| Name | Dialogue |
| scene1 | 光の神殿 |
| クレス | ここは…?光の神殿に着いたのか? |
| クレス | …いや、ここは…外か |
| クレス | あれが…光の神殿なのか…? |
| クレス | なんて大きいんだ…それに、この荘厳な雰囲気は… |
| クレス | 「カケラを手にし、己に打ち勝った者 だけが、真の選ばれし者として、 神殿に足を踏み入れる資格を得ん」 |
| クレス | 確かそういう言い伝えだったな… |
| クレス | あの神殿の中で、一体何が待ち受けているんだろう |
| | カサッ |
| クレス | …誰かいるのか!? |
| | |
| ソフィ | あ… |
| クレス | 君は…? |
| ソフィ | わたしは…ソフィ |
| ソフィ | あなたは? |
| クレス | 僕はクレスクレス・アルベイン |
| クレス | ここにいるという事は、もしかして君も星のカケラを? |
| ソフィ | あ、うんこれ… |
| クレス | へえ、君が持っているカケラは剣なのか |
| クレス | 僕が持っているのとは違うんだね |
| ソフィ | ペンダント… |
| クレス | そういえば、星のカケラは、1つじゃないんだっけ |
| クレス | だったら、僕以外にカケラを持つ人とここで会っても、不思議じゃないって事か… |
| ソフィ | 他にもまだいるのかな? |
| クレス | その可能性は十分あると思うよ |
| クレス | もしかしたら、先に神殿の中に入っているかもしれない |
| ソフィ | 神殿の中に… |
| クレス | ソフィと言ったね。よかったら、僕と一緒に行かないか? |
| クレス | 神殿の中は何があるかわからないしお互い協力できる事も、あると思うんだ |
| ソフィ | うん、いいよ |
| クレス | ありがとう。それじゃ、中に入るとしようか |
| scene2 | 光の神殿 |
| クレス | せやっ! |
| ソフィ | はあっ! |
| | ギャウウッ! |
| | |
| クレス | ふう…終わったか |
| ソフィ | ここ、魔物が多いね |
| クレス | ああ。しかも柱が多くて、見通しが悪いのが厄介だ |
| ソフィ | うん…。これじゃあ柱の陰に魔物が隠れててもすぐには気付けない |
| クレス | …神殿と言うから、もっと清らかで安全な場所かと思っていたけど、とんでもなかったね |
| クレス | これは思っていた以上に、先へ進むのは大変かもしれない |
| クレス | 心してかからないと |
| ソフィ | 二人一緒でよかったね |
| クレス | 僕もそう思うよ |
| クレス | 一人だったら、どんなに苦労した事か… |
| | ガタッ! |
| ソフィ | クレス、危ない! |
| クレス | また魔物か!? |
| ルーク | 何だよ、魔物かと思ったら、人間かよ。脅かしやがって |
| クレス | 君は…もしかして… |
| ルーク | ん? |
| ソフィ | あなたも星のカケラを持っているの? |
| ルーク | 何でそれを…って |
| ルーク | ひょっとしてお前らも、なのか? |
| クレス | ああ。僕はクレス・アルベイン |
| クレス | こっちはソフィだ |
| クレス | 君の名前も教えてくれないか? |
| ルーク | …ルークだ。ルーク・フォン・ファブレ |
| ルーク | あーあ、神殿に連れて来られたのは俺だけかと思ってたのに、何だか拍子抜けだぜ |
| クレス | 僕もソフィと会った時は少し驚いたけどね |
| クレス | でも、よく考えたら、星のカケラは6つあるって話だし、現に僕とソフィも1つずつ持っている |
| クレス | …だとしたら、僕達と同じように星のカケラを持った人が他にいたって、不思議な事じゃないよ |
| ルーク | そりゃ…そう言われりゃそうだけどよ… |
| ソフィ | 二人とも、気をつけて!そこの柱の陰に何かいる! |
| | グオオオオッ! |
| ルーク | ったく、ここまで来ても魔物かよ。勘弁してくれよ… |
| クレス | 三人で協力して戦おう。いくよ! |
| ルーク | お、おう、わかってるっつーの。指図すんな! |
| scene1 | 出会いと再会 |
| ソフィ | 終わったかな…? |
| クレス | ああ。そうみたいだ |
| ルーク | ったく、どうなってんだよ。魔物だらけじゃねーか |
| クレス | 僕達も気になっていたんだ |
| クレス | ここは本当に、言い伝えにある光の神殿なんだろうか? |
| ソフィ | 嫌な空気が満ちてる… |
| ミラ | …話し声がすると思ったら、先客がいたようだな |
| ルーク | 何だ、また新顔かよ |
| ルーク | お前も星のカケラを持って、ここへ連れて来られたクチか? |
| ミラ | …ミラ=マクスウェルだ。その物言いだと、お前達も星のカケラを持っている、という事か |
| ソフィ | うん。これで、選ばれし者は四人… |
| ミラ | 確か、星のカケラは全部で6つあるという話だったな |
| ミラ | …なら、あと二人。カケラを持つ者が現れれば全てそろうという事になるのか |
| クレス | うん、おそらくそう考えて間違いないと思う |
| ミラ | ふむ… |
| ミラ | 物は相談だが…お前達が持っている星のカケラを私に譲ってくれないか? |
| クレス | 譲ってくれって…そんな事を、いきなり言われても困るよ |
| ミラ | 私のなすべき事は、全ての星のカケラを回収する事。そのためにここへ来たのだ |
| ルーク | 何わけのわかんねー事を! |
| ルーク | 俺達の星のカケラを使って、自分の願いだけをかなえようっつーのかよ |
| ミラ | そうではない |
| ミラ | ただ、星のカケラ…このクリスタルは世界を危機に貶める種のようなもの… |
| ミラ | これが存在し続ける限り、世界は常に、崩壊の危険と隣り合わせという事になる |
| ソフィ | これが、ミラの星のカケラ… |
| | |
| ミラ | ああ。このクリスタルこそ、魔導兵器の主動源… |
| ルーク | ま、魔導兵器!? |
| ミラ | …そうだこの種の装置は、動かすだけで世界中のマナを著しく消耗する |
| クレス | マナ…? |
| ミラ | いわば、世界を司るエネルギーのようなものだ |
| ミラ | マナが枯渇すれば、生物は死滅し、世界はいずれ崩壊する |
| ルーク | なっ…! |
| ミラ | これで私の目的はわかっただろう? |
| ミラ | もう一度言う。お前達の持つ星のカケラを、私に譲ってほしい |
| ソフィ | … |
| ルーク | … |
| クレス | … |
| | |
| クレス | ミラ、君の話はわかった。でも…これを見てほしいんだ |
| ミラ | これは… |
| クレス | 僕の持っている、星のカケラだ |
| クレス | 君のとは形が違う。そうだろう? |
| クレス | 僕もここへ来て、みんなと会って気付いたんだけど、星のカケラはそれぞれ「物」が違うんだ |
| ルーク | …そう言われてみりゃ、そうだな |
| ルーク | 俺のは、クリスタルでもペンダントでもねえ勲章だし |
| ソフィ | わたしのは、これ |
| ミラ | … |
| クレス | ミラ、君の目的や意志はわかったよ |
| クレス | でも、君の探しているクリスタルとは異なる。もし僕達がカケラを渡しても… |
| ミラ | …ああ。そういう事なら無論、私に渡す必要はない |
| クレス | わかってくれてありがとう |
| クレス | …ん?でも、ちょっと変だな… |
| ルーク | どうしたんだ?急に難しい顔なんかしやがって |
| クレス | …今ここには、複数の「選ばれし者」がいる |
| クレス | その選ばれし者達が、それぞれ別々の願いをかなえたい場合、どうなるんだろう? |
| ソフィ | あ… |
| ミラ | 以前、願いをかなえるにはカケラを6個そろえる必要がある、と聞いた事がある |
| ミラ | それに、言い伝えにも「全員の願いがかなう」とは、記されてはいない |
| ミラ | そうなると、選ばれし者が複数いてもかなえられる願いは一つ、と考える方が自然かもしれないな |
| ルーク | ここからさらに、ふるいにかけられるって事か? |
| ルーク | ここまで来て冗談じゃねえぞ |
| クレス | まだ、はっきりそうだと決まったわけじゃないけど…どうなのかなって思っただけで… |
| ソフィ | 一つ…だけ… |
| ミラ | … |
| ルーク | …な、何だよ。お互い黙って見つめ合ったりして |
| ルーク | お前らまさか… |
| | ドドーン! |
| ミラ | 何の音だ? |
| ソフィ | 奥の方から聞こえてきたよ。また魔物かな… |
| scene2 | 出会いと再会 |
| ミラ | ここは… |
| クレス | 柱だらけの場所を抜けたと思ったら、今度は随分広いところに出たな |
| ソフィ | さっきの音は、こっちの方から聞こえてきたと思ったけど… |
| ルーク | こうだだっ広くて、薄暗いと、どこに何があるかわかんねえな |
| | ドーン! |
| クレス | みんな!向こうだ! |
| | |
| ユーリ | ちいっ! |
| ロイド | ユーリ、大丈夫か!? |
| ユーリ | 問題ねえ、と言いたいところだが、こいつの相手をするのはちっとばかし骨が折れそうだな |
| ロイド | くそっ、せめて味方がもっといれば…! |
| ソフィ | 誰かが魔物と戦ってる。もしかしてあの人達も… |
| ミラ | あれは…ユーリか? |
| クレス | 知っている人なのかい?とにかく、放ってはおけない |
| クレス | 僕達も行こう! |
| ルーク | お、おいマジかよ! |
| ルーク | ったく、しょうがねえな |
| ルーク | おら!手伝ってやるからぼやぼやしてんじゃねえぞ! |
| ユーリ | ん?何だ、お前ら、どっから湧いて出た…って |
| ユーリ | おいおい、ミラじゃねえか |
| ミラ | また会ったな、ユーリ |
| ロイド | ユーリの知り合いなのか。ここにいるって事は、やっぱりみんな星のカケラを…? |
| クレス | 詳しい話は後だ。先にこいつを片付けよう |
| ソフィ | うん! |
| ルーク | さっさと終わらせてやるからな。お前ら、手抜くなよ! |
| scene1 | 不和 |
| ロイド | よし、勝ったぞ! |
| ユーリ | 助太刀サンキュ。お蔭で助かったぜ |
| ミラ | 気にするな。あの魔物がここにいる限り、いずれ戦う事になっていただろうしな |
| ロイド | ところで…さっきも言いかけたけど、お前達も星のカケラを? |
| ルーク | ああ。四人とも持ってるぜ |
| ロイド | これでカケラを持つ者が、六人揃ったって事か… |
| クレス | ここで、こうして出会ったのも何かの縁だと思うし、改めて、みんなで自己紹介しないか? |
| ソフィ | うん、そうだね |
| クレス | 僕は、クレス・アルベイン |
| クレス | ウィンドルにある、トーティス村の出身だよ |
| ルーク | !! |
| ユーリ | ユーリ・ローウェルだ |
| ユーリ | 前はウィンドルの騎士団にいた。もうやめちまったけどな |
| ルーク | ウィンドル…こいつも… |
| ロイド | お前、どうしてウィンドルって聞くたび、嫌そうな顔をするんだ? |
| ロイド | あ…もしかして、お前…ア・ジュールの出身か? |
| ルーク | 違う!勝手に決め付けんじゃねえ! |
| ルーク | 俺は!ルーク・フォン・ファブレ、キムラスカの人間だ |
| ロイド | キムラスカの奴が、何でウィンドルを目の敵にするんだ? |
| ユーリ | さあな。うちの王様が厄介事振りまいてんのは確かだが、キムラスカとはまだのはずだぜ |
| ルーク | …るせーな。俺の事はいいから、次いけ、次! |
| ロイド | 俺はロイド・アーヴィング。シルヴァラントから来た。よろしくな |
| ミラ | ミラ=マクスウェルだ |
| ミラ | 私は精霊界から来た。ゆえに、どこの国出身、というわけでもない |
| クレス | 精霊界…? |
| ミラ | …うむ。ただ、その話は、話せば長くなりそうだ。また別の機に話すとしよう |
| ソフィ | …わたしは、ソフィ |
| ソフィ | 信じてもらえるかわからないけど、わたし…未来から来たの |
| ロイド | 精霊界から来たミラと、未来から来たソフィ… |
| ロイド | …何かよくわからないけど、二人ともすごいところから来たんだな |
| クレス | うん…みんな世界中のあちこちから、この神殿に集まって来たんだね |
| クレス | 不思議な縁もあるんだな… |
| ユーリ | さて、自己紹介も終わったところで、これからどうするかだが… |
| ミラ | ここはお互いの持つ情報を、交換すべきではないか? |
| ミラ | 誰が何を知っていて、何を知らないのか…整理するのがいいと思うが |
| ソフィ | じゃあ、みんなでお話ししながら、先へ進もう? |
| クレス | そうだね。それじゃ、そうしようか |
| ルーク | … |
| scene2 | 不和 |
| ユーリ | …へえ。こうして聞いてみると、オレ達の持っている情報は、どれも大体同じみたいだな |
| クレス | そうだね。じゃあもう一度、確認のために振り返ってみよう |
| クレス | まずは… |
| クレス | 「カケラを手にし、己に打ち勝った者 だけが、真の選ばれし者として、 神殿に足を踏み入れる資格を得ん」 |
| クレス | 僕達はその言い伝えの通りに、カケラに選ばれ、神殿にやって来た。これが一つ目の共通の情報だね |
| ソフィ | …星のカケラは全部で6個あって、今はわたし達一人一人が、1つずつ持ってる |
| ソフィ | これが二つ目の情報… |
| ユーリ | ああ。仲良く分け合ってるってわけだ |
| ルーク | …けっ。何が仲良くだっつーの… |
| ミラ | ウィンドルの国王が星のカケラを欲しそれがきっかけとなって、隣国ア・ジュールとの戦争が始まった |
| ミラ | この事も、星のカケラを巡る全員の共通認識ととらえていいのではないか? |
| クレス | うん。これが三つ目の情報だね |
| ロイド | 星のカケラの力が発現すると、選ばれし者以外は、カケラに触れられなくなる |
| ロイド | この神殿へ来る直前、俺達全員の身に起きたこの事が、四つ目の共通の情報だな |
| ユーリ | 後は…オレ達選ばれし者は、どういうわけか、星のカケラと、話ができるらしいってとこか |
| ソフィ | これが五つ目の情報…。お話できるのはいつもじゃないけど |
| ルーク | … |
| ミラ | 全員が共通で認識しているのはこんなところか…他に何か、独自の情報を持つ者はいるか? |
| ロイド | 俺の国シルヴァラントには、星のカケラの一つを、どこかの遺跡に埋めたって言い伝えが残ってたな |
| ロイド | 俺の仲間のリタが古い文献を調べたらその事がわかって、カケラを見つけたんだけど… |
| ユーリ | 面白そうな話だが、カケラが全部手元にそろった今、あまり手がかりにはなりそうもねえな |
| ロイド | …だったらこれはどうだ?言い伝えに出てくる「光の使い」は、ティルグって名前らしい |
| ソフィ | ティルグ… |
| クレス | その名前は初耳だ。確かな情報なのかい? |
| ルーク | …俺もその話は聞いた |
| ルーク | シルヴァラントに、言い伝えが残ってるらしいぜ |
| ユーリ | おっ、ようやく喋ったな |
| ユーリ | 今までずっと黙ってたから、腹でも痛いのかと心配したぜ |
| ルーク | …ふん |
| ミラ | 他に何か、ルークの知っている事はあるか? |
| ルーク | そういやジェイドってやつが、持ち主の成長が、星のカケラの発現に繋がるって言ってたな |
| ロイド | 成長ねえ… |
| ソフィ | …わたしも一つ、知ってる事がある |
| ソフィ | 星のカケラを手に入れたとしても、真の選ばれし者としてカケラに認められなかった場合… |
| ソフィ | その人は、邪念に侵されてしまう… |
| ミラ | 邪念…だと? |
| ソフィ | リチャードが…突然変わってしまったのは、そのせい |
| ユーリ | うちの国王がか? |
| ユーリ | …なるほどな、そういう事かよ |
| ルーク | … |
| ロイド | じゃあ俺達も、真の選ばれし者として認められてなかったら、邪念に侵されて変になってたのか!? |
| ソフィ | うん |
| ルーク | …何が邪念だ。ふざけやがって |
| ミラ | いきなりどうしたのだ? |
| ルーク | 国王がそうだからって、それで他の奴らは悪くねえとでも言うつもりかよ! |
| クレス | それは…僕とユーリの事かい? |
| クレス | …ルーク、君はどうしてそんなにウィンドルを嫌うんだ? |
| ユーリ | なるほどな、大方、ウィンドルに何か恨みでもあるって口か? |
| | |
| ルーク | しらばっくれてんじゃねえ! |
| ルーク | 俺はお前らなんかと一緒に行くつもりはねえからな |
| ユーリ | 別にいいんじゃねえか?オレ達と行動するのが嫌なら、好きにすりゃいいさ |
| ユーリ | ウィンドル出身ってだけでいちいち突っかかられるのも鬱陶しいしな |
| ルーク | 何だとこの野郎…! |
| ソフィ | ケンカ、だめ! |
| ミラ | こんな時までいがみ合うとは… |
| ミラ | つくづく、争いが好きなのだな。人間というのは |
| ロイド | なっ…人間がみんな、争いが好きみたいに言うな |
| ロイド | 本当は争いたくなくても、事情があって争うなんて事も、結構あるはずだしさ |
| ミラ | どうなんだ、ルーク。お前にも、「やむにやまれぬ事情」とやらが、あるのか? |
| ルーク | 事情なんか知るかよ!ウィンドルだってだけで十分じゃねーか |
| ロイド | おいおい… |
| ミラ | まったく… |
| | |
| クレス | 先の状況がわからない以上、みんなで協力し合わなければいけないのに…どうしてこうなるんだ |
| | グオオオオオ… |
| ソフィ | 何の音!? |
| ロイド | 見ろ、あそこに魔物が! |
| ソフィ | …!こっちを狙ってる! |
| | ギャオオオオッ!! |
| ミラ | ええい、こんな時に! |
| scene3 | 不和 |
| ロイド | 想像以上に手こずったな… |
| ユーリ | この分だとまだまだいそうだな。ったく、先は長そうだってのに |
| ソフィ | うん。神殿を進むにつれて、敵がどんどん強くなってる気がする… |
| クレス | …ここはやはり、お互い協力し合って、進むべきだと思う |
| ミラ | 私は別に構わんが…それが嫌だと言う者もいるからな |
| ルーク | るせえ!俺は絶対に嫌だからな |
| ユーリ | さっきも言ったが、そんなに嫌なら好きにすりゃいい |
| ルーク | ああ? |
| ユーリ | オレ達といたくねえんだろ?だったらどこへでも行きゃいいだろうが |
| ルーク | な、何で俺が行くんだよ!ふざけんなっつーの! |
| ユーリ | 一緒にいたくねえけど、一人になんのも嫌だってか? |
| ユーリ | ったく、しょうがねえやつだな |
| ロイド | おい、待てよユーリ。一人でどこへ行く気だ |
| ユーリ | オレが好きにさせてもらうのさ |
| ユーリ | どっちかが去るしかねえんなら、こうするしかねえだろ |
| クレス | よすんだ、ユーリ。単独行動は危険だ |
| ユーリ | 一方的に毛嫌いされてる相手と、是が非でも一緒にいたいと思うほど、オレも物好きじゃねえしな |
| ルーク | 俺が悪いってのかよ!?元はと言えばお前らが…! |
| ミラ | はあ… |
| ソフィ | ケンカはだめなのに… |
| ロイド | みんな、ちょっと待て! |
| ロイド | そこの装置みたいなものが急に動き出したぞ! |
| | フイイーーーーン |
| | ビーッ!ビーッ!ビーッ! |
| ミラ | 何が起きているというのだ…? |
| | ブオンッ! |
| クレス | くっ…!何だ、この光は! |
| ルーク | まぶしくて何も見えねえ…! |
| ユーリ | …なあ、勘違いならいいんだが、オレ達の身体、浮いてねえか? |
| ソフィ | この感覚…まさかどこかに飛ばされる…? |
| ロイド | と、飛ばされるーっ! |
| scene1 | それぞれの傷跡 |
| クレス | ここは…? |
| ミラ | いきなり別の場所へ飛ばされたようだが… |
| ミラ | ここも光の神殿の中か? |
| | ボウッ! |
| ルーク | あっちい!何だよここ!?そこら中から炎が噴き出してんじゃねーか! |
| ミラ | どこをどう見ても、のんびりできそうな所ではないな。さっさと抜けた方がよさそうだ |
| クレス | 待ってくれ。人数が足りない |
| ミラ | む?たしかに… |
| ミラ | 今ここにいるのは、私とクレスとルークの三人だけか |
| クレス | ユーリ!ソフィ!ロイド!近くにいるのか?いたら返事をしてくれ! |
| クレス | 誰の返事も聞こえない…近くにはいないようだ |
| ミラ | 分断されてしまったというわけか |
| ミラ | せめて、いなくなった三人が、一緒にいるといいのだが |
| クレス | とにかく、今はあの三人を見つけて、もう一度合流する事を最優先で考えよう |
| ルーク | ちっ。どうせなら、ウィンドルの奴だけまとめていなくなればよかったのによ |
| クレス | ルーク…どうして君は、僕達ウィンドルの人間をそんなに目の敵にするんだ? |
| クレス | 理由があるなら教えて欲しい |
| クレス | わけもわからず拒絶されても、どうすればいいのか…わからないんだ |
| ルーク | …本当に知らねえのかよ |
| ルーク | …だったら教えてやる。俺がお前らを信用できない理由を |
| | |
| クレス | そうだったのか…ア・ジュールの村を、ウィンドル軍が襲って… |
| ルーク | ひでぇ有様だったぜ |
| ルーク | しかも隊長のハスタは、いずれ、キムラスカも攻めるって言ってた |
| ルーク | そんな連中の仲間をおいそれと信用なんかできるかってんだ |
| クレス | そんな事が… |
| クレス | すまない、知らなかった事とはいえ、何て言えばいいのか… |
| ミラ | 邪念に侵されていたとはいえ、ウィンドルの国王がしてきた行いは簡単に許される事ではない |
| ミラ | あの国王は、他国ばかりでなく自分の国の民をも虐げてきたからな |
| ルーク | なっ…自分の国民まで…!? |
| ルーク | …ちっ、何なんだよ一体… |
| クレス | … |
| ミラ | クレス…難しい顔をしてどうした? |
| クレス | …悲劇が起きたのは、僕の故郷の村だけじゃないんだと思ってね |
| ルーク | な、何だ、どういう事だよ? |
| クレス | …あまり思い出したくはないけど、君達には知っておいてもらいたい |
| クレス | …歩きながら話そう |
| scene2 | それぞれの傷跡 |
| ミラ | クレスの故郷の村が、そんな事になっていたとはな… |
| ルーク | 信じられねえ…リンネル村よりひどいじゃねーか |
| クレス | 僕の村を襲ったのは、国王陛下でなく、独立騎士団長サレの意志だったわけだけど… |
| ミラ | 国王にも責任はある |
| ミラ | サレやハスタのような者を指揮官の地位に就けたのだからな |
| ミラ | それにイニル街で魔導器を製造したのは、国王の指示だ |
| ミラ | 今や邪念を解き放たれたといえど、現に、数え切れないほどの人間が命を落としている |
| ミラ | …世界がこんな事になっているのだ、決して無実というわけではない |
| ルーク | … |
| クレス | …ルーク |
| クレス | 君が僕達ウィンドルの人間に、不信感を抱く理由はよくわかった |
| クレス | だけど、これだけは言わせてくれ。全員が全員、サレやハスタ、それに国王陛下のような人ばかりじゃない |
| クレス | いきなり全面的に信じてくれとは言わないけど…せめて僕達の事を見た上で、判断してくれないか |
| ルーク | … |
| クレス | この事はミラにもわかって欲しいんだロイドも話していたけど、みんな好き好んで争っているわけじゃない |
| クレス | 現に僕は、世界中で起こっている争いを止めたいと、本気で思っている |
| クレス | この神殿へ来たのも、そのためだ |
| クレス | もし星のカケラを全て集める事で、本当に願いがかなうのなら… |
| ミラ | 光の使いティルグに、戦争をなくして欲しい、とでも頼むのか? |
| クレス | それも一つの手かもしれないと、思っているよ。もちろん、それだけに頼るつもりはないけど |
| ルーク | … |
| ミラ | … |
| ミラ | …そうだな。考えてみれば、私の知っている人間も、皆が争い好きというわけではなかった |
| ミラ | 一つの事例だけを取り上げて、人間全てを語るのは早計だったな |
| ミラ | すまなかった |
| クレス | ありがとう |
| クレス | …ルークはどうだい? |
| ルーク | まだ…よくわかんねえ。もう少し考えさせてくれ |
| ルーク | …けど、お前が悪い奴じゃなさそうだって事は…信じてやってもいい。多分、あの…ユーリって奴も |
| ルーク | 考えてる間、また全員で行動すんのはもう文句言わねえ |
| ルーク | …また合流できたら、だけどな |
| クレス | わかった。それで十分だよ |
| | グルル… |
| ミラ | 今、何か聞こえなかったか? |
| ルーク | 俺も聞こえた。何か唸り声みたいな… |
| クレス | 二人とも、向こうを見ろ! |
| ルーク | ちっ、出やがったな |
| | グオオオオッ! |
| scene1 | ソフィの想い |
| | ボウッ! |
| ロイド | あちちっ!こっちは駄目だ。火の勢いが強すぎて進めない。そっちは? |
| ユーリ | こっちは無理をすれば、何とか先へ行けなくもない…ってところだな |
| ロイド | じゃあ、別の道を進んでみるか |
| ソフィ | どうしよう…クレス達が見つからないよ |
| ソフィ | クレス!ミラ!ルーク!いないの!? |
| ユーリ | …返事なし、か。どうやらあいつらとは、完全に分断されちまったようだな |
| ソフィ | 早く捜そう。このままじゃ… |
| ロイド | あ、うん… |
| ソフィ | ロイド…嫌なの? |
| ロイド | 嫌ってわけじゃないけど…顔を合わせたら、また、言い合いになるだろ? |
| ユーリ | まあな。会うなりまた痛くない腹探られんのは勘弁だしな |
| ソフィ | でも… |
| ユーリ | そんな顔すんなって。オレだって勝手の分からねえ場所で、戦力は多い方がいいさ |
| ユーリ | ま、このままうるさい事言う奴がいないってのも、それはそれで静かでいいけどな |
| ソフィ | … |
| ロイド | とにかく、今はこの場を、俺達三人で切り抜けよう。クレス達の事は、その後だ |
| ユーリ | だな |
| ロイド | よし、それじゃ先に進もうぜ |
| ソフィ | …うん |
| scene2 | ソフィの想い |
| ソフィ | 1、2の…やっ! |
| ソフィ | 今のタイミングで駆け抜ければ、炎を避けられるよ。二人ともやってみて |
| ユーリ | 了解だ |
| ユーリ | 1、2の…せいっと! |
| ロイド | 1、2の…よっ! |
| ユーリ | どうやら、何とか誰も黒焦げにならずここまで進んで来られたな |
| ロイド | ソフィが俺達に、タイミングを教えてくれたお蔭だな。サンキュー! |
| ソフィ | … |
| ユーリ | どうした、ソフィ。また難しい顔して。やっぱりいない奴らが心配か? |
| | |
| ソフィ | ユーリもロイドも、そんなにみんなと一緒に行くのは嫌? |
| ソフィ | みんなで一緒にいた方が協力もできて、きっといいよ |
| ロイド | 俺は別に、全員で一緒に行くのが嫌なわけじゃないけどな |
| ユーリ | オレだって別に嫌だと言った覚えはねーぜ。ミラとは前にも一緒に行動した事もあるしな |
| ロイド | 拒んでいたのはあっちだし。問題はルークの方にあるってユーリは考えてるんじゃないか |
| ソフィ | じゃあルークが、一緒でもいいって言ったら? |
| ユーリ | オレは構わねえよ。一人でなきゃ嫌だってわけでもねえし |
| ソフィ | わかった |
| ソフィ | じゃあ次にルークに会ったら、言ってみる |
| ロイド | 逆に、どうしてソフィは、全員で一緒に行く事にそこまでこだわるんだ? |
| ソフィ | …わたし、この世界を救いたくて、それでこの神殿へ来たの |
| ソフィ | この神殿へ来れば、今世界中で起きている争いを止める方法が見つかるかもって思って |
| ソフィ | でも… |
| ロイド | そうか、わかったぞ |
| ロイド | ソフィが言いたいのは、こういう事だろ? |
| ロイド | 「目の前の人間とも わかり合えなくて、 世界を救うなんてできるかよ!」 |
| ソフィ | …うん |
| ロイド | まあ、確かにその通りだな… |
| ロイド | それを言われると何も言い返せないっていうか… |
| ロイド | よし、俺もソフィの言う事に賛成だ。全員で一緒に行こう |
| ユーリ | 何だ、あっさりしてやがんのな |
| ユーリ | しょうがねえか |
| ソフィ | じゃあ、ルークと仲直りしてくれる? |
| ユーリ | ま、あいつ次第ってとこだな |
| ユーリ | とにかくみんなともう一度合流する、そうしてから答えを出す、それでどうだ? |
| ソフィ | うん、わかった |
| ソフィ | ありがとう、ユーリ |
| | ガタッ… |
| | |
| ロイド | 二人とも、気をつけろ。そこの炎の陰に、何かいる! |
| | グオオオオッ! |
| ユーリ | ったく、邪魔なんだよ! |
| scene1 | かなえたい願い |
| ルーク | あの火のせいで髪の先が焦げちまったじゃねえか!どうしてくれんだよ、ったく… |
| ミラ | 焦げた部分だけ、切ってしまえばいいだろう |
| ルーク | き、切ってしまえばって…お前なあ! |
| クレス | む…?あれは… |
| ミラ | らせん階段だな。随分上の方まで続いているようだ |
| ソフィ | クレス!ミラ!ルーク! |
| クレス | ソフィ!それにユーリとロイドも |
| ミラ | 三人とも無事だったか |
| ユーリ | まあ、何とかな |
| | |
| ロイド | これでまた六人が集結したってわけか |
| ルーク | … |
| ソフィ | ユーリ、さっきの話… |
| ユーリ | ああ、ソフィから話したけりゃ、話してもいいぜ |
| クレス | ちょっといいかな?ユーリ達に報告があるんだ |
| クレス | 別行動をしている間にルークと話をして、全員で一緒に行く事を了解してもらえたよ |
| ロイド | そうなのか?ルーク |
| ルーク | あ、ああ…まあな |
| ユーリ | どうやらソフィがわざわざ話すまでもなかったようだな |
| ソフィ | ユーリもそれでいいんだよね? |
| ユーリ | 言ったろ。オレは別に構わないってな |
| ロイド | ミラも、俺達と一緒で、構わないんだな? |
| ミラ | 私は初めから、皆で一緒に行動する事に反対はしていなかったぞ |
| ロイド | そ、そうか。うん…そうだったな |
| クレス | じゃあ改めて、全員で一緒に行くとしよう |
| ソフィ | うん |
| | |
| クレス | … |
| クレス | うーん…さすがに、いきなり仲良くってわけにはいかないか… |
| scene2 | かなえたい願い |
| ルーク | このらせん階段、無茶苦茶長いな。かなり登ったはずなのに、まだ終わりが見えねーぞ |
| ミラ | … |
| ソフィ | どこまで続いてるのかな? |
| クレス | どこまでだろう…ちょっとわからないな |
| ルーク | … |
| ユーリ | … |
| ロイド | … |
| ミラ | … |
| クレス | … |
| ソフィ | … |
| ルーク | だーっ!何だよこの重い空気は!もっと普通にしろ、普通に! |
| ユーリ | お前が言うなっての |
| ユーリ | だいたい、ひたすら階段登り続けて、みんな疲れてんのにどうしろってんだ? |
| ルーク | るせえ!…ったく、この際だから全員に聞くけどよ… |
| ルーク | このまま神殿の奥に進んで、例のティルグって奴に会えたとして…その後はどうするつもりなんだ? |
| ルーク | 願いをかなえてもらうにしても、もしティルグに一つだけって言われたら、どうするんだよ? |
| ソフィ | そういえば、ユーリやロイドと合流する前にもその話をしてたね |
| ミラ | そうだったな。結局、結論が出ないまま、ここまで来てしまったが… |
| ルーク | その時になって、また言い合いになるのは、俺は嫌だからな! |
| ルーク | そうなるくらいなら、今ここで一番マシな願いを決めようじゃねえか |
| ルーク | どうせお前らだって、なんか考えてる願いがあるんだろ? |
| ユーリ | いいぜ、別に隠すようなもんじゃねえし。そんじゃオレから言わせてもらうか |
| ユーリ | 星のカケラを全部集める、願いっていうか、それがオレの目的だ |
| ルーク | …なんだそりゃ。願いはねーのかよ?だったら何で星のカケラを集めるんだ? |
| ユーリ | 国同士で喧嘩しようって馬鹿をやめさせるためだよ |
| ルーク | やめさせるって…ウィンドルの事か? |
| ユーリ | ウィンドル?いや、どっちの国をとか、そういう話じゃねえ |
| ユーリ | 「戦争」そのものをなくしちまいたいんだよ、オレは |
| ユーリ | カケラなんてもんがあるからおかしな事になってるってんなら、それをなくしゃ話は早いだろ |
| ルーク | カケラをなくして戦争を止める…そういやミラもそんなような事言ってたよな |
| ユーリ | ミラも?そうなのか? |
| ミラ | 私の場合は、マナの減少を食い止めるという事を最終目的としているがな |
| ミラ | ユーリの言うように、戦争を止める事も勿論だが、それ以前に、世界はマナなくしては成立し得ない |
| ルーク | とりあえず次は…ソフィ、お前はどうなんだ? |
| ソフィ | わたしは…未来を、自分の世界を救うためにここへ来た |
| ソフィ | リチャードが元に戻って、わたし達の未来は変わった |
| ソフィ | …でも、この世界で起こっている戦争は、今もまだ終わってない |
| ソフィ | だから、わたしはここにいる。この世界も救いたい。…みんなを守りたい |
| クレス | ソフィ… |
| クレス | 君の願いは、僕の考えている事と似ているね |
| クレス | ただ僕は……その願いをかなえるにはティルグの力だけではどうにもならないと思っているよ |
| クレス | 結局は、僕達人間が変わらなきゃ、同じ事は起きると思うんだ。何度だってね |
| ソフィ | うん…じゃあ、クレスの願いは──… |
| クレス | うーん…まあ、具体的に何をって、考えているわけではないんだけど |
| ロイド | へえ…。みんな、思ってた以上に、スケールの大きい事を考えてたんだな |
| ユーリ | そういうお前は何を願うつもりなんだ、ロイド? |
| ロイド | 俺か?俺は仲間のゼロスの妹が病気で苦しんでて、治してやれたらと思ってる… |
| ルーク | 妹の病気? |
| ロイド | ああ。旅先で、原因不明の奇病にかかっちまったらしい |
| ロイド | ゼロスの代わりに、ティルグにはセレスの病気を治してほしいって願おうと思ってる |
| ユーリ | 原因不明の奇病、ね。おい、ミラ? |
| ミラ | …ああ、聞き覚えのある言葉だ。ロイド、その病気にかかった者はどこの街で発症したか、わかるか? |
| ロイド | …?確か、ウィンドルのイニル──… |
| ユーリ | …ビンゴだな |
| ミラ | ああ |
| ロイド | ? |
| ルーク | …おい、お前ら!何勝手に納得したって顔してんだ。俺達にもわかるように説明しろっつーの |
| ユーリ | ああ、悪い悪い。ウィンドルのイニル街で奇病が流行るって事件があってな |
| ユーリ | 調べたら、その原因はあの街に設置された機械、魔導器だったんだよ |
| ロイド | じゃあ、セレスの病気はそのせいだったのか… |
| クレス | その魔導器というのは今どうなっているんだ? |
| ユーリ | 調べたついでにオレとミラでぶっ壊しちまったよ |
| ソフィ | そういえば…イニル街に行った時、エルが言ってた。街の人の病気、少しずつよくなってるって |
| ユーリ | 何だ、ソフィ。お前エルに会ったのか?元気にしてたか? |
| ソフィ | うん |
| ミラ | 原因が取り除かれた事で病の方も沈静化に向かったようだな |
| ロイド | よかった…じゃあ、セレスの病気はもう大丈夫なんだな |
| ミラ | ああ、おそらくな |
| クレス | …ロイド。これで、君の願いは、かなったって事になるのかな? |
| ロイド | ああ、そういう事らしいな!これで、ゼロスも安心するだろう。ありがとな!ユーリ、ミラ |
| ロイド | セレスの病気が治って、俺の願おうと思っていた事は解決はした |
| ロイド | …あとは、そうだな。「俺にしかできない事」を探しながらこの先を進む事にするぜ! |
| クレス | ロイドにしか、できない事? |
| ロイド | ああ!選ばれたからにはそれなりの理由があるはずだ! |
| ロイド | それが何なのかは、まだハッキリ掴めてねーけどさ |
| ロイド | 俺が神殿へ来る事を決めたのは、きっとそこには、俺にしかできない事があるって思ったからなんだ |
| ルーク | 自分にしかできない事、か… |
| ユーリ | さて、これでお前以外は全員話したわけだが… |
| ユーリ | お前はどうなんだ、ルーク。何を願いたくて、ここに来たんだ? |
| ルーク | お、俺はその…まだよく分からねえ。ただ願いとかそういうのは、正直、どーでもいいっつーか… |
| ユーリ | へえ、そりゃ意外だな。てっきり、あれこれたくさん出てくるかと思ったんだが |
| ルーク | わ、悪ぃかよ…! |
| ミラ | …ふむ。己の私欲を満たすために、ティルグに会いたいと思う者は、とりあえずこの中にはいないようだな |
| ロイド | そりゃそうだ。そんな奴は、そもそも星のカケラに選ばれたりしないだろ |
| クレス | 僕達は、お互いにもっとわかり合えると思う。ここで会ったのも必然じゃないかな |
| ロイド | へへ、そうかもな |
| ソフィ | …みんなが少し、仲良くなったみたい |
| ユーリ | まあ、無闇にいがみ合うより、仲良くするに越した事ねえのは確かだな |
| ソフィ | ユーリも仲良くできそう? |
| ユーリ | どうだろうな。ま、なるようになるだろ |
| | ザザ…ザザ‥ |
| クレス | …ん?何の音だろう |
| | ズザ…ザザザ…! |
| ルーク | 下の方から…って、魔物かよ!? |
| | ギャオオオオ!! |
| scene1 | 繋がってゆく心 |
| ミラ | 何とか魔物を退けたようだな |
| ロイド | ここらでひと休みしないか?ずっと階段を登りっ放しだったし、それに、ほら… |
| ルーク | ん? |
| ルーク | おいマジかよ、この階段…こんだけ登ってきたのにまだあんのかもう足が棒みてーだっつーの |
| ソフィ | …あそこに休めそうな場所があるよ。そこで少し休む? |
| クレス | … |
| クレス | いや、ここは多少無理してでも、急いで階段を登り切った方がいいと思う |
| クレス | さっきの魔物のせいでかなり脆くなっているからね |
| | ギィ…ギィ… |
| ミラ | ふむ…この強度だと、いつ崩れてもおかしくはなさそうだ |
| ミラ | 皆、ここはこの階段を登りきる事を先決としよう |
| ロイド | うーん…確かにその方がよさそうだな |
| ユーリ | んじゃま、さくっと登っちまおうぜ |
| ルーク | …マジかよ、たりぃなあ… |
| scene2 | 繋がってゆく心 |
| クレス | ソフィ、さっきはありがとう |
| ソフィ | …? |
| クレス | ユーリとロイドの事だよ。みんなで進む事を、二人に話してくれたんだろう? |
| ソフィ | うん、わたしもそうした方がいいって思ったから |
| クレス | …そうか、ありがとう。君がいてくれてよかったよ |
| クレス | 僕一人だったら、あのままみんな、バラバラになってしまっていたと思う |
| ソフィ | …わたし一人でもだめだったよ |
| ソフィ | でもね、あの時みんなと話してみんなの事を知って…うれしい気持ちになったの |
| ソフィ | …わたしの世界のひと達も、みんなで話し合って、うれしい気持ちがたくさんになったらいいな |
| クレス | …ソフィ |
| | |
| ロイド | ミラ、ずっと歩きっぱなしだけど、大丈夫か? |
| ミラ | ああ、問題ない。ロイドこそ大丈夫なのか? |
| ミラ | 結局、休憩できず終いになってしまったが… |
| ロイド | 俺は、まだまだ大丈夫だぜ! |
| ロイド | …でも、少しくらい休んどいた方がよかったかもってのが本音だけどな |
| ミラ | 自分の事だけではなく、他の者の事も考えていたんだな |
| ロイド | ああ、いや、そんな大層な事じゃないけどさ |
| ロイド | 何だかんだいっても、ミラやソフィよりは体力はあると思うんだ |
| ロイド | まだ先は長いし、ちょっと休めたら少しは楽になるかなって思ってただけだよ |
| ミラ | …ロイド |
| ロイド | ん? |
| ミラ | いや… |
| ロイド | …? |
| ミラ | …その、さっきは悪かった |
| ロイド | …ミラ? |
| ミラ | ここにいる皆や、道中に行動を共にした仲間達… |
| ミラ | 少なくとも、私が出会った人間達は皆、お前のように相手を思いやれる心を持っていた |
| ミラ | …なのに、些細な出来事だけで、人は皆、争いを好んでいるような言い方をしてしまった |
| ミラ | すまなかった |
| ロイド | ああ…いや、俺の方こそ何かムキになっちまってさ、かっこわりーよな |
| ロイド | …ミラ、ごめん |
| ロイド | あと、ありがとうな |
| | |
| ルーク | ったく、どんだけ長ぇんだこの階段… |
| ユーリ | 見た感じ、全体の8割ってとこか。まあ、真っ直ぐ登ってりゃあ嫌でもその内着くだろ |
| ルーク | …って思いながら、ここまで来たっつーの! |
| ルーク | あー…うぜぇ。こんな事になるくらいなら、光の神殿なんか来るんじゃなかったぜ |
| ユーリ | そうぼやくな。…そういやルーク、お前は、かなえたい願いとかそういうのはないって言ってたよな |
| ルーク | ん?ああ。何だよ、悪いのかよ |
| ユーリ | そうじゃねえって。ただ…だったらお前が星のカケラに選ばれた理由は何だろうって思ってな |
| ユーリ | クレスやソフィには「願い」があってそれをかなえたいと思う強い意志がある |
| ユーリ | はっきりした願いこそねえものの、オレやミラには、「目的」がある |
| ユーリ | ロイドは…そうだな、あいつの願いは思いもしねえところでかなっちまったわけだが―― |
| ユーリ | それ以前に、ここへ来る事に対して強い信念を持ってる |
| ユーリ | で、お前だ。ルーク、お前は何で星のカケラに選ばれたんだ? |
| ルーク | … |
| ルーク | …そんなのわかんねーよ。ジェイドは、俺の成長がキッカケだどうのって言ってたけど |
| ユーリ | 成長? |
| ルーク | ああ。つっても俺自身は大して何が変わったっつー事もねーし |
| ユーリ | 何かあんだろ。例えばすごく衝撃を受けた事とか |
| ルーク | 衝撃か…そういえば前にウィンドルの奴らがア・ジュールのリンネルって村に攻め込んでるのを見たな |
| ルーク | …めちゃくちゃになってる村とか怯えてる村人とか…すげー胸糞悪くなる光景だった |
| ルーク | あれ以来、戦争ってもんがマジで嫌だって思うようにはなったっけな。人が…たくさん死ぬなんて |
| ユーリ | なるほどな。それでウィンドル出身のオレやクレスを毛嫌いしてたってわけか |
| ルーク | ああ。…でもよ、クレスと話してわかったんだ |
| ルーク | ウィンドルだからっつって、みんながみんな、ああじゃねーって。…だから、その…… |
| ユーリ | ん? |
| ルーク | …さっきはよ、その…なんつーか…悪かったな |
| ユーリ | お前… |
| ユーリ | ま、分かってくれりゃ、それでいいさ |
| ユーリ | オレは気にしてねえし、お前も気にすん―― |
| ユーリ | ん…?ちょっと待て。何か聞こえる |
| | |
| | ギギ…ギ… |
| ロイド | あ、あれは…さっき倒した魔物!? |
| | グオオオオッ! |
| | ビシッ!バキバキバキッ! |
| ユーリ | いや、よく見ろ。さっきの奴とは比べ物にならねえほどでかいぜ |
| ルーク | …ちっ、好き放題暴れやがって…階段が崩れたらどうすんだ! |
| ソフィ | どうしたら…走って登りきる?それとも、ここで迎え討つ? |
| ミラ | いや、頂上はまだ見えない現状、登りきるという判断は厳しいだろう |
| ロイド | だったら、ここで迎え討つ!それしかねーよな!? |
| クレス | ああ!みんな、協力して一気にカタをつけよう! |
| scene1 | 守りたい存在 |
| ミラ | 何とか魔物は倒せたが…ソフィ、起き上がれるか? |
| クレス | 手を貸すよ。ほら、掴まって |
| ソフィ | うん。ありがとう |
| ミラ | …あまり無理はするな。まだ先は長い |
| ソフィ | このくらい、平気だよ |
| ロイド | …にしても、この階段、酷いな。あちこちがボロボロだぜ。それに、ほら… |
| ルーク | …こ、この高さはやべーな…。底がまるで見えねえ。落ちたら間違いなく即死だな |
| ユーリ | …とはいえ、のんびり進んでるわけにもいかねえだろ。ま、足元に注意して進もうぜ |
| | ガラガラガラ…ガラガラ… |
| ミラ | どんどん崩れ始めている…。皆、先を急ぐぞ |
| scene2 | 守りたい存在 |
| ルーク | くそ…まだ…着かねえのかよ! |
| クレス | もう少しだ…頑張ろう、ルーク! |
| | ビシッ!バキ… |
| ロイド | おい、アレ見ろよ!遂に上の階にもヒビが入り始めたぞ…大丈夫なのかよ!? |
| ユーリ | なら、崩れ落ちる前に走り抜けるしかねえだろ! |
| ミラ | ああ、止まるな!そのまま進め! |
| | ズシーン…!ズシーン…! |
| ソフィ | この音は…? |
| クレス | 下からだ!何かが僕達の後を追って来る! |
| | グオオオオッ! |
| | ズシーン! |
| | ガラガラガラ… |
| ロイド | お、おい…あの魔物…階段をぶっ壊しながら登って来るぞ! |
| ルーク | な、何つー破壊力だ…ちっ…追い付かれてたまるかよ! |
| ミラ | 逃げ切りたいのは山々だが…そう簡単にはいかなそうだ |
| | グオオオオオオオオ!! |
| クレス | すごいスピードだ…! |
| ソフィ | もう追いついて来たよ! |
| ロイド | くそっ…どうする!? |
| ユーリ | やれやれ。奈落の底に叩き落とされる前に、何とかするしかねえだろ! |
| scene3 | 守りたい存在 |
| ユーリ | …どうなる事かと思ったが、何とか倒せたみてえだな |
| | ガラガラガラ… |
| ユーリ | …さっきよりさらに階段がボロボロになっちまったな…。とにかく先を急――… |
| | ギギ…ギ… |
| ロイド | あれは…どういう事だ!?倒したはずの魔物が… |
| | グオオオオッ! |
| | ビシッ!バキバキバキッ! |
| ルーク | ば、馬鹿野郎!そんなに暴れるなっつーの!このままじゃ階段が…! |
| ソフィ | 上の方にもヒビが…このままじゃ階段ごと、みんな下に落とされちゃうよ! |
| ユーリ | ったく、仕方ねえ。こうなったら… |
| ユーリ | お前らは先に行け。ここはオレが食い止める |
| クレス | 食い止めるって…まさか一人で、ここに!? |
| ユーリ | このまま全員おだぶつになるよかマシだろ。とっとと――… |
| ルーク | …な、何言ってんだ、お前!わけわかんねえ事言ってんじゃねえよ! |
| ユーリ | ガキみたいに喚くなっての。時間がねえんだ、早く行けよ |
| ソフィ | ユーリ…ダメ…! |
| ロイド | お前一人を残して先になんて行けるかよ! |
| ルーク | そうだ、一人でカッコつけてんじゃねえぞ!勝手にいなくなるとか許さねえからな! |
| ユーリ | おいおい、何を急に… |
| ユーリ | …ふっ |
| ルーク | なっ…こんな時に…!!ヘラヘラ笑ってんじゃねえよ! |
| ユーリ | いや…お前が星のカケラに選ばれた理由が少しわかった気がしてな |
| ルーク | ちっ、茶化すんじゃねーよ!俺は人が死ぬのは嫌なんだっつーの! |
| ユーリ | ははっ |
| ユーリ | さあ、マジで時間がねえ。アイツがここにたどり着く前に早いとこ行ってくれ |
| ユーリ | 心配すんなって。アイツ仕留めたら、オレも後から追いかける |
| ルーク | …けど! |
| ミラ | ユーリ…どうやら決意は固いようだな |
| ユーリ | …あいにくとな。その代わり、そっちの世話は任せたぜ |
| ミラ | … |
| ミラ | わかった。皆、ここはユーリに任せて、行こう! |
| ロイド | だけど! |
| ミラ | ユーリの意志を無駄にするな!急げ! |
| ロイド | …ちくしょうっ! |
| ソフィ | ユーリ! |
| クレス | …くっ! |
| ルーク | … |
| ユーリ | … |
| | グオオオオッ! |
| ユーリ | …ああは言ったものの、階段は崩壊寸前、言ってる間に魔物は目の前、と |
| ユーリ | これ以上ないってくらい状況は最悪。さて、どうしたもんかな |
| ユーリ | …しょうがねえ、腹ぁくくるとするか! |
| | ガタガタ… |
| ユーリ | やべえ、階段が崩れそうだ |
| ユーリ | 崩壊が先か、魔物の死が先か…一か八か、賭けてみるか |
| ユーリ | はあああああっ!! |
| | グギィィ… |
| ユーリ | よし…!これで―― |
| | ゴオオオ!ガタガタガタ… |
| ユーリ | ちっ、階段が…! |
| ルーク | …お、おい!下の方、階段が崩れて…! |
| ミラ | くっ…!落ちたか… |
| クレス | ユーリ…! |
| ソフィ | そんな…! |
| | |
| ロイド | …!いや、見ろ!瓦礫に掴まって何とか持ちこたえたみたいだ…!! |
| | |
| ロイド | お、おい、ルーク!? |
| ルーク | くそっ!!持ちこたえろ!!落っこちんじゃねえぞっ!!! |
| ミラ | ルーク…!私達も、行くぞ!まだ間に合う! |
| ロイド | ああ! |
| | |
| ユーリ | …くっ、絶体絶命ってか |
| ルーク | ユーリィィィ!!今行く!!そんまま踏ん張ってろ!! |
| ユーリ | ルーク…!?何戻って来てんだ、あの馬鹿! |
| ユーリ | 来るんじゃねえ!!お前まで落ちるぞ! |
| ルーク | うるせー!行くっつったら行くんだよ!! |
| | バキバキバキ…! |
| ユーリ | !! |
| ルーク | ユーリ!!! |
| ユーリ | … |
| | |
| ユーリ | …ありがとな |
| ルーク | なっ…! |
| | |
| ルーク | そん…な |
| ソフィ | …間に合わなかった |
| クレス | …ユーリ |
| ロイド | 馬鹿野郎…っ!! |
| ミラ | …… |
| ルーク | 嘘…だろ |
| ルーク | 後から追いかけるってそう言って… |
| ルーク | ユーリ… |
| ルーク | ユーリィィィィィィ!!!! |
| scene1 | 前進 |
| クレス | はあ、はあ……… |
| | ビキッ!バキッ! |
| ミラ | …今にも崩れそうだな |
| ロイド | あと少しだ!あきらめなければ、絶対何とかなる!だから、走れ! |
| ソフィ | あそこで階段が終わってるよ! |
| | ビシッ!バキバキバキ…! |
| クレス | くっ…!間に合うか…? |
| ミラ | 皆、飛べ!はああっ! |
| ソフィ | やっ! |
| クレス | たああっ! |
| ロイド | せやっ! |
| ルーク | だああっ! |
| | ズズーン!ガラガラガラ……! |
| | |
| クレス | 階段が…崩れていく… |
| ロイド | ほら見ろ…何とかなっただろ…ぜえ…はあ… |
| ソフィ | でも…ユーリが… |
| ルーク | …くっ…!! |
| | |
| ルーク | あいつ、最後まで格好つけやがって…それで落ちてちゃしょうがねえじゃねーか…! |
| ロイド | 軽々しく最後とか言うな!ユーリはきっと生きてる! |
| クレス | ロイド…君がそう思いたい気持ちは、よくわかるけど… |
| ルーク | …お前も見ただろ!?俺達の目の前であいつが落ちてくのを… |
| ロイド | …それはそうだけど、でも!ユーリは生きてる、絶対そうに決まってる! |
| ロイド | あいつとは会ったばかりだったけど、どんな奴か、何となくわかるんだ |
| ロイド | あいつはキザなところもあったけど、ただのかっこつけじゃなかった。言う事、やる事に必ず中身が伴ってた |
| ロイド | そんなユーリが、軽々しく自分の命を捨てるはずがない。きっと勝算があって、ああしたはずだ |
| ロイド | そうさ…そうに決まってる。あいつが死ぬなんて…そんなの認められるかよ… |
| クレス | ロイド… |
| ルーク | …んなの…俺だってそう思いてえっつーの! |
| ロイド | … |
| ロイド | ミラ…お前はどう思うんだ? |
| ロイド | お前は、俺よりユーリの事に詳しいんだからわかるはずだろ。俺の言ってる事、間違ってないよな? |
| ミラ | … |
| ミラ | …あの状況で、ユーリが生きているとは正直、考えがたい |
| ロイド | 何だよ…!お前までそんな事を…! |
| ミラ | だが…ロイドと同じように、信じたいという気持ちもある |
| ミラ | 確かにあの男は、そう簡単にあきらめるような性格ではなかった。そこに、いちるの望みを賭けたい |
| クレス | ミラ… |
| ミラ | そして一つ、はっきりしている事は…ここで私達が悲嘆に暮れるのを、ユーリは望むまいという事だ |
| ミラ | あいつが生きているにしろ、いないにしろ、な |
| | |
| クレス | …そうだね。僕達にはもはや、先へ進むしか道がない。立ち止まるわけにはいかないんだ |
| ルーク | …俺は行くぜ。でないと、あいつにまた嫌味言われちまうからな |
| ロイド | そうだな…その通りだ。よし、行こう! |
| クレス | ああ! |
| ロイド | ミラ、その…ありがとう。俺の事、励ましてくれたんだよな? |
| ミラ | フッ…どうだろうな。お前の暑苦しさに、いささか当てられたのは確かだが |
| ソフィ | う… |
| ルーク | ソフィ?どうかしたのか? |
| ソフィ | ううん…何でもないよ |
| | ガシャーン! |
| ロイド | 何だ、この大きな柵は!? |
| ミラ | まるで、私達を追い立てようとしているかのようだな |
| ルーク | ったく…次は何が待ち受けてるってんだよ |
| scene2 | 前進 |
| | ガシャーン! |
| ロイド | くっ、まただ…また柵に行く手を塞がれたぞ |
| クレス | じゃあ、こっちはどうだろう |
| | ガシャーン! |
| ルーク | 駄目だ、こっちも塞がれた! |
| ミラ | 随分広い部屋に出たと思ったが、自由に動ける場所はほとんどないな。ちょっと進むたびに、柵に遮られる |
| ロイド | くそっ、どういう事だ…! |
| ソフィ | … |
| ルーク | おい、ソフィ |
| ソフィ | え…? |
| ルーク | え、じゃねえよ。さっきから何か変だぞ、お前。顔色も悪ぃみてーだし… |
| ソフィ | ううん。平気だよ |
| ルーク | 本当かよ…あんまり無理すんじゃねーぞ。ぶっ倒れても知らねえからな |
| ソフィ | うん、大丈夫。ありがとう…ルーク |
| ルーク | れ、礼とか言ってねーで、とにかく無理すんなよ。いいな! |
| | ガシャーン! |
| | ガシャーン! |
| | |
| ミラ | 今度は左右を塞がれたか…どうやらこのまま、まっすぐ進めという事らしい |
| ロイド | おい、向こうに何かいるぞ! |
| クレス | あれは… |
| ルーク | あの魔物のとこにしか進めねーって事か。くそっ、ふざけやがって |
| ソフィ | くっ… |
| | グオオオオッ! |
| ロイド | また厄介そうなやつが… |
| クレス | ああ…。でも大丈夫、みんなで協力すれば必ず倒せるはずだ |
| クレス | 僕達は、先へ進まなきゃならない。何としてでもね |
| ソフィ | …うん。こんなところで、倒れるわけにはいかない…わたし達は、負けない! |
| ミラ | ああ、では行くぞ! |
| scene1 | 傷ついた少女 |
| クレス | ロイドの言った通り、かなり強い魔物だったけど何とか勝てたね |
| ロイド | ああ。でも…今の戦いでみんな、結構無理しちまったんじゃないのか? |
| ルーク | 無理も何も、へとへとだっつーの。今みてーな戦いが何度も続いたら… |
| ソフィ | … |
| ミラ | ソフィ、どうした? |
| クレス | ソフィ!? |
| ルーク | おい、しっかりしろ! |
| ソフィ | ルーク… |
| ルーク | やっぱお前、変だぞ…平気、とか何とか言ってたけど… |
| ソフィ | っつ…! |
| ミラ | …ソフィ、これはあの時魔物にやられた―― |
| ソフィ | このくらい大丈夫…みんなだって、傷付いてる。わたしだけじゃない… |
| ルーク | ……ったく、何でさっき聞いた時に言わねーんだよ |
| ルーク | だいたいお前、小さい身体のくせして無理しすぎなんだよ |
| ロイド | ルーク、そんな言い方… |
| | |
| ルーク | おら、ソフィ。背負ってやっから、乗れ |
| ソフィ | だめ…ルークが大変になる |
| ルーク | だーもう、いいから、ぐだぐだ言ってねえで乗れっつーの! |
| ミラ | フ… |
| ミラ | ソフィ。ルークがここまで言うのだから厚意に甘えてはどうだ? |
| クレス | うん、そうだね。僕もそれがいいと思う |
| ソフィ | …わかった。じゃあ、お願いするね |
| | |
| ソフィ | …重くない? |
| ルーク | 全然。これくらい楽勝だぜ |
| ロイド | へへ…ルーク、お前偉そうだけど、実はいい奴なんだな |
| ルーク | るせえ。偉そうは余計だっつーの |
| ルーク | 言っとくけど、ずっとこのままじゃねーからな。元気になったら、すぐ降ろすぞ |
| ソフィ | うん…本当にありがとう |
| ミラ | よし、では行くとしよう |
| クレス | 向こうに通路が見える。行ってみよう! |
| | |
| ミラ | ここは…どうやら、さっきとは別の部屋へ出てきたようだな |
| ソフィ | ルーク、大丈夫? |
| ルーク | …へっ。これくらい、どうって事ねーよ |
| クレス | うん…?そこにいるのは魔物か!? |
| ミラ | …いや、魔物ではないな。あれはただの彫像だ |
| ルーク | 何だよ、驚かせやがって |
| ロイド | よく見ると、同じような彫像が、あちこちにあるな |
| クレス | 何だか気味が悪いな。…先を急ごう |
| scene2 | 傷ついた少女 |
| | …チャリン! |
| クレス | ルーク、星のカケラを落としたよ |
| ルーク | 今ソフィを背負ってて両手が塞がってて拾えねーんだ。拾っといてくれ |
| クレス | わかった |
| ロイド | そういや星のカケラって、選ばれし者になれなかった奴が手にすると、邪念に侵されるんだっけ |
| ミラ | ウィンドルの国王がそうだったという話だったが、具体的にはどうなってしまうのだ? |
| ソフィ | 全てのカケラが欲しくなって、そのためだったら何をしてもいいと思うようになるんだって |
| ソフィ | 怒りや憎しみで胸がいっぱいになって自分が自分でなくなる…って、リチャードは言ってた |
| クレス | 僕達の中には、自ら望んだわけでなく偶然カケラを手にした者も多い |
| クレス | もしカケラに選ばれなかったら、その時邪念に侵されていたのかもしれないと考えると、ぞっとするよ |
| ルーク | う…そう言われると、そうだな |
| ミラ | 今回、何より問題だったのは、その邪念に侵されたのが、ウィンドルの国王だった事だな |
| ソフィ | うん…リチャードは何とか元に戻ったけど… |
| ミラ | もはや国王が元に戻っただけでは、事態の解決にはならん。戦争が始まってしまった以上はな |
| ロイド | そうだな…そこを何とかしない事には、根本的な解決にならないんだよな |
| ソフィ | … |
| | …ズシン! |
| ロイド | 今の音は何だ? |
| ルーク | お、おい、また何か、出てくるんじゃねーのか |
| | |
| クレス | 言ってるそばから出たぞ! |
| ソフィ | ルーク、わたしを下ろして。もう平気だから |
| ルーク | 本当に大丈夫かよ?今度こそ無理すんじゃねーぞ |
| ソフィ | うん |
| | グオオオオッ! |
| ミラ | よし、全員で力を合わせて、あいつを倒すぞ! |
| scene1 | 絶体絶命 |
| ルーク | 勝ったぞ!どうだ参ったか! |
| ミラ | 油断するな。完全に終わったと決め付けるのは、まだ早い |
| ロイド | わかってる。それで今まで、痛い目を見てきたもんな。らせん階段の二の舞はごめんだ |
| ソフィ | 今度はどう…? |
| クレス | …!?彫像の目が光った…? |
| ロイド | おい、見ろ!さっき倒した魔物が…! |
| | ガアアアアッ! |
| ルーク | ま、また動きだしやがった! |
| ミラ | 皆、もう一度だ! |
| クレス | うおおおおっ! |
| ソフィ | はああああっ! |
| | |
| ロイド | はあ…はあ…さすがにこれで、終わりなんじゃないのか…? |
| ミラ | そうだといいが… |
| クレス | また彫像の目が…! |
| | グオオオオッ! |
| ルーク | まただ!絶対に倒したのに!一体、どうなってんだよ! |
| ソフィ | はあ…はあ… |
| ロイド | ソフィ、大丈夫か? |
| ソフィ | う、うん… |
| ミラ | いつまでも、こいつの相手ばかりしていては身がもたん。ここは振り切って、先へ進もう |
| クレス | そうだね。ソフィも心配だし…そうしよう |
| | ガアア…! |
| ロイド | 今だ、みんな走れ! |
| | グオオオオッ! |
| ソフィ | 魔物が後を追って来るよ! |
| ルーク | だーっ!しつこいんだよ! |
| scene2 | 絶体絶命 |
| | グオオオオッ! |
| ロイド | あいつ、まだ追って来るぞ! |
| ルーク | しつこいにも程があるぜ。いい加減にしろっつーの! |
| ソフィ | く… |
| | |
| | ドサッ! |
| ミラ | ソフィ、しっかりしろ! |
| ソフィ | ごめんなさい…みんなは、早く行って… |
| ロイド | 何馬鹿な事言ってんだ!ここでソフィだけ、見捨てていけるか! |
| ルーク | おら、歩けねーんなら、また俺が背負ってやる |
| ソフィ | … |
| ミラ | 魔物に追いつかれるぞ! |
| クレス | やむを得ない…ここで迎え撃とう! |
| ロイド | このおおおっ! |
| ルーク | うらあああっ! |
| | ガアアアアッ! |
| | |
| ミラ | 魔物の動きが止まったが…今度はどうだ…? |
| クレス | 問題はこの後だ。まわりにある彫像の目が光ったら、また動き出すかも… |
| ソフィ | 彫像の目が光ったよ! |
| | グオオ…! |
| ロイド | クレスの言った通りだ。魔物がまた動き出そうとしている! |
| ルーク | くそっ、何度も何度も…キリがねえ |
| クレス | 彫像の目の効果で、魔物は再び動き出す… |
| クレス | あ…ひょっとして、あの彫像を破壊すればいいのか…? |
| ミラ | ああ、おそらくな。だが、こうも数が多いと彫像までは――… |
| | ズバッ! |
| ミラ | 何だ…? |
| ソフィ | 彫像が壊れた…? |
| | ズバッ! |
| ロイド | お、おい!一体何が起きてるんだ…!? |
| | |
| ??? | よし。これで目障りな彫像は、全部ぶっ壊し終わったな |
| ミラ | …!その声は… |
| ソフィ | まさか… |
| ロイド | 今の声は間違いなく… |
| | |
| | ユーリ!!! |
| ユーリ | よう。お互い無事でなによりだ |
| ルーク | ユ、ユーリ、お前… |
| ユーリ | おっと、積もる話は後にして、先にあの魔物を片付けようぜ。今度こそとどめを刺せるはずだ |
| クレス | よし!みんな、もうひと踏ん張りだ! |
| scene1 | 選ばれし者達 |
| ユーリ | よし、もう動き出す気配もねえな |
| ユーリ | やっぱり彫像の放つ光が、魔物を復活させてたってこったな |
| ソフィ | ユーリ… |
| クレス | 本当にユーリ…君なのかい? |
| ユーリ | ああ。そっくりさんでも、幽霊でもねえぜ。正真正銘の本物だ |
| クレス | よかった…。ユーリが無事で、本当によかったよ |
| ミラ | …よく生きていたな、ユーリ。これで、ロイドが話していた通りになったな |
| ロイド | ほら見ろ!だから言っただろ?ユーリは絶対生きてるって! |
| ユーリ | 信じてくれてたってわけか。ありがとさん |
| ルーク | … |
| ユーリ | … |
| ユーリ | どうした、ルーク。んな妙な顔して。てっきり死んだとでも思ってたか? |
| ルーク | なっ… |
| ルーク | あ、あんなとこから落っこちたら普通は死んだと思うっつーの! |
| ユーリ | ほう、みんなはオレが生きてるってずっと信じてくれてたのに、お前は冷てぇんだな |
| ルーク | ち、違…!俺も信じてたっつーか…生きてればいいなって思ってたっつか…だから、その…… |
| ユーリ | 冗談だよ、本気にすんなって |
| ユーリ | …あん時、オレを助けようと必死に走ってきてたお前の姿は、ハッキリちゃんと覚えてるぜ |
| ルーク | …!!ぐっ、あれは――… |
| ユーリ | ありがとな |
| ルーク | …お、おう |
| ソフィ | えっと、さっきは下まで落ちずに済んだって事? |
| ユーリ | 平たく言えばそんなとこだ |
| ユーリ | 何とかあっちこっちと飛び移ってるうちに、うまい場所を見つけてな |
| ユーリ | 苦労したぜ?何せ、階段がなくなったところを、またえっちらおっちら登ったんだからな |
| ユーリ | ようやく追いついたと思ったら、お前らときたら鬼ごっこなんかしてるときた |
| ユーリ | で、いかにも怪しそうな彫像があったんで壊してみたらこれが大正解だったってわけだ |
| ミラ | お前の機転がなかったら、私達の方が力尽きていただろう。感謝する |
| ユーリ | 留守の借りを返したってとこだ。気にすんなよ |
| クレス | 借りだなんて…それはむしろ、僕達がユーリに言いたい事だよ。とにかく、ありがとう |
| ソフィ | これでまた、六人で揃って進んで行けるね |
| ルーク | そうだな |
| ロイド | ん、あれは…みんな、向こうを見てみろよ |
| | |
| ミラ | 石が階段状に並んで浮いている…次はあそこを進む事になりそうだな |
| ロイド | この先、どこまでこの神殿が続くのかわからないけど、俺はもう、何も心配してないぜ |
| クレス | そうだね。僕達六人が力を合わせればどんな困難も乗り越えて行ける…そんな気がするよ |
| ソフィ | …うん。わたしもそう思う |
| ミラ | 私もだ |
| ロイド | ああ、俺も! |
| ルーク | 異論はねえよ |
| ユーリ | だな |
| クレス | よし、それじゃあ行こう、共に! |
| scene2 | 選ばれし者達 |
| ルーク | よっ…、ほっ… |
| ユーリ | こうやって浮かんでる石を飛び移りながら上に登るってのは、なかなかスリルがあるな |
| ロイド | みんな、くれぐれも注意しろよ。足を踏み外したら大変だからな |
| ソフィ | ロイドも、落ちないように気をつけて |
| クレス | ソフィの言う通りだよ。僕達の事を心配しすぎて、自分の足下を疎かにしないでくれ |
| ミラ | まったくだ |
| ユーリ | そういや、ティルグにかなえてもらう願いだが… |
| ユーリ | 結局、誰の願いにするかうやむやだったな |
| ルーク | …それなんだけどよ。その…あー…笑うんじゃねえぞ? |
| ソフィ | …? |
| ルーク | 俺達がそれぞれかなえたいと思ってる願いって…実はあんまし変わんねーんじゃねーかっていうか… |
| クレス | …確かにそうだね。明確な願いがあるにしろ、ないにしろ… |
| クレス | ここにいる全員の根っこにあるのが、「この世界を何とかしたい」という思いなのは、間違いないだろうし |
| ロイド | まあ…そうかもな |
| ミラ | 方法の一つは、今起きている戦争をやめさせる、という事になりそうだが |
| ソフィ | じゃあ、ティルグに会ったら、その事を願うの? |
| ロイド | それは、前にクレスが言ってたように根本的な解決にはならないと思うな |
| ユーリ | …かもな。カケラの件がなくてもこれまで戦争はいくらでもあった |
| ユーリ | そもそも手前で巻いた種を、光の使いに尻拭いをしてもらうってのも都合のいい話だが |
| ユーリ | たとえ、そうしたところでおおもとが変わらなきゃ、また同じ事が繰り返されるんだろうよ |
| クレス | … |
| クレス | …だったら、僕達の願う事、僕達にできる事は一つ |
| ルーク | って事は… |
| ロイド | みんなの願いが全て、その一つでかなっちまうって事だよな? |
| ミラ | ああ、そういう事だな。さらには懸念していた事も、解消される事になる |
| ミラ | …私達に課せられるものは大きいがそれを成し遂げた時、きっと新しい未来が開けるはずだ |
| ソフィ | うん… |
| ユーリ | よし、願い事も決まった事だし、後はいよいよティルグに会うだけってわけだ |
| | ズルッ…! |
| ロイド | うおっ!足が滑…! |
| ユーリ | おっと、大丈夫か? |
| | |
| ロイド | へへ、助かったぜユーリ。サンキュー! |
| ソフィ | だから気をつけてねって言ったのに… |
| ロイド | ごめんごめん。嬉しくなって、ついはしゃいじまった |
| ロイド | … |
| ロイド | 俺さ、何かわかった気がするよ。選ばれし者として神殿に来た理由が |
| ルーク | …?何なんだ? |
| ロイド | ま、教えてやんねーけどな! |
| ルーク | は?何だよそれ!じゃあ、最初っから言うなっつーの! |
| ロイド | へへっ |
| ミラ | … |
| ミラ | …不思議なものだな。始めは皆、警戒心が先に立っていて、協力し合える空気ではなかったのに… |
| ミラ | 今はこうして、ごく自然に、互いの手を取り合っている |
| クレス | そうだね。ようやく僕達は互いを理解し、信じ合えるところまでたどり着く事ができたんだ |
| クレス | …僕は、人と人は、必ずわかり合えると思ってる |
| クレス | だから…たとえ困難な状況にあっても、わかり合うための努力を決して放棄してはいけないんだ |
| ミラ | …ああ |
| | |
| ユーリ | お…、どうやらようやく飛び石が終わるみたいだな |
| ソフィ | 向こうの方で、何か光ってる… |
| ルーク | 何の光だ?もしかして、ティルグか? |
| | ズズン! |
| | |
| ロイド | 出たか…!そろそろ何か来る頃だと思ったぜ |
| ユーリ | もし向こうの光がティルグなら、その手前にいるこの魔物は、さしづめ最終関門ってところだな |
| ルーク | けっ、ここまで来たら、今さら何も怖くねえっつーの |
| ミラ | では、乗り越えるとしよう。私達全員の力で! |
| ソフィ | うん! |
| | グオオオオッ! |
| scene3 | 選ばれし者達 |
| ソフィ | 勝った… |
| ルーク | おい見ろよ、光が… |
| クレス | 大きくなってる? |
| ロイド | 行ってみようぜ! |
| | |
| ユーリ | どうやらこの光は、ティルグそのものってわけじゃなかったようだな |
| ミラ | 随分と神々しい光だな… |
| ソフィ | あ… |
| ソフィ | みんな、今の…聞こえた? |
| クレス | ああ。星のカケラが、語りかけてきたような気がするよ |
| ルーク | この光の中へ入れ、か…?それじゃ、この先にティルグが…? |
| ミラ | 皆、覚悟はいいな? |
| ロイド | もちろんさ。そんなの、聞くまでもない |
| ユーリ | んじゃ、腹くくってご対面といくとしようぜ! |
| | 光の祭壇 |
| ミラ | ここは… |
| クレス | まるで祭壇みたいだ |
| ソフィ | 何か書いてあるよ。あれは…魔法陣? |
| ロイド | 魔法陣か…。いかにも何か出てきそうだな |
| ルーク | へ、変な事言うなっつーの。本当になったらどうすんだ |
| ユーリ | 文字みたいなのが書いてあるな。誰か読めるか? |
| ソフィ | わからない… |
| ロイド | 俺もだ |
| クレス | 誰にも読めないのか… |
| ユーリ | おっ…? |
| ルーク | おいミラ、何か光ってんぞ |
| ソフィ | そういうルークも、光ってる |
| クレス | みんな同じ…?この光の正体は… |
| ミラ | 皆の持つ星のカケラか…? |
| ロイド | あっ、俺のカケラが…! |
| ユーリ | 勝手に浮き上がりやがった… |
| クレス | 魔法陣が! |
| ミラ | 光り出した…これは… |
| ルーク | な、何だこれ、星のカケラと共鳴してるのか? |
| | |
| ソフィ | ……っ! |
| ロイド | まぶしすぎる…!これじゃ目を開けてられないぞ! |
| ユーリ | ちっ、何だ一体!? |
| | |
| ルーク | お、収まったのか…? |
| | |
| クレス | あ、あれは…!? |
| | 光の使いティルグ |
| ユーリ | どうやら、この神殿の主のおでましみたいだな |
| ルーク | じゃあ、あいつが光の使い…ティルグって事かよ? |
| ミラ | まだ断定はできないが、ただ者ではなさそうなのは確かだ |
| クレス | あれがティルグだったら、本当に願いをかなえてくれるのか? |
| ソフィ | この感じ…違う… |
| ロイド | そうだな。どっちかって言ったら、願いをかなえるより、ぶち壊すほうが得意そうに見えるぞ |
| ルーク | 面倒くせえ。どっちかなんて試してみりゃ分かるだろ |
| ミラ | ルーク!不用意に近付くな! |
| ユーリ | やべえ、来るぞ!みんな伏せろ! |
| クレス | くっ…!みんな、大丈夫か!? |
| ロイド | ああ、何とかな |
| ソフィ | 危なかった…。だけど、今なら大丈夫 |
| ルーク | へっ、あれぐらい、今さらどうって事ねーっての |
| ミラ | どうやら戦うしかなさそうだな |
| ユーリ | らしいな。さっさとケリつけるとすっか |
| ソフィ | うん…! |
| ロイド | よーし、やってやる!これですべてを終わりにしてやる! |
| | |
| クレス | (これは…! 前に見た夢の光景 そのままじゃないか) |
| クレス | (そうか…そうだったのか。 僕はあの時… これを見ていたんだ) |
| ミラ | どうした、クレス? |
| クレス | …やっとわかったんだよ。ずっと疑問に思っていた事にようやく答えが出たんだ |
| | |
| クレス | あの時、僕は…確かこう言ったはずだ。僕の持つ力全てを出し切ってみせる! |
| ユーリ | 力合わせりゃ何とかなんだろ。けど、油断はすんなよ |
| ミラ | ああ。私達はもう、ただ旅をともにしただけの間柄ではない |
| ソフィ | 一緒に戦う仲間だから |
| ロイド | みんな、準備はいいか? |
| ルーク | 任しとけっつーの |
| | |
| クレス | (そうだ…ここまで来たら信じよう。 みんなでここまでたどり着いた、 絆の力を!) |
| クレス | よし、やるぞ! |
| | |
| | はあああああっ! |
| | 明日へ |
| ソフィ | はあ…はあ… |
| ミラ | 終わったのか…? |
| ユーリ | あんだけやったんだ。そう願いたいもんだな |
| ルーク | 俺達の勝ち…なんだよな? |
| ロイド | よーし!終わったぞ! |
| クレス | いや、まだ油断はできない |
| | |
| クレス | (前に見た夢がもし本当なら… この後…) |
| ロイド | この光は…? |
| | |
| ユーリ | ちっ、まだ終わりじゃねえってか!? |
| ルーク | 一体どうなってんだ? |
| | |
| クレス | (やはり… あの夢の通りなのか…) |
| | |
| ソフィ | あ…!あれは… |
| クレス | え…? |
| クレス | 違う…夢の通りじゃない |
| | |
| ミラ | お前は誰だ? |
| ティルグ | 我が名は…ティルグ |
| ティルグ | この世界に舞い降りし、光の使いなり… |
| ソフィ | きれい… |
| ユーリ | …こいつがティルグの本当の姿だってのか |
| ティルグ | 選ばれし者達よ… |
| ミラ | 私達の事か? |
| ティルグ | 我が取り込まれし闇を払い、我を解放せし事に感謝する |
| クレス | 取り込まれたって、どういう事なんだ? |
| ティルグ | 我は夢を見ていた。初めは健やかな夢…だが、それがいつからか、悪夢に転じた |
| ティルグ | 果てなき争い、憎しみの連環…終わる事なき悪夢が深き闇となりて我を取り込んだのだ |
| ユーリ | なるほどな。だから最初、あんな姿をしてたってわけだ |
| ティルグ | 選ばれし者達よ。なんじらは何を求めて、神殿に足を踏み入れた? |
| クレス | 僕は…宿敵のダオスを倒した時に、世界をこのままにしておいてはいけないと思って |
| ユーリ | カケラが全部そろえば、くだらねえ戦争も終わるかもしれねえって思っただけだよ |
| ルーク | 俺の場合は、気が付いたらここにいた…っつーかまあ、成り行きだな |
| ロイド | 自分がカケラに選ばれたからには、自分にしかできない事がここにあるんじゃないかと思って |
| ソフィ | わたしは自分の世界を救うためにこの世界に来たの。そしたら、この世界も救いたくなって |
| ミラ | マナの減少を食い止めるためには星のカケラを全て集めるのが最善だと判断したからだ |
| ティルグ | …なるほど |
| ティルグ | なんじらの話を聞き、さらに、この目に世界のありようを映して…我は理解した |
| ティルグ | なぜ我が闇に取り込まれたのか…その理由をな |
| ロイド | 世界のありようを映すって、どういう事だ? |
| ソフィ | …!あれは… |
| ルーク | お、俺達の世界が… |
| | |
| | |
| ユーリ | くそっ、ここまで切羽詰まっちまってるのか |
| クレス | 果てなき争い、憎しみの連環…ティルグの言った通りだ |
| ソフィ | たくさんの負の感情が、渦巻いている… |
| ルーク | こんな事ばっかやってたせいで、ティルグがおかしくなっちまったっていうのかよ? |
| ミラ | おかしくなったのは人も同じだ。負の感情が欲望に火をつけ、遂にはマナの危機までもたらした |
| ロイド | これが、俺達人間のしてきた事なんだな… |
| | |
| クレス | … |
| ソフィ | … |
| ルーク | … |
| ミラ | … |
| ユーリ | … |
| | |
| ティルグ | さて…選ばれし者達よ |
| | |
| ティルグ | 「全てのカケラが合わさった時、 我は姿を現し、願いをかなえん」 |
| ティルグ | なんじらは見事に心を合わせ、全てのカケラを集めただけでなく、闇に取り込まれた我をも救った |
| ティルグ | なんじらこそ真の選ばれし者達。今こそ願いをかなえよう。なんじらは、何を望む? |
| ミラ | 願いか‥ |
| ロイド | それだったら、もう決まってるよな |
| ユーリ | …だな |
| ソフィ | じゃあ、みんなで一緒に言おう? |
| ルーク | うぜーな、なんでそんな事……って分かった、分かったよ。言えばいいんだろ、一緒に |
| クレス | 光の使い、ティルグよ。僕達の願いは… |
| | 世界の平和―― |
| ユーリ | 今、争いを煽ってる負の感情ってやつを消してくれるだけでいい。あとはオレ達が自分でやるさ |
| ロイド | 確かにそれが、俺達全員の願った事だよな |
| | |
| ティルグ | …その願い、かなえよう |
| | |
| ティルグ | もうじき、この神殿は役割を終え、姿を消す…なんじらを外まで連れて行こう |
| | |
| ティルグ | 本当にこれが、なんじらの願った事なのか |
| ティルグ | 世界の平和そのものを願う事もできたのだぞ。それなのに、なぜ… |
| ルーク | あんな恥ずかしい事、何度も言わせんなっつーの |
| ミラ | 誰かに与えられた平和では、いずれ同じ事の繰り返しになる。大切なのは自ら平和を願い、成す事だ |
| クレス | 世界の平和は、僕達自身の手で成し遂げなければならない…みんなで話し合って、そう決めたんだ |
| ソフィ | そう。それがたとえ、どれほど困難な道のりだとしても |
| ユーリ | いつか自分らの力で平和を守れるようになってみせる。…ずっと誰かに面倒見続けてもらうんでなく、な |
| ティルグ | なるほど。なんじらの覚悟、しかと見届けた |
| ティルグ | なんじらがその気持ちを持ち続ける限り、我も希望を抱き続ける事ができそうだ |
| ティルグ | さて…なんじらに興味は尽きぬが、そろそろ別れの時のようだな |
| ティルグ | 我は再び長き眠りに就くとしよう。新たな選ばれし者達が現れる、その日まで |
| ミラ | さらばだ、ティルグ |
| ソフィ | おやすみ |
| ロイド | またな! |
| ルーク | また悪い夢見てうなされんじゃねーぞ |
| ユーリ | ま、そん時はオレ達がまたしっかり目を覚まさせてやるさ |
| クレス | ティルグ、ありがとう |
| ティルグ | では…さらばだ |
| | |
| ロイド | いっちまった… |
| ソフィ | あ…神殿も… |
| クレス | 消えていく… |
| | |
| | |
| ユーリ | まるでオレ達まで、長い夢を見ていたみたいだな |
| ルーク | おい、変な事言うなっつーの。これは夢じゃねえよな?なあ? |
| ミラ | ああ。夢などではない。たしかに現実だ |
| クレス | 大事なのはこれからだ。ティルグに宣言した通り、世界の復興を果たさなくては |
| ロイド | ティルグがいい夢を見られるように |
| ミラ | ソフィが自分の世界へ帰っても、安心できるようにしておかなくてはな |
| ソフィ | みんなの事は信じてるよ。わたしも、わたしの世界で頑張る |
| ユーリ | そんじゃま、そろそろ帰るとすっか |
| ルーク | ふいー、やっと家に帰れるか… |
| ミラ | 初めに顔を合わせた時はどうなるかと思ったが… |
| ロイド | この六人で行動するのも、悪くはなかったな |
| ソフィ | うん、すごく楽しかったよ |
| ルーク | へっ、俺はもうこりごりだけどな |
| クレス | そうかな?僕には楽しそうに見えるけど。君の顔を見れば分かるよ |
| ロイド | また会えるかな、俺達 |
| ユーリ | どうだろうな。けど、本気で願えばどうとでもなんだろ |
| ミラ | では出発しよう |
| クレス | それぞれの道へ |
| ユーリ | それぞれの未来へ、だな |
| ロイド | みんな、またな! |
| ルーク | 元気でやれよな、お前ら! |
| ソフィ | きっとまた会おうね。約束だよ! |