| Name | Dialogue |
| scene1 | ヴァンの理想 |
| ティア | 兄さん…! |
| スタン | どうしてここに… |
| ルドガー | カーツを助けに来たのか…? |
| ヴァン | カーツ…やはりここに居たか |
| ヴァン | セルディクやこの者達など捨て置けばいいものを… |
| カーツ | セルディク…あの男をどうしても許せなかった、それだけの事だ |
| カーツ | …それに、こいつらは必ず理想の妨げとなる… |
| カーツ | ぐふっ… |
| ヴァン | カーツ… |
| カーツ | ヴァン……、後は頼む。必ず我らの理想を実現してくれ… |
| カーツ | 戦乱で失った友は戻らない…… |
| カーツ | だが、私のような苦しみはもう、誰にも… |
| ヴァン | 安心しろ。私がこの手で必ず実現してみせる |
| カーツ | 最後まで…見届ける事が出来ず、すまない… |
| カーツ | ヴァン…どうか… |
| ヴァン | カーツ…。お前は私にとって真の同志であった |
| ヴァン | せめて、安らかに眠れ |
| カーツ | ふっ… |
| カーツ | … |
| ヴェイグ | カーツ… |
| エリーゼ | ひょっとして、あの人は戦争で友達を…… |
| ゼロス | そうみてぇだな |
| スレイ | ヴァン… |
| スレイ | お前やカーツがセルディク達のように私利私欲で動いているとは思えない |
| スレイ | 理由を聞かせてほしい |
| ヴァン | …スレイ |
| ヴァン | お前は、人々が安心して暮らせる世界を作ると言ったな |
| ヴァン | そして、そのためにお前達は晶化現象を止めようとする |
| ヴァン | …しかし、それは間違いだ。お前達のやり方で世界は変えられん |
| エリーゼ | どういう事ですか…? |
| ヴェイグ | 晶化現象で多くの人々が苦しんでいる… |
| ヴェイグ | それを止める事が何故間違っていると言うんだ? |
| ヴァン | …ならば、問おう |
| ヴァン | これまで様々な危機が世界を襲い、その度に幾人もの英雄が世界を救った |
| ヴァン | しかしどうだ、この世界から争いはなくなったか? |
| ヴァン | ──否、人の業は新たな災厄を呼びその連鎖は未だ尽きる事がない |
| アスベル | そんな事はない!少しずつだが世界も、人々も変わり始めている |
| アスベル | 正しい想いを繋ぎ、間違いを正していけば争いを完全になくせるはずだ |
| ユーリ | 世界を変えようってんなら、人間全部が変わらなきゃいけねぇ。どうしても時間がかかっちまうさ |
| ユーリ | 時間がかかったとしても、オレ達が変わらなきゃ意味がねぇ |
| ヴァン | いつかは…きっと…そんな微かな希望にすがるのもいい |
| ヴァン | だが、現実を見ろ。そのいつかの希望を待つ中で痛みや犠牲が日々生まれている事を |
| ヴァン | 戦乱が生む大きな犠牲、人を失う痛み…お前達は真実から目を背けているにすぎん |
| ミクリオ | … |
| ヴァン | 故に、私とカーツは決めたのだ。これを最後の犠牲にすると |
| ヴァン | 世界を晶化で覆う事で、全ての争いを根絶させると── |
| スレイ | … |
| scene2 | ヴァンの理想 |
| ゼロス | 争いを根絶… |
| ヴァン | …そうだ。この世界は欺瞞と矛盾に満ちている |
| ヴァン | 国同士の戦争、権力争い、人々の騙し合い…挙げていけばきりがない |
| ヴァン | 人間というものは、争いをやめられない存在だ。今の世界であり続ける限りはな |
| ヴァン | 故にこの世界を変える… |
| ヴァン | この世界に蔓延る争いの連鎖を断ち切るのだ |
| スタン | どうしてそれで晶化現象が必要になるんだ!? |
| スタン | そんな事をしたら、争いどころか人間までいなくなるって事だろ! |
| エリーゼ | スタンの言う通りです…!どうして晶化にこだわるんですか…? |
| ヴァン | 晶化は滅びにあらず。救世に他ならない力だからだ |
| ルドガー | 晶化が救世…だと?どういう事だ? |
| ヴァン | 晶化とは、大いなる救世主「天帝」による力… |
| ヴェイグ | 天帝…? |
| ティア | それは一体… |
| ヴァン | 天帝の目覚めと共に世界全土は晶化に包まれる… |
| ヴァン | そして、この世界の浄化が果たされるのだ── |
| スレイ | …… |
| scene1 | 天帝 |
| スレイ | 天帝…それに、世界の浄化…… |
| スタン | その天帝っていうのが晶化現象を引き起こしてる元凶なのか…? |
| ティア | …兄さん、答えて。その天帝とは一体何なの? |
| ヴァン | …時が来ればわかる |
| ゼロス | おいおい、この期に及んでもったいつける気かよ |
| ヴァン | 目覚めは近い。語らずとも、じきにわかるという事だ |
| ヴェイグ | …なら、浄化の事を話せ |
| ヴェイグ | 晶化で覆われて浄化が果たされる…それが救世とはどういう事だ |
| ヴァン | 全てが無に帰る。国も、人も、全てだ |
| ヴァン | この世界を捨てる事こそ救世…、これこそが浄化… |
| ルドガー | 全てを無に帰し、世界を… |
| エリーゼ | 捨てるって事は…今のこの世界をなくすって事ですよね…? |
| ティポ | そんなのイヤだよー |
| ゼロス | …ふざけるな!お前に何の権利があってそんな事を… |
| ヴァン | お前達に許しを乞う気などない |
| ヴァン | だが、既に時は満ちた。どうあがこうと、天帝による浄化は免れん |
| ヴァン | …見るがいい。この周辺を始め、既にウィンドルのほぼ全域が晶化した |
| ユーリ | …後はお前さんが手を下すまでもなく誰もが絶望や不安を抱くってワケか… |
| ミクリオ | 晶化現象は瞬く間に広がる…このままでは世界中が… |
| アスベル | くっ…! |
| エリーゼ | そんな… |
| ルドガー | … |
| スレイ | ヴァン… |
| scene2 | 天帝 |
| ヴァン | … |
| ティア | ……あなたの考えはわかったわ。この行いが、争いの連鎖を断ち切るためのものだという事も |
| ティア | でも…今の惨状はどう? |
| ヴァン | … |
| ティア | あなたが誘発させた戦争で多くの人々が巻き込まれ、命を落としている |
| ティア | それに、晶化現象も…。数えきれないほどの人々に未だ苦しみを与えているわ |
| ヴァン | これは最後の痛みだ |
| ティア | そんなの言い訳よ。あっていい犠牲なんてあるわけない |
| | |
| | チャキ… |
| ティア | 兄さん…、あなたは私が止める。それが妹として私に出来る最後の事よ |
| ヴァン | … |
| | |
| ジェイド | ──ウィンドルにおける大規模な晶化現象の全容は、まだ掴めておりません |
| ジェイド | 確実に言えるのは、かつてない規模で晶化現象が一気に発生したという事です |
| ジェイド | それを機に、一時この砦に総攻撃を仕掛けてきた軍勢の大半は晶化、残りは混乱の内に敗走… |
| ガイアス | セルディクやグレバムらの行方は? |
| ジェイド | 晶化の進行で捜索は困難を極めており残念ながら行方は掴めておりません |
| ジェイド | ただ、状況から考えると晶化に巻き込まれた可能性も高いかと思われます |
| ジェイド | 戦闘自体は収束しつつありますが、今はそれよりも… |
| ガイアス | 晶化の進行か… |
| ジェイド | はい。ウィンドルの晶化以降、被害の進行は一層早まっています |
| ガイアス | …カン・バルクへ戻る。急ぎ次の策を打たねば |
| ガイアス | 砦の兵には、引き続き晶化被害の調査と負傷者の保護に徹するよう伝えよ |
| ガイアス | あとは作戦のもと首魁の元へ向かったスレイ達や同盟軍の捜索だ |
| ガイアス | 捜索部隊の指揮はお前に命じる。必ず、見つけ出してこい |
| ジェイド | ええ、わかりました陛下 |
| scene1 | 決別の一閃 |
| ヴァン | ──ティア。やはり、私に刃を向けるのだな |
| ティア | 言ったはずよ。私はあなたを止めると |
| スレイ | ティアだけじゃない。オレ達だって同じ気持ちだ |
| アスベル | 戦争を引き起こし、リチャードやウィンドルを晶化させたお前を許さない…! |
| ゼロス | これ以上…お前の思うようにはさせねぇ |
| ヴァン | 威勢のいい事だ。だが、あいにく勝機はない |
| ヴァン | カーツとの激闘を経て満身創痍である今のお前達には── |
| ティア | だとしても、やらなければならないのよ…! |
| ティア | はああっ!! |
| | |
| ヴァン | せいっ!! |
| ティア | うっ… |
| | |
| ルドガー | ティア! |
| スタン | 一人で突っ込むな! |
| | |
| ヴァン | ティアよ… |
| ヴァン | お前は誰よりよく理解しているはずだ。私には勝てないという事を… |
| ティア | 実力は圧倒的にあなたが上…。けれど…私が止めなければならない |
| ティア | 例え、刺し違えたとしても──… |
| ヴァン | ……我が妹ながら愚かな事だ。憂いは全て、ここで断ち切る他なさそうだな… |
| ヴァン | … |
| ヴァン | はあああっ!! |
| スレイ | ティア!!くっ…、今助けに── |
| | |
| ??? | させねぇ! |
| | ガキーンッ!! |
| ミクリオ | あれは… |
| | |
| ルーク | ──おい、ティア。お前が命をかける必要なんてねぇ!俺に任せろ |
| ティア | ルーク…!あなた、どうして… |
| ヴァン | ほう…まさかお前がここに来るとはな |
| ロイド | ルークだけじゃない、俺も一緒だ! |
| ロイド | ヴァン!ルークを騙して、コレットをさらわせたお前を俺は絶対に許さない! |
| ヴァン | ふ… |
| スタン | ルークに、ロイド…!?何で二人がここに…? |
| ゼロス | おい、何がどうなってんだ! |
| | |
| ルーク | 詳しい話は後だ!それより… |
| ルーク | この大規模な晶化…全部あんたの仕業なのか…!?師匠! |
| ヴァン | その通りだ。晶化こそ、理想への扉… |
| ルーク | くっ…! |
| ルーク | …これ以上師匠の思い通りにはさせねー |
| | チャキッ |
| ロイド | ああ!ヴァンを絶対に止めるぞ、ルーク! |
| ヴァン | ふっ…来るなら来い、まとめて相手をしてやる |
| ルーク | …いくぞ!! |
| ルーク | うおおおおおっ! |
| | |
| ユーリ | …早速おっ始めやがったな。相変わらず、気の早い奴らだ |
| ティア | とにかく、私達もすぐに加勢して── |
| ルドガー | ……!いや、そういうわけにもいかなさそうだ |
| | ドドドド… |
| エリーゼ | …?これは地響き、でしょうか… |
| ヴェイグ | あれは…! |
| | ガアアアアッ! |
| スレイ | 魔物の群れ…!? |
| ティポ | ショーカの方からどんどんくるよー! |
| ヴェイグ | あんな大量に… |
| ミクリオ | 晶化現象の影響か…!? |
| アスベル | くっ、よりによってこんな時に… |
| ゼロス | ヴァンの事はルーク達に任せて魔物を片付けるぞ! |
| ゼロス | あいつらなら、その間くらい踏ん張れんだろ |
| スタン | …うん、そうだな。俺もそう思う! |
| スレイ | …行くぞ! |
| scene2 | 決別の一閃 |
| ヴァン | ──せやっ! |
| ルーク | くっ… |
| ヴァン | 避けたか…、ならば…! |
| ルーク | …!ロイド!後ろへ下がれ! |
| ロイド | ああ、わかった! |
| ヴァン | ふっ…私の動きを読んでいるな |
| ヴァン | 正直驚いているぞ、ルーク。ここまでやるとはな |
| ルーク | その剣も、太刀筋も全部、稽古で嫌ってほど見てきたんだ。楽にやれるとは思わねー方がいいぜ |
| ヴァン | 私の剣をよく見、覚えた事は褒めてやろう。だが── |
| ヴァン | それは私も同じ… |
| ヴァン | はああっ! |
| ルーク | くっ |
| ロイド | ルーク、大丈夫か!? |
| ルーク | ああ、かすっただけだ…! |
| ヴァン | さあ、ここからどうする。私に教えられた剣で、私を越える事など出来んぞ |
| ルーク | やってみなくちゃわからないだろ! |
| ルーク | 最後にもう一度だけ聞く。こんな事、望んでやってるってのか? |
| ロイド | ルーク… |
| ヴァン | 何度聞かれても答えは変わらん。晶化こそが人間を救済する最善の手段── |
| ヴァン | その考えは何一つ変わらん。お前と再会した時からな |
| ルーク | もう、俺の知ってる師匠じゃないんだな |
| ルーク | 争いを無くしたいなら、他にもっといい方法があるはずだ!こんなやり方絶対間違ってる…! |
| ヴァン | …元より、お前に同意を求めるつもりはない |
| ルーク | 師匠…! |
| ヴァン | …くどいぞ、ルーク |
| ルーク | …あんたと決別した時からずっと考えてた。もしかしたら、話せばわかってくれるかもって |
| ルーク | けど…、もうわかった。これ以上は何も言わねー |
| ルーク | 俺は…俺なりの方法でこの世界を変えていく!そのためにヴァン!あんたを倒す! |
| ヴァン | 師を越えると言うのか。…ふん、面白い |
| ルーク | はああああっ! |
| | カキーンッ! |
| ルーク | …! |
| ヴァン | 脇が甘い、お前の悪い癖だ |
| ルーク | くそ…っ! |
| ヴァン | お前の限界はこんなものか… |
| ロイド | そう決めるのはまだ早いぞ! |
| ロイド | はあっ! |
| ヴァン | させん! |
| | ドカッ! |
| ロイド | うぐっ…! |
| ヴァン | ロイドと言ったな。二刀流も悪くはないが、私には──… |
| ヴァン | …!貴様、もう一本の剣はどこに… |
| ロイド | へ、へへ…ルーク、今だ…! |
| ヴァン | くっ…、後ろか! |
| ルーク | 遅いぜ…!これでも食らえ! |
| | ザシュッ! |
| ヴァン | ぬうっ…! |
| ロイド | ヴァンに一太刀入った!いいぞ、ルーク! |
| ルーク | よし! |
| ヴァン | …… |
| ヴァン | 私を越える、そう言ったなルーク。ならば、私も全力で応えてやろう |
| | ブオンッ!! |
| ルーク | …!!ロイド、離れろ! |
| ロイド | 何!? |
| ヴァン | もう遅い!はああああっ!! |
| | |
| ティア | …!今の光…、まさか── |
| ??? | はあっ! |
| | ギャウウッ! |
| スレイ | 大丈夫!?ティア! |
| ゼロス | おいおい、ティアちゃん!目の前に魔物がいるってのに、よそ見はさすがに危ないぜ? |
| ティア | ごめんなさい、助かったわ… |
| ティア | でも、今の光、見たでしょう? |
| ヴェイグ | ヴァンか… |
| エリーゼ | ルークとロイドが心配です |
| ルドガー | 早く戻らないと…! |
| アスベル | みんなはルーク達の方へ!残りの魔物なら俺とユーリで十分だ |
| スタン | アスベル…でも… |
| ユーリ | お前らのお蔭であらかた片付いた。こっちが終わったらすぐに合流する! |
| ミクリオ | …スレイ、ここは彼らに任せて、僕達は行こう |
| スレイ | ああ。ありがとう、アスベル、ユーリ…! |
| scene3 | 決別の一閃 |
| ティア | ──いたわ!ルーク、ロイド! |
| スタン | …!待て、あれは…… |
| ゼロス | おい…、嘘だろ…? |
| エリーゼ | そんな… |
| ルドガー | ルーク!ロイド! |
| ルーク | …… |
| ロイド | ……う… |
| ミクリオ | 息はある…! |
| ヴェイグ | だが、酷い傷だ。エリーゼ、治癒術を… |
| エリーゼ | はいっ… |
| ティポ | ルーク君、ロイド君がんばってー |
| ティア | 兄さん…、あなたは… |
| ヴァン | 全力で来たので全力で応じたまでの事 |
| ヴァン | ──…っつ… |
| ルドガー | …!その腕… |
| ティア | 大きな深い傷…二人にやられたのね |
| ヴァン | …目覚めたら伝えてやれ。中々いい太刀筋だった、とな |
| ヴァン | 無論、目覚めればの話だが |
| スタン | 許せない…今この場でお前を倒す…! |
| ゼロス | 覚悟しな、ヴァン! |
| スレイ | ミクリオ! |
| ミクリオ | ああ、わかってる |
| スレイ・ミクリオ | ルズローシヴ=レレイ!! |
| ヴァン | 神依か…。ふっ、だが──… |
| | ズズ… |
| エリーゼ | …!何か変な感じがします…! |
| ティア | これは一体… |
| スタン | 雷鳴か…!? |
| | ズドドドドド───ン!! |
| ルドガー | な、何だ!地震まで…!? |
| ヴェイグ | いや、これは…!大気が振動している…!? |
| スレイ | ぐっ…! |
| | |
| | |
| ヴァン | …ふっ |
| ゼロス | 収まったか… |
| | |
| ミクリオ | 一体何が起きたんだ… |
| スレイ | …みんな、空だ!あれを見て! |
| | |
| ティア | あれは一体…!? |
| エリーゼ | お城…でしょうか… |
| ヴァン | ようやく現れたか…。天帝の御座よ |
| スタン | 天帝の… |
| ゼロス | 御座だと…!? |
| ルドガー | という事は、あそこに天帝が…… |
| ヴェイグ | …!これは何だ…?雪のようなものが降り始めたぞ |
| ティポ | でも、これ冷たくないよー |
| エリーゼ | …!雪じゃありません…これ…小さな結晶です…! |
| ルドガー | 御座の出現と結晶の雪…ヴァン…これは…! |
| ヴァン | 言ったはずだ、目覚めの時は近いと |
| ヴァン | まもなくだ。地上は全て晶化で包まれる… |
| ヴァン | 世界の浄化が始まるのだ |
| ルドガー | くっ…!何だ、このすさまじい光は…! |
| エリーゼ | 眩しくて、目が… |
| ティア | …天帝の御座よ。あそこから放たれている…兄さんを照らしているわ…! |
| ゼロス | 天帝からの迎え、ってわけか…! |
| ヴァン | …ふ、まあそんなところだ。この段階までくれば、最早私の役目は浄化を見守る事のみ |
| スレイ | 駄目だ、行かせない!今ここで決める…! |
| スレイ・ミクリオ | 蒼の四連!いっけええええ! |
| | バシュウウウ!! |
| ヴァン | …無駄な事 |
| | パキィィィンッ! |
| エリーゼ | 光が、消えました… |
| ゼロス | ヴァンの野郎もな… |
| ルドガー | … |
| スタン | くそっ、あと少しのところで… |
| スレイ | …けど、まだ終わりじゃない。あそこに天帝がいる。そしてヴァンも… |
| ヴェイグ | 追いかけなくては… |
| ゼロス | でも、どうやってあんなとこ… |
| ティア | 今は、ルークとロイドの手当が優先だわ |
| ルドガー | そうだな…エリーゼ、二人はどうだ? |
| エリーゼ | もう少し、お時間もらえますか? |
| ティア | ルーク… |
| scene1 | 揺るがぬ心 |
| ルーク | う… |
| ルドガー | …!ルーク、目覚めたのか!? |
| ルーク | …あれ、…俺…… |
| スタン | ルーク…!よかった…! |
| | |
| ヴェイグ | …お前とロイド、二人共かなり危険な状態だったんだ |
| ルーク | …!そうだ、師匠…ヴァンは──… |
| ルーク | うぐっ…! |
| スレイ | 駄目だよ、ルークさん!急に動いちゃ… |
| ルーク | そんな事はどうでもいい…!それより師匠は…!? |
| ティア | …取り逃がしたわ。あなたとロイドが必死に戦ってくれたのに…ごめんなさい |
| ルーク | そんな…!くっ… |
| スタン | ルーク、まだ動かない方がいい! |
| ミクリオ | …今は安静にすべきだ。応急処置を施したとはいえ、傷はかなり深い |
| ルーク | ロイド…。ロイドは無事なのか…? |
| ゼロス | ああ、心配すんな。少し前に目覚めて、今あっちでエリーゼちゃんが看てる |
| ルーク | そっか… |
| ティア | …ルーク、何故あなた達がここに? |
| ティア | ロイドと一緒だったという事は神子誘拐の件は── |
| ルーク | …ああ、ちゃんとけじめは…つけたぜ。約束した通りな |
| ルーク | あれから、ガイと一緒に国に帰って伯父上とちゃんと話したんだ。…師匠の事も全部 |
| ルーク | 事情は理解してくれたけど、体面もあるからって屋敷で謹慎って事になったんだ |
| ルドガー | 謹慎か…。でも、ならどうやってここに? |
| ロイド | …俺が話したんだ。キムラスカの王様に |
| スタン | ロイド…!起きて大丈夫なのか? |
| ロイド | …ああ、大丈夫だ。ありがとな、スタン |
| ティア | ロイド、国王陛下に話したというのは… |
| ロイド | …特別な事は何も言ってない。ただ、ありのままを話しただけだ |
| ロイド | コレット本人がルークの罪を否定してる |
| ロイド | だから罰を与える必要はない、ルークを解放してくれって。うちの国王もそれをわかってくれた |
| ルーク | コレットに、そんな事言ってもらえる資格なんて俺にはねーんだけど、な |
| ルーク | ロイドにも、また助けられちまった |
| ゼロス | クラトスが言ってた「ロイドのやるべき事」はこの事だったのか |
| ロイド | …ま、そんなとこだ |
| ティア | …改めてお礼を言わせて。二人共、さっきは助かったわ |
| ロイド | 礼ならルークに言ってやってくれ。あの時咄嗟に割って入ったのはルークの判断だからな |
| ルーク | …別に俺は…ただ──… |
| | |
| ティア | …ルーク、あなたに助けてもらうのはこれで二度目ね |
| ティア | …まだ迷いがあった私だったら兄さんにあれだけの傷を負わせる事すら出来なかったわ |
| ティア | 自分のしてきた事に向き合って…ちゃんと乗り越えてきて強くなったのね、ルーク |
| ティア | 私を…助けてくれて、ありがとう |
| ルーク | …! |
| ルーク | …… |
| ヴェイグ | …とにかく、二人共意識を取り戻した事だ、ここから離れた方がいい |
| ゼロス | そうだな…。またさっきみたいに魔物の大群が来るとも限らねぇ |
| ミクリオ | ヴァンを追うにしても一度体制は立て直すべきだしね |
| スレイ | よし、じゃあ砦に向かおう。ガイアス王やジェイドさん達もこっちの報告を待ってるはずだし |
| ルドガー | ああ、そうだな。ルーク、立てるか?肩を貸すよ |
| ルーク | …おう。サンキュな、ルドガー |
| ゼロス | 俺さまの肩は高いぜ?なんてな…ほらよ、ロイド |
| ロイド | 悪いな、ゼロス |
| ユーリ | おし、準備完了。行くとすっか |
| スタン | ああ! |
| エリーゼ | …!みなさん、待ってください |
| エリーゼ | あそこに何か… |
| ティポ | キラキラしてるよー! |
| アスベル | …? |
| スレイ | …!あれって… |
| | |
| スレイ | これってまさか、晶化の結晶…──の破片…? |
| アスベル | 晶化の結晶って砕けないはずじゃなかったのか…? |
| ヴェイグ | ああ、そのはずだ。力ずくは何度も試したが…、これは一体… |
| ミクリオ | …!スレイ、これは… |
| スレイ | ああ、さっきの神依だ…!ヴァンに向けて撃った技が、確かこの辺りに当たって… |
| ユーリ | おいおい、マジかよ…。何やっても傷すらつかなかった結晶が… |
| ルドガー | …神依は俺達の想像していた以上にすごい力なのかもしれないな |
| スレイ | …そう…なのかな? |
| ティア | とにかく、行きましょう。ここは危険よ。ルーク達を安静に出来る場所へ |
| スレイ | ああ、そうだな。それじゃあ、出発しよう |
| scene2 | 揺るがぬ心 |
| ヴェイグ | ここも晶化が酷いな… |
| ミクリオ | …ああ。今までにない規模と速さで晶化現象が起きたのは明白だね |
| スレイ | … |
| スレイ | ウィンドル全土が晶化したって話、やっぱり本当なのかな… |
| ゼロス | …わからねぇがカーツやヴァンの口振り的に嘘だとは思えねぇ。残念だが… |
| アスベル | 信じたくはないが…これではバロニアに戻る事すら… |
| ルドガー | … |
| ルーク | …──うぐっ! |
| スタン | …!大丈夫か、ルーク? |
| ティア | 傷が疼くのね…。これだけ歩いたのだもの、無理もないわ |
| ゼロス | ハニーも結構キツそうだし、どこかで一度休んだ方がいいかも── |
| ??? | …それはあまりお勧め出来ませんねぇ |
| スレイ | …!あなたは… |
| | |
| ジェイド | ようやく見つけました。まさかルーク達まで一緒だとは思いもしませんでしたが |
| スタン | ジェイドさん!?どうしてここに… |
| ジェイド | 陛下の命です。あなた方を捜しに来ました |
| | |
| ユーリ | 砦の作戦はどうなったんだ? |
| ジェイド | 砦へ押し寄せていた軍勢は、例の晶化を機に逃げ去りましたよ。まるで蜘蛛の子を散らすように |
| ゼロス | さすが、寄せ集めの軍…。逃げ足だけは早いってワケか |
| ジェイド | 首魁達は全滅したようですし、連合軍は最早壊滅したと考えて頂いて大丈夫ですよ |
| ジェイド | これも皆さんのお蔭ですね |
| スレイ | 全滅…?って事は、他の二国も…? |
| ジェイド | ええ。さきほどシルヴァラント軍の皆さんと再会出来ましてね、グレバムは晶化に飲まれたと報告が |
| ジェイド | キムラスカの反乱軍の指揮官についても同様です |
| ジェイド | あなた方の対象であるセルディクもここまでの道のりの中で戦死しているのを発見しました |
| スレイ | …それなんですけど、実は、セルディクを討ったの、…カーツなんです |
| ジェイド | カーツが…? |
| エリーゼ | はい…。それを報告するためにわたし達、砦に向かってたんです |
| ジェイド | ……なるほど。あなた方しか知らない何かがいろいろと起きていたようですね |
| ジェイド | それに…上空に現れた城とこの降り注ぐ結晶の雪… |
| ジェイド | 何かご存知ですか? |
| ルドガー | ああ、大体は… |
| ジェイド | では、カン・バルクまで皆さんをお送りします。陛下の前でお聞かせ願えますか |
| エリーゼ | カン・バルク…ですか? |
| ジェイド | ええ。陛下は次の対策のため、既に砦を出られ首都へお戻りになられています |
| ジェイド | すぐ近くに我が軍の救護部隊が待機しています。まずはそちらへ案内しましょう |
| ジェイド | 救命用の担架もありますのでルーク達への身体の負担も軽減出来るかと |
| ゼロス | そいつは助かるな。早いとこ案内を頼むぜ、ジェイド |
| ジェイド | ええ、ではこちらへ |
| scene3 | 揺るがぬ心 |
| ゼロス | ──ふぃ~、ようやくカン・バルクに到着だ |
| スレイ | この辺りの晶化はそこまで酷くないな |
| ミクリオ | ああ。道中晶化が発生する場面を何度も見かけていたからね。少し心配だったけど、安心したよ |
| ジェイド | …さて、ひとまずルークとロイドの二人ですが… |
| ジェイド | 傷の状態が酷く、その影響か発熱などの症状も見られますので軍医の元へ移送しようかと |
| ティア | 私も付き添います |
| ジェイド | ええ、是非 |
| アスベル | ──じゃあ、俺とユーリもここで一旦失礼するよ |
| アスベル | エステリーゼ様に、セルディクやカーツの一件を報告しないと |
| ルドガー | エステルはこの街にいるのか? |
| ユーリ | ああ。同盟の一件以降、ここの王宮に滞在してる |
| ヴェイグ | なるほどな |
| ユーリ | それじゃ、またな? |
| エリーゼ | はい…!二人共、ありがとうございました |
| ティポ | アスベル君、ユーリ君、またねー! |
| ゼロス | ──にしても、とんでもねぇ事になっちまったな |
| スタン | 大規模な晶化現象の発生と天帝の御座、それに結晶の雪まで… |
| ルドガー | ウィンドル全土の晶化…、あれは本当なんだろうか |
| ミクリオ | それは… |
| クロエ | ──皆、ここにいたか |
| クロエ | ガイアス陛下から皆が街に帰還したと聞いて、様子を見に来た |
| ゼロス | クロエちゃん!無事だったんだな |
| ルドガー | グレバムは晶化したと聞いてクロエ達は大丈夫か心配していたんだ |
| クロエ | 危ない目にも遭ったが、何とか巻き込まれず戻って来られた |
| スタン | そうだ…!今回の大規模な晶化の状況について何か話を聞いてないか? |
| クロエ | 詳しい事はまだ調査中らしく、確かな情報とは言い切れないが… |
| クロエ | やはり今回の晶化現象は、ウィンドル全域に及んでいる可能性が高いらしい |
| | |
| ルドガー | …! |
| クロエ | 王都バロニアを始め、周辺にある街や村も飲み込まれてしまったと… |
| ルドガー | イニル街は?何か聞いていないか? |
| クロエ | いや、そこまではわからない…。ただ、とにかくあれだけの規模だ。無傷と言う事は考えにくいだろう |
| ルドガー | …… |
| シルヴァラント兵 | ──クロエ殿!ここにおられましたか |
| クロエ | ん?どうかしたのか |
| シルヴァラント兵 | クラトス様がお呼びです。至急王宮へお戻りください |
| クロエ | わかった、すぐ行く |
| クロエ | では、すまないが私はこれで。皆の無事を確認出来てよかった |
| ゼロス | お互いに、な。クラトスにもよろしく伝えといてくれ |
| | |
| スタン | …ウィンドルの晶化…。やっぱり間違いないんだな… |
| ルドガー | いや…、まだわからない。この目で見たわけでもないし… |
| ルドガー | それに、例え街が晶化したとしても、逃げ延びる可能性だって十分考えられる…… |
| ルドガー | …きっとそうだ。エルや兄さんなら…きっと… |
| エリーゼ | ルドガー… |
| スレイ | とにかく、ヴァンを追いかけて天帝の御座へ行こう |
| スレイ | 晶化を食い止めてオレ達の手でこの世界を守らないと |
| スタン | ああ、そうだな |
| | |
| ミクリオ | …鍵は、晶化の元凶である天帝だ。ヴァンは天帝が目覚めれば、世界は完全に晶化すると言っていた |
| ミクリオ | 裏を返せばそれは、天帝が目覚めるまで、まだ猶予があるという事だろう |
| ヴェイグ | ならば、…その天帝とやらが目覚める前に倒せばいい |
| ヴェイグ | おそらくそれで世界全土が晶化に覆われるという最悪な結果は避けられる |
| ミクリオ | …いや、それだけじゃない。ヴァンは天帝の持つ力こそが晶化現象だと話していた |
| ミクリオ | だとしたら、天帝を倒せば既に晶化してしまった人や物も元に戻るかもしれないね |
| エリーゼ | 天帝を倒して、みんなを…… |
| ゼロス | なるほどな。わかりやすくていいじゃねぇか |
| ゼロス | 根本の元凶である天帝を何とかすりゃ一発逆転、ってわけだ |
| スタン | 問題は、どうやって空にあるあの御座へ行くか |
| スレイ | ジェイドさんに相談してみよう。あの人なら何か知恵を貸してくれるかも──… |
| ミクリオ | …待ってくれ |
| ミクリオ | 天帝は倒すとしても、だ。それとは別に、もう一つ大きな問題がある |
| ルドガー | …晶化現象の加速、か… |
| ミクリオ | ああ…。今回の大規模な晶化を機に人々の不安や絶望が急激に世界中に募り始めている |
| ミクリオ | カン・バルクへ来るまでにも嫌というほど何度も目にしたはずだ。晶化が発生する瞬間を… |
| ミクリオ | 晶化の進行は今までとは比にもならないほど加速している |
| ミクリオ | 元凶である天帝を倒す事も重要だが、同時に世界に拡大する負の感情を鎮め晶化の進行を抑える必要がある |
| エリーゼ | 世界に拡大する負の感情を… |
| エリーゼ | 天帝も倒さないといけないのに……わたし達だけでそこまで出来るんでしょうか… |
| ティア | ──自分達だけじゃどうにもならないなら他の人に協力を仰ぐしかないわ |
| エリーゼ | ティア…!ジェイド…!戻ってきてたんですね… |
| ジェイド | お話し中、失礼しますよ |
| ゼロス | ロイドとルークはどうなったんだ? |
| ティア | 二人共しばらく安静に、との事よ。特にルークの方は、以前の傷が祟ったみたい |
| ティア | 完治するまでにはかなり時間がかかるようだわ |
| ルドガー | そうか…。二人にはしばらくゆっくりと休んでもらわないとな |
| スタン | ところでティア、協力を仰ぐって…誰にだい? |
| ティア | ここはカン・バルクよ。頼めるとすればガイアス陛下しかいないわ |
| ティア | 四大国を取りまとめたあの方なら必ず実現出来る… |
| スタン | 確かに…ガイアスさんしか考えられないな |
| ヴェイグ | 彼が声を掛けてくれれば各国の代表も協力してくれるだろう |
| ジェイド | 皆さんにそこまでの信頼を寄せていただいて、きっと陛下もお喜びになるでしょう |
| ジェイド | そうと決まれば、早速相談しに行かれてはいかがでしょう? |
| ジェイド | 陛下も皆さんからの報告をお待ちです |
| スレイ | はい、わかりました |
| scene1 | ア・ジュールの切り札 |
| ガイアス | ──よく無事に戻った |
| ティア | ご心配ありがとうございます。ガイアス陛下もご無事で何よりです |
| ガイアス | セルディクの一件については、既にジェイドから話は聞いている |
| ガイアス | 加えて、お前達から何か私に話があるとも |
| スタン | はい。ガイアスさんにしか頼めない事なんだ |
| ガイアス | …話を聞こう |
| ジェイド | スレイ、その前にヴァンの事や例の「天帝の御座」など、順を追ってお話いただけますか |
| スレイ | わかりました |
| ガイアス | ──ヴァン…。やはりあの上空の城は、奴によるものだったという事か |
| ガイアス | さらには、連合軍による戦争はこの大規模な晶化を引き起こす事が狙いだったと… |
| スレイ | …はい |
| ジェイド | 晶化の元凶である天帝…その正体は一体何なんでしょうね |
| ジェイド | …いずれにせよ、ヴァンがそのような得体の知れない者と共謀していたとは想定外でしたが |
| ルドガー | 天帝についてはこれ以上の詳しい情報は得られていない |
| ゼロス | だが、それでも世界が完全に晶化しちまうのを避けるには、天帝の目覚めを防ぐしか方法はねぇ |
| ヴェイグ | …元凶を潰せば、今各地を蝕んでいる晶化自体も解決出来る可能性が高いしな |
| | |
| スレイ | …だからオレ達は天帝の御座に行こうと思ってます |
| スレイ | そこでガイアス陛下、あなたに頼みたい事があるんです |
| スレイ | 今人々の間で加速してる不安や絶望…そういう負の感情を鎮めて、晶化の進行を食い止めてほしいんです |
| ガイアス | … |
| エリーゼ | ウィンドルの晶化の事で世界中の人達の不安は今ピークに達してます… |
| エリーゼ | そのせいで、晶化の進行はどんどん勢いを増してて… |
| ティポ | あちこちでたっくさんショーカが起きちゃってるんだよねー |
| ティア | 人々の不安を和らげ、混乱を鎮められるのはガイアス陛下…あなたを措いて他なりません |
| ミクリオ | 四大国を取りまとめたあなたにしか出来ない事だ |
| スタン | お願いします、ガイアスさん。天帝の事は必ず俺達が何とかする、力を貸してほしいんです! |
| ガイアス | … |
| ガイアス | …約束しよう。地上の事は俺に任せておけ |
| ガイアス | 四大国で連携を取り全世界の民の混乱を鎮めてみせる |
| スレイ | ガイアス陛下…!ありがとうございます |
| スレイ | オレも約束します。天帝の目覚めを防ぎ、必ずこの世界を守ると |
| ガイアス | …ああ |
| ジェイド | …ところで皆さん、天帝の御座へはどうやって行くつもりですか? |
| スレイ | それなんですけど……何かいい方法、ありませんか? |
| スレイ | ジェイドさんなら何かいい手を知ってるかもって、相談しようと思ってたんです |
| ジェイド | おやおや…。勇敢な意気込みとは裏腹に、行く当てもなかったとは |
| ジェイド | そうですねぇ、空に行く…ですか。まあ、ない事もないのですが── |
| ガイアス | 構わん、ジェイド。あれを託せ |
| ゼロス | …?あれって一体… |
| ガイアス | 相手が空なら、こちらも飛ぶ。それだけの事だ |
| スレイ | 空を…! |
| scene2 | ア・ジュールの切り札 |
| スレイ | ──空を飛ぶって一体… |
| ガイアス | 空を駆ける船、飛空船だ |
| エリーゼ | 飛空船…? |
| ヴェイグ | そんなものが… |
| ゼロス | ア・ジュールは兵器の研究も盛んだからな。その技術の賜物ってワケか |
| スタン | そんなすごそうなもの…俺達が使ってもいいんですか? |
| ガイアス | 世界の一大事に立ち向かう者に出し惜しみする事はなかろう |
| ジェイド | 世界が晶化してしまっては元も子もありませんしね |
| ジェイド | 陛下のお話にあったように我が国では飛空船を開発しています |
| ジェイド | それを用いれば、天帝の御座まで上昇する事は可能でしょう |
| ジェイド | いえ、寧ろ他に手段はないと言った方が適切かもしれませんね |
| ジェイド | ──ただ…、懸念がないわけでもありません |
| ミクリオ | 何か問題があるのかい? |
| ジェイド | この飛空船はまだ開発途中…試作機は一機しかなく、試運転もほとんどしていません |
| ジェイド | とてもじゃありませんが、安全とは言い切れない状態です |
| スレイ | ジェイドさん、ありがとうございます。でも、オレ達なら大丈夫です |
| ガイアス | … |
| ミクリオ | 御座へ行ける唯一の方法、その飛空船が安全と言えなくても… |
| スレイ | 乗らないって選択はないです |
| ルドガー | ああ。天帝の御座へ乗り込むと決めた時から既に覚悟は決まってる |
| ティア | ええ、そうね |
| エリーゼ | ガイアスさん、ジェイドさん…飛空船を貸してください…! |
| ガイアス | …よいな、ジェイド |
| ジェイド | ええ、危険を承知の上でスレイ達が望むのなら私も止めはしません |
| ガイアス | 我が国の飛空船を用いてお前達を天帝の御座まで送り届けよう |
| スレイ | ありがとうございます! |
| ガイアス | 一刻の猶予もない。出発は明朝だ。ジェイド、直ちに出発の準備を進めろ |
| ジェイド | 明朝…無理を仰いますね |
| ガイアス | 不可能か? |
| ジェイド | いえ、間に合わせます |
| ガイアス | スレイ、お前達もだ。準備は今日中に済ませておけ。足りないものは用意させよう |
| ガイアス | …それと、身体の方もしっかり休める事だ。部屋を用意させておく |
| スレイ | ガイアス陛下…。いろいろとありがとうございます |
| スレイ | オレ達、必ず天帝の目覚めを防ぎます |
| ガイアス | …ああ、頼んだぞ |
| scene1 | みんなの夢 |
| スレイ | ふう──…あれ?みんなここにいたんだ |
| ルドガー | お、スレイも来たか |
| ゼロス | その様子だと、お前もどうせ眠ろうと思ったけど、やっぱり眠れなかったってクチだろ |
| スレイ | うん、まあ…。って、ひょっとしてみんなも? |
| ヴェイグ | そんなところだ… |
| スレイ | そっか。…あれ、ミクリオは来てないのか? |
| ティア | さっきまでここにいたのだけれど、外の空気を吸いたいと言って、出て行ったわ |
| エリーゼ | すぐに戻るって言ってましたけど… |
| スレイ | …そっか |
| スタン | …しかし、何なんだろうな、これ。次の日に特別な事が控えてると、前の晩に眠れなくなるって言う… |
| ルドガー | エルもよく言ってたよ。寝なきゃいけないのにそわそわして眠れないーって |
| ルドガー | 俺達も今、まさにその状況なんだろうな |
| ゼロス | あーそうそう。そわそわ、だな。いやーわかるぜ、その気持ち |
| ゼロス | 俺さまもカワイ子ちゃんとのデートの前日は、もう…ドキドキそわそわして──… |
| ティア | … |
| エリーゼ | … |
| ゼロス | おいおい、いつものツッコミはどーしちまったんだよ? |
| ゼロス | 緊張すんのはわかるけどよ…今からそんなカチカチになっても仕方ねぇだろ |
| エリーゼ | すみません…ゼロスの言う事もわかるんですが… |
| エリーゼ | ミラやライラ…晶化した人達みんなの運命がかかっていると思うと… |
| ティポ | どうしたって、バクバクしちゃうよねー |
| スレイ | 明日は決戦だからな… |
| スタン | うん… |
| ヴェイグ | …エリーゼ |
| ヴェイグ | そんなに気負う必要はない。明日はオレ達も一緒にいる、一人じゃない |
| エリーゼ | ヴェイグ… |
| エリーゼ | そうですよね、みんなと一緒ならきっと何とか出来る… |
| エリーゼ | …ありがとうございます。ヴェイグのお蔭で安心出来ました |
| ティポ | さっすがヴェイグ君ー。ゼロス君とはやっぱ違うねー |
| ゼロス | ちぇー、何だよ、この扱いの差はよー |
| スレイ | それにしても…飛空船があるなんて、すごいよな |
| スレイ | もし今起きてる問題が全部無事に解決したら… |
| スレイ | その時は飛空船を借りて、世界中を旅するのも悪くないかも |
| ルドガー | 今起きている問題が、全部無事に解決したら、か |
| スレイ | ライラと…約束したんだ。一緒に世界中を旅して回ろうって |
| スレイ | でも、まずはライラをオレとミクリオが育ったイズチに案内したいな |
| スタン | 天族がいるっていうところだろ?俺も行ってみたいな |
| スレイ | 勿論、みんなにも来てほしい。歓迎するよ! |
| ヴェイグ | オレは、クレアを迎えに行って… |
| エリーゼ | クレアさん、目が覚めたらびっくりしますよね… |
| ヴェイグ | いや…クレアの事だ。笑顔で村に帰ろうと言うだろう |
| ヴェイグ | そういえば、メルトキオで食糧を買いに出かけていたんだった |
| ヴェイグ | また買い物しなおして…村に戻って豪勢な食事で祝うのもいいかもしれないな |
| ティア | ふふ、素敵ね |
| ルドガー | オレもイニル街に帰ってエルや兄さん…ルルにたくさんご馳走を用意して… |
| ルドガー | そうだ。エルに特別に美味しいスープを作ってあげないと |
| スタン | スープ? |
| ルドガー | ああ、街を出る前に約束したんだ。帰ったら作ってやるって |
| エリーゼ | 約束…そうだったんですか… |
| ルドガー | あの時は、街にエルを残していく方が安全だと思っていたんだ |
| ルドガー | まさか…こんな事になるなんて |
| スタン | ルドガー… |
| エリーゼ | エルは、きっとルドガーの帰りを信じて待っていると思います |
| エリーゼ | 早く全部終わらせてエルにスープ、作ってあげてください |
| ルドガー | エリーゼ… |
| ルドガー | …ああ、二人は絶対に無事だ。信じるよ、もう揺れたりしない |
| エリーゼ | はい…! |
| スタン | そのスープを作る時は、エリーゼとティポも呼んであげたらどうだ? |
| ティポ | ぼく達もー? |
| スタン | ああ!人数が多い方が楽しいだろ。ちょっとしたパーティーみたいでさ |
| ルドガー | はは、そうだな。エリーゼさえよければ是非来てくれ |
| エリーゼ | はい…きっと行きます。ありがとうございます…! |
| ティア | よかったわね |
| スレイ | 今のオレ達が置かれてる状況が、危ないって事は確かだけど… |
| スレイ | 解決まで、後一歩のところまで来てるのも確かなんだよな |
| ヴェイグ | その通りだ… |
| スタン | 早く元の生活に戻れるように、力を合わせて頑張ろう |
| ティア | そうね、何としても… |
| ゼロス | …だな |
| ルドガー | …ああ |
| スタン | それにしても…ミクリオは一体どこまで行ったんだ? |
| ティア | …そうね。城内だし何かあったとは考えにくいけど、さすがに遅すぎる気がするわ |
| スレイ | ちょっとオレ、様子を見てくるよ |
| scene2 | みんなの夢 |
| スレイ | ──ミクリオの奴、一体どこまで行ったんだ? |
| スレイ | すぐ戻るって言ってたみたいだけど、王宮の近くにはいなかったし… |
| スレイ | …あっ、いた! |
| スレイ | おい、ミクリオ! |
| ミクリオ | …スレイ |
| スレイ | こんなところにいたのか。戻るのが遅いから、心配したんだぞ |
| スレイ | みんなも心配してる。早く帰ろう |
| ミクリオ | …ああ |
| | |
| スレイ | ミクリオ…?どうかしたのか?ぼーっと空なんか見上げて──… |
| スレイ | あれは月…。それに… |
| スレイ | もしかして、ずっと天帝の御座を見ていたのか? |
| ミクリオ | ああ… |
| | |
| ミクリオ | 明日…僕達は、あそこへ向かうんだよな |
| スレイ | うん |
| ミクリオ | … |
| ミクリオ | …天帝の御座を眺めながら今までの旅の事を思い出していたんだ |
| スレイ | … |
| スレイ | …ミクリオ、オレ、思うんだ |
| スレイ | ミクリオと一緒にイズチを出てから世界中を旅してきて、辛い事や悲しい事がたくさんあった… |
| スレイ | けど、それだけじゃない。信頼出来る仲間とも出会えたし、楽しい事もあった |
| ミクリオ | そうだね… |
| スレイ | まだまだオレ達が知らない事、もっといっぱいあると思う… |
| スレイ | この世界を、もっと見てみたい…。だから、守らないと…オレ達で |
| ミクリオ | スレイ… |
| ミクリオ | ああ、僕も同じ気持ちだ |
| ミクリオ | この世界を、僕達の手で守ろう |
| スレイ | オレ達の夢…絶対かなえような、ミクリオ |
| ミクリオ | ああ、絶対に |
| ??? | こんな夜更けにデートですかぁ? |
| スレイ | …ん? |
| ミクリオ | …何だ? |
| | |
| ゼロス | 何だ、じゃねーよ。二人だけで盛り上がりやがって |
| ティア | ごめんなさい、盗み聞きをするつもりはなかったのだけれど |
| スタン | スレイ達が心配で、俺達も様子を見に来たんだ |
| ルドガー | でも、杞憂だったみたいだな |
| | |
| ゼロス | なーにがオレ達の夢、だよ。天帝の御座に乗り込むのは、お前らだけじゃねぇぞ |
| スタン | そうそう、だから俺も入れてくれよ。「俺達の夢」ってな! |
| ティポ | そうだそうだー |
| エリーゼ | わたし達の夢でもあります… |
| ティア | ここにいないルークやロイドの夢でもあるわ |
| ヴェイグ | 仲間達全員…いや、世界中全ての人々の、な |
| スレイ | …うん、そうだな。みんなの言う通りだ |
| スレイ | よーし!明日は上手くいく。そんな気がしてきた |
| | |
| スタン | それじゃ、そろそろ帰ろう。風邪を引いたりしたら、ガイアスさんに怒られるぞ |
| ゼロス | ふー、散歩したお蔭で何とか眠れそうだな |
| ルドガー | 安心して寝坊するなよ? |
| エリーゼ | ティア…今日は一緒に眠ってもいいですか? |
| ティア | ええ、いいわ |
| ヴェイグ | これを、最後の夜には──させない |
| スレイ | うん。みんなが、安心して暮らせる世界にしてみせる |
| スレイ | 行こう、みんな── |
| scene1 | 託された翼 |
| スレイ | ──ここが、例の… |
| ジェイド | はい、テノス兵器工場です。その名の通り、主には兵器の研究、開発、生産を行っています |
| ジェイド | かつては、魔導兵器なども作っていましたね |
| エリーゼ | 魔導兵器… |
| ジェイド | 飛空船もここで開発しています |
| ジェイド | …念のため、お伝えしておきますが |
| ジェイド | この工場への立ち入りは勿論、飛空船の存在も全て我が国の重要な軍事機密です |
| ジェイド | 陛下があなた方をここへ案内する事を許したのは信頼あってのもの… |
| ジェイド | 他言無用でお願いしますよ |
| スレイ | 勿論、約束します |
| スタン | ところでジェイドさん、飛空船…船っていうからには操縦する必要がありますよね? |
| スタン | ひょっとして、ジェイドさんが操縦を? |
| ジェイド | いえ、私は地上に残りますよ。やる事が山積みですからね |
| エリーゼ | え…じゃあ誰が… |
| ゼロス | 俺さま達でやれって言われてもそいつは無理な話だぜ? |
| ジェイド | 心配には及びません。操船については、専門の訓練を受けた我が国の者を付けます |
| ルドガー | …それはよかった。御座に着く前に墜落…なんて事になったら大変だ |
| ヴェイグ | 笑えない冗談だな |
| ジェイド | ですが、彼はあくまで操船のための人員です |
| ジェイド | 兵士ではなく、技術者です。実戦経験もありませんので戦力にはならないかと |
| ゼロス | あくまで、戦うのは俺さま達だけって事だな |
| スレイ | わかりました |
| ジェイド | ヴァンがどれほどの戦力を擁しているのかは不明ですが、一筋縄ではいかないでしょう |
| ジェイド | 今更言うまでもありませんが、重々お気をつけください |
| ヴェイグ | …ああ、そのつもりだ。何と言っても得体の知れない天帝が眠る場所だ |
| ミクリオ | どれほど守りを固めているか、何が起こるか…想像もつかない |
| ルドガー | だけど、何が待ち受けていようと、必ず乗り越えてみせる |
| ティア | ええ、必ず… |
| ジェイド | では、飛空船のところまでご案内しましょう |
| scene2 | 託された翼 |
| ジェイド | ──こちらが、皆さんにお貸しする飛空船です |
| ミクリオ | これが… |
| スレイ | 空を飛ぶ船…! |
| ティポ | でっかーい! |
| ゼロス | やっぱりア・ジュールは油断ならねぇな。こっそりこんなもんを作るなんて |
| ジェイド | お褒めに預かり光栄ですね |
| ゼロス | ったく…褒めてねぇっての |
| | |
| ルドガー | それより、試運転もろくにしていないって話だったがちゃんと飛ぶのか? |
| ジェイド | 浮遊試験は成功してますし、水平移動も問題ありません |
| ジェイド | ただ、先日もお話した通り開発途中の試作機です |
| ジェイド | 御座のある高度まで上昇するのは初めての試みです |
| エリーゼ | … |
| ヴェイグ | …それでも、行くしかない |
| ティア | ええ、そうね |
| スレイ | このまま世界が晶化していくのを黙って見てるわけにはいかない |
| スレイ | オレ達の世界はオレ達が守らないと |
| ??? | ──覚悟は鈍っていないようだな |
| スタン | その声は…ガイアスさん…! |
| ガイアス | … |
| ジェイド | 陛下、お忙しいのではありませんでしたか? |
| スレイ | ひょっとして、見送りに来てくれたんですか…? |
| ガイアス | …そんなところだ |
| ガイアス | ──スレイ、それにお前達。世界の命運はお前達に懸っていると言っても過言ではない |
| ガイアス | 地上の事は我々が全力をもって対処する |
| ガイアス | お前達も必ず、やり遂げろ |
| スレイ | ガイアスさん… |
| スレイ | はい…必ず天帝の目覚めを防ぎ、ヴァンの野望を止めてみせます! |
| スタン | みんなが晶化に奪われたもの、全部、取り返してきます |
| ヴェイグ | ああ、必ずだ |
| ガイアス | うむ… |
| ア・ジュール兵 | ──陛下!ジェイド大佐! |
| ガイアス | 何事だ |
| ア・ジュール兵 | 結晶の雪がどんどん激しくなっています…! |
| ア・ジュール兵 | おそらくその影響でしょう、各地の晶化現象も爆発的に進行しているとの報告が… |
| ティア | …まずいわ |
| ミクリオ | ああ…。僕達に残された時間は僅かという事だね |
| ヴェイグ | …急いだ方がいい |
| ガイアス | 飛空船へ急げ。すぐに発進させよう |
| エリーゼ | わかりました…! |
| ミクリオ | 遂に決戦、だな |
| ルドガー | ああ… |
| エリーゼ | 次に、地上へ帰ってくる時は晶化現象はなくなってるはずです |
| エリーゼ | そしたら、ミラも…ライラも… |
| ヴェイグ | クレアも、みんなの生活も…全部、元通りだ |
| ティア | ええ…。あの人の思うようにはさせない |
| ゼロス | んじゃ、さっさと天帝とヴァンの野郎をとっちめに行こうぜ! |
| スレイ | よし、みんな。飛空船に乗り込もう! |
| スレイ | 目指すは天帝の御座だ。そこで、全ての決着をつける…! |