| Name | Dialogue |
| 渡すような相手なんて… | scene1 |
| リオン | …今日は街が静かだな。特に何もないだろうが、念の為に見回りくらいはしておくか |
| リオン | ん…?あいつは確か… |
| プレセア | リオンさん、こんにちは |
| リオン | プレセアか…。一人でルイニスに来るとは珍しいな |
| プレセア | はい…。ルイニス街の近くに咲いているお花を摘みに来たんです |
| リオン | 花? |
| プレセア | 副業でやっている開運グッズ製作で、ホワイトデー用のギフトを作る事になったんです |
| プレセア | 女性向けの贈り物という事でお花を使った香り袋にしようかと… |
| リオン | そのためにわざわざここまで来たのか |
| プレセア | はい。以前そのお花を使ってグッズを作ったら、香りの評判がよかったので |
| プレセア | もし、たくさん咲いていたら少し多めに摘んでいっても大丈夫でしょうか…? |
| リオン | …さあな。心配なら役場で聞いてみればいいだろう |
| プレセア | そうですね。そうします。では── |
| リオン | …おい |
| プレセア | はい、何でしょうか? |
| リオン | …あの辺りの花畑は魔物がうろついている事もあると聞く |
| リオン | せいぜい気をつけるんだな |
| プレセア | はい、気をつけます。ありがとうございます |
| リオン | フン… |
| | |
| 街の男 | リオン!大変だ! |
| リオン | 何だ、騒々しい |
| 街の男 | 街の子ども達が花畑に遊びに行ったんだが、魔物が現れたらしいんだ! |
| 街の男 | このままだと子ども達が危ない! |
| 街の男 | 助けに行きたいが、俺達だけじゃ心許ない…。すまないが一緒に来てくれないか!? |
| リオン | だから、何で僕に─… |
| リオン | くっ…仕方ない。僕はこのまま先に花畑に向かう。お前達は準備が出来次第来い! |
| 街の男 | ああ、ありがとうリオン! |
| 渡すような相手なんて… | scene2 |
| リオン | 月閃光! |
| ??? | 孤月閃!! |
| リオン | …お前は… |
| | |
| プレセア | リオンさん、来てくださったんですね |
| 子ども | うわああん!怖かったよぉっ! |
| プレセア | もう、大丈夫です |
| 街の男 | リオン、遅れてすまない!みんな無事か!? |
| リオン | ああ、問題ない。…まったく、世話の焼ける奴らだ |
| 街の男 | よかった…。リオン、本当に助かったよ! |
| プレセア | みなさん、無事でよかったです |
| プレセア | リオンさん、助けてくださってありがとうございました |
| リオン | お前を助けに来たわけじゃない。街の奴らが騒ぐから、仕方なく魔物を退治しに来ただけだ |
| プレセア | それでも、助けていただいたのは事実ですから |
| プレセア | …ちょっと、待っててもらえますか? |
| リオン | …? |
| プレセア | よかったら、これを…どうぞ |
| リオン | 何だ、これは? |
| プレセア | 少し前に試作品で作った香り袋です。ここで取れるお花で作ったものではないですが |
| プレセア | ホワイトデーの時にどなたかに差し上げてください |
| プレセア | では、お花も摘み終わったので私は失礼します |
| リオン | おい!ちょっと待て!僕には渡すような相手なんて… |
| リオン | …行ってしまった |
| リオン | この香り袋は、どうすればいいんだ…? |
| …これをやる | scene1 |
| リオン | プレセアに渡されたこの香り袋…。一体僕にどうしろと言うんだ |
| リオン | …。とにかく、僕が持ってても仕方ない。どうにかして──… |
| ??? | おーい!リオーン!! |
| スタン | こんなところで立ち止まってどうしたんだ? |
| スタン | って、何持ってるんだ? |
| リオン | フン、何だっていいだろう |
| スタン | 何だよ〜!教えてくれたっていいだろ?な、リオン! |
| リオン | いちいち騒ぐな! |
| リオン | これは…、…香り袋だ |
| スタン | 香り袋って…葉っぱや、花が入ってるいい匂いのする袋だろ? |
| リオン | ああ。魔物退治の礼にと渡された |
| スタン | 何で香り袋なんだ?お前、こういうの好きだったのか? |
| リオン | バカを言うな。これはホワイトデー用の贈り物として女性向けに作られたものだ |
| スタン | あ、じゃあリオンも誰かにプレゼントするのか? |
| リオン | 僕がそんな事するわけないだろう。…僕が持っていても仕方がないから捨てるしかない |
| スタン | ええっ!? |
| スタン | 捨てちゃうのか?せっかく貰ったのに… |
| スタン | 捨てるくらいなら、お世話になっている街の人にあげる、なんてどうだ? |
| リオン | 世話になっている人? |
| リオン | どちらかと言えば、魔物退治だの何だのと、僕が迷惑を被っている |
| スタン | でも、お礼に食事をご馳走してもらう事もあるだろ? |
| リオン | 忘れているようだから言っておくが、食べているのは主にお前だ |
| スタン | あれ?そうだっけ? |
| リオン | そうだ!だいたいお前は──… |
| | |
| 女性 | きゃあああぁ!! |
| スタン | 悲鳴!? |
| 街の人 | 大変だ!街のすぐそばに魔物が! |
| スタン | 行こう、リオン! |
| リオン | …仕方ない |
| …これをやる | scene2 |
| リオン | はぁぁっ! |
| リオン | …ずいぶんと数が多かったが、終わったようだな |
| | |
| スタン | リオン!大丈夫か? |
| リオン | こっちは特に問題ない。だが、何人か怪我人が出てしまったようだな |
| スタン | ああ。今、動ける人に応急処置ができる人を呼んでくるようにお願いしたよ |
| 女の子 | うわぁぁああん!痛いよお…!! |
| スタン | わわっ!膝と手を怪我してるな…大丈夫か? |
| 女の子 | ううっ、ぐすっ…!うわぁぁぁん! |
| スタン | そうだよな、痛いよな。…俺に治癒術は使えないし…参ったな |
| リオン | … |
| スタン | うーん、泣き止みそうもないなぁ…。どうしよう… |
| リオン | … |
| スタン | あっ!おい!リオン、何処に行くんだよ!? |
| 女の子 | わぁぁぁあん! |
| リオン | …おい |
| 女の子 | ひっ、ひっく… |
| リオン | …これをやる |
| 女の子 | …ひっく…。これ…なぁに? |
| スタン | あ!さっきの香り袋! |
| 女の子 | かおりぶくろ…? |
| リオン | 香りのいい花を加工して袋に詰めたものだ |
| スタン | そうそう!ほら、持ってごらん?これ、すごくいい匂いがするんだぞ |
| 女の子 | お兄ちゃん、もらっても、いいの…? |
| リオン | ああ、だからもう泣くのはやめろ |
| 女の子 | …うん…!お兄ちゃん、ありがとう!! |
| 女の子 | …ホントだ!いいにおい。この袋も可愛いね! |
| スタン | ふー、これで怪我した人達の手当てが終わったかな |
| スタン | さっきの女の子、香り袋で泣き止んでくれてよかったな! |
| リオン | 泣き続けてうるさかったからな。それに、あれを捨てる手間も省けた |
| スタン | そんな風に言うなって!リオンはいいヤツだなって改めて思ったよ! |
| リオン | …どうしてそういう考えになる |
| リオン | それに「せっかく貰ったのに」と言ったのはお前だろう |
| スタン | まあな!捨てるよりいいよ。作った人にも申し訳ないだろ? |
| リオン | フン、くだらん。…僕は先に街へ戻るぞ |
| スタン | あ、リオン!待ってくれよー! |