| Name | Dialogue |
| scene1 | はじまりの音 |
| クレス | おはよう、チェスター |
| チェスター | おはよう、クレス。遅かったな |
| クレス | ごめん。ペンダントを持ったまま家を出たのに気付いて、いったん置きに帰ったからさ |
| チェスター | ペンダントって、お前の15歳の誕生日の時に、親父さんからもらったやつか |
| クレス | うん。外でなくしたり、落としたりしたら困るからね |
| チェスター | お前はいい奴だな。親父さんにもらった物を、そんなに大事にするなんて |
| チェスター | アミィがお前を気に入るのも、しょうがないか |
| クレス | ん?何か言ったか、チェスター。アミィちゃんが何だって? |
| チェスター | 何でもない。独り言だよ今日も妹は留守番だなって |
| チェスター | そんな事より、さっさと森に狩りに行こうぜ |
| クレス | あ、うん。そうだね |
| チェスター | 今日は負けねえぞ。アミィにも、たくさん獲物をとって帰るって約束したしな |
| クレス | 僕だって、やるからには負けるつもりはないさ |
| チェスター | よし。出発だ |
| クレス | ああ! |
| scene2 | はじまりの音 |
| チェスター | クレス、そっちの首尾はどうだ? |
| クレス | ピヨピヨを4羽獲ったよ。チェスターは? |
| チェスター | オレはピヨピヨ3羽… |
| クレス | じゃあ、僕の勝ち… |
| チェスター | …と、ボア1匹だ!見ろよこの大物を! |
| クレス | すごいな!よく一人で仕留めたね |
| チェスター | 今日の勝負はオレの勝ちだな、クレス |
| クレス | そうだね。ここまではっきりした差をつけられたら、文句のつけようがない |
| クレス | 父さんがいつも言ってるけど、チェスターの弓の腕は、やっぱり大したものだね |
| クレス | 王都へ出て、騎士団に入ればいいのに。チェスターならきっと色んな人の役に立てるよ |
| チェスター | ああいう堅苦しいとこがオレに合うわけねえだろ |
| チェスター | お前のほうが向いてると思うぜ |
| チェスター | …さて、そろそろ帰るか。アミィの喜ぶ顔を見るのが楽しみだぜ |
| | |
| | カン! カン! カン!カン! カン! カン! |
| クレス | あれは…村の半鐘の音!? |
| チェスター | 何かあったのか?急いで戻ろうぜ! |
| クレス | ああ! |
| | ガルルルル…! |
| チェスター | 魔物!? |
| クレス | 急いでいるんだ!そこをどいてくれ! |
| scene1 | 復讐の炎 |
| | カン! カン! カン!カン! カン! カン! |
| クレス | 村が燃えてる…!火事か? |
| チェスター | 違う!村は襲われてるんだよ!あれを見ろ! |
| | |
| 村の男 | た、助けてくれ…!誰か…! |
| 謎の騎士 | … |
| | ドシュッ! |
| 村の男 | うわあああ…! |
| | |
| クレス | ひどい…! |
| チェスター | お前…っ!くそっ、これでも喰らえ! |
| チェスター | …なんとか追い払ったか |
| クレス | あれは…騎士…?村を襲ったのは騎士団なのか!? |
| クレス | まさかア・ジュールの軍勢…?国境からは随分離れているのに |
| チェスター | そんなのどうでもいい!アミィを助けないと! |
| チェスター | アミィ! 今行くからな! |
| クレス | 待て、チェスター!まだ敵がいるかもしれない。無闇に突っ込むのは危険だ! |
| scene2 | 復讐の炎 |
| クレス | …!! |
| クレス | おばさん!大丈夫ですか!?これは一体…!? |
| 村の女 | クレス…無事だったのかい。早く逃げな… |
| 村の女 | あいつら…あんたのペンダントを奪いに… |
| クレス | 僕のペンダント…? |
| クレス | うん…? |
| クレス | 何か落ちている… |
| クレス | これは…勲章? |
| チェスター | … |
| クレス | チェスター…アミィちゃんは? |
| チェスター | ひと足、遅かった…。ちくしょう、アミィが何をしたってんだ…! |
| クレス | そんな… |
| チェスター | …他の人は…お前の家族は… |
| クレス | …僕の父さんと母さんも、僕が駆け付けたときには、もう… |
| クレス | 父さん…母さん… |
| クレス | 僕がもう少し早く村に戻っていれば、こんな事には…! |
| チェスター | …ちくしょう… |
| チェスター | …どこの騎士だよ。村を襲って、人を殺して…! |
| チェスター | あいつが何をしたってんだ!? |
| チェスター | あいつは俺の、たった一人の家族だったんだぞ! |
| チェスター | 許さねえ…!絶対に許さねえ!アミィの敵は絶対に取ってやる! |
| チェスター | クレス、あの騎士、どこの国のヤツだったかわかるか? |
| クレス | …わからない |
| クレス | 倒した騎士が本当に騎士団の人間なら組織立った行動という事になる |
| チェスター | やっぱりア・ジュールの連中か? |
| チェスター | いくら国同士が対立してるからってこんなのあんまりだろ…っ |
| チェスター | あいつらの仕業だとしたら、オレは今すぐにでも騎士に志願して、戦場に行ってやる |
| クレス | その事なんだけど…さっき気になる事を聞いたんだ。もしかしたら村が襲われた原因は… |
| チェスター | 待て、何か来たぞ!…あれは魔物! |
| | グオオオオ! |
| クレス | 血の匂いを嗅ぎつけて、村に来たのか!? |
| チェスター | ちっ、ふざけんな! |
| scene1 | 敵の影を追って |
| チェスター | 生き残ったのはごくわずかか… |
| チェスター | くそっ…おかしいだろ!俺たちが一体何をしたっつーんだ…! |
| クレス | チェスター、さっきの話なんだけど敵の狙いは僕のペンダントかもしれないんだ… |
| チェスター | どういう事だ? |
| クレス | さっきおばさんを助けた時に聞いたんだ。敵は僕のペンダントを探していたって |
| クレス | 実際、家に置いておいたはずのペンダントがなくなっていたし…たぶん奴らが持って行ったんだろう |
| チェスター | 何でお前のペンダントが…? |
| クレス | …それはわからない |
| チェスター | 馬鹿言うな!たかがペンダント一つのために、村を襲っただと!? |
| チェスター | そのためにアミィを…みんなを殺したっていうのかよ!そんな事、許されると思うのか!? |
| クレス | でも… |
| チェスター | …オレは許さねえ |
| チェスター | クレス、オレ達が見た騎士の手がかりはないか? |
| クレス | 手がかりになるかわからないけど、こんな物を拾ったよ |
| チェスター | 勲章か…これは重要な証拠になりそうだな。持っている奴は限られているだろうし |
| クレス | チェスター、僕はバロニアへ行く |
| チェスター | 王都バロニア…? |
| チェスター | オレ達が敵討ちに行くとしたら王都じゃねえ、ア・ジュールだろ! |
| クレス | 敵の正体はア・ジュールの可能性が高いとは思うけど、確証があるわけじゃない |
| クレス | だから、まずはバロニアに行って村の事を報告して、こっちも情報を集めるんだ |
| クレス | チェスター。もし何も確かめずに僕達がア・ジュールに行ったとして…僕達だけで何ができる? |
| チェスター | …ちっ!そんな事しかできねえのかよ…! |
| チェスター | …わかった。クレス、オレも行く |
| クレス | いや、チェスターはここに残ってくれ |
| チェスター | 何でだよ!?オレを除け者にしてお前だけおじさんやおばさんの敵を取るつもりか!? |
| クレス | チェスター!僕がチェスターを除け者にするといつ言ったんだ? |
| チェスター | …そうだよな。すまねえ。頭に血が昇っちまって… |
| クレス | 僕も同じだ。だからこそ、僕達にできる事をしよう |
| クレス | …チェスター、頼みがある |
| クレス | チェスターはここに残って、生き残った人を守ってくれないか。また攻められたら、誰も生き残れない |
| クレス | バロニア行きと…アミィちゃんの敵を僕に任せて欲しい。これはチェスターにしか頼めないんだ |
| チェスター | …オレがこの手でアミィを殺した奴を殺してやりたかった |
| チェスター | でも…これ以上誰かが死ぬのは…もっと嫌だ |
| チェスター | …わかった |
| チェスター | 任せたぜ、クレス。お前はオレの親友だからな。信じるぜ |
| クレス | チェスター…。ありがとう。必ず僕が、アミィちゃんの敵を見つけ出してみせる |
| | |
| クレス | (父さん…母さん… アミィちゃん…それに 死んでしまった村のみんな…) |
| クレス | (何としても敵の正体を突き止めて、 敵を取ってみせる…必ず!) |
| scene2 | 敵の影を追って |
| クレス | ペンダントで村一つ、か。…やはり、ペンダントの事は気になるな |
| クレス | 特別な価値があるような物には見えなかったけど… |
| クレス | そういえば父さんが、ペンダントについて話したい事があるって、前言ってたな… |
| ??? | … |
| ??? | ワンっ! |
| | |
| クレス | …魔物か!? |
| ??? | … |
| クレス | 何だ、大きな犬か…。考え事をしていたから、気付かなかったよ |
| クレス | 鎖がついてるから、野良犬じゃないな。飼い主の姿は見えないけど |
| クレス | お前の飼い主はどこにいるんだい? |
| ??? | … |
| クレス | 迷子か?逃げ出して来たのか?それとも…単独行動、とか? |
| ??? | ワンっ! |
| クレス | ははは。まるで人間の言葉がわかっているみたいな反応をするね |
| クレス | この辺は危険な魔物も多い。早く家に帰ったほうがいいよ |
| クレス | それじゃ |
| ??? | … |
| クレス | おいおい…。僕についてきても、あげられる餌はないぞ |
| ??? | ガルルルル…! |
| クレス | 何だろう…。馬鹿にするなって、怒られたような気がする… |
| クレス | 餌が欲しいんじゃないなら、なぜ僕についてくるんだ? |
| クレス | 僕を心配してくれてるとか?まさかね… |
| ??? | グルルルルル……ガウっ!! |
| | |
| クレス | 魔物!?危ないぞ、下がってるんだ! |
| ??? | ガウッガウッ、ワォーン! |
| クレス | もしかして、一緒に戦うって言ってるのかな? |
| クレス | まさかね。でも、その気持ちは嬉しいよ。…よし、いくぞ! |
| scene1 | 導かれるままに |
| クレス | ここが王都バロニアか… |
| ??? | ワンっ! |
| クレス | 初めて来たけど、大きな街だな。トーティス村とはまるで違う |
| | ザッザッザッ… |
| クレス | それにしても、兵士の数が多いな |
| クレス | 戦争が始まったそうだから、当然といえば当然だけど… |
| クレス | あの人たちにこの勲章を見せたら、何かわかるだろうか…? |
| クレス | よし、物は試しだ。聞いてみよう |
| クレス | すみません! |
| ウィンドル兵 | ええい、どけ!邪魔だ! |
| クレス | うっ…! |
| ??? | ワンっ! |
| クレス | 駄目か…。とても話を聞いてもらえそうな雰囲気じゃない |
| ??? | クーン |
| クレス | うん?この勲章が気になるのかい? |
| ??? | … |
| ??? | ワンっ! |
| クレス | あ…!勲章を取られてしまったな。なあ、それを返してくれないか?大事な手がかりなんだ |
| クレス | …ついて来いって言ってるみたいだ |
| クレス | 犬は嗅覚が鋭いっていうし、もしかしたら… |
| クレス | よし、他にアテもないし今は君に賭けてみよう |
| クレス | 案内を頼むよ |
| ??? | ワンっ! |
| scene2 | 導かれるままに |
| クレス | …勲章は返してもらったけど、一体どこまで行くつもりなんだい? |
| ??? | ワンっ! |
| クレス | 何か手がかりがあって向かってるならいいんだけど… |
| ??? | …! |
| クレス | 急に立ち止まってどうしたんだ?何か見つけたのかい? |
| ??? | はあ…はあ… |
| クレス | あれは… |
| ??? | ワゥ! |
| ??? | まあ、ラピード! |
| ??? | どうしたんです?こんなところで |
| ??? | かわされた… |
| ??? | 相変わらず冷たいです… |
| クレス | ラピード?ああ、この犬の名前はラピードっていうんだね |
| ラピード | … |
| クレス | もしかして君がラピードのご主人なのかい? |
| ??? | そうだったらどんなにいいか… |
| ??? | 違います、わたしはただのお友達です |
| ??? | ところで…あなたはどなたです? |
| クレス | 僕はクレス・アルベイン。君は? |
| ??? | 私はエステリ… |
| ??? | … |
| クレス | ? |
| エステル | いえ、エステルといいます |
| クレス | エステルか。よろしく |
| クレス | ところでエステル、随分あわてていたみたいだけど、どうかしたのかい? |
| エステル | それは護衛を振り切って… |
| エステル | … |
| エステル | あ、いえ、何でもありません |
| クレス | …? |
| ラピード | グルルルル…! |
| クレス | 何か見つけたのか、ラピード? |
| ラピード | ガウっ! |
| エステル | きゃっ…魔物…!?どうして王都内に!? |
| scene1 | 勲章の持ち主 |
| エステル | いきなり魔物だなんて…。以前はこんな街中に現れるなんて事はなかったのに… |
| クレス | じゃあ、最近になって…? |
| エステル | はい。国王陛下が星のカケラを集めようとし始めた頃から何かがおかしいです… |
| エステル | …一体、この世界はどうなってしまったんでしょう |
| クレス | 星のカケラと…国王陛下…? |
| エステル | あ、気にしないで下さい…! |
| エステル | とにかく、魔物を倒す事ができてよかったです |
| エステル | …ほら、ラピード。こちらへ――… |
| ラピード | … |
| エステル | あ、ちょっと、ラピード? |
| エステル | 行ってしまいました… |
| エステル | わたし、ラピードにはどうも仲良くしてもらえなくて |
| クレス | 参ったな。ラピードをあてにしていたのに… |
| エステル | そう言えば、クレスはラピードと何をしていたんです? |
| クレス | 調べたい事があって。ラピードに心当たりがあるみたいだったから、案内してもらっていたんだ |
| クレス | (まあ、単なる僕の思い込みに過ぎ なかったのかもしれないけど…) |
| エステル | そうだったんですか。ラピード、クレスをどこへ連れて行くつもりだったんでしょう |
| クレス | どこだろう。本当に案内してくれていたのかはわからないけど、この勲章を見せたら急に走りだしたんだ |
| エステル | あれ?これは… |
| クレス | もしかして、エステルもこれに心当たりが? |
| エステル | はい。これは王家直属の騎士団員のうち、大きな功があった者のみに与えられる、特別な勲章です |
| クレス | 王家直属の騎士団…? |
| クレス | まさか…じゃあ、村を襲ったのは… |
| エステル | …?どうかしましたか? |
| クレス | 実は… |
| | |
| エステル | そんな…どうして騎士団が… |
| エステル | あの、それが本当なら、わたし、なんと言っていいか… |
| クレス | 別に、エステルが謝る必要はないと思うけど |
| エステル | そ、それはそうかもしれませんけど… |
| エステル | じゃなくて…ええと…分かりました。わたしが騎士団の元に案内します! |
| クレス | そんな事ができるの? |
| エステル | え、ええ。任せてください。こっちです |
| scene2 | 勲章の持ち主 |
| エステル | ! |
| | ザッザッザッ… |
| クレス | また兵士とすれ違った。本当に多いな |
| クレス | あれ?エステルがいない。エステル? |
| クレス | あ、いた |
| クレス | どこへ行っていたんだ? |
| エステル | す、すみません、そこのお店に置いてある物が気になって |
| クレス | そうか。でも、突然いなくなったら驚くじゃないか |
| クレス | てっきり誰かから逃げていて、あわてて隠れでもしたのかと思ったよ |
| エステル | …!! |
| エステル | そ、そんな事、あるわけないじゃないですか |
| クレス | そうだよね。そんな事、あるわけないか |
| エステル | そ、そうですよ。ほら、早く行きましょう |
| エステル | あ、もうすぐ目的の場所に着きますよ |
| | |
| 騎士団員 | ここは騎士団の詰所だ。関係ない者は近付くな。帰れ |
| クレス | 聞きたい事があるんだ |
| クレス | この勲章… |
| 騎士団員 | ええい、帰れというのに! |
| エステル | そんな言い方をしてはいけません! |
| クレス | エステル…? |
| 騎士団員 | あ、あなたはエステリーゼ様…?失礼いたしました! |
| クレス | (兵士がいきなり態度を変えたぞ。 一体どうなってるんだ?) |
| エステル | クレス、例の勲章を出してください |
| クレス | あ、うん |
| エステル | この勲章が誰の物か、調べているんです。わかりませんか? |
| 騎士団員 | これは独立騎士団の、サレ団長に授与された物ではないでしょうか。以前拝見した事があります |
| エステル | 独立騎士団のサレですか… |
| クレス | そのサレという人は今どこに? |
| 騎士団員 | 独立騎士団は、現在任務遂行中です。軍事機密ゆえ、詳しい事は、申し上げられません |
| エステル | そうですか…わかりました |
| | |
| エステル | すみません、クレス。肝心の独立騎士団の居場所を、突き止める事ができなくて |
| クレス | いや、それはいいんだけど…そんな事よりエステル、君は一体… |
| | ガルルルル! |
| クレス | くっ…こんなところにまで魔物が! |
| scene1 | エステルの正体 |
| クレス | 魔物が襲ってきたせいで、話が途中になってしまったけど… |
| クレス | エステル、君は一体何者なんだい? |
| クレス | さっきの騎士団の人、君を見るなり態度を変えたよね。それにエステリーゼ様って… |
| エステル | それは… |
| クレス | まあ、うすうす察しはついているけどね |
| エステル | …そうですよね。いつまでも隠しておけるわけがないですよね… |
| クレス | 正体を当ててみせようか。実はエステルは… |
| エステル | … |
| クレス | 騎士団の特別団員なんじゃない? |
| エステル | …え? |
| エステル | あの…何ですそれ? |
| クレス | 何です、って言葉の通りなんだけど…もしかして違った? |
| エステル | ええ。残念ながら |
| クレス | おかしいな…騎士団の人がやけに礼儀正しかったし、色々詳しそうだからてっきり… |
| エステル | クレスは面白い人ですね |
| クレス | そ、そう? |
| エステル | そうですね…あなたには、本当の事をお話しします |
| エステル | 実はわたし… |
| ??? | エステリーゼ様!ここにいたんですね! |
| エステル | アスベル!? |
| アスベル | やっと見つけましたよ |
| アスベル | さあ、城にお戻りください |
| クレス | エステル、この人は? |
| エステル | 逃げましょう、クレス |
| エステル | 急いで! |
| クレス | うわっ!?え、エステル!マントを引っ張らないでくれ! |
| アスベル | エステリーゼ様、お待ちください! |
| scene2 | エステルの正体 |
| エステル | ふう…ここまで来れば、大丈夫でしょうか… |
| クレス | エステル、さっきの人は誰だい?彼も君の事をエステリーゼと呼んでいたようだけど |
| | |
| アスベル | 遅かったですね、エステリーゼ様 |
| エステル | アスベル!? |
| アスベル | きっとここへ来ると思って、先回りして待っていたんですよ |
| アスベル | 裏道は俺のほうが詳しいですしね |
| アスベル | さあ、城へ戻りましょう。あなたがいなくなったとわかったら、リチャ…陛下も心配されます |
| クレス | 城?陛下?一体何の話だ? |
| アスベル | 君は何も知らないのか? |
| アスベル | この方は、エステリーゼ・シデス・ヒュラッセイン様 |
| アスベル | ウィンドル王国現国王、リチャード陛下の親戚にあたるお方だぞ |
| クレス | 国王の親戚…?じゃあ、エステルはお姫様って事か…!? |
| エステル | すみません、クレス。もっと早く本当の事をお話ししようと思ったんですけど… |
| | |
| エステル | あのアスベル。わたし、どうしても、お城へ戻らないといけませんか? |
| アスベル | どういう事ですか? |
| エステル | …… |
| アスベル | エステリーゼ様? |
| エステル | …わたしは今の陛下のやり方に、疑問を感じています |
| エステル | 星のカケラ欲しさに、他国に戦争をしかける行為に、正義があるとは思えません |
| アスベル | エステリーゼ様、それは…! |
| エステル | ただ、私は世間知らずです |
| エステル | 本当はやむにやまれぬ事情が、陛下にもあるのかもしれません |
| エステル | それを判断するために、わたしも外に出て、世界の姿をこの目で直接見てみたいんです |
| エステル | お願いです。これは陛下と王国のためでもあるんです。行かせてください |
| アスベル | しかし… |
| エステル | 必ず無事に戻ると約束します。どうか、お願いします |
| アスベル | … |
| アスベル | …彼は護衛役として、役に立ちますか? |
| エステル | クレスの事ですか?それはよく分かりませんけど…あ、でも |
| エステル | いい人ですよ。強いですし |
| アスベル | … |
| アスベル | …わかりました。エステリーゼ様のお言葉を信じます |
| エステル | アスベル…!ありがとうございます |
| アスベル | 実は、陛下の最近のなさりようには俺も心を痛めていました |
| アスベル | エステリーゼ様のご心配は、理解できます。行ってください。後は俺のほうで何とかします |
| アスベル | クレスと言ったか。エステリーゼ様をよろしく頼む |
| クレス | は、はい! |
| アスベル | では、俺は詰所へ戻ります。くれぐれもお気をつけて |
| | |
| エステル | すみません、クレス。面倒事に巻き込んだみたいで |
| クレス | いや…じゃなかった。いいえ、面倒だなんてそんな…それにエステルがお姫様なのに僕は… |
| | グオオオオ! |
| エステル | また魔物が…! |
| scene1 | ルーティ・カトレット |
| クレス | さてと…これからどうしよう。アスベルという騎士にもエステリーゼ様を任されてしまったし |
| エステル | あの、よければわたしの事はエステルって呼んでください。親しい人はみんなそう呼ぶんです |
| エステル | それと敬語もやめてください。クレスは、わたしの従者ではないんですから。いいですね? |
| クレス | は、はい…!じゃなかった |
| クレス | ああ、わかった |
| エステル | …勝手に巻き込んでしまってごめんなさい。わたし、どうしても放っておけなくて |
| クレス | とんでもない。助かるのは僕の方だ。僕一人では、騎士団の人に話すら聞いてもらえなかっただろうから |
| エステル | クレスはトーティス村を襲った犯人の正体を突き止めることに、全力を挙げてください |
| エステル | 私もお手伝いします |
| エステル | 村で何が起きたのか、本当の事を知りたいんです |
| クレス | ありがとう。エステルにそう言ってもらえると心強いよ |
| 怪しい男 | オラ!よそ見して、歩いてんじゃねえよ |
| クレス | おっと…ごめん |
| クレス | …! |
| クレス | 懐にしまっていた勲章がない! |
| エステル | えっ…? |
| クレス | まさか今ぶつかった時に…おい君!ちょっと待ってくれ! |
| 怪しい男 | へっ!誰が待つかよバーカ! |
| ??? | はい、隙だらけ |
| 怪しい男 | うおっ!何しやがる!それは俺のだぞ! |
| ??? | 盗んだ物を手に持ったまま歩くなんて甘すぎね |
| ??? | で、盗んどいて、俺のって言った?ふうん、ちょっと騎士サマとでも話する? |
| 怪しい男 | この…!覚えてやがれ! |
| ??? | ほら、返すわ。こんな簡単にスリに遭うなんて、よほどの田舎者か世間知らずね |
| クレス | ありがとう。お蔭で助かったよ |
| ??? | どういたしまして。謝礼は30000ガルドでいいわよ |
| クレス | お金を取るのかい? |
| クレス | 30000ガルドなんて、高すぎて払えないよ… |
| エステル | あの、だったらわたしが払います。ちょうど持ち合わせがありますから |
| クレス | これは僕の問題だ。エステルにそんな事をしてもらうつもりはないよ |
| エステル | いいんです。クレスには色々助けてもらってますから。これくらいの事はさせてください |
| ??? | (この子、随分羽振りがいいのね。 それに何だか世間知らずっぽいし…) |
| ??? | (そうだ!) |
| ??? | ねえあんた達、もしかして、この街に来たばかりなんじゃない? |
| クレス | あ、うん。僕は…そうだけど |
| ??? | やっぱり |
| ??? | じゃああたしが、色々案内してあげるわ |
| エステル | え?あの… |
| ルーティ | あたし、ルーティ・カトレット。よろしくね! |
| クレス | あはは…。よろしく。あ、あんまりいい予感がしないな… |
| scene2 | ルーティ・カトレット |
| エステル | ルーティはバロニアの人なんです? |
| ルーティ | 出身は違うけど、ここへはちょくちょく来てるから、まあ第二の故郷みたいなものかな |
| ルーティ | だから大抵のところへは案内できるわよ。どこへ行きたい? |
| クレス | 実は僕達、独立騎士団のサレって人を捜しているんだけど、心当たりはあるかな? |
| ルーティ | 独立騎士団…? |
| ルーティ | 初めて来た人なら、街中の案内とかそういう事言いそうなもんなのに…随分変わったリクエストをするのね |
| クレス | まあ、色々事情があってね |
| クレス | どうかな? |
| ルーティ | そうね… |
| ルーティ | 独立騎士団についてはあたしも名前くらいしか知らない |
| ルーティ | でも、そういうのに詳しい情報屋だったら知ってるわ |
| ルーティ | 行ってみる? |
| エステル | はい!ぜひお願いします |
| ルーティ | オッケー。じゃあ案内料追加ね♪1000ガルドにまけとくから |
| クレス | や、やっぱりお金を取るのか |
| クレス | ルーティ、悪いが僕は… |
| エステル | クレス、他に当てもないですし、わたしはお金を払ってでも連れて行ってもらった方がいいと思います |
| ルーティ | ま、賢明な判断ね。それじゃ行きましょ |
| | |
| 情報屋の男 | すまねぇ、独立騎士団の動向は俺にもわからん。あれに関しては、全てが謎に包まれているもんでな |
| ルーティ | ふーん。あんたがわからないって、相当なものね |
| 情報屋の男 | 団長のサレに関しては、時々噂が聞こえてくるけどな。よくない噂ばかりだが |
| 情報屋の男 | 訓練中に気に入らない部下を、事故に見せかけて殺しただの、捕虜を拷問して殺しただのってな |
| クレス | そんなひどい事をする人に、勲章が与えられたのかい? |
| 情報屋の男 | 実力、実績は申し分ないからな。騎士団なんてそんなものさ |
| ルーティ | 団長の事はわかっても、肝心の騎士団の居所についてはわからなかったわね |
| クレス | 他に誰か、情報を知っていそうな人に心当たりはない? |
| ルーティ | まあ、あと何人かはいるけど… |
| ルーティ | でもどうしてあんたは独立騎士団にそんなにこだわるの? |
| クレス | それは… |
| クレス | まあ色々あってね |
| ルーティ | ふーん… |
| ルーティ | (…どうやらよほどの事情が あるみたいね) |
| ルーティ | まあそんなに行きたいっていうなら、連れて行ってあげてもいいけどね |
| ルーティ | 事情のあるところ、お金ありってね。案内料はもらうけど、ま、とにかくこのあたしに任せておきなさいって |
| エステル | ありがとうございます。ではさっそく… |
| クレス | うん…? |
| クレス | 二人ともちょっと待ってくれ!向こうから何か来る! |
| | ギャオオッ! |
| ルーティ | また魔物…!最近多いわね… |
| クレス | くるぞ…! |
| scene1 | もしも願いがかなうなら |
| ルーティ | それじゃ、別の情報屋のところへ案内するわね…って、ん? |
| ルーティ | あれは…! |
| ルーティ | 二人ともちょっと待って! |
| クレス | どうした? もしかしてまた魔物が!? |
| ルーティ | 見つけた!1ガルド! |
| クレス | お金か。…ルーティ、驚かさないでくれ |
| エステル | よく見つけられましたね。わたし、気付きませんでした |
| ルーティ | ふふん、でっしょ~?今日はついてるわ♪ |
| クレス | ルーティは、お金が本当に好きなんだね… |
| ルーティ | …もっとはっきり「がめつい」って言えば?もう言われ慣れてるし |
| エステル | そんなにお金が必要だなんて、何か欲しい物でもあるんです? |
| ルーティ | 欲しいっていうか… |
| ルーティ | 守りたいものがあるっていうか… |
| ルーティ | 別に、あんた達に関係ないでしょ |
| エステル | そうですか…もしよかったら相談してください。何か力になれるかもしれませんから |
| ルーティ | …ありがと。とりあえず、気持ちだけ受け取っておくわ |
| ルーティ | そんな事より、早く次の情報屋のところへ行きましょ |
| クレス | あ、うん。そうしよう |
| scene2 | もしも願いがかなうなら |
| 情報屋の女 | 独立騎士団に関する情報は、うちにはまったく入ってないねぇ |
| ルーティ | そう。あんたのところでも駄目なんて計算外だったわ |
| | |
| クレス | 二人目も空振りか… |
| ルーティ | これだけ徹底的に情報が隠されてるってのは、よほどの事ね |
| エステル | 任務遂行中と聞きましたけど、一体何をしているんでしょう? |
| ルーティ | もしかしたら、星のカケラに関係してる事なのかも |
| クレス | 星のカケラ…? |
| ルーティ | あんた、知らないの?今、噂で持ち切りだってのに |
| ルーティ | 世界中に飛び散ったっていうそのカケラ欲しさに、王様はア・ジュールと戦争を始めたのよ? |
| エステル | … |
| ルーティ | 全部の星のカケラを集めると、何でも願いがかなうんだって。ウソくさいけど、うらやましい話よね |
| エステル | 正確には、「全てのカケラが揃った時…」 |
| エステル | 「…我は姿を現し、願いをかなえん」です |
| クレス | その「我」って、誰の事なんだろう? |
| エステル | 言い伝えでは光の使いという事になっていますけど、詳しい事は… |
| ルーティ | 細かい事はいいじゃない。願いをかなえてくれるんなら誰だっていいわよ、そんなの |
| クレス | 何でも願いがかなう、か… |
| クレス | もしそれが本当なら、死んだ人を生き返らせる事もできるのかな… |
| エステル | クレス… |
| クレス | ごめん。こんな事、言うべきじゃなかったね |
| クレス | ルーティ、情報屋というのは、まだ他にもいるんだろう?そこへも連れて行ってくれないか |
| | |
| 子ども | だ、誰か! 助けてー! |
| ルーティ | あれは…! |
| エステル | 子どもが魔物に襲われています! |
| クレス | そこを離れるんだ!行くぞっ! |
| scene1 | 明かされた事実 |
| クレス | ケガはないかい? |
| 子ども | … |
| ルーティ | ちょっと、クレス。あんたがそんな怖い顔してたら、その子がますます怯えるでしょうが |
| ルーティ | よしよし、もう大丈夫よ。悪い魔物はやっつけたからね |
| エステル | ルーティ、子どもに優しいんですね |
| クレス | うん。もしかしたらあれが、ルーティの素顔なのかもしれないね |
| 子ども | お兄ちゃん、お姉ちゃん、助けてくれてありがとう! |
| ルーティ | ん。気をつけて帰るのよ |
| ルーティ | ねえ。今、あたしの悪口言ってた? |
| クレス | 言ってない、言ってない |
| ルーティ | …ふうん。ま、いいわ。さて、三人目の情報屋のところに案内するわね |
| ルーティ | 今まで空振りだったし、今度もあまり期待はできないけど… |
| ルーティ | まあ駄目元って事で、とにかく、行くだけ行ってみましょ! |
| エステル | ルーティ、はりきってますね |
| ルーティ | そう?ま、実を言うとこのままあんた達と一緒に行けば儲かりそうな予感がしたって言うか |
| エステル | そ、そうですか… |
| クレス | ま、まあこれも、ルーティの素顔…なのかもね |
| | |
| 情報屋の男 | 独立騎士団か。それだったら、ついさっき入って来たばかりの新鮮な情報があるぜ |
| ルーティ | あら。聞いてみるものね |
| クレス | ぜひその情報を教えてくれないか? |
| 情報屋の男 | 何でも、独立騎士団の団員だったって奴が、脱走兵になったらしい |
| 情報屋の男 | そいつは東地区の宿屋に、ずっと泊まっているそうだ |
| ルーティ | 東地区ね…貴重な情報助かったわ。情報料はいつもの手筈でやっとくから |
| 情報屋の男 | ああ、たんまり頼むぜじゃあな |
| ルーティ | …さて、と。東地区に行ってみる?あの辺はバロニアでも物騒な場所だから、あまりお勧めはしないけど |
| クレス | 構わない。連れて行ってくれ |
| エステル | お願いします |
| ルーティ | ん。それじゃ案内するわ。前言った案内料に、追加で危険手当の検討、よろしく! |
| クレス | ははは…本当にルーティは抜け目ないな… |
| scene2 | 明かされた事実 |
| エステル | ここが東地区なんです? |
| ルーティ | うん、そう。さて、宿屋は…あった、あそこね |
| クレス | よし、さっそく… |
| ルーティ | 待って。相手の素性もよくわからないのに、いきなり踏み込むのは得策じゃないわ |
| ルーティ | あたしが様子を見てくる。あんた達はここで待ってなさい |
| | |
| エステル | ルーティ、大丈夫でしょうか… |
| ルーティ | お待たせ。あんた達の会いたがってた相手、連れて来たわよ |
| 脱走兵 | お、お前達…誰だ? |
| クレス | 僕はクレス・アルベイン。トーティス村の件で、聞きたい事がある |
| 脱走兵 | ト、トーティス村だと!?知らない、俺は何も…! |
| ルーティ | どう見ても、知らないって態度じゃないわね |
| エステル | お願いします。あなたの知っている事を、教えてください |
| 脱走兵 | エ、エステリーゼ様…!? |
| ルーティ | (エステリーゼ…様?) |
| エステル | わたし…この国で、今なにが起きているのか、どうしても知りたいんです |
| エステル | どうかお願いします |
| 脱走兵 | …わかりました。正直にお話しいたします |
| 脱走兵 | 元々私のいた独立騎士団は、リチャード陛下の命を受けて、星のカケラを探しておりました |
| 脱走兵 | そんなある日、私はサレ団長の指示で、団長や一部の隊員と共にトーティス村へ向かったのです |
| 脱走兵 | 村に着くなり、団長は私達に村の人間を全員殺すよう命じました |
| クレス | …! |
| 脱走兵 | 私は驚き、必死に団長を止めようとしましたが聞いてはもらえませんでした… |
| エステル | それでサレに命じられるまま、何の罪もない村の人達を、手にかけたのですか |
| 脱走兵 | …はい。私が独立騎士団を脱走したのもそれが理由です。罪の重さに耐えられなくなり… |
| クレス | … |
| エステル | クレス… |
| クレス | …もう一つ聞かせてほしい。ペンダントの事を、何か知らないか? |
| 脱走兵 | そういえばサレ団長が、そんな物を探していたような…詳しい事は聞きませんでしたが |
| ルーティ | それで、結局あんた達の探してた星のカケラはみつかったわけ? |
| 脱走兵 | …いいえ |
| クレス | … |
| エステル | クレス… |
| クレス | 僕は… |
| クレス | 多くの死んだ村の人の敵として、僕はあなたを殺してしまいたい。…親友とそう、約束したからだ |
| クレス | でもあなたはサレを止めようとした。僕達に情報をくれた。…だから、この罪は正しい方法で償って欲しい |
| クレス | エステル、この人の事は、君に任せていいかな |
| エステル | …サレの命令が常識を逸脱している事はわかります。そのあと、あなたが罪の意識に苛まれた事も… |
| エステル | でも、だからといって、罪もない人々を手にかけた事が許されるとは思いません |
| 脱走兵 | …仰るとおりです |
| エステル | ですから、犯した罪がちゃんと裁かれるよう、そしてちゃんと償えるよう掛け合ってみます |
| エステル | 犠牲になった人々のためにも。それでいいですか? |
| 脱走兵 | …はい |
| ルーティ | で、そのサレってのは今、どこにいるの? |
| 脱走兵 | 確か地下墓地がどうのと、言っていた気がしますが… |
| クレス | 地下墓地… |
| エステル | バロニアの北には、古代の広大な墓地があります。おそらくそこの事じゃないかと… |
| エステル | もちろん今は使われていなくて、崩落の危険もあるので、立ち入りは制限されていると聞きましたが… |
| クレス | …ルーティは地下墓地には詳しいのかい? |
| ルーティ | そんなに詳しいわけじゃないけど、案内くらいだったらできるわよ |
| クレス | よかった。じゃあ、お願いできるかな? |
| ルーティ | もちろん。あんな話を聞いて、放っておけるわけないじゃない。エステルも行くの? |
| エステル | あ、はい。わたしも行ってみたいです |
| ルーティ | わかった。じゃあ早速向かいましょ。確か、街の地下通路から地下墓地に繋がってたはず… |
| エステル | バロニアにそんな通路が…ルーティ、さすがです! |
| ルーティ | まあ黙ってついてきなさ… |
| | |
| クレス | …!!ルーティ、危ない!後ろだ! |
| ルーティ | …ここも、ずいぶんと物騒になったわね |
| | ガルルルル! |
| クレス | 二人とも、気を付けろ!魔物だ‥! |
| scene1 | 地下墓地へ |
| ルーティ | 見えた。あそこが地下墓地へつながる地下通路の入口よ |
| エステル | ルーティは本当に色々な事を知っているんですね |
| ルーティ | まあ大体お金になりそうなところは把握してるからね!でも、実際入るのは初めてよ |
| クレス | さ、さすがだね… |
| 警備兵 | 誰だ、お前達は |
| ルーティ | あたし達、地下墓地に行きたいの。古いお墓とかに興味があって、それで… |
| 警備兵 | この地下通路は立ち入り禁止だ。誰も入れるわけにはいかん。帰れ |
| ルーティ | どうしてもダメ? |
| 警備兵 | 駄目だ |
| ルーティ | そ。じゃあ仕方ないわね。二人とも行くわよ |
| | |
| エステル | あっさり引き下がってしまってよかったんです? |
| ルーティ | あの場で押し問答を繰り返して騒ぎが大きくなったら面倒じゃない |
| エステル | でも、このままあきらめるのは… |
| ルーティ | 誰があきらめるなんて言った? |
| ルーティ | 実は他にも、地下墓地の入り口がある場所に心当たりがあるの。そっちに行ってみましょ |
| エステル | さすがです!やっぱりルーティは凄いんですね! |
| ルーティ | まあね。相手を出し抜くのは、この職業じゃ当たり前の事だから。それじゃ、行きましょ |
| scene2 | 地下墓地へ |
| エステル | … |
| エステル | ここは…何だか薄暗くて少し気味が悪いですね… |
| クレス | そうだね、まるで暗い樹海にでも入り込んでしまったみたいだ… |
| ルーティ | あたしが前に聞いた話だと、この森の奥に地下墓地へ通じる入り口があるらしいんだけど… |
| ルーティ | まあとりあえず進んでけばそのうち見つかるでしょ |
| クレス | 入り口を見つけるところまで、手伝ってくれるのかい? |
| ルーティ | 当たり前でしょ?こうなったら行くところまで一緒に行くわよ! |
| エステル | 結構奥まできたと思うんですけどなかなか見つかりませんね… |
| クレス | そうだね |
| ルーティ | ねえクレス。さっき脱走兵と話してたトーティス村の事なんだけど…ひょっとしてさ… |
| クレス | ん…? |
| クレス | ああ…僕の村の話だよ。ルーティにはちゃんと話していなかったね |
| クレス | 殺されたんだよ…父さんも、母さんも…村の人達も。ほとんど生き残りがいないくらいにね |
| ルーティ | そんな…なんで…! |
| クレス | わからない。誰が、何のためにそんな酷い事をしたのか… |
| クレス | 僕は、それを追っていたんだ。村に落ちていた勲章を手がかりに辿り着いたのが、サレ… |
| エステル | … |
| ルーティ | そんな事があったのね… |
| クレス | うん…僕はサレを倒さなくてはならない。村のみんなのためにも… |
| ルーティ | …でも、これまでに聞いた話が全部本当だとしたら、そのサレってのは相当危険な奴よ |
| クレス | そうだね、わかってるよ。でも、僕はみんなの敵を取るために、村を後にしてきたんだ |
| クレス | たとえ相手がどれほど危険でも、その気持ちに変わりはないよ |
| エステル | わたしも一緒に行きます。この国で何が起きているのか、真相を見極めないと |
| ルーティ | あら…? |
| クレス | どうしたんだい? |
| ルーティ | ねえ、あれ見て。何か鉄柵みたいなのがあるわ |
| クレス | こんな暗い森の奥地に… |
| ルーティ | まあ、見る限りここくらいしかそれらしいものはなそうね |
| エステル | あ、鉄柵の奥…あれって階段じゃないです? |
| ルーティ | …!本当だわ…きっとあの階段が地下墓地へと繋がってるのね |
| クレス | そうと分かったら、早速行こう! |
| | |
| | ギギギギ… |
| エステル | この階段の奥が地下墓地… |
| クレス | ちょっと待って。何か出て来る! |
| | ギャオオオオッ! |
| エステル | 魔物です!気を付けて! |
| ルーティ | そんなやすやすと、いかせてくれるわけがないわよね。さっさと片付けましょ! |
| scene1 | 仲間 |
| エステル | いきなり魔物なんて…想像していた以上に危険な場所ですね |
| ルーティ | 言い忘れてたけど、地下墓地は魔物の巣窟って話よ。きっとあんなのがゴロゴロしてるわ |
| クレス | ルーティ、ここまで案内してくれてありがとう。後は僕達だけで、何とかするよ |
| ルーティ | あら。本当にいいの? |
| クレス | この先が危険な場所なら、無理はさせられないからね |
| クレス | 本当はエステルも、来ないほうがいいと思うんだけど… |
| エステル | いいえ。わたしも一緒に行きます。ここまで来て、帰るなんてできません |
| ルーティ | ああもう、決めた!あたしも、あんた達に付き合うわ |
| クレス | いいのかい?でも… |
| ルーティ | なんかさ…許せないのよ、そのサレってやつ!あんたの家族、殺されたんでしょ? |
| ルーティ | それに、もしエステルになにかあったら、報酬が貰えなくなるじゃない? |
| クレス | ルーティ… |
| エステル | クレス、ルーティもこう言ってます。ここは三人で行きませんか? |
| クレス | … |
| クレス | …わかった。その代わり一つ、約束して欲しい。何があっても、自分の身の安全を第一に考えると |
| クレス | もちろん僕も、できる限り、二人に目を配るようにするけど…危なくなったら逃げてくれ |
| ルーティ | 大丈夫よ。言われなくても逃げるから |
| クレス | はは…確かにルーティは、心配いらなさそうだね。…でも、これは本当に約束してくれ |
| エステル | 分かりました、約束します。さあ、地下墓地に入りましょう |
| scene2 | 仲間 |
| クレス | せいっ! |
| | ギャオオオッ! |
| クレス | …ふう。これで何匹の魔物を倒したかな?かなりの数になるけど |
| ルーティ | だからゴロゴロいるって言ったでしょ |
| エステル | サレは本当に、ここにいるんでしょうか? |
| ルーティ | さあね…いるかもしれないし、いないかもしれない |
| ルーティ | けど、サレが本当にここにいるんだとしたら、目的は星のカケラって事になるのかしらね |
| ルーティ | あれって、大昔に箒星が落ちてきて、その残骸が世界中に散った物だって言われてるみたいだけど… |
| エステル | ここに星のカケラがあるなら、大昔に誰かが拾って、埋葬したという事でしょうか? |
| クレス | (あの脱走兵は、サレがペンダントを 探していたと言っていたが…) |
| クレス | (ペンダントの石が、 実は星のカケラだったとか…? 僕の考えすぎだろうか) |
| ルーティ | そもそも王様は、カケラを手に入れて何をしようってのかしらね |
| エステル | それは…わかりません |
| エステル | 「自分は選ばれし者だから、全ての カケラを手にする権利がある」としか言ってくれないものですから… |
| ルーティ | まるで王様と直接話した事があるみたいな口ぶりね |
| エステル | いえ、これは…その… |
| クレス | エステル。ここまで来たら、ルーティにも本当の事を話してもいいんじゃないかな? |
| エステル | そうですね…あの、ルーティ、実はわたし… |
| | グオオオオッ! |
| ルーティ | ちょっと待って。話は後よ!その瓦礫の陰に何かいるわ! |
| クレス | くっ…!また出たか! |
| scene1 | 非道に満ちた瞳 |
| ルーティ | エステルがお姫様だったとはね…そういえばあの脱走兵、エステリーゼ様って呼んでたっけ |
| エステル | ずっと黙っていて、ごめんなさい… |
| ルーティ | ますます大事になってきたわね。初めにあんた達に会った時は、こんな展開、予想してなかったわ |
| クレス | もし気が変わったなら、無理について来なくてもいいんだよ |
| ルーティ | ここまで首を突っ込んでおいて?お断り。ましてや王族でしょ?がっつりたかれるじゃない |
| ルーティ | それに、この国で起きてる事は、あたしにとっても無関係じゃないし。こうなったら、とことん付き合うわよ |
| エステル | はい、ルーティが一緒にいてくれると、心強いです |
| クレス | それは僕も同じさ。これからもよろしく頼むよ |
| クレス | ところで…僕のペンダントの事をどう思う? |
| クレス | ペンダントは本当は星のカケラで、そのせいでサレに奪われたんじゃないかなって思ってるんだけど… |
| ルーティ | 実物を見てないし、そもそもあたしはカケラに詳しくないから、その辺は何とも言えないわね |
| クレス | そうか… |
| ルーティ | サレをとっ捕まえて締め上げれば、その辺の事もわかるでしょ |
| ルーティ | そうするためにも、さっさとあいつらの尻尾を掴まないとね |
| クレス | うん、そうだね |
| | |
| | ドド---ン! |
| ルーティ | 何の音!? |
| クレス | この先から聞こえたぞ! |
| エステル | 行ってみましょう! |
| scene2 | 非道に満ちた瞳 |
| エステル | あそこに誰かいます! |
| ??? | うん…? |
| クレス | お前がサレか? |
| サレ | … |
| クレス | どうなんだ。答えろ! |
| サレ | これは驚いた。この辺のドブネズミは、人語を喋れるらしい |
| クレス | 僕はトーティス村のクレスだ。お前が独立騎士団を率いて、村を襲った事はわかっているぞ! |
| ルーティ | 今更言い逃れしようったって、そうはいかないわよ |
| サレ | …ふうん。それで? |
| サレ | キミ達が僕の事を知っているなら、それを言われたところで僕が詫びるはずもないと、わかるだろう? |
| ルーティ | あんたねえ…! |
| エステル | サレ、あなたは仮にも騎士団の一員のはずです。なのにどうして、あんなひどい事を!? |
| サレ | これはエステリーゼ様。お目にかかるのは初めてですが、存じ上げていますよ。ご機嫌麗しく… |
| クレス | 僕のペンダントを奪ったのも、お前だな? |
| サレ | へぇ。これはキミの物だったのか。それでわざわざ取り戻しに? |
| クレス | やはり…! |
| エステル | そのペンダントは、独立騎士団の探していた星のカケラと何か関係があるのですか? |
| サレ | 関係なんてないな…。星のカケラはただの隠れ蓑。僕の目当てはこのペンダントだけ |
| ルーティ | どうしてそのペンダントに、そんなに執着するの? |
| サレ | 執着?執着か…。フフフ… |
| サレ | … |
| クレス | サレ!答えろ! |
| ??? | …決まっているだろう。長きにわたるくびきから、我が身を解き放つためだ! |
| エステル | 長きにわたるくびき…?我が身を解き放つ…?ど、どういう意味です? |
| ??? | ククク…もう少しだ。もう少しで私の目的が、ようやく達せられる…! |
| クレス | 待て!逃げるな! |
| | ガルルルル! |
| ルーティ | 横から魔物が! |
| クレス | どいてくれ!邪魔をするな! |
| scene1 | 親友の想いをのせて |
| クレス | サレを見失った…急いで後を追わないと! |
| ルーティ | あいつが向かったのは、きっとこの奥よ |
| エステル | 急ぎましょう! |
| | |
| ルーティ | 何かこんがらがって来たんだけどサレの目的は星のカケラじゃなくてクレスのペンダントだったって事? |
| クレス | ああ。でも独立騎士団の部下には星のカケラを探すためと言って、それで僕の村を襲ったんだろう |
| エステル | そしてペンダントを奪い…罪もない村の人々を手にかけたんですね |
| ルーティ | 口封じをしようとしたのね…!最低だわ |
| クレス | あのペンダントは、僕の15歳の誕生日に、父さんからもらった物なんだ |
| クレス | どうしてこんな事に…たかがペンダント一つを奪うために村のみんなを殺すなんて…! |
| クレス | 僕の命に代えても、サレだけは絶対に許さない…! |
| エステル | クレス。憤る気持ちはわかりますが、落ち着いてください |
| ルーティ | そうそう。頭に血が昇り過ぎると、ロクな事にならないわよ。ほら、深呼吸でもしなさい |
| クレス | あ、うん…。わかった。そうするよ |
| クレス | すう…はあ…すう…はあ… |
| クレス | よし、もう大丈夫 |
| ルーティ | サレがペンダントを使って何かをしようとしているのは、間違いないわね |
| エステル | そうですね。何だか悪い予感がします。早く彼に追いつかないと |
| クレス | うん、行こう! |
| scene2 | 親友の想いをのせて |
| クレス | 見つけた、サレだ! |
| ルーティ | あいつ、こんなところで何やってんの? |
| エステル | 何かの儀式みたいですけど… |
| サレ | ようやくこの時が来たぞ…!長年に及んだ忌々しきくびきから、今こそ私は解き放たれるのだ! |
| サレ | 目覚めよ、我が真なる器! |
| | |
| ??? | … |
| クレス | 誰か現れたぞ!?あれは一体誰だ…? |
| | |
| ダオス | 我が名はダオス。大いなる実りを求め、デリス・カーラーンより来たりし存在 |
| | |
| クレス | デリス・カーラーン…?そんな地名は聞いた事がない! |
| サレ | ダオスはこの世界の人間じゃない。大昔に別の星からやって来た、侵略者さ |
| サレ | ふう…ようやく出て行ったか。すっきりしたよ |
| エステル | サレ…!? |
| ルーティ | 侵略者ですって?どういう事なのよ! |
| サレ | ダオスはかつて人間相手の大戦争を引き起こした。でも、敗れてこの地下墓地に封印されたのさ |
| サレ | だが死ぬ事はなく、長い間ここで、復活の時を待っていたというわけ |
| クレス | お前とダオスはどういう関係だ? |
| サレ | ちょっと前の話だよ。僕は国王陛下の命令で、星のカケラを探すためにこの地を訪れた |
| サレ | その時に、ダオスの呼びかける声を耳にしてね。心の中で応じた途端、身体の中に奴の意識が入って来たのさ |
| ダオス | 呼びかけに反応したこの者の肉体を、私が乗っ取った。封印を解くためにな |
| サレ | ふふ、違うね。キミとは共闘関係だ。確かに身体の主導権は渡していたけど僕は意識全てを手放した覚えはないよ |
| サレ | だがその状態も、たった今終わった。お前の意識は肉体へ戻り、この身体は再び僕だけの物だ |
| クレス | 僕の村を襲って、村の人を殺し、僕のペンダントを奪ったのは…サレでなくダオスの意志なのか? |
| サレ | まさか。あれは僕の意志だよ。ダオスはペンダントを探していたけどそんな事は僕には関係ない |
| サレ | 操られたフリをしたまま無抵抗の人間を切り刻むのは、実に楽しかったよ。ははは…! |
| クレス | …! |
| エステル | ひどい…何て事を! |
| ルーティ | あんた、正真正銘のクズね! |
| クレス | サレ…!お前は何があっても、絶対に許さない! |
| ダオス | …つまらぬな。いつの人の世も、こんなものか…私には、やらねばならぬ事がある |
| サレ | おっと、ダオス。行かせないよ。僕はキミも殺さなきゃいけないんだ。…その前に、キミ達を始末してあげる |
| サレ | 僕は操られていた事にして、もっと『楽しく』やりたいんだよね。だからキミ達にも死んでもらわなきゃ |
| サレ | キミ達が嘆き、絶望する顔をじっくり見せてよ…。あのチンケな村じゃ物足りないんだ… |
| ルーティ | 誰があんたなんかにやられるものですか! |
| エステル | サレ、あなたのような人に騎士を名乗る資格はありません! |
| クレス | 父さん、母さん、アミィちゃん…村のみんな…。みんなの敵は僕が討つ…! |
| クレス | チェスター…、君の想いもすべてこの剣にのせるっ! |
| クレス | いくぞ、サレ!覚悟しろ!! |
| scene3 | 親友の想いをのせて |
| サレ | う…うああああ…! |
| サレ | う、嘘だろう…?僕が、こんな奴らに…! |
| サレ | ははははは、ウソだろう? |
| クレス | まだ戦う気か? |
| サレ | この僕が…お前らなんかに…やられて… |
| サレ | やられてたまるかよ!こんちくしょうがああああッ!! |
| サレ | ぐふっ…! |
| | |
| | ドサッ |
| | |
| クレス | … |
| エステル | これで…終わりです…? |
| クレス | ああ…そうみたいだ |
| クレス | これで…死んでいった村の人達も、少しは浮かばれるだろうか… |
| クレス | …いや、まだだ。サレの身体を操っていたダオスが、まだ残っている |
| クレス | …ダオスを放ってはおけない。すべての根源はあいつだ… |
| クレス | 自分の復活のために僕のペンダントを…そしてみんなを… |
| クレス | あいつがいる限り、また他の人が犠牲になるかも知れない |
| エステル | そういえば、サレを置いてどこかに行ってしまいましたね。どこへ行ったんでしょう? |
| ルーティ | まだ遠くへは行ってないはずよ。捜しましょ! |
| クレス | ああ! |
| scene1 | 僕たちのやるべきこと |
| クレス | ダオス!見つけたぞ! |
| ダオス | … |
| クレス | ダオス、僕はお前を許さない!お前は、自分の欲のためにどれだけの人間を犠牲にしたんだ!! |
| クレス | そんな事…絶対にあってはならない事だ! |
| ダオス | …くだらぬ。卑小な人間ごときが何人殺されようと、些末な事だ |
| クレス | …何だと! |
| ダオス | どうせお前達人間は、遅かれ早かれ滅ぶ運命にある。この私の手によってな |
| エステル | では、サレが言っていた事は本当なんですね。あなたが侵略者だというのは… |
| ダオス | お前達から見ればそうなる |
| ダオス | 今から遥か昔…私は滅びに瀕した我が故郷を救うため、この世界にやって来た |
| ダオス | この世界に満ちる生命エネルギーが、故郷を復活させるのに必要だったからだ |
| ダオス | その頃のこの世界は、人間どもが我欲を募らせ、相争い、乱れ切っていた |
| ダオス | 人間どもの争いは、この世界そのものを疲弊させ、私が必要とするエネルギーを激減させていた |
| ダオス | 人間どもを滅ぼさなければ、この世界に未来はなく、私は故郷を救う事もできぬ |
| ダオス | だからこそ私は、人間どもに戦いを挑んだのだ |
| ルーティ | でも戦いに負けて、今まで封印されてたって訳ね。ざまあないわ |
| ダオス | … |
| ダオス | 長きにわたり屈辱を強いられたが、今度こそ、私はエネルギーを浪費する人間どもを根絶やしにして見せる |
| クレス | そんな事をさせるかっ!お前の故郷のために、この世界の人間を殺させるわけにはいかない! |
| ダオス | フッ… |
| エステル | 待って!どこに行くんです!? |
| ルーティ | ちょっと!待ちなさいよ! |
| scene2 | 僕たちのやるべきこと |
| クレス | 待て、ダオス! |
| ダオス | ふっ。卑小な人間風情が、たった三人で私を止めようというのか |
| ルーティ | どうなるかは、やってみなくちゃわからないんじゃない?あんた、寝起きでしょ? |
| エステル | このまま黙って、世界を滅ぼされるわけにはいきません |
| ダオス | … |
| ダオス | お前達は、人間を守る価値がある存在だと、本気で思っているのか? |
| クレス | 何…? |
| ダオス | あのサレと精神を同調させ、久しぶりにこの世界の様子を垣間見て、私は確信した |
| ダオス | 人間は昔と何も変わっていない…。誰もが己の都合を振り回し、不毛な争いを繰り返してばかりいる |
| ダオス | その争いがこの世界に、どれほどの悪影響を与えるか…微塵も考える事なくな |
| ダオス | このままではこの世界に未来はない。この世界を存続させるために最も害ある人間を滅ぼして、何が悪い |
| エステル | それは… |
| ルーティ | 人間が争ってばかりいるってのはあんたの言う通りだけど… |
| クレス | … |
| クレス | …確かに僕達は、この世界に対して取り返しのつかない事をしているのかもしれない |
| クレス | この世界は人間だけのものじゃない。動物や植物…多くの生命が共存する場だ |
| クレス | それを人間の都合だけで、好き勝手にしていいわけがない…。ダオス、お前の言っている事は正しい |
| ダオス | … |
| ルーティ | クレス、あんたこのダオスって奴の言ってる事、認めるワケ!?あんたまであたし達に死ねっての!? |
| クレス | いや、そうじゃないよ。だからってダオスがやってきた事を肯定するわけでもない |
| クレス | 人によって僕の村の人は殺されたし人が起こした戦争でも人が死ぬ。…だからこそ、僕は思うんだ |
| クレス | 世界をこんな風にしたのが僕達人間なら、それを元に戻すのも僕達人間に課せられた義務だって |
| クレス | 父さんや母さん、みんなの事は残念で悔しくて仕方ないけど… |
| クレス | ダオスから真実を聞いて初めて知る事ができたんだ。僕達人間の愚かさを… |
| エステル | クレス… |
| クレス | この世界は僕達人間がこれまでの態度を改め、僕達自身の手で守っていくべきだ |
| クレス | …違うかい? |
| エステル | …クレスの言う通りだと思います |
| ルーティ | そうね。あたしも賛成。クレス、あんたいい事言うじゃない |
| クレス | ダオス。これだけはわかってくれ。決して全ての人間が、争いを望んでいるわけじゃない |
| クレス | 争いが続く今の状況を憂い、何とかしたいと考えている人間は、決して少なくはないはずだ |
| クレス | きっとこの状況を変えてみせる。だからこの世界の事は、僕達に任せてくれないか? |
| ダオス | …それはできぬ。忘れたか?私はこの世界に満ちるエネルギーを我が故郷に持ち帰らねばならんのだ |
| ダオス | 人の言葉など端から信用しておらぬ。…お前達が私の目的を阻むのならばそれを排除するのみ |
| クレス | ならば…僕達は今ここで、お前を倒す!お前がこの世界を滅ぼすと言うのならば! |
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| ダオス | 身の程を知らぬ愚か者どもよ。絶望に焦がれながら死ぬがよい! |
| エステル | …来ます! |
| scene3 | 僕たちのやるべきこと |
| ダオス | ぐふっ…! |
| クレス | どうだ、ダオス!これが僕達の力だ! |
| ルーティ | 卑小な存在に負けた気分はどう? |
| ダオス | 負けられぬ…!私は決してやられはせぬぞ! |
| エステル | もう抵抗はやめてください。これ以上やっても無意味です |
| ダオス | 黙れ!私は倒れるわけにはいかないのだ。私の帰りを待つ、民のためにも…! |
| クレス | まだ立ち上がるのか!? |
| ルーティ | 何度だって戦ってやるわよ!覚悟しなさい! |
| ダオス | 寄るな!時空転移に巻き込まれたくなければな |
| エステル | 一体何が起きてるんです? |
| ダオス | 私はどんな手段を用いてもこの世界のエネルギーを手に入れる。…またまみえようぞ、愚かな人間ども |
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| クレス | 消えた… |
| エステル | もう大丈夫なんでしょうか? |
| ルーティ | 時空がどうとか言ってたから、もうこの世界にはいない…とか?理屈はよくわからないけど… |
| クレス | …ペンダントが落ちてる。ダオスが残していったのか |
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| エステル | このペンダントが、ダオスを封印していたんですね |
| クレス | そういう事だろうね。そんな特別な力があるようには思わなかったけど… |
| クレス | 父さん… |
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| クレス | …!?ペンダントが光りだした…何だこれは…!? |
| エステル | な、なにが起こってるんです? |
| ルーティ | この光…。ねえ、クレスの言う通りこのペンダントが星のカケラだったんじゃないの?なんてね |
| クレス | 星のカケラ…これが… |
| エステル | ますます光が強くなっています…まるで、クレスが選ばれし者だって事を教えてるみたいです… |
| クレス | 僕が…選ばれし者…? |
| ルーティ | 光が…共鳴してる…? |
| ルーティ | 嘘、冗談のつもりだったのに…。それ、本当の本当に星のカケラなの? |
| クレス | どうなんだろう。でももし仮に、僕が真の選ばれし者なんだとしたら…願いが一つ、かなうんだったよね |
| エステル | …何を願うんです? |
| クレス | いわゆる普通の願いとは、少し違うかもしれないけど…僕はこの世界を、何とかしたい |
| クレス | ダオスに言った事を、口先だけで終わらせたら駄目だ。何としても戦争を終わらせないと |
| エステル | そうですね。わたしもそう思います |
| クレス | もしこのペンダントが星のカケラで何でも願いがかなうのだとしたら… |
| クレス | 世界中で起こっている争いの全てをやめさせるためにその力を使いたい。人が殺し合わないように |
| クレス | たくさんの人が死んで、たくさんの人が涙を流す…。戦争は、悲しみしか生まない |
| エステル | …クレス |
| クレス | もちろん、この願いをかなえるには、星のカケラへ願うだけじゃなく、僕含めみんなの力が必要になるけどね |
| ルーティ | ペンダントがクレスの言葉に反応している…? |
| クレス | 僕をどこかへ連れて行く…みたいだ |
| クレス | 光の神殿…? |
| クレス | うん、わかった。行くよ |
| エステル | もしかして、星のカケラと対話しているんです? |
| ルーティ | 光の神殿!?あたしも行く! |
| ルーティ | うっ、弾かれた…!どういう事? |
| エステル | そういえば、選ばれし者以外は、神殿へは入れないって、言い伝えにあった気がします… |
| ルーティ | えー!いかにも金目のモノがありそうな名前なのに… |
| クレス | エステル、ルーティ、ここまでありがとう。僕は神殿へ行くよ |
| エステル | わかりました。気をつけて行ってきてくださいね |
| ルーティ | ま、駄目な物は仕方ないか… |
| ルーティ | あたしの代わりに、珍しいお宝をたくさん持って帰って来るのよ! |
| クレス | 二人とも、今まで本当にありがとう。…それじゃ |
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| ルーティ | 行っちゃった…こんな事なら、ペンダント、もらっとけばよかったわ |
| ルーティ | そうすれば、クレスじゃなくって、あたしがカケラに選ばれたかもしれないのに |
| エステル | それはどうでしょう…わたしはルーティが何をしようと、選ばれたのはクレスだと思いますよ |
| エステル | あの人は選ばれるべくして、選ばれた気がします。あのまっすぐな気性で |
| ルーティ | ま、そうかもね… |
| ルーティ | ところでエステルは、これからどうすんの? |
| エステル | そうですね…わたしは世界の姿をこの目で見るため、ここまでクレスに同行してきました |
| エステル | クレスやルーティに色々な話を聞き、サレやダオスと戦い…お蔭で色々な事を知る事ができました |
| エステル | クレスだけに全てを任せるつもりはありません。戦争をやめさせるためにできる事をしたいと思います |
| ルーティ | あーあー、お姫様は真面目ですこと |
| ルーティ | …しょーがないわねー。あたしも手伝ってあげるわよ |
| エステル | ルーティ……いいんですか…? |
| ルーティ | ここまできたら、当たり前でしょ?何?あたしは信用ならないっての? |
| ルーティ | あ、あんたには謝礼もらわないとね♪ |
| エステル | …ありがとうございます!ルーティがいてくれたら心強いです! |
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| エステル | (クレス、わたし達も頑張ります。 どうか無事に 帰ってきてくださいね) |