベル国王の不在をいい事に、不安を抱える国民の支持を掴む手段に出るなんて…これから何をするつもりなんだ…
パスカルアスベル…
スレイ問題ばかり、なんだな…
アスベルリチャードは必死に国を立て直してきた。それを壊すような事は絶対にさせない…!
スレイ
アスベルリチャードは生きてる…。必ず生きてるって、俺は信じてる
フレン…本当なら、今すぐにでも陛下を救い出す方法を探しに行きたいところなんだ
フレンだけど、この状況で僕達がここを離れるわけにはいかない
アスベル「赤の騎士団」…。セルディク大公が、まさか騎士団まで作られるとはな
フレンまた争いの種とならなければいいが…
スレイあの──…アスベルさん、フレンさん…!
フレン何だい?
スレイオレ達、今、晶化現象について調べてるんです
ミクリオどういう現象なのかがわかれば、リチャード国王を救う方法も見つかるかもしれない…
ミクリオまだ何もわかってない。だから、助けられないと決まったわけでもない
スレイ何かわかったら、すぐにお二人に知らせに来ます!
スレイだから、お二人は安心してウィンドルと、街のみんなを守ってあげてください
パスカルそうそう!調査の事はこっちに任せて!
アスベルスレイ、ミクリオ…パスカルも。ありがとう、そう言ってくれると助かるよ
フレンうん、僕からもお礼を言わせてもらうよ。ありがとう
フレン…。スレイ、君は何だか不思議な人だな
フレン君の言葉はまっすぐで…どんな事でも何とかなりそうな…そんな気分にさせられる
スレイえっ…
アスベル俺もやる気をわけてもらった気がする。ありがとう、スレイ
スレイそうですか?
パスカルんじゃ、名残惜しいけど先を急ぐ事にしますか!
パスカル助かる命は、ちゃーんと助けたいしね
フレン助かる命?
パスカルそうそう。生命反応はあるけど、それがいつまで持続するかは──
アスベルちょっと待ってくれ、パスカル。生命反応があったって……今の話は本当なのか?
パスカルうん、それは間違いないよ。晶化した生物数体のサンプルを使って確認したから
アスベルって事は…リチャードは本当にちゃんと生きてるって事だよな…?
アスベルよかった、本当に…!
フレンああ…!
スレイ
パスカルごめんごめん、早くそれを教えてあげればよかったね
パスカル…あ、そうだ!
パスカルねえねえ、アスベル。バロニアの北にあるっていうピュール遺跡を知らない?
アスベルピュール遺跡…?いや、聞いた事もないな。フレンは知ってるか?
フレンいや、僕も聞いた事はない。バロニアの北…本当なのかい?
パスカルえ~おっかしいなあ…。確か湖のほとりにあるって話だったんだけど…
フレン湖…?確かに湖ならバロニアの北の森を北東に抜けた先にあるにはあるが…
フレンバロニアの北には他に湖はないし、そこの事だろうか…?
アスベルあそこは国内でも晶化が特に進行していると聞く。そんなところに行って大丈夫か?
パスカルだからこそ、何かあるんじゃないかって睨んでるんだ。とにかく行ってみるよ、ありがと!
ミクリオいろいろと話が聞けてよかった。感謝する
アスベルこちらこそ。道中はくれぐれも気をつけてくれ
フレン何かあればいつでもまたバロニアへ立ち寄ってくれ。協力は惜しまない
スレイありがとう、アスベルさん、フレンさん
ミクリオ彼らはリチャード国王を随分慕っていたみたいだね
ミクリオ楽観は出来ないけど、彼らのような騎士がいるなら、ウィンドルはきっと大丈夫だろう
パスカルアスベル達のためにも、ますます頑張っちゃわないと!
街の女きゃああっ!
スレイ…!?あの悲鳴は?
パスカルあ、あっち!女の人が魔物に襲われかけて…
ガルルルル!
スレイまずい!ミクリオ!
ミクリオああ!
scene1燦然たる湖
パスカルやーっと、たどり着いた!ここが例の湖だね
スレイ大きな湖だなー!
スレイ…!ミクリオ、パスカル、あれ…!
ミクリオ晶化現象か
パスカルあちこち晶化しちゃってる…。今まで見てきたところより晶化が進んでいるのは間違いなさそう
スレイよし、とりあえずは湖の周辺を見て回ってみよう
ミクリオこの辺りで見られるのは植物の晶化ばかりだ
スレイその点はイズチと変わらないな
ミクリオここまで酷くなかったけどね…
ミクリオ進行が進んでいると聞いていたから人間にも影響が出ているかもと思ったけど…
スレイこの近くに街や村はなさそうだし少し安心だな…
スレイそういえば、ウィルさんが教えてくれたピュール遺跡はどこにあるんだろう
ミクリオ確かに見かけないな。湖のほとりって話だったけど
パスカル…あ!ねえ、あれがそうじゃないかな?
パスカルちょっと奥まった地形の…ほら、あそこ。端っこがのぞいてる
スレイ…本当だ。あれがピュール遺跡…?
ミクリオ外観からすると、神殿か何かか?それも、かなり古い様式のようだけど
スレイ今まで見て来た遺跡とは何か雰囲気が違うな…
ミクリオああ、周囲の自然の美しさも相俟ってどこか神聖な雰囲気があるね…
パスカルねえねえ!この辺りに新しい発見はないしあの中に入ってみようよ!
パスカル岸沿いに岩場を伝っていけば近くまでいけそうだよ
ミクリオあんな足場が悪そうなところを?本当に大丈夫なのか?
パスカル気をつけて行けば大丈夫だって!あたしの後について来てね~
スレイ危ないからゆっくり進も──って、パスカル!早いな…
ミクリオ全く…岩場から滑り落ちても知らないぞ
scene2燦然たる湖
ミクリオ遺跡の中はこんな風になっていたのか
スレイ外はだいぶ風化が進んでたけど、中はこんなに綺麗なんだな
スレイ何となくだけど、空気まで澄んでるように感じる…
ミクリオかなり辺鄙な場所だ。人間が立ち入る事はほとんどなかったんだろうね
スレイ…うーん、本当にそれだけかな?
パスカルうん?どういう事?
スレイ…よくわからないけどまるで誰かがここを守っているような──
ウオオーー……
スレイ…!今のは…魔物の遠吠えか?
ミクリオ僕達が立ち入った事に気がついたのかもしれない。…ここから先は気をつけて進もう
スレイそうだな…
ウオオオオオーーー…!
ミクリオ魔物の声が近付いてきたな
パスカルしかも、一匹じゃなくて何匹かいるっぽい?
スレイあ!
パスカルえ?何なに?言ったそばから魔物が出てきちゃった!?
スレイあ…驚かせてごめん。魔物じゃなくってほら、これ──
ミクリオ壁画か…
パスカル随分大きいね~!何か雰囲気あるかも?
ミクリオ描かれているのは、剣を掲げる英雄の図、といったところか
パスカルひょっとして、この英雄の持ってる剣が例の聖剣なんじゃない?
ミクリオ可能性はあるかもしれない。この遺跡にあるという剣が、本当に伝説の聖剣であればの話だけど
スレイ
スレイ…何だろう、この感覚…
スレイ絵に込められた強い想いが伝わってくるような──
グオオオオオッ!
パスカルまた魔物の声…!この先から聞こえるよ…!
ザシュッ!ズバッ!
ミクリオ待つんだ!この音…誰か戦っている…
スレイ…!あれは…
???…!
ガウウッ!
スレイミクリオ!あの女の人!
ミクリオどうしてこんなところに…!急いで助けよう!
パスカルえ!?女の人って何の事!?あたしには魔物しか見えな──…
パスカルちょ、ちょっとスレイ!ミクリオ!置いてかないでぇ~!!
scene1紅蓮の試練
スレイ…ふう、何とか片付いたな
???
ミクリオ君も…天族なんだな
ライラはい。ライラと申します
スレイ君、大丈夫?怪我はない?
ライラ…はい。助けていただいて、ありがとうございます
ライラあなたは…天族でなく人間の方ですね
ライラ私達の姿が見えて、声も聞こえてらっしゃるようですが…
スレイオレ、小さな頃からずっと天族に囲まれて育ったんだ。そのお蔭かな?天族が見えるんだ
ライラそうなのですか…
ミクリオ
スレイそれにしても…こんなところで天族に会うとは思わなかったな
ライラふふふ、ちょっと事情がありまして…
スレイオレはスレイ。こっちはミクリオで、この人はパスカル
パスカルはいはーい、パスカルで~す!自己紹介も大事だけど…
パスカルあたしも話に混ぜてよ~!スレイ達だけで盛り上がってずるい~!
スレイそっか、ごめんごめん。実は──
パスカル天族がいるんだよね?さっきから魔物しか見えなかったし。それで、どこにいるの~?
ミクリオパスカルの目の前だ
パスカルまさかの目の前!ここに新しい天族の人が…!
パスカルねえねえ!解析機を使ってミクリオと同じように、あたしにも見えるようにしていい?
スレイライラ、パスカルが持っているあの道具を使うと、普通の人にも天族の姿が見えるようになるんだ
スレイ君に使ってもいいかな?
ライラまあ、そんな事が…?…何か問題はないのでしょうか?
ミクリオ僕もあれを使用されたけど、特に異常はなかった。心配はないと思う
ライラ…そうなのですね。それでしたら、お願いいたします。パスカルさん
ミクリオ構わないそうだ
パスカルやった!えっと、正面の方向ね?ではでは、ここを…ポチっとな!
ライラきゃっ!
パスカルゴメン、驚かせちゃったね。出てきた!またまた大成功~!初めまして、ライラ!
パスカルやっぱり女性の天族だったんだぁ。スレイがさっき女の人って言ってたしそうかな~って思ってたんだよね
パスカルしかも、すっごい美人!
ライラまあ、美人だなんて…
パスカルその美人さんに、お願い!
パスカルぎゅーってしてもいい?天族の触り心地を知りたいなぁって
ミクリオ触り心地って…
パスカルミクリオのが成功した後、すごく疑問に思ってたんだよねぇ。…駄目?
ライラえぇ~と、少しだけでしたら…
パスカルありがとー!
パスカルぎゅーっ!
パスカルなるほどなるほど…。なーんだ、普通の女の人と変わらないねー
ミクリオ…僕に来なくて助かった
パスカルん~?何なに?ミクリオも触っていいの?
ミクリオ丁重にお断わりするよ
ライラふふっ。パスカルさん、とても明るい方ですのね
ミクリオ……
ミクリオところでライラ、君はどうしてこんなところに?
ライラミクリオさんは同じ天族ですからおわかり頂けると思いますが、私は元々ここで暮らしていたのです
ライラただ最近になって、晶化現象が急激に広がってしまって…
スレイオレ達はまさにその晶化現象を調べるためにここに来たんだ
パスカル晶化現象が進行してるこの地域へ来れば、何か問題解決のヒントを得られるんじゃないかなぁ、ってね?
ライラつまり、晶化現象の原因を解明しようとしていらっしゃると…
ミクリオ始めは植物にしか発生しなかった晶化現象が、近頃は動物にまで起きるようになってる
スレイこのまま晶化現象が進行し続けたらその内、人や天族にも影響が出るかもしれない
ミクリオ現に、道中で立ち寄ったウィンドルでは国王が晶化してしまい混乱状況に陥っていた
ライラ…想像していた以上に、大変な状況になっているのですね…
スレイちょっとした事でいいんだ。この辺りで、晶化現象と関係してそうな事に心当たりってない?
スレイオレ達にどこまで出来るか、まだわからないけど…
スレイどんなに小さい事だっていい。何か手がかりを見つけたいんだ!
スレイ人も天族も、動物もみんな、安心して暮らせるように…
ライラ……
ライラスレイさん、助けて頂き何とかお役に立ちたいのですが…
ライラ晶化現象に関しては私も、何も知らないのです
スレイそっか…
ライラ申し訳ありません…
スレイううん!そんな事ないよ!オレの方こそゴメン。自分の事ばっかりだった
ミクリオ…僕も一つ聞いていいかい?この遺跡に暮らしていた君ならもしかしたら知っているかもしれない
ライラはい、何でしょうか?
パスカルはいはーい!この遺跡の中に、剣が刺さった祭壇ってないかなぁ?伝説に出てくるようなすっごいの!
ミクリオ……
ライラ祭壇に刺さった剣…。みなさんは聖剣もお探しだったのですか?
スレイ聖剣!?ライラ、ここには本当に聖剣があるのか!?
ライラまだご存じの方がいらっしゃったんですね。もう随分と昔の事ですのに…
スレイ図書館にあった本で読んだんだ、聖剣の伝説について
ライラはい、それは事実ですわ。この遺跡の奥には、確かに聖剣の祭壇が存在します
ミクリオ本に記載されていた伝説、ウィルから得た情報、全て重なっていたわけか
パスカルおお~!じゃあもしその聖剣を抜く事が出来たらいろいろわかるかも…!
ライラ聖剣は、晶化現象とは直接関わりのないものですわ
ライラそれでも尚、聖剣の元へ行きたいと思われますか?
スレイ…伝説には「求めし答えを得られる」って書いてあったんだ
スレイだから、その聖剣が手に入ったら今のこの状況を何とか出来るんじゃないかって思って…
ライラ…わかりました。それでは、聖剣の祭壇までみなさんをご案内します
スレイいいの!?
ライラはい、スレイさんが望まれるなら
スレイミクリオ、パスカル!早く行こう!
ミクリオ…本物の聖剣か。ウィルは抜く事が出来なかったと言っていたけど…
パスカルまあま、とりあえず見せてもらおうよ!
scene2紅蓮の試練
ライラあれが聖剣です
スレイ……!
パスカル本当に剣が突き立ってる!どうやって刺したんだろ?
ミクリオもっと近寄って見てみても?
ライラ勿論です。さあ、前へどうぞ
スレイ
スレイまさか、本当にあったなんて…
パスカルこの剣、綺麗だね。全然傷んでない。随分古い伝説の剣、だよね?
スレイ文献には、この聖剣を抜くと、求めし答えを得る事が出来るって書いてあったけど
パスカル剣に向かって、言えばいいのかな?晶化現象の原因を教えてーって
ミクリオ…さすがに会話形式で聖剣が答えを返してくれるわけではないだろう…
パスカルスレイ、剣抜けるか、やってみなよ
スレイオレが?…いいのかな?
ライラ
ライラスレイさん…
スレイ何?やっぱり触っちゃまずかったかな?
ライラこの聖剣は、かつて世界を救った救世主である「導師」が携えていたものなのです
ライラこの剣を抜くという事は、導師になるための試練に挑むという事を意味します
スレイ試練…?
ライラ…スレイさん。私達を視認出来るあなたには、導師となる素養がおありだと思います
ライラだから私は、あなた方をここへお連れしたのです
ミクリオ……
パスカルあ!もしかして…伝説の一節に書いてあった、聖剣を護る湖の乙女っていうのは…
パスカルひょっとして、ライラの事?
ライラはい。その呼ばれ方は、少し恥ずかしいのですけど…
ミクリオその聖剣が全く抜けなかったという話も聞いた。それはつまり…
ライラお察しの通り、この聖剣が試練を課す剣だからですわ。素養のない方に抜く事は出来ません
スレイ…ライラ、教えて欲しい。その「導師」って何なんだ?
ライラ導師とは、天族と一体化する事の出来る特別な人間の事です
スレイ天族と一体化…?
ライラ天族の力を身に纏う「神依」を行う事で、天族特有の力を我が物として扱う事が出来る人間…
ライラそれが導師です
ライラ神依とは、その導師と天族、双方の力を飛躍的に高める秘術の名ですわ
ミクリオ神依…
ライラこれまでの長い歴史の中で、導師は存在していました
ライラ…ですが、素養を持つ者の少なさ故にここ久しくは出現が途絶え──
ライラ遂には、人々や天族の記憶から忘れ去られていったのです
ミクリオだからイズチでも導師の事は伝わっていなかった…
ライラ私はこの地で、長きに渡りこの聖剣を護ってきました
ミクリオ
ライラ何の道具も必要とせず、天族を視認出来る天性の素質…
ライラそして、人と天族、それに動物…全てをわけ隔てなく救いたいと願う純真でまっすぐな想い──
ライラ導師となるには、いずれも欠けていてはいけない要素なのです
ライラスレイさんは、私が拝見した限り、その必要な要素の全てを、兼ね備えている方だと思います
ライラ私の役目は、そういった素養のある人間を見出し、導師となる道を指し示す事…
スレイオレが…
ライラスレイさん、剣を抜いたその瞬間、…導師となるための試練が始まります
ライラですが、その試練は望まぬ内に巻き込まれて、乗り越えられるものではありません
ライラ導師になりたいという意思がないのでしたら、剣に触れないようにしてください
スレイ……
スレイライラ、さっき導師は神依が使える人間だって言ってたよな?…本当に、それだけなのか?
ライラ…さすがですわ。仰る通り、「神依の使い手」が導師の本質ではありません
ライラかつて、この世界は大きな混乱に見舞われました。もうずっと昔の事ですが…
ライラその時、世界を救ったのが、先代の導師です
ライラ導師とは、その闇に呑まれた世界の運命を覆す事が出来るまさに「導きの光」…
スレイ導きの光…
ライラ今、世界に暗い影が忍び寄っている事は、私も知っています
ライラこのような時に、スレイさんがこの地を訪れた事は、ただの偶然ではないのかもしれません
ライラみなさんが調べている晶化現象。それが、いずれ世界中を巻き込む巨大な災厄となり得るのだとしたら…
ライラ…確かな事は私にもわかりません。だから、スレイさんご自身で決めて頂きたいのです
スレイ……
パスカルいいんじゃない?せっかく導師になれるって言ってるんだし、なっちゃえば
パスカル要は、スレイがどーんとパワーアップするって事だよね?晶化現象もぱぱっと解決するかも?
ミクリオ待ってくれ。簡単に決めていい話じゃない…
ミクリオ確かに僕らは晶化現象を追っている。でも、その事が導師になる事と繋がっている確証はない…
スレイ…ライラ、さっき言ったよな。剣を抜くという事は、導師になるための試練に挑む事だって
ライラはい。導師となるためには、厳しい試練を乗り越えていただく必要があります
ライラ素養さえあれば、必ず導師になれるわけではありません。強い意志と力を示さなくては…
ライラそして、その試練を乗り越え導師になれたとしても、その先の道のりはとても険しい…
ライラ導師は、世界を導く光となる存在。世界の運命を背負うその使命はとても重いのです
ミクリオそれは、苦渋の決断を迫られる事もあるかもしれないとそういう意味なのか?
ライラ…それだけではありません。人に疎まれ、心を打ちのめされる事も…
パスカルうぅ~、聞けば聞くほど、導師になるってすごいオオゴトっぽいね…
ライラ…スレイさん。私からお話したい事はこれで全てですわ
ライラ聞かせてください。…スレイさんは、導師となる事を望まれますか?
スレイ
スレイオレは──
ミクリオ…スレイ、剣を抜くのは待ってくれ。僕からも確認したい。本当にいいのか?
スレイ…さっきさ、ライラが言ってただろ?このタイミングでオレがここに来た事は、偶然とは思えないって
スレイオレもそう感じてたんだ。この遺跡に入った時から何か不思議な感じがして…
スレイそれに、ここに来るまでにパスカルやアスベルさん達と出会った事も偶然じゃなかったんじゃないかって…
スレイオレ達、ここに来るまでの旅で今の世界がどうなっているか、少しだけど見てきただろ?
ミクリオ…晶化現象は各地で進んでいる。そしてそれを端緒として、人々の心に不安が募っている…
スレイ晶化しちゃったあの鳥も、リチャード国王も、一刻も早くオレは助けたい
スレイこの気持ちは、間違いなくオレの本心だよ
ミクリオ全く…君はどこまでも…
スレイそうだライラ、途中にあった壁画だけど、あれって導師を描いているのかな
ライラあ、はい。それが何か…?
スレイ…やっぱり
スレイあの壁画では、導師が聖なる剣を掲げ闇を切り裂き…そこからまぶしい光が差し込んでた
スレイもしオレが導師になって、あの壁画と同じ事が出来るなら…この世界の導きの光になれるなら──
スレイ…オレは導師になる。どんな試練だって、乗り越えてみせる!
ギュッ
スラッ…
パスカル聖剣が…
ミクリオ抜けた…
ライラスレイさん…やはりあなたは…
ゴオオッ!
ミクリオ何だ、この炎は!?
スレイくっ…!
パスカル見て、炎が何かの形に!
グルル…!
スレイこいつは!?
ライラ炎の化身たる鳳凰…これが試練ですわ
スレイつまり、こいつと戦えばいいって事か
ライラその通りです…!
ミクリオスレイ、僕は君につき合うと言った。それはいつでも、どんな事が起きようと変わらない
スレイ…ミクリオ…!
パスカルあたしも手伝うよ!いっちょやりますか!
スレイうん!ありがとう、みんな
グオオオオオッ!
スレイ来るぞ!
scene3紅蓮の試練
スレイはあ…はあ…
スレイこれで…どうだ!
ズバーーッ!
グオオオオーーーッ!
ミクリオやったか…
スレイああ!鳳凰が消えてく…
パスカル強かったぁ。さすが試練だね…。何とか勝ててよかったよ~
ライラお見事ですわ、スレイさん。無事、試練を乗り越えられました。一安心ですわね
スレイああ、ありがとうライラ。これでオレは───……うっ!
ミクリオ…!どうしたんだ、スレイ!
パスカルちょ…何これ…!?何かスレイに光が集まり始めて…
スレイう…あ…熱い…身体が…
ミクリオスレイ!?大丈夫か、スレイ!?
スレイやば…も、もう駄目……
ドサッ
ミクリオスレイ、大丈夫か。しっかりしろ、スレイ!
スレイ
パスカル…大丈夫。意識を失ってるだけ、みたい
ミクリオライラ、これはどういう事だ!?僕達はちゃんと鳳凰を倒した、なのにこれは──
ライラ…大丈夫ですわ、ミクリオさん。命に別状はないはずです。おそらく、しばらく寝込む事にはなりますが…
ミクリオしばらく寝込む…?どういう事なんだ?
ライラスレイさんは無事試練を乗り越えられました
ライラ導師になるという事は、すなわち天族と一体化するための「器」となるという事です
ライラそのための身体作り、と言ったところでしょうか
ミクリオ人が天族の力を受けるための「器」になる。そのための変化で、スレイは…
ライラはい。人が持ち得ない力を、突然身体に収める事になるのですから…
パスカルとにかく、スレイを休める場所に連れてってあげなきゃ
ライラそれがよろしいかと。数日は高熱にうなされてしまうかもしれません…
ライラ私も同行させていただきますわ
ミクリオそれなら、まずバロニアへ戻ろう。ここからだと、あの街が一番近いと思う
パスカルうん、そうだね
ミクリオ二人にはすまないけど、なるべく急ぎたい。スレイは僕が担ぐ。パスカル、君は荷物を頼めるか?
パスカルはいよ~
スレイ
ミクリオ…スレイ、辛いだろうが少し耐えてくれ
ライラ…スレイさん、本当にお疲れさまでした
ライラ…先ほども申し上げた通り、今日お会いしたのはきっと偶然ではありません
ライラこれから大変になりますが…どうか今は、ゆっくり休んでくださいね

NameDialogue
scene1エルとの約束
ルドガーそれじゃ兄さん、行ってくるよ
ユリウスああ。エルとルルの事は任せておいてくれ
ルドガーロイヤル猫缶ばかりねだって、兄さんを困らせるなよ、ルル
ルルナァ~
エル
ユリウスエル、いつまでもそんなところでむくれていないで、ルドガーを見送ってやってくれないか
エル
ユリウスやれやれ。ずっとあの調子だ
ルドガー俺が話すよ、兄さん
ルドガーエル、昨日ちゃんと話しただろう?納得していないのか?
エル
エルどうしてダメなの?
エルエルはアイボーじゃなかったの? なのにどうして、一緒にバロニアに行ったらダメなの?
ルドガーエル…何度も言ってるだろう。晶化現象の事は何もわかっていない
ルドガー必要以上に外出は避けてほしいんだ。ましてや、バロニアまでなんて連れて行けないよ
エル…連れてけなくない
ルドガーそれに、バロニアに着いたらお城の知り合いに会うつもりなんだ
ルドガーお城にはいろんな偉い人もいるんだ。子どもと一緒には──
エルエル、コドモじゃないもん
ルドガーお城の人はそう思ってくれないよ。だからといって、街中でエル一人待たせるわけにもいかないだろう?
エルだって…エルも、ルドガーと一緒にショーカのこと調べたい…
ルドガーエルには、俺のいない間兄さんと、街のみんなの事を守って欲しいんだ
エルおじさん、すぐトマト食べさせようとするからイヤ
ユリウストマトは栄養満点で、身体にすごくいいんだぞ
エルエルはトマト食べなくても、これからちゃんと成長するからいいんですー
ユリウスルドガーがいない間に、エルのトマト嫌いを克服させようと思ったが…この分だと難しそうだ
ルドガーはは、トマト嫌いは筋金入りだからな
ルドガーじゃあエル。俺が帰って来たら、エルの大好きなスープをたっぷり作ってやる
エルホント!?
ルドガーああ、腕によりをかけた大好きなスープの特別バージョン、作るって約束するよ
エル…うん。約束だからね?
ルドガーああ、約束だ。それじゃ、出発するよ
エルエル、街の外までルドガーをお見送りする!
ユリウス俺も行こう
ルルナァン
ルドガーエル、兄さん、それにルルまで。みんな、ありがとう
scene2エルとの約束
ユリウス──ところでルドガー、晶化現象についてだが、何から調べるつもりだ?
ルドガー知りたい事は山ほどあるけど…特に気がかりなのは晶化した生物の生死、だ
ルドガー街の人が見せてくれた晶化した蝶を見て、ぞっとしたよ
ユリウス植物だけじゃなく、昆虫すらも…。晶化現象は、確実に進行していっているからな…
ユリウスリチャード国王の例もある。今後は動物や人間にも広まっていくのかもしれない
ルドガーもし仮にそうなってしまった時、晶化した生物は生きているのか、救い出す方法があるのか…
ルドガー…結晶の性質を知るためにもまずはそれを調べてみようと思う
ユリウスなるほど
ユリウス確かに、そういった性質を知る事は対策方法は勿論、晶化の実態を知る大きなきっかけとなるかもしれないな
ユリウス…そういえば、バロニアにはアテがあるような事を言っていなかったか?
ルドガーああ。あそこの騎士団にアスベル達がいる。彼らなら、何か知っていると思うんだ
ルドガーアスベルはリチャード国王とも親しいようだったしね
ユリウス国王に近い場所から情報を、か…。有力な情報が得られそうではあるな
ユリウス俺は俺で、調べてみよう。そっちは頼んだぞ
ユリウス…それにしても、晶化現象とは一体何なのだろうな
ルドガー今は何とも──
エルもー!ルドガーとおじさん、二人でお話してばっかり!
ルルナァー!
ユリウスはは、ごめんごめん。…エル、まだ少し機嫌が悪いな
ルドガーみたいだな…
ルドガー二人共、見送りはこの辺りまででいいよ
エル…うん、わかった
ルルナァー…
ユリウス一人忘れてる、って言ってるぞ?
ルドガーはは、ルルも忘れてないって
ルドガーあ、エル…。この前拾った四つ葉のクローバーだけど…
エルあれなら、ちゃんとフーインしたよ!
ルドガー封印…?
エルショーカゲンショーは、キケンかもしれないからガラスの入れ物に入れたよ
ルドガーそうだったのか…
エルねえ、ルドガー
エルルルも、あんまり外に一人で出しちゃダメだよね
ルドガールルか…。そうだな…
ユリウスルルを閉じ込めておくのは、難しそうだがな
ルルナァ?
ルドガーエル、俺がいない間ルルの事、出来るだけ目を離さないでいてくれるか?
エルうん、任せて!ルドガーも…
エルショーカゲンショーの事で何かわかったら、エルにすぐ教えてくれる?
ルドガーああ、勿論だ。エルは俺の相棒だからな
エルうん!
ルドガーそれじゃあ、兄さん、後の事は頼むよ
ユリウスああ、わかった。気をつけてな
エル気をつけて行って来てね、ルドガー
エルメガネのおじさんとルルの事も、エルがちゃんと守るから
ユリウスん?何かおかしいな
ルドガーはは、兄さんと守ってくれって言ったつもりだったんだけどな…
エル行ってらっしゃーい
ルドガーさて…と。バロニアへの道はこっちだな
ルドガー…エルも、晶化を心配していろいろ考えていたんだな…
ルドガーエルのためにも、晶化現象の事をちゃんと調べないとな
ガサッ!
ルドガー…!?何だ今の音は…
ガルルルル!
ルドガーくっ、魔物か…!
scene1三人の旅人
ルドガー相変わらず大きな街だな
ルドガー何もなければ、珍しい食材とか見て行きたいけど…寄り道は今度だな。まずは、王宮へ向かわないと
ルドガーとはいえ、国王が晶化した一件で、王宮も警備が強化されていそうだ…
ルドガー騎士団も忙しいかもしれない。取り次いでもらえるだろうか…。…うん?
街の男1セルディク大公以外、誰がいるって言うんだ!
ルドガー…!
街の男2今のウィンドルには、新たな王が必要だ!大公殿下に立っていただくしかない!
街の女1何言ってるんだい。ウィンドルの国王陛下は、リチャード様しかいないよ!
街の女2リチャード様が亡くなられたと決まったわけでもないのに、次の王様の話なんて許さないわ!
ルドガー大公殿下…セルディク大公の事か
ルドガー国王が晶化した状態じゃ、国民も不安だし、代わりの王の話が出ても不思議じゃないか…
ルドガー晶化現象で、みんな不安がっている。それはイニル街だけじゃない…
ルドガー何か俺に出来る事はないだろうか…
ニャー
ルドガーお?こんなところに猫が…
ルドガーどうした?こんな人通りの多いところに、出てくると危ないぞ
ルドガー首輪があるから飼い猫みたいだが…。食べ物が欲しいのか?
???ああっ、見つけたっ!
ルドガーえっ!
ギニャーー!
ルドガーあ、逃げた…!
???どいたどいたどいたーーっ!
ルドガーおっと
???そこの猫、待てーーっ!
ルドガー何だ、今の。猫を追いかけてるのか?
???はあ…はあ…こっちの方に来たはずなんだけど
???うーん、いないみたいだね。あ、ちょっと、そこの人!
ルドガー俺、かな?
???うん、君だよ。今、やたら元気のいい男の子が走って行かなかった?
???えーと、あ、その子、この子と双子で、顔が似ているんだ
ルドガー双子…か。ああ、ついさっき見かけたよ。猫を追いかけていた男の子だろう?
???あ、きっとそうです!
???どっちに行ったかな?
ルドガーこの通りをまっすぐ進んで、向こうの路地に入って行くのが見えたけど
???向こう…どこの路地ですか?あの、お花屋さんの角ですか?
ルドガーいや、そこじゃなくて、ここからだと四つ目の…。いや、その次か?
???あー、もう、わかんないから、お兄さん、ホント悪いんだけど案内してくれない?
???その男の子…ディオって言うんだけど、バロニアには不慣れなんだ
???このまま放っておいたら、確実に迷子になると思います…
ルドガーそれは大変だな。わかった、案内しよう
???ありがと!
メルあ、ご挨拶遅れてすみません。わたしはメルといいます。こちらはロディさん
ロンドリーネ本名はロンドリーネね。ロディは愛称。よろしく!
ルドガー俺はルドガー。よろしく、二人共
scene2三人の旅人
ルドガーあそこだ!あの子が捜してたディオじゃないか?
ディオはあ…
ロンドリーネそうそう、あの子!ディオくん発見!
メルディオ!
ディオあ、メルにロディ。駄目だったよ
メル駄目だったよ、じゃないでしょ!何も言わずに飛び出して行ったら、心配するじゃない
ロンドリーネ結局、猫は捕まえられなかったの?
ディオ捕まえたは捕まえたよ。オレじゃなくて別の人が、だけど
ディオその捕まえた人は飼い主とも知り合いだからって、連れて行っちゃった
ロンドリーネま、それなら結果オーライだね。よかったよかった
メルわたし達、さっき街の広場で迷い猫の張り紙を見つけたんです。で、ちょうどその時猫が前を通って…
ロンドリーネ可愛そうな迷い猫を捕まえようとディオくんが張り切って一人で飛び出して行ったってわけ
ルドガーあの猫、やっぱり飼い猫だったのか。無事飼い主の元に帰れそうでよかったよ
ディオそれが、よかったけどよくなかったんだよ
メル…?どうしてディオはそんなにがっかりした様子なの?
ディオ謝礼をもらい損ねたからさ。オレがあの猫を捕まえていれば、今頃は…
メル…呆れた。お礼が欲しくて、あんなに張り切ってたわけ?
ディオそりゃそうさ。だってオレ達、お金がなくて朝から何も食べてないんだぞ
ルドガーお金がなくて…?昼も過ぎてる時間だし、食べてないなら空腹も限界じゃ…
ロンドリーネうう、思い出させないでよ。路銀も尽きてきたから、なるべく節約してるんだ
メルこの先、旅も続けられなくなっちゃいますね…。どうしよう…
ルドガー君達、旅をしているのか。子どもと女性だけで?
ディオ子ども…ってバカにするなよ!立派に旅してるっての!
メルロディさんも、戦うととっても強いんですよ。頼りになるんです
ロンドリーネ双子ちゃん達だって、すごい力持ってるんだから。そこらの魔物なんかイチコロだよ
ルドガーへえ…。そのすごい力を持ってるけど、資金の底が尽きた、と
ルドガー食事が出来ないくらいの金欠って…結構一大事じゃないか?
ロンドリーネうう、そうなんだよねぇ…。お金がない、となると稼ぐしかない
メルそれはそうですけれど、私達、まだ子どもだし、どうやって…?
ロンドリーネ君、この街の人…だよね?ホント何から何まで悪いけど、私に何か仕事紹介してくれない?
ルドガー俺もここの街の人間じゃないんだ。いきなり訪れた街でお金を稼ぐとしたら…大道芸とか?
ロンドリーネ大道芸…か。うん、いいかも!ここは人通りが多いから、歌とか踊りとかいいかもね
ディオ歌とか踊りっていきなり言われても、オレ達にそんな事…
ロンドリーネ出来るって。双子ちゃんの得意な事は、なーんだ?
メルあ、なるほど。服を着替えればいいんですね!
ロンドリーネご名答!
ルドガー服を着替える…?着替えると、どうなるんだ?
メルわたし達、いろいろな職業の服を着て、その職業になりきる事が出来るんです
ロンドリーネなかなかのものだよ。見たら君も、驚くと思う
ロンドリーネ善は急げ、だね。ルドガー、人手が欲しいから手伝ってくれない?
ルドガーえぇ!?いや、俺これから行くところが……
ディオどうせやるなら、街で一番人が多い広場でやろうぜ!
ロンドリーネいい考え!さあ、みんな、こっちこっち!
ルドガーお、おい、ロディ──…はぁ…仕方がないか
ロンドリーネさあさあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!
ロンドリーネ双子の旅芸人、メルディオ一座がバロニアにやって来ましたよ!
ルドガー上手いもんだな。みんなこっちを向いたぞ
ロンドリーネ関心さえ引きつければ、後はこっちのもの。頼むよ、双子ちゃん!
メルららら~~~♪
街の男おお、なんて可愛らしい。しかも、なんて上手なんだ!まるで天使の歌声のようだ
メルるるる~~~♪
街の女小さい吟遊詩人さんだこと!いい声だねえ
ロンドリーネバードの服を着れば、メルはたちまち、一流の吟遊詩人に早変わりってわけ
ルドガー本当に熟練の歌い手みたいだ。メルの歌でみんな足を止めてる
ロンドリーネでしょ?でも、これだけじゃないんだな!まあ、見てて
ロンドリーネ美少女吟遊詩人に続きましては、少年剣豪の登場!技の冴えをご覧あれ!
ディオはああっ!
ディオえいっ!やあっ!たああっ!
ルドガーすごい…!あんな大きな剣をいとも容易く操ってる
ロンドリーネ今のディオは、剣豪だからね
ロンドリーネ…いかがです、お客さん?メルディオ一座の公演、たーっぷりとお楽しみ下さい!
メルららら~~~♪
ディオはっ!やあっ!とうっ!
街の男いいぞ、二人共!
街の女晶化現象が起きて以来、久しぶりにこんなに笑った気がするよ。これは、おひねりを奮発しないとね
ルドガー街のみんなも楽しそうだなこれが二人のすごい力、か…
ルドガーあ、投げ銭はこちらにお願いします!投げ銭はこちらへ!
ディオすげえ!あっという間に、お金がこんなにたまったぞ!
ロンドリーネ作戦は成功だね!二人の頑張りの成果だよ
メルわたし達だけじゃありません。お二人がいてくれたお蔭で思い切ってやれました
ロンドリーネルドガー、ありがとう。これ、おひねりのおすそ分けね
ルドガーいや、お金はいいよ。俺は大した事はしていない。三人の力だ
ルドガー俺もすごく楽しませてもらったし、街の人達の笑顔が見られてよかった
ロンドリーネルドガー…。そっか、じゃあ今回は遠慮なくいただくね。本当に助かったよ
ディオこれでまた、旅を続けられるな
ルドガー…君達は何で旅をしているんだ?今は晶化現象で、外は危険かもしれないのに
ロンドリーネ私、人を捜してるんだ。どうしても会いたい人がいてさ
ロンドリーネ双子ちゃん達は、それを手伝ってくれてるんだ
ルドガー会いたい人、か…
ロンドリーネそれじゃ、懐も暖まったし、そろそろ行こうか、双子ちゃん
ディオおう!まずはメシ食いに行こうぜ!
メルルドガーさん、本当にありがとうございました
ルドガーいや、こちらこそ楽しかったよ。道中、気をつけてな。危険そうなところには近付くなよ
メルはい、そうします。ご忠告、ありがとうございます
ディオじゃあ、行こうぜ!ルドガー、今日はありがとな
メルディオ!ルドガーさんは年上なんだから、ちゃんと敬語で話しなさいよ
ロンドリーネそれじゃ、私達は行くとするよ。またどこかで会えるといいな
ルドガーああ、そうだな。君達が、捜している人に会える事を祈ってるよ
ロンドリーネ…うん、ありがとう!
scene1同志との出会い
ルドガーロディにディオにメルか…おもしろい三人組だったな
ルドガー…さて、俺もそろそろ本来の目的に戻るとするか
ルドガー王宮はあっちだな。この道を行けば──…ん?
青果商ちょっと、そこのお兄さん。新鮮なトマトはどうだい?甘くて美味しいよ!
ルドガーへえ、こんなに熟したトマトならデザートにアレンジ出来そうだし、エルもきっと食べられるだろうな…
ルドガーいや、俺はこれから用があるんだから、買い物は…
???おー、このトマトおいしそう!おじさん、ちょうだい!
青果商お姉ちゃん、見る目あるね。いくつ欲しい?
???パスカル、勝手に買おうとしないでくれ。まだ何を作るか決めてないだろ
パスカルん~?トマトはそのまま食べられるけど?
???そういう問題じゃない。必要のない材料をわざわざ──
パスカルそれじゃ…焼く?焼きトマト!
???調理法の話でもない…
パスカルえ~、違うの?トマトは柔らかくて栄養もあるし、病み上がりのスレイにもいいと思うけどな
???栄養があるのはその通りだけど、物事には順序というものがあるだろ
ルドガー…あのー、話しかけても?
パスカルん?なあに?
ルドガー俺、よく料理をするんだけど、リゾットがいいんじゃないか?
ルドガートマトでも、お米と一緒に煮込めば病み上がりでも食べやすいと思う
パスカルへえ、いいねぇ、それ。食べたい!ミクリオ作って!
ミクリオやれやれ…。了解した、君達の提案に乗ろう。あとで作り方を調べておく
パスカル宿の人に聞けばいいんじゃない?お兄さん、いい事教えてくれてありがと!
ルドガーどういたしまして。その人も早くよくなるといいな
ミクリオ……
ミクリオ…心遣い、感謝する
パスカル病気っていうか、ただ寝込んでるだけっていうか…。大した事はないんだ
パスカルとにかく、早く戻ろっか。ご飯食べてスレイが元気になったら晶化現象の調査も再開だね!
ルドガー…君達も、晶化現象の事を調べているのか?
パスカル君達もって、お兄さんも?
ルドガーああ。とは言っても、情報を求めてバロニアに来たばかりで何も知らないんだ
ルドガーよかったら、何か知っている事があれば教えてくれないだろうか?
青果商ちょっと!あんた達!立ち話ならよそでやってくれないかい?
ルドガーすみません、今移動します。あ、その前にトマト買うんだったな
パスカルおじさん!トマト5個ちょーだい!いや、やっぱり6個かなあ…
ルドガーその前に、何人分作るんだ?それによると思うんだが…
ミクリオ……
ミクリオ晶化を調べている、か…
パスカルお待たせ!えっと、お兄さんのお名前は?
ルドガーああ、自己紹介が遅れてすまない。俺はルドガー・ウィル・クルスニク。イニル街から来たんだ
パスカルあたしはパスカル。で、こっちはミクリオ。よろしく、ルドガー
ミクリオ…よろしく
ルドガー晶化現象の事なんだけど…
ミクリオその前に、一つ聞かせてほしい。バロニアに来たばかりという事だけど具体的には、いつこの街に?
ルドガー…?
ミクリオ先日の大公による演説と赤の騎士団…街の住人達にも混乱は生じているし、正直、僕も敏感になっている
パスカルん~、悪い人には見えないけどなぁ~
ミクリオパスカルの印象や勘を理解出来ないわけじゃない。それでも、今は時期が時期だ
ミクリオルドガー、無礼な事を聞いている自覚はある。だが、答えてもらえないだろうか
ルドガー俺がこの街へ来たのは少し前の事だ
ルドガー…それより、赤の、騎士団…だっけ?その騎士団の名前は初めて聞いたな。アスベル達がいる騎士団とは違うのか
パスカルあれ?ルドガーってアスベルの事、知ってるの?
ルドガーああ、アスベルとは前に行動を共にした事がある
パスカルおお~!それなら大丈夫!ミクリオ、ルドガーならきっと力になってくれるよ!
ミクリオまた「知り合いの知り合い」か…旅に出てからはずっとこうだな。出来すぎた偶然が次々重なってくる…
ミクリオ…ルドガー、大変失礼をした
ミクリオ改めて名乗るけど、僕はミクリオ。先ほどの発言、許してほしい
ルドガーいや、いいんだ。街の様子を見ると無理もないよ
パスカルそれじゃ、まとまったところで!立ち話もなんだし、宿に行かない?
ミクリオ…この機会だし、全員で顔合わせしておくのも悪くないか。ルドガーの都合はどうだい?
パスカルみんなで話した方が何かと話が早いでしょ?ね、いいかな?
ルドガー…じゃあ、そうさせてもらおう。荷物持つのを手伝うよ
パスカルありがと~!じゃあ、半分お願い。宿はこっちだよ!
scene2同志との出会い
スレイへえ…。これが導師の衣装…オレに似合ってるかな、ライラ?
ライラとてもよくお似合いです。スレイさんのお身体に採寸も合っているみたいですね
スレイうん、ぴったりだ。結構動きやすいよ!
スレイ…なぁ、ライラ
スレイオレ、導師になったんだよな
スレイあの後倒れて、ずっと寝込んでたからさ
スレイ今でも、あれは夢だったんじゃないかって…
ライラ夢ではありませんわ。スレイさんは聖剣を引き抜き、見事、試練を乗り越えられました
ライラ遠からず、自分が導師であると強く実感する時が訪れるでしょう。私も持てる限りの力をお貸しします
スレイそっか…。ありがとう、ライラ
パスカルただいま~。おっ、スレイ、起きたんだ!ライラの言う通りだったね
ミクリオ気分はどうだい?ふらつきとかはないか?
スレイよく寝たー!って感じで何ともない。ピンピンしてるよ
ミクリオならいい…。それで?その格好は何なんだい?
スレイライラがくれたんだ。カッコいいだろ?
ライラかつての導師の衣装を元にご用意いたしました
パスカルへ~、そうなんだ。何か、長いマントが導師様ーって感じがするよ!
ミクリオ馬子にも衣装だね
スレイちぇー…。…あれ、そっちの人は?
パスカルこの人はルドガー。買い物で悩んでた時に会ったんだ。ルドガーも事情があるらしくてさ
ルドガー初めまして、君がスレイ?俺はルドガー。よろしく
スレイルドガーさん…はい、よろしくお願いします
ライラ私はライラと申します。パスカルさん?その事情と言うのはどういった?
ミクリオ彼は僕達と同じく、晶化現象について調べているんだ
ルドガー調べに来た、というのが正しいかな。バロニアに来たばかりで、まだ何も掴んではいないんだ
ライラお一人で来られたようですが、ルドガーさんの街で晶化現象は…
ルドガーああ。俺の住むイニル街でも街中で植物の晶化が進んでいる
ルドガー最近は昆虫も晶化するようになった。このままだと動物や人間にも晶化が起こり始めるかもしれない
パスカル原因や実態もわからないから、ね。いつどうなってもおかしくはないし…
ルドガー対策や解決方法があるのか…、少しでも早く情報を掴んで、みんなを安心させたいんだ
スレイルドガーさんの気持ち、オレもわかります
ミクリオ僕達も住んでいた村の側で、晶化した鳥を見つけた事がある
ルドガーそうか…。やっぱり、地域によっては動物の晶化も起きているんだな…
ルドガー晶化した動物がどうなるか、情報は?もう助からないのか?
スレイ鳥を覆った結晶を割ろうと思って結構強く叩いたんですけど、ヒビ一つ入らなくて…
ミクリオ今の僕達では手の施しようがないだろうね
ルドガーそんな…
パスカルでも、諦めるわけにはいかないよ。中の生物は生きてるんだし
ルドガー…!中の生物が生きてるって…それは本当か!?
パスカルうん、間違いないよ。だからこそ、晶化現象のメカニズムを解明して、中の生物を助け出したいんだよね
ミクリオ彼女は、ああ見えて科学者らしい
ライラ私も変わった発明品を見せていただきましたわ
ルドガーそうなのか…人は見かけによらないな。でも、それを聞いて少し希望が持てたよ
パスカルでも、わかってるのはそれだけなんだ
パスカル熱を加えても、衝撃を加えても少しも欠けないし。それ以上の事は…
ルドガー晶化現象が発生し始めた時期や原因などもわからないのか?
パスカル時期も各地域で異なるだろうし…この国の情報だけで判断は難しいかも
スレイじゃあ、やっぱり過去の記録とか?
ライラどうでしょうか。今のような状況は私ですら見た事も聞いた事もありませんし…
ルドガー…?あなたですら、というのは…?
ライラあら、ふふ、何でもありません。こちらの話ですわ
ミクリオ過去という観点で言えば、以前の天変地異がまず思い出される
ミクリオある時から突如発生し、世界全土に急激に拡大したところにも共通性があるしね
スレイ確かに、原因不明ってところも一緒だよな
パスカルふむふむ…言われてみればそんな気もするね
ルドガー前にあった天変地異との関連性か…。俺もその可能性は考えた
ルドガーこの晶化現象は大精霊に関わりがあるかもしれないって…
スレイ大精霊?あれ、どこかで聞いたような…
ルドガー本当か?大精霊を知っているのは一部の人だけだと思っていたんだが…
ルドガーあの異変は、彼らが暴走状態になってしまったため、起きてしまったんだ
スレイ…あ、思い出した!確かミラさんと会った時だ。みんな大精霊がどうのって話してて…
ルドガーミラと知り合いなのか?
スレイだいぶ前だけど、シルヴァラントの遺跡探検中に会った事があって…
ミクリオまたここでも知り合い同士か…。僕達の世界は、実は意外なほど狭くて小さいのかもしれない…
ルドガーああ。すごい偶然だな…
ミクリオそれで、その大精霊とは?
ライラ世界を形成する上で欠かせないさまざまな自然を司る存在の事ですわね
ライラ自然を司るという点では、私やミクリオさんが使う天響術とも関わりがあると言えます
スレイそんな存在がいるんだ…。知らなかった
ライラ自然を司り、世界の均衡を保つのに欠かせない大精霊が暴走したとなれば先の天変地異も頷けますね
パスカルん~…じゃあ、大精霊について調べた方がいいのかなぁ?
ルドガーいや、可能性はなくはないが、晶化現象はどの自然現象とも結びつかない
ルドガー大精霊に絞って動くのは賢明ではないと思う
パスカルうーん…そうかあ…。なかなか手がかりが見つからないね
スレイだけど、人数が増えた分だけ情報は確実に増えたよ。この調子で──
ぐー
ライラふふ。みなさん、つい話し込んでしまいましたが、少し休憩にしませんか?
ミクリオすまない、スレイ…。君がこの三日間、飲まず食わずなのを失念していた……くく……
スレイ笑うなよ、ミクリオ!
パスカルじゃあ、ご飯にしよ!考えるのはその後!お腹が空いちゃうと、何にも出来ないもんね!
ミクリオ僕が準備してくる。メニューはトマトリゾットだと決まっていてね
スレイ何かおいしそう!楽しみにしてるからな、ミクリオ!
ルドガーせっかくだから、俺も手伝うよ。いろいろ話も聞かせてもらったし、作り方はまだ聞いてないだろ?
パスカル頼りになるねぇ、ルドガー!よく料理するんだっけ?
ルドガーああ、レシピを変えて作ったりしてる。トマト料理が好きな兄がいるんだ
ミクリオお願いしよう。厨房はこっちだ
スレイはぁ~!美味しかったぁー!
ルドガー作りすぎたかと思ったけど残さず食べたな。よっぽど空腹だったんだな…
ミクリオそれにしても、あの手際のよさ…掛け値なしに素晴らしい腕だった。参考にさせてもらうよ、ルドガー
スレイ食べた事ないものばかりで、本当にどれも美味しかった!ごちそうさま!
パスカルあたしも食べ過ぎちゃったよ~。食べたら眠くなっちゃった…。ふあ…
ルドガーはは…。喜んでくれてうれしいよ
わあああーーっ!パチパチパチ…
ミクリオ…何だ?これは住民の喚声?拍手も聞こえるが…
よう、待ってました!
こっちを見たわ!
ライラ誰か来たみたいですわね
ルドガーちょっと様子を見てくるよ。何があったのか…少し気になる
スレイオレも行きます!ミクリオはどうする?
ミクリオ当然、僕も行く。急ごう、スレイ、ルドガー
パスカルわああ、みんな待って~!
scene1不穏な予感
ライラすごい人だかりですね
パスカル有名人でもいるのかなぁ~?
ルドガーひょっとして、またロディ達が大道芸を…?
ミクリオスレイ、あそこだ
スレイ…誰か来る。あれは!
ザッザッザッ…
カーツ
街の女1カーツ様、万歳!
街の女2カーツ隊長、頑張ってください!
ザッザッザッ…
ルドガー何だ、これは…?
ざわざわ…
街の男また戦争になるんじゃないのか…?
ライラ歓声は大きいですが、不安そうな顔つきの方も多いですね…
ルドガー今のはウィンドル騎士団か?知っている顔は見なかったが…
ミクリオあれが先日結成された赤の騎士団だ。正規のウィンドル騎士団とは別の指揮系統で動いているらしい
ルドガー騎士団を結成…?リチャード国王は晶化していると聞いたが…
パスカルセルディク大公が勝手に作ったんだよ
ルドガーセルディク大公が?
スレイ街の外へ行くみたいだ。どこへ向かってるんだろう?
ライラ少数精鋭といった印象を受けました。重要な任務、なのかもしれません
ルドガー
パスカルルドガーは、セルディク大公の事は詳しい?
ルドガー国王に代わる指導者として、国民の支持を集め出しているとは聞いたが…
ルドガーどんな人物かまでは知らない。君達は何か知っているか?
ミクリオ僕やスレイは、この前行われた大公の演説を直接聞いたくらいだね
ミクリオ正直に言って特段弁の立つ人物でもない、という印象だった
パスカルそれでね、反国王派でお城の中での評判はよくないんだって
パスカルなのに民衆の前で、リチャードは死んだ!なんて勝手な事言って…
パスカル自分こそみんなを引っ張る指導者なんだって言い回ってるみたい
ルドガーそんな事が…
スレイ赤の騎士団…。あのセルディク大公の命令で動いてる部隊、か…
ライラただ事ではなさそうですわね…
ルドガー俺の街では、セルディク大公は国を憂いて動いている人物だと伝わっていたが…
パスカルとにかく、アスベルとフレンに会いに行こうよ。二人なら何か知ってるだろうし
ミクリオパスカル、僕達は元々晶化現象について相談していたんだ。それを忘れないでくれ
パスカル勿論覚えてるよ~!騎士団には晶化の情報も入ってるかもしれないし、聞いてみよう!
ライラ…どうされますか?
ルドガー勿論だ、俺はそのためにバロニアに来たんだから
スレイなら早速、アスベルさんとフレンさんに会いに行ってみよう!
scene2不穏な予感
ウィンドル兵お前達を、城内に入れるわけにはいかん!立ち去れ!
パスカルええ~。どうして?そこを何とか。お願い!
ウィンドル兵あまりしつこいようだと、不穏分子で身柄を拘束するぞ
ルドガーそんな…
???ルドガー…。ルドガーですよね?
ルドガーエステル!?
エステル窓から姿が見えたのでもしかしてと思って…。どうしたんです?
ルドガーアスベルに聞きたい事があって来たんだが、中に入れてもらえないんだ
エステルアスベルなら今、ちょうど会議中のはずですけど…急を要する話ですか?
ルドガー今出て行った赤の騎士団についてなんだが…エステルは何か知ってるか?
エステル…!
エステル…わたしも詳しく知っているわけではありませんが、わかる範囲でならお話は出来ます
エステル少し待っててください。門番の方に、みなさんをお城に入れてもらえるよう、話してきますから
スレイ…ルドガーさん、あの人と知り合いなんですか?
ルドガーああ、前に会った事がある。彼女はエステル、この国の姫殿下だ
ライラ王族の方ともお知り合い…
エステルすみません、今、警備がとても厳しくなっていて、建物への立ち入りは禁止されているそうなんです
エステル代わりに外出の許可を得てきました。少し、場所を移しませんか?
ルドガー構わないよ。ありがとう
ミクリオ…大丈夫なのか?王族間のいざこざに巻き込まれる可能性は──
ルドガーミクリオの心配はわかるよ。そういう可能性も、あるかもしれない
ルドガーただ、エステルは自分の危険を顧みず国民を救おうとする優しい人だ
ルドガーここで彼女の話を聞いておくのはこの先、大きな意味を持つと思う
スレイ…あの、エステリーゼ様、オレ達まで一緒に行っちゃって本当に大丈夫ですか?
エステルあ、はい、大丈夫です。それと、私の事はエステルって呼んでください
エステル親しい人達はみんなそう呼んでくれますから
エステルそれではみなさん、こちらへ
ルドガーああ、行こう
scene1心強い協力者
エステル──みなさんは晶化現象を調べているんですね
スレイまだ動き始めたばかりだけど、それがきっかけでルドガーさんとも知り合ったんです
ルドガーそれで、アスベル達に晶化現象の事と赤の騎士団の動向を聞こうと思って来たんだけど…
エステルそうだったんですね。…実は、アスベルとフレンは今、セルディク大公に謁見中なんです
ミクリオ赤の騎士団の事で、だろうか
エステルはい…。この派兵を止めるよう、訴えるためでした。それなのに…
パスカル派兵って…何だか物騒じゃない?
ルドガーさっき街中でどこかへ出向いて行く赤の騎士団を見かけた
ルドガー周りの声援とは裏腹に、騎士団の面々はまるで戦いにでも向かうような顔つきだった
エステル…赤の騎士団の行先はおそらくシルヴァラントだと思います
エステル大公殿下が「新たなる天啓が出現した」という報告を受けた直後の事ですから
ライラ新たなる天啓…?
ルドガーそれは…ついこの前、メルトキオで公開された天啓とは別の新しい天啓って事…か?
エステルはい。そう聞いています
ミクリオ確かなのか?この前現れた天啓は百年ぶりだと聞いていたけど…
ライラ私も、これほど短い期間に天啓の出現が続くというのは記憶にありません
パスカルセルディク大公はどこでその情報を手に入れたんだろ?
エステル赤の騎士団の長を務めるカーツという人が持ち帰ったそうです
ミクリオ…あの男か。どんな人物なんだ?
エステルすみません。わたしもよく知らないんです
エステルウィンドルへ来たのは最近の事だと聞きますし…
スレイ他から移って来たばかりの人がいきなり騎士団の団長になるって…
エステルはい。普通は騎士団に長く勤めて功あった者から選ばれるのですが…
エステル今回は、赤の騎士団を含め、大公殿下がお一人でお決めになったようなんです
パスカルうーん…。ますます怪しい…
ルドガーそれで、天啓が現れたというのは本当なのか?
エステルそれは…わたしにもわかりません
エステル石碑の存在そのものが多くの謎に包まれていますし、どんな事が起こり得るのかまでは…
ミクリオ気になるな。セルディクに情報をもたらしたカーツ自身は、そもそもどうやってその情報を得たのか…
パスカル石碑が出現した事は確か神子だけが感じ取れるって話だったっけ
スレイ普通に考えたら、神子本人か、その周りの人達から話を聞いたって事になるけど…
エステル情報の出所はわかりません…。ですが、大公殿下が天啓に関心を持っている事は間違いありません
エステルおそらくカーツ団長は、石碑出現の真偽を確かめるために神子に会いに行ったのでしょう
エステル石碑の捜索にも、天啓の読み解きにも、神子の存在は欠かせないそうですから…
ルドガーでも、どうしてそこまでして天啓を手に入れようとするんだ?
エステル大公殿下によれば、天啓には未来の事が記されているそうです。だから次の天啓もきっとそうだ、と…
エステル予め未来を知る事が出来れば、他国に対して優位に立てる、そう考えているんだと思います
スレイそんな理由で、本当に騎士団を…?
ライラ未来を知る……
ルドガー天啓の内容やその真偽はひとまず置いておこう。それより、正式な騎士団ではないとはいえ──
ルドガーウィンドルの騎士団がシルヴァラントに向かったという事が大きな問題だ
エステルはい…。この事をシルヴァラント側がどう受け止めるか、とても心配です
ミクリオ他国まで出向いて行くんだ。赤の騎士団が何もせず、大人しくしているとは考えにくい
パスカル大公の考える事だもん。何が何でも手に入れようとしそうだね
ルドガー二国の争いの火種になり兼ねない
エステルわたしもそれを懸念しています
エステル…ただでさえ今は、晶化現象やリチャード陛下の事でみんな、不安に思っているんです
エステルそれなのに、こんな事をして何事もなく済むとは思えません。そう思って訴えたのですが…
ライラ…相手は、聞く耳を持ってはくれなかったのですね
エステルはい。それでフレン達がもう一度、大公殿下に直接訴えに行ったんです
スレイそうだったのか…
ルドガーそうだ、エステル。リチャード陛下の具合はどうなんだ?
エステルそれは…何とも言えません。未だに結晶を取り除くための方法も掴めていないようですし…
パスカル…そうなんだ…。やっぱり、何もわかっていないの?
エステルはい…。それに、事が事だからか研究も制限されているみたいで…
ミクリオ下手な情報を外に漏らされてはいらぬ不安を抱かせてしまうかもしれないからね。理解は出来る判断だよ
ルドガー…王宮なら、何か晶化について情報があると思っていたんだが、エステルも知らないとなると…
パスカルうーん、何をどうすればいいんだろ…
エステル
ミクリオ新たな天啓…か
ミクリオ晶化と天啓…あながち無関係じゃないかもしれない
パスカルどういう事?
ミクリオ…最近になって晶化現象が発生した事、立て続けに石碑が現れている事──
ミクリオそして、天啓に記されていたと思われる出来事が、現実に起こってしまっている事…
ライラそれらがどこかで関連しているかもしれない、そうお考えなのですね?
ミクリオただの勘だけどね
ルドガー…よし。俺が赤の騎士団を追おう
ルドガーアスベル達には会えなかったけど、エステルからいろいろ聞けたし
ルドガー何より今は赤の騎士団が気になる。動向を探って、場合によっては彼らを止めないと
スレイルドガーさん、オレ達も一緒に行きます
ルドガースレイ、どうして君が?
ミクリオ以前、スレイはシルヴァラントの神子と偶然行きあったらしい
スレイ今起きてる事、早く教えてあげたいんです。コレットが危ないかもしれない
ミクリオそうだね…。それに、赤の騎士団が動いている事がシルヴァラントで知れ渡ったら…
スレイ一気に大きな騒ぎや、混乱になる事だってあるかもしれない。それだけでも心配だよ
ミクリオおそらく、あのロイドが護衛役だ。戦いの心得はあるようだったけど、騎士団相手なら多勢に無勢だね…
ルドガーそうか、一緒に来てくれると心強いよ
ルドガーよし、行くと決まったら急ごう。赤の騎士団に追いつけなくなる
エステル赤の騎士団を追う…。あの、でしたらわたしも一緒に行っては駄目でしょうか?
エステルわたしがカーツ団長に会って直接話をしてみます!
ルドガーエステル。赤の騎士団は俺達に任せて、君はここにいてくれないか?
ルドガーここに残って大公の監視と説得を続けてほしいんだ
エステルでも…ルドガー、みなさん…。本当に大丈夫ですか?
ルドガーああ。その代わり、ここで大公達の事を頼むよ
エステル…そう、ですね…。わかりました。赤の騎士団の事はみなさんにお任せします
エステルあ、そういえば、ルドガーはユーリの事もご存知です?
ルドガー軽く面識がある程度だけど…
エステル実は、赤の騎士団の件はユーリにも相談しているんです
エステルユーリの事ですから、もしかしたらもう赤の騎士団の後を追って出かけたかもしれません
エステルもし会う事が出来れば、きっと力になってくれると思います
ルドガーそうか。ユーリに会えたら、エステルの事伝えてみるよ
スレイユーリ…。どんな人なんですか?
エステルそうですね、少し口が悪くて、素直じゃないところもありますけど…でも、とても頼りになる人ですよ
エステルきっと、みなさん方とも仲良しになれると思います
ライラエステルさんがそこまで仰る方なら、きっと素敵な方なのでしょうね。お会い出来るのが楽しみですわ
ルドガーよし、じゃあそろそろ俺達も行こうか
スレイはい!
scene2心強い協力者
ルドガー──エステル、見送りは大丈夫だ。君は王宮に戻った方がいい
エステルわかりました。みなさん…ありがとうございます。何とお礼を言ったらいいか…
エステルユーリに会ったらよろしくと伝えてください
スレイはい。必ず
エステル本当にお願いするばかりで何も出来なくて…すみません
ライラお気持ちはお察しします…。ですが、エステルさんだからこそ出来る事が、きっとあると思いますわ
ルドガーエステルは引続き、セルディク大公と国民の事を頼むよ
エステル…はい。大公殿下にはなかなかお会いしていただけないのですが…何とか頑張って説得してみます
エステルこのままではリチャード陛下にも顔向け出来ませんから
エステルみなさんもどうか気をつけて。旅の無事をお祈りしています
スレイありがとう、エステルさん
スレイさてと、まずは宿に戻って出発の準備をしないと──
ミクリオスレイ、一つだけ言っておく。君はまだ体調が万全じゃない…。止めはしない、だから無理もするな
スレイサンキューな、ミクリオ。でも大丈夫!よく寝て、よく食べたし、バッチリだよ!
ルドガー……!
???
ルドガーあの男…
ルドガー待っ──
???
ルドガー…消えた?
ライラルドガーさん…どうされました?
ルドガーああ、視線を感じて振り返ったら、一瞬だけど黒ずくめの男が見えた…
ルドガー俺達の話を聞かれていたのかもしれない
ミクリオ…ずっと見張られていたのか?
スレイオレ達の事をどこかの密偵だって思った、とか?
ルドガーエステルも王族の一人だからな…。セルディク大公も警戒しているのかもしれない
ガサッ
パスカル…!何の音!?例の覗き見さん…!?
ガルルルル!
ライラ魔物ですわ!
scene1黒い翼
ミクリオ魔物がこんなところまで…。晶化の影響か?
ルドガー騎士団の警備も行き届いてなさそうだな
ライラ私達を監視していた者の事は少々気がかりですが、早く街を発った方がよさそうですね
スレイうん、早くコレットに知らせないと…
ルドガーシルヴァラントの神子…。確か、護衛が付いているって言ってたよな?
ミクリオ正確には、昔からの友人、幼馴染という感じだったけどね。闘いの術は身につけていると思う
ルドガーそれでも、危険な事には変わりないだろうな
ミクリオ神子に接触を図るとすれば、赤の騎士団の行先はメルトキオで間違いないだろう
スレイだな!
パスカル…ねえ、ごめん、みんな!あたし、エステルを追いかけていいかな?
スレイどうしたんだ、急に…?
パスカルここに残って、晶化現象の事、もっと調べたいんだ
パスカルエステルに頼み込めば、リチャードの近くに行って研究出来るかもしれない…
パスカルアスベル達とも約束したし、早くリチャードの事も何とかしてあげたいって思うから
スレイパスカルがそうしてくれるなら、オレ達としても心強いよ
パスカルありがとう、スレイ!絶対何か掴んでみせるよ!
ルドガー別れるのは残念だけどエステルやアスベル達の力になってやってくれ
パスカル任せて!何かわかったらすぐに知らせるよ。…って事で、これ、渡しとくね
ライラこれは、何かの機械…でしょうか?
パスカルうん、通信機だよ!これを使えば離れた場所にいても話が出来るんだ
スレイ解析機とか、通信機とか…パスカルは何でも作れるんだな
パスカルまあね~♪てなわけで、はい。スレイに渡しとくね
ミクリオその道具の使い方は?
パスカルんとね、このボタンを押すと話せてこっちのボタンをね、ピコピコポンだよ!
スレイぴ、ピコピコポン?
ミクリオ…すまない、もう少し詳しく説明してくれないか
パスカルえー。十分詳しいんだけどなぁ。えーっとね、ボタンを押している時に話が出来るのね、それから…
スレイふむふむ…
ミクリオ操作そのものは単純なんだな
パスカルというわけで、よろしく!エステルに追いつかないと~
ライラパスカルさん、どうかお気をつけて
パスカルみんなも!またね~!
ミクリオ嵐のように去って行ったな
スレイちょっとさみしいんじゃないか、ミクリオ?
ミクリオそんなんじゃない。静かになったなと思っただけだよ
ライラふふ、賑やかな方でしたからね
ルドガーさあ、俺達もそろそろ行こう。赤の騎士団に追いつかないと
ルドガー…!
ルドガーあれは、さっきの…!
ルドガーみんな、すまない…!少しここで待っててくれ!
スレイル、ルドガーさん!?
scene2黒い翼
ルドガーはあ、はあ…
ルドガー間違いない、絶対にあの男だ…
ルドガー何か理由があって俺達の話を聞いていたのか…?一体、何のために…?
ルドガー確か、こっちの方へ来たはず──…
ルドガー…いた!
ルドガー待て!
???
ルドガーお前は一体何者だ…?
ルドガー俺達が話をしていた最中、誰かの視線を感じた。あれは、お前じゃないのか?
ルドガー何が目的で俺達の話を聞いていたんだ?
???
ルドガー答えるつもりはない、という事か…?
ルドガー質問を変える。どうして今度は姿を消さず、俺の前に姿を見せたんだ?
???…敢えて言うなら、お前達相手に姿を隠す必要はない、という事がわかったからだ
ルドガー…どういう事だ?
???それ以上の答えなどない
ルドガーじゃあ、何故俺達の話を…?何か知りたい情報があったからじゃないのか?
???答える義理はない
ルドガー待て!
ルドガー…!また消えた…
ルドガーあの機敏な身のこなし…何者なんだ?
ルドガー姿を隠す必要はない…敵ではない、という事か…?
ルドガー
scene3黒い翼
ライラ──あ、スレイさん!ルドガーさんがいらっしゃいました
ルドガーみんな…突然すまなかった
スレイルドガーさん、やっぱり…
ルドガーああ、例の黒ずくめの男がいたんだ。気配を感じて咄嗟に追いかけたんだが…
ルドガー結局詳しい事は何も聞き出せなかった
スレイ立ち聞きされてたのは間違いないんですよね?
ルドガーああ、おそらく
ミクリオ正体は何だ?状況を考えれば、エステルを監視していた大公の密偵の線だけど…
ルドガーその可能性もなくもないが…「俺達に姿を隠す必要はなくなった」と言っていた
ミクリオそれは僕達の話を聞いて、敵ではないと判断した、という事か
ルドガー断言は出来ない…。ただ、敵意は感じなかった
ライラとなると、全く別の勢力が遣わした者、という事になるのでしょうか…
ルドガーどうだろう…。とはいえ、正体がわからない以上警戒するに越した事はない
ミクリオああ。スレイ、念のためだ。さっきの通信機でパスカルにも知らせておこう
スレイりょーかい。早速これが役に立つな
ルドガー気を取り直して、俺達も出発しよう
スレイはい!

NameDialogue
scene1昼下がりの買い物
ジェイド──それにしてもセルディク大公の動きには驚かされますね
ガイアス
ジェイド新たなる天啓の出現…
ジェイドその内容も定かでない内に、奪取のために他国に兵を派遣するとは正気の沙汰とは思えません
ジェイドあるいは、知られていない何らかの情報を掴んでいる可能性もありますが…
ガイアス
ジェイドシルヴァラントより公表された前回の天啓──
ジェイドその内容は、リチャード陛下の晶化を予知したものだという噂がまことしやかに囁かれています
ジェイド察するに、今回の天啓もそうした未来を予知したものだと大公は考えたのかもしれません
ガイアス…そのようだな
ジェイド陛下、一つお伺いしてもよろしいですか?
ガイアス…何だ
ジェイド天啓が未来予知であるとの説、陛下はどうお考えですか?
ジェイドもし本当に天啓が未来を告げるようになったのだとしたら──
ガイアス馬鹿げた事を言うな
ガイアス
ジェイド失礼しました。愚問でしたね
ガイアスいずれにせよ、天啓をあのような男に渡すわけにはいかない
ガイアス…ジェイド、例の準備は進めているか
ジェイドええ、勿論抜かりはありません
ジェイド必要な面々も戻って来た事ですし、ご心配には及びませんよ
ガイアスふむ…
ジェイドでは、私はこれで失礼いたします
ガイアス
ガイアス…断じて、セルディク大公の好きにはさせん
???ヴェイグ、待って。歩くのが早いわ
ヴェイグすまない、クレア。つい、いつもの癖で
クレアふふ、そうね。ヴェイグは昔から、歩くのが早かったものね
ヴェイグ
クレアメルトキオまで買い出しする事になるなんてね。ヴェイグがついて来てくれて助かるわ
ヴェイグクレアを一人で行かせるわけにはいかないからな
ヴェイグ…?
クレアヴェイグ、どうかした?
ヴェイグ
クレアあんなところにも、晶化現象が…
クレア…村の人に聞いたわ。ウィンドルの国王陛下にも晶化現象が起きてしまったって
クレアまさか人間にも発生するものだなんて思わなかったわ…。これから人にも広まってしまうのかしら
ヴェイグウィンドルの国王の件以来、その話は聞いていない。心配しすぎだ
クレアそう…よね。何事もなければいいのだけれど…
クレアあ、街が見えてきたわ
ヴェイグピーチパイの材料はあるだろうか…
クレアふふ、ヴェイグったら。大丈夫よ、今までメルトキオで、欲しいものが手に入らなかった事なんてないもの
ヴェイグあそこは市場も盛んだからな。早いところ買い物を済ませよう
クレアええ
scene2昼下がりの買い物
クレアそんなにするんですか?どうしようかしら…
ヴェイグどうした?
クレアピーチパイに使う白桃のシロップ漬けを買おうと思ったんだけど…
クレア1500ガルドだと聞いて…
ヴェイグ随分高いな
クレアでしょう?普段の倍もするから驚いて…
商人言っておくが、別にぼったくってるわけじゃねぇ
商人例の晶化現象って知ってるだろ?あれにうちが取り引きしてる農園がやられちまったんだよ
クレアまあ…。晶化現象が農園に…?
商人知り合いに頼んで、何とかモノだけは調達しているが、値段ばかりはどうしようもねえ
商人これでも良心的なんだぜ。信じてくれ
クレアそんな事が起こっていたんですね…
クレアじゃあ…いいわ。白桃のシロップ漬けを一瓶ください
商人一瓶でいいのか?今後はもっと手に入りにくくなるかもしれねえよ
クレアええ。買いだめしておきたかったのだけど、今日はこれだけにしておくわ
クレアもっと買いにくくなるかもしれないけど…だからこそ、買い占めるわけにはいかないわ
クレアだから、ごめんなさいヴェイグ。今回作れるピーチパイは、少し量が減ってしまうかもしれないけど…
ヴェイグ今は事情が事情だ。オレは構わない
商人すまないね
ヴェイグ…これで買い出しは終わりか?
クレアええ、そうね。一通りは揃ったかしら
クレア…それにしても、食糧が手に入りにくくなってしまうなんて…
クレアでも、植物が晶化するって事は、穀物や作物も当然そうなるって事よね
クレア私、晶化現象の事を甘く考えていたのかもしれないわ
ヴェイグクレア…
ヴェイグとにかく、一度村へ帰ろう。今ここでオレ達が話したところですぐに解決出来る問題じゃない
クレア…それもそうね。わかったわ
ヴェイグ
scene1シルヴァラントの神子
クレアあ…!
ヴェイグどうかしたのか?
クレアごめんなさい、ヴェイグ。お隣のおばさんに届け物を頼まれていた事をすっかり忘れていたわ
クレア村へ帰る前に、寄り道してもいいかしら
ヴェイグよし、行こう
クレア確か、この辺りにある家だったはず…。ええと、地図は…
ヴェイグ表通りと違って静かだな。王宮のすぐ裏手だからか人の通りも少ない
クレア住宅街みたいね。広場辺りとは違って閑静だわ
ヴェイグ…!?
ヴェイグ何だ?向こうから誰か来る
シルヴァラント兵神子様、お急ぎくださいませ
???でも…
シルヴァラント兵陛下直々のご命令です。どうか…
???ロイド…本当にいいのかな?私達だけで行っちゃって…ゼロスの事も──
ロイドあいつなら心配ないって。今頃一人でどこか安全な場所に身を潜めてるはずだ
ロイド簡単に捕まるようなヘマはしないだろ。ゼロスの事を信じようぜ、コレット
コレット…うん
シルヴァラント兵神子様、急いでください。いつ追手が来るかわかりません
シルヴァラント兵あなたの身に何かあっては国の一大事です
ロイド本当かわからない情報でこの人数の護衛がつくのは少し大げさすぎる気もするけどな…
ロイド…ん?誰かいるぞ…
ヴェイグ…!
シルヴァラント兵む?お前は何者だ?そこで一体何をしている
ヴェイグただの通りがかりだ。この近くに用があって──
シルヴァラント兵今の話を聞いていたのか?赤の騎士団ではなさそうだが…
シルヴァラント兵市民を装った刺客かもしれん。何かあってからではまずい…
シルヴァラント兵捕えろ!
ヴェイグ何だって?
クレア待ってください!私達は本当にただの民間人です。刺客だなんて、そんな…
シルヴァラント兵女もいたのか…だが仕方がない。念のためだ、まとめて捕まえろ!
ヴェイグやめろ!クレアに触るな!
ロイドちょっと待ってくれ!
ヴェイグ…!お前は…
ロイド…やっぱり!ヴェイグじゃないか!
クレアヴェイグ…あなた、この人と知り合いなの?
ヴェイグああ、確か…
ロイドこの人は、俺の知り合いだ。刺客なんかじゃない。大丈夫だ
シルヴァラント兵…そうでしたか。失礼しました
ロイド驚かせてごめんな、ヴェイグ。この人達もいろいろと事情があってさ…
ヴェイグあ、ああ…すまない、お前は…
ロイド俺はロイド。お前、覚えてるかなぁ…ヴィズリー遺跡の仕掛けの事で話を聞かせてもらった…
ヴェイグ幼なじみを助けると言っていたな
ロイドそう、それ!あの時はありがとな!前に話してた幼なじみだけど、隣にいるコレットがそうなんだ
コレットえっと…こ、こんにちは
クレアこんにちは。私はクレア・ベネット。よろしく
ヴェイグ…そうか、無事だったのなら何よりだ
ロイド久しぶりに会えたし、いろいろと話したかったけど…急いで街を出ないといけないんだ
クレア何かあったんですか?
ロイド…ヴェイグ達なら話しても大丈夫かな
ロイドウィンドルの「赤の騎士団」が神子を狙っているという情報が入ってきたんだ
ヴェイグ赤の騎士団…?さっきも聞いた名だが
ロイドウィンドルのセルディク大公が作った新しい騎士団らしい
クレア神子を狙うとはどういう事なんでしょう
コレット天啓の石碑が新たに出現したんです
クレア天啓?この前現れたのとは違うもの、という事ですか
コレット赤の騎士団はそれを手に入れるため神子に必ず接触してくるって王様が…
ヴェイグそうか、天啓の石碑を見つけるにも読むにも、神子が必要だからな…
シルヴァラント兵神子様、ロイド様。知人とはいえそれ以上は…。それにゆっくりしている暇はありません
コレットわかっています…。でもやっぱり、ゼロスが…
ロイドコレット、心配なのは俺も同じだ。だから、ゼロスの事は俺に任せてくれ落ち着いたら、俺が捜しに行く
コレットうん…ありがとう、ロイド
ロイドいろいろ騒がせてごめんな。先を急ぐから、俺達は行くよ
ヴェイグ…ああ
コレットまたどこかで会えたらいいですね?さようなら、二人共
クレア気をつけて
ヴェイグ行ったようだな
クレアコレットさん、大丈夫かしら…。神子だからって危険な目に遭うなんてかわいそうだわ
ヴェイグああ…
クレアそれに、新しい天啓の石碑が現れたって…本当かしら。つい最近前回の儀式があったばかりよね
ヴェイグあの時は百年ぶりという事もあって街ではかなり盛り上がっていたと聞いたが…
クレア神子が言うのだから事実なんでしょうけど…
ヴェイグクレア、オレ達も用を済ませて帰ろう。探していた家はどっちだ?
クレア地図によると、こっちのようね
ヴェイグよし、なら急ごう
scene2シルヴァラントの神子
クレアお届け物も無事届けた事だし、村に帰ったらピーチパイ作りに取りかかるわね
ヴェイグそうだな。オレも何か手伝おう──…
ヴェイグ…?
クレアどうしたの、ヴェイグ
ヴェイグ…何だ、あれは…。こっちに向かってくる
???
ヴェイグあれは騎士か…?
街の男見ろよ、あれ…。兵士を引き連れて…一体何事だ?
街の女あの国旗…ウィンドルの騎士団じゃないのかい?
ヴェイグウィンドル…?
ザッ、ザッ…
???私はセルディク大公の命を受け、ウィンドル王国の公用としてこのメルトキオを訪れた騎士団の者だ
???騎士団は見世物ではない。見物をしている者は早々に立ち去れ
ヴェイグセルディク大公…という事は、彼らがロイド達の話していた赤の騎士団…?
クレアそうみたいね。でも…何かしら、怖いわ
きゃあああ!
ヴェイグ…!何だ、今の声は…!
クレアヴェイグ、あれを見て!魔物が…!
グオオオオッ!
クレアこっちに向かって来るわ…!
ヴェイグ何故こんなところに…!
街の男うわあああっ!
街の女助けてええっ!
ヴェイグまずいな。みんなパニックを起こしている
ヴェイグクレアは避難しろ。オレが魔物を…
クレア…!
クレアヴェイグ!子どもが魔物に狙われて…
男の子た、助けてー!
グオオオ!
ヴェイグくっ…!させるか!
クレアあ、ヴェイグ…!
???
scene3シルヴァラントの神子
ヴェイグ…何とか間に合ったか。大丈夫か?
男の子う、うん…ありがとう、お兄ちゃん
クレアヴェイグ!よかった、二人共無事で…
ヴェイグクレア…!避難しろと言っただろう
クレア魔物はあなたが倒してくれたしもう大丈夫…
クレア…あら?
男の子うう、ひっく…
クレア少し膝を擦りむいたみたいね。念のため、消毒しておかないと──
???…そこを退け
クレアえ…?
???大怪我でないなら、他で手当てをしろ。道の中央に居られたら邪魔だ
ヴェイグなっ…
???二度は言わない
クレアごめんなさい、今避けますから…
???
ヴェイグ
街の男1…聞いたか?今ここで何が起きたのかは、あいつらも見ていたはずなのに…
街の男2ああ、あの三人は何も悪くない。人の国へ押し入って来たよそ者風情が、何を偉そうに…!
街の女公用だか何だか知らないけど、あの傲慢な態度は気に入らないね
ヴェイグ…クレア、移動しよう。その子はオレが抱える
クレアありがとう、ヴェイグ
シルヴァラント兵何の騒ぎだ?……!
シルヴァラント兵…失礼ながらお尋ねする。貴殿らは何者か。何用で我が王国に来たのだ?
カーツ我々はウィンドル王国に所属する赤の騎士団。私は団長を務めるカーツ・ベッセルだ
カーツ神子との謁見の場を設けていただきたい
ヴェイグ神子…
シルヴァラント兵突然何を…。神子様と貴殿らを会わせる事は出来ない
カーツ私はウィンドルの代表として、正式に要求をしている
カーツ貴公に、それを拒む権限があるのか?
シルヴァラント兵何を…
カーツ…悪いが、貴公では話にならない。国王陛下と直接話をさせてもらおうか
ヴェイグ兵士でもこの騒ぎを鎮める事は出来ないのか…
クレアヴェイグ…
???まあ…一体何事ですか?
シルヴァラント兵あ、あなたは!
カーツ貴女は…
フィリア初めてお目にかかります。神殿の司祭を務める、フィリア・フィリスと申します
カーツその名前は、聞き覚えがある。天啓の儀式も執り行っていた方のようだが…
カーツ我々が謁見を求めているのは司祭ではなく、神子だ
フィリアそうおっしゃらず
フィリアこれでも微力ながら、国王陛下のご公務のお手伝いなどもさせていただいている身です
カーツ国王陛下の手伝いを、か…。儀式だけを行うただの司祭ではないようだな
フィリア司祭には違いありませんが…。まずは私がお話をお伺いいたしますわ
scene1対峙
クレアヴェイグ…さっきの子どもは?
ヴェイグ大した怪我でなかったようだ。元気そうだったから、家に帰るように言っておいた
ヴェイグあれがフィリア司祭…。確か、国王が病床に伏していた時に政務を代行していた人だ
クレアまあ、名前は知っていたけど、あんなに若い女性だったの…?
カーツほう…それではまず、貴女にお話させていただこう
カーツ私はカーツ・ベッセル。ウィンドル王国赤の騎士団の団長を務めている
フィリアウィンドルからの使者の方ですね。本日はどういったご用件でしょうか
カーツ新たな天啓が出現したとの情報を得た
カーツ事の真偽と、天啓の内容の開示のため大公に代わり神子との謁見を要求する
フィリア貴国がどのようにして、その情報を手に入れたかはわかりませんが──
フィリア新たな天啓の石碑が出現した事は紛れもない事実ですわ
カーツそうか…。ならば、その内容を知りたい
フィリアそれは出来ませんわ
カーツ何故だ?天啓は世界全体にまつわる星の記憶であり、シルヴァラント一国に属するものではない
カーツ全ての国が、等しくその内容を知る権利があるはずだ
フィリア天啓の石碑は、出現した事がわかっただけでまだ発見には至っておりません
フィリア従って、天啓の読み解きに関してもこれから、という事になります
カーツ
フィリアカーツ様の仰るように、天啓は誰もが知る権利を持つものです
フィリア石碑を見つけ、儀式にて内容を読み解いた暁には、その全てを開示するとお約束しますわ
カーツ儀式まで神子や石碑の所在を明かさないのは、独占しているのと変わりがないのではないか?
フィリア私達は、天啓の石碑の出現を神のご意志と捉えております
フィリアそして、長きにわたりその伝統と儀式を守って参りました
フィリアそのため、天啓の読み解きや保管などは、これまでと変わらず我が国が主管出来ればと
カーツ…神子に会わせる気もなければ、今後も独占をしていく、というわけか
フィリア独占をするために主管しているわけでも神子に会わせないわけでもありません
フィリア当代の神子は、あくまで普通の方という事もありますし…ご理解いただけると幸いですわ
カーツ
ヴェイグロイド達が話していた通りだな。赤の騎士団は何としてでも神子に会いたいらしい…
クレアいくら何でも、いきなりやって来て会わせろ、なんて乱暴だわ…
カーツフィリア司祭…貴女は、この国にある疑念が向けられている事はご存知だろうか
カーツ我が国では、国王陛下晶化の一件を受け、天啓に関する一つの認識が覆りつつある
カーツ天啓は、過去の出来事を記したものではなく未来予知ではないのか、と…
フィリア
カーツ…我々は、貴国に対しこう考えている
カーツこれまでにも、貴国の都合によって隠された天啓があるのではないか?
カーツ過去に公表された天啓の内容も、実際に事が起きてから公表したのではないか?
カーツ貴国には、天啓が未来予知である事を知りながらその事実を伏せ、情報を改ざんしている疑いがある
カーツ…故に、貴国の管理下において開示された天啓は信用出来ない、それが我が国の見解だ
フィリアそんな…!
ヴェイグ天啓が改ざんされた情報だって…?
クレアまさか、そんな事…
フィリア神に誓って、そのような不正はございませんわ
カーツ先の天啓の公表も、我が国の混乱を招く意図があっての事…そうも考えられる
フィリア……!いいえ、決してそのような事は…
カーツこの目で見ない限りは信じるに値しない
カーツ国王が晶化したという実害がある我が国には天啓を開示要求する権利がある…
カーツそれでも尚、我が国の要求を拒むようであればそれ相応の措置を取る事になる
ざわざわ…
街の男天啓の儀式に不正だって?そんな、まさか…
ヴェイグ相応の措置って…武力を行使するって事か…?
クレアヴェイグ…
カーツ…再度要求する。神子へ取り次ぎ願──
ガツッ
カーツ…!
クレア石…!?一体誰が…
男の子司祭様をいじめるな!
ヒュッ
ガツッ
クレアヴェイグ、あの子、さっきあなたが助けた子じゃない?
ヴェイグ帰るように言っておいたのに…
男の子お前なんか、出て行け!
ヒュッ
ガツッ
カーツ
フィリアいけません、そんな事をしては…!
赤の騎士団員無礼者!団長に何をするか!
クレアやめてください!
ヴェイグクレア!
赤の騎士団員貴様は…
クレア
scene2対峙
ヴェイグクレア!
赤の騎士団員貴様は…
クレア
赤の騎士団員女、そこを退け!
クレア退きません…!この子に手荒な真似をするのはどうかやめてください
ヴェイグクレア…!オレの後ろに下がるんだ
クレア…大丈夫よ、ヴェイグ
クレア確かにこの子は、人に石を投げるという、してはいけない事をしました
クレアでも…だからといって、こんな小さな子どもに騎士が手を出していいはずがありません
赤の騎士団員うるさい!黙っていればこの女…!
ヴェイグ待て!
ヴェイグクレアに手出しはさせない…!
ヴェイグお前達は都合が悪くなると、すぐに武力に頼るのか?
赤の騎士団員なっ…
ヴェイグ神子の事にしたって同じだ。権利や便宜を主張し武力行使を仄めかしていたが──
ヴェイグ武力を振るう事に正当な理由などあるわけがない。…争いが起きて、苦しむのは民衆だ
カーツ
フィリア
クレアみなさん、ご自分の周囲を…隣の人の表情を見てください
クレア原因不明の晶化現象に、新たに現れた天啓…。この世界は大きな問題に直面しています
クレアそして今、みなさん不安と疑いの表情でここに立っています
クレア…そんな時に、このような些細な事で争っていていいのでしょうか
クレア争いで相手を制すやり方は、決して本質的な解決にはなりません
クレアこんな時だからこそ、国も、立場も越えて、お互いの手を取り合うべきではないでしょうか
フィリアクレアさん、ですね。あなたのお考えに、私も賛同いたしますわ
カーツ
フィリアカーツ様、先ほどの男の子の非礼については私からもお詫び申し上げます
フィリアまた、神子と話がしたいとの事ですが…
フィリア神子はこの街にはおりません。これは偽りなき事実ですわ
フィリア従って、ここで争う事は無意味です。恐縮ながら、お引取り願えませんか
カーツ
赤の騎士団員1いかがいたしますか、団長。神子がこの街にいないなどとは思えませんが…
赤の騎士団員2私も同感です。あのような虚言に惑わされては…!
街の男司祭様が嘘をつくはずないだろ!馬鹿な事言ってねえで、とっとと出て行きやがれ!
街の女そうよそうよ!
民衆かーえーれ!かーえーれ!
カーツ
赤の騎士団員1くっ…おのれ。こちらが大人しくしていれば…
赤の騎士団員1お前達、いい加減にしろ。さもないと…
スチャッ
ヴェイグ剣を抜く気か…!?
フィリアいけません、それだけは!
カーツよせ、お前達──
???ワウッ!
赤の騎士団員1うわっ!?
ヴェイグ犬…!?
???ナイスだ、ラピード
???やれやれ、騎士ってのはいつから市民相手に剣を振り回すのが仕事になったんだ?
ヴェイグ誰だ…?
カーツお前は…ユーリ・ローウェルか
カーツ元ウィンドル騎士団員だったな。お前がここにいるという事は、……エステリーゼ殿下か
ユーリ…訳知りってわけか。ま、なら話が早い
ユーリもう少しお前らの様子を見てるつもりだったんだが、生憎そうもいかなくなっちまった
ユーリこれ以上、おいたするつもりならまずはオレの相手をしてもらうぜ
ラピードワンッ!
ユーリおっと、悪い悪い。ラピード、お前もだな
カーツ
赤の騎士団員2一民間人が我々に楯突くとは…!どけ!どかぬなら──!
カーツ…待て
ユーリ…!
カーツ神子がいないこの街にこれ以上留まる理由はない。撤退するぞ
赤の騎士団員2しかし団長…!神子不在の情報も確かなものだとは…
カーツ…あの情報は確かなものだ。司祭の目を見ればわかる
カーツ…それに、一定の成果は得られた。これ以上の長居は無用だ
カーツ行くぞ
ザッ、ザッ、ザッ
クレア行ったみたいね…よかった
ヴェイグああ…
scene1クレアの想い
クレア…ぼく、大丈夫だった?
男の子うん…
クレア怪我がなくてよかったわ
クレアでも、人に向かって石を投げるのはよくない事だわ。もうしないって約束出来る?
男の子…わかった、約束する
クレアふふ、いい子ね
フィリアヴェイグさん、クレアさん、先ほどは本当にありがとうございました
クレアいえ、私達はただ思った事を言っただけです。ね、ヴェイグ?
クレア…あら?
ヴェイグ…ユーリと言ったか
ユーリん?
ヴェイグオレは、ヴェイグ・リュングベル。さっきは助かった、ありがとう
ユーリ別に何もしちゃいないさ。それより、さっきのお前らだ。見てたぜ、演説
ユーリお前らの声がみんなを動かした。大したもんだ
ヴェイグいや、オレは何もしていない。あれはクレアのお蔭だ
ユーリ何にせよ、あんな連中相手に真向から一席ぶつなんざ、相当肝が据わってんな
ヴェイグああ。だが、だからこそ放っておけないんだ
クレアヴェイグ!と、あなたは先ほどの…
ユーリお、噂をすれば…
クレアさっきは助けてくださって、ありがとうございました
フィリアユーリさん、私からもお礼を。あなた方がいなければ、事態は悪化していた事でしょう
フィリア街の人達も、みなさんにお礼を言いたいと仰っています
ユーリ気にすんなよ。それにそもそもあいつら、オレの国のモンだ。威張れた話じゃないんでね
フィリアまあ、そう仰らず。あちらで街の人達がお待ちしています
クレア…こう言ってくださってるし、行きませんか?
ラピードワフッ!
ユーリ…ったく、堅苦しいのは苦手なんだがな
フィリアふふ。では、こちらへ
ヴェイグ…わかった
scene2クレアの想い
ヴェイグ
街の男1あ、来たぞ!
街の女1さっきはありがとうね。兵士がやって来て怖かったけどあんた達のお蔭で救われたよ
街の女2あなた、こんなに華奢なのに騎士団に立ち向かうなんて勇気があるねえ。かっこよかったよ
クレアみなさん…ありがとうございます
街の男2あんた達の話を聞いて、俺達もいろいろ考えさせられたよ
街の男1今は、こんなちんけな事で争ってる場合じゃねえ、みんなで協力しなきゃってな
クレアそうですね、みなさん、今は不安でいっぱいだと思います
クレア不安で、怖いからこそ、衝突してしまう事、混乱してしまう事もあると思いますが──
クレア一人でも多くの人が、わかり合おうとする気持ちを持てば、争わなくたって解決出来ると思うんです
フィリア…そうですね。クレアさんの仰る通りだと思いますわ
ユーリあの赤の騎士団の連中にも少しは響いてるといいんだがな
ユーリま、何はともあれ大事にならなくてよかったぜ
ヴェイグそうだな
男の子ワンちゃん、お前も助けてくれてありがとな
ラピードワンッ!
ヴェイグ…ん?ラピードは人の話がわかるのか?
ユーリどうだかな
街の女3みなさん、本当にありがとうございます
フィリア私も国を代表してお礼申し上げますわ
ヴェイグ礼を言われるほどの事ではないが…
ユーリ素直に受け取っておけって
???あーあ…せっかく面白いものが見れると思ったのにー…つまんないの
???そう思わない、デクス?
デクスそうだね、アリスちゃん。ったく、あいつは何だって…
デクス…まあいい。安心してよ、オレなら大丈夫さ!
デクスキミの王子様、デクスがその願いをかなえてあげるよ!
アリスわかったから、近寄らないで!その香水、相変わらず臭いんだからにおいが移っちゃう
デクス臭い……
デクスって、アリスちゃん!?どこに行くんだ
アリス…ふふ♪アリスちゃん、いい事思い付いちゃった
デクスいい事…?
アリスそう、い・い・事♪
アリス元はと言えば、全部あの女……
アリス…アリスちゃん、ああいう、キレイ事ばっかりな女だーい嫌いなの
アリスだからちょーっと、可愛がってあげようかなぁと思って。うふふ…
scene1忍び寄る二つの影
フィリア──それでは、みなさん。国王陛下への報告もありますので私はこれで…
ユーリ一人で大丈夫か?
ユーリ兵隊さんも赤の騎士団見張りに行っちまったし、なんなら送るぜ?
フィリアまあ…、ありがとうございます。でも、一人で大丈夫ですわ
ヴェイグいや、あんな事があった後だ。用心した方がいいだろう
ヴェイグオレ達も同行しよう
フィリアそうですね、では、お言葉に甘えさせていただきますわ
女の子司祭さまー
フィリアあら、あなた達…どうしたんですか?
女の子いつもみたいに、面白いお話聞かせてー
男の子1ぼくも聞きたい!
男の子2ぼくもぼくもー!
ヴェイグ…大人気だな
クレア司祭様は、街の人にとても慕われているのね
フィリアそうですね、お話したいのは山々なのですが…
ユーリお前ら、司祭様はこれから王様んとこに行くんだとよ。お話はまた今度にしてやってくれ
男の子1ええー
女の子でも、司祭様のお話聞きたいよ…
クレア無理を言って、困らせてはいけないわ
クレア…そうだわ。代わりに、お姉ちゃんがみんなにお話をしてあげましょうか?
男の子2本当!?
ヴェイグクレア…いいのか?
クレア私達の用は済んでるし、あなたが司祭様をお見送りするまで時間があるわ
クレアそれに見て、この子達。こんなにも期待に目を輝かせているのよ?
男の子1お姉ちゃん、こっちこっち。こっちでお話しして
クレア…はいはい、すぐ行くわ。ちょっと待ってね
フィリアすみません、クレアさん。お手数をおかけしてしまって
クレアいいえ、いいんです。自分で言い出した事ですし
クレアそういうわけだからヴェイグ、この辺りにいるからまた後で落ち合いましょう
ヴェイグわかった。すぐ戻る
フィリアクレアさんは、本当にお優しい方ですね
ヴェイグ…ああ
ユーリんじゃ、早いとこ王様のとこに行くとしようぜ。行くぞ、ラピード
ラピードワウッ!
フィリアありがとうございます。では、私達も参りましょうか
scene2忍び寄る二つの影
フィリアユーリさんはエステリーゼ殿下のご指示でメルトキオまで?
ユーリ指示っていうか相談されたんだよ。何かキナ臭い連中が動いてるんで気になるってな
ユーリで、そいつらがいきなり出かけるってんで、大慌てで後を追っかけて来たってとこだ
ヴェイグユーリ、お前はウィンドルの人間、赤の騎士団側の人間だろう?
ヴェイグ彼らの邪魔するような事をして大丈夫だったのか?
ユーリおいおい、確かにオレはウィンドルの人間だが、あいつらの仲間呼ばわりはご勘弁願いたいね
フィリア…ウィンドルの中でも、混乱があるようですね
ユーリオレも詳しくは知らないんだけどな。そういや、さっき神子は街を出たって言ってたが、ありゃ本当なのか?
フィリアはい、セルディク大公が天啓に強い関心を示しているという情報が入ってすぐ──
フィリア国王陛下が神子の二人の身を案じて昨晩、避難を命じられました
フィリア恐れていた事態が、これほど早くに起こるとは、想定外でしたが…
ユーリ二人?神子ってのは二人もいんのか?
フィリアええ、天啓にまつわる特殊な力を持つ神子は二人います
ヴェイグそういえば、そんな事を言っていたな…
ヴェイグでも、一人は別行動を取っているようだが、そっちは大丈夫なのか
フィリア…!ヴェイグさん、それは本当ですか?
ヴェイグあ、ああ。知らなかったのか?実は、少し前に──
フィリアまさか、ヴェイグさんがコレットさんとお会いしていたなんて
ユーリオレとしちゃ、あのゼロスの奴がそんな特別な存在だったって事の方が衝撃だけどな
フィリア私はてっきり、ゼロスさんはコレットさん達と一緒に街を出たものだと…
ヴェイグゼロスっていう奴にはロイドみたいな護衛や見張りはついていなかったのか?
フィリア神子の保護命令が出たのはつい昨晩の事ですから…
フィリア今日、街を出る手筈になっていましたので、夜明け前にお一人で出られたのかもしれません
ユーリおいおい、向こうにしてみりゃどっちか捕まえれば済むんだろ?何考えてんだ、ゼロスの奴
ユーリあのカーツって奴の様子じゃ、セルディクは天啓の解読にだいぶご執心みたいだし
フィリアゼロスさんが心配です。すぐに国王陛下にお伝えしなくては
ユーリま、そうは言ってもゼロスはあれで剣の腕も立つ。そう簡単に捕まらないとは思うぜ
ユーリもう一人の…コレットだったか?そっちもロイドがついてるんならとりあえず、大丈夫だろうが…
ユーリそのコレットの居場所が赤の騎士団には見つからない自信はあんのか?
フィリアええ、詳しくはお話し出来ませんがまず見つかる事はないかと
ヴェイグとはいえ、絶対に安全という事はない
ユーリだな。あの赤の騎士団どもが次に何をやらかすつもりか、目を離さない方がよさそうだ
ラピードワンッ
フィリア──それでは、私はここで。お見送りありがとうございました
フィリアいろいろとお話も聞けてよかったですわ。早く国王陛下にお伝えしないと
フィリアクレアさんにもよろしくお伝えください
ヴェイグわかった、伝えておこう
ユーリオレんとこのもんが迷惑かけて悪ぃが、またその内話を聞かせてもらえると助かる
フィリアはい。私に出来る事でしたら、協力は惜しみませんわ
ヴェイグユーリ、お前はこれからどうするんだ?
ユーリそうだな。何をするにしたって、もう少し情報が欲しいとこだが…
ユーリこのまま赤の騎士団を追ってみるか、それとも一度バロニアに戻るか…ま、そんなとこだ
ヴェイグそうか…
ユーリにしても、新しい天啓とはな。こちとら晶化現象だけで満腹だってのに迷惑なこった
ヴェイグカーツという男が言っていたが、天啓が未来予知というのは本当なのだろうか
ユーリどうだろうな。前回の天啓とリチャード王の件を結び付けたがってる奴は多いみたいだが
ヴェイグだが、ウィンドルは…いや、セルディク大公はそう考えているから神子を探しているんだろう?
ユーリカーツって奴の言葉を信じるならそういう事になるんだろうな
ユーリああいう手合いの事だ、大方予め未来を知る事が出来りゃ何かと好都合とか思ってんのかもな
ヴェイグそういう事か…
男の子あ、いた!三つ編みのお兄ちゃん!
ヴェイグお前は…クレアと一緒にいた…
ユーリ血相を変えてどうした。何かあったのか
ラピードグルル…
男の子お姉ちゃんが…お姉ちゃんが…
ヴェイグ…!?クレアがどうかしたのか
男の子…さらわれちゃったんだ!
男の子おかしな男の人と女の人が突然来て…
ヴェイグ何…
ヴェイグどういう事だ…誰にだ!?何故…
ユーリ落ち着け、ヴェイグ!
ユーリ…おかしな男と女ってのは何もんだ?赤の騎士団とは違うのか?
ラピード…!
ラピードガウッ!
ユーリどうした、ラピード?
ガルルル!
ユーリくっ…!こんな時に魔物か!
scene1追跡
ヴェイグクレア!いたら返事をしてくれ!
ヴェイグ本当にクレアはこの森にいるのか…?
ユーリ気持ちはわかるが慌てんなって。どうだ、ラピード?
ラピードクゥン…
ヴェイグ…?ラピードが立ち止まって…
ユーリどっちに向かうか熟考中ってとこみたいだな
ユーリこのハンカチの匂いをたどってここまで来たわけだが…犬の鼻でなくとも、ひでえ匂いだなこりゃ
ラピードウルルル…
ヴェイグかなり迷っているようだが大丈夫なのか…?
ユーリいい加減な判断でオレ達にハズレつかませたくないんだよ
ユーリだろ、ラピード
ラピードワウッ!
ヴェイグ…ラピードが動き出した
ユーリそうこなくっちゃな。よし、オレ達も追おうぜ
ユーリあの子どもの話だと、おかしな男女の二人組が現れて、クレアをさらったって事だったが…
ユーリそいつらに心当たりは?
ヴェイグ…いや、見当もつかない。さらわれる理由なんてあるはずもない
ユーリとなると、手がかりはこの香水だか何だか知らないが、ひでえ匂いのハンカチだけか
ユーリいかにも見つけてくれって感じで落ちてたわけだが、だとすると連中の狙いは…
ヴェイグ誰であろうと許しはしない…!クレアは必ず救い出す
ヴェイグクレアは…オレにとって家族も同然なんだ
ヴェイグ子どもの頃に両親を亡くし、育ての親でもある祖父とも死別したオレは──
ヴェイグクレアの家に引き取られて、以来、実の子ども同様に育ててもらった
ヴェイグだから、失うわけにはいかないんだ。絶対に…
ユーリ…なるほどな
ユーリ…よし、ラピード。ペースを上げられるか?
ヴェイグ…?
ユーリオレ達は勝手についてくから、お前は全力疾走で頼む
ラピードワウッ!!
ヴェイグ…突然どうしたんだ
ユーリなに、お前の熱さにちっとばかしあてられた、ってとこだ
ユーリ急げる限り急ぐ。その代わり、遅れるんじゃねえぞ?
ヴェイグユーリ…
ヴェイグ…ああ、急ごう!
scene2追跡
アリス街の中と違って、草木がたくさんある森の中はだいぶ晶化現象が進んでるのね
アリスキラキラしてとってもキ・レ・イ♪
デクスうんうん、宝石のようでキレイな…まるでオレのアリスちゃんみたいだ!
アリスうるさい!バカデクス!
アリスいくら宝石みたいにキレイでも、こんなのと一緒にされてアリスちゃんが嬉しいわけないでしょ
デクスご、ごめんよアリスちゃん!
アリスそんな事より、ちゃんとクレアちゃんを見張ってなさいよ。大事な大事なエサなんだから
デクス大丈夫だよ、ちゃーんと手足を縛って動けなくしてあるからさ!
クレア
アリスそ、ならいいけど。それよりクレアちゃんのお友達の方は大丈夫なの?
デクス心配無用だよ。とっておきの証拠を残してきたんだ
アリスとっておき?
デクスああ!魅惑の香水「メロメロコウ」を染み込ませたハンカチさ
アリスえ~!?そんなので本当に上手くいくの?
デクス大丈夫!オレのかぐわしき香りにメロメロになったあいつらが、もうすぐここに──
ラピードガウッ!
アリスあ…!
ヴェイグクレア!
クレアヴェイグ!
ユーリおかしな男女の2人組、ね。クレアをさらったのはこいつらか
アリスあら?本当に来ちゃった♡
デクスはっはっはっ!な、アリスちゃん、言った通りになっただろ?
アリスだから…デクスは臭いから近寄らないでって何回言ったらわかるのよ!
ユーリ何なんだ、こいつらは?赤の騎士団とも違うみたいだが
ヴェイグ覚えのない顏だ。それより──…
ヴェイグクレア!
アリスダ・メ!
アリスヴェイグちゃん、だっけ?勝手に動かないでね
アリスアリスちゃん、こういう可愛い女の子の腕をへし折るの、だーい好きなの♪
ヴェイグくっ…!
アリス…それにしても、意外と来るのが早かったわね。アリスちゃんびっくりしちゃった
アリスそんなにもクレアちゃんが大事?のこのこと、こんなところまで来るなんて、本当おバカさん♪
ヴェイグクレアに手を出すな!
ユーリどこの誰だか知らねえが何が狙いだ?まさかオレらを誘き出すため、とか言わねえよな
アリスご名答♪
ヴェイグ…なら早く、その目的を言え
アリス…ズバリ言うと、メルトキオ襲撃!ぐっちゃぐちゃにしてほしいの♪
ユーリメルトキオを…
ヴェイグぐちゃぐちゃに、だと…?
ラピードクーン
アリスクレアちゃんを返すか・わ・り♪あの子が無傷で助かるんだったら、ヴェイグちゃんも嬉しいでしょ?
ヴェイグ…馬鹿な!そんな事出来るはずがない
デクスアリスちゃんがやれって言ったらやるんだよ。この女がどうなってもいいのか!
ヴェイグくっ…
クレアヴェイグ、駄目!この人達の言う事を聞いちゃ…
デクスおーっと!人質は口を挟まない方がいいぜ?
ジャキ…!
クレア…っ!
アリスあんまりギャーギャーうるさいと…無傷でヴェイグちゃんのところに返してあげないわよ?
ヴェイグやめろ!
ラピードグルルッ…
アリスほーら、どうするの?クレアちゃんの事返してほしい?それとも、このまま見捨てる?
アリス…大人しく従うしかないと思うけど♪
ヴェイグくっ…!
ユーリで?具体的に何をすりゃいいんだ?
ユーリ国王でも暗殺すりゃ満足か?それとも、ご希望でもあんのか?
クレア…!
ヴェイグユーリ…!お前正気か!?
ユーリしょうがねえだろ。やらなきゃ、クレアが無事に返ってこねえってんだから
ヴェイグクレアは勿論救いたい、だが、街を襲撃する事なんて──
ユーリ…ま、取りあえず適当に合わせとけって
ヴェイグ…?
アリスユーリくん、ね。案外話のわかる男じゃない。そういう人、アリス嫌いじゃないカモ
デクスなっ…アリスちゃん!?ユーリ、てめぇ!アリスちゃんにはこのオレが……
アリスデクス、うざーい。ちょっと静かにしててくれるかな
デクスご、ごめんよ…
アリスそうね~。今のユーリくんの案もすーっごくステキなんだけどー…
アリス…とにかく、街も人もみーんなぐっちゃぐちゃにしてくれたらそれでいいかなぁ♪
アリス憎しみの感情が生まれたら、後は勝手に争いを広げてくれる……人間ってそういうものだから♪
ヴェイグ争いの拡大…それが本当の狙いか…
ユーリ…なるほどな
アリスふふ、物分かりがいいのね?じゃあ、とっとと行きなさ──
デクス…!アリスちゃん、危ない!!
アリス…!
バシッ!
ユーリちっ…
アリスふう、あっぶな~い!ギリギリセーフ…
アリス…アリスちゃんを騙したのね?そういう悪いコ達は許さないわよ。デクス!その子を──
ヴェイグさせるか!
ガキン!
デクスくっ…!
クレアヴェイグ!
ヴェイグクレア、今行く!
デクス行かせねえぞ!
ラピードガウッ!!
デクスうわっ…!
ヴェイグクレア…!今縄を切るからな…!
ヴェイグよし、立てるか!?行くぞ!
クレアえ、ええ…!
ユーリどうやら上手くいったみたいだな
ラピードワフッ
クレアラピードのお蔭よ。ありがとう
ユーリヴェイグ、ナイスだったぜ
ヴェイグ…いや、礼を言うのはこっちだ。奴らに隙が出来たのは、お前の策のお蔭だ
アリスも~!デクスったら何やってるのよ、みすみす彼女を逃がすなんて…!
デクスくっ、アリスちゃんの前でよくも…大恥かかせやがったな!絶対に、許さねえ!
ヴェイグそれはこっちの台詞だ…!覚悟するんだな
チャキ…
デクスアリスちゃんは下がってて、ここはオレがやる
デクス…お前ら、全員あの世行きだぁ!
ヴェイグ…さっさと来い!
scene1悲嘆の結晶
デクスはあ…はあ…
ヴェイグはあ…はあ…
アリスあらあら、デクスと互角に渡り合うなんて…
デクスハッ、ただのでくの坊じゃなかったか
デクスだが、まだまだだ!デクスさまの実力はこんなもんじゃ…
アリス…そこまでよ
デクスアリスちゃん!?何で…!?
アリスもう十分楽しんだじゃない。ぐずぐずしてるとあの人に叱られちゃう
デクス…アリスちゃんがそう言うならお前達、アリスちゃんに感謝しろよ!
ヴェイグ待て!逃げる気か?
アリス…逃げる?バカ言わないで。ヴェイグちゃん達に、少しの猶予をあげるだけ♪
ヴェイグ
アリスあなた達とはまた会いそうな気がするわ
アリス…その時は、今度こそこのアリスちゃんが天国に連れて行ってあ・げ・る♡
アリスさ、デクス。行くわよ
デクスアリスちゃんとならどこへでも!
ユーリやれやれ、勝手に手を出してきて勝手に引き上げていきやがった。何だったんだ、あいつら
ヴェイグクレア、大丈夫か…?
クレアええ、平気よ。助けに来てくれてありがとう
クレアユーリさんに、ラピードまで…。巻きこんでしまってごめんなさい
ユーリ気にする事はねえさ。悪いのは全部あの馬鹿どもだ
クレアそうだわ…私と一緒にいた子ども達、あの子達は無事なのかしら…?
ヴェイグああ、心配ない。ついでに言うと、その子達がオレ達にクレアの事を知らせてくれたんだ
クレアまあ、そうだったの…。無事で安心したわ
ユーリにしても、あいつら一体何者だ?
ユーリ無茶振りしてきた割にはヴェイグに敵わないとみるとあっさり身を引きやがった
ユーリそれに、あの人がどうとかって誰か裏にいるような口ぶりだったが…
ヴェイグ自分達ではなくオレ達にメルトキオを襲撃させようとしたのも解せない
ヴェイグ争いの拡大とか言っていたが…どういう事だ
ユーリただの人さらいとはちっとばかし違うみたいだし、しばらく用心した方がいいかもな
ヴェイグああ
ユーリま、何にせよだ。一旦メルトキオへ戻るとすっか
クレアそれがいいと思うわ。子ども達も早く安心させてあげたいし
ヴェイグ…クレア、歩けるか
クレアええ、大丈夫よ
クレアあ…!
クレアごめんなさい。少しだけ待っててもらえるかしら?髪飾りを落としたみたい
クレアきっとそこの小屋の中だわ。最初あそこに連れて行かれたの。急いで取ってくるわね
ヴェイグ
ユーリ彼女、縛り上げられてた割には特に怪我もなかったみたいでよかったな
ヴェイグ街での騒動といい、助けられてばかりだな。お前達には本当に感謝している
ユーリよせよ、お互い様って奴だ。街ではオレも、助けてもらったようなもんだしな
ラピードウウウ…!
ヴェイグ…ラピード、どうかしたのか?
ラピードウウウウウ…!
ユーリ…気をつけろ。何か様子がおかしい
ヴェイグクレアは…
ユーリ…そう言えば、ちっとばかし時間がかかりすぎだな
ヴェイグちょっと様子を見て来る
ヴェイグ…クレア、髪飾りは見つかったのか?
ヴェイグ……妙に静かだな
ヴェイグクレア、一体何をして──
ヴェイグ…!
ヴェイグあ…
ヴェイグそんな……嘘だ…
ヴェイグクレ…クレ…ア……
クレア
ヴェイグクレアーーーーーーーーーッ!!
scene2悲嘆の結晶
スレイ──街の人の話だと、多分こっちの方向で合ってると思うんだけど…
ミクリオやはり赤の騎士団は動いていたね
ミクリオ早々に街中で騒ぎを起こすなんて、一体何を考えているのか…
ライラはい。エステルさんが懸念していた通りになってしまっています
スレイ結局オレ達は入れ違いになっちゃったけど…
ルドガー話を聞く限りでは、大事に至る前に収束したみたいだ
ミクリオ事を鎮めたのは、男女二人組と後から加わった黒髪で長髪の男。それと犬一匹、か──
ルドガーおそらく、聞いた外見からするとその黒髪の男というのがユーリの事だと思う
ミクリオ真っ向から騎士団と対峙するなんてその人間も随分命知らずみたいだね
ライラ…そういえば、一番初めに騎士団を止めようと飛び出したのは一人の女性だったとか
ミクリオ怪我人が出てなくて本当によかったよ
ミクリオでも、その後に慌てて街を出て行ったっていうのは…
ルドガー何事もない事を祈るが…
ルドガーとにかく、ユーリに追いつこう
ライラ…?
ライラみなさん、待ってください。何か音が聞こえませんか?
ミクリオ…本当だ。この鈍い音は一体…
ルドガーあの小屋からか?
スレイ何かあったのかもしれない…行ってみよう!
ルドガーああ…!
scene1決意の時
ヴェイグクレアーーーーーーーーーッ!!
ユーリ!?ヴェイグ!?
ラピードウウ…!
ユーリちっ…!
ユーリヴェイグ、どうした、一体何が──…
ユーリ…!こ、これは…
ラピードウウウ…
クレア
ヴェイグ
ユーリマジかよ…。たったあれだけの間に晶化しちまったってのか…?
ヴェイグクレア…
ヴェイグ…くっ!
ユーリ待てよ、ヴェイグ。何をする気だ!
ヴェイグ決まっている、クレアをここから出すんだ!今助けてやる…!
ガツッ!
ガツッ!
ユーリやめろ、ヴェイグ!中のクレアまで傷付くかもしれねえだろ!
ヴェイグだが…!
ヴェイグくっ…!欠ける事すらしない…!
ラピードクーン…
ヴェイグ…クレアがこうなってしまったのは、あいつらのせいか…?
ユーリアリスとデクスの事か?気持ちはわかるが、それはないと思うぜ
ユーリもし奴らに人間を晶化する力があるなら、オレ達も無事じゃ済まなかったはずだ
ヴェイグ
ラピード…!
ラピードグルル…!
ユーリラピード…
ユーリ…ん?誰か来る…!まさか奴らか…?
スレイ今、声が聞こえた
ミクリオ誰がいるかわからない。用心した方がいい
ルドガーとにかく、中を調べてみよう──
ユーリ…誰だ!
ヴェイグ
スレイあなたは…
ルドガーユーリ…!君だったのか
ユーリお前…ルドガー?どうしてこんなとこに
ルドガー君を捜してたんだ。事情はあらかた聞いている、会えてよかっ──
ライラ…!
ライラみ、みなさん…あれは…
スレイ…!そんな…
クレア
ルドガー晶化、現象…
ヴェイグ
scene2決意の時
ユーリなるほどな。エステルから聞いてメルトキオに来たのか
ルドガーああ。結局、俺達が街に着いた頃には赤の騎士団が出て行った後だった
ルドガー街の人達に話を聞いたら、すぐに君達の事を教えてくれてその情報を元にこの森に来たんだが…
ルドガー…まさか、こんな事になっていたとはな
ヴェイグ
ルドガー…と、すまない、紹介が遅れた。スレイにミクリオ、それにライラだ
スレイよろしくお願いします
ライラよろしくお願いいたしますわ
ミクリオ
ラピードワウッ!
ミクリオ…よ、よろしく
ヴェイグ
ライラ大変な事になりましたね…。コレットさん達は無事との事でそちらはよかったのですが…
スレイ人が晶化してしまうなんて…
ミクリオ以前見た、晶化した鳥と同じ…。まるでこの中だけ、時間の流れが止まっているみたいだ…
ヴェイグ
ルドガーリチャード陛下が晶化したと聞いた時から、いつかこんな事になるのではないかと心配していた
ルドガーシルヴァラントでも人の晶化…恐れていた事が遂に起きてしまった…
ヴェイグくっ…!この結晶さえ砕ければ…!
ルドガーヴェイグ…!やめるんだ!
ヴェイグ止めるな、クレアが…!クレアが…!
スレイ…オレ達も、晶化した鳥を助け出そうとしたけど、無理でした。ヒビすら入らなくて…
ミクリオ叩いて破壊出来るなら、ウィンドルの国王だって、救い出されているはずだ
ヴェイグだが、早く救い出さなければ命が…!
ライラ結晶の中の生命は生きているそうです。晶化現象に見舞われたとしても
ミクリオ知り合いの言葉の受け売りだが、信憑性はあると思う
ヴェイグ…クレアは大丈夫、という事か…?
ルドガーひとまずは…。しかし、このままこの状態が長く続けば安心は出来ない…
ヴェイグ
ユーリという事らしい。だから今は早まるな、ヴェイグ
ヴェイグそうか…それを聞けただけで少しは…
ユーリちょっと外に出ないか?外の空気を吸って落ち着いた方がいい
ヴェイグ
スレイクレアさんを誘拐したっていう二人組はいったい…?
ユーリ正体はわからずじまいの無茶苦茶な連中だが、只者じゃなさそうだったな
ユーリおまけに、口振りから察するに誰かの指示で動いているようだった
ヴェイグ
ルドガー晶化現象に、赤の騎士団に、新しい天啓…
ルドガーそれに加え、何か企みのある二人組…また世界に何か…大きな事が起ころうとしているのか?
スレイ世界に起きようとする、大きな事…
ライラスレイさん…
ユーリやれやれ、次から次へと、どうなってんだろうな、この世界は
ラピードワンッ
ヴェイグ世界が大変なのはわかっている。だが…オレは、クレアを救いたい
ヴェイグそのためなら、何だってする
スレイ
ヴェイグ晶化を元に戻す方法を絶対に突き止めてみせると、クレアに誓う
スレイヴェイグさん、よかったらオレ達と一緒に行きませんか?
スレイオレも、晶化した人達を助けたいんです
ミクリオ僕も同意見だ。何事も、仲間が多いに越した事はない
スレイミクリオ…
ルドガー俺達は協力し合えるはずだヴェイグ、一緒に行こう
ヴェイグ
ヴェイグ…わかった。そうさせてもらおう
ヴェイグクレアは必ず救い出す…何としてでも

NameDialogue
scene1再起
スタンアグニラス山…ここに来るのも随分久しぶりだな
リリス
スタンリリス、結構歩いたけど、疲れてないか?
リリスううん、大丈夫。疲れたわけじゃないよ。ちょっと考え事してただけ
リリス…あれ?それより、あの二人はどこに行ったの?
スタンあっちの方見て来るって先に行っちゃったぞ。追いかけるか
リリスうん、そうだね
リオン──聞いていた話の通りだな。ルイニス街とは比べ物にならないほど晶化が進んでいる
ルーティそうね、岩も木も土も、結晶に覆われて…歩きにくいったらないわ
スタンリオン、ルーティ、何か見つかったか?
リオンいや、今のところ目新しい発見はない
スタンそっか…
リリスどうしてこんな事になってしまったんでしょう…
ルーティリリス?
リリス…さっき、見たんです。晶化してしまったリスを
リリス動物まで晶化し始めて…ルイニス街もいつか、同じようになるんでしょうか…
ルーティその可能性は考えられるわね
ルーティ場所によってまちまちだけどウィンドルでも、シルヴァラントでも晶化現象は進行してる
ルーティルイニス街やバロニアも、この山ほどではないけど、だんだん広まっているのは確かだし…
リリスそれじゃあ、ルイニス街は前の氷漬けの時みたいに──
スタンさせない!
リリスお兄ちゃん…
スタンそれだけは絶対にさせない。あんな想いをするのはもうたくさんだ
スタン今のところルイニス街は大きな被害はないけど…
スタン早く晶化現象の原因を見つけて進行を食い止めるんだ
ルーティそんなの、わかってるわよ
リオンそのために僕はここまで来た
リオンしゃべっている暇があるなら辺りの結晶を調べて、一刻も早く手がかりを探せ
ルーティちょっと、リオン…!?
ルーティ…あーもう、相変わらずほんっと勝手なんだから
ルーティリリス、あいつの言った事は別に気にしなくていいから
リリスありがとう、ルーティさん。でも、リオンさんの言う通りだと思います
リリス…私も頑張って何か手がかりを探してみますね!
ルーティ…それにしても、厄介な事になったもんね
スタンああ…。俺達も勿論だけど、街のみんなもすごく不安がってる
スタン避難した方がいいのかもって話も出たんだけど…
ルーティでも、今やどこの街でも大なり小なり晶化は進行してるからね…
スタンうん…。だから、尚更不安なんだ
スタン…ルーティ、本当ありがとうな。街の事を心配して戻って来てくれて
ルーティ気にしなくていいわよ。お礼は、後でたんまりもらうから
スタンええ、お金を取る気か?
ルーティ当たり前でしょ?
ルーティ…でも、今回は特別にまけてあげてもいいわよ
ルーティあの街の事が心配なのは、あたしだって同じだし
ルーティ以前、ルイニス街が大変だった時何も出来なかったからね…
スタンルーティ…
スタンあの時は仕方がなかったんだし気にする事はないさ
スタンそういえば、面倒を見てる子ども達の方は今どうしてるんだ?
ルーティ面倒見のいい妹分が出来てさ、その子に頼んであるわ
スタンそうか、それならよかった
スタン…よし、何はともあれ俺達も行こう
スタン小さな事でもいい、晶化に関する手がかりを探さないと
ルーティそうね
scene2再起
ルーティうーん…。あちこち見て回ったけど、特に変わったものは見つからないわね
リリス晶化が進んでる地域に来たら何かわかるかもって思ってたのに…
ルーティまあ、考えてみればそう簡単に見つかるわけないか…
ルーティあたし達より遥かに頭のいい研究者ですら、未だに何も掴めてないって話だし
スタン
リオンスタン、さっきから黙り込んで何を考えている?
リリス何か気付いた事でもあった?
スタンやっぱり…晶化現象には大精霊が関係してるんじゃないか?
リリス大精霊…?
リオン
リオンこの世界を形成する上で欠かせない自然を司る存在の事だ
スタン前にさ、世界各地で地面に大きな亀裂が出来たり、いろんな異変が起きてただろ?
スタンあれは、大精霊が暴走状態になってしまった事が原因で起きてたんだ
ルーティって事は…今回もその大精霊が?
スタンはっきりは言えないけど…。大精霊の影響かもって考えたら納得がいくっていうか…
リオン確かに、これだけ広い範囲に影響を及ぼせる要因となるものは、そう多くもないはずだ
リオン…可能性としては、僕も考えた。だが、僕達が知る大精霊の中にこういった力を持つ者はいない
スタンうーん、そうか…
スタンあ…でも、精霊って確か俺達が知ってる他にももっとたくさんいるって話じゃなかったか?
スタンミラやクラースさんに話を聞けば、晶化の力を持つ精霊がいるかどうかわかるかもしれない
リオン…それ以前に、ミラにさえ会えれば大精霊が暴走しているかどうかまでわかるだろうがな
スタン…あ、そうか!
スタンさすがリオン、頭いいな
リオンそんな事でいちいち褒めるな
ルーティ何だかよくわからないけどまずは、そのミラって人に会いに行くわけね
ルーティで、その人はどこ?
リオン僕は心当りはない。スタン、お前は知っているのか?
スタン……あれ、そういえばミラってどこに住んでるんだっけ?
リリスお兄ちゃんたら…居場所もわからないのにどうやって会いに行くの?
スタンあはは…
ルーティはあ、呆れた…。じゃあ、もう一人のクラースか…
ルーティ精霊に詳しいクラースって、確か変わったトンガリ帽子を被ったあいつの事よね
ルーティその人ならバロニアにはよく出入りしてるはずだし、街に行けば居場所がわかるかも
リリスさすがルーティさん、いろいろ知ってるんですね
ルーティまあね。それで生活してるからね
リオン精霊の話を聞くという事なら、コルテア街のキールもいいかもしれない
スタンキール…って、前にイフリートの事でいろいろ教えてくれた人だな
スタン確かに、精霊の事を知っているみたいだった
スタンよし、キールにも会いに行こう
リリスここからだと、まずはコルテア街、その後にバロニアへ向かうって事ね
リオン…いや、僕は直接バロニアに行く。情報集めは早い方がいいだろう
リオンコルテア街を経由するより東の森をさっさと抜けた方が早い
スタン確かに、二手に別れた方が早いと思うけど…
リリスリオンさん、一人で行くつもりですか?それはさすがに危険だと思います
リオン足手まといになる者がいない分その方がよほど身軽だ
ルーティったく、まーたそんな事言って…。いいわ、あたしが一緒に行く
ルーティ街の事も大体わかるし、情報屋のツテもある。リオン一人に任せるより効率的に動けると思うわ
リオン
ルーティ何よ、不満でもあるわけ?
リオン…ふん、勝手にしろ
ルーティじゃ、そういう事で。それぞれ話を聞けたら、ルイニス街で落ち合いましょ
ルーティって事で、リオン行くわよ
リオン僕に指図するな
リリス二人共気をつけてくださいね!
スタンもう行っちゃった…
スタンまあ、あの二人なら、心配はいらないな、うん
リリスそうだね。じゃあ、私達も行こっか
スタンそうだな
カサッ…
リリス…?今の音は──…
ガルルルル!
スタン…!リリス危ない、魔物だ!
scene1行き交う者達
スタンようやく着いたか
リリスコルテア街…前にお兄ちゃんと一緒に来たよね
スタンああ、買い物でメルトキオに行った帰りの事か
リリスそうそう!お兄ちゃんがバテちゃって休憩がてらここに立ち寄って…
スタンバテたって…仕方ないだろ。大量の食材を買い込んで、それをずっと抱えてたんだから
リリスふふ、そうだったね
リリス少し前の出来事なのに、すごく昔の事みたいに感じる
リリスやっと、いつも通りの生活に戻れると思ったのに、こんな事になってしまうなんて…
スタンリリス、大丈夫さ。きっと何とかなる
スタン早くキールを見つけよう
リリスうん、そうだね
リリスお兄ちゃんはそのキールさんっていう人のお家、知ってるの?
スタンいや、家までは知らない。けど、この街には知り合いもいるし…
リリスそっか。じゃあ、その人に会いに行けば何とかなりそうだね
スタンああ、そうだな
キール──メルディの手紙によると、リンネル村でも晶化現象が少しずつ広がっているらしい
キール最近じゃ、動物が晶化しているのを見たって書いてある
ファラア・ジュールでも晶化現象が進んでるなんて…。この辺りだけじゃなかったんだね
ファラ手紙には、近頃村にまで魔物が出るようになったとも書いてあるね
リッド腹を空かせた魔物が食糧を求めて来るってワケか。コルテア街もそうだしな…
キール街に侵入する魔物の事もそうだが、晶化現象の方も何とかしないとどんどん状況は悪化するばかりだ
リッド何とかって言っても…どうすりゃいいんだ?
ファラ…リチャード国王の事もあるし、いつかは人間も、次々と晶化してしまうのかな…?
リッド今のところ、他に人が晶化したって話は聞かねえけどな
リッドそれに、国もこの状況を黙って見てるとも思えねえけど
キール悠長に待っていられるものか。各国の為政者達が、状況を正しく認識出来ているかどうかだって──
スタンおーい!
ファラあ…
スタンリッド、ファラ!それにキール!
リッド何だ、スタンじゃねえか。久しぶりだな。どうしてここに?
スタンキールに用があって来たんだ。すぐ会えてラッキーだったな
スタンそれに、お前達って知り合いだったんだな!驚いたよ
リッドまあ、みんなこの街で育った幼なじみだからな
ファラ久しぶりだね、スタン!
ファラ…と、一緒にいる人は?
リリス初めまして。リリス・エルロンです。兄がいつもお世話になってます
ファラへえ、スタンの妹さん…!そう言われると…似てるかも!
ファラこちらこそ、よろしくね
キールところで、スタン。リッドやファラでなく、何故わざわざぼくを訪ねてきたんだ?
スタンああ、それなんだけど──
キール──晶化現象の原因が、大精霊にあるかもしれない、か…
スタンまあ、もしかしたらってだけで何の確証もないんだけどな
リリスキールさんならその辺りの事、知ってるんじゃないかって兄が言うものですから
リッド今ちょうどオレ達も晶化現象の話をしてたところだったんだ
スタンへえ、そうだったのか
ファラ大精霊かあ…。どう思う?キール
キール…あくまで現時点における推測だがその可能性は低いと思う
キール大精霊が操る力はぼく達にとってなじみ深い、自然現象に結びついている
キール例えば、炎を司るイフリートならアグニラス山の噴火、氷を司るセルシウスなら湖などの氷結──
キール大精霊の影響で起きていた以前の異変も、これらの結びつきが顕著にあらわれていた
キールだが、晶化のような自然現象も、結晶を操る精霊も、ぼくの知る限り存在しない
キールただこれも、調査を進める内に見解が変わるかもしれないが
キールいずれにせよ、晶化現象についてはもっと詳しく調べる必要がある
キールもしかしたら気候や環境によって、国や地域でも発生している事象に違いがあるかもしれない
キールだから、ぼくはこれからア・ジュールのリンネル村まで行ってみるつもりだ
リッドキール、本気か?
スタンリンネル村だって?どうしてまた?
キール実は昨日、そこに住んでいる知り合いから手紙が来た
キール各地の事象に違いがないか確かめる意味でも、ア・ジュールへ行ってみるのは有意義な事だと思う
ファラその案に賛成!メルディの事も心配だし、わたし達も一緒に──
キールファラ達はこの街に残ってくれ。魔物が入ってくる可能性は、この街も同じはずだからな
キール晶化現象の調査と、ついでにメルディに会いに行くくらいならぼく一人でも十分だ
ファラキール一人で行くなんて、危ないよ
リッド道中、魔物が出たらどうすんだ
キール魔物一匹ぐらい、ぼく一人で片付けるさ
リッドすっげえ素早い、強そうな魔物が襲ってきたら?しかも何匹も。…本当に大丈夫か?
キールだ、大丈夫だって言ってるだろ!心配いらない!
ファラ変に頑固だよねえ…
ファラでも、キールの言う通り街も心配だし…
スタンキール、俺達も一緒に行きたいんだけど駄目かな?
キールお前達が?
リリスいいの?お兄ちゃん。リオンさん達との合流は?
スタン向こうもまだ用事は済んでいないだろうし、俺達は俺達でもう少し調べた方がいいと思うんだ
スタンキールと一緒に行けば晶化現象について、何かわかるかもしれないし
リリスそれもそうだね…。リオンさん達に報告出来る事はたくさんあった方がいいもの
リッド目的が同じならいいんじゃねえか。キール一人じゃなんだが、スタン達が一緒なら、オレ達としても安心だしな
キールなっ…ぼくを子ども扱いするな!さっきも言ったがリンネル村に行くくらい──
リリス私達が同行するのはやはり駄目ですか?
リリスキールさんのようないろいろとお詳しい方にご一緒させていただけると私達も助かります!
キールあ、いや…別に駄目だとは言ってない
スタンじゃあ、一緒に行こう!よろしくな!
キール…あ、ああ
スタンリンネル村まではどうやって行くんだ?
キールまずは、シルヴァラント港へ向かう。そこから船で移動だ
ファラ三人共、気をつけてね
リッド無茶はすんなよ
scene2行き交う者達
キールふう…ふう…
リリスキールさん、大丈夫ですか?
キール二人共、足が速いな…
スタンごめんごめん。つい急ぎ足になっちゃって…ゆっくり歩くよ
キールいや、このままでいい。余計な気遣いは無用だ
リリスでも、かなり歩きましたし、この辺りで一休みでも──
???おいしい果物はいらんかね~
キールあれは、行商人か?
スタンお、ちょうどいいな。せっかくだし、休憩がてらみんなで果物でも食べないか?
リリス賛成!果物は移動に便利だし、いくつか買っておこうよ
スタンよし、じゃあ俺、ちょっと行って買ってくるよ
リリス私も一緒に行くわ。キールさんはここで休んでてくださいね
キール…ああ
リリス果物、何が売ってるのかな?楽しみ──
スタン…ん?
ルークおい、おやじ。美味そうだな。そのリンゴくれ
行商人へい、毎度!
ガリッ
ルークうん、なかなかいい味じゃねーか。よし、あと3個ほどもらっていくぜ
行商人あ、ちょっとお客さん、お金!
ルークっと、そうだったな…。どうもまだ慣れねえや
ルークえーっと、いくらだ?
スタンルーク!
ルークだ、誰だ!
ルーク…って、何だ、スタンかよ。何でこんなとこに…
ルークん?隣の奴は…
リリスあ、妹のリリスです。兄がいつもお世話になってます
ルークああ、そうか。確かお前、妹がいたんだっけな
スタンまさかこんなところで会えるなんてな!
スタンルークは今、何をしてるんだ?
ルークな、何って…見りゃわかんだろ。リンゴを食ってんだ!
スタンそれは見ればわかるけど…。どこかに向かうところなのかなって
ルークん?
ルークあ、ああ、ちょっとな…
スタンまあ、いいか。それより、俺達、晶化現象の事調べてるんだ
スタンルークの住んでるキムラスカでも晶化現象は起きているのか?
ルーク晶化現象か…。ああ、街の中でも発生しはじめたな。気味悪ぃぜ
スタンキムラスカでも…。どこも一緒なんだな…
ルークリチャードの野郎も晶化しちまったって話だし、何だっつーんだろうな…
ルークまたあの大精霊の時みたいに面倒な事になってなけりゃいいけど…
スタンルークも気になってるんだな…
スタンだったらさ、ルークも俺達と一緒に来ないか?
スタン今別行動取ってるんだけど、リオンも晶化現象の事調べてるんだ
スタンまたみんなで協力すれば早く解決出来るかもしれないだろ?
ルーク
ルーク…いや、悪ぃけど俺は一緒には行けねえ
ルーク晶化現象の事も気にはなるけど…今はそれどころじゃねえんだ
スタン…?何かあったのか?
ルークあー…いや、別に何でもねえ!
ルークと、とにかく俺は忙しいっつー事だ。それじゃあな!
スタンえ?お、おい…ルーク?
リリス随分落ち着かない様子だったね
スタン久しぶりに会ったのに、ろくに話せなかったな…
行商人お兄さん、さっきの人の知り合い?じゃあ、あの人のお代払ってくれないか
スタンええ!?ルーク支払い忘れたのか?
リリス仕方ないですね…。じゃあ、私達の分と合わせたお代を払いますね
スタンやれやれ…。でも、まあこれで果物も手に入ったし──
うわあっ!
スタン…!今の声は、キールか!?
リリスお兄ちゃん、大変!キールさんが魔物に囲まれてる!
スタン休んでたところに不意打ちされたのか…!
スタンキール、今行くぞ!
scene1突然の悲しみ
ルーティうっわ、ここ、道が狭いわね…。木が覆い茂って険しいったら何の…
リオン本当にこっちでいいんだろうな
ルーティ方角的には間違いないはずよ
ルーティ…うん、何とかいけそうね。図体がでかい人だと、通り抜けられるか怪しいけど…
ルーティあんたなら、私と身体の大きさが変わらないし問題ないわね
リオン……
ルーティん?
ルーティ何よ、相変わらず仏頂面な奴ね。さ、行くわよ
リオン
ルーティふー、何とか通り抜けられたわね…
ルーティ…にしても、リオン。あんたってばどこまで冷たいわけ?
ルーティ倒れたあたしを無視して一人で先に行くなんて
リオン単に転んだだけだろう。怪我もしていなかった
ルーティだからって、手も貸さないなんてどういう事よ
ルーティお蔭であたしだけこんなに服が汚れちゃったじゃない…
リオン…僕の知った事じゃない。さっさと行くぞ
ルーティはあ…何かどっと疲れちゃった。ちょっと休憩しましょ
ルーティほら、ちょうどあそこに小屋が…
ルーティ…ん?誰かいるみたいね
リオン住人じゃないのか
ルーティあんな小屋に…?
ヴェイグ
ルドガーヴェイグ、ユーリ達もメルトキオから戻って来た事だ。そろそろ出発しよう
ヴェイグわかっている。だが…
ユーリクレアの事とあの二人の事、一緒にフィリアに話しといたぜ
ユーリ時々、様子を見るようにしてくれるそうだ
ヴェイグそうか…
ライラヴェイグさん…。やはり、立ち去り難いですよね
ヴェイグせめてクレアを動かす事が出来ればよかったのだが…
ユーリ結晶はしっかり地面に根付いてやがるからな…。どうしようもねえ
ミクリオ気休めかもしれないが…結晶は頑丈だ。誰も危害を加える事は出来ない
スレイ…辛いと思うけど、クレアさんを救うためにも、オレ達に出来る事なら何でも手伝うよ
ヴェイグみんな、ありがとう…
ヴェイグ…クレア…
ヴェイグオレは行く。元に戻す方法を探しに
ヴェイグ必ず、ここから救い出してやる。絶対にだ。だから──
ルドガーああ、ヴェイグ。必ず助けよう
ラピードワンッ!
ユーリ…ん?
ユーリどうした、ラピード。魔物…ってわけじゃなさそうだな
ミクリオ…人か?
リオンルドガー、それにユーリか…
ユーリお、何だ、リオンじゃねえか。こんな辺鄙な場所で会うとは奇遇だな
スレイあれ、あなたは確か…
ルドガー…?
ルドガースレイ、リオンと知り合いなのか?
スレイあ、うん。前にミラさんと会ったのと同じ時に一度…
ルーティリオンの知り合い?
ルーティあたしはルーティっていうの。よろしくね
リオンウィンドルに住むお前達がこんなところで何をしている?
ユーリまあ、話せばちっとばかし長くなるんだがな
ルーティ…何か、重苦しい雰囲気ね。聞いちゃ悪かったかしら
ユーリリオンとその連れってんなら心配はいらねえだろ
ユーリ…話すがいいか、ヴェイグ?
ヴェイグ…ああ
リオン
ルーティはあ…
ヴェイグ
ルーティ国王晶化の事も聞いてはいたけど…こうして実際に人の晶化を目の当たりにすると…ショックだわ
リオンくっ…
ルーティ何かごめん。一番辛いのはヴェイグなのに
ヴェイグ…いや、いいんだ
ルーティ晶化現象…早く何とかしないとね…
ルドガー…リオンとルーティはバロニアに向かうと言ってたよな
ルドガー今、話し合ってたんだけど、俺達もバロニアに行くのに同行してもいいか?
リオン…お前達がか?
ルドガー大精霊の関与については俺も可能性の一つとして考えてはいたんだ
ミクリオ的を一つに絞るのは避けて情報収集にあたっていたけど、結局大した情報は得られていない
スレイだからこれからは、少しでも可能性のある大精霊の事を調べてみようと思うんだ
ルドガーミラの居場所は、俺達も知らないしな…。クラースに会いに行くのがよさそうだ
リオン…好きにしろ
ルーティいいんじゃない?ただし案内料はもらうわよ?
スレイ案内料?
リオンこの女の言う事は真に受けるな
リオンしかし、クラースのところに行っても情報が得られる保証はないぞ
ミクリオそれは覚悟している。スレイ、今からパスカルに連絡を入れてくれ
ミクリオクラースという人物に会いたい。可能なら連絡を取って、渡りをつけられないかってね
スレイわかった!早速かけてみるよ
ルーティ…へえ、これで話が出来るの?便利なもん持ってるのね
ライラはい、パスカルさんはああいった便利な道具を作るのがお得意のようですわ
ツー、ツー、ツー…
ピッ
パスカルはいはーい
スレイあ、パスカル?オレ、スレイだけど
パスカルおー、どしたん?何かあった?
スレイ実はオレ達、精霊研究者のクラースさんって人を捜してるんだけど…
スレイその人が今バロニアにいるかどうか、調べられないかな?
パスカル研究者…なら、ちょうどいいかも!今あたし、街の研究施設に来てるんだ
パスカルそのクラースって人も研究者なら周りの人に聞けばすぐわかるかも!
パスカルでもさ、何で精霊の研究者に?晶化現象の調査じゃなかった?
スレイその晶化現象と大精霊に何か関係があるかもしれないから、少し調べてみようって話してるんだ
パスカルなるほどねぇ。聞いてみるね!
スレイうん、ありがとう
パスカルスレイ、お待たせー!わかったよ、クラースの事
パスカル何かね、随分前にバロニアの北にある森に行くって街を出たみたい
パスカル何でもそのクラースも晶化について調べてるんだって。森へ行ったのもきっとその一環だろうって
スレイバロニアの北の森か…。そのクラースさんは晶化現象について何か情報を掴んでるのかな?
パスカルう~ん、そこまではちょっとわからなかったよ
リオン…まさか、クラースも晶化現象の調査に乗り出しているのか?
ミクリオバロニアの北にある森に向かった…
ユーリなら、予定通りバロニアに行きゃ会えるかもな。遅かれ早かれ街には戻るだろうし
スレイありがとう、パスカル。とりあえず、急いでそっちに行くよ
パスカルりょーかい!じゃあ、また会えるかもだね!
パスカル……っと、そうだ
パスカルさっき赤の騎士団がバロニアに戻って来たみたいなんだけど…。結局どうなったの?
スレイ赤の騎士団がバロニアに…
ユーリ…!
スレイパスカル、その話も詳しく聞かせてくれない?
パスカルなるほど。そっちもいろいろと大変だったんだね
パスカルとにかくスレイ達が無事でよかった。だけど…
パスカルリチャードだけじゃなくて他の人にも晶化が起きちゃったんだ…
スレイうん…
パスカルこれからもっと多くの人達に、晶化現象の影響が広がる可能性もあるかもしれない…
スレイ
パスカルそうしないためにもあたし頑張るよ。少しでも早く晶化現象を解明出来るように
スレイパスカル…
スレイうん、オレ達も頑張るよ
ライラクラースさんはバロニアの研究所に行けば会えそうですね
ユーリ赤の騎士団が大人しくバロニアに戻ったって事がわかったのも収穫だったな
ルドガー早速バロニアに向かおう。急いだ方がいい事に変わりない
ヴェイグなら、シルヴァラント港か…
リオンああ
キール港に入港したぞ
スタンここがア・ジュールか。思ってたより随分近いんだな。あっという間に着いた気がする
リリスそれは、お兄ちゃんがぐーすか寝てたからでしょ!
キールスタン一人だったら、確実にあのまま寝過ごして、シルヴァラント港に逆戻りする羽目になっていただろうな
スタンあはは…。これからもよろしく頼むよ、リリス
リリスもう、本当お兄ちゃんったら…
スタン…にしても、風が随分冷たいな。シルヴァラントとは全然違う
キールこの辺りはまだマシだけど、リンネル村辺りは一面雪景色だ。油断していると風邪を引くぞ
スタンよし、じゃあ気合を入れてかないとな!キール、案内を頼むよ
キールわかった
scene2突然の悲しみ
リリス──くしゅん!
スタン言ってたそばから…大丈夫か、リリス?
リリスうん、平気
キールリンネル村はもうすぐだ。着いたらメルディの家に行けばいい。暖まらせてもらおう
リリスメルディさん…その人がキールさんの知り合いなんですよね
キールああ──
???あれ、キール…?
キールメルディ!
メルディやっぱり、キール。メルディが手紙読んで来てくれたか?
キールまあ、晶化現象を調べる意味も兼ねて、だけどな
キール…ああ、そうだ。二人の事も紹介しておく。スタンと、その妹のリリスだ
スタンよろしく
リリスよろしくお願いします!
メルディあ…うん。よろしくな
メルディ
キール…?
キールメルディ、元気がないな。どうかしたのか?
メルディキール…
メルディあのな…実はクィッキーが…
メルディクィッキーが晶化してしまって……
キール何だって!?手紙にはそんな事書いてなかったぞ
メルディ手紙を出すまでは、元気だったよ。なのに…突然……
メルディけど、メルディ何も出来なくて……
スタンクィッキー…?
キールクィッキーは、メルディといつも一緒にいる友達なんだ
リリスそんな…
リリスメルディさん、お気を落とさないでください
スタンメルディ…。よかったらその友達のところに俺達を案内してくれないか?
スタン何か、出来る事があるかもしれない。辛いだろうけど…
メルディ…はいな
キール
スタン──友達っていうから人間だと思い込んでたけど、クィッキーは動物だったんだな
スタン大事な友達には変わりないけど…
リリスうん…
リリスでも、やっぱりあのリスと同じ…。結晶にはヒビすら入らないね
スタンこんな家の中でも晶化って起こるんだな…
キール
キールふーむ…
メルディキール、何かわかったか?
キールコルテア街の近くでも晶化した動物は何度か見たが…それらと特に変わりはない
キールクィッキーは晶化して間もない…という事だったが
キールコルテア街で晶化して時間が経過した同じくらいの大きさの動物とほとんど差異を見つける事は出来ない
キールつまり、一度晶化すれば環境や状況に影響される事なく同じような結晶になるという事だ
スタンそれって、どういう事なんだ?
キール気温や経過時間など、諸条件によって事象に相違が見られれば、そこから何か発見があるかと思ったんだが
キール何の相違も見当たらないとなると…
リリス何とも言えないって事なんですね…
メルディクィッキーはどうなるか…?
メルディ…もう、助からないのか?
キール助からないとは言ってない。だが、少なくとも今はどうしてやる事も出来ない…
メルディ
スタン…メルディ、あのさ。前に俺の住む街で、街も人も全部氷漬けにされた事があったんだ
スタンここにいる妹のリリスも被害にあった
スタン…だから、今のメルディの気持ち、俺はすごくよくわかるよ
メルディ
スタン原因も解決方法も、最初は全然わからなかったけど、今はほら…街もリリスも、みんなを助けられてる
スタンどんな事にも必ず原因があると思うんだ。晶化現象も同じだ
スタン時間はかかるかもしれないけど、みんなで協力すれば絶対何とか出来る
スタン…俺はそう信じてるんだ
メルディスタン…
メルディ…そうな。メルディ、落ち込んでた
メルディでも、何もしないはもっと駄目だな
メルディスタン、ありがとな。クィッキーがためにもメルディ頑張る
リリスよかった。メルディさん、少し元気になってくれたみたい…
大変だ!誰か来てくれ!
スタン…!何だ…!?
キール外の方から聞こえた。一体何が──
レイアメルディ、ここにいたんだね!
メルディレイア!何かあったか?
レイア村の中に魔物が入ってきたらしいの!
メルディ魔物がまた…!
レイアみんなは避難してるよ。メルディも外には出ないでね。わたしは魔物退治に行くから!
メルディレイア、待って!メルディも…
スタン魔物なら、俺達がやるよ!君、連れてってくれ!
レイアあなた達が…?
キールぼくも行く。人数は多い方がいい
スタンリリス、メルディを頼む
リリスわかった。ここは任せて。いざとなったら私も戦うよ!
レイアみんなありがとう!じゃあ、ついて来て!
scene1雪中の探索者
リリス…メルディさん、気の毒だったね
スタンああ…。何とかしてクィッキーを助けてやりたいな
キール…とはいっても、はっきり言って手詰まり状態だ
キールあれから周辺の晶化を見て回ったけど、気候は違えどコルテア街との違いが見られない
リリスリオンさん達はどうなったかな?
リリス無事クラースさんに会えて何か話が聞けてるといいけど…
キールリオン…?それにクラースって確か…
スタンああ、精霊研究者のクラースさんだ。俺の仲間のリオンとルーティが、その人に話を聞きに行ってる
キールそうか…。大精霊と晶化現象は直接的な因果関係はなさそうだが…
キール精霊を専門に研究している人物なら、精霊という観点から何か、有益な情報を持っているかもしれないな
スタンじゃあ、俺達は一旦ルイニス街に帰って、リオン達と合流しよう
キールなら、ぼくはコルテア街に戻るか
キール過去の事例からわかる事がないか、片っ端から文献を──
レイアあ、いたいた。あなた達、ちょっと待って!
スタンあれ、君はレイア…だよな?
レイアさっきは魔物退治ありがとう!
リリスいえ、お気になさらず!当然の事です
キールその礼を言うために、ぼく達の後を追いかけてきたのか?
レイアうん。それもあるし、メルディの事もお礼を言いたくて
レイアスタンの言葉にも元気をもらったみたいだし
レイア何より、キールが会いに来てくれて嬉しかったみたいだよ
キールそ、そうか…
スタンキールも、せっかく友達に会いに来たんだからもっとゆっくりすればよかったのに
キール今は、晶化現象を調べる事が優先だ
レイアメルディも、邪魔しちゃいけないって思って引き止めなかったみたい
レイアけど、スタンも、キールも、リリスも絶対また立ち寄ってね
スタンありがとう、レイア。必ずまた会いにくるよ
レイアうん!途中まで見送りさせてね
レイアどこに行くんだっけ
リリスシルヴァラントに戻ろうと思うんです
レイアじゃあ、向かうのは港だね。行こっか
キールふう…ふう…
レイア大丈夫?慣れない雪道を歩くのは大変でしょ
キール大丈夫だ…と言いたいが、正直、骨が折れる
キールふう…
リリスそろそろ休憩しましょうか
レイアでも、ここは寒いし…休憩出来るところはもう少し先なんだ
スタンキール、おぶってやるよ!ほら!
キールんなっ…!そんな情けない真似をしてたまるか!
スタンそうかなあ…
スタンん?あれは…
リリスお兄ちゃん、どうかしたの?
スタン向こうに誰かいる
キール…?何だか様子が…
キールみんな、静かにするんだ
???
???
スタンあれは、ア・ジュール軍かな…?
キール何人か兵士を従えているし、おそらくそうだとは思うが…
リリスあんなところで何をしてるんでしょう
レイア…ひょっとして、雪山に向かおうとしてるのかも
キールあの山には何かあるのか?
レイア確か、奥に古い遺跡が…
レイアでも、山の中はよく吹雪になるから地元の人でも滅多に立ち入らないんだ
レイアそんなところに、どうして軍が…?
スタン
スタンよーし、少しだけ…
スタンそーっと、そーっと…
リリスちょ、ちょっとお兄ちゃん!盗み聞きは駄目だよ
キールリリスの言う通りだ。相手は軍の人間だぞ、見つかりでもしたら、ただじゃ──
レイアスタン、行っちゃった…
キールなっ、どうして勝手に…!
キールはあ…仕方ない、ぼく達も後を追おう
リリスわかりました…。うちの兄が…すみません…
scene2雪中の探索者
スタン──よし、ここまで来れば十分だな
リリス十分、じゃないわよ…!これで見つかっちゃったらお兄ちゃんのせい──
キール静かにしてくれ。あいつらの会話が聞こえない
レイアキールも結局乗り気だね…
???はあ!?それ本気で言ってんのかよ
???こんなチンケな雪山に天啓の石碑なんかあるわけねえだろ
???過去の記録を調べた
???これまで出現した石碑は人里離れた遺跡に出現した事例が多い
???つまり、この雪山の遺跡にも出現の可能性がある、という事だ。大人しく従う事だな、アグリア
アグリアちっ、何を偉そうに。あたしに命令すんじゃねえよ、ウィンガル
アグリア大体、てめーはどうする気だ
ウィンガル神子の捜索にあたる
アグリアなら、お役目交代しろよ。あたしがその神子って奴をとっ捕まえて来てやるよ
ウィンガルお前が行けば神子は使い物にならなくなる
ウィンガル何故お前が石碑捜索に当てられているのか、その意味を理解しろ
アグリアアハ~。アハハハ!そういう事なら仕方ねえな
アグリア…にしても、ジェイドの奴!あたしらにばっかり面倒事を押しつけやがって
アグリアつか、何の確証もねえのに、しらみつぶしに探すなんか無謀すぎんだろ
ウィンガル神子が手に入れば、石碑の出現場所の特定もそう時間はかからん
ウィンガルそれまでは無謀だろうが何だろうが、言われた通りにやってもらう。何より、これは陛下の命だ
アグリア
キール陛下…ガイアス王の事か
リリス天啓の石碑を探しているみたいですね
スタン天啓の石碑ってこの前メルトキオで発表されたばかりだよな?
キール新しい天啓の出現か。噂には聞いていたが…
キールけど、こんなに短い期間で、立て続けに天啓が出現するなんて未だかつて例のない出来事だ
キールそれに、石碑出現の知らせも国による公式な発表じゃないし、情報の真偽すら疑っていたんだが…
リリスでも、ア・ジュールがそれを探してるって事は情報は本物だったって事なのかな?
レイアそういえば…天啓の話で思い出したんだけど…
レイア前に公表された天啓は、ウィンドル国王の晶化を予言した未来予知だって噂もあるよね
レイア実際はどうなんだろう…
キール何とも言えないな…。天啓の一節はそうとも捉えられるが、それが確かなものだという根拠はない
キールだが逆に、そういった可能性も否定しきれない、という事でもある
キール無関係と切り捨ててしまうには、タイミングがあまりにも重なり過ぎているからな
スタンうーん、そう言われてみれば…
スタンじゃあ、俺達も天啓について調べてみるのもいいかもしれないな
レイアねえ、それより気になるのは神子の事だよ。捕まえるって話してたよね…?
リリス…?
リリスあれ、お兄ちゃん…。ア・ジュール軍の人達がいなくなって…
スタン本当だ…!
スタン今さっきまでそこにいたはずなのに、一体どこに……
アグリアアハ~。こいつはまた、随分間の抜けたネズミ共だね
アグリア盗み聞きならもっと上手くやんな。バレバレだっての
スタンしまった、見つかった!
ウィンガルここで何をしている
リリスそ、それは…
レイアと、とにかく、逃げよう!
キールくっ…!
ウィンガル…無駄だ
リリスきゃ…!
スタンリリス!
リリスい、痛…
スタンやめろ!リリスを放せ!
アグリアさせるかってーの!おらおら
スタンうわっ!?
リリスお兄ちゃん…!
スタン速い…!何て動きだ
キールこの身のこなし…ただの一兵士とは思えない
ウィンガルもう一度聞く。ここで何をしている
レイアわたし達、悪気があったわけじゃなくって…そ、その──
アグリアアハ~、わかったぞ。お前ら赤の騎士団の間者だろ。こんな間抜けを寄越しやがって
スタン赤の騎士団…?それって確か、ウィンドルの…?
キールそんなのとは全く無関係だ!ぼく達はただ──
ウィンガル…いずれにせよ、こちらの動きを漏らされては厄介だ
ウィンガルお前達、この者達をカン・バルクへ連行しろ
ア・ジュール兵はっ!直ちに
リリスそんな…!
レイアやっ…、やめて!放してよ!
ア・ジュール兵大人しくしろ!
アグリアアハハハハ!バカなネズミ共、監獄にぶち込まれちまいな
ウィンガル
スタンくっ…!
scene1地下牢にて
スレイここがシルヴァラント港…!たくさん人がいるんだな
ミクリオちょうど船が着いたばかりのようだからね。そのせいだよ
ライラどこから来た船なのでしょう?
ユーリあの船はウィンドルのもんだな
???誰かー!ルイニス街に向かう人おらへん?
ルドガーん?…迷子か?
ラピードワフゥ?
???あ、そこの兄ちゃん!ウチの事、ルイニス街まで連れてってくれへん?
ルーティん?待って…この声と喋り方…まさか……
???はあ…困ったなあ
???こんなぎょうさん人がおるんに、だーれもウチの頼みを聞いてくれへん
???みんないけずやわ…。これからどないしよ
ルーティエルマーナ!
エルマーナえっ、ルーティ姉ちゃん!?嘘やろ、何でこんなとこに…
ルーティそれはこっちの台詞よ!あんたこそ、何でシルヴァラントに…
エルマーナそんなん、ルーティ姉ちゃんに会いに来たに決まってるやん!いや~会えてホンマよかったわあ
ルーティ会いに来たって…あの子達は?あたしがいない間、ちゃんと面倒見ておくように頼んだじゃない
エルマーナちょっと緊急事態が起こってん。子どもらはとりあえず一番年長のジンに頼んできたんや
ヴェイグ…知り合いか
ミクリオ…みたいだね。いい加減慣れてきたよ…
ルーティ緊急事態って何よ?
エルマーナそれがな…ウチな、今朝、ウチの子ら連れてバロニアの近くの森を散歩しててん
エルマーナそしたらチビ達の一人が急に騒ぎ出してな
ルーティ…何よ?何があったの?
エルマーナウチ慌てて駆けつけたら、そこには大きな晶化した塊があったんやけど…
ルーティちょっと、何?早く言いなさいよ
エルマーナクラースのおっちゃんが…晶化しとったんや
ヴェイグ…!まさか…
リオンなっ…、クラースだと!?
エルマーナルーティ姉ちゃんも顔くらいは知っとるやろ?
ルーティエルマーナ、それ、本当なの!?見間違いじゃなく、絶対!?
エルマーナい、痛い痛い!そないに肩ぐーって掴まれたら…
エルマーナ…でも、絶対やで!あのトンガリ帽子にヘンな柄やで、見間違うわけあらへん
エルマーナつい昨日一昨日まで普通に街中歩いとったのにな…
ルドガー人間が晶化だって…?
ライラまた、起きてしまったのですね…
ルーティだから、あたしに知らせにこんなとこまで来たのね…
エルマーナルーティ姉ちゃんが晶化の事調べるって言うとったのもあるけど、それよりも…
エルマーナチビ達もショック受けて怖がっとる。ルーティ姉ちゃんにはよ帰って来てほしいんや
ユーリくそっ…。何てこった。また人が晶化しただと?
リオンしかも、それがよりにもよって、捜していたクラースとは…
スレイ…クラースさんは、今どうしてるんですか?
エルマーナウチも子どもらを引き離して落ち着かせるのが精いっぱいで、そのままにしとるんや…
ミクリオ幼い子ども達にはショックが大きいだろうね。無理もない…
ルーティリオン、悪いけどエルマーナと一緒に行く事にするわ
ルーティあんたはどうする?クラースは晶化してしまったけど…
リオン…クラースから話を聞く事が不可能だとわかった以上、バロニアへ行っても仕方がない
リオン僕は一度ルイニス街に戻りスタンと合流する
リオンキールから何か情報を得ているかもしれん
ルーティそう、わかったわ。一旦調査出来なくなるけどスタン達にはよろしく言っといて
ルーティクラースの事は、あたしが様子を見に行ってみるわ
リオンああ…
ユーリオレは、バロニアに戻るぜ。赤の騎士団がこれから何をするつもりか、気になるしな
ラピードワウッ!
ミクリオスレイ、僕達はどうする?
スレイクラースさんの事が気になるけど…
ミクリオああ、きっとクレアさんと同じだ。僕達にはきっと手の施しようがない
スレイ一刻も早く助けるには、とにかく情報が必要…だよな
ヴェイグオレ達も、リオンと一緒に行くのがよさそうだ
スレイうん!
ルドガー赤の騎士団の動きも気になるけど…。それはユーリやエステルに任せよう
ライラはい、それぞれに出来る事を一つ一つ行っていけば、それがいつかきっと実を結ぶはずです
ルドガーああ。…というわけで、リオン。引続きよろしく頼むよ
リオン…勝手にしろ
スタン
キール
レイア
リリス
コツ…コツ…
キール…来たか?
カチャ…
ア・ジュール兵士食事だ
ガチャンッ
キールこんなところでじっとしていられるものか。ぼく達を早くここから出せ
キールこんな地下牢に…一体いつまで閉じ込めておくつもりだ
スタンすみません、随分時間が経つけど…俺がここにいる事あの人に話してくれましたか?
ア・ジュール兵士ああ。だが、それ以上の事はわからん
キールこれじゃまるで犯罪者扱いだ!
キールどうしてぼくがこんな目に…
レイアまさかこんな事になるなんて…
リリスお兄ちゃんの知り合いの人、本当にアテになるの?
スタン偉い人って感じだったから、多分何とか出来るはずだ
スタン話せばわかってくれるとは思うんだけど、それもここに来てくれない限りは…
スタン…みんな、本当ごめんな。こんな事に巻き込んじゃって
レイア仕方ないよ。あの人達を見て変だって思ったのはわたしも一緒だったし
コツ…コツ…
リリスあ…!また足音が…
スタン今度こそ来てくれたのか?
キールふん。どうせまた期待外れに終わるに決まって──
???おやおや。私の知り合いだと主張する犯罪者がいると聞いて来てみれば…
ジェイドお久しぶりですね。まさかあなたとこんなところで再会するとは夢にも思いませんでしたが
スタンジェイドさん!
スタン来てくれたんですね!ありがとうございます
キールジェイド…?何者なんだ?
ジェイドおや、知らない顔もいるようですね。私はジェイド・カーティス。ア・ジュールの軍人です
scene2地下牢にて
スタン──というわけで、俺達は晶化現象について、調べていただけなんだ
スタン話を立ち聞きしたのはよくない事だと思うんだけど…でも、本当に間者なんかじゃない
リリス兄の言ってる事は全て本当です!お願いです、信じてください…
ジェイドふむ…
キールこちらの言い分など、全く信用していないという顔つきだな
ジェイドこれはすみません、生まれつきこういう顔なものでして
ジェイド要するに、皆さん自分達が無実であり、釈放されるべきだとそう主張するわけですね
スタンそういう事なんだ。何も嘘なんかついていません。ジェイドさん…
ジェイドわかりました。釈放を認めましょう
レイア本当!?よかった…!
キールこんなあっさり…?あのウィンガルって奴らは、聞く耳すら持たなかったのに
ジェイドスタンの事は私も多少は知っていますからね。少なくとも嘘はついてなさそうですし
ジェイドそれにあなた方が我が国に害をなせるとは到底思えませんのでね
ジェイドそれとあなた方を捕えたウィンガルとアグリアの事は許してやってください。彼らも仕事でして
スタンいや、俺達こそ、誤解させるような事してすみませんでした
ジェイドでは、解錠します。どうぞ皆さん、外へ
カチャ…
キールいやにあっさりしていて気味が悪いな
レイアキール、細かい事は気にしない!ようやく外に出られるんだから
リリスうーん…!長かったですね…
ジェイドこのまま外に案内してもいいのですが、皆さんお腹は空いていませんか?
ジェイドせっかくですし、よければ、牢獄の食事よりましなものを提供させていただきますが?
スタン本当ですか!何から何までありがとう、ジェイドさん!
scene1ア・ジュールの思惑
レイアふー!おいしかったー!さすが王宮の料理は違うなあ
リリス本当に、ごちそうさまでした。ジェイドさん
ジェイドいえ、こちらこそいろいろ興味深い話を聞けて何よりでした
ジェイド──それにしても、シルヴァラントから海を越え、わざわざリンネル村まで赴くとは
ジェイド皆さんの行動力には驚かされますね
キールとは言っても、結局大した情報は得られなかったが
スタンジェイドさん、ア・ジュールでも晶化現象は広まっているんですよね?
ジェイドええ。他国と比べてどれほどかはわかりませんが、かなり広範囲で起きていると聞きます
リリスやっぱり、そうなんですね…
ジェイドさて、ここを抜ければ城の外です。名残惜しいですが、この辺で…
キール…その前に、聞いておきたい事がある
ジェイド何でしょう
キールウィンガルとアグリア…あの二人は、新たに出現した天啓の石碑を探すと言っていた
キールしかもそれが、陛下の命であると
ジェイド……
キール陛下とはガイアス王の事だろう。何故彼は、天啓の石碑を探し出そうとしているんだ
スタンそれを言うなら、神子もです。二手に分かれて、石碑と神子の両方を捜そうって話してた
スタンしかも、見つけ次第神子を攫うみたいな口振りでした。本当にそんな事を?
ジェイド…ふむ
リリスふ、二人共…!今ここであんまりそういう話は…
レイアそうだよ。変な事言って機嫌を損ねたら、また地下牢に戻されちゃうかも…
ジェイドいえ、どうぞ続けてください。なかなか興味深いお話ですので
キールなら、もう一つ聞きたい。あの二人はぼく達の事を赤の騎士団の間者だと誤解した
キールつまり…赤の騎士団、すなわちウィンドルも天啓の石碑や神子を探しているという事ではないのか?
スタンウィンドルも…?
キール何故、天啓が今頃になってこんなに関心を寄せられているんだ?天啓には何があるというんだ
ジェイドなるほど。間者でないと言い張る割に随分しっかりと会話を盗み聞いていたようですね
レイアあああ…まずい。絶対まずいよ、この流れ
キールぼく達の間でも、晶化現象と天啓は何か関わりがあるかもしれない、と話していたところだったんだ
キールあんた達の国王が何故天啓の石碑を手に入れようとしているのか知っておきたい
ジェイド晶化現象と天啓が関係している…、なかなか面白い考えですね
ジェイドつまりあなた方は、天啓が晶化現象を解決するヒントになるのではないか、そうお考えだというのですね
スタンかもしれない、と思っています
ジェイドなるほど。そういえば、天啓を未来予知だとする説がありますが、あなた方もそれを信じているのですか
キールいや、そういうわけじゃない。その説に関して言えば、肯定も否定もしない
キール晶化の進行具合や前の天啓の内容から可能性の一つとして念頭に置いているだけだ
ジェイドそれだけの理由で、天啓と晶化現象が関係していると考えるのはいささか早計な気もしますがね
キールだ、だから、別にそうだと言い切ってはいないだろう
スタンじゃあ、ジェイドさんは、無関係だと思いますか?
スタン今は他に、手がかりがないんです。可能性があるなら――
???ウィンガルが捕えた間者というのはお前達か
スタンあなたは…!
???
ジェイドこれは陛下
リリス陛下…という事は、この方は…
レイアガイアス王…
キール
ジェイド彼らは間者ではありませんよ。尋問の結果、無関係と判断して釈放したところです
ガイアスそうか…
スタン…ガイアスさん。ア・ジュールでは晶化現象について何かわかっている事はあるんですか?
リリスお兄ちゃん…!
ガイアス…それについては、現在調査中だ。成果はほとんど上がっていない
ガイアスしかし被害が拡大し続けている以上、何らかの対策は必要だろう
ガイアス今はやる事が山積みだ。お前達も用が済んだのなら帰れ
キールそんな状況でありながら、軍にわざわざ天啓の石碑と神子を捜索させているのは何故でしょうか
キール天啓は未来予知、そうお考えですか?だから、ウィンドルやシルヴァラントより先に見つけようと?
ガイアス天啓が未来予知かどうかなど重要な問題ではない
ガイアス不確かな情報に振り回されて余計な混乱と争いを招く…それが一番愚かな事だ
スタンなら、何で…
ガイアスそこまでの理由を、お前達に話す道理はない。それに…
ガイアス答えはじきにわかる
ジェイド陛下、どちらへ
ガイアス外だ
スタン…待ってください!
スタンガイアスさん、一つ確認させてください
スタン神子を攫おうとしているのは本当ですか
ガイアス
スタン何か考えがあったとしても、無理矢理に連れて行くなんて見過ごす事なんて出来ません
キールそっちの方が、より多くの混乱と争いを招く行為だと思いますが
ガイアスお前達がそう思うのであれば、それで構わない。だが、邪魔をするのであれば容赦はせん
ガイアスその事だけは肝に銘じておけ
ジェイドやれやれ、あの陛下に詰め寄るとは無茶をするものですね
リリスもう、お兄ちゃん、ひやひやさせないで
レイア怖かった…
ジェイドまあ、ああ見えて存外、お優しいところもあるのですがね
ジェイドそれはそれとして、一つ忠告しておきます
ジェイド今回は見逃しますが、あまり民間人が軍の作戦行動を詮索しすぎるようだと──
キール…しかし…
リリスすみません、気をつけます!
レイアみんな、早く帰ろう!えーっと、出口は…
ジェイドよい心がけです。こちらへどうぞ
スタン
scene2ア・ジュールの思惑
レイアはあ…ようやく解放されたね
リリス風が気持ちいい…
キールしかし、まさかあんな形でガイアス王と会う事になるとはな
スタンリンネル村へ行こう、とコルテア街を出た頃はこんな事になるなんて…
キールわかったのは…ア・ジュールが新しい天啓と神子を手に入れようとしてる事くらいか…
キールその意図は結局教えてもらえなかったが
スタンガイアス王は、何か考えがあるんだろうけど…
レイアわたし達に怒ってるというより、もっと別の事に集中しているみたいな感じだったね
キール未来予知かどうかは重要でないと言っているのに、何故天啓の石碑を欲しがるのか…
レイア未来予知かあ…。わたしはそれならそれでもいいと思うんだけどなあ
リリスどうしてですか?
レイア今、みんなが探している石碑に今後起こり得る出来事が書かれているかもしれないんでしょ?
レイアだとしたら、晶化現象に関わる情報や最悪の事態を避けるヒントだってわかるかもしれないし
キールそう上手くいくとも思えないが…
キール未来予知だったとしてそれを平和的に利用されるかはわからない
レイアうーん、そっか、そうだよね…
キール…今ある情報で、未来予知説とは別に晶化現象と天啓の関わりについて答えは出せそうにない
キールだが、ウィンドル国王の例もある。新しく現れたという天啓に晶化現象について何か記されているかも…
スタンじゃあ、これからは天啓についても一緒に調べてみた方がいいな
キールああ、そうだな。ア・ジュールもウィンドルも我先にと天啓の石碑を探している状況だ
キール晶化現象と関係はないかもしれないが両国は、天啓には何か重要な意味があると考えている事は確かだろう
リリス天啓の事もだけど、その前に神子の事も心配ですね。大丈夫でしょうか…
キールさすがにシルヴァラントもその点は警戒しているだろう
スタンとにかく、すぐシルヴァラントに戻ろう。リオンとも合流しなくちゃ
キールぼくも一度コルテア街に帰って、調査を仕切り直す事にする
キールア・ジュールにいても、これ以上得られる情報は特になさそうだしな
レイアわたしもリンネル村に戻る事にするね
スタン見送りだけのはずだったのに、こんなところまで、本当にごめんな
レイアいいんだよ。何ともなかったんだし
キールメルディにも、よろしく伝えてくれ。何かわかったら、手紙を書く
レイアわかった!伝えておくね
キールよし、そうと決まれば早速ア・ジュール港へ向かおう
スタンああ!

NameDialogue
scene1ミラの行方
ジュードエリーゼ、魔物がそっちへ行ったよ
エリーゼわかりました。ティポ、行きますよ!
ティポまかせてー、エリー!
ティポとりゃー!
グオオオオッ!
エリーゼジュード、今です
ジュードよし!
ジュード行くよ!はああああっ!
ズガッ!!
ギャウウッ!
エリーゼ何とか倒せました…
ティポふー、やれやれってカンジー
ジュードこの辺りは随分と魔物が多いね
エリーゼそうですね。…でも、今朝行った湖の遺跡と比べると晶化したところは少ない気がします
ジュードあそこは今まで見た中で一番晶化の進行が酷かったな
エリーゼ本当にここにミラがいるんでしょうか…
ジュード湖の遺跡で会った旅人は、ミラがこの森に向かったって言ってたけど…
ジュード森といっても広いから、すぐには見つけられないね…
ティポミラ君どこまで行ったんだろー?
エリーゼミラもわたし達と一緒で、晶化現象の事を調べてるんでしょうか
ジュード今この世界に来てるって事は多分そうじゃないかな
エリーゼだとしたら、やっぱり晶化現象は大精霊と何か関係が…?
ジュードうーん…どうかな…。可能性はあるとは思うけど…
ジュードそれを知るためにも、やっぱりミラに会って話を聞いてみないと
エリーゼそうですね…
ジュードとにかく、もう少しこの辺りを捜してみよう。それでいい?
ティポジュード君のお願いならいいよー
エリーゼわたしも、大丈夫です
scene2ミラの行方
ジュードうーん、あちこち見て回ったけどミラはいないね
エリーゼどこか別の場所に移動してしまったんでしょうか…
ジュード話を聞いてから随分時間も経ってるしね…
ティポ入れ違っちゃったのかなー?
エリーゼあ…
ジュードどうかしたの?
エリーゼ
ティポわー、すごいピンクー!でも、カチンコチンだね…
エリーゼこんなに可愛いお花なのに…
ジュードエリーゼ…
エリーゼ初めて晶化現象を見た時は、こんなに広まってしまうなんて思いもしませんでした
エリーゼみんな結晶を見て綺麗だ、宝石みたいだって言っていましたし…
エリーゼけれど、その内木々や草花だけじゃなく動物も晶化し始めて──
エリーゼ怖かったんです…。なのに、どうしたらいいかわからなくて…
ティポエリー…
エリーゼジュード、訪ねて来てくれてありがとうございます
エリーゼジュードが来てくれなかったら、今も不安で何も出来ないままでした
ジュードこちらこそ。エリーゼとティポが協力してくれて僕も心強いよ
ジュードエリーゼの怖い、不安だって気持ちはすごくよくわかる
ジュード人間が晶化したって話も聞くしね…
ジュードこのままだと、住むところや食べ物に困る人も出てくるかもしれない
ティポ普通の暮らしが出来なくなっちゃうねー
ジュードうん。そうならないためにも落ち着いて解決方法を探す事が大切だと思うんだ
エリーゼ解決方法…見つかるでしょうか…
ジュードすぐには見つからないかもしれないけど…
ジュード例えば、今朝行った湖の遺跡とこの辺りじゃ、晶化現象の進行具合にかなり違いがある
ジュードこういった小さな事だって、実際に各地を見て回らなかったらわからなかった事だよね
ジュードデータを見比べていけば、何か一定の法則性が導き出せるかもしれない…
エリーゼ少しずつだけど前進してる…そういう事ですか?
ジュード今のところ、核心に迫る大きな発見はないけど…
ジュード何もしないでじっとしているよりはいい方向に動いている、僕はそう思うよ
エリーゼ…ジュードの言う通りですね
エリーゼ今は、わたし達に出来る事を精一杯頑張らないと…
ティポよーし、ミラ君捜し再開だー!
ガサッ!
エリーゼ…!今そこの草むらが揺れました…!
ティポひょっとしてー!?
グオオオッ!
ジュード魔物か…!
scene1ティポのピンチ
エリーゼミラ…やっぱりいませんね
ジュードそうだね。これだけ捜しても見つからないって事は──
ジュードどこか別の場所へ移動してしまったのかも
ティポえー、そんなあー
ジュードこればっかりは仕方ないね…
ジュード一度、近くの街へ行って今日は休もうか
エリーゼなら、イニル街…ですね。確かここからそう遠くないはずです
ティポよーし、じゃあイニル街へゴーゴー!
ジュードティポ、休むって聞いた途端はりきりだしたね
エリーゼ暗くなる前に森を出ましょう
ガサッ…
エリーゼ…?今の音は…
グオオオッ!
ジュード魔物か…!二人共、気をつけて──
ガブッ
ティポうわー!エリー!ジュード君ー!
ティポたーすーけーてー!ぼくがさらわれるー
エリーゼそんな…、ティポ…!
ジュードくっ…!
ジュードエリーゼ、後を追いかけよう!ティポを助けなくちゃ
エリーゼはい…!
ジュード待て!
エリーゼティポー!!
ティポエリー!ジュード君!
ジュードティポを離せ!
ジュード…!?
ガルルルルル…
エリーゼジュード…!大変です、他にも魔物が…
ジュードこれは…!
ジュードもしかして僕達は誘い出されたのか…?
グルルルル…!
エリーゼ
ティポ囲まれてるよー!
グオオオオッ!
ジュード…!エリーゼ、危な──
???させるか!
バシイッ!
ジュード…?
エリーゼえ…?
ミラエリーゼ、ジュード、怪我はないか?
エリーゼミラ…!
ジュードどうして…
ミラ説明は後だ、あの魔物を倒してティポを救出する
ジュードうん、そうだね…!
ガルルルル!
ティポたすけてー!そろそろ食べられちゃうよー
エリーゼ待っててください、ティポ!今助けます!
scene2ティポのピンチ
ジュードふう…何とか魔物は倒せたみたいだね
ティポエリー!
エリーゼティポ!無事でよかったです…!
エリーゼジュード、ミラ…本当にありがとうございました
ミラ皆無事でよかった。それより、お前達はこんなところで何をしている
ミラこの辺りは魔物も多く危険だというのに…
ジュードそれなんだけど、実は僕達、ミラを捜してたんだ
ミラ私を?
エリーゼ北東にある湖に行ったんです。そこの遺跡で会った旅人から、ミラがこの森に向かったと聞いて…
ミラああ、魔物に難儀していた旅人か。そういえば、そんな話をした覚えがある
ジュード中々見つからないから半ば諦めかけていたんだけど、運よく会えてよかったよ
ティポこれもぼくがさらわれたお蔭だねー
ジュードまあ、結果オーライって事でいいのかな…?
ミラ私を捜していたと言ったな。何かあったのか?
エリーゼあ、はい。実はミラに聞きたい事があって──
ミラ──なるほど。お前達は晶化現象を調べていたのか…
エリーゼミラ、晶化現象は大精霊と何か関係あるんでしょうか
ミラいや、その線はまずないだろう
ミラ各地で結晶を見て回ったが、大精霊の中に、あのような結晶に結び付く力を持つ者はいない
エリーゼそうですか…。少し安心しました
ジュードミラは、どうして人間界に来たの?てっきり晶化現象を調べているんだと思ったんだけど
ティポ何か気になる事があるのー?
ミラ…マナに異変が起きているのだ
ジュードえっ…それはどういう事?ミラ
ミラ減っている…というより、妙な感じだ。これまでに感じた事のないような違和感がある
ミラ言葉で表現するのは難しいのだが──
ミラ……む?
エリーゼミラ?
ミラなるほど。四大に、こう話してはどうかと言われた
ミラマナは、以前のような急激な減少や変化はないのだが…
ミラマナの一部が停滞していて、僅かだが循環に支障をきたしているようだ、と
エリーゼマナが停滞…
ミラああ。それで私達はそういったマナの変化を感じ取り、人間界へやって来たところ
ミラ世界中でこのような晶化現象というものが広まっていた、というわけだ
ジュードマナの変化と晶化現象…、この二つが関わっているっていう可能性はないのかな?
ミラ十分に考えられる話だ
ミラいろいろと調べてみたが、マナの変化と晶化現象の発生時期は重なっているようだからな
ジュード大精霊の影響じゃないって事はわかったけど…
エリーゼ別の不安が出てきました…
ジュードうん…。晶化現象がマナにまで悪影響を及ぼしているのかもしれないね
ミラああ、それが心配だ
ミラこうして調べている中で、さまざまな生物が晶化している光景を目にして来た…
ミラマナの事もだが、晶化現象が世界を蝕んでいる現実がある以上、原因を突き止めるべきだと考えている
エリーゼそうですよね…
エリーゼだったら、ミラ…わたし達と一緒に晶化現象の事、調べてくれませんか…?
エリーゼ…原因を知りたいんです。どうしてこんな事が起きてるのか
ミラエリーゼ…
ミラああ、勿論だ
ミラお前達と協力出来れば私としても心強いよ
ティポやったー!ミラ君ゲットー
ジュードありがとう、ミラ
ジュード…とにかく、今日はもう遅いし本格的な調査は明日からにしない?
ジュードちょうどさっき、イニル街で休もうって話をしていたんだ
ミラそれもそうだな。では、早速イニル街へ向かうと──
ドサッ
ティポ何なにー?今の音ー?
エリーゼそこの草むらで音がしました…
ジュード魔物ではなさそうだけど…。見に行ってみよう
ジュード
ジュード…?魔物じゃない…これは…
エリーゼ…大きな結晶?晶化現象、みたいですね
ジュードうん…。でも、何だろうこれ。今まで見たのと様子が違う
ティポ何なにー?どこがおかしいのー?
ティポあ!わかった!中に何にもないんだ!
エリーゼ…本当です
ジュードそうか。今まで見た結晶の中には草花や動物とか…晶化の対象物となるものが必ず中にあったね
ジュードこんな事もあるなんて…。ひょっとして、新しい発見じゃ──
ミラ…!待て、ジュード…!
ミラこれは──…
エリーゼミラ…?どうかしたんですか
ミラ…くっ
ティポミラ君の顔が怖いよー
ミラ
ミラ…そうか、お前達にはこの結晶の中身が見えないのだったな
ジュード見えない…って事はミラ、もしかして…!
ミラ…精霊だ。この結晶の中には精霊がいる
ミラ精霊が、晶化してしまったのだ…
エリーゼそんな…!
ジュード
ミラこの世界には、お前達の知る大精霊以外に、微精霊と呼ばれる存在もいる
ミラ微精霊の持つ力そのものは微力だが、…それでも、自然を保つために尽力してくれている大切な存在だ
ミラそんな彼らまでもが…晶化してしまったというのか…?
ジュードミラ…
エリーゼ…この結晶に、微精霊が…。どうしたら…
ジュードエリーゼ、晶化したものは、もう…
ミラ
ミラ…行こう。これ以上ここに留まっていても今してやれる事は何もない
エリーゼミラ…
ティポ行っちゃったね
ジュード
エリーゼ一体、どうしたら…
scene1涙の答え
エリーゼ
コン、コン
エリーゼはい
ジュード僕だけど、ちょっといいかな?
エリーゼはい、どうぞ
ジュード明日の話をしようと思って来たんだけど──
ジュードあれ、エリーゼとティポだけ?ミラは?
エリーゼあ、ミラは…
ティポ外に行っちゃったよー
ジュードこんな夜に、一人で?
エリーゼはい、少し夜風に当たってくると…。日も暮れて暗いから止めようとしたんですが…
ジュード…そっか
ジュードやっぱりミラ、あの晶化した微精霊の事がショックだったのかな…
エリーゼ…そうかもしれません。街へ来るまでもずっと考え込んでいるようでしたし…
ティポだよねー
ジュード…前にさ、ミラが言ってたんだ。四大精霊は、かけがえのない家族のような存在だって
ジュードそれと同じように、微精霊達もミラにとっての友達や仲間…、そういう大切な存在なんだと思う
エリーゼ友達…
ジュード僕達はまだ、実際に人が晶化しているのを目にしていない。けど、もし見たとしたら…
ティポガーンってなるよねー。ミラ君みたいにー
エリーゼ
エリーゼ…ミラが心配です。ジュード、少し様子を見に行きませんか…?
エリーゼ正直ミラに何て言ってあげたらいいのか、わかりません…
エリーゼでも…その……
ジュードエリーゼは、ミラのために何かしてあげたいんだね
エリーゼはい…!
ジュードじゃあ、ミラのところに行こう。エリーゼのその気持ちを伝えればいいんじゃないかな
ティポよーし、みんなでミラ君のところに行こー!
コン、コン
ティポミラ君が帰って来たのかな?…と思ったら、あれー?
宿の主人悪いね、こんな夜遅くに…。お客さん、あんたお医者さんだって言ってたよな?
ジュードえ…僕ですか?ま、まあ…正確にはまだ研修中の──
宿の主人よかった、助かった!
宿の主人実は、別の部屋に泊まってるお客が、急に腹が痛いって言い出してさ。悪いけど、診てもらえないかな
ジュードわかりました。僕でよければ、是非
ジュード…ごめん、エリーゼ
エリーゼわかりました。わたし、ミラのところへ行ってますね…
ジュード様子を見て、患者さんが大丈夫そうなら僕も後から行くよ
ジュードミラが見つからなくても、街の外まで行かないようにね。くれぐれも気をつけて
ティポ大丈夫だよー、エリーにはぼくがいるからー
エリーゼ…じゃあティポ、ミラのところへ行きましょう
ティポうん!レッツゴー!
scene2涙の答え
エリーゼミラ…どこまで行っちゃったんでしょうか…
ティポあ!見て、エリー。あれミラ君じゃないー?
ミラ
エリーゼミラ…!見つけました…
ミラエリーゼにティポ…。お前達、どうしてここに…?
エリーゼえっと…それは──…
ティポミラ君が落ち込んでるんじゃないかって心配になって見に来たんだよー
エリーゼティ…ティポ…!
ミラ私が…?それでわざわざ捜しに来てくれたのか?
エリーゼ…は、はい
ミラ…心配をかけてしまったか。平静を保っていたつもりだったが…
ミラ…エリーゼ、すまなかったな
エリーゼそんな…ミラが謝る必要は全然ないです…!
エリーゼあんな光景を目の当たりにしたらびっくりして…悲しいのは当然です
ミラ
エリーゼジュードが言っていました。ミラにとって、精霊達はすごく大切な存在だって
エリーゼ上手く言えませんが…そんな大切な存在が晶化してしまったら、辛くないわけありません
エリーゼわたしだって…ティポやジュード、それにミラが晶化してしまったら……
エリーゼ…そう考えただけで、すごく怖くて…
エリーゼわたしにとって、三人共すごく…大切なんです。だから──……
エリーゼ一人で抱え込まないでください…
ティポ…エリー、泣いてるのー?
エリーゼあれ…?どうして、こんな……
ミラエリーゼ…
エリーゼごめんなさい、ミラ…。わたし…こんなつもりじゃ…
ミラいや、構わないさ。…エリーゼ、礼を言うぞ。私はもう大丈夫だ
ミラああいう事態を予想していなかったからな、意表を突かれたというのは事実だ
ミラしかし、ただ動揺ばかりしていたわけではないぞ
ミラあの晶化した微精霊のためにも、晶化現象の実体を探り事態の進行を食い止めねば…
ミラそう己に言い聞かせていたところだ
ティポそれって、ミラ君はもう元気になったって事ー?
ミラふふ、まあそんなところだ
エリーゼ…よかったです。それを聞けて少し安心しました…
エリーゼわたしなんかじゃ、大した事は出来ないかもしれません…
エリーゼでも、ミラと同じ気持ちです。みんなと一緒に、晶化現象を何とかしたいです
ティポぼく達も協力するよー
ミラ…ありがとう
ミラそうだな…私は一人ではない。四大もいるし、エリーゼ達もいる
ミラ打つ手は必ずあるはずだ。そう信じて、一緒に頑張ろう
エリーゼ…はい!
ティポがんばろー!
???──話もまとまったところで、そろそろ宿に戻らない?
エリーゼ…え?
ジュード明日から、より気合を入れて晶化現象を調べないといけないのに風邪でも引いたら大変だよ
ティポジュード君ー!
ミラいつからいたのだ?
ジュード少し前にね。それより安心したよ、ミラが元気になってくれて
ジュードこれもエリーゼのお蔭だね
エリーゼそんな…わたし全然何も…
ミラ…いや、お前達がいて、本当によかったよ。ジュードにも心配をかけたな
ジュードいいんだよ。それじゃ、宿に戻ろうか
エリーゼそうですね
ティポよーし、早く寝よー!
うわあああ!
エリーゼ今の悲鳴は…!
ミラ…!あれを見ろ!
ジュードどうやら街の中に魔物が侵入してきたみたいだ…!
エリーゼ大変です…!魔物を退治しないと…
ジュードうん、行こう!
scene1イニル街の二人
ティポおひさまがぽっかぽかー
エリーゼはい、気持ちのいい朝です
ジュード夕べ話した通り、次はシルヴァラントへ向かうって事でいいかな?
ミラああ、それで問題ない。あの大陸はまだ私も調べていない
ミラそれに、お前達が耳にしたというアグニラス山の話も気がかりだ。次の目的地としては妥当だろう
エリーゼ周辺の地域より、晶化現象が進んでいるって話ですよね…
エリーゼ昨日行った湖の辺りと、どっちが進んでいるんでしょうか…
ジュードうーん、どうなんだろう…。それを確かめるためにもやっぱり行ってみるしかないね
ティポよーし、じゃあシルヴァラント目指してレッツ──
???わあ…!ぬいぐるみがしゃべってる…!
エリーゼ…?
エルしゃべるなんて変なぬいぐるみー!どこで買ったの?
エリーゼえっと…それは…
ミラエル…?やはりエルではないか
エルミラ…!どうしてここにいるの?
ジュードひょっとしてミラ、この子と知り合いなの?
ミラああ、彼女はエル・メル・マータ。以前この街へ来た時に世話になったのだ
ミラルドガーとユリウス、二人の事はお前達も知っているだろう?エルは彼らと共に暮らしている
エリーゼルドガー達と…そうなんですね
エルこの人達、みんなミラのお友達?
ミラああ。彼女はエリーゼ、それにジュードとティポだ
エリーゼよろしく…お願いします
ジュードよろしくね
ティポよろし──…
エル
ティポそんなに見つめられるとぼく困っちゃうー
ジュード随分と気に入られたみたいだね、ティポ
ミラ元気そうで何よりだ、エル。ルドガーやユリウスも変わらず元気にしているか?
エルうん!でも、ルドガーは今いないよ。ショーカのこと調べに行ってるの
エリーゼショーカ…あ、晶化現象の事でしょうか…?
エルうん
ジュードルドガーも僕達と同じように、晶化現象の事を気にかけていたんだね
ミラもう少し早く会う事が出来れば協力する事も出来ただろうが…惜しい事をしたな
エリーゼユリウスさんも一緒でしょうか…
エルあ、メガネのおじさんなら──
???…エル。なかなか戻って来ないと思ったらこんなところにいたのか…
ユリウスルドガーと約束しただろう?今は出来るだけ、晶化したものには近付かないと──
ユリウス…ん?君達は…
ミラユリウス、久しぶりだな
エリーゼお久しぶり…です
ユリウス…まさか君達がこの街に来ていたとはな。変わりないようで安心したよ
ユリウスルドガーもこの場にいたら君達との再会を喜んでいただろうが…
ジュード晶化現象を調べに行ったんですよね。エルから聞きました
エリーゼルドガーは何か、晶化現象についてわかったんでしょうか…?
ユリウスいや、家を出たきり戻って来ないところを見ると、難航しているんだと思う
エリーゼそうですか…
ティポせっかく話が聞けると思ったのにー
ユリウス君達も晶化現象の事を調べているのか?
ミラああ…と言っても、私達もまだ大した手がかりは掴めていないが
ユリウスそうか…。やっぱり、そう簡単には──
エルねえねえ、おじさん
ユリウスん?エル、どうかしたのか?
エル立ちバナシもなんだし、ミラ達をお家にショータイしてそこでお話したらどう?
ユリウスああ、確かにエルの言う通りだな。話に夢中で全然気がつかなかったよ
ユリウス…という事で、みんな、話の続きは家でどうだろう?
ユリウスまあ、ルドガーがいないし大したもてなしは出来ないかもしれないが…
エリーゼ…どうしますか?
ミラ…ふむ、ユリウスもこう言ってくれている事だ、その言葉に甘えるとしようか
ティポわーい、サンセー!
ジュードじゃあ、少しだけ…。何だか気を遣わせちゃってすみません
エリーゼエルも、ありがとうございます
ユリウスよし、じゃあ早速行こうか。エル、みんなを家まで案内してやってくれないか?
エルうん!エルに任せて!
scene2イニル街の二人
ルルナァ~
ティポなー
ルルゴロゴロゴロ…
ティポごろごろー
エル…あ!ティポ、今のルルのマネっこでしょ
ティポ似てるでしょー。エルのマネっこだって出来ちゃうんだよーぼく
エルえー、本当?
エリーゼ…みんな、とても仲良しになったみたいです
ジュードふふ、本当だね
ミラところで、お前達も晶化現象を調べていると言っていたが…
ユリウスああ。以前の異変の事もあって、俺もルドガーも大精霊との関連が気がかりではあったんだ
エリーゼ…やっぱり、真っ先にそう思っちゃいますよね
ユリウスだが、君達と会った事で大精霊の関与はないとわかった。これは新たな発見だな
ユリウス同じ目的で動いている君達なら、旅の道中でルドガーに会う事もあるかもしれない
ユリウスその時は、是非この事実を知らせてやってくれ
ジュード勿論です
ユリウスそれにしても、ルドガーは今どこにいるんだろうな…
ユリウス君達はこの後、どこに向かうつもりなんだ?
エリーゼシルヴァラントです。晶化現象が進んだ地域があると聞いてそこを目指そうと…
ユリウスシルヴァラントか…
ユリウスそう言えば、新たな天啓の石碑が出現したらしいな。どこもその噂で持ちきりのようだ
ミラ天啓の石碑…?それは一体何だ?
ジュード…あ、そうか。ミラは知らないかもしれないね
ジュード天啓の石碑っていうのは、時々この世界のどこかに出現する不思議な石碑の事だよ
ジュードそこには、時代の節目となるような過去の出来事が記されていて、それを天啓って呼んでるんだ
ミラ誰かが記録として残しているという事か?
エリーゼそれは…わからないんです
ミラわからない?
ジュードうん。何せ、ある日突然現れるからね
ジュードその場所がわかるのも、その石碑を読めるのもシルヴァラントの神子だけって話なんだ
ユリウス天啓の石碑の出現自体は、遥か大昔の時代から確認されているようだが──
ユリウス現代科学をもってしても、未だその原理は解明されていない
ミラ…ほう。で、その天啓の石碑が出現したと…
エリーゼその話が本当ならそれも不思議なんです
ミラ何故だ?
ユリウス先日、百年の時を経て天啓の石碑が見つかったばかりなんだが…
ユリウスまたすぐ次の石碑が出現したらしい。こんなに短い期間で現れた事は過去の記録にはないとの事だ
ミラふむ…
ジュードまあ、今までの出現に関して規則性があるわけじゃないからたまたまかもしれないし──
ジュード昔過ぎて、その記録もアテに出来ないかもしれないけどね
ユリウスそれよりも気がかりなのは、前回公表された天啓の内容の方だ
ジュード過去の出来事と符合しないっていうのは、これもまた不思議な話ですよね
ミラいずれにしろ、例のない事態が続いて注目を集めているというわけか
エリーゼはい…
ティポ
エリーゼ…ティポ、もう遊び終わったんですか?
ティポしー!エルもルルも遊び疲れて寝ちゃったよー
エリーゼ…え?
エリーゼ
エリーゼ…ふふ、本当ですね
ミラさて、そろそろ出発するとするか。ユリウス、いろいろと聞かせてくれてありがとう
ユリウス余談が過ぎてすまなかった、随分長く足止めさせてしまったな
ジュードいえ、こちらこそ。お茶までご馳走になってありがとうございます
ユリウスそうだ、シルヴァラントに行く、と言っていたな…
ユリウス最後にもう一つ、いいだろうか
ユリウス赤の騎士団について行商人から気になる話を聞いた
エリーゼ赤の騎士団…?
ユリウスああ。リチャード国王の晶化後、セルディク大公が新たに作った騎士団だ
ユリウスだから、国王承認の騎士団とは言えないのだが…
ユリウスその行商人がシルヴァラントとの国境付近の街で、赤の騎士団を見かけたらしい
ユリウス魔物や盗賊の討伐というよりも、調査か捜索をしに行くといった風情だったそうだが…
ジュードわざわざ他国に出向いて…?一体何があったんだろう
ティポおかしな事にならないといいねー
ミラああ。いずれにせよ、用心すべきだな
エリーゼユリウスさん…忠告ありがとうございます
ユリウスああ、気をつけて
ジュードよし、それじゃあ行こう
scene1港での再会
ティポシルヴァラント港についたー!
エリーゼふう…
ジュードエリーゼ、大丈夫?船に酔わなかった?
エリーゼはい、何とか…
ジュードよかった。じゃあ、降りようか
エリーゼ人がたくさんいます…
ミラちょうど別の船も、到着したばかりのようだ。そのせいで港が混んでいるのだな
ジュードあ、どうやらア・ジュールからの船みたいだね
ミラむ…?
ジュードミラ、どうかしたの?
ミラ今、見知った顔が混じっていたような…
ジュードえ?本当に?
ミラ
ミラ…見失ってしまったようだ
ジュードこれだけ人が多かったら捜すのは難しそう──…あれ?エリーゼ?
ミラ確かに一緒に船から降りたはずだが…
エリーゼえっと…すみません…!その…通してくださ……
ティポムギュー!痛いよー!
エリーゼティポ…!きゃっ…!
ミラまずいな…人混みに流されてしまったか
ジュードエリーゼ!どこ?
ティポミラ君ー!ジュード君ー!助けてー!
ジュードティポ…?いた、あそこか…!
エリーゼすみません、あっちに行かせてくだ…
エリーゼ押し潰されて……う…
???すみませーん!ちょっと通してください!
エリーゼ…?
スタンよっと!
エリーゼきゃっ…!?
ティポエリーが浮いたー!?
スタンはあ…こんな小さな女の子が押し潰されそうになってるのに、みんな我が先にと…全く…
スタン君、どっちに行きたいんだ…って、あれ!?君は確か…
ジュードエリーゼ、大丈夫!?
ティポうわー!エリー抱っこされてるー!離せ―!怪しい奴めー!
エリーゼ降ろしてください…!
スタンええ!?ちが、怪しい者じゃ…今降ろすから、暴れないでくれ…!
エリーゼ
スタンふう…
ジュードありがとう、スタン。危うくはぐれてしまうところだったよ
エリーゼありがとう…ございました…。スタンとは気付かなくて…
スタンはは、周りの人から変な目で見られちゃったな
ティポだってビックリしたんだもん。ね、エリー
ミラ見たような顔だと思ったらお前だったか、スタン
スタンああ、久しぶりだな!まさかこんな形でミラに会えるとは思ってもみなかったよ
スタン港には今着いたところか?
ミラああ、ウィンドルからの便でな
スタンそっか。俺達も今ちょうどア・ジュールからこっちに帰って来たところなんだ
ティポア・ジュールにいたのー?それに、俺達ってー?
スタンあ、あれ?そう言えばあの二人はどこに…
???お兄ちゃーん!
???ちょっと、もう!急に一人で走って行くからびっくりしたじゃない
???本当だぞ。せめて声くらいかけて──…ん?お前達は…
スタンああ、紹介するよ。こっちはエリーゼとティポ、それにミラとジュード
スタンみんな、前に一緒に旅をしていた仲間だ
???あなたがミラさん…!兄から話は聞いています
リリス私、リリス・エルロンと申します。うちの兄がいつもお世話になってます
ミラお前がスタンの妹か…。前に話を聞いた事があるぞ、こちらこそよろしく頼む
キールぼくはキール・ツァイベル。よろしく
ジュードこちらこそ、よろしく
エリーゼよろしくお願いします…
スタンところで、みんなは何の用でシルヴァラントに?
ジュードああ、実は僕達、今晶化現象について調べていて、アグニラス山へ行こうと──
スタン晶化現象を…?実は俺達もなんだ!
エリーゼスタン達も…?
スタンああ、俺達がア・ジュールに行ってたのもそのためだったんだ
ジュードルドガーといい、スタンといい…晶化現象に不安を感じてたのはやっぱりみんな同じなんだね
リリスみなさんが向かおうとしているアグニラス山へは、私達、少し前に行ってきました
ティポえー、そうなのー?
エリーゼその山では晶化現象が進んでると聞いて、わたし達ここまで来たんです…
エリーゼよかったら、状況を教えてもらえませんか…?
ジュード──じゃあ、アグニラス山では特にめぼしい情報は得られなかったんだね
スタンああ。晶化現象が進んでいるのは進んでいたんだけど、それ以上は…
ミラ…となると、私達も行ったところでわかる事はなさそうだな
リリスそうかもしれません…
エリーゼこれからどうしましょう…
スタンそれなら、俺達と一緒に来ないか?
スタン俺達、これから一旦ルイニス街に戻って、リオンと合流する予定なんだ
スタンリオンもリオンで晶化現象を調べているから、何か有力な情報を掴んでいるかもしれない
キール…そうだな、一度みんなの情報を擦り合わせればいいんじゃないか?
ジュードうん、いい考えだね。そうさせてもらおう。いいかい?みんな
エリーゼはい…!いいと思います
ミラ私も異存はない
ティポ決まりだねー
リリスじゃあ、一緒にルイニス街を目指しましょう
エリーゼはい…!
scene2港での再会
スタン──まさか精霊まで晶化してしまうなんて…
キールぼく達は自分の目で精霊をじかに観察する事が出来ない
キールだからその事実を知る事が出来たのは貴重だな
リリスとなると、もしかして今まで見た結晶の中に、精霊がいたかもしれないんですね…
スタン晶化現象が大精霊に関わるものじゃないって事がわかったのはよかったけど…
スタン別の疑問が出てきたな…
キールミラが感じているマナの変化も気になるな
リリス一体何が 起こってるんでしょう…
ジュードまだわからない事だらけだけど、それでも、徐々に新しい情報を得られていると思う
ジュードみんなで力を合わせればきっと道は開けるよ
エリーゼジュード…。そうですよね
ティポ頑張らなくちゃ。ね、エリー!
エリーゼはい…!
ガサ…
ミラ…!今の音は…
スタンそこの草むらだ。何かいるぞ!
エリーゼひょっとして、魔物じゃ…
グルルルル!
ティポ出たー!
キール…!しかも、よりによって厄介な奴と出くわしたな…
スタンああ…
ジュード厄介な相手ってどういう事?
スタンあの魔物は、この辺りに棲息する魔物の中でも特に危険な奴なんだ…!
キール奴らは群れで動く…!近くに仲間が…
グオオッ!
エリーゼ…!
リリスやっぱり、いましたね…!
スタンミラ、ここは手分けして当たろう。俺とキールとリリスは正面を引き受ける!
ミラわかった。エリーゼ、ジュード、ティポ、私達は背後の新手を片付けるぞ!
ジュード了解!
エリーゼわかりました…!ティポ、準備はいいですか?
ティポおっけー、エリー!
scene3港での再会
ミラ…よし、終わったな
エリーゼこっちにいた魔物は全部倒せました…
ジュードスタン、そっちはどう?怪我はない?
スタンああ、大丈夫だ
キールやれやれ…
リリスみんなで一緒だったから何とか撃退出来ましたね
リリス…!エリーゼ!後ろ…
ガサッ!
エリーゼえ…?
ミラくっ、まだ残っていたか…!
ギャウウウウ!
ジュードエリーゼ!危ない!
エリーゼ…!
ドサッ
ピキ…ピキピキ…
エリーゼえ……?
ピキピキピキッ…!
ジュードなっ!?ま、魔物が──…
ミラこれはまさか…!
スタン
スタンこれは一体…どういう事なんだ…?
キール魔物が…晶化した、だと……
リリスこんな一瞬にして…
ミラ
ティポエリー、怪我はない?
エリーゼわたしは大丈夫です…、そんな事より……
ジュード驚いた…あんなに激しい動きをしていたのに…
スタンまさか魔物が晶化する瞬間を目の当たりにするなんて
ミラ
ミラそうか…そういう事だったのか…
ジュードミラ?そういう事って…何かわかったの?
ミラ…ああ、この結晶の正体だ。目の前で見て、初めてわかった
スタン結晶の正体だって!?それは一体……
ミラ…マナだ。おそらく、そう考えて間違いない
ジュード何だって…?
エリーゼ結晶の正体が…マナ……
scene1結晶の正体
エリーゼ──ミラ、結晶の正体がマナって、どういう事ですか…?
ミラマナは、あらゆる生命の源だ。精霊以外でも、どんな生物であれマナの恩恵を受けている。魔物もだ
ミラだが、先ほど魔物が飛び掛かり、晶化した瞬間、魔物の周りのマナまでもが動きを止め、固まった…
ジュードマナが、固まる…
ティポマナが、氷みたいに固まっちゃったーって事ー?
ミラああ、まさにそんな感じだ。固まると同時にこのような結晶となり皆にも見えるようになった…
ミラマナは消失したわけではない。だからこうして晶化する様を目の当たりにするまでは私もわからなかった
スタンうーん…。つまり、マナはなくなったわけじゃないけどマナとしての意味がなくなってる…
スタンそれって、マナが減ったって事と変わりないんじゃないのか?
ミラそうだな…。本来の働きが出来ないという意味ではそうだろう
スタン待ってくれ!って事は、このまま晶化現象が進行し続けたら…
ミラ…マナは循環する事によって、世界に調和をもたらすという本来の役割を果たす
ミラその循環が滞り、役割を果たせないとなれば…
ジュードその調和が崩れ、世界中にさまざまな弊害が出るって事だよね
エリーゼそんな…
ミラ魔導器を使用した過去の騒動のような局所的で、大規模な変化ではない
ミラ急激に環境が悪化し、世界の均衡がすぐさま崩れる、という事はないだろうが…
キールだが、世界中のマナが蝕まれている現実は変わらない…
スタンという事は、いずれは大精霊も晶化してしまうんじゃ…
ミラ…その危険性は、人間も、大精霊も同じだ
ミラさっきも言ったように、急激な変化ではない
ミラ以前のような事態にすぐはならないだろう…
ジュードだとしても…。やるべき事は変わらないね
エリーゼはい…。植物も、人間も精霊も…こうして晶化しているのを見るのは辛いです
リリスその前に、このままでは食糧に困ってしまう事になるんじゃないでしょうか
キール悠長な事を言ってられる状況じゃないな
スタン早く、晶化現象の原因を突き止めないと…!
ミラああ。今は何よりも必要なのは晶化につながる手がかりだ
スタンそうだな。早くルイニス街に戻ってリオンと合流しよう
キールすまない、ぼくはここで。一旦コルテア街へ帰る
キール結晶がマナの塊だという事がわかった
キールそれを踏まえながら、情報を整理していろいろと調べてみる
スタンそっか、わかった。キール、いろいろとありがとう
リリス本当にお世話になりました。街までの道のりも気をつけてください
キールああ。何かあればまた知らせる。それじゃあ
スタンそれじゃ、俺達も行こうか
エリーゼはい
scene2結晶の正体
リオン家も見てきたが…どうやらスタン達はまだ戻っていないらしいな
スレイいつごろ戻ってくるか、わからないんですか?
リオン距離的にはあいつらの方が先に帰っていると思っていたが…
ヴェイグ目的地がコルテア街なら、ここからそう遠くない。その内戻って来るだろう
ルドガー今は待つしかないな
ミクリオ…いろいろ気がかりだね。そもそも、そのスタンという人間が、目的の人物と会えたのかどうか…
ライラ時間がかかっているという事は何か別にやる事が出来てしまったのかもしれませんね
スタンさ、着いたぞ!
エリーゼここがルイニス街…
ティポきれいな街だねー
エリーゼ確か以前、街全体が氷漬けになってしまったと聞きました
ジュードその時の街の光景は今でもはっきり覚えてるけど…まるで見違えたね
リリスこれも全部みなさんのお蔭ですね。本当に感謝してます
ミラいや、この街が救われたのはスタンやリオンの強い想いがあったからだ
ティポあー!リオン君はっけーん!何かたくさん人がいるよー
スタン本当だ。誰だろう。ルーティはいないみたいだけど…
スタンおーい、リオン!
リオン…?今聞き覚えのある声が…
スレイひょっとして、あの人達が…?
スタンごめんごめん、待たせたか?
スタン…あれ、そこにいるのって…
エリーゼルドガーです…!
ジュードまさかこんなに早く会える事になるなんてね
ルドガー久しぶり、スタン。まさかミラ達と一緒だったとはな
スタンそういうルドガーこそ、何でリオンと一緒に?
リオン途中で会ったからだ
リオンお前は何故ミラと一緒にいる。居所は知らないと言っていたはずだが
スタンさっきシルヴァラント港で偶然会ったんだ
リオン港だと…?
リオンコルテア街へ行ったはずじゃなかったのか?キールはどうした
ミラキールも一緒だったが、今しがたコルテア街へ帰ると別れたばかりだ
エリーゼ何だか人がたくさんいますね…。初めて見る人も…
リリスエリーゼ、緊張してるの?
エリーゼはい、少し…
ティポ大丈夫だよ、エリー。ぼくがついてるから
ミラん?もしかして、そこにいるのは…
ジュード君は確か、前に遺跡で会った…
スレイはい、スレイです
スレイ覚えてもらえてて嬉しいです。な、ミクリオ?
ミクリオ
ミラむ…?お前は…それに奥の女も…
スタンえっと…。スレイ、ルドガー以外は初めて会うよな?
スレイ…実はあの時、ミクリオも一緒にいたんだ。みんなには見えてなかっただけで
ミクリオ…スレイ、話すのか?
スレイ機会がなくて、ちゃんと話せてなかったけど、このままじゃ面倒な事も多いだろ?
ミクリオ…まあ、そうだけどね
スレイあの時俺が話してた天族の話、覚えてますか?
ジュードえっと、確か…普通の人間には見えないとか
リオンミクリオがその天族だと言うのか?
スタンえええ!?
スレイミクリオだけじゃなくて、こっちのライラも天族なんだ
スレイいろいろあって、今は普通の人にも見えるようになってる
ルドガーライラもなのか!?
ライラふふ。実はそうなんです
ミラ…なるほど。どうりで不思議な気配を感じるわけか
ヴェイグどう見ても人間だが…。全く気付かなかった
ルドガー俺もだよ。でも、そうだと言われたら何故か妙に納得出来る気はするかな
スタンところで、リオンと一緒にここへ来たって事は、やっぱりみんなも晶化現象の事を調べてるのか?
ルドガーああ。君達がそのために動いていると聞いて、一緒に来たんだ
エリーゼ…みなさん、晶化現象の事を調べていたんですね。何だかうれしいです
ティポ仲間がいっぱいー
リリスそういえば、リオンさんはクラースさんと会えたんですか?
リオン…いや、間に合わなかった
スタン間に合わない…?それってどういう──
ヴェイグ晶化だ…
エリーゼえ…?
リオンクラースは、晶化してしまったんだ…
ミラ何…!?
ジュードそんな…!
スタン…リオン、詳しい話を聞かせてくれ
リオン
scene1結びつく符合
スタンクラースさんに、クレアさんか…
スタン…ヴェイグ、クレアさんの事は何て言えばいいのか…
スタン俺も、リリスがルイニス街で氷漬けになった時は本当に辛かった。今はこうして元気だけど…
スタンだから、クレアさんもきっと助け出せる。俺も一緒に頑張るよ
ヴェイグああ…。ありがとう、スタン
リリスクラースさんも心配ですね…
リリスルーティさんの面倒見ているという子ども達も、クラースさんを見てびっくりしたでしょうし…
スタンうん、ルーティがバロニアに戻るのも仕方がないな
リオン精霊も晶化か…。くそっ、一体どうなってるんだ
ライラ事態は、私達が想像していた以上に複雑で、深刻なのかもしれませんね
ミクリオああ…。考えを根本から改める必要がありそうだ
スレイ人間も、精霊もって事は、やっぱり天族にも…
ミクリオ勿論。念頭に置いておくべきだ…
エリーゼ結晶の中の命が無事だとわかって少し安心はしましたが…
エリーゼでも、それも…いつまで無事でいられるかはわからないんですよね…
ルドガー…ああ。一刻も早く助け出してやらないとな
ルドガーともかく、ミラの話を聞いて大精霊が関わっていないという事がわかったな
ルドガーそれと、結晶の正体もだ
リオン結晶がマナだとはな…
スレイ世界を司るエネルギーで、人間や精霊、世界そのものを支える生命の源…それがマナなんですよね
ライラ水が凍ったり、大地から石や鉱物が生まれる事は自然の摂理です。ですが、マナの結晶化は…
ミラ言える事は一つ…晶化現象が起きれば、マナは本来の働きを失う
ミラマナの減少に等しい状況を生み出している、という事だ
スレイこれからどうなるんだろう…
リオンこのまま晶化現象が進み続ければ悪影響が出るだろうな。晶化現象それ自体が厄介だというのに…
スレイ悪影響…
ヴェイグ結晶がそのマナというものだとわかったが、どうして結晶になってしまうのかはわからないままか…
スタンそれに加えて、天啓の事も気になる。赤の騎士団の事はア・ジュールで耳にしたけど…
リオン…まさか、お前がア・ジュールにまで行って牢屋に入れられたとはな。よくも無事で帰って来たものだ
リリス本当に肝を冷やしました…
ルドガーでも、話を聞いてわかったよ。バロニアで見かけた黒ずくめの怪しい男の正体が…
スレイあの男がスタンさんの言うウィンガルって人だとしたらバロニアでの目的は、偵察?
リリスかもしれません…。赤の騎士団を警戒していたみたいですから…
ヴェイグメルトキオでの一件を考えるとウィンドルも天啓に深い関心がある事は明らかだ
ジュードじゃあ、ユリウスさんが見たっていう赤の騎士団の動きも…
ヴェイグこれまでの経緯から言って石碑捜索のために、神子が必要なんだろう
エリーゼえ…。じゃあ、いろんな国が神子を捜しているって事ですか?
ティポ神子が危ないって事ー?
リリスどこかに身を潜めているとはいえ…ずっと隠れているわけにもいかないですし、かわいそうです
エリーゼ…どうしてどの国もそんなに天啓を気にするんですか?
ミクリオ…一つは自国の利益のため。赤の騎士団については少なくともそうだと聞いている
ミクリオ彼らは、以前の天啓が未来予知であるという説を信じているみたいだからね
スタンア・ジュールの真意はわからずじまいだったな…
ヴェイグしかし、ア・ジュールまで動き出したとなれば、状況は更に緊迫するだろう…
ライラクレアさんを誘拐した二人組はどこかの国の刺客だったのでしょうか
ミクリオさっきのウィンガルの例もある。可能性は否定出来ないけど…
リオンいずれにせよ、メルトキオ襲撃を企てる連中だ。シルヴァラントに害を加えようとしているのは明らかだ
ルドガー…さてと。今わかっている事はこのくらいか
スタン問題は、ここからどう動くかだな
ミクリオ結晶の正体や各国の動向と、僕達が把握出来た事は多い。ただその上で──
スレイ…うん。やっぱりまずは、晶化現象の原因を突き止めなきゃいけないと思う
ルドガーそうだな。マナの異変とも関係しているならより一層早く手を打つ必要がある
ヴェイグだが、具体的にどう動けばいいのか…
ヴェイグマナを感知出来るミラですら、どうして結晶化してしまうのかはわからないのだろう
ミラ…ヴェイグの言う通りだ。これが未知の現象である事は変わらない
ルドガーつまり、情報は得られたものの、状況に大きな進展はなしって事か…
スレイでも、だからこそ何か行動を起こさないと
スレイちゃんとした確証がなくても止まったままよりはずっといいと思うんだ
スタン…だったらさ、天啓を調べてみるっていうのはどうかな?
エリーゼ天啓を…ですか?
スタンああ。ひょっとしたら、晶化現象と天啓…この二つは何か関わりがあるかもしれない
エリーゼ
scene2結びつく符合
ヴェイグ晶化現象と天啓に関わりがあるというのはどういう事だ?
スタンここに来る前にキール達と話してたんだ
スタン前回の天啓は、リチャード国王晶化の一件を暗示した未来予知だっていう話もあるし…
スタン…もしそうだとしたら、新しい天啓にも、何か晶化現象の事が書かれてるかもしれない
スタン…まあ、何か確証があるってわけじゃないんだけど
スレイそう言えば、前にミクリオも…
ミクリオ僕のはただの勘だけどね
ミラちなみに、以前公表されたという天啓はどういった内容なのだ?
スレイえっと、確か…
スレイ『命源は燦爛たる結晶となり、猛き君主を醒めぬ夢へ攫った』…
スレイ『零れ落ちた星の雫は、波紋の如く世界に広がる──』
スレイこれで全文、かな
エリーゼ燦爛たる結晶…多分これが晶化現象の事だってみなさん考えてるんですよね
ミラ猛き君主…これがリチャードを示すと…
ジュード…?あれ、ちょっと待って
ジュードだとしたら、その「命源」ってひょっとしたら、マナの事を指してるんじゃない?
エリーゼ…!本当です…
ライラ世界を司る生命の源であるマナ。確かに意味合いとしては一致しますね
エリーゼやっぱり、前の天啓が未来予知だという、あの噂は本当なんでしょうか…
スレイ…単なる偶然にしては、当てはまるものが多すぎると思う…
スタン
スタン…みんな、やっぱり天啓について調べてみないか?
スタン天啓については、存在自体が未知のものだし断言は出来ないけど
スタンそれでもやっぱり調べてみる価値はあると思うんだ
スタンこのまま各地の晶化現象の状況を見て回ってるだけじゃ、どうにもならないし…
ルドガー違った角度から探ってみるのは悪くないと思うが…
ヴェイグ…オレは異存はない。晶化現象に関する情報が得られるなら何であろうと構わない
ミクリオ…半信半疑ではあるけど、当座の目標とするという事なら問題はないと思う
エリーゼ…じゃあ、決まりですね
ヴェイグなら、まずはメルトキオへ行き、コレットの居場所を調べるのはどうだ
ヴェイグ…神子の協力を得て天啓の石碑を探し出すんだ
スタン神子か…。そういえば、ゼロスは一人で街を出て行ったって話だっけ。大丈夫かな…
エリーゼア・ジュールまで神子を捜してるんですよね…。心配です
ミラああ、一人は危険だ…。会う事が出来ればよいのだが…
ヴェイグ会える見込みが少しでもあるとすればコレットだろう。彼女の行方はフィリア司祭が知っているはず
ジュードけど、その人に聞いても神子の居場所教えてもらえないんじゃないかな?
ジュード仮にも王命でその身の保護を受けているわけだし…
ヴェイグわからないが、今は彼女が頼みの綱だ
ヴェイグそれに、仮にフィリア司祭が駄目だったとしても、神子の居場所に繋がる鍵はあの街をおいて他にない
ルドガー…確かに、ヴェイグの言う通りだな
スタンよし、そういう事ならとにかくメルトキオへ行こう。あの街に行って──
リオンスタン。僕はこの街に残る
スタンええ!?どうしてだ、リオン?
リオンさっき言っていた二人組だ。ルイニス街とメルトキオは目と鼻の先だ
スタンそう言えばそうだな…。確かに危ない…じゃあ、俺も残った方が…
リオン僕一人で十分だ。その代わり、お前は晶化現象の事を何とかしろ。必ずな
スタン…わかった、街の事は任せた。晶化現象の事は任せてくれ!
リオン早速、街の様子を見て回ってくる。街の人間にも警戒するよう伝えなくてはな
ミラ相変わらずだな、リオンは…
ミクリオ彼はいつもああなのか?
スタンまあ、大体は。でも、ああ見えてリオンは本当にいい奴なんだ
スタン…リリス、お前もこの街に残ってくれないか?
リリスえっ…。でも、お兄ちゃん…
スタンリオンの手助けをして一緒にこの街を守ってほしいんだ
リリスうん…。それはわかるんだけど…
スタンいくらリオンの腕が立つと言っても、何かあった時に一人で街を守るのは大変だろうし
リリスわかったよ。家の事も、街の事も心配だものね。こっちの事は任せておいて
リリスでも、これだけは約束して!みなさんの言う事ちゃんと聞いて、無茶な行動しないでね!
リリス周りに迷惑かけちゃダメだよ!怪我もしないで、早く帰って来てね!あと、ちゃんと朝起きる事!
スタンわ、わかったよ、リリス
ライラふふ、いい妹さんですね
ティポ仲がいいんだねー。ぼくとエリーもだけどー
スタンはは…。リリスも、いつもあんな調子なんだ
スレイじゃあ改めて、オレ達も出発の準備だ!
エリーゼそうですね
エリーゼ天啓…。晶化現象の謎を解く鍵となるんでしょうか…

NameDialogue
scene1逃亡の神子
ゼロス
赤の騎士団員1ちっ、見失ったか。逃げ足の速い奴だ、どこへ逃げた?
赤の騎士団員2そう遠くへは行っていないはずだ。何としてでも、神子を捜し出すぞ
ゼロス
ゼロス…よし、行ったか。赤の騎士団、ね…。ったく、しつこい奴らだな
ゼロス野郎に追いかけられる趣味は、持ち合わせてねーっての
ゼロス…にしても、国王の言ってた通りだな。連中が神子である俺を捜してるのは事実だ
ゼロス他国にまで乗り込んできてなりふり構わず横暴な振る舞い…、上の奴は一体何考えてんだか
ゼロス俺が狙われてるなら、同じ神子であるコレットちゃんも…
ゼロス…ここで心配してても仕方ねぇか。ロイドも側にいるだろうしな…、国王の指示通り上手く避難してるだろ
ゼロスそれより、問題はこっちか…。この状況をどう切り抜ける──
ずでんっ
ゼロス…!
女の子いたた…
ゼロスおいおい…大丈夫か?って、よく見りゃさっき街で会ったおチビちゃんじゃねーか
ゼロス立てるか?こんなところで何してんだ?
女の子お兄ちゃんが森の方に逃げて行くのが見えたから…捜していたの。お礼が言いたくて…
女の子さっきは街のみんなを助けてくれて本当にありがとう
ゼロス礼って…わざわざそのためだけに…?
ゼロス俺さまが魅力的なのはわかるけど、こんなところまで来たら危ないぜ?例の怖い連中がウロウロしてるし…
ゼロス送ってやりたいのは山々なんだが…おチビちゃん…一人で帰れるか?
女の子…うん、大丈夫。じゃあね、神子のお兄ちゃん
ゼロスふ~、行ったみたいだな
ゼロス…今は俺さまと一緒じゃない方が安全だろうし、仕方ねえな
ゼロス…ったく、礼なんていいのによ。元はと言えば、あれは神子の俺が街にいたからで…
ゼロス
ゼロス…だ~、やめだやめ、辛気臭ぇ。何はともあれ、俺さまも早いとこここから離れた方がよさそうだ
scene2逃亡の神子
ゼロス
ゼロスもうそろそろ大丈夫だろ。よし、今の内に──
赤の騎士団員1見つけたぞ!こんなところに隠れていたのか
ゼロスくそ…まだいやがったか。めざとい奴らだな
赤の騎士団員2シルヴァラントの神子よ、今度はもう逃がさん!我々に同行願おう
ゼロス…やれやれ、しつこい野郎は嫌われるぜぇ~?
ゼロスそれとも、そんなに俺さまの事がだ~い好きなわけ?
赤の騎士団員1…ふん、こんなふざけた奴が神子とはな
ゼロスまぁ、冗談はさておき、お前達が神子に固執してるのは天啓のためなんだろ?
ゼロス今まで見向きもしなかったくせに何で急に天啓へ興味が湧いたのか、俺さま気になるな~
赤の騎士団員2お前に話す事は何もない
ゼロス詳しい事情も教えず、天啓を読み解くために黙ってついて来いってか?
ゼロスえらく勝手なもんだな。それが赤の騎士団のやり方かよ
ゼロスはっきり言っておくぜ。俺さまはお前達みたいな奴らに、協力する気はさらさらねえ
ゼロスお前らの欲しがってる天啓に関しても何もしゃべらないし、内容を読み解く気もねえよ
赤の騎士団員1それはまかり通らぬ。天啓の導きは、全ての国でわかち合うべきもの
赤の騎士団員2我が国にも内容を知る権利があり、故に神子たるお前は我が国に協力する義務がある
ゼロスシルヴァラントは隠してねえだろ。ちゃんと公表してる
ゼロスお前ら、しかもその内容が偽物とか言ってるらしいじゃねえか。言いがかりも甚だしいぜ
赤の騎士団員1何とでも言え。同行を拒むなら、力ずくで従わせるまでだ
ゼロスハッ。たった二人で俺さまをどうにかしようなんて舐められたもんだな
ゼロスまあ、そのふざけた神子ってのに、負けるんだけどな?お前らはよ
赤の騎士団員2貴様…。その減らず口、叩けないように──
???待て!
ゼロスおっと、もう一人いたのかよ。ま、二人も三人も同じ──
ゼロス……ん?あれはまさか…!
女の子お兄ちゃん…!
ゼロスさっきのおチビちゃん…!?
ゼロスおい、お前ら!その子に何をする気だ!
赤の騎士団員3我々は森で道に迷っていたこの少女を保護しただけだ
ゼロスちっ、どうせその子と引き替えに、俺さまを拘束しようって魂胆だろ
赤の騎士団員3我々は犯罪者ではない。あくまで神子殿に、自主的な協力を要請するだけだ
ゼロスよく言うぜ…そっちの奴、さっき力ずくって言ってたぜ?
赤の騎士団員1さあ、神子殿。どうする?
ゼロスくっ…!
???少女と神子、いずれも渡すわけにはいかない
ゼロス…?
赤の騎士団員3誰だ、お前は!
クロエ私はシルヴァラントの騎士、クロエ・ヴァレンスだ
クロエ見たところ、貴殿らは我が国の騎士ではないようだが、ここで何をしている?
赤の騎士団員2ちっ、シルヴァラントの騎士か…
クロエ我が国の民を保護してくれた事には礼を言う
クロエ後の事は我々で対処する。その少女をこちらへ
赤の騎士団員3…どうする?
赤の騎士団員1今ここでシルヴァラントの騎士と事を構えるのは賢明ではない。一旦退く。その子は解放しろ
クロエ君、大丈夫か
女の子う、うん…。怖かったけど、何ともないよ
ゼロスさっきはどうなるかと思ったぜぇ…!ありがとな?セクシーな子猫ちゃん
クロエなっ…誰がセクシーだ…!それに、子猫ちゃんとは…
女の子お姉ちゃん、ありがとう。お兄ちゃんにも、また助けてもらっちゃったね
クロエ騎士として当然の事をしたまでだ。怪我がなくてよかった。……それより、神子殿
ゼロス…わかってる。奴ら、まだ物陰に潜んでこっちの様子を窺ってやがるな
クロエ今は奴らを撒くのが得策か…。神子殿、その娘を抱えて走れるか?
ゼロス楽勝楽勝、任せとけって
女の子お兄ちゃん…?
ゼロスそんな不安そうな顔すんなよ。おチビちゃんは、俺さまにしっかり掴まってればいいから
ゼロスクロエちゃん、だったな。俺さまが合図を出したら一斉に走る。準備はいいか?
クロエああ、いつでも問題ない
ゼロス
ゼロス……よし、今だ!
scene1王都からの使者
ゼロス──よし、何とか上手くいったみたいだな
クロエそのようだな。奴らの気配は近くに感じられない
ゼロスほら、おチビちゃん。街はすぐそこだ。ここまで来れば、迷わずに帰れるな?
女の子うん、大丈夫!ありがとうお兄ちゃん、お姉ちゃん。じゃあ、行くね
クロエああ、気をつけてな
ゼロスやれやれ、とんだ災難だったぜ
クロエ神子を手に入れるためとはいえ、あんな小さい子まで利用するとは…
ゼロス咄嗟に逃げちまったが、このまま連中を放っておくのはちょっと厄介だな
クロエああ…。だが、手は打ってある
クロエ国王も赤の騎士団を警戒し、国内の警備兵を増員している
クロエ神子殿を見つけた時、街の頼りになる若者を使いに走らせた。まもなく兵が駆けつけるだろう
ゼロスクロエちゃんが騎士と知ってひるんでたし、兵が来ればあいつらも下手な事はしねえか…
ゼロスそれはそうと、クロエちゃんがシルヴァラントの騎士だって話は、本当だったんだな
ゼロス今の話を聞くまで、てっきりその場しのぎの嘘だと思ってたけど
クロエ失礼な。れっきとした騎士だ。…と言っても、まだこの国に仕えて日は浅い
クロエ言わば、見習い騎士とでも言おうか
ゼロスなるほど、それで見覚えがないわけだ。変だと思ったんだよな〜
ゼロス街でキミみたいな美人な子猫ちゃんを見かけてたら、俺さま絶対声かけてるしな
クロエだ、だから誰が…!神子という神聖な立場にありながら、よくも軽々しくそんな事を…
ゼロス神子だからって関係ないだろ?クロエちゃんは、背もスラっと高くてスタイル抜群って感じだし──
クロエや、やめてくれ。背の事は、自分ではあまりいいと思っていないんだ
ゼロスえ〜、もったいない。せっかくのチャームポイントなのに
クロエう、うるさい!それより神子殿──
ゼロスしっ!何か聞こえる…
クロエ…!これは、足音…?ひょっとして赤の騎士団か!?
ゼロスまだ諦めてないのかよ?くそ、とことんしつこい奴らだぜ…
クロエ一旦ここから離れた方がよさそうだ。行こう、神子殿
ゼロスああ!
scene2王都からの使者
クロエここまで来れば、もう大丈夫だろう
ゼロスクロエちゃん、ありがとな。あとはもう俺さま一人で大丈夫だぜ
クロエ礼など不要だ。これは任務だからな
ゼロス任務?
クロエ行方不明の神子捜索だ。国王陛下から密に命を受け、貴公を捜していたのだ
ゼロス…そういう事ね
ゼロスま、遅かれ早かれ国王の使いが追って来るとは思っていたけどよ…
クロエ単刀直入に言おう。神子殿、貴公を隠れ家へ案内する。私と一緒に来てほしい
クロエ貴公が街を出てすぐの事だが、赤の騎士団がメルトキオに来て騒ぎを起こしたのは知っているか?
ゼロスあいつらが…?
クロエああ。私はその場にいなかったのだが大騒動に発展するかもしれない危険な状況だったそうだ
クロエ他にも、メルトキオの襲撃を企てていたという怪しい二人組の存在も耳にしている
ゼロスメルトキオ襲撃だと…!街はどうなったんだ!?セレスは…!?
クロエ大丈夫だ、神子殿。その襲撃はある者達のお蔭で未然に防げた
クロエセレス…妹殿も王宮内で無事だ
クロエだが、肝心の二人組は取り逃している。よって今、メルトキオは警戒態勢だ
ゼロスそうか…。油断出来ない状態だな…。その二人は赤の騎士団じゃないのか?
クロエ手口から言っても考えにくい。それに、さすがに彼らも王都襲撃など企てないと思う
クロエしかし、赤の騎士団は要注意だな。他国にまで乗り込み、神子捜索まで始めるとは…
ゼロスそれだけじゃねぇ。クロエちゃんも見ただろ、あいつらのやり口
ゼロスさっきのおチビちゃんの街にいた時、偉そうな態度で、連中が街に入ってきやがったんだ
ゼロス神子を匿う事は重罪だー、知っている事を全て話せー、とか住民に詰め寄ってよ
クロエ武器も持たぬ者に何という事を…!住民達はさぞ怖い思いをしただろうな
ゼロスああ。みんなその態度に震え上がってたぜ
ゼロスで、俺さまもそれを見かねて、つい姿を見せちまった
ゼロスあいつらの目を引き付ける事には成功したんだが…
クロエ…その代わりに、神子殿が追い回される羽目になった、と。しかし…
クロエ仮にも一国の騎士を名乗る者の行動とは思えない。まるで賊だ
クロエ他国に無断で踏み入り、民を脅すなど決して許される行為ではない
クロエ国王陛下も赤の騎士団を警戒しておられた
クロエすぐにでもこの事実を報告して早急に手を打つ必要があるな
ゼロス
クロエその前に、まずは貴公の身の保護だ。私と共に──
ゼロスごめん!クロエちゃん!
クロエえっ…
ゼロスいくら可愛いクロエちゃんの頼みでも俺さま、そのお願いだけは聞いてあげられないんだよねぇ…
ゼロスって事で、国王によろしく〜!
クロエなっ…!待ってくれ、神子──…
クロエ勝手すぎる…!神子たる自覚はないのか?
クロエとにかく、こうしていられない。急いで神子殿を追わねば…
scene1衝突する焦熱
ゼロス右よし、左よし…!上手くやり過ごせたみたいだな
ゼロス
ゼロス…隠れ家か
ゼロス…悪いな、クロエちゃん。俺はそこに行くわけにはいかねえんだ
ゼロスさて、と。クロエちゃんと赤の騎士団の連中に見つからない内に──
???一足遅かったな、神子殿
クロエ隠れても無駄だ
ゼロスク、クロエちゃん!?何で!?
クロエ草むらからその赤い髪が垣間見えたのでな
ゼロスあらら…俺さまとした事が…
クロエ神子殿、一人で行動するのは危険だ
クロエいつまた赤の騎士団の連中と出くわすとも限らない。だから、私と一緒に──
ゼロスやべえ!後ろから赤の騎士団が!
クロエ何!?…どこだ?どこにもいないぞ?
クロエあ!神子殿!どこへ行く!
ゼロス俺さまの首に縄をつけたいなら、是非ともプライベートの方でよろしく子猫ちゃん♪
ゼロスじゃあな!
クロエなっ…!まさか私を欺くとは…!
クロエ困った神子様だな…
ゼロスよしよし、向こうに行ったみたいだな
ゼロスさすがのクロエちゃんでも、まさか俺さまが木の上にいるとは思わねえだろ
ゼロスしばらくここでやり過ごすか…
クロエここは随分と眺めがいいんだな
ゼロスげっ、クロエちゃん!?いつの間に隣に…!?
クロエ私をまこうなどと考えない方がいい。大人しく…
ゼロスあっ、あんなところに空飛ぶブッシュベイビーが!
クロエえっ!?…あっ、神子殿!
クロエまたか…
ゼロスはあ、はあ…よし、これだけ引き離せば…
クロエ遅かったな、神子殿
ゼロスうおっ!?どうして俺さまの行く手に先回り出来るんだよ?
クロエ日頃の鍛錬の賜物だ
クロエ逆に神子殿は、いささか身体が鈍っているのではないか?この程度で息を切らせるとは
ゼロス俺さまも体力には自信ある方で………ん、あれは…?
クロエ同じ手はもう食わないぞ
ゼロス違う、向こうだ!何か煙が出てる
クロエ…!本当だ
ゼロスひょっとして、クロエちゃんのお仲間が狼煙をあげているのか
クロエ…いや、違う。軍の狼煙とは色味が異なる。それに、狼煙にしては…
ゼロス煙が、いくつも上がっている。ただの焚火じゃねえな
クロエ確かあの辺りには小さな村があったはずだ…!
ゼロス…何だか悪い予感がするぜ
ゼロスクロエちゃん、悪ぃが、鬼ごっこはここまでだ
クロエ神子殿、待て!私も行く!
scene2衝突する焦熱
クロエこ、これは…!
クロエ村がめちゃくちゃに…
ゼロスこの様子は…。建造物から何から人の手で壊されたらしい…
ゼロス…いつかの光景を思い出すな。くそっ…
クロエ誰がこんな酷い事を…
クロエまさか、赤の騎士団が…?
ゼロス…いや、さすがのあいつらでもたかが神子を捜す事だけのためにここまでやるとは思えないけどな
ゼロス今は目の前の状況をどうにかしようぜ
ゼロスまだ誰か逃げ遅れてるかもしれない。見て回るぞ!
クロエああ、そうしよう。私はあっちを見てくる、貴公はこの辺りを──
???誰もいないよ。いたとしても、そんな瓦礫の下でとっくにくたばってるさ
???あのバカ二人にしちゃ、きっちり仕事したみたいだしね
ゼロス誰だ!?
???
クロエ…何者だ!
???名乗る必要はないね。どのみち、アンタ達には関係ない
ゼロス関係ない、ねぇ…。少なくとも村がこうなってる事には関係あるんじゃねぇの?
???それこそボクは無関係さ。まあ信じるかどうかは勝手だけどね
???ボクはただ村の連中が逃げ惑うのを見ていただけさ。なかなか面白い見世物だったよ
クロエさきほど、二人、と言っていたな
クロエメルトキオ襲撃を企てたのは男女二人組だったと聞いている。まさか…!
ゼロス…緑の仮面野郎さんよ。この村をやったのはそいつらで、お前も奴らの仲間ってわけか?
???あんなバカと一緒にしないでもらいたいね
クロエちゃんと答えろ!はぐらかすようなら、肯定とみなす!
ゼロス知ってる事、洗いざらい全部吐きな。嫌だとは言わせねえぞ
???初対面相手に随分喧嘩腰だね。こんなチンケな村一つがそんなに大事だっていうのかい?
クロエチンケだと…!住む者達にとっては、大事な場所に変わりはない
クロエこれ以上、愚弄するような事を言うならば、私はこの国の騎士として黙ってはいない!
???ふん、ならどうするのさ?
???ひ弱な騎士と放蕩神子ごときがいくら吠えたって、今さらこの村は元に戻りはしない
ゼロスな…
クロエひ弱な騎士…誰の事を言っている!
クロエ我が剣がひ弱かどうか、お前の身体で確かめてみるがいい!
ゼロスクロエちゃん、やめろ!
クロエはああああ!
???ふん、目障りだね。いいさ、少し遊んでやるよ
ザシュッ
クロエうあああ!
ゼロスクロエちゃん!大丈夫か!
クロエああ、大丈夫だ…。大した事はない…
ゼロス…女の子に手を上げる野郎はロクな奴がいやしねぇーな
チャキッ
???…今度は神子様直々にお相手してくれるのかい?
???光栄じゃないか。来なよ
ゴオオッ
クロエ…!あの技は…!?
ゼロスクロエちゃん?!危ないから下がってろ!
クロエ駄目だ!神子殿を守るのが私の務め、私も共に戦う…!
scene3衝突する焦熱
???放蕩神子にしちゃ、なかなかやるじゃないか
ゼロスお前なんかに誉められても嬉しくねえっての
クロエ抵抗はここまでだ。大人しく全てを話してもらおう──
???…ここまでなのはどっちかな
???はああっ!
クロエ何…!?
ゼロスクロエちゃん、危ねえ!!
ドゴオオオオッ
ゼロスぐあっ…!
クロエ神子殿!!
クロエくっ、おのれ…!
???ははっ。女を庇って傷を負うとは伊達に女好きじゃないってわけだ
ゼロスこの…野郎…
謎の兵士シンク様。お待たせしました
ゼロスシン…ク…?
シンク遅かったね。お蔭でとんだ茶番さ
謎の兵士申し訳ありません。すぐに出発しましょう
シンク…シルヴァラントの神子。アンタとはまた会う事もあるだろう
シンク続きはその時にとっておくよ
クロエ…どこに行く!
ゼロスよせ、クロエちゃん。人数的に分が悪ぃ…。それに、俺さまちょっと限界…だ
クロエ…!神子殿!大丈夫か?
ゼロス口だけじゃない、ってか…くそっ…
scene1それぞれの軌跡
ゼロス──いでででっ!
クロエ痛いだろうが、少し我慢してくれ。…
クロエこれでよし、と…
ゼロスはぁ〜…痛かったぜぇ
クロエすまないな、私には簡単な手当てくらいしか出来ないが…
ゼロスこれだけ出来れば、十分十分!さっすがクロエちゃん!ありがと〜!
クロエ礼を言うべきなのは私の方だ。さっきは庇ってくれて助かった
クロエ貴公を守るべき立場なのに、守られてしまったな
ゼロス可愛い女の子を守るのは男として当然っしょ?気にしないでいーって!
ゼロス…それより、気になる事があってよ。あの仮面に、シンクって名前……
クロエ何か思い当たる事でもあるのか?
ゼロス前に、あちこちの村でよからぬ事を吹聴して、住民を不安に陥れている野郎がいたんだ
ゼロス俺は直接会っちゃいねえが、仲間がそいつとやり合った事がある
ゼロス…その時の男が緑髪の、妙な仮面をつけたシンクって野郎だったんだ
クロエという事は、さっきの男が…?
ゼロス偶然とは思えねえだろ?
クロエ確かに…あのようなめずらしい仮面を被り、同じ名を名乗る者などそういないだろうし…
クロエ不安を煽る…か。奴め、一体何を企んでいる…
ゼロスあの口ぶりだと、例の二人組と関わりがあるのも間違いはなさそうだが…
ゼロスそうだ、クロエちゃん、村の中はどうだった?
クロエ瓦礫の下をくまなく見てみたが人がいる様子はなかった
クロエシンクという男も言っていたが…おそらく皆避難した、という事だろう
ゼロスはあ…、ったく。赤の騎士団といい、面倒な事ばかり増えやがる…
クロエ残念だが、これが我が国の現状だ
クロエいや、我が国だけではない。今や世界中の国々が混乱に巻き込まれようとしている
クロエそして…その渦中にいるのが我が国の神子…貴公だ
ゼロス
クロエ神子殿、何故そうまでして国に匿われる事を頑なに拒む?
クロエ赤の騎士団が神子捜索に動き出している事は貴公も目にしたはずだ
クロエ神子が赤の騎士団の手に落ちたら御身の危険のみならず国内外にさらなる混乱を招く
クロエ神子として自覚を持ってほしい。そして、国王陛下のお考えも──
ゼロスそんな事はわかってる。…けど、クロエちゃんも見ただろ?さっきの女の子を人質に取るやり方…
ゼロス何の関係もない奴らを巻き込んで、どんな手段も厭わない…。神子の俺を捜す目的のためだけに
ゼロスあんなもん見せられて俺だけが安全なところに隠れるなんて出来るわけねーだろ
クロエ神子殿…?ひょっとして、それで私から逃げて…
ゼロス
クロエ…神子殿、すまなかった。神子としての自覚を持てなどと、酷い事を言ってしまったな
クロエまさかそんな風に考えていたとは思ってもみなくて…
ゼロス…構わねーよ。神子って立場に関して言えば、実際、クロエちゃんの言う通りだし
ゼロスただ、他人が思うほど神子っていう肩書きに思い入れはないからな、俺さま
クロエ……
ゼロス生まれた瞬間、神子って決められて今回みたいに追い回されたり、周囲から特別扱いされたり…
ゼロス酷い時には命を狙われたりした事もあったんだぜ?
ゼロス神子とは名ばかりの受難の日々…!…たまんねーよ、ホント。なりたくてなったわけじゃねぇのに
クロエ
クロエ…貴公は、神子である事を受け入れられずにいるのか?
ゼロス受け入れるも何も、俺さまが神子だって事はこれからも変えられる事じゃないし
ゼロスただ、何て言うか…他人を巻き込んでまで、神子として扱われるのにはまっぴらだ、って事
クロエ…王命に背き、一人街を出た理由はそれか
ゼロスまあ、こういういろんな事が妙に息苦しくて逃げ出したってのもあるけど──
クロエ…この、こんじょなし!
ゼロス…クロエちゃん?
クロエ神子という立場故に、貴公が複雑な想いを抱いている事はわかった
クロエけど、だからと言って一人で行動すればどうなる?
クロエ皆に心配をかけ結果、このような騒動にも繋がってしまった
クロエ…これは単なる「逃げ」だ。逃げたところで、その息苦しさから解放される事はない
クロエ貴公も言ったはずだ、自分は神子だと。それは変えようのないものだと
クロエならば、いくら苦しくとも、逃げ出さずにそれを受け止め、乗り越えるべきではないのか?
ゼロス
クロエ…偉そうな事を言ってしまったな。でも、貴公の気持ち、わからなくもないんだ
クロエ私も、人知れず家の事で深く傷付き多くの事に悩んできた
クロエ状況を打破しようと何度も試みた。誰に頼るわけでもなくたった一人でな
クロエだが、結局全ては空回りに終わり、気付けば周りの人達にたくさんの迷惑をかけてしまっていた
クロエそんな私を支えてくれたのは、仲間だ。彼らのお蔭で、自分の未熟さに気付く事が出来たんだ
クロエ今の自分があるのは、頼れる仲間達がいるからだと思っている
クロエ…だからこそ、貴公にも言いたい。貴公は決して一人で生きているわけではないのだという事を
クロエアウリオン殿やフィリア司祭、それに、貴公の妹のセレス…皆貴公の事を心配していた
ゼロス
クロエ赤の騎士団の事は、一層警戒を強めるよう国王陛下へ上申する。…だから、頼む
クロエ貴公を想う者達のためにも、今はまず、自分の身の安全を一番に考えてくれないか
ゼロスクロエちゃん…
ゼロス
ゼロス…確かに俺は、自分の殻に閉じこもって、一人で逃げてただけなのかもな…
ゼロス…よし、わかった。クロエちゃん、隠れ家まで案内頼むぜ
クロエ…!神子殿、わかってくれたのか
ゼロスクロエちゃんみたいな美人にそこまで言われちゃ、さすがの俺さまも断れないでしょ
ゼロスあ、その代わり一つ条件があるんだ
クロエ条件?それは何だ?
ゼロス俺さまの事、名前で呼ぶ事!貴公とか神子殿とか、距離を感じて俺さま悲しいっていうか〜
ゼロスあ、何だったら、ダーリン♡とかでも──
クロエだ、誰が…!…なら、ワイルダー、…これでどうだ
ゼロスおお、何か新鮮…!けど、何でそっち〜?どうせならゼロスくん♡とか……
クロエこれで十分だ…!全く…。ほら、馬鹿な事言ってないで早速行くぞ
ゼロスちぇっ、まあでも神子殿よりはマシか…って、待ってくれよ、クロエちゃーん!
scene2それぞれの軌跡
コレットはあ…はあ…
コレットあっ!
バタッ!
ロイドコレット、大丈夫か!?
コレットいたた…。うん、だいじょぶだよ。ちょっと転んだだけだから
コレットごめんね、心配かけて
ロイドこっちこそ、急かしてごめんな。でも、今は少しでも早く、ここから逃げた方がいい
ロイド辛いかもしれないけど、少しの間我慢してくれ
コレットうん…
ロイド何だってこんな事に…
ズドーーーン!
コレットすごい音…!ロイド、やっぱり戻った方がいいんじゃ…
ロイド…駄目だ!引き返すわけにはいかない…急ごう、コレット
コレット…う、うん
ゼロス──いやあ、それにしてものどかでいい天気だなー
ゼロスこんな日に、クロエちゃんと二人っきりでデート出来るなんて俺さま超ラッキー♪
ゼロス見て見てクロエちゃん。あちこちの結晶に太陽の光が反射してとっても綺麗だろー?
クロエ何がデートだ…。隠れ家へ向かっているだけに過ぎない
クロエそれにあの結晶は、晶化現象のものだろう
クロエ近頃じゃ、人間まで晶化していると聞くのに…綺麗とは少々不謹慎だと思うが
ゼロス晶化現象…うーん、そうか。確かにあんまいい話は聞かねえな…。んじゃ、あの花ならどうだ?
ゼロス可憐に咲くあの美しい花は、まるでクロエちゃんのよう……
クロエわかったわかった
ゼロスあ、今俺さまを軽くあしらったろ〜?出会った頃はもっとこう、真っ赤になって照れたりしてたのに
クロエワイルダー、ちょっと静かにしてくれないか。集中出来ない
ゼロス…ん?それはメモ?隠れ家の地図か何かか?
クロエああ、アウリオン殿から頂いたのだ。隠れ家への入口は、メルトキオ北部の湖辺りだと書かれている
ゼロスアウリオン殿…って、クラトスの事だよな
ゼロス…さっきも思ったんだけど、クロエちゃんはクラトスとも知り合いなんだな
クロエああ、私の直属の上官だ。いろいろとよくしてもらっている
ゼロスそういう事か。ま、二人はお堅い者同士合うかもしれねえ──
ガサッ…
クロエワイルダー、気をつけろ。そこの草むらに何かいる!
ガルルルル!
ゼロスちっ、魔物か!
scene1隠れ家にて
ガサ…ガサ…
ゼロスったく…、この辺りは草が生い茂って藪みたいになってるな…
ゼロスデリケートな俺さまの美肌に傷がついちまうぜ…
クロエ隠れ家だからな。人が近寄りにくい方が都合がいいのだろう
ゼロスにしたって、さすがにこれは──…おっ、開けた場所に出るぞ
ゼロスはあ…しんどかった〜。あの道は出来ればもう通りたくないぜ
ゼロスん?あの扉か?隠れ家への入口ってのは
クロエああ、あそこから地下洞窟へ入る。隠れ家はその先にあると……ん?
クロエワイルダー、あれを見ろ。扉の前に誰か倒れている!
クロエ隠れ家の警備に当たっていた者か…。扉の錠前も外されている、これはただ事ではないな…
ゼロスおい、しっかりしろ!一体、何があったんだ?
シルヴァラント兵う…。だ、大丈夫だ…。しかし…敵が…中に…神子様が……
クロエ敵だと…!?もしかして、赤の騎士団か!?
シルヴァラント兵…早く、神子様を追って…く…。…
クロエ…君!大丈夫か!
ゼロス…気を失ったみたいだな。安静にしてれば問題なさそうだ
ゼロス…どこの誰だか知らねーが、早いところ隠れ家へ向かった方がよさそうだな
ゼロス優秀な幼なじみが付いてるとは思うがコレットちゃんが心配だ…
クロエ同感だ。急ごう、ワイルダー
ゼロスああ…!
クロエ──次の分岐は右、その先にある通路は左だ
ゼロス噂には聞いていたが、相当ややこしいな、この洞窟
ゼロスクラトスのメモがなければ確実に迷子になっちまうだろうな
ゼロスでもまあ、逆に言えば内部構造把握していれば、敵を寄せ付けにくいって事か
クロエここは古くから、戦時中などの王族の緊急避難場所として使われていたという話だ
クロエそれ故に、シルヴァラントでも限られた人間しか知らない
クロエこれらの要素も、ここが神子の避難場所として選ばれた理由なのだろう
ゼロスそれにも関わらず、ここを嗅ぎつけた…。その侵入者は何者だ?
クロエわからないが…警備兵が簡単にやられている。気をつけて進もう
scene2隠れ家にて
ロイド──コレット。そこの水で布を濡らしたから、足…冷やしておこうぜ
ロイド手当らしい手当は出来ないけど何もしないよりはマシだろ
コレットごめんね、ロイド。わたしがドジなばっかりに
ロイド謝る必要なんてないさ。ほら、くじいた方の足出して
コレットうん…
ロイドよっと。どうだ?
コレット冷たくて気持ちいいよ。ありがとう
ロイドさっき転んだ時にすぐ手当していれば、よかったんだけど…
コレットいいんだよ。ロイドは私を助けてくれるために一生懸命だっただけだから
コレット昔からそうだったよね。私が神子だから、ロイドにはいつも迷惑ばかりかけちゃって…
コレットでも、いつも必ず守ってくれた…
ロイド俺は迷惑だなんて思った事ないぞ。コレットは、大切な幼なじみだ。助けるのは当たり前だろ
ロイド今回だって、俺が必ず守るって約束する
コレットロイド…
ロイドにしても、ここがバレるなんて…。安全じゃなかったのかよ
コレットやっぱり、早く外に移動した方が…
ロイド洞窟の中は入り組んでるし、途中にも兵士は配備されている。簡単にここまでは来られないはずだ
ロイド仮に来たとしても、俺が必ず何とかする
ロイド今はもう少しここで休もう。逃げ切るためにも。な?
コレットうん、ありがとうロイド
コツ…コツ…
コレット…!ロイド、今の…
ロイドああ、誰かの足音だ。まさか、こんなに早く追手が…?
ロイドコレット、念のためそこの岩陰に隠れてろ
コレットでも…
ロイドいいから早く
コレットう、うん…
ロイド
ロイド誰だ…?
scene1侵入者
ゼロス──クロエちゃん、まだか?結構歩いた気がするんだけど…
クロエまもなくだ。この道の先に少し開けた場所があるはずなのだが…
クロエ見ろ、あそこだ
クロエこれが、隠れ家か…
ゼロス噂通り大層な建物だな…。こんなところになきゃ、普通に住めそうな感じだぜ?
???うう…
ゼロス…?今何か聞こえなかったか
クロエうめき声だ…。あっちの方から聞こえた…!行こう、ワイルダー
ゼロス何てこった…。兵士達が倒されて…
ゼロスおいおい、まさかここまで踏み込まれちまってるのか…!
クロエ何て事だ…
シルヴァラント兵うっ…
クロエ無事か、しっかりしろ!
シルヴァラント兵あ…あなたは、ゼロス様…?お逃げください…敵が…
ゼロス侵入者の事は知ってる。それより、コレットちゃんとロイドはどこだ?
シルヴァラント兵…神子様は…洞窟の奥です…。賊が到達する前に、ロイド殿と共に避難するようお願いしました……
ゼロス洞窟の奥…。その賊も二人の後を追っただろうな
クロエ侵入者は、誰だ?賊って…赤の騎士団ではないのか?
シルヴァラント兵…正体不明の二人の男です。顔を覆い隠していましたので、詳しい事は私にも……
クロエ二人の男だと…?たった二人でこれだけの兵を倒したというのか…?
シルヴァラント兵…こうはしていられません。私も…神子様の後を──…うぐっ…
ゼロス無理すんなって。そんな身体で行ったところで、何が出来んだよ
ゼロスコレットちゃん達の事は、俺さま達が何とかする。お前は大人しくここで寝とけ
シルヴァラント兵…気をつけてください。二人共相当な剣の使い手です。片方は凄まじい威力の術を使います
ゼロス…やっかいな相手だな
クロエワイルダー。お前はここに残って身を潜めていてほしい
ゼロスはぁ?何言ってんだよ、クロエちゃん
クロエ自分の立場を忘れたのか。お前も神子なんだぞ。狙われているのは、お前だって同じだ
クロエそれなのに、わざわざ敵の前に、身をさらしに行ってどうする
ゼロス…ふっ、ようやく俺さまの事をお前って呼ぶようになったな
クロエす、すまない。つい…
ゼロスいや、その方がずっといいぜ。距離が縮まったって感じがしてよ
クロエこんな時にまでふざけた事を…
ゼロスでひゃひゃ!とにかく、俺さまも一緒に行くぜ
ゼロス相手は二人って話だが、兵士達のやられっぷりからすると、ただ者じゃないって事は明らかだ
ゼロスそんなところにクロエちゃん一人で行かせられるわけねーだろ
ゼロス俺さまに任せとけって。ちゃんと守ってやっから
クロエなっ、それは私の役──
ゼロス…あの二人の事も、必ず
クロエワイルダー…
クロエ…わかった。なら、一緒に行こう
ゼロスおう、そう来なくっちゃな!
クロエ例え何があったとしても、お前の事は私が守る
ゼロス言うねぇ、クロエちゃん。今俺さまグッときちゃったぜ
ゼロス…よし、行くか
scene2侵入者
ロイド
コツ…コツ…
ロイド…!お前は…
ルークロイド…
ロイドルーク!ルークじゃないか
ロイド…はあ、何だよもう。てっきり敵だと思って身構えちまったじゃないか…
ロイドでも、何でキムラスカのお前が?ひょっとして国王が応援を要請してくれたとか?
ロイド何にしても助かった。お前が来てくれて、すげー心強いよ
コレットロイド…?だいじょぶなの?
ロイドあ、コレット!安心しろ、ルークは仲間だ。出てきても大丈夫だよ
ロイドほら、よく話してただろ?光の神殿で一緒に戦って、大精霊の時にも…
コレットあっ、この人が…!
コレットえと…初めまして、コレットです。ロイドからあなたの事はよく聞いてたの
ルーク…ひょっとして、こいつが神子の…?
ロイドああ。神子で、俺の幼なじみでもあるんだ
ルーク幼なじみ、か…
ロイド…?
ロイドあ、そうだ。それより、今はどういう状況なんだ?
ロイドお前がここに来れたって事は、ひょっとして、例の侵入者はもう捕まえられたって事か?
ルーク
ロイドルーク?…何だよ、黙りこくって。まさか、どこか怪我したとか…
ルークロイド…。俺は…
ロイドルーク…?
ルーク……出来ればお前とは戦いたくねえ。だから──
ルーク神子を…。コレットを引き渡してくれ
ロイド…どういう事だ?シルヴァラント国王からの命令か?それともキムラスカの──
ルーク…それは言えねぇ。とにかく、俺はコレットを連れて行かなくちゃなんねーんだ
コレットえ…?
ロイドおいルーク、お前、何言ってんだ…?…変な冗談はやめてくれよ。何で、お前がコレットを──
ルーク…冗談でこんな事言えるかよ。マジだ。大マジだっつーの…
ロイド…本気、なのか?もしかして、侵入者っていうのは…
ロイド嘘だよな?お前が兵をなぎ倒して来たってのか?
ルーク……
ロイドそんな…!何でだよ!何で、お前が…
ルーク神子の力が必要なんだよ!このままじゃ、取り返しのつかねー事になっちまう!
コレット取り返しのつかない事…?
ロイド事情があるなら話してくれ!そしたら、こんな事しなくても協力する事だって出来るかも──
ルーク駄目だ…!そいつは言えねえ…
ルーク……けど、信じてくれ。コレットの身は安全だ、悪いようにはしねえって約束する
ルークお前にもいつか絶対全部話す!
ルーク…だから、頼む。今は何も聞かねーで、神子を渡してくれ
ロイドルーク…
ロイド…駄目だ、それだけは聞けない。いくらお前の頼みでも、だ
ロイドルークは大切な友達だ。けど、俺にも守らなきゃいけない大切な約束があるんだ
ロイドコレットを渡すわけにはいかない…!絶対に…
ルークどうしても駄目なのか…?なら、俺は──…
ルークくっ…
チャキ…
ロイド…!本気、なんだな?お前が俺に剣を向けるなんて…
ルーク俺だってこんな事はしたくねー!お前と戦うなんて…
ルーク…けど、こうするしかねーんだ!最悪の事態を避けるためには、神子が必要なんだよ…!
ルークせやっ!
カキーンッ
ロイドくっ…!やるしかないのか…!
ロイドはあっ!
コレットロイド!ルーク!やめて!友達なのに…!
カキーンッ
ルークちっ…!このわからずやが!
ロイドどっちがだ!
コレットどうしてこんな事に…!
ロイドコレット、ここは危ない!離れてろ!
コレットでも…
ロイドいいから、早く!
コレットう、うん…
ルーク…ロイド、もう一回だけ聞くぞ。本当に、本当に神子を渡す気はねーのか?
ロイドコレットは渡さない!何度聞かれたって、その答えは変わらない!
ルーク……だったら、仕方ねえ。悪く思うなよ
チャキッ
ルークうおおおおおっ!
ロイドくっ…!
scene1目の前にある事実
クロエワイルダー!そこにも兵士が倒れている…!
ゼロスくそ…ここもかよ。おい、しっかりしろ!
シルヴァラント兵う…う…
クロエ隠れ家とその周辺警備を命じられた兵士達は、いずれも国の精鋭と聞いている
クロエそれが突破されるとは…。敵は一体何者なのだ
ゼロス…妙だな。これだけの兵士が倒されてるってのに、今まで一人も致命傷には至っていない
ゼロスただの偶然とは思えねぇな…
クロエ…私も同じ事を思っていた。手加減が出来る、という事は逆に相当腕が立つ証拠…
ゼロス何か、空恐ろしいというか…気味が悪ぃぜ
クロエ今はあれこれ考えている暇はない。先を急ごう。メモによればこの先が最深部だ
ゼロスコレットちゃん、ロイド…。二人共無事でいろよ…!
ゼロスこんな広い空洞部があるなんて…
クロエおそらくここが最深部だろう。二人はどこに──
ゼロス…!あれは…
ロイド
ゼロスロイドっ!!おい、しっかりしろ!
ロイドう…ぐ……
ゼロス一体何があった!?お前がこんなにやられるなんて…
クロエ貴公一人か?コレット殿はどこへ…
ロイドコレット…
ロイドそうだ、コレット!
ロイドコレット、どこだ!?いないのか!?
クロエ…ここには、誰もいないようだ
ゼロスやっぱりコレットちゃんも一緒だったのか…。となると、敵に…
ロイドそんな…!くそ…くそっ!!
ロイド何でこんな…!絶対守るって約束したのに…コレット…!
ゼロスロイド、落ち着け
クロエ…アーヴィング殿。侵入者の姿を見たか?どのような輩が一体こんな…
ロイド
ロイドルークだ…
ゼロス何だって!?ルークって、あのルークか?キムラスカの…
ゼロス…冗談、ってワケじゃなさそうだな。あのルークがコレットちゃんを攫うなんて──
ロイド俺だって信じたくはなかった!今だってまだ信じられない…
ゼロスルークとは友達だったんだろ?信じたくないのも、無理ないわな。
ロイド正直さ、よくわからないんだ…。あいつが俺達の前に現れて、神子を渡せって…
ロイド勿論俺は断った。それでもあいつは…退かなかった
クロエそれで戦いになったのか…
ゼロス相手はルーク一人だったのか?敵は二人って聞いてたんだが
ロイド二人…?いや、俺の前に来たのはルーク一人だったぞ
ロイドルークと一対一でやりあってて…
ロイドあれ、待てよ…?そうだ…戦ってたら、突然背後からすごい衝撃が来て…
ロイド目の前が真っ白になって…。その技のせいで気を失ったんだと思う
クロエもう一人が、アーヴィング殿の背後から技を放った、という事か
クロエそれまでは、物陰で様子を見ていたのだろう。そして、神子のコレット殿を…
ロイド…まさかあの場にもう一人いたなんて…
ゼロスとにかく、コレットちゃんが攫われちまったって事は間違いなさそうだな…
ゼロスルークの野郎と、そのお仲間に…
ロイド…くそっ!どうしてルークはコレットを…
ロイド素直じゃないところもあるけど、すっごくいい奴なんだ。こんな事するなんて信じられない…!
ゼロス
ゼロスお前の気持ちはわからなくねーけど、友達が裏切るような事をしたのは紛れもない事実だ
ゼロスいつかの俺さまみたく、何か事情があんのかもしれねえし…本人に聞くしかねぇよ、こればかりは
ロイドゼロス…
クロエワイルダーの言う通りだ。今は、事実を受け止めるしかない
ロイドそれは、わかってるけど…
ダダダ…
クロエ足音…!誰か来る…!
ゼロスおいおい、今度は誰が来るってんだ…
ダダダッ…
ロイド…足音は一人じゃなさそうだ
ゼロス団体さんかよ…。…ん?あいつらは──…
scene2目の前にある事実
ロイド…足音は一人じゃなさそうだ
ゼロス団体さんかよ…。…ん?あいつらは──…
クラトスロイド!無事か!?
クロエあれは…アウリオン殿!
クラトスクロエか…?それにゼロスも…。お前達もここに来ていたのか
クロエ私達も今さっき到着したところです
スタンはあ…無事で安心したよ。でもまさか、ゼロスまで一緒にいるなんてな
ゼロススタン!?お前何でここに…って、ルドガーやエリーゼちゃんまで…何がどうなってんだ?
ルドガー俺達は、君達神子の行方を捜してメルトキオを訪ねていたんだ
ルドガーそこに、突然知らせが入って隠れ家襲撃の事実を知ってね
エリーゼクラトスにお願いして同行させてもらったんです…
ティポみんなで助けに来たんだよー
クラトス隠れ家の場所は本来機密事項だが、急を要する事態だったからな…
クラトス彼らの人となりや実力を信じ、私が特別に同行を許可したのだ
ゼロスそういう事か。見かけねえ野郎もいるみたいだが…
ルドガーそうか、初対面だな。紹介するよ。スレイ、それとヴェイグだ
ルドガーあと、他にも何人か仲間がメルトキオに残ってる
ヴェイグ…よろしく
ゼロス俺さまはゼロス…って、あれ?スレイ…だっけ?お前の方は何かどっかで見た事あるような…
スレイはい、ゼロスさんとは前に一度、メルトキオの遺跡で会った事が…
ゼロスあ、思い出した!確か遺跡で生き埋めになりかけてた、あの時の!
スレイえっと…。別に生き埋めになりかかってたわけじゃ…
クラトス——それより、ゼロス、ロイド。コレットはどこにいる?
ロイド
クラトスどうした、ロイド。まさか…
ゼロス…クラトス、俺から話す
スタンそんな…!ここを襲ったのは、本当にあのルークなのか?
スタン信じられない…。そんな事する奴じゃない!
ルドガー…君達を疑うわけじゃないけど、俺もにわかには受け入れられない
ゼロス…お前らの言いたい事はわかるぜ。でも、これが事実だ…
エリーゼ何か事情があったんじゃないでしょうか…。でも…
ヴェイグ例え事情があったとしても、許される事ではない…
スレイコレットは大丈夫かな…
クロエ悪いようにはしない、ファブレがそう話していたと言うが、それもどこまで信じられるか…
ロイド俺はルークの言葉、信じてやりたい。でも、ルークの仲間って奴がそれを守るかは、わからない…
クラトスこれまでの大体の経緯がわかった。…少々厄介な事になりそうだ
クラトスあくまで推測だが…ルークの行動は、キムラスカの意志が絡んでいる可能性がある
ロイドキムラスカの…?
クラトスああ。彼は王位継承権を持っている。関係があると考えるのが普通だろう
スレイ神子が攫われたのが、キムラスカの指示…?
ヴェイグキムラスカまで天啓を得ようと動き出していると?
エリーゼそんな…。キムラスカの目的も自国の利益のため、なんでしょうか…
スレイ真相はわからないけど…今回のコレットの事といい…
スレイ天啓を巡る混乱は、どんどん大きくなってる気がする。世界中を巻き込むくらいに…
ルドガー…天啓、か
ルドガー戦争にだってなりかねないのに…各国がこれほどまでに天啓を欲しがるのは何故なんだ…?
スタン晶化現象で世界中が力を合わせないといけないって時に…
ティポ一体どうなっちゃうのー?
ロイド
クラトスとにかく、ここでずっと話していても仕方がない
クロエそうですね。一旦外に…
ガサッ…
ゼロスおい、そこに何かいるぞ!
グオオオオオ!
スタンこんなところに魔物が!?
scene3目の前にある事実
ティポふー。やっと外に出られたねー
スレイ来た時も思ったけど、随分入り組んだ場所だな…
エリーゼはい…。一人だったら、絶対に迷ってました
ロイドコレット…
クラトス…自分を責める気持ちもわかるが、あまり気に病むな、ロイド
クロエアウリオン殿の言う通りだ。自分を責めるのはよせ
ロイド…わかってる。何ていうか、ただ頭の整理が追いついてないだけだ
ゼロスロイド…
クラトス…ともあれ、コレットを攫ったのがルークだという事は事実だ
クロエはい…。国王陛下に報告しなければ…
クロエそうなると、キムラスカと我が国は緊張状態になるでしょう
ヴェイグ今後の成り行きによっては、最悪、戦争という可能性もある…
スレイ戦争…
エリーゼそんな…!怖い…です…
ゼロス赤の騎士団の動きもあってウィンドルとうちの国もぎくしゃくしちまってるし…
スタンそれに、ア・ジュールも何か企んでいるみたいだ
ルドガーそんな状況で、シルヴァラントとキムラスカが戦争なんて事になったら…
ゼロスウィンドルやア・ジュールも黙っちゃいねぇかもな…
スレイそんなの、絶対に駄目だ…!どうにかして止めないと…!
エリーゼクラトス…。王様に戦争をしないように頼んでもらえないですか?
クラトス…私自身も勿論、お前達同様、戦争は是が非でも避けるべきだと考えている
クラトスそれは、国王陛下も同じだ。これまでも、常に他国との関係を良好にするべく努めていらした
スタンそれなら…
クラトス…だが、キムラスカの関係者によりコレットが攫われてしまった事は、紛れもない事実だ
クラトスさらに、今回の一件で、我が国の多くの兵達は負傷している…
クラトス…言ってみれば、キムラスカへ報復する材料は揃っている状況だ
ロイド報復だって…!?そんな…!
ロイドルークの行動にキムラスカ王家が関わってるとはまだ言い切れない
ロイドなのに、報復なんて…
クラトス無論、状況が不明瞭な今、すぐにその決断が下される事はないだろうが、最悪の場合…
ロイド
ロイドなあ、クラトス。ルークの件、国王へ報告するのは待ってくれないか
ヴェイグ…ルークは友であるお前に剣を向け、幼なじみを誘拐したんだぞ。それでも庇うと言うのか?
ルドガーヴェイグ…
エリーゼ
ロイド違うんだ、ヴェイグ。ルークを庇うわけじゃない。ただ俺は、確かめたいんだ
ロイド…ルークと剣を交えた時、俺には迷ってるように見えた
ロイドあいつってさ、口は悪いし乱暴だし、人から誤解されやすいところもある。けど、根は優しくて、まっすぐでさ
ロイド一緒に戦った時の事…思い返せば思い返すほど、今回のルークの行動が変に思えるんだ
ロイド本当の事がわかるまで…俺は、ルークを信じたい。友達だからな
スレイロイド…
ゼロス…ったく、ロイドくんはほーんとお人好しだなぁ…
ゼロスお前がそこまで言うなら、俺さまもルークを信じる事にするか
ロイド…?
ゼロス覚えてるか?ロイド。前に俺が今のルークと同じように、コレットちゃんを攫った時の事
ゼロスあの時の俺には、いろーんな事情があってさ…
ゼロスでも、お前だけは何があっても俺の事を信じてくれてた
ゼロス…だからよ、何ていうか、今回は俺さまもルークの野郎を信じてやろうかなー…って
ロイドゼロス…
ゼロスほら、ハニーが言うみたいにあいつがマジでわけありだったら、ちょっとかわいそうじゃね?
ゼロス…まあでも、それで別に理由なんか何もなかったらそれこそぶっ飛ばしてやるけどな
クロエワイルダー、お前…
スタンゼロス、やっぱりお前いい奴なんだな!…うん、俺も二人と同じ意見だ
スタン大精霊の暴走の影響でこの世界が危ないって時も、ルークはいつも一生懸命だった
スタンリオンと一緒で素直じゃないところもあるけど、…でも絶対理由もなくあいつがこんな事するとは思えない
スタン…俺もルークを信じたい
スレイ…そのルークさんって人、みんなから信頼されてるんですね
ルドガー…ああ。同じものを目指し、共に戦った仲間だからね
スレイ仲間……
ヴェイグ…みんなのルークに対する気持ちはわかった。では、もう一人の男の方はどうだ?
ヴェイグルークは一人で動いていない。その男が何か今回の鍵を握っているんじゃないか?
ゼロス相当な強者らしいな。しかもこの手際のよさ、ルークの仕業と思えねぇ
クラトスここも、内部構造を把握していなければ必ず迷う。国家機密であるはずの情報をどこで手に入れた?
ロイドそいつの顔、誰も見ていないんだよな…。俺も存在に気付けなかった…
ゼロス…どっちにしろ、現状じゃ情報が少なすぎるだろ。ルークの方から当たるしかねぇな
ゼロス…てなわけで、クラトス。俺は今からキムラスカへ行ってくる
クロエキムラスカだと?それは、もしかして…
ゼロス勿論、真相を確かめに、だ
ゼロス今回の件にキムラスカが噛んでない事を証明しねーと大変な事になっちまうだろ?
ゼロスあと、ルークの情報も知りたいしな。何のためにこんな事をしたのか、今どこにいるのか
スレイ確かに、ルークさんの事がわかれば、コレットの手がかりも何かか掴めるかもしれない
クラトスしかし、この状況下で神子であるゼロスを一人、行動させるわけには…
ロイドなら、俺がゼロスと一緒にキムラスカへ行く。それなら問題ないだろ?
クラトス…止めてもお前達は聞かないだろう。だが、何者かに神子が攫われた事は報告せざるを得ない
クラトスとなれば、国王陛下も速やかに真相究明に乗り出すはずだ
クラトスそうなってしまったら、いくら私でも事実を隠し通す事は出来ないだろう
ロイドとにかく急げって事だよな。勿論、端からそのつもりだ
スレイゼロスさん、ロイド。オレ達も同行させてください
ゼロススレイ…お前達も、か?
スレイうん。コレットがこんな事になって放っておけない
ヴェイグ…そうだな。コレットはキムラスカに連れて行かれた可能性もある
ヴェイグ俺達にも、コレット救出の手助けをさせてくれ
ロイドスレイ、ヴェイグ…。すっげー心強いよ、ありがとな
スタンコレットも勿論だけど、ルークの事も気がかりだな…
ルドガーああ、事実を確かめたい。ルークの真意は何なのか、キムラスカの意向は何なのか…
ルドガーじゃないと、最悪の事態を避ける事は出来ないからな
エリーゼわたし達に出来る事なら何でもします…!
ティポぼくもハリキって頑張っちゃうぞー
ゼロスよーし、ならみんなで行こうぜ。いいよな、ハニー?
ロイドああ、勿論だ!改めてありがとう、みんな
クロエ心強い仲間がたくさんいるんだな、ワイルダー
ゼロス…まあな
ヴェイグなら、まずはメルトキオに戻り仲間と合流しよう
スレイうん!その後大急ぎでキムラスカだ!
クラトスメルトキオまでは私達も同行させてもらおう。行くぞ、クロエ
クロエはっ、わかりました。アウリオン殿
ゼロス
ゼロスコレットちゃん、それに、ルーク…。二人共待ってろよ…

NameDialogue
scene1捜索
ティア──本当にこの森にルークがいるの、ミュウ?
ミュウはいですの!ここでご主人様を見かけたって、街の人に教えてもらったですの
エミル今度は見つかるといいね、ルーク
ティアごめんなさい、エミル。騎士であるあなたまで付き合わせてしまって
エミル国王陛下のご命令なんだからティアが謝る必要なんてないよ
エミルそれに、ルークの事は僕もマルタも心配してたんだ
ティアみんなに心配をかけて…。ルークは本当にどこに行ってしまったのかしら
エミル何か大変な事に巻き込まれてなければいいんだけど…
ミュウご主人様、心配ですの…
エミルルークはある日突然屋敷から姿を消してしまったんだよね
ティア…以前から、屋敷を抜け出して勝手に出かける事はあったけど何日も戻らないなんて事はなかったわ
ティア今思い返してみれば、こうなってしまう兆候はあったのかもしれない
ティアでもあの時の私は、晶化現象や人々の不安の事ばかり考えていたんだわ
ティア……こんな事ならもっとルークに注意を向けておくべきだった
エミル仕方がないよ…。実際、ティアは調査に駆り出されたりすごく忙しそうだったし…
ミュウそうですの。ティアさんは悪くないですの
ティアいいえ、私は彼の教育係よ。ルークがいなくなった事は私の責任でもあるわ
ティアとにかく、早くルークを見つけて屋敷に連れ戻さないと
エミルうん、そうだね。とりあえず、周辺を捜してみよう
ミュウはいですの!
scene2捜索
ミュウご主人様、いないですの…
ティアここも空振りみたいね…
エミル今歩いてきた限りだと、この森は建物もないし…ここに留まってるとは考えにくいね
ティアルークを見たという話はいくつか耳にしたけれど、そのどこにも姿が見当たらないなんて…
エミル一箇所に留まらず、各地を転々としているって事かな…?
ミュウご主人様、どこに行ってしまったですの…?
ティアガイがウィンドル方面まで足を伸ばして捜索しているらしいけど何か手がかりを掴んでないかしら…
エミルどうだろうね…。何かわかるといいんだけど…
エミルそういえばティア、ルークに兆候があったって言ってたよね。何があったの?
ティアそうね…。無断で屋敷を抜け出す事は今までにもあったんだけど…
ティア失踪直前は、長時間の無断外出が多くなって…。問い詰めてみたら街の外まで出かけてるみたいだったわ
ティアそんなに長い時間出かけるなんて一体どんな用事なのかしら、と思ったんだけど…
ミュウボクも気になっている事があるですの
ミュウ長いお出かけから帰ってきたら、ご主人様、いつもご機嫌だったですの
ミュウだから、お出かけしようとした時ボクも一緒に行きたいってお願いしても絶対ダメだって…
ティアルークがご機嫌…?何をしに行ってたのかしら…
ミュウガイさんはかわいい女の子に会いに行ってるんだろって言ってたですの…
ティアえっ…
エミルルークに限ってそれはないんじゃ…
エミルあ…そういえば、僕もルークの事で思い出した事があるよ
エミルいなくなる何日か前、街中で偶然ルークと会ったんだ
エミル声を掛けたんだけど、そわそわして落ち着きがなくて…話を早く切り上げて行っちゃたんだ
ティアますますわからないわ。本当に女の子と会っていたとも思えないけど…
エミルルークが一人で出かけるようになったのはいつから?
ティアそうね…エミルも覚えているかしら。旅の行商人が街を訪ねて来て…
エミルああ、珍しいものをたくさん売りに来てたね。お蔭で街がすごく賑わって…
ティアええ。確かその日、私はルークを捜しに街に出て——
ティア…!
ティアまさか…ううん、気のせいよね…
ミュウティアさん?どうかしたですの?
ティア…な、何でもないわ
ティアそれより捜索を続けましょう。ここにはいないみたいだし、最寄の街に行ってみてはどうかしら
ミュウいい考えですの!ご主人様も、お腹が空いて街でお食事中かもしれないですの!
エミルなら、ルイニス街だね。ここからだと一番近いと思う
ティアルイニス街ね。行ってみましょう
ガサ…!
ミュウみゅ?今、そこの草むらで何か…
ガルルルル!
ティアミュウ、危ない!魔物よ!
scene1強面の人気者
エミルあ、ルイニス街が見えてきたよ。もうすぐだね
ティア何かルークに関する手がかりが見つかるといいのだけれど…
ミュウ…!
ミュウティアさん、エミルさん!
ティアどうかしたの?
ミュウ今、すっごく大きな男の人が街の方に向かって行ったですの
ミュウとっても急いでる感じでしたの!
ティア大きな男の人…?
エミル…そういえば、噂で聞いたんだけどこの辺りの村や街が何者かに襲撃される事件が起きてるらしいんだ
エミル少し前にもメルトキオの北の森にある村が被害にあったとか…
ティアそんな事が…
エミルうん。関係ないかもしれないけど、一応警戒はした方がいいかもしれない
ティア…わかったわ。念のため、後を追ってみましょう
エミル街に着いたけど…ミュウが見た大きな男の人の特徴は他にある?
ミュウはいですの。上半身裸で筋肉ムキムキでしたの!
エミルええっ。相当強そうだね、その人…
ティア何者なのかしら…
???こんにちは。旅の方ですか?
ティアええ、そんなところよ
???もしかして、メルトキオの方からいらっしゃったとか?
ティアいえ、私達はキムラスカの…バチカルから
???そうですか…
エミル…?
リリスあ、すみません。突然驚かせちゃいましたよね…!私、リリス・エルロンって言います
リリス少し前に私の兄がメルトキオに向かったんです。以来どうしてるかずっと心配で…
リリスメルトキオから来られた人なら何か話が聞けるかもしれないと思ってつい…
エミルお兄ちゃん?
リリスはい。スタン・エルロンって言うんですけど──
ティアスタン…?ひょっとして、あの…
エミルそういえば…確かにスタンはルイニス街に住んでるって話してたよね
リリス兄をご存知なんですか!?わあ、聞いてみてよかったです…!なら、もしかしてリオンさんの事も…
ティアええ。知っているわ
リリス──ルークさんが戻ってこない…?じゃあ、ティアさん達は、ルークさんを捜してこの街に?
ティアええ。この辺りで彼を見たっていう話を聞いたので、もしかしたらここにいないかと思って
リリスあの…この街でじゃないんですけど私、ルークさんに会いましたよ
ティア…!それは本当なの?
ミュウリリスさん、詳しく教えてほしいですの!
リリスえっと…兄とシルヴァラント港に向かう道中の事なんですけど…
リリス果物を買おうとしていたルークさんに兄が声を掛けたんです
ミュウご主人様、元気そうだったですの?
リリス元気は元気だったみたいですけど…でも、何だかそわそわして落ち着かない様子でしたね
ミュウご主人様そわそわしてたって、エミルさんの話と同じですの…
ティア他に何か覚えてないかしら。誰かと一緒だとか、どこに行くつもりなのかとか…
リリス一人でしたよ。それで、兄が晶化現象について一緒に調べないかって誘ったんですけど…
リリス今はそれどころじゃない、忙しいから私達と一緒に行く事は出来ないって話していました
エミルそれどころじゃない、か…。何の事だろう…?
リリス兄はもっとゆっくり話したかったみたいなんですけど、そのまま立ち去ってしまったものですから…
エミルそっか…。スタンにも話せない事なのかな…?
わああああーーっ!
ティア今の声は!?
ミュウ向こうの方から聞こえてきたですの
エミル…!ひょっとして、さっきミュウが見かけた人が何か…!?
リリスえっ、何かあったんですか?
ミュウさっき、この街にすっごく大きくて強そうな人が入って行くのを見たんですの!
エミル近頃、シルヴァラントで村が襲われる事件があったから、心配になって…
リリスそんな…!大変、今はリオンさんも街にいないのに…
エミルリリスさん、ごめんなさい。真っ先にその事を伝えるべきだった…
ティアエミル、ミュウ!声のした方に行ってみましょう!
リリス私も一緒に行きます!
scene2強面の人気者
エミル見て、向こうに人だかりが…!
ティア誰かを取り囲んでいる…?
ミュウあの人…ボクが見かけた人ですの!
エミル大変だ!男の子が抱えられて…!
ミュウ助けてあげないとですの!
リリスあ!あの人は…!
リリスふふっ。みなさん、心配しなくて大丈夫ですよ!
ミュウみゅ…?
???ガハハハハ!
街の男コングマンさん、随分と久しぶりだねえ
街の女またこの街に来てくれて嬉しいよ
男の子ねえねえ、コングマン!次はぼくを持ち上げてー!
エミル悪い人どころか…
ミュウすごい人気者ですの…!
リリスあの人はコングマンさんって言うんです
リリスお兄ちゃんやリオンさんとも仲がよくて、この街にもよく遊びに来てくれるんですよ
リリス確かに身体もすごく大きいし顔もちょっと怖いですけど、とっても優しくていい人なんです
ティアどうやら私達の早とちりだったみたいね
ミュウみゅううう…
リリスコングマンさーん!
コングマンおう、リリス!元気でやってるか
リリスはい、お蔭様で!コングマンさんも元気そうで安心しました
コングマンおうよ、この通りだぜ。ガハハハハ!
コングマン…と、そうだ。スタンとリオンはどこにいる?急いで話したい事があってな
リリスお兄ちゃんは多分しばらく帰ってこないと思います
リリスあと、リオンさんも今は街の外を見回りに行ってて…。夕方には戻ると思いますけど
コングマンそうか…。何だってこんな時に二人共…
リリス何かあったんですか?
コングマンいや、実はさっき晶化した人間を見つけちまってな
コングマンこの街の近くの森だし、あいつらにも知らせておこうと思って立ち寄ったんだが…
リリス晶化した人間って…そんな…!
エミル晶化現象か…
ティア…晶化現象の被害が、そんなところにまで…!
リリスそれで、その人の様子は…助ける事は出来ないんですか?
コングマンいろいろ試してはみたんだがな…。あの様子だと難しそうだ
リリスそうですか…。リオンさんが街に戻ったら、私も様子を見に行きます
ミュウ大変ですの…
リリス晶化現象の事は、お兄ちゃんやリオンさんもすごく心配しています
リリス今お兄ちゃんが街にいないのも、晶化現象の事を調べに行ってるからなんです
コングマンなるほどな。そういう事情だったか
リリス本当は私もお兄ちゃん達と一緒に行きたかったんですけど、街を狙う不審人物の情報もあって…
リリスそれで、リオンさんと一緒にこの街に残る事にしたんです
コングマン不審人物だと?ったく、混乱に便乗して悪さをする悪党って奴だな
コングマン…よし、そういう事なら俺様もしばらくこの街にいるぜ
リリス本当ですか?そうしてもらえると、すごく心強いです
コングマン任せとけ。ガハハハハ!
コングマン…ところで、リリスと一緒にいるのは誰だ?この街では見かけねえ顔だな
リリスあ!すみません、つい話に夢中になってしまって…
ティア挨拶が遅れてごめんなさい。私はティアと言います。こちらは、ミュウとエミル
エミル初めまして、コングマンさん。よろしくお願いします
コングマンおう、よろしくな!ガハハハハ!
ミュウコングマンさん、いい人だったですの!
リリスふふ、でしょ?
リリスみなさん、お兄ちゃんやリオンさんの知り合いなんです。人捜しでこの街に来られたみたいで
コングマンほう。誰を捜してるんだ?場合によっちゃ、力になれるかもしれねえぜ
ティア実は…
コングマンルーク・フォン・ファブレ…か。うーん…
エミルやっぱり、知らないですよね…
コングマン名前に心当たりはねえが…白い服を着た赤髪の男ってのには覚えがあるぞ
コングマン腹筋が見える服を着ていたな。腰に横に剣を差していて…
ミュウご主人様ですの!間違いないですの!
ティア詳しく聞かせてもらえますか?
コングマンありゃあ、数日前の夜の事だ。俺様はこの近くの森を抜けようとしていたんだがよ
コングマンたき火を囲んで野宿してる二人の男を見かけてな。その一人がそんな身なりだった
エミル…!誰かと一緒にいたって事ですか?
コングマンああ、大柄な男がもう一人な。湖近くの気味悪い森ん中だってのに、えらく楽しそうに話し込んでたぜ
コングマン親子ってほど歳は離れちゃいねえ。かと言って友達って感じでもねえし…ありゃあ、師匠と弟子ってとこか
コングマン山にこもって剣の修行でもしてたんじゃねえのか?
ティア師匠と弟子……
エミル話を聞いた印象だと、ルークみたいだけど…。でも、どうしてそんなところに…
ミュウご主人様と仲良くお話していた人の事も気になるですの
ティア
ティア…二人共、情報提供感謝します。私は、これで失礼します
エミルちょ、ちょっとティア…?話はまだ……
リリス行ってしまいましたね…。突然どうしたんでしょう?
ミュウ何だか様子が変だったですの…
エミルとにかく、ティアを追わないと…。すみません、僕達も行きます
エミルリリスさん、コングマンさん、お話ありがとうございました。街の事もどうかお気をつけて…!
ミュウさよならですの!
コングマンお、おう…
コングマンおいおい、何だありゃ。随分あわただしい連中だな
リリスルークさんの事が、すごく心配なんだと思いますよ
リリスさあ、コングマンさん。私達も今後の事を話し合いましょう
コングマンそうだな。何人たりともこの街に危害を加えさせないぞ!
scene1消えない傷
ティア
エミルティア、待って!
ティアエミル…
エミルはあ…やっと追いついた…
エミルいきなりどうしたの?
ミュウリリスさんもコングマンさんもびっくりしてたですの…
ティア…!そうよね…私…
ミュウティアさん…?何だか悲しい顔になってるですの
エミル何かあったの…?
ティア
ティアルークと一緒にいるのは…私の兄だわ
エミルティアの、お兄さん…?
ティアヴァン・グランツ…あなたも名前くらいは知ってるはずよ
エミルヴァン・グランツ…ってまさか、あの…!
ミュウエミルさんはその人の事を知ってるですの?
エミルキムラスカの騎士で彼の名前を知らない人はいないよ。騎士団の総長なんだ
ティア“元”総長よ。数年前に失踪してしまって既にその地位は解かれているわ
エミルでも、若い年齢ながらにして騎士団の総長まで登りつめたすごい騎士、って聞いてるよ
エミル剣の腕は勿論、人望も厚くて、当時の騎士達はみんな彼に強い憧れを抱いていた…
エミル僕が騎士団に入った時には既に不在だったから、人から聞いた話ばかりなんだけどね
ミュウティアさんのお兄さんはすごい人だったんですの!知らなかったですの!
ティア
エミル…でも、どうしてティアはそのヴァンさんがルークと一緒にいると思うの?
ティア前に一度、バチカルの街中でそれらしい人影を見かけた事があるの
ティアその時は見間違いだと思って、深く気に留めなかったのだけれど…
ティア今思うと、やっぱりあれは兄さんだったんだわ
エミルそれはいつ頃の事?
ティア旅の行商人が街に来た日…。ルークが頻繁に一人で出かけるようになった時期に重なるわ
エミル…!
ティアさっきの話を聞いて、思い当たったのよ
ティア兄さんは失踪する前、ルークに剣術を指導していたの
ティア彼は兄さんの事を師匠と呼んで、なついていたわ
ティア兄さんが姿を消した時は、食事もろくに取れないくらい落ち込んでしまうほどにね
ミュウご主人様…
エミル…でも、本当にヴァンさんだとして何でルークが?
エミルヴァンさんがいなくなってから、随分経つはずだし…
エミルそれに、本当に街に帰ってきたんならまずは誰より先に妹のティアに会いに来るはずじゃ──
ティア…それはどうかしら
ティア何も告げずに姿を消しておいて今さら──
ティア
ミュウティアさん…?
エミルティア…
エミルごめん、その…何ていうか──…
ティアいいの、気にしないで
エミルえ、えっと…よければコングマンさんの話していた湖の辺りに行ってみない?
エミル何か手がかりが掴めるかもしれないし
ミュウボクもエミルさんに賛成ですの!ティアさんも一緒に行くですの
ティア…そうね
ティア…行きましょう
scene2消えない傷
ミラ──それにしても、まさか隠れ家を襲撃したのがあのルークだったとはな…
ジュード…うん。僕も未だに信じられないよ
ゼロスんなの、俺さま達の方がびっくりしたっての。なあ、スタン
スタンうん、そうだな
ライラ直接対峙されたロイドさんはショックも大きいですよね…
ロイド…確かに、最初は頭が真っ白になっちまったけど…
ロイドでも、今はもう大丈夫だ。あいつを信じるって決めたからさ
エリーゼバチカルでルークの事がわかれば、コレットの居場所についても手がかりがあるかもしれません…
ティポ何か情報があるといいねー。悪い事じゃないといいけどー
ヴェイグ…キムラスカの陰謀だとすれば何も教えてもらえないかもしれないが…
スレイうーん、そうだよな。争い合うような事にならないといいんだけど…
ミクリオそのルークって人が王族である以上、国ぐるみの意図と捉えるのが自然だと思う
ミクリオルークの同行者の素性もわからないから確定は出来ないが…
ミクリオそもそも、よそ者の僕達に国の内情を簡単に教えてくれるとは思えない
ルドガーバチカルにはティアやガイ、エミルにマルタ、俺達の知り合いも数多くいる
ルドガー彼らなら何か事情を知っているかもしれないし、協力を仰ぐ事も出来るだろう
スタンとにかく、行けば何とかなるさ。心配してもしょうがない
スレイうん、そうだな
ライラ…ところで、そのバチカルまではまだ距離があるのでしょうか?
スタンああ、えーっと…まだ半分ってとこじゃないかな
ゼロス何なに〜?ライラちゃん、ひょっとしてお疲れ?だったら、俺さまがおぶって──
ライラまあ、ゼロスさんったら。お気持ちだけで十分ですわ
ゼロスそ、そう…
ゼロスじゃあ、ミラさまどう?あ、それかエリーゼちゃんでも──
ミラ・エリーゼ
ヴェイグお呼びではないそうだ
ゼロスとほほ…
エミル──コングマンさんが言ってたのは確かこの辺りだと思うんだけど…
ミュウ何だか薄暗くて怖い森ですの…
ティアそうね。まだ昼過ぎだというのに陽の光がほとんど入ってこないし──
ティア…!
ティア二人共、これを見て
エミルたき火の跡だ…!そんなに日にちは経ってないみたい。誰かがいたのは間違いなさそうだよ
ティアコングマンが言っていた通りね。やっぱり、ルークがここに…
エミルリリスさんもシルヴァラント港へ行く前にルークと会ったらしいし…この辺りで何かしていたのかな…?
ティアルーク…。シルヴァラントで何を…?
ガサ…
ミュウ何かいるですの!
ガルル…
エミル魔物だ…!それに…
ガルルルル…
ミュウ囲まれてしまったですの…!
ティア一斉に目の前の敵を片付けるしかなさそうね。誰かがやられたら背後を取られるわ
エミル…そうだね。じゃあ、僕が合図をしたら攻撃開始だ。二人共、準備はいい?
ティアええ、いつでもいいわ
ミュウわかったですの!
エミルよし、今だ!
scene1追憶
ティア──何とか魔物は倒せたわね
エミルふう、よかった。どうなる事かと思ったけど…
ティア二人がいてくれて助かったわ。ありがとう、エミル、ミュウ
エミルこちらこそ。それじゃ、もう少しこの辺りを…
ガルルルル!
ミュウみゅ?
ティア魔物…!?まだ残って…
エミルミュウ、危ない!
???はあっ!
ザシュッ!
グオオオオーーーッ!
???…ふぅ、間に合ってよかった。大丈夫?
ミュウた、助かったですの!感謝ですの!
???どういたしまして。怪我がなくて本当よかったよ
ティアありがとう。ミュウを助けてくれて
???いえ、お礼なんて。オレは、たまたま近くを通りかかっただけなんです
???おーい!スレイ!ったく、どこ行ったんだ?
???確かこっちの方に走って行ったはずだが…
ミュウまた誰か来るですの…!
???…スレイ、全く君は。何も言わずに走り出したら心配するだろう
スレイごめん、ミクリオ。この人達が魔物に襲われそうになってるのが見えたから、つい反射的に…
ミュウこの人はボクを助けてくれたですの!怒らないであげてほしいですの…
ルドガーん?君はミュウ…?それに、ティアとエミルまで…
ティアルドガー!?どうしてあなたがここに?
スレイルドガーさんの知り合いだったんですか?
スレイ…あれ、ちょっと待てよ?ティアさんとエミルさんってどこかで聞いたような…
ゼロスおいおい、もう忘れたのかよ。さっき話しただろ、バチカルに俺さま達の知り合いがいるって
ゼロス…いや〜、でもまさかこんなところで愛しのティアちゃんに会えるなんて俺さま運命感じちゃう
スタンうん、本当に驚いたよ。ちょうどティア達のところにも行こうって話してたから
ティアゼロス、それにスタンまで…。私達のところへ来ようとしていたってどういう事かしら
エリーゼあの、わたし達…いろいろと知りたい事があってバチカルを目指してたんです
エミル知りたい事…?
ティアルークがシルヴァラントの神子を!?そんな…まさか信じられないわ…
ミュウそうですの…。ご主人様がそんな事するわけないですの…!
ジュードティア、ミュウ…
エミルみんなの事を疑うわけじゃないけどやっぱり僕も信じられないよ…
ロイド…みんなの気持ちはわかるよ。実際にルークを目の前にした俺だって最初は何が何だか…
ロイドでも、俺が目覚めたらコレットがいなくなってた。直前まで剣を交えてたルークも…
エミル
ミュウご主人様…
ティアでもどうして…ルークがそんな事を…
ルドガーそれを確かめるために、バチカルへ行こうとしてたんだ
ティア確かめる…?
ゼロスルークの真意も勿論だが、キムラスカ国王や国そのものが関わっていたのかどうかを、だ
ゼロスその答えによっちゃ、キムラスカとシルヴァラントで戦争が起きちまうかもしれねぇ
エミル戦争って、そんな…
ティア…あなた達が知りたいと言っていたのはこの事だったのね
ティアルークに関して言えば、そんな大それた事をするわけない、そう言いたいところだけど…
ルドガー何かあったのか、ティア?
ミュウ実はご主人様…しばらく前から行方不明なんですの
ヴェイグ行方不明だと…?
エミルうん…。僕達も今ちょうどルークの行方を追っていたところなんだ
ティアけど、ルークが陛下の命で行動しているという可能性は低いと思うわ
ヴェイグ…それはどうしてだ?
ティア新たな天啓にまつわる情報はキムラスカにも入ってきているわ
ティア拡がる晶化現象…
ティアその不安もあいまって、どこの国も天啓に対する関心が高くなっている…
ティアそんな中でインゴベルト陛下はウィンドルとシルヴァラントの関係が悪化しつつある事を懸念されていたわ
ティアそんな陛下が火に油を注ぐような事をそれもルークにさせるなんて考えられない
ティアルークの事を心配されて騎士団や私に捜索を命じられたのも、他ならぬ国王陛下だもの
ルドガーなるほど…。確かに、今の話を聞く限りキムラスカは関わってなさそうだ
エリーゼじゃあ、ルークは自分で…?
ゼロス…そいつはどうだろうな。神子をさらうって事は、目的は天啓絡みだろうし…
ゼロスルークの野郎があんなもんに興味を持つとは思えねぇ
ゼロス前にヴェイグが言ってたけどよ、あいつと一緒にいたお仲間の入れ知恵なんじゃねぇか?
ティア仲間…?
スタンああ、隠れ家を襲撃したのはルークともう一人、男が一緒だったらしいんだ
ヴェイグ複雑な内部構造を完全に把握し、更には、厳重な警備態勢の中たった二人で神子をさらったそうだ
ヴェイグ相当な強者である事は確かだが、そいつが何者なのか、尻尾すら掴めていない
ティア…………!
ライラティアさん、どうかされましたか?顔色が…
ティア…その人物に心当たりがあるの
スタン本当か!?ティア!教えてくれ、一体誰なんだ?
ティア……私の兄よ
ジュードなっ…
ロイドティアの兄貴だって…?
scene2追憶
ルドガー──なるほど。そんな事情があったのか
スタンルークが師と慕っていて、一緒にここで野宿をしていた…
スタンそれを聞くと、神子をさらいに来たもう一人の男はヴァンさんっていう気もするけど…
ロイドヴァンとルークは何でこんな事を?
ティアそれは…私にもわからないわ
ティアでも、これまで集めた情報からして、兄さんが関係しているのは間違いないと思う
ティア神子の隠れ家を突き止めて中の構造の情報を手に入れ、大勢の警備を倒す…
ティア兄さんならそれくらいはやってのけるはずよ
ティアルークが私だけでなく、ガイにまで何も告げず、行方をくらますなんておかしいとは思っていたのだけど…
ティアそれが、ルークが深く慕っている兄さんの指示によるものなら合点がいくわ
スレイヴァンは、ティアさんのお兄さんなんですよね?何か話を聞かされてなかった?
ヴェイグ…それに、自分の兄がそんな事をしたとどうして言い切れるんだ?
エミルそれは…
ティア…いいのよ、エミル。私が話すわ
ティア数年前に失踪したきり、私は兄さんとは一度も会っていないの
スタンどうしてヴァンさんは失踪したんだ?いつから?
ティア昔、キムラスカで盗賊の暴動に端を発した大きな内乱が起きた事があったの
ゼロスひょっとして、ソドスの内乱の事か?
エミルゼロスさん、知ってるの?
ゼロスまあ、隣国の事だしな。詳しくは知らねぇが、名前だけは聞いた事がある
ティア激しい戦いの後、争いは終息、兄さんの部隊も役目を解かれたのだけど──
ティア撤収の途中、兄さんは部下達にも何も告げず、突然姿を消してしまったの
ティア…兄さんとはそれきりよ。何のために、どこに行ったのか、私には何一つわからないわ
スレイ…騎士団の総長まで務めたって事は相当すごい人だよね
ティア…私が覚えている兄さんは、戦争をなくしたいという強い正義感と信念を持つ人だった
ティアルークも剣術の師というのを超えて兄さんを慕っていたわ
ティアでも…今となっては私はどこまで兄さんの事を理解していたのかわからない
ティアあんな風に突然いなくなるなんて…
エミルティア…
ジュード大変だったんだね、ティアも…
エリーゼ
ティア…ごめんなさい。今は、私の事よりシルヴァラントとの関係の方が重要だわ
ミクリオ神子の誘拐にキムラスカが関わっていないのは本当のようだけど──
ミクリオ問題は、シルヴァラント国王がその事を納得するかどうかだね
スレイだな…
エミルそういう事なら、インゴベルト陛下に親書をいただけるよう頼んでみたらどうだろう?
エミルキムラスカとシルヴァラントはずっと友好関係を築いてきたし…
エミル陛下の正式な書面があれば、シルヴァラントもキムラスカが関与をしてないって信じてくれるんじゃ…
ロイドなるほど!
ロイド…でも、キムラスカ国王が書いてくれるかどうか…
ティア陛下だって、争いは望まないはずよ。望みはあると思うわ
ゼロスんじゃ、予定通り向かうはキムラスカだ
ミラ国王への取り次ぎはお前達に頼めるか、ティア
ティアええ、勿論よ
ミュウティアさん…ご主人様は無事なんですの…?
ティアそうね…多分、いえ、きっと無事よ。だから今はバチカルに戻って出来る事をしましょう
ミュウみゅうう…わかったですの…
スレイじゃあ、キムラスカへ——
ガサガサッ…!
ミュウ…!今の音は何ですの?
ガルルルル!
スタンみんな、魔物だ!気をつけろ!
scene1不条理な感情
ヴェイグ──ようやくキムラスカに入ったか
ティポえー!まだ入ったばっかりー?じゃあ、バチカルはー?
ミュウもっともっと先ですの!ティポさん、疲れたですの?
ティポぼくヘトヘトだよージュード君おんぶー
ジュードはいはい、騒がないの、ティポ。そろそろ休憩にするかい?
エリーゼそうですね…でも…
スタンいいんじゃないか?みんなそろそろ疲れてるだろうし、ここらで休憩にしても
ゼロスそうだな。野郎はまだしも、か弱い女の子達に無理強いするのはかわいそうだし〜
スレイじゃあ、あの辺りでどうですか?日陰が出来ててちょっとゆっくり出来そうだし
ティポサンセー!そうと決まったら、ミュウ君、早速あっちに行こー!
ミュウは、はいですの…!
エリーゼティ、ティポ!待ってください!
ミラ…やれやれ、疲れているのではなかったのか?
ルドガーはは…。俺達も行こうか
ティポはー、やっと休憩出来るぞー!エリーも早くこっちに──
ぼよんっ
ティポムギュー!
ヴェイグぐ…
エリーゼティポ、前を見なきゃ…!
エリーゼごめんなさい、ヴェイグ…
ヴェイグ何ともない。ティポ、お前の方こそ大丈夫か?
ミュウヴェイグさん優しいですの!
ティポ優しいのー?じゃあ、ぼくここで休むぞー
ヴェイグ
エリーゼティ…ティポ、駄目です!ヴェイグだって疲れてるのに、肩になんて乗っちゃ…
ヴェイグ構わない。こういうのには慣れているからな
ライラまあ!ティポさん、ヴェイグさんの肩にしっくりなじんでますわね
ティポおおー!いつもと眺めが違って見えるー!居心地もバツグン!ミュウ君もおいでよー
ミュウボクもですの…?いいんですの?
ティポほらほら、もう片方の肩が空いてるよ—
ミュウじゃあ、お言葉に甘えて…失礼するですの
ミュウ周りがよく見えるですの!木の上にいるみたいですの!
ティポでしょでしょー?ん?何だこれー!シッポみたいー
ヴェイグむ…
エリーゼ…ティポ!ヴェイグの三つ編みで遊んじゃ駄目ですよ!
ライラふふ、ヴェイグさんは変わった生き物に好かれやすい方なのですね
エリーゼその…すみません、ヴェイグ…
ヴェイグ…大丈夫だ
スレイ──ライラ達、何だか楽しそうですね
ゼロスそうだな。…っていうかよ、スレイ。俺さまずっと気になってたんだけど…
ゼロス何でお前ってそういう硬い言葉使いなわけ?
スタン言われてみればそうだな。俺の事もスタンさんって呼ぶし
スレイうーん…。何でって言われても、特別な理由があるわけじゃないんですけど…
スタン…あれ?でも、ミクリオには普通に話してるよな?
ミクリオそれは慣れだよ。僕達は幼い時からずっと一緒に育ってきたからね
ルドガー慣れ、か…
ルドガーま、別に無理強いする事でもないが、俺達に気を使ってやっているなら、その必要はないな
ゼロスよーし、いい事思いついたぜ。俺さま達でスレイのしゃべり方を特訓してやらねぇか?
スレイしゃべり方の特訓…ですか?
ミクリオそうだな。まずはその、さん付けを取ってみるのはどうだろう?
ミクリオあとは、僕と話す時のようにみんなに接する事を心掛けてみるとか
スタンそうそう。俺達もう友達なんだから、もっと気楽に話しかけてくれよ!ほら!
スレイえーっと…スタン。今日はいい天気です…だ
ミクリオですだって、スレイ。おかしな事言い出してるぞ
スレイははは…ごめんごめん。意識して話し方を変えるのって、案外難しいな
ゼロスなら、俺さまが例文を出してやるから、スレイ、ちゃんと後に続くんだぜ?
ルドガーゼロスの例文…?何か不安だな
ゼロスやぁハニー、今日もきれいだな〜!よかったらこれから、俺と二人きりでデートしないかい?
スレイハ、ハニー?って、誰の事?
ゼロスいいから!ほら、真似してみろって
スレイや、やぁ、ハニー。今日もきれいだ…
スレイ…って、何だか違うような気がするんだけど…
ゼロスはい、深く考えない。次行くぞ!
ゼロスなぁ、そこの子猫ちゃん、俺さまとアツーい夜を過ごさない〜?
スレイ…それ、ビミョーに言い方変わっただけでさっきと同じじゃないか…?
ゼロスわかってないねぇ〜、スレイくんは。女の子のハートを射止めるには適度に砕けなきゃ駄目なんだよ
スレイええっ!?いつから女の子を射止める話になったんだ!?
スレイオレ、こんなナンパみたいなセリフ、恥ずかしいよ!
ルドガーははっ。その調子だ、スレイ
スレイ…ん?
スタン今ゼロスと普通に話してたぞ
スレイ…あ。言われてみれば!
ミクリオどうやら上手い事、誘導されたみたいだね
ゼロスさっすが俺さま!狙い通りだなぁ〜!
ミクリオ…狙ってやっていたようには見えなかったけどね
スレイどっちにしろ、お蔭で自然に話せるようになったよ。ありがとう、ゼロス!
ジュード──大丈夫かな。ヴェイグ、ティポにもてあそばれているみたいだけど…
エミルはは、本当だ。ヴェイグは無口っぽいけどなつかれる何かがあるんだろうね
ジュードエリーゼもみんなと打ち解けられてるみたいだしよかったよ
エミルそれを言うならミュウもだよ。ルークがいなくなってから、ずっと元気がなくて心配だったんだ
ミラそれにしても、厄介な事になったものだな…
ロイド本当にな…。俺がミラと会う時って大体いつもこんな時ばかりだよな
ミラふっ、確かにそうかもしれないな
ロイド…今回はルークの事もあるし今までのとはちょっとわけが違う
ロイドでも、考え込んでる場合じゃないな。…コレットを早く助け出すためにも気合入れないと
ミラ私も出来る限りの事はする。無理はするなよ、ロイド
ロイドああ、ありがとう
ティア
エミル…ティア?
ジュードあれ?エミル、どこかに行くの?
エミルあ、うん少し…!すぐ戻るよ
scene2不条理な感情
ティア
ティア兄さん…
ティアルーク…
ティア一体何を考えているの…?どうしてこんな…
ティアふう…
???…ため息ってね、吐くと幸せが逃げちゃうんだって。知ってた?
ティア誰…?
エミル今のはマルタの受け売りだけどね。…隣、座ってもいいかな?
ティアエミル…。え…ええ、構わないけど
エミル
エミル気に病むなって言われても、難しいよね、やっぱり
ティア…そうね
ティア…ルークったら、本当に何を考えているのかしら
ティアこれまでの出来事で彼もいろいろと学び、経験を積んで成長したものだと思っていたのよ
ティアなのに、こんな大それた事をするなんて…
エミル
ティア晶化現象で国中の人々が不安に陥っている時なのに、それどころじゃなくなってしまったわ
ティアシルヴァラントとキムラスカの関係だって危くなって…
ティア…本当に困ったものね。ルークは自分がした事の意味をわかっているのかしら
エミル
エミル…ティア。ルークは成長してると思うよ
エミルこんな事言ったらルークは怒るだろうけど、最初会った時はわがままなお坊ちゃんって感じだった
エミルでも、命の危機にさらされながら何度も戦って、たくさんの仲間に出会って、彼は変わったと思う
エミルそんなルークが、何の理由もなく混乱を招くような事をするはずない。何か事情があるんだと思う
エミルティアも、本当はそう思ってるんだよね
ティア…そうね。彼はわがままだけど、少なくとも争いを望んだりはしない
エミルティアにとってショックな事が続いて頭が整理出来ないんだよね、きっと
ティア…そう、かもしれないわ
ティア行方不明だった兄さんが突然現れて、ルークと一緒に神子の誘拐に関わっているかも…なんて…
ティア信じられるはずがないわ…。でも…
エミルティア、これだけは聞いて
エミル一人で全てを抱え込もうとしたり、思い詰めたりしないで?
エミル辛い時は辛いって、言っていいんだよ?
エミル僕じゃ少し頼りないかもしれないけど話だったらいつだって聞くし…
エミルそれに、ティアと同じようにルークを信じてる人達がいるよ。僕や、ミュウ以外にも
ティア…そうね
ティアそう言ってもらえて、少し気が楽になったわ。…ありがとう、エミル
エミル…よかった。じゃあ、みんなのところに戻ろう
ティアええ
scene1漆黒の騎士
ルーク
ルークロイド…ちくしょう…!
???う……ん…
ルーク…!
コレット…あれ?ここは…?
ルークやっと起きたのかよ
コレットあなたは…
ルーク随分寝てたよな。腹とか減ってな──
コレット…!
ルーク…怖がらなくていいだろ。何にもしねえよ
コレットあなたは…ルーク?ロイドはどうなったの?
ルーク…あいつなら無事だ。気を失っただけだ
コレット本当…?
ルーク嘘なんかつかねえ
ルークそりゃ…疑うのも無理ねえけど…
ルーク俺だって出来ればあいつと戦いたくなんかなかった。けど…
コレットどうして…
コレットどうしてこんな事してまで、私が…神子が必要だったの?
ルーク……
ルーク世界戦争を止めるためだ
コレット世界戦争…!?
ルーク今、新しい天啓を取り合っていろんな国がいがみあってんだろ
ルークそのせいで、下手すりゃ近い内でっかい戦争にまでなるかもしんねえ
ルークだから、お前をア・ジュールに連れて行くんだ
コレットア・ジュールに…?
ルーク戦争を止められるとしたら神子のお前とア・ジュールだけなんだ
コレット
ルーク…怖がらせちまって悪かった
ルークけど、信じてくれ。ロイドに言った事は嘘じゃねえ
ルーク悪いようにしねーって約束する。ロイドの代わりに、俺が最後までお前を守る
ルークだから、頼む。戦争を止めるために力を貸してくれ
ルーク…嫌なんだよ。戦争とか、そんな馬鹿みたいなもんで人が死ぬのを見るのは…
コレット…ルーク。顔を上げて?
コレット詳しい話を聞いてもいいかな…。私に出来る事なら、協力したいって思うから…
ルークコレット…
ロイド──お、バチカルが見えてきたぞ
ライラふぅ…ようやくですわね。長い道のりでした
エリーゼ…?何か、様子がおかしい…です
ヴェイグ本当だ。黒煙が上がっている…
ティア…!まさか、何かあったんじゃ…!
ミラ…ただ事ではないな。皆、急ごう
スレイそんな…!何で街が燃えて…
ミクリオ酷い光景だ…。この街に一体何が…
街の男別のところからも火が出たぞ!
街の女誰か…痛い…助けて…
子どもうう…お母さん…怖いよ…
ゼロス酷ぇな…。戦争でもおっ始まったのかよ…
街の男う、うう…
ジュード大丈夫ですか?
ジュード酷い怪我だ…!今治療します
ロイドジュード、俺も手伝うぜ…!
ティア何て事なの…!
ティアすみません!一体何があったんですか!?
街の男真っ黒な鎧の謎の騎士達が数人、突然街に現れたらしい
ティア真っ黒な鎧…
街の男そいつらが大暴れして街のいたるところで被害が出てる…
街の男特に連中が最初に入って来た街の北東部では、大勢の負傷者が出てるとか──
エミル何だって…!?
エミル街の北東って言ったらマルタが…
ルドガーエミル、どこに行くんだ!?
ミュウティアさん大変ですの!街の北東にはマルタさんがいるですの!
ティアマルタが!?
ティアでも、ここの人達も放っておけないしどうしたら…
ヴェイグ北東部が特に酷いなら、二手に別れたらどうだ?
ジュードここは、僕が残るよ。もう一人くらい、誰か残れるかい?
ライラでは、私が。みなさんはどうか、北東部の方へ…!
ティアありがとう、ジュード、ライラ。私達はエミルを追いかけるわ
スタンくそ…!何でこんな事に…
scene2漆黒の騎士
マルタう……ん…
マルタあれ…、ここは…
女の子…!ママ、お姉ちゃんが目を覚ましたよ
マルタあなたは確か……
マルタうっ…!
女の子の母親まだ動かないで…!あなたは怪我してるのよ
マルタ怪我…?私一体何を──…
マルタ思い出した…。確かあなた達が、真っ黒な鎧の騎士に襲われそうになって…
女の子うん…。お姉ちゃんがわたしとママを庇って助けてくれたんだよ
マルタそっか…二人共無事だったんだ
マルタ本当によかった…
女の子の母親でも、そのせいであなたがこんな事に…。本当に何と言ったらいいのか…
マルタ気にしないでください
マルタ…エミル。エミルがいたらきっと、同じ事をしたよね…
マルタよかった、あなたがこの街にいなくて
エミルマルタ!
マルタエミル…!?何で、ここに…?
エミル怪我をしてこの家に担ぎ込まれたって聞いて…それより傷の具合は…!?
マルタあ、うん…少し痛みはあるけど大丈夫だよ、このくらい
ティアそれほど深くはなさそうね。よかった…
ミュウマルタさん、心配したですの…
マルタティアとミュウまで…。戻って来てたんだね。ありがとう、心配してくれて…
ルドガーその様子だと命に別状はなさそうだな…
マルタ…!あなたは確か、ルドガーさん…?どうして…?
エミルルークの捜索中に偶然会ったんだ。いろいろと事情があって、キムラスカまで一緒に来たんだよ
ティア怪我をしているのに悪いんだけど…マルタ、何があったのか話せるかしら
マルタ…うん。わかった。みんなに、聞いてほしい
エミル──じゃあマルタは、さっきの親子を庇って漆黒の騎士と…
マルタうん…
マルタもう駄目かもって思った時に味方の騎士が駆けつけてくれて、それで何とか助かったみたい…
マルタけど、ごめん。それ以上の事は覚えてなくて…
ミラきっと味方を見て安心して気を失ったのだろう
エリーゼ怖かった…ですよね
エミル…ごめん、マルタ。僕が一緒にいれば、キミをこんな目に遭わせたりしなかったのに…
マルタううん、エミルのせいじゃないよ。だから、そんな顔しないで?
ゼロス可愛いマルタちゃんをこんな酷い目に遭わせやがって…
ゼロスその騎士達、見つけたら許さねぇぞ
スレイうん…。マルタもだけど、たくさんの人が怪我を負ってる…
ヴェイグシルヴァラントの神子が攫われてキムラスカに疑いが…と思ったら、今度はそのキムラスカが襲撃…
ティポ何が起こってるんだろー?
ミクリオその漆黒の鎧の騎士達は一体何者なんだろう…。どこかの国の軍隊か?
スタンうーん、どうだろうな。漆黒の鎧を着た騎士なんて聞いた事ないけど
ルドガーヴェイグが前に会ったという、アリスとデクスの一味か?
ヴェイグ…わからない。少なくともオレが会った二人は黒い鎧など着てはいなかったが
ゼロスその仲間っぽいシンクも鎧ではなかったし、連れてた兵士も真っ黒な鎧じゃなかったな…
ミクリオ赤の騎士団とも違う。どこかの国が正体を隠すために擬装したという可能性もあり得るが…
ティアマルタ、何か他に心当たりはない?敵の正体に繋がる何かを見たとか…
マルタそういえば…彼らが話しているのを、ちらっと耳に挟んだ気がする
マルタ確か、騎士の一人が、サレ様って呼ばれてたような…
ミラサレ…?
ロイドあれ…その名前、どこかで聞いたような…
ミラ確か、クレスの故郷の村を襲った相手ではないか?
ロイドああ、そうか!前にクレスが話してたよな
スレイ村を襲われたって…。何があったんだ?
ミラ私達の仲間のクレスが住むトーティス村が、以前謎の敵に襲われたらしい
ロイド村の人の多くが殺されて、随分と酷い有り様だったって…
ロイドその敵の首謀者が、確かサレっていう男だった
エリーゼそんな酷い事が…
ゼロス…って事は、今回もその男が?
ミラ…いや、それはないはずだ。クレスは確かにサレを倒したと話していた
スタンじゃあ、同じ名前の別人って事か?…でも、そんな偶然ってあるのか
マルタあの騒ぎの中だし、もしかしたら私の聞き間違いかも…
ミクリオ彼らの目的は…?もう、撤退したのだろうか
マルタ駆けつけた兵士が追い払ったって、気を失う前に聞いた気がする。その後の事は…わからない、ごめんね
ヴェイグ…とにかく、これ以上ここで話していても答えは出ない
スレイうん…。街の人達の救護に当たろう
エリーゼ…はい!
スタン…ああ、みんなで手分けしようぜ!
エミル…ごめん、ティア。僕はもう少し、マルタの傍についてるよ
ティア勿論よ。ミュウも一緒にいてあげて
ミュウわかったですの
ティア安静にしていてね、マルタ
マルタうん…
scene1報復か、謀略か
ジュード──応急処置ですが、もう大丈夫ですよ
男の声ありがとうございます…
ジュード安静にしていてください
女の声助けて…
ライラジュードさん、まだ負傷者はたくさんいるようです
ジュードうん…。そうだね、行くよ
エリーゼジュード!手伝います!
ジュードエリーゼ、戻って来たの?
ティポ今、みんなで手分けして救護に走ってるよー
スレイここはどうだ?ジュード
ジュード兵士も駆けつけて来てくれたけど…この様子だとまだまだ人手は足りてない
スレイそうか…。じゃあ、オレ達も手伝うよ
ライラスレイさん、ミクリオさん。私と一緒にあちらの方の見回りをお願いしますわ
スレイああ!
ミクリオ隠れたまま動けなくなっている人がいるかもしれない。注意深く捜そう
スレイ
ライラスレイさん、どうかされましたか?
スレイどうして罪のない人達がこんな風に傷付けられないといけないんだろう…
スレイこんなやるせない気持ちって……
ライラスレイさん…
ミクリオスレイ…この光景を前に、いろんな感情が沸き起こるのはよくわかる
ミクリオけど、今はそれよりもやるべき事があるんじゃないか?
スレイ…うん、そうだ。考え込んでる場合じゃないよな
スレイ今は、一人でも多くの人を助けよう!
スタンまずいな、建物もかなり崩れてる…
スタンどうしてもあの光の雨の時の事を思い出してしまうな
ミラ…ルナの一件か。確かにあの時も──
街の男あんた達、手を貸してくれないか?家族が瓦礫の下に!
ミラどこだ…!すぐに行く、案内してくれ
スタン俺も行くぞ!
ティア酷い有り様ね…。しかも、被害は住宅地ばかり…
ヴェイグ漆黒の騎士の姿はやはり見えないな。さすがにこれだけキムラスカの騎士が動き出しては撤退したか
ルドガーおそらくな…
ルドガー…ティア。ここは俺達に任せて君は王宮に向かうんだ
ティアえ?
ルドガー王宮になら、漆黒の騎士の情報も入っているかもしれない。今の状況を確認してきてほしい
ヴェイグそれに、国王に一刻も早くルークの事を伝えた方がいいだろう。こんな時だから尚更だ
ゼロスなら俺さまも、シルヴァラントの代表としてティアちゃんと一緒に行くとするか
ロイド俺も一緒に行く。キムラスカの国王に会わせてほしい。実際にルークに会ったのも俺だし
ティア…そうね、わかったわ。ゼロス、ロイド、行きましょう
ゼロスとっとと済ませて早いとこ戻って来ようぜ
scene2報復か、謀略か
インゴベルト六世──信じられん。まさかルークがシルヴァラントの神子を連れ去ったなど…
インゴベルト六世しかも、そこにあのヴァンまでもが関わっていると…
ティア兄の関与については、確証を得たわけではありませんが…その可能性は限りなく高いかと
インゴベルト六世ふむ…
インゴベルト六世ただでさえバチカルは今、謎の騎士達の襲撃を受け大変な状況だと言うのに
インゴベルト六世ルークとヴァン…、二人して何と言う事をしてくれたのだ
ゼロス
インゴベルト六世新たな天啓の出現を巡って、シルヴァラントとウィンドルが揉めている事は把握していたが
インゴベルト六世そこに何故ルークやヴァンまでもが…
ティアルークの事は教育係である私の責任です。それに兄の事も…
ティアこの不始末は私が必ず……
インゴベルト六世早まるな、ティアよ
インゴベルト六世これはシルヴァラントと我が国の国交に関わる…いや下手をすれば戦争にさえなりかねん事態だ
インゴベルト六世まずは、我が国に対するシルヴァラントの疑念を早急に晴らさねばならぬ
インゴベルト六世それを伝える親書を用意する。使者の方、シルヴァラント国王にお渡し願いたい
インゴベルト六世それと同時に、ルークと神子の行方については、我が国が責任を持ち突き止める事も約束する
ロイドよかった…。これでひとまず安心、だな
ティアありがとうございます、陛下
ティア私もルークと神子の捜索、並びに兄の関与の究明に全力を尽くします
インゴベルト六世うむ、頼んだぞ。今回の件をいち早く知らせてくれたそなた達には、心から感謝している
インゴベルト六世…それにしても、晶化現象に始まり、ルークの問題行動今回の襲撃…
インゴベルト六世次から次へと問題が起きている
インゴベルト六世民の不安は高まる一方だ…。これからどう対処すべきかよくよく考えねばなるまい
ティア…陛下、街を襲った騎士達はもう街には残っていないのでしょうか
インゴベルト六世うむ、騎士団が出動してまもなくその者達は撤退した。少数精鋭で、上手く逃げられてしまったそうだ
ゼロス正体は、わからないままか…
キムラスカ兵陛下!謁見中のところ恐れ入ります
インゴベルト六世何事か。騒々しい
キムラスカ兵襲撃者達のものと思われる遺留品を発見いたしました。襲撃者の手ががりになるかと…
インゴベルト六世何と…。この者達の事なら大丈夫だ、見せるがよい
ティアこれは腕章…?
ロイド…!まさか…これって…
ゼロスおいおい、冗談きついぜ
ティアあなた達、これに見覚えが…?
ロイドああ…。この腕章は…
ロイドシルヴァラントの軍のものだ…
ティア…!どうしてそんなものが…
インゴベルト六世この街を襲撃した騎士達は、シルヴァラントの兵士だというのか?
インゴベルト六世まさか、神子の誘拐に対しての報復攻撃か──?
ロイドなっ…!それは絶対にあり得ない!
ロイドクラトスも言ってた…シルヴァラント国王はこれまでも争いを避けるよう努めていた、って
ロイドそれなのに、こんな事…これはきっと何かの間違いだ…!
ゼロス落ち着けって、ロイドくん。そもそもシルヴァラントの騎士は黒い鎧なんか着てないぜ?
ティア…恐れながら陛下、これは陰謀めいたものを感じます
ティア神子の事があるとはいえ、いきなりシルヴァラントが宣戦布告もなしに我が国に攻め込むとは思えません
ティア何者かが、シルヴァラントに罪を着せようとしているのではないでしょうか
インゴベルト六世そなたの言いたい事はわかる。私とて陰謀の匂いを感じないわけではない
インゴベルト六世これまで我が国とシルヴァラントは、長きにわたって友誼を育んできた
インゴベルト六世シルヴァラント国王の事もよく存じ上げている。軽率な方とは思っておらぬ
ティアでは…
インゴベルト六世だが、事は国家の存亡に関わるのだ
インゴベルト六世我がバチカルが侵入を受け大きな被害が出た。これは紛う事なき事実だ
インゴベルト六世そして今、ここにこの腕章だ。ただちに偽物と断じるのは早計であるように思われるのだ
ロイドくっ…!
ゼロス…国王陛下、よろしいでしょうか?
ゼロスもう一人の神子が攫われた直後、私達はこのバチカルへ来ているのです
ゼロスいくらなんでも、シルヴァラントが兵を差し向けるにはいささか、早すぎる気はしませんか?
ティア
キムラスカ兵陛下…!いかがいたしますか
インゴベルト六世ふむ……
ティア陛下…
インゴベルト六世…よかろう。事は重大かつ深刻だ。なればこそ慎重を期さねばならぬ
インゴベルト六世親書を書こう。まずはルークの事を片付ける
インゴベルト六世そなた達は引き続き謎の騎士の正体を調査するように
キムラスカ兵はい!かしこまりました!
ティア陛下…、ありがとうございます
ロイドよかった…
scene3報復か、謀略か
ロイドふー。どうなるかと思ったぜ…
ゼロスようやく、キムラスカへの疑念を晴らしたと思ったのに…
ゼロス今度は漆黒の騎士がシルヴァラントの腕章持ってたって…一体、何がどうなってやがる…
ロイド漆黒の騎士達がシルヴァラント兵のはずはないけど…
ティア…とにかく、まずはみんなと合流しましょう。考えるのはそれからがいいわ
ルドガー──大変だったな…。けど、キムラスカ国王から親書をもらえたのは救いだ
ルドガーこれで、両国の衝突を避けられるといいんだが…
スタンでも、別の問題が…。謎の騎士団がバチカルを襲撃なんて…
スレイ念のための確認だけど、今回の襲撃がシルヴァラントの仕業って可能性は、本当にないんだよな?
ロイドああ。神子の一件にルークが関わっていた事はクラトスが伏せているはずだ
ロイドそれに、シルヴァラントがこんな奇襲みたいなマネをするとは思えない
スタンじゃあ、やっぱり誰かがシルヴァラントの仕業に見せかけようとしたって事か…?
ジュード陰謀にしては稚拙なやり方な気がするけど、一時的な混乱には役立ちそうだね…
ジュード現にキムラスカ国王や発見した兵士は動揺しただろうし
ミクリオ疑念や不安を煽る材料としては十分って事か…
ルドガー誰が、何の目的かはわからないが…
ルドガー神子の誘拐と今回のバチカルの襲撃でキムラスカとシルヴァラントの関係は軋み始めている…
ミラ…その二国だけではない
ミラ神子が誘拐された事を知れば、ウィンドルのセルディクが黙ってはいないだろう
スタンそれを言うなら、ア・ジュールもだ。天啓の石碑を探しているし…
ヴェイグキムラスカも、ルークが神子誘拐に関わっていた事で後始末に動かざるを得なくなったしな
スレイどこの国も、天啓によって振り回されてる
エリーゼどうしたらいいんでしょうか…
ゼロスここで悩んでても仕方ねぇよ。まずは出来る事を、だろ?
ロイドそうだな…。とりあえず、俺は一度シルヴァラントに戻る事にするよ
ロイドルークの件は、キムラスカの国とは無関係らしいって事しか結局わからなかったけど…
ロイドキムラスカが関わってない事実を伝えるためにも、この親書は一刻も早くシルヴァラント国王に届けないと
ティアありがとう、ロイド。そうしてくれると助かるわ
ロイド…本当はすぐにでもコレットを捜しに行きたいけど
ロイドこれを出来るのは俺しかいないからさ
ティアごめんなさい。コレットとルークの事は何としてでも私が──
ゼロスティアちゃん、そりゃねーぜ。まるで一人でルーク達を追う、みたいな口振り…
スタン俺達だって、ルークやコレットの事は心配なんだ。同行させてくれ
ルドガーそれに、今の各国の動向は神子と天啓が鍵となっている…、そんな気がするんだ
ティアあなた達…
ティア…そうね。真相はルーク…いえ、兄さんが握っているのかもしれない
ティア必ず…突き止めないと
ルドガー…ゼロス、お前だって神子なのにシルヴァラントに戻らなくていいのか?
ゼロス戻っても王宮に軟禁されるだけだし…ミラさまにティアちゃん、エリーゼちゃんと一緒の方がいいぜぇ
ゼロス何より、俺さまは「神子」だぜ?天啓絡みの件じゃ何かとお役に立てるはずだ
ロイドまあ、それがいいんじゃないか?ゼロスは王宮にいてもじっとしていられないだろうし…
ゼロスちょ、ちょっとロイドくん…。俺さまを何だと思ってるのよ…
ロイドへへっ、悪い悪い!みんなと一緒なら、俺も安心だ
ティアありがとう、ゼロス。みんな。何としてでもコレットを救出しましょう
ジュードなら、そっちの事は一旦みんなに任せてもいいかな?
ミラジュード、どうかしたのか?
ジュード街はおおよそ鎮静化したけど、治療が必要な人はまだたくさんいる
ジュードだから、僕はもう少しこの街に残ろうかなって
ティポジュード君はお医者さんの卵だもんねー
エリーゼジュードならそう言うかもって思ってました…
エリーゼでも…ジュードと別れるのは…
ジュード大丈夫だよ、エリーゼ。ミラだっているし
ジュードそれに、みんなともちゃんと打ち解けられたじゃない
エリーゼ…はい
ティア…ありがとう、ジュード。今のこの街にとってあなたの存在は何より心強いわ
ティア…もしミュウとエミル、マルタと会う機会があったら、よろしく伝えてくれるかしら
ティア特にミュウには…必ずルークを連れて帰るからって
ジュードうん、わかった。それじゃ行くね。街の状況が落ち着いたら、僕もまた合流するよ
ミラジュード、気をつけてな
スタン…行ったな。よし、じゃあ俺達も早いところ動き出すとしようか
ライラそうですわね。まずはどこへ向かうかですが…
ルドガー結局、ルークの行方については情報が得られなかったな…
ミクリオ神子を攫ったとなれば次にする事は天啓の石碑を読み解く事だろうね
スレイ確かに…。…でも、天啓の石碑って、まだ見つかってないんだよな?
ヴェイグとなると、今頃コレットの力を使って、石碑を探しているかもしれないな
ロイドそこに行けば、ルークかコレットが…?でも、どうやってそこに…
ゼロスおいおい、俺さまも神子だって事を忘れてない?「あれ」なら俺さまも使えるんだけど
エリーゼあれって…何ですか?
ゼロスまあまあ、後で見せてやるって。って事で、目的地は俺さまに任せてとにかく街を出ようぜ
ティア今街を離れる事は心苦しいけれど、今は、コレットを追わなくては…
ティア…行きましょう

NameDialogue
scene1ゼロスの導き
ルドガー──バチカルの事は気がかりだが…天啓の石碑がある場所へ向かうべきだろう
ルドガーそれで、どこへ向かうかなんだが…
スレイゼロス、さっき言ってた「あれ」って?
ゼロスまぁまぁ、急かすなって。俺さまが言ってたのは、こいつの事だ
ヴェイグ…これか
エリーゼ宝石…ですか?とってもきれいです
ティポ何か不思議ー。ヘンな模様が入ってるよー
ロイドこの紋章…これと同じような石、コレットも持ってたぞ。確か「天晶石」…だったっけ
ゼロスさすがハニー、正解だ。こいつは、代々神子に受け継がれてるもんなんだ
ゼロス本当かどうかは知らねぇが、何でも、天啓の石碑と同じ石で出来てるらしいぜ
ゼロス天啓の石碑が現れた時には光ってそれを知らせてくれるし、場所を聞いたら教えてくれる
ゼロス天啓の石碑を探すには欠かせない代物だ
ライラそのような不思議な石が…。ですが、場所を教えてくれるというのは、一体どうやって?
ゼロス神子がこいつに語りかけると、石碑のある場所が頭の中に浮かんでくるってわけ
ティア頭の中に…?
ゼロス早速やってみるとするか…。ちょっと待ってな?
ゼロス
ゼロス大いなる世界の意志よ。我が主たる地上の神よ
ゼロス我、ゼロス・ワイルダーを汝の代行者と認めるならば、石碑の在処を我に知らしめよ──
スタン…!天晶石が…光り始めた…
ライラこれは…
ゼロス
ゼロス…見えてきた。……遺跡みてぇだ
ゼロスかなり大きいな…周囲に人家はねぇし随分静かに見えるが…。おっ、草木の一部は晶化してる…
ヴェイグ遺跡があり、晶化が見られる場所…。本当に見えているようだな…
ティアゼロス、地名や国はわからないの?
ゼロスうーん、そこまでは…。他に目立ったものは特になさそうだし…。この辺りの風景には似てるけどよ
ミラとは言っても、世界には遺跡も数多く存在する。何とか絞り込む事が出来ればいいのだが…
スレイその遺跡に特徴とかないかな?どんな素材で建てられてるか、とか何階建て、とか…
ゼロス印象的なものがぼんやり浮かんでくる感じで、はっきりとした全体像が見えるわけじゃねぇんだけど…
ゼロス…周辺に、石造りの柱みたいなのがいくつも建ってるっぽいな。地面も石畳に覆われていて…
ゼロス…うーん、俺さまどっかで見たような…
エリーゼ本当ですか?何とか思い出せないでしょうか…
ゼロスパッとは思い出せねぇな。よくある遺跡なのかもしれねぇ…
スレイなら、遺跡の壁はどう?絵が描かれてたり、何か特徴的な彫刻があったりしない?
ゼロスああ、レリーフみたいなもんがある。ありゃ何だ…人型か?壁一面にぎっしり埋め尽くされてて…
スレイ壁一面を覆う人型レリーフに、周囲にいくつもの石柱と、石畳…。ミクリオ、これって…
ミクリオああ、おそらくガステア帝国時代の様式だろうね
スレイだとしたら、今のシルヴァラントに多く見られる遺跡だな。けど、大きいものとなると…
ミクリオ…ルカン遺跡、だね
スレイああ。行ったのは随分前だけど、大きくて、状態もよかったしあそこじゃないか?
ミクリオ僕も同じところを思い浮かべた。ガステア帝国様式の遺跡は何基か見たけど──
ミクリオルカン遺跡以外は、石柱がほとんど崩れて跡しか残っていなかった
ミクリオゼロスがいくつもの石柱を見たというなら、多分あそこだろう
ティア二人共、随分と詳しいのね
スレイオレ達、昔から遺跡が好きでよくあちこち探検したりしてたんだ
ゼロスふう、こんなもんだな
スタンこれで全部?随分あっさりしてるんだな
スタンミラが大精霊の気配を感じる時みたいな感覚はないのか?方向とか、近さとか…
ゼロスそれが出来りゃ、苦労しねぇんだが…
ロイド神子が見た断片的な情報を手がかりに捜索部隊を出す…
ロイド前回の石碑を探す時も確か、こんな感じだったぞ
ヴェイグ…なるほど。本来、ある程度時間も人手もかかる作業というわけか
ゼロスそういう事。簡単にはいかねぇってわけよ
スタン確かに、見えてるのは神子だけじゃ、探すのは一苦労だよな…
ルドガーそうは言っても、探すしかない。今のところ有力なのは、スレイの言う遺跡という事になるが
スレイ可能性はあると思う。ルカン遺跡はゼロスが見た遺跡と様式や特徴がすごく似てるんだ
ミクリオそれに、この様式の遺跡でしっかりした形を残しているものは、僕達の知る限りではそこくらいだ
ミラ行ってみる価値はありそうだな
ヴェイグスレイ、ミクリオ。その遺跡はどこにあるんだ?
スレイルイニス街の南側だよ
スタンへぇ…ルイニス街の近くなのか
スタンそんなの、あったっけ…
ミクリオ知らないのも無理はない。普段、人が立ち入るような場所じゃないからね
ティアとにかく、他にあてがないならその遺跡へ行ってみるべきだわ
ゼロスうーん…
ライラゼロスさん、どうかしたのですか?
ゼロスああいや、さっきの人型のレリーフ、やっぱどうにも気になってよ…
ゼロス絶対どっかで見たはずなんだよなー。それをどうにか思い出そうとしてるんだけど──…
エリーゼスレイ達の言う遺跡とは別なんですか…?
ゼロスいや、そこじゃないと思う。ルイニス街の南じゃなくて、あれは…
ゼロスあ!
ルドガー思い出したのか?
ゼロスああ。俺さまがメルトキオを出て一人で各地を転々としてた頃だ
ゼロス休む場所を探してた時だったか、シルヴァラント港の近くの森である遺跡を見つけたんだ
ゼロスその遺跡に、例の人型のレリーフがあったような気がする…
ゼロス後で、近くの住人からそれは“ロミス遺跡”だって教えてもらった
スレイロミス遺跡…?聞いた事ない遺跡だ
ライラでも、天晶石から直接教えを受けたゼロスさんが似ていると仰るのなら、可能性はかなり高いと思いますわ
ルドガーだとしたら、そっちも行先候補になるな
スタンけど、キムラスカを抜けてルイニス街とシルヴァラント港に向かうとなると、方向が違う
エリーゼどっちへ行きますか…?
ティア待って。どちらかに絞って、予想が外れてしまった場合、時間の損失が大きいわ
ティア幸い、人数もいる事だし二手に分かれてそれぞれの遺跡へ向かってはどうかしら
ミラそうだな、私もそれがいいと思う
ヴェイグ…おおよその方針は決まったな。誰がどっちへ行くかは向かいながら決めればいい
ヴェイグロイドも、一刻も早くメルトキオに向かわないといけないだろう
ロイドああ。このまま途中までみんなと一緒にいくぜ
ゼロスよし、そんじゃ早速だけど出発としますか
スレイああ、行こう!
scene2ゼロスの導き
ヴェイグ──ようやくこの辺りまで帰って来たか
スタンルイニス街方面なら、この先にある街道を南に行けばいい
ゼロスそれじゃ、ここらで誰がどっちに行くか決めるとするか
スレイオレとミクリオはルカン遺跡に向かう事にするよ
ミクリオ前も行った事のある場所だから、案内も出来るしね
ライラでは私も、スレイさん達に同行させていただきますわ
ゼロス俺さまはロミス遺跡に行くぜ。道もしっかり覚えてるしな
ミラ私はゼロスの方に行こう。エリーゼも一緒に行くか?
エリーゼ…はい。ありがとうございます、ミラ
ゼロスミラさま…!やっと俺さまの魅力に気づいちゃった!?そんなに俺さまと離れたくないなんて〜
ミラああ。お前が真面目にやるか心配だからな
ティポよかったねーゼロス君、ミラ君がカンシしてくれるってさー
ゼロスか…監視って。おいおい、そりゃねーぜ…
ゼロスでも!エリーゼちゃんも来てくれるならまさに両手に花♪
ゼロスエリーゼちゃん、もし疲れたらどこだろうと、俺さまが運んであげるからな〜?
エリーゼあの…えっと……
ルドガーじゃあ、俺もそっちに行こうかな。ゼロスの軽口に戸惑ってるエリーゼを放っておけないしね
ゼロス誰が軽口だよ。俺さまはいつも本気だっての
ロイドお前なぁ…。その本気が駄目なんだって
ティポヴェイグ君も一緒に行こー
ヴェイグああ、構わないが…
ティポまたブランコさせてねー
エリーゼティポ!ヴェイグの髪の毛で遊んじゃ駄目です…!
スタンあはは。仲がいいな。俺はスレイ達と一緒に行くよ。あの辺りの事はみんなよりは詳しいし
ティアなら、私もルカン遺跡に行くのが人数的によさそうね
ミラよし、ほぼ半分に分かれられたな。それでは早速──…
スレイちょっと待って。どちらかが、天啓の石碑を見つけた時の事を話し合っておこうよ
ミクリオそうだな。ついでに、天啓の石碑についてもどんなものか教えてくれないか
ミクリオこっちには、ゼロスはいないしね
ゼロスっと、それもそうか。天啓の石碑についてだが…これを見てくれ
ゼロス石碑には、この天晶石の紋章と同じもんが刻まれてる
ゼロス材質も同じだな。石碑の表面は、こいつみたいにつるっとしてる
ゼロスあとはそうだな…過去の例から言うと石碑の大きさは、そこらの大柄な野郎よりもずっと大きかった
ゼロス外見の特徴はそんなところか。ま、今回も必ずそうだとは言い切れねぇけどな
スレイそれでも、どんなものかわからないよりは全然いいよ。ありがとう、ゼロス
ティア…石碑の元へ行けば、ルーク達に会えるかもしれないわ
ロイドああ、そうすればコレットも…
ロイド…よし、そろそろ俺はメルトキオに向かうよ
ロイド…ゼロス、それにみんな。コレットとルークに会えたら、二人の事…必ず助けてやってくれ
ゼロス…おう、任せとけって、ハニー!ま、ルークはとっ捕まえてお仕置きだけどな
ゼロスお前こそ、国王への説明、しっかり頼んだぜ?
ロイドわかった。みんなも気をつけて。またな!
ヴェイグオレ達も出発するか
スレイうん。ロイドのためにも頑張らないとな
スレイそうだ、天啓の石碑がなかったらもう一方の遺跡へ向かって落ち合う形でいいかな?
ヴェイグああ、それがいいだろう。ルーク達からすれば、そこは用済みという事だろうからな
ルドガーここからは別行動だが…ルークとコレットだけが現れるとは限らない。十分用心してくれ
ティアそうね、もしかしたら向こうは大勢で行動しているかもしれないし、お互い、無茶な行動は──…
ガサッ!
エリーゼ今、そこの草むらで音がしました…!みなさん、気をつけてください!
グオオオオッ!
ティポ出たー!魔物だー!しかも、何かいっぱいいるしー!
ミラ手分けして一掃する、準備はいいな?
スレイああ、いつでも!
scene1兄妹の絆
ライラ──さてと、ルドガーさん達も出発しましたし、私達も行きましょうか
スタンうん、そうだな。ルイニス街の南なら、ここを南下して森に入るのがいいと思う
スレイわかった。こっちだね
スタン…にしても、まさかルイニス街の近くにそんな珍しい遺跡があったなんてな
スタン確かにあの辺りの森には結構遺跡はあるみたいだけど、あんまり気に留めた事はなかったし
ミクリオ遺跡に興味や関心がないなら知らないのも無理はないさ
ティアスレイ達はどうやってその遺跡を?
スレイ歴史の記録を調べてる時に、偶然ルカン遺跡に関する記述を見つけたんだ
スレイそれで実際に見に行ったんだけど、スタンの言う通り、あの辺りは他にも遺跡が多くて楽しかったよ
スタンへえ~…。わざわざ実際に見に行くなんて二人共、相当遺跡が好きなんだな
スレイああ。いつか世界中の遺跡を見て回るのが夢なんだ。な、ミクリオ
ミクリオ今はそれどころじゃないから当分お預けだけどね
ミクリオでも、いつかは必ず
ティア二人は本当に仲がいいのね
スタン親友なんだな。親友…いや、兄弟かも?
ミクリオ兄弟って…?スレイと僕がか!?
スタンいいじゃないか。親友でもあり、兄弟でもある関係って
ライラスタンさんにも、素敵な親友と妹さんがいらっしゃいますものね
スタンへへ、まあな!
スタンリオンとは、スレイ達みたいにいつも一緒にいるわけじゃないけど…
スタンでも、いざという時は必ずお互いに助け合える親友だ
スタンリリスはそうだなぁ…朝寝坊した時は怖いけど、それ以外では優しいかな
スタン細かい事によく気づくし、家の事だったら大抵任せられるし、頼りになる大切な家族だよ
ライラふふ、今の話をリリスさんが聞いたら、きっと喜ぶと思いますわ
ティア…そんな風に思ってくれるお兄さんがいて、リリスは幸せね
スタンそうかな?いつも心配ばっかりかけてって怒られてるけど…
ティア……
スレイティア…
ライラティアさん、あの…
ティア…ごめんなさい。何でもないの
ティアさ、先を急ぎましょう
スタンちょ、ちょっと待ってくれ、ティア!
scene2兄妹の絆
ティア
スタンティア…ごめん。ティアは兄妹の話題なんて、嫌だったよな
ライラティアさんの気持ちも考えず、軽率でしたわ。すみませんでした…
ティアえ、そんな…。ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったの
ティアスタンやリリスの話を聞くのはとても楽しいわ
スタン
スレイティアを育ててくれたのはヴァンなんだよね?
ティアええ。でも…私が物心ついた頃には兄さんは騎士団に入っていて忙しかったし…
ティア挙句、妹の私にすら何も言わず、いなくなってしまうし…
スタンティア…
ミクリオ
スレイあのさ、ティア。ティアとヴァンにも、ちゃんと兄妹の絆はあると思うんだ
ティアえ…?
スレイお兄さんが親代わりになって妹を育てるのってすごく、大変だと思う
スレイしかも、騎士団の仕事をしながらティアの面倒を見てたんだ。ティアを大切に想ってなきゃ出来ないよ
スレイ少なくともオレが兄の立場だったとしたらそう思うんだ
ティア
スレイティアも、ずっとヴァンの事気にかけてたよね
スレイちゃんと想い合ってる兄妹だと思う。スタンとリリスとは違った形ではあるけど
ティアスレイ…
スタンそうだよ、ティア。ヴァンさんには何か、帰れない事情があるのかもしれないしさ
スタン今度会ったら、リリスみたいに
スタン「どこ行ってたの!」
スタンって叱ってやればいいんじゃないか?
ライラティアさんが、ですか?それは見てみたいですわ
ティアスレイ、スタン…。ありがとう
ティア兄さんと会ったら、ちゃんと話をしたいわ
スレイうん。きっと出来るよ
スタン場合によっては、ケンカになるかもしれないけど、何も話さないよりは全然いいと思う
スレイオレもミクリオとはよくケンカするよな?でも、すぐに仲直りするし
ミクリオああ…。だがスレイ、僕達はいつから兄弟になったんだ?
スレイん?いいだろ、ミクリオ。もう兄弟って事でさ
スレイ小さい時からずっと一緒に育ってきたんだし
スタンそうなると、やっぱりスレイが兄でミクリオが弟って事になるよな?
ミクリオなっ…!どうして僕が弟なんだ!?しかも「やっぱり」って…
スタンえ?だって……
ミクリオ…まさか、スタン。身長差で決めたんじゃないだろうな?
スタンギク!あはは…
ライラあら…もしかして図星でしたか?スタンさん
ミクリオ納得出来ない…!大体、スレイが兄だとして──
スレイ少なくともオレが兄の立場だったとしたらそう思うんだ
ミクリオ
ミクリオ……まあいいか
スタンえ?言いかけて途中でやめるとか気になるじゃないか!
ミクリオ別に。弟でも何でもよくなっただけだ
スレイ…?何か、急に心変わり?
ミクリオそういう事で構わないよ。とにかく、この話はもう終わりだ
スレイミクリオってそういうところあるよな
ミクリオそういうところって、どういうところだ?
スタンははっ。やっぱり兄弟みたいだ
ティア本当にね
ミクリオ全く…
ライラ…!みなさん、お話はここまでのようですわ
ミクリオあれは、魔物か…!
スレイここで迎え討つぞ。みんな構えて!
scene1選んだ道
ティポ──ゼロス君、まだー?このままだとエリーが疲れて倒れちゃうよー
エリーゼ大丈夫ですよ、ティポ。もう少し頑張りましょう
ゼロスんー。スレイ達の行った遺跡に比べりゃこっちの方がちっと遠かったかもしれねぇな…
ゼロスよし、んじゃエリーゼちゃん。約束通り、俺さまが運んでやるぜぇ!なんなら、おんぶしてやろうか?
エリーゼ結構です…
ゼロス遠慮しなくていいんだぜ?やましい気持ちなんか、これっぽっちもないんだし
ゼロスほら、心を開いて、思い切って俺さまの胸に飛び込んで──
ミラおんぶ、ではなかったのか?なら、胸ではなく背中だろう?
ミラゼロスは相手が女性なら誰にでもそんな調子だな。その様子だと、クロエとかいうあの女騎士にも…
ゼロスクロエちゃんはセクシーキュートだからねぇ〜。赤面するところも可愛かったし〜
ゼロスでも、安心してくれ。今の俺さまの瞳にはミラさま、キミしか映ってないから♪
ミラ…。石碑捜索の方は真面目に頼むぞ
ルドガーゼロスの奴、ずっとあんな調子だけど、疲れないのかな?
エリーゼこっちが疲れます…
ルドガーはは…やっぱり?
ミラやれやれ、あんなお調子者が神子なのだから、わからぬものだな
ヴェイグ…ゼロスは、ああやって振舞う事で辛い状況をやり過ごしているんだろう
ルドガーえっ…
ヴェイグ…と、ロイドが話していた
エリーゼそういうものなんですか…?確かに、ゼロスは天啓の事で危険な目に遭ってるみたいですけど…
ティポそんな深刻には見えないけどー?
ルドガーはは…、本当のところはどっちなんだろうな
ヴェイグ……!
ルドガーあ!ヴェイグ!どこに行くんだ?
ルドガーヴェイグ…?
エリーゼ何か見つけたんでしょうか?
ティポヴェイグ君、どうかしたのー?
ルドガー
ルドガー俺、ちょっと行ってくるよ
ルドガーエリーゼ達は、ゼロスやミラとここで待っていてほしい
エリーゼあ、ルドガー…!
ティポ…行っちゃったね
scene2選んだ道
ヴェイグ……人では、ないのか…
ヴェイグクレア…
ルドガーヴェイグ!急にどうしたんだ。この木に何かあるのか?
ヴェイグいや、人が晶化しているのかと思ったんだが、ただの朽ちた木だったようだ…
ルドガー…そうか
ヴェイグ…この辺りも、晶化が進んでいるな
ヴェイグ晶化現象も見慣れてきたが、注意深く見れば、自然の中もどんどん広まっていっている…
ルドガーああ…だんだん、当たり前になってきている自分が怖いな
ヴェイグ…晶化したクレアを救いたい、その一心でお前達とここまで来たが事態はどんどん深刻になっている
ヴェイグ神子の誘拐や、村やバチカルの襲撃、そして新しい天啓…。晶化現象を調べるどころではないな
ルドガーヴェイグ…。もしかして、俺達と一緒に来た事を…
ヴェイグ…違うんだ、そんな顔をしないでくれ。後悔しているわけじゃない
ヴェイグお前達と行動を共にした事で、結晶がマナだとわかった。それは大きな進歩だ
ヴェイグオレ一人で動いていたら、きっとそれすらわからなかっただろう
ルドガーでも…ヴェイグはやっぱり、クレアの事を優先したいだろう?
ヴェイグ…勿論、オレの旅の目的はクレアを救う事だ
ヴェイグしかし、クレアを助ける方法は未だにわからない。その手がかりはお前達との旅の先にあると思う
ヴェイグあのまま晶化したクレアの傍にいても何も出来なかった。こんな状況を知る事も出来なかった
ヴェイグ各地で起こる襲撃も、神子の誘拐も、国同士のいさかいも…放っておくわけにはいかない
ヴェイグ今やっている事に、間違いはない…そう思っている
ルドガーそうか…。話を聞けて、少し安心したよ
ルドガー実は、旅の間ずっと気になっていたんだ
ルドガー夜、お前が一人外に出て物思いに耽っているのを、何度か見かけた事があってね
ルドガー次々いろんな事が起こって、俺達はこうして走り回ってるけど…ヴェイグはどんな気持ちなのかって
ヴェイグ……
ルドガークレアの事は、俺もあの場にいたからわかっている。ヴェイグがどれほど苦しんでいるかも
ルドガー今すぐ彼女を救い出したい、そう思っているはずなのに…
ヴェイグそんなに心配をかけていたのか…。すまなかったな
ルドガーでも、よかったよ。お前の言葉を聞けて
ルドガーヴェイグって普段あんまり何を考えてるのかわからないからさ
ヴェイグ…そんなに仏頂面だったか?
ルドガーはは…。少し、ね。でも、最近はエリーゼ達とも打ち解けてきたみたいでよかったよ
ルドガークレアの事で、みんな、お前をずっと心配してたんだ。弱音とかも吐かないし
ヴェイグ弱音なんて…吐いていられない
ヴェイグクレアを救う事と、今世界に起きている問題を解決する事は同じ道の上にあると考えている
ヴェイグだから、心配はない
ルドガー…わかった。これからはもっと何でも話してくれ。今みたいにな
ルドガークレアの事も、世界で起こってる問題も必ず俺達で解決しよう
ヴェイグああ…。そうだな
???ヘヘヘーイ!
ティポいいねいいねー、男同士の友情ってヤツー?
ルドガーティポ!
エリーゼ…すみません。お話の邪魔しちゃ駄目って言ったんですけど…
ティポナイショ話はずるいよー。ぼくも混ぜてー
ルドガー残念だけど、男同士の大事な話は今終わったところだ。な、ヴェイグ?
ヴェイグああ、すまなかったな。ティポ
ティポガーン!ひどいよー!ルドガー君とヴェイグ君のバホー!
ゼロスおーい、何やってんだー?
ゼロス野郎同士のおしゃべりを待ってるほど俺さまはヒマじゃねーんだぞー
エリーゼゼロスが呼んでます…
ルドガーそれじゃ、行こうか
scene1ロミス遺跡にて
ゼロス──長旅ご苦労さん。ようやく目的の場所に到着したぜ
エリーゼここが、ロミス遺跡…
ティポデッカイ遺跡だねー
ヴェイグオレの住むスールズ村の近くにも遺跡は多く見られるが、ここまで大規模な遺跡は珍しい
ヴェイグ人型のレリーフというのはどれの事だ?
ゼロスあれだあれ。やっぱり、さっき見えたのと似ている気がするな
ミラゼロスの話していた石柱もあるな
ルドガーゼロス、実際に見てどうだ?天晶石で見た例の遺跡で間違いなさそうか?
ゼロスああ、似てる…と思う。あとは中を探してみるしかねぇ。入ってみようぜ
ミラ…皆、待ってくれ
ルドガーどうしたんだ?ミラ
ミラルークやコレット…それにその仲間もいるかもしれないという話をしたな
ミラ今この辺りに人の気配はないが、警戒は怠るな
ゼロスわかってるって、ミラさま〜。おかしな奴らが出てきたら、俺さまが守ってやっからよ
エリーゼもし、中にいるのがルークだったら、ルークと戦わなきゃいけないんでしょうか…
ミラ何とも言えないな。話をしてわかり合えればいいが、ロイドですらそうはいかなかった…
エリーゼ
ヴェイグ…とにかく、覚悟して進むしかない
ルドガーああ、そうだな
ゼロスよし、行きますか!
scene2ロミス遺跡にて
ミラ──ふむ…。これは違う…か。エリーゼ、そっちはどうだ?
エリーゼこっちの石にも紋章はありません
ルドガーうーん、天啓の石碑らしきものは見つからないな…
ヴェイグ既に大部分は見て回った。やはりここは、天啓の石碑がある遺跡ではないという事か…?
ゼロスうーん…。建物の中も俺さまが見た感じと似ているようなんだが…
ゼロスとにかく、まだ全部は見れてねーしハズレとも言えねぇ。頑張って探そうぜ
ルドガーそうだな…。とはいえ、時間も惜しい。急ごう
ティポハズレだったら、スレイ君達のところに行かないとだしねー
ミラこの先もまだ見ていなかったな
ヴェイグああ、まだだ。おそらく見てない部屋はそう多くはないだろう。行くぞ
ヴェイグ──ここは、広間か…
ルドガー他に通路はないところを見ると、どうやらここが最後の部屋らしい
エリーゼでも…石碑らしきものはありませんね…
ゼロスハズレって事か…
ヴェイグ残念だが、そう考えるのが妥当だろう隈なく見たはずだ
ゼロスマジかー…。悪ぃ、みんな
ミラつまり、天啓の石碑があるのはルカン遺跡の可能性が高いという事か
ミラなら、急いだ方がいい。ここの調査は切り上げて、スレイの元へ──
ゼロス…と、その前に。いい加減、出てきたらどうだ?そんなとこでこそこそしやがってよ…
ルドガーえっ…!?
ウィンガル
ルドガーお前は、ウィンガル…!
ウィンガル…ほう、名乗った覚えはないが
ルドガースタンからいろいろと話は聞いている
ウィンガルスタン…。なるほど
エリーゼ確か、ア・ジュールの軍人なんですよね…
ゼロスア・ジュールだと?何でそんな奴がこんなところに…
ウィンガルあの男から話を聞いているなら、大方予想はついているはずだ
ルドガー天啓の石碑、か…
ウィンガルここへ来る理由などそれ以外ない
ルドガー…まさか、もう見つけて運び出された後なのか?
ウィンガルいや、ここにはなかったようだ。お前達も無駄足だったな
ルドガー待ってくれ、ウィンガル。お前はどうやってここに来た?
ルドガー石碑の在処について、お前達は何の情報も持っていなかったはずだ
ウィンガル……
ヴェイグオレ達がここへ来られたのは神子のゼロスの助言があったからだ
ヴェイグコレットがいなくなった後にこの場でお前に出くわすなど、偶然にしては出来すぎている
ゼロスって事は…お前、コレットちゃんから何か聞いたのか?コレットちゃんはどこだ!?
ウィンガル
エリーゼ何か知ってるんじゃないですか?教えてください…!
ウィンガル…確かに神子は、我が国にいる
ルドガー何故コレットがア・ジュールに?無事なのか?
ウィンガル無論だ。今は我々に協力している
ゼロス協力、ねえ?無理矢理従わせてる…、こっちはそう思うのが自然だけどな?
ウィンガル
ミラお前らの目的は何だ?何故ア・ジュールは、天啓の石碑を手に入れようとする?
ルドガールークの事も何か知っているんじゃないのか?
ウィンガル…これ以上、お前達に話す事はない
ゼロスおっと、そうはいかないぜ。洗いざらい吐いてもらう
ウィンガル…何度も言わせるな。これ以上に話す事はない、そこを退け
ルドガーいや、退かない
ルドガーお前達が神子の一件に関わりがあるとわかった以上、このまま行かせるわけにはいかない
ルドガー…詳しい事情を話してもらうぞ、ウィンガル
ウィンガル…力ずくでも、というわけか
ヴェイグ素直に話せば手荒な真似はしない。多勢に無勢だ
ウィンガル…それはどうかな
ミラやる気のようだな…
ウィンガル降りかかる火の粉は…払わなければならない
ルドガー来るぞ…!
scene3ロミス遺跡にて
ウィンガル
ルドガーこれ以上の抵抗は無意味だ
ヴェイグこれだけ人数差があってはどうにもならない
ゼロスおい、ウィンガル。そろそろ観念して話したらどうだ?
ウィンガル
ウィンガル…愚かなものだな。全ては直にわかるというのに
ゼロスてめぇ…行かせるか!
ゼロスせやっ!
ウィンガル
ゼロスへっ…俺の攻撃をかわせるとは、まだ余力を残してたってワケか
ウィンガル…そんなに事実を知りたければ、カン・バルクへ来い。神子もそこにいる
ウィンガル来なくても、近い将来我らの目的は知れるがな
ルドガーそれって、どういう…
ウィンガル遊びはここまでだ
ティポわー!まぶしー!
エリーゼ目が…!
ゼロス目くらましか…!
ルドガーう…。収まった…か…
ミラ皆、無事か?
エリーゼはい、大丈夫です…。だんだん見えるようになってきました
ヴェイグウィンガルには逃げられたか…
ゼロスくそ、あの野郎…。姑息な手を使いやがって
ルドガー直に答えがわかると言っていたが何の事だ?
ミラ…わからないが、カン・バルクで何かがあるのだろう
エリーゼこれから、どうしますか…?
ゼロス勿論、カン・バルクに行く。コレットちゃんはそこにいるって話だし
ティポいいのー?おびきよせるためのワナかもよー?
ヴェイグそれでも、コレットの身の安全を考えれば行くべきだろう
ヴェイグコレットの件について、ア・ジュールが何かを握っているのは確かだ
ルドガーその前に、スレイ達と合流しよう。この事を伝える必要がある
ミラ…そうだな。ルカン遺跡はどうだったのだろうか。気になるな
ゼロスルークの奴もあっちに行ってるかもしれねぇな
ヴェイグ…それだけじゃない。あの様子だとア・ジュールも…
エリーゼスレイ達が危険です…!
ルドガーとにかく、急ごう
scene1ルカン遺跡にて
スタン──ほら、見てくれ。この紋章なんだけど…
ミクリオ…ふむ、やっぱり間違いない。この紋章は、ゼロスの天晶石に刻まれていたものと全く同じだ
ティアだとしたら、やっぱりこの石碑が…
スレイ天啓の石碑──…
スレイそれにしても、すごいな。想像してたよりずっと大きかった…
ライラそうですわね。大きさも勿論ですが、この石碑…
ライラ何か特別な、独特の気配を感じます。これが「天啓の石碑」というものなのですね…
スタンあと、このつるつるの表面…。ゼロスが言ってた通りだ
ティアええ、まるで人の手で磨かれたように滑らかだわ
スレイ他の遺跡でも、こんなのは見た事がない…
ミクリオ前にここに来た時、この石碑はなかったはずだ。あったら絶対に覚えている
スレイああ…。でも、こんな大きなものがある日突然現れるなんて、どういう事だ?
ミクリオさっぱりわからないな。誰かがわざわざここまで運んで来るとは思えないし…
スタンそういえば、この石碑…。文字も何も刻まれてないけど肝心の天啓はどうやってわかるんだ?
ティア私達の目には見えていないだけで、神子が見ればわかるのかもしれないわ
ティア天啓を読み解く事が出来るのは神子だけだと言うし
スタンゼロスって実はすごい奴なんだな
ライラゼロスさんがこちらへ来ていればよかったですね…。内容がすぐにわかったかもしれません
スレイとにかく、天啓の石碑を見つけられてよかった
ミクリオロミス遺跡に行ったゼロス達も、いずれこっちに来るだろう
ティアそれに、天啓の石碑があるという事はきっと、ルークや兄さんも…
ライラ
ミクリオとにかく、無事石碑も確認出来た事だし、一旦遺跡の外に出ないか?
ミクリオ幸いここに、僕達以外の気配は感じられない。ルーク達が来るとしても、多分これからだ
スタン言われてみればそうだな。ゼロス達と合流する意味でも外の方が都合がよさそうだ
スレイよし、そうと決まれば行こう
ティアええ
scene2ルカン遺跡にて
ティア遺跡の入口は一つだったわ。そこさえ押さえれば、誰が来たとしても視認出来る
ミクリオなら、入口付近で身を隠そう。相手の出方がわからない以上、様子をうかがうのが得策だ
スレイ──ルークさん達が来るとしたらコレットも一緒かな?
ミクリオその場で天啓を読み解かせるつもりなら、可能性はあるだろうね
スタン心配だな…。ルークに限ってコレットを傷付けるなんて事、するとは思えないけど…
ティア…だとしても、彼がコレットと一緒に行動しているとも限らない…。もし他の誰かだったら…
スタン
ライラでも、神子がいないと天啓を読む事が出来ません。他の方と一緒だとしても危害を加えるとは思えませんわ
ミクリオライラの言う通りだと思うが、楽観は禁物だ
ミクリオもしコレットが協力を拒んだり、抵抗したりしたらどうなる?
スレイそれは…
ティアミクリオの言う通りね。向こうの目的もわからないし…
ティアルークと兄さんの事も気になるけどまずはコレットを助ける事を考えましょう
スレイうん、勿論だ
スレイようやく外に出られたな
スタン誰もいないみたいだ。ゼロス達がここまで来るにしてもさすがにまだ時間はかかるよな
ティア今の内に身をひそめられる場所を確保しましょう
スタンわかった。なら、俺はあっちを見に──
???アハ〜。金髪ネズミはどこに行くって?
スタン誰だ…!?
アグリアまたお前かよ。懲りもせずこそこそ何やってんだ?
スタンアグリア…!一体いつからそこに…
アグリアああ?結構前からいたっての。このマヌケ野郎が
ティア気配がまるで感じられなかった…。彼女は一体…
スタン彼女はアグリア。ア・ジュールの軍人だ
スレイスタンやリリス達を捕まえてカン・バルクに移送したっていう…
ティアア・ジュールの軍人が、どうしてここに…。まさか…
アグリア天啓の石碑目当てに決まってんだろ
アグリアてめーらも中で見たんだろ?あれを回収しに来たのさ
スレイ…!それを知ってるって事は…
ミクリオお前は…ア・ジュールはルークと手を組んでいるのか?
アグリアルーク?ああ、あの赤毛の長髪野郎の事か?
アグリア笑わせんじゃないよ。誰があんなクソガキと手なんか組むか
アグリアキムラスカの王族だか何だか知らねーが、陛下に偉そうな口を利きやがって
アグリアお蔭でこっちはわざわざこんなとこまで来るハメになっちまった
ティアどういう事?ルークのせいでここに来たって…
ティアまさかルーク達に会ったの?だから、この場所を知って…
アグリアふん、だったら何だって言うんだ?
スレイって事は、ルークさんは今ア・ジュールにいるのか…?
ミクリオしかも、天啓の石碑の情報をガイアス王に渡した…
スタン…でも、どういう事だ?今、ルークとガイアスさんが協力してはいないって言ってたよな?
ライラ…アグリアさん、コレットさんの居場所についてはご存知ないですか?
ライラ彼女は無事なんでしょうか?ルークさんと共にア・ジュールにいるのでは──
アグリアガタガタうるせーんだよ!ババアは黙ってろ!
アグリアはああっ!
ライラ…!
ミクリオくっ…!させるか!
ミクリオアイスシアーズ!
アグリアぐあっ!!
アグリア痛ぇ…くそっ、身体が…
スレイライラ!大丈夫か!?
ライラええ、ミクリオさんのお蔭で無事ですわ
ミクリオ僕も問題ない。それより…
アグリアてめえ…よくもやってくれたな!
スタン先に手を出して来たのはお前じゃないか!
アグリア…決めたぜ。てめーら全員、まとめてグチャグチャにしてやる!
スレイ…!ミクリオ、みんな、来るぞ!
ミクリオ望むところだ…!
scene3ルカン遺跡にて
アグリアうぐっ…!
スタンここまでだ、アグリア
ミクリオ大人しく全てを話すならこれ以上の攻撃はしないが、どうする?
スレイオレ達は事実を知りたいんだ。話を聞かせてくれないか?
アグリアてめーらと話す事なんざ何もねぇ…。調子に乗んじゃねーぞ、このクソネズミ共!
アグリア絶対に許さねえ…。こうなったら……
ティア…!様子が変だわ、みんな気をつけて!
アグリア全員今すぐ死ね!ロギズ──…
???ストーップ!そこまで!
スレイ今の声は…?
アグリア……ちっ
???はぁ〜、よかった間に合った…
ティア…!あなた──…!
scene1真相の一端
ティア…!あなた──…!
???久しぶり、ティア。まさかこんなところで会えるなんて♪
ティアアニス…!
アグリアちっ、アニスの知り合いかよ。ったく、どうりでうぜーわけだ
アグリア確か、そこの金髪もジェイドの知り合いとか何とか言って地下牢から解放したよな?
アグリアったく、いちいち邪魔しやがって…。癇に障る奴らだ
アニスはいはい、アグリアってば、相変わらず口が悪いんだから
アグリアてめーみたいに媚びたような口利く方がよっぽど気持ち悪ぃんだよ
アニスアグリアこそ、そうやって誰にでもすぐ噛みつくの、やめた方がいいと思いまーす
アニス気が短すぎるって言うかー、嫌われるって言うかー
アグリアいちいち口うるせぇな。大体、人手を寄越せとは言ったがお前を呼んだ覚えはねえ
アニスこっちだって呼ばれた覚えはないもんね。陛下の命令で来ただけだしー
アニス大事な任務だから、陛下もきっと万全を期したかったんじゃないかなあ
アグリアけっ。何でこんな奴と…
スレイ…な、何なんだ?この二人…。言い合ってるけど仲間同士なんだよな?
ティア彼女はアニス・タトリン。れっきとしたア・ジュールの軍人よ
ライラという事は…アニスさんも天啓の石碑を確保するためにここへ来たのですか?
アニスうん、そーだけど…何で知ってんの?一応、機密情報のはずなんだけど
ティアアニス。私はルークを捜しているの
ティアあなた達が今ここに来たのはルークからの情報によるものと聞いているわ
ティアあなた達ア・ジュールは、ルークや兄さんの起こした一件に関わっているの?
アニスティアのお兄さん…?それって──
???はい、そこまでですよ、アニス
スレイ今度は誰だ?
???こんな場所に思いがけない客人ですね
スタンジェイドさん…!
ジェイドあなたとはよく会いますね、スタン。それにティア、あなたまでいるとは
ティア
scene2真相の一端
スタン──ジェイドさん、あなたまでここに来るなんて…。それに、その大勢の兵士は…?
ティア天啓の石碑の回収部隊…ですね?
ジェイドおや、そこまでご存じでしたか
アグリアったく、随分待たせやがって
ライラアグリアさんは私達よりも先に石碑を見つけ、応援を呼んでいたのですね…
ミクリオああ、そのようだ
スタンジェイドさん、聞きたい事があります
ジェイド何でしょう?
スタンコレットは、ア・ジュールにいるんですか?
スタン…ア・ジュールはルーク達と手を組んで、神子を…
スタンコレットを誘拐したんですか?
ジェイド誘拐…ですか
ジェイド少なくとも、我々ア・ジュールはそのような行為には関与していません
ミクリオなら、どうやってここに?神子の力なしにここがわかるはずがない
ミクリオしかも、コレットがさらわれた直後にあなた達は現れた。いくら何でもタイミングがよすぎる
ミクリオ神子を従わせて情報を聞き出したんじゃないのか?
ジェイドああ、どうやら勘違いされているようですね
ジェイド私は誘拐に関わっていないとは言いましたが、神子と関わりがないとは言っていません
スタンどういう事ですか?
ジェイド数日前の事です。ルークがシルヴァラントの神子を連れ我が国を訪ねて来ましてね
ティア…!
ジェイド今は二人共、我が国に滞在しいろいろとご協力いただいています
ジェイドこの場所を突き止められたのもあなた方のお察しの通り、コレットのお蔭というわけです
スタンコレットは無事なんですね
アニス当然ですよー。大事なお客さんだし
ティアルークは何故ア・ジュールに?何の目的で…
ジェイド詳しい事情は聞いていません。彼なりにいろいろと考えた上での判断ではあったようです
ジェイド…もっとも、それが彼自身の考えなのかどうかは疑問の余地がありますが
ティアどういう事ですか、大佐
ジェイド言葉通りの意味ですよ。随分と彼らしからぬ思い切った行動に思えましたのでね
ジェイドそれより私からも、質問してよろしいですか?
ジェイドさきほどのルーク“達”、と言いましたね。ルークには仲間がいるという風に聞こえますが…
ジェイドそれが何者なのか、掴んではいませんか?
スレイそれは…
ティア…大佐、ガイアス陛下の元に現れたのは、ルークとコレットだけだったんですね?
ジェイドええ。お二人だけでした。だから奇妙に思いましてね
ティア…ルークは私の兄、ヴァン・グランツと行動していると思われます
ジェイドヴァン・グランツ…。確か以前、キムラスカの騎士団総長を務められていた方ですね
ジェイド実際にお会いした事はありませんが、とても有能な方だったそうですね
ジェイド…ふむ、なるほど。お蔭でいろいろと疑問が解けました
スタンえっ…。一体何が…
ジェイドいえ、こちらの話です。おしゃべりはここまでにして、用件を済ませましょう
ジェイドすみませんが、そこを通してもらえますか
ジェイド我々には、天啓の石碑を国へ持ち帰るという急ぎの任務がありますので
ティア待ってください。まだ聞きたい事があります
ティア大佐は…ルークの、彼の目的をご存知なんですか?
スレイコレットの事も聞きたい。誘拐されたコレットが“協力”してるっていうのは変です
ミクリオ誘拐との関与を否定したけど…ア・ジュールにコレット達がいるのに無関係というのは俄かには信じがたい
ジェイドそうですねぇ、一つ言えるとすれば私の発言に嘘はありません。これは保証します
ジェイド信じるも信じないもあなた方の自由ですがね
ライラそんな…
アニス…何だか、納得出来ないって顔してますよ、大佐?
ジェイドおや、困りましたね。誠心誠意を込めてお話ししたつもりでしたが
アグリア…ちっ!何を遠慮してんだ!こんな奴ら、蹴散らしてしまえばはえーだろうが!
アグリアおら、さっさとそこを退け!退かねーなら今度こそてめーら全員まとめて──
ジェイドやめなさい、アグリア。気が急くのはわかりますが、彼らと事を構える必要はありません
ジェイドいたずらに事を荒立てるのは、陛下も望んでおられないはず
ジェイド私達が、今こうして動いているのは何のためなのか、よく考える事です
アグリア……けっ
ティア…大佐。あと一つだけ教えてください
ティアア・ジュールは…あなた達は天啓の石碑で、何をしようとしているのですか?
ジェイド…今は言えませんが、焦らなくても、数日の内に全て明らかになりますよ
ジェイドああ、そうです。よければあなた方もカン・バルクへ来ませんか?
ジェイド実際に見ていただければ私達の目的も、よりご理解いただけると思います
ジェイド神子についても、こちらの用が済めばシルヴァラントにお帰しするつもりですし
ジェイドそれに…ティア、上手くいけばあなたのお兄さんに会えるかもしれませんよ
ティア
ミクリオ何故、今ここで、詳しい事情を話さない?
ジェイド神子の誘拐に関しては、我々は関与していませんので何も申し上げる事が出来ません
ジェイド我々の目的というのも、国家機密に当たりますので今はご容赦願います
スタンコレットはそれで納得しているのか?
ジェイドええ、そのはずです。我が国に来た時も、緊張こそすれ脅されてはいないようでしたし
ジェイドちなみに、我が国が神子を保護している事は、シルヴァラントへもご連絡済みですよ
ジェイドそろそろシルヴァラント国王のお耳にも届いている頃でしょう
ティアシルヴァラントに…!?
ジェイドそれまでの間は勿論我が国で責任を持って神子の身はお守りします
スレイそこまで言うなら、コレットは無事なんだろうけど…
ティア…大佐、本当に、あなた達を信じていいのですね?
ミクリオ…ティア、いいのか?
ミクリオ彼の言っている事が、全て本当だとも限らない
ミクリオ赤の騎士団のように、よからぬ目論見がある可能性だって否定出来ないぞ
ティア…周りを見て。私達は今、大勢のア・ジュール兵に囲まれているわ
ティア私達を押さえる事は容易いのにアグリアを制止し、こうして話せる限りの情報をくれた…
ティア…何より、彼らの上にいるガイアス陛下は小細工を嫌う人物よ
ティア何をお考えであるにせよ、姑息なやり方をするとは思えないわ
スタンそうだな。ティアの言う通りだ。それに、ジェイドさんも信頼出来ると思う
スタン前にア・ジュールの牢屋に入れられた時も助けてもらったしな
スレイ…わかった。二人がそう言うならオレも信じるよ
ミクリオそういう事なら、僕も異論はない。ここで無理に抵抗しても、さすがに勝ち目はなさそうだしね
ジェイドいやあ、ご理解いただけたようで何よりです
ジェイドアニス、アグリア!兵達を連れ、直ちに天啓の石碑を回収しに向かってください
アニスはい!では、みなさん行きますよー!ほら、アグリア案内して!
アグリアお前に指図されたくねー
ジェイド騒がしい部下ですみませんね
ティア…大佐。ルークは、兄さん…ヴァンの事は何も言わなかったんですね
ジェイドええ、今あなたから聞いて初めて知ったくらいです
ティアそうですか…
ジェイド…まあ、いずれにしろ、我々はあなた達の信用を裏切るような事はいたしませんので、ご安心を
ジェイドでは、そろそろ私はこれで。運搬の段取りがいろいろとありますのでね
スレイ…わかりました。お気をつけて
ジェイド次にお会いするのはカン・バルクで、ですかね。それでは
ライラ行ってしまわれましたね。これからどうしましょう…
ミクリオこんな形で、ア・ジュール軍に天啓の石碑を持っていかれる事になるなんてね…
スタン一時はどうなるかと思ったけど、コレットが無事だって事がわかっただけよかったよ
ティアルークの居場所も掴めたわね。そこにいれば、あるいはいずれ兄さんも…
スレイカン・バルクへ行こう。そうすれば真実がわかるかもしれない
スタン…よし、そのためにもまずはゼロス達と合流しよう。みんなにもこの事を伝えないと
スレイああ!
scene1合流、そして
ゼロス──お、ようやくルイニス街が見えてきたぜ
ルドガー何だかどっと疲れたな…
エリーゼそうですね…。結局ルーク達に会えませんでしたし、石碑も見つかりませんでした…
ミラああ。だが、わかった事もある。気を落とす事はない
ミラルイニス街で少し休憩しよう。エリーゼ、あと少し頑張れるか?
ティポミラ君に応援してもらったら頑張れるよねー、エリー
エリーゼはい。そういえば、スレイ達の方はどうだったんでしょうか…
ヴェイグ…天啓の石碑がなかった場合は、もう一方の遺跡へ向かい、落ち合う事になっていたはずだ
ヴェイグここまでスレイ達と会わなかったという事は…
ゼロス天啓の石碑を見つけたのかもしれねぇ
ルドガーその可能性は高い…。いずれにせよ心配だな、ア・ジュールの事もあるし──
ゼロスん?向こうから来るのってひょっとして…
ミラ…噂をすれば何とやら、だな
スレイゼロス、ルドガー!それにみんな!
スレイちょうどよかった。オレ達もみんなに会いに向かってたとこなんだ
エリーゼわたし達も今ちょうどスレイ達の話をしていたんです
ルドガースレイ、ルカン遺跡はどうだったんだ?ここにいるって事はまさかそっちもハズレだったのか?
ミクリオ…天啓の石碑なら見つかった
ティポホントー!?やったー!
ティポ…けど、みんな浮かない顔してるー。どうしたのー?
ミラ…何があったのだ?ルーク達にはやはり会えなかったか?
ティアええ、残念だけど…。一応、彼らの居場所に関する情報は得られたわ
ルドガー居場所を?
ゼロスおいおい、まさかア・ジュールの奴らから聞いたんじゃねぇだろうな?
スタン何でわかるんだ、ゼロス?
ヴェイグオレ達の方にも、ア・ジュールの人間が現れたんだ
ヴェイグやはり、天啓の石碑を探しに、ルカン遺跡へも派兵していたようだな
エリーゼじゃあ、見つけた石碑は…
スレイ…うん。ア・ジュール軍が運び出した
ルドガー
スタンなぁ、…話すと長くなりそうだし、ルイニス街に行って詳しく話さないか?
ヴェイグああ、こちらもみんな疲れている。それがいいだろう
ライラこれからの事もいろいろ相談した方がよさそうですわね
スタンいいお店があるんだ。案内するよ
scene2合流、そして
スタン──ごめん、遅くなった
スタンみんなと食べるからって言ったんだけど、リリスが俺の好物を用意してくれてさ
ティポスタン君、ずるーい。何食べたのー?
スタンマーボーカレーだよ。美味しかった!
ライラまあ、うらやましいですわね。街の方達もお変わりないようですし何よりです
スタン晶化現象は少し酷くなってるけど、例の二人組は来てないみたいだしよかったよ
スタン今はリオンもいるし、コングマンっていう強力な助っ人も、街の警護を手伝ってくれてるから安心だけどな
ティアあの二人がいてくれたら確かに心強いわね
スタンところで、ルカン遺跡であった事は聞いたか?
ゼロスああ、大体はな
ルドガーウィンガルと会った後、スレイ達の事を心配していたんだが嫌な予感はやっぱり当たってたんだな
スレイジェイドさん達も、コレットの助言を元に石碑の在処を探してたみたいだからね
ミラお互い神子の助言で動いているのだから当然と言えば当然だろう
ティポコレット君が無事みたいでよかったねー
エリーゼシルヴァラント国王にもちゃんと話は伝わってるみたいですしきっとロイドの耳にも入りますよね
ヴェイグ…だが、結局ルークが何のためにコレットをア・ジュールへ連れて行ったのかはわからないままだ
ティアルークはカン・バルクにいるそうよ。会って話をする事が出来ればいいのだけど…
ゼロスウィンガルとかいう奴も行けばわかるみたいな事言ってたな…
ゼロスどいつもこいつも肝心な事を言わねぇで勿体ぶりやがって
ミラガイアスの事だ。きっと考えがあっての事だと思うが…
スタンうん…。俺がガイアスさんに会った時、それは強く感じた
スレイ…とにかく、カン・バルクに行こう
スレイコレットやルークさん達の事は勿論、ア・ジュールの計画や天啓…、気がかりな事がたくさんある
エリーゼア・ジュールは天啓の石碑をどうするつもりでしょうか…
ミクリオ神子と天啓の石碑…。これを手元に置くという事は考えられるのは一つだ
ゼロスああ。神子に天啓を読み解かせる…、それだけなら、神子を直接石碑のところに連れて行けばいい
ゼロスけど、それをしないって事は…
スレイ…!まさか、ア・ジュールは天啓の儀式を行うつもりなのか?
スタン普通に考えるとそうだけど…一体何のために?
スタンガイアスさんは、赤の騎士団と違って天啓が未来予知だとかいう話も信じてなさそうだったし…
ティアそれを知るためにも、カン・バルクに行くべきだと思うわ
ゼロス…その前に、ちょこっとだけメルトキオに寄り道だ。コレットちゃんの件を報告しねーと
ライラゼロスさん、コレットさんの事ならシルヴァラントには連絡がいっているはずですが…
ゼロスだとしても、ちゃんと確かめないと安心出来ねぇからさ
ゼロス…それに何より、一刻も早くロイドに伝えてやりたいしな
スレイゼロス…
スレイわかった。ゼロスの言う通りカン・バルクに行く前にメルトキオへ寄ろう
ルドガーああ。そのくらいの時間はあるだろう。必要な物を買い足して出発しよう
スタン出発前に、俺、ちょっとリオンのところに行ってきてもいいか?
スタン街の事任せきりだし、少し話しておきたいんだ
???…その必要はない
ミラ…!その声は…
リオン
スタン…リオン!まさかお前の方から会いに来てくれるなんてな
リオン勘違いするな。聞きたい事があっただけだ
リオンさっきリリスから聞いたが、これからア・ジュールへ行くらしいな
スタンうん。そこにいけば、ルークやコレットの事、それに次の天啓の内容もわかるはずだ
スタンア・ジュールが天啓によって何をしようとしているかも…
スタンだからごめん、街の事…またリオン達に任せきりになるけどもう少し──
リオン…言ったはずだ。街の事は僕に任せて、お前は晶化現象を何とかしろと
リオン天啓は晶化現象の進行と何らかの関係があるかもしれない
リオンそれに今各地で起きている襲撃事件…世界に何か起きようとしているのは確かだろう
リオンお前はカン・バルクに行って、天啓によって何が起きようとしているのか、見届けて来い
スタンリオン…
リオン僕がこの街を守り抜くのは当然の事だ。お前に謝られる筋合はない
スタンリオン…。ごめん…、いや、ありがとう!
スタン次々といろんな事が起こるけど…でも、必ず晶化現象の事は解決してみせるから
スタンだから、引続き街の事をよろしく頼む、リオン
リオン…ふん
ヴェイグ…行ってしまったぞ
ゼロス久しぶりに顏見たと思ったら、愛想のかけらもない野郎だなぁ…
ミクリオ彼は何しに来たんだ?不機嫌そうだったが…
スレイえーと、つまり、自分にこの街の事は任せてスタンはスタンで頑張れって事?
ルドガースタンと一緒で、旅立つ前に顔を見ておきたかったのと、リオンなりの激励だったんだろう
ミラふっ…素直じゃないところは相変わらずだな
ライラそれでもわかり合える男同士の友情…。まさに青春ですわね
エリーゼ二人はあれで仲良し…なんですね。不思議です…
ライラエリーゼさんにも、わかる時が来ますよ
スレイ…じゃあ、オレ、必要な物を買い足して来るよ
ミクリオスレイ、僕も手伝おう。出発は出来るだけ早い方が——
きゃあああああ!魔物よ!
助けてー!
ティア…!今の声は…
ヴェイグ外だ…。街の中に魔物が侵入したらしい
スタン行こう、助けないと!
scene1雪の都カン・バルク
ジェイド——と、いうわけで我々は無事にカン・バルクまで天啓の石碑を運び出す事が出来たわけです
ガイアス
ジェイド…それにしても、ルカン遺跡でティア達と会った時に、おそらくそうだろうと踏んではいましたが
ジェイドやはりティア達はもう一人の神子の助言を得ていたのですね
ウィンガルああ。赤い髪の…ゼロスという男の神子だ
ジェイド何はともあれ、現れたのが赤の騎士団やシルヴァラント軍でなくてよかったです
ウィンガルああ。面倒な事になっただろうからな
アグリアにしても、ウィンガル、お前あのネズミ共の仲間にやられて逃げ帰って来たんだって?
アグリア一体何やってんだよ。「ア・ジュールの黒き片翼」さんがよぉ?
アニスやられて困ってたのはアグリアの方でしょ?
アニスウィンガルは単に適当にあしらって帰ってきたってだけだと思うけど?
アグリアはあ!?それは、てめーらがいいところで邪魔したからだろーが!
アニスはいはい、じゃ、そういう事にしといてあげる
アグリア何だとアニス!このブス──…
ウィンガル…アグリア、そこまでにしろ。陛下の御前だぞ
アグリア…!……
ジェイドあなたもですよ、アニス。無闇に人をからかうような物言いは感心出来ませんね
アニスむー、大佐だってよくそういう物言いするじゃないですかー
ジェイド私は時と場所を弁えますから。ね、陛下
ガイアス
ウィンガルそれより陛下…、本当に儀式を執り行うのですか
ウィンガル儀式を執り行えば、奴の得体の知れない思惑に乗せられる事になるかもしれません
ガイアス……ヴァン・グランツか
ウィンガルはい。ルークの話を聞く限りは心配無用という感じでしたが、話は変わってきました
ガイアス…確かに、奴の企みは定かではない。神子の引き渡しに姿を見せなかったのは気になる
ガイアスだが…、この状況を変える方法はただ一つ
ガイアス儀式は滞りなく準備を進めろ
ウィンガル…御意
ガイアス各国への連絡はどうなっている
ウィンガル…そちらも抜かりなく。各国の代表者も続々と到着しています
ウィンガル儀式は予定通り明日、執り行えるかと
ガイアス…うむ
???おい、ちょっといいか?
ジェイドルーク…
ルーク取り込み中、悪ぃ。ただティアにばれたって聞いて…
アグリアおい、てめー!王の間にまで勝手にズケズケと入って来やがって、ぶっ殺す──
アニスちょっと!キムラスカの王族にそんな事したら戦争だよ、もー
ルークあ?何か知んねーけど相変わらず騒がしい奴らだな
ルークそれより、石碑が見つかったのはいいけど…その、儀式の方は大丈夫なのか?
ジェイド万事順調ですよ。コレットを保護している事もティア達に伝えてあります
ジェイドルーク、あなたがここにいる事もね
ルーク…それは言わなくてもよかったのによ
ジェイド話の流れ上、仕方ありません。あなたの事を心配していましたよ
ルーク
ルーク…知られちまったもんは仕方ねぇ。で、天啓の石碑はどこにあるんだ?赤の騎士団も探してるんだろ?
アニス儀式予定の場所に設置してますよ。ちゃんと警備もしているのでご安心ください♪
アニス後で私と一緒に見に行きましょう、ルーク様♡
ルークお、おう、後でな。こんなに早く見つかるとは思ってなかったぜ
ルークコレットのあの証言だけで本当に見つかるなんてよ…。儀式はいつ行うんだ?
ガイアス…明日だ。お前はどうする。席を設けるか?
ルークいや、俺はまずいだろ。遠くから隠れて見物してる
ルーク…ついに明日か。これでウィンドルの赤の騎士団も少しは大人しくなんだろ
ルークシルヴァラントだって文句言わなくなるだろうし、争う原因はなくなる
ルークそしたら、戦争なんてもんも起きねーし、誰も死ななくて済む
ルーク儀式が終わったら、コレットもロイドの元に帰せる
ルーク…だよな?
ジェイドええ、コレットの事は安心してください。ルークも協力ありがとうございます
ウィンガル
ルークべ、別にいいんだ、それは。俺、コレットにこの事伝えてくる
ルークじゃあな、ガイアス。明日は頼んだぜ
ガイアス
アグリアちっ、何だあいつ。急に入ってきてべらべらと…
ジェイドルークは、最後まで協力者の事を口にしませんでしたね。陛下、やはりこれは…
ガイアス…ああ。おそらくヴァンに口止めされているのだろう
ガイアスルークの監視を続けろ。儀式までに必ずヴァンと接触するはずだ
ジェイド…わかりました
スレイ──すっげー…!ここが、ア・ジュール
スレイ雪が多く降る地域だってジイジから聞いてたけど想像以上に真っ白で綺麗だな!
ミクリオこれだけ雪が多いと棲息する動物や、人々の暮らしにも随分影響するだろうね
ヴェイグようやく着いたのはいいが、時間を食ってしまったな
ミラだが、メルトキオへ行ってよかった。ちゃんとコレットの事も伝わっていた事が確認出来た
ルドガーそれに、思わぬ情報も手に入ったしな
ライラガイアス王が自国にシルヴァラントの代表者を招いたというお話でしたね
エリーゼはい…。確か、フィリア司祭が向かったと言ってました
ヴェイグロイドも護衛として同行しているらしいし、コレットにもいち早く会えるだろう
スタンでも、何でア・ジュールに呼んだんだろうな?重要な会合をしたいって話らしいけど…
スタンア・ジュールがしようとしている事に関係あるんだよな?
ティアおそらくそう考えて間違いはないでしょうね
スレイロイドと会えなかったのは残念だったな、ゼロス
ゼロス入れ違いは仕方ねーな
ゼロス俺さま達も行く場所は一緒だし、すぐに会えんだろ
ルドガーとにかく急ごう。ここからカン・バルクまでもまだ距離はあるし──
ティポあ、雪が降ってきたー!見て、エリー
エリーゼ本当ですね…!ふわふわして綺麗です…
ゼロス雪、か…
スレイゼロスも雪が珍しいのか?
ゼロス…いや、そういうわけじゃねぇけど雪はあんまり好きじゃねぇんだ
スレイそうなんだ?こんなに綺麗なのに
ゼロスおっ、意外にスレイってばロマンチスト?なかなか隅に置けないねぇ〜!
ゼロス…でもまぁ、あの時と今は違うしな。クロエちゃんの言う通りだ
スレイゼロス…?
ゼロス悪い悪い!何でもないって!さっさとカン・バルクに行こうぜ〜!
ティポオッケー!ゴーゴー!
scene2雪の都カン・バルク
ティポみんなー、こっちこっちー!早くしないとおいてくよー
ヴェイグティポの奴、随分とはりきっているようだが…この街には来た事があるのか?
エリーゼはい、何度か買い物に
エリーゼとても美味しい果物を売ってるお店があるんです…。ティポもわたしもそれが大好きで…
ゼロスははーん、さてはあいつ俺さま達をその店に誘導しようと先陣切ってるってわけか
ゼロスいっつも誰より先に疲れたーって騒いでるのに、やけに元気だし…。魂胆みえみえ、ってヤツ?
スタンま、いいじゃないかゼロス。そんなに美味しいなら、俺もその果物食べてみたいし──
ティポ…!
ティアティポ?急に止まってどうしたの?
ティポ人がうじゃうじゃいるー。これじゃ、うまー!なナップル食べに行けないしー
ルドガー本当だ…。それに、何だかみんなざわついていないか?
スレイひょっとして、ジェイドさん達が何かしてるのか?
ミラ…あっちだ。あそこに人が集まっている
ミクリオ何だろう。僕達も行ってみよう
ティアそうね
ライラ──随分と開けた場所ですね。大勢の人が集まっているようですが…
エリーゼ…!見てください…真ん中に何か、すごく大きなものが…
スレイあれは…
スタン天啓の石碑だ…!
ヴェイグあれが…
ルドガーどうしてこんなところに…。やっぱりア・ジュールは、ここで天啓の儀式を行おうと…?
ゼロス予想的中、ってか?こんな大っぴらに儀式なんかしたら、何処の国の連中も大騒ぎになるぜ
???天啓の儀式…その話、本当です?
ティア…!あなた達は…
エステルお久しぶりです、みなさん
スレイエステルさん!それにアスベルさんまで…
アスベルまさかこんなところでまた会えるなんて思っても──……あれ?
アスベルそこにいるのはミラ?…と、ゼロスやスタン、エリーゼまで一緒なのか?
ティポぼくを忘れるなー!
アスベルご、ごめんティポ…!…でも驚いたよ。まさかみんなが一緒にいるなんてな
ミラ皆それぞれ晶化現象を追って旅をし、目的を同じくした仲間だ
スタンこういう時はみんなで協力し合わないとな!アスベルもそう思うだろ?
アスベルああ、そうだな
ゼロスそんな事より!いや〜、エステルちゃん、久々にその麗しい姿見れて俺さまハッピー♪
エステルふふ、わたしもみなさんと久しぶりにお会い出来て嬉しいです
エリーゼゼロスって…ある意味尊敬します…
ルドガーぶれないよな…
ルドガーところで、エステル、アスベル。二人はどうしてここに?
スタンウィンドルの方は落ち着いたのか?
エステルいいえ、相変わらずなんですが…。ガイアス陛下からセルディク大公とわたしに招聘がありまして
ルドガー何だって?ウィンドルもか?シルヴァラントも呼ばれてるらしいんだが…
アスベル四大国の代表で大事な話し合いをしたいとの事だ
ゼロスって事は、キムラスカも…?ガイアスは一体何を…
エステルわたしも、このような形でお招きを受けるのは初めての事で戸惑いました
エステル大公からは、わたしは国に残るようにと言われていたのですが…
ティアまさか、心配でアスベルと共にお忍びでいらしたのですか?
エステルはい…
ミクリオ国に残れ、か…。まるでウィンドルの代表は自分だと言ってるみたいだ
アスベルセルディク大公はリチャードやエステリーゼ様をないがしろにしている…
アスベルそれに、今回の会合の席で他国に対して敵対するような事を口にしないか心配だ
アスベルただでさえ、赤の騎士団の派兵でシルヴァラントとの国交は不穏な状況だというのに
アスベル火に油を注ぐような事にならないといいんだが…
スレイアスベルさん…
エステル大公殿下の様子も気になりますし、もし何かあったらと思うといても立ってもいられなくて…
ルドガーエステル…
ゼロスだーいじょうぶだってぇ!エステルちゃんは、俺さまがきっちり守り抜いてみせるからよ!
スタンゼロスの言う通りだ。いざとなったら俺達もいる。安心してくれ
エステルみなさん…。ありがとうございます…!
ヴェイグそれにしても…シルヴァラントだけではなく四大国全てが招集されていたとは…
エリーゼびっくりしました…。どういう事でしょうか…
アスベルそれも気になるが、さっきの話…。これからここで天啓の儀式が行われるっていうのは本当なのか?
ゼロス多分、な。あそこにあるのは天啓の石碑だ。そう考えるのが自然だろ
アスベルあれが石碑…。ユーリに聞いたけどゼロスも神子の一人なんだろ。石碑はお前が読み解くのか?
ゼロスいや、俺じゃねぇな。おそらく…
ゼロスそういえば、アスベル達は知らねぇんだよな。まあ、うちの国で起こった事だから当然だけど…
アスベル…?何かあったのか…?
スレイ…うん。実は──
アスベルルークがシルヴァラントの神子を!?本当なのか、それは…
エステルとても信じられません…
スタン…まあ、そうだよな。俺達も最初は耳を疑ったし
エステル連れ去られた神子がご無事なのはよかったですが、でも…、何故ア・ジュールに…
スレイオレ達もその真相を知るためにここに来たんです。そしたら、こんな事になってて…
ティア現時点では私達も確かな情報は持っていないの
アスベルそうか…
うおおおお!
ゼロス歓声…?何の騒ぎだ?
ヴェイグ城の方から誰か出てきたようだ
スレイあれは──…
scene1始まりを告げる蒼光
ヴェイグ──城の方だ。誰か出てきたようだ
スレイあれは──…
ガイアス
ジェイド
ウィンガル
ミラガイアスだ
スレイあの人が、ア・ジュールの国王…
スタンジェイドさんとウィンガルも一緒だな
ゼロス見ろ、その後ろ…
フィリア・ロイド
ヴェイグフィリア司祭とロイドか
ルドガーウィンドルのセルディク大公も続いて出てくる
アスベル
ナタリア・セルディク
ティアナタリア…!彼女がキムラスカの代表として来たのね
スレイティア、知ってるの?
ティアええ。彼女は国王陛下の娘であり、ルークの婚約者でもある
スレイどの国も国王じゃなく名代って事か
ミクリオ無理もないさ。騒動の影響でどの国も混乱状況にあるはずだ。国王が国を離れるわけにはいかないだろう
エリーゼ…アスベル、バロニアは大丈夫なんですか?
アスベル何とかな…。街の事はフレンとウィンドル騎士団に託してきたんだ
アスベルユーリは、各地を荒らしている人物の調査と警戒をしてくれてる
アスベルバロニア付近でおかしな動きがあればフレンと連携して先手を打ってくれるはずだ
ヴェイグそうか。ユーリ達がいるなら心強いな
ミラそれにしても、ただならぬ雰囲気だな…
ミラガイアス達の周囲も厳重な警備で固められている
ルドガー多分、各国代表陣の護衛だろう。赤の騎士団のカーツもいるし…そうそうたる顔ぶれだ
アスベルエステリーゼ様、セルディク大公に気付かれないよう、もう少し後ろに…
ゼロスエステルちゃん、こっちこっち!俺さまの陰に隠れなよ〜。ここならよく見えるし!
エステルあ、ありがとうございます、ゼロス
ヴェイグゼロス、もう大丈夫とは思うがお前もあまり目立たないようにな
ゼロスはいはい、わかってますって
スタン…考えてみると、これってすごい光景だよな
ライラええ、そうですね。名代とはいえ、各国の代表が一堂に介しているのですから
ティア重要な出来事に立ち会っているのは間違いないわね
ナタリア…ガイアス陛下、私は重要な会合があるとうかがってっておりましたが…
ナタリアそれをここで行うおつもりですの?
セルディクそれに、目の前にあるこれは一体…?何かの石碑のように見受けられるが…
セルディクまさかこれは…天啓の石碑か!?一体どのような手段でこの石碑を…!
ガイアス
フィリア神子の力で見つけたのですね。神子コレットは今、この国で保護されていると聞いています
セルディク神子がア・ジュールに…?どういう事です?
フィリアガイアス陛下、事情をお聞かせいただけませんか?
ガイアスコレットは、まもなくここへ来る事になっている
ガイアスまずは順を追ってこちらからお話させていただく
フィリア
ジェイドセルディク大公のご質問、石碑の入手方法については私がお答えさせていただきます
ジェイド私はジェイド・カーティス。ア・ジュール軍大佐です。以後お見知りおきを
ジェイド天啓の石碑は神子の協力を得て我々が発見し、今日まで保管しておりました
セルディク
ティア…各国の代表陣にも何が行われるかは知らされていないようね
ルドガーああ、様子がおかしい。みんなこの状況を飲み込めていないようだ
ミクリオここに集まっている人達は全員そうなんじゃないか?
スレイ…うん。あんなにすごかった歓声も止んですっかり静まりかえってる…
エステル
ガイアス…各国代表の方々、急な招請にも関わらずお集まりいただき感謝する
ガイアス集まった民にも、謝意を表したい
ガイアス陛下、ばんざーい!
ばんざーい!
ガイアスでは、早速本題に移らせてもらう
ガイアス本日これより、この場にて天啓の儀式を執り行う
ガイアス他でもない、天啓を巡る混乱に終止符を打つためだ
ナタリアまぁ…!
セルディク天啓の儀式だと…?
フィリアそんな…
ガイアスウィンガル、神子をここに
ウィンガルはい、ただいま
コレット
ロイドコレット!
コレットロイド…!それに、フィリアさんも…!
フィリアコレットさん…!ご無事でしたか?
コレット二人共、心配かけちゃったよね、ごめんなさい
ロイドいや、俺の方こそ、守るって言ったのに…ごめん
ロイド…ガイアス王、コレットがここにいる理由を教えてくれ
ロイド内容によっては、今すぐコレットを連れて帰るぜ
コレットロイド、あのねガイアスさんは悪くないの…
ガイアス
コレット…ここに来たのも、これから儀式を行うのも無理矢理じゃない
コレット私自身も望んでここに呼んでもらったんだよ
ロイドコレット…それは本当なのか?
コレットうん。話せば長くなっちゃうけど…本当だよ
コレットロイドもきっと、ルークとも仲直り出来るはずだから
ロイドルーク…
ロイド…わかった。コレットがそう言うなら
フィリア
ゼロスおーおー、国王サマの前で遠慮ないなぁ…ロイドくん。まぁ、無理もねーけどな…
ゼロス何話してるか気になるけどよ、コレットちゃんは無事みたいだな
エリーゼ二人が会えただけでもよかったですけど…
スレイそうだね。それにしても、やっぱりこれは天啓の儀式が目的だったんだな
アスベルそれが、天啓を巡る混乱を止めるって…どういう事だ?
スタンみんな、またガイアスさんが話し始めるよ…!
ガイアス…昨今、新たな天啓が出現したと噂が広まったのをきっかけに、各国の間に緊張が高まっている
ガイアス天啓の石碑を手中にしたいと欲するウィンドルと、手放したくないシルヴァラント
ガイアス両国の不和は、傍目にも明らかでこのままでは戦争も起こり兼ねない
ガイアス先日、ウィンドルの赤の騎士団がメルトキオに侵入したという話を聞いた
セルディク…我が国に対して批判をしようとでも言うのか?ガイアス陛下。そもそもあれは…
ガイアス俺は事実を述べたに過ぎない。セルディク大公、話はまだある
セルディク
ガイアス我が国は、そうした国家間の争いを回避するために今日この場を設けた
ガイアス第三者的、中立の立場として、我が国が民の前で儀式を執り行い、天啓をここに公表する
セルディク何だと…!
フィリア
ナタリア
ガイアス内容を公表する事で公平性は保たれ、各国が抱く疑念も解消されるだろう
ティポア・ジュールは混乱を収めるために石碑を手に入れたって事ー?
エリーゼはい、多分…
ティア私達との戦闘を避けようとしたのも…そういう事だったのね
スタンだったら、俺達に話してくれればよかったのに
ミクリオ情報流出を懸念したんだろう。各国家に大きく関わる問題だからね
フィリア…ガイアス陛下のお考えはわかりました
フィリアしかし、天啓の儀式は、我がシルヴァラントに伝わる由緒正しき伝統の儀式──
フィリアそれを、我が国にご相談もなく執り行うのは、いささか乱暴ではありませんか
ガイアス貴国の伝統を否定する気はない。だが…
ガイアス先日のリチャード陛下の一件以来、ある疑念が貴国に向けられている。それはご存知だろう
フィリア
ガイアスこういった不審や不穏を解消するためには、形式に捉われず公然に儀式を執り行う事が最善だ
ガイアス我が国は、天啓を崇拝する文化もなくそれを独占する気も毛頭ない
ガイアス公平性という意味では、我が国が妥当…そう思わぬか、セルディク大公?
セルディク
ガイアスナタリア殿下。少し前にキムラスカの王都バチカルが襲撃されるという事件があったそうだが──
ガイアスそちらは何とか鎮静化したものの、首謀者は未だ不明と聞く
ナタリアはい、仰る通りですわ
ガイアス話によると、シルヴァラントの仕業ではないかと噂が飛び交っていると…
フィリアいいえ、そのような事実はありませんわ
ガイアスただの噂だという事は重々承知している。問題なのは、今起こっている各国の関係悪化だ
ガイアスただでさえ晶化現象によって世界中は不安に包まれている
ガイアスこのような時こそ、各国の協調が必要だ。天啓という不確かなものに振り回されている場合ではない
ガイアスよって、これより行う天啓の儀式に、各国の代表者である貴君らに参列をお願いした次第だ
ガイアス同意いただけるだろうか
ナタリア全てを明らかにし疑念の芽を摘む…そういう事ですわね
ナタリア各国間のわだかまりをなくす事に繋がるのであれば…儀式を見届けさせていただきますわ
ガイアス感謝する、ナタリア殿下
ガイアスセルディク大公殿下、フィリア司祭殿の意見はどうだろうか
フィリア
ガイアス特に異論がないようであれば、これより儀式を執り行う
フィリア…我が国は、天啓を独占、改ざんする意志は全くありません
フィリアしかし、その疑いが向けられているのも事実。それを晴らすいい機会かもしれません…
フィリアただ、これはやはり、我が国の意志を無視したものです
フィリア今ここで儀式を阻みはしませんが同意したとは申し上げられません…
ガイアスそれについては了解している。天啓の石碑も、神子も必ずお返しすると約束しよう
ガイアス…セルディク大公殿下。貴公はいかがだろうか
セルディク……
セルディク…異論はあるまい。ウィンドルの代表として、偽りがないか見届けるとしよう
ジェイドでは、僭越ながら天啓の儀式を始めさせていただきます
ジェイド神子殿、どうぞ石碑の元へ
コレットはい…
スタン儀式が始まるようだ…。ウィンドルもシルヴァラントも納得したのかな
ゼロスまぁ、ああまで言われちゃ何も言えねぇってのが本音だろうがな
エステル今わたし達にはこの儀式を見守る事しか出来ませんね…
スレイそうですね…
scene2始まりを告げる蒼光
ティア──そろそろ始まるみたいね
ゼロス
ガイアスでは、コレット。始めてくれ
コレットはい…
コレット……
コレット大いなる世界の意志よ。我が主たる地上の神よ
コレット我、コレット・ブルーネルを汝の代行者と認めるならば…
コレットその言葉を我に聞かせたまえ──
スレイ…!コレットの言葉に反応するみたいに…
ルドガー石碑が光り始めた…
アスベルこれが…天啓の儀式…
ナタリアなんて神秘的な光でしょう…
フィリア・ガイアス
コレット
コレット『地上のあらゆる命源は 刹那に燦爛たる結晶と化し、 人々の心を凍てつかせる』
コレット『翳りを帯びた四光の一角は、 遂に、闇の帳に包まれていく──』
コレット
ナタリアあらゆる命源が…結晶と化す…
フィリア四光…それに、闇の帳とは一体…
セルディクやはり今回も…
ざわ…ざわざわ…
ガイアス
コレットあの…私…
ロイド…コレット、大丈夫だ。みんな、ちょっと驚いてるだけだから
ヴェイグ…今のが天啓、なのか?
エリーゼ多分…。でも、どういう意味でしょうか…
ミクリオ前の天啓の例から考えると「燦爛たる結晶」というのは、晶化現象を示してるんじゃないか?
ルドガー命源がマナの事なら晶化現象が、更に進行するって意味か…?
エリーゼこれ以上、ですか…?まさか…
スレイそれに…四光…四つの光…
スレイひょっとして、四大国の事…?
アスベル四大国って意味なら「翳り」というのがこの関係悪化した今の世界情勢を指しているのか?
ティアその一角が闇の帳に包まれる、つまり…
ヴェイグ四大国の一国に何か大きな災厄があるかもしれない…
ミクリオ最悪、国家の滅亡とも考える事が出来るね
エステルそんな…!
スタン待ってくれ。これはやっぱり未来を予知しているのか?
スタン晶化現象に関する事も何か書いてたらって思ったけど…。まさか、…こんな……
エステルスタン…
ゼロス…気が動転してんのは俺達だけじゃなさそうだぜ
スタンえ…
街の男今の内容って、晶化現象の事を言ってるのか…?
街の女そんな不吉な事言わないでよ…!
街の男でも、今の内容…過去の出来事にそんな事あったか…?
街の男それだけじゃない。ウィンドル国王の晶化を暗示した前の天啓とも内容が似てないか…?
ライラ街のみなさんにも動揺が広がっていますわ…
ミクリオあんな内容を聞かされた後では無理もない
ミラ…セルディクが出てきたぞ
セルディクガイアス陛下。私はウィンドル代表として、貴国のやり方に賛成は出来ない
セルディク今のこの状況を見るがいい。天啓を巡る争いに終止符を打つと言いながら、実際はこのザマだ
セルディク陛下がなさった計らいは、さらなる混乱を生み出したに過ぎん
ガイアス
セルディクそもそも天啓が戯言などと何故、陛下に断言が出来る?
セルディク前回の天啓は明らかに、我が国のリチャード陛下が晶化現象に蝕まれる事を暗示していた
セルディク今回にしてもそうだ。天啓と現在の世界情勢を鑑みても、暗示と捉えるのが妥当だ
セルディク私の聞いていた通りだ。天啓はやはり未来予知なのだ…!
ガイアス
ジェイド
セルディク…ガイアス陛下の方こそ、他国に協力すると見せ、その実争いを煽り疲弊させているのではないか?
ウィンガル…陛下を愚弄するか
ガイアスよせ、ウィンガル
ガイアスセルディク大公、話は後だ
ざわざわ…
街の男この国は大丈夫なのか…?
街の女嫌よ、あたしはまだ死にたくないね!この国だけは勘弁しておくれ…
ガイアス皆の者、聞くがいい
ガイアス天啓が未来予知である、そのような説があると聞くが…
ガイアスそれは重要な問題ではないと考えている
ガイアス天啓とは「何の根拠もない、不確かな情報」だ
フィリア
ガイアスただ一つ言える事は、不確かな情報に振り回され余計な混乱と争いを招く…これこそが最も愚かな事である
ガイアス今こそ、天啓に対する認識を改めて欲しい
ガイアスそして、このようなものに踊らされる事なく世界中の者が意志を一つにし、協調すべきである
セルディク
ナタリア
ざわざわ…
街の女陛下はああ仰られるけど…
街の男晶化現象もどんどん酷くなってるし、天啓と全く関係ないなんて…
エステルガイアス陛下の仰る事も、もっともなのですが…
ゼロス晶化現象の進行が感じられる今、不安が勝るのは無理もねぇ…
セルディク…ガイアス陛下。つまり、我が国ウィンドルもア・ジュールに協力しろと?
ガイアス民のためだ。引いては、貴国のためでもある
セルディク我が国には、我が国のやり方がある。ア・ジュールに与する気はない
セルディクここにもう用はない、失礼する。カーツ、行くぞ
カーツはっ…!
ナタリア…行ってしまいましたわ
フィリア…天啓の儀式が、こんな事に…
ガイアス…ジェイド、儀式は終わりだ。俺がもう一度民に説明をしよう
ジェイドでは陛下、こちらに
ガイアスああ
ガイアス…──!
ガイアスあいつは…
ジェイド…?どうかされましたか、陛下
ガイアス…いや、後で構わん
スタンセルディク大公…怒って帰っちゃったぞ
ルドガー…まずい流れになったな
アスベルあの様子では…戻って、またよからぬ事を始めるかもしれない
エステルガイアス陛下の仰る通り、各国が協力すべき時だと思うのですが…
アスベルセルディク大公は、聞く耳を持ってくれません…
エステルアスベル、わたし達も急いでウィンドルに戻りませんか?
エステルフレンやユーリにもここであった事をお知らせして今後の事を相談しましょう
アスベル…わかりました。すぐに出発しましょう
アスベル…スレイ、俺達は一旦国へ戻って、ここであった事をウィンドルの仲間達に知らせる
アスベル何かこちらで動きがあればまた知らせるよ
スレイうん、わかった
エリーゼ二人共、気をつけてください…
アスベルああ、ありがとう。それじゃ
エステル失礼します
スレイ…まさか、こんな事になるなんて
ヴェイグ…ああ。ウィンドルが今後どう出るか、気がかりだ
ゼロスフィリア司祭もな。…ガイアスの話全部を納得してるように見えないし…
ティアナタリアも困惑してるようね…。各国の反応見ていると、キムラスカもどこかに肩入れもしにくいと思うわ
ルドガー天啓の儀式を行う事でむしろ…事態が悪い方へ傾いている気がするな
エリーゼそんな…
ティアそうさせないためにも──…
ティア…!あれはまさか…
スタン…?ティア?
ゼロスお、おい…!ティアちゃん!?
ライラ行ってしまいましたわ…。一体どうされたんでしょうか
ミクリオわからない。けど、随分慌てていたな
ガイアス……
scene1決別
ルーク──何か、変じゃねーか?セルディクの野郎も帰っちまったし、みんな何かざわついてるみてーだし
ルークここからじゃあんま見えねーけど、ひょっとして、天啓の儀式で何かあったんじゃ…
???お前が心配するような事はない。全ては上手くいっている
ルーク…ならいいんだけどよ
ルークどの国にも天啓の情報も渡った。いがみ合う理由もその必要もねえ…
ルーク争いの元はこれでなくなったよな、ヴァン師匠?
ヴァンくくく…
ルーク師匠?何がおかしいんだよ?
ヴァン…概ね及第点だ
ルーク…?
ルークあっ!どこへ行くんだよ、師匠?
ヴァン…ルーク、お前とはここまでだ
ルークえ?
ルークここまでって…何言ってんだよ、師匠
ヴァンこれより先、お前は必要ない。ついて来るな
ルーク必要ないって…へ…へへっ、んな悪い冗談、師匠らしくねーぞ
ルークようやく世界戦争だって止められたのに──
ヴァン…ルーク、お前が望む世界は今のこの世界だ。だが、私は違う
ヴァン私とお前の求める世界は、別のものなのだ
ルーク師匠…?
ティアルーク、どこなの!
ティアさっきの窓辺で見た人影…間違いなく、兄さんとルークだった
ティア何故こんなところから…?儀式を見ていたの…?
ティアこの屋敷のどこかにいるはず…!
scene2決別
ティアはあ…はあ…
ティア確か、この辺りだと思ったのだけれど──…
???ふざけんな!
ティア今の声は、ルーク…!…あっちだわ
ティア…!いた…
ルークどういう事だよ…それ。俺と師匠の求める世界が別って…
ヴァン
ルーク意味わかんねーよ!師匠だって同じじゃねーのか?
ルーク世界戦争を止めようって…
ルークこの世界を守ろうとしてたじゃねーか!
ヴァン
ティア…?
ティアどういう事なの…?言い争っているようだけど…
ティア
ルークおい、何とか言ってくれよ!師匠…!
ヴァン…私は最善の手段を取ったに過ぎん
ルークえ?
ヴァンこれまでの事は全て、私の理想を実現するため…
ヴァン争いこそが理想を生むのだ
ルーク争いが理想を…?それ…本気で言ってんのか?
ルーク師匠は、争いを望んでたって事かよ!?
ルーク神子の力を借りて、戦争を止めたいって話してた。あれは、嘘だったのか…?
ルーク久しぶりにバチカルに戻ってきて一番に俺に会いに来てくれたのも、全部……
ヴァン
ルーク…へっ、嘘だな。俺は信じねえ…
ルークそんなの、俺は信じねーぞ!
ルーク師匠、言ったじゃねーか。久しぶりに俺に会えて嬉しかったって
ルーク隠れ家に行く前の日の夜、森で一緒に野宿した時だっていろんな話をしてくれた…
ルークそんで、言ったよな…。俺の力が必要なんだって──
ヴァンルーク…、お前は相変わらずだな。もう少し成長していれば違う道があったかもしれんが…
ルーク師匠…
ヴァン…お前はキムラスカ王家に連なる身。故に今回の計画で必要不可欠であったガイアスとの接触も容易い
ヴァンそれだけの事だ。お前は私にとってただの都合のよい駒に過ぎない
ルーク…!
ルーク何で…何でそんな──
ティア今の話は本当なの?兄さん…
ルークティア…!?お前、何でここに…
ヴァンティア…
ティア答えて!
ティア神子をさらったのも、全ては兄さんが企てた事で、そのためにルークまで利用して……
ティアそこまでして実現したい理想って何なの…?兄さんの目的は一体──
ヴァン…お前にも、いつかわかる日が来る
ティアそのいつかは、今よ。このまま黙って兄さんを行かせるわけにはいかないわ
ティア兄さんはシルヴァラントに侵攻し、神子をさらうという大罪を犯した…
ティアこれほどにまで兄さんを慕い、信じてきたルークを裏切ってまで…
ティア兄さん…あなたは一体どれだけの人を苦しめれば気が済むの!?
ルークティア…
ヴァン
ティア納得のいく説明をして。でないと、私…
ヴァン…私に刃を向けるのか、ティア
ヴァン出来れば、お前とは戦いたくはなかったが…止むを得ん
ヴァン私の理想の実現を妨げる者は、何人だろうと排除せねばならん
ティア…!
scene3決別
ヴァン
ティアはあ…はあ…
ヴァン強くなったな、ティア。随分と訓練を積んだのだろう
ヴァン…しかし、まだ詰めが甘い
ティア…!
ヴァンティア、悪く思うな
ルークやめろーーっ!!
ザシュッ!
ルークくっ…!
ティアルーク…!あなた、どうして…
ルークうるせー…
ヴァンほう…私の剣を受け止めるとは
ヴァンだが、その左腕…しばらく使い物になるまい
ルーク…そんなの…今はどうでもいい…
ルークそんな事より師匠…、何でこんな事すんだよ!
ルーク俺だけならまだしも…何でティアまで裏切れるんだよ!こいつは師匠の妹だろ!?
ティアルーク…
ヴァン
ルーク俺だって…師匠を信じてた
ルーク一緒に来てくれ、力を貸してくれって言われて嬉しかったんだ…
ルークただその言葉を信じて、ここまでついて来た。……けど、だけど!
ルークもうたくさんだ!あんたなんか、こっちから願い下げだ!
ヴァンルーク…
ヴァンふっ…
ルーク…な、何がおかしいんだよ!俺は本気で怒って──
ティアルーク!兄さんの様子が変よ、気をつけて──
ヴァンはあああっ!
ズバーーーッ!
ルークうわあああああっ!
ティアきゃあああああっ!
ヴァン
ヴァン…雪か
???──止まれ
ヴァンこれはこれは…
ガイアス貴様、ヴァン・グランツだな
ヴァン私をご存知とは、身に余る光栄ですな
ガイアス…貴様に聞きたい事がある
ヴァンほう、ア・ジュールの国王陛下が、私ごときに直々にお尋ねとは
ガイアスお前は、此度の天啓の内容を予め知っていた…、そうだな?
ヴァン何故そのように思われる?
ガイアス儀式の最中に見つけた貴様の顔だ。そこにそう書いてあった
ガイアス…知らぬとは言わせん
ヴァンふ…ならばどうすると?
ガイアス
ヴァン
ガキーーン!
ガイアスはああああっ!
ヴァンぬうううんっ!
ガイアス天啓を公に晒そうとした目的は民衆の混乱だけではない…そうだろう!
ガイアス真の目的は何だ!何故、天啓の内容を知っていた?
ヴァン…答える義理はない
ヴァン敢えて一つ、言うとすれば儀式を執り行ってくれた事に対する陛下への感謝、か…
ガイアスふざけた事を…!
ガイアスうおおおおっ!
ヴァンおおおおおっ!
scene1「鍵」となる者
ティア
ティアう…
???ティアさん、お目覚めになられたのですね
ティアここは…
ライラ王宮の一室ですわ。ガイアスさん達が手配してくださいました
ティア私…気絶していたのね…
スレイうん。広場の近くの屋敷で倒れてる二人を見つけたんだ
スレイライラが治療してくれたから二人共、怪我はもう大丈夫だと思うけど…
ティア…二人…
ティア…!そうだわ、ルークは…!?
ルドガー大丈夫、隣で寝てるよ
ルーク
ティア
ミラ安心しろ。ルークの方も命に別状はないそうだ
ティア…よかった
ゼロスそれにしても、つれないなあ、ティアちゃんは。何も言わずに一人で行っちゃうし…
スタンしばらく戻ってこないと思ったら、ルークと一緒に倒れてて…。見つけた時は心臓が止まるかと──
ティアごめんなさい、心配かけて…
エリーゼいいんです、ティアとルークが無事だったならそれで…
ティポそーそー。命あってのモノダネってねー
ティア天啓の儀式は…あの後、どうなってしまったの?
ヴェイグセルディク大公が帰国の途に就いた後、それを追ってエステルとアスベルも帰国した
ミクリオその後、シルヴァラントとキムラスカの両国は、協力して混乱を解決する事にひとまずは賛同した…
ミクリオだが、あくまで名代での合意だ。彼らが国へ帰って、各々国王と相談しまた動きがあるだろう
ゼロス天啓の儀式をあんな風に強引に執り行ったとなると、シルヴァラントは納得しないだろうな
ルドガーナタリア王女も諸手を上げて賛成とは言えなかったようだ
ルドガー襲撃事件の首謀者もわかっていない中あんなやりとりを見せられたんだ。無理もない
ティア街の人達は大丈夫だったのかしら
ルドガー儀式の後、改まった場でガイアス王が民衆へ語りかけたんだ。自国の民は必ず守ると
スタンそのお蔭で、みんなの混乱は一旦、収まったみたいだけど…
ティアそう…。ガイアス陛下は、ア・ジュールの国民からの信頼も厚いものね
ティアでも、内容が内容なだけにこのまま済むとも思えない。これからが肝心だわ
エリーゼそうですね…
スレイティア、オレ達も聞いていいかな?
スレイあの屋敷で、ルークさんと何があったのか…
ティア…ええ
スレイ──まさか、あの屋敷にヴァンもいたなんて
スレイしかも、ルークさんとそんな話を…
ティア……
ゼロスそっか…。やっぱハニーが言ってた通りだな
ゼロスルークはルークなりに、自分の信念に基づいて行動してたってわけだ
ゼロスまあ、結果として間違えてた事に変わりねーと思うけど
ミラそうだな…。だが、そこに世界を守ろうとする奴の強い意志があったのは事実だ
ミラ何ともやりきれない気持ちになるな…
ティアええ…
ルドガーとにかく、二人が無事で本当によかったよ
ゼロス俺さまの愛しのティアちゃんを守ったってところだけは、しっかりあいつを褒めてやらねぇと──
ルークん…
スタン…!ルーク、起きたのか?
ルークいてて…って、あれ…お前ら……
ルーク…久しぶりだな。何だか、見た顏がそろってるけど…
ルドガールーク、気分はどうだ?
ルークルドガー…。そっか、俺…
ルーク頭は、大丈夫だ。はっきりしてる…
エリーゼ気を失ってた二人を見つけて、みんなでここに運んだんです
ルークエリーゼも…スタンにゼロス、ミラまで…
ルーク後は、と……
ルーク
ルークロイド…。あいつはいねーか…
スレイロイドは、コレットやフィリア司祭と一緒にシルヴァラントへ帰国したよ
ルークん?お前は…
スレイあ、オレはスレイって言います。こっちはミクリオ、それにライラ
ミクリオよろしく
ライラよろしくお願いします、ルークさん。みなさんからお話は伺っていましたわ
ヴェイグ…オレも会うのは初めてだ。ヴェイグだ、よろしく頼む
ルークああ…よろしくな
スレイルークさん、コレットを連れ去った時の事ロイドから聞きました
スレイここにいるみんなも勿論だけど、特にロイドはルークさんの事をすごく心配してたんだ
ルーク心配…?怒る事はあっても、心配なんて…
ティア…あなたを信じていたからよ
ルーク俺を…
ゼロスロイドは言ってたぜ。何があってもお前を信じる、お前には何か事情があるんだろうって
スレイみんなもルークさんを信じてる。だから、真相を知りたいってここまで来たんだ
ルーク
ルーク俺…戦争を止めたくて、これはしょうがないんだ、みんな後でわかってくれるって…
ルークけど…結局、ただ師匠に利用されてただけだったんだな…
ルークたくさんの人達に迷惑かけちまって、俺…どうしたら…
ティア…そうね。神子は無事だったとはいえ、あなたが大変な事をしたのは事実
ティアあなたや兄さんの行いで多くの人が傷付き、危険に晒された
ティアあなたはその事を受け止めた上で深く反省し、償わなければならない
ルーク…ああ、わかってる…と、思う
ルーク許してもらえるかわからねーけど、俺…償いたい
ルーク教えてくれ、ティア。俺は…何からすればいい?
ティア…まずは、キムラスカに戻り陛下に事情をご説明しましょう
ティアシルヴァラントに向かうのは、正式な形で謝罪を申し入れてからの方がいいわ
ティアそれと、本気で償うつもりがあるなら全部、私に聞くんじゃなくて自分で考えなくては駄目よ
ルーク…わかった
ルーク…ティア、いろいろありがとな
ティア私はあなたの教育係よ。でも…私からもお礼を言わせて
ティアあの時庇ってくれた事、そして、私が言えなかった事を言ってくれた事
ティアありがとう、ルーク
ルークお、おう…
ジェイド皆さん、お話し中のところ失礼しますよ
スタン…ジェイドさん!
ジェイドお二人共、目を覚まされたようですね
ジェイド早速で申し訳ないのですが、ルーク、ティア、動けるようなら私と一緒に来ていただけますか
ジェイドうちの陛下があなた方とお話がしたいと仰ってまして
ルーク…わかった、今行く
ルーク──…うっ!
ルドガールーク…!無理はしないでくれ
ルドガーほら、俺の肩を貸すよ。掴まってくれ
ルーク悪ぃ、ルドガー…
スレイジェイドさん、オレ達も一緒に行っていいですか?
ジェイドそれはまあ構わないでしょうが…全員、ですか?
ライラあまり大人数で行ってはちゃんとお話出来ませんわね。私は残りますわ
ミラでは、私も残るとしよう。ここまでに得た情報の整理でもしておく
ミラそうだ、ミクリオ、お前がいろいろ助言をくれると助かるのだが…
ミクリオ…ああ、構わない。スレイ、僕もここで待つ事にするよ
スレイりょーかい。それじゃ、少し待ってて
ルーク待たせたな、ジェイド。案内頼む
ジェイドでは、参りましょうか。こちらです
scene2「鍵」となる者
ティポ何だかここ、金ピカピンだねー!
エリーゼだ、駄目ですよ、ティポ!ここは王様の部屋なんですから……あ…!
ガイアス…来たか
ウィンガル
スレイガイアス陛下だ、それに、隣にいるのは…
ルドガーウィンガルだ
ティア…ガイアス陛下、まずはお礼を。部屋を手配いただいたようで、ありがとうございました
ガイアス礼など不要だ、当然の事をしたまで。それより──
ガイアスルーク、それにティア。お前達に聞きたい事がある
ガイアスヴァンの居所に心当たりはないか
ルーク…!師匠の事、何で知って…
ウィンガルお前の背後にいたヴァン、その存在は以前から認識している
ルーク最初っから知ってたのか…?
ジェイドあなたに協力者がいるのではないかというのは初めから疑っていましたが──
ジェイドそれがヴァンだと確信したのは、ティアの話を聞いてからです
ルークそうだったのか…
ジェイドヴァンに自分の事は言わないように言われていたのですね
ルークああ、そんなところだ。黙ってて…悪かった
ガイアスそれより、質問の答えはどうなのだ
ティア兄の行方についてはわかりません。あの場で倒れて、気がついた時にはもう…
ルーク俺も、どこに行ったかまではわからねぇ…
ジェイド何か、この後の目的とか行先も?隠れ家にしている場所ですとか、ご存知ないですか?
ルーク天啓の儀式をやれれば、それで全部終わるはずだったんだ。その後の事は、何も…
ルーク今までどこにいたかも、さっぱり知らねぇ。各地を転々としていたとしか…
ガイアスふむ…
スレイあの…、少しいいですか、ガイアス陛下
ガイアス…?
スレイ初めまして。オレ、スレイって言います。一つ聞きたい事があるんですけど──
スレイどうしてヴァンを捜してるんですか?
ガイアス…天啓の内容だ
ルークそういえば、天啓の内容ってどんなのだったんだ?
スタンそうか、ルークはあの時屋敷の中にいたんだもんな。知らなくて当然か。スレイ、言える?
スレイああ、覚えてるよ
スレイ『地上のあらゆる命源は 刹那に燦爛たる結晶と化し、 人々の心を凍てつかせる』
スレイ『翳りを帯びた四光の一角は、 遂に、闇の帳に包まれていく──』
ルークへぇ…命源…、それに結晶…。よく、意味はわかんねぇけど…
ヴェイグ…その天啓に何か引っかかる事が?
ガイアス…おそらく、ヴァンは天啓の儀式を執り行う以前からこの内容を知っていた
スレイ天啓の内容を事前に…!?
ティアどうして兄さんが、そんなものを…
ゼロスいや、んな事あり得ねぇ…。二人の神子しか読めないはずの天啓を何でヴァンが…!
ガイアス…儀式の最中だ。天啓の内容に観衆がざわめき立つ中、俺はヴァンの姿を捉えた
ガイアスルーク、お前と共に屋敷から儀式の様子をうかがっていた奴の姿だ
ルーク……
ガイアス奴は、天啓の内容を知れる場所にいなかった。なのに、会場の不穏な空気に微笑みを浮かべていた…
ガイアス普通なら何があったかと焦るはずだ。あれは、明らかに儀式での混乱を予期していた顔つきだった
ガイアス事実を問い質すため、俺は奴の元へ向かった
ティア兄には会えたのですか?
ガイアスああ
ガイアス剣を交えたが、結局口を割らぬままその姿を消した
エリーゼそんな…
ルーク師匠は、天啓の石碑の内容については何も言ってなかったぞ
ウィンガルヴァンがお前を初めから利用するつもりだったのなら、それも当然だろう
ルーク……
スレイでも、ヴァンはどうして天啓の内容を前もって知る事が出来たんだろう?
ルドガーあの石碑が、ヴァンの作り出した偽物だという可能性は?
ゼロスいや、それはないと思うぜ
ゼロス天晶石にもちゃんと反応してたし、今までの石碑と同じように神子によって読み解けたわけだしな
ヴェイグ確かに偽物なら、どれも出来るはずがないな…
エリーゼじゃあやっぱり…今回の石碑は本物って事ですか…?
ジェイドそれはわかりませんが、今回の天啓が仕組まれたものだとすれば納得のいく点があるのは確かです
ジェイド天啓の儀式を執り行うにあたり、悪い未来予知めいたものが現れる可能性は考慮してはいたのですが
ジェイド晶化の更なる進行のみならず四大国の国交が悪化したこの時期に一国の滅亡とも取れる一節とは…
ジェイドまるで、誰かが故意に各国間の不審を深め、更なる争いを引き起こそうとしているかのようです
ゼロス…そう考えれば、確かに今回の天啓には何かカラクリがありそうだな
ガイアス…いずれにせよ、ヴァンが天啓について重大な鍵を握っている事は間違いない
ガイアスそれともう一つ、奴には何らかの真の目的があり、そのために天啓を利用している事も…
スレイ真の目的…
ジェイド
ルーク師匠…、あんたは一体何を…
ティア……兄さん

NameDialogue
scene1次なる一歩
ライラスレイさん達が、お戻りになりましたわ
スレイただいま
ミクリオお帰り。ガイアス王との話し合いはどうだった?
スレイうん、簡単に話した内容を説明するよ
ミクリオ天啓とヴァンが繋がっている、か…
スレイそれで、これからの話なんだけど…
スレイオレはヴァンの行方を探るべきだと思う
スレイ今回の天啓に関した一連の騒動、裏で動いていたヴァンの目的はこれだけじゃ終わらない気がする
ゼロス賛成だ。ヴァンを放っておけねぇからな
エリーゼ今回の天啓に、晶化と関係したような言葉があった事も気になりますね
ヴェイグああ。ヴァンを追って天啓について何かつかめれば晶化を解決する手がかりになるかもしれない
ティア…私も賛成よ。兄さんには聞きたい事がたくさんあるもの
スレイみんな同じ意見みたいだね。…必ずヴァンを見つけよう
ルーク師匠の目的…
エリーゼ…ルークはキムラスカに戻るんですよね
ルークあ、ああ。まずはやっちまった事の落とし前をつけねーとだからな…
ルーク伯父上にちゃんと話して、それから、ロイドとコレットにも謝りに…
???何だ、思ったよりも、元気そうじゃないか
ガイ迎えにきたぜ、ルーク。全く、心配かけやがって
ルークガイ…!?
ティアどうしてあなたが…?
ガイ陛下から名指しで命があったんだ。カーティス大佐から連絡があったってな
ティア大佐から…?
ジェイドこれからの事を思えば、気心の知れた人間が側にいた方が何かといいと思いましてね
ルークジェイド、お前…
ジェイドそれにキムラスカ王家の方には恩を売っておいた方が今後のためにもなりますから
ルーク…けっ、一瞬でもいい奴かと思って損したぜ
ルークガイも…わざわざア・ジュールまで、悪かったな
ガイ気にするな。俺も直接顔見たかったしな
ティアガイ、キムラスカへはすぐに戻る予定なの?
ティアルークの傷は塞がったけど、まだ回復しきってないの。熱もあるみたいだし…
ガイああ、それについてはさっき話を聞いた
ガイちゃんと回復してからキムラスカに連れ戻すつもりだ。しばらくはア・ジュールに滞在だな
ジェイド私も病人をすぐに追い出すような事はしませんよ。回復するまでこちらでお過ごしください
ジェイドその代わり、ガイにはいろいろと働いてもらいましょうかね
ガイ何でそうなるんだ…
ルークお、おい。俺なら平気だ。早くキムラスカに帰ろうぜ
ティアルーク…焦っても、状況はよくならない。まずは、ちゃんと回復してからよ
ルークだけどよ…!
ガイティアの言う通りだ、ルーク。顔色、まだよくないぜ。それじゃ剣もまともに振れないだろ
ルーク
ルーク…わかったよ。じっとしてりゃあいいんだろ
ルーク…ティアはすぐ師匠を追うんだよな?
ティアええ、兄さんの目的を必ず暴いて見せるわ
ジェイドほう。皆さん、ヴァンを追うのですか?
スレイはい、ヴァンと天啓との関係やこの後の動きも気になりますし
ジェイドなるほど…と言う事であれば、ア・ジュールも協力しましょう
ジェイド皆さんがヴァンの行方を捜すなら全面協力せよ、と陛下より仰せつかっていますので
ヴェイグ一国の後ろ盾を得れられるのはありがたいが…
ティア…ご協力、感謝いたします。必ず兄は私達が捕まえます
ミラティア、いいんだな?ア・ジュールに捕縛されたヴァンがどうなるか…
ティア…ええ、承知の上よ。この先、ア・ジュールが協力してくれた方が動きやすいわ
ティア兄さんは、きっとよくない事を引き起こそうとしている。実行する前に私が止めないと…
ジェイド同感です。我々も出来る限りの協力をします
ジェイドそれで皆さん、まずはどちらに向かうつもりなんですか?
スレイそれは…これから考えようかと思っていたんですけど…
ミクリオみんなが席を外している間にミラやライラと話していたんだがシルヴァラントはどうだろうか
ミラ各地で起こっている村や街への襲撃…特にシルヴァラントが多いのが気になるのだ
スレイシルヴァラントか…。天啓とも関わりが深いし、いいかもな
ルークそういえば…師匠とシルヴァラントで一緒に行動していた時──
ルーク途中でどこかに出かけたり、誰かが会いに来たり…今思えば他の奴と連絡とっていたような…
ジェイドなるほど…ヴァンはシルヴァラントでも何か起こそうとしているのかもしれませんね
スレイじゃあ、決まりだ。シルヴァラントに向かおう
ジェイドそれでは、ア・ジュール軍には皆さんを協力者として伝えておきます
ジェイド何かわかった事があれば各地のア・ジュール兵を通してご連絡いただけますか?
ジェイドシルヴァラントまで行くと難しいかもしれませんが、出来る限りお願いします
スレイわかりました。他国にいても必要があれば何とかして連絡します
ティアガイ…ルークの事、お願いね
ガイああ、任せてくれ。…ティアもヴァンの事、頼む。複雑な立場にはなるだろうが…
ティア心配いらないわ。…兄さんは私が必ず止める
ルーク…。ティア…何だ…その…
ルークお、お前も気をつけろよな…!
ルーク俺もけじめつけたら師匠を捜しに行くからよ
ティア…わかったわ
ティアじゃあ、先に行ってるわね
scene2次なる一歩
エリーゼシルヴァラント…って事は先にア・ジュール港へ向かうんですよね?
ヴェイグ…ああ。シルヴァラントへ行くなら、それが一番早い
ルドガー天啓か…。ヴァンはその内容を先に知っていたんだろうか…
スレイガイアス陛下が言うにはその可能性もありそうだけど…
スレイ『地上のあらゆる命源は 刹那に燦爛たる結晶と化し、 人々の心を凍てつかせる』
スレイ『翳りを帯びた四光の一角は、 遂に、闇の帳に包まれていく──』
エリーゼその天啓が、これから起こる事だとしたら…
エリーゼ晶化が進行して四大国のどこかが滅亡する、って事なんでしょうか…
スタン天啓の内容が本当かどうかはわからないけど…無視出来る内容じゃないよな
ティアそれに兄さんがルークに言った、争いこそが理想を生む、という言葉も気になるわ
ティア争いで生まれる理想なんて…私は認められない
スレイうん…そんなの間違ってる
ゼロス何にせよ、まずはヴァンの行方を掴まない事には…ってわけか
男の声うわあああ!?
ティアあの悲鳴は…!?
スレイ誰かが魔物に襲われている。助けよう!
scene1広がる波紋
スレイ怪我はありませんでしたか?
ありがとう。あんた達が来てくれなかったらどうなっていたか
ゼロス側に俺さま達がいて、命拾いしたな?見たところ…一人旅か?
この辺りで行商を…って、ああっ!
ヴェイグどうした?
商品が駄目になっちまってる!せっかくここまで担いで来たのに、あの魔物のせいで…
今日はついてないぜ。妙な二人組に絡まれるわ、魔物に襲われるわ…
ティア妙な二人組…?盗賊ですか?
いや、物盗りではなかったんだが港からここまでの道中でリンネル村の場所を聞かれてな
スタンリンネル村…レイアやメルディがいるところだ。どんな人達だったんですか?
男女二人組で、女の方は可愛らしい子だったんだが、男の方がその子の言いなりで…
ヴェイグ男女二人組…
とにかく本当に助かった。それじゃあ、俺はそろそろ行くよ
ミラ気をつけて行くのだぞ
ミクリオ僕達も行こうか
ヴェイグ
エリーゼヴェイグ?どうかしましたか?
ヴェイグいや…とにかく急ごう
scene2広がる波紋
スレイこの辺り…前に通った時より晶化が進行したように感じないか?
エリーゼはい…。それに大きな結晶も増えているような気がします
ミクリオ僕達がここを通ったのはカン・バルクでの天啓の儀式の前だ。そんな短期間に…?
ミラ…何だ、この感じは…
スレイどうかした?ミラ
ミラマナに違和感を感じる…
エリーゼマナに…?ミラ、前にもそんな事を言ってましたよね
スタンああ、確か結晶の正体がマナだってわかった時の話だよな
ミラいや、あの時とはまた違う…。マナそのものに勢いがないような…
ルドガーマナの勢い?
ルドガー…おっと、誰か来たみたいだ
男1この辺りも晶化が酷くなってきたな…
男2全くだ…。晶化に追われて村ごと移住したってところもあるって聞くもんな…
ライラ今のお話、私達だけでなくみなさんも同じように感じているようですわ。それに、村ごと避難なんて…
スレイ天啓にあった通りに晶化が進行しているのか…?
スタン天啓は仕組まれたものの可能性が高いって話だったけど…
ゼロス前にも言ったが、石碑自体が本物なのは俺が保証するぜ。偽物だと天晶石は反応しねーからな
ミクリオそもそも、晶化現象自体、仕組んで起こせる事じゃなさそうだしね
ティアそうね。でも、天啓が本物だろうと偽物だろうと私達のすべき事には変わりないわ
ティアそこに兄さんが関与し、よくない事を企んでいるなら何としても止めなくては
エリーゼティア…
ゼロス全く…兄貴は妹を守るってのが当たり前のはずなのによ
ティア
ゼロス俺だって妹の事を守れてる、とは言いきれねぇし、ヴァンにも何か事情があるのかもしれねぇが
ゼロス妹のティアちゃんに刃を向けるなんて…やっぱり許せねぇ
スタンうん…。俺もリリスと戦うなんて…
スタン…そんな事したら確実に返り討ちに遭う気がする…
ミラそうだな。リリスの腕は相当なものだった。潜在能力で言えばスタン以上かもしれん
ゼロススタン以上って…それどんな妹だよ…
エリーゼでも、兄弟って何だか憧れちゃいます
エリーゼわたしには兄弟がいないので…。みんなの話を聞くと、少しうらやましいです
ミラふむ…ならば私を姉、ジュードを兄と思えばいい
エリーゼミラとジュードを…ですか?
ミラエリーゼのような妹なら、私は大歓迎だ
エリーゼえっ、えっと…ミラ…?
ティポすごいよー!エリー、ミラ君がお姉ちゃんだってー
エリーゼありがとうございます…嬉しいです…
ゼロスちょーっと待った—!ミラさまだけずるいぜ!
ゼロスだったら俺さまも、エリーゼちゃんのお兄さまになっちゃおーっと!
ゼロスジュードは今いないし、俺さまは実際兄貴なわけで…きっと頼りになるぜ?
ルドガーお、じゃあ俺も立候補しようかな
スタンルドガーもか?
ルドガーああ。自分には強くて頼りになる兄がいるけど…
ルドガー自分が兄という立場だったらどんな感じなんだろうって思っていたんだ
エリーゼどうしましょう、ミラ。いきなり大家族になっちゃいました…
ミラお前達、勝手に兄を名乗るな。まずは私に話を通してもらおう
ライラふふっ。ミラさん、それではお姉さんというより、娘を心配するお父さんみたいですわ
ミラそうか? しかし、一番に姉に名乗り出たのは私だ
ミラ案ずるな、エリーゼ。姉としてお前にふさわしい兄達を見定めてやるぞ
エリーゼミラったら…
ルドガーははっ、こんな強いお姉さんがいちゃ俺達の入る余地はなさそうだな、ゼロス
ゼロスそうだなぁ…。俺さま達、お呼びじゃない感じ?
エリーゼそんな事ないです、ルドガーやゼロスがお兄さんだってわたし…
ティポお兄ちゃんならぼくはヴェイグ君がいいなー
ヴェイグティポが…オレの…弟…?
ティポぼくが弟じゃ…いやなの?
ヴェイグ嫌というわけではないのだが…
ティポもー、どっちなのー!はぐー!
ヴェイグ!?む、むぐぐぐ…!
エリーゼあ、ティポ!ヴェイグを食べちゃ駄目です!
ミクリオヴェイグの頭を丸飲み…!?ティポは一体どんな構造を…
スタンん?誰かがこっちに向かってくるぞ
ティアあれは…ア・ジュール兵ね。随分急いでいるようだけど、何かあったのかしら…
スレイ…!話を聞いてみよう
スレイすみませーん!何かあったんですか?
ア・ジュール兵1何だお前達は。任務中だ、民間人は…
ア・ジュール兵2待て、その格好は…スレイ殿ですか?
スレイはい。オレの事何で知って…
ア・ジュール兵2失礼いたしました。カーティス大佐からお話は聞いております
ア・ジュール兵2我々はリンネル村襲撃の知らせを受け現場に向かっているところです
ミラリンネル村が!?
ア・ジュール兵2ええ、先の天啓の公表以降、ア・ジュール各地で街や村の襲撃が多発しております
ア・ジュール兵2今回の襲撃もその一つかと…。それでは我々は急ぎますので、これにて…
ミラ街や村が襲われているだと?一体誰がそんな事を…
ルドガーリンネル村って、さっき行商人が妙な人物に場所を尋ねられたと言っていたが
ライラ何か関係があるんでしょうか…
ヴェイグ何とも言えないが…。まさか…
スタンどっちにしろ、リンネル村にはレイアやメルディがいる。放っておく事は出来ないよ
スレイよし。オレ達もすぐに、リンネル村に向かおう
スタン頼む…二人共無事でいてくれ
scene1非情なる運命
スタンここがリンネル村だ。だけど…
スタンあちこち建物が崩れて…この前来た時から様子が変わってる
ティア酷いわね…
ライラ場所によっては被害から免れているところもあるようですが、それでも…
ミラ…リンネル村は以前も襲撃を受け、被害を受けた事がある
ミラようやく人々の心も癒えた頃に何故またこのような被害に…
ゼロス一体どこのどいつの仕業だ。まともな人間のやる事とは思えねぇな
ヴェイグ襲撃者は立ち去った後のようだが…
スレイうん。ア・ジュール軍も来てるみたいだしオレ達は村の人の救助を優先しよう
スレイ怪我をした人や逃げ遅れた人がまだ辺りにいるかもしれない
ルドガーそうだな、急ごう
スタンレイアやメルディは無事かな…
ティア負傷者の治療はエリーゼと私で引き受けるわ。行きましょう
ティアそっちはどうだった?
スレイ怪我人の数は思ったより少なかったよ
スレイ村で襲撃犯に立ち向かった人達がいたみたいで、そのお蔭で被害が抑えられたんだって
ルドガー俺も、村の人から話を聞いたんだが…
ルドガー何でも村を襲撃した者が、シルヴァラント兵を名乗っていたらしい
ティアその話、私も聞いたわ。そのせいで、みんなシルヴァラントに対する怒りを口にしている
エリーゼ本当にシルヴァラントが、やったんでしょうか…?
ゼロスそれはねぇな。確かにうちの国はア・ジュールで行った天啓の儀式に不満はあるだろうが…
ゼロスだからと言って、リンネル村を襲撃する理由なんてねぇし、何より動きが早すぎる
スレイそうだな、オレもシルヴァラントの仕業とは思えない
ミクリオわざわざシルヴァラント兵だと触れ回っているようにも思えるな。この手口、何かに似てないか?
ティア…バチカルが漆黒の騎士団による襲撃を受けた時ね
エリーゼ何だか…すごく嫌な感じがします。見えない敵に追いつめられるような
ルドガーあれ…?そう言えば、スタンの姿が見えないな
ライラお知り合いの様子を見に行かれるとかであちらの方へ…
ミラきっとレイアのところだろう。彼女の事も心配だ、私達も行ってみよう
スタンレイア…本当に大丈夫なのか…?
レイアうん、そんな心配しなくても大丈夫だよ。大した怪我はしてないし
レイアメルディもちゃんと治療してくれたしね!
メルディはいな。メルディが腕を信じるよ!
コンコン
レイアあれ、お客さんかな?はーい、今開けまーす
ミラ久しぶりだな、レイア。スタン、やはりここにいたな
レイアわっ、ミラ!
スレイすみません…大勢でいきなり押し掛けて
レイアううん、大丈夫!みんなスタンやミラのお友達?
スタンうん、晶化現象を調べる中で出会った仲間達なんだ
スレイオレはスレイって言います
スレイえっと…
スタンそっか、スレイ達は初めてだよな。こっちがレイアで
スタンそっちがメルディだ
スレイよろしく、レイア、メルディ
スタンそうだ…ごめん、みんな勝手に行動しちゃって
ミラいや、心配する気持ちはわかるさ。レイア、その怪我はやはり襲撃で…?
レイアそうなの。村を襲ってきた奴らと戦った時にやられちゃって…
スタンでも、村の人達は感謝してたよ。レイア達のお蔭で、被害はかなり抑えられたって
レイアそっか…。少しでもみんなの役に立ったならよかった…
ミラところで、怪我は大丈夫なのか…?
レイアうん!それは大丈夫!動かすとちょっと痛むけど…
ミクリオ襲ってきたのは、どんな奴らだったんだい?
レイア男と女の二人組だったよ。男の方が大剣使いで、女の方が鞭使い
レイア変わった人達だったけどすっごく強かったよ。結局逃げられちゃったし…
ヴェイグその武器…。レイア、その二人の特徴を他には覚えてはいないか?
レイアうーん、そう言えば戦っている時に男の人からすごい匂いが…
スタン…匂い?
レイアそうそう、すごい刺激臭なの。本人は香水だーって言ってたけど…
ヴェイグ…オレは、その二人に心当たりがある
ティア本当なの、ヴェイグ?
ヴェイグああ。女の名はアリス、男の名はデクス…
ヴェイグ奴らはメルトキオ襲撃を企てていて…クレアを人質に、オレに手を下させようとした
ミラ卑劣な奴らだな…
ヴェイグその二人の特徴が、これまで聞いた話と合致している
ヴェイグ行商人が話していた二人組もおそらく同一人物だろう
ゼロスメルトキオ襲撃を企てた二人なら俺さまもクロエちゃんから聞いた事があるぜ
ゼロス襲撃にヴェイグを利用しようとしていたのは初耳だけどな…
ティアバチカルの襲撃者とは別よね…。でも、メルトキオを襲おうとした人達がリンネル村まで…?
ゼロスわざわざシルヴァラント兵を名乗っていたなんて、ただの愉快犯じゃなさそうだな
女の声助けて!誰かー!
ライラ!外から悲鳴が…!
男の声みんな逃げろ!魔物の群れが襲ってきたぞ!
レイア大変!すぐに何とかしないと!
レイア…うっ…
ミラ無理はするな、レイア。ここは私達に任せろ
スレイ村には怪我した人達がいる。これ以上、被害を大きくはさせない!
ルドガーああ、行こう!
scene2非情なる運命
ゼロスせやっ!
グオオオッ!
スレイこれで終わりだ!
ギャウウウウ!
ルドガー…今ので最後か。村にこれ以上の被害が出なくてよかった
ゼロスしっかし、改めて見渡すとこの村も結構、晶化が進んでるな…
エリーゼ原因は何でしょう…。このまま進行が続けば、天啓の通りになってしまいます…
スタンそうだな…。以前との違いと言えば、襲撃を受けた後って事だけど…
スタン襲われたからって晶化が進行するわけでもないだろ?
ゼロスクロエちゃんと一緒の時に襲われた村を見た事があるけどよ
ゼロス別に晶化が進行した、っていう感じはなかったぜ?
スレイそうだね…。街道も晶化が進んでいたけど何も破壊されてなかったし
ミラそれ以外に以前との大きな違い…と言えばマナの働きが鈍くなっている事だが…
ミラそうか…晶化はマナの結晶化…マナの働きが鈍れば…
ルドガーぶつぶつ言って…どうしたんだ?ミラ
ミラ…晶化が進行している原因がわかったかもしれん
ゼロスマジかよ…!?
ヴェイグ教えてくれ、ミラ。一体何が原因なんだ?
ミラまだ推測の域は出ないが…。最近の急速な晶化の進行、その原因はおそらく、マナの不活性化だ
ゼロス…何だ、そりゃ?
ミラ…マナというものはこの世界に存在する全てのものが持ち合わせている生命の源だ
ミラマナは人や生き物の感情の影響を受けやすく…
ミラ苦しい、悲しいという「負の感情」を持つ者が増えれば、マナの勢いは落ちてしまう
スタン…それが「マナの不活性化」…
ティアなるほど…。でも、そのマナの不活性化と晶化はどう関係しているのかしら
ミラその仕組みは未だ不明だが…結晶がマナである以上、晶化と無関係とは思えない
ミラ現在の状況から言って、不活性化の影響を受けマナの晶化が促進されていると考えられないか?
スレイそれってつまり、大勢の人が不安や悲しみを感じると晶化が進行する…って事?
ルドガーあり得る話だな…
ミクリオ大国の一つがなくなるそんな天啓に不安を覚えないはずがないからね
ゼロスだけどよ、ミラさま。さっき俺さまが言った村の事はどう説明するんだ?
ゼロスかなり酷い有様だったけどよ…晶化は進んでなかったぜ
ミラマナの不活性化は局所的ではなく世界全体で起こるものだ
ミラ村で悲劇的な事が起こったからと言って、その村だけマナが不活性化するものでもない
ミラこのところ高まりつつあった晶化現象や世界情勢の不安…それは先日の天啓の公表で飛躍的に広がった
ミラマナに対する影響という点ではこちらの方が大きかったのだろう
ゼロスまあ、そうだよな…
スレイマナの不活性化が、晶化を促進…。じゃあ、みんなの不安や恐れを取り除かないとこのままじゃ…
エリーゼでも逆を言えば、みんなの負の感情を減らせば晶化の進行も抑えられるって事ですよね?
エリーゼ進行の原因がわかっただけでもよかったです
エリーゼせっかくミラが見つけてくれた手がかりですから…わたし、出来る限りの事をしたいです
ゼロスエリーゼちゃん…
ゼロスそうだな、よし!俺さまに任せときな
スレイ任せとけって…ゼロス、何かいい手はあるの?
ゼロスいや、別にねーけどよ。こんないたいけなエリーゼちゃんが頑張るって言ってるんだぜ?
ゼロス俺さま達がそれ以上に頑張らなくて、どうするって話だよ
ティア呆れた…でも、確かにゼロスの言う通りかもしれないわね
ライラはい。今の私達にはゼロスさんのこういう明るさと割り切りが必要ですわ
エリーゼありがとうございます、ミラ。ミラのお蔭で、また一歩進めた気がします
ミラ当然だろう。私はエリーゼの姉なのだからな
エリーゼふふ…そうでしたね。ミラ、これからも──
ミラくっ…!?
エリーゼミラ?
ミラ離れろ、エリーゼ!
エリーゼきゃっ…!
ピキ…!
エリーゼそんな…ミラ!?
ピキピキピキッ…!
スレイミラが…晶化した…!
ヴェイグ…!
ゼロス…っ!何だよ、これ…
エリーゼあ…ああ…そんな…嘘です…
エリーゼこんな…今まで、話して…
エリーゼミラ…返事をしてください!ミラ!ミラ!!
ティア…エリーゼ、落ち着いて。離れた方がいいわ
エリーゼ嫌です!離れません!お願いです…嘘だと言ってください…ミラ…!
scene1決意の夜
レイア宿の人が、お代は結構ですから、好きなだけ休んで行ってくださいって
メルディ魔物から村を助けてくれた、感謝のキモチだって言ってたよー
メルディみんなが来てくれなかったら村はもっと大変だった。助かったよ
スタン当然の事をしたまでだよ。それにしても、レイアも怪我しているのにありがとう
レイアほとんど治ってるしこれくらい、どうって事ないよ
レイアでも…ミラが晶化しちゃうなんて…
スタンうん…俺達も、どうしたらいいのか…
メルディメルディが友達のクィッキーも晶化した…。みんなの気持ち、すごくよくわかるよ
メルディ手伝える事があったら言ってな
ティア…ありがとう
ヴェイグ
ルドガーまさか…あんな事になるなんて
ゼロス誰も予想なんざしてなかったしな…。目の前でミラさまが、晶化しちまうなんてよ…
スレイ晶化現象が起きる瞬間を、初めて目の当たりにしたけど…
スレイまるで現実じゃないみたいだった。それこそ、悪い夢でも見ているような…
ライラそうですわね…。私も同じように感じましたわ
ティア頭では事象を理解していたつもりだったけどこんなに衝撃的なものだなんて…
ヴェイグ
ルドガーとにかく。これから何をするにせよ、まずは俺達が気持ちを落ち着けないと
ミクリオ今日はこのまま、この宿で休息を取るべきだろう
ゼロス到底休める気分じゃねーけどな…
ティアええ…
スレイエリーゼは、戻ってこないね…。まだミラの傍かな
ライラエリーゼさんは、ミラさんの事を特に慕っていましたから…
ゼロスそうだな…。それが目の前で晶化なんて…キツすぎるぜ
スレイうん。でも、いつまでも一人にしておくわけには…
ヴェイグオレが迎えに行こう
ルドガーヴェイグがか?俺も一緒に…
ヴェイグいや、オレに任せてくれ。その方が、エリーゼとも話がしやすい
ルドガー…わかった。頼んだよ、ヴェイグ
ゼロスヴェイグがわざわざ話…なんて意外だな
ルドガーヴェイグは家族同然の人が晶化してしまった経験があるから気持ちがよくわかるんだろう
スレイ今はヴェイグに任せよう。…きっと二人で帰ってくるよ
scene2決意の夜
エリーゼ
ヴェイグ…エリーゼ
エリーゼあ、ヴェイグ…
ティポエリーを迎えに来てくれたのー?
ヴェイグああ…そうだ
エリーゼ…ごめんなさい、ヴェイグ。心配をかけてしまってますよね…
エリーゼもう行かなくちゃ、みんなのところに戻らなくちゃって、思ったんですけど…
エリーゼ晶化した人や物は、どうする事も出来ないって、わかっているのに…ミラがいない事が怖くて…
エリーゼどうしても…ここから離れられなくて…
ヴェイグ…そうか
エリーゼお願いです。もう少しだけ…ここにいてもいいですか
エリーゼあと…ほんの少しでいいんです…
ヴェイグ…わかった
エリーゼありがとうございます…
エリーゼヴェイグ…わたし、何も出来ませんでした
エリーゼミラが…目の前で晶化していくのに…わたし…何も出来なかった
ティポエリー…
エリーゼわたしは晶化を解決したくて、旅に出たんです…
エリーゼでも、いざ旅に出てもジュードやミラに助けられてばっかりで…!
エリーゼ結局わたし一人じゃ…何も出来ないんです…
エリーゼみんなのように、強く、なんて無理なんです…!
ヴェイグ
エリーゼ弱いですよね…わたし。ミラは大切な精霊が晶化してもすぐに前を向いていたのに…
エリーゼわたしは今も…すっごく…怖くて…ここから動け…なくて…
ヴェイグ弱い、か…
ヴェイグ…家族とも思っている、大切な人がそうなってしまったら動けなくなるのも当然だ
ヴェイグオレも、クレアが晶化してしまった時は我を失っていた
ヴェイグクレアを包む結晶を砕こうと何度も剣を振るったし、その場からすぐに動けなかった
エリーゼヴェイグも…?
ヴェイグああ。その時は、共にいたユーリやスレイ達に助けられたがしばらくは闇の中にいるみたいだった
ヴェイグオレがここまで来られたのは、みんなのお蔭だ
ヴェイグオレ一人では、晶化が進行する原因も突き止められなかっただろう
ヴェイグエリーゼ、親しい者を失って悲しむ事が弱い、か?
ヴェイグそれは違う。それは当然の事だ。本当に弱いという事は自分の弱さを他人に背負わせる事だ
エリーゼ他人に、弱さを…?
ヴェイグああ。自分が弱い故に、他人を傷つけたり困らせたり…他人に対する思いやりをなくす事だ
ヴェイグお前は、ミラも、みんなも大切に想っている。だから弱いわけではない
エリーゼだけど…ミラがいないと…一人じゃ怖くて動けなくて…
ヴェイグお前は一人ではない。同じ晶化に立ち向かう者として…オレがお前と共に歩もう
ヴェイグ忘れるな。ミラを大切に想うお前がいるようにお前を想う者が必ずいる
ヴェイグだから…
ヴェイグ一人で抱え込むな
エリーゼ…!
エリーゼ不思議です…。わたしも同じ言葉をミラに言った事があるんです
ヴェイグそうだったのか…
エリーゼだから、今のヴェイグの気持ち、わかる気がします
エリーゼそうですよね…わたしにも、心配してくれる仲間がいるんですよね
ヴェイグオレだけじゃない…スレイやティア、ゼロス達だって同じ気持ちだ
ヴェイグ恐れで動けないというのであれば、この手を取れ、エリーゼ
エリーゼ…!はい…!
…ギュッ
エリーゼ…わたし、決めました。もう、恐れません、ヴェイグ達と前に進みます…!
エリーゼこの手を、ヴェイグを…みんなを信じます
ティポエリー、元気になったー?
エリーゼはい、ティポにも心配かけてごめんなさい
ヴェイグもう大丈夫そうだな
エリーゼこんなところで落ち込んでいたら強いミラに笑われてしまいますから
ヴェイグミラが教えてくれた手掛かりもある。ミラも、クレアも必ず救おう
エリーゼそうですね、ヴェイグ。ミラが教えてくれた手掛かり…無駄にはしません…!
エリーゼミラ…必ず元に戻します。だから待っていて…
ヴェイグ
エリーゼヴェイグ、迎えに来てくれてありがとうございました
ティポやっぱり頼れるお兄ちゃんだねー♪
ヴェイグ…ティポのか?
ティポ…嫌なの?じー…
ヴェイグ…いや、光栄だ
ヴェイグそれにしても…ミラは他の人間の晶化とはすこし様子が違うな
ヴェイグ…というより、何だ?ミラの周りに寄り添うように別のものが晶化して…
エリーゼ多分、四大精霊だと思います。いつもミラの傍についている精霊達です
ヴェイグなるほど…。目には見えないものがいるという事か
ヴェイグミラの見えない仲間達も、助けてやらないとな
エリーゼはい…!
ヴェイグだいぶ遅くなった。みんな心配している。早く戻ろう
ガサッ…
ガルルルル!
エリーゼ…!
ティポま、魔物だー!
scene1残された手掛かり
ヴェイグ思わぬ邪魔が入ってしまったな
エリーゼそうですね…。でも、これでみんなのところに帰る事が──
スタンあ、ヴェイグ、エリーゼ!
ヴェイグスタン…それにみんなも。…どうして全員で外に?
ゼロスヴェイグは迎えに行ったきり帰ってこねーし…エリーゼちゃんの事も気になってな?
ルドガー魔物が出たって話もあったから、心配でいてもたってもいられなくて…
ティア本当に心配したのよ。エリーゼ、大丈夫?
エリーゼはい…今さっき、魔物には遭いましたけど…
ヴェイグ二人で協力して倒せたから問題はない
ティポヴェイグ君とエリーはいいコンビになるねー
スレイとにかく、無事でよかったよ
スレイヴェイグと一緒なら、大丈夫だろうとは思ったけど、もし何かあったらって思って…
ルドガーそれで、全員で迎えに来たんだ。心配は取り越し苦労だったようだけど
エリーゼみんな…ごめんなさい…心配をかけてしまって
ゼロスいいって事よ!エリーゼちゃんの気持ちは、よーくわかってるつもりだぜ
スタン悲しいのを堪えて、無理して明るく振る舞う必要なんてないんだからな
エリーゼみんな…ありがとうございます。…ヴェイグの言う通り、ですね
ティポみんな優しいねーぼくカンドーしちゃったー
エリーゼミラが晶化した事はまだ悲しいですけど…
エリーゼわたしにはミラの他にも、こんなにも多くの大切な仲間がいる…
エリーゼわたしは…一人じゃないんだって改めて、そう感じました
スレイエリーゼ…
エリーゼミラの時のような悲しみを、この世界からなくすために…必ず晶化現象を解決してみせます
エリーゼ大切な事に気付かせてくれて、ありがとうございます、ヴェイグ…
ヴェイグいや…
ゼロス何なに、なんか通じ合ってない?仲良しになっちゃって…二人で何を話したんだ?
エリーゼふふっ。ひみつ、です!
スレイエリーゼが少し元気を取り戻したみたいで安心したよ
スレイ今日はもう休んで、明日の出発に備えよう!
エリーゼはい…!
scene2残された手掛かり
スレイこのまま予定通りに行くなら、ア・ジュール港へ向かうんだけど…
ヴェイグ村を襲ったアリスとデクスの行方が気になるな
スタン何の意図があるかはわからないけど野放しには出来ないな
ヴェイグああ…放っておけば奴らはまたどこかを襲撃するだろう…。オレ達が止めなければ
エリーゼそうですね…
スタンレイア、メルディ。村を襲撃した奴らがどっちの方へ姿を消したとか覚えてないかな
レイアうーん、確かア・ジュール港の方へ行ったと思う
ティアなら、どちらにしろア・ジュール港を目指すのがよさそうね
ゼロス今のところ、情報はそれだけだしな…新しく情報を集めるにしたって人が多い港なら都合がよさそうだ
スレイよし、じゃあこのままア・ジュール港へ向かおう!
エリーゼレイア、メルディ…晶化したミラの事、よろしくお願いしますね
レイアうん!任せておいて。わたし達がしっかり見てるから
メルディ安心して、行ってくるがいいよー
エリーゼありがとうございます
エリーゼ…ミラ、少しだけ待っててくださいね
ヴェイグそろそろ、出発しよう
スレイ──それにしても、晶化が進行する原因は、マナの不活性化だなんて…
ミクリオマナを感じ取れるミラでなければ、絶対に辿り着く事の出来ない手掛かりだったね
エリーゼマナを、感じ取る…
エリーゼ今思えば、ミラはあの時、自分の周りのマナの異変を感じてわたしを突き飛ばしたんですよね…
スタン言われてみれば…
スタンじゃあ、ミラがそうしなければ、エリーゼも晶化していたかも…?
エリーゼミラが守ってくれたんですね…
エリーゼわたし、ミラの分まで、一生懸命頑張らないと…
ティポそうだね、エリー
ゼロスまずは…この状況を何とかしねぇとな
ゼロス世界中の人の不安を鎮めないとマナが不活性化し、晶化現象がどんどん進行する…
ヴェイグそしてそれが更なる不安を呼んで、さらに晶化を進める…。悪循環だな
スレイ晶化現象を解決するために、オレ達がやらなくちゃいけない事は多い
スレイまずは天啓を巡る混乱を収めて、みんなの不安を少しでも抑える事が優先かな
ミクリオそうだね。それが出来れば、少なくとも晶化現象の進行を遅くする事は出来るはずだ
エリーゼ大変でしょうけど…みんなとなら出来る気がします…!
スレイああ。ミラの分まで、オレ達が必ず晶化現象を止めよう
ティアまずは近くにいるはずのアリスとデクスを止めなくては…
ティポア・ジュール港はまだかなー?
スタンそろそろ見えて来るはずだけど…
ゼロスん?向こうから誰かがこっちに向かって来るぞ。またア・ジュール兵か?
ルドガー違う。あれは…
旅の男はあ、はあ…あんた達、港へ行くのか?危ないからやめとけ!
スレイ何かあったんですか?
旅の男港は今、おかしな二人組に襲われて大混乱しているんだよ
ヴェイグ二人組…。武器は大剣と鞭だったか?
旅の男ああ、その通りだ。キムラスカ兵だと自分で言っていたが…
ヴェイグ名乗っている軍が違うな…。しかし、武器や手口から見ればアリスとデクスに間違いない
ルドガーア・ジュール港まで…!一足遅かったか…
エリーゼ急ぎましょう!港の人達を助けないと…きっと出来る事があるはずです!
スレイああ!見過ごすわけにはいかない…!
ティア!待って、みんな!
旅の男ひっ…!?
グオオオオッ!
ミクリオくっ、こんな時に魔物が!
scene1港の襲撃者達
ルドガーア・ジュール港に着いたぞ。被害はどうなってる?
ミクリオこの辺りに目立った損害はないようだが…みんな逃げた後だろうか?
ライラあちらの方から何か音が…?
ズドーン!ドドーン!
ティアすごい音…何かを壊しているような…
エリーゼアリスとデクスかもしれません…!
スレイ行ってみよう!
アリスうふふ…アリスちゃん、今日も絶好調。鞭にも力が入っちゃう♡
デクス最高だよ、アリスちゃん!これでここにいる連中にも、アリスちゃんの美貌が焼付いたはずさ
アリスキムラスカの名前もしつこく出しといたし…仮にキムラスカが関与を否定しても疑念は残るわね
アリスもっともっと憎しみ合ってみーんな不安になっちゃえばいいのよ
アリスそうすれば、あの人の計画の実現も遠くはないわ…こんな世界とは早くサヨナラしちゃいましょ
デクスどこまでもお供するよ、アリスちゃん!
スタン見つけたぞ!男女の二人組、あれがヴェイグが言ってた連中か?
ヴェイグああ、間違いない
デクスアリスちゃん、何やら胡散臭そうな奴らがやって来たぜ
ティポ胡散臭い奴らに、胡散臭いって言われたー!
デクスしかし、思っていたより、早くに邪魔が入ったな。どうしてだ?
アリスんもー。デクスのせいよ!そんなくっさい香水つけてるから目立っちゃったのよ!
アリスこのバカデクス!バカ!バカ!
ビシッ!ビシッ!
デクスああっ、ごめん、ごめんよアリスちゃん!
スレイえっ?何で仲間を叩いてるんだ?
エリーゼい、痛くないんでしょうか…
ゼロスおいおい、聞きしに勝る変わりもんじゃねぇか…
ヴェイグアリス!デクス!お前達はまだこんな事を…
アリスあらぁ、ヴェイグちゃんじゃない。やっぱりまた会えた♡これって運命、なのかしら?
デクスなっ…!?アリスちゃんとこんなぬぼーっとした奴が…!?
アリスデクス、うざーい。ごちゃごちゃ言うの、やめてくれる?
ヴェイグリンネル村での襲撃もお前達の仕業だろう
ヴェイグリンネル村ではシルヴァラント軍を名乗っていたようだが…何故、他国の名前を騙るんだ
アリス何の事かしら?アリスちゃん、わかんなーい
ヴェイグとぼけるな!
デクスお前…!アリスちゃんになんて口の利き方だ!
アリス…それで?ヴェイグちゃんは何しに来たの?
ヴェイグ…これ以上の勝手は許さない。それから、何故こんな事をするのか洗いざらい吐いてもうらう
アリスイヤ、って言ったら?
ヴェイグ力づくでも止める
デクスはっ、相手になってやるぜ。ここで会ったが百年目ってな!
ヴェイグ
デクス覚悟しろ、このでくの坊め!
ヴェイグくっ…!
エリーゼさせません!ティポ、行きますよ!
ティポうん!とりゃー!
デクスぐわッ!
ヴェイグ…!
ヴェイグ…エリーゼ
エリーゼ今度はわたしがヴェイグを助けます!
エリーゼヴェイグはわたしの大切な仲間ですから…!
ヴェイグ…そうだったな…頼む。だが…無理はするな
エリーゼはい…!
アリスふーん、今度はその子をお守りしてるんだ?
アリスあんなにクレア、クレア—って言ってたのに、乗り換えちゃったのかしら
ヴェイグ…クレアは晶化した。お前達から助け出したすぐ後にな
アリスへぇ、クレアちゃんが?ヴェイグちゃん、可哀想ー
ヴェイグ…クレアは必ず助け出す。お前達が何を企んでいようとな
アリスやだやだ、ヴェイグちゃんってほんっと暑苦しいんだから
デクスそれに、そんなお子様とじゃあオレとアリスちゃんには敵わないぜ!
スレイちょっと待った!オレ達もいるぞ!
アリスあら。全員で寄ってたかってアリスちゃんに襲いかかるつもり?やだー、こわーい
ティアあなた達の行いは到底見過ごせるものではないわ。抵抗しても無駄よ
アリス抵抗…?そんな必要、ないと思うけど?
男の声うわあああ!魔物の群れが襲ってきた!
女の声あちこちから一斉に…!助けて!
ゼロスなっ…!こんな時に魔物の群れだと?
スタン最悪のタイミングだ…!
アリスあらあら、たーいへん。どうしちゃったのかしら。うふふ…
ミクリオまさか、魔物の群れも、お前達の仕業か!
ライラ魔物を港におびき寄せたのですか…!?
ガルルルル!
ルドガー…!別の方からも!?
ミクリオまずい、被害が広がってしまう…!
ティアア・ジュール兵も応戦してるけど…数が多いわ!
ヴェイグスレイ、こいつらの相手はオレがする。魔物の方を頼む!
エリーゼわたしもヴェイグと一緒に戦います!
スレイ…わかった!ヴェイグとエリーゼはその二人を抑えてくれ!
スレイ他のみんなは手分けして魔物を片付けよう!
ゼロスエリーゼちゃん、無茶はするなよ…!
エリーゼみなさんも、気をつけて…!
ルドガー俺達は向こうだ。ティア、行こう!
ティアええ、これ以上被害は広げさせない…!
ヴェイグ
アリスうふふ…
scene2港の襲撃者達
アリスお仲間がいなくなっちゃったわね。それでもまだやる気なの?
エリーゼわたしとヴェイグがいます…あなた達には負けません…!
ティポそうだ!そうだー!
デクスハッ。たった二人で勝てるとでも?笑わせてくれるぜ!
ヴェイグ…エリーゼは強い。お前達よりずっとな
アリスあら、言ってくれるじゃないどうしてそうまでして私達に向かってくるのかしら
ヴェイグオレはこれ以上、クレアやミラのような、晶化現象の被害者を出したくないだけだ
アリスふぅん…
アリスきっとヴェイグちゃん達は、争いは破壊と破滅しかもたらさないと思ってるんでしょうね
アリスそれは違うわ。争いこそが理想を生むのよ
ヴェイグ争いこそが理想を生む…だと?
エリーゼそれってヴァンが言っていたという言葉と同じ…
アリス争ってもらうには、もっとお互い疑ったり憎しみあったりしてもらわないとね♡
デクスアリスちゃんが争いを望むなら、オレはその望みを叶えるだけだからな
エリーゼだから、他国の名を騙って破壊行動をしているんですか…?
アリスふふ、そーいう事♪
ヴェイグ答えろ。お前達はヴァンと繋がっているのか?
アリスさあ?誰の事かしら?
ヴェイグお前達は間違っている。理想のために多くの人が苦しんでいいというのか?
エリーゼそれに、こんな事を続ければ晶化が進行します…!
エリーゼそれだけは、絶対に駄目です!わたしが…止めます!
デクスアリスちゃんに何を…!させるか!
エリーゼきゃっ!?
ズバッ!ガキーーン!
ティポエリー!?
エリーゼあれ、何ともない…
デクスくっ…!
ヴェイグお前の相手はオレだ…!
デクス身を挺してかばうとはな…へっ…少しはかっこいいじゃねぇか
ティポヴェイグ君ー!助かったよー!
エリーゼすみません、ヴェイグ…怪我してませんか?
ヴェイグ大丈夫だ、何ともない
アリスどうやらヴェイグちゃんとわかり合うのは、絶望的に無理みたいね
アリスだったら…残る答えはひ・と・つ♡
ヴェイグいくぞ、エリーゼ。…アリスの術は任せた
エリーゼはい…ヴェイグは私が守ります。任せてください!
デクスここで幕引きにしてやるぜ、来い、でくの坊!
ティポ来るよー!
scene3港の襲撃者達
ヴェイグ…はああっ!
ズバッ!
デクスぐっ…!
アリスちょっと、しっかりしなさいよデクス!押されてるじゃない!
デクスわかってるって…だけどこいつの剣、速い上に重くて…
アリスああもう、頼りないんだから!いいわ、だったらおチビちゃんの方を…
ティポエリーにチビとか言うなー!
エリーゼやっ!
ビシッ!
アリスうっ…!ちょっと、いい加減に…
ティポヴェイグ君、ひるんだよ!
ヴェイグこれで…終わりだ!
アリス…!
デクスアリスちゃんっ!
ズバーーーーッ!
エリーゼ今度はデクスが…
ティポアリスをかばったー?
ヴェイグ
アリスデクス…!
デクスへへ…アリスちゃん、大丈夫かい?
アリスバカ…あんな体勢で飛び込んで来たら、攻撃食らうに決まってるじゃない!
デクスいいんだよ、オレはアリスちゃんさえ守れりゃ
デクスう…
アリスデクス、ちょっと!しっかりして!
アリス最後まで守るって言ったじゃない!死ぬなんて許さないんだから!
デクスへへ…アリスちゃん、やっとオレの事を見てくれたね…
デクスヴァンの奴に会ってからアリスちゃんは…ずっと…あいつの話ばっかりで…
デクスでも今は…オレに死ぬなって言ってくれる…。それだけで…
アリスデクス!デクス!!
アリスそんな…こんなのって…
ヴェイグ
デクスぐう…
ティポ…ぐう?
エリーゼ寝息みたいですね…
ヴェイグ気を失っただけのようだな
アリス!?
アリスも〜!デクスのバカ!心配かけるんじゃないわよ!
アリスアリスちゃん、デクスが死んだと思って取り乱したじゃない。本当、バカみたい!
ヴェイグ
ティポじー…
アリスええと…今のやりとり、聞いてた?
ヴェイグああ
エリーゼすみません…全部聞いてました…
アリスんもー!あの人の名前も出しちゃうし、いろいろ台無し!デクスのせいよ!
ヴェイグやはりお前達は、ヴァンと繋がりがあったのだな
ヴェイグ詳しい話を…聞かせてもらうぞ
scene1繋がる線
ヴェイグお前達と、ヴァンとの関係は?
アリスさあ、何の事かしらね?
エリーゼ今更とぼけても駄目です…
ティポきりきり吐けー
ヴェイグでは質問を変えよう…ヴァンは今、どこにいる?
アリス知らなーい
ヴェイグあまりふざけるようだと…
ティポ容赦しないぞー
アリス…本当に知らないのよ。あの人は神出鬼没で私達は言われるままやってるだけだし
アリス居場所なんてこっちが知りたいくらいだわ
デクスむにゃ…アリスちゃ〜ん…
アリスはぁ…のんきに寝ちゃって…何かいろいろどうでもよくなっちゃった
アリス話は終わりね。これ以上、ヒントをあげるつもりはないわ
エリーゼなっ…!勝手すぎます!
アリスだってーこのままじゃアリスちゃん、一方的に損した気分だしー
アリスそれに…お迎えも来たみたいだしね
ア・ジュール兵1動くな!
ア・ジュール兵2港湾施設破壊の容疑で、お前達を拘束する
アリスあーあ、こうなっちゃったら逃げるのはさすがに無理かな。デクスもこんなだし
デクスぐう…アリスちゃ…ぐむっ…
アリスも〜、さっきから私の夢を勝手に見ないでよ!気持ち悪い!
ヴェイグア・ジュール軍か。こっちに来たという事は、スレイ達が魔物を…
ア・ジュール兵2ええ、スレイ殿をはじめ、みなさんのご活躍もあって、港の被害は最小限に抑えられました
エリーゼよかったです…
ア・ジュール兵2我々は陛下の命を受けて、各地で騒動を起こしていた者達を追っておりました
ア・ジュール兵2あの二人はカン・バルクへ連行し、厳しく取り調べさせて頂きます
アリス…というわけで、残念だけどヴェイグちゃん達とのお話は、こ・こ・ま・で♪
エリーゼ全然悪びれていませんね…
ヴェイグあの調子じゃ、ここで締め上げても何も言わないだろうな…
ヴェイグ後はア・ジュールに任せよう
スレイヴェイグ、エリーゼ!大丈夫だったみたいだね。怪我はない?
ヴェイグああ。それよりも話したい事がある
スレイアリスとデクスが、ヴァンと繋がってる…?
ティアあの二人まで…
ヴェイグ詳しい事は口を割らなかったが…間違いない
ゼロス…って事は、あの二人と繋がってるっぽい事を言ってたシンクもヴァンの仲間って事か?
ミクリオそう考えるのが自然だろうね
ヴェイグアリスとデクスは、他国の軍を名乗り、各国の不信感を煽り、争いが起きる事を望んでいた…
ヴェイグヴァンはアリス達を使って晶化を進行させようとした、とは考えられないか?
スレイ争いが多くなれば、それだけ多くの人が負の感情を持つし、結果的に晶化が進行するもんな…
ルドガー晶化の進行…天啓の一節にも繋がる
ルドガーまるで、天啓の通りになるようにヴァンが行動しているみたいだ
エリーゼそれにアリスも口にした争いこそが理想を生む、というヴァンの言葉…
エリーゼわたしは、晶化を進行させて理想を果たす、という意味に思えるんです…
ティア兄さんは、わざと晶化現象が進むように仕向けている…?
ティアだけど晶化現象を進める事で実現する理想なんて…
スタン本当の事はまだわからないけどヴァンのやっている事が晶化の進行に繋がる事は事実だ
ルドガー晶化に天啓…ばらばらだった線がヴァンへと繋がってきた感じがするな
アニスみなさん、無事に合流出来たみたいですね
エリーゼあなたは…?
アニスア・ジュール軍所属の軍人、アニス・タトリンでーす♪
アニススレイやティアとはちょっとした知り合いってとこなのです
ティアアニス、あなたがア・ジュール軍の増援部隊を指揮していたのね
アニスへへーすごいでしょ!陛下と大佐に、国内の治安回復の任務を任されたんだもんね
ゼロス俺さま達が魔物と戦ってる時に颯爽と登場して、戦いに協力してくれたのよ
アニス怖かったですけどぉ…ゼロス様のために、私、頑張っちゃいました♪
ゼロスあぁ、本当に助かったぜぇ!ア・ジュール港に常駐している兵と俺さま達だけじゃ厳しかったからな
アニスきゃわ〜ん♪お役に立ててうれしいですぅ
スレイ…ミクリオ、アニスってさっきの戦闘中、「てめー、ぶっ殺す!」とか言ってたよな?
ミクリオああ、僕も聞いた。それに、今の彼女は僕達と話す時と様子が違う
ミクリオゼロスが名家の出身だと聞いてからあの調子だね
ティアちょっと、アニスったら…
アニスぶー…ティアのケチ。玉の輿のチャンスなんだよ?ちょっとくらいいーじゃん
アニスはぁ…本当はもっと早く到着する予定だったんですけどー
アニスあちこちで、他国の軍を騙った連中が暴れてるから、もう大変で
アニス取り締まりはしないといけないし、住人の誤解も解かないといけないし
アニスやる事が多すぎて、あちこちたらい回し!大佐ってば人使い荒すぎ!
ライラまあ…。リンネル村やこの港だけではないんですね
アニスでも、ようやく指示を出していたリーダー格の二人を捕縛したし少しは収まると思います!
ア・ジュール兵お話し中、すみません。ご報告が…
アニス報告?何なに…
アニスうんうん…わかった。じゃ、よろしく
スレイ何かあったのかな
ミクリオまさかまたどこかで、騒動が起きたっていうんじゃないだろうね?
アニスうん、当たり。今度は他国ですがシルヴァラントのメルトキオで大規模な暴動が…
ゼロスメルトキオで!?おいおい、マジかよ…
スタンどうして次から次に…
ルドガーここまで立て続けに起こると作為的なものを感じる…。またヴァンが関わっているのかも
スレイだな…オレ達もすぐ、メルトキオに向かおう
アニスそう言うと思って、軍の船を手配しときました!乗ってってください
ライラそんな事まで…よろしいのですか?
アニスみんなには協力を惜しまないようにって、陛下から仰せつかってますから♪
アニス国の看板を背負ってるこっちと違って、みんなは自由に動けますしー
アニスでも、その分しっかり働いてくださいね♪
スレイそうだ、アニス。ガイアス陛下に伝えて欲しい話があるんだ
アニスほえ?何ですか?
スレイ晶化の進行が、マナの不活性化に原因があるみたいで…
アニスマナの不活性化…?
スレイうん。マナの働きが悪くなるって事なんだけど
スレイそれは人々の不安や恐れから生まれていて、それが晶化現象の進行を早めてる…
スレイそうミラが突き止めたと、伝えてもらえないかな
ゼロスあと、今捕まえた二人の他に緑の髪で、仮面を被ったシンクって奴にも注意しろってな
ゼロスそいつもヴァンと、繋がってるはずだからよ
アニスマナの不活性化に、シンクか…
アニスうん、伝えておきます
アニスじゃ、私はこの辺で。アリスとデクスをカン・バルクに連れて行きます
スタンああ、気をつけてくれ
アニスはい!あ、ゼロス様〜。さみしいですけど、また近い内にお会いしましょうね♪
ゼロスアニスちゃんならいつでも大歓迎!またな〜?
エリーゼそれじゃ…アニスの手配してくれた船に乗りましょう
ヴェイグああ、そうだな
scene2繋がる線
ライラシルヴァラント港に、到着したようですわ
スレイア・ジュール軍の方には本当にお世話になりました
スレイガイアス陛下やジェイドさんにもありがとうございますと伝えてください
ア・ジュール兵メルトキオの暴動は、かなり規模が大きかったと聞いております
ア・ジュール兵くれぐれもご用心を
ゼロスまさかア・ジュールの軍船に乗って、帰国する事になるとは思わなかったぜ
エリーゼ前にミラと一緒に来た時と同じで港には人がたくさんいますが…
ミクリオでも…何だか以前の活気がある雰囲気ではないね
スレイあぁ…みんなどこか表情が暗い感じがする
ルドガーメルトキオで起きた暴動の影響なのか…?
スタンみんな不安そうだな。前と同じ港は思えない…
ヴェイグ早く何とかしなければ…
ゼロスこんなところで時間を潰してる余裕はねぇ。早くメルトキオに向かおうぜ
ゼロスお前ら、歩くのが遅いぜ。これじゃあ日が暮れちまう
ルドガーさすがに急ぎすぎじゃないか?全体のペースを考えた方がいい
ゼロス…悪い、少しゆっくり行こう
スタンゼロス、焦ってるみたいだな
ゼロスメルトキオは俺さまの故郷だからな。よりにもよって王都で…暴動なんて信じられねぇくらいだ
ゼロス…セレス、無事でいてくれよ
スレイ港にいた人達を見ても思ったけど、早く争いを止めないと、不安が広がる一方だ
スタンそして広がった不安や悲しみはマナの働きをどんどん鈍らせる…
エリーゼそう…ですよね
エリーゼやっぱり急ぎましょう。わたし、頑張ります
ティポでもー、ぼくはヘトヘトかもー
ゼロスいやいや。お前はエリーゼちゃんに抱かれてるだけじゃねーか…
男の声うわあああ!?魔物が!
ティア誰かが魔物に襲われているわ!
スレイ助けよう!
scene1動乱のメルトキオ
ゼロス大規模な暴動ってわりには街は随分静かだな…
ルドガーすでに暴動は治まった後って事か?
ルドガーでも、そこかしこで建物が崩れたり地面に瓦礫が散乱している
ティアやっぱり、何か大きな騒動があったのは間違いないようね
ヴェイグ兵士の姿が多いな…。軍が鎮圧したようだが…
ライラ逆に街の人はまばらですね…。出歩いている人達も表情が暗いようです
ミクリオみんな、屋内に潜んで事態の推移を見守っているのかもしれない
エリーゼ前に来た時は、人もたくさんいて、華やかだったのに…こんなになってしまうなんて…
ゼロス何でこんな事に…。ちょっとその辺の兵士に話を聞いてみるか
ゼロスなぁ、ちょっといいか?
シルヴァラント兵これは神子様…!ご無事でしたか?
ゼロスああ、問題ねーよ。それより暴動の件、詳しい話を聞かせてくれるか
シルヴァラント兵はい、この度のコレット様の誘拐や、他国での天啓の儀式の不始末でフィリア司祭が糾弾され…
シルヴァラント兵それに煽られた一部の兵や民間人が騒ぎを起こしたのです
ゼロスフィリア司祭が…!?何で彼女がそんな目に遭わなきゃなんねぇんだ
ヴェイグ暴動の主導者はいるのか?
シルヴァラント兵はっきりした事は不明なのですが一部ではグレバム元大司祭が関わっているのでは…という噂が
ゼロスグレバム…あいつか。まぁ、あり得そうだな…
スタンそのグレバムって言うのは誰なんだ?
ゼロスうちの大司祭様だったんだ。前に教団を牛耳っていた…な
ゼロスフィリア司祭の師匠みたいなもんだ
ルドガーフィリア司祭の師匠だって?聞く限りだと、いい人には思えないけど…
ゼロス昔は敬虔な信者だったらしいが…いつしか権力第一になって、今じゃ信仰なんか二の次さ
ゼロス何やかんやで教団を追い出された後も地位を奪われた、ってフィリア司祭によく突っかかってたもんよ
ティア酷い話ね…。仮にも聖職者なんでしょう?
ゼロス聖職者が全員、聖人君子ってわけじゃねーし。世の中ってのはそんなもんだ
シルヴァラント兵おお!神子様。お戻りになられたのですね
ティポゼロス君、有名人だねー
シルヴァラント兵ここでお会い出来てよかったです。セレス様も、神子様の安否を大変気にかけておいででした
ゼロス…!よかった、無事だったんだな
シルヴァラント兵勿論です。今は街の郊外の安全なところに避難しておられます
シルヴァラント兵今からご案内いたします。セレス様も喜ばれるでしょう
スタン行って来いよ、ゼロス。妹が心配なんだろう
ヴェイグ…その事があるから、シルヴァラント港からここまで急いで来たのだろう
ゼロスすまねぇな、恩に着るぜ。セレスの無事を見届けたら、すぐ戻ってくるからよ
ゼロスつーわけで、案内を頼むぜ
シルヴァラント兵こちらです
スレイオレ達はオレ達で、もう少し街の様子を調べよう
ミクリオフィリア司祭に直接話が聞けないだろうか?
ルドガーじゃあ、神殿の方へ行ってみるか
ティア騒ぎのあった後だし、どうなってるかわからないけど…とにかく当たってみましょう
scene2動乱のメルトキオ
ゼロスおいおい、どこまで行く気だ?
ゼロスどんどん人気のない方へ向かってるみてーだが…本当にこっちにセレスがいるのかよ?
シルヴァラント兵
ゼロス…いつの間にか兵の数も増えてるみてぇだが…。何を企んでんだよ?
シルヴァラント兵このまま私達と一緒にお越しください、神子様
ゼロス嫌だ、って言ったら?
シルヴァラント兵どうか従ってください。手荒な真似はしたくありません
ゼロス野郎の言う事を聞く趣味はねぇよ
シルヴァラント兵神子をこの場で拘束する!構えよ!
ゼロスちっ…!邪魔するからには怪我するのは覚悟しろよ…!
???お待ちください!
ゼロスあ、あんたは…!
スレイフィリア司祭、神殿にいなかったな
ライラどこに行かれたのでしょう…。心配ですわ
スタン街の人にも、話を聞いてみたけど今回の騒動には戸惑っている人が多かったな
ヴェイグそもそも何が起きているのかさえ、把握出来ていない人も多い…
エリーゼこのままでは、不安な気持ちばかりが募ってしまいますね…
???そこのお前達、止まれ!
ティアシルヴァラントの兵士に…誰かしら。軍人ではないようだけど…
???そこの者達。我々に同行願おうか。抵抗するならば捕える
スレイえっ、ちょっと…どういう事ですか?
ミクリオあなたは一体…?
ティポいきなり、何だー!
シルヴァラント兵無礼な!グレバム様に何という口を!
ティアグレバム…!ゼロスが話していた人ね
エリーゼこの人が暴動を…?
ルドガー…すみません、何故俺達が同行を求められているのか理由を聞かせてください
グレバムお前達はア・ジュールの軍船に乗って入国したとの情報がある
グレバム敵国の間者であろう。大人しく投降しろ!
スレイ敵国ってどういう意味ですか?ア・ジュールとシルヴァラントは、戦火を交えていないんじゃ…
グレバム我々シルヴァラントの民の精神的支柱たる、天啓
グレバムその天啓を貶める国など、敵国も同然だ
グレバム更には、ア・ジュール軍を名乗る者共が、シルヴァラント領の街や村を襲ったという話も聞く
グレバム無辜の民を襲うとは、許しがたき蛮行である!
エリーゼアリスとデクス達の事ですよね…
ティアグレバム様、誤解です。各地の襲撃はア・ジュールを騙る別の者がやった事…
ティアその主導者の二人はア・ジュールで捕らえられました
スタンそれに、ガイアス陛下は天啓を侮辱するつもりなんてありませんでした
グレバムア・ジュール側からなら何とでも言えよう…
ミクリオ僕達はア・ジュールの人間ではないんだが…
グレバム敵の甘言に耳を貸すものか!もうよい。兵士達よ、この者共を捕らえよ!
シルヴァラント兵はっ!
ルドガー聞く耳は持ってくれないようだな…!
ヴェイグここで捕まるわけにはいかない。やるしかないか…!
scene3動乱のメルトキオ
グレバム貴様ら…見苦しく抵抗しおって
グレバムそれだけ抵抗するのは、やはりやましいところがあるからだろう!
ティポ言いがかりはヤメロー!
スタン俺達は暴動が起きたって聞いて様子を見に来ただけなんだ!
グレバム増援を回せ!さっさとこいつらを捕えるのだ!
ミクリオ…!まずいぞ、スレイ。後ろからもシルヴァラント兵が…
スレイ囲まれる…!
スレイん?でもあれは…
シルヴァラント兵グレバム様、残念ながら増援は諦めた方がよろしいかと
グレバムお前達…私の配下の兵ではないな
グレバム!それにお前は…
フィリアグレバム様、この方達の事は私にお任せくださいませんか
エリーゼフィリア司祭…
フィリア確かにこの方々はア・ジュールから渡ってこられましたが、いずれも私のよく知る人達です
フィリア我々シルヴァラントにも協力していただいています。怪しい方などいらっしゃいませんわ
グレバムそうは言えど、この時勢だ。ア・ジュールの間者かもしれん。厳しく尋問を…
ゼロス尋問なんて必要ねーぜ。こいつらの身元は、神子の俺さまも保証すっからよ
スレイゼロス!フィリア司祭と一緒だったのか
ゼロス俺さまも危ういところをフィリア司祭に助けてもらったんだ
グレバム神子殿…ご無事でしたか
グレバムフィリア、お前はいつまでたっても小娘だな
グレバム神子殿を好き勝手に行動させ、あまつさえ得体の知れぬ者達と通じ…
グレバムそれが我が国に付け込まれる隙を与えるのだ。しっかり監視しておくんだな
フィリアグレバム様…
フィリア…ご心配、ありがとうございます。心して務めて参ります
グレバムふん、綺麗事ばかりではどうにもならんぞ。おい、お前達
スレイは、はい。オレ達ですか?
グレバム今回は見逃してやるが、即刻この国から立ち去れ。今度会ったら問答無用に捕らえるぞ
ライラまぁ…すごい剣幕でしたわね…
フィリアすみません、お見苦しいところを…。あなた達にも我が国の者がご迷惑をおかけしました
ヴェイグフィリア司祭のせいではない。気にするな
フィリアいえ、私がもう少ししっかりしていればこんな事には…
スレイでも、ちょうどよかった。オレ達、フィリア司祭に会いに行くところだったんです
スレイさっき神殿に行ったけど留守で…
フィリアそうだったのですね。それは失礼しました
フィリア今から神殿に戻ります。よろしければ、一緒に参りませんか?
スレイお願いします
ゼロスさて、と。フィリア司祭、俺さまがいない間に何があったか話してくれねぇか?
フィリアはい…。実は、先日ア・ジュールで天啓が公表された後この国では大きく事情が変わりまして
フィリア前々から、兆候はあったのですがグレバム様を中心とする勢力がついにしびれを切らしたようです
ゼロス…えーっとだな、他の国の人間にもわかるように説明すると
ゼロスうちの国は信仰に厚い国だが、それはそれとして王家中心に他国と協調して平和的に自国を守ってる
ゼロスでも中には、信仰深いあまり、過激な考えや行動に出る奴もいて…
ゼロスその急進派の代表格がグレバムだ
フィリア…そして、急進派の方々は天啓を侮辱したとしてア・ジュールに強く反発を覚えたようです
フィリア先の儀式で判明した天啓の内容はア・ジュールへの天罰と捉え
フィリアア・ジュールは滅ぶべきだと主張される方もいらっしゃいます
スレイそんな…。だからオレ達がア・ジュールから来たと知ってあんなに警戒をしたのか
ティアでは、何故フィリア司祭が急進派の目の敵になるんですか?
ゼロスグレバムは教団のトップに返り咲きたいんだよ。それには穏健派のフィリア司祭が邪魔なんだろ
フィリア私は、神に仕える身です。国王陛下と協調し争いを避ける道を選んでいるだけです
フィリアグレバム様は、本来信仰心に満ち、みなを牽引する立派な御方だったのですが…
フィリアさる事情で教団を去られた後は、権力者と結びつきを深められたようで…
フィリアこれまでは国王陛下が上手く取りなしておられたのですが
フィリア昨今の騒ぎに乗じる形で、発言力が増してきています
ティア厄介ね
スレイところで、グレバムはゼロスを見て随分驚いていたみたいだけど…ゼロスも捕まりそうになったのか?
ゼロスああ。偽の兵士に騙されてな
ゼロスしっかし、ちょうどいいところにフィリア司祭が現れて助かったぜ
ルドガーゼロスを捕まえてどうするつもりだったんだ?ゼロスはこの国の人間なのに…
ゼロス急進派にとっちゃ、神子は象徴みたいなもんだからな。自分の手駒にするつもりだったんだろ
スタン怖いな…。じゃあ、結局妹のセレスには会えなかったのか?
ゼロスまあな。でもフィリア司祭がちゃんと保護してくれてるらしい。さすが、頼りになるぜ
フィリア国王陛下が、騎士団にグレバム様を監視するよう命じられていて…
フィリアその関係で私の下にも、情報が届いていたので、先回りして動く事が出来たんですわ
ゼロス騎士団って事は、クラトスやクロエちゃんが?
フィリアはい、あのお二人はグレバム様の動向を探っていらっしゃるようです
エリーゼグレバムを捕まえる事は出来ないんですか…?
フィリアグレバム様が、暴動を主導した明確な証拠もないので…
フィリアそれに今は、急進派に対する民衆の支持も、高まっていますし
ミクリオ下手にグレバムを拘束したら、また暴動が起きかねないね
フィリアはい…少なくとも国王陛下は、そうお考えのようです
フィリアですから私としても、今回のように、出来る範囲で目を配るくらいしか…
フィリア何とか穏便に、事が収まるようにしたいのです
グレバム忌々しい連中だが…しばらくは泳がせておくか…
シンクとんだ邪魔が入ったみたいだね
グレバムむ…シンクか
シンクそんな構えなくてもいいよ。別にあんたを非難しに来たわけじゃない
シンクアリスやデクスを倒したと言っても所詮あいつらは烏合の衆。放っておけばいいさ
シンクそれより、準備が出来たよ
グレバム本当か?ではすぐ出立の準備に取りかかるとしよう
グレバムふふふ…いよいよだ。私が再び表舞台に返り咲く時が来た
グレバム天啓を成し遂げ、私が民衆の支持を勝ち取り、この国を立て直す…!
グレバムそのために、お前にも存分に働いてもらうぞ、シンクよ
シンクああ、任せておきなよ
scene1不穏の種火
フィリア──そうですか…ア・ジュールでも騒動が…
フィリアキムラスカやウィンドルでも、他国の兵を名乗る謎の勢力が、各地を襲撃していると聞きますが…
スレイその襲撃を行っていた実行犯がオレ達がア・ジュール港で捕まえた二人なんです
ヴェイグ今はア・ジュール軍で取り調べを受けているはずだ
ルドガーしかし、各地で起こった騒動が全て彼らの仕業とは限らない。他にもこんな事が起こったら…
エリーゼ不安や悲しみを感じる人が、増えて晶化現象が進んでしまいます…
フィリア先ほどのお話にあったマナの不活性化…ですね
フィリア確かに我が国でも、晶化によって住む場所を追われた人々がメルトキオへと避難してくるなど──
フィリア晶化の進行を感じる出来事はこのところ多くなってきていました
フィリア時期的にはちょうど新たな天啓が公表された後からです
フィリア人の負の感情と、マナの不活性化…
フィリア…確かにミラさんの見つけた手掛かりは正しいもののように感じますわ
エリーゼミラ…
フィリア…そう言えば、ゼロスさん。先ほどのお話で名前の出たシンク…という者
フィリア実はグレバム様とそのシンクに似た外見の者が接触しているという情報が
ゼロスシンクだと?この街にいるかもしれないのか…
ルドガー…シンクはアリス達と同様、ヴァンに繋がっているという話だったな
スレイグレバムとシンクが通じているという事はヴァンとも関係がありそうだね
フィリアグレバム様の影響力が強くなったのも、その者が現れてからと言う事もあり──
フィリアクロエさんが中心となって行方を追っているのですが、手掛かりすらつかめていません
ティア兄さんはグレバムまで動かそうと…?
シルヴァラント兵司祭様。グレバム様が、手勢を連れて街を出たとの情報が
シルヴァラント兵目的は不明ですが、シンクらしき者も現れたとか
フィリアそれは…!すぐ陛下にご報告しないと
フィリアすみません、みなさん。この件と、先程伺った情報をお伝えするため私は王宮に参ります
スレイなら、オレ達は、グレバムの後を追おう
ミクリオそう言うと思った。メルトキオを出たらグレバムは容赦なく向かってくるぞ
スレイうん。わかってる。覚悟の上だよ
ティア私も、スレイに賛成よ
ティアどんな些細な手掛かりでも、兄さんに繋がりそうなら確かめないわけにはいかないわ
ゼロスグレバムの真意も、確かめないといけねーしな。メルトキオを出て何するつもりだか
ティポ行くしかないねー
フィリアグレバム様の追跡でしたら、我が国の騎士も…
ゼロスいや、ヴァンの影があるんだ。敵はグレバムだけじゃねぇ
ゼロス街の警備、それに民衆達の不安…それを考えると、今騎士団は出来るだけ街に残しておくべきだ
ゼロスだから、グレバムの事は俺さま達に任せて、まずはこの国の安全を第一に考えてほしい
フィリアわかりました。この街は勿論、近隣地域の安全は私達の方で必ず何とかします
フィリアグレバム様の事は一旦あなた方にお任せします
ゼロスああ。その代わりと言っちゃなんだが…セレスの事は頼んだぜ
フィリアええ、勿論です。セレスさんは私が責任もってお守りいたします
スレイよし、それじゃ出発しよう。グレバムを追いかけなくちゃ
ライラそうですね
scene2不穏の種火
スレイ騎士団の情報によると、グレバムはシルヴァラント港へ向かったみたいだ
ライラ急いで向かいましょう
ミクリオフィリア司祭と話が出来てよかった。シルヴァラントの騎士団も助力してくれるよう伝達するそうだし
スタンロイドやクロエ、クラトスさんもいるし、心強いよな
ゼロスおいおい、頼れるのって、ロイドくん達だけだと思ってる?俺さまを忘れてもらっちゃ困るぜ〜
エリーゼゼロス…フィリア司祭にセレスの話をしている時はすごく真剣だったのに
ティポすっかりいつものゼロス君に戻っちゃったねー
ゼロスそれは違うなぁ、エリーゼちゃん。俺さまはいつだって本気よ?
ルドガーそれにしても…グレバムはこれから、何をする気なんだろう
ティア手勢を率いて港へ向かっているなら他国に向かおうとしている可能性が高いわね
ミクリオグレバムとわずかな手勢だけで他国とやり合うとは考えにくいが…
ミクリオヴァンやシンクの影もある。実際の戦力は未知数だ。油断は出来ないね
スレイうん、わかってる!グレバムの真意を確かめよう!
エリーゼ頑張りましょう…!どんな事が待ち受けていてもわたしはみんながいれば乗り越えられます!
ライラそうですわね
ライラそれに、フィリア司祭も話していましたが、晶化で住む場所を失った人達も出始めています
ライラ人々の恐怖、悲しみが強くなる…そんな状況だからこそ…
スレイ導師の出番、って事だよね。わかってるよ、ライラ、オレはそのために導師になったんだ
ライラはい!
スレイ…よし。みんな、一刻も早くグレバムの元に急ごう!

NameDialogue
scene1追走
スレイ騎士団の情報で港の方に進んできたけど…
エリーゼグレバム達の姿は見えませんね…
スタン奴らの目的もはっきり分からないし、気持ちばかり焦るな
スレイメルトキオを出る直前にシンクに接触したみたいだって話だったけど
スレイやっぱり今回もシンクやヴァンが裏で動いてるって事なのかな?
ゼロス教団を抜けた後でも、グレバムは国内では影響力があったからな。利用価値はあるんだろ
ヴェイグ…アリスが口にしていた争いこそが理想を生む、という言葉…
ヴェイググレバムも奴らと同じなら混乱や争いを起こそうとしているのだろうな
ミクリオグレバムを支持する人もいるって事は一部のシルヴァラントの兵や民衆も動かせるかもしれないね
スタンア・ジュール港の時よりも大きな騒動になりかねない…
ミクリオああ…。スレイ、グレバムを見つけた後はどうするんだい?わかってるとは思うけど…
スレイうん…争いなんか起こしたら晶化現象を進行させる原因になってしまう…
スレイ暴動や混乱を起こそうとしてるならその前に何とか説得出来ればいいんだけど…
ミクリオそれは難しいかもしれないな。スレイ、最悪の場合も考えておいた方がいい
ルドガーなら、グレバムがどの程度の手勢を率いているのか、前もって調べておいた方がいいかもな
ミクリオそうだね。でも、奴の後ろにはヴァンやシンクがついているかもしれない。慎重に事を進めよう
ヴェイグ彼らがこの街道を通ったのなら、目撃者も大勢いるはずだ…
エリーゼそういう人達に、話を聞けるかもしれませんね
スレイそうだね。誰かいたら声をかけてみよう
scene2追走
スレイこの辺りの街道は人が結構いるな。話が聞けそうな人は…
ミクリオスレイ、向こうの人に聞いてみるのはどうだろう?
スレイ行商人…かな?声をかけてみよう
スレイあの、すみません。この辺でシルヴァラント兵の集団を見ませんでしたか?
スレイメルトキオの方から来たと思うんですが…
行商人ああ、見たぜ。二、三十人くらいの一団が港の方に向かって行ったな
ヴェイグ…やはり他国を攻められるほどの人数ではなさそうだな…
エリーゼそう…ですね
行商人…旅の途中かい?悪い事は言わねぇ、今港に行くのはやめた方がいい
スレイ…港で何かあったんですか?
行商人さっきの話に出た兵士もそうだが、キムラスカの反乱軍もシルヴァラント港に向かってる
ティア反乱軍ですって!?キムラスカで一体何が…?
行商人…例の新たな天啓の発表以来、キムラスカではア・ジュール軍による襲撃事件が相次いでいてな
行商人動こうとしない本国に不安と怒りを覚えた民衆が、独自に打倒ア・ジュールを掲げて蜂起したんだ
スタンそんな…!ア・ジュールがそんな事するわけがない…!
行商人俺の知り合いにその反乱軍に参加してる奴がいてな。そいつから聞いたんだが…
行商人キムラスカの襲撃を命令されて逃げてきたア・ジュールの少年兵士が証言したんだと
行商人キムラスカを今、襲撃しているのはア・ジュールだってな
ルドガーその話が本当なら、酷い話だが…
行商人その少年は素顔を隠すため仮面までつけているっていう話さ。ア・ジュールがよほど恐ろしいんだな
ゼロス仮面の…そいつ、緑髪じゃなかったか?
行商人そこまでは知らねぇな。とにかく、港の方は穏やかじゃねぇ
行商人反乱軍はキムラスカ騎士団の制止も及ばず港にまで到達してる。引き返した方が身のためだぞ
スレイ…忠告、ありがとうございます。あなたも気をつけて
ヴェイグ…キムラスカの反乱軍か…。ゼロス、その少年兵というのは…
ゼロス間違いなくシンクの野郎だろうな。ア・ジュールがキムラスカを襲うなんて話、振り撒きやがって
ゼロスキムラスカの騎士団も止められなかったなんて…
ティア漆黒の騎士による王都の襲撃もあったし、各地でもそんな事があったとなると…
ティアキムラスカ騎士団の戦力も分散していたんでしょうね
ミクリオ…待ってくれ。そのシンクが動かしたキムラスカの反乱軍が港に向かっているという事は…
スレイ…!グレバムと港で合流するつもりなんじゃ…
スタンまずいな…。グレバムはキムラスカの反乱軍とア・ジュールに攻め入るつもりか?
スレイそれだけは止めないと…!急いでシルヴァラント港へ向かおう!
scene1グレバムの行方
エリーゼシルヴァラント港までもう少し…というところですが…
ヴェイグキムラスカの反乱軍とグレバムが合流するとしたらシルヴァラント港だろうな…
ヴェイグ奴らが港に着く前に追いつきたいところだが
ルドガーああ。港ともなれば人も増える。無関係な人は巻き込みたくないしな
スタングレバムは手勢を連れて大人数で移動しているんだろ?
スタンなら、少人数のこっちの方が速く動けているはずだ。きっと追いつけるさ
ゼロス追いついたらグレバムにはシンクについても洗いざらい吐いてもらわないとな
ゼロスあの仮面野郎にはでっけー借りがあるからよ
エリーゼヴァンについても何か知っているでしょうか…?
ゼロスどうだろうな。シンクの影はチラついてるが…
ゼロスグレバムは権力にご執心だ。ヴァンだかシンクはそこを上手く利用してるだけじゃねぇか?
ルドガーヴァンは…権力が欲しいとか私腹を肥やしたい、とかじゃないんだよな…
ティア…兄さんは、何か強い信念を持って動いていると思うわ。権力とは別の…
ゼロスだよなぁ。それなら騎士団長の座に居座ってただろうし
エリーゼ…自分の理想を成し遂げるために争いをする…
エリーゼ争いで生まれる理想なんて本当にあるんでしょうか…
ティアそんなもの、あるはずはないわ。でも…何だか、底知れないものを感じるの
ティア兄さんは、私達の想像もつかない事を考えているのかもしれない…
スレイティア…
スレイそうだとしても、目の前で起こる争いや晶化現象を放っておく事は出来ない
スレイみんなが幸せに暮らせる世界をオレは守りたい。それが導師の役目だと思うから
ミクリオ…そうだね。そのためにも、早くグレバムに追いつきたいが…
スレイそろそろだと思うんだけど…
エリーゼあっ…見てください、向こうに大勢の人が見えます…!
ミクリオシルヴァラント軍の装備…グレバムに追従した兵士達、だな
スタン兵士達の中心にいるあの男は…!
ゼロス間違いねぇ、グレバムの野郎だ!
scene2グレバムの行方
スレイやっと追いついた!
ゼロスったく手間かけさせやがって…
グレバムお前達は…!
グレバム…神子殿、これはどういう事ですかな?お見送りに来てくださったのですか
ゼロス期待してもらってるところ悪いが、そうじゃないんだな、グレバムさんよ
スレイあなたに聞きたい事があって、ここまで追いかけてきました
グレバム言ったはずだ。即刻この国から去れ、と。それなりの処罰は覚悟の上だろうな?
ティア
グレバム神子殿、あなたは我が国の象徴とも言える方…
グレバムそのあなたが他国の間者と行動を共にしているなど民衆が何と思うか…
ゼロスさぁーて、それはどうだろうな?少なくとも、あんたよりは俺さまの方が国民からの信頼も厚い
ゼロスあんたの行動の方が、みんなはどうかと思うんじゃね?元・大司祭サマ?
スレイそれに、オレ達は、ア・ジュールの間者なんかじゃありません
グレバム黙れ!これ以上私の邪魔をするのなら容赦はしないぞ
ティアお待ちください、グレバム様。兵士を連れて一体どこへ向かわれるのですか
ティア国王陛下やフィリア司祭の与り知らぬところで兵士を動かしては反乱と受け取られかねないはずです
グレバムほう、この私が反乱だと?笑止千万とはまさにこの事だな
グレバム私の行動は全て国を想う故だ。貴様らのようなよそ者にとやかく言われる筋合いはない
グレバムそれにフィリアなど…たまたま今の地位にあるに過ぎないただの小娘だ。話にならぬ
スレイ…もう一つ質問があります。あなたとシンクの関係は?
グレバム知らぬわ!貴様ら、自分の立場が分かっておらぬようだな
グレバム話は終わりだ。おい、お前達!
兵士はっ!
スレイ…!囲まれた!
グレバム今度はフィリアの助けは入らんぞ。神罰を覚悟せよ
グレバムかかれ!
ミクリオ仕方ない、行くぞ、スレイ!
scene3グレバムの行方
ヴェイグ…これで終わりだ
ルドガー兵達は全員片付けた。残るはお前だけ…
グレバムおのれ…役立たず共が…
スレイお願いします。話を聞かせてください
スレイあなたが兵を連れて、シルヴァラント港に向かっているのはどうしてなのか…
スレイそれにキムラスカの反乱軍もまるで示し合わせたように港に向かったし、もしかして──
グレバムええい!貴様らに聞かせる話はない!
ゼロス何でもいーけどよ、供回りはみんな伸びちまってるんだ。いい加減観念しろよ
ゼロス俺さまとしては、ついでにシンクの野郎との関係も吐いてくれると嬉しいんだけどな~?
グレバムぬう…
???…繋がりはあるさ。そう言えば満足かい?
スレイ誰だ…!?
ゼロスこの声…まさか…!
シンク久しぶりだね、「神子様」
ゼロスへっ…!会いたかったぜ、仮面野郎…!
scene1烈風のシンク
ゼロスシンク、探す手間が省けたぜ。お前の方から出てきてくれたんでな
シンク別にボクは会いたくなかったけどね。仕方なくさ
ミクリオタイミングがよすぎる。まさか、隠れて様子を伺っていたのか?
シンク隠れて?お前達が気付かなかっただけさ
ゼロス…相変わらずいけ好かねー奴だな
シンクそれにしても、グレバム。せっかくのご自慢の配下も形無しだね
シンクまだ動けそうな奴らを連れて、アンタは先に行きなよ
シンクここはボクが引き受けてやるからさ
グレバム…。任せたぞ
スタン待て!
シンク通さないよ
スタン何だってグレバムをかばうんだ!やはりお前達は仲間なのか?
シンク仲間…?フン、反吐が出る言葉だね。あんなのは駒でしかない
ゼロスどうしようもねぇ奴だな。人は道具扱いで女の子にも平気で手を上げる…
シンクあの女騎士の事かい?
シンク強者が弱者を支配する…それが世の中の仕組みだ。ゴミはゴミの扱いをするだけさ
ゼロス…確かに、そういう考え方もある。俺さまもそれは認めてやるよ
ゼロスただな、世の中全ての仕組みがそれだけじゃないって事…痛いくらいに教えてやるぜ
シンクはっ!面白い事言うね。全てが満たされた環境で育ってきた神子に何がわかるっていうのさ
シンク思い知らせてやるよ。このボクがね…!
ヒュッ!
ゼロスおっと!
エリーゼゼロス!
ゼロスこれくらい大丈夫だって!ここは俺さまに任せてみんなはグレバムを頼む!
ルドガー一人でシンクを止める気か?
ゼロスこのガキんちょには俺さまがしっかり世間の厳しさをわからせてやらねぇと
ゼロスこいつも俺さまの事はずいぶん気に入らないみてーだしな
スレイオレも残るよ。みんなは先に行って…
シンク…そう上手くいくとは、思わないでほしいね
…ザッ
ルドガー茂みから伏兵が…!?
兵士ここを通しはせん!
ゼロス…やってくれるじゃねぇの
シンクいちいち怒らないでよ。使える駒は用意しておくものさ
ヴェイグシンクが連れてきた援軍、か…。まずはこいつらを片付けるぞ
エリーゼはい…!でも数が…
ルドガー…散開して、各個撃破しよう。取り囲まれるとまずい
スレイゼロス…!
ゼロススレイ、お前は目の前の敵に集中しろ!こいつは俺さま一人で十分だ!
スレイ…わかった。でも、気を付けて…!
ティア
シンクさっさと来なよ、神子様
ゼロスお望み通りにしてやるぜ!
scene2烈風のシンク
シンクはっ!
ゼロスそんな攻撃、食らうかよ!
ゼロス今度はこっちの番だ!
シンク甘い!
ゼロス答えろシンク、お前やヴァンは、一体何を企んでやがる?
ゼロスグレバムを手駒にして…何を起こす気だ!
シンクふん…さぁね。ボクはヴァンの奴に、手を貸してやっているだけさ
シンクこの世界に…復讐するためにね
ゼロス…正気の沙汰じゃねぇな。もっと他にする事ねーのかよ
シンク神子として、生まれながらに全てを持っているアンタにとやかく言われたくないね
シンク他人から必要とされ、優遇されてきた…そんな人生を送ってきたアンタにはね
ゼロス
シンクそら!まだまだ行くよッ!
シャッ!
ガツッ!
ゼロスくっ…!この…!
ゼロス何でヴァンに従う!?ヴァンが起こそうとしてんのは戦争だろ!?
ゼロスヴァンに従っていい事あんのかよ!
シンクあるさ。少なくともこんな世界を終わらせてくれる
ゼロスお前まだガキじゃねぇか。何でそんなに世界を憎むんだ?
シンク…ボクは生まれた時から何も持たず、誰からも必要とされなかった。いわば、からっぽの存在だ
シンクこの世界はボクを必要としていない。だからボクも、必要としない
ゼロス…それで、世界を呪ってんのか
ゼロスやりきれねぇな…。まるで昔の自分そっくりだ
ゼロス俺も、生まれながらに神子だった…。だけど、自分で望んだ事じゃない
シンク…何でもいいけどさ。さっさとやられてよ
ゼロスでもな…俺が神子じゃなきゃ、ロイドやコレットちゃん…仲間のみんなに出会えてなかった
シンク仲間…?はっ、急に何を言い出すんだか。あまり笑わせないでよね
シンク所詮、人間なんて利害の一致で結びついているだけさ
ゼロスそれはお前が誰も信じてねぇから、わからねぇだけだ
ゼロスさっき誰からも必要とされないって、お前は言ったよな?
ゼロスだったら、自分で居場所を作ればよかったんじゃねぇか?
ゼロス自分が憎んでいた世界でも、信じてくれる奴はきっといる。俺がそうだったようにな
シンク馬鹿馬鹿しい…。アンタみたいな放蕩神子に説教されたくないね
シンク守りが疎かになってるよ!
ゼロス…!
ガキーン!
ゼロスくそっ…!剣が…!
シンクこれで終わりだ!
ヒュッ!
ガツッ!
シンクぐっ…!足が…
シンクナイフだと…一体どこから…
ティアゼロス、動きを止めたわ!早く剣を!
ゼロスサンキュー!ティアちゃん!
scene3烈風のシンク
ゼロスこれでしまいだぜ!
ズバーーッ!
シンクうっ、こんな…事が…
ゼロスもう一度聞くぜ、シンク。ヴァンの野郎は、今どこにいるんだ?
ゼロスヴァンやお前達は、一体何を企んでやがる?
シンクボクは…
シンクこんな世界…大嫌い…なだけ、ただそれだけさ…
ドサッ…
ゼロスシンク…
ゼロスふう…
ティア終わったようね、ゼロス
ゼロスティアちゃーん♡あのナイフ捌き、俺さま惚れ惚れしちゃったよー!
ティアあ、ええ…
ゼロスまさに息ぴったり、完璧なタイミングだったよな!
ゼロスこれもひとえに、愛の成せる技!やっぱり二人が結ばれるのは運命…
ティアナイフはまだあるのだけれど…あなたにもお見舞いしてあげた方がいいのかしら
ゼロスちょっ…!ジョークだよ、ジョーク!そんな恥ずかしがるなって~
ティア全く…シンクと戦っている時は、真剣な顔をしてたのに…
ティアそのままではいられないのかしら?
ゼロス俺さまはいつだって真剣そのもの!今だってティアちゃんに…
ゼロス…いでっ
ティア腕は立つし、機転も利くのに…
ティアゼロス、あなたシンクに私の存在を気付かせないないためにわざと挑発していたでしょう?
ゼロスひゃひゃひゃ!ティアちゃんからの熱い視線、気付かないワケないだろ?
スレイゼロス、ティア!
スタンシンクは退けたのか?
ゼロスおう、シンクなら俺さまとティアちゃんで…
ゼロスって、ええ!?
ティアいない…逃げたの?あの傷で動けるなんて…
ゼロス仲間が連れて行ったのか?そんな気配もなかったが…
ゼロス…悪ぃ、逃がしちまったらしい。あの傷じゃ、しばらくはまともに動けないとは思うが…
スレイいや、二人が無事だったならよかった
ゼロスそっちはどうだったんだ?戻って来たって事は、グレバムは…
ミクリオシンクの部下は全て退けたが…残念ながらグレバムには逃げられてしまった
ゼロス結局シンクからヴァンの情報を引き出せなかったし目的はわからないままか…
スタンとにかく、港には向かったはずだ。急いでグレバムを…
ピピピ…
エリーゼこの音は…
スレイパスカルの通信機だ。もしもし?
パスカルあ、スレイ?久しぶりー!元気そうでよかったー♪
スレイうん、パスカルも相変わらず元気そうで安心したよ
スレイでも、連絡くれるなんてどうしたの?
パスカルうん、実はちょっと気になる事があってさ、スレイには伝えた方がいいかなって思って
パスカル赤の騎士団が何だかみょ~な動きをしてるんだよね
スレイ妙な動き…?
パスカルうん、急に兵士達を集めたと思ったらそのまま、ウィンドル港の方へ向かって行っちゃったんだ~
スレイ赤の騎士団が、ウィンドル港に…!?
パスカルうん、セルディク大公も一緒だったし…怪しいでしょ?
パスカルそれに港にはキムラスカからの反乱軍も集まってるらしいし…
ルドガーウィンドル港に、キムラスカの反乱軍か…。赤の騎士団も動き出したなんて…
ヴェイググレバムの目的地もそこだろう。予想以上に相手の動きは早い、と言う事か…
スレイパスカル、貴重な情報をありがとう。通信機があって助かったよ
パスカルまた何か動きがあったら連絡するね。スレイ達も気を付けて!
パスカルじゃね~!ばいば~い!
スレイ今のパスカルの話…
スレイセルディク大公率いる赤の騎士団、キムラスカの反乱軍、それにシルヴァラントのグレバム…
スレイこの三つが手を組もうとしてるって事なのかな
ミクリオおそらくね。そして、今までの話からすると、その三つの勢力の共通の敵はア・ジュールだ
ヴェイグア・ジュール相手に戦争を起こそうとしているのか…!
エリーゼ戦争…まさかそんな…
スタンとんでもない事になってしまう…
ティアとにかく急ぎましょう!グレバムがウィンドル港に渡る前に追いつかないと…
スレイああ、行こう!
scene1導師と天族
エリーゼシルヴァラント港を目指して進んで来ましたが…
ティポ真っ暗になっちゃったねー
スタングレバムに追いつくために少しでも先に進みたいけど…
ヴェイグ戦闘による消耗もある。ここは一度休むべきだと思う
ヴェイググレバムも港に着いていたとしてもわざわざ夜に船を出さないだろう
スレイそうだな、今日はこの辺りで休もう
ルドガーじゃあ手分けして、野営の支度だな
ティアなら今日は私が夕食を用意するわ
ゼロスお、ティアちゃんの手料理か。俺さま楽しみ~!
エリーゼこの料理…ティアが作ったんです…よね?
スタンまさかボアの丸焼きがどかんと出てくるとは
ミクリオ随分と豪快だな…
ティア何か変だったかしら?
ヴェイグいや。とてもうまそうだ
ゼロスティアちゃんの料理っていうから女の子らしいもんを想像してたけど…こういうの、ギャップってやつ?
ゼロス疲れた時はこういう料理だよなぁ!くぅ~!さっすがティアちゃん!
ティアあまり手の込んだものより、野営する時にも困らないような料理を教わる事が多かったから
スタンもしかして、お兄さんから?
ティア…ええ。兄さんは、料理もとても得意だったわ
ゼロスへぇ、キムラスカの騎士団元総長がねぇ…。何でも出来るんだな
スレイすっごくいい匂い!早く食べよう
ライラそうですわね
スレイいただきます!
スタンふう~。ごちそうさまでした!
ゼロス素材を生かした味付けで最高にうまかったぜ!
エリーゼお腹がいっぱいで…動けません…
ティポエリーのお腹がまんまるになってるー
エリーゼわっ、ティポ、お腹触っちゃ駄目です…!
ルドガーははっ。ちゃんと食休みした方がいいぞ
スレイ…ライラ。聞きたい事があるんだけどいいかな?
ライラはい、何でしょう?
スレイ実は…『神依』について教えてもらいたいんだ
ライラ神依…ですか
スタン…カムイ?それって何だ?
ゼロスさあ?俺さまも初耳だな
ミクリオ…スレイ、この際だしみんなにも導師や神依の事を話しておいた方がいいんじゃないか?
スレイそうだな。実は──
ルドガーなるほど、それが導師…闇に包まれた世界を導く光か
ルドガースレイ達と出会った当初に聞いた事はあったが…
エリーゼスレイにはすごく大きな使命があるんですね…
スレイまだまだ、ライラに助けてもらってばかりだけどね
ティア天族と一体化出来る神依…そんな術があるなんて知らなかったわ
ゼロスでも、その神依っての…俺さまはまだ見た事がねぇぞ
ティポぼくもないー
スレイそうなんだ。オレは導師にはなったけど、まだ神依化出来ない
スタン…神依化出来ない?どういう事なんだ?
スレイ何度かライラに聞いたんだけど、神依についてはまだ早いからって教えてくれなくて…
ライラそれは…
スレイライラが何か理由があってオレに神依の話をしないのはわかってるよ
スレイでも、天啓や晶化、それにウィンドル港に集まる赤の騎士団や反乱軍…
スレイこれから、オレ達が立ち向かっていく問題はどんどん大きくなってる
スレイその問題に立ち向かうために…オレは、神依の力が必要になる時がきっと来ると思ってるんだ
スレイ晶化現象や天啓を取り巻く混乱で困ってる人達のためにもオレは知っておきたい
スレイだから、ライラ神依の事、話してくれないかな
ライラスレイさん…
ライラあなたのお気持ち、考えはしっかりと聞かせて頂きました。それに、導師としての考え方も…
ライラ…わかりました。神依についてお話します
スレイライラ…!ありがとう
ライラ…ただ、スレイさんが仰ったようにこれまで神依に関して、詳しくお伝えしなかったのには理由があります
ミクリオその理由、とは?
ライラ実は…神依には、導師と天族の双方が、大きな決断をする必要があるのです
ライラその為、お話しする機会を、ずっと考えていました
ティア大きな決断…。何か危険や代償があるのかしら
ライラ導師が正しい方法で行えば神依自体は安全なものなのですが…
ライラそれより問題となるのは、導師と天族の「契約」です
エリーゼ契約、ですか…?
ライラはい、そもそも神依とは導師が天族と一心同体となり、行使するもの…
ライラ神依化には、導師と天族を繋ぐものとして特殊な契約が必要になります
ライラそして…神依の契約を結べば両者の繋がりは、とてつもなく強いものとなります
ライラそれは互いの運命すらも、共有するほど…
スレイそれってつまり…オレの役目や目的にミクリオやライラを巻き込むって事だよね…
ライラ巻き込むというか…運命共同体ですわ
スタンうーん…それって、今までと何が違うんだ?
スタンスレイとミクリオはずっと一緒に過ごしてたんだし…
ライラこの先どんな困難があったとしても、契約した導師と天族は運命を共にする事になります
ライラスレイさんが、行くと言えば例えそれが地獄でも、共に行かねばなりません
ミクリオ待ってくれ、ライラ。その言い方はあんまりだろう
ライラすみません、少し意地の悪い言葉になってしまったかもしれません
ライラでも…ミクリオさん、あなたもよく考えてください
ライラこれからもスレイさん…導師と共にあり続ける契約を結んだとして──
ライラよい事も悪い事も、全て共にする事になるんです。その覚悟が、あなたにありますか
ミクリオああ。勿論だ。だから契約を──…
スレイミクリオ…!これは今すぐに決める問題じゃない
ミクリオだけど…!
ライラ導師との契約はとても重要な事です。
ライラですから、この場ですぐ答えを出さなくていいと思います
スレイ…そうだな。オレだけの問題じゃない事は分かったよ
ライラ…私はいつでもスレイさんと契約いたしますわ
ライラ…湖の乙女として、聖剣の担い手に身を捧げる覚悟は、旅立ちの時に出来ています
スレイライラ…ありがとう。しっかりオレの答えを出すよ
ミクリオ
ゼロス…まあ何だ。スレイもミクリオもどうするにせよ、あんまり思いつめんなよ
ルドガー仮にその神依ってのが出来なくたって、俺達もいるしな。何とかなるさ
スタン導師だからって一人で背負う事はない
エリーゼみんなで頑張りましょう…!
スレイうん、そうだね。…ありがとう、みんな
スレイ…少し周りを見てくるよ。みんなは先に休んでて
ミクリオ覚悟…か
スレイ天族との契約…
ミクリオ随分暗い顔をしているな
スレイミクリオ…先に休んでくれてよかったのに
ミクリオ悩んでいる君を放っておくわけにもいかないだろう?
ミクリオ…スレイ、さっきの神依についての話だけど
ミクリオ僕は、君と契約する事に何も不都合はないと考えてる
スレイこれは簡単に決めていい問題じゃないだろ
ミクリオ…時間をかけたからって、変わる問題でもないと思うけど
ミクリオライラだって、決心をしている。何で僕にはそんなに躊躇するんだ?
スレイライラはライラ、ミクリオはミクリオだろ
ミクリオそんなに僕は頼りないか
スレイそんな事言ってないだろ!
スレイ…ひとまず、今日は休もう。明日はシルヴァラント港に行ってグレバムに追いつかないと
ミクリオ
scene2導師と天族
ティア一通り港を捜してみたけど…グレバムの姿はなかったわ
エリーゼもう出航してしまったんでしょうか…
スタンうーん…これからどうする?スレ…
スレイ
ミクリオ
スタンスレイとミクリオ…。今朝からずっと静かだな…
エリーゼ二人とも、何だか元気がありませんが…大丈夫ですか?
スレイうん…平気だよ。な、ミクリオ?
ミクリオああ。いつも通りだ。僕は、ね
エリーゼ体調が悪かったりしたら遠慮なく言ってくださいね
スレイうん。ありがとう、エリーゼ
ライラ
ヴェイグゼロスはどこだ?一人だけ戻っていないようだが…
スタンあ、ちょうど戻ってきたよ
ゼロス待たせたな。その辺で聞き込みしてきたぜ
スレイお疲れ様、どうだった?
ゼロス残念だが、悪い知らせだ。グレバムは先にウィンドル港に向かっちまってる
スレイ何だって…!
エリーゼいくら何でも早すぎませんか?
ゼロス日の出と共にウィンドルからの迎えの船で出航したらしい
ゼロスグレバムみたいな大物が兵を連れてウィンドルに向かったとあって港の人間は驚いたらしい
ルドガーやられたな…。しかも、ウィンドルからの迎えって事は赤の騎士団か?
ゼロスそれに兵を連れて、って事は…あらかじめここで集めた兵士と合流するつもりだったんだな
ゼロスさらにもう一つ…
ゼロスウィンドル港に集まってる赤の騎士団とキムラスカ反乱軍は打倒ア・ジュールを謳ってるらしいぜ
ヴェイグ打倒ア・ジュールだと…?
エリーゼミクリオの言っていた通りです…
ルドガーそうだな、急がなきゃ…!
男の声うわああああ!?
ミクリオ今の声!
女の声きゃああああ!?魔物の群れが!
ゼロスチッ、またかよ。さっさと片付けようぜ
ティアええ、被害が出る前に撃退しないと
ガルルルル!
ミクリオこの程度の魔物なら…
スレイ…!ミクリオ、一人で突っ込むな!
グォオオオオ!
エリーゼ!?大変です!後ろからも来てます!
スレイそんな…!
ヴェイグスレイ、こっちはオレ達に任せろ!ミクリオの方へ!
スレイわかった!ライラ、援護を頼む!
ライラはい!お任せください!
scene3導師と天族
ミクリオこれで最後…!
ミクリオはっ!
ギャウウウッ!
ミクリオふう…
スレイミクリオ!
ミクリオ…スレイ
スレイ一人で魔物に突っ込むなんて無茶、ミクリオらしくないぞ!
ミクリオこの程度の魔物なら、僕だけでも問題ないさ
ミクリオ…それともスレイは僕が魔物に引けを取ると思っているのか?
スレイそういう事じゃないだろ!
ミクリオじゃあどういう意味なんだ。はっきり言ってくれればいいだろ
スレイ何でそんな言い方になるんだよ。ミクリオを助けに来ただけなのに…
ミクリオ誰もそんな事、頼んでないだろ
スレイミクリオ…お前…!
ライラお二人とも!その辺で…
ライラ魔物も全て退治したようですし、みなさんと港の被害状況を確認しませんか?
スレイ…うん、そうだな
ミクリオ…僕は向こうの様子を見てくる
スレイ待て!一人で行くなって…
…グルル…
ミクリオ…!魔物の声…!?
スレイミクリオ、右だ!
ミクリオ何…!?
グアアアアッ!
ザシュッ!
スレイミクリオ!
ライラミクリオさん!
ミクリオっつ…!
ミクリオこの…くらえ!
ズシャーーッ!!
ギャウウウウ!
スレイミクリオ、大丈夫か!?
ミクリオこの、くらい…
スレイ傷が深い…!すぐに治療しないと…!
scene1離れる心
ミクリオう…
スレイ気付いたか、ミクリオ。気分はどう?
ミクリオああ…大丈夫だ
スレイライラ達がすぐに治療してくれたんだけど…
ミクリオ…そうか、お礼を言わないと…。みんなは?
スレイ全員、別室で休んでるしお礼は明日でいいよ
スレイそれより、ずっと考えてたんだ。ミクリオ、聞いてくれ
ミクリオ…ああ、何だい?
スレイこれは提案なんだけど、一度、イズチに戻ってみたらどうかな?
ミクリオ…は?
スレイ長い間留守にしているし、ジイジ達の様子を見てきてもらいたいっていうのもあるけど…
スレイミクリオからイズチのみんなに、外の世界がどうなっているかって情報を共有出来るだろ?
ミクリオ…スレイ!
スレイ…!
ミクリオそんな回りくどい言い方されるのは御免だ
ミクリオはっきり言ってくれ邪魔だからイズチに帰れって
スレイ違う!ミクリオ、オレは…
ミクリオ僕が足手まといなら足手まといだと、正直に言えばいい
スレイ…!
スレイ…だったら、ちゃんと言うよ
スレイオレは…今のミクリオとは一緒に行けない。だから、一度イズチに帰ってほしい
ミクリオスレイ…
ミクリオああ、わかったよ…!お望み通り、イズチに戻ってやるよ!
コンコン
ライラミクリオさん、スレイさん?入りますよ
ミクリオくっ…
スレイミクリオ…!
ライラミクリオさん!?
スレイ
scene2離れる心
ライラ──すみません。お二人のお話を聞いてしまいましたわ
ライラスレイさん…ミクリオさんの後を、追わなくてよろしいのですか
スレイ
スレイ…オレだって本当は、ミクリオとずっと一緒に行きたいって思ってる
スレイだけど…オレのやりたい事に、あいつを巻き込むわけにはいかない
ライラ…それが、ミクリオさんの望みでも?
スレイ昨日みたいに言い争いになっちゃったら、それが本当にミクリオの望みなのかわからないだろ?
スレイだから、冷静に考えてほしいんだ。契約してからじゃ遅いし
スレイもし違ったら、ミクリオの自由を奪う事になる。それだけは嫌だから
ライラスレイさん…
スレイライラは、導師がどんなものかよくわかってる。でも、ミクリオは違う
スレイオレが自分の意志で導師になる道を選んだように、ミクリオにもミクリオの道を選んで欲しい
スレイだからこれでいいんだ…少なくとも今は
ライラスレイさん…そこまでお考えになられていたのですね
ライラそれなら私から何も言う事はありませんわ
ライラでも…ミクリオさんを一人にしていいのですか?まだ回復しきってないのでは…
スレイミクリオなら大丈夫。あの状態で宿の外には行かないよ
スレイかといって…今は戻って来ないと思う手堅いクセに意地っ張りだから
スレイライラ、今話した事は、みんなには言わないでおいてもらえるかな。これはオレ達の問題だから…
ライラはい…わかりましたわ
ライラ手堅いクセに意地っ張り…意地っ張りはお互い様なのでしょうけど…
ライラ
スレイごめん、遅くなって!
ティポスレイ君遅いよー。船が出ちゃうでしょー?
エリーゼあれ、ミクリオやライラは一緒じゃないんですか?
スレイライラはもうすぐ来るよ
スレイミクリオは…
スタン…?どうしたんだ?何か、あったのか?
スレイミクリオは、宿に残ってる。イズチに帰る事になったんだ
ルドガーえっ…。それは本当なのか?
ヴェイグそんなに怪我の状態が悪いのか…?
ティア確かに軽い怪我ではなかったけれど…治療はちゃんとしたはずよ?
スレイうん、それは勿論。怪我自体は、心配いらないと思う
スレイただ、一度イズチに戻って、外の世界がどうなっているかジイジ達に伝えてもらおうと思って
ルドガー急な…話だな
ルドガースレイとミクリオの間で話がついたなら、俺達がどうこう言う筋合いじゃないが…
ゼロス…本当に、いいんだな?
スレイ…うん
ゼロス…そうか。だったらもう何も言わねぇよ
スタンわかった。でも、挨拶くらいしたかったな…
エリーゼ寂しい、ですね…
スレイ急でごめん、みんな
スレイでも、オレ達は早くウィンドル港へ向かわないと
スレイウィンドルがどんな状態かわからないけど…十分注意していこう
ヴェイグああ。しかし、ライラがまだ…
ティアあ、ちょうど来たわ。ライラ!こっちよ!
ライラ…すみません!お待たせしてしまいましたね
エリーゼ何かあったんですか?
ライラいえ、大丈夫です。少し野暮用…といったところですわ
スレイ…よし、じゃあ気を取り直して出発しよう
scene1戦乱の狼煙
スレイさて…ウィンドル港に着いた…けど
エリーゼグレバムや赤の騎士団の姿は見当たりませんね…
ティア港の様子は…少し騒がしいように感じるけど…
ルドガー赤の騎士団やキムラスカの反乱軍と合流したのだろうか…
ゼロスとにかく、その辺の奴らに話を聞いてみよーぜ。何かわかるかもしれねぇ
スタンそうだな。手分けして聞き込みしてみよう
ジェイド──以上、ここまでの情報をまとめますと、
ジェイドキムラスカは、自国の有志により結成された勢力を、正式に反乱軍と断定しました
ジェイドシルヴァラント国王は、グレバムの動かす一部勢力との関係を否定しています
ガイアス…ウィンドルはどうだ
ジェイドセルディク大公が自らの勢力を拡大すべく、国内の貴族や軍に働きかけている模様ですが…
ジェイド戦争反対派の声もあり、両者のせめぎあいが続いています
ガイアス…しかし、セルディクが強硬な手段に出るのは時間の問題だろう
ガイアス…天啓公表直後にこの状況…天啓に影響された可能性もあるか…
ウィンガルお話し中に失礼いたします。陛下、急ぎご報告したい事が…
ガイアスウィンガルか。何だ
ウィンガル…先ほど、国境警備隊より報告が入りました
ウィンガル我が国とウィンドルの国境に多数の軍勢が現れ、警備隊と戦闘を開始した模様です
ジェイド…!
ガイアスウィンドル軍が動いたか…
ウィンガルいえ、ウィンドル軍だけではありません
ウィンガルウィンドル、シルヴァラント、キムラスカによる連合軍だと名乗っているとの事です
ジェイド連合軍?陛下、これは…
ガイアス…動き出したようだな
ガイアスとはいえ、ウィンドル軍といってもセルディクが動かしているのだろう
ガイアス正規軍が総力を挙げて来たとは思えん。数だけは揃えたか
ガイアスシルヴァラントやキムラスカの軍勢に関しても、同じ事が言える
ウィンガル寄せ集めの兵のようではありますが、現在国境を攻撃されているのは事実です
ウィンガル前線から増援の要請が来ています。こちらもすぐ兵を派遣すべきかと
ガイアスああ、構わん。それはお前に任せる
ガイアスただし、スレイ達の情報により、戦争が晶化現象を助長させる事が判明している
ガイアス戦闘行為はあくまで最小限に留め、民の安全を最優先するよう各部隊に通達しろ
ウィンガル晶化現象を危惧する陛下のお考えはわかりますが
ウィンガルあまり消極的な姿勢だと、時間稼ぎにしかならないのでは
ガイアスわかっている。時間稼ぎで構わん
ガイアスジェイド、急ぎ各国との会合の場を設けよ
ジェイド…はい。少々骨が折れそうですが、何とかやってみましょう
ガイアス
scene2戦乱の狼煙
スレイウィンドル港の人達にいろいろ話を聞けたのはよかったんだけど…
ルドガー正直、認めたくない状況だな…
スレイああ…。すでにグレバムは赤の騎士団や反乱軍と合流していて…
スレイしかも、国境付近では、その一団とア・ジュール軍との間で戦闘が始まっていたなんて…
ヴェイグ巷では、そのグレバム達の一団…連合軍、と呼ばれていた
スタン連合軍…本当にア・ジュールを攻めるなんて…奴ら、何て事を…
ゼロス間に合わなかったな…
エリーゼこのままじゃ、たくさんの人が犠牲に…
ヴェイグ世界中の晶化の進行も加速するかもしれない…
スレイ
スレイいや、まだ望みはある。きっとまだ、やれる事があるはずだ
ライラスレイさん…
スレイオレはみんなが安心して暮らせるそんな世界を守りたい
スレイだから、戦争が起こっているなら、止めなくちゃいけないんだ!
スタンスレイ…
エリーゼはい…私だってミラやジュードのために頑張るって決めました
ヴェイグ…そうだな
スタン戦争を止める、か…こうなったらそれしかないな!
ゼロスおいおい、でも俺さま達だけじゃ何にも…
エリーゼゼロス…ゼロスも手伝ってくれますよね…?
ゼロスうっ…。エリーゼちゃんにそんな目で見つめられると、ノーとは言えねぇな
ゼロス矢でも鉄砲でも持って来いってんだ
スレイみんな…!ありがとう
スレイガイアスさん達…ア・ジュールの協力は得られるはずだから、連合軍を何とか…
ティアその連合軍だけど、かなり急ごしらえなのか、あまり統率が取れていないみたい
ティア寄せ集めの集団にしか見えなかったって言う人もいたわ
ティア手勢だけでは足りずに傭兵を多く雇い入れて、人が増えた事で物資の補給も追い付かないらしいわ
ゼロスふーん…物資の補給ね…。まぁ急ごしらえの軍隊だからそうもなるだろうな
ルドガーそもそも連合軍は何故ア・ジュールを狙うんだろうか?
エリーゼそういえば、フィリア司祭が話していましたが…
エリーゼ天啓をないがしろにした天罰でア・ジュールが滅ぶべきだと言う人もいるとか
ゼロスどこか一国が滅ぶなら、先にア・ジュールを滅ぼせばいいって考えなんじゃねぇの?
スタン身勝手な考えだけど…そういう事なんだろうな
女の声きゃああ!?
エリーゼ今の声は…?
ヴェイグ向こうの路地裏の方から聞こえたようだが…
ティア行ってみましょう
スレイあ…!
ライラ女の人が…
傭兵1俺達はお国の為に戦う兵士だぜ
傭兵2ア・ジュールへ行くための足代が足りねえんだ。ちょっとでいいんだ、用立ててくれよ
ティアやめなさい!人を脅して、お金を巻き上げようだなんて最低だわ
ゼロス絵に描いたようなゴロツキだな
傭兵1誰がゴロツキだ!邪魔するなら容赦しねぇぞ!
スタン向かってくるか…!
scene3戦乱の狼煙
ゼロスどうだ、まだやる気か?
傭兵1くっ、こいつら強え…逃げろ!
ありがとうございました。危うく、またお金を取られるところでした
ライラまた…?今のが初めてではなかったのですか
はい…セルディク様による徴兵の影響か最近はああいう輩が増えて、港の治安が悪くなる一方で…
ティアそうだったの…
ルドガー戦争で仕事を求めてきた傭兵達だろうな。それも粗暴な輩だったが…
スレイこれも戦争による弊害なんだな…
エリーゼ連合軍に攻められているア・ジュールは大丈夫でしょうか?
ルドガーア・ジュール軍は強いし、正規軍で統率もとれている。早々に敗れる事はないだろうが…
ルドガー争いが晶化の進行に繋がる事がアニスを通じて伝わっているはずだ
ルドガーそれを知っていれば、恐らく積極的な攻撃は避けるだろう
ヴェイグしかし、防戦一方となればア・ジュールが厳しい立場になる…
スタン早く、グレバムやセルディクのいるところまで行かないとな
ティアそこまで行くのはかなり険しい道のりになりそうね…
スレイ少しでも早く、戦いを抑える事が出来ればいいんだけど
ゼロスなら、俺さまにいい考えがあるぜ!
エリーゼいい考え、ですか?
ゼロスああ。連合軍は数は多いが、質は大した事はねぇ。さっきの傭兵崩れを見ればわかるだろ
ゼロスちょっとつつけばほころびが出やすいはずだ
ルドガーというと?
ゼロスティアちゃんがさっき、物資の補給が間に合っていないって言ってたろ?
ゼロス補給が間に合っていないという事は補給部隊の警備もおそらく手薄だ
ゼロス補給部隊を邪魔しつつ、前線に向かう…そうすれば移動しつつ戦力を効率よく削げるぜ
ゼロス腹が減っては戦は出来ねーからな
ティポなるほどねー!
エリーゼ…少し、悪い事をする気持ちになりますね…
ヴェイグまあ、有効な手段なのは確かだろうオレは賛成だ
ルドガー連合軍に正面から挑む事は出来ないが、それなら俺達でも出来そうだしな
スレイ上手くいくかな…
ゼロス案ずるより産むが易しってな。特に反対がないならやってみようぜ
ミクリオスレイ達は今頃、ウィンドル港か…
ミクリオ…いや、もう僕には関係ない話か。考えても仕方ない
ミクリオ…この宿も、そろそろ引き払わないと
ミクリオん…?テーブルの上に、何か…
ミクリオこれは…手紙…?
ミクリオ
ミクリオ手堅いクセに意地っ張り、か…
scene1戦地を目指して
ゼロス待て待て待てーい!
連合軍兵な、何だ、お前達は!?
ゼロスさあさあ、全員大人しくしな
ゼロスお前達の運んでる荷物、前線に送る補給物資だろ?
ゼロス悪いけど、俺さま達のために、そいつをここへ置いてってくんねぇか
連合軍兵何を馬鹿な事を…そんな事が出来るわけがなかろう!
ゼロスやっぱり駄目?
連合軍兵当たり前だ!
ゼロスそーかい。んじゃ仕方ねぇな。こっちも事を荒立てたくはなかったんだが…
ゼロス先生~!ティポ先生~!お願いしま~す!
ガサガサ…
連合軍兵な、何だ!?まだ誰か…
ティポがおおおーーー!
連合軍兵魔物…!?しかも、こんな巨大な…!
ティポたーべーちゃーうーぞー!
連合軍兵うわあああ!?
ゼロスお帰りはあちらでございまーす、ってな
ゼロスでひゃひゃひゃ!また上手くいったな~
ゼロスしっかし仮にも軍の補給部隊だってのに、気概がねぇ奴らだなぁ…
スレイゼロス…楽しそうだな
エリーゼこんな事していいのでしょうか…
ゼロスエリーゼちゃんはそう言うけど、先生本人はノリノリみたいだぜ?
ティポがるるるるー
エリーゼもう、ティポったら…
村人本当に…この食料持って行っていいのかい
ティアはい。今回の騒動でお困りでしょうし…
村人ありがとう、みんなで運ぶよ
ルドガー奪った品も近隣の住人に渡せるし、いい事づくめだな
ゼロスうーん、この案を考えた俺さま、やっぱり天才?
スタン調子いいなぁ、ゼロスは…
ヴェイグとはいえ、目的は戦場だ。これから危険も多くなるだろう
ライラええ…。気を付けて進みましょう
scene2戦地を目指して
カーツ第2大隊が敵の防衛線を突破し、ア・ジュール領内に侵入いたしました
カーツ第4大隊も敵部隊を敗走させ、目下追撃を行っています
セルディクよくやった。ア・ジュール軍も大した事はないな
セルディクかつて我が国が、ア・ジュールを相手にして、これほど勝利を重ねた事はなかった
セルディクこれぞまさに、私が真のウィンドル国王としてふさわしい資質を持つ事の証だ
セルディクこの勢いのまま、一気にカン・バルクまで攻め入るぞ!
カーツ大公殿下の仰せのままに。それと…少々、気になる報告が
セルディク何だ?
カーツこのところ、後方からの補給物資の到着が、滞り気味になっています
カーツなんでも、輸送ルートに現れる盗賊と魔物の仕業のようでして
セルディク何をやっているのだ…。まあよい。少々物資の到着が遅れたからといって大きな影響はあるまい
セルディク物資が足りなくなる前に、さっさとカン・バルクを陥落させてしまえば済む話だろう
カーツ…仰る事はごもっともです。しかし、戦に物資は欠かせぬものであるのも事実
カーツこの後、ア・ジュールは中央から増援を寄越すはずです。今後に備え補給路は確保すべきかと
セルディクふむ…。しかし何もお前が行かずとも、他の隊長に向かわせればいいのではないか?
カーツ大公殿下の仰るように、戦況はこちらが優勢です。少しの間私が離れても問題はありません
カーツ賊はこの近くのようです。迅速に、確実に仕留めて参ります
セルディクそこまで言うならお前に任せる。わが軍の物資を付け狙う卑しい賊を速やかに成敗しろ
カーツはっ…
セルディクさあ…もうすぐだ。私はウィンドルとア・ジュールを束ねる頂点となるのだ
セルディクくくく…
ティポがーおー!
ウィンドル兵うわあああ!?
ゼロスよし、また成功~!
スタン結構な数の補給部隊を妨害してきたな
ルドガーしかし連合軍の侵攻は、予想していたよりずっと早いようだ…
ルドガーこの分だと、守る側のア・ジュールも、かなり苦戦しているだろう
エリーゼ心配ですね…
スレイん…?あれは…
エリーゼあ…
ヴェイグ森が…
ティア完全に晶化しているわね…
スレイここまで進んでるなんて…
ライラ
スレイ前に、ウィンドルに来た時もかなり晶化現象は進んでたけど…
スレイここまでじゃなかったよな、ミクリオ…
スレイあっ…と
ゼロスおいおい、ミクリオは故郷に帰ったんだろ?しっかりしてくれよ?
エリーゼスレイ…無理してませんか?
スレイはは…大丈夫。ついクセで呼んじゃっただけだよ
エリーゼそれならいいんですが…
ルドガーしかし、これだけ広い範囲の晶化を見たのは、初めてだ…
スタンやっぱり戦争が始まった事が関係してるのかな
ヴェイグ戦火が拡大していったら…今よりもっと早い速度で晶化現象が進行するかもしれないな…
ティア…そんな事させないわ。そのためにも戦争なんて早く終わらせないと
ピキ…!
スレイ…!
ピキピキピキッ!
スレイ晶化だ…!みんな、ここから離れろ!
ピキンッ!
エリーゼまた大量の木が…
ゼロス一度にまとめて晶化しやがった…こんな調子で広がってたのか
スタン目に見える速さで…!このままじゃ本当に…!
スレイ早く…戦争を止めないと…!
ライラ
scene1双槍の襲来
スタンこの辺も晶化が進んでるな…。さっきの森程じゃないけど…
ルドガー元々ウィンドルの北部…ア・ジュールとの国境に近いこの辺は晶化現象の進行が早かったそうだが…
ライラ
スレイライラ、どうかしたの?
ライラ
スレイ…ライラ?
ライラあ、はい、何でしょう
エリーゼ何か気がかりな事があるんですか?
ライラすみません…ちょっと考え事を
ライラ私が長くいた湖の遺跡も、ここからはそう遠くないので…
ライラ遺跡ごと、晶化しているのでは…そんな事を考えていました
スレイ…ライラはあの場所に思い入れがあるんだね
ライラええ、思い出深い場所ですから。自分の家みたいなものでしょうか
スタン家…か。リリスやリオンは大丈夫かな…
ルドガーイニル街まで、この晶化が及んでいないと信じたいが…。エルや兄さんは…
ティア
ゼロスうーん…補給部隊が見つからねーな
ティア少しでもア・ジュール軍の手助けになっていればいいのだけれど
ゼロスこういうのは、ジワジワ効いてくるもんさ
ヴェイグ何もしないよりはいいだろう。もうすぐ国境だ。戦場は近いぞ
ゼロス…お!補給部隊発見!行こうぜ、先生
ティポはーい!
スタンはは…ティポも張り切ってるな
エリーゼティポが不良にならないか…心配になります
scene2双槍の襲来
連合軍兵うわあああ!
ゼロスよし、これでまた、補給部隊を一つ退散させてやったぜ
ティポ順調だねー♪
???いたぞ!こっちだ!
スレイ…!?兵が戻ってきたのか?
連合軍兵全員動くな!これ以上の狼藉は許さん!
ルドガー武装兵…連合軍か…!
ゼロスちっ、ついにバレて救援に来やがったか
???我が軍の兵站を妨害しているのは、お前達だな
ゼロスん…?お前は…?
ヴェイグカーツ…!
カーツむ…。お前は…以前メルトキオで…
カーツ…まあいい。我々の邪魔をするのであれば、誰であろうと容赦はしない
ティアいずれ増援が来るかもしれないと思ってはいたけど…赤の騎士団の団長自らが来るなんて…
ゼロス何にせよ、そっちからやって来てくれたのなら好都合だ
カーツお前達の目的は何だ。何故、連合軍の補給部隊を襲撃する?
スレイ戦争を止めるためだ。それ以外に理由なんてない
スレイ負の感情は晶化現象を助長する原因にもなってる。だから、戦争なんて早くやめないと…
カーツ晶化現象を助長する…?お前、どこからその情報を得た?
スレイオレ達の仲間が突き止めた事だ。その仲間も、晶化してしまったけど…
エリーゼ
ルドガーお前達も、これ以上争うのはやめてくれ。本当に取り返しのつかない事になる
カーツ
連合軍兵カーツ隊長、あの者達の言っている事は…
カーツ我々を惑わせようとする敵の妄言だ。耳を貸す必要はない
カーツあの者達を捕らえる。大公殿下の元へと連れ帰るぞ
ヴェイグ…!オレ達が大人しく捕まるとでも?
ティアそうね。全力で抵抗させてもらうわ
ゼロス赤の騎士団の団長を押さえる事が出来れば戦力を削ぐ事にもなる…
ルドガーだな…みんな、注意していこう。連れてる兵士も少なくない
カーツ…いくぞ!
scene1二人の夢
カーツぐっ…
ゼロスどうだ?俺さま達の実力、思い知ったか
ヴェイグお前の部下は全員退けた…。これ以上の抵抗は無意味だ
カーツ無意味だと…?そんな事はない…私には…果たすべき…役目が…
スレイそんな傷で…どうして、まだ立ち上がってくるんだ
ライラ何があなたをそうまで駆り立てるのですか?
ゼロスもう、やめとけって。セルディクなんて胡散臭い奴に、忠誠を尽くす必要はねーって
カーツうるさい…お前達に何がわかるというのだ
ヴェイグずっと…引っかかっていた。何故お前はセルディクに付き従っているのだろうかと
ヴェイグあの時、街の人に剣を抜こうとした部下を止めただろう
ヴェイグお前は考えなしに動いているようでもないし、単なる出世欲で動いているようにも見えない
カーツ
ヴェイグ何か事情があるのではないか?
カーツ…私はただ、世界に平和を取り戻したいと思っているだけだ
ティア矛盾しているわ。だったら何故戦争を起こそうとするの?
ティアそれに平和を望むというなら、私達と目的は同じよ。争う理由なんて…
カーツ違う。お前達の行為は、真の平和の到来を、邪魔しているにすぎん
スレイオレ達が邪魔…?どういう事だ?
カーツ私は何としても、理想を実現させる。そのためなら…
カーツこの命…惜しくはない!
カーツうおおおおっ!
スタン突っ込んで来るぞ!
スレイくっ!
ゼロスちっ…どうなっても知らねーぞ!
???そこまでだ。引き際を知れ、カーツ
ティア…!?
ルドガーカーツを止めた…!?あの男は…?
ティア兄さん…!
ヴァン…ティアか
スレイティアの…お兄さん?
スタンと言う事はあの人がヴァン…
ルドガー何故ここに…!
カーツヴァン…!
ヴァン手酷くやられたな、カーツ
カーツくっ…まだ、私は…
スレイまさか、カーツもヴァンと繋がっていたのか?
ルドガー連合軍も…いや、そもそも赤の騎士団もヴァンが糸を引いていたという事か…!
ヴァンお前達も小賢しい真似をしてくれたものだな。しかし、もう戦いが止まる事はない
ティア兄さん!
ティア一体何をしているの?あなたの目的は何なの?
ティア答えて、兄さん!
ヴァン…ティア、言ったはずだ。私の理想を妨げる者は何者だろうと排除する、と…
ヴァンそれを聞いてなお、私の前に立ちはだかると言うのならば今度こそ…
チャキ…
ティア…やはり、答えてはくれないのね
スタンやる気か…?また妹に剣を向けるのか、ヴァン!
エリーゼティアが、可哀相です…!
ゼロス酷い兄貴もいたもんだ。許せねぇな、同じ兄としちゃ…
ヴェイグここで決着をつけるぞ…!
スレイたとえどれほど強くても、オレ達の力を合わせれば…
ライラ勝機はあるはずですわ
ティアいいわ、兄さん。あなたに一切話をするつもりがないのだとしても
ティア私達は力ずくでも、あなたを止めてみせる!
ヴァン
スレイ行くぞ!
scene2二人の夢
スタンうぐっ…
ヴァン…甘いっ
ズバッ!
スタンうわあっ!?
スレイスタン!
ゼロスよくもスタンを!
ズドッ!
ゼロスうっ…
スレイゼロス!
スレイ何て強さだ…。オレ達を、一人で圧倒するなんて
ヴェイグカーツ達と戦った後とはいえ…差がありすぎる…
ティア兄さん…!
ヴァン…これで終わりだ
ティアあの技…!危険よ、みんな退いて!
ヴァン星皇…
ヴァン蒼破陣!
ズバーーーーッ!
エリーゼきゃああああっ!?
ティポぎゃーーーーっ!
ヴァン
ヴェイグうっ…!
スレイみんな…!
スタンくそっ…
ゼロスくっ…体が…尋常じゃねぇ強さ…だぜ…
スレイ…その剣の腕、正しく使えば多くの人を守る事が出来る力なのに…!
スレイどうしてお前は戦乱を望むんだ…その先に何を求めている!
ヴァン…若き剣士よ。お前もいずれ理解する時が来る。この世の不条理と絶望を
ヴァン人の力では、変えられぬものがあるという事をな
スレイ…っ!
スレイ…ライラ、神依だ
ライラ!スレイさん…
スレイみんなを守りたい。今こそ神依の力が必要なんだ!
ライラはい、わかりましたわ
ヴァン…!何か隠し玉があるようだな
ヴァンさせるか!
スレイ…!
ライラスレイさん…!危ないッ!
ズバッ!
ライラきゃああっ!?
スレイライラ!
ヴァンこれで仲間は全て倒れた。負けを認め、運命を受け入れるがいい
スレイ…嫌だ
スレイたとえ、一人になってもオレは諦めるわけにはいかない!
スレイみんなが安心して暮らせる世界を守るんだ。それがオレの…導師の役目だ!
ヴァンほう、背負うものはあるようだな。…ならば、全力で応えてみせろ
チャキ…
ルドガーく、来るぞ、スレイ…逃げ…
スレイ逃げない…!オレは、諦めない!
ヴァン…散れ。その剣、次の世で正しく振るわれる事を祈ろう
???──全く。君って奴はどこまでも…
スレイ…!?
ザァアアアア…
ヴァンむ…!水の壁…!?
スレイこれって…まさか…
ミクリオ一人で無茶するなんて君らしくないぞ、スレイ
スレイ…ミクリオ
ライラミクリオさん…!
スレイミクリオ…どうしてここに…!
ミクリオ──うぬぼれるな。何が僕のためだ
ミクリオ確かに、僕は手堅いクセに意地っ張りだ
ミクリオ君が契約を拒んだ事で余計に意地を張ったさ
ミクリオだけどな、スレイ。君は肝心な事がわかってない!
ミクリオイズチを出て、今まで旅をしてきたこの世界を守りたい…
ミクリオ自分だけがそう考えてるなんて思うな。これは紛う事ない…
ミクリオ僕自身の意志だ!
スレイミクリオ…
ミクリオ晶化現象が何だ。そんなもの、僕が何とかしてやるさ
ミクリオへっぽこ導師の、君の力なんて借りなくてもな!
ミクリオけど…
ミクリオスレイ。もし君も世界を守りたいと…本気で思っているのなら
ミクリオ特別に、僕を手伝う事を許してやる
スレイ
ミクリオ
スレイ…ぷっ
スレイははは…!
ミクリオ笑うな。僕は真剣に言ってるんだぞ
スレイごめん…でもおかしくて
スレイそうか…そうだったんだな
スレイこの世界を、守りたい──…。これは、オレ一人の夢じゃない
スレイこれは、オレ達の…
ミクリオ──夢だ
ライラスレイさん…ミクリオさん…
ゼロス…ったく、やっぱりケンカしてたんじゃねぇか
ルドガー戻ってきてくれて…よかった
ザシャアア!!
スレイ何だ!?
ミクリオ…!時間稼ぎにしかならなかったか…!
ヴァンふっ、なかなか面白い術を使うな
スレイヴァン…!
スレイミクリオ、手伝ってくれ!神依を…!
キィィィンーー…
スレイ!?身体が、光に…何だこれ…
ライラこれは、神依の…!
ライラスレイさん、まさか教えてもいないのに感覚を…!?
スレイ力が…漲ってくる…。神依を…発動出来る…のか…?
ヴァンお前達、一体何のつもりだ?
スタン…させるかっ!
ザッ…
ヴァンむ…
スタン…スレイ、ミクリオ、ヴァンは俺達が足止めする!
ルドガー早く神依を!今、ヴァンに勝つにはそれしかない!
スレイ…わかった!ライラ、この後はどうすれば!?
ライラこの後は…
ヴァン貴様ら…まだ立ち上がるか
ゼロスああ…悪いがここを通すわけにはいかないんでね
ヴァン邪魔だ!
ドカッ!
エリーゼ私だって負けるわけにはいかないんです…!
ティポここは絶対通さないぞー!
ミクリオライラ!契約の方法を教えてくれ!
ライラ天族が持つ真の名…それを捧げれば契約は完了します
ライラミクリオさん…真名を教える事が天族にとってどういう意味なのかはわかりますね?
ライラ覚悟の上、スレイさんに真名を…
スレイミクリオの真名?そんなのとっくに
ミクリオ教えているさ!
ライラまあ…!
スレイよし!いくぞ、ミクリオ!
ミクリオ…遅れるなよ、スレイ!
ライラやりました…やりましたわ!神依です!
スレイこれがオレ達の…
ミクリオ神依…!
ヴァン何を…!
スタンうわあぁ!
ミクリオスレイ、みんなが!
スレイわかってる、いくぞ、ミクリオ!
ミクリオああ、さっさと終わらせよう
ミクリオ君には後で言いたい事が山ほどあるしね
スレイははっ、オレだってさ…!
ヴァン…!
scene3二人の夢
スレイこれで…どうだ!
スレイはあっ!
ズンッ!
ヴァンほう…
ゼロスすげぇ…俺達が全員でかかっても、まるで歯が立たなかったヴァンを…
エリーゼ押してます…
ティポスレイ君達、すごいーっ!
ライラ初めてでこんなに使いこなせるなんて…
ヴァン…!なかなかやるな…
スレイはあ…はあ…
ヴァン導師──スレイと言ったか。私の敵として、よく覚えておこう
スレイ逃げるのか!?
ヴァンまだその時ではない…。私も今ここで、倒れるわけにはいかんのでな
ヴァン勝負は預けておく。決着はいずれ…
スレイまだ…終わりじゃない!
ミクリオ逃がすか!
ヴァンはぁっ!
ズシャッ!
ミクリオ砂塵を巻き上げたのか…!
スレイうっ…!視界が…!
ティア兄さん!
スレイヴァン、待て!
スレイくっ…
スレイヴァンが消えた…
ミクリオヴァンだけじゃない。カーツの姿も見えないぞ
スレイ一緒に連れて行ったのか…
スレイまだ遠くへは行っていないはずだ。今なら…
ミクリオいや、それは無理だ。みんなを見るんだ
スレイあ…
ティア
ライラティアさん、大丈夫ですか?しっかりなさってください
エリーゼティア…!気を失ったようです…!
ティポうわーん!ティア君がー!
ミクリオ…今はみんなの手当てを優先すべきじゃないか?
スレイそうだな…みんなボロボロだ
ミクリオ周囲を引き続き警戒しつつ、治療を行おう
スレイわかった
scene1約束を胸に
ティアう…
ライラ…!
ティア…?ここは…
ライラ目を覚まされましたね、ティアさん
エリーゼここは…ヴァンと戦った森の近くにあった村です
ライラ幸い、この村は連合軍と関わりがなかったので負傷した私達をみなさん快く受け入れてくれました
ティアそうだったの…
コンコン
エリーゼはい
スレイティアの具合はどう?
スレイ…よかった、目を覚ましたんだね
ライラはい。たった今
スレイ向こうの部屋で、これからの事を話し合おうと思うんだけど…
スレイティアは起きられる…?
ティアええ、大丈夫よ。すぐに行くわ
ゼロスティアちゃん!怪我はどう?
ティア休ませてもらったしもう大丈夫よ。ありがとう
ヴェイグそうか…
スタンしかし、スレイ達の神依…導師と天族の一心同体ってああいう事だったんだな
スタン突然ミクリオが現れた時はびっくりしたけど
ティポ戻ってきたーと思ったらいきなり男のユージョーしてたねー
ミクリオみんなには迷惑をかけてしまった。本当にすまない
スレイみんな。ごめん…
ルドガー何はともあれ、丸く収まったならよかったよ
エリーゼミクリオが戻って来てくれて、心強いです…!
ルドガーさ、ティアも目を覚ました事だし、情報を一度整理しよう
スタンヴァンは…あの場に現れて、カーツに引き上げるぞって言ってた
ヴェイグ…つまり、ヴァンとカーツは…いや、連合軍とヴァンは繋がっている
ゼロス…ヴァンがカーツやシンクを使って、連合軍をまとめあげた、ってのが正しいのかもしれないな
ルドガーおそらく、赤の騎士団もヴァンがカーツに作らせたんだろう。セルディクを上手くそそのかして…
ルドガーカーツは、戦争を止めようとする俺達の行為が、平和の邪魔だと言っていた
エリーゼ争いこそが理想を生む…ですか
スタン晶化を進行させる争いを起こす…って事は、ヴァンは晶化を望んでいるんだろうか
ルドガーヴァンの理想が何なのかはわからないが…
ゼロスアリスやデクスも利用して各地の混乱も煽ってたから、晶化が目的って線は強いかもな…
ティア晶化の進行に関係している…確かに辻褄が合うかもしれない
ティアその仮定が正しければ、兄さんは…世界にとっての敵になるわね
ライラティアさん…
ティア晶化現象が、兄さんにとってどんな意味があるのかまではわからないけれど…
ティアとにかく、今は戦争を止める事が先決よ
スレイヴァンが争いや晶化を望んでいるなら戦争を止めようとするオレ達とまた戦う事になるよな?
エリーゼそう…ですね
ゼロス急いで追いつきたいところだけど今は満身創痍だしよ…少し休んで立て直した方がよくねぇか
ヴェイグああ。ヴァンは強い…。それにこの先は戦場だ。万全を期すべきだろう
ルドガーよし、じゃあ今日は解散して明日に備えよう
ミクリオ…ライラ
ライラはい、何でしょう、ミクリオさん
ミクリオ手紙、ありがとう。お蔭で誤った判断をしなくてすんだよ
ライラふふ。お役に立てて何よりです
ミクリオおやすみ
スレイ…手紙って?
ライラ何でもありませんわ。それより、スレイさん
スレイ何?ライラ
ライラその…スレイさんとミクリオさんの神依、素晴らしかったです
ライラ初めて神依をしたとは思えないくらい息がぴったりで…
ライラお二人がこれまでに培った、絆の賜物なのでしょうね
スレイそうやって改めて言われると、何だか照れるな…。でも、ありがとう
ライラスレイさん、私が前にお話しした事を、覚えていらっしゃいますか?
ライラ導師は闇に飲まれた世界を救う事が出来る、「導きの光」だという事…
スレイ勿論、忘れていないよ
ライラ導師であるスレイさんには…
スレイわかってる。過酷な運命が待ち受けてるんだろ?
スレイそれでも、オレは決めたよ。ミクリオと約束したんだ
ライラふふ。そうでした。言うまでもありませんでしたね
スレイそれで…ライラにも改めて言うけど
スレイライラも、オレと契約してほしい。オレに力を貸して
スレイライラにも過酷な運命ってやつを背負わせてしまう事になるけど…
ライラスレイさん…
ライラ晶化が進む中、こんな事を言うのは不謹慎かもしれませんが…
ライラ私、スレイさん達と旅をするのが、とても楽しいんです
スレイ楽しい?
ライラええ。晶化現象や、戦争が今目の前で起こっていますが…
ライラ旅の中で、スレイさんやみなさんといると、笑いも絶えませんし…何より、とても頼りになります
ライラみなさんとなら、きっとどんな困難も乗り越えていける…そう思うんです
スレイライラ…
ライラそして、スレイさんとミクリオさんの神依を見て、確信しました
ライラスレイさんが導師として歩き始めた今、スレイさんならきっと平和を取り戻せると
ライラだから、スレイさん。改めて聞くまでもないですわ
スレイ…ありがとう、ライラ
スレイよし、じゃあ晶化現象の問題が解決して、平和な世界を取り戻せたらオレとミクリオと三人で旅して回ろう
スレイ世界にはまだまだ、オレ達の知らないところがたくさんある
スレイいろんな場所へ行って、いろんな景色や、人…街を、たくさん見に行こう
ライラはい!…約束、ですわね?
スレイああ、約束だ
スレイこれからもよろしく頼むよ、ライラ
ライラはい、こちらこそ。スレイさん
スレイそれじゃ…明日も早いし、そろそろ休んだ方がいいよね
ライラそうですわね、おやすみなさい、スレイさん。また、明日
スレイうん、また明日。おやすみ、ライラ
scene2約束を胸に
ティポヴェイグ君、おはよー!
エリーゼおはようございます
ヴェイグ…おはよう。エリーゼ、ティポ
ティアこれで全員揃ったかしら?
スレイいや、ライラがまだみたいだ
ゼロス何だ、ライラちゃんが遅れるなんて珍しいな?
エリーゼそう言えば…私が出て来る時、まだ部屋にいましたね
ティポライラ君、今日はゆっくりだねー
スレイおーい、ライラ、大丈夫?
ライラすみませーん!すぐ行きますー
ガタタッ!
ミクリオ家具にぶつかったのか?
スレイライラー、そんなに慌てなくても大丈夫だよ。オレ達なら…
ピキ…
スレイえ…?何か光って…
ミクリオ…!
ミクリオスレイ、離れろ!
ピシッ…ピシッ…!
ミクリオこれって…!
スレイまさか…晶化!?
ルドガーしかも宿ごと…!これじゃ中のライラは…
スレイライラ!すぐに助けに…!
ピキッ!
スレイくっ…
スタンうっ…!
ピキピキピキッ…!
スレイラ、ライラが…まだ中に…
エリーゼミラの次はライラまで…?こんなのって…
ティポエリー…
ゼロスくそっ…!ライラちゃん…!
ティア
スレイそんな…約束したのに…ライラ…
エリーゼスレイ…
エリーゼ晶化を解決して、ライラを元に戻しましょう
ミクリオそうだ…結晶の中の命は生きている…
ミクリオスレイ…悔しいが今は堪えよう
スレイ
スレイありがとう、二人とも。大丈夫、もう…決めたから
ヴェイグ…決めた?
スレイうん…オレ、昨日ライラと約束したんだ
スレイ晶化現象をなくす事が出来たら一緒に世界を見て回ろうって…
ルドガー約束…
スレイ…なのにオレがここで止まったらそれだけ晶化の解決が遅くなるだろ
スレイだから…ライラが晶化したのはショックだし、心細いけど…
スレイオレは立ち止まらない…
ゼロス…そうだな。いい事言うじゃねぇか少しは導師らしくなってきたってか?
エリーゼきっとミラや…他の晶化した人達もずっと待ってます…!
スレイうん。オレが…いや、オレ達でライラを…晶化した人達を必ず元に戻そう…!
ヴェイグ…ああ
ティアこんな…こんな事を兄さんが望んでいるかもしれないなんて…
ティアもし、そうなのだとしたら、許せない…絶対に止めないと…
スレイライラ…少しだけ、待っててくれ…!

NameDialogue
scene1少女を捜して
スレイ戦場まで、あと、どれくらい距離があるのかな
ルドガー戦場は…ア・ジュールとウィンドルの国境付近…この森を抜けた先だな
ミクリオ戦場へ乗り込む時も近いって事か…
スレイ何だ、ミクリオもしかして怖いのか?
ミクリオそんなわけないだろう。君こそ、初めての戦場に驚いて逃げ出さないといいけど
スレイ戦場が初めてなのはミクリオだって一緒だろ?
スタンケンカするのは仲がいい証拠だな
ティポやっぱりスレイ君とミクリオ君はこうでなくっちゃねー
エリーゼふふっ、ですよね
ゼロスま、俺さまとハニーの仲にはまだまだ遠く及ばねぇけど?でひゃひゃひゃ!
スレイはは…まいったな
ヴェイグそれにしても、神依…。すごい力だったな
ヴェイグあれだけの威力…体力の消耗も激しそうだが、何ともないか?
スレイうーん、戦ってる時は夢中だから気にしなかったけど…
スレイ確かにいつもの戦いよりは疲れがとれないっていうか、だるいというか…
ミクリオそうなのか…
ティアそれだけ負担があるという事かもしれないわね
ゼロス俺さま達だっているんだし、ここぞって時の切り札でいいんじゃねぇ?
ゼロス今のところあのヴァンに対抗出来るとすれば、お前達の神依の力くらいなんだからよ
スレイヴァン…。次に会った時こそ、決着をつけないと…
ミクリオああ、奴をこれ以上野放しに出来ない
ミクリオ戦争の被害が広がれば晶化現象にも影響が出るしね
ルドガー実際、最近の晶化の進行は早まっているように感じるしな…
スレイうん…ライラの時だってあんな…
ゼロス晶化の進行か…
ゼロスそういや、他の連中は元気でやってるのかね…
スタンルイニス街のリリスやリオン…みんな無事だといいけど
エリーゼジュードは大丈夫でしょうか…
ティポ心配だねー
スタンん…?あれは…
スタン村だ…!
ゼロスこんなところにも、村があったのか
エリーゼあ…見てください、あれ…
ルドガーここにも晶化の被害が…
ティア建物が呑み込まれている…。ライラの時と一緒ね…
ヴェイグやはり、どこも晶化現象の進行が加速しているようだな…
男の子うう…
スタン…?おーい、君、どうしたんだ?困ってるみたいだけど
男の子妹が一人でどこか行っちゃったみたいなんだ
ゼロス妹?
男の子全然見つからなくて…晶化や魔物とか、心配で…
スタンそうなのか…
スタンよし、俺達も捜すのを手伝うよ!
男の子えっ、いいの?
スタンいいだろ、みんな?
ゼロスああ。今は物騒な世の中だ。いたいけな女の子を放っておけねぇな
スレイよし、じゃあ手分けして捜そう
女の子ぐすっ…お母さん…
女の子お母さんの大好きだったお花、たくさん持って行ってあげるからね。待っててね
???…そこのキミ、ちょっといいかな
女の子誰…?
サレ
女の子騎士さん…?
サレそんなに怖がらなくてもいい。聞きたい事があるだけさ
サレこの辺りに村があるだろう?場所を教えてもらえないか。キミの住んでいる村だよ
女の子
漆黒の騎士早く答えろ!
女の子きゃっ…!
サレやれやれ、声を荒げるのはよくないよ
サレでも、ちゃんと答えてくれないと僕もキミにお仕置きしないといけなくなるなぁ
女の子うう…。お兄ちゃん…
scene2少女を捜して
スタンそうか…。君のご両親は、晶化現象に巻き込まれて…
男の子うん…。それに魔物もすごく増えてて…この前も、村の外で出くわしちゃって
ティアまぁ…。大丈夫だったの?
男の子その時は赤いバンダナの兄ちゃんが助けてくれたんだ
スタン赤いバンダナの…?それって…
男の子おれにはもう妹しか家族がいないんだ。おれが守ってやらないと
男の子なのに…どこ行ったんだろう…。無事だといいんだけど…
スタン大丈夫だ!俺達が絶対見つけるよ!
ゼロススレイやルドガー達も別の場所を捜してるし、手分けすれば大丈夫だろ
ゼロスしかし…闇雲に捜すのも効率が悪いな何か手がかりとかねぇのか?
男の子手がかり…?
ティア何でもいいの。直前に話していた事とか、思い出してみて
男の子そういえば…母ちゃんの話してたな
男の子あ、ブランの花摘みにいったのかも!妹はその花が大好きで、よく母ちゃんと摘みに行ってたんだ
男の子村の外れにたくさん咲いてる場所があって、ブランの花畑って呼ばれてる
男の子でも…
スタンどうかしたのか?
男の子花畑のある場所は魔物がよく出るから、子どもだけで近寄っちゃいけないって言われてて…
スタン何だって…!すぐにその花畑に向かおう。案内してくれるか?
男の子こっちだよ!
ティア
ゼロスどうした、ティアちゃん。早く行こうぜ
ティアごめんなさい。ちょっと、兄さんの事を思い出したの
ティア私と兄さんも、似たような境遇だったから
ゼロスティアちゃん…
ゼロスわかった。その悲しみは俺さまが癒してやらねーとな!
ゼロスさぁ、俺さまの胸に飛び込んで──
ゼロス…うぐっ!
ティアさ、急ぎましょ
ティア…?何か落ちているわ
ゼロスん?これは…髪飾り──
男の子…妹のだ!
スタンやっぱり花畑に行ったのか
ティア間違いなさそうね。急ぎましょう
ゼロス俺さまはスレイ達にも声をかけてくる。お前らは先に行っててくれ
スタンわかった、頼む──
ガルルルル!
男の子…!兄ちゃん、魔物が…!
スタン大丈夫だ、下がって!
ゼロスちっ、急いでるって時によぉ!
scene1宿命の刃、紅蓮の刃
ティアここがあなたの言っていた、花畑?
男の子うん、確かこの辺りで──
サレ仕方ないね。キミがいけないんだよ?
スタンやめろーっ!!
ガキーン!
サレむ…
クレス何とか間に合った…!君、怪我はないかい?
女の子う、うん…
ティアあれは…?
男の子バンダナの兄ちゃんだ!
スタンクレス…!
スタンやっぱりバンダナの兄ちゃんってクレスの事だったんだな!
クレススタン!?何故、君がここに…
スタン俺達は戦場へ向かう途中さ。クレスこそどうして?
クレス…僕がいるのは、ここにいるサレが理由だ
サレ
クレスサレがまだ生きている…。生きて、前と同じ事を繰り返しているという噂を聞いてね
クレスそれでずっと、捜していたんだ…。やっと見つけたぞ!
ティアサレ…思い出したわ。バチカルが襲撃された時、マルタが名前を口にしていたわね
ティア一緒に漆黒の騎士がいるのも、聞いていたのと同じ…。バチカルを襲ったのもあなた達ね
サレああ、そうさ。さすが王都、といったところかな
サレ大勢の人間が苦しみ、もだえる様を見るのは最高だったね
クレスサレ、お前はまた、罪のない人々を手に掛けているんだな
サレフッ…ははははは!
サレ誰かと思えば、あの時のキミか。その節は世話になったね
サレ僕を心配して、顔を見に来てくれたのかい?心配いらない、この通り絶好調さ
クレス何故だ…!お前はあの時、確かに僕が倒したのに!
サレバロニア北部の地下墓地の話かい?あそこでは僕も不覚を取った
サレ自分でも、生きていたのが不思議なくらいさ
サレ今、こうして自由に動き回れるようになったのはヴァンのお蔭かな
スタンヴァンのお蔭…?
ティアあなたも、兄さんとつながっているのね…
サレキミ達、ヴァンの知り合い?世間は狭いね
クレスここへも襲撃目的で近づいたのか!
サレキミに教える必要はないと思うけどね
クレスサレ…!
サレどうする?また前のように、僕の邪魔をするつもりかい?
サレそれなら、全員斬り捨てるまでだけど
スタン…君、妹を連れて、安全なところに避難するんだ
男の子う、うん
スタンここから先へは行かせない。クレス、俺達も一緒に戦うぞ!
サレ傑作だ。たった三人だけで勝てると思ってるのかい?
サレお前達、出番だ。さっさとこいつらを片付けるよ
漆黒の騎士はっ…!
スレイスタン!大丈夫か!?
ルドガー何があった…!?それに…クレス!?
ゼロス詳しい話は後だ。こいつら、キムラスカを襲った漆黒の騎士達だ…!
ヴェイグ逃がすわけにはいかないな…!
スタンああ、行くぞ!
scene2宿命の刃、紅蓮の刃
クレスサレ!これ以上、お前達の好きにはさせない!
ズバッ!
漆黒の騎士1ぐっ…!
ゼロスこれでも食らいな!
ズシャッ!
漆黒の騎士2ぐおっ!
エリーゼここまでです!
ティポどーん!
漆黒の騎士3ぐはっ!
サレふん、なかなかやるじゃないか
スタン…そろそろ観念したらどうだ?
クレス…!スタン、危ない!
スタンえっ!?
ビュッ!
スタンおわっ!?
ミクリオ…槍!?一体どこから…
スレイスタン、大丈夫か!?
スタン何とか…誰だ!?
ハスタオッス、オラ、ハスタ!友達のピンチに、華麗に参上だゾ!
サレ…別に友達になった覚えはないけどね
ハスタはい、「友達になった覚えはない」頂きました!頂いちゃいました!
ハスタサレ先生、かっけーっ!でも俺、気にしないから。混ぜてもらえればいいんでおじゃるよ
ハスタ肉をずぶりとやる感触だけ楽しませてくれれば構わないからサ
クレスな、何だお前は…サレの仲間…なのか…?
ハスタさてさて、ここで問題です。オレさまの正体は何でしょう?
ハスタ1ば~ん、通りすがりのハンサム
ハスタ2ば~ん、子連れのわけあり剣士
ハスタ3ば~ん…
エリーゼこの人…ウィンドルの元騎士です。前にわたしやアスベル達を襲ってきた事が…
ティポまたお前かー!
ハスタカットカットォ!まだ問題の途中でしょうが~!お兄さんびっくりだよ?
ハスタま、でもサ…。子どものする事だ…許して──
ハスタあーげない!オレさまダイ激怒!!罪を憎まず人を憎む!お前ら皆殺し決定でありんす
エリーゼあなたがどうしてこの人と一緒に行動しているんですか?
ハスタこう見えても、オレさま達、元同僚なんでごわす☆いいねェ、麗しき友情!
サレそんなものはないよ。たまたま会っただけの関係さ
スタンハスタ…。お前もヴァンの仲間なのか?
ハスタヴァン?何それ?美味しいの?
ゼロスとぼけやがって…
スレイお前達は何でヴァンと手を組むんだ?
サレ好き勝手にやらせてくれるからさ。それ以上でもそれ以下でもない
ヴェイグそんな理由で…!ヴァンが何をしようとしているのか知らないわけじゃないだろう
ヴェイグお前のような奴らのせいで一体どれだけの人を苦しめている…!
サレギャーギャーうるさいね。お説教は嫌いなんだ
クレス意味もなく…多くの人の命を奪ったのか!
スタン許せない…!
サレだったらどうする?力づくでも止めるっていうのかい?
サレやれるものなら、やってみるがいいさ
スタンこの…!
ハスタまたまた隙ありィ!
スタンうわっ!?
クレススタン!
スタン大丈夫だ…
ゼロススタン!気を抜くなよ!
スタンああ、わかってる
ドーンッ!
スレイ何だ!?
エリーゼ大変です…!村から煙が…
サレふふっ…
スレイ…!これもお前達の仕業か…!?
サレ宴が始まったようだね
スタンゼロスやスレイ達は、村を頼む!ここは俺に任せろ!
ミクリオしかし…
クレス僕もスタンと一緒に戦う!
クレスすぐに倒して合流する!みんなを…村のみんなを助けてくれ!
ハスタおっととー。自信満々自信過剰!まぶしーねー!そこのキミ!
ゼロスふざけたヤローだが…クレス、スタン!ぜってー負けんなよ!
スレイ村に急ごう!
ティア二人共、気をつけて!
スタン俺は…お前達を許さない
スタンあんな幼い子を手に掛けようとし、楽しいからというだけの理由で村や街を襲うお前達を!
クレスサレ、僕とお前の間には、深い因縁がある
クレス今度こそ、その因縁の鎖を断ち切ってみせる!
サレフン。その必死さ…ウザいね
サレキミ達のような連中を見ていると、もっといじめたくなるんだよね
サレハスタ、こいつらは僕達に、切り刻まれるのが望みのようだ。かなえてやろうじゃないか
ハスタ言われなくても、そのつもりですよっと!
scene3宿命の刃、紅蓮の刃
クレススタン、畳みかけるぞ!
スタンああ、任せてくれ!
ハスタいやん!オレさま大ピ~ンチ!
ハスタあわれ、ハスタさまは正義の味方を前に、あえなく敗れるのでショウか?
スタンはあああっ!
クレスうおおおっ!
ズバーーッ!
ハスタぐっ…!
ハスタ…ピンポーン!正解は
ハスタやられないけどやってやる、ですよっと!
スタンこいつ…。変な事ばかり言ってるけど、相当やるな
クレスああ。油断は出来ない。僕達も全力でかからないと
ハスタサレ先生、どーっすか、あの麗しい友情っぷり!こっちも見せつけますか!
サレうるさいな…。ハスタ、少し黙っててくれるかな?
ハスタお呼びでない?はい!ハスタくん、残念!
サレ…クレス、だっけ?キミも大概しつこい男だね
サレそんなにキミの故郷…トーティス村が大切?
クレス
サレ傑作だったな。目の前で親を殺され、泣き叫ぶ子どもの顔…焼け落ちる建物…
サレキレイになってよかっただろう?感謝してほしいくらいさ
クレスサレ…!
サレふふふ…。いいね、その顔。もっと歪ませてみたくなる
スタン黙れ!
スタンこれ以上クレスの村の事をそんな風に言うな!黙らないならお前を…
クレススタン…!
クレスありがとう。僕なら大丈夫だ
クレスあいつはああやって僕達を挑発しているんだ。話なんて聞かなくていい
スタンだけどっ…!
サレふん…
クレスサレ、お前は何故、そうやって各地の街や村を襲い続けるんだ
サレ僕はいつも面白そうな方についてるだけさ
スタン面白そう…?そんな理由で…!
クレス…なるほど。お前は変わっていない。前に戦った時から、全く
クレスそればかりか、前よりいっそう、負の思想に捕らわれてしまっている…
クレスそんなお前を正す事は、もう出来ないんだろう
サレその偉そうな言い方、虫酸が走るね
サレキミは自分が高見に立って、こちらを見下ろしているつもりなのかな
サレおためごかしはやめるんだね。何が正すだ。本当は僕を恨み、殺したくてたまらないんだろ?
サレだったらやってみればいい。やれるものならね
ハスタもういい?やっちゃっていい?黄昏ちゃうその前にサー
クレス来るなら来い。僕達は…負けない!
スタンああ、返り討ちにしてやる!
クレス食らえっ!
スタンこれでどうだ!
ズバッ!
バシュッ!
サレぐっ…
ハスタあんまり…調子に乗ってんじゃねーぞ
ハスタこのドグサレ共があっ!
ヒュンッ!
ガツッ!
ハスタこいつ…俺の槍を受け止めた!?
スタンはあああっ!
ハスタくっ、こいつら…
クレススタン、これで決めるぞ!僕の因縁をここで絶つ!
スタンああ、やってやる!
サレ何…!?
クレスうおおおおおおっ!燃え上がれ、紅蓮の刃!
スタンこれが!俺達の全力だ!
クレス・スタン殺劇舞荒剣!!
ズバババババーーーッ!!
サレうわああああっ!?
ハスタぎゃああああっ!?
バタッ!
クレス終わったか…。スタン、大丈夫か?
スタンああ、何ともない
クレス村が…あの子達が心配だ
スタンスレイ達が向かってくれたから大丈夫だとは思うけど…
クレス僕達も村へ急ごう!
スタンみんな!
スレイスタン!クレス!大丈夫だった?
スタンああ。こっちは何とか片付いたよ
ルドガーこちらも、漆黒の騎士達は全て退けた
ミクリオ幸い、村の人に危害が及ぶ前に止められたよ
クレスよかった…
女の子あの…お兄ちゃん達…
スタンん?
女の子助けてくれて…ありがとうこれ、お花…
スタンああ!摘みに行ったお花か!こっちこそありがとう!
男の子どうして勝手に花畑へ行ったりしたんだ。駄目だって言われてただろ
女の子ごめんなさい…お母さんにブランの花を見せたくて…
男の子さっきみたいに怖い目にあったらどうするんだよ!
スタンまぁまぁ。責めないでやってくれよ。無事だったんだしさ
スタン優しい妹じゃないか
男の子うん…
スタンこれからあの花畑に行く時は、必ず兄ちゃんに相談するんだぞ
スタンそうでないと、兄ちゃんが心配するからな。約束だ
女の子うん、約束する!
スタンよし、いい返事だ!
ティアじゃあ、私達は行くわね
スタン元気でな!仲良くやるんだぞ!
男の子本当にありがとう!
エリーゼ仲のいい兄妹でしたね…
スタンあの女の子見てたらリリスを思い出すな。まぁ、リリスはたくましかったけど…
ルドガー一日も早く晶化現象を解決し、この村も元通りにしないとな
ヴェイグああ…そうだな
スレイところでスタン、遅くなっちゃったけど…その人は?
スタンああ!スレイやミクリオは会った事がなかったっけ
スタン紹介するよ、クレスだ。ウィンドルのトーティス村に住んでる俺の仲間だ!
スレイオレは、スレイって言います。よろしく、クレスさん
クレスああ、よろしく!
クレスところで…みんなは戦場に向かってるって聞いたけど、どうしてなんだい?
スタン実は…
クレス…なるほど。それで戦場に…
クレス事情はわかったよ。それにしても、そのヴァンと言う男…気がかりだね
ティアええ…
ゼロスクレスはこれからどうすんだ?
クレスみんなの話を聞いて、各地の街や村を襲っているのは、サレ達だけじゃないとわかった
クレスこれ以上被害を出さないために、村や街の様子を見て回ろうと思ってる
クレス戦場に近いところの方が襲撃を受けやすいだろうし、しばらく同行してもいいかな?
スレイ勿論です!
エリーゼクレスが一緒なら、心強いです…
ルドガーよし、それじゃそろそろ出発しよう
scene1それぞれの戦い
クレスこれは…
ミクリオ辺り一面が、晶化しているね
スレイ前に見た森と同じだ…。広範囲が一気に晶化したのかも
クレスこれほどの規模の晶化は初めて見たよ
クレス…こんな事が、他の場所でも起きているなんて
ゼロス残念だが、このまま晶化が進行すればこんなのが珍しくなくなるぜ
クレスさっきの村の人達は、大丈夫だろうか…。それに僕の故郷も…
エリーゼ…?
ティアエリーゼ、どうかした?
エリーゼ今、何か聞こえたような気がして…
ティポ誰かの話し声みたいだよー
???誰!?立ち聞きするなんて怪しいヤツ!
ルドガー…えっ!?
クレスあーーー!君は…!
エリーゼもしかして…知っている人ですか?
ロンドリーネあれ…?クレス!?…に、ルドガー!
クレスやっぱり!ロディだったんだね
ロンドリーネ二人共久しぶり!まさか、こんなところで会うなんて
ルドガー元気そうだね
ゼロスおい、お前ら…!誰だよこの超絶キュートでセクシーな女の子はよぉ!
クレス僕の知り合いだよ。ロディって言うんだけど
ロンドリーネ本名はロンドリーネね。ロディは愛称。よろしく!
ルドガーははっ。前に会った時も、まるきり同じ台詞を言ってたね
ティアルドガーとも知り合いなのね
ルドガーああ。前にバロニアで会ったんだ
ロンドリーネあの時は楽しかったね。双子ちゃんが大道芸を披露してさ
ルドガーそういえば、ディオとメルは、一緒じゃないのか?
ロンドリーネうん、今はね。ちょっと別行動中なんだ
ゼロス何だよルドガー、楽しそうに話してんじゃねーか。俺さまも混ぜてくれよー
ゼロスロディちゃん、俺さまはゼロス!ゼロスくんって呼んでもいいぜ?
ロンドリーネあはっ、面白い人だねー。とりあえずよろしく!
エリーゼまた始まりました…
ティアもはや治る見込みのない病気みたいなものかしら
クレスそれで、ロディ、どうして君はここに?
ロンドリーネあっ!えっと…そうだった…
ロンドリーネ実は、ずっと捜していた人がようやく見つかったんだけど…
クレス本当かい!?よかったじゃないか、ロディ!
ロンドリーネでも…その…クレスにとっては…
クレス…?
ロンドリーネまずいよね…。ああ…どうしよう…すぐにどっかに隠して…
ダオス何をしている、早く行くぞ
ロンドリーネわー!出てきちゃ駄目だって!
クレスなっ…!
クレスお前は…ダオス!?
ダオス
スレイえっと…あの人もクレスさんの知り合い?
スタンそうみたいだけど…
クレス
ダオス
ミクリオわけありみたいだね…
ロンドリーネああ…やっちゃった…
scene2それぞれの戦い
クレス
ダオス
ゼロス何だありゃ…向こうの空気、重すぎるぜ
ルドガーロディが人を捜しているという話は聞いていたが、それがまさかクレスの因縁の相手だったとはな
ティポねーねー、ゼロス君。これってもしかして、男女のシュラバってヤツ―?
ゼロスん~、そういう惚れた腫れたのとは違う話みたいだぜ
ゼロスちょっち俺さま達には口が出せない雰囲気だなぁ…
エリーゼ大丈夫なんでしょうか…
クレス…ダオス。戻って来ていたんだな
ダオス
クレス一体何が目的だ?
ダオス貴様に話す筋合いはあるまい
クレス答えてくれ。もし前と同じなら…
ロンドリーネわー!待って!私が答えるから
ロンドリーネダオスは今、晶化現象を解決するための調査をしてるところなの
ロンドリーネそうだよね、ダオス?
ダオスふん…
スレイ晶化現象を…?
クレスどういう事だ。何故お前がそんな事を…
クレスお前は人間を滅ぼす気でいたんじゃなかったのか
ティア人間を滅ぼす、ですって…?
ロンドリーネいやいや…ちょっとした誤解といいますか…
ダオス
ダオス…全ては我が故郷、デリス・カーラーンを救うためだ
ダオスそのためにはマナが必要…だが、肝心のマナが晶化していてはどうにもならんからな
ダオス故に晶化の解決方法を探っている。マナさえ確保出来ればこの星の人間の事など知った事ではない
クレス…ダオス
スレイあの…ダオスさん、晶化した結晶がマナだって事、知ってるんですか…?
ダオス当然だ…ん?
ダオスお前のその出で立ちは…
スレイえ、何ですか?
ダオス…貴様はマナを感じる事が出来るのか?
スレイ感じられるのはオレじゃなくてオレの友達です。彼女から聞いた事ですけど…
スレイダオスさんもマナを感じ取れるんですか?
ダオス
ダオス…鍵を握っているのは、案外、貴様という事もありうるか
ロンドリーネどうしたのダオス?何の話を…
ズドーーーン!
スレイ何だ、今の音!?
スタン魔物が襲ってきた!しかも数が多い!
ロンドリーネそんな…!
ダオスフン、たかがこの程度の数。私一人でどうにでもなる
クレスいや、僕達も戦う
ダオス貴様…私の力を軽んじるのか?
クレス自分達の身は自分達で守るだけだ
ダオス…勝手にしろ
ティア魔物が突っ込んで来るわ!
scene3それぞれの戦い
スレイこれで…どうだ!
グオオオオッ!!
スレイよし…!こっちは片付いたかな…
ミクリオスレイ、見ろ。クレスとダオスの二人…
クレスせいっ!
ズバッ!
グオオッ!
ダオスはあっ!
ギャウウッ!
スレイすごいな、あの二人…
ミクリオああ。クレスの剣の腕も相当だけど…
ゼロス何だ、あのダオスって奴…すげぇ強ぇ…!
スレイ世の中には、とんでもない実力の持ち主が、まだまだいるんだな
スレイオレ達も負けていられない…!
ヴェイグしかし魔物の数が多い…一体あとどれくらいいるのか…
エリーゼ向こうからまた魔物が来てます!
グオオオオオオオオオッ!!
ティポわー!何だこいつ、おっきいぞー!!
ティア何て大きい魔物なの…今までに見た事がないわ
ダオスマナの異常による影響を受けて、変容したのかもしれん
ダオスさすがに片付けるのは少々手間がかかるか…
クレス相手がどれほど大きくて強くても、やるしかない!
ダオス…単発の攻撃をただ繰り返しても、おそらくあの魔物に効果はない
ダオス最大の攻撃で一気に決める必要があるか…
ダオス貴様、私の術に合わせて攻撃しろ。そのくらいは出来るな
クレス…見くびらないでほしいね。不本意だけど、やるしかないみたいだ
ダオスふん…
ダオス行くぞ…!
ダオスはああっ!
クレスはああああっ!
ズババババーーッ!
グオオオオーーッ!
ゼロスよし!クレス達があのでかいのを倒したぞ!
スタンこっちももう一息だ、残った魔物を殲滅しよう!
エリーゼはい!
ティポまっかせてー!
ヴェイグ何とか終わったか…
ダオス
クレス待ってくれ、ダオス
クレス晶化現象を追っている、という事は…今は人間の味方なのか
ダオス…くだらない質問だ。人間などどうでもいい、と言っただろう
ダオス我が願いは、デリス・カーラーンを救う事、ただそれだけだ
ダオス人間を滅ぼす事で晶化現象が解決するのであれば…私は躊躇なく、それを実行するだろう
クレス…っ!
ロンドリーネ待って、クレス!
ロンドリーネダオスもさ、それはあくまで、仮の話でしょ?
ダオスふん…
クレスダオス!まだ話は…
ロンドリーネねぇ、クレス…ダオスの事、今は私に任せてくれないかな…?
クレスロディ…。だけど…
ロンドリーネ実は私…小さい頃に、あの人と一緒にいた事があってね
クレスあのダオスと…?
ロンドリーネうん。その頃はあんな感じじゃなくて、もっと優しい人だった
ロンドリーネでも、そんなあの人は、ある日突然、私の前からいなくなったの
ロンドリーネどうしたんだろうって、ずっと心配し続けて…
クレスそれでダオスを、捜しに出たのか
ロンドリーネうん…トーティス村の話は聞いたし、ダオスが人間相手に戦争を起こした事も知ってる
ロンドリーネけど、私が知っているダオスは、そんな人じゃない
クレス
ロンドリーネどうしてあの人がそんな事をしたのか、いろいろ調べたけど、どこにも記録が残ってなくて…
ロンドリーネだから私は、理由が知りたいの
ロンドリーネ昔の優しかったダオスと、人間を憎む今のダオス。どっちが本当の彼なのか
クレス
ロンドリーネ駄目…かな
クレス…わかった
ロンドリーネ本当!?
クレス理由はどうあれ、ダオスが今、晶化現象を防ごうと動いているのは事実だしね
クレスロディも傍にいるなら、滅多な事はしないと思うから
ロンドリーネありがとう、クレス!
クレスでもダオスが再び人間の敵となって、僕達に戦いを挑んで来るのなら
クレスその時は僕も容赦しない。それは、忘れないで欲しい
ロンドリーネうん…
ゼロスあー、ロディちゃん。真剣に話してるとこ、口を挟んで悪いんだけどよ
ゼロスダオスの奴、だいぶ遠くまで行っちまったみたいだぜ。このままだとはぐれるぞ
ロンドリーネえっ!?あ、本当!
ロンドリーネちょっとダオス、待って!私を置いていかないで!
ロンドリーネじゃあね、クレス。ルドガーも。それにみんなも!
エリーゼ慌ただしいですね…
ヴェイグそうだな…
クレスじゃあ、みんな。そろそろ僕は行くよ
ゼロスそういや、この辺りの街や村を見て回るって言ってたもんな
クレスああ。これ以上、サレやハスタのような連中の好きにはさせない
スタンクレスがこの辺りのみんなを守ってくれるなら俺達も安心だ
クレスその代わりと言うわけじゃないけど戦争を…必ず止めてほしい
クレス君達なら、きっと出来ると信じているよ
スレイはい、約束します
クレスありがとう。それじゃ、一旦ここで別れよう
ルドガーああ、またな
ヴェイグまた会おう
エリーゼクレスも気をつけてください…
ティア無事を祈っているわ
ミクリオさて。僕達も行こうか
スレイああ、そうだな
エステルガイアス陛下、本当に行かれるのですか?
エステル陛下自ら戦場に赴くなんて…
ガイアス全ては我が民のため、引いては他国のためでもある。この程度は当然の事だ
ガイアス連合軍が交渉に応じない以上、この方法しかない
ガイアスこれというのも殿下やフィリア司祭、ナタリア殿下のご尽力のお蔭だ
ガイアス改めて、礼を述べる
エステル陛下が四大国を一つにまとめたからこそ成し得たのです。礼には及びません
ジェイド陛下、出立の準備が整いました
ガイアス…わかった
エステルガイアス陛下…必ず…必ず、戦争を、晶化現象を止めましょう!
ガイアスああ。必ず。それでは、これで失礼する。…行くぞ、ジェイド
ジェイドはっ
scene1二つの切り札
スタンこの先が、ア・ジュールとウィンドルの国境…
エリーゼウィンドル港で聞いた話だとそこが戦場になっているはずです
ルドガー戦争を止めて、晶化の進行を防ぐ。これからが本番だな
ゼロス…にしても、戦争を止める、か
ゼロスとは言え相手は軍隊だし、どうしたもんかな
スレイ簡単な事じゃないけど、きっと何か方法があるはずだ
スレイ今は戦場を目指して──
ドーンッ!!
ゼロスうお…!何だ今の…
ヴェイグ爆発か…?森の先からだったが…
ルドガー…どうやら思ったより戦場が近いようだな
スレイ…行ってみよう
兵士ウオオオオオオッ!
兵士ワアアアアアアッ!!
ゼロスくそっ…。わかっちゃいたが、ひでぇな…
スレイこれが…戦争なのか…。どうして傷つけ合わなくちゃいけないんだ…
ティア「争いこそが理想を生む」…
ティア間違ってるわ。こんな事で生まれる理想なんて…
ヴェイグ戦争によって生まれた負の感情…ここにはそれが満ち溢れている…
ヴェイグそれが、晶化現象を加速させるのなら今は最悪の状況だ…
スタンうん…実際、戦場までの道中でも晶化現象の進行はかなり早くなってた
スレイこのままだとあの晶化した森のように世界中が晶化に包まれるかも…
ルドガーくっ…一刻の猶予もない…!
連合軍兵士1──おい!誰かいるぞ!
スタン連合軍…!
連合軍兵士1ア・ジュール軍だ!やれ!
連合軍兵士2はっ!
ルドガー違います、俺達は…
ゼロスルドガー、話なんて聞いてくれねぇ。さっさと逃げるぞ!
ルドガーあ…ああ!みんな、走れ!
連合軍兵士2おい!お前!
エリーゼきゃ…
ヴェイグエリーゼが…!
連合軍兵士1おっと。逃げるならこの子は八つ裂きだぜ?
エリーゼみんな…!
ティポやめろー!エリーを離せー!
ゼロスエリーゼちゃんを人質に…!てめぇ…!
連合軍兵士2いいから、武器を置け!
スタン言う通りにするしかないのか…
連合軍兵士1よし…全員、このまま──
???──その子から手を離してもらおう
連合軍兵士2なっ!?
???はぁあああ!
連合軍兵士2ぐぁ…!な、何だお前は…!
アスベルエリーゼは俺の友人だ。傷つける事は許さない…!
スレイあなたは…!
エリーゼアスベル…!?
連合軍兵士2くそっ、援軍などと…!おのれ!
連合軍兵士1怯むなっ!数ならこちらの方が──
???蒼破ッ!!
連合軍兵士2なっ…!?剣が弾かれた…!?
ユーリまだやるつもりか?
ユーリ人質を取るなんざ騎士の風上にも置けねぇな
ヴェイグユーリ!何故お前まで…
ゼロス次から次へと…どうなってんだこりゃ…
アスベルお前達。もうすぐここにはア・ジュール軍がやってくる
アスベル退くなら今の内だ
連合軍兵士1チッ…分が悪いか。ここは退く…行くぞ!
ユーリあの手の輩はどこにでもいるのな
エリーゼありがとうございます、ユーリ、アスベル。助かりました…
エリーゼでも、どうして二人がここに…?
アスベル詳しい事は後で説明するよ。この先に味方の軍勢がいる。もう少し安全な場所に移ろう
アスベル案内する。こっちだ、付いてきてくれ
スレイはい…!
scene2二つの切り札
アスベルこの辺りでいいはずだ
スレイここが…?さっきは味方のところへって話でしたけど…
ユーリそう焦んなよ。すぐ来るはずだ
ルドガー来るって…一体誰が──
ウィンガルふん…何とか無事の様だな
スレイウィンガルさん!それにア・ジュール軍の人達も…
アスベル哨戒中にウィンガルがみんなを見つけてね
アスベル彼の的確な指示があったから急な動きにも対応出来た
ルドガーそうだったのか…。ありがとう、ウィンガル
ウィンガルお前達には全面的に協力せよ、と陛下から仰せつかっているだけだ
ルドガーそれでも、助けられた事に変わりはないよ
ヴェイグユーリ達はア・ジュール軍に合流したのか…?
ユーリああ。少し前からここでの防衛に加勢してる。協力してるのはオレ達だけじゃないぜ
ウィンガルキムラスカとシルヴァラントの正規軍が援軍としてこちらに向かっている
スレイキムラスカやシルヴァラントが…!?
ウィンガルああ。それも全て陛下の取り付けた四大国の同盟によるもの…
ルドガー…!
スレイ四大国の…同盟…!?いつの間に…そんな事…
ウィンガル連合軍のア・ジュール侵攻を見かねたガイアス陛下が…
ウィンガル晶化が進行する原因を説明し、その進行を止めるためにも戦争の終結に各国に協力を仰いだ
ミクリオそれって…
スレイアニスがガイアス陛下に伝えてくれたんだ…!
ウィンガルそして使者としてエステリーゼ殿下、ナタリア殿下、フィリア司祭がカン・バルクに会し…
ウィンガル戦争を止めるという同意の元、同盟を結んだ
スタンすごい…!ア・ジュール軍側が圧倒的に優勢になるって事だよな?
ルドガーガイアス陛下は戦力差を明らかにし不要な戦闘を避けるのが狙いだったんだな
エリーゼ同盟が結ばれたのなら戦争は終わるんです…よね?
ティアいいえ…そんな簡単に戦争が収まるとは思えないわ
ユーリまぁな。現にセルディクやグレバムの野郎は聞く耳を持っちゃいねぇ
アスベルア・ジュールの停戦の申し入れも聞かず、攻撃を続けている
エリーゼそんな…!
ルドガー…!
ルドガーおい、あれって…!
連合軍兵士いたぞ!こっちだ!
ルドガー連合軍の兵士…!
スタンしかも、すごい数だ
ウィンガル大規模な戦いになるのは避けたい。…一時撤退すべきか
ウィンガル総員、退避!これより砦へと戻る
ウィンガル連合軍との戦闘は最低限に抑え、帰還する事を第一とせよ
ア・ジュール兵ハッ…!!
ウィンガルこの先に我が国の砦がある。お前達もアスベル達と共にそこを目指せ
ルドガーお前は行かないのか?
ウィンガルあの敵の数だ。このまま全員で動けば、いずれ追いつかれ混戦状態に陥るだろう
ウィンガル必要最低限の戦いに留めるためにも俺はこの場に残り奴らを食い止める
スタンなっ…、一人で無茶だ!
ウィンガル…問題ない、俺には“切り札”がある
スレイ切り札…?
scene3二つの切り札
ルドガー──ウィンガル、その切り札って一体何なんだ?
ウィンガル増霊極(ブースター)…一時的に戦闘力を引き上げる装置だ
ウィンガル本来は陛下をお守りするためのものだが、今は緊急事態だ。この程度の雑兵ならわけもない
ルドガー戦闘力を…
ルドガーなら、俺も残るよ
ルドガー俺も似たような事が出来るんだ。この数の敵だ、残るなら一人より二人の方がいい
ルドガー遅れは取らないはずだ
ウィンガル…勝手にしろ
スレイルドガー、ウィンガルさん。オレも残ります!
ウィンガルスレイ、お前達は砦に早く戻ってもらいたい。人数が多ければ離脱も難しくなる
ルドガー大丈夫だ。時間を稼いだら、俺達もすぐに合流するよ
スレイわかった!でも、十分気をつけて!
アスベルよし、砦までは俺が先導する!
ユーリ一気に駆け抜けるぜ!
連合軍兵士なめられたもんだな!そう簡単に逃げられると──
ガキン!
ルドガーお前達の相手はこっちだ
連合軍兵士…たった二人で足止めなど!
ウィンガル…出来るだけ余計な戦闘は避けろ。いいな?
ルドガーああ、わかってる
ルドガーでも、まさかお前と並び立つ事になるなんてな
ウィンガル…お前から名乗りを上げたのだ。期待外れの力でない事を祈る
ルドガー…ああ、勿論だ!
ルドガーはぁああああ!
ウィンガル
ウィンガルオオッ…!
連合軍兵士な…何だ…この二人姿が変わって…
ルドガーここから先は、通さない…!
scene1ガイアスの秘策
ルドガーあらかた片付いたか…うっ…
ウィンガル次の追手がくる前に俺達も砦に帰還する
ウィンガル…肩は貸さんぞ
ルドガーふっ…お前も怪我してるじゃないか。大丈夫だ、案内してくれ
ゼロス…何とか無事に砦までたどり着けたが…
エリーゼルドガーとウィンガル…二人は大丈夫でしょうか…
スレイきっと、大丈夫だ。あの二人なら…
ア・ジュール兵ウィンガル様が戻られました!
スタン…!戻ってきたか…!
ルドガーみんな…
ウィンガル
スレイルドガー!ウィンガルさん!よかった…
エリーゼ二人共…怪我してます…!すぐに治療します!
ティポうわーん!ルドガー君ー!死なないで―
ルドガーはは…。大丈夫だよ、ティポ。こんな傷で死なないさ
ジェイドおやおや、随分と無茶をされたようですね
ウィンガルジェイド…。お前も来ていたのか
ジェイドええ、次の作戦で私も戦線に出る事になりましてね
ジェイド…ああ、そうです。皆さん、帰還早々ですみませんが少しお話したい事があります
ジェイドお二人の治療が終わってからで構いませんから、私のところへ来てもらえませんか
スレイオレ達ですか?それは勿論大丈夫ですけど…
ヴェイグいいのか?この砦の外ではまだ戦いが続いているぞ
ミクリオこうしている間にも、晶化現象が進行してしまうかもしれないというのに…
ジェイド承知しています。だからこそ、ですよ
スレイわかりました。治療が終わったらすぐに向かいます
ジェイドそれはよかった。ウィンガルも、一緒に来てください
ウィンガルああ、わかった
ユーリんじゃ、オレ達は仕事に戻るとするか
アスベルみんな、また後にでも
スレイはい!ありがとうございました!
エリーゼお話って何でしょうか…
ヴェイグオレ達に何かさせるつもりかもしれないな
ゼロスあいつは食わせ者だからな。ろくな予感がしねぇな
ルドガーまあまあ、実際に聞けばわかるさ
ルドガーいっつ…
ティアルドガー、じっとして。もうすぐ終わるわ
スレイ
ジェイド陛下、スレイ達を連れてきました
ガイアス…ご苦労
ウィンガル陛下…!?
ゼロスおいおい…マジかよ。何で王様がこんなとこにまで来てるんだ?
ガイアス国の危機、民の危機に立ち向かうのは王の務めだ
ガイアス…何より此度は、やるべき事がある
スレイやるべき事?
ガイアスそれは後で話すとしよう
ガイアススレイ。お前達はヴァンと接触したと聞いたが…
スレイはい…。ヴァンには逃げられたけど…直接対峙してわかった事があります
ガイアス…言ってみろ
スレイ実は──
ガイアス…なるほどな
ガイアスやはり連合軍はヴァンの手引きによるものだったか
スレイはい、ヴァンは部下を使ってセルディクやグレバム…を焚き付けていたようです
ウィンガル…どうりで連合軍と言いつつ連携が取れていないはずだ
ジェイドヴァンは戦闘が長引けばいいと思っているので、軍隊の質など二の次なのかもしれません
スレイはい、それで晶化を進行させようとしているんだと思います
ティア現に、私達がここに来るまで晶化現象の進行はかなり大規模なものとなっていました
ガイアス奴の目的が晶化と言うならば…作戦の実行はより急がねばならんな
ルドガー…作戦と言うのは?
ジェイドそれが皆さんをお呼びした理由です
ガイアスこの戦争を止める。そのための作戦を遂行する
ガイアスお前達の力を借りるぞ
ヴェイグ…!
スレイ戦争を…止める…
scene2ガイアスの秘策
ティア戦争を止める作戦…ですか?一体どんな…
ガイアスこのまま正面でやりあっていても時間もかかるし互いに消耗するばかりだ
ガイアスだが、所詮奴らは寄せ集めの集団…
ガイアス各勢力の指揮をしている頭を一度に潰してしまえば指揮を失い、連合軍は瓦解するはずだ
ミクリオセルディク達、各勢力の首魁を狙った同時攻撃…という事か
ティアそれが出来れば、確かに被害は最小限かもしれません
ティアでも、彼らだけを叩くなんてどうやって…
ウィンガル要はセルディクやグレバム達を孤立させられればいい…そうお考えですね?
ガイアスああ
ウィンガルとなると、砦の付近に連合軍の主戦力を集めセルディクらから引き離す…
ウィンガルそれには何か、砦に引き付ける「餌」が必要ですが──…
ウィンガル…!まさか…
ガイアスそう。その「餌」こそがこの私だ
スタンなっ──…!
ウィンガル…いけません、陛下!だからこの砦まで来たというわけですか
ガイアス戦場では確実に効果がある手段を選ぶのは当然だろう
ウィンガルしかし…!
ガイアス私が戦場に出れば、セルディク辺りは喜々として兵を回してくるだろう
ティアそんな…それではガイアス陛下の危険は免れません
ガイアスそんな事は百も承知だ。こうしている間にも晶化は進行する、他に手はあるまい
スレイでも…
ジェイド心配には及びません。陛下は一人で軍隊相手に渡り合える超人的な強さですし
ジェイドそれに、我々が止めたところで一度決めたらテコでも動きませんから
ガイアスお前達には、敵の首魁を叩く役目を担ってもらいたい
スレイえ…
ウィンガル陛下、そこまで彼らの力を…
ガイアス…敵主力の引きつけは我が国の軍で行う。やってくれるか
スレイはい…!勿論です、ガイアス陛下
スレイ何としても戦争を止めます。オレ達はそのために来たんです
ガイアス頼んだぞ
スレイはい…!
scene1作戦開始
スレイ──なるほど。じゃあ、オレ達の目標はセルディクって事ですね
ア・ジュール兵はい、これが作戦を図にまとめたものになります
ア・ジュール兵敵の主力が砦に集中した後、みなさんは敵陣後方へ回ってください
ア・ジュール兵なお、セルディクは殺さず拘束するよう陛下から命を受けております
ティアわかりました
ゼロスでも、あいつが大人しく従うわけはねぇ。激しい抵抗は覚悟しとこうぜ
ヴェイグそうだな…。だが、作戦通りに行けば戦争を止められるだろう
ア・ジュール兵では、私はこれで。出陣の際はまたご連絡します
ルドガーいよいよ、戦場だな…。後は出陣を待つだけか
ヴェイグああ、しかしすごい数の兵だ…。エリーゼ、ティポはぐれるなよ
エリーゼはい、ヴェイグならどこにいても見失いません
ティポヴェイグ君、おっきいもんねー
ミクリオそれにしても、自ら戦場に出て敵を引き付けるなんて、思い切った事をする王様だな
ティアガイアス陛下は元々、武勇に優れたお方よ。今の地位もその力あってのものだとか…
ティア勿論、それ以上に聡明な方でもあるのだけれど
ミクリオ僕達の役目だって相当危険な事には変わりないけどね
スレイああ、セルディクの本陣まで乗り込んで攻撃…
ティア一度敵の懐に飛び込めば撤退はやすやすと出来ないわ。文字通り命がけね
スタングレバムやキムラスカの反乱軍も他の三国からの援軍がそれぞれ同時に叩くんだよな
ルドガーっていう話だったけど…ん?
クラトスむ…お前達は
エリーゼクラトス!
ゼロスそれにクロエちゃんまで~♡俺さまに会いに来てくれたのかい?もう、感激だぜ~
クロエ別に、ワイルダーに会うためにやって来たわけじゃない
エリーゼここにいるって事は…もしかしてクラトス達もこの後の作戦に参加するんですか?
クラトスそうだが…お前達もか?
スレイはい、オレ達はセルディクのところへ
クラトスそうだったのか…。こちらはグレバムだ
クロエ先のメルトキオでの暴動はグレバムの仕業だったと判明した…
クロエ国の代表を騙り、独断ア・ジュールへと攻め込んだあの男は必ず私達の手で止める
クラトス…あの暴動の後、お前達には世話になったようだな
クラトス国を出たグレバムを追ってくれたとフィリア司祭からお聞きしている
ゼロスまぁ、結局は取り逃がしちまったけどな…
クロエこちらもすぐに追う事が出来ればよかったのだが…
ゼロスお?そう言えばロイドは一緒じゃねぇんだな
ゼロスお前らが来てるなら当然ついてきそうなもんだが
クラトスロイドは遅れて来ると言っていた
クラトスやらなければならない事が自分にはあると、な
ゼロスうへ~…また、何か厄介な事に首突っ込んでんのかねぇ
ゼロス苦労性と言うか、お人好しというか…
スタン…ん?
ヴェイグどうしたんだ、スタン
スタンジェイドさんが出て来たぞ
クラトスア・ジュールの指揮を執る彼が出て来たという事は…
ルドガーそろそろ出撃、って事か
scene2作戦開始
スレイ──ジェイドさん!
ジェイドおや、スレイに皆さん。クラトス殿も一緒ですか
ルドガーああ、そこで一緒になったんだ
ジェイドそれはちょうどよかった。皆さんに目指していただく敵陣についてお話があります
ヴェイグ後方に展開しているとは聞いているが…
ジェイドええ。しかし、相手の動きはギリギリまでわかりません
ジェイドこちらで斥候を放っていますので現地で報告を受けてください
ジェイドただ…敵地での合流になります。何が起こるかはわかりませんので十分注意を
ルドガーわかりました
スタンキムラスカの反乱軍とはどこが戦う事になるんだ?
ジェイドキムラスカの騎士団ですね
ジェイドグレバムならシルヴァラント軍という風に、その国の軍隊が処理に当たるというわけです
ミクリオだったら僕達が追うセルディクは…
アスベル──セルディク大公は俺達ウィンドル騎士団が共に事に当たろう
アスベル大公のやった事…その始末をつけるために、俺も力を尽くす
ユーリオレも手伝うぜ。お姫様に頼まれちまったしな
エリーゼアスベル、ユーリ…!
ティア二人が一緒なら心強いわね
ジェイドこの作戦にはア・ジュールの…いや、世界の運命がかかっています
ジェイドセルディクら各首魁への襲撃…敵主力の砦への誘導…
ジェイドそのどちらが欠けても作戦は成り立ちません。お互いに最善を尽くしましょう
スレイはい…!
クラトス了解だ
アスベル絶対に成功させましょう…!
ジェイド──では、作戦開始です
scene1動乱の果てに
ヴァン…カーツか
カーツ指示通り、連合軍の残存戦力を結集させた
カーツ準備が整い次第、全戦力をもって砦への突撃を開始させる予定だ
ヴァンそうか…。ご苦労だった
ヴァンところで、傷の具合はどうだ
カーツ治療は受けている。問題ない
ヴァン…そうか、無理はするな
カーツ…ああ
ヴァン──しかし、四大国の同盟とは面白い事になってきたな
ヴァン四大国がこのような正式な形で手を組んだのは、これが初めてだ
ヴァン…カーツ、お前はこれをどう読む?
ヴァンこの同盟を機に、国家間の争い…ひいては人間同士の争いがこの世から根絶すると思うか?
カーツ…言うまでもなく、有り得ない。一時的に戦乱が収まる事はあっても、じきに必ず綻びる
カーツ奴らの目的は、あくまで連合軍に対抗するための仮初めのものにすぎない
カーツ争いのない真の理想世界…それを実現出来るのは私達だけだ
ヴァン…うむ
ヴァンだが、さすがに四大国の同盟を持ち出されては連合軍も長くは持つまい
ヴァン当初は戦争を長期化させる事で晶化現象を進める予定だったが、そうも言ってはおれん
ヴァン故に、次の総攻撃をもって我々は理想を実現する
カーツ総攻撃…犠牲も多く出るだろうな
ヴァンああ。しかし、それは必要な犠牲なのだ
カーツ…わかっている
ヴァン世界の変革を共に見守ろうではないか、カーツ
カーツああ。…だがその前に、片付けておきたい事がある
ヴァン……
スレイ──戦場を迂回して、進んで来たけど…
クロエ今のところ敵兵は見かけないな
ルドガー敵軍のほとんどが砦に引き付けられたのは確かなようだな
クラトスガイアス陛下自身が囮になるというのはやはり随分効果があったようだな
スタン意外と楽に進めそうだな
ティアとは言え、慎重に進まなくては。勘付かれては意味がないわ
ゼロスだってよ、大人しくしてろよスタン
スタンゼロスこそ
アスベル斥候から情報をもらうように言われているんだが…
ルドガーああ、合流地点はさっきジェイドさんから聞いた。まずはそこを目指そう
エリーゼあ…
ピキ…ピシッ…ッ…
ゼロスまた、晶化現象か移動中だけでも何度目だ…?
ルドガー進行具合が目にも明らかだな
ユーリぐずぐずしてらんねーな
ヴェイグこの辺りが合流地点のはずだが…
エリーゼ斥候部隊の方は見当たりませんね…。少し遅れているのでしょうか?
ティア困ったわね。待っている余裕もないというのに
???うわああああ!?
スタン今のは悲鳴…!?どこだ…!?
ユーリおいおい、待てって。敵かもしれねぇぜ?
クラトス…だが、斥候部隊かもしれん。だとすれば放っておくわけにはいかない
スレイ確かめに行こう!
エリーゼこの辺りから聞こえたようでしたが…
連合軍兵士この…!…くらえ!
ア・ジュール兵うぐっ…!
ゼロスおいおいおい…!やべぇぞ!あれ斥候部隊の奴だろ!?
スタン一人で敵に囲まれてるぞ!今助ける!
連合軍兵士…!援軍か!貴様らも叩き斬って…
スレイやめろ!オレ達は戦いたいわけじゃない!
スレイ戦争は晶化現象を進行させる、それを止めたいだけなんだ
連合軍兵士ふっ…騙されんぞ
連合軍兵士グレバム様は仰ったのだ…これは天啓をないがしろにしたア・ジュールへの罰だと
連合軍兵士正しく罰を与えた我らだけが晶化現象から救われると!
ゼロスあの野郎…よくもそんなでたらめを
スレイ騙すつもりはない!話を聞いて──
連合軍兵士黙れ!貴様らもア・ジュールに与するならば天罰を受けるぞ…!
スレイくっ…
クラトスせぁっ!!
ドサッ…
スレイ…クラトスさん
クラトス気絶させただけだ
クラトスグレバム達は人々の不安を掻き立て利用している
クラトスこの者達のように、不安から戦争に参加している者も多い…
スレイ早く止めなきゃ…!
アスベル斥候は無事か?
ティアええ、幸い怪我は浅いわ。…えっ?
ア・ジュール兵あの…こ、これを…
ア・ジュール兵敵陣の配置を記してます…
スレイありがとう…!これでセルディク達の位置がわかる
ティアあなたは砦に戻った方がいいわ。私が同行しましょう
ア・ジュール兵私は大丈夫です…!一人なら何とか隠れつつ砦まで戻れますから
ルドガーだけど、その怪我では…
ア・ジュール兵ついていけば足手まといになる…。作戦を成功させるためにも…お願いします…!
ティア…わかったわ
クロエ貴公の勇敢な行動に感謝する。私達が必ず作戦を成功させる
クラトス…行くぞ。猶予はない
クラトス…グレバムの軍勢はこちらだな。では、我らはここで別れよう
クロエ皆の健闘を祈る。…ワイルダーも無事でな
ゼロスクロエちゃん…俺さまの事を心配してくれるなんて感激だぜ
ゼロスはっ…クロエちゃん、やっぱり俺さまの事を…
クロエ全然違う!
クロエ全く…こんな時だというのに軽口は相変わらずだな
ゼロスでひゃひゃ!いつも通りが一番って事さ
ゼロス…クロエちゃんもあんまり固くならねぇほうがいいぜ
クロエワイルダー…
クロエ貴公は、何が真剣なのか冗談なのかよくわからんな…
クロエまぁ…だが、今のは忠告としてありがたく受け取っておく
クラトス…そろそろ行くぞ、クロエ
クロエはっ
クロエでは、これで失礼する
ティアそちらも気をつけて
スレイ早く、決着をつけよう。みんな戦いたくて戦ってるわけじゃないんだ…
スレイ晶化も戦争も…全部終わらせてみんなの元の生活を取り戻す
スタンだな…
ヴェイグオレ達も進もう。セルディクの軍勢はこのすぐ先だ…
scene2動乱の果てに
セルディクええい!まだ、砦を落とせないのか!
連合軍兵士1大規模な攻撃を行っていますが、戦線がこう着状態を脱せず…
セルディク何故攻めきれない!聞けばガイアスまで前線に出ていると言うではないか
セルディクここで奴を打ち取れば一気に勝ちを決められるものを…
セルディクカーツはまだ戻らないのか!
連合軍兵士2セルディク大公!ご報告が…!
セルディク騒々しい、どうしたと──お、お前は…
アスベル今すぐに兵を引いて投降するんだ!セルディク大公!
スレイこの戦いは、晶化の進行を助長させてる…!
スレイこれ以上、戦争を続けさせるわけにはいかない!
セルディク晶化を助長だと…?はっ、馬鹿な事を
セルディクアスベル・ラント!お前はウィンドルの騎士でありながらエステリーゼと共に他国に与したな!
セルディクガイアスもガイアスだ。エステリーゼと同盟を交わしたからといって、効力などあるものか!
セルディク断じて許せん!ガイアスも、お前も、エステリーゼも全員度し難い愚か者だ
ユーリったく。悪党ってのは、何で自分の立場がわかんねえ奴ばっかなのかねぇ
アスベルセルディク大公…あなたのやっている事は間違ってる
アスベルあなたの判断により、今、多くの人々が晶化の危機に晒されている
アスベル私欲のためにこんな争いを起こし、人々を苦しめ…そんな事が許されると思うのか!
セルディク黙れ!一介の騎士風情が大公である私に何と言う口の利き方だ!
アスベル…本当ならこんな事態になる前に俺達が止めるべきだった。その責任は自分達でとる…
アスベルお前は、ここで必ず止める!
ユーリオレは騎士でも何でもねぇ。だけどよ、国民や他国を巻き込むあんたのやり方は見過ごせねぇな
ユーリここら辺で終わりにしちゃどうだ?
セルディクごちゃごちゃと…!そもそも、何故このような奴らの侵入を許した
セルディク兵士どもは何をやって…
ヴェイグ兵の大半は砦に集結している。お前の命令でな。ここまで来るのにさほど苦労はしなかったぞ
ルドガーここを守るのは僅かな護衛の兵士のみ…。覚悟するんだな!
セルディク不敬な…!ウィンドルの王となるこの私に…お前達、覚悟は出来ているのだろうな
アスベルウィンドルの王はリチャードだけだ…!
セルディクア・ジュールに身を売った愚か者が!
セルディクやれ、兵士達よ!全員殺して構わん!
連合軍兵士1はっ!!
アスベルウィンドルのため、戦争を止めるため、そして何よりリチャードのため…
アスベルお前の野望を、この場で完全に挫いてみせる!
スレイやるぞ、みんな!
scene3動乱の果てに
アスベルはぁっ!
連合軍兵士1くっ…
ゼロスさぁ、いい加減観念しとけって
セルディク忌々しい…!何故私がこのような…
セルディク兵は残ってはいないのか!
ルドガーもう諦めろ。連合軍は砦の攻略に出払って…
エリーゼ…!向こうから…何か来ます
ティアあれは…
カーツ
セルディクおお、カーツ!戻ったか!
セルディクいいところに戻ってきた!こいつらを打ち払え、カーツ!
カーツ
アスベルカーツ…!
カーツ…もう遅い。お前達、剣を下せ
スレイもう遅い?どういう事だ?
カーツ今、連合軍は残る全ての戦力をもって砦へと突撃した
カーツ…そろそろ始まるはずだ
スレイ何の話を…
パアアーー……ッ!
カーツ
セルディクな、何だこの光は!?
スレイこの光は…まさか晶化の…!?
ゴゴゴゴゴ…!
ティポわー!地震まで!
ミクリオ大きいぞ!みんな、伏せろ!
エリーゼきゃ…っ!
ヴェイグエリーゼ!
パアアアアーーーッ!
ユーリ何も見えねえ!どうなってやがる!?
スタンくっ…何が…!
ミクリオおい…スレイ…あれ……
スレイなっ…何だよ、これ…!
scene1カーツの覚悟
クロエ見つけたぞ、グレバム…!
グレバムええい、このような者どもに攻め入られるとは…。兵は何を──
ゴゴゴゴゴ…!
クラトスこれは…!
連合軍兵士グ、グレバム様、しょ、晶化が…うわあーーッ!
ピキピキピキッ…!
グレバム…晶化現象か!?何という規模なのだ…
グレバムくっ…!
ピキッ…!
グレバム馬鹿な…私がこんなところで…終わるはずが…
ピキピキピキッ…!
クロエな…!グレバム…まで…
クラトス無事か、クロエ…!
クロエわ、私は大丈夫です…!
クロエしかし、こんな勢いで一気に晶化するなんて事…
クロエ考えたくありませんが…遅かった、と言う事なのでしょうか…
クラトス…まだ、わからん
クラトスだが、我々もここに留まっていれば晶化に飲まれかねん
クラトス考えるのは後だ、今は退くぞ
クロエはっ…
セルディクこ、これは…
スタンな、何なんだ、あれは…!何が起きたんだ?
ヴェイグ晶化現象…?
ミクリオこんな規模で…!?
ユーリおいおい…これウィンドルの方まで広がってんじゃ…
ルドガーまさか…連合軍の突撃…それがマナの不活性化を…?
カーツ四大国の同盟の前に、連合軍とはいえ勝ち目などない
カーツしかし、勝つ必要などない。負の感情を生めば晶化現象は進む
カーツ無謀な攻撃による不安や痛み…その効果は絶大だったようだな
ヴェイグそのためにこんなにも多くの人に苦しみを…!
カーツ理想のためだ。そして、その価値はあった
カーツ…ウィンドル領土の大半は晶化に飲み込まれた
アスベルな──、ウィンドルが…!?
カーツ四光の一角…即ちウィンドルは闇の帳に包まれたのだ
エリーゼそれって、天啓の…!四光の一角って、ウィンドルの事だったんですか…?
スタン闇の帳…それがこの大規模な晶化だって言うのか…?
カーツそうだ、天啓は成就した
カーツここまでの広範囲に影響が及ぶとは想定外だったがな
ユーリウィンドルが晶化する事を端から知ってたってわけか…
アスベル許せない…、どうしてこんな酷い事を…
セルディクおい、カーツ!一体どういう事だ…
セルディクウィンドルは我らの祖国…。ようやく手に入れた私の国だ
セルディク……貴様、何を企んで──
ビシュッ!
セルディクぐぅ…!
エリーゼ…え
ルドガーカーツが…セルディクを刺した…!?
セルディクカ、カーツ…貴様…
セルディク私に…王となる私にこんな事をして許されるとでも──
カーツお前が王だと?…笑わせるな
カーツ私欲のために、自国の民をも平気で危険に晒すような貴様に、その資格はない
ザシュッ
セルディクぐふっ…
ドサッ!
アスベルカーツ!?
アスベルどうしてお前がセルディク大公を…!?
ゼロスどうなってやがる…
ティア…これもヴァンの命令なの?
カーツ…答える必要はない
スレイカーツ…お前は一体…
カーツ
カーツ──残すはお前達だ
カーツお前達は必ずヴァンの障害となる。始末をつけなければなるまい…
カーツ故に、このカーツ・ベッセルが引導を渡そう
ザッ…
連合軍兵士カーツ様に栄光を…!
スタン連合軍!?どうして戦力が残って…
カーツこの者達は、セルディクではなく我らの理想にのみ付き従う者達だ…
ゼロス…なるほど。お前はそうやってセルディクの下で、自分の息のかかった手駒を増やしてきたんだな
ユーリ利用するだけ利用して、用済みとなりゃ即始末…
ユーリそんなやり方の奴が語る理想なんざ、何の説得力もないっての
カーツ…何とでも言うがいい
スレイカーツ…天啓が成就したと言ったな
スレイお前達はそのために戦争を…?
カーツああ…。一国の晶化によって、理想への扉が開く…
スレイそんな…
カーツお前達にも引導を渡してやろう。…かかれ!
連合軍兵士はっ…!
スレイくっ…こっちだってまだ聞きたい事がある
スレイここで退くわけにいかない。全部答えてもらう!
スタン来るぞ…!
scene2カーツの覚悟
スタンはあ…はあ…
ミクリオ何とか…兵士達は退けたが…
ヴェイグ油断するな、まだカーツが残っている
カーツ
ルドガー…カーツ、教えてくれ
ルドガー争いのない世界を謳ってどうして、争いを引き起こす?
スタンそれに、お前達の言う理想…目的って、一体何なんだ
スタン世界から争いを無くすために何故、晶化現象が必要なんだ…!
カーツ……私からも、お前達に一つ問おう
カーツ結局、人は戦う道しか選ぶ事は出来ない。そう思った事はないか
ティアそれは…
ゼロスしたり顔で悟ったような事を言ってんじゃねぇよ
ゼロスその戦いを仕組んでんのはお前達だろうが
カーツ…その通りだ
カーツしかし、これは世界を変えるための…いわば最後の痛み
エリーゼ最後?どういう事ですか?
カーツ二度と人間が争う事のない世界を作る…その理想を実現するための、最後の戦いだ
カーツこれまで世界各地で、お前達も様々な局面を見聞きしただろう
カーツ己の利益、感情のために大勢の人間を苦しめる…
カーツセルディクやグレバムのような輩はどこにでもいるという事もわかっているはずだ
ティア……
カーツセルディクとしばらく行動を共にして、私も改めて痛感した
カーツやはりこの世界は、終わらせなければならない。理想は実現されねばならぬ
ティアそのために晶化現象を引き起こしたというの?
カーツそうだ。晶化現象こそが…全てを変えてくれる
スレイセルディクやグレバム…お前の言うように自分の利益しか追い求めない人間も、確かにいる…
スレイでも、そのために無関係な人、大勢を犠牲にするなんて間違ってる!
スレイましてや戦争や、晶化現象だなんて…
カーツ重要なのは結果だ
カーツすでにウィンドルは天啓の通りに晶化した…
カーツウィンドルの大規模な晶化は人心に更なる不安を生み、晶化は世界中に波及するだろう
エリーゼそんな…!
カーツ諦めろ。お前達に晶化の進行は止められん
スレイ…いいや、まだだ!まだ終わりじゃない!
スレイオレは導師になる時に誓ったんだ。世界を導く光になるって
スレイミクリオとの夢も…ライラとの約束も…ここで諦めるわけにはいかない
スレイ…お前達が晶化を望むならオレ達はそれを止めてみせる!
カーツ…ならば、ここで果てよ。ヴァンに仇なす者は私が討つ。理想の礎となるがいい…!
scene3カーツの覚悟
スレイはあああっ!
ズバッ!
カーツむう…っ!
カーツ…くっ………不覚…及ばなかったか……
カーツだが、諦めん……何としても理想を…実現して…みせる…
カーツこれは必要な事なのだ…。永続するはずの痛みは…私達が…必ず…終わらせる……!
スレイ…よせ、カーツ!今動いたら…
カーツ…この身など、どうなろうが──……ぐふっ…!
スレイカーツ…
スレイ…あなたにも信念がある事はわかった。けど…
スレイもう一度、言う。オレは、あなたの考えを認める事が出来ない
スレイ誰かの理想のために、たくさんの人が犠牲になるなんて事、あっちゃいけない
スレイこの世界に生きる者達、みんなが手を取り合うべきだ
カーツ…ふ、青いな……
カーツ…今、世界に必要なのは、理想を実現する、意志と力……
カーツ…スレイと言ったか…。…その甘さは…いずれお前の命取りとなるだろう……
スレイそれでも!オレは必ず、オレが正しいと思うやり方で、世界を救ってみせる!
カーツ…信じる道であれば、進むがいい。だが──…
カーツ…きっとその先で、お前もまた…絶望を…知る事に…な…る……
カーツ……
スレイカーツ…
エリーゼ
ヴェイグ奴にもここまでする理由があったのかもしれない…
ルドガー確かに方法は間違っていたけれど俺達と目指すものは近かったのかもしれないな…
スタン…でも、それって何だか悲しいな
スタン出会い方が違えば手を取り合う事も出来たかもしれない
エリーゼ…そう、ですよね
スレイ
スレイそれでも…オレは自分の心が正しいと思った道を進むよ
ミクリオスレイ…
???──正しい道…。しかし、それが人を争いへと導く
???自分の正義を信じ、自分だけが正しいと信じ…
ティア…この声
ゼロスついに出てきやがったか…
ヴァンそして、その行き詰まりが、今のこの世界だ
スレイヴァン…!

NameDialogue
scene1ヴァンの理想
ティア兄さん…!
スタンどうしてここに…
ルドガーカーツを助けに来たのか…?
ヴァンカーツ…やはりここに居たか
ヴァンセルディクやこの者達など捨て置けばいいものを…
カーツセルディク…あの男をどうしても許せなかった、それだけの事だ
カーツ…それに、こいつらは必ず理想の妨げとなる…
カーツぐふっ…
ヴァンカーツ…
カーツヴァン……、後は頼む。必ず我らの理想を実現してくれ…
カーツ戦乱で失った友は戻らない……
カーツだが、私のような苦しみはもう、誰にも…
ヴァン安心しろ。私がこの手で必ず実現してみせる
カーツ最後まで…見届ける事が出来ず、すまない…
カーツヴァン…どうか…
ヴァンカーツ…。お前は私にとって真の同志であった
ヴァンせめて、安らかに眠れ
カーツふっ…
カーツ
ヴェイグカーツ…
エリーゼひょっとして、あの人は戦争で友達を……
ゼロスそうみてぇだな
スレイヴァン…
スレイお前やカーツがセルディク達のように私利私欲で動いているとは思えない
スレイ理由を聞かせてほしい
ヴァン…スレイ
ヴァンお前は、人々が安心して暮らせる世界を作ると言ったな
ヴァンそして、そのためにお前達は晶化現象を止めようとする
ヴァン…しかし、それは間違いだ。お前達のやり方で世界は変えられん
エリーゼどういう事ですか…?
ヴェイグ晶化現象で多くの人々が苦しんでいる…
ヴェイグそれを止める事が何故間違っていると言うんだ?
ヴァン…ならば、問おう
ヴァンこれまで様々な危機が世界を襲い、その度に幾人もの英雄が世界を救った
ヴァンしかしどうだ、この世界から争いはなくなったか?
ヴァン──否、人の業は新たな災厄を呼びその連鎖は未だ尽きる事がない
アスベルそんな事はない!少しずつだが世界も、人々も変わり始めている
アスベル正しい想いを繋ぎ、間違いを正していけば争いを完全になくせるはずだ
ユーリ世界を変えようってんなら、人間全部が変わらなきゃいけねぇ。どうしても時間がかかっちまうさ
ユーリ時間がかかったとしても、オレ達が変わらなきゃ意味がねぇ
ヴァンいつかは…きっと…そんな微かな希望にすがるのもいい
ヴァンだが、現実を見ろ。そのいつかの希望を待つ中で痛みや犠牲が日々生まれている事を
ヴァン戦乱が生む大きな犠牲、人を失う痛み…お前達は真実から目を背けているにすぎん
ミクリオ
ヴァン故に、私とカーツは決めたのだ。これを最後の犠牲にすると
ヴァン世界を晶化で覆う事で、全ての争いを根絶させると──
スレイ
scene2ヴァンの理想
ゼロス争いを根絶…
ヴァン…そうだ。この世界は欺瞞と矛盾に満ちている
ヴァン国同士の戦争、権力争い、人々の騙し合い…挙げていけばきりがない
ヴァン人間というものは、争いをやめられない存在だ。今の世界であり続ける限りはな
ヴァン故にこの世界を変える…
ヴァンこの世界に蔓延る争いの連鎖を断ち切るのだ
スタンどうしてそれで晶化現象が必要になるんだ!?
スタンそんな事をしたら、争いどころか人間までいなくなるって事だろ!
エリーゼスタンの言う通りです…!どうして晶化にこだわるんですか…?
ヴァン晶化は滅びにあらず。救世に他ならない力だからだ
ルドガー晶化が救世…だと?どういう事だ?
ヴァン晶化とは、大いなる救世主「天帝」による力…
ヴェイグ天帝…?
ティアそれは一体…
ヴァン天帝の目覚めと共に世界全土は晶化に包まれる…
ヴァンそして、この世界の浄化が果たされるのだ──
スレイ……
scene1天帝
スレイ天帝…それに、世界の浄化……
スタンその天帝っていうのが晶化現象を引き起こしてる元凶なのか…?
ティア…兄さん、答えて。その天帝とは一体何なの?
ヴァン…時が来ればわかる
ゼロスおいおい、この期に及んでもったいつける気かよ
ヴァン目覚めは近い。語らずとも、じきにわかるという事だ
ヴェイグ…なら、浄化の事を話せ
ヴェイグ晶化で覆われて浄化が果たされる…それが救世とはどういう事だ
ヴァン全てが無に帰る。国も、人も、全てだ
ヴァンこの世界を捨てる事こそ救世…、これこそが浄化…
ルドガー全てを無に帰し、世界を…
エリーゼ捨てるって事は…今のこの世界をなくすって事ですよね…?
ティポそんなのイヤだよー
ゼロス…ふざけるな!お前に何の権利があってそんな事を…
ヴァンお前達に許しを乞う気などない
ヴァンだが、既に時は満ちた。どうあがこうと、天帝による浄化は免れん
ヴァン…見るがいい。この周辺を始め、既にウィンドルのほぼ全域が晶化した
ユーリ…後はお前さんが手を下すまでもなく誰もが絶望や不安を抱くってワケか…
ミクリオ晶化現象は瞬く間に広がる…このままでは世界中が…
アスベルくっ…!
エリーゼそんな…
ルドガー
スレイヴァン…
scene2天帝
ヴァン
ティア……あなたの考えはわかったわ。この行いが、争いの連鎖を断ち切るためのものだという事も
ティアでも…今の惨状はどう?
ヴァン
ティアあなたが誘発させた戦争で多くの人々が巻き込まれ、命を落としている
ティアそれに、晶化現象も…。数えきれないほどの人々に未だ苦しみを与えているわ
ヴァンこれは最後の痛みだ
ティアそんなの言い訳よ。あっていい犠牲なんてあるわけない
チャキ…
ティア兄さん…、あなたは私が止める。それが妹として私に出来る最後の事よ
ヴァン
ジェイド──ウィンドルにおける大規模な晶化現象の全容は、まだ掴めておりません
ジェイド確実に言えるのは、かつてない規模で晶化現象が一気に発生したという事です
ジェイドそれを機に、一時この砦に総攻撃を仕掛けてきた軍勢の大半は晶化、残りは混乱の内に敗走…
ガイアスセルディクやグレバムらの行方は?
ジェイド晶化の進行で捜索は困難を極めており残念ながら行方は掴めておりません
ジェイドただ、状況から考えると晶化に巻き込まれた可能性も高いかと思われます
ジェイド戦闘自体は収束しつつありますが、今はそれよりも…
ガイアス晶化の進行か…
ジェイドはい。ウィンドルの晶化以降、被害の進行は一層早まっています
ガイアス…カン・バルクへ戻る。急ぎ次の策を打たねば
ガイアス砦の兵には、引き続き晶化被害の調査と負傷者の保護に徹するよう伝えよ
ガイアスあとは作戦のもと首魁の元へ向かったスレイ達や同盟軍の捜索だ
ガイアス捜索部隊の指揮はお前に命じる。必ず、見つけ出してこい
ジェイドええ、わかりました陛下
scene1決別の一閃
ヴァン──ティア。やはり、私に刃を向けるのだな
ティア言ったはずよ。私はあなたを止めると
スレイティアだけじゃない。オレ達だって同じ気持ちだ
アスベル戦争を引き起こし、リチャードやウィンドルを晶化させたお前を許さない…!
ゼロスこれ以上…お前の思うようにはさせねぇ
ヴァン威勢のいい事だ。だが、あいにく勝機はない
ヴァンカーツとの激闘を経て満身創痍である今のお前達には──
ティアだとしても、やらなければならないのよ…!
ティアはああっ!!
ヴァンせいっ!!
ティアうっ…
ルドガーティア!
スタン一人で突っ込むな!
ヴァンティアよ…
ヴァンお前は誰よりよく理解しているはずだ。私には勝てないという事を…
ティア実力は圧倒的にあなたが上…。けれど…私が止めなければならない
ティア例え、刺し違えたとしても──…
ヴァン……我が妹ながら愚かな事だ。憂いは全て、ここで断ち切る他なさそうだな…
ヴァン
ヴァンはあああっ!!
スレイティア!!くっ…、今助けに──
???させねぇ!
ガキーンッ!!
ミクリオあれは…
ルーク──おい、ティア。お前が命をかける必要なんてねぇ!俺に任せろ
ティアルーク…!あなた、どうして…
ヴァンほう…まさかお前がここに来るとはな
ロイドルークだけじゃない、俺も一緒だ!
ロイドヴァン!ルークを騙して、コレットをさらわせたお前を俺は絶対に許さない!
ヴァンふ…
スタンルークに、ロイド…!?何で二人がここに…?
ゼロスおい、何がどうなってんだ!
ルーク詳しい話は後だ!それより…
ルークこの大規模な晶化…全部あんたの仕業なのか…!?師匠!
ヴァンその通りだ。晶化こそ、理想への扉…
ルークくっ…!
ルーク…これ以上師匠の思い通りにはさせねー
チャキッ
ロイドああ!ヴァンを絶対に止めるぞ、ルーク!
ヴァンふっ…来るなら来い、まとめて相手をしてやる
ルーク…いくぞ!!
ルークうおおおおおっ!
ユーリ…早速おっ始めやがったな。相変わらず、気の早い奴らだ
ティアとにかく、私達もすぐに加勢して──
ルドガー……!いや、そういうわけにもいかなさそうだ
ドドドド…
エリーゼ…?これは地響き、でしょうか…
ヴェイグあれは…!
ガアアアアッ!
スレイ魔物の群れ…!?
ティポショーカの方からどんどんくるよー!
ヴェイグあんな大量に…
ミクリオ晶化現象の影響か…!?
アスベルくっ、よりによってこんな時に…
ゼロスヴァンの事はルーク達に任せて魔物を片付けるぞ!
ゼロスあいつらなら、その間くらい踏ん張れんだろ
スタン…うん、そうだな。俺もそう思う!
スレイ…行くぞ!
scene2決別の一閃
ヴァン──せやっ!
ルークくっ…
ヴァン避けたか…、ならば…!
ルーク…!ロイド!後ろへ下がれ!
ロイドああ、わかった!
ヴァンふっ…私の動きを読んでいるな
ヴァン正直驚いているぞ、ルーク。ここまでやるとはな
ルークその剣も、太刀筋も全部、稽古で嫌ってほど見てきたんだ。楽にやれるとは思わねー方がいいぜ
ヴァン私の剣をよく見、覚えた事は褒めてやろう。だが──
ヴァンそれは私も同じ…
ヴァンはああっ!
ルークくっ
ロイドルーク、大丈夫か!?
ルークああ、かすっただけだ…!
ヴァンさあ、ここからどうする。私に教えられた剣で、私を越える事など出来んぞ
ルークやってみなくちゃわからないだろ!
ルーク最後にもう一度だけ聞く。こんな事、望んでやってるってのか?
ロイドルーク…
ヴァン何度聞かれても答えは変わらん。晶化こそが人間を救済する最善の手段──
ヴァンその考えは何一つ変わらん。お前と再会した時からな
ルークもう、俺の知ってる師匠じゃないんだな
ルーク争いを無くしたいなら、他にもっといい方法があるはずだ!こんなやり方絶対間違ってる…!
ヴァン…元より、お前に同意を求めるつもりはない
ルーク師匠…!
ヴァン…くどいぞ、ルーク
ルーク…あんたと決別した時からずっと考えてた。もしかしたら、話せばわかってくれるかもって
ルークけど…、もうわかった。これ以上は何も言わねー
ルーク俺は…俺なりの方法でこの世界を変えていく!そのためにヴァン!あんたを倒す!
ヴァン師を越えると言うのか。…ふん、面白い
ルークはああああっ!
カキーンッ!
ルーク…!
ヴァン脇が甘い、お前の悪い癖だ
ルークくそ…っ!
ヴァンお前の限界はこんなものか…
ロイドそう決めるのはまだ早いぞ!
ロイドはあっ!
ヴァンさせん!
ドカッ!
ロイドうぐっ…!
ヴァンロイドと言ったな。二刀流も悪くはないが、私には──…
ヴァン…!貴様、もう一本の剣はどこに…
ロイドへ、へへ…ルーク、今だ…!
ヴァンくっ…、後ろか!
ルーク遅いぜ…!これでも食らえ!
ザシュッ!
ヴァンぬうっ…!
ロイドヴァンに一太刀入った!いいぞ、ルーク!
ルークよし!
ヴァン……
ヴァン私を越える、そう言ったなルーク。ならば、私も全力で応えてやろう
ブオンッ!!
ルーク…!!ロイド、離れろ!
ロイド何!?
ヴァンもう遅い!はああああっ!!
ティア…!今の光…、まさか──
???はあっ!
ギャウウッ!
スレイ大丈夫!?ティア!
ゼロスおいおい、ティアちゃん!目の前に魔物がいるってのに、よそ見はさすがに危ないぜ?
ティアごめんなさい、助かったわ…
ティアでも、今の光、見たでしょう?
ヴェイグヴァンか…
エリーゼルークとロイドが心配です
ルドガー早く戻らないと…!
アスベルみんなはルーク達の方へ!残りの魔物なら俺とユーリで十分だ
スタンアスベル…でも…
ユーリお前らのお蔭であらかた片付いた。こっちが終わったらすぐに合流する!
ミクリオ…スレイ、ここは彼らに任せて、僕達は行こう
スレイああ。ありがとう、アスベル、ユーリ…!
scene3決別の一閃
ティア──いたわ!ルーク、ロイド!
スタン…!待て、あれは……
ゼロスおい…、嘘だろ…?
エリーゼそんな…
ルドガールーク!ロイド!
ルーク……
ロイド……う…
ミクリオ息はある…!
ヴェイグだが、酷い傷だ。エリーゼ、治癒術を…
エリーゼはいっ…
ティポルーク君、ロイド君がんばってー
ティア兄さん…、あなたは…
ヴァン全力で来たので全力で応じたまでの事
ヴァン──…っつ…
ルドガー…!その腕…
ティア大きな深い傷…二人にやられたのね
ヴァン…目覚めたら伝えてやれ。中々いい太刀筋だった、とな
ヴァン無論、目覚めればの話だが
スタン許せない…今この場でお前を倒す…!
ゼロス覚悟しな、ヴァン!
スレイミクリオ!
ミクリオああ、わかってる
スレイ・ミクリオルズローシヴ=レレイ!!
ヴァン神依か…。ふっ、だが──…
ズズ…
エリーゼ…!何か変な感じがします…!
ティアこれは一体…
スタン雷鳴か…!?
ズドドドドド───ン!!
ルドガーな、何だ!地震まで…!?
ヴェイグいや、これは…!大気が振動している…!?
スレイぐっ…!
ヴァン…ふっ
ゼロス収まったか…
ミクリオ一体何が起きたんだ…
スレイ…みんな、空だ!あれを見て!
ティアあれは一体…!?
エリーゼお城…でしょうか…
ヴァンようやく現れたか…。天帝の御座よ
スタン天帝の…
ゼロス御座だと…!?
ルドガーという事は、あそこに天帝が……
ヴェイグ…!これは何だ…?雪のようなものが降り始めたぞ
ティポでも、これ冷たくないよー
エリーゼ…!雪じゃありません…これ…小さな結晶です…!
ルドガー御座の出現と結晶の雪…ヴァン…これは…!
ヴァン言ったはずだ、目覚めの時は近いと
ヴァンまもなくだ。地上は全て晶化で包まれる…
ヴァン世界の浄化が始まるのだ
ルドガーくっ…!何だ、このすさまじい光は…!
エリーゼ眩しくて、目が…
ティア…天帝の御座よ。あそこから放たれている…兄さんを照らしているわ…!
ゼロス天帝からの迎え、ってわけか…!
ヴァン…ふ、まあそんなところだ。この段階までくれば、最早私の役目は浄化を見守る事のみ
スレイ駄目だ、行かせない!今ここで決める…!
スレイ・ミクリオ蒼の四連!いっけええええ!
バシュウウウ!!
ヴァン…無駄な事
パキィィィンッ!
エリーゼ光が、消えました…
ゼロスヴァンの野郎もな…
ルドガー
スタンくそっ、あと少しのところで…
スレイ…けど、まだ終わりじゃない。あそこに天帝がいる。そしてヴァンも…
ヴェイグ追いかけなくては…
ゼロスでも、どうやってあんなとこ…
ティア今は、ルークとロイドの手当が優先だわ
ルドガーそうだな…エリーゼ、二人はどうだ?
エリーゼもう少し、お時間もらえますか?
ティアルーク…
scene1揺るがぬ心
ルークう…
ルドガー…!ルーク、目覚めたのか!?
ルーク…あれ、…俺……
スタンルーク…!よかった…!
ヴェイグ…お前とロイド、二人共かなり危険な状態だったんだ
ルーク…!そうだ、師匠…ヴァンは──…
ルークうぐっ…!
スレイ駄目だよ、ルークさん!急に動いちゃ…
ルークそんな事はどうでもいい…!それより師匠は…!?
ティア…取り逃がしたわ。あなたとロイドが必死に戦ってくれたのに…ごめんなさい
ルークそんな…!くっ…
スタンルーク、まだ動かない方がいい!
ミクリオ…今は安静にすべきだ。応急処置を施したとはいえ、傷はかなり深い
ルークロイド…。ロイドは無事なのか…?
ゼロスああ、心配すんな。少し前に目覚めて、今あっちでエリーゼちゃんが看てる
ルークそっか…
ティア…ルーク、何故あなた達がここに?
ティアロイドと一緒だったという事は神子誘拐の件は──
ルーク…ああ、ちゃんとけじめは…つけたぜ。約束した通りな
ルークあれから、ガイと一緒に国に帰って伯父上とちゃんと話したんだ。…師匠の事も全部
ルーク事情は理解してくれたけど、体面もあるからって屋敷で謹慎って事になったんだ
ルドガー謹慎か…。でも、ならどうやってここに?
ロイド…俺が話したんだ。キムラスカの王様に
スタンロイド…!起きて大丈夫なのか?
ロイド…ああ、大丈夫だ。ありがとな、スタン
ティアロイド、国王陛下に話したというのは…
ロイド…特別な事は何も言ってない。ただ、ありのままを話しただけだ
ロイドコレット本人がルークの罪を否定してる
ロイドだから罰を与える必要はない、ルークを解放してくれって。うちの国王もそれをわかってくれた
ルークコレットに、そんな事言ってもらえる資格なんて俺にはねーんだけど、な
ルークロイドにも、また助けられちまった
ゼロスクラトスが言ってた「ロイドのやるべき事」はこの事だったのか
ロイド…ま、そんなとこだ
ティア…改めてお礼を言わせて。二人共、さっきは助かったわ
ロイド礼ならルークに言ってやってくれ。あの時咄嗟に割って入ったのはルークの判断だからな
ルーク…別に俺は…ただ──…
ティア…ルーク、あなたに助けてもらうのはこれで二度目ね
ティア…まだ迷いがあった私だったら兄さんにあれだけの傷を負わせる事すら出来なかったわ
ティア自分のしてきた事に向き合って…ちゃんと乗り越えてきて強くなったのね、ルーク
ティア私を…助けてくれて、ありがとう
ルーク…!
ルーク……
ヴェイグ…とにかく、二人共意識を取り戻した事だ、ここから離れた方がいい
ゼロスそうだな…。またさっきみたいに魔物の大群が来るとも限らねぇ
ミクリオヴァンを追うにしても一度体制は立て直すべきだしね
スレイよし、じゃあ砦に向かおう。ガイアス王やジェイドさん達もこっちの報告を待ってるはずだし
ルドガーああ、そうだな。ルーク、立てるか?肩を貸すよ
ルーク…おう。サンキュな、ルドガー
ゼロス俺さまの肩は高いぜ?なんてな…ほらよ、ロイド
ロイド悪いな、ゼロス
ユーリおし、準備完了。行くとすっか
スタンああ!
エリーゼ…!みなさん、待ってください
エリーゼあそこに何か…
ティポキラキラしてるよー!
アスベル…?
スレイ…!あれって…
スレイこれってまさか、晶化の結晶…──の破片…?
アスベル晶化の結晶って砕けないはずじゃなかったのか…?
ヴェイグああ、そのはずだ。力ずくは何度も試したが…、これは一体…
ミクリオ…!スレイ、これは…
スレイああ、さっきの神依だ…!ヴァンに向けて撃った技が、確かこの辺りに当たって…
ユーリおいおい、マジかよ…。何やっても傷すらつかなかった結晶が…
ルドガー…神依は俺達の想像していた以上にすごい力なのかもしれないな
スレイ…そう…なのかな?
ティアとにかく、行きましょう。ここは危険よ。ルーク達を安静に出来る場所へ
スレイああ、そうだな。それじゃあ、出発しよう
scene2揺るがぬ心
ヴェイグここも晶化が酷いな…
ミクリオ…ああ。今までにない規模と速さで晶化現象が起きたのは明白だね
スレイ
スレイウィンドル全土が晶化したって話、やっぱり本当なのかな…
ゼロス…わからねぇがカーツやヴァンの口振り的に嘘だとは思えねぇ。残念だが…
アスベル信じたくはないが…これではバロニアに戻る事すら…
ルドガー
ルーク…──うぐっ!
スタン…!大丈夫か、ルーク?
ティア傷が疼くのね…。これだけ歩いたのだもの、無理もないわ
ゼロスハニーも結構キツそうだし、どこかで一度休んだ方がいいかも──
???…それはあまりお勧め出来ませんねぇ
スレイ…!あなたは…
ジェイドようやく見つけました。まさかルーク達まで一緒だとは思いもしませんでしたが
スタンジェイドさん!?どうしてここに…
ジェイド陛下の命です。あなた方を捜しに来ました
ユーリ砦の作戦はどうなったんだ?
ジェイド砦へ押し寄せていた軍勢は、例の晶化を機に逃げ去りましたよ。まるで蜘蛛の子を散らすように
ゼロスさすが、寄せ集めの軍…。逃げ足だけは早いってワケか
ジェイド首魁達は全滅したようですし、連合軍は最早壊滅したと考えて頂いて大丈夫ですよ
ジェイドこれも皆さんのお蔭ですね
スレイ全滅…?って事は、他の二国も…?
ジェイドええ。さきほどシルヴァラント軍の皆さんと再会出来ましてね、グレバムは晶化に飲まれたと報告が
ジェイドキムラスカの反乱軍の指揮官についても同様です
ジェイドあなた方の対象であるセルディクもここまでの道のりの中で戦死しているのを発見しました
スレイ…それなんですけど、実は、セルディクを討ったの、…カーツなんです
ジェイドカーツが…?
エリーゼはい…。それを報告するためにわたし達、砦に向かってたんです
ジェイド……なるほど。あなた方しか知らない何かがいろいろと起きていたようですね
ジェイドそれに…上空に現れた城とこの降り注ぐ結晶の雪…
ジェイド何かご存知ですか?
ルドガーああ、大体は…
ジェイドでは、カン・バルクまで皆さんをお送りします。陛下の前でお聞かせ願えますか
エリーゼカン・バルク…ですか?
ジェイドええ。陛下は次の対策のため、既に砦を出られ首都へお戻りになられています
ジェイドすぐ近くに我が軍の救護部隊が待機しています。まずはそちらへ案内しましょう
ジェイド救命用の担架もありますのでルーク達への身体の負担も軽減出来るかと
ゼロスそいつは助かるな。早いとこ案内を頼むぜ、ジェイド
ジェイドええ、ではこちらへ
scene3揺るがぬ心
ゼロス──ふぃ~、ようやくカン・バルクに到着だ
スレイこの辺りの晶化はそこまで酷くないな
ミクリオああ。道中晶化が発生する場面を何度も見かけていたからね。少し心配だったけど、安心したよ
ジェイド…さて、ひとまずルークとロイドの二人ですが…
ジェイド傷の状態が酷く、その影響か発熱などの症状も見られますので軍医の元へ移送しようかと
ティア私も付き添います
ジェイドええ、是非
アスベル──じゃあ、俺とユーリもここで一旦失礼するよ
アスベルエステリーゼ様に、セルディクやカーツの一件を報告しないと
ルドガーエステルはこの街にいるのか?
ユーリああ。同盟の一件以降、ここの王宮に滞在してる
ヴェイグなるほどな
ユーリそれじゃ、またな?
エリーゼはい…!二人共、ありがとうございました
ティポアスベル君、ユーリ君、またねー!
ゼロス──にしても、とんでもねぇ事になっちまったな
スタン大規模な晶化現象の発生と天帝の御座、それに結晶の雪まで…
ルドガーウィンドル全土の晶化…、あれは本当なんだろうか
ミクリオそれは…
クロエ──皆、ここにいたか
クロエガイアス陛下から皆が街に帰還したと聞いて、様子を見に来た
ゼロスクロエちゃん!無事だったんだな
ルドガーグレバムは晶化したと聞いてクロエ達は大丈夫か心配していたんだ
クロエ危ない目にも遭ったが、何とか巻き込まれず戻って来られた
スタンそうだ…!今回の大規模な晶化の状況について何か話を聞いてないか?
クロエ詳しい事はまだ調査中らしく、確かな情報とは言い切れないが…
クロエやはり今回の晶化現象は、ウィンドル全域に及んでいる可能性が高いらしい
ルドガー…!
クロエ王都バロニアを始め、周辺にある街や村も飲み込まれてしまったと…
ルドガーイニル街は?何か聞いていないか?
クロエいや、そこまではわからない…。ただ、とにかくあれだけの規模だ。無傷と言う事は考えにくいだろう
ルドガー……
シルヴァラント兵──クロエ殿!ここにおられましたか
クロエん?どうかしたのか
シルヴァラント兵クラトス様がお呼びです。至急王宮へお戻りください
クロエわかった、すぐ行く
クロエでは、すまないが私はこれで。皆の無事を確認出来てよかった
ゼロスお互いに、な。クラトスにもよろしく伝えといてくれ
スタン…ウィンドルの晶化…。やっぱり間違いないんだな…
ルドガーいや…、まだわからない。この目で見たわけでもないし…
ルドガーそれに、例え街が晶化したとしても、逃げ延びる可能性だって十分考えられる……
ルドガー…きっとそうだ。エルや兄さんなら…きっと…
エリーゼルドガー…
スレイとにかく、ヴァンを追いかけて天帝の御座へ行こう
スレイ晶化を食い止めてオレ達の手でこの世界を守らないと
スタンああ、そうだな
ミクリオ…鍵は、晶化の元凶である天帝だ。ヴァンは天帝が目覚めれば、世界は完全に晶化すると言っていた
ミクリオ裏を返せばそれは、天帝が目覚めるまで、まだ猶予があるという事だろう
ヴェイグならば、…その天帝とやらが目覚める前に倒せばいい
ヴェイグおそらくそれで世界全土が晶化に覆われるという最悪な結果は避けられる
ミクリオ…いや、それだけじゃない。ヴァンは天帝の持つ力こそが晶化現象だと話していた
ミクリオだとしたら、天帝を倒せば既に晶化してしまった人や物も元に戻るかもしれないね
エリーゼ天帝を倒して、みんなを……
ゼロスなるほどな。わかりやすくていいじゃねぇか
ゼロス根本の元凶である天帝を何とかすりゃ一発逆転、ってわけだ
スタン問題は、どうやって空にあるあの御座へ行くか
スレイジェイドさんに相談してみよう。あの人なら何か知恵を貸してくれるかも──…
ミクリオ…待ってくれ
ミクリオ天帝は倒すとしても、だ。それとは別に、もう一つ大きな問題がある
ルドガー…晶化現象の加速、か…
ミクリオああ…。今回の大規模な晶化を機に人々の不安や絶望が急激に世界中に募り始めている
ミクリオカン・バルクへ来るまでにも嫌というほど何度も目にしたはずだ。晶化が発生する瞬間を…
ミクリオ晶化の進行は今までとは比にもならないほど加速している
ミクリオ元凶である天帝を倒す事も重要だが、同時に世界に拡大する負の感情を鎮め晶化の進行を抑える必要がある
エリーゼ世界に拡大する負の感情を…
エリーゼ天帝も倒さないといけないのに……わたし達だけでそこまで出来るんでしょうか…
ティア──自分達だけじゃどうにもならないなら他の人に協力を仰ぐしかないわ
エリーゼティア…!ジェイド…!戻ってきてたんですね…
ジェイドお話し中、失礼しますよ
ゼロスロイドとルークはどうなったんだ?
ティア二人共しばらく安静に、との事よ。特にルークの方は、以前の傷が祟ったみたい
ティア完治するまでにはかなり時間がかかるようだわ
ルドガーそうか…。二人にはしばらくゆっくりと休んでもらわないとな
スタンところでティア、協力を仰ぐって…誰にだい?
ティアここはカン・バルクよ。頼めるとすればガイアス陛下しかいないわ
ティア四大国を取りまとめたあの方なら必ず実現出来る…
スタン確かに…ガイアスさんしか考えられないな
ヴェイグ彼が声を掛けてくれれば各国の代表も協力してくれるだろう
ジェイド皆さんにそこまでの信頼を寄せていただいて、きっと陛下もお喜びになるでしょう
ジェイドそうと決まれば、早速相談しに行かれてはいかがでしょう?
ジェイド陛下も皆さんからの報告をお待ちです
スレイはい、わかりました
scene1ア・ジュールの切り札
ガイアス──よく無事に戻った
ティアご心配ありがとうございます。ガイアス陛下もご無事で何よりです
ガイアスセルディクの一件については、既にジェイドから話は聞いている
ガイアス加えて、お前達から何か私に話があるとも
スタンはい。ガイアスさんにしか頼めない事なんだ
ガイアス…話を聞こう
ジェイドスレイ、その前にヴァンの事や例の「天帝の御座」など、順を追ってお話いただけますか
スレイわかりました
ガイアス──ヴァン…。やはりあの上空の城は、奴によるものだったという事か
ガイアスさらには、連合軍による戦争はこの大規模な晶化を引き起こす事が狙いだったと…
スレイ…はい
ジェイド晶化の元凶である天帝…その正体は一体何なんでしょうね
ジェイド…いずれにせよ、ヴァンがそのような得体の知れない者と共謀していたとは想定外でしたが
ルドガー天帝についてはこれ以上の詳しい情報は得られていない
ゼロスだが、それでも世界が完全に晶化しちまうのを避けるには、天帝の目覚めを防ぐしか方法はねぇ
ヴェイグ…元凶を潰せば、今各地を蝕んでいる晶化自体も解決出来る可能性が高いしな
スレイ…だからオレ達は天帝の御座に行こうと思ってます
スレイそこでガイアス陛下、あなたに頼みたい事があるんです
スレイ今人々の間で加速してる不安や絶望…そういう負の感情を鎮めて、晶化の進行を食い止めてほしいんです
ガイアス
エリーゼウィンドルの晶化の事で世界中の人達の不安は今ピークに達してます…
エリーゼそのせいで、晶化の進行はどんどん勢いを増してて…
ティポあちこちでたっくさんショーカが起きちゃってるんだよねー
ティア人々の不安を和らげ、混乱を鎮められるのはガイアス陛下…あなたを措いて他なりません
ミクリオ四大国を取りまとめたあなたにしか出来ない事だ
スタンお願いします、ガイアスさん。天帝の事は必ず俺達が何とかする、力を貸してほしいんです!
ガイアス
ガイアス…約束しよう。地上の事は俺に任せておけ
ガイアス四大国で連携を取り全世界の民の混乱を鎮めてみせる
スレイガイアス陛下…!ありがとうございます
スレイオレも約束します。天帝の目覚めを防ぎ、必ずこの世界を守ると
ガイアス…ああ
ジェイド…ところで皆さん、天帝の御座へはどうやって行くつもりですか?
スレイそれなんですけど……何かいい方法、ありませんか?
スレイジェイドさんなら何かいい手を知ってるかもって、相談しようと思ってたんです
ジェイドおやおや…。勇敢な意気込みとは裏腹に、行く当てもなかったとは
ジェイドそうですねぇ、空に行く…ですか。まあ、ない事もないのですが──
ガイアス構わん、ジェイド。あれを託せ
ゼロス…?あれって一体…
ガイアス相手が空なら、こちらも飛ぶ。それだけの事だ
スレイ空を…!
scene2ア・ジュールの切り札
スレイ──空を飛ぶって一体…
ガイアス空を駆ける船、飛空船だ
エリーゼ飛空船…?
ヴェイグそんなものが…
ゼロスア・ジュールは兵器の研究も盛んだからな。その技術の賜物ってワケか
スタンそんなすごそうなもの…俺達が使ってもいいんですか?
ガイアス世界の一大事に立ち向かう者に出し惜しみする事はなかろう
ジェイド世界が晶化してしまっては元も子もありませんしね
ジェイド陛下のお話にあったように我が国では飛空船を開発しています
ジェイドそれを用いれば、天帝の御座まで上昇する事は可能でしょう
ジェイドいえ、寧ろ他に手段はないと言った方が適切かもしれませんね
ジェイド──ただ…、懸念がないわけでもありません
ミクリオ何か問題があるのかい?
ジェイドこの飛空船はまだ開発途中…試作機は一機しかなく、試運転もほとんどしていません
ジェイドとてもじゃありませんが、安全とは言い切れない状態です
スレイジェイドさん、ありがとうございます。でも、オレ達なら大丈夫です
ガイアス
ミクリオ御座へ行ける唯一の方法、その飛空船が安全と言えなくても…
スレイ乗らないって選択はないです
ルドガーああ。天帝の御座へ乗り込むと決めた時から既に覚悟は決まってる
ティアええ、そうね
エリーゼガイアスさん、ジェイドさん…飛空船を貸してください…!
ガイアス…よいな、ジェイド
ジェイドええ、危険を承知の上でスレイ達が望むのなら私も止めはしません
ガイアス我が国の飛空船を用いてお前達を天帝の御座まで送り届けよう
スレイありがとうございます!
ガイアス一刻の猶予もない。出発は明朝だ。ジェイド、直ちに出発の準備を進めろ
ジェイド明朝…無理を仰いますね
ガイアス不可能か?
ジェイドいえ、間に合わせます
ガイアススレイ、お前達もだ。準備は今日中に済ませておけ。足りないものは用意させよう
ガイアス…それと、身体の方もしっかり休める事だ。部屋を用意させておく
スレイガイアス陛下…。いろいろとありがとうございます
スレイオレ達、必ず天帝の目覚めを防ぎます
ガイアス…ああ、頼んだぞ
scene1みんなの夢
スレイふう──…あれ?みんなここにいたんだ
ルドガーお、スレイも来たか
ゼロスその様子だと、お前もどうせ眠ろうと思ったけど、やっぱり眠れなかったってクチだろ
スレイうん、まあ…。って、ひょっとしてみんなも?
ヴェイグそんなところだ…
スレイそっか。…あれ、ミクリオは来てないのか?
ティアさっきまでここにいたのだけれど、外の空気を吸いたいと言って、出て行ったわ
エリーゼすぐに戻るって言ってましたけど…
スレイ…そっか
スタン…しかし、何なんだろうな、これ。次の日に特別な事が控えてると、前の晩に眠れなくなるって言う…
ルドガーエルもよく言ってたよ。寝なきゃいけないのにそわそわして眠れないーって
ルドガー俺達も今、まさにその状況なんだろうな
ゼロスあーそうそう。そわそわ、だな。いやーわかるぜ、その気持ち
ゼロス俺さまもカワイ子ちゃんとのデートの前日は、もう…ドキドキそわそわして──…
ティア
エリーゼ
ゼロスおいおい、いつものツッコミはどーしちまったんだよ?
ゼロス緊張すんのはわかるけどよ…今からそんなカチカチになっても仕方ねぇだろ
エリーゼすみません…ゼロスの言う事もわかるんですが…
エリーゼミラやライラ…晶化した人達みんなの運命がかかっていると思うと…
ティポどうしたって、バクバクしちゃうよねー
スレイ明日は決戦だからな…
スタンうん…
ヴェイグ…エリーゼ
ヴェイグそんなに気負う必要はない。明日はオレ達も一緒にいる、一人じゃない
エリーゼヴェイグ…
エリーゼそうですよね、みんなと一緒ならきっと何とか出来る…
エリーゼ…ありがとうございます。ヴェイグのお蔭で安心出来ました
ティポさっすがヴェイグ君ー。ゼロス君とはやっぱ違うねー
ゼロスちぇー、何だよ、この扱いの差はよー
スレイそれにしても…飛空船があるなんて、すごいよな
スレイもし今起きてる問題が全部無事に解決したら…
スレイその時は飛空船を借りて、世界中を旅するのも悪くないかも
ルドガー今起きている問題が、全部無事に解決したら、か
スレイライラと…約束したんだ。一緒に世界中を旅して回ろうって
スレイでも、まずはライラをオレとミクリオが育ったイズチに案内したいな
スタン天族がいるっていうところだろ?俺も行ってみたいな
スレイ勿論、みんなにも来てほしい。歓迎するよ!
ヴェイグオレは、クレアを迎えに行って…
エリーゼクレアさん、目が覚めたらびっくりしますよね…
ヴェイグいや…クレアの事だ。笑顔で村に帰ろうと言うだろう
ヴェイグそういえば、メルトキオで食糧を買いに出かけていたんだった
ヴェイグまた買い物しなおして…村に戻って豪勢な食事で祝うのもいいかもしれないな
ティアふふ、素敵ね
ルドガーオレもイニル街に帰ってエルや兄さん…ルルにたくさんご馳走を用意して…
ルドガーそうだ。エルに特別に美味しいスープを作ってあげないと
スタンスープ?
ルドガーああ、街を出る前に約束したんだ。帰ったら作ってやるって
エリーゼ約束…そうだったんですか…
ルドガーあの時は、街にエルを残していく方が安全だと思っていたんだ
ルドガーまさか…こんな事になるなんて
スタンルドガー…
エリーゼエルは、きっとルドガーの帰りを信じて待っていると思います
エリーゼ早く全部終わらせてエルにスープ、作ってあげてください
ルドガーエリーゼ…
ルドガー…ああ、二人は絶対に無事だ。信じるよ、もう揺れたりしない
エリーゼはい…!
スタンそのスープを作る時は、エリーゼとティポも呼んであげたらどうだ?
ティポぼく達もー?
スタンああ!人数が多い方が楽しいだろ。ちょっとしたパーティーみたいでさ
ルドガーはは、そうだな。エリーゼさえよければ是非来てくれ
エリーゼはい…きっと行きます。ありがとうございます…!
ティアよかったわね
スレイ今のオレ達が置かれてる状況が、危ないって事は確かだけど…
スレイ解決まで、後一歩のところまで来てるのも確かなんだよな
ヴェイグその通りだ…
スタン早く元の生活に戻れるように、力を合わせて頑張ろう
ティアそうね、何としても…
ゼロス…だな
ルドガー…ああ
スタンそれにしても…ミクリオは一体どこまで行ったんだ?
ティア…そうね。城内だし何かあったとは考えにくいけど、さすがに遅すぎる気がするわ
スレイちょっとオレ、様子を見てくるよ
scene2みんなの夢
スレイ──ミクリオの奴、一体どこまで行ったんだ?
スレイすぐ戻るって言ってたみたいだけど、王宮の近くにはいなかったし…
スレイ…あっ、いた!
スレイおい、ミクリオ!
ミクリオ…スレイ
スレイこんなところにいたのか。戻るのが遅いから、心配したんだぞ
スレイみんなも心配してる。早く帰ろう
ミクリオ…ああ
スレイミクリオ…?どうかしたのか?ぼーっと空なんか見上げて──…
スレイあれは月…。それに…
スレイもしかして、ずっと天帝の御座を見ていたのか?
ミクリオああ…
ミクリオ明日…僕達は、あそこへ向かうんだよな
スレイうん
ミクリオ
ミクリオ…天帝の御座を眺めながら今までの旅の事を思い出していたんだ
スレイ
スレイ…ミクリオ、オレ、思うんだ
スレイミクリオと一緒にイズチを出てから世界中を旅してきて、辛い事や悲しい事がたくさんあった…
スレイけど、それだけじゃない。信頼出来る仲間とも出会えたし、楽しい事もあった
ミクリオそうだね…
スレイまだまだオレ達が知らない事、もっといっぱいあると思う…
スレイこの世界を、もっと見てみたい…。だから、守らないと…オレ達で
ミクリオスレイ…
ミクリオああ、僕も同じ気持ちだ
ミクリオこの世界を、僕達の手で守ろう
スレイオレ達の夢…絶対かなえような、ミクリオ
ミクリオああ、絶対に
???こんな夜更けにデートですかぁ?
スレイ…ん?
ミクリオ…何だ?
ゼロス何だ、じゃねーよ。二人だけで盛り上がりやがって
ティアごめんなさい、盗み聞きをするつもりはなかったのだけれど
スタンスレイ達が心配で、俺達も様子を見に来たんだ
ルドガーでも、杞憂だったみたいだな
ゼロスなーにがオレ達の夢、だよ。天帝の御座に乗り込むのは、お前らだけじゃねぇぞ
スタンそうそう、だから俺も入れてくれよ。「俺達の夢」ってな!
ティポそうだそうだー
エリーゼわたし達の夢でもあります…
ティアここにいないルークやロイドの夢でもあるわ
ヴェイグ仲間達全員…いや、世界中全ての人々の、な
スレイ…うん、そうだな。みんなの言う通りだ
スレイよーし!明日は上手くいく。そんな気がしてきた
スタンそれじゃ、そろそろ帰ろう。風邪を引いたりしたら、ガイアスさんに怒られるぞ
ゼロスふー、散歩したお蔭で何とか眠れそうだな
ルドガー安心して寝坊するなよ?
エリーゼティア…今日は一緒に眠ってもいいですか?
ティアええ、いいわ
ヴェイグこれを、最後の夜には──させない
スレイうん。みんなが、安心して暮らせる世界にしてみせる
スレイ行こう、みんな──
scene1託された翼
スレイ──ここが、例の…
ジェイドはい、テノス兵器工場です。その名の通り、主には兵器の研究、開発、生産を行っています
ジェイドかつては、魔導兵器なども作っていましたね
エリーゼ魔導兵器…
ジェイド飛空船もここで開発しています
ジェイド…念のため、お伝えしておきますが
ジェイドこの工場への立ち入りは勿論、飛空船の存在も全て我が国の重要な軍事機密です
ジェイド陛下があなた方をここへ案内する事を許したのは信頼あってのもの…
ジェイド他言無用でお願いしますよ
スレイ勿論、約束します
スタンところでジェイドさん、飛空船…船っていうからには操縦する必要がありますよね?
スタンひょっとして、ジェイドさんが操縦を?
ジェイドいえ、私は地上に残りますよ。やる事が山積みですからね
エリーゼえ…じゃあ誰が…
ゼロス俺さま達でやれって言われてもそいつは無理な話だぜ?
ジェイド心配には及びません。操船については、専門の訓練を受けた我が国の者を付けます
ルドガー…それはよかった。御座に着く前に墜落…なんて事になったら大変だ
ヴェイグ笑えない冗談だな
ジェイドですが、彼はあくまで操船のための人員です
ジェイド兵士ではなく、技術者です。実戦経験もありませんので戦力にはならないかと
ゼロスあくまで、戦うのは俺さま達だけって事だな
スレイわかりました
ジェイドヴァンがどれほどの戦力を擁しているのかは不明ですが、一筋縄ではいかないでしょう
ジェイド今更言うまでもありませんが、重々お気をつけください
ヴェイグ…ああ、そのつもりだ。何と言っても得体の知れない天帝が眠る場所だ
ミクリオどれほど守りを固めているか、何が起こるか…想像もつかない
ルドガーだけど、何が待ち受けていようと、必ず乗り越えてみせる
ティアええ、必ず…
ジェイドでは、飛空船のところまでご案内しましょう
scene2託された翼
ジェイド──こちらが、皆さんにお貸しする飛空船です
ミクリオこれが…
スレイ空を飛ぶ船…!
ティポでっかーい!
ゼロスやっぱりア・ジュールは油断ならねぇな。こっそりこんなもんを作るなんて
ジェイドお褒めに預かり光栄ですね
ゼロスったく…褒めてねぇっての
ルドガーそれより、試運転もろくにしていないって話だったがちゃんと飛ぶのか?
ジェイド浮遊試験は成功してますし、水平移動も問題ありません
ジェイドただ、先日もお話した通り開発途中の試作機です
ジェイド御座のある高度まで上昇するのは初めての試みです
エリーゼ
ヴェイグ…それでも、行くしかない
ティアええ、そうね
スレイこのまま世界が晶化していくのを黙って見てるわけにはいかない
スレイオレ達の世界はオレ達が守らないと
???──覚悟は鈍っていないようだな
スタンその声は…ガイアスさん…!
ガイアス
ジェイド陛下、お忙しいのではありませんでしたか?
スレイひょっとして、見送りに来てくれたんですか…?
ガイアス…そんなところだ
ガイアス──スレイ、それにお前達。世界の命運はお前達に懸っていると言っても過言ではない
ガイアス地上の事は我々が全力をもって対処する
ガイアスお前達も必ず、やり遂げろ
スレイガイアスさん…
スレイはい…必ず天帝の目覚めを防ぎ、ヴァンの野望を止めてみせます!
スタンみんなが晶化に奪われたもの、全部、取り返してきます
ヴェイグああ、必ずだ
ガイアスうむ…
ア・ジュール兵──陛下!ジェイド大佐!
ガイアス何事だ
ア・ジュール兵結晶の雪がどんどん激しくなっています…!
ア・ジュール兵おそらくその影響でしょう、各地の晶化現象も爆発的に進行しているとの報告が…
ティア…まずいわ
ミクリオああ…。僕達に残された時間は僅かという事だね
ヴェイグ…急いだ方がいい
ガイアス飛空船へ急げ。すぐに発進させよう
エリーゼわかりました…!
ミクリオ遂に決戦、だな
ルドガーああ…
エリーゼ次に、地上へ帰ってくる時は晶化現象はなくなってるはずです
エリーゼそしたら、ミラも…ライラも…
ヴェイグクレアも、みんなの生活も…全部、元通りだ
ティアええ…。あの人の思うようにはさせない
ゼロスんじゃ、さっさと天帝とヴァンの野郎をとっちめに行こうぜ!
スレイよし、みんな。飛空船に乗り込もう!
スレイ目指すは天帝の御座だ。そこで、全ての決着をつける…!

NameDialogue
scene1雲上の楼閣
スレイ──ここが、天帝の御座…
ルドガー…ようやく着いたな
ゼロス途中、墜落すんじゃねぇかと気が気じゃなかったが、何とかな
ヴェイグそれより……すさまじいまでの景色だな。見渡す限り一面晶化している
ルドガーそれだけじゃない。見てくれ、あの城…
ルドガーあれは晶化現象じゃない。結晶そのもので作られている
スタン飛空船から見た時も思ったけど、相当でかくないか?
エリーゼ綺麗…ですが…何だかすごく…嫌な感じがします
スレイあれも、天帝が作ったんだよな…
ミクリオそう考えて間違いないだろうね。天帝は晶化の元凶と言うし
ミクリオあの城に、周辺の結晶…。「天帝の御座」とは名ばかりではないらしい
ルドガー…天帝とヴァン、彼らがいるとすればあそこか
ティアおそらく…
ゼロスなら、早いとこ行こうぜ。ここで突っ立ってても仕方ねぇ
スレイうん、そうだな
ゼロス…ってワケだ。俺さま達は行く、飛空船の事は任せたぜ
ア・ジュール兵はっ、どうかお気を付けて
スタン…にしても、すごい高さだな、ここ。雲が足下に見える
ゼロス滅多に見られる景色じゃねぇぜ。しっかり見とけよ、スタン
ミクリオスレイ、見てくれ。ここから地上の景色が見える
スレイ…!すごい、これがオレ達の世界…
スレイこんなにも広かったんだな…
スレイ今見えてる景色が世界のほんの一部だなんて、信じられないっていうか…
ミクリオああ…
ヴェイグ晶化で覆われた大陸…あれがウィンドルという事か
ティアええ。そして、地理的にあの辺りが王都バロニアね
ティア結晶に覆われていてここからじゃ街がある事すら確認出来ないけれど…
スタン大陸の中でも特に酷い状態って事か…
エリーゼイニル街はどうですか…?確か、バロニアの近くに──…
ルドガー確認したけど…イニル街も晶化に巻き込まれた事は間違いなさそうだ
エリーゼ…!そんな…
エリーゼごめんなさい、ルドガー…わたし…
ルドガー…大丈夫だよ、エリーゼ。エルと兄さんはきっと無事だ
ルドガー俺はそう信じてる
エリーゼルドガー…
ヴェイグ…想像はしていたが、被害はかなりの広範囲に及んでいる
スレイうん…。バロニアから結構距離のあるピュール遺跡まで、完全に晶化してしまったみたいだし
ゼロスピュール遺跡?
ミクリオあそこに見える大きな湖…そのほとりにある遺跡で、僕達が初めてライラと出会った場所なんだ
ゼロスライラちゃん…そっか
スレイ……やっぱりこんなの間違ってる。この綺麗で広い世界を晶化で覆い尽くすなんて
スタンああ、そんな事はさせないさ。絶対に
ティア…そのためにも、先を急ぎましょう。私達に残された時間は限られて──
グオオオオッ!!
ヴェイグ…!今のは何だ…!?
エリーゼ魔物でしょうか…?
ルドガーまさか…!何でこんなところに……
グウウウ…!
ティポで、でたぁー!?
ゼロス…!いや…待て、何か変だぞこいつら!?
スタン本当だ…!こんな魔物、見た事も──
ギャウウウウウッ!!
ティアまずいわ、こっちに向かってくる…!
スレイなら、戦うまでだ!行こう、みんな!
ヴェイグああ!
scene2雲上の楼閣
スレイ──くっ…!
ミクリオ無事か、スレイ!
スレイああ、大丈夫だ!それより…
ギャウウウ…!
ゼロスちっ、あれだけやったってのにまだ元気なのかよ!ったく、どうなってんだ…
ルドガー攻撃の威力は勿論、硬さも他の魔物とは比にならない…!
スレイ…よし、ならこれでどうだ!
スレイはああっ!
グオオ…オオ……
スレイふぅ…何とか倒せたか
スタン今ので最後みたいだな…。はあ、びっくりした
ティアそれにしても、この魔物…一体どういう事なのかしら
ティア体の一部が晶化しているわ
スタンけど…それっておかしくないか?今まで人や動物が晶化した状態で動けた事なんて一度もない
エリーゼそうですよね…
エリーゼ前に目の前で魔物が晶化したのを見た事ありますけど…
ティポカチンコチーンってなったよねー
ヴェイグ…!いや、これは晶化じゃない。よく見てみろ
ヴェイグ晶化は物質を結晶で覆う…、だが、こいつらの体はその一部が結晶そのもので出来ているようだ
ルドガーそれって…あの城と同じって事か?
スレイだとしたら、この魔物も天帝が…
ミクリオ大いに考えられるね
ゼロスそういう事かよ。ったく、どうりでおかしいと思ったんだ
ゼロス地上ならまだしも、こんな突然現れた御座に魔物が巣食ってるなんて──
ルドガーむ…?
エリーゼこの光…ひょっとしてゼロスの天晶石、ですか…?
ゼロス…!何で今…
スタン確か、天啓の石碑が出現した時に、それを知らせてくれるーとか何とか言ってたような──…
スタン……え?って事は、もしかして新しい天啓の石碑が!?
ティアそんな、まさか…!
ゼロス今までの経緯からして多分そういう事だろうけど…
ゼロス…何にせよ、とにかく試してみるか
ゼロス
スタン…どうだ?
ルドガー何か見えたか?
ゼロス……ああ、よーく見えるぜ
ティアだとしたら、やっぱり天啓の石碑が出現したと言うのは事実なのかもしれない
ゼロス……けど、まさかな。こいつは厄介な事になってきやがった
ヴェイグどういう事だ?ゼロス、お前には何が見えている
ゼロス…結晶の橋、だ
スレイ結晶の…!?それって…
ゼロス…ああ。おそらくこの御座にある橋って事だろうな
ゼロス周辺の景色も似てるし、何より、橋の先に例の城が見えた。あの様子だと、多分城まで通じてる
スタン待ってくれ!つまり、この天帝の御座に新たな石碑が現れたって事か…?
エリーゼでも、どうして今…?それもよりによってわたし達のいる御座に現れるなんて…
ミクリオ…ヴァンやカーツ達は天啓についてあらゆる情報を持っていた
ミクリオさらに天帝という存在を加味すれば天啓自体、彼らが操っていたという可能性も十分に考えられる…
ミクリオこれがもし、仕組まれたものだとしても何ら不思議は──
ゼロス…!
ルドガーどうかしたのか、ゼロス
ゼロス何なんだこれ…。急に風景が乱れて………これは光…?
ゼロスあ…くそっ!駄目だ…
ヴェイグ…?
ゼロス…ああ、今見えてた橋の風景が急に切り替わって、何かこう…一瞬、でっかい光の渦が見えた
ゼロスすぐに真っ暗になって何も見えなくなっちまったが…ありゃ一体何だったんだ…?
ティア…それも、結晶のあるこの辺りと似た景色だったの?
ゼロスいや、多分違う。何か…星がたくさんあって、晴れた日の夜空みたいって言うか…
ゼロス…何にせよ、気味が悪い。こんな事は初めてだからよ
スタン光の渦、か…
ヴェイグ…とにかく、まずは最初に見えたという結晶の橋を探そう
ヴェイグ例の城に繋がっているなら、尚の事、探さない手はない
スレイうん、そうだな。それに…
スレイこれがもし、ヴァンによって仕組まれたものなんだとしたら、避けては通れない道だと思う
ゼロスよし…なら、行こうぜ
スレイああ!
scene1仲間を信じるという事
ミクリオ──見ろ、行き止まりだ。これ以上先へは進めない
スタンええっ!?またなのか…?
ルドガーはあ…これで何度目だ?
ティポぼくもうヘトヘトだけどー
エリーゼまるで迷路ですね…。結晶が複雑に入り組んでいて正しい道が見つけられません…
ゼロスったく、お目当ての城はずっと見えてるってのによ…
スレイ仕方ないよ、地道に進める道を探すしか方法はないんだし
ヴェイグ…ああ。よし、引き返すぞ
ゼロスちぇっ…
スタン…それにしても、すごい結晶だよな。天帝って一体何者なんだ…
ティア普通の人間じゃないという事だけは確かだと思うわ
エリーゼ天帝はヴァンよりも強いという事なんでしょうか…?
ミクリオ正直なところ、天帝について僕達はほぼ情報を持っていないから断言こそ出来ないけど──
ミクリオこれだけの能力を持っている以上ヴァンと同等、…いや、それ以上と捉えておいた方がいいだろうね
ルドガーそうなると、やっぱり鍵になるのは「神依」か…
ティアええ、そうね。私達の切り札である事はこの先も変わらないわ
ヴェイグ寧ろ、神依の力で結晶を砕ける事もわかった
ミクリオ晶化を生み出す天帝にも有効である可能性が高い、そういう事か
スタンじゃあ、やっぱり二人の神依は、決戦の時まで温存しといた方がよさそうだな
スレイうん、オレもそう思う
スレイ…天帝とヴァンを討つ、その時まで神依化はしない
スレイそのためにはみんなの助けが必要だ。力を貸してほしい
ルドガー勿論、端からそのつもりさ
ゼロス言われなくてもな
ティアあなた一人じゃない。これは私達みんなの戦いよ
エリーゼみんなで力を合わせて、天帝とヴァンを倒しましょう…!
スレイありがとう、みんな
ミクリオ
ヴェイグどうかしたのか、ミクリオ
ミクリオ…何でもない、気にしないでくれ
ティポミクリオ君、何だか嬉しそうなカオー
ミクリオなっ…!何でもないと言ってるだろう。ほら、先を急ぐぞ
スレイどうしちゃったんだ、ミクリオ…?
ゼロスさあ…
ヴェイグとにかく、先を目指そう…
ヴェイグ肝心の城にたどり着けなければ話にならない
ルドガーそれもそうだな──
グオオオオオッ!
スレイ…!今のって…
ティア魔物だわ…!それもすぐ近くに…
エリーゼひょっとして、また晶化した魔物でしょうか…
ミクリオだとしたら、厄介だね
スタンみんな、気をつけろ!どこから出て来るかわからないぞ
ルドガー…来た!みんな、構えるんだ
scene2仲間を信じるという事
スレイふう…何とか倒せたけど…やっぱり気のせいじゃないよな…?
ルドガーああ。この晶化した魔物の強さは尋常じゃない
エリーゼ地上で見る魔物とは明らかに違います…
スタンあんなのがこれからもわんさか出てくるのかな…?
ゼロスおいおい、シャレになんねぇぞ
ゼロスヴァンと戦う前に、あんなのとやり合ってばかりいたら体力がもたねぇっての
ミクリオ無駄な戦闘を避けるためにも早く進むべき道を探そう
ティアそれがいいわ。急ぎましょう──
ピシッ!
スレイうわっ!?
ルドガー晶化か…!
スレイ駄目だ、今ので道が塞がった
ヴェイグ何故急に…
ティア仕方ないわ、あっちの道へ行きましょう
エリーゼわかりました──
ピシッ!
ヴェイグ…!下がれ、エリーゼ!
ピキッ!ピシピシ!
ティポわー!?こっちも塞がっちゃったー!
ルドガー…道が次々に塞がっていく。まずい状況だな
ミクリオ何が起きてるんだ?急にあちこちで晶化が……
ヴェイグそれだけ地上の晶化も広がっているという事なのか…?
エリーゼそんな…
スタン諦めるのはまだ早い!こっちだ!
ピキッ!ピシピシ!
スタンくっ、こっちもか!だったら──
ピキッ!ピシピシ!
スタンくそっ…!
ティポこのままだとぼく達晶化させられちゃうかもー
ゼロスちっ…ヴァンの野郎、俺さま達を監視でもしてんじゃねぇだろうな
スタン例えそうだとしても、そんなの関係ない
スタンどんな邪魔が入ろうと俺達に出来るのはそれを乗り越える事だけだ
スタンそして絶対に乗り越えてみせる!だろ?
スレイスタン…
ゼロスぷ…
スタンえ?ゼロス、何で笑ったんだ?
ゼロス…いや、お前ってヤツは、つくづく単純な野郎だなーと思って
ヴェイグ…だが明快だ
スタンそうか?…俺はただ自分に出来る事は精一杯やろうって思ってるだけなんだけどな
ルドガーお前のそういう前向きな性格のお蔭で、いつも助けられてるよ
スレイスタンの言う通りだ、諦めるのはまだ早い
スレイみんなで手分けして道を探そう。きっと見つかるはずだ
スタンああ!
scene1神子の覚悟
スレイ──ようやくたどり着いた…
スレイここが、結晶の橋…!
エリーゼすごく大きいですね…
ヴェイグゼロス、お前が天晶石を通じて見たのは確かにこの橋か?
ゼロスああ、ばっちりな。間違いねぇ
スタンって事は、天啓の石碑もこの辺りに?
ゼロス…のはずだが、それらしいもんは今のところ見当たらねぇな
ティア城の正門へ続いているようね。奥に城壁が見えるわ
エリーゼあの大きな門から城内に入れそうです…
ミクリオ…かなり見晴のいい場所だ。危険な気もするが…そうも言ってられないか
ルドガーああ、けど警戒するに越した事はない。みんな、注意して進もう
スタンすげぇ…近くで見ると本当にでかいな
ティア橋も城壁も、全て結晶で出来ているのにここは違うのね
スレイとにかく中に入ろう
エリーゼそれが…駄目みたいです。この門、固く閉ざされてて…
ティポむぎゅー!押してもビクともしないしー
ゼロス…なるほどな。そりゃ、力じゃ開かねぇわ
スタンゼロス、それどういう事だ…?
ゼロスほら、あれ見てみな。この門のずっと上の方…真ん中に何か、見えねぇか?
スレイ…!あれってまさか…天啓の石碑と同じ紋章…!?
ミクリオ…本当だ、間違いない
ヴェイグまさか、これが新たに出現した天啓の石碑だとでも言うのか…?
ゼロス他にそれらしきもんが見当たらねぇところを見ると多分そういう事なんだろうな
ルドガーけど、何故なんだ…?天啓の石碑は、その名の如くただの巨大な石碑なんじゃないのか?
ルドガーまさかこんな風に建造物の一部に組み込まれてるなんて…
ゼロスああ、こんなのは俺さまだって聞いた事もねぇ
ゼロス…けどまあ、四の五の言ってても仕方ねぇ、試してみりゃ全部わかんだろ
ティア試すって…
ゼロスお決まりのヤツよ。まあ、見てなって
ゼロス大いなる世界の意志よ。我が主たる地上の神よ
ゼロス我、ゼロス・ワイルダーを汝の代行者と認めるならば…
ゼロスその言葉を我に聞かせたまえ──
スレイ…!門が光り出した…!
ミクリオカン・バルクで見た儀式と同じ光景だな
ヴェイグやはり、この門が天啓の石碑──
ゼロス…!くっ…
ゼロスうわあっ!!
エリーゼ…!ゼロス!大丈夫ですか!?
ゼロスいっつ……
スタン何なんだ、今のは!?急にゼロスが吹っ飛んで…
ゼロスわからねぇ…。けど、何か様子が変だ…!
ゼロス何か…石碑に触れた瞬間ドス黒い絶望みたいな感覚が頭ん中に流れ込んできやがった
ゼロス苦しくなったと思ったら急にすげぇ力で吹っ飛ばされてて…
ティア絶望…?
ヴェイグそれが何なのかはわからないが、この門が天啓の石碑でないという事ははっきりしたな
ゼロスちっ…さっきの光の渦と言い、今回の門と言い、一体何なんだ…?
ミクリオ…あくまで推測だが、天啓の石碑は天帝が作り出した物…そうは考えられないか?
スタン天帝が…?
ミクリオヴァンは天帝と共謀している
ミクリオ石碑を作ったのが天帝だとすれば晶化と天啓、ヴァンがそれらを意のままに操っていた事にも頷ける
ミクリオ…そしてこの門も。天啓の石碑でない以上、この城に備え付けられた「ただの門」…
ミクリオこの御座と共に天帝が作ったと考えるのが妥当じゃないか?
ミクリオ無論、ただの門と言ってもあの様子じゃ、天帝の力が強く及んでいるのは間違いないと思うけど
スレイ…そうだな
スレイ…もし、ミクリオの言う通りなら天晶石が光ったのは石碑が出現したからじゃなくて…
ミクリオああ、天帝の力そのものに反応を示したという事だと思う
ティア…確かに神子は天啓の石碑に干渉出来る
ティア従って、その創造主である天帝自身の力を感知したという事も、考えられない話ではないわ
ルドガーだとしたら、さっきゼロスが天晶石を通じて見た光の渦や、感じた絶望…
ルドガーそれらは全て天帝に関係するものという事なのかもしれないな…
ゼロス…冗談じゃねーぞ。何で俺さまが天帝なんかの…!ちっ、本当に一体何者なんだ…
ヴェイグ…事実はその目で確かめればいい。そのためにも、まずは開門だ
スタン門を開けられるとしたら、天帝に干渉出来る可能性があるゼロス…やっぱりお前しかいないって事だ
ゼロス…どうだろうな。あいにく吹き飛ばされたばっかりだぜ
スタン大丈夫、お前なら絶対──
ドドドドド!
スタンな、何だこの音…!?
エリーゼ地面が揺れてます…!
ヴェイグ地震か…?いや、ここは地上じゃない。そんなはずは──…
ティア…!
ティア…みんな、あれを見て。橋の向こう側よ…!
ルドガーあれは…魔物の群れか!?
スレイいや、群れなんてレベルじゃない…。あんな大群、地上ですら見た事もない…!
ヴェイグどうする、戦うか…?
ティア…相手は、例の晶化した魔物よ。さっきの数でもあれほど苦労したのにとてもじゃないけど一掃するのは……
ティポじゃあ、どうしたらいいのー!?
スタン…俺達であいつらを食い止めよう!
エリーゼえ…?食い止めるって…
スタン門の事はゼロスに任せる。他のみんなで、橋のこっち側に魔物を寄せ付けないようにするんだ
スタン一掃するのは難しいとしてもゼロスが門を開けるまでの間、食い止める事くらいは出来るはずだ
ゼロスおいおい、無茶言うなよ。お前も見ただろ、さっきの!
ゼロス天帝の力だか何だか知らねぇがこの門は俺を拒んでやがる。開けられる保証はどこにもねぇ
ゼロスだったら、一旦全員でここから退却して態勢を立て直すとか──
スレイいや…、それじゃ駄目だよ
スレイ城内に通じるのは多分、この門だけだと思う
スレイ今ここから退けば、この場は占拠されるだろうし、そしたら二度と近付けなくなる
ゼロス…っ!だが──
ギャウウウウッ!
ヴェイグ…!まずい、あまり時間はないぞ…
スタン…ゼロス、お前しかいないんだ
スタンお前なら絶対に開けられるって、俺は信じてる。だから、…ここは頼む!
スタンみんな、行こう!急がないと…!
スレイああ…!
ゼロスお、おい…!スタン!
ゼロス行っちまいやがったか…ちっ…
ゼロス
ゼロスくそっ…やるしかねぇのかよ…!
ヴェイグ──来たぞ、奴らだ
スレイああ…!
ドドドドド…
グオオオオオッ!
スタンスレイ、ルドガー、ヴェイグ、三人は俺と一緒に前衛で戦ってくれ!
ルドガーわかった!
ティア私とエリーゼとミクリオは援護するわ
ティポぼくも頑張るぞー!
スタンここは俺達が食い止める。…頼んだぞ、ゼロス
スタン行くぞ、みんな!はああっ!
scene2神子の覚悟
スタンせいっ!
ズバッ!
ギャウッ!
スタン次だ!
スレイはあ…はあ…
グオオッ!
スレイくっ…!
スタンさせるかっ!たああっ!
ズシャーッ!
グアアーッ!
スタン大丈夫か、スレイ!
スレイああ、助かったよ。ありがとう、スタン
スタン気にするな。互いに助け合わないと
ルドガー…にしても、まずい状況だな。倒したところで、次から次へと出てくる
スタン…ゼロスが門を開けるまでの辛抱だ。俺達がここで踏ん張らないと
ヴェイグそうだな…
ゼロスくっ…、またさっきのドス黒いヤツが…
ゼロス……いや、けどまだだ…。まだうんともすんとも言ってねぇし今手を放すわけには──…
ゼロスうわあああっ!
ズシャーッ…
ゼロスい…つっ……
ゼロスくそっ…!やっぱ一筋縄じゃいかねぇか…
ゼロス……ちっ
ミクリオ──はああ!
ギャウウ…!
ミクリオよし、倒せた…
ミクリオエリーゼ、ティポ!そいつが片付いたらヴェイグの応援を頼む!
エリーゼわかりました…!
ティア私もルドガーとスタンのところへ。ミクリオ、あなたもすぐにスレイのところへ行って──
ティア…!強い光…門の方だわ。さっきから何度も…
ミクリオ遠巻きであまり見えないが、ゼロスも苦戦しているようだな…
ティア大丈夫かしら…
エリーゼミクリオ、ティア!急いでください、スレイ達が…!
ティポ早くー!
ミクリオ…わかった、今行く!
ティア
ゼロスはあ…はあ…
ゼロスくそっ──……!うぐっ…
ゼロス意地でも通さねぇってか…
ゼロス…けど、ようやく何か、掴めてきた気がすんぜ…
ゼロスこの門の拒絶は天帝の意志…。あの気味の悪い絶望感も、多分あいつの……
ゼロス…ちっ、思う通りにさせてたまるかよ…
ゼロスとっとと開きやがれ…!
スレイ──スタン!そっちにまた一体行った!
スタン…大丈夫だ、任せろ!
ルドガーはあ…はあ…
ヴェイグくっ…
ミクリオみんなかなり消耗しているな…
エリーゼスタン、その怪我…!今治療します──
スタン…いや、俺はいい!それより今は魔物を倒す事が優先だ…
スタンとにかく今は、ここで俺達が踏みとどまらないと…
ヴェイグそれよりゼロスの方は…?まだ開門出来ていないのか?
ミクリオ残念ながら、あまり芳しくはないようだ…
ルドガーゼロス…
スタン心配いらないさ。ゼロスなら、必ずやってくれる
スタンああ見えてやる時はやるし、頼りになる奴だって事、俺は知ってる
スタン俺はゼロスを信じてる…!だから、絶対大丈夫だ!
スレイスタン…
スレイ…うん、スタンの言う通りだ、ゼロスを信じよう!オレ達もまだやれる
スタンよし、行こう!
スレイああ!
エリーゼ二人共、後ろを振り返らないんですね…
ティポゼロス君の事、信じてるんだねー
ティアスタンはまっすぐな人よ。だからこそわかる事もあるんだと思うわ
ルドガー俺達も行こう、もうひと踏ん張り──
ヴェイグ…!今の光…
ミクリオゼロスのいる門の方だ…!
ミクリオこれまでにも何度か見かけたが、あれほど強い光は……。何か、嫌な予感がする…
ティア…様子を見てくるわ。みんなはスタン達の後を追って
ルドガーああ、わかった…!
scene3神子の覚悟
ゼロス……
ティアゼロス!
ゼロスう…
ゼロスティア…ちゃん…?
ティア無事なのね、よかった…。一体何があったの
ゼロス…見ての通りさ。天帝の力にねじ伏せられたってワケ
ティア酷い傷…全身傷だらけじゃない…。今手当を──
ゼロスいや、それより…スタンに…あいつらに伝えてくれ
ゼロス…この門を開くのはやっぱ無理だ。一旦退いて、別の道に行けって
ティア…!ゼロス、あなた…
ゼロス…天啓だって読めるし、この門も、神子の俺なら何とか出来るかもって思ってた
ゼロスけど……やっぱそう簡単にはいかねーな
ゼロスもう少し…、あと少しで天帝の力を抑え込めそうなのに、ギリギリのところで届かねぇ…
ゼロス…これも俺が神子って宿命から逃げてた罰なのかもな
ゼロスクロエちゃんのお蔭でちょっとは変わったと思ってたけど…ま、これ以上は俺には──
ティア諦めないで。あなたなら出来るはずよ、必ず
ティアスタンが言ってたわ。あなたなら必ずやり遂げる、信頼のおける友達なのだと…
ティア一度も振り向く事なく、今も必死に戦っているわ。あなたを信じて
ゼロススタン…、あいつ…
ティアそれはみんなだって同じ…
ティア…なのに、あなたがあなた自身を信じないでどうするの?
ゼロス…!俺が、俺を……
ゼロス
ゼロス…何か、わかった気がするぜ。俺があの門を開けなかった理由…
ゼロスあの門をこじ開けられる、今なら自信を持ってそう思える
ゼロス…ありがとな、ティアちゃん
ティアゼロス…
ティアお礼なら、私じゃない。スタンに言うべきね
ゼロス…よし、もっかい試してみる
ゼロスティアちゃん、危ねぇから下がっててくれよ
ゼロス…天帝様が何者かは知らねぇが、お前の力は俺がねじ伏せる!今この場でな
ゼロス俺はもう逃げも隠れもしねぇ…
ゼロス神子の宿命を持ってこそこの俺さまだ!
ゼロス神子、神子って今まで散々な目に遭ってきたが…それも全部、認めてやるよ
ゼロス俺さまの役目だったんだ、ってな
ゼロスだから、今くらい…俺さまの役に立ちやがれ──!!
ゴオオッ
ゼロスくっ…!
ティア…!この風は一体…!?
ゼロスへっ…、最後の悪あがきかよ。けど、諦めな!意地でも打ち破って──
ゴオオオオオオッ
ゼロスなっ…!?まずい、身体が飛ばされ──
ティア大丈夫よ…!私があなたを支える
ゼロスティアちゃん…!危ねー事すんじゃねぇ、下がってろって言っただろ!
ティアそうもいかないわ…!あなたが柄にもなくこんなに頑張ってるのよ
ティアスタンや、私達みんなの想いに応えるために…
ゼロス…!
ゼロスふ…残念だけど、そいつはちょっと違うぜ
ゼロス…理由はもっと単純だ
ゼロス…スタンの野郎にばっかカッコイイとこ取られんのが…シャクなだけ…ってな!
ゼロスはあああ…!
ティア…!光が強くなって──…
ゼロスうおおおおっ!!!
ズズ…
ティア門が…!
スタン──せやあっ!
ザシュッ!
スタンふう…
ルドガー…この辺りの魔物は大分減ったな
エリーゼはい…。でも、見てください…まだ向こうからあんなに……
スレイくっ…!
ヴェイグそろそろ限界か…。スタン、これ以上は──
???──ここに留まるのはこれまでよ
スレイティア!
ティア無事開門したわ。みんな、こっちに
ティポホントー!?助かったー!
スタンティア、ゼロスは…?
ティア無事よ。向こうであなた達を待ってるわ。行きましょう
スタンああ!
ゼロスはあ…はあ…
スタンやったな、ゼロス!さすがだよ!
ゼロス…へっ、これくらい、俺さまにとっちゃ朝飯前よ
ルドガーそういう割にかなり傷だらけって感じだけど…
ゼロス何だよ、うるせーなー。ボロボロなのはお前らだって一緒だろ
スレイはは…言われてみたら、確かにみんなボロボロだな
スタン…とにかくありがとうな、ゼロス。お前ならやってくれるって信じてたよ
ゼロス…!お、おう、当たり前だろ。俺さまを誰だと思ってんだ
ゼロスそんな事より、さっさと行こうぜ。城ん中に
ミクリオそれなんだが…ひょっとしてこの門…異空間にでも繋がっているのか?
ヴェイグ…暗くてよく見えないが、確かに異様な雰囲気が漂っている
エリーゼお城の中じゃないんですか…?少し怖い気もしますが…
スタンそれでも、ここまで来て進まないって選択はない。そうだろ?みんな
ゼロスああ、勿論だぜ
スレイよし、じゃあみんなで飛び込もう、一斉に
スレイここまでだって力を合わせて乗り切ってきたしこの先もきっと大丈夫だ
エリーゼはい、そうですね…!
ルドガーじゃあ、行くとするか
スタンおう!せーのっ!
scene1揺蕩う結晶
スレイ──この空間は一体…
スレイまさか城の中がこんな事になってたなんて…
スタンああ…。何か、信じられないっていうか…
ヴェイグ…どうやら本当に異空間という事らしいな。これも天帝の力、なのか…?
エリーゼ…星のようにキラキラと宙を漂っているのは全て結晶の欠片でしょうか…?
ティアそのようね。まるで星の大海だわ…
ヴェイグオレ達のいるこの場も結晶で出来ているようだな
ゼロスなるほどな。異空間に浮遊する結晶の島ってワケか…
ミクリオそう呼ぶには相応しくない不純物が多く含まれているようだけどね
スレイこれは…建物の残骸か何かか…?
ミクリオそのようだね。まるで廃墟か何かが晶化したようだ
ルドガーそれより、ここと同じような島が他にもあるようだな
スタン本当だ…。空間の奥に点々と見える
スレイこのどこかに天帝とヴァンがいるのかな?
ゼロス…ああ、そいつは間違いなさそうだぜ。見てみろよ、あれ
ゼロス向こうの方に、一際大きな光があんだろ
スレイ…!あれってもしかして…
ルドガー天晶石で見たっていう光の渦…なのか?
ゼロスああ、間違いねぇ。天帝がいるとしたら、多分あそこだろ
ティアだとしたら、兄さんもきっと…
スタンよーし、目指すべき場所はこれでハッキリした。早速行こう、あの光の渦に
ルドガー空間内の至るところでここと同じような結晶の島が点在しているのを見た
ルドガーそれを頼りに進めば多分光の渦の方に行けると思う
ルドガー…問題はそれが、光の渦までちゃんと繋がってるかって事だけど
スレイわからないけどそれしか方法がないなら先へ進んで確かめるしかない
ヴェイグ…ああ
ティアひとまず、近くの結晶の島へ通じる道を探しましょう
ミクリオ…その前に一つ話しておきたい
ミクリオ光の渦を目指すとして、この特殊な空間について僕らは何の情報も持っていない
ミクリオ常識の通じない空間だし僕らの想像を超える弊害だって十分に起こり得るだろう
ミクリオここから先はより慎重になって進むべきだ
ティアそうね。一人一人が気を引き締めてかからないと
ティア最悪、私達がバラバラになる事だってあるかもしれないし──
エリーゼ…!もしそうなったら、わたし…
スレイ…そうなった時は、あの光の渦を目指せばいい
スレイオレ達の目的地はあそこだろ?そこに行けば、必ずみんなと再会出来る
エリーゼスレイ…
スレイ大丈夫だよ、エリーゼ。まだそうなると決まったわけでもないし
スレイ他のみんなも、それでいいよな?
ティアええ、異論はないわ
ヴェイグここの規模もわからない以上、闇雲に行方を捜すよりはよほどわかりやすい
ティポ決まりだねー!
ゼロスま、でもはぐれないのが一番だけどな
スタンそれじゃ、早いところ動き出そう
スタンまずは、ここから他の結晶の島に通じる道を探す、だよな?
ルドガーああ。とは言ってもこの島もそれなりに広い。手分けして当たろう
ティアええ、そうね
ヴェイグ──この辺りは断崖絶壁だな。向こう側に島は見えるが、そこへ続く道はなさそうだ
スレイにしても、改めて見るとすごい空間だな…。こんなの初めて見たよ
スレイ天帝は、何の意図があってこんな空間を作ったんだろう…
ルドガーそれはわからないけど、きっと何か意味や理由があると──
ヴェイグ…!
ルドガーヴェイグ?どうかしたのか?
ヴェイグこの結晶を見ろ。他の瓦礫に比べ、原型を留めている
ルドガーこれは…何かの遺跡かな?
スレイ多分そうだと思う。あれ…でもこの意匠って、どこかで見たような……
スレイ…!これって、まさかピュール遺跡の……
ルドガーそれって確か、ライラと初めて会ったっていう…
ヴェイグスレイ…、ならあれもピュール遺跡の物か?
スレイ…!そんな…
スレイこれは、導師の壁画だ…!
ヴェイグ…何故そんな物がここに?
スレイわからない…。けど、間違いない。これもピュール遺跡にあった物だ…
ルドガーかなり古いものなんだな。随分と崩れてる…
スレイいや、実物はこんなんじゃなかった
スレイ状態はよかったし、目立った傷だって何も──
ミクリオ──スレイ!こっちに道を見つけた、来てくれ!
スレイ…!ああ、わかった
ルドガー…壁画の事も気がかりだけど今は先へ進んだ方がよさそうだな
スレイうん…
scene2揺蕩う結晶
ルドガー──ミクリオ、“道”を見つけたって言ってたけど…
ルドガーまさかあの、小さい結晶の浮島の事を言ってるのか…?
ミクリオああ、そうだ
ゼロスおいおい…。慎重に、とかさっき言ったヤツどこのどいつだよ…
エリーゼこの浮島を飛び越えてあの島まで渡るって事ですよね…?無茶です…
ティポこんなの落っこちたら死んじゃうよー!
ミクリオ…仕方ないだろう。僕だって出来れば勧めたくはないがここくらいしか進める道はない
ティアそうね…。いろいろと見て回ったけれど他に目ぼしいところはないわ
スタンなら、渡るしかないな。ちょっと危険だけど、選んでられないし…
エリーゼ……
ヴェイグ…大丈夫だ、エリーゼ。お前が跳ぶ時はオレが支える
スレイうん、オレも。危なかったらちゃんと助けるから安心して、エリーゼ
エリーゼ…はい
ゼロスんじゃまあ、行くか…
スタンおう!
ヴェイグ──はっ!
ヒュッ
スタッ
スタンよし、ヴェイグも到着…と。あとはエリーゼだけだな
ティポエリー、頑張ってー!あと1回ジャンプ成功ー!
エリーゼ……
ヴェイグ…エリーゼ、これが最後だ。跳べるか?
エリーゼはい…わかってはいるんですが…うう…
ヴェイグ…勇気を出して跳べ。オレが必ず受け止める、さあ
ティポエリー!ヴェイグ君の腕に向かってジャーンプ!
エリーゼわかりました…じゃあ…
エリーゼえいっ
ヒュッ
スタッ
エリーゼふぅ…
ティポやったね、エリー!
ヴェイグ…二人共、大丈夫そうだな
エリーゼはい…!ありがとうございます
ゼロスさて、エリーゼちゃんも無事にこっち側に来れたワケだし早速探索と行くか
スレイうん、そうだな。また次の道も探さないと──…!
ルドガーどうかしたのか?スレイ
スレイ…いや、結晶に残骸が含まれてるのはここも一緒なんだなと思って…
ヴェイグだが、さっきの物とは違う。ピュール遺跡の物ではなさそうだな
ミクリオピュール遺跡…?
スレイそうなんだ。遺跡にあった導師の壁画…、ミクリオも覚えてるだろ?
スレイ結晶の中にあの壁画があったんだ
ミクリオ何だってそんな物がここに…?
スレイわからない…。少し崩れたりはしてたけど、全く同じ物だったと思う
ゼロスじゃあ、ひょっとしてここらの残骸も──…
スタンスレイ、ミクリオ!この旗って…ウィンドルのものじゃないか!?
ルドガー…!見せてくれ、スタン
ルドガー…かなりボロボロになっているがこれはウィンドルの国旗だ。間違いない
スレイって事は、この周辺にある建物の残骸は…
ルドガーおそらく、バロニアにまつわる物だと思う。これを見てくれ
ルドガーこの瓦礫に組み込まれているのはウィンドル騎士団の紋章…。騎士団の拠点はバロニアだ…
ヴェイグピュール遺跡にバロニアだと…?
スタンそんな、まさか…
ゼロス…ああ、どっちも晶化しちまったとこだな
ミクリオこれは偶然なのか…?それとも…
スレイもしかして、この空間で晶化してる残骸って全部地上で晶化した物なのか…?
ティア関係していても不思議じゃないわ。晶化とこの空間…いずれも天帝の力によるものだもの
ルドガー……
ヴェイグもしそうだとしたら、晶化した人もここに……?
エリーゼ
ゼロス…でもよ、それなら何で「残骸」なんだ…?ここにあるもんは全部崩れてる
ゼロスバロニアは確かに晶化したけど別に戦争や暴動があったわけでもねぇ
ゼロス国旗がこんなボロ雑巾みたいになったりよ…、瓦礫化しちまってんのは変だろ?
ティア確かにそうね…
ティアこれまでみた晶化でも、結晶の中の物が破損する事はなかったわ
スレイうーん…
ミクリオ今考えていてもその答えは出ないだろうね…
スタン答えは天帝のみぞ知るって事か…
ルドガー……
scene1思い出の残骸
スタン──2つ目の島に来て随分と歩いたけど…、ここも結構広いんだな
ティアええ…。光の渦までもまだ結構あるようね…見える景色が変わらないわ
ヴェイグ…この空間内だと確かに距離が掴みにくいがさっきより前進している事は確かだ
エリーゼそうですね…
ミクリオむ…?あそこにあるのは何だ
スレイこれは…赤い結晶…?
スタンこんなの初めて見るけど、これも晶化の結晶なのか…?
ミクリオいや…地上は勿論、この御座へ来てからも見た事がない
ゼロス何だか不気味だな…
ヴェイグああ…。むやみやたらに近寄らない方が──
ルドガー…!あれは…
ゼロスあ、おい!ルドガー、待てよ!
ティア何か見つけたのかしら…
スレイ行ってみよう
ルドガー……
ルドガーやっぱり…!何で…どうしてこんな…
ヴェイグルドガー、何があった?
ティアこれは、民家の一部かしら…。随分と崩れているけれど──
エリーゼ…!ルドガー…もしかして…
ルドガーああ…間違いない、俺の家だ
スタンなっ…!見間違いって事はないのか?
ルドガー
エリーゼそんな……
ヴェイグ……
ルドガーくっ…
ルドガーエル!兄さん!ここにいるのか!?いるなら返事をしてくれ!
スレイルドガー…
ミクリオ…!
ヴェイグ何だ、この光は……
ゼロスさっきの赤い結晶だ…!
エリーゼえ…?
ティア…!これは一体…!?
スタンエリーゼとティアの足下に魔法陣が…!
ヴェイグくっ…!エリーゼ!
ルドガーティア、そこから離れろ!
ルドガー…!
ヴェイグく…っ!?
スレイヴェイグ!ルドガー!
シュン!
スタンお、おい…どういう事だ…?
ティア二人が消えて…
ゼロスおい、ヴェイグ!ルドガー!!
エリーゼそんな…
スレイくっ…!
ミクリオ…!あれは…
ティポまた赤い結晶が光り出したー!?
スタンまずい…!ここにいたら危険だ!
スレイみんな、ここから離れよう!
ティアこっちよ、急いで!
scene2思い出の残骸
エリーゼ──はあ…はあ…
ゼロスここまで来ればひとまず大丈夫だろ…
ティアエリーゼ、大丈夫?
エリーゼはい、わたしは…。でも…
ティポうわーん!!ヴェイグ君もルドガー君も消えちゃったよー!
スレイ二人は一体どこに…
ティア少なくともこの近くにいない事は確かだと思う…
スタン…!ティア、何か知ってるのか!?
ティア今の魔法陣…おそらく「転移術」の一種よ
スレイ転移術…?
ミクリオつまり二人は、どこか別の場所へ飛ばされたという事か…
ゼロスおいおい、どこに飛ばされたって言うんだよ
ティアそこまでは、私にもわからないわ…
ゼロスくそっ…あの赤い結晶…ヴァンの仕掛けた罠なのか?
ミクリオその可能性も勿論否定出来ないが…腑に落ちないところもある
ミクリオ僕達を排除する事が目的なら、もっと致命傷を負わせる術を仕込む事も出来たはずだし…
エリーゼとにかく、二人を捜さないと…
ティアエリーゼ…
スタン転移って事は、たどり着いた先がどこであれ二人は無事って事だよな?
ティアおそらく…
ティアけれど、その先に何が待ち受けているのかわからないし、安全とは……
スレイ…いや、きっと大丈夫だよ
スレイ転移先でどんな困難が待ち受けていたとしても、あの二人なら必ず乗り越える
スレイだからオレ達はこのまま光の渦を目指そう。二人を信じて
スタンスレイ…
スタン…そうだよな。あの二人なら絶対に大丈夫だ
ゼロス何だかんだ言ってあいつら相当タフだしな。そう簡単にくたばりゃしねぇだろ
エリーゼでも…
スレイエリーゼ、さっきオレが話した事、覚えてる?
エリーゼ…!バラバラになった時は光の渦を目指す…
スレイうん
スレイ二人がもしこの城内にいるとしたらあの光の渦に向かうはず。だろ?
ミクリオそれに…一刻も早く、天帝の目覚めを止めなくてはならない
ミクリオそのためにも…今は前に進まないと
ティアそうね…。私もそう思うわ
エリーゼ
エリーゼそうですね…。みんなの言う通りだと思います
エリーゼわたし達は天帝とヴァンを止めるために、ここまで来たんですもんね…
エリーゼ…二人の事は心配ですが、再会出来る事を信じて今は前に進むべきだと思います…
ティポきっとまた会えるよねー!
スレイよし…じゃあ行こう
エリーゼはい…!
スタンあそこに見える浮島から別の結晶の島へ行けそうだ
ゼロスなら、早いとこ行くとしようぜ
スレイああ…!
scene1虚ろに燃える炎
ゼロス──よし、ようやく次の島に着いたな
スタンここもまた、いろんな残骸が結晶に紛れてるな…
エリーゼあそこに見えるのは風車の羽か何かでしょうか…
ティポこっちにはデッカイ柱があるー
ティアけれど、いずれも原型は留めていないわね…
スレイこれもやっぱり地上で晶化した物なのかな…
スタン
エリーゼここまでで見つかったのは建物や遺跡の残骸ばかりですけど…
エリーゼヴェイグが言ってたようにもしかしたら…晶化した人もどこかに──
ミクリオ…!スレイ、あれを見てくれ
スレイあれって、まさか…
スタン剣が台座に突き刺さってる…
ゼロススレイ、あの剣がどうかしたのかよ
スレイ…これを見てくれ
エリーゼこれは…スレイの剣…?
ティア…!あの台座に刺さっている剣と全く同じ物だわ
スレイあれは…オレが導師になった時に手にした聖剣なんだ
スタン導師になった時…?って事は、あの残骸も──…
ミクリオ…ああ、ピュール遺跡の一部という事だろう
ミクリオだが、どういう事だ?何故ここに聖剣がある…
スレイ…オレ達が聖剣を手にしたのは遺跡が晶化する前の話だ
スレイつまり、ピュール遺跡が晶化した時には聖剣はなかったはずなんだ
ティアなら、この聖剣は偽物という事…?
スレイおそらく…
ゼロスじゃあ、今まで見た残骸も地上で晶化した物を真似て作った偽物って事かよ…?
スタン何でそんな事…
ミクリオいずれにせよ、今の僕達にとって益がある物とは到底思えない
ミクリオ赤い結晶の事もあるし、無闇に近付くのはやめた方が──
ボッ!
エリーゼえ…?
ゴオオッ!!
スタン何だこれ!?急に炎が…
ゼロスくっ…!すげぇ勢いで広がりやがる!
スレイこれってまさか…!
scene2虚ろに燃える炎
スタン──くっ!一瞬にして炎に囲まれたぞ!
ゼロス急に何が起きて…
ティア急いでここから離れましょう。今ならまだ──
スレイみんな、身構えるんだ…!
エリーゼ…!何か知ってるんですか…?
ミクリオただの炎なら逃れられたかもしれないが、そうはいかないという事だ…
スタン何だって…!?それって一体──
グルルル…
スタン…!あいつは…
ティポ何かとんでもないのが出てきたー!
エリーゼあんな魔物…見た事もありません…!
グオオオーーッ!
ミクリオやっぱり出てきたな、鳳凰…!
ティア鳳凰…?
スレイああ…、かつてオレ達が導師の試練で挑んだ炎の化身だ
スレイ…まさか、聖剣だけじゃなく鳳凰の試練までそっくりそのまま再現するなんてな…
エリーゼそんな……
グオオオッ!
エリーゼきゃっ!
ゼロスどうやらすんなり通してはくれなさそうだぜ
スレイだからって、ここで立ち止まるわけはいかない!
ミクリオああ、そうだな
グオオオオッ!
スレイみんな、行くぞ!
scene3虚ろに燃える炎
エリーゼ──えいっ!
ミクリオはあああっ!
ズシャッ
グオオ…
ティアスレイ、今よ!
スレイわかった!
スレイこれでどうだ!はああああっ!!
ズバッ!
グアアッ!
スレイ何とか倒せたか…
ゼロスふう…これでようやく先へ進めるぜ
スタン…にしても、スレイ達も大変だったな。あんなのが試練だったなんて
ティポぼくはもう二度と会いたくないけど──
グオオ…
グオオオオオオッ!!
ティア…!みんな、気を付けて…!鳳凰が…
ティポわーっ!?
スレイティポが捕まったぞ…!
エリーゼ駄目です!ティポを返してください…!
スタンエリーゼ!危ない、近付いちゃ──
グオオオッ!
スタン…うぐっ!
ゼロススタン!
ゼロスくそっ…!この──
グオオオッ!
ゼロスうわっ…!
スレイゼロス!!
ミクリオまさか、まだ息があったなんて…!
スレイくっ…!
スタンう…
ゼロスちくしょ…つっ…
エリーゼスタン、ゼロス…!そんな…
ティポ死なないでー
ミクリオ…あの二人、傷を負ったようだ。エリーゼが看ているが…多分すぐには動けないだろう…
ミクリオこの状況、どうすべきか…
ティア鳳凰をこちら側に引き付けて、私達だけで何とかする、それしか方法は──
スレイ
スレイティア、君はみんなを頼む。鳳凰はオレとミクリオで何とかする
ティアあなた達二人で…?けれど、一体どうやって…
ミクリオスレイ、まさか…
スレイああ…。力を貸してくれ、ミクリオ
ティア駄目よ、スレイ!神依の力は決戦の切り札…今その力を使うのは──
スレイ勿論、その時もやるさ
スレイ天帝の目覚めやヴァンを止めて、この世界を救う…それは何があってもやり遂げる
スレイそのためにも、今目の前にいる鳳凰を倒してみんなを助けないと…!
スレイ神依は特別な力かもしれないけどそれだけじゃ駄目なんだ
スレイ世界を救うにはみんなの力が必要不可欠だ!
ミクリオスレイ…
ティア…わかったわ。なら、ここはお願い
スレイうん!じゃあ、ミクリオ!
ミクリオああ、わかった!
スレイ・ミクリオルズローシヴ──…
???──ちょっと待ったー!その必要はねぇ!!
スレイ…!あれは…
ゼロスせやあっ!
ザシュッ!
グオオッ!
ゼロススタン!今だ、叩き込め!
スタンわかってる…!はああっ!
ザシュッ!
グアアア…ア…
エリーゼこれで最後です…!行きますよ、ティポ!
ティポおっけー、エリー!
エリーゼせーのっ!えいっ!
ズシャーーーーーッ!!
グ…ア……
スタンはあ…はあ…何とか間に合ったか…
ティポ炎もすっかり消えちゃったー!
ゼロス助かったぜ、エリーゼちゃん。応急処置ありがとな
エリーゼいえ…二人共…よかったです
スレイ──みんな…!よかった、無事だったんだな…
スタン…何とか、エリーゼのお蔭でな
ゼロス…それより、お前らが神依化しちまう前にどうにか出来てよかったぜ…
ティアあれは、あなた達を救って先へ進むためのやむを得ない判断だった…
ティアそんな言い方は…
スタンあ…いや、ごめん。別に責めたいわけじゃないんだ
エリーゼ…スレイ達の話してる事、聞こえてたんです
エリーゼ世界を救うには仲間がいないと駄目だって…
エリーゼだから知ってます。どんな想いで神依化しようとしたか…
スタンほら、神依を温存するって話の時にスレイ、言ってただろ?俺達に力を貸してほしいって
スタン…本当ならその切り札こそ俺達が守らないといけないのに
スタン俺達のためにそれを使わなくちゃならないって何か、情けないって言うかさ…
スタンだから、俺達としては何としてでも神依化しちゃう前にどうにかしたかったって事
スタン…だよな、ゼロス?
ゼロスま、後で俺さま達のせいで本領発揮出来ない~とか言われてもシャクだし?
スレイみんな…
ティアどうやら、互いに互いを想い合っていたという事のようね
ミクリオそのようだね。でも、結果としてよかったよ。切り札は守れたわけだから
スレイ…うん、そうだな。ありがとう、みんな
ゼロス…何だよ、改まって。スタンのアツさに当てられてんじゃねーのか?
スレイはは…、そうかもしれないな
スタンえー!?何で俺…
ティア気にする事ないわ、褒め言葉よ
スタンそう…なのか?
ゼロスそうそう。そんな事より、とっとと先へ進もうぜ
スレイうん、そうだな。急がないとヴェイグやルドガーを待たせる事になっちゃうかも
エリーゼそうですね…!では、行きましょう
ティポレッツゴー!
scene1切り結ぶ双剣
ルドガー……
ルドガーう…くっ…
ルドガーここは、一体…?
???──目が覚めたか…
ルドガー…!その声は…
ヴェイグ
ルドガーヴェイグ…!
ルドガー他のみんなはどこに…?それに、赤い結晶や俺の家も──
ヴェイグ…お前が目覚める前に周辺を見て回ったが、ここにはオレ達以外は誰もいない
ヴェイグ見覚えのある物も何一つなかった
ヴェイグ…どうやらオレ達はどこか別の島へ飛ばされてしまったという事らしい
ルドガー別の島に…?そうか、あの時確か魔法陣が出現して俺とヴェイグが…
ルドガー俺達だけって事は、ティアとエリーゼは助かったのかな?
ヴェイグ…そうだと信じたい
ヴェイグとにかく、ここにいても仕方ない。道を探そう
ルドガー道と言っても…元いた島はどこだ?
ヴェイグわからない。見渡す限りどこも同じ景色だからな
ヴェイグだが、望みはないわけじゃない。あれを見ろ
ルドガーあれは、光の渦──……!そうか…
ルドガーそう言えば、御座に入ってすぐの頃スレイが話してたな
ルドガーバラバラになるような事があれば、光の渦を目指そうって
ヴェイグスレイ達もおそらくあそこへ向かっているだろう。いずれ合流出来るはずだ
ヴェイグそれに…例え合流出来なかったとしても、オレ達が目指すべき場所があの光の渦である事は変わらない
ルドガー…ああ、そうだな
ルドガー天帝の目覚めを止めて、元の世界を取り戻す……必ず…
ルドガーとにかく、他の島へ進める道を探そう
ヴェイグ
ルドガー──この辺りは何もないな。相変わらず残骸があちこちにあるが、目ぼしい物もないし……
ヴェイグ…ルドガー
ルドガーどうかしたのか、ヴェイグ
ヴェイグ無理はするな…
ルドガー…!
ルドガー…はは、やっぱり俺あの時すごくうろたえてたよな
ルドガー心配ありがとう、ヴェイグ。…俺は大丈夫だよ
ルドガー家の残骸を見つけた時は、さすがに動揺したし、もしかしたら…って思ったけど…
ルドガーエルや兄さんの姿はなかった。だからきっと二人も無事なはずだ
ヴェイグルドガー…
ルドガーあ、いや…クレアの事があるのに、何かその…ごめん
ヴェイグ…無事を信じる気持ちはわかる。お前が謝る事じゃない
ルドガーそう言ってもらえると助かるよ
ルドガー…それにしても、何なんだろうな、あの残骸…
ルドガーさっきの島で見た俺の家もピュール遺跡やバロニアの物と同じでかなり破損していた…
ルドガーあれは本当に、地上の物なんだろうか…
ヴェイグ偽物だと?
ルドガー何の確証もないけどな。…単に俺がそう信じたいってだけなのかもしれないし
ヴェイグルドガー…、やっぱりお前は…
ルドガー…いや、二人の無事は信じてるよ。ただ、後悔だけはどうしても消せないんだ
ルドガー二人の傍にいればよかった、守ってやればよかった、その想いだけはどうしても…
ルドガーはは、情けないな。こんな中途半端な状態、兄さんが見たらきっと怒られるよ
ヴェイグ守ってやればよかった…か
ヴェイグ…言われてみれば、オレも同じだな
ルドガークレアの事か…
ヴェイグああ。既に決意は固まっている…だが、その想いだけは今も消えない
ヴェイグ消せるとすれば、あの笑顔を再び見る事がかなうその時だけなんだろう…
ヴェイグだからこそ、オレは何としてでもクレアを救う
ヴェイグもう二度と、失わないように…
ルドガーヴェイグ……
コツ…コツ…
ヴェイグ…?
ルドガーこれは、足音…?もしかして、スレイ達か…!?
ヴェイグいや、ヴァンという可能性もある
ルドガー向こうから近付いてくる、念のため警戒して──
ルドガー…!そんな…まさか……
ヴェイグ…ルドガー?一体どうしたと──
ユリウス
ルドガー兄さん…何でここに……!
ヴェイグ…!お前の兄…なのか…?
ルドガー答えてくれ、兄さん!何でここにいるんだ…?
ルドガーエルはどうした?どうやってここに──…
ユリウス
ルドガーどうして何も言ってくれないんだ!?答えてくれ、兄さん…
ヴェイグもしかして晶化したのか…?
ルドガーヴェイグ…!そんなはずはない、兄さんが晶化するなんて…
ルドガー…そうだ、兄さんがここにいるわけがない。来られるわけがない
ヴェイグルドガー…
ルドガー…お前は兄さんの姿をした偽物だ。天帝やヴァンが仕向けた罠に違いない
ユリウス
チャキ…
ルドガー…!
ルドガーくっ…!
ルドガーやはり、お前は…
ユリウス
ヴェイグ…待て、ルドガー。何か様子がおかしい…
ルドガー…そりゃそうさ。だってあれは、偽物なんだから…
ルドガーだが、そうとわかれば…──容赦はしない!
ルドガーうおおおっ!
ユリウス
ヴェイグ待て、ルドガー!!
ヴェイグその男…攻撃はしてきたが、本気でお前を斬ろうとしているようには見えなかった…きっと何か──…
コツ…コツ…
ヴェイグ…!また足音か…!
ヴェイグ…くっ、今度は一体誰──
ヴェイグ…!お前は……
scene2切り結ぶ双剣
ヴェイグ──どうしてお前がここに…
ヴェイグ…答えてくれ、クレア……
クレア『ヴェイグ…』
ヴェイグ頭の中に声が…!?これは一体…
ヴェイグクレア…お前は本当にクレアなのか…?
クレア
ヴェイグお前は確かに晶化したはずだ…
ヴェイグ天帝の力によって、この空間に…?それとも、別の何か、なのか…?
クレア『久しぶりに会ったのに 怖い顔ね、ヴェイグ』
ヴェイグ…クレアなのか?
クレア『ふふ、変な人。 あなたに嘘吐いた事なんて ないでしょ?』
クレア『あなたは私を守ってくれた。 今もこうして私を助けようと 一生懸命じゃない』
クレア『だから、そんな顔しないで…』
ヴェイグお前は…本当に…
クレア『もうすぐ全ては終わるわ。 そしたら、お願い。 私を迎えに来て』
クレア『一緒に帰りましょう、 私達のスールズ村に…』
ヴェイグ…!クレア…お前はやはり──
ルドガーせやっ!
ガキンッ!
ルドガーはあ…はあ…
ユリウス
ルドガー偽物のくせに…兄さんと同じ姿で、同じ動きを…
ルドガーこの…っ!惑わされはしない!
ルドガー兄さんが晶化したなんて、俺は絶対に認めない…!
ルドガーはああっ──
ヴェイグ待て、ルドガー!
ルドガーヴェイグ!何で──
ヴェイグ…正しく見極めろ。お前の兄が本当にただの偽物なのか…
ヴェイグ…あれを見てくれ
クレア
ルドガー…!あれは…クレアか…?
ヴェイグクレアは晶化した。だが…あそこにいるクレアは紛れもなく本人の意思を持っている
ヴェイグおそらくはお前の兄もクレアと同じ状態だ…
ルドガーじゃあ…
ルドガー兄さんも晶化に……
ユリウス
ユリウス『…ルドガー』
ルドガー…!頭の中に声が…!?
ヴェイグ…クレアの時もそうだった
ヴェイグきっと、直接お前に語りかけているのだろう
ルドガーじゃあ…
ルドガー本当に兄さん…なのか…?
ユリウス『ああ…そうだ』
ルドガー兄さんも晶化に巻き込まれてしまったんだな…
ユリウス『ああ…。 エルも守る事が出来ず、 本当にすまなかった』
ルドガー兄さんが謝る事じゃない。俺こそ、傍で守ってやれなくてすまなかった…
ルドガーしかも、兄さんが晶化した事を受け入れられずにあんな…
ユリウス『…それは構わない。 それだけお前は俺達を信じようと してくれていただけの事…』
ユリウス『──だが、結果として見誤った』
ユリウス『お前はわかっていたはずだ、 この現実を。…だが目を逸らした、 俺達を信じるという理由を付けて』
ユリウス『違うか?』
ルドガーそれは…
ユリウス『お前の想いもわからなくはない…。 だが、そんな生温い意志で、 本当に目的を果たせるのか?』
ルドガー…確かに俺は、兄さんの言う通り現実を受け入れられなかった
ルドガー頭のどこかではわかっていたけど…やっぱり認めたくなかったんだと思う
ルドガー…けど、それと覚悟は別だ!目的は必ず果たす、何があっても…
ルドガー兄さんやエル、それにクレア…。この世界は必ずこの手で救う!
ユリウス『…いい覚悟だ。 なら、その覚悟…身をもって示せ』
ユリウス『はあああああっ!』
ルドガー…!
ユリウス『本気で来い、ルドガー。 俺すら倒せないようなら、 お前に世界を救う事など出来ない』
ルドガー…兄さん
ルドガー──わかった…
ルドガー全身全霊をもって示すよ。この覚悟が本気だって事を…!
ルドガーはああああああっ!
ルドガー行くぞ、兄さん!
ユリウス『…来い、ルドガー!』
scene3切り結ぶ双剣
ルドガーはあ…はあ…
ユリウス『はあ…はあ…』
ヴェイグ
クレア
ユリウス『…見事だ、ルドガー』
ユリウス『……っ…!』
ルドガー…!
ルドガー兄さん!
ユリウス『ルドガー、 …お前の覚悟は本物のようだな』
ユリウス『今のお前なら、 必ず目的を果たせるだろう』
ルドガー兄さん…
ルドガーうん…。必ずやり遂げるよ…そして兄さんを…みんなを救うから
ユリウス『ふ…』
ヴェイグ何だ、この光は…!
ルドガー──…!兄さんとクレアが…!
クレア『…ヴェイグ、自分を信じて。 あなたならきっと大丈夫。 見守っているわ』
ユリウス『…ルドガー、 お前もその覚悟を忘れるな』
ユリウス『俺達の心はお前達と共にある…。 それを忘れず、先へ進むんだ──』
ヴェイグ…!クレア…!
ルドガー兄さん──!
ヴェイグ
ヴェイグ…二人共消えてしまったな
ルドガー…ああ
ヴェイグ…!ルドガー、あれを…
ルドガーあれは…浮島…?
ヴェイグ…ああ。次の結晶の島へ続いているようだ
ルドガーおかしいな。あんな物なかったような……
ルドガー…!ひょっとして…
ヴェイグ…ああ、あの二人はオレ達を救うために、ここへ来てくれたのかもしれないな
ルドガー……そうだな
ルドガー…ありがとう、兄さん
ルドガーよし、ヴェイグ。あの道を進もう、みんなと再び会うために
ルドガーそして──
ヴェイグオレ達の目的を果たすために、な
scene1友を想えば
スレイ──光の渦がかなり大きく見えるようになってきたな
ミクリオそれだけ近付いてるって事さ。ここまでくればあと少しだ
エリーゼ…ヴェイグとルドガーの姿はまだ見えませんね…
スタンこの広さだしな…
スタンこの空間内にいたとしてもすぐに合流、とはいかないだろうな
エリーゼ……
ティアきっとその内会える、それを信じて今は先へ進みましょう
エリーゼそうですね…
ゼロス…ったく、あいつらも罪なヤツだぜ。こんな可愛いエリーゼちゃんを不安でいっぱいにさせるなんて──
ズズ…
ティア…?何の音?
ゴゴゴゴゴ…!
スタンなっ…!島が揺れてる…!
ミクリオ大きいな…。気を付けろ、きっと何か…
ビシッ!
ゼロスくそっ、足下にヒビが…!
ティアゼロス、大丈夫!?
ビシビシビシッ!
ガラガラ…!
ティポ地面が崩れちゃったよー
ゼロスあっぶねー…危うく一緒に落っこっちまうところだったぜ…
ミクリオ気を抜くのはまだ早い。あれを見てくれ…
スレイ…!周囲の島がどんどん崩れ始めてる…
ゼロス揺れてんのはこの島だけじゃねぇって事かよ!?
ミクリオこの空間全体で何か異変が起きているようだ…!
スタンそんな…!一体何が…
ティア天帝が目覚めかけているのかも…。光の渦が今までにないほどの強い光を帯び始めている…
エリーゼ本当です…!さっきまで普通だったのに…
ビシッ!
ガラガラ…
ゼロスちっ…また足下が崩れ始めた…
ズゴゴゴ…!
スタンしかもこの揺れ…さっきより大きいぞ
スレイあれこれ考えるのは後だ、とにかくここを離れよう…!
ティア向こう側へ行きましょう…!ここよりは崩落が少ないわ
ゼロス…ああ、わかった!
スレイ──みんな、あと少しだ!大きな壁の残骸…あの辺りまで止まらずに走ろう!
スタンああ、わかった…!
ゴゴゴゴゴ…!
エリーゼきゃっ…!
スレイエリーゼ!
スタン大丈夫か!?
エリーゼはい、何とか…
ビシッ!
ガラガラガラ!
ティアまずいわね…こっちにまで崩落が──…
ビシッ!
エリーゼ…!
エリーゼスレイ、危ないっ!──ティポ!
ティポまかせて、エリー!
ティポえーい!!
ドンッ!
スレイうわっ!?
ティアスレイ!エリーゼ!
ガラガラガラッ…!!
ズズズ…
ミクリオこれは…!
ゼロス島が…完全に分断されちまった…
スレイくっ…!何で…
ゼロスエリーゼちゃん!俺さまが受け止めてやる。思い切って跳べ!
ミクリオ無茶を言うな。エリーゼ一人で跳び越えられる距離じゃない
ミクリオそれに…その距離はどんどん広がって…
エリーゼ…みんな、先に行ってください
エリーゼわたしなら大丈夫ですから…
スレイそんな事出来るわけないだろ…!
スレイオレがそっちに行く、エリーゼはそこで待ってて──
エリーゼ駄目です!
エリーゼ今、スレイがこっちに来たらきっともう戻れません…
エリーゼいいから、行ってください
スレイけど…
エリーゼヴェイグやミラ…これまでわたしはたくさんの人達に助けてもらいました…
エリーゼだから今度は、わたしが……
ズゴゴゴゴゴ…
スタン…!エリーゼ!
ゼロスくそっ…!エリーゼちゃんがどんどん離れて…
スレイエリーゼ…エリーゼ!!
ティポエリー…
エリーゼこれでよかったんです…これで…
エリーゼけど…ミラやヴェイグのように強くあるのは難しいですね…
エリーゼやっぱり少しだけ…怖いです…
???…一人で抱え込むなと、言ったはずだ
エリーゼ…!その声は、まさか──…
scene2友を想えば
エリーゼ──その声は、まさか…
ティポもしかしてー!
ヴェイグ…ああ、待たせてしまったな
エリーゼヴェイグ…!!無事で本当によかった…
ティポって事は、ひょっとしてー!
ルドガーああ。俺もいるよ、ティポ
エリーゼルドガー!
ヴェイグ二人共、心配かけた──…むぐっ
ルドガーこ、こら…ティポ!駄目だろ、ヴェイグの顔に飛びついちゃ…
ティポだって、だってー!
ゴゴゴゴ…
エリーゼ…!
ヴェイグ…とにかく急いでみんなのいる島へ渡ろう
エリーゼですが…あの距離はさすがに…
ルドガー大丈夫だよ、エリーゼ
ルドガーはあああああっ!
エリーゼ…!ルドガー、その姿…
ルドガーこの状態なら、エリーゼを抱えたままでも跳べる。さあ、こっちに
エリーゼけど、ヴェイグは…
ヴェイグオレは心配ない。…一人なら何とかなる
ルドガーティポ、お前も一緒に
ティポありがとー
ルドガーよし、じゃあ行くぞ
ヴェイグ…ああ
ルドガーせーの!
ルドガーそれっ!
ヴェイグはっ!
スレイ──とにかく、オレがエリーゼのところに行く
スレイみんなはこのまま光の渦を目指して、先に──
???…その必要はありません
スレイ…!
エリーゼみんな…
ティアエリーゼ!それにルドガーとヴェイグも!
ティポぼくだっているけどねー!
ルドガーちょっと、久しぶりだね
ヴェイグ…全員揃っているな
スタン二人共無事だったんだな。よかった…!
ティアしかも、エリーゼまで一緒に戻ってくるなんて…
ヴェイグ…心配をかけてすまなかった
ルドガー無事みんなと再会出来て、本当によかったよ
エリーゼスレイの言った通りですね…。またヴェイグとルドガーに会えました
スレイうん、そうだね
スレイそれとエリーゼ、さっきは助けてくれてありがとう
スレイエリーゼが助けてくれなきゃ今頃オレは、この奈落の底だ
エリーゼ…よかったです
ゼロスとにかく、全員無事で何よりだ
スタン光の渦までもう少しだ。あと一息、乗り切ろう!
ティポおー!
scene1迫る覚醒の時
スレイ──ようやく揺れも収まって来たな
スタン天帝の目覚め…ひとまずは落ち着いたと考えていいのかな…?
エリーゼどうでしょうか…。光の渦の輝きが強いままなのが少し気になります…
ゼロス嵐の前の静けさってヤツなのかもな
ミクリオとにかく、残された時間が僅かな事は確かだ。急いで次の島への道を探そう
スレイ…そういえば、ルドガーとヴェイグが転移した先ってどんなところだったんだ?
ルドガー転移…?
ティアあの赤い結晶の事よ。魔法陣やあの状況から転移だろうと予想していたの
ティア…あの時は助かったわ。本当ならルドガー、あなたじゃなく私が飲み込まれるはずだった…
ルドガー…いや、全然構わないよ。寧ろ、行けてよかったと思ってる。そうだよな、ヴェイグ?
ヴェイグ…ああ
エリーゼ行けてよかった…?
ティポそれってどういう事ー?
エリーゼ──信じられません。まさか、ユリウスとクレアが…
ヴェイグ…理屈はわからないが、この空間は地上で晶化した物や人を再現しているという事だろう
スタンでも…腑に落ちないのはオレ達が見た聖剣、だよな…
ミクリオ…ああ。聖剣があの場に存在していた時点で、現実の物とは状況が乖離している
ティアそれは、酷く破損した他の残骸にも言える事だわ…
ティア……もしかしたら、この空間には何か大きな秘密が隠されているのかもしれない
ゼロス…なるほどな
ゼロス…ここのもんは晶化した物を真似て作った偽物だと思ってたけど一概にそうでもねぇって事か…
ルドガー難しいな。幻影とでも言うべきか…実物じゃないという意味では、兄さん達も“偽物”と言える
ルドガー…ただ、これだけは断言出来る
ルドガー兄さんとクレア…二人の意思は、紛れもなく本人の物だったって
スレイ…うん。二人の話を聞いて、オレもそう感じたよ
スレイユリウスさんもクレアさんも…きっと、二人に伝えるべき強い想いを持ってたんだろう
スレイ…人は想いを伝えられる
スレイそれを知った時、わかり合う事だって出来るんだ
ミクリオ……ああ、そうだな
スタンにしても、本当に何者なんだろうな、天帝って…
スタン城に着けば何かわかるかもって思ってたけど…結局何もわからずじまいだ
ゼロスわかってる事と言や、ただの人間じゃねぇって事くらいか。後は…謎が深まるばかりだぜ
ゼロス…さてと、次の島への道探し、再開といくか
ティアええ、そうしましょう
scene2迫る覚醒の時
ゼロス──浮島を見つけたぞ。こっからあの島に行けそうだ
ヴェイグ光の渦との距離からして、おそらくあの島が終着点だな
ルドガーよし、じゃあ早速行こう。俺が先導する
ルドガーみんなも後に続いて──…ん?
スレイ
ミクリオ…スレイ、どうかしたのか?
エリーゼ光の渦を見てたんですね
スレイうん…
スレイあそこにいるんだよな、天帝とヴァンが…
ヴェイグああ…
スレイ…ヴァンの言う世界の浄化ってさ、本当に世界を晶化させるだけ、なのかな?
スタンどういう事だ?
スレイこの世界を晶化で覆い尽くし世界を浄化させる、それが目的だとヴァンは言ってた…
スレイけど、オレ達がこの空間内で見た建物の残骸や晶化した人達…
スレイこれらは何か、ヴァンの目的とは別の意図があるような気がしてさ
スレイ何て言うか…繋がらないんだ
スレイ共謀しているはずの二人…、世界を無に帰そうとするヴァンと偽物を作り出す天帝の力が……
スレイ…それで思ったんだ。世界を晶化させる事は目的じゃなく、ただの通過点なんじゃないかって
スタンそれってつまり…世界が晶化した先に、ヴァンの本当の目的があるって事か…?
スレイうん…
ティア…そういえば兄さんが言ってたわ。この世界を捨てる事こそが救世…それが浄化なのだと
ティアスレイの言う通りだとしたら、その「救世」が意味するものこそが兄さんの真の目的なのかもしれない…
ゼロスでもよ…その救世って何なんだ?
ミクリオ何かはわからないけど、天帝の力によるものである事はおそらく間違いないだろう
ミクリオ…あの時の僕らは、天帝がこれほどの力を持つ存在だとは認識していなかった
ミクリオだからこそ、その「救世」という言葉の意味を深く捉えていなかったが──
ミクリオ天帝の力を知った今なら、その解釈も頷ける
ヴェイグ…晶化の先に、ヴァンが望んでいるもの…か
エリーゼ
ティア…兄さん、あなたは一体……
スレイ…ティア。その答えもじきにわかるよ
ティアええ、そうね…
ルドガー…よし、そろそろ行くとしよう
scene1三つの虚像
スタン──ここが終着点か
ゼロス何か、いかにもって感じだな…。他の島とまるで雰囲気が違う
ミクリオ建物もほとんど原型を留めているし、まるでどこかの神殿や遺跡にでも来たような気分だ…
ティポうんー、ヘンなカンジー
エリーゼ…!見てください、あそこに階段があります
ルドガー随分と長い階段だが、その先に見える光は…
ヴェイグ…ああ、例の光の渦に続いてるんだろう
スレイ遂にここまで来たんだな
スタンああ、一時はどうなる事かと思ったけど全員で無事にたどり着けてよかった
ティアそうね…。けれど、ここからが正念場よ
ティア相手は兄さんと、得体の知れない力を持つ天帝──…
ティアきっとこれまでにはないほど厳しい戦いになるわ
スレイ…うん、覚悟は出来てるよ。な、ミクリオ?
ミクリオああ
スタンヴァンの思うようにはさせない…!
ゼロス天帝の野郎もな。何者か知らねぇが目覚める前にぶっ倒してやる
ティア気合は十分ね。なら、行きましょう。天帝とヴァンの元に──
???『──そうはさせないよ』
スタン…!今のは一体…!?
ミクリオ頭の中で声が…!
ヴェイグこれは…クレアの時と同じだ
スレイ何…!?じゃあ、もしかして…
コツ…コツ…コツ…
ティア上よ、階段から誰か降りてくる…!
ルドガー誰だ!姿を見せろ!
???『うふふ…久しぶりね。 まさかこんな形で再会するなんて やっぱり運命かしら♡なーんてね』
ザッ…
ミクリオ…!
ゼロスまさか、お前ら……
scene2三つの虚像
ティア──どうしてあなた達が…
アリス
デクス
シンク
ヴェイグアリスにデクス…!?
ゼロスそれに、シンクの野郎まで…!何でお前達がここにいるんだよ!?
ルドガーこいつらも兄さんやクレアと同じって事さ…!
スタンそれって…地上で晶化したって事か…!?
ミクリオ…確か、アリスとデクスの身柄はア・ジュールが拘束していたはずだ。だとしたら……
スレイ…!まさか…ア・ジュールも晶化に…?
スタンそんな…ガイアスさんやジェイドさんも…
ルドガーくっ…!
シンク『相変わらず騒々しいね、アンタ達。 …けど、それもここまでだ』
アリス『ここから先は ぜーったいに通さないんだから』
ゼロスちっ、お前らと遊んでる暇はねぇっての!どきやがれ
シンク『…言ったはずだよ、通さないって』
ゼロスおいおい、晶化してまでまだヴァンに従うってのかよ?
シンク『ふん、勘違いしないでほしいね。 誰も好き好んでヴァンに 付き従っているわけじゃない』
シンク『もうすぐ迎える この世界の終わり……、 ボクはただ、それを見たいだけさ』
シンク『はっ!』
シャッ!
ガキーンッ!
ゼロスちっ…!
アリス『アハハ♪ シンクってば相変わらず 血の気が多いんだからぁ』
アリス『ま、アリスちゃん、 …そういう人嫌いじゃないケド♪』
デクス『くっ…おい、シンクてめぇ! オレのアリスちゃんの前で、 かっこつけやがって!』
ヴェイグ…おい、アリス、デクス。ふざけるのは大概にして、今すぐそこを退け
アリス『バカね、ヴェイグちゃんったら。 そんな事、聞かなくたって 答えはわかってるク・セ・に♪』
アリス『…デクス、行きなさい! 邪魔されて捕まった時の お返しよ』
デクス『アリスちゃんのお望みとあらば! …覚悟しろよ、お前ら?』
チャキ…!
スレイ
ティア厄介ね…、強敵揃いよ
エリーゼどうしますか…?
ヴェイグ…決まっている。やるしかない
スタンああ、答えは一つだ!
スレイ例えどんな障害が立ち塞がろうと、オレ達は前に進む
スレイやろう、みんな!
ミクリオああ…!
ティアわかったわ…!
scene3三つの虚像
シンク……
ゼロスお前の相手すんのもよ…、いい加減飽きて来たぜ
ゼロスこれで終わりにすんぞ、…シンク!
ゼロスせやああっ!!
ズバッ!
シンク『ぐっ…』
──ドサッ
ゼロス…ったく、奇妙な縁だな、お前とは。こんなとこでもまた会うとはよ…
ヴェイグアリス、デクス…
ヴェイグお前達がオレ達の前に立ち塞がるのであれば、退けるだけだ…何度でも
ヴェイグエリーゼ!ティポ!
エリーゼはいっ!
ティポいっくよー!
ヴェイグはあああっ!
ズバッ!
エリーゼやぁっ!
ドーンッ!
アリス『うっ…』
デクス『く、くそっ…』
スタン何だ、この光は…!?
ルドガー…じきにわかるよ
ティア三人の姿が…消えてしまったわ
エリーゼ…何だか不思議な感じがしますね。まるで夢だったようで…
ヴェイグ…あいつらも、意思は本人の物のようだったな
ゼロスけどまあ…いくら敵だとは言え、姿を真似た幻影ってのは、あんま気分のいいもんじゃねぇな
スタンまあ、そうだな…
ティア……とにかく、これで私達の行く手を阻む者はいなくなったわ
ティア行きましょう、あの階段の先へ
スレイうん。あの先にある光の渦…きっとそこに天帝とヴァンがいる
スレイこれが本当の、最後の決戦だ
ミクリオ…いよいよだな
ティア兄さんの…いえ、ヴァンの過った理想にはここで必ず終止符を打つわ…
ゼロスああ、これ以上あいつらに好き勝手させるワケにはいかねぇからな
ヴェイグ天帝を倒し、クレアを…晶化に奪われた全ての物を取り返してみせる…
ルドガー必ずやり遂げてみせるさ
ティポぼくもがんばっちゃうもんねー
エリーゼみんな一緒なら大丈夫です…!絶対に負けません
スタン俺達の世界は、俺達が救う!
スレイこれで全ての決着がつく…いや、つけるんだ
スレイ…みんな、天帝の目覚めを止めてこの世界を必ず救おう。オレ達全員の力で!
全員おおっ!
ルドガーよし、じゃあ先へ進もう
スレイ…ミクリオ
スレイどうしたんだ、行かないのか?
ミクリオさっきのみんなへの言葉…
スレイああ、決戦の前だし気合を…と思ったんだけど…変、だったかな?
ミクリオいや、悪くなかったと思う。ただ、スレイ…
ミクリオ君は変わったな
スレイオレが?
ミクリオ昔の君なら、こういう時、他人を巻き込んでしまったと考えていた
ミクリオ一緒に戦おう、なんて絶対に言わなかったと思う
スレイそうかな…
ミクリオ一人で抱え込むの、大好きだったろ
スレイ…うっ
スレイ…でも、ミクリオの言う通りかもしれないな
スレイ導師になって、みんなと旅をして…その中で神依の事もあったりさ
スレイ少しわかるようになった気がするんだ
スレイみんなの背負ってるものや、抱え込んでる想いが…
スレイそういう想いを知ったら、オレ一人で戦うのは何か違うなって思ったんだ
ミクリオ…うん、そうだな
ミクリオ何にしても、いい変化だよ。君も成長するって事だな
スレイははっ、よかった。じゃあこれでミクリオも安心してオレに付いて来られるな!
ミクリオはぁ、君は…。たまに褒めるとすぐこれだ…
ミクリオ僕は君に付いていく気なんてこれぽっちもない
ミクリオ君の隣、ここが僕の居場所だ
スレイミクリオ…
スレイうん、そうだった
スレイ行こう、ミクリオ。一緒に世界を救うんだ
ミクリオああ、君は僕がいないと駄目だろうしな
スレイそっちこそ!
scene1夢と理想の果て
スレイここに天帝が…
ミクリオ待て、スレイ…!
スレイ…!!
ヴァン…よもや、ここまで至るとはな。その執念、賞賛に値する
スレイ…!
ティア…兄さん
ミクリオスレイ…ヴァンの後ろにあるもの…
スレイ巨大な晶化の…結晶…花のように見えるけど…
スタン…結晶の花…?ここに、天帝が…!?
ヴァンそう、これこそが天帝…
ヴェイグこれが…晶化現象の元凶…!
ゼロスそいつを目覚めさせてたまるかよ…!
ヴァン無駄だ。天帝はじき目覚める
ヴァン世界の全ては晶化に包まれ、そして浄化が果たされる…
スレイ…ヴァン、答えてくれ
ヴァン
スレイこの天帝の御座の中に入ってここまで到達するまでの間…
スレイいくつもの不完全な形の建物を見かけた
スレイそれは、この地上で晶化したはずのもの達だった…
スレイ世界の浄化…それはただ晶化で世界を覆い尽くすだけじゃないだろ?
スレイ晶化の先に、何を求めているんだ?
ヴァン…ほう
ティア兄さん、答えて…!
ヴァン
ヴァンそれに気付くとは…。…カーツがお前達を危険視していたのも頷ける
ヴァン世界を晶化させた先にあるもの…それは「新世界」
スレイ新…世界…?
ヴァン争いなき世界、一から全てをやり直せる世界を創る…
ヴァンそれが私の掲げる世界の浄化だ
ゼロス本気で言ってやがんのか…?
エリーゼありえないです…新しい世界を創るだなんて…
ティポそーだそーだー!
ヴァン現にお前達はここに来るまでに見てきたはずだ
ヴァン天帝が創り出す世界…その幻影を
ルドガー…!まさか…
ヴェイグクレアや…ルドガーの兄の事か…?
ヴァンあれも、ここでお前達が見た建物も晶化を通じて創り上げたこの世界の“写し”だ
ティアそんな…仮に新しい世界が創れたとしても人々から争いはなくなりはしない…
ティア兄さんだってわかっているはずだわ!
ヴァン…争いの根源となるものは全て天帝の力で無に帰す
ヴァン争いで命を落とす事、虐げられる事…
ヴァン苦しみや悲しみ、これらからの解放だ
エリーゼ天帝は、そんな力まで持っているんですか…?
ヴァンお前達が受け入れさえすれば共に新世界で歩む道もあろう
ゼロスはんっ、仲間にしてくれる、ってか?
スレイヴァン…
スレイきっと…争いをなくしたいって気持ちはオレ達も、あなたも同じなんだ
ヴァン
スレイけど…
スレイ大勢の人が生きてる以上考え方が違ったりするのは普通の事じゃないか?
ミクリオみんな、守りたいもの欲しいものは違うからね
ミクリオ望みや願いが強いほど、自分と違う考えを持つ人を憎む事もあるかもしれない
ミクリオ最悪の場合、そこから衝突してしまって争いになるだろう
ミクリオだからって、その解決方法が争いの根源を無に帰すだって…?
スレイオレ達は、思いを伝えられるし、知る事も出来る。わかりあえないわけじゃない
スレイ時には、仲間と喧嘩だってするさ。でも喧嘩して相手の気持ちを初めて知ったりも出来る
スレイ信頼ってこういう事の積み重ねだろ
ヴァン…愚かな
ルドガー積み上げてきた、人の絆や想い…お前にそれを否定する資格はない!
ゼロスいい加減好き勝手やるのもおしまいにしようぜ?
スタン俺達みんなの世界を…お前の思うようにさせない!
エリーゼはい!ミラやジュード…それにここにいるみんな…
エリーゼ大切な人達がいるこの世界をなかった事になんてさせません!
ヴァンどこまでも愚かな幻想にしがみつこうというのだな
ヴァンそれでは争いにまみれたこの世界は救われない
ティア確かに、争いをなくす事は容易い事じゃないわ。けど、人は変わっていく事が出来る
ティア私は変わる事の出来た人を知っている…
ティア粗暴で…わがままな事もあるけど…必死に世界に立ち向かっているわ…!
ヴァン私は世界の在り方を問うているのだ
ヴェイグ世界の在り方…それは迷い…苦しみ…、そして成長し、生きる事だ
ミクリオああ、僕達はそうやって生きていける
スレイそれを教えてくれた「この世界」をオレ達は守る
スレイだから、その考えを受け入れる事は出来ない…!
ヴァン…やはり、相容れぬか
キィン…キン…
ミクリオ結晶の花が…!
ヴァン──目覚めだ。世界の浄化が始まる
ヴァンお前達が何と喚こうと運命は変わらぬ
ヴァンここで天帝の目覚めに立ち会える事を幸福に思うがいい
スレイさせない!その結晶の花を破壊出来れば…!
ヴァン…天帝には指一本触れさせん
ヴァン──導師。君の覚悟を見せてくれ
ヴァン私と、君のどちらが正しいか──…この剣で語ろう
スレイ…ミクリオ!
ミクリオああ!やるぞ、スレイ!
スレイ・ミクリオルズローシヴ=レレイ!
スレイ・ミクリオ行くぞ、ヴァン!!
ヴァンこの欺瞞と矛盾に満ちた世界に執着する者共よ…来るがいい!
ヴァン世界を浄化させる前に排除してくれる!
ヴァン…簡単には倒れぬか
ヴァンだが、甘い!
ヴァンはあぁぁ!!
スタンうぐっ…重い…!
ヴェイグこの人数相手に渡り合えるとは…
エリーゼはぁはぁ…ティポ、大丈夫!?
ティポま…まだまだー!エリーといっしょに、頑張るからねー!
ゼロス攻撃を避けられてるわけじゃねぇ…ダメージは与えてんだろ…!
ルドガーどこかに隙はあるはずだ…そこを狙う…!
ティア押し切るわ…!
ヴァン無駄だ…!
ヴァン…!
ティア…?何、今のは…
ヴェイグ集中力、体力…底なしか…?
ゼロスさすが、世界を作り替えようとしているだけはあるな…
ゼロスルークの野郎、こんなのと稽古してやがったのかよ…
ティアルーク…
ティア…さっきの様子…それに、今の動きは…なら…!
ティアスレイ!左腕を狙って!私は足止めを…!
スレイ左腕…?そうか…ルークの!わかった!
ヴァンふん…今更左腕など…痒くもないわ
ミクリオそれはどうかな
スレイ全力でいくぞ!
スレイ・ミクリオ蒼の四連!
ヴァンこの程度…!
スレイまだまだ…!ミクリオ!!
スレイ・ミクリオ蒼海の──八連!!
ヴァンくぅ…!!
スレイ全てを、貫け──
スレイ・ミクリオ蒼穹の十二連!!!
ヴァンしまっ…
ティア崩れた…!!
ミクリオ今だ!全部ぶつけるぞ!スレイ!!
スレイああ!
ミクリオ水神招来!
スレイ・ミクリオ我が弓は蒼天!蒼き渦に慚愧せよ!
スレイ・ミクリオアクアリムス──ッ!!
ズシャアァァ──ッ!!
ヴァンぐあああぁぁぁ…っ!!
スレイはぁ…はぁ…どうだ!
ヴァンくっ…あと少し……持ちこたえれ…ば…
ティア兄さん…
ルドガー倒した…のか?
スタンやった…!
ヴェイグ急げ!あの結晶の花を破壊しよう
ルドガーでも、あれも晶化の結晶と同じものならそう簡単には…
スタンスレイ、ミクリオ…!神依の力で…!頼む…!
スレイああ、やるしかない…!
ミクリオスレイ、一撃にありったけの力をこめるぞ!
スレイわかった…!行くぞ、ミクリオ!
ルドガー何だ…!?結晶の花が光っている…?
ヴェイグそれだけじゃない、花が開き始めて…!
エリーゼこれが…天帝の目覚め…?
エリーゼ──きゃっ!?
ティポうわぁぁぁぁーっ!
スレイどうした!?
ティポエリー!エリーが、エリーが!
エリーゼあ…あぁ…嘘…動け…ません…
ピキ…ピキ──…
スレイまさか…晶化現象…!?
ティポスレイ君、助けて!エリーを助けてあげ──
ピシィッ──
エリーゼティポ!?いや…!
ミクリオお、おい、スレイ。他のみんなも晶化が…!
スレイこれが天帝の力だっていうのか…!?
ヴェイグ諦める…ものか…こんな、もの…
ヴェイグおおおおっ!!
ガキン!
ヴェイグっ…ぐっ…
パキンッ…ピキピキ…
エリーゼみんな…!
スレイヴェイグ!!エリーゼ!!
スレイみんな、すぐ助けに…
ミクリオ駄目だ、スレイ!今は集中してくれ!
スレイでも…!
ゼロスしゃんとしろ、スレイ!
ゼロスお前らまで晶化しちまうわけにはいかねぇだろ…!
スタン晶化はもうすぐ世界に広がる!時間がないんだ!
スタン大丈夫だ、スレイ…!この世界は取り戻せる…!
スレイゼロス…スタン…!
ピキッ…パキ…
…ピキッ…ピシッ…
ルドガースレイ!決着をつけるんだ!
ルドガー頼む、みんなを…!この世界を…!
ピシピシ…ピキッ…
スレイルドガーッ!!
ミクリオ…くっ
スレイ…う、うう
ミクリオ!スレイ
カラン…カラン…
ヴァンハッ…もう剣も握れんか…
スレイヴァン…お前…
ミクリオまだ…動けた…のか…!?
ヴァン…我が理想の成就は…お前達に止めさせはせん…!
ヒュッ!
ヴァンぐっ…これは一体…
ティアはぁ…はぁ…
ヴァンティア…お前か…
ティアお願…い…スレイ…兄さんを…
ティア止…め…
ピキ……ピキッ…
スレイティア…ッ
ヴァン愚かな…
ヴァン何故わからぬ。私の理想が…
スレイ言っただろう!オレ達は、今の「この世界」を守る!
スレイヴァン…!これで終わりだ…
スレイこの一撃で世界を晶化から解き放つ…!
スレイみんなをお前から…天帝から…取り戻す!!
スレイ蒼穹…
スレイ・ミクリオ── 一閃!!
スレイ・ミクリオいっけええええーッ!!!
ヴァン
ピシ……ピキピキッ…
……
???レイ…──
???ス…レイ…──…
???──スレイッ!!
スレイミ…ミクリオ…?
ミクリオよかった…
ミクリオ大丈夫か?一気に力を放出して気を失ってたんだ
スレイそう…なんだ
スレイそうだ…ヴァン…結晶の花は…!?
ミクリオヴァンは君が気を失ったのと同時に晶化してしまった
スレイヴァンまで…そうか…
ミクリオ結晶の花は…
スレイヒビが…
ミクリオ何とか傷付ける事は出来たみたいだね
スレイあぁ!これなら破壊出来る…!
ミクリオ…!?
スレイあと一撃…あと一撃だけでいい。それで決める…!
スレイミクリオ…!もう一度神依を…
ピキッ──
スレイえ…?
ミクリオスレイ。すまない…
ミクリオ最後まで一緒に──…
ピシッ──ピキピキ…
スレイミク…リ…オ?
スレイ嘘…だろ。そんな…
トンッ…
スレイ…!
スレイ…お前…は──…
???クスッ…
???…おやすみ
???そして
???おはよう僕の世界──