NameDialogue
真夏のビーチバカンス♪
シャーリィお兄ちゃん、見回りお疲れ様。はい、飲み物
セネルありがとう、シャーリィ。けど大丈夫なのか?潮風にあたって…
シャーリィうん、もう平気。みんなと海にだって入れるよ。あとで泳ぎの競争するの
セネルはしゃぐのはいいけど、俺の目の届かないところには行くんじゃないぞ
シャーリィうん。気をつけるね
ヴィクトリアセネルは心配性ね。私も見てるから大丈夫よ
ゼロスそうそう。俺さまも見てるぜ!素敵なハニー達の水着姿を穴が空くほどな!
ヴィクトリア変質者は即座に排除よ。砂に埋められるのと海に沈められるの好きな方を選ばせてあげるわ
ゼロス怖い顔すると美人が台無しだぜ?せっかく、絶世の水着美女がいるって聞いて飛んできたのによ~
ゼロスそれとも噂の美女はシャーリィちゃんの方かな?水着似合ってるぜー
シャーリィあの、あんまり見つめられると…
セネルいい加減にしろ、ゼロス。これ以上はマリントルーパーとして黙ってられないぞ
ゼロスわかった、ナンパは控えるよ。けどせっかくだし、俺さまも泳ぐぜ。セネル、更衣室はどこだ?
セネル案内するよ。ヴィクトリア、シャーリィの事よろしく頼む
ヴィクトリアわかったわ
ヴィクトリア水着といえば…。エステリーゼ様は無事に水着を手に入れられたかしら
エステルわぁ、綺麗なネックレスです。貝殻で出来ているのでしょうか…
イネスいらっしゃいませー。お目が高いわね。それはこの浜辺で取れる珍しい貝殻よ
イネスこの浜辺での思い出を忘れないお守りにもなると言われているの。少し値が張るけど、おひとついかが?
エステルイネス!この露店はあなたのお店だったんですね
イネスあら、エステルだったのね。そうそう。珍しいお土産とか売れるかと思って出店してみたの
エステルあの、このお店に水着はありますか?海の家で聞いたら、この店なら置いてあるかもって言われたんです
イネスあら、海に来るのに水着がないなんて珍しいわね
エステル実は…浮き輪や水鉄砲など遊ぶものを準備するのに夢中で水着を忘れてきてしまいまして…
イネスなるほどね。勿論、用意してるわよ。ほら、これなんてどうかしら?とてもよく似合うわよ!
エステルわぁ、ありがとうございます!ではこれ、いただきます!
イネスまいどどうも!それじゃ、更衣室まで案内するわね
???あれ、ゼロス?
ゼロス…お、ジーニアスも来てたのか!
ジーニアスうん、ヴィクトリアさん達と一緒にね
ゼロスへぇ、意外と大所帯だったんだな。…ところで、それ、何作ってるんだ?
ジーニアス八角甲羅ガメの仁王立ちだよ。水難よけのお守りになるんだって
セネル水難よけか、いいな。…ん?ジーニアスが手に持ってる貝殻──…
イネスあーっ!そ、その貝殻は…!
ゼロスお、エステルちゃんに…イネスさまも来てたのか!さすがイネスさま、水着姿も麗し──
イネスジーニアス、その貝殻はどこにあったの!?まだあるの!?
ゼロス…無視とはキツイなぁ。その貝殻、俺さまより魅力あるわけ?
イネス当然ね。買い付けに苦労したのよ
ジーニアス砂の中から出てきたんだ。まだいくつかありそうだよ
エステルあっ、でしたら貝殻集め、お手伝いしますよ。海で貝殻集めも楽しそうですし
ヴィクトリア私は反対ですよ
セネルヴィクトリア、シャーリィも…何だ、こっちに来たのか
シャーリィ水難よけのお守りを見せてもらおうと思ってきたの。そしたら話が聞こえて…
ヴィクトリアエステリーゼ様がここに来た目的は仕入れの手伝いではないはず。ご自分の事も優先してください
イネスふふ。気持ちだけ受け取っておくわ。取れる場所がわかったし店を閉めた後にでも探してみるわ
ジーニアスそれならボクに任せてよ。まだしばらく砂を触ってるからついでに見つけたら集めておくよ
イネス本当!?ありがとう!ちゃんとお礼は用意しておくわね
エステルジーニアスは海には入らないんです?
ゼロスエステルちゃん、いいんだ。ジーニアスはここで誰かさんと砂を触ってる事が楽しいんだよ。な?
ジーニアスなっ…バ、バレてたの…?
ゼロス色恋については百戦錬磨の俺さまの目はごまかせないぜ
エステル…?
ヴィクトリアふふ…では、過ごし方は自由という事でよろしいですね
ヴィクトリアエステリーゼ様。水着を調達できたのでしょう?早く着替えて、一緒に泳ぎましょう!
エステルあ、そうですね!海…ワクワクしてきました!

NameDialogue
大繁盛!海の家の夏物語
アッシュふぅ…海の家で少し休むか
アッシュ…ん?おまえは…
ジュディスあら、アッシュ。さっきはどうも。波を譲ってくれてありがとう
アッシュ別に気乗りしなかっただけだ礼を言われる事じゃねえ。それより、よくあの波に乗れたな
ジュディス動くものの上に立ってバランスを取るのは得意なのよ
ジュディスあなたの事も見ていたけれど素晴らしい技術ね
アッシュちっ、あの程度ならおまえも出来るだろ
ジュディスふふ、そうね。出来たでしょうね。どうかしら、お互いに力を出し切れていないようだし…
ジュディス少し休憩したら、技比べをしてみない?
アッシュ…いいだろう。そうと決まれば腹ごしらえだ。おい、店主!焼きそばをよこせ!
ロゼはいよ、焼きそばね!
アンジュあら、焼きそば?美味しそうね。私もいただこうかしら
ロゼいらっしゃい、アンジュ!焼きそばだね、すぐ作るよ!
アンジュあ、でも…せっかく水着が着られるまでやせたのに…
ロゼどうりで細いと思った!それだけやせたなら少しぐらい食べても平気だよ!
アンジュお上手ね。それじゃあ一人前、いただくわ
ロゼ毎度あり!さぁ、忙しくなってきた!
デゼルロゼ、戻ったぞ。カヤックで沖の方まで行って風を読んできた
ロゼおかえり!どうだった?
デゼルいい風が吹いてる。まだしばらくは、天気もよくほどよい波が続きそうだ
ロゼじゃあ、まだまだ人が集まるんだね!ギルドにお手伝い頼んでおいてよかったよ!
デゼル…ところでその焼きそばはロゼが作ったのか?
ロゼうん。どうして?
デゼルいや…何でもない
デゼル忙しいだろう。焼きそばは代わるから、他を頼む
ロゼ…?わかった。じゃあよろしくねー
アンジュふぅ、ご馳走様。少し食べすぎちゃったかしら
シェリアだったら運動しない?今、ビーチバレーの相手を捜してたの
アンジュあら、シェリア。いいわね、是非参加するわ!
アーチェビーチバレー?いいじゃん、あたしも混ぜてよ
シェリアアーチェ!あなたも来てたのね!勿論いいわよ!
アーチェねぇねぇ、その後さ!フロートに乗ってみない!?この海の家で貸し出してるんだって!
シェリアフロート?ああ、あの変わった形のボートみたいなやつね
アーチェせっかく、いい波来てるんだもん。やっぱり波に揺られたいじゃん!
ジュディス素敵ね。フロートでのんびりするのも乙なものかもしれないわね
アーチェジュディスも一緒に遊ぶ?
ジュディスありがとう。けど遠慮しておくわ。先約があるから──
アッシュおい、いつまで休憩している。波が出始めた。俺は行くぞ
ジュディスすぐに行くわ。…というわけだから、また今度ね
アーチェサーフィンか、それも楽しそう♪ねぇ、後で波の乗り方教えてよ!
ジュディスええ、いいわよ
シェリアビーチバレーに、フロートにサーフィン…大忙しね
アンジュいいじゃない。たくさん遊んで身体を動かした後は…
アンジュ海の家で美味しいものを食べて、今日という日を思いっきり楽しんじゃいましょう!
シェリアふふ、結局食べるのね。けど賛成!
アーチェそうと決まれば、話してる暇はないね!よーし、行っくよー!
アンジュ・シェリア・アーチェおー!

NameDialogue
俺にかかれば百発百中!
アルヴィンおーおー、この暑いのに賑やかだこと
アルヴィン田舎の小さな祭りだって聞いてたけどこれだけ人が集まりゃ立派なもんだな
アルヴィン…ん?ここはえらくガラガラだな。何の屋台だ?
店主射的だよ。ちょっと事情があってお客さんが寄り付かなくてね…
店主今日もあんたが最初のお客さんだ。遊んで行くかい?
アルヴィン事情?何か知らんが、面白そうだ。やってみるか…
パティおお、射的か!うちの得意分野なのじゃ!遊んで行くのじゃ!
アルヴィンお、パティか。残念だったな。俺の後じゃペンペン草も残らねぇぞ
パティ腕に自信がありそうじゃな、アルヴィン。しかしそれはうちとて同じ…
パティどうじゃ、ここは公平に勝負といかんか?
アルヴィンいいぜ。よし、親父。ありったけの弾をくれ
店主はいよ!ちょいと待ってくれよ。えーと…
店主あれ!?な、ない…
アルヴィンないって…何がだ?
店主コルク弾だよ。確かにこの袋に入れて──ああっ、穴が空いてる!?
アルヴィン穴が空いてるだけならそこらに落ちてるんじゃないのか?
パティ探してみるのじゃ。コルク弾、コルク弾…
コハク呼んだ?
パティおお、コハクか。違うのじゃ、うちらが探しとるのはコルク弾なのじゃ
コハクコルク弾…って、もしかしてコレの事?
店主それだ!お嬢ちゃん、どこに落ちてた!?
コハクわたしが拾ったのは、みそ田楽の屋台前だよ
コハク誰かが踏んで転びでもしたら危ないと思って拾っておいたの。他にも拾ってる人を見かけたけど──
スタンあっ、射的の屋台、発見!コルクが落ちてたんだけど、もしかしてここのですか──って
スタンみんな来てたのか!
パティスタン、そのコルク弾はどこに落ちてたのじゃ?みそ田楽の屋台か?
スタンいろんなとこに落ちてたぞ。りんご飴、トウモロコシの屋台に金魚すくいの屋台にも
店主てんでバラバラの場所じゃねぇか。お祭り会場中に散らばってしまってるんだな…
???ああ、そのようだ
ガイアス俺もいろいろと回ったがそこかしこでコルク弾を拾った
スタンガイアスさん…!
店主えっ、まさか…!?
ガイアス人違いだ。俺はアースト、一介の市井の男だ
店主な、なんだ違うのか。ガイアスなんて言うから王様が来たのかと思ったぜ
アルヴィン…んで?アーストさんは会場中のいたるところでコルク弾を拾ったと?
ガイアスああ。こんな事だろうと思い持てるだけ拾い集めてきたが手が足りなくてな
パティそれだけの大荷物なら当然じゃな
ライラあら?珍しい組み合わせですわね。お揃いで射的ですか?
スタンライラ!違うんだ、実は…
ライラまぁ、そうでしたの。大変ですわね
店主会場中に散らばってるなんて…集めるのは無理だよな。今回は店じまいするか…
コハクおじさん、諦めないで。大丈夫、わたしが探してくるから!
スタン他にも見知った顔を見かけたからみんなにも声をかけておくよ
ガイアス物のついでだ、見つけたら集めておこう
ライラこれも何かの縁、私もお手伝いしますわ。人手は多い方がいいでしょうし
パティ当然、うちらも探してくるのじゃ
アルヴィン親父はここで待っててくれよ。屋台を留守にするわけにはいかないだろうしな
店主ありがてぇ…!よろしく頼むよ
店主そうだ、お礼と言っちゃ何だが無事に店が開けるぐらい集まったら特別コースを遊び放題にするよ
パティほう!特別コースとは面白そうな響きじゃな!
店主他では味わえない高難度の射的だ。何しろ難しすぎて誰も攻略出来ず客が来なくなったほど…
アルヴィン…さっき言ってた客がいない事情って、それの事か。どれだけ難しいんだよ
店主ちょっとした試練があるだけだ。お客さんと店が全力でぶつかり合う熱い戦いになると思ったんだが…
パティ安心せい。うちはどんな事があろうと狙った獲物は逃さないのじゃ!
店主ありがてぇ、頼むよ。攻略出来る事を証明してくれりゃお客さんも戻って来ると思うんだ
アルヴィン上手く利用されてる気もするが…誰も攻略出来なかったと言われたら腕が鳴るよな。手加減するなよ?
店主勿論だ。八百長に見えちゃ意味ねぇからな
アルヴィンんじゃ、それに挑戦するためにもみんなで手分けしてコルク弾を探すとしますか!

NameDialogue
ようこそ マリンパークへ!
ピッポついに…開園の日が来たキュ
キュッポこの日を心待ちにしていたキュ…
ポッポポッポが作った乗り物で、早くみんなに楽しんでもらいたいキュ
ジェイここに居たの。もうすぐ開園時間だけど準備はいい?
キュッポ抜かりはないキュ。遊園地は安全が大事って耳にタコが出来るほど聞いたキュ
ジェイそれもだけど…みんな、園内に出るんでしょ?マスコット役として
ジェイ本当にいいの?このマリンパークはモフモフ族が主体となって作り上げたんでしょ
ジェイなのに開園してからもそんなに働いて…負担にならないかな?
キュッポ負担だなんて思ってないキュ
ピッポピッポ達は、人間さんともっと仲良くなりたくてマリンパークを企画したキュ
ポッポ人間さんと触れ合えて、しかも喜んでもらえるなら、喜んでマスコットになるキュ!
キュッポ設定も完璧に用意したキュ!世界最強の格闘家、キュッポ!
ピッポ歌って踊れる愛の詩人、ピッポ!
ポッポ機械の事なら何でもお任せ、発明家ポッポ!
キュッポ・ピッポ・ポッポ合わせて、モフモフ3兄弟キュ!
ジェイ…設定というか、そのままだけど…楽しみにしてくれているんだね。そういう事ならぼくは何も言わないよ
ピッポそれにもうスタンプラリーの台紙もたくさん用意してるキュ
キュッポキュッポ達に会えばスタンプが集まる…スタンプが集まれば景品がもらえる…
キュッポだから人間さん達は景品欲しさにキュッポ達に会いに来る!完璧な作戦キュ!
ジェイみんなに集まりすぎないといいけど…
ジェイぼくも従業員としてみんなに付き添うから何かあったら任せて
ポッポジェイは心配性だキュ~
???あ、居た…!
ティアジェイ、みんなに集まるよう伝えてきたわよ。開園前に準備確認をするんでしょう?
ジェイティアさん。ありがとうございます。すぐに行きます
ティアところで、私の分の制服は届いてるかしら?
ジェイああ、前のやつはサイズが合わなかったんですっけ。届いてますよ、着替えに行きましょう
ティアありがとう。…それにしても…
ピッポキュ?
ティア(可愛い…! 私もお客さんとして モフモフしたい…!)
ジェイティアさん…?
ティアい、今行くわ
ジェイそうだ、キュッポ達の準備確認は終わりましたから配置についておいてください
キュッポわかったキュ!
ポッポ楽しみだキュ~!
ジェイみなさん集まってますね。まずは急なお願いだったのにご協力ありがとうございます
ジェイさて、早速、みなさんの持ち場の準備状況を報告してください
ミライルカショーは問題ない。みな、上手に芸を披露してくれるぞ
リアラ案内所も問題ないわ。園内の地図もばっちり覚えたわよ
デゼル展示用の客船も準備は万端だ。波止場の掃除まで完了してる
リフィル救命具の配置も指示通りにしたけど…まだ足りない気がするから二重三重に準備していくわ
ジェイリフィルさん、本当に水が怖いんですね…
リフィルな、何言ってるの。私は安全を考慮して…ほら、小さな子も来るし
ティア備えておいて悪い事はないわ。私は園内の見回り担当だけど、全てに目を届かせる事は難しいもの
ジェイええ。そうですね。むしろ水を怖がる人にこそ安全面を管理していただきたいですし
リフィル別に怖がっているわけではないけど…そういう事なら安全対策は任せてちょうだい
ジェイはい、お任せします。というわけで全体問題なしですね
ジェイ…そうそう。みなさん、開園記念ステッカーは手元にありますか?
ミラああ。先ほど受け取ったがこれはどうすればいい?
ジェイ簡単です。お客さんと接する機会があったら配ってください
ジェイ開園記念キャンペーンのひとつで、ステッカーをたくさん集めると景品と交換する事ができるんです
ミラなるほど、了解した
リアラあら?開園記念キャンペーンはスタンプラリーじゃなかったかしら
ジェイどちらも開催します。スタンプラリーはキュッポ達と触れ合った人にスタンプを押します
ジェイもっともキュッポ達だけではスタンプが行き渡らないでしょうからみなさんにもお手伝いいただきますが
リアラそう言う事なら任せて。けど、あくまでスタンプラリーの主体はモフモフ族って事ね
デゼル待て。モフモフ族は乗り物を作った当の本人だろう。何かあった時は誰が対応するんだ
ジェイ人間の整備士もいますから多少の事は問題ありませんよ。モフモフ族の技術もお伝え済みです
リフィルモフモフ族の技術…人間にとって未知のものもある…気になるな。まるで古代の…
ティアジェイ、そろそろ開園でしょう?持ち場についた方がいいわ。…リフィルが正気な内に…
ジェイそ、そうですね…。では…マリンパークは間もなく開園します
ジェイ小さなお子様から、大人まで、楽しんでいただけるようにみなさんよろしくお願いします!
ミラ了解した。イルカ達にも伝えておこう
リアラ楽しい思い出を残してもらえるよう頑張りましょう
リフィルそうね。安全に遊んでもらうために
ティアみんなで準備してきたんだもの。きっと大丈夫よ
ジェイそれでは、マリンパーク開園です!

NameDialogue
温泉宿のドタバタお月見会
アグリアあぁ!?あたしが仲居なんて聞いてねぇーぞ!
ジャオなら何の任務だと思うとったのだ。ウィンガルははっきり、温泉旅館の接客と言うとったぞ
アグリアそれは聞いたけど、潜入捜査か何かだと思ったんだ。ただ手伝うだけってどういう事だよ
ジャオ確かに前は潜入捜査として来たが…その時の接客が評判よかったらしく繁忙期には依頼が来とるのだ
ジャオそれにこの温泉旅館は月見の名所としてア・ジュールの重要な観光地になりつつある…
ジャオだからこれは、国にとって重要な仕事なのだと…陛下もよろしくと言っておったのう
アグリア陛下もか…くそっ…
ジャオ今年はお月見会なる大宴会も開かれるでな、特に客も多い
ジャオ見ての通り、従業員控室にも誰もおらんほど忙しいのだ
ジャオプレザも接客を手伝っておるが手が回っておらんようだしのう。頼む、手伝ってやってくれんか
アグリアはっ、確かにババアだけじゃ無理だろうな
アグリアチッ、わかったよ、これも任務だ。ところでもう月は出始めてるのにお月見会ってやつは間に合うのか?
ジャオうむ、それが実は──
サレちょっと、お月見会はまだなのかい?宴会の準備、出来てるようには見えないんだけど
アグリア何だ、てめぇ!従業員以外立ち入り禁止って書いてあんのが見えねぇのか?
サレ待たせておいて、客に対してそんな態度…少しお仕置きが必要みたいだね
アグリアうるせぇ、てめぇの顔が満月みてぇにまん丸に腫れ上がるまでボコボコにしてやろうか!?
ジャオやめんか、アグリア!お客人も、控えてくだされ
ジャオ宴会の準備は急いでおりますでな。このアグリアは助っ人…何かあれば余計に遅れますわい
サレふん、いいよ。キチンと間に合わせるなら待っててあげる
サレけどもし遅れるようなら僕なりのやり方で楽しむからそのつもりでね
ジャオむぅ、ますます急がねばならんのう
アグリア何でだよ。あんな奴、今の内にぶっ飛ばしときゃいいだろ
ジャオまだ何もしとらんのにそういうわけにはいかんだろう
ジャオ宴会の準備を急ぐとしよう。それと…少しでも間を持たせるために何か用意しておこうかのう…
エドナ…月が出てきたわね。宴会の準備がまだみたいだけど本当に間に合うのかしら?
ガイ今、旅館の人達が必死に動き回ってくれてるからもうしばらく待ってようぜ
エドナ月見の名所として知られるわりには手際が悪いのね
チェスターまぁそう言ってやるなよ。聞いた話じゃ、参加者の数が予想を遥かに上回ってたらしいぜ
ガイおっ、何食べてるんだよ?
チェスター時間かかりそうだからって、月見そばを用意してくれたんだ。お前らの分ももらってきてやろうか?
ガイいいな。けど、ここはグッと堪えて宴会のご馳走を待つ事にするぜ
エドナワタシもいらないわ。もうそこに置いてあったおまんじゅうを食べてるし
チェスターそっか、残念だな。月見には欠かせないと思うけど…まぁオレは特別思い入れもあるからな
ガイ思い入れ?月見そばにか?
チェスターああ。お月見の季節はいつもアミィと一緒に月見そばを食べてたのを思い出してな
ガイアミィ…亡くなった妹さんだったか
チェスターああ。だから懐かしくて、みんなと一緒に食べたいと思ったんだ
エドナ……
チェスター悪い、少し湿っぽくなっちまったな。今日は宴会だ、楽しくやろうぜ
ガイなぁ、チェスター。やっぱり俺も──
エドナワタシもいただくわ
チェスターエドナ…?けど、まんじゅう…
エドナあら、ワタシじゃ不服なわけ?
ガイまあまあ、せっかくだし、宴会の料理に月見そばも出してもらって、みんなで食おうぜ!
チェスター二人共、ありがとうな。そうだな、宴会の締めに月見そばってのもよさそうだ
エドナ…その宴会がなかなか始まらないわけだけど…いつまで待たせるのかしら
エミルあっ、それならもう少しだと思うよ
ガイエミル。何だ、その団子?
エミル宴会で使う月見団子だよ。あまりにも忙しそうだから僕も手伝う事にしたんだ
エミルその方が早く宴会を始められるしみんな喜ぶと思って
チェスター確かにその通りだな。よし、オレも手伝うぜ
エドナ…仕方ないわね。待っているのも暇だしワタシも手を貸してあげるわ
ガイよーし、ガイ様の華麗な配膳を見せてやるとするか!
エミルうん、みんなで準備すればきっとすぐだよ。頑張ろう!
アグリアおい、てめぇ、何無駄口叩いてやがる。準備がいつまでも終わらねぇだろ
エミルわわっ、ごめんなさい…!
ガイおいおい、善意で手伝おうってのに、そんな言い方はないだろ?
アグリアあ?頼んでねぇよ。やる気ねぇなら邪魔だからゆっくりおくつろぎやがれってんだ
エドナ…それって、自分達の仕事だから気にせず休んでいて…って言ってるつもり?
アグリアあ?
エドナつまり…ワタシ達が働くとあなたが無能だってバレるから困るのね
アグリア誰がンな事言った!見てろ、てめぇら全員分ぐらいあたしが働いてやっからな!
チェスターまぁまぁ、そう張り合うなって。みんなで頑張ればいいだろ。月はもう昇ってるんだ、急ごうぜ!

NameDialogue
グルメと音楽 夢の競演!
カランカラン…
ロゼいらっしゃいませ!…あっ、ジェイドとハロルド!
ジェイドやれやれ、また来てしまいましたよ。近くに来ると、つい足が向いてしまいますね
ハロルド私も、ロゼ達の演奏するジャズが頭から離れなくて研究の合間を縫って来ちゃうのよね~
ロゼ喜んでもらえてるようで何より!席は、カウンターでいいかな?
ハロルドええ。その方が助かるわ。演奏中でも注文しやすいもの
ジェイドそういえば彼は演奏に参加しないのですか?いつもカウンターにいますが…
ロゼ彼…?あぁ、ガラドの事?
ガラド俺は演奏中の接客と調理の係だ。何も提供出来なくてもいいってぇなら演奏するがな
ジェイドそれは困りますねぇ。美味しい料理と飲み物も楽しみのひとつですから
ロゼじゃ、その美味しい料理と飲み物のご注文は何にしましょ?
ジェイドそうですねぇ。私は豆腐料理を何か
ハロルド私は、鮭のムニエル。前に食べて美味しかったのよね。それから飲み物は──
セネル料理あがったぞ
ザビーダおっもうすぐ演奏時間だな。運ぶのは俺様に任せときな
ロゼありがと!そろそろ急ごっか!
セネルああ、急ぎはするが、そろそろ調理場所の改装を考えてくれ。カウンターの中じゃ限界がある
ロゼあ~演奏もしてるし今の状態だと限界って言ってたもんね…売り上げも好調だしちゃんと考えとく
セネルよろしく頼む。あとはこれを作ったら落ち着くから、ガラドと交代する
ザビーダんじゃ、それが出来たら演奏に入るとするかね
ロゼよろしく。いやぁ、それにしても今日も満員御礼だね!
ザビーダああ。何でもうちの人気にあやかろうと、他のレストランでも店員がジャズ演奏を始めてるらしいぜ
ロゼあ、それあたしも聞いた。お店によっては雰囲気に合わせてジャズ以外の演奏もしてるらしいね
ガラド二番煎じに客を取られちゃ困るな。話をつけてきてやろうか?
ロゼうーん、それよりせっかくだから、もっと盛り上げるってのはどうかな?
ロゼ例えば…他のお店のバンドも招待してうちで演奏会をやるとか!
ザビーダなるほど、便乗されたなら便乗し返してやるって事か
ガラドだが、招待するとなると出演料を払わされるんじゃねぇか?
ロゼあ、そっか、それが筋だよね
ジェイドそれならいい考えがありますよ
ロゼえっ、ほんと!?
ジェイドええ。ただの演奏会ではなく、演奏対決という形で宣伝するのです
ジェイドあなた達は挑戦者を迎え撃つという建前にすれば、挑戦者に出演料は必要ありません
ロゼんー、それだと勝者には豪華な賞品が必要になるよね
ハロルドあなた達に勝利する人がいればその名誉自体が賞品になるわ
ロゼどういう事?
ハロルド実はね!他のお店の演奏も気になって世間の評判のデータを集めてみたの!そうしたら──
ハロルドやっぱり最初にジャズ演奏を始めたあなた達こそが本物だって思ってる人が多かったのよ~
ハロルドここで重要なのは、一番上手ではなく本物っていう表現ね!実際の技量ではなく印象の問題なの!
ハロルドだから技量であなた達に引けを取らないはずの人達が今は不遇な扱いを受けてるってわけ!
ロゼそっか!そこでうちに挑戦して勝てば正当に評価されるようになる!その事自体が報酬になるって事か…
ガラド報酬は名誉…か。面白ぇじゃねぇか
ロゼだったらそれなりに大々的に宣伝しないとね。世間が認める事が大前提になるし…
ロゼ何より挑戦者が集まらないと企画倒れで終わっちゃう
セネルなら、フライヤーってやつを配ったらどうだ?演奏会のチラシみたいなやつ
ガラドそういう物があるのか。よく知っていたな
セネル近くの店がフライヤーを導入したって聞いて、料理に使うやつかと思って見に行ったら、それだったんだ
セネルその時はがっかりしたけど、その情報がこうして役に立つなら結果的によかったかな
ロゼうんうん、役立つ役立つ!
ロゼじゃ、知り合いのギルドに頼んで演奏やってるレストランやカフェでフライヤーを配ってもらおう!
ジェイドこれは面白くなりそうですねぇ
ハロルドええ、聴きに来ない手はないわね
セネル…さて、料理出来たぞ。ガラド、後は頼む
ガラド任せな
ザビーダんじゃ、そろそろ演奏開始と行くか!
ロゼよーし、演奏会に向けて、いつも以上に気合入れて行こう!

NameDialogue
カジノで微笑む幸運の女神
ベルベット…あら、また当たりね。チップが持ちきれないほど増えたけどカジノってこんな簡単でいいの?
リフィル運ぶのをお手伝いしましょうか?
ベルベットあんたは…リフィル?その恰好は…
リフィルこれは…ちょっと事情があって。それより、チップを運ぶのでしょう?どこに行くの?
ベルベットそうね…。次は何にしようかしら。もう一通り回ったと思うけど…
リフィルそれでこのチップの量という事は、もしかして全勝なのではなくて?
ベルベットそういえば負けてないわ
リフィルすごいじゃない!あなたならもしかすると…あの人達に勝てるかもしれないわね
ベルベット…何の事よ?
リフィル実は、そういう負け知らずのお客様にだけご案内している大勝負があるの
リフィル勝てば特別な景品が手に入るチャンスよ。興味はあるかしら?
ベルベット…怪しいわね。何をさせられるのよ
リフィルやる事は変わらないわ。店内の好きなところで勝負するだけ
リフィルただし…あなたと同じ負け知らずのお客様と勝ちを競い合うの
リフィル勝負は一回…直接勝敗がつかないルーレットとかはより多くのチップを残した人が勝ちよ
ベルベットなるほど、勝ち続けている客同士で潰し合いをさせようってわけね
リフィル何だか聞こえが悪いけれど、簡単に言うとそういう事ね
リフィルでもやりがいはあるわよ。その勝負で勝つと、チップとは別に特別なスロットメダルがもらえるの
リフィルそのメダルを使って回せるスロットで、さっき言った特別な景品が当たるかもしれないのよ
ベルベットへぇ。その景品って何なの?
リフィルそれは回してからのお楽しみよ。素敵な物…とだけ言っておくわ
ベルベットそう。まぁ、あんたが言うぐらいだから期待してもよさそうね
ベルベットその勝負、乗るわ。どうせなら、一番いい景品を持って帰るわよ!
リフィルそれじゃ、ご案内するわ。頑張ってね
レイア相手はベルベットか。手強そうだけど、負けないよ!今日のわたしはついてるからね!
ベルベット負け知らずの客ってあんただったの。言っておくけど、あたしもついてるからここにいるのよ
レイアうん、わかってる。だから、どっちがついてるか勝負するんだよね!
フィリアではルーレットで勝負ですね?ベットは決まりましたか?
ベルベットそうね。ここは堅実に…
レイアここに全部!
ベルベットなっ…!本気なの?確率がどれだけ低いと思ってるの
レイアでも当たれば大きいでしょ!
ベルベットはずれた時の事は考えないの?
フィリアあの、ベルベットさん。対戦相手の賭け方に口を出すのは、マナー違反かと…
ベルベットわかってるわよ。ちょっと驚いただけ
フィリアそれで、ベルベットさんはどうされますか?
ベルベット…同じところに全額
レイアえぇーっ!?
ベルベットあんた、ついてるんでしょ?だったら便乗させてもらうわ
レイアそれじゃ勝負つかないでしょ!?
ベルベット賭けられるチップはあたしの方が多く持ってるから当たればあたしの勝ちね
レイアそんな…最初からわたしには勝ち目がなかったって事!?
ベルベット勝つ方法はあるわよ。チップを一枚でも手元に残せば、はずれた時にあんたの勝ちになる
レイアうーん、そうだけど…それは何か嫌だな。勝負は全力で行きたい!
ベルベットじゃあ、これで確定ね
フィリアでは締め切りますけど…本当によろしいんですね?
ベルベット賭け方に口を出すのはマナー違反なんでしょ。早く回しなさい
フィリアそうですね…。それでは、参ります…!
シャッ──
カラカラカラカラ…
コン、コロロ…
フィリアこれは…!
レイアやった!大当たり!!やっぱり今日はついてる!
ベルベットあたしも当たりね。だから、この勝負は…
フィリアベルベットさんの勝ち…ですね
レイアうん、けど二人共チップは増えたし全力勝負だから後悔はないかな。いい勝負だったよ、ベルベット
ベルベットあたしはあんたに便乗しただけよ。お礼を言いたいぐらいだわ
リフィルずっと見ていたけれど、さすがね、ベルベット!これならもう一勝負いけるかしら
ベルベット…他にも負け知らずの客がいるって事?
リフィルええ、あと一人。いい景品を狙うならスロットメダルは多い方がいいでしょう?
ベルベットそうね。口車に乗ってあげるわ。案内して
ミクリオ君の対戦相手が来たようだね、クンツァイト。ベルベットか…きっと手強いぞ
クンツァイトカードの遊戯であれば自分の敗北確率は非常に低い
ベルベットカードをご所望ってわけね。いいわ、この勝負お互いに全額賭けましょう
クンツァイト受諾。大量のチップを入手する有効な機会であると判断した
クンツァイト出されたカードの記録と期待値計算、人間心理における戦略選択のデータベースがあれば勝利は確定的…
ミクリオ僕もそう考えてたけど、ディーラーをやってから見解が変わったよ。そもそも確率の収束は──
ベルベット御託はいいから、さっさと始めなさい
ミクリオああ、そうだったね。それじゃあ、カードを配るぞ
クンツァイト……
ミクリオ…ベルベットの勝ち、だね。それも、圧倒的に…
クンツァイト自分は常に最善手を打ち、確率通りに事は進んでいた。だが…
ベルベットあんたの言った通り、普通にやってたら負けそうだったからちょっと思い切ってみただけよ
ミクリオそれにしたって思い切りすぎだ。こんな勝ち方、見た事ないぞ
クンツァイト出現確率、65万分の1の手。それをこの一発勝負の場で出すとは…
ベルベットそうなの?今日はあたしが一番ついてるみたいね
ミクリオそれだけじゃない。その思い切った心の強さが運を呼び込んでるんだと僕は思うよ
クンツァイト同意。カードのスキャンでもしていなければとても打てる手ではなかった
ベルベットカードのスキャン?まさかあんた、カードを透視していたの?
クンツァイト否定。スキャンは以前、仲間達とババ抜きをした時に禁止だと言われた
クンツァイトもっとも、今回の勝負はスキャンしていたとしても同じ結果になっていた…完敗だ
ミクリオああ、いい勝負だったよ。それに面白い物を見せてもらった。ありがとう
ベルベット…負かした相手からお礼を言われるなんて変な感じね…
リフィルすごいわね、ベルベット。今日は本当についてるじゃない
リフィルこの流れが来ているうちにもらったスロットメダルでスロットを回しに行きましょう!
ベルベット…?妙に急かすわね。まぁいいけど
ベルベット……本当に当たったわ
リフィルすごい、大当たりよ!やっぱりついてる時は行けるものね。私の時もそうだったし
ベルベット…?あんたもって、どういう意味?
リフィル…実は大当たりの景品ってコレなの
ベルベットコレは…「一日体験入店権」…?この店で働くって事?
リフィルそう。いい社会勉強になるし、今ならこのバニー服もプレゼントしてもらえるわよ!
ベルベット…リフィル、あんた、まさか…
リフィル…ええ。実は昨日、一日入店権を当てて、この服を着せられてしまって…
リフィル「選ばれし美女」なんて呼ばれて恥ずかしいから、せめて仲間が欲しくて…
ベルベットそれであたしにあの勝負を勧めたのね
リフィルこんなに上手く行くとは思ってなかったけど
ベルベットええ、確かにね。けど却下。あたしは放棄するわ。働かされる景品なんて意味不明だし
リフィルそんな…助けると思って、お願いよ
リフィルふぅ…結局、腹をくくって私一人で頑張るしかないようね

NameDialogue
トリック・アンド・トリート
イリア何か人が集まってるわね。貼り紙…?えぇと…
コーダイリア、早くメシ食べに行くぞ。お腹ペコペコだ。貼り紙で腹は膨れないんだな、しかし
イリアお菓子もらえるって書いてあるわよ?
コーダそれを早く言え!お菓子、食べたいんだな、しかし!
イリアでも、今すぐじゃないわよ。ハロウィンのイベントに参加したら…だって
コーダハロウィン?
イリア知らない?仮装して、トリック・オア・トリートって言って回るのよ
イリアイタズラかお菓子かって意味ね。言われた人はイタズラされないようにお菓子を渡すっていう風習があるのよ
コーダそれを言うだけでお菓子がもらえるのか。最高なんだな、しかし
ヒルダけど、この貼り紙の内容は少し違うみたいよ
イリアヒルダ!急に声掛けないでよ、びっくりするじゃない
ヒルダあら、こんな事で驚いていてはお菓子を取られてしまうわよ
イリアは?どういう事よ?
ヒルダほら、貼り紙をよく読んでみて
イリアトリック…「アンド」…トリート?
ヒルダどうも、イタズラして、お菓子までもらう…という意味のようね
イリア…ふむふむ。なるほど、仮装して人を驚かして驚かされたらお菓子を渡す…と
イリアお菓子もイタズラも両方楽しもうだなんて贅沢なイベントね
コーダイリアはイタズラ好き。コーダはお菓子好き。参加しない手はないな、しかし
イリアあたしがイタズラ好きってどういう事よ?
コーダいつも、ルカにイタズラして泣かせて笑ってるんだな、しかし
イリアだってそれは、ルカが…とにかく一緒にしないでよね
コーダじゃあ、コーダはお菓子好き!これは変わらないぞ、しかし。参加するんだな、しかし
イリアそうねー。あたしもお菓子はほしいし…あ、そうだ!
イリアヒルダ、あたしと組まない?
ヒルダ藪から棒ね。どうして私と?まだ参加するとも言ってないのに
イリアあんた、占い師でしょ?誰がどんな驚かせ方をしてくるか占いで出してほしいのよ
イリアそうすればあたしは驚かされないし逆に驚かすための作戦も練りやすいじゃない
ヒルダなるほど。面白い占いの使い方ね
ヒルダそんな便利な未来予知のような事が出来るかわからないけど…試してみるのは面白いかもね
イリアじゃあ、決まり!これはもう勝ったも同然だわ
???お節介かもしれませんが…少し甘くありませんか?
ヒューバート人の行動が読めたところで驚かすには相応の工夫が必要です
ヒューバート特に軍事訓練を受けた者なら極限状態でも冷静でいられるよう特訓してますからね
イリア何よ。じゃ、あんたは驚かないっての?
ヒューバートええ。ちょっとやそっとでは──
エルわっ!!
ヒューバートうひっ!?
イリアうひ…?
エルやった、びっくりさせた!エル、サイノーあるみたい。ルドガー、一緒に参加しよ!
ルドガーこら、エル。まだ始まってないんだから驚かせちゃダメだろ
ルドガーごめん、ヒューバート。大丈夫だったか?
ヒューバートえ、えぇ。大丈夫も何も、全然平気でしたが?
イリアうひっ…って言ったわね
ヒルダええ、私も聞いたわ
エルエルも聞いたー!
ヒューバート……
イリアあんた偉そうな事言っといてあんな単純な事でうひってんじゃない
ヒューバートう、うひってるなんて言葉はありません
イリア今生まれたのよ。あんたのためにね。イシシシシシ
ヒューバート…決めました。ぼくも参加します。この屈辱を晴らすために、イリアさんをうひらせて差し上げます
イリアあんたも使ってんじゃない
ロンドリーネ何か楽しそうな話してるじゃない。へぇ、トリック・アンド・トリートね
ヒルダあなたも参加するの?
ロンドリーネ面白そうだし、参加しようかな。みんながどんな驚かせ方してくるのか見てみたいし
ヒルダいろんな楽しみ方があるものね…
シングみんな集まってどうしたんだ?ん、この貼り紙…。コハクが参加するって言ってたやつか
シング面白そうだな。オレも参加して、コハクを驚かせてやろうかな
エルいっぱい集まってきた!
ルドガー賑やかなハロウィンになりそうだな
イリアどうせなら、もっとたくさん誘わない?
イリア参加者が多ければその分お菓子がもらえる機会も多くなるわけだし
コーダイリア、いい事言った!たくさん誘うんだな、しかし
シングいいね。面白くなりそう!
ロンドリーネ私はどうせなら、こういうの慣れてなさそうな人を誘いたいわね。意外な一面が見られて楽しそうだし
イリアあたしはルカとか誘いたいけどお菓子取られるばかりになりそうね。他だと…うーん…
ルドガー俺達も誰か誘うか、エル
エルうん!
ヒューバート話が大きくなってきましたね
ヒルダあなたの驚く顔が大勢に知れ渡ってしまうと困るわね?
ヒューバートそ、そんな心配はしてません。わかりました、ぼくも誰か誘いますよ
イリアみんな、イベント当日はたくさん驚かしてやるから、たっぷりお菓子を用意してなさいよ!

NameDialogue
公演!ウェスタンステージ
ティポ学園祭の目玉ー!『荒野のルタス街』!
ティポエリー達の劇を少しだけ見せちゃう予告公演の、はじまりはじまりー!
ティポ平和なルタス街…そこに現れたある人物によって波乱が巻き起こるー!
カランカラン──
エリーゼいらっしゃいませー
パスカルコーヒーとバナナパイを
ティポその名はパスカル!夢とお宝を追い求めるトレジャーハンター!
ロイドちょっといいか?お前、この街の外から来たんだろ?どこかでこんなやつを見なかったか?
パスカルさぁ、わかんないなぁ。その子が何かしたの?
ロイド街のギャングから宝を奪って逃げたんだ。ギャングからとは言え窃盗だからな…
ロイドもし見かけたら教えてくれ。じゃあな
パスカル…やっぱりお宝はコレットが持ってるんだね
ティポパスカルの真の狙いとは!?そして──
ロイド見つけたぞ、コレット!逮捕する!
コレットふふふ、私の銃さばきを見てもそんな口が──…あ、あれ?
コレットわわっと…!練習ではちゃんと出来たのに…
ロイドおいおい、大丈夫か…?
ティポコレットのドジっ子めー!二人が銃撃戦を繰り広げている中、一方で暗躍する二人…!
パスカル今のうちにコレットの荷物から例のお宝を…
ズキューン!
パスカルわっ、危ないなぁ
リチャード頭を撃ち抜かれなかっただけありがたいと思うんだね。けど…
リチャード次はないよ。さぁ、そのお宝を僕に渡してもらおうか
ティポリチャード君、ノリノリだねー
ティポ平和なルタス街で四人の腕利きが顔を合わせた時、いったい何が起こるのかー
テイポさらなる乱入者により、物語は新たな展開を迎えるー!
ナタリア四人とも大人しくなさい!はぁっ!
リチャード何、この縄は…!
パスカル投げ縄の名人…カウガールのナタリア!?
コレットわわっ、私も捕まっちゃった!
ロイド俺も──って、俺は保安官だぞ!?
ナタリア暴れていたなら同罪です
ティポ街に平和を取り戻すのは正義のカウガールか!?それとも──
エリーゼルタス街の秩序はわたしが守ります!
ティポこれでもかー!
ポイポイポイ──
ナタリアなっ、それは──!
パスカルダイナマイト!?あれ、本番で使うんじゃなかったっけ──!?
ドッカーン!!
ティポまさかまさか!街を裏で牛耳る正体不明の美少女が全てを吹き飛ばしてしまったー!
ティポそこから始まる愛憎渦巻く群像劇…!衝撃の展開の連続をお見逃しなく!本編の上演を乞うご期待ー!
ロイド予告公演は大成功だったな
コレット私、失敗しちゃった…
リチャードでもそのお蔭で、本番で成功するかどうか見届けたいってみんな言っているよ
リチャード結果的に宣伝になったし、本番で頑張ればいいんじゃないかな
ロイドそうそう。練習では上手く出来たんだし、気にすんなって!
コレットうん…ありがと!本番では絶対、成功させるよ!
ナタリアそういえば、ダイナマイトを使うのは本番の見せ場の一つでしたが、使ってしまって大丈夫でしょうか?
パスカルエリーゼが悪い笑みを見せて終わりの予定だったけど大丈夫だよー、ダイナマイトは、まだまだあるから!
エリーゼあの…ごめんなさい。爆発した方がお客さんの興味を引けるかと思って…
ティポ演技もサイコーだったでしょ!?
ロイドそうだな。俺達も楽しかったし、エリーゼの言う通り、お客さんも面白いって言ってくれてたぜ!
ロイドそれに見せ場は他にもたくさんあるから大丈夫だって!
コレットうん。いい宣伝になったんじゃないかな
ティポでしょー!?
エリーゼよかった…。ありがとうございます
ナタリアさて…本番まで時間がありますわね。みんなで練習しますか?それとも他の出し物を見て回るとか…
コレット私は銃を回す練習をするよ
リチャード僕としては残りの時間でもう少し宣伝したいかな
リチャードせっかく素晴らしい劇が出来たんだ、少しでも多くの人に観てもらいたいからね
ロイドそうだ!練習しながら宣伝したらいいんじゃないか?
パスカルいいねいいねー!
コレット面白そう!けど、どうやるの?
ロイドみんなで役になりきって宣伝しながら学園を回るんだ
ロイドそんで、どっかでバッタリ会ったら劇の一場面を演じるんだ。決闘したりとかさ
ナタリアなるほど…本番前に役に入り込みつつ咄嗟に台本を思い出す訓練にもなるというわけですわね
エリーゼではまた、ダイナマイトを使ってもいいでしょうか…!?
ナタリアそれはさすがに…!エリーゼは序盤の看板娘の状態でお願いしますわ
エリーゼやっぱり、そうですよね…
ティポケチンボー!
パスカルねぇねぇ、それって筋書き通りにやられなきゃダメ?勝っちゃってもいいの?
ロイドいいんじゃないか、劇と同じじゃなくても。その方が面白そうだしな!
リチャードふふ、では次に会う時は敵同士って事だね
ロイドおう、学園中を盛り上げてやろうぜ!

NameDialogue
守る力を!自分への挑戦!scene1
ソフィふっ…!はっ…!
???……
ソフィ…!誰!?
パスカルとぉーっ!
ひらり
ドサッ!
ソフィ…大丈夫?
パスカルあー、惜しい。もう少しで触れそうだったのにー
パスカルソフィ、何だかあたしの事避けるの上手くなってきてない?
ソフィたくさん避けてきたからわかるようになった
パスカルそっか~!ソフィって人の戦い方や技をよく観察して真似したりしてるもんね!
パスカルもしかすると、あたしがソフィを触りに行く動きも完全に見切られちゃってるのかな
ソフィそうかも…?
パスカルきっとそうだよ!さっきみたいな不意打ちでも咄嗟に避けられるぐらいだもん
パスカルそんだけ長く深い付き合いって事だよね!
ソフィ長くて深い?
パスカルうん!そうだよ~
パスカル一緒に世界中を旅したり…別の世界まで行ったり、ラムダと戦ったり、いろいろあったし
パスカルお互いの事、よくわかってるから、そりゃ動きぐらい読めるよね~
ソフィパスカルはわたしの動き、読めてるの?
パスカルわかってるつもりなんだけど、ソフィの方が一枚上手って感じかな。さっきも避けられちゃったし…
パスカルそういえば、ソフィ、あたしが来るまで何してたの?
ソフィ戦いの練習。みんなを守りたいから、もっと強くなりたくて…
パスカルどうして?今までも守ってくれてたし、十分に強いと思うけど…
ソフィわたしは、アスベルみたいにみんなを守るの。誰も犠牲を出さずに…
ソフィ今までは、みんなを守るためならわたしはどうなってもいいと思ってた…
ソフィラムダを倒すためには、それしかないって思ってたから
パスカルソフィ…
ソフィけどアスベルは、わたしも、ラムダも、助けてくれた
ソフィわたしも、そんな風に…。他の誰かも、自分自身も、敵も守れるようになりたい…
ソフィそのために、もっと強くなりたいの。相手まで守るっていうのは簡単な事ではないから…
パスカルなるほどねー。ソフィの気持ちはわかったよ!
パスカルあたしが協力してあげる!ソフィがもっと強くなれるようにね!
ソフィどうするの…?
パスカルこれを使うんだよ!じゃ~~ん!「戦闘能力解析装置」!
ソフィ…?この小さい板?これで?
パスカルうん~。そだよ~。小さいから邪魔にならないでしょ?
ソフィこれを身に着けてたらいいんだね
パスカルそう。これを着けて戦闘を行えば小さな機械が戦闘能力を解析してくれるんだよ
パスカルその人の得意な動きや苦手な動き、癖とか、改善すべき点とか、戦闘データを集めてくれるんだけど
パスカルソフィの観察眼なら、その戦闘データを最大限に活かして強くなれるんじゃないかな?
ソフィ戦闘データで、強く…
パスカルそう。アスベルやみんなからも戦闘データを取らせてもらって、それも取り入れたりしてさ
ソフィ何だかすごそう。うん、わたし、やる
パスカルそうこなくちゃ!じゃあ早速、アスベル達を呼んでみんなで手合わせしよ~!
ソフィ手合わせ?みんなと戦うの?
パスカルうん。魔物退治でもいいけど、強い人同士で戦う方がいろんなデータが取りやすいからね
ソフィわかった。パスカルも手合わせ、する?
パスカル勿論!手加減したらデータは取れないから思いっきりやろうね!
守る力を!自分への挑戦!scene2
アスベルふぅ。やっぱりみんな強いな
シェリアえぇ、さすがに疲れたわね
ヒューバート二人共、情けないですね。まだ限界ではないでしょう
パスカル戦闘データはベストな時の動きを取る方がいいから、限界までやらなくてもいいよ~
ヒューバートなっ…!そういう事は先に言ってください
マリクいいところを見せたくて力が入り過ぎてしまったようだな?
ヒューバートべ、別にそういうわけでは…!わかりました。少し休憩にしましょう
アスベルああ。休憩にお茶の準備でもしましょうか?陛下
リチャードアスベル、そういう冗談はやめてくれといつも言っているだろ?僕ならまだまだ大丈夫だ
アスベルはは、これは失礼を。…なんてな
パスカルいやー、まさかリチャードが来てくれるとは思わなかったよ~
リチャードアスベルから話を聞いてね。呼んでくれて嬉しかったよ。僕もソフィの役に立てたかな?
ソフィうん。ありがとう、リチャード
シェリアところでパスカル。戦闘データって、あとどのぐらい必要なの?
パスカルいくらあっても困る事はないんだけど…そろそろ次の段階行ってもいいかもね
シェリア次?
パスカルうん。実はこの「戦闘能力解析装置」はただデータを集めるだけじゃなく…
パスカル集めたデータから、その人が将来どのくらい強くなるかを予測したデータを作ってくれるの
アスベルへぇ、面白そうだな。俺はどのくらい強くなれるんだ?
パスカル数字は出てるけど、それじゃピンと来ないっしょ?だからいいもの作ったんだ~
パスカルソフィ、このゴーグルを被ってみて
ソフィうん
ソフィあれ…?アスベルが二人いる…?
アスベル何だって?
パスカル片方はホログラムだよ。戦闘データを元に作りだした、未来のアスベル
パスカルみんなにもゴーグル配るね
アスベル…本当だ、俺がいる!
ヒューバート不気味ですね…
パスカル他のみんなのデータも解析完了次第、表示されるよー
マリクふむ…。このアスベル、触れるのか。ただの映像ではないな
パスカルゴーグルからみんなの感覚に信号が送られていて、触れてるように感じられるんだよ
リチャードすごいね。髪の一本一本まで再現している
シェリア本当…全く区別がつかないわ
パスカル違うところは、そっちのアスベルはすごく強いっていう事ぐらいだね~
アスベルまるで本物の俺は弱いみたいじゃないか…
パスカルごめんごめん、そうじゃなくて、そのアスベルは、今のアスベルが鍛錬を続けた未来の姿なんだよ
パスカル他のみんなも未来の強くなった姿が映し出されるから、それと模擬戦をすれば…
ヒューバート今の自分達をはるかに超えた強さを身に着けられる…というわけですね
パスカルそういう事~!かけてもらったゴーグルはそのための「バトルシミュレータ」なんだよ
ソフィ…強くなれる…
パスカルソフィ。彼らを倒すって事は、この先、未来においてもソフィは彼らより強いって事になる
パスカル守るための力の指標としては悪くないと思うけど、どうかな?
ソフィうん。いいと思う。わたし、戦う
シェリアねぇ、これって戦った場合、怪我とかするの?
パスカルホログラムの剣で斬られても傷はつかないよ。でも痛みは実際に感じるけどね
シェリアそれなら安心ね。痛みは本物っていうのがちょっと怖そうだけど…
リチャードパスカルさん、僕からも質問だ。見えている景色が違うようだけど木にぶつかったりとかしないかな?
パスカル大丈夫。障害物のあるところは、代わりの障害物が表示されてるし…
パスカルこんなことも出来るよ!ピコピコっと!
リチャード…!ここは…!
パスカル障害物の場所だけ現実に合わせていろんな風景を見せられるからいろんな場所で模擬戦が出来るよ!
マリク…それは面白そうだが、今回はここで固定にしよう
アスベルもしかして、景色が高いところになったら困るから…ですか?
マリク…この景色が好きなだけだ
パスカル了解!じゃあ背景は今のままで…
パスカル…お!そろそろみんなのデータも解析完了するよ!
アスベル俺達より強い俺達…手強い相手だけど、逆に言えば俺達が到達できる強さでもあるはずだ
アスベルみんなで乗り越えてみせよう!
ソフィうん…!

NameDialogue
聖夜のプレゼント大作戦
ロゼ──と、いうわけでよろしくね
ローエンええ、お任せください。しかしサンタクロースですか。夢のあるお話ですね
ロゼま、宣伝活動の一環なんだけどね。みんなが喜んでくれるなら一石二鳥!
ローエンそれでも、商品を無料でプレゼントするなどそう出来るものではありませんよ
ローエンそれもサンタに扮して夜中にこっそり配る…なんとも粋ではありませんか
ロゼでしょ?まぁ商品といっても売れ残りだし、懐はそんなに痛まないんだよね
ローエンいくらかけたかは関係ありません。これはロゼさんのお優しい心があればこそ
ローエン子ども達を喜ばせようというそのお気持ちに私は感動したのです
ロゼいやぁ、そんなに言われると照れるなぁ
ローエンそのような素晴らしいお話の主役に選んでくださるとは…ジジイ頑張りますよ!
ロゼあはは!こっちこそ、快く引き受けてくれて助かるよー
ロゼサンタ役が足りないなぁって思ってた時にローエンさんを見て、この人しかいない!って思ったんだ
ローエンいやはや、光栄ですな。お力になれる事がありましたら何なりとお申し付けください
ロゼ…あ、それだったら、実はもう一つ手伝ってほしい事があるんだけど…いいかな?
ローエン勿論。私に出来る事でしたら
ロゼこの時期、人手が足りてないからほんと助かるよー。それじゃ、こっち来て
ローエンここは…地下倉庫ですか
ロゼうん。みんなへのプレゼントがここにあるんだけど
ロゼラッピングを手伝ってくれないかな。プレゼントたくさんありすぎて間に合わなくってさ…
ローエンなるほど、お安い御用です
ローエンラッピングは重要ですからね。美しい装飾を見ただけで心が踊ります
ロゼそうそう。中身も重要だけど子ども達を喜ばせるには見た目も大事だと思うんだよね
ロゼ朝、目が覚めて、枕元に置かれたプレゼント!まず目に入るのはラッピング!
ロゼ綺麗なリボンに包装紙。そこに感じるワクワクこそがクリスマスの醍醐味だと思うんだ
ローエンええ、同感です
ローエンでは、早速始めましょうか。包装するには少々時間が必要ですから
ロゼそうだね。じゃあ、この木箱に入ってるラッピングセットで──
ロゼ──あれっ!?
ローエン…何もありませんね
ロゼおっかしいなぁ。確かここに…
商人あっ、もしかしてラッピングセット探してます?
ロゼうん。どこにあるか知ってる?
商人それが在庫切れで…。プレゼント用に包装してほしいってお客さんが予想より多くて…
ロゼえぇっ!?新しく発注はしたの?
商人はい。ただ、今の時期は品薄らしく店で使う分がやっと入った状況で…
ロゼわかった。じゃあ、それは店で使って。こっちは何とかするから
商人わかりました
ローエンふむ、困りましたな…
ロゼとりあえず街に出てみよう。馴染みの店がいくつかあるから交渉したら分けてもらえるかも
ロゼ…なんて、甘かったかー
ローエンどこのお店でも似た状況のようですね
ロゼどうしよう。何か他の方法を考えないと…
???…お?そこにいるのはロゼとローエンか…?
ユーリよう、お二人さん。何だ、随分と辛気臭い顔してんな
ロゼユーリ!いやぁ、実はちょっと、困った事になっててさ…
ロゼって、あれ?ユーリ、その恰好…もしかしてサンタやるの?
ユーリああ、子ども達にプレゼントを渡すサンタ役を頼まれちまったんだよ
ユーリガラじゃねぇが手が空いてたしな
ローエンなんと素晴らしい…ロゼさんも、ユーリさんも、愛があふれておりますな
ユーリあふれた分、たまには配らないとな。…ん?ロゼも…って事は…
ロゼうん、実はね…
ユーリ…なるほど、それで難しい顔して唸ってたわけか
ユーリそれなら少し余ってるから、分けてやろうか?
ロゼえっ、いいの!?
ユーリああ。オレの渡す分はもう包み終わってるし、ちょっとは足しになるだろ
ロゼありがとう!助かる!
ローエン…なるほど。よい作戦かもしれませんね
ロゼん、何が?
ローエン街のみなさんから余っているラッピングセットを少しずつ分けていただくのです
ロゼそっか、それいいね!ちょっとでも積もれば山となる…ってね!
ユーリだったらオレみたいにプレゼントをたくさん用意してる奴を捜せばいいんじゃねぇか
ユーリ足りないかもしれないと思えば、多めに用意するだろ?
ロゼ確かに!
???では大きなパーティーに参加する人に聞いてみるのもよいのではないでしょうか
エレノア私の参加するパーティーでもプレゼントをたくさん用意した分、ラッピングセットも多く用意しました
エレノア少しはお渡し出来ると思いますから後で聞いてきますね
ロゼエレノア!聞いてたの?
エレノアええ、立ち聞きするつもりはなかったのですが、困っていると聞こえたもので、つい…
ローエンいえいえ。ご提案くださって助かりましたよ
ロゼなるほど、パーティーか。いいねいいね、希望が出てきたよ。それじゃあ、声をかけるのは…
ロゼプレゼントをたくさん持ってる、サンタの格好をした人とか、パーティーに参加しそうな人!
ローエンパーティーに参加しそうな人…着飾っている方という事でしょうか?
ロゼそうそう。それもエレノアみたいにクリスマス!…って感じが全身から出てる人ね
ユーリおいおい、まあしょうがねぇ、それっぽい奴に声かけてくか
エレノアそうですね、手分けして声をかけていきましょう
ロゼ手伝ってくれるの!?
エレノアはい。困っている人を放ってはおけませんから
ユーリま、乗りかかった船だしな。…っと、早速、サンタ発見!
ロゼほんとだ!おーい!
コハクえ?
コハクそっか、ごめんね。ラッピングセットは持ってないの
コハクけど、みんなに聞いて回る事ぐらいは手伝えるよ!
ローエンおお、コハクさんも…。ありがとうございます。みなさん、本当にお優しい…
ロゼそれじゃあ、みんなで──
???危なーい!
ロゼえっ?わぁっ!?
スレイふぅ、ギリギリ止まったー。ごめん!大丈夫だった?勢いがつきすぎちゃってさ…
ロゼスレイ!?大丈夫だけど…どうしたの、それ?
スレイロゼの店に行ったら、今は忙しいって聞いてさ
スレイオレも手伝おうと思って、配達の手伝いをしてたんだ。ソリで移動したら速いだろ
ロゼありがと!助かるけど、安全第一!気をつけて
スレイうん、ごめん。気をつけるよ
コハクねぇねぇ、ロゼのお店の手伝い中ならスレイにも手伝ってもらったらいいんじゃない?
ロゼそうだね。じゃあスレイは、配達先でラッピングセットが余ってないか聞いてみて
スレイよくわからないけど、ラッピングセットを集めるんだな。わかった!
ユーリこれだけの人数で手分けすればどうにかなんだろ
ローエンええ、善は急げ。配る前にラッピングする時間も必要ですから
エレノアそうですね。みなさんもそれぞれ予定があるでしょうし
ロゼうん、急ごう!それじゃ、行動開始!

NameDialogue
縁起をかつげ!波乱の初詣
カノンノわぁ、すごい!書初めに神楽に凧揚げ大会!いろんな催しがあるんだね
モルモどうりで人が多いと思ったよ
カノンノ初詣に来ただけなんだけど、せっかくだからいろいろ見て回ろうかな
モルモいいけど、先にお参りを済ませてからにしようよ。すごく並んでるみたいじゃん
カノンノそうだね。やる事やって、思いっきり遊ぼう!
カノンノふぅ、無事にお参り出来たねー
モルモ人多すぎだよ。潰されるかと思ったー
カノンノあはは。あっ、見て、おみくじがあるよ。行ってみようよ!
モルモあれ、書初め大会とかに参加するんじゃなかったの?
カノンノ楽しそうな事をしたいの。おみくじも楽しそうでしょ
モルモま、いいけどさー
アイゼン……
ライフィセットまた二人とも大凶だ…!
アイゼン俺から離れて引け。そうすればお前はもっといい結果が出るだろう
ライフィセットううん。そうまでして引きたいとは思わないし一緒にいるよ
アイゼンそうか…。好きにしろ
カノンノ…わっ。二人ともすごい数の大凶!これ全部引いたの?
モルモさすがにそれはないって
アイゼンふっ…、残念ながらこれは自分で引いた結果だ
ライフィセットアイゼンはこういう体質で、いくら引いても大凶しか出ないんだ
アイゼンお前達もおみくじを引くなら俺に関わらない方がいい。大凶しか出なくなるからな
カノンノすごい体質なんだね…
モルモでも、それじゃあどうしてそんなにたくさん引いてるの?大凶しか出ないんでしょ?
アイゼン…まあ、ただの酔狂だ。自分の不運を再確認しているようなものだな
ライフィセット大吉が引けるに越した事はないからね
カノンノうーん…よし!いい事思いついた。モルモも手伝って
モルモいいけど、どうするの?
カノンノはい、出来たよ
アイゼン何だ、これは。ただのおみくじの筒に見えるが…
カノンノ大吉しか入ってないの。無理やりだけど、これなら大吉が出るでしょ?
アイゼン試してみよう
ガシャーン──
ライフィセットわぁっ、爆発した!?
アイゼンどうあっても大吉を引く事は出来ない…という事のようだな
カノンノそ、そんな事ってあるの…?
ジュード今の音、何!?どうかしたの!?
ミラ何かの破片が散らばったようだが…爆発でも起きたのか?
メルディ大吉が棒、飛んできた!当たるとこだったよ~
アイゼン悪かった。怪我人はいなかったか?
ライフィセットみんな驚いてはいるけど実際に当たった人はいなさそうだね
ミラ何事もなかったならいいが…時にジュード、それは何だ?
ジュードあぁ、これはね。実は書初め大会に参加してたんだ。今年の目標…なんだけど、どうかな?
ミラうむ、ジュードらしくていいと思うぞ
カノンノ書初め…目標を決める…。…そうだ!またいい事思いついた!ジュード、その筆を貸してくれない?
ジュードいいけど、どうするの?
カノンノアイゼン、この筆で紙に大吉って書いてみてよ
モルモああ、自分で書いてしまえば引いてるわけじゃないから──って、意味あるの、それ?
アイゼン…物は試しだ。やってみよう。幸い、不要な紙はたくさんあるからな
ライフィセット全部、大凶だけどね…
アイゼン…書くぞ。大──
ビュオオオオ──
メルディバイバ!すごい突風よ!
アイゼン…紙が飛ばされたな。くっ、もう一度だ。大──
ビュオオオオン!シュパッ、シュパッ!
ミラ…!危ない!シルフ!
精霊シルフ……
カノンノ今の、何?
ミラかまいたちという風の現象だ。シルフが守ってくれなければ皆引き裂かれていたかもしれん
アイゼン書こうとしていた紙がバラバラになったな…
ミラすまない、咄嗟の事でそこまで守る事は出来なかった
アイゼン…いや、いい。これ以上は危険だ、ここらでやめておくとしよう
ライフィセットアイゼン…
アイゼンお前達も俺に関わったんだ。念のためお守りでも買って帰るんだな
メルディ…!そだ、お守り使うとよくないか?
メルディアイゼン、お守り持ってくじ引けば、大吉出るかもしれない!
ジュードあ、それいいかもしれないね
アイゼン悪いが、お守り一つで解決するような生半可なものじゃないぞ
メルディ一つでダメなら、たくさん持つ、どうか?
アイゼン……試す価値はあるかもしれんな
カノンノよーし、じゃあお守りたくさん買いに行こ―!
アイゼン…よし、引くぞ
カノンノドキドキ…
アイゼン…!これは…!
ライフィセットすごい、凶だよ!大凶じゃなくなった!
メルディワイール!上手くいったよ!
パン、パン、パパン!
アイゼンなっ…!お守りが…
ミラ全部はじけ飛んでしまったな…アイゼンの不運に耐えきれなかったのだろう…
ジュードけど、効果はあったよね
メルディもっとたくさん集めるよ!今度は大吉出るかもな!
カノンノあ、えっと、それが…
モルモここで売ってるお守りは、さっきので全部だったんだ…
アイゼン…ここで、というのは、この近くの売り場で…という意味だな?
ライフィセットアイゼン…?
アイゼン今日は人が多いからお守りの売り場も何箇所かに分かれているはずだ
アイゼン全て買い集めるぞ。俺が目指すのは凶ではない、大吉だからな
ミラふむ、面白そうだな。どのような結果になるか見届けるとしよう
ジュード僕も手伝うよ
メルディメルディも手伝う!大吉見たい!
カノンノ勿論、私達も。どうせこのあたりを見て回ろうとしてたとこだしね
ライフィセットこれなら本当に大吉に手が届くかもしれないね。アイゼン、僕達も行こう
アイゼン…ああ。ここまで世話になっておいてこのままでは終われないからな

NameDialogue
大調査!お正月の過ごし方
エステルふぅ…
リチャードお疲れ様。来客が続いたから、少し疲れてしまったかな?
エステルはい。でも大丈夫です。挨拶に来てくださる方に年の初めから疲れた顔はお見せ出来ませんから
リチャード無理しないようにね。今日の来客予定はもう終わったし少し気分転換でもしようか
エステルいいですね。でしたらわたし、やってみたい事があるんです
リチャードどんな事かな?
エステル街に出て、皆さんがどんなお正月を過ごしているのか見てみたいんです
エステル毎年、お城では挨拶に来た方々を出迎えている間にお正月が終わっていましたから…
リチャードなるほど。民がどんなお正月を過ごしているか見る機会がないからね
エステルはい。本には様々な風習が載っていました
エステルそれらが本当に行われているのか、どのように行われているのか、自分の目で確かめたいんです
リチャード面白そうだね。僕も一緒に行くよ
エステルいいんです?出かけてしまって
リチャード気分転換だからね。少しぐらい問題ないよ。早速、実地調査に出てみよう
エステルはい、それでは行きましょう!
スタン…よし、行くぞリオン。それっ!
ポーン…
リオン僕はやらないと言ってるだろう
ルーティなら辞めてもいいけど、羽根を落としたら顔に墨を塗るわよ
リオン…!ちっ…
ポーン…
スタンえっ、そ、そんな方向に…!くっ…間に合わない!
リオンふん、落としたな。僕の勝ちだ
ルーティじゃ、スタンに墨を塗るわね
リチャード…ん?筆で顔に…何をしているんだい?
スタンリチャード、エステル!羽根つきをしていたところなんだ。これは羽根を落とした罰だよ
ルーティよかったら二人もやって行く?
リオン…お前、一国の王の顔に墨を塗るつもりか?
ルーティ負けたらね。仕方ないわよ、罰だもの
エステル罰ではないですよ
ルーティ…え?
エステル縁起物である羽根を落としてしまう事は縁起が悪いとされた
エステル魔は黒を嫌うと言われており、顔に墨を塗るのは縁起の悪い者に魔除けを施すためである…です
リチャードそんな本も読んでるんだね
ルーティへー、完全に罰だと思ってたわ
エステルそうなんです?
リチャード本来の風習と同じ行為が別の意味で伝わっている…興味深いね
エステルはい。この調査、予想以上に意義がありそうですね!
スタン調査?何か調べてるのか?
エステルはい、実は…
スタンへぇ、面白そうな調査だな
リオン王家の人間が直接動くような事とは思えないな。何か裏の意図があるのか?
エステルいえ、ただわたしが調べたいと思ったもので…
リチャード公的な調査ではないよ。調査記録の資料は残すけどね
エステルスタン、他にどんな風習があるか教えてもらえますか?
スタンうーん、急に言われてもなぁ…
ルーティ自然とやってる事とかもありそうだけど…すぐには思いつかないわねぇ
リオン…風習が知りたいのなら初詣にでも行ったらどうだ
リオンこの時期の風物詩がここぞとばかりに集まっているだろう
エステルそれいいですね!どこに行けばいいんです?
ルーティ待ってて。地図を描いてあげるわ
sound/se/quest/qu124_se
エステルわぁ、お店がいっぱい。ここが初詣の場所なんです?
リチャード地図によるともう少し先だね。この屋台が並ぶ道を進めば辿り着きそうだ
???あれ、エステルとリチャードじゃん
アーチェ二人も初詣に来たの?
プレザウィンドルの重鎮がお揃いで…ここには何かあるのかしら?
エステルアーチェ、プレザ!はい、初詣を見に来たんです
リチャード深い意味はないよ。お正月の風習について調べていたんだ
プレザなるほど…。それなら少し人が多いけれど屋台を見て行く事をお勧めしますわ
エステルこのたくさん並んでる屋台です?
アーチェ縁起物とかお正月っぽい物とかいろいろ売ってたもんね。この打ち出の小槌も買ったんだよ
リチャード小槌…?武器…いや、工具かな?それが縁起物なのかい?
エステル打ち出の小槌は、伝承に登場する槌。振れば望む物が出て来るとされ、富の象徴となっている…です
アーチェそうそう、富の象徴!振るとお金がわんさか出て来るんだよね!
リチャードふふ、それが本当なら困るな。国の経済が破綻してしまうよ
プレザ他にも、小人を大きくしたっていう物語もあったわよね
エステルはい。それは複数の伝説に登場する不思議な小槌が同一視されて語り継がれたという説もあるそうです
リチャード確かに縁起がよさそうな物だね。その模造品が屋台で売られているという事か…
エステル調査のし甲斐がありそうですね!屋台を見て回りましょう!
アーチェ調査もいいけど、楽しみなよ!難しい事考えずに風物詩を楽しむのもある意味お正月の風習なんだから
プレザ確かに…気軽に楽しめるように形を変えた結果がこういった屋台…と言えるかもしれないわね
リチャードなるほど。そういう事なら気楽に、興味のままに動いてみようか
エステルはい!
リチャード屋台を一通り見たけど…夏祭りとはまた別の趣があって面白いね
エステル売っている物も、食べ物も少しずつ違いますね
リチャードせっかくだから何か食べようか。さっきから美味しそうな匂いに食欲がくすぐられているんだ
エステル実はわたしも、です。せっかくですからお正月らしくお雑煮はどうでしょう?
リチャードいいね。行ってみよう
エステル…ふぅ、ご馳走様でした
リチャード美味しかったね。具材も、出汁も…特に餅がよく伸びて
エステル餅をお正月に食べる理由には諸説ありよく伸びる事から長寿を祈願するという説の他…
エステル粘り強い人になるようにという説や白く神聖な食べ物として正月という特別な日に食べる説などがある…です
???…とはいえ、実際は美味いから食うとるだけじゃろ
マギルゥどんなに縁起がよくても美味くなければ誰も食わんからの。美味い物に理屈をつけとるだけじゃよ
エステルマギルゥ!あなたも初詣に来てたんです?
マギルゥま、そんなとこじゃの。縁起担ぎなんぞ儂にはどーでもよいがここには特別な場所があってのう
マギルゥ皆がお参りする社のさらに奥…知る人ぞ知る、ありがたーい場所があるのじゃよ
リチャードありがたい場所…?まさか何かが起こるのかい…?
マギルゥ儂らのように術を使う者にとっては力が漲る場所とも言えるのう
マギルゥ知ってか知らずか、術師やハーフエルフがお参りに来ておるのも見かけたわい
エステル…!プレザやアーチェも来ていましたね
リチャード力が漲るありがたい場所か…それが初詣の要所となっているのなら僕達の調査にはぴったりの場所だね
エステルマギルゥ、その場所を教えていただけますか?
マギルゥかまわんが、ただ教えても面白くないのう…
マギルゥそうじゃ。めでたい日と言えばハト!二人が全力でハトマネをすれば教えてやるぞよ
エステル・リチャードえっ…
リチャード教えてもらった場所はここだね
エステル確かに力のようなものを感じますね。ハトマネした甲斐はありました
リヒター…誰が来たかと思えば王家の人間が揃って何を企んでいる
リチャード君は…!
リヒターよもやこの滝から溢れるマナをまた戦争に利用しようと言うのではないだろうな
エステルそんな事はしません。わたし達はただ、初詣について調査に来ただけです
リチャードエステルの言う通りだ。変な事はしないと約束するよ
リヒター…それならいいが…
エステルさっきマナが溢れるって言ってましたけど、この滝に何かあるんです?
リヒター俺もそれを調べに来たんだ
リヒターただの縁起担ぎとされる行いにも略式の儀式が成立して効力を発揮するものがある
リヒターマナの溢れる場所での初詣もそれにあたる可能性がある
リヒター実際にここでは小規模だが精霊を介した術が発動していた
エステル精霊…です?
リヒターこの滝は精霊の住処だ。だからマナが溢れているし、祈りを捧げれば効果も発揮する
リヒターおそらくずっと昔からこの土地を守って来たのだろう
エステル初詣は年の初めにその土地を守る精霊などに家内安全や豊作などの祈りを捧げた儀式を簡略化したもの…
エステル現在では年始にお参りをするだけだがかつては年が明ける前から一晩中祈り続ける行事だった…です
リチャードなら、この滝にお参りして精霊に年始の挨拶をする事が本来の意味での初詣なんだね
リヒターそういう事だな。無論、社に参拝するだけでも構わんが直接挨拶する方が効果は高いだろう
エステルでしたら、みんなに、ここにお参りするよう教えた方がいいのでしょうか…?
リチャードどうだろうね。大勢が年始の挨拶に押し掛けると精霊もくたびれるんじゃないかな
エステルそれは…。はい、そうかもしれませんね…
リヒター俺も同感だ。精霊の住処などそう軽々しく人間に教えていいものではない
エステルでは、ここはこのままで。精霊さん…静かに過ごしてくださいね
リチャード…さて、エステル。お正月の風習についての調査も一段落ついたと思うけど…
エステルそうですね。けど、まだまだ知らない事がたくさんあると分かりました
エステルですから、その…もう少し調査を続けてもいいですか?
リチャードああ、勿論。僕も、人によってお正月の過ごし方や考え方の違いをもっと知りたいからね
リチャードもっといろんな人の話を聞いて調査結果をまとめよう
リヒター…俺の調査にも関係ありそうだな。その調査記録、後で見せてもらえるか
エステルはい、勿論です!それでは、調査を続けましょう!

NameDialogue
俺様が大道芸チャンピオン
フィリアまぁ、人がたくさん…。お祭りというだけあってとても賑やかですね
ゼロスシルヴァラントを挙げて盛り上げようって話だからな。交流のため他国の参加を募ったし
ゼロス俺さま達もその一環で呼ばれたんだろ?
フィリアはい。この広場で開かれる大道芸大会に神子も参加して欲しいと要望がありました
ゼロスコレットちゃんが用事で来られなかったのは残念だけど…
ゼロスフィリアちゃんが来てくれてよかったぜ!やっぱお祭りは華がなくちゃな!
フィリアえっと、ありがとうございます…?
フィリア大道芸大会にも審査員として参加しますから頑張ってくださいね
ゼロス勿論!フィリアちゃんのため──
???フィリアさんのためなら火の中水の中!全身全霊を掛けて頑張ります!
フィリアあなたは…!
コングマンお久しぶりです、フィリアさん!相変わらずお美しい!
フィリアコングマンさん…!
ゼロスおいおい、俺さまを遮るなよ!まったく。…おまえも大道芸大会に出るのか?
コングマンおう。祭りを盛り上げるために闘技場のチャンピオンである俺様にお声がかかったってわけよ
フィリアそうだったのですか。今回のお祭りは随分と力が入っているのですね
フィリア私も司祭として、襟を正さなければなりませんね
コングマンご安心ください、フィリアさん!このマイティ・コングマンがお祭りを必ず盛り上げてみせます!
ゼロス俺さまも頑張るぜ!子猫ちゃん達の黄色い声援を浴びるのが楽しみだ
コングマンふん、男の風上にも置けん奴め。俺様はフィリアさん一筋!あなただけのために頑張ります!
フィリアは、はい…えっと…よろしくお願いします
コングマンうおお、やるぞぉー!
コングマン…で。おめえも出し物は舞なのか
ゼロスおまえは獅子舞か。まあ、その身体でやると、さぞかし迫力あんだろうな
コングマンおう!それが見どころよ
ゼロス俺さまの舞の見どころは繊細な華麗さ!同じ舞でも全然違うって
コングマンそうだとしても、舞が続くと観客はまたかと思うやもしれん
ゼロスさすが闘技場の人気者。観客の喜ばせ方は心得てるってか?
コングマン俺様の出番は最後だからな。締めに相応しい盛り上がりを作らねばならないんだ
ゼロスけど、こういう祭りの出し物で舞ってのは定番だろ?観客もそんなに気にしないって
係員ゼロス様!そろそろご準備をお願いします!
ゼロスおっと、出番か。じゃあ、俺さまの華麗な舞を目に焼き付けとけよ
コングマン観客も気にしてない…か。確かにそうだろう。盛り下がったりはしないかもしれん
コングマンだが、心から盛り上がれるかどうかはまた別の話だ
観客の声ワーーーーーーー
コングマン…ゼロスの奴、やるじゃねえか。舞が続く中、この熱狂をさらに盛り上げるには…
ティアあら。ゼロスも舞だったのね
コングマンおお、ティアも参加してたのか。…ん?今、ゼロス「も」って言ったか…?
ティアええ。実は私の出し物も舞の予定なのよ
ティア私の場合は色とりどりの傘を使うの。ゼロスの舞とは少し違うのがせめてもの救いね
ジェイドいやはや、助かりましたよ。舞にもいろいろありますが完全に同じ芸の者はいないようで
ティア大佐!あなたも参加を?
ジェイドええ。他国からお誘いを受けては、無下にできませんからねぇ。ゼロスと同じような舞を披露しますよ
ジェイドもっとも私は彼のように自分の容姿を見せつける趣味はありませんからね。面を使います
コングマン面だと!?まさか獅子舞じゃねぇだろうな
ジェイドいえ、この仮面の事ですよ。舞の動きの中で变化術を披露する曲芸です
コングマンならいいが…俺様も、盛り上げるためにもう一捻り欲しくなってきたな
ティアそれはどうかしら。私は、大迫力を売りにした直球勝負が見てみたいと思うわ
コングマン迫力が売り、か。確かに俺様の場合はその方がいいかもしれんな…
観客の声おおおぉぉぉっ!
パチパチパチパチ──
コングマンん?何だ?
ティアゼロスの舞が終わって、キュキュの大道芸が始まったようね
キュキュ回す…飛ばす!高い高い!
キュキュそして──受ける!
パチパチパチパチ──
キュキュ次、もっと難しい。空中で受ける!
キュキュ練習でも、時々失敗。だから、成功したら拍手、お願い!
コングマンほう、舞以外の芸をする奴もいたんだな
ジェイド上手い口上ですね。成功するか否か…観客の緊張感が高まっていますよ
観客の声おおおぉぉぉっ!
パチパチパチパチ──
コングマン成功か!うぬぬ、すごい盛り上がり具合だ。迫力もある
コングマンこれは俺様もうかうかしてられんな
コングマン…いよいよ次が俺様の出番…。直前の演目はファラの演武だったか。なかなかいい動きをしていたな
コングマン俺様の迫力なら負けはせんが…観客達をもっと熱狂させるにはさらなる決め手が欲しいところだな
コングマン…そうだ!
コングマンファラ!舞台を降りるのをちょっと待ってくれ
ファラえっ…?
コングマン見事な演武だったぜ!闘技場のチャンピオンの俺様としては是非、おめえと戦いたいと思う
ファラいきなりだねえ。けど、面白そう!受けて立つよ!
コングマン即断即決、気に入った!だが、ここは闘技場じゃない。大道芸大会だ
コングマンだからただ戦うのではなく大道芸を絡めた勝負と行こうじゃないか
ファラ…?どういう事?
コングマン簡単だ。俺様は今から獅子舞をする
コングマンおめえは演武で俺様を攻撃するんだ。俺様の舞を止める事が出来ればおめえの勝ちだ!
ファラ踊りながら戦うって事?それって大きなハンデじゃない
コングマン悔しかったら止めて見せるんだな
ファラよぉし、見てなさい。後悔させてあげるんだから!
観客1いいぞ、マイティ!さすがチャンピオン!
観客2ファラさん、頑張れー!
コングマンよーし、行くぞ!試合開始だ!
ファラはっ!たぁっ!
バシッ、ガシッ!
コングマンふはは、いい拳だ。だが、まだまだ!
ファラはぁ、はぁ…うぅ、なんて頑丈なの
観客3ファラさん、大丈夫!?
観客4頑張れー!
ファラうん…!まだまだ…!イケる、イケる!
ファラこの一撃で!たああぁぁ──!!
ドカッ!
コングマンぐっ、効いたぜ…!だが…まだ、倒れねぇ…!
ファラあは…すごい。さすがチャンピオン。けど、わたしも、まだまだ。イケ…る…
ドサッ
コングマン限界を迎えて、まだ闘志を燃やすその意気やよし!だが…
コングマン俺様の勝ちだ!うおおお!アイ・アム・チャンピオン!
観客2ファラさん!
観客3演武の後だから疲れてたんだ
観客1ズルいぞマイティ!
コングマンなっ…!
コングマン(まずい… 盛り上がっていたはずなのに このままでは…)
フィリアファラさん!すぐに治療を!
コングマンフィリアさん…
ファラうぅ…ごめん、大丈夫だよ。ちょっと疲れただけ
ファラねぇ、チャンピオン。休憩したら、もう一度挑戦してもいいかな?
コングマン何…?
ファラこのままじゃ、わたしも、みんなも納得出来ないし!
コングマン…わかった、いいだろう
コングマンならその間、誰でも俺様の舞に挑戦していい事にしようじゃねえか!
コングマン俺様は舞い続ける!ファラの仇を討ちたい奴はどっからでもかかってこい!
観客達うおおおおぉぉぉぉっ!
観客1やっぱさすがだぜ、マイティ!
観客4俺も挑戦していいのか!?
コングマン誰でも何人でも何度でもドンと来い!チャンピオンは逃げないぜ!
ゼロスヒュー、粋な事するねぇ
キュキュキュキュも参加、いいのか?
ジェイド何人でも、という事ですし一斉にやってしまいましょうか
コングマンうっ、おめえらか…。ああ、構わん、来やがれ!まとめて相手してやろう!
コングマンフィリアさんのため…祭を盛り上げたいみんなのため…
コングマンそしてファラの心意気に応えるためにも、俺様はこんなところで倒れはせん!
観客達うぉぉぉぉぉぉ!マイティ!マイティ!マイティ!
ティアさすがチャンピオンね。最後にしっかり盛り上げたわ
ファラ見てなさい。体力が戻ったら、今度こそ!
フィリアあの…盛り上がるのは構いませんが怪我のないようにお願いしますね
コングマン任せてください!よおし、行くぞ!誰からでもかかって来い!ガハハハハ!

NameDialogue
作ろう!特製チョコレート
テレサ街が賑わっていますね。今日から開かれているというバレンタインフェアの影響でしょうか
テレサ皆さん楽しそうですね。…あら?
イリア…うーん…
テレサ浮かない顔をしていますね。どうかしましたか?何か困り事でも
イリアあ、テレサ。…そんな顔してた?何でもないわ、大丈夫
テレサ大丈夫には見えませんよ?
イリアいや…聞いたら呆れると思うし
テレサそんな顔をしている人を素通りは出来ませんから
イリアじゃあ話すけど…実は前のバレンタインに、勢いでつまんない約束をしちゃってね
ルカイリアが、僕に!?
ルカありがとう!すっっっごく嬉しいよ!
ルカあはは、やったー!バレンタインに、まさか、イリアからチョコをもらえるなんて!
イリアそれどういう意味!?
ルカごめん。正直、諦めかけてたからさ。嬉しくて嬉しくて…
イリアなあに、あんた期待してたってわけ?言っとくけど、ホワイトデーは三倍返しだからね!
ルカえっ!三倍!?
イリアホワイトデーだけじゃないわよ。次のバレンタインまでの一年間、この感謝を忘れずにいるように
イリアイシシシ。たっぷり奉仕してもらうわ!
ルカ…それって、来年のバレンタインもチョコをくれるって事?
イリア…!
イリアそんな事言ってないでしょ!バカルカ!
イリアそんな事言うなら、今回のチョコで一生分、こき使ってやるから!
ルカ話変わってない?感謝とこき使うのって、別物じゃ…
イリアあんたの場合は一緒なの!
イリア…ってね。それ以来、バレンタインの度にチョコを渡してるのよ
テレサそれは約束…ですか?
イリア同じようなものでしょ。あいつをこき使うためにチョコを渡すって言っちゃったんだし
テレサそれもまた話が変わっている気がしますが…独特な関係性なのですね
イリアまぁそんなわけで約束したはいいけど毎回チョコをあげるのはさすがに面倒だなって考えてたわけ
イリアね?呆れちゃうでしょ?
テレサ…呆れてほしいのですか?
イリアえ?
テレサ今の話…あなたは自分の気持ちを取るに足らない事だと自分自身に言い聞かせていませんか?
テレサ緊張して億劫になるのはわかりますが面倒という言葉に置き換えてしまうと本当に大切にしたい事を見失いますよ
イリア……
テレサあなたが本当はどうしたいのか…私に言う必要はありませんが、自分では認めてはどうでしょう?
テレサ自分で自分の心を縛る事をやめればきっと気分も軽やかになると思いますよ
イリア…随分と知った風な事を言ってくれるじゃないの
テレサ私は何も知りません。ただ…どんな状況でも、人を想う気持ちを隠す必要はないと思います
イリア…うーん、まぁ、そうなんだけど…正論をズケズケ言われると何か腹立つわねぇ
テレサいつものあなたに戻りましたね。気持ちも晴れたようですし私はこれで失礼します
イリアあー…そういう事か。うん、心配してくれて、ありがと
イリアはぁ…何だかなぁ…
イリアわかってんのよ、そんな事は…別にチョコをあげる事自体は今更どうとも思ってないし
イリア問題は、そのチョコなのよねー。毎回同じチョコってのも面白くない…でも、じゃあ何をあげれば喜ぶんだろ
マリーどうした?珍しく元気がないじゃないか。何か悩み事か?
イリアマリー!今日はよく声かけられる日ね…そんなに困って見えるのかしら?
マリーバレンタインフェアでみんな浮かれているからなおさら目立ってしまうのだろう
イリアフェアねぇ。思えばあいつと変な約束したのもフェアを手伝ったのが始まりだったわ
マリー…話を聞いてもいいか?
イリアいいわ。素直になった方が楽になるってさっきも言われちゃったしね
イリア実は…
マリー毎回違うお菓子を渡したい…か。優しいこだわりだな
イリアべ、別にそんなんじゃないわよ。ただ、せっかくだから、いろいろあげた方が面白いかなって
マリーそれが優しいんだろう。わたしはいつも同じ物を作るのだが今回は新しい物を作ってみようか
イリアどんなお菓子作るの?参考にさせてよ
マリーまだ考えていないが…材料をたくさん買ってきていろいろと試してみようと思う
イリアそれだったら、いい場所があるわ!材料も器具もたくさん揃ってて全部使い放題よ!
マリーそんな場所があるのか!?
イリア思えば、あたしも最初からそこに行けばよかったのよねぇ
イリア…素直にならないと見失うか。確かに思いつきもしなかったわね…
マリー…ん?
イリアこっちの話よ。じゃ、行きましょ!
イリアさあ、ここよ
マリーここは…バレンタインフェアで出すお菓子を作る厨房じゃないのか?
イリアそ。前にフェアを手伝った事があってそのよしみで入れてもらえるのよ
マリー確かにここなら、必要な材料も器具も揃っているが使っていいのか?
ジュディス問題ないわ。むしろ助かるぐらいよ
マリージュディス!助かる…ってどういう事だ?
ジュディス今、ちょうどフェアに出す新しいお菓子をみんなで開発していたところよ
イリアみんな?
ベルベットあら、あんた達も来たのね。…味見、手伝ってもらうわよ
ベリルぐふふ、ボクの感性を刺激してくれる事を期待するよ!
マリー料理の上手なベルベットに、芸術家のベリルか。心強いな
イリアマリーとジュディスも料理上手よね。あたし、手伝えるかしら
ジュディス勿論よ。あなたにはアイデアを出してほしいわ
ジュディスせっかく新しいお菓子を作るのなら普通のお菓子じゃ面白くないでしょ?
ジュディスいつもルカを弄り倒しているそのイタズラ心を活かして面白いお菓子を考えましょう?
イリアなるほど、それだったら任せて!いっくらでも思いつきそう!イシシシシ!
ベルベット早速、試作品を作るわよ。フェアに出すのなら急いだ方がいいんでしょう?
ベリル飾り付けは任せて!ぐふふ、腕がなるなぁ
マリーよし、とにかくやってみるか!
ベリルこれで仕上げ!
ベルベット一応、完成かしら?
マリーああ。見た目も華やかだし味も美味しく出来たと思う
イリアけど、何というか…
ジュディス普通に、クッキーねぇ。勿論、内容が普通じゃないのはわかっているけれど…
マリーうむ、どうしても知ってるお菓子を少し変えたようなものになってしまうな…
ベルベット材料も味付けも飾りも、これまでにない新しい物なのは確かよ
ジュディスでも…新しいクッキーではあるけれど新しいお菓子ではないわね。あくまでクッキーの範囲内というか…
イリアあたしのアイデアもなーんか、決まった!って感じがしないのよねー
マリークッキーの中からいろんな味のジャムが出てくるんだったな。わたしはいいと思うぞ
ジュディスええ、面白いと思うわ。でも何か一つインパクトに欠ける気がするのよねぇ…
ベリルリクツでは出来ているのに今ひとつピンと来ない…
ベリルそれは感性の刺激が足りないからなんじゃないかな!?
イリア感性の刺激…か。確かにそんな感じかも
ベリルもっと刺激を集めようよ!ほら、せっかくフェアで人がたくさん集まってるんだしさ
ベルベット参加者からアイデアを募るってわけ?
ベリルただアイデアを聞くんじゃないよ。いろんなアイデアから刺激を受けて自分の感性を刺激するんだよ
ジュディスなるほど、いいかもしれないわね。私達が作ってるのはフェアに出すものでもあるんだし
ジュディスお客さんの意見を取り入れつつ私達なりに工夫したものを作ればきっと喜んでもらえると思うわ
マリーわかった。それなら、わたしがお客さんに話を聞いてこよう
マリー時間もないだろうから、みんなは引き続きここで試作品を作っていてくれ
ベルベットたしかにそうね。急がないと新しいお菓子が出来てもフェアが終わってるなんて意味ないわ
ベリル作り続ける事で感性が育ってアイデアが出る事もあるもんね。聞き込みはマリーに任せるよ
マリーああ、任せてくれ!では感性の刺激を探して来るとしよう

NameDialogue
想いを届けるプレゼントsound/se/quest/qu124_se
カルセドニー…ん?街が騒がしいな。何かあったのか…?
リーガル割り込みは禁止だ、並んでくれ。最後尾はここだ
カルセドニー何の騒ぎだ?
リーガルああ、すまない。ホワイトデーフェアに出している我が社の商品が予想外の人気でな
リーガル今、列を整理しながら対策を打っているところだ。間もなく落ち着くと思う
カルセドニーそうか。何でもないならいいのだが……ホワイトデーフェアか。もうそんな時期なのだな
リーガルああ。今回は男女間の話だけでなく家族や友人など、あらゆる人への日頃のお返しを主題としたのだが…
リーガル予想以上に裾野が広がったようだ。ここまで人が集まるとはな
カルセドニー…ここなら僕のお返しを決める手がかりがあるかもしれないな…
リーガル何か悩んでいるのか?
カルセドニー実は恥ずかしい話なんだがあるお方からバレンタインに贈り物をいただいたのだ
カルセドニーどんなお返しをするのがいいかどうにも決めかねていてな
リーガルふむ…。なら、そこにある建物に行くといい
カルセドニー何かあるのか?
リーガルあそこは、贈り物を手作りする人のための施設だ
リーガル中にいる者達はそれぞれの想いをあそこで形にしている。参考になる事もあるだろう
カルセドニーなるほど、行ってみよう。ありがとう
リーガル健闘を祈っている
カルセドニーここか。甘い匂いがするな…お菓子を作ってる者が多いのか
カルセドニー早速、話を聞いてみるかすまない、少しいいか?
アッシュ…何だ?
カルセドニーおまえは、アッシュ…!意外だな…こういう催しに興味があるなんて
アッシュちっ、悪いか
カルセドニーいや、そういうわけではないが…そうだ、アッシュ。聞きたい事があるんだがいいだろうか
アッシュこっちは忙しいんだ。聞きたい事があるなら、早くしろ
カルセドニーアッシュは誰にどんなお返しをする予定なんだ?
アッシュふん、どうしてそんな事を教えなければならない
カルセドニーいや、言いたくないならいいんだ。ある人にお返しを考えているから参考にさせてもらおうと思ってな
アッシュ思いつかないなら普通でいいだろう
カルセドニーそうかもしれないが、相手は特別な身分の方…普通で済ますのは気が引ける
アッシュ…特別な身分、か…
アッシュ…それが何か関係あるのか?おまえがその相手を身分で敬いたいだけなら、それもいいだろう
アッシュだが、一人の人間として想うのならそんな気遣いは無用だろう
カルセドニー…!それは…
アッシュふん、後は自分でよく考えろ
カルセドニーありがとう。参考にさせてもらう
カルセドニー…さて、もう少し話を聞いてみるか…
ジュードあれ、カルセドニーも来たんだね!
スタン奇遇だな!
カルセドニージュードにスタンか。ああ、お返しを考える参考にな
ジュードそうなんだ。お菓子を作るなら、ここは材料も調理器具も揃っていていいよ
スタンお菓子の作り方も、係の人が丁寧に教えてくれるしな
カルセドニーそうか。教えてくれてありがとう。二人はどうしてお菓子を贈ろうと思ったんだ?
ジュードうーん、どうしてって言われても…そんなに深い理由はないかな
スタン俺はいつも何かと世話になってる妹やじっちゃんへ日頃のお返ししようと思ってさ
スタン妹はいつも美味しいご飯を作ってくれてるから、何となく食べ物がいいと思ったんだ
カルセドニー日常に根付いた感謝の印だから日常に根付いた食べ物を選択した…という事か
スタンええっと…そう、かな…?
カルセドニージュードも、そうなのか?
ジュード僕は少し違うかな。僕、チョコをもらった時すごく嬉しかったんだ
ジュード感激した気持ちを伝えるには一つ一つの作業に気持ちを込めてお菓子を作るのがいいかなと思って
カルセドニーその感激ならわかる!ならやはり、手作りのお菓子が一番いいお返しなのだな
ジュードうーん、それはどうだろう?僕はお菓子作りを選んだけどそれって人それぞれなんじゃない?
ジュード僕が感激したのは、チョコを僕に渡そうと考えてくれた気持ちに対してだし…
ジュードお返しって、その人の事をどれだけ考えるかって事だと思うんだ
カルセドニーどれだけ考えるか…
スタンそうだな。俺だって、ご飯を作ってくれてるから食べ物でっていうだけじゃない
スタン妹は毎日、愛情を込めた料理を作ってくれてる…。その事を俺はわかってるって伝えたい
スタンだからこそ、俺も気持ちを込めたお菓子を作ろうと思ったんだ
カルセドニー相手の事を想うと自然と贈り物が決まるか…
カルセドニー…僕はいつでも、あの方の事を考えている。なのに全然決められないんだ
ジュードうーん…「決められない」って事は浮かんでいるものはあるんだよね?それを絞り込めないって事?
カルセドニー言われてみれば…そうかもしれないな
ジュードきっとたくさんの想いが入り混じってるんだろうね
ジュードでもそれなら、どんな想いを一番伝えたいかを整理出来れば決められるんじゃないかな
カルセドニー気持ちの整理…か。思いもよらなかったな。ありがとう、二人共
ジュードうん、頑張って!
スタン手伝える事があったら、いつでも言ってくれよな!
カルセドニーああ、感謝する
カルセドニーさて、次は…
???みゅうううぅぅぅ…!!
カルセドニーん、何だ…!?うわっ!?
ドンッ
ミュウみゅう!ごめんなさいですの!お怪我はないですの?
カルセドニーああ。そっちも怪我はなさそうだな。どうしたんだ?急いでいたようだが…
ミュウミュウはお手伝いしてますの!頼まれた器具や材料をお届けするですの
ユアンミュウ、何を話し込んでいる。頼んでいた砂糖はどうした?
ミュウごめんなさいですの!こちらですのー!
ユアンご苦労。これで何とか数を揃えられるだろう
カルセドニー数…?
ユアンああ。部下達に配るのだ。たまには労ってやるのも悪くないだろうと思ってな
カルセドニー労う、か…なるほど。いろんなお返しがあるんだな
ミュウミュウもご主人様に日頃のお返しするですの!
カルセドニーおまえもお返しを?この施設の手伝い係ではなかったのか
ミュウみゅうぅぅぅ…。ボクは料理が作れないですの。だから手伝ってもらいたいんですの…
ミュウその代わりにみんなのお手伝いをしてるんですのー
カルセドニーなるほど、そういう事だったのか
アッシュ話が聞こえたが…妙な話だな。おまえはあの屑にお返しをするような事があるのか?
アッシュ普段のおまえに対する態度は、お返しどころか、仕返しをされても文句は言えないものだろう
ミュウみゅうぅぅぅ…。うまく言えないですの
ミュウボクはご主人様の事が大切ですの!それを伝えたいですの!
カルセドニー……。大切に想っている事を伝える…か
カルセドニーふふ、ははははっ!
ミュウみゅっ!?ボク何か、おかしな事を言ったですの?
カルセドニーいや、そうじゃないんだ。ただ、どうしてそんな単純な事に気づかなかったのかと思ってな
カルセドニーみんなの話を聞いてわかった。僕はあの方にいろいろな気持ちを抱きすぎている
カルセドニー愛する一人の女性として…騎士が守るべき姫君として…人の上に立ち導く尊い方として…
カルセドニー僕はあらゆる意味においてあの方を一番に想い、感謝し、労いたいと思っている
カルセドニーだからこそ、どの想いを伝えるべきか絞り切れなくて悩んでいたんだ
カルセドニーしかしミュウの話を聞いてその悩みが無意味なものだと思い知らされた
ミュウみゅ?
カルセドニー僕はあの方を大切に想っている。重要なのはその一点だけなのだ
アッシュふん、長々と語ったと思えば最初に俺が言った事だろう
ミュウお役に立ててよかったですの!お菓子を作るならボクがお手伝いするですのー!
カルセドニー……いや。僕はお菓子は作らない。僕の気持ちを伝えるなら…一輪の花だ
カルセドニーあの方自身を表す青いバラ…それを僕の贈り物としよう
アッシュ…相手を表す花、か。ふん、考えたな
ユアンそれなら確かレザレノ・カンパニーがそういった物を仕入れていたか…
カルセドニー外で行列を作っていた店か。後で見に行こう。だが、その前に…
カルセドニーその、参考までに聞かせて欲しいのだが…いい贈り物の渡し方は、ないだろうか
ミュウ渡し方があるんですの?
アッシュ相手に渡す時の演出を考えたいという事だろう
カルセドニーまぁ、そういう事だ。それにせっかくだから喜んでもらえる演出をしたいからな
アッシュそれこそおまえ次第だろう。洒落た店に呼び出すなり勝手に考えろ
カルセドニー洒落た店、か。ありがとう、参考にさせてもらう
アッシュ…ちっ
ユアン参考にするのはいいが、一人や二人に聞いただけではただの模倣になってしまうだろう
ユアン大勢の話を聞き、学び、模倣ではない自分なりの答えを探す事だな
カルセドニーそうだな。せっかくだ、外にいる参加者達にも話を聞いてまわるとしよう

NameDialogue
カマ~ンお花見!名曲誕生
ジョニーうーん、満員御礼、盛り上がってるねぇ。お花見はこうでなくちゃ
ジョニー桜も見事に満開だ。こいつはいい歌が浮かびそうだぞ
ジョニー…おっ、あそこにいるのは──
ルビアわぁ、綺麗な桜。花弁がひらひら舞って、とっても素敵ね
ジョニーおー、可憐な少女よ~♪満開の桜に見守られ~♪舞い踊れ妖精のように~♪
ルビアな、何ですか、急に!?
ジョニー新しいジョニーナンバー…つまり新曲さ。題名は『花の妖精の輪舞曲』
ジョニーおまえさんを見かけた瞬間、自然と浮かんで来たんだ。今日は調子がよさそうだぜ
ルビアあたしの歌…!?花の妖精、だなんて何だか照れますね
ジョニーおまえさんと桜吹雪の組み合わせ…まだ新たな歌が浮かびそうなんだ。少し同行させてもらってもいいかい?
ルビアあたしはお散歩していただけですからいいですよ
ジョニーそれじゃあ、行こうか。新しい歌を求めて
リアラあっ、ジョニーさん。曲を作ってるんですか?
ジョニーああ、見事な桜にいい歌が浮かびそうでな。おまえさんはお花見か?
リアラはい、そんなところです。今日の桜は特別ですから
ルビア特別…?あ、満開って事?
リアラただの満開じゃないわ。今日は歴史に残る出来事が起こる…わたしはそれを見届けに来たのよ
ルビア歴史に残る出来事…?
ジョニーはは、確かにこれだけ素敵な景色だと何かが起こりそうな気がするな
ジョニーそういう感性、俺は好きだぜ。おっ、いい歌が浮かんできたぞ
ジョニー花に刻まれし記憶と~♪胸に刻んだ歴史を~♪
ジョニー語り継げ~♪その瞳に~♪映るものを信じて~♪
ジョニー題名は…そうだな…『儚き少女と歴史の賛歌』
リアラわたしの歌ですか…?すごい、こんな短時間で…
ジョニー今日は調子がいいんだ。それに題材が素敵だからな
リアラふふ、素敵だなんて…。あの…ジョニーさん。わたしも一緒に行っていいですか?
リアラジョニーさんが作る歌、もっと聞きたいんです
ジョニーそう言われて断る理由なんてないさ。一緒に行こうぜ。なあ、ルビア?
ルビアもちろん。お花はみんなで見た方が楽しいですもんね
リアラありがとう
リアラジョニーさんについて行けば…わたし達の時代に語り継がれているあの瞬間に出会えるはず…
ジョニー…おや?そこにおられるのは、まさか…
リアラリチャード…!と、一緒にいるのは、まさか…
リチャードやぁ。君達もお花見かな?よかったら一緒にどうだい?
ナタリアお弁当もたくさんありますわよ
エレノアお茶菓子の用意もありますから是非、皆さんもどうぞ
リチャード今日は無礼講だからね。国も身分も関係なく、この見事な桜を楽しもうじゃないか
ルビア国も身分も…って言っても、この組み合わせ、ただ事じゃないですよ
ルビアもしかしてリアラが言うように、本当に歴史的な事件がここで起こるの…!?
リチャードはは、大げさだよ。僕達はただ、お花見を楽しんでいるだけさ
ナタリアええ。リチャード陛下やエレノアと偶然お会いしただけですわ。特別な意味はありませんのよ
エレノア私も恐れ多いと思ったんですが、気さくにお誘いくださるのでお言葉に甘えたんです
リチャード桜を見ていて思ったんだ。花を愛でる間ぐらい、国や身分の事は忘れるべきだってね
リチャード桜は誰の上にでも平等に美しい姿を見せてくれる
リチャード風に吹かれて散る時ですら美しさを損なわず、万人に平等であり続ける…
リチャード僕はそういう王に──いや、そういう人間になりたい。だからみんなでお花見をと思ったんだ
ナタリア私達も、そのお話に感銘を受けてこうしてご一緒させていただいてるんですのよ
リアラそうだったんですね
ジョニー素晴らしい話だ!俺も感銘を受けたぜ
ジョニー何か…湧き上がってくるぞ!熱い想い…!熱い歌が…!
ジョニーイエーイ!来たぜ!題名は『風と桜のプレリュード』
リアラ…!
ナタリア歌ですか?いいですわね、お花見らしくて
リチャードああ。是非聴かせてほしい
ジョニー勿論さ!行くぜ!
ジョニーおお、咲き誇れ~♪王も民も魅了して~♪果てなき空~飽くなき桜~♪
ルビアあはは、こんなに楽しい雰囲気なら歴史的な大事件って感じじゃないわね
リアラふふ…でも実は、今まさに、歴史的事件が起こっていたりして
ルビアえっ…?
リアラ『風と桜のプレリュード』…まだ粗削りだけど、これが完成すれば後世まで語り継がれる名曲になるわ
ジョニーそんなに気に入ってくれたのかい?だが粗削りとは言ってくれるね
ジョニー確かに俺も、どこか物足りないような気がしていたところだ。おまえさんも、そう感じるんだな?
リアラええ。勿論、今の曲も素晴らしいわ。けれど、磨けばもっともっと素晴らしい曲になるはずよ
リアラ(だって未来では… もっと素晴らしい歌詞で 万人を感動させているもの)
ジョニーいいだろう。おまえさんのその期待に応えようじゃないか
ジョニーこの桜のように、誰の心にも等しく響く最高の歌を完成させてやるぜ!
リアラええ!ジョニーさんなら出来ます!
リチャード後世まで語り継がれる名曲とはジョニーとはいえ簡単ではなさそうだね
ナタリアええ。でも是非聴いてみたいですわ
エレノアそうですね!夢のような話ですけど信じたいです
ルビアジョニーさん、頑張ってください
ジョニーああ。言っておくけど、夢ってほどあり得ない話でもないぜ
ジョニーこの桜は、誰にでも平等に美しい。だったら、みんなのその桜への想いを集めた歌にすればいいんだ
リチャードなるほど。名案だね
ジョニーこれだけ花見客がいるんだ。みんなの桜に対する想いを聞いて回れば、歌が出来上がるだろう
ジョニー必ず歌を完成させるから待っててくれよ
リアラはい、いつまでも待っています。わたし、その歌が誕生する瞬間を間近で見たくてここに来たんですから
ジョニー人をその気にさせるのが上手いな。それじゃ、作詞開始だ!

NameDialogue
パジャマパーティー
レイアふー、いいお湯だった~さっすがウィンドル城、お風呂も広いねー
ロゼお、レイアも上がってきたね。これをあげよう
レイア何これ?
ロゼ新商品のアイマスクだよ。朝までぐっすり快眠保証!他にも快眠グッズいろいろあるよ
レイアいいね、ありがとう!けど、出番はないかもしれないよ
レイア今夜は楽しいパジャマパーティー!朝までたっくさん盛り上がるからね!
ロゼ朝までか~、それもいいね。でも、この快眠グッズ達の誘惑に勝てるかな~?
レイアうぅぅ…確かに気になる…限界がきたら使わせてもらおっと
レイアねぇねぇ、ところで、リタとアニスが遊んでるそれ何?
リタカードゲームよ。論理的に戦略を立てて相手の手を読むあたしの得意分野だったんだけど…
リタこの子、意外とやるわ。手が読めないのよ
アニスそんな事ないですよぅ。私も余裕ないし…次はこのカードで、どうかなぁ
リタそうくるわけね。でもそれじゃあ、このカードを出したらあんたもう手がなくなるはずでしょ
アニスはうあ!どうしよー!──なーんて
アニス騙されたね!最後に残ったこのカードで大逆転!私の勝ちぃー!
リタうそ!?そのカードがあるなら、もっと早く使うでしょ!?
アニスそう思わせる作戦だもん
レイアあはは、何だか面白そうだね。よーし、次はわたしも入れてよ。リタの仇を取るんだから!
アニスえー、いいけどぉ…レイア相手だと細かい演技が効かなさそうな予感…
ロゼせっかくだし、みんなでやろうよ。何人でも出来るんでしょ?
レイアそうだね。シェリアも入る?
シェリアええ、後で混ぜてもらうわ
レイアって、シェリア、何それ?顔…?
シェリアエステルの化粧品箱を見せてもらってるんだけど…これは何かわからないのよね
ロゼあ、知ってる。パックって言うんだよ
アニス私も使ってるよ。お肌の手入れが出来るんだ~
ロゼそうそう。美容にいい成分が染み込んでて、顔に貼り付けて使うんだよ
レイアへぇ、私も使ってみたいな
レイアところでエステルは?このパジャマパーティーの主催者なのに、どこ行ったんだろ
エステル呼びました?
レイアあ、いた!
エステル温かい飲み物を淹れてきたんです。よかったら召し上がってください
ロゼありがとう!エステルが自分で淹れたの?
エステルはい。パジャマパーティーは私的に特別なお友達を集めて行うものですから
エステル人には頼らず、自分でおもてなしをしたいと思ったんです
ロゼへぇ、拘りがあるんだね
エステル拘りと言いますか…こういうパジャマパーティーが憧れだったんです
エステル今日は、立場を忘れてみんなのお友達として過ごさせてください
アニスじゃあ、無礼講って事で接待なしでコテンパンにしてもいいって事だよね♪
エステルコテンパン…?何の話です?
レイアみんなでカードゲームやろうって話してたの
エステルカードゲーム!いいですね、やりましょう!
シェリアすごく嬉しそうね。カードゲーム好きなの?
エステルだって、パジャマパーティーらしくないです?
エステルお友達とお化粧の話をしたりカードゲームをしたり…わたしの憧れ、そのものです
リタ…大げさね。呼んでくれればいつでも泊まりにくるのに
エステルありがとうございます。是非、またやりましょうね!
レイア次の事も大切だけど、今夜だってまだまだ長いよ!思いっきり楽しもう!
エステルはい。ではまずみんなでカードゲームですね
シェリアねぇ、せっかくだから、負けた人は秘密を打ち明ける…っていうのはどう?
レイアいいね、それ!
リタあたしは反対。秘密なのにどうして打ち明けなきゃならないのよ
アニスあれぇ?勝つ自信ないの?
リタそうじゃなくて、理不尽だって言ってるのよ
エステルお願いします、リタ。お友達同士でナイショのお話をする…それもわたしの憧れの一つなんです
リタ…ったく、しょうがないわね。その代わり、容赦しないわよ。絶対に負けないから
ロゼよし、決まりだね!どんな話が飛び出すのか楽しみー!

NameDialogue
学園番長の座は誰の手に?
ライラようこそ、当学園へ。あなたが転入生の──
リオンリオン・マグナスだ
ライラはい、リオンさん。私は学園長のライラです。今日からよろしくお願いしますね
リオンああ
ライラ緊張していますか?もっと笑ってください。その方がお友達がたくさん出来ますよ
リオン余計なお世話だ。くだらない事を言ってないで、早く転入の手続きを進めろ
ライラ手続きはもう終わってます。後は担任の先生に紹介するだけですわ
リオンなら、早くしろ
ライラそうしたいのですが、職員室にいなかったんですよね
ライラそうですわ。学園の案内がてら、一緒に捜しに行きましょうか
リオン捜す?どうして僕が…
ライラいいからいいから。さぁ、行きましょう!
リオン……
ライラ…と、ここまでが校庭です。意外と広いでしょう?
リオンこんな端まで案内する必要はないだろ
ライラそれがあるんですよ。おそらく、この辺りに…
ライラ…あ、いました!レイヴン先生!こんなところで休憩ですか?
レイヴンあら、学園長。ちょっと朝の散歩をね。…と、そっちは見ない顔じゃない
ライラあなたのクラスに転入してきたリオンさんです
レイヴンあー、そういや今日だったわね。ごめんごめん、おっさんすっかり忘れてたわ
リオン…お前が担任か
レイヴンそういう事。俺様はレイヴン。よろしく頼むな、少年
ライラレイヴン先生。私は用事があるので彼に学園を案内してあげてください。ここまでに回った場所は──…
レイヴンあいあい~。ま、始業までそんなに時間もないし適当にブラブラしながら教室向かうわ
レイヴンというわけで、行こうぜ少年
リオン…ああ
レイヴン…で、ここが校舎裏。不良がよくここでサボってるからあんまし近づかない方がいいわよ
リオンだったら、どうしてわざわざ連れて来る
レイヴンんー、まぁ他はあらかた案内したしついでに、サボってる不良がいないか見とくかなあと思ってね
リオン…まさかさっき校庭にいたのもそういう生徒を見張るためか?
レイヴンまさか。それはちと買いかぶりすぎよ
レイヴン…さて。ちょいとここで待っててくれる?
リオン何だ?
レイヴンおっさん、急に、もよおしてきちゃってさ~小用を足してくるわ
リオン…早くしろ
レイヴンはいはい。んじゃ、行ってきまーす
リオン…まったく
キーンコーンカーンコーン──
リオン…予鈴か。しまった、教室の場所を聞いて先に行っておくべきだった
リオン仕方ない、待つしかないか…
シャーリィあのー…すみません、少しいいでしょうか
リオン…誰だ
シャーリィわたし、新入生のシャーリィといいます。まだ慣れなくて道に迷ってしまって…
リオン生憎だな。僕も今日転入してきたばかりだ
シャーリィあ、そうだったんですね。困ったな、どうしよう…
リオン…ここで待っていれば教師が戻ってくる。奴に聞けばどうにかなるだろう
シャーリィ本当ですか!?よかったぁ…ありがとうございます
ヒスイこれに懲りたらとっとと失せな
男子生徒す、すみませんでした!
スパーダてめぇの教室はそっちじゃねーぞ!…ったく“番長”ってのも大変だな
ヒスイ筋の通らねぇ事をする奴が許せねぇだけだ
スパーダへっ、同感だ。予鈴も鳴ったし、オレ達も教室に急ごうぜ、ヒスイ
ヒスイその前に、校舎裏も見に行くぞ
スパーダへいへい。見回りも楽じゃねーな
スパーダん?見慣れない奴がいるな
ヒスイ一緒にいるのは確か…セネルの妹だったな。こんな所でサボるような子なのか?
スパーダいや、真面目な子だって聞いたぜ。…って事は、あの目つきの悪い野郎に…?
ヒスイ…行くぞ
スパーダおう!
ヒスイおい、お前、何してやがる
リオン…誰だ
スパーダあん?てめぇ、番長のヒスイを知らねぇのか?
リオン知らん。何の用だ
ヒスイ何してんだって聞いてんだ
リオン答える義理はない
スパーダ…って事はやっぱり人に言えないような事をしてやがったんだな!
リオンお前達には関係ない
ヒスイああ?いいぜ、てめぇは勝手にしろ。だが、その子は別だ
シャーリィえ、わたしですか…?
ヒスイてめぇがサボるのに新入生を巻き込むんじゃねぇ。その子をこっちへ渡せ!
リオンふん。巻き込まれているのはこちらだ
スパーダちっ、押し問答してる時間はねぇ。ヒスイ、こうなったら力尽くで!
リオン…来るなら来い
シャーリィあ、あの、待ってください。何か話がおかしい気が…
レイヴンお待たせ──…あら?これどういう状況?
シャーリィ先生!よかった…実は…
レイヴンえーと、つまり…ヒスイ達は、リオンを誤解してシャーリィちゃんを助けようとした
ヒスイああ
レイヴンで、リオンは不良に絡まれたと思ってシャーリィちゃんを守ろうとしたと。かっこいいねぇ
リオン茶化すな。ただの成り行きだ
レイヴンま、どっちも正しい事をしようとしたわけだけど、誤解があったって事だねぇ
レイヴンヒスイ達はこう見えて不良達の面倒見てくれてるのよね
スパーダ先に誤解したのはオレ達だ。謝るぜ。すまねェ、リオン
ヒスイ悪かったな。始業までにシャーリィを教室に送ってやろうと思ったからよ
レイヴンおっと、そうだった。嬢ちゃんはもういいから、教室に行ってな
レイヴン教室はあっちの方にずっと行って、右に曲がった辺りから入ればわかるわよ
シャーリィはい。あの、皆さん、誤解とはいえわたしを守ろうとしてくれてありがとうございました
シャーリィではお先に失礼しますね
レイヴン気を付けてねー
レイヴン…で、問題はこっちの三人か。ま、誤解はもう解けたんだからリオンも謝って、終わりにしようや
リオン…なぜ僕が謝らなければならない。勘違いしたのは、そいつらだろう
レイヴンいや、それはそうだけどさ
リオンそもそも、威圧的に番長だのと名乗り力尽くで相手を制そうとするからこういう事態になるんだ
スパーダおい、待てよ。黙って聞いてりゃ、お前の方こそ勘違いしてるぜ
スパーダヒスイは、みんなから頼られてるから親しみを込めて番長って呼ばれてるんだ
リオンどうだかな。バカな不良仲間に慕われてるだけじゃないのか
ヒスイおい、聞き捨てならねぇな。俺を慕ってくれてる奴らまでバカにするんじゃねぇ!
レイヴンあーあー、まとまりかけてたのにどうしてややこしくしちゃうのよ
リオン事実を言ったまでだ
スパーダ待てよ、人の勘違いを責めておいて自分は好き勝手言いたい放題かよ
リオン違うというのなら証明してみせろ
レイヴンあー、じゃあ、慕われてるって証明するために選挙すれば?
ヒスイおいおい、先生。生徒会長を決めるってんじゃねぇんだぞ
スパーダ適当に誤魔化して終わらせようとすんなよ。オレ達のメンツがかかってんだ!
リオンそんな事をして何になる。もう少し考えて発言するんだな
レイヴンええ~、ダメ~?
レイヴン(よしよし、怒りの矛先は 俺に向いた…っと。 後は適当に謝って解散にすれば…)
???いいですわね。やりましょう!
レイヴンへ?
ライラシャーリィさんから話を聞いて来てみれば…さすがレイヴン先生ですね
ライラ番長だって学園の生徒を代表する存在です。正式に選挙で決めましょう!
スパーダいや、番長ってそういうものじゃないだろ。他の不良連中が納得するかどうか…
リオンふん、やはり生徒に認められてなどいないのだろう
スパーダ何!?
ヒスイそこまで言われちゃ引き下がれねぇな。その勝負、受けて立つぜ!
スパーダヒスイ。オレも手伝うぜ。他の連中にも声かけてすぐに票を集めてやる
リオンくだらんな、勝手にしろ
レイヴンあーらら。適当に言った事がまさか実現しちまうとはねぇ
ライラこれこそ青春ですわ!どんな結果が出るか楽しみですわね♪

NameDialogue
憧れのウェディングドレス
???おお、そこ行く美少女!お主じゃお主!ちょいと話を聞いてはくれんか!?
アニー…えっ?わたしですか?
マギルゥそう、お主じゃ!その美しさ、世のため人のために役立ててみる気はないかえ?
アニー美しいなんて、そんな…。でも世のため人のためって、どういう事ですか?
マギルゥ実はウェディングドレスを試着してくれる女子を捜しておってのう
マギルゥ老若男女を魅了する麗しき女子に声をかけてまわっておったのじゃよ
アニーわたしは、そんな…
マギルゥ謙遜するでない。滅多に着られない美しい衣装じゃぞ。興味あるじゃろう?
アニー興味は…ありますけど…ウェディングドレスって、一体、どういう…?
マギルゥならば遠慮は無用!さあ、一名様ご案内~♪
アニーえっ、あ、あの…!?
マギルゥさあさあ、こっちじゃこっちじゃ!
アニーあの、わたし、まだよく事情が…
アーチェあれ、アニーじゃん
アニーアーチェさん!それに、シェリアさん、カノンノさんマルタさんも…
カノンノアニーも試着を頼まれたんだね
アニーという事は、みなさんも…?
シェリアええ。ウェディングドレスの試着なんてなかなか出来ないもの
マルタそうそう。断る理由なんてないよね
カノンノどんなドレスなのかな。ワクワクするね。アニーはどんなのが好き?
アニーえっと、わたしは…そうですね、大きなリボンとか付いてるといいかも…
シェリアリボンか…いいわね。あぁ、ドキドキしてきちゃった。着替えるのが楽しみだわ
アーチェでもさ、ここで待ってろって言われてもうかなり経つよ。いつまで待てばいいの?
マギルゥふむ…。これだけ人数がいればよかろう。そろそろ始めるとするかの
アーチェやったー!ドレスはどこ?早速着替えようよ!
マギルゥ待て待て。その前にいろいろと説明せねばいかんのじゃ
マルタドレスの着付けとか?難しいのかな…
マギルゥなあに、実はお主達にはドレスを着て行ってもらいたい場所があるのじゃよ
カノンノウェディングドレスのままお出かけするの?
マギルゥそう。行先は…
マギルゥ山!森!湖!
マギルゥその他様々な場所、お天道様の下での試着を頼みたくての
シェリア外で…?でも、ドレスが汚れてしまうんじゃないかしら
マギルゥそれじゃ!まさにそれを確かめてほしいんじゃよ
マルタえっと…つまり何をさせたいの?
アーチェもったいぶってないで、教えてよ~
マギルゥま、平たく言うと、新しい挙式プランの検証じゃな
マギルゥとある会社で、森や山やその他色々、特別な場所で式を挙げるプランを売り出したのじゃが…
マギルゥこれが、ちーっとも売れん。理由は、シェリアの言う通り、ドレスが汚れそうというものじゃ
アニー野外となると足元も気になりますよね。ドレス姿で歩きやすい場所なのか…
マギルゥうむ、それも重要じゃな。しかし、いかに万全に準備すると言葉で説明しても説得力がないらしい
マギルゥそこで実際にドレス姿で候補地に出向き、具合を確かめようというのが今回の目的というわけじゃ
シェリアつまり、私達はその調査のお手伝いをするって事ね
アーチェなーんだ、美少女とか何とかやたらと褒めてくれると思ったら利用するつもりで呼び込んでたのね
カノンノでもドレスが着られる事に変わりはないし、別にいいんじゃないかな
アニーええ。むしろ人助けになるのなら喜んで手伝います
マルタうんうん。いろんな場所で試着出来るのも楽しそうじゃない
マギルゥ話はまとまったのう
アーチェところでさ。あたし達はマギルゥに誘われたけどマギルゥはどうして手伝ってるの?
マギルゥギクゥ!な、何じゃ、儂が世のため人のために献身的に働いてはいかんのか!?
アーチェべっつにぃ~。けど、今の反応は何だか怪しいなぁ~
シェリアもしかして、まだ何か隠してるの?
マギルゥま、冗談はおいといて儂はただ、協力したらドレスをもらえるというでの
カノンノあ、いいなー
マギルゥ仕方がないのう。お主たちも、もらえるように儂が交渉しておいてやろう
アーチェやったー!
マギルゥじゃが、もらえるからといってドレスが汚れぬよう尻込みするでないぞ?
アニー確かに、自然に振舞わないと検証になりませんよね
マギルゥそういう事じゃのー♪
シェリアだから内緒にしてたのね。任せて。そこはちゃんと割り切るわ
マギルゥならばよし!では、いざ、ウェディングドレス試着調査の旅に出発じゃー!
一同おー!
マギルゥ…ふ~紹介料の話はバレずに済んだのうさて、せっかくじゃ楽しむとするかの

NameDialogue
ウェディングフェア
シングいらっしゃいませ、ウェディングフェアへようこそ!
ルドガー結婚式場の見学会へご参加ですね。ご案内します。どうぞこちらへ
キールまったく、なんて忙しさだ。オープン記念にしたって次から次へと人がくる
アッシュだから仕方なく手伝ってやってるんだろう
クラトスでは、無駄口を叩かずさっさと動く事だな
アッシュちっ、わかってる
ザビーダおいおい、そうギスギスすんなって。これから結婚式を挙げようっていうめでたい客を迎えるんだぜ
ザビーダ笑顔で行こうぜ、笑顔で
アッシュ…ふん。俺にそんなものを望むな
クラトス若い夫婦の門出に水を差すような事はしない
ザビーダったく。明るい未来への第一歩なんだ、明るい気持ちで手伝ってやろうぜ
キール三人共、いつまでも喋ってないで仕事をしてくれ。シングとルドガーは走り回ってるぞ
ザビーダおっと、悪ぃ。行こうぜ、お二人さん
アッシュああ
クラトス……
クラトス『明るい未来への第一歩』か…
ルドガー…ふぅ、今ので最後のお客さんか
シングみんなお疲れ様。明日も頑張ろう!
キール明日もか…ぼくはもうフラフラなんだが…
クラトス弱音を吐くな
キール仕方ないだろ。動き回ったり、客と話したり、こういうのは性に合わないんだ
ルドガー性に合わないと言うわりには客に振り回されても上手く対応してたように見えたぞ
キール勿論、対応はするよ。客にとっては一生に関わる事だし、いい加減な事はしたくない
クラトスそれがわかっているなら、弱音など吐かず、最後まで責任を持て
キール…手厳しいな。ちょっと疲れて口が滑ったんだ。心配しなくても明日からまた頑張るよ
クラトス…そうか。それなら構わん
アッシュ…ところでザビーダがいないようだがどこに行った?
ルドガーさっきオーナーに呼ばれてたみたいだけど…あっ、戻ってきた
ザビーダおっ、揃ってるな。ちょうどよかった
ザビーダほれ、オーナーからの差し入れだぜ
シング差し入れ?何だろ?
キールこれは…服か?
クラトスこれは新郎の着る服だろう
ザビーダ人によって違うらしいぜ。招待客用の服だったり、いろいろだとさ
アッシュ…いい仕立てだが、着る予定はないぞ
ルドガーそうだな。普段着にするわけにもいかないし…
ザビーダいや、着る事になるぜ。明日からこの場所でな
シングここで?どういう事?
ザビーダ明日からこれを着て仕事してほしいんだとさ
ザビーダ何でも式場だけじゃなくオリジナルブランドの衣装も売り込んでほしいって話だぜ
キールなるほど…でも招待客用はともかく、新郎の衣装は特別なものだろう?
キールスタッフが着ているものを本番で着たいと思うだろうか
ザビーダそこは心配ねぇよ。こいつはデザイナーが俺達に合わせて作った特注品なんだと
ザビーダだから新郎にはまた別の衣装を特注で作るっつーわけだ。俺達はその品質を見せつけりゃいい
ザビーダで、そんなわけだから、仕事が終わったらそのままもらっちまっていいって話だぜ
ルドガーいいのか?こんな高そうなもの…
ザビーダああ。だから差し入れだって言ったろ?
シングやった!ねぇ、さっそく着てみない?
アッシュどうせ明日着るだろう
シングそう言わないでさー。みんなどんな服をもらったか見てみたいしさ!
キールまあ、不具合があっても困る。事前に確認しておくのは賛成だ
ルドガーなるほど。俺も確認しておきたいな。着替えてみようか
アッシュ…ちっ。さっさと、済ませるぞ
シングやったー!
クラトス……
シングわぁ!みんな、カッコイイな!
ザビーダモデルがいいからな
アッシュ自惚れるな。いい服を着れば、誰でも少しは見れるようになる
ザビーダさっきから服のよさは認めてるな。アッシュにしちゃ珍しいじゃねえの
アッシュまぁな。さすがは特注品というだけある。文句のつけようがない
キールああ。身体にぴったり合っていて動きやすい。一体、いつ採寸されたんだ?
ザビーダ職人の目視らしいぜ。働く俺達の動きを見れば、最適な大きさがわかるんだと
ルドガーもはや神業だな。ここまですごいと、お客さんにもお薦めしやすいな
シングだね。仕事じゃなくても、みんなにお薦めしたいぐらいだ
クラトス……
シングん…?クラトス、どうしたんだ?
クラトスああ…何でもない。少し思うところがあってな
キール服に何か問題があったのか?それなら早い内に報告した方がいい
クラトス大丈夫だ。服の事ではない
クラトス少し昔の事を──いや、考え事をしていただけだ
ルドガー事情はわからないけど、無理はしなくていいんじゃないか?普段通りの服でも
クラトス気にさせて、すまんな
ザビーダ…ま、そう言うなら気にしない事にしようぜ
クラトスああ。それにキールが言っていた通り一生に関わる事
クラトス夫婦の明るい未来を後押し出来るというのは悪くない
ルドガーわかった。それじゃ、明日からはみんなこの格好で仕事だな
シングああ、楽しみだな!
キール服のお蔭か、不思議と気が引き締まるしな
アッシュ服分は働いてやらなくもない
ザビーダそれじゃ、引き続き頑張ろうぜ!

NameDialogue
南の海の大騒動!?
チャットさぁ、着きましたよ。この島です!イカリを降ろしてください!
ソフィアイアイサー!
グリューネソフィちゃんったら、まるで海賊さんみたいねぇ
パティみんな、水着に着替えたかの?
パティここは人のいない離島じゃ。港もないから、島まで泳いで渡るしかないのじゃ
レイア準備ばっちりだよ
アイゼンああ。いつでもいいぞ
ジーニアスみんなもう着替えたの?はしゃいじゃって、子どもだなぁ
プレセア着替えてきましたが…いけませんでしたか?
ジーニアスプレセア!そ、その、水着、よ、よく、ににに、にあう…ね!
プレセア…?ありがとうございます
ジーニアスボクもすぐ着替えて来るよ!
クラースはは、青春だな
クラースさて、私はどうしたものか…海に入るつもりはなかったから水着を持ってきてないんだ
チャットでは上陸用の小型船を使いましょう。全員は乗れませんが他にも同乗したい方がいればどうぞ
クラースありがとう、助かるよ
アイゼン……
クラースどうした。アイゼンも乗るか?
アイゼンいや、大丈夫だ。こいつらがあれば問題ない
レイアねぇ、海に入るつもりはないって言ってたけど、クラースはどうしてここに来たの?
クラース研究の一環でな。近海のマナの流れを調べていたらこの島に何かありそうでね
クラースそこでチャットに頼んで船を出してもらったというわけだ
チャットそのお話からお宝の気配を感じたのでパティさんとアイゼンさんにお声がけして…
パティ泳ぐのにもよい島じゃからとうちがレイア達を誘ったのじゃ
レイアへぇ、そうだったんだ
ソフィキャプテン。イカリ、降ろしたよ
チャットでは、ぼくも着替えてきます。張り切って上陸しましょう!
クラースさて、私は早速、調査といくか。みんなも、何か不思議な物などを見つけたら教えてほしい
プレセアわかりました
グリューネと~ってもいい場所ねぇ
レイアうん、日差しは強いけど風があって気持ちいいし何かこう、夏!…って感じがする
ソフィわたし、どこまで泳げるか試してみたい
アイゼンあまり遠くまで行くなよ。沖で潮に流されたら戻ってこられなくなるぞ
ジーニアスプレセア、見て!完成だよ!
プレセア素晴らしいです。でも気になるところがあるので少し触らせてください
チャットこれは…!クラースさん、不思議な宝石のような物を見つけましたよ
パティ宝石とな!?…うん?それはシーグラスじゃな
アイゼンああ。綺麗だが波にもまれたガラス片だ。そう珍しいものではないだろう
チャットう~ん、ぼくもそう思うんですけど何か不思議な力を感じるんです
アイゼン確かにマナが宿っている。それを感じ取ったんだろう
クラースほう。私は精霊との契約に宝石を用いるが、それに近い性質があるのかもしれんな
チャットなるほど…じゃあお宝ってわけじゃないんですね
クラースいや、学術的な価値は高いぞ。やはりここに調査に来たのは正解だったようだ
クラース島の奥にも行ってみよう
チャットぼくも行きます。変わったお宝を見つけられそうな気がしてきました
パティうちも行く。宝探しは任せるのじゃ
アイゼン俺も行こう。その調査、興味が出てきた
クラースありがとう、心強いよ。では出発しよう
グリューネあら、みんな、行ってしまうのねぇ
レイアわたしはここにいるよ。もっと泳ぎたいし
ソフィわたしも
プレセア私も、この砂像をもう少し調整したいので…
ジーニアスうん。ぼくも一緒にいるよ
グリューネそれじゃ、お姉さんもここでのんびりしておくわねぇ
ソフィ波だー
レイアよーし、突撃ー!
ザップーン!
ソフィわぷっ
レイアあははは、頭からかぶった!思ったより強かったね
グリューネ…あら?本当に?
レイアグリューネ、どうしたの?
ソフィ誰かとお話してる?
レイア誰もいないけど…
グリューネまぁ、それは大変ねぇ。わかったわぁ、ありがとう
レイアグリューネ…?まさか、この暑さで…
グリューネみんな、もうすぐ嵐が来るわよぉ
ジーニアスえっ…?すごくいい天気だけど…
グリューネ今はそうなんだけど、すぐに悪くなっちゃうらしいの
プレセアだとすると、この砂像も崩れてしまいますね…
ジーニアス大丈夫だよ、プレセア。また作ろうよ
レイアけど、避難って言っても…安全な場所なんてどこにあるの?
パティみんな!嵐が近づいておる、こっちに来るのじゃ!
チャット油断しないでください。今は晴れてますが、船乗りの経験上、すぐに強い嵐になります
レイアパティ、チャット!今、グリューネもそう言ってて…
グリューネけど、どこに避難すればいいのかわからないのよねぇ
チャットあっちに安全な洞窟があります。今、アイゼンさんとクラースさんで風が入らないよう対策してくれてます
パティ早く戻って手伝うのじゃ。クマノミのように隠れて嵐をやり過ごさねばならん
レイアわかった!行こう、みんな!
クラース…ふぅ、酷い嵐だったな。すぐに過ぎ去ってくれて助かった
アイゼン海の天気は変わりやすいからな
チャットあれ以上続いてたら危険でしたよ
ジーニアスプレセア、見て。早速作り直したよ
プレセア素晴らしいです。その亀は本来、水難よけのお守り…嵐から守ってくれたのかもしれません
クラースそういう発想で行くと…あの嵐は、この島の精霊からの警告かもな。勝手に調査するな、と
グリューネ…?そんなことないわよぉ
クラースだといいが…そこそこで切り上げた方がいいかもしれんな
レイアもう帰るの?
ソフィでも、船ないよ?
チャット…え?ちょっと、何言ってるんですかソフィさん。船ならちゃんと…
チャットそこに…あれ、もっと向こうでしたっけ…?
パティもしかして、あれかのう。沖の方に、ポツーンと見えておる…
チャットあー!あれですよ!嵐で流されてしまったんですね
クラースイカリを降ろしてたんじゃないのか?
ソフィわたし、降ろしたよ?
アイゼン走錨(そうびょう)だ。嵐が強すぎるとイカリを引きずって流される
パティうむ。今はもう流されておらんからイカリはちゃんと降りとるのう
チャットでも、あんなに沖にあるんじゃ泳いで行くのも危険すぎますよ
クラース私が乗ってきた小型船があればよかったのだが…流されているようだな
ジーニアスそういう事なら、イカダを作ったらどうかな?
ソフィイカダ?
ジーニアスうん。材料には事欠かないと思うよ。さっきの嵐で倒れてる木もあるし木こりのプレセアだっているしね
プレセア確かに、この島の木なら造れるかと。木を切ったり加工したりするのはお任せください
パティ名案じゃの!
グリューネ楽しそうねぇ。お姉さん、木を集めちゃうわよぉ
チャットあそこまで漕ぐのが大変そうですが…他に方法はなさそうですね
クラースそれなんだが…チャット。そのシーグラスを動力に使えないだろうか
チャット…!なるほど、シーグラスのマナを使って即席のエンジンを作るわけですね
クラース調査用にマナに反応する道具をいろいろと持ってきている。これを使えば…
チャットはい。簡単な物なら作れそうです。ただ、効率は非常に悪いのでシーグラスが大量に必要ですが…
アイゼンそれなら、木と一緒に集めるか
アイゼンシーグラスは海岸に落ちている。木は内陸に多いが、さっきの嵐で海に浮かんでいるものもあるだろう
チャット手分けしましょう。ぼくはシーグラスを集めて動力部を開発しておきます
チャットみなさんは木を集めて、イカダを作ってください。シーグラスを拾ったらぼくのところへ
ソフィアイアイサー!
チャットいい返事です
チャットそれではみなさん、船を取り戻すためにイカダの材料集め頑張りましょう!
全員おー!

NameDialogue
ビーチに迫る巨大な影!?
世界各国で巨大モンスターが発見された
巨大複合企業「クランスピア社」は「魔界ニブルヘイム」からの侵攻が本格化した事を知る
様々な事変により世界のマナが減少。これを好機とみた魔族は遂に無数の巨大モンスターを送り込んできたのだ
「ギガントモンスター」──人や精霊の天敵とも言える恐ろしい魔物である
「クランスピア社」社長ビズリーは人間界の未来のため、世界の戦士達と共に闘い続けている
そして今、ビズリーの命でギガントモンスターの秘密を探る一人のエージェントがいた──
???…おっ、そこの影で何か動いたな。はははっ、俺は見逃さんぞ!
???ん、何だ…?──あっ!
イバルいてててててっ!?この、卑怯なカニめ!スイカの裏に隠れているとは!
イバルこの、離れろ…!こいつっ…!
イバル…待てよ。社長はこの海岸に魔界ニブルヘイムの秘密を解く情報があると言っていたな…
イバルもしやこのカニが!?さっきから離れないがこの力はもしや…
イバル貴様、さてはニブルヘイムの魔物か!
ノーマ…何やってんの?
イバルおわっ!?き、貴様は…!
ノーマあ~、それ!後で食べようと思って冷やしてたスイカ!さては盗む気ね!
イバルち、違う!俺はただ、仕事で──
ノーマみんな、来て!泥棒だ、盗人だ、怪盗だ~!
スレイ泥棒だって!?
ミュゼそれは、お仕置きね。…って、あら、あなたは確かクランスピア社の…
イバルそう、マルチエージェント、イバル様だ!泥棒などとは縁遠い気高き男だ!
スレイうーん、変わってるけど悪い人には見えないなぁ
ノーマうん、冗談だもん。慌てるから面白くってさ~
イバルなっ、貴様…!
ノーマごめんごめん。バルバルも一緒に遊ぶ?
イバルバルバル…?
ノーマ気に入らなかった?バルっちとか、イバルンでもいいよ。あだ名のつけやすい、いい名前だねえ
イバル勝手に妙な呼び方をするな!…と言いたいところだが、まあ、許してやろう。特別だぞ
ノーマんじゃあ、バルバルね!決定!
スレイそろそろスイカも冷えただろうからスイカ割りをして食べようと思ってたんだ。一緒にやろうよ
イバルふっ、悪いが、俺は貴様らと違って暇じゃない。今も仕事で来てるんだ
ミュゼお仕事には見えない格好だけど…
イバル社長命令だ。エージェントの服装だと遊びに来た人を驚かせるからな
ノーマへ~、どんな仕事?
イバル部外者にそんな事、教えられるか!
ミュゼあら。それじゃあバカンスだと思われても仕方ないわよ?
ノーマスイカ割りが苦手だから仕事とか言って逃げてるだけかもしんないしね~
スレイそうなのか?だったら、見てるだけでもいいよ
イバル断じて違う!いいだろう、そこまで言うなら特別に教えてやる!
イバル実は海底遺跡の痕跡を探してるんだ
スレイ遺跡だって!?
イバル何だ、妙に食いつくな…
スレイ好きなんだ、遺跡!この近くにあるの!?
イバル正確には、この近くにあった…だな。今は跡形もなくなっていて、その痕跡を探っているというわけだ
イバル俺の完璧な計算によると滅んだ遺跡の残骸はこの海岸に流れ着いてるはずだ
ノーマという事は、この浜辺って実はお宝ざっくざく!?
スレイそれって、どんな遺跡なんだ!?時代は!?建てられた目的は!?
イバルそこまでは知らん!だが、そこに重要な情報があった事は確かだ
スレイ重要な情報って事は、歴史的な大発見もあるかも!?
イバル貴様らも聞いた事ぐらいあるだろう。魔界ニブルヘイムからやってきた巨大なモンスター共の事
ミュゼ…ギガントモンスターね
イバルその通り!マナの減少につけこんで魔界から送り込まれたデカブツ共だ
イバル今まで、現れたギガントモンスターを迎え撃つ、いわば後手の戦いだったがそれがついに覆るかもしれんのだ
イバル何せ海底遺跡では、魔界ニブルヘイムの研究が進められていたそうだからな!
スレイすごい!今は失われた古代の知識がそこに眠ってるわけか!
イバルそうだ。それを見つけさえすれば世界の未来は明るいぞ!
スレイよーし!オレも探すの手伝うよ!
ノーマあたしも!トレジャーハンターの血がうずく~!
ミュゼ私も手伝うわ。マナの減少が関係しているなら他人事ではないもの
イバルなっ…貴様らが…!?
イバル(まずいぞ…調査を依頼した ギルドの連中ぐらいなら 余裕で出し抜けると思ってたが…)
イバル(こいつらには何となく 手柄を取られてしまう気がする!)
???ねぇ、今、古代の知識って言わなかった?
ライフィセットそういうの興味あるんだ。僕にも手伝わせて!
イバルなっ…
リアラあの、わたしも気になるから参加させてもらっていいかしら?
イバルくっ、次から次と…!
ミュゼこれだけいればすぐに見つかりそうね。じゃあ、手分けして──
イバル待て待て!手伝うなんて俺は認めないぞ!
ミュゼあら、どうして?
イバル危険だからだ!
イバルこの調査を阻止しようとギガントモンスターが襲来するかもしれん
イバル調査に参加しているのはギガントモンスター退治に慣れたエージェントやギルドばかりだぞ
イバル素人は足を引っ張るだけだ。というわけで俺は仕事に戻るからついてくるなよ、わかったな!?
リアラ何だか慌ててたわね
ライフィセットもしかして本当にギガントモンスターが来るのかも…その前に調査を終わらせるつもりかな
スレイそれなら、なおさら手伝わないと!
ミュゼふふ、そうね。私は危険でも構わないわ。遺跡の残骸、探しましょう
リアラところで遺跡の残骸って具体的にどういう物かしら?
ライフィセット必要なのは研究してた情報だよね。それが記録されている物で浜辺まで流れ着いているとなると…
スレイ石版…とかありそうじゃないか?
ライフィセットそっか、きっとそうだよ!
ミュゼそれだけとは限らないけど、まずは石版を探してみましょうか
リアラええ。探す物がわかっていた方が動きやすいものね。それじゃあ──…
ノーマあ~~~~~っ!!
リアラきゃっ!?
ライフィセットど、どうしたの!?何か見つけた!?
ノーマあいつ、結局スイカ持って行ったよ!やっぱり泥棒じゃん!
スレイはは、慌ててたみたいだからなぁ。カニにも挟まれたままだったし
ミュゼ調査をしてたらまた会えるんじゃないかしら。その時に返してもらいましょう
ノーマよ~し、あいつより先に石版をたっくさん集めてやる!
スレイそれじゃあ競争だね。わくわくするなぁ
ミュゼうふふ、海で遊んでいる時よりもいい顔をしてるわね
ライフィセット僕も負けないよ!
リアラわたしだって
ノーマじゃあ、気合も入ったところで…調査開始~!

NameDialogue
熱戦!屋台賑わう夏祭り!
ガヤガヤ──
ウッドロウ随分賑わっているな。前にこの街の夏祭りに来た時はここまでではなかったと思うが…
ウッドロウ心なしか屋台の数も多い。何か上手い工夫をしたようだな…
町長おお、これはこれはウッドロウ様。このような小さなお祭りにお越しくださるとは光栄です
ウッドロウ町長か。何、近くに来る用事があってな。視察がてら寄らせてもらった
ウッドロウかなり盛り上がっているようだが特別な催しでもあるのか?
町長いえ、大した事ではありません。実はちょっとしたキャンペーンをやってまして
町長お祭りの屋台で獲得した景品の数に応じて、さらに賞品がもらえるキャンペーン…
町長その名も「プライズハンター大会」を実施しているのです
ウッドロウなるほど上手く考え出したものだな
ウッドロウ客は祭りの屋台を楽しみながら景品を得る事ができさらに本部から賞品がもらえる
ウッドロウそのため必然的に屋台を回る客が増え収益を見込めると見た経営者も増し屋台が以前より集まったのだな
町長さすがウッドロウ様。ご察しの通りです
ウッドロウ面白そうだ。私も参加して構わないだろうか
町長勿論です!ウッドロウ様がご参加くだされば、大会は盛り上がる事間違いなし!
町長そうなればこの祭りの成功は約束されたも同然!
ウッドロウ大げさだな。だが、期待に応えられるよう頑張るとしよう
町長それでは受付にご案内しましょう
ウッドロウさて…参加したからには成果を上げねばならんな
ウッドロウ景品をたくさん取れば取るほど大会本部から賞品がもらえるルール…
ウッドロウ競争でないというのは助かる。ゆっくりと取りかかるとしよう
ロンドリーネいたいた。噂のウッドロウ!捜したよ
ウッドロウロンドリーネ君じゃないか。噂とは、何の事かな?
ロンドリーネプライズハンター大会に参加するんでしょ?町長がそう宣伝してたよ
ウッドロウああ、なるほど。私の参加で盛り上がるというのはただのお世辞ではなかったのか
ロンドリーネねぇ、私のチームに入らない?
ウッドロウチーム?
ロンドリーネあ、もしかして知らなかった?この大会はチームで参加してもいいの
ロンドリーネ景品を集めるには人手があった方がいいでしょ?
ウッドロウ確かにそうだな。チームを組んだ方が有利というわけか
ロンドリーネもらえる賞品の数は一緒だから山分けって事になるけどね
ロンドリーネ私は景品をたっくさん集めないともらえない賞品を目指してるから、みんなに手伝ってもらってるわけ
ウッドロウそれは合理的な戦略だね
ロンドリーネでしょ!他のメンバーは、今は屋台に挑戦してて…あ、戻ってきた
ティアここにいたのね。景品、取ってきたわよ
ミラ私も成果は上々だ。この分だとすぐに景品が集まるな
カロルねぇねぇ、輪投げが今なら安いって。みんなも一緒に──あれ?ウッドロウ?
ロンドリーネうん。今、チームに勧誘してたとこ
ウッドロウ全員で四人か。粒揃いのようだな
ロンドリーネでしょ。ここにウッドロウが入れば鬼に金棒だよ
ウッドロウはは、ありがたい申し出だが、私はやめておく事にするよ
ロンドリーネえっ、どうして!?
カロルもしかして、もう他にチームが決まってるの?
ウッドロウいや、確かにチームに入れば合理的だが、私は一人で挑戦しようと思う
ウッドロウ君達のような強いチームがいるならそれより早く景品を集める。と挑戦状を叩きつけるとしよう
ミラふむ。競い合う方が大会も盛り上がる。…といったところか?
ロンドリーネなるほど、町長の思惑に乗るってわけだね
ウッドロウご明察だ。君達を利用するようで忍びないが…
ロンドリーネううん、面白そうだし、いいよ。じゃあ今からは好敵手同士って事で。絶対、負けないから!
ウッドロウああ。切磋琢磨するとしよう
???お、みんなも参加するのか?
ガイそうそうたる顔ぶれだな。みんなチームなのか?
ロンドリーネガイ!ううん。今、ウッドロウに振られたとこ
ミラよい好敵手として戦い、大会を盛り上げようと話していたところだ
ガイなるほどな。どっちにしても俺にとって手ごわい敵かな?
カロル頼もしい味方になる手もあるよ!ガイもボクらのチームに入らない?
ティアそうね。ガイは器用だし頼りになると思うわ
ガイ悪いな、ティア。俺は全賞品を狙っててね。チームを組んだらそれは出来ないだろ
ロンドリーネそれはそうだね。私達も、みんなそれぞれほしい物があって参加してるし
カロル残念。仲間になってくれたら頼もしかったのになぁ
ウッドロウ私は少し安心したよ。好敵手がさらに手ごわくなるところだったからね
ガイあれ?好敵手って物の例えじゃなく本当に張り合おうって事なのか?
ウッドロウああ。一人で多数と競うのは難しい事だが挑戦は無謀な方が盛り上がるだろう?
ガイはは、まあ…序盤で大差をつけられなければ勝機はあるかもな
ウッドロウ確かに、差がつきすぎれば興が冷めてしまう。頑張らなければな
ガイそれじゃあ、俺は失礼するよ。急がねぇと、取りやすい景品が他の奴に取られちまうからな
カロルそっか。大会の賞品は競争じゃないけど取りやすい景品は早い者勝ちなんだ
ロンドリーネ急ごう!ウッドロウには悪いけど圧倒的な差をつけて見せるよ!
ミラああ。手加減は出来ない。私はこの大会を全力で楽しむと決めたからな
ティアそうね。行きましょう
ウッドロウさて、私ものんびりしていられないな。みなに先を越されないよう急ぐとしよう

NameDialogue
あぶない夏
アニス…ったく、この蒸し暑い森で魔物退治の任務なんて…そもそもどーして私なんだっての
アニスだいたい、虫取りで有名な森で虫の魔物が暴れてるって何!?人間への復讐のつもり!?
アニスはぁ…ま、いいや。お蔭で森は立ち入り禁止だけど私は任務で入り放題だし
アニス魔物なんかさっさと退治して珍しい虫を取り放題!
アニス今は虫取りが大流行だから珍しいのは何万ガルドにもなるって言うし♪
ガサガサ…
アニス…何かいる!魔物?それともお金──じゃなくて虫!?
アリエッタアニス…!どうして、いるの…?
アニス根暗ッタ!どうしてあんたがここに!?
アリエッタアリエッタ、根暗じゃないモン!アニスのイジワルゥ~!
アニス…あ!わかった、虫の魔物が暴れてるのってあんたの仕業でしょ!
アリエッタ知らないもん。アリエッタ、関係ない
アニス嘘ついてもダメなんだからね!第一、軍が閉鎖してる森にいるのが怪しい──
ガサガサ…
アリエッタ…!来た…!
アニスえっ…!?
ギィィィィッ!!
アニス魔物!?
アリエッタこの森の子じゃない…!
アニスはぁ!?どういう事!?
アリエッタブラッディハウリング!
ギェェェッ!
アニス…倒したって事は、本当に、あんたが犯人じゃないんだね
アリエッタこの森には、お友達が住んでる…大きな虫に荒らされて困ってるって…だから、退治に来たの
アニスじゃあ、あの魔物は別の場所からこの森に来たって事?
アニスあっ、でもでも、子ども達が安全に遊べるようにするってのが任務だから元からいる魔物も退治なのかなー
アリエッタダメェ!みんな人が怖いから、襲ったりしないもん!
アニスそうなの?まぁ確かに、ちょっと前までは魔物の目撃情報もなかったし…
アリエッタお友達傷つけたら、絶対許さな──
ガサガサ…
アニス…!また魔物!?
ハスタぶっぶー!怖い魔物だと思った?残念、ハスタお兄さんでーす!
アニスあ、あんた確か、元ウィンドル騎士団の…!
ハスタおろ?おいらの事を知ってる君はたしかア・ジュール軍の…
ハスタアンドレアス小雪さん…でしたっけ?
アニス全然違うじゃん!
アリエッタでも、二文字合ってる…惜しい
アニス惜しくない!
アニスそれより、ここで何やってるの?ここは今日から立ち入り禁止にしてるんだけど
ハスタそうなの?まぁオイラずっとここにいるから今日からって言われても知らねぇな
アニスずっと?どうして…って、まさか…!
アリエッタ大きな虫は、あなたのせい!?
ハスタはい、大正解!ドンドンパフパフ!ほら、虫取りが流行ってるらしいし大きな虫がいたら楽しいでしょ~?
アニスふざけんな!私の仕事を増やしやがって…危険な虫は退治するんだからね!
ハスタええ~、そいつぁ困るなぁ。でも大丈夫!こんな事もあろうかと虫はまだまだ連れてきてるのさ!
アリエッタまだ、増えるの!?
アニス何が目的でこんな事!
ハスタ目的はねー、もう半分果たしてんの
ハスタこの虫は、正義マンホイホイー!ほら、こうやって軍とかが強ーい人を送り込んでくるでしょ?
ハスタしかも正義感の強い腕自慢!そういう奴を、このボクちんがズバッと倒して、こう言うのさ
ハスタお前の敗北は…また一人子どもがエサになる事を意味するのだ…ってね!
アニスおかしいんじゃないの!?そんな事させない!
ハスタだったら、捕まえてごらんなさ~い!虫達を倒しながらオイラを追ってこられたら、殺してやるからよ
ハスタてなわけで、シーユーアゲイン、少女達!生きてたらな!
アニスあっ、待てー!
アリエッタ逃がさない!
ギィィィィッ!!
アリエッタ大きな虫…!あんなにたくさん…!
アニス虫も、あのピンク頭も、ぶっ飛ばす!行くよ、根暗ッタ!
アリエッタ根暗じゃないもん!
アニスうりゃー!爪連龍牙昇ー!
ギェェェェッ!!
アニスはぁ、はぁ、片付いた…!
アリエッタアニス、あれ!
アニス見つけた!ここまでだよ、ハスタ!
ハスタお、生きてここまで来たね。やるぅー!
アリエッタ森から出て行って!
ハスタえー、酷いや。ここはオイラの心の故郷、落ち着く実家みたいなもんなのにー
アリエッタ…そ、それじゃあ……あなたも森で育ったの?あの虫は…あなたのお母さん…?
ハスタなんだとう!オイラのお母さんを虫呼ばわりとはどういう了見でい!
アリエッタえ…だって…この森が故郷って…
ハスタいんやー?今日初めて来たよ、こんな森。あれ、昨日だっけ?一昨日?
アニスこんな奴とまともに話しても無駄だよ。倒して、捕まえるよ!
ハスタやれるもんならな!
アニスもーっ!マジむかつく!行くよ!
アリエッタアリエッタも、戦う!お友達を守るんだから!
ドガッ
アリエッタきゃっ…!
アニスうう、強い…!
ハスタおいおい。もう終わりじゃないでしょ?もっと楽しませてくれよお嬢ちゃん
アニスくぅ~…!根暗ッタ、あんたが邪魔するから戦いにくいでしょ!
アリエッタまた言った!根暗じゃないもん!それに、足引っ張ってるのはアニスなんだからぁ!
アニスいいから引っ込んでてよ!
アリエッタうわーんっ!アニスのバカ!邪魔しないでよ!
ハスタオイラを無視して遊ぶとかチョームカツクんですけど!
ザシュ!
アニスはうあ!
ハスタ今のお前らと戦ってもつまんな~い。勝つつもりなら二人がかりでかかって来いっつーの!
ハスタつまんねぇつまんねぇ!お前ら虫とでも戦ってろ!じゃあな!
アリエッタまた逃げた!
アニスもう!根暗ッタのせいだよ!バカ!ドジ!
アリエッタバカはアニスだもん!ドジもアニスだもん!
アニス…ちっ、ムカツクけどこのままじゃあのピンク頭に勝てないな…
アニス仕方ない、一時休戦にしよう。今だけ力を合わせようよ
アリエッタ…じゃあ、もう根暗って言わないで
アニスわかった。ハスタを倒すまでは言わない
アリエッタそれなら…うん。お友達のためにもアリエッタ、頑張る
アニスじゃあ、早速、あいつ追いかけて──
ガサガサ…
ギィィィィッ!!
アニス・アリエッタネガティブゲイト!
ギェェェッ!
アニス雑魚に用はないっつーの!行こう、アリエッタ!
アリエッタうん!

NameDialogue
示せ!騎士のチカラ!
フレンでは…みな試合には出られないというのかい?
騎士1はい…お役に立てず申し訳ありません
騎士2模擬戦とは言え、あんな強い人達と剣を交えるなんて、我々には無理ですよ…
フレン勝敗を気にしているのなら騎士として立派な試合をして見せればそれでいいんだ
フレン優劣を示そうというものではない。民が騎士に親しみを持てるように各地の騎士団が合同で企画したもの…
フレンだから模擬戦を見た民が、騎士の堂々とした戦いを見て何かを感じ取ってくれれば十分なんだ
騎士1お言葉を返すようですが…それを理解しているからこそ我々には荷が重いのです
騎士2各地の騎士の代表が相手ですよ。無様に負け姿を晒してしまうに決まっています
フレン困ったな…。僕の隊は急用で、バロニアに戻らなければならないし…
フレン誰かが代わりに出てくれなければ模擬戦に穴を空けてしまう事になる。誰か他に…
フレン…!あれは…
フレンユーリ!
ユーリお、フレンじゃねぇか。騎士だらけだとは思ってたが、何かあるのか?
フレンああ。騎士の啓発企画なんだ。騎士と民との親睦会のような感じかな
ユーリなるほどね。騎士は堅苦しくて近寄りがたいって思ってる奴もいるからな
フレンだから各地の騎士団が協力して騎士の事をよく理解してもらえるよういろいろな催しをするんだ
フレンそのひとつに各騎士団から腕の立つ代表者が参加する模擬戦があるんだが…
ユーリへぇ、面白そうだな
フレン君ならそう言うと思ったよ。僕の代わりに参加してみないかい?
ユーリははは、おまえも冗談を言うようになったか
フレン…頼む、ユーリ。今は元騎士である君が最後の望みなんだ
ユーリおい、大げさだな…どうした?
フレン先ほども言ったように模擬戦に参加しているのは腕に覚えのある実力者達だ
フレンそこには僭越ながら僕も参加する事になってたんだけど急な用事で出られなくなってね…
フレン他の隊に代理を頼んだら相手が強すぎるからってみんな尻込みしてしまって…
ユーリなるほどな。そういう事なら、参加してもいいぜ。
フレン本当かい!?ありがとう、助かるよ
ユーリこの貸しは高いぜ
フレンはは、覚悟しておくよ。それじゃ、模擬戦用の正装があるからそれに着替えてくれ。それから──…
ユーリこっちは上手くやっとくって。それより、おまえは急用があるんだろ?
フレンすまない。事情は説明しておくよ。それじゃ
ユーリ…一般人が騎士を相手にするんだから遠慮はいらねぇよな。盛大に暴れてやりますか
ユーリ模擬戦用とは言っても正装ってのはやっぱ堅苦しいな
ユーリさて、模擬戦に出るならここで待ってろって言われたが…
ユーリ…なるほどな。各騎士団の腕自慢ってのはこいつらの事か
クロエローウェル!
リグレット……
カルセドニーこいつらとは、失礼な物言いだな
セルゲイだが我々を前にしてこの余裕ある態度…相当な実力者のようだな
エミル実力者なんてもんじゃないですよ!こんなに強い人達ばかり集まって僕、大丈夫かな…
ユーリおいおい、大げさだって。おまえも相当な剣の使い手だろうが
クロエローウェルも模擬戦に参加するのか?騎士は退役したと聞いていたが…
ユーリちょっと事情があってな。フレンの代わりだ
クロエそうなのか。シーフォ殿とも手合わせ願いたかったがローウェルであれば不足はないな
クロエ模擬戦とはいえ全力で勝たせてもらうぞ
ユーリえらく気合いが入ってるな
クロエこの企画は騎士を志す者への啓発でもあるからな
クロエ騎士を志す女性の希望となれるよう、私は勝利をおさめるつもりだ
リグレット甘いな。騎士に危険はつきもの。安易に希望を与えるだけでなく厳しさも知らしめるべきだ
クロエ言わんとする事はわかる。しかし厳しい道だからこそ希望になりたいと私は思うのだ
カルセドニー確かに、希望を持つ事も厳しさも重要だ。だが、騎士には他にも大切な事がある
クロエ何だ?
カルセドニー忠誠心だ。尽くすべき人、守るべき人のためならどんな力でも発揮出来る
リグレット…他人のためにこそ命をかけられるという事に異論はない。だが精神論だけでは戦えまい
カルセドニー戦えるさ。大切な人のためなら。そこにいるエミルなどはいい例だろう
エミルえ、僕…ですか?
エミル忠誠心とは違うと思うけど、ルークが、おまえならやれるって言ってくれたから
エミルそれにマルタも応援してくれてるし期待を裏切らないように頑張ろうって思ってます
セルゲイうむ。一見、気弱そうに見えるがその反面、怯えた様子もない
セルゲイ応援してくれる者のために戦う…それがエミルの勇気となっているのだな
リグレット…そうした精神論だけで若者を戦場に送り込む事を私は防ぎたいのだ
セルゲイ貴女の憂慮は理解した。だからこそ自分は若者の志を尊重し鍛え、導きたいと思う
セルゲイそのためにも今日の模擬戦を楽しみにしている。様々な技や戦い方を学ばせて貰いたい
ユーリみんな真面目に考えてんだな
クロエああ。一晩中でも語り合える。だが今日は話し合いをしに集まったわけではない
カルセドニーそうだな。それぞれの信念をこの模擬戦で存分にぶつけ合おう
ユーリオレには、んな立派なもんはねぇが強いやつらと本気でやり合えるのは楽しみだな
ユーリフレンのやつに笑われねぇようにちょいと頑張ってみるか

NameDialogue
温泉宿は大騒ぎ
アニスきゃわ~ん!温泉だ~!
ウィンガル浮かれているようだが、これは温泉宿の偵察任務だという事を忘れるなよ
アニスちゃんとわかってますよぅ。けど温泉には入っていいですよね?役得、役得~
ウィンガル…気楽なものだな。プレザ達が他の任務に出ていたから同行させたが…
ウィンガル私一人でもよかったかも知れないな
アニスそう言わないでくださいよぅ。お仕事は真面目にやりますから
ウィンガル頼んだぞ。念のため、任務の内容を再確認しておくが…
ウィンガル我々はこのウィンドルに新しく出来た温泉宿の偵察に来た。その理由はわかっているな?
アニス毎年、お月見の時期になると四象刃に手伝いを依頼してくるア・ジュールの温泉宿がピンチなんでしたっけ
ウィンガルそうだ。今年は予約がほとんど入らず手伝いは不要だと言ってきた
ウィンガル不思議に思って調べたところ、ウィンドルに新しく温泉宿が出来てそこも月見の名所だという…
アニス完全に競合ですね!
ウィンガルその通りだ。しかし、完全な競合なら客は分かれるのが自然だ
ウィンガルだが実際は、ほとんどの客がこちらに流れてきている。それには何か理由があるはずだ
アニスなるほど。それを見極めるための偵察って事ですね
ウィンガルそうだ。月が昇り、宴会が始まれば調査どころではなくなるかもしれん。ここからは手分けするとしよう
ウィンガルお前はまず、貸衣装を調べてくれ。他の温泉宿にはない斬新なサービスだと聞いている
アニス貸衣装ですね。わかりました!
ウィンガル私は宴会場に集まっている客に聞き込みをする。それでは、任務開始だ
ウィンガルこの部屋が宴会場か。用意されている食器の数から見て、かなりの人数が参加するようだな
ウィンガル早速、話を聞いて回るか。まずは…
ワルトゥ…ふむ。どうしてこの温泉宿に来たのか…ですか?
ウィンガルああ。似たような温泉宿が他にもあるはずだ
ワルトゥ確かに…昨年までは、ア・ジュールの温泉宿を利用していました
ウィンガルでは何故、今年はこちらに?
ワルトゥ深い理由などありませんよ。ただ目新しさでこちらに来てみた…それだけです
ワルトゥア・ジュールの温泉宿には老舗ならではのよさがある…次はあちらに戻るかもしれません
ウィンガルなるほど…目新しさは年々薄まるが老舗のよさは深まっていく…そこで勝負を仕掛ければ勝機もあるか
ワルトゥそれでも新しいものが好きという人もいるでしょうがね
ウィンガル参考になった。貴重な意見、感謝する
ワルトゥいえいえ
ウィンガル今回ほど客が偏らないのであれば手の打ちようは出て来るな
ウィンガルもう少し情報を集めてみるか。次は、そうだな…
アリーシャこの温泉宿の魅力…?難しいな…
ウィンガル老舗のア・ジュールではなくこちらを選んだ理由を聞かせてほしい
アリーシャそれなら簡単だ。シルヴァラントからなら、こちらの方が近かったからだよ
アリーシャ今回の休暇は短くてね。ア・ジュールは遠くて諦めていたがこちらなら来られたんだ
ウィンガル…なるほど。という事はア・ジュールに来るはずの客が流れただけでなく…
ウィンガルア・ジュールに来られないはずの客もこちらなら近いからと来ている可能性があるのか…
アリーシャ少なからずいるとは思う。シルヴァラントではこの温泉宿の開店を喜ぶ声をよく聞いたからね
ウィンガル…つまりア・ジュールの温泉宿では賄えなかった範囲の市場を持っているという事か…
ウィンガルその規模がわかれば上手く利用して減収どころか利益につなげられる可能性もあるな…
アリーシャ参考になっただろうか
ウィンガルもう一つ訪ねたい。この温泉宿に、他にない魅力があるとすれば、何だと思う?
アリーシャそうだな…魅力はいろいろあるが、他にないとなると、貸衣装だろうか
ウィンガル噂の貸衣装か。気になってはいたが、その服もそうか?
アリーシャああ。美しいだろう?それに、この耳だ
アリーシャお月見に合わせて、ウサギの耳を貸し出しているなんて、洒落が効いているだろう?
ウィンガル確かに斬新だ。…なるほど、目新しさが薄れても老舗に負けないような個性があるのか
アリーシャ私が言える事はこんなところだ。お役に立てただろうか
ウィンガル意見としては十分だ。礼を言う
ウィンガル情報は集まったな。だが具体策に踏み切るには決め手に欠ける…
???すみません、料理を運ぶので道を空けてもらえますか
ウィンガル失礼──ん?お前は…
フレンあなたは、ア・ジュールの…!
マリクフレン、どうした。配膳はオレがするから料理をこっちに──
ウィンガルまた見覚えのある顔だな。確かウィンドル騎士団のフレンとマリクだったか
マリクア・ジュールの四象刃…名はウィンガルだったか。どうしてここにいる?
ウィンガルそう驚く事もないだろう。新しい温泉宿が出来たと聞いて月見にやってきただけだ
ウィンガルそちらこそ、なぜ騎士が給仕のような事をしている?
マリクま、ちょっとした成り行きでな
フレン我々は新しい観光地の警備を手伝うためにやって来たんです
フレンところが想定より来客が多くて、急遽、宴会の準備も手伝う事になったんですよ
ウィンガル昨年までの我々と似たような状況か…
マリクそんなわけで忙しいんだ。情報収集なら他でやってくれないか
ウィンガル見抜かれていたか。節穴ではないようだな
ウィンガル……
ウィンガル…いや、待て手は足りているのか?もしよければ手伝うぞ
マリクそれは助かるが…手伝ったところで特に新たな情報は得られないと思うぞ
ウィンガル情報はもう十分得た。私も温泉宿の仕事は経験がある。役に立てる事もあるだろう
フレンありがたい申し出ですが…我々の一存では決められませんね
マリクだが猫の手も借りたいのは事実だ。女将に相談するとしよう
ウィンガルああ。頼む
アニス貸衣装、調査してきましたよぉ。こんなに可愛い衣装がありましたぁ~
アニス普通の浴衣とか無難なのもあって老若男女に大人気って感じでしたよ~
ウィンガルそうか、ご苦労だった。その格好を見れば、どれほど個性的な衣装が揃っているかよくわかるな
アニスところで、何してるんですか?それも貸衣装?
ウィンガルこれは、この温泉宿の番頭の服だ。手伝うと言ったら喜んで迎え入れてくれた
アニスあ、そんな事言って、手伝ってるふりをしながら何か作戦があるんですね
ウィンガルああ。だが手伝いというのも本当だ。これはア・ジュールにとってもこの温泉宿にとっても得になるからな
アニスどういう事ですか?
ウィンガル今日は想定よりも多くの客が集まったのだそうだ。その結果が、この帳簿だ
アニス数字いっぱいですね。えっとぉ…要するに月見団子が足りてないって事ですか?
ウィンガルそうだ。他の食材は、献立を工夫する事で人数分に合わせる事が出来たようだが
ウィンガル工夫の余地のない月見団子だけはどうしても不足してしまっている
ウィンガルそこでア・ジュールの温泉宿から至急、月見団子を届けるように手配しておいた
アニスでもぉ、間に合うんですかぁ?
ウィンガルテノスの飛空船の使用許可を得た。あれを使えば、まもなく届くだろう
アニスえぇっ!?そこまでして敵に塩を送るんですか?
ウィンガルそうではない。この温泉宿に、ア・ジュールの月見団子を定着させるのが目的だ
アニス…どういう事ですか?
ウィンガル情報を集めた結果、ここには本来ア・ジュールまでは来られない客も来ている事がわかった
アニスその情報、私も聞きました。シルヴァラントの人とかがそうだって…
ウィンガルつまりここでア・ジュールの月見団子を売る事が出来れば…
アニス…!そっか、本来は買えない人達にも売る事が出来るんですね!
ウィンガルそうだ。幸いにもウィンドルは、リチャードまんじゅうを売り出すなどア・ジュール同様の菓子文化がある
アニスうちもガイアスまんじゅうとかありますもんねぇ。同じ物がウケるかもですね
ウィンガル私の計算では、この市場拡大で我が国は昨年以上の利益を得られる事になるだろう
ウィンガル月見団子を作っている温泉宿も生き延びる事が出来るというわけだ
アニスすっご~い!問題解決ですね!
ウィンガルまだ解決していない。月見団子を定着させられるかどうか…勝負はここからと言ってもいい
アニスあ、そっか。定着って、どうやるんですか?
ウィンガルここからは単純な作業だ。客、従業員は問わない。みなに月見団子を食べさせるのだ
ウィンガルそして我々の月見団子が是非ほしいとなれば、継続的に取引する流れとなるだろう
アニスわかりました。月見団子を配りまくればいいんですね
ウィンガルそういう事だ。ア・ジュール製の物だと宣伝する事も忘れずにな
???その月見団子、持ってきてやったぞ
ウィンガル…!この声は!
アグリアおら。山ほどあるから全部、客の口につっこむぞ
ウィンガルアグリア!どうしてここに…
ジャオわしらもおるぞ。忙しいと聞いて、飛空船に飛び乗って来たわい
プレザ前の任務が終わったから、手伝いがてら温泉にでもつかろうと思ったのよ
ウィンガルお前達…勝手な事を…。まあ、いい。人海戦術といこう
ウィンガル月見団子を一人でも多くの人に配りウィンドルの市場に浸透させるぞ
ジャオうむ。その後はのんびり温泉といこう
アニスさんせ~い♪
ウィンガル士気も高まったな。では、宴会までそれほど時間がない始めるとしよう

NameDialogue
探せ!異界のカジノチップ
コハクいらっしゃいませー。ようこそ当カジノへ!
コハクふぅ、手伝う事になったのはいいけど予想以上にお客さん多いや。最近は変な事も起こるし──
ガシャーン!
コハク…!?また!?
ヒューバートお客様、落ち着いてください
男性客1うるせぇ!つべこべ言わず勝負しやがれ!どいつもこいつもビビりやがって!
ヒューバート大きな声を出されては他のお客様の迷惑になりますので──
男性客1黙れ!文句があるなら、てめぇが勝負しろ!
ヒューバート…わかりました。ただし…お客様が負けた場合はお引き取り願います
男性客1いいぜ。負けるつもりはねぇからな!
ヒューバートでは、カードをお配りします
男性客1ぐぐっ…こ、こんな事が…
ヒューバートもう賭けるチップがないようですね。では、約束通りお引き取りいただきましょうか
男性客1くっ…。わかった…暴れたりして悪かったよ
ヒューバート…?妙にあっさり引き下がりましたね
コハクまただ。急に暴れたと思ったら負けるとすぐに大人しくなる。今日、何人目だろ…?
アルヴィン今日は3人目。この調子がもう数日続いてるんだ。さすがに普通じゃないよな
コハクアルヴィンさん!数えてたの?
アルヴィンああ。あまりにトラブルが続くから店から監視役を頼まれてね
アルヴィン内容もちょいと気になって独自に原因を探ってたんだが、コハクは何か気付いた事はあるか?
コハクうーん、さっきのお客さんもだけど飲み物を注文したりする時は普通の優しい人ばかりだったよ
コハクなのに勝負が始まるとまるで別人みたいになって…
アルヴィン雰囲気が急に変わったって事だな?
コハクうん。何か心当たりがあるの?
アルヴィンそれについては識者のみなさんの見解を聞きたいところだねぇ
コハク識者…?あっ…
リタ無理やり連れ出しておいて何が識者よ
コンウェイいいじゃないか。キミが識者なのは事実だしそこに並べてもらえてボクは光栄だよ
シンクどうでもいいよ、そんな事。ボクはここで起きてる現象に興味があるってだけさ
コハクリタに、コンウェイに、シンクまで!?
アルヴィンちょうど客の中に、こういう事に詳しそうな連中がいたから協力を頼んだんだ
アルヴィンそれで、現時点で何かわかった事はあるか?
リタ細かい事はわかんないけど、マナの流れが変ね。何かの術式が働いてるような…
アルヴィン…って事は、誰かが術で人を操ってるって事か?
コンウェイその可能性もあるだろうね。そういう術に詳しい人はいるかな?
コンウェイそういえば、シンクくんはこの現象を気にしていたよね。思い当たる事でもあるのかい?
シンク……
シンク…まあね。ボクが使う術に近い気配を感じる。負の感情が増幅されてるみたいだ
コンウェイ感情の増幅…カジノ…もしかして…
男性客2た、助けてくれー!
コハク!?今の声は…?
アルヴィンあそこだ!
男性客2も、もう勘弁してくれ…!
ヒューバート逃げないでください。さぁ、ぼくと勝負です
ヒューバート持っているチップを全部賭けて限界まで戦いましょう。身ぐるみ剥いで差し上げますよ
コハクどうしよう。今度はヒューバートがおかしくなっちゃったよ
アルヴィン何だ?この現象、伝染でもするってのか?
コンウェイある意味、伝染と言えるかもしれないね
リタあんた、何かわかったの?
コンウェイ確証はないけどね。確かめたい事があるから、彼と勝負してきてもいいかな?
アルヴィンそりゃ構わないが…ミイラ取りがミイラなんて事にはならないでくれよ?
コンウェイ勝ってすぐに切り上げればきっと平気さ。それじゃあ、行ってくるよ
コンウェイ…これで最後かな。勝負!
ヒューバートなっ…!この土壇場でブラックジャック…!?
コンウェイボクの勝ちだね。冷静さを欠いたキミに遅れを取るほど甘くはないよ
ヒューバートくっ…!ほら、チップです。ですが勝ち逃げは許しませんよ!
コンウェイどうかな。ボクの考えが正しければきっとこれで…
ヒューバート…!あっ、あれ…
ヒューバートぼくは一体、今まで何を…
コハクヒューバート!元に戻ったんだね!
コンウェイ上手くいったみたいだね。もう席を立ってもいいかな?
ヒューバートえ…?えぇ、はい…
アルヴィンこれまでと同様、負けたら正気に戻った…か
コンウェイ正確には、チップを失ったら…だね。原因はこの一枚のカジノチップだったんだ
リタ…!何よこれ、小さなチップに複雑な術式が組み込んである…
ヒューバートちょっと待ってください。一体どういう事なんです?
シンクわからなかったのかい?そのチップの働きで、持ち主の欲が増幅されてたんだよ
シンクそのチップを賭けて勝負すれば増幅された感情が暴走する。わかってみれば単純な仕掛けだね
アルヴィンなるほどな…。コンウェイはこのチップの事、知ってたのか?
コンウェイある本で読んだ事があってね。けど…この世界の物ではないはず…どうしてここに…
リタまあ、経緯はいいわ。とにかく、その異界から来たチップが紛れ込んでいたのが原因なのね
コハクじゃあ閉店してから、カジノ中のチップを集めて異界のチップを取り除けば解決だね
アルヴィンいや、そうもいかないだろ?閉店までにまた被害が出ないとも限らない
シンクつまり、豹変してる奴を見つけて勝負してチップを集めるって事?付き合う義理はないね
アルヴィンそう言うなって乗りかかった船だろ?それに俺達にはシンクの協力が必要なんだよ
アルヴィンチップの仕掛けに自力で気付けたのはお前だけだったろ?コンウェイは本で知ってたわけだしな
シンク……
シンクまあいい。普通の客を相手に勝負するよりは楽しめそうだし…
シンクこんな術が使われてるのも不愉快だからね
リタ一応言っとくけど、あたし達が豹変する可能性もあるのよ?
コンウェイ異界のチップを賭けなければ術は発動しないようだから、気を付けていれば大丈夫じゃないかな
アルヴィンま、他のチップとはデザインも違うしわかってれば間違えないだろ
ヒューバート…事情は把握しました。被害を抑えるために、他のディーラー達にも伝えておきます
コハクわたしは、豹変した人を見かけたらみんなに知らせるね
アルヴィンんじゃ、そういう事で閉店時間までひたすら勝負と行きますか!

NameDialogue
カボチャランプを取り戻せ
リオン…人が増えてきたな。ハロウィンの祭とやらは今年も盛況なようだ
リオン…それにしても…どうして警備を手伝ってやってるだけなのに仮装しなければならないんだ
街の男お、いたいた。そこの死神の格好した兄ちゃん!
リオン何だ?
街の男ああ。ちょいと聞きたいんだがカボチャランプはどこにあるんだ?
リオン何の話だ
街の男ハロウィンの飾りだよ。飾り付けの最中だったんだが残りが見当たらなくてね
街の男死神の兄ちゃんがさっき運んでただろ?どこに置いたのか教えてくれよ
リオン身に覚えがないな。人違いだろう
街の男そうなのか?確かに兄ちゃんだったと思ったが…困ったな…
街の男兄ちゃん、警備の人だろ?カボチャランプ探してくれよ。ほら、盗まれたのかもしれねぇし
リオン警備はするが探偵じゃないんだ。探し回っている暇はない
街の男そうか…まぁ警備も忙しいもんな。でも、どうすりゃいいんだ…。このままじゃ飾り付けが足りねぇよ…
リオン…盗んだやつがいるなら僕が捕まえてやる。見つけたら教えろ
ユーリそういう事なら、力になれると思うぜ
リオン…!おまえは…
ユーリラピード、ランプの匂いだ。辿れるか?
ラピードクンクン…バウ!
ユーリあっちにあるみたいだな
街の男本当か?いやぁ、助かるよ。じゃあ早速、探しに──
リオン待て、何かおかしい。向こうは街のはずれ…森しかないような方角だ
街の男確かにそうだ。どうしてそんなところに…
ユーリ本当に誰かが盗んでいったのかもな。森に隠したか、森を抜けて逃げたか…
ラピードワン!
ユーリああ。とにかく匂いを追ってみるか。何があるかわからねえから、オレ達だけで行こうぜ、リオン
リオンどうして僕が
ユーリさっき言ってたじゃねぇか。盗んだやつがいるなら僕が捕まえてやる…ってさ
リオン…ちっ。早く案内しろ
ラピードワン!
街の男すまない。よろしく頼んだよ
ラピードクンクン…ワン!
リオンやはり森の中に向かってるのか
ユーリ…お。あそこに誰かいる。何か見てないか聞いてみようぜ
ユーリおーい
プレセアユーリさんに、リオンさん。ラピードさんも。…何かあったんですか?
ユーリ実は探し物をしててな。ちょいと聞きたい事があるんだが──
リオンおい、おまえが作っているのは街で使うカボチャランプか?
プレセアはい。街の人に頼まれて作っているんです
プレセアでも、作っても作ってもいつの間にか減ってしまっていて…
リオン何…!
ユーリ実は街でもランプが持ち去られてるらしくてな
ユーリプレセアの作った物も同じ犯人が持って行ったかもしれねぇ
ユーリ犯人に心当たりはないか?
プレセア…いえ、人が来た気配はありませんでした
リオンそのカボチャランプ、少し見せてもらうぞ。ふむ…いい出来だな
プレセアそれはまだ、作りかけですが…
ラピードガルルルル…ワンワン!
リオン騙されるな!そいつは僕じゃない!
リオン(?)ふっ、こいつはいただいた!
リオン待て!
ユーリリオンがもう一人…どういう事だ?
プレセアカボチャランプ…持って行きましたね
ラピードワン!
リオン追うぞ!
プレセアはい。逃がしません
ユーリいや、ランプはオレ達が取り戻してくるぜ
ユーリプレセアは、ランプ作りを続けてくれ。街の連中が困ってるみてぇだからな
プレセア…そうですね、わかりました。お任せします
ラピードワンワン!
リオン急ぐぞ!
ユーリああ!
ユーリ森の奥まで来ちまったな。一体、どこまで──
リオン待て。何か聞こえる
???やめてください!
ユーリあれは…!
エリーゼ1わたしのマネ、しないでください!
エリーゼ2そっちこそ、マネしないでください!
ティポ1ニセモノー!消えろー!
ティポ2そっちこそ、帰れー!
リオンまた偽物か!
ユーリどうなってんだ、こりゃ!?
ラピードグルルル…ガウッ!
エリーゼ2キャッ…!大きな声、やめてください…!
ティポ2なんでわかったのー!?逃げろー!
ユーリうわっ、何だ!?
リオン消えた…!
エリーゼよかった…です
ティポみんな、ありがとー
ユーリひとまずどうにかなったか。しかし、何がどうなってやがんだ。わけがわかんねぇな
ラピードワンワン!
リオン何か落ちてるぞ。…!これは、カボチャランプか
ユーリ作りかけって事はプレセアのだな。じゃあ、エリーゼの偽物はリオンの偽物と同一人物だったのか
リオン姿を自在に変えられる何者かが僕達になりすまして悪さをしているわけか
ユーリラピードが嗅ぎ分けられなかったら手が出せないとこだったぜ
エリーゼあの、ティポの偽物もいました。だから…相手は、複数犯だと思います
ユーリ厄介だな。かく乱されねぇように気を付けねぇと…
ラピードクンクン…ワンワン!
ユーリ匂いがあっちに続いてるのか。よし、追うぞ
エリーゼわたしも、追いかけるの手伝います
ティポぼく達のマネっこでイタズラするの許せないもんねー
リオン…必要ない。姿を似せて来る相手を大人数で追うのは控えるべきだ
エリーゼそう…ですか…
ユーリ…その格好、森を抜けて街にいくんだろ?
エリーゼはい。ハロウィンに参加するんです
ユーリ街の方に行くんなら森の入り口にプレセアがいるからこいつを届けてやってくれないか
エリーゼさっきのカボチャランプ…ですか?
ユーリああ。頼めるか?
エリーゼはい!任せてください
ティポよゆーだよ!
ユーリんじゃ、よろしくな。気を付けて行けよ
エリーゼはい。みなさんも気を付けて
リオン
ユーリ危ないからって止めるにしてももうちょい気をつかえって
リオン…何の事だ。それより、急ぐぞ
ユーリへいへい。んじゃ、ラピード、案内よろしくな
ラピードワン!
ガサガサ…
リオン…!
ユーリ誰だ…!?
???あれ?その声は…
パスカルユーリ!リオンと、ラピードも!
エレノアどうしてここに…?
ユーリパスカルにエレノア?お前達こそ、どうしてこんなとこに…
リオンまた偽物じゃないだろうな
ラピードワフッ
ユーリどうやら本物みたいだぜ
エレノアどういう事です?本物とか、偽物とか…
ユーリああ、実は…
エレノアなるほど…そんな事が…
パスカル実はあたし達もカボチャランプを追って来たんだよ。ね、エレノア?
エレノアはい。ここから少し離れた街でもカボチャランプが消える事件が起きていて…
エレノア偶然、空中を飛んでいくカボチャランプを見かけたので追って来たんです
リオン空中を?こちらとは状況が違うな
エレノアええ。ですが、犯人は同じ存在ではないかと
ユーリ心当たりがあんのか?
エレノアええ、精霊に近い気配を感じます。どう呼べばいいかはわかりませんが、実体がない、幽霊のような存在かと
リオン幽霊だと?そんなものを信じろと言うのか
ユーリまぁでも、それならいろいろと説明つくな
ユーリじゃ、呼び方はとりあえず幽霊って事にしといて…それじゃあどう対処すりゃいいんだ?
エレノアその事なのですが、実体がないのでこのままでは対処のしようがありません
パスカルでも実体があれば捕まえられる!だからあたしが来たってわけ!
リオン回りくどい。結論を言え
パスカル話を盛り上げようとしてるのに、せっかちさんだな~
パスカル要するに、あたしの「解析機」をちょこ~っと調整すれば今回の相手も見えて触れるようになるから
パスカルあとは、ズバーン!バッシーン!と捕まえちゃえばいいんだよ~
ユーリなるほど、それなら話が早いな
リオン(?)ほう、面白い事を考えているな。だが、そう上手く行くかな?
ラピードガルルルル…
エレノアリオンが二人…!あれが偽物ですね!
リオンもう逃がさんぞ!はっ!
シャッ──…
リオンくっ…!攻撃がすり抜ける…!
パスカルほんとにせっかちさんだな~。今、解析機を使うから待ってて。え~い!
リオン(?)ふん。この光が何だっていうんだ
リオンおまえがこの世で見る、最後の光だ
リオンはぁっ!
リオン(?)くぅっ…!当たっただと…!
リオン(?)なら、お返しだ!
リオンその構えは…!
ユーリ姿だけじゃなく、技までマネしやがるのか!?
リオンちっ…!いいだろう、ぶつけてやる!
リオン・リオン(?)塵も残さん!浄破滅焼闇!!
ガキィンッ!
リオン(?)押されている…!?力は同じはずなのに…!
リオン僕の技の事は、僕が一番よく知っている。つけ入る隙も含めて、な
リオンはぁっ!!
バシュッ!
リオン(?)ばかな…!?
リオン闇の炎に抱かれて消えろ!
エレノアやりました!幽霊の気配が消滅しましたよ!
???アリガトウ…タノシかった…またアソボ…
エレノア…!今の声は…
リオン…ふん。どこまでもふざけたやつだ
ラピードワンワン!
ユーリランプを落としていったか。でも、これで全部ってわけじゃないよな?
エレノアはい。さっきの幽霊は消えましたが、森の中にはまだ多くの気配があります
リオンなら、すべて斬るまでだ
パスカル幽霊も、そうやって遊んで欲しいって思ってるみたいだしね~
エレノア気を付けていきましょう。次はどんな姿で出て来るのかわかりませんから
ユーリこっちのモノマネばかりとも限らねぇって事か。ラピード、嗅ぎ分けは頼んだぜ
ラピードワォン!

NameDialogue
『怪盗エドナの予告状』
ミクリオ僕の名はミクリオ。難解な事件を次々に解決する名探偵さ!
ミクリオさて、忙しくなるぞ。ティトレイ警部から緊急の呼び出しだ
ミクリオ美術館に届いた、怪盗エドナからの予告状…今夜イエローダイヤモンドを盗む、か
ミクリオ絶対に阻止してやる。今度こそ逃がさないぞ、怪盗エドナ!
ミクリオ世間を騒がせる美しき怪盗エドナ。彼女には何度煮え湯を飲まされたかわからない
ミクリオ僕はティトレイ警部と共に今度こそ彼女を捕まえると誓った
エドナ…ふぅん。随分と厳重な警備体制ね
エドナでも、ワタシに言わせれば穴だらけ。これなら簡単に──
???おい、そこのお前!
エドナ…!
ティトレイ今日は美術館は休みだぞ。そもそも立ち入り禁止なのにどうやって入った?
エドナ…ワタシ、迷子なの。道がわからなくて、気が付いたらここに…
ティトレイそうだったのか。参ったな…何とかしてやりてぇけど今は余裕ねぇんだ…
ミクリオ警部。騙されてはいけない。彼女は怪しい
ティトレイミクリオ!怪しいって、どういう事だ!?
ミクリオ彼女のブーツを見ろ。泥で濡れているだろう?
エドナ……
ミクリオこの辺りでは最近雨は降っていない。泥が付くとすれば、美術館の裏庭の散水機のあたりだけだ
ティトレイでもよ、裏庭って、特に厳重に警備してるから誰か入ってきたらすぐわかるはずだぞ
ミクリオ怪盗エドナは変装が得意だ。警備員になりすます事ぐらいやってのけるだろう
ミクリオその場合、警備員の多い裏庭が一番潜入しやすいんだ。木を隠すなら森って言うだろう?
エドナふ…さすがは探偵さん。今日も冴えてるようね
エドナもっとも、捕まえられなければ何の意味もないけど
ティトレイ怪盗エドナ!くそーっ!とっ捕まえてやる!
エドナあなたに捕まえられるかしら?それじゃ、またねお二人さん
ティトレイあっ、待てー!
エドナ…ここまでは追ってこないでしょ
ティトレイ待てー!逮捕だー!
エドナなっ…!思ったよりしつこいわね
ティトレイ当たり前だ!ミクリオの推理とおれの体力でどこまでも追い詰めてやるぜ!
エドナつまり、探偵さんはついて来られなかったのね。それなら、これで煙に巻けるわ
エドナえいっ
ティトレイうわっ、何だ!?眩しくて見えねぇ!?
エドナさようなら。また夜、お会いしましょう
ティトレイいなくなってる!ちくしょう!!どこに隠れやがった!
ミクリオ後から思えば、その時がエドナを捕まえる唯一の好機だったのかもしれない…
ミクリオ予告された時間…十重二十重に仕掛けた罠も全て怪盗エドナはすり抜けていった
ミクリオそれでも僕達は諦めず、エドナを追い続け、美術館の屋上へと追い詰めたが──
ティトレイちくしょう、待ちやがれ!
ミクリオくっ、空を飛んで逃げるとは…!
エドナふん、とんだお間抜け探偵。さすがニブミボね
ミクリオニブミボ…!?ちょっと待て、勝手に変な台詞を付け加えないでくれ!
エドナ演劇は生き物よ。アドリブにも対応なさい
ミクリオぐっ…!
ティトレイおいおい。せっかくいいところなのに劇を止めるなよ
エドナそうよ、ミボ。主役のアドリブは謹んで受けなさい
ミクリオ何を言ってるんだ。この劇の題名は「名探偵ミクリオ」…主役は僕だろう!?
エドナでもワタシに逃げられるのよね。勝つ方が主役で当然でしょ
ミクリオ怪盗は悪役だろ!?それにイエローダイヤモンドは死守したんだから、負けたのは怪盗だ
エドナちゃんと脚本読んだの?怪盗の本当の目的は美術館長が隠した裏金の存在を公にする事だったのよ
エドナ怪盗は正義の味方だし、目的も達成しているのよ
ミクリオぐっ…それでも題名は──
エドナ題名が間違ってるのよ
ティトレイだから、喧嘩すんなよ!主役が怪盗でも探偵でもどっちだっていいだろ!
ティトレイったく、練習の度にこれだもんな。よくここまで形に出来たぜ
ティトレイそれで、観客第一号の感想はどうだった?
ナナリー面白かったよ。結構、世界観に引き込まれたしねぇ。役作りも完璧じゃないか
ミクリオナナリーの作ってくれた衣装のお蔭だ
エドナそうね。傘や予告カードも作り込みが細かくて気に入ったわ
ティトレイおれも、すっかり警官気分だぜ。手錠とか、本物みだいだしな
ナナリー気に入ってくれたんなら作った甲斐があったよ
ナナリーそうだ、小物で思い出したんだけどあたし、この劇を宣伝するいい方法を思いついたんだ
ミクリオ宣伝か。練習に集中していたから考えてなかったな。どんな方法だい?
ナナリー探偵ものらしく、謎解きキャンペーンをやるのさ
ティトレイへぇ、何か楽しそうだな!
ナナリー前に西部劇をやった連中が学園内で決闘を実演してたろ?
ミクリオ確かにあれは盛り上がっていたね。なるほど、効果は実証済みというわけか
エドナそれで、具体的にどうするの?
ナナリーまず、参加者は学園内で、出演者…つまりあんた達を捜す
ナナリーあんた達は見つかったら、なぞなぞを出題するんだ
ナナリーそれに正解できた人にはこの大量に余ってる小道具…怪盗の予告カードを渡すのさ
ナナリー予告カードには、その名の通り、演劇の予告が書いてある。さらに…
ナナリーたくさん予告カードを集めて来た人には記念品もあげる…ってのはどうだい?
ティトレイ面白そうだ!おれも参加したいぜ!
エドナあなたは、出題する側でしょ
ミクリオいい作戦だと思うけど、僕達だけじゃとても学園中には配りきれないんじゃないか?
ナナリーそこは既に協力を頼んでおいたよ何人かに出題者になってくれってね
ナナリー学園中の誰が出題者かわからない…変装した怪盗を捜すような楽しみもあるってわけさ
ティトレイなるほどな~。よく考えられてんなぁ
ミクリオそういう事なら探偵の実力を見せないとな
エドナ謎を出すのは怪盗の仕事でしょ。このキャンペーンこそワタシが主役よ
ナナリーそれじゃ、全員賛成って事で正式に謎解きキャンペーン開始だね!出題者のみんなにも連絡しておくよ
コハク学園祭はじまったね~
リチア楽しみですね。どこに行きましょうか
ヒスイいろいろあるからなぁ。目についたところから適当に回っていこうぜ
リチアそうですね。ヒスイは何か気になるところありますか?
ヒスイそうだな…お化け屋敷か…喫茶店か…おっ、この壁のチラシに書いてある謎解きキャンペーンってのどうだ?
コハクえーっと…なぞなぞに挑戦して記念品ももらえるんだね。面白そう、やってみたい!
リチアでは問題です…!
ヒスイなっ…えっ!?
コハクどういう事?
リチア驚きましたか?実はわたくし、キャンペーンの人に出題を頼まれたんです
コハクびっくりした~。隠れた出題者を捜せって書いてたけどそういう事だったんだね
コハクよーし、リチアには負けないよ!問題、出して!
リチアでは、なぞなぞです。謎を解き明かすと現れるのは誰でしょう?
コハク謎を解き明かすと…?うーん…
リチアヒントは、演劇の登場人物ですよ
コハクちょっと待って。何か思いつきそうなんだけど…
ヒスイ俺はまだリチアが出題者って事について行けてねぇぞ…
リカルドん?ヒスイじゃないか。呆然として、どうかしたか?
ヒスイリカルド先生か。別にどうもしねぇよ
ヒスイチラシに書いてあった謎解きキャンペーンってのに参加してるだけだぜ
リカルドほう。お前も参加してるのか。なら、問題だ!
ヒスイなにぃっ…!?
リカルド驚いたか。協力を頼まれたのは生徒だけではないという事だ
リカルドさて、お前にはなぞなぞではなく普段の授業から問題を出すとしよう
ヒスイそりゃねぇよ、先生。学園祭だぜ?そういうの抜きにしようや
リカルド…ふ。仕方ないな。では、なぞなぞにしてやろう
ティトレイおーっ!あそこで出題しているのってリチアにリカルド先生かよ
ミクリオ本当にいろんな人を巻き込んでいるんだな
エドナナナリー、一体どんな人脈してるのよ
ナナリー急いでたから手あたり次第頼んだらみんな結構乗り気でねぇ。先生達は問題も考えてくれたりしてさ
ミクリオ協力してくれてる人達に負けないよう僕達も頑張らないとね
???あっ、ミクリオ見っけ!エドナとティトレイも!
スレイ捜してたんだ。ミクリオ、なぞなぞ出してくれよ。知恵比べだ!
ミクリオわかった。スレイが相手なら手加減しないぞ
ティトレイ早速、挑戦者現る…か。忙しくなってきたな!よーし、頑張ろうぜ!
エドナええ。絶対に解けないなぞなぞを出してあげるわ
ナナリーはは、お手柔らかに頼むよ

NameDialogue
リッドのとかげプロローグ
キールはぁ…ま、待ってくれ…!山登りだぞ…もっと、ゆっくり…
メルディキール遅い!このままじゃ日が暮れちゃう!
キールそんなに急いで、足でもくじいたらもっと遅くなるだろ
メルディでも、街が人、待ってるよ。病人いっぱい!お薬必要!
キールわかったよ。病人の苦しみに比べたら、このぐらい平気だって言うんだろ
キール…ぼくだって心配だから、こうして薬草を取りに来たんだ。…急ごう
メルディワイール!そうこなくちゃ、な!
キール…待て、メルディ
メルディどうした?また休憩か?
キール違う。おまえの足元…その草だ。探してた薬草
メルディバイバ!これが薬草!?
キールよく見ると周りにも生えてるな。どうやら、この辺りに群生しているらしい
メルディやったな、キール!これでみんなが病気、治せるよ!
キールああ。でも、気をつけろ。その薬草はとても栄養価が高く野生動物も好んで食べるんだ
キールだから群生地となると、動物や魔物の縄張りになっている事も少なくない
グルル…
キール噂をすれば…!メルディ!
メルディはいな!
メルディこれで最後!
ドーンッ!
ギャウゥ…!
キール片付いたか。また次が来るかもしれない。急いで薬草を集めよう
メルディはいな!
キール…………
メルディキール?どうした?ケガでもしたか?
キールあぁ、いや、何でもない。ちょっと昔の事を思い出してたんだ
キール小さい頃、リッド達と一緒にこうして薬草を集めに山に登った事があったんだが…
キール今思うと、よく魔物に出くわさず無事だったな…って
メルディメルディ、知ってる!キール、ネションベンしてた頃な!リッドが言ってた!
キールなっ…!
キールしてない!あの時はしなかったのを、リッドも確認したはずだ!
メルディあの時は…?
キールあっ…
メルディメルディ、キール達が昔の話聞きたい!けど…
メルディ…キール、話しづらいか?この話、やめとくか?
キール気を使うな!別に恥ずかしい話じゃない
キール仕方ない。詳しく話してやる。…誤解されたままなのも嫌だからな
メルディワイール!とても楽しみ!
キールただし、薬草を集めながらだ。それと、何か言いたいなら話を最後まで聞いてからにする事
キール途中で妙な詮索をしたり茶々を入れるようなら話すのをやめるからな
メルディわかったよぅ。薬草を集めながら最後まで黙って聞いてるな
キールじゃあ、話すぞ。といっても、ぼくも最初は事情をよく知らなかったんだ
キールだからリッド達から聞いた話がほとんどなんだけど…あれはもう何年前になるのか──
リッドのとかげscene1
早朝、雲がかかっていた空も、太陽が高く昇るにつれて明るく輝きだした
リッド・ハーシェルは彼が毎日通っている道──
目をつぶっていても迷わないどころか両脇によく茂った草の中につっこむ心配もない
──を、走っていた
ときどき見上げる空に、あり余る体力を放り投げるように、ジャンプする
リッドが地面を蹴るたびに、ブーツの底が土埃を巻き上げ、小さな風が起きた
わずかばかりの日々の食料を巣に運ぼうとしている昆虫や…
いままさにこの場所を通りかかった蝶たちがあわてて進路を変えるのに、彼はちっとも気づいていないようだ
緑豊かなインフェリアの、それもこんなラシュアンのような片田舎の村では、
自然は文字通り特別なものではないからかもしれない
作物を育もうと暖かく降り注ぐ雨。動物たちの熾烈ななわばり争い
もしかしたら人の生き死にさえ、リッドにはその仕組みの一部として捉えられているのかもしれなかった
リッドキール!
リッドは、幼なじみの家の垣根をひょいと飛び越えると、そのままキールの部屋の窓に近づこうとした
が、すぐ横の物干場にキールの母親のラミナを見つけて、あわてて立ち止まる
ラミナこんにちは、リッド
リッドあ、お、おはよう
リッドは、まずいところを見つかったと、思わずどもりながら挨拶した
「友人を訪ねるときは、門から入って 玄関ドアをノックするものよ」と…
常づねラミナに注意されているのを思い出したからだった
ラミナもしかして、朝ごはんを食べていないのね
ラミナが苦笑すると、リッドは目を丸くした
リッドおばさん、知ってるの?
ラミナだって、あなた前にいってたでしょう
ラミナオレのうちは朝食前はおはようで、食べたらこんにちはなんだぜ、って
ラミナは、嫌味に聞こえないよう、答えた
リッドは二歳のときに母親を亡くして以来、もう五年も父親とふたり暮らしをしている
ビッツが不器用だとはいわないが、男手ひとつで育てていれば…
朝食が遅くなったり、食べずに遊びに出てしまうことだってあるだろう、と彼女は思っている
リッドちがうよ、おばさん
リッドは大真面目に首を振ってみせた
リッドファラの家がとりころんでるって。それで食べられなかったんだよ
リッドきょうはファラといっしょに朝ごはん食べることになってたんだ
ラミナとりころぶ、じゃなくて、とりこむ、じゃないのかしら
ラミナは神経質そうな細眉をわずかに寄せ…
ラミナ取り込んでるですって?
…と聞き返す
ラミナいったいなにがあったの
リッド知らね。ファラ、なにもいわなかったもん
リッドただきょうは遊べないかもしれないっていっただけだよ
リッドは、キールの部屋の窓のほうを気にしながら、ラミナが手に持っているシーツを指さした
リッドおばさん、それ
ラミナええ。またなのよ
寝しょんべんたれ、とリッドが笑った
ラミナ私も困っているんですけどね
ラミナは、息子のおねしょ癖のせいで毎日布団干しとシーツの洗濯に追われていることは素直に認めながらも…
リッドの無神経ないいようには内心少々腹がたった
できのいいキールの唯一といってもいい欠点を…
粗野な少年に笑われるのは気持ちのいいものではない
だが、その気持ちを押さえることくらい…
賢い母親にとってはどうということはなかった
ラミナリッド、残り物でよかったらお食事をなさいな
リッドうんっ!
リッドはラミナを見上げ、心底うれしそうに笑う
ラミナ少し待ってくれる?これを干してしまったら暖め直すわね
リッドべつに、そのままでいいよ。あるもの全部パンにはさんでくれればどこでも食べられるし
リッドは、そのままラミナのそばを離れた
リッド(ここんちの食堂はきれいだけど、 ナイフとフォークで食べなきゃ いけませんっていわれるもんなあ)
できれば気持ちのいい丘の上かどこかで食べたいんだけどな、と彼は思いながら…
全開になっている窓の枠に手をかける。そのままぴょんと伸び上がった
リッドキール
リッドは、こちらに横顔を見せて本を読んでいる友だちに声をかけた
キールああ、リッド
キールはパタンと本を閉じると上目使いに逆光の中のリッドを見、それからまぶしそうに目を細める
リッドは、ふっくらとしたキールの頬に涙のあとが残っているのを目ざとく見つけた
リッドまた叱られたのかよ。そりゃそうだな、毎日干して、とりころんで。大変だもんなあ
キールはリッドの言葉にちょっと変な顔をしたが、なにもいわなかった
この友だちはときどきおかしなことをいうし…
危ないことをしたり、汚れたりすることにひどく無頓着なところがあるのだ
いちいち気にしないことに、キールは決めている
キールファラはどうしたの
リッド食えなかった
キール
リッド朝メシだよ。なんか家ん中いつもとちがう感じがしてさ
リッドファラがきょうは遊べないかもって
キールどうして
リッド知らねえって。おばさんと同じこと聞くなよ
キールは、手に持っていた本を机の上にきちんと置いてから
キール誰だって聞きたいさ、そんなことがあれば。ファラに訊ねてみるのがふつうだろう
と、不機嫌そうにいう
リッドだったらいまから聞きに行こうぜ
キールそれはかまわないけど……
キールは、やっと束ねられるようになった髪に手をやり、庭を見やった
母親の姿はない。すでに家の中に戻ったらしい
リッドもうできたかな。弁当たのんであるんだ
ニッと笑うと、リッドは勢いをつけて着地し、玄関に回った
ギズロそれで、村長のところはどうしたって?
食堂の入り口まで来ると、ギズロ・ツァイベルの話し声が聞こえてきた
ラミナさあ、わからないわ。子供の話だけじゃあ……あら
ラミナは、リッドに気づいて口をつぐんだ
ギズロやあ、リッド。ファラはなんだって?
リッドいまから聞きに行くんだ
リッドは、キールの父親にも同じ質間をされたことにうんざりしながら…
テーブルの上のパンや野菜、ベアのベーコンに視線を当てる
リッド自分で作っていい?
ラミナどうぞ
ラミナは食料ののった皿をリッドのほうに寄せてやりながら
ラミナ様子がわかったら知らせてくれないかしら
といった
リッドん、いいよ
リッドは、彩りも味の組み合わせも考えないまま…
ただめちゃくちゃにパンに食べ物をはさみ込みながら頷いた
それからふっと顔をあげる
リッドなんでそんなに気にするんだ?
ギズロそりゃ、ノリス・エルステッドは村長だからさ
ギズロが、当然じゃないかという口調でいう
ギズロいいことでも悪いことでも、なにかあれば他の村人より早く駆けつけるのが望ましい
ギズロ村長はそういう人間を忘れないだろう
リッド包んで
リッドは、あれやこれやがはみ出したパン──
パンのほうがはさまれているようにも見える
──をラミナに差し出した
リッドキ—ルと一緒に行ってくるよ。あいつもちょっと干したほうがいいみたい
ギズロ……なるほど、それは賛成だ。ははは
ギズロはおかしそうに笑い声をたてかけたが、ラミナの険しい視線に気づいて唇をひきしめる
リッドはふたりの様子にはおかまいなしにパンの包みを受け取ると、キールを呼んだ
キール待てよ。待てったら
キールは土埃の舞う道の端に寄り、リッドの背中に手を伸ばした
リッドなんだよ
振り向いたリッドは、キールを軽く睨みつけた
キールもうちょっとゆっくり歩け
リッドはあ?
リッドは笑いそうになる
リッドなにエラそうにいってんだよ
リッド山越えしようってんじゃない。すぐそこのファラんちに行くだけなんだぜ
リッドいくらなんでも体よわすぎ!
キールちっ、ちがうよっ。リッドの歩きかたが乱暴だから、埃が目に入るんだ
キール目が悪くなったらどうしてくれる
キールはキッとリッドを見据えた
キール本が読めなくなったらこまるだろ?せっかく父さんに新しい本を二冊買ってもらったばかりなのに
ふうん、とリッドは友達の顔を覗き込んだ
リッド今度はなんの本?
キール『思考としての天文学』と『インフェリア動植物大全』
リッドなにそれぇ!
キールうるさいっ
リッドだってつまんなそうじゃん
キールつまんないだって?
キール星や動物や植物のことが、いーっぱいいーっぱい書いてあるんだぞ?
キール図表だって挿し絵だって、こーんなに
リッドおまえ、ほんとに本ばっか読んでるのな
リッドはキールを遮り、くるりと前に向き直ると、ふたたび歩き出す
本ばかり読んでいるからおねしょが治らないのかな、とリッドは考えた
少なくとも自分とファラは本なんて読まないし、おねしょもしない
が、結局のところはよくわからなかった
キールリッド。ぼくに前を歩かせろ
キールが小走りにやってくると、リッドを追い越した
キールほら、こうすれば土埃がかからないぞ。あははっ……!
走りながら上体をねじったせいだろうキールの足がもつれたと思うと、あっという間に地面に転がる
キール……う……
キール、とリッドはため息をついた
リッドつかまれよ、ほら。なにもファラんちの前まで来てからわざわざ転ぶことないだろ?
さし出された友だちの腕にすがりながら体を起こしたキールは、目の前に村長の家を認めると
キール……ほんとだぁ
女の子のようにか細く情けない声をあげた
リッドおーい、ファーラー
リッドはエルステッド家の門の外から思いきり声を張り上げた
リッドファーラーっ!いないのかよ
細く窓が開き、ファラが顔を覗かせる
彼女はひとさし指を唇に当ててみせてから、中に引っ込んでしまった。
ほどなく、玄関ドアから出てきたファラは、リッドに向かって顔をしかめてみせた
ファラしーっ、静かにしてよ。きょうは遊べないかもっていったでしょ?
リッドだから来たんじゃん。みんな、いったいなにがあったのか気にしてるし
ファラたいしたことないよ
ファラは、ダークグリーンのおかっぱ頭を振りながら、リッドとキールを均等に見ていった
ファラ父さんが、ちょっと熱を出したの
キール熱……ひどいのか
キールは、いつも明るく澄んでいるファラの瞳がやや翳ったブラウンに見えるのに気づいて、訊ねた
ファラうん……よくわかんないけど、二、三日寝ていれば大丈夫でしょうって、母さんが
リッドおばさん?ローティス先生じゃなくて?
うん、とファラは不安そうに頷いた
ローティスというのは、ラシュアンのはずれに住んでいる、年老いた医者の名だった
キールは、彼がもともとケガの治療を得意とする医師であり…
つまりは内科的な治療が専門ではないことを、両親から聞いて知っていた
が、村人はみな、ちょっとした風邪のときは…
ローティスに薬を調合してもらうのが習慣になっている
キール(あの先生の薬はみんな、 そのへんに生えている野草で 作ってるんだよな)
キール(その気になれば、ぼくにもできる)
キールは心の中で思いながら、重ねて聞いた。
キールどうして先生を呼ばないんだ
ファラ呼びに行ったよ、もちろん!
ファラはムキになって答えた
ファラでも、お留守だったの。遠くの村で病人が出て、頼まれてきのう出かけちゃったんだって
ファラ五日くらいは帰らないだろうっていわれて、母さん、戻って来たんだ
リッドそっか
リッドは腕組みをした。ようやく筋肉の目立ってきた肩のあたりが、わずかに盛り上がる
ファラけさ、リッドが来てくれたとき、母さんの帰りを待ってるところだったの
ファラだから外に出られなかったんだよ
リッドもういいのか
うーん、とファラは家の中を振り返るしぐさをし
ファラ母さんがつきっきりで看病してるからちょっとくらいなら遊んでも……いいかな
と、笑った
リッドよし。じゃあ、裏山へ行こうぜ。オレ、腹へっちゃって
リッドが紙包みを見せると、ファラはくすくすと笑いだした
ファラじゃあ、朝のオムレツの残りがあるから、それも持ってこ
リッド
リッドはわざとらしくキールの顔を覗き込んでから、ファラに向き直った
リッドそれって、おまえが作ったの?それともおばさん?
ファラあたしが作ったやつだったらどうだっていうの。食べられない?
リッドまさか。いちおう食いもんだろ
ファラいじわる、リッド
ファラはぷいと顔をそむけると、家の中に消えた
キールどうしてそういういいかたをするのかな
キールは、子供らしからぬ上目使いでリッドを見る
キールいつもさんざんファラが作ったごはんを食べてるじゃないか
リッドだからだよ。ファラのやつ、台所で怒らせるといつだってムキになって…
リッドこれでもかっていうくらい料理を作るだろ。ありゃ絶対、飲み物も持ってくるぜ
キールおまえって……
キールは、あきれてため息をついた
やがて、小さなカゴをさげて出てきたファラは…
ファラけさ、父さんのためにお茶をいっぱい作ったの。それも少し持ってきちゃった
と、陶製の壜をふたりに示した
リッドほーらなっ。あはははは!
キールの背中をバンっと叩き、先に立って歩きだしたリッドを、ファラは不思議そうに眺める
ファラどしたの?
キールさあな
キールは小さく首を振ると…
キール村長は薬を飲んでないんだな
と、真顔で訊ねた
ファラそうだよ
ファラでも、父さんは体が強いし、そんなに何日も熱が出っぱなしのわけないからさ
ファラヘーきヘーき。行こ
キール……うん
キールはひとり振り返ると、ファラの父親が休んでいる家に視線を巡らせてみた
が、いつもは誰かしら村人が訪れていて賑やかな家が、いまはただひっそりしているばかりだ
ファラキール!なにしてんの。置いてっちゃうよ
彼はハッとすると、あわてて幼なじみたちのあとを追いかけた
裏山は、実は山ではない。リッドたちがいつしかそう勝手に呼ぶようになっただけで…
実際にはファラの家の裏手から続くなだらかな丘だった
しかし、陽当たりがいいのであっという間に彼らの姿をすっぽりと覆い隠してしまうほどに伸びる草や…
涼しい木陰を作ってくれる樹々のおかげで、幼いリッドたちは充分に山の気分を味わうことができる
三人は、柔らかな下草の生えている場所を選んで、座ることにした
ファラはい、オムレツに、お茶に、お菓子もあるよ
ファラはかいがいしくふたりの少年の前に食べ物と飲み物を置くと…
からっぽになったカゴを膝の上に載せる
ファラキールは食べないの?
さっそく手を伸ばし、がつがつと頬張っているリッドを楽しそうに眺めながらファラが聞いた
キールぼくは、朝ごはんをちゃんと食べてきたからな
ファラふうん……
ファラねえ、さっきから気になってたんだけど、それ、なにが入ってるの
ファラは、リッドの手の中でガサゴソと音をたてている紙包みに興味を移して、身を乗り出す
リッド見る?キールんちの朝メシだよ
ファラえええ?こんなぐちゃぐちゃが!?
ぐっちゃぐちゃ、とファラはもう一度繰り返した
キールバッ、バカ!なにいってんだよリッド。ちがうだろ
キールこれはおまえが自分でこういうことにしたんじゃないのか……
キールは大真面目に抗議したが、口いっぱいに頬張っているリッドはわざと聞こえないふりをする
ファラわかってるよ、キール。おばさんがこんなもの作るわけないもん
キールふん
キールは座ったまま、ふたりにくるりと背を向けた
リッド腹に……入っちまえば、おんなじだよ
リッドどんな食べ方したって、混ざっちまうんだ
ようやくベーコンのかたまりを飲み下したリッドは、お茶の壜を掴んで悟ったようにつぶやく
リッドおい、いちいちいじけんなよ。キール
リッドは、背中を丸くして地面をいじっているキールに、ニッと笑いかけた
リッドキールってば、おい……?
ファラどうしたの
ファラは腰をあげ、キールの肩越しに彼の手元を覗き込む
キールは手当たり次第に草を引き抜いては、ぶつぶついいながら放り投げていた
リッド食える草でもさがしてんのか?腹へってるなら意地はらないでこっちのを食えよ
ファラそうだよ、キール。ねえ
キールの手がぴたりと止まる
キールない。やっぱり、ない
リッドとファラが顔を見合わせていると、キールはようやく振り向いた
キールあの本はかなり正確だといえるかもしれないな
リッドなんだ?
キール『インフェリア動植物大全』だよ。まだ全部読んだわけじゃないし、葉の形もうろ覚えなんだけど
キールたしかキリアシュトリメラ草は、もう少し東の山の中にしか自生していないとあったんだ
ファラキリアシ……?
ファラがきょとんとする
リッドなんか、いたそーな名前
キールキリアシュトリメラ草。熱さましに非常に効果があるとされている野草だ
キールたぶん、ローティス先生の薬にも調合されているんじゃないかと思う
ファラうわー、キールってすごい。むずかしくてなにいってるのかわかんない
ファラが、ぱちぱちと拍手した。たちまち、キールの頬がうっすらと紅潮する
キールぼ、ぼく、もう少しあっちをさがしてみるよ
キールひょっとしたら一本くらい生えてるかもしれないし
リッド迷子になるなよ。草を見つける前に、モンスターに見つかったりしてな
リッドがしれっというと、キールはぎくりとして唇をひくつかせた
キールお、おどかすなよ。絶対ここにいるんだぞ!勝手に帰ったりしたら、ひどいぞ!
ファラキール、涙目のまま行くと転ぶよ
キールうるさいっ
キールはどたどたと地面にブーツをたたきつけながら、背の高い草をかきわけて行ってしまった
ファラだいじょうぶかな
リッドなにが
リッドは、りんごの甘煮をはさんだパンケーキを口に放り込むと、世にも幸せそうな顔になる
リッドうんめぇ!だいじょぶだって。それよりさ
リッドはニッと笑うと、ファラの耳元に顔を近づけた
リッドあいつ、けさもおねしょしたんだぜ。おばさんがシーツ干してた
ファラふうん。まだ治んないんだ、おねしょ……
リッドやっぱ、オレとちがってまだ子供なんだよ
リッドときどき、ファラより高くなるもんな、声
ファラリッドは子供じゃないの?
ファラがおかしそうに訊ねるのを、リッドが「しっ」と遮る
リッド動くな、ファラ
ファラ!?
ファラは、リッドの手が目にも止まらぬ速さで動くのをみた
腰からなにかを掴み取ると、草むらめがけて投げつける
それが、目立たぬように装着していた鞘から小刀を抜いたのだとわかるまでいくらか時間がかかった
バシュッ──!
リッド手ごたえ、あったっ!
ファラ……リッド?
ファラは恐るおそるリッドを見上げる
リッド聞こえたろ?肉に刃が剌さる音
ファラ……なにしたの?
リッドなにって、獲物を……ちょっと待ってろよ
リッドは、ファラの顔がまっ青になっているのを不思議に思いながら草むらに分け入り、すぐに戻って来た
リッドほら、ウサギ
リッドに耳を掴まれぐったりしている重たげな野ウサギを見、ファラはほうっと息をつく
ファラなんだぁ、びっくりした
リッドキールだとでも思ったのかよ。そんなわけないだろ
リッドは笑いながら、美しい茶色の毛並みを持ったウサギをファラのカゴに入れてやる
リッドおじさんに。オレ、薬のこととかよくわかんねーし
ファラあ、ありがと
ファラはウサギに手を伸ばし、まだ暖かいその体温を確かめるように撫でた
ファラすごいね。こんなことできるんだ、リッド
リッドまあな。ふー、食った食った
リッドは草の上に仰向けに寝転ぶと、つぶやく
リッドきょうも空がきれいだなあ
はるか高みにある半透明のオルバースを見上げ、それからファラを見た
リッドオレさ、猟師になろうかなー、なーんてね。けっこう向いてると思わねえ?
ファラうんうん。そりゃあ、思うよ
ファラは、さっきもうひとりの幼なじみにしたのと同じように、ぱちぱちと手を叩いた
リッドのとかげscene2
その夜、リッドは夕食の席につくなりビッツ・ハーシェルに一日のできごとを話して聞かせた
ビッツそれで、結局どうしたんだ
リッドうん。キールが草の汁と泥で服を汚しちゃったから、いっしょに家まで行ってやった
ビッツそうじゃなくて
野菜をとろけるほど煮込んだスープをすすりながら、ビッツは微かに眉を寄せる
ビッツローティス先生がいなかったからってそのままただ寝ているのか、村長は
リッドたぶんね。だってしょうがないだろ
ビッツ誰かが別の医者を呼びに行ったんじゃなくて?
リッドああ。しばらく寝てれば治るって。ファラんち、すごく静かだった
ビッツノリス……あの人らしいな
ビッツはため息をつくと
ビッツ昔からそうなんだ
ビッツ村長は人のためには足が擦り減るほど駆けずり回るが、自分のために人をわずらわせるのはイヤなんだよ
ビッツたぶん、なるべく誰にも知らせないようにしているんだな
と、リッドの皿にパンをのせてやった
リッド別の医者なんて、いたのか
息子のまっすぐな言葉に、ビッツは思わず笑ってしまう
ビッツそりゃそうさ
ビッツローティス先生ひとりで、インフェリアじゅうの病人を診るわけにはいかんだろう
リッドじゃあ、母さんは……
ビッツん?
リッドううん、なんでもない
リッドはあわてて首を振る
ビッツ母さんを治してくれなかったのは、どこの医者かと間きたいんだな
リッド……!
図星だった
リッドはうつむく。その髪をビッツの大きな手がくしゃくしゃとかき回した
ビッツ心配するな。ローティス先生じゃない
ビッツそれに最期は……容態が急に変わってな
ビッツ医者を呼ぼうにも間に合わなかったんだよ……
ビッツの声は、囁きから吐息へと変わる
リッド(間に合わなかった……? そんなことがあるんだ)
リッドの心に恐怖が生まれた
リッドファラの父さんも……死ぬかもしれない?
ビッツはははっ、まさか
ビッツはわざとらしい明るさで、息子の心配を笑い飛ばした
ビッツおそらくは本当に何日かで治ってしまうだろうよ
ビッツでも、俺だって気がかりなのは同じだ
ビッツ明日の朝、村長の家に行って具合を聞いてみるよ
ビッツ思わしくないようなら、近くの村の医者を呼びに行ってこよう
リッドうん。そうして
リッドはほっとしたように微笑むと、パンをスープに浸した
死のイメージがぼんやりと、しかし確実に心の中に入ってきた気がする
リッドはそれを噛み砕くように、黙もくとパンを平らげ始めた
翌朝、ビッツとリッドがエルステッド家に着いたときには、すでに先客がいた
リッドキール!
リッドは、広い居間に両親といっしょに座っているキールの姿を見つけると
リッドなんでここに?
と聞いた
キールリッドと同じだよ
キールはすっきりしない顔のまま、答える
ビッツ村長はどんなだって?
ビッツがギズロに訊ねると
ギズロ熱が下がらんそうだ。いま、ファラが奥さんに様子を聞きに行ってる
ギズロ目が覚めていれば話ができるだろう……ああ、ほら
と、顎をしゃくった
ドアからファラがぴょこんと顔をのぞかせていた
ファラ母さんが、寝室へどうぞって。リッドのおじさんもどうぞ
ビッツああ、それじゃちょっと
ギズロ、ラミナ、ビッツの三人がぞろぞろと居間を出ていってしまうとリッドはキールの顔をじっと見た
キールな、なんだよ
リッドおまえ、きのうオレが帰ってから、叱られたろ
キール……ああ
ファラが、瞳をくるくるさせながらソファに腰かける
リッドあんだけ服を汚せば当然だよな
リッドでもおまえは寝る前にちゃんと本を読んだ。あの草がのってるっていう
キール『インフェリア動植物大全』だ!
リッドそれで夜更かししておねしょして、けさまた叱られた。でもって、また泣いた
キールなにがいいたいんだよっ!
リッドものすごくさえない顔~
キール……っ!
キールは顔をまっ赤にし
キールきょうは本を読みたかったのに、無理やりお見舞いだっていってつれてこられたんだ
キール母さんは看病の手伝いをするつもりだし、父さんは別の村に医者を呼びに行こうといってる
キール大人の事情につきあわされてるから怒ってるだけだぞ!
と、早口にまくしたてた
リッドふーん。オレの父さんも医者を呼びに行くらしいぜ
リッドは腕を組みかけ、思い出したように腰に手をやった
リッド(よし。ちゃんと持って来てる……)
リッドキール。だったら子供がここにいてもしょうがないじゃん。おまえんちで遊ぼう
キールえ、なんで……
リッド早く父さんたちにいってこいよ。帰れば本が読めるぜ
キールそれは……そうだけど
キールは疑わしそうにリッドをちらちら見ながらも──
読書の誘惑には勝てないらしい
──居間を出ていった
ファラなんか楽しいこと考えてるね、リッド。教えてよ
立ち上がったファラに、リッドはぼそぼそとなにごとか囁いた
ファラうそっ!あたしもあたしも!ぜったい混ぜてよー!
ファラはじゅうたんの上を跳ね回った
リッドたちがツァイベル家の庭に入ってまず目にしたものは…
きのうキールが着ていた服と、シーツだった
どちらもきれいに洗濯されて、朝の光の中にはためいている
ファラとリッドはなんとなく目を合わせると、薄く笑った
キールの部屋はほぼ整頓されていたが机の上にいくつかの本の山ができていた
リッドで、どれだよ、キール。きのうのトリアシ
キールキリアシュトリメラだったら!ほんとにリッドはもの覚えが悪いな
キールはいかにも不機嫌そうに『インフェリア動植物大全』をリッドに差し出した
キールしおりがはさんであるだろう。そこに出てる
リッドどれどれ……どうでもいいけど重てえな、この本
リッドはベッドの上で本を広げると、ファラといっしょに覗き込んだ
ファラふうん。ほんとだ。あたし、読んでみるね
ファラ『キリアシュトリメラ草── トリメラ科の一年草』
ファラ『葉の形状に特徴があり、 先が三つに割れている』
ファラ『その根は解熱剤として 広く用いられる。 ぶんふ、ぶんぶ……ぶんぶん?』
キール分布だよ、ファラ
キールがいう
キールきのうもいったけど、分布地には残念ながら、ラシュアンは含まれない
キールだが、わずか東のウルムの山には自生している可能性が高い
リッドウルム。それ、どのへんだ?
リッドは壁に張ってあったインフェリアの地図を勝手にはがすとキールが座っている机の上に広げた
キール……ウルムは、えーと、このへんかな
キールは地図の端が破れてしまったのに気づいてムッとしながらも、✕印を描き入れる
リッドなんだ、けっこう近いじゃん!
リッドがうれしそうに叫ぶのに、キールは上目使いで訊ねた
キールそれがなにか?
リッドえ、いや、べつに
キールべつに?じゃ、聞くけど、ファラがしょってきた大荷物はなんなんだよ
キールは、ドアの脇にそっと置かれている布袋に目をやる
ファラあ、これは……だから、ランプとか鍋とか?
ファラが小さな手をひらひらさせながら笑った
キール鍋……って……リッド、ファラ。いっとくけど、ウルムの山までたっぷり半日はかかる
キールそんなに高くはないが、険しい山なんだぞ
ファラものしりだね
リッドは、ふんと笑った
リッド父さんたちはいまごろきっと医者を呼びに出発しただろう
リッドでも、もしローティス先生みたいに留守だったらどうする?
リッドオレたち子供が薬をとってきたら、みんなびっくりするぞ
リッドそれに、オレとファラは行くことに決めたけど、なにもおまえまでついてくることはないんだ
リッド半日かかってウルムについて、陽が落ちるまでに薬草を採って下に降りれば…
リッドあとは夜道でも平気じゃないか
キール…………
キールは黙って唇をかみしめている
ファラあたし、早く見てみたいなあ。先が三つに割れてる葉っぱ。そんなの、このへんにはないよねえ
リッドそうだよな
相づちを打ちながら、リッドは『インフェリア動植物大全』のページをぱらぱらと繰った
ところどころ目についた文章を拾い読みする──
といっても、むずかしくてほとんどわからなかったが
リッドあ!?
リッドの手が止まったのと、キールがため息をついたのは、同時だった
キールわかったよ。でも、どうなっても知らないからな
キールは引出しから一枚の紙を取り出すと、リッドに投げて寄こした
リッドなんだこれ
そこには本に載っているのとそっくりなキリアシュトリメラ草の絵が描かれていた
キール模写だよ。ゆうべなんの気なしに描いたんだ、珍しい形の葉だから
キール持って行けよ
ファラありがとう、キール
ファラがお礼をいうのを、リッドは咳払いで遮った
リッドおい、キール。お茶をいれてきてくれよ。なんか、喉がヘンなんだ、さっきから
キールほんとか?
まったく信用していない目で、キールがリッドの顔を見つめる
リッドほんとだよ。なんなら、オレが台所に行こうか?皿とかカップとか割ってもいいなら
リッド……きっとおばさん怒り狂って……
キールぼくが行く
キールは珍しくすばやい身のこなしで部屋を出て行った
ファラ今度はなに
ファラがわくわくしながら訊ねる
リッドこれ、見てみろよ。動物のほうのページに載ってたんだ
リッドが本をファラのほうに向けた
なんだ、とかげじゃない。ずいぶん派手な色だねえ
ファラは他の動物のページ──
ベアやウサギやピヨピヨ、美しい蝶などの昆虫類まで網羅してある
──にざっと目を通してから、ふたたびそのとかげを見た
地は黒なのだが、そこに強い黄と紫の縞が入っている
なんとも凶まがしい印象を受けるとかげだった
ファラ『ダンダラワライトカゲ── ナキトカゲ科』
ファラ『インフェリア全土の山地に ぶんぶ、じゃなくて分布する』
ファラ『ぞくせつとして、 その黒焼きはやにょうしょうに きくといわれる』
ファラ『りゅういてんとしては、 同様のもんようをもつ とかげが……』
ファラうーん、あとは読めないなあ……でも、やにょうしょうって、おねしょのこと、だよね?
リッドそうさ。薬草のついでにこれも捕まえて、キールのやつに飲ませてやろうぜ
リッドファラ、新しい紙とペン、とって
ファラうん!
ファラは机の上からそれらを勝手に取ると、リッドに渡した
キールの足音が小さく聞こえてきたのは、そのときだった
リッドげっ。やべぇ、早く写さなきゃ
ファラあたしがなんとかするからっ
ファラは部屋を飛び出し、廊下の曲がり角でキールを待った
湯気の立つカップを載せた盆をささげ持ったキールが目の前に現れると
ファラえーと……と、とおせんぼっ!
いきなり両手を広げる
キールなんのまね?
キールがあきれて訊ねる
ファラえ?いやぁ、なんていうか、急にいじわるしたくなっちゃって
キール通して。熱いから危ないよ
ファラう、うん……
ファラはしぶしぶ手を降ろすと、振り向きざまに叫んだ
ファラリッドぉ。もういいかーい?
もういいぞぉ、と返事が返ってきた
キールなんだよ。かくれんぼもしてたのか
キールは首を捻りながら、ファラの脇を抜けて行った
リッドのとかげscene3
キールうわあああっ!
キールは、ずりずりと斜面から滑り落ちながら、両手でむなしく虚空を掴んだ
いったんバランスを崩した体を、彼の場合、立て直すのは不可能に近かった
リッドほらよっ
どこからか手が伸び、キールの手首をぐいと引っ張り上げる
キールご、ごめん
リッドいいかげんにしろよ。さっきからちっとも登ってねえよ、おまえ
リッドいちいち戻って来るオレの身にもなれよなー
キールでも、ここ、すごいナナメ……
早くも声を湿らせているキールに、リッドはあからさまなため息をついてみせた
リッドどうすんだよ、もう夕方だぜ?
リッドこの時間にはとっくになんとか草を採ってるはずだったじゃん
リッドおまえなんかつれてくるんじゃなかった
キールなんだよぉ
キールがリッドの手を振り払う
キールやっぱりいっしょに来いっていったのはリッドたちじゃないかぁ!
キールぼ、ぼくはイヤだったんだ!父さんと母さんにだまってこんな……ううっ
リッド泣くなよ
リッドおい、ファラ
リッドはうんざりして、斜面のずっと上のほうにいるファラを呼んだ
リッド交代で面倒みようぜ。オレばっか登ったと思ったら戻って世話して、登ったと思ったらまた下って……
リッドいまごろ世界一高い山のてっぺんについてるくらい歩いたぞ
ファラやあよー!
返事は即座に降ってきた
リッドが見上げるファラは、両手を腰に当て、ひどく高慢に見える
リッド(ちぇっ、なんだよ。 村長の娘だと思ってさ)
リッドたちは、ラシュアンを出るまでに何人もの村人に出会った
どのおとなも気さくに声をかけてきたが…
ファラの顔を見ると、そこには決まって微かな変化が起きるのだった
敬虔さからくる礼儀や親しみのほかに村長に対する媚びが含まれていることを…
もちろんリッドが具体的に理解していたわけではない
が、自分やキールに対するのとは違う彼らの態度を受けて…
ファラまでもが映し鏡のように微妙な変貌を見せるのは、本能的に気持ちのいいものではなかった
リッドしょうがねえな。もう少し登ったら休もうぜ。だからがんばれよ
リッドは、キールの手をとり直す。今度は振り払われなかった
リッドひっぱってやるから、明るいうちになんとか草をさがしながら歩いてくれよ
キール……うん
キールは涙のあとを拳でぐいぐい拭いながら、頷いた
濡れた頬に山の冷気が忍び寄ってくる
冗談ではなく、早く平坦なところを見つける必要があった
キールリッド。ファラにいって。火を焚けるところを見つけたら、そこで止まってくれって
リッド自分でいえよ
リッドはそれでも、キールの不安を感じとったようだった
力強くキールをひっぱりながら、ずんずん登ってゆく
キールは転倒の心配がなくなった分、足元に注意をはらうことができた
山に入ったときに強すぎるくらいだった陽差しは…
樹々をつたう蔓の一本、透ける緑の葉脈まではっきりと見せてくれていたが…
いまは足元に動くものが自分のブーツであると確認できる程度でしかない
だが、キールはあきらめないで目を凝らし続けた
キールリッド、待て!この葉……いや、ちがった
ちぎった葉の一枚を、リッドに手渡す
リッドどれ……なんだ、ぜんぜん割れてないじゃん
リッドだいたい、こんなに暗くちゃムリなんだよ
キールでも、見つけなきゃ今日じゅうに帰れないよ
リッド今日じゅうだって?いますぐ見つけても……
ふたりはそれから、黙りこくって山の斜面を登り続けた
リッド(怖くなんかないぞ。 暗くても、怖くなんか……!)
リッドはキールの手をしっかりと握りしめる
そこだけは、汗ばむほどに熱く感じられるのだった
ファラあれーっ。ヘンだなあ。またこの木のところに出ちゃった
ファラは、落胆の声をあげると、小さな肩をがっくりと落とした
さっきから何度も同じところを通っている
この、特徴のある膨らみを持った樹を左に見て、どんどん登っていくのだ
するといつの間にか、地面が下りになっている
そしてここへ戻って来てしまうというわけだった
歩きやすそうなところを選んで進むので、まっすぐに登っているとはいえないが…
それにしても納得がいかない
ファラは、足の裏がずきずきと痛みだしたのに顔をしかめながら
ファラどうして?
と、つぶやいた
すでに夜の気配が迫っているのがわかる
いいようのない不安と恐怖に、彼女はぶるっと身を震わせた
ファラ(こんなことなら、 やっぱりあのとき 戻ろうっていえばよかったな……)
ファラは、ウルムの山の麓に着いたときのことを思い出していた
ラシュアンの大河の手前を南下したあたりから、ウルムヘのなだらかなカーブを描く上り坂になった
山は、カーブを曲がりきったとき、突然ファラたちの前にその姿を現わしたのだった
幾重にも重なり合う樹々に覆われた斜面は濃い緑をしており、侵入者を拒んでいるかのように見える
リッド・ファラ・キールすごーい!
三人は、目の前に圧倒的な重量感で横たわっているウルムを見上げて…
ぽかんと口をあけることしかできなかった
ファラ……た、高いね
リッドああ……思ったより、ちょっとな
ファラとリッドは、頷きあいながらコクリと喉を鳴らした
キールはと見れば、彼はまっ青な顔で震えている
ファラキール?
キールだ、大丈夫だよ。ちょっと気持ち悪くなっただけ……だから
太陽の光はすでに天項を越え、あとは沈むだけの体勢に入っていた
ファラ(どうしよう……。 このまま村に帰れば 誰にもバレないよね)
リッドじゃ、行くぜ
そのとき、リッドが意を決したようにいった
ファラうん!
ファラは思わずつられて元気のいい返事をしてしまう
戻ろうよ、という言葉を彼女は飲み込み、ウルムヘ足を踏み入れたのだった
ファラ(どうせリッドだって、 ほんとは帰りたかったに きまってるよ)
ファラがそんなことを思いながら、樹の幹に身をもたせかけているうち…
ようやく小さな足音が下から這い登ってきた
ファラリッドぉ!キールぅ!こっちこっち
肩で息をしながらファラのそばまで来たふたりは、地面にべったり座り込んだ
リッドここで休むのかよ。オレはもっと上のほうかと思ってた
キールでっ、でも。ここでいいよ。火を焚くにはうってつけだ。平らでっ、広さもあるしっ
リッドの強がりに気づかず、キールは焦って抗議した
ファラほんとはもっともっとずっと上のはずだったんだけど
ファラそれがさあ、おかしいんだ。この先をずっと行くと、また戻ってきちゃうんだよねえ
リッドなんだよ、それ
ファラ……わかんないよ
ファラは、ふたりの横に腰をおろす
ファラモンスターに化かされたのかも
キール……そんな
三人は、ぞっとしながら自分の体を抱きしめた
リッドどうしよう。まっ暗になってきたぜ
キールとにかく焚き火だっ
それはいいけど、とファラは訊ねる
ファラ今晩、ここに泊まるの?
リッド・キール…………
沈黙が流れた
ぐすっ、と鼻をすすったのはキールだった
リッド泣くなっ!
リッドが怒鳴る
リッドそんなひまがあったら薪になるものを拾ってこいよ
リッド暗くて寒いの、おまえだってイヤだろ?
リッド早くっ!
キールはリッドに肩を乱暴に叩かれ、しゃくりあげながら繁みの中に入っていった
ファラリッド。ひとにあたるのはよくないよ
リッドうるさい。あいつのせいでこんなに遅くなったんだ
ファラそれは、そうかもしれないけど……
ファラは布袋を引き寄せながら
ファラそれで、キリアシュトリメラ草は?
と聞いた
リッドねーよ。こんなに暗いのに見つかるわけないだろ
リッドだいたい、ほんとにこの山に生えてるかどうかだって、わかんねーじゃん
ファラなによ、そのいいかた。最初にここに来ようっていったの、リッドだよ?
リッドうるさいったら……!
そのとき、上空で「ギャギャ──っ!」という鋭い声が響いた
続いてバサバサという羽音
ファラきゃっ、なに!?
リッド鳥……だろ。くそう、見えりゃしとめてやるのにな
リッドは暗い空を見上げてくやしそうに拳をにぎった
リッド食いもん、なにもってきた
ファラえ。えっとね、お水と干し肉。母さん、ずっと看病してて、あんまりごはん作ってなかったの
リッドそっか
リッドは勢いよく立ち上がると、腰の小刀を抜く
それから枯れてなお樹々の幹に巻きついている蔦や…
比較的よく燃えそうな小枝などを手探りで切り落とし始めた
リッドランプと鍋はあるんだよな。こっちは暖まり用だ
リッドはひと抱えほどの枝葉を、ファラの前にどさっと落としてやる
ファラうわあ、ありがと、リッド。これだけあればすぐにあったかくなるよ
ファラランプの火を移せばいいよね
ファラは歓声をあげ、布袋の口を開けた。そこに両手をつっこんだところで
ファラあれ
と、首を傾げる
ファラわたし、なんか……忘れてるみたいな……
リッドあ?
リッドは興味なさそうにファラのほうを見て
リッドオレ、腹へっちまったよ。ほかのことなんてどうでもいいや
と、胃のあたりをさすってみせる
ファラはいはい、すぐできるよ
ファラはてきぱきと食事の支度をはじめた
煮炊き用のランプに火を入れ、壜の水を鍋にあける
手を動かすことで、不安と恐怖が薄れていくのがわかると…
あとはむしろ楽しい作業といえるくらいだった
湯が沸き始めるころ、キールが戻ってきた
キールうわ、煙いな。なにを燃やしてるんだ
ファラ遅かったね、キール。リッドが燃えそうな枝やなにかを切り落としてくれたんだよ
ファラは、キールに「そっちに座って」と指さしながら説明した
リッド迷ったかと思ってたぜ。あれ、おまえの薪は?
リッドは、キールの手元を見る
キールいや、なんか湿ったのばっかりで……かわりに葉っぱをたくさん採ってきた
キールはふところから数十枚の木の葉をごっそり取り出すと火にかざしてみせた
リッドそんなの使えねーよ
キールちがうよ。燃やすんじゃなくて、分類するんだ
キールああ、『インフェリア動植物大全』がいまここにあればなあ!持ってくればよかった!
リッドバーカ
リッドはせせら笑う
リッドあんな重いの持ってたらおまえ、ウルムにたどり着く前にぜったいへばってたぜ
キールそんなことないよっ
そのとき、ファラがハッと身をかたくした
ファラしっ!ふたりともだまって
リッドとキールは驚いて、ファラを見た
パチパチと焚き火の爆ぜる音が、やけに大きく聞こえる
キール……な、なんだよファラ
キールが震え声で訊ねた
ファラいま、誰かが笑ったの
キールなんだって
ファラ笑ったんだってば。誰かいる……誰かがわたしたちを見てるんだよ!
リッドんなこと……あるかよ
リッドが泣き笑いの表情で、おそるおそるあたりを見回した、そのときだった
カタカタカタカタカタカタカタカタカタ………………
ファラきゃあああ、ほらっ。ほらねっ!?
ファラが悲鳴をあげる
リッドほ、ほんとだ。でも、笑ってなんかいないぜ。カタカタいってるだけで。なあ
リッドはキールに同意を求めたが、キールは答えない
リッドカタカタカタ……か。カタカタ鳴るっていえば
ファラいえば、なに?
ファラがからっぽの布袋を抱きしめて震えながら訊く
リッドうーん、やっぱあれかな。骨
ファラ骨ぇ!?
ファラリッド、どうしよう。ガイコツだよ。ガイコツが来たんだあ。わたし、食べられちゃう
キールしーっ
泣き叫びだしたファラを制したのは、キールだった
キール落ち着いて。聞こえるよ、ほら
ファラ…………
ファラは口元をしっかり手のひらで押さえると、必死で耳を澄ませてみた
んふ、んふふふふふふふふふふふふふふふ………………
リッド……わ、笑ってる
リッドが目を丸くする
リッドだっ、誰だっ!?出てこいよ、オレが相手になってやるっ!
小刀を抜き放ったリッドを見て
キールおまえも落ち着け。みっともない
キールはひどく冷静にたしなめた
リッドみっともない?なんでだよ
リッドあっ、ほらまた聞こえたぞ!カタカタんふんふいってるじゃないか
リッドさっきファラを化かしたモンスターだぜ、きっと
キール座れよ。あれは、とかげだ
リッドへ?
キールナキトカゲ科のやつは、たいていあんな声で鳴く
キールカタカタもんふんふも、たいした違いはない
キール個体によって、かなり鳴き声に幅があるらしいよ
キールだからナキトカゲ科なのに、ワライトカゲの名前がついていたりするんだ
キール……とはいっても本で読んだだけで、ほんとに聞くのはぼくもはじめてだけどな
リッド……とかげ
拍子抜けしたリッドがふたたび座ろうとしたところを、ファラが思いきり引っぱった
リッドなんだよ、痛いだろ
ファラいいからちょっと来てよ、リッド
ファラは焚き火から少し離れた、繁みぎりぎりのところまでリッドを引っ張ってくると、早口で囁いた
ファラねえ、いま鳴いたのって、あれじゃない?
リッドあれって?
ファラだから、ほら、ダンダラワライトカゲ、だっけ。やにょうしょうにきく、っていうやつ
リッド
リッドのとかげscene4
リッド寝しょんべんの薬か。すっかり忘れてた
ファラわたしも。なにか忘れてるとは思ったんだけど
そもそもウルムにキールを同行させようと思ったきっかけがとかげだったことを…
ふたりはやっと思い出したのだった
ファラつかまえようよ
リッドでも、あいつに見つかるとまずいだろ
ファラうん。キールが素直に食べるわけないもんね
ファラおねしょっていっただけで、泣きながら怒りそう
リッドは、咳払いをしてから、当の幼なじみを振り向いた
リッドなあ、キール。とかげ、近くにいるんだよな
キール
火明かりを頼りに分類をはじめたのかぶつぶついいながら木の葉を地面に並べていたキールは…
下を向いたままで答える
キールああ。ふつう、獣は火を怖がるというけど、羽虫なんかは近寄ってくるだろう?
キールそれを食料にしているやつはやっぱり火のそばに来るんだ
リッドなるほど
いわれてみれば火の周りに、大きな蛾が数匹飛び交っているのが見える
リッドは、キールがふたたび木の葉に夢中になったのを見届けてから、ファラに向き直った
リッドすぐ近くにいるってさ。見えないか
ファラえー、どこよ
ファラは足元を見回したが、動くものの気配は感じられなかった
ファラどんなとかげだっけ……
ファラそうだ、リッド。本の絵を写してきたんだよね。それ、見せてよ
リッドいいよ
リッドは、くしゃくしゃに折りたたまれた紙をファラに差し出した
ファラは、怪しまれないようにひとりでさりげなく火のそばに戻ると…
ランプの調子をたしかめるふりをして、紙を開いた
ファラ……!?
顔を上げると、リッドが得意そうに笑っている
ファラはその能天気な笑顔にかっとなって、口の形だけで「バカ」といった
リッドなんだって?
リッドが近づいてくる
リッドバカっていったろ、いま
ファラしーっ。いったよ。だってこれ、なんの絵よ
ファラは声をひそめながら紙を指さした
リッド決まってるだろ。とかげに
ファラしーっ、それいっちゃダメ!声が大きいったら!
ファラが思わずリッドの肩を小突くとバランスを崩した体があやうく火の中へ入りそうになる
リッドうわっちっちっちぃ!なにすんだよっ。やけどするだろ
ファラだってリッドが……
キールが、すっと顔をあげる。同時にふたりは口をつぐんだ
キールどうかしたの
ファラうっ、ううん、なんでもない。ごはん、もう少し待ってね
キール別にいいさ。お腹へってないし
ファラそ、そう
ファラはほっとしながら、ふたたび絵を指さして「これなに」と訊ねる
ファラとてもじゃないけど、リッドのいうものには見えないよ
リッドじゃ、なにに見えるっていうんだよ
ファラそれは──
ファラは絵をじっと見つめていたが、きっぱりとした口調で告げた
ファラ木くらげ
ぶはっ、とリッドが吹きだした
焚き火の灰が舞いあがる
キールこらっ、リッド!なにするんだよ、葉っぱに灰がかかっちゃうじゃないかっ
キールが怒ったが、おかまいなしだった
リッドあはははは、木くらげ。木くらげ?あははははは、はははははは
ファラなによう、なんで笑うのよ。自分がへたっぴなくせにぃ
リッドだって、なんで、これが……はははははっ
ファラはあきれてリッドが笑い続けるのを眺めていたが…
やがてがまんできなくなって自分も吹きだした
ファラうふふ、はははっ。リッドったら、ヘンなの。おかしいよ。あはははは──
ふたりの笑い声は、静まり返った山の暗闇に響き渡り、吸い込まれるように消えていった
それでもお腹をかかえ、笑い続ける
おとなたちに黙って村を出てきてしまった罪悪感
こんな山の中で動けなくなり、野宿をしなければならない不安と恐怖が…
リッドとファラに強すぎる緊張を強いていたのだろう
反動からくる笑いは、キールを気味悪がらせるほどだった
キールだいじょうぶか、ふたりとも
リッドあははは、ぜんっぜん、だいじょうぶー
そのときだった
地面に転がっていたリッドは、夜空に不思議な光を認め、あわてて起き上がる
リッドなんだ……!?
星ではない。よく見ると、もっとずっとそばで光っている
色は紫に近いだろうか
光の縞が七、八本ずつ、ひとかたまりになっているのだった
ひとつのかたまりの大きさはリッドの手のひら程度だったが、それが何十、何百と灯っている
リッドお、おい、キール。あれ
キールん?
周囲の樹という樹が、見慣れない光をくっつけて揺れているようだ
ファラあはははは……は……?
ひとりで笑い続けていたファラも、ようやく異変に気づき、いまは静かに息を弾ませていた
キールおまえたちの声に反応して光ってるんだ
ファラなんなの、キール
キールとかげ
うんざりしたようにキールが答えた
キール本によると、鳥の声や、雷などにも反応してだんだらに光るらしい
リッド(とかげ……だんだら……)
リッドはファラに頷いてみせると、もう一度、今度はキールに気づかれないように小刀を抜いた
それから、目にもとまらぬ速さでそれをいちばん近い樹の幹に放った
カツッ!
覆いをかけたように、そこで光っていた縞状の光が消える
とかげを仕留めたのだった
驚いたことに、それを合図にするかのように、他のとかげたちも闇に溶けた
何百ものカサコソという微かな音で幹を震わせながら、山の深みへと逃れてゆく
ファラさ、さあ、干し肉のスープがもうすぐできるよ
ファラはランプをキールから遠ざけると、リッドが小刀を投げた幹へ近づいた
刃はみごとにとかげの胴を縦に貫いており…
磔になったその尻尾だけがぴくぴくと動いている
おそるおそる触ってみると、もう逃げることなどできないのにもかかわらず…
尻尾は切れて彼女の手の中に落ちた
ファラ(きゃ、びっくり…… まだぴちぴちしてる)
リッドが来て、小刀を抜いてくれた
ファラはそっととかげを掴むと、鍋の下に差し入れる
幸い、キールはなにも気づいていないようだ
干し肉を裂いて湯の中に落とす。だしが出れば即席のスープのできあがりだった
もともと小ぶりなとかげにはその間に充分火が通り、哀れにもまっ黒い姿に変わっていた
多少の剌激臭はあったが、なんとかごまかせそうだ
リッドメシ、できたかー?
ファラうん
ファラはリッドに耳打ちする
ファラほんとに、やるの?バレないかな。きっと苦くてすっごくまずいよ
やろう、とリッドは即座に答えた
リッド毎日おばさんに叱られて、かわいそうだろ
リッドオレたちのほかに、同じことができるヤツはいないぜ
ファラそだね……
ファラは自分を納得させるように深く頷くと…
三つのカップを並べ、キールのものにはとかげの黒焼きを砕いて入れた
それから干し肉のスープを注ぎまわす
リッドキール!やっとできたぜ。食おう
リッドはさかんに湯気をあげているカップを…
木の葉を傷つけないように注意しながら、キールのそばの地面に置いた
キールは「ああ」と、顔をあげた
キールいただきまーす
ファラは自分のカップで手を温めながら、こっそりキールを盗み見る
薄い唇が、カップのふちに届きそうになる
ファラあっ、あのっ。キール、あのね、そのスープ
キールん?
ずっ
キールがひと口目をすする小さな音がした
ファラ……た、焚き火の灰が少し入っちゃったかもしれないの
ファラだから苦かったら、ごめんね。うわずみだけ、飲んで
キールわかった
キールはあっさり頷くと、片手で木の葉をさわりながら考えごとにふけり始めたようだった
ときどき、思い出したようにカップを口に運んでいる
リッドおい、飲んでるぜ
リッドが小声でいう
ファラまずくないのかな
リッドあいつ、もともと食いもんに興味ねーだろ
ファラっていうか、味、わかんないんじゃない?
リッドたぶんな
リッドはごくごくと自分のスープを飲みほすと、「うめえ」と笑った
ファラねえ、なんでだまってるの
静かすぎる山の夜に耐え切れなくなって、ファラがいった
暖かいスープをお腹に入れてようやくひとごこち着いた三人は、焚き火を囲み、膝を抱えて座っていた
いまにも消えそうな火を、無言のままリッドがときおり小枝で突ついては、生き長らえさせている
すっかり木の葉の分類を終えてしまったらしいキールも、さっきから押し黙ったままだった
いまごろ、とファラはふたたび唇を動かした
ファラいまごろ母さんたち、心配してるよね。怒ってるかな
リッドでも、きっとオレとキールの父さんが医者を呼んできたはずだ。おじさん、絶対よくなってるさ
リッドが静かに答える
キールそんなに自信があるなら…
キールやっぱりもうちょっとラシュアンにいて様子をみてたほうがよかったんじゃないか
ファラそうかもね。キリアシュトリメラ草、見つからなかったし
キールに頷くファラに、リッドはキッとなる
リッドなんだよ。おまえだって賛成したじゃん
ファラそうだけど
ファラでも、どうしてリッド、あんなに張り切ってたのか……わたしにもわかんなかったよ
ファラはうつむいた
ファラこのままうちに帰れなかったらどうしよう
ファラモンスターが出て来て食べられちゃったらどうしよう……
ラシュアン染めのワンピースの膝に涙が落ちる音が、やけに大きく聞こえる
リッドは、ファラが泣くのをじっと見つめていたが、「ごめん」と低くつぶやいた
リッドオレ、間に合わなかったらイヤだなと思ったんだ……
キール間に合わない?どういう意味だ
キールが訊ねる
リッドおじさんが死ぬってことだよ
ファラ死ぬ!?
ファラが肩をびくりと震わせる
ファラ父さん、死んじゃうの?熱出しただけなのに?
ファライヤだよ、わたし、そんなの……いやっ!
リッド待てよ、ファラ。おじさんが絶対いま死ぬっていってるんじゃない
リッドたぶん平気だよ。でも、みんな死んじゃうんだ、いつか
ファラ
涙に濡れた目が、リッドを見つめた
リッドオレ、母さんのこと、あんまりくわしく聞いたことなかったんだけどさ
リッドこないだ、父さんがいってたんだ。母さんは医者が間に合わなくて死んじゃったって
リッドあんまり急に具合が悪くなったから間に合わなかったのか…
リッド間に合わないくらい悪かったから医者がきても助けてもらえなかったのか、わかんねーけど
ファラリッドが二歳のとき、だったんでしょ
ああ、とリッドはファラに頷いた
リッドオレさ、おまえの父さんまで死んじゃったらやだなって思ったのかもしれない
リッドただ、ラシュアンを出てどっかに遊びにいきたかったっていうのもあったけど
リッドもし医者がどこにもいなくても、オレたちがその薬草を持って帰ればいいわけだろ
キール理屈ではな
キールがもっともらしく腕を組む
リッドうん……
リッドは薄く笑った。それからダークレッドの髪の毛の中に手を突っ込むと、かりかりと掻いた
リッドそうなんだよな。最近オレ、父さんに弓や斧や剣の使い方、ちょっと習ってるんだけど──
なにをいいだすのかと、キールは耳をそばだてた
リッドオレ、けっこう狩りするの、うまいんだよ。な、ファラ
ファラうん。ウサギもらったよ
ファラが、にこっとする
リッドオレがこいつ、と思うと、その動物は死んじゃうわけだろ。ヘンな感じがする
キールぼくたちが生きていくためなんだからしょうがない。肉や毛皮が必要なんだから
キールそういうものだろう
リッドそうなんだけど。うーんと
リッドは、混乱したように首を振った
リッドだから、動物はそうなんだけどさ。人間は猟師のせいで死ぬわけじゃないだろ
ファラ決めるのは、王さま?じゃなくて神さまだよね
うん、とリッドは頷いた
リッドセイファートだとしたら、気持ちが楽になるなあ
キールなにがいいたいのか、よくわからない
キールは子供らしい神経質さで、きゅっと眉を寄せる
そのとき、ファラが「ああっ」と声をあげた
ファラ大変!火が、消えちゃう!
燃やせるものを燃やし尽くした炎が、 すーっと冷えていくのを、リッドたちはじっと見ていた
ファラどうしよう、暗くなっちゃった
リッド寒いな……
キール……うっ
鳴咽を洩らしはじめたのは、キールだった
リッドまた泣くぅ!うるさいんだよ、おまえ
リッドは怒り、幼なじみの肩を小突こうと身を乗り出した
じゅっ、と灰が音をたてる
リッドの涙が落ちたのだった
キールなんだよお。リッドだって泣いてるくせに
リッドオレ?オレは泣いてなんかいねーぞっ
ファラやめてよ、ふたりともっ。ケンカしないでよぉ。うわあああ
ファラが両手を振りまわしながら、ふたりの間に割り込んだ
ファラだ、だいじょぶだから。朝になったら、山を降りよ?
ファラ途中できっと、なんとか草も見つかるよ
キールは「キリアシュ……」と訂正しかけたが、ファラの耳には届かない
猛烈な眠気に襲われたのだった
ファラだから、ふたりとも、泣かないで……
ファラは、リッドとキールの間にすっぽりと体をおさめると、ゆっくり目を閉じた
なぜもっと早くそうしなかったのだろうと思うほど…
その隙間はファラの体にぴったりなのだった
ファラ(あったかい──)
この世界はいま、冷たくて暗い闇にぜんぶ支配されているんだ、とファラは感じる
自分は力もないし…
あまりにも小さく頼りないので、セイファート神にも見落とされてしまうかもしれない
でも、両側から伝わってくる暖かな体温が、それでもいいやと思わせてくれる
あっという間に眠ってしまったらしいキールの寝息が聞こえてくる
リッドが首をかくんとさせたかと思うと、体をもたせかけてきた
自分を受けとめてくれるぬくもりのなかで…
ファラもすぐに規則正しい呼吸を始めた
んふふふふふふ………………
カタカタカタカタカタカタ……
ときおり、ナキトカゲがお互いを呼び交わす声がしていたが…
三人は夢も見ず、ひとかたまりになって眠り続けた
リッドのとかげエピローグ
濃い靄の匂いに最初に気づいたのは、リッドだった
彼は自分の顎がダークグリーンの髪に埋まっているのを認めると、そうっと体を離した
あたりはようやく明るくなりはじめたばかりのようだ
ゆうべはまったく聞こえなかった小鳥の囀りが、枝々を渡ってゆく
リッドん……
彼はごしごしと目をこすると、地面を這うようにしてキールのほうへ回った
動くと体のあちこちが痛んだ
リッドキール。おい、キール
ファラを起こさないように、小声で友だちを呼びながら、肩を揺すってやる
が、彼はまだぐっすり眠っていて、目を覚ます気配がない
リッドちぇ
リッドは、所在なくあたりを見回す
焚き火の燃えさしが目に入った
リッド(そうだ)
彼はキールにふたたび近寄ると、投げ出された足を覆っている服に触れそろそろと手探りする
キール……な、に……?
身じろぎしたキールは、次の瞬間、ハッと目を開けた
キールわああっ!リッド、どこ触ってんだよ!?やめ……
はははっ、とリッドは笑い声をたてた
キールお、おまえ、そんなことするやつだったのかっ
キールは片手で服の裾を押さえると、震える指をリッドに向けた
リッドそんなことってなんだよ
リッドオレはおまえが野宿で寝しょんべんなんてことになってないかどうか見てやっただけだ
キールねしょん……!?
キールは、ものすごい勢いでごそごそと自分の体をまさぐった
リッド安心しろよ。けさはしてないみたいだぜ。よかったな
キールよくないっ!!
騒がしいやりとりに、ファラが体をよじる
ファラ……どうしたの、ふたりとも
キールどうもしてないよ。寝てろよ、ファラ
キールの剣幕に、ファラは体を起こし、眠そうな目をリッドに向けた
リッド寝しょんべん、してなかったんだよ
リッドは、してやったりという表情で告げた
ファラほんとっ!?やったね、よかったじゃん
ファラあんまり信じてなかったけど、やっぱり効くんだねえ、とかげって!
リッドそうだなっ
ファラとリッドは手をとりあって飛び上がった
キールおい。とかげって?
キールが固い声で訊ねる
ふたりはびくりとすると、そのまま体を硬直させた
ファラえ、あ……いけない。あのね……えーと……
振り向いたファラは、くしゃくしゃになっていたワンピースの裾を直しながら…
さりげなく真実を伝えた。
キールな、なんだって!?ゆうべのぼくのスープに、とかげのく、黒焼きが……
話を聞き終わったキールはみるみる蒼ざめた
おえええ、と喉が鳴ったが、むろんスープは一滴も出てこなかった
ファラでも、ダンダラワライトカゲだよ?やにょうしょうに効くんでしょ
キール…………
キールは涙目でふたりを見上げた
リッドほら、これ。おまえの本に載ってたから、模写ってのをしてきてやったんだぜ
リッドは、折りたたんだ紙を広げると、キールに示した
キール……これは……
キールふざけるなっ、木くらげじゃないかっ!
ぶっ、とファラが吹きだした
リッドダンダラワライトカゲだっていってんだろっ。ゆうべオレが仕留めたんだ
キールどうやって特定したんだ
リッドとくてい?
リッドが首をかしげる
キールたしかに何種類かナキトカゲが鳴いてたのは聞いたけど
キール夜尿症に効果があるのは一種類だけなんだぞ
キールあの暗さでどうしてわかったのかと聞いてるんだ
ファラだって、間違うはずないよねえ
ファラは、なにか嫌な予感がするのを押さえながら、リッドの顔を覗き込んだ
リッドおう。だってキール、いったじゃないか。音に反応して光るって
リッドだんだらに光ってたやつがそうだろ?
キールちがうっ!!
キールは頭を抱えた
キールあれは、同じナキトカゲ科だけど、まったく別ものなんだよ
キールダンダラワライトカゲは自光なんかしない。光るのはダンダラドクトカゲだけだっ
ファラ毒とかげ
ファラはおうむ返しにいい、ぶるっと体を震わせた
ファラやだ……キールのカップに、丸ごと……一匹入れちゃった
リッドおまえ、平気か?腹、痛くねえ?
さすがのリッドも顔色を変えている
キールいまごろ遅いよっ。ああ、気持ち悪い。うえええ
ファラキール、キール!しっかりしてっ
ファラはキールの背中をさすりながらリッドにいった
ファラすぐ帰ろう、ラシュアンに。お腹痛の薬なら、うちにもあるよ
薬を採りに来てこれかよ、と思ったがリッドも反対する気はない
そのときだった
風に乗って、徴かに人の声が聞こえた気がした
リッド・ファラ・キールあ……
三人は、顔を見合わせる
男の声おーい、リッドぉ、キールーっ!返事しろー!
ファラ父さんの声っ!
ファラが飛び上がる
ファラ父さーん、ファラはここだよぉ!
がさがさと繁みをかきわける音が登ってくる。もう間違いなかった
やがて、密集した樹の幹の間から、ノリス・エルステッドとビッツ・ハーシェルの顔が覗いた
リッドと、父さん……
ビッツリッド!心配かけやがって
リッドな、なんでここがわかったんだよ
リッドは、自分を強い目で見下ろしている父親から顔をそむけながら聞いた
ビッツギズロたちが見つけたんだ、キールの部屋でな
ビッツしおりがはさまった本、印のついた地図
あ、とキールは短く声をもらす
キールそれで、ぼくの父さんは?怒ってましたか?
だからここにいないんだ、と思いながらキールがいうと、ノリスが笑った
ノリスああ。ものすごく怒ってるから、キールを捕まえにちゃんと来てるぞ
ノリスただ、途中で足首を捻挫しちまってな。麓で休んでいる
キールそう……ですか
キールは、ほうっと息をついた
ファラ父さん、もう熱はいいの?なんだか顔が赤いみたい
ファラが父親を見上げる。ビッツにくらべると、明らかに汗をかきすぎている
ノリスもうよくなったよ。リッドの父さんが医者を呼んで来てくれたからな
ファラほんと?ああ、よかった
ノリスは微笑みながら、ファラのおかっぱ頭を撫でてやった
それから、子供たちの奮闘の跡──
消えた焚き火や、汚れたままころがっている鍋やカップ
──を、ひと通り眺めわたす
リッドは黙って父親を見上げた
ビッツ本当は村長、まだフラフラなんだ。なのに俺も行くといってきかなくてな
ビッツはそう囁くと、肩をすくめる
ひとり娘のファラが心配で、熱が下がりきっていないのに出かけてきたんだな、リッドは思った
ファラごめんなさいっ
ファラがぺこりと頭をさげた
ファラわたしたち、迷惑かけちゃった……。それなのに……、見つけられなかったの、キリアシ……
ノリスキリアシュトリメラ、か。たしかにあれはよく効く薬草だ
ノリスは、ふっと笑った
ノリスファラ、いいさ。父さんは元気になったし、ファラも無事だった
ノリスそれに、ファラたちがしてくれたのは人間としてとても大切なことだ
ノリス人間は、死ぬまで人間らしい心を持って、家族や友だちを大切にしなくちゃいけない
ノリス父さんもそうやって、ラシュアンの村人とつきあっていきたいと思ってる
ファラふうん
ファラは、よくわからないなりに、自分たちの勝手な行動が許されたのだと感じ…
心の底からほっとした
ビッツん?
そのとき、ビッツが足元に目を落とすと、しゃがみこんだ
ビッツこれ、もしかして
ブーツの先で揺れていた草の葉をちぎる
それをひと目見るなり
キールあった!
と、キールが叫んだ
葉の先端が、ハサミを入れたようにくっきりと三つに分かれている
キールキリアシュトリメラ草……こんなところに生えてたのか
リッドは、焚き火のあとからいくらも離れていないことを目で測ると、くやしそうにいった
リッドなんで見つけられなかったのかなあ
すると、ノリスがひょいと手を伸ばし、ビッツの手から葉を取り上げた
そのまま口に運ぶと、むしゃむしゃと食べてしまう
キールああっ、村長さん!ダメです、それは根っこを煎じて飲むんだ
ノリスなーに、気は心さ
薬草の葉を嚥下してしまうと、ノリスはキールに笑いかけた
キールで、でも、根は薬でも葉や花は猛毒だったりする植物は少なくない……
毒、と口にしたせいで、とかげを思い出したのだろう
キールはふたたびうずくまってしまった
リッド父さん。キールを麓までおぶってやってくれない?
リッドその……ドクトカゲの入ったスープを飲んじゃったんだ。間違って
キール間違ったんじゃないぞっ、わざとじゃないかっ
キールこれで死んだらぜーったい化けてでてやるからなあっ!
ビッツはノリスと目を合わせ、苦笑した
ビッツ残念だが、ここらの山には強い毒を持ったとかげなんていないね
ビッツ百匹も二百匹も生で食べたっていうなら話は別だが
ファラううん。黒焼きにしたのを一匹スープに入れたの。飲んだのは、うわずみだけよ
ファラが律儀に説明する
リッドなんかとかげ違いだったみたいなんだけどさ
リッドおかげでけさはキール、寝しょんべんしなかったんだぜ
ノリスそれはすごい
ビッツじゃあ、そのすばらしいニュースを早くギズロにも聞かせてやろうじゃないか。おいで
ビッツは頷きながら、大きな背中をキールに向けてやった
いつの間にか、まばゆい木洩れ陽がそこここに丸い模様を描いている
ウルムの山の新しい一日が始まったのだった──
キール──という事があったんだ
メルディキール、それから大丈夫だったか?
キールああ。夜尿症はそれ以来随分と改善されて…
メルディ…?毒、大丈夫だったかって意味だよぅ
キールあ、あぁ…そっちか。一日寝ていたら、すぐに治ったよ
メルディ治ってよかったな!毒も、ネションベンも!
キール…この話は、もういいだろっ。それより薬草は集まったのか?
メルディたくさん集まったよ!
キールなら、そろそろ街に帰ろう
メルディあ、キール!これ…
キールん…?そ、それは…ダンダラワライトカゲ!
メルディやっぱりこれ、そうか!?持って帰って、黒焼きにしよ!
キールぼ、ぼくにはもう必要ないぞ!
メルディ街の子どもがためよ。キール、何焦ってるか?
キールべ、別に焦ってない。そういう事だと思ったよ
キールさ、暗くならない内に帰るぞ
メルディはいな!

NameDialogue
瑠璃の夢プロローグ
いとしい娘へ
いつもおまえを見守っているよ
おまえの心が美しい瑠璃色に満たされるその日まで───
『ミント──』
『この日記をあなたのために 残しておくにあたって、 私は少々とまどっています』
『ここしばらくの間に 何度も予感した危険が…』
『恐ろしい現実となって 私とあなたの身に降りかかる のではないかという不安…』
『それを、こんなものを書くことで、 かえって引き寄せてしまいや しないかと思っているのです』
『むしろなにも気づいていない 顔をしてこのユークリッドで 母娘ふたり…』
『静かに暮らしているほうが いいのかもしれません』
『でも、どうしても 伝えなければならない いくつかのことがあります』
『それに、いつか私が先に いなくなってしまったら…』
『あなたはいままで決して 口に出して私に訊ねようと しなかった疑問を…』
『一生抱えていかなくては ならないでしょう』
『誰にも口外しなかった私の死と共に 答えは永遠に失われるのですから』
『どこから書きはじめましょうか』
『まず、あなたの父親、 アルザス・アドネードのことからに しましょう』
『あなたの金髪と鳶色の瞳──、 アルザス譲りなんですよ』
『彼の死後── そう、あなたのお父さんはもう この世にはいません──』
『あなたを見るたびに彼の髪と 瞳の色を思い出したものです』
『アルザスとの出会いは約二〇年前。 私がダオスを封印した あとのことでした』
『ダオスのことは── この日記帳を開くことのできる あなたなら、もう知っていますね』
『私が子供だったあなたに教えた あの祈りは、ダオス封印の祈祷 だったのです』
『私はもともとユークリッド北部の 法術院で生活していましたが…』
『ダオスを封印してからは そこに帰るわけにもいかず、 あてもなく南へと旅立ちました』
『そして極度の緊張と疲労のため、 山の中で倒れてしまったのです』
『衰弱した私を見つけ、 自分の家に連れ帰ってくれたのが アルザスでした』
『彼はひとりで暮らしている 占星学者でした』
『はじめのうちはひどくさめた目を していたけれど…』
『一緒に暮していくうちに、 私たちは愛し合うように なったのです』
『そしてかわいい娘が生まれ、 彼はその子にミントと 名づけました』
『でも……そのときアルザスの体は すでに不治の病に 冒されていたのでした』
『あなたが一歳になる前に、 看病の甲斐なく彼は亡くなり……』
『私はあなたを連れて ふたたび法術の世界で生きていく 道を選んだのです』
『父親が誰かわかって、 安心したかしら?』
『でも、名前など知っても たいした意味はないのかも しれませんね』
『あなたに話したいことは もっと深い── 人間に関することなのです』
『また書くことにしましょう』
『もうあまり時間がないような 気もするけれど』
『この日記は万一のときに備えて、 私の夢の中においておく ことにします』
『ミント──』
『あなたがいつか 夢見の術を体得したときに、 表紙は開かれるでしょう』
チェスターしっかし、ひでぇよなぁ
チェスター・バークライトは、足元に転がっている煤けた棒を蹴飛ばしながら吐き捨てた
チェスター見れば見るほど派手にやりやがって。なんていったっけ?
クレスマルス・ウルドール
チェスターの横を歩いていたクレス・アルベインは答えたが、すぐにつけ加えた
クレスもうその話はやめよう、チェスター。僕たちはこれからのことを考えるべきだよ
チェスターわかってるって。わかってるさ。けど、このありさまを見るとな
チェスターは足を止め、見渡す限りの焼け野原を睨みつけた
アセリア歴四三〇四年──
ダオスを倒したのち、トーティス村に戻ったクレスたちを待っていたものは…
ダオスの部下によって焼き払われたままの故郷の姿だった
チェスターは妹のアミィ、クレスの両親たちをはじめ相当数の墓をすでに建てていたが…
それは再生への一歩というにはあまりにも遠く…
むしろ在り合わせの木材と石を拾って作った墓碑はわびしさを募らせているだけだ
湿った風がクレスたちの背後から吹きつけた
クレスひと雨くるかな
チェスターああ、オレの言うとおり、さっさと掘っ建て小屋を作っておいて正解だったろ?
クレスそうだな
クレスミントは大丈夫かな
チェスターああ?おふくろさんの墓に行ったんだろ?
チェスターすぐ近くなんだから大丈夫に決まってるじゃないか
チェスターまあ、それだけミントのことが大切なんだろうけど
クレスべ、別にそんなんじゃないっ。雨が降ってきたら濡れるじゃないか。それだけだよ
チェスターだーかーら。子供じゃあるまいし、ちょっと濡れたぐらいじゃ死なねーよ
チェスターっとにおまえってわかりやすいよな
クレスはきゅっと眉根を寄せると、ひとりでずんずん歩き出す
ブーツの下で、どこかの家で使われていた皿の破片がチャリッと音をたてて割れた
チェスターおい、待てよ
チェスターが苦笑しながら親友を追いかけて行ったあと…
雨の最初のひと雫が皿の破片に落ちた
水滴は皿の表面を滑り、付着した泥と一緒に地面に吸い込まれて消える
それはトーティスの惨状を洗い流そうとしているかのように見えた
瑠璃の夢 第一章scene1
ミントただいま
ミント・アドネードが立て付けの悪い小屋のドアを押して駆け込んできたのは…
ふたりが戻ってからしばらくしてのことだった
チェスター遅かったな。あーあ、ずぶ濡れじゃないか
クレスごめんよ、ミント。迎えに行こうかと思ったんだけど
ミントいいのよ。小屋はここしかないし、迷いようもないもの
髪や服からぽたぽたと雫を垂らしているミントは…
クレスから清潔なタオルを受けとると微笑んだ
三人が村を再建すると聞いて、トリニクス・D・モリスンが用意してくれたもののひとつだ
クレスたちは、ほんの数日前までモリスンの家にやっかいになっていたが…
いつまでも村をほうっておくわけにもいかないと、ここに戻って来たのだった
廃材を集めてやっとふた部屋ある小屋を建てたところだが…
それすらもモリスンが持たせてくれた必要最小限の生活道具がなければ無理だったろう
チェスター着替えてくれば?
ミント……ええ
チェスターが気を利かせて言うと、ミントはクレスをちらっと見ながら頷いた
小屋は狭かったが、奥にとりあえず板で仕切られただけの部屋がこしらえてあった
クレスたちはミントがそこを使うべきだと主張し、なかば強制的に彼女の荷物を入れてしまったのだった
クレス火をおこしておくよ
ミントああ、夕食の支度なら私が
クレスその前に体を暖めなくちゃ。ほら、風邪をひくから早くしたほうがいいよ
ミント(なんだか、私だけ悪いみたい……)
もう、しばらく前から感じていることだが…
クレスもチェスターも自分を大事にしすぎているような気がする
とくにトーティスの村に戻ってからはろくに小屋を建てる手伝いもさせてくれなかった
ケガをしてはいけないから、というのがふたりの言い分だったが…
さんざん危険な目に遭いながらダオスを倒した仲間としては、素直に頷けない気分なのだ
ミント(クレスさんたちにはこれから 村の再建という大変な仕事が 待っているんですもの)
ミント(私もできる限りのことを しなくては)
ミントはタオルをきちんとたたみ直しながら、そう自分に言い聞かせた
クレスだからさ、やっぱり聖レニオス教会を中心に考えたほうがいいよ
クレスなんてったってトーティスのシンボルだったんだし
チェスターそうだなあ。けど、でかいから石材がすごいぜ
チェスターまずは人が住めるようにしないとダメだ
クレスそうか
ミントの作ったささやかな夕食をとったあと…
クレスとチェスターはテーブルいっぱいに広げられた白い紙の上で顔を寄せ合っていた
“新しい地図”とふたりが呼んでいるところの紙には、ほとんどなにも書き込まれていない
かつてふたりの家があった場所。その中間あたりにあるこの小屋
それから教会と南の森がわずかに記されているだけだった
クレスそうか……なあ、ここってなにがあったんだっけ
クレスが小屋の南側をひとさし指で押さえる
チェスターゴーリの親父さんのとこだろ。忘れんなよバカ
ゴーリは、早くに両親を亡くしたチェスターとアミィの親代わりをしていた、雑貨屋の主人だ
クレスごめん。けどこの作業って……
チェスター言うなよクレス。大変なのは最初からわかってる
クレスそうじゃなくてさ。怒るなよ、チェスター
クレスチェスターが村を元どおりにしたいって気持ちはわかるよ。でも、これって変だよ
チェスターなにが
クレスだって『ゴーリ』を作ったって、もう親父さんはいないんだよ
クレス襲われる前のトーティスを再現したって、もうみんな帰ってきやしないんだ
突然、チェスターがクレスをギロリと睨んだ
チェスターじゃあ、おまえはどうしたいんだ?
クレスいや、具体的にどうって案があるわけじゃないけど…
バンッ!
チェスターは両手でテーブルを叩くと眉を吊り上げる
食器を洗っていたミントは肩をビクンとさせ、そっと振り返った
チェスタークレス。おまえには思い出がないのか!?
クレス……あるよ。あるに決まってるじゃないか。僕はここで生まれて育ったんだ
チェスターだろう?
チェスターだったらせめて家や道場や教会なんかだけでも元通りの場所につくりたいとは思わないのか?
チェスターそれに、考えなきゃならないのはオレたちのことより、死んでいった村人たちのことだろう
クレス……
クレスが首を傾げると、チェスターはじれったそうに口を開いた
チェスターほんっとにバカだな
チェスターいいか、オレたちは生きてる。その気になりゃあ世界の裏側で暮すこともできるだろう
チェスターだが、この村でなんの罪もなく殺されていった村の人たちはどうだ?もうどこへも行けやしないんだぞ
幽霊、という言葉が思わずクレスの脳裏に浮かんだが、口に出すのははばかられた
チェスターまさか、目に見えないものは存在しないだなんて思ってるわけじゃないだろうな
クレス……それは、アーチェのこととか?
チェスターちがう!!なんでここであいつが出てくるんだよ
チェスターそりゃ、どうせあいつは、見えないところで元気にやってるだろうが
チェスターは大げさにため息をつくと
チェスターじゃあ、こう考えてみろよ
チェスターおまえは毎日真面目に働いて生きていたにもかかわらずまきぞえを食って殺された村人だ
チェスターいまはもう魂だけになってふわふわと……
と、目を宙に泳がせた
クレスわ、わかった
クレスは苦笑しながら何度か頷き
クレスチェスターのいうとおりだ。僕は、たとえ肉体を失っていてもこの村にとどまりたいと願うだろう
クレスだからチェスターはできるだけ昔のトーティスを再現したいってことなんだな
と、確認した
チェスターそうとも。やっと理解できたか
チェスターオレだって現実はわかってるつもりさ
チェスター新しい村人を受け入れれば、昔の面影なんてなくなるぜ
チェスターだからせめて思い出の場所だけは確保したいんだよ
クレスだったらやっぱり教会は必要だ
クレスがきっぱりと言い切る
チェスターおふくろの葬儀をやったからか?
クレスそれもあるけどさ。覚えてないか?
クレス僕たちが人生最初の取っ組み合いをしたのはあそこの控え室だった
チェスターそうそう。おまえ、あのころから弱っちくてな~
クレスチェスターこそ、目がこーんなに細くてさあ
ふたりは顔を見合わせ、げらげら笑ってしまった
ミントが立っているのに気付いたのはしばらくしてからのことだった
ミント……あのう
クレスえ?
ミント火を落とす前にお湯を沸かしたので。お茶です
どうぞ、とふたつのカップがコトリと音をたてる
クレスああ、ありがとう
ミントなにかお手伝いすることは?
いや、と即座に首を振ったのはチェスターだった
チェスター今夜のところはないよ。先に寝てくれ
ミントでも、私にもなにかさせてください
チェスターそうだな……明日からはとりあえず留守番を頼みたいんだけど
ミント留守番、ですか
失望を気取られないように、ミントはさりげなく繰り返した
チェスターああ。オレとクレスは建築資材の買い出しに行こうと思ってるんだ
チェスターそれがすめば村に大工たちが入ってくる
チェスターそしたらケガ人も出るだろうし、ミントの本領発揮さ
ミントそうですね。ケガ人なんて出ないほうがいいですけど
ミントは微笑んで見せ
ミントおやすみなさい
と告げた
小部屋に引き取ると、ミントはごく簡単にしつらえたベッドに座り、暗闇の中でしばらくそうしていた
ミント(どうしてこんな気持ちに なるのかしら…)
ミントはいいようのない不安に襲われている自分に驚いていた
クレスとチェスターの話に入っていけない
自分はこの村の出身ではないのだから当然といえば当然なのだが、この疎外感はどうだろう
ミント(私は必要と されてないのかもしれない)
ミント(……いいえ、そんなことないわ。 トーティスの再建に役立てることが きっとあるはずよ)
もうすぐ建設が始まると、チェスターに聞いたばかりではないか
そうすればきっと賑やかで忙しい毎日になるだろう
ミント(たぶん、あの旅の 刺激が強すぎたのだわ。 だから気が抜けてしまったのかも)
ミントはきっとそうに違いないと自分に言い聞かせると、そっと横たわる
なにか大切なことを忘れている気がしたが、間もなく眠りに落ちてしまった
瑠璃の夢 第二章scene1
『ミント』
『あわててこの日記を 書きはじめましたが…』
『なんとか今日も母娘ふたり、 無事に夜を迎えることが できました』
『いま、こうして耳をすますと となりの部屋であなたが静かな 寝息をたてているのが聞こえます』
『窓の外は降るような星空です── 明るい月たちのまわり以外は』
『ねえミント、夜空の星には 本当に人の未来や運命が わかっていると思う?』
『なにを唐突にと、 笑わないでくださいね』
『アルザスはそれを占星学者である 自身の一生のテーマとし…』
『半分だけの結論を持って、 天に召されました』
『半分とはどういうことなのか、 気になるでしょう』
『アルザスはいつも こう言っていました』
『「人間は生まれ落ちた瞬間に、 自分をとりまいていた 星の位置によって…」』
『「一生の運命を 決められてしまうんだ」』
『「それは宿命と言い換えたほうが 正しいかもしれない」』
『「星は決して間違わないし、 誰もそこから逃れることは できないと言われているんだ」』
『「でもね、メリル。 わたしは思うんだ。 人間は無力じゃない」』
『「たとえ悲しみや苦しみが 襲ってくると 星が語っていても」』
『「もしかしたら強い意志と力で それを捻じ曲げることが できるんじゃないだろうか」と』
『彼は、アカデミーで占星学を 学んでいたときから とても優秀な学生だったそうです』
『助手として残れば 教授の椅子も約束してやろう、と アカデミーから言われたそうよ』
『それを断ったとき、 アカデミーの仲間うちでは…』
『「アルザス・アドネードは 金を積まれてどこかの要人の 専属占星学者になったらしい」』
『という噂がまことしやかに 広まったんですって』
『もちろんそれはでたらめで、 彼はその噂に傷つき、 ひとり深い山中で暮らし始めたの』
『そこで私たちは 知り合ったわけだけれど』
『おかしいのは、アルザスは…』
『「きみを山の中で見つけるなんて、 星は教えてくれていなかった」と 驚いていたこと』
『この世に起きるすべての事象は 星によって語られているはずなのに なぜだろうと…』
『あとになって何度もふたりで 話し合いました』
『けっきょく、ダオス封印という とてつもなく強いできごとが…』
『運命を変えてしまったのだろう という結論に達したのですが』
『──もちろん、本当のところは わかりません』
『あのとき、アルザスは こうつぶやきました』
『「だったら自分で変えられる運命も あるかもしれないな」と』
『当時は具体的な意味が わかりませんでしたが…』
『すでに彼は自分の死期を 悟っていたのでしょう』
『星がはっきりとそれを 示していたはずですから』
『アルザスは、 あなたが一歳になる前に 亡くなったと書きましたね?』
『そうです…… 彼は自分の運命を 変えられませんでした』
『だから結論は半分、なのです』
『でも、代わりにミント、 あなたという命が 生まれていました』
『アルザスはいつも 私たち母娘の運命を 気遣ってくれていました』
『彼が最期に私に語ったことを お話します』
『どうか気持ちを強く持ってね』
『アルザスは苦しい息の下で 言いました』
『「言いにくいことだが──」』
『「きみとミントをやがて 想像もできないような 恐怖が襲うだろう」』
『「命も落としかねないような」』
『「いまからちょうど一七年後の 星の巡りがそう語っている」』
『「だが、残りの時間を使って なんとか運命を変えてほしい」』
『「私がきみに出会うことを 予知できなかったような 思いがけない幸福によって」』
『「生き延びてほしいのだ」』
『「ミントがきみから強い意志と力を 受け継いでいれば、 不可能ではないだろう──」』
『想像もできないような恐怖……』
『私にはすぐにそれが ダオスのことだと わかりました』
『けれど、私にはどうすることも できず、封印の祈祷をするのが 精一杯でした』
『そして、今年がその 一七年目なのです』
『正直に言いましょう』
『私は、たぶんアルザスが言っていた “恐怖”によって、命を落とすのでは ないかと予見しています』
『なんとかあなただけでも 生き延びてください』
『私は、あなたがこれを 読んでくれることを祈っています』
『読むということは、私の亡きあとも あなたは無事に生きていると いうことですから』
『こんなに幸福なことはありません。 信じています──』
クレスミッドガルズの商人が、どうしてトーティスにいるんです?
チェスターおまえも仲間か
チェスターが少年に向って顎をしゃくると、カイムは弾かれたように首を振った
カイムちっ、ちがいますっ。僕の父はいまミッドガルズで小さな雑貨店をやっているんですけど
カイム昔、ユークリッドにいたときにクレスさんのお父さんの道場に通っていたんだそうです
カイムそれで……今度のことを人づてに聞いて……
少年が目を伏せると、横にいたローデルがふんと鼻を鳴らした
カイム父は僕にトーティスの村に行くようにと言いました
カイム村がどういう状態になっているかはわからないけど、なにか僕にできることをお手伝いするようにと
ローデルハッ、そりゃ殊勝なこった
ローデルが笑うのを、ミントが遮る
ミントそうなの、クレスさん。私、お母さんのお墓でカイムさんに会ってね
ミント小屋まで帰ってきたんです。そうしたらこの人が中にいて……
ローデル鍵はかかっていなかったぞ
ローデルそれに、泥棒が入ったところでこんなボロ屋、とられるものはなにもあるまい?
チェスターいちいち嫌味なやつだな
チェスターミッドガルズから来た悪徳商人なんだろ?あんた、自分でそう言ったよな
チェスターってことは、だいたい想像がつくぜ
ローデルほう
チェスターシンソールで買い占めしたの、あんただろ
ローデルはにやりと笑った
クレスそうか。おかげで僕たち、ひどい目に遭ったんだからな
クレスいったいどういうことなのか、説明してほしい
ローデルもちろんだ。とにかく中へ入らないかね
チェスター待てよっ!
チェスターが追いかける
クレスもあとに続こうとしたとき誰かに袖をひっぱられた
カイムクレスさん
クレスああ、カイム君、だよね。なんだかバタバタしちゃって申し訳ない
クレスわざわざミッドガルズから来てもらうなんて……ええと、きみのお父さんが
カイムええ。ミゲール先生の教え子でした。でも、そんな話はあとです
カイムあのローデルのことは噂で知っています
カイムミッドガルズでも有名なやり手の建築商人で……
カイム大工をたくさん使って、かなり無理なことするらしいです
クレスそうか。教えてくれてありがとう。さあ、僕たちも中へ入ろう
チェスターはっきり言えよ、ローデル
チェスター石材と木材を買い占めて、オレたちに何倍もの値段で売りつけようとしてるんだろっ!
ローデル売りつけるだと!?こいつはいい!
ローデルは突然大声で笑い出した
ローデルそんなケチなことをどうして俺がせにゃならんのだ?
ローデルそっちの小僧に聞いてみるがいい。ミッドガルズのローデルといえば、少しは名が通っていると思うがな
クレスそうらしいよ
クレス僕も最初、買い占めと聞いたときにはチェスターと同じことを思ったんだ
クレスでも、この人はたくさんの大工や職人を使ってるらしい
ローデルそのとおり。おまえら、トーティスの生き残りらしいな
ローデル村を再建だと?バカを言っちゃいけない
ローデルおまえらだけでそんなことができるわけがない
ローデル再建はこの俺がする。そしてこの先村を仕切っていくのも、俺だ
チェスターなんだって!?
ローデルこれを見ろ
ローデルはテーブルの上に懐から出した紙を広げた
クレスあっ
クレスたちにはひと目でそれがトーティスの地図であることがわかった
自分で作ったものとはくらべものにならない、精密で専門的なものに見える
驚いたことに、すでに地図にはどこにどんな建物を建てるのかが、ペンで細かく記されていた
クレス(やっぱりこの男は 村を自分のものにしようと しているんだろうか)
ローデル俺がこの村の悲劇を聞いたのは、ちょうどミッドガルズで大きな仕事をやり終えたときだった
ローデル前まえから、ユークリッドにも拠点がほしいと思っていたんだ
ローデルそこで腕利きの職人を集めてやってきたというわけさ
ローデルシンソールでおまえたちの噂を聞いてきた職人がいて…
ローデルそれで早馬で先回りさせてもらったというわけだ
ローデル先住者なら、ひと言挨拶をしておくのが礼儀かと思ってな
クレス職人の人たちは?一緒じゃないのか
ローデル大部分は都の宿屋さ。とりあえず五〇人連れて来ている
チェスターそんなにっ
チェスターそりゃ資材を買い占めでもしないと、みんなに仕事が回らないか……
チェスターって、おい、冗談じゃないぞ。オレたちのトーティスをよそ者に勝手にいじくり回されてたまるかよ
ローデルそんなことを言う権利はないはずだ。国王でもあるまいし、おまえたちの土地ではないのだろう?
チェスターそりゃそうだけど
クレスでもローデルさん。僕たちもシンソールで少しですが建築用の資材を買ったんです
クレス馬と人手を借りて……一軒分とちょっとしかお金がなかったけど
クレスたぶん明日にはこちらに来るはずです
ローデル一軒!?一軒では村とはいえないだろう
ローデルは鋭い目をわざとらしく細めて嫌味たっぷりに言った
ローデルなあ、悪いことは言わない
ローデルおまえたちの家を建てるならここに建てるといい。それくらいの自由はやろう
ローデルだが、あとはこちらに協力するんだ
やなこった、とチェスターが吐き捨てた
チェスターちょっと聞くけどな、おっさん。家を何軒建てる気だ
ローデル最終的には一〇〇ほど
チェスターふん。じゃあ、そこに誰が住む?
ローデル拠点がほしいと言ったろ。俺の仕事を手伝う職人を優先的に住まわせる
チェスター大工村かよ
チェスターでもって、無理な仕事の取り方をしてもともとユークリッドで大工をしてた連中は日干しになるんだな
ローデルほーう。なかなか世の中の仕組みを理解しているとみえる
クレスはふたりのやりとりを聞きながら、ローデルが持ってきた地図を見ていたが
「あれっ」と声をあげる
チェスターなんだよクレス
クレスいや、ここ……ほら、教会がない
チェスターああ、本当だ
地図には住まいのほか、村人の生活に必要と思われる店や、宿屋などが描き込まれていたが…
トーティスのシンボルだった教会はなかった
ローデル教会だと?ここか?
ローデルその場所なら宿屋を建てようと思っている
クレスそれはダメです
クレス聖レニオス教会は、トーティスの人たちの大切な心のよりどころだったんだから……
ローデルトーティスは死んだんだぞ!
突然、ローデルが大声をあげたので、クレスとチェスターはびくっと肩を震わせた
ローデル教会のことなんか知るか。神がいるならなぜこんなひどいことになったんだ!?
ローデルとにかく。俺はおまえたちに許可を取ったり、相談にのってもらうためにここに来たんじゃない
ローデル挨拶しに来てやっただけでもありがたいと思えよ
地図をたたむと、ローデルは
ローデル邪魔したな
と言い捨てて立ち上がった
チェスター……どこに泊まってるんだ?これから都までもどるのか
ローデルまさか。途中で先乗りの職人たちが、野宿してるんでな
ローデルが闇の中に消えていってしまうとクレスは親友を表に連れ出した
クレスなあ、どうする?
チェスターどうするったって
ふたりは夜気の中で途方に暮れてしまう
クレス僕たち以外の誰かがトーティスを再建するなんて、考えもしなかったなあ
チェスターああ、確かに。しかし、もしオレたちの手で村を元どおりにできたとしても……
チェスター誰が住むのかはわからないわけだよな
クレスそうだけど、あの男のやり方は……
チェスターまあ様子を見るしかないだろうよ。明日にはオレたちの資材が届く。とりあえずはそっちが先だ
チェスターオレたちはともかく、ミントにはちゃんとした家が必要だろ
チェスター彼女を安心させるためにもそのほうがいい
チェスターはクレスの肩をポンと叩いた
──その夜、ミントは不思議な夢を見た
ミント(どこかしら、ここは……)
初めてクレスと時空を超えたときの草原に似ている気もしたが、はっきりと周囲が見えない
といって、夜ではなさそうだ
空には昼の明るさがないかわりに、冷たい暗さもなかった
ミント(太陽も、月も星も出ていないわ)
ミントは空を見上げて首をかしげる
こんな色は見たことがない、よく知っている青空よりもずっと濃い、澄みきった青だった
しばらく空を見ているうちに、ミントは、自分が浮かんでいるような気分になってきた
草原だったはずの地面はもうなく、そこも濃い青で満たされているのを眼下に見ることができたからだった
しかし、恐怖はない
ミント(なにかしら、この気持ち…… なにかをしなければ いけない気がする……)
ミント(誰かを呼ばなくちゃ いけない気がする……!)
ミントは焦り、そこにないはずの地面を蹴った
すると、くるりと体が一回転する
窮屈な卵の中で動く、誕生間近の魚になったような感じがした
しかし次の瞬間、狭まっていた空間が一気に無限に広がるのがわかった
目が覚める
ミント(なんだったのかしら。いまの夢)
チェスターよう、早いな
ミントあ……おはようございます
チェスター小僧は?
ミントまだ寝ているわ
チェスターそうか
チェスターは小屋のまわりの土地をならしているのだと言い、それから怪訝そうに訊ねた
チェスターどうかしたか?クレスなら水を汲みに行ってるけど
ミントいいえ、なんでもありません
夢を見たと言うのは簡単だが、説明するにはあまりにも漠然としすぎていた
ミントあのう、チェスターさん。私、考えたのですけれど
チェスターなに?
ミントモリスンさんのところへ行ってきてもいいでしょうか
言ってしまってから、ミントは自分に驚いていた
いまのいままでモリスンのことなど、まったく考えていなかったからだ
チェスターそうだな。オレたちも昨日のおっさんのことを早く報告しなくちゃと思ってるんだけど
チェスターこっちを放っていくわけにもいかないからな
ミントええ。ですから私が行ってきます。これからどうすればいいか、相談を……
ミントもしかしたらこちらに来てくださるかもしれませんし
チェスター助かるよ。クレスには、もう話したんだろ?
ミントいいえ
チェスターいいえって、ミント。そういうことはまずクレスに話してだな……
チェスターがとまどったとき、当のクレスが戻ってきた
クレスおーい、水は外においておくからな。きょうから人が増えるし、多めに汲んでおいたよ
ミントとチェスターの視線が一瞬からまった
クレスああ、ミント起きたのか。おはよう
朝陽に透ける金髪を掻きあげながら、クレスはにっこりする
ミントおはようございます
ミントは礼儀正しく会釈すると、そそくさと出かける準備をし
ミントそれでは行ってまいります
と杖を片手にふたたび頭を下げた
クレスあ?なに?行ってきますって、ちょっとミント!
クレスが追いかけようとするのを、チェスターがぐいと引き戻す
クレスなっ!?なんだよ。離せよチェスター
チェスター大丈夫だ。ミントはモリスンさんの家に行ったんだ
クレスなんだって?
チェスターほんとに、なにも聞いてないらしいな
クレス……うん
チェスター立ち入ったこと聞きたくないんだけどさ。ミントとなんかあったのか?
クレスへっ?
チェスターなにマヌケな声出してんだよ。トーティスに戻ってきてから、ずっと変だろ
クレスたしかに……あんまり喋らないなとは思ってたけど、ミントはもともとおとなしいし……
クレスお母さんの墓の近くにいるせいでいろいろ考えてるんだろうと……つまり、悲しんだり、懐かしんだり
クレス違うのかな
チェスターなにもなければ、なんでおまえの顔を見るなり逃げるように行っちまうんだ?
クレスうーん
クレスが唸ったとき、小部屋からカイムが出てきた
寝癖のついた髪がぼさぼさしており、彼をいかにも少年という感じに見せている
カイムおはようございますクレスさん、チェスターさん。寝坊しちゃってすみません
クレスいや、まだ早いよ。眠れたかい
ええ、と言いながら、少年はさりげなく小屋の中を見回した
チェスターミントなら留守だ。だから朝飯はおまえにまかせた。作れるか?
カイムあ……ええ、はいっ、うちは両親が店で忙しいので、僕がしょっちゅうやるんです
カイム仕事をもらえてうれしいです。おいしいの作りますから
チェスターいや、ロクな材料がねーんだ。期待はしてない
チェスターが土ならしの続きをしに出ていってしまうと、カイムはクレスに聞いてきた
カイムどこに行ったんですか、ミントさんは
クレス知り合いのところだよ
クレスほら、昨日思わぬ横槍が入っちゃったから、たぶんそのことを相談しにいったんだと思うけど
カイムそうですか。ねえクレスさん──
カイムたしかにローデルはミッドガルズでもいろいろ噂のあるやつですけど、村ができていくのは楽しみですね
クレスえ!?
カイムよそ者の僕がこんなこと言ったら、気を悪くするかもしれないけど……
カイムこのままよりは、きっとずっといいです
カイムだから、ローデルとうまくいくといいですよね。なんて、無理かな
カイムは笑った
クレスも思わずつられて笑ってしまいながら、確かにそうだなと思う
クレス(あの無惨な思い出を 晒しているよりは…)
クレス(早く新しい村を 作ってしまったほうがいいよな)
クレス(僕たちの希望を通すように 頑張るのは相当大変そうだけど)
ふと、ミントの横顔が浮かんだ
クレス(帰ってきたら話をしてみよう。 様子が変だなんて、 チェスターの思い過ごしだよな)
瑠璃の夢 第三章scene1
『ミント』
『アルザスが息を引き取る直前に 言い残した言葉については、 すでにお話しましたね』
『私とミントを襲う恐怖のことです。 でも、心配しないでください』
『あなたを安心させるためにも、 今夜はもう少しくわしく 書こうと思います』
『星の巡りによると…』
『私は何者かにとらわれ、 非業の死をとげかねない らしいのですが…』
『ミントの運命は そうとは限りません』
『私に死がもたらされれば…』
『引き代えに天はあなたに 素晴らしい贈り物をすると 囁いているそうです』
『贈り物って、なんでしょうね』
『私たちふたりの生活に、 ついぞ縁のなかった 宝石や金貨ではないでしょう』
『美しい法衣や杖でもありませんね、 きっと』
『もしかしたら愛する人を 見つけたのではありませんか?』
『だとしたら、いまごろは きっといろいろなことに 戸惑ったりもしているでしょう』
『アルザスと共に暮らし はじめたころ、私はよく不思議な 感覚にとらわれていました』
『彼が素っ気なかったせいも ありますが…』
『近くにいればいるほど、 なぜか自分の存在が ぼやけてしまい…』
『心許なくさみしい感じが したのです』
『私は星のこともよくわからないし、 法術師でありながらなんの役にも 立っていない気がして』
『そのくせごくたまに 彼が町まで買い出しに行って 山の中の家でひとりにされると』
『強い孤独にさいなまれました』
『けっきょく、 どんなにアルザスの 口数が少なくても…』
『私にとっては彼と一緒にいるのが いちばんの幸せなのだなあと 考えるようになったのです』
『ほんの数年、短い間でしたが、 一緒に生きることができて 私は幸せだったと思います』
『ミントがどんな男性と 愛し合うようになるのか いまの私にはわかりませんが…』
『その人がどこで生まれ、 どこに住んで何をしていようと…』
『とにかくできる限り 一緒にいてあげなさい──』
『天がくれた贈り物が、 あなたの真の居場所だといいなと 私は思うのです』
ミントがトーティスの村に戻ると、様子は一変していた
そこここで、家の建築がはじまっていた
まだ土台の段階ではあったが…
数十人もの男たちが汗を垂らしながら石を積んだり重たそうな鋸で木材を切ったりしている
ミントは早足で小屋まで戻った
カイムあっ!?
台所にいたカイムが気配に振り返り、ぱっと顔を輝かす
カイムミントさんっ。お帰りなさい
ミント……なにをしているの?
這いつくばっている少年に、ミントは怪訝そうに訊ねた
カイム家具とか食器とか、全部運び出すんです。ここに新しい家を建てるので……
カイムはぐずぐずと立ち上がると、言いにくそうに続けた
カイムほんとは、もうとっくにこの小屋はなかったはずなんですけど……
カイムシンソールからの資材と大工の人たちの到着が遅れたので……
ミントそうだったの。そうですよね、もう取り壊されているはずだったんだわ
ミントクレスさんたちは?
カイムチェスターさんと一緒に南の森です
ミント南の森?まさか猪狩りじゃないでしょうね
カイムなんですか猪って。この間もそんなこと──
ミントああ、あのふたり、子供のころから、しょっちゅうあそこで猪狩りをしていたらしいの
へえ、とカイムは一瞬目を耀かせかけたが
カイムきょうは違いますよ
と笑った
ミントとにかく行ってみるわね
カイム待って、僕も
クレスミントーっ!
なだらかな草地に足を投げ出して座っていたクレスは…
ミントの姿を見るなり両手を高く挙げた
チェスターよう。無事に戻ったな
チェスターミント、こっちがオレたちの家を作ってくれる大工のレイニーだ
レイニーと呼ばれた小柄な中年男は
レイニーよろしくお嬢さん
と微笑んだ
レイニーこっちは見習いのリフだ
リフはカイムと同い年くらいだろうか
ひどく痩せており、ひょろりとした首を折って無言で会釈した
クレスで、どうだった?モリスンさんは
ミントええ。お金のことは気にするなって……
ミントいまやっている仕事が一段落したら様子を見にきてくれるそうです
ミントモリスンさん……自分たちの信念を曲げるなって
ミントダオスを倒したときのことを思い出せって
チェスター大げさだなあ。ローデルの野郎はただのおっさんだぜ
チェスターダオスと一緒にするにはもったいねーよ
チェスターが吐き捨てるように言う
ミントもしかして私が発ったときより、状況は悪くなっているのかしら
レイニー悪いもなんも、お嬢さん!
レイニーシンソールでクレスさんが押さえた大工を、ローデルは出発直前に金で釣ったんだ
レイニー一緒に来るはずだった四、五人はいま、村で土台を組んでるぜ
ミントあなた方は誘われなかったんですか?
レイニー誘われたさ、もちろん。なんてったって俺は腕はいいんでね
レイニーしかし、職人ってのは金で転んでるうちは二流なのさ
レイニー俺は最初に雇われたところで、約束どおり最高の仕事をするのが信条なんだ
ミントまあ。よかったですね、クレスさん。いい方で
チェスターよくねえよミント。あっちは五、六〇人はいるんだぜ。資材もたっぷり
チェスターあっという間に、ローデルのユークリッドの拠点である大工村が、ここに完成しちまう
チェスターそんなのトーティスとは言えないだろ
ミント……ごめんなさい
クレス気にするなよミント。こいつはここのところ、ずっとカリカリしてるんだ
ミントあ、いけない
ミントはパチンと手を合わせ
ミント大切なことを忘れていました。あのね、クレスさん
ミントモリスンさんからの伝言なんですけど…
ミント以前トーティスに住んでいた人たちの名前を教えてほしいんですって
クレス名前?全員の?
ミントええ、そうだと思います。わかりますか
クレスうん……わかると思うけど、どうしてまた
ミントさあ……理由は言ってませんでした
クレスふうん、そうか。とにかくそれは早急にやるよ
ミントお願いしますね
ミントは曖昧に微笑みながら、私ったらバカみたいだわ、と思う
ミント(ちゃんとモリスンさんに 聞いてくればよかった)
ミント(これじゃ子供のお使いみたい)
クレス僕も忘れてたぞ
ミントえ?
クレス家のことなんだけど。レイニーの相談に乗ってやってくれないか
ミント私がですか
クレスやっぱりミントが使いやすいように作ったほうがあとあといいだろ
ミント……
クレスあ、いや。別に深い意味はないんだ
クレスただ……しばらくは家が一軒しかないわけだし……
ミントわかりました
ミントはトクトクと音をたて始めた心臓を意識しながら答えた
ミント(そうよね……)
ミント(ふたりきりではないけれど、 クレスさんときちんとした家で、 一緒に暮らすんだわ)
ミント(旅ではなく、 戦いのためでもない……)
ミント(これからはそういう、 ごくあたりまえの生活を するのよね)
体が熱くなってくることに、ミントは心地よさを抱いていた
それから、問題が山積しているのに幸せを感じている自分を、ちょっぴり恥じた
クレスたちがローデルと衝突したのは、その日の夕方のことだった
小屋はすっかり取り壊され、みんな空腹を押さえきれない時刻になった
廃材で火を起こして夕食の支度をすることになり…
カイムとリフは暗くならないうちにと川まで新鮮な水を汲みに行ったのだった
チェスターおい、あいつら遅くないか?
クレスそういえば……
レイニーどれ、見てくるよ
レイニーどうせ水遊びでもしてるんだろ。ふたりともまだ子供みたいなもんだし
レイニーえ……
レイニーはほんの数秒、暗闇を透かして眉を細めていたが、突然ダッと走り出した
レイニーリフっ!?どうしたんだ、お前っ!
クレスたちもあわててレイニーの走っていった方向を見つめた
ひょろひょろした影が二、三度揺らめいたと思うと、ドサリと倒れる音がした
レイニーリフっ、リフっ!?おい、しっかりしろ
レイニーに抱き起こされて、見習いの少年は呻いた
薄闇の中でも、あちこちケガをして、ひどく殴られたような顔をしているのがはっきりわかった
リフううっ……力……カイムがまだ、川……に
チェスターなんだと!?くっそう。あの親父、ふざけやがって!!!!!
クレスダメだ、チェスター!落ち着けっ
チェスターうるせぇよ!
チェスターはひとまとめにしてあった荷物の中から弓と矢筒を引っつかむと川に向かって駆け出した
クレスミント!リフを頼んだぞ
クレスは叫び、あとを追った
ミントレイニーさんっ、火が消えかかっています!薪を足して、お湯を沸かしてください
レイニーけど、リフが……
ミントそれは私にまかせて!ああ、水は瓶に残っている分だけでいいですから、早く!
てきぱきと指示を出しながら、ミントは地面に仰向けに寝かされた少年の顔を覗き込んだ
ミントヒール!
背後でパチパチと薪がはぜた。チャプンという水音
レイニー……お嬢さん?
荒れた大地を踏みしめて近づく足音にミントは振り返る
心配そうなレイニーの顔が肩越しにリフを覗き込む
ミントもう大丈夫ですよ
レイニー
ミントさあ、火のそばに寝かせてあげてください
レイニーこれは……!?あんた、いったいなにをしたんだ。どうやって治した?
ミント私の母は……昔、法術院にいたんです。それで少し習ったことが
レイニー法術師、なのか
レイニーはリフを抱きしめると、頭を下げた
クレスいたぞっ!カイムっ、僕だ。しっかりしろっ
岸辺に上半身を横たえたカイムは、腹部から下を水になぶられながら必死で這い上がろうとしていた
クレスほら、つかまって
カイムク、クレスさん……。すみません、僕……
チェスターおいっ、クレス。来るぞ。大勢だ……二、三〇?
矢筒から抜いた矢を番えようとする親友の手を、クレスは素早く押さえつけた
チェスターなにするんだっ
クレスダメだったら。もし当たったら大変なことになるぞ
大工おーい、まだ誰かいるのか。早くテントに戻らないと、また食いっぱぐれるぞ
どっと笑い声があがる。かなりの人数だ
なんだ?という視線をチェスターに向けられ
クレスさあ。大工たちみたいだけど……
ズザッ!
すぐそばを駆け抜ける足音に、チェスターは目にもとまらぬ速さで弓を構えた
チェスター止まれっ!止まらないとズブリだからなっ
足音がぴたりとやむ
数十人はいるらしい男たちもシンと静まり返った
チェスターオレの弓は狙いをはずさない。クレスの剣の腕は超一流だぞ
クレスおい、チェスター
クレスが一歩進み出ようとしたとき
???おい、明りを貸せ
松明が大きく揺れ、聞き覚えのある声が響いた
クレスローデル!?
ローデルふん。クレスにチェスターか。なんの騒ぎだ?
ローデルは大股で近づいてきながら、ふたりにそう訊ねた
瑠璃の夢 第四章scene1
『ミント』
『きょうはダオスについて 書いてみたいと思います』
『ですがダオスが誰で、 どんな人物であるのかについて…』
『ここでくわしく触れるのは やめておきます』
『世界の脅威であったということ くらいはあなたも 知っているでしょうし…』
『彼のやったことについて 書きたいわけではないからです』
『かつてダオスを封印したとき、 私はもちろんひとりきりでは ありませんでした』
『ミゲールとマリア、 そしてトリニクスという 仲間がいたのです』
『私たちは、大変な苦労の末、 ユークリッド南部の地下墓地に ダオスを封印しましたが…』
『仲間にも一度も 言ったことがないことがあります』
『それは、ダオスの行ないにも なにか理由が あったのではないかという疑問』
『つまり、モンスターを操り、 世界を支配し、 人々を恐怖に陥れるには…』
『それだけの事情が あったのかもしれないと 思ったのです』
『あるいは──本当にただの 狂人だったのかもしれませんが』
『戦っているときは それでも夢中でしたが…』
『封印後にその思いは 強くなりました』
『私が法術師だからかもしれません』
『甘いことをと言われるでしょうが、 私にもっとカがあって彼の心を 癒すことができたなら…』
『状況は違っていたかもしれません』
『私が言いたいのは──ミント』
『もしいまあなたにとって敵だと 思える人がいても、優しくして あげてほしいということです』
『人にはそれぞれ 物語と歴史があります。 どんな平凡な人にも』
『それを忘れずに、 決して一面的に見ないでください』
『目を凝らし、 細心の注意を払わなければ、 真実は見えないものです』
『あなたが自身の法術を 深めて行くためにも、 覚えていてくださいね』
チェスターよーし!そっちにロープの端を引っかけるんだ!あわてるなよっ
クレスたちはみんなで崩れ落ちた教会の石塔をまっすぐに建て直そうとしているところだった
ミントは圧倒され、声をかけそびれて少し離れた場所から彼らを見つめた
クレスおはよう。なんでそんなところに立ってるんだ?
ミントあ、いえ。カイムさんとリフさん、元気になったなと思って……
カイムおかげさまで
カイムが頭を下げると、リフもうっすら笑ってミントを見た
チェスターよーし。梃子と鎖でなんとかなるだろ。朝飯の前に片づくといいんだけど
チェスターが意味ありげに言ったので彼女はハッとなった
ミントごめんなさい!すぐ支度をしますね
朝食はスープとパン粥、モリスンが持たせてくれた少しばかりの干肉だけだった
大工1うまいや。ローデルのテントの飯とは大違いだ
大工2ほんとほんと。お世辞じゃないよ、ミントさん
大工たちは口々にミントの味つけを誉めた
ミント明日になったらきっと材料がたくさんくるでしょうから、分けてもらいましょうね
ローデルがシンソールで料理女の手配をすると言っていたのを思い出してそう言うと
チェスターさて、それだよ
とチェスターが難しい顔になる
チェスター明日になったらあいつらが来る。それまでになんとか教会のカッコをつけないと
けっきょく石塔は重過ぎて動かなかったのだった
レイニーチェスターさん。話では聖レニオス教会はあとで建て直すんだよな
チェスターもちろん
チェスターとにかくあそこは教会の敷地で、宿屋を造るところじゃないってことをあのおっさんにわからせりゃいいんだ
レイニーふーむ。どうせ塔を乗せようにも、屋根も壁も粉々だしな……
レイニーじゃ、やっぱり少し壊すか
クレス(なるほど。塔の足元を壊して、 軽くするわけだな)
クレスは、それも仕方ないかと思いながら、隣りのチェスターに視線を当てた
キッと唇を結び、なにごとか考えている様子だ
クレスははーん
クレスが笑いを含んだ声をあげると、チェスターはハッと我に返る
チェスターな、なんだよっ。変な声出しやがって
クレスいま、思ってたろ
チェスター
クレスアーチェのこ……と……!
思いっきり口を塞がれて、クレスはくくく、と息を漏らした
クレスは、離せよ。図星だろ?いいじゃないか、別に思ったってさ
クレス僕だってちらっと考えないわけじゃなかった
クレスアーチェがいれば魔法で塔を起こすことくらい、それこそ朝飯前なのにって
チェスターうるさい。あいつの魔法は破壊専門だ
クレスく、苦しいったら。あははは、チェスター、やめろってはははは
呆れたレイニーがひき剥がすまで、ふたりは叫び合っていた
ローデルが村に到着したのは、昨日と同じような太陽が照りつけだしてからのことだった
ローデルなんだこれはっ
大工俺が来たときにはもう、こうなってたんです、親方
大工どかそうにも祟りがあるっていわれると怖くて……
ローデル祟りだと?
ローデルチェスター!クレス!どこだ!?
チェスター──呼んだか?
塔の向こう側から現われたのはチェスター以下一〇人の男たちだった
チェスター待ってたぜ、親方
ローデルこれはなんの真似だ
チェスターさあ
チェスターはにやにやしながらとぼけてみせた
チェスターオレたちも驚いてるんだ。聖レニオスの日の奇跡ってやつかな
チェスター昨日の朝起きてみたらこうなってたんだ
チェスター村人たちの魂がこの教会を必要としてるってメッセージかもしれないなあ
ローデルはっ、なーにが奇跡だ
おい、とローデルはチェスターとクレスを交互に睨みつけた
ローデルこの石についてるロープと鎖の跡……それから、聖レニオスは斧も使うとみえる
クレス……
鋭い目をまともに向けられ、クレスは思わず視線をそらしそうになったが、持ちこたえる
ローデル足元の新しい割り口……こりゃあ斧だろ?
ローデルしかも俺の目に狂いがなければ、この現場で使ってるやつと、刃の幅が同じときている
チェスターなんのことだか
チェスターがせせら笑うと、ローデルの顔はみるみる朱に染まった
ローデル騙したな!聖レニオスの誕生祭だと?
ローデルふざけやがって、大事な仕事を一日潰しやがった!
ローデルはチェスターに跳びかかると、胸ぐらを掴んだ
ローデルおかげで大工たちがミッドガルズに戻るのが一日遅れた!
ローデルこれがどういうことだかわかるか!?
チェスター知らねーよ
ペッと男の顔に唾を吐いたチェスターは、次の瞬間、数メートル吹っ飛んでいた
クレスチェスター!大丈夫かっ?
クレスローデルさん。確かに、塔を起こしたのは僕たちです
クレス昨日の夜までかかりました。重過ぎたので斧も使いました
クレスでも、こうでもしなきゃ、この教会の敷地に宿屋が建てられてしまう!
クレス前にも言ったけど、この教会はトーティスの人たちにとっての心のよりどころだったんです
クレス確かに村は全滅して死んだかもしれません
クレスでも僕にだって思い出はある。チェスターだって……
ローデル……
クレスわかってほしいんです。トーティスはまだ僕らの中に生きてるって
ローデルそんな甘い考えが通用するとでも思うのか
クレス宿屋なら、もともとこの東南にありました。同じ場所に建てればいい
ローデルいよいよもって話にならん。これまでだな
ローデルは大工たちを集めると、なにごとか指示を与えはじめた
カイムクレスさん。僕たちが昨日やったことは、ムダだったんでしょうか
カイムあいつら、塔を撤去するつもりですよ
クレス仕方ないさ。僕らの気持ちを示せただけでも良しとしないと
一か月が過ぎた
あの石塔の事件以来、親方は完全にクレスたちを無視し続けており…
おたがい勝手に仕事を進めているという状態だった
よほど大切な事柄に限って、唯一の架け橋であるミントを通じて伝えられた
が、クレスたちが驚いたことに、ローデルは石塔を撤去しなかった
そんなことに貴重な労力を使うのはバカバカしいとばかりに、放置してあるのだ
宿屋は、クレスの提案のためかどうかはわからなかったが…
ゴーリの店の東側にあった以前の宿屋の跡地に建てられた
チェスターもクレスもローデルの真意をはかりかねていたが…
日を重ねるにつれ、あの不格好な石塔が新生トーティスのとりあえずのシンボルのように思えてきていた
わずかずつだが、村らしい形をとり始めたトーティスには…
噂を聞きつけた行商人が立ち寄るようになった
ある日、ユークリッドの都へ行く途中だという行商の男が、ミントあての手紙を持ってきた
ミントまあ、モリスンさんからだわ
そこには、なかなかトーティスに行けなくて申し訳ないという詫びと…
ミントたちへの気遣いが、モリスンらしい簡潔さで綴られていた
ミント『……それから、この間頼んだ 村人のリストを急いで 届けてほしい』
ミント『ところでミント、 夢見のほうはどうだ?』
ミント『夢覗きの布が役に立っていると いいのだが』……モリスンさんたら
ミントは苦笑した
瑠璃色の布は寝具として使わせてもらっていたが、夢見が順調かどうかはわからない
ときおり瑠璃色の夢を見、革表紙の本はいつもそこにあるようになったが…
相変わらず触れることができないままで目が覚めるのだった
ミントクレスさん、クレスさん
ミントは手紙をしまうと、家の裏庭で作業をしているクレスのもとへ走った
クレスどうしたんだい
窓枠と格闘していたクレスは、汗だくだった
ミントあのね、モリスンさんから手紙が来たの
ミント私ったらひと月も放っておいて……頼まれたもの……
クレスなんだっけ。ああ、トーティスに住んでいた人たちの名前?
クレス忙しくて、それどころじゃなかったもんなあ
ミント急いで欲しいって。今夜からできるかしら
クレスああ、やるよ
クレスが頷くと、ミントは安心したように戻って行った
クレスなあチェスター
チェスターやだ
クレスの背後で石の面取りをしていたチェスターは即座に言い放つ
チェスターやなこった。オレは手伝わない
クレスなんだよお。モリスンさん急いでるらしいじゃないか
チェスターバカだな。おまえ、オレが心配してるの忘れたのか?
チェスターいいチャンスじゃないか。ミントとふたりでたまにはゆっくり話をしろよ
チェスター必要なのは台所の設計の話だけじゃないだろ
クレスでも……
チェスターいいかクレス。考えてもみろよ
チェスターオレたちには故郷だが、ミントにとっちゃこんな村、なつかしくもなんともないんだ
チェスターもっと優しくしてしっかりつかまえとかないと…
チェスター新生トーティスの完成とともに、どこかへ行っちまうかもしれない
クレスミントが……どこかへ?彼女がいなくなるなんて考えられないよ
チェスターそうだ。素直で大変よろしい
チェスター同じ時代、同じ村
チェスター毎日一緒にいられて、おまえらほんとに恵まれてるんだってこと、忘れないでくれよな
クレスチェスター
クレス(やっぱりアーチェがいなくて つらいんだな)
親友が背中で言った言葉に…
クレスはあらためて、自分たちが経験したあの旅は紛れもない現実だったのだと思った
その晩、クレスとミントは新しい自分たちの新しい家のテーブルで向かい合っていた
クレスうーんと
クレスまず、ゴーリの親父さんだろ、仕立て屋のニルのとこは、奥さんと子供が……何人いたっけな
クレスあとは金物を扱ってたのが……
ミントクレスさん
ミントはペンを持った手でクレスを遮った
彼女はクレスが思い出した人物を紙に書きとめていく係を引き受けていた
ミントそうやってバラバラ思い出すと時間がかかるでしょう
ミントこうしたら?地図を見て端から埋めていくの
クレスそうだね。確かにそのほうが早い
クレスは目を閉じ、村の門を思い浮かべた
クレス(ここを潜ると、最初に大きな木が あるんだよな──)
クレス(そこを過ぎると 家並みがはじまるんだ)
クレスは目を閉じたまま鮮やかに甦る村の光景を眺め…
そこに生活する気のいい知り合いたちの名を次つぎ口に出していった
突然、クレスの脳裏に、賑やかだったころのトーティスが丸ごと現われた
溢れる光や、笑いさざめく女たちの服、道場から響く威勢のいいかけ声
マリアの作る暖かい夕食の匂いテーブルに飾られたオレンジと黄色の花──
アミィが焼いてきたパイの焦げ──
自分でも気がつかないうちに、クレスは泣いていた
ミントさん……クレスさん?
クレスはハッと我に返った
彼は真っ赤に充血した目で、心配そうにこちらを見ているミントを見つめ返した
クレスもう……二度と帰ってこない。みんな、なくなってしまったんだ……大切だったのに
ミントクレスさん……
ミントはそっと手を伸ばすと、クレスの濡れた頬に触れる
クレスは微笑むと、その手を掴んだ
クレスありがとう、ミント。でも、大丈夫だよ。僕に法術は必要ない
ミントそう?
きみがいれば、とクレスは口の中でつぶやいた
ミント続けられるかしら
クレスもちろん
クレスはもう一度、さっきの門から入り直してみることにした
今度は冷静に村を眺めることができた
瑠璃の夢 第五章scene1
『ミント』
『急いで書きます。 いつにも増した危険を感じます。 これが最後になるかもしれません』
『私たちはおそらく、 ダオスの封印を解く鍵として 扱われるでしょう』
『誰よりも私たちに愛されていたと、 これからも愛されていくのだと 自信を持ってね』
『そして、あなたのそばにいる人を 愛していってください』
『私が今も、 そして死んだのちも アルザスと共にあるように』
『これから私は最後の時間を使って、 この日記帳を夢見の術で封じます』
『いつかあなたが これを読んでくれることを 祈りつつ──』
『追伸:ずっと以前この術のことを 話したら、アルザスは瑠璃色に 大変興味を持っていました』
『瑠璃というのはあなたが 今いる場所の色のことです。 わかりますね?』
『あなたのお父さんは 空の色を連想したようでした』
『ここに、あなたあての手紙を はさんでおきます』
短い夜が明けようとしていた
ローデルうう……っ
ローデルのうめき声に、ミントは、ハッと目覚めた。
ミント(……夢?)
瑠璃色に輝くあの場所にいたような気がした
ミント(そうだわ。 お母さんの日記を読んで……)
ミント(いえ、読まないうちに 目が覚めた?)
ミントはぼんやりしている頭で必死に考えようとしたが…
ふたたびローデルが声をあげたので、今度ははっきりとケガ人のことを思い出した
ミントおはようございます、ローデルさん。起きられますか?
ローデル……ああ
ローデルは、ミントの助けを借りて、ベッドの上に起き上がった
ローデル驚いたな、生きてるなんて──。法術のおかげか?
ミントええ、多少は。充分でなくて申し訳ないんですけど
とたん、頭の中に響いた言葉があった
ミント(アルザス・アドネード)
ミント!?
ローデルどうかした、のか
ミントいいえ
ミントは不自然なほどきっぱりと否定した
ローデル俺のために疲れさせてしまったんだな……少し休んでくれ
ローデルの声に力はなかったが、思いやりが感じられた
ミントありがとうございます。でも大丈夫です
そのとき、ドアがノックされた
リフ医者を連れてきたけど
顔を覗かせたのはリフだった
医者骨なんか砕けちゃいませんよ
ローデルを診た医者は、信じられないといった表情で両手のひらを上向けた
医者しかし、ここに来る途中、石塔が崩れた現場をリフくんに教えられて見てきたんですが……
医者よく無事でしたねえ。しばらく静養さえすれば、心配ないですよ
部屋に集まっていた誰もが昨日のローデルを見知っているだけに…
驚異的に回復しているのは法術のおかげだとわかったが…
それを医者に話そうとする者はいなかった
医者が帰ってしまうと、入れ替わりにチェスターがなだれ込んできた
そこにいたクレスとレイニーが驚いて脇によける
チェスターローデル!いや、ローデルさん
ガバッと床にひれ伏したチェスターの髪がはねているのを見て、クレスは彼が今まで眠っていたことを知った
うなされていて、熟睡できなかったためだろう
チェスターどうしてもあんたに謝らないと、オレ……
ローデル……チェスター?
ローデルは目だけでチェスターを見下ろした
チェスター聖レニオスの日だなんてウソついて、オレが無理に塔を起こしたりしなけりゃ……
切れ長の瞳から涙がこぼれ落ちる。肩が震えていた
チェスター立ってなきゃ倒れるわけないもんなっ!?
チェスターオレのせいだよ。許してくれ!
ローデル……
チェスター昨夜、よく眠れなかった
チェスターもしあんたが死んじまったらどうしようって、そんな夢ばっかり見てた
ローデルチェスター
チェスターこんなひどいことして、オレなんかにトーティスを再建できるわけがない
ローデルチェスター、聞いてくれ
ローデルはじっと目を閉じていたが、やがて唇を開いた
ローデル俺は……誰も恨んでなんかないぞ。今度のことは、聖レニオスの怒りに触れたと思っている
ローデル俺は神など信じてはいないが、村を守るものの存在と言い換えれば、理解できるさ
ローデルあのとき、塔の横なんかに立つつもりはなかった。でも引き寄せられた──
そうだった、とクレスは思い出した
ローデルのよろけ方は不自然なくらいだった
これまでたくさんの精霊たちと接してきたクレスには…
ローデルの説もあながち間違いではない気がした
ローデルだから言うわけではないがな、チェスター。少し協力し合わないか
ローデル私利私欲のためでなく、トーティスのために、だ
ローデルクレスもどうだ?
クレス僕は……かまわないけど。大工ばかりの村になるのはちょっと
ローデルもうその案はダメさ。逃亡者続出の現場に住もうなんて大工は、そうはいない
ローデル俺は、少々強引にやりすぎたようだ
ローデル信念を曲げるわけにはいかないが、おまえたちにも悪いことをしたと思っているよ
ローデル──だが、ここはいいところだ。村ができあがったあかつきには…
ローデルミッドガルズからの移民も、少しは受け入れてやって欲しい
ありがとう、とチェスターは囁いた。いまのローデルなら信じられそうだ、と彼は思った
チェスターで、かんじんの話だがな
チェスターはトリスタンをキッと睨みつける。さっきまで泣いていたとは思えない
クレス、ミントと四人で囲む、朝食のテーブルだった
トリスタン相変わらず目つきが悪いのぉ。こわいこわいっ
チェスターとぼけんじゃねーよ
チェスターモリスンさんがなにをしにミッドガルズに行ったのか、あんたが知らないわけないだろ
トリスタン知らん知らん
老人は椅子からストンと滑り降りるとリストの入った布袋を首から下げた
トリスタンでは、またな
クレスまたな、ってトリスタン師匠!?
トリスタン信じる者は救われる
クレスえ?
トリスタンかもしれん、ということじゃ。おんしも頑張んなさいよ
ポンポン、とクレスの胸を叩いて、老人は出て行った
モリスンぶえっくしよい!
モリスンは、派手なくしゃみをひとつした
宿屋の主人風邪かい?
宿屋の食堂で、主人が訊ねる
モリスンいや、そうじゃないんだが
宿屋の主人でもここへ来てからあんた、毎日だよ
モリスンたしかに
宿屋の主人朝飯、昼飯、晩の飯。誰かが飯どきに集まって、噂してるんじゃないのかな
モリスンはは、まさか
モリスンは否定したが、ありそうなことだと密かに思う
モリスン(クレスたちだな)
宿屋の主人で、商売はうまくいってるのかい?
主人はモリスンを毛色の変わった商人だと思っているらしかった
モリスンまあまあだよ。もうしばらく滞在するかもしれないが
宿屋の主人そいつはいいね
主人はパンのおかわりを持ってきた
一〇日ほどが過ぎると、ローデルの傷も少しずつ癒えてきた
ひとりでベッドに起き上がり、食事をとるくらいのことはできるようになっていた
ローデル問題なく進んでいるか
ミントが部屋を訪れるたびに、ローデルは質問した
ミントレイニーさんがちゃんとやってくださってますよ
ローデルちょっと見に行きたいんだが……壁の普請のことで、言っておかないといけないことが
ミントいけません
ミントレイニーさんはきょうも夕方報告に来てくれますから、そのときにしてくださいね
ミント寝ていないとダメですよ
ミントが許可しないとわかると、親方は仰向けに寝たままで大げさなため息をつく
ローデルはああっ。ミント、家というのはなあ、大工にとっては子供と同じなんだぞ
ローデルきちんと成長を見ていないと
ミント(子供……やっぱり会いたいんだわ)
ミントローデルさん。頑張っていればきっといいことがありますよ
ローデルいいこと?はっ、なんだね。そんなものがあるなら聞きたいもんだ
ミントはくるりと振り返ると、「秘密です」と答えた
それから枕カバーを替えようと、ベッドに近づいた
ミント(アルザス)
その瞬間、なんの前触れもなく頭の中に浮かぶ
が、すでにミントはそれが父親の名だということを知っていた
あれ以来、母親の日記の続きを読む機会は訪れていなかった
ミントが何気なくローデルを見下ろしたときだった
ミント(あ、この感じ……)
以前にも同じようなことがあった気がした
いや、確かにあった
ミント(ベッドの脇で誰かを見ていた…… こうやって見下ろしていたり、 それから、そう…)
ミント(ベッドのシーツをつかんで)
ローデルが、枕を取りやすいように頭を浮かせた
ミントは枕を手前にそっと引きながら考えた
ミント(つかんで?)
どういうことだろう
ミント(あのとき、誰か、 ペンを走らせていた……)
ミント(そう、私はそれを 見ていたんだわ……)
ミント(男の人だった…… 鳶色の髪と、瞳……もしかして)
強い視線を感じ、ミントはハッと現実にひき戻された
ローデル首が折れそうだよ
ミントあ、ああっ、ごめんなさい。すぐ替えますから
頭を浮かせっぱなしのローデルは
ローデルこれもリハビリかな
とだけ言って、歯を見せた
久しぶりの故郷だった
都の西側にある、小さな船着き場から陸にあがったカイムは…
足元の地面をブーツでトントンと叩いてみた
父親に言われて生まれて初めてユークリッド大陸へ行くことになったときは…
もっと違う大地が待っているような気がしたものだが、こうしてみると変わりなどない
世界はどこも同じようなものなのかもしれない、と彼は感じた
カイムはレイニーが用意した地図を広げて確認してみる
地図に記されたローデルの家は、クラウドットという町のはずれにあった
はずれといってもそこだけ緩やかな高台になっており、町を見下すことのできる一等地だ
カイムへえ
門の前に立って、カイムは驚いてしまった
あちらにもこちらにも、色とりどりのバラが咲き乱れていた
???なにかご用かしら
カイムひっ
突然、赤いバラの繁みの陰から声をかけられ、カイムは飛び上がった
カイム(聞かれたかな?)
カイムあ、あのう。こちらはロ、ローデルさんのお宅ですよね
???ええ。そうです
繁みのむこうから姿を現わした女性は咲き誇るバラよりはうんと清楚なイメージだが、かなりの美人だった
長い髪を美しく結い上げている
???あなたは?
カイムカイムといいます。……あのう、驚かないで聞いてほしいんですけど……
カイムは急にしどろもどろになった
ローデルのことをどう伝えるべきか、なにも考えていなかったのである
???なにかあったのね、ユークリッドで
ローデルの妻は、ぎこちない沈黙からカイムが運んできた知らせの性格を悟ったようだった
???そう……それでケガを
カイムご家族の方に来てもらったほうがいいだろうってことになったんです。僕、たまたまこの近くの出身なもので
???ありがとう、カイムさん
カイムいえ
エリン私はエリンよ。とにかくうちにお入りになって
カイム(うっわあ。すごいうちだな)
通された応接間の家具や調度は、カイムが見ても相当な高級品であるとわかる
エリンさっそくですけど、ひどいって、どれくらいのケガなのかしら
カイムいや、僕は直接会ってないんです
カイムは出がけにクレスから聞いた説明を、なるべく忠実にエリンに伝えた
エリンまあ、足の骨が……
カイムでも、もう治っているかもしれません。あちらには法術師がいるので
エリン法術ですって?
エリンの目が驚きに見開かれた
そのとき、廊下で足音がした
男の子ただいま!
少女あれっ、お客さまなの
ドアを開けて駆け込んできたのは、一〇歳くらいの男の子と、その姉らしき少女だった
シリカこんにちは。シリカです。こっちは弟のジェール
ジェールよろしく
ふたりは深々と会釈した
カイム僕はカイム……!
カイムは、顔を上げたシリカをまともに見たとたん
カイム(かっ、かわいいっ)
大きな瞳も、波打つ巻き毛も、なにひとつローデルには似ていない。ふたりとも母親似なのだった
ジェールお母さん。ちゃんと並んでたらカードもらえたよ
ジェールはポケットから数字が書かれたカードを取り出すと、エリンに手渡した
エリンありがとう。でももうこれは必要なくなったわ
エリンすぐにみんなでユークリッドヘ発ちます
シリカええっ!?
ジェールなんでっ
子供たちは驚いて叫んだ
ジェールせっかくカードをもらったのに……オークションはあしたじゃないか!
ジェールがぷうっと頬を膨らませ、カイムを睨んだ
ジェールこのお兄ちゃんのせいなんだね?
エリンいいえ、ちがうのよ。お父さんがケガをしたんですって
シリカえっ
シリカの顔が泣きそうに歪む
シリカほんとですか、カイムさん
カイムああ……でもきっと大丈夫だよ
カイムは曖昧に少女をなぐさめ、それからエリンに向き直った
カイムいまからすぐ行くんですか?あしたのオークションっていうのは?
エリンああ、このこと
ローデルの妻は白いカードをカイムに示して苦笑した
エリンクラウドットではふた月に一度、オークションが開かれるんです
エリンすごい骨董品なんかはめったに出ませんけれど、とても人気があるの
エリンだから入札したい人には前もってこのカードが配られるんです
エリン今回はとても欲しいものがあったものだから、子供たちに並んでもらったんですが
ジェールねえ、行かないの?
エリンええ、ジェール。そんなこと言ってる場合ではなくなったの
エリンシリカ、階上へ行って支度をしていらっしゃい
シリカわかったわ。あなたも一緒に行ってくださるの?
カイムもちろん!
カイムはとっさに快諾していた
エリンたちと一緒に船着き場に到着したカイムは…
思いがけない人物に後ろから肩を叩かれた
???きみたち。ユークリッドまで行くのなら同じ船にしないか──
カイムえ……あっ、あなたは!?
モリスンきみ!?
カイムモリスンさんっ
驚いたな、とモリスンは唸り、目の前に停泊している小ぶりの漁船を親指でさした
モリスンいや、ユークリッドに行く客が五人揃わないと船は出せないっていうんだが
カイム僕たちはトーティスヘ行くんです
モリスンそりゃ好都合
エリンあのう。もしかして、トリニクス・D・モリスン?
カイムを押しのけるようにして、エリンが前に出る
モリスンそうだが……
モリスンがカイムに説明を求める視線を送ったとき…
停泊中の小船の甲板に男が姿を現わした
船長らしい
船長おーい。どうなったね?
モリスン揃ったよ。出航してくれ!
モリスンは海風に逆らって叫んだ
モリスン話は船に乗ってからにしよう。どうせうんざりするほど時間はあるんだ
カイムは、なぜローデルの妻がモリスンを知っているのだろうと不思議に思った
瑠璃の夢エピローグ
数か月が過ぎた
美しくできあがったどの家からも、賑やかで楽しげな声が聞こえてくる
ユークリッド大陸を南下する旅人はみな、おぞましい悲劇を乗り越え、再生したこの村を通りたがった
村の中央には立派な教会まで建てられていた
宿屋には商人たちが多く泊まるので、自然と市がたつ
物資は豊かで、人々の顔には希望が溢れているのだった
このまま発展してゆけば、村ではなく町と呼ばれるのも時間の問題のように思えた
トリスタンそれじゃ、おんしらみんな元気でな
クレスたちの家の前で、トリスタン師匠はみんなに向かってひょいと片手をあげた
誰もこの老人の本当の家を知らなかった
が、師匠がこの村に戻ってすぐ、家に帰ってしまったモリスンのところへ行くらしい
やはりあそこがいちばん落ち着くのだろう
老人が行ってしまうと、チェスターがため息をつく
チェスターあーあ
クレスなんだよ。さみしいのか
チェスターバーカ。これでまた居心地がより悪くなると思ってさ
すでにレイニーをはじめとする大工たちは村を去っている
ローデルたちミッドガルズ組も、もうここにはいない
もっとも、ローデルは村を拡張するために必ずまた来ると言い残していったのだが
ただひとりこの地で頑張っているのがカイムだが──
彼はいまや宿屋の主人の片腕として、重宝がられていた──
住み込みなので、けっきょく家にはクレス、ミント、チェスターの三人だけだ
チェスターなあ、裏庭に小屋建ててもいいだろ
クレスまたその話か。いいかげんに……
チェスターだって、いっつも当てつけられてるんだぜ、オレ。かわいそうだろうが
当てつけてるだなんて、とミントが赤くなりながら文句を言った
チェスターそれにしても、あの爺さんには感謝だなあ
チェスターが、感慨深そうに腕組みをする
クレスとミントが作ったあのリストを使って…
トリスタンは歩けるだけの町や村を回り…
亡くなったトーティスの村人に緑のある者を根気よく集めたのだった
ほとんどが親戚や友人だったが…
老人の移住の勧めにのった人々は、たいてい一族を引き連れて越してきたのである
もしかしたらカイムの両親もこちらで雑貨屋を出すかもしれないと聞かされたところだった
村の婦人こんにちは、アルベインさん。今夜、聖レニオス教会で集会があるそうですよ
村の婦人このあいだ新しい村の名前を決めるって話が出ていたでしょう?
村の婦人たったいま聞いたのだけど、最有力候補は『ミゲール』よ
村の婦人あなたのお父さまの名前なんですってね
チェスター親父さんの名前が村の名前になるのか。すげーじゃん
クレス……なんか落ちつかないな。まだ決まったわけじゃないけど
ミントそれじゃ、道場も早く建てなければいけませんね
ミントは裏庭を振り返りながら言った
ミント私、ちょっと母のところへ行ってきます
ミントお母さん
メリルの墓の前に座り、ミントは話しかける
村の活気も、ここまでは届かない。心地いい風が静かに吹いていた
ミントきのう、市へ行ってね。ほら見て
彼女は持っていた紙包みからなにかを取り出すと、墓石にそっと近づけた
ミントね?お母さんのと似ているでしょ?
それは革表紙のついた、真新しい日記帳だった
ミント私もなにか書き残しておこうと思うの
ミントは近くの大木の根元に座り、幹にもたれかかると、日記帳をまん中から開いた
真っ白な紙の上に、ペンを使うように指を滑らせてみる
ミント(クレスさんと出会った 地下牢のことから 書くべきかしら……)
ミント(それとも、ここでの生活を?)
ミントはあれこれと思いを巡らせた
ミントいつかこれを夢の中に封印することができたら…
ミントずっと先の未来の子供にも読んでもらえる……
そこまで言って、くすっと笑ってしまう
ミントその前にまず新しい家族をつくらなきゃね
ミントはいちばん前のページを開けると…
いまも自分の帰りを待っているであろう彼の名前を指で書いてみる
それが決して消えてしまわないように…
家に戻ったらペンでしっかりとなぞっておかなくちゃ、とミントは思った
それが本当に最初の一ページになることを、彼女ははっきりと感じていた

NameDialogue
憧れのホワイトクリスマス
ルーク…ってわけで、バチカルのクリスマスパーティーに出席してくれねぇか?
ゼロス街を挙げての盛大なパーティーか…確かに面白そうだが、悪い、今回は──
ルークそんな簡単に断んなよ。街どころか、国を挙げたパーティーへの招待だぜ
ルーク国賓としてシルヴァラントからも誰か来てくんねぇと、困るんだよ…
ゼロスコレットちゃんやフィリアちゃんには聞いてみたのか?
ルークああ。二人ともシルヴァラントの教会からいろいろ頼まれてて忙しいんだと
ルークお前が最後の頼みなんだよ
ゼロス何とかしてやりてぇけど俺さま、クリスマスはセレスと過ごす約束をしてるんだ
ゼロス例え天地がひっくり返っても中止にするつもりはねぇぜ
ルークだったら、二人とも招待するぜ!それなら問題ないだろ?
ゼロスいや、それも無理だ。バチカルまでの旅はセレスの体調が気になるってのもあるが…
ゼロス国賓として行くと、公務になるだろ?セレスとの約束は、神子とか抜きにクリスマスを一緒に過ごす事なんだ
ルークなるほどなぁ…。それでこの修道院でパーティーの準備してるのか
ゼロスああ。あいつが普段いる場所でやった方が家族で過ごしてる感じが出るだろ?
ルークそういう事なら仕方ねぇな
ゼロス悪ぃな。ま、恥はかかせねぇように大臣か誰か紹介するよ
アーリアお話中のところ失礼します。ゼロス、ちょっといいかしら
ルビアセレスと話してきたわよ
ゼロスお!どうだった?欲しい物は聞き出せたか?
アーリアそれが…あなたとのパーティーがとにかく楽しみなようで、それ以外に望む物はないみたい
ルビア強いていうなら、当日は雪が降ったらいいな…って言ってたぐらいかな
ゼロス雪…か…
アーリアどうかしたの?
ゼロスいや…何でもねぇ。そっか、ホワイトクリスマスって特別な感じするもんな
ゼロスセレスの願いがわかってよかったぜ。パーティーの準備も忙しいのに協力してくれてありがとな
アーリアいいのよ。今回は修道院を挙げてあなた達に力を貸すつもりだもの
ルビアそうそう。他にも手伝える事があったら何でも言って!
ゼロスじゃあ、ダメ元だけど雪を降らせる方法…なんてあるわけねぇよな…?
アーリアそうね…雪や氷が発生する術はあるけど…
ルビアセレスの希望を叶えるんでしょ?術じゃ、クリスマスの間中、ずっと降らせるのはさすがに無理よ
ゼロス…そうだよなぁ
ルーク俺、心当たりあるぜ
ゼロス何、ホントか!?
ルークああ。バチカルにも雪を降らせてぇからセルシウスに頼みに行く予定なんだ
アーリアセルシウスって、あの大精霊の…!?それなら確かに雪を降らせるぐらい出来そうですが…
ルビア大精霊に頼むなんて、本当に出来るの…?
ルークちょっと遠いけど、居場所はわかってるし、出来ねぇって事もねぇだろ
アーリアまさか…!大精霊の居場所を…!?
ルークおう。前にいろいろあってセルシウスに会いに行った事があるんだ
ルークそん時は直接は会ってねぇんだけど場所だけはわかってるぜ。ゼロスも一緒に来るか?
ゼロスいいのか!?ありがとよ、助かるぜ!
ゼロスルビア、アーリア。しばらく留守にするけど…
ルビアいいわよ。パーティーの準備とセレスの事はあたし達に任せて!
アーリアゼロスは、雪を降らせにユキなさい!
ゼロス・ルーク・ルビア…………
ゼロスあ、ありがとな。それじゃあ案内頼むぜ、ルーク!
ルークお、おう!
ルークやっと着いた。この奥にいるはずだ
ゼロスさすが、雰囲気あるとこに住んでるなぁ
???…あら?あなた達…
ジュディスこんな変わった場所で会うなんて…とても奇遇ね
ゼロスジュディスちゃん!
ルーク奇遇なんてもんじゃねぇだろ。何してんだ?お前も、雪を降らせに来たのか?
ジュディス雪?何の事かしら…
ジュディス私はただ、友達が不思議なマナの流れを感じるって言うからそれを辿って来たの
ルーク不思議なマナ?ゼロス、何か感じるか?
ゼロスいや、気づかなかったな
ジュディス私の友達は、ちょっと敏感なの。…それで、あなた達は?雪を降らせるとか言ってたけれど…
ゼロスああ。クリスマスに雪を降らせて欲しいって、大精霊に頼みに来たんだ
ジュディスそう、大精霊がいるの。不思議なマナにも関係ありそうね。私もついていっていいかしら?
ゼロスもっちろん!大歓迎だぜ!な、ルーク?
ルークああ、別に構わねぇよ。んじゃ、とっとと奥に行こうぜ。じっとしてたら凍えちまうよ
ジュディス一番奥まで来たみたいだけれど…
ルークおっ…!あれ見ろよ!
セルシウス…………
ゼロス君がセルシウスちゃん?大精霊でもクリスマスパーティーとかするんだな
セルシウスち、違うわ!これは、その…わたしの意志じゃなくて…
セルシウス世界中からマナが集まってきて気が付いたら、こんな格好に…
ジュディス私が追って来た、不思議なマナの事ね
セルシウスまるで浮かれているみたいじゃない。大精霊として恥ずかしいわしかも、それを人に見られるなんて…
ゼロスまぁまぁ、いいじゃねぇか。似合ってて可愛いぜ~
セルシウス…そういう軽口は嫌いよ。それで、人がわたしに何の用なの?
ルーク実は、頼みがあるんだ
セルシウスなるほど、雪を…確かにわたしなら可能でしょう。けど、簡単ではないわ
セルシウスキムラスカとシルヴァラントという広範囲に雪を降らせるには、相当な量のマナが必要になる
セルシウス無理に実現しようとしてわたしのマナが枯渇してしまえば、その後で別の影響が出るかもしれない
ジュディスそれは大問題ね
セルシウスそもそも人の都合で自然の天候をどうにかしようなんておこがましい事なのよ
ルークそうかもしんねぇけど…街のみんなの願いでもあるんだよ。どうにかなんねぇかな?
セルシウス人々が願っている…そうね、今の季節なら出来るかもしれないわ
ルーク本当か!?
ゼロス教えてくれ!俺さま、何だってするぜ!
セルシウス単純な話よ。雪を降らせるために必要なマナを集めてきて欲しいの
セルシウスわたし自身のマナの消費を最低限に抑える事が出来れば問題ないわ
ジュディスとは言っても、それほどの量のマナ、そう簡単に集まるかしら?
セルシウスさっき、人々が雪を期待していると言ったでしょう?
ルークああ。街を派手に飾り付けてたら、みんなが、雪が積もったりしたらさらに幻想的だ…なんて言いだして
ジュディス私がいた街でも、似たような事があったわ
ジュディスクリスマスに雪が降って欲しいってみんなで話していたら、突然、不思議なマナが流れ出して…
ジュディスそのマナを辿っていたらここにたどり着いたの
セルシウスそれは、この季節だけに現れる特別なマナよ
セルシウスクリスマスの季節には、人々の祈りや願いの力が少し強くなるの
セルシウスひとつひとつは小さいけれど、大勢の人々が祈る事でとても大きなマナを発生させる…
セルシウスいわゆるホワイトクリスマスのようなクリスマスの奇跡を起こしているのはこういったマナの力なの
セルシウスそして今年はどういうわけか雪を望む想いが多いらしいわ。だからそのマナがわたしに流れてきた
セルシウスその影響で、自然とこういう格好になってしまったのよ
ジュディスなるほど、そういう事だったのね
ゼロスんじゃ、その特別なマナをさらに集めてくれば、いいんだな?
ゼロスそうすればセルシウスちゃんの力でクリスマスの奇跡が起こって、雪が降る…と
セルシウスええ。このマナは、クリスマスの雰囲気を楽んでいる人や奇跡を願っている人から発生するわ
セルシウスそういった人達に会って、少しずつマナを集めて来てくれたらわたしはその想いに応えましょう
ルークマナを集める…ってどうすりゃいいんだ?
ジュディスそれなら力になれると思うわ。私の友達なら、マナの流れを把握する事が出来るし…
ジュディスシルヴァラントの神子なら、マナの扱いにも長けているでしょう?
ゼロスああ、多少はな
ジュディス私の言うとおりにマナを誘導すればここに辿り着く大きな流れに乗せられるはずよ
ルークじゃあ、あとはたくさんの奴からマナを集めればいいだけだな
ゼロスよーし、そうと決まれば、急いで街に戻ってマナを集めるとしますか!

NameDialogue
招福!正月遊びに熱くなれ
すず…賑わっていますね。初詣とはいえ、これほどとは…
すず人だかりの中を速やかに移動するのも忍者として必要な技術…いい修行になりそうです
すず集中して…人の流れを読み切る…
すず──そこです!
???あぶなーい!
すず!?
ヒュッ──
──パシッ
すずこれは…羽根つきの羽根…?
イリアごめん!気合入れ過ぎて羽根をこっちに飛ばしちゃった。怪我はない?
すずええ、受け止めましたから
イリアよかった。それにしても、すごい反射神経ね。あんたと組むべきだったかな…
すず組む…?何の話ですか?
イリア今そこで羽根つき大会やってんのよ。あたしは二人一組の部門に参加してるんだけどね
イリア相方が頼りなくてさ。弱いってわけじゃないんだけど、ちょっと覇気が足りないのよね~
すず…あの、大会の最中でしたら戻られた方がいいのでは…
イリアいけない、そうだった!
すず羽根、お返ししますね
イリアありがと!ねぇ、あんたならきっとどんな大会でもいい線行くと思うわ
イリアあっちの貼り紙に詳しく書いてあるから何か参加してみなさいよ。じゃあねー
すずあ、あの、私は…
すず行ってしまいました。貼り紙…とは、あれの事でしょうか
すず…………
すずなるほど、羽根つきだけでなくいろいろな大会が催されているのですね
すずけん玉に、凧揚げ…里で流行っていたものが多いですね
すずこれらの遊びで鍛えられた技術や集中力は、忍者の修行にも活きる物がたくさんありました…
すずそれらの大会であれば、何か参考になるかもしれませんね
すず少し見に行ってみましょう
すずここでは凧揚げ大会をしているようですね
すず…?
カイウスうーん、どうやったらもっと高く揚げられるんだ…?
すずお困りのようですね。どうかしましたか?
カイウスああ、うん。オレの凧、みんなみたいに高く揚がらないんだよ
カイウスすごい勢いで走り続けてるんだぜ?
すずそれが原因かもしれませんね。ある程度まで揚がったら、走って高度を上げるのは難しくなります
すず上空の強い風に乗せたら、糸を張って、凧の制御に集中するといいでしょう
すずあとは糸を伝ってくる感触を頼りに風との対話を楽しんでください
カイウス風との対話…か。何かすごそうだな出来そうな気がしてきたよ
カイウスありがとう!凧揚げ、得意なんだな
???凧に乗る事もある忍者にとって凧揚げは命に関わる重大な技術だからね
すず…!誰です。なぜ、その事を…
しいなあはは、あたしだよ!明けましておめでとう
すずしいなさんでしたか。明けましておめでとうございます
カイウス明けましておめでとう。しいなも、凧揚げ大会に出るのか?
しいなああ、初詣のついでに、ちょっと適当な大会に出て軽く優勝するつもりだったんだけどね
しいな里でよく遊んだものばかりだし簡単だと思ったんだけど…
しいなあんたが参加するんじゃそうもいかなさそうだねぇ
すずいえ、私は見物だけ…それに大会はもう始まっているのでは?
カイウス途中参加も出来るから大丈夫だよ。それだけ詳しいんだったら、絶対やるべきだって!
カイウスオレも、すずの凧揚げとか見て見たいしさ!
すず…わかりました。そこまで言うのなら修行の成果をお見せしましょう
しいなこれは、藪蛇になっちまったね。まぁいいさ、相手にとって不足なし手加減なしの真剣勝負だよ!
カイウスよーし、オレも負けないぞ!
しいなふぅ、なかなかやるね…
すずしいなさんこそ…。一通り全部の競技に申し込みましたがなかなか決着がつきませんね
しいな凧揚げは人が乗ったら失格…羽根つきは分身したら失格…二人とも失格続きだなんて
すず里ではみんなやっていたのですが、普通はやらないんですね…
しいな危険行為だとさ。あたし達の常識は常識じゃなかったってことかい…
すず世間に溶け込むのも忍者の務め…私達の勝負は技術の高さではなく失格にならず戦えるか…ですね
しいな何だかやりにくいねぇ
すずこれも修行です
しいな殊勝だね。ま、それでも負けるつもりはないよ。次の勝負と行こうか
すずはい。次は…あちらでやってるけん玉大会でどうでしょう?
しいなけん玉…いいね、望むところさ!今度こそ決着をつけるよ!
カイルよーし、行くぞー!
カイルはっ!ほっ!たぁっ!
カイル連続技から…大技!世界一周!さらに逆回転!
カイルどうだ!練習以上に上手くやれた!他の人は…
すずたたたた、たぁ!
しいなくっ、なんの!磨きをかけたこの技で…はい、はい、はい、はぁー!
カイル…な、何だあの技…!それに、速いし正確だ…!
カイルくそ、負けないぞ!オレだって…!
カイルていっ、ていっ!それ、もっと速く…!
カイルとりゃあぁぁぁっ……!!
カイル──あっ!
ガンッ!
カイルいてて…頭にぶつけちゃった。くっそー、勝てない…あんなに練習したのになぁ
アルヴィン気を落とすなよ。お前も十分すごかったさ。あの二人が特別すぎるんだ
カイルアルヴィンさん!特別って…?
アルヴィン普通なら、お前ぐらい出来れば十分優勝だよ
アルヴィン現に、あの二人に対抗しようなんてお前以外は考えもしてないぜ。みんな戦意喪失しちまってるよ
カイルう~ん、何か素直に喜べないなぁ
アルヴィンそう言うなって。今回は神技を見学させてもらう事にしようぜ
アルヴィンほら、大技を出すみたいだぞ
すず行きます!玉を増やして…同時に五つでお手玉です!
バババババッ!
しいな負けないよ!こっちは八つだ!
ババババババババッ!
アルヴィンあれは、もうけん玉じゃねぇな。奇術の類じゃねぇか
カイルすごい…!でも、オレだって、まだまだ諦めないぞ!
アルヴィンだから、もうけん玉じゃねぇって…
しいななかなか決着がつかないね。そろそろ疲れてきたんじゃないかい?
すずこれも修行…まだまだ行けます
しいなそうかい?あたしだって…勝負はこれからさ!

NameDialogue
白き獅子の記憶
ラザリスの作り出した新世界エンテレスティア──
その中心である帝都シャングレイスには精鋭の騎士団がいる
天帝ラザリスの忠実な部下である彼らは、エンテレスティアの人々の憧れの存在でもあった
ロアー誇り高き帝都騎士団──白き獅子の諸君。多忙な中、よくぞ集まってくれた
ロアーこれより、近く行われる生誕祭に備え全隊合同の戦闘訓練を行う
ロアー誰を相手に選んでも構わない。隊長相手でも、分不相応などと思うな
ロアー諸君は一人一人が天帝を守るという使命を果たせるだけの実力を持った強い騎士でなければならないのだ
ロアーならば隊長達とも対等に渡り合えて当然のはず。出来ない者は、出来るまで鍛錬を積め
ロアー以上だ。クロー、ファング、何かあるか?
クローロアーらしい挨拶だな。だけどまぁ、ちぃとばかし厳しすぎねぇか?
ファングああ。気楽に、みんなで強くなろうぜってぐらいでいいじゃねぇか
ロアーふむ。我らの背負う使命の重大さを伝えたつもりだったが、何かまずかっただろうか?
クローそりゃ使命は大切だけど、もうちっと肩の力を抜けって
クローでないと、本当に力を出さなきゃならない時まで、体力がもたねぇぞ
ファング俺は全力でやる事には賛成だ。でも難しく考えすぎなくてもいいって思うんだよ
ファング楽しく強くなれるならそれが一番だからな
ロアー勿論、体力の温存も、楽しく──つまり士気を上げる事も大切だ
ロアー私は体力を使いきれとも楽しんではいけないとも言ってはいないぞ
クロー連中の顔を見て見ろよ。死ぬ気で頑張るって奴か、もう終わりだって奴ばっかりだぜ
ロアー…ふむ。難しいな。気分を和らげる言葉か…
ファングほら、おまえも難しく考えるなって
クローあー、おまえら。とにかく怪我のないようにな
ファングそうそう。それと、この合同訓練は俺達がみんなの事をよく知るためのものでもあるんだ
ファング今後、所属の隊以外からも任務の声がかかるかもしれねぇからそん時はよろしくな!
ロアー…ふむ、二人が話すとみな、肩の力が抜けて希望に満ちた顔になったな
ロアーさすがだ。では早速、合同訓練開始といこう!
クローオレ達も、部下に後れを取らねぇようにしねぇとな
ファング俺はすげぇ強い奴がいた方が嬉しいぞ。どんな奴がいるか、今から楽しみだ!
ロアー隊の遠征任務scene1
ロアー…どうだ、まだ歩けるか?
騎士団員1はい。少し痛みますが、平気です。遠征任務の最中だというのにご心配をおかけして申し訳ありません
ロアー無理はするな。今は傷を治す事に専念しろ
ロアーだが、治ったら特訓だぞ。魔物に後れを取るようでは今後が心配だからな
騎士団員1はい。重々承知しております。ロアー様のように強くなれるよう鍛えてやってください
騎士団員2ロアー様、お言葉ですが彼は決して弱いわけではありません。怪我をしたのは私を庇ったからです
ロアーそうか。ならばお前も特訓だ。厳しいかもしれないが私達の使命はラザリス様をお守りする事…
ロアー仲間に頼らずともあらゆる事態に一人で対応出来る強さが必要なのだと心得よ
騎士団員2はっ。肝に銘じておきます…!
ロアーうむ。では先に進もう。ナムザ街はもうすぐだったな
ロアー…そうか、咎人が出たというのは誤報だったのだな
町長はい、騒ぎがあったのは事実ですが誤解だったとわかりまして
町長街の誰かが既に白き獅子に通報していたとは…。ご足労いただいたのに申し訳ない
ロアー気に病む必要はない。咎人がいなかったのならそれに越した事はないからな
町長お忙しいでしょうが、よかったら街で旅の疲れを癒して行ってください
ロアー気遣い感謝する。怪我をした隊員もいる事だ、今日はここで休ませてもらおう
町長よかった、街のみんなも喜びます!宿は私の方で手配させていただきます
町長そうだ、もしよろしければ是非、ガイアスの道場に寄ってやっていただけませんか
ロアー道場に?別に構わないが、何かあるのか?
町長彼の道場には白き獅子を目指す子ども達が大勢通っているのです。きっと喜びますよ
ロアーそういう事か。わかった、その道場の場所を教えてくれ
町長はい。すぐに地図をご用意いたします!
ガイアスよし、模擬戦開始だ。陣形を崩すな
子ども達はい!
ガイアスそこ、前に出過ぎだ!自分の役割を意識して連携しろ
子ども1はい、師匠!
ガイアスそっちは下がりすぎだ。縮こまらず、仲間が守ってくれる事を信じて攻めろ
子ども2は、はい!
ロアーほう、集団戦か。粗削りだが見事な陣形だ
ガイアス見物か。危ないからもう少し離れて──
ガイアスむ、その格好…まさか…
子ども3あっ、あの人って…白き獅子のロアー様じゃない!?
子ども4嘘!?どうしてこんなところに…
子ども5本物か?
子ども3聞いて見ればわかるよ。おーい、ロアー様ー!
ロアー何だ?
子ども5返事した!やっぱり本物だ!
子ども4白き獅子だ!ロアー様だ!
子ども3みんなに知らせろ!
ガイアス模擬戦どころではなくなったな
ロアー邪魔をしたようだな。すまなかった
ガイアスいえ、この集中力のなさは問題です。後でみっちりお説教だな
ガイアス…して、白き獅子がいらっしゃるとは何かありましたか?
ロアー用というほどでもないのだ。町長から道場の話を聞いて少し気になってな
ロアー練習を見学させてもらっても構わないだろうか
ガイアスええ、勿論です
子ども1聞いた!?ロアー様が僕達の練習を見てくれるって!
子ども2よーし、みんな、頑張ろう!
子ども達おーっ!
ロアー隊の遠征任務scene2
ガイアスよし、今日はここまでだ!
子ども達ありがとうございました!
ロアーふむ。息のあった素晴らしい集団戦だった
子ども1ねぇ、ロアー様!練習見てたでしょ?ボク、白き獅子になれるかな?
子ども2あ、抜け駆けはズルいよ!
子ども3ロアー様、僕は!?
子ども4ねぇ、僕の家でご飯食べない?
子ども5ロアー様、サインしてー!
ガイアスお前達、失礼だぞ
ロアーまぁ気にするな。私は構わない
ガイアスすみません。こいつらにとって白き獅子は憧れの存在ですから
子ども3早く強くなって、ロアー様と一緒にラザリス様をお守りしたいな!
子ども4僕も!よーし、帰って剣の素振りだ!みんなに差をつけるぞ!
子ども1僕だって負けないからな!みんな、自主練しようぜ!
子ども2うん!
子ども5よし、ご飯食べたら広場に集合だね!
子ども達おーっ!
ガイアス強くなるには休息も必要だ。くれぐれも無理しすぎないようにな
子ども達はーい!
ロアーいい生徒達だな。さて…少し、話を聞いてもいいか
ガイアス勿論
ロアー子ども達は白き獅子を目指していると言っていたな
ガイアスええ。ほとんどの生徒が白き獅子になるべく精進しています
ロアーただの憧れでなく真剣な目標だという事は今日の練習を見ていてよくわかった
ロアーそれと町長から聞いたのだが自警団としても活躍しているそうだな
ガイアスええ。といっても、街の近くの魔物退治ぐらいです
ロアーそれでも危険ではないか?私達はここに来る途中、魔物と戦い怪我人も出した
ガイアス幸い、今のところ怪我人は出ていません。安全最優先の陣が功を奏したようで
ロアーあの集団戦法か。確かにあれは強いが、一人一人の実力はまだまだだな
ガイアスだからこその集団戦法です
ロアー…なぜ弱点を克服させない?
ガイアス…?仰る事がわかりませんな。弱点は補うように指導していますが…
ロアーああ、見ていたよ。だがお前の教え方は、弱点を無くそうとはしていなかった
ロアー弱点を弱点として放置したまま長所でそれを補おうとしていた
ロアー集団戦法においては他人との連携でお互いの弱点を補っている。それは本当の強さと言えるのか?
ガイアス弱点を補い合う事で、互いの長所を活かしやすくするべしといつも教えています
ガイアス実際にそれであいつらは実力以上の力を発揮している。これは強さとは言えませんか
ロアーつまり、個々の実力は弱いまま…ではないのか
ガイアス…………
ロアー彼らの目指す白き獅子の使命は、他ならぬラザリス様をお守りする事だ
ロアーこの重大な使命を背負うには相応の実力が必要だ。私はそう思って研鑽してきた
ロアー例え仲間が全て倒れ、最後の一人になろうとも使命を果たせるだけの力が必要なのだ
ロアー集団でなければ力が発揮できない…陣形の一部が欠けただけで弱体化する戦法は白き獅子には相応しくない
ガイアスなるほど。ロアー様の考えはわかりました
ガイアス同じ使命を背負うのなら同じように強くなければならない…少なくともそう努力をするべきだ
ガイアスそういう事でしょう
ロアーそうだ。当然だろう?
ガイアス俺は少し考え方が違います。弱い者は、いくら鍛えても弱い…誰にでも限界というものがある
ガイアスだが同時に、誰にでも長所がある。なら人より秀でた部分で、他者の弱い部分を補えばいい
ガイアスそうすれば補い合った双方が長所を普段以上に発揮出来る強い戦士となれる
ロアー…お前は、まさか弱い者まで白き獅子に入れるつもりなのか?
ガイアスええ。俺の道場では決して脱落者を生まぬと決めています
ロアー甘いな…。それは弱さから目を背けているだけではないのか
ガイアス弱さと向き合うからこそ出来る事です
ロアー…なるほど、そうとも言えるか…
ロアーふむ…、そうだな…
ロアーガイアスよ、頼みがある。私と手合わせをしてくれないか?
ガイアス…突然ですね。手合わせは構いませんが、理由をお聞かせいただけますか?
ロアー私には、お前の言う事は己の限界を超えられぬ者の言い訳のように思える
ロアーだがお前はそんな言い訳をする男には見えない。だから実力を見極めたいのだ
ガイアス…わかりました。そういう事なら全力で参ります
ガイアス白き獅子を相手に、俺の実力を全てぶつけさせてもらう!
ロアーああ。遠慮はいらない。いざ、尋常に…!
ガキィン──
ロアーくっ…!やるな、だが…!
ロアーはぁっ!
ガキィッ──!
ガイアスくっ、重い…!ならば、これで!
ガキィン──
ロアー何のっ…!
ガイアスさすが白き獅子…!技を出し尽くしてもまだ決着がつかぬとは…!
ロアーお前こそ、さすがだ。手合わせはここまでにしよう。これ以上はどちらかが倒れるまで続く
ガイアス俺はそれでも構いませんが
ロアーその気概は嬉しいが、私には白き獅子としての使命がある。ここで命を削るわけにはいかん
ロアーそれに、お前の実力はこれではっきりわかったからな
ガイアスふ…合格ですか?
ロアーああ。お前は強い
ロアーお前なら、同じように強くなれるようみなを導く事も出来るはずだ。なぜそれをしない?
ガイアスさっき言った通りです。俺の道場からは決して脱落者を生まぬ
ガイアス厳しい鍛錬は強い者を作るがついて来られぬ者も出てきます。それは弱い者を切り捨てるのと同じだ
ガイアス誰もが必要な力を発揮出来る方法を考えて辿り着いた答え…それがあの集団戦法です
ガイアス個の強さだけに頼らず、弱さを認めて補い合う事で本来の何倍もの力を出せる…
ガイアス弱さを自覚して他者を頼る。ロアー様のように強い人には受け入れ難いかもしれませんが…
ガイアス仲間を頼るから弱いのではなく頼れる仲間がいるから強いのだと俺は考えるようになりました
ロアー…なるほど。その見方は私にはなかった。目からウロコ、というやつだな
ガイアスこの道場で子ども達と肩を並べて剣を振っていたからこそ出て来た考えです
ガイアスもし俺が、ロアー様のように人を束ねる立場にあったなら結論は違っていたかもしれません
ロアーなるほど。私も少し視点を変えてみるとしよう
ロアーふふ、さすが道場だ。私も一皮むけた気がするぞ
ガイアスふ…それを自分で言いなさるか
ロアー感謝するぞ、ガイアス。白き獅子はこれからもっと強くなるだろう
ガイアス貢献出来たのなら本望です
ロアーここにはまた来よう。未来の騎士達にもよろしく言っておいてくれ
ガイアスはい
ロアーシャングレイスはもうすぐだな。その調子なら予定通り帰り着けるだろう
ロアー怪我をしていた者の調子はどうだ?
騎士団員1はい、すっかりよくなりました。ナムザ街で休ませていただいたお蔭です
騎士団員1もう足を引っ張るような事はいたしません
ロアー……飛び跳ねてみろ
騎士団員1…え?
ロアーどうした、やれ
騎士団員1は、はい…。えいっ──
騎士団員1うっ…!いつつ…
ロアーやはり、まだ完治してないではないか
騎士団員1申し訳ありません。しかし、この程度…平気ですので
ロアー無理はするな。誰か、足腰に自信がある者はいるか。肩を貸してやってほしい
騎士団員2では私が。しかし、構わないのですか?先日は、仲間に頼るなと…
ロアーうむ。それについては謝ろう。私の考えが硬すぎたようだ
ロアー同じ使命を共有する仲間だ。庇いあい、助け合う事で今以上の力が出せるならそれもいい
ロアー戦闘陣形も見直すつもりだ。その時はお前達の意見も聞きたい。私に見えないものも見えるはずだ
ロアー頼めるか?
騎士団員2はい、勿論!光栄です!
騎士団員3ロアー様…ナムザ街で何かあったのですか?
ロアーまぁ、少しな。いい好敵手と出会えた
騎士団員3ロアー様の好敵手とは…一体…
ロアーお前達の好敵手もいたぞ。次に来る事があれば紹介しよう
騎士団員1今度、是非、また行きましょう。そういえば、街の人から聞いた話では近くお祭りがあるそうですよ
ロアーそうだな。祭りと言えば、みなも知っての通りもうすぐシャングレイスの生誕祭だ
ロアーその生誕祭の警備を無事に終えたら、ナムザ街の祭りに行く時間も作れるようにしよう
騎士団員1本当ですか!?
ロアーああ。だからまずは生誕祭が何事もなく無事に終わるよう祈ろうか
ファング隊の重大任務scene1
ファングえーと、この辺りだな。よし、全員集合!
騎士団員達はっ!
ファングこれからこの森に柵を設置し立ち入り禁止区域とする
ファングまず立ち入り禁止の範囲に人がいないか確認して、俺達で封鎖する
ファングその頃には資材が届くから、柵を組み立てるって段取りだ
ファングこれはラザリス様直々のご命令だ。みんな、頑張ろうぜ!
騎士団員達はい!
騎士団員1ご報告します。北方面、封鎖完了しました
騎士団員2続けて報告します。西方面、南方面も封鎖完了いたしました
ファング順調だな。まぁ、こんな郊外の森の奥、誰もいないか
騎士団員3失礼します。ファング様、東方面で少し問題が…
ファングどうした?
騎士団員3この森を通りたいという者が…とにかく来ていただけますか
ファングわかった
ルーティだから、通るだけだって。工事が始まってないなら、あたしが通るまでぐらい待てるでしょ
騎士団員4何度も言ってるだろう。柵がないだけで現在はもう立ち入り禁止なんだ
ルーティ困るのよ。シャングレイスに商品を納入するのにここを通れないと
騎士団員4だからシャングレイス方面なら森を迂回して行ってくれと…
ルーティあんた、簡単に言うけどね。迂回したらどれだけ遠回りになるかわかってるの?
ルーティ商品には食べ物だってあるのよ!もし腐ったりしたら、白き獅子が弁償してくれるんでしょうね!?
騎士団員4そうは言っても…
ルーティあー、もう、まどろっこしいわね。責任者を出しなさいよ
ファング俺が責任者だけど、どうしたんだ?
騎士団員4ああ、ファング様!助かりました!
ルーティファング様…って、随分と大物が出て来たわね。でも、こっちも商売だし、譲れないわ
ファング状況がわかんねぇんだけど、どうすりゃいいんだ?
ルーティシャングレイスまで急ぐのよ。だからこの森を通りたいの
ルーティこの森はあたし達商人にとって重要な近道なのよ。急に封鎖なんて冗談じゃないわよ
ファングうーん、悪いけどこればかりはラザリス様から強く言われてる事だからなぁ
ルーティラザリス様が!?あんた、それを早く言いなさいよ。じゃあ絶対、ダメじゃない…困ったわ
???山道の方を通ったらどうかな?
ファングん?お前は…
ジーニアスごめん、立ち聞きするつもりはなかったんだけど、ボクもここを通りたくて
ジーニアスそれで、どうかな?山の方を通れば、森を迂回するよりはずっと早く着くと思うけど
ルーティでも山の方は魔物が出るでしょ?商品を守りながら魔物と戦うなんてそうそう出来る事じゃないわよ
ルーティまぁ、白き獅子が護衛でもしてくれるって言うのなら話は別だけど?
ファングああ、いいぞ!
ルーティほんと!?やりぃ!言ってみるものね♪
ジーニアス驚いたな…白き獅子のそれもファング様程の人が二つ返事なんて…!
ファングだって、そうしないと困るんだろ?
ファング今回は護衛をつけるし、帰りまでに安全な道にしておくから、今後は山の方を通るようにしてくれ
ルーティそれなら文句ないわ。交渉成立ね
ファングじゃあ、お前、警護を頼めるか?
騎士団員4はっ!承知いたしました!
ルーティよろしくねー♪
ファングさて、問題は魔物退治か…
ジーニアスあの、ファング様。それについて提案があるんですけど…
ファングファングでいいよ。話し方も普通でいい。堅苦しいの好きじゃないんだ
ジーニアス何だか恐縮だけど…そう言うなら…
ジーニアスファング。魔物を全部退治するっていうのは難しいと思うんだ
ファングそうなのか?
ジーニアスうん。あの山は魔物の巣になってるしちょっと追っ払って終わりってわけにいかない
ジーニアスそこで提案なんだけど、退治するんじゃなくて人も共存させてもらうのはどうかな
ファングきょうぞん…?
ジーニアスというより、棲み分けだね
ジーニアスまず山道に街道を敷くんだ。そうして、人が通る場所を明確にしておく
ジーニアス次に魔物達の餌場を用意する。そしたら魔物達は街道を避け、餌場の近くに住むようになるはず
ジーニアス安全な街道があれば人はそっちを通るから、この森の封鎖も上手く進むと思うよ
ファングえーと、とにかく山の方に安全な道を作ったらみんな喜んで解決って事だな!
ファングさっそく手配しよう!
ジーニアス本当に!?ボクの案を、白き獅子が採用してくれるの!?
ジーニアス何だか感激だなぁ…!
ファングいい案なんだから採用して当然だろ?
ファング他にも何か思いついたら教えてくれ!
ジーニアス勿論!あ、そうだ。もう一つ提案があるんだけど…
ファングお、何だ何だ?
ジーニアス街道を作るとなると、人員を割かなきゃいけないでしょ?
ジーニアスだったら森を封鎖して柵を作るのも効率的に出来た方がきっといいよね
ファングあーっ、そうか。そうだな。人が足りなくなるか…
ジーニアスまさか、気が付いてなかった?
ファングいや、何となく大変そうだと思ってはいたけど、まぁ頑張ればいいかって思って
ジーニアス頑張ってどうにかなるほど街道の敷設は簡単じゃないと思うけど…
ファングとにかく対策があるんだろ?教えてくれよ
ジーニアスうん。何か書くものを貸してくれる?図にして説明したいんだ
ファングわかった。あっちに休憩所の小屋があるからそこで聞こう
ジーニアス…と、こういう感じ。この形の物をたくさん作れば簡単に柵が建てられると思うんだ
ファングすげぇな。でも簡単に作った柵だと簡単に壊されたりしないか?
ジーニアス大丈夫だよ。一度はめ込んでしまえば、ここがしっかり組み合わさるから…
ファングおお、なるほどな!
ジーニアスというわけで理論上はこれで上手くいくはずなんだ。ただ…
ファング何かあるのか?
ジーニアスうん。この図面と同じ物をたくさん作るとなると、精工な型が必要なんだ
ジーニアス型さえ出来れば、材料は山に落ちてる鉱物が使えるから街道を作ってる内に集まるんだけど…
ファングそういう事なら任せてくれ!俺こう見えて、そういう細工は得意なんだ!
ファングバッチリ図面通りの型を作ってやるぜ!
ジーニアス本当!?それなら実現出来るよ!
ファングよーし、じゃあ早速取り掛かるぜ!
ファング隊の重大任務scene2
ファングここがジーニアスの言ってた山道だな
ジーニアスうん。魔物さえいなければシャングレイスまで一番の近道なんだ
ジーニアス…ねぇ、今更だけど本当にやるの?白き獅子とはいえ危険じゃないかな。通るだけならともかく…
ファング大丈夫だって。な、みんな?
騎士団員1ええ。毎日厳しく鍛えられてますから
騎士団員2ここを通るみんなのためにも頑張りますよ!
ファングな?それに全滅させるわけじゃなく新しく作った餌場に移住してくれって頼むだけだし、大丈夫だって
ジーニアス頼むって…相手は魔物だよ?きっと戦闘になるよ
ファングその時は戦えばいい。魔物だって自分を負かした相手に言われたら素直に移住してくれるって
ジーニアス縄張りをもつ野生動物の習性としてはその通りだけど…
ファングジーニアスの提案してくれた柵の作り方も、餌場の設置も、全部上手く行ってるんだ
ファング今度もきっと大丈夫。心配すんなって
ジーニアスう、うん…!それじゃあ僭越ながらボクも一緒に魔物と戦うよ
ファングいいのか?でも白き獅子として一般人を危険に晒すわけには…
ジーニアス大丈夫って言ったのはファングでしょ
ジーニアス森の封鎖に人員を割いてて魔物退治できる人は少ないんだから一人でも多い方がいいと思うし…
ジーニアス何より、提案者はボクだ。一般人かもしれないけど部外者じゃないよ
ファング…だな。わかった。力を貸してくれ
ジーニアスうん!
グルルル──
ジーニアス…!噂をすれば…!
ファングみんな、戦闘準備だ!
騎士団員達はっ!
ファングたぁっ!
バシュッ──
グオオ…
ファングくそ、キリがないな。もう何十匹も倒したってのに
ジーニアスなら、これでまとめてやっつけるよ!詠唱するから時間を稼いで!
ファングわかった!
ジーニアス悠久の時を巡る優しき風よ。我が前に集いて裂刃と成せ──
ギギィィィィ──!
ジーニアス…あれ?
ファング魔物が逃げてったぞ。ジーニアスの術に恐れをなしたのか?
ジーニアスまさか──
フォォォォ…
ファングん?何だ、今の声…
ジーニアスこれって、まさか…!
フォォォォォォンッ!!
ファング何だ!?でっけぇ!
ジーニアス山の主だ!しかも、すごく怒ってる!
騎士団員1ば、化け物だぁぁぁ…!
騎士団員2こ、こんな奴と戦うのか…!?
ファング俺がやる!手負いの者は退避しろ!
フォォォォォォンッ!!
ファング来る…!ジーニアス、援護頼めるか!?
ジーニアス任せて!ファイアーボール!
ボンッ!
フォォォッ!?
ジーニアス今だ、ファング!
ファング悪いけど、まずは大人しくなってもらうぜ!
ファングこの一撃で決める!くらえ!焔牙翔双斬!!
ズバズバズバッ!
フォォォォ…
ドーンッ!
ジーニアス倒れた!
ファングやべぇ、やりすぎちまったか?
フォ、フォォォォ…!
ジーニアス起き上がったよ!何てタフなんだ…!
ファングすげぇ、さすが山の主だな。けどちょっとは弱ってるみてぇだ。今なら…!
フォォォォォォンッ!!
ファング待て!聞いてくれ!これ以上、戦いたくないんだ!
フォ…?
ジーニアス無茶だよ、ファング。魔物に話が通じるわけない
ファングわからねぇだろ。言葉は通じなくても、心は通じるかもしれねぇし
ファングなぁ、山の主!これは魔物も人間も傷つけないために必要な事なんだ!
ファングこれから人間はこの山を通らせてもらわなきゃならない
ファング人と魔物が出会うって事は、人にとっても魔物にとっても危険な事なんだ
ファングだから俺達で、魔物が安心して暮らしていけるような餌場を用意したんだ
ファング悪いけど、みんなでそっちに移住してほしい!頼む、わかってくれ!
フォォ……
ジーニアスこれってもしかして…ファングの言葉を聞いてる…?
フォォォォォォォォッ!!!
ジーニアスわっ、な、何!?
ファングどうしたんだ、急に叫び出したぞ!
フォォォォォォォォッ!!!フォォ、フォォォォン!!
ズシーン、ズシーン
ジーニアス歩いて行っちゃった…
ファング見ろ、気持ちが通じたんだ!きっとあの雄叫びは、魔物達に移住の事を知らせてるんだぜ!
ジーニアスほ、ほんとなの…!?
ファングああ!これで問題は全部解決だ!
ジーニアス街道も随分完成してきたけど…本当に魔物は出てこないね
ファングだから言っただろ?気持ちが通じたんだって
ファング工事が終わったら、山の主のとこに礼を言いに行かなきゃな
ジーニアスもう、まるで友達だね
ファング友達か。魔物と友達になれたら、面白そうだな!
ジーニアスファングが言うと冗談に聞こえないよ
ジーニアスふふ…それにしてもファングって変な人だよね
ファング何だよ。悪かったな
ジーニアスいや、悪い意味じゃなくてさ。白き獅子の偉い人なのに、全然そんな感じしないなって
ファングどういう意味だ?
ジーニアスボク、ファングと会うまで白き獅子って、もっと雲の上の存在だと思ってたんだ
ジーニアスだからボクみたいな一市民の提案をここまで採用してくれるとは思わなかった
ジーニアス呼び捨てでいいって言ってくれた時は誰とでも仲良くなれる人なんだって尊敬したぐらいだったけど…
ジーニアスついに魔物とまで友達になっちゃうんだもん。驚いたよ
ファング何だよ。それって全部、ジーニアスが考えた作戦のお蔭じゃないか
ジーニアスさすがに友達になるのは作戦に入ってなかったよ
ファングま、いいじゃないか。お蔭で街道が出来てみんな喜んでるし
ファング…それにしても、ここを通ってシャングレイスに行く人、増えてないか?
ジーニアスきっとみんな、生誕祭に行くんだよ。ボクもそのつもりで森を通りかかったし
ファング生誕祭って、まだ何日も先だろ?
ジーニアスうん。だけどせっかくだから早めに行ってシャングレイスを観光したいと思ってさ
ファングなるほどなー。随分と長い間引き留めちまって悪かったな
ジーニアスううん。ファングと仲良くなれたし、よかったよ
ジーニアスでも、そろそろ行くね。名残は尽きないけど…
ファング寂しくなるな。でも、また会えるさ
ジーニアスあ、そっか。生誕祭の時にはさすがにシャングレイスに戻るもんね
ファングその時はさすがに警備とかで会ってる時間はねぇかもしれないけど
ファング生誕祭、楽しんでくれよな
ジーニアスうん。それじゃあ、またね!
クロー隊の極秘任務scene1
レイヴンよーう。来たね
クロー話って何だ。あんま時間取れねぇぞ
レイヴンまぁ、そうつれない事言わないでここの新作パフェでも食べなよ。もう注文しといたからさ
クローあのなぁ、おっさん…
レイヴン生誕祭に向けて作ったラザリス様パフェだと。美味しいって評判よ?
クローこっちの話は聞く気なしかよ。ったく…
レイヴン聞いても一緒。甘い物、嫌いじゃないでしょ?
クローまぁな。ただし、パフェを食べ終わるまでだ
クローそれまでに用件を言わねぇとすぐに帰るからな
レイヴンはいはい
クローところで、どうしてテラス席なんだ?これでも有名人なんだ、出来れば人目を避け──
ガシャーン!
クロー何の音だ!?
レイヴンさぁねぇ。店内で誰かが暴れてんじゃない?ほら、この店ってお酒も出してるし
クロー…最初からその酔っ払いをオレに取り押さえさせる魂胆か。普通に通報すりゃいいのに
レイヴン普通に通報出来るなら、この店の店員も、何でも屋に相談なんてしないでしょ
クローわけありか。…オレは止めに入ってもいいのか?
レイヴンよろしく頼むよ、クロー様
クローったく。後で事情は聞かせてもらうからな!
クロー…つまり、夜勤を終えた神兵が毎日ここで酔って暴れてた…と
レイヴンそう。んで、相手は士官らしいから、通報しても揉み消されるかもって店員は悩んでたわけよ
クロー白き獅子に通報すりゃよかったんだ。神兵とは指揮関係が違うからな。士官だとしても関係ない
クロー神兵はヴァン宰相が指揮を執るシャングレイスの衛兵で、白き獅子は、ラザリス様直属の騎士
クローオレ達はヴァン宰相や神兵とはほとんど無関係なんだぞ
レイヴンそうかもしんないけど、世間一般にその違いはなかなか理解出来ないもんよ
クローおまえは理解してんだろ?どうして最初から言わなかった
レイヴン事情を話してても、クロー様が直々に来てくれたわけ?
レイヴン相手が神兵の士官って事に店員は不安を感じてるんだからもっと上の味方が必要でしょうよ
クロー……なるほどな。よく考えりゃ、あいつ一人ぐらいならレイヴンだけで取り押さえられるか
レイヴンノーマちゃんが言ってたのよね。何でも屋の仕事は、悩みを解決する事──
レイヴンだから事件だけ解決しても悩みや不安が残ってちゃ意味がないってさ
クロー事情はよくわかった。レイヴン、おまえのやり方もな
レイヴン…ホントにそう?
クローああ。オレを引っ張り出すためにはとんでもねぇ搦め手を使いやがる
クロー…パフェがまだ来ねぇ。おまえ、注文してないだろ
クローオレが、パフェを食い終わるまでは話を聞くって言ったからか?まだ何かあるんだな
レイヴンあらら、お見通しなのね。ホントにおっさんのやり方、理解されてるわ
クロー回りくどい事はやめろ。オレは忙しいんだ
レイヴンその忙しいのって…今度連行されてくるっていう咎人のせい?
クロー……レイヴン。どうしてその情報を
レイヴンそれを今から説明するんだけど、ここで話しても大丈夫?
クロー…機密事項だ。何でも屋の事務所で聞こうか
レイヴンあいよ。一名様、ご案内~…っと
レイヴンま、散らかってるけど入った入った
クロー散らかってるのはいつもの事だろ
クロー…ん?
???あっ…
レイヴン彼女はセレスちゃん。今回の依頼人よ
レイヴンセレスちゃん、お待たせ。この人は…まぁ知ってるわよね
セレスはい。でもまさか、本当に来ていただけるとは思いませんでしたわ
クロー一体、どういう事なんだ?
レイヴンじゃ、単刀直入に。今度連行されてくる咎人…
レイヴン名前はゼロス…赤髪の青年で間違いないわね?
クロー…………
セレスあの方は…ゼロスは…
セレス私の恩人なのですわ
クロー…………
セレスえっと…
レイヴン大丈夫、話続けて。こう見えて偉~い騎士様って立場上肯定も否定も出来ないだけだから
クロー別に偉ぶってるつもりはねぇよ
レイヴンほら、文句がある時はすぐ言うでしょ。黙ってる間は話してていいのよ
セレスわかりましたわ
クローはぁ、もういい。そこまでぶっちゃけられたら黙ってる意味なんてねぇだろ
クローでも先にはっきり言っておくぞ。恩人だろうと何だろうと咎人は咎人だ
クロー見逃してくれって話なら悪い事は言わねぇから、何も言わないまま帰った方がいい
セレスいえ、違います。そこは私も理解していますわ。ラザリス様のお達しですから
セレス辛い事ですが、あの方は咎人になってしまわれた…それは受け入れたつもりですわ
クローそれじゃあ、何だってんだ?
セレス私、あの方に命を助けられたんですの
セレス魔物に襲われて…逃げようとしたのですけれど咳込んで走れなくなってしまって…
セレスその時でしたわ。あの方が身を挺して助けてくれたんですの
セレスけれど…私はそのまま倒れてしまってちゃんとお礼も言えなかったんですの
セレス体調が快復してから調べて回ってやっと見つけたと思ったら咎人として捕まっていて…
セレスお礼を言いたくても咎人と話してはいけないって近づく事さえ許されませんでしたわ
レイヴンそこで何でも屋に相談に来たわけ。クロー様の権限で何とかならない?
クロー事情はわかったし同情はするがこればかりは聞けねぇな
クロー咎人との会話禁止ってのもラザリス様からのお達しだ。白き獅子として許容は出来ない
レイヴンあら?それって正確には「咎人の声に耳を傾けてはいけない」じゃなかった?
レイヴンあと「咎人と接触してはいけない」…咎人にこちらの声を聴かせてはならないとは言われてないよねぇ
クロー…何が言いたい
レイヴンじゃあ、例えば、咎人が連行される通り道の近くに、偶然、セレスちゃんがいて…
レイヴン咎人が通るタイミングで、偶然、セレスちゃんが大声でお礼の言葉を叫んだとして
レイヴンそれが咎人の耳に入ったら何か問題がある?
クローおい、レイヴン
セレスどうなんですの?問題あるんですの?はっきり言ってください!
クローさっき、はっきり言っただろ。白き獅子として許可は出来ないって
レイヴンあら?あらら?おっかしいわねぇ
レイヴン道端でお礼の言葉を叫ぶのに白き獅子の許可が必要なんだっけ?知ってた、セレスちゃん?
セレス私も初耳ですわ
クローはぁ…わかったよ、勝手にしろ。オレは何も聞いてねぇ。おまえ達が勝手に叫ぶだけだ
クローま、でかい声が出るよう発声練習しとくんだな
クロー明後日、ちょうど今ぐらいの時間に東の三番通りあたりなら大声出すのにぴったりなんじゃねぇか
レイヴン東の三番ね。ありがとさん
クローじゃ、オレは咎人を迎え入れる準備で忙しいんだ。またな
セレスあっ…帰ってしまわれましたわ
レイヴンいいんでない?必要な情報はもうもらったし
レイヴン明後日、晴れるといいわね
セレス明後日…?あっ…
セレスはい!
クロー隊の極秘任務scene2
クローどういう事だ
ヴァン今言った通りだ。今日の咎人の護送は私の率いる神兵が行う
クロー白き獅子の仕事だ。そのための厳しい訓練も受けている。宰相も受けていたとは知らなかったぜ
ヴァン…あの咎人は普通ではない。特別に保護せねばならんのだ
クロー天帝からそんな話は聞いていないが
ヴァン今、私が伝えた。それで充分だろう
クロー護送ルートの選定や人員配置、その他諸々、こっちは何日も前から準備してきてんだ
クローはいそうですかって渡せるわけねぇだろ?
ヴァン急ごしらえではあるがこちらも護送計画を立てている。この書類を見るといい
クロー…………
ヴァンまだ何か問題があるか?
クロー(準備は万全のようだな。 文句のつけようがねぇ。 ただ…)
クロー(ヴァンのルートだと 東の三番は通らねぇな…)
ヴァン何もないならいいだろう。このまま引継ぎを…
クローいや、問題はある
ヴァン何?
クロー咎人との接触は堅く禁じられている。例え宰相といえどそれは同じだ
クローそれに白き獅子では、咎人を天帝以外に引き渡さないよう決めている
クロー少なくとも事情が何も説明されてねぇ今の段階で宰相に咎人を引き渡す道理はねぇ
ヴァン…………
クローおいおい、そんな怖い目で見ないでくれよ。こっちも規則なんだって
???うおーい、大変だー!
???咎人が逃げたぞー!
ヴァン何!?
クロー(…! あの声…)
ヴァンふん、だから白き獅子には任せられぬのだ
ヴァン神兵は私に続け
神兵達はっ!
騎士団員1クロー様!我々も行きましょう!
クローいや、持ち場を離れるな。全員にそう伝えろ
騎士団員1しかし…!
クローよく考えろ。事前の計画では、到着時に伝令が来る手はずだっただろ
クロー咎人は本当に到着していたのか?
騎士団員1す、すぐに確認します!
クロー(さっきの声…何でも屋のノーマと レイヴンだったよな…)
クロー(まったく、無茶な事してくれるぜ)
騎士団員2クロー様!報告です!たった今、咎人が到着したと伝令が!
クローやっぱり、まだだったか
騎士団員2はい。勿論、逃げ出した事実はありません。しかし、それならこの騒ぎは一体…
クロー大丈夫だ。混乱を治めるから、話を合わせるよう全員に通達してくれ
騎士団員2はっ!
クローさて…と
クローみんな、落ち着いてくれ!咎人は白き獅子が捕えた!もう大丈夫だ!
ザワザワザワ──
クロー咎人はこのまま『予定通り』に白き獅子が護送する!近づかないよう、道を空けてくれ!
騎士団員3クロー様。ヴァン宰相の事はよろしいのですか
クローああ。咎人の護送は速やかに行え。宰相には話をつけてくる
騎士団員3承知いたしました!
クローさて…と。結局、オレが貧乏くじか
ヴァン…騒ぎが収まったようだな。どうやら先を越されたか…
クローよう、宰相。咎人の件は片付いたぜ。今、予定通り護送中だ
ヴァンクロー。一時的とはいえ咎人を逃した責任は重いぞ。今からでも我々に引き渡すのだ
クローそもそも逃げられてねぇよ。あの騒ぎはイタズラだったみてぇだぜ
ヴァン何…?
クローいろいろ計画立てたって言ったろ。こまめな伝令計画のお蔭で誰かさんみてぇに慌てずに済んだぜ
ヴァン…………
クローつーわけで、護送は引き続きオレの隊で行うって事で、異論はないよな、宰相?
ヴァンくっ…
騎士団員1もうすぐ宮殿だ。大人しく歩けよ
ゼロス…………
騎士団員2しかし回り道だよなぁ。人通りの少ないところを選ぶ必要があったとはいえ…
騎士団員1おい、ぼやくな。これは最重要任務だ、気を引き締めろ
騎士団員2ああ、悪い
セレスの声ゼーロースーさーまー!!!
ゼロス…!?
騎士団員1誰だ!?咎人に話しかけるな!
騎士団員2どこだ、姿が見えないぞ!?
セレスの声私、どうしてもお伝えしたかったんです!
ゼロス(この声…まさか…)
セレスの声助けてくださって──…けほっけほっ…!
ゼロス(セレス…! 無理するな! 聞こえてるから…!)
セレスの声ありがとうございました!
ゼロス(セレス…!)
騎士団員1おい、やめろ!話しかけるな!
騎士団員2咎人、絶対に返事をするなよ!
ゼロス(わかってる…。 セレスを咎人と会話した罪人に するわけにいかねぇもんな)
ゼロス(セレス…ありがとな。 けど…今のお前は本当のセレスじゃ ねぇんだよな)
ゼロス(俺は捕まっちまったけど… まだスレイ達が残ってる)
ゼロス(必ず世界を取り戻して… 今度は元通りになったセレスに もう一度言ってもらうぜ…!)
騎士団員1…もう声は聞こえないみたいだな
騎士団員2急ごうぜ。また何かあったら面倒だ
騎士団員1ああ。ほら、さっさと歩け
ゼロス…………
ゼロス(ありがとな、セレス…)
レイヴン…ってわけで、上手く行ったわよ。セレスちゃんがお前に「ありがとう」だってさ
クローオレは任務をこなしただけだ。礼を言われる道理はねぇよ
レイヴンじゃあ、パフェも奢らなくていい?
クローそれは別の話だ。これはおっさんが奢るって言ったんだからな
レイヴンへいへい
店員お待たせいたしました。ラザリス様パフェとサバみそ定食でございます
レイヴンサバみそはこっちね!いただきまーす!
クローパフェにしなくてよかったのか?
レイヴンいいの。昼食まだだったし。これでも結構、忙しいのよ
クローふうん。ま、いいけど。…ん?このパフェ、えらく豪華だな
店員当店からのサービスです。あの…クロー様。先日は本当にありがとうございました
クロー何、あれも仕事の内だ。その後、どうだ?酔っ払いはまだ来るのか?
店員はい、謝りに来てくださいました。それに、もうお酒は飲まれません。禁酒してくださるそうです
店員今ではいい常連さんですよ
クローそいつはよかった
レイヴンでも、もうすぐ生誕祭でしょ?他の街から来る人も増えてるし、羽目を外し過ぎる人も出てくるかもよ
クローそん時は、その神兵の士官が何とかすんだろ。罪滅ぼしにもなるしな
レイヴンそれもそうね
店員ふふ。ではごゆっくりどうぞ
レイヴンありがとね~
レイヴン…なぁ、クロー様よ。おっさんずっと気になってたんだけど
クロー何だ?
レイヴン騎士団をやめて、何でも屋になる気はない?そっちの方が合ってる気がするのよね
クローはぁ?本気で言ってんのか?
レイヴン本気よ。じゃないと、パフェを奢ったりしないって
クローふーん。なら、真面目に答えるとするか
クロー確かに何でも屋の活動は面白そうだなって思うぜ。性に合ってそうな気もする
クローでも、天帝の下で市民を守るっていう今の活動にも不満はねぇんだ
クロー筋の通らねぇ事をする偉いやつにガツンと言ってやれる立場ってのも捨てがたいしな
レイヴンそれって酔っ払いの士官の話?それとも、この前の宰相様?
クローさぁな。ま、いずれにせよ…
クロー何でも屋には、おまえがいる。ならオレは騎士団でいいじゃねぇか
レイヴンなるほどね。わかったよ、ダメ元だったし、勧誘はスッパリ諦めましょう
クローさて、パフェご馳走さん!また何かあったらよろしくな

NameDialogue
怪しいチョコレート大回収
コレットただいま!試供品のチョコ、配り終わったよ~
ナタリア皆さん、とても喜んでくださいましたわ
イレーヌおかえりなさい、二人とも。あなた達が宣伝してくれたお蔭で商品の売れ行きも好調よ
コレット商品がすごいからだよ。説明したら、みんなびっくりしてたもん
ナタリアええ。チョコが象られたものと同じ動きをするなんて聞いた事ありませんわ
イレーヌ面白いでしょう?機能だけでなく味も妥協しないよう研究に研究を重ねたのよ
マギルゥそれにしてもオベロン社も思い切った事をするのう
マギルゥ儂のような魔女を技術顧問として起用するとは
イレーヌあなたの魔術と魔女としての薬学知識は、本物だもの
マギルゥ薬学とは大げさじゃのう。薬の調合に慣れとるだけじゃよ
イレーヌもう一人の技術顧問であるパスカルもあなたがいて助かったって言ってたわよ
パスカルうん。あたしの技術とは違った系統の事をいろいろと知っててほんとに助かったよ~
パスカルそれに、いい事教えてもらったよ。お風呂に入らない日が続いても気にならなくなる呪文、マギンプイ!
マギルゥどーでもいい事がどーでもよくなる呪文じゃ!って、風呂はどーでもよくないわい!
パスカル気にしない~、気にしない~。ほら、マギンプイっと
マギルゥ儂より使いこなしとる!?
イレーヌふふ、いいチームだったみたいね
イレーヌそうだわ。せっかくだからコレットとナタリアも新商品を使ってチョコ作りしてみる?
コレットえっと、いいの!?
イレーヌええ。二人がどんな形のチョコを作るか見てみたいもの。早速、準備するわね
コレット出来た!
イレーヌコレットのチョコは犬の形ね
ワンワン!
コレットすごい!ほんとに吠えるんだね!わっ、尻尾も振ってる!自分が犬だってわかるんだね~
パスカル作った人のイメージを反映して動く仕組みなんだよ~
ナタリア見てください!私の作ったバラのツボミが、見る間に咲いていきますわよ
コレットわぁ、綺麗!お花、ふわふわしてて本物みたいだね
マギルゥ形はともかく、もう少しでとんでもない味になるところじゃったがのー
ナタリアマギルゥが手伝ってくれたお蔭で助かりましたわ
マギルゥあんなの儂じゃて見とれんわ…
マギルゥ料理は魔女が薬を作るような正確さと儀式を行うような手順の正しさが大切じゃからな
マギルゥしかと覚えておくのじゃぞ
ナタリアええ、肝に銘じておきますわ
パスカルまぁ、そう言うマギルゥも開発途中で失敗してとんでもない物を作ってたけどね~
マギルゥ何を言うか!あれはお主が儂に渡したメモが間違っておったからじゃ!
パスカルあはは、そうだっけ?それにしたって、あれは酷い失敗作だったよね
マギルゥそうとも言えんぞ?確かに人の食べられる物ではないが魔術には使えそうじゃった
マギルゥだから、ちょいとばかし改良して魔術用にこっそり量産してたりしての
パスカルええっ!?あれをたくさん作ったの!?
イレーヌそんな報告受けてないけれど…どんなチョコなの?
マギルゥ魔術の儀式に使うととっても便利な物じゃ。ただ、人が食べると…
イレーヌどうなるの?
マギルゥさすがの儂でも気が咎めて夜も眠れなくなるようなとんでもない事になってしまうのじゃ
イレーヌ具体的にどうなるのよ?パスカルは、知ってるの?
パスカルうん。知ってるよ。あれを食べた人は…
パスカルああ~、ダメ!あたしの口からはとても言えない!
ナタリア…口に出来ないほど酷い事になる…というのはよくわかりましたわ
イレーヌそんな危険な物を作るなんて…
マギルゥじゃから、儀式用じゃ!食べたり食べさせたりはせんから大丈夫じゃて
マギルゥそれに作った物はちゃんとここに箱に詰めて保管しておるわい
イレーヌ在庫にしては箱が多いと思ったらあなたのだったのね…
クンクン──ワン!
コレットあの箱がどうかしたの?
ワォーン!ワン!ワンワン!
コレットきゃっ──!
スッテーン──…
ドンッ!ドサドサドサッ!
イレーヌコレット!大丈夫!?
マギルゥぎゃあ~!儂の儀式用チョコが!?
コレットびっくりして転んじゃった…ごめんなさい。箱、崩れちゃったね
パスカル…!ねぇ、これ箱から飛び出してきたんだけど…
イレーヌこれって…コレットとナタリアに配ってもらったはずの試供品!?
ナタリアまだこんなに残っていたんですの?…あら、私達が配った物と少しデザインが違いますわよ?
パスカルそれってもしかして…
マギルゥ儂の作った儀式用チョコの方を配っておったのか!?
イレーヌだったら大変!すぐに回収しないと!
コレットもう食べちゃった人はいないかな…?
パスカルそれは、大丈夫じゃないかなー。元々、直接食べるんじゃなくて材料に使う物として配ってたし
パスカルそれにもし食べちゃった人がいたら街が大騒ぎになってると思うから
ナタリア大騒ぎって…。食べたらどうなると言うんですの!?
パスカルそれは──あたしの口からはとても言えない!
イレーヌとんでもない事になるという事実だけで十分よ。急いで回収しましょう
ナタリアええ。バレンタインフェアの会場に入ってくる人に配りましたから今ならまだ会場内にいるはずですわ
マギルゥ儂は念の為会場の外を探そうかの。儂なら、あのチョコに込めた僅かな魔力を探知出来るからのう
コレットそんな事出来るんだ!マギルゥがいてよかったねぇ
パスカルそのマギルゥが元凶なんだけどね~
イレーヌオベロン社も総力を挙げて回収にあたるわ。みんな、よろしくね!

NameDialogue
召喚!英雄クローディア
???…ここは、どこなんでしょうか…私は…一体…
???マスター…?マスター、どこにいるのですか…?
???マスターに…会いたい…!
クローディア──はっ!ここは…
クローディア森…?見慣れない場所ですね。それに、この祭壇のような物は…
クローディア…そうだ、マスターは!?
クローディアコアクリスタルとのリンクは途切れていない…。そう離れてはいないはずですが…
クローディアマスター!マスター、どこですか!?
ドゴォン!
クローディア──!これは、戦闘音!?まさか、マスター!?
クローディア急がないと!
ザビーダ何だ、この魔物。初めて見るが、妙に手強いじゃねぇか
グォォォッ!
ザビーダおっと、やべぇ…!
クローディアはぁっ!
ズバッ!
ギャウゥ…!
ザビーダうぉ、すげぇ
クローディアマスターではなかったのですね。お怪我はありませんか?
ザビーダああ、だいじょ──
ザビーダ待て、俺が見えてんのか。お嬢ちゃん、一体、何もんだ?
クローディア申し遅れました。私は英雄のクローディアです
ザビーダはっ、自分で英雄を名乗るとは面白れぇお嬢ちゃんだな
クローディアもしかして、あなたも英雄ですか?
ザビーダ俺様はそんな立派なもんじゃねぇよ。天族のザビーダだ。さっきは助かったぜ、ありがとな
クローディアいえ、お礼には及びません。魔獣討伐は英雄の仕事ですから
ザビーダさっきのやつ魔獣って言うのか
クローディアところで、マスターを見ませんでしたか?
ザビーダマスター?
クローディア王ですよ。見ていませんか?
ザビーダあぁ、王だったらさっき森の外を騎士団引き連れてぞろぞろ歩いてたぜ
クローディア本当ですか!?マスター!
ザビーダあっ、おい!そっちじゃねぇって!
ザビーダ…ったく、しょうがねぇな。案内してやるか
ザビーダあそこにいるのがこのウィンドルの王、リチャードだ
クローディアあの方が…この国の王?マスターじゃない…
騎士団員ん?何用だ、陛下に用事か?
クローディアいえ。人違いのようです。すみません、この辺りで他に王を見かけませんでしたか?
騎士団員他の王?どこの王の事だ。ア・ジュールか?キムラスカか?
クローディアア・ジュール…キムラスカ…聞いた事のない国の名です…
リチャード騒がしいね。どうかしたのか?
騎士団員こ、これは、陛下!いえ、この二人が人を捜しているそうでして…
リチャードそうか。我々で力になれるといいのだが
ザビーダ…待て。今、二人って言ったか?もしかしてお前らにも俺の姿が見えてんのか?
リチャード見えているよ。そんな事を聞くという事は…もしかして君は天族なのかい?
ザビーダああ。どうして見えちまってるのかはさっぱりわかんねぇけどな
リチャード何か事情がありそうだね。話を聞かせてもらえるかな?
クローディアはい
クローディア…というわけで、私達英雄は、王であるマスターに仕え魔獣と戦い、国を発展させてきました
クローディア私の使命はマスターをお守りする事。そのために早くマスターのもとへ戻らねばならないのです
リチャードなるほど…。状況から推測すると、君はおそらく別の世界から来たのだろうね
クローディアべ、別の世界…!?
ザビーダ根拠なしに出せる推測じゃねぇよな。何か知ってんのか?
リチャード勿論、根拠はある。順に説明するよ
リチャードまず、君はあの謎の魔物達…魔獣と言ったか。あれを知っているんだろう?
クローディアはい。魔獣とはずっと戦ってきました
リチャード僕達は違う。魔獣は数日前、突如として世界中に姿を現したんだ
リチャード数が多く、対策が必要という事で、ついさっきまで四大国の代表者が集まる会議が開かれていた
リチャードその会議の場で公表された最新の研究結果が──
リチャード魔獣達は、別の世界から来た…というものだった
クローディア別の世界…
リチャードその理由は、魔獣が落とした──
騎士団員陛下!お話中失礼いたします!緊急事態です!
リチャードどうした
騎士団員この近くでシルヴァラントの部隊が謎の魔物と交戦中との事!
リチャードわかった、救援に向かおう。総員、戦闘準備!シルヴァラントの部隊を援護せよ!
リチャード二人とも、すまない。続きは後で話そう
クローディアそうですね。魔獣の討伐は英雄の仕事です、私にもお手伝いさせてください
ザビーダ仕方ねぇ、ついて行くか。肝心な事がまだ聞けてねぇからな
グアァァァッ!
エレノアくっ…!何の、甘い!
エレノアはぁっ!
グオォッ…!
エレノアそんな…!これでも倒れないなんて…!
クローディア大丈夫ですか!?あとは私に任せてください!
ズバッ!
ギャアアアッ!
エレノアすごい…あなたは、一体…
クローディア英雄のクローディアです。まだ付近に魔獣がいるようです…油断しないでください
リチャード遅ればせながら、ウィンドル騎士団、加勢する
ザビーダ面倒くせぇ、さっさと片付けるぜ。まとめて吹き飛ばしてやる
エレノア陛下直々に…!それにこの力、もしや天族…!?
エレノアこんなに心強い援護はありません!みなさん、ありがとうございます!
リチャードさて、英雄殿。魔獣との戦い方、手ほどきいただけるかな?
クローディア勿論です。実戦でお見せします。さぁ、行きましょう!
ズバズバッ!
ギャウゥ…
クローディアこれで最後ですね
エレノア助かりました。みなさん、ありがとうございます。リチャード陛下まで…
リチャード気にしないでくれ。四大国会議の出席者に何かあったら大変だからね
ザビーダさてと、魔獣も片付けた事だしその会議に関する話の続き聞かせてくれよ
エレノア会議の話…ですか?
リチャードああ。クローディアさんが魔獣と同じく異世界から来た可能性があるんだ
エレノア異世界から…!本当ですか!?
リチャードああ、それを確認するために会議で話題になったアレを彼女に見せようと思うんだ
リチャードエレノアさん、例の物は回収出来たかい?
エレノア魔獣が異世界から来たという証拠となった物ですね。先ほどの魔獣も持っていました
エレノアこれです
クローディアこれは…!小さいですが、マザークリスタルのように見えます
リチャードこの世界には存在しない物質で構成されているらしい。やはり君は知っているんだね?
クローディアこれは初めて見ますが…よく似た物を知ってます
クローディアマザークリスタル…未知の力を秘めた宝石で、国に様々な恩恵をもたらします
クローディア例えば…英雄の召喚とか…
ザビーダって事は、英雄であるお嬢ちゃんはそのクリスタルの力でこの世界に召喚されたって事か?
クローディア可能性はあります。でも、不思議ですね…
クローディア世界を隔てるほどマスターと離れているのに、マスターとのリンクは切れてません
リチャードこれだけ不思議な事が起きているんだ。何があってもおかしくないさ
リチャードそれに…森の祭壇のような場所で目覚めたと言ったね?
クローディアはい
リチャードあそこは過去に、僕の親友がある少女と出会った場所なんだ
リチャード彼女は、その時の世界に必要な人だった…
リチャードだから特別な力を与えられて現れたのだと聞いた
クローディアでは、私も今の世界に必要だから特別な存在として呼ばれたという事でしょうか
クローディア特殊な力の働いた召喚だからマスターとのリンクが維持されている…と
リチャードあくまで仮説さ
ザビーダクローディアの件はそれで説明つくが天族の俺が見えるようになった理由がまだわかんねぇな…
エレノアあの…それについては心当たりがあります
エレノアそのクリスタルから、不思議な力が広がって、空間を満たしているのを感じるんです
エレノア何となくですけど、この力が天族を可視化させているのではないかと…
ザビーダそういや森で魔獣と戦ってから変な感じだったな。あいつもクリスタルを持ってたのか
クローディアクリスタルには様々な力があります。そういう事もあるかも──
クローディア……!このクリスタル…力だけでなく、マスターとの絆も感じます!
ザビーダマスターって、お嬢ちゃんが捜してる王様か?
クローディアはい。森でもマスターの気配を近くに感じていましたが、あの魔獣のクリスタルだったのですね
クローディアこの世界に突如現れた魔獣…魔獣の持つ小さなマザークリスタル…それを通してマスターを感じる…
クローディアそういう事ですか…。マスター…私、わかりました…
クローディアリチャード陛下。お願いがあります
リチャード何だい?
クローディア先程の仮説の通りなら、私はマスターの英雄でありながら使命を持ってここに呼ばれました
クローディアつまりここに来た事は…マスターに仕える英雄として私に必要な事なのだと思います
クローディアそれに、この世界のみなさんが魔獣の事で困っているのであれば見過ごすわけにはいきません
クローディアどうか私に、魔獣を倒す事、そして国を盛り上げる事を手伝わせていただけないでしょうか
リチャードああ。魔獣に関しては是非とも力を貸していただきたい
リチャード国の事はさすがにお願いできないけどクローディアさんの国の事をいろいろと聞かせてくれると嬉しい
クローディアわかりました。では魔獣の事はお任せください。私が何とかして見せます
ザビーダ水を差すようだが、魔獣は世界中にうようよいるぜ。何か策はあんのか?
クローディアはい。クリスタルを集めれば解決出来ると思います
クローディアマザークリスタルの力は上手く使えば魔獣を味方にする事すら可能ですからね
エレノア味方に…!それはすごいですね
リチャードなるほど。そういう事なら、確かにクリスタルを集めれば事態を治められるかもしれないな
クローディアそれに、このクリスタルから感じるマスターとの絆…
クローディアきっとこれを集めれば私はマスターのもとに帰れると思うんです
ザビーダクリスタルに始まりクリスタルに終わるって事か。まぁ納得だな
ザビーダそのクリスタルが少なからず天族にも影響してるんなら、他人事ってわけにもいかなさそうだな
ザビーダ乗りかけた船だ。俺も手伝ってやるよ
リチャードありがとう。他の国にも協力を要請して魔獣を倒し早急にクリスタルを集めよう
英雄と王都と一時の休息
クローディアマスター…クリスタルも随分集まり、この保管部屋も狭く感じるほどになってきました
クローディアまだマザークリスタルの力には及びませんが…
クローディアマスターとの絆は当初よりずっと強く感じられるようになりましたよ
クローディア…………
クローディア誰も見てませんよね…?では大量のクリスタルの中に身をうずめて…
クローディアあぁっ、マスター…!こうしてクリスタルに囲まれているとマスターを強く感じます…!
クローディアまるで傍にいるみたいです…!マスターの優しい顔が目に浮かんできます…!
クローディアマスター、私がいなくても大丈夫ですか…?あぁ、マスター…私は…!
リチャードクローディアさん、ここにいるのかい?声が聞こえたけど…
クローディアはっ…!
リチャードやはりここだったか。…と、出直した方がよかったかな?
クローディアい、いえ。な、何かご用でしょうか…!
リチャード今は魔獣の出現情報もないしよかったら、僕の国を見て回らないかと思ってね
クローディアそれは、願ってもない事ですが…よろしいのですか?
リチャード勿論。君の目から見てウィンドルがどう見えるか聞いてみたいからね
クローディアありがとうございます。ではお言葉に甘えて、街を見させていただきます
リチャードああ。ゆっくり羽を伸ばすつもりで見て来るといいよ
クローディア──とは言ったものの、どこから見て回りましょうか…
ザビーダよう、お嬢ちゃん、散歩か?よかったら案内するぜ
クローディアザビーダさん。奇遇ですね
ザビーダそうでもねぇよ。王様から、今日あたり散歩に出るって聞いてな
ザビーダどうせ俺も観光するつもりだったし一緒にどうかと思ってな
クローディアそうだったんですか。ありがとうございます。ではご一緒させてください
ザビーダ任せな。で、どこか行きたいところはあるか?
クローディア具体的な場所は決めてませんが、この国の事をもっと知りたいです
クローディア街の規模や建築様式なんかは資料で見せていただいてますから…
クローディア文化を知るために商店を巡りたいのですが、いいでしょうか?
ザビーダよし、俺についてきな
ザビーダこの店はバロニアでも結構有名らしいぜ
クローディアふむふむ…。あれ、あそこにいる人は…
エレノアあら?クローディアさんとザビーダではないですか
クローディアエレノアさん!確か隣国にお住まいのはずでは…?
エレノアはい。今日は騎士団の用事でウィンドルに
クローディアという事は、隣国の騎士団が、買いに来るような特別な物がここに売っているのですか?
エレノアいえ、もう用事は済んで、今は個人的な買い物です
エレノア知り合いからお土産を頼まれまして何がいいか悩んでいたところなんです
クローディアお土産…!いいですね、私もマスターに何か買っていきたいです!
店主お嬢さん達、ウィンドル土産を探してるのかい?だったら、これはどうだね?
クローディアこれは…何ですか?
店主ウィンドルの遺跡から出土した古代のかざぐるまだ。ウィンドルといえば風だからな
店主何千年も風を受け続けて、魔法の力を得たって一品よ。特別に一万ガルドでいいぜ
ザビーダ風の力なんて感じねぇな。本当に遺跡から出た物か?
店主何…?古物商から八千ガルドで仕入れた品だ偽物なわけないだろう!
ザビーダだったらいいがな。残念ながら俺様なら千ガルドでも買わねぇ代物だ
店主まさか…あの古物商に騙された…?くそ、今度会ったら問い詰めてやる!
クローディア遺跡に古物商…それに風…ですか。なるほど…
クローディアこの国の文化が少しわかった気がします
エレノアそれはよかったですね
エレノア確かに風はウィンドルの象徴…。知り合いへのお土産は、風車小屋の模型にします
店主それなら五百ガルドだ
ザビーダ妥当だな
エレノアクローディアさんはお土産どうします?
クローディアうーん…風車小屋の模型もいいですが…
クローディアあの、この赤くてプニプニした物は何でしょう…?
店主ん?ただのアップルグミだが…食べると体力が回復する…
クローディア何と、そんな効果が…!不思議な食べ物ですね。マスターへのお土産にします!
エレノアどうやら異世界の人には珍しいようですね
ザビーダああ。いろいろ見せてまわんのが楽しみになってきたな
ザビーダさて、買い物も終わったし次は何か見たいもんあるか?
クローディアアップルグミ…とても不思議です。食文化に興味がわいてきました。他にはどんな食べ物が…?
リチャード楽しそうだね。ご一緒してもいいかな?
エレノアリチャード陛下!
リチャードしーっ。今はお忍びだ。あまり大きな声で呼ばないでくれ
ザビーダ王様も一緒に行くのか?だったらお薦めの店を教えてくれよ。詳しいだろ?
リチャードわかった。僕のお気に入りの店を紹介するよ
クローディア王が自ら…ありがとうございます。王室御用達の料亭などでしょうか?
リチャードいや、街のアイスクリーム屋さ。これが美味しいんだ
クローディアアイスクリーム…!いいですね
クローディアさすがにお土産に持って帰るのは無理そうなのが残念ですが…
エレノアふふ。クローディアさん、よほどマスターという方を大切に想っているんですね
クローディアはい、マスターは私にクローディアという名をくれた方…命を賭してお守りすると誓っています
リチャード確かに先ほどもクリスタルの保管部屋で──
クローディアわぁぁぁっ!い、言わないでください!というか、聞こえていたのですか!?
リチャードふふ、冗談さ。聞こえなかったよ
エレノア…?
ザビーダお嬢ちゃん…マスターの話をしてる時はいい顔してやがんな
エレノアあ、ザビーダも感じていましたか。最初出会ったときは凛とした戦士という印象でした
エレノアそれに異世界の人で文化も違う…正直、少し身構えていた部分もありましたが…
エレノアこうして見ると、私達と何も変わらないんだって感じますね
ザビーダだな。面白いお嬢ちゃんだ
クローディア…?二人して私を見て、どうかしましたか?
ザビーダ気に入ったって話してただけだ
クローディアそうですか…?それは、とても嬉しいです
クローディア私も皆さんの事、大切な仲間だと思っていますからね!
リチャード嬉しいね。それじゃあ、行こうか。今は一時の休息を楽しもう
クローディアはい!
誓いのリユニオン
リチャード小さなクリスタルもこれだけ集まると壮観だね
リチャードそれに、僕にもわかるぐらい不思議な力を放っている…。これがマザークリスタルの力かい?
クローディアいえ、これでもマザークリスタルには及びません…
クローディアですが、マザークリスタルに近い力を発揮しているのは確かです。マスターとの絆も強く感じますし…
リチャード感謝するよ。君のお蔭で、魔獣も姿を見せなくなった
リチャード今日はささやかながら、そのための祝賀会を開くよ。勿論、主役は君だ
クローディアそんな…私は英雄としての使命を果たしたまでです
リチャード使命を果たした、という事はお別れも近いかもしれない…。寂しくなるね
クローディアそうですね…。最初は早くマスターに会いたいとそればかり考えていましたが…
クローディア今は、また皆さんと一緒にアイスクリームを食べたいと…そう思っています
リチャード君さえよければ、ずっといてくれて構わないが…そうもいかないんだろうね
クローディアはい。名残惜しいですが…それでも私の一番の使命はマスターをお守りする事です
クローディア…マスターにはたくさんのお土産が出来ました
クローディアアップルグミなどの不思議なアイテムもですが…
クローディアこの世界で経験した全ては、きっと今後の国作りにも役立つでしょう
リチャードそういえば、まだ聞いてなかったね。君から見て、この国はどうだった?
クローディア私のいた世界とは環境も目指すものも違いますから簡単に評価する事は出来ませんが…
クローディアウィンドルは活気に溢れ、歴史や伝統を大切にする文化もある素敵な国だと思います
リチャード評価…というより感想のように聞こえるね
クローディアそうかもしれません。私はこの国を好きになりましたからどうしても主観が入ってしまいます
リチャードそれは、何よりも嬉しい評価だよ。ありがとう
クローディアそれと、外交面についてもとても勉強になりました
クローディア特に魔獣を倒すために手を取り合った同盟国の姿には感銘を受けました
クローディアあなた方のような王達がいればこの世界はこれからも発展していくと確信しています
リチャードもったいない言葉だな。そう一筋縄ではいかないだろう
リチャードけれど、魔獣の一件で各国の絆がより深まったのも事実だ
クローディアはい。実は、考えていたのですが…
クローディア私や魔獣がこの世界に現れたのはこの世界の国々が絆を深めて発展するためだったのではないかと…
リチャード…確かにそうかもしれない。君達に恥じないよう、この同盟関係を大切にしていかないとね
クローディアありがとうこざいます。そう言っていただければこの世界に思い残す事はありません
リチャード…クローディアさん?
クローディアそろそろお別れのようです。クリスタルの力が…マスターとの絆が強まっているのを感じます
リチャードそんな…せめて祝賀会まで待てないのかい?
クローディアごめんなさい。皆さんにもよろしくお伝えくださ──
エレノアここですね!
ザビーダ間に合ったか?
クローディアエレノアさん、ザビーダさん!?どうしてここに…
エレノア祝賀会に招待されて来たんです。そうしたらこの部屋から急に強い力を感じたので、もしや…と
ザビーダ元の世界に帰っちまうんだろ?挨拶もなしに酷ぇじゃねぇか
クローディアすみません。でも、最後にお二人に会えてよかったです
エレノア最後だなんて言わないでください。また会えるかもしれないって信じたいじゃないですか
クローディア…そうですね。マザークリスタルの力ならばまたいつか…
リチャードその時は国を挙げて歓迎するよ。何しろ君は、この世界でも英雄だ
ザビーダそれに、俺達の仲間だ。だろ?
クローディアはい。皆さん、本当にありがとうございます
エレノアお礼なんて水くさいですよ。それより約束です
エレノア元の世界に戻っても私達の事を忘れないでくださいね
クローディア勿論です。皆さんの事…決して忘れません!
ザビーダよし。ってなわけだ、二人とも
ザビーダお嬢ちゃんが世界を隔ててもマスターとの絆を感じてたように俺達の絆ってやつも繋がり続ける
ザビーダこれは別れじゃねぇ。ただ遠くに行くだけだ。だから引き止める理由はねぇよな
エレノアええ、そうですね。別れではありませんから
リチャード名残は尽きないが、悲しむ必要はないという事か
クローディアありがとうございます。ザビーダさん…
クローディアエレノアさん…
クローディアリチャード陛下…
クローディア出来る事なら…また、いつか…
エレノア…!クローディアさん!そんな、もう…
ザビーダ帰っちまったか。ま、これで一件落着ってわけだな
エレノア…このクリスタル、もう何の力も発していませんね
ザビーダああ。じきに俺も見えなくなるだろうぜ
リチャードそうか、ザビーダさんともお別れになるのか…
ザビーダしけた面すんなって。俺はその気になりゃ会える
ザビーダとはいえ、祝賀会の途中で消えたら騒ぎになっちまうからな。悪いが俺はやめとくぜ
リチャードわかったよ。残念だけど仕方ないね
リチャードエレノアさんは参加出来るんだろう?クローディアさんの事を説明するの手伝ってくれるかい?
エレノアはい、喜んで
リチャードそれじゃあ、行こうか
リチャード…………
リチャードクローディアさん。いつかまた、この世界に来た時に、あなたに笑われないように…
リチャードみんなと協力して、この国と世界を立派に発展させると誓うよ

NameDialogue
想いを込めて
セネルさて、上手く焼けたかな?
セネル……うん。ふわふわで香ばしい、いいパンだ。ホワイトデーはこれでばっちりだな
デクス何だと!?
セネルうおっ。急にどうしたんだ
デクスばっちりなのは、そのパンか!?オレに譲ってくれ!
セネル急にそんな事言われても…
デクス頼む、何ガルドでも払うから!
セネル金の問題じゃない。これは人に渡すために作ったから譲るわけにはいかないんだ
デクスだったら、今から作って…いや、作り方を教えてくれ!
セネル何か鬼気迫る感じだな…事情があるのか?
デクスああ…情けない話なんだが…アリスちゃんへのホワイトデーの贈り物に困っててな…
セネルなるほど。でも、どうして俺のパンなんだ?ケーキとかいろいろ売ってるだろ
デクス勿論、ケーキは買ったぞ
セネルなら、それでいいじゃないか。それとも手作りにこだわりたいのか?
デクス手作りのお菓子も用意した!
デクスそれだけじゃないぞ。レザレノ・カンパニー系列の通販で片っ端から買いまくった
デクス花束や、ギフトセット。それから渡す時に備えて、メロメロコウの限定版も!
セネルメロメロコウって、香水だろ。何か匂うと思ったら、今もつけてるのか?
デクス勿論。いつどこでアリスちゃんと会ってもいいように常に備えてるんだ
セネルこんなに強い匂い、パンの香りが変わるだろ。調理場ではつけないでくれ
デクスいいじゃないか。魅惑の香水だぞ。パンについても喜ばれるだけだって
セネルそれとこれとは別の話だろ…
セネル話が逸れたが、それだけ準備して、まだ足りないのか?
デクス足りない。全っ然、足りない!
デクスオレのアリスちゃんへの熱い想いはこれだけじゃ伝えきれないんだ!
デクス贈り物を買っても買っても、作っても作っても、オレの気持ちは表現しきれないんだ!
セネルなるほどな…。でもそれは、パンを作っても同じ事なんじゃないか?
デクスどういう事だ?
セネルそれだけ用意してる上に贈り物ばかりたくさん増やしても変わらないだろ
セネルそれより、今語ってくれた気持ちを書いたメッセージカードでもつけたらいい
デクス・???・???それだ!
デクスん?今、オレ以外にも誰か…
ルカごめん、聞くつもりなかったんだけど話が聞こえてきて…。僕も贈り物の事で迷ってたから
アスベル俺も、贈り物の事を考えていたら偶然耳に入って、つい…
デクス気にするな。別に聞かれて困るような話じゃない
セネルそれにしても意外だな。二人ともしっかり贈り物を用意してると思ってた
ルカ贈り物は用意してるんだけど毎回同じような物になっちゃうから何か変化を付けたくって
アスベル俺も似たような感じだな。ちょっとした特別感を出すにはどうすればいいかって考えてたんだ
アスベルメッセージを添えるのはいい案だな
セネルこのホワイトデーフェアの会場でメッセージカードが売ってるのを見かけたから思いついたんだ
ルカだったら、すぐに用意出来るね
???お前ら、メッセージカードを書くのか
デゼルどんな内容を書くんだ
ルカあ、デゼルさんもメッセージカードを書くの?
デゼルまだ決めてないが、ホワイトデーのお返しを見越した義理チョコを渡されてな
デゼルいつも通りに渡したら何を言われるかわからん…
アスベルそれで悩んでいたのか。みんな似たような悩みがあったんだな…
デゼルお前たちはどういった事を書くのか参考までに聞いておきたい
ルカうーん…改めて考えると、言葉に迷うね
アスベルそうだな…
セネル意外と難しいものだな…
デクスそうか?こうしてる間にオレはカード100枚分ぐらいはメッセージが浮かんだぞ
セネルそれはそれで…読む方の身にもなれよ
デゼル極端な連中だな
セネルせっかくだ、他の人にもどんなメッセージを贈るのか聞いてまわらないか?
セネルいろんな人の言葉を聞けば、その中から自分の気持ちを表すのにいい言葉が見つかるだろ
ルカセネルもメッセージカードを書くの?
セネルああ。予定はなかったけど、話していたら書いてみるのもいいかと思ってな
アスベルだけど、みんな教えてくれるかな?
セネル強引に聞いたりはしない。それに、向こうも悩んでたら情報交換だって出来るだろ?
ルカそうだね。同じような事で困ってる人は僕達以外にもいると思うし
デゼルそういう連中は俺が見つける
アスベルそんな事出来るのか!?
デゼル風を読んで、メッセージカードの事を話しているやつを捜す。お前達もそうやって見つけたんだ
ルカすごい。それなら情報交換もすんなり出来そうだね
デクスオレも行くぜ。アリスちゃんに気持ちを伝えるための語彙力はいくらあってもいいからな!
セネルデクスはみんなの意見を参考にして言葉を絞り込んでいく方がいいと思うが…
デゼル…大方の目星はつけた。案内する
セネルさすがだな。なら早速、メッセージカードに書く言葉を聞き込みに行こう

NameDialogue
蘇れ!伝説の桜!
パティついに辿り着いたのじゃ!
スタンここが、伝説の桜の樹を見られるっていう場所か?
シェリア見渡す限りの桜並木…こんな綺麗な場所が知られてなかったなんて意外ね
ガイアスア・ジュールの古い言い伝えの一つに少し情報があるだけだったからな。調べるのに随分と苦労した
パティじゃがその協力のお蔭でうちはこの場所を見つける事が出来たのじゃ
グリューネ大変だったのねぇ。お姉さん何もしてないのに参加してもよかったのかしら?
パティ勿論なのじゃ!
ガイアス功労者のみという事なら、俺とパティしか参加出来ないな
パティせっかくのお花見が二人だけだと寂しいじゃろ。じゃからみんなを誘ったのじゃ
シェリアそういう事だったのね。お蔭で素敵な景色が見られたわ。誘ってくれてありがとう
スタンこんなにすごい景色なら言い伝えられるのもわかる気がするなあ
パティふっ…「結心樹」はこんなものではないぞ
スタンけっしんじゅ…?
パティ伝説の桜の名じゃ。道中、船の中でも説明したじゃろ
スタンそうだっけ?
グリューネスタンちゃん、あの時はお昼寝してたから聞こえてなかったんじゃないかしら
スタンあ、そっか。ごめん
パティまったく、仕方ないのう
ガイアス結心樹は、世界に生きる人の数だけ花を咲かせると言われている。この辺りの樹とは規模も桁違いだ
スタンへえ、すごいんだな
パティ結心樹がクジラなら、桜並木はイワシの群れに過ぎんのじゃ
ガイアス言い伝えではこの奥にあるはずだ。行こう
パティこれが…結心樹かの?
ガイアス何という事だ…
スタン花が一つもない…!もしかして、枯れちゃったのか…?
シェリアそんな…。他の桜は綺麗に咲いているのに、どうしてこれだけ…
パティおかしいのう。こんなはずではないのじゃ
パティ結心樹は、世界中の人々の心と繋がって、その心の数だけ花を咲かせる…
パティ世界に人が生きている限り、枯れる事はないはずなのじゃ
ガイアス確かに言い伝えにはそうあったが事実として枯れている。言い伝えが間違っていたのかもしれん
グリューネ…あら?何かしら。声が…
スタン…?グリューネさん?
グリューネ…まあ、そうだったの。辛いわねぇ
シェリア誰と話してるの?
グリューネわたくし達に出来る事はあるかしら?
ガイアス…結心樹と会話しているように見えるが…
スタンあっ、きっとそうですよ!
スタン知り合いに、ケヤキの木と話せる女の子がいるんです。だからグリューネさんもきっと…
パティだとすると、結心樹はまだ生きておるという事じゃな!
シェリアグリューネさん、樹は何て言ってるの?
グリューネあの枝を見てって言ってるわ
シェリア枝…?あっ!
ガイアス花が咲いているな
グリューネ結心樹ちゃんは、昔は世界中の人々の心と繋がって花を咲かせていたの
グリューネけれど徐々に人が来なくなって、ただの言い伝えになって、忘れられて…
グリューネ気が付くと人々の心と繋がるための力を維持出来なくなっていったそうよ
パティそうじゃったか…。ではこのままでは、樹は死んでしまうのかのう?
グリューネいずれはねぇ…。だけど、わたくし達次第では助けられるみたい
パティ本当か!?
グリューネあの枝の花は、わたくし達の心と繋がって咲いた花…
グリューネ同じようにたくさん人を連れてくればその分、花が咲いて行くそうよ
スタンよし、じゃあ知り合いをみんなここに呼ぼう!
ガイアス待て。俺も国民に呼びかける事を考えたがここは少し街から離れすぎている
ガイアス今は整備された道もない。旅慣れた者でなければ辿り着く事は厳しいだろう
シェリアでも、昔は世界中の人の心と繋がっていたのよね
シェリア元に戻すためには世界中の人を連れてこないといけないって事じゃあ…
グリューネその必要はないそうよ
グリューネあと何人か連れてきて、結心樹ちゃんの事を強く想えば、本来の力の一部を取り戻せる…
グリューネそして世界中の人が噂か何かで結心樹ちゃんの事を知れば離れていても繋がる事が出来るそうよ
スタンみんなで楽しくお花見をして結心樹の思い出を作れば、強く想うっていう事になるよな
パティそれなら、うちが、連れてこられそうな人をたくさん誘ってくるのじゃ
シェリア力を取り戻したら、あとは伝説を広めるだけね。私、帰ったら街のみんなに話すわ
ガイアス俺も言い伝えが広まるよう資料を公表するとしよう
グリューネうふふ、何とかなりそうねぇ。結心樹ちゃんがお礼言ってるわよぉ
ガイアス情報の拡散には時間が必要だ。今はとにかく仲間を集め、ここで大宴会を開くとしよう
パティうむ。うちらの力で、結心樹を満開にするのじゃ!

NameDialogue
振り返ろう!7周年回想録
カイルえーっと…7周年記念のパーティー会場…ここかな?
カイルそれにしても未来から来たオレが7周年に遡って祝うのって不思議な感じだよなあ
カイルみんなもう来てるといいけど…
カイルよかった、いた!クレスさんに、アスベルさん、ミラさん、ヴェイグさんも!
クレスやあ、カイル。早いね。パーティーの開始はまだまだだよ
カイルはい。ちょっとみんなに聞きたい事があって早めに来たんです
カイルクレスさん達こそ、早いですね。まだ誰もいないかもって思ったのに
アスベル俺達はパーティーの準備を手伝うために早めに来ていたんだ
カイルあ、それじゃあオレも手伝います!
ヴェイグいや、大丈夫だ。準備はさっき終わった
ミラ周年も7回目ともなるとみな手際がよくてな。少し手持ち無沙汰だったところだ
クレスそれで、聞きたい事って何だい?
カイルはい。実は星のカケラの一件から今までに起こった出来事や歴史を詳しく教えてほしいんです
ミラふむ。歴史か。星のカケラの事からでいいのか?精霊の誕生から語る事も出来るぞ
カイルそれも気になるんですけど、今は星のカケラにまつわる話とその後の事を特に整理したいんです
カイルオレ達は元々、リチャード陛下が闇に染まったままの歴史しか知らなかったから…
カイル星のカケラの一件で歴史が変わって、新しい歴史がどんなものになったのか知りたいんです
アスベルそうか…。世界の──とりわけウィンドルの歴史は大きく変わってるんだよな
ヴェイグそれなら何故、今なんだ?未来で調べてもよかったんじゃないのか?
カイルうーん、オレもよくわからないんですけど…
カイルリアラが、この時代に始まった新しい冒険が本格化する前に一度整理しておいた方がいいって
カイル何だっけ。歴史の…ダイビングポッポ?
アスベルそれを言うならターニングポイントかな
カイルああ!それです!
ミラなるほど、承知した。ではまず星のカケラに関する事から話すとしよう
ミラ…と言っても、お前達はソフィと一緒に来ていた当事者だったな
カイルはい。だからウィンドルの事は知ってますしティルグの事も聞いてます
カイル他にもいろいろあったって未来に伝わってはいるんですけど詳しい事はわからなくて…
クレスそうか…。ダオスの事は歴史の表舞台には出てないからな
ミラウィンドルだけでなくア・ジュールでも事件はあった。見てきた範囲でよければ話そう
カイルありがとうございます!星のカケラ関係の事はこれで整理出来るとして…
カイルその後、オレ達が未来に帰ってからもすごい災害とかあったんですよね?
アスベル大精霊の暴走の事かな。ディセンダーっていう存在に巨大な魔導器の塔…
アスベルちょっと長くなるけど俺とミラなら説明出来るよ
ミラうむ。任せろ
カイルよろしくお願いします!
ヴェイグその後、世界が晶化した異変については、前に説明した事があったな
カイルはい、エンテレスティアで聞きましたが、念のためにもう一度詳しい話を聞かせてください
カイルエンテレスティアの事も、白き獅子側で何があったのかとかミラさんに教えてほしいです
ミラいいだろう
アスベル…?エンテレスティア…?白き獅子…?
クレス覚えがないな。そんな事件もあったのかい?
カイルあっ…いや…
カイル(そうか、あの時の記憶を 持ったままの人って 一部だけなんだった…)
ヴェイグ…パーティーが始まるまであまり時間がない。手短に話すとしよう
ヴェイグクレスとアスベルにはいずれ機会があれば説明する
アスベルああ、今度教えてくれ
クレスそうだね、今はカイルの話を進めようか
カイル(助かった…!)
カイルありがとうございます!
カイルそれで、その後は確か…新しい島が発見されたって歴史書に書いてましたけど
アスベルそれはアヴァロン島の事だな。調査隊の俺から説明するよ
アスベルあの時は俺、とんでもない事をしてしまったから…。みんなには本当にすまないと思ってる
カイルアスベルさんが落ち込んでる…一体、何が…!?
ヴェイグ…何かあったんだろう。あまり詮索しない方がいい
カイルは、はい…
アスベルいや、大丈夫だ。全部説明するよ
アスベルといっても、本当に詳しい事はルカ達に聞いた方がいいかもな
クレスそろそろみんなも集まってくる頃だ。いろんな人に話を聞いてまわるといいんじゃないか?
ミラああ。私達だけでも大体の説明は出来るが、色々な視点があった方がいいだろう
カイルはい、そうしてみます!

NameDialogue
7周年の絆に感謝を込めて
ロイドいやぁ、表彰式って緊張するもんだなー
リオン意外だな。人前で緊張する性格ではないと思っていたが
ロイド人前に出るのは平気だけど、改まって表彰とか言われるとどうすりゃいいのかわからなくてさ
ティア確かに表彰されるなんてないものね。そういえばベルベットも少し緊張していたんじゃない?
ベルベットこういうの慣れないのよ。まさか代表に選ばれるとは思わなかったから、驚いたし…
リオン代表は推薦方式だ。推薦者に報いたいと思うなら堂々と胸を張っていろ
ベルベット言うじゃない。まあ、確かにその通りだけどね
ロイドま、表彰式は無事終わったんだし、あとはパーティーの料理を楽しもうぜ!
???ロイド~!
コレット表彰式、お疲れ様!その服、かっこいいねぇ!
ロイドコレット!ありがとな!
ティアそういえばコレットは前回、代表に選ばれてたわよね。緊張しなかった?
コレットすっごい緊急したよ~。だけど、代表になれてよかったって思ったよ!
コレットそれに今回はロイドが選ばれてとっても嬉しいんだー。えへへ、前回の私の服とお揃いだよ♪
ロイドそっか。そう言って喜んでくれるなら俺も選ばれてよかったぜ
ロイド推薦してくれた人に感謝しないとな
ロイド…っと、そうだ。コレットに渡したい物があったんだ
コレット勲章…?ロイドが作ったの?
ロイドああ。俺が代表に選ばれたって聞いた時にコレットのお蔭だって思ったからさ
ロイド支えになってくれたコレットを俺なりに表彰してやりたいって思って作ったんだ
コレットロイド…!ありがとう。大切にするね
ティアふふ、優しいわね
ベルベットこれこそ表彰ものね
リオン表彰式で緊張していた男とは思えないな
ロイドそんなに茶化すなって!さっき話してたように代表って推薦で決まったんだろ?
ロイド俺はコレットを推薦したかったけど、みんなだって他の誰かを推薦したかったはずだ
ティアええ。でもそう思いつつも、行動で示したのはロイドだけだもの
ベルベットそうね。中々出来る事じゃないわ
コレット…そだ!ねぇロイド。勲章ってもっと作れる?
ロイド材料さえあればすぐに作れると思うけど…何でだ?
コレットロイドが私にしてくれたみたいに誰かを表彰したいって気持ちの人が他にもいると思うの
コレットそれにね。本当はこのパーティーに参加してる誰もが、表彰されていいと思う
コレットだから、この勲章をたくさん作ってみんなに配りたいの!
ロイドみんなって、パーティーに来てる人達か?
コレットうん。みんなを表彰して、みんなに勲章を配るの!
ロイドそうか、わかった!なら頑張って勲章を作るぞ!
リオンおい、待て。簡単に言ってるが、それが出来るならわざわざ代表者を選びはしないぞ
リオンどれだけの労力になるかわかっているのか?
ロイドんー、大変そうなのはわかるけどま、頑張るさ!
リオン…まあ、いいだろう。それなら材料は僕が探してきてやる
リオンその代わり、途中で音を上げるなよ
ロイドああ!
コレットロイド、ごめんね。無茶な事言っちゃったかな?
ティア心配いらないわ。私も手伝うから
ベルベット仕方ないわね、あたしも手を貸すわ。三人がかりで作れば何とかなるでしょ?
ロイド心強いぜ!みんな、ありがとな!
リオン…大仕事になりそうだな
ロイドああ。でもやりがいはありそうだ!
ロイドよし、それじゃあ急いで勲章を作ってみんなで送ろうぜ!

NameDialogue
新作発表!?ドレス研究会
ロゼみんな、着替え終わった?
ミラ終わったわよ、どう?
ロゼいいじゃん!バラのとこすごいね。どうなってんだろ?
クロエ私も着替え終わったが…これは、その…照れるな。不釣り合いでなければいいが…
ロゼそんなわけないじゃん!ばっちり似合ってるって
ロゼおお、ソフィはフラワーガールだね!さすが一流デザイナーの作品、ウェディングドレス以外も完璧!
ソフィうん、お花もたくさんもらったの
アリス私も着替え終わったわよ
ロゼおっ、さすが~!大きなリボンが大胆でいいね
ミラ妙に褒めるわね…?
ロゼまあね。お得意様のデザイナーさんが主催するデザイン研究会だから、盛り上げたいと思って
ロゼ少しでもいいと思ったら口に出すようにしてるんだ
ソフィお得意様?
ロゼそう。このドレスの素材はみんなうちで仕入れた最高級品!
ロゼ着心地も肌触りも抜群でしょ?ちょっと値は張るけど、これを揃えられるのはうちだけだよ
ソフィそうなんだ。…うん、柔らかくて気持ちいいよ
ミラそれでモデルの紹介も頼まれたの?
ロゼうん。素材を卸しに行った時に、主催者から今日のモデルの事を相談されてね
ロゼあ、ほら、噂をすれば主催者のデザイナーさん達が来たよ
デザイナー1みなさん揃いましたね。私は、本日の研究会を主催させていただいてる者です
デザイナー1本日は私達の研究会にご協力いただきありがとうございます
ロゼ気にしなくていいって。お得意様の役に立てるならどうって事ないよ
デザイナー1本当に助かりました。こんなに素敵な方々に来ていただいて研究会も盛り上がる事間違いなしです
ミラちょっと気になってたんだけど、その研究会って何をするの?
デザイナー1みなさんに着ていただいた新作ドレスのデザインについて議論し研究レポートにまとめるんです
デザイナー2あの、早速ですが、着てすぐの感想を順にお聞かせいただけますか?まず、そちらの方から…
ミラえ、私?といっても、こんなにすごいドレスを着る事なんてないから…
ミラブーケとの組み合わせが素敵だとかそういう月並みな感想しか言えないけど…
デザイナー2十分参考になります。そこを印象的に感じてくださってるという事ですから
デザイナー3そちらの方はいかがですか?
クロエ私か…最初はウェディングドレスをただ豪華なドレスだと思っていたんだ
クロエだが、袖を通して、違うとわかったよ。これは特別な意味を持ったドレスだ
クロエ今はただの試着だとわかっているが…その、胸が高鳴るものだな
デザイナー3着ただけでドレスの意味を感じ取りドキドキしていただける…!私達の目指すドレス像そのものです!
デザイナー3どこに特別な意味を感じたかなど後ほど詳しく聞かせてください!
クロエああ、わかった
デザイナー1そちらのフラワーガールのお嬢さんはいかがですか?
ソフィわたし、この服好きだよ。あのね、色がちょうどいいと思うの
ロゼちょうどいい?
ソフィうん。上手く言えないけど…。お花は好きだし、みんなの事、綺麗だと思うから
ソフィそんなみんなのためにお花を持つ人は、こんな色がいいって思ったの
ロゼ誘った時から、フラワーガールって聞いて目を輝かせてたもんね
ロゼもう、天性のフラワーガールじゃん!
ソフィそうだったら嬉しいな
デザイナー1今のご意見、とても的確!それに深いお言葉だったわね。デザインの哲学に通じるというか…
デザイナー2はい。レポートにも書いておきます!
アリスみんな大袈裟ね~
デザイナー4あの…そのドレスはいかがでしょうか?
アリスこのドレス、あなたが作ったの?
デザイナー4はい。会場にお見えになった時に、強いインスピレーションを感じたので私の新作を少し調整しまして…
アリス私、今日はあなた達をお仕置きしようと思って来たの
アリスデザイナーとかいう人達の自己表現のために利用されるのは嫌だし
アリスでも、今回はやめてあげる
デザイナー4えっ…?それって…気に入っていただけたという事でしょうか?
アリスそう。私を見てドレスの調整をしたって言ってたわね
アリスバッチリ、アリスちゃんを最高に輝かせるドレスに仕上がってるじゃない
アリスとっても気に入っちゃった♡
デザイナー4わあ、よかったです!ありがとうございます!
デザイナー1ねぇ、その調整の内容詳しく教えてよ
デザイナー4はい。まず袖の部分を──
ミラ何だかんだ、研究レポートは捗りそうな感じね
ロゼよかったよかった。──ん?
???──アリスちゃーーーーーーんっ!!
アリスこの声は…!
デクスここにいたんだね!──って、何て綺麗なんだ!
アリスデクス!あんた何しに来たのよ!
デクス何って、アリスちゃんがウェディングドレスを試着するんだ。来て当然じゃないか
アリス試着って…モデルを頼まれただけよ。また鬱陶しい勘違いしてるわね
デクス勘違いも何も、こうして素敵な花嫁衣裳に身を包んでるじゃないか!
デクスなんて美しいんだ…。元から可愛いアリスちゃんのよさをこのドレスが引き出してくれてる…!
アリス…何よ、わかってるじゃない
アリスもう見たから満足でしょ。とっとと帰ってくれる?
デクスそうつれない事言わないで。モデルなんだったら、新郎役の俺が横にいてもいいだろ?
アリス……!絶対、お断り!出てけ、この3Kデクス!
バシーーーン!!
デクスひ、酷いやアリスちゃん…!
ドサッ!
アリスまったく、どうしようもないバカなんだから
ミラ見事な平手打ちね…
ソフィうん、腰が入ってた。きっとすごく痛い
クロエあの動きについて来られるとはドレスの伸縮性もなかなかのものだな
ロゼ結婚式中にビンタをする機会は出来れば無い方がいいけど…確かに動きやすいのは嬉しいね
デザイナー1みんな、聞いた?動きやすさ、重要よ!
デザイナー2さっきの大振りのビンタでも全く着崩れてない…どんな構造なのでしょう
デザイナー4それはですね。肩の部分に秘密があって…
デザイナー3なるほど!でも、それなら、ここをこうすれば…
ロゼあはは、あんなドタバタさえも研究材料にしてるよ
クロエそれだけみんな研究熱心なんだな
ロゼだね。それじゃあ、あたし達も、いいレポートがたくさん書けるように協力しよ!

NameDialogue
ハスタお兄さんのあぶない夏
アニス…ったく、この蒸し暑い森で魔物退治の任務なんて…そもそもどーして私なんだっての
アニスだいたい、虫取りで有名な森で虫の魔物が暴れてるって何!?人間への復讐のつもり!?
アニスはぁ…ま、いいや。お蔭で森は立ち入り禁止だけど私は任務で入り放題だし
アニス魔物なんかさっさと退治して珍しい虫を取り放題!
アニス今は虫取りが大流行だから珍しいのは何万ガルドにもなるって言うし♪
ガサガサ…
アニス…何かいる!魔物?それともお金──じゃなくて虫!?
アリエッタアニス…!どうして、いるの…?
アニス根暗ッタ!どうしてあんたがここに!?
アリエッタアリエッタ、根暗じゃないモン!アニスのイジワルゥ~!
アニス…あ!わかった、虫の魔物が暴れてるのってあんたの仕業でしょ!
アリエッタ知らないもん。アリエッタ、関係ない
アニス嘘ついてもダメなんだからね!第一、軍が閉鎖してる森にいるのが怪しい──
ガサガサ…
アリエッタ…!来た…!
アニスえっ…!?
ギィィィィッ!!
アニス魔物!?
アリエッタこの森の子じゃない…!
アニスはぁ!?どういう事!?
アリエッタブラッディハウリング!
ギェェェッ!
アニス…倒したって事は、本当に、あんたが犯人じゃないんだね
アリエッタこの森には、お友達が住んでる…大きな虫に荒らされて困ってるって…だから、退治に来たの
アニスじゃあ、あの魔物は別の場所からこの森に来たって事?
アニスあっ、でもでも、子ども達が安全に遊べるようにするってのが任務だから元からいる魔物も退治なのかなー
アリエッタダメェ!みんな人が怖いから、襲ったりしないもん!
アニスそうなの?まぁ確かに、ちょっと前までは魔物の目撃情報もなかったし…
アリエッタお友達傷つけたら、絶対許さな──
ガサガサ…
アニス…!また魔物!?
ハスタぶっぶー!怖い魔物だと思った?残念、ハスタお兄さんでーす!
アニスあ、あんた確か、元ウィンドル騎士団の…!
ハスタおろ?おいらの事を知ってる君はたしかア・ジュール軍の…
ハスタアンドレアス小雪さん…でしたっけ?
アニス全然違うじゃん!
アリエッタでも、二文字合ってる…惜しい
アニス惜しくない!
アニスそれより、ここで何やってるの?ここは今日から立ち入り禁止にしてるんだけど
ハスタそうなの?まぁオイラずっとここにいるから今日からって言われても知らねぇな
アニスずっと?どうして…って、まさか…!
アリエッタ大きな虫は、あなたのせい!?
ハスタはい、大正解!ドンドンパフパフ!ほら、虫取りが流行ってるらしいし大きな虫がいたら楽しいでしょ~?
アニスふざけんな!私の仕事を増やしやがって…危険な虫は退治するんだからね!
ハスタええ~、そいつぁ困るなぁ。でも大丈夫!こんな事もあろうかと虫はまだまだ連れてきてるのさ!
アリエッタまだ、増えるの!?
アニス何が目的でこんな事!
ハスタ目的はねー、もう半分果たしてんの
ハスタこの虫は、正義マンホイホイー!ほら、こうやって軍とかが強ーい人を送り込んでくるでしょ?
ハスタしかも正義感の強い腕自慢!そういう奴を、このボクちんがズバッと倒して、こう言うのさ
ハスタお前の敗北は…また一人子どもがエサになる事を意味するのだ…ってね!
アニスおかしいんじゃないの!?そんな事させない!
ハスタだったら、捕まえてごらんなさ~い!虫達を倒しながらオイラを追ってこられたら、殺してやるからよ
ハスタてなわけで、シーユーアゲイン、少女達!生きてたらな!
アニスあっ、待てー!
アリエッタ逃がさない!
ギィィィィッ!!
アリエッタ大きな虫…!あんなにたくさん…!
アニス虫も、あのピンク頭も、ぶっ飛ばす!行くよ、根暗ッタ!
アリエッタ根暗じゃないもん!
アニスうりゃー!爪連龍牙昇ー!
ギェェェェッ!!
アニスはぁ、はぁ、片付いた…!
アリエッタアニス、あれ!
アニス見つけた!ここまでだよ、ハスタ!
ハスタお、生きてここまで来たね。やるぅー!
アリエッタ森から出て行って!
ハスタえー、酷いや。ここはオイラの心の故郷、落ち着く実家みたいなもんなのにー
アリエッタ…そ、それじゃあ……あなたも森で育ったの?あの虫は…あなたのお母さん…?
ハスタなんだとう!オイラのお母さんを虫呼ばわりとはどういう了見でい!
アリエッタえ…だって…この森が故郷って…
ハスタいんやー?今日初めて来たよ、こんな森。あれ、昨日だっけ?一昨日?
アニスこんな奴とまともに話しても無駄だよ。倒して、捕まえるよ!
ハスタやれるもんならな!
アニスもーっ!マジむかつく!行くよ!
アリエッタアリエッタも、戦う!お友達を守るんだから!
ドガッ
アリエッタきゃっ…!
アニスうう、強い…!
ハスタおいおい。もう終わりじゃないでしょ?もっと楽しませてくれよお嬢ちゃん
アニスくぅ~…!根暗ッタ、あんたが邪魔するから戦いにくいでしょ!
アリエッタまた言った!根暗じゃないもん!それに、足引っ張ってるのはアニスなんだからぁ!
アニスいいから引っ込んでてよ!
アリエッタうわーんっ!アニスのバカ!邪魔しないでよ!
ハスタオイラを無視して遊ぶとかチョームカツクんですけど!
ザシュ!
アニスはうあ!
ハスタ今のお前らと戦ってもつまんな~い。勝つつもりなら二人がかりでかかって来いっつーの!
ハスタつまんねぇつまんねぇ!お前ら虫とでも戦ってろ!じゃあな!
アリエッタまた逃げた!
アニスもう!根暗ッタのせいだよ!バカ!ドジ!
アリエッタバカはアニスだもん!ドジもアニスだもん!
アニス…ちっ、ムカツクけどこのままじゃあのピンク頭に勝てないな…
アニス仕方ない、一時休戦にしよう。今だけ力を合わせようよ
アリエッタ…じゃあ、もう根暗って言わないで
アニスわかった。ハスタを倒すまでは言わない
アリエッタそれなら…うん。お友達のためにもアリエッタ、頑張る
アニスじゃあ、早速、あいつ追いかけて──
ガサガサ…
ギィィィィッ!!
アニス・アリエッタネガティブゲイト!
ギェェェッ!
アニス雑魚に用はないっつーの!行こう、アリエッタ!
アリエッタうん!

NameDialogue
輝け!ドリームプロジェクト
ロイドここでターン!…よし、振り付けは大丈夫だな
ゼロス控室でも練習って、気合い入ってるな。本番の体力取っとけよ~?
ロイド心配すんなって!それよりギリギリまで練習したいんだ
ロイドせっかく、俺達、テイルズ オブ ドリームプロジェクトが夏フェスに招待されたんだしさ
ロイド失敗したくないだろ?でも、歌いながら、踊るって難しいんだよなぁ
ゼロス振り付けは覚えたのに歌詞の暗記に自信がねぇって言ってたもんな
スレイそういう時は、振り付けと歌詞を関連させて覚えるといいよ
スレイ例えば手で線を描くような動きは「地平線」を現してるから──
ロイド「地平線超えて」か!わかりやすいな!
ミクリオスレイは振り付けと歌詞からこの歌に込められた意味を考察していたからね
スレイああ!歌も踊りも理解が深まったから表現力では誰にも負けないよ!
ミクリオ甘いな、スレイ。僕は君より一歩踏み込んだ考察をしていると言っただろ?
スレイそれは前にも聞いたけど、オレの解釈とはちょっと違うんだよなあ
ミクリオ…この話は本番が終わってからじっくり議論しよう
スレイそうだな。ステージに立てば新しい発見があるかもしれないもんな!
ルーク気合の入れ方にもいろいろあるもんだな。盛り上がりゃ何でもいいけどよ
ゼロスそう言うルークはいつも通りって感じだな
ルークへへ、ピリピリしたって仕方ねぇだろ
ユーリまあな。力みすぎると本番で頭が真っ白って事もあるしなぁ
ユーリ今はルークぐらい力を抜いて緊張を解しておくのも大事だと思うぜ
ルークだよな!
ルーク──って、おまえらは何もしてなさすぎだろ!もうすぐ本番だぞ!?
ユーリん?オレ達は準備完了だぜ
ルークどう見てもいつも通りじゃねーか
リオン事前に説明しただろう。僕達は前座で剣技を披露するから動きやすい服装でいいんだ
ルークそういや、そんな事言ってたな。公務がなけりゃ俺が引き受けてたんだけどなー
ロイド俺も歌詞と振り付けを覚えるので精一杯だからって断っちまったんだよな
ゼロス俺も公務続きだったからなー。その合間に軽く歌詞と振り付けを練習した程度だぜ
ルークよく言うぜ。公務が終わってから夜中までみっちり練習してただろ
リオンそうだな。忙しくとも妥協しない姿勢には僕も感心したくらいだ
ゼロスおいおいおい、そういうのは言わぬが花ってやつだぜ?
ゼロスせっかく俺さまの華麗な姿を見に来てくれたファンのみんなをがっかりさせたくねぇからな~
スレイはは、ゼロスだけじゃなくてルークとリオンも夜中まで練習場にいたんだね!
ルークへへ、気づかれちまったか。俺だって忙しかったからって遅れは取りたくねぇからな!
ロイド俺だって!歌詞はまだ不安だけど…踊りは身体で覚えたぜ!
ユーリへぇ、気合を入れつつ緊張しすぎてもいねぇか。大した奴らだ
リオンああ。この調子なら本番も問題ないようだな
ロイドよーし!そろそろ本番だ!みんな、頑張ろうぜ!
全員おー!
司会お待たせいたしました!夏の音楽フェスティバルのはじまりです!
司会まずはドリームプロジェクトの剣士二人によるパフォーマンスをご覧ください!
パチパチパチパチ──
ユーリんじゃ、練習通りに行きますか
リオンああ
ガキィィィン!
司会剣をぶつけ合った!
ヒュンッ!
キン、キンッ!
司会まるで決闘のような攻防!それでいて舞うような美しい動き!息を呑む素晴らしい演出です!
観客ワァァァァァァ!!
ロイドさすがはユーリとリオン!すげぇ動きだな!
ルークへっ、あのぐらい俺だって出来るぜ!
ゼロスああ。動きだけ、ならな。でもルーク、あいつらただ剣を交えてるだけじゃねぇぞ
ルークあん?どういう事だよ
スレイ…あっ、オレわかったかも!
ミクリオ右に左に動き回って、攻めも守りも動作が大きい。観客に見せるための工夫が細かいね
スレイそうそう!それに剣のぶつかる音にリズムがあって、音楽みたいなんだ
ミクリオただ剣技を見せるだけじゃなく、音楽フェスティバルの前座として相応しい内容に昇華させているのか
ロイドへぇ、よく考えられてるんだな!
ゼロスこれは俺さまたちもうかうかしてられないぜ
ルークなかなかやるじゃねぇか、あいつら。観客もかなり盛り上がってきたぞ
司会さて!盛り上がって来たところでいよいよ他のメンバーの登場です!
観客ワァァァァァァ!!
ルークよーし、出番だ。あいつらに負けねぇよう俺達も盛り上げんぞ!
全員おう!
レイヴンオヤジ、かき氷一つ。甘くないやつで頼むわ
店主あいよー
観客ワァァァァァァ!!
店主ステージの方、随分盛り上がってんな
レイヴンそうねぇ。なんか面白い前座とかやってたみたいよ
店主そうなのかい。俺もこの商売長ぇけど、こんなすげぇ歓声は初めてだぜ
レイヴン(剣技で観客を集中させてから 歌に入るって作戦は どうやら成功したみたいね)
レイヴン(青年もリオンも、 おっさんが考えた以上に 動き回ってくれてたし…)
観客キャアァァァッ!カッコイイ!
レイヴン…ん?
店主へい、お待ち
店主…どうした、お客さん。ボーッとしちまって、夏バテかい?
レイヴンいや、あんなにモテるんなら今度はおっさんもステージに立っちゃおうかなぁ…なんてね
店主はははっ!かき氷食って頭冷やしなって
レイヴンへいへい
レイヴン(本当にステージに立って このオヤジをびっくりさせて やるのも面白そうね)
レイヴン(…本気で考えてみちゃおうかな)
ユーリさて、本番はこれからだ。バテてねぇだろうな、リオン
リオン誰にいっている。あの程度、準備運動だ
スレイ客席のみんなも、一緒に歌ってね!
ミクリオ今日は最後まで楽しんでくれ!
ゼロス女の子達も、ついでに野郎共も、俺さまがメロメロにしてやるぜ~
ルーク飛ばしていくぞ!
ロイドよ~し!もっと盛り上がって行こうぜ!

NameDialogue
TOX10周年記念ティポ
レイアこの衣装かわいい!みんなのも素敵なんだろうなあ♪
エリーゼレイア、お待たせしました
レイアエリーゼ!わあ、すっごく似合ってるよ!
ティポふふふー!そーでしょー!
レイアうんうん!ティポもいい感じだね
ティポエヘヘー!ぼくはいつもかわいいけどねー♪
レイアふふっ。今日はいつにも増してテンション高めだね
レイアそれにしても、こんなにかわいい衣装をプレゼントしてもらえるなんて…
エリーゼはいっ。何というか…
ティポすんごい太っ腹ー!
レイアね!街もお祝いムードですごく賑わってるし今からとっても楽しみだよ~!
エリーゼ私もです!…あの、レイア
レイアん?どうしたの?
エリーゼこれ、見てください!
レイアわっ、すごい!ティポにそっくりだね!
エリーゼ式典の記念にって街でもらったんです
ティポぼくに似せて作るなんて、センスあるよねー!
エリーゼ私、とってもうれしくて、みんなの分ももらってきました!はい、レイアの分です!
レイアありがとう!うーん…見れば見るほどそっくり…
エリーゼふふ。みんなとお揃い、です♪
???レイア、エリーゼ
ミラ待たせたな。こういった服は慣れなくて少し手間取ってしまった
エリーゼ・レイア…!
ミラ二人共、どうしたんだ?
レイア…す
ミラす…?
レイアすっっっっっごいかわいい!
エリーゼステキです!
ティポすごい、すごーい!
ミラありがとう。そんなに褒められるとむず痒いな
エリーゼミラ。これを持ったらきっともっとかわいいですっ
ミラん?これは、ティポ…の人形か
レイア私ももらったんだよ。みんなでお揃いにしようってエリーゼが。ねっ
エリーゼはいっ
ミラふふっ、なるほど。そういう事ならありがたく受け取ろう
ジュード着替えるのに時間かかちゃったな。挨拶もしなくちゃだし、結構緊張してるのかも…
ジュードえっと、みんなはどこにいるんだろう。…あ
ミラそうか、エリーゼは今日がずっと楽しみだったのだな
ジュードキレイだなあ…
???どうかしたか?
ジュードわっ!びっくりした…
アルヴィンこんな所で突っ立って、心なしか顔も赤──…あー、なるほど…
ローエン頬を染めるのも致し方ありませんね。みなさん、とても素敵でいらっしゃいますから
ジュードち、違うよ!いや、違わないんだけど…
アルヴィンいいっていいって。皆まで言うな
ローエンええ。美しいものを愛でるのはいい事ですからねぇ
ジュードもう…二人してからかわないでよ…
ローエンほっほっほ。すみません、ついつい…
アルヴィンそう拗ねるなって、…お、噂をすれば
ジュードえ?
レイアおーい!三人共ー!
ジュード
ミラ全員揃ったな
エリーゼはい。こっちを見ながら、話していたみたいですけど…何か、ありましたか…?
ジュードあー、えーっと…
アルヴィンいやあ、今日はおたくらが一層キレイだって話してただけだよ
エリーゼ…ホントですか?
ティポじーーーーーーー
アルヴィンホントだって
ローエンエリーゼさん、本当ですよ。みなさん、よくお似合いです
エリーゼそ、そうでしょうか…!ありがとうございます
ローエンえぇ。ね、ジュードさん
ジュード!!う、うん…!
ジュード今日は、その…いつも以上に…キレイ、だと思う
ミラ…ありがとう。そういうジュードも、よく似合っているぞ
ジュード…!あ、ありがとう
ティポエリーも、似合ってるよねー
ジュードうん、勿論!エリーゼもレイアも、すごくキレイで見違えたよ
レイアえへへ、褒めすぎだよー。何だか恥ずかしくなってきちゃった
エリーゼ顔が熱い、です
ティポぷ、ぷしゅー――――も~…ジュードくんったら…
アルヴィンはは、結構言うじゃないか
アルヴィン……ん?ところで、おたくら何持ってんだ?
レイアああ!これね!ほら、エリーゼ
エリーゼ…!そうでした。みんなも、どうぞ
アルヴィンこれは…ティポのぬいぐるみか?
レイア式典の記念に配ってたんだって
ミラエリーゼがみなでお揃いにしたいと、私達の分ももらってきてくれたんだ
ローエンこれはこれは、よく出来ていますね
ジュードうん。エリーゼ、ありがとう
ティポもーっと褒めてくれていいんだよー?
ジュードあはは…。それにしてもすごいなぁ。本当にそっくりだね
レイアうんうん。ティポと並べても全然違和感ないし…
ローエン色も様々で見ていて飽きませんね
ティポこれで、ぼくみたいに動いたら最高なのにー
ミラ…ふむ
フワッ
エリーゼわっ…!う、動いてます…!
ティポしゅ、しゅごいー!!
ミラ微精霊に頼んで動かしてみたのだが…。どうだろうか
レイアすごいよ!ティポの動き、そっくり!
アルヴィンおお、さすが精霊の主
ローエンいやはや、大したものですな
ジュード………
ジュード──そうだ!
レイアへ?どうしたの?
ジュードこの人形を使って、僕達も式典を盛り上げられないかな
アルヴィン盛り上げる?
ジュードミラが人形を動かしてくれたでしょ?街で配ってる他の人形達も動かしたらもっと賑やかになるんじゃないかな
エリーゼ…!とってもステキだと思います…!
ティポわーい!友達、いっぱいだねー!
ミラうむ、いい提案だな。街のみなも喜ぶのではないだろうか
レイアうん!私も賛成!
ローエンそうと決まれば、人形を集めなくてはいけませんね
アルヴィンそうだな。んじゃ、やりますか
ジュードうん…、ありがとう!
レイアよーし!善は急げ!エリーゼ、行こっ♪
エリーゼはいっ!
ティポ待ってて、ぼくの友達ー!
ローエンほっほっほ。元気いっぱいですね
アルヴィンこりゃ、俺達もがんばんなきゃな
ジュードそうだね。みんな、いい式典にしよう!
ミラああ。今から楽しみだな

NameDialogue
月見団子大作戦
ミントこれで…よし!お待たせしました
ミントお月見祭りで出すお団子の試作品完成です
ミントキュキュさん、味見していただけますか?
キュキュはい、わかた。キュキュ、食べる!
キュキュモグ…モグ…。ん~、美味しい!ミント、料理上手!
ミントありがとうございます!これでお団子のレシピは、完成ですね
ミントお月見祭りで出店すると決まった時は、どうなる事かと思いましたが…
ミント無事に準備が整ってよかったです。これでいつでも、当日に臨めますね
キュキュはい。キュキュ、お祭り楽しみ。ミントと、いっしょ頑張る!
ハロルドあら、二人共、何してるの?
ミントハロルドさん。今キュキュさんと、お月見祭り用のお団子を作っていたんです
ミントよければハロルドさんもおひとついかがですか?
ハロルドへぇ、美味しそうじゃない。ありがとね
ハロルドはむっ、ムグムグ…。う~ん、まさに団子!って感じね
ミントお口に合いましたか?よかった…
ハロルドん~。でも、どうせなら私のレシピでもっとおもしろ…じゃなくて素敵な団子を作ってみない?
ミント素敵な…とは、一体どのようなお団子でしょうか?
ハロルドグフフッ!それは食べてのお楽しみ。楽しい効果が出るお祭りにぴったりの団子よ!
ミントまあ、それはいいですね!お客さんに喜んでいただけそうです
ハロルドでしょ?それじゃあ今から試しに作ってみましょ!
キュキュあぅ…。キュキュ、心配…
ハロルドよし、これで完成よ!
ミント見た目は私の作ったものと変わりないようですね
ハロルドフフン!それはねぇ…あっ!あそこに実験台…じゃなくてデュークが!
ハロルドねぇデューク。月見祭りの団子を試作したから、食べてみてくれない?
デューク…遠慮する
ハロルドせっかく作ったのに。じゃあ、代わりに誰か…
シングあれ、みんな楽しそうだね。何してるの?
ハロルドいいタイミングだわ、シング。月見祭り用の団子、食べてみない?
シングえ、いいの?やった、いただきまーす!
シングモグモグ…。うん、すっごく美味しいよ!
キュキュ美味しい、よかた。お団子、ハロルド特製!
シングへぇ、ハロルドが料理するなんてちょっと意外だな
シングって、あれ?なんか喉の調子が…
キュキュシング、声!すごく、低くなてる!
シングわ、本当だ!な、なんで!?
ハロルドどうやら効果が出てきたみたいね。実はその団子を食べるとものすご~く声が低くなるのよ
ミントまあ、ハロルドさんのおっしゃっていた楽しい効果とはこの事だったのですね
シングあはは、すごいね!それで、この効き目はいつまで続くの?
ハロルド一週間もすれば切れるわよ
シングそ、そんなに…!?それはちょっと困るなぁ…
キュキュ長く続く、よくない。ハロルド、効果切れる薬作る、出来るか?
ハロルドはいはい。んじゃ、効果を消す薬を作るわ
シングありがとう、ハロルド!はぁ、よかった…
シングお客さんも困っちゃいそうだし、お祭りで売るのは普通のお団子がいいんじゃないかな
ミント…そうですね。効果が短ければお客さんに喜んでもらえるとは思うのですが…
ハロルドま、そういうなら仕方ないわね
キュキュハロルドのお団子、駄目…。お客さん喜ぶ、他にいい案、何かあるか?
シング…あっ!それなら果物を使った、味違いのお団子を作るっていうのはどうかな?
シング使う果物は、オレが山に行って採ってくるからさ!
ミント果物ですか。…そうですね、餡にしてお団子で包めば美味しそうです!
ミントそれではシングさん、お願いしてもよろしいでしょうか?
シングうん!オレに任せて!
キュキュミントのお団子まだまだ美味しくなる。キュキュ、食べる、楽しみ!
シングあはは。もしかしたら、美味しすぎてすぐに売り切れちゃうかもしれないね
ハロルドう~ん。そうなるとあれを準備しておいた方がよさそうね…
ミントお待たせしました、ぶどうと柿のお団子です
キュキュミント!次のお客さん、普通のお団子、りんごのお団子、三つずつ!
ミントはい!今準備しますね
シングうわぁ、お客さんがいっぱいだ。大人気だね!
ミントシングさん、来てくださったんですね
キュキュお団子、大人気。シングが集めた、果物のおかげ!
シング役に立てたなら、よかった。だけど、これだけお客さんがいると二人だけじゃ大変だよね
シングオレも店を手伝うよ!
ミントせっかくのお祭りなのによろしいのですか?
シングうん、勿論だよ!みんなの喜ぶ顔を見たいからね!
キュキュシング、ありがと。キュキュ達、とても助かる!
デューク…団子を一つ
シングいらっしゃい!あ、デュークも来たんだね!今用意するから待ってて!
シング──って、話に夢中になってる間にすごい列だ!
ミント本当ですね、すぐに対応をしないと…!
キュキュはい、そうする!
デューク……
キュキュあれ、デューク?もう、行ったか?
シングそうみたいだね、お祭りで他に回りたいところでもあったのかな?
キュキュお祭り、楽しむ、いい事!キュキュ達も、お店頑張る!
シングお、お待たせしました!ありがとうございます~!
シングはぁ、はぁ…。売っても売っても、お客さんの列が途切れないよ…
ミントふう…。人気なのは嬉しいのですが作り置きのお団子がもうなくなってしまいそうです
キュキュあう…お客さん、まだまだいっぱい。キュキュ達、どうする…?
ハロルド予想通り、お困りのようね。
ミントハロルドさん…!
ハロルドこんなこともあろうかと秘密兵器を用意しておいたのよ!
キュキュ秘密兵器!?
ハロルドそ、ほら見て。私の最新作、超高速団子製造機よ!
ハロルドこの器に材料をセットしてボタンを押せば~…
ポンッ!
ハロルドはいっ!あっという間に、月見団子の出来上がり~!
キュキュほんと、一瞬!ハロルド、すごい!
シングでも、そのお団子食べたらまた前みたいに声が低くなるんじゃ…
ハロルド今回はちゃんとミントのレシピで作ってるわよ
ハロルド試しにひとつ……うん、美味しい!
シングよかった、これなら安心してお客さんに食べてもらえるね
シングじゃあ、この機械を使ってどんどんお団子を作ろうか!
ミントそれが、肝心の材料も今ハロルドさんが使ったのが最後の一袋で…
デューク…これを使え
ドサッ
シングデューク!?──って、これ団子の材料の粉だよね
ミントデュークさん、さっき材料の在庫が少ないのに気付いて、買ってきてくださったんですね!
キュキュデューク、優しい!キュキュ達、助かる!ありがと…!
シングよし、あと必要なのは果物だね。オレがまた森に行って採ってくるよ!
キュキュキュキュは、店残る。残りの団子、お客さん、売る!
ハロルドおもしろそうだし、私も手伝うとしますか
ミントみなさん…本当に、ありがとうございます
ミントお客さんにお団子を食べてもらうために、もう少しだけ、力を貸してください!
全員おー!

NameDialogue
Tales of ARISEの仲間達
オリエみなさん、こんにちは!テイルズ オブ アスタリアの案内役オリエです
オリエ実は先日…プロデューサーさんから「Tales of ARISEの魅力に迫れ」と指示がありまして…
オリエいろいろと準備を進めていった結果、な、何と!
オリエTales of ARISEのみなさんにお越しいただく事になりました!パチパチパチ!!
オリエでは早速、アルフェンさんから順番に自己紹介をお願いできますか?
アルフェンアルフェンだ、よろしく。俺達の事を知ってもらえるように今日はどんな質問にも答えるつもりだ
シオン…シオン。シオン・アイメリスよ。こういった場は慣れていないから、お手柔らかにお願いするわ
リンウェルええと、私、リンウェル!ちゃんと答えられるように、今日はがんばるね!
ロウ俺はロウだ。あんまり頭使う質問は勘弁してくれよな
キサラキサラだ。私もこういう事は不慣れだが、精一杯努めるのでよろしく頼む
テュオハリムお初にお目にかかる、テュオハリム・イルルケリスだ。お招きに与り光栄だ
オリエありがとうございます!それぞれの個性が伺える素敵な自己紹介でしたね♪
オリエ以上六名のみなさんと、Tales of ARISEの魅力にどーんと迫っていこうと思います!
ロウおい…おい、アルフェン
アルフェン…ん?小声でどうしたんだ?
ロウオリエさんって、何か、こう…いいな!
ロウ笑顔が可憐で優しそうだし、すごく話しやすい感じじゃねえ?それになんてったって美人だし
アルフェンあ、ああ…まあ言われてみればそうかな
リンウェル何コソコソ話してんの!まったくこれだから…
ロウいてててて…耳を引っ張るなって。なんでお前が怒るんだよ!?
リンウェル…天雷の裁き、サンダーブレード!
ロウうわぁっ!!危ねえ、何すんだよ!!
リンウェルべっつにー?座談会の開始演出にいいかなって思っただけ
テュオハリムうむ、確かに華を添えるのは大事だな
キサラテュオハリム、床を焦がすのを華とはいいません。リンウェルもほどほどしろ
リンウェルわ、分かってるけどさ…。シオンはいい訳?
シオン…どうして私に振るのかしら?
シオンそれよりオリエが困ってるわ。話を進めましょう
オリエふふっ、今のやり取りだけでもみなさんの仲のよさが伺い知れますね
オリエそれでは改めて、私から物語の内容を簡単にご紹介させていただきます
オリエ「隣り合う二つの世界、ダナとレナ」
オリエ「自然あふれる大地のダナは、 魔法や技術が発達したレナから 侵略を受け隷属を余儀なくされる」
オリエ「そんな時に、 ダナ人の奴隷であるアルフェンは わけありのレナ人シオンと出会い」
オリエ「ダナ解放の戦いへと 身を投じる事になる…」
オリエ…奴隷解放が目的なんですね。きっと、すごく大変な戦いなんでしょうね…
アルフェン勿論、簡単な戦いじゃない。だが、ダナ人が自由に生きるために俺は戦うと決めたんだ
オリエ熱いお言葉ですね。アルフェンさんの強い意志がひしひしと伝わってくるようです
オリエ私も僭越ながら、みなさんの戦いを応援したいと思います!
オリエそれでは次に、主な舞台であるダナについてお伺いします
オリエ「自然あふれる大地」とありましたがみなさんの印象はいかがですか?
テュオハリム私のいたメナンシアはまさに風光明媚な場所だ
リンウェル「緑に覆われし豊穣の国」って言うくらいだからね…。ちょっぴり複雑だけど
シオン初めて足を踏み入れた時は雄大で豊かな自然の美しさに目を奪われたわ
アルフェン風も気持ちいいし、他の国とは大違いだったな
オリエとても素敵な風景なんですね。私も行ってみたいです
アルフェン話しだけじゃ伝わらない部分もある。ダナの自然は実際にみてもらいたいな
シオンでも、どの土地も緑豊かというわけではないの
オリエでは、その他の国はどのような感じなんですか?
リンウェル私のいたシスロディアはどこもかしこも雪で覆われてて歩くのが大変なぐらい寒い国だよ
アルフェン逆にカラグリアはあちこちから炎が噴き上がる、岩だらけの土地なんだ
シオンあそこは野草一つ見つけるのも大変だったわね
オリエ国によって特色が異なるんですね。いつか、ダナをゆっくりと旅してみたいです
オリエ自然以外には、おすすめの場所などありますか?
テュオハリム各地に目を引く遺跡があるな。レナの侵攻の名残ではあるが
オリエそうなんですね!遺跡といえば、リンウェルさんがお詳しいと聞きましたが?
リンウェルうん…詳しいっていうか、興味があるだけだけどね。昔のダナの文化に
アルフェンそれでいえば、レナの技術にも目を見張るものがあるな
アルフェンシオンは銃を…何て言ったっけ、“虚空に沈めておける”から持ち歩かなくていいんだったよな
シオンレナでは普通の転送技術よ。そうやってあなた、出会った頃からレナの技術に興味を示していたわね
シオン敵であるはずのレナの技術を誉めるなんて、ずいぶん変わってると思ったものだわ
アルフェンキサラの盾もシオンの銃と同じで何もないところから現れるよな
キサラああ、私の盾も、同じ技術が組み込まれたレナ製だからな
キサラお蔭でダナ人の私でも操作するだけで自由に呼び出す事が出来る
オリエすごいです…!転送技術は本当に便利ですね!
オリエダナとレナの歴史や技術…ますます気になります!
オリエさて、ここまではダナのお話しを中心に伺ってきましたが…
オリエ今度はみなさんにフォーカスを当てて聞いていきたいと思います♪
オリエ『テイルズ オブ』シリーズ醍醐味の料理についてお伺い出来ますか?
ロウ一番料理が上手いって言や、やっぱりキサラだよな!
テュオハリムうむ、手際といい腕前といい、見事なものだ
リンウェル材料の魚も自分で釣っちゃうしね。そうそう、釣った魚はシオンが図鑑に記録してるんだよ
ロウまあ、図鑑と言っても、内容は味の話ばっかだけどな
シオン食べられるかどうかは死活問題だもの。当然の事をしているまでよ
リンウェル確かに旅に食事の確保は重要かも…。それに同じ魚でも料理によって合う合わないがあるし
ロウあーそう言われてみれば肉も種類によって味付けを変えるな。お前もたまにはいい事言うな
リンウェルたまにはってどういう事!?
キサラロウ…誉めるのも言い方次第だと教えただろう…
アルフェンキサラの腕前はもちろんだが、みんなそれぞれ個性があって、持ち回りで料理をするから飽きないな
シオンそうね。毎日いろいろな料理が出てくるから食べるのが楽しいわね
キサラ特にシオンは食べっぷりがいいからな。私としても作りがいがある
シオン…そ、そうかしら
オリエなるほど…料理はみなさんが交代で作られているんですね
オリエちなみに、アルフェンさんの料理の腕前はいかがですか?
アルフェンキサラほどじゃないが、それなりに自信はあるな
シオンえ…
リンウェルええと、それは…
ロウあ、でも、そういや前に食べたマーボーカレーはマジで美味かったな!
テュオハリムうむ、風味も辛さも絶妙、まさに絶品だった
アルフェンあの時の香辛料の配合は自分でも最高のさじ加減だったな
キサラこの香辛料の入れすぎさえなければ、料理自体は申し分ないのだがな…
オリエアルフェンさん渾身のマーボーカレー私も一度、食べてみたいです♪
オリエここまでお話しを伺ってきて、会話の端々からみなさんの過ごした時間の長さが感じられますね
オリエ風景や食事の話題に事欠かないのは、やはり旅を共にする時間が長いからでしょうか?
アルフェンそうだな。種族も立場も、育ちも全く違う六人だ。最初から仲がよかったわけじゃない
アルフェン多くの戦いを積み重ね困難を一緒に乗り越えてきたからこそ今の俺達があるんだ
アルフェンこれからどんな絆を結んでいくのか…この先に見る未来がどんな世界なのかぜひその目で見届けてほしい
オリエなるほど!そこは是非、みなさん自身の目で確認して欲しい…という事ですね
オリエ魅力的なダナの世界…それを守るため命をかけて戦うアルフェンさんたちのお姿…
オリエ築き上げてきた個性豊かな仲間との絆…とてもよく感じられました
オリエ…と、話は尽きませんがそろそろお時間のようです
オリエみなさん、本日はお忙しい中、ありがとうございました!
アルフェンこちらこそ、今日は俺達の事を知ってもらえるいい機会になったと思う。ありがとう
ロウまたいつでも呼んでくれよな
リンウェルもう終わりなんて早すぎるよ。まだ話していたいのに…
オリエはい、本当に。もっとお話していたいくらいで──
オリエん?何か、においませんか…?
オリエあっ!あっちから煙が!
シオン何なの?この煙…まさか火事?
キサラ何だと!?みんな姿勢を低くするんだ!
テュオハリム落ち着きたまえ。この刺激的な匂い…察するにアルフェン、君ではないかね?
アルフェン…そうだった!みんなで食べようと思って料理を用意していたんだ!
オリエアルフェンさんの料理…!ぜひいただいてみたいです!
キサラいや、率直に言って初めてでそれは少々難易度が高いと思うが…
オリエですが、マーボーカレーは絶品と伺いましたので…
リンウェルそ、それはまた次の機会にしよ?今回はほら、キサラが、そう、キサラが作るから!ね?
キサラやっと煙が引いたようだな…
キサラさて、気を取り直して。よければ魚を釣りに行かないか?それを料理しようと思うんだが…
シオンいいわね。この辺りの魚がどんなものか、味わってみたいわ
ロウよし、んじゃこれからみんなで釣りに行こうぜ!
オリエそうですね!みなさんともっと親睦を深めたいです!
アルフェンなら、俺の作った料理は釣りをしながら食べるとしよう
シオン…どうしたものかしら
テュオハリム無駄にするのも忍びないし、敢えて挑むも一興だが…まあ道中考えるとしよう
キサラよし、釣り竿は用意した。川辺に向かうとしよう
リンウェルほらほら、オリエさんも、早く、早くー!
オリエはーい、今行きます!
オリエあ、そうそう!
オリエアルフェンさんの料理は、プロデューサーさんが美味しくいただいたそうですよ!

NameDialogue
集めてホタテ・王・ランタン
メルディカボチャいっぱい、きれい!
メルディバイバ!風船、お化けが顔になってるな
???メルディさん?
メルディ??
メルディ──リチャード!
リチャードやあ。楽しんでくれているかい?
メルディはいな!カボチャや風船たくさんで見ててすごく楽しい!
リチャード喜んでもらえたなら嬉しいよ。企画した甲斐があったな
メルディワイール!このハロウィンパーティー、リチャードが企画したか?
リチャードああ。今年はウィンドル王国が主催でパーティーを開いていてね
リチャードモフモフ族のみんなにも協力してもらっているんだ
メルディ街が飾り、すごいよー!
リチャードはは。すごいのは飾りだけじゃないよ
メルディ??
リチャードモフモフ族達が主に担当しているのはパーティー内のイベントなんだ。かなり力を入れているみたいでね
リチャード今から視察もかねて参加する予定なんだけど、メルディさんも一緒にどうかな?
メルディイベントすごく楽しそう!メルディも参加する!
リチャードでは早速、受付を済ませに行こうか。案内するよ
メルディはいな!
ジェイようこそ、ハロウィンパーティーへ──あ、リチャードさん。街はどうでしたか?
リチャードかなりの賑わいだったよ。こちらは滞りないかい?
ジェイええ、順調ですよ。お二人もイベントに参加しますか?
メルディはいな!メルディ、リチャードと参加するよぅ
ジェイわかりました。イベント内容をご説明しますね
リチャードお願いするよ。実は僕も楽しみにしていて、詳細な内容までは聞いてないんだ
ジェイでは改めまして。お二人共、ハロウィンパーティーへようこそ
ジェイパーティーのメインイベント「ホタテ王を目指せ!」のご参加ありがとうございます
メルディホタテ王?変な名前~!
ジェイ街に隠されたホタテで作ったランタン「ホタテ・王・ランタン」を探し出すゲームです
ジェイ「ホタテ・王・ランタン」を見つけた数に応じて、豪華景品をお渡しさせていただきます
ジェイランタンは、各所のアトラクションをクリアしてもお渡ししますから挑戦してみるのもいいでしょう
ジェイランタンをたくさん集めて、ホタテ王を目指してくださいね
メルディワイール!おもしろそー!
リチャードランタンの中には参加賞としてハロウィンらしくお菓子も入れてあるよ
メルディお菓子!
ジェイ楽しみにしてもらって何よりです。モフモフ族のみんなも喜びますよ
ジェイでは、説明は以上ですので、お二人共ぜひ楽しんで来てくださ──
キュッポ・ピッポ・ポッポちょっと待つキュ!
ジェイキュッポ!ピッポとポッポまで…持ち場で何かあったの?
ポッポ違うキュ!ポッポ達はジェイにもパーティーを楽しんでもらいたいんだキュ!
キュッポそうだキュ!ジェイはキュッポ達のために、寝る間も惜しんで手伝ってくれたキュ
ピッポ受付は任せて、ジェイも遊んできてほしいキュ!
ジェイで、でも…
リチャード…じゃあ、こうしよう
リチャードジェイには僕の案内役という形で、ついて来てもらおう。仕事中という事なら問題ないだろう?
メルディいいな、それ!さすがリチャード!
キュッポジェイ。リチャードさんもこう言ってるキュ。気に病む必要ないキュ!
ジェイ…ありがとう。お言葉に甘えようかな
メルディよろしくな、ジェイ!
リチャードよし、行こうか
キュッポハッピーハロウィンキュ~!三人共、いってらっしゃいだキュ~♪
メルディここ、見つけた!
ジェイメルディさんすごいですね。また見つけたんですか
リチャードそんなところにもあったんだね
メルディランタン探すの、楽しいな!
リチャードそうだね。街を見て回りながらランタンを探して見付けたらお菓子も手に入る…
リチャード人を喜ばせようとするモフモフ族達のおもてなしの心は素晴らしいよ
リチャード協力してもらって本当によかった
ジェイそう言ってもらえて嬉しいです。みんなにも伝えておきますね
メルディジェイ、嬉しそう!
リチャードああ、ぜひ伝えてくれ。──ん?あれは…
リチャード宝箱?鍵がかかっているみたいだ。隣にあるのは…パズルかな?
ジェイこれは、ポッポが作った仕掛けですね
ジェイ説明書きを一緒に置いてあるので、読んでみてください
メルディえーっと…
メルディ「隣にあるパズルを解くキュ!」
メルディ「正解ならホタテ・王・ランタンを 大量ゲット出来るキュ!! レッツ!チャレンジ!キュ!」
リチャード…ふむ。これは15枚の板を上下左右に動かしながら並び替えて、絵を完成させる形のパズルだね
ジェイはい。ただ…かなり大きいので、協力する必要がありますね
メルディバイバ!みんなでやってみるよ!
メルディうん…しょっ!
ジェイあっ、メルディさん違いますよ。それを逆に動かすんです
メルディあ、こっちだったか
リチャード待ってくれ。その前にこっちを揃えないと上手く並ばないんじゃないかな?
ジェイという事は、戻さないといけないですね…もう腕が痛いですよ
リチャードこの手のパズルは1枚ずつ着実に揃えていくと楽だと思ったが…それだと動かす回数が増えてしまうね
リチャード無駄なく最短の手数で済むようじっくり考えてから動かした方がいいのかもしれない
ジェイまるで機械の設計のような思考力が求められる…なるほどポッポらしい仕掛けです
リチャードふう…よし、これで──
ガチャ
メルディワイール!宝箱、開いたな!
リチャード完成してよかった…こんなに苦戦する事になるとは…
ジェイ同感です…。やはり一筋縄ではいきませんでしたね
メルディけど、いっぱいもらえたな!大量♪大量♪
???もー!どうなってるの…
リチャードおや、あの声は…
マルタぜんっぜんわかんない…
メルディマルタ、悩んでるか?
マルタきゃあ!え、メルディ…?ジェイとリチャードさんも…
リチャードやあ。何か悩んでいるようだけど…そのカードと関係しているのかな
マルタうん…。どうしてもモフモフ族の里へのペアご招待券が欲しくて挑んでるんだけど…
ジェイさっきのように何かを解いたらランタンが貰えるようですね
リチャードマルタさんが悩む難問か…面白そうだね
マルタダメダメ!これは私とエミルとで行く招待券だから私一人で解かなくちゃ
リチャードではこうしよう。ランタンはマルタさんが取っていいから一緒に解かせてくれないか?
メルディメルディ、手伝うよぅ!
ジェイぼくも興味あります
マルタ…ありがとう。それなら一人じゃわかりそうにないし手伝ってもらおうかな
マルタ詩が表している言葉で回答欄を1文字ずつ埋めるとランタンの隠し場所がわかるらしいの
リチャード回答欄が縦横に重なっていて他の回答がヒントになるパズルのような問題だね
メルディどんな詩、書いてあるか?
リチャード確かめてみよう。「嗚呼、それは大海原に眠る 愛しきもの、キュ」…か
ジェイこれは…ピッポが作った詩でしょうね
マルタそれはわかったの。縦の1番、「ホタテ」よね
ジェイええ、おそらく間違いないでしょう
マルタ問題は、そのホタテと交わる問題。横の9番、解答欄が凄く長くて…
リチャード問題の詩は…「麗しき風の国の姫君。 その名は途切れる事なかれ、キュ」
リチャード風の国…ウィンドルの事かな。バロニアは「風いずる王都」と呼ばれる事があるからね
マルタそうなんだ。じゃあ、ウィンドルの姫君で長い名前といえば…
ジェイエステリーゼさん…でしょうか。途切れる事なかれとありますからフルネームとか
リチャードなるほど。エステリーゼ・シデス・ヒュラッセイン…文字数は合うかな?
マルタうん、ぴったり!ここがわかれば、あとは簡単ね!
マルタよし、出来た!浮かび上がったランタンの隠し場所は…「お化けが住む木の上」?
リチャードとすると、木の上に何かあるのかな?
マルタ…あっ!あの木の枝、お化けの風船が括られてるみたい!
ジェイ確かに、あれならお化けの住む木、と言えるかもしれませんね
マルタ私、行ってくる!
マルタやった!!あったよ!
メルディやったな、マルタ♪
リチャード力になれたみたいで、よかったよ
マルタみんなありがとう!これでエミルとラブラブ旅行に…きゃーーー♪
メルディきゃーーー♪♪
リチャードはは、元気だね
メルディリチャード、ジェイ!マルタも一緒に回ってもいいか?
マルタえっ!?ちょっと…
リチャードああ、僕は構わないよ
ジェイ謎解きは人数の多い方が、いろんな意見も出やすいですし解ける確率が上がりますからね
マルタさっきみたいな事になるかもしれないし…うん、一緒に行動させてもらうわ
マルタよろしくね!
メルディマルタも一緒♪嬉しいよぅ!
リチャードパーティーはみんなで楽しまないとね
おおおぉぉぉっ!
リチャードすごい歓声だね
ジェイ「戦士の試練」の方ですね。キュッポ考案の射的ゲームです。行ってみましょう
キュッポはわわわ!すごいキュ!あともうちょっとで満点だキュ!
エドナ少し静かになさいふー…
マルタこれは…射的?あそこにいるのエドナよね?すごい集中力…
リチャード彼女からまるで戦士のような覇気を感じるよ…
ジェイ…まあ、かなり難しく設定していますからね真剣になるのも仕方ないですが…
メルディすごいな!──はふ、は、は
メルディはっくしゅ!!
エドナ──っ!!
パヒュン!
エドナ
メルディあっ
キュッポあー!惜しかったキュ!最後外しちゃったキュ
エドナよくもやってくれたわね
マルタち、近付いてくるよ…!
エドナ…可愛らしい音を出してくれたのは、このお鼻かしら?
ぎゅーーーーー!
メルディきゃふ!ご、ごえんなぁ…!
エドナはぁ…全く。ここに来たって事は、あなた達も挑戦するんでしょう?
マルタえ、えぇ
エドナそれなら、こうしましょう。ランタンは要らないから中のお菓子をワタシによこしなさい
ジェイお菓子だけ…?ランタンは集めてないみたいですね
リチャードそのようだね。彼女には別の目的があるんだろう
マルタもしかして…私達のお菓子も全部って事!?
エドナ勿論よ。連帯責任でしょ?
リチャードこれは、やるしかなさそうだね
ジェイいいでしょう。持てなくなるぐらいのお菓子を、渡して差し上げましょう
エドナあら、言うじゃない。あなた達の実力がどの程度のものかこの目でしっかりと見させてもらうわ
メルディみんな、ごめんな…。メルディ、がんばるよぅ!
マルタ仕方ないね。ランタンは譲ってくれるみたいだし…やってやるんだから!
リチャードふぅ、なかなか難しかったね
マルタ全員で挑戦して、全弾命中はジェイだけだったね。他はみんな参加賞
ジェイ普段からキュッポの鍛錬に付き合ってますからね。相性がよかったんでしょう
メルディメルディ、一番ダメだったよぅ。エドナ、あんまりお菓子取れなくてごめんな
エドナまぁ、構わないわ。もらった中にパルミエはあったし…
メルディパルミエ…?それ好きか?
エドナ何でもないわ。とにかく、これで許してあげる
メルディありがとな~!
エドナワタシは次のお菓子を探しに行くからあなた達もランタン集め頑張りなさい
メルディはいな!
ピンポンパンポーン
ピッポみんな~!ホタテ・王・ランタン大量追加キュ!あちこちに隠してきたから探すキュ!
メルディお~!まだまだたくさん探せるな!
マルタ隠してあるのを探すだけなら別れて動いたほうが効率いいかな…ここからは別行動にしない?
メルディはいな!今からは競争!負けないよ!
リチャードジェイ、ここまで案内をありがとう。僕達は解散して、別々に探すけど君はどうする?
ジェイ…キュッポ達がせっかく送り出してくれたので、ぼくもランタン探しをする事にします
リチャードうん、それがいいね
マルタじゃあ健闘を祈るって事で!豪華景品は譲らないけどね!
メルディがんばろな!

NameDialogue
白熱!温泉卓球真剣勝負!
フレンそろそろカイウスも温泉から上がる頃かな
フレン風呂のタイミングを合わせていなかったから、入れ違いになってしまったけど…
フレン彼が来る前に卓球道具を借りられたから、ちょうどよかったな
エステルふふっ♪素敵なお土産が買えました
エステル早くみなさんにも見せてあげたいです
フレンエステリーゼ様、楽しそうですね。何かあったのですか?
エステルあ、フレン!いい時に会えました!
エステルこれを見てください。「リチャードまんじゅう」です!
フレンこれは…。ひとつひとつがリチャード陛下のお顔になっているんですね
エステルそうなんです。売店で見つけて、ついつい買っちゃいました
エステルただ、あまりにかわいらしいので食べてしまうのが少しもったいない気もしますね
フレン私は騎士として王の顔をかじるなんて戸惑います
エステルでも、フレンの分も買いましたからちゃんと食べてくださいね
フレンありがとうございます。傷む前には必ず食べきります
エステルふふ、お願いしますね…ところで、フレンはここで何をしてるんです?
フレン私はカイウスが来るのを待っているんです
フレンここには卓球場があるので温泉から出たら卓球をしようと約束をしていまして
エステルわぁ、いいですね!卓球は温泉の風物詩の一つだと本にも書いてありました
エステルフレン達がよければ、わたしも参加していいでしょうか?
フレンはい、ぜひ!人が多い方が盛り上がりますからカイウスもきっと喜びますよ
エステルありがとうございます!今からわくわくしますね
リカルドん?何やら盛り上がっているな
エステルあ、リカルド。見てください、リチャードのおまんじゅうですよ
リカルド王の顔になっているのか。大将の首を取ったようで面白いな
フレン不吉な感想はやめてください…
エステルリカルドは何をしていたんです?
リカルド庭園の散策に出ていた。なかなか風流だったぞ
エステルいいですね。フレン、わたし達も卓球の後で行ってみませんか?
フレンええ、ご一緒させてください
リカルドああ、おまえらは卓球をするのか
フレンよかったら、一緒にやりませんか?
エステルあ、いいですね!リカルド、どうです?
リカルドふむ…いいだろう
リカルド温泉で解れた身体を動かしたいと思ったんだが、散歩では物足りなくてな
リカルドおまえらが俺の相手になるといいが
フレン随分と腕に覚えがあるようですね
リカルドふん。俺のスマッシュの精度を甘く見ない事だな
フレンなるほど。狙撃手の腕の見せ所という事ですか
エステルとても強そうですね…!お手柔らかに、とは言いません。精一杯挑ませてもらいますね!
フレン(相手は凄腕の傭兵だ…。 あの自信は虚勢ではないだろう)
フレン(だがエステリーゼ様が 挑戦すると言うのなら…)
フレン私もエステリーゼ様と一緒にあなたに挑もうと思います
エステル一緒にですか?…あ!
エステル参加者が四人集まったから、2対2でも戦えるんですね
エステル一緒に頑張りましょう、フレン!
フレンエステリーゼ様は必ず私が勝利に導きます!
リカルドまあ、せいぜい全力でかかってくるといい
エステルあっ、でもわたし、フレンとも勝負してみたいです
リカルドふむ、何度か組み合わせを変えて対戦するか
フレンいいですね、そうしましょう
エステルとっても楽しみです!
カイウス悪い、遅くなっちまった!待たせたな、フレンさん!
カイウスってエステルとリカルドさんもいるって事は…もしかして、一緒に卓球やるのか!?
エステルはい、参加させていただきます!
リカルド俺もだ。手加減はせんからな
カイウスやった!大勢の方が楽しいもんな
フレンところでカイウス。そのミルク、大浴場前の売店で売っていた物かい?
カイウスそうそう!やっぱり温泉の醍醐味は風呂上がりのミルクだと思ってさ!
フレン僕も気になっていたんだ。他にもフルーツミルクというのがあっただろう?
カイウスあったあった。どっち買おうか悩んだよ
エステルフルーツミルク!美味しそうですね!
リカルドなら、俺が買ってこよう。ただし、二本だけだ
リカルド卓球で多く勝った上位二名が手に入れる
エステル面白そうですね!これは負けられません!
カイウスオレも、もう一本ぐらい欲しいと思ってたんだ。負けないぞ!
フレンそれなら僕もフルーツミルクを目指そうかな
???あんた達、何してるの?
エステルあ、ベルベット!
ベルベットこれは何の集まり?
カイウス今からみんなで温泉卓球をするんだ!
カイウスせっかく合流したんだし、勿論ベルベットもやるよな?勝てばフルーツミルクだぜ
ベルベット勿論って…。まあ、構わないわ
ベルベットのんびりするのもいいけど、卓球も温泉の醍醐味よね
カイウスじゃあ決まりだな!よし、早速卓球場に──
ベルベットカイウス、待ちなさい
カイウスえ?な、何だよ?
ベルベットあんた髪が濡れたままじゃない遊ぶのは、髪をちゃんと拭いてからよ
カイウスえ!?ほっとけば乾くって!
ベルベットダメよ
ベルベット夜は冷えるでしょ。そのままにしてたら風邪を引くわ
ベルベットほら、拭いてあげるからこっちへ来なさい
カイウスい、いいよ!自分で出来るって!
ベルベットだったらさっさとそうしなさい。まったく…
カイウス…よし、乾いた!
カイウス気を取り直して、今度こそ卓球場に行こうぜ
カイウス絶対にオレが勝ってやるからな!
エステルふふっ、わたしも負けませんよ!
リカルドまあ、ひとまず肩慣らしからだ
ベルベットとっとと始めましょ
フレン(こうして見ると、 一緒に来たメンバー全員が 集まったのか)
フレン(エステリーゼ様やみんなの 楽しい思い出になればいいな)
フレン…ん?
リカルドベルベット、なかなか気合が入っているようだな
ベルベットまあね。勝負事は本気でやってこそでしょ
ベルベットというかあんたこそ、随分と入念な準備運動じゃない
リカルドまあ、戦いの厳しさってやつを教えてやるとするさ
ベルベットふん、悪くないわね
ベルベットここの温泉は怪我にも効くらしいし、ちょっとくらい本気出しても…平気よね
フレンた…卓球の話だよね?
カイウス誰が掛かって来ようがオレは絶対に負けない!
フレンカイウスからも本気の闘争心を感じる…
エステルフレン。わたし…頑張ります!
フレンええ、がんばりましょう!
フレン(卓球とは言え、 戦場のつもりで挑まなくては いけないようだ)
フレンエステリーゼ様のためにもこの戦い、絶対に負けられない!

NameDialogue
願いよ届け!絵馬カルタ大会
コハク到着!うわぁ、たくさん人が来てるね!
シャーリィ「願いがかなう」神社と噂されているだけの事はありますね
コハクそうだね、早速わたし達も願いがかなう理由を探しに行こう!
シャーリィはい!でも、どこから探せばいいんでしょうか…
コハクうーん、案内とか出てるかな…
シャーリィあっ、あそこにいる人、もしかして神社の方じゃないですか?何かの催しの衣装に見えますが…
コハク本当だ。聞いてみよう!
コハクすみません、聞きたい事があるんですけど…
コハク…あれ!?
リッドん?あぁ、おまえらも来てたのか
コハクリッド!その格好、どうしたの?
リッドあー、これはだな…神社の催しの一つとして舞いをやってくれって頼まれてさ
リッド身のこなしが軽いから、きっと舞踏も上手いだろうって
コハクそれで舞手をやってるんだ?すごいね!
リッド…オレが止める間もなくファラが二つ返事で引き受けて、気付いた時には舞手になっちまってた
コハクあはは…。その光景、想像できるかも
シャーリィリッドさんが舞っているところ観てみたいです!
リッドはは…次の公演は夜だぜ
コハクやった!絶対行こうね、シャーリィ
シャーリィはい!楽しみですね!
リッド…ところで、さっきオレに何か聞こうとしてなかったか?
コハクあっ、そうだった。わたし達、願いがかなうっていう噂を聞いてここに来たんだけど…
コハク何をすればいいのか、わからなくて…詳しい事知らないかな?
リッドんー…。そういや、そんな話を聞いたような。何だっけな…
ミクリオ──それは「絵馬」と「カルタ大会」の事だね
リフィルふふ、知っている顔がずいぶんと集まっているわね
コハクミクリオにリフィル!二人も来てたんだ!
シャーリィ「絵馬」と「カルタ大会」…お二人はこの神社の事に詳しいんですか?
ミクリオああ、少しね。この神社では、毎年正月にカルタ大会が開かれるんだ
ミクリオ参拝客が絵馬に書いた願いを上の句と下の句に分けて、カルタの読み札と取り札にしてね
コハクへぇ~!
ミクリオそして大会で読まれた願いは成就するという言い伝えがある
シャーリィなるほど…。それが「願いがかなう神社」の噂の真相だったんですね!
ミクリオそういう事になるね。ちなみにこれが、そのカルタだ
コハク本当に誰かの願いが書かれてるんだね。えーっと「たくさんの古代遺跡を」…
ミクリオま、待った!読み上げる必要はないだろう…!
コハクえっ!?そんな必死に隠さなくても…あ、もしかしてそれって…
ミクリオ…お察しの通り。これは僕の願いなんだ
ミクリオ大会の手伝いで読み手をするから、記念にもらったんだよ
リッドへぇ、ミクリオも神社の手伝いしてんのか。誰かに頼まれたのか?
ミクリオいや、募集を見て立候補したんだ。絵馬をカルタにするという手法が興味深くてね
リフィルよくわかるわ。本来絵馬は、生馬を納めるという一部地域の風習だったそうだけど…
ミクリオこうして局地的に風習が変化するのは面白いよ。こういう事例は環境的要因の他にも…
リッド盛り上がってるところ悪ぃけど…ミクリオ、時間は大丈夫か?
ミクリオああ、もうそんな時間か。話は尽きないけれど、僕はそろそろ会場に戻らないと
リフィルあら、残念ね。また時間を見つけて話をしましょう
ミクリオぜひ、そうしよう。それじゃ、失礼するよ
リフィル…さて、私は絵馬を書きに行くところだったのだけれど、あなた達はどうするの?
コハクわたし達も絵馬を書きに行こうと思ってるよ
シャーリィはい、ぜひ書きたいです。もしよければ、リッドさんも一緒に行きませんか?
リッドそうだな。じゃ、みんなで書きに行こうぜ
コハク…書けた!みんなはどう?
シャーリィわたしも書き終わりました
リッドオレも書けてるぜ。ただ、リフィルが…
リフィルぶつぶつ…ぶつぶつ…
シャーリィ集中しているみたいですね。少し待ちましょうか
リッドそうだな
グゥゥゥゥ…
コハク今の音は…
リッド悪ぃ、オレの腹だ。参道の屋台で食い物買ってくりゃよかったな…
シャーリィあの、よかったらパンを食べますか?お兄ちゃんの作った新作なんですけど試食として配る用に持ち歩いてまして
リッドいいのか!?やったぜ!
シャーリィ後で感想を教えてくださいね。お兄ちゃん、今年はたくさん新作パンを作るって張り切ってて…
リフィル待たせてしまってごめんなさい
コハクううん、全然!えっと、書いた絵馬は係の人に声を掛ければいいのかな?
リフィルええ。それで、願い事を上の句と下の句にわけてカルタに書き写してくれるそうよ
リフィルそうして作られたカルタはすぐにカルタ大会の会場に行くとミクリオが話していたわ
シャーリィじゃあ、すぐに読まれるかもしれないんですね
リッド読まれたら願いがかなうって話だったよな。せっかくだしカルタ大会の会場に見に行こうぜ
コハク賛成~!
リッドよぉミクリオ、お疲れさん
ミクリオやあ、みんな来たんだね
男の子1──あっ!さっき踊ってたお兄さんだ!
男の子2お兄さんもカルタしようよ!いいでしょ?
リッドオレ?いや、こういうのは…
ミクリオ参加してみたらどうだい?この大会は参加自由だし、今なら一人くらい入れるよ
コハク人気者だね、リッド!参加してきなよ
リッド…そうだなよし、やってやるか!
ミクリオ決まりだね。そこの空いてる席に座るといい。では、始めるよ
リッドぜ、全然取れねぇ…!
シャーリィ苦戦してますね。反射神経はすごいのに…
リフィルそうね。でもこのカルタは反射神経だけに頼っていても勝てないでしょうね
リフィル上の句を予測し、下の句が読まれる前に反応出来ないとかなり厳しいと思うわ
リッド(そうなんだよな。 …仕方ねぇ、目の前の下の句から 上の句を予測してみるか)
リッド(まずはそこの札…。 「いろんなパンが作れますように」 …か)
リッド(そういやシャーリィが言ってたな。 セネルが新作のパンをたくさん 作ろうとしてるって…)
リッド(って事はそこの札は シャーリィの願いか? なら上の句は…)
ミクリオ次を読むよ。「お兄ちゃん」──
リッド──これだ!もらった!
パンッ!
リッドさあどうだ…?
ミクリオ残念、お手つきだね
リッドえ!?シャーリィの願いじゃないのか?
シャーリィえっと、リッドさんが取った下の句は確かにわたしの願いなんですが…
ミクリオ「お兄ちゃん」で始まる上の句はいくつかあるんだ
ミクリオ続けるよ。「お兄ちゃんが僕」──
男の子3──えーっと…これだ!「狩りに連れて行って くれますように」!
ミクリオうん、正解の札だ。願いは「お兄ちゃんが僕を早く狩りに 連れて行ってくれますように」
男の子3やったあ!ボクの願い、自分で取れたよ!
ミクリオおめでとう。自分で願いを掴み取ったようで縁起がいいね
リッド(うーん、予測は失敗か。 やっぱり下の句を読み始めてから 全力で取るしかないか)
ミクリオさて、次を読むよ。「今年こそは長年のたゆまぬ 努力の結果として」──
リッドここは我慢だ。最後まで聞くぞ…
ミクリオ「現在調査中の遺跡から多数の遺物を 発掘し、未解決の考古学研究に 新たな発見をもたらして」…
リッド(…長いな)
男性──取った!
リッドうわ!?
ミクリオ正解の札だね。時間の都合上、改めての読み上げは省略させてもらうよ
男性下の句もすげぇ長文だったからな。わかりやすかったぜ!
リッド今度は最後まで聞こうとしたのが仇になったか…
コハク…あれってもしかしてリフィルの願い?
リフィルええ。かなうかもしれないと聞いてつい…我を忘れて書いてしまったのよ
ミクリオさあ次を読むよ「今年も仲間」──
パンッ!
リッド──取った!これだろ!?当たりだよな、ミクリオ!
ミクリオああ。その取り札で正解だ
コハクすごい、一瞬で取っちゃったね!でも、どうして?
リッドずっと狙ってたんだ。…オレの願いだからな
ミクリオ(なるほど、これは彼の願いか。 「今年も仲間達と楽しく 平和に暮らせますように」…)
ミクリオ…ふふ、この願いはもうかなっているようだ
コハクやったね、リッド!この調子でバンバン取っちゃおう!
リフィルそうね。まだまだいいところ見せてもらわないと
シャーリィ頑張ってください、リッドさん!
リッドああ、ここから巻き返すぞ!

NameDialogue
熱気を帯びるダンスバトル!
リリス…ここでステップ、ステップ、それからターン!
リリス出来た!思い通りに動けると気持ちいいわ!ダンス始めてよかった♪
???おお、何という逸材!
リリスえっ?
マギルゥお主、ダンスを始めて何年じゃ?
リリスマギルゥさん!まだ、二週間くらいですけど…
マギルゥなんと!たった二週間でそれほどとは!
マギルゥお主とダンスとの出会いはもはや「運命」という言葉でしか言い表せまいて…!
リリス運命だなんて、そんな大袈裟なものじゃないですよ
リリスダンスが流行ってるって聞いたので、健康のためにいいかなと思って始めただけなんです
マギルゥなるほどなるほど…。生きるために身体がダンスを欲しておったと!
リリスそ、そういう言い方も出来るんでしょうか?
マギルゥそうじゃ。つまり天性の才能じゃな。お主のダンスには人を惹き付ける力がある!
マギルゥそこで、ものは相談なんじゃが儂の商売を手伝ってもらえんかの?
リリス商売…?私でお役に立てるなら…でも、本当に初心者ですけどいいんですか?
マギルゥよいよい。さっきと同じように人々を魅了するダンスを見せてくれればよいのじゃ
マギルゥというわけで決まりじゃな!では参るぞ。こっちじゃー
リリスこの広場でダンスをするんですか?
マギルゥそうじゃぞ。さて、他にも声を掛けた者達がおるのじゃが──
ロウお、戻ってきたな
アスベルもう一人手伝いを捜してくるって言ってたけどリリスに頼んだのか?
マギルゥうむ。お主らと共に手伝いをしてくれるぞ
リリス不束者ですが、よろしくお願いします!
ロウおう、よろしくな!
アスベルこちらこそ、よろしく頼む
アスベル…ところでマギルゥ。何をすればいいのかそろそろ教えてくれないか?
マギルゥそうじゃのー、人手も揃ったしな。儂がお主らに頼みたい事、それは…
マギルゥダンスバトルじゃ!
ロウダンスバトル…構わねえけど、それがどうお前の商売につながるんだ?
マギルゥなぁに細かい事は気にするでない。お主らはあくまで楽しくバトルしてくれればよい
マギルゥあとはこっちで上手い事やるからの♪
ロウふーん?よくわかんねえけど、まぁいいか。ダンスで勝負すりゃいいんだな?
アスベル詳細が気になるけど…。ひとまず、やってみるか
マギルゥ話しが早くて助かるわい。リリスはどうじゃ?
リリスダンスバトルが盛んなのは知ってたんですがやった事はなくて…最初は見学していてもいいですか?
マギルゥよいよい。誰にでも初めてはあるの~興が乗ったら参戦するがよいぞ
リリスはい!
マギルゥではアスベルにロウ。広場を沸かせてくるのじゃ!ミュージックスタート!
ロウよし、始めるか!どっちから踊る?
アスベル最初はロウに頼むよ
ロウ余裕だな。じゃあ遠慮なく行くぜ!
ロウふんっ、はっ!
アスベル上手いな!複雑な動きなのに安定している…体幹がよく鍛えられてるんだな
ロウっと…これで、決まり!
アスベル次は、俺の番だ。負けられない!
アスベルはッ!
ロウおっ、アスベルもやるじゃねぇか。あの動きはよっぽど鍛えてねぇと出来ねぇぜ
リリス二人共すごいです!私じゃまだ、あんな技は出せない…もっと練習しないと!
マギルゥ…いいや。確かに技術は高いがあの二人には足りぬものがある。お主を連れてきて正解じゃったわ
リリスえっ…?どういう事ですか…?
マギルゥ見よ、あの二人を…
ロウなあなあアスベル!さっきの技、どうやったんだ?
アスベルあれは普段やってる鍛錬の応用なんだ
アスベル腕と腹筋を鍛えるつもりで、こうして…
ロウなるほどな!それなら俺もお勧めの技があるぜ!脚の筋肉に効くんだ!
マギルゥこりゃー!いい加減にせんかー!
マギルゥお主ら、ダンスバトルは交互に技を競い合うものじゃぞ!
マギルゥバトル中に教えあってどうするんじゃ!
ロウあー…うっかりしてたぜ。悪い悪い
アスベル鍛錬になりそうなダンスを見るとつい盛り上がってしまって…ごめん
マギルゥ第一、観客を魅了するには燃え滾る闘争心のぶつかり合いが必要なんじゃ!
マギルゥ儂が手本を見せてやる!悔しかったらお主らの技で儂をギャフンと言わせてみい!
マギルゥよっ、はっ、とぉー!
ロウうっ、悔しいけど確かにすげぇ迫力…!
アスベル確かに引き込まれるものがあるな
街の男1おっ、何だ何だ?すげぇバトルやってるぞ!
街の女1カッコいい!私もあんな風に踊れるかしら
リリスわぁ!マギルゥさんが踊りだしたら広場のみんなが集まってきた…!
ロウよーし、なら今度は俺だ!はっ、とぅ!
街の男2あっちの兄ちゃんもすげぇぞ!あんな技初めて見たぜ!
アスベルよし、俺も!てや!
街の女2あの人の動き、洗練されていて素敵だわ!
リリスみんなすごい。すっかり注目の的…
マギルゥほれ、何をしておる。リリスも踊らんか
リリスわ、私ですか!?でもこんなすごいダンスについていけるかどうか…
アスベルそんな気にする事ないさ!
ロウそうそう。ダンスを楽しむ気持ちさえあれば十分だって!
リリスダンスを楽しむ気持ち…そうですね
リリスそれなら私も負けません!参加させていただきます!
マギルゥその意気じゃ。お主の思う様、踊り狂うがよい!
リリスこうかな?えいっ、やっ!
街の男3あのお姉ちゃんは楽しそうに踊るな。笑顔が輝いてるぜ
街の女3うふふ、こっちまで楽しくなっちゃうわね
マギルゥふっふっふ…思った通りこやつらのダンスにみんな夢中じゃな
マギルゥバトル終了じゃー!
街の男4なんて熱いバトルだったんだ…思わず魅入っちまった!
街の男5ヒュウウッ!お前ら四人共、サイコーだぜ!
リリスはあ、はあ…。すごい…いつの間にかこんなに沢山の人が見てたんだ…!
マギルゥうむ。今この広場の視線は儂らのもの。…頃合いじゃな
マギルゥさて!今のバトル、儂は負けを認めるぞ!この三人には完敗じゃあー!
マギルゥというわけで、勝者たる三人にはこのリストバンドを差し出さねばならんのう
アスベルリストバンド…?
マギルゥそう。儂らはこのカッコいい「勝者のリストバンド」を賭けてダンスバトルをしておったじゃろ?
マギルゥバトルに勝ってリストバンドをたくさん集めた者こそ真の強者の証じゃからの!!
ロウそ、そうだったのか…!?
アスベルいや、そんな話は聞いてないけど…
リリス私も初耳ですね…
マギルゥしっ!いいから話を合わせい!
街の男6あれほどの実力者が勝利の証として持ってるリストバンドか…俺も手に入れられるかな
街の女4やめときなさいよ。あんたじゃ、私にも勝てないわよ
街の男6何だと?じゃあリストバンドを賭けて勝負するか!?
街の女4無理よ。私もあんたもリストバンドを1つも持ってないでしょ
マギルゥそこの美人さんの言うとおーり!元手がなければ賭ける事は出来ぬ!しかしそれでは面白くない…
マギルゥ仕方ないのう。珍しい品じゃて、あまり気は進まんが儂が持っておる在庫を売ってやろう
街の男6本当か!?俺、買うよ!
街の女4私も!三つ買うわ!
マギルゥこれこれ慌てるでない。いくつでも売るが、実力以上の数を身に着ける事は推奨せんぞ
マギルゥリストバンドは勝利の勲章!たくさん買って虚勢を張ってもバトルをすれば実力はバレるからの
街の男6だったら俺は五つだ!そのぐらいの実力はあるぜ!
街の女4私より上を行こうっていうの?いいわ、早速、そのリストバンドを賭けて勝負よ!
リリスなるほど、これがマギルゥさんの言っていた商売なんですね…
ロウまあ、楽しくバトル出来たし、カッコいいリストバンドももらえたし深く考えない事にするか
アスベルうーん、ずるい気がするけど…
街の男7おいアンタ!さっきのバトル見てたぜ。リストバンドを賭けて俺と勝負だ!
アスベルえっ!?俺はそういうバトルは…ちょ、ちょっと待ってくれ!
マギルゥくくく…作戦大成功じゃ。しかしこれで終わりではないぞ…
マギルゥ次は儂がバトルで勝ちまくって、リストバンドを回収すれば、それがまた売れる…
マギルゥこの流行が続く限り、儂は無限に儲かり続けるのじゃ!
マギルゥくくく…あ~はっはっはっはっ!!

NameDialogue
任命!チョコアンバサダー
ロンドリーネよし、準備は完了ね。あとは販売会の開始を待つだけ──
ぐうううう~…
ティア…?何の音かしら
シオンご、ごめんなさい。チョコのいい香りがするものだから、ついお腹が…
ルーティ商品の陳列に試食の準備って、ずっとチョコに囲まれてるからね
ルーティそこで朗報!さっき聞いてきたんだけど、あたし達も一通り試食していいそうよ
ロンドリーネおっ、いいね~!これも「チョコアンバサダー」ならではの仕事って事かな
ティアお客さんに勧めるなら味を把握しておいた方がいいものね
ロンドリーネんじゃ、試食のチョコをもらって…お待ちかねのシオンから──
シオンもぐもぐ…これは…すごく美味しいわ。ほろ苦さと甘みの調和が最高ね
ロンドリーネ…って、もう食べてる!
ルーティそれじゃあ、あたしは一番高いチョコを…
ルーティすっごい!これは高くても売れるわ…
ロンドリーネん~、こっちのイチゴを使ったチョコも美味しい~!これはイチゴ好きに勧めないとね
ティアこのウサギ型のチョコ…。……かわいい♪食べるのがもったいないぐらい…
ルーティ…それ食べないの?なら、あたしが…
ティアあっ、待って…!もう少し眺めてから…いえ、すぐ食べるけど、その…
ルーティ…なるほど、味だけじゃなく鑑賞性も値打ちの一部ってわけね。動物型は売りやすそうだわ…
ティアえ、ええ。きっと人気が出ると思うわ
ロンドリーネ…あ、そろそろ販売会開始だよ!みんな、今日は頑張ろ~!
全員おー!
マリーこれがチョコレートの販売会か…
ルーティ来たわね、マリー。待ってたわよ!
マリー「売上に貢献しなさい」と言われたからな。今年はここで買い揃えるつもりだ
ルーティ助かるわ。ビターチョコがいいのよね
ルーティお勧めを集めておいたわよ!
マリーありがとう。…ところでルーティはどんなチョコを渡すんだ?
ルーティあたし?特に考えてないわよ
マリースタン達にはあげないのか?ルーティからのチョコを待ってると思うぞ
ルーティそんな事ないと思うけど…
ルーティ…ま、どうしてもって言うなら持ってってやりましょ
マリーああ、それがいい。きっと喜ぶだろう
アニスやっほー、ティア!
ティアあら、アニス。お気に入りのチョコは見つかったかしら?
アニスううん、まだ。どれにしようか迷ってて…お勧めはある?
ティアそうね、アニスなら…。こんなのはどうかしら
アニス……
アニス──全然駄目、子どもっぽい
ティアそうかしら?私はかわいいと思うのだけど…
アニスわかってないなぁ。お金持ちの殿方を射止めるんだから高級感のあるチョコがいいの!
アニスあ、でも…お値段は控えめでよろしく!
ティア高級感もあって安く…。難しいわね…
ルーティあら、それならいいアイデアがあるわよ?ちょっと待ってて
ルーティほら、こうすれば格安チョコでも高級品に見えて高く売れ──じゃなくて、喜んでもらえるわ
ティア何か本音が聞こえた気がするけど…ラッピングを工夫するだけでこんなに高級感が出るなんてすごいわ
アニスそのアイデア採用~!じゃあそのチョコとラッピングを二十セットもらおっかな
ルーティまいどありぃ~!
ティア二十セット…随分とたくさん買うのね
アニス数撃ちゃ当たるってね…
アニスたくさんの人に渡した方が玉の輿の確率が上がるでしょ?
アニスよーっし!待っててね、アニスの王子様~♡
ティアふふ、アニスらしいわね。健闘を祈るわ
アニスありがとう!ティアも頑張ってね!ばいば~い!
ティアアニスには断られてしまったけどこのチョコ、やっぱりかわいいわ…
ティアみんなへのお土産に買って帰ろうかしら…
シオンいらっしゃいま──…あら、キサラ
キサラチョコアンバサダーの調子はどうだ、シオン
シオン様子を見に来たの?そんなに心配しなくても大丈夫よ
キサラそれなら、何よりだ。せっかくだから、いくつかチョコを買いたいのだが…
シオン案内するわ。どういう味がいいの?
キサラそうだな…みんなに配りたいからクセのない食べやすいものがいいな
シオンなるほど…。それなら、この商品をお勧めするわ
キサラそうか、ありがとう。…ところで、シオンはみんなにチョコを配ったりしないのか?
キサラもし同じチョコを配るつもりだったら違う物を選んだ方がいいかと思ってな
シオン……考えもしなかったわ。でも、そうね…バレンタインってそういう日だし…
シオン何よりこの美味しいチョコをみんなにも食べてほしいわ
シオンただ……
キサラん?何か問題があるのか?
シオン…慣れていないのよ、そういうの。何を選んで、どうやって渡せばいいのか…
キサラふふ。ならば私が協力しよう。みんなが喜んでくれるよう、一緒に考えるぞ
シオンありがとう。お願いするわ
シオン…でも、これって逆じゃないかしら。チョコアンバサダーは私なのに…
キサラ細かい事は気にするな。さぁ、まずはチョコを決めよう
ロンドリーネ──あ。ディオくん、メルちゃん!
ディオロディ!すごいな、ここ!
メルこんなにたくさんのチョコ、初めて見ました…!
ロンドリーネそうでしょ、そうでしょ!甘いものからほろ苦いものまで、選び放題だよ!
メル味の種類もいっぱいあるんですね…あの、試食してもいいですか?一番美味しいのを選びたいなって
ロンドリーネ勿論!どれでも試食出来るから言ってね
ディオあんまり食べすぎるなよ。太るぞ
メルそ、そんなに食べないもん!
ロンドリーネディオくん~。繊細な乙女にそんな事言わないの
ディオうっ…。ご、ごめん
ロンドリーネわかればよろしい。メルちゃん、まずは私のお勧めを食べてみて!
メルはい!
メルこれも美味しい!どれも美味しすぎて悩んじゃいますね…
ディオなぁ、まだか?全部買うわけにはいかないんだしさ
メルそれはそうだけど…。うーん…ロディさんはどれが好きですか?
ロンドリーネそうだなぁ…私はやっぱりこのイチゴチョコ!イチゴの酸味とチョコの甘さが絶品なの!
メルわたしも果物とチョコの相性がすごくよくてこれ好きです!
メル…決めました。イチゴのチョコにします!自分用と、プレゼント用で
ロンドリーネはーい!お買い上げありがとうございます!
ディオ自分用も買うのかよ!オレのは!?
メルうふふ。じゃあ、ディオの分もお願いします
ロンドリーネ全部で3つね。はい、どうぞ
ディオありがとう。…それじゃあ、ロディせーの…
ディオ&メルハッピーバレンタイン!
ロンドリーネえっ!?私に…?
メルはい!いつもお世話になってますので!
ディオへへ、喜んでくれた?
ロンドリーネありがとう!すっごくうれしい!二人共、大好きだよー!
ぎゅうぅぅぅぅっ!!
ディオあいたたた!ロディ!力強い!あだだだだ!
メルあうー!もうちょっと緩めてください…!
ルーティふう、お疲れ様。大盛況だったわね
ティアええ。チョコを選んでいる間、みんな本当に楽しそうで…手伝えてよかったわ
ルーティそうね。あ、そうそう!会場が閉まった後であたし達も買い物していいそうよ
ルーティ特別割引もしてもらえるように交渉してあるから!
ティアみんなにお土産を買いたいと思っていたところなの。嬉しいわ
ロンドリーネ私もお礼のチョコを買って帰ろっと!かわいい事してくれたあの二人にすっごいチョコ贈らなくちゃ
シオンせっかくだから、私もたくさん買っておくわ。美味しいから買い置きしておきたいし
ロンドリーネあれ?さっきけっこう買い込んでなかった?
シオン…み、見てたのね。あれは、自分用じゃなくてお土産に買ったものなの
シオンただ、みんなの好みを知らずに選んだから……気に入ってもらえるといいんだけど
ロンドリーネ大丈夫。友達が選んでくれたチョコだもん喜んでくれるよ!
ティアええ。贈り物に大切なのは、気持ちだもの
シオンそうだと嬉しいわ。ありがとう
ルーティさあ、話がまとまったところでチョコを選びに行きましょ!特価商品は早い者勝ちよ!
ティアさすがルーティ…最初から最後までブレないわね…

NameDialogue
癒しのネコカフェにご招待!
ルルナァ~
エルルル…最近同じ時間に出かけるからこっそりついて来たけどどこまで行くんだろ…
ルルナァ?
エル…!うわ、ばれた!?
ルル…ナァ~
エルふぅ…もうちょっと離れてついて行こ
ガサガサ
エルぷはぁっ!こんな茂みを通って、いったいどこに──
エルあれ!?何ここー!ネコがいっぱいいるー!
ネコ1にゃー、にゃー
エルかわいい!ルルの友達かな?
???──さあみんな。日向ぼっこの時間だよ!
エルリンウェル!
リンウェルあれ、エル?いつの間に来てたの?入口…からじゃないよね?
リンウェル…あ、わかった!ルルと一緒に来たんだね!背中に葉っぱついてるし
エルうん、そこの茂みから来たよ。ねえ、ここのネコ達ってみんなリンウェルが飼ってるの?
リンウェルううん。私が飼ってるんじゃなくて一緒にお店のお手伝いしてるんだよ
エルお店…?
リンウェルそう。ここはネコカフェって言ってネコと遊べる喫茶店なんだ
エル何それ!おもしろい!
エルルル、こんなに楽しそうなとこに遊びに来てたんだ!
リンウェル遊びに…っていうか、ルルはね、お店が忙しい時にフラッと現れて手伝ってくれてるの
リンウェルお客さんと遊んでくれたり小さいネコの世話をしてくれたりとっても助かってるんだよ
エルそうなの!?ルル、すごーい!
ルルナァ~♪
エルあれ?ルル、何か持ってきてくれたの?
エル…メニュー?
リンウェルせっかく来たんだからゆっくりして行ってねって言いたいんじゃないかな
エルありがと、ルル。けど、エルあんまりお小遣いない…
リンウェルそんなの気にしないでよ。いつも手伝ってくれるルルの招待客からお金なんて取れないもん
リンウェル店長もルルには何かお返ししたいって言ってたし。私から話しておくね
エルホント!?
リンウェルうん!ほらほら、こっちの席に座って頼みたいもの選んでて。また後で聞きに来るね
エルはーい!
エルわぁ…パフェもケーキも、ネコの形だ!すっごくかわいい!
エルどれにしよ~
コレットいらっしゃいませ!お水持ってきたよ
エルコレット!コレットもここでお手伝いしてるの?
コレットうん。私と、リンウェルとライフィセットもいるよ
エルそうなんだ!
エルライフィセットも、コレットやリンウェルみたいにかわいい耳を着けてるの?
コレット着けてるよー
エルいいなー。エルもつけてみたい
コレットこれはお店の人用だから…あっ、でも、お客さんに貸し出す用のかわいいのもあったかも
エルあるの?
コレットうん。探してくるねー
エルやったー!
リンウェルお待たせ。店長には話してきたよ!何を頼むか決まった?
エルあっ、そうだった!どれもかわいくて、まだ決められない…
リンウェルわかる!かわいいよね~。ちなみに、見た目だけじゃなく味もとっても美味しいんだよ!
リンウェルお薦めは、このパフェかな。実は私が考えたんだ!
エルそうなの?すっごくおいしそう!じゃあ、このパフェとジュース!
リンウェルえへへ、ありがとう!素敵なコースターも付くから、そっちも楽しみにしてて
リンウェルそれじゃあ用意出来るまでゆっくりネコ達と遊んでてね
エルはーい!
ネコ2にゃあにゃあ
ネコ3みぃみぃ
エルみんなかわいいなぁ
ルル…ナァ~
エルルルもかわいいよ!
ルルナァ!
エルそういえば、みんなの名前はなんて言うんだろう?
ネコ3みぃ?
エルねえねえ、あなたの名前は?
ライフィセットその子は、ウメボシ。横の子はウマだよ
エルあ、ライフィセット!ウメボシと、ウマ?変わった名前
ライフィセットコレットが考えたんだ。独特の名前だけど、ネコ達は気に入ってるみたいだよ
エルそうなんだ。ウメボシ、ウマ、よろしくね
ウメボシみぃ♪
ウマにゃあ♪
ライフィセットはい、エル。ご注文のパフェとジュース持ってきたよ
エルやったー!
エルあ、このコースターリンウェルが言ってたやつ?ネコの肉球になってるー!
ライフィセット面白い絵柄だよね。そのコースター、すごく評判なんだ
ライフィセット何度も通って集めてるって人もいるぐらい!
エル持って帰っていいの!?おうちでも使おうっと
ライフィセット大事にしてくれたら嬉しいよ
ライフィセットあと、パフェに使われてるクリームは僕が作ったんだ。ゆっくり楽しんでね
エルはーい!いただきまーす!
エルおいしかった。ごちそうさま!
コレットエルー!あったよー!
エルコレット!そのかわいいやつ!?
コレットそだよ!早速、着替えてみて!
エルうん!
コレットわぁ!エル、すっごくかわいいよ~
ライフィセットうん!よく似合ってる!
リンウェル本当にかわいい~!ネコみたいに撫でたいぐらいだよ
エルえへへ…
ルルナァ~
エルルルもほめてくれてるのかな?
ルルナァ!
エルありがと!ネコ達ともっと仲よしになれそう!
ライフィセットふふ、きっと喜ぶよ。そうだ、これを使って遊んであげたらどうかな?
エルネコじゃらし!使ってみる!
エルライフィセットも一緒にネコと遊ぼ!
ライフィセットえっ、でも…
リンウェルこっちは大丈夫だよ。これもお仕事の内だからお店の事は任せて遊んできて!
ライフィセットありがとう、リンウェル
エルルルも行こっ!
ルルナァ~♪
コレットあはは、すっかり仲よしさんだねー
コレット二人が並んでいると何だかネコちゃんの兄妹みたい
リンウェル本当だね。心がほっこりするよ
リンウェル…って、和んでる場合じゃなかった。仕事に戻ろう、コレット!お客さんも来てる!
コレットホントだ!いらっしゃいませ!ネコカフェへようこそー!

NameDialogue
調査!謎のダナフクロウ遺跡
テュオハリムほう、これは見事な装飾だな。この苔むした柱…何とも言えぬ趣がある
アルフェン天井も高くて、すごい開放感だな。奥も…ずっと続いているみたいだ
キサラまさか、釣りをしていた湖の近くにこんな場所があるとはな
アルフェンテュオハリムが「遺物の声が聞こえる」と言うからついて来てみたが…
アルフェンまさか本当にあるとは思わなかった。聞こえるのは嘘じゃなかったんだな
キサラいや、声と言ってもアルフェンが言うのとは違うと思うが…
テュオハリムキサラの言うとおりだ。声と言うより、むしろ息吹のような感じだな
テュオハリム何となく、そこにあるような…そんな感覚、と言えば伝わるだろうか
キサラ遺物に好意的であるからこそ呼び寄せられる何かがあるのかもしれませんね
アルフェンそういうもの…なのか?
テュオハリムああ。君も遺物と真摯に向き合えばいつか分かるようになるだろう
キサラそれは…さすがに難しいと思います
アルフェンなあ、足元に転がっている石…鳥の形をしてないか?
キサラ鳥の石像か…。よく見れば、同じような物がそこら中に転がっているな
テュオハリムこれは、ダナフクロウを模した物か。この丁寧な造り…ダナフクロウへの敬愛を感じる
テュオハリム古代にはダナフクロウを守り神と崇め祀っていた地域があると聞く。ここは、その神殿だったのだろう
アルフェンへえ、見ただけで、そこまでわかるんだな
テュオハリム見るというよりは観察だ。この石像…裏にくぼみが見受けられるだろう?
テュオハリムこの形状から、おそらくどこかに設置して祀られていたのだと推測出来る
キサラ設置されていた…もしかして、あの段になっている場所ではないですか?
テュオハリム確かに、台座のように見えるしくぼみに合いそうな突起もある。試しに乗せてみるとしよう
ゴトッ
テュオハリム…ほう、ぴたりとはまるな
キサラどうやらあなたの推測は正しかったようですね
バサバサッ…!
フクロウ1ホゥ…、ホゥ…
アルフェン本物のフクロウ…?ここへ来る間、一羽もいなかったのに
フクロウ2ホロォ、ホロロォ…
キサラ一体どうしたんだ。次から次へとフクロウが集まってくる
テュオハリムこの遺跡の主達かもしれんな。勝手に入ってしまい、失礼した
アルフェンいや、敵意はなさそうだぞ。むしろ…俺達に感謝しているような気がしないか?
キサラ言われてみれば…。もしかしたら石像を台座に戻した事を喜んでいるのかもしれないな
アルフェンありえるな。だけど、どうしてこれほどまでに石像が散り散りになったんだ?
テュオハリムふむ…これも推測だがここは一度、遺跡荒らしにあっているのかもしれん
テュオハリムこの台座も、よく見ると宝石が埋め込まれていたような穴が残っている
キサラ金にならない石像は打ち捨てられたまま…というわけですね
アルフェン酷い事をする…
キサラきっとフクロウ達は神殿を元に戻したいと願っていたのだろうな
アルフェンならせめて石像を元の場所に戻そう!奪われた宝石を取り戻すのは難しくてもそのくらいは出来る
テュオハリム無論、そのつもりだ。少し骨が折れそうだが、力を合わせてやり遂げよう
キサラはい。フクロウ達のために出来る限りの事をしましょう
アルフェン任せてくれ。重労働なら慣れている
テュオハリム心強い。では早速作業に取りかかる事にしよう
テュオハリムこの石像の形と大きさからすると…この台座のサイズが合うな。これと、これは…、ここだな
アルフェンテュオハリム、集めてきた石像はどうしたらいい?
テュオハリムそこにまとめて置いてくれ。どうやら配置に法則性があるようなのでな
テュオハリム正しき形で戻せるよう考察を重ねた上で置いていきたい
アルフェンわかった。配置はテュオハリムに任せるよ
アルフェン…ふっ
テュオハリムどうしたんだ?
アルフェンああ、石像を台座に戻す度にフクロウ達が喜んでくれているようでなんだか嬉しくてな
キサラなるほど。私も同じだ。言葉が通じなくとも気持ちは通じるものだな──
キサラ…む!おい、アルフェン!手が血だらけじゃないか!?
アルフェンえ?本当だ、気付かなかった…
キサラ手当をするから、よく見せてみろ。全く、嬉しいのはわかるがあまり無茶はするな
キサラ今はシオンが一緒にいない。テュオハリム、お願いします
テュオハリム心得た
アルフェンすまない。痛みを感じないから、つい…な。気を付けるよ
テュオハリムさて…台座はまだ無数に残っているが…
キサラ石像が見あたらないですね。探せる範囲は一通り見て回ったのですが…
アルフェン崩れた壁の下敷きとかで、隠れているのかもしれないな
キサラこれまで以上の重労働になりそうだ。この辺りで一度休憩にしないか?ずっと動き回っているしな
アルフェンそれもそうだな。そう言われると、腹も減ってきた
キサラならば、湖で釣った魚を使おう。調理するから少し待っててくれ
キサラ待たせたな。出来たぞ
アルフェンおお、美味しそうな焼き魚だな
テュオハリムフクロウ達も香ばしい匂いにつられて寄ってきたようだ
キサラハハハ、せっかくたくさんある事だし、お前達もたんと食べるといい
フクロウ3ホゥ…、ホゥ…!
アルフェン…ふぅ、美味しかった。お蔭で力が湧いてきたよ
キサラそれならよかった。料理した甲斐があったというものだ
テュオハリムでは作業を再開するとしよう。今からは私も石像探しの方に参加して──
コッ…コッ…
アルフェン…!みんな、静かに。足音が聞こえる
キサラ何…!まさか、遺跡荒らしか…?
テュオハリムどうかな。痕跡を見るに、荒らされたのは数十年以上前だぞ
???あれぇ…?
アルフェンなっ…!
リンウェルみんな!すごい偶然!
フルルフルルー!?
アルフェンリンウェルとフルル!?どうしてここに…!
リンウェルここの近くを歩いていたらフルルが急に鳴き出して、こっちの方に行きたがってね
リンウェルそれで来てみたら遺跡があったから調べてみようと思って入って来たんだ
リンウェルそしたらみんながいたから、びっくりしたよ
キサラなるほど…フルルは、同じダナフクロウ達の気配を感じ取ったのかもしれないな
リンウェルダナフクロウ…?あっ、本当だ、たくさんいる!
フルルフルルー!
リンウェルそれに、あそこに並んでるのってダナフクロウの石像…?
テュオハリムああ。私達が遺跡を訪れた時はこの石像が散乱していてな
アルフェンどうやらフクロウ達にとっては大切な石像らしいから全て台座に戻してやりたいんだ
リンウェルそうだったんだ…確かにそれは放っておけないね!
リンウェル私も何か、手伝える事はあるかな?
キサラ実は、まだ台座は沢山残ってるんだが石像が足りないんだ
アルフェンここ一帯は探し尽くしたからな。他にどこを見て回ればいいのか…
フルルフールルー!
リンウェルあれっ、フルル?…そっか、上から探すんだね!
フルルフルル、フルルー!
リンウェル早速何か見つけたみたい。みんな、行ってみよう!
アルフェンよし、あったぞ!こんなところに空間が隠れていたとは
テュオハリム上から俯瞰的に探すのは有効な手だな
リンウェルすごいよ、フルル!これなら石像探しも捗りそうだね!
フルルフルルゥ!
キサラ頼もしい仲間も増えた事だ。もうひと踏ん張り頑張るとするか
アルフェンああ。この調子で、みんなで力を合わせて石像をたくさん集めよう!
一同おー!!

NameDialogue
わくわく♪イースター!
カノンノじゃあ、あとはエッグを隠せば準備完了だね
ウッドロウああ。街を挙げたイースターだ。皆がエッグハントを楽しめるようよい隠し場所を考えなければな
エリーゼ誰でも楽しめるように見つけやすい隠し場所を探したいです
ティポせっかく作ったエッグだもんねー。みんなに見てほしー!
ウッドロウならば、手がかりを作るというのはどうかな?
ウッドロウ敢えて違和感を残し、隠し場所に気付けるようにするんだ
ウッドロウあとは、見つけるのは簡単だが手にするのが難しい…というのも皆に見てもらう方法としては有効だろう
アリエッタあ…アリエッタのお友達に手伝ってもらうのは…?
アリエッタエッグを守るの、慣れてるし…見えていても簡単に手は出せない
カノンノそれって、エッグを取るためには戦わないといけないって事…?
アリエッタうん。大丈夫、手加減するようみんなにお願いする…
ティポそういう問題じゃないよー!
エリーゼち、力で守るのはなしにしましょう!
ウッドロウ発想自体は面白くてよかったよ。この調子で意見を出し合っていこう
カノンノそうですね!
カノンノとは言っても、ちゃんと隠せて探し出せる場所かぁ…
エリーゼ物陰…だけでは隠し場所が足りませんよね
ウッドロウ…それなら、見えているのに見えないという隠し方にしようか
エリーゼえ?どういう意味ですか…?
ウッドロウ実際に見せた方が早いだろう。例えばこの緑のエッグを草の上に置くと──
コトン…
エリーゼあっ…!見えなくなりました
カノンノなるほど!これなら、近くでよく見ないと気付けませんね!
アリエッタ…これ、知ってる。アリエッタのお友達もよくこうして隠れてる
ウッドロウああ。まさに魔物や動物が使う保護色の応用だよ
ウッドロウこれならば隠せる場所も無数にあるし気付きさえすれば誰でも見つけられるだろう
ティポウッドロウ君、あったまいー!
エリーゼとってもいいと思います!
エリーゼあ、でも…私のエッグはピンク色なので、同化させる場所がないかもしれません…
アリエッタ…本当だ。全部、ピンク色
カノンノピンク色、好きなんだね
ティポエリーは、プロピンキストだからねー!
アリエッタプロ…ピン…?
エリーゼえっと…ピンク色をこよなく愛するピンキスト…そのプロフェッショナルです!
ウッドロウなるほど。プロ意識を持つほどピンク色に情熱を注いでいるという事かな
エリーゼはい!
ティポこれだけは譲れなーい!
ウッドロウだとしたら、君には見えるはずだ。そのピンク色を最大限に活かせる隠し場所が
エリーゼ…!私…プロピンキストとして恥じないよう、工夫して隠します!!
アリエッタアリエッタも、工夫する。見つからないようにする方法、知ってるの、全部試す
カノンノそれじゃあ、みんなで工夫しながらどれだけエッグを隠せるか競争しようよ
カノンノ最後に余ったエッグは工夫を教え合って、みんなで隠そう!
ウッドロウ切磋琢磨するという事か。皆がどんな工夫をするのか楽しみだね
エリーゼだいたい隠し終わりましたね
ティポまだ残ってるけどこれ以上は無理ー
アリエッタアリエッタもたくさん隠した。でも…すぐ見つかっちゃいそう…森と違って、街は、難しい
カノンノ私は全部終わったよ!結構自信あるんだ!
ウッドロウふむ。かなりの数があったと思うが…どうやって隠したんだい?
カノンノふふ、今も見えるところにあるよ。よーく探してみて!
エリーゼ…?どこ…でしょう?
ウッドロウ…先ほどと何も変わりは──いや、あそこの一角…
ウッドロウあのような、ウサギの人形飾りは用意していなかったはずだ
カノンノさすがウッドロウさん!正解!
カノンノ私はエッグにウサ耳を付けてみたの
アリエッタかわいい…!
カノンノその子は自信作なの!色だけじゃなくて、形も変えちゃえば飾りと同化させられると思ったんだ
ウッドロウ見た目も賑やかで見つけた時の嬉しさが増すねどのような色でも隠しやすいのもいい
カノンノえへへ。ありがとう!
エリーゼあの、私にも作り方教えてください。ピンク色のウサギさん、作りたいです
アリエッタアリエッタも、残ってる分は動物のエッグにする
アリエッタそれと…お友達に似たエッグも作りたい
アリエッタみんなは街のイースターには参加出来ないけど…これなら、一緒にいるみたいだから
カノンノうん!それじゃあ、みんなでいろんな飾りのエッグを作ろう!
カノンノ何とか会場が開くまでに全部隠せたね
エリーゼもう、エッグハントに参加する人達が会場の近くに集まって来てます
ティポギリギリー!間に合ったー!
ウッドロウ予定より時間はかかったが、皆の工夫のお蔭で想像以上に楽しいイースターになりそうだ
エリーゼ後は、みんなにエッグを探してもらうだけですね…
ティポ見つかるのかなー。見つからないのかなー。緊張するー!
アリエッタすぐに見つかりたくない…だけど…ちゃんと見つかってほしい…
カノンノ見つかりにくそうなところは私達、案内役がちょっとだけ教えたりしてもいいんじゃない?
ウッドロウそうだな。大切なのは隠し通す事ではなく楽しんでもらう事だ
ウッドロウ案内役という立場ではあるが私達もイースターを存分に楽しむとしよう
カノンノはい!もう既に、楽しくて仕方ないです!
エリーゼでも…本番はこれからです
アリエッタうん…!精一杯…頑張る…!
ウッドロウさて、それではいよいよ──イースターの目玉、エッグハントの始まりだ!

NameDialogue
8周年記念インタビュー前編第1回
オリエこんにちは!今回は『オリエの先出し放送局』──ではなく!
オリエテイルズ オブ アスタリア8周年記念特別企画…
オリエ『オリエの突撃インタビュー!』をお送りします!
オリエ司会は勿論、私オリエが務めさせていただきます!
オリエそして、8周年記念特別企画を一緒に盛り上げるため駆けつけてくれた方をご紹介します!
オリエ一度寝たらなかなか起きない!?羊を引き寄せる長髪の剣士!
オリエスタン・エルロンさんでーす!
スタンこんにちはー!
オリエこんにちは、スタンさん!よろしくお願いします
スタンよろしくな、オリエ!
オリエ今回インタビューをするのは、スペシャル召喚に登場しているメインクエストの主人公の方々です
オリエ同じく主人公を務めたスタンさんと一緒にいろいろなお話を聞いていけたらと思っています♪
スタンどんな話が聞けるか、楽しみだな!
オリエはい♪司会としての腕の見せ所です!
オリエさて!それでは、一人目の方に登場していただきましょう!
オリエアスタリアはこの人の夢から始まった!?「星のカケラ」編、最初の主人公!
オリエクレス・アルベインさん!8周年を記念して作られた正装に身を包んでの登場です!
クレスこんにちは。二人共、今日はよろしく
オリエよろしくお願いします!
スタンよろしく!
オリエ早速ですが、「星のカケラ」編での活躍についてお伺いしていこうと思います
クレスわかったよ、うーん何から話そうか。あの旅ではいろいろあったからね…ダオスの事や…光の神殿や…
オリエそうですね…。沢山のお話をお伺いしたいところではあるのですが…
オリエまず、スタンさんからクレスさんにお聞きしたい事があるんですよね?
スタンああ、打ち合わせの時に話した事だな
スタン俺からっていうよりはルーティからの伝言って感じなんだけど…
クレスルーティか。「星のカケラ」編ではいろいろと助けてもらったよ
クレス僕とルーティとエステル…三人で旅をして、ダオスとも戦ったんだ
スタンそのダオスと戦った後に、ルーティが約束した事を果たしてもらってないって言うんだ
クレスあの後…?うーん…約束…
オリエその後って確か、クレスさんはすぐに光の神殿に行ったんですよね
クレスああ。…確かにあの時…何か…
スタンえっと、ルーティが言うには光の神殿から珍しいお宝を持って帰るって約束したって…
クレス…そうだった!
スタンごめん。俺もこんな事をここで伝えるのはどうかと思ったんだけどルーティが真剣な目をしてたから…
オリエちなみに、珍しいお宝と言える物はあったのでしょうか…?
クレスいや…それらしいものはなかったな。でも約束は約束だし、今度謝りに行くよ
スタンまあでも、元から宝がなかったならルーティは気にしないと思うよ
オリエでは、約束の件は解決という事で、次の質問にいきますね
オリエ旅が落ち着いてから、クレスさんはトーティス村の復興に尽力されていたそうですね
クレスそうなんだ。元通りってわけにはいかないけど随分賑わいが戻ってきたよ
オリエ実はそのトーティス村を取材したところ気になる噂を耳にしたのですが…
クレス噂…?
オリエずばり、一部でささやかれているミントさんとの熱愛の噂…真相はいかがなんですか!?
クレスなっ…えっ…ミ…えっ…?
オリエその慌て方…何かありますね!?
クレスいや、えっと…
スタンすごく仲いいもんな!
クレスえぇっ…!?あの、個人的な事だし、それに、まだそこまでは、その…
オリエ…はっ!し、失礼しました
オリエ最近、恋愛小説を読んでいたのでつい気になって、その…申し訳ありません
クレス大丈夫だから、そんなに気にしないでくれ
クレスこうやって改めて聞かれるとどう答えていいのかわからないんだ…
クレス今はノーコメントでもいいかな?
オリエはい…!野暮な事をお聞きしてしまって大変失礼いたしました
クレスいいんだ。少しでも8周年の盛り上げに貢献出来たならうれしいよ
オリエお気遣いいたみ入ります
オリエさて、そろそろお時間ですね。クレスさん、ありがとうございました
オリエ次回は別の方をお招きしてインタビューを行います!
スタン俺も引き続き一緒に盛り上げていくから楽しみにしててくれよな!
オリエそれではそろそろお時間です。『オリエの先出し放送局』お相手はオリエでした
スタン『オリエの突撃インタビュー!』…じゃなかったっけ?
オリエああっ、そうでした…!『オリエの突撃インタビュー!』次回もお楽しみに!

NameDialogue
8周年記念インタビュー後編第1回
オリエこんにちは!テイルズ オブ アスタリア8周年記念特別企画…
オリエ『オリエの突撃インタビュー!』新たにスペシャル召喚に登場するみなさんと一緒にお送りします!
オリエ司会は引き続き、私オリエが務めさせていただきます!
オリエそして、今回からはこの方が当企画を一緒に盛り上げてくださいます!
オリエ気弱に見えて芯は強い!愛ある弄りに耐え続ける涙目系の主人公!
オリエルカ・ミルダさんです!
ルカこんにちは。よろしくお願いします
オリエよろしくお願いします
ルカあの…オリエ。今の紹介…さりげなくオリエも弄ってる…よね?
オリエえっと…実はルカさんを紹介するならこうしてほしいとスパーダさんからいただきまして…
オリエそのまま読んでしまいました
ルカもう、スパーダったら…
オリエそれだけ愛されている…!という事ですよ、きっと♪
ルカそうだといいけど…
ルカごめん、ちょっと脱線しちゃったね。インタビューを始めよう
オリエそうですね。それでは早速、今回インタビューする方をご紹介しましょう
オリエクールな皮肉屋に見えてその内に秘めた情熱は凛々と輝く明星の如し!
オリエ「星のカケラ」編の主人公!ユーリ・ローウェルさんです!
ユーリどうも…と言いたいとこだがすげぇ紹介だな。オレはそんな熱い男じゃねぇぞ
オリエそうでしょうか。これまでのご活躍を考えましても熱い正義感をお持ちだと思いますが…
ユーリ別にそんなんじゃねぇって…。ほら、インタビューすんだろ
ユーリんで、何が聞きたいんだ?
オリエはい、では進めていきますね
オリエ質問ですが「星のカケラ」編での活躍とその後についてお聞きします
オリエユーリさんは当初、ウィンドルの騎士でしたが事件の中で辞職されましたよね
ユーリああ。あの時の国の方針についていけなくなっちまったんでな
ルカでも、国の方針ってその後変わったよね
ルカ戻ったりしないの?
ユーリ経緯はどうあれ、国王に啖呵切って辞めた奴を復職させる騎士団なんてねぇだろ
ユーリそれに今の気ままな生活が性に合ってるからな
オリエ今回、インタビューでお聞きしたかった事は、まさにその「今の生活」についてです
オリエ気ままな生活と仰いましたが具体的にはどのような事をして過ごされているのですか?
ユーリ別に大した事はしてねぇよ。たまに荒事がありゃ呼ばれたり用心棒を頼まれたりするぐらいだな
ユーリ後はカフェの手伝いやら、奇術団の手伝いやら、いろいろだ
ルカアヴァロン島では調査隊として僕達を助けてくれたよね。あの時はありがとう
ユーリオレは何もしてねぇよ。問題解決の役に立ったのはラピードだしな
オリエ謙遜なさってますけど…ルカさん、その時って相当な大冒険だったんですよね?
ルカうん。話すと長くなるけど、砂漠に異空間といろいろ大変だったよ…
オリエそれを涼しい顔で何もしてないと言えるなんて…
オリエ普段ユーリさんが頼まれているという事も、実は大変な事ばかりなのでは…
ユーリおいおい、勝手な想像すんなって。調査隊の任務みたいな事がそうそうあるかよ
ユーリ暴れてる酔っ払いを取り押さえたり、コソ泥を捕まえたり、そんな他愛のない事ばっかだぜ
ルカそれも…他愛なくはない気が
オリエ感覚マヒしてませんか?
ユーリ…言われてみれば、そうかも知れねぇな
ルカそういえば、気ままな生活って言ってたけど…
ルカそんなに頼まれ事をしてたら忙しいんじゃないの?
ユーリ別に毎日何かあるわけじゃねぇが、頼み事されたら、それをやる。気に食わなかったら断る
ユーリそれも十分、気ままだと思うぜ
ルカなるほど…。確かにそうかも
オリエユーリさんの普段の生活の事、よくわかったような気がします
ユーリこんな話でよかったのか?
オリエはい。こういった裏話をお聞きするのがこの企画の醍醐味ですから
ユーリまぁ役に立ったんならいいけどな
オリエさて、そろそろお時間です。ユーリさん、ありがとうございました
ルカありがとうございました
ユーリああ
オリエ次回も別の方をお招きしてインタビューを行います
オリエ『オリエの突撃インタビュー!』次回もお楽しみに!

NameDialogue
楽しもう!雨の日コーデ♪
ソフィお花の種、たくさん買えた
コハク街まで来てよかったね
ソフィうん。コハクは、ほしいもの買えた?
コハクうん!ミソにミソ漬けの食材!あとは…
ソフィあとは…?
コハク特に決めてないんだけど他にもお店を見て回ろうよ!まずは、あそこの…
ソフィあっ…
コハクどうかした?
ソフィ雨…
コハクえ?…本当だ!
コハクひとまず、雨宿り出来る場所に移動しよう!
コハクまさかこんな急に天気が変わるなんて…
ソフィ雨、止みそうにないね
コハクそうだね。濡れて帰るしかないのかなぁ…
ソフィねえ、コハク。このお店、いろんなものが置いてあるよ
コハク雑貨屋さん…雨具も売ってるかもしれないね。入ってみよう!
カランカラン
店主いらっしゃいませ。ごゆっくりどうぞ
コハク食器から小物…雨具も売ってるね
ソフィあっちに気になるものがあるから、見てきていい?
コハク勿論!雨具を買うのだけ、忘れないようにね!
ソフィわかった。行ってくる
コハクこの食器、手作りなのかな…どれも凝ってるなぁ
カランカラン
エミルふぅ…やっと着いた
ルドガーここならきっと、雨具を売ってるはずだよ
コハクあれ…?エミルにルドガー!二人も雨具を買いに来たの?
エミルコハクさん!二人もって事は、もしかしてコハクさんも?
コハクそうなの。出かける時は晴れてたから、雨が降るなんて思わなかったよ
ルドガー俺達もだよ…雨が止む気配もないしな
コハクそれにしても、珍しい組み合わせだね。二人で買い物?
ルドガーいや、さっき偶然会ったんだ
エミル僕はマルタと約束してて、まだ時間があるから街を見てたんだよ
ルドガー俺は買い出しだ。エミルに会って話してたら急に雨が降りだして驚いたよ
コハクわたし達と同じだねせっかく楽しく買い物してたのに困っちゃった
ソフィ見て、コハク。傘と合羽、選んできたよ
コハクわぁ、かわいい!ソフィにとても似合ってるよ!
ソフィあれ?エミルとルドガー
ルドガーやあ、久しぶり
エミルソフィと一緒だったんだね
コハクそうなの。一緒に買い物してるんだ
コハクエミルとルドガーも雨具を買いに来たんだって
ソフィそうなんだ。他にも種類、たくさんあったよ。どれもかわいかった
コハクホント!?わたしも見てくるね!
ソフィエミルとルドガーの合羽は、わたしが選んであげるね
エミルえっ
ルドガーあ、いや、ソフィ。俺達は自分で──
エミル…行っちゃった
ルドガー待つとするか
ソフィ選んできたよ。黒がエミルで、白がルドガー
エミル…は、早かったね。これを着ればいいの?
ソフィうん
ルドガー耳とか尻尾とか、合羽には必要ないものが見える気がするけど…
ルドガーソフィのあのわくわくした顔を見たら着ないわけにはいかないか…
エミルそう、だね
エミルえっと…何て言えばいいのかな…
ルドガー選んでくれたのは嬉しいんだけど、俺達にはかわいすぎないか…?
ソフィそうかな?
コハクただいまー!って、二人共早いね。もう選んでたんだ
ルドガーおかえり。俺達のはソフィが選んでくれたんだ
エミルど、どうかな…
コハクん~…
コハクうん!二人共すごく似合ってるよ!
エミルほ、ほんとに?子どもっぽすぎたりしない…?
コハクそんな事ないよ、大丈夫!さすがソフィだね
ソフィ…二人は気に入ってない?
エミルそ、そんな事ないよ!選んでくれてありがとう、ソフィね、ルドガー!
ルドガーああ。二人からお墨付きをもらったんだ。間違いないよ…きっと
ルドガーそれに、これを着て帰ったらエルが喜びそうだ
ソフィよかった。そうなら嬉しいな
ソフィコハクの合羽もお花がたくさんで、かわいい
コハクありがとう!
ルドガーその傘は、もしかして合羽とお揃い?
コハクそうだよ。合羽だけでいいかと思ったんだけどつい気になっちゃって
ルドガーエミル、マルタも雨具を持っていないかもしれないから傘を買っていったらどうだ?
エミル…!そうだね、そうするよ
エミルでも、好みとかわからないから…ソフィ、選ぶの手伝ってもらってもいいかな?
ソフィうん、いいよ。マルタに似合う傘、一緒に選ぼう
コハク憂鬱に感じる雨の日のお出かけもこの傘と合羽があれば、楽しく過ごせそうだね
ルドガーああ、そうだな
ルドガー…そういえばエミル。予定の時間、大丈夫か?
エミル…えっ!?本当だ、もうこんな時間!
ソフィエミル。はいこれ、マルタの傘
エミル早っ…!ありがとう、ソフィ!
エミルすみません、お会計をお願いします!
コハク他にほしいものがなかったら、わたし達も支払いすませちゃおっか
ソフィうん、大丈夫
店主お買い上げ、ありがとうございます
エミルみんな今日はありがとう。約束の時間にも間に合いそうだし、いいお土産も出来たよ
ルドガーああ、俺も。それに、エルとルルに買ったお土産もこれなら濡れずにすみそうだ
ルドガー俺達はもう行くけど、二人はまだ買い物を続けるのか?
コハクこのお店はひと通り見てほしいものも買ったからそろそろ次のお店に行こうか
ソフィ見に行きたいお店、まだまだたくさんあるね
コハクそうだね
コハク傘と合羽のお蔭で雨に濡れる心配もなくなったし行きたいところ全部行こう!
コハク雨の日だって、楽しんで過ごそう!
ソフィうん!
ルドガーはは、元気いっぱいだな
コハクエミルとルドガーも楽しんでね!
ルドガーありがとう。二人のお蔭で楽しく過ごせそうだ
エミルコハク、ソフィありがとう!
コハクそれじゃあ、またね!

NameDialogue
緊急!看板メニュー考案会!
レイヴンお待たせ~。おっさん特製クレープ、どうぞ召し上がれ
ミントありがとうございます。甘い、いい香りがしますね
シャーリィはい!それに、見た目もとてもかわいいです
シャーリィ崩すのがもったいないですね…でも、いただきます!
シャーリィ…美味しい!
ミント中に入っている果物は、イチゴ…でしょうか?
レイヴン正解!卸してもらったばかりの新鮮なイチゴを使ってるのよ
シャーリィイチゴの酸味が、クリームの甘さをより引き立てています…!
ミント本当ですね。とても美味しいです
レイヴン喜んでもらえて、おっさん嬉しい!
レイヴンミントちゃん達が来るってアーチェちゃんに聞いた時から試行錯誤した甲斐があったわ
シャーリィそうだったんですね。ありがとうございます
ミントそういえば、アーチェさんの姿が見えないようですが…
レイヴンアーチェちゃんなら、店長と買い出しに出てるけどもう少しで戻るはず…
ガチャ
レイヴンおっ、噂をすれば…
アーチェ…やっっと着いた!ただいま…
ドサッ
レイヴンおかえ──って、どうしたのそれ
シャーリィすごい量の食材ですね…。パーティーか何かあるんですか?
レイヴンいや~、そんな話は聞いてないけど…大口の注文でも入ったわけ?
アーチェそれがさぁ…聞いてくれる?
レイヴン…何か訳ありのようね。この大量の荷物を片付けながら聞きましょ
レイヴンなるほどねぇ。店長いわく、この店の看板メニューが作りたい
レイヴンんで、そのメニュー開発のためにあらゆる食材を買って持って帰らされたと…
アーチェそう!!
アーチェ足りない食材を買うからってついて行ったはずなのに、こんな重いもの持って帰らされるなんて…
ミントよく見ると、食材以外にお菓子やパンも混ざっていますね
シャーリィ本当ですね。あっ、プリンパンも入ってる
アーチェ何が参考になるかわからないからって片っ端から買ってたからね~
レイヴン話はわかったけど、肝心の店長はどこに行ったのよ
アーチェそれがさぁ…。偵察も兼ねて、他店を研究するんだ!って行っちゃってさ
レイヴンだから一人で持って帰ってきたわけね。そりゃ、ご苦労さんだわ…
アーチェホント自由なんだから!
アーチェまぁ、看板メニューがほしいって気持ちわからなくもないんだよね~
アーチェメニューは豊富にあるんだけど、何かこう…これ!ってものがないよね
レイヴンそうねぇ。今以上にお客さんを集めたいなら、何かひと工夫必要そうね
レイヴンただまぁ、看板メニューとだけ言われても、ざっくりとしすぎててどうしたもんか…
アーチェそうなんだよね…
シャーリィお店を経営するって大変なんですね
ミントそのようですね。考える事がたくさんありそうです
アーチェねぇ、ミント、シャーリィ。食べてる間だけでいいんだけど…二人の意見ももらっていい?
ミントはい、勿論です
シャーリィはい!
レイヴン二人共、あんがとね。飲み物サービスしとくわ
アーチェよーし、それじゃ始めよっか!
レイヴンおっさんも、接客がひと段落したら合流するねぇ
ガチャ
レイヴンいらっしゃいませ~
アルヴィンよっ
レイヴンアルヴィンじゃない。ここに来るなんて、珍しいわね
アルヴィン今日の仕事は頭も身体もよく使ったからな
レイヴンそれは、おつかれさん。注文は?
アルヴィンレイヴンのおすすめで頼むぜ
レイヴンはいよ。そっちの席で待っててちょうだい
レイヴンはい、おまちどー。今日のおすすめはクレープよ
アルヴィンサンキュ
アルヴィンなぁ。さっきから気になってたんだがあっちの三人は何を悩んでんだ?
レイヴンこの店の看板メニューになるようなデザートを考えてるのよ
アルヴィン看板メニューねぇ。そりゃ、大変そうだ
レイヴンあ、アルヴィンも参加してくんない?知恵は多ければ多いだけ、助かるしね
アルヴィン参考になるかわかんないぜ?それでもいいならいいけどな
アーチェクレープ、ケーキ、パフェ…
シャーリィカフェの定番メニューはひと通り揃っていますよね
アーチェ看板メニューって言うぐらいだから定番じゃない方がいいのかなぁ?
ミントそうとは限らないと思いますよ。見た目を工夫してみてはどうでしょうか
シャーリィ見た目…あ!
ミント今日、レイヴンさんにクレープを作っていただいたんですが、見た目がとてもかわいらしかったんです
ミント目で楽しめるメニューを看板商品として置くのもよいのではないでしょうか
シャーリィこのお店だけのオリジナルデザイン…。いいですね!
アーチェ見た目かぁ。それいいかも!
レイヴンお三方、お待たせ。捗ってる?助っ人、連れて来たわよ
アーチェ助っ人…?って、アルヴィン!来てたんだ、いらっしゃい!
アルヴィンよっ。何やら大変そうな事やってるみたいだな
アーチェそうなんだよねぇアルヴィンも手伝ってくれる?
アルヴィンああ。役に立つかはわかんないけどな
レイヴンそれで、今はどんな感じ?
アーチェえっと、見た目で特別感を出してみようって話してたとこ
レイヴンなるほど。そういう方向性も確かにありね
アーチェでもせっかくなら味にもこだわりたいよね
ミントでしたら、アーチェさんが得意なフルーツポンチに入れる果物を季節に合わせたものにして
ミントそれをこの店オリジナルの盛り付けで華やかにする…というのはどうでしょうか
アーチェいいね、それ!
シャーリィあとは…フルーツパンとかどうでしょう
シャーリィ果物の形をしたパン…と思いきや、中に丸ごと果物が入っているんです!
レイヴン随分と、斬新なアイデアね…
アーチェでも、おもしろそう!話題になってみんなが来てくれるかも!
アーチェアルヴィンはどんなのがいいと思う?
アーチェ新しいものじゃなくても、好きなデザートとかあれば教えてよ!
アルヴィン好きなデザート、か…
アルヴィン…そうだな。一つ挙げるとしたらピーチパイ、かな
アルヴィン小さい頃、腹を壊すまで食べた事があってさ
アーチェへぇ、よっぽど好きなんだね
レイヴンお、ピーチパイなら、飾り付けし甲斐がありそうじゃない
アーチェ何となく意見は揃ったかな。あとは作ってみて…って感じだね
アーチェあたしとレイヴンで試作品を何個か作ってみるから味見をお願いしていい?
シャーリィわたしでよければ、ぜひお手伝いさせてください
アーチェミントの好きなりんごも入れるから楽しみにしててね♪
ミントふふ、ありがとうございます。私も微力ながら、お手伝いさせていただきますね
アルヴィン食材が足りなくなったら声かけてくれ
アルヴィン市場に詳しい知り合いがいるからな。新鮮な果物や、食材を卸せないか聞いてみるぜ
レイヴンみんな、あんがとね。助かるわ
アーチェそれじゃ、看板メニュー目指して──
全員おーっ!
レイヴンあれ、そういえばアーチェちゃんの料理の腕前って…デザートなら大丈夫…だっけ?
レイヴン…まあ、何はともあれやるとしますか

NameDialogue
迷える教会に救いの手を!
アーリアはぁ…困ったわ
アーリア何かいい案が思い浮かべばいいのだけど…
ナタリアあら、暗い顔をして、どうしましたの、アーリア?
アーリアおはよう、ナタリア。その、少し考え事をしていて
ナタリア私でよろしければ、相談に乗りましてよ
アーリアありがとう。誰かの意見も聞いてみたかったの。助かるわ
アーリアナタリアは、この近くに古い教会があるのを知っているかしら?
ナタリアええ、歴史ある聖堂があって素敵な教会ですわね
アーリア実は、その教会に訪れる人がほとんどいなくて、財政的にとても困っているのよ
ナタリアそういえば、あまり人が出入りしているところを見た事がありませんわ
ナタリア礼拝や巡礼に訪れる人がいないと、建物を維持するだけの寄付金も集まりませんものね…
アーリアわたし、あの教会の司祭様とシスターにお世話になった事があるの
アーリアだから、少しでも力になりたくて人を呼ぶための催しを開く案を、いくつか考えてみたのだけど…
ナタリアその様子だと、反応が、あまりよくなかったようですわね
ナタリアどのような案を出したのか、聞いてもよろしいかしら?
アーリアええ、音楽家を招いての演奏会や、合唱の発表が教会の雰囲気に合うんじゃないかって
アーリアその他には…ウェディングの催しなども、考えてみたのだけれど…
サラそれいいですよ!教会でのウェディング、すっごくいいと思います!
カノンノいま街の人達の間で、古い教会で結婚式を挙げるのが流行ってるんだって!
ナタリアあなた達…盗み聞きは感心しませんわよ?
サラあ、ごめんなさい!二人が真剣に話してるから気になっちゃって…
カノンノよかったら私達にも話を聞かせてほしいな
ナタリア…確かに街で流行っているのなら、集客は見込めそうですわね
ナタリア司祭様にウェディングが流行っている事を伝えても、説得は難しそうですの?
アーリア…難しいと思うわ。わたしが提案した時も、ドレスを用意出来ないと断られたの
アーリア他の案もそうなのだけど、やりたくても今は教会を維持するだけで精一杯だと…
カノンノそっか、残念…。せっかく人が集まりそうな案なのにね
サラ私達で何とか出来ないかな…
ナタリア…一つ、いい案が浮かびましたわ
アーリアほ、本当に!?
ナタリアええ、皆さんにもお手伝してもらいますけれどよろしいかしら?
アーリア勿論、手伝うわ!
サラ私も、力になれるなら何でも言ってください!
カノンノわたしも手伝うよ!それに何だか楽しそう!どうするの?
ナタリアありがとう。それでは、まずは──
サラ見て!このドレス、すっごく綺麗!
カノンノまるで絵の中からそのまま出てきたみたい!
ナタリア皆さん、とても似合ってますわ
アーリア司祭様、シスター。えっと…どうでしょう?
シスターとっても素敵よ、アーリア
司祭おぉ…年甲斐もなく、思わず見とれてしまいました
ナタリアあと何着か揃える事が出来ますわ
サラ司祭様。教会でのウェディングの催し、思いきってやってみませんか?
司祭その、お気持ちは嬉しいのですが、私共にはお返し出来るものが何も…
アーリア心配には及びません。ねえ、ナタリア
ナタリアええ。実は私の知り合いにウェディングプランナーをなさってる方がいるんですの
カノンノその人、ウェディングイベントを開きたいんだけど、いい会場が見つからなくて困ってたんだって
アーリアなので、この教会を会場として、提供するのはいかがでしょうか?
ナタリア場所を貸していただければ、ドレスを含め、催しに必要な物はイベントの主催者が用意しますわ
司祭それほどのご厚意に甘えてしまって、本当にいいのでしょうか…?
アーリアやってみませんか、司祭様。お世話になったお礼に、わたしも力になりたいんです
シスターありがとう、アーリア。司祭様、ここは彼女達の厚意に、甘えてはみませんか?
司祭…そうですね。みなさん、感謝いたします。どうぞ、お力をお貸しください
アーリア司祭様、シスター…!
サラそうと決まったら、あとは準備するだけですね!
カノンノうん!何だかワクワクするね!
サラえっと、この辺りが日当たりよさそうかな?ドレス、綺麗に見えますか?
カノンノばっちり!いい感じだよー。そのままポーズ取ってみて!
サラポーズ…い、いえーい♪なんちゃって
カノンノふふ、元気いっぱいの花嫁さんだね!
ナタリア記念撮影の場所はこの辺りとして、もう少し照明を多めに設置した方が、綺麗に写りそうですわね
司祭照明の代わりに使えそうな物が、いくつか倉庫にあったはずです。探してみましょう
アーリアごめんね、みんな。すっかり巻き込んじゃって
サラ巻き込まれたなんて思ってませんよ。こんなに綺麗なドレスを着られて、嬉しいぐらいです
カノンノそれにウェディングって、結婚する二人の未来を描くって事だよね?
カノンノそんな素敵なお手伝いなら、喜んで協力するよ
サラけど、ドレスを着て教会にいると、何だか本物の花嫁さんになったみたいで、少し照れますね
ナタリアあら、サラったら、もしかして…
ナタリア誰かお相手の姿を想像しましたの?
カノンノえー、誰の事考えてたの?
サラち、ちがいますっ!そんな…考えてません!
アーリアサラったら、隠さなくてもいいのに
サラうぅ~…
シスターふふっ、微笑ましいですね
アーリアあっ、シスター。騒がしくしてごめんなさい
シスターいいんですよ。この教会にまだ活気があった頃を思い出します
シスターほら、見てください。司祭様も楽しそうに準備を手伝っているでしょう?
アーリアええ、あんな顔の司祭様を見るのは久しぶりです
シスターあなたのお蔭ですよ。ここまで協力してくれてありがとうアーリア
ナタリアそれでは本日のところは、この辺りで失礼いたしますわ
アーリアイベント当日まで、引き続き、お手伝いに来ますね
司祭本当にありがとうございます。お気をつけてお帰りください
カノンノうーん、人助けは気持ちいいね。あっ…いいイメージが浮かんできた!早速スケッチブックに…!
サラこの後の細かい準備は、ナタリアさんの知り合いの人も手伝ってくださるんですよね?
ナタリアええ。イベントが開催出来る事になって、張り切っていましたわ
サラ人がたくさん集まるように、私達もお手伝い頑張りましょう!
カノンノあの教会のよさを知って、興味を持ってくれる人が増えるといいね!
アーリアあれだけ悩んでいた司祭様も楽しそうに準備をしていたもの。きっと、大丈夫よ
カノンノそうだね。いい催しになるよ!
サラ今から当日が楽しみですね
アーリア…みんながいなかったら、この催しは、開催出来なかったわ
アーリアみんな、本当にありがとう

NameDialogue
水着で活躍!サマービーチ!
カナわぁ、海だわ!素敵な景色!
シングよ~し、泳ぐぞ!
シング──って、あれは…!
ガルルル…
コレット魔物!?
ジュード結構な数がいるね
カナみんなが海水浴するところなのに、危ないわ!
コレット暑いから魔物達も海水浴に来たのかな?
ジュードいや、そうじゃないと思うけど…
カナそういえば、人がいないわね…魔物がいるから誰も来てないのかしら
ジュード……。よく見ると砂浜に足跡があるよ。きっとみんな避難したんだ
ジュード足跡が向かってるのは…あっちに見える海の家かな
コレット避難場所があったんだね。よかった~
シングだけど、これだけ魔物に囲まれてちゃ海の家から出られないよね…。何とかしないと!
カナそうね、とても危険だわ。私達で退治しましょう!
コレットうん。たくさんいるけど、みんなで力を合わせれば、だいじょぶだよね!
ジュード決まりだね。協力して浜辺の安全を取り戻そう!
ザシュ!
ギャウゥ…
シングいよぉっし!これで最後だ!
ジュードふぅ…まずはひと安心だね。みんな、怪我はない?
カナええ、平気よ
コレット早く、避難した人達に安全になったって教えてあげよ!
ジュードそうだね。海の家に行ってみよう
シングうわぁ…すごい人だね。ぎゅうぎゅう詰めだ…
店主き、君達!今来たのか!?外は魔物だらけで危なかっただろう。他に逃げ遅れた人はいなかったか?
ジュードはい。他に人はいませんでした。それに、もう心配ないですよ
シング魔物なら退治したから、外は安全だよ
店主た、退治した?あれだけの数を…すごいな、君達は!
カナ海で楽しく遊ぶためだもの!このぐらい、どうって事ないわ!
男性客1聞いたか?外の魔物を退治したってよ!
女性客1助かったのね!よかった…
男性客2これで安心して遊べるな!
女の子わぁい、およげるんだー!
コレットみんな、喜んでくれてるみたい
ジュード頑張った甲斐があったね
店主君達はこの浜辺の救世主だよ!よし、お礼だ!この店の物は何でも食べ放題に──
店主──ああ!しまった!
カナ…?
店主魔物の騒動があったもんで料理の下ごしらえが…
店主これじゃあ、食べ放題どころか店に出す料理がほとんど作れねぇ。何もお礼出来なくてすまないが…
ジュードそんな、僕達は大丈夫です!…けど、他のお客さん達が──
男の子そんなぁ。ぼく、おなかすいたのに…
女性客2仕方のない事だけど…ここの料理を楽しみにしてたから残念だわ…
男性客3店主さんよ、何とかならねぇか?魔物がいなくなって安心したら腹減っちまってさ…
女性客3私も~
店主うぅむ…そうは言ってもな…
シングおじさん、下ごしらえのいらない簡単な料理なら出せそう?
店主あ、ああ。出来なくはないが…
ジュード店主さんしかいないから、簡単な料理を作ってる間、下ごしらえに手が回らない…ですね
店主そうなんだ。昼食の時間までにはちゃんとした料理を出せるようにしたいし…
カナそれなら、私達がお手伝いすれば問題解決じゃないかしら!
ジュードうん、そうしよう。みんなも、いいかな?
コレット勿論!頑張ろうね!
シングおじさん、大船に乗った気でいてよ!
店主君達…!助かるよ、恩に着る!
カナこっちは出来たわ、配膳お願いね!
シング任せて!焼きそばとエビフライ、お待ちどうさま!ごめん、通りまーす!
コレットええっと、ご注文はドライカレーにフライドポテト、かき氷とサイダー、ご飯にネギラーメン…
コレット…あれ?フライドカレーとかきポテト、サイダーラーメンにネギ氷とドライご飯…?
シングコ、コレット落ち着いて!注文がぐちゃぐちゃだよ!
店主下ごしらえするなり料理がはけていきやがる。こんなに忙しいのは久しぶりだ!
カナおじさんの手際、すごいわ!ちゃんと間に合っているもの
ジュードお昼が近づいて、お客さんもますます増えて来たみたいだ。ここからが正念場だね…!
コレットうん!今度こそちゃんと注文を覚えるよ!
ジュード…お客さんも落ち着いてきたね。何とか乗り切ったかな?
カナ私、こんなに長い時間キッチンに立ってたの初めてかもしれないわ…
ジュード僕もだよ…。いろいろな料理を作ったからすごく勉強になったけどね
コレットそういえば…見た事ない料理を作ってたよね?
店主おっ、気づいたか?新メニュー、その名もサイダーラーメンだ!
シング…あっ!途中から何だか甘い香りのするラーメンを運んでると思ってたんだ
店主お嬢ちゃんの言い間違いにピーンと来ちまってな。こりゃいけるぞ、と
コレットえっ?わ、私?
カナ味見をさせてもらったんだけど、とっても美味しかったわ!
ジュードコレットの言い間違いが生んだ奇跡のコラボレーション…って感じの味だったよ
コレットそうだったんだぁ。えへへ、役に立てたなら嬉しいよ
店主お蔭で名物料理が出来上がった!改めて礼を言わせてくれ。ありがとうな!
店主客が押し寄せてきた時はどうなる事かと思ったが君達のお蔭で無事に乗り切れた!
カナ私達も、滅多にない経験が出来てすごく楽しかったもの。お礼を言うのはこっちだわ!
シングお客さんもすごく喜んでくれたしね!
店主いい子達だな…。そうだ、客足も落ち着いたし約束の食べ放題を振舞うが、どうだ?
ジュードそういう事なら…せっかくだしお言葉に甘えようか?
カナそうね!お腹もすいたし、サイダーラーメンを食べたいわ!
シングいいね!俺もサイダーラーメン!気になってたんだ!
ジュード僕もお願いします!
コレット私も!
店主はっはっは!よぉし、任せときな!
コレットはぁ~っ、お腹いっぱい!すっごく美味しかったね~!
シングおじさん、本当に喜んでたなあ。手伝ってよかったよ!
ジュードうん。いい汗もかいたしみんな疲れただろうけど、これからどうしようか?
カナ海の家の仕事も楽しかったけど…やっぱり、ビーチで遊ぶのも忘れるわけには行かないわよね!
シング海でやりたい事、沢山残ってるしね!泳いだり、ビーチバレーしたり…!
コレットうんうん、せっかく来たんだもん!楽しまなくちゃ!
シングよ~し、そうと決まれば…ガンドコ行こう!
カナあっ!?シング!?
シングあはははっ!水、冷たくて気持ちいいよ!みんなも早く来なよーっ!
カナ一番乗り、取られちゃったわ!私も行く~!
ジュード二人共、海に入る前は準備運動だよ!?
コレットふふ、元気いっぱいだね。さあ、私達も行こ?
ジュードうん、そうだね──
男性客4美味しかったね、海の家の新メニュー!
ジュード…ん?
女性客4ああ、サイダーラーメン!おもしろ美味しかった~!
女性客5一度食べたら癖になるよね!友達にも教えてあげないと!
コレットすごい人気だね。ただの言い間違いだったから、ちょっと恥ずかしいけど…
ジュード確かに美味しかったからね。あのお店、また忙しくなるかな?
コレットその時は、またみんなで手伝いに行こうね!
ジュードそうだね!二人にも、伝えておかなきゃ

NameDialogue
幻の島と隠されし財宝
ザァ…ザァ…
パティ潮風が気持ちよいのう。絶好の航海日和なのじゃ!
ユーリ海が穏やかなお蔭で船の揺れも少ないしな。快適な船旅だ
フレンパティ。「幻の島」への進路はこのままでいいのかな
パティうむ、東へ一直線じゃ。本に書いてあったから間違いないのじゃ
ユーリここから東って言や、魔の海域って言われてる辺りだよな
フレン魔の海域…か。パティ、その本は信用出来るのかい?
パティうむうむ。何といっても、大海賊グランカレイの航海日誌じゃからの
ユーリその本を信頼すんのはいいが、この船で魔の海域ってのは超えられるのか?
パティ魔の海域は、激しい渦潮に囲まれておるからな。どんな船もカレイのように海の底じゃ
フレン穏やかな話じゃないね。でも、君の事だ。何か策があるんだろう?
パティよくぞ聞いてくれたのじゃ!
パティうちはグランカレイの航海日誌に隠されていた暗号文を解き明かしたのじゃ
パティそれによると、数年に一度だけ、渦潮の流れが船を導き「幻の島」へ辿り着けるとあったのじゃ
ユーリなるほどな。それが今日ってわけか
パティそうなのじゃ。冒険家として船を出さんわけにはいかんのじゃ!
ユーリ冒険心に火がついたって事か
ユーリま、「幻の島」が存在するってんなら、見てみたいよな
パティさすがユーリ、誘った甲斐があるというものじゃ
ユーリしっかし、まさかフレンまで来るとは意外だったな
フレン少し気になる事があったからね
ユーリ騎士団絡みか?
フレンああ。今、騎士団で追いかけている海賊団が大規模な活動をするための準備をしているという情報があってね
フレンパティから今日しか行けない「幻の島」と聞いてもしかしたらと思ったんだ
ユーリなるほどな。そいつらも「幻の島」の財宝を狙ってる可能性があるって事か
フレンそうなんだ。けど海賊団の狙いが「幻の島」だって確証はないから、他の騎士達は動かせない
フレンもしも僕の予想が外れて、海賊団が街や商船の襲撃を計画していた時のために備えておいてもらわないとね
ユーリそれで一人で来たのか。確証がない中では妥当なところだな
パティもし他の海賊がいても、うちとユーリがついておる!大船に乗ったつもりで任せるのじゃ!
フレンありがとう、二人共。頼りにさせてもらうよ
ユーリ…ところで、パティ。俺達まで海賊の格好する必要あったか?
パティ何を言っとるのじゃ、ユーリ。大冒険には、それに相応しい格好というものがあるのじゃ
パティうちも気合いを入れて、いつもと違う服にしたのじゃ
ユーリそんなもんかね
フレンよく似合ってるよ、ユーリ。本物の海賊みたいだ
ユーリへっ、お前もなかなか様になってるぜ
パティお、もうすぐ魔の海域なのじゃ!「幻の島」に向けて全速前進なのじゃ!
ユーリよっ、と。無事に着いたみたいだな。ここが「幻の島」か?
パティうむ。渦潮から渦潮へと流れ流され辿り着いたこの島こそ、まさに本にあった「幻の島」じゃ!
パティじゃが…先客がおるようじゃ
フレンああ。あそこに停泊している船…間違いない、例の海賊団の旗印だ
ユーリでかい船だな。三人で一網打尽ってわけにはいかなさそうだ
フレンそのようだね。この場で捕えるのは無理だろう。だからまず、財宝探しを優先しよう
パティフレンはそれでよいのかの?
フレンああ。今は相手の情報を集めたい。財宝を探す内に、見えてくる事もある
フレンその情報を持ち帰って改めて騎士団を総動員した捕獲作戦を立てる事にするよ
ユーリそういう事なら、とっとと行こうぜ。先に財宝を見つけられちまったら情報収集も出来なくなるからな
パティでは財宝探しに出発なのじゃ!
フレンすいぶん山を登ったね。特に何かありそうには見えないけど…
ユーリなあパティ。これも航海日誌に書かれてたのか?
パティいや。うちの冒険家としての勘じゃ
ユーリおいおい…じゃあ、あてもなく歩いてるのかよ
パティうちの知るグランカレイの人物像から財宝を隠しそうな場所を考察しておるのじゃ
パティ同じ冒険家として勘を働かせれば自ずと道が見えてくるのじゃ
ユーリそういうもんか?
フレンふふっ、ここはパティを信じよう
パティうむ!大船に…いや宝船に乗ったつもりでついて来るのじゃ!
ユーリ自信たっぷりだな。んじゃ任せるぜ、船長
パティあったのじゃ!怪しい入り口なのじゃ!
ユーリマジで見つけるとはな
フレン慎重に入ろう。ここに財宝があるんだとしたら罠が仕掛けられているかもしれない
ユーリそうだな。用心しておくに越した事はな──
???…この出会い、運命を感じるぜぇ
ユーリなっ…!?
ガキィィンッ!
ザギユーリ・ローウェル!
ユーリザギ!?何でこんなところにいやがる!
海賊1ザギ先生の知り合いか?だったら話が早い。死にたくなけりゃここから手を引きな
海賊2ここは子ども連れで来るような場所じゃねぇぞ
フレンお前達は…!
パティ例の海賊団の船員じゃろうな。先生と呼ばれておるという事は、ザギは戦闘員の助っ人かのう
海賊1へっ、その通りだ。俺達は大国の騎士団にも目を付けられてるもんでな
海賊2そこで一騎当千と名高いザギ先生にお出ましいただいたってわけだ。わかったら、とっとと消えな
ユーリ…って言ってるが、見逃してくれんのか?
ザギあぁ!?逃がすわけねぇだろ
ザギオレはおまえを、絶対この手で殺す!
ガキンッ!
ユーリちっ…相手するしかなさそうだな
ザギあはははははっ!今日こそ殺してやる!斬り刻んでやるぞ、ユーリィ!
パティユーリ、手伝うのじゃ!
フレン加勢するよ!
ユーリああ、助かる!
ガキン、ガキン!
ザギあはははははっ!やるじゃないか!最高だ!
フレンくっ、強いな…
ユーリこのままじゃ埒があかないか。次で終わらせるぞ
フレンわかった
ザギ終わってたまるか!もっと、もっと上り詰めようぜ!
パティそこじゃ!
バキュゥン!
ザギいいねぇ!もっとくれよ!
パティ崖際に追い詰めたのじゃ!今じゃ、二人共!
ユーリ行くぜ、フレン!
フレンああ!
ユーリ・フレン武神双天波!
ザシュザシュッ!
ザギぐっ──!
ザギくっくっく、うわはははは!
海賊1ザギ先生ーーー!やべぇ、崖から落ちたぞ!
海賊2撤退だ!俺達も下に降りるぞ!
フレン……
ユーリ見逃していいのか?あの二人ぐらいなら捕えられるぞ
フレンああ、問題ないよ。戦力の情報は得られたからね
フレンもしこれ以上の戦力があるならもう一度やってくるだろう
ユーリあいよ
ユーリ何にしろ敵にここを知られたんだ。早いとこ財宝を見つけて船に戻ろうぜ
パティわかったのじゃ!
パティユーリ、フレン!ついに見つけたのじゃ!宝箱じゃ!
フレン本当にあったんだ…!信じてなかったわけじゃないけどこの目で見ると実感がわくね
ユーリんじゃ、あの海賊共が来ない内にこれ持ってさっさと帰ろうぜ
パティ…いや、まだそういうわけにはいかないようなのじゃ
ユーリん?どういう事だ?
パティ伝説に残っておる財宝はこんな量ではないのじゃ。他にも財宝が隠されているのじゃ
パティきっとさっきの海賊達もそれに気付いたからあっさり帰ったのじゃ
フレンなるほど。無理に戦わなくても他の宝を狙えばいいと判断したのか
ユーリ今見つけた財宝だけでも十分じゃねぇか?
パティそういう事ではないのじゃ
パティ冒険家としてまだ財宝があるとわかっていて、放って帰る事など出来ないのじゃ!
パティだからお願いなのじゃ!他の財宝を探すのを手伝ってはくれんかの?
ユーリわかったよ。最後まで付き合うぜ
フレンそうだね、僕も付き合うよ。海賊達の情報は多い方がいいからね
パティ二人共…ありがとうなのじゃ!
ザギの声どこに行った、ユーリィィィ!
ユーリはぁ…しぶとい奴だぜ
パティまた来てもユーリがいれば平気なのじゃ♪
ユーリあれに絡まれる身にもなってくれ。ほら、見つからねぇ内に、次の財宝を探しに行くぞ
パティうむ!それでは引き続き、冒険に出発なのじゃー!

NameDialogue
みんなで踊ろう!夏祭り!
ビエンフー姐さん~!マギルゥ姐さん~!
マギルゥそう大声で呼ばずとも、ちゃんと聞こえておるわい。一体何事じゃ
ビエンフーこれを見てほしいでフよー!
ライフィセットそれって、街中に貼ってあるチラシだよね
ビエンフーそうでフよ!この街でやる夏祭りのお知らせでフ!
ロクロウほう、夏祭りか。この時期の風物詩だな。で、それがどうかしたのか?
ビエンフーただの夏祭りじゃないんでフ!何と、ノルミン族を祀る大規模なお祭りなんでフよ~!
アイゼンなるほどな。お前も祀られる対象という事か
ビエンフーそういう事でフ!いや~、何だか照れるでフね~
ベルベット祀るほどの存在なの?
アイゼンああ見えて人々に有益な加護を与える存在だ。崇められても不思議はない
エレノア騎士の任務でお祭りの警備をするので関係者の方々とお話ししましたが、ノルミン族への敬意を強く感じました
エレノア想定される参加人数も多くて…屋台もたくさん出店するので例年とても盛り上がるのだとか
ライフィセット屋台か…面白そう!お祭りの屋台って、美味しい食べ物や楽しい遊びがいっぱいなんだよね
マギルゥ坊は興味津々のようじゃのー
ベルベット…どうしてあたしの方を見て言うのよ
マギルゥエレノアよ。坊ぐらいの少年が一人でお祭りに来ていれば、どうなるかのう?
エレノアお祭りは夜ですから…声をかけて保護する事になっていますね
ベルベット…そんなに煽らなくてもあたしも行くわよ。それでいいんでしょ
ライフィセットありがとう、ベルベット!一緒にお祭りに行けて嬉しいよ
ベルベット別に…あたしも興味があっただけよ
マギルゥふふん、相変わらず、坊に甘々じゃな~♪
ベルベット何か言った?
マギルゥな~んも言っておらんわい。面白そうじゃ、儂も行くとするかの
ロクロウ俺も行こう。祭りなら美味い心水が呑めるだろうからな
アイゼンああ、地心水も気になる
エレノアみんな行くんですね。私は警備なので一緒に行けませんが存分に楽しんできてください
マギルゥ任せよ。この儂がお主の分まで飲めや歌えやドンチキドンチキから騒ぎで存分に楽しんで見せよう
エレノア…ほどほどに楽しんできてください!
ライフィセット…ねえ、エレノア。このチラシに書いてある「太鼓の打ち手募集」って何?
エレノアそれは、お祭りの目玉で、太鼓演奏があるんです。その演奏者の募集という事ですね
ベルベット太鼓演奏が目玉なの?
エレノア演奏だけでなく、太鼓のリズムに合わせて、参加者が円を描くように踊るんです
エレノアそうやってノルミン族の丸さを称えているのだとか
ベルベット…随分変わった風習ね。そんな伝統の太鼓の打ち手を公募で決めていいの?
エレノア主な奏者は達人の方が担います。募集しているのは、横で小さな太鼓を叩いて盛り上げる役割なんです
ライフィセットそれなら、僕でも出来るかな?
エレノアええ、勿論。練習すれば誰でも出来るそうですよ。定員もまだまだ空いてるようですし…
エレノア後で係の人に話して練習用の資料をもらってきますね。太鼓も借りられないか聞いてみます
ライフィセットありがとう!僕、頑張るよ!
アイゼン祭りの楽しみが増えたな
ビエンフーノルミン族を称える太鼓という事はボクを称える太鼓という事!嬉しいでフよ~~!
マギルゥふむ、儂も楽しみじゃわい
ライフィセットたくさん練習するね!
マギルゥ次はどこの屋台にしようかのー。こっち──やっぱり、あっちじゃ!
ビエンフービエ~~ン!姐さん、これ以上は持てないでフよ~~!
ライフィセットあはは。マギルゥ、楽しんでるみたいだね
ベルベットお祭りより、振り回す事を楽しんでるんでしょ
ライフィセットふふ、そうかも。お蔭でちょっと気が紛れたかな
ベルベット…緊張してるの?
ライフィセットうん、いよいよ本番だなって思うとちょっとだけ…
ベルベット心配しなくても大丈夫よ。あんなに練習したんだから
ビエンフーそうでフ!練習に付き合ったボクが保証するでフ!
ビエンフーノルミン族を称える立派な太鼓演奏が出来るでフよ!
マギルゥもし練習通りにならんでもノリと勢いで押し通せば何とかなるもんじゃわ
ベルベット相変わらず適当ね
ライフィセットでも、いい感じに肩の力は抜けたよ。ありがとう!
ライフィセットそろそろ時間かな。じゃあ、行ってくるね!
ベルベットええ、行ってらっしゃい
マギルゥどれ、坊の演奏に合わせて儂らも踊るとするかのー
ビエンフー「儂ら」…って、何でフか…
マギルゥ決まっておるじゃろ。ビエンフーもベルベットも一緒に踊るんじゃよー!
ビエンフーボ、ボクもでフか!?
ベルベットちょっと、急に言われても振り付けもわからないわよ
マギルゥノリと勢いで押し通せば何とかなるもんじゃと言ったじゃろ
ベルベット最初からノリと勢いしかないのは問題だって言ってるのよ…
マギルゥふふふ、儂を甘く見とるな。振り付けは完璧じゃ!
ビエンフーエレノア様がもらってきた資料に曲の詳細や振り付けの説明もあったでフからね~
ビエンフー練習に付き合う内に覚えたんでフ。人前で踊るとは思わなかったでフよ…
マギルゥええい、何を躊躇っておる!
マギルゥノルミン族を祀る祭りでノルミン・ブレイブが勇気を出さんでどうするんじゃ
ビエンフーそれを言われてしまったらやるしかないでフね…!
マギルゥほれ、ベルベット。儂らの見よう見まねでよいぞ
ベルベット遠慮しておくわ。そういうの、柄じゃないから
マギルゥ坊の太鼓演奏をお主が盛り上げんでどうするのじゃ?
ベルベットあたしはビエンフーみたいに乗せられたりしないわよ
ベルベット何を言われようと、踊るつもりはないわ
マギルゥつまらん奴じゃのー。ならば儂らの華麗な舞に見惚れとれぃ!
マギルゥゆくぞ、ビエンフー!
ビエンフーあっ、姐さん!待ってくださいでフ~!
ライフィセットやぁっ!
ドンドンドドン!
ベルベット…………
ベルベット…あたしが盛り上げなくてどうする…か
ベルベットあんな言葉に乗せられるわけじゃないけど…手拍子ぐらいなら…ね
パン、パパン…
ベルベット(練習してる音を 何度も聞いていたお蔭ね。 リズムが自然と出てくるわ)
パンパン、パパン…
ベルベット…?今、あたし以外にも誰か…
ライフィセットえいっ!
ドンドン、ドドン!
パンパン、パパン!
ライフィセット…手拍子?
ライフィセット──!あれは…!
パンパンパン!
ベルベット観客みんなが手拍子を…
ベルベット踊りに参加しなくても、会場全体で祭りを盛り上げる…悪くないわね
ライフィセットはぁっ!
ドンドン、カッカッ、ドンドンッ!
パンパン、パパン、パンパン!
ライフィセットあはは、何だか会場と一体になったみたいで、すごく楽しい!
ライフィセットよぉし!僕も頑張って、もっともっと盛り上げるぞ!

NameDialogue
食欲・芸術・月見音楽祭の秋
マルタん~おいひぃ~♪さすが評判のロイヤルイチゴパフェ!朝から並んだ甲斐があったよ!
シェリアそうね。公園のベンチで座って食べましょ
マルタはぁ~い。今日は買い物に付き合ってくれてありがとう、シェリア
シェリアいいのよ。私もほしい物があったから丁度よかったわ。美味しいパフェも食べられたし
シェリアそれにしても、この公園、なんだか賑やかじゃない?
マルタそういえば…人も妙に多いね。演劇の舞台?のようなものを作ってるみたいだし…
コンウェイ月見音楽祭の準備さ。この公園はメインイベントである音楽バンドのライブ会場だからね
シェリアあら、コンウェイさん!詳しいですね
コンウェイ音楽祭の会場設営の手伝いだよ。祭りの規模が大きくて朝から大忙しさ
シェリアそういえば街の活気もすごかったです。ね、マルタ?
マルタ……音楽、ライブ……!なんかキラキラの香りがする!
コンウェイもしかして興味があるのかい?その様子だと、何かに影響を受けている感じもするけれど
シェリア最近読んだ恋愛青春小説がガールズバンドモノだったらしくて多分それの影響だと思います
マルタねぇシェリア!私達もやろうよ!ガールズバンド!!!
シェリアえ、えぇ!?ちょっと待ってマルタ。私達、そういうのやった事ないのよ?素人がいきなりステージに立つなんて
マルタ大丈夫だよ!シェリアはピアノが弾けるじゃない♪私も頑張って楽器覚えるから。ね?
シェリア楽器の演奏は難しいんだけど…。そこまで言うなら仕方ないわね。やりましょうか、ガールズバンド
マルタやったー!ありがとう、シェリア!一緒に夏の青春満喫しよっ!
コンウェイどうやら話はまとまったようだね。音楽祭への申請をしておくよ。キミ達は準備を始めるといい
マルタありがとう!お願いねコンウェイさん!
コンウェイじゃあ、ボクはこれで。音楽祭当日を楽しみにしているよ
ティア…月見音楽祭で野外ライブ…。なるほど、事情はわかったわ。でも、どうして私のところに?
シェリア実は、私がショルダーキーボードで、マルタはギターをやる事になったんだけど…
マルタ演奏しながらボーカルするのって難しくて…それで歌と言えばティアだからスカウトに来たの
ティアそういう事だったのね。…協力してあげたいけれど私で大丈夫かしら…?
シェリア勿論よ!ティアの歌声、とても綺麗で素敵だもの
マルタそれにね、ライブは可愛い衣裳を用意してもらえるんだって!絶対に楽しいと思うんだ!
ティア可愛い、衣裳…?それは、ええっと、その…ちょっと気になる…わね
シェリア…私もピアノは経験があるけど本格的にやっていたわけじゃないし…
シェリアティアがバンドに入ってくれるととても心強いの
ティア…シェリア…ええ、わかった。私でよければ協力するわ。一緒にやりましょう
マルタホント!?ありがとティアー!
マルタや、やった!一通り弾けたよ!
シェリアすごいわ、マルタ!
ティアええ、大したものだわ。この短期間でこれだけ弾けるようになるなんて
マルタ二人のお蔭だよ、ありがとう!でも、二人共、自分の練習は大丈夫?私に時間、使いすぎてない?
シェリア心配してくれてありがとう。でも平気よ。キーボードの操作はもうバッチリだから
ティア私も問題ないわ。課題曲も二人との合わせも出来たし後は、当日演奏する曲の作詞かしら?
マルタごめん。そっちはもう少しかかりそう
マルタシェリアがすっごく素敵な作曲をしてくれたのに…
シェリア全部が初めてなんだから気にしないで
シェリアむしろギターの練習と作詞を同時に進めてるマルタはすごいわよ
ティアええ。自信を持っていいと思うわ。ただ、これ以上時間をかけられないのも事実ね…
シェリアなら合宿で仕上げるのはどう?
ティア合宿…いい考えね。三人で考えれば上手くまとまるはずよ
マルタ…ありがとう、シェリア、ティア。じゃあ、早速合宿の準備をしなくちゃ
シェリアふふ、その前に予定があるでしょ?ライブの衣裳合わせに行かないと
マルタうん、カワイイ!特にピンクのフリルが超カワイイ!
シェリア違う意匠が上手く噛み合ってる…すごくいいわ、この衣装。ティアは…
ティアう、うぅ…。あの、これ、肩とか胸元とか足とかいろいろ出すぎじゃない…?
マルタわぁー…!ティア綺麗ー!大人の魅力が溢れてる…
シェリアうん、ものすごく溢れてるわ…。ホントに似合ってる…
ティアそ、そう…かしら? ありがとう。二人にそう言ってもらえてちょっとホッとしたわ
ティア二人の衣装もすごく素敵よ。いつも以上に可愛らしくて羨ましい…
コンウェイそれはステージ用の衣装かな?三人共、それぞれのよさが出て似合ってると思うよ
マルタあ、コンウェイさん。今日もお祭りの準備のお手伝い?
コンウェイそんなところさ。キミ達は衣裳合わせと舞台の視察かな?
ティアええ。少しでも本番当日の空気感に触れておきたくて
コンウェイいい心がけだね。ところで、当日演奏する曲の制作はどうなんだい?
マルタそ、それはその~…。勿論順調だよ?ホ、ホントに!
コンウェイそれはよかった。音楽祭は沢山の人が見に来るからね。とても盛り上がるはずだよ
マルタそ、そうだよね。うん。き、期待しててね
シェリア来てくれた人達をガッカリさせられないものね。しっかり練習しなくちゃ
コンウェイ……
マルタコンウェイさんにはああ言ったけど…全然言葉が出てこないよ~…
シェリア簡単に出来るとは思ってなかったけど作詞ってこんなに難しいのね…
ティアテーマの選定からやり直しましょう。マルタ、歌を通して伝えたい事とか何かないかしら?
マルタ伝えたい事…?う~ん、そうだなぁ…。やっぱり愛、かな?
シェリアそれは、エミルへの?
マルタ勿論!シェリアも作曲の時にアスベルの事を想って~とか呟いてたでしょ?アレと同じかな?
シェリアな、ななな、何の事、かしら!?私はそういうつもりじゃ…!
ティアふふ。それならテーマは決まりね。私達が作るのはラブソング。詞の内容は…
マルタ私のエミルへの愛を綴ればいいんだ。うんうん、それならいくらでも出てきそう…!
シェリア…曲の方、ちょっといじっていい?
ティアええ、勿論よ。私も手伝うわ
コンウェイ…人の入りは上場。準備を手伝った甲斐があったね
???ここが音楽祭の会場か…。みんなの出番はいつ頃なんだろう
コンウェイそろそろのはずだよ。早めに行って席を確保しておくかい?
???うん。その方がいいと思う。ギリギリに行って席が埋まってると困るしね
コンウェイそうだね。ペンライトの準備もして万全の態勢で臨むとしようか
マルタそろそろ出番か…。うぅ~緊張してきたぁ~…!失敗しないかな…?
シェリアあんなに練習を重ねたんだから大丈夫よ。ほら、深呼吸して。すぅ~はぁ~…
ティアふふ。今日はエミルとアスベルも来るんでしょう? 頑張らないと
シェリアけほっ、こほっ!そ、それは、えっと、あの…!実は…呼んでない、の…
マルタうん…歌詞の内容的に何というか。その…直球すぎて…聴かれるとさすがに恥ずかしいっていうか…
係員間もなくお時間です!ステージまでお願いします!
ティアそろそろ時間みたいね。でも、まさか二人を呼んでいないとは思わなかったわ
ティア次の機会には必ず呼びましょう。二人共、きっと喜んでくれるはずよ
マルタ次の、機会か…うん。もし次があればそうするよ。ね、シェリア
シェリアええ、そうね
コンウェイついに彼女達の登場か。さぁ、二人共、出番だよ
エミルマ、マルタ~~~~!が、頑張れ~~~~!
アスベルエミル、ペンライトを振ろう!シェリアー!頑張れよ!
シェリアアスベル…!?
マルタエ、エミルまで…!?あぁ、横にコンウェイさんがいる!?さてはコンウェイさんの仕業じゃ…
ティア二人共、落ち着いて。さっき言っていた次の機会が今になっただけの事よ
ティア気持ちの準備はまだかもしれない。でも、だからこそ、二人の感情がストレートに伝わるはずだわ
シェリアティア…
マルタ…!シェリア、やろう!
シェリア…ええ!ティア、お願い!
ティア勿論!さぁ、はじめましょう!

NameDialogue
麗しのファッションショー
スタッフ1プレセアさん、やはり船は──
プレセアそうですか…
マリクエステリーゼ様、ここが「ブラック・コレクション」の会場となります
エステル…この街は、古くから深黒染めのサテン生地を特産として発展してきた歴史を持つ──
エステルそのため黒はこの街のシンボルであり「ブラック・コレクション」は一大イベントとして有名である、です
マリクよくご存知で。エステリーゼ様はこの街にいらっしゃった事がありましたか?
エステルいえ、訪問は初めてです。でも予習はしてきました。何しろ今回はレザレノ・カンパニーが出資して──
プレセアあの…
エステルプレセアじゃないですか!もしかして、プレセアも「ブラコレ」の見学ですか?
プレセアいえ、リーガルさんの手伝いで臨時スタッフとして「ブラコレ」の運営に参加しているのですが…
エステル…もしかして、何かあったんです?
プレセアはい。実は──
マリクファッションショーの主役モデルと専属スタッフが、定期船のトラブルで来られないとは…
プレセア結果、ショーは中止となりました…せっかくみなさん楽しみにしていてくれたのに…申し訳ありません
マリクプレセアが謝る必要はない。定期船のトラブルは運が悪かったとしか言いようがないからな
プレセアですが、エステルさんやマリクさんをはじめ沢山の方が来られているのに…。残念です…
エステルプレセア…
エステルあ、あの!主役モデルさんの代役の方はいらっしゃらないのでしょうか?
プレセアはい…今いる方々はあくまでも運営のスタッフなので、モデルの仕事をされている人はいません
エステルそうなんですね…うーん、何とかわたし達にお手伝い出来る事があればいいんですが…
エステルあ、そうです!マリク、モデルさんの代役、出来ませんか?
マリクオレが…ですか?
エステルはい!マリクなら背も高いですしモデルさん役にはぴったりだと思うんです!
マリク…わかりました。モデルの仕事は初めてですが、エステリーゼ様の命とあらば、見事こなしてご覧に入れます
プレセア気持ちはありがたいのですが…今からマリクさん用の衣装を選定するのは難しいのでは…
マリクふむ、確かにブラコレの衣装はどれも特殊な作りの物が多いな。着こなすのは難儀か
プレセアはい…専属スタッフの方がいないと、正しく着用するのも難しくて…試しにスタッフが着てみたんですが…
スタッフ2ねぇ、やっぱり駄目!?駄目かしら!?もう私がランウェイを行くしかないと思うの!
プレセア
マリクふむ…言われてみれば、確かに。全体がちぐはぐな印象というか
エステル装飾品も浮いてる気が…?何だかシルエットも不自然ですし
プレセア…見ての通り、「ブラコレ」衣装は専門家の方でないと、コーディネートそのものが困難なんです
マリク素人のチョイスでは思い通りの魅力的な衣装にはならないというわけか…
エステルやっぱり専門的な知識を持つ方が必要なんですね…どこかにいらっしゃらないでしょうか…?
マリク残念ですが、そう都合よくは…
???この展示品は…特注の夜会服か。特徴的な拝絹付きのピークドラペルに裏地には金の刺繍が施されている
プレセアこの声は…
テュオハリム敢えて人目に付かぬ部位にこそ技巧を凝らす矛盾…衣装でありながら同時に見る者の見識をも問う、というわけか
テュオハリム視線の主体と客体の交差がテーマとはよくいったものだ。なるほど、これは期待も膨らむというもの
エステルテュオハリム!プレセア、彼の知識なら、もしかすると…!
プレセアは、はい!あの、テュオハリムさん…!
テュオハリム?何かね?
テュオハリム…事情は承知した。来られなくなった専門スタッフの代わりを、私に任せたい、と?
プレセア急なお願いでごめんなさい…ですが何とかショーを開催したいんです。力を貸してもらえませんか…?
エステルわたしからもお願いします!テュオハリムの知識があればきっと衣装を着こなせると思うんです
テュオハリム知識と言ってもね。書で読んだ内容そのままを誦じてみせただけだ。言わば付け焼き刃にすぎないのだが…
テュオハリムしかし、付け焼き刃とて刃は刃か。服飾は専門ではないが、それでもよければ微力を尽くそう
プレセアあ…ありがとうございます!では、次はモデル役が出来る方を捜しに──
テュオハリムいや。モデルは君達だ
プレセアえっ?
テュオハリム衣装もまた一つの表現。であれば私が人となりを知る君達を題材にするのが適切と言えるだろう
マリクなるほど…確かにその通りだ。モデル役、引き受けさせてもらおう。エステリーゼ様も是非
エステルわ、わたしもです!?
エステルこのデコルテなんかどうです?裾の形もとても個性的で可愛いと思うんですが──
テュオハリム悪くない選択だが、少々教科書的とも言える。ここは一つ、より鮮烈な漆黒の色彩に挑戦してみてはどうかね?
プレセアこちらのスカートはどうでしょうか…?
テュオハリムふむ…君に黒はよく馴染む。なればこそ衣装が君に負けてしまう。もう少し華奢な品を選んだ方がいい
マリクこれはどうだ、テュオハリム。この装いに…黒眼鏡を足して夜でも敢えて視線を隠す、という方針だ
テュオハリム…ほう、それは面白い。女性陣とは少々テイストは異なるが君らしい黒の表現は確かにそれだ
マリクよし、ならオレのコーデは決まりだ。この手の装いは初めてだが、こいつは傑作の予感がするな…!
テュオハリムああ、早速着替えてくれ給え
エステルああっ、マリクだけずるいです…!プレセア、わたし達も頑張りましょう!
プレセアはい…!テュオハリムさんの審美眼に敵うように…!
プレセア着替えは何とかなりましたが…あの、おかしくないですか…?
エステルとってもお似合いですよ、プレセア!すごく可愛いです!モデル役にぴったりです!
プレセアあ、ありがとうございます…。エステルさんこそ、本当に綺麗です。見とれてしまいます…
エステルありがとうございます。テュオハリムのお蔭ですね。知識も審美眼もお見事でした
マリク全くです。こちらの衣装も警護に対応出来る完璧な装いですよ
エステルええ、マリクもバッチリですね。テュオハリムのお蔭で何とかショーを開催出来ますね!
???それは何よりだが…何故、私まで…?
エステルせっかく、いい衣装の組み合わせが見つかったんです。モデル役も是非、ご一緒しましょう!
プレセアエステルさんの言う通りです。それに、この街の文化を身をもって体験出来る貴重な機会だと思います
???同じ目線で文化を味わうには己もそこに身を浸す必要がある、か。確かに、道理ではある
テュオハリムどうかね?
スタッフ3着付けが大変でしたが、何とかなりました!
プレセア…!
テュオハリム…ん、私には似合わなかったか
エステルち、違うんです!ついびっくりしてしまって…
マリク似合いすぎて驚かれるな、テュオハリム。さて、早速だが次は舞台上での所作を教えてもらえるか?
テュオハリムむ、それは失敬した。そうだな、君達はモデルとして、身に纏う黒を際立たせる振る舞いを学ぶ必要がある
テュオハリム──そうだとも。靴底が刻む調べを意識し給え。足元を見てはいけない。背筋を伸ばし、視線は前を向くといい
プレセアこ、こうでしょうか…!?
マリク流石のオレも、ランウェイ上での所作は学んでいません。テュオハリムに知識があって助かりました
エステル本で読んだ、と言ってましたが…すごい知識量です!わたしも負けていられません…!
マリクその意気です。このまま彼のアドバイスに従って練習し、ショー本番に備えましょう
テュオハリム次は君の練習の番だ。さぁ、ランウェイへ
エステルあっ、は、はい!
テュオハリムそう…夜の帳が降りるように。君の歩みが、今は黄昏の潮目となる。まずはゆっくりと歩んで見せ給え
エステルこ、こうでしょうか!?
テュオハリム否、それでは黒の衣装が際立たない。君が黒を体現するのだ。意識し給え、君自身が夜陰の影となる事を
エステルど、どういう意味です!?
プレセアテュオハリムさんの表現は難解です…
マリクそうでもない。テュオハリムの言葉は詩的だが、だからこそ直感的に理解出来る。こんな感じじゃないか
テュオハリムむ…!見事だ、マリク!宵闇に舞う一陣の風の如し。その歩み、まさに一つの作品だ
エステルどうしてマリクはそんな簡単に出来ちゃうんです!?
プレセア直感的に、感じ取る…私が黒を、表現する…
プレセア…私、やってみせます。リーガルさんから預かった、大切な仕事ですから…!
エステルプレセア…!そうですね。わたしも、頑張ります!

NameDialogue
トマト争奪!収穫祭リレー!
ユリウス…これが噂に聞く収穫祭か。すごい人混みだな。ルドガー、エル、迷子になるなよ?
ルドガー俺まで子ども扱いして…兄さんこそ、随分楽しそうじゃないか
エルトマトなげにトマトおもさくらべ、トマトすくいにトマト仮装大会…?なんかこのお祭り、トマト多いー…
ルドガーこの街の特産品の一つがトマトだからな。兄さんがはしゃぐのも無理ないさ
ルルナァ~
エルルルも、メガネのおじさん今日テンション高いって!
ユリウス今日はガイアス王に招待されてみんなでこうして来られたんだ。楽しまないとむしろ失礼だろう?
ユリウスこのお祭り用の正装だってわざわざ用意してもらったしな。これは、たぶん高級品だぞ
エルうん、トマトばっかりなのは嫌だけどこの服は悪くないよね。かわいいし、エルにぴったり!
???ふふ、そう言ってもらえると嬉しいわ♪
???楽しんでいるようで何よりだ
エル王様とミュゼ!みんなおそろいなんだ!
ミュゼええ、みんなに似合うようにオーダーメイドで作ってもらったの
ルドガー旅費から衣装代に宿代…何から何まで手配してくれてありがとうガイアス。楽しませてもらってるよ
ガイアスこちらから呼びつけたのだ、気にするな。それより、今はアーストと呼んでもらおう
ミュゼ今日はお忍び参加なの。だからバレないように協力してくれる?
ユリウスそういう事であれば、勿論協力させてもらうさ、アースト。…こんな感じで大丈夫だろうか?
ガイアスああ。ところでお前達、この祭りのメインイベントについて知っているか?
ルドガーあっちでやってるトマト投げかな。それとも、新鮮野菜大食い大会?
ユリウスそれらも有名だが、この祭りの目玉は「収穫祭リレー」だ、ルドガー
ユリウス大昔、この街を統治していた領主は変わり者だったらしくてな。祭りの度一族郎党を率いて競争したそうだ
ユリウスその伝統が今もこの街には残っていて三人一組のチームで速さを競う──それが「収穫祭リレー」という話だ
ガイアスほう、詳しいな。ならば話が早い。お前達、収穫祭リレーに出場する気はないか?
エルエルたちが?
ミュゼ収穫祭リレーの出場条件は「大人二人に子ども一人」なの。あなた達、ぴったりじゃない?
ガイアスお前達ならば優勝も狙えるだろう。優勝商品は、この街の特産品である最高級トマト一樽分だ
ユリウス…収穫量も少なく、市場には滅多に出回らないあのトマトを一樽か。それは豪華な話だな
エル…。ね、ルドガー。エル、収穫祭リレーに出たい!
ルドガー?出るのは構わないけど…優勝してももらえるのはトマトだぞ?
エルあ。えっと…エル逃げるの得意だし、なんか面白そう、って思って
ユリウス子どもの部の種目は障害物競走か。エルが同世代の子ども達と触れ合ういい機会じゃないか?
エルそ、そう!せっかくのお祭りだもん、エルも楽しいことしたい!
ルドガー…そうだな。それじゃ俺達三人で収穫祭リレーにエントリーだ!
ガイアスよく言った。手続きはこちらで済ませておこう。やるからには全力を尽くせよ
ミュゼそれなら、動きやすいいつもの服に着替えた方がいいかもしれないわね
ルドガー確かに、その方が全力を出せそうだ。この服のままだと汚しそうで心配だしな
エルえー、もうきがえちゃうのー?…まぁ、めざすは優勝だもんね。うん、きがえてがんばる!
実況スタッフ今年もやってきました収穫祭リレー!解説は大富豪のご子息アーストさんと付き人のミュゼさんでお送りします!
ガイアスアーストだ。よろしく頼む
実況スタッフリレーは野菜食い競争、障害物競走、借り人競争の計三種目!ミュゼさん、注目しているチームはありますか?
ミュゼそうね、気になるのはやっぱり初参戦のルドガーチームかしら。第一走者のユリウスもやる気十分よ
ユリウス野菜食い競争…要はパン食い競走と同じだな。トマトだったら好順位でエルにバトンを繋げそうだが…
実況スタッフ第一種目は、各走者ごとに用意された野菜を食べきらないと次走者にバトンを渡せない点に注意です!
実況スタッフそれではいよいよ開始です。収穫祭リレー、用意──スタート!!
ユリウスッ!!
ガイアスルドガーチームのユリウスが首位を取ったな。反射神経、加速力──いずれも見事なものだ
ユリウスよし、このまま野菜を…なっ…!?こ、これは…!?
ミュゼユリウスの野菜は…あら、おっきく黒々と実った、アレは…
ユリウスナスだと!?くっ、なんて事だ…!
実況スタッフおっと、ユリウス選手止まってしまった!なかなかナスに食いつけず次々と後続に抜かされていきます!
エル大変!メガネのおじさん、ナス嫌いだ…!
ルドガー兄さん…!
ユリウス…弟達の前で、格好悪い姿は晒せない
ユリウスうおおおおお!
ガイアス見事だユリウス。このまま次走のエルに繋げれば十分に遅れは取り戻せるな
ユリウスハァ、ハァッ…!すまないエル、リードを失ってしまった…!
エルううん、後はまかせて、メガネのおじさん!
実況スタッフ第二種目は障害物競走です!ルドガーチームのバトンを継いだエル選手、現順位は三位ですが──
ミュゼあら、すばしっこい。どんどん障害物を抜けてくわね
エルいつもルルの子分達とおいかけっこしてるもん!
ユリウスははは、すごいぞエル!しかし、エルがここまでやる気になるとは…
実況スタッフエル選手、小柄な身体を活かし二位まで順位を上げました!そのままアンカーへとバトンを渡します!
エルはぁ、はぁ…!ルドガー!
ルドガーナイスだ、エル!後は任せてくれ!
エルうん…がんばって!メガネのおじさんのために!
実況スタッフ各チーム、アンカーにバトンが渡りました。トップに躍り出たのはルドガー選手!!
ガイアスルドガーの独走か。だが、第三競技の正念場はここからだ
ミュゼクジを引いて、書かれているお題に沿った人を連れてこないとゴールは出来ないのよね。ルドガーのお題は…
ルドガー…「偉い人」…?
実況スタッフ「偉い人」!ルドガー選手のお題は「偉い人」のようです!果たしてこの会場で偉い人を見つけられるのか!?
ミュゼ他チームの選手は「顎髭のある人」「執事」「白衣を着ている人」「新聞記者」なんかを引いたみたいね
ルドガーあの、そこのおじいさん!実は偉い人だったりしないですか!?あ、違いましたか…そうですか…
ルドガーくっ、偉い人が全然いないぞ!?でも、お忍びで参加しているガイアスを頼るわけにはいかないし…
ミュゼルドガー、ガイアスがお忍びだから声をかけないのね
ガイアスあいつはそういう男だ
エルえらい人ー!えらい人いないー!?
ユリウスルドガー、こっちだ!こいつを連れていくんだ!
ルルナァ~~~♪
ルドガー兄さん!?どうしてルルを…いや、確かに近所じゃボス猫だけど!
ユリウス説明している時間はない。俺を信じてくれ、ルドガー!
ルドガー…わかった!
実況スタッフルドガー選手、猫を抱えてゴールへ向けてラストスパート!他チームの選手をごぼう抜きです!
ルドガーうおおおおおおおおおおおおおっ!!
実況スタッフルドガー選手、一着でゴ───ル!!しかしお題の方は大丈夫でしょうか?審判の判定は──
エルルドガー、優勝おめでとう!!
ガイアス…なるほど。収穫祭の創始者は猫に爵位を与え、人と同等に扱う愛猫家だった、というわけか
ミュゼだからルドガーは「偉い猫」でも合格だったのね。それにしてもユリウス、よく知ってたわね?
ユリウスたまたま昔、本で読んだのさ。お蔭で優勝出来たんだから何気ない豆知識も侮れないな
エルルドガーやったね!
エルこれでメガネのおじさんにおいしいトマト、お腹いっぱい食べさせてあげられるよ!
ルドガーみんなのお蔭さ。エルもありがとう
エルえへへ…エルはルドガーのアイボーだし!
ルドガーそうだな。さて、それじゃ今日は腕を振るうぞ。何しろ、最高級のトマトだからな!
ユリウストマト嫌いのエルがあれほどやる気を出すのは妙だと思ったが…。俺のためだったのか
ルドガーはは、そうだよ。今日はトマトソースパスタも作るから、期待しててくれよ?
ユリウス全く…お前達は。…。ルドガー、エル…ありがとうな
ミュゼあらルドガー。何を作ってるの?
エルあっ、それア・ラ・モード!?エル、それ好き!
ガイアスこの匂い…なるほど、甘味か。ルドガーの腕前は承知している。その技巧、今こそ俺に見せてみろ!
ルドガーうわっ!?みんな落ち着け、まだ調理中…待てガイアス、つまみ食い厳禁だ!
ユリウスやれやれ…だが、こんな賑やかなのも悪くないな

NameDialogue
最恐!お化け屋敷決定戦
アスベルふぅ…こんなものかな
ジュディスお客さんを驚かせそうな仕掛けは出来たかしら?
アスベルああ。昔、ヒューバートに仕掛けたイタズラを参考にしたんだ
アスベル首筋に垂れる水滴に、突然出て来る怪物の顔…どれも上手く出来たと思う
ジュディス『最恐!お化け屋敷決定戦』で優勝出来るわね
アスベルああ!…と言いたいところだけど手強そうな参加者も大勢いるしそう簡単にはいかないかもな
アスベルお化け屋敷は今回のハロウィンの目玉だから、みんな気合いが入ってるんだ
ジュディスあら、このメンバーなら勝てると思っているわよ?
アスベル勿論、俺も信じてるよ。だけど時間が許す限り最善を尽くそうと思うんだ
ジュディスふふ、なるほどね
アルフェンアスベルの言う通りだな。俺ももう少し調整しよう
すずいえ、あのぐらいでいいかと…
アスベルアルフェンに、すず。二人共お疲れ様。仕掛け作りは上手くいったか?
アルフェンああ。俺はゆらゆらと燃える火の玉を作ったんだ
アルフェン少し作りすぎてお化け屋敷にしては明るくなってしまったかもしれないが
すずたくさんの人魂が浮いているみたいでいいと思います
アルフェンありがとう。アスベルとジュディスもよかったら一度見てくれないか
アスベルああ。後で、みんなで一通り見て回ろう
アスベルすずは、どんな仕掛けを作ったんだ?
すずありきたりな仕掛けですが…
すず隠し扉に回転床、落とし穴に、矢の降る通路…
すず勿論、怪我をしないよう、柔らかい矢を使用しています
ジュディス忍者ならではという感じね
すず家屋内の仕掛けで来訪者を驚かせるといえばこれだと思ったのですが…
すず今思うと、お化けという主題には沿っていないかもしれません…
アスベルそれはそれで楽しそうだしいいんじゃないかな
アスベル…そういえば、ジュディスはどんな仕掛けを作ったんだ?
ジュディスうふふ、私のは単純な仕掛けよ
ジュディス一見、何もなさそうな空間だけどよく見ると顔が浮かび上がっていたりどこからか苦しそうな声が聞こえたり
アスベルそれは…
アルフェン確かに怖いな
すず背筋がぞっとしますね
アスベル…みんなの仕掛けを組み合わせたらもっと面白い仕掛けが作れそうだな。まだ時間もあるし、作ってみないか?
アスベルうめき声が聞こえると思ったら隠し扉があって、火の玉が飛び出してくるとか
アルフェン派手な上に、不気味さもあっていいな。やってみよう!
すずでしたら、今ある仕掛けに意見を出しあってもう一工夫するのはいかがでしょう
すず私の仕掛けもお化け屋敷らしくなるかもしれません
ジュディスいいわね。やる価値はあると思うわ
アスベルそれじゃあ、みんなで見て回りながらお互いに改造案を出し合おう
アスベルよし!お化け屋敷完成だ!
すずみなさんの案が上手く混ざっていい仕掛けが出来ましたね
アルフェンこれならきっと優勝を狙えるぞ
ジュディスそうね。楽しみだわ
アルフェンいよいよ本番だな。お化け屋敷の準備は万端だ。みんな、衣装も問題ないか?
ジュディスええ。準備の時から着ていたからすっかり着慣れたわ
すずそうして自然に振舞えるようにすれば本番で緊張しなくて済むという作戦でしたね
アスベルかっこいい服だから着ていたかったっていうのも本音だけどな
ジュディス確かに、本番だけしか着ないのはもったいない素敵な服だものね
すずこの衣装を用意してくださったアルフェンさんのお知り合いの方…ただ者ではありませんね
アルフェンああ、衣服のこだわりがすごいんだ。今日は近くの『仮装作り大会』に参加してる
アスベルそうなのか、みんなでお礼を言いに行かないとな
アルフェンそうしてくれると、きっと喜ぶよ。ところで、そろそろお客さんが来始める時間じゃないか
ジュディスお客さんが来たら、私達が順に案内役として一緒に入るのよね
アスベルああ。一組につき一人がついて入って、誰か一人は入口に残るように頼む
アルフェン確かこの大会は、お客さんにアンケートで採点してもらうんだったな
ジュディスそれじゃあ、案内役はお客さんに楽しんでもらえるよう頑張らなくちゃいけないわね
???あっ、アスベル!
カノンノみんなも!もしかして、お化け屋敷作ったの?
アスベルいらっしゃい、カノンノ。それと…
リタちょ、ちょっと、カノンノ。待ちなさいって
ジュディスあら。珍しいお客さんね
リタ別に来たくて来たんじゃないわよ。カノンノがハロウィンのお祭りに行くって言うからついて来ただけ
リタまさか、こんなお化け屋敷大会をやってるなんて知らなかったわ
アルフェン二人共、入って行かないか?みんなで作った自信作なんだ。是非、感想を聞かせてほしい
カノンノ面白そう!
リタえっ。あんた入りたいの?
カノンノうん!リタは入らないの?
リタあたしは…ちょっと疲れちゃったし?ここで休んで待ってる事にするわ
カノンノ疲れたって…今来たばかりで、ほとんど歩いてないよ?
ジュディスふふ、お化けが怖いって恥ずかしくて言えないのよね
リタはぁ?べ、別に怖くなんてないわよ!あんた達が作った仕掛けがあるだけでしょ!
リタどんな仕掛けだろうと、全部見破れるんだから!
すずそれは…ある意味、忍者への挑戦ですね。私がご案内します
リタいや、別に入るとは言ってないけど…
カノンノねぇ、お願い!せっかく一緒に来たんだし、リタと楽しい思い出を作りたいな
リタうぅ…しょうがないわね。わかったわよ、行けばいいんでしょ
カノンノやったぁ!リタ、ありがとう!
リタ何か口車に乗せられた気もするけど…元々怖くも何ともないし、平気よ!さぁ、そうと決まれば案内しなさい!
すずでは、こちらにどうぞ
アスベル何だかんだで初めてのお客さんだ。俺までドキドキしてきたよ
リタひぃぃっ、冷たっ!なになになになに!?
カノンノびっくりした!水滴だね
すずタオルを用意してあります。どうぞ
リタ次は火の玉!?青とか緑とか…こ、こんなのただの炎色反応よ!?
カノンノすごい、火の玉たくさんで綺麗!
すず触れると危険ですので気を付けてください
リタうわぁっ!何!?か、隠し扉…!?悔しい、こんな単純な仕掛けで…!
すず単純な仕掛けを巧妙に隠し、驚かせるのも忍者の技術ですから
カノンノ全然気付かなかったよ!こんな風に隠してるんだね。面白ーい!
リタって、か、顔!よく見たら扉の向こうに顔が浮かんでるー!
カノンノきゃっ、本当だ!びっくりした!
すずふふ、驚かれましたか?仕掛けはまだまだありますよ
リタはぁ、はぁ…やっと出口…?
リタま、まぁまぁだったわね!
カノンノあー、ドキドキして面白かった!
すず楽しんでいただけたようで、よかったです
アスベルみたいだな。よかった
ジュディスお客さんもどんどん来始めたわね
アルフェンよし、次は俺が案内してこよう
カノンノねぇ、リタ。私達も次のお化け屋敷に行こう!採点するなら、見比べないと!
リタそれはそうかもしれないけど…ううっ…ちょっと休憩させなさいよ…
ジュディスふふ、あの子の苦難はまだ続きそうね
アルフェンふぅ…これで何組目だ?休む間もないくらい盛況だな
アスベル好評なのは嬉しいけどここまでとは思わなかったな
ジュディス評価が高い証拠…だといいのだけれど
すずみなさん。アンケートの途中結果が出ました。私達、1位だそうです
アスベル本当か!?
ジュディスそれを聞くと、頑張り甲斐が出て来るわね
すずただ、2位との差は僅差だそうです。まだ気は抜けません
アルフェンそうか。これはますます気合いを入れないとな!
アスベルああ。このまま首位を守り抜こう!

NameDialogue
守り神への贈りもの
カイルあ、ここだよ!オレ達の事を招待してくれた村!
リアラのどかな村ね。ここでお祭りがあるの?
カイルうん!村の守り神に感謝を捧げるお祭りなんだって
ハロルドさっき石碑があったわよ。飢饉に陥った時に祈りを捧げたら豊作になって救われた、って
ナナリーそれにちなんだ祭りって事だね。でも、なんでカイルが招待されたんだい?
カイル前にこの村が魔物に襲われてた時に助けた事があって、そのお礼に招待してくれたんだ
ロニあー、そういやそんな事言ってたよな!
ロニけど、俺達も一緒でよかったのか?
カイルうん。そのほうが盛り上がるからって
ナナリーそういう事だったらあんたは真っ先に選ばれるメンバーになるだろうね
ロニおう!盛り上げるのは任せとけ!
ナナリー褒めてないっての!
ロニん?そうだったのか?
ジューダス騒がしくはなるだろうな
村長カイルさーん!
カイルあ、村長さん!
村長こんな山奥までご足労いただいて本当にありがとうございます。皆様、よくお越しくださいました
リアラいえ。こちらこそ、ご招待ありがとうございます
ナナリーあたし達も楽しみにしてたんだ。もう盛り上がってるみたいだね
ハロルドみんな似たテイストの衣装を着てるのね。もしかして儀式に使うもの?
村長はい、その通りです。皆様の分もご用意いたしましたのでぜひお召しいただきたく…
ロニえ、いいのか?
村長もちろんです!さあどうぞ、皆様こちらへ
カイルありがとう、村長さん!みんな、着替えよう!
リアラええ!どんな衣装なのかしら。楽しみね!
カイルみんな、着替えは終わった?
ジューダスああ。…ずいぶん凝った衣装だな
ハロルドうんうん、見た目のわりに動きやすいし悪くないわ
ナナリー着慣れなくてちょっと落ち着かないけどね
ロニまあ、お前は自分で選ばない服だろうなぁ
ナナリーそれはあんただって一緒だろ!
カイルでもよく似合ってるよ!みんなでおそろいの服を着るなんてお祭りって感じするね!
リアラふふっ、本当ね。あとは、はじまるのを待つだけだけど…
村長な、なんだって!?
ジューダスどうした?何かあったのか
村長そ、それが、この後の儀式で使う事になっていた供物が事故で届かなくなってしまったと…
カイルえっ?それが届かなくなっちゃうとどうなるんですか?
ハロルド供物がないんだもの儀式が出来なくなるんじゃない?
村長はい…儀式だけでなく、その後にはパーティーでも使う予定で…
ロニえっ!?じゃあそっちも出来なくなっちまうって事じゃねえか!
ナナリーここまで準備をしたのにそれじゃみんな困っちまうね
リアラどうにか出来ないかしら…その供物ってどんなものなんですか?
村長供物は、近くの山に生息している魔物の肉なのですがなにぶん危険な場所で…
村長ですので、せっかくお越しいただいたところ大変申し訳ないのですが今回の祭りは中止に──
カイルちょっと待ってください!その魔物、近くにいるんですよね?
村長はい、そうですが…
カイルだったら、オレ達がその魔物を狩りに行ってきます!
リアラいいわね!わたし達6人で行けば魔物がいても大丈夫でしょうし
村長いや!お客様にそこまでしていただくわけには…
ナナリー遠慮する事ないよ。魔物と戦うのは慣れてるからね!
ロニああ!せっかく準備した儀式や祭りが無駄になっちまうのはもったいねえ
カイルこのままになっちゃうなんてオレ達も嫌だから場所を教えてください、村長さん
村長皆さん…
ジューダス放っておいても行くと言い出すようなやつらだ。気にする必要はない
ハロルドそういう事
村長ありがとうございます。本当に、どれだけお礼を言ったらいいか…
カイルそれは、帰って来てからですよ!まずは無事に儀式が出来るように狩りに行ってきます!
ナナリーう~ん、いい空気だね!
カイル本当だね!風景も綺麗だし、ちょっとワクワクするなぁ
ジューダスだが、魔物の気配がある。油断はするなよ
リアラええ。それに、神聖な気配も感じるわ。きっと村の人達の言う「守り神」じゃないかしら
ハロルドふむふむ、つまり実際に守られた事があるのね。だからこその儀式なんだわ
ロニこりゃあ、気合い入れて狩りをしねえとな!
カイルうん!村の人達に喜んでもらいたいしね!
ジューダス…無駄話をしていられるのはここまでのようだな
魔物グルルルル…
ハロルドあら、気合いの入った魔物じゃない
ロニへへ、気合いが入ってるのはこっちだって同じだぜ!
ナナリーああ、儀式のためにも狩らせてもらうよ
リアラええ。待っている人達がいるんだもの。精一杯やらなくちゃ!
カイルよし、みんな頑張ろう!

NameDialogue
開運!初詣と願いの絵馬
ゼロスあけましておっめでと~!みんなの晴れ着、とっても似合ってるぜ!
オリエあけましておめでとうございます!ゼロスさんもよくお似合いです
キサラあけましておめでとう。晴れ着を纏ってこのような場に来ると何やら背筋が伸びる思いだな
ゼロスキサラさまもこりゃまたお綺麗で…本当にその通り。背筋伸びまくっちゃって困るぜ
ユナ背筋だけやのうて、鼻の下も伸びまくってるんとちゃうの?
シンク元旦から節操なさすぎ。相変わらず煩悩の塊だね
ユナ除夜の鐘も自分の無力さに落ち込んでまうわ
ゼロスシンクはわかるけどよ、ユナちゃん、久しぶりだってのに俺さまの扱いひどくない?
ユナそんな事あらへんよ。長い事会うてなかったから忘れてもうたんとちゃう?
オリエ本当にお久しぶりですね、ユナさん。到着が間に合ってよかったです!
キサラ世界中を取材して回っていたそうだな
ユナそやねん。けど、みんなとお正月したかったから嬉しいわ
シンクやっと順番がまわってきた。詣でるだけでも大行列、やってらんないね
ゼロスお、いよいよか!えーと、何か決まりあったよな。普通に手を合わせればいいんだっけ?
ユナそ。手を合わせてくるっと右回り、そんで次はくるっと左回り、三回繰り返して「ワン」と鳴くんや
ユナウソやけど
オリエもう、ユナさんったら!また嘘をついて!
キサラ二礼、二拍手、一礼だったか。最後に何か言う必要はあるのか?
オリエそうですね。今年の抱負や、願い事などを言ってもいいかもしれませんね
シンクこんなに大勢の願い事、一度に聞かされる神サマも大変だね
ゼロス何ひねた事言ってんの!意地張らずにあんな事やこんな事お願いしちゃえよ、ほらほら
シンクちょ、背中を押すな
オリエ今年もみんな健康で、一緒に楽しくすごせますように…
キサラ変わらず大切な人達を守り抜けますように
ユナ抱負や願い事かぁ…いろいろあるんやけどひとまず──
ユナめっちゃ面白いお正月になりますように♪
ゴゴゴゴゴ…
ゼロスん?何の音?
シンクこの気配…境内に何かがいる!
ギャオオオオン!
キサラ何だあの魔物は…!?白くて丸くて、まるで──
オリエまるで、巨大な鏡餅…みたいですね…!
ユナあかん!参拝客が大騒ぎや!
ゼロス餅なら餅らしく大人しく焼かれろ!ファイアボール!
シーン…
ゼロスえ、嘘でしょ?ここはカッコよく決まるとこじゃねーの?
シンク何遊んでるわけ?サンダーブレード!
シーン…
オリエどうやら何らかの力によって力を封じられているようです。みなさん、これを!
ユナ何やのこれ。羽子板に、凧に、けん玉に、独楽…?
ゼロス冗談キツいぜ。これで戦えっての?
キサラ他に選択肢はないだろう。私はこの板を使わせてもらう。──はぁっ!
オリエすごいですキサラさん!まるで盾のように羽子板を…!
シンク仕方ないな。ボクはこれを使う。キサラ、援護を!
キサラ任せろ。今だ、シンク!
シンクはっ!
ユナ凧糸を使って餅オバケを縛りあげてはるわ。やるやないの
ユナほなウチとオリエは、独楽回しでもしとこか?ほら、こうして…
オリエけっこうコツがいりますね。よいしょっと…えい!
ギャアア!
ユナ初めてにしては、なかなか上手やないの
オリエえへへ♪
ゼロス独楽ってこんな殺傷能力高いの!?ウソだろ…仕方ねぇな、じゃあ俺はこれで…
ゼロスよっ、ほっ、はっ…くそ!意外と難しいな!
シンクちょっと、何けん玉で遊んでるのさ
ゼロスいや別に遊んでるわけじゃねーって。っしゃー!、はまったぁ!
オリエすごいです、ゼロスさん!…あれ?何だかけん玉の様子が…
キサラ爆発するぞ!魔物に向かって投げろ!
ゼロスおいおいおいおい、マジかよ!?これでも食らえっ!
ギャアアアアアアアアアア…!
ユナたーまやー
オリエすごい威力です。けん玉型の爆弾だったんですね…。何て危険な…
ゼロスいやいやいや、これ準備したのオリエちゃんでしょ?
ユナなぁ、餅オバケの様子何やおかしない?
キサラ何だ?ぶるぶる震えて膨らんで…!!伏せろ!
パーーーン!
ゼロスうわーっ!!
オリエゼロスさん!大丈夫ですか、ゼロスさん!
ユナうわ、酷い…!爆発四散した餅にとりこまれてもうたわ…
キサラ待っていろ、今助ける!くっ、べたべたして取れないな…!
シンクしばらくそのままにしておけば?
ゼロスくそー!何で俺さまだけ!助けてくれ~!!
ゼロスうわ~っ!!
シンクうるさいな。目が覚めたんなら、さっさと手伝ってよ
ゼロスえ…?餅は…?巨大な餅が爆発して…
シンク何寝ぼけてるのさ
オリエゼロスさん、起きたんですね!もー、だから言ったじゃないですか。飲みすぎですよって!
キサラ初日の出が肴とはいえ、程度はわきまえないとな
ゼロスそっか、俺、日の出見て二度寝して…新年早々嫌な夢見たぜ。初詣に行ったら餅の魔物がいてな
シンク正夢だったりしてね
ゼロスないない。夢の中とは大きな違いがあんのよ。ここにユナちゃんがいて──
ユナあけましておめでとさん。遅なってごめんな
オリエユナさん!到着が間に合ってよかったです!
キサラ世界中を取材して回っていたそうだな
ユナそやねん。けど、みんなとお正月したかったから嬉しいわ
シンク…で、ユナが何だって?
ゼロスハハ…ま、まさかね…
キサラちょうどおせちとお雑煮が出来たところだ
オリエ新年会を始めましょう♪改めましてみなさん、あけましておめでとうございます!
全員あけましておめでとうございます!
ユナや~、随分豪勢やないの!これ、オリエ達が作ったん?
オリエはい!キサラさんと腕によりをかけて作りました!
ゼロス美味いおせち、美味い酒、それに晴れ着姿のハニー達…今年はいい事ありそうだぜ
ユナせやなぁ。おせちとお雑煮食べ終わったら、みんなで初詣も行かへん?
キサラああ。行こう。さきほど、オリエともそう話していたところだ
ゼロスちょちょ、ちょっとユナちゃん?一つだけ俺さまのお願い聞いてくんない?
ユナ何やの、顔真っ青にして?
ゼロスやっぱりさ、平和って何事にも代えられない尊いものだと思うわけよ!
ゼロスだから初詣で神様にはこう言って?「めっちゃ平和なお正月に なりますように」…てね!

NameDialogue
雪像コンテストは大乱戦?
ファラ見てこれ!すっごくかわいい!雪の結晶モチーフの髪飾り♪
ロイド巨大雪まんじゅうだってよ!でっけぇ!みんなで食おうぜ!
ヴェイグスノーフェスタか…雪にちなんだ品が多いんだな
リタシルヴァラント名物ってだけあってすごい賑わいね。それにしても…あんた達、寒くないの?
ロイドこのくらいどうって事ないぜ!
ファラ慣れたらイケる、イケる!
リタあ、そう…あたしは寒いわよ
ファラリタ、大丈夫?あ!あれ飲んであったまらない?
ロイドスノーフェスタ特製のスペシャルホットドリンク!?飲もう飲もう!
リタ寒い時に飲む、ホイップ多めのココア。最適ね…温まるわ
ヴェイグああ。こうして雪を眺めながら寛ぐのも、悪くない祭りのすごし方だ
ロイドこれ美味いなあ。後でコレット達にも飲ませてあげたいな
ファラ喜びそうだね!わたしは、今日忙しくて来れなかったリッド達に、お土産買って帰るよ
ヴェイグファラ、さっき見ていた髪飾りの店、あとで案内してくれないか?
ファラ勿論!クレアにあげるの?
ヴェイグああ
リタあたしもあいつらに、何か買って帰るか
ロイドなあ、スノーフェスタって雪見てココア飲んでお土産買って…それで終わりなのか?
リタまさか。目玉は雪像コンテストよ
ロイド雪像コンテスト!?
リタ毎年参加者が腕によりをかけて巨大な雪像を作って優勝を競うの。ほら、会場はあっちよ
ファラ面白そうだね!見に行こ!
ロイドすっげぇ~!!
ファラ大きいね!!
ヴェイグ圧巻だな。今にも襲ってきそうだ
リタ氷の術とかは使わずに雪像を作るのがルールみたいね
ファラねえ、飛び入り参加出来るみたい、優勝したら豪華賞品がもらえるって!
ロイド何だって!?っしゃー、やるっきゃねぇな!
ファラ勿論、参加するよね!リタ!ヴェイグ!
ヴェイグオレは…
リタあたしはパス。アドバイスくらいならしてあげるわよ
リタ客観的に見るのも必要でしょ?
ロイドたしかに。さすがリタだな。じゃあ俺とファラとヴェイグでそれぞれ作ろうぜ!
ファラいいよ!負けないんだから!
ヴェイグ…わかった、やってみよう
ファラよいしょ、っと…じゃーん!自信作だよ!
ロイドこれでどうだ!
ヴェイグここはもう少し削って…
リタどれどれ。ファラのそれは…巨大オムレツ?
ファラ大正解!オムレツのなめらかなフォルムと、ケチャップの表現にこだわったの♪
リタ題材から意外性があるわね。ロイドはノイシュ型の雪だるま?
ロイドおう!ちょうどいい氷を見つけたんだ。ノイシュの耳にぴったりだろ?
リタそうね、可愛いじゃないの。で、ヴェイグは…
ファラすごい…!このシャオルーン、今にも動き出しそう…
ロイドしかも大きいな!!この短時間でよくここまで…!
ヴェイグいや、まだ仕上がっていない。もう少しここに手を加えて…
リタこだわりがすごいわね。ま、三者三様って感じでいいんじゃない?
ファラそれじゃダメだよ、リタ!誰が一番だと思う!?
ロイドここで一位になれないと雪像コンテストでの優勝なんか夢のまた夢だからな!
リタ無茶言わないでよ、三者三様すぎて決めらんないわ。コンテストの結果を待ちなさい
ヴェイグ……
リタあんたも何とか言いなさいよ
ヴェイグ…こいつらが動いて、戦う事が出来ればいいのにな
リタ…今、何て?
ヴェイグ強さを競い合えれば、勝敗を決めるのも簡単だと…そう思っただけだ
ファラ戦う…?
ロイドオムレツとノイシュと、シャオルーンが…?
リタなるほど…いいじゃない
ファラリタ…?どうしたの?
リタそういうの、ハロルドと研究してたのよ。ちょうどいいわね
リタこれをこうして…えいっ!
ゴゴゴゴゴ…
ロイドほんとに動き出したぞ!!ノイシュ…!頑張れノイシュ!
ファラオムレツが…!オムレツってそこが手だったの!?負けるなオムレツー!
ヴェイグまだ仕上がってないが仕方がない…いけ、シャオルーン
ドーン!
リタ物質の種類を問わず動かせるわね。成功だわ!
ロイドうわー!ノイシュがー!ノイシュがオムレツに!ビンタされてる!
ファラわたしのオムレツがシャオルーンに食べられちゃう!
ヴェイグ混沌としているな…
ドーン!ドドーン!
ファラちょっと待って、このままじゃ…
ロイド壊れるんじゃないか!?
リタああ…、急ごしらえだから強度についてはノータッチよ。元はただの雪だから当然──
ドォォォォォン…
ヴェイグ何度も衝撃を加えたら、砕け散るな
ロイド俺のノイシュだるまが~!!
ファラわたしのオムレツが~!!
リタあ~…巨大な雪像…じゃなくて、雪山が完成しちゃったわね…
ヴェイグ雪像コンテストどころではなくなってしまったな…
ファラ…くちゅっ!うう、ずっと雪を触ってたからさすがに寒くなってきちゃった
ヴェイグどこか店に入って温まろう
ファラうん。でも、もったいないなぁ。この雪山を使って、何か作れそうなのに
ロイド雪山を使って…そうだ!
ヴェイグロイド?どうした?
ロイド雪山を無駄にしないで温まる、いい方法があるぜ!俺に任せてくれ!
リタかまくらなんて、考えたわね
ファラこの中、あったかいってほんと?雪に囲まれてるのにあったかいなんて不思議!
ヴェイグ保温性や、遮音性にも優れてるな
ロイドへへっ。そうなんだよ。すごいだろ?
リタ雪像コンテスト会場のど真ん中なのが気になるけどね
ファラみんな、これも雪像の一種だと思って中にわたし達がいても気が付かないんじゃない?
ヴェイグこんな参加方法、コンテスト史上初めてだろう
ロイド俺達らしくていいじゃん!
リタそうね。さ、寒いから早く入りましょ
ファラそうだね!また雪が降ったら、みんなにも作ってあげようよ
ヴェイグああ。ロイドのお蔭で、作り方は覚えたしな
リタま、いいんじゃない?
ロイド俺達だけのスノーフェスタでみんなにも楽しんでもらおうぜ!
全員賛成~!

NameDialogue
きらきら☆スイーツフェス
クラトスコレットが手伝いに行ってほしいと言っていたのはこの街か…?
エミルあ、クラトスさん!こっちです!
クラトスエミルか
エミル無事に合流出来てよかったです。マルタから、クラトスさんが先にこの街に向かっていると聞いて…
エミルスイーツの試食会の「スイーツフェス」の警備、手伝ってもらえるって聞いて安心しました
エミル思ったよりも広い会場で、警備の人数が足りないかもって思ってたんです…
クラトス確かに、会場の広さも気にはなるが…
男性おい、あっちのブース、人が足りてないぞ!
女性こっちも同じよ!仕方ないでしょ、船のトラブルで1日到着が遅れるんだから!
クラトス…この様子では警備以前にそもそも開催に支障が出るのではないか?
エミルそうなんですよね…コレットとマルタが乗っているのもトラブルのあった船みたいなんです
クラトス今日には到着して明日から開催だと聞いていたが、それどころではなさそうだな…
エミルとはいえ、陸路でのお客さんはもう到着してるみたいですし、日持ちしないお菓子もあるから…
クラトス…出店は、チョコレート、クッキー、ドライフルーツ、タルト、ケーキ…
クラトスこの時間ならば明日の仕込みを終えてしまっている店もありそうだな
エミルそうなんです…だから中止にするわけにもいかなくて困っているみたいで…
リンウェルあっ、エミルとクラトスだ!おーい!
ミントお久しぶりです。お二人もお手伝いに呼ばれていたんですか?
クラトス二人「も」という事は、お前達も…
マリアンはい。試食会のお手伝いをさせていただく事になっているんです
リンウェルけど、何かそれどころじゃない雰囲気だよね…?
エミルうん。実は…
リンウェルなるほど、それで街中慌ただしい感じだったんだね
ミントでしたら、お店のお手伝いも頑張らなければいけませんね
マリアンですが、私達が加わっても人手は足りそうにありませんね
エミルうう、やっぱりそうですよね…
リンウェル…ねえ、エミルとクラトスも手伝いに来たんだよね?
クラトスそうだ。警備の手伝いだが
リンウェル提案なんだけど、ブースの方も手伝ってもらえたりしないかな…?1日だけでいいから!
クラトス…私が?
エミルぼ、僕が!?
マリアンそうですね。ご迷惑でなければ、お二人にも手伝っていただけると助かるのですが…
ミントお願い出来ませんか…?
エミルえ、えっと…どうしましょうか?
クラトス……。やむを得まい
クラトス1日なら警備にも気を配りながら対応する事も可能だろう
マリアン本当ですか?ありがとうございます…!
クラトスだが、警備を疎かにするわけにもいかない
ミントええ、勿論です。どのような分担にするか、相談しましょう
リンウェルだね!人手が足りないところを具体的に聞いてこなくちゃいけないし…
リンウェルそうだ、私達、フェス用の制服を借りる事になってるんだ。男性用もあるはずだよ!
ミントでは、まずは主催の方に声をかけて制服を借りてきましょう
リンウェルえへへ、クラトスとエミルも私達とお揃いだね!
エミルうん。僕達が1日だけブースを手伝うのも了解してもらえたし
クラトス皆、支度は終わったようだな
ミントはい。会場全体の配置図もいただいてきました
マリアンこれで誰が何を担当するか相談しやすくなりますね
クラトスああ。私達が加わったとしても人手不足である事は変わらない
クラトス着替えに向かう間に簡単に会場を見たが、通路にはある程度余裕があるように感じた
クラトスしかし、試食会となると皆受け取ったスイーツをその場で食べる事になるだろう
エミル一応、飲食スペースは作ってあるけど…それでも立ち止まる人は出てきちゃうかな?
リンウェル絶対にいないとは言えないよね。それでどんどん詰まっていっちゃうかもしれないし…
マリアン船便の到着が遅れている事を考えると、スタッフだけでなくお客様も少なくはなりますが…
ミントそれがどれくらいの影響になるかわからないですね…
クラトスそのあたりの懸念についてある程度考えてみた
クラトス他のスタッフも含め、この地図に通常時の配置と混雑時の導線、配置について記してある
エミルわ、すごい…!これがあれば何があっても対応出来そうですね
ミントええ!後ほど一緒にお店を担当する方々にも共有しておくようにします
エミルそれじゃあ、配置はそれで大丈夫で…他に確認しておかなきゃいけない事ってありますか?
リンウェルあっ!これは配置とかと全然関係ない話なんだけど…ちょっと気になった事があって
マリアンどうしましたか?
リンウェル今回って試食会でしょ?いろいろと食べ比べをしたら口の中が混乱しないかなって
ミント確かに、味がわからなくなってしまう可能性はありますね
リンウェルだから、飲食スペースにお水とかお茶とか用意しておいたらどうかな?
マリアンそれはいいですね。お水がある事を伝えれば自然に飲食スペースに向かうでしょうし
エミルなるほど!それだったら立ち止まって混雑する事も減るかもしれない
ミントお水を置くだけでしたら、今からでもそんなに時間はかからないでしょうし
ミント飲食スペースでたくさんの方がお話が出来る雰囲気があれば情報交換も盛んになりそうです
リンウェルたしかに!美味しそうだったら「それどこの?」って聞いちゃうかも
マリアンわかります。自分でも食べてみたくなりますし、お土産にもしたくなりますよね
ミントそれなら素敵な包装も出来るといいかもしれませんね
リンウェルそれすごくいい~!試食だけじゃなくて販売のスペースもあるんだよね?
マリアンはい。もう一度食べたいスイーツを購入して持って帰る事が出来ます
ミントでは、希望があればプレゼント用にリボンをかけるようにするのはどうでしょう?
マリアン素敵ですね。包装はどうしても時間がかかってしまいますが
マリアンリボンをかけるだけでしたらお客様を長くお待たせする事なくお渡し出来ますね
リンウェルあ、だったら蝶とかお花とかあらかじめ形を作っておくのはどうかな?
リンウェルそうすれば、テープで留めるだけで可愛い贈り物になると思うんだけど
エミル…ふふ。みんな楽しそうだなあ
クラトスアイデアが溢れて止まらないという様子だな
エミルでも、マルタもそういう時があるかもしれないです。スイーツとか、プレゼントとか…
エミル誰かに喜んでもらいたいって思っている時に見せる笑顔ってすごくいいなって思います
クラトス…そうだな
マリアンあ…すみません。勝手に盛り上がってしまって
エミルいえ、いいと思います。来てくれた人達が喜んでくれるといいですよね
クラトスああ。こういう催しはお前達の案を採用する方が盛り上がるだろうからな
クラトストラブルが起きるようなら声をかけてくれ。対応出来るようにしておこう
マリアンありがとうございます、クラトスさん
マリアンそれでは、ラッピング代わりのリボンを作っておきましょうか
ミントそうしましょう。開始までたくさんの時間があるわけではありませんが…
ミント1つでも多くのリボンを作ってプレゼントを彩れるように準備を整えておきましょう

NameDialogue
新入生に想いを込めた花々を
クレス二人共こっちに来てごらんよ。桜が綺麗に咲いてるのがよく見えるよ
ミラああ。今年も美しく咲いてくれたな
クレスうん。満開の桜並木なんて壮観だね
ベルベットそうね。随分花びらが舞ってるわ
ミラ桜吹雪か。綺麗だが、少し寂しくもあるな
ベルベット寂しい?
ミラああ。まだ散らないでほしいと思ってな
ベルベット感傷的ね。でも、気持ちはわかるわ。…あんなに生き急がなくていいのに
ミラそうだな。…ん?ベルベット、少し動くな
ベルベットちょっと、何?
ミラ──とれた。ほら、見てみろ
クレス桜の花びらが髪についてたのか。風流だね
ベルベットいつの間に…
ミラ淡い桃色で本当に綺麗だな…
ミラふむ、いい事を思いついたぞ。みなで花見をしないか?
ベルベット花見…ね。ま、いいんじゃないの
クレス名案だね。いつにしようか
ミラそうだな…善は急げだ、今日の放課後はどうだ?
クレスいいね、楽しみだよ!
ベルベットわかったわ
クレス──見えてきた。近くで見ると圧巻だね
ベルベットこの桜並木、校舎裏まで続いてるのよね
クレスせっかくだから端まで見てみようか
クレス…あれ?校舎裏に花壇がある。去年までなかったような…
ミラそうだな。それにしても、見事な花々だ。一体誰が──
クレスあそこに誰かいる。あれは…ソフィ?
ソフィあれ?みんな、どうしたの?
ベルベットあたし達は桜を見にきたんだけどこの花、ソフィが育てたの?
ソフィうん。きれいでしょ
ミラああ、色とりどりでとても綺麗だ。だが、花壇を作ってまでどうして花を育てようと思ったんだ?
ソフィ本物のお花を、届けたかったの
クレス本物の花を?
ソフィうん。去年、新入生のために折り紙で花を作ったでしょ?
ソフィすごく喜んでもらえたから今年はもっと喜んでほしくて、ライラ学園長に相談したの
クレスそうだったのか。だから、たくさん花を育てたんだね
ベルベットここは日当たりもいいし、いい環境だわ
ソフィうん。たくさん咲いてくれて、よかった
ミラすごいな、ソフィ
ソフィえへへ
クレス桜を見にきたお蔭でソフィに会えて、きれいな花も見れてよかったよ
ベルベットふふ、そうね
ソフィあのね、このお花を入学式の会場にも飾りたいの。みんなも手伝ってくれる?
ミラ勿論だ
クレスああ、任せてくれ!
ベルベットいいわよ、手伝ってあげる
ソフィありがとう、みんな
ミラ気にするな。綺麗な花を育ててくれてありがとう
ベルベットいい式になりそうね
クレスそうだね。思い出に残る入学式になりそうだ
ソフィ喜んでもらえるかな?
ミラ大丈夫だ。自信を持つといい
クレスソフィの想いはみんなに伝わるはずだよ
ソフィそうだと、うれしいな
ベルベットじゃあ、どの花をどこに飾るか計画を立てないとね
ソフィ──うん!