| Name | Dialogue |
| scene1 | 再起 |
| スタン | アグニラス山…ここに来るのも随分久しぶりだな |
| リリス | … |
| スタン | リリス、結構歩いたけど、疲れてないか? |
| リリス | ううん、大丈夫。疲れたわけじゃないよ。ちょっと考え事してただけ |
| リリス | …あれ?それより、あの二人はどこに行ったの? |
| スタン | あっちの方見て来るって先に行っちゃったぞ。追いかけるか |
| リリス | うん、そうだね |
| リオン | ──聞いていた話の通りだな。ルイニス街とは比べ物にならないほど晶化が進んでいる |
| ルーティ | そうね、岩も木も土も、結晶に覆われて…歩きにくいったらないわ |
| スタン | リオン、ルーティ、何か見つかったか? |
| リオン | いや、今のところ目新しい発見はない |
| スタン | そっか… |
| リリス | どうしてこんな事になってしまったんでしょう… |
| ルーティ | リリス? |
| リリス | …さっき、見たんです。晶化してしまったリスを |
| リリス | 動物まで晶化し始めて…ルイニス街もいつか、同じようになるんでしょうか… |
| ルーティ | その可能性は考えられるわね |
| ルーティ | 場所によってまちまちだけどウィンドルでも、シルヴァラントでも晶化現象は進行してる |
| ルーティ | ルイニス街やバロニアも、この山ほどではないけど、だんだん広まっているのは確かだし… |
| リリス | それじゃあ、ルイニス街は前の氷漬けの時みたいに── |
| スタン | させない! |
| リリス | お兄ちゃん… |
| スタン | それだけは絶対にさせない。あんな想いをするのはもうたくさんだ |
| スタン | 今のところルイニス街は大きな被害はないけど… |
| スタン | 早く晶化現象の原因を見つけて進行を食い止めるんだ |
| ルーティ | そんなの、わかってるわよ |
| リオン | そのために僕はここまで来た |
| リオン | しゃべっている暇があるなら辺りの結晶を調べて、一刻も早く手がかりを探せ |
| ルーティ | ちょっと、リオン…!? |
| ルーティ | …あーもう、相変わらずほんっと勝手なんだから |
| ルーティ | リリス、あいつの言った事は別に気にしなくていいから |
| リリス | ありがとう、ルーティさん。でも、リオンさんの言う通りだと思います |
| リリス | …私も頑張って何か手がかりを探してみますね! |
| ルーティ | …それにしても、厄介な事になったもんね |
| スタン | ああ…。俺達も勿論だけど、街のみんなもすごく不安がってる |
| スタン | 避難した方がいいのかもって話も出たんだけど… |
| ルーティ | でも、今やどこの街でも大なり小なり晶化は進行してるからね… |
| スタン | うん…。だから、尚更不安なんだ |
| スタン | …ルーティ、本当ありがとうな。街の事を心配して戻って来てくれて |
| ルーティ | 気にしなくていいわよ。お礼は、後でたんまりもらうから |
| スタン | ええ、お金を取る気か? |
| ルーティ | 当たり前でしょ? |
| ルーティ | …でも、今回は特別にまけてあげてもいいわよ |
| ルーティ | あの街の事が心配なのは、あたしだって同じだし |
| ルーティ | 以前、ルイニス街が大変だった時何も出来なかったからね… |
| スタン | ルーティ… |
| スタン | あの時は仕方がなかったんだし気にする事はないさ |
| スタン | そういえば、面倒を見てる子ども達の方は今どうしてるんだ? |
| ルーティ | 面倒見のいい妹分が出来てさ、その子に頼んであるわ |
| スタン | そうか、それならよかった |
| スタン | …よし、何はともあれ俺達も行こう |
| スタン | 小さな事でもいい、晶化に関する手がかりを探さないと |
| ルーティ | そうね |
| scene2 | 再起 |
| ルーティ | うーん…。あちこち見て回ったけど、特に変わったものは見つからないわね |
| リリス | 晶化が進んでる地域に来たら何かわかるかもって思ってたのに… |
| ルーティ | まあ、考えてみればそう簡単に見つかるわけないか… |
| ルーティ | あたし達より遥かに頭のいい研究者ですら、未だに何も掴めてないって話だし |
| スタン | … |
| リオン | スタン、さっきから黙り込んで何を考えている? |
| リリス | 何か気付いた事でもあった? |
| | |
| スタン | やっぱり…晶化現象には大精霊が関係してるんじゃないか? |
| リリス | 大精霊…? |
| リオン | … |
| リオン | この世界を形成する上で欠かせない自然を司る存在の事だ |
| スタン | 前にさ、世界各地で地面に大きな亀裂が出来たり、いろんな異変が起きてただろ? |
| スタン | あれは、大精霊が暴走状態になってしまった事が原因で起きてたんだ |
| ルーティ | って事は…今回もその大精霊が? |
| スタン | はっきりは言えないけど…。大精霊の影響かもって考えたら納得がいくっていうか… |
| リオン | 確かに、これだけ広い範囲に影響を及ぼせる要因となるものは、そう多くもないはずだ |
| リオン | …可能性としては、僕も考えた。だが、僕達が知る大精霊の中にこういった力を持つ者はいない |
| スタン | うーん、そうか… |
| | |
| スタン | あ…でも、精霊って確か俺達が知ってる他にももっとたくさんいるって話じゃなかったか? |
| スタン | ミラやクラースさんに話を聞けば、晶化の力を持つ精霊がいるかどうかわかるかもしれない |
| リオン | …それ以前に、ミラにさえ会えれば大精霊が暴走しているかどうかまでわかるだろうがな |
| スタン | …あ、そうか! |
| スタン | さすがリオン、頭いいな |
| リオン | そんな事でいちいち褒めるな |
| ルーティ | 何だかよくわからないけどまずは、そのミラって人に会いに行くわけね |
| ルーティ | で、その人はどこ? |
| リオン | 僕は心当りはない。スタン、お前は知っているのか? |
| スタン | ……あれ、そういえばミラってどこに住んでるんだっけ? |
| リリス | お兄ちゃんたら…居場所もわからないのにどうやって会いに行くの? |
| スタン | あはは… |
| ルーティ | はあ、呆れた…。じゃあ、もう一人のクラースか… |
| ルーティ | 精霊に詳しいクラースって、確か変わったトンガリ帽子を被ったあいつの事よね |
| ルーティ | その人ならバロニアにはよく出入りしてるはずだし、街に行けば居場所がわかるかも |
| リリス | さすがルーティさん、いろいろ知ってるんですね |
| ルーティ | まあね。それで生活してるからね |
| リオン | 精霊の話を聞くという事なら、コルテア街のキールもいいかもしれない |
| スタン | キール…って、前にイフリートの事でいろいろ教えてくれた人だな |
| スタン | 確かに、精霊の事を知っているみたいだった |
| スタン | よし、キールにも会いに行こう |
| リリス | ここからだと、まずはコルテア街、その後にバロニアへ向かうって事ね |
| リオン | …いや、僕は直接バロニアに行く。情報集めは早い方がいいだろう |
| リオン | コルテア街を経由するより東の森をさっさと抜けた方が早い |
| スタン | 確かに、二手に別れた方が早いと思うけど… |
| リリス | リオンさん、一人で行くつもりですか?それはさすがに危険だと思います |
| リオン | 足手まといになる者がいない分その方がよほど身軽だ |
| ルーティ | ったく、まーたそんな事言って…。いいわ、あたしが一緒に行く |
| ルーティ | 街の事も大体わかるし、情報屋のツテもある。リオン一人に任せるより効率的に動けると思うわ |
| リオン | … |
| ルーティ | 何よ、不満でもあるわけ? |
| リオン | …ふん、勝手にしろ |
| ルーティ | じゃ、そういう事で。それぞれ話を聞けたら、ルイニス街で落ち合いましょ |
| ルーティ | って事で、リオン行くわよ |
| リオン | 僕に指図するな |
| リリス | 二人共気をつけてくださいね! |
| スタン | もう行っちゃった… |
| スタン | まあ、あの二人なら、心配はいらないな、うん |
| リリス | そうだね。じゃあ、私達も行こっか |
| スタン | そうだな |
| | カサッ… |
| リリス | …?今の音は──… |
| | |
| | ガルルルル! |
| スタン | …!リリス危ない、魔物だ! |
| scene1 | 行き交う者達 |
| スタン | ようやく着いたか |
| リリス | コルテア街…前にお兄ちゃんと一緒に来たよね |
| スタン | ああ、買い物でメルトキオに行った帰りの事か |
| リリス | そうそう!お兄ちゃんがバテちゃって休憩がてらここに立ち寄って… |
| スタン | バテたって…仕方ないだろ。大量の食材を買い込んで、それをずっと抱えてたんだから |
| リリス | ふふ、そうだったね |
| リリス | 少し前の出来事なのに、すごく昔の事みたいに感じる |
| リリス | やっと、いつも通りの生活に戻れると思ったのに、こんな事になってしまうなんて… |
| スタン | リリス、大丈夫さ。きっと何とかなる |
| スタン | 早くキールを見つけよう |
| リリス | うん、そうだね |
| リリス | お兄ちゃんはそのキールさんっていう人のお家、知ってるの? |
| スタン | いや、家までは知らない。けど、この街には知り合いもいるし… |
| リリス | そっか。じゃあ、その人に会いに行けば何とかなりそうだね |
| スタン | ああ、そうだな |
| キール | ──メルディの手紙によると、リンネル村でも晶化現象が少しずつ広がっているらしい |
| キール | 最近じゃ、動物が晶化しているのを見たって書いてある |
| ファラ | ア・ジュールでも晶化現象が進んでるなんて…。この辺りだけじゃなかったんだね |
| ファラ | 手紙には、近頃村にまで魔物が出るようになったとも書いてあるね |
| リッド | 腹を空かせた魔物が食糧を求めて来るってワケか。コルテア街もそうだしな… |
| キール | 街に侵入する魔物の事もそうだが、晶化現象の方も何とかしないとどんどん状況は悪化するばかりだ |
| リッド | 何とかって言っても…どうすりゃいいんだ? |
| ファラ | …リチャード国王の事もあるし、いつかは人間も、次々と晶化してしまうのかな…? |
| リッド | 今のところ、他に人が晶化したって話は聞かねえけどな |
| リッド | それに、国もこの状況を黙って見てるとも思えねえけど |
| キール | 悠長に待っていられるものか。各国の為政者達が、状況を正しく認識出来ているかどうかだって── |
| スタン | おーい! |
| ファラ | あ… |
| スタン | リッド、ファラ!それにキール! |
| リッド | 何だ、スタンじゃねえか。久しぶりだな。どうしてここに? |
| スタン | キールに用があって来たんだ。すぐ会えてラッキーだったな |
| スタン | それに、お前達って知り合いだったんだな!驚いたよ |
| リッド | まあ、みんなこの街で育った幼なじみだからな |
| ファラ | 久しぶりだね、スタン! |
| ファラ | …と、一緒にいる人は? |
| リリス | 初めまして。リリス・エルロンです。兄がいつもお世話になってます |
| ファラ | へえ、スタンの妹さん…!そう言われると…似てるかも! |
| ファラ | こちらこそ、よろしくね |
| キール | ところで、スタン。リッドやファラでなく、何故わざわざぼくを訪ねてきたんだ? |
| スタン | ああ、それなんだけど── |
| | |
| キール | ──晶化現象の原因が、大精霊にあるかもしれない、か… |
| スタン | まあ、もしかしたらってだけで何の確証もないんだけどな |
| リリス | キールさんならその辺りの事、知ってるんじゃないかって兄が言うものですから |
| リッド | 今ちょうどオレ達も晶化現象の話をしてたところだったんだ |
| スタン | へえ、そうだったのか |
| | |
| ファラ | 大精霊かあ…。どう思う?キール |
| キール | …あくまで現時点における推測だがその可能性は低いと思う |
| キール | 大精霊が操る力はぼく達にとってなじみ深い、自然現象に結びついている |
| キール | 例えば、炎を司るイフリートならアグニラス山の噴火、氷を司るセルシウスなら湖などの氷結── |
| キール | 大精霊の影響で起きていた以前の異変も、これらの結びつきが顕著にあらわれていた |
| キール | だが、晶化のような自然現象も、結晶を操る精霊も、ぼくの知る限り存在しない |
| キール | ただこれも、調査を進める内に見解が変わるかもしれないが |
| キール | いずれにせよ、晶化現象についてはもっと詳しく調べる必要がある |
| キール | もしかしたら気候や環境によって、国や地域でも発生している事象に違いがあるかもしれない |
| キール | だから、ぼくはこれからア・ジュールのリンネル村まで行ってみるつもりだ |
| リッド | キール、本気か? |
| スタン | リンネル村だって?どうしてまた? |
| キール | 実は昨日、そこに住んでいる知り合いから手紙が来た |
| キール | 各地の事象に違いがないか確かめる意味でも、ア・ジュールへ行ってみるのは有意義な事だと思う |
| ファラ | その案に賛成!メルディの事も心配だし、わたし達も一緒に── |
| キール | ファラ達はこの街に残ってくれ。魔物が入ってくる可能性は、この街も同じはずだからな |
| キール | 晶化現象の調査と、ついでにメルディに会いに行くくらいならぼく一人でも十分だ |
| ファラ | キール一人で行くなんて、危ないよ |
| リッド | 道中、魔物が出たらどうすんだ |
| キール | 魔物一匹ぐらい、ぼく一人で片付けるさ |
| リッド | すっげえ素早い、強そうな魔物が襲ってきたら?しかも何匹も。…本当に大丈夫か? |
| キール | だ、大丈夫だって言ってるだろ!心配いらない! |
| ファラ | 変に頑固だよねえ… |
| ファラ | でも、キールの言う通り街も心配だし… |
| スタン | キール、俺達も一緒に行きたいんだけど駄目かな? |
| キール | お前達が? |
| リリス | いいの?お兄ちゃん。リオンさん達との合流は? |
| スタン | 向こうもまだ用事は済んでいないだろうし、俺達は俺達でもう少し調べた方がいいと思うんだ |
| スタン | キールと一緒に行けば晶化現象について、何かわかるかもしれないし |
| リリス | それもそうだね…。リオンさん達に報告出来る事はたくさんあった方がいいもの |
| リッド | 目的が同じならいいんじゃねえか。キール一人じゃなんだが、スタン達が一緒なら、オレ達としても安心だしな |
| キール | なっ…ぼくを子ども扱いするな!さっきも言ったがリンネル村に行くくらい── |
| リリス | 私達が同行するのはやはり駄目ですか? |
| リリス | キールさんのようないろいろとお詳しい方にご一緒させていただけると私達も助かります! |
| キール | あ、いや…別に駄目だとは言ってない |
| スタン | じゃあ、一緒に行こう!よろしくな! |
| キール | …あ、ああ |
| スタン | リンネル村まではどうやって行くんだ? |
| キール | まずは、シルヴァラント港へ向かう。そこから船で移動だ |
| ファラ | 三人共、気をつけてね |
| リッド | 無茶はすんなよ |
| scene2 | 行き交う者達 |
| キール | ふう…ふう… |
| リリス | キールさん、大丈夫ですか? |
| キール | 二人共、足が速いな… |
| スタン | ごめんごめん。つい急ぎ足になっちゃって…ゆっくり歩くよ |
| キール | いや、このままでいい。余計な気遣いは無用だ |
| リリス | でも、かなり歩きましたし、この辺りで一休みでも── |
| ??? | おいしい果物はいらんかね~ |
| キール | あれは、行商人か? |
| スタン | お、ちょうどいいな。せっかくだし、休憩がてらみんなで果物でも食べないか? |
| リリス | 賛成!果物は移動に便利だし、いくつか買っておこうよ |
| スタン | よし、じゃあ俺、ちょっと行って買ってくるよ |
| リリス | 私も一緒に行くわ。キールさんはここで休んでてくださいね |
| キール | …ああ |
| リリス | 果物、何が売ってるのかな?楽しみ── |
| スタン | …ん? |
| ルーク | おい、おやじ。美味そうだな。そのリンゴくれ |
| 行商人 | へい、毎度! |
| | ガリッ |
| ルーク | うん、なかなかいい味じゃねーか。よし、あと3個ほどもらっていくぜ |
| 行商人 | あ、ちょっとお客さん、お金! |
| ルーク | っと、そうだったな…。どうもまだ慣れねえや |
| ルーク | えーっと、いくらだ? |
| スタン | ルーク! |
| | |
| ルーク | だ、誰だ! |
| ルーク | …って、何だ、スタンかよ。何でこんなとこに… |
| ルーク | ん?隣の奴は… |
| リリス | あ、妹のリリスです。兄がいつもお世話になってます |
| ルーク | ああ、そうか。確かお前、妹がいたんだっけな |
| スタン | まさかこんなところで会えるなんてな! |
| | |
| スタン | ルークは今、何をしてるんだ? |
| ルーク | な、何って…見りゃわかんだろ。リンゴを食ってんだ! |
| スタン | それは見ればわかるけど…。どこかに向かうところなのかなって |
| ルーク | ん? |
| ルーク | あ、ああ、ちょっとな… |
| スタン | まあ、いいか。それより、俺達、晶化現象の事調べてるんだ |
| スタン | ルークの住んでるキムラスカでも晶化現象は起きているのか? |
| ルーク | 晶化現象か…。ああ、街の中でも発生しはじめたな。気味悪ぃぜ |
| スタン | キムラスカでも…。どこも一緒なんだな… |
| ルーク | リチャードの野郎も晶化しちまったって話だし、何だっつーんだろうな… |
| ルーク | またあの大精霊の時みたいに面倒な事になってなけりゃいいけど… |
| スタン | ルークも気になってるんだな… |
| スタン | だったらさ、ルークも俺達と一緒に来ないか? |
| スタン | 今別行動取ってるんだけど、リオンも晶化現象の事調べてるんだ |
| スタン | またみんなで協力すれば早く解決出来るかもしれないだろ? |
| ルーク | … |
| ルーク | …いや、悪ぃけど俺は一緒には行けねえ |
| ルーク | 晶化現象の事も気にはなるけど…今はそれどころじゃねえんだ |
| スタン | …?何かあったのか? |
| ルーク | あー…いや、別に何でもねえ! |
| ルーク | と、とにかく俺は忙しいっつー事だ。それじゃあな! |
| スタン | え?お、おい…ルーク? |
| リリス | 随分落ち着かない様子だったね |
| スタン | 久しぶりに会ったのに、ろくに話せなかったな… |
| 行商人 | お兄さん、さっきの人の知り合い?じゃあ、あの人のお代払ってくれないか |
| スタン | ええ!?ルーク支払い忘れたのか? |
| リリス | 仕方ないですね…。じゃあ、私達の分と合わせたお代を払いますね |
| スタン | やれやれ…。でも、まあこれで果物も手に入ったし── |
| | |
| | うわあっ! |
| スタン | …!今の声は、キールか!? |
| リリス | お兄ちゃん、大変!キールさんが魔物に囲まれてる! |
| スタン | 休んでたところに不意打ちされたのか…! |
| スタン | キール、今行くぞ! |
| scene1 | 突然の悲しみ |
| ルーティ | うっわ、ここ、道が狭いわね…。木が覆い茂って険しいったら何の… |
| リオン | 本当にこっちでいいんだろうな |
| ルーティ | 方角的には間違いないはずよ |
| ルーティ | …うん、何とかいけそうね。図体がでかい人だと、通り抜けられるか怪しいけど… |
| ルーティ | あんたなら、私と身体の大きさが変わらないし問題ないわね |
| リオン | …… |
| ルーティ | ん? |
| ルーティ | 何よ、相変わらず仏頂面な奴ね。さ、行くわよ |
| リオン | … |
| ルーティ | ふー、何とか通り抜けられたわね… |
| ルーティ | …にしても、リオン。あんたってばどこまで冷たいわけ? |
| ルーティ | 倒れたあたしを無視して一人で先に行くなんて |
| リオン | 単に転んだだけだろう。怪我もしていなかった |
| ルーティ | だからって、手も貸さないなんてどういう事よ |
| ルーティ | お蔭であたしだけこんなに服が汚れちゃったじゃない… |
| リオン | …僕の知った事じゃない。さっさと行くぞ |
| ルーティ | はあ…何かどっと疲れちゃった。ちょっと休憩しましょ |
| ルーティ | ほら、ちょうどあそこに小屋が… |
| ルーティ | …ん?誰かいるみたいね |
| リオン | 住人じゃないのか |
| ルーティ | あんな小屋に…? |
| | |
| ヴェイグ | … |
| ルドガー | ヴェイグ、ユーリ達もメルトキオから戻って来た事だ。そろそろ出発しよう |
| ヴェイグ | わかっている。だが… |
| ユーリ | クレアの事とあの二人の事、一緒にフィリアに話しといたぜ |
| ユーリ | 時々、様子を見るようにしてくれるそうだ |
| ヴェイグ | そうか… |
| ライラ | ヴェイグさん…。やはり、立ち去り難いですよね |
| ヴェイグ | せめてクレアを動かす事が出来ればよかったのだが… |
| ユーリ | 結晶はしっかり地面に根付いてやがるからな…。どうしようもねえ |
| ミクリオ | 気休めかもしれないが…結晶は頑丈だ。誰も危害を加える事は出来ない |
| スレイ | …辛いと思うけど、クレアさんを救うためにも、オレ達に出来る事なら何でも手伝うよ |
| ヴェイグ | みんな、ありがとう… |
| ヴェイグ | …クレア… |
| ヴェイグ | オレは行く。元に戻す方法を探しに |
| ヴェイグ | 必ず、ここから救い出してやる。絶対にだ。だから── |
| ルドガー | ああ、ヴェイグ。必ず助けよう |
| ラピード | ワンッ! |
| ユーリ | …ん? |
| ユーリ | どうした、ラピード。魔物…ってわけじゃなさそうだな |
| ミクリオ | …人か? |
| リオン | ルドガー、それにユーリか… |
| ユーリ | お、何だ、リオンじゃねえか。こんな辺鄙な場所で会うとは奇遇だな |
| スレイ | あれ、あなたは確か… |
| ルドガー | …? |
| ルドガー | スレイ、リオンと知り合いなのか? |
| スレイ | あ、うん。前にミラさんと会ったのと同じ時に一度… |
| ルーティ | リオンの知り合い? |
| ルーティ | あたしはルーティっていうの。よろしくね |
| リオン | ウィンドルに住むお前達がこんなところで何をしている? |
| ユーリ | まあ、話せばちっとばかし長くなるんだがな |
| ルーティ | …何か、重苦しい雰囲気ね。聞いちゃ悪かったかしら |
| ユーリ | リオンとその連れってんなら心配はいらねえだろ |
| ユーリ | …話すがいいか、ヴェイグ? |
| ヴェイグ | …ああ |
| リオン | … |
| ルーティ | はあ… |
| ヴェイグ | … |
| ルーティ | 国王晶化の事も聞いてはいたけど…こうして実際に人の晶化を目の当たりにすると…ショックだわ |
| リオン | くっ… |
| ルーティ | 何かごめん。一番辛いのはヴェイグなのに |
| ヴェイグ | …いや、いいんだ |
| ルーティ | 晶化現象…早く何とかしないとね… |
| ルドガー | …リオンとルーティはバロニアに向かうと言ってたよな |
| ルドガー | 今、話し合ってたんだけど、俺達もバロニアに行くのに同行してもいいか? |
| リオン | …お前達がか? |
| ルドガー | 大精霊の関与については俺も可能性の一つとして考えてはいたんだ |
| ミクリオ | 的を一つに絞るのは避けて情報収集にあたっていたけど、結局大した情報は得られていない |
| スレイ | だからこれからは、少しでも可能性のある大精霊の事を調べてみようと思うんだ |
| ルドガー | ミラの居場所は、俺達も知らないしな…。クラースに会いに行くのがよさそうだ |
| リオン | …好きにしろ |
| ルーティ | いいんじゃない?ただし案内料はもらうわよ? |
| スレイ | 案内料? |
| リオン | この女の言う事は真に受けるな |
| リオン | しかし、クラースのところに行っても情報が得られる保証はないぞ |
| ミクリオ | それは覚悟している。スレイ、今からパスカルに連絡を入れてくれ |
| ミクリオ | クラースという人物に会いたい。可能なら連絡を取って、渡りをつけられないかってね |
| スレイ | わかった!早速かけてみるよ |
| ルーティ | …へえ、これで話が出来るの?便利なもん持ってるのね |
| ライラ | はい、パスカルさんはああいった便利な道具を作るのがお得意のようですわ |
| | ツー、ツー、ツー… |
| | ピッ |
| パスカル | はいはーい |
| スレイ | あ、パスカル?オレ、スレイだけど |
| パスカル | おー、どしたん?何かあった? |
| スレイ | 実はオレ達、精霊研究者のクラースさんって人を捜してるんだけど… |
| スレイ | その人が今バロニアにいるかどうか、調べられないかな? |
| パスカル | 研究者…なら、ちょうどいいかも!今あたし、街の研究施設に来てるんだ |
| パスカル | そのクラースって人も研究者なら周りの人に聞けばすぐわかるかも! |
| パスカル | でもさ、何で精霊の研究者に?晶化現象の調査じゃなかった? |
| スレイ | その晶化現象と大精霊に何か関係があるかもしれないから、少し調べてみようって話してるんだ |
| パスカル | なるほどねぇ。聞いてみるね! |
| スレイ | うん、ありがとう |
| パスカル | スレイ、お待たせー!わかったよ、クラースの事 |
| パスカル | 何かね、随分前にバロニアの北にある森に行くって街を出たみたい |
| パスカル | 何でもそのクラースも晶化について調べてるんだって。森へ行ったのもきっとその一環だろうって |
| スレイ | バロニアの北の森か…。そのクラースさんは晶化現象について何か情報を掴んでるのかな? |
| パスカル | う~ん、そこまではちょっとわからなかったよ |
| リオン | …まさか、クラースも晶化現象の調査に乗り出しているのか? |
| ミクリオ | バロニアの北にある森に向かった… |
| ユーリ | なら、予定通りバロニアに行きゃ会えるかもな。遅かれ早かれ街には戻るだろうし |
| スレイ | ありがとう、パスカル。とりあえず、急いでそっちに行くよ |
| パスカル | りょーかい!じゃあ、また会えるかもだね! |
| パスカル | ……っと、そうだ |
| パスカル | さっき赤の騎士団がバロニアに戻って来たみたいなんだけど…。結局どうなったの? |
| スレイ | 赤の騎士団がバロニアに… |
| ユーリ | …! |
| スレイ | パスカル、その話も詳しく聞かせてくれない? |
| パスカル | なるほど。そっちもいろいろと大変だったんだね |
| パスカル | とにかくスレイ達が無事でよかった。だけど… |
| パスカル | リチャードだけじゃなくて他の人にも晶化が起きちゃったんだ… |
| スレイ | うん… |
| パスカル | これからもっと多くの人達に、晶化現象の影響が広がる可能性もあるかもしれない… |
| スレイ | … |
| パスカル | そうしないためにもあたし頑張るよ。少しでも早く晶化現象を解明出来るように |
| スレイ | パスカル… |
| スレイ | うん、オレ達も頑張るよ |
| ライラ | クラースさんはバロニアの研究所に行けば会えそうですね |
| ユーリ | 赤の騎士団が大人しくバロニアに戻ったって事がわかったのも収穫だったな |
| ルドガー | 早速バロニアに向かおう。急いだ方がいい事に変わりない |
| ヴェイグ | なら、シルヴァラント港か… |
| リオン | ああ |
| | |
| キール | 港に入港したぞ |
| スタン | ここがア・ジュールか。思ってたより随分近いんだな。あっという間に着いた気がする |
| リリス | それは、お兄ちゃんがぐーすか寝てたからでしょ! |
| キール | スタン一人だったら、確実にあのまま寝過ごして、シルヴァラント港に逆戻りする羽目になっていただろうな |
| スタン | あはは…。これからもよろしく頼むよ、リリス |
| リリス | もう、本当お兄ちゃんったら… |
| スタン | …にしても、風が随分冷たいな。シルヴァラントとは全然違う |
| キール | この辺りはまだマシだけど、リンネル村辺りは一面雪景色だ。油断していると風邪を引くぞ |
| スタン | よし、じゃあ気合を入れてかないとな!キール、案内を頼むよ |
| キール | わかった |
| scene2 | 突然の悲しみ |
| リリス | ──くしゅん! |
| スタン | 言ってたそばから…大丈夫か、リリス? |
| リリス | うん、平気 |
| キール | リンネル村はもうすぐだ。着いたらメルディの家に行けばいい。暖まらせてもらおう |
| リリス | メルディさん…その人がキールさんの知り合いなんですよね |
| キール | ああ── |
| ??? | あれ、キール…? |
| | |
| キール | メルディ! |
| メルディ | やっぱり、キール。メルディが手紙読んで来てくれたか? |
| キール | まあ、晶化現象を調べる意味も兼ねて、だけどな |
| キール | …ああ、そうだ。二人の事も紹介しておく。スタンと、その妹のリリスだ |
| スタン | よろしく |
| リリス | よろしくお願いします! |
| メルディ | あ…うん。よろしくな |
| | |
| メルディ | … |
| キール | …? |
| キール | メルディ、元気がないな。どうかしたのか? |
| メルディ | キール… |
| メルディ | あのな…実はクィッキーが… |
| メルディ | クィッキーが晶化してしまって…… |
| | |
| キール | 何だって!?手紙にはそんな事書いてなかったぞ |
| メルディ | 手紙を出すまでは、元気だったよ。なのに…突然…… |
| メルディ | けど、メルディ何も出来なくて…… |
| スタン | クィッキー…? |
| キール | クィッキーは、メルディといつも一緒にいる友達なんだ |
| リリス | そんな… |
| リリス | メルディさん、お気を落とさないでください |
| スタン | メルディ…。よかったらその友達のところに俺達を案内してくれないか? |
| スタン | 何か、出来る事があるかもしれない。辛いだろうけど… |
| メルディ | …はいな |
| キール | … |
| | |
| スタン | ──友達っていうから人間だと思い込んでたけど、クィッキーは動物だったんだな |
| スタン | 大事な友達には変わりないけど… |
| リリス | うん… |
| リリス | でも、やっぱりあのリスと同じ…。結晶にはヒビすら入らないね |
| スタン | こんな家の中でも晶化って起こるんだな… |
| キール | … |
| キール | ふーむ… |
| メルディ | キール、何かわかったか? |
| キール | コルテア街の近くでも晶化した動物は何度か見たが…それらと特に変わりはない |
| キール | クィッキーは晶化して間もない…という事だったが |
| キール | コルテア街で晶化して時間が経過した同じくらいの大きさの動物とほとんど差異を見つける事は出来ない |
| キール | つまり、一度晶化すれば環境や状況に影響される事なく同じような結晶になるという事だ |
| スタン | それって、どういう事なんだ? |
| キール | 気温や経過時間など、諸条件によって事象に相違が見られれば、そこから何か発見があるかと思ったんだが |
| キール | 何の相違も見当たらないとなると… |
| リリス | 何とも言えないって事なんですね… |
| メルディ | クィッキーはどうなるか…? |
| メルディ | …もう、助からないのか? |
| キール | 助からないとは言ってない。だが、少なくとも今はどうしてやる事も出来ない… |
| メルディ | … |
| スタン | …メルディ、あのさ。前に俺の住む街で、街も人も全部氷漬けにされた事があったんだ |
| スタン | ここにいる妹のリリスも被害にあった |
| スタン | …だから、今のメルディの気持ち、俺はすごくよくわかるよ |
| メルディ | … |
| スタン | 原因も解決方法も、最初は全然わからなかったけど、今はほら…街もリリスも、みんなを助けられてる |
| スタン | どんな事にも必ず原因があると思うんだ。晶化現象も同じだ |
| スタン | 時間はかかるかもしれないけど、みんなで協力すれば絶対何とか出来る |
| スタン | …俺はそう信じてるんだ |
| メルディ | スタン… |
| メルディ | …そうな。メルディ、落ち込んでた |
| メルディ | でも、何もしないはもっと駄目だな |
| メルディ | スタン、ありがとな。クィッキーがためにもメルディ頑張る |
| リリス | よかった。メルディさん、少し元気になってくれたみたい… |
| | |
| | 大変だ!誰か来てくれ! |
| スタン | …!何だ…!? |
| キール | 外の方から聞こえた。一体何が── |
| レイア | メルディ、ここにいたんだね! |
| メルディ | レイア!何かあったか? |
| レイア | 村の中に魔物が入ってきたらしいの! |
| メルディ | 魔物がまた…! |
| レイア | みんなは避難してるよ。メルディも外には出ないでね。わたしは魔物退治に行くから! |
| メルディ | レイア、待って!メルディも… |
| スタン | 魔物なら、俺達がやるよ!君、連れてってくれ! |
| レイア | あなた達が…? |
| キール | ぼくも行く。人数は多い方がいい |
| スタン | リリス、メルディを頼む |
| リリス | わかった。ここは任せて。いざとなったら私も戦うよ! |
| レイア | みんなありがとう!じゃあ、ついて来て! |
| scene1 | 雪中の探索者 |
| リリス | …メルディさん、気の毒だったね |
| スタン | ああ…。何とかしてクィッキーを助けてやりたいな |
| キール | …とはいっても、はっきり言って手詰まり状態だ |
| キール | あれから周辺の晶化を見て回ったけど、気候は違えどコルテア街との違いが見られない |
| リリス | リオンさん達はどうなったかな? |
| リリス | 無事クラースさんに会えて何か話が聞けてるといいけど… |
| キール | リオン…?それにクラースって確か… |
| スタン | ああ、精霊研究者のクラースさんだ。俺の仲間のリオンとルーティが、その人に話を聞きに行ってる |
| キール | そうか…。大精霊と晶化現象は直接的な因果関係はなさそうだが… |
| キール | 精霊を専門に研究している人物なら、精霊という観点から何か、有益な情報を持っているかもしれないな |
| スタン | じゃあ、俺達は一旦ルイニス街に帰って、リオン達と合流しよう |
| キール | なら、ぼくはコルテア街に戻るか |
| キール | 過去の事例からわかる事がないか、片っ端から文献を── |
| レイア | あ、いたいた。あなた達、ちょっと待って! |
| スタン | あれ、君はレイア…だよな? |
| レイア | さっきは魔物退治ありがとう! |
| リリス | いえ、お気になさらず!当然の事です |
| キール | その礼を言うために、ぼく達の後を追いかけてきたのか? |
| レイア | うん。それもあるし、メルディの事もお礼を言いたくて |
| レイア | スタンの言葉にも元気をもらったみたいだし |
| レイア | 何より、キールが会いに来てくれて嬉しかったみたいだよ |
| キール | そ、そうか… |
| スタン | キールも、せっかく友達に会いに来たんだからもっとゆっくりすればよかったのに |
| キール | 今は、晶化現象を調べる事が優先だ |
| レイア | メルディも、邪魔しちゃいけないって思って引き止めなかったみたい |
| レイア | けど、スタンも、キールも、リリスも絶対また立ち寄ってね |
| スタン | ありがとう、レイア。必ずまた会いにくるよ |
| レイア | うん!途中まで見送りさせてね |
| レイア | どこに行くんだっけ |
| リリス | シルヴァラントに戻ろうと思うんです |
| レイア | じゃあ、向かうのは港だね。行こっか |
| | |
| キール | ふう…ふう… |
| レイア | 大丈夫?慣れない雪道を歩くのは大変でしょ |
| キール | 大丈夫だ…と言いたいが、正直、骨が折れる |
| キール | ふう… |
| リリス | そろそろ休憩しましょうか |
| レイア | でも、ここは寒いし…休憩出来るところはもう少し先なんだ |
| スタン | キール、おぶってやるよ!ほら! |
| キール | んなっ…!そんな情けない真似をしてたまるか! |
| スタン | そうかなあ… |
| スタン | ん?あれは… |
| リリス | お兄ちゃん、どうかしたの? |
| スタン | 向こうに誰かいる |
| キール | …?何だか様子が… |
| キール | みんな、静かにするんだ |
| | |
| ??? | … |
| ??? | … |
| | |
| スタン | あれは、ア・ジュール軍かな…? |
| キール | 何人か兵士を従えているし、おそらくそうだとは思うが… |
| リリス | あんなところで何をしてるんでしょう |
| レイア | …ひょっとして、雪山に向かおうとしてるのかも |
| キール | あの山には何かあるのか? |
| レイア | 確か、奥に古い遺跡が… |
| レイア | でも、山の中はよく吹雪になるから地元の人でも滅多に立ち入らないんだ |
| レイア | そんなところに、どうして軍が…? |
| スタン | … |
| スタン | よーし、少しだけ… |
| スタン | そーっと、そーっと… |
| リリス | ちょ、ちょっとお兄ちゃん!盗み聞きは駄目だよ |
| キール | リリスの言う通りだ。相手は軍の人間だぞ、見つかりでもしたら、ただじゃ── |
| レイア | スタン、行っちゃった… |
| キール | なっ、どうして勝手に…! |
| キール | はあ…仕方ない、ぼく達も後を追おう |
| リリス | わかりました…。うちの兄が…すみません… |
| scene2 | 雪中の探索者 |
| スタン | ──よし、ここまで来れば十分だな |
| リリス | 十分、じゃないわよ…!これで見つかっちゃったらお兄ちゃんのせい── |
| キール | 静かにしてくれ。あいつらの会話が聞こえない |
| レイア | キールも結局乗り気だね… |
| ??? | はあ!?それ本気で言ってんのかよ |
| ??? | こんなチンケな雪山に天啓の石碑なんかあるわけねえだろ |
| ??? | 過去の記録を調べた |
| ??? | これまで出現した石碑は人里離れた遺跡に出現した事例が多い |
| ??? | つまり、この雪山の遺跡にも出現の可能性がある、という事だ。大人しく従う事だな、アグリア |
| アグリア | ちっ、何を偉そうに。あたしに命令すんじゃねえよ、ウィンガル |
| アグリア | 大体、てめーはどうする気だ |
| ウィンガル | 神子の捜索にあたる |
| アグリア | なら、お役目交代しろよ。あたしがその神子って奴をとっ捕まえて来てやるよ |
| ウィンガル | お前が行けば神子は使い物にならなくなる |
| ウィンガル | 何故お前が石碑捜索に当てられているのか、その意味を理解しろ |
| アグリア | アハ~。アハハハ!そういう事なら仕方ねえな |
| アグリア | …にしても、ジェイドの奴!あたしらにばっかり面倒事を押しつけやがって |
| アグリア | つか、何の確証もねえのに、しらみつぶしに探すなんか無謀すぎんだろ |
| ウィンガル | 神子が手に入れば、石碑の出現場所の特定もそう時間はかからん |
| ウィンガル | それまでは無謀だろうが何だろうが、言われた通りにやってもらう。何より、これは陛下の命だ |
| アグリア | … |
| キール | 陛下…ガイアス王の事か |
| リリス | 天啓の石碑を探しているみたいですね |
| スタン | 天啓の石碑ってこの前メルトキオで発表されたばかりだよな? |
| キール | 新しい天啓の出現か。噂には聞いていたが… |
| キール | けど、こんなに短い期間で、立て続けに天啓が出現するなんて未だかつて例のない出来事だ |
| キール | それに、石碑出現の知らせも国による公式な発表じゃないし、情報の真偽すら疑っていたんだが… |
| リリス | でも、ア・ジュールがそれを探してるって事は情報は本物だったって事なのかな? |
| レイア | そういえば…天啓の話で思い出したんだけど… |
| レイア | 前に公表された天啓は、ウィンドル国王の晶化を予言した未来予知だって噂もあるよね |
| レイア | 実際はどうなんだろう… |
| キール | 何とも言えないな…。天啓の一節はそうとも捉えられるが、それが確かなものだという根拠はない |
| キール | だが逆に、そういった可能性も否定しきれない、という事でもある |
| キール | 無関係と切り捨ててしまうには、タイミングがあまりにも重なり過ぎているからな |
| スタン | うーん、そう言われてみれば… |
| スタン | じゃあ、俺達も天啓について調べてみるのもいいかもしれないな |
| レイア | ねえ、それより気になるのは神子の事だよ。捕まえるって話してたよね…? |
| リリス | …? |
| リリス | あれ、お兄ちゃん…。ア・ジュール軍の人達がいなくなって… |
| スタン | 本当だ…! |
| スタン | 今さっきまでそこにいたはずなのに、一体どこに…… |
| | |
| アグリア | アハ~。こいつはまた、随分間の抜けたネズミ共だね |
| アグリア | 盗み聞きならもっと上手くやんな。バレバレだっての |
| スタン | しまった、見つかった! |
| ウィンガル | ここで何をしている |
| リリス | そ、それは… |
| レイア | と、とにかく、逃げよう! |
| キール | くっ…! |
| ウィンガル | …無駄だ |
| リリス | きゃ…! |
| スタン | リリス! |
| リリス | い、痛… |
| スタン | やめろ!リリスを放せ! |
| アグリア | させるかってーの!おらおら |
| スタン | うわっ!? |
| リリス | お兄ちゃん…! |
| スタン | 速い…!何て動きだ |
| キール | この身のこなし…ただの一兵士とは思えない |
| ウィンガル | もう一度聞く。ここで何をしている |
| レイア | わたし達、悪気があったわけじゃなくって…そ、その── |
| アグリア | アハ~、わかったぞ。お前ら赤の騎士団の間者だろ。こんな間抜けを寄越しやがって |
| スタン | 赤の騎士団…?それって確か、ウィンドルの…? |
| キール | そんなのとは全く無関係だ!ぼく達はただ── |
| ウィンガル | …いずれにせよ、こちらの動きを漏らされては厄介だ |
| ウィンガル | お前達、この者達をカン・バルクへ連行しろ |
| ア・ジュール兵 | はっ!直ちに |
| | |
| リリス | そんな…! |
| レイア | やっ…、やめて!放してよ! |
| ア・ジュール兵 | 大人しくしろ! |
| アグリア | アハハハハ!バカなネズミ共、監獄にぶち込まれちまいな |
| ウィンガル | … |
| スタン | くっ…! |
| scene1 | 地下牢にて |
| スレイ | ここがシルヴァラント港…!たくさん人がいるんだな |
| ミクリオ | ちょうど船が着いたばかりのようだからね。そのせいだよ |
| ライラ | どこから来た船なのでしょう? |
| ユーリ | あの船はウィンドルのもんだな |
| ??? | 誰かー!ルイニス街に向かう人おらへん? |
| ルドガー | ん?…迷子か? |
| ラピード | ワフゥ? |
| ??? | あ、そこの兄ちゃん!ウチの事、ルイニス街まで連れてってくれへん? |
| ルーティ | ん?待って…この声と喋り方…まさか…… |
| ??? | はあ…困ったなあ |
| ??? | こんなぎょうさん人がおるんに、だーれもウチの頼みを聞いてくれへん |
| ??? | みんないけずやわ…。これからどないしよ |
| ルーティ | エルマーナ! |
| エルマーナ | えっ、ルーティ姉ちゃん!?嘘やろ、何でこんなとこに… |
| ルーティ | それはこっちの台詞よ!あんたこそ、何でシルヴァラントに… |
| エルマーナ | そんなん、ルーティ姉ちゃんに会いに来たに決まってるやん!いや~会えてホンマよかったわあ |
| ルーティ | 会いに来たって…あの子達は?あたしがいない間、ちゃんと面倒見ておくように頼んだじゃない |
| エルマーナ | ちょっと緊急事態が起こってん。子どもらはとりあえず一番年長のジンに頼んできたんや |
| ヴェイグ | …知り合いか |
| ミクリオ | …みたいだね。いい加減慣れてきたよ… |
| ルーティ | 緊急事態って何よ? |
| エルマーナ | それがな…ウチな、今朝、ウチの子ら連れてバロニアの近くの森を散歩しててん |
| エルマーナ | そしたらチビ達の一人が急に騒ぎ出してな |
| ルーティ | …何よ?何があったの? |
| エルマーナ | ウチ慌てて駆けつけたら、そこには大きな晶化した塊があったんやけど… |
| ルーティ | ちょっと、何?早く言いなさいよ |
| | |
| エルマーナ | クラースのおっちゃんが…晶化しとったんや |
| ヴェイグ | …!まさか… |
| リオン | なっ…、クラースだと!? |
| エルマーナ | ルーティ姉ちゃんも顔くらいは知っとるやろ? |
| ルーティ | エルマーナ、それ、本当なの!?見間違いじゃなく、絶対!? |
| エルマーナ | い、痛い痛い!そないに肩ぐーって掴まれたら… |
| エルマーナ | …でも、絶対やで!あのトンガリ帽子にヘンな柄やで、見間違うわけあらへん |
| エルマーナ | つい昨日一昨日まで普通に街中歩いとったのにな… |
| ルドガー | 人間が晶化だって…? |
| ライラ | また、起きてしまったのですね… |
| ルーティ | だから、あたしに知らせにこんなとこまで来たのね… |
| エルマーナ | ルーティ姉ちゃんが晶化の事調べるって言うとったのもあるけど、それよりも… |
| エルマーナ | チビ達もショック受けて怖がっとる。ルーティ姉ちゃんにはよ帰って来てほしいんや |
| ユーリ | くそっ…。何てこった。また人が晶化しただと? |
| リオン | しかも、それがよりにもよって、捜していたクラースとは… |
| スレイ | …クラースさんは、今どうしてるんですか? |
| エルマーナ | ウチも子どもらを引き離して落ち着かせるのが精いっぱいで、そのままにしとるんや… |
| ミクリオ | 幼い子ども達にはショックが大きいだろうね。無理もない… |
| ルーティ | リオン、悪いけどエルマーナと一緒に行く事にするわ |
| ルーティ | あんたはどうする?クラースは晶化してしまったけど… |
| リオン | …クラースから話を聞く事が不可能だとわかった以上、バロニアへ行っても仕方がない |
| リオン | 僕は一度ルイニス街に戻りスタンと合流する |
| リオン | キールから何か情報を得ているかもしれん |
| ルーティ | そう、わかったわ。一旦調査出来なくなるけどスタン達にはよろしく言っといて |
| ルーティ | クラースの事は、あたしが様子を見に行ってみるわ |
| リオン | ああ… |
| ユーリ | オレは、バロニアに戻るぜ。赤の騎士団がこれから何をするつもりか、気になるしな |
| ラピード | ワウッ! |
| ミクリオ | スレイ、僕達はどうする? |
| スレイ | クラースさんの事が気になるけど… |
| ミクリオ | ああ、きっとクレアさんと同じだ。僕達にはきっと手の施しようがない |
| スレイ | 一刻も早く助けるには、とにかく情報が必要…だよな |
| ヴェイグ | オレ達も、リオンと一緒に行くのがよさそうだ |
| スレイ | うん! |
| ルドガー | 赤の騎士団の動きも気になるけど…。それはユーリやエステルに任せよう |
| ライラ | はい、それぞれに出来る事を一つ一つ行っていけば、それがいつかきっと実を結ぶはずです |
| ルドガー | ああ。…というわけで、リオン。引続きよろしく頼むよ |
| リオン | …勝手にしろ |
| | |
| スタン | … |
| キール | … |
| レイア | … |
| リリス | … |
| | コツ…コツ… |
| キール | …来たか? |
| | カチャ… |
| ア・ジュール兵士 | 食事だ |
| | ガチャンッ |
| キール | こんなところでじっとしていられるものか。ぼく達を早くここから出せ |
| キール | こんな地下牢に…一体いつまで閉じ込めておくつもりだ |
| スタン | すみません、随分時間が経つけど…俺がここにいる事あの人に話してくれましたか? |
| ア・ジュール兵士 | ああ。だが、それ以上の事はわからん |
| キール | これじゃまるで犯罪者扱いだ! |
| キール | どうしてぼくがこんな目に… |
| レイア | まさかこんな事になるなんて… |
| リリス | お兄ちゃんの知り合いの人、本当にアテになるの? |
| スタン | 偉い人って感じだったから、多分何とか出来るはずだ |
| スタン | 話せばわかってくれるとは思うんだけど、それもここに来てくれない限りは… |
| スタン | …みんな、本当ごめんな。こんな事に巻き込んじゃって |
| レイア | 仕方ないよ。あの人達を見て変だって思ったのはわたしも一緒だったし |
| | コツ…コツ… |
| リリス | あ…!また足音が… |
| スタン | 今度こそ来てくれたのか? |
| キール | ふん。どうせまた期待外れに終わるに決まって── |
| ??? | おやおや。私の知り合いだと主張する犯罪者がいると聞いて来てみれば… |
| ジェイド | お久しぶりですね。まさかあなたとこんなところで再会するとは夢にも思いませんでしたが |
| スタン | ジェイドさん! |
| スタン | 来てくれたんですね!ありがとうございます |
| キール | ジェイド…?何者なんだ? |
| ジェイド | おや、知らない顔もいるようですね。私はジェイド・カーティス。ア・ジュールの軍人です |
| scene2 | 地下牢にて |
| スタン | ──というわけで、俺達は晶化現象について、調べていただけなんだ |
| スタン | 話を立ち聞きしたのはよくない事だと思うんだけど…でも、本当に間者なんかじゃない |
| リリス | 兄の言ってる事は全て本当です!お願いです、信じてください… |
| ジェイド | ふむ… |
| キール | こちらの言い分など、全く信用していないという顔つきだな |
| ジェイド | これはすみません、生まれつきこういう顔なものでして |
| ジェイド | 要するに、皆さん自分達が無実であり、釈放されるべきだとそう主張するわけですね |
| スタン | そういう事なんだ。何も嘘なんかついていません。ジェイドさん… |
| ジェイド | わかりました。釈放を認めましょう |
| レイア | 本当!?よかった…! |
| キール | こんなあっさり…?あのウィンガルって奴らは、聞く耳すら持たなかったのに |
| ジェイド | スタンの事は私も多少は知っていますからね。少なくとも嘘はついてなさそうですし |
| ジェイド | それにあなた方が我が国に害をなせるとは到底思えませんのでね |
| ジェイド | それとあなた方を捕えたウィンガルとアグリアの事は許してやってください。彼らも仕事でして |
| スタン | いや、俺達こそ、誤解させるような事してすみませんでした |
| ジェイド | では、解錠します。どうぞ皆さん、外へ |
| | カチャ… |
| キール | いやにあっさりしていて気味が悪いな |
| レイア | キール、細かい事は気にしない!ようやく外に出られるんだから |
| リリス | うーん…!長かったですね… |
| ジェイド | このまま外に案内してもいいのですが、皆さんお腹は空いていませんか? |
| ジェイド | せっかくですし、よければ、牢獄の食事よりましなものを提供させていただきますが? |
| スタン | 本当ですか!何から何までありがとう、ジェイドさん! |
| scene1 | ア・ジュールの思惑 |
| レイア | ふー!おいしかったー!さすが王宮の料理は違うなあ |
| リリス | 本当に、ごちそうさまでした。ジェイドさん |
| ジェイド | いえ、こちらこそいろいろ興味深い話を聞けて何よりでした |
| ジェイド | ──それにしても、シルヴァラントから海を越え、わざわざリンネル村まで赴くとは |
| ジェイド | 皆さんの行動力には驚かされますね |
| キール | とは言っても、結局大した情報は得られなかったが |
| スタン | ジェイドさん、ア・ジュールでも晶化現象は広まっているんですよね? |
| ジェイド | ええ。他国と比べてどれほどかはわかりませんが、かなり広範囲で起きていると聞きます |
| リリス | やっぱり、そうなんですね… |
| ジェイド | さて、ここを抜ければ城の外です。名残惜しいですが、この辺で… |
| | |
| キール | …その前に、聞いておきたい事がある |
| ジェイド | 何でしょう |
| キール | ウィンガルとアグリア…あの二人は、新たに出現した天啓の石碑を探すと言っていた |
| キール | しかもそれが、陛下の命であると |
| ジェイド | …… |
| キール | 陛下とはガイアス王の事だろう。何故彼は、天啓の石碑を探し出そうとしているんだ |
| スタン | それを言うなら、神子もです。二手に分かれて、石碑と神子の両方を捜そうって話してた |
| スタン | しかも、見つけ次第神子を攫うみたいな口振りでした。本当にそんな事を? |
| ジェイド | …ふむ |
| リリス | ふ、二人共…!今ここであんまりそういう話は… |
| レイア | そうだよ。変な事言って機嫌を損ねたら、また地下牢に戻されちゃうかも… |
| | |
| ジェイド | いえ、どうぞ続けてください。なかなか興味深いお話ですので |
| キール | なら、もう一つ聞きたい。あの二人はぼく達の事を赤の騎士団の間者だと誤解した |
| キール | つまり…赤の騎士団、すなわちウィンドルも天啓の石碑や神子を探しているという事ではないのか? |
| スタン | ウィンドルも…? |
| キール | 何故、天啓が今頃になってこんなに関心を寄せられているんだ?天啓には何があるというんだ |
| ジェイド | なるほど。間者でないと言い張る割に随分しっかりと会話を盗み聞いていたようですね |
| レイア | あああ…まずい。絶対まずいよ、この流れ |
| キール | ぼく達の間でも、晶化現象と天啓は何か関わりがあるかもしれない、と話していたところだったんだ |
| キール | あんた達の国王が何故天啓の石碑を手に入れようとしているのか知っておきたい |
| ジェイド | 晶化現象と天啓が関係している…、なかなか面白い考えですね |
| ジェイド | つまりあなた方は、天啓が晶化現象を解決するヒントになるのではないか、そうお考えだというのですね |
| スタン | かもしれない、と思っています |
| ジェイド | なるほど。そういえば、天啓を未来予知だとする説がありますが、あなた方もそれを信じているのですか |
| キール | いや、そういうわけじゃない。その説に関して言えば、肯定も否定もしない |
| キール | 晶化の進行具合や前の天啓の内容から可能性の一つとして念頭に置いているだけだ |
| ジェイド | それだけの理由で、天啓と晶化現象が関係していると考えるのはいささか早計な気もしますがね |
| キール | だ、だから、別にそうだと言い切ってはいないだろう |
| スタン | じゃあ、ジェイドさんは、無関係だと思いますか? |
| スタン | 今は他に、手がかりがないんです。可能性があるなら―― |
| ??? | ウィンガルが捕えた間者というのはお前達か |
| スタン | あなたは…! |
| ??? | … |
| ジェイド | これは陛下 |
| リリス | 陛下…という事は、この方は… |
| レイア | ガイアス王… |
| キール | … |
| ジェイド | 彼らは間者ではありませんよ。尋問の結果、無関係と判断して釈放したところです |
| ガイアス | そうか… |
| スタン | …ガイアスさん。ア・ジュールでは晶化現象について何かわかっている事はあるんですか? |
| リリス | お兄ちゃん…! |
| ガイアス | …それについては、現在調査中だ。成果はほとんど上がっていない |
| ガイアス | しかし被害が拡大し続けている以上、何らかの対策は必要だろう |
| ガイアス | 今はやる事が山積みだ。お前達も用が済んだのなら帰れ |
| キール | そんな状況でありながら、軍にわざわざ天啓の石碑と神子を捜索させているのは何故でしょうか |
| キール | 天啓は未来予知、そうお考えですか?だから、ウィンドルやシルヴァラントより先に見つけようと? |
| ガイアス | 天啓が未来予知かどうかなど重要な問題ではない |
| ガイアス | 不確かな情報に振り回されて余計な混乱と争いを招く…それが一番愚かな事だ |
| スタン | なら、何で… |
| ガイアス | そこまでの理由を、お前達に話す道理はない。それに… |
| ガイアス | 答えはじきにわかる |
| ジェイド | 陛下、どちらへ |
| ガイアス | 外だ |
| スタン | …待ってください! |
| スタン | ガイアスさん、一つ確認させてください |
| スタン | 神子を攫おうとしているのは本当ですか |
| ガイアス | … |
| スタン | 何か考えがあったとしても、無理矢理に連れて行くなんて見過ごす事なんて出来ません |
| キール | そっちの方が、より多くの混乱と争いを招く行為だと思いますが |
| ガイアス | お前達がそう思うのであれば、それで構わない。だが、邪魔をするのであれば容赦はせん |
| ガイアス | その事だけは肝に銘じておけ |
| ジェイド | やれやれ、あの陛下に詰め寄るとは無茶をするものですね |
| リリス | もう、お兄ちゃん、ひやひやさせないで |
| レイア | 怖かった… |
| ジェイド | まあ、ああ見えて存外、お優しいところもあるのですがね |
| ジェイド | それはそれとして、一つ忠告しておきます |
| ジェイド | 今回は見逃しますが、あまり民間人が軍の作戦行動を詮索しすぎるようだと── |
| キール | …しかし… |
| リリス | すみません、気をつけます! |
| レイア | みんな、早く帰ろう!えーっと、出口は… |
| ジェイド | よい心がけです。こちらへどうぞ |
| スタン | … |
| scene2 | ア・ジュールの思惑 |
| レイア | はあ…ようやく解放されたね |
| リリス | 風が気持ちいい… |
| キール | しかし、まさかあんな形でガイアス王と会う事になるとはな |
| スタン | リンネル村へ行こう、とコルテア街を出た頃はこんな事になるなんて… |
| キール | わかったのは…ア・ジュールが新しい天啓と神子を手に入れようとしてる事くらいか… |
| キール | その意図は結局教えてもらえなかったが |
| スタン | ガイアス王は、何か考えがあるんだろうけど… |
| レイア | わたし達に怒ってるというより、もっと別の事に集中しているみたいな感じだったね |
| キール | 未来予知かどうかは重要でないと言っているのに、何故天啓の石碑を欲しがるのか… |
| レイア | 未来予知かあ…。わたしはそれならそれでもいいと思うんだけどなあ |
| リリス | どうしてですか? |
| レイア | 今、みんなが探している石碑に今後起こり得る出来事が書かれているかもしれないんでしょ? |
| レイア | だとしたら、晶化現象に関わる情報や最悪の事態を避けるヒントだってわかるかもしれないし |
| キール | そう上手くいくとも思えないが… |
| キール | 未来予知だったとしてそれを平和的に利用されるかはわからない |
| レイア | うーん、そっか、そうだよね… |
| キール | …今ある情報で、未来予知説とは別に晶化現象と天啓の関わりについて答えは出せそうにない |
| キール | だが、ウィンドル国王の例もある。新しく現れたという天啓に晶化現象について何か記されているかも… |
| スタン | じゃあ、これからは天啓についても一緒に調べてみた方がいいな |
| キール | ああ、そうだな。ア・ジュールもウィンドルも我先にと天啓の石碑を探している状況だ |
| キール | 晶化現象と関係はないかもしれないが両国は、天啓には何か重要な意味があると考えている事は確かだろう |
| リリス | 天啓の事もだけど、その前に神子の事も心配ですね。大丈夫でしょうか… |
| キール | さすがにシルヴァラントもその点は警戒しているだろう |
| スタン | とにかく、すぐシルヴァラントに戻ろう。リオンとも合流しなくちゃ |
| キール | ぼくも一度コルテア街に帰って、調査を仕切り直す事にする |
| キール | ア・ジュールにいても、これ以上得られる情報は特になさそうだしな |
| レイア | わたしもリンネル村に戻る事にするね |
| スタン | 見送りだけのはずだったのに、こんなところまで、本当にごめんな |
| レイア | いいんだよ。何ともなかったんだし |
| キール | メルディにも、よろしく伝えてくれ。何かわかったら、手紙を書く |
| レイア | わかった!伝えておくね |
| キール | よし、そうと決まれば早速ア・ジュール港へ向かおう |
| スタン | ああ! |