NameDialogue
scene1光の神殿
クレスここは…?光の神殿に着いたのか?
クレス…いや、ここは…外か
クレスあれが…光の神殿なのか…?
クレスなんて大きいんだ…それに、この荘厳な雰囲気は…
クレス「カケラを手にし、己に打ち勝った者 だけが、真の選ばれし者として、 神殿に足を踏み入れる資格を得ん」
クレス確かそういう言い伝えだったな…
クレスあの神殿の中で、一体何が待ち受けているんだろう
カサッ
クレス…誰かいるのか!?
ソフィあ…
クレス君は…?
ソフィわたしは…ソフィ
ソフィあなたは?
クレス僕はクレスクレス・アルベイン
クレスここにいるという事は、もしかして君も星のカケラを?
ソフィあ、うんこれ…
クレスへえ、君が持っているカケラは剣なのか
クレス僕が持っているのとは違うんだね
ソフィペンダント…
クレスそういえば、星のカケラは、1つじゃないんだっけ
クレスだったら、僕以外にカケラを持つ人とここで会っても、不思議じゃないって事か…
ソフィ他にもまだいるのかな?
クレスその可能性は十分あると思うよ
クレスもしかしたら、先に神殿の中に入っているかもしれない
ソフィ神殿の中に…
クレスソフィと言ったね。よかったら、僕と一緒に行かないか?
クレス神殿の中は何があるかわからないしお互い協力できる事も、あると思うんだ
ソフィうん、いいよ
クレスありがとう。それじゃ、中に入るとしようか
scene2光の神殿
クレスせやっ!
ソフィはあっ!
ギャウウッ!
クレスふう…終わったか
ソフィここ、魔物が多いね
クレスああ。しかも柱が多くて、見通しが悪いのが厄介だ
ソフィうん…。これじゃあ柱の陰に魔物が隠れててもすぐには気付けない
クレス…神殿と言うから、もっと清らかで安全な場所かと思っていたけど、とんでもなかったね
クレスこれは思っていた以上に、先へ進むのは大変かもしれない
クレス心してかからないと
ソフィ二人一緒でよかったね
クレス僕もそう思うよ
クレス一人だったら、どんなに苦労した事か…
ガタッ!
ソフィクレス、危ない!
クレスまた魔物か!?
ルーク何だよ、魔物かと思ったら、人間かよ。脅かしやがって
クレス君は…もしかして…
ルークん?
ソフィあなたも星のカケラを持っているの?
ルーク何でそれを…って
ルークひょっとしてお前らも、なのか?
クレスああ。僕はクレス・アルベイン
クレスこっちはソフィだ
クレス君の名前も教えてくれないか?
ルーク…ルークだ。ルーク・フォン・ファブレ
ルークあーあ、神殿に連れて来られたのは俺だけかと思ってたのに、何だか拍子抜けだぜ
クレス僕もソフィと会った時は少し驚いたけどね
クレスでも、よく考えたら、星のカケラは6つあるって話だし、現に僕とソフィも1つずつ持っている
クレス…だとしたら、僕達と同じように星のカケラを持った人が他にいたって、不思議な事じゃないよ
ルークそりゃ…そう言われりゃそうだけどよ…
ソフィ二人とも、気をつけて!そこの柱の陰に何かいる!
グオオオオッ!
ルークったく、ここまで来ても魔物かよ。勘弁してくれよ…
クレス三人で協力して戦おう。いくよ!
ルークお、おう、わかってるっつーの。指図すんな!
scene1出会いと再会
ソフィ終わったかな…?
クレスああ。そうみたいだ
ルークったく、どうなってんだよ。魔物だらけじゃねーか
クレス僕達も気になっていたんだ
クレスここは本当に、言い伝えにある光の神殿なんだろうか?
ソフィ嫌な空気が満ちてる…
ミラ…話し声がすると思ったら、先客がいたようだな
ルーク何だ、また新顔かよ
ルークお前も星のカケラを持って、ここへ連れて来られたクチか?
ミラ…ミラ=マクスウェルだ。その物言いだと、お前達も星のカケラを持っている、という事か
ソフィうん。これで、選ばれし者は四人…
ミラ確か、星のカケラは全部で6つあるという話だったな
ミラ…なら、あと二人。カケラを持つ者が現れれば全てそろうという事になるのか
クレスうん、おそらくそう考えて間違いないと思う
ミラふむ…
ミラ物は相談だが…お前達が持っている星のカケラを私に譲ってくれないか?
クレス譲ってくれって…そんな事を、いきなり言われても困るよ
ミラ私のなすべき事は、全ての星のカケラを回収する事。そのためにここへ来たのだ
ルーク何わけのわかんねー事を!
ルーク俺達の星のカケラを使って、自分の願いだけをかなえようっつーのかよ
ミラそうではない
ミラただ、星のカケラ…このクリスタルは世界を危機に貶める種のようなもの…
ミラこれが存在し続ける限り、世界は常に、崩壊の危険と隣り合わせという事になる
ソフィこれが、ミラの星のカケラ…
ミラああ。このクリスタルこそ、魔導兵器の主動源…
ルークま、魔導兵器!?
ミラ…そうだこの種の装置は、動かすだけで世界中のマナを著しく消耗する
クレスマナ…?
ミラいわば、世界を司るエネルギーのようなものだ
ミラマナが枯渇すれば、生物は死滅し、世界はいずれ崩壊する
ルークなっ…!
ミラこれで私の目的はわかっただろう?
ミラもう一度言う。お前達の持つ星のカケラを、私に譲ってほしい
ソフィ
ルーク
クレス
クレスミラ、君の話はわかった。でも…これを見てほしいんだ
ミラこれは…
クレス僕の持っている、星のカケラだ
クレス君のとは形が違う。そうだろう?
クレス僕もここへ来て、みんなと会って気付いたんだけど、星のカケラはそれぞれ「物」が違うんだ
ルーク…そう言われてみりゃ、そうだな
ルーク俺のは、クリスタルでもペンダントでもねえ勲章だし
ソフィわたしのは、これ
ミラ
クレスミラ、君の目的や意志はわかったよ
クレスでも、君の探しているクリスタルとは異なる。もし僕達がカケラを渡しても…
ミラ…ああ。そういう事なら無論、私に渡す必要はない
クレスわかってくれてありがとう
クレス…ん?でも、ちょっと変だな…
ルークどうしたんだ?急に難しい顔なんかしやがって
クレス…今ここには、複数の「選ばれし者」がいる
クレスその選ばれし者達が、それぞれ別々の願いをかなえたい場合、どうなるんだろう?
ソフィあ…
ミラ以前、願いをかなえるにはカケラを6個そろえる必要がある、と聞いた事がある
ミラそれに、言い伝えにも「全員の願いがかなう」とは、記されてはいない
ミラそうなると、選ばれし者が複数いてもかなえられる願いは一つ、と考える方が自然かもしれないな
ルークここからさらに、ふるいにかけられるって事か?
ルークここまで来て冗談じゃねえぞ
クレスまだ、はっきりそうだと決まったわけじゃないけど…どうなのかなって思っただけで…
ソフィ一つ…だけ…
ミラ
ルーク…な、何だよ。お互い黙って見つめ合ったりして
ルークお前らまさか…
ドドーン!
ミラ何の音だ?
ソフィ奥の方から聞こえてきたよ。また魔物かな…
scene2出会いと再会
ミラここは…
クレス柱だらけの場所を抜けたと思ったら、今度は随分広いところに出たな
ソフィさっきの音は、こっちの方から聞こえてきたと思ったけど…
ルークこうだだっ広くて、薄暗いと、どこに何があるかわかんねえな
ドーン!
クレスみんな!向こうだ!
ユーリちいっ!
ロイドユーリ、大丈夫か!?
ユーリ問題ねえ、と言いたいところだが、こいつの相手をするのはちっとばかし骨が折れそうだな
ロイドくそっ、せめて味方がもっといれば…!
ソフィ誰かが魔物と戦ってる。もしかしてあの人達も…
ミラあれは…ユーリか?
クレス知っている人なのかい?とにかく、放ってはおけない
クレス僕達も行こう!
ルークお、おいマジかよ!
ルークったく、しょうがねえな
ルークおら!手伝ってやるからぼやぼやしてんじゃねえぞ!
ユーリん?何だ、お前ら、どっから湧いて出た…って
ユーリおいおい、ミラじゃねえか
ミラまた会ったな、ユーリ
ロイドユーリの知り合いなのか。ここにいるって事は、やっぱりみんな星のカケラを…?
クレス詳しい話は後だ。先にこいつを片付けよう
ソフィうん!
ルークさっさと終わらせてやるからな。お前ら、手抜くなよ!
scene1不和
ロイドよし、勝ったぞ!
ユーリ助太刀サンキュ。お蔭で助かったぜ
ミラ気にするな。あの魔物がここにいる限り、いずれ戦う事になっていただろうしな
ロイドところで…さっきも言いかけたけど、お前達も星のカケラを?
ルークああ。四人とも持ってるぜ
ロイドこれでカケラを持つ者が、六人揃ったって事か…
クレスここで、こうして出会ったのも何かの縁だと思うし、改めて、みんなで自己紹介しないか?
ソフィうん、そうだね
クレス僕は、クレス・アルベイン
クレスウィンドルにある、トーティス村の出身だよ
ルーク!!
ユーリユーリ・ローウェルだ
ユーリ前はウィンドルの騎士団にいた。もうやめちまったけどな
ルークウィンドル…こいつも…
ロイドお前、どうしてウィンドルって聞くたび、嫌そうな顔をするんだ?
ロイドあ…もしかして、お前…ア・ジュールの出身か?
ルーク違う!勝手に決め付けんじゃねえ!
ルーク俺は!ルーク・フォン・ファブレ、キムラスカの人間だ
ロイドキムラスカの奴が、何でウィンドルを目の敵にするんだ?
ユーリさあな。うちの王様が厄介事振りまいてんのは確かだが、キムラスカとはまだのはずだぜ
ルーク…るせーな。俺の事はいいから、次いけ、次!
ロイド俺はロイド・アーヴィング。シルヴァラントから来た。よろしくな
ミラミラ=マクスウェルだ
ミラ私は精霊界から来た。ゆえに、どこの国出身、というわけでもない
クレス精霊界…?
ミラ…うむ。ただ、その話は、話せば長くなりそうだ。また別の機に話すとしよう
ソフィ…わたしは、ソフィ
ソフィ信じてもらえるかわからないけど、わたし…未来から来たの
ロイド精霊界から来たミラと、未来から来たソフィ…
ロイド…何かよくわからないけど、二人ともすごいところから来たんだな
クレスうん…みんな世界中のあちこちから、この神殿に集まって来たんだね
クレス不思議な縁もあるんだな…
ユーリさて、自己紹介も終わったところで、これからどうするかだが…
ミラここはお互いの持つ情報を、交換すべきではないか?
ミラ誰が何を知っていて、何を知らないのか…整理するのがいいと思うが
ソフィじゃあ、みんなでお話ししながら、先へ進もう?
クレスそうだね。それじゃ、そうしようか
ルーク
scene2不和
ユーリ…へえ。こうして聞いてみると、オレ達の持っている情報は、どれも大体同じみたいだな
クレスそうだね。じゃあもう一度、確認のために振り返ってみよう
クレスまずは…
クレス「カケラを手にし、己に打ち勝った者 だけが、真の選ばれし者として、 神殿に足を踏み入れる資格を得ん」
クレス僕達はその言い伝えの通りに、カケラに選ばれ、神殿にやって来た。これが一つ目の共通の情報だね
ソフィ…星のカケラは全部で6個あって、今はわたし達一人一人が、1つずつ持ってる
ソフィこれが二つ目の情報…
ユーリああ。仲良く分け合ってるってわけだ
ルーク…けっ。何が仲良くだっつーの…
ミラウィンドルの国王が星のカケラを欲しそれがきっかけとなって、隣国ア・ジュールとの戦争が始まった
ミラこの事も、星のカケラを巡る全員の共通認識ととらえていいのではないか?
クレスうん。これが三つ目の情報だね
ロイド星のカケラの力が発現すると、選ばれし者以外は、カケラに触れられなくなる
ロイドこの神殿へ来る直前、俺達全員の身に起きたこの事が、四つ目の共通の情報だな
ユーリ後は…オレ達選ばれし者は、どういうわけか、星のカケラと、話ができるらしいってとこか
ソフィこれが五つ目の情報…。お話できるのはいつもじゃないけど
ルーク
ミラ全員が共通で認識しているのはこんなところか…他に何か、独自の情報を持つ者はいるか?
ロイド俺の国シルヴァラントには、星のカケラの一つを、どこかの遺跡に埋めたって言い伝えが残ってたな
ロイド俺の仲間のリタが古い文献を調べたらその事がわかって、カケラを見つけたんだけど…
ユーリ面白そうな話だが、カケラが全部手元にそろった今、あまり手がかりにはなりそうもねえな
ロイド…だったらこれはどうだ?言い伝えに出てくる「光の使い」は、ティルグって名前らしい
ソフィティルグ…
クレスその名前は初耳だ。確かな情報なのかい?
ルーク…俺もその話は聞いた
ルークシルヴァラントに、言い伝えが残ってるらしいぜ
ユーリおっ、ようやく喋ったな
ユーリ今までずっと黙ってたから、腹でも痛いのかと心配したぜ
ルーク…ふん
ミラ他に何か、ルークの知っている事はあるか?
ルークそういやジェイドってやつが、持ち主の成長が、星のカケラの発現に繋がるって言ってたな
ロイド成長ねえ…
ソフィ…わたしも一つ、知ってる事がある
ソフィ星のカケラを手に入れたとしても、真の選ばれし者としてカケラに認められなかった場合…
ソフィその人は、邪念に侵されてしまう…
ミラ邪念…だと?
ソフィリチャードが…突然変わってしまったのは、そのせい
ユーリうちの国王がか?
ユーリ…なるほどな、そういう事かよ
ルーク
ロイドじゃあ俺達も、真の選ばれし者として認められてなかったら、邪念に侵されて変になってたのか!?
ソフィうん
ルーク…何が邪念だ。ふざけやがって
ミラいきなりどうしたのだ?
ルーク国王がそうだからって、それで他の奴らは悪くねえとでも言うつもりかよ!
クレスそれは…僕とユーリの事かい?
クレス…ルーク、君はどうしてそんなにウィンドルを嫌うんだ?
ユーリなるほどな、大方、ウィンドルに何か恨みでもあるって口か?
ルークしらばっくれてんじゃねえ!
ルーク俺はお前らなんかと一緒に行くつもりはねえからな
ユーリ別にいいんじゃねえか?オレ達と行動するのが嫌なら、好きにすりゃいいさ
ユーリウィンドル出身ってだけでいちいち突っかかられるのも鬱陶しいしな
ルーク何だとこの野郎…!
ソフィケンカ、だめ!
ミラこんな時までいがみ合うとは…
ミラつくづく、争いが好きなのだな。人間というのは
ロイドなっ…人間がみんな、争いが好きみたいに言うな
ロイド本当は争いたくなくても、事情があって争うなんて事も、結構あるはずだしさ
ミラどうなんだ、ルーク。お前にも、「やむにやまれぬ事情」とやらが、あるのか?
ルーク事情なんか知るかよ!ウィンドルだってだけで十分じゃねーか
ロイドおいおい…
ミラまったく…
クレス先の状況がわからない以上、みんなで協力し合わなければいけないのに…どうしてこうなるんだ
グオオオオオ…
ソフィ何の音!?
ロイド見ろ、あそこに魔物が!
ソフィ…!こっちを狙ってる!
ギャオオオオッ!!
ミラええい、こんな時に!
scene3不和
ロイド想像以上に手こずったな…
ユーリこの分だとまだまだいそうだな。ったく、先は長そうだってのに
ソフィうん。神殿を進むにつれて、敵がどんどん強くなってる気がする…
クレス…ここはやはり、お互い協力し合って、進むべきだと思う
ミラ私は別に構わんが…それが嫌だと言う者もいるからな
ルークるせえ!俺は絶対に嫌だからな
ユーリさっきも言ったが、そんなに嫌なら好きにすりゃいい
ルークああ?
ユーリオレ達といたくねえんだろ?だったらどこへでも行きゃいいだろうが
ルークな、何で俺が行くんだよ!ふざけんなっつーの!
ユーリ一緒にいたくねえけど、一人になんのも嫌だってか?
ユーリったく、しょうがねえやつだな
ロイドおい、待てよユーリ。一人でどこへ行く気だ
ユーリオレが好きにさせてもらうのさ
ユーリどっちかが去るしかねえんなら、こうするしかねえだろ
クレスよすんだ、ユーリ。単独行動は危険だ
ユーリ一方的に毛嫌いされてる相手と、是が非でも一緒にいたいと思うほど、オレも物好きじゃねえしな
ルーク俺が悪いってのかよ!?元はと言えばお前らが…!
ミラはあ…
ソフィケンカはだめなのに…
ロイドみんな、ちょっと待て!
ロイドそこの装置みたいなものが急に動き出したぞ!
フイイーーーーン
ビーッ!ビーッ!ビーッ!
ミラ何が起きているというのだ…?
ブオンッ!
クレスくっ…!何だ、この光は!
ルークまぶしくて何も見えねえ…!
ユーリ…なあ、勘違いならいいんだが、オレ達の身体、浮いてねえか?
ソフィこの感覚…まさかどこかに飛ばされる…?
ロイドと、飛ばされるーっ!
scene1それぞれの傷跡
クレスここは…?
ミラいきなり別の場所へ飛ばされたようだが…
ミラここも光の神殿の中か?
ボウッ!
ルークあっちい!何だよここ!?そこら中から炎が噴き出してんじゃねーか!
ミラどこをどう見ても、のんびりできそうな所ではないな。さっさと抜けた方がよさそうだ
クレス待ってくれ。人数が足りない
ミラむ?たしかに…
ミラ今ここにいるのは、私とクレスとルークの三人だけか
クレスユーリ!ソフィ!ロイド!近くにいるのか?いたら返事をしてくれ!
クレス誰の返事も聞こえない…近くにはいないようだ
ミラ分断されてしまったというわけか
ミラせめて、いなくなった三人が、一緒にいるといいのだが
クレスとにかく、今はあの三人を見つけて、もう一度合流する事を最優先で考えよう
ルークちっ。どうせなら、ウィンドルの奴だけまとめていなくなればよかったのによ
クレスルーク…どうして君は、僕達ウィンドルの人間をそんなに目の敵にするんだ?
クレス理由があるなら教えて欲しい
クレスわけもわからず拒絶されても、どうすればいいのか…わからないんだ
ルーク…本当に知らねえのかよ
ルーク…だったら教えてやる。俺がお前らを信用できない理由を
クレスそうだったのか…ア・ジュールの村を、ウィンドル軍が襲って…
ルークひでぇ有様だったぜ
ルークしかも隊長のハスタは、いずれ、キムラスカも攻めるって言ってた
ルークそんな連中の仲間をおいそれと信用なんかできるかってんだ
クレスそんな事が…
クレスすまない、知らなかった事とはいえ、何て言えばいいのか…
ミラ邪念に侵されていたとはいえ、ウィンドルの国王がしてきた行いは簡単に許される事ではない
ミラあの国王は、他国ばかりでなく自分の国の民をも虐げてきたからな
ルークなっ…自分の国民まで…!?
ルーク…ちっ、何なんだよ一体…
クレス
ミラクレス…難しい顔をしてどうした?
クレス…悲劇が起きたのは、僕の故郷の村だけじゃないんだと思ってね
ルークな、何だ、どういう事だよ?
クレス…あまり思い出したくはないけど、君達には知っておいてもらいたい
クレス…歩きながら話そう
scene2それぞれの傷跡
ミラクレスの故郷の村が、そんな事になっていたとはな…
ルーク信じられねえ…リンネル村よりひどいじゃねーか
クレス僕の村を襲ったのは、国王陛下でなく、独立騎士団長サレの意志だったわけだけど…
ミラ国王にも責任はある
ミラサレやハスタのような者を指揮官の地位に就けたのだからな
ミラそれにイニル街で魔導器を製造したのは、国王の指示だ
ミラ今や邪念を解き放たれたといえど、現に、数え切れないほどの人間が命を落としている
ミラ…世界がこんな事になっているのだ、決して無実というわけではない
ルーク
クレス…ルーク
クレス君が僕達ウィンドルの人間に、不信感を抱く理由はよくわかった
クレスだけど、これだけは言わせてくれ。全員が全員、サレやハスタ、それに国王陛下のような人ばかりじゃない
クレスいきなり全面的に信じてくれとは言わないけど…せめて僕達の事を見た上で、判断してくれないか
ルーク
クレスこの事はミラにもわかって欲しいんだロイドも話していたけど、みんな好き好んで争っているわけじゃない
クレス現に僕は、世界中で起こっている争いを止めたいと、本気で思っている
クレスこの神殿へ来たのも、そのためだ
クレスもし星のカケラを全て集める事で、本当に願いがかなうのなら…
ミラ光の使いティルグに、戦争をなくして欲しい、とでも頼むのか?
クレスそれも一つの手かもしれないと、思っているよ。もちろん、それだけに頼るつもりはないけど
ルーク
ミラ
ミラ…そうだな。考えてみれば、私の知っている人間も、皆が争い好きというわけではなかった
ミラ一つの事例だけを取り上げて、人間全てを語るのは早計だったな
ミラすまなかった
クレスありがとう
クレス…ルークはどうだい?
ルークまだ…よくわかんねえ。もう少し考えさせてくれ
ルーク…けど、お前が悪い奴じゃなさそうだって事は…信じてやってもいい。多分、あの…ユーリって奴も
ルーク考えてる間、また全員で行動すんのはもう文句言わねえ
ルーク…また合流できたら、だけどな
クレスわかった。それで十分だよ
グルル…
ミラ今、何か聞こえなかったか?
ルーク俺も聞こえた。何か唸り声みたいな…
クレス二人とも、向こうを見ろ!
ルークちっ、出やがったな
グオオオオッ!
scene1ソフィの想い
ボウッ!
ロイドあちちっ!こっちは駄目だ。火の勢いが強すぎて進めない。そっちは?
ユーリこっちは無理をすれば、何とか先へ行けなくもない…ってところだな
ロイドじゃあ、別の道を進んでみるか
ソフィどうしよう…クレス達が見つからないよ
ソフィクレス!ミラ!ルーク!いないの!?
ユーリ…返事なし、か。どうやらあいつらとは、完全に分断されちまったようだな
ソフィ早く捜そう。このままじゃ…
ロイドあ、うん…
ソフィロイド…嫌なの?
ロイド嫌ってわけじゃないけど…顔を合わせたら、また、言い合いになるだろ?
ユーリまあな。会うなりまた痛くない腹探られんのは勘弁だしな
ソフィでも…
ユーリそんな顔すんなって。オレだって勝手の分からねえ場所で、戦力は多い方がいいさ
ユーリま、このままうるさい事言う奴がいないってのも、それはそれで静かでいいけどな
ソフィ
ロイドとにかく、今はこの場を、俺達三人で切り抜けよう。クレス達の事は、その後だ
ユーリだな
ロイドよし、それじゃ先に進もうぜ
ソフィ…うん
scene2ソフィの想い
ソフィ1、2の…やっ!
ソフィ今のタイミングで駆け抜ければ、炎を避けられるよ。二人ともやってみて
ユーリ了解だ
ユーリ1、2の…せいっと!
ロイド1、2の…よっ!
ユーリどうやら、何とか誰も黒焦げにならずここまで進んで来られたな
ロイドソフィが俺達に、タイミングを教えてくれたお蔭だな。サンキュー!
ソフィ
ユーリどうした、ソフィ。また難しい顔して。やっぱりいない奴らが心配か?
ソフィユーリもロイドも、そんなにみんなと一緒に行くのは嫌?
ソフィみんなで一緒にいた方が協力もできて、きっといいよ
ロイド俺は別に、全員で一緒に行くのが嫌なわけじゃないけどな
ユーリオレだって別に嫌だと言った覚えはねーぜ。ミラとは前にも一緒に行動した事もあるしな
ロイド拒んでいたのはあっちだし。問題はルークの方にあるってユーリは考えてるんじゃないか
ソフィじゃあルークが、一緒でもいいって言ったら?
ユーリオレは構わねえよ。一人でなきゃ嫌だってわけでもねえし
ソフィわかった
ソフィじゃあ次にルークに会ったら、言ってみる
ロイド逆に、どうしてソフィは、全員で一緒に行く事にそこまでこだわるんだ?
ソフィ…わたし、この世界を救いたくて、それでこの神殿へ来たの
ソフィこの神殿へ来れば、今世界中で起きている争いを止める方法が見つかるかもって思って
ソフィでも…
ロイドそうか、わかったぞ
ロイドソフィが言いたいのは、こういう事だろ?
ロイド「目の前の人間とも わかり合えなくて、 世界を救うなんてできるかよ!」
ソフィ…うん
ロイドまあ、確かにその通りだな…
ロイドそれを言われると何も言い返せないっていうか…
ロイドよし、俺もソフィの言う事に賛成だ。全員で一緒に行こう
ユーリ何だ、あっさりしてやがんのな
ユーリしょうがねえか
ソフィじゃあ、ルークと仲直りしてくれる?
ユーリま、あいつ次第ってとこだな
ユーリとにかくみんなともう一度合流する、そうしてから答えを出す、それでどうだ?
ソフィうん、わかった
ソフィありがとう、ユーリ
ガタッ…
ロイド二人とも、気をつけろ。そこの炎の陰に、何かいる!
グオオオオッ!
ユーリったく、邪魔なんだよ!
scene1かなえたい願い
ルークあの火のせいで髪の先が焦げちまったじゃねえか!どうしてくれんだよ、ったく…
ミラ焦げた部分だけ、切ってしまえばいいだろう
ルークき、切ってしまえばって…お前なあ!
クレスむ…?あれは…
ミラらせん階段だな。随分上の方まで続いているようだ
ソフィクレス!ミラ!ルーク!
クレスソフィ!それにユーリとロイドも
ミラ三人とも無事だったか
ユーリまあ、何とかな
ロイドこれでまた六人が集結したってわけか
ルーク
ソフィユーリ、さっきの話…
ユーリああ、ソフィから話したけりゃ、話してもいいぜ
クレスちょっといいかな?ユーリ達に報告があるんだ
クレス別行動をしている間にルークと話をして、全員で一緒に行く事を了解してもらえたよ
ロイドそうなのか?ルーク
ルークあ、ああ…まあな
ユーリどうやらソフィがわざわざ話すまでもなかったようだな
ソフィユーリもそれでいいんだよね?
ユーリ言ったろ。オレは別に構わないってな
ロイドミラも、俺達と一緒で、構わないんだな?
ミラ私は初めから、皆で一緒に行動する事に反対はしていなかったぞ
ロイドそ、そうか。うん…そうだったな
クレスじゃあ改めて、全員で一緒に行くとしよう
ソフィうん
クレス
クレスうーん…さすがに、いきなり仲良くってわけにはいかないか…
scene2かなえたい願い
ルークこのらせん階段、無茶苦茶長いな。かなり登ったはずなのに、まだ終わりが見えねーぞ
ミラ
ソフィどこまで続いてるのかな?
クレスどこまでだろう…ちょっとわからないな
ルーク
ユーリ
ロイド
ミラ
クレス
ソフィ
ルークだーっ!何だよこの重い空気は!もっと普通にしろ、普通に!
ユーリお前が言うなっての
ユーリだいたい、ひたすら階段登り続けて、みんな疲れてんのにどうしろってんだ?
ルークるせえ!…ったく、この際だから全員に聞くけどよ…
ルークこのまま神殿の奥に進んで、例のティルグって奴に会えたとして…その後はどうするつもりなんだ?
ルーク願いをかなえてもらうにしても、もしティルグに一つだけって言われたら、どうするんだよ?
ソフィそういえば、ユーリやロイドと合流する前にもその話をしてたね
ミラそうだったな。結局、結論が出ないまま、ここまで来てしまったが…
ルークその時になって、また言い合いになるのは、俺は嫌だからな!
ルークそうなるくらいなら、今ここで一番マシな願いを決めようじゃねえか
ルークどうせお前らだって、なんか考えてる願いがあるんだろ?
ユーリいいぜ、別に隠すようなもんじゃねえし。そんじゃオレから言わせてもらうか
ユーリ星のカケラを全部集める、願いっていうか、それがオレの目的だ
ルーク…なんだそりゃ。願いはねーのかよ?だったら何で星のカケラを集めるんだ?
ユーリ国同士で喧嘩しようって馬鹿をやめさせるためだよ
ルークやめさせるって…ウィンドルの事か?
ユーリウィンドル?いや、どっちの国をとか、そういう話じゃねえ
ユーリ「戦争」そのものをなくしちまいたいんだよ、オレは
ユーリカケラなんてもんがあるからおかしな事になってるってんなら、それをなくしゃ話は早いだろ
ルークカケラをなくして戦争を止める…そういやミラもそんなような事言ってたよな
ユーリミラも?そうなのか?
ミラ私の場合は、マナの減少を食い止めるという事を最終目的としているがな
ミラユーリの言うように、戦争を止める事も勿論だが、それ以前に、世界はマナなくしては成立し得ない
ルークとりあえず次は…ソフィ、お前はどうなんだ?
ソフィわたしは…未来を、自分の世界を救うためにここへ来た
ソフィリチャードが元に戻って、わたし達の未来は変わった
ソフィ…でも、この世界で起こっている戦争は、今もまだ終わってない
ソフィだから、わたしはここにいる。この世界も救いたい。…みんなを守りたい
クレスソフィ…
クレス君の願いは、僕の考えている事と似ているね
クレスただ僕は……その願いをかなえるにはティルグの力だけではどうにもならないと思っているよ
クレス結局は、僕達人間が変わらなきゃ、同じ事は起きると思うんだ。何度だってね
ソフィうん…じゃあ、クレスの願いは──…
クレスうーん…まあ、具体的に何をって、考えているわけではないんだけど
ロイドへえ…。みんな、思ってた以上に、スケールの大きい事を考えてたんだな
ユーリそういうお前は何を願うつもりなんだ、ロイド?
ロイド俺か?俺は仲間のゼロスの妹が病気で苦しんでて、治してやれたらと思ってる…
ルーク妹の病気?
ロイドああ。旅先で、原因不明の奇病にかかっちまったらしい
ロイドゼロスの代わりに、ティルグにはセレスの病気を治してほしいって願おうと思ってる
ユーリ原因不明の奇病、ね。おい、ミラ?
ミラ…ああ、聞き覚えのある言葉だ。ロイド、その病気にかかった者はどこの街で発症したか、わかるか?
ロイド…?確か、ウィンドルのイニル──…
ユーリ…ビンゴだな
ミラああ
ロイド
ルーク…おい、お前ら!何勝手に納得したって顔してんだ。俺達にもわかるように説明しろっつーの
ユーリああ、悪い悪い。ウィンドルのイニル街で奇病が流行るって事件があってな
ユーリ調べたら、その原因はあの街に設置された機械、魔導器だったんだよ
ロイドじゃあ、セレスの病気はそのせいだったのか…
クレスその魔導器というのは今どうなっているんだ?
ユーリ調べたついでにオレとミラでぶっ壊しちまったよ
ソフィそういえば…イニル街に行った時、エルが言ってた。街の人の病気、少しずつよくなってるって
ユーリ何だ、ソフィ。お前エルに会ったのか?元気にしてたか?
ソフィうん
ミラ原因が取り除かれた事で病の方も沈静化に向かったようだな
ロイドよかった…じゃあ、セレスの病気はもう大丈夫なんだな
ミラああ、おそらくな
クレス…ロイド。これで、君の願いは、かなったって事になるのかな?
ロイドああ、そういう事らしいな!これで、ゼロスも安心するだろう。ありがとな!ユーリ、ミラ
ロイドセレスの病気が治って、俺の願おうと思っていた事は解決はした
ロイド…あとは、そうだな。「俺にしかできない事」を探しながらこの先を進む事にするぜ!
クレスロイドにしか、できない事?
ロイドああ!選ばれたからにはそれなりの理由があるはずだ!
ロイドそれが何なのかは、まだハッキリ掴めてねーけどさ
ロイド俺が神殿へ来る事を決めたのは、きっとそこには、俺にしかできない事があるって思ったからなんだ
ルーク自分にしかできない事、か…
ユーリさて、これでお前以外は全員話したわけだが…
ユーリお前はどうなんだ、ルーク。何を願いたくて、ここに来たんだ?
ルークお、俺はその…まだよく分からねえ。ただ願いとかそういうのは、正直、どーでもいいっつーか…
ユーリへえ、そりゃ意外だな。てっきり、あれこれたくさん出てくるかと思ったんだが
ルークわ、悪ぃかよ…!
ミラ…ふむ。己の私欲を満たすために、ティルグに会いたいと思う者は、とりあえずこの中にはいないようだな
ロイドそりゃそうだ。そんな奴は、そもそも星のカケラに選ばれたりしないだろ
クレス僕達は、お互いにもっとわかり合えると思う。ここで会ったのも必然じゃないかな
ロイドへへ、そうかもな
ソフィ…みんなが少し、仲良くなったみたい
ユーリまあ、無闇にいがみ合うより、仲良くするに越した事ねえのは確かだな
ソフィユーリも仲良くできそう?
ユーリどうだろうな。ま、なるようになるだろ
ザザ…ザザ‥
クレス…ん?何の音だろう
ズザ…ザザザ…!
ルーク下の方から…って、魔物かよ!?
ギャオオオオ!!
scene1繋がってゆく心
ミラ何とか魔物を退けたようだな
ロイドここらでひと休みしないか?ずっと階段を登りっ放しだったし、それに、ほら…
ルークん?
ルークおいマジかよ、この階段…こんだけ登ってきたのにまだあんのかもう足が棒みてーだっつーの
ソフィ…あそこに休めそうな場所があるよ。そこで少し休む?
クレス
クレスいや、ここは多少無理してでも、急いで階段を登り切った方がいいと思う
クレスさっきの魔物のせいでかなり脆くなっているからね
ギィ…ギィ…
ミラふむ…この強度だと、いつ崩れてもおかしくはなさそうだ
ミラ皆、ここはこの階段を登りきる事を先決としよう
ロイドうーん…確かにその方がよさそうだな
ユーリんじゃま、さくっと登っちまおうぜ
ルーク…マジかよ、たりぃなあ…
scene2繋がってゆく心
クレスソフィ、さっきはありがとう
ソフィ…?
クレスユーリとロイドの事だよ。みんなで進む事を、二人に話してくれたんだろう?
ソフィうん、わたしもそうした方がいいって思ったから
クレス…そうか、ありがとう。君がいてくれてよかったよ
クレス僕一人だったら、あのままみんな、バラバラになってしまっていたと思う
ソフィ…わたし一人でもだめだったよ
ソフィでもね、あの時みんなと話してみんなの事を知って…うれしい気持ちになったの
ソフィ…わたしの世界のひと達も、みんなで話し合って、うれしい気持ちがたくさんになったらいいな
クレス…ソフィ
ロイドミラ、ずっと歩きっぱなしだけど、大丈夫か?
ミラああ、問題ない。ロイドこそ大丈夫なのか?
ミラ結局、休憩できず終いになってしまったが…
ロイド俺は、まだまだ大丈夫だぜ!
ロイド…でも、少しくらい休んどいた方がよかったかもってのが本音だけどな
ミラ自分の事だけではなく、他の者の事も考えていたんだな
ロイドああ、いや、そんな大層な事じゃないけどさ
ロイド何だかんだいっても、ミラやソフィよりは体力はあると思うんだ
ロイドまだ先は長いし、ちょっと休めたら少しは楽になるかなって思ってただけだよ
ミラ…ロイド
ロイドん?
ミラいや…
ロイド…?
ミラ…その、さっきは悪かった
ロイド…ミラ?
ミラここにいる皆や、道中に行動を共にした仲間達…
ミラ少なくとも、私が出会った人間達は皆、お前のように相手を思いやれる心を持っていた
ミラ…なのに、些細な出来事だけで、人は皆、争いを好んでいるような言い方をしてしまった
ミラすまなかった
ロイドああ…いや、俺の方こそ何かムキになっちまってさ、かっこわりーよな
ロイド…ミラ、ごめん
ロイドあと、ありがとうな
ルークったく、どんだけ長ぇんだこの階段…
ユーリ見た感じ、全体の8割ってとこか。まあ、真っ直ぐ登ってりゃあ嫌でもその内着くだろ
ルーク…って思いながら、ここまで来たっつーの!
ルークあー…うぜぇ。こんな事になるくらいなら、光の神殿なんか来るんじゃなかったぜ
ユーリそうぼやくな。…そういやルーク、お前は、かなえたい願いとかそういうのはないって言ってたよな
ルークん?ああ。何だよ、悪いのかよ
ユーリそうじゃねえって。ただ…だったらお前が星のカケラに選ばれた理由は何だろうって思ってな
ユーリクレスやソフィには「願い」があってそれをかなえたいと思う強い意志がある
ユーリはっきりした願いこそねえものの、オレやミラには、「目的」がある
ユーリロイドは…そうだな、あいつの願いは思いもしねえところでかなっちまったわけだが――
ユーリそれ以前に、ここへ来る事に対して強い信念を持ってる
ユーリで、お前だ。ルーク、お前は何で星のカケラに選ばれたんだ?
ルーク
ルーク…そんなのわかんねーよ。ジェイドは、俺の成長がキッカケだどうのって言ってたけど
ユーリ成長?
ルークああ。つっても俺自身は大して何が変わったっつー事もねーし
ユーリ何かあんだろ。例えばすごく衝撃を受けた事とか
ルーク衝撃か…そういえば前にウィンドルの奴らがア・ジュールのリンネルって村に攻め込んでるのを見たな
ルーク…めちゃくちゃになってる村とか怯えてる村人とか…すげー胸糞悪くなる光景だった
ルークあれ以来、戦争ってもんがマジで嫌だって思うようにはなったっけな。人が…たくさん死ぬなんて
ユーリなるほどな。それでウィンドル出身のオレやクレスを毛嫌いしてたってわけか
ルークああ。…でもよ、クレスと話してわかったんだ
ルークウィンドルだからっつって、みんながみんな、ああじゃねーって。…だから、その……
ユーリん?
ルーク…さっきはよ、その…なんつーか…悪かったな
ユーリお前…
ユーリま、分かってくれりゃ、それでいいさ
ユーリオレは気にしてねえし、お前も気にすん――
ユーリん…?ちょっと待て。何か聞こえる
ギギ…ギ…
ロイドあ、あれは…さっき倒した魔物!?
グオオオオッ!
ビシッ!バキバキバキッ!
ユーリいや、よく見ろ。さっきの奴とは比べ物にならねえほどでかいぜ
ルーク…ちっ、好き放題暴れやがって…階段が崩れたらどうすんだ!
ソフィどうしたら…走って登りきる?それとも、ここで迎え討つ?
ミラいや、頂上はまだ見えない現状、登りきるという判断は厳しいだろう
ロイドだったら、ここで迎え討つ!それしかねーよな!?
クレスああ!みんな、協力して一気にカタをつけよう!
scene1守りたい存在
ミラ何とか魔物は倒せたが…ソフィ、起き上がれるか?
クレス手を貸すよ。ほら、掴まって
ソフィうん。ありがとう
ミラ…あまり無理はするな。まだ先は長い
ソフィこのくらい、平気だよ
ロイド…にしても、この階段、酷いな。あちこちがボロボロだぜ。それに、ほら…
ルーク…こ、この高さはやべーな…。底がまるで見えねえ。落ちたら間違いなく即死だな
ユーリ…とはいえ、のんびり進んでるわけにもいかねえだろ。ま、足元に注意して進もうぜ
ガラガラガラ…ガラガラ…
ミラどんどん崩れ始めている…。皆、先を急ぐぞ
scene2守りたい存在
ルークくそ…まだ…着かねえのかよ!
クレスもう少しだ…頑張ろう、ルーク!
ビシッ!バキ…
ロイドおい、アレ見ろよ!遂に上の階にもヒビが入り始めたぞ…大丈夫なのかよ!?
ユーリなら、崩れ落ちる前に走り抜けるしかねえだろ!
ミラああ、止まるな!そのまま進め!
ズシーン…!ズシーン…!
ソフィこの音は…?
クレス下からだ!何かが僕達の後を追って来る!
グオオオオッ!
ズシーン!
ガラガラガラ…
ロイドお、おい…あの魔物…階段をぶっ壊しながら登って来るぞ!
ルークな、何つー破壊力だ…ちっ…追い付かれてたまるかよ!
ミラ逃げ切りたいのは山々だが…そう簡単にはいかなそうだ
グオオオオオオオオ!!
クレスすごいスピードだ…!
ソフィもう追いついて来たよ!
ロイドくそっ…どうする!?
ユーリやれやれ。奈落の底に叩き落とされる前に、何とかするしかねえだろ!
scene3守りたい存在
ユーリ…どうなる事かと思ったが、何とか倒せたみてえだな
ガラガラガラ…
ユーリ…さっきよりさらに階段がボロボロになっちまったな…。とにかく先を急――…
ギギ…ギ…
ロイドあれは…どういう事だ!?倒したはずの魔物が…
グオオオオッ!
ビシッ!バキバキバキッ!
ルークば、馬鹿野郎!そんなに暴れるなっつーの!このままじゃ階段が…!
ソフィ上の方にもヒビが…このままじゃ階段ごと、みんな下に落とされちゃうよ!
ユーリったく、仕方ねえ。こうなったら…
ユーリお前らは先に行け。ここはオレが食い止める
クレス食い止めるって…まさか一人で、ここに!?
ユーリこのまま全員おだぶつになるよかマシだろ。とっとと――…
ルーク…な、何言ってんだ、お前!わけわかんねえ事言ってんじゃねえよ!
ユーリガキみたいに喚くなっての。時間がねえんだ、早く行けよ
ソフィユーリ…ダメ…!
ロイドお前一人を残して先になんて行けるかよ!
ルークそうだ、一人でカッコつけてんじゃねえぞ!勝手にいなくなるとか許さねえからな!
ユーリおいおい、何を急に…
ユーリ…ふっ
ルークなっ…こんな時に…!!ヘラヘラ笑ってんじゃねえよ!
ユーリいや…お前が星のカケラに選ばれた理由が少しわかった気がしてな
ルークちっ、茶化すんじゃねーよ!俺は人が死ぬのは嫌なんだっつーの!
ユーリははっ
ユーリさあ、マジで時間がねえ。アイツがここにたどり着く前に早いとこ行ってくれ
ユーリ心配すんなって。アイツ仕留めたら、オレも後から追いかける
ルーク…けど!
ミラユーリ…どうやら決意は固いようだな
ユーリ…あいにくとな。その代わり、そっちの世話は任せたぜ
ミラ
ミラわかった。皆、ここはユーリに任せて、行こう!
ロイドだけど!
ミラユーリの意志を無駄にするな!急げ!
ロイド…ちくしょうっ!
ソフィユーリ!
クレス…くっ!
ルーク
ユーリ
グオオオオッ!
ユーリ…ああは言ったものの、階段は崩壊寸前、言ってる間に魔物は目の前、と
ユーリこれ以上ないってくらい状況は最悪。さて、どうしたもんかな
ユーリ…しょうがねえ、腹ぁくくるとするか!
ガタガタ…
ユーリやべえ、階段が崩れそうだ
ユーリ崩壊が先か、魔物の死が先か…一か八か、賭けてみるか
ユーリはあああああっ!!
グギィィ…
ユーリよし…!これで――
ゴオオオ!ガタガタガタ…
ユーリちっ、階段が…!
ルーク…お、おい!下の方、階段が崩れて…!
ミラくっ…!落ちたか…
クレスユーリ…!
ソフィそんな…!
ロイド…!いや、見ろ!瓦礫に掴まって何とか持ちこたえたみたいだ…!!
ロイドお、おい、ルーク!?
ルークくそっ!!持ちこたえろ!!落っこちんじゃねえぞっ!!!
ミラルーク…!私達も、行くぞ!まだ間に合う!
ロイドああ!
ユーリ…くっ、絶体絶命ってか
ルークユーリィィィ!!今行く!!そんまま踏ん張ってろ!!
ユーリルーク…!?何戻って来てんだ、あの馬鹿!
ユーリ来るんじゃねえ!!お前まで落ちるぞ!
ルークうるせー!行くっつったら行くんだよ!!
バキバキバキ…!
ユーリ!!
ルークユーリ!!!
ユーリ
ユーリ…ありがとな
ルークなっ…!
ルークそん…な
ソフィ…間に合わなかった
クレス…ユーリ
ロイド馬鹿野郎…っ!!
ミラ……
ルーク嘘…だろ
ルーク後から追いかけるってそう言って…
ルークユーリ…
ルークユーリィィィィィィ!!!!
scene1前進
クレスはあ、はあ………
ビキッ!バキッ!
ミラ…今にも崩れそうだな
ロイドあと少しだ!あきらめなければ、絶対何とかなる!だから、走れ!
ソフィあそこで階段が終わってるよ!
ビシッ!バキバキバキ…!
クレスくっ…!間に合うか…?
ミラ皆、飛べ!はああっ!
ソフィやっ!
クレスたああっ!
ロイドせやっ!
ルークだああっ!
ズズーン!ガラガラガラ……!
クレス階段が…崩れていく…
ロイドほら見ろ…何とかなっただろ…ぜえ…はあ…
ソフィでも…ユーリが…
ルーク…くっ…!!
ルークあいつ、最後まで格好つけやがって…それで落ちてちゃしょうがねえじゃねーか…!
ロイド軽々しく最後とか言うな!ユーリはきっと生きてる!
クレスロイド…君がそう思いたい気持ちは、よくわかるけど…
ルーク…お前も見ただろ!?俺達の目の前であいつが落ちてくのを…
ロイド…それはそうだけど、でも!ユーリは生きてる、絶対そうに決まってる!
ロイドあいつとは会ったばかりだったけど、どんな奴か、何となくわかるんだ
ロイドあいつはキザなところもあったけど、ただのかっこつけじゃなかった。言う事、やる事に必ず中身が伴ってた
ロイドそんなユーリが、軽々しく自分の命を捨てるはずがない。きっと勝算があって、ああしたはずだ
ロイドそうさ…そうに決まってる。あいつが死ぬなんて…そんなの認められるかよ…
クレスロイド…
ルーク…んなの…俺だってそう思いてえっつーの!
ロイド
ロイドミラ…お前はどう思うんだ?
ロイドお前は、俺よりユーリの事に詳しいんだからわかるはずだろ。俺の言ってる事、間違ってないよな?
ミラ
ミラ…あの状況で、ユーリが生きているとは正直、考えがたい
ロイド何だよ…!お前までそんな事を…!
ミラだが…ロイドと同じように、信じたいという気持ちもある
ミラ確かにあの男は、そう簡単にあきらめるような性格ではなかった。そこに、いちるの望みを賭けたい
クレスミラ…
ミラそして一つ、はっきりしている事は…ここで私達が悲嘆に暮れるのを、ユーリは望むまいという事だ
ミラあいつが生きているにしろ、いないにしろ、な
クレス…そうだね。僕達にはもはや、先へ進むしか道がない。立ち止まるわけにはいかないんだ
ルーク…俺は行くぜ。でないと、あいつにまた嫌味言われちまうからな
ロイドそうだな…その通りだ。よし、行こう!
クレスああ!
ロイドミラ、その…ありがとう。俺の事、励ましてくれたんだよな?
ミラフッ…どうだろうな。お前の暑苦しさに、いささか当てられたのは確かだが
ソフィう…
ルークソフィ?どうかしたのか?
ソフィううん…何でもないよ
ガシャーン!
ロイド何だ、この大きな柵は!?
ミラまるで、私達を追い立てようとしているかのようだな
ルークったく…次は何が待ち受けてるってんだよ
scene2前進
ガシャーン!
ロイドくっ、まただ…また柵に行く手を塞がれたぞ
クレスじゃあ、こっちはどうだろう
ガシャーン!
ルーク駄目だ、こっちも塞がれた!
ミラ随分広い部屋に出たと思ったが、自由に動ける場所はほとんどないな。ちょっと進むたびに、柵に遮られる
ロイドくそっ、どういう事だ…!
ソフィ
ルークおい、ソフィ
ソフィえ…?
ルークえ、じゃねえよ。さっきから何か変だぞ、お前。顔色も悪ぃみてーだし…
ソフィううん。平気だよ
ルーク本当かよ…あんまり無理すんじゃねーぞ。ぶっ倒れても知らねえからな
ソフィうん、大丈夫。ありがとう…ルーク
ルークれ、礼とか言ってねーで、とにかく無理すんなよ。いいな!
ガシャーン!
ガシャーン!
ミラ今度は左右を塞がれたか…どうやらこのまま、まっすぐ進めという事らしい
ロイドおい、向こうに何かいるぞ!
クレスあれは…
ルークあの魔物のとこにしか進めねーって事か。くそっ、ふざけやがって
ソフィくっ…
グオオオオッ!
ロイドまた厄介そうなやつが…
クレスああ…。でも大丈夫、みんなで協力すれば必ず倒せるはずだ
クレス僕達は、先へ進まなきゃならない。何としてでもね
ソフィ…うん。こんなところで、倒れるわけにはいかない…わたし達は、負けない!
ミラああ、では行くぞ!
scene1傷ついた少女
クレスロイドの言った通り、かなり強い魔物だったけど何とか勝てたね
ロイドああ。でも…今の戦いでみんな、結構無理しちまったんじゃないのか?
ルーク無理も何も、へとへとだっつーの。今みてーな戦いが何度も続いたら…
ソフィ
ミラソフィ、どうした?
クレスソフィ!?
ルークおい、しっかりしろ!
ソフィルーク…
ルークやっぱお前、変だぞ…平気、とか何とか言ってたけど…
ソフィっつ…!
ミラ…ソフィ、これはあの時魔物にやられた――
ソフィこのくらい大丈夫…みんなだって、傷付いてる。わたしだけじゃない…
ルーク……ったく、何でさっき聞いた時に言わねーんだよ
ルークだいたいお前、小さい身体のくせして無理しすぎなんだよ
ロイドルーク、そんな言い方…
ルークおら、ソフィ。背負ってやっから、乗れ
ソフィだめ…ルークが大変になる
ルークだーもう、いいから、ぐだぐだ言ってねえで乗れっつーの!
ミラフ…
ミラソフィ。ルークがここまで言うのだから厚意に甘えてはどうだ?
クレスうん、そうだね。僕もそれがいいと思う
ソフィ…わかった。じゃあ、お願いするね
ソフィ…重くない?
ルーク全然。これくらい楽勝だぜ
ロイドへへ…ルーク、お前偉そうだけど、実はいい奴なんだな
ルークるせえ。偉そうは余計だっつーの
ルーク言っとくけど、ずっとこのままじゃねーからな。元気になったら、すぐ降ろすぞ
ソフィうん…本当にありがとう
ミラよし、では行くとしよう
クレス向こうに通路が見える。行ってみよう!
ミラここは…どうやら、さっきとは別の部屋へ出てきたようだな
ソフィルーク、大丈夫?
ルーク…へっ。これくらい、どうって事ねーよ
クレスうん…?そこにいるのは魔物か!?
ミラ…いや、魔物ではないな。あれはただの彫像だ
ルーク何だよ、驚かせやがって
ロイドよく見ると、同じような彫像が、あちこちにあるな
クレス何だか気味が悪いな。…先を急ごう
scene2傷ついた少女
…チャリン!
クレスルーク、星のカケラを落としたよ
ルーク今ソフィを背負ってて両手が塞がってて拾えねーんだ。拾っといてくれ
クレスわかった
ロイドそういや星のカケラって、選ばれし者になれなかった奴が手にすると、邪念に侵されるんだっけ
ミラウィンドルの国王がそうだったという話だったが、具体的にはどうなってしまうのだ?
ソフィ全てのカケラが欲しくなって、そのためだったら何をしてもいいと思うようになるんだって
ソフィ怒りや憎しみで胸がいっぱいになって自分が自分でなくなる…って、リチャードは言ってた
クレス僕達の中には、自ら望んだわけでなく偶然カケラを手にした者も多い
クレスもしカケラに選ばれなかったら、その時邪念に侵されていたのかもしれないと考えると、ぞっとするよ
ルークう…そう言われると、そうだな
ミラ今回、何より問題だったのは、その邪念に侵されたのが、ウィンドルの国王だった事だな
ソフィうん…リチャードは何とか元に戻ったけど…
ミラもはや国王が元に戻っただけでは、事態の解決にはならん。戦争が始まってしまった以上はな
ロイドそうだな…そこを何とかしない事には、根本的な解決にならないんだよな
ソフィ
…ズシン!
ロイド今の音は何だ?
ルークお、おい、また何か、出てくるんじゃねーのか
クレス言ってるそばから出たぞ!
ソフィルーク、わたしを下ろして。もう平気だから
ルーク本当に大丈夫かよ?今度こそ無理すんじゃねーぞ
ソフィうん
グオオオオッ!
ミラよし、全員で力を合わせて、あいつを倒すぞ!
scene1絶体絶命
ルーク勝ったぞ!どうだ参ったか!
ミラ油断するな。完全に終わったと決め付けるのは、まだ早い
ロイドわかってる。それで今まで、痛い目を見てきたもんな。らせん階段の二の舞はごめんだ
ソフィ今度はどう…?
クレス…!?彫像の目が光った…?
ロイドおい、見ろ!さっき倒した魔物が…!
ガアアアアッ!
ルークま、また動きだしやがった!
ミラ皆、もう一度だ!
クレスうおおおおっ!
ソフィはああああっ!
ロイドはあ…はあ…さすがにこれで、終わりなんじゃないのか…?
ミラそうだといいが…
クレスまた彫像の目が…!
グオオオオッ!
ルークまただ!絶対に倒したのに!一体、どうなってんだよ!
ソフィはあ…はあ…
ロイドソフィ、大丈夫か?
ソフィう、うん…
ミラいつまでも、こいつの相手ばかりしていては身がもたん。ここは振り切って、先へ進もう
クレスそうだね。ソフィも心配だし…そうしよう
ガアア…!
ロイド今だ、みんな走れ!
グオオオオッ!
ソフィ魔物が後を追って来るよ!
ルークだーっ!しつこいんだよ!
scene2絶体絶命
グオオオオッ!
ロイドあいつ、まだ追って来るぞ!
ルークしつこいにも程があるぜ。いい加減にしろっつーの!
ソフィく…
ドサッ!
ミラソフィ、しっかりしろ!
ソフィごめんなさい…みんなは、早く行って…
ロイド何馬鹿な事言ってんだ!ここでソフィだけ、見捨てていけるか!
ルークおら、歩けねーんなら、また俺が背負ってやる
ソフィ
ミラ魔物に追いつかれるぞ!
クレスやむを得ない…ここで迎え撃とう!
ロイドこのおおおっ!
ルークうらあああっ!
ガアアアアッ!
ミラ魔物の動きが止まったが…今度はどうだ…?
クレス問題はこの後だ。まわりにある彫像の目が光ったら、また動き出すかも…
ソフィ彫像の目が光ったよ!
グオオ…!
ロイドクレスの言った通りだ。魔物がまた動き出そうとしている!
ルークくそっ、何度も何度も…キリがねえ
クレス彫像の目の効果で、魔物は再び動き出す…
クレスあ…ひょっとして、あの彫像を破壊すればいいのか…?
ミラああ、おそらくな。だが、こうも数が多いと彫像までは――…
ズバッ!
ミラ何だ…?
ソフィ彫像が壊れた…?
ズバッ!
ロイドお、おい!一体何が起きてるんだ…!?
???よし。これで目障りな彫像は、全部ぶっ壊し終わったな
ミラ…!その声は…
ソフィまさか…
ロイド今の声は間違いなく…
ユーリ!!!
ユーリよう。お互い無事でなによりだ
ルークユ、ユーリ、お前…
ユーリおっと、積もる話は後にして、先にあの魔物を片付けようぜ。今度こそとどめを刺せるはずだ
クレスよし!みんな、もうひと踏ん張りだ!
scene1選ばれし者達
ユーリよし、もう動き出す気配もねえな
ユーリやっぱり彫像の放つ光が、魔物を復活させてたってこったな
ソフィユーリ…
クレス本当にユーリ…君なのかい?
ユーリああ。そっくりさんでも、幽霊でもねえぜ。正真正銘の本物だ
クレスよかった…。ユーリが無事で、本当によかったよ
ミラ…よく生きていたな、ユーリ。これで、ロイドが話していた通りになったな
ロイドほら見ろ!だから言っただろ?ユーリは絶対生きてるって!
ユーリ信じてくれてたってわけか。ありがとさん
ルーク
ユーリ
ユーリどうした、ルーク。んな妙な顔して。てっきり死んだとでも思ってたか?
ルークなっ…
ルークあ、あんなとこから落っこちたら普通は死んだと思うっつーの!
ユーリほう、みんなはオレが生きてるってずっと信じてくれてたのに、お前は冷てぇんだな
ルークち、違…!俺も信じてたっつーか…生きてればいいなって思ってたっつか…だから、その……
ユーリ冗談だよ、本気にすんなって
ユーリ…あん時、オレを助けようと必死に走ってきてたお前の姿は、ハッキリちゃんと覚えてるぜ
ルーク…!!ぐっ、あれは――…
ユーリありがとな
ルーク…お、おう
ソフィえっと、さっきは下まで落ちずに済んだって事?
ユーリ平たく言えばそんなとこだ
ユーリ何とかあっちこっちと飛び移ってるうちに、うまい場所を見つけてな
ユーリ苦労したぜ?何せ、階段がなくなったところを、またえっちらおっちら登ったんだからな
ユーリようやく追いついたと思ったら、お前らときたら鬼ごっこなんかしてるときた
ユーリで、いかにも怪しそうな彫像があったんで壊してみたらこれが大正解だったってわけだ
ミラお前の機転がなかったら、私達の方が力尽きていただろう。感謝する
ユーリ留守の借りを返したってとこだ。気にすんなよ
クレス借りだなんて…それはむしろ、僕達がユーリに言いたい事だよ。とにかく、ありがとう
ソフィこれでまた、六人で揃って進んで行けるね
ルークそうだな
ロイドん、あれは…みんな、向こうを見てみろよ
ミラ石が階段状に並んで浮いている…次はあそこを進む事になりそうだな
ロイドこの先、どこまでこの神殿が続くのかわからないけど、俺はもう、何も心配してないぜ
クレスそうだね。僕達六人が力を合わせればどんな困難も乗り越えて行ける…そんな気がするよ
ソフィ…うん。わたしもそう思う
ミラ私もだ
ロイドああ、俺も!
ルーク異論はねえよ
ユーリだな
クレスよし、それじゃあ行こう、共に!
scene2選ばれし者達
ルークよっ…、ほっ…
ユーリこうやって浮かんでる石を飛び移りながら上に登るってのは、なかなかスリルがあるな
ロイドみんな、くれぐれも注意しろよ。足を踏み外したら大変だからな
ソフィロイドも、落ちないように気をつけて
クレスソフィの言う通りだよ。僕達の事を心配しすぎて、自分の足下を疎かにしないでくれ
ミラまったくだ
ユーリそういや、ティルグにかなえてもらう願いだが…
ユーリ結局、誰の願いにするかうやむやだったな
ルーク…それなんだけどよ。その…あー…笑うんじゃねえぞ?
ソフィ…?
ルーク俺達がそれぞれかなえたいと思ってる願いって…実はあんまし変わんねーんじゃねーかっていうか…
クレス…確かにそうだね。明確な願いがあるにしろ、ないにしろ…
クレスここにいる全員の根っこにあるのが、「この世界を何とかしたい」という思いなのは、間違いないだろうし
ロイドまあ…そうかもな
ミラ方法の一つは、今起きている戦争をやめさせる、という事になりそうだが
ソフィじゃあ、ティルグに会ったら、その事を願うの?
ロイドそれは、前にクレスが言ってたように根本的な解決にはならないと思うな
ユーリ…かもな。カケラの件がなくてもこれまで戦争はいくらでもあった
ユーリそもそも手前で巻いた種を、光の使いに尻拭いをしてもらうってのも都合のいい話だが
ユーリたとえ、そうしたところでおおもとが変わらなきゃ、また同じ事が繰り返されるんだろうよ
クレス
クレス…だったら、僕達の願う事、僕達にできる事は一つ
ルークって事は…
ロイドみんなの願いが全て、その一つでかなっちまうって事だよな?
ミラああ、そういう事だな。さらには懸念していた事も、解消される事になる
ミラ…私達に課せられるものは大きいがそれを成し遂げた時、きっと新しい未来が開けるはずだ
ソフィうん…
ユーリよし、願い事も決まった事だし、後はいよいよティルグに会うだけってわけだ
ズルッ…!
ロイドうおっ!足が滑…!
ユーリおっと、大丈夫か?
ロイドへへ、助かったぜユーリ。サンキュー!
ソフィだから気をつけてねって言ったのに…
ロイドごめんごめん。嬉しくなって、ついはしゃいじまった
ロイド
ロイド俺さ、何かわかった気がするよ。選ばれし者として神殿に来た理由が
ルーク…?何なんだ?
ロイドま、教えてやんねーけどな!
ルークは?何だよそれ!じゃあ、最初っから言うなっつーの!
ロイドへへっ
ミラ
ミラ…不思議なものだな。始めは皆、警戒心が先に立っていて、協力し合える空気ではなかったのに…
ミラ今はこうして、ごく自然に、互いの手を取り合っている
クレスそうだね。ようやく僕達は互いを理解し、信じ合えるところまでたどり着く事ができたんだ
クレス…僕は、人と人は、必ずわかり合えると思ってる
クレスだから…たとえ困難な状況にあっても、わかり合うための努力を決して放棄してはいけないんだ
ミラ…ああ
ユーリお…、どうやらようやく飛び石が終わるみたいだな
ソフィ向こうの方で、何か光ってる…
ルーク何の光だ?もしかして、ティルグか?
ズズン!
ロイド出たか…!そろそろ何か来る頃だと思ったぜ
ユーリもし向こうの光がティルグなら、その手前にいるこの魔物は、さしづめ最終関門ってところだな
ルークけっ、ここまで来たら、今さら何も怖くねえっつーの
ミラでは、乗り越えるとしよう。私達全員の力で!
ソフィうん!
グオオオオッ!
scene3選ばれし者達
ソフィ勝った…
ルークおい見ろよ、光が…
クレス大きくなってる?
ロイド行ってみようぜ!
ユーリどうやらこの光は、ティルグそのものってわけじゃなかったようだな
ミラ随分と神々しい光だな…
ソフィあ…
ソフィみんな、今の…聞こえた?
クレスああ。星のカケラが、語りかけてきたような気がするよ
ルークこの光の中へ入れ、か…?それじゃ、この先にティルグが…?
ミラ皆、覚悟はいいな?
ロイドもちろんさ。そんなの、聞くまでもない
ユーリんじゃ、腹くくってご対面といくとしようぜ!
光の祭壇
ミラここは…
クレスまるで祭壇みたいだ
ソフィ何か書いてあるよ。あれは…魔法陣?
ロイド魔法陣か…。いかにも何か出てきそうだな
ルークへ、変な事言うなっつーの。本当になったらどうすんだ
ユーリ文字みたいなのが書いてあるな。誰か読めるか?
ソフィわからない…
ロイド俺もだ
クレス誰にも読めないのか…
ユーリおっ…?
ルークおいミラ、何か光ってんぞ
ソフィそういうルークも、光ってる
クレスみんな同じ…?この光の正体は…
ミラ皆の持つ星のカケラか…?
ロイドあっ、俺のカケラが…!
ユーリ勝手に浮き上がりやがった…
クレス魔法陣が!
ミラ光り出した…これは…
ルークな、何だこれ、星のカケラと共鳴してるのか?
ソフィ……っ!
ロイドまぶしすぎる…!これじゃ目を開けてられないぞ!
ユーリちっ、何だ一体!?
ルークお、収まったのか…?
クレスあ、あれは…!?
光の使いティルグ
ユーリどうやら、この神殿の主のおでましみたいだな
ルークじゃあ、あいつが光の使い…ティルグって事かよ?
ミラまだ断定はできないが、ただ者ではなさそうなのは確かだ
クレスあれがティルグだったら、本当に願いをかなえてくれるのか?
ソフィこの感じ…違う…
ロイドそうだな。どっちかって言ったら、願いをかなえるより、ぶち壊すほうが得意そうに見えるぞ
ルーク面倒くせえ。どっちかなんて試してみりゃ分かるだろ
ミラルーク!不用意に近付くな!
ユーリやべえ、来るぞ!みんな伏せろ!
クレスくっ…!みんな、大丈夫か!?
ロイドああ、何とかな
ソフィ危なかった…。だけど、今なら大丈夫
ルークへっ、あれぐらい、今さらどうって事ねーっての
ミラどうやら戦うしかなさそうだな
ユーリらしいな。さっさとケリつけるとすっか
ソフィうん…!
ロイドよーし、やってやる!これですべてを終わりにしてやる!
クレス(これは…! 前に見た夢の光景 そのままじゃないか)
クレス(そうか…そうだったのか。 僕はあの時… これを見ていたんだ)
ミラどうした、クレス?
クレス…やっとわかったんだよ。ずっと疑問に思っていた事にようやく答えが出たんだ
クレスあの時、僕は…確かこう言ったはずだ。僕の持つ力全てを出し切ってみせる!
ユーリ力合わせりゃ何とかなんだろ。けど、油断はすんなよ
ミラああ。私達はもう、ただ旅をともにしただけの間柄ではない
ソフィ一緒に戦う仲間だから
ロイドみんな、準備はいいか?
ルーク任しとけっつーの
クレス(そうだ…ここまで来たら信じよう。 みんなでここまでたどり着いた、 絆の力を!)
クレスよし、やるぞ!
はあああああっ!
明日へ
ソフィはあ…はあ…
ミラ終わったのか…?
ユーリあんだけやったんだ。そう願いたいもんだな
ルーク俺達の勝ち…なんだよな?
ロイドよーし!終わったぞ!
クレスいや、まだ油断はできない
クレス(前に見た夢がもし本当なら… この後…)
ロイドこの光は…?
ユーリちっ、まだ終わりじゃねえってか!?
ルーク一体どうなってんだ?
クレス(やはり… あの夢の通りなのか…)
ソフィあ…!あれは…
クレスえ…?
クレス違う…夢の通りじゃない
ミラお前は誰だ?
ティルグ我が名は…ティルグ
ティルグこの世界に舞い降りし、光の使いなり…
ソフィきれい…
ユーリ…こいつがティルグの本当の姿だってのか
ティルグ選ばれし者達よ…
ミラ私達の事か?
ティルグ我が取り込まれし闇を払い、我を解放せし事に感謝する
クレス取り込まれたって、どういう事なんだ?
ティルグ我は夢を見ていた。初めは健やかな夢…だが、それがいつからか、悪夢に転じた
ティルグ果てなき争い、憎しみの連環…終わる事なき悪夢が深き闇となりて我を取り込んだのだ
ユーリなるほどな。だから最初、あんな姿をしてたってわけだ
ティルグ選ばれし者達よ。なんじらは何を求めて、神殿に足を踏み入れた?
クレス僕は…宿敵のダオスを倒した時に、世界をこのままにしておいてはいけないと思って
ユーリカケラが全部そろえば、くだらねえ戦争も終わるかもしれねえって思っただけだよ
ルーク俺の場合は、気が付いたらここにいた…っつーかまあ、成り行きだな
ロイド自分がカケラに選ばれたからには、自分にしかできない事がここにあるんじゃないかと思って
ソフィわたしは自分の世界を救うためにこの世界に来たの。そしたら、この世界も救いたくなって
ミラマナの減少を食い止めるためには星のカケラを全て集めるのが最善だと判断したからだ
ティルグ…なるほど
ティルグなんじらの話を聞き、さらに、この目に世界のありようを映して…我は理解した
ティルグなぜ我が闇に取り込まれたのか…その理由をな
ロイド世界のありようを映すって、どういう事だ?
ソフィ…!あれは…
ルークお、俺達の世界が…
ユーリくそっ、ここまで切羽詰まっちまってるのか
クレス果てなき争い、憎しみの連環…ティルグの言った通りだ
ソフィたくさんの負の感情が、渦巻いている…
ルークこんな事ばっかやってたせいで、ティルグがおかしくなっちまったっていうのかよ?
ミラおかしくなったのは人も同じだ。負の感情が欲望に火をつけ、遂にはマナの危機までもたらした
ロイドこれが、俺達人間のしてきた事なんだな…
クレス
ソフィ
ルーク
ミラ
ユーリ
ティルグさて…選ばれし者達よ
ティルグ「全てのカケラが合わさった時、 我は姿を現し、願いをかなえん」
ティルグなんじらは見事に心を合わせ、全てのカケラを集めただけでなく、闇に取り込まれた我をも救った
ティルグなんじらこそ真の選ばれし者達。今こそ願いをかなえよう。なんじらは、何を望む?
ミラ願いか‥
ロイドそれだったら、もう決まってるよな
ユーリ…だな
ソフィじゃあ、みんなで一緒に言おう?
ルークうぜーな、なんでそんな事……って分かった、分かったよ。言えばいいんだろ、一緒に
クレス光の使い、ティルグよ。僕達の願いは…
世界の平和――
ユーリ今、争いを煽ってる負の感情ってやつを消してくれるだけでいい。あとはオレ達が自分でやるさ
ロイド確かにそれが、俺達全員の願った事だよな
ティルグ…その願い、かなえよう
ティルグもうじき、この神殿は役割を終え、姿を消す…なんじらを外まで連れて行こう
ティルグ本当にこれが、なんじらの願った事なのか
ティルグ世界の平和そのものを願う事もできたのだぞ。それなのに、なぜ…
ルークあんな恥ずかしい事、何度も言わせんなっつーの
ミラ誰かに与えられた平和では、いずれ同じ事の繰り返しになる。大切なのは自ら平和を願い、成す事だ
クレス世界の平和は、僕達自身の手で成し遂げなければならない…みんなで話し合って、そう決めたんだ
ソフィそう。それがたとえ、どれほど困難な道のりだとしても
ユーリいつか自分らの力で平和を守れるようになってみせる。…ずっと誰かに面倒見続けてもらうんでなく、な
ティルグなるほど。なんじらの覚悟、しかと見届けた
ティルグなんじらがその気持ちを持ち続ける限り、我も希望を抱き続ける事ができそうだ
ティルグさて…なんじらに興味は尽きぬが、そろそろ別れの時のようだな
ティルグ我は再び長き眠りに就くとしよう。新たな選ばれし者達が現れる、その日まで
ミラさらばだ、ティルグ
ソフィおやすみ
ロイドまたな!
ルークまた悪い夢見てうなされんじゃねーぞ
ユーリま、そん時はオレ達がまたしっかり目を覚まさせてやるさ
クレスティルグ、ありがとう
ティルグでは…さらばだ
ロイドいっちまった…
ソフィあ…神殿も…
クレス消えていく…
ユーリまるでオレ達まで、長い夢を見ていたみたいだな
ルークおい、変な事言うなっつーの。これは夢じゃねえよな?なあ?
ミラああ。夢などではない。たしかに現実だ
クレス大事なのはこれからだ。ティルグに宣言した通り、世界の復興を果たさなくては
ロイドティルグがいい夢を見られるように
ミラソフィが自分の世界へ帰っても、安心できるようにしておかなくてはな
ソフィみんなの事は信じてるよ。わたしも、わたしの世界で頑張る
ユーリそんじゃま、そろそろ帰るとすっか
ルークふいー、やっと家に帰れるか…
ミラ初めに顔を合わせた時はどうなるかと思ったが…
ロイドこの六人で行動するのも、悪くはなかったな
ソフィうん、すごく楽しかったよ
ルークへっ、俺はもうこりごりだけどな
クレスそうかな?僕には楽しそうに見えるけど。君の顔を見れば分かるよ
ロイドまた会えるかな、俺達
ユーリどうだろうな。けど、本気で願えばどうとでもなんだろ
ミラでは出発しよう
クレスそれぞれの道へ
ユーリそれぞれの未来へ、だな
ロイドみんな、またな!
ルーク元気でやれよな、お前ら!
ソフィきっとまた会おうね。約束だよ!