| Name | Dialogue |
| scene1 | エルピスの塔へ |
| ロイド | この辺りまで来ると瘴気が濃いな |
| ルカ | うん…。塔に近付けば近づくほど、視界がきかなくなってくるね |
| パスカル | ダモクレスの剣があるから、あたし達に影響はないと思うけど… |
| パスカル | このままじゃ、あっという間に瘴気が島全体を覆っちゃいそうだよ |
| アイゼン | それだけじゃない。時間が経てば島の外にある国々にも被害が広がるだろう |
| アスベル | …そうなる前に、ヘルダルフを倒さないといけないな |
| エレノア | そうですね。とにかく先を急ぎましょう |
| エレノア | サフィアを使って呪いの力を増幅させているなら、ヘルダルフは塔の頂上にいるはずです |
| アリーシャ | ああ。このまま最短距離で塔の入り口を目指して── |
| | |
| | グルルル… |
| ルーク | この声…魔物か!近付いて来てるぜ |
| スパーダ | …わかってはいたが、そう簡単には塔までたどり着けねえみてえだな |
| | |
| | ウウウウウッ…! |
| アスベル | みんな、構えろ!来るぞ! |
| アイゼン | 一気に叩く。生憎、魔物の相手をしている時間はないんでな…! |
| scene2 | エルピスの塔へ |
| アイゼン | ちっ…!しつこいな |
| | バコッ! |
| | ギャウゥ…! |
| ルーク | やった…! |
| アリーシャ | いや…まだだ! |
| | ウウウウウッ…! |
| | ガキンッ! |
| アリーシャ | く…っ! |
| ルカ | まだ襲ってくるなんて…! |
| パスカル | 瘴気の影響で、狂暴になってるのかも! |
| パスカル | ロイド。ダモクレスの剣で攻撃してみて |
| ロイド | いいけど…、この剣じゃ魔物を倒す事は出来ないんだよな? |
| パスカル | うん。でも、もしかしたら…魔物に影響を与えてる瘴気を吸い取る事は出来るかもしれないよ! |
| ロイド | そっか。なら、やってみるぜ! |
| ロイド | ──はあああ! |
| | ザシュッ! |
| | グウウゥ…ッ! |
| | |
| スパーダ | …!魔物が逃げてくぜ |
| ロイド | パスカルの予想通りだったな! |
| アリーシャ | ダモクレスの剣は周囲の瘴気を自動的に吸収するが── |
| アリーシャ | 瘴気に侵された魔物を元に戻す場合は、剣で攻撃を与える必要があるのか… |
| エレノア | そうなると、剣を使えば理性を失った人を元に戻す事も出来るかもしれませんね |
| アイゼン | ああ。とはいえ、狂暴化した魔物や理性を失った人間を全員斬って回るわけにはいかない |
| ルカ | そうだね…。この先は狂暴化した魔物に囲まれないように、注意しなきゃ |
| アスベル | ああ…出来るだけ魔物との戦いは避けつつ、塔の頂上に向かう事を最優先に考えよう |
| ロイド | それじゃ、エルピスの塔へ急ごうぜ! |
| ルーク | そうだな |
| | |
| ルカ | …何とかたどり着けたね |
| アスベル | この辺りに魔物はいないようだな |
| パスカル | 扉を開いた時は人がたくさんいて賑わってたのに、今は静かだね… |
| スパーダ | 塔の近くにいた奴らはとっくに避難してるだろうしな |
| エレノア | ええ。ですが…ここから避難した人達も港で足止めされているはずです |
| エレノア | 早く瘴気を止めなければ、被害が広がってしまう |
| アイゼン | ヘルダルフを倒さない限り何も解決しないという事だ。…塔の中に入って頂上を目指すぞ |
| アリーシャ | ああ、そうだな。中はどうなっているかわからない。用心して進もう |
| ロイド | わかった。俺が先に入るから、みんなは後から付いて来てくれ! |
| ルーク | おいっ、勝手に決めんなっつーの!俺も一緒に入るからな! |
| スパーダ | …ルカ、何してんだよ。入らねえのか? |
| ルカ | 入るよ。ただ… |
| スパーダ | …どうした? |
| ルカ | …アスラの代わりにヘルダルフを倒すなんて、本当に出来るのかな |
| スパーダ | ヘルダルフの元に向かうって決めたのは、ルカじゃねえか |
| スパーダ | それがおまえの選んだ道なら、後は進むだけだろ |
| スパーダ | それとも、ビビッて帰るつもりなのか? |
| ルカ | …ううん。不安はあるけど、前に進まなきゃいけない時だってわかってるつもりだよ |
| ルカ | それに、一人じゃ無理でもみんなと一緒なら強くなれる気がするんだ |
| ルカ | だから…僕はここで、アスラが果たせなかった事を成し遂げるよ! |
| スパーダ | ほんと、言うようになったな。島に来た時はビビりまくってたのに、今は── |
| ルカ | 今は? |
| スパーダ | その服が似合う男になったぜ! |
| | バシッ! |
| ルカ | いた…っ!や、やめてよスパーダ |
| スパーダ | 背中叩いたくらいで痛がってたら、この先苦労するぜ |
| ルカ | …わかってるよ。どんなに大変でも、必ず頂上まで上ってみせるから |
| スパーダ | 覚悟は決まったみてえだな |
| ルカ | うん。行こう、スパーダ! |
| スパーダ | ああ! |
| scene1 | 拓く槍 |
| アリーシャ | くっ…やはり、塔の中も魔物だらけだな |
| ルーク | この…! |
| | ザシュッ! |
| | グルルルル… |
| ロイド | …!あいつら、斬られたのに倒れもしないぞ |
| パスカル | たぶん、さっきの魔物と同じで瘴気の影響を受けてるんだよ |
| アリーシャ | みんな、あそこを見てくれ…! |
| アリーシャ | 魔物が倒れている。もしかしたら…仲間同士で争ったのかもしれない |
| アイゼン | 敵味方の区別も付かないほど、狂暴化しているというわけか |
| | グルルルル…! |
| スパーダ | …!気を付けろ、こっちに向かって来るぜ |
| エレノア | く…!戦うしかないようですね! |
| scene2 | 拓く槍 |
| ルカ | ──真空破斬! |
| | ギャゥウ!? |
| ルカ | はあ…はあ…。この数の魔物を相手にしてたら、いつまで経っても先には進めないよ |
| アスベル | ああ…。どうにかして、魔物の包囲網を突破するしかない |
| アスベル | 奥に見える階段にたどり着ければ、先へは進めるだろうが… |
| スパーダ | 問題はどうやって魔物達から逃げ切るか、だな |
| アイゼン | 階段まで行けば、後方に土の壁を作って魔物の行く手を阻む事が出来る |
| ルカ | それなら、魔物達は追って来れなくなるね…!あとは階段まで行けさえすれば… |
| アリーシャ | 魔物が一斉に襲いかかってくれば混戦状態になる。包囲網の一点を衝いて突破口を開こう |
| エレノア | わかりました。私とアリーシャが先陣を切って道を拓きましょう |
| エレノア | 別方向から襲いかかって来る魔物を、後方から術で牽制してもらえますか |
| パスカル | 任せて!あたしとアイゼンで援護するよ |
| アイゼン | 魔物達は長く抑えていられない。機会は一度きりだ、必ず決めろ |
| アリーシャ | ああ、わかってる。行こう、エレノア! |
| エレノア | はい! |
| | ギャゥウウウウウ! |
| パスカル | ──ブラドフランム! |
| | グルルルル… |
| スパーダ | まだだ!立ち上がって来るぞ! |
| アイゼン | 畳みかける! |
| アイゼン | ──ビジュゲイト! |
| | ギャウゥ…!? |
| エレノア | 今です、アリーシャ! |
| アリーシャ | ああ、行こう!エレノア |
| アリーシャ&エレノア | ──はあああ! |
| | ズバッ! |
| | ギャゥウウウウ… |
| ルカ | 今なら包囲網を突破出来るよ!みんな、階段に走って! |
| | |
| ルーク | はあ、はあ…。何とか階段までたどり着けたな |
| ロイド | アイゼン、頼むぜ! |
| アイゼン | ああ。どいていろ |
| | |
| | ゴ…ゴゴゴ… |
| スパーダ | …!一瞬で、壁が出来たな |
| ルーク | すげぇ…。これなら、あいつらも追って来れねえな! |
| アイゼン | ああ。だがそれはつまり俺達の退路も断たれたという事だ |
| アスベル | 確かに、この壁がある限り塔の外へ引き返す事は出来ないな |
| アリーシャ | …今は、前に進む事だけを考えよう |
| アリーシャ | 迷う時がくれば、みんなで考えればいいよ |
| ルカ | そうだね |
| ルーク | つーか、塔に入った時から引き返す事なんて考えてねーよ |
| ルーク | 絶対に頂上まで行って、ヘルダルフを倒してやる |
| ロイド | ああ、そうだな!いつまでもこんなところで立ち止まってられないぜ! |
| パスカル | そんじゃ、早いとこ次の階に向かわないとね~! |
| アスベル | この先も魔物がいるかもしれない。気を抜かずに行こう |
| エレノア | ──前に進む事だけを考える…隊長らしい言葉ですね |
| アリーシャ | …エレノアにそう言われると少し恥ずかしいな |
| エレノア | ふふっ。アリーシャが隊長に任命された時は、戸惑っているように見えましたが… |
| エレノア | 今は隊長として立派に隊を率いているようですね |
| アリーシャ | …そうだろうか。どちらかと言えば、私の方が彼らに助けられる事が多いんだ |
| エレノア | そうなのですか? |
| アリーシャ | ああ。…シルヴァラントの貴族達が悪事に手を染めていると知った時── |
| アリーシャ | 私は、足下が崩れていくような不安を感じた |
| アリーシャ | 信じていた者に裏切られて、どうすればいいかわからなくなったんだ |
| エレノア | アリーシャ… |
| アリーシャ | だけど、彼らは私に諦めない強さを教えてくれた |
| アリーシャ | だから私は、これからも自分の信じる道を歩む事が出来る |
| アリーシャ | …エレノアは、四大国連合調査隊に任命されてよかったと言っていたな |
| エレノア | ええ。今でもそう思っています |
| アリーシャ | 私も、彼らと共に調査隊として活動出来る事を誇りに思うよ |
| エレノア | そうですか |
| アリーシャ | 私がするべき事は、隊長としてみんなを守り、島に平和を取り戻す事だ |
| アリーシャ | この先どんな危険が待ち受けていようとも…必ず、決意を貫いてみせる |
| エレノア | 私もアリーシャの同志として、友として、共に戦います |
| エレノア | だから、一人で抱えずに頼ってくださいね |
| アリーシャ | ああ、ありがとうエレノア |
| ロイド | ──おーい!アリーシャ、エレノア! |
| ロイド | こっちにカタグラフィが落ちてるみたいなんだ!来てくれ! |
| アリーシャ | …!行こう、エレノア |
| エレノア | はい! |
| スパーダ | …少し錆びついてるみてえだけど、見られそうか? |
| パスカル | うん、これくらいの劣化なら映像に問題はないと思うよ!再生するね |
| | ポチッ…! |
| | |
| 兵士1 | ──報告します!大国の部隊が港付近の拠点を突破し、こちらへ侵攻しています |
| ヘルダルフ | …兵をまとめろ。敵がエルピスの塔へ至る前に討つ |
| 兵士1 | はっ! |
| 兵士2 | …もう港の拠点を突破されたのか |
| 兵士3 | 敵は大国だけじゃなく、大陸連合軍だからな。この先の戦いは苦しいものになるだろうよ |
| 兵士3 | だが、ヘルダルフ様なら…あの方ならきっと、我々を導いて島に勝利をもたらしてくださる |
| 兵士2 | …そうだな。俺達はあの方についていくだけだ |
| ヘルダルフ | ──同志達よ。武器を取り、ワシに続け |
| ヘルダルフ | 大国が攻め込もうと、いずれ連合軍を率いようと関係ない。我らを敵に回すとは、愚の骨頂よ |
| | チャキッ… |
| ヘルダルフ | これ以上、一歩たりとも敵を島内部に侵攻させてはならん! |
| ヘルダルフ | 我らの力を持って、敵兵に死の絶望を与えてやるのだ! |
| 兵士達 | オーーーッ! |
| | |
| ルーク | どういう事だ…?ヘルダルフは島を守るために戦ってたのか? |
| アイゼン | この映像を見る限り、そのようだな |
| エレノア | 戦争中に、彼が呪いをかけられるような過ちを犯したという事でしょうか… |
| ロイド | 確か、ヘルダルフは山の集落の長の怒りに触れて呪いをかけられたんだよな? |
| パスカル | うん。詳しい理由までは記録館に残ってなかったけどね |
| アスベル | ん…?このカタグラフィ、まだ続きがあるみたいだ |
| パスカル | ほんとだ!見てみよう! |
| | ポチッ…! |
| | |
| 兵士1 | ぐう…! |
| 敵兵 | はあ、はあ…。手こずらせやがって |
| 敵兵 | お前はもう終わりだ。大人しく死── |
| | ザシュッ |
| 敵兵 | ぐ…あ…!? |
| | バタンッ |
| ヘルダルフ | …立てるか |
| 兵士1 | は、はい…! |
| ヘルダルフ | ならばワシに続け。この戦、勝たねばならん |
| ヘルダルフ | ここで助かった命、無駄に散らせるでないぞ |
| 兵士1 | …はっ! |
| | |
| スパーダ | 部下の命を助けてるって事は…血も涙もない悪党ってわけじゃなさそうだな |
| ロイド | ああ。それなのに、何でサフィアを使って島に瘴気を蔓延させたりしたんだ? |
| アイゼン | さあな。俺達がここで考えていても答えは出ない |
| ルカ | そうだね…。とにかく、先へ進もう |
| ルーク | なあ、あそこ見ろよ!この階段を進んだ先に、扉があるぜ |
| アリーシャ | 次の部屋に出られそうだ。行こう! |
| scene1 | 絡みつく糸 |
| ロイド | この部屋…気味が悪いな |
| ルーク | ああ…そこら中蜘蛛の巣だらけだぜ。気持ちわりぃ… |
| エレノア | 長い間、誰も足を踏み入れていない場所ですから…巣が張っていても仕方ありませんね |
| アリーシャ | それにしても、静かだな…。マナリスがあった遺跡のように罠が仕掛けられている様子はないが… |
| アイゼン | 止まっている時間が惜しい。先へ進むぞ |
| ルーク | おう。…って、何でおまえが仕切ってんだよ! |
| ルカ | あの二人、また喧嘩しないといいけど… |
| アスベル | 亜空間にあった研究所で和解したようだし、大丈夫だろう |
| スパーダ | オレ達も後に続こうぜ。ここで止まってても仕方ねえだろ |
| ルカ | うん、そうだね |
| | |
| | ガサ…ガサ… |
| アイゼン | …! |
| ルーク | っ、おい!急に止まんなよ。ぶつかっちま── |
| アイゼン | 静かにしろ |
| | ガサ…ガサガサ… |
| アイゼン | この音は……上だ! |
| ルーク | うおっ!? |
| | |
| | シャァアアアア! |
| スパーダ | な…上から!? |
| パスカル | ──うわああっ!? |
| ロイド | ぐ…ううっ…!み、みんな…!大丈夫か…? |
| ルカ | う、うん…何とか。でも、巣に引っかかって動けないよ |
| エレノア | くっ…!動けば動くほど、糸が絡みついて… |
| ルーク | いってえ…何すんだ、アイゼン!いきなり引っ張りやがって… |
| アイゼン | …あいつらの様子を見てみろ |
| ルーク | え… |
| ルーク | …!大丈夫か、おまえら! |
| アリーシャ | すまない、油断した。巣に絡まって身動きが取れない |
| パスカル | この糸、ベタベタしてて全然剥がれないよ~! |
| ルーク | 待ってろ、今── |
| | ガシッ |
| アイゼン | 不用意に動くな |
| ルーク | 何で止めるんだよ!?魔物一匹くらい、倒せるって! |
| ルーク | あいつらの事、早く助けねえと…! |
| | ドスンッ! |
| | シャァアアアア! |
| ルーク | な…っ!もう一匹いたのか…!? |
| アイゼン | 下がれ! |
| | ザシュッ! |
| アイゼン | ぐう…っ! |
| ルーク | アイゼン! |
| ルーク | 何で、おまえ… |
| アイゼン | 呆けている場合か!次の攻撃に備えろ |
| ルーク | あ、ああ… |
| | シャァアアアア… |
| アイゼン | 図体のでかい奴が二匹もいて厄介だが…ルカ達は動けない、俺達で何とかするぞ |
| ルーク | わかった。…怪我は、大丈夫なのかよ? |
| アイゼン | ああ、大した傷じゃない |
| ルーク | …悪かったな |
| アイゼン | 気にするな。とにかく、この場を切り抜けるぞ! |
| ルーク | …ああ!待ってろよ、みんな!こいつらを倒して、助けるからな |
| scene2 | 絡みつく糸 |
| ルーク | くっ…こいつら、強い…! |
| | シャァアアアア! |
| アイゼン | ──おらっ! |
| | ギャァアア…! |
| アイゼン | …キリがないな。手負いの状態でも、立ち上がって攻撃を仕掛けてきやがる |
| ルーク | こいつらも、瘴気の影響を受けてるって事か… |
| アイゼン | ──ルーク。俺が魔物を引き受けてる間に、ルカ達の元へ走れ |
| ルーク | おまえ一人であいつらと戦うつもりなのか!? |
| アイゼン | 魔物の標的がルカ達に移ったら、反撃する間もなくやられる |
| アイゼン | それに、魔物が瘴気の影響を受けている以上、倒すにはダモクレスの剣が必要だ |
| アイゼン | お前があいつらを解放するまで、俺が魔物を引き付けておく |
| ルーク | …わかった。絶対に、やられるなよ! |
| アイゼン | ふん、誰に言っている。行くぞ! |
| アイゼン | ──ストーンエッジ! |
| | ギャゥウ…!? |
| アイゼン | 走れ! |
| ルーク | ああ! |
| ルーク | みんな、大丈夫か!? |
| ロイド | ルーク! |
| ルーク | 待ってろ!今、糸を斬る! |
| | ジャキッジャキンッ |
| ルーク | く…粘々してて上手く斬れねえ!このままじゃ… |
| | シャァアアアア! |
| アイゼン | ぐ…っ! |
| ルーク | …!くそっ…! |
| ルーク | あいつより先に諦めてたまるかよ…! |
| ルーク | ──うぉおおおお! |
| | ジャキッジャキンッ |
| ルカ | …!糸が…! |
| パスカル | ありがとう、ルーク~!これで自由に動けるよ |
| ルーク | 急ぐぞ!早くアイゼンに加勢しねえと…! |
| スパーダ | ああ、そうだな。行こうぜ! |
| scene3 | 絡みつく糸 |
| アイゼン | ──はああっ! |
| | ギャウウッ…! |
| アイゼン | …何とか倒せたな |
| アリーシャ | ああ。まさか、天井に巨大な蜘蛛が潜んでいたなんて… |
| アリーシャ | あのまま巣に囚われていたら無防備な状態で攻撃を受けていたかもしれない…助かったよ |
| アイゼン | 俺じゃない。お前達を助けたのは、あいつだ |
| ルーク | …あーもー!剣がベトベトになっちまった… |
| ルーク | まじでうぜぇな、この糸… |
| エレノア | 大丈夫ですか、ルーク? |
| スパーダ | 気持ちわりぃって言ってたのに、糸にまみれながらオレ達を助けようとしてくれたんだな? |
| ルーク | …あの時はそんな事、言ってられなかっただろ |
| アスベル | ありがとう、ルーク |
| ルーク | べ、別に…。仲間なんだから…当たり前だろ! |
| スパーダ | ははっ。何、照れてんだよ? |
| ルーク | 照れてねー!さっさと行くぞ! |
| アイゼン | 無事だったか |
| ルーク | まあな。…なあ、よかったのかよ俺にルカ達の救出を任せたりして |
| ルーク | 失敗したら、あいつらもおまえも危なかったかもしれないのに… |
| アイゼン | お前らしくないな。手柄は俺に寄こせと言いそうな奴だっただろう |
| ルーク | な…!そんな事、言う訳ねえだろ! |
| アイゼン | ──理由は簡単だ。お前なら出来ると思ったから任せた。それだけだ |
| ルーク | …そっか。へへっ、任せてくれてありがとな |
| アイゼン | …… |
| スパーダ | おーい、おまえらいつまで話してんだ?そろそろ次の階に行こうぜ |
| ルーク | あ、ああ…!今行く! |
| パスカル | あっちに扉があるみたいだよ! |
| アリーシャ | 行ってみよう |
| ロイド | ん…?あれは── |
| エレノア | どうかしましたか? |
| ロイド | 扉の前を見てみろよ。魔物が倒れてるぜ |
| ルーク | さっき戦った魔物より、一回りくらい小せぇな…子蜘蛛か? |
| アイゼン | …死んでいるようだな。槍のようなもので突かれた傷がある |
| ルカ | 本当だ… |
| アリーシャ | どうやら私達よりも先に塔の中へ入った者がいるようだ |
| アスベル | 用心するに越した事はないな |
| スパーダ | ああ。気を付けて進もうぜ |
| | |
| ロイド | 俺達より先にここへ来た奴は、サフィアを狙ってるのかな |
| アリーシャ | そう考えるのが自然だな。瘴気に侵された魔物を倒せるくらいの実力があるようだが… |
| パスカル | そう言えば、一階に倒れてた魔物がいたよね |
| パスカル | 理性をなくした魔物同士が争ったのかと思ったけど…塔に入った人に倒されたのかも |
| アスベル | ダモクレスの剣がない状態で瘴気が蔓延する塔の中を上っているんだとしたら… |
| アスベル | 瘴気の影響を受けないくらい、心の強い人間という事になるな |
| ルカ | 理性を失わないだけの強さがある人…。一体誰なんだろう… |
| スパーダ | …ん?なあ、そこに何か落ちてるみたいだぜ |
| エレノア | カタグラフィですね。二つあるようですが… |
| ルーク | 再生してみようぜ |
| | ポチッ…! |
| | |
| 兵士1 | ヘルダルフ様…! |
| ヘルダルフ | 何事だ? |
| 兵士1 | 敵の襲撃です!砦で足止めをしていますが、兵の消耗が激しく…突破されるのは時間の問題かと |
| ヘルダルフ | …ままならぬものよ |
| ヘルダルフ | 仕方がない。砦にいる兵を撤退させよ |
| 兵士2 | 反撃しないのですか? |
| ヘルダルフ | 今の戦力では、到底敵軍に太刀打ち出来まい |
| ヘルダルフ | …山の集落にサフィアが隠されているという情報を流す。斥候に伝えよ |
| 兵士2 | …!山の集落を囮にするつもりなのですか…!? |
| ヘルダルフ | …いかなる犠牲をおいても平和を実現する。それがワシらの役目よ |
| ヘルダルフ | 敵の戦力が集落に集中している間に、本陣を討つ。よいな |
| 兵士2 | は、はい…! |
| | |
| アイゼン | 戦に勝つために、山の集落を囮に使ったのか… |
| ルカ | 山の集落の長がヘルダルフに呪いをかけたのは、集落を見捨てた事が原因なのかな… |
| アスベル | もう一つのカタグラフィも再生してみよう。何か他の事がわかるかもしれない |
| ロイド | ああ、そうだな! |
| | ポチッ…! |
| | |
| 集落の男 | 誰か!生きている者がいたら、返事をしろ…! |
| 集落の長 | 何故だ…。どうして、こんな事に… |
| 集落の子供 | た…す…けて… |
| 集落の長 | …!大丈夫か!? |
| 集落の長 | 無理に話そうとしなくていい。今、傷を治して── |
| 集落の子供 | ぐす…。たすけ…て…痛い… |
| 集落の子供 | 痛い…痛いよ… |
| 集落の子供 | …… |
| 集落の長 | っ…おい!しっかりしろ |
| 集落の子供 | …… |
| 集落の長 | …何故…だ… |
| 集落の長 | 何故、見捨てた…!ヘルダルフよ…! |
| | |
| ルカ | 酷い… |
| スパーダ | 囮になった集落は焼き討ちに遭ったのか…。悲惨な状況だったな |
| ロイド | く…誰かの命を犠牲にして得られる平和なんて、間違ってる…! |
| アスベル | ああ、その通りだ |
| アリーシャ | 勝利への渇望が、ヘルダルフの判断を鈍らせたのかもしれないな |
| アイゼン | …危険を冒してまで勝利を掴もうとした奴の焦りが、悲劇を生んだんだろう |
| ルーク | って事は、ヘルダルフは集落の長に逆恨みして、瘴気を蔓延させたのか…? |
| ルーク | どう見たって、集落を見捨てたあいつが悪いのによ |
| エレノア | 呪いという代償が、ヘルダルフの心を蝕んだとも考えられますが… |
| アリーシャ | どんな理由があったとしても、私達は悲劇を繰り返させないために、ヘルダルフを討たなければならない |
| スパーダ | ああ…先を急ごうぜ。こうしてる間にも、瘴気は広がってるんだからよ |
| ロイド | そうだな |
| | |
| パスカル | あれ…? |
| ルカ | どうしたの、パスカル? |
| パスカル | 次の部屋に続く扉…少しずつ閉まってない!? |
| アリーシャ | …!間違いない、徐々に通り抜けられる隙間が狭くなっている |
| ルーク | さっきは時間制限なんてなかっただろ!? |
| アイゼン | 文句を言っている場合か。走るぞ! |
| アスベル | ああ、急ごう! |
| scene1 | 機械仕掛けの番人 |
| エレノア | 扉が…! |
| アリーシャ | 閉まり切る前に駆け込むんだ! |
| | |
| | ゴゴゴ…ガシャンッ! |
| ルーク | はあ、はあ…。何とか間に合ったな |
| ルカ | 間一髪だったね… |
| パスカル | この扉…一定の時間が経つと閉まるようになってるみたい |
| アイゼン | 塔の中に侵入した者を足止めしておくための仕掛けだろう |
| アイゼン | そう易々と、サフィアのある頂上へたどり着けるようにはなっていないはずだ |
| アスベル | そうなると、この先も侵入者を撃退するための罠に警戒する必要があるな |
| スパーダ | この部屋にも、何か仕掛けられてる可能性があるって事だろ? |
| エレノア | 今までとは、かなり雰囲気が違う場所ですが…。次の階に続く道が見当たりませんね |
| ロイド | …!なあ、あそこ── |
| ロイド | 上の方に、扉みたいなのが見えないか? |
| ルカ | ほんとだ!でも…上に行くための階段やはしごはないみたいだね… |
| ルーク | なら、どうやってあそこに行けばいいんだよ? |
| パスカル | たぶん、向こうにある転送装置を使えば、扉の前に移動出来るはずだよ |
| エレノア | 転送装置…?部屋の中央にある、大きな装置の事ですか? |
| パスカル | うん、森の遺跡にもあったんだ。瞬間移動が出来る装置なんだよ |
| スパーダ | へえ、そんな便利な物が島の中にあったのか |
| アスベル | パスカルはあの装置を動かす事が出来るんだな? |
| パスカル | うん。ただ…森の遺跡で装置をいじろうとしたら番人が出て来たんだよね |
| パスカル | たぶん、あの装置にも侵入者を撃退するためのシステムが組み込まれてるはずだよ |
| アリーシャ | 番人は装置の補助を受けて転移していた。あの時はルカが機転を利かせて魔物を倒したが… |
| アリーシャ | 転移する魔物は動きが想定し辛い分、手強いんだ |
| アイゼン | パスカルが装置を操作する間、俺達で時間稼ぎをする必要がある |
| アスベル | 無防備な状態のパスカルを守りながら、転移する敵を倒せばいいんだな |
| ルカ | うん。出来るだけみんなで固まって、不意の攻撃に対応出来るようにしよう |
| スパーダ | よし、わかった。んじゃ、やってみようぜ |
| ロイド | もし番人が出てきたら、俺達が引き受けるからパスカルは装置の方を頼んだぞ! |
| パスカル | 任せて! |
| | |
| | ビ───ッ!ビ───ッ! |
| ルカ | …!!警報だ! |
| | |
| | キュイーンキュイーン |
| アリーシャ | やはり、装置に近付くと番人が現れるように設定されていたようだな…! |
| ルカ | それに、数が多いよ…!森の遺跡の番人は一体だけだったのに… |
| ロイド | しかもあれって、アンマルチアの基地で見た機械だよな? |
| アイゼン | ああ。あいつらは壊れるまで襲ってくる…厄介だが、仕方がない |
| アイゼン | こいつらは俺達で相手をする。パスカル、お前は俺達が時間を稼いでる間に装置で敵の転移を止めろ |
| パスカル | 了解! |
| scene2 | 機械仕掛けの番人 |
| スパーダ | こいつら、やけに硬いな…! |
| | キュイーン |
| ルーク | このっ…! |
| | ヴーーン…! |
| ルーク | な…!?どこに行きやがった!? |
| エレノア | …!パスカル、危ない! |
| | キュイーン |
| パスカル | うわあっ!? |
| エレノア | ──散牙蛇垂! |
| | ギ…ギギギ… |
| パスカル | あ、危な…!ありがとう、エレノア |
| エレノア | ここは私達に任せてください!パスカルは装置を…! |
| パスカル | うん!すぐに終わらせるからね! |
| パスカル | えっと、システムを管理してるのは── |
| | ピッ…ピピ…! |
| パスカル | あった!ここから確か… |
| | ヴーーン…! |
| | ギュイイイイン |
| パスカル | …!!転移した…!?何でこっちに来るの~! |
| アスベル | くっ…! |
| | ガキンッ! |
| パスカル | アスベル! |
| アスベル | 大丈夫だ…!絶対に、攻撃は通させない! |
| アスベル | だから、装置の操作を続けてくれ…! |
| パスカル | …わかった!背中は預けたよ、アスベル! |
| アスベル | ああ。守り抜いてみせる! |
| | ピッ…ピピ…! |
| パスカル | あった、管理システム…!ここをピコってやって…ポン! |
| | ピッ…ピピ…! |
| パスカル | …開いた!後は機械の転移設定をはずして… |
| パスカル | …みんな!敵が瞬間移動出来ないようにシステムを書き換えたよ! |
| ロイド | よし、これで動きが読めるようになったな! |
| アイゼン | このまま畳みかけるぞ! |
| アリーシャ | ああ! |
| scene3 | 機械仕掛けの番人 |
| アスベル | ──これで終わりだ!はあああっ! |
| | ガシャーン! |
| スパーダ | …何とか、全部倒せたみてえだな |
| パスカル | ありがとう、みんな!敵を引き付けておいてくれたお蔭でシステムを書き換えられたよ |
| アイゼン | それで、転移装置を使って扉の前に移動する事は出来そうなのか? |
| パスカル | うん!転移対象をあたし達に変更して── |
| | ピッ…ピピ…! |
| パスカル | これで、準備完了!移動するよ! |
| ロイド | いつでもいいぜ! |
| パスカル | そんじゃ…転送装置、作動! |
| | ヴーーン…! |
| ルーク | …!!本当に移動した… |
| エレノア | これで、次の階に進む事が出来ますね |
| ルカ | うん。行こう、みんな! |
| パスカル | アスベル! |
| アスベル | …?どうしたんだ、パスカル? |
| パスカル | お礼を言ってなかったから!さっきは背中を守ってくれて、助かったよ~ |
| パスカル | あたしの事、信じて戦ってくれてありがとね |
| アスベル | …パスカルも、俺の事を信じてくれただろ |
| パスカル | え…? |
| アスベル | 俺が操られてマナリスを奪った時…みんなは俺を助けようとしてくれた |
| アスベル | パスカルは俺が自分の意志でマナリスを奪うわけがないって、信じてくれたんだろ? |
| パスカル | そんなの、当然だよ~。アスベルがみんなを裏切るわけないからね |
| アスベル | …ありがとう。俺も、必ずパスカルがやり遂げるって信じてたよ |
| パスカル | …へへ、そっか |
| アスベル | さあ、俺達も行こう。みんなの後を追わないとな! |
| パスカル | うん、そうだね! |
| | |
| ルカ | ──みんな!ここにも、カタグラフィが落ちてたよ |
| ルーク | 何で階段にだけ置いてあるんだ?さっきの部屋にはなかったよな |
| アイゼン | …階段には罠の類が仕掛けられていないからかもしれん |
| アイゼン | 魔物や機械が暴れ回らない場所ならカタグラフィが壊れる可能性は低くなるからな |
| パスカル | って事は、誰かが意図的にカタグラフィを塔の中に置いていった事になるね |
| アイゼン | ああ。記録館にはヘルダルフに関する情報が殆ど残っていなかった |
| アイゼン | ここにカタグラフィを置いていった奴は、ヘルダルフの記録を残したかったのかもしれんな |
| スパーダ | 記録にどんな意味があるかわからねえが、見ておいた方がよさそうだな |
| アリーシャ | ああ、再生してみよう |
| | |
| 兵士1 | ──まさか、またここに戻って来られるなんて… |
| 兵士2 | …ヘルダルフ様の策がなければ討ち負けていただろうな |
| 兵士2 | 奇襲を受けて大将を失った敵軍が陣形を崩したお蔭で、何とか攻め落とす事が出来た |
| 兵士1 | ああ。敵は撤退を始めてる。俺達は、勝ったんだ…! |
| ヘルダルフ | …何を騒いでいる |
| 兵士達 | ヘルダルフ様…! |
| ヘルダルフ | 勝利に酔いしれている場合か?ワシらにはまだやらねばならん事があろう |
| ヘルダルフ | 先に傷付いた兵を休ませる。マナリスを使える天族を呼び、治癒を… |
| 集落の男 | ヘルダルフ…!?貴様、何をしに戻って来た! |
| 兵士2 | な…!口を慎め! |
| 兵士2 | ヘルダルフ様は、この島を救った英雄だぞ! |
| 集落の男 | 英雄だって!?お前らが見捨てたせいで、山の集落の住民は殆ど死んだ! |
| ヘルダルフ | …! |
| 兵士2 | ば、馬鹿な…!ヘルダルフ様は山の集落に避難を促す伝令を送ったはずだ! |
| 集落の住民 | 嘘をつくな!そいつを擁護するなら、お前も同罪だ! |
| 集落の住民 | 大人も、子どもも…多くの者が炎に焼かれて死んだ! |
| 集落の住民 | ここから出ていけ!二度と顔を見せるな、この…悪魔共め! |
| ヘルダルフ | 馬鹿な… |
| | |
| ロイド | …戦争には勝ったけど、ヘルダルフ達は帰る場所を失ったんだな |
| ルカ | 島を守るために戦ってたはずなのに恨まれる事になるなんて…悲しいね |
| アリーシャ | 人の行いの善悪に応じて、その報いも善悪にわかれるものだ |
| アイゼン | ああ。山の集落を見捨てた時点で報いを受ける覚悟を決めておくべきだったな |
| エレノア | 危険を知らせる伝令を送ったと言っていましたが…嘘をついているのでしょうか |
| スパーダ | 伝令が届いてたら、集落の住民が死ぬ事はなかったはずだろ |
| ルーク | 焦って、その場しのぎの嘘ついただけなんじゃねーの |
| アイゼン | どちらにせよ、ヘルダルフ達は戦の傷を癒す事も許されずに島を追い出される事になった |
| エレノア | 島の人々に見限られた事を恨んで瘴気を蔓延させたのでしょうか… |
| アイゼン | さあな。今ある情報だけでは何とも言えん |
| パスカル | 誰かがヘルダルフの記録を残すためにカタグラフィを置いていったんだとしたら… |
| パスカル | 他の場所にもまだカタグラフィがあるかもしれないよ! |
| アスベル | 進みながら探してみよう。真実がわかるかもしれない |
| ロイド | ああ、そうだな! |
| scene1 | 神と生贄 |
| ルーク | 何だ、ここ…。瓦礫だらけじゃねえか |
| エレノア | 石像が破壊されている…?これは一体── |
| | コツコツコツ… |
| | |
| エメロード | 追いつかれてしまいましたか。どうやら、仕掛けの破壊に時間をかけすぎたようですね |
| パスカル | エメロード…!? |
| アイゼン | …てめえ、生きてやがったのか |
| エメロード | ふふ…。あの程度で私が死ぬと思っていたのですか…? |
| エメロード | ──その油断が命取りになるのです |
| ??? | ヒーハー! |
| アリーシャ | なっ…上から!? |
| | ガキーンッ! |
| ロイド | く…っ!この…! |
| | カシーン! |
| ハスタ | 緊迫した雰囲気など全く気にせず登場するこのオレ様! |
| ルーク | おまえは…ハスタ!? |
| ルカ | ルークも、ハスタの事を知ってるの…? |
| ルーク | ああ…。リンネル村を襲ってた奴が、何でこんな場所にいるんだよ! |
| ハスタ | ん~?初対面の人におまえなんて言っちゃ駄目、…って学校で教わらなかった? |
| ルーク | 初対面じゃねえって言ってんだろ!おまえが俺に斬りかかって来た時の事忘れたのか!? |
| ハスタ | …そうだっけ?それって何時何分何秒?オレが何回寝て起きた時の話? |
| ルーク | そんなの知るわけねーだろ! |
| アスベル | ルーク、あの人の言葉に乗せられるな |
| ハスタ | あっれぇー?誰かと思ったらアスベル先生ェ! |
| アスベル | ハスタ…。あなたはまた、悪事に手を染めているんですか |
| ハスタ | は~、アスベル君、もうぼくちんの事隊長って呼んでくれないんだね。わかってる、それが巣立ちってやつサ |
| スパーダ | 何だあいつ…?ふざけた野郎だな… |
| アスベル | 元はウィンドル軍の騎士だったんだ。けど、今は戦争中に略奪を行った罪で指名手配されている |
| アスベル | …まさか、あなたもサフィアを狙っているんですか |
| ハスタ | そうとも言えないあるヨ! |
| パスカル | え、どっち!? |
| アイゼン | いちいち相手にするな、パスカル。…お前らが手を組むとはどういう風の吹き回しだ? |
| エメロード | 私はヘルダルフを倒すための戦力が、彼は塔の仕掛けを解くための知識が必要だった… |
| エメロード | 利害が一致したから手を組んだまでです |
| アリーシャ | …狙いは、塔の頂上にあるサフィアだな |
| エメロード | ええ、勿論。あなた方より先に頂上へたどり着くはずだったのですが… |
| エメロード | 追いつかれてしまったのなら、仕方ありませんね。皆さんには今度こそここで死んでいただきます |
| ハスタ | 待ってましたァ!歯ごたえのない石ころ相手に飽き飽きしてたところだポン |
| | |
| ハスタ | ──そこのレッドマン!殺し合いの続きと行きましょうや! |
| | ガキイイイイイン! |
| ロイド | く…っ!今度こそ、絶対に逃がさねえ! |
| パスカル | …!始まっちゃったよ…! |
| アリーシャ | 二手に分かれよう。私とルカがロイドの援護に向かう!アイゼンとパスカルはエメロードを! |
| アイゼン | ああ、わかった |
| スパーダ | オレとルークもハスタの方に行く。…アスベル、エレノア、そっちは頼んだぜ |
| エレノア | ええ、任せてください! |
| scene2 | 神と生贄 |
| ロイド | 虎牙連斬! |
| ハスタ | 甘い甘い!そんな攻撃では、オイラに傷一つ付けられないぴょろよ |
| アリーシャ | ──はああっ! |
| | ヒュンッ! |
| ハスタ | おっと!オレ様、華麗にエスケープ!そして成功! |
| ハスタ | おんやぁ~、ひぃふぅみぃよぉ…。僕のためにいつの間にか狩る首を増やしてくれたんだね |
| アリーシャ | 狩られるつもりはない!…今だ、ルカ! |
| ルカ | うん! |
| ルカ | ──鳳凰天駆! |
| | ザシュッ! |
| ハスタ | ぐっ…!後ろからだと…!? |
| ハスタ | 連携技とは…なかなか噛み応えが出てきましたね |
| ルーク | あいつ、攻撃を受けたのに全然動じてねえ…! |
| ロイド | ハスタ!お前は何のためにサフィアを狙ってるんだ! |
| ハスタ | 何でだっけな~。しいて言うなら、暇つぶし? |
| ハスタ | オレ様にマナ…何とかの回収を依頼してたどっかの貴族が捕まって、まさかのタダ働き! |
| ハスタ | 途方に暮れてたオレ様の前にあの女が現われて、面白そうだからついて来たってワケ |
| アリーシャ | 貴族…。まさか、お前を雇っていたのはシルヴァラントの── |
| ハスタ | あー、それそれ。戦争したいって言うから、手を貸してやったんデスよ |
| ハスタ | オレ様の時代アゲイン!って思ってたのにな~。無様に捕まりやがって… |
| ハスタ | 仕方ないから、サフィ何とかで全人類を滅ぼす事にしますぴょん |
| ルーク | な…!? |
| ハスタ | 死にゆく人々の甘美な悲鳴を聞きながら踊り明かすのも一興 |
| ハスタ | あれ?全人類が滅びれば、残るはオレ一人…そうすりゃ、オレ様が神じゃねえ? |
| スパーダ | 胸糞悪ぃ奴だな |
| ルカ | うん… |
| スパーダ | でも…何だろうな…。あのハスタって奴、初めて会った気がしねぇんだよな… |
| ルカ | スパーダ?どうかしたの? |
| スパーダ | いや…何でもねぇよ |
| ハスタ | さ~て、何の脈略もないけれどそろそろ本気で殺しにいかせてもらうぜ |
| ロイド | 言ってろ!お前は…俺達が倒す。必ず! |
| ハスタ | いいねえ、そうこなくっちゃ!やられなくてもやり返す…皆殺しだッ! |
| エメロード | ──あなた方も凝りませんね |
| アイゼン | それはこちらの台詞だ |
| パスカル | エメロード…まだ、サフィアを諦めてないの? |
| エメロード | …おかしな質問をしますね |
| エメロード | 何度も言っているでしょう。サフィアを手にするのは、この私です |
| エメロード | 私だけが、あの技術を使って崇高な目的を達する事が出来る… |
| エメロード | 他の誰も成し得ない偉業をサフィアによって成し遂げるのです |
| アイゼン | 御託はいい。お前がエドナにした事を忘れたとは言わせねえ |
| アイゼン | 落とし前はつけさせてもらうぞ! |
| エメロード | やってみなさい |
| アイゼン | ──はああっ! |
| | ドガッ |
| エメロード | う…っ! |
| エレノア | 攻撃が届いた…! |
| アスベル | いや、あれは── |
| エメロード | ふふ… |
| アイゼン | な… |
| パスカル | エメロードの傷が、塞がっていく…! |
| エメロード | あなた方には言っていませんでしたが…私の身体には自己修復機能が搭載されています |
| アスベル | だから、海に落ちても平気だったのか… |
| パスカル | それじゃあ、あたしを助けるために怪我した時も…? |
| エメロード | すぐに修正機能が働いて回復していましたよ |
| エメロード | あなた方の信頼を得るため負傷したように見せかけただけです |
| パスカル | そんな… |
| エレノア | あなたという人は…!どれだけ人の心を傷付ければ済むのですか…! |
| エメロード | 何故、温情をかける必要が…?他者の気持ちなどどうでもいい事です |
| アイゼン | 話すだけ無駄のようだな |
| アスベル | …俺達は、あなたを止める。あなたに、サフィアを使わせるわけにはいかない! |
| エメロード | ふふ、いいでしょう…。今度こそ、神に逆らう恐ろしさを思い知りなさい! |
| scene3 | 神と生贄 |
| ロイド | ──はあああっ! |
| | ガキーン! |
| ハスタ | 危なっ!?意外とやりますねぇ… |
| アリーシャ | まだだ!──旋光連舞! |
| アリーシャ | ザシュッ!ザシュッ! |
| ハスタ | ぎゃふん! |
| ハスタ | クソ…前は仲間同士で足を引っ張り合ってたくせに…。話が違うじゃねえか… |
| アスベル | ──終わりだ! |
| | ザシュッ! |
| エメロード | くう…っ!? |
| エメロード | 自己修復が間に合わない…。こんな、事が… |
| ハスタ | ちょっとちょっと~、エメロード先生ェ。やばいんじゃねえの? |
| ハスタ | この状況を打開する超必殺技出すなら、い・ま・だ・ぜ! |
| エメロード | あなたこそ何をしているのですか!私を守るのが、あなたの役割だったはず…! |
| ハスタ | 人は死ぬまで一人で歩いていくもんだ。おわかり? |
| アイゼン | 仲間割れか?どうやら後がないようだな |
| アリーシャ | 観念するんだ、二人共 |
| エメロード | おのれ…神に逆らう不届き者共が! |
| | バシュウッ |
| | |
| ルカ | うわ…っ!? |
| エメロード | そこをどきなさい…! |
| ハスタ | いい事、思いつきました!思いついちゃいました! |
| スパーダ | …!ルカ…! |
| | ドンッ! |
| ルカ | え…… |
| ハスタ | ──神様を満足させるためには生贄が必要だポン |
| ハスタ | ハスタ様が神になるから、おまえらが生贄な! |
| | |
| | ザシュッ! |
| | |
| エメロード | な…!? |
| スパーダ | ぐ……っ! |
| ルカ | そんな…っ! |
| ルカ | スパーダァア!! |
| scene1 | 強さの証明 |
| スパーダ | く…っ |
| ルーク | っおい、大丈夫なのか!?腹から血が…! |
| ロイド | あいつ…!何て事を…! |
| アスベル | しっかりするんだ、スパーダ! |
| ルカ | 僕が…僕のせいで…スパーダが… |
| スパーダ | …何て顔してんだよ、ルカ |
| ルカ | …! |
| エレノア | スパーダ!大丈夫なのですか!? |
| スパーダ | ああ。こんな傷、大した事ねぇよ |
| ルーク | な、何だよ!心配させやがって… |
| ハスタ | …あれ~?確かに手ごたえを感じたと思ったのになァ… |
| ハスタ | 女越しにやったから、深く刺さらなかったようデスね。失敗失敗! |
| エメロード | な、ぜ… |
| ハスタ | …何だ、まだ生きてたの?とっくに死んだと思ってたぜ |
| ハスタ | 神様の役に立ったと思えば本望だろ、兄妹? |
| ハスタ | 地獄の入り口はこちらです。お忘れ物がないようにご注意くださ~い |
| | ザシュッ! |
| エメロード | ぐう…っ!? |
| パスカル | エメロード! |
| エメロード | こんな…はずでは… |
| | ドサッ |
| パスカル | しっかりして、エメロード! |
| アイゼン | 傷が塞がらないな。自己修復機能とやらが働いていないのか? |
| パスカル | …たぶん、修復が出来ないくらい傷が深いんだよ |
| アリーシャ | つまり、エメロードはもう── |
| ハスタ | 弱い奴が死ぬのは、世の道理。安らかにお眠りください、なむなむ… |
| ロイド | お前…!どれだけ人を馬鹿にすれば気が済むんだ! |
| ハスタ | 何で怒ってるんデスか?ぼくちんは当たり前の事を言っただけだポン |
| ロイド | この…! |
| ハスタ | いやん! |
| ロイド | くそっ! |
| ハスタ | 焦らない焦らない。お肉は両面に焦げ目がつくまでじっくり焼いた方が美味しいんだぜ |
| ハスタ | ──そう言えばそこの坊や…よかったね、死ななくて |
| ハスタ | お友達が身を挺して守ってくれたから、無傷でいられたのかなー? |
| ルカ | …! |
| アイゼン | あいつの言葉を聞くな、ルカ! |
| ハスタ | は~やだやだ。弱い奴は誰かに守ってもらわないと生きていけないんデスね~ |
| スパーダ | …ルカは、弱い奴なんかじゃねえ |
| ルカ | スパーダ… |
| ハスタ | ふ~ん…。仲良しごっこですか? |
| ハスタ | 全く、弱い奴ほどよく群れるぜ |
| ルカ | …… |
| ハスタ | ん~?何か目つきが変わりました? |
| ルカ | …僕を馬鹿にする事は許せても、僕の友達を笑うのは許せない |
| ルカ | 僕は確かに、不安や弱さを持ってるよ |
| ルカ | だからこそ、仲間に支えられてる事がよくわかるし…信頼出来る人がいるだけで、自分も強くなれる |
| ロイド | ああ、そうだな。一人で戦ってるお前なんかに俺達は負けない! |
| ハスタ | ロイド先生、かっけーッ!!こ~んな、かっけー男、初めて見ました!見ちゃいました! |
| ルカ | 仲間を信頼する事は強さだ!おまえに勝って、僕がそれを証明してみせる! |
| ハスタ | ああ、証明してやるとも。力の差を、たっぷりとな!そ~ら、行くんだぷー |
| scene2 | 強さの証明 |
| ルカ&ロイド | ──はああああっ! |
| | ザシュッ!ザシュッ! |
| ハスタ | グフゥォァッ!? |
| ハスタ | うわ!待った待った!このまま一歩でも後ろに下がったら、あたいは塔の下に真っ逆さまよ!? |
| ロイド | 観念しろ!お前の負けだ! |
| ハスタ | おぅのぅれぇ、ここまでくわぁぁぁぁ!!あぁぁな、口惜しやぁぁぁ |
| ハスタ | な~んてね!はい、お時間終了です |
| ハスタ | 次回のご予約は受け付けておりません! |
| ルーク | あいつ…!逃げるつもりだ…! |
| アリーシャ | く…!そうはさせな── |
| エメロード | この、裏切り者が…! |
| | ドンッ |
| | |
| ハスタ | …!ブルータス、お前もか |
| ハスタ | あぁぁぁぁああああれぇえええぇえええ! |
| | |
| ルカ | あ…! |
| ロイド | 落ちたのか…!?あいつらは… |
| ルカ | …見当たらないね。この高さから落ちて、無事では済まないと思うけど… |
| ロイド | そうだな… |
| スパーダ | い…っ |
| ルカ | 大丈夫、スパーダ!? |
| スパーダ | ああ。立ち上がる時に少し痛みが走っただけだ |
| ルカ | …ごめん、僕を庇ったせいで… |
| スパーダ | 見た目より酷くねえよ。心配すんな |
| スパーダ | それより、さっきの戦い、すごかったな |
| スパーダ | おまえとロイドならハスタの野郎を倒すって信じてたぜ |
| ルカ | …うん!ありがとう、スパーダ |
| エレノア | スパーダの傷が心配ですが…いつまでもここにいるわけにはいきませんね |
| アリーシャ | ああ。幸いにもこの部屋の仕掛けはすべて壊されている |
| アスベル | このまま奥にある階段を使って上に行けそうだな |
| アイゼン | 先は長い。次の階へ進むぞ |
| ルカ | うん! |
| スパーダ | …… |
| ルーク | おまえ…やっぱり痛むんじゃねえのか |
| スパーダ | …ルカ達には言うな |
| ルーク | けどよ… |
| スパーダ | ──頼む、ルーク |
| ルーク | …わかったよ |
| scene3 | 強さの証明 |
| エレノア | 長いらせん階段ですね… |
| ロイド | ああ。どこまで続いてるんだろうな |
| ロイド | って、うわっ!? |
| | ガラ…ガラガラ… |
| ルカ | 大丈夫、ロイド? |
| ロイド | ああ。急に、足元が崩れて… |
| アイゼン | 気を付けろ。今まで上って来た階段とくらべてかなり痛みが激しいようだ |
| | ギシ…ギシギシ… |
| アスベル | この強度だと、いつ崩れてもおかしくはないな… |
| アスベル | みんな、ここは早く上り切った方がよさそうだ |
| スパーダ | そんじゃ、さくっと上っていこうぜ |
| ルーク | …… |
| エレノア | ──見えました!あそこに扉が… |
| | ビシッ!バキバキバキッ! |
| ルーク | …!何の音だ…!? |
| ルカ | 階段のヒビが広がってる…! |
| アリーシャ | 上の方も崩れてきているようだ! |
| アイゼン | 急げ…! |
| | バキバキバキ… |
| | |
| | ガシャ──ンッ! |
| スパーダ | …! |
| ルーク | スパーダ! |
| | |
| ルカ | スパーダ!ルーク! |
| ロイド | 待ってろ!今、助けに── |
| アリーシャ | 待つんだ、ロイド! |
| ロイド | 何で止めるんだよ、アリーシャ!? |
| アリーシャ | 足下を見るんだ |
| | ビシッビシビシ… |
| ロイド | …!ヒビが… |
| アスベル | 下手に動くと、階段が崩れて二人共、下に落ちる可能性がある |
| エレノア | そんな…。どうすれば── |
| パスカル | …!みんな! |
| アイゼン | どうかしたのか |
| パスカル | 扉が…!閉まり始めてる! |
| ルカ | …! |
| ルーク | く…っ! |
| スパーダ | ルーク、手を放せ! |
| ルーク | はあ…!? |
| スパーダ | オレの事はいいから、おまえだけでも…っう… |
| | ポタ…ポタポタ… |
| ルーク | …!おまえ、その血… |
| スパーダ | …大丈夫だ。いいから、手を── |
| ルーク | 置いて行けるわけねぇだろ! |
| ルーク | 絶対に、離さねえ…! |
| スパーダ | 馬鹿、おまえまで落ちる気かよ! |
| スパーダ | 先に進めなくなるぜ。絶対に頂上まで行くって言ってただろ!? |
| スパーダ | ここから落ちても大した怪我にはならねえから、さっさと行け! |
| ルーク | うるせー!もう二度と、目の前で仲間が落ちていくのは見たくねえんだ! |
| スパーダ | ルーク… |
| ルーク | ──みんな!スパーダは俺に任せて、先へ行け! |
| エレノア | …!しかし…! |
| ルーク | 扉が閉まり切っちまったら、元も子もねえだろうが! |
| | |
| アイゼン | …あいつの言う通りだ。俺達は、先へ進むぞ |
| ルカ | そんな…!でも… |
| アスベル | …今はルークを信じよう。俺達がヘルダルフを止めないと、世界中が大変な事になる |
| ロイド | くそ…。ルーク、スパーダ!ヘルダルフを倒したら、必ず助けに戻って来る! |
| ロイド | それまで、無事でいてくれ…! |
| ルーク | ああ! |
| | ガガガ…ガガ… |
| アリーシャ | いけない、扉が…!走るぞ、みんな! |
| ルカ | …… |
| ルカ | ごめん…っ |
| | |
| ルーク | こ…の…! |
| スパーダ | …! |
| | |
| ルーク | ドサッ! |
| ルーク | ぜえ…ぜえ…。今度は落とさなかったぜ… |
| スパーダ | …扉、閉まっちまったな |
| スパーダ | よかったのかよ?先に進まなくて |
| ルーク | …ああ。あいつらなら、必ずやり遂げるって信じてるからな |
| スパーダ | …そうだな。仲間を信頼する事が強さだって、あいつらが証明してくれるはずだ |
| スパーダ | ──ありがとな、ルーク |
| ルーク | な、何だよいきなり… |
| スパーダ | 傷の事、ルカ達に黙っといてくれただろ? |
| ルーク | …傷は、深いのか? |
| スパーダ | まあまあ、な |
| スパーダ | この傷じゃ、ルカ達と一緒に先へ進んでも、足手まといになってたと思うぜ |
| | ガラ…ガラガラ… |
| スパーダ | …階段がどんどん崩れてるな |
| ルーク | ああ。とりあえず、安全な場所に移動しようぜ! |
| ルーク | 今は、おまえの傷を癒す事を考えねえと… |
| スパーダ | …頼りにしてるぜ、ルーク |
| ルーク | …! |
| ルーク | へへっ、任せろ! |
| scene1 | 託された想い |
| パスカル | はぁ…はぁ…。何とか次の階にたどり着けたね… |
| アスベル | ああ… |
| エレノア | ルークとスパーダは大丈夫でしょうか… |
| ルカ | 僕の…僕のせいだ… |
| ルカ | あの時、僕がハスタの攻撃を避けられていたらスパーダが怪我をする事もなかった |
| ルカ | 傷がなければ、スパーダは階段を越えられたかもしれないのに… |
| アリーシャ | ルカ… |
| アイゼン | 起こった事を悔やんでも過去は変わらん。後悔なら後でいくらでも出来る |
| ルカ | …心配なんだ。ダモクレスの剣から離れた二人が、瘴気の影響を受けるんじゃないかって… |
| ロイド | 大丈夫だって!スパーダにはルークが付いてるだろ |
| ロイド | あいつらは簡単に瘴気に負けるような奴らじゃないさ。今は二人を信じて、前に進もうぜ |
| ルカ | …うん、そうだね |
| | |
| アスベル | ──この部屋は、一つ下の階とはまた雰囲気が違うようだな |
| エレノア | ええ。今度は砂だらけの部屋、ですね… |
| アリーシャ | 森の遺跡にも似たような場所があった。あの時は砂の中に潜んでいた魔物に手こずらされたが… |
| アイゼン | ただ木の通路があるだけの部屋という事はないだろう |
| アイゼン | 森の遺跡と同じように、魔物が潜んでいる可能性もある。油断せずに行くぞ |
| アスベル | ああ。俺が先導するから、みんなは左右と後ろの警戒を頼む |
| パスカル | 了解!任せといて |
| ルカ | …スパーダ、ルーク。必ず、戻ってくるからそれまで──… |
| ルカ | う…これ、は… |
| | |
| 兵士2 | もう、駄目だ…。俺達はここで殺される…! |
| 兵士2 | 苦しんで死ぬくらいなら、いっそ…! |
| | チャキッ… |
| アスラ | …!何をしている…! |
| 兵士1 | 落ち着け!お前は瘴気の影響で混乱してるんだ…! |
| 兵士2 | 煩い!煩い、煩い…! |
| 兵士2 | …どうせ俺達は全員、ヘルダルフに殺されるんだ。だったら今ここで、全部終わらせてやる! |
| 兵士2 | お前達も、道連れだ! |
| | ドシュッ! |
| 兵士1 | ぐああああ…! |
| アスラ | く…っ!この…! |
| | ザシュッ |
| 兵士2 | ぐ…!? |
| | ドサッ |
| アスラ | …許せ。おまえに、仲間を殺させるわけにはいかない |
| 兵士1 | う… |
| アスラ | 痛むのか?傷が深いようなら、ここで休んでいろ |
| 兵士1 | いえ…この程度の傷、大した事はありません |
| 兵士1 | …上に近付くにつれ、兵士の中にも瘴気の影響を受ける者が出てきましたね |
| アスラ | ああ…。また一人、同胞を失う事になった |
| 兵士1 | アスラ様のせいではありません。それに、我々は命をかけて戦う覚悟を決めています |
| 兵士1 | この命が尽きたとしても、ヘルダルフを止められるのであれば本望です…! |
| アスラ | 確かに、何かを成し遂げるためには、何かを犠牲にしなければならない時もある。だが… |
| アスラ | ヘルダルフを討つための戦いで失った同胞の数はあまりにも多い。…大きすぎる犠牲だ |
| アスラ | サフィアを巡る戦争で、ヘルダルフも多くの部下を失ったと聞く |
| アスラ | …あの男も、今の俺と同じような喪失感を抱えていたのだろう |
| 兵士1 | ヘルダルフが…? |
| アスラ | ああ。戦争の終結を急ぐあまり判断力に欠いた策を講じた事が悲劇に繋がったのかもしれんな |
| | |
| ルカ | 今のは…アスラの、記憶… |
| ロイド | おーい、ルカ!早く来いよ! |
| ルカ | う、うん…! |
| ルカ | (…やっぱり、どんな人でも 瘴気の影響を受ける可能性は あるんだ…) |
| ルカ | (急がないと、 スパーダとルークが 危険な目に遭うかもしれない) |
| ルカ | (早く…早く、 ヘルダルフを倒して 瘴気を消さないと…!) |
| パスカル | 通路が入り組んでて、どっちに進めばいいか悩むね |
| アスベル | ああ。選ぶ道を間違えたら、かなり時間を取られそうだ |
| エレノア | 今のところ、順調に進めていますが…この静けさが不気味ですね |
| アリーシャ | ああ。この先も慎重に── |
| | |
| | ゴゴゴゴゴゴ… |
| ロイド | 何だ!? |
| ルカ | …!みんな、あそこ! |
| | |
| | ズズズズ…! |
| アイゼン | 壁の窪みから、魔物が…!擬態していたのか |
| エレノア | こちらに向かってきます! |
| アリーシャ | ここで引き返すわけにはいかない!迎え撃とう! |
| scene2 | 託された想い |
| ルカ | ──はあああああ! |
| | グゴォオ…! |
| アスベル | …!魔物に近付きすぎだ…! |
| パスカル | 下がって、ルカ!それ以上前に出たら、反撃された時に避けられないよ! |
| | ゴォオオオ! |
| ルカ | …! |
| ロイド | 危ないっ! |
| ロイド | く…! |
| | ガキィィイイン |
| ルカ | ロイド…! |
| アイゼン | 一発入れる!二人共、離れていろ! |
| アイゼン | ──グランドクェイク! |
| | グゴゴォオオ… |
| | |
| アスベル | みんな、大丈夫か? |
| ロイド | ああ、何とかな。助かったぜアイゼン |
| アリーシャ | ルカも、怪我はないか? |
| ルカ | うん、何ともないよ |
| アリーシャ | そうか…先ほどは肝が冷えたよ。あまり、一人で無茶をしないでくれ |
| ロイド | そうだぜ、ルカ。ああいう時は一人で突っ込むんじゃなくて仲間を頼ってくれよな! |
| ルカ | ごめん…。次からは気を付けるね |
| アイゼン | …… |
| エレノア | また魔物が出てくるかもしれません。急いで先へ進みましょう |
| アスベル | ああ、そうだな |
| | |
| パスカル | 見て!あそこに扉があるよ |
| ロイド | けど、通路が途中で途切れてるみたいだぜ |
| アイゼン | ないものは作ればいい。どいていろ |
| | ゴ…ゴゴゴ… |
| アリーシャ | なるほど…土で橋を作るつもりなのか |
| | |
| | ゴゴゴゴゴゴ… |
| エレノア | また…! |
| ルカ | 天上から岩が落ちてくるよ!みんな、避けて! |
| | |
| | ドゴォン! |
| ロイド | いてて…。みんな、無事か? |
| アスベル | ああ。今の揺れ…偶然とは思えないな |
| アイゼン | おそらく、術を妨害するために岩が落ちて来たんだろう |
| アイゼン | 橋を作ろうとすればまた天上から岩が落ちてくる可能性が高いな |
| アリーシャ | …これでは先に進めない。どうしたら… |
| エレノア | …待ってください。何か、変です |
| パスカル | どうしたの?エレノア |
| エレノア | あそこ…落ちて来た岩の破片が宙に浮いているように見えませんか? |
| ルカ | 本当だ…! |
| パスカル | …!これって、もしかしたら… |
| パスカル | ──スプレッド! |
| | プシャァア! |
| | |
| パスカル | やっぱり!考えた通りだったね |
| ロイド | すげー!通路が出てきたぞ…!? |
| アイゼン | 成程な。目には見えない透明な通路が存在していたのか |
| エレノア | パスカルの術で水を表面に付着させて、通路を可視化させたんですね |
| アスベル | 人が渡るには問題ないみたいだが…。天上から岩が降って来たらひとたまりもないな |
| パスカル | それは大丈夫じゃないかな。正しい手順を踏めば、先に進める仕掛けになってると思うよ |
| パスカル | 転移装置があった部屋でも、転移した後に魔物が襲ってくるような事はなかったからね! |
| アリーシャ | そうだな。…渡ってみよう |
| ロイド | よし、みんな渡りきれたな! |
| エレノア | パスカルの言った通り透明な通路を通れば、岩が落ちてくる事はありませんでしたね |
| アスベル | ああ。このまま、扉の先へ進もう |
| アイゼン | 待て、ルカ |
| ルカ | どうしたの?早く頂上に行かないと… |
| アイゼン | 一人で魔物に突っ込んでいくのはお前らしくない。…何を焦っている |
| ルカ | …っ |
| ルカ | …どんなに心が強い人でも瘴気の影響を受けないとは言い切れない… |
| ルカ | スパーダ達が傷付いた後でヘルダルフを倒しても、意味がないんだ…! |
| アイゼン | …… |
| ルカ | 目的を成し遂げるために、仲間を犠牲にするなんて、そんなの── |
| ルカ | 平和を実現するために集落を捨てたヘルダルフと同じじゃないか |
| ルカ | だから、少しでも早く頂上に行って、瘴気を消さないと… |
| アイゼン | あいつらは犠牲になったわけじゃない |
| ルカ | え… |
| アイゼン | お前に思いを託して、背中を押したんじゃないのか |
| アイゼン | 仲間を信頼する事が強さだと言ったのは、お前自身だろう |
| ルカ | …! |
| ルカ | …そう、だね。わかってたはずなのに…焦りすぎてたのかな |
| アイゼン | 焦りは視界を曇らせる。一人で抱え込もうとするな |
| ルカ | うん。ありがとう、アイゼン |
| | |
| アリーシャ | みんな、これを見てくれ。カタグラフィが落ちていた |
| パスカル | やっぱり誰かが意図的にカタグラフィを置いていってたみたいだね |
| アスベル | ああ。ヘルダルフに関する新しい情報が得られるかもしれない。再生しよう |
| | |
| 集落の男1 | なあ、聞いたか?あの噂… |
| 集落の男2 | ああ…ヘルダルフが率いてた隊にいた奴らの事だろ? |
| 集落の男2 | 次々に死んでるって話じゃねえか |
| 集落の男1 | そうなんだよ。頭がイカれて病に伏せたり、魔物に襲われて死んじまったり… |
| 集落の男1 | あいつの周りにいた奴らはみんな、悲惨な末路をたどってるんだよ |
| 集落の男1 | みんな、噂してるぜ。きっと、ヘルダルフに見捨てられた集落の奴らが祟ってるんだ、ってよ |
| 集落の男2 | おー、怖い。あいつにはもう関わりたくないぜ |
| 集落の男2 | …そう言えば最近ヘルダルフの姿を見なくなったな |
| 集落の男1 | あいつの家族や、友人にも祟りの影響が出たらしくてよ |
| 集落の男1 | それからは、人里離れた場所で一人暮らしてるって話だぜ |
| 集落の男2 | ありがてえ。このままずっと姿を現さずにいてくれる事を願うぜ… |
| | |
| アリーシャ | どうやら、ヘルダルフの周りにいた人々が次々に不幸に見舞われたようだな… |
| パスカル | たぶん、この映像が撮られたのはヘルダルフに呪いがかけられた後なんじゃないかな |
| ルカ | 呪いの影響で、家族や友達にも不幸が降りかかったって事…? |
| アイゼン | 関わった人間に被害が及ぶ事を恐れて人里離れた場所で一人隠居したんだろう |
| エレノア | 人との関わりを絶たなければ不幸を招く、永遠の孤独の呪い…恐ろしいものですね |
| ルカ | 誰にも必要とされずに永遠に生きるなんて…寂しい、よね… |
| ロイド | …… |
| アスベル | …だからといって、世界を壊していい理由にはならない |
| アリーシャ | ああ、彼を止めなくては。今は塔を上る事を最優先に考えよう |
| ロイド | そうだな。それに他のカタグラフィを見つければ、もっと…あいつの事がわかるかもしれない |
| ルカ | そうだね。次の部屋に行こう |
| scene1 | 襲い来る水魔 |
| ロイド | でっかい穴だな~ |
| パスカル | これも何かの仕掛けだろうね。この穴以外、他に変わったものもないし |
| アイゼン | …見ろ、上の方に扉がある |
| ルカ | 本当だ…。転移装置があった部屋と同じで、階段やはしごはないみたいだね |
| エレノア | ざっと見渡しても、この部屋には転移装置が見当たりませんね |
| アリーシャ | ああ。何か他に、上へ登るための方法を探すしかないようだな |
| アスベル | …みんな、見てくれ。この穴、下の方に水が溜まっているみたいだ |
| ロイド | 水か… |
| ロイド | …!パスカル、これ! |
| パスカル | どうしたの?ロイド |
| ロイド | ここの床に描かれてる絵、見た事ないか? |
| パスカル | …!湖の遺跡にあったのと同じ絵だね |
| アリーシャ | なるほど、この仕掛けがあれば…。よく気付いたな、ロイド |
| ロイド | たまたまだけどな |
| エレノア | 床の絵が、何かの目印なんですか? |
| パスカル | 湖の遺跡に、水位を上昇させる仕掛けがあったんだ |
| パスカル | この絵が描かれている床が仕掛けを起動させるスイッチになってたんだよ |
| エレノア | なるほど…。穴の下から扉がある場所まで水位を上昇させるんですね |
| アスベル | 水の浮力を使って扉がある場所まで移動するのか |
| パスカル | そういう事!このスイッチを押せば穴の中に水が放たれて水位が上昇するはずだよ! |
| アイゼン | …… |
| ルカ | …アイゼン?どうかしたの? |
| アイゼン | いや、大した事じゃない |
| ルカ | そう…? |
| アリーシャ | ──本当にスイッチを押せば水位が上がるのか、試してみよう |
| パスカル | 了解!ポチっとな! |
| | カチッ! |
| | ドドドドドドド…! |
| ルカ | やった…!水が出てるよ |
| アイゼン | どんどん水位が上がって来るな |
| パスカル | よーし!このまま一気に扉の前まで上っちゃおう! |
| | |
| | ドド…ド… |
| アリーシャ | 放水が止まったようだ |
| パスカル | あれ?おかしいな…扉がある場所まで浮いていくには、まだ水位が足りないんだけど… |
| ロイド | もう一度スイッチを押してみようぜ。水が出るかもしれないし |
| アイゼン | 待て!あれを見ろ…! |
| | |
| | シャアア! |
| エレノア | 水の中に、魔物が…! |
| | バシャァァアアン! |
| ルカ | 飛び出してきた…!みんな、構えて! |
| アスベル | 他にも水の中に何匹かいるようだ。油断するな! |
| scene2 | 襲い来る水魔 |
| パスカル | ──スプレッド! |
| | シャアア! |
| | バシャンッ! |
| アイゼン | ちっ!水に潜ったか |
| ロイド | どこに行ったんだ!? |
| | バシャァァアアン! |
| アリーシャ | くっ……!いつの間に… |
| | ガキィィン! |
| アリーシャ | この…!──はああああ! |
| | バシャァァアアン! |
| アスベル | また、水の中に…! |
| アイゼン | 地の利は向こうにある。このままだと、消耗戦になるぞ |
| ルカ | …… |
| ルカ | 水の中にいる魔物を、一度に倒す方法…。そうだ、これなら… |
| ルカ | みんな!力を貸して…! |
| アリーシャ | 何か策があるのか? |
| ルカ | うん。水の中に電撃を放てば、魔物を感電させる事が出来るはずだよ |
| エレノア | なるほど…!いい作戦ですね |
| アイゼン | 一度に魔物を仕留めるには床に上がって来た奴を水の中に戻す必要があるな |
| | バシャァァアアン! |
| ロイド | とにかく、こいつらを水の中に落とせばいいんだな! |
| ルカ | うん!手分けして、魔物達を退けよう! |
| scene3 | 襲い来る水魔 |
| ルカ | ──弧月双閃! |
| | ギャオオオ! |
| | バシャァァアアン! |
| ルカ | 今だよ、みんな! |
| ロイド | 雷破斬! |
| アリーシャ | 逆雲雀! |
| アスベル | 雷斬衝! |
| エレノア | 雷牙轟閃! |
| | バチバチバチバチィ |
| | ギャオオオオオ… |
| パスカル | やった…! |
| アスベル | 倒せたようだな。ルカの作戦のお蔭だ、ありがとう |
| ルカ | ううん。みんなが協力してくれたから、倒せたんだよ |
| アリーシャ | 後は水位を上げるだけだが… |
| パスカル | もう一度、スイッチを押してみるよ |
| | カチッ! |
| | ドドドドドドド…! |
| ロイド | よし!水が出て来たぜ |
| パスカル | 水位が二段階で上昇するように設定されてたみたいだね |
| ルカ | 魔物を倒してもう一度スイッチを押すのが正しい手順だったって事かな |
| エレノア | 後は水の浮力を使って上に行くだけですね |
| | |
| アイゼン | …… |
| アリーシャ | …どうかしたのか?アイゼン |
| アイゼン | …… |
| ルカ | もしかして…泳げない、とか… |
| アイゼン | …地の天族は水に浮かない。生まれ持った性質だ |
| ルカ | ええっ。本当に泳げないの!? |
| ロイド | アイゼン、海賊だろ?海に出るのは危なくないのか? |
| アイゼン | 俺は水に…属性という宿命などに負けたくはない |
| エレノア | でも、泳げないんですよね? |
| アイゼン | …いずれ、水を克服する |
| アリーシャ | そんな悠長な事は言っていられないだろう…! |
| ルカ | そうだよ、アイゼン!今、何とかしないと溺れちゃうんだよ…! |
| パスカル | そういう事なら、あたしの出番だね! |
| パスカル | えっと、確かここに… |
| | ごそごそ… |
| アイゼン | …? |
| パスカル | じゃーん!取り出しましたるこの自動膨張救命機! |
| エレノア | 自動膨張救命機…? |
| パスカル | 見てて。これを水の中に投げ込むと… |
| | バシュンッ! |
| ロイド | うわっ!?一瞬で膨らんだ!? |
| パスカル | 装置が水に触れるとセンサーが着水を感知して、即座に膨張する仕組みなんだ~! |
| パスカル | 船から落ちた人を助ける時なんかに使えると思って発明したんだよね |
| アスベル | つまり浮き輪だな |
| パスカル | これがあれば、アイゼンも浮けるでしょ? |
| アイゼン | …この形はどうにかならなかったのか |
| パスカル | え?何で? |
| パスカル | バナナ型、気に入らない? |
| アイゼン | …… |
| パスカル | 問題なさそうだね! |
| アイゼン | …… |
| ロイド | よし、このまま扉の前に行こう! |
| | |
| ルカ | ついた…! |
| アリーシャ | ふぅ…。何とか無事にここまで来られたな |
| パスカル | アイゼン、どうだった?自動膨張救命機、役に立ったでしょ? |
| ロイド | バナナに乗ってるアイゼン、なかなか様になってたぜ! |
| アイゼン | …先へ進むぞ |
| パスカル | あ、待って!今後の研究の参考に乗り心地を教えてよ~! |
| | |
| ルカ | …かなり上って来たね |
| アリーシャ | ああ。あと少しで頂上だ |
| アリーシャ | 一刻も早くヘルダルフを倒して瘴気を消し去らなくては |
| ロイド | みんな、こっちに来てくれ!カタグラフィが落ちてたんだ |
| エレノア | やはり、ここにも残されていたんですね |
| アイゼン | 再生するぞ |
| | |
| 集落の長 | …ここに、いたのか |
| 兵士1 | 長がヘルダルフ様を捜しておられたので、お連れしました |
| ヘルダルフ | …そうか |
| ヘルダルフ | …すまなかった。ワシの判断でお前の集落を… |
| 集落の長 | 謝罪の言葉はいらぬ。ほしいのは、償いだ |
| | チャキッ… |
| 兵士1 | …!お待ちくださ…! |
| | グサッ |
| ヘルダルフ | う…ぐ…!? |
| 兵士1 | ヘルダルフ様!! |
| ヘルダルフ | 何故…。何故、死なぬ… |
| 集落の長 | はは…はははは!…お前が何度死のうと、お前の罪は洗い流せん |
| 集落の長 | 私はお前に、永遠の孤独の呪いをかけた |
| 集落の長 | 呪いはお前に永遠の命を与え、お前に関わる全ての者を不幸にするだろう |
| 集落の長 | 愛する者を失って絶望しても、自ら命を絶つ事すら出来ぬ |
| ヘルダルフ | 馬鹿な… |
| 集落の長 | 地獄のような苦しみの中で、見捨てていった集落の者達に懺悔せよ |
| ヘルダルフ | …… |
| 集落の長 | …ああ、伝えるのを忘れていたな。その呪いは、お前の心身をも蝕む |
| 集落の長 | じきに敵味方の区別なくすべてを壊そうとする理性なき獣になるだろう |
| ヘルダルフ | …! |
| 集落の長 | 島の英雄は島の敵となり、住民達に討伐される事になる |
| 集落の長 | 憎しみの刃に貫かれながら、絶望に溺れるがいい!集落で死んでいった者達と同じように |
| ヘルダルフ | この…! |
| | ザシュッ! |
| 集落の長 | ぐ、うぅ… |
| | ドサッ |
| 兵士1 | お止めください!ヘルダルフ様! |
| ヘルダルフ | ──煩い。去ね |
| | ザシュッ! |
| 兵士1 | ヘルダルフ…さ… |
| | ドサッ |
| ヘルダルフ | …… |
| | ザシュッ!ザシュッザシュッ…… |
| ヘルダルフ | …? |
| ヘルダルフ | …!ワシは、何を…。この姿は… |
| 集落の長 | …… |
| 兵士1 | …… |
| ヘルダルフ | ワシが、殺したのか… |
| ヘルダルフ | …ふっ、ははは…。はははははははは |
| | |
| アスベル | …永遠の孤独の呪いは、ヘルダルフの理性も奪っていったんだな |
| アリーシャ | ああ… |
| アイゼン | 仲間に手をかけた事で、心身ともに変容したんだろう |
| パスカル | …何だか、悲しいね。ヘルダルフも、集落の長も、みんな… |
| ルカ&ロイド | …… |
| エレノア | ヘルダルフを討伐する事は、彼自身を救う事になるかもしれませんね |
| エレノア | 彼も…理性なき獣のまま生きたいとは思っていないはずです |
| アリーシャ | そうだな。呪いの連鎖を断ち切らなければ… |
| | |
| | ゴゴゴゴゴゴ…! |
| ロイド | 何だ…!? |
| アスベル | 何かが落ちて来るぞ! |
| アリーシャ | あれは…岩の塊だ! |
| アイゼン | 引き返すぞ!この狭さでは術で岩を砕く事もままならん |
| エレノア | わかりました! |
| | ガラ、ガラガラ… |
| ルカ | 階段が…!崩れ始めてるよ |
| パスカル | 老朽化した階段じゃ、岩の重みに耐えられなかったんだよ |
| アリーシャ | 一度外へ出よう!通路を渡って西側の塔に移動すれば、頂上に続く階段があるはずだ |
| アスベル | ああ、わかった! |
| scene1 | 天空の覇者 |
| アスベル | 空が…。禍々しい色だな |
| エレノア | ええ。この辺りは特に、瘴気が濃いようですね |
| アイゼン | 俺達の真上にサフィアがあるからだろうな |
| ロイド | つまり…ヘルダルフがすぐそこにいるって事か |
| アリーシャ | ああ、おそらくそうだろう。ここを渡り切って、西塔の階段を使えば、頂上にたどり着けるはずだ |
| | バサッバサッ |
| パスカル | 何の音だろ? |
| | ギャァアアアア! |
| ロイド | ──上だ! |
| ルカ | あれは…竜!? |
| | |
| | バサッバサッ…ドシン! |
| アリーシャ | 何て威圧感だ… |
| エレノア | 私達の行く手を阻むためにここへ降り立ったようですね |
| アイゼン | この場所を守る番人のようなものか…! |
| | ギャァアアアア! |
| アスベル | …!来るぞ…! |
| ロイド | ようやくここまで来たんだ。絶対に負けるかよ…! |
| scene2 | 天空の覇者 |
| アリーシャ | ──斬鋼炎旋舞! |
| | ガァアア…! |
| アイゼン | 怯んだ…!畳みかけるぞ! |
| ルカ | うん! |
| アイゼン&ルカ | ──はぁあああああ! |
| | ギャァアアアア… |
| | ドサッ |
| | |
| アリーシャ | はあ、はあ…。倒せた、のか…? |
| パスカル | やったー!これで先に進めるね! |
| ロイド | ああ、行こうぜ! |
| | |
| アイゼン | …!待て、様子がおかしい |
| | |
| | ギャァアアアア! |
| パスカル | そんな…! |
| ルカ | 危ない、パスカル! |
| | ガァアアアッ! |
| ルカ | …ぐっ! |
| パスカル | うう…! |
| ロイド | ルカ!パスカル! |
| ロイド | ──はああっ! |
| | ズバッ!ズバッ! |
| | ギァアアア… |
| アイゼン | …ちっ。あの竜、即座に傷を治す能力があるようだな |
| アリーシャ | そんな…!これではいつまで経っても先へ進めない…! |
| アスベル | …… |
| アスベル | …俺があの竜を引き付ける。隙をみて、みんなは頂上へ向かってくれ |
| エレノア | アスベル…!? |
| ロイド | 馬鹿言うな!おまえをここに置いて行けるわけないだろ! |
| アスベル | このままここであいつと戦っている時間はないはずだ! |
| アスベル | ルークやスパーダの想いを無駄にしないためにも、行ってくれ |
| パスカル | 駄目だよ、アスベル…!こんなに瘴気が濃い場所でダモクレスの剣から離れたら… |
| アスベル | …瘴気に侵された人達は、島の中に沢山いる |
| アスベル | その人達を救うためにも、一刻も早くヘルダルフを倒すべきだ! |
| ルカ | アスベル…! |
| アイゼン | …あいつの決意を無駄にするな。行くぞ! |
| アリーシャ | しかし…! |
| アイゼン | ここで俺達が倒れれば全てが無駄になる。それでもいいのか? |
| アリーシャ | …くっ。わかった… |
| エレノア | …待ってください |
| アリーシャ | エレノア…? |
| エレノア | アリーシャ、私は── |
| | ギャァアアアア! |
| アスベル | お前の相手は俺だ!──はぁあああああ! |
| | ザシュッ! |
| | ギャァアアアア! |
| アスベル | く…っ! |
| エレノア | させません!──ストラッシュ・ドライ! |
| | ギャァアアアア… |
| | |
| アスベル | エレノア…!どうして… |
| エレノア | 私も残ります |
| アスベル | 駄目だ!お前は、みんなと一緒に… |
| エレノア | 今度こそ…最後まで共に戦わせてください |
| エレノア | もう二度と、仲間を置いていくような真似はしたくありません |
| アスベル | …!エレノア… |
| アスベル | ありがとう |
| エレノア | …… |
| アイゼン | あいつの注意が二人に向いている間に廊下を抜けるぞ! |
| ロイド | ああ! |
| アリーシャ | アスベル…エレノア…。必ず、ヘルダルフを倒して瘴気を消し去ってみせる |
| アリーシャ | それまでどうか…持ち堪えてくれ…! |
| | ガァアアアッ! |
| | バサッバサッ |
| エレノア | …!アリーシャ達に気が付いたようですね |
| アスベル | 追わせるわけにはいかない!行くぞ、エレノア! |
| エレノア | はい! |
| アスベル | 決めてやる!──覇道滅封! |
| エレノア | 参ります!──エリアルストラッシュ! |
| | ギャァアアアア…!? |
| アスベル | お前の相手は、俺達だ! |
| エレノア | ここから先へは一歩も進ませません! |
| | 語られなかった歴史 |
| ルカ | この階段を上りきれば、いよいよ頂上だね… |
| アリーシャ | ああ。…ヘルダルフも、そこにいるはずだ |
| パスカル | あたし達が塔を上って来てる事には気付いてるのかな? |
| アイゼン | おそらくな。これだけ派手に動いていれば、勘付かれるだろう |
| ロイド | ん…?あれって… |
| ロイド | …なあ、そこに落ちてるのカタグラフィじゃないか? |
| パスカル | ほんとだ!頂上に近いこんな場所にまで落ちてるんだね |
| ルカ | もしかしたら…これを置いていった人は、僕らにヘルダルフの事を知ってほしかったんじゃないかな |
| アイゼン | 何故、そう思う? |
| ルカ | 塔に置いてあったカタグラフィは全部、ヘルダルフに関係する記録を集めたものだったから… |
| ルカ | 島のどこにも残されてなかったヘルダルフの情報を、意図的に残そうとしたんじゃないかな |
| アリーシャ | 確かに…そうとも考えられるな。真意はまだわからないがこのカタグラフィも、再生してみよう |
| | |
| 兵士3 | 危ない、避けろ…! |
| | ガァアアアッ! |
| 兵士1 | うぐうう!? |
| アスラ | ──はあああああ! |
| | ザシュッ! |
| | ギァアアア… |
| アスラ | 大丈夫か? |
| 兵士1 | アスラ、様… |
| アスラ | …傷が深い。あまり話すな |
| 兵士1 | 自分の事は、自分が一番よくわかっています…。私は、もう… |
| アスラ | …… |
| アスラ | 何か言い残す事はあるか |
| 兵士1 | ヘルダルフ、さまを…救ってください |
| アスラ | 何…? |
| 兵士1 | 私は、かつて…この命を…ヘルダルフ様に…救われました… |
| 兵士1 | それからずっと傍であの方の戦いを見て来た… |
| 兵士1 | 集落を見捨てたヘルダルフ様の選択は…間違っていたと思い…ます… |
| 兵士1 | けれど、あの方は決して…冷酷で、無慈悲な人間ではなかった… |
| アスラ | 戦に勝つために、集落の人間達を犠牲にしたにも関わらず、か…? |
| 兵士1 | あの方は伝令を送り…集落の人々を…避難させようとしていました |
| アスラ | …! |
| アスラ | 伝令を送ったという話は、偽りではなかったと言うのだな? |
| 兵士1 | はい。この島にはまだ…ヘルダルフ様を…救いたいと願う者が残っています… |
| 兵士1 | 必ず、彼らがあの方を救う方法を、探し出してくれる… |
| アスラ | いいだろう。おまえの言葉の真偽を確かめると約束する |
| アスラ | 命を落とす前の人間が嘘をつくとは思えないからな |
| 兵士1 | ありがとう、ございます |
| 兵士1 | うっ…げほっごほっ |
| アスラ | しっかりしろ…! |
| 兵士1 | ああ…出来る事なら、呪いを解きあの方を…お救い、したかった… |
| | ガクッ |
| アスラ | …逝った、のか |
| アスラ | おまえのような奴がいると知れば…あの男も、真に孤独ではないと気付けただろう |
| アスラ | …安らかに眠れ。おまえの願い、確かに聞き届けた |
| | |
| ルカ | …呪いが掛けられた後もヘルダルフを慕っていた人がいたんだね |
| ロイド | ああ。カタグラフィを置いていった奴は、俺達にこれを知らせたかったのか? |
| ルカ | たぶん、これは…ヘルダルフを討伐するために塔を上る人達に向けた手紙みたいなものなんだと思う |
| ルカ | ヘルダルフを救いたいと思う気持ちを映像に託して、未来に繋げようとしたんだよ |
| パスカル | この映像を見てて気付いたんだけど、もしかしたら、ダモクレスの剣はヘルダルフを倒すためじゃなく── |
| パスカル | ヘルダルフを助けるために、作られた剣なんじゃないかな |
| パスカル | 映像の中で、ヘルダルフを救う方法を探してる人がいるって話してたしね |
| アイゼン | ダモクレスの剣には殺傷力がない。その剣は、サフィア由来の力を吸収するために作られたものだ |
| アイゼン | ヘルダルフの呪いを解くために作られた剣だとしたら、その性能も頷ける |
| アリーシャ | 伝令を放ったという話は、本当なのだろうか… |
| アイゼン | その話が真実ならば何らかの原因で伝令が届かなかった事になるな |
| ルカ | もし伝令が届いてたら…ヘルダルフと集落の長が憎しみ合う事はなかったよね… |
| ロイド | ああ。二人共、島の人達を守りたいって気持ちは同じだったはずだからな… |
| ルカ | …僕、みんなに話してなかった事があるんだ |
| パスカル | 何? |
| ルカ | 砂の部屋にいた時、エルピスの塔を上ってた時の、アスラの記憶を見たんだ |
| ルカ | ヘルダルフを討伐するために塔を上ってたアスラも、仲間を失う痛みを抱えてた… |
| ルカ | アスラは、兵を率いる者として、ヘルダルフが感じていた苦悩を理解してるみたいだった |
| ルカ | 仲間を救いたいと思うあまり、誤った選択をしたんじゃないかって… |
| アリーシャ | 確かに…焦りは時に人の判断力を鈍らせる |
| ロイド | …俺だって、目の前で仲間が死んでいくのなんて耐えられない |
| ルカ | うん… |
| ロイド | ──なあ、みんな。俺…出来る事なら、ヘルダルフを助けたい |
| ロイド | ダモクレスの剣で呪いを解けば、あいつも…正気に戻るかもしれないんだろ? |
| アリーシャ | ロイドの気持ちはわかる。だが…強敵を相手に、呪いを吸収する隙を作るのは至難の業だ |
| アイゼン | そうだな。殺す気で立ち向かっても押し負けるような相手なら、逆に隙を衝かれてやられる事になる |
| ロイド | それでも…!少しでも可能性があるなら、その可能性に賭けてみたいんだ |
| ルカ | ロイド… |
| パスカル | あたしも、サフィアが原因で不幸になった人がいるなら、別の技術で助けたいと思うよ |
| パスカル | それが、ダモクレスの剣を作った研究者達の願いだと思うしね! |
| ルカ | …そうだね。ヘルダルフが本当に伝令を出したのかは確かめる術がないけど── |
| ルカ | 偉大な指揮官だった事は確かだと思うんだ |
| アリーシャ | ああ…。死ぬ間際まで部下の兵士が彼を心配していた姿からも、それが伝わってくる |
| ルカ | うん。だから…僕も、ロイド達と同じ気持ちだよ。助けられるなら、助けたい |
| ルカ | アスラが本当に成し遂げたかった事はヘルダルフを倒す事じゃなくて… |
| ルカ | 救う事だったんじゃないかって今は思うから |
| アイゼン | …危険を承知で可能性に賭けるならまずは奴に正気を取り戻させるべきだろう |
| アイゼン | 倒すかどうかは、その後の行動次第で決めればいい事だ |
| アリーシャ | そうだな。まずはダモクレスの剣でヘルダルフの呪いを解こう |
| アリーシャ | 難しい戦いになるだろうが私達ならきっと、出来るはずだ |
| ロイド | ああ! |
| アイゼン | 俺達の目的は、瘴気を止める事だ。最優先事項は変わらない |
| ルカ | うん、わかってるよ。だけど…救える命があるなら、出来る限り救いたい |
| パスカル | おー!何だか燃えてきたね! |
| アリーシャ | ここまで来たら、悔いが残らないようにやり切るだけだ |
| アリーシャ | そして必ず…生きて戻ろう。誰一人、欠ける事なく |
| ルカ | …うん!行こう、みんな! |
| scene1 | 決意を抱いて |
| ルカ | ここが頂上… |
| アリーシャ | 視界が悪いな…。他の場所より瘴気が濃いようだ |
| パスカル | 奥にあるのがサフィアか~!近くで見ると大きいんだね |
| アイゼン | そんな事より、奴はどこだ |
| | コツ…コツ… |
| アリーシャ | みんな、気を付けろ。…来るぞ |
| | |
| ??? | …この瘴気の中、ここまで上って来るとはな |
| ??? | いつの時代にも邪魔者は存在するらしい |
| ロイド | おまえが… |
| ヘルダルフ | 我が名はヘルダルフ |
| ヘルダルフ | 貴様らの狙いはサフィアか?何の目的もなく塔を上って来たわけではあるまい |
| ルカ | 僕達は、あなたを止めるためにここへ来たんだ! |
| ルカ | 世界が瘴気に覆われるのをただ見ているわけにはいかない! |
| ヘルダルフ | ふ…ふふ… |
| ヘルダルフ | 貴様らのような青二才が本気でワシを止められると?笑止な… |
| ヘルダルフ | ワシは止まらぬ。この世界を瘴気で満たし混沌たる闇に堕とすまで |
| アリーシャ | 何故そんな事をする…!目的は何だ? |
| ヘルダルフ | …与えてやるのだ。全ての種族に、孤独の沼で絶望に浸る苦しみを! |
| アイゼン | …わからんな。お前は、呪いによって生き方を曲げられた |
| アイゼン | 呪いに自分の舵を奪われる…その苦しみを知りながら何故、他人に押し付けようとする |
| ヘルダルフ | …人の業よ |
| ヘルダルフ | 島の繁栄のために、サフィアが生み出された。それこそが、厄災の始まりなのだ |
| パスカル | …… |
| ロイド | 聞いてくれ、ヘルダルフ…!俺達はおまえを倒しに来たわけじゃない |
| ロイド | おまえの呪いを解いて、孤独から解放するために来たんだ! |
| ヘルダルフ | 何…? |
| パスカル | アヴァロン島の人達が残したダモクレスの剣があれば、永遠の孤独の呪いは解けるはずだよ |
| ロイド | この剣は、おまえを救うために作られた。だから── |
| ヘルダルフ | …ふっふっふ |
| ヘルダルフ | はぁーっはっはっは! |
| アイゼン | 何が可笑しい |
| ヘルダルフ | あまりに馬鹿げた事を話すのでな |
| ヘルダルフ | 救いなど…誰が望むものか |
| ルカ | …! |
| ヘルダルフ | 誰もワシから絶望と孤独を奪う事など出来はせん |
| ヘルダルフ | 瘴気を止めたいと願うならば、ワシを殺せ |
| ヘルダルフ | …出来るものなら、な |
| | |
| アリーシャ | これは… |
| ルカ | 瘴気が島の外にも広がっていく…! |
| アイゼン | サフィアを使って、瘴気を拡散させたのか…。あまり猶予はなさそうだな |
| パスカル | そんな…。このままじゃ、世界中の人が瘴気に呑まれちゃうよ |
| ヘルダルフ | さぁ、どうする?痴れ者共よ |
| ヘルダルフ | じきに世界は闇に転じる。貴様らも沈むか?孤独と絶望に |
| アリーシャ | くっ…!早くダモクレスの剣を使って彼の呪いを解こう |
| アリーシャ | そうすれば、瘴気を止める事が出来る |
| ロイド | ああ、そうだな!みんな、いくぞ! |
| ルカ | うん…! |
| ヘルダルフ | ふ、抗うか… |
| ヘルダルフ | 力の差もわからぬとは愚の骨頂よ |
| scene2 | 決意を抱いて |
| ルカ | 魔王炎撃破! |
| ヘルダルフ | 同じ攻撃が何度も通じると思うのか! |
| ロイド | だったらこれはどうだ! |
| ロイド | ──烈風空牙衝! |
| ヘルダルフ | 無駄だ! |
| | バシュウウゥ |
| ルカ&ロイド | うう…! |
| アリーシャ | ルカ!ロイド!大丈夫か!? |
| ルカ | う、うん…。何とか |
| | ピキ…ッ! |
| ロイド | …っ!ダモクレスの剣にひびが…! |
| パスカル | 大量の瘴気を吸収して剣の耐久力に限界がきてるのかもしれないね |
| アイゼン | その様子だとそう長くは持たんな。…次で決めるぞ |
| アリーシャ | ああ。私とアイゼンで奴を引き付けよう |
| ロイド | わかった。隙を狙って、俺が全力でダモクレスの剣を叩き込む! |
| パスカル | あたしとルカはロイドを援護すればいいんだね |
| アイゼン | 半端な攻撃は弾かれる。この一撃に賭けるぞ |
| ルカ | …二人が道をひらいてくれるって信じてるよ |
| アリーシャ | 任せてくれ。必ず、好機を作り出してみせる |
| ヘルダルフ | 力の差を目の当たりにしてもなおまだ抗うか… |
| ヘルダルフ | よほど、命が惜しくないと見える |
| アイゼン | あいつはああ言っているが…。海賊と共に命を落とす事になっても悔やむなよ、アリーシャ |
| アリーシャ | 友の横で倒れると思えば、それほど悪くないよ |
| アイゼン | ふっ…そうだな |
| アイゼン | 行くぞ! |
| | ガキィインッ! |
| ヘルダルフ | ふん、この程度で── |
| アイゼン | 死神を舐めるなよ |
| アリーシャ | 騎士は守るもののために強くあるものだ! |
| | グググ…… |
| ヘルダルフ | ぬ… |
| ヘルダルフ | なるほど。これが貴様らの覚悟か… |
| ヘルダルフ | ──だが、足りんな! |
| | ザシュッ! |
| アリーシャ | うっ… |
| アイゼン | ぐ…! |
| ヘルダルフ | もはや立てまい。終わりだな |
| パスカル | まだだよ! |
| | バシュウッ! |
| ヘルダルフ | ぐ…!? |
| ヘルダルフ | ち、小賢しい… |
| パスカル | 今だよ、ルカ! |
| ヘルダルフ | なっ…、後ろか…! |
| ルカ | 僕がつないでみせる…みんなが切り開いてくれた道を! |
| ルカ | はああっ! |
| | ザシュッ! |
| ロイド | ヘルダルフ…今、おまえを解放してやる! |
| ロイド | ──でやあああっ! |
| | |
| ヘルダルフ | ぐああっ…! |
| パスカル | やった…!ヘルダルフが纏ってた瘴気が、薄れていくよ! |
| ヘルダルフ | …… |
| ルカ | あの姿は…!呪いが、解けたんだ…! |
| | ピキ…ピキピキ… |
| ロイド | …!ダモクレスの剣が… |
| | |
| | パアア… |
| ルカ | 光になって消えていく… |
| | |
| アリーシャ | う… |
| アイゼン | 立てるか?肩に腕を回せ |
| アリーシャ | ありがとう、アイゼン… |
| アリーシャ | ロイド達は、やったのか? |
| アイゼン | ああ。見ろ、瘴気が… |
| | |
| | |
| パスカル | 視界が開けていくよ! |
| ルカ | 眩しい…。こんなに空が近かったんだね |
| ヘルダルフ | はあ…はあ…馬鹿な… |
| ヘルダルフ | 何故…奪った… |
| ロイド | ヘルダルフ…? |
| | |
| ヘルダルフ | 救いなど…助けなどいらぬ。こんな結末は認められるものか |
| ヘルダルフ | ──ワシは止まらぬ!この世界を、闇に堕とすまで! |
| ロイド | くっ…あいつ、サフィアに向かって行くぞ! |
| パスカル | サフィアで世界を壊すつもりなの!?とにかく、止めないと…! |
| ヘルダルフ | 邪魔をするな! |
| | ザシュッ! |
| ロイド | ぐぁっ…! |
| パスカル | うわああっ! |
| アリーシャ | いけない…! |
| アリーシャ | くっ… |
| アイゼン | 無理をするな。今の俺達では、あいつを止められない |
| アリーシャ | しかし…! |
| アイゼン | 大丈夫だ。…見ろ |
| アリーシャ | …! |
| アイゼン | あいつなら、止められる。必ずな |
| ルカ | 止まれ…!ヘルダルフ! |
| ヘルダルフ | 貴様は… |
| ルカ | これ以上、先へは進ませない! |
| ヘルダルフ | …貴様の仲間は誰一人立ち上がれる状態ではない。この状況でどうするというのだ? |
| ルカ | …僕一人でも、あなたを止める |
| ヘルダルフ | ふ…ふふふ… |
| ヘルダルフ | ──愚かな。身の程をわきまえよ |
| ヘルダルフ | 貴様如きに何が出来るというのだ |
| ルカ | 僕は… |
| ルカ | う… |
| | |
| アスラ | はああああ!! |
| | ズバッ! |
| ヘルダルフ | ぐあっ! |
| ルカ | これは…もしかしてアスラの記憶…? |
| ヘルダルフ | く…。ここは…ワシは、何を… |
| アスラ | …おまえは自らの瘴気に呑まれ世界を壊そうとしていたのだ、ヘルダルフよ |
| ヘルダルフ | ワシが… |
| ヘルダルフ | …貴様、名は? |
| アスラ | 我が名はアスラ。世界を覆わんとする瘴気を止めるためアヴァロン島へ来た |
| ヘルダルフ | …そうか。ならば、ワシを殺せ |
| ヘルダルフ | それで、全てが終わる。瘴気も消え去るだろう |
| アスラ | …その前に、一つ聞こう |
| アスラ | 山の集落に伝令を送り、危機を知らせようとしていたという話は本当か? |
| ヘルダルフ | …まことの事よ。だが、伝令は集落にたどり着く前に敵兵に襲われ…死した |
| アスラ | …!それが真相か |
| ヘルダルフ | …我が軍はみな、自らの命を犠牲にしても島を守る覚悟があった |
| ヘルダルフ | いかなる犠牲をおいても平和を実現するのがワシらの役目よ |
| ヘルダルフ | それがまさか、集落の島民を犠牲に平和を得る事になるとはな… |
| アスラ | …… |
| | チャキッ… |
| アスラ | ヘルダルフよ。部下に慕われるおまえは、真の将であった |
| アスラ | 将とは時に孤独なものだ。だが、永遠ではない |
| ヘルダルフ | ふ…同情はいらぬ |
| ヘルダルフ | 殺せ、アスラよ。ワシはもう将ですらない |
| アスラ | …今の俺にはおまえを救う術がない。それでも、希望は残されている |
| ヘルダルフ | 何を…する気だ…? |
| アスラ | この塔で眠れ、ヘルダルフよ |
| アスラ | …必ず、未来におまえを救う者が現われる |
| ヘルダルフ | やめろ…!命など、惜しくはない! |
| ヘルダルフ | ワシを殺せ!それこそが慈悲よ |
| アスラ | 許せ、ヘルダルフ。今はこれ以外、方法がない |
| アスラ | …俺の言葉を信じろ。おまえは…孤独ではない |
| | |
| ルカ | (そうか…。アスラが本当に 成し遂げたかった事は…) |
| | チャキッ… |
| ヘルダルフ | …本当に、貴様一人でワシを止められると思っているのか |
| | |
| ルカ | 僕は…アスラが出来なかった事を成し遂げるためにここへ来た |
| ルカ | だから…止めてみせる。あなたを、救うために! |
| ヘルダルフ | アスラ…そうか、貴様は… |
| ヘルダルフ | …どうしても止めると言うなら今ここでワシを殺せ |
| ヘルダルフ | さもなくば、サフィアを使い貴様の仲間も、世界も…全て破壊する |
| ルカ | …!そんな… |
| ロイド | く…ルカ…! |
| パスカル | うう… |
| ルカ | (僕一人で、ヘルダルフを 止められなかったら…世界も、 仲間も救えないかもしれない…) |
| ヘルダルフ | …やれ。その剣をワシに突き立てた時…世界は救われるのだ |
| ルカ | 確かにあなたの言う通りかもしれない…。でも、僕はやっぱり… |
| ルカ | 世界を救うために、誰かを犠牲にしたりしない! |
| ルカ | あなたより力がなくても…限界を超えて戦うよ! |
| ヘルダルフ | …では雌雄を決するとしよう |
| ヘルダルフ | 貴様の愚かさが多くの犠牲を生むのだ! |
| ヘルダルフ | ──獅子戦吼!! |
| ルカ | ぐううっ! |
| ロイド | ルカ、諦めるな! |
| パスカル | 負けないで…! |
| アリーシャ | 君なら、出来る…! |
| アイゼン | お前の、意志を見せろ…! |
| ルカ | はあ、はあ… |
| ヘルダルフ | まさか… |
| ヘルダルフ | 何故、立っていられるのだ…。どこにそんな力が… |
| ルカ | あなたも、世界も、見捨てはしない!僕は、僕の意志を貫いてみせる! |
| ルカ | はああああああっ! |
| ルカ | ──天を統べる覇者の証!魔王灼滅刃! |
| ヘルダルフ | …! |
| scene1 | 自由な未来へ |
| ヘルダルフ | ぐ…止めを…刺せ…! |
| ヘルダルフ | この命を終わらせろと、そう言ったはずだ…! |
| ルカ | それは出来ない…。僕の願いは、アスラの代わりにあなたを救う事だから |
| ヘルダルフ | ──戯言よ。ワシは…救いなど求めてはおらぬ |
| ルカ | …… |
| アリーシャ | ルカ…! |
| ルカ | アリーシャ!みんなも…ボロボロだね |
| アイゼン | ふ…お前もな |
| ロイド | まさか、一人でヘルダルフに立ち向かうなんてな!ルカはすごいよ |
| ルカ | ううん…僕は、一人じゃなかったよ |
| ルカ | ロイド達が僕を信じて必要としてくれたから、戦う勇気を持てたんだ |
| ルカ | だから、ヘルダルフ…僕は、あなたに知ってほしい |
| ルカ | あなたが、多くの人に必要とされていた事を |
| ヘルダルフ | 今更、何を… |
| パスカル | ルカが言ってる事が嘘じゃないってこれを見たらわかるよ |
| ヘルダルフ | これは…カタグラフィか |
| アイゼン | お前の部下が残した、最後の言葉だ。聞いてやれ |
| ヘルダルフ | …… |
| パスカル | じゃあ、再生するね |
| ヘルダルフ | こんな…事が… |
| ルカ | カタグラフィに映ってた人は、あなたを助けるために命がけで塔を上ったんだよ |
| ルカ | この人以外にも、呪いを解くための方法を探していた人達がいるんだ |
| パスカル | ダモクレスの剣が作られたのも、きっとその人達の働きかけがあったからじゃないかな? |
| ヘルダルフ | まさか… |
| アイゼン | おそらく、塔の中に残されていたカタグラフィも、お前を救いたいと願った誰かが置いていったんだろう |
| アイゼン | 島の記録館にさえ、お前の情報は残されていなかったからな |
| ヘルダルフ | …孤独だと思っていたのは、ワシだけだったという事か |
| ヘルダルフ | 集落を囮にし、民を死なせ、絶望に呑まれた事で部下さえも死に追いやった… |
| ヘルダルフ | ──許し難い、愚かさよ |
| アリーシャ | …誰にでも間違いはある。民を守るために戦った事は、決して愚かじゃない |
| ロイド | そうだよ。間違えたら、やり直せばいい |
| ロイド | 塔に残ってたカタグラフィさえ壊せば、俺達以外誰もおまえの事を知らないわけだしさ |
| ヘルダルフ | …今更、善人にはなれん。ワシは、許されない事をした |
| ロイド | そうだとしても、生きる事から逃げていい理由にはならないだろ |
| ロイド | 許されるかどうかが重要なんじゃない。償おうとする事が大事なんだと思う |
| アイゼン | 山の集落の長は、お前が何度死のうとお前の罪は洗い流せないと言っていたな |
| アイゼン | 死ぬ事で償えない罪なら、生きて償うしかないだろう |
| ヘルダルフ | 生きて…償う… |
| ルカ | アスラが言っていたように…希望は残されてると思うよ |
| ルカ | 僕はこの島に来て、新しい世界を…たくさんの大切な事を知った |
| ルカ | だからあなたに、今の世界を…新しい景色を見てほしい |
| ルカ | そうすればきっと、償う方法も見つかると思うんだ |
| ヘルダルフ | …… |
| ヘルダルフ | ワシを許し、あまつさえ生かそうとするなど…馬鹿な奴らがいたものよ |
| アイゼン | どこへ行く気だ |
| ヘルダルフ | …今は、わからぬ |
| ヘルダルフ | ただ流れて…死に勝る償いとやらを探すとしよう |
| ルカ | …また、会えるかな? |
| ヘルダルフ | さあな。未来は常に見えぬものよ |
| ルカ | …ヘルダルフ。これだけは覚えておいてほしい。あなたは、孤独じゃないよ |
| ヘルダルフ | ふ…またその言葉か。貴様は変わらんな… |
| | |
| パスカル | 行っちゃったね~ |
| アリーシャ | ああ… |
| アイゼン | よかったのか?あいつを行かせて |
| アリーシャ | …構わないよ。誰にでも、やり直す機会は与えられるべきだ |
| アイゼン | …お前も変わったな |
| ルカ | 後は…サフィアをどうするかだね。判断は僕達に任せるって言われたけどパスカルの意見を聞かせて |
| パスカル | う~ん…。残念だけど、サフィアは私達の手に負えないと思うな |
| パスカル | 人の寿命を代償にする物はまずいよ。間違って使っちゃったらシャレにならないもん |
| アイゼン | サフィアを壊す。それでいいんだな? |
| パスカル | うん。厄災が降りかからない内にね |
| アリーシャ | 私もパスカルに賛成だ。それが選ぶべき最善の道だろう |
| ロイド | 決まったな |
| パスカル | …この強度なら、みんなで一斉に力を加えれば壊れそうかな |
| パスカル | ん…?何だろう、これ… |
| ルカ | どうしたの?パスカル |
| パスカル | 台座の部分に、何か書いてあるみたいなんだ |
| ロイド | ほんとだ。「まだ見ぬ明日を生きる人々へ、この輝きを贈る」だってさ |
| アリーシャ | サフィアを作った研究者達が残した言葉だろうか |
| アイゼン | 欲深い人間達が望みをかなえるためにサフィアを巡って戦争を起こしたが… |
| アイゼン | 始まりは研究者達の島を豊かにしたいという純粋な欲求だったのかもしれんな |
| パスカル | …… |
| ロイド | パスカル…本当に壊してもいいのか?これはアンマルチア族が作った物だろ |
| パスカル | …うん、いいんだ。サフィアを作った研究者達も壊す事を望んでると思う |
| パスカル | それに…今は無理でも、人の幸せに繋がる発明品を作って研究者達の想いを引き継いでみせるよ |
| パスカル | サフィアみたいに、技術が人を不幸にする事もあるけど… |
| パスカル | 人を幸福にするのも、技術だと思うからね! |
| アリーシャ | そうだな…。パスカルの言う通りだ |
| ロイド | ヘルダルフの呪いを解けたのも、ダモクレスの剣のお蔭だしな! |
| パスカル | うん!だから…みんなで一気にやっちゃおう! |
| パスカル | ルカが合図して! |
| ルカ | ぼ、僕が…!? |
| アリーシャ | ああ、君が適任だ |
| ルカ | …わかった。じゃあ、いくよ! |
| | |
| ルカ | せーの! |
| | |
| | パリィィィン──ッ |
| scene2 | 自由な未来へ |
| パスカル | ──おーい! |
| ルカ | パスカル…!それにアイゼンも。見送りに来てくれたの? |
| アイゼン | まあな |
| アリーシャ | ありがとう、二人共。姿が見られて嬉しいよ |
| スパーダ | おまえらは島に残るのか? |
| パスカル | うん。もう少しここで、研究を続けようかなって |
| パスカル | 弟くんもまだ島にいるらしいし! |
| アイゼン | 俺はすぐにでも島を出るつもりだ |
| ルーク | なら、ここで一緒に船に乗ればいいだろ |
| アイゼン | 海賊が白昼堂々港から出る船に乗ると思うか? |
| ルーク | じゃあどうするんだよ |
| アイゼン | 島に来た時に乗っていた小舟がある。適当な場所で海賊船と合流するつもりだ |
| パスカル | え~、小舟で大丈夫?アイゼン泳げないよね? |
| パスカル | あ、そうだ!自動膨張救命機、貸そうか? |
| アイゼン | いらん |
| エレノア | ふふっ、賑やかですね。…みなさんと離れると思うと少し寂しいです |
| アスベル | 俺も同じ気持ちだ。でもきっと…またすぐに会えるさ |
| ロイド | ああ!平和になった今ならどこの国だってすぐに行ける |
| ロイド | いつだって道は開かれてるんだ…俺達の前に! |
| アリーシャ | そうだな。気持ち一つで世界は繋がる |
| アリーシャ | 離れていても、私達が友である事に変わりはない |
| エレノア | ええ、その通りですね |
| ルーク | よし。それじゃあ、そろそろ行こうぜ |
| パスカル | またね、みんな!次に会う時までに解析機でアイゼンを可視化しとくから! |
| アイゼン | 勝手に決めるな |
| アイゼン | …風や天候で海は表情を変える。目的地に着くまで、気は抜くなよ |
| エレノア | はい。…みなさんと島で過ごした日々は何があっても忘れません |
| アリーシャ | ありがとう、みんな。君達と出会えた事を…誇りに思うよ |
| ロイド | シルヴァラントに来る事があったら会いに来てくれよな! |
| ロイド | コレットも、またみんなに会いたがってたしさ |
| ルーク | キムラスカに来た時も、顔出してけよ! |
| アスベル | ああ、勿論だ。みんな、元気でな |
| アスベル | 次に会う時はこの島で過ごした日々の記憶を思い出話として語り合おう |
| スパーダ | それもいいかもな。おまえ達とは気が合って楽しかったぜ |
| ルカ | 僕、みんなに会いに行くよ。必ず! |
| ルカ | それまで…バイバイ! |
| | |
| アイゼン | 思っていたより島を出るのが遅くなったな |
| アイゼン | まあ…それも悪くはなかったが |
| アイゼン | …? |
| アイゼン | (誰もいない、か…) |
| アイゼン | (誰かに呼ばれたような 気がしたが…) |
| アイゼン | …気のせいか |
| エドナ | …… |
| エドナ | またね、お兄ちゃん |
| エドナ | …いってらっしゃい |
| | |
| スパーダ | 見ろよ、ルカ。アヴァロン島がどんどん遠ざかっていくぜ |
| ルカ | 本当だ…。あっという間にア・ジュールに着きそうだね |
| ルカ | …ありがとう、スパーダ |
| スパーダ | 急にどうしたんだよ? |
| ルカ | スパーダが応募してくれなかったら僕は調査隊に入ってなかった |
| ルカ | 最初はどうなるかと思ってたけど…。今なら言えるよ。僕は、島に来られてよかった |
| スパーダ | 俺もそう思うぜ |
| スパーダ | あのヘタレなルカが、ここまで変わっちまうなんてな |
| スパーダ | イリアが驚くんじゃねーか? |
| ルカ | そんなに変わったかな…?自分では、よくわからないけど |
| ルカ | でも…この島に来たからこそ経験出来た事がたくさんあったと思うんだ |
| ルカ | 家を出ていなかったら、僕は何も知らないままだった |
| ルカ | 仲間と一緒に冒険する楽しさも、新しい景色を見た時のワクワクも |
| ルカ | 新しい事を始めるのはいつだって少し不安だけど… |
| ルカ | 一歩踏み出す勇気があれば僕らは何だって出来るんだ |
| スパーダ | ああ、そうだな |
| ルカ | (あの人は… 今頃何をしてるんだろう) |
| | |
| ヘルダルフ | …… |
| 露店の主人 | ん…?あんた、見ない顔だな |
| 露店の主人 | 観光かい? |
| ヘルダルフ | …そのようなものだ |
| | バサ… |
| | |
| ヘルダルフ | …… |
| ヘルダルフ | (アスラ… お前の言う希望とは、 眩しいものよ) |
| ヘルダルフ | (この眩しさに負けぬよう ワシは罪を償う旅に出よう) |
| | |
| ルカ | (ヘルダルフが新しい人生を 前向きに生きられるといいな…) |
| ルカ | (アヴァロン島の人達が 必死に繋いだ未来だから) |
| ルカ | スパーダ。僕ね、家に帰ったらもう一度ちゃんと父さんと話そうと思うんだ |
| ルカ | 医者になる…それが、僕が進むと決めた道だから |
| スパーダ | 言うじゃねえか。頑張れよ |
| ルカ | うん! |
| | バサッバサッ |
| | |
| ルカ | あ… |
| スパーダ | 鳥か。気持ちよさそうに飛んでんな |
| ルカ | どこに行くつもりなんだろう |
| スパーダ | さあな。あいつが行きたいところに飛んでいくだろ |
| ルカ | …そうだね |