NameDialogue
scene1不運な幕開け
ルカうう…。本当に大丈夫なのかなあ…僕達
ロイドさっきから何ぶつぶつ言ってるんだ?ルカ
ルカな、何でもないよ。この状況に慣れなくて、ちょっとね…
ロイド確かに、変な森だもんなあ。木はいちいちでけーし、たまに変な鳴き声も聞こえてくるし
ルカそうなんだよ…こういう経験って初めてで、どうしても、怖──
ロイドああ、どうしてもこう…ワクワクしてくるよな!冒険の予感がするっていうかさ!
ルカえ?いや…。そういうわけじゃ、ないんだけど…
ロイドへ?違うのか?
ルカ…ううん。いいんだ…気にしないで
ロイドそうか…?あ、そういや、薪は集まったか?
ルカあ…うん、どうにか。このくらいでいいかな…?
ルカロイドに言われた通り、なるべく乾いてるのだけ拾ってきたけど…
ロイドどれどれ…。おっ、いいやつ拾ってきたな!これならよく燃えるぜ!
ロイド俺が拾った分も合わせれば、薪は切らさずに済みそうだ
ルカ煙で誰かが気付いてくれればいいね
ロイド駄目だったら野宿だな。さてと、この先は…
パスカルん~…これでも駄目か…。絶対まだ仕掛けがあるはずなんだけどな~
パスカル…あ、お帰り~、二人共!
ロイドおう、ただいま。やっぱり、ここに戻って来れたな。って言うより…
ルカ戻って来ちゃった、だね…
ルカこれで何度目だろう…。やっぱり、ここからは抜け出せないのかな…
ロイド悪い方にばかり考えるなよ。こうして拠点だって出来たんだ、焦らず行こうぜ
ルカそっか…それもそうだね。…何かわかった事はあった?パスカル
パスカルそりゃもう!
ルカえっ!?そ、それって、森を抜ける方法とか!?
パスカルうん、ばっちり!
パスカルまだ何もわからないって事がわかったよ!
ルカな、何さそれ~…
ロイドパスカルって変な奴だよなー。いろんな奴に会ってきたけど、その中でもとびきりだぜ
パスカルやだな~。そんな褒めても何も出ないよ?
ルカ褒めてるのかな…?
パスカルまあ見ててよ、あたしがこの装置を解明したら、きっと上手くいくって!
パスカルいい?ここをガチャガチャポンってすると、…ほら、この通り!
パスカル……
ルカ…何も起きないよ?
パスカルむ~、こうじゃなかったか。やっぱり手強いなあ、こいつ
ロイドそういうの、よくわかんねえけどさ。うんともすんとも言わないんじゃ、ただのガラクタなんじゃないか?
パスカルいーや!絶対何かある!
ルカどうしてそう思うの?
パスカルあたしの勘がそう告げているからね!
パスカルこの森のビリビリってやつが、この装置にも関係してるはずだって
ロイドビリビリ?何だよそれ
ルカそう言えば森に入る時、そんな事言ってたよね。「ピリピリ、ビョエー!」みたいな
パスカル全然ちっがーう!ビリビリ、ビャー!だよ
パスカル塔の扉から森に続く何かとしか言えないんだけど…。そういうのを感じたんだよね
ロイドふーん。詳しい事はともかく、何となく気持ちはわかるぜ
ロイドこの森、いかにも不気味な感じで何かありそうだしな!
ルカうん…。で、でもさ──
パスカルでしょでしょ!やっぱわかるよね!?面白そうだよねー!
ルカあ、あの…うう…
ロイド長居するわけにはいかないけど、それとは別に──っと、悪いルカ。何か言いかけなかったか?
ルカい、いいんだ。何でもないから、気にしないで
パスカルそう言われると余計気になるよー。言ってみなって
ルカその…。このまま森を抜けられなかったら、どうなっちゃうのかなって思ったんだ
ルカご、ごめん…変な事言って
ロイド何で謝るんだ?言いたい事があるなら、言っちまえばいいんだよ
ルカうん、わかってはいるんだけど…。余計な事言って、迷惑かけちゃいけないと思って…
パスカル引っ込み思案ってやつ?駄目だよルカ!何事も楽しく!好きにやってみなきゃ!
ロイドそうそう!…って、お前はそれでルカを巻き込んだんだろ、パスカル
パスカルあはは、ごめーん
ルカう、ううん。それはいいんだけど…
ロイド…まあ、ルカの心配ももっともだな。いつまでもこんなところにいるわけにはいかねえし
ロイドあっ、調査隊ってのがいるんだろ?いざとなれば、そいつらが助けに来てくれるって
ルカ実は…それもそれでちょっと不安があって…
ロイド調査隊が来るのがか?どうしてだよ?
ルカうっ…。じ、実は僕、調査隊員なんだ…
ロイドルカが!?へえー、それでそんな格好してんだな
ルカうん…。…本当は、本部に寄って配属先とか教えてもらうはずだったんだけど…
ロイドその前に塔を見物してたら、パスカルに会ったわけか
ルカ配属される前から森で遭難なんて前代未聞だよ…
ルカ調査隊が助けに来てくれたとしても、きっと怒られる…。うう~…
パスカルしょげててもしょうがないって!大志を抱け、少年!
ロイドそうだぜ。こうなっちまったもんは仕方がないさ
パスカルうんうん!…ところでさ、調査隊って何?その辺よくわかってないんだけど
ロイド知らないでこの島に来たのか?てっきり、パスカルも研究者か何かだと思ってたぜ
ルカ…僕も。ええっと、調査隊って言うのはね…
ルカ四大国が合同で結成した組織だよ。いろんな専門家を国中から募って、この島を隅々まで調査するんだ
ルカ結構、大々的に布告が出てたはずなんだけど…知らない?
パスカルん~、港でそんな事聞いたような…聞いてなかったような?
ロイドみんなお祭り騒ぎだったぜ。とりあえずアヴァロン島へ!って奴が港にたくさんいたし
ロイド塔の封印を解けば結構な報酬が出るらしいけど、あまり進展してないみたいだな
パスカルへえ…いーじゃんいーじゃん!研究しがいのあるものがまだたくさんあるって事でしょ!?
ルカ二人も、サフィアを調べるために島に来たの?
パスカルあたしはそうだね。面白そうなものが見つかったって噂を聞いて来たんだよ
ロイド俺は、幼なじみが式典に招待されたからな。護衛のために島に来たんだ
ロイド土産話を持ってくつもりで塔を見に行ってたんだけど、まさかこうなるとはなあ
ルカあ、えっと…。ごめんね、巻き込んじゃって…
ロイドははは、気遣わなくていいって。別にルカのせいじゃないんだからよ
パスカルそうそう!気にしすぎると胃に穴開いちゃうよ!
ロイドお前はもうちょっと気にした方が…まあいいか
ロイドとにかく、俺達は三人仲よく遭難中ってわけだ
ロイド改めて、よろしくな。一人じゃなかったのは運がよかった。力を合わせて森を抜けようぜ!
パスカルあいあいさー!
ルカうん…よろしく!
ルカ…でも、野宿となると大変だよね。火も食べ物もあるけど…
ルカお風呂とかも入れないだろうし。僕らはともかく、パスカルは…
パスカルん?あたしがどうかした?
ルカその…女性だからさ。お風呂とか入れないの、嫌じゃない?
パスカルいや?あたしは平気だけど。あんなの何日か入らなくったってへーきへーき
ルカええっ!?
パスカル世の中は広いんだよ~。どんな人がいたって不思議じゃないっしょ!
ロイドへえ~。世の中いろんな奴がいるんだな
パスカルあははは!それよりさ、もう一回森の探索に行かない?
パスカルあたし、ずっと装置をいじってたから気分転換もしたいんだよね
ロイド…そうだな。まだ探してない場所もあるだろうし
ロイド早いとこ、森を抜ける方法を見つけないとな!ルカもいいだろ?
ルカう、うん!手がかり、見つかるといいけど…
scene2不運な幕開け
ルカはあ、はあ…。二人共、待ってよ…
ロイドっと、悪い。でも、お前結構根性あるな
ロイド泣き言言いながらも、何だかんだついて来れてるし。案外、こういう探検に慣れてるのか?
ルカまさか!ただ、友達によく引っ張り出されるんだ
ルカ「お勉強ばっかじゃ退屈だろ」って…
ロイドおっ、そいつは俺と気が合いそうだな!
パスカルルカって、やっぱ断れないタイプだよね~
ルカうう…
ロイドだから、森に引っ張り込んだお前が言うなって…
ルカロイドは慣れてるんだよね?使える薪の見分け方とか、教えてくれたし
ロイドま、故郷じゃ狩りもやってたからな!こうしてると思い出すぜ、あの巨大イボイノシシを…!
ルカきょ、巨大イボイノシシ…!?
ロイドおう!そりゃあもうでけー奴でさ、日が暮れても決着がつかなかったぜ!
ルカへえ…!何かすごいね。そんなの、想像出来ないや
ロイドルカは狩りとかしなかったのか?
ルカ僕の家は商家だったから…。そういう経験、ほとんどないんだ。…ちょっと羨ましいかも
パスカルで、どうなったの?その巨大イボイノシシ
ロイドん?ああ、狩るのに二日かかったぜ。何しろ歩くだけで地響きが──
ズン…!ズン…!
ロイドこれこれ!あいつときたら、まさにこんな感じの足音だったんだ!ズン、ズンって…!
パスカルルカ、もしかして太った?
ルカ太ってないよ!これ、本当に足音だよ…それも、相当大きな生き物の…!
ブオオオオオ!!
ルカうわあっ!!出たあああ!!
ロイドうわ、でけー!あの時の奴と同じくらいあるぜ!
パスカル食べても美味しくなさそ~
ルカそんな事言ってる場合じゃないよ!
ブオオオオオ!!
ロイドおっ、あいつやる気だぜ!よーし、俺達も負けてらんねえな!
ルカの、乗り気だ…!こ、こうなったら、やるしかない…!
scene3不運な幕開け
ルカはあっ…!はあっ…!な、何とか…倒せそうだね
ロイドああ、動きが鈍ってきた!とどめは俺が行くぜ!
パスカルいっただき!ばっしゃ~ん!…って、あれ、ロイド!?
ロイドおりゃああ!
ルカま、待ってロイド!!パスカルの術が!巻き込まれちゃうよ!
ロイドへ?
バシュウッ!
ロイドうおおおっ!?何かかすった!!
ブオオオオオッ!?
ロイドあ、危ねー…。何とか避けられた…
パスカルご、ごめんごめーん!ロイドの動き、ちゃんと見てなくって…!
ロイドいや、先走った俺も悪かったしな!次はお互い気を付けようぜ!
パスカルりょーかい!魔物はばっちり吹っ飛ばしたから!
ルカほんとだ。向こうでピクピクしてる…
ロイドよーし、そんじゃ今度こそ俺が…
ガサガサ…
ルカあれ?魔物の後ろで何か…
ガサガサ…
…ドゴッ!!
…ブ、ブオオッ!?
ルカま、魔物が飛んで来た!?パスカル!危ない!
パスカルへ?
パスカル…ぷぎゅ!
ロイドパ、パスカルー!!
ルカ大変…!パスカルが魔物の下敷きにされちゃった…!
ロイド今のは…
???ああ、吹っ飛ばしたんだ
ロイド…!何だ、お前…!?
アイゼンただの通りすがりだ
ロイド…今の、お前がやったのか?
アイゼンそう言ったつもりだが。でかい図体が邪魔だったんでな。少しどいてもらった
アイゼン…お前らもそこをどけ。うるさいのが来る前にな
ロイドうるさいの…?
ルカロ、ロイド!この魔物、一人じゃ持ち上げられないよ!手伝って──って、あれ?
アイゼンむ…お前は
ルカあ、あなたは確か、式典会場で会った…
パスカルぷぎゅー!むぐー!
???…いた!ようやく追いついたぞ!
アイゼン…ちっ
アリーシャいい加減逃げるのはやめろ!大人しく話を聞かせてくれれば、こちらとしても…!
ロイドあ、あれ?アリーシャ?こんなところで何やってんだ?
アリーシャロイド?どうして、君がここに…
ルカな、何か…どんどんややこしくなってきたような…
パスカルむぎゅーーーっ!!
scene1旅は道連れ
ルカよい…しょっ!ぜえっ、ぜえっ…!
パスカルぶはーっ!!危なかった!魔物の下敷きなんて、もう二度とごめんだよ!
パスカルありがと、ルカ!──って、あら。何かややこしそうな空気だね?
ルカう…うん。僕にも、何が何だか…?
アイゼン…お前らをどうこうしようって気はない。先に行かせてもらうぞ
アリーシャいいや、待ってもらう。ロイド、すまないがその男を止めてくれ
ロイドそう言われてもな…。一体何したんだ、あんた
アイゼン何も。その女が勝手に絡んでくるだけだ
アリーシャ私は警備役としての役目を全うしているだけだ
アリーシャこの森は一般人の立ち入りを禁じられている。その警告を無視しただろう
アイゼン悪いが、名も知らん奴の命令を受けるのは性に合わなくてな
アリーシャ…!
ロイド…お、おいおい待てって!そんなバチバチしなくても…
アリーシャそうはいかない。この島の情報が公開されて以来、サフィアを狙う者は後を絶たないんだ
アリーシャ近海で海賊の目撃情報もあった。この男の素性がはっきりしない限り、目を離す事は出来ない
アリーシャ私はシルヴァラントの騎士、アリーシャ・ディフダ!島の警備を担当している!
アリーシャ…今度はそちらに答えてもらうぞ。お前は何者だ?
アイゼン全く…。見えるってのも一長一短だな
アイゼン…まあ、いいだろう。アイフリード海賊団副長、アイゼン。それが俺の名だ
ルカか…海賊!?初めて見た…!
アリーシャ…やはり海賊か。随分素直に答えるのだな
アイゼン追いかけっこも飽きたんでな。第一、わかったところでどうしようもないだろう
アイゼンさっきも言った通り、お前らと事を構える気はない。だが、そっちがやる気なら…
アリーシャ…!
ルカあわわわわ…!あの人達、早く止めないとまずいよ…!
パスカルそう?んじゃ、ルカが止めてきなよ!ほーら、行ってらっしゃーい!
ルカえ!?ちょ、押さないでよ、パスカ──うわっ…とっと…!
アイゼン…!
アリーシャ…君は?
ルカへ!?あ…。ルカ・ミルダです…どうも
ロイドあー、ちょっとした成り行きでさ。俺達一緒に行動してんだ。そんで、あっちが…
パスカルパスカルだよ~。何かね、ルカが言いたい事あるんだってさ
ルカも、もう…パスカルってば!!え、えっと…
ルカ向こうで聞いてて、その…事情はわかったんですけど…
ルカやっぱり、喧嘩はよくないと思うし…。もっと穏便に済ませた方が…
アリーシャ…私としても争いは本意ではないが、この男を放っておくわけにはいかない
ルカで、でも…!今はもっと大きな問題だってあるし…
アリーシャ…大きな問題?一体、何の事だ?
ルカその…。この森、出られないんです
アイゼン…何だと?
ルカひっ!う、嘘じゃありません!
ロイド本当だぜ。どの道を行っても、同じ場所に戻って来ちまうんだ
ロイド俺達もいろいろあってここに来たんだけど…。全然抜け出せる気がしねえんだ
パスカルそういうわけだからさ、喧嘩してる場合でもないんだよ
アリーシャ迷いの森…という事か?そう言われてみると、確かに何度か違和感があった…
アイゼン…振り切れなかったのはそういうわけか。いや…
アイゼン……
アリーシャ……
ルカ二人共、考えこんじゃってるけど…
ロイド…提案なんだけどさ、ここは休戦して一緒に森を抜けないか?
アイゼン…何?
パスカルおー、いいんじゃない?旅は道連れって言うしね!
アリーシャいや、それは…!
ルカロ、ロイド…!この人、海賊だって…!
ロイドでも、人手は多い方がいいだろ?一人で動くのは危険だし、一緒に森を抜ける方法を探そうぜ
アイゼン…断る。つるむつもりはない
ロイドでもよ、さっきも言った通りこの森は──
アイゼンこの森については自分の目で確かめる。…ああ、あとお前
アリーシャ何だ…!
アイゼンそういきり立つな。お互い、殺し合いが好きって柄でもなさそうだ
アイゼンどうせ振り切れないなら、監視でも何でも好きにしろ。…が、捕縛となれば話は別だ
アイゼン俺は誰にも従うつもりはない。先に行かせてもらうが、ついてきたけりゃ勝手にするんだな
アリーシャあっ、待て…くっ!
ルカ…行っちゃった。あの、追わなくていいんですか?
アリーシャそうしたいところだが…。君達も、遭難してこの森に閉じ込められているのだろう?
アリーシャ島の警備としても、騎士としても、君達の事を放ってはおけない
ロイド心配しなくてもいいぜ。行って来いよ、アリーシャ
アリーシャしかし…
パスカルどうせ同じところに戻って来るだろうしね~。あたし達はそこで待ってるよ
アリーシャ…わかった。では、気を付けてくれ。必ず戻る
ルカあの二人、一緒にいて大丈夫なのかな…。結構、ピリピリしてたけど
ロイド海賊って聞いたら、アリーシャも放ってはおけないだろ。それより戻ろうぜ、ルカ
パスカル適当に走り回ってくれば、あたし達の言う事を信じるようになるって
ルカう、うん…。海賊か…本当にいたんだ…
アイゼン…なるほどな
ルカあっ、アイゼンさん…
アイゼン…ふん。本当だったようだな
ルカど、どうも…。ロイド、パスカル!二人が来たよ!
パスカルおっ!お帰りなさーい!
アリーシャはあっ…はあっ…。ほ、本当に戻って来ている…!
ロイド俺達も何度か試したけど、結局ここに戻って来ちまうんだ
アイゼン方向は確認しながら進んだはず…。…なるほどな、確かにお前らの言う通りだ
アイゼンどういうからくりか知らんが、厄介な森だな
ロイドだろー?あんた、海賊って言ってたけど…
ロイド何か狙ってるにしても、まずはここから出ないとどうしようもないぜ?
アリーシャ…ロイド、本当に海賊と手を組むつもりか?
ロイドアリーシャだって一緒にいた方が都合がいいんだろ?
アリーシャそれは…そうだが
ロイドならいいじゃないか。人は多い方が楽しいしな!
アイゼン待て。まだ手を組むとは言ってない
パスカルあれ、結構頑固者だね。今ならあたしもついてくるよ?役に立つよ~?
アイゼン俺には俺の目的がある。足を引っ張られるのはごめんだ。何より…
ルカむ、無視されちゃったけど…
パスカルうーん、見た目通り冗談通じない人なのかな?
ブオオオオオ!
ルカな、何!?
アイゼンちっ…やはり来たか
アリーシャまさか、また魔物?森に入ってから、もう五回目…どうなってるんだ!
アイゼン…さあな。口より手を動かす事だ
ルカ五回目って…う、うわあ!こっち来た!
scene2旅は道連れ
ルカ魔神剣!
ブオオオオオ…
ルカよ、よかった。やっと倒せた…
ロイドよーし、やったぜ!それにしても…アイゼンだっけ?
ロイド強いな、あんた!海賊って言ってたけど、みんなそうなのか?
アリーシャ…確かに、拳一つで戦っているとは思えない強さだった
アイゼン海賊と武器を持たない事は関係ない。お前らも…俺の足を引っ張る心配はなさそうだな
アイゼン…わかった。お前らの提案を飲もう
ロイドおっ、本当か!?
アイゼンだが、その前に一つ覚えておけ。俺は…死神の呪いにかかっている
ルカシニガミ…死神!?
アリーシャ…どういう意味だ?
アイゼン冗談の類じゃない。俺の周りには常に災いが渦巻いてる。誰に、どんな形で降りかかるか…
アイゼンそれは俺にもわからん。…例えば、むやみに凶暴な魔物を引き寄せてしまう、とかな
ルカじゃあ、さっきの魔物も…?その、死神の呪いのせいで…
アイゼン…おそらくな
アイゼン控えめに言って危険そのもの。…それでもいいなら、協力しよう。お前らが決めろ
ルカぼ、僕達が…?…ええっと
ルカ…どうしよう…。危険なんだよね
パスカルん~…よくわかんないけど、あたしは別に構わないよ。にぎやかな方が好きだし
ロイド俺も言い出しっぺだしな、今更やめようなんて言わないって。ルカは嫌なのか?
ルカそ、そう言うわけじゃないよ。みんながそう言うなら、僕も…
アイゼンそうか。…で、お前は?
アリーシャ…私の役目は民を守る事だ。お前から目を離す気はないし、彼らを放っておくのも本意ではない
アリーシャ海賊と一緒に行動する事になるとは思っていなかったが…。ここは協力するのが最善のようだ
ルカじゃあ、アリーシャさんも…!
アリーシャ同行させてもらうよ。安心してくれ。騎士として、どんな危険からも守ってみせる
アイゼン協力するのは、森を抜けるまでだ。…行くぞ
ルカ行くって…どこに?
アイゼンまだ調べてない場所に、だ。同じところに戻って来るだけで、ある程度の探索は出来るんだろう?
ロイドおっしゃ、そんじゃ──
パスカルあーーーーっ!!
ルカひいっ!な、何なの、パスカル!?
パスカル見てよこれ…。あたしの…あたしの装置が~…!!
アリーシャその、手に持っているものか?…割れてしまったようだが
ルカあ…ほんとだ。魔物の下敷きになった時、壊れちゃったのかな?
パスカルそ、そんな~!あと少しで完璧に解明して…む?むむむ…?
ロイドまあ…元気出せって!いくら見てたって、壊れたもんはしょうがねーだろ?
パスカルこの断面…ふんふん、なるほどね~
ルカパスカル…?割れた装置をマジマジ見てどうしたの?
パスカルほら、ここの断面を見て!割れたにしては、綺麗すぎるでしょ?
アリーシャ…確かに、傷一つないな。どちらかと言うと、これは…
パスカルうん、開いたんだ!装置が古すぎて、接合部分がくっついちゃってたんだよ
パスカルしかも、ここ見て!何かをはめるような窪みがあるよね?きっと、専用のパーツがあるんだよ!
ルカじゃあ…この装置って元々開けて使うものだったの?
パスカルそういう事!どうりでいくらいじっても、何の反応もなかったわけだよ~
アイゼン…おい、そいつはこの島で見つけたものか?
パスカルん?そうだよ~。多分、古代アンマルチアの技術だね
ロイド前も言ってたけど、何だよ、その古代アンマ何とかって
パスカルあたしのご先祖様にあたる超技術をもっていた一族だよ。大昔に栄えてたんだ
アイゼン古代アンマルチア…。確かに、以前目にしたものとよく似ているな
パスカルあれ、こういう機械とか得意なの?
アイゼン機械と言うより遺物にな。職業柄、知識は必要だ。…にしても
アイゼンそういうもんがあるなら早く言え。重要な手がかりになる。くれぐれも雑に扱うなよ
パスカルわーかってるって。それじゃ、装置のパーツも含めて…探索再開だね!
アリーシャ妙な形になってしまったが…行くしかないか。よろしく頼むよ、みんな
ルカはい。よ、よろしくお願いします…!
scene1古の記録
ルカ──ええっ!?じゃあ、アリーシャさんってお姫様なんですか!?
ロイドああ、シルヴァラントじゃ有名だな
ルカす、すみません!僕、そうとは知らず…
アリーシャそうかしこまらないでくれ。王族と言っても末席も末席だ。私はただの騎士にすぎないよ
アイゼンわざわざ騎士にならなくとも、末席とは言え王族ならば不自由なく暮らせるだろう
アリーシャ…私は国のために働くべき立場だ。だが、政治の世界で私に出来る事は少ない
アリーシャならば騎士として、犯罪や災害から民を助ける。それが国への貢献にもなると考えた
アイゼン…酔狂な女だな
パスカルアリーシャが王族の人っていうのは納得だね。すごく高貴な感じがするし
パスカルあたしはどっちかって言うと、ルカの方が意外だったなー
アリーシャどういう事だ?
ロイドルカは調査隊員なんだってさ。今日、この島に来たばっからしいけど
アリーシャ…そうだったのか?私はてっきり──
アリーシャあ、いや…何でもない
ルカ…いいですよ。とても調査隊員には見えない…ですよね?
アリーシャ初めて君を見た時は、その…迷い込んだ要救助者かと。…失礼した
ルカいいですよ…。ほとんど事実ですし…あはは…
パスカルう~ん、笑顔の中にも悲しさがにじんでるね~
アリーシャ…おほん!だが、思い出したよ。ミルダという名前には聞き覚えがある
アリーシャ本部で話題になっていた。最近、優秀な成績で調査隊入りした少年が島にやって来るとね
ロイドへえー!ルカ、お前頭いいんだな
ルカそ、そうかな?そんな事ないと思うけど…
アリーシャ筆記も実技も、他の実力者に引けを取らないと聞いたよ
ロイドああ、確かに!そのでかい剣で魔物と渡り合ってたもんな!いっそ大剣二刀流とかどうだ、ルカ?
ルカむ、無理だよそんなの!
パスカル魔物との接近戦は任せた!あたしはばっちり援護するから
アイゼンお前の武器は、銃なのか杖なのかよくわからんな
ロイドそういえば、アイゼンは武器を持ってないのか?素手で魔物をぶっ飛ばしてたよな
アイゼンいざという時に得物が壊れては話にならん。信用出来るのは、この拳だけだ
ルカす、すごい…!
アイゼン…それより、目下の問題を考えろ。また同じ場所に戻って来たぞ
パスカルうーん…。太陽の位置を元に動いてみたけど、今度も駄目か~
ルカど、どうすればいいんだろう
アイゼン…同じ道ばかり進んできた、というわけではないはずだ
アリーシャ確かに、何度か見覚えのない場所も通ったな
アイゼンある程度、森の探索は出来そうだ。まだ通っていない場所があるなら、そこに出口があるかもな
ロイド…ん?パスカル、まだその装置をいじってるのかよ
パスカルどうしても気になるんだよね~。…やっぱ、残りのパーツが必要みたいだけど
アリーシャ装置に関しては、そのパーツを見つけてからだな。今はやれる事をやろう
アリーシャひとまず、今度通りすぎた木には目印を付けて行こう。一度通った場所かどうか判断できる
パスカルそだねー。他に出来そうな事は…ルカ、何かないかなー?
ルカえ?えーっと…。太陽を目印に…はもうやったし、いっそ逆走するとか…
ルカ…これも駄目そう。あんまりいい考えが浮かばないや。ロイドはどう?
ロイドそうだな…。こういうのはどうだ?
パスカルおっ!期待しちゃうよ~?
ロイドエルピスの塔に向かって、まっすぐ木を切り倒す!!
ロイド……なーんてな!いくら何でも無理があるよな
アイゼン……
アイゼン…よし。目印案で一つ一つ潰していくぞ。時間はかかるがしょうがない
パスカルそだね~。行こ、アリーシャ
アリーシャああ。ロイド…念のために言っておくが、あまり乱暴な手は感心しないぞ
ロイドお、おい!本気にすんなって!無視しなくてもいいじゃんか!
ルカ行っちゃったね…。…ふふっ
ロイド今笑ってどうすんだよ…。ちょっとした冗談だったんだぜ?
ルカもう打つ手がなくなったら、最後の手段としては有りかも…?
ロイド他の打つ手を探すか…
ルカあはは、だね。…それにしても
ルカ…みんな、すごいね
ロイド…すごい?何がだよ
ルカこんな状況なのに、みんな前向きって言うか…行動力があるって言うのかな
ルカ僕一人だと、きっと何も出来ない…。物事を悪い方向にばかり、考えちゃうし
ロイドああ、そういう事か…。なーに、ルカもその内変われるって!
ルカだといいけど…。こういう先の見えない状況って、どうしても不安になっちゃうよ
ロイドそりゃそうだろ。俺だって、不安はあるぜ
ロイドでも、どんな事だって、成功するか失敗するかはやってみるまでわかんねーだろ?
ロイドだったら、とりあえずやってみる!やらずに後悔するより、やって後悔する方がいいじゃないか
ルカ…!
ルカとりあえずやってみる…か。そっか、そうだね…!
ロイドんじゃ、みんなを追っかけようぜ。このままじゃ置いてかれちまう
ルカうん、行こう!
scene2古の記録
ルカ目印、付け終わったよ。この辺りも調べ尽くしたかな…?
パスカル森の出口も装置のパーツも見つかんないし、どうしたもんかな~…
アリーシャおかしいな。これだけ歩き回っても、森を抜ける手がかりすら見つからないとは…
ガサガサ…
アイゼン…!おい、気を付けろ!そこの茂みに何かいるぞ!
アリーシャくっ、また魔物か!?
???あら…魔物呼ばわりなんて酷いわね
アイゼン…人か?
???ええ。少なくとも、戦う気はないわ
???…ひとまず、武器を下ろしてもらえるかしら?
ルカあなたは、一体…?
???あら、可愛らしい子ね
ルカか、可愛い…!?
パスカルお、褒められたけど複雑そうな顔
ロイドいや、わかるぜ。男が可愛いって言われんのもなあ…
アリーシャ失礼。私は島の警備を担当している、アリーシャ・ディフダと言う者だ
アリーシャ彼らと共に、この森の出口を探しているのだが…
ジュディスご丁寧にどうも、私はジュディス
ジュディス…どうやら、お互いに事情がありそうね。少しお話でもいかが?
ジュディスなるほど…迷いの森ね
アリーシャそちらの事情も聞かせてもらえるか?
ジュディスあら、ごめんなさい。簡単に言うと、あなた達と同じね。遭難中よ
ジュディスサフィアの情報が公開されたでしょ?島へは観光のつもりで来たの
ジュディス…もう一人、連れがいるんだけど今ははぐれちゃって
ルカじゃあ、その人も森のどこかにいるかも…。どんな人ですか?
ジュディス長い黒髪で…。人相はちょっと悪いかしら。全身真っ黒で、狼みたいな顔してるわ
ロイド何だそりゃ?おっかない奴だなあ
ロイド…ん?待てよ…どっかで見たような…?
ジュディスよく騒ぎに巻き込まれる人だから、どこかで会ってるかもね
ジュディスもし彼を見かけたら私の事、伝えておいてちょうだい。それじゃね
ルカええっ!?あ、あの…一人で行っちゃうんですか?
ジュディスええ。…もしかして、誘ってくれてるの?
ロイド一人じゃ危ないだろ
ジュディスふふ、優しいのね。でも大丈夫よ。一人が向いてるの、私
アリーシャすまないが、私も立場上、それは看過出来ない
ジュディス固い事言いっこなしよ、騎士さん。でも、そうね…こうして会ったのも何かの縁かしら
ジュディス見逃してくれる代わりに…ってわけじゃないけど、これをあげるわ
アイゼン…箱か?かなり小さいな…何だこれは?
ジュディスさあね。森の中で拾ったんだけど、調べても何の反応もないのよ。あなた達、何かわかるかしら?
パスカルあ…!ああああーっ!!!
ルカうわあっ!もうパスカル!驚かさないでよ…
パスカルビリビリってきた!!探してた装置のパーツって、きっとこれだよ!!
ルカえっ…!?
アリーシャ…確かに、装置にはまりそうな形だ。試してみても構わないだろうか?
ジュディスええ、勿論。お役に立ちそうかしら?
パスカルよーし、やるよ!…バコッとな!
ポチッ…!
ロイドお…?おおっ!?すげえ、本当に動き出したぜ!
ルカ空中に、何か浮かんできた…!?人影が見える…子ども、かな?
子どもこれで映ってる…よね。えっと、ここが森のおへそで…
子どもここからまず、この木を左に曲がるんだったよね
アリーシャこれは…!拠点にしていた場所じゃないか?見覚えがある
ルカうん。あれだけ何度も戻された場所だし、間違いないと思う…!
ロイドこいつも迷ってんのかな…?おーい!聞こえるかー!?おーい!
ロイド…駄目だ。聞いてねーな、こりゃ
パスカル通信機ってわけじゃないみたいだね。過去の出来事を記録して、再生してるのかも…
パスカル…って事はこれ、大昔の風景?さすがは古代アンマルチア…!
アイゼン静かにしろ。どうやら、この子ども…何かを確認してるようだ
アリーシャ…言われてみれば、確かに。しきりに周囲を見回している
パスカルどこかに行こうとしてるみたい。多分…この装置を使って、道順を確かめてる
ロイド…!もしかして、森を抜ける道なのか?
アイゼン可能性は高い。そうでなければ、わざわざ記録に残す必要もないからな
ジュディス…なるほどね。いいもの見せてもらったわ。…さて、と
アイゼン……
アリーシャ…これは朗報だな。この道をたどれば、森を抜けられるかもしれない!
ルカすごい…すごいよパスカル!
パスカルふふーん、どうだい!
子ども木の下をくぐって…最初の別れ道を右…
子ども最後に、ここを通って…うん。これでよし、と──……
ロイド…あれ、光が消えちまった。もう一回見れないのか、パスカル?
パスカルんーと…。うん、大丈夫。何度でも見れるみたいだよ
アリーシャよし、では一旦森の拠点に戻ろう。光の通りに動けば、問題ないはずだ
ルカジュディスさんも…って、あれ?どこに…
アイゼンあの女ならさっき森の奥へ消えたぞ
アリーシャなっ…どうしてすぐに教えなかった!
アリーシャ…いや、私が彼女をちゃんと止めていれば…!
アイゼン一人でやりたいと言うなら、そうさせてやればいい
アイゼン遭難した観光客だとか言ってたが、あの隙の無さはただ者ではない。関わりたくない理由があるんだろう
ルカでも、一人で大丈夫なのかな…
ロイド連れがいるって言ってたし大丈夫じゃないか?今から追うにしても、この森だし
アリーシャ…ああ、君の言う通りだ。今はとにかく、森を抜けよう
ロイドここを右、左ときて…おっ!みんな、見ろ!開けた場所に出たぜ!
ルカはあっ…はあ…っ!よかった、やっと森を抜けられる…
ルカ…あれ?でも、随分寂しい場所だね…。こんなとこ、あったかな?
アリーシャ塔周辺の地理は把握している。…ここはそのどれとも合致しない
パスカルあちゃー。ここまで来て空振りかぁ~…
アイゼンいや…どうやら収穫はあったようだ。先へ進むぞ
ロイド…家だ!森の中に家があるぜ!
ルカうん…しかも一つじゃない。ここは…
ルカアヴァロン島に住んでた人の集落って事…!?
scene1夢の中の僕
ルカやっぱりだ…。かなり古いけど、家がいくつもある…!
アイゼン…あの子どもはこの集落の住人か。記録していたのは、迷わないための帰り道というわけだ
パスカルねえねえ!これさ、もしかして大発見なんじゃない!?
ロイドああ、森を出たわけじゃないが…。ここで何かが見つかるかもな!
アリーシャよし、中を調べてみよう
ロイドパスカルが拾った装置みたいなのが結構転がってるな。どれも壊れてそうだけど
ルカ壊れてても関係ないみたいだよ。…ほら、あれ見て
パスカルはーっ!すっごい!どこもかしこも宝の山だよ~!!!
アイゼンおい待て!はしゃぐのはいいが、家を傷つけるなよ!
パスカル大丈夫だって!ほら、この壺持ってて!
アイゼン人の話を聞け──
アイゼン──む、この壺…!悪くない拵えだ…!
ロイドアイゼンまで盛り上がってねーか?…ま、気持ちはわかるけどな
ロイド迷いの森に隠された、謎の集落!冒険魂とか、いろいろくすぐられる感じがするぜ!
ルカでも、家の見た目とかは僕達のものとあんまり変わらないみたいだよ?
アリーシャ…普通の食器や、家具もあるな。超技術の一族と聞いていたが、意外と普通の生活をしていたようだ
パスカルここがアンマルチア族のいた集落かどうかはわかんないよ?技術だけ流出する事もあるし
パスカルもしくは、質素な人達だったのかも。どっちにしろ、面白いけどね~!
ルカここに住んでた人達が、エルピスの塔を建てたのかな?
アイゼンこの規模じゃ、あんな塔を建てられるだけの人数は集まらん
アイゼンこの島のほとんどはまだ手付かずだ。どこかにもっと規模のでかい…都市と言えるものがあるかもしれんな
ルカなるほどなあ…
ロイドもっとここを調べてみようぜ!まだ何か見つけられそうだしな!
ルカ…ん?何だろ、これ
ロイドおーい、みんな!いいもんがあったぜ!
ロイド…って、何だ、ルカも見つけてたか
ルカうん。これ…ジュディスさんが持ってた──
パスカルあーっ、さっきの箱!二人共、もっとよく見せて!
アリーシャこっちにもあった。それほど珍しいものではないのかもな
パスカル多分、装置にはめればさっきみたいに昔の風景を見せてくれるよ!
ロイドよーし!そんじゃ、早速やってみようぜ!
ルカ──これが、最後の一個だよ
パスカルよーし、そーれっと…!
ポチッ…!
女の子あはははは、パパ、こっちこっち!
父親こーら、もう帰る時間だぞ!
女の子えー?もっと遊びたい!ママには、道に迷ったとか言い訳すればいいじゃない!
父親まだカタグラフィで撮ってるのに、そんな事言っていいのかなー?母さんに聞かせたら…
女の子やだもう、わかったってば!帰りましょ、パパー!
父親ははは、いい子だ。そろそろご飯が出来てる頃だな──…
ロイド…お、これで終わりか。何つーか、普通の家族の風景ばっかだったな
アリーシャ…ああ。私達と何も変わらない。当然と言えば、当然だが…
アイゼン…わかった事もある。この箱の名は「カタグラフィ」。やはり、記録用の装置のようだな
ルカカタグラフィを入れ替える事で、それぞれ違った過去の記録が映し出される…って事だよね
パスカルみたいだねー。んで、唯一重要そうな情報を持ってたのは…これだったかな
パスカルえいっ!
ポチッ…!
見張りの男1…やれやれ。警備の日が来ると、気が滅入るよ
見張りの男2そう言うな。万が一にも、あれをよそ者に渡すわけにはいかないからな
見張りの男1しかしなあ。あの森があるだけでも普通の奴は近寄れないんだ。何も一日中立ってなくても──
アリーシャ…短いが、確かに他のものとは違った感じだな。何かを守っているような口ぶりだ
アイゼンこいつらが立っている場所も、この集落には見当たらん。一瞬だったが、遺跡のように見えたな
ルカこの近くに、何かを守るための遺跡がある…って事ですか?
アイゼン…ああ。この忌々しい森の仕掛けも、その場所を隠すためだろうな
パスカル…ここまでして守るものって、一体何なんだろうねー?
ロイド決まってるさ!きっと、すっげ―お宝だよ!
ルカお、お宝…!?それって、サフィアみたいな…?
アイゼン…もしくは塔の封印に関わる何か、という可能性もある
ロイドどっちにしろすげーものって事だろ!遭難してたはずが、面白い事になってきたぜ!
アリーシャま、待ってくれ。島内の調査は、基本的に調査隊の管轄だ
アリーシャ…正規の命令も受けていない身で、そんな重要なものを扱ってもいいのだろうか…?
ロイド考えすぎだって、アリーシャ!まずは見つけてから考えればいいさ!
アリーシャ…あ、ああ
パスカルとにかく、次の目標は決まったね~
ルカうん。森を抜けるための手がかりもあるかもしれないし…。その遺跡に行かないと、だね
ルカあとは、どうやって遺跡の場所を探すかだけど…
パスカルそれは何とかなると思う。いろんな記録があったから、背景見れば大体の位置関係はわかるよ
アイゼン…もう少し集落を探せば、地図ぐらいはあるかもしれんな
アリーシャとにかく、続きは明日にしよう。みんな疲れているだろう
ロイドそうだな。さすがにいろいろありすぎて、疲れちまった
アリーシャ幸い、寝泊まり出来そうな家には困らない。今日はもう休もう
ルカ…そうですね。じゃあ、僕らは向こうの家を借ります
パスカルはいよー。あたしはもうちょっとカタグラフィいじってるね
アイゼン俺はもう少しここを探しておきたい。出発は明日の朝だ
ルカうん。それじゃ…お休み、みんな
scene2夢の中の僕
ロイドさて、と。布団はねーけど、適当に寝るとするか
ルカいろいろありすぎて、もうクタクタだよ…
ルカ暖かいベッドが恋しいけど…贅沢は言えないよね。屋根はあるし
ロイドそうそう、野宿よりはずっとマシだろ?んじゃ、お休み!
ルカうん、お休み。…ふう
ルカ(ほんと、いろんな事があったな…)
ルカ(父さんに逆らってこの島に来て… 調査隊に入るはずがこんな事に…)
ルカ(きっと怒ってるんだろうな、 父さん…)
ルカ…………すぅ
ルカ……
ルカ(何だろう…この感覚。 …そうだ、夢だ。 いつも見る、あの夢だ…)
兵士ぐっ…!持った方だが、ここまでか…!
オオオオ!!!
ルカ戦争の夢。敵に追いつめられたボロボロの兵士。でも、心配いらない
兵士殺すなら殺せ!だが、私がここで倒れても…我らには、彼がついている…!
ルカそうだ、この人には…
???はああああ!!
ズバッ!
オオオオ…!!
ルカ僕が…アスラがついてる。夢の中の、雄々しい僕。夢の中の僕は、こんなにも強い…!
兵士…おお!あれほどの巨体を両断するとは…!さすがはアスラ様!
アスラ間に合ったようだな!怪我はないか!
兵士は、はい!ありがとうございます…!私のような一兵卒に…
アスラ言うな。私と共に戦う者全てが私の同胞。決して見捨てたりはしない!
アスラさあ立て!共にこの戦を終わらせるのだ!
兵士はっ!!
ルカ…かっこいいなあ。僕も、僕もこんな風に…!
ロイドぐごおおーっ!
ルカわあっ!?
ロイドくーっ、くーっ…
ルカ何だ、いびきか…
ルカうわ、汗ぐっしょりだ。何だか体も熱いし…。よっぽど興奮してたんだな、僕
ルカアスラ…か。夢の中の僕は、あんなに格好いいのに…
ルカ…実際の僕は、いびきに驚いて寝汗をかいてる。何だかなあ…
ルカあれ…まだ夜も明けてないんだ。変な時間に起きちゃったな
ロイドむにゃむにゃ…。これっと、まってろよぉ…
ルカ…。ちょっと外に出てくるね、ロイド
scene1仲間同士
ルカ思ったより外は明るいや…。月が出てるせいかな
ルカこれなら、あんまり怖くないかも…
ロイドぐーーーっ!すーーーっ…
ルカまだ聞こえてくる。はは、人のいびきで安心するのって初めてだ…
ルカちょっとくらいなら、散歩してみても大丈夫だよね
ルカ静かだな…。でも、やっぱり怖くない
ルカこれは何だろう?ポスト…いや、ランプかな。何だか不思議な感じ…
ルカ文字とか細かいところは違うけど、普通の家並みだな
ルカ…昔は人が住んでたんだもんな。こんな風に探検するのも、本当はちょっと失礼だったり…
ルカ…そうだよ。もしかしたら、隠れてるだけでまだ人が住んでるかも──
???…ん?そこに誰かいるのか?
ルカわあああっ!!すいませんでしたーっ!
アリーシャお、落ち着いてくれ!私だ!アリーシャだ!
ルカあ、アリーシャさん…!?な、何だ…てっきり幽霊かと…
アリーシャあはは、安心してくれ。正真正銘、私だよ。こんな時間に、どうかしたのか?
ルカちょっと、寝付けなくて。夜風に当たろうと思ったんです。…アリーシャさんは?
アリーシャ念のため、アイゼンを見張っていた。逃げたらすぐに捕まえられるようにな
ルカそれは、その…お疲れ様です
アリーシャ何、私の判断でやっている事だ。それに…
アリーシャそれだけが理由ではないと思う。多分、君と同じだ
ルカ僕と同じって…?
アリーシャ盗み聞きする気はなかったんだが、私も…人の影と言うか生活の跡が気になってしまうんだ
アリーシャ今はもう朽ちているが…。ここには確かに人が息づいていた
ルカはい…。大昔の事だってわかってても、何だか不思議な気分です
アリーシャああ。幸せそうだったあの家族…。彼らが暮らした家はここにあるのに、その彼らはもういない
アリーシャ…私が騎士になったのは、ああいう平和な生活を守るためだ
アリーシャだから…ここにいると妙に寂しいんだ。感傷がすぎると笑うかもしれないが…
ルカそんな事ないです!僕も…何て言うか…寂しいと、思います
アリーシャ…そうか。カタグラフィ、だったか。あの光景が鮮明すぎたからかな
ルカすごい技術ですよね。でも、ますます不思議だな…
アリーシャ何がだ?
ルカだって、あれだけの技術を持ってた人達ですよ。どこに消えちゃったんだろう、って…
???…それこそ、遺跡に行ってみないとわからんな
ルカひえええええっ!!
アイゼン…いちいち騒ぐな。これ以上やかましいのが増えるのはごめんだ
アリーシャアイゼン…!お前、寝ていたのではなかったのか?
アイゼン自分の寝床の周りをぐるぐる回り続ける女がいてみろ。休むに休めんだろうが
アリーシャ…き、気付いていたのか
アイゼン生真面目に警戒するのも結構だが…。次からは気配くらい消しとくんだな
アイゼン心配しなくても、森を抜けるまでは逃げやしない。…それと、お前
ルカはいっ…!?
アイゼン…いつまで震えてるんだ
ルカみ、みんなして驚かすから、足の震えが止まらなくなっちゃって…
アイゼン…あのな。俺が騒いだんじゃない。お前らが俺のところで騒いでたんだ
ルカは、はい…その通りです…
アイゼンまあいい、話を戻すぞ。この集落の事だが…
アイゼン俺とパスカルとやらの見立てじゃ、相当古いものなのは間違いない
アイゼンだが、一つわかる事がある。これだけ古い集落にもかかわらず、まるで荒らされた様子がない
アリーシャ…確かに。朽ちてはいるが、何かを壊されたような痕はなかったな
ルカそう言えば…。本も食器もぼろぼろだけど、荒らされた感じじゃなかった…
アイゼンそうだ。おそらくだが、ここの連中は外敵によって滅ぼされたんじゃなく…
アイゼン自分達から、この集落を捨てた可能性が高い
ルカ自分達で…捨てた?
アイゼン理由まではわからんがな。…話は終わりだ、とっとと行け
アリーシャわかった。…邪魔をしたな
アリーシャ…全く、まるで隙のない男だ。海賊とはみんな、ああなのだろうか
ルカ僕も会ったばかりだから、わからないけど…。本当に悪い人なのかな…?
アリーシャ少なくとも、四大国の決まりに従う気がないのは確かだな。警戒は怠れないよ
ルカでも、集落について教えてくれたし…
ルカみんなで集落を探ってる時も、家具とか丁寧に扱ってて…
ルカ何て言うか、僕の想像してた海賊とちょっと違うんです
アリーシャ……
ルカつ、都合のいい想像かもしれませんけど…
アリーシャいや…君の言ってる事は事実だ
アリーシャ今のところ協力関係も続いている。私としても、事を荒立てたくはない
アリーシャこのまま何事もなければいいと思っているよ。…ところで、ルカ
ルカ何ですか?
アリーシャ今更だが、私に敬語は必要ないよ。そう堅くては、君もやりにくいだろう?
ルカそ、そうですか?でも、アリーシャさんは年上だし、立場もあるし…
アリーシャ妙な経緯ではあるが、私達は仲間同士。立場は対等だ
アリーシャ今後は呼び捨てで構わないよ
ルカは…はい、わかりました、アリーシャさん!…あっ
ルカ・アリーシャ……
ルカ「わかったよ、アリーシャ」…で、いいんだった
アリーシャぷっ…あははは!少しずつ慣れていけばいいさ。それじゃ…お休み、ルカ
ルカあはは…そうするよ。…お休み、アリーシャ
scene2仲間同士
ロイドよーし。全員揃ってるよな?
アリーシャああ…と言うか、君達二人が最後だよ
ルカご、ごめん。何度声かけてもロイドが起きなくって…
ロイド悪い悪い。でもその分、元気は有り余ってるぜ!
アイゼンとにかく、揃ったなら行くぞ。カタグラフィは持ったな?
パスカルもち!遺跡の方向は昨日の内に見当付けてあるから、すぐ見つかるよ!
scene3仲間同士
パスカル──見つかるはずだったんだけど…。うう~、遺跡のいの字も見当たんないよ~…
パスカルおっかしいな~。カタグラフィの背景からして、この辺のはずなんだけどな…
アイゼン方向は合ってるはずだが、森の仕掛けでまた迷っているのかもな
アイゼンぼろぼろだが、地図らしきものも見つけておいた。何とか照らし合わせるしかない
パスカルうーん、そうなるとここがさ~…
ロイドはあ、似たような風景ばっかでいい加減飽きてきたぜ…。ルカもそう思うだろ?
ルカう、うん…
ルカ(何だろう、この辺。 今までの森と、少し違うような…? そうだ、あそこ…)
ルカ(あそこに見えてるの… ずれた地層だよね。 それも、かなり古い…?)
ロイドルカ、何か考え込んでるのか?
ルカい、いや、何でも…
ブツッ…
ルカロ、ロイド。今、何か聞こえなかった…?
ロイドいや?鳥か何かの鳴き声じゃないか?
ルカなら、いいんだけど…
ルカ(昔、父さんの書斎で読んだ気が… 地盤が不安定な土地だと、確か…)
ブツッ…ブツッ…
ルカ(木の根が切れるような嫌な音がする …って。もしかして、ここも…?)
アリーシャ──やはり方向を間違えてしまったんじゃないか?
アイゼンいや、それに関しては間違いない。何かを見落としてるんだ
ロイドもうちょっと進んでみればわかるんじゃねーの?
ルカ…あ、あの!
パスカルんー?どったのルカ?
ルカあ、その…
ルカ(つ、つい口出しちゃったけど… この音、ロイドには 聞こえてなかったんだよね)
ルカ(もし、勘違いだったら 出しゃばりになっちゃうし…)
ルカ…ごめん、何でもないよ。気にしないで──
ブツッ…ブヅッ!!
アイゼン…待て。この音…いかん!
ブツッ…ズ…
ロイド急にどうしたんだよ、血相変えて?
アイゼン下がれお前ら!この音…!地盤が崩落するぞ!
ルカや…やっぱり…!!
ゴゴゴ…
アリーシャなっ…!?あ、足下が崩れて…!!
ロイドや、やべえ!ルカ、向こうの岩に飛び移れ!
ルカう、うん!
ロイドパスカル、アリーシャ!俺達の手を取れ…うわっ!!
アリーシャ…駄目だ!届かな──ぐうっ!
ズザザザッ!
パスカルお、お助け──うわああっ!?落ちる―!!
アイゼン…ちっ!遅かったか…!
ロイドくそ!二人共見えなくなっちまった!いきなり何だってんだ!
アイゼン地盤が崩落したんだ。元々不安定なところに、俺達が踏み入ったせいだろうが…
アイゼン…ただの崩落じゃないな。地下深くまで穴が開いてる。…ぼやぼやするな、下りるぞ
ロイドああ、急いで二人を助けないと…!行くぞルカ!…ルカ?
ルカぼ、僕のせいだ…!僕がもっと早く伝えてれば…!
ロイドしっかりしろ、ルカ!今は後悔より先に、やる事があるだろ!
ルカ…!う、うん!
ルカごめん…!無事でいて、二人共…!!
scene1崩れ落ちた先
ルカパスカルー!アリーシャー!
ロイド二人共、返事しろー!
ルカ…かなり降りてきたのに、全然反応がない…!
ロイド諦めんな、気を失ってるって事もある!
アイゼン呼びかけを止めるな。生きているなら、そのうち反応がある
ルカは、はい…。おーい!おーーーい…!!
???──い…!おーーい!
ルカ…今、何か聞こえた!パスカル!?パスカルなの!?
ロイドあの土の向こうだ!二人共、そこにいるのか!?
アリーシャこの声…ロイドか!?よかった、君達も無事だったか!
パスカルじゃあ、全員無事って事だね~
アイゼン運のいい奴らだ。…とにかく、この邪魔な土をどかすぞ
ルカはい!待ってて、二人共!
ロイドよし…と。大きな怪我はないみたいだな
パスカルいや~、助かったよ。一時はどうなる事かと思っちゃった
アリーシャああ、さすがに焦ったよ
アイゼンあの崩落に巻き込まれて、よくこんな軽傷で済んだもんだ
アリーシャ途中で崩落の勢いが弱まったんだ。一瞬だったが、その間に私の槍をあそこに刺せた
パスカル崩落が止まるまでずっと掴まってたから、手が痺れちゃったよ~
アリーシャだが、上手くいってよかった。一つ間違えたら、二人共土の下だったからな
ルカ土の、下…
アイゼン勢いが弱まったというのが気になるな。…少し向こうの様子を見てくるか
ロイドあっ、おい…!…行っちまった。まあ、あいつなら心配ないか
ロイドとにかく二人が無事でよかったぜ。な、ルカ?
ルカ…ご、ごめんなさい!
パスカルん~?どったの、ルカ。顔が真っ青だよ?
ルカ実は僕…気付いてたんだ。あそこの地面は不安定で…すごく危険な場所なんじゃないかって
ロイドあっ…そう言えば、音がどうとか言ってたな
ルカうん…。でも、自分の考えが正しいのか自信がなくて…
パスカルそれで迷ってたら、本当に足場が崩れちゃった。…って事?
ルカ…う、うん。…僕が迷わずに言ってれば、二人は巻き込まれずに済んだんだ…!
ルカだからその…本当に、ごめんなさい…
アリーシャ・パスカル……
アリーシャ顔を上げてくれ、ルカ。君が謝る事じゃない
パスカルいきなり謝るから、何の事かと思ったよ~
ルカえ?で、でも!僕のせいで、二人は大怪我するところで…!
アリーシャ異変に気付けなかったのは私の未熟さ故だ。君が気に病む必要はないよ
パスカルそうそう。結局あたし達はピンピンしてるんだし
ルカそれはそうだけど…
パスカルむ~、まだ言うか!そんな子にはこうだ!こちょこちょこちょ~!
ルカあは、あはははは!ちょ、やめ…!何するんだよ、パスカルってば…!
パスカルしょぼくれてちゃ駄目だって!ほら、元気元気!それ~!
ルカあ、あはははは!わかった、わかったよ!もう言わないから、止めてよ~!
アリーシャ…だ、そうだ。そろそろ止めてあげたらどうだ、パスカル
パスカルラジャー!はい、止め!
ルカひー、ひー…!い、いいのかな、本当に?
ロイド二人が気にしないって言ってんだし、それでいいじゃねーか
ルカで、でも!いつもだったら、徹底的に怒られたあと、しばらくはいじられるよ?
ルカ例えば、僕の友達なら──
イリアはあ~~!?気付いてたあ~!?
スパーダル~カ~?何でそんな大事な事黙ってたんだおめェはよォ~?
イリア仕返し?普段の仕返しなのね?いい度胸してんじゃな~い…。ねえ?ル・カ・ちゃ・ま?
スパーダこりゃしばらくホットドッグ奢りの刑だな。一番でっけえやつ!
イリアそーね。そのくらいで勘弁してあげる。…あ、あたしドリンク付きね
スパーダヒャーハッハッハッハ!
イリアいーっひっひっひっひっひ!
ルカ──って感じで!
ロイド…友達なんだよな、そいつら?
ルカう…ほ、本当は優しいんだよ…?ちょっと誤解されやすいって言うか…
ルカほ、ほら!ホットドッグ奢りの刑も結局三回で済んだし!
アリーシャふむ。親しさ故に遠慮のない関係…という事か?
ルカそんな感じ…かな。多分…?
アイゼン…お前ら、いつまで話してる。来い。向こうに面白いものがあったぞ
ロイドアイゼン、何か見つけたのか?
アイゼンああ。どうやら…ここはもう、遺跡の中のようだ
ロイド遺跡の中!?どういう事だよ?
アイゼン説明するより見た方が早い。とにかく、ついてこい
ルカ…!これって!
アリーシャ石壁だな…明らかに人間の手で加工されたものだ
ルカじゃあ本当に…ここがカタグラフィで見た遺跡!?
ロイドどういう事だよ。遺跡は地下にあったって事か?
アイゼンそういう事だ。元から地下にあったのか、緩い地盤のせいで沈んだのか…
アイゼンいずれにせよ、入口が見つからなかったのはこれで説明がつく
アリーシャでは…崩落に飲み込まれた事で、偶然遺跡の中まで来てしまったというわけか
パスカルそっか。遺跡にせき止められたから、崩落もここで止まったんだね~
アイゼンここは遺跡の入口ってところか。あちこち崩れてはいるが、瓦礫をどかせば先へ進めそうだ
ロイドだったら、一番奥を目指そうぜ!何かあるとしたら、やっぱりそこだもんな!
ロイドもしかしたら、すげーお宝が眠ってるかも…!
パスカルうん!このまま全部丸裸にしちゃうぞ~!
アリーシャ遺跡には森を抜ける手がかりがあるかもしれないと話していたんだが…すっかり忘れていそうだな…
アイゼン行くぞ。いつまた崩れ出すかもわからん
ロイドおう!待ってろよ、お宝ー!
ルカよーし…みんなのためにも、今度は役に立たないと…!
scene2崩れ落ちた先
ルカあれ…?この先の通路、随分明るいね
アイゼン大昔の遺跡に、明かりか。…どうにも不自然な話だな
パスカル確かに怪しいけど…薄暗いよりはいーんじゃない?
ロイドそういう事だな。とにかく、行ってみりゃわかるさ!
ロイド…おお~、よく見えるぜ!この辺まで来ると土もないし、本当に遺跡の中って感じがするな
パスカルへえ~、まだ照明が生きてるんだ!…って事は、奥の方には供給元もあるよね?
パスカルん~、どういう仕組みなんだろ?調べてみたいな~
アリーシャ魔物の気配はないな。ひとまずは安心だが…ん?あそこに何か落ちているな
ルカこれは…手帳みたいだね。今の文字じゃないみたいだけど…パスカル、これ読める?
パスカルん~…さすがにこれだけだと文字の解読は無理かな~
パスカルでも、ここ見て。図面みたいなのが描いてあるよ
ロイド遺跡の地図って事か?…あー、でも途中までしか描いてねえみたいだな
アリーシャこっちには武器も落ちている。錆が酷くて使い物にはならないが
アイゼン島の人間か、外部の人間か…詳しい事はわからんが、大昔にも先客がいたようだな
ロイドこいつらも、遺跡を調べに来たのかな?
アイゼン恐らくな。観光目的の物好き、って事もないだろう
ロイドへへっ、探りに来た奴がいたなら、やっぱり奥に何かあるのかもしれねーな!
アイゼンふ…面白くなってきたな。おい、カタグラフィに反応はないか?
パスカルうーん、特に何もないね~。記録以外の機能はついてないのかも
パスカルでも、この奥に何かがあるってのはあたしも同意見!
パスカル森に入った時から感じてたビリビリが強くなってきたからね。期待出来そうだよ~!
ロイドへへ、ますますやる気が出てきたぜ!
ルカ…あ、あのう、アイゼンさん。ちょっと気になったんですけど…
アイゼン何だ?
ルカこの道具の持ち主って、結局どうなったんでしょう…?
アイゼン…こんな半端なところに道具が残っている事から見て、成果があったとは考えにくい
アイゼン失敗して逃げ出したか…あるいはここで何かに捕まって、遺跡の奥に連れ去られたのかもな
ルカひいっ…!
アイゼン何、気になるならその辺を探してみればいい
アイゼン怨念だの亡霊だの、その手の話は遺跡につきものだ。本人から話を聞けるかも──
ルカい、いいです!よくわかりました!
アリーシャあまり脅かすな、アイゼン。道具があるだけだ、それ以上は何もわからないだろう
アイゼン軽い冗談だ。先に行ってるぞ
アリーシャ…全く。安心してくれ、ルカ
アリーシャこの先どんな危険があっても、私が君を守ってみせる。騎士の名に懸けて
ルカか、かっこいい…!
アリーシャ…そうだろうか?少し大げさだったかな
ルカそんな事ないよ!僕も…僕もきっと、役に立ってみせるよ
アリーシャふふ、心強いな。では、先に進もうか
ルカようやく広いところに出た…のはいいんだけど…
グルルルル…
ロイドこの部屋、丸ごと魔物の巣になってるぜ!
アイゼン蹴散らすまでだ。とっとと終わらせるぞ!
scene3崩れ落ちた先
アリーシャはっ!
ギャウッ…!
ルカすごい…あんなにいた魔物が、もうほとんど倒されちゃった!
ルカよ、よーし…僕だって!
グルルルル…
ロイド…!ルカ!後ろだ!狙われてるぞ!
ルカえっ…
アリーシャさせない!はあっ!
ギャウッ…!
パスカルアリーシャ、お見事~!
アリーシャ怪我はないか、ルカ?
ルカう、うん。ありがとう…!
ロイドよっしゃ、こそこそ隠れてた奴も倒したし、仕上げといこうぜ!
ルカうん!はああっ!
アイゼン片付いたか。結構な数だったな
ロイドこれくらいならどうって事ないぜ。お宝はいただきだ!
パスカルふっふっふ~。油断するな、まだ小手調べと言ったところだ…!
ルカな、何それ…?
パスカルアイゼンの真似~。どう?似てた?
アイゼン…下らん事してると置いていくぞ
パスカル結構自信あったんだけどな~。あ、待ってよ~!
アリーシャふふ…やれやれだな。では、私達も行こうか
ロイドおう!さーて、次は何があるんだ
ルカ(うーん… みんなの役に立つって 意気込んだはいいけど…)
ルカ(逆に助けてもらっちゃった…。 なかなか上手くはいかないな…)
アリーシャ…ルカ?どうしたんだ、さっきから考え込んでいるようだが…
ルカえ!?な、何でもないよ!
ルカ先に進まないとね…あはは!
ルカ…ふう。こんな調子で、本当に役に立てるのかな?
scene1己の流儀
ルカふう…ようやく広いところに出たね
ロイドでもよ、ここ行き止まりみたいだぜ
パスカルそんな~!ここまで来て収穫なしは勘弁してよ~…
アリーシャここまでは一本道だったはず。どこかで道を見落としたのだろうか?
アイゼン隠し通路があった可能性はあるが…。まずは、この部屋を調べてからだな
アリーシャ砂地というのが気になる…。ここまでは全て石造りだった
ルカ(よーし… 今度こそ、役に立たないと…)
ルカそれじゃ、僕は床を調べてみるね!何か見つかるかもしれないし
パスカル何だか張り切ってるね~。もうあんなとこまで行ってるし
アリーシャルカ、調べるのはいいが、何があるかわからない。十分に気を付けてくれ
ズ…!!
ルカうん、わかって──
ルカうわっ…!?
ドテッ
パスカルありゃ、こけちゃった。もう、はしゃぎすぎだよ~、ルカ
ルカあはは、ごめん。…って、あれ?
ルカお、おかしいな。上手く立てないや…?
ロイド何やってんだ、あいつ…?ほら、俺が手貸してやるから、そこでちょっと待ってろ
アイゼン…!いや、待て!うかつに踏み入るな!
ズズズズズ…!
ルカ何、これ…!?部屋中の砂が…動いてる…!
ルカこの砂のせいで足が滑って…!早く逃げないと…うわあっ!
パスカルこれって…ちょっとまずいんじゃない!?ルカがどんどん流されてくよ!
アイゼン部屋の端まで離れろ!砂がすり鉢状に陥没していく…俺達の足元まで崩れ始めたぞ!
ロイドんな事言っても…ルカを放っておけるかよ!
アイゼンまずは自分の身を守れ!それに、砂の底を見ろ…何かいる!
キシャアアアアッ!!
アリーシャ大型の魔物…アリジゴクのようなものか!ルカ、早くこっちに!
ルカご、ごめん…砂で滑るせいで、どうしても立てなくて…うわあっ!
ロイドやべえ…!あのまま流されたら、魔物にやられちまう!
アリーシャパスカル、魔物を術で狙えないか!?
パスカルここからだと、どうやってもルカを巻き込んじゃう!直接助けるしかないよ!
ロイドくっ…待ってろルカ!今、助けてやる!
ルカ…駄目だよ、ロイド!こっちに来たら、みんなも巻き込まれちゃう…!
ロイドそんな事言ったって、一人で抜け出せるわけないだろ!絶対助けるから、そこで──
ロイド…!まずい!魔物が狙ってるぞ!
キシャアアアアッ!!
ルカ…ううっ!駄目だ、この足場じゃ、とても受けきれない…
ドカッ!
ルカうわああっ!!
ルカぐ…うう…意識…が…
ルカ……
ロイド大丈夫か!?おい、返事しろ!ルカっ!!
アリーシャくっ…!一体、どうすれば…!
アイゼン…決まってるだろう。方法は一つだ
アイゼンお前らはそこを動くな。いいな!
アリーシャなっ…!?お前、一体何を──
ルカう…。何も聞こえない…。砂が、こすれる音しか…
ルカ確か、魔物に弾き飛ばされて…その後…どうなったんだっけ。思い出せないや
ルカ……
ルカ僕、死ぬのかな。こんな事なら…父さんの言う事聞いておけばよかった
ルカこんな僕がみんなの役に立とうなんて…やっぱり間違ってたんだ
ルカ…でも
ルカ何も出来ないままは…嫌だな
???(アイゼン)──い!
ルカ…?誰だろう。誰かが、呼んでる…?
ルカ…そんなわけないか。また、アスラの夢でも見てるのかな
ルカ夢、か…僕も、なりたかったな。かっこよくて、頼りがいがある…アスラみたいな人に…
???(アイゼン)──い。早──きろ…
ルカ…!気のせいじゃ…ない?一体、誰が──
アイゼンおい!起きろ!
ルカ──!こ、ここは…!
アイゼン意識が戻ったか。見かけより頑丈だ
ルカア、アイゼンさん!?どうして!…ごほっ、ごほっ…!
アイゼンいいからそのままじっとしていろ。あまり動くと、どんどん砂に流されて…
キシャアアアアッ!!
アイゼン今度こそ致命傷になるぞ。おい、お前ら!!
パスカルなーに!?今引っ張り上げる物探してるから、待っててよ~!
アイゼンいや、このままでは間に合わん!脱出は俺の方で何とかする。その間あの魔物の動きを抑えろ!
パスカルわかった!任せといて!
アイゼンやるぞ!…大地よ!
ゴゴゴゴゴゴゴ…!
アリーシャこれは…術か?土の足場が出来た!
アイゼンちっ…流砂のせいか、安定しないな。長くは持たない。こいつを伝って這い上がるぞ!行け!
ルカは、はい!
ロイドへへっ…そういう事出来るんなら、突っ込む前に言えよな!
ロイドパスカル、魔物は頼んだぜ!俺とアリーシャで二人を引き上げる!
パスカルあいあいさ~!危ないから大きな術は使えないけど…脅かすくらいなら!
パスカルウィンドニードル!
ギ…ギギ…!?
アリーシャ魔物がひるんだ!今のうちだ!
アイゼン一気に上まで行くぞ。もたもたしてると足場が崩れる!
ルカはい…!
ロイドよし…こっちだ、俺の手を掴め!
ルカう…も、もう少し…!
ロイドそうだ、そのまま…!引っ張り上げるぞ、せーのっ!
ルカごほっ、ごほっ!!助かった…の?
パスカルよ、よかった~!無事だよね、ルカ!?
アイゼン衝撃で気絶していただけだ。見たところ大きな怪我はない。
アリーシャ無茶をする奴だ…。一歩間違えれば、お前も巻き込まれていたぞ
アイゼン迷ってる暇はなかったからな
アリーシャ…そうだな。ルカが助かったのはお前のお蔭だ。ありがとう
アイゼン…礼はいらん。それより…問題はまだ残ってるぞ
ロイドああ、魔物が来るぜ!
キシャアアアアッ!!
アイゼン獲物を取られてご立腹か。来い。相手をしてやる
ルカ…待って。僕も…戦うよ
アイゼン……
アリーシャ無理はしなくていい。ここは私達に任せてくれ
ルカ…大丈夫。このくらいやらないと、みんなに申し訳ないから…!
アイゼン…好きにしろ。行くぞ!
ルカはい!
scene2己の流儀
パスカルふい~。何とかなった~
ロイドあの魔物、相当怒ってたなあ。好き放題暴れやがって…
アリーシャけほっ…砂まみれになってしまったな
ルカ…ごめんね、みんな。僕のせいで、またみんなを危険な目に遭わせちゃった…
ロイド気にすんなって。仲間なんだから、助け合って当然だろ!
アリーシャその通りだ。それに…悪い事ばかりでもない。魔物のいた場所を見てくれ
ルカ地下への扉がある…!…あの魔物は、あれを守ってたんだ
アリーシャ結果的に、全員無事に道を切り開けたというわけだ。それだけで十分さ
パスカルそんじゃ、行こっか!ビリビリも強くなってきたし、そろそろお宝が待ってるかもよ!
ロイドおう!
ルカあの、アイゼンさん…
アイゼン何だ
ルカアイゼンさんも…その、本当にすみませんでした
ルカ僕が先走ったせいで、あんな危ない目に遭わせてしまって…
アイゼン……
ルカあの…?
アイゼン…謝罪はいらん。俺は俺のやりたいようにやっただけだ
ルカ…はい
アイゼン…納得出来ないって顔だな。なら、少し言い方を変えてやる
アイゼン確かに…俺は危険を冒し、お前を助けた。だが、それがお前のためとは限らん
ルカえ…?
アイゼンこの森を抜けるまでは協力する。俺はそう言ったはずだ
アイゼンあそこでお前を見捨てるのは、そう決めた俺自身への裏切りになる
アイゼンしいて言うなら、俺のため。俺が俺であるために助けたんだ
ルカそのためなら…どんな危険も冒すって事ですか?
アイゼンそういう事になるな
ルカ…!怖くはないんですか?
ルカ僕は…怖い。もし間違ってたら、死んじゃうかもしれないのに…!
アイゼン自分の舵は自分の意志で取る。それが俺の流儀だ
アイゼン少なくとも…自分で選んだやり方なら、どうなろうが後悔はしない
ルカ…!
アイゼン先に行くぞ。そろそろ最下層のはずだ
ルカ自分の…
ルカ自分の舵は…自分の意志で取る、か…
ロイドおーい、どうしたルカー!?どっか痛むのかー?
ルカ…う、ううん!大丈夫!今行くよー!
scene1ルカの作戦
アイゼンまた部屋に出たか。もっとも…今度は期待出来そうだがな
ルカ何だか、今までと雰囲気が違うような…ここが最後の部屋なのかな?
ロイドかもな。その割には砂も敵も見当たんねーし、結構不用心だけど
アリーシャ…だが、目立つものもある。部屋全体に彫られているのは…壁画だろうか?
ルカみたいだね。うーん…この感じじゃ、お宝とかそういうのはなさそう…
ロイドま…まだわかんねーだろ?よく探せばきっと何かあるって!
ロイドな、パスカル!…あれ?どこ行ったんだ、あいつ
アイゼンあいつなら、部屋を見るなり壁の方まで飛んで行ったぞ
ロイドって事は…!おーい、パスカル!何か見つかったのか!?お宝か!?
パスカルん~?お宝とはちょっと違うけど…
パスカルこの壁画、面白そうなものが描いてあるよ!みんなもこっち来て見てみなよ!
ロイド面白そうなもの?どれどれ…
アイゼンほう…近くで見ると、なかなか見事な代物だな。
アリーシャ絵だけかと思ったが…文字のようなものも彫られているな
パスカルカタグラフィの中に見えた言語と似てるから、多分集落の人達が残したんだと思う
ルカ…文字は読めないけど、絵の方は何となくわかるかも。…これって、エルピスの塔じゃない?
アリーシャああ、そのようだ。頂上に輝いている星のようなものは、サフィアだろう
アイゼン他にも小さな星があるな…。一、二…六つか。こんなものは塔周辺にはなかったが
ルカ下の方にも何か描いてあるけど…これはよくわからないや。…動物、かな?
ロイド…まあ、確かにすげーけどさ。なあ、他に何か描いてないのか?ほら、お宝の隠し場所とか…
パスカルそういうのは見当たんないけど、まだ壁画はいっぱいあるよ~
パスカルほら、向こうにも続いてるし!あたし、あっちの方見てくるね~!
ロイドお、おいパスカル…!行っちまった…
ロイドはあ…あいつは楽しそうでいいよな
ルカそう言うロイドは、あんまり元気ないね。一応、これも大発見なんじゃない?
ロイドまあ、そうなんだけどよ。何かもやもやするって言うか…期待と違ったって言うか…
アイゼン全く…わかっていないな
ロイドアイゼン?何だよ、いきなり
アイゼンこの壁画を見ろ。精緻、かつ大胆な彫刻。保存状態も悪くない…!
アイゼン考古学的に見れば、この部屋全体がお宝と言っても過言ではないだろう…
アイゼン少なくとも、落ち込むような代物ではない。海賊として保証してやる
ロイドな、何か今のお前、俺の知り合いが遺跡を見つけた時に似てるぜ
アイゼンほう…どこにでもわかる奴はいるものだ
ロイド…その感じとか、特にな。とにかく、俺はもっと一目でわかるお宝を想像してたんだよ
ロイド金銀財宝とか、未知の秘宝とか…!だから、その…結構地味っつーか、肩透かしっつーか…
アイゼンふっ…それもまた冒険者の醍醐味だ。まあ、金銀財宝の方が心くすぐられるというのもわかるがな
アイゼン俺も壁画を調べてくる。邪魔はするなよ
アリーシャでは、壁画はパスカル達に任せるか。私達は森を抜ける手がかりを探そう。ロイドも、それでいいか?
ロイドそうだな…がっかりはしたけど土産話としては悪くねぇし。さっさと帰らねえとな
ルカそうだね。何か見落としてるかもしれないし、壁画以外のところも探してみよう
ルカ──うーん…。やっぱり、壁画以外に目立ったものは見つからないなあ…
パスカル…ねえルカー!ちょっと手伝ってよー!
ルカどうしたの、パスカル?
パスカルお~、来た来た!悪いんだけどさ、肩車してくれる?上の方の文字が見えないんだ
ルカま、また?あんまりいい思い出ないんだけど…
パスカルん~、最初は、そこにいるアイゼンに頼んだんだけどね~
アイゼン俺も俺でこの部屋には興味がある。後にしろ
パスカル…だってさ。けちんぼめ~
ルカしょうがないなあ…。はい、これでいい?
パスカルうんしょ、っと…。ふーむ。やっぱり、まだ文字は読めないな~…
ルカ「まだ」って…こんな古い文字、本当に読めるの?
パスカル時間と資料があればね~。今も数字っぽいのは何とか読み取れるし
パスカル…ただ、あたしの知ってるアンマルチアの文字よりずっと古そうなんだよね~、これ
ルカ大昔の島みたいだし…やっぱり、使ってた文字も違うんだね
パスカルん~、単純に時代が古いだけかな…似てるようで別物っぽいと言うか…。うん、やっぱすぐには無理っぽいね~
ルカ…そっか。でも、パスカルがいてよかったよ。僕達だけじゃお手上げだったし
パスカルアンマルチアの研究はあたしの本分だからね!それに…
パスカルこの部屋にはまだ何かあるよ。今までで一番感じるんだよね、こう…ビリビリって!!
ルカちょっ、パスカル!急に動いたら危ないよ!
パスカルうわっ、とっと…!ルカ、壁!壁の方に寄って!
ルカわかったから動かないで!上の方は見えないんだって…!
パスカルいよっと!ふう~、危なかった。壁に手をついたから何とか倒れずに…
ガコッ…!
ルカ・パスカル…ガコッ?
ズゴゴゴゴゴ…
ルカちょ…!壁画が動き出したよ!
ロイドな、何だ!?一体何が起こってんだ?
ゴゴゴゴゴ…ズン!
アリーシャ壁画が動いて、扉が現れた…!パスカル、君がやったのか?
パスカルう~ん、たまたまなんだけど手をついて押した所が何かのスイッチだったみたい
アリーシャ隠し扉というわけか…。この先にもまだ何かありそうだな
アイゼン厳重さから言って、この先が本命かもしれんな
ロイド本当か!?へへっ、そうこなくっちゃな!行こうぜ、みんな!
ルカう、うん!
scene2ルカの作戦
ルカこれって…!別の部屋…!?見た事もないものが浮いてる…
アイゼンそれも気になるが…本命は部屋の中心だな。あれを見ろ
パスカルな…何あれ!?おっきな装置…!
ロイド音もするし、光ってるし…!すげーな、今も動いてんじゃないか、あれ!?
アイゼンどういう技術か知らんが好都合だ。壊れてたら、調べようがないからな
アイゼンむ…装置の隣にも何かあるな。台座のように見えるが…
パスカルどれどれ~。いじったら台座に反応があるかも…!
アリーシャ待て、パスカル。まだ何なのかもわからないんだ。慎重に──
ビーーーッ!ビーーーッ!
アイゼン…!!これは…警報か!?
ルカみ、みんな!あれを見て!
オオオオオ!!
ロイドお、おい!こんな魔物、今までどこにもいなかったぞ!
アリーシャ一体どういう事だ…!警戒はしていたのに、ここまで接近を許すとは…!
アイゼン装置の番人といったところか。邪魔をするというなら…倒すのみだ
ゴッ…!
アイゼン…!!ほう…随分硬いな
ルカアイゼンさんの攻撃を受け付けてない…!?
ロイド他の魔物とはわけが違うって事か!どっち道、逃げる気はないけどなっ!行くぜ!
アリーシャああ!私も合わせる!
オオオオオ!!
ロイドへっ、魔物の奴、どこ狙ってんだ?何もないところで暴れてるぜ
アリーシャ…随分な大振りだな。避けるだけなら、難しくなさそうだ
パスカル援護は任せて~!…って、あれ?装置が反応してる…?
ヴーーン…!
ルカ…!!二人共!後ろだよ!
ロイドなっ…!?何だあ!?
ドゴォ!
アリーシャくっ…ロイド!
ロイド心配すんなって、ちゃんと避けてるぜ!それより…!
アリーシャああ…いつの間にか背後を取られた!一体どういう事だ…?
アイゼン距離を取って見ていた俺達には、はっきり見えた
ルカあの魔物…瞬間移動したんだ!攻撃したと思ったら、あそこから消えてなくなって…
パスカルその瞬間、ロイドの後ろに転移したんだよ!
ロイド何だよ、それ!?あの魔物の能力なのか?
パスカル違うよ、多分この装置が魔物の動きを補助してるんだ!移動の直前に反応してたし!
アリーシャ空間を操作しているというのか!?
アリーシャ…!待ってくれ、では、まさかあの森も…!
アイゼン知らず知らずのうち、俺達もこいつに転移させられていた。それなら説明がつくな
ロイド…!考えてる場合じゃないぜ!魔物が消えた!
アリーシャ…ルカ!そっちだ!
オオオオオ!!
ドゴォ!
パスカルうひゃあっ!…あっぶないな、いきなり出てこないでよ~!
ルカ動きが全然読めない…!これじゃ、戦いようがないよ!
ロイドくっそ…!こいつは何とか俺が抑える!その間に対策を考えてくれ!
ルカ何とかって…!一人じゃ危ないよ!
ロイド考えるより、こっちのが役に立つからな!さあ、来やがれ!
オオオオオ!!
ルカ…わかった!無茶しないでね、ロイド!
アリーシャさて…魔物本体も頑丈だが、まずはこの転移を止めないとどうしようもないな
アイゼン…ちっ。ここまで来て惜しいが、あの装置を破壊するしかないか
ルカえっ…?
パスカル破壊って…!そんな殺生な~、まだ全然調べてないのに~!
アリーシャ残念だが、私も破壊に賛成だ。貴重な島の遺物と言えど、このままでは危険すぎる
アリーシャあの動きを止めてからでないと、かなり不利な戦いになるからな
パスカル…う。それはそうだけど…
ルカパ、パスカル…
ルカ(パスカル…すごく残念そうだ。 そうだよね、転移装置なんて すごく貴重なものだし)
アイゼンどの道、あの装置を止めなければこの森からも出られない
アイゼンこの状況では悠長に構えてる時間もないしな。破壊するしかないだろう
パスカル…うぐ。確かに…このままじゃ、みんな危ないもんね…
パスカルすっごくやりたくないけど…うう~…
ルカ(…何とか装置を壊さずに、 魔物を倒せないかな…)
ルカ(でも、あの魔物は正面から 戦うと攻撃を受け付けなかった… 不意をつかないと、それも…)
ルカ(不意…そうだ!! あの装置を使えば…!)
ルカみ、みんな、その…
ルカ(…でも、本当に僕なんかの 考えが上手くいくのかな…)
ルカ(いや、ここで言い出さないと… アリーシャやパスカルを 危ない目に遭わせた時と同じだ)
ルカ(それに…)
アイゼン自分の舵は自分の意志で取る。…それが俺の流儀だ
アイゼン自分で選んだやり方なら、どうなろうが後悔はしない
ルカ……
アリーシャでは…いいんだな、パスカル
パスカル~~~っ!わかった!あの装置、壊しちゃお──
ルカ──待って!
パスカル…ルカ?
ルカみんな…僕の…僕の話を聞いてほしい!
ルカもしかしたら…全部上手くいくかもしれない!
scene3ルカの作戦
ルカ僕の作戦、どうかな…?
アリーシャ…やはり駄目だ。危険すぎる。それでは、君の安全がまるで考えられていない!
ルカ言い出したのは僕だから…一番危険な役目は、僕がやらなきゃ
ルカ僕も…みんなの役に立ちたいんだよ
アリーシャしかし…!
ルカお願い、アリーシャ。…みんな!
パスカルルカ…!
アイゼン…やるか
アリーシャアイゼン!
アイゼンこいつは出来ると思ったから俺達に話したんだ
アイゼンなら、俺達が口を挟む余地はない。無茶が多い作戦だが…俺もあの装置は壊したくないからな
ルカアイゼンさん…!
アイゼン…ただし、失敗しそうなら装置はすぐに破壊する。それでいいな
ルカ…はい。アリーシャも…お願い
アリーシャそこまで言うなら…わかった。私も全力を尽くそう
ルカ…ありがとう!ロイド、もう大丈夫だよ!
ロイド…話はまとまったか!?それなら…虎牙破斬!
ズバッ!
オ…オオオオ!!
アリーシャ魔物がよろめいた…!さすがだな、ロイド!
ロイドへへっ、完全には効かなくても、押し切るくらいなら出来るさ!今のうちだ、みんな!
ルカうん!今行くよ!それじゃあまず…
パスカルあたしが装置を操作する、だよね!その間、魔物はお願い!アリーシャ!アイゼン!
アリーシャわかった!ロイド、私達に任せて下がれ!ルカと一緒にパスカルを守ってくれ!
ロイドああ!…って、その装置、ぶっ壊すとか言ってなかったか?
ルカ壊さないように作戦を考えたんだ!だから、ロイドも協力して!
ロイドおう!よくわかんねえけど、パスカルを守ってたらいいんだな?
ルカロイド…うん。ありがとう…!
パスカルこういう機械は前に使った事あるし、しばらくいじれば操作法はわかるはず…!
ピッ…ピピ…!
パスカル違う、こうじゃないか…!思ったより複雑だ~!…でも──
ルカ装置を壊して止められたとしても…あの硬い魔物を倒すためには、もっと大きな力が必要だよ
ルカだから…逆に装置を利用したいんだ。パスカルに、この装置を操作してもらう
パスカル操作って…止めるんじゃなくて?一体どうするの?
ルカうん…どうにかして、僕をあの魔物の上に転移させて。僕が上から飛び込んで攻撃する
アリーシャ自分が落下する力を使って魔物に斬りかかるという事か…
ルカそうすれば、正面から攻撃するよりも魔物の不意をつけると思うんだ
アイゼン向こう見ずな策だな。装置を操作している間、時間稼ぎは俺達がやるとしても…
アリーシャああ。本当に装置を動かせるのか、その保証がない
ルカ…も、勿論、無理だと思ったらすぐ壊してもらっていいよ!きっとパスカルだって狙われるし…!
ルカでも…パスカルなら、動かせると思うんだ
パスカル…!
ルカ僕達の誰よりも機械に詳しいし…カタグラフィだって、パスカルがいなきゃ使えなかった
ルカだから…
パスカル…へへ。まっかせて、ルカ!ちょちょいのちょいだよ!
パスカル──あたしにかかれば、こんな装置くらい無理でも無茶でも何でもないって…!
ロイドアイゼン達が押され始めた!パスカル…そっちはどうだ!?
パスカルもう少し!操作法はわかってきたから、あとは転移システムを見つけるだけ!
パスカル駄目だ…これも違う!いや、だったら、ここを一時的に解除して…!
ピッ…ピピ…!
パスカル…これだ!この部屋の転移システム!
パスカル…ルカ!準備出来たよ!
オオオオオ!!
パスカルって、うわあ!こっちに来る!?
アイゼン…お前の相手は俺達だ
アリーシャ行かせるものか!はああっ!
ズバッ!
オッ…オオオ!?
ロイドひるんだか!さすがだぜ、二人共!
パスカルた、助かった~…そんじゃ、ルカ!今度こそ行くよ!
ルカうん、お願い!
パスカル…転移装置、作動!
ルカ…っ!
ヴーーン…!
ルカ…!!わ、わわ!本当に転移した!
オオオオオ!!
ルカ魔物が真下に…!よし、この勢いなら…!
ロイド…そういう事か!いいぜ、やっちまえルカ!
ルカ…行くぞ!はあああああ!
ルカ裂空斬!!
ズバッ!
オオオオオ!!??
アリーシャルカの攻撃が効いた…!見事な一撃だ!
アイゼンこのまま畳みかけるぞ!
ルカはい!
scene4ルカの作戦
ルカこれで…最後だ!はああっ!
オ…オオオ…!
ルカ…た、倒せた!
ロイド装置も無事だ。ルカが考えた作戦だったんだよな?すげーな、ルカ!
パスカルこれで思う存分調べられるよ~!ありがと、ルカ!
ルカぼ、僕は大した事やってないから…
パスカルまたまた、すーぐ引っ込んじゃうんだから…ん?何だろ、これ
アイゼンどうした?
パスカル何かね、装置にさっきまでなかった項目が追加されてて…えい!
ヴーーン…!
アリーシャ…何だ?確かに動いたようだが、装置には何も変化がないな…
ロイドいや…装置の方じゃない!その隣…台座の方から何か出てきたぜ!
ルカほんとだ…!ぼんやり青く光ってて…まるで星みたい
ルカ…でも、何だろう。この青い光、どこかで見たような…?
アイゼンああ、この光には覚えがある。エルピスの塔の頂上にあった…サフィアの輝きによく似ている!
パスカルだよねだよね!?あたしもそう思ってたとこ!って事はさ…!
ルカまさか…これって、サフィアなの!?
scene1憧れへの一歩
ロイドそうだ…サフィアだ!この青い光、サフィアにそっくりだぜ!
ルカじゃ、じゃあ、お宝ってサフィアの事だったの!?この…青い星が!?
アイゼン落ち着け。確かにエルピスの塔から見えた光によく似ているが…
アイゼン塔のものと比べるとかなり小さい。片手で持てる程度の大きさだ
パスカル関係はありそうだけどね~。森も遺跡も、これを守ってたんだろうしさ
アリーシャ驚いたな…。まさか、本当にこんなものが隠されていたとは…
ロイド…よし。お前が取れよ、ルカ
ルカえ…ええ!?どうして僕が…?
ロイドどうしても何も、魔物を倒して装置を止められたのは、お前のお蔭だろ?
ルカ僕の…お蔭?でも…何度も足引っ張っちゃったし…!
アイゼンそうでもない。実際、装置を使った一撃がなければかなりてこずったはずだ
アイゼンお宝を一番に手にするくらいの働きはしている
ロイドそういう事だ!ほら、行ってこいって
ルカう、うん…それじゃ
ルカ…近付いて見ると、本当に眩しいなあ。触っても大丈夫…だよね
ルカあ…普通に取れた。な、何だか実感わかないよ~…!
パスカルル~カ~!早く見せてよ、あたしも触りたいんだから~!!
ルカう、うん…!
パスカルふむ?ふむふむふむ?見れば見るほど面白いな~、これ!
パスカルここまで近いとはっきりわかるよ~。あたしが感じてたビリビリは、これが出してるみたい
アイゼン俺達にはわからんが…何か底知れないものは感じるな。少し貸してみろ
アイゼン……
アイゼン…特に仕掛けがあるわけではなさそうだ。薄く輝いているだけで反応もない
アリーシャだが、とても美しい輝きだ。さっきも言っていたが、サフィアに関係するものかもしれない
ロイドああ!何より…これぞお宝って感じだぜ!
ロイドこういうのを待ってたんだよ!いや~冒険の甲斐があったぜ!
アリーシャ…後は本部に帰ってからだな。パスカル、装置を完全に止める事は出来るか?
パスカルうん。もうちょっと時間をくれれば、完璧に操作法がわかると思うよ
アリーシャでは、それを待って調査隊本部へ戻ろう。装置が止まれば、森も抜けられる
パスカルまっかせて~!
アイゼン…本部か。…潮時だな
scene2憧れへの一歩
アリーシャさて、そろそろ出口のはずだが…みんな、いるな?
ルカうん、大丈夫だよ。パスカル達はあっちで話し込んでるけど
パスカルいや~、最後の部屋は大漁だったね!あのあと、青いお宝の他にもいろいろ見つかったし!
パスカルカタグラフィに、機械の残骸…!帰って調べるのが楽しみだよ~!
アイゼンほとんど破損しているが、収穫としては十分だ。それよりも──
ロイドあの二人、結構気が合うみてーだ。…にしても、元気だよな。俺はさすがに疲れたぜ
アリーシャ脱出にもそれなりの時間がかかってしまったからな…。もう式典も終わった頃だろう
ロイドげっ…!そ、そんなに時間経ってたのか?
ロイド後でコレットに謝らないとなあ…。って、そう言えば…!
ロイド俺は護衛のためだけど…アリーシャも式典に出るはずだったんだよな?
アリーシャ仕方がない、で済ませるわけにはいかないが…ただ、状況が状況だ
アリーシャ各国の平和協調を示す場にいられなかったのは残念だが…事情については、私から上に話す
ロイド俺達も説明するよ。お宝についても、話さなきゃならねーし
ルカ…お宝。お宝かあ…
アリーシャん…?ルカ、前をよく見ないと…!
ドテッ…!
ルカあいたっ…!うう…つまづいちゃった…
アリーシャ…大丈夫か?崩落で足元が不安定になっている。気を付けて進んだ方がいい
ロイドおいおい…せっかくお宝を手に入れたんだぜ。シャキッとしろよ、ルカ
ルカあはは…何だか信じられなくて。こんな発見するなんて、思ってもいなかったから
ロイドそうなのか?わざわざ調査隊に入ったのに?
ルカ僕、将来の事で父さんと喧嘩してさ。当てつけって言うか…半分勢いで調査隊に入ったんだ
ルカでも、はっきりした目的はなかった。いつもと違う環境なら、何かが変わるかもって思ったくらい
ルカだから…やっぱり信じられないんだ
ルカそんな僕が、遺跡の中を走り回ったり、戦ったりして、こんなお宝を持ってる事が…
ロイドったく、しょーがねえな。何度も言うけど、もっと胸張ってりゃいいんだよ
ロイド遭難してたはずが、遺跡に眠るお宝を大発見!誰が見たって、大手柄なんだぜ
ルカそうなんだけど…
アリーシャ嬉しいのはわかるが油断は禁物だぞ。…っと。光が差しているな。どうやら、出口のようだ
ロイドふい~、ようやくか!さ、行こうぜ!
ルカう、うん…!
アリーシャふう、ようやく外に出られたか。もうすっかり朝になってしまったな
パスカルそんじゃ、ひとまず昨日泊まった集落まで戻ろうよ~!
パスカルあそこにも持ち帰りたいものがたくさんあるし!
アイゼンああ。無論、そのサフィアによく似たお宝も調べる必要がある
アイゼンあれだけの技術を持った一族が隠していたものだ。小さいが、どんな力を秘めているか…
パスカルちょっと!まずはあたしが調べるんだから、盗んだら駄目だよ~!
アイゼン後でも先でも構わない。詳しい事がわかったら教えてもらう。…その内な
パスカルお?そういう事なら、全然オッケー!
ロイド…って言ってるけど、いいのか、あれで?
アリーシャいいわけないだろう!これは本部に持ち帰って、しっかりと管理させてもらう!
アリーシャその後、正式に本部の研究者の手に渡して…
パスカルえ~!?そりゃないよ~!横暴だ!断固抗議する!
アリーシャい、いや、しかし…
ロイドあーもー、みんなのもんって事でいいだろ!ここでもめるなって!
ルカ(みんなの…そうだ。 ロイドは僕のお手柄だって 言ってくれたけど…)
ルカ(僕があの作戦をたてられたのは、 みんなが僕を助けてくれたからだ)
ルカ(僕だけじゃ駄目だった。 僕だけじゃ、このお宝は 絶対手に入らなかった…!)
ルカそうか…みんなとなら…!
パスカルなーにニヤニヤしてんの、ルカ?
ルカえへへ…何でもないよ
パスカルふーん…?
ロイドよーし、それじゃあさっさと森を抜けようぜ!
ロイドへへ…!お宝を持ち帰ったら、きっと大騒ぎになるだろうな
ルカあはは…そうだね
ルカ(冒険はやっぱり怖かった。 僕一人じゃ、きっとまだ 出来る事は少ないと思う)
ルカ(アスラみたいにかっこよく、 とはいかないけど…)
ルカ(みんなと一緒なら、 僕も変わっていけるかも!)
パスカルル~カ~?早く帰ろうよ~!
ルカ…うん、今行くよー!