NameDialogue
scene1キムラスカの異変
シング──にしても、本当によかったよ。そのオトリ作戦が成功して…
ソフィ…失敗してたらみんな死んじゃってたんだよね
フィリア腕利きの剣士だという噂は兼ね兼ね耳にしておりましたが、さすがですわ、リオンさん
ルーク何かリオンだけがおいしいとこ持ってったみてーで、気に入らねーけどな
リオン勘違いするなよ。そもそも僕が自ら志願したわけじゃない
ルークんだよ、その態度!そうやっていつも偉そうにしやがって、むかつくっつーの!
スタン待ってくれ、ルーク。リオンは悪気があって言ってるんじゃないんだ
リッドまあ、細かい事はいいじゃねえか。ヴォルトも元に戻ったし、オレ達も全員無事だったワケだろ?
ルークあのな、そうやってお前らが甘やかすから、こいつがどんどん調子に乗って──
リタあーもう、うっさい!いい加減にしないとファイアボールぶち込むわよ!?
アスベルさてと…じゃあ気を引き締めて、そろそろ行こうか、みんな
シング傷の方はもう大丈夫なの?村に戻ってきた時はかなり傷だらけだったのにさ
カノンノフィリアさんやソフィのお蔭でみんなよくなったみたい!
リッド柔らかいベッドでたっぷり寝させてもらったからな。体力もすっかり回復したぜ
シングそっか、ならよかった。またいつでも立ち寄ってよ
ミラああ、そうさせてもらう。礼を言うぞ、シング
セネル…シング、ヴォルトの件も落ち着いたし俺も一旦この村に残ろうと思う
セネル魔物の襲撃も続いているようだしな
シングそうしてくれると助かるよ。みんながバレル島へ行った後も結構大変だったんだ。な、ソフィ?
ソフィうん
ソフィそれでね、アスベル…。わたしももう少し村に残りたい。しばらく様子を見ていたいの
セネルソフィ…、俺達としては助かるが本当にいいのか?
ソフィうん。セネルもいるけど…心配がなくなるまでちゃんと見届けたい…
アスベルそうか、わかった。その判断はソフィに任せるよ
ソフィありがとう
ミラ次の目的地だが、まずは北へ向かう。詳しい事は歩きながら話そう
フィリアみなさん、どうかお気をつけて。これからの旅のご無事をお祈りいたしますわ
シングあ、そうだ。もしどこかでまた、コハク達に会ったら、オレは無事だから帰って来てって伝えてよ
ミラああ、勿論だ。会えた折には必ず伝えておく
シング助かるよ。じゃあ、みんな気をつけて!
ルークおう!お前らこそ魔物にやられんじゃねーぞ!
scene2キムラスカの異変
リオン…で、次はどこに行くんだ?大精霊の居所について、何かあてはあるのか?
ミラああ、目星はついている。次に向かうのはキムラスカだ
ルークキムラスカ?マジかよ、俺んとこに大精霊がいるってのか!?
ミラああ。バレル島への道中、わずかだが大精霊の気配を感じていた
リッドあ、ひょっとしてセネルの船に乗ってた時か?
アスベルそうだ、確かあの時ミラが急に黙って…
ミラああ。その時感じ取った気配は脅威には値しない小さなものだった。ゆえに──
リタ…あたしらの注意がヴォルトから逸れないために、敢えて言わなかったってわけ?
ミラそういう事だ
ルークでもよ、キムラスカに大精霊がいるなんて本当なのか?そんな話、今まで聞いた事ねーぞ
リオン普通の人間は大精霊の存在を知らない。僕達もミラ達に話を聞くまで知らなかっただろう
リタつまり、ルークが知らなくても別に不思議じゃないって事ね
アスベルとにかく、キムラスカの状況を確認しに行こう
スタンそうだな、じゃあ早速キムラスカを目指して──……ん?あれって、もしかして…
コハククラースさん、早く早く!
クラース待て待て。そんなに急がせてどうするつもりだ
ヒスイったく、それでもそんなトロトロ歩いてちゃ間に合うもんも合わなく──
ミラクラース、コハク、ヒスイ!
ヒスイミラ!?
コハクあ、お兄ちゃん!リオンやスタンも一緒にいるよ!
スタンコハク!元気そうだな!
リオン
コハクスタンもリオンも元気そうだね!久しぶりに会えて嬉しいよ
クラースお前達、シーブル村から出て来たのか?
ミラああ、その通りだ。これからキムラスカへ行く
スタンこんなに早く二人に会えるなんて!シングから伝言を頼まれたんだ。「オレは無事だから帰って来て」って
スタン二人の事、すごく心配してたから早く伝えられてよかった
コハク帰って来て…?ひょっとして、シングはシーブル村に帰ってるって事!?
スタンああ!入れ違いにならなくてよかったな。早く会いに行ってやってくれよ
リオンそれより、お前達は何故このタイミングで戻って来た?
ヒスイこの大陸の西の方にあるバレル島付近で、すごい雷雲が発生してるのを知ってるか?
クラースその辺りから大精霊の気配を感じ取ってな。調べに行こうとしてたんだ
コハクバレル島へは、シーブル村からしか行けないの。だから、村に戻ってセネルに船を出してもらおうと思って
リッドなるほど、そういう事か。だったらもう、心配はねえぜ。な、カノンノ?
カノンノうん!その雷雲を生み出していた大精霊…ヴォルトは、ここにいるよ
クラース…む?ここにいるとは一体どういう事だ?まさか…
ミラああ、ヴォルトは正気を取り戻し私達に力を貸してくれる事になった
クラースそうか…。暴走を鎮めるだけではなく契約まで取り交わしていたとはな…
クラースどうりで、行く先々で大精霊が姿を消しているわけだ
コハクわたし達はずっと、ミラ達が回った場所を追うかたちで進んでたんだね
ヒスイったく…二度手間だったって事かよ
クラース仕方ないだろう。大精霊の気配を感じ取れるとはいえ私とミラでは能力に雲泥の差がある
クラース…にしても、本当にすごい事だ。あの強大な力を持つ大精霊達の暴走を鎮めるとは…
ミラ皆で力を合わせなければ到底成し得る事は出来なかっただろう
リタそれとカノンノのリプリカームね。結局のところ、その力があるからこそ暴走を鎮める事が出来るんだし
クラース…彼女が切り札という事か
クラースふむ…中々に興味深い能力だ。大精霊を救うというその力を、是非この目で見てみたい
ヒスイなら、クラース。お前はミラ達と一緒に行ったらいいんじゃねえのか?
ヒスイ俺達は村へ戻るだけになっちまったし何も一緒に来る必要もねえだろ
コハクやっとシングに会えるんだね
ヒスイシングの事はどうでもいいが、村が魔物に襲われてるってのは、聞き捨てならねえ。何とかしねえと
クラースだが、村の方は大丈夫なのか?状況も状況だ、人手は多いに越した事はないだろう?
コハクそっちはきっと大丈夫だよ!
コハクシングやセネル、それにソフィや司祭様まで手伝ってくれてるみたいだし
コハククラースさんは大精霊に詳しいし、ミラ達といた方が力を発揮出来るんじゃないかな?
クラースふむ、ではお前達の言葉に甘えて私はミラ達と同行させてもらおう。それで問題ないか?
アスベル勿論です。現状大精霊に関してはミラに頼りきりなので、俺達としても、とても助かります
ミラアスベルの言う通りだ。お前がいてくれれば心強い。是非力を貸してくれ
リッドよし、決まりだな。じゃあ早速行動開始と行こうぜ
コハクじゃあみんな、気をつけて
スタンそっちもな。シング達によろしく!
リタさ、あたしらも早いところキムラスカへ向かいましょ
リオンむ…
ガサガサッ!
アスベルこの気配は…
ギャオオッ!
アスベルやはり魔物か!
scene1胸騒ぎ
エステルここがキムラスカの王都、バチカル…ようやくたどり着きましたね
フレンはい。想定していたよりも遥かに時間がかかってしまいました
フレンエステリーゼ様もお疲れでしょうしまずは、宿屋でご休息を取られてはいかがですか?
エステルありがとうございます。でも、大丈夫ですよ、フレン
エステルそれより一刻も早く、キムラスカ国王にお会いしたいです
エステルリチャード陛下の名代としてこの国に来たからには、必ず務めを果たさないと
フレンエステリーゼ様…。わかりました。ではこのまま行きましょう
フレンそれにしても、リチャード陛下もよくエステリーゼ様のキムラスカ行きをお許しになりましたね
エステル…本当は陛下がご自分で行くとおっしゃっていたんです
エステルでも、世界中で異変が起きている今、陛下がウィンドルを離れるべきではないと思ったんです
エステルそれで、わたしが代わりに行く事を陛下に提案しました
エステル最初は反対されましたけど、フレンが同行するならと、認めてくださいました
フレン陛下の期待に応えられるよう全力を尽くします
エステルすみません。巻き込むようなかたちになってしまって
フレンとんでもありません。王族の方々をお守りするのは、騎士団員の当然の務めですから
エステルありがとうございます、フレン。それでは、キムラスカの王宮へ行きましょう
フレンはい
スタンルイニス街、何ともなくてよかったな!リオン
リオンヴォルトの雷の影響がなかったと言うだけだ。依然氷漬けなのは変わらない…
リッドルイニス街も過ぎたからバチカルももう遠くないな
ルークああ。景色にも見覚えがあるぜ
カノンノバチカルはルークの生まれ育った街なんだよね
ルークまあな。そこらの街とは大違いの都会だぜ。景色はいいし食いものは美味いし──
リオン無駄話はそこまでにしてさっさと歩け
ルークなっ、無駄話とは何だ!バチカルに来た事もねーくせに!
スタンバチカルなら俺もリオンも前に行った事あるぞ
スタン確かに、ルークの言うように食いものがすごい美味かった!だよな?リオン
リオン…ふん
ルーク…き、来た事あるならあるって言えっつーの。何なんだよ、ったく…
カノンノ大精霊の件が落ち着いたら、バチカルをゆっくり見て回りたいな。その時は案内をお願いしてもいい?
ルークお、おう、任せとけ
ミラ
アスベルミラ、どうかしたのか?もしかして、大精霊の気配を…
ミラああ。先ほどよりも強い気配を感じる。北西の方角だ
クラース私はまだ何も感じないが…ミラが言うのだから、間違いないのだろうな
リタここから北西…ねえ、それって、もろにバチカルの方じゃない
ルーク…おいおい、まさかバチカルに大精霊がいるとか言うんじゃねーだろうな
ミラそれはまだわからない。そうでない事を祈る他ない
アスベル…とにかく急ごう
scene2胸騒ぎ
リオンバチカルが見えた。ミラ、大精霊の気配は?
ミラますます強くなっている。この近くにいるのは、間違いなさそうだ
アスベルもしかして、本当に街の中に…?
ルークそれマジ勘弁だぜ。けど、今のところ何か起きてる感じはねーよな…?
ミラ
クラースどうしたんだ、ミラ
ミラ意識を集中して、大精霊の気配を探っている。場所を特定出来るかもしれない
ミラ
リタどう?上手くいきそう?
ミラバチカルの北にある高い山岳…。あそこから強い気配を感じる
ルーク北の山岳?あの辺りの山に大精霊がいるって事か?
ミラおそらくな
カノンノ山に気配があるなら街は大丈夫だって事だよね
リオン…いや、安心するのはまだ早い。あの山岳は、街からそう離れていない
リタそうね。本当に暴走している大精霊があの山岳にいるなら、いつバチカルに被害が及んでもおかしくないわ
スタンそんな…
クラースミラ、山岳にいるのはどの大精霊なのかはわからないのか?
ミラ残念だが、場所を特定するだけで精一杯………!これは…
カノンノみんな…!ネックレスが光り始めたよ…!
クラース感じる…私も精霊の気配を感じるぞ。これは…
リッドおい、山岳の方を見ろ!頂上が光ってるぞ!
リタ何よ、あの光…!拡散したと思ったらまるで雨みたいに降り注いで…
スタンあんなの初めて見た…まるで光の雨だ…!
クラースレイという光の術があるが、それを強化したもののようにも見えた
ミラレイか…。あれが大精霊の仕業だとすると、もしかして…
アスベル…!あれを見ろ!バチカルから煙が上がってないか!?
カノンノうん!煙が見える!
リオンちっ、光の雨の影響か…!
ルークまさか今のでバチカルが…くそっ!
リッドおい、ルーク!
アスベルみんな、ルークを追おう!大精霊の事も気がかりだが、バチカルも放っておけない!
カノンノうん!
ミラやむを得ないな
スタン…!っと、ちょっと待て。その前に厄介なのが来たぞ…!
ガルルルル!
リオンちっ、魔物か…!こいつは僕がやる、お前達は先に行け
リタあたしも手伝う。さっさと片付けるわよ!
scene1破壊の雨
エステル…というわけで、ウィンドルとア・ジュールの戦争の危機は、ひとまず回避されました
エステル今は世界が直面している危機を共に乗り越えるべく、手を携え、協力体制を築きつつあります
エステルつきましては、キムラスカとも是非連携を強化したいと、こうしてお願いに上がった次第です
インゴベルト六世ふむ…
フレン
エステルシルヴァラント国王陛下にも同じ提案を行い、ご快諾いただいています
インゴベルト六世ふむ…それは結構な事だ。だが、よその国はよその国。我が国は我が国であるからな
エステル…あの、もしかして、わたしの申し上げた事に、何かご懸念がおありでしょうか?
インゴベルト六世いや、そういうわけではない
インゴベルト六世リチャード陛下のお考えはよくわかった
エステルでは…
インゴベルト六世とはいえ、極めて高度な問題だ。そう簡単に答えを出すわけにもいかぬ
インゴベルト六世政に軽挙は禁物。その点はご理解いただけような
エステルは、はい…。それは勿論…
フレン
ズドドドドーーン!!
エステル…!
フレンエステリーゼ様!伏せて下さい!
インゴベルト六世今のすさまじい音は…衛兵、一体何事だ!?
衛兵申し上げます!突然街の北部に光の雨が降り注ぎ、一部の建物が損壊しました!
フレン光の雨…?原因は何なのです!?
衛兵いえ、今のところ不明です…。ですが、損壊の範囲は広く負傷者も出ている可能性があります
衛兵陛下とエステリーゼ殿下におかれましては、ただちに安全な場所にご避難いただきたく!
インゴベルト六世うむ、わかった。では、エステリーゼ殿下、私と一緒に──
エステル…いえ、わたしは残ります
フレンエステリーゼ様…?
エステルわたしは治癒術が使えます。怪我人が出ているかもしれないのに自分だけ避難するわけにはいきません
エステルわたし、街に行って負傷者の救助に協力します!
フレンエステリーゼ様!お待ち下さい!
インゴベルト六世
リタこの橋を渡ればバチカルに入れるのね。この辺りには特に被害はなさそうだけど…
アスベル煙の出所はどこだ?
スタンあ、あれ!向こうだ!
リッド北側の方か…。山岳に近い地域で被害が起きてるってワケか
ルークマジかよ…。あの辺りは建物が密集してる地域だぞ…
クラースだとしたら、建物の損壊に火災…いずれにせよ、何かの拍子で被害が一気に拡大する恐れがある
リオンとにかく行くぞ。こうして話している時間すら惜しい
カノンノうん、そうだね
ミラでは、皆、急いで街の北側に向かうぞ!
scene2破壊の雨
リッドおい、あれを見ろ!建物が燃えてるぞ!
カノンノ大変…!早く火を消さないとどんどん燃え広がっちゃう…!
ミラウンディーネ、頼む!
ザザーーッ!
クラースおお!
アスベル火が消えた…
リタいい判断ね。やるじゃない、ミラ
ミラ安心するのはまだ早い。火は消し止めたが、至るところで建物が崩れかけている…
スタンあんなのに、街の人達が巻き込まれたら──
カノンノ見て!向こうに子どもが!
男の子ふえ…ママ、どこ…?
ズズ…
ルークおい、ガキ!後ろの建物が崩れるぞ、こっちに走れ!
カノンノル、ルーク!
ガラガラ…
男の子…!
リタ駄目…!間に合わな──
ティアはっ!
ルークあっ!?
ガラガラガラッ!
リッド建物が崩れちまった…。間に合ったのか…?
スタン…!よかった…無事みたいだぞ!
アスベル間一髪だったな。助かってよかった…
ティア怪我はない?
男の子うん…だいじょうぶだよ…お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう…
母親坊や!
男の子あ、ママー!
母親この子を助けていただいて、ありがとうございました
ティアこの辺りは危険です。早く安全なところに避難してください
母親はい、わかりました
ルークティア!
ティアルーク!?それにリッドまで…どうしてあなた達がここに?
リッドまあ、それについてはいろいろとあってな。話せば長くなりそうだ
ティアそう…。それより、少し前にメルトキオにいるエミルから手紙を受け取ったわ
ティアルーク、あなたが怪我を負ったとあったけど…大丈夫なの?
ルークああ、もう何ともねーよ。それより──
きゃああああっ!
クラース今度は何だ!?
カノンノ向こうを見て!
グルルルル…
スタン魔物だ!山岳の方から降りてきたのか…?
アスベル何であれ、放ってはおけない。みんな、行こう!
scene1エステルとの再会
ティアまさかそんな事になっていたなんて…
ティアひょっとしてルークが怪我したというのも…
リッドああ、大精霊との戦いの中で負ったもんだ
ティアエミルからの手紙にかなり重い傷を負ったとあったの
ティアすぐにでもメルトキオに向おうと思っていたのだけど…見たところ、元気そうね
ルーク言ったろ、もう何ともねーって。それより、その手紙の中にブタザルの事は何か書いてあったか?
ティアええ、あったわ。ミュウはまだメルトキオで療養しているそうよ
カノンノそっか…早く回復してほしいね
ルーク…大丈夫だろ。エミルやジーニアスがみてんだから
ルークそれより、今は大精霊だろ。そっちを先に何とかしねーと
ティア光の雨…あなた達の話では、その原因である大精霊が山岳にいるんだったわね
ミラああ。街に一番近い山から大精霊の気配がする
ティア街に一番近い山…グーベック山ね
ミラ光の雨が降る位置から考えてもそのグーベック山にいる可能性が高い
クラース光の雨は、これだけ広範囲に被害を及ぼしている。一刻も早く止めなければ…
スタン…だけど、街の方も結構な被害だ。このまま放って行くっていうのも──
衛兵ティア様!
ティアどうしたの?
衛兵こちらにウィンドルのエステリーゼ殿下はいらっしゃいませんでしたか?
アスベルエステリーゼ殿下…!?
リタちょっと、どういう事!?エステルがここにいるって…
ティアエステリーゼ殿下は、ウィンドル国王陛下の名代として、現在我が国にいらっしゃっているの
アスベル名代って、一体どういう事だ?
ティア詳しい事は私も聞いていないわ
ティア…でも、エステリーゼ殿下は陛下と共に、安全な場所へ避難していただいているのではないの?
衛兵それが…突然いなくなられてしまいまして
アスベルな…
リタ何ですって!?
衛兵その場にいた者の話では、街へ行き人々の救助に協力する、と王宮を出られたようです…
リタあの子らしい話だけど、無茶よ!いつまた光の雨が降ってくるかも分からないのに…!
ティア…まずいわ。殿下ご自身の事も気がかりだけど、それだけではすまない
ティア…キムラスカ国内で、もし殿下の身に何かあれば、国際問題にもなり兼ねないわ…
アスベル…ティアの言う通りだ。一刻も早くエステリーゼ様を見つけ出さないと…
アスベルおそらくエステリーゼ様はこの地域におられるはずだ。みんな、悪いが協力してほしい
リタ当然よ。あたしはあっちを捜すわ!
カノンノわたしはこっちを見てくるね
リッド仕方ねえ、オレ達も見に行くぞ、リオン
リオン全く、世話の焼ける…
scene2エステルとの再会
リッドおい、こっちだ!エステルがいたぞ!
リタエステル!
エステルリタ!?どうしてここに?
リタどうしてもこうしてもないわよ。エステルこそ、何やってんのよ!
エステル何って、街がひどい事になって怪我人もいるみたいだったので、それで…
リタああもう!いつもそうなんだから!
リタちょっとは立場ってもんを考えなさいってのよ。何かあったらどうするつもり?
エステルあ…すみません…
リタ…まあ、あんたらしいけどね…
フレンアスベル、しばらくだね
アスベルフレンもいたのか
フレンああ。エステリーゼ様の護衛でね
アスベルそうか…。フレンが一緒なら、ここまで心配する必要はなかったか
アスベルところで、エステリーゼ様
エステルはい
アスベルエステリーゼ様は、リチャ…国王陛下の名代としてこの国へいらしたと伺いました
アスベルこんな状況で恐縮ですが、手短に事情をお聞かせいただけませんか?
エステルわかりました。実は…
ミラなるほど。リチャードは、各国との協力体制を強化すべく動いてくれていたのだな
エステルはい。シルヴァラント国王陛下にはご協力をいただける事になりました
エステルキムラスカとも同じように出来たらと思うんですが、これまであまり交流がなかったので…
クラースそれで国王の代理として、エステリーゼ殿下がキムラスカへ来ていた、というわけか
ルークそういや、伯父上には俺が話をつけるって言ってたのにそのままだった。悪ぃ…
エステルいえ、そんな、気にしないでください
エステルキムラスカとウィンドルの今後を考えれば、むしろこれはいい機会だと思います
エステルリチャード陛下もきっと、そう考えてくださると思います
アスベルリチャード…。あいつも遠く離れたウィンドルから、世界を守ろうと頑張っているんだな…
フレンああ、だからこそ僕らも全力で陛下を支えなければ。そうだろう?
アスベルそうだな
エステルそれにしても、さっきの光の雨、驚きました…
エステル大精霊というのは、あれほどの力を持った存在なんですね…
ティア…本当に大精霊がグーベック山にいるなら、すぐにでも向かうべきだわ
ティアこれほどの被害を出すあの光の雨が次はバチカルの中心部を襲わないとも限らない
ティアそうなったら、被害の大きさは想像を絶するものになるわ
リオン中心部の被害で済めばいいがな。街全体が壊滅する事だって十分に考えられる
ルークそんな真似させるかよ。よし、早いとこ、大精霊の暴走を鎮めに行こうぜ
スタンでも、街の方は大丈夫なのか?この様子じゃ混乱を収めるにも人手が必要だろ…
ティアそれはそうだけど、それでも今は光の雨の元凶をどうにかする方を優先させるべきだと思うわ
ミラ同感だ。皆、ここはティアに任せて私達はグーベック山へ急ごう
ティアエステリーゼ殿下も、この場は私にお任せいただき、急いで避難なさってください
エステル…ごめんなさい、ティア。わたしはアスベル達と共にグーベック山に行こうと思います
リッド何だって…?
アスベル無茶です、エステリーゼ様!ご自身の身と立場を考えてください
アスベルキムラスカでもしあなたの身に何かあれば、国同士の関係にも取り返しのつかない事態に陥ります
フレン私もアスベルと同感です。ここは避難すべきです。危険すぎます
エステル…王族としての立場の重さはわかっているつもりです
フレンでしたら…!
エステル……わたしはリチャード陛下の名代として、両国の協力関係を築くためにここに来ました
エステルそのためには、この国のみなさんの信頼を得る事が不可欠です
エステルでも危険が迫っている時、自分だけ安全な場所に逃げる者の言葉に耳を傾ける人はいないと思います
エステルそれにこの地区の被害を見れば、バチカルのどこにいても危険な事に変わりはないと思います
エステルですから、今なすべき最善はこれ以上被害を出さない事。そのためにわたしも協力したいんです
アスベルですが、エステリーゼ様…!
エステルお願いです、アスベル、フレン。わたしにも出来る事をさせてください
フレンエステリーゼ様…
リタ…相手は強大な大精霊だし、エステルみたいな治癒術師がいてくれれば、心強いのは確かね
アスベルリタ!?ちょっと待ってくれ、そんな軽はずみな事を言って──
リタエステルの言ってる事は無茶に聞こえるかもしれないけど理に適っていると思う
リタここに残ったって、次にまたあの光の雨が襲ってきた時無事に済む保証はどこにもない
リタといって、今この街を離れればエステルの言う通り、誰も彼女の言う事なんて聞かなくなる
リタそれに、どのみちグーベック山の大精霊はどうにかしないといけないんだし
リタだったら下手に残るよりあたし達に力を貸してくれた方がまだいいと思うわ
エステルリタ…ありがとうございます!
リタただし、一つ約束して。絶対に一人で勝手な行動は取らない事。いい?
エステル……はい!
アスベル…わかりました。では、一緒に行きましょう
フレンアスベル!?本気で言ってるのか?
アスベルああ。エステリーゼ様のお気持ちは十分に理解したし、リタの言う事も一理ある
アスベル…フレン、エステリーゼ様の事は、何があっても守ると約束する。だから──
フレン…わかった、なら、僕も一緒に行こう
フレン僕はリチャード陛下から直々にエステリーゼ様の護衛役を仰せつかっている
フレンエステリーゼ様が行く以上、それがどこであろうと、僕も行くよ
エステルフレン…。いつもすみません
フレンそんな、気にしないでください。騎士として当然の事ですから
フレンたとえ何があろうとエステリーゼ様は私がお守りします
フレン…とういうわけだ、アスベル。そう長い間ではないと思うが、よろしく頼む
アスベルああ、こちらこそ
リオン話はまとまったようだな。なら、さっさと行くぞ
ルークああ、ぐずぐずしてたら、また光の雨が降ってくるかもしれねーしな
ティア…そうね。次はもっと大きな被害が出るかもしれないし
ティア本当は市民をバチカルから避難させるべきなのかもしれないけど…多すぎて、すぐには難しいわね
ティアそれに街の外は外で魔物がいる危険があるし、どうすればいいのかしら…
クラース…その話で一つ相談だ。私はこの街に残ろうと思うんだが…
カノンノクラースさんが…?
クラース能力としては劣るが…私もミラやカノンノのネックレスと同様、大精霊の気配を感じ取る事が出来る
クラース光の雨がまた降るような事があれば、事前にそれを感知し、住人に注意を促す事も出来るだろう
ティア…一応、軍の緊急用の鐘を使えばバチカルのどこだろうと知らせる事だけは出来ると思うけど…
クラース避難には間に合わないだろうし、被害がなくなるわけでもなかろうが警告がないよりはマシだろう
リッドでも、いいのかよ?リプリカームで大精霊を救う瞬間を見たくて、オレ達と来たんだろ?
クラース人命を守る事の方が大切だろう。私は次の機会を待つさ
ミラクラース、ありがとう。街にお前がいてくれれば心強い。頼んだぞ
クラースそう言ってもらえるとありがたい。では、大精霊の事は任せたぞ
スタン俺もここに残ろうと思う
リオン何だと?
スタン大精霊の方はさ、リオンやみんながいるから、大丈夫だって思えるんだ
スタン…でも、街の方はただでさえ人手も足りなそうだし…何ていうか、放っておけないんだ
ティアありがとう、二人共。本当に助かるわ
ルークけど、お前ら何で…その、キムラスカは別にお前らの国でもねーのに…
スタンええと…上手く説明出来ないけど、俺がそうしたいって思っただけだよ。大精霊の事は、任せたからな!
ルーク…おう、任せとけ!
リタさて、じゃあ早速大精霊のところに向かうとしましょ
ティアこの先を真っ直ぐ進んだところにグーベック山の山道へ通じる道がある。そこから行くといいわ
リッドわかった。じゃあとっとと行こうぜ
ルーク待ってろよ、大精霊!
scene1グーベック山の大精霊
カノンノここがグーベック山…
リッド大精霊がいるとしたら、やっぱり山頂か?
ミラおそらくはな。光の雨が降る直前、山頂が光るのが見えた
エステル既に大精霊が移動していて、もう山頂にはいないという可能性はないんです?
リタ否定は出来ないわね。こうして歩いている間に、いきなり襲われるかもしれない
リオンその通りだ。油断するなよ
エステルそうですよね…気を引き締めないと
アスベルエステリーゼ様、足下にもお気をつけください。崩れやすくなっていますので
エステルあ、はい
フレン道がところどころ崩れているのは、例の光の雨のせいだろうか?
ルークわかんねーけど、いくら崖沿いだからって、ここまで歩きにくいもんか?ったく、たりぃ…
ミラ光の雨もそうだが、これだけの荒れようだ。以前に頻発していた地震の影響でもあるだろう
ガラ…
ガラガラガラ…!
エステル…!
リタエステル、危ない!
フレンエステリーゼ様、大丈夫ですか!?
エステルは、はい…リタのお蔭で…何とか…
エステルすみません、リタ。早速助けてもらってしまって
リタ別に大した事ないわ
リッド二人とも崖から落ちるんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたぜ
エステル役に立つどころかいきなり足手まといになって、駄目ですね、わたし…
リタだ、だから今のは崖が勝手に崩れただけで、別にあんたのせいじゃないってば
リタそうだ、ルーク、あんた大精霊の件が片付いたら、国王にこの道、整備するように言いなさいよ
ルークへ?な、俺が?何でそんな事…
リタあんた、国王の甥なんでしょ?たまにはその立場を役立てなさいよ
リタあんた達もエステルを守るのが仕事なんでしょ!もっとしっかりしなさい!
フレン、アスベルすみません…
エステルふふ…
リタエステル?どうかしたの?
エステルいえ…こうやってリタと話すのも、久しぶりだなって
リタそういや、そうね。ア・ジュールで再会してからもそれ以降は別行動だったし
エステルはい。一緒にイニル街に行ったり、兵器工場に忍び込んだりしたのが随分昔の事のようです
エステル何ていうか…こんな風に言うと怒られてしまうかもしれませんが…
エステルリタと旅をした時間はわたしにとって、とても有意義で、それでいて楽しい時間でした
エステルまたこうして、リタと行動を共にする事が出来て嬉しいです
リタう、嬉しいって…あんたねえ。これは遊びじゃないんだからしゃきっとしなさいよ
エステル…そうですよね、すみません
リタだからそうじゃなくて、別に謝って欲しいとかじゃなくて、えーと…
エステル…?
リタあーもう!何でもない!この話は終わり!ほら、さっさと先を進むわよ!
エステルリタ…?
scene2グーベック山の大精霊
カノンノふう…ふう…
ミラカノンノ、疲れたのか?
カノンノううん、平気だよ。みんな頑張ってるんだから、これくらい…
アスベル気持ちはわかるが、無理はするなよ
カノンノうん、大丈夫──……あっ!
リッドカノンノのネックレスが光り出したぞ
ルークって事は、この近くに大精霊がいるのか?
ミラ…いや、大精霊の気配に動きは見られない
カノンノうーん…何だかいつもの光り方と少し違うような…
アスベル言われてみれば…確かにそんな気も──
ミラ…!この声は…
ミラお前は…アスカか?
アスベルアスカって、ネックレスの中にいるアスカだよな?…何かあったんだろうか
ミラ
ミラ…ふむ
フレンネックレスの中の大精霊と対話しているのか…
フレン話には聞いていたが、実際に見ると何とも不思議な感じだな
ミラ…わかった、約束しよう
ルークおいミラ、アスカの奴、何だって?
ミラこの山にいる大精霊について教えてくれたのだ
ミラ私も、光の雨を見た時にもしやとは思っていたが…
リタ正体がわかったってわけ?何者なの、その大精霊は
ミラ大精霊の正体は月を司る大精霊、ルナ…
エステルルナ…
ミラああ、この山岳に入ってすぐ、アスカはルナの存在を感じていたらしい
ミラ彼女はアスカの対になる存在…言わば、パートナーのようなものだ
ミラいつ何時でも互いを必要とし、寄り添うように過ごしてきた
ミラ…かつての自分のように苦しんでいるルナを、一刻も早く救い出してやってほしい──
ミラアスカはそう訴えている…
カノンノアスカ…
アスベルミラに語りかけてまで知らせたいんだ、それほど真剣だという事だろうな
エステルアスカにとって、ルナはとても大切な存在なんですね。何とか救い出してあげたいです
リタ…そうね
ルーク…よし、とにかくさっさとルナのところへ急ごうぜ
ミラああ。アスカとの約束は必ず果たす
カノンノ疲れたなんて言ってられない、急がないと…!
カラ…
フレン…!待つんだカノンノ!
カノンノえ…?
ガアアア!
リッドカノンノ、伏せてろ!
ザシュ!
カノンノリ、リッド…!ありがとう
リオンちっ、まだだ!いつの間にか挟まれている!
ガアアアアアッ!!
アスベル来るぞ!フレン、そっちを頼む!
フレンああ、任せてくれ!
scene1大精霊ルナ
フレンだいぶ上の方まで来たみたいだな。バチカルがよく見渡せる
アスベルもうすぐ頂上みたいだしな。…にしても、よかったよ。ここまで無事にたどり着けて
フレン大丈夫か、ずいぶん気を張り詰めているように見えるけど
アスベルエステリーゼ様の御身を預かってるんだ、当然だろ
アスベルそれにしても、フレン、お前には迷惑をかけてしまって悪かったな
フレン迷惑?
アスベル騎士団の事さ。大精霊の件があるとはいえ、騎士団の任務はお前や他の団員達に任せきりになってしまってる
フレン気にする事はないさ。それに、君の方がよほど重い任務を負っているんだからね
フレンウィンドルの事だけじゃない、各国や、世界の存続をかけて戦っているんだ
フレン迷惑どころか、同じ騎士団の一員として誇りに思うよ
アスベルフレン…ありがとう。俺も同じように、お前やリチャード、騎士団の仲間達を誇りに思ってるよ
アスベルみんなの協力があったからこそここまで来れた、そう思うんだ。引続き、一緒に戦おうな!
フレン勿論だ。もう一息、頑張ろう
リタ盛り上がってるとこ悪いんだけど、そろそろ話進めてもいい?
アスベルリタ!?…あ、ああ、もう大丈夫だ
ミラどうやら、あの辺りが山頂らしい。…ルナの強い気配が感じられる
カノンノネックレスもほら、反応し始めてるの
フレンいよいよ、という事か…
ミラここからは、いつルナと戦闘になったとしてもおかしくはない
ミラ常に警戒を怠らず、慎重に近付いて──…
ミラ…!これは…
ルークミラ!?何かあったのかよ
ミラくっ…まずい状況だ…
ミラこの辺り一帯のマナの密度に、変化が生じ始めている。これはおそらく…
リオン光の雨を降らせる予兆、という事か…
ミラああ…
エステルなら急いで止めないと!これ以上バチカルの人々を危険に晒すわけにはいきません!
ミラうむ…慎重に進んでいるような余裕はなさそうだ。前言撤回だ
リッドやれやれ…んじゃ一気にルナを追い詰めるとしようぜ
アスベルよし、行こう!
カノンノどうかお願い…間に合って…!
scene2大精霊ルナ
リオン山頂に着いたぞ
リッドどこだ…ルナはどこにいる?
フレン…!ひょっとしてあそこにいるのは…
エステルあれが…ルナ…
ルナ
ルークなっ、何だ!?すげー光がルナを包んで…
ミラ光の雨だ…!まずい、この規模だとバチカルはおろか、周辺一帯に影響が及ぶ事になる…!
カノンノそんな…!駄目だよ、止めなくちゃ!
アスベルわかってる!だがこの距離だと、もう…
リタぶっ飛べ!ファイアボール!
ルナ…!
シュゥゥゥ…
ルークルナの光が消えた…?
リタよかった…何とか間に合ったみたいね
エステルリタ…!さすがです…!!
リッド術でルナの邪魔をしたってワケか。あの状況でよく考えたな
リタ一か八かだったけどね。しかもこれでルナにこっちの存在が気付かれちゃったわ
ルナグゥゥ…
フレンこっちを睨んでいる…。完全に僕達を敵だと認識したらしい
カノンノ…!みんな、ネックレスがまた光って…これってもしかして…アスカ?
ミラ…ああ。アスカが必死に訴えかけている、ルナを救ってくれ、とな…
ミラルナは苦しんでいる。苦しみ、悶えている、辛くて見ていられない、と…
リッド何とかしてえのはオレ達だって同じだぜ。でも、そのためには──
リタあんた達、避けて!
ルナグアアッ!
ドン!
ズドーン!
エステルきゃあっ!
フレンエステリーゼ様!
エステルはい、何とか大丈夫です…!…って、あ、カノンノ!?
カノンノルナ、お願い!話を聞いて!ここにアスカがいるの!あなたの事をとても心配してる!
ルナグオオッ!
ドン!ドン!
カノンノまた攻撃を…そんな…お願い、聞いて──
リオン…ちっ!カノンノ!ぼさっとするな!!
ズドーン!ズドドドーーン!
エステルリオン、カノンノ!…よかった、間一髪のところで間に合いましたね。でも、このままじゃ…
リオン…無駄だ、カノンノ。暴走状態で僕達の話を聞く大精霊が今までにいたか?
カノンノでも…
ルナグアア!
アスベル危ない、カノンノ!
カノンノ…!
リタスパイラルフレアッ!
シュゥゥゥ…
ルナグゥゥゥッ…!
リタカノンノ、下がって!リオンの言う通り、今は話が通じる状態じゃないわ
カノンノそうだね…ごめんなさい、リタ
ミラとにかく、一刻も早くルナを大人しくさせる、暴走を鎮めるにはそれしか方法はない
ルークけど、どーすんだよ!また光の雨とか出されたりしたら、うかつに近寄ることも出来ねーぞ!
リタ…あたしが術であいつの邪魔をするわ
リタその間にあんたらは近づいて一気に叩いて
エステルそんなことしたら、リタがルナに狙い撃ちにされかねないです!
リタこのままうだうだやっててまたルナに光の雨降らされるよりマシでしょ。さっさとやるわよ!
リタあたしだって、無限に術を使えるわけじゃないんだから
リッド…わかった、じゃあ、ここは任せたぞリタ
エステルリタ…無理はしないで。約束ですよ
リタあんたもね。大丈夫、任せなさい!
リタさあ、ルナ!これ以上、そのふざけた力は使わせないわよ!
ルナアアアアッ!
リタファイアボール!
シュゥゥゥ…
ルナグオオッ!
リタファイアボール!
バシュゥゥ…
ルナ
リタはあ…はあ…
リタもう打ち止め?案外大した事ないじゃない
ルナグオオオオ!
リタ何?バカにされてくやしいってわけ?なら、そんな離れたところにいないでもっとこっちに来たらどう?
ルナウオオオオオッ!
リタ…かかったわね
ルナ…!
リオンはっ!
ザシュッ!
ルナグアッ…!?
リオン…やったか?
ルークこら、リオン、お前また自分だけいいとこ持っていきやがって!
リオン意識してやっているわけじゃない。勘違いするな!
ルナググ…
フレンあれだけの攻撃を受けてまだ立ち上がるのか…?
アスベル彼女らは普通の魔物とは違う。相手は大精霊…ここからが本番だ
ミラリオンの攻撃が効いているのは間違いない。皆、一気に決着をつけるぞ!
カノンノうん…!
ルナグオオオオオーーッ!
scene3大精霊ルナ
フレンはあ…はあ…
アスベルどうだ…?
ルナウ…
エステルルナ…
リタ気をつけて、エステル。まだ油断は禁物よ
エステルは、はい
ズズズ…
ガラガラ…
リッドうおっと!?危ねえ、足場が崩れやがった…
リオン気をつけろ、リッド。ルナとの戦いの影響で、足場の状態は更に悪くなっている
アスベル今にも、あちこちが崩れ落ちそうだ…
フレンアスベル、あまり身を乗り出すと危険だ
ルナウウウ…
ミラ…!まずい、ルナの様子が──
ルナグオオオ…!
フレンう、浮かび上がった…距離を取ろうとしているんだ!
リッド見ろ、ルナに光が集まって…まさかあれは光の雨か!?
リタさせるもんですか!また術で──
ルナグオオオオオッ!
リタ…駄目、間に合わない!みんな、逃げて!
アスベルくっ…光の雨で足場が…!みんな、急げ!この一帯が崩落するぞ…!
ズドドドドドド…!
リオンちっ、崩落が始まったか…!
ゴゴゴゴゴ…
ルークうぐっ…!
ミラルーク、大丈夫か!?私の手を取れ!
リッド行くぞカノンノ!もう少し…踏ん張れ!
カノンノうっ…うん…!
ズドドドドドド…!
リタいっつ……まずいわ…エステル、早くここから──
ズザッ!
リタなっ…あ、足場が…!
エステルリタ!!
ゴゴゴゴゴ…
アスベルくっ、砂埃のせいで視界が…
アスベルみんな、無事か!?
フレンアスベル!エステリーゼ様とリタがいない!
アスベル何だって!?そんな…エステリーゼ様!リタ!
フレンエステリーゼ様ーーー!
scene1大切な存在
ズズズ…
リッドようやく崩落も収まったみてえだな
カノンノ砂埃も晴れて、視界もだいぶよくなってきた…
リオンルナの姿が見当たらない。混乱に乗じて逃げられたようだな
リッドどっちにしろ、今襲いかかられてまずいのはオレ達の方だ。案外ラッキーだったかもしれねえぜ
リッドそれより、みんな大丈夫か?
ミラああ、何とかな。多少傷を負った者もいるが皆、致命傷でなかった事は救いだな
ルークいつつ…にしても、ヤバかったな
ルークリタのお蔭で咄嗟に逃げたからよかったけどよ…って、ん?そういやあいつ、どこ行ったんだ?
カノンノリタだけじゃない…。エステルさんやフレン、それに、アスベルも──
リッドいや、待て。あれを見ろ!誰か、こっちに向かってくるぞ
アスベルみんな無事だったか、よかった…!
フレンエステリーゼ様とリタも一緒か!?
ミラいや、ここにはいない
フレンそんな…。まさか、さっきの崩落に巻き込まれてしまったんじゃ…
リオン
リオン…そう考えて間違いはなさそうだ。見ろ、あいつらが立っていた足場は大きく崩落している
カノンノそんな…
リッドとにかく、すぐ助けに行かねえと
ミラもしや、ルナはリタ達を狙っているのか…?
アスベルミラ、それは一体どういう事だ?まさか、ルナはリタ達の後を追って行ったとでも言うのか!?
ミラルナの気配の動きからしてそう考えられるだろう…
ルークくそっ!何だよ、ルナの奴、人数が少ない方を狙うなんて卑怯じゃねーか!
ミラおそらく常にルナの攻撃を食い止める役をこなしていたリタに狙いを定めたのだろう
アスベル何はともあれ、二人が心配だ…早く行こう!
リッドああ
フレンエステリーゼ様…、リタ…。二人共、どうか無事でいてくれ…!
リタう…
リタいたた…あれ…?ここは一体…
リタ…!そうだ。確か、ルナの放った光の雨のせいで足場が崩れちゃって…
リタ──って事は、あれ…?崩落に巻き込まれたはずなのに…
リタ…ああ、なるほど。この茂みがクッション代わりになって助かったってわけね
リタエステル…それにみんなは…?ちゃんと避難出来たのかしら…
リタ…とにかく、こうしちゃいられないわ。早くみんなのところに戻らないと──
???う…
リタ…!今の声って…まさか!
エステル
リタエステル!大丈夫なの!?今そっちに行くから!
scene2大切な存在
リタエステル!エステル!!
エステルう…
エステルあ…リタ
エステル怪我…ありませんか?
リタかすり傷よ、どうって事ないわ。あんたこそ…
エステルわたしも大丈夫です。…リタが無事で安心しました
エステルところで、ここ…一体どこなんです?
リタ覚えてる?ルナが光の雨を降らせて崖が崩落したの
リタそれでエステルが──…って、そうだ!思い出した…!
リタどうしてあんな危ない事したのよ!
エステル…何の事です?
リタ覚えてないの?足場が崩れた時、あんた、あたしを助けようとしたでしょ!
リタだから、あんたまでこんなところに落ちちゃったんじゃない!
エステルそうでしたっけ?
リタそうよ!無茶はしないって約束したのに、もう…!
エステル…ごめんなさい、リタ
エステルあの時、わたし…無我夢中で正直、自分がどう動いたのかよく覚えていないんです
エステルでも、わたしにとってリタはかけがえのない大切な友達です
エステルその友達を守りたいと思った。それだけははっきりと覚えています
エステルそしてその事を後悔はしていません
リタエステル…
リタ…まあ、助けてくれたのは事実だし…その、一応、お礼は言っとくわ。…ありがと
リタけど、こんな思いはもうこりごり。心臓がいくつあっても足りないわ
リタ倒れてるあんたを見た時だって本当に心臓が止まったかと思ったし…
リタ…あたしだって、もしエステルがいなくなったら…
エステルえ?リタ、今何て…
リタ…!な、何でもない!とにかく、行くわよ!
リタアスベル達は今頃ルナと戦ってるだろうしあたしらも早く合流しないと
エステルそれもそうですね。じゃあ、また山頂を目指して──
エステル…!リタ、待ってください!あれって…
ルナ
リタルナ…!どうしてここに!?
ルナグアア…
リタわざわざあたしらの方を追っかけて来るなんて、よほど腹に据えかねてんのね
リタ…ま、無理もないわね。散々あんたの邪魔してやったし
エステルルナ…!リタはあなたを救うために…
リタエステル、今話しかけたって無駄よ
リタ…ここはあたしが何とかする。エステル、あんたは下がってて
エステル
リタちょっと、エステル!?
エステルわたしもリタと一緒に戦います
リタ駄目よ!言ったでしょ、もうさっきみたいな思いをするのはこりごりだって…
エステル…わたしだって、リタの事が心配なんです!
エステルわたし、リタと助け合う関係でありたいです
エステルどちらか一方だけが相手に守られるのではなく、対等に…
リタエステル…
リタ…仕方ないわね。そこまで言うならいいわ、あたしと一緒に戦って
リタただ一つ、約束よ。絶対に死なないってね
エステル勿論です…!その約束、リタも必ず守ってくださいね
リタ当たり前でしょ
ルナグググ…!
リタさあ、来なさいルナ!
リタあたしらが大人しくさせてあげるわ!
ルナグアアアアアッ!!
scene3大切な存在
リタぶっ飛べ!
ドドーン!
ルナグオッ!
リタよし、あと少し…!エステル、お願い!
エステルはああっ!
ズバーーッ!
ルナグアアアアーーー…!
ルナアア…
ドサッ
エステルはあ…はあ…ルナが大人しくなって…
リタそうね…随分手こずらされたけど
リタいっ…つ…
エステルリタ!
エステルリタ、大丈夫です?
リタあはは…
リタさすがにちょっと、頑張り過ぎたみたい
リタルナの攻撃に合わせてずっと術を撃ちっ放しだったし…
エステルそれだけじゃありません。今の戦いでも、わたしの事をずっとサポートしてくれてましたよね
エステルごめんなさい。わたし、結局リタのお荷物になってしまって──
リタそんな事ないわよ。あんたがいたからこそ、あたしだって頑張れたんだし
エステルリタ…!
リタまあ、こんな事そうそうやるもんじゃないけどね。って……いたた…
エステルリタ、動かないでください!とにかく、すぐに治療します
リタあたしの事は後でいいわ!それより、急いでカノンノをここに連れてこないと…
リタルナにリプリカームを与えられるのは大人しくなってる今しかないんだから
エステル…わかりました。でも、リタを置いてはいけません。さあ、わたしの肩につかまって
リタあ、ありがと…
フレンエステリーゼ様!リタ!
エステルフレン!アスベル!
アスベルよかった、二人共無事だったみたいだ…
ルークお、おい、あそこに倒れてんのってまさか…
ミラルナ…!お前達、まさかたった二人でルナを倒したのか…?
リタ…まあね。来てくれて、ちょうどよかったわ。カノンノ、ルナをお願い
カノンノうん、わかった…!
カノンノさあルナ、今からリプリカームを──…って、あれ…?ネックレスが光って…
カノンノあ…この光…。もしかして、アスカが何か言ってるの?
ミラああ。ルナを心配して懸命に声を掛けている
ミラ…アスカ、大丈夫だ。カノンノを信じろ
カノンノ約束するよ、ルナは必ず助けるからね、アスカ…
カノンノじゃあ、いくよ
リオン終わったようだな
リッドルナの様子はどうだ?
ルナう…
ルナ…ここは…どこ…?あなた達は一体…
エステルよかった…目覚めたようですね
ルナ私は…今まで一体何を…
ルナ…!アスカ…アスカはどこ?アスカがいなければ、私は──…
カノンノ落ち着いて、ルナ。アスカならここにいるよ
ルナえ…?
ルークうおっ!この光は何だよ!何でこんな急に──……って、うわあ!
アスカ
ルナアスカ…!
ルナああ…アスカ…よく無事で…
ルークったく、いきなり現れやがって驚かすなっつーの!
カノンノずっと会いたかったんだよね、本当によかった…
エステル大切に想う相手と、ようやく再会出来たんですね。…よかったです
リタ…うん、そうね
ルナそうですか…。世界がそのような事態に陥っていたとは…
ルナアスカや私、それに他の仲間達をも救ってくれたあなた達には多大なる恩義があります
ルナ私もあなた達に力を貸しましょう
カノンノ…ルナ、ありがとう!すごく心強いよ
ルナでは、契約の証に誓いを…。私もアスカと共にあなた達を見守っています
フレンルナがネックレスに…。これで契約完了という事か…
アスベルああ、また一人頼もしい仲間が増えたな
エステルこれで、ルナとアスカはずっと一緒にいられるんですよね。…本当によかった
リタそうね……うっ…
リッドおい、リタ!大丈夫なのか?
リタ平気よ、このくらい。少し休めば治る──
エステル駄目です、リタ。今度こそちゃんと治療させてください
リタだ、大丈夫よ。傷ならエステルだって…
エステルわたしの方が軽傷です。リタが身を呈して守ってくれましたから
エステルだから、今度はわたしの番です
リタわ…わかったわよ、もう…
カノンノリタとエステルさんって、本当に仲良しなんだね
カノンノお互いがお互いをとても大切に想ってるのが、見てて伝わってくる…
カノンノ何だか、ルナとアスカみたいだね
リタなっ…!ちょっとそこ、何バカ言ってんのよ!あたしらは別にそんな──
エステルはい。わたしにとって、リタはかけがえのない大切な存在です
リタ大切な…存在…
リタ
エステルみなさん、お待たせしました。リタの応急処置は終わりました
リタだから、別に元から大丈夫だって言ってるのに…
ルークおいおい、何が大丈夫だよ。腰抜かしてたくせに強がってんじゃねーっつーの!
リタ強がってなんかないわよ!あんたなんか年中腰抜かしてるくせに!
ルークなっ!誰が年中腰抜かしてるだ、この──
リッドやれやれ、元気になった途端これかよ…
リオン…歩けるようになったのならとにかく山を下るべきだ
ミラ光の雨の危機は去ったのだ。この事を早く街の者にも伝えてやらなければならないからな
アスベルそうと決まったら、早速バチカルへ戻ろう
カノンノうん…!