NameDialogue
scene1雲上の楼閣
スレイ──ここが、天帝の御座…
ルドガー…ようやく着いたな
ゼロス途中、墜落すんじゃねぇかと気が気じゃなかったが、何とかな
ヴェイグそれより……すさまじいまでの景色だな。見渡す限り一面晶化している
ルドガーそれだけじゃない。見てくれ、あの城…
ルドガーあれは晶化現象じゃない。結晶そのもので作られている
スタン飛空船から見た時も思ったけど、相当でかくないか?
エリーゼ綺麗…ですが…何だかすごく…嫌な感じがします
スレイあれも、天帝が作ったんだよな…
ミクリオそう考えて間違いないだろうね。天帝は晶化の元凶と言うし
ミクリオあの城に、周辺の結晶…。「天帝の御座」とは名ばかりではないらしい
ルドガー…天帝とヴァン、彼らがいるとすればあそこか
ティアおそらく…
ゼロスなら、早いとこ行こうぜ。ここで突っ立ってても仕方ねぇ
スレイうん、そうだな
ゼロス…ってワケだ。俺さま達は行く、飛空船の事は任せたぜ
ア・ジュール兵はっ、どうかお気を付けて
スタン…にしても、すごい高さだな、ここ。雲が足下に見える
ゼロス滅多に見られる景色じゃねぇぜ。しっかり見とけよ、スタン
ミクリオスレイ、見てくれ。ここから地上の景色が見える
スレイ…!すごい、これがオレ達の世界…
スレイこんなにも広かったんだな…
スレイ今見えてる景色が世界のほんの一部だなんて、信じられないっていうか…
ミクリオああ…
ヴェイグ晶化で覆われた大陸…あれがウィンドルという事か
ティアええ。そして、地理的にあの辺りが王都バロニアね
ティア結晶に覆われていてここからじゃ街がある事すら確認出来ないけれど…
スタン大陸の中でも特に酷い状態って事か…
エリーゼイニル街はどうですか…?確か、バロニアの近くに──…
ルドガー確認したけど…イニル街も晶化に巻き込まれた事は間違いなさそうだ
エリーゼ…!そんな…
エリーゼごめんなさい、ルドガー…わたし…
ルドガー…大丈夫だよ、エリーゼ。エルと兄さんはきっと無事だ
ルドガー俺はそう信じてる
エリーゼルドガー…
ヴェイグ…想像はしていたが、被害はかなりの広範囲に及んでいる
スレイうん…。バロニアから結構距離のあるピュール遺跡まで、完全に晶化してしまったみたいだし
ゼロスピュール遺跡?
ミクリオあそこに見える大きな湖…そのほとりにある遺跡で、僕達が初めてライラと出会った場所なんだ
ゼロスライラちゃん…そっか
スレイ……やっぱりこんなの間違ってる。この綺麗で広い世界を晶化で覆い尽くすなんて
スタンああ、そんな事はさせないさ。絶対に
ティア…そのためにも、先を急ぎましょう。私達に残された時間は限られて──
グオオオオッ!!
ヴェイグ…!今のは何だ…!?
エリーゼ魔物でしょうか…?
ルドガーまさか…!何でこんなところに……
グウウウ…!
ティポで、でたぁー!?
ゼロス…!いや…待て、何か変だぞこいつら!?
スタン本当だ…!こんな魔物、見た事も──
ギャウウウウウッ!!
ティアまずいわ、こっちに向かってくる…!
スレイなら、戦うまでだ!行こう、みんな!
ヴェイグああ!
scene2雲上の楼閣
スレイ──くっ…!
ミクリオ無事か、スレイ!
スレイああ、大丈夫だ!それより…
ギャウウウ…!
ゼロスちっ、あれだけやったってのにまだ元気なのかよ!ったく、どうなってんだ…
ルドガー攻撃の威力は勿論、硬さも他の魔物とは比にならない…!
スレイ…よし、ならこれでどうだ!
スレイはああっ!
グオオ…オオ……
スレイふぅ…何とか倒せたか
スタン今ので最後みたいだな…。はあ、びっくりした
ティアそれにしても、この魔物…一体どういう事なのかしら
ティア体の一部が晶化しているわ
スタンけど…それっておかしくないか?今まで人や動物が晶化した状態で動けた事なんて一度もない
エリーゼそうですよね…
エリーゼ前に目の前で魔物が晶化したのを見た事ありますけど…
ティポカチンコチーンってなったよねー
ヴェイグ…!いや、これは晶化じゃない。よく見てみろ
ヴェイグ晶化は物質を結晶で覆う…、だが、こいつらの体はその一部が結晶そのもので出来ているようだ
ルドガーそれって…あの城と同じって事か?
スレイだとしたら、この魔物も天帝が…
ミクリオ大いに考えられるね
ゼロスそういう事かよ。ったく、どうりでおかしいと思ったんだ
ゼロス地上ならまだしも、こんな突然現れた御座に魔物が巣食ってるなんて──
ルドガーむ…?
エリーゼこの光…ひょっとしてゼロスの天晶石、ですか…?
ゼロス…!何で今…
スタン確か、天啓の石碑が出現した時に、それを知らせてくれるーとか何とか言ってたような──…
スタン……え?って事は、もしかして新しい天啓の石碑が!?
ティアそんな、まさか…!
ゼロス今までの経緯からして多分そういう事だろうけど…
ゼロス…何にせよ、とにかく試してみるか
ゼロス
スタン…どうだ?
ルドガー何か見えたか?
ゼロス……ああ、よーく見えるぜ
ティアだとしたら、やっぱり天啓の石碑が出現したと言うのは事実なのかもしれない
ゼロス……けど、まさかな。こいつは厄介な事になってきやがった
ヴェイグどういう事だ?ゼロス、お前には何が見えている
ゼロス…結晶の橋、だ
スレイ結晶の…!?それって…
ゼロス…ああ。おそらくこの御座にある橋って事だろうな
ゼロス周辺の景色も似てるし、何より、橋の先に例の城が見えた。あの様子だと、多分城まで通じてる
スタン待ってくれ!つまり、この天帝の御座に新たな石碑が現れたって事か…?
エリーゼでも、どうして今…?それもよりによってわたし達のいる御座に現れるなんて…
ミクリオ…ヴァンやカーツ達は天啓についてあらゆる情報を持っていた
ミクリオさらに天帝という存在を加味すれば天啓自体、彼らが操っていたという可能性も十分に考えられる…
ミクリオこれがもし、仕組まれたものだとしても何ら不思議は──
ゼロス…!
ルドガーどうかしたのか、ゼロス
ゼロス何なんだこれ…。急に風景が乱れて………これは光…?
ゼロスあ…くそっ!駄目だ…
ヴェイグ…?
ゼロス…ああ、今見えてた橋の風景が急に切り替わって、何かこう…一瞬、でっかい光の渦が見えた
ゼロスすぐに真っ暗になって何も見えなくなっちまったが…ありゃ一体何だったんだ…?
ティア…それも、結晶のあるこの辺りと似た景色だったの?
ゼロスいや、多分違う。何か…星がたくさんあって、晴れた日の夜空みたいって言うか…
ゼロス…何にせよ、気味が悪い。こんな事は初めてだからよ
スタン光の渦、か…
ヴェイグ…とにかく、まずは最初に見えたという結晶の橋を探そう
ヴェイグ例の城に繋がっているなら、尚の事、探さない手はない
スレイうん、そうだな。それに…
スレイこれがもし、ヴァンによって仕組まれたものなんだとしたら、避けては通れない道だと思う
ゼロスよし…なら、行こうぜ
スレイああ!
scene1仲間を信じるという事
ミクリオ──見ろ、行き止まりだ。これ以上先へは進めない
スタンええっ!?またなのか…?
ルドガーはあ…これで何度目だ?
ティポぼくもうヘトヘトだけどー
エリーゼまるで迷路ですね…。結晶が複雑に入り組んでいて正しい道が見つけられません…
ゼロスったく、お目当ての城はずっと見えてるってのによ…
スレイ仕方ないよ、地道に進める道を探すしか方法はないんだし
ヴェイグ…ああ。よし、引き返すぞ
ゼロスちぇっ…
スタン…それにしても、すごい結晶だよな。天帝って一体何者なんだ…
ティア普通の人間じゃないという事だけは確かだと思うわ
エリーゼ天帝はヴァンよりも強いという事なんでしょうか…?
ミクリオ正直なところ、天帝について僕達はほぼ情報を持っていないから断言こそ出来ないけど──
ミクリオこれだけの能力を持っている以上ヴァンと同等、…いや、それ以上と捉えておいた方がいいだろうね
ルドガーそうなると、やっぱり鍵になるのは「神依」か…
ティアええ、そうね。私達の切り札である事はこの先も変わらないわ
ヴェイグ寧ろ、神依の力で結晶を砕ける事もわかった
ミクリオ晶化を生み出す天帝にも有効である可能性が高い、そういう事か
スタンじゃあ、やっぱり二人の神依は、決戦の時まで温存しといた方がよさそうだな
スレイうん、オレもそう思う
スレイ…天帝とヴァンを討つ、その時まで神依化はしない
スレイそのためにはみんなの助けが必要だ。力を貸してほしい
ルドガー勿論、端からそのつもりさ
ゼロス言われなくてもな
ティアあなた一人じゃない。これは私達みんなの戦いよ
エリーゼみんなで力を合わせて、天帝とヴァンを倒しましょう…!
スレイありがとう、みんな
ミクリオ
ヴェイグどうかしたのか、ミクリオ
ミクリオ…何でもない、気にしないでくれ
ティポミクリオ君、何だか嬉しそうなカオー
ミクリオなっ…!何でもないと言ってるだろう。ほら、先を急ぐぞ
スレイどうしちゃったんだ、ミクリオ…?
ゼロスさあ…
ヴェイグとにかく、先を目指そう…
ヴェイグ肝心の城にたどり着けなければ話にならない
ルドガーそれもそうだな──
グオオオオオッ!
スレイ…!今のって…
ティア魔物だわ…!それもすぐ近くに…
エリーゼひょっとして、また晶化した魔物でしょうか…
ミクリオだとしたら、厄介だね
スタンみんな、気をつけろ!どこから出て来るかわからないぞ
ルドガー…来た!みんな、構えるんだ
scene2仲間を信じるという事
スレイふう…何とか倒せたけど…やっぱり気のせいじゃないよな…?
ルドガーああ。この晶化した魔物の強さは尋常じゃない
エリーゼ地上で見る魔物とは明らかに違います…
スタンあんなのがこれからもわんさか出てくるのかな…?
ゼロスおいおい、シャレになんねぇぞ
ゼロスヴァンと戦う前に、あんなのとやり合ってばかりいたら体力がもたねぇっての
ミクリオ無駄な戦闘を避けるためにも早く進むべき道を探そう
ティアそれがいいわ。急ぎましょう──
ピシッ!
スレイうわっ!?
ルドガー晶化か…!
スレイ駄目だ、今ので道が塞がった
ヴェイグ何故急に…
ティア仕方ないわ、あっちの道へ行きましょう
エリーゼわかりました──
ピシッ!
ヴェイグ…!下がれ、エリーゼ!
ピキッ!ピシピシ!
ティポわー!?こっちも塞がっちゃったー!
ルドガー…道が次々に塞がっていく。まずい状況だな
ミクリオ何が起きてるんだ?急にあちこちで晶化が……
ヴェイグそれだけ地上の晶化も広がっているという事なのか…?
エリーゼそんな…
スタン諦めるのはまだ早い!こっちだ!
ピキッ!ピシピシ!
スタンくっ、こっちもか!だったら──
ピキッ!ピシピシ!
スタンくそっ…!
ティポこのままだとぼく達晶化させられちゃうかもー
ゼロスちっ…ヴァンの野郎、俺さま達を監視でもしてんじゃねぇだろうな
スタン例えそうだとしても、そんなの関係ない
スタンどんな邪魔が入ろうと俺達に出来るのはそれを乗り越える事だけだ
スタンそして絶対に乗り越えてみせる!だろ?
スレイスタン…
ゼロスぷ…
スタンえ?ゼロス、何で笑ったんだ?
ゼロス…いや、お前ってヤツは、つくづく単純な野郎だなーと思って
ヴェイグ…だが明快だ
スタンそうか?…俺はただ自分に出来る事は精一杯やろうって思ってるだけなんだけどな
ルドガーお前のそういう前向きな性格のお蔭で、いつも助けられてるよ
スレイスタンの言う通りだ、諦めるのはまだ早い
スレイみんなで手分けして道を探そう。きっと見つかるはずだ
スタンああ!
scene1神子の覚悟
スレイ──ようやくたどり着いた…
スレイここが、結晶の橋…!
エリーゼすごく大きいですね…
ヴェイグゼロス、お前が天晶石を通じて見たのは確かにこの橋か?
ゼロスああ、ばっちりな。間違いねぇ
スタンって事は、天啓の石碑もこの辺りに?
ゼロス…のはずだが、それらしいもんは今のところ見当たらねぇな
ティア城の正門へ続いているようね。奥に城壁が見えるわ
エリーゼあの大きな門から城内に入れそうです…
ミクリオ…かなり見晴のいい場所だ。危険な気もするが…そうも言ってられないか
ルドガーああ、けど警戒するに越した事はない。みんな、注意して進もう
スタンすげぇ…近くで見ると本当にでかいな
ティア橋も城壁も、全て結晶で出来ているのにここは違うのね
スレイとにかく中に入ろう
エリーゼそれが…駄目みたいです。この門、固く閉ざされてて…
ティポむぎゅー!押してもビクともしないしー
ゼロス…なるほどな。そりゃ、力じゃ開かねぇわ
スタンゼロス、それどういう事だ…?
ゼロスほら、あれ見てみな。この門のずっと上の方…真ん中に何か、見えねぇか?
スレイ…!あれってまさか…天啓の石碑と同じ紋章…!?
ミクリオ…本当だ、間違いない
ヴェイグまさか、これが新たに出現した天啓の石碑だとでも言うのか…?
ゼロス他にそれらしきもんが見当たらねぇところを見ると多分そういう事なんだろうな
ルドガーけど、何故なんだ…?天啓の石碑は、その名の如くただの巨大な石碑なんじゃないのか?
ルドガーまさかこんな風に建造物の一部に組み込まれてるなんて…
ゼロスああ、こんなのは俺さまだって聞いた事もねぇ
ゼロス…けどまあ、四の五の言ってても仕方ねぇ、試してみりゃ全部わかんだろ
ティア試すって…
ゼロスお決まりのヤツよ。まあ、見てなって
ゼロス大いなる世界の意志よ。我が主たる地上の神よ
ゼロス我、ゼロス・ワイルダーを汝の代行者と認めるならば…
ゼロスその言葉を我に聞かせたまえ──
スレイ…!門が光り出した…!
ミクリオカン・バルクで見た儀式と同じ光景だな
ヴェイグやはり、この門が天啓の石碑──
ゼロス…!くっ…
ゼロスうわあっ!!
エリーゼ…!ゼロス!大丈夫ですか!?
ゼロスいっつ……
スタン何なんだ、今のは!?急にゼロスが吹っ飛んで…
ゼロスわからねぇ…。けど、何か様子が変だ…!
ゼロス何か…石碑に触れた瞬間ドス黒い絶望みたいな感覚が頭ん中に流れ込んできやがった
ゼロス苦しくなったと思ったら急にすげぇ力で吹っ飛ばされてて…
ティア絶望…?
ヴェイグそれが何なのかはわからないが、この門が天啓の石碑でないという事ははっきりしたな
ゼロスちっ…さっきの光の渦と言い、今回の門と言い、一体何なんだ…?
ミクリオ…あくまで推測だが、天啓の石碑は天帝が作り出した物…そうは考えられないか?
スタン天帝が…?
ミクリオヴァンは天帝と共謀している
ミクリオ石碑を作ったのが天帝だとすれば晶化と天啓、ヴァンがそれらを意のままに操っていた事にも頷ける
ミクリオ…そしてこの門も。天啓の石碑でない以上、この城に備え付けられた「ただの門」…
ミクリオこの御座と共に天帝が作ったと考えるのが妥当じゃないか?
ミクリオ無論、ただの門と言ってもあの様子じゃ、天帝の力が強く及んでいるのは間違いないと思うけど
スレイ…そうだな
スレイ…もし、ミクリオの言う通りなら天晶石が光ったのは石碑が出現したからじゃなくて…
ミクリオああ、天帝の力そのものに反応を示したという事だと思う
ティア…確かに神子は天啓の石碑に干渉出来る
ティア従って、その創造主である天帝自身の力を感知したという事も、考えられない話ではないわ
ルドガーだとしたら、さっきゼロスが天晶石を通じて見た光の渦や、感じた絶望…
ルドガーそれらは全て天帝に関係するものという事なのかもしれないな…
ゼロス…冗談じゃねーぞ。何で俺さまが天帝なんかの…!ちっ、本当に一体何者なんだ…
ヴェイグ…事実はその目で確かめればいい。そのためにも、まずは開門だ
スタン門を開けられるとしたら、天帝に干渉出来る可能性があるゼロス…やっぱりお前しかいないって事だ
ゼロス…どうだろうな。あいにく吹き飛ばされたばっかりだぜ
スタン大丈夫、お前なら絶対──
ドドドドド!
スタンな、何だこの音…!?
エリーゼ地面が揺れてます…!
ヴェイグ地震か…?いや、ここは地上じゃない。そんなはずは──…
ティア…!
ティア…みんな、あれを見て。橋の向こう側よ…!
ルドガーあれは…魔物の群れか!?
スレイいや、群れなんてレベルじゃない…。あんな大群、地上ですら見た事もない…!
ヴェイグどうする、戦うか…?
ティア…相手は、例の晶化した魔物よ。さっきの数でもあれほど苦労したのにとてもじゃないけど一掃するのは……
ティポじゃあ、どうしたらいいのー!?
スタン…俺達であいつらを食い止めよう!
エリーゼえ…?食い止めるって…
スタン門の事はゼロスに任せる。他のみんなで、橋のこっち側に魔物を寄せ付けないようにするんだ
スタン一掃するのは難しいとしてもゼロスが門を開けるまでの間、食い止める事くらいは出来るはずだ
ゼロスおいおい、無茶言うなよ。お前も見ただろ、さっきの!
ゼロス天帝の力だか何だか知らねぇがこの門は俺を拒んでやがる。開けられる保証はどこにもねぇ
ゼロスだったら、一旦全員でここから退却して態勢を立て直すとか──
スレイいや…、それじゃ駄目だよ
スレイ城内に通じるのは多分、この門だけだと思う
スレイ今ここから退けば、この場は占拠されるだろうし、そしたら二度と近付けなくなる
ゼロス…っ!だが──
ギャウウウウッ!
ヴェイグ…!まずい、あまり時間はないぞ…
スタン…ゼロス、お前しかいないんだ
スタンお前なら絶対に開けられるって、俺は信じてる。だから、…ここは頼む!
スタンみんな、行こう!急がないと…!
スレイああ…!
ゼロスお、おい…!スタン!
ゼロス行っちまいやがったか…ちっ…
ゼロス
ゼロスくそっ…やるしかねぇのかよ…!
ヴェイグ──来たぞ、奴らだ
スレイああ…!
ドドドドド…
グオオオオオッ!
スタンスレイ、ルドガー、ヴェイグ、三人は俺と一緒に前衛で戦ってくれ!
ルドガーわかった!
ティア私とエリーゼとミクリオは援護するわ
ティポぼくも頑張るぞー!
スタンここは俺達が食い止める。…頼んだぞ、ゼロス
スタン行くぞ、みんな!はああっ!
scene2神子の覚悟
スタンせいっ!
ズバッ!
ギャウッ!
スタン次だ!
スレイはあ…はあ…
グオオッ!
スレイくっ…!
スタンさせるかっ!たああっ!
ズシャーッ!
グアアーッ!
スタン大丈夫か、スレイ!
スレイああ、助かったよ。ありがとう、スタン
スタン気にするな。互いに助け合わないと
ルドガー…にしても、まずい状況だな。倒したところで、次から次へと出てくる
スタン…ゼロスが門を開けるまでの辛抱だ。俺達がここで踏ん張らないと
ヴェイグそうだな…
ゼロスくっ…、またさっきのドス黒いヤツが…
ゼロス……いや、けどまだだ…。まだうんともすんとも言ってねぇし今手を放すわけには──…
ゼロスうわあああっ!
ズシャーッ…
ゼロスい…つっ……
ゼロスくそっ…!やっぱ一筋縄じゃいかねぇか…
ゼロス……ちっ
ミクリオ──はああ!
ギャウウ…!
ミクリオよし、倒せた…
ミクリオエリーゼ、ティポ!そいつが片付いたらヴェイグの応援を頼む!
エリーゼわかりました…!
ティア私もルドガーとスタンのところへ。ミクリオ、あなたもすぐにスレイのところへ行って──
ティア…!強い光…門の方だわ。さっきから何度も…
ミクリオ遠巻きであまり見えないが、ゼロスも苦戦しているようだな…
ティア大丈夫かしら…
エリーゼミクリオ、ティア!急いでください、スレイ達が…!
ティポ早くー!
ミクリオ…わかった、今行く!
ティア
ゼロスはあ…はあ…
ゼロスくそっ──……!うぐっ…
ゼロス意地でも通さねぇってか…
ゼロス…けど、ようやく何か、掴めてきた気がすんぜ…
ゼロスこの門の拒絶は天帝の意志…。あの気味の悪い絶望感も、多分あいつの……
ゼロス…ちっ、思う通りにさせてたまるかよ…
ゼロスとっとと開きやがれ…!
スレイ──スタン!そっちにまた一体行った!
スタン…大丈夫だ、任せろ!
ルドガーはあ…はあ…
ヴェイグくっ…
ミクリオみんなかなり消耗しているな…
エリーゼスタン、その怪我…!今治療します──
スタン…いや、俺はいい!それより今は魔物を倒す事が優先だ…
スタンとにかく今は、ここで俺達が踏みとどまらないと…
ヴェイグそれよりゼロスの方は…?まだ開門出来ていないのか?
ミクリオ残念ながら、あまり芳しくはないようだ…
ルドガーゼロス…
スタン心配いらないさ。ゼロスなら、必ずやってくれる
スタンああ見えてやる時はやるし、頼りになる奴だって事、俺は知ってる
スタン俺はゼロスを信じてる…!だから、絶対大丈夫だ!
スレイスタン…
スレイ…うん、スタンの言う通りだ、ゼロスを信じよう!オレ達もまだやれる
スタンよし、行こう!
スレイああ!
エリーゼ二人共、後ろを振り返らないんですね…
ティポゼロス君の事、信じてるんだねー
ティアスタンはまっすぐな人よ。だからこそわかる事もあるんだと思うわ
ルドガー俺達も行こう、もうひと踏ん張り──
ヴェイグ…!今の光…
ミクリオゼロスのいる門の方だ…!
ミクリオこれまでにも何度か見かけたが、あれほど強い光は……。何か、嫌な予感がする…
ティア…様子を見てくるわ。みんなはスタン達の後を追って
ルドガーああ、わかった…!
scene3神子の覚悟
ゼロス……
ティアゼロス!
ゼロスう…
ゼロスティア…ちゃん…?
ティア無事なのね、よかった…。一体何があったの
ゼロス…見ての通りさ。天帝の力にねじ伏せられたってワケ
ティア酷い傷…全身傷だらけじゃない…。今手当を──
ゼロスいや、それより…スタンに…あいつらに伝えてくれ
ゼロス…この門を開くのはやっぱ無理だ。一旦退いて、別の道に行けって
ティア…!ゼロス、あなた…
ゼロス…天啓だって読めるし、この門も、神子の俺なら何とか出来るかもって思ってた
ゼロスけど……やっぱそう簡単にはいかねーな
ゼロスもう少し…、あと少しで天帝の力を抑え込めそうなのに、ギリギリのところで届かねぇ…
ゼロス…これも俺が神子って宿命から逃げてた罰なのかもな
ゼロスクロエちゃんのお蔭でちょっとは変わったと思ってたけど…ま、これ以上は俺には──
ティア諦めないで。あなたなら出来るはずよ、必ず
ティアスタンが言ってたわ。あなたなら必ずやり遂げる、信頼のおける友達なのだと…
ティア一度も振り向く事なく、今も必死に戦っているわ。あなたを信じて
ゼロススタン…、あいつ…
ティアそれはみんなだって同じ…
ティア…なのに、あなたがあなた自身を信じないでどうするの?
ゼロス…!俺が、俺を……
ゼロス
ゼロス…何か、わかった気がするぜ。俺があの門を開けなかった理由…
ゼロスあの門をこじ開けられる、今なら自信を持ってそう思える
ゼロス…ありがとな、ティアちゃん
ティアゼロス…
ティアお礼なら、私じゃない。スタンに言うべきね
ゼロス…よし、もっかい試してみる
ゼロスティアちゃん、危ねぇから下がっててくれよ
ゼロス…天帝様が何者かは知らねぇが、お前の力は俺がねじ伏せる!今この場でな
ゼロス俺はもう逃げも隠れもしねぇ…
ゼロス神子の宿命を持ってこそこの俺さまだ!
ゼロス神子、神子って今まで散々な目に遭ってきたが…それも全部、認めてやるよ
ゼロス俺さまの役目だったんだ、ってな
ゼロスだから、今くらい…俺さまの役に立ちやがれ──!!
ゴオオッ
ゼロスくっ…!
ティア…!この風は一体…!?
ゼロスへっ…、最後の悪あがきかよ。けど、諦めな!意地でも打ち破って──
ゴオオオオオオッ
ゼロスなっ…!?まずい、身体が飛ばされ──
ティア大丈夫よ…!私があなたを支える
ゼロスティアちゃん…!危ねー事すんじゃねぇ、下がってろって言っただろ!
ティアそうもいかないわ…!あなたが柄にもなくこんなに頑張ってるのよ
ティアスタンや、私達みんなの想いに応えるために…
ゼロス…!
ゼロスふ…残念だけど、そいつはちょっと違うぜ
ゼロス…理由はもっと単純だ
ゼロス…スタンの野郎にばっかカッコイイとこ取られんのが…シャクなだけ…ってな!
ゼロスはあああ…!
ティア…!光が強くなって──…
ゼロスうおおおおっ!!!
ズズ…
ティア門が…!
スタン──せやあっ!
ザシュッ!
スタンふう…
ルドガー…この辺りの魔物は大分減ったな
エリーゼはい…。でも、見てください…まだ向こうからあんなに……
スレイくっ…!
ヴェイグそろそろ限界か…。スタン、これ以上は──
???──ここに留まるのはこれまでよ
スレイティア!
ティア無事開門したわ。みんな、こっちに
ティポホントー!?助かったー!
スタンティア、ゼロスは…?
ティア無事よ。向こうであなた達を待ってるわ。行きましょう
スタンああ!
ゼロスはあ…はあ…
スタンやったな、ゼロス!さすがだよ!
ゼロス…へっ、これくらい、俺さまにとっちゃ朝飯前よ
ルドガーそういう割にかなり傷だらけって感じだけど…
ゼロス何だよ、うるせーなー。ボロボロなのはお前らだって一緒だろ
スレイはは…言われてみたら、確かにみんなボロボロだな
スタン…とにかくありがとうな、ゼロス。お前ならやってくれるって信じてたよ
ゼロス…!お、おう、当たり前だろ。俺さまを誰だと思ってんだ
ゼロスそんな事より、さっさと行こうぜ。城ん中に
ミクリオそれなんだが…ひょっとしてこの門…異空間にでも繋がっているのか?
ヴェイグ…暗くてよく見えないが、確かに異様な雰囲気が漂っている
エリーゼお城の中じゃないんですか…?少し怖い気もしますが…
スタンそれでも、ここまで来て進まないって選択はない。そうだろ?みんな
ゼロスああ、勿論だぜ
スレイよし、じゃあみんなで飛び込もう、一斉に
スレイここまでだって力を合わせて乗り切ってきたしこの先もきっと大丈夫だ
エリーゼはい、そうですね…!
ルドガーじゃあ、行くとするか
スタンおう!せーのっ!
scene1揺蕩う結晶
スレイ──この空間は一体…
スレイまさか城の中がこんな事になってたなんて…
スタンああ…。何か、信じられないっていうか…
ヴェイグ…どうやら本当に異空間という事らしいな。これも天帝の力、なのか…?
エリーゼ…星のようにキラキラと宙を漂っているのは全て結晶の欠片でしょうか…?
ティアそのようね。まるで星の大海だわ…
ヴェイグオレ達のいるこの場も結晶で出来ているようだな
ゼロスなるほどな。異空間に浮遊する結晶の島ってワケか…
ミクリオそう呼ぶには相応しくない不純物が多く含まれているようだけどね
スレイこれは…建物の残骸か何かか…?
ミクリオそのようだね。まるで廃墟か何かが晶化したようだ
ルドガーそれより、ここと同じような島が他にもあるようだな
スタン本当だ…。空間の奥に点々と見える
スレイこのどこかに天帝とヴァンがいるのかな?
ゼロス…ああ、そいつは間違いなさそうだぜ。見てみろよ、あれ
ゼロス向こうの方に、一際大きな光があんだろ
スレイ…!あれってもしかして…
ルドガー天晶石で見たっていう光の渦…なのか?
ゼロスああ、間違いねぇ。天帝がいるとしたら、多分あそこだろ
ティアだとしたら、兄さんもきっと…
スタンよーし、目指すべき場所はこれでハッキリした。早速行こう、あの光の渦に
ルドガー空間内の至るところでここと同じような結晶の島が点在しているのを見た
ルドガーそれを頼りに進めば多分光の渦の方に行けると思う
ルドガー…問題はそれが、光の渦までちゃんと繋がってるかって事だけど
スレイわからないけどそれしか方法がないなら先へ進んで確かめるしかない
ヴェイグ…ああ
ティアひとまず、近くの結晶の島へ通じる道を探しましょう
ミクリオ…その前に一つ話しておきたい
ミクリオ光の渦を目指すとして、この特殊な空間について僕らは何の情報も持っていない
ミクリオ常識の通じない空間だし僕らの想像を超える弊害だって十分に起こり得るだろう
ミクリオここから先はより慎重になって進むべきだ
ティアそうね。一人一人が気を引き締めてかからないと
ティア最悪、私達がバラバラになる事だってあるかもしれないし──
エリーゼ…!もしそうなったら、わたし…
スレイ…そうなった時は、あの光の渦を目指せばいい
スレイオレ達の目的地はあそこだろ?そこに行けば、必ずみんなと再会出来る
エリーゼスレイ…
スレイ大丈夫だよ、エリーゼ。まだそうなると決まったわけでもないし
スレイ他のみんなも、それでいいよな?
ティアええ、異論はないわ
ヴェイグここの規模もわからない以上、闇雲に行方を捜すよりはよほどわかりやすい
ティポ決まりだねー!
ゼロスま、でもはぐれないのが一番だけどな
スタンそれじゃ、早いところ動き出そう
スタンまずは、ここから他の結晶の島に通じる道を探す、だよな?
ルドガーああ。とは言ってもこの島もそれなりに広い。手分けして当たろう
ティアええ、そうね
ヴェイグ──この辺りは断崖絶壁だな。向こう側に島は見えるが、そこへ続く道はなさそうだ
スレイにしても、改めて見るとすごい空間だな…。こんなの初めて見たよ
スレイ天帝は、何の意図があってこんな空間を作ったんだろう…
ルドガーそれはわからないけど、きっと何か意味や理由があると──
ヴェイグ…!
ルドガーヴェイグ?どうかしたのか?
ヴェイグこの結晶を見ろ。他の瓦礫に比べ、原型を留めている
ルドガーこれは…何かの遺跡かな?
スレイ多分そうだと思う。あれ…でもこの意匠って、どこかで見たような……
スレイ…!これって、まさかピュール遺跡の……
ルドガーそれって確か、ライラと初めて会ったっていう…
ヴェイグスレイ…、ならあれもピュール遺跡の物か?
スレイ…!そんな…
スレイこれは、導師の壁画だ…!
ヴェイグ…何故そんな物がここに?
スレイわからない…。けど、間違いない。これもピュール遺跡にあった物だ…
ルドガーかなり古いものなんだな。随分と崩れてる…
スレイいや、実物はこんなんじゃなかった
スレイ状態はよかったし、目立った傷だって何も──
ミクリオ──スレイ!こっちに道を見つけた、来てくれ!
スレイ…!ああ、わかった
ルドガー…壁画の事も気がかりだけど今は先へ進んだ方がよさそうだな
スレイうん…
scene2揺蕩う結晶
ルドガー──ミクリオ、“道”を見つけたって言ってたけど…
ルドガーまさかあの、小さい結晶の浮島の事を言ってるのか…?
ミクリオああ、そうだ
ゼロスおいおい…。慎重に、とかさっき言ったヤツどこのどいつだよ…
エリーゼこの浮島を飛び越えてあの島まで渡るって事ですよね…?無茶です…
ティポこんなの落っこちたら死んじゃうよー!
ミクリオ…仕方ないだろう。僕だって出来れば勧めたくはないがここくらいしか進める道はない
ティアそうね…。いろいろと見て回ったけれど他に目ぼしいところはないわ
スタンなら、渡るしかないな。ちょっと危険だけど、選んでられないし…
エリーゼ……
ヴェイグ…大丈夫だ、エリーゼ。お前が跳ぶ時はオレが支える
スレイうん、オレも。危なかったらちゃんと助けるから安心して、エリーゼ
エリーゼ…はい
ゼロスんじゃまあ、行くか…
スタンおう!
ヴェイグ──はっ!
ヒュッ
スタッ
スタンよし、ヴェイグも到着…と。あとはエリーゼだけだな
ティポエリー、頑張ってー!あと1回ジャンプ成功ー!
エリーゼ……
ヴェイグ…エリーゼ、これが最後だ。跳べるか?
エリーゼはい…わかってはいるんですが…うう…
ヴェイグ…勇気を出して跳べ。オレが必ず受け止める、さあ
ティポエリー!ヴェイグ君の腕に向かってジャーンプ!
エリーゼわかりました…じゃあ…
エリーゼえいっ
ヒュッ
スタッ
エリーゼふぅ…
ティポやったね、エリー!
ヴェイグ…二人共、大丈夫そうだな
エリーゼはい…!ありがとうございます
ゼロスさて、エリーゼちゃんも無事にこっち側に来れたワケだし早速探索と行くか
スレイうん、そうだな。また次の道も探さないと──…!
ルドガーどうかしたのか?スレイ
スレイ…いや、結晶に残骸が含まれてるのはここも一緒なんだなと思って…
ヴェイグだが、さっきの物とは違う。ピュール遺跡の物ではなさそうだな
ミクリオピュール遺跡…?
スレイそうなんだ。遺跡にあった導師の壁画…、ミクリオも覚えてるだろ?
スレイ結晶の中にあの壁画があったんだ
ミクリオ何だってそんな物がここに…?
スレイわからない…。少し崩れたりはしてたけど、全く同じ物だったと思う
ゼロスじゃあ、ひょっとしてここらの残骸も──…
スタンスレイ、ミクリオ!この旗って…ウィンドルのものじゃないか!?
ルドガー…!見せてくれ、スタン
ルドガー…かなりボロボロになっているがこれはウィンドルの国旗だ。間違いない
スレイって事は、この周辺にある建物の残骸は…
ルドガーおそらく、バロニアにまつわる物だと思う。これを見てくれ
ルドガーこの瓦礫に組み込まれているのはウィンドル騎士団の紋章…。騎士団の拠点はバロニアだ…
ヴェイグピュール遺跡にバロニアだと…?
スタンそんな、まさか…
ゼロス…ああ、どっちも晶化しちまったとこだな
ミクリオこれは偶然なのか…?それとも…
スレイもしかして、この空間で晶化してる残骸って全部地上で晶化した物なのか…?
ティア関係していても不思議じゃないわ。晶化とこの空間…いずれも天帝の力によるものだもの
ルドガー……
ヴェイグもしそうだとしたら、晶化した人もここに……?
エリーゼ
ゼロス…でもよ、それなら何で「残骸」なんだ…?ここにあるもんは全部崩れてる
ゼロスバロニアは確かに晶化したけど別に戦争や暴動があったわけでもねぇ
ゼロス国旗がこんなボロ雑巾みたいになったりよ…、瓦礫化しちまってんのは変だろ?
ティア確かにそうね…
ティアこれまでみた晶化でも、結晶の中の物が破損する事はなかったわ
スレイうーん…
ミクリオ今考えていてもその答えは出ないだろうね…
スタン答えは天帝のみぞ知るって事か…
ルドガー……
scene1思い出の残骸
スタン──2つ目の島に来て随分と歩いたけど…、ここも結構広いんだな
ティアええ…。光の渦までもまだ結構あるようね…見える景色が変わらないわ
ヴェイグ…この空間内だと確かに距離が掴みにくいがさっきより前進している事は確かだ
エリーゼそうですね…
ミクリオむ…?あそこにあるのは何だ
スレイこれは…赤い結晶…?
スタンこんなの初めて見るけど、これも晶化の結晶なのか…?
ミクリオいや…地上は勿論、この御座へ来てからも見た事がない
ゼロス何だか不気味だな…
ヴェイグああ…。むやみやたらに近寄らない方が──
ルドガー…!あれは…
ゼロスあ、おい!ルドガー、待てよ!
ティア何か見つけたのかしら…
スレイ行ってみよう
ルドガー……
ルドガーやっぱり…!何で…どうしてこんな…
ヴェイグルドガー、何があった?
ティアこれは、民家の一部かしら…。随分と崩れているけれど──
エリーゼ…!ルドガー…もしかして…
ルドガーああ…間違いない、俺の家だ
スタンなっ…!見間違いって事はないのか?
ルドガー
エリーゼそんな……
ヴェイグ……
ルドガーくっ…
ルドガーエル!兄さん!ここにいるのか!?いるなら返事をしてくれ!
スレイルドガー…
ミクリオ…!
ヴェイグ何だ、この光は……
ゼロスさっきの赤い結晶だ…!
エリーゼえ…?
ティア…!これは一体…!?
スタンエリーゼとティアの足下に魔法陣が…!
ヴェイグくっ…!エリーゼ!
ルドガーティア、そこから離れろ!
ルドガー…!
ヴェイグく…っ!?
スレイヴェイグ!ルドガー!
シュン!
スタンお、おい…どういう事だ…?
ティア二人が消えて…
ゼロスおい、ヴェイグ!ルドガー!!
エリーゼそんな…
スレイくっ…!
ミクリオ…!あれは…
ティポまた赤い結晶が光り出したー!?
スタンまずい…!ここにいたら危険だ!
スレイみんな、ここから離れよう!
ティアこっちよ、急いで!
scene2思い出の残骸
エリーゼ──はあ…はあ…
ゼロスここまで来ればひとまず大丈夫だろ…
ティアエリーゼ、大丈夫?
エリーゼはい、わたしは…。でも…
ティポうわーん!!ヴェイグ君もルドガー君も消えちゃったよー!
スレイ二人は一体どこに…
ティア少なくともこの近くにいない事は確かだと思う…
スタン…!ティア、何か知ってるのか!?
ティア今の魔法陣…おそらく「転移術」の一種よ
スレイ転移術…?
ミクリオつまり二人は、どこか別の場所へ飛ばされたという事か…
ゼロスおいおい、どこに飛ばされたって言うんだよ
ティアそこまでは、私にもわからないわ…
ゼロスくそっ…あの赤い結晶…ヴァンの仕掛けた罠なのか?
ミクリオその可能性も勿論否定出来ないが…腑に落ちないところもある
ミクリオ僕達を排除する事が目的なら、もっと致命傷を負わせる術を仕込む事も出来たはずだし…
エリーゼとにかく、二人を捜さないと…
ティアエリーゼ…
スタン転移って事は、たどり着いた先がどこであれ二人は無事って事だよな?
ティアおそらく…
ティアけれど、その先に何が待ち受けているのかわからないし、安全とは……
スレイ…いや、きっと大丈夫だよ
スレイ転移先でどんな困難が待ち受けていたとしても、あの二人なら必ず乗り越える
スレイだからオレ達はこのまま光の渦を目指そう。二人を信じて
スタンスレイ…
スタン…そうだよな。あの二人なら絶対に大丈夫だ
ゼロス何だかんだ言ってあいつら相当タフだしな。そう簡単にくたばりゃしねぇだろ
エリーゼでも…
スレイエリーゼ、さっきオレが話した事、覚えてる?
エリーゼ…!バラバラになった時は光の渦を目指す…
スレイうん
スレイ二人がもしこの城内にいるとしたらあの光の渦に向かうはず。だろ?
ミクリオそれに…一刻も早く、天帝の目覚めを止めなくてはならない
ミクリオそのためにも…今は前に進まないと
ティアそうね…。私もそう思うわ
エリーゼ
エリーゼそうですね…。みんなの言う通りだと思います
エリーゼわたし達は天帝とヴァンを止めるために、ここまで来たんですもんね…
エリーゼ…二人の事は心配ですが、再会出来る事を信じて今は前に進むべきだと思います…
ティポきっとまた会えるよねー!
スレイよし…じゃあ行こう
エリーゼはい…!
スタンあそこに見える浮島から別の結晶の島へ行けそうだ
ゼロスなら、早いとこ行くとしようぜ
スレイああ…!
scene1虚ろに燃える炎
ゼロス──よし、ようやく次の島に着いたな
スタンここもまた、いろんな残骸が結晶に紛れてるな…
エリーゼあそこに見えるのは風車の羽か何かでしょうか…
ティポこっちにはデッカイ柱があるー
ティアけれど、いずれも原型は留めていないわね…
スレイこれもやっぱり地上で晶化した物なのかな…
スタン
エリーゼここまでで見つかったのは建物や遺跡の残骸ばかりですけど…
エリーゼヴェイグが言ってたようにもしかしたら…晶化した人もどこかに──
ミクリオ…!スレイ、あれを見てくれ
スレイあれって、まさか…
スタン剣が台座に突き刺さってる…
ゼロススレイ、あの剣がどうかしたのかよ
スレイ…これを見てくれ
エリーゼこれは…スレイの剣…?
ティア…!あの台座に刺さっている剣と全く同じ物だわ
スレイあれは…オレが導師になった時に手にした聖剣なんだ
スタン導師になった時…?って事は、あの残骸も──…
ミクリオ…ああ、ピュール遺跡の一部という事だろう
ミクリオだが、どういう事だ?何故ここに聖剣がある…
スレイ…オレ達が聖剣を手にしたのは遺跡が晶化する前の話だ
スレイつまり、ピュール遺跡が晶化した時には聖剣はなかったはずなんだ
ティアなら、この聖剣は偽物という事…?
スレイおそらく…
ゼロスじゃあ、今まで見た残骸も地上で晶化した物を真似て作った偽物って事かよ…?
スタン何でそんな事…
ミクリオいずれにせよ、今の僕達にとって益がある物とは到底思えない
ミクリオ赤い結晶の事もあるし、無闇に近付くのはやめた方が──
ボッ!
エリーゼえ…?
ゴオオッ!!
スタン何だこれ!?急に炎が…
ゼロスくっ…!すげぇ勢いで広がりやがる!
スレイこれってまさか…!
scene2虚ろに燃える炎
スタン──くっ!一瞬にして炎に囲まれたぞ!
ゼロス急に何が起きて…
ティア急いでここから離れましょう。今ならまだ──
スレイみんな、身構えるんだ…!
エリーゼ…!何か知ってるんですか…?
ミクリオただの炎なら逃れられたかもしれないが、そうはいかないという事だ…
スタン何だって…!?それって一体──
グルルル…
スタン…!あいつは…
ティポ何かとんでもないのが出てきたー!
エリーゼあんな魔物…見た事もありません…!
グオオオーーッ!
ミクリオやっぱり出てきたな、鳳凰…!
ティア鳳凰…?
スレイああ…、かつてオレ達が導師の試練で挑んだ炎の化身だ
スレイ…まさか、聖剣だけじゃなく鳳凰の試練までそっくりそのまま再現するなんてな…
エリーゼそんな……
グオオオッ!
エリーゼきゃっ!
ゼロスどうやらすんなり通してはくれなさそうだぜ
スレイだからって、ここで立ち止まるわけはいかない!
ミクリオああ、そうだな
グオオオオッ!
スレイみんな、行くぞ!
scene3虚ろに燃える炎
エリーゼ──えいっ!
ミクリオはあああっ!
ズシャッ
グオオ…
ティアスレイ、今よ!
スレイわかった!
スレイこれでどうだ!はああああっ!!
ズバッ!
グアアッ!
スレイ何とか倒せたか…
ゼロスふう…これでようやく先へ進めるぜ
スタン…にしても、スレイ達も大変だったな。あんなのが試練だったなんて
ティポぼくはもう二度と会いたくないけど──
グオオ…
グオオオオオオッ!!
ティア…!みんな、気を付けて…!鳳凰が…
ティポわーっ!?
スレイティポが捕まったぞ…!
エリーゼ駄目です!ティポを返してください…!
スタンエリーゼ!危ない、近付いちゃ──
グオオオッ!
スタン…うぐっ!
ゼロススタン!
ゼロスくそっ…!この──
グオオオッ!
ゼロスうわっ…!
スレイゼロス!!
ミクリオまさか、まだ息があったなんて…!
スレイくっ…!
スタンう…
ゼロスちくしょ…つっ…
エリーゼスタン、ゼロス…!そんな…
ティポ死なないでー
ミクリオ…あの二人、傷を負ったようだ。エリーゼが看ているが…多分すぐには動けないだろう…
ミクリオこの状況、どうすべきか…
ティア鳳凰をこちら側に引き付けて、私達だけで何とかする、それしか方法は──
スレイ
スレイティア、君はみんなを頼む。鳳凰はオレとミクリオで何とかする
ティアあなた達二人で…?けれど、一体どうやって…
ミクリオスレイ、まさか…
スレイああ…。力を貸してくれ、ミクリオ
ティア駄目よ、スレイ!神依の力は決戦の切り札…今その力を使うのは──
スレイ勿論、その時もやるさ
スレイ天帝の目覚めやヴァンを止めて、この世界を救う…それは何があってもやり遂げる
スレイそのためにも、今目の前にいる鳳凰を倒してみんなを助けないと…!
スレイ神依は特別な力かもしれないけどそれだけじゃ駄目なんだ
スレイ世界を救うにはみんなの力が必要不可欠だ!
ミクリオスレイ…
ティア…わかったわ。なら、ここはお願い
スレイうん!じゃあ、ミクリオ!
ミクリオああ、わかった!
スレイ・ミクリオルズローシヴ──…
???──ちょっと待ったー!その必要はねぇ!!
スレイ…!あれは…
ゼロスせやあっ!
ザシュッ!
グオオッ!
ゼロススタン!今だ、叩き込め!
スタンわかってる…!はああっ!
ザシュッ!
グアアア…ア…
エリーゼこれで最後です…!行きますよ、ティポ!
ティポおっけー、エリー!
エリーゼせーのっ!えいっ!
ズシャーーーーーッ!!
グ…ア……
スタンはあ…はあ…何とか間に合ったか…
ティポ炎もすっかり消えちゃったー!
ゼロス助かったぜ、エリーゼちゃん。応急処置ありがとな
エリーゼいえ…二人共…よかったです
スレイ──みんな…!よかった、無事だったんだな…
スタン…何とか、エリーゼのお蔭でな
ゼロス…それより、お前らが神依化しちまう前にどうにか出来てよかったぜ…
ティアあれは、あなた達を救って先へ進むためのやむを得ない判断だった…
ティアそんな言い方は…
スタンあ…いや、ごめん。別に責めたいわけじゃないんだ
エリーゼ…スレイ達の話してる事、聞こえてたんです
エリーゼ世界を救うには仲間がいないと駄目だって…
エリーゼだから知ってます。どんな想いで神依化しようとしたか…
スタンほら、神依を温存するって話の時にスレイ、言ってただろ?俺達に力を貸してほしいって
スタン…本当ならその切り札こそ俺達が守らないといけないのに
スタン俺達のためにそれを使わなくちゃならないって何か、情けないって言うかさ…
スタンだから、俺達としては何としてでも神依化しちゃう前にどうにかしたかったって事
スタン…だよな、ゼロス?
ゼロスま、後で俺さま達のせいで本領発揮出来ない~とか言われてもシャクだし?
スレイみんな…
ティアどうやら、互いに互いを想い合っていたという事のようね
ミクリオそのようだね。でも、結果としてよかったよ。切り札は守れたわけだから
スレイ…うん、そうだな。ありがとう、みんな
ゼロス…何だよ、改まって。スタンのアツさに当てられてんじゃねーのか?
スレイはは…、そうかもしれないな
スタンえー!?何で俺…
ティア気にする事ないわ、褒め言葉よ
スタンそう…なのか?
ゼロスそうそう。そんな事より、とっとと先へ進もうぜ
スレイうん、そうだな。急がないとヴェイグやルドガーを待たせる事になっちゃうかも
エリーゼそうですね…!では、行きましょう
ティポレッツゴー!
scene1切り結ぶ双剣
ルドガー……
ルドガーう…くっ…
ルドガーここは、一体…?
???──目が覚めたか…
ルドガー…!その声は…
ヴェイグ
ルドガーヴェイグ…!
ルドガー他のみんなはどこに…?それに、赤い結晶や俺の家も──
ヴェイグ…お前が目覚める前に周辺を見て回ったが、ここにはオレ達以外は誰もいない
ヴェイグ見覚えのある物も何一つなかった
ヴェイグ…どうやらオレ達はどこか別の島へ飛ばされてしまったという事らしい
ルドガー別の島に…?そうか、あの時確か魔法陣が出現して俺とヴェイグが…
ルドガー俺達だけって事は、ティアとエリーゼは助かったのかな?
ヴェイグ…そうだと信じたい
ヴェイグとにかく、ここにいても仕方ない。道を探そう
ルドガー道と言っても…元いた島はどこだ?
ヴェイグわからない。見渡す限りどこも同じ景色だからな
ヴェイグだが、望みはないわけじゃない。あれを見ろ
ルドガーあれは、光の渦──……!そうか…
ルドガーそう言えば、御座に入ってすぐの頃スレイが話してたな
ルドガーバラバラになるような事があれば、光の渦を目指そうって
ヴェイグスレイ達もおそらくあそこへ向かっているだろう。いずれ合流出来るはずだ
ヴェイグそれに…例え合流出来なかったとしても、オレ達が目指すべき場所があの光の渦である事は変わらない
ルドガー…ああ、そうだな
ルドガー天帝の目覚めを止めて、元の世界を取り戻す……必ず…
ルドガーとにかく、他の島へ進める道を探そう
ヴェイグ
ルドガー──この辺りは何もないな。相変わらず残骸があちこちにあるが、目ぼしい物もないし……
ヴェイグ…ルドガー
ルドガーどうかしたのか、ヴェイグ
ヴェイグ無理はするな…
ルドガー…!
ルドガー…はは、やっぱり俺あの時すごくうろたえてたよな
ルドガー心配ありがとう、ヴェイグ。…俺は大丈夫だよ
ルドガー家の残骸を見つけた時は、さすがに動揺したし、もしかしたら…って思ったけど…
ルドガーエルや兄さんの姿はなかった。だからきっと二人も無事なはずだ
ヴェイグルドガー…
ルドガーあ、いや…クレアの事があるのに、何かその…ごめん
ヴェイグ…無事を信じる気持ちはわかる。お前が謝る事じゃない
ルドガーそう言ってもらえると助かるよ
ルドガー…それにしても、何なんだろうな、あの残骸…
ルドガーさっきの島で見た俺の家もピュール遺跡やバロニアの物と同じでかなり破損していた…
ルドガーあれは本当に、地上の物なんだろうか…
ヴェイグ偽物だと?
ルドガー何の確証もないけどな。…単に俺がそう信じたいってだけなのかもしれないし
ヴェイグルドガー…、やっぱりお前は…
ルドガー…いや、二人の無事は信じてるよ。ただ、後悔だけはどうしても消せないんだ
ルドガー二人の傍にいればよかった、守ってやればよかった、その想いだけはどうしても…
ルドガーはは、情けないな。こんな中途半端な状態、兄さんが見たらきっと怒られるよ
ヴェイグ守ってやればよかった…か
ヴェイグ…言われてみれば、オレも同じだな
ルドガークレアの事か…
ヴェイグああ。既に決意は固まっている…だが、その想いだけは今も消えない
ヴェイグ消せるとすれば、あの笑顔を再び見る事がかなうその時だけなんだろう…
ヴェイグだからこそ、オレは何としてでもクレアを救う
ヴェイグもう二度と、失わないように…
ルドガーヴェイグ……
コツ…コツ…
ヴェイグ…?
ルドガーこれは、足音…?もしかして、スレイ達か…!?
ヴェイグいや、ヴァンという可能性もある
ルドガー向こうから近付いてくる、念のため警戒して──
ルドガー…!そんな…まさか……
ヴェイグ…ルドガー?一体どうしたと──
ユリウス
ルドガー兄さん…何でここに……!
ヴェイグ…!お前の兄…なのか…?
ルドガー答えてくれ、兄さん!何でここにいるんだ…?
ルドガーエルはどうした?どうやってここに──…
ユリウス
ルドガーどうして何も言ってくれないんだ!?答えてくれ、兄さん…
ヴェイグもしかして晶化したのか…?
ルドガーヴェイグ…!そんなはずはない、兄さんが晶化するなんて…
ルドガー…そうだ、兄さんがここにいるわけがない。来られるわけがない
ヴェイグルドガー…
ルドガー…お前は兄さんの姿をした偽物だ。天帝やヴァンが仕向けた罠に違いない
ユリウス
チャキ…
ルドガー…!
ルドガーくっ…!
ルドガーやはり、お前は…
ユリウス
ヴェイグ…待て、ルドガー。何か様子がおかしい…
ルドガー…そりゃそうさ。だってあれは、偽物なんだから…
ルドガーだが、そうとわかれば…──容赦はしない!
ルドガーうおおおっ!
ユリウス
ヴェイグ待て、ルドガー!!
ヴェイグその男…攻撃はしてきたが、本気でお前を斬ろうとしているようには見えなかった…きっと何か──…
コツ…コツ…
ヴェイグ…!また足音か…!
ヴェイグ…くっ、今度は一体誰──
ヴェイグ…!お前は……
scene2切り結ぶ双剣
ヴェイグ──どうしてお前がここに…
ヴェイグ…答えてくれ、クレア……
クレア『ヴェイグ…』
ヴェイグ頭の中に声が…!?これは一体…
ヴェイグクレア…お前は本当にクレアなのか…?
クレア
ヴェイグお前は確かに晶化したはずだ…
ヴェイグ天帝の力によって、この空間に…?それとも、別の何か、なのか…?
クレア『久しぶりに会ったのに 怖い顔ね、ヴェイグ』
ヴェイグ…クレアなのか?
クレア『ふふ、変な人。 あなたに嘘吐いた事なんて ないでしょ?』
クレア『あなたは私を守ってくれた。 今もこうして私を助けようと 一生懸命じゃない』
クレア『だから、そんな顔しないで…』
ヴェイグお前は…本当に…
クレア『もうすぐ全ては終わるわ。 そしたら、お願い。 私を迎えに来て』
クレア『一緒に帰りましょう、 私達のスールズ村に…』
ヴェイグ…!クレア…お前はやはり──
ルドガーせやっ!
ガキンッ!
ルドガーはあ…はあ…
ユリウス
ルドガー偽物のくせに…兄さんと同じ姿で、同じ動きを…
ルドガーこの…っ!惑わされはしない!
ルドガー兄さんが晶化したなんて、俺は絶対に認めない…!
ルドガーはああっ──
ヴェイグ待て、ルドガー!
ルドガーヴェイグ!何で──
ヴェイグ…正しく見極めろ。お前の兄が本当にただの偽物なのか…
ヴェイグ…あれを見てくれ
クレア
ルドガー…!あれは…クレアか…?
ヴェイグクレアは晶化した。だが…あそこにいるクレアは紛れもなく本人の意思を持っている
ヴェイグおそらくはお前の兄もクレアと同じ状態だ…
ルドガーじゃあ…
ルドガー兄さんも晶化に……
ユリウス
ユリウス『…ルドガー』
ルドガー…!頭の中に声が…!?
ヴェイグ…クレアの時もそうだった
ヴェイグきっと、直接お前に語りかけているのだろう
ルドガーじゃあ…
ルドガー本当に兄さん…なのか…?
ユリウス『ああ…そうだ』
ルドガー兄さんも晶化に巻き込まれてしまったんだな…
ユリウス『ああ…。 エルも守る事が出来ず、 本当にすまなかった』
ルドガー兄さんが謝る事じゃない。俺こそ、傍で守ってやれなくてすまなかった…
ルドガーしかも、兄さんが晶化した事を受け入れられずにあんな…
ユリウス『…それは構わない。 それだけお前は俺達を信じようと してくれていただけの事…』
ユリウス『──だが、結果として見誤った』
ユリウス『お前はわかっていたはずだ、 この現実を。…だが目を逸らした、 俺達を信じるという理由を付けて』
ユリウス『違うか?』
ルドガーそれは…
ユリウス『お前の想いもわからなくはない…。 だが、そんな生温い意志で、 本当に目的を果たせるのか?』
ルドガー…確かに俺は、兄さんの言う通り現実を受け入れられなかった
ルドガー頭のどこかではわかっていたけど…やっぱり認めたくなかったんだと思う
ルドガー…けど、それと覚悟は別だ!目的は必ず果たす、何があっても…
ルドガー兄さんやエル、それにクレア…。この世界は必ずこの手で救う!
ユリウス『…いい覚悟だ。 なら、その覚悟…身をもって示せ』
ユリウス『はあああああっ!』
ルドガー…!
ユリウス『本気で来い、ルドガー。 俺すら倒せないようなら、 お前に世界を救う事など出来ない』
ルドガー…兄さん
ルドガー──わかった…
ルドガー全身全霊をもって示すよ。この覚悟が本気だって事を…!
ルドガーはああああああっ!
ルドガー行くぞ、兄さん!
ユリウス『…来い、ルドガー!』
scene3切り結ぶ双剣
ルドガーはあ…はあ…
ユリウス『はあ…はあ…』
ヴェイグ
クレア
ユリウス『…見事だ、ルドガー』
ユリウス『……っ…!』
ルドガー…!
ルドガー兄さん!
ユリウス『ルドガー、 …お前の覚悟は本物のようだな』
ユリウス『今のお前なら、 必ず目的を果たせるだろう』
ルドガー兄さん…
ルドガーうん…。必ずやり遂げるよ…そして兄さんを…みんなを救うから
ユリウス『ふ…』
ヴェイグ何だ、この光は…!
ルドガー──…!兄さんとクレアが…!
クレア『…ヴェイグ、自分を信じて。 あなたならきっと大丈夫。 見守っているわ』
ユリウス『…ルドガー、 お前もその覚悟を忘れるな』
ユリウス『俺達の心はお前達と共にある…。 それを忘れず、先へ進むんだ──』
ヴェイグ…!クレア…!
ルドガー兄さん──!
ヴェイグ
ヴェイグ…二人共消えてしまったな
ルドガー…ああ
ヴェイグ…!ルドガー、あれを…
ルドガーあれは…浮島…?
ヴェイグ…ああ。次の結晶の島へ続いているようだ
ルドガーおかしいな。あんな物なかったような……
ルドガー…!ひょっとして…
ヴェイグ…ああ、あの二人はオレ達を救うために、ここへ来てくれたのかもしれないな
ルドガー……そうだな
ルドガー…ありがとう、兄さん
ルドガーよし、ヴェイグ。あの道を進もう、みんなと再び会うために
ルドガーそして──
ヴェイグオレ達の目的を果たすために、な
scene1友を想えば
スレイ──光の渦がかなり大きく見えるようになってきたな
ミクリオそれだけ近付いてるって事さ。ここまでくればあと少しだ
エリーゼ…ヴェイグとルドガーの姿はまだ見えませんね…
スタンこの広さだしな…
スタンこの空間内にいたとしてもすぐに合流、とはいかないだろうな
エリーゼ……
ティアきっとその内会える、それを信じて今は先へ進みましょう
エリーゼそうですね…
ゼロス…ったく、あいつらも罪なヤツだぜ。こんな可愛いエリーゼちゃんを不安でいっぱいにさせるなんて──
ズズ…
ティア…?何の音?
ゴゴゴゴゴ…!
スタンなっ…!島が揺れてる…!
ミクリオ大きいな…。気を付けろ、きっと何か…
ビシッ!
ゼロスくそっ、足下にヒビが…!
ティアゼロス、大丈夫!?
ビシビシビシッ!
ガラガラ…!
ティポ地面が崩れちゃったよー
ゼロスあっぶねー…危うく一緒に落っこっちまうところだったぜ…
ミクリオ気を抜くのはまだ早い。あれを見てくれ…
スレイ…!周囲の島がどんどん崩れ始めてる…
ゼロス揺れてんのはこの島だけじゃねぇって事かよ!?
ミクリオこの空間全体で何か異変が起きているようだ…!
スタンそんな…!一体何が…
ティア天帝が目覚めかけているのかも…。光の渦が今までにないほどの強い光を帯び始めている…
エリーゼ本当です…!さっきまで普通だったのに…
ビシッ!
ガラガラ…
ゼロスちっ…また足下が崩れ始めた…
ズゴゴゴ…!
スタンしかもこの揺れ…さっきより大きいぞ
スレイあれこれ考えるのは後だ、とにかくここを離れよう…!
ティア向こう側へ行きましょう…!ここよりは崩落が少ないわ
ゼロス…ああ、わかった!
スレイ──みんな、あと少しだ!大きな壁の残骸…あの辺りまで止まらずに走ろう!
スタンああ、わかった…!
ゴゴゴゴゴ…!
エリーゼきゃっ…!
スレイエリーゼ!
スタン大丈夫か!?
エリーゼはい、何とか…
ビシッ!
ガラガラガラ!
ティアまずいわね…こっちにまで崩落が──…
ビシッ!
エリーゼ…!
エリーゼスレイ、危ないっ!──ティポ!
ティポまかせて、エリー!
ティポえーい!!
ドンッ!
スレイうわっ!?
ティアスレイ!エリーゼ!
ガラガラガラッ…!!
ズズズ…
ミクリオこれは…!
ゼロス島が…完全に分断されちまった…
スレイくっ…!何で…
ゼロスエリーゼちゃん!俺さまが受け止めてやる。思い切って跳べ!
ミクリオ無茶を言うな。エリーゼ一人で跳び越えられる距離じゃない
ミクリオそれに…その距離はどんどん広がって…
エリーゼ…みんな、先に行ってください
エリーゼわたしなら大丈夫ですから…
スレイそんな事出来るわけないだろ…!
スレイオレがそっちに行く、エリーゼはそこで待ってて──
エリーゼ駄目です!
エリーゼ今、スレイがこっちに来たらきっともう戻れません…
エリーゼいいから、行ってください
スレイけど…
エリーゼヴェイグやミラ…これまでわたしはたくさんの人達に助けてもらいました…
エリーゼだから今度は、わたしが……
ズゴゴゴゴゴ…
スタン…!エリーゼ!
ゼロスくそっ…!エリーゼちゃんがどんどん離れて…
スレイエリーゼ…エリーゼ!!
ティポエリー…
エリーゼこれでよかったんです…これで…
エリーゼけど…ミラやヴェイグのように強くあるのは難しいですね…
エリーゼやっぱり少しだけ…怖いです…
???…一人で抱え込むなと、言ったはずだ
エリーゼ…!その声は、まさか──…
scene2友を想えば
エリーゼ──その声は、まさか…
ティポもしかしてー!
ヴェイグ…ああ、待たせてしまったな
エリーゼヴェイグ…!!無事で本当によかった…
ティポって事は、ひょっとしてー!
ルドガーああ。俺もいるよ、ティポ
エリーゼルドガー!
ヴェイグ二人共、心配かけた──…むぐっ
ルドガーこ、こら…ティポ!駄目だろ、ヴェイグの顔に飛びついちゃ…
ティポだって、だってー!
ゴゴゴゴ…
エリーゼ…!
ヴェイグ…とにかく急いでみんなのいる島へ渡ろう
エリーゼですが…あの距離はさすがに…
ルドガー大丈夫だよ、エリーゼ
ルドガーはあああああっ!
エリーゼ…!ルドガー、その姿…
ルドガーこの状態なら、エリーゼを抱えたままでも跳べる。さあ、こっちに
エリーゼけど、ヴェイグは…
ヴェイグオレは心配ない。…一人なら何とかなる
ルドガーティポ、お前も一緒に
ティポありがとー
ルドガーよし、じゃあ行くぞ
ヴェイグ…ああ
ルドガーせーの!
ルドガーそれっ!
ヴェイグはっ!
スレイ──とにかく、オレがエリーゼのところに行く
スレイみんなはこのまま光の渦を目指して、先に──
???…その必要はありません
スレイ…!
エリーゼみんな…
ティアエリーゼ!それにルドガーとヴェイグも!
ティポぼくだっているけどねー!
ルドガーちょっと、久しぶりだね
ヴェイグ…全員揃っているな
スタン二人共無事だったんだな。よかった…!
ティアしかも、エリーゼまで一緒に戻ってくるなんて…
ヴェイグ…心配をかけてすまなかった
ルドガー無事みんなと再会出来て、本当によかったよ
エリーゼスレイの言った通りですね…。またヴェイグとルドガーに会えました
スレイうん、そうだね
スレイそれとエリーゼ、さっきは助けてくれてありがとう
スレイエリーゼが助けてくれなきゃ今頃オレは、この奈落の底だ
エリーゼ…よかったです
ゼロスとにかく、全員無事で何よりだ
スタン光の渦までもう少しだ。あと一息、乗り切ろう!
ティポおー!
scene1迫る覚醒の時
スレイ──ようやく揺れも収まって来たな
スタン天帝の目覚め…ひとまずは落ち着いたと考えていいのかな…?
エリーゼどうでしょうか…。光の渦の輝きが強いままなのが少し気になります…
ゼロス嵐の前の静けさってヤツなのかもな
ミクリオとにかく、残された時間が僅かな事は確かだ。急いで次の島への道を探そう
スレイ…そういえば、ルドガーとヴェイグが転移した先ってどんなところだったんだ?
ルドガー転移…?
ティアあの赤い結晶の事よ。魔法陣やあの状況から転移だろうと予想していたの
ティア…あの時は助かったわ。本当ならルドガー、あなたじゃなく私が飲み込まれるはずだった…
ルドガー…いや、全然構わないよ。寧ろ、行けてよかったと思ってる。そうだよな、ヴェイグ?
ヴェイグ…ああ
エリーゼ行けてよかった…?
ティポそれってどういう事ー?
エリーゼ──信じられません。まさか、ユリウスとクレアが…
ヴェイグ…理屈はわからないが、この空間は地上で晶化した物や人を再現しているという事だろう
スタンでも…腑に落ちないのはオレ達が見た聖剣、だよな…
ミクリオ…ああ。聖剣があの場に存在していた時点で、現実の物とは状況が乖離している
ティアそれは、酷く破損した他の残骸にも言える事だわ…
ティア……もしかしたら、この空間には何か大きな秘密が隠されているのかもしれない
ゼロス…なるほどな
ゼロス…ここのもんは晶化した物を真似て作った偽物だと思ってたけど一概にそうでもねぇって事か…
ルドガー難しいな。幻影とでも言うべきか…実物じゃないという意味では、兄さん達も“偽物”と言える
ルドガー…ただ、これだけは断言出来る
ルドガー兄さんとクレア…二人の意思は、紛れもなく本人の物だったって
スレイ…うん。二人の話を聞いて、オレもそう感じたよ
スレイユリウスさんもクレアさんも…きっと、二人に伝えるべき強い想いを持ってたんだろう
スレイ…人は想いを伝えられる
スレイそれを知った時、わかり合う事だって出来るんだ
ミクリオ……ああ、そうだな
スタンにしても、本当に何者なんだろうな、天帝って…
スタン城に着けば何かわかるかもって思ってたけど…結局何もわからずじまいだ
ゼロスわかってる事と言や、ただの人間じゃねぇって事くらいか。後は…謎が深まるばかりだぜ
ゼロス…さてと、次の島への道探し、再開といくか
ティアええ、そうしましょう
scene2迫る覚醒の時
ゼロス──浮島を見つけたぞ。こっからあの島に行けそうだ
ヴェイグ光の渦との距離からして、おそらくあの島が終着点だな
ルドガーよし、じゃあ早速行こう。俺が先導する
ルドガーみんなも後に続いて──…ん?
スレイ
ミクリオ…スレイ、どうかしたのか?
エリーゼ光の渦を見てたんですね
スレイうん…
スレイあそこにいるんだよな、天帝とヴァンが…
ヴェイグああ…
スレイ…ヴァンの言う世界の浄化ってさ、本当に世界を晶化させるだけ、なのかな?
スタンどういう事だ?
スレイこの世界を晶化で覆い尽くし世界を浄化させる、それが目的だとヴァンは言ってた…
スレイけど、オレ達がこの空間内で見た建物の残骸や晶化した人達…
スレイこれらは何か、ヴァンの目的とは別の意図があるような気がしてさ
スレイ何て言うか…繋がらないんだ
スレイ共謀しているはずの二人…、世界を無に帰そうとするヴァンと偽物を作り出す天帝の力が……
スレイ…それで思ったんだ。世界を晶化させる事は目的じゃなく、ただの通過点なんじゃないかって
スタンそれってつまり…世界が晶化した先に、ヴァンの本当の目的があるって事か…?
スレイうん…
ティア…そういえば兄さんが言ってたわ。この世界を捨てる事こそが救世…それが浄化なのだと
ティアスレイの言う通りだとしたら、その「救世」が意味するものこそが兄さんの真の目的なのかもしれない…
ゼロスでもよ…その救世って何なんだ?
ミクリオ何かはわからないけど、天帝の力によるものである事はおそらく間違いないだろう
ミクリオ…あの時の僕らは、天帝がこれほどの力を持つ存在だとは認識していなかった
ミクリオだからこそ、その「救世」という言葉の意味を深く捉えていなかったが──
ミクリオ天帝の力を知った今なら、その解釈も頷ける
ヴェイグ…晶化の先に、ヴァンが望んでいるもの…か
エリーゼ
ティア…兄さん、あなたは一体……
スレイ…ティア。その答えもじきにわかるよ
ティアええ、そうね…
ルドガー…よし、そろそろ行くとしよう
scene1三つの虚像
スタン──ここが終着点か
ゼロス何か、いかにもって感じだな…。他の島とまるで雰囲気が違う
ミクリオ建物もほとんど原型を留めているし、まるでどこかの神殿や遺跡にでも来たような気分だ…
ティポうんー、ヘンなカンジー
エリーゼ…!見てください、あそこに階段があります
ルドガー随分と長い階段だが、その先に見える光は…
ヴェイグ…ああ、例の光の渦に続いてるんだろう
スレイ遂にここまで来たんだな
スタンああ、一時はどうなる事かと思ったけど全員で無事にたどり着けてよかった
ティアそうね…。けれど、ここからが正念場よ
ティア相手は兄さんと、得体の知れない力を持つ天帝──…
ティアきっとこれまでにはないほど厳しい戦いになるわ
スレイ…うん、覚悟は出来てるよ。な、ミクリオ?
ミクリオああ
スタンヴァンの思うようにはさせない…!
ゼロス天帝の野郎もな。何者か知らねぇが目覚める前にぶっ倒してやる
ティア気合は十分ね。なら、行きましょう。天帝とヴァンの元に──
???『──そうはさせないよ』
スタン…!今のは一体…!?
ミクリオ頭の中で声が…!
ヴェイグこれは…クレアの時と同じだ
スレイ何…!?じゃあ、もしかして…
コツ…コツ…コツ…
ティア上よ、階段から誰か降りてくる…!
ルドガー誰だ!姿を見せろ!
???『うふふ…久しぶりね。 まさかこんな形で再会するなんて やっぱり運命かしら♡なーんてね』
ザッ…
ミクリオ…!
ゼロスまさか、お前ら……
scene2三つの虚像
ティア──どうしてあなた達が…
アリス
デクス
シンク
ヴェイグアリスにデクス…!?
ゼロスそれに、シンクの野郎まで…!何でお前達がここにいるんだよ!?
ルドガーこいつらも兄さんやクレアと同じって事さ…!
スタンそれって…地上で晶化したって事か…!?
ミクリオ…確か、アリスとデクスの身柄はア・ジュールが拘束していたはずだ。だとしたら……
スレイ…!まさか…ア・ジュールも晶化に…?
スタンそんな…ガイアスさんやジェイドさんも…
ルドガーくっ…!
シンク『相変わらず騒々しいね、アンタ達。 …けど、それもここまでだ』
アリス『ここから先は ぜーったいに通さないんだから』
ゼロスちっ、お前らと遊んでる暇はねぇっての!どきやがれ
シンク『…言ったはずだよ、通さないって』
ゼロスおいおい、晶化してまでまだヴァンに従うってのかよ?
シンク『ふん、勘違いしないでほしいね。 誰も好き好んでヴァンに 付き従っているわけじゃない』
シンク『もうすぐ迎える この世界の終わり……、 ボクはただ、それを見たいだけさ』
シンク『はっ!』
シャッ!
ガキーンッ!
ゼロスちっ…!
アリス『アハハ♪ シンクってば相変わらず 血の気が多いんだからぁ』
アリス『ま、アリスちゃん、 …そういう人嫌いじゃないケド♪』
デクス『くっ…おい、シンクてめぇ! オレのアリスちゃんの前で、 かっこつけやがって!』
ヴェイグ…おい、アリス、デクス。ふざけるのは大概にして、今すぐそこを退け
アリス『バカね、ヴェイグちゃんったら。 そんな事、聞かなくたって 答えはわかってるク・セ・に♪』
アリス『…デクス、行きなさい! 邪魔されて捕まった時の お返しよ』
デクス『アリスちゃんのお望みとあらば! …覚悟しろよ、お前ら?』
チャキ…!
スレイ
ティア厄介ね…、強敵揃いよ
エリーゼどうしますか…?
ヴェイグ…決まっている。やるしかない
スタンああ、答えは一つだ!
スレイ例えどんな障害が立ち塞がろうと、オレ達は前に進む
スレイやろう、みんな!
ミクリオああ…!
ティアわかったわ…!
scene3三つの虚像
シンク……
ゼロスお前の相手すんのもよ…、いい加減飽きて来たぜ
ゼロスこれで終わりにすんぞ、…シンク!
ゼロスせやああっ!!
ズバッ!
シンク『ぐっ…』
──ドサッ
ゼロス…ったく、奇妙な縁だな、お前とは。こんなとこでもまた会うとはよ…
ヴェイグアリス、デクス…
ヴェイグお前達がオレ達の前に立ち塞がるのであれば、退けるだけだ…何度でも
ヴェイグエリーゼ!ティポ!
エリーゼはいっ!
ティポいっくよー!
ヴェイグはあああっ!
ズバッ!
エリーゼやぁっ!
ドーンッ!
アリス『うっ…』
デクス『く、くそっ…』
スタン何だ、この光は…!?
ルドガー…じきにわかるよ
ティア三人の姿が…消えてしまったわ
エリーゼ…何だか不思議な感じがしますね。まるで夢だったようで…
ヴェイグ…あいつらも、意思は本人の物のようだったな
ゼロスけどまあ…いくら敵だとは言え、姿を真似た幻影ってのは、あんま気分のいいもんじゃねぇな
スタンまあ、そうだな…
ティア……とにかく、これで私達の行く手を阻む者はいなくなったわ
ティア行きましょう、あの階段の先へ
スレイうん。あの先にある光の渦…きっとそこに天帝とヴァンがいる
スレイこれが本当の、最後の決戦だ
ミクリオ…いよいよだな
ティア兄さんの…いえ、ヴァンの過った理想にはここで必ず終止符を打つわ…
ゼロスああ、これ以上あいつらに好き勝手させるワケにはいかねぇからな
ヴェイグ天帝を倒し、クレアを…晶化に奪われた全ての物を取り返してみせる…
ルドガー必ずやり遂げてみせるさ
ティポぼくもがんばっちゃうもんねー
エリーゼみんな一緒なら大丈夫です…!絶対に負けません
スタン俺達の世界は、俺達が救う!
スレイこれで全ての決着がつく…いや、つけるんだ
スレイ…みんな、天帝の目覚めを止めてこの世界を必ず救おう。オレ達全員の力で!
全員おおっ!
ルドガーよし、じゃあ先へ進もう
スレイ…ミクリオ
スレイどうしたんだ、行かないのか?
ミクリオさっきのみんなへの言葉…
スレイああ、決戦の前だし気合を…と思ったんだけど…変、だったかな?
ミクリオいや、悪くなかったと思う。ただ、スレイ…
ミクリオ君は変わったな
スレイオレが?
ミクリオ昔の君なら、こういう時、他人を巻き込んでしまったと考えていた
ミクリオ一緒に戦おう、なんて絶対に言わなかったと思う
スレイそうかな…
ミクリオ一人で抱え込むの、大好きだったろ
スレイ…うっ
スレイ…でも、ミクリオの言う通りかもしれないな
スレイ導師になって、みんなと旅をして…その中で神依の事もあったりさ
スレイ少しわかるようになった気がするんだ
スレイみんなの背負ってるものや、抱え込んでる想いが…
スレイそういう想いを知ったら、オレ一人で戦うのは何か違うなって思ったんだ
ミクリオ…うん、そうだな
ミクリオ何にしても、いい変化だよ。君も成長するって事だな
スレイははっ、よかった。じゃあこれでミクリオも安心してオレに付いて来られるな!
ミクリオはぁ、君は…。たまに褒めるとすぐこれだ…
ミクリオ僕は君に付いていく気なんてこれぽっちもない
ミクリオ君の隣、ここが僕の居場所だ
スレイミクリオ…
スレイうん、そうだった
スレイ行こう、ミクリオ。一緒に世界を救うんだ
ミクリオああ、君は僕がいないと駄目だろうしな
スレイそっちこそ!
scene1夢と理想の果て
スレイここに天帝が…
ミクリオ待て、スレイ…!
スレイ…!!
ヴァン…よもや、ここまで至るとはな。その執念、賞賛に値する
スレイ…!
ティア…兄さん
ミクリオスレイ…ヴァンの後ろにあるもの…
スレイ巨大な晶化の…結晶…花のように見えるけど…
スタン…結晶の花…?ここに、天帝が…!?
ヴァンそう、これこそが天帝…
ヴェイグこれが…晶化現象の元凶…!
ゼロスそいつを目覚めさせてたまるかよ…!
ヴァン無駄だ。天帝はじき目覚める
ヴァン世界の全ては晶化に包まれ、そして浄化が果たされる…
スレイ…ヴァン、答えてくれ
ヴァン
スレイこの天帝の御座の中に入ってここまで到達するまでの間…
スレイいくつもの不完全な形の建物を見かけた
スレイそれは、この地上で晶化したはずのもの達だった…
スレイ世界の浄化…それはただ晶化で世界を覆い尽くすだけじゃないだろ?
スレイ晶化の先に、何を求めているんだ?
ヴァン…ほう
ティア兄さん、答えて…!
ヴァン
ヴァンそれに気付くとは…。…カーツがお前達を危険視していたのも頷ける
ヴァン世界を晶化させた先にあるもの…それは「新世界」
スレイ新…世界…?
ヴァン争いなき世界、一から全てをやり直せる世界を創る…
ヴァンそれが私の掲げる世界の浄化だ
ゼロス本気で言ってやがんのか…?
エリーゼありえないです…新しい世界を創るだなんて…
ティポそーだそーだー!
ヴァン現にお前達はここに来るまでに見てきたはずだ
ヴァン天帝が創り出す世界…その幻影を
ルドガー…!まさか…
ヴェイグクレアや…ルドガーの兄の事か…?
ヴァンあれも、ここでお前達が見た建物も晶化を通じて創り上げたこの世界の“写し”だ
ティアそんな…仮に新しい世界が創れたとしても人々から争いはなくなりはしない…
ティア兄さんだってわかっているはずだわ!
ヴァン…争いの根源となるものは全て天帝の力で無に帰す
ヴァン争いで命を落とす事、虐げられる事…
ヴァン苦しみや悲しみ、これらからの解放だ
エリーゼ天帝は、そんな力まで持っているんですか…?
ヴァンお前達が受け入れさえすれば共に新世界で歩む道もあろう
ゼロスはんっ、仲間にしてくれる、ってか?
スレイヴァン…
スレイきっと…争いをなくしたいって気持ちはオレ達も、あなたも同じなんだ
ヴァン
スレイけど…
スレイ大勢の人が生きてる以上考え方が違ったりするのは普通の事じゃないか?
ミクリオみんな、守りたいもの欲しいものは違うからね
ミクリオ望みや願いが強いほど、自分と違う考えを持つ人を憎む事もあるかもしれない
ミクリオ最悪の場合、そこから衝突してしまって争いになるだろう
ミクリオだからって、その解決方法が争いの根源を無に帰すだって…?
スレイオレ達は、思いを伝えられるし、知る事も出来る。わかりあえないわけじゃない
スレイ時には、仲間と喧嘩だってするさ。でも喧嘩して相手の気持ちを初めて知ったりも出来る
スレイ信頼ってこういう事の積み重ねだろ
ヴァン…愚かな
ルドガー積み上げてきた、人の絆や想い…お前にそれを否定する資格はない!
ゼロスいい加減好き勝手やるのもおしまいにしようぜ?
スタン俺達みんなの世界を…お前の思うようにさせない!
エリーゼはい!ミラやジュード…それにここにいるみんな…
エリーゼ大切な人達がいるこの世界をなかった事になんてさせません!
ヴァンどこまでも愚かな幻想にしがみつこうというのだな
ヴァンそれでは争いにまみれたこの世界は救われない
ティア確かに、争いをなくす事は容易い事じゃないわ。けど、人は変わっていく事が出来る
ティア私は変わる事の出来た人を知っている…
ティア粗暴で…わがままな事もあるけど…必死に世界に立ち向かっているわ…!
ヴァン私は世界の在り方を問うているのだ
ヴェイグ世界の在り方…それは迷い…苦しみ…、そして成長し、生きる事だ
ミクリオああ、僕達はそうやって生きていける
スレイそれを教えてくれた「この世界」をオレ達は守る
スレイだから、その考えを受け入れる事は出来ない…!
ヴァン…やはり、相容れぬか
キィン…キン…
ミクリオ結晶の花が…!
ヴァン──目覚めだ。世界の浄化が始まる
ヴァンお前達が何と喚こうと運命は変わらぬ
ヴァンここで天帝の目覚めに立ち会える事を幸福に思うがいい
スレイさせない!その結晶の花を破壊出来れば…!
ヴァン…天帝には指一本触れさせん
ヴァン──導師。君の覚悟を見せてくれ
ヴァン私と、君のどちらが正しいか──…この剣で語ろう
スレイ…ミクリオ!
ミクリオああ!やるぞ、スレイ!
スレイ・ミクリオルズローシヴ=レレイ!
スレイ・ミクリオ行くぞ、ヴァン!!
ヴァンこの欺瞞と矛盾に満ちた世界に執着する者共よ…来るがいい!
ヴァン世界を浄化させる前に排除してくれる!
ヴァン…簡単には倒れぬか
ヴァンだが、甘い!
ヴァンはあぁぁ!!
スタンうぐっ…重い…!
ヴェイグこの人数相手に渡り合えるとは…
エリーゼはぁはぁ…ティポ、大丈夫!?
ティポま…まだまだー!エリーといっしょに、頑張るからねー!
ゼロス攻撃を避けられてるわけじゃねぇ…ダメージは与えてんだろ…!
ルドガーどこかに隙はあるはずだ…そこを狙う…!
ティア押し切るわ…!
ヴァン無駄だ…!
ヴァン…!
ティア…?何、今のは…
ヴェイグ集中力、体力…底なしか…?
ゼロスさすが、世界を作り替えようとしているだけはあるな…
ゼロスルークの野郎、こんなのと稽古してやがったのかよ…
ティアルーク…
ティア…さっきの様子…それに、今の動きは…なら…!
ティアスレイ!左腕を狙って!私は足止めを…!
スレイ左腕…?そうか…ルークの!わかった!
ヴァンふん…今更左腕など…痒くもないわ
ミクリオそれはどうかな
スレイ全力でいくぞ!
スレイ・ミクリオ蒼の四連!
ヴァンこの程度…!
スレイまだまだ…!ミクリオ!!
スレイ・ミクリオ蒼海の──八連!!
ヴァンくぅ…!!
スレイ全てを、貫け──
スレイ・ミクリオ蒼穹の十二連!!!
ヴァンしまっ…
ティア崩れた…!!
ミクリオ今だ!全部ぶつけるぞ!スレイ!!
スレイああ!
ミクリオ水神招来!
スレイ・ミクリオ我が弓は蒼天!蒼き渦に慚愧せよ!
スレイ・ミクリオアクアリムス──ッ!!
ズシャアァァ──ッ!!
ヴァンぐあああぁぁぁ…っ!!
スレイはぁ…はぁ…どうだ!
ヴァンくっ…あと少し……持ちこたえれ…ば…
ティア兄さん…
ルドガー倒した…のか?
スタンやった…!
ヴェイグ急げ!あの結晶の花を破壊しよう
ルドガーでも、あれも晶化の結晶と同じものならそう簡単には…
スタンスレイ、ミクリオ…!神依の力で…!頼む…!
スレイああ、やるしかない…!
ミクリオスレイ、一撃にありったけの力をこめるぞ!
スレイわかった…!行くぞ、ミクリオ!
ルドガー何だ…!?結晶の花が光っている…?
ヴェイグそれだけじゃない、花が開き始めて…!
エリーゼこれが…天帝の目覚め…?
エリーゼ──きゃっ!?
ティポうわぁぁぁぁーっ!
スレイどうした!?
ティポエリー!エリーが、エリーが!
エリーゼあ…あぁ…嘘…動け…ません…
ピキ…ピキ──…
スレイまさか…晶化現象…!?
ティポスレイ君、助けて!エリーを助けてあげ──
ピシィッ──
エリーゼティポ!?いや…!
ミクリオお、おい、スレイ。他のみんなも晶化が…!
スレイこれが天帝の力だっていうのか…!?
ヴェイグ諦める…ものか…こんな、もの…
ヴェイグおおおおっ!!
ガキン!
ヴェイグっ…ぐっ…
パキンッ…ピキピキ…
エリーゼみんな…!
スレイヴェイグ!!エリーゼ!!
スレイみんな、すぐ助けに…
ミクリオ駄目だ、スレイ!今は集中してくれ!
スレイでも…!
ゼロスしゃんとしろ、スレイ!
ゼロスお前らまで晶化しちまうわけにはいかねぇだろ…!
スタン晶化はもうすぐ世界に広がる!時間がないんだ!
スタン大丈夫だ、スレイ…!この世界は取り戻せる…!
スレイゼロス…スタン…!
ピキッ…パキ…
…ピキッ…ピシッ…
ルドガースレイ!決着をつけるんだ!
ルドガー頼む、みんなを…!この世界を…!
ピシピシ…ピキッ…
スレイルドガーッ!!
ミクリオ…くっ
スレイ…う、うう
ミクリオ!スレイ
カラン…カラン…
ヴァンハッ…もう剣も握れんか…
スレイヴァン…お前…
ミクリオまだ…動けた…のか…!?
ヴァン…我が理想の成就は…お前達に止めさせはせん…!
ヒュッ!
ヴァンぐっ…これは一体…
ティアはぁ…はぁ…
ヴァンティア…お前か…
ティアお願…い…スレイ…兄さんを…
ティア止…め…
ピキ……ピキッ…
スレイティア…ッ
ヴァン愚かな…
ヴァン何故わからぬ。私の理想が…
スレイ言っただろう!オレ達は、今の「この世界」を守る!
スレイヴァン…!これで終わりだ…
スレイこの一撃で世界を晶化から解き放つ…!
スレイみんなをお前から…天帝から…取り戻す!!
スレイ蒼穹…
スレイ・ミクリオ── 一閃!!
スレイ・ミクリオいっけええええーッ!!!
ヴァン
ピシ……ピキピキッ…
……
???レイ…──
???ス…レイ…──…
???──スレイッ!!
スレイミ…ミクリオ…?
ミクリオよかった…
ミクリオ大丈夫か?一気に力を放出して気を失ってたんだ
スレイそう…なんだ
スレイそうだ…ヴァン…結晶の花は…!?
ミクリオヴァンは君が気を失ったのと同時に晶化してしまった
スレイヴァンまで…そうか…
ミクリオ結晶の花は…
スレイヒビが…
ミクリオ何とか傷付ける事は出来たみたいだね
スレイあぁ!これなら破壊出来る…!
ミクリオ…!?
スレイあと一撃…あと一撃だけでいい。それで決める…!
スレイミクリオ…!もう一度神依を…
ピキッ──
スレイえ…?
ミクリオスレイ。すまない…
ミクリオ最後まで一緒に──…
ピシッ──ピキピキ…
スレイミク…リ…オ?
スレイ嘘…だろ。そんな…
トンッ…
スレイ…!
スレイ…お前…は──…
???クスッ…
???…おやすみ
???そして
???おはよう僕の世界──