NameDialogue
あの頃のように…scene1
リチャード騎士団の方が慌ただしいようだが一体何事だ?
親衛隊はい、先日ご報告いたしましたが、騎士学校の学生達の騎士団への体験入隊が始まっております
リチャードそういえば、今日からだったか。未熟な学生を、いち早く我が国の戦力に育てなければならない
リチャード星のカケラを集めるための大切な人材…だからな。ふふ
親衛隊仰る通りでございます。今のうちから心身ともに経験を積ませ、より有望な人材を育成してまいります
親衛隊確かに今はまだまだ未熟ですが、必ずや、陛下の剣となり、また盾となる事でしょう
リチャード剣となり、盾となる…か。そうなるように、厳しく指導してくれ
リチャード学生の体験入隊か。…まあ、揃いの学生服で生活する様は、規則正しい騎士団に通ずるものがあるだろうな
リチャード…学生服、か。そういえば、僕も一度袖を通した事があったな
リチャードうっ…!頭が…
リチャードよき王とは、民の生活や文化など幅広い知識が必要だ…少しずつで構わない、僕に教えてくれないか?
親衛隊リチャード様…。それでは、こちらの服をお召しになられてはいかがですか?
リチャード何だ?その服は。いつものとは感じが違うようだが
親衛隊これは、街の学生達が着る学生服でございます
リチャード学生服…?
親衛隊はい。まだ未熟な学生達に、連帯感や仲間意識を学ばせる一環として揃いの学生服を着る習慣がございます
親衛隊リチャード様はお召しになる機会がございませんでしたが、これはとてもよく知られる民の文化…
親衛隊一度、袖を通されてみますか?いつもとは違った観点で、物事を捉える事ができるかもしれません
リチャードそうか、であれば着てみよう。その学生服を貸してくれ
リチャード…どうだい?
親衛隊おお!とてもお似合いでいらっしゃいます!メガネが知的さを醸し出して何とも…
リチャードそうだな。変装としてもちょうどいいし、悪くない
リチャードうう…今のは…昔の記憶か
リチャードふふっ、懐かしいな。随分昔の事のように感じるものだ
リチャード何だろう…懐かしさからか、とても気持ちが穏やかになったように感じる
親衛隊失礼いたします、陛下。国民の謁見の時間が迫っております。そろそろお戻りいただきたく
リチャードわかった。みんなを待たせてはいけないな。すぐ向かう
親衛隊陛下…?あ、は、はい
騎士団員お取込み中失礼いたします。街の外れに魔物が現れました
騎士団員現在、魔物どもが街に入らぬよう食い止めております
リチャードそうか、報告ありがとう。さらに兵を増員してくれぐれも民衆に被害が及ばぬようにしてほしい
騎士団員…はっ、し、承知いたしました
リチャードふむ…、そうか…、なるほど…。君の街にも魔物が…それは危険だ。騎士団員を向かわせる事にしよう
男性Aへ、陛下…!!まさか聞き入れてくださるなんて…本当にありがとうございます!!
親衛隊長…うむ。次の者、入ってまいれ
男性B
親衛隊長ん?どうしたのだ?早く入って──
男性Bリチャード!お前の事を許さないぞ!覚悟するんだな!だが、その前に…まずはこいつらからだ!
親衛隊長あいつ…謁見待ちの民衆を狙う気では…!?はっ!陛下!?何を──
リチャードふん!
男性Bぐわあぁぁっ!
リチャード不服の矛先は僕であるにも関わらず、無関係な民へ刃を向けるとは許しがたい行為だ!
あの頃のように…scene2
アスベル騎士団の遠征任務の報告に来たが…まだ謁見中か。相変わらず忙しそうだな…
親衛隊長アスベル、待たせたな。本日の謁見はこれで完了だ、陛下へ任務報告を頼む
親衛隊長…ところで、今日の陛下のご様子について少々気になっているのだが…お前、何か知っているか?
アスベル様子が違う…?どういう事ですか?
親衛隊長急に暴れ出した輩から民を守るべく立ち向かわれたり、優しい言葉をかけてくださったり…
親衛隊長まるで、お心優しい以前の陛下のようなのだ
アスベル…!それは本当ですか!?最近、どうも陛下の様子がおかしいと思っていたので安心しました
アスベル教えて下さってありがとうございますでは、早速ですが、陛下のところへ行ってきます…!!
リチャード今日の謁見はこれでおしまいか?
親衛隊長謁見は終了でございますが、騎士団より任務の報告がございます
アスベル陛下、ただいま遠征より戻ってまいりました
リチャードアスベル、君か!遠征、ご苦労様。無事に戻って来てくれて嬉しいよ
リチャード遠征ではどんな──
リチャードううっ…
アスベル陛下…!おい、リチャード!大丈夫か!?
リチャードああ、大丈夫だ。すこし頭痛が…
アスベル…忙しいのはわかるけど、あんまり無理するなよ
アスベルそういえば、さっきここにいた人達を悪者から守ったそうじゃないか
アスベルお前は大丈夫だったか?実は、最近様子がおかしいと心配してたんだ。でも、やっといつものリチャードに…
リチャードうっ…
アスベルリ、リチャード?
リチャード…僕に対してその物言いは何だ。目をかけているからといって、いささか調子に乗っているようだな
アスベルそんな…
リチャード話は終わりだ。気分が悪い、出て行ってくれないか
アスベル…戻ったというのは気のせいだったのか…?
アスベルいや、そんなはずはない。今さっき、確かに…
アスベル…リチャード、お前に一体何があったんだ…?
アスベル
アスベル…でも、俺は信じるよ。いつか必ず、あの優しかった頃のリチャードに戻ってくれると…
制服で世界征服scene1
フレンリチャード陛下、先日完了した騎士団の任務の件ですが…
リチャードああ、手短に頼む
リチャードうっ…
フレンどうなさいました、陛下!?
リチャード…いや、何でもない。気にしないでくれ
フレンですが、ここのところずっとご多忙でしたし、少々お疲れなのでは…
リチャード…気にしないでくれ。それに僕には疲れている暇などない
リチャードそんな暇など…
フレン陛下…
側近リチャード陛下!商人がお目通りを願っております!
リチャードん?ああ、通してくれ。フレン、報告は後でも構わないな?
フレンはい。ですが陛下、先日の騒動の件もあります。このまま謁見の警護に就かせていただいてよろしいですか?
リチャードああ、それで構わない。進めてくれ
側近はっ!
商人お久しゅうございます、陛下。本日は、新しいお召しものをご用意いたしました
リチャード…ふむ、どれもなかなかの品だ
商人中でも、こちらは特に上質な品で…
リチャードん?これは学生服ではないのか?王であるこの僕に、学生風情が着るこのようなものを着ろと言うのか?
商人いえ、こちらは制服をモチーフにデザインされておりますが、歴とした正装でございます
商人個性的ではございますが、陛下のような有能な方にこそ着て頂くべきものでございます
商人それが、デザインコンセプトにある製作者の願いでもございます
フレンデザインコンセプト…?
商人「この制服で世界を征服!」製作者…すなわち私の願い――
リチャード…制服で世界征服、だと?おい、貴様…僕を愚弄しているのか?
商人め、滅相もございません!私はただ…少しでも陛下にお喜び頂きたくダジャレを申し上げただけで――
リチャード…もういい!下がれ!
商人も、申し訳ございません!
リチャード…まったく、僕は忙しいというのに…
リチャード!!ううっ…!
フレン陛下!大丈夫ですか!?陛下!
側近おい、そこの警備兵!医師を呼ぶんだ!早く!
リチャードよし、新しい服はこれに決めたぞ。早速、袖を通すとしよう
リチャードうん、機動性も悪くない。あの商人もなかなかやるじゃないか
リチャードよし、フレン!この制服で世界征服だ!
リチャード騎士団でも、甲冑を着用しない際はこれと同じものを着用するといい。手配は任せたぞ
フレンははーっ!陛下の仰せのままに!
リチャード…これでこの服は我がウィンドル軍を象徴する「制服」という事になるな
リチャードよし、この事は民へも知らしめておく必要があるだろう。早速だが、街へ向かうぞ
制服で世界征服scene2
フレン──民も大いに熱狂しておりました。おや?陛下、お召し物を元に戻されたのですか?
リチャードああ、汗をかいたから着替えた。早い内に替えの分も仕立てておかなければいけないな…
リチャードそれにしてもお腹が減ったな。フレン、何か食べるものを持ってきてくれないか?
フレン申し訳ございません!陛下のお口に合いそうなものは…
フレン騎士団の糧食である「納豆トースト」でしたら手元にあるのですが、とてもお出しできるものでは──
リチャード何?納豆トーストだって?一つ僕にくれないか?
フレンこっ、これを…でございますか?
リチャードああ、そうだ。案ずるな。幾度となく口にした事はある
フレン左様でございましたか。であれば、どうぞお召し上がりくださいませ!
リチャードやはり、いつ食べてもおいしい!それ以上の表現が見つからない
リチャードおいしい上に身体にもいい。納豆トーストを常食しているとは、さすが我が国の騎士団だ
フレンおお、過分なお言葉、このフレン、身に余る光栄にございます!
リチャード…よし、決めたぞ。これを我が国の代表食品としよう!すぐさま民へ広めるのだ!
リチャードあれから1週間ほどか。すっかり民の間でも納豆トーストが定着したようだ
リチャードしかし、いつ食べてもおいしい。いくら食べても飽きがこない
フレン民衆も今やこぞって納豆トーストを求めるようになっております。ですが…
リチャードどうした?
フレンあまりに全国民が納豆トーストを追い求めるあまり、納豆もトーストも供給が追いつかなくなっております
フレン実は…今まさに、陛下がお召し上がりになっているのが最後の納豆トーストなのです
リチャード何だって!?
フレンさらに、制服の生産にも問題が…。あの制服は特殊な製法を要するため大量生産が極めて困難でございまして
リチャードそんな事では、制服での世界征服が危うくなるじゃないか!
リチャードこれは非常事態だ!制服の生産ラインに加え、納豆とトーストも生産ラインを確保せよ!
リチャード僕は絶対に、制服を着て世界を征服してやる!制服で世界を──…
???…──か!…ちゃ…いか!
フレン陛下!リチャード陛下!
リチャードうう…
フレンあ!陛下!大丈夫ですか、陛下!
リチャードうう…僕は一体…
フレン急に頭を抱えられ、そのまま気を失ってお倒れになったんです
リチャードそうか…何だか恐ろしい夢を見た気がする…
リチャードはっ!フレン!納豆トーストの状況は!?ちゃんとあるのか?
フレンえっ?な、納豆トーストですか…
フレン調理場へ行けばあると思いますが…
リチャードそれはよかった。納豆トーストを切らさぬよう注意しておくように!
フレンは、はい…