| Name | Dialogue |
| scene1 | キムラスカの異変 |
| シング | ──にしても、本当によかったよ。そのオトリ作戦が成功して… |
| ソフィ | …失敗してたらみんな死んじゃってたんだよね |
| フィリア | 腕利きの剣士だという噂は兼ね兼ね耳にしておりましたが、さすがですわ、リオンさん |
| ルーク | 何かリオンだけがおいしいとこ持ってったみてーで、気に入らねーけどな |
| リオン | 勘違いするなよ。そもそも僕が自ら志願したわけじゃない |
| ルーク | んだよ、その態度!そうやっていつも偉そうにしやがって、むかつくっつーの! |
| スタン | 待ってくれ、ルーク。リオンは悪気があって言ってるんじゃないんだ |
| リッド | まあ、細かい事はいいじゃねえか。ヴォルトも元に戻ったし、オレ達も全員無事だったワケだろ? |
| ルーク | あのな、そうやってお前らが甘やかすから、こいつがどんどん調子に乗って── |
| リタ | あーもう、うっさい!いい加減にしないとファイアボールぶち込むわよ!? |
| | … |
| アスベル | さてと…じゃあ気を引き締めて、そろそろ行こうか、みんな |
| シング | 傷の方はもう大丈夫なの?村に戻ってきた時はかなり傷だらけだったのにさ |
| カノンノ | フィリアさんやソフィのお蔭でみんなよくなったみたい! |
| リッド | 柔らかいベッドでたっぷり寝させてもらったからな。体力もすっかり回復したぜ |
| シング | そっか、ならよかった。またいつでも立ち寄ってよ |
| ミラ | ああ、そうさせてもらう。礼を言うぞ、シング |
| セネル | …シング、ヴォルトの件も落ち着いたし俺も一旦この村に残ろうと思う |
| セネル | 魔物の襲撃も続いているようだしな |
| シング | そうしてくれると助かるよ。みんながバレル島へ行った後も結構大変だったんだ。な、ソフィ? |
| ソフィ | うん |
| ソフィ | それでね、アスベル…。わたしももう少し村に残りたい。しばらく様子を見ていたいの |
| セネル | ソフィ…、俺達としては助かるが本当にいいのか? |
| ソフィ | うん。セネルもいるけど…心配がなくなるまでちゃんと見届けたい… |
| アスベル | そうか、わかった。その判断はソフィに任せるよ |
| ソフィ | ありがとう |
| ミラ | 次の目的地だが、まずは北へ向かう。詳しい事は歩きながら話そう |
| フィリア | みなさん、どうかお気をつけて。これからの旅のご無事をお祈りいたしますわ |
| シング | あ、そうだ。もしどこかでまた、コハク達に会ったら、オレは無事だから帰って来てって伝えてよ |
| ミラ | ああ、勿論だ。会えた折には必ず伝えておく |
| シング | 助かるよ。じゃあ、みんな気をつけて! |
| ルーク | おう!お前らこそ魔物にやられんじゃねーぞ! |
| scene2 | キムラスカの異変 |
| リオン | …で、次はどこに行くんだ?大精霊の居所について、何かあてはあるのか? |
| ミラ | ああ、目星はついている。次に向かうのはキムラスカだ |
| ルーク | キムラスカ?マジかよ、俺んとこに大精霊がいるってのか!? |
| ミラ | ああ。バレル島への道中、わずかだが大精霊の気配を感じていた |
| リッド | あ、ひょっとしてセネルの船に乗ってた時か? |
| アスベル | そうだ、確かあの時ミラが急に黙って… |
| ミラ | ああ。その時感じ取った気配は脅威には値しない小さなものだった。ゆえに── |
| リタ | …あたしらの注意がヴォルトから逸れないために、敢えて言わなかったってわけ? |
| ミラ | そういう事だ |
| ルーク | でもよ、キムラスカに大精霊がいるなんて本当なのか?そんな話、今まで聞いた事ねーぞ |
| リオン | 普通の人間は大精霊の存在を知らない。僕達もミラ達に話を聞くまで知らなかっただろう |
| リタ | つまり、ルークが知らなくても別に不思議じゃないって事ね |
| アスベル | とにかく、キムラスカの状況を確認しに行こう |
| スタン | そうだな、じゃあ早速キムラスカを目指して──……ん?あれって、もしかして… |
| コハク | クラースさん、早く早く! |
| クラース | 待て待て。そんなに急がせてどうするつもりだ |
| ヒスイ | ったく、それでもそんなトロトロ歩いてちゃ間に合うもんも合わなく── |
| ミラ | クラース、コハク、ヒスイ! |
| ヒスイ | ミラ!? |
| コハク | あ、お兄ちゃん!リオンやスタンも一緒にいるよ! |
| | |
| スタン | コハク!元気そうだな! |
| リオン | … |
| コハク | スタンもリオンも元気そうだね!久しぶりに会えて嬉しいよ |
| クラース | お前達、シーブル村から出て来たのか? |
| ミラ | ああ、その通りだ。これからキムラスカへ行く |
| スタン | こんなに早く二人に会えるなんて!シングから伝言を頼まれたんだ。「オレは無事だから帰って来て」って |
| スタン | 二人の事、すごく心配してたから早く伝えられてよかった |
| コハク | 帰って来て…?ひょっとして、シングはシーブル村に帰ってるって事!? |
| スタン | ああ!入れ違いにならなくてよかったな。早く会いに行ってやってくれよ |
| リオン | それより、お前達は何故このタイミングで戻って来た? |
| ヒスイ | この大陸の西の方にあるバレル島付近で、すごい雷雲が発生してるのを知ってるか? |
| クラース | その辺りから大精霊の気配を感じ取ってな。調べに行こうとしてたんだ |
| コハク | バレル島へは、シーブル村からしか行けないの。だから、村に戻ってセネルに船を出してもらおうと思って |
| | |
| リッド | なるほど、そういう事か。だったらもう、心配はねえぜ。な、カノンノ? |
| カノンノ | うん!その雷雲を生み出していた大精霊…ヴォルトは、ここにいるよ |
| クラース | …む?ここにいるとは一体どういう事だ?まさか… |
| ミラ | ああ、ヴォルトは正気を取り戻し私達に力を貸してくれる事になった |
| クラース | そうか…。暴走を鎮めるだけではなく契約まで取り交わしていたとはな… |
| クラース | どうりで、行く先々で大精霊が姿を消しているわけだ |
| コハク | わたし達はずっと、ミラ達が回った場所を追うかたちで進んでたんだね |
| ヒスイ | ったく…二度手間だったって事かよ |
| クラース | 仕方ないだろう。大精霊の気配を感じ取れるとはいえ私とミラでは能力に雲泥の差がある |
| クラース | …にしても、本当にすごい事だ。あの強大な力を持つ大精霊達の暴走を鎮めるとは… |
| ミラ | 皆で力を合わせなければ到底成し得る事は出来なかっただろう |
| リタ | それとカノンノのリプリカームね。結局のところ、その力があるからこそ暴走を鎮める事が出来るんだし |
| クラース | …彼女が切り札という事か |
| クラース | ふむ…中々に興味深い能力だ。大精霊を救うというその力を、是非この目で見てみたい |
| ヒスイ | なら、クラース。お前はミラ達と一緒に行ったらいいんじゃねえのか? |
| ヒスイ | 俺達は村へ戻るだけになっちまったし何も一緒に来る必要もねえだろ |
| コハク | やっとシングに会えるんだね |
| ヒスイ | シングの事はどうでもいいが、村が魔物に襲われてるってのは、聞き捨てならねえ。何とかしねえと |
| クラース | だが、村の方は大丈夫なのか?状況も状況だ、人手は多いに越した事はないだろう? |
| コハク | そっちはきっと大丈夫だよ! |
| コハク | シングやセネル、それにソフィや司祭様まで手伝ってくれてるみたいだし |
| コハク | クラースさんは大精霊に詳しいし、ミラ達といた方が力を発揮出来るんじゃないかな? |
| クラース | ふむ、ではお前達の言葉に甘えて私はミラ達と同行させてもらおう。それで問題ないか? |
| アスベル | 勿論です。現状大精霊に関してはミラに頼りきりなので、俺達としても、とても助かります |
| ミラ | アスベルの言う通りだ。お前がいてくれれば心強い。是非力を貸してくれ |
| リッド | よし、決まりだな。じゃあ早速行動開始と行こうぜ |
| コハク | じゃあみんな、気をつけて |
| スタン | そっちもな。シング達によろしく! |
| リタ | さ、あたしらも早いところキムラスカへ向かいましょ |
| | |
| リオン | む… |
| | ガサガサッ! |
| アスベル | この気配は… |
| | |
| | ギャオオッ! |
| アスベル | やはり魔物か! |
| scene1 | 胸騒ぎ |
| エステル | ここがキムラスカの王都、バチカル…ようやくたどり着きましたね |
| フレン | はい。想定していたよりも遥かに時間がかかってしまいました |
| フレン | エステリーゼ様もお疲れでしょうしまずは、宿屋でご休息を取られてはいかがですか? |
| エステル | ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ、フレン |
| エステル | それより一刻も早く、キムラスカ国王にお会いしたいです |
| エステル | リチャード陛下の名代としてこの国に来たからには、必ず務めを果たさないと |
| フレン | エステリーゼ様…。わかりました。ではこのまま行きましょう |
| フレン | それにしても、リチャード陛下もよくエステリーゼ様のキムラスカ行きをお許しになりましたね |
| エステル | …本当は陛下がご自分で行くとおっしゃっていたんです |
| エステル | でも、世界中で異変が起きている今、陛下がウィンドルを離れるべきではないと思ったんです |
| エステル | それで、わたしが代わりに行く事を陛下に提案しました |
| エステル | 最初は反対されましたけど、フレンが同行するならと、認めてくださいました |
| フレン | 陛下の期待に応えられるよう全力を尽くします |
| エステル | すみません。巻き込むようなかたちになってしまって |
| フレン | とんでもありません。王族の方々をお守りするのは、騎士団員の当然の務めですから |
| エステル | ありがとうございます、フレン。それでは、キムラスカの王宮へ行きましょう |
| フレン | はい |
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| スタン | ルイニス街、何ともなくてよかったな!リオン |
| リオン | ヴォルトの雷の影響がなかったと言うだけだ。依然氷漬けなのは変わらない… |
| リッド | ルイニス街も過ぎたからバチカルももう遠くないな |
| ルーク | ああ。景色にも見覚えがあるぜ |
| カノンノ | バチカルはルークの生まれ育った街なんだよね |
| ルーク | まあな。そこらの街とは大違いの都会だぜ。景色はいいし食いものは美味いし── |
| リオン | 無駄話はそこまでにしてさっさと歩け |
| ルーク | なっ、無駄話とは何だ!バチカルに来た事もねーくせに! |
| スタン | バチカルなら俺もリオンも前に行った事あるぞ |
| スタン | 確かに、ルークの言うように食いものがすごい美味かった!だよな?リオン |
| リオン | …ふん |
| ルーク | …き、来た事あるならあるって言えっつーの。何なんだよ、ったく… |
| カノンノ | 大精霊の件が落ち着いたら、バチカルをゆっくり見て回りたいな。その時は案内をお願いしてもいい? |
| ルーク | お、おう、任せとけ |
| ミラ | … |
| アスベル | ミラ、どうかしたのか?もしかして、大精霊の気配を… |
| ミラ | ああ。先ほどよりも強い気配を感じる。北西の方角だ |
| クラース | 私はまだ何も感じないが…ミラが言うのだから、間違いないのだろうな |
| リタ | ここから北西…ねえ、それって、もろにバチカルの方じゃない |
| ルーク | …おいおい、まさかバチカルに大精霊がいるとか言うんじゃねーだろうな |
| ミラ | それはまだわからない。そうでない事を祈る他ない |
| アスベル | …とにかく急ごう |
| scene2 | 胸騒ぎ |
| リオン | バチカルが見えた。ミラ、大精霊の気配は? |
| ミラ | ますます強くなっている。この近くにいるのは、間違いなさそうだ |
| アスベル | もしかして、本当に街の中に…? |
| ルーク | それマジ勘弁だぜ。けど、今のところ何か起きてる感じはねーよな…? |
| ミラ | … |
| クラース | どうしたんだ、ミラ |
| ミラ | 意識を集中して、大精霊の気配を探っている。場所を特定出来るかもしれない |
| ミラ | … |
| リタ | どう?上手くいきそう? |
| ミラ | バチカルの北にある高い山岳…。あそこから強い気配を感じる |
| ルーク | 北の山岳?あの辺りの山に大精霊がいるって事か? |
| ミラ | おそらくな |
| カノンノ | 山に気配があるなら街は大丈夫だって事だよね |
| リオン | …いや、安心するのはまだ早い。あの山岳は、街からそう離れていない |
| リタ | そうね。本当に暴走している大精霊があの山岳にいるなら、いつバチカルに被害が及んでもおかしくないわ |
| スタン | そんな… |
| クラース | ミラ、山岳にいるのはどの大精霊なのかはわからないのか? |
| ミラ | 残念だが、場所を特定するだけで精一杯………!これは… |
| | |
| カノンノ | みんな…!ネックレスが光り始めたよ…! |
| クラース | 感じる…私も精霊の気配を感じるぞ。これは… |
| リッド | おい、山岳の方を見ろ!頂上が光ってるぞ! |
| リタ | 何よ、あの光…!拡散したと思ったらまるで雨みたいに降り注いで… |
| スタン | あんなの初めて見た…まるで光の雨だ…! |
| クラース | レイという光の術があるが、それを強化したもののようにも見えた |
| ミラ | レイか…。あれが大精霊の仕業だとすると、もしかして… |
| アスベル | …!あれを見ろ!バチカルから煙が上がってないか!? |
| カノンノ | うん!煙が見える! |
| リオン | ちっ、光の雨の影響か…! |
| ルーク | まさか今のでバチカルが…くそっ! |
| リッド | おい、ルーク! |
| アスベル | みんな、ルークを追おう!大精霊の事も気がかりだが、バチカルも放っておけない! |
| カノンノ | うん! |
| ミラ | やむを得ないな |
| スタン | …!っと、ちょっと待て。その前に厄介なのが来たぞ…! |
| | ガルルルル! |
| リオン | ちっ、魔物か…!こいつは僕がやる、お前達は先に行け |
| リタ | あたしも手伝う。さっさと片付けるわよ! |
| scene1 | 破壊の雨 |
| エステル | …というわけで、ウィンドルとア・ジュールの戦争の危機は、ひとまず回避されました |
| エステル | 今は世界が直面している危機を共に乗り越えるべく、手を携え、協力体制を築きつつあります |
| エステル | つきましては、キムラスカとも是非連携を強化したいと、こうしてお願いに上がった次第です |
| インゴベルト六世 | ふむ… |
| フレン | … |
| エステル | シルヴァラント国王陛下にも同じ提案を行い、ご快諾いただいています |
| インゴベルト六世 | ふむ…それは結構な事だ。だが、よその国はよその国。我が国は我が国であるからな |
| エステル | …あの、もしかして、わたしの申し上げた事に、何かご懸念がおありでしょうか? |
| インゴベルト六世 | いや、そういうわけではない |
| インゴベルト六世 | リチャード陛下のお考えはよくわかった |
| エステル | では… |
| インゴベルト六世 | とはいえ、極めて高度な問題だ。そう簡単に答えを出すわけにもいかぬ |
| インゴベルト六世 | 政に軽挙は禁物。その点はご理解いただけような |
| エステル | は、はい…。それは勿論… |
| フレン | … |
| | |
| | ズドドドドーーン!! |
| エステル | …! |
| フレン | エステリーゼ様!伏せて下さい! |
| インゴベルト六世 | 今のすさまじい音は…衛兵、一体何事だ!? |
| 衛兵 | 申し上げます!突然街の北部に光の雨が降り注ぎ、一部の建物が損壊しました! |
| フレン | 光の雨…?原因は何なのです!? |
| 衛兵 | いえ、今のところ不明です…。ですが、損壊の範囲は広く負傷者も出ている可能性があります |
| 衛兵 | 陛下とエステリーゼ殿下におかれましては、ただちに安全な場所にご避難いただきたく! |
| インゴベルト六世 | うむ、わかった。では、エステリーゼ殿下、私と一緒に── |
| エステル | …いえ、わたしは残ります |
| フレン | エステリーゼ様…? |
| エステル | わたしは治癒術が使えます。怪我人が出ているかもしれないのに自分だけ避難するわけにはいきません |
| エステル | わたし、街に行って負傷者の救助に協力します! |
| フレン | エステリーゼ様!お待ち下さい! |
| インゴベルト六世 | … |
| | |
| リタ | この橋を渡ればバチカルに入れるのね。この辺りには特に被害はなさそうだけど… |
| アスベル | 煙の出所はどこだ? |
| スタン | あ、あれ!向こうだ! |
| リッド | 北側の方か…。山岳に近い地域で被害が起きてるってワケか |
| ルーク | マジかよ…。あの辺りは建物が密集してる地域だぞ… |
| クラース | だとしたら、建物の損壊に火災…いずれにせよ、何かの拍子で被害が一気に拡大する恐れがある |
| リオン | とにかく行くぞ。こうして話している時間すら惜しい |
| カノンノ | うん、そうだね |
| ミラ | では、皆、急いで街の北側に向かうぞ! |
| scene2 | 破壊の雨 |
| リッド | おい、あれを見ろ!建物が燃えてるぞ! |
| カノンノ | 大変…!早く火を消さないとどんどん燃え広がっちゃう…! |
| ミラ | ウンディーネ、頼む! |
| | ザザーーッ! |
| クラース | おお! |
| アスベル | 火が消えた… |
| リタ | いい判断ね。やるじゃない、ミラ |
| ミラ | 安心するのはまだ早い。火は消し止めたが、至るところで建物が崩れかけている… |
| スタン | あんなのに、街の人達が巻き込まれたら── |
| カノンノ | 見て!向こうに子どもが! |
| | |
| 男の子 | ふえ…ママ、どこ…? |
| | |
| | ズズ… |
| ルーク | おい、ガキ!後ろの建物が崩れるぞ、こっちに走れ! |
| カノンノ | ル、ルーク! |
| | ガラガラ… |
| 男の子 | …! |
| リタ | 駄目…!間に合わな── |
| ティア | はっ! |
| ルーク | あっ!? |
| | |
| | ガラガラガラッ! |
| リッド | 建物が崩れちまった…。間に合ったのか…? |
| スタン | …!よかった…無事みたいだぞ! |
| アスベル | 間一髪だったな。助かってよかった… |
| | |
| ティア | 怪我はない? |
| 男の子 | うん…だいじょうぶだよ…お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう… |
| 母親 | 坊や! |
| 男の子 | あ、ママー! |
| 母親 | この子を助けていただいて、ありがとうございました |
| ティア | この辺りは危険です。早く安全なところに避難してください |
| 母親 | はい、わかりました |
| | |
| ルーク | ティア! |
| ティア | ルーク!?それにリッドまで…どうしてあなた達がここに? |
| リッド | まあ、それについてはいろいろとあってな。話せば長くなりそうだ |
| ティア | そう…。それより、少し前にメルトキオにいるエミルから手紙を受け取ったわ |
| ティア | ルーク、あなたが怪我を負ったとあったけど…大丈夫なの? |
| ルーク | ああ、もう何ともねーよ。それより── |
| | きゃああああっ! |
| | |
| クラース | 今度は何だ!? |
| カノンノ | 向こうを見て! |
| | グルルルル… |
| スタン | 魔物だ!山岳の方から降りてきたのか…? |
| アスベル | 何であれ、放ってはおけない。みんな、行こう! |
| scene1 | エステルとの再会 |
| ティア | まさかそんな事になっていたなんて… |
| ティア | ひょっとしてルークが怪我したというのも… |
| リッド | ああ、大精霊との戦いの中で負ったもんだ |
| ティア | エミルからの手紙にかなり重い傷を負ったとあったの |
| ティア | すぐにでもメルトキオに向おうと思っていたのだけど…見たところ、元気そうね |
| ルーク | 言ったろ、もう何ともねーって。それより、その手紙の中にブタザルの事は何か書いてあったか? |
| ティア | ええ、あったわ。ミュウはまだメルトキオで療養しているそうよ |
| カノンノ | そっか…早く回復してほしいね |
| ルーク | …大丈夫だろ。エミルやジーニアスがみてんだから |
| ルーク | それより、今は大精霊だろ。そっちを先に何とかしねーと |
| ティア | 光の雨…あなた達の話では、その原因である大精霊が山岳にいるんだったわね |
| ミラ | ああ。街に一番近い山から大精霊の気配がする |
| ティア | 街に一番近い山…グーベック山ね |
| ミラ | 光の雨が降る位置から考えてもそのグーベック山にいる可能性が高い |
| クラース | 光の雨は、これだけ広範囲に被害を及ぼしている。一刻も早く止めなければ… |
| スタン | …だけど、街の方も結構な被害だ。このまま放って行くっていうのも── |
| 衛兵 | ティア様! |
| ティア | どうしたの? |
| 衛兵 | こちらにウィンドルのエステリーゼ殿下はいらっしゃいませんでしたか? |
| アスベル | エステリーゼ殿下…!? |
| リタ | ちょっと、どういう事!?エステルがここにいるって… |
| ティア | エステリーゼ殿下は、ウィンドル国王陛下の名代として、現在我が国にいらっしゃっているの |
| アスベル | 名代って、一体どういう事だ? |
| ティア | 詳しい事は私も聞いていないわ |
| ティア | …でも、エステリーゼ殿下は陛下と共に、安全な場所へ避難していただいているのではないの? |
| 衛兵 | それが…突然いなくなられてしまいまして |
| アスベル | な… |
| リタ | 何ですって!? |
| 衛兵 | その場にいた者の話では、街へ行き人々の救助に協力する、と王宮を出られたようです… |
| リタ | あの子らしい話だけど、無茶よ!いつまた光の雨が降ってくるかも分からないのに…! |
| ティア | …まずいわ。殿下ご自身の事も気がかりだけど、それだけではすまない |
| ティア | …キムラスカ国内で、もし殿下の身に何かあれば、国際問題にもなり兼ねないわ… |
| アスベル | …ティアの言う通りだ。一刻も早くエステリーゼ様を見つけ出さないと… |
| アスベル | おそらくエステリーゼ様はこの地域におられるはずだ。みんな、悪いが協力してほしい |
| リタ | 当然よ。あたしはあっちを捜すわ! |
| カノンノ | わたしはこっちを見てくるね |
| リッド | 仕方ねえ、オレ達も見に行くぞ、リオン |
| リオン | 全く、世話の焼ける… |
| scene2 | エステルとの再会 |
| リッド | おい、こっちだ!エステルがいたぞ! |
| | |
| リタ | エステル! |
| | |
| エステル | リタ!?どうしてここに? |
| リタ | どうしてもこうしてもないわよ。エステルこそ、何やってんのよ! |
| エステル | 何って、街がひどい事になって怪我人もいるみたいだったので、それで… |
| リタ | ああもう!いつもそうなんだから! |
| リタ | ちょっとは立場ってもんを考えなさいってのよ。何かあったらどうするつもり? |
| エステル | あ…すみません… |
| リタ | …まあ、あんたらしいけどね… |
| フレン | アスベル、しばらくだね |
| アスベル | フレンもいたのか |
| フレン | ああ。エステリーゼ様の護衛でね |
| アスベル | そうか…。フレンが一緒なら、ここまで心配する必要はなかったか |
| アスベル | ところで、エステリーゼ様 |
| エステル | はい |
| アスベル | エステリーゼ様は、リチャ…国王陛下の名代としてこの国へいらしたと伺いました |
| アスベル | こんな状況で恐縮ですが、手短に事情をお聞かせいただけませんか? |
| エステル | わかりました。実は… |
| | |
| ミラ | なるほど。リチャードは、各国との協力体制を強化すべく動いてくれていたのだな |
| エステル | はい。シルヴァラント国王陛下にはご協力をいただける事になりました |
| エステル | キムラスカとも同じように出来たらと思うんですが、これまであまり交流がなかったので… |
| クラース | それで国王の代理として、エステリーゼ殿下がキムラスカへ来ていた、というわけか |
| ルーク | そういや、伯父上には俺が話をつけるって言ってたのにそのままだった。悪ぃ… |
| エステル | いえ、そんな、気にしないでください |
| エステル | キムラスカとウィンドルの今後を考えれば、むしろこれはいい機会だと思います |
| エステル | リチャード陛下もきっと、そう考えてくださると思います |
| アスベル | リチャード…。あいつも遠く離れたウィンドルから、世界を守ろうと頑張っているんだな… |
| フレン | ああ、だからこそ僕らも全力で陛下を支えなければ。そうだろう? |
| アスベル | そうだな |
| エステル | それにしても、さっきの光の雨、驚きました… |
| エステル | 大精霊というのは、あれほどの力を持った存在なんですね… |
| ティア | …本当に大精霊がグーベック山にいるなら、すぐにでも向かうべきだわ |
| ティア | これほどの被害を出すあの光の雨が次はバチカルの中心部を襲わないとも限らない |
| ティア | そうなったら、被害の大きさは想像を絶するものになるわ |
| リオン | 中心部の被害で済めばいいがな。街全体が壊滅する事だって十分に考えられる |
| ルーク | そんな真似させるかよ。よし、早いとこ、大精霊の暴走を鎮めに行こうぜ |
| スタン | でも、街の方は大丈夫なのか?この様子じゃ混乱を収めるにも人手が必要だろ… |
| ティア | それはそうだけど、それでも今は光の雨の元凶をどうにかする方を優先させるべきだと思うわ |
| ミラ | 同感だ。皆、ここはティアに任せて私達はグーベック山へ急ごう |
| ティア | エステリーゼ殿下も、この場は私にお任せいただき、急いで避難なさってください |
| エステル | …ごめんなさい、ティア。わたしはアスベル達と共にグーベック山に行こうと思います |
| リッド | 何だって…? |
| アスベル | 無茶です、エステリーゼ様!ご自身の身と立場を考えてください |
| アスベル | キムラスカでもしあなたの身に何かあれば、国同士の関係にも取り返しのつかない事態に陥ります |
| フレン | 私もアスベルと同感です。ここは避難すべきです。危険すぎます |
| エステル | …王族としての立場の重さはわかっているつもりです |
| フレン | でしたら…! |
| エステル | ……わたしはリチャード陛下の名代として、両国の協力関係を築くためにここに来ました |
| エステル | そのためには、この国のみなさんの信頼を得る事が不可欠です |
| エステル | でも危険が迫っている時、自分だけ安全な場所に逃げる者の言葉に耳を傾ける人はいないと思います |
| エステル | それにこの地区の被害を見れば、バチカルのどこにいても危険な事に変わりはないと思います |
| エステル | ですから、今なすべき最善はこれ以上被害を出さない事。そのためにわたしも協力したいんです |
| アスベル | ですが、エステリーゼ様…! |
| エステル | お願いです、アスベル、フレン。わたしにも出来る事をさせてください |
| フレン | エステリーゼ様… |
| リタ | …相手は強大な大精霊だし、エステルみたいな治癒術師がいてくれれば、心強いのは確かね |
| アスベル | リタ!?ちょっと待ってくれ、そんな軽はずみな事を言って── |
| リタ | エステルの言ってる事は無茶に聞こえるかもしれないけど理に適っていると思う |
| リタ | ここに残ったって、次にまたあの光の雨が襲ってきた時無事に済む保証はどこにもない |
| リタ | といって、今この街を離れればエステルの言う通り、誰も彼女の言う事なんて聞かなくなる |
| リタ | それに、どのみちグーベック山の大精霊はどうにかしないといけないんだし |
| リタ | だったら下手に残るよりあたし達に力を貸してくれた方がまだいいと思うわ |
| エステル | リタ…ありがとうございます! |
| リタ | ただし、一つ約束して。絶対に一人で勝手な行動は取らない事。いい? |
| エステル | ……はい! |
| アスベル | …わかりました。では、一緒に行きましょう |
| フレン | アスベル!?本気で言ってるのか? |
| アスベル | ああ。エステリーゼ様のお気持ちは十分に理解したし、リタの言う事も一理ある |
| アスベル | …フレン、エステリーゼ様の事は、何があっても守ると約束する。だから── |
| フレン | …わかった、なら、僕も一緒に行こう |
| フレン | 僕はリチャード陛下から直々にエステリーゼ様の護衛役を仰せつかっている |
| フレン | エステリーゼ様が行く以上、それがどこであろうと、僕も行くよ |
| エステル | フレン…。いつもすみません |
| フレン | そんな、気にしないでください。騎士として当然の事ですから |
| フレン | たとえ何があろうとエステリーゼ様は私がお守りします |
| フレン | …とういうわけだ、アスベル。そう長い間ではないと思うが、よろしく頼む |
| アスベル | ああ、こちらこそ |
| リオン | 話はまとまったようだな。なら、さっさと行くぞ |
| ルーク | ああ、ぐずぐずしてたら、また光の雨が降ってくるかもしれねーしな |
| ティア | …そうね。次はもっと大きな被害が出るかもしれないし |
| ティア | 本当は市民をバチカルから避難させるべきなのかもしれないけど…多すぎて、すぐには難しいわね |
| ティア | それに街の外は外で魔物がいる危険があるし、どうすればいいのかしら… |
| クラース | …その話で一つ相談だ。私はこの街に残ろうと思うんだが… |
| カノンノ | クラースさんが…? |
| クラース | 能力としては劣るが…私もミラやカノンノのネックレスと同様、大精霊の気配を感じ取る事が出来る |
| クラース | 光の雨がまた降るような事があれば、事前にそれを感知し、住人に注意を促す事も出来るだろう |
| ティア | …一応、軍の緊急用の鐘を使えばバチカルのどこだろうと知らせる事だけは出来ると思うけど… |
| クラース | 避難には間に合わないだろうし、被害がなくなるわけでもなかろうが警告がないよりはマシだろう |
| リッド | でも、いいのかよ?リプリカームで大精霊を救う瞬間を見たくて、オレ達と来たんだろ? |
| クラース | 人命を守る事の方が大切だろう。私は次の機会を待つさ |
| ミラ | クラース、ありがとう。街にお前がいてくれれば心強い。頼んだぞ |
| クラース | そう言ってもらえるとありがたい。では、大精霊の事は任せたぞ |
| スタン | 俺もここに残ろうと思う |
| リオン | 何だと? |
| スタン | 大精霊の方はさ、リオンやみんながいるから、大丈夫だって思えるんだ |
| スタン | …でも、街の方はただでさえ人手も足りなそうだし…何ていうか、放っておけないんだ |
| ティア | ありがとう、二人共。本当に助かるわ |
| ルーク | けど、お前ら何で…その、キムラスカは別にお前らの国でもねーのに… |
| スタン | ええと…上手く説明出来ないけど、俺がそうしたいって思っただけだよ。大精霊の事は、任せたからな! |
| ルーク | …おう、任せとけ! |
| リタ | さて、じゃあ早速大精霊のところに向かうとしましょ |
| ティア | この先を真っ直ぐ進んだところにグーベック山の山道へ通じる道がある。そこから行くといいわ |
| リッド | わかった。じゃあとっとと行こうぜ |
| ルーク | 待ってろよ、大精霊! |
| scene1 | グーベック山の大精霊 |
| カノンノ | ここがグーベック山… |
| リッド | 大精霊がいるとしたら、やっぱり山頂か? |
| ミラ | おそらくはな。光の雨が降る直前、山頂が光るのが見えた |
| エステル | 既に大精霊が移動していて、もう山頂にはいないという可能性はないんです? |
| リタ | 否定は出来ないわね。こうして歩いている間に、いきなり襲われるかもしれない |
| リオン | その通りだ。油断するなよ |
| エステル | そうですよね…気を引き締めないと |
| アスベル | エステリーゼ様、足下にもお気をつけください。崩れやすくなっていますので |
| エステル | あ、はい |
| フレン | 道がところどころ崩れているのは、例の光の雨のせいだろうか? |
| ルーク | わかんねーけど、いくら崖沿いだからって、ここまで歩きにくいもんか?ったく、たりぃ… |
| ミラ | 光の雨もそうだが、これだけの荒れようだ。以前に頻発していた地震の影響でもあるだろう |
| | ガラ… |
| | ガラガラガラ…! |
| エステル | …! |
| リタ | エステル、危ない! |
| フレン | エステリーゼ様、大丈夫ですか!? |
| エステル | は、はい…リタのお蔭で…何とか… |
| エステル | すみません、リタ。早速助けてもらってしまって |
| リタ | 別に大した事ないわ |
| リッド | 二人とも崖から落ちるんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたぜ |
| エステル | 役に立つどころかいきなり足手まといになって、駄目ですね、わたし… |
| リタ | だ、だから今のは崖が勝手に崩れただけで、別にあんたのせいじゃないってば |
| リタ | そうだ、ルーク、あんた大精霊の件が片付いたら、国王にこの道、整備するように言いなさいよ |
| ルーク | へ?な、俺が?何でそんな事… |
| リタ | あんた、国王の甥なんでしょ?たまにはその立場を役立てなさいよ |
| リタ | あんた達もエステルを守るのが仕事なんでしょ!もっとしっかりしなさい! |
| フレン、アスベル | すみません… |
| | |
| エステル | ふふ… |
| リタ | エステル?どうかしたの? |
| エステル | いえ…こうやってリタと話すのも、久しぶりだなって |
| リタ | そういや、そうね。ア・ジュールで再会してからもそれ以降は別行動だったし |
| エステル | はい。一緒にイニル街に行ったり、兵器工場に忍び込んだりしたのが随分昔の事のようです |
| エステル | 何ていうか…こんな風に言うと怒られてしまうかもしれませんが… |
| エステル | リタと旅をした時間はわたしにとって、とても有意義で、それでいて楽しい時間でした |
| エステル | またこうして、リタと行動を共にする事が出来て嬉しいです |
| リタ | う、嬉しいって…あんたねえ。これは遊びじゃないんだからしゃきっとしなさいよ |
| エステル | …そうですよね、すみません |
| リタ | だからそうじゃなくて、別に謝って欲しいとかじゃなくて、えーと… |
| エステル | …? |
| リタ | あーもう!何でもない!この話は終わり!ほら、さっさと先を進むわよ! |
| エステル | リタ…? |
| scene2 | グーベック山の大精霊 |
| カノンノ | ふう…ふう… |
| ミラ | カノンノ、疲れたのか? |
| カノンノ | ううん、平気だよ。みんな頑張ってるんだから、これくらい… |
| アスベル | 気持ちはわかるが、無理はするなよ |
| カノンノ | うん、大丈夫──……あっ! |
| リッド | カノンノのネックレスが光り出したぞ |
| ルーク | って事は、この近くに大精霊がいるのか? |
| ミラ | …いや、大精霊の気配に動きは見られない |
| カノンノ | うーん…何だかいつもの光り方と少し違うような… |
| アスベル | 言われてみれば…確かにそんな気も── |
| ミラ | …!この声は… |
| ミラ | お前は…アスカか? |
| アスベル | アスカって、ネックレスの中にいるアスカだよな?…何かあったんだろうか |
| ミラ | … |
| ミラ | …ふむ |
| フレン | ネックレスの中の大精霊と対話しているのか… |
| フレン | 話には聞いていたが、実際に見ると何とも不思議な感じだな |
| ミラ | …わかった、約束しよう |
| ルーク | おいミラ、アスカの奴、何だって? |
| ミラ | この山にいる大精霊について教えてくれたのだ |
| ミラ | 私も、光の雨を見た時にもしやとは思っていたが… |
| リタ | 正体がわかったってわけ?何者なの、その大精霊は |
| ミラ | 大精霊の正体は月を司る大精霊、ルナ… |
| エステル | ルナ… |
| ミラ | ああ、この山岳に入ってすぐ、アスカはルナの存在を感じていたらしい |
| ミラ | 彼女はアスカの対になる存在…言わば、パートナーのようなものだ |
| ミラ | いつ何時でも互いを必要とし、寄り添うように過ごしてきた |
| ミラ | …かつての自分のように苦しんでいるルナを、一刻も早く救い出してやってほしい── |
| ミラ | アスカはそう訴えている… |
| カノンノ | アスカ… |
| アスベル | ミラに語りかけてまで知らせたいんだ、それほど真剣だという事だろうな |
| エステル | アスカにとって、ルナはとても大切な存在なんですね。何とか救い出してあげたいです |
| リタ | …そうね |
| ルーク | …よし、とにかくさっさとルナのところへ急ごうぜ |
| ミラ | ああ。アスカとの約束は必ず果たす |
| カノンノ | 疲れたなんて言ってられない、急がないと…! |
| | カラ… |
| フレン | …!待つんだカノンノ! |
| カノンノ | え…? |
| | |
| | ガアアア! |
| リッド | カノンノ、伏せてろ! |
| | ザシュ! |
| カノンノ | リ、リッド…!ありがとう |
| リオン | ちっ、まだだ!いつの間にか挟まれている! |
| | ガアアアアアッ!! |
| アスベル | 来るぞ!フレン、そっちを頼む! |
| フレン | ああ、任せてくれ! |
| scene1 | 大精霊ルナ |
| フレン | だいぶ上の方まで来たみたいだな。バチカルがよく見渡せる |
| アスベル | もうすぐ頂上みたいだしな。…にしても、よかったよ。ここまで無事にたどり着けて |
| フレン | 大丈夫か、ずいぶん気を張り詰めているように見えるけど |
| アスベル | エステリーゼ様の御身を預かってるんだ、当然だろ |
| アスベル | それにしても、フレン、お前には迷惑をかけてしまって悪かったな |
| フレン | 迷惑? |
| アスベル | 騎士団の事さ。大精霊の件があるとはいえ、騎士団の任務はお前や他の団員達に任せきりになってしまってる |
| フレン | 気にする事はないさ。それに、君の方がよほど重い任務を負っているんだからね |
| フレン | ウィンドルの事だけじゃない、各国や、世界の存続をかけて戦っているんだ |
| フレン | 迷惑どころか、同じ騎士団の一員として誇りに思うよ |
| アスベル | フレン…ありがとう。俺も同じように、お前やリチャード、騎士団の仲間達を誇りに思ってるよ |
| アスベル | みんなの協力があったからこそここまで来れた、そう思うんだ。引続き、一緒に戦おうな! |
| フレン | 勿論だ。もう一息、頑張ろう |
| リタ | 盛り上がってるとこ悪いんだけど、そろそろ話進めてもいい? |
| アスベル | リタ!?…あ、ああ、もう大丈夫だ |
| ミラ | どうやら、あの辺りが山頂らしい。…ルナの強い気配が感じられる |
| カノンノ | ネックレスもほら、反応し始めてるの |
| フレン | いよいよ、という事か… |
| ミラ | ここからは、いつルナと戦闘になったとしてもおかしくはない |
| ミラ | 常に警戒を怠らず、慎重に近付いて──… |
| ミラ | …!これは… |
| | |
| ルーク | ミラ!?何かあったのかよ |
| ミラ | くっ…まずい状況だ… |
| ミラ | この辺り一帯のマナの密度に、変化が生じ始めている。これはおそらく… |
| リオン | 光の雨を降らせる予兆、という事か… |
| ミラ | ああ… |
| エステル | なら急いで止めないと!これ以上バチカルの人々を危険に晒すわけにはいきません! |
| ミラ | うむ…慎重に進んでいるような余裕はなさそうだ。前言撤回だ |
| リッド | やれやれ…んじゃ一気にルナを追い詰めるとしようぜ |
| アスベル | よし、行こう! |
| カノンノ | どうかお願い…間に合って…! |
| scene2 | 大精霊ルナ |
| リオン | 山頂に着いたぞ |
| リッド | どこだ…ルナはどこにいる? |
| フレン | …!ひょっとしてあそこにいるのは… |
| エステル | あれが…ルナ… |
| | |
| ルナ | … |
| | |
| ルーク | なっ、何だ!?すげー光がルナを包んで… |
| ミラ | 光の雨だ…!まずい、この規模だとバチカルはおろか、周辺一帯に影響が及ぶ事になる…! |
| カノンノ | そんな…!駄目だよ、止めなくちゃ! |
| アスベル | わかってる!だがこの距離だと、もう… |
| リタ | ぶっ飛べ!ファイアボール! |
| ルナ | …! |
| | シュゥゥゥ… |
| ルーク | ルナの光が消えた…? |
| リタ | よかった…何とか間に合ったみたいね |
| エステル | リタ…!さすがです…!! |
| リッド | 術でルナの邪魔をしたってワケか。あの状況でよく考えたな |
| リタ | 一か八かだったけどね。しかもこれでルナにこっちの存在が気付かれちゃったわ |
| ルナ | グゥゥ… |
| フレン | こっちを睨んでいる…。完全に僕達を敵だと認識したらしい |
| カノンノ | …!みんな、ネックレスがまた光って…これってもしかして…アスカ? |
| ミラ | …ああ。アスカが必死に訴えかけている、ルナを救ってくれ、とな… |
| ミラ | ルナは苦しんでいる。苦しみ、悶えている、辛くて見ていられない、と… |
| リッド | 何とかしてえのはオレ達だって同じだぜ。でも、そのためには── |
| リタ | あんた達、避けて! |
| ルナ | グアアッ! |
| | ドン! |
| | ズドーン! |
| エステル | きゃあっ! |
| フレン | エステリーゼ様! |
| エステル | はい、何とか大丈夫です…!…って、あ、カノンノ!? |
| カノンノ | ルナ、お願い!話を聞いて!ここにアスカがいるの!あなたの事をとても心配してる! |
| ルナ | グオオッ! |
| | ドン!ドン! |
| カノンノ | また攻撃を…そんな…お願い、聞いて── |
| リオン | …ちっ!カノンノ!ぼさっとするな!! |
| | ズドーン!ズドドドーーン! |
| エステル | リオン、カノンノ!…よかった、間一髪のところで間に合いましたね。でも、このままじゃ… |
| リオン | …無駄だ、カノンノ。暴走状態で僕達の話を聞く大精霊が今までにいたか? |
| カノンノ | でも… |
| ルナ | グアア! |
| アスベル | 危ない、カノンノ! |
| カノンノ | …! |
| リタ | スパイラルフレアッ! |
| | シュゥゥゥ… |
| ルナ | グゥゥゥッ…! |
| リタ | カノンノ、下がって!リオンの言う通り、今は話が通じる状態じゃないわ |
| カノンノ | そうだね…ごめんなさい、リタ |
| ミラ | とにかく、一刻も早くルナを大人しくさせる、暴走を鎮めるにはそれしか方法はない |
| ルーク | けど、どーすんだよ!また光の雨とか出されたりしたら、うかつに近寄ることも出来ねーぞ! |
| リタ | …あたしが術であいつの邪魔をするわ |
| リタ | その間にあんたらは近づいて一気に叩いて |
| エステル | そんなことしたら、リタがルナに狙い撃ちにされかねないです! |
| リタ | このままうだうだやっててまたルナに光の雨降らされるよりマシでしょ。さっさとやるわよ! |
| リタ | あたしだって、無限に術を使えるわけじゃないんだから |
| リッド | …わかった、じゃあ、ここは任せたぞリタ |
| エステル | リタ…無理はしないで。約束ですよ |
| リタ | あんたもね。大丈夫、任せなさい! |
| リタ | さあ、ルナ!これ以上、そのふざけた力は使わせないわよ! |
| ルナ | アアアアッ! |
| リタ | ファイアボール! |
| | シュゥゥゥ… |
| ルナ | グオオッ! |
| リタ | ファイアボール! |
| | バシュゥゥ… |
| ルナ | … |
| リタ | はあ…はあ… |
| リタ | もう打ち止め?案外大した事ないじゃない |
| ルナ | グオオオオ! |
| リタ | 何?バカにされてくやしいってわけ?なら、そんな離れたところにいないでもっとこっちに来たらどう? |
| ルナ | ウオオオオオッ! |
| リタ | …かかったわね |
| ルナ | …! |
| リオン | はっ! |
| | ザシュッ! |
| ルナ | グアッ…!? |
| リオン | …やったか? |
| ルーク | こら、リオン、お前また自分だけいいとこ持っていきやがって! |
| リオン | 意識してやっているわけじゃない。勘違いするな! |
| ルナ | ググ… |
| フレン | あれだけの攻撃を受けてまだ立ち上がるのか…? |
| アスベル | 彼女らは普通の魔物とは違う。相手は大精霊…ここからが本番だ |
| ミラ | リオンの攻撃が効いているのは間違いない。皆、一気に決着をつけるぞ! |
| カノンノ | うん…! |
| ルナ | グオオオオオーーッ! |
| scene3 | 大精霊ルナ |
| フレン | はあ…はあ… |
| アスベル | どうだ…? |
| ルナ | ウ… |
| エステル | ルナ… |
| リタ | 気をつけて、エステル。まだ油断は禁物よ |
| エステル | は、はい |
| | ズズズ… |
| | ガラガラ… |
| リッド | うおっと!?危ねえ、足場が崩れやがった… |
| リオン | 気をつけろ、リッド。ルナとの戦いの影響で、足場の状態は更に悪くなっている |
| アスベル | 今にも、あちこちが崩れ落ちそうだ… |
| フレン | アスベル、あまり身を乗り出すと危険だ |
| ルナ | ウウウ… |
| ミラ | …!まずい、ルナの様子が── |
| | |
| ルナ | グオオオ…! |
| | |
| フレン | う、浮かび上がった…距離を取ろうとしているんだ! |
| リッド | 見ろ、ルナに光が集まって…まさかあれは光の雨か!? |
| リタ | させるもんですか!また術で── |
| | |
| ルナ | グオオオオオッ! |
| | |
| リタ | …駄目、間に合わない!みんな、逃げて! |
| アスベル | くっ…光の雨で足場が…!みんな、急げ!この一帯が崩落するぞ…! |
| | |
| | ズドドドドドド…! |
| リオン | ちっ、崩落が始まったか…! |
| | ゴゴゴゴゴ… |
| ルーク | うぐっ…! |
| ミラ | ルーク、大丈夫か!?私の手を取れ! |
| リッド | 行くぞカノンノ!もう少し…踏ん張れ! |
| カノンノ | うっ…うん…! |
| | ズドドドドドド…! |
| リタ | いっつ……まずいわ…エステル、早くここから── |
| | ズザッ! |
| リタ | なっ…あ、足場が…! |
| エステル | リタ!! |
| | ゴゴゴゴゴ… |
| アスベル | くっ、砂埃のせいで視界が… |
| アスベル | みんな、無事か!? |
| フレン | アスベル!エステリーゼ様とリタがいない! |
| アスベル | 何だって!?そんな…エステリーゼ様!リタ! |
| フレン | エステリーゼ様ーーー! |
| scene1 | 大切な存在 |
| | ズズズ… |
| リッド | ようやく崩落も収まったみてえだな |
| カノンノ | 砂埃も晴れて、視界もだいぶよくなってきた… |
| リオン | ルナの姿が見当たらない。混乱に乗じて逃げられたようだな |
| リッド | どっちにしろ、今襲いかかられてまずいのはオレ達の方だ。案外ラッキーだったかもしれねえぜ |
| リッド | それより、みんな大丈夫か? |
| ミラ | ああ、何とかな。多少傷を負った者もいるが皆、致命傷でなかった事は救いだな |
| ルーク | いつつ…にしても、ヤバかったな |
| ルーク | リタのお蔭で咄嗟に逃げたからよかったけどよ…って、ん?そういやあいつ、どこ行ったんだ? |
| カノンノ | リタだけじゃない…。エステルさんやフレン、それに、アスベルも── |
| リッド | いや、待て。あれを見ろ!誰か、こっちに向かってくるぞ |
| アスベル | みんな無事だったか、よかった…! |
| フレン | エステリーゼ様とリタも一緒か!? |
| ミラ | いや、ここにはいない |
| フレン | そんな…。まさか、さっきの崩落に巻き込まれてしまったんじゃ… |
| リオン | … |
| リオン | …そう考えて間違いはなさそうだ。見ろ、あいつらが立っていた足場は大きく崩落している |
| カノンノ | そんな… |
| リッド | とにかく、すぐ助けに行かねえと |
| ミラ | もしや、ルナはリタ達を狙っているのか…? |
| | |
| アスベル | ミラ、それは一体どういう事だ?まさか、ルナはリタ達の後を追って行ったとでも言うのか!? |
| ミラ | ルナの気配の動きからしてそう考えられるだろう… |
| ルーク | くそっ!何だよ、ルナの奴、人数が少ない方を狙うなんて卑怯じゃねーか! |
| ミラ | おそらく常にルナの攻撃を食い止める役をこなしていたリタに狙いを定めたのだろう |
| アスベル | 何はともあれ、二人が心配だ…早く行こう! |
| リッド | ああ |
| フレン | エステリーゼ様…、リタ…。二人共、どうか無事でいてくれ…! |
| | |
| リタ | う… |
| リタ | いたた…あれ…?ここは一体… |
| リタ | …!そうだ。確か、ルナの放った光の雨のせいで足場が崩れちゃって… |
| リタ | ──って事は、あれ…?崩落に巻き込まれたはずなのに… |
| リタ | …ああ、なるほど。この茂みがクッション代わりになって助かったってわけね |
| リタ | エステル…それにみんなは…?ちゃんと避難出来たのかしら… |
| リタ | …とにかく、こうしちゃいられないわ。早くみんなのところに戻らないと── |
| ??? | う… |
| リタ | …!今の声って…まさか! |
| エステル | … |
| リタ | エステル!大丈夫なの!?今そっちに行くから! |
| scene2 | 大切な存在 |
| リタ | エステル!エステル!! |
| エステル | う… |
| | |
| エステル | あ…リタ |
| エステル | 怪我…ありませんか? |
| リタ | かすり傷よ、どうって事ないわ。あんたこそ… |
| エステル | わたしも大丈夫です。…リタが無事で安心しました |
| エステル | ところで、ここ…一体どこなんです? |
| リタ | 覚えてる?ルナが光の雨を降らせて崖が崩落したの |
| リタ | それでエステルが──…って、そうだ!思い出した…! |
| リタ | どうしてあんな危ない事したのよ! |
| エステル | …何の事です? |
| リタ | 覚えてないの?足場が崩れた時、あんた、あたしを助けようとしたでしょ! |
| リタ | だから、あんたまでこんなところに落ちちゃったんじゃない! |
| エステル | そうでしたっけ? |
| リタ | そうよ!無茶はしないって約束したのに、もう…! |
| エステル | …ごめんなさい、リタ |
| エステル | あの時、わたし…無我夢中で正直、自分がどう動いたのかよく覚えていないんです |
| エステル | でも、わたしにとってリタはかけがえのない大切な友達です |
| エステル | その友達を守りたいと思った。それだけははっきりと覚えています |
| エステル | そしてその事を後悔はしていません |
| リタ | エステル… |
| リタ | …まあ、助けてくれたのは事実だし…その、一応、お礼は言っとくわ。…ありがと |
| リタ | けど、こんな思いはもうこりごり。心臓がいくつあっても足りないわ |
| リタ | 倒れてるあんたを見た時だって本当に心臓が止まったかと思ったし… |
| リタ | …あたしだって、もしエステルがいなくなったら… |
| エステル | え?リタ、今何て… |
| リタ | …!な、何でもない!とにかく、行くわよ! |
| リタ | アスベル達は今頃ルナと戦ってるだろうしあたしらも早く合流しないと |
| エステル | それもそうですね。じゃあ、また山頂を目指して── |
| エステル | …!リタ、待ってください!あれって… |
| | |
| ルナ | … |
| | |
| リタ | ルナ…!どうしてここに!? |
| | |
| ルナ | グアア… |
| | |
| リタ | わざわざあたしらの方を追っかけて来るなんて、よほど腹に据えかねてんのね |
| リタ | …ま、無理もないわね。散々あんたの邪魔してやったし |
| エステル | ルナ…!リタはあなたを救うために… |
| リタ | エステル、今話しかけたって無駄よ |
| リタ | …ここはあたしが何とかする。エステル、あんたは下がってて |
| エステル | … |
| リタ | ちょっと、エステル!? |
| エステル | わたしもリタと一緒に戦います |
| リタ | 駄目よ!言ったでしょ、もうさっきみたいな思いをするのはこりごりだって… |
| エステル | …わたしだって、リタの事が心配なんです! |
| エステル | わたし、リタと助け合う関係でありたいです |
| エステル | どちらか一方だけが相手に守られるのではなく、対等に… |
| リタ | エステル… |
| リタ | …仕方ないわね。そこまで言うならいいわ、あたしと一緒に戦って |
| リタ | ただ一つ、約束よ。絶対に死なないってね |
| エステル | 勿論です…!その約束、リタも必ず守ってくださいね |
| リタ | 当たり前でしょ |
| | |
| ルナ | グググ…! |
| | |
| リタ | さあ、来なさいルナ! |
| リタ | あたしらが大人しくさせてあげるわ! |
| | |
| ルナ | グアアアアアッ!! |
| scene3 | 大切な存在 |
| リタ | ぶっ飛べ! |
| | ドドーン! |
| ルナ | グオッ! |
| リタ | よし、あと少し…!エステル、お願い! |
| エステル | はああっ! |
| | ズバーーッ! |
| ルナ | グアアアアーーー…! |
| ルナ | アア… |
| | ドサッ |
| | |
| エステル | はあ…はあ…ルナが大人しくなって… |
| リタ | そうね…随分手こずらされたけど |
| リタ | いっ…つ… |
| エステル | リタ! |
| エステル | リタ、大丈夫です? |
| リタ | あはは… |
| リタ | さすがにちょっと、頑張り過ぎたみたい |
| リタ | ルナの攻撃に合わせてずっと術を撃ちっ放しだったし… |
| エステル | それだけじゃありません。今の戦いでも、わたしの事をずっとサポートしてくれてましたよね |
| エステル | ごめんなさい。わたし、結局リタのお荷物になってしまって── |
| リタ | そんな事ないわよ。あんたがいたからこそ、あたしだって頑張れたんだし |
| エステル | リタ…! |
| リタ | まあ、こんな事そうそうやるもんじゃないけどね。って……いたた… |
| エステル | リタ、動かないでください!とにかく、すぐに治療します |
| リタ | あたしの事は後でいいわ!それより、急いでカノンノをここに連れてこないと… |
| リタ | ルナにリプリカームを与えられるのは大人しくなってる今しかないんだから |
| エステル | …わかりました。でも、リタを置いてはいけません。さあ、わたしの肩につかまって |
| リタ | あ、ありがと… |
| フレン | エステリーゼ様!リタ! |
| エステル | フレン!アスベル! |
| | |
| アスベル | よかった、二人共無事だったみたいだ… |
| ルーク | お、おい、あそこに倒れてんのってまさか… |
| ミラ | ルナ…!お前達、まさかたった二人でルナを倒したのか…? |
| リタ | …まあね。来てくれて、ちょうどよかったわ。カノンノ、ルナをお願い |
| カノンノ | うん、わかった…! |
| | |
| カノンノ | さあルナ、今からリプリカームを──…って、あれ…?ネックレスが光って… |
| カノンノ | あ…この光…。もしかして、アスカが何か言ってるの? |
| ミラ | ああ。ルナを心配して懸命に声を掛けている |
| ミラ | …アスカ、大丈夫だ。カノンノを信じろ |
| カノンノ | 約束するよ、ルナは必ず助けるからね、アスカ… |
| カノンノ | じゃあ、いくよ |
| リオン | 終わったようだな |
| リッド | ルナの様子はどうだ? |
| ルナ | う… |
| ルナ | …ここは…どこ…?あなた達は一体… |
| エステル | よかった…目覚めたようですね |
| ルナ | 私は…今まで一体何を… |
| ルナ | …!アスカ…アスカはどこ?アスカがいなければ、私は──… |
| カノンノ | 落ち着いて、ルナ。アスカならここにいるよ |
| ルナ | え…? |
| ルーク | うおっ!この光は何だよ!何でこんな急に──……って、うわあ! |
| アスカ | … |
| ルナ | アスカ…! |
| ルナ | ああ…アスカ…よく無事で… |
| ルーク | ったく、いきなり現れやがって驚かすなっつーの! |
| カノンノ | ずっと会いたかったんだよね、本当によかった… |
| エステル | 大切に想う相手と、ようやく再会出来たんですね。…よかったです |
| リタ | …うん、そうね |
| ルナ | そうですか…。世界がそのような事態に陥っていたとは… |
| ルナ | アスカや私、それに他の仲間達をも救ってくれたあなた達には多大なる恩義があります |
| ルナ | 私もあなた達に力を貸しましょう |
| カノンノ | …ルナ、ありがとう!すごく心強いよ |
| ルナ | では、契約の証に誓いを…。私もアスカと共にあなた達を見守っています |
| フレン | ルナがネックレスに…。これで契約完了という事か… |
| アスベル | ああ、また一人頼もしい仲間が増えたな |
| エステル | これで、ルナとアスカはずっと一緒にいられるんですよね。…本当によかった |
| リタ | そうね……うっ… |
| | |
| リッド | おい、リタ!大丈夫なのか? |
| リタ | 平気よ、このくらい。少し休めば治る── |
| エステル | 駄目です、リタ。今度こそちゃんと治療させてください |
| リタ | だ、大丈夫よ。傷ならエステルだって… |
| エステル | わたしの方が軽傷です。リタが身を呈して守ってくれましたから |
| エステル | だから、今度はわたしの番です |
| リタ | わ…わかったわよ、もう… |
| カノンノ | リタとエステルさんって、本当に仲良しなんだね |
| カノンノ | お互いがお互いをとても大切に想ってるのが、見てて伝わってくる… |
| カノンノ | 何だか、ルナとアスカみたいだね |
| リタ | なっ…!ちょっとそこ、何バカ言ってんのよ!あたしらは別にそんな── |
| エステル | はい。わたしにとって、リタはかけがえのない大切な存在です |
| リタ | 大切な…存在… |
| リタ | … |
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| エステル | みなさん、お待たせしました。リタの応急処置は終わりました |
| リタ | だから、別に元から大丈夫だって言ってるのに… |
| ルーク | おいおい、何が大丈夫だよ。腰抜かしてたくせに強がってんじゃねーっつーの! |
| リタ | 強がってなんかないわよ!あんたなんか年中腰抜かしてるくせに! |
| ルーク | なっ!誰が年中腰抜かしてるだ、この── |
| リッド | やれやれ、元気になった途端これかよ… |
| リオン | …歩けるようになったのならとにかく山を下るべきだ |
| ミラ | 光の雨の危機は去ったのだ。この事を早く街の者にも伝えてやらなければならないからな |
| アスベル | そうと決まったら、早速バチカルへ戻ろう |
| カノンノ | うん…! |