| Name | Dialogue |
| 絶対イヤだ | scene1 |
| フレン | ユーリ! |
| ユーリ | ん?フレン…ってエステルもか。どうしたんだ? |
| エステル | ええと…近々、各界の要人が集まる会合が開かれるのはユーリもご存知ですよね? |
| ユーリ | ああ、面倒な事にオレも会場の警備任務に配属されちまったくらいだしな |
| フレン | 騎士として当然の任務をそんな風に面倒事呼ばわりするもんじゃない、ユーリ |
| ユーリ | そりゃお前は平気だろうけど、面倒なもんは面倒なんだよ。特に堅苦しいのは苦手でな |
| フレン | まったく君は… |
| フレン | まあいい。それはともかく、その任務の事で話がある |
| フレン | エステリーゼ様の当日の護衛をユーリに担当してもらいたいんだ |
| ユーリ | 会場の警備からお姫様の護衛か。そういう役はもっとお行儀いい奴にやらせた方がいいんじゃないのか |
| フレン | 面倒臭いからって、そういう事を言うのはやめてくれ |
| フレン | それに護衛が必要なのはエステリーゼ様だけじゃないんだ。もうユーリしか残っていないんだよ |
| ユーリ | オレ、残りものかよ |
| エステル | すみません…わたしは護衛なんていなくてもって言ったんですが… |
| フレン | 何度も申し上げた通り、大勢が集まる場所では、なにが起きるかもわかりませんから |
| ユーリ | そこまで言うならお前がエステルの護衛をやりゃいいじゃねえか |
| フレン | できるものならそうしている。だけどそうもいかないから頼んでいるんだ |
| ユーリ | 何だってんだ? |
| エステル | 実は会合の責任者さんがフレンを気に入っていまして… |
| エステル | ぜひフレンに警備の指揮を執って欲しいと騎士団に依頼したそうなんです |
| フレン | 光栄ではあるけど、全体の指揮を執るとなると、個人の護衛に就く事は難しい |
| ユーリ | なるほどな。期待の騎士様は大変だ |
| フレン | 頼むよ、ユーリ。僕としても君にならエステリーゼ様を安心して託せる |
| ユーリ | …仕方ねぇな。いいぜ、エステルの護衛はオレが引き受けてやるよ |
| フレン | ありがとう、助かるよ |
| エステル | ふふふ。ユーリが護衛してくれるならフレンだけでなくわたしも安心です |
| ユーリ | お褒めに預かり光栄だよ。ま、せっかくのご指名だ。きっちり勤めるとすっか |
| エステル | はい、よろしくお願いします |
| フレン | そういえば、ユーリ。ちゃんと儀礼服はあるだろうね? |
| ユーリ | 儀礼服…?そういやあったな、そんなもん。別に、普段着でもいいだろ? |
| フレン | いいわけないだろう!各界を代表するような方々が出席する場だぞ? |
| フレン | 護衛、警備といえども騎士団の一員として恥ずかしくない身だしなみで臨むのは当然だろう! |
| フレン | 第一、護衛されるエステリーゼ様の印象まで悪くなりかねない。絶対に儀礼服で来る事。いいね! |
| ユーリ | って言われてもな。どこやったか見当もつかねえし、探して見つかるとも思えねえよ |
| フレン | 胸張って言う事じゃないだろう!まったく…だったらせめて当日までにそれらしい服をあつらえてくれ |
| エステル | あ、それならわたしが選ぶのをお手伝いします! |
| ユーリ | …何でそうなるんだよ |
| エステル | こちらからユーリにお願いした事ですからそれくらいはお手伝いさせてください |
| フレン | エステリーゼ様…お気持ちは有り難いのですがそれでは本末転倒と言いますか… |
| エステル | 大丈夫ですよ。ユーリが付いてますから |
| フレン | …わかりました。では申しわけありませんがお願いします |
| フレン | ユーリ、くれぐれもエステリーゼ様のお勧めに従ってちゃんとまともな服を… |
| ユーリ | わかったわかった。ちゃんとやっとくから安心しろよ |
| フレン | 安心できたらどんなにいいか…とにかく、それじゃ僕は任務があるから行くよ |
| フレン | それではエステリーゼ様、どうかユーリをよろしくお願い致します |
| エステル | はい!任せてください! |
| エステル | さ、ユーリ。行きましょう! |
| ユーリ | へいへい… |
| 絶対イヤだ | scene2 |
| エステル | このお店ですよ |
| ユーリ | 了解、了解。エステルのセンスに期待してるぜ? |
| エステル | はい!任せてください! |
| ユーリ | とりあえず、エステルが選んでくれた服を着てみたんだが |
| エステル | わあ、とっても似合ってます、ユーリ! |
| ユーリ | そりゃどーも。…でも、ちょっと窮屈だな |
| エステル | そうなんです?見た目は丁度良さそうですけど… |
| ユーリ | それに色も、何か落ち着かないんだよな… |
| ユーリ | 全体的に色が統一されてて、目立たねぇと有り難いんだけどな。黒か…もしくは茶色とか |
| エステル | ユーリ…注文が多すぎますよ |
| ユーリ | 条件を全部満たした服じゃないとオレは着ねぇぞ |
| エステル | …わかりました、そこまで言うなら全て条件に当てはまる服を探して来てあげます! |
| エステル | ユーリ! |
| エステル | なかなか合う服が見つからなくて難しかったですけれど…条件に合う服がありました! |
| ユーリ | …おい待て…それって… |
| エステル | はい!ちゃんとユーリの言うとおり茶色一色で統一されていて、締め付けもないゆったりした着心地… |
| ユーリ | くまの着ぐるみじゃねぇか!こんなの着てったらフレンの奴に斬り捨てられかねないぜ |
| エステル | でも、ユーリの言った条件に当てはまる服はこれしかありませんよ |
| エステル | 会場には余興で大道芸人の方々もいらっしゃいますし、それに紛れればきっと問題ありませんよ! |
| ユーリ | …降参だ。さっきの窮屈な服にしとくよ |
| エステル | ふふ、そうですよねさ、お会計にいきましょう! |
| ユーリ | やれやれ、思いがけないところで一本取られたな。油断したぜ… |
| もう、勘弁してくれ…! | scene1 |
| フレン | エステリーゼ様、ユーリの儀礼服はなんとかなりそうですか? |
| エステル | フレン!お仕事だったんじゃないんです? |
| フレン | はい、早めに切り上げてきました。どうにもユーリの服の事が気にかかりまして… |
| エステル | ふふ、フレンはユーリの事になると心配症ですね |
| エステル | 大丈夫ですよ!素敵な服が見つかりましたから |
| ユーリ | 何だフレン。また来たのかよ、お前 |
| フレン | ちゃんと君がエステリーゼ様に従って服を調達するか、不安だったからね |
| ユーリ | オレは子どもかっての |
| フレン | それで、どんな服を買ったんだ? |
| ユーリ | どんなって…言われてもな…。ま、普通の、だよ |
| エステル | ユーリ、フレンに着て見せたらどうです? |
| ユーリ | おいおい、ここで着替えろってのか?どうせ会合の時には着てくんだし、別に── |
| ??? | ああああ!泥棒ーーー!!! |
| フレン | 何っ!? |
| エステル | 泥棒って言ってました、今! |
| ユーリ | 行くぞ、フレンっ! |
| フレン | ああ! |
| もう、勘弁してくれ…! | scene2 |
| ユーリ | うっし、一丁上がり! |
| フレン | あとは任せる。しっかり連行しておいてくれ |
| 騎士 | はっ!お任せください! |
| 画家 | 騎士様方、ありがとうございました!それにしても…不覚でした… |
| 画家 | スケッチに熱中するあまりに泥棒が荷物を持ち去るところを見逃してしまうなんて… |
| エステル | でも、荷物は全部無事みたいでよかったです |
| 画家 | 実は、荷物の中には生活費も入っていましたので。本当に助かりました…! |
| ユーリ | いくら仕事好きでも大事なもんくらいは、ちゃんと見とけよ |
| 画家 | ご迷惑おかけしました…! |
| 画家 | お礼と言っては何ですが良ければ、こちらの絵を… |
| エステル | この絵は…城下町から見上げたお城ですね。とっても綺麗です… |
| 画家 | あ、ありがとうございます…。ですが、実はこのところスランプでして… |
| エステル | スランプなんです?こんなにお上手なのに… |
| 画家 | なかなか納得のいく絵が描けなくなったのです… |
| ユーリ | ふーん…スランプねえ。こんだけ描けて納得いかないとは芸術ってのは難しいもんだな |
| フレン | 何かスランプを脱出する方法のようなものはないんですか? |
| 画家 | …よかったら、そちらの方の肖像画を描かせていただけませんでしょうか!? |
| ユーリ | あん?俺の…なんだって? |
| エステル | 肖像画…です? |
| 画家 | はい!そちらの方の、独特な剣の扱い方に感銘を受けまして… |
| 画家 | そちらの方の独特な剣構え…それを描けば、何かが変わる…スランプから抜け出せる気がするんです! |
| 画家 | お代はもちろんいりません!出来上がった絵も差し上げますだから、お願い出来ませんか!? |
| ユーリ | だとよ、フレン? |
| フレン | 指名されたのは君じゃないか。せっかく儀礼服を新調したんだ。それで描いてもらうといい |
| エステル | あ、それすごくいいです!きっと、その方が絵になると思いますし… |
| ユーリ | なんで、オレがそこまで… |
| エステル | 画家の方が感銘を受けるのはよほどの事だと本で読んだ事があります |
| フレン | 確かに本職の画家をその気にさせるなんて、そうある事じゃないと思うよ、ユーリ |
| エステル | こんな機会、絶対に逃しちゃ駄目です! |
| ユーリ | お前らな…。…まあ、いいか。今回だけだからな |
| 画家 | ありがとうございます!では私のアトリエにお越しください! |
| | |
| ユーリ | で、オレはどうしてればいいんだ? |
| 画家 | そうですね…。その辺で剣を構えて立って貰えますか? |
| ユーリ | こうか? |
| 画家 | そうです!あとは…少し腕まくりをお願いします |
| ユーリ | へいへい |
| 画家 | 首の前も開けてみましょうか |
| ユーリ | きっちりとした服なのに、随分と崩しちまうんだな |
| 画家 | 今回はワイルドな騎士様を描きたいので…あえて崩しているのですよ |
| ユーリ | ふぅん。やっぱ芸術ってのはよくわからねえな |
| 画家 | うーん…ワイルドさをもう少し出したいですね…。じゃあ、そこのボタンも外して―― |
| ユーリ | ちょ、ちょっと待て!ここを外すと脱げちまうんだが |
| 画家 | うーん…まだ開放感が出ないですねならもう少し―― |
| ユーリ | おいおい、まだあるのか!?…こりゃ無理だ |
| 画家 | あれ?騎士様?どこに行かれるんですかー!? |
| | |
| エステル | あれ?もうユーリが戻ってきましたよ? |
| フレン | どうしたんだ、ユーリ。まさかもう完成したのかい? |
| ユーリ | いや、それがな…っと、悪ぃ。逃げてるとこなんだ |
| エステル | え?逃げる? |
| 画家 | 待ってください、騎士様!もっと、服を崩して―― |
| ユーリ | 勘弁しろっての! |
| エステル | ユーリ…どうしたんでしょう? |
| フレン | はて…? |