| Name | Dialogue |
| scene1 | 対照的な二人 |
| フレン | ユーリ、そろそろ見回りの時間だ。出動しよう |
| ユーリ | やれやれ、もうそんな時間かよ。毎日毎日、面倒なこった |
| ユーリ | たまにはのんびりさせてもらいたいもんだぜ、ったく |
| フレン | そんな事を言うものじゃない。たとえ何もなかったとしても、行かないと |
| フレン | 僕達が見回りしているところを街の人々に見せる事にも意味があるんだから |
| ユーリ | ほんっと真面目だよな、お前は |
| フレン | 騎士の務めだ。当然だろう |
| フレン | ユーリこそ、もっと任務に身を入れたらどうなんだ |
| フレン | それだけの能力はあるはずだ |
| ユーリ | 堅苦しいのは苦手なんだよ |
| ユーリ | せっかく入った騎士団だが、どうも性に合わねえ。そろそろ潮時かもな |
| フレン | またそんな。君はいつもそうやって… |
| ??? | っと、すまない…!急いでいたもので… |
| フレン | いや、こちらこそすまない |
| フレン | 君は…アスベルじゃないか |
| アスベル | フレン…? |
| アスベル | ああ、そうか。これから見回りだったな。がんばれよ |
| フレン | ありがとう。 |
| フレン | 君も陛下への目通りの許可が出てよかったな |
| アスベル | あ、ああ。それじゃ! |
| アスベル | (…エステリーゼ様、一体、 どこへ行ってしまわれたんだ) |
| フレン | ユーリ、どこへ行くんだ?まだ、話は終わってないだろう |
| ユーリ | 分かった分かった。 |
| ユーリ | 歩きながらでもいいだろ?のんびりしてっと見回りに遅れちまう |
| ユーリ | 今日は北地区からだったか? |
| scene2 | 対照的な二人 |
| フレン | このところ魔物の出現頻度が高まる一方だな |
| ユーリ | この辺だけじゃないぜ。今はどこへ行ってもこんな調子だろ |
| フレン | 確かに…一体何が起きているんだろう |
| ユーリ | なぜこうなったかの理由なら、考えるまでもねえよ |
| ユーリ | やれ戦争だの、カケラ集めだので、今は王国中が殺気立ってる。その気配が魔物にも伝染してんだろ |
| ユーリ | つまり、すべき事は一つだ |
| フレン | ユーリ…? |
| ユーリ | 敬愛すべき我らが国王陛下に、言ってやりゃいいんだよ |
| ユーリ | 星のカケラ欲しさに他国に攻め込むなんてやめてください |
| ユーリ | 選ばれし者だかなんだか知らないが、光の神殿なんぞに現を抜かしてないで… |
| フレン | よせ、ユーリ。陛下の事をそんな風に言うなんて |
| ユーリ | おいおい、お前だって今の国王のやり方が正しいなんて思っちゃいないだろ |
| フレン | …確かに思うところがないわけじゃないが |
| フレン | …だからといって軽々しく言うべきじゃない |
| フレン | 僕達騎士団は民衆を守るためにいる。その騎士団を率いる方こそ、国王陛下なのだから |
| ユーリ | 民衆を守るため、ね |
| ユーリ | それが本当である事を祈るよ、オレは |
| ユーリ | お前はお前の信じるようにやれよ。オレはオレで好きにするさ |
| フレン | ユーリ、君は昔からそうだ… |
| フレン | 君は自分の行動や発言が、どれほど周りに影響を与えているのかわかっているのか? |
| ユーリ | それを言ったらお前も、だろ? |
| フレン | (ユーリの気持ちも分かる。 だけど平和には秩序が欠かせない。 もし君がそれを乱すなら僕は…) |
| | …! |
| ユーリ | 話は後だ。大物が出て来やがった |
| フレン | ああ、油断するな |
| ユーリ | 来るぞ! |
| scene1 | 森の迷子 |
| ユーリ | さてと、後はこの森を見回れば終わりだな |
| フレン | ああ。この一帯は魔物の目撃情報が特に多いところだ。念入りに見て行こう |
| ユーリ | オレに言わせりゃ、魔物より人間の方がよっぽどたちが悪いけどな |
| ユーリ | …ん? |
| | ガサガサ… |
| フレン | そこの茂みに何かいるぞ! |
| ユーリ | 魔物か? |
| | |
| ??? | あっ…! |
| ユーリ | なんだ、子どもじゃねえか |
| フレン | どうしてこんなところに… |
| ユーリ | おい、お前一人か?親は一緒じゃないのか? |
| ??? | … |
| フレン | もしかして、迷子になったのかい? |
| ??? | … |
| | !! |
| フレン | あ、ちょっと君!待ってくれ! |
| ユーリ | おいおい、走って逃げちまったぞ |
| フレン | 追いかけよう。あんな小さな子を一人で放っておく訳にはいかない |
| ユーリ | ったく、世話の焼ける… |
| scene2 | 森の迷子 |
| ??? | はあ…はあ… |
| ??? | どうしよう…いきなり逃げて来ちゃったけど… |
| | ガルル… |
| ??? | な、何の声? |
| ??? | …! |
| ??? | た、助けて… |
| フレン | いない…どこへ行ったんだ? |
| ユーリ | やれやれ、大した足の速さだ |
| フレン | そんなに遠くへは行っていないと思うんだが… |
| | |
| ??? | きゃああ! |
| ユーリ | 向こうだ! |
| フレン | 急ごう! |
| ??? | こ、来ないで! |
| フレン | いけない、魔物に襲われてる! |
| ユーリ | 今助ける! |
| scene1 | 少女の願い |
| ユーリ | さてと、おい大丈夫か?怪我とかしてねえか? |
| ??? | あ、ありがとう |
| ??? | あなた達、悪い人じゃないみたいだね |
| ユーリ | まあな。これでも一応は正義の味方の騎士団、だからな |
| フレン | 君、名前は?お父さんかお母さんは一緒じゃないのかい? |
| エル | エルはエル。エル・メル・マータ |
| エル | ママは前からいないしパパは… |
| フレン | そうか…辛い事を聞いてしまって、すまない |
| ユーリ | おいおい、それじゃまさか一人でここへ来たのか? |
| エル | うん。イニル街から歩いてきたんだよ |
| フレン | イニル街?随分遠いな |
| フレン | どうしてそんなところから? |
| エル | いま、街でへんなビョーキがはやってて…みんなすごいつらそうなの! |
| エル | だからエル、王様にわけを話して、助けてもらおうと思って来たんだよ! |
| ユーリ | で、身ひとつでやってきたって訳か。見上げた覚悟だが、ちょいとばかし無茶がすぎたな |
| フレン | イニル街の奇病…噂には聞いた事があるが、まさか本当だとは… |
| ユーリ | わざわざこんなとこまで来て嘘付くやつはいないだろ。問題は国王が話聞いてくれるか、だな |
| エル | 王様、はなし聞いてくれないの? |
| エル | ここまできたのに… |
| ユーリ | … |
| ユーリ | とりあえず、街の様子を見に行くか。んで、オレから国王に報告する |
| ユーリ | それでどうだ? |
| エル | ホント?ありがとう! |
| ユーリ | そういう訳だから、騎士団への報告は頼むぜ、フレン |
| フレン | …仕方ないな。分かった、引き受けるよ |
| エル | ええと…あなた達の名前は? |
| ユーリ | オレはユーリ。こっちはフレン |
| ユーリ | そんじゃ行くとするか、エル |
| エル | うん! |
| scene2 | 少女の願い |
| ユーリ | 歩きづめだが、大丈夫か? |
| エル | 大丈夫。エル、歩くの好きだもん |
| ユーリ | そうか。疲れたら言えよ |
| エル | ユーリ、さっき、セーギの味方の騎士団って言ってたよね? |
| エル | 騎士団って、何をする人? |
| ユーリ | 何をする人、か。そうだな… |
| ユーリ | 平たく言や、悪いやつをとっちめる仕事ってとこだ |
| ユーリ | 普段はお偉いさんの警護をしたり、魔物から街を守ったり、泥棒を追いかけたり…そんなとこだ |
| エル | エライ人の警護!じゃ、ユーリ達は王様にいつでも会えるの? |
| ユーリ | いつでもって訳にはいかねえよ。あっちにはあっちの都合ってもんが |
| エル | そうなんだ…残念 |
| ユーリ | 心配すんなって。ちゃんとイニル街の病気の事は、オレが報告しておいてやるから |
| エル | うん、よろしくね |
| ユーリ | そういや、その病気ってのはいつ頃から流行りだしたんだ? |
| エル | えーと…ビョーキがはやりはじめたのはひと月くらい前だと思う |
| ユーリ | ひと月!? |
| ユーリ | おいおい、そんな長い間、放っておかれてたのかよ |
| ユーリ | ひと月前といや、国王が軍の増強を始めた時期だが…偶然か…? |
| エル | どうかしたの? |
| ユーリ | ん?いや、何でもねえよ |
| エル | あっ、魔物! |
| ユーリ | ちっ、下がってろ! |
| scene1 | 腕利きの女戦士 |
| ユーリ | ふう…ちっとばかし焦ったぜ |
| エル | やったね、ユーリ! |
| | ガルル…! |
| エル | あっ! |
| ユーリ | まだ生きてやがったのか! |
| ??? | 危ない! |
| ??? | …何とか間に合ったかケガはないか? |
| | |
| エル | う、うん…助けてくれてありがと… |
| ??? | 魔物相手に油断は禁物だ。それと、そこの長髪の男。父親ならちゃんと娘を守るべきだろう |
| ユーリ | 父親…って、オレがそんな歳に見えんのかよ |
| エル | あ、違うよ。ユーリはエルのパパじゃなくって、セーギの味方の騎士団だよ! |
| ??? | そうか… |
| ??? | だが騎士ならば、なおさらだろう |
| ユーリ | そう言われりゃごもっともだ。返す言葉もねえな |
| エル | あなたは?エルはエル。このひとはユーリ |
| ミラ | 私の名はミラ。ミラ=マクスウェルだ |
| エル | ミラはここでなにしてたの? |
| ミラ | イニル街というところへ行く途中だ。奇妙な噂を耳にしたのでな |
| ユーリ | その噂ってのは、あそこで流行っているっていう奇病の事か |
| ミラ | 知っているのか |
| ユーリ | オレもそれを調べるためにあの街へ向かっているとこなんだよ。エルを送りがてらな |
| ミラ | なるほど。目的地は同じか |
| エル | せっかくだから、ミラもエル達と行こうよ |
| ミラ | …そうだな。私はこの辺の地理に疎いから、同行させてもらえると助かる |
| ユーリ | 構わねえよ。こっちも腕の立つ道連れは歓迎だ。よろしく頼むぜ |
| scene2 | 腕利きの女戦士 |
| | ぐう… |
| ユーリ | うん?エル、腹が減ったのか? |
| エル | エルじゃないよ!エルそんなこどもじゃないし! |
| ユーリ | 違うのか? じゃあ… |
| ミラ | …すまない。私だ |
| ユーリ | ミラの方かよ。こりゃ意外だったな |
| エル | ユーリ、ちょー失礼!エルだってレディーなんだからね |
| ユーリ | 悪い悪い。昼飯分けてやっからそれで勘弁しろって |
| エル | えっ、食べるものあるの? |
| ユーリ | 騎士団で支給された弁当だけどな。 |
| ユーリ | 少々分け前が少なくなるが、三人で食べようぜ |
| エル | サンドイッチ! |
| ミラ | いいのか。すまないな |
| ユーリ | これも何かの縁だ、気にすんな |
| エル | あ… |
| ミラ | どうした、エル? |
| エル | …このサンドイッチ、トマト入ってる |
| エル | エル、トマト苦手! |
| ユーリ | 好き嫌いしてっと大きくなれねえぞ? |
| エル | スキキライじゃなくて、シュチョーですー。シュチョーはケンリなんですー |
| ミラ | わかった。では私のと取り換えてやろう |
| ミラ | こっちはトマトがないからな |
| エル | 本当?ありがとう、ミラ! |
| ミラ | む… |
| エル | もぐもぐ…うん、おいしい |
| エル | あれ? ユーリもミラも食べないの? |
| ミラ | どうやら邪魔が入ったようだ |
| ユーリ | ったく、飯くらい、のんびり食わせて欲しいもんだぜ |
| scene1 | 暗然たる街 |
| ユーリ | 街が見えてきたな |
| ミラ | エル、あれがイニル街か? |
| エル | うん、そうだよ |
| ユーリ | 遠目にはおかしなところは見えないな |
| エル | 街のみんな、大丈夫かな。ビョーキよくなってればいいけど… |
| ユーリ | ん…?ちょっと待て |
| ユーリ | なにかおかしい。なんだ、この感じは…? |
| エル | なんかヘンな気する…。街にいるときは感じなかったのに… |
| ミラ | お前達も気付いたか。これはマナの消費が激しいせいだ。…やはりあの街には何かあるようだな |
| エル | マナ? |
| ミラ | この世界を司るエネルギーとでも言えばいいだろうか。目には見えないがな |
| ユーリ | へえ、物知りなんだな |
| ミラ | このところ、世界中のマナが著しく減少している |
| ミラ | 私はその原因を調べているうちに、この街の存在を知り、それで調査に来たのだ |
| ミラ | ところでユーリとエルは、星のカケラの伝説を知っているか? |
| エル | エル聞いたときある! |
| エル | カケラを手にし、己に打ち勝った者だけが、光の神殿に入れる… |
| エル | でしょ! |
| ユーリ | ただのおとぎ話のはずが、本当に光の神殿が現れたってんで、世界中大騒ぎになっているな |
| ユーリ | お蔭でうちの王様も、全てのカケラを集めようと躍起ときてる |
| ユーリ | …それがどうかしたのか? |
| ミラ | いや…マナの減少と奇病の流行、それに星のカケラや神殿出現の時期が微妙に重なっているのが気になってな |
| ユーリ | 何か関係があると思うのか? |
| ミラ | …まあいい。とにかく、街の様子を調べよう |
| ユーリ | …だな |
| scene2 | 暗然たる街 |
| ユーリ | なんてこった。そこら中に人が倒れてんじゃねえか! |
| ミラ | 動いている者も総じて元気がないな。皆、明らかに顔色が悪い |
| ユーリ | 病気が流行り出したのは、確かひと月前だと言ったよな。こんな状態がずっと続いていたのか? |
| エル | エルが出かけるまではこんなじゃなかったよ! |
| エル | でもみんなビョーキでつらそうだし… |
| エル | エルは元気だから、エルがなんとかしないとって思って、王様に会いに行ったの… |
| ミラ | 確かにこの状態は、ただ事ではないな |
| ユーリ | ああ、こりゃもう騎士団総出で取り組まないとどうにもならない規模だ |
| ユーリ | 問題は、国王がその気になるかどうかだがな |
| ユーリ | とにかくもう少し調べてみるか。エル。街の中で、特にひどい状況の場所は分かるか? |
| エル | どこもみんなつらそうだけど…一番はあっちかな |
| ユーリ | 東側か。分かった、ちょっと見てくる |
| エル | うん。でも気をつけてね |
| エル | あっちはビョーキも怖いけど、すごい悪い人がいるって聞いたときあるよ |
| ユーリ | 何かあったらすぐに退散するさ。それよりお前らはここを動くなよ |
| ミラ | ちょっと待て、二人とも。向こうから何か来るぞ! |
| ユーリ | 何っ!? |
| scene1 | 奇病の原因を探して |
| ミラ | ふう… |
| エル | 急に魔物が襲ってきてびっくりしたね |
| ユーリ | ったく、出鼻をくじかれたな。そんじゃ調査再開といくか |
| エル | 街の東側へ行くんだよね |
| ユーリ | ああ |
| ミラ | すまないが、私は別行動を取らせてもらう |
| ミラ | 調べたいことがあってな |
| エル | え?ミラ…ここでお別れなの? |
| ミラ | そんな悲しそうな顔をするな、エル |
| ミラ | 用が済んだらまた合流する |
| ミラ | しばらくしたら、街の入り口で落ち合おう。それでどうだ? |
| エル | わかった。それならまた会えるね |
| ユーリ | 行くのはいいが、一人で大丈夫か? |
| ミラ | 心配はいらない |
| ミラ | では、また後でな |
| エル | 行っちゃった… |
| ユーリ | ま、あいつの腕なら大丈夫だろ |
| ユーリ | さて、ミラが行っちまったんじゃ、置いていく訳にもいかねえな。この際だ、エル、案内してくれ |
| エル | うん。こっちだよ |
| scene2 | 奇病の原因を探して |
| エル | このあたりだよ。エルもこっちにはあまり来たことがないんだけど… |
| ユーリ | 倒れている人間の数が、さっきより多い…確かにひどい有様だな |
| ユーリ | それに空気がますます重苦しくなってきてやがる。もしかしたら奇病の源もこの辺りにあるのかもな |
| エル | エル、何だかくらくらしてきた… |
| ユーリ | 無理すんな。オレ達までやられる訳にはいかないんだからな |
| エル | ううん、もう少しがんばる |
| エル | みんながなんでビョーキになったのかわかるかもだし |
| エル | ユーリもビョーキの理由、知りたいたいでしょ? |
| ユーリ | そりゃそうだけどよ |
| エル | 大丈夫だから |
| ユーリ | わかった。じゃあ後少しだけな |
| エル | うん |
| ユーリ | これだけ流行る病気のもと… |
| ユーリ | 普段から大勢が触れるようなもの、か…? |
| ユーリ | たとえば、水とか… |
| ユーリ | エル。この街の飲み水は、どこから調達している? |
| エル | え?井戸からだよ |
| ユーリ | んじゃ、まずその井戸を当たってみるか |
| エル | また魔物! |
| ユーリ | こんな時にまでかよ! |
| scene1 | 不思議な出会い |
| ユーリ | とんだ邪魔が入ったな。さて、井戸を調べに行くか |
| エル | うん |
| ??? | ねえ、君達! |
| ??? | ちょっとお聞きしたいんですけど… |
| ユーリ | ん? |
| ??? | あのさ、この辺で仮面をかぶった人を見なかった? |
| エル | かめん…? |
| ユーリ | なんだそりゃ… |
| ユーリ | エル、心当たりあるか? |
| エル | ううん |
| ユーリ | だとさ。オレもそんな変な奴は見ていない。悪いな |
| ??? | そうかあ…どこか別のところに行っちゃったのかな |
| ??? | とにかく、捜しましょう。バラバラになったら大変だわ |
| ??? | うん、そうだね |
| ??? | 君達、変な事を聞いてゴメン!それじゃ! |
| ユーリ | … |
| エル | … |
| ユーリ | 行っちまった。慌しい奴らだな |
| エル | かめんの人、まいごになっちゃったのかな? |
| ユーリ | さあな |
| ユーリ | さあ、オレ達は井戸へ向かおうぜ |
| scene2 | 不思議な出会い |
| ユーリ | これがその井戸か |
| エル | へんなにおいする…鼻がつんとするよ |
| ユーリ | なるほど、いかにもって感じだな。こりゃ水が汚染されてんのかもしれねえな |
| エル | ユーリ、あれ見て!へんな人いる! |
| ユーリ | あいつは… |
| ??? | … |
| エル | ねえ、さっきの人達が捜してた、かめんの人って… |
| ユーリ | ああ、どうやらそうみたいだな |
| ??? | 何だ、お前達は |
| ??? | 人の顔を見ながら何を話している?僕に用があるなら早く言え |
| ??? | もし用もないのに僕の足を止めたのだとしたらこの剣で…斬る |
| ユーリ | おいおい、いきなり喧嘩腰かよ。血の気の多い奴だな |
| ??? | … |
| エル | エル達、別にあなたの事悪く言ったりしてないよ |
| エル | さっき会った人達がかめんの人をさがしてたから、この人なのかなって話してただけだよ |
| ??? | それは…金髪の男と、茶色の髪の女か? |
| エル | うん |
| ユーリ | その様子だと、どうやらあいつらと知り合いらしいな |
| ??? | 二人とどこで会った? |
| エル | えと、むこうの… |
| ユーリ | 待てエル、なんか来るぞ! |
| ??? | …! |
| scene1 | 再会、そして |
| ユーリ | 終わったか… |
| ユーリ | お前、なかなかやるもんだな |
| ??? | ふっ、お前もな |
| ??? | …おい、先程話した二人の事をもっと… |
| エル | あっ、見て!さっきの人達! |
| ??? | あっ、見つけた!おーい、ジューダス! |
| | |
| ジューダス | カイル、リアラ。二人とも無事だったか |
| リアラ | ソフィの反応を見つけたわ。南にある大陸にいるみたい |
| カイル | 君達、また会ったね! |
| カイル | あ!ひょっとしてジューダスを探してくれてたとか? |
| ユーリ | 偶然さっき出くわしたところだよ |
| リアラ | 二人とも、早く行きましょう |
| ジューダス | わかっている。そう急かすな |
| ジューダス | …そういえばお前達、この街の井戸を調べていたようだが |
| エル | うん。ユーリがしらべたいって |
| ジューダス | …一つ教えてやろう |
| ジューダス | 街の南に作られた施設が井戸の汚染の原因だ。興味があるなら調べてみろ |
| リアラ | ジューダス。こっちの世界の人に、あまり干渉しない方が… |
| ジューダス | これくらいは構わないだろう |
| リアラ | もう。ジューダスったら |
| ユーリ | 南の施設ね |
| ユーリ | いいことを聞いた。礼を言うぜ |
| カイル | じゃ、さよなら! |
| リアラ | さようなら |
| エル | じゃあねー |
| エル | ねぇユーリ、こっちの世界ってどういう意味? |
| ユーリ | さあな。とりあえず、オレ達にとっちゃどうでもいいだろ |
| ユーリ | それよりエル、今聞いた施設に心当たりはあるか? |
| エル | そういえば、みんながビョーキになる少し前に、あっちのほうに新しい建物ができてたよ |
| ユーリ | よし。なら次はそいつを調べてみるとするか |
| エル | ねぇ、入り口にもどらないの?ミラが待ってるかもしれないよ |
| ユーリ | それもそうだな |
| ユーリ | んじゃ、入り口に戻ろうぜ |
| scene2 | 再会、そして |
| エル | あっ、ミラがいるよ |
| ユーリ | オレ達より先に戻ってたか |
| ミラ | 二人とも無事なようだな |
| ユーリ | そっちは何か収穫はあったか? |
| ミラ | ああ。街で流行っている奇病の原因を特定した |
| ユーリ | …南にある施設か? |
| ミラ | そうか。お前達も同じ答えにたどり着いたようだな |
| ユーリ | オレ達のほうは、たまたまみたいなもんだけどな |
| ミラ | それは私も同じだ。重要な情報を教えてくれた者がいてな。妙な連中だったが |
| ユーリ | それって、おかしな仮面被った… |
| ユーリ | …いや、なんでもねえ。忘れてくれ |
| ミラ | どうもその施設というのは、この国の王が技術者を派遣して、数ヶ月前に設置したものらしい |
| ユーリ | 国王が? |
| エル | エル、思い出した! |
| エル | 施設ができる時、これで暮らしが楽になるってみんな言ってた |
| エル | 魔導器(ブラスティア)があればショーライアンタイだって |
| ミラ | 私が聞いた話では、その施設の中に魔導器があるそうだ |
| ユーリ | こりゃいよいよその施設とやらに行ってみなきゃならねえな |
| ミラ | そうだな… |
| ミラ | む? |
| エル | 何か来るよ! |
| scene1 | 魔導器 |
| ユーリ | 施設が見えてきたな |
| エル | あの中に魔導器があるんだよね? |
| ユーリ | そいつが井戸を汚染して、奇病を流行らせてる元凶ってわけか |
| ミラ | ああ。しかもその魔導器は、私が調査しているマナ減少の原因にもなっている可能性が高い |
| ユーリ | となると、見て終わりって訳にはいかなさそうだな |
| ユーリ | とっととぶっ壊しちまうか |
| ミラ | 私もそのつもりだ。気が合うな |
| エル | エルも手伝う! |
| ユーリ | 頼もしいな |
| ユーリ | それじゃ、乗り込むとするか |
| ミラ | 正面は鍵がかかっているようだな。裏に回ってみよう |
| ミラ | ふむ。この排水溝から中に潜入できそうだな |
| エル | ここなんかくさいよ… |
| ユーリ | 大丈夫か?無理に一緒に来なくたっていいんだぜ? |
| エル | 大丈夫! |
| エル | ビョーキになった人達を助けるためだもん |
| ミラ | 中に入るぞ |
| scene2 | 魔導器 |
| エル | これって… |
| ユーリ | こいつが例の魔導器か?いかにも怪しい形してやがんな |
| ミラ | 周囲のマナが減り続けている。やはり、こいつが元凶のようだ |
| ユーリ | ん…? |
| | ザザー… |
| ユーリ | 廃液みたいなのが流れ出してやがる。あれが井戸の水に染み込んでんのか? |
| エル | それでみんなビョーキになっちゃったの? |
| ユーリ | どうやらその可能性大だな |
| ミラ | こんな物を自国の領内に置くとは… |
| ミラ | 王の意図は不明だが、こんな物が人間界にあってはならない |
| ユーリ | なら、誰かが来てやっかいな事になる前にさっさとやっちまうか |
| エル | うん! |
| ミラ | よし、やるぞ! |
| scene1 | 取り戻した笑顔 |
| ユーリ | よし、追手もいないようだし、どうやら無事に脱出できたようだな |
| エル | 魔導器を壊せてよかったね! |
| ユーリ | ああ。土産も手に入ったしな |
| | |
| エル | 何これ? |
| ユーリ | あの魔導器の魔核(コア)じゃねえかと思う。こいつを外した途端、動きが完全に止まったからな |
| ユーリ | この魔核を押さえときゃ、魔導器修理してまた動かそうったってそう簡単にはいかねえだろ |
| ミラ | フッ。抜け目のない奴だ |
| ユーリ | 褒め言葉と受け取っとくぜ |
| | |
| エル | 何だか、空気がキレイになったみたい |
| ユーリ | だな。てことはやっぱりあの魔導器が奇病の原因だったんだろ。少なくともこれで病の拡大は止まるんじゃねえか |
| エル | じゃあもう、心配いらないんだね |
| エル | ありがとう、ユーリ!ミラ! |
| ミラ | エルもよく頑張ったな |
| ミラ | さてと… |
| ユーリ | もう行くのか |
| ミラ | ああ。次はア・ジュールへ向おうと思う。あの国に関しても、色々不穏な噂を耳にしているのでな |
| ユーリ | そうか。じゃオレは王都へ戻って、今回の事を報告するとすっか |
| エル | 王様に言っといてくれる? |
| エル | もうこの街に、へんなものを置かないでって |
| ユーリ | ああ、任せとけ |
| ミラ | ではさらばだ、二人とも |
| ミラ | 縁があればまた会おう |
| ユーリ | オレも行くか |
| ユーリ | エル、元気でな。もう無茶はすんなよ |
| エル | うん、またね。二人とも! |
| scene2 | 取り戻した笑顔 |
| ユーリ | さてと、ああ言ったはいいが、実際のところ、どうしたもんかな |
| ユーリ | エルが言ったみたいに、「ヘンなものを置かないで」と言って済めば簡単なんだが |
| ユーリ | 仮に国王に話ができたとして、オレの頼みが聞き入れられるとはとても思えないしな |
| ユーリ | 第一、その国王が設置した魔導器をぶっ壊したなんてバレた日にゃただじゃ済まねえだろうな |
| ユーリ | …まあ仕方ない。やるだけやってみるか |
| ユーリ | エルと約束しちまったしな |
| ユーリ | それにしても…国王のやつ、本気で星のカケラとやらを集めるつもりなのか? |
| ユーリ | 神殿だのカケラだの、そんなもんのために戦争だなんて馬鹿げてるぜ |
| ユーリ | 誰か言ってやるやつはいないのか? |
| ユーリ | 誰か、か… |
| | ガルル… |
| ユーリ | この唸り声…魔物か? |
| ユーリ | やっぱりかよ。ったく、おちおち考え事もできやしねえ |
| ユーリ | さっさとケリつけてやる。来な! |
| scene1 | 素敵な相棒 |
| ユーリ | さて、王都へ戻って来た訳だが… |
| ユーリ | 騎士団への報告はフレンに任せたからいいとして、まずどうすっかな |
| ユーリ | …考えても仕方ねえ。とっとと国王のとこに直談判に行くとするか |
| ユーリ | どうせフレンのやつに相談したって、反対されるに決まってるしな。あいつを巻き込むのはやめとくか |
| | |
| 警備兵 | 陛下はご多忙であらせられる。一介の騎士団員が、いきなり御目通りがかなうはずがなかろう |
| ユーリ | 重要な報告があんだけど、それでも駄目なのか? |
| 警備兵 | 無理なものは無理だ。どうしてもというなら、騎士団を通して正式に申し込め |
| 警備兵 | もっとも、そうしたところで、いつ御目通りが実現するかはわからないがな |
| ユーリ | へいへい、分かりましたよ |
| ユーリ | ま、やっぱこんなもんだよな。さて、ここからが本番っと… |
| ??? | ワンッ! |
| | |
| ユーリ | ラピードじゃねえか。よくここにいるって分かったな |
| ユーリ | ん、まてよ…そういやお前、前にどこからともなく城の中に現れた事あったよな |
| ラピード | ワフゥ? |
| ユーリ | 抜け道でもあんのか知らねえけど、あん時、お前が通った場所、オレにも教えてくれねえか |
| ラピード | ウルル…ワウッ! |
| ユーリ | …行っちまった。ちゃんと通じてるといいんだがな |
| ユーリ | ま、他に当てもねえし、見失わないうちについていくか。頼むぜ、ラピード |
| scene2 | 素敵な相棒 |
| ユーリ | …王都の地下にこんなだだっぴろい洞窟があったとはな |
| ユーリ | このどっかが城まで通じてる訳か。うまい話ってのはあるもんだな |
| ユーリ | にしても、ラピード、よくこんなとこ知ってんな。マジで助かったぜ |
| ラピード | ワフッ |
| ユーリ | 案外、この洞窟は城が攻め落とされそうになった時に、お偉いさん達が逃げるためのもんだったりしてな |
| ラピード | グルル… |
| ユーリ | どうした?何か見つけたのか? |
| ラピード | ワンっ! |
| ユーリ | こいつは…魔物の死体?この傷は同じ魔物の仕業じゃないな |
| ユーリ | しかも、まだそんなに時間が経ってない。つい最近、誰かがここを通ったって事になるな |
| ラピード | ガウっ! |
| ユーリ | 今度はどうした? |
| | グルル…! |
| ユーリ | こいつは…この死んでるやつの仲間か? |
| ユーリ | 仲間をやったのはオレ達じゃないと言っても、聞いちゃくれそうにねえな |
| ユーリ | 仕方ねえ。相手になるぜ! |
| scene1 | 決断 |
| アスベル | リチャード、お願いだ。ア・ジュールから兵を退いてくれ。この戦いには何の得もないじゃないか |
| リチャード | 君は王に指図するというのかい?アスベル |
| アスベル | 指図だなんて…俺はそんなつもりでは…っだが! |
| リチャード | 僕が目をかけているからといっていささか調子に乗っていないか |
| リチャード | 僕だって君を処罰したくはないんだ |
| アスベル | …リチャード…どうして… |
| リチャード | この件については、追って沙汰を下す。今は出て行ってくれないかい? |
| アスベル | はっ…(あの優しかったリチャードが…) |
| | |
| ユーリ | ここは…もう城の中か。あっさり入り込めたな |
| ユーリ | この辺は何度か通った事あるが、隠し通路の入り口があるなんて、気付かなかったぜ |
| ユーリ | 助かったぜ、ラピード |
| ラピード | ワンっ! |
| ユーリ | ここからだったら謁見の間はすぐだ。ひとつ国王にお目通り願うとするか |
| アスベル | ん…? |
| ユーリ | っと、誰か来やがった。隠れろ、ラピード |
| ユーリ | えー、お役目お疲れ様です |
| アスベル | あ、ああ…お疲れ様 |
| ユーリ | … |
| ユーリ | あいつは確かフレンと話をしていた…いや、それより、気付かれずに済んでよかったぜ |
| ユーリ | そんじゃ、気を取り直して行くか |
| scene2 | 決断 |
| リチャード | …何者だ? |
| ユーリ | 国王陛下の忠実なる僕、騎士団のもんだよ |
| リチャード | お前の顔には見覚えがある。確か名前は…ユーリ・ローウェル |
| リチャード | 一体ここへ何しに来た?目通りを許した覚えはないぞ |
| ユーリ | 国王に覚えてもらえてたとは光栄だな。…イニル街の訳を教えて欲しい |
| リチャード | イニル街?何の事だ。おかしな事があったという報告は特に受けていないが |
| ユーリ | そうか? |
| | |
| ユーリ | あんたのこれが随分と悪さをしてたんだがな |
| リチャード | その魔核は…!なぜお前がそれを持っている |
| ユーリ | なんでもいいさ。それより何のためにあの魔導器を作った? |
| ユーリ | あの魔導器のせいでイニル街じゃ奇病が流行って大変な事になっていたんだぜ? |
| リチャード | 魔導器の事も知っているのか。…当然だ。全て承知の上で、あそこに魔導器を設置したんだ |
| ユーリ | …全部知ってて… |
| リチャード | 我が国はこれから、世界中を相手にした大戦争を繰り広げる |
| リチャード | 目的は各地に散らばった星のカケラを全て我が手中に収める事だそのためには力が必要となる |
| リチャード | 君の持つ魔核を魔導器に組み込めば力となって動いてくれるイニル街に設置したのはその試作機だ |
| ユーリ | …そんなくだらねえ事のために、街ひとつ、奇病が流行るにまかせたってのか |
| リチャード | たかがその程度、どうという事もあるまい |
| ユーリ | てめえ… |
| リチャード | そう、たかがだ。お前のような虫けらにも等しい輩に、僕の崇高な理想は理解できまい |
| ユーリ | 理解したくねえし、する気もねえ。そんな王を戴くつもりもねえ |
| ユーリ | 騎士が王に楯突いちゃいけねえってんなら上等、この場で辞めてやるよ。…落とし前つけさせてもらうぜ |
| リチャード | 魔核を持ったままここを無事に出られると思っているのか。警備兵! |
| ユーリ | …っ! |
| ラピード | ガウっ! |
| ユーリ | ちっ! |
| scene1 | 偶然か、必然か |
| ユーリ | 何とか城からは抜け出せたか。やれやれ、これでオレはお尋ね者かよ |
| 警備兵 | まだ遠くへは行っていないはずだ!何としても捜し出せ! |
| ユーリ | ったくしつこい連中だな。しょうがねえ、このまま王都を出るぞ、ラピード |
| ラピード | ワウッ! |
| ユーリ | 捕まって魔核を取り返された日にゃ、また魔導器を使われかねないからな。エルに顔向けできなくなっちまう |
| ユーリ | とは言うものの、どこに逃げたもんかな。ウィンドルの国内はどこも厳しいか… |
| ユーリ | ならいっそ、他の国に行くか。それなら追手も大手を振っては追ってこれねえだろうしな |
| ラピード | ガルルルル…! |
| 警備兵 | いたぞ、向こうだ! |
| ユーリ | おっと、いけねえ。行くぜ、ラピード! |
| | |
| フレン | フレン・シーフォ。参上しました |
| リチャード | 来たか、フレン。君は精鋭ぞろいの我が騎士団の中でも、指折りの実力者と聞いている |
| フレン | 身に余る評価です |
| リチャード | そんな君に、重要な任務を任せたい。反逆者の逮捕だ |
| フレン | 反逆者…ですか? |
| リチャード | その者は僕に暴言を浴びせたばかりか重要な国家機密の品を奪い逃走中だ |
| リチャード | その反逆者を捕らえ、僕の前に連れて来て欲しい無論、生かしたままで |
| リチャード | 既に別の部隊を出動させているが、君も一隊を率いて後を追ってくれ |
| フレン | 畏まりました。その反逆者の名前は? |
| リチャード | ユーリ・ローウェル |
| フレン | な…! |
| scene2 | 偶然か、必然か |
| フレン | … |
| 騎士団員 | 目撃証言を得られました。どうやらユーリ・ローウェルはア・ジュール方面へ向かったようです |
| フレン | ア・ジュールか… |
| 騎士団員 | 我々もすぐに追いかけますか? |
| フレン | …いや、待つんだ。そんなあからさまに目に付く道を選ぶとは思えない |
| フレン | 守りの手薄なのは…シルヴァラント方面か。恐らく、ア・ジュールは見せかけだ |
| 騎士団員 | おお、なるほど |
| フレン | …号令を。出発する |
| | |
| ユーリ | この辺りの山…確かテムザ山といったか |
| ユーリ | ここを越えれば、シルヴァラントの勢力圏内だ。そこまで行けば一息つけるだろ |
| ラピード | ワフゥ… |
| ユーリ | 追手がうまい事ア・ジュールの方に向かってくれてるといいんだがな |
| ユーリ | ま、いつまでも騙されてくれるとも限らないし、今のうちに少しでも距離を稼いでおこうぜ、ラピード |
| ラピード | ガルルルル…! |
| ユーリ | おっと、魔物か? |
| scene1 | 揺れ動く気持ち |
| ユーリ | よっと…ふう、だいぶ登って来たな。そろそろ山の中腹ってとこか |
| ラピード | ワンッ |
| ユーリ | さすがに見晴らしがいいな |
| ユーリ | せっかく来たんだ。ここで風景でも眺めながら一服するか |
| ラピード | ガウッ! |
| ユーリ | わかってるって。ちょっと言ってみただけだよ |
| ユーリ | さて、もうひとふん張りといくか。さっさと峠を越えちまわないとな |
| | |
| 部隊長 | 反逆者ユーリ・ローウェルはこの山に逃げ込んだようだ |
| 部隊長 | 反逆者と親交があったという、別部隊の隊長の情報だから間違いあるまい |
| 部隊長 | その部隊が来るより先に反逆者を捕らえて、手柄は我々の物にしてしまおう |
| アスベル | … |
| 部隊長 | どうした、アスベル・ラント。浮かぬ顔をしているな。何か心配事でもあるのか |
| アスベル | い、いえ。そんな事はありません |
| 部隊長 | ぼさっとしているんじゃないぞ |
| 部隊長 | 見事反逆者を捕らえた暁には、特別報奨も期待できるだろう。皆、張り切っていけ! |
| アスベル | … |
| scene2 | 揺れ動く気持ち |
| ユーリ | やれやれ…まさか行き止まりにぶつかって、引き返す羽目になるとはな |
| ラピード | クーン |
| ユーリ | だいぶ時間を無駄にしちまった。こっちに追手が来てるとしたら、だいぶ距離を詰められたかもな |
| | |
| 部隊長 | いたぞ!あそこだ! |
| ラピード | ウルル! |
| ユーリ | ちっ。言ってる傍から来やがったか。この分じゃ、あんまり引っかかっちゃくれなかったみたいだな |
| 部隊長 | 反逆者ユーリ・ローウェル!貴様を逮捕する。抵抗しても無駄だぞ! |
| ユーリ | そう言われて、はいそうですかとおとなしく捕まる奴はいねえよ |
| ラピード | ガルルルル…! |
| 部隊長 | あくまで抵抗する気のようだな。ならばこちらも容赦はせん。全員、かかれ! |
| アスベル | …何かがおかしかった…リチャード… |
| ユーリ | あん?あいつ…確かアスベルだったか |
| ユーリ | なんか様子が変だな |
| 部隊長 | 何をしているアスベル!ぼさっと突っ立っているな!早く行け! |
| ラピード | ガウッ! |
| ユーリ | どうした、ラピード、新手か!? |
| | グオオオオ! |
| アスベル | はっ!魔物!? |
| ユーリ | ったく、取り込み中って時に! |
| scene1 | 友への想い |
| ユーリ | 魔物を始末しても、それでお終い、といかねえのが残念なところだな |
| ラピード | ガルルルル… |
| 部隊長 | ええい、何をしている!さっさと反逆者を捕えろ! |
| アスベル | …よし! |
| | |
| アスベル | 俺は君を信じる。君と行動を共にしよう |
| ユーリ | …あん?おいおい、どういう風の吹き回しだよ |
| アスベル | 実は君とリチャードが話しているのを、こっそり聞いていたんだ |
| アスベル | リチャードの言動は昔と変わってしまっていて、疑問を抱いていたんだ |
| アスベル | 戦争をやめるよう進言したが却下され…それ以上は何もできず、ただ悶々とするばかりで… |
| アスベル | そんな時、君がリチャードに向かって騎士団をやめると言ったのを聞いて、目が覚める思いだった |
| アスベル | リチャードが今やっている事は国民を幸せにするためじゃない。それをあいつに分からせないと |
| ユーリ | お互い国王に思うところあり、か |
| ユーリ | いいぜ、だったら好きにしな。その代わり自分の面倒は自分で見ろよ |
| ラピード | ワンっ! |
| アスベル | ああ!ありがとう |
| | |
| 部隊長 | アスベルまで反逆者になるとは…!この騎士団の恥さらしどもめ! |
| ユーリ | こいつらに付き合う気はねえ。さっさと振り切るぞ! |
| アスベル | ああ! |
| | |
| フレン | …この山か。ここにユーリが… |
| scene2 | 友への想い |
| ユーリ | どうやら、まいたか? |
| ラピード | ワウッ! |
| アスベル | ああ、大丈夫そうだが、油断は禁物だ。後続が来ている可能性もある |
| ユーリ | 人気者はつらいな |
| ユーリ | ところで一つ聞いてもいいか? |
| アスベル | 何だ? |
| ユーリ | 国王の事、名前で呼んでたろ。随分親しげだが、どういう関係なんだ? |
| アスベル | …元々国王…リチャードと俺は、子どもの時からの親友なんだ |
| アスベル | 昔はあんなじゃなかった。彼は常にこの国の将来を真剣に考え、よき王になろうと努力していた |
| アスベル | それなのに…あの出来事があってからというもの、すっかり変わってしまった |
| ユーリ | …光の神殿の出現か |
| アスベル | ああ。あの神殿こそ、全ての元凶と言っていいだろう |
| アスベル | 自分を選ばれし者と公言し、星のカケラを集めるために他国を攻めるなんて…考えられない |
| ユーリ | ま、人間、何が原因で変わるかなんて分かりゃしねえが、確かにいきなりそこまでってのはちと解せねえな |
| アスベル | 俺もそう思っていた。リチャードがああなってしまったのは何か原因があるのかもしれない |
| アスベル | もし本当にそうなら、俺は何としてもその原因を取り除いてあいつを元通りにしてやりたい… |
| ユーリ | 友達思いなんだな |
| アスベル | 親友とはそういうものさ。ユーリには、そういえる間柄の人はいないのか? |
| ユーリ | 親友かどうかはわからねえが…腐れ縁なら心当たりはあるな |
| ユーリ | けど心配した事はねえよ。オレよりよっぽどまともだからな。大概の事はオレよりうまくやるだろ |
| ユーリ | 真っ直ぐすぎて、融通が利かないのが玉に瑕だが、ああいう奴が真っ当に暮らせる世の中が正しいと思うぜ |
| アスベル | 随分楽しそうに話すんだな。ユーリがその人をいかに大事に想っているかが、よくわかったよ |
| ユーリ | 言ったろ。ただの腐れ縁だって |
| ラピード | ガルルルル…! |
| アスベル | 魔物か! |
| ユーリ | やれやれ。またかよ |
| scene3 | 友への想い |
| アスベル | ふう、片付いたか |
| ユーリ | もうすぐ日が暮れる。その前に峠を越えちまおう |
| | |
| ユーリ | こいつは… |
| アスベル | 行き止まりか…? |
| ユーリ | やれやれ、またか。この辺はどれだけ道が入り組んでんだろうな |
| アスベル | 仕方ない。別の道を… |
| ラピード | ガルルルル…! |
| ユーリ | どうした、ラピード |
| アスベル | 誰だ…? |
| フレン | ユーリ… |
| ユーリ | …フレン! |
| scene1 | それぞれの正義のかたち |
| フレン | … |
| ユーリ | やれやれ…まさかお前が送られるとは、あの国王もやってくれるぜ |
| ユーリ | 道理で追手が気付くのが妙に早い訳だ |
| アスベル | もしかしてフレンが、ユーリの話していた人なのか…? |
| フレン | ユーリ。国王陛下に剣を向け、機密を奪ったというのは本当なのか |
| ユーリ | 機密…? |
| ユーリ | ああ、魔導器の魔核の事を言ってんなら、そういう事になるだろうな |
| フレン | なぜだ、ユーリ。なぜそんな事を! |
| ユーリ | …イニル街の奇病の話、覚えてるか? |
| ユーリ | あれは街に作られた魔導器が原因だった。作らせたのは国王だ |
| ユーリ | しかも奴は奇病の事も承知の上だった。神殿だのカケラだののために街ひとつ丸々犠牲にしてやがったのさ |
| アスベル | … |
| ユーリ | 国民を犠牲にしてなんとも思わない。そんな王なんざ願い下げだ。まして騎士として仕えるなんてな |
| フレン | …だから騎士団を辞めたのか |
| フレン | どうしてひと言相談してくれなかったんだ |
| ユーリ | …言えばお前は反対するだろ |
| フレン | ユーリ… |
| フレン | 騎士団を辞めて…それでどうするつもりなんだ |
| ユーリ | そうだな…まず魔核をなんとかして、それからどうにかして馬鹿げた戦争をやめさせる方法を考える、ってとこか |
| ユーリ | さもないといくら魔導器をぶっ壊したところで、また次のを作られないとも限らねえからな |
| ユーリ | …とにかく、これが真相だ。知った上でお前はどうするんだ? |
| フレン | …確かに最近の陛下のなさりようには僕も賛同しかねるところはある |
| フレン | だからといって!陛下に剣を向けたり、機密を盗んでいい事にはならないはずだ! |
| フレン | 陛下に間違いがあるなら、それを忠言によって正すのが騎士たる者の務めじゃないのか! |
| ユーリ | それで耳を貸すようなら苦労しねえ。イニル街じゃ現にみんな奇病にやられてんだぞ |
| ユーリ | 国王が改心するまで、あいつらに死なずに耐えろって言えるのかよ!そのくらい分かってるはずだろ! |
| フレン | 分かっているさ! |
| フレン | だけど…だからといって法と秩序は…! |
| ユーリ | む…?ちょっと待った! |
| scene2 | それぞれの正義のかたち |
| ユーリ | はあ…はあ… |
| フレン | はあ…はあ… |
| フレン | …ユーリ、どうしても… |
| フレン | どうしても戻る気はないのか。あくまで魔核を持って他の国に行くつもりなのか |
| ユーリ | ああ、もう決めた事だ |
| ユーリ | 事実を知っちまった以上、知らない振りはできねえ |
| ユーリ | オレなりのけじめってやつだ |
| フレン | そうか… |
| フレン | こんな事はしたくない。だけど僕は秩序を守ると誓って騎士になった。それに背く事はできない |
| フレン | 僕も知った以上、陛下を断じてこのままにはしない。だからといって君を見逃す訳にはいかない |
| アスベル | 来るか!? |
| ラピード | ガウっ! |
| | |
| フレン | ユーリ・ローウェル! |
| フレン | 騎士団の名において、君を捕らえる! |
| ユーリ | へっ、それでこそお前だよ |
| ユーリ | やるからには本気だぜ! |
| フレン | 行くぞ! |
| scene3 | それぞれの正義のかたち |
| フレン | 腕を上げたな、ユーリ |
| ユーリ | お前もな |
| フレン | ユーリ。君はあくまで自分の道を行くというのか |
| ユーリ | これがオレの選択だからな |
| アスベル | 何だ…? |
| ユーリ | どうなってんだ?魔核が突然光り出しやがった |
| アスベル | なんて神々しい光なんだ… |
| ラピード | ワンっ! |
| | |
| ユーリ | おいおい、まさかこの魔核が噂の星のカケラだったとか言わねえだろうな |
| アスベル | 光がますます強くなったぞ。まるでユーリの言っている事がわかって、同意したみたいだ |
| フレン | …確か言い伝えによれば、「カケラを手にし、 己に打ち勝った者だけが…」 |
| アスベル | 「…真の選ばれし者として、 神殿に足を踏み入れる資格を得ん」 |
| ユーリ | よせよ、二人とも |
| ユーリ | 選ばれただの、打ち勝っただの、何の冗談だっての |
| アスベル | いや。俺はユーリがカケラを手に入れたのは必然だと思う |
| アスベル | 一緒にいた時間は短かったが、それでもわかる。君の考え方や行動は選ばれし者にふさわしい |
| ユーリ | ぞっとしねえ話だな。そうだとして、一体、このカケラはオレに何をさせようってんだ? |
| フレン | 言い伝えの通りなら、星のカケラは全部で6つ。それをそろえればどんな願いでもかなうというが… |
| ユーリ | 6つ…そういやそんな話だったな |
| ユーリ | …そうか、なるほどな。いい事聞いたぜ、フレン |
| ユーリ | 決めたぜ。オレはこの手で、全ての星のカケラを集めてやる |
| フレン | ユーリ!?一体… |
| ユーリ | おっと、早まんなよ。こいつは戦争をなくすためだ |
| ユーリ | こんなもんがあるから世界中がおかしな事になってる、だろ? |
| ユーリ | だったらオレが全部集めてどっかにやっちまえば、どこの国もケンカする理由はなくなるだろ |
| ユーリ | どうやらこのカケラも、文句なさそうだぜ |
| フレン | あくまで正しいと思う事を曲げなかったユーリの意志に反応しているんだな…それなのに僕は… |
| ユーリ | よせよ。お前とオレ、それぞれの正義の形があった。それだけだろ。けど、分かってくれてうれしいぜ |
| ユーリ | さてと、そんじゃ他のカケラの手がかりでも探しに、まずは例の光の神殿とやらに行ってみるとすっか |
| アスベル | ユーリ。君の考えはよくわかった |
| アスベル | 及ばずながら、俺も力を貸すよ。神殿にも同行させてもらおう |
| ラピード | ワンっ! |
| アスベル | くっ、まぶしい…!この光は… |
| アスベル | 星のカケラに…弾かれた…? |
| ラピード | ワオーン! |
| フレン | 光の神殿に入る事ができるのはカケラに選ばれた者のみ。そういう事なのか…? |
| アスベル | そんな… |
| ユーリ | どうやらカケラが運んでくれるらしい。ちょっくら行ってくるから寂しくて泣いたりすんなよ |
| フレン | 何があるか分からないんだ。油断はしないでくれ |
| アスベル | 君の無事を祈っている。心置きなく行ってくれ |
| ラピード | ワンっ! |
| ユーリ | ああ、行ってくる |
| | |
| フレン | 行ってしまった…無事に光の神殿にたどり着けるといいんだが |
| アスベル | ここまで来たら、ユーリを信じるしかないな |
| ラピード | ワンっ! |
| | |
| フレン | そうだ…今度こそユーリを信じて待つんだ |
| フレン | 僕達の、そしてこの国の未来のために |