NameDialogue
scene1アイゼンの行方
ルカ…そこだ!やっ!はあっ!
ロイドおっと、危ね!へへ…やるじゃねえか、ルカ!今度は俺からいくぜ!
ルカう、うん!いつでもいいよ!それじゃ、もう一回…
アリーシャいや…二人共、そろそろ稽古は切り上げよう
ロイド何でだよ、アリーシャ?あと一回くらい、いいだろ?
アリーシャ私も邪魔はしたくなかったが、もう約束の時間だ。クラトス殿のところに行かなくては
ルカあっ、本当だ。もうそんなに経ってたんだ…!夢中になって、気付かなかった
ルカロイド、稽古の相手してくれてありがとう。お蔭で、勉強になったよ
ロイドそりゃお互い様さ、稽古ならいつでも付き合うぜ!さて…そんじゃ、行くか!
アリーシャああ。途中でパスカルのところに寄ろう。約束を覚えていればいいのだが…
パスカルいや~、すっかり忘れてた!マナリスの研究に夢中になっちゃってさ~!
ルカあはは…アリーシャの心配した通りだったね。…研究は進んだの、パスカル?
パスカルん~、まだまだかな。あたしの他にもいろんな人が調べてるんだけど進展なし!
パスカルエルピスの塔で反応したっきり、何の反応もないよ。新しい情報でもあればな~…
アリーシャパスカルでも一筋縄ではいかないか。ルカ達はこの数日どうしていたんだ?
ルカ僕とロイドは一緒に稽古したり、島を見て回ったりしてたよ。塔とか、港の近くとか…
ロイド港は観光客でいっぱいだったぜ。次から次に船が到着してたぞ
ルカアリーシャは?ここ最近、忙しそうだったよね
アリーシャいや、何て事はない。調査隊の上層部への報告や、折衝をしていた
アリーシャアイゼンについても各所で聞いて回ったが…新たな目撃情報はないようだ
パスカルアイゼンかあ。そう言えば、湖以来ちっとも話を聞かないね
ルカ……
アリーシャ他には…四大国連合調査隊も調査に向けて出発したそうだ
ロイド本当か!?ルーク達に負けてられねえな!次の任務も頑張ろうぜ!
ルカ…うん、そうだね。あ、クラトスさんが来たみたい
クラトス…待たせた。全員揃っているな。早速だが、次の任務について説明する
ロイドおっ、次はどこに行けばいいんだ?
クラトス順を追って話す。まず、お前達が最初にマナリスを見つけた森の事だ
クラトスつい先日、本格的な調査が終了し、一部が観光客にも開放されたのだが、同時に新たな発見があった
クラトス森の奥に、山岳地帯へと続く道が複数あるらしい
ルカ山岳地帯…初めて聞きました。という事は…
クラトスああ。今回の任務も以前と同様だ。山岳地帯の安全確保と、遺物の探索を任せたい
クラトス他の調査隊員を派遣する前にな
パスカルいえ~い!やった~!トロピカルヤッホー!待ってました~!
ルカふふ…嬉しそうだね、パスカル
パスカルそりゃそうだよ~!山岳地帯で新しい発見があれば、マナリスの研究も進むかも!
ロイド湖に行った以来の冒険だな!楽しみだぜ!
クラトス遊びに行くわけではない。山岳地帯に入るのはお前達が最初だ。気を引き締めろ
ロイドわかってるって!
クラトス…準備が出来次第出発しろ。健闘を祈る
ルカ僕達が初めて、かあ…
アリーシャ何があるかわからない。クラトス殿の言う通り、万全の準備を整えて行こう
ルカ…あのさ。これから行く山岳地帯って、調査隊しか入れないんだよね?
アリーシャああ。私達が出会った頃の森と同じく、未調査領域と呼ばれている
ルカ未調査領域って事は、見張りも少ない場所って事でしょ?
アリーシャそういう事になるが…何か気になるのか?
ルカ…アイゼンさんの事で、ちょっと。目撃情報はないってさっきアリーシャが言ってたよね
ルカだったら、人目につかない場所…未調査領域にいるんじゃないかなって
アリーシャそうか…可能性はある。少なくとも、アイゼンが人目を避けているのは間違いない
ロイドアイゼンか…。悪い奴じゃなさそうだったし、また会いたいよな
ルカうん。僕も会って話がしたい。アイゼンさんが島に来た理由とか、何でいなくなっちゃったのかとか…
ルカそして、またみんなで一緒に冒険したいな
アリーシャ私も、アイゼンに会ってこの目で確かめたい。彼がどういう人物なのかを
ロイド…だよな!パスカルはどうだ?
パスカルん~?そう言えば、アイゼンに「マナリスの事がわかったら教えろ」って言われてるんだよね~
パスカルほとんど何もわかってないけど、経過くらいは会ったら教えないと…かな?
ロイドへへ…つまり俺達全員、アイゼンに話したい事があるわけだ
アリーシャ今は任務が最優先…だが、もしアイゼンに会う事があれば、まず話をしよう
アリーシャ…さあ、準備が終わったら出発だ。気を引き締めていこう、みんな!
scene2アイゼンの行方
ルカ山岳地帯か…どういうところなんだろうね?
アリーシャ人の通れる山道は複数あるが、ほとんどが落石で塞がれているらしい
ロイド俺達がこれから使う道はちゃんと通れるんだろ?
アリーシャああ、安心してくれ。他の道も、後ほど隊員を派遣し、岩を砕いて整備すると言っていた
パスカル道を塞ぐほどの岩か~。砕くには丈夫なハンマーが必要だね
ルカうーん…山岳地帯は遠いしハンマーを運ぶのも、着いてから岩を砕くのも、大変そうだね
???ちょっと、そこの
ルカえ?…僕?
???そうよ。道を聞きたいんだけど
ルカえっと、観光に来たの?
???そんな事どうでもいいでしょ。私は道が聞きたいの
???エルピスの塔へは、どう行けばいいのかしら
ルカあ、うん。えっと…
???ふーん…わかったわ
ルカ行っちゃった…
ルカ今の子…何だか独特な雰囲気の子だったね
ルカ誰と来たんだろう。家族とか一緒じゃないみたいだし…迷子かな?
ロイド迷子にしては、落ち着いてたけどな。誰かと待ち合わせでもしてんじゃないか?
パスカルやっぱりみんな、エルピスの塔が気になるんだね~
アリーシャ時間があれば、塔まで案内したいが…今は任務がある。先を急ごう
ルカう、うん!今行くよ!
scene1小さな同行者
アイゼン…ここまでは順調だな。随分遠くまで来たもんだ
アイゼン(アイフリードに会う前も、 こうして各地を探していたが…。 また探す事になるとはな)
アイゼン(もっとも、 サフィアに伝説通りの力が あるかどうかはわからないが…)
アイゼンさて…人の気配はないな。集めた情報に間違いはなかった
アイゼンこれなら邪魔は入らない──
???わあああっ!
アイゼン…!
グオオオ!
???全く、話が通じん相手なのじゃ
???魔物なんですから当たり前でしょう!に、逃げますよ!!
アイゼンこっちに来るか…
グオオオ!
チャットわあああっ!どっか行ってくださいー!
パティチャット、時には諦めも肝心なのじゃ
チャットパティさんは落ち着きすぎで──って、人!?
チャットそこの人!助けてください!
アイゼン騒がしいな、全く。万事上手くはいかないか
グオオオ!
scene2小さな同行者
ギャアアアア!
アイゼンこんなものか
チャットはあはあ…。すみません、助かりました
アイゼンただの成り行きだ。何故ここにいるのかは知らんが…俺には興味のない事だ。じゃあな
パティまあ待て。こうして会ったのも何かの縁じゃ
パティお前、調査隊員にしては目つきが悪いのう…。さては不法侵入者じゃな?
チャットパティさん、失礼ですよ!確かに、ちょっとガラが悪くて極悪人に見えなくもないですが
パティでも、それならうちらにとっても都合がいいのじゃ
チャットん?…なるほど、それもそうですね!
アイゼンおい…
パティきっと、複雑な事情で小魚のように身を潜めているのじゃな
チャットわかりますよ、その気持ち
アイゼンおい。勝手に話を進めるな
パティそう誤魔化さなくてもよいのじゃ
アイゼン…もういい。とにかく俺は行く。じゃあな
アイゼン……
パティ・チャット……
アイゼン…何故ついてくる。ここは危険だ
チャット調査隊でもないのに、こんなところにいるのは明らかに変です。あなたは何か知っていると見ました!
パティそれに、さっき言ったぞ。こうして会ったのも、何かの縁じゃ
アイゼンあいにくだが、子守りはやってない。さっさと家に帰るんだな
パティむ。それは聞き捨てならん言葉じゃの
パティ子どもではない。パティなのじゃ!
チャットそう言えば、まだ名乗っていませんでしたね。ボクはチャットです!
アイゼン……
パティうちはお宝の話を聞きつけてはるばるこの島へとやって来たのじゃ
パティなのに、どこへ行っても子どもの遊びだと思われてのう…
チャット一般開放されたと言う森にすら入れてもらえなかったんですよ!?失礼な話です!
アイゼン…そうか。それは災難だったな、じゃあ──
パティそれでじゃ!あてもなくふらふらしていたら、港でチャットに出会ったのじゃ
チャットええ。ボクも同じ状況だったのですぐに意気投合しました!そこで…
パティうちらが先にお宝を見つけてしまえば調査隊も文句は言えんじゃろう、という事になったのじゃ!
チャットそういうわけで、ボク達は大人しく帰るわけにはいかないんです!
パティまだ見ぬお宝が待っている以上、サメのように泳ぎ続ける他ないのじゃ!
チャットあなたが嫌だと言っても、ボク達はどこまでもついていきますよ!
アイゼン…わかった。よくわかった。聞いてもいない事情も、お前らの名前もな
アイゼンだが、俺にも俺の事情がある。人目につくのは避けたいんでな。お前らがいると迷惑だ
アイゼンそれに…いや、いい。とにかく、お前らは山を下りろ
チャットそんな事言わないでください。道中魔物が襲ってきたら今度こそ、ボク達はおしまいです
アイゼンさっきは十分戦えているように見えたが
パティ有能な助っ人がいてこそなのじゃ
アイゼン…どうしてもついてくる気か。やれやれ
アイゼン…いいか。ついてきたけりゃ勝手にすればいい。だが、騒ぐな
パティおお。見た目よりは話がわかるのう
チャット恩に着ます!
アイゼンこれ以上話していても時間の無駄だ。一時的な同行、それでいいな
チャットええ、十分です…ところで、あなたの名前は何と言うんですか?
アイゼンアイゼンだ
パティうむ。よろしく頼むぞ、アイゼン!
チャットよろしくお願いします、アイゼンさん!!
アイゼン…だから、静かにしろ
scene3小さな同行者
アイゼン……
チャット──そして、その時現れたウォントを一網打尽にし…ついにお宝を手に入れたのです!
パティほうほう。それは大層な冒険だったの
チャット何、ボクにかかれば何て事はありませんでしたよ
チャットま、まあ、さっきは不意打ちを受けてしまいましたが…
パティ今こうして生きているなら、問題なしなのじゃ!
パティふふ…うちも似たような話がある。冒険の末、かのお宝を手にした時は身震いしたのじゃ
パティ魔の海域を通り抜け、黄金に輝く秘宝を見つけた瞬間は、胸にこみ上げるものがあった!
アイゼン…お前達。ただの子どもじゃないな。何者だ?
チャット何者…とは?
アイゼンお前達が口にした海域や気候は、実在する物ばかりだ。適当に語っているにしては詳しすぎる
パティおお、ようやくわかったか。うちは冒険家じゃ!
チャットボクは海を愛する海賊です!
アイゼン冒険家に海賊、か。…なるほどな
チャットお宝のうわさを聞けば、海を渡ってどこまでも!
パティ危険を顧みず突き進む!それが海に生きる者なのじゃ!
アイゼン…だが、今回のように子どもの遊び扱いされては「海に生きる者」も形無しだな
チャット確かに大変ではありますが、冒険に障害はつきものです!
パティその通りじゃの。そして、うちらは障害があればあるほど燃えるのじゃ!
チャットこればかりは、海に生きるボク達にしかわからないかもしれませんけどね!
アイゼン……
アイゼンいや。確かに、一級品のお宝の前には難題が降りかかるものだ
チャット…その通りです!あなた、話がわかる人ですね
パティうむ。お前からはお仲間の匂いを感じるのじゃ
アイゼンああ。俺も海賊だからな。ある海賊団と共に、世界中を航海してきた
チャットおお、そうだったんですか!それならそうと、早く言ってくださいよ
パティ類は友を呼ぶと言うわけじゃな。それで、アイゼンはその仲間と一緒にこの島に来たのかの?
アイゼン今は別行動だ。あいつらは海にいる
チャットという事は、ここまでは一人だったんですね
アイゼン…そのはずだったがな
チャット…?
パティまあ、今はうちらがいるから寂しくないのじゃ
チャットそうですね。海賊同士、助け合っていきましょう
アイゼン…全く。お前達といい、森で会ったあいつらといい…付きまとわれて困る
アイゼン(まあ… こういうのも新鮮ではあるか)
パティそれでは、お宝を求めていざ行かん、なのじゃ!
チャット見つけたら山分けですよ!…では、アイゼンさん!先頭で警戒をお願いします!
アイゼン…目指すは山頂だ。それと…何度も言うが、もう少し声を落とせ
scene1新たな真実
チャットふう…。ようやく、開けたところに出ましたね
パティさて、何があるかのう…。…ほう、これはこれは
チャット古びた家がいくつも…。どうやら、集落があったみたいですね
アイゼン住人はそれなりにいたようだな。…だが
パティどの建物もボロボロじゃの。ガレキかと思ったぞ
アイゼンここは滅んだ集落というわけか。災害か、戦禍か…何故滅んだかはわからんが
アイゼン(…確か森の集落では、マナリスは 人の手で守られていた)
アイゼン(それなら、この集落にも マナリスがあるかもしれん)
チャットアイゼンさん?どうかしましたか?
アイゼン…この辺りにお宝がありそうだ
パティ何と!それは本当か!?
アイゼン以前、似たような事があった。その時は集落で見つけたある物がお宝に繋がっていたんだ
アイゼンこれから集落を調べてそれを探す。ついでだ、お前達も手伝え
チャット勿論です!それでお宝が見つかるのなら!
パティうむ!草の根かきわけてでも探し出して見せるのじゃ!
パティそれで、そのある物とは…?
アイゼンカタグラフィという紋様の入った四角い箱だ。大きさは…まあ、これくらいか
チャット片手で持てる大きさですね…。カタグラフィ…わかりました!
パティでは早速、お宝探しといくかのう
scene2新たな真実
チャット──アイゼンさん!もしかして、これじゃないですか!?こっちにたくさんある、この箱!
アイゼンこれは…
パティ…おー、確かに箱じゃの!アイゼンの言っていたカタグラフィとは、これの事か?
アイゼンああ、間違いない。再生装置も向こうで見つけた
アイゼン確か、ここを開くんだったな…
チャット…見た事のない代物ですが、何に使うんですか?
アイゼンこいつは過去の記録を映し出す装置。言わば、かつての超技術だ
パティほう、心躍る響きじゃの
アイゼン…よし、起動したか。口で説明するより、見た方が早い
ポチッ…!
兵士1うおおおおお!!
兵士2侵入を許すな!全員、ここを死守し──ぐはっ!
兵士1隊長!?くそっ…!!
パティこれは…戦争の様子じゃな
チャットこの集落での出来事のようですが…今ほど建物が壊れていませんね?
アイゼンああ。もっとも、この戦いで壊れていくのかもしれんが…ん…まだ続きがあるな
兵士2うぐっ…ああ!痛い…痛い…!
集落の女…こっちよ!急いで!
???ああ!…もう大丈夫だよ。すぐに済む…!
???…マナリスよ!彼の傷を癒してくれ!
兵士2…っ、はあ…。か、身体が楽に…!助かったよ…さすがは、天族だな…
天族の男ぐっ…はあっ…はあっ…!お、お礼ならいいさ。それで、次の負傷者はどこだい?
ドワーフの男傷の深かった者は、今ので最後だな。あとはみんな、軽い怪我だ
天族の男いや…治せる人は…治しておこう。軽くても、怪我には変わりないからね
集落の女駄目よ!何回マナリスを使ったと思ってるの?
集落の女いくら天族でも、あなたの身体が持たないわ!次に使う時は、私達が…!
天族の男それこそ駄目だ!人間がマナリスを使うなんて、危険すぎる!
天族の男僕達天族が使えば…代償は最小限で済む。僕が使わない理由は…ないよ
天族の男他の集落に援軍を要請している。もう少し辛抱すれば…きっと助けが来るはずなんだ
天族の男…さあ、怪我人のところへ案内してくれ
アイゼンこれは…!
チャットマナリス…!すごいお宝じゃないですか!一瞬で傷を治せるなんて…
パティうむ、さすがのうちもちょっとびっくりしたのじゃ
チャットもう一度見てみましょうか。…ふむふむ。この集落には、様々な種族の方がいたようですが…
チャットマナリスを使っているのは、この方だけですね
パティ人間やら、ドワーフやら…あの傷を治していた男は、天族とか呼ばれておったの
チャット聞いた事はありませんが…この島特有の種族なんでしょうか?
アイゼンいや…違う。本来、天族は他種族から距離を置いて生活するものだ
アイゼン(この時代ではすでに天族の姿が 見えるようになっていた… やはり、この島には何かあるな)
パティ何じゃ、アイゼンは知っておるのか?何やら、驚いているように見えるが…
アイゼン…何でもない。それよりも、マナリスの方が重要だ
パティおお、そうじゃ!あれだけの傷を、ぱーっと一瞬で治す力!
パティマナリスこそ、お宝に相応しい代物なのじゃ!
チャットええ。でも、あの様子からすると何かリスクがあるようですね…
チャットよし!カタグラフィは他にもいっぱいありますし、全部再生してみましょう!
パティうむ!何か手がかりがあるかもしれん!
アイゼン(…マナリスは、 単なる塔の鍵ではなかった。 まさしく破格の能力…)
アイゼン(ならば、サフィアの力はどうだ? マナリスを使ってまで、 厳重に封印されるほどの代物…)
アイゼンどんな願いも叶えられる伝説、か。あながち嘘ではないかもしれないな
パティふむ…映像はこれで終わりじゃな。マナリス以外にめぼしい物はなかったの
チャット十分ですよ!この集落でマナリスが使われていたのは確かです!
アイゼンこれだけ広い集落だ。まだ探していない場所はあるはず…片っ端から──
グオオオオ!
チャットひいっ!この声、また魔物ですか!?
アイゼン表に集まってきている。どうやら、この集落は奴らの住処になっていたようだな
アイゼンまあいい…道を塞ぐのなら、蹴散らしていくまでだ
scene3新たな真実
ウ…ウウ…ギャ…ウウウッ…!
アイゼン…妙に魔物の動きが鈍い。こいつら、手負いか?
パティふふん。どうやら楽勝のようじゃな!
パティさ、こいつで最後じゃ──
ガキン! ボンッ!
パティわっ!暴発じゃと!?まるで見当違いのところを撃ってしまったのじゃ…!
ゴ…ゴゴッ…!
チャット…!暴発した弾で、家が崩れてくる…!パティさん、危ない!
アイゼン──ちっ!身を屈めてじっとしてろ!ガレキを吹っ飛ばす!
ガッ!ドガッ!!
アイゼン…無事か?
パティう、うむ。助かった。うちは大丈夫じゃ
チャットよかった!暴発騒ぎに驚いて、魔物も逃げていきましたよ!
パティふう…危うくやられるとこじゃった。それにしても…
パティ何でいきなり暴発したのかの?この間手入れしたばかりなんじゃが…
アイゼンおそらく…今のはお前のせいじゃない
チャットお前のせいじゃない、って…?何でそんな事がわかるんですか?
アイゼンいろいろと事情があってな。……
アイゼン…やはり、危険だな。俺は一人で行動する
パティいきなり何言いだすんじゃ?急に怖い顔になったぞ
チャットそうですよ!これからお宝を見つけようって時に!
???──ロイド、みんなを呼んできて!今、こっちで音がしたよ!
アイゼン…!この声…あいつらもここに来ていたのか。ちょうどいい
アイゼンお前達。そこに並べ。…動くなよ
パティむ…?ここか?
チャット次から次に、何なんです?
ゴゴゴッ!
チャットなっ、アイゼンさん!?この土の壁は一体!?
パティと、閉じ込められたー!?さっきは守ってくれたのに、何でこんな真似するんじゃ!
アイゼン悪く思うな。もう追ってくるなよ…じゃあな
チャットちょ、本当に置いていくんですか!?アイゼンさーん!
scene4新たな真実
ルカ確かこの辺りから聞こえたと思ったけど…
???だーれーかー!助けてほしいのじゃ!
アリーシャ…あそこだ!土の…壁?
ロイドこの声…壁の中からだぜ!おーい、今助けるぞ!
チャットいやー、ありがとうございます。助かりました
アリーシャ無事で何よりだ。それより君達、一体何があった?
パティ実は、もう一人連れがおったのじゃ。共にこの集落にやってきたのじゃが…
チャット魔物を倒して一段落したと思ったら、急に土壁に閉じ込めてきたんです
チャットそれまでは一緒に戦ってくれたのに、どうしてあんな事をしたのか…。全く、アイゼンさんは──
ルカアイゼン…!?って、金髪で黒い服の?
パティそうじゃ!…もしかして、お前らも知り合いか?
ロイドああ。でも、何でお前らとアイゼンが一緒にいたんだ?
パティ何でかと聞かれれば、偶然会っただけじゃがの。それ以上の関係は…秘密なのじゃ
パスカルふーん…。アイゼンもマナリスを探しにきたのかな
ルカかもしれないね。何の目的もなく、こんな山まで来ないだろうし
アリーシャ…アイゼンについてはひとまず置いておこう。それより…
アリーシャ君達のような子どもが、どうしてここに?迷い込んでしまったのか?
チャット…!え、ええ…そんなところです
アリーシャ…そうか、ここは怖かっただろう。だが、もう大丈夫だ。私達調査隊が責任をもって保護しよう
チャットちょ、調査隊!?みなさん、全員そうなんですか!?
ロイドああ、ここには任務で来たんだ。まさか、子どもがいるとは思わなかったけどな
パスカルそうだ!アイゼンと一緒にいたなら、何か知らないかな?マナリスとか、カタグラフィとか!
パティし、知らないのじゃ。もし知っていても、うちらの口は貝よりも固いのじゃ
チャットボ、ボク達は大丈夫です!さっき、アイゼンさんに安全な道を教えてもらったところで…
チャット何も知らないし、保護も必要ありませんから!それでは、失礼しますー!
アリーシャちょっ…待ってくれ!…駄目だ。もう見えなくなってしまった…
ルカすっごい慌ててたね。怒られると思ったのかな?
アリーシャ一応、人の通れそうな道は全て安全を確認してきたが…
パスカルん~、元気そうだったし、大丈夫じゃない?心配なら帰る時に捜そうよ
ロイド…ん?あいつら、何かポロポロ落としていったぞ?
パスカル…!これ、カタグラフィと再生装置だ!
ルカそっか…。アイゼンさんがマナリスの手がかりを探してたのかも?
パスカルなら、あたし達も見てみようよ~!バコッとな…!
ルカマナリスに、こんな力があったなんて…
アリーシャ単なる塔の鍵ではなかったのか…
パスカルすごい!すごいよ、これ!傷も一瞬で治してるし…。しかも、それだけじゃないんだ!
ロイドああ。こっちのカタグラフィを見ろよ
アリーシャ…!植物の苗が、瞬く間に育って…果実までつけている…!
ロイドマナリスってのは、想像以上にすごいお宝みたいだな
パスカルう~、今すぐ戻って、もう一度調べてみたい~!
アリーシャ私はあのマナリスを使っていた男が天族と呼ばれていたのが気になるのだが…
ルカそうだね。マナリスの事も気になるけど、天族っていうのは何だろう?
ロイドそれなら聞いた事あるぜ。俺の知り合いでミクリオとライラって奴がそうだったな
パスカルロイドも二人を知ってるの?私も一緒に旅した事があるよ
アリーシャなっ…!二人とも、天族に知り合いがいるのか!?
パスカル前にちょっとね~。天族って特殊な存在らしいよ
アリーシャその姿は普通の人間には見えず、自然の力を操る事が出来るらしい
ルカアリーシャも天族を知ってるの?
アリーシャああ、小さい頃に伝承を読んだんだ
アリーシャ…まさか、こんなところで天族の話を聞く事になるなんて思いもしなかった
アリーシャしかも、二人が天族と会った事があるとは…。驚いたな
ロイド特別変わった奴じゃなかったけどな。俺達と何も変わらないって言うかさ
アリーシャそうなのか!出来れば私も会ってみたいが…
アリーシャ今は任務中だ。詳しい話はまた後で聞かせてほしい
アリーシャ今回のカタグラフィを見る限り、マナリスにはすさまじい力が秘められていると考えられる
アリーシャ能力を調べるためにも、調査隊で早く確保しなくては。使い方や…代償と言うのも気になる
ルカうん、僕もそう思う。天族の人は、いい事に使ってたけど…
ロイドこの集落にマナリスがあったなら、今も近くにあるかもしれないぜ
アリーシャああ、私もそう思う。パスカル、レーダーを使ってマナリスの反応を見てくれないか?
パスカル任せて!…って言うか、もうやってるよ~!
パスカルえっと…おっ!あっちの方に反応があるよ!
ロイドへへ、思った通りだ!行ってみようぜ!
チャット…どうやら、行ったみたいですね
パティまさか調査隊員と出くわすとはのう。とりあえず逃げ切れたが、これからどうするのじゃ、チャット?
チャット…決まってます!今のは戦略的撤退…!お宝をみすみす渡せませんよ!
パティそうじゃな。アイゼンにも文句を言わねばならんし
チャットこっそり、後をつけましょう!マナリスは僕らの物です!
scene1死神の呪い
ルカこれまでは遺跡だったけど、今度は洞窟か…
アリーシャ自然の地形を利用した祠のような物かもしれないな
アリーシャパスカル、マナリスはこの洞窟にあるのか?
パスカルうん。レーダーにも反応があるし、間違いないよ
ロイドなら、急ごうぜ。…ん?
ロイドこれ、誰かの足跡だ。俺達より先に入った奴がいるのか?
ルカもしかして…アイゼンさん?
アリーシャそうだとすれば、いい機会だ。アイゼンと直接話が出来る
アリーシャ何故私達の前から消えたのか、何の目的でこの島に来たのか…。全てをはっきりさせよう
ルカうん。行こう!
scene2死神の呪い
アイゼン……
パスカルおっ!あそこに立ってるのは…おーい、アイゼン!
アイゼン…ようやくあの二人を引き離したのに、今度はお前達か
ルカよかった…!アイゼンさん、この間は何も言わずにいなくなったから…
ルカもう一度会いたいと思ってたんです
アリーシャ調査隊員として、本来、立入禁止のこの場所にいるのは見過ごせないが…
アリーシャそれより先に、私達はお前と話がしたい
アイゼン…話だと?
ルカ僕は…アイゼンさんと、また一緒に冒険出来ればいいって思ってます
アイゼン…!
アイゼン本気か?普通、あんな別れ方をされて追う気にはならないだろう
アリーシャ確かにお前は何も言わず消えた。だが、ただそれだけだ。マナリスを奪ったわけでもない
アリーシャそれに…アイゼン。以前、湖を荒らす海賊と戦っただろう
アイゼン…ああ。ついこの間な
ロイドやっぱりお前だったか
ルカ森では僕を助けてくれたし…さっき会った子達も、一緒に戦ってくれたって言ってました
ルカだから僕は…僕達は、アイゼンさんが悪い人だとは思えません
アリーシャだが…お前が私達を避けているのも事実だ。どうしても、それが引っ掛かる
ルカだから僕達は…アイゼンさんの口から、事情を聞きたかったんです!
アイゼン……
ルカアイゼンさんの事情がわかれば、協力して一緒に冒険する事だって…
アイゼンお前らと一緒に、か…
アイゼン…駄目だな。その気はない
ルカ…!
アリーシャ…理由を聞きたい
アイゼン理由も何もない。俺は一人で動くと決めてるんだ
ロイドじゃあ、島に来た目的は何なんだ?海賊って言ってたけど…お宝探しに来たのか?
ロイドせっかく会えたんだし、少しくらいは教えてくれてもいいだろ
アイゼン…マナリスを探す限り、お前達とは今後とも何度か顔を合わせる事になるな…
アイゼンいいだろう。俺の事情と目的については、ここではっきりさせておこう
アイゼンまず…俺は人間じゃない。聖隷だ。…この島では、天族と呼ばれていたようだがな
アリーシャなっ…!?アイゼンが、天族…!?
ルカ天族…ってカタグラフィに映っていたあの…
アイゼンカタグラフィを見たのか。それなら話は早い
アイゼン聖隷とは本来、人には見えず、世界のあちこちでひっそりと暮らしてきた種族だ
アイゼン寿命はなく、生まれながらにして特殊な力が使える
アイゼン他にも、周囲に影響する加護を持っている事もある。だが…俺の場合、それは呪いだった
ルカ…呪い?
アイゼン言っただろう。俺は死神の呪いにかかっていると
アリーシャ森で言っていた、あれか…
アイゼン俺は呪いを解こうと世界中を旅していたんだ
アイゼン方法は見つからなかったが…ある男の言葉によって呪いを受け入れる事が出来た
アイゼンそんな時だ。この島の…サフィアの伝説を耳にしたのは
ロイド「どんな願いも叶えられる」…そうか、じゃあ…!
アイゼンああ。俺は呪いを解くためにサフィアを狙っている
パスカルでもさ、サフィアの力で呪いが解けるとは限らないんじゃない?
アイゼン…その通り。眉唾にもほどがある伝説だ。完全には信じていなかったが…
アイゼンここに来て、賭ける価値が出てきた。お前達も、あのカタグラフィを見たんだろう?
アイゼンここでは多くの種族が集まり、共存、共栄していた。本来見えないはずの天族もだ
アイゼンつまり…かつてこの島には、天族に影響を及ぼすほどの技術が存在したという事だ
パスカルなるほどね~…だったら、サフィアの力だって、天族の呪いに効果があるかも…って事?
アイゼンああ。多様な種族によって発展した島だ。それだけの期待は出来る
ロイドじゃあ…ここに来たのも、サフィアのためか?
アイゼンああ。一個でもマナリスを手に入れれば、塔の扉を開ける時、調査隊との交渉材料になるからな
ルカそんな…!一人で調査隊と敵対するような事、しなくたっていいのに…
アリーシャそうだ。マナリスを使って交渉しようとすれば、調査隊全体がお前の敵になるかもしれないぞ
アイゼン構わない。自分の舵は自分の意志で取る。調査隊の下につくのは性に合わん
アイゼンそれに…一人で生きるのは慣れてるんでな
ルカアイゼンさん…
アイゼンこれで俺の話は終わりだ。俺は…お前達の仲間にはならない
アイゼン…呪いは俺一人で解く。もう協力者はいらないし、ほしいとも思わない
ルカそんな…
アイゼンお前達にも任務があるんだろうが…マナリスを渡すわけにはいかないな
アイゼンもし俺の邪魔をするのなら、その時は相手になってやろう
アイゼン…この先のマナリスがほしければ、相応の覚悟をしてくるんだな
ルカアイゼンさん…
ロイド…あいつ、本気みたいだな
アリーシャ…退くわけにはいかない。私達も調査隊としてマナリスを確保しなければ
パスカルう~ん、アイゼンには悪いけど、マナリスは渡せないね~
ロイドああ。アイゼンの事情はよくわかった
ロイドでも…黙って見てるなんて出来ないもんな
ルカアイゼンさんと戦う…。そんな事、あるのかな…
アリーシャ覚悟はしておくべきだろう。アイゼンの目に迷いはなかった
アリーシャただ、少し都合のいい解釈をすると…
アリーシャ本当に私達が邪魔なら、今この場で戦いになっていたはずだ
ルカ…そうだね。ありがとう、アリーシャ
アリーシャああ、アイゼンを追い、私達でマナリスを確保しよう
scene1度重なる災難
パスカルぜえ…はあ…。つ、疲れた~!この洞窟、どうなってるんだろ?
ルカ吊り橋の縄が切れたり、いきなり足元が崩れたり…
アリーシャああ。次から次へと危険な事ばかり起こるな
ロイド遠回りばっかで全然前に進んでる気がしないぜ
アリーシャ先を急ごう。この洞窟が異常なのは明らかだが…気をつけて進むしかない
ルカそうだね。このままじゃ、アイゼンさんに追いつけなくなるかもしれないし…
ルカ…ん?あれって…
アイゼン……
パスカルアイゼンだ!お~い、アイゼ──
ピシッ…!
アリーシャ…!パスカル、下がれ!天井が崩れる!
パスカル──え?うわあっ!
ガラガラガラッ…!
ロイドパスカル!
ロイド裂空斬!
ドゴォッ!!ガラガラガラッ…!
ロイド…思い切りやっちまったけど、大丈夫か、パスカル?
パスカルげほっ、げほっ…うん、助かったよ~。ありがと、ロイド
アリーシャ崩れてきた岩を砕いたのか…あの短時間でよく反応出来たな
ロイド一か八かだったけど上手くいったぜ
ルカパスカルが無事でよかったけど、別の道を探すしかなさそうだね
アリーシャああ、来た道を戻ろう
パスカルそんな~、これで何度目なんだろ…
scene2度重なる災難
アリーシャ…よし、この横穴から先に進めそうだ
ルカもう何も起こらないといいけど…。さっきの崩落も、マナリスを守るための罠…なのかな
ロイドそれにしちゃ、ちょっと変だよな。森や湖にも罠はあったけど、こんなに多くはなかっただろ?
パスカルん~…多分、今回のは罠じゃないと思うんだよね
パスカル気になって途中から調べてたけど、何かが仕掛けられた跡はなかったし
パスカル全部罠じゃないとは言い切れないよ?でも…ほとんどは自然に起こった事じゃないかな
アリーシャ偶然にしては出来過ぎているが…罠ではないとしたら、何か原因があるのだろうか
ルカもしかして…
ルカこれって、アイゼンさんが言ってた死神の呪いに関係があるんじゃない?
アリーシャ死神の呪い…。自分の周囲に災いが降りかかるとアイゼンは言っていた
パスカル呪いか~。それなら、今までの事も説明がつくね
ロイド俺達はアイゼンを追ってるから、危ない目に遭ってるって事か?
ルカ確証はないけど…可能性はあると思う
アリーシャそう言えば…森でアイゼンを追っている時も不自然な程、何度も魔物に遭遇したな
ルカあの時、魔物を引き寄せたのは死神の呪いのせいだろう…ってアイゼンさんも考えてた
ロイドなるほどなあ…って、待てよ
ロイドだったら、アイゼンはいつもこんな目に遭ってるのか?
ルカそうだと思う。生まれつき加護や呪いを持ってるって話をしてた
ロイドあいつは…生まれてからずっと呪いの影響に苦しんでたのか…
パスカル天族って寿命がない種族なんでしょ?だったら、これからもずっと呪いと付き合い続けなきゃいけないんだ
アリーシャそんな呪いを解く可能性があるのならサフィアを狙うのも当然だろう
ロイドけどよ、それなら何で俺達を遠ざけるんだ?
ルカ…多分、アイゼンさんは僕達を呪いの影響に巻き込みたくなかったのかな
ルカ周りの人に迷惑をかけちゃうのって…辛いから
アリーシャそうか…アイゼンがそんな想いでいるとしたら、集落であの子達を壁に閉じ込めたのも理解できる
ロイドああ、あいつらか。しばらく一緒に行動してたって言ってたな
アリーシャ恐らく、私達と同じように道中で死神の呪いの影響を受けたのだろう
アリーシャ一緒にいるのは危険だと考えてあの子達を遠ざけたのかもしれない
パスカル遠ざける方法にしては、やりすぎな気もするけどね~
ロイドこの先、マナリスのところへ行けばアイゼンと会えるはずだ
ロイドアイゼンが俺達を遠ざけるのが呪いに巻き込みたくないからなのか、そこで本人に確かめようぜ
ルカ…うん。もう一度、話がしたい
アリーシャマナリスの前でアイゼンと対峙する事になれば戦いが始まるかもしれない
アリーシャ…しかし、話し合いを諦めはしない
アリーシャサフィアの使用について本部に掛け合う事が出来れば…私達が争う必要はなくなる
アリーシャアイゼンに本部の人間を説得しようと持ちかけてみよう
ロイドおう!またアイゼンと一緒に冒険したいしな!
パスカルよ~し、そうと決まれば、早く行こ!
ルカうん!アイゼンさんに追いつかないと!
scene1変わらぬ意志
アイゼンちっ…!魔物が次から次へと…はっ!!
ギャアアアア!
アイゼンあの集落にいた魔物と同じか。数が多くて厄介だ…!
グオオオオ!
アイゼン…後ろか!せいっ!!
…!グルル…!
アイゼン…くそ、仕留めそこねた。死角から逃げ場所まで、ここの地形を知り尽くしてやがる
アリーシャ──みんな、こっちだ!
アイゼン…!この声、あいつらか
ロイドアイゼン…!やっと追いついた
アリーシャ足止めされていたのは私達だけではなかったようだ
アイゼン…もう来たか。これだけ邪魔が入れば当然だな
パスカルうわ~、すっごい数の魔物だね。これも死神の呪いってやつ?
アイゼンいや、呪いの影響だとはいえない。こいつらとは集落でも戦った
アイゼン元からこの一帯を縄張りにしているんだろう
グオオオオ!
ルカ魔物がくる…!アイゼンさん、僕も戦います!
パスカルあたし達もこの先に進みたいしね!
アイゼンお前ら…邪魔はするなよ!
scene2変わらぬ意志
ギャアアアア!
ロイドよし、大体倒せたな。残りは逃げて行ったけど
アイゼン……
ルカアイゼンさん…!えっと、その…
アイゼン…じゃあな
ルカ…!待ってください、アイゼンさん!
ルカもう一度だけ、僕達の話を聞いてくれませんか
アイゼン…一緒に冒険する話ならもう断ったぞ
アイゼン邪魔をすれば容赦はしない、とも言ったはずだ
ルカ…僕は、アイゼンさんに大切な事を教えてもらいました
ルカ自分の舵は自分の意志で取る…あの言葉が僕に勇気をくれたんです
アイゼン……
ルカ僕に必要だったのは、自信を持って自分の意志を伝える事だった
ルカ今、こうして話せてるのもあの言葉があったからです
ルカ身勝手かもしれない…。…でも僕は、もう一度アイゼンさんと一緒に冒険がしたい!
アイゼン…そうか。だが、俺の答えは変わらない
アイゼン…これは俺の問題だ。これ以上つきまとうつもりなら、戦ってでも振り切らせてもらう
ルカ…!!
アリーシャアイゼン…私達は、お前を仲間だと思っている
アイゼンお前達が俺をどう思っていようが、この先どうなろうが…俺には関係のない事だ
ロイド…本当にそうなのか?
アイゼンどういう意味だ
ロイド俺達を避けてるんじゃないか?ここに来る途中、みんなで話したんだ
ロイドお前が一人で行動しようとするのは、死神の呪いのせいなんだろ?
アリーシャ誰かを巻き込まないようにしている…私達にはそう見えた
アイゼン……
ルカやっぱり、そうだったんだね
アリーシャ死神の呪いを解くために…私達も協力したい。調査隊に入れば、利点もあるはずだ
アリーシャもちろん不都合はあるだろうが…調査隊と敵対し、争いになるよりはずっといい
アリーシャサフィアの力を使えるようになれば呪いを解くために使えないか、私から上に掛け合おう
アリーシャだから、調査隊に入る事を考えてみてくれないか?
ロイド一緒に行こうぜ、アイゼン!一人で悩むよりみんなで助け合った方がいいって
アイゼン…お前達の言う通り、俺が一人で行動するのはこの呪いのせいだ
アイゼン呪いが周りに降りかかるのを、俺は望んでいない
アイゼンこの呪いは強力だ。海賊団の連中を何度も巻き込んだ
ルカだったら、尚更早く解かないと…!
アイゼンお前達はまだ、呪いの恐ろしさを理解していない
アイゼン理解すれば、考えが変わるはずだ。それから後悔したのでは遅い
パスカルここまで来る間にも、呪いの影響は結構あったよ
ロイド危険な目に何度も遭った。だからこそ、そんな呪いを持ったアイゼンを放っておけないんだ
アイゼンたまたま生き延びただけだ。調子に乗るな
ルカ確かに、僕らはアイゼンさんほど呪いの事をわかってないかもしれない
ルカそれでも、僕は…!アイゼンさんと冒険がしたい!
ルカ死神の呪いがいくら危険だとしても…呪いごと受け止めるよ!
アイゼン…!
ルカこれが…僕の意志です
アイゼンお前…
アイゼン「呪いごと受け止める」か。 どこかで聞いたような台詞だな
パスカル前にも誰かに言われた?
アイゼン……
アリーシャアイゼン。私達と共に行かないか?
アイゼン…いや。その誘いは受けられない
アイゼン俺は一人で行く。何を言われても、考えは変わらない
ルカそんな…
アイゼン…だが、俺の事情を知り、その上で共に行きたいと言うとはな
アイゼン気持ちだけはもらっておく。もう俺を誘うのは諦めろ。…それがお互いの為だ
アイゼン俺は先に向かう
パスカル…行っちゃった。あれだけ言っても駄目かあ…
ロイドもしかしたらって…思ったんだけどな
ルカアイゼンさん…
アリーシャ…説得は失敗か。アイゼンの決意は固いようだな
アリーシャマナリスをみすみす渡すわけにはいかない。アイゼンを追おう
パスカルそうだね~。はいどうぞ、って譲ってあげるわけにはいかないし
ロイドそれにやっぱり、ここまで来てアイゼンを諦めるわけにもいかないよな
アリーシャああ。私達の覚悟を見せてやろう
ルカ…行こう、みんな!
scene1マナリスを手に
パスカルレーダーの反応が強くなった!マナリスはすぐ近くだよ!
ロイドあそこ、光が漏れてるぜ。何かありそうだ
アリーシャ何が起こるかわからない。みんな、用心して進もう
ルカうん!
アイゼン……
パスカルあっ、いた!アイゼン、マナリスは見つかった?
アイゼン…やはり来たか。マナリスは見つかったが、妙な先客がいる
???──ハスタキーック!!
グガッ…!?グウ…ウ…
???ふーむ。前菜にしては食べ応えがありましたな…星二つ!
ロイド何だ、あいつ…?あんなでっかい魔物を一人で倒したのか?
パスカルあっ…!あいつが持ってるの…!
ルカマナリスだ!
???おやおや、騒がしくなってきたと思ったらお客さん。ご注文は何ですぴょん?
ロイドち、注文…?
アリーシャ私達は調査隊だ。ここは立入禁止のはずだが…一体、何者だ?
???何者…?ああ、名前?オレの名前ね?
ハスタ窓辺のマーガレットでお馴染み、ハスタでございます
パスカル窓辺の…えーっと。アリーシャ、知ってる?
アリーシャ…いや、聞いた事がない
ロイドお前も調査隊の一員なのか?
ハスタチョウサタイ?ああ、そんなご当地名産品があったような、なかったような…
パスカル…つまり、調査隊には全く関係ない人?
ハスタ関係ないあるヨ!
パスカルどっち!?
ハスタあるある、あるともさ~。この…これ、何だっけ…マナリ何とか?
ハスタこいつを手に入れたら、キミ達に手渡すよう言われてたんだよ~
アリーシャ……
ルカあ、そうなんですね…?僕達の他にも、任務で来た人がいたんだ
ハスタそうなのさ。だからほら、こっちにおいで。おじさんがいいものをあげるから
ルカあ、はい…
アリーシャ…待て、ルカ。その男から離れるんだ
ルカえ?でも…
アリーシャクラトス殿は、山岳地帯に入るのは私達が初めてだと言っていた
アリーシャ他の調査隊員が派遣されるなら私達に知らせてくれるはずだ
アイゼンほう…つまり、あいつはお前らの仲間じゃないのか
ハスタあれ、バレた?ぴんぽんぴんぽーん!調査隊?何それ知らね
ハスタ惜しかったなあ…もうちょっとで綺麗な刺身にしてやったのに
ルカ刺身って…ぼ、僕の事!?
ロイドこいつ…!俺達を騙すつもりだったのか!
ハスタうん。バレたら仕方ないね。奇襲が失敗したら、やる事は一つだよね…
ハスタさあ!こうなれば正々堂々、正面から暗殺しよう!行くぞ、みんな!
ルカえっ!?もしかして仲間がいるの?
アリーシャただのハッタリだ!惑わされるな、ルカ
アリーシャふざけた男だが、敵意は本物だ。みんな、構えろ!
アイゼンマナリスは俺がいただく。…だが、まずはあいつを倒す方が先のようだな!
scene2マナリスを手に
ハスタ束でかかってくるなんて、まるで魔物みたいだー。お主が欲しいのはこの…何だっけ?
アリーシャマナリスだ!それはこちらに渡してもらう!
アイゼンマナリスを渡せ!
ガキィン!
アリーシャうっ!?アイゼン…!?
アイゼンくっ…!!
ハスタ…おやあ?ぶつかってしまうとはコンビネーションがイマイチですなあ
パスカルあたしに任せて、アリーシャ!
アイゼンちっ…マナリスを寄こせ──
パスカルねちねちバレット!
ハスタおーっと、華麗に回避!成功!…お帰りはあちらですポン
ドドドドドッ!!
アイゼン──!!ぐおっ…!?
パスカルアイゼン!?ごめん!狙ったわけじゃないんだけど…!
ロイドあのハスタって奴、俺達の攻撃を利用してアイゼンの動きを封じてやがる!
ハスタあらあらお可哀そうに。演奏前のリハーサルはちゃんとしました?
ハスタしてない?それじゃあお客さんは満足しないぴょろよ
ロイドアイゼン!ここは一旦、手を組もうぜ!このままじゃ危険だ
アイゼン危険だと思うなら下がってろ
グガアアア!
ルカ…魔物!?アイゼンさん、危ない…!
アイゼン…!くらえ!
ギャアアアア!
アイゼンさっき取り逃がした魔物だな。次から次へと邪魔が入る…!
アイゼンまずはこいつらを片付ける
パスカルうわっ!魔物がどんどん出てくるよ~!
アリーシャアイゼンは魔物の方へ行ったか…
アリーシャみんな、ここは二組に分かれて戦おう!
アリーシャ私とルカは魔物を倒しに行く!その間、ロイドとパスカルはハスタを抑えていてくれ
ハスタいい作戦だ。おいらも手を貸そうか?地獄行きのな!
ルカ…!魔物を倒したら、すぐに合流するよ!
ロイドああ、任せろ!やるぜ、パスカル!
パスカルうん!
scene3マナリスを手に
アイゼンまだこんなに魔物がいたのか…時間ばかりとられる
ルカ…アイゼンさん、僕達も戦います!
アリーシャ手を組みたくないならそれでいい。勝手に協力させてもらう!
アイゼン…戦う相手は、お前達で決めろ。俺は俺でやるだけだ
ルカは、はい!はああっ!
グギャアアアッ!
ルカ…よし!この調子なら何とか倒せそう
ピシ、ピシ、ピシッ…!
アイゼン…おい、上だ!岩が落ちてくるぞ!
ビシッ…!!ガラガラガラ…!!
ルカ駄目だ、避けきれない…!
ルカうわああっ!
アリーシャルカ!大丈夫か!?今、そちらに行く!
ルカ…ぐ、がはっ…!
アイゼンくそっ…!だからあれほど忠告したんだ…!
ルカア、アリー…シャ!
アイゼン…!!
アリーシャルカ!?ひどい怪我だ、起き上がってはいけない…!
ルカ僕は、大丈夫…。それより、魔物を倒さないと…
アイゼンおい、下がってろ
ルカ…アイゼン、さん?ううっ!!
アイゼン動くだけでも辛いだろう。そんな身体で、何故戦おうとする
アイゼン…今の落石は俺の呪いの影響だ。こんな事が続けば、命がいくつあっても足りないぞ
ルカ怪我や呪いなんて…関係ない。呪いごと受け止めるって、言ったじゃないですか…
アイゼン…それは、俺がお前らの仲間になった場合の話だろう
ルカアイゼンさんが仲間じゃなくてもその気持ちは…変わりません…!
ルカ自分の意志で…決めた事だから
アイゼン…!
ルカそこを退いてください…みんなを…助けなきゃ
アイゼンおい、お前…!
ルカ魔物を、倒さないと…
ルカ…はああっ!
アイゼン…無茶な奴だ。こうなれば、魔物を倒す方が早いか…!
scene4マナリスを手に
ルカこれで…最後!やあ…あああっ!
ギャンッ!
ルカはあっ…はあっ…。やっ…た…
アリーシャルカ、今治療する!身体を楽にして、怪我を見せてくれ…!
アリーシャくっ…何て怪我だ。この身体で、どうしてあんな無茶を…
ルカごめん…少しでも早くロイド達に加勢したくて焦っちゃって…
ルカそれに、あのハスタって人にマナリスは渡せないよ…
ルカアイゼンさんの、ために…も…
アイゼン…!!
アリーシャルカ…?返事をするんだ、ルカ!
ルカ……
アイゼン俺のためにも、だと?…お人好しにもほどがある
アイゼンそのくせ、自分の意志はしっかりある、か…
アイゼン…よくわかった。これがお前の覚悟だと言うんだな
アリーシャ…傷が深すぎる…駄目か!手持ちの治療道具では、応急処置くらいしか…
アリーシャこのままでは危険だ!一体、どうすれば…!
アイゼン…落ち着け。薬はないが、こいつの命を救うための手ならある
アリーシャアイゼン、本当か?
アイゼンああ、だが俺一人では手間がかかる。だから…
アイゼン力を貸せ。アリーシャ
scene1唯一の方法
ロイド──ルカ!?おい、大丈夫かよあいつ…!
ハスタよそ見しちゃダーメ
ロイド…ぐっ!!
ギィイン!!
ハスタつれないぜ、レッドマン。息の根を止めるまでが殺し合いです、…って、学校で教わらなかった?
ロイドくっ…!こいつから目を離すと危ねえな!
ハスタん~?ああ、気になるわけだ?あそこで無様に倒れちゃった坊やの事!
ハスタわかるなあ、その気持ち…オレも、何人もの仲間を失った。…あれ?自分でブチ殺したんだっけ?
ハスタまあいいや。とにかくわかる!死にかけってのが一番辛いんだあ。痛くて痛くて、でも気持ちよくて…
ハスタだからさあ、オレが止めを刺してやりましょう!ぼくちん出血大サービス!
ロイドこいつ…させるかっ!!
ギィイン!!ギィイン!!
パスカルちょ、飛ばしすぎだって…!大丈夫、ロイド!?
ハスタいいねいいねえ!麗しい友情!弱者を守るヒーロー、かっけー!そういうの、大嫌いだわ~
ロイド弱者だと…?取り消せ!ルカは弱くねえ!
ハスタオレを殺す力もないくせに?甘い!甘すぎて虫歯がうずくなあ!
ハスタお前みたいな奴を見ると…もう一人の俺がささやくんだよっ!コ・ロ・セ、ってな!
ロイド好き放題言いやがって…!
パスカル挑発に乗っちゃ駄目だよ、ロイド!しっかり抑えてないと、こいつ何するかわかんないんだから!
ハスタ賢いお嬢ちゃん登場!楽しくなってきたところなのに邪魔するなら…
ハスタ指先一つで先に眠っててもらいましょうかねえ!
ロイドそんな事させるかよ!パスカル、援護頼むぞ!
パスカル了解!
ロイドおおおおおっ!!
ハスタひゃっほーう!!
パスカル…って、無理だよ~!あんなに混戦してたら巻き込んじゃうってば!
アリーシャ…では、当てなくていい。ロイドとハスタの間に術を撃て、パスカル!
パスカルわっ、アリーシャ!?う、うん。わかった!
バシュッ!
ハスタあ~ん?どこ狙って…?
アリーシャ…そこだ!マナリスは返してもらう!はあっ!!
ハスタおっと!ハスタエスケープ!…サクセス!!
ハスタハスタ選手、卑劣な不意打ちを華麗なステップで回避しました!観客席は拍手喝采でっす!
パスカル惜しい!あと少しで、マナリスに手が届いたのに~!
アリーシャ…いや。どうやら成功だ
???…はあっ!!
バキッ!!
ハスタ…ぐっ!?何ですと…!?
アイゼン予想外の攻撃だったか?
ハスタやってくれるじゃないの…お礼はたっぷりさせてもらうぴょろよ
アイゼン…何、礼を言うのはこちらの方だ
ハスタ…!!
ロイドマナリス!?いつの間に…!
アイゼン…パスカル!投げるぞ、受け取れ!
パスカルえっ!?わっ、ちょっと待って…!
パスカル…よっと!!
パスカルふー…危ない危ない。いいの、アイゼン?
アイゼン構わん。それより、絶対に奪われるなよ
ロイドアイゼン…!協力してくれるのか!
アイゼン…ああ。すぐに終わらせるぞ
ハスタ…すぐに終わらせる?舐めてますねえ~…急に仲良しこよしってか!?
ハスタ温厚で知られたぼくちんもさすがにさすがに大噴火!てめえら、生かしちゃ帰さねえ!
ロイドこいつ…!まだピンピンしてやがる!
ハスタそう、諦めたら終わり!くらえ、ハスタキーッ──
チャット今です、パティさん!
パティ任せるのじゃ!
バキューン!
ハスタ──危なっ!?どこのどなた様かな!?こそこそとオレ好みの攻撃をするのは
アイゼンあの声は、まさか…
パティよくも置いて行ってくれたのう、アイゼン
チャットこっそり追いかけてきたら、何やら大変な状況になっていたので…お宝を守るため、加勢しますよ!
アイゼンまったく、どいつもこいつも
ハスタ次から次へと…これは一体何だ!?神の与えたもうた試練なのかあ!?
ハスタはあ~…ちょっとタイム。ポク、ポク、ポク…
チャットえっと…あれ、何してるんですか?
アリーシャ反応してはいけない。調子に乗るだけだ
ハスタチーン!ハスタ選手、ここは冷静に撤退を選ぶとの事です!
アリーシャ待て、お前のような危険人物を野放しには出来ない
ハスタおっとお~?怖い顔。でもお嬢さん、忘れちゃいけねえよ?そこで死にかかってる坊やの事
ルカ……
ハスタおいらの邪魔するってんなら、どんな手使ってでも坊やの息の根止めちゃうぞ!
ロイドふざけるな!指一本だって触れさせるもんか!
ハスタぶっぶ~、不正解!連帯責任で全員死刑な
ハスタさあ、お刺身タイム!
アリーシャマナリスはこちらにある。ルカに近づかせるな!
ロイドおう!行くぞ、みんな!
scene2唯一の方法
ハスタおー、いててて。もう勘弁。こんなに痛いのは初めてだよ
ハスタなんちゃって!ただの筋肉痛でした!だけど痛いのは嫌だから帰ろっと!…とうっ!!
パスカルあ、あいつ!あそこの穴から逃げる気だ!
ロイド待ちやがれ!
ハスタ嫌だぴょん。また会おうぜ、覚えてたら殺してやるよ…
ハスタアスタ・ラ・ビスタ・ベイベー
アリーシャ──逃がしたか。一体、何者だったのか…
ロイドむかつく奴だけど…今はルカの治療が先だ!
チャット何て傷…!だ、大丈夫なんですか、この人!?
パスカルルカ!ねえ、ルカってば!…早く、ちゃんと治療しないと!
アリーシャ本部に運んでいる時間はない。応急処置はしてあるが…このままでは…!
アイゼンああ。だからこそ、何としてもこいつを手に入れる必要があった
パティマナリス…!おお、カタグラフィに映っていた形そのままじゃ!
パスカル…!アイゼン、まさか…!
アイゼンそうだ。マナリスを使う
ロイドそっか、傷を治すあの力なら…!マナリスを貸してくれ!俺がやる!
アイゼンそれは駄目だ
アイゼンカタグラフィの中で、天族が言っていただろう。人間が使うには危険すぎる…と
アイゼン俺がやる。元はといえば、俺の呪いが原因だからな
アリーシャ…すまない。そして…頼む!他にルカを助ける方法はない…!
アイゼン…ああ。お前達はここから離れておけ
アイゼンマナリスを使った時に死神の呪いの影響があるかもしれん
アイゼン…こいつは必ず助ける。俺に任せろ
ロイド・パスカル・アリーシャ……
アイゼンおい、聞いてるのか?
アリーシャ…聞けない相談だな。それでは、アイゼンを守る者がいなくなる
アイゼン…!
パスカルさっきみたいに天井が崩れてきたら、危ないしね
ロイドルカだけじゃねえ。アイゼンだって、俺達の仲間だろ。何があろうと守ってやるさ
アイゼン…どいつもこいつもお人好しか。呆れたな
アイゼン……
アイゼンそれがお前らの意志なら止めはしない。始めるぞ!
ロイドおう!頼む!
アイゼンさあ、マナリスよ…!
アイゼンその力で、傷を癒せ!
パスカルマナリスが反応してる…!
アリーシャ今のところ、死神の呪いで何かが起こっている様子はない。後は、ルカの傷さえ治れば…!
アイゼン心配するな…!どうやら…
アイゼン効果はありそうだ…!…っ!
パスカルす、すごい!あれだけ深かった傷が、どんどん塞がっていく…!
アリーシャ目は覚まさないが…顔色もよくなった。…成功だ、アイゼン!
アイゼンぐっ…!!
ロイドアイゼン!?
アイゼン大丈夫だ…。急に倒れたりはしないから安心しろ
アイゼンマナリスを使った瞬間、力を吸われたような感覚があった。お蔭でどっと疲れたな…
パスカル力を吸われる…?それって、カタグラフィにあったマナリスを使う代償ってやつ?
アイゼンさあな…。その話はまた今度だ
ロイドそうだな…急いで下山しよう。ルカの傷は塞がったけど油断は出来ない
アリーシャ命に別条はないか本部の医者に診てもらおう
ロイドよし。アリーシャ、パスカル、あとお前らは──
パティうちはパティ、こっちがチャットじゃ。うちらも手伝うか?
ロイドああ。敵が来たら手を貸してくれ
チャット任せてください。でも、調査隊の本部へ行くんですね…
パティ何、その時になったらこっそり逃げ出せばいいのじゃ
パスカルん?何か言った?
パティ何でもないのじゃ~
パスカル早く本部に戻ろう!アイゼンはどうする?
アイゼンそうだな…俺も行こう
scene1受け入れる者
アスラ……
兵士アスラ様。心中お察ししますが、今日はもう戻りましょう…
アスラいや、悼むのならば、近くの方がいい
兵士…はっ
アスラ一人、また一人…。俺の力が足りないばかりに、多くの同志を亡くしてしまった
アスラ許せ。大言を吐きながら、未だ事の解決には至らぬ
兵士何を仰います!アスラ様がいてくれた事で、我々が何度助けられたか…!
アスラふ…俺とした事が、感傷に浸りすぎたか
アスラ立ち止まっている場合ではなかった。後は、行動で示すのみ
アスラ選りすぐりの兵を集めろ!新たな作戦を伝える!!
兵士はっ!!直ちに!
アスラ…見届けてくれ、同志達よ。奴を倒し、この戦は必ず終わらせる!
ルカ…!また、いつもの夢か…
ルカアスラでも落ち込む事があるんだ。同志を亡くしたって…イナンナ…じゃないよね
ルカそう言えば、デュランダルも見当たらなかったな。いつも一緒にいるのに…ん?
ルカ…そうだ!!みんなは!?
パスカル治療してくれた人もああ言ってたし、きっと大丈夫だって…
ロイドおっ!ルカ!!目が覚めたのか!?
ルカロイド、パスカル!
パスカルおっはよ~、ルカ!あんな大怪我だったのに、もう起きて平気なの?
パスカルやっぱりマナリスの力は…って言ってもわかんないか。魔物と戦った後の事、覚えてる?
ルカえっと…魔物と戦ってる途中に岩が落ちてきて…魔物はやっつけたけど…
ルカ…そこまでしか覚えてないや。あの後、どうなったの?アイゼンさんは…マナリスは!?
ロイド落ち着けって!アイゼンもマナリスも無事だ
パスカルアイゼンが協力してくれたんだよ~。一緒にマナリスを取り戻して、ルカの傷を治すのに使ったんだ!
パスカルマナリスの力、凄かったよ~!あっという間に傷が塞がったの
ルカマナリスが…?そっか、だから傷がなくなってるんだ
ロイドその後は、山の集落で会った子どもと一緒にルカを運んで…
ロイドあ、でも…あいつらはいつの間にかいなくなっちまったけど。今度、礼を言っとかなきゃな
ルカ…って事は、アリーシャとアイゼンさんもここにいるんだよね?
ロイドおう、会議室にいる。アイゼンの今後について、上層部の人間と話し合ってんだよ
ルカ上層部って…クラトスさん?
パスカルそれが、どうも違う人みたい。ア・ジュールの代表って言ってたけどルカは知ってる?
scene2受け入れる者
アリーシャ──以上が、マナリスを確保した経緯です。ジェイド殿
ジェイド…ふむ。予期せぬ敵を倒すため、海賊のアイゼンと協力したと
アリーシャ彼の協力のお蔭で、ハスタという人物からマナリスを回収する事が出来ました
アイゼン……
アリーシャ加えて、彼は調査隊員であるルカ・ミルダの命も救いました
アリーシャ彼の事情は先ほどお話しした通り。今後、アイゼンを調査隊員として認めていただけないでしょうか
ジェイド…なるほど。あなたの言い分もわかります
アリーシャでは…!
ジェイドですが…彼を調査隊員として認めるのは難しいかもしれませんねえ
ジェイド彼は数度にわたって立入禁止区域に侵入し、遺物を持ち去ろうともしました
ジェイドここは四大国の平和協調の場です。不穏分子になり得る存在を見過ごすわけにはいきません
アリーシャ…彼の戦力や遺物への見識は、調査の助けになるはずです。どうか、お願いします…!
ジェイド私としても、力にはなりたいんですがねえ…無視出来ない声もありまして
アリーシャ…貴族の方々ですか
ジェイドそれは、ご想像にお任せします。現状、調査隊入りは厳しいかと
アイゼン…もういい。アリーシャ。俺が直接話す
アイゼン俺の入隊が許可出来ないなら、何故はっきり「駄目だ」と言わない?
ジェイド…おや、言いませんでしたか?
アイゼン「かも」だの「現状」だの…含みのある言い方だった
アイゼンつまりは交渉の余地がある。俺はそう受け取ったが、違うか?
ジェイド……
ジェイド…ええ、その認識で構いません。私達に利益のある話であれば、あなたの入隊を認めてもいい
アリーシャジェイド殿、一体、何を言って…?
ジェイドあなたの仲間も、功績と引き換えに調査隊に入ったでしょう?それと同じ事ですよ
ジェイドとは言え、よほど魅力的なものが得られなければここからの会話は意味を持ちませんが
アイゼン……
アイゼン俺の調査隊入りを認めるなら、マナリスの研究に協力しよう
ジェイド…ほう?
アイゼン人間がマナリスを使うのは危険だ。不用意に研究に用いればどんな被害が出るかわからない
アイゼン俺はルカの治療にマナリスを使った。命の危険がない事は実証済みだ
ジェイド悪くない提案です。マナリスについてはまだわからない事が多いですから
アイゼンその代わり、俺からも要求が二つある
アイゼンまずは、この島における行動の自由を保障する事。もう一つは…
アイゼン俺にサフィアを使わせろ。叶える願いは「呪いの解除」だ
ジェイド行動の自由を保障するのは問題ないでしょう
ジェイド完全な自由とはいきませんが、制限があれば難しくはありません
アイゼンアリーシャを監視に付ければいい。要は、俺の行動が把握出来ればいいんだろう?
ジェイドええ。ですが、問題は次です
ジェイドサフィアを使う権利…残念ですが、こちらは約束出来ません
ジェイド今回の一件で、サフィアの伝説にもいくらかの真実味が出てきましたし…
ジェイドサフィアの扱い方は、四大国で慎重に議論を重ねる必要があります
ジェイドそんな中、一個人の目的のためにサフィアを使わせる事は出来ません
アイゼン調査隊がマナリスの研究に行き詰っている事は知っている
ジェイド……
アイゼンマナリスを使う存在はお前達にとっても必要だろう
アイゼン俺もこれ以上退く気はない。俺の入隊を認めるかは、この条件で判断してくれ
ジェイド確かに、これ以上話していても進展はなさそうですね
アリーシャジェイド殿、横から口を挟むようですが、マナリスの使用には危険が伴います!
アリーシャ事実、ルカを治療した事で彼は急激に体力を消耗しました…!次に使用したら、どうなるか…
ジェイドええ、それは心配ですねえ。心中お察しします
ジェイド…が、それはそれ、これはこれ。いや、お蔭で有意義な話が出来ました
ジェイドここで即答は出来ませんが、各方面に話を通してみましょう
ジェイド適当に時間を潰しておいてください。そろそろ、あなた方の仲間も目を覚ましているかもしれません
ジェイドその内、正式な通達が届くはずですから。では、私はこれで失礼しますよ
アリーシャ…は、はい!ありがとう、ございます…
アリーシャア・ジュールきっての曲者だと聞いていたが、確かに掴みどころのない方だった…
アイゼン言うだけの事は言った。俺達も行くぞ
アリーシャあっ…!待ってくれ、アイゼン。今後の事で…少し、確認したい事がある
アイゼン…?何だ
アリーシャその…この落ち着いた機会に話しておくが…
アリーシャ私は幼い頃から天族という存在に憧れていたんだ。聖隷とは、天族の別名なのだろう?
アリーシャだから、その、何と言うか…こうして改めて話すとなると、どう接したものかと…
アリーシャアイゼンが天族とは知らず、今まで不敬な態度をとってきた。…申し訳なかったと思っている
アリーシャこの機会に言葉遣いをきちんと正すべきだろうか?
アリーシャ…そうだ!「アイゼン様」と呼ばせてくれないか!?今からでは遅いかもしれないが…!
アイゼン……
アイゼン…全く。やはり融通の利かない奴だったか
アリーシャなっ…!?
アイゼンそんな気遣いは必要ない。今更態度を変えられても気味が悪いだけだ
アイゼン天族だろうが、人間だろうが、俺は俺だ。…違うか?
アリーシャそれは、そうだが…
アイゼンまあ、お前がどうしても呼びたいと言うなら、「アイゼン様」でも構わないがな
アリーシャ…よくわかった。「アイゼン様」はなしだ。これまで通りにさせてもらう!
アイゼンふっ…ああ、よろしく頼む。隊長殿
scene3受け入れる者
アイゼン…すっかり夜も更けたか。ようやく休める…ん?
ルカあ、いた…!アイゼンさん!
アイゼン…目が覚めたのか。傷はどうだ?
ルカ傷口も消えて、元通りです。あの…ロイド達から全部聞きました。僕を助けてくれたって…!
ルカこれで二回目です。助けてくれて、ありがとうございました!
アイゼン俺はお前達の仲間になると決めた。いちいち礼はいらない
ルカ仲間…!!じゃあ、一緒に冒険してくれるんですか!?
アイゼンああ。あと…その言葉遣いもやめろ。堅苦しいのは好きじゃない
ルカう…うん!でも…どうして仲間になってくれたの?
アイゼンどうして、か…
アイゼン野暮な事は聞くな。俺がそう決めたんだ
アイゼン…随分、懐かしい言葉も聞けたしな
ルカ…?
アイゼンこっちの話だ。お前らこそ、死神を仲間にした事を後悔するなよ?
ルカそれなら、大丈夫。今回は大怪我しちゃったけど…
ルカあれだって、自分の舵を自分の意志で取った結果だから
アイゼン…ほう?言うじゃないか、ルカ
ルカあ、いや、その…!僕なんかまだまだかもしれないけど、ちょっとは成長出来たかな、って…
アイゼンそれなら恥ずかしがるな。ふ…戦っている時は海でもやっていけそうな顔をしていたが
ルカあはは…。ねえ、アイゼンがいる海賊団ってどんな事をしてるの?
アイゼン興味があるのか?
ルカか、海賊にはならないよ!でも、船で世界中を旅するのは、気持ちよさそうだなって…
アイゼンそうだな…まだ見ぬ場所への航海は確かに気分がいい
アイゼン海賊団の連中も、バカだが、いい奴らだ。そうだな、こんな話がある──
アリーシャ──みんな、もう少し静かに。あまり騒がしいと、ジェイド殿から何を言われるか…
ロイドでも、アイゼンの事で話があるって言うんだろ?どんな話か気になっちまってさ
パスカルこっちは何日も待ったもんね~
アイゼン上層部の判断が必要とはいえそろそろ答えが出る頃だろう
パスカルそうだよね~。アイゼンが調査隊に入れるかどうか気になってるんでしょ、ルカ?
ルカはい!…え!?何?何か言った、パスカル?
アイゼン…お前が緊張してどうする。む…来たようだぞ
ジェイドお待たせしました、みなさん。早速ですが、決定をお伝えしましょう
ルカ……
ジェイドアイゼンの入隊が正式に認められました
ルカ…!よ、よかった~…
アリーシャありがとうございます、ジェイド殿!
ジェイド条件は先日の通り。マナリス研究の際は全面協力、それ以外はアリーシャの監視付きです
ジェイドいやー、各所を説得するのは骨が折れましたよ
アイゼン恩を着せるような物言いはやめろ。条件通りに協力はするが、それだけだ
調査隊員…お話し中失礼します
ジェイド構いません、今終わったところです。どうかしましたか?
調査隊員はい。緊急の連絡があり、各国の代表に招集がかかっています
アリーシャ…?
ジェイド…ふむ。わかりました。では、私はこれで
ルカ…ほ、本当によかったあ~!
パスカルお、二回目~。アイゼンより喜んでない?
ルカあはは…さっきから、それしか頭に浮かんでこなくて…
アイゼンともあれ、用は済んだな。俺は部屋に戻る
アリーシャ……
ロイド…どうしたんだ、アリーシャ?難しい顔して。アイゼンの事で、何か気になるのか?
アリーシャいや、それは勿論喜んでいるよ。今考えていたのは…「緊急の連絡」と言っていた件だ
アリーシャ四大国の代表が集まるような事とは、一体何なのかと…
ロイドそう言われると、確かに気になるな…
ロイド何か、事件でも起きたのか…?