| Name | Dialogue |
| scene1 | 決意を胸に |
| ??? | 君は…誰なんだい? |
| ソフィ | わたしはソフィ…。あなたは…? |
| リチャード | 僕は…リチャードだ |
| ソフィ | リチャードはここで何をしているの? |
| リチャード | 友人の事を考えていたんだ |
| リチャード | その人は僕にとってたった一人の親友でね…ここはそんな彼と、永遠の友情を誓った場所なんだよ |
| ソフィ | そのお友達は今どうしているの? |
| リチャード | …死んだ。僕のせいで… |
| リチャード | こんなつもりじゃなかった。僕が望んだのは、こんな世界じゃなかった。それなのに… |
| ソフィ | …リチャード、かわいそう |
| ソフィ | じゃあわたしが、その人の代わりに、リチャードの友達になるよ |
| リチャード | ソフィ…ありがとう… |
| | |
| ??? | ソフィ… |
| ??? | ソフィ…? |
| ??? | おい、ソフィ! |
| | |
| ソフィ | あ… |
| ソフィ | カイル…リアラ…ジューダス… |
| カイル | ソフィ、ぼーっとしてちゃダメだよ。これからが、正念場なんだから |
| リアラ | 念のため、これからの手順を、もう一度確認するわよ |
| リアラ | 今からわたし達は、王都バロニアの地下神殿に向かい、そこから過去の世界へ飛ぶ |
| リアラ | そしてウィンドル国王のリチャードが、星のカケラを集めるのを阻止するの |
| ジューダス | あの男が世界をこんな風に、暗黒に包んでしまう前にな |
| カイル | オレ達は二度と、元の世界には戻れないかもしれない。それでも、やるしかないんだ |
| ソフィ | …うん。わかってる |
| ジューダス | おしゃべりはそこまでだ。早く行くぞ |
| scene2 | 決意を胸に |
| ジューダス | 地下神殿へは、あともう少しで到着するはずだ |
| ソフィ | … |
| カイル | あれ?ソフィ、剣を持って来たのか?戦う時、ソフィは剣を使わないのに |
| ソフィ | あ、うん。これは… |
| リアラ | リチャードからもらった物なのよね |
| ソフィ | ううん…もらったんじゃない。預かっただけ |
| | |
| リチャード | う、うう…う… |
| ソフィ | リチャード!しっかりして、リチャード! |
| リチャード | ソフィ…近付くな…僕に近付いては駄目だ…さもないと僕は君を… |
| リチャード | ソフィ…こんな僕を友と呼んでくれた君には本当に感謝している…だからどうか…この剣を… |
| リチャード | うわあああああ! |
| ソフィ | リチャード!リチャード!! |
| | |
| カイル | ソフィ?またぼーっとしてるよ |
| ソフィ | ごめんなさい… |
| ジューダス | …こんな調子では役に立たない。ソフィは置いていくべきだ |
| カイル | 今更、何を言ってるんだよ、ジューダス |
| ジューダス | 彼女はリチャードに対する思い入れが強すぎる。そんな事では、いざという時に決断が鈍る恐れがある |
| リアラ | ソフィ…どうなの?あなたの正直な気持ちを聞かせて |
| ソフィ | わたしは… |
| ソフィ | 今のリチャードでも、過去のリチャードでもいいから、もう一度ちゃんと話がしたい |
| ソフィ | こんな風に世界を闇に包むのはもうやめてって |
| ソフィ | リチャードがもし話を聞いてくれなかったら…その時は… |
| ソフィ | もう迷わない |
| ジューダス | 覚悟はできているのだな?…どんな結末になるとしても |
| ソフィ | …うん |
| ジューダス | …いいだろう。その言葉、忘れるなよ |
| | ギャオオオオ! |
| カイル | 魔物だ! |
| ジューダス | 魔物に用は無い!蹴散らすぞ! |
| scene3 | 決意を胸に |
| カイル | ここが地下神殿か… |
| リアラ | 思った通りだわ。この辺りはまだ、マナの残留濃度が高い |
| リアラ | これだけマナがあれば、わたしの力で、皆を過去に転移させる事ができるはずよ |
| カイル | へえ、すごいな!さっすがリアラ! |
| リアラ | そうでもないわ。本当に凄かったら、わざわざここまで来なくても、転移はできたはずだから… |
| ジューダス | マナとは生命が持つエネルギー…昔はそれこそ、世界中に、マナが満ちていたそうだからな |
| カイル | 世界中で、そのマナが減っちゃったのも、リチャードのせいなんだろ?とんでもない話だよな… |
| ソフィ | … |
| ジューダス | ではリアラ、転移の準備を始めてくれ |
| リチャード | 反逆者はここにいるはずだ。何としても見つけ出し、捕らえよ! |
| ソフィ | リチャードの声! |
| カイル | オレ達を追ってきたのか! |
| ジューダス | くっ…!奴らは僕達が食い止める。リアラは早く転移を! |
| リアラ | わかったわ! |
| ウィンドル兵 | いたぞ!反逆者だ! |
| ソフィ | …! |
| ウィンドル兵 | 反逆者は全部で4名だ。挟み撃ちにして捕えろ!殺しても構わん! |
| カイル | くそっ、やられてたまるか!何としてもオレ達は、過去へ行くんだ! |
| ジューダス | リアラ、まだか!? |
| リアラ | 準備ができたわ!みんな、わたしの近くへ! |
| | キイイイイイン! |
| ウィンドル兵 | な、何だこいつら!?いきなり光り出して…あ、陛下! |
| リチャード | 逃げようとしても無駄だ、お前達!これでも食らえ! |
| | ドゴオオオオオッ! |
| ソフィ | きゃああああっ! |
| カイル | ソフィ、大丈夫!? |
| リアラ | 大変…!ソフィとの距離が遠すぎてこのままだとソフィをうまく転移させる事ができないわ…! |
| ジューダス | 何だと? |
| リアラ | ソフィ!早くこっちへ…! |
| | フイイイイイイイイイン! |
| ソフィ | あ……あああああっ! |
| カイル | ソフィ! |
| リアラ | ソフィーッ! |
| scene1 | 過去へ |
| | ザザ…ザザ… |
| | ザザザ… |
| ソフィ | う…うう… |
| ソフィ | … |
| ソフィ | ここは…どこ…? |
| ソフィ | … |
| ソフィ | わたしは…誰…? |
| | |
| ??? | ねえねえ! |
| ソフィ | …! |
| | ドゴオッ! |
| ??? | ぐぼはあ! |
| ソフィ | あ… |
| ??? | いや~、ナイスパンチ!身体小さいのに、強いんだね! |
| ??? | あたしの事なら心配いらないよ。こう見えても頑丈だから |
| ??? | それより、さっき何したの? |
| ??? | 何もないとこから、突然ば~っと光って出て来たよね? |
| ソフィ | え…? |
| ??? | もしかして転送装置の一種?でもちょっち違うような…ここにはそもそも装置なんてないし |
| ソフィ | え…あ… |
| ??? | どういう仕組みなのかな? |
| ??? | もったいぶらないで教えて!お願い! |
| | グオオオオッ! |
| ソフィ | あれは… |
| ??? | げっ、さっきの魔物!まいたと思ったのに! |
| | ガアアアアッ! |
| ??? | ひいい、まだ怒ってる! |
| ??? | だからさっきのは、わざとじゃないんだってば~! |
| ソフィ | … |
| ソフィ | …行っちゃった |
| ソフィ | わたし…これからどうすればいいんだろう… |
| scene2 | 過去へ |
| ソフィ | … |
| ??? | あれ、さっきの子だ。お~い! |
| ??? | いや~、まいったよ。さっきあの魔物が昼寝してる時に、うっかり足を踏んづけちゃってさ |
| ??? | そしたら怒ったのなんの。ず~っと追っかけてくるんだもん |
| ??? | まあそれはいいとして |
| ??? | さっきの仕組み、教えて? |
| ソフィ | わからない… |
| ??? | わからない…? |
| ??? | ちなみにどこから来たの?見慣れない顔だけど |
| ソフィ | それも…わからない |
| ??? | あらら。んじゃ、名前は? |
| ソフィ | 名前…わたしの名前は… |
| ソフィ | …そう、ソフィ。確かソフィだったはず… |
| ??? | ソフィか~。かわいい名前だね |
| パスカル | あたしはパスカル!よろしくね、ソフィ |
| ソフィ | う… |
| パスカル | ど、どうしたの? |
| ソフィ | 何かを思い出そうとすると…頭が割れるように痛くなって… |
| パスカル | ソフィ、もしかして… |
| パスカル | とにかく、休んだほうがよさそうだね。顔色も悪いし |
| パスカル | この近くに、あたしが世話になってるシーブル村があるから、ひとまずそこへ行こう? |
| ソフィ | うん… |
| パスカル | よっしゃ。それじゃ… |
| | グオオオオッ! |
| ソフィ | あの魔物… |
| パスカル | うわ、また来た!?いい加減しつこ過ぎるって! |
| scene1 | 記憶の欠片を探して |
| 村の女 | うーん…話を聞いた感じだと、やっぱりこの子は記憶喪失になったんじゃないかなあ |
| パスカル | やっぱりか~。あたしもそう思ったんだよね |
| ソフィ | わたしが…記憶喪失… |
| 村の女 | どんなささいな事でもいいから、記憶を取り戻すきっかけがあるといいんだけどね |
| 村の女 | 名前以外に、何か思い出せる事はない? |
| ソフィ | うーん… |
| パスカル | あ、無理しなくていいよ。また頭が痛くなっちゃうといけないし |
| ソフィ | リチャード… |
| パスカル | リチャード?それって…ウィンドル王国の王様の事? |
| ソフィ | ウィンドル王国… |
| ソフィ | うん、そう…わたし、そのリチャードのところに行こうとしていた…ような気がする |
| 村の女 | 王様のところに行くって…一体どういう関係なのかしら? |
| ソフィ | たぶん…友達…だと思う… |
| パスカル | ふむふむ |
| パスカル | わかった。じゃあ、あたしがソフィをリチャードのとこまで連れてってあげよう! |
| ソフィ | パスカルが? |
| パスカル | 村での調査もひと区切りついたから、そろそろ里に帰ろうと思ってたしね。ついでにソフィを送るって事で |
| 村の女 | 今ウィンドルへ渡るのは大変よ。戦争が始まったって言うし |
| パスカル | 大丈夫、大丈夫。あたし、裏道知ってるから |
| ソフィ | 本当にいいの?迷惑じゃない? |
| パスカル | ぜーんぜん平気だって。気にしなくていいから! |
| パスカル | それに、無事に記憶が戻ったら、ソフィが現れた時の仕組みについても何かわかりそうだしね |
| パスカル | おばさん、村のみんなによろしくって伝えといて。シングとコハクにも、また会おうねって |
| 村の女 | ああ、わかったよ |
| パスカル | それじゃ、ウィンドル目指して、しゅっぱーつ! |
| scene2 | 記憶の欠片を探して |
| ソフィ | パスカルは、シーブル村の人じゃないの? |
| パスカル | 違うよん。あたしの故郷は、アンマルチアの里ってとこ |
| パスカル | シーブル村には星のカケラの言い伝えを調査しに行ってたんだ |
| ソフィ | 星の…カケラ…? |
| パスカル | 星のカケラってのは、大昔に落っこちてきた箒星の破片なんだ |
| パスカル | 世界中に散らばってて、それを手に入れると、光の神殿に入れるって言われてるんだよ~ |
| パスカル | 今までは誰も信じていなかったけど、最近になって本当に光の神殿が現れたもんだから大騒ぎになってね |
| パスカル | 全ての星のカケラを集めると願いがかなうとも言われてて、欲しがる人がたくさん出てきたんだ |
| パスカル | ウィンドル王国のリチャードもその一人だね。星のカケラ欲しさのあまり、戦争まで始めたって話だけど |
| ソフィ | 戦争…なんだろう。何かが引っかかる…気がする |
| ソフィ | う…また頭が… |
| パスカル | ごめんごめん、一度に色々喋りすぎちゃったね |
| ソフィ | たぶん…パスカルの話してた事ってわたしにとっても大事なんだと思う…でも… |
| パスカル | うんうん。あわてなくていいよ。ゆっくり思い出せばいいから |
| パスカル | リチャードに会えれば、それがうまい事刺激になって、記憶を取り戻せるかもしれないね |
| ソフィ | うん… |
| | ガサガサッ! |
| ソフィ | …そこの茂みに何かいる |
| | ギャオオオオ! |
| パスカル | わあ、魔物!? |
| scene1 | パスカルの導き |
| ソフィ | ウィンドルへ行くのは、本当にこっちの道でいいの?暗くて人気がないけど… |
| パスカル | 裏道だからね。仕方ないよ。今は、船に乗るのも大変だし |
| パスカル | 心配しなくても大丈夫。ちゃんとウィンドルに連れてくからさ |
| ソフィ | うん、ありがとう |
| ソフィ | ねえ、裏道って…どんなの? |
| パスカル | 実はこの世界のあちこちには、離れた場所と場所を結ぶ、転送装置ってのがあってね |
| ソフィ | 転送…装置… |
| パスカル | ほとんどの人は知らないんだけど、その転送装置をうまく使えば、目的地まで簡単に行けるんだよ |
| パスカル | びゅーん!すこーん!はい到着ーって感じでね |
| パスカル | で、確かウィンドル方面にも数個装置があったはずだから、そこまで一瞬で移動しちゃおうってわけ |
| パスカル | ちなみにその転送装置を作ったのは、大昔のアンマルチア族…あたしのご先祖様にあたるんだけど… |
| パスカル | アンマルチアの里には転送装置の資料が今でも残ってて、それであたしも装置を使えるってわけ |
| ソフィ | びゅーん…すこーん… |
| パスカル | うーん、口だとこれ以上、うまく説明できないや |
| パスカル | まあやってみればわかるよ。あたしを信用して |
| ソフィ | …うん、わかった |
| パスカル | さてと…確かこの辺に、装置のある場所へ通じている入り口があるはず |
| パスカル | ソフィも一緒に探してくれない?洞窟の入り口みたいになってるから、見ればわかるよ |
| ソフィ | うん |
| scene2 | パスカルの導き |
| パスカル | 見つからないなあ…間違いなくこの辺のはずなんだけど |
| ソフィ | パスカル、ここは? |
| パスカル | ん?見つかった? |
| パスカル | どれどれ? |
| パスカル | ああ、ここ、ここ! |
| パスカル | すごいソフィ、よく見つけたね! |
| パスカル | ご褒美にぎゅーってしちゃう! |
| | ひょいっ |
| | びたーん! |
| パスカル | うう…地面に顔をぶつけた… |
| パスカル | なんでよけるの~ |
| ソフィ | …さわるの、だめ |
| パスカル | そういう事言われると、ますます触りたくなっちゃう性分なんだよね~ |
| ソフィ | …だめ |
| パスカル | ガードが固いなあ |
| パスカル | じゃあお楽しみは後回しにして、中に入りますか |
| ソフィ | 入り口が塞がってるみたいだけど、大丈夫なの? |
| パスカル | これはカモフラージュされてるだけだよ。悪用されないように、普段はこうなってるんだ |
| パスカル | でも大丈夫 |
| パスカル | あたし、どうすればいいか知ってるから |
| パスカル | まあ見てて~ |
| パスカル | ここにスイッチが… |
| パスカル | あった。これをピコ、ピコ、ポンっと |
| | ズズズズズ… |
| | |
| ソフィ | 塞がってた入り口が…開いた |
| パスカル | ほらね。言った通りでしょ? |
| ソフィ | …何か出て来る |
| パスカル | …え? |
| | ガアアアア! |
| パスカル | ぎゃあ!こんなのまで! |
| scene1 | アンマルチア族の転送装置 |
| パスカル | あれ?こっちで合ってたかな |
| ソフィ | 道に迷ったの? |
| パスカル | どうだろ…もしかしたらそうかも |
| ソフィ | さっきの分かれ道まで、戻ってみる? |
| パスカル | ん~、もう少し!もう少しだけ進んでから、決めてもいい? |
| パスカル | あ、見つけた!やっぱりこっちでよかったんだ! |
| | |
| パスカル | じゃーん!これが転送装置だよ!これを使えば、ウィンドルへは、一瞬で行けちゃうからね! |
| パスカル | さっそく起動させるね |
| パスカル | ピコ、パコ、ポコっと… |
| パスカル | …あれ? |
| ソフィ | 動かない… |
| パスカル | うーん…長い事使わなかったせいで、調子が悪いのかな |
| パスカル | ちょっと調べてみるね |
| ソフィ | パスカル、大丈夫?もうずっと、いじってるけど… |
| パスカル | ごめんごめん。何せ古い装置だし、あたしも何もかも知ってるわけじゃないから、手間取っちゃって |
| パスカル | おかしいな。これで動くはずなんだけど…何が足りないのかな |
| パスカル | あ、ここのボタンかな?ポチっとな! |
| | カチッ |
| | フイイーーン! |
| パスカル | 動いた!ソフィ、ほめてほめて~! |
| ソフィ | … |
| | ひょいっ |
| | びたーん! |
| パスカル | うう…どさくさに紛れてぎゅーってしようとしたのに |
| ソフィ | …さわるの、だめ |
| パスカル | へいへーい |
| パスカル | まあいいや。そんじゃ、さっそくこの転送装置でウィンドルまで飛んで行こっか |
| scene2 | アンマルチア族の転送装置 |
| パスカル | じゃーん! |
| パスカル | ここはもうウィンドルなんだよ凄いっしょ? |
| ソフィ | … |
| パスカル | ソフィ? |
| パスカル | もしかして、また頭が痛くなったの? |
| ソフィ | うん…あの装置で移動した時から… |
| ソフィ | 前もああやって、一瞬で別の場所から別の場所へ移動した事があったような気がして… |
| ソフィ | でも思い出そうとしてたら、頭が…うう… |
| パスカル | ソフィ… |
| パスカル | …それってやっぱり、あたしがソフィに初めて会った時の事なんだろうね |
| パスカル | もしかしたらソフィが記憶喪失になったのも、あの出来事に原因があるのかも… |
| ソフィ | そうなのかな… |
| パスカル | もしそうなら、無理させちゃってごめんね |
| パスカル | あたし、悪い事したかな… |
| ソフィ | ううん。そんな事ないよ。パスカルは親切で、わたしをここまで連れて来てくれたんだし |
| パスカル | …ソフィ、ありがとね! |
| パスカル | それでも、やっぱり心配だから。ここで少し休んでいこう? |
| ソフィ | 大丈夫。いけるよ。心配してくれてありがとう |
| パスカル | そう…?でも本当に、無理はしちゃ駄目だよ |
| ソフィ | うん |
| パスカル | じゃあ、外に出ようか。出たところが、王都バロニアだったはずだよ |
| ソフィ | バロニア… |
| パスカル | これで魔物さえいなければ、スムーズに行けるんだけどね |
| パスカル | きっと… |
| | ギャオオオオッ! |
| パスカル | うおっと!?言ってるそばから出たあ! |
| scene1 | 重なった記憶 |
| ソフィ | ここは…! |
| ソフィ | わたし、ここ、見た事ある…前にも来た事がある…! |
| パスカル | そっか。そうなるとやっぱりソフィは、ウィンドルの人なんだろうね |
| パスカル | まあ、あのリチャードと、友達になってるくらいだし… |
| パスカル | どう?懐かしい? |
| ソフィ | 懐かしいっていうか…怖い |
| ソフィ | ここにいると胸が締め付けられる。わたし、どうしたんだろう… |
| | |
| ウィンドル兵 | お前達、ここで何をしている!? |
| パスカル | 兵士!?何でこんなところに!しかもたくさん! |
| ソフィ | あ… |
| ソフィ | 同じ…あの時と… |
| パスカル | あの時って? |
| ソフィ | うう…頭が…! |
| パスカル | ソフィ、しっかりして! |
| ソフィ | リチャード…もしかしてここにいるの…? |
| パスカル | え…?ソフィ、なにを言って… |
| ウィンドル兵 | どうしてお前達が、その事を知っている!?陛下はお忍びでいらっしゃったのに! |
| ウィンドル兵 | 怪しい奴らめ、こいつらを捕らえよ! |
| パスカル | やば…!ソフィ、逃げるよ! |
| ソフィ | う、うん…! |
| scene2 | 重なった記憶 |
| パスカル | ソフィ、大丈夫? |
| ソフィ | うん… |
| パスカル | まさかこんなところに、あんなに兵士がいるなんて思わなかったよ |
| パスカル | それにしてもソフィ、よくリチャードが来てるってわかったね |
| ソフィ | わかったって言うか…前もこういう事があったような気がしたから… |
| ソフィ | ところで…わたし達、今どこにいるの? |
| パスカル | 神殿の建物の中だよ。構造が複雑だし、逃げるにはちょうどいいかなって |
| パスカル | リチャードが本当に来てるなら、ソフィと会わせてあげたいけど、あの兵士の様子だとどうかな…? |
| ソフィ | … |
| ??? | お前達…何者だ? |
| ソフィ | あ…! |
| ソフィ | わたし、知ってる…前に…会った事がある…! |
| パスカル | って事は、もしかして… |
| ウィンドル兵 | ここにいたか! |
| ウィンドル兵 | 陛下、離れてください。こやつらは陛下を害さんとする賊の可能性があります |
| パスカル | やっぱり、この人がリチャード! |
| パスカル | ソフィ、思い出せる?この人がリチャードだよ! |
| ソフィ | リチャード… |
| ソフィ | う…痛い…頭が…割れそうに… |
| パスカル | ソフィ、しっかりして! |
| | |
| リチャード | 怪しい奴らめ…さてはア・ジュールのガイアスが送り込んだ刺客か |
| パスカル | 違うって!あたし達、そんなんじゃないよ! |
| パスカル | ソフィがリチャードの知り合いだって言うから、ここまで来たんだよ! |
| リチャード | お前の事など知らん。かくなる上は、僕が直接、成敗してくれよう |
| パスカル | ちょっと!? |
| ソフィ | リチャード…やめて |
| リチャード | 死ねえ! |
| scene1 | 危機一髪 |
| リチャード | う… |
| ソフィ | リチャード、大丈夫!? |
| リチャード | 僕に近づくな! |
| リチャード | よくも僕の身体に傷を…許さん。断じて許さんぞ…! |
| ソフィ | 違う…わたし…そんなつもりじゃ… |
| パスカル | 先に攻撃してきたのはそっちじゃん! |
| パスカル | ソフィはリチャードに会いに来たってのに! |
| リチャード | だからお前の事など、知らんと言っているだろう |
| ウィンドル兵 | 陛下!遊撃隊のようです!どこからともなく… |
| ウィンドル兵 | …ぐっ…わあああっ! |
| リチャード | …なっ! |
| | |
| カイル | ソフィ、無事か!? |
| リアラ | よかった…やっと会えたわ! |
| ソフィ | え…? |
| パスカル | ん?もしかしてソフィの知り合い? |
| ジューダス | そばにいるのはリチャードか?どうりで兵の数が多いわけだ |
| リチャード | 他にも仲間がいたのか |
| リチャード | こいつらもまとめて始末しろ! |
| リアラ | みんな、ここは一度退きましょう。敵が多すぎるわ! |
| パスカル | よし!だったらさっきあたし達が出て来た、転送装置のとこまで戻ろう! |
| カイル | えーと…きみは? |
| パスカル | 詳しい説明はあと!ほら、ソフィ、逃げるよ! |
| ソフィ | あ、う、うん… |
| ジューダス | 誰なのかわからんがここはついていくしかなさそうだな |
| カイル | そうだな、オレ達も行こう! |
| ウィンドル兵 | あいつらを逃がすな! |
| scene2 | 危機一髪 |
| カイル | ここは… |
| カイル | 行き止まりじゃないか! |
| ジューダス | お前…僕達をだましたのか? |
| パスカル | 違うって!転送装置があるから、ここまで戻って来たんだよ |
| リアラ | これは…! |
| リアラ | 確か、古代文明の遺物と言われている装置だわ |
| パスカル | お、知ってんの? |
| パスカル | 今から転送先の設定を変えるから、ちょっちそこで足止めしてて! |
| カイル | 足止めって… |
| ウィンドル兵 | あそこにいたぞ! |
| ソフィ | 来た…! |
| ジューダス | くっ、こうなったらやむを得ん!ここで戦うぞ! |
| ウィンドル兵 | 奴らを討ち取れ!陛下のご命令だ! |
| カイル | ねえ、まだ!?これ以上は、こっちも支えきれないよ! |
| ソフィ | もう…限界… |
| パスカル | よし、これで最後だね。ここをこうして… |
| パスカル | ペチペチ、ピコンっと |
| | ヒュイイイイン…! |
| ソフィ | …動いた |
| リアラ | すごい…!今まで誰も、この装置を動かせた人はいないって聞いてたのに… |
| パスカル | さあ、飛ぶよ!ソフィ、また頭が痛くなったら、ごめんね! |
| ソフィ | ううん、大丈夫! |
| ウィンドル兵 | や、奴らが消えた!?一体どこへ行ったのだ? |
| | |
| ジューダス | 何とか地上へ脱出できたようだな |
| パスカル | ふ~ん、なるほど。この辺だとここの草むらの中に、転送装置が隠れてたんだ |
| パスカル | さっきの神殿からなるべく近い所に飛んだ方がいいと思って、設定をいじってたんだけど…うまくいったね |
| パスカル | あ、そうだ!ソフィ、頭痛くなってない? |
| ソフィ | うん、今度は大丈夫 |
| カイル | 助かった… |
| カイル | さすがに今度ばかりは、もう駄目かと思ったよ |
| リアラ | あなたがあの古代文明の装置を起動させてくれたお陰よ。ありがとう。ええと… |
| パスカル | あたし、パスカル。ソフィの友達だよ |
| パスカル | そっちもそうなんでしょ? |
| カイル | あ、うん |
| リアラ | ソフィ、こっちの世界へ来てから今まで何をしていたのか、詳しい話を聞かせてくれる? |
| ソフィ | …えっと、誰? |
| ジューダス | …誰、だと? |
| ジューダス | ソフィ、とぼけるのも大概にしろ! |
| パスカル | あ、これには事情があってね… |
| | グオオオオ! |
| カイル | 兵士の次は魔物かよ! |
| scene1 | 再会と別離 |
| ジューダス | 記憶喪失だと… |
| カイル | ソフィ…本当にオレ達の事、覚えてないのか? |
| ソフィ | うん…ごめんね |
| リアラ | ソフィだけ安定していない状態で、無理矢理、時空転移したのが原因ね |
| リアラ | 何も持たずにいきなり、荒海の中に叩き込んだようなものだから…ごめんなさい |
| ジューダス | …過ぎた事は仕方あるまい。ソフィの記憶を戻す方法を探さなければ |
| ソフィ | … |
| カイル | パスカル、ソフィを助けてくれて、ありがとう!ホントに助かったよ |
| パスカル | ううん、それはいいんだよ。それにしてもみんな、大変だね。未来の世界から来るなんて |
| パスカル | リチャードがソフィの事を知らないって言ってた理由も、これでわかったよ |
| パスカル | …それにしても、未来はリチャードのせいで、大変な事になってるんだね |
| パスカル | 全ての星のカケラを集めるために果てのない戦争を続け、しまいには世界をどん底の闇に包んでしまう… |
| パスカル | う~ん…できればそうなるのだけは、勘弁してもらいたいなあ… |
| ジューダス | だからそうさせないよう、僕達がこうしてやって来た |
| パスカル | んで、これからどうするの? |
| カイル | ひとまずどこかの街で休まない?オレ、もうくたくただよ |
| リアラ | そうね…ソフィと合流するまで、わたし達のほうも色々あったし |
| パスカル | だったら、この近くにある街に行ってみない?イニル街って名前なんだけど |
| ジューダス | その街なら知っている。ソフィと合流する前にも寄っているからな |
| カイル | そうか、それで何となく、この辺の景色に見覚えがあったんだな |
| リアラ | この道は前も通ったはずだけど、こんなところに古代文明の装置があるなんて、気付かなかったわね |
| パスカル | ソフィも、みんなでイニル街に行くのに賛成って事でいいかな? |
| ソフィ | …うん |
| パスカル | それじゃ、さっそく行こうか |
| scene2 | 再会と別離 |
| リアラ | ソフィ、そういえばあの剣はどうしたの?リチャードから預かったっていう、例の… |
| ソフィ | わたし、そんなの持ってたの?全然覚えてない… |
| カイル | 転送する時は持ってたはずだよ。オレ、確かに見たもん |
| パスカル | 剣かあ…。あたしがソフィを見かけた時は、もう持ってなかったよ |
| ジューダス | 時空転移の際に、どこかに紛失してしまったのではないか? |
| ソフィ | リチャードの剣… |
| ソフィ | …たぶんその剣は、わたしにとって凄く大事な物なんだと思う。それだけは、はっきりわかる… |
| ソフィ | なくしたってわかった途端、胸が締め付けられて、苦しくなったから… |
| リアラ | かわいそうに… |
| パスカル | ソフィはリチャードと、本当に仲がよかったんだね |
| パスカル | みんなの話を聞いたり、実際に会った印象だと、難しそうな人って感じだけど… |
| リアラ | その点はわたし達も、不思議だったわね |
| ジューダス | ソフィはよく、「本当のリチャードは皆が知っているリチャードと違う」と言っていたな |
| ソフィ | わたしが…そんな事を… |
| | |
| | プルルル… |
| ソフィ | 何の音? |
| パスカル | あたしの持ってる通信機だ。誰からかかってきたんだろ。ちょっと出てみるね |
| パスカル | …あ、お姉ちゃん?あたしが今どこにいるかって?ウィンドルだけど… |
| パスカル | わかってるって。本当はあたしも、すぐ帰るつもりだったんだよ。でも大事な用事ができてさ… |
| パスカル | わかった、わかりました!すぐ帰るから。ね? |
| | ピッ |
| パスカル | ごめん…。みんなと一緒に、イニル街へ行けなくなっちゃった。すぐアンマルチアの里に戻らないと |
| ソフィ | …わかった |
| ソフィ | 今までありがとう、パスカル |
| パスカル | うう…このまま別れるのは、名残惜しいな。ソフィは心配だし、未来の話ももっと聞きたいし |
| パスカル | そうだ! |
| パスカル | この通信機の端末をあげるよ |
| パスカル | これがあれば、離れていても話ができるからさ |
| パスカル | あたし、里に帰ったら、星のカケラの事をもう一度詳しく調べてみるね |
| パスカル | 何かわかったら連絡するから |
| ソフィ | うん、ありがとう |
| パスカル | それじゃ、またね!カイルとリアラとジューダスも元気でね~ |
| ジューダス | あわただしい奴だな |
| リアラ | 少し変わった人だったけど…古代文明の装置に詳しいお蔭で、助かったわね |
| カイル | うん。凄くいい人だね。ソフィがこっちで初めて会ったのが、パスカルでよかった |
| ソフィ | …何か近付いて来る |
| ジューダス | 魔物だ!みんな、気をつけろ! |
| scene1 | 光を取り戻した街 |
| カイル | そういえばイニル街には、魔導器(ブラスティア)があったな |
| ソフィ | 魔導…? |
| リアラ | 魔導器というのは、わたし達のいた元の世界で忌み嫌われている装置の事よ |
| リアラ | 周辺のマナを吸い上げて、エネルギーに変換してしまう…まさに悪魔の装置と言っていいわね |
| ジューダス | リチャードが世界を闇で覆ってしまったのは、その魔導器を大量に製造したのも一因だ |
| ソフィ | その魔導器が、この世界にもあるの? |
| リアラ | ええ。これから行く街にね |
| リアラ | 実物は確認していないけど、記録にはそう記されているわ |
| カイル | いっその事オレ達の手で、こっちの世界の魔導器を壊すのはどう? |
| カイル | ここで魔導器をなくしておけば、未来が変わって、オレ達の世界も平和になったりしないかな? |
| リアラ | イニル街の魔導器を壊しただけでは問題の根本的な解決にはならないわ。似たような装置は他にもあるし |
| ジューダス | カイル、僕達の目的を忘れたのか?リチャードと、星のカケラを何とかする事だろう |
| カイル | そうだね |
| カイル | う~ん、いいアイディアだと思ったんだけどな |
| ソフィ | わたし…元いた世界の事、本当に何も覚えていないんだね… |
| リアラ | ソフィ… |
| ジューダス | …思い出せないほうが、かえっていいかもしれないぞ |
| ソフィ | どういう事? |
| ジューダス | …いや、いい |
| ジューダス | 今言った事は忘れてくれ |
| ソフィ | …? |
| scene2 | 光を取り戻した街 |
| ソフィ | ここがイニル街? |
| カイル | あ、うん。そうなんだけど… |
| カイル | 前に来た時と雰囲気が違うような… |
| リアラ | そうね |
| リアラ | 前は魔導器の影響で、街全体の空気がよどんでいたけど、それがなくなっているわ |
| ジューダス | 魔導器の運転を止めたのだろう |
| ソフィ | …誰かこっちに来る |
| カイル | 誰か? |
| カイル | …あ、本当だ |
| ジューダス | あいつは… |
| ??? | やっぱり!あのときの人達だ! |
| ??? | えっと…ジューダスとカイルと…リアラだっけ? |
| リアラ | ええ、そうよ |
| エル | ねえ聞いて! |
| エル | エル、ユーリやミラと力を合わせて、魔導器を壊したんだよ! |
| エル | 空気がきれいになってきてるし、街の人のビョーキも少しずつよくなってるよ! |
| ジューダス | …そうか |
| ジューダス | 魔導器を止めたところで早々環境は変わらんと思っていたが、そうでもなかったようだな |
| エル | カイル達は何だかあわててたけど、もう平気なの? |
| カイル | ああ。あの時はこの紫の髪の女の子を捜していたんだけど、こうして無事に見つかったからね |
| エル | そっか |
| エル | はじめまして、エルはエル |
| エル | ええっと… |
| ソフィ | こんにちは。わたしは…ソフィ |
| エル | ソフィ達は、これからどうするの? |
| エル | よかったら、エルのうちに来てよ!エル、ソフィとお話してみたいし |
| カイル | 本当? |
| カイル | ちょうど、一休みしようと思ってたところだし、寄らせてもらうよ |
| エル | じゃあエル、先に戻って、お片付けしておくね! |
| ジューダス | 前に来た時、黒髪の男に魔導器の情報を与えたのだが…まさか魔導器を破壊して街を救うとはな |
| カイル | ああ。ビックリしたよ |
| カイル | こっちの世界にも、オレ達みたいになんとかしようとする人がいたんだね |
| | きゃあああーっ |
| リアラ | 今の悲鳴は何? |
| ソフィ | あそこ…!街の中に魔物が…! |
| | グオオオオッ! |
| ジューダス | 放っておくわけにもいかない。追い払うぞ |
| scene1 | 約束 |
| エル | 魔物をやっつけてくれて、ありがと |
| カイル | こちらこそ、家で休ませてくれてありがとう |
| リアラ | お蔭でゆっくりできたわ |
| ジューダス | 感謝する |
| ソフィ | ありがとう、エル |
| カイル | さて。それじゃオレ達は、もう一度、王都バロニアへ向かおう |
| ソフィ | エル、またね |
| エル | ソフィ。記憶がなくなっちゃうって、大変だと思うけど、元気出してね |
| ソフィ | …うん |
| エル | エル、ソフィの記憶が戻るように、ちゃんとお願いするからね |
| エル | エルはソフィの友達だしね! |
| ソフィ | 友達… |
| ソフィ | うん。ありがとう、エル |
| エル | エルは当然の事言ったまでだし! |
| リアラ | いいお友達ができて、よかったわね、ソフィ |
| ジューダス | よし。それでは出発するぞ |
| エル | 気をつけてねー! |
| scene2 | 約束 |
| ジューダス | 王都バロニアへ着く前に、今後の方針を確認しておこう |
| カイル | リチャードが星のカケラを集めるのを、どうやって阻止するか考えるんだよね? |
| リアラ | まだリチャードの手に落ちていないカケラがあるなら、先にそれを手に入れたいところだけど… |
| ジューダス | それは難しいだろう。僕達はこの世界に不慣れな上、カケラの所在に関する情報を持っていない |
| カイル | だったらリチャードが今持ってるカケラを横取りしちゃうってのはどう? |
| ジューダス | それはそれで、リチャードがカケラをどこに隠しているのか、突き止める必要があるな |
| カイル | 本人を捕まえて、その辺の事を聞き出せばいいんじゃないかな? |
| カイル | うーん。そう考えると、もったいない事したな~ |
| カイル | 前に地下神殿でリチャードを見つけてたんだからそのまま捕まえておけば… |
| ソフィ | …ごめんね。わたしのせいで |
| リアラ | 謝らなくていいのよ。ソフィは何も悪くないわ |
| ジューダス | 捕まえるかどうかはさておき、リチャードにもう一度、接触を図るべきだろう |
| ジューダス | リチャードの状況を知る事ができれば僕達の対応も決まってくるはずだ |
| ジューダス | まず知るべきなのは、リチャードが星のカケラを集めきっているのかどうか、だな |
| ジューダス | 集めきっていないのであればまだ間に合う。今すぐにでもリチャードと決着をつけるべきだ |
| リアラ | 決着…それってまさか、リチャードを… |
| ジューダス | …そうだ。リチャードと戦い、倒す。元の世界がどうなるかはわからんが滅びの未来を避けられる可能性はある |
| ジューダス | ただ…その場合、ソフィが問題になってくるがな |
| ソフィ | わたし…? |
| ジューダス | ソフィ。お前は僕達と旅立つ前にリチャードと戦う事を約束した。記憶を失った、今のお前はどうだ? |
| ソフィ | わたしは… |
| ソフィ | …リチャードの事をわたしがどう思っているのか、自分でもよくわからない。でも… |
| ソフィ | わたしの仲間は、カイルとリアラとジューダスだから。みんなが戦うならわたしも戦うよ |
| ジューダス | …その言葉に嘘はないな? |
| ソフィ | うん… |
| リアラ | 記憶がないのにあなたにこんな約束をさせるなんて…ごめんなさい、ソフィ |
| | ギャオオオオ! |
| ソフィ | 魔物!? |
| カイル | 今、大事な話をしてるんだ!どけっ! |
| scene1 | ソフィへの届け物 |
| ソフィ | …ここが王都バロニア? |
| カイル | ああ、そうだよ。十数年前は、まだこんなにきれいな街だったんだね |
| リアラ | …そうね。でももうすぐでわたし達の時代のこの街も、元の姿を取り戻す。わたし達の手で、ね? |
| ソフィ | … |
| リアラ | それじゃあ、さっそく情報を集めましょう |
| リアラ | 今わたし達が一番知りたいのは、リチャードの所在に関する情報ね。あと、星のカケラの事も… |
| ジューダス | 兵士の中には、僕達の顔を覚えている者もいるかもしれない。慎重に行動しよう |
| カイル | うーん…リチャードはたぶん、城にいるんだろうけど…はっきりした事はわからないな |
| リアラ | 考えてみれば、街に暮らす一般人が、国王の動向を把握しているはずがないものね |
| ジューダス | せめて城の中に潜入する算段がつけられればいいのだが…そう簡単にはいかないか |
| ソフィ | …? |
| ジューダス | どうした、ソフィ |
| ソフィ | …向こうにいる人が、さっきから、こっちを見てる |
| カイル | どれどれ…あ、本当だ。誰だ、あれ? |
| | |
| ??? | … |
| ??? | ねえ、きみ! もしかして… |
| | |
| カイル | なんだ?あいつ、誰に言ってるんだ?オレ達の事を知ってるのか? |
| リアラ | 待ってカイル!もしかしたら、リチャードに関係のある人かもしれないわ |
| ジューダス | 逃げるぞ |
| ジューダス | 増援を呼ばれたりしたら、厄介だ。僕達が用があるのはリチャードだけだからな |
| カイル | わかった。みんな、走るぞ! |
| リアラ | ソフィ、行くわよ! |
| ソフィ | う、うん |
| | |
| ??? | あ、ち、ちょっと!待ってよ! |
| scene2 | ソフィへの届け物 |
| ソフィ | はあ、はあ… |
| カイル | …さっきの人、うまくまけたかな? |
| リアラ | 多分…あれから結構走ったし… |
| ??? | な、なんで逃げるんだよ!ひどいじゃないか! |
| ソフィ | …! |
| ジューダス | お前… |
| ??? | 待って!オレは別に怪しい者じゃないって!あ、この国の兵でもないよ! |
| ??? | えっと、間違ってたらごめん。きみ…ソフィって言うんじゃない? |
| ソフィ | どうしてわたしの事… |
| シング | やっぱり!聞いてた特徴の通りだ。会えてよかった! |
| シング | オレはシング・メテオライト。シーブル村から来たんだ |
| ソフィ | シーブル村…シング…? |
| カイル | シーブル村って、ソフィがこっちの世界に来た時、最初に行った場所だよね? |
| ジューダス | そのシーブル村の住人が、ソフィに何の用だ? |
| シング | ウィンドルに行くって聞いたからさ!コハクって女の子と一緒に――… |
| ソフィ | コハク…シングとコハク…! |
| シング | ?オレ達の事、知ってるの? |
| ソフィ | 確かパスカルが言ってた。村を出る時に、シングとコハクによろしくって |
| シング | ああ、パスカルか!そういえば、あれ?パスカルは… |
| リアラ | パスカルなら里へ帰ったわ |
| シング | そっか…それは残念だなあ。また会えたら、コハクもきっと喜んでたと思うよ |
| ジューダス | …で、何の用なんだ? |
| シング | ああ、そうだ!えっと、オレ達はソフィに届け物をしに来たんだ |
| ソフィ | わたしに届け物…?それって何なの? |
| シング | コハク、ソフィに…って、あれ? |
| シング | コハクがいない…。どこに行っちゃったんだろ? |
| シング | おーい、コハク!どこにいるんだ! |
| | |
| ??? | シング! |
| 警備兵 | ア・ジュールの密偵め!待て! |
| ソフィ | 大変…あの人、追われてる |
| シング | コハク!今助ける! |
| ソフィ | あ…待って! |
| カイル | 女の子を追い掛け回すなんて… |
| ソフィ | どうする? |
| リアラ | 決まってるわ、助けましょ! |
| scene1 | 甦る記憶 |
| シング | しまった、行き止まりか! |
| コハク | どうしよう… |
| 警備兵 | もう逃がさんぞ |
| ソフィ | あの人達、逃げられなくなってる! |
| カイル | 助けよう! |
| カイル | せいっ! |
| ジューダス | 食らえ! |
| ソフィ | やああっ! |
| 警備兵 | ぐああああーっ!? |
| | |
| シング | ありがとう。助かったよ! |
| コハク | シング、あの紫の髪の女の子、もしかして…! |
| シング | うん。あの子がソフィだよ |
| コハク | よかった!わたし達、これをあなたに届けにきたの |
| | |
| ソフィ | この剣は… |
| シング | 村の海岸に落ちてたんだ。きっと、きみの落し物だろうって、村のみんなが話しててさ |
| コハク | 作りもいいし、きっとなくして困っているって思ったの |
| ソフィ | わたし… |
| | |
| ソフィ | … |
| リチャード | (ソフィ…こんな僕を 友と呼んでくれた君には 本当に感謝している…) |
| ソフィ | … |
| リチャード | (だからどうか…この剣を…) |
| ソフィ | … |
| ソフィ | そうだ…この剣…リチャードがくれたんだ…リチャードは…わたしの…友達… |
| | |
| カイル | …記憶を取り戻したのか!? |
| リアラ | わたし達の事もわかる? |
| ソフィ | わかるよ…みんなの事も、自分がどこから来て、何をしようとしていたのかも… |
| ジューダス | … |
| ソフィ | シング。コハク。剣を届けてくれて、本当にありがとう |
| シング | ううん、どういたしまして!きみに渡す事が出来て、よかったよ |
| | |
| 警備兵 | ア・ジュールの密偵がいたぞ!こっちだ! |
| コハク | 大変、見つかっちゃった! |
| シング | あの人達、オレ達の話、全然、聞いてくれないんだよな…。密偵なんかじゃないのにさ |
| シング | あの人達の事は、こっちでなんとかするよ。だからソフィ達は気付かれないように行って! |
| コハク | シーブル村に遊びに来てね!歓迎するから! |
| シング | みんな、元気でね! |
| | |
| ソフィ | 行っちゃった… |
| ジューダス | 僕達もここを離れよう。兵士に目をつけられると厄介だ |
| scene2 | 甦る記憶 |
| ジューダス | さて…リチャードの所在と、城にいるなら中に潜入する方法を何とか突き止めなければな |
| カイル | なら手分けして情報を集めよう。そのほうが早いと思うんだ |
| リアラ | そうね… |
| ソフィ | … |
| リアラ | ソフィ、それでいいかしら? |
| ソフィ | あ、うん… |
| ジューダス | … |
| カイル | 落ち合う場所はここでいいかな。じゃあまた後で! |
| カイル | 駄目だ…リチャードがどこにいるのか、全然わからないや… |
| リアラ | わたしのほうも、めぼしい情報は得られなかったわ…ソフィは? |
| ソフィ | わたしもわからなかった。ごめんね |
| カイル | あとはジューダスだね |
| ジューダス | みんな、わかったぞ。リチャードは城にいない。軍を率いてア・ジュールに向かったようだ |
| カイル | さすがジューダス!じゃあ、オレ達もさっそく… |
| ジューダス | あわてるな。今、王都の正面から出るのは危険だ。警備が厳しくなっている |
| リアラ | だったら、どうすれば… |
| ジューダス | 警備の比較的手薄な裏道がある。そこを通って外に出るぞ。こっちだ |
| | |
| ソフィ | 王都の中にも、こんな人気のない場所があったんだね |
| ジューダス | この辺は魔物も出るそうだ。それで人が寄りつかないらしいが、今の僕達には好都合だな |
| | ギャオオオオッ! |
| カイル | さっそく出たな! |
| リアラ | みんな、気を付けて! |
| scene1 | 新たなる決心 |
| ソフィ | 何とか無事に、王都の外に出られたね。…次はどうするの? |
| ジューダス | ア・ジュールはここからだと北だ。だから僕達もそちらへ向かう |
| カイル | そういえばウィンドルとア・ジュールが全面戦争を始めたのって、今頃だったっけ? |
| リアラ | ええ。わたし達の時代の記録によれば、これから両国の間で、大規模な戦闘が行われるはずよ |
| リアラ | それによる影響は二国間に留まらず、周辺国にも飛び火して、世界中が戦火に包まれてしまうの |
| ジューダス | それも全て、リチャードが、星のカケラを独占しようとした事が原因だ |
| ジューダス | あの男の暴走により、世界は破壊し尽くされ、最終的に闇に包まれてしまう… |
| カイル | それがオレ達の知っている歴史だね |
| ソフィ | リチャードは…昔から戦争をしたがるような人だったの? |
| リアラ | そんな事はないわ。むしろ初めは善政を行なっていて、名君と呼ばれていたみたい |
| ソフィ | だったらどうして… |
| ジューダス | あの男は自分の理想の世界を作ろうと願い、そのために星のカケラを求めたのだと言われている |
| カイル | その結果生まれたのが、オレ達のいたあの闇に包まれた世界ってのが納得できないよ… |
| ソフィ | リチャードはわたしに、こんな世界は望んでいなかったって言ってたよ… |
| ジューダス | 口では何とでも言える。だが結果的にああいう世界を生み出したのは、他ならぬあの男だ |
| カイル | だからオレ達は、何としてもリチャードが星のカケラを集めるのを阻止しないといけないんだ |
| リアラ | ソフィがリチャードに同情するのもわかるけど…今のわたし達は、こうするしかないの |
| ソフィ | …うん、そうだよね。わかってる…けど… |
| | |
| リチャード | (僕は取り返しのつかない事を してしまった…いずれ必ず、 報いを受けるだろう…) |
| リチャード | (こんな事を言っても、 信じてもらえないだろうが… 僕の中には…もう一人別の僕が…) |
| | |
| ソフィ | (わたし…やっぱり信じたいよ) |
| ソフィ | (本当のリチャードはみんなが 知っているリチャードとは 違うって…) |
| カイル | ソフィ、どうかしたの? |
| ソフィ | ううん、何でもない。心配かけてごめんね |
| ジューダス | …とにかく、北へ向かうぞ |
| scene2 | 新たなる決心 |
| | ピピピ… |
| カイル | 何の音だ? |
| ソフィ | あ…パスカルにもらった通信機が鳴ってる |
| | ピッ |
| ソフィ | パスカル、どうしたの? |
| | |
| パスカル | あ、ソフィ!つながってよかった~♪ |
| パスカル | 今、ちょっち話していい? |
| パスカル | 星のカケラに関して新しくわかった事があるから、それを伝えようと思ってさ |
| パスカル | 星のカケラを手に入れて、カケラに認められると、真の選ばれし者になるのは知ってる? |
| | |
| リアラ | 確かに言い伝えでは、そうなっているわね |
| ジューダス | その真の選ばれし者だけが、光の神殿に足を踏み入れる資格を持つのだったな |
| | |
| パスカル | でもね。星のカケラを手に入れた者が全員、必ずカケラに認められるとは、限らないみたいなんだよ |
| パスカル | そんで、ここからが問題なんだけど…星のカケラに認められなかった者は、邪念に侵されちゃうんだって |
| | |
| カイル | 邪念に侵されると、どうなるの? |
| | |
| パスカル | まるで何かにとりつかれたか、別人に入れ替わったかのように、性格が凶暴になっちゃうらしいんだ |
| パスカル | この事を知って、あたし、ソフィが前に言ってた言葉が、すごく気になってさ |
| パスカル | ほら、言ってたでしょ? |
| パスカル | 「本当のリチャードは、 みんなが知ってるリチャードとは 違う」とかなんとか… |
| | |
| ソフィ | あ…じゃあもしかして… |
| | |
| パスカル | うん。ひょっとしたらリチャードは、星のカケラの邪念に、とりつかれてるのかもしれないよ |
| パスカル | 何かあの王様、最近になって急に人が変わったって言われてるしさ |
| パスカル | 怪しいと思わない? |
| | |
| ジューダス | その邪念を、取り除く方法はあるのか? |
| | |
| パスカル | たぶん…リチャードが持ってる星のカケラを、取り上げちゃえばいいんじゃない? |
| パスカル | そうすれば邪念から解き放たれて、元に戻れると思うの |
| パスカル | …どうかな?参考になった? |
| | |
| ソフィ | うん。すごく。ありがとう、パスカル |
| | |
| パスカル | えへへ、どういたしまして。それじゃ、頑張ってね~ |
| | |
| | ピッ |
| ソフィ | みんな… |
| リアラ | いい話を聞いたわね、ソフィ |
| ジューダス | これでお前の迷いも、完全に晴れたのではないか? |
| ソフィ | わたしが悩んでた事、知ってたんだ… |
| ソフィ | うん。わたし、もう迷わないよ |
| ソフィ | リチャードに会って、星のカケラの邪念を取り除いてみせる |
| カイル | よし!そうとわかれば、急いで戦場に向かおう! |
| | ガアアアア! |
| ソフィ | 魔物…! |
| ジューダス | こんなところで終わるわけにはいかない… |
| ジューダス | いくぞ、みんな! |
| ソフィ | わたし達は、負けない! |
| scene1 | リチャードを追って |
| ジューダス | この辺りが、ウィンドルとア・ジュールの両軍が激突する戦場のはずだ |
| カイル | そうみたいだね。いろんなところから兵士の叫び声とか、大軍の移動する音が聞こえてくる |
| リアラ | 両軍の戦闘に巻き込まれないよう、注意しないといけないわね |
| ソフィ | これからどうすればいいの? |
| ジューダス | ウィンドル軍に参加しているふりをしながら、リチャードの居場所に関する情報を集めるのがいいだろう |
| カイル | あそこに部隊がいるぞ。さっそく話を聞いてみよう |
| カイル | おーい! |
| | |
| ウィンドル兵 | お前達は… |
| ソフィ | …! |
| ウィンドル兵 | 覚えているぞ!地下神殿で、陛下を害さんとした賊だな!性懲りもなくまた現れたか! |
| カイル | しまった…!あそこにいた奴らだったのか! |
| ソフィ | 違う。わたし達は賊なんかじゃ…! |
| ジューダス | 話の通じる相手ではなさそうだ。ここは逃げるぞ |
| カイル | 急げ! |
| ウィンドル兵 | 待て!待たんか! |
| | |
| リアラ | もう追ってこないわ…何とか逃げられたみたいね |
| ジューダス | だがあの様子では、他の部隊にも遅かれ早かれ情報が伝わるだろうな |
| リアラ | ここから先は、隠れて行動したほうがよさそうね |
| カイル | ごめん…オレのせいで… |
| ソフィ | ううん、カイルは悪くない。あの場は仕方ないよ |
| カイル | ありがとう…ソフィは優しいなあ |
| リアラ | それじゃ、行きましょう |
| scene2 | リチャードを追って |
| ソフィ | あれからだいぶ進んだけど… |
| カイル | リチャードはきっと本陣だと思うんだけど…なかなかたどりつけないな |
| ジューダス | この辺は地形が複雑で、どこに軍が展開しているか把握しにくいからな |
| ジューダス | おまけに僕達はウィンドル軍に追われる身で、身を潜めながら移動しなければいけないときている |
| リアラ | 時間がかかるのも仕方ないわね |
| ソフィ | 向こうから誰かが来るよ |
| リアラ | そこの草むらに隠れましょう。みんな、急いで! |
| | ザッザッザッ… |
| カイル | あれは…ウィンドルの兵士じゃないぞ |
| ジューダス | ああ。ア・ジュール軍だ |
| ア・ジュール兵 | 兵器工場に潜入したウィンドルの工作員が、当戦場に紛れ込んだという情報が入った |
| ア・ジュール兵 | 工作員は男女2人組。帽子を被った男と、金髪の女だ。見つけ次第捕らえよ! |
| | ザッザッザッ… |
| カイル | よかった…オレ達には気付かなかったみたいだ |
| ソフィ | 今の人が言ってたのって、わたし達の事じゃないよね? |
| リアラ | もちろん。わたし達は兵器工場なんて行ってないし、この中には帽子の男性も金髪の女性もいないもの |
| カイル | そういえば最初にイニル街に行った時、金髪の女の人に会ったな。もしかしたら、その人の事かも |
| リアラ | まさか…そんな偶然… |
| | ガサガサ… |
| ソフィ | そこに何かいる… |
| | グオオオオ! |
| ジューダス | くっ!ア・ジュール軍の後は魔物か! |
| scene1 | すべてを救うために |
| カイル | ふう…いくら何でも、いい加減見つかってもいいと思うんだけど… |
| ソフィ | …!みんな、向こうを見て! |
| ジューダス | 向こう…? |
| | |
| リチャード | 全部隊、前へ!ア・ジュール兵どもを蹴散らせ! |
| リチャード | この戦いは僕の理想とする世界を実現させるための大きな一歩となる |
| リチャード | ひるまず進め! |
| カイル | いたぞ、リチャードだ! |
| ソフィ | リチャード! |
| リチャード | …?あいつらは… |
| 親衛隊長 | ガイアスの放った刺客かもしれません。正体のわからぬ者は、敵と捉えておくのがよいかと… |
| 親衛隊長 | ですがご安心ください。陛下には決して近付けさせません |
| リチャード | うむ。ここは任せたぞ |
| リチャード | 崇高な戦いを、あのような下賤なネズミどもに汚されたくはない |
| 親衛隊長 | はっ! |
| ソフィ | リチャード、待って! |
| リアラ | せっかくここまで来たのに…このままでは逃げられてしまうわ! |
| 親衛隊長 | 賊を討ち取れ!逃がすな! |
| カイル | ここで、引き下がれるか!オレ達の手で、未来を変えるんだ! |
| カイル | みんな、行くぞ! |
| ソフィ | リチャード、今助けるからね…! |
| ジューダス | 蹴散らすぞ! |
| scene2 | すべてを救うために |
| ソフィ | リチャード! |
| リチャード | お前達…!どこまでしつこく、僕に迫ってくる気だ |
| カイル | お前が星のカケラを手放すまでだ! |
| ジューダス | これ以上、お前の好きにさせるわけにはいかない。未来の世界を守るためにな |
| リアラ | あなたの野望もここまでよ |
| リチャード | 薄汚いネズミどもめ。ならば僕の手で直接、引導を渡してやろう |
| ソフィ | リチャード、お願い。元のリチャードに戻って |
| ソフィ | リチャードは星のカケラの邪念にとりつかれているだけ!カケラを手放せば元に戻れるから |
| リチャード | わけのわからない事を |
| リチャード | 大体お前は何者だ?元も何も、僕はお前を知らないぞ |
| ソフィ | わたしはリチャードの友達だよ。ほら、これを見て |
| リチャード | その剣は、僕の…! |
| リチャード | 馬鹿な。なぜお前がそれを持っている!? |
| リアラ | リチャードも同じ物を… |
| ソフィ | わたし、未来のリチャードから、この剣を預かったの |
| ソフィ | わたし達、未来から来たんだよ |
| ソフィ | 未来のリチャードは、苦しんでた。永遠の友情を誓った友達が死んで、それを自分のせいだって言ってた |
| リチャード | 永遠の友情を誓った友達だと…なぜその事を知っている?誰にも話していないのに |
| リチャード | だが、死んだとはどういう… |
| ソフィ | それに、自分のせいで世界を闇に包んでしまった事を悔いてて望んだのはこんな世界じゃないって… |
| ソフィ | わたし、そんなリチャードを助けてあげたくて、それで、友達になったんだよ |
| リチャード | 友達…お前と僕が友達… |
| リチャード | 僕が星のカケラの邪念にとりつかれたというのは…本当なのか…? |
| ソフィ | うん。だから今すぐカケラを手放して |
| ソフィ | そうすれば、元に戻れるから |
| リチャード | そう…だったのか… |
| カイル | リチャードが話を聞いてくれた!? |
| リアラ | 正気に戻ったの? |
| ソフィ | リチャード。星のカケラをこっちに渡して。ね? |
| リチャード | わかった… |
| ジューダス | ソフィ!近付くな!そいつは正気に戻ったふりをしているだけだ! |
| ソフィ | …! |
| リチャード | …消えろ |
| ソフィ | あうっ! |
| カイル | ソフィ!! |
| カイル | リチャード、お前…!! |
| リアラ | ソフィ、しっかりして! |
| ソフィ | リチャード…どうして… |
| リチャード | 貴様ごときの戯言に、僕が耳を傾けると思ったか! |
| ジューダス | ソフィ、こいつに何を言っても無駄だ!諦めろ! |
| ソフィ | リチャード! |
| | |
| リチャード | 死ねえ! |
| scene3 | すべてを救うために |
| リチャード | 馬鹿な…お前達ごときに、この僕が…! |
| ソフィ | リチャード、しっかりして! |
| リチャード | 近寄るな…! |
| リチャード | 星のカケラは誰にも渡さん。僕は…真の選ばれし者だ! |
| ジューダス | リチャードの剣が、光り始めたぞ!? |
| リアラ | もしかしてあれが、星のカケラ? |
| ソフィ | リチャード! |
| | パキィィィィン! |
| カイル | あっ!リチャードの剣が砕けた! |
| リチャード | う…うわあああああああ! |
| ソフィ | リチャード! |
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| リチャード | …ここは…どこだ…? |
| リチャード | 僕は…一体…何だか長い間、夢を見ていたようだ… |
| ソフィ | リチャード、元に戻ったんだね! |
| ソフィ | よかった…! |
| ジューダス | やはりあの剣が、星のカケラだったようだな |
| ジューダス | リチャードの剣が砕けた事で、リチャードにとりついていた邪念も消え去ったという事か |
| カイル | やった…やったぞ!これで未来は変わる。オレ達の世界は救われるんだ! |
| リチャード | …ソフィと言ったね。君の言う通り、僕は本当にカケラの邪念にとりつかれていたのかもしれない |
| ソフィ | リチャード… |
| リチャード | 僕は…ウィンドルを、もっと豊かな国にしたかった |
| リチャード | 全ての民が、餓える事も、魔物の脅威にさらされる事もなく、幸せに暮らせる国を作りたかった |
| リチャード | そんな時にあの剣を手に入れ…それから僕は変わってしまったんだ |
| リチャード | あの剣を手にしてからは、寝てもさめても、星のカケラの事ばかり考えるようになった |
| リチャード | 全てのカケラを手中に収めたい、そのためなら何をしてもいい…そんな風に思うようになった |
| リアラ | パスカルの言った通り、星のカケラの邪念に、とりつかれてしまったのね… |
| リチャード | 時々、我に返ったかのように、気持ちが鎮まる事もあったが、それもわずかな間に過ぎなかった |
| リチャード | すぐに激しい衝動がぶり返し、怒りや憎しみの感情に覆われた…自分が自分でないかのように… |
| ジューダス | ソフィが僕達の世界でリチャードに出会った時は、たまたま正気に戻っていたのだろうな |
| カイル | そのリチャードが、ソフィに剣を託したのは…助けて欲しかったからなのかもね |
| リチャード | ああ。僕は…一体なんという事を、してしまったのだろう…! |
| リチャード | いくら正気に戻ったとは言え、もはや… |
| リチャード | でも、僕は──…! |
| リチャード | 全軍に命ずる!我が国はこれより全軍撤退する! |
| リチャード | ア・ジュール軍への攻撃は一切禁止とし、戦線から離脱する事を最優先に動くのだ! |
| ジューダス | ウィンドル兵は混乱しているようだな |
| カイル | 仕方ないよ。急に今まで言ってた事と真逆の事を命令されるんだから、何で?ってなるのが普通だと思う |
| リアラ | でも、この戦争を止める事が出来るのはリチャード本人だけ…。大変だとは思うけど、ここが正念場ね |
| ソフィ | …リチャード |
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| 親衛隊長 | 陛下!ア・ジュール軍が、大攻勢をかけてきました! |
| リチャード | なにっ!?我が軍は争う意志を捨て、撤退しているいうのに、なぜ…! |
| 親衛隊長 | 突然の撤退命令を受け、前線の部隊を始め、全兵が混乱…指揮が乱れているとの報告を受けています |
| 親衛隊長 | ア・ジュールは、うろたえる我々に気付き、一斉攻撃を仕掛けてきたものかと思われます… |
| リチャード | …! |
| 親衛隊長 | 陛下!交戦の指示を…!このままでは、すべてがア・ジュールの思うがままです… |
| リチャード | …くっ、一体どうすれば… |
| ジューダス | まずい状況だ。ア・ジュールはこの勢いでウィンドル領土まで侵攻してくるつもりだろう… |
| リアラ | リチャードが正気に戻ったのだから彼が世界を滅ぼす事はなくなったわ。でも… |
| カイル | このままア・ジュールに負けたら、未来に『ウィンドル』っていう国がなくなっちゃうかも知れない! |
| ソフィ | …そんな…! |
| ジューダス | …その可能性は高い。この状況…一体どうしたら… |
| リチャード | … |
| リチャード | (これ以上戦争を拡大させるわけには いかない…だが、ここで撤退すれば ア・ジュールの侵略は免れない…) |
| リチャード | (ウィンドルを危険にさらす事を 承知の上で撤退を貫くか…。 それとも──…) |
| 親衛隊長 | 陛下…! |
| リチャード | … |
| リチャード | (…貧困の民を救い格差をなくし、 王国をより素晴らしい国にしたい) |
| リチャード | (僕はいつだって、 国の事を考えてきた…) |
| リチャード | (星のカケラを集めようと思ったのも すべては我がウィンドルのため…) |
| リチャード | (…星のカケラは、 僕を試したのかもしれない) |
| リチャード | (国をよくしたいという願いを、 自らの力ではなくカケラに求めた 時点で、僕は失格だったんだ) |
| リチャード | (何も迷う事はない、答えは1つ…) |
| リチャード | (すべての原因は僕だ。 例え死ぬ事になっても、 必ず国境は…) |
| リチャード | (ウィンドルだけは守ってみせる!) |
| リチャード | よし…全軍に命ずる!前言撤回、これより交戦を再開せよ!全軍前線へ向かい、国境を死守するんだ! |
| リチャード | 僕も後で向かう!それまでの指揮は、お前に任せる。…行け! |
| 親衛隊長 | 陛下…!ありがとうございます…!! |
| カイル | リチャード… |
| カイル | もう、戦いは避けられないのかよ…! |
| ジューダス | …そういう事だな |
| リアラ | でも、このまま戦いが続けば、戦火は確実に世界中に拡大して、この時代のこの世界は… |
| ソフィ | そんな…そんなの嫌だよ |
| ソフィ | この時代にはパスカルも、エルも、シング、コハクだって…みんな… |
| カイル | ソフィ… |
| ソフィ | わたし…この世界も救いたいよ。未来の世界だけじゃなくって、今わたし達のいるこの世界も |
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| カイル | ソフィの剣が光り出したぞ!? |
| ジューダス | そうか。リチャードの砕けた剣が星のカケラだったのなら、それと同じソフィの剣も、また… |
| カイル | 星のカケラだって事?それじゃ今度は、ソフィが邪念に…! |
| リチャード | いや、僕の時とは反応が違う |
| リチャード | こんな風に、優しくて、神々しい光は、見た事がない… |
| ソフィ | どういう事? |
| リアラ | もしかしたらソフィは、星のカケラに認められたんじゃないかしら |
| カイル | それって、真の選ばれし者になったって事? |
| ソフィ | うん…いいよ |
| カイル | 誰と話しているんだ? |
| ソフィ | よくわからないけど…光の神殿に来いって、言われた気がするの |
| カイル | やっぱり…!間違いないよ。ソフィは真の選ばれし者なんだ! |
| ソフィ | 光の神殿に行けば、わたしの願いはかなうのかな |
| ソフィ | この世界も、未来も、救えるのかな |
| ソフィ | もしそうなら…わたしはその可能性を信じたい |
| カイル | 待ってくれよ、ソフィ!オレ達も一緒に行く! |
| カイル | うわっ、何だこれ?身体が弾かれたぞ! |
| リチャード | 光の神殿に入れるのは、真の選ばれし者となったソフィだけという事なのだろう |
| リアラ | そんな… |
| ソフィ | カイル、リアラ、ジューダス、心配しないで。目的を果たして、ちゃんと帰ってくるから |
| ジューダス | 僕達の事は心配いらない。安心して行ってこい |
| ソフィ | リチャード、友達を大切にしてあげてね。きっとまだ間に合うと思うから |
| ソフィ | それと…わたしもリチャードの友達だよ。覚えておいてね |
| リチャード | ソフィ…! |
| ソフィ | それじゃ、行って来るね |
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| カイル | 行っちゃったね…。光の神殿って、どんなところなんだろうな。オレもついていきたかったよ |
| リチャード | … |
| ジューダス | リチャード、行くのか… |
| リチャード | 彼女に任せきりにはできない。自分の後始末は自分でつける |
| リチャード | 僕は前線へ行く。ア・ジュールを食い止め、王国を守る事に死力を尽くすつもりだ |
| リチャード | 一時的に凌ぐ事ができたら、ア・ジュールのガイアス王へ和平交渉を持ち込みたいと考えている |
| ジューダス | …和平交渉? |
| リチャード | ああ。この世界のために、僕なりに出来る事は何でもやるつもりだ |
| ジューダス | リチャード…。よし、ならば僕達も手を貸そう |
| リチャード | 君達が…? |
| カイル | ああ。この世界を守る事は、未来のオレ達の世界を守る事にもつながるし |
| リアラ | ソフィが安心して帰って来れるようにしなくちゃ |
| リチャード | わかった。苦労をかけるが、よろしく頼む |
| カイル | 任せて! |
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| リアラ | ソフィ…あなたにこの世界と、わたし達の未来の世界の命運を託すわ。どうか無事で… |