| Name | Dialogue |
| 願いがかなう泉 | scene1 |
| シェリア | ねぇ、アスベル。私ね、このあいだ街で素敵な噂を聞いたんだけど… |
| アスベル | ん?どんな話だ? |
| シェリア | 森を抜けたところの洞窟の奥に泉があって、その泉に願い事をすると何でもかなうんだって |
| アスベル | 願いをかなえてくれる泉…か。何だかおとぎ話みたいだな |
| シェリア | ね、素敵でしょ?一緒に行ってみましょうよ! |
| アスベル | その洞窟、確か騎士団の中でも話題になってたような… |
| アスベル | まぁ、いいか。明日なら少し時間を空けられるし、行ってみようか |
| シェリア | 本当に!? |
| シェリア | じゃあ明日ね! |
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| シェリア | アスベルと…ふふ、楽しみ! |
| シェリア | …でも、アスベル騎士団の任務で最近すごく忙しそう… |
| シェリア | 明日も、時間は作ってくれたけど… |
| シェリア | 子どもの時みたいに1日中ずっと一緒なんて、やっぱり無理よね… |
| シェリア | … |
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| アスベル | ここだよな、例の洞窟って。ここから中に入れそうだが… |
| シェリア | うう… |
| アスベル | どうしたんだ?さっきまで元気だったのに |
| アスベル | 昨日だって、あんなにうれしそうにしてたじゃないか |
| シェリア | こ、こんな不気味な洞窟だとは思わなかったのよ… |
| シェリア | 何だか寒気がする… |
| アスベル | そんなに怖がる事はないだろ。…やめておくか? |
| シェリア | や、やめるもんですか… |
| シェリア | 行きましょ、アスベル |
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| アスベル | けっこう進んだな |
| アスベル | 暗くて視界も悪いし…何か出てきそうな雰囲気だ |
| シェリア | ちょ、ちょっと…変な事言わないでよ |
| アスベル | あ、思い出したぞ!この洞窟にまつわる話。騎士団で話題になってたんだ |
| シェリア | …何?その話って。願いをかなえてくれる泉の事? |
| アスベル | いや、俺が騎士団で聞いた話はこうだ |
| アスベル | 過去に泉を探して洞窟に入った人が不思議な声を聞いた…って |
| シェリア | ちょっと…! |
| シェリア | 何で今になってそんな気味の悪い話をするの!? |
| シェリア | そんな話を聞いてたら、こんな洞窟なんて、絶対に来なかったのに… |
| アスベル | 仕方ないだろ。今思い出したんだから |
| シェリア | うぅ… |
| シェリア | 本当に何か出てきそうな気がしてきたわ |
| | グルルルル! |
| シェリア | !!きゃーっ! |
| アスベル | 魔物!?大丈夫!俺が倒してみせる! |
| 願いがかなう泉 | scene2 |
| アスベル | ふぅ、もう大丈夫!全部倒したぞ |
| シェリア | … |
| アスベル | シェリア、顔色悪いな… |
| アスベル | あ!!シェリア、向こうに―― |
| シェリア | きゃーーーっ! |
| アスベル | シェリア!?何もそんなに驚かなくても… |
| シェリア | だ、だって…アスベルが急に大きな声出すから… |
| アスベル | 向こうの方に何か見えたから、教えようとしただけじゃないか… |
| アスベル | それよりも、今の叫び声…こっちが驚かされたよ… |
| アスベル | シェリア、大丈夫か?どんどん顔色が悪くなって見えるけど… |
| シェリア | … |
| | きゃーーーっ! |
| シェリア | きゃぁぁーーーっ! |
| アスベル | 何だ、今の悲鳴!?シェリアが叫ぶ前に聞こえたよな… |
| シェリア | もう…何なのよ…一体… |
| アスベル | てっきりシェリアの声だと思ったんだけど… |
| シェリア | わ、私の声…? |
| アスベル | ああ、そっくりだった |
| アスベル | でも、違うとしたらさっきの悲鳴は一体… |
| アスベル | そうか…わかったぞ! |
| アスベル | この特殊な洞窟の形で反響した音が遅れて聞こえてきたんだ |
| アスベル | これがこの洞窟の「不思議な声」の正体だったんだ! |
| アスベル | 少し驚いたけど、真相もわかった事だしスッキリしたな! |
| アスベル | よし、じゃあ気を取り直して泉を探しに―― |
| アスベル | …ん?シェリア? |
| シェリア | … |
| アスベル | 恐怖で気を張り詰めていたせいか結構疲れているみたいだな… |
| アスベル | … |
| アスベル | よし、シェリア。残念だけど、今回は、泉を目指すのは諦めようか |
| シェリア | !え、でも… |
| アスベル | また調子のいい時に来ればいいさ。ほら、俺がおぶってやるから、洞窟を出よう |
| シェリア | アスベル…ありがとう。大丈夫よ |
| アスベル | よし、一旦この辺りで休もうか |
| アスベル | シェリア、大丈夫か?そこに座れそうだぞ |
| シェリア | ありがとう |
| シェリア | ごめんね、私が来たいって言ったのに |
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| アスベル | もうすぐ出口だからながんばれ |
| シェリア | うん |
| シェリア | やっと出て来られた… |
| シェリア | あ…! |
| シェリア | もう真っ暗… |
| アスベル | ああ、もう夜だよ |
| アスベル | 何だかんだで、結構洞窟の中にいたからな |
| シェリア | ううん、そうじゃなくて… |
| シェリア | その、アスベル…時間は大丈夫?私のせいで、ごめんなさい! |
| アスベル | ははっ、大丈夫だよ |
| アスベル | 用事があると言っても今日は騎士団の任務じゃないから |
| アスベル | …何だか、昔を思い出したよ |
| アスベル | こんなに長い時間シェリアと一緒にいるなんて、久しぶりだったし |
| シェリア | アスベル… |
| アスベル | あ、そうだ。願いがかなう泉…行けなくて、残念だったな… |
| シェリア | ううん、大丈夫よ |
| シェリア | 私の願い事なら、もうアスベルがかなえてくれたから |
| パスカルを捜せ! | scene1 |
| シェリア | はぁ~、やっぱり駄目だわ。全然動かない |
| シェリア | この時計、けっこう大事にしてたんだけど… |
| シェリア | 時計屋さんもお手上げだって言ってたし、私が動かせるはずないわよね |
| シェリア | ごめんね、ヒューバート、わざわざ呼び出しちゃって |
| シェリア | これなんだけど…直せる時計屋さん知らない? |
| ヒューバート | そうですね…時計屋はわかりませんが、パスカルさんなら何とかしてくれるかも知れませんね |
| シェリア | …そっか!パスカルがいるじゃない! |
| シェリア | 駄目元で頼んでみようかしら。天才ですものね |
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| シェリア | パスカル!パスカルー! |
| | … |
| ヒューバート | 返事がありませんね。ここにこもって研究でもしてるかと思ったんですが… |
| シェリア | 仕方ないわね。手紙を残しておくわ。きっと気付いてくれるわよね |
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| シェリア | おかしいわねぇ… |
| シェリア | 1日経っても、来ないどころか連絡もないなんて |
| シェリア | パスカル、どうしちゃったんだろう。もう一度訪ねてみようかしら |
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| シェリア | ごめんね、ヒューバートまた付き合わせちゃって |
| ヒューバート | いいえ。ぼくも心配ですから |
| ヒューバート | それよりこれ…昨日の手紙がそのまま…まだ帰ってないようですね |
| シェリア | どこ行っちゃったの~? |
| シェリア | パスカルの事だから、旅行って事もないでしょうし… |
| シェリア | まさか魔物に…!? |
| シェリア | いいえ、そんなはずはないわ本当にどこに行っちゃったんだろう… |
| ヒューバート | あ!そういえば、パスカルさん時々森に行くと言っていました。もしかしたら森にいるかも知れません |
| シェリア | えっ?そうなの? |
| シェリア | そんな事、よく知ってるわね… |
| シェリア | まあ、闇雲に捜しても仕方ないしとりあえず、森に行ってみましょうか |
| シェリア | そうだ、あれを作って持っていけば…パスカルが見つかる気がする |
| シェリア | ねえ、ヒューバート家に帰って準備したいものがあるのちょっと時間もらってもいいかしら? |
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| シェリア | よし、これでバッチリね!じゃあ行きましょ |
| ヒューバート | シェリア…?それ、一体何に… |
| シェリア | ふふっ、まあその内わかるわよ |
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| シェリア | そういえば、パスカルが森に来てたとして…一体何をしてるのかしら… |
| シェリア | 森林浴…?…そんな感じでもないわよね。きっと何かの実験で── |
| | ガサガサ |
| ヒューバート | むっ!?シェリア!気をつけ… |
| | ガルルルル! |
| シェリア | 魔物!?ちょっと!来ないでよ! |
| パスカルを捜せ! | scene2 |
| シェリア | 何とか倒せたわね… |
| シェリア | って、何で魔物と戦ってるのかしら…私は時計を直して欲しいだけなのに |
| ヒューバート | 早くパスカルさんを捜しましょう |
| シェリア | …っと、早速パスカル発見アイテムを使っちゃおっかな |
| ヒューバート | パスカルさん発見アイテム…ですか? |
| シェリア | そう!えーっと… |
| シェリア | じゃーん! |
| シェリア | パスカル発見アイテムのバナナパイ! |
| ヒューバート | それは…持参してきたバナナパイ!? |
| シェリア | パスカル、バナナパイ大好きだからとにかくこのバナナパイを…あの切り株の上に置いてみましょう |
| ヒューバート | ナプキンの上に置いて…こ、これで大丈夫そうですか? |
| シェリア | うん、大丈夫!ありがとう |
| シェリア | あとはパスカルが来れば…少しだけ待ってみましょう |
| ヒューバート | … |
| ヒューバート | あ、あの…シェリア? |
| ヒューバート | あんなところにバナナパイを置いてぼく達は一体何をしているんでしょうか |
| ヒューバート | 確かに森にいるのであれば匂いにつられて…? |
| ヒューバート | いや、ここでこうしているより早く他の場所に── |
| ??? | くんくん…この匂いは、もしかして… |
| ??? | 見ーつけた!こんなところにバナナパイ!トロピカルヤッホ~ゥイ! |
| ヒューバート | パ、パスカルさん!?信じられない! |
| ヒューバート | 仕掛けてから5分ほどしか経っていないというのに! |
| パスカル | んん?あれ?シェリア?弟くん? |
| パスカル | おーい! |
| シェリア | ちょっと、昨日から捜してたのよ!一体何をしてたの!? |
| パスカル | 何って、研究しながらバナナを食べてたんだけどさバナナがなくなっちゃったんだよね~ |
| パスカル | それで、気分転換も兼ねて街に買いに行ったんだよ |
| パスカル | そしたら、そんな時に限ってどっこにも売ってなかったんだよね。ありえないよね~ |
| パスカル | その時思い付いたんだ!この森ならバナナあるかも!って |
| パスカル | もう意地になってここまで探しに来ちゃったんだよ! |
| ヒューバート | 何という行動力… |
| パスカル | でもさ、森でもなかなか見つけられなくってね~気付いたら今になってたってわけ |
| パスカル | そんな時に、あんなところでバナナパイを発見しちゃったら、そりゃ食べちゃうよね♪ |
| シェリア | 普通の人なら食べないと思うけど… |
| シェリア | そこまでバナナに執着するだなんて恐ろしいわ… |
| ヒューバート | と、とにかく、無事で安心しました。心配させないでください |
| パスカル | ごめんね~ |
| シェリア | で、本題なんだけど…私の家の時計が直るか見てほしいの |
| シェリア | たくさん作るわよ、バナナパイ |
| パスカル | やるやる~!時計でも何でも直しちゃうよ~ |
| パスカル | バナナパイのためならがんばっちゃうよ~ |
| シェリア | じゃあ行きましょ |
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| パスカル | ほい!直ったよ~!これはなかなかの代物だね~ |
| シェリア | さすがパスカルね!ありがとう!とっても嬉しいわ!時計も喜んでるみたい |
| ヒューバート | よかったですね、シェリア。わざわざパスカルさんを捜した甲斐がありました |
| パスカル | もぐもぐもぐ… |
| パスカル | んー!バナナパイ美味しいね~! |
| パスカル | 時計直しただけなのにこんなにたくさん作ってもらって大丈夫? |
| シェリア | いいのよ。たーくさん召し上がれ |
| シェリア | ふふっ、お金を積まれるよりもバナナパイで喜ぶなんてパスカルぐらいね |
| シェリア | それにしても、バナナがないからって何日も探し続けるだなんて… |
| シェリア | パスカルの行動力というか執念というか…ホント、大したものよね。驚いたわ |
| ヒューバート | シェリア、行動力と執念ならあなたも負けていませんよ… |
| ヒューバート | そのお蔭で、パスカルさんが見つかり、時計も直ったんですから |