| Name | Dialogue |
| scene1 | 雲上の楼閣 |
| スレイ | ──ここが、天帝の御座… |
| ルドガー | …ようやく着いたな |
| ゼロス | 途中、墜落すんじゃねぇかと気が気じゃなかったが、何とかな |
| ヴェイグ | それより……すさまじいまでの景色だな。見渡す限り一面晶化している |
| ルドガー | それだけじゃない。見てくれ、あの城… |
| ルドガー | あれは晶化現象じゃない。結晶そのもので作られている |
| スタン | 飛空船から見た時も思ったけど、相当でかくないか? |
| エリーゼ | 綺麗…ですが…何だかすごく…嫌な感じがします |
| スレイ | あれも、天帝が作ったんだよな… |
| ミクリオ | そう考えて間違いないだろうね。天帝は晶化の元凶と言うし |
| ミクリオ | あの城に、周辺の結晶…。「天帝の御座」とは名ばかりではないらしい |
| ルドガー | …天帝とヴァン、彼らがいるとすればあそこか |
| ティア | おそらく… |
| ゼロス | なら、早いとこ行こうぜ。ここで突っ立ってても仕方ねぇ |
| スレイ | うん、そうだな |
| ゼロス | …ってワケだ。俺さま達は行く、飛空船の事は任せたぜ |
| ア・ジュール兵 | はっ、どうかお気を付けて |
| | |
| スタン | …にしても、すごい高さだな、ここ。雲が足下に見える |
| ゼロス | 滅多に見られる景色じゃねぇぜ。しっかり見とけよ、スタン |
| ミクリオ | スレイ、見てくれ。ここから地上の景色が見える |
| | |
| スレイ | …!すごい、これがオレ達の世界… |
| スレイ | こんなにも広かったんだな… |
| スレイ | 今見えてる景色が世界のほんの一部だなんて、信じられないっていうか… |
| ミクリオ | ああ… |
| | |
| ヴェイグ | 晶化で覆われた大陸…あれがウィンドルという事か |
| ティア | ええ。そして、地理的にあの辺りが王都バロニアね |
| ティア | 結晶に覆われていてここからじゃ街がある事すら確認出来ないけれど… |
| スタン | 大陸の中でも特に酷い状態って事か… |
| エリーゼ | イニル街はどうですか…?確か、バロニアの近くに──… |
| ルドガー | 確認したけど…イニル街も晶化に巻き込まれた事は間違いなさそうだ |
| エリーゼ | …!そんな… |
| エリーゼ | ごめんなさい、ルドガー…わたし… |
| ルドガー | …大丈夫だよ、エリーゼ。エルと兄さんはきっと無事だ |
| ルドガー | 俺はそう信じてる |
| エリーゼ | ルドガー… |
| ヴェイグ | …想像はしていたが、被害はかなりの広範囲に及んでいる |
| スレイ | うん…。バロニアから結構距離のあるピュール遺跡まで、完全に晶化してしまったみたいだし |
| ゼロス | ピュール遺跡? |
| ミクリオ | あそこに見える大きな湖…そのほとりにある遺跡で、僕達が初めてライラと出会った場所なんだ |
| ゼロス | ライラちゃん…そっか |
| スレイ | ……やっぱりこんなの間違ってる。この綺麗で広い世界を晶化で覆い尽くすなんて |
| スタン | ああ、そんな事はさせないさ。絶対に |
| ティア | …そのためにも、先を急ぎましょう。私達に残された時間は限られて── |
| | |
| | グオオオオッ!! |
| ヴェイグ | …!今のは何だ…!? |
| エリーゼ | 魔物でしょうか…? |
| ルドガー | まさか…!何でこんなところに…… |
| | |
| | グウウウ…! |
| ティポ | で、でたぁー!? |
| ゼロス | …!いや…待て、何か変だぞこいつら!? |
| スタン | 本当だ…!こんな魔物、見た事も── |
| | ギャウウウウウッ!! |
| ティア | まずいわ、こっちに向かってくる…! |
| スレイ | なら、戦うまでだ!行こう、みんな! |
| ヴェイグ | ああ! |
| scene2 | 雲上の楼閣 |
| スレイ | ──くっ…! |
| ミクリオ | 無事か、スレイ! |
| スレイ | ああ、大丈夫だ!それより… |
| | ギャウウウ…! |
| ゼロス | ちっ、あれだけやったってのにまだ元気なのかよ!ったく、どうなってんだ… |
| ルドガー | 攻撃の威力は勿論、硬さも他の魔物とは比にならない…! |
| スレイ | …よし、ならこれでどうだ! |
| スレイ | はああっ! |
| | グオオ…オオ…… |
| スレイ | ふぅ…何とか倒せたか |
| スタン | 今ので最後みたいだな…。はあ、びっくりした |
| | |
| ティア | それにしても、この魔物…一体どういう事なのかしら |
| ティア | 体の一部が晶化しているわ |
| スタン | けど…それっておかしくないか?今まで人や動物が晶化した状態で動けた事なんて一度もない |
| エリーゼ | そうですよね… |
| エリーゼ | 前に目の前で魔物が晶化したのを見た事ありますけど… |
| ティポ | カチンコチーンってなったよねー |
| ヴェイグ | …!いや、これは晶化じゃない。よく見てみろ |
| ヴェイグ | 晶化は物質を結晶で覆う…、だが、こいつらの体はその一部が結晶そのもので出来ているようだ |
| ルドガー | それって…あの城と同じって事か? |
| スレイ | だとしたら、この魔物も天帝が… |
| ミクリオ | 大いに考えられるね |
| ゼロス | そういう事かよ。ったく、どうりでおかしいと思ったんだ |
| ゼロス | 地上ならまだしも、こんな突然現れた御座に魔物が巣食ってるなんて── |
| ルドガー | む…? |
| エリーゼ | この光…ひょっとしてゼロスの天晶石、ですか…? |
| ゼロス | …!何で今… |
| スタン | 確か、天啓の石碑が出現した時に、それを知らせてくれるーとか何とか言ってたような──… |
| スタン | ……え?って事は、もしかして新しい天啓の石碑が!? |
| ティア | そんな、まさか…! |
| ゼロス | 今までの経緯からして多分そういう事だろうけど… |
| ゼロス | …何にせよ、とにかく試してみるか |
| | |
| ゼロス | … |
| スタン | …どうだ? |
| ルドガー | 何か見えたか? |
| ゼロス | ……ああ、よーく見えるぜ |
| ティア | だとしたら、やっぱり天啓の石碑が出現したと言うのは事実なのかもしれない |
| ゼロス | ……けど、まさかな。こいつは厄介な事になってきやがった |
| ヴェイグ | どういう事だ?ゼロス、お前には何が見えている |
| ゼロス | …結晶の橋、だ |
| スレイ | 結晶の…!?それって… |
| ゼロス | …ああ。おそらくこの御座にある橋って事だろうな |
| ゼロス | 周辺の景色も似てるし、何より、橋の先に例の城が見えた。あの様子だと、多分城まで通じてる |
| スタン | 待ってくれ!つまり、この天帝の御座に新たな石碑が現れたって事か…? |
| エリーゼ | でも、どうして今…?それもよりによってわたし達のいる御座に現れるなんて… |
| ミクリオ | …ヴァンやカーツ達は天啓についてあらゆる情報を持っていた |
| ミクリオ | さらに天帝という存在を加味すれば天啓自体、彼らが操っていたという可能性も十分に考えられる… |
| ミクリオ | これがもし、仕組まれたものだとしても何ら不思議は── |
| ゼロス | …! |
| ルドガー | どうかしたのか、ゼロス |
| ゼロス | 何なんだこれ…。急に風景が乱れて………これは光…? |
| ゼロス | あ…くそっ!駄目だ… |
| ヴェイグ | …? |
| ゼロス | …ああ、今見えてた橋の風景が急に切り替わって、何かこう…一瞬、でっかい光の渦が見えた |
| ゼロス | すぐに真っ暗になって何も見えなくなっちまったが…ありゃ一体何だったんだ…? |
| ティア | …それも、結晶のあるこの辺りと似た景色だったの? |
| ゼロス | いや、多分違う。何か…星がたくさんあって、晴れた日の夜空みたいって言うか… |
| ゼロス | …何にせよ、気味が悪い。こんな事は初めてだからよ |
| スタン | 光の渦、か… |
| ヴェイグ | …とにかく、まずは最初に見えたという結晶の橋を探そう |
| ヴェイグ | 例の城に繋がっているなら、尚の事、探さない手はない |
| スレイ | うん、そうだな。それに… |
| スレイ | これがもし、ヴァンによって仕組まれたものなんだとしたら、避けては通れない道だと思う |
| ゼロス | よし…なら、行こうぜ |
| スレイ | ああ! |
| scene1 | 仲間を信じるという事 |
| ミクリオ | ──見ろ、行き止まりだ。これ以上先へは進めない |
| スタン | ええっ!?またなのか…? |
| ルドガー | はあ…これで何度目だ? |
| ティポ | ぼくもうヘトヘトだけどー |
| エリーゼ | まるで迷路ですね…。結晶が複雑に入り組んでいて正しい道が見つけられません… |
| ゼロス | ったく、お目当ての城はずっと見えてるってのによ… |
| スレイ | 仕方ないよ、地道に進める道を探すしか方法はないんだし |
| ヴェイグ | …ああ。よし、引き返すぞ |
| ゼロス | ちぇっ… |
| | |
| スタン | …それにしても、すごい結晶だよな。天帝って一体何者なんだ… |
| ティア | 普通の人間じゃないという事だけは確かだと思うわ |
| エリーゼ | 天帝はヴァンよりも強いという事なんでしょうか…? |
| ミクリオ | 正直なところ、天帝について僕達はほぼ情報を持っていないから断言こそ出来ないけど── |
| ミクリオ | これだけの能力を持っている以上ヴァンと同等、…いや、それ以上と捉えておいた方がいいだろうね |
| ルドガー | そうなると、やっぱり鍵になるのは「神依」か… |
| ティア | ええ、そうね。私達の切り札である事はこの先も変わらないわ |
| ヴェイグ | 寧ろ、神依の力で結晶を砕ける事もわかった |
| ミクリオ | 晶化を生み出す天帝にも有効である可能性が高い、そういう事か |
| スタン | じゃあ、やっぱり二人の神依は、決戦の時まで温存しといた方がよさそうだな |
| スレイ | うん、オレもそう思う |
| スレイ | …天帝とヴァンを討つ、その時まで神依化はしない |
| スレイ | そのためにはみんなの助けが必要だ。力を貸してほしい |
| ルドガー | 勿論、端からそのつもりさ |
| ゼロス | 言われなくてもな |
| ティア | あなた一人じゃない。これは私達みんなの戦いよ |
| エリーゼ | みんなで力を合わせて、天帝とヴァンを倒しましょう…! |
| スレイ | ありがとう、みんな |
| ミクリオ | … |
| ヴェイグ | どうかしたのか、ミクリオ |
| ミクリオ | …何でもない、気にしないでくれ |
| ティポ | ミクリオ君、何だか嬉しそうなカオー |
| ミクリオ | なっ…!何でもないと言ってるだろう。ほら、先を急ぐぞ |
| スレイ | どうしちゃったんだ、ミクリオ…? |
| ゼロス | さあ… |
| ヴェイグ | とにかく、先を目指そう… |
| ヴェイグ | 肝心の城にたどり着けなければ話にならない |
| ルドガー | それもそうだな── |
| | |
| | グオオオオオッ! |
| スレイ | …!今のって… |
| ティア | 魔物だわ…!それもすぐ近くに… |
| エリーゼ | ひょっとして、また晶化した魔物でしょうか… |
| ミクリオ | だとしたら、厄介だね |
| スタン | みんな、気をつけろ!どこから出て来るかわからないぞ |
| ルドガー | …来た!みんな、構えるんだ |
| scene2 | 仲間を信じるという事 |
| スレイ | ふう…何とか倒せたけど…やっぱり気のせいじゃないよな…? |
| ルドガー | ああ。この晶化した魔物の強さは尋常じゃない |
| エリーゼ | 地上で見る魔物とは明らかに違います… |
| スタン | あんなのがこれからもわんさか出てくるのかな…? |
| ゼロス | おいおい、シャレになんねぇぞ |
| ゼロス | ヴァンと戦う前に、あんなのとやり合ってばかりいたら体力がもたねぇっての |
| ミクリオ | 無駄な戦闘を避けるためにも早く進むべき道を探そう |
| ティア | それがいいわ。急ぎましょう── |
| | |
| | ピシッ! |
| スレイ | うわっ!? |
| ルドガー | 晶化か…! |
| スレイ | 駄目だ、今ので道が塞がった |
| ヴェイグ | 何故急に… |
| ティア | 仕方ないわ、あっちの道へ行きましょう |
| エリーゼ | わかりました── |
| | ピシッ! |
| ヴェイグ | …!下がれ、エリーゼ! |
| | ピキッ!ピシピシ! |
| ティポ | わー!?こっちも塞がっちゃったー! |
| ルドガー | …道が次々に塞がっていく。まずい状況だな |
| ミクリオ | 何が起きてるんだ?急にあちこちで晶化が…… |
| ヴェイグ | それだけ地上の晶化も広がっているという事なのか…? |
| エリーゼ | そんな… |
| スタン | 諦めるのはまだ早い!こっちだ! |
| | ピキッ!ピシピシ! |
| スタン | くっ、こっちもか!だったら── |
| | ピキッ!ピシピシ! |
| スタン | くそっ…! |
| ティポ | このままだとぼく達晶化させられちゃうかもー |
| ゼロス | ちっ…ヴァンの野郎、俺さま達を監視でもしてんじゃねぇだろうな |
| スタン | 例えそうだとしても、そんなの関係ない |
| スタン | どんな邪魔が入ろうと俺達に出来るのはそれを乗り越える事だけだ |
| スタン | そして絶対に乗り越えてみせる!だろ? |
| スレイ | スタン… |
| | |
| ゼロス | ぷ… |
| スタン | え?ゼロス、何で笑ったんだ? |
| | |
| ゼロス | …いや、お前ってヤツは、つくづく単純な野郎だなーと思って |
| ヴェイグ | …だが明快だ |
| スタン | そうか?…俺はただ自分に出来る事は精一杯やろうって思ってるだけなんだけどな |
| ルドガー | お前のそういう前向きな性格のお蔭で、いつも助けられてるよ |
| スレイ | スタンの言う通りだ、諦めるのはまだ早い |
| スレイ | みんなで手分けして道を探そう。きっと見つかるはずだ |
| スタン | ああ! |
| scene1 | 神子の覚悟 |
| スレイ | ──ようやくたどり着いた… |
| スレイ | ここが、結晶の橋…! |
| エリーゼ | すごく大きいですね… |
| ヴェイグ | ゼロス、お前が天晶石を通じて見たのは確かにこの橋か? |
| ゼロス | ああ、ばっちりな。間違いねぇ |
| スタン | って事は、天啓の石碑もこの辺りに? |
| ゼロス | …のはずだが、それらしいもんは今のところ見当たらねぇな |
| ティア | 城の正門へ続いているようね。奥に城壁が見えるわ |
| エリーゼ | あの大きな門から城内に入れそうです… |
| ミクリオ | …かなり見晴のいい場所だ。危険な気もするが…そうも言ってられないか |
| ルドガー | ああ、けど警戒するに越した事はない。みんな、注意して進もう |
| | |
| スタン | すげぇ…近くで見ると本当にでかいな |
| ティア | 橋も城壁も、全て結晶で出来ているのにここは違うのね |
| スレイ | とにかく中に入ろう |
| エリーゼ | それが…駄目みたいです。この門、固く閉ざされてて… |
| ティポ | むぎゅー!押してもビクともしないしー |
| ゼロス | …なるほどな。そりゃ、力じゃ開かねぇわ |
| スタン | ゼロス、それどういう事だ…? |
| ゼロス | ほら、あれ見てみな。この門のずっと上の方…真ん中に何か、見えねぇか? |
| スレイ | …!あれってまさか…天啓の石碑と同じ紋章…!? |
| ミクリオ | …本当だ、間違いない |
| ヴェイグ | まさか、これが新たに出現した天啓の石碑だとでも言うのか…? |
| ゼロス | 他にそれらしきもんが見当たらねぇところを見ると多分そういう事なんだろうな |
| ルドガー | けど、何故なんだ…?天啓の石碑は、その名の如くただの巨大な石碑なんじゃないのか? |
| ルドガー | まさかこんな風に建造物の一部に組み込まれてるなんて… |
| ゼロス | ああ、こんなのは俺さまだって聞いた事もねぇ |
| ゼロス | …けどまあ、四の五の言ってても仕方ねぇ、試してみりゃ全部わかんだろ |
| ティア | 試すって… |
| ゼロス | お決まりのヤツよ。まあ、見てなって |
| | |
| ゼロス | 大いなる世界の意志よ。我が主たる地上の神よ |
| ゼロス | 我、ゼロス・ワイルダーを汝の代行者と認めるならば… |
| ゼロス | その言葉を我に聞かせたまえ── |
| スレイ | …!門が光り出した…! |
| ミクリオ | カン・バルクで見た儀式と同じ光景だな |
| ヴェイグ | やはり、この門が天啓の石碑── |
| ゼロス | …!くっ… |
| | |
| ゼロス | うわあっ!! |
| | |
| エリーゼ | …!ゼロス!大丈夫ですか!? |
| ゼロス | いっつ…… |
| スタン | 何なんだ、今のは!?急にゼロスが吹っ飛んで… |
| ゼロス | わからねぇ…。けど、何か様子が変だ…! |
| ゼロス | 何か…石碑に触れた瞬間ドス黒い絶望みたいな感覚が頭ん中に流れ込んできやがった |
| ゼロス | 苦しくなったと思ったら急にすげぇ力で吹っ飛ばされてて… |
| ティア | 絶望…? |
| ヴェイグ | それが何なのかはわからないが、この門が天啓の石碑でないという事ははっきりしたな |
| ゼロス | ちっ…さっきの光の渦と言い、今回の門と言い、一体何なんだ…? |
| ミクリオ | …あくまで推測だが、天啓の石碑は天帝が作り出した物…そうは考えられないか? |
| スタン | 天帝が…? |
| ミクリオ | ヴァンは天帝と共謀している |
| ミクリオ | 石碑を作ったのが天帝だとすれば晶化と天啓、ヴァンがそれらを意のままに操っていた事にも頷ける |
| ミクリオ | …そしてこの門も。天啓の石碑でない以上、この城に備え付けられた「ただの門」… |
| ミクリオ | この御座と共に天帝が作ったと考えるのが妥当じゃないか? |
| ミクリオ | 無論、ただの門と言ってもあの様子じゃ、天帝の力が強く及んでいるのは間違いないと思うけど |
| スレイ | …そうだな |
| スレイ | …もし、ミクリオの言う通りなら天晶石が光ったのは石碑が出現したからじゃなくて… |
| ミクリオ | ああ、天帝の力そのものに反応を示したという事だと思う |
| ティア | …確かに神子は天啓の石碑に干渉出来る |
| ティア | 従って、その創造主である天帝自身の力を感知したという事も、考えられない話ではないわ |
| ルドガー | だとしたら、さっきゼロスが天晶石を通じて見た光の渦や、感じた絶望… |
| ルドガー | それらは全て天帝に関係するものという事なのかもしれないな… |
| ゼロス | …冗談じゃねーぞ。何で俺さまが天帝なんかの…!ちっ、本当に一体何者なんだ… |
| ヴェイグ | …事実はその目で確かめればいい。そのためにも、まずは開門だ |
| スタン | 門を開けられるとしたら、天帝に干渉出来る可能性があるゼロス…やっぱりお前しかいないって事だ |
| ゼロス | …どうだろうな。あいにく吹き飛ばされたばっかりだぜ |
| スタン | 大丈夫、お前なら絶対── |
| | |
| | ドドドドド! |
| スタン | な、何だこの音…!? |
| エリーゼ | 地面が揺れてます…! |
| ヴェイグ | 地震か…?いや、ここは地上じゃない。そんなはずは──… |
| ティア | …! |
| ティア | …みんな、あれを見て。橋の向こう側よ…! |
| ルドガー | あれは…魔物の群れか!? |
| スレイ | いや、群れなんてレベルじゃない…。あんな大群、地上ですら見た事もない…! |
| ヴェイグ | どうする、戦うか…? |
| ティア | …相手は、例の晶化した魔物よ。さっきの数でもあれほど苦労したのにとてもじゃないけど一掃するのは…… |
| ティポ | じゃあ、どうしたらいいのー!? |
| スタン | …俺達であいつらを食い止めよう! |
| エリーゼ | え…?食い止めるって… |
| スタン | 門の事はゼロスに任せる。他のみんなで、橋のこっち側に魔物を寄せ付けないようにするんだ |
| スタン | 一掃するのは難しいとしてもゼロスが門を開けるまでの間、食い止める事くらいは出来るはずだ |
| ゼロス | おいおい、無茶言うなよ。お前も見ただろ、さっきの! |
| ゼロス | 天帝の力だか何だか知らねぇがこの門は俺を拒んでやがる。開けられる保証はどこにもねぇ |
| ゼロス | だったら、一旦全員でここから退却して態勢を立て直すとか── |
| スレイ | いや…、それじゃ駄目だよ |
| スレイ | 城内に通じるのは多分、この門だけだと思う |
| スレイ | 今ここから退けば、この場は占拠されるだろうし、そしたら二度と近付けなくなる |
| ゼロス | …っ!だが── |
| | ギャウウウウッ! |
| ヴェイグ | …!まずい、あまり時間はないぞ… |
| スタン | …ゼロス、お前しかいないんだ |
| スタン | お前なら絶対に開けられるって、俺は信じてる。だから、…ここは頼む! |
| スタン | みんな、行こう!急がないと…! |
| スレイ | ああ…! |
| ゼロス | お、おい…!スタン! |
| ゼロス | 行っちまいやがったか…ちっ… |
| ゼロス | … |
| ゼロス | くそっ…やるしかねぇのかよ…! |
| | |
| ヴェイグ | ──来たぞ、奴らだ |
| スレイ | ああ…! |
| | ドドドドド… |
| | グオオオオオッ! |
| スタン | スレイ、ルドガー、ヴェイグ、三人は俺と一緒に前衛で戦ってくれ! |
| ルドガー | わかった! |
| ティア | 私とエリーゼとミクリオは援護するわ |
| ティポ | ぼくも頑張るぞー! |
| スタン | ここは俺達が食い止める。…頼んだぞ、ゼロス |
| スタン | 行くぞ、みんな!はああっ! |
| scene2 | 神子の覚悟 |
| スタン | せいっ! |
| | ズバッ! |
| | ギャウッ! |
| スタン | 次だ! |
| スレイ | はあ…はあ… |
| | グオオッ! |
| スレイ | くっ…! |
| スタン | させるかっ!たああっ! |
| | ズシャーッ! |
| | グアアーッ! |
| スタン | 大丈夫か、スレイ! |
| スレイ | ああ、助かったよ。ありがとう、スタン |
| スタン | 気にするな。互いに助け合わないと |
| ルドガー | …にしても、まずい状況だな。倒したところで、次から次へと出てくる |
| スタン | …ゼロスが門を開けるまでの辛抱だ。俺達がここで踏ん張らないと |
| ヴェイグ | そうだな… |
| | |
| ゼロス | くっ…、またさっきのドス黒いヤツが… |
| ゼロス | ……いや、けどまだだ…。まだうんともすんとも言ってねぇし今手を放すわけには──… |
| | |
| ゼロス | うわあああっ! |
| | ズシャーッ… |
| ゼロス | い…つっ…… |
| ゼロス | くそっ…!やっぱ一筋縄じゃいかねぇか… |
| ゼロス | ……ちっ |
| | |
| ミクリオ | ──はああ! |
| | ギャウウ…! |
| ミクリオ | よし、倒せた… |
| ミクリオ | エリーゼ、ティポ!そいつが片付いたらヴェイグの応援を頼む! |
| エリーゼ | わかりました…! |
| ティア | 私もルドガーとスタンのところへ。ミクリオ、あなたもすぐにスレイのところへ行って── |
| ティア | …!強い光…門の方だわ。さっきから何度も… |
| ミクリオ | 遠巻きであまり見えないが、ゼロスも苦戦しているようだな… |
| ティア | 大丈夫かしら… |
| エリーゼ | ミクリオ、ティア!急いでください、スレイ達が…! |
| ティポ | 早くー! |
| ミクリオ | …わかった、今行く! |
| ティア | … |
| | |
| ゼロス | はあ…はあ… |
| ゼロス | くそっ──……!うぐっ… |
| ゼロス | 意地でも通さねぇってか… |
| ゼロス | …けど、ようやく何か、掴めてきた気がすんぜ… |
| ゼロス | この門の拒絶は天帝の意志…。あの気味の悪い絶望感も、多分あいつの…… |
| ゼロス | …ちっ、思う通りにさせてたまるかよ… |
| ゼロス | とっとと開きやがれ…! |
| | |
| スレイ | ──スタン!そっちにまた一体行った! |
| スタン | …大丈夫だ、任せろ! |
| ルドガー | はあ…はあ… |
| ヴェイグ | くっ… |
| ミクリオ | みんなかなり消耗しているな… |
| エリーゼ | スタン、その怪我…!今治療します── |
| スタン | …いや、俺はいい!それより今は魔物を倒す事が優先だ… |
| スタン | とにかく今は、ここで俺達が踏みとどまらないと… |
| ヴェイグ | それよりゼロスの方は…?まだ開門出来ていないのか? |
| ミクリオ | 残念ながら、あまり芳しくはないようだ… |
| ルドガー | ゼロス… |
| スタン | 心配いらないさ。ゼロスなら、必ずやってくれる |
| スタン | ああ見えてやる時はやるし、頼りになる奴だって事、俺は知ってる |
| スタン | 俺はゼロスを信じてる…!だから、絶対大丈夫だ! |
| スレイ | スタン… |
| スレイ | …うん、スタンの言う通りだ、ゼロスを信じよう!オレ達もまだやれる |
| スタン | よし、行こう! |
| スレイ | ああ! |
| エリーゼ | 二人共、後ろを振り返らないんですね… |
| ティポ | ゼロス君の事、信じてるんだねー |
| ティア | スタンはまっすぐな人よ。だからこそわかる事もあるんだと思うわ |
| ルドガー | 俺達も行こう、もうひと踏ん張り── |
| ヴェイグ | …!今の光… |
| ミクリオ | ゼロスのいる門の方だ…! |
| ミクリオ | これまでにも何度か見かけたが、あれほど強い光は……。何か、嫌な予感がする… |
| ティア | …様子を見てくるわ。みんなはスタン達の後を追って |
| ルドガー | ああ、わかった…! |
| scene3 | 神子の覚悟 |
| ゼロス | …… |
| ティア | ゼロス! |
| ゼロス | う… |
| ゼロス | ティア…ちゃん…? |
| | |
| ティア | 無事なのね、よかった…。一体何があったの |
| ゼロス | …見ての通りさ。天帝の力にねじ伏せられたってワケ |
| ティア | 酷い傷…全身傷だらけじゃない…。今手当を── |
| ゼロス | いや、それより…スタンに…あいつらに伝えてくれ |
| ゼロス | …この門を開くのはやっぱ無理だ。一旦退いて、別の道に行けって |
| ティア | …!ゼロス、あなた… |
| ゼロス | …天啓だって読めるし、この門も、神子の俺なら何とか出来るかもって思ってた |
| ゼロス | けど……やっぱそう簡単にはいかねーな |
| ゼロス | もう少し…、あと少しで天帝の力を抑え込めそうなのに、ギリギリのところで届かねぇ… |
| ゼロス | …これも俺が神子って宿命から逃げてた罰なのかもな |
| ゼロス | クロエちゃんのお蔭でちょっとは変わったと思ってたけど…ま、これ以上は俺には── |
| ティア | 諦めないで。あなたなら出来るはずよ、必ず |
| ティア | スタンが言ってたわ。あなたなら必ずやり遂げる、信頼のおける友達なのだと… |
| ティア | 一度も振り向く事なく、今も必死に戦っているわ。あなたを信じて |
| ゼロス | スタン…、あいつ… |
| ティア | それはみんなだって同じ… |
| ティア | …なのに、あなたがあなた自身を信じないでどうするの? |
| | |
| ゼロス | …!俺が、俺を…… |
| ゼロス | … |
| | |
| ゼロス | …何か、わかった気がするぜ。俺があの門を開けなかった理由… |
| ゼロス | あの門をこじ開けられる、今なら自信を持ってそう思える |
| ゼロス | …ありがとな、ティアちゃん |
| ティア | ゼロス… |
| ティア | お礼なら、私じゃない。スタンに言うべきね |
| ゼロス | …よし、もっかい試してみる |
| ゼロス | ティアちゃん、危ねぇから下がっててくれよ |
| ゼロス | …天帝様が何者かは知らねぇが、お前の力は俺がねじ伏せる!今この場でな |
| ゼロス | 俺はもう逃げも隠れもしねぇ… |
| ゼロス | 神子の宿命を持ってこそこの俺さまだ! |
| ゼロス | 神子、神子って今まで散々な目に遭ってきたが…それも全部、認めてやるよ |
| ゼロス | 俺さまの役目だったんだ、ってな |
| ゼロス | だから、今くらい…俺さまの役に立ちやがれ──!! |
| | |
| | ゴオオッ |
| ゼロス | くっ…! |
| ティア | …!この風は一体…!? |
| ゼロス | へっ…、最後の悪あがきかよ。けど、諦めな!意地でも打ち破って── |
| | ゴオオオオオオッ |
| ゼロス | なっ…!?まずい、身体が飛ばされ── |
| ティア | 大丈夫よ…!私があなたを支える |
| ゼロス | ティアちゃん…!危ねー事すんじゃねぇ、下がってろって言っただろ! |
| ティア | そうもいかないわ…!あなたが柄にもなくこんなに頑張ってるのよ |
| ティア | スタンや、私達みんなの想いに応えるために… |
| ゼロス | …! |
| ゼロス | ふ…残念だけど、そいつはちょっと違うぜ |
| ゼロス | …理由はもっと単純だ |
| ゼロス | …スタンの野郎にばっかカッコイイとこ取られんのが…シャクなだけ…ってな! |
| ゼロス | はあああ…! |
| ティア | …!光が強くなって──… |
| ゼロス | うおおおおっ!!! |
| | ズズ… |
| ティア | 門が…! |
| | |
| スタン | ──せやあっ! |
| | ザシュッ! |
| スタン | ふう… |
| ルドガー | …この辺りの魔物は大分減ったな |
| エリーゼ | はい…。でも、見てください…まだ向こうからあんなに…… |
| スレイ | くっ…! |
| ヴェイグ | そろそろ限界か…。スタン、これ以上は── |
| ??? | ──ここに留まるのはこれまでよ |
| スレイ | ティア! |
| ティア | 無事開門したわ。みんな、こっちに |
| ティポ | ホントー!?助かったー! |
| スタン | ティア、ゼロスは…? |
| ティア | 無事よ。向こうであなた達を待ってるわ。行きましょう |
| スタン | ああ! |
| | |
| ゼロス | はあ…はあ… |
| スタン | やったな、ゼロス!さすがだよ! |
| ゼロス | …へっ、これくらい、俺さまにとっちゃ朝飯前よ |
| ルドガー | そういう割にかなり傷だらけって感じだけど… |
| ゼロス | 何だよ、うるせーなー。ボロボロなのはお前らだって一緒だろ |
| スレイ | はは…言われてみたら、確かにみんなボロボロだな |
| スタン | …とにかくありがとうな、ゼロス。お前ならやってくれるって信じてたよ |
| ゼロス | …!お、おう、当たり前だろ。俺さまを誰だと思ってんだ |
| ゼロス | そんな事より、さっさと行こうぜ。城ん中に |
| ミクリオ | それなんだが…ひょっとしてこの門…異空間にでも繋がっているのか? |
| ヴェイグ | …暗くてよく見えないが、確かに異様な雰囲気が漂っている |
| エリーゼ | お城の中じゃないんですか…?少し怖い気もしますが… |
| スタン | それでも、ここまで来て進まないって選択はない。そうだろ?みんな |
| ゼロス | ああ、勿論だぜ |
| スレイ | よし、じゃあみんなで飛び込もう、一斉に |
| スレイ | ここまでだって力を合わせて乗り切ってきたしこの先もきっと大丈夫だ |
| エリーゼ | はい、そうですね…! |
| ルドガー | じゃあ、行くとするか |
| スタン | おう!せーのっ! |
| scene1 | 揺蕩う結晶 |
| スレイ | ──この空間は一体… |
| スレイ | まさか城の中がこんな事になってたなんて… |
| スタン | ああ…。何か、信じられないっていうか… |
| ヴェイグ | …どうやら本当に異空間という事らしいな。これも天帝の力、なのか…? |
| エリーゼ | …星のようにキラキラと宙を漂っているのは全て結晶の欠片でしょうか…? |
| ティア | そのようね。まるで星の大海だわ… |
| ヴェイグ | オレ達のいるこの場も結晶で出来ているようだな |
| ゼロス | なるほどな。異空間に浮遊する結晶の島ってワケか… |
| ミクリオ | そう呼ぶには相応しくない不純物が多く含まれているようだけどね |
| スレイ | これは…建物の残骸か何かか…? |
| ミクリオ | そのようだね。まるで廃墟か何かが晶化したようだ |
| ルドガー | それより、ここと同じような島が他にもあるようだな |
| スタン | 本当だ…。空間の奥に点々と見える |
| スレイ | このどこかに天帝とヴァンがいるのかな? |
| ゼロス | …ああ、そいつは間違いなさそうだぜ。見てみろよ、あれ |
| ゼロス | 向こうの方に、一際大きな光があんだろ |
| スレイ | …!あれってもしかして… |
| ルドガー | 天晶石で見たっていう光の渦…なのか? |
| ゼロス | ああ、間違いねぇ。天帝がいるとしたら、多分あそこだろ |
| ティア | だとしたら、兄さんもきっと… |
| スタン | よーし、目指すべき場所はこれでハッキリした。早速行こう、あの光の渦に |
| ルドガー | 空間内の至るところでここと同じような結晶の島が点在しているのを見た |
| ルドガー | それを頼りに進めば多分光の渦の方に行けると思う |
| ルドガー | …問題はそれが、光の渦までちゃんと繋がってるかって事だけど |
| スレイ | わからないけどそれしか方法がないなら先へ進んで確かめるしかない |
| ヴェイグ | …ああ |
| ティア | ひとまず、近くの結晶の島へ通じる道を探しましょう |
| ミクリオ | …その前に一つ話しておきたい |
| ミクリオ | 光の渦を目指すとして、この特殊な空間について僕らは何の情報も持っていない |
| ミクリオ | 常識の通じない空間だし僕らの想像を超える弊害だって十分に起こり得るだろう |
| ミクリオ | ここから先はより慎重になって進むべきだ |
| ティア | そうね。一人一人が気を引き締めてかからないと |
| ティア | 最悪、私達がバラバラになる事だってあるかもしれないし── |
| エリーゼ | …!もしそうなったら、わたし… |
| スレイ | …そうなった時は、あの光の渦を目指せばいい |
| スレイ | オレ達の目的地はあそこだろ?そこに行けば、必ずみんなと再会出来る |
| エリーゼ | スレイ… |
| スレイ | 大丈夫だよ、エリーゼ。まだそうなると決まったわけでもないし |
| スレイ | 他のみんなも、それでいいよな? |
| ティア | ええ、異論はないわ |
| ヴェイグ | ここの規模もわからない以上、闇雲に行方を捜すよりはよほどわかりやすい |
| ティポ | 決まりだねー! |
| ゼロス | ま、でもはぐれないのが一番だけどな |
| スタン | それじゃ、早いところ動き出そう |
| スタン | まずは、ここから他の結晶の島に通じる道を探す、だよな? |
| ルドガー | ああ。とは言ってもこの島もそれなりに広い。手分けして当たろう |
| ティア | ええ、そうね |
| ヴェイグ | ──この辺りは断崖絶壁だな。向こう側に島は見えるが、そこへ続く道はなさそうだ |
| スレイ | にしても、改めて見るとすごい空間だな…。こんなの初めて見たよ |
| スレイ | 天帝は、何の意図があってこんな空間を作ったんだろう… |
| ルドガー | それはわからないけど、きっと何か意味や理由があると── |
| ヴェイグ | …! |
| ルドガー | ヴェイグ?どうかしたのか? |
| ヴェイグ | この結晶を見ろ。他の瓦礫に比べ、原型を留めている |
| ルドガー | これは…何かの遺跡かな? |
| スレイ | 多分そうだと思う。あれ…でもこの意匠って、どこかで見たような…… |
| スレイ | …!これって、まさかピュール遺跡の…… |
| ルドガー | それって確か、ライラと初めて会ったっていう… |
| ヴェイグ | スレイ…、ならあれもピュール遺跡の物か? |
| スレイ | …!そんな… |
| | |
| スレイ | これは、導師の壁画だ…! |
| ヴェイグ | …何故そんな物がここに? |
| スレイ | わからない…。けど、間違いない。これもピュール遺跡にあった物だ… |
| ルドガー | かなり古いものなんだな。随分と崩れてる… |
| スレイ | いや、実物はこんなんじゃなかった |
| スレイ | 状態はよかったし、目立った傷だって何も── |
| | |
| ミクリオ | ──スレイ!こっちに道を見つけた、来てくれ! |
| スレイ | …!ああ、わかった |
| ルドガー | …壁画の事も気がかりだけど今は先へ進んだ方がよさそうだな |
| スレイ | うん… |
| scene2 | 揺蕩う結晶 |
| ルドガー | ──ミクリオ、“道”を見つけたって言ってたけど… |
| ルドガー | まさかあの、小さい結晶の浮島の事を言ってるのか…? |
| ミクリオ | ああ、そうだ |
| ゼロス | おいおい…。慎重に、とかさっき言ったヤツどこのどいつだよ… |
| エリーゼ | この浮島を飛び越えてあの島まで渡るって事ですよね…?無茶です… |
| ティポ | こんなの落っこちたら死んじゃうよー! |
| ミクリオ | …仕方ないだろう。僕だって出来れば勧めたくはないがここくらいしか進める道はない |
| ティア | そうね…。いろいろと見て回ったけれど他に目ぼしいところはないわ |
| スタン | なら、渡るしかないな。ちょっと危険だけど、選んでられないし… |
| エリーゼ | …… |
| ヴェイグ | …大丈夫だ、エリーゼ。お前が跳ぶ時はオレが支える |
| スレイ | うん、オレも。危なかったらちゃんと助けるから安心して、エリーゼ |
| エリーゼ | …はい |
| ゼロス | んじゃまあ、行くか… |
| スタン | おう! |
| ヴェイグ | ──はっ! |
| | ヒュッ |
| | スタッ |
| スタン | よし、ヴェイグも到着…と。あとはエリーゼだけだな |
| ティポ | エリー、頑張ってー!あと1回ジャンプ成功ー! |
| エリーゼ | …… |
| ヴェイグ | …エリーゼ、これが最後だ。跳べるか? |
| エリーゼ | はい…わかってはいるんですが…うう… |
| ヴェイグ | …勇気を出して跳べ。オレが必ず受け止める、さあ |
| ティポ | エリー!ヴェイグ君の腕に向かってジャーンプ! |
| エリーゼ | わかりました…じゃあ… |
| エリーゼ | えいっ |
| | ヒュッ |
| | スタッ |
| エリーゼ | ふぅ… |
| ティポ | やったね、エリー! |
| ヴェイグ | …二人共、大丈夫そうだな |
| エリーゼ | はい…!ありがとうございます |
| ゼロス | さて、エリーゼちゃんも無事にこっち側に来れたワケだし早速探索と行くか |
| スレイ | うん、そうだな。また次の道も探さないと──…! |
| ルドガー | どうかしたのか?スレイ |
| スレイ | …いや、結晶に残骸が含まれてるのはここも一緒なんだなと思って… |
| ヴェイグ | だが、さっきの物とは違う。ピュール遺跡の物ではなさそうだな |
| ミクリオ | ピュール遺跡…? |
| スレイ | そうなんだ。遺跡にあった導師の壁画…、ミクリオも覚えてるだろ? |
| スレイ | 結晶の中にあの壁画があったんだ |
| ミクリオ | 何だってそんな物がここに…? |
| スレイ | わからない…。少し崩れたりはしてたけど、全く同じ物だったと思う |
| ゼロス | じゃあ、ひょっとしてここらの残骸も──… |
| スタン | スレイ、ミクリオ!この旗って…ウィンドルのものじゃないか!? |
| ルドガー | …!見せてくれ、スタン |
| ルドガー | …かなりボロボロになっているがこれはウィンドルの国旗だ。間違いない |
| スレイ | って事は、この周辺にある建物の残骸は… |
| ルドガー | おそらく、バロニアにまつわる物だと思う。これを見てくれ |
| ルドガー | この瓦礫に組み込まれているのはウィンドル騎士団の紋章…。騎士団の拠点はバロニアだ… |
| ヴェイグ | ピュール遺跡にバロニアだと…? |
| スタン | そんな、まさか… |
| ゼロス | …ああ、どっちも晶化しちまったとこだな |
| ミクリオ | これは偶然なのか…?それとも… |
| スレイ | もしかして、この空間で晶化してる残骸って全部地上で晶化した物なのか…? |
| ティア | 関係していても不思議じゃないわ。晶化とこの空間…いずれも天帝の力によるものだもの |
| ルドガー | …… |
| ヴェイグ | もしそうだとしたら、晶化した人もここに……? |
| エリーゼ | … |
| ゼロス | …でもよ、それなら何で「残骸」なんだ…?ここにあるもんは全部崩れてる |
| ゼロス | バロニアは確かに晶化したけど別に戦争や暴動があったわけでもねぇ |
| ゼロス | 国旗がこんなボロ雑巾みたいになったりよ…、瓦礫化しちまってんのは変だろ? |
| ティア | 確かにそうね… |
| ティア | これまでみた晶化でも、結晶の中の物が破損する事はなかったわ |
| スレイ | うーん… |
| ミクリオ | 今考えていてもその答えは出ないだろうね… |
| スタン | 答えは天帝のみぞ知るって事か… |
| ルドガー | …… |
| scene1 | 思い出の残骸 |
| スタン | ──2つ目の島に来て随分と歩いたけど…、ここも結構広いんだな |
| ティア | ええ…。光の渦までもまだ結構あるようね…見える景色が変わらないわ |
| ヴェイグ | …この空間内だと確かに距離が掴みにくいがさっきより前進している事は確かだ |
| エリーゼ | そうですね… |
| ミクリオ | む…?あそこにあるのは何だ |
| | |
| スレイ | これは…赤い結晶…? |
| スタン | こんなの初めて見るけど、これも晶化の結晶なのか…? |
| ミクリオ | いや…地上は勿論、この御座へ来てからも見た事がない |
| ゼロス | 何だか不気味だな… |
| ヴェイグ | ああ…。むやみやたらに近寄らない方が── |
| ルドガー | …!あれは… |
| ゼロス | あ、おい!ルドガー、待てよ! |
| ティア | 何か見つけたのかしら… |
| スレイ | 行ってみよう |
| | |
| ルドガー | …… |
| ルドガー | やっぱり…!何で…どうしてこんな… |
| ヴェイグ | ルドガー、何があった? |
| ティア | これは、民家の一部かしら…。随分と崩れているけれど── |
| エリーゼ | …!ルドガー…もしかして… |
| | |
| ルドガー | ああ…間違いない、俺の家だ |
| スタン | なっ…!見間違いって事はないのか? |
| ルドガー | … |
| | |
| エリーゼ | そんな…… |
| ヴェイグ | …… |
| ルドガー | くっ… |
| ルドガー | エル!兄さん!ここにいるのか!?いるなら返事をしてくれ! |
| スレイ | ルドガー… |
| ミクリオ | …! |
| ヴェイグ | 何だ、この光は…… |
| ゼロス | さっきの赤い結晶だ…! |
| | |
| エリーゼ | え…? |
| ティア | …!これは一体…!? |
| スタン | エリーゼとティアの足下に魔法陣が…! |
| ヴェイグ | くっ…!エリーゼ! |
| ルドガー | ティア、そこから離れろ! |
| ルドガー | …! |
| ヴェイグ | く…っ!? |
| スレイ | ヴェイグ!ルドガー! |
| | |
| | シュン! |
| スタン | お、おい…どういう事だ…? |
| ティア | 二人が消えて… |
| ゼロス | おい、ヴェイグ!ルドガー!! |
| エリーゼ | そんな… |
| スレイ | くっ…! |
| ミクリオ | …!あれは… |
| ティポ | また赤い結晶が光り出したー!? |
| スタン | まずい…!ここにいたら危険だ! |
| スレイ | みんな、ここから離れよう! |
| ティア | こっちよ、急いで! |
| scene2 | 思い出の残骸 |
| エリーゼ | ──はあ…はあ… |
| ゼロス | ここまで来ればひとまず大丈夫だろ… |
| ティア | エリーゼ、大丈夫? |
| エリーゼ | はい、わたしは…。でも… |
| ティポ | うわーん!!ヴェイグ君もルドガー君も消えちゃったよー! |
| スレイ | 二人は一体どこに… |
| ティア | 少なくともこの近くにいない事は確かだと思う… |
| スタン | …!ティア、何か知ってるのか!? |
| ティア | 今の魔法陣…おそらく「転移術」の一種よ |
| スレイ | 転移術…? |
| ミクリオ | つまり二人は、どこか別の場所へ飛ばされたという事か… |
| ゼロス | おいおい、どこに飛ばされたって言うんだよ |
| ティア | そこまでは、私にもわからないわ… |
| ゼロス | くそっ…あの赤い結晶…ヴァンの仕掛けた罠なのか? |
| ミクリオ | その可能性も勿論否定出来ないが…腑に落ちないところもある |
| ミクリオ | 僕達を排除する事が目的なら、もっと致命傷を負わせる術を仕込む事も出来たはずだし… |
| エリーゼ | とにかく、二人を捜さないと… |
| ティア | エリーゼ… |
| スタン | 転移って事は、たどり着いた先がどこであれ二人は無事って事だよな? |
| ティア | おそらく… |
| ティア | けれど、その先に何が待ち受けているのかわからないし、安全とは…… |
| スレイ | …いや、きっと大丈夫だよ |
| スレイ | 転移先でどんな困難が待ち受けていたとしても、あの二人なら必ず乗り越える |
| スレイ | だからオレ達はこのまま光の渦を目指そう。二人を信じて |
| スタン | スレイ… |
| スタン | …そうだよな。あの二人なら絶対に大丈夫だ |
| ゼロス | 何だかんだ言ってあいつら相当タフだしな。そう簡単にくたばりゃしねぇだろ |
| エリーゼ | でも… |
| スレイ | エリーゼ、さっきオレが話した事、覚えてる? |
| エリーゼ | …!バラバラになった時は光の渦を目指す… |
| スレイ | うん |
| スレイ | 二人がもしこの城内にいるとしたらあの光の渦に向かうはず。だろ? |
| ミクリオ | それに…一刻も早く、天帝の目覚めを止めなくてはならない |
| ミクリオ | そのためにも…今は前に進まないと |
| ティア | そうね…。私もそう思うわ |
| エリーゼ | … |
| エリーゼ | そうですね…。みんなの言う通りだと思います |
| エリーゼ | わたし達は天帝とヴァンを止めるために、ここまで来たんですもんね… |
| エリーゼ | …二人の事は心配ですが、再会出来る事を信じて今は前に進むべきだと思います… |
| ティポ | きっとまた会えるよねー! |
| スレイ | よし…じゃあ行こう |
| エリーゼ | はい…! |
| スタン | あそこに見える浮島から別の結晶の島へ行けそうだ |
| ゼロス | なら、早いとこ行くとしようぜ |
| スレイ | ああ…! |
| scene1 | 虚ろに燃える炎 |
| ゼロス | ──よし、ようやく次の島に着いたな |
| スタン | ここもまた、いろんな残骸が結晶に紛れてるな… |
| エリーゼ | あそこに見えるのは風車の羽か何かでしょうか… |
| ティポ | こっちにはデッカイ柱があるー |
| ティア | けれど、いずれも原型は留めていないわね… |
| スレイ | これもやっぱり地上で晶化した物なのかな… |
| スタン | … |
| エリーゼ | ここまでで見つかったのは建物や遺跡の残骸ばかりですけど… |
| エリーゼ | ヴェイグが言ってたようにもしかしたら…晶化した人もどこかに── |
| ミクリオ | …!スレイ、あれを見てくれ |
| | |
| スレイ | あれって、まさか… |
| スタン | 剣が台座に突き刺さってる… |
| ゼロス | スレイ、あの剣がどうかしたのかよ |
| スレイ | …これを見てくれ |
| | |
| エリーゼ | これは…スレイの剣…? |
| ティア | …!あの台座に刺さっている剣と全く同じ物だわ |
| スレイ | あれは…オレが導師になった時に手にした聖剣なんだ |
| スタン | 導師になった時…?って事は、あの残骸も──… |
| ミクリオ | …ああ、ピュール遺跡の一部という事だろう |
| ミクリオ | だが、どういう事だ?何故ここに聖剣がある… |
| スレイ | …オレ達が聖剣を手にしたのは遺跡が晶化する前の話だ |
| スレイ | つまり、ピュール遺跡が晶化した時には聖剣はなかったはずなんだ |
| ティア | なら、この聖剣は偽物という事…? |
| スレイ | おそらく… |
| ゼロス | じゃあ、今まで見た残骸も地上で晶化した物を真似て作った偽物って事かよ…? |
| スタン | 何でそんな事… |
| ミクリオ | いずれにせよ、今の僕達にとって益がある物とは到底思えない |
| ミクリオ | 赤い結晶の事もあるし、無闇に近付くのはやめた方が── |
| | |
| | ボッ! |
| エリーゼ | え…? |
| | ゴオオッ!! |
| | |
| スタン | 何だこれ!?急に炎が… |
| ゼロス | くっ…!すげぇ勢いで広がりやがる! |
| スレイ | これってまさか…! |
| scene2 | 虚ろに燃える炎 |
| スタン | ──くっ!一瞬にして炎に囲まれたぞ! |
| ゼロス | 急に何が起きて… |
| ティア | 急いでここから離れましょう。今ならまだ── |
| スレイ | みんな、身構えるんだ…! |
| エリーゼ | …!何か知ってるんですか…? |
| ミクリオ | ただの炎なら逃れられたかもしれないが、そうはいかないという事だ… |
| スタン | 何だって…!?それって一体── |
| | グルルル… |
| スタン | …!あいつは… |
| ティポ | 何かとんでもないのが出てきたー! |
| エリーゼ | あんな魔物…見た事もありません…! |
| | グオオオーーッ! |
| ミクリオ | やっぱり出てきたな、鳳凰…! |
| ティア | 鳳凰…? |
| スレイ | ああ…、かつてオレ達が導師の試練で挑んだ炎の化身だ |
| スレイ | …まさか、聖剣だけじゃなく鳳凰の試練までそっくりそのまま再現するなんてな… |
| エリーゼ | そんな…… |
| | |
| | グオオオッ! |
| エリーゼ | きゃっ! |
| ゼロス | どうやらすんなり通してはくれなさそうだぜ |
| スレイ | だからって、ここで立ち止まるわけはいかない! |
| ミクリオ | ああ、そうだな |
| | グオオオオッ! |
| スレイ | みんな、行くぞ! |
| scene3 | 虚ろに燃える炎 |
| エリーゼ | ──えいっ! |
| ミクリオ | はあああっ! |
| | ズシャッ |
| | グオオ… |
| ティア | スレイ、今よ! |
| スレイ | わかった! |
| スレイ | これでどうだ!はああああっ!! |
| | ズバッ! |
| | グアアッ! |
| | |
| スレイ | 何とか倒せたか… |
| ゼロス | ふう…これでようやく先へ進めるぜ |
| スタン | …にしても、スレイ達も大変だったな。あんなのが試練だったなんて |
| ティポ | ぼくはもう二度と会いたくないけど── |
| | グオオ… |
| | |
| | グオオオオオオッ!! |
| ティア | …!みんな、気を付けて…!鳳凰が… |
| ティポ | わーっ!? |
| スレイ | ティポが捕まったぞ…! |
| エリーゼ | 駄目です!ティポを返してください…! |
| スタン | エリーゼ!危ない、近付いちゃ── |
| | グオオオッ! |
| スタン | …うぐっ! |
| ゼロス | スタン! |
| ゼロス | くそっ…!この── |
| | グオオオッ! |
| ゼロス | うわっ…! |
| スレイ | ゼロス!! |
| ミクリオ | まさか、まだ息があったなんて…! |
| スレイ | くっ…! |
| スタン | う… |
| ゼロス | ちくしょ…つっ… |
| エリーゼ | スタン、ゼロス…!そんな… |
| ティポ | 死なないでー |
| ミクリオ | …あの二人、傷を負ったようだ。エリーゼが看ているが…多分すぐには動けないだろう… |
| ミクリオ | この状況、どうすべきか… |
| ティア | 鳳凰をこちら側に引き付けて、私達だけで何とかする、それしか方法は── |
| スレイ | … |
| スレイ | ティア、君はみんなを頼む。鳳凰はオレとミクリオで何とかする |
| ティア | あなた達二人で…?けれど、一体どうやって… |
| ミクリオ | スレイ、まさか… |
| スレイ | ああ…。力を貸してくれ、ミクリオ |
| ティア | 駄目よ、スレイ!神依の力は決戦の切り札…今その力を使うのは── |
| スレイ | 勿論、その時もやるさ |
| スレイ | 天帝の目覚めやヴァンを止めて、この世界を救う…それは何があってもやり遂げる |
| スレイ | そのためにも、今目の前にいる鳳凰を倒してみんなを助けないと…! |
| スレイ | 神依は特別な力かもしれないけどそれだけじゃ駄目なんだ |
| スレイ | 世界を救うにはみんなの力が必要不可欠だ! |
| ミクリオ | スレイ… |
| ティア | …わかったわ。なら、ここはお願い |
| スレイ | うん!じゃあ、ミクリオ! |
| ミクリオ | ああ、わかった! |
| スレイ・ミクリオ | ルズローシヴ──… |
| ??? | ──ちょっと待ったー!その必要はねぇ!! |
| スレイ | …!あれは… |
| | |
| ゼロス | せやあっ! |
| | ザシュッ! |
| | グオオッ! |
| ゼロス | スタン!今だ、叩き込め! |
| スタン | わかってる…!はああっ! |
| | ザシュッ! |
| | グアアア…ア… |
| エリーゼ | これで最後です…!行きますよ、ティポ! |
| ティポ | おっけー、エリー! |
| エリーゼ | せーのっ!えいっ! |
| | ズシャーーーーーッ!! |
| | グ…ア…… |
| | |
| スタン | はあ…はあ…何とか間に合ったか… |
| ティポ | 炎もすっかり消えちゃったー! |
| ゼロス | 助かったぜ、エリーゼちゃん。応急処置ありがとな |
| エリーゼ | いえ…二人共…よかったです |
| スレイ | ──みんな…!よかった、無事だったんだな… |
| スタン | …何とか、エリーゼのお蔭でな |
| ゼロス | …それより、お前らが神依化しちまう前にどうにか出来てよかったぜ… |
| ティア | あれは、あなた達を救って先へ進むためのやむを得ない判断だった… |
| ティア | そんな言い方は… |
| スタン | あ…いや、ごめん。別に責めたいわけじゃないんだ |
| エリーゼ | …スレイ達の話してる事、聞こえてたんです |
| エリーゼ | 世界を救うには仲間がいないと駄目だって… |
| エリーゼ | だから知ってます。どんな想いで神依化しようとしたか… |
| スタン | ほら、神依を温存するって話の時にスレイ、言ってただろ?俺達に力を貸してほしいって |
| スタン | …本当ならその切り札こそ俺達が守らないといけないのに |
| スタン | 俺達のためにそれを使わなくちゃならないって何か、情けないって言うかさ… |
| スタン | だから、俺達としては何としてでも神依化しちゃう前にどうにかしたかったって事 |
| スタン | …だよな、ゼロス? |
| ゼロス | ま、後で俺さま達のせいで本領発揮出来ない~とか言われてもシャクだし? |
| スレイ | みんな… |
| ティア | どうやら、互いに互いを想い合っていたという事のようね |
| ミクリオ | そのようだね。でも、結果としてよかったよ。切り札は守れたわけだから |
| スレイ | …うん、そうだな。ありがとう、みんな |
| ゼロス | …何だよ、改まって。スタンのアツさに当てられてんじゃねーのか? |
| スレイ | はは…、そうかもしれないな |
| スタン | えー!?何で俺… |
| ティア | 気にする事ないわ、褒め言葉よ |
| スタン | そう…なのか? |
| ゼロス | そうそう。そんな事より、とっとと先へ進もうぜ |
| スレイ | うん、そうだな。急がないとヴェイグやルドガーを待たせる事になっちゃうかも |
| エリーゼ | そうですね…!では、行きましょう |
| ティポ | レッツゴー! |
| scene1 | 切り結ぶ双剣 |
| ルドガー | …… |
| ルドガー | う…くっ… |
| ルドガー | ここは、一体…? |
| ??? | ──目が覚めたか… |
| ルドガー | …!その声は… |
| ヴェイグ | … |
| ルドガー | ヴェイグ…! |
| | |
| ルドガー | 他のみんなはどこに…?それに、赤い結晶や俺の家も── |
| ヴェイグ | …お前が目覚める前に周辺を見て回ったが、ここにはオレ達以外は誰もいない |
| ヴェイグ | 見覚えのある物も何一つなかった |
| ヴェイグ | …どうやらオレ達はどこか別の島へ飛ばされてしまったという事らしい |
| ルドガー | 別の島に…?そうか、あの時確か魔法陣が出現して俺とヴェイグが… |
| ルドガー | 俺達だけって事は、ティアとエリーゼは助かったのかな? |
| ヴェイグ | …そうだと信じたい |
| ヴェイグ | とにかく、ここにいても仕方ない。道を探そう |
| ルドガー | 道と言っても…元いた島はどこだ? |
| ヴェイグ | わからない。見渡す限りどこも同じ景色だからな |
| ヴェイグ | だが、望みはないわけじゃない。あれを見ろ |
| ルドガー | あれは、光の渦──……!そうか… |
| ルドガー | そう言えば、御座に入ってすぐの頃スレイが話してたな |
| ルドガー | バラバラになるような事があれば、光の渦を目指そうって |
| ヴェイグ | スレイ達もおそらくあそこへ向かっているだろう。いずれ合流出来るはずだ |
| ヴェイグ | それに…例え合流出来なかったとしても、オレ達が目指すべき場所があの光の渦である事は変わらない |
| ルドガー | …ああ、そうだな |
| ルドガー | 天帝の目覚めを止めて、元の世界を取り戻す……必ず… |
| ルドガー | とにかく、他の島へ進める道を探そう |
| ヴェイグ | … |
| ルドガー | ──この辺りは何もないな。相変わらず残骸があちこちにあるが、目ぼしい物もないし…… |
| ヴェイグ | …ルドガー |
| ルドガー | どうかしたのか、ヴェイグ |
| ヴェイグ | 無理はするな… |
| ルドガー | …! |
| ルドガー | …はは、やっぱり俺あの時すごくうろたえてたよな |
| ルドガー | 心配ありがとう、ヴェイグ。…俺は大丈夫だよ |
| ルドガー | 家の残骸を見つけた時は、さすがに動揺したし、もしかしたら…って思ったけど… |
| ルドガー | エルや兄さんの姿はなかった。だからきっと二人も無事なはずだ |
| ヴェイグ | ルドガー… |
| ルドガー | あ、いや…クレアの事があるのに、何かその…ごめん |
| ヴェイグ | …無事を信じる気持ちはわかる。お前が謝る事じゃない |
| ルドガー | そう言ってもらえると助かるよ |
| ルドガー | …それにしても、何なんだろうな、あの残骸… |
| ルドガー | さっきの島で見た俺の家もピュール遺跡やバロニアの物と同じでかなり破損していた… |
| ルドガー | あれは本当に、地上の物なんだろうか… |
| ヴェイグ | 偽物だと? |
| ルドガー | 何の確証もないけどな。…単に俺がそう信じたいってだけなのかもしれないし |
| ヴェイグ | ルドガー…、やっぱりお前は… |
| ルドガー | …いや、二人の無事は信じてるよ。ただ、後悔だけはどうしても消せないんだ |
| ルドガー | 二人の傍にいればよかった、守ってやればよかった、その想いだけはどうしても… |
| ルドガー | はは、情けないな。こんな中途半端な状態、兄さんが見たらきっと怒られるよ |
| ヴェイグ | 守ってやればよかった…か |
| ヴェイグ | …言われてみれば、オレも同じだな |
| ルドガー | クレアの事か… |
| ヴェイグ | ああ。既に決意は固まっている…だが、その想いだけは今も消えない |
| ヴェイグ | 消せるとすれば、あの笑顔を再び見る事がかなうその時だけなんだろう… |
| ヴェイグ | だからこそ、オレは何としてでもクレアを救う |
| ヴェイグ | もう二度と、失わないように… |
| ルドガー | ヴェイグ…… |
| | コツ…コツ… |
| ヴェイグ | …? |
| ルドガー | これは、足音…?もしかして、スレイ達か…!? |
| ヴェイグ | いや、ヴァンという可能性もある |
| ルドガー | 向こうから近付いてくる、念のため警戒して── |
| ルドガー | …!そんな…まさか…… |
| ヴェイグ | …ルドガー?一体どうしたと── |
| | |
| ユリウス | … |
| ルドガー | 兄さん…何でここに……! |
| ヴェイグ | …!お前の兄…なのか…? |
| ルドガー | 答えてくれ、兄さん!何でここにいるんだ…? |
| ルドガー | エルはどうした?どうやってここに──… |
| ユリウス | … |
| ルドガー | どうして何も言ってくれないんだ!?答えてくれ、兄さん… |
| ヴェイグ | もしかして晶化したのか…? |
| ルドガー | ヴェイグ…!そんなはずはない、兄さんが晶化するなんて… |
| ルドガー | …そうだ、兄さんがここにいるわけがない。来られるわけがない |
| ヴェイグ | ルドガー… |
| ルドガー | …お前は兄さんの姿をした偽物だ。天帝やヴァンが仕向けた罠に違いない |
| ユリウス | … |
| | チャキ… |
| ルドガー | …! |
| ルドガー | くっ…! |
| ルドガー | やはり、お前は… |
| ユリウス | … |
| ヴェイグ | …待て、ルドガー。何か様子がおかしい… |
| ルドガー | …そりゃそうさ。だってあれは、偽物なんだから… |
| | |
| ルドガー | だが、そうとわかれば…──容赦はしない! |
| ルドガー | うおおおっ! |
| ユリウス | … |
| ヴェイグ | 待て、ルドガー!! |
| ヴェイグ | その男…攻撃はしてきたが、本気でお前を斬ろうとしているようには見えなかった…きっと何か──… |
| | コツ…コツ… |
| ヴェイグ | …!また足音か…! |
| ヴェイグ | …くっ、今度は一体誰── |
| ヴェイグ | …!お前は…… |
| scene2 | 切り結ぶ双剣 |
| ヴェイグ | ──どうしてお前がここに… |
| ヴェイグ | …答えてくれ、クレア…… |
| クレア | 『ヴェイグ…』 |
| ヴェイグ | 頭の中に声が…!?これは一体… |
| | |
| ヴェイグ | クレア…お前は本当にクレアなのか…? |
| クレア | … |
| ヴェイグ | お前は確かに晶化したはずだ… |
| ヴェイグ | 天帝の力によって、この空間に…?それとも、別の何か、なのか…? |
| クレア | 『久しぶりに会ったのに 怖い顔ね、ヴェイグ』 |
| ヴェイグ | …クレアなのか? |
| クレア | 『ふふ、変な人。 あなたに嘘吐いた事なんて ないでしょ?』 |
| クレア | 『あなたは私を守ってくれた。 今もこうして私を助けようと 一生懸命じゃない』 |
| クレア | 『だから、そんな顔しないで…』 |
| ヴェイグ | お前は…本当に… |
| クレア | 『もうすぐ全ては終わるわ。 そしたら、お願い。 私を迎えに来て』 |
| クレア | 『一緒に帰りましょう、 私達のスールズ村に…』 |
| ヴェイグ | …!クレア…お前はやはり── |
| | |
| ルドガー | せやっ! |
| | ガキンッ! |
| ルドガー | はあ…はあ… |
| ユリウス | … |
| ルドガー | 偽物のくせに…兄さんと同じ姿で、同じ動きを… |
| ルドガー | この…っ!惑わされはしない! |
| ルドガー | 兄さんが晶化したなんて、俺は絶対に認めない…! |
| ルドガー | はああっ── |
| | |
| ヴェイグ | 待て、ルドガー! |
| ルドガー | ヴェイグ!何で── |
| ヴェイグ | …正しく見極めろ。お前の兄が本当にただの偽物なのか… |
| ヴェイグ | …あれを見てくれ |
| | |
| クレア | … |
| ルドガー | …!あれは…クレアか…? |
| ヴェイグ | クレアは晶化した。だが…あそこにいるクレアは紛れもなく本人の意思を持っている |
| ヴェイグ | おそらくはお前の兄もクレアと同じ状態だ… |
| ルドガー | じゃあ… |
| ルドガー | 兄さんも晶化に…… |
| ユリウス | … |
| ユリウス | 『…ルドガー』 |
| ルドガー | …!頭の中に声が…!? |
| ヴェイグ | …クレアの時もそうだった |
| ヴェイグ | きっと、直接お前に語りかけているのだろう |
| ルドガー | じゃあ… |
| ルドガー | 本当に兄さん…なのか…? |
| ユリウス | 『ああ…そうだ』 |
| ルドガー | 兄さんも晶化に巻き込まれてしまったんだな… |
| ユリウス | 『ああ…。 エルも守る事が出来ず、 本当にすまなかった』 |
| ルドガー | 兄さんが謝る事じゃない。俺こそ、傍で守ってやれなくてすまなかった… |
| ルドガー | しかも、兄さんが晶化した事を受け入れられずにあんな… |
| ユリウス | 『…それは構わない。 それだけお前は俺達を信じようと してくれていただけの事…』 |
| ユリウス | 『──だが、結果として見誤った』 |
| ユリウス | 『お前はわかっていたはずだ、 この現実を。…だが目を逸らした、 俺達を信じるという理由を付けて』 |
| ユリウス | 『違うか?』 |
| ルドガー | それは… |
| ユリウス | 『お前の想いもわからなくはない…。 だが、そんな生温い意志で、 本当に目的を果たせるのか?』 |
| ルドガー | …確かに俺は、兄さんの言う通り現実を受け入れられなかった |
| ルドガー | 頭のどこかではわかっていたけど…やっぱり認めたくなかったんだと思う |
| ルドガー | …けど、それと覚悟は別だ!目的は必ず果たす、何があっても… |
| ルドガー | 兄さんやエル、それにクレア…。この世界は必ずこの手で救う! |
| | |
| ユリウス | 『…いい覚悟だ。 なら、その覚悟…身をもって示せ』 |
| | |
| ユリウス | 『はあああああっ!』 |
| ルドガー | …! |
| ユリウス | 『本気で来い、ルドガー。 俺すら倒せないようなら、 お前に世界を救う事など出来ない』 |
| ルドガー | …兄さん |
| ルドガー | ──わかった… |
| ルドガー | 全身全霊をもって示すよ。この覚悟が本気だって事を…! |
| ルドガー | はああああああっ! |
| ルドガー | 行くぞ、兄さん! |
| ユリウス | 『…来い、ルドガー!』 |
| scene3 | 切り結ぶ双剣 |
| ルドガー | はあ…はあ… |
| ユリウス | 『はあ…はあ…』 |
| | |
| ヴェイグ | … |
| クレア | … |
| | |
| ユリウス | 『…見事だ、ルドガー』 |
| ユリウス | 『……っ…!』 |
| ルドガー | …! |
| | |
| ルドガー | 兄さん! |
| ユリウス | 『ルドガー、 …お前の覚悟は本物のようだな』 |
| ユリウス | 『今のお前なら、 必ず目的を果たせるだろう』 |
| ルドガー | 兄さん… |
| ルドガー | うん…。必ずやり遂げるよ…そして兄さんを…みんなを救うから |
| ユリウス | 『ふ…』 |
| ヴェイグ | 何だ、この光は…! |
| ルドガー | ──…!兄さんとクレアが…! |
| クレア | 『…ヴェイグ、自分を信じて。 あなたならきっと大丈夫。 見守っているわ』 |
| ユリウス | 『…ルドガー、 お前もその覚悟を忘れるな』 |
| ユリウス | 『俺達の心はお前達と共にある…。 それを忘れず、先へ進むんだ──』 |
| ヴェイグ | …!クレア…! |
| ルドガー | 兄さん──! |
| ヴェイグ | … |
| ヴェイグ | …二人共消えてしまったな |
| ルドガー | …ああ |
| ヴェイグ | …!ルドガー、あれを… |
| ルドガー | あれは…浮島…? |
| ヴェイグ | …ああ。次の結晶の島へ続いているようだ |
| ルドガー | おかしいな。あんな物なかったような…… |
| ルドガー | …!ひょっとして… |
| ヴェイグ | …ああ、あの二人はオレ達を救うために、ここへ来てくれたのかもしれないな |
| ルドガー | ……そうだな |
| ルドガー | …ありがとう、兄さん |
| ルドガー | よし、ヴェイグ。あの道を進もう、みんなと再び会うために |
| ルドガー | そして── |
| ヴェイグ | オレ達の目的を果たすために、な |
| scene1 | 友を想えば |
| スレイ | ──光の渦がかなり大きく見えるようになってきたな |
| ミクリオ | それだけ近付いてるって事さ。ここまでくればあと少しだ |
| エリーゼ | …ヴェイグとルドガーの姿はまだ見えませんね… |
| スタン | この広さだしな… |
| スタン | この空間内にいたとしてもすぐに合流、とはいかないだろうな |
| エリーゼ | …… |
| ティア | きっとその内会える、それを信じて今は先へ進みましょう |
| エリーゼ | そうですね… |
| ゼロス | …ったく、あいつらも罪なヤツだぜ。こんな可愛いエリーゼちゃんを不安でいっぱいにさせるなんて── |
| | ズズ… |
| ティア | …?何の音? |
| | |
| | ゴゴゴゴゴ…! |
| スタン | なっ…!島が揺れてる…! |
| ミクリオ | 大きいな…。気を付けろ、きっと何か… |
| | ビシッ! |
| ゼロス | くそっ、足下にヒビが…! |
| ティア | ゼロス、大丈夫!? |
| | ビシビシビシッ! |
| | ガラガラ…! |
| ティポ | 地面が崩れちゃったよー |
| ゼロス | あっぶねー…危うく一緒に落っこっちまうところだったぜ… |
| ミクリオ | 気を抜くのはまだ早い。あれを見てくれ… |
| スレイ | …!周囲の島がどんどん崩れ始めてる… |
| ゼロス | 揺れてんのはこの島だけじゃねぇって事かよ!? |
| ミクリオ | この空間全体で何か異変が起きているようだ…! |
| スタン | そんな…!一体何が… |
| ティア | 天帝が目覚めかけているのかも…。光の渦が今までにないほどの強い光を帯び始めている… |
| エリーゼ | 本当です…!さっきまで普通だったのに… |
| | ビシッ! |
| | ガラガラ… |
| ゼロス | ちっ…また足下が崩れ始めた… |
| | ズゴゴゴ…! |
| スタン | しかもこの揺れ…さっきより大きいぞ |
| スレイ | あれこれ考えるのは後だ、とにかくここを離れよう…! |
| ティア | 向こう側へ行きましょう…!ここよりは崩落が少ないわ |
| ゼロス | …ああ、わかった! |
| スレイ | ──みんな、あと少しだ!大きな壁の残骸…あの辺りまで止まらずに走ろう! |
| スタン | ああ、わかった…! |
| | ゴゴゴゴゴ…! |
| エリーゼ | きゃっ…! |
| スレイ | エリーゼ! |
| スタン | 大丈夫か!? |
| エリーゼ | はい、何とか… |
| | ビシッ! |
| | ガラガラガラ! |
| ティア | まずいわね…こっちにまで崩落が──… |
| | ビシッ! |
| エリーゼ | …! |
| エリーゼ | スレイ、危ないっ!──ティポ! |
| ティポ | まかせて、エリー! |
| ティポ | えーい!! |
| | ドンッ! |
| | |
| スレイ | うわっ!? |
| ティア | スレイ!エリーゼ! |
| | ガラガラガラッ…!! |
| | ズズズ… |
| | |
| ミクリオ | これは…! |
| ゼロス | 島が…完全に分断されちまった… |
| スレイ | くっ…!何で… |
| ゼロス | エリーゼちゃん!俺さまが受け止めてやる。思い切って跳べ! |
| ミクリオ | 無茶を言うな。エリーゼ一人で跳び越えられる距離じゃない |
| ミクリオ | それに…その距離はどんどん広がって… |
| エリーゼ | …みんな、先に行ってください |
| エリーゼ | わたしなら大丈夫ですから… |
| スレイ | そんな事出来るわけないだろ…! |
| スレイ | オレがそっちに行く、エリーゼはそこで待ってて── |
| エリーゼ | 駄目です! |
| エリーゼ | 今、スレイがこっちに来たらきっともう戻れません… |
| エリーゼ | いいから、行ってください |
| スレイ | けど… |
| エリーゼ | ヴェイグやミラ…これまでわたしはたくさんの人達に助けてもらいました… |
| エリーゼ | だから今度は、わたしが…… |
| | ズゴゴゴゴゴ… |
| | |
| スタン | …!エリーゼ! |
| ゼロス | くそっ…!エリーゼちゃんがどんどん離れて… |
| スレイ | エリーゼ…エリーゼ!! |
| | |
| ティポ | エリー… |
| エリーゼ | これでよかったんです…これで… |
| エリーゼ | けど…ミラやヴェイグのように強くあるのは難しいですね… |
| エリーゼ | やっぱり少しだけ…怖いです… |
| ??? | …一人で抱え込むなと、言ったはずだ |
| エリーゼ | …!その声は、まさか──… |
| scene2 | 友を想えば |
| エリーゼ | ──その声は、まさか… |
| ティポ | もしかしてー! |
| | |
| ヴェイグ | …ああ、待たせてしまったな |
| エリーゼ | ヴェイグ…!!無事で本当によかった… |
| ティポ | って事は、ひょっとしてー! |
| ルドガー | ああ。俺もいるよ、ティポ |
| エリーゼ | ルドガー! |
| ヴェイグ | 二人共、心配かけた──…むぐっ |
| ルドガー | こ、こら…ティポ!駄目だろ、ヴェイグの顔に飛びついちゃ… |
| ティポ | だって、だってー! |
| | ゴゴゴゴ… |
| エリーゼ | …! |
| ヴェイグ | …とにかく急いでみんなのいる島へ渡ろう |
| エリーゼ | ですが…あの距離はさすがに… |
| ルドガー | 大丈夫だよ、エリーゼ |
| ルドガー | はあああああっ! |
| エリーゼ | …!ルドガー、その姿… |
| ルドガー | この状態なら、エリーゼを抱えたままでも跳べる。さあ、こっちに |
| エリーゼ | けど、ヴェイグは… |
| ヴェイグ | オレは心配ない。…一人なら何とかなる |
| ルドガー | ティポ、お前も一緒に |
| ティポ | ありがとー |
| ルドガー | よし、じゃあ行くぞ |
| ヴェイグ | …ああ |
| ルドガー | せーの! |
| ルドガー | それっ! |
| ヴェイグ | はっ! |
| スレイ | ──とにかく、オレがエリーゼのところに行く |
| スレイ | みんなはこのまま光の渦を目指して、先に── |
| ??? | …その必要はありません |
| スレイ | …! |
| エリーゼ | みんな… |
| ティア | エリーゼ!それにルドガーとヴェイグも! |
| ティポ | ぼくだっているけどねー! |
| ルドガー | ちょっと、久しぶりだね |
| ヴェイグ | …全員揃っているな |
| スタン | 二人共無事だったんだな。よかった…! |
| ティア | しかも、エリーゼまで一緒に戻ってくるなんて… |
| ヴェイグ | …心配をかけてすまなかった |
| ルドガー | 無事みんなと再会出来て、本当によかったよ |
| エリーゼ | スレイの言った通りですね…。またヴェイグとルドガーに会えました |
| スレイ | うん、そうだね |
| スレイ | それとエリーゼ、さっきは助けてくれてありがとう |
| スレイ | エリーゼが助けてくれなきゃ今頃オレは、この奈落の底だ |
| エリーゼ | …よかったです |
| ゼロス | とにかく、全員無事で何よりだ |
| スタン | 光の渦までもう少しだ。あと一息、乗り切ろう! |
| ティポ | おー! |
| scene1 | 迫る覚醒の時 |
| スレイ | ──ようやく揺れも収まって来たな |
| スタン | 天帝の目覚め…ひとまずは落ち着いたと考えていいのかな…? |
| エリーゼ | どうでしょうか…。光の渦の輝きが強いままなのが少し気になります… |
| ゼロス | 嵐の前の静けさってヤツなのかもな |
| ミクリオ | とにかく、残された時間が僅かな事は確かだ。急いで次の島への道を探そう |
| スレイ | …そういえば、ルドガーとヴェイグが転移した先ってどんなところだったんだ? |
| ルドガー | 転移…? |
| ティア | あの赤い結晶の事よ。魔法陣やあの状況から転移だろうと予想していたの |
| ティア | …あの時は助かったわ。本当ならルドガー、あなたじゃなく私が飲み込まれるはずだった… |
| ルドガー | …いや、全然構わないよ。寧ろ、行けてよかったと思ってる。そうだよな、ヴェイグ? |
| ヴェイグ | …ああ |
| エリーゼ | 行けてよかった…? |
| ティポ | それってどういう事ー? |
| エリーゼ | ──信じられません。まさか、ユリウスとクレアが… |
| ヴェイグ | …理屈はわからないが、この空間は地上で晶化した物や人を再現しているという事だろう |
| スタン | でも…腑に落ちないのはオレ達が見た聖剣、だよな… |
| ミクリオ | …ああ。聖剣があの場に存在していた時点で、現実の物とは状況が乖離している |
| ティア | それは、酷く破損した他の残骸にも言える事だわ… |
| ティア | ……もしかしたら、この空間には何か大きな秘密が隠されているのかもしれない |
| ゼロス | …なるほどな |
| ゼロス | …ここのもんは晶化した物を真似て作った偽物だと思ってたけど一概にそうでもねぇって事か… |
| ルドガー | 難しいな。幻影とでも言うべきか…実物じゃないという意味では、兄さん達も“偽物”と言える |
| ルドガー | …ただ、これだけは断言出来る |
| ルドガー | 兄さんとクレア…二人の意思は、紛れもなく本人の物だったって |
| スレイ | …うん。二人の話を聞いて、オレもそう感じたよ |
| スレイ | ユリウスさんもクレアさんも…きっと、二人に伝えるべき強い想いを持ってたんだろう |
| スレイ | …人は想いを伝えられる |
| スレイ | それを知った時、わかり合う事だって出来るんだ |
| ミクリオ | ……ああ、そうだな |
| スタン | にしても、本当に何者なんだろうな、天帝って… |
| スタン | 城に着けば何かわかるかもって思ってたけど…結局何もわからずじまいだ |
| ゼロス | わかってる事と言や、ただの人間じゃねぇって事くらいか。後は…謎が深まるばかりだぜ |
| ゼロス | …さてと、次の島への道探し、再開といくか |
| ティア | ええ、そうしましょう |
| scene2 | 迫る覚醒の時 |
| ゼロス | ──浮島を見つけたぞ。こっからあの島に行けそうだ |
| ヴェイグ | 光の渦との距離からして、おそらくあの島が終着点だな |
| ルドガー | よし、じゃあ早速行こう。俺が先導する |
| ルドガー | みんなも後に続いて──…ん? |
| スレイ | … |
| ミクリオ | …スレイ、どうかしたのか? |
| エリーゼ | 光の渦を見てたんですね |
| スレイ | うん… |
| スレイ | あそこにいるんだよな、天帝とヴァンが… |
| ヴェイグ | ああ… |
| スレイ | …ヴァンの言う世界の浄化ってさ、本当に世界を晶化させるだけ、なのかな? |
| スタン | どういう事だ? |
| スレイ | この世界を晶化で覆い尽くし世界を浄化させる、それが目的だとヴァンは言ってた… |
| スレイ | けど、オレ達がこの空間内で見た建物の残骸や晶化した人達… |
| スレイ | これらは何か、ヴァンの目的とは別の意図があるような気がしてさ |
| スレイ | 何て言うか…繋がらないんだ |
| スレイ | 共謀しているはずの二人…、世界を無に帰そうとするヴァンと偽物を作り出す天帝の力が…… |
| スレイ | …それで思ったんだ。世界を晶化させる事は目的じゃなく、ただの通過点なんじゃないかって |
| スタン | それってつまり…世界が晶化した先に、ヴァンの本当の目的があるって事か…? |
| スレイ | うん… |
| ティア | …そういえば兄さんが言ってたわ。この世界を捨てる事こそが救世…それが浄化なのだと |
| ティア | スレイの言う通りだとしたら、その「救世」が意味するものこそが兄さんの真の目的なのかもしれない… |
| ゼロス | でもよ…その救世って何なんだ? |
| ミクリオ | 何かはわからないけど、天帝の力によるものである事はおそらく間違いないだろう |
| ミクリオ | …あの時の僕らは、天帝がこれほどの力を持つ存在だとは認識していなかった |
| ミクリオ | だからこそ、その「救世」という言葉の意味を深く捉えていなかったが── |
| ミクリオ | 天帝の力を知った今なら、その解釈も頷ける |
| ヴェイグ | …晶化の先に、ヴァンが望んでいるもの…か |
| エリーゼ | … |
| ティア | …兄さん、あなたは一体…… |
| スレイ | …ティア。その答えもじきにわかるよ |
| ティア | ええ、そうね… |
| ルドガー | …よし、そろそろ行くとしよう |
| scene1 | 三つの虚像 |
| スタン | ──ここが終着点か |
| ゼロス | 何か、いかにもって感じだな…。他の島とまるで雰囲気が違う |
| ミクリオ | 建物もほとんど原型を留めているし、まるでどこかの神殿や遺跡にでも来たような気分だ… |
| ティポ | うんー、ヘンなカンジー |
| エリーゼ | …!見てください、あそこに階段があります |
| ルドガー | 随分と長い階段だが、その先に見える光は… |
| ヴェイグ | …ああ、例の光の渦に続いてるんだろう |
| スレイ | 遂にここまで来たんだな |
| スタン | ああ、一時はどうなる事かと思ったけど全員で無事にたどり着けてよかった |
| ティア | そうね…。けれど、ここからが正念場よ |
| ティア | 相手は兄さんと、得体の知れない力を持つ天帝──… |
| ティア | きっとこれまでにはないほど厳しい戦いになるわ |
| スレイ | …うん、覚悟は出来てるよ。な、ミクリオ? |
| ミクリオ | ああ |
| スタン | ヴァンの思うようにはさせない…! |
| ゼロス | 天帝の野郎もな。何者か知らねぇが目覚める前にぶっ倒してやる |
| ティア | 気合は十分ね。なら、行きましょう。天帝とヴァンの元に── |
| | |
| ??? | 『──そうはさせないよ』 |
| | |
| スタン | …!今のは一体…!? |
| ミクリオ | 頭の中で声が…! |
| ヴェイグ | これは…クレアの時と同じだ |
| スレイ | 何…!?じゃあ、もしかして… |
| | コツ…コツ…コツ… |
| ティア | 上よ、階段から誰か降りてくる…! |
| ルドガー | 誰だ!姿を見せろ! |
| ??? | 『うふふ…久しぶりね。 まさかこんな形で再会するなんて やっぱり運命かしら♡なーんてね』 |
| | ザッ… |
| ミクリオ | …! |
| ゼロス | まさか、お前ら…… |
| scene2 | 三つの虚像 |
| ティア | ──どうしてあなた達が… |
| | |
| アリス | … |
| デクス | … |
| シンク | … |
| ヴェイグ | アリスにデクス…!? |
| ゼロス | それに、シンクの野郎まで…!何でお前達がここにいるんだよ!? |
| ルドガー | こいつらも兄さんやクレアと同じって事さ…! |
| スタン | それって…地上で晶化したって事か…!? |
| ミクリオ | …確か、アリスとデクスの身柄はア・ジュールが拘束していたはずだ。だとしたら…… |
| スレイ | …!まさか…ア・ジュールも晶化に…? |
| スタン | そんな…ガイアスさんやジェイドさんも… |
| ルドガー | くっ…! |
| シンク | 『相変わらず騒々しいね、アンタ達。 …けど、それもここまでだ』 |
| アリス | 『ここから先は ぜーったいに通さないんだから』 |
| ゼロス | ちっ、お前らと遊んでる暇はねぇっての!どきやがれ |
| シンク | 『…言ったはずだよ、通さないって』 |
| ゼロス | おいおい、晶化してまでまだヴァンに従うってのかよ? |
| シンク | 『ふん、勘違いしないでほしいね。 誰も好き好んでヴァンに 付き従っているわけじゃない』 |
| シンク | 『もうすぐ迎える この世界の終わり……、 ボクはただ、それを見たいだけさ』 |
| シンク | 『はっ!』 |
| | シャッ! |
| | ガキーンッ! |
| ゼロス | ちっ…! |
| アリス | 『アハハ♪ シンクってば相変わらず 血の気が多いんだからぁ』 |
| アリス | 『ま、アリスちゃん、 …そういう人嫌いじゃないケド♪』 |
| デクス | 『くっ…おい、シンクてめぇ! オレのアリスちゃんの前で、 かっこつけやがって!』 |
| ヴェイグ | …おい、アリス、デクス。ふざけるのは大概にして、今すぐそこを退け |
| アリス | 『バカね、ヴェイグちゃんったら。 そんな事、聞かなくたって 答えはわかってるク・セ・に♪』 |
| アリス | 『…デクス、行きなさい! 邪魔されて捕まった時の お返しよ』 |
| デクス | 『アリスちゃんのお望みとあらば! …覚悟しろよ、お前ら?』 |
| | チャキ…! |
| スレイ | … |
| ティア | 厄介ね…、強敵揃いよ |
| エリーゼ | どうしますか…? |
| ヴェイグ | …決まっている。やるしかない |
| スタン | ああ、答えは一つだ! |
| スレイ | 例えどんな障害が立ち塞がろうと、オレ達は前に進む |
| スレイ | やろう、みんな! |
| ミクリオ | ああ…! |
| ティア | わかったわ…! |
| scene3 | 三つの虚像 |
| シンク | …… |
| ゼロス | お前の相手すんのもよ…、いい加減飽きて来たぜ |
| ゼロス | これで終わりにすんぞ、…シンク! |
| ゼロス | せやああっ!! |
| | ズバッ! |
| シンク | 『ぐっ…』 |
| | ──ドサッ |
| ゼロス | …ったく、奇妙な縁だな、お前とは。こんなとこでもまた会うとはよ… |
| ヴェイグ | アリス、デクス… |
| ヴェイグ | お前達がオレ達の前に立ち塞がるのであれば、退けるだけだ…何度でも |
| ヴェイグ | エリーゼ!ティポ! |
| エリーゼ | はいっ! |
| ティポ | いっくよー! |
| ヴェイグ | はあああっ! |
| | ズバッ! |
| エリーゼ | やぁっ! |
| | ドーンッ! |
| アリス | 『うっ…』 |
| デクス | 『く、くそっ…』 |
| | |
| スタン | 何だ、この光は…!? |
| ルドガー | …じきにわかるよ |
| | |
| ティア | 三人の姿が…消えてしまったわ |
| エリーゼ | …何だか不思議な感じがしますね。まるで夢だったようで… |
| ヴェイグ | …あいつらも、意思は本人の物のようだったな |
| ゼロス | けどまあ…いくら敵だとは言え、姿を真似た幻影ってのは、あんま気分のいいもんじゃねぇな |
| スタン | まあ、そうだな… |
| ティア | ……とにかく、これで私達の行く手を阻む者はいなくなったわ |
| ティア | 行きましょう、あの階段の先へ |
| スレイ | うん。あの先にある光の渦…きっとそこに天帝とヴァンがいる |
| スレイ | これが本当の、最後の決戦だ |
| ミクリオ | …いよいよだな |
| ティア | 兄さんの…いえ、ヴァンの過った理想にはここで必ず終止符を打つわ… |
| ゼロス | ああ、これ以上あいつらに好き勝手させるワケにはいかねぇからな |
| ヴェイグ | 天帝を倒し、クレアを…晶化に奪われた全ての物を取り返してみせる… |
| ルドガー | 必ずやり遂げてみせるさ |
| ティポ | ぼくもがんばっちゃうもんねー |
| エリーゼ | みんな一緒なら大丈夫です…!絶対に負けません |
| スタン | 俺達の世界は、俺達が救う! |
| スレイ | これで全ての決着がつく…いや、つけるんだ |
| スレイ | …みんな、天帝の目覚めを止めてこの世界を必ず救おう。オレ達全員の力で! |
| 全員 | おおっ! |
| ルドガー | よし、じゃあ先へ進もう |
| | |
| スレイ | …ミクリオ |
| スレイ | どうしたんだ、行かないのか? |
| ミクリオ | さっきのみんなへの言葉… |
| スレイ | ああ、決戦の前だし気合を…と思ったんだけど…変、だったかな? |
| ミクリオ | いや、悪くなかったと思う。ただ、スレイ… |
| | |
| ミクリオ | 君は変わったな |
| スレイ | オレが? |
| ミクリオ | 昔の君なら、こういう時、他人を巻き込んでしまったと考えていた |
| ミクリオ | 一緒に戦おう、なんて絶対に言わなかったと思う |
| スレイ | そうかな… |
| ミクリオ | 一人で抱え込むの、大好きだったろ |
| スレイ | …うっ |
| スレイ | …でも、ミクリオの言う通りかもしれないな |
| スレイ | 導師になって、みんなと旅をして…その中で神依の事もあったりさ |
| スレイ | 少しわかるようになった気がするんだ |
| スレイ | みんなの背負ってるものや、抱え込んでる想いが… |
| スレイ | そういう想いを知ったら、オレ一人で戦うのは何か違うなって思ったんだ |
| ミクリオ | …うん、そうだな |
| ミクリオ | 何にしても、いい変化だよ。君も成長するって事だな |
| スレイ | ははっ、よかった。じゃあこれでミクリオも安心してオレに付いて来られるな! |
| ミクリオ | はぁ、君は…。たまに褒めるとすぐこれだ… |
| ミクリオ | 僕は君に付いていく気なんてこれぽっちもない |
| ミクリオ | 君の隣、ここが僕の居場所だ |
| スレイ | ミクリオ… |
| スレイ | うん、そうだった |
| スレイ | 行こう、ミクリオ。一緒に世界を救うんだ |
| ミクリオ | ああ、君は僕がいないと駄目だろうしな |
| スレイ | そっちこそ! |
| scene1 | 夢と理想の果て |
| スレイ | ここに天帝が… |
| ミクリオ | 待て、スレイ…! |
| スレイ | …!! |
| | |
| ヴァン | …よもや、ここまで至るとはな。その執念、賞賛に値する |
| スレイ | …! |
| ティア | …兄さん |
| ミクリオ | スレイ…ヴァンの後ろにあるもの… |
| | |
| スレイ | 巨大な晶化の…結晶…花のように見えるけど… |
| スタン | …結晶の花…?ここに、天帝が…!? |
| ヴァン | そう、これこそが天帝… |
| ヴェイグ | これが…晶化現象の元凶…! |
| ゼロス | そいつを目覚めさせてたまるかよ…! |
| ヴァン | 無駄だ。天帝はじき目覚める |
| ヴァン | 世界の全ては晶化に包まれ、そして浄化が果たされる… |
| スレイ | …ヴァン、答えてくれ |
| ヴァン | … |
| | |
| スレイ | この天帝の御座の中に入ってここまで到達するまでの間… |
| スレイ | いくつもの不完全な形の建物を見かけた |
| スレイ | それは、この地上で晶化したはずのもの達だった… |
| スレイ | 世界の浄化…それはただ晶化で世界を覆い尽くすだけじゃないだろ? |
| スレイ | 晶化の先に、何を求めているんだ? |
| ヴァン | …ほう |
| ティア | 兄さん、答えて…! |
| ヴァン | … |
| ヴァン | それに気付くとは…。…カーツがお前達を危険視していたのも頷ける |
| ヴァン | 世界を晶化させた先にあるもの…それは「新世界」 |
| スレイ | 新…世界…? |
| ヴァン | 争いなき世界、一から全てをやり直せる世界を創る… |
| ヴァン | それが私の掲げる世界の浄化だ |
| ゼロス | 本気で言ってやがんのか…? |
| エリーゼ | ありえないです…新しい世界を創るだなんて… |
| ティポ | そーだそーだー! |
| ヴァン | 現にお前達はここに来るまでに見てきたはずだ |
| ヴァン | 天帝が創り出す世界…その幻影を |
| ルドガー | …!まさか… |
| ヴェイグ | クレアや…ルドガーの兄の事か…? |
| ヴァン | あれも、ここでお前達が見た建物も晶化を通じて創り上げたこの世界の“写し”だ |
| ティア | そんな…仮に新しい世界が創れたとしても人々から争いはなくなりはしない… |
| ティア | 兄さんだってわかっているはずだわ! |
| ヴァン | …争いの根源となるものは全て天帝の力で無に帰す |
| ヴァン | 争いで命を落とす事、虐げられる事… |
| ヴァン | 苦しみや悲しみ、これらからの解放だ |
| エリーゼ | 天帝は、そんな力まで持っているんですか…? |
| ヴァン | お前達が受け入れさえすれば共に新世界で歩む道もあろう |
| ゼロス | はんっ、仲間にしてくれる、ってか? |
| スレイ | ヴァン… |
| スレイ | きっと…争いをなくしたいって気持ちはオレ達も、あなたも同じなんだ |
| ヴァン | … |
| スレイ | けど… |
| スレイ | 大勢の人が生きてる以上考え方が違ったりするのは普通の事じゃないか? |
| ミクリオ | みんな、守りたいもの欲しいものは違うからね |
| ミクリオ | 望みや願いが強いほど、自分と違う考えを持つ人を憎む事もあるかもしれない |
| ミクリオ | 最悪の場合、そこから衝突してしまって争いになるだろう |
| ミクリオ | だからって、その解決方法が争いの根源を無に帰すだって…? |
| スレイ | オレ達は、思いを伝えられるし、知る事も出来る。わかりあえないわけじゃない |
| スレイ | 時には、仲間と喧嘩だってするさ。でも喧嘩して相手の気持ちを初めて知ったりも出来る |
| スレイ | 信頼ってこういう事の積み重ねだろ |
| ヴァン | …愚かな |
| ルドガー | 積み上げてきた、人の絆や想い…お前にそれを否定する資格はない! |
| ゼロス | いい加減好き勝手やるのもおしまいにしようぜ? |
| スタン | 俺達みんなの世界を…お前の思うようにさせない! |
| エリーゼ | はい!ミラやジュード…それにここにいるみんな… |
| エリーゼ | 大切な人達がいるこの世界をなかった事になんてさせません! |
| ヴァン | どこまでも愚かな幻想にしがみつこうというのだな |
| ヴァン | それでは争いにまみれたこの世界は救われない |
| ティア | 確かに、争いをなくす事は容易い事じゃないわ。けど、人は変わっていく事が出来る |
| ティア | 私は変わる事の出来た人を知っている… |
| ティア | 粗暴で…わがままな事もあるけど…必死に世界に立ち向かっているわ…! |
| ヴァン | 私は世界の在り方を問うているのだ |
| ヴェイグ | 世界の在り方…それは迷い…苦しみ…、そして成長し、生きる事だ |
| ミクリオ | ああ、僕達はそうやって生きていける |
| スレイ | それを教えてくれた「この世界」をオレ達は守る |
| スレイ | だから、その考えを受け入れる事は出来ない…! |
| ヴァン | …やはり、相容れぬか |
| | |
| | キィン…キン… |
| ミクリオ | 結晶の花が…! |
| | |
| ヴァン | ──目覚めだ。世界の浄化が始まる |
| ヴァン | お前達が何と喚こうと運命は変わらぬ |
| ヴァン | ここで天帝の目覚めに立ち会える事を幸福に思うがいい |
| スレイ | させない!その結晶の花を破壊出来れば…! |
| ヴァン | …天帝には指一本触れさせん |
| ヴァン | ──導師。君の覚悟を見せてくれ |
| ヴァン | 私と、君のどちらが正しいか──…この剣で語ろう |
| スレイ | …ミクリオ! |
| ミクリオ | ああ!やるぞ、スレイ! |
| スレイ・ミクリオ | ルズローシヴ=レレイ! |
| スレイ・ミクリオ | 行くぞ、ヴァン!! |
| ヴァン | この欺瞞と矛盾に満ちた世界に執着する者共よ…来るがいい! |
| ヴァン | 世界を浄化させる前に排除してくれる! |
| | |
| ヴァン | …簡単には倒れぬか |
| ヴァン | だが、甘い! |
| ヴァン | はあぁぁ!! |
| スタン | うぐっ…重い…! |
| ヴェイグ | この人数相手に渡り合えるとは… |
| エリーゼ | はぁはぁ…ティポ、大丈夫!? |
| ティポ | ま…まだまだー!エリーといっしょに、頑張るからねー! |
| ゼロス | 攻撃を避けられてるわけじゃねぇ…ダメージは与えてんだろ…! |
| ルドガー | どこかに隙はあるはずだ…そこを狙う…! |
| ティア | 押し切るわ…! |
| ヴァン | 無駄だ…! |
| ヴァン | …! |
| ティア | …?何、今のは… |
| ヴェイグ | 集中力、体力…底なしか…? |
| ゼロス | さすが、世界を作り替えようとしているだけはあるな… |
| ゼロス | ルークの野郎、こんなのと稽古してやがったのかよ… |
| ティア | ルーク… |
| ティア | …さっきの様子…それに、今の動きは…なら…! |
| ティア | スレイ!左腕を狙って!私は足止めを…! |
| スレイ | 左腕…?そうか…ルークの!わかった! |
| ヴァン | ふん…今更左腕など…痒くもないわ |
| ミクリオ | それはどうかな |
| スレイ | 全力でいくぞ! |
| スレイ・ミクリオ | 蒼の四連! |
| ヴァン | この程度…! |
| スレイ | まだまだ…!ミクリオ!! |
| スレイ・ミクリオ | 蒼海の──八連!! |
| ヴァン | くぅ…!! |
| スレイ | 全てを、貫け── |
| スレイ・ミクリオ | 蒼穹の十二連!!! |
| ヴァン | しまっ… |
| ティア | 崩れた…!! |
| | |
| ミクリオ | 今だ!全部ぶつけるぞ!スレイ!! |
| スレイ | ああ! |
| | |
| ミクリオ | 水神招来! |
| スレイ・ミクリオ | 我が弓は蒼天!蒼き渦に慚愧せよ! |
| スレイ・ミクリオ | アクアリムス──ッ!! |
| | |
| | ズシャアァァ──ッ!! |
| | |
| ヴァン | ぐあああぁぁぁ…っ!! |
| スレイ | はぁ…はぁ…どうだ! |
| ヴァン | くっ…あと少し……持ちこたえれ…ば… |
| | … |
| ティア | 兄さん… |
| ルドガー | 倒した…のか? |
| スタン | やった…! |
| ヴェイグ | 急げ!あの結晶の花を破壊しよう |
| ルドガー | でも、あれも晶化の結晶と同じものならそう簡単には… |
| スタン | スレイ、ミクリオ…!神依の力で…!頼む…! |
| スレイ | ああ、やるしかない…! |
| ミクリオ | スレイ、一撃にありったけの力をこめるぞ! |
| スレイ | わかった…!行くぞ、ミクリオ! |
| | |
| ルドガー | 何だ…!?結晶の花が光っている…? |
| ヴェイグ | それだけじゃない、花が開き始めて…! |
| エリーゼ | これが…天帝の目覚め…? |
| エリーゼ | ──きゃっ!? |
| ティポ | うわぁぁぁぁーっ! |
| スレイ | どうした!? |
| ティポ | エリー!エリーが、エリーが! |
| エリーゼ | あ…あぁ…嘘…動け…ません… |
| | ピキ…ピキ──… |
| スレイ | まさか…晶化現象…!? |
| ティポ | スレイ君、助けて!エリーを助けてあげ── |
| | ピシィッ── |
| エリーゼ | ティポ!?いや…! |
| ミクリオ | お、おい、スレイ。他のみんなも晶化が…! |
| スレイ | これが天帝の力だっていうのか…!? |
| ヴェイグ | 諦める…ものか…こんな、もの… |
| ヴェイグ | おおおおっ!! |
| | ガキン! |
| ヴェイグ | っ…ぐっ… |
| | パキンッ…ピキピキ… |
| エリーゼ | みんな…! |
| スレイ | ヴェイグ!!エリーゼ!! |
| スレイ | みんな、すぐ助けに… |
| ミクリオ | 駄目だ、スレイ!今は集中してくれ! |
| スレイ | でも…! |
| ゼロス | しゃんとしろ、スレイ! |
| ゼロス | お前らまで晶化しちまうわけにはいかねぇだろ…! |
| スタン | 晶化はもうすぐ世界に広がる!時間がないんだ! |
| スタン | 大丈夫だ、スレイ…!この世界は取り戻せる…! |
| スレイ | ゼロス…スタン…! |
| | ピキッ…パキ… |
| | …ピキッ…ピシッ… |
| ルドガー | スレイ!決着をつけるんだ! |
| ルドガー | 頼む、みんなを…!この世界を…! |
| | ピシピシ…ピキッ… |
| スレイ | ルドガーッ!! |
| ミクリオ | …くっ |
| スレイ | …う、うう |
| ミクリオ | !スレイ |
| | |
| | カラン…カラン… |
| ヴァン | ハッ…もう剣も握れんか… |
| スレイ | ヴァン…お前… |
| ミクリオ | まだ…動けた…のか…!? |
| ヴァン | …我が理想の成就は…お前達に止めさせはせん…! |
| | ヒュッ! |
| ヴァン | ぐっ…これは一体… |
| ティア | はぁ…はぁ… |
| ヴァン | ティア…お前か… |
| ティア | お願…い…スレイ…兄さんを… |
| ティア | 止…め… |
| | ピキ……ピキッ… |
| スレイ | ティア…ッ |
| ヴァン | 愚かな… |
| ヴァン | 何故わからぬ。私の理想が… |
| | |
| スレイ | 言っただろう!オレ達は、今の「この世界」を守る! |
| スレイ | ヴァン…!これで終わりだ… |
| スレイ | この一撃で世界を晶化から解き放つ…! |
| スレイ | みんなをお前から…天帝から…取り戻す!! |
| スレイ | 蒼穹… |
| スレイ・ミクリオ | ── 一閃!! |
| スレイ・ミクリオ | いっけええええーッ!!! |
| ヴァン | … |
| | |
| | ピシ……ピキピキッ… |
| | |
| | … |
| | …… |
| ??? | レイ…── |
| ??? | ス…レイ…──… |
| ??? | ──スレイッ!! |
| スレイ | ミ…ミクリオ…? |
| ミクリオ | よかった… |
| ミクリオ | 大丈夫か?一気に力を放出して気を失ってたんだ |
| スレイ | そう…なんだ |
| スレイ | そうだ…ヴァン…結晶の花は…!? |
| ミクリオ | ヴァンは君が気を失ったのと同時に晶化してしまった |
| スレイ | ヴァンまで…そうか… |
| ミクリオ | 結晶の花は… |
| | |
| スレイ | ヒビが… |
| ミクリオ | 何とか傷付ける事は出来たみたいだね |
| スレイ | あぁ!これなら破壊出来る…! |
| ミクリオ | …!? |
| スレイ | あと一撃…あと一撃だけでいい。それで決める…! |
| スレイ | ミクリオ…!もう一度神依を… |
| | ピキッ── |
| | |
| スレイ | え…? |
| ミクリオ | スレイ。すまない… |
| ミクリオ | 最後まで一緒に──… |
| | ピシッ──ピキピキ… |
| スレイ | ミク…リ…オ? |
| スレイ | 嘘…だろ。そんな… |
| | |
| | トンッ… |
| | |
| スレイ | …! |
| スレイ | …お前…は──… |
| ??? | クスッ… |
| | |
| | |
| ??? | …おやすみ |
| ??? | そして |
| ??? | おはよう僕の世界── |