Name | Dialogue |
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真夏のビーチバカンス♪ | |
シャーリィ | お兄ちゃん、見回りお疲れ様。はい、飲み物 |
セネル | ありがとう、シャーリィ。けど大丈夫なのか?潮風にあたって… |
シャーリィ | うん、もう平気。みんなと海にだって入れるよ。あとで泳ぎの競争するの |
セネル | はしゃぐのはいいけど、俺の目の届かないところには行くんじゃないぞ |
シャーリィ | うん。気をつけるね |
ヴィクトリア | セネルは心配性ね。私も見てるから大丈夫よ |
ゼロス | そうそう。俺さまも見てるぜ!素敵なハニー達の水着姿を穴が空くほどな! |
ヴィクトリア | 変質者は即座に排除よ。砂に埋められるのと海に沈められるの好きな方を選ばせてあげるわ |
ゼロス | 怖い顔すると美人が台無しだぜ?せっかく、絶世の水着美女がいるって聞いて飛んできたのによ~ |
ゼロス | それとも噂の美女はシャーリィちゃんの方かな?水着似合ってるぜー |
シャーリィ | あの、あんまり見つめられると… |
セネル | いい加減にしろ、ゼロス。これ以上はマリントルーパーとして黙ってられないぞ |
ゼロス | わかった、ナンパは控えるよ。けどせっかくだし、俺さまも泳ぐぜ。セネル、更衣室はどこだ? |
セネル | 案内するよ。ヴィクトリア、シャーリィの事よろしく頼む |
ヴィクトリア | わかったわ |
ヴィクトリア | 水着といえば…。エステリーゼ様は無事に水着を手に入れられたかしら |
エステル | わぁ、綺麗なネックレスです。貝殻で出来ているのでしょうか… |
イネス | いらっしゃいませー。お目が高いわね。それはこの浜辺で取れる珍しい貝殻よ |
イネス | この浜辺での思い出を忘れないお守りにもなると言われているの。少し値が張るけど、おひとついかが? |
エステル | イネス!この露店はあなたのお店だったんですね |
イネス | あら、エステルだったのね。そうそう。珍しいお土産とか売れるかと思って出店してみたの |
エステル | あの、このお店に水着はありますか?海の家で聞いたら、この店なら置いてあるかもって言われたんです |
イネス | あら、海に来るのに水着がないなんて珍しいわね |
エステル | 実は…浮き輪や水鉄砲など遊ぶものを準備するのに夢中で水着を忘れてきてしまいまして… |
イネス | なるほどね。勿論、用意してるわよ。ほら、これなんてどうかしら?とてもよく似合うわよ! |
エステル | わぁ、ありがとうございます!ではこれ、いただきます! |
イネス | まいどどうも!それじゃ、更衣室まで案内するわね |
??? | あれ、ゼロス? |
ゼロス | …お、ジーニアスも来てたのか! |
ジーニアス | うん、ヴィクトリアさん達と一緒にね |
ゼロス | へぇ、意外と大所帯だったんだな。…ところで、それ、何作ってるんだ? |
ジーニアス | 八角甲羅ガメの仁王立ちだよ。水難よけのお守りになるんだって |
セネル | 水難よけか、いいな。…ん?ジーニアスが手に持ってる貝殻──… |
イネス | あーっ!そ、その貝殻は…! |
ゼロス | お、エステルちゃんに…イネスさまも来てたのか!さすがイネスさま、水着姿も麗し── |
イネス | ジーニアス、その貝殻はどこにあったの!?まだあるの!? |
ゼロス | …無視とはキツイなぁ。その貝殻、俺さまより魅力あるわけ? |
イネス | 当然ね。買い付けに苦労したのよ |
ジーニアス | 砂の中から出てきたんだ。まだいくつかありそうだよ |
エステル | あっ、でしたら貝殻集め、お手伝いしますよ。海で貝殻集めも楽しそうですし |
ヴィクトリア | 私は反対ですよ |
セネル | ヴィクトリア、シャーリィも…何だ、こっちに来たのか |
シャーリィ | 水難よけのお守りを見せてもらおうと思ってきたの。そしたら話が聞こえて… |
ヴィクトリア | エステリーゼ様がここに来た目的は仕入れの手伝いではないはず。ご自分の事も優先してください |
イネス | ふふ。気持ちだけ受け取っておくわ。取れる場所がわかったし店を閉めた後にでも探してみるわ |
ジーニアス | それならボクに任せてよ。まだしばらく砂を触ってるからついでに見つけたら集めておくよ |
イネス | 本当!?ありがとう!ちゃんとお礼は用意しておくわね |
エステル | ジーニアスは海には入らないんです? |
ゼロス | エステルちゃん、いいんだ。ジーニアスはここで誰かさんと砂を触ってる事が楽しいんだよ。な? |
ジーニアス | なっ…バ、バレてたの…? |
ゼロス | 色恋については百戦錬磨の俺さまの目はごまかせないぜ |
エステル | …? |
ヴィクトリア | ふふ…では、過ごし方は自由という事でよろしいですね |
ヴィクトリア | エステリーゼ様。水着を調達できたのでしょう?早く着替えて、一緒に泳ぎましょう! |
エステル | あ、そうですね!海…ワクワクしてきました! |
Name | Dialogue |
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大繁盛!海の家の夏物語 | |
アッシュ | ふぅ…海の家で少し休むか |
アッシュ | …ん?おまえは… |
ジュディス | あら、アッシュ。さっきはどうも。波を譲ってくれてありがとう |
アッシュ | 別に気乗りしなかっただけだ礼を言われる事じゃねえ。それより、よくあの波に乗れたな |
ジュディス | 動くものの上に立ってバランスを取るのは得意なのよ |
ジュディス | あなたの事も見ていたけれど素晴らしい技術ね |
アッシュ | ちっ、あの程度ならおまえも出来るだろ |
ジュディス | ふふ、そうね。出来たでしょうね。どうかしら、お互いに力を出し切れていないようだし… |
ジュディス | 少し休憩したら、技比べをしてみない? |
アッシュ | …いいだろう。そうと決まれば腹ごしらえだ。おい、店主!焼きそばをよこせ! |
ロゼ | はいよ、焼きそばね! |
アンジュ | あら、焼きそば?美味しそうね。私もいただこうかしら |
ロゼ | いらっしゃい、アンジュ!焼きそばだね、すぐ作るよ! |
アンジュ | あ、でも…せっかく水着が着られるまでやせたのに… |
ロゼ | どうりで細いと思った!それだけやせたなら少しぐらい食べても平気だよ! |
アンジュ | お上手ね。それじゃあ一人前、いただくわ |
ロゼ | 毎度あり!さぁ、忙しくなってきた! |
デゼル | ロゼ、戻ったぞ。カヤックで沖の方まで行って風を読んできた |
ロゼ | おかえり!どうだった? |
デゼル | いい風が吹いてる。まだしばらくは、天気もよくほどよい波が続きそうだ |
ロゼ | じゃあ、まだまだ人が集まるんだね!ギルドにお手伝い頼んでおいてよかったよ! |
デゼル | …ところでその焼きそばはロゼが作ったのか? |
ロゼ | うん。どうして? |
デゼル | いや…何でもない |
デゼル | 忙しいだろう。焼きそばは代わるから、他を頼む |
ロゼ | …?わかった。じゃあよろしくねー |
アンジュ | ふぅ、ご馳走様。少し食べすぎちゃったかしら |
シェリア | だったら運動しない?今、ビーチバレーの相手を捜してたの |
アンジュ | あら、シェリア。いいわね、是非参加するわ! |
アーチェ | ビーチバレー?いいじゃん、あたしも混ぜてよ |
シェリア | アーチェ!あなたも来てたのね!勿論いいわよ! |
アーチェ | ねぇねぇ、その後さ!フロートに乗ってみない!?この海の家で貸し出してるんだって! |
シェリア | フロート?ああ、あの変わった形のボートみたいなやつね |
アーチェ | せっかく、いい波来てるんだもん。やっぱり波に揺られたいじゃん! |
ジュディス | 素敵ね。フロートでのんびりするのも乙なものかもしれないわね |
アーチェ | ジュディスも一緒に遊ぶ? |
ジュディス | ありがとう。けど遠慮しておくわ。先約があるから── |
アッシュ | おい、いつまで休憩している。波が出始めた。俺は行くぞ |
ジュディス | すぐに行くわ。…というわけだから、また今度ね |
アーチェ | サーフィンか、それも楽しそう♪ねぇ、後で波の乗り方教えてよ! |
ジュディス | ええ、いいわよ |
シェリア | ビーチバレーに、フロートにサーフィン…大忙しね |
アンジュ | いいじゃない。たくさん遊んで身体を動かした後は… |
アンジュ | 海の家で美味しいものを食べて、今日という日を思いっきり楽しんじゃいましょう! |
シェリア | ふふ、結局食べるのね。けど賛成! |
アーチェ | そうと決まれば、話してる暇はないね!よーし、行っくよー! |
アンジュ・シェリア・アーチェ | おー! |
Name | Dialogue |
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俺にかかれば百発百中! | |
アルヴィン | おーおー、この暑いのに賑やかだこと |
アルヴィン | 田舎の小さな祭りだって聞いてたけどこれだけ人が集まりゃ立派なもんだな |
アルヴィン | …ん?ここはえらくガラガラだな。何の屋台だ? |
店主 | 射的だよ。ちょっと事情があってお客さんが寄り付かなくてね… |
店主 | 今日もあんたが最初のお客さんだ。遊んで行くかい? |
アルヴィン | 事情?何か知らんが、面白そうだ。やってみるか… |
パティ | おお、射的か!うちの得意分野なのじゃ!遊んで行くのじゃ! |
アルヴィン | お、パティか。残念だったな。俺の後じゃペンペン草も残らねぇぞ |
パティ | 腕に自信がありそうじゃな、アルヴィン。しかしそれはうちとて同じ… |
パティ | どうじゃ、ここは公平に勝負といかんか? |
アルヴィン | いいぜ。よし、親父。ありったけの弾をくれ |
店主 | はいよ!ちょいと待ってくれよ。えーと… |
店主 | あれ!?な、ない… |
アルヴィン | ないって…何がだ? |
店主 | コルク弾だよ。確かにこの袋に入れて──ああっ、穴が空いてる!? |
アルヴィン | 穴が空いてるだけならそこらに落ちてるんじゃないのか? |
パティ | 探してみるのじゃ。コルク弾、コルク弾… |
コハク | 呼んだ? |
パティ | おお、コハクか。違うのじゃ、うちらが探しとるのはコルク弾なのじゃ |
コハク | コルク弾…って、もしかしてコレの事? |
店主 | それだ!お嬢ちゃん、どこに落ちてた!? |
コハク | わたしが拾ったのは、みそ田楽の屋台前だよ |
コハク | 誰かが踏んで転びでもしたら危ないと思って拾っておいたの。他にも拾ってる人を見かけたけど── |
スタン | あっ、射的の屋台、発見!コルクが落ちてたんだけど、もしかしてここのですか──って |
スタン | みんな来てたのか! |
パティ | スタン、そのコルク弾はどこに落ちてたのじゃ?みそ田楽の屋台か? |
スタン | いろんなとこに落ちてたぞ。りんご飴、トウモロコシの屋台に金魚すくいの屋台にも |
店主 | てんでバラバラの場所じゃねぇか。お祭り会場中に散らばってしまってるんだな… |
??? | ああ、そのようだ |
ガイアス | 俺もいろいろと回ったがそこかしこでコルク弾を拾った |
スタン | ガイアスさん…! |
店主 | えっ、まさか…!? |
ガイアス | 人違いだ。俺はアースト、一介の市井の男だ |
店主 | な、なんだ違うのか。ガイアスなんて言うから王様が来たのかと思ったぜ |
アルヴィン | …んで?アーストさんは会場中のいたるところでコルク弾を拾ったと? |
ガイアス | ああ。こんな事だろうと思い持てるだけ拾い集めてきたが手が足りなくてな |
パティ | それだけの大荷物なら当然じゃな |
ライラ | あら?珍しい組み合わせですわね。お揃いで射的ですか? |
スタン | ライラ!違うんだ、実は… |
ライラ | まぁ、そうでしたの。大変ですわね |
店主 | 会場中に散らばってるなんて…集めるのは無理だよな。今回は店じまいするか… |
コハク | おじさん、諦めないで。大丈夫、わたしが探してくるから! |
スタン | 他にも見知った顔を見かけたからみんなにも声をかけておくよ |
ガイアス | 物のついでだ、見つけたら集めておこう |
ライラ | これも何かの縁、私もお手伝いしますわ。人手は多い方がいいでしょうし |
パティ | 当然、うちらも探してくるのじゃ |
アルヴィン | 親父はここで待っててくれよ。屋台を留守にするわけにはいかないだろうしな |
店主 | ありがてぇ…!よろしく頼むよ |
店主 | そうだ、お礼と言っちゃ何だが無事に店が開けるぐらい集まったら特別コースを遊び放題にするよ |
パティ | ほう!特別コースとは面白そうな響きじゃな! |
店主 | 他では味わえない高難度の射的だ。何しろ難しすぎて誰も攻略出来ず客が来なくなったほど… |
アルヴィン | …さっき言ってた客がいない事情って、それの事か。どれだけ難しいんだよ |
店主 | ちょっとした試練があるだけだ。お客さんと店が全力でぶつかり合う熱い戦いになると思ったんだが… |
パティ | 安心せい。うちはどんな事があろうと狙った獲物は逃さないのじゃ! |
店主 | ありがてぇ、頼むよ。攻略出来る事を証明してくれりゃお客さんも戻って来ると思うんだ |
アルヴィン | 上手く利用されてる気もするが…誰も攻略出来なかったと言われたら腕が鳴るよな。手加減するなよ? |
店主 | 勿論だ。八百長に見えちゃ意味ねぇからな |
アルヴィン | んじゃ、それに挑戦するためにもみんなで手分けしてコルク弾を探すとしますか! |
Name | Dialogue |
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ようこそ マリンパークへ! | |
ピッポ | ついに…開園の日が来たキュ |
キュッポ | この日を心待ちにしていたキュ… |
ポッポ | ポッポが作った乗り物で、早くみんなに楽しんでもらいたいキュ |
ジェイ | ここに居たの。もうすぐ開園時間だけど準備はいい? |
キュッポ | 抜かりはないキュ。遊園地は安全が大事って耳にタコが出来るほど聞いたキュ |
ジェイ | それもだけど…みんな、園内に出るんでしょ?マスコット役として |
ジェイ | 本当にいいの?このマリンパークはモフモフ族が主体となって作り上げたんでしょ |
ジェイ | なのに開園してからもそんなに働いて…負担にならないかな? |
キュッポ | 負担だなんて思ってないキュ |
ピッポ | ピッポ達は、人間さんともっと仲良くなりたくてマリンパークを企画したキュ |
ポッポ | 人間さんと触れ合えて、しかも喜んでもらえるなら、喜んでマスコットになるキュ! |
キュッポ | 設定も完璧に用意したキュ!世界最強の格闘家、キュッポ! |
ピッポ | 歌って踊れる愛の詩人、ピッポ! |
ポッポ | 機械の事なら何でもお任せ、発明家ポッポ! |
キュッポ・ピッポ・ポッポ | 合わせて、モフモフ3兄弟キュ! |
ジェイ | …設定というか、そのままだけど…楽しみにしてくれているんだね。そういう事ならぼくは何も言わないよ |
ピッポ | それにもうスタンプラリーの台紙もたくさん用意してるキュ |
キュッポ | キュッポ達に会えばスタンプが集まる…スタンプが集まれば景品がもらえる… |
キュッポ | だから人間さん達は景品欲しさにキュッポ達に会いに来る!完璧な作戦キュ! |
ジェイ | みんなに集まりすぎないといいけど… |
ジェイ | ぼくも従業員としてみんなに付き添うから何かあったら任せて |
ポッポ | ジェイは心配性だキュ~ |
??? | あ、居た…! |
ティア | ジェイ、みんなに集まるよう伝えてきたわよ。開園前に準備確認をするんでしょう? |
ジェイ | ティアさん。ありがとうございます。すぐに行きます |
ティア | ところで、私の分の制服は届いてるかしら? |
ジェイ | ああ、前のやつはサイズが合わなかったんですっけ。届いてますよ、着替えに行きましょう |
ティア | ありがとう。…それにしても… |
ピッポ | キュ? |
ティア | (可愛い…! 私もお客さんとして モフモフしたい…!) |
ジェイ | ティアさん…? |
ティア | い、今行くわ |
ジェイ | そうだ、キュッポ達の準備確認は終わりましたから配置についておいてください |
キュッポ | わかったキュ! |
ポッポ | 楽しみだキュ~! |
ジェイ | みなさん集まってますね。まずは急なお願いだったのにご協力ありがとうございます |
ジェイ | さて、早速、みなさんの持ち場の準備状況を報告してください |
ミラ | イルカショーは問題ない。みな、上手に芸を披露してくれるぞ |
リアラ | 案内所も問題ないわ。園内の地図もばっちり覚えたわよ |
デゼル | 展示用の客船も準備は万端だ。波止場の掃除まで完了してる |
リフィル | 救命具の配置も指示通りにしたけど…まだ足りない気がするから二重三重に準備していくわ |
ジェイ | リフィルさん、本当に水が怖いんですね… |
リフィル | な、何言ってるの。私は安全を考慮して…ほら、小さな子も来るし |
ティア | 備えておいて悪い事はないわ。私は園内の見回り担当だけど、全てに目を届かせる事は難しいもの |
ジェイ | ええ。そうですね。むしろ水を怖がる人にこそ安全面を管理していただきたいですし |
リフィル | 別に怖がっているわけではないけど…そういう事なら安全対策は任せてちょうだい |
ジェイ | はい、お任せします。というわけで全体問題なしですね |
ジェイ | …そうそう。みなさん、開園記念ステッカーは手元にありますか? |
ミラ | ああ。先ほど受け取ったがこれはどうすればいい? |
ジェイ | 簡単です。お客さんと接する機会があったら配ってください |
ジェイ | 開園記念キャンペーンのひとつで、ステッカーをたくさん集めると景品と交換する事ができるんです |
ミラ | なるほど、了解した |
リアラ | あら?開園記念キャンペーンはスタンプラリーじゃなかったかしら |
ジェイ | どちらも開催します。スタンプラリーはキュッポ達と触れ合った人にスタンプを押します |
ジェイ | もっともキュッポ達だけではスタンプが行き渡らないでしょうからみなさんにもお手伝いいただきますが |
リアラ | そう言う事なら任せて。けど、あくまでスタンプラリーの主体はモフモフ族って事ね |
デゼル | 待て。モフモフ族は乗り物を作った当の本人だろう。何かあった時は誰が対応するんだ |
ジェイ | 人間の整備士もいますから多少の事は問題ありませんよ。モフモフ族の技術もお伝え済みです |
リフィル | モフモフ族の技術…人間にとって未知のものもある…気になるな。まるで古代の… |
ティア | ジェイ、そろそろ開園でしょう?持ち場についた方がいいわ。…リフィルが正気な内に… |
ジェイ | そ、そうですね…。では…マリンパークは間もなく開園します |
ジェイ | 小さなお子様から、大人まで、楽しんでいただけるようにみなさんよろしくお願いします! |
ミラ | 了解した。イルカ達にも伝えておこう |
リアラ | 楽しい思い出を残してもらえるよう頑張りましょう |
リフィル | そうね。安全に遊んでもらうために |
ティア | みんなで準備してきたんだもの。きっと大丈夫よ |
ジェイ | それでは、マリンパーク開園です! |
Name | Dialogue |
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温泉宿のドタバタお月見会 | |
アグリア | あぁ!?あたしが仲居なんて聞いてねぇーぞ! |
ジャオ | なら何の任務だと思うとったのだ。ウィンガルははっきり、温泉旅館の接客と言うとったぞ |
アグリア | それは聞いたけど、潜入捜査か何かだと思ったんだ。ただ手伝うだけってどういう事だよ |
ジャオ | 確かに前は潜入捜査として来たが…その時の接客が評判よかったらしく繁忙期には依頼が来とるのだ |
ジャオ | それにこの温泉旅館は月見の名所としてア・ジュールの重要な観光地になりつつある… |
ジャオ | だからこれは、国にとって重要な仕事なのだと…陛下もよろしくと言っておったのう |
アグリア | 陛下もか…くそっ… |
ジャオ | 今年はお月見会なる大宴会も開かれるでな、特に客も多い |
ジャオ | 見ての通り、従業員控室にも誰もおらんほど忙しいのだ |
ジャオ | プレザも接客を手伝っておるが手が回っておらんようだしのう。頼む、手伝ってやってくれんか |
アグリア | はっ、確かにババアだけじゃ無理だろうな |
アグリア | チッ、わかったよ、これも任務だ。ところでもう月は出始めてるのにお月見会ってやつは間に合うのか? |
ジャオ | うむ、それが実は── |
サレ | ちょっと、お月見会はまだなのかい?宴会の準備、出来てるようには見えないんだけど |
アグリア | 何だ、てめぇ!従業員以外立ち入り禁止って書いてあんのが見えねぇのか? |
サレ | 待たせておいて、客に対してそんな態度…少しお仕置きが必要みたいだね |
アグリア | うるせぇ、てめぇの顔が満月みてぇにまん丸に腫れ上がるまでボコボコにしてやろうか!? |
ジャオ | やめんか、アグリア!お客人も、控えてくだされ |
ジャオ | 宴会の準備は急いでおりますでな。このアグリアは助っ人…何かあれば余計に遅れますわい |
サレ | ふん、いいよ。キチンと間に合わせるなら待っててあげる |
サレ | けどもし遅れるようなら僕なりのやり方で楽しむからそのつもりでね |
ジャオ | むぅ、ますます急がねばならんのう |
アグリア | 何でだよ。あんな奴、今の内にぶっ飛ばしときゃいいだろ |
ジャオ | まだ何もしとらんのにそういうわけにはいかんだろう |
ジャオ | 宴会の準備を急ぐとしよう。それと…少しでも間を持たせるために何か用意しておこうかのう… |
エドナ | …月が出てきたわね。宴会の準備がまだみたいだけど本当に間に合うのかしら? |
ガイ | 今、旅館の人達が必死に動き回ってくれてるからもうしばらく待ってようぜ |
エドナ | 月見の名所として知られるわりには手際が悪いのね |
チェスター | まぁそう言ってやるなよ。聞いた話じゃ、参加者の数が予想を遥かに上回ってたらしいぜ |
ガイ | おっ、何食べてるんだよ? |
チェスター | 時間かかりそうだからって、月見そばを用意してくれたんだ。お前らの分ももらってきてやろうか? |
ガイ | いいな。けど、ここはグッと堪えて宴会のご馳走を待つ事にするぜ |
エドナ | ワタシもいらないわ。もうそこに置いてあったおまんじゅうを食べてるし |
チェスター | そっか、残念だな。月見には欠かせないと思うけど…まぁオレは特別思い入れもあるからな |
ガイ | 思い入れ?月見そばにか? |
チェスター | ああ。お月見の季節はいつもアミィと一緒に月見そばを食べてたのを思い出してな |
ガイ | アミィ…亡くなった妹さんだったか |
チェスター | ああ。だから懐かしくて、みんなと一緒に食べたいと思ったんだ |
エドナ | …… |
チェスター | 悪い、少し湿っぽくなっちまったな。今日は宴会だ、楽しくやろうぜ |
ガイ | なぁ、チェスター。やっぱり俺も── |
エドナ | ワタシもいただくわ |
チェスター | エドナ…?けど、まんじゅう… |
エドナ | あら、ワタシじゃ不服なわけ? |
ガイ | まあまあ、せっかくだし、宴会の料理に月見そばも出してもらって、みんなで食おうぜ! |
チェスター | 二人共、ありがとうな。そうだな、宴会の締めに月見そばってのもよさそうだ |
エドナ | …その宴会がなかなか始まらないわけだけど…いつまで待たせるのかしら |
エミル | あっ、それならもう少しだと思うよ |
ガイ | エミル。何だ、その団子? |
エミル | 宴会で使う月見団子だよ。あまりにも忙しそうだから僕も手伝う事にしたんだ |
エミル | その方が早く宴会を始められるしみんな喜ぶと思って |
チェスター | 確かにその通りだな。よし、オレも手伝うぜ |
エドナ | …仕方ないわね。待っているのも暇だしワタシも手を貸してあげるわ |
ガイ | よーし、ガイ様の華麗な配膳を見せてやるとするか! |
エミル | うん、みんなで準備すればきっとすぐだよ。頑張ろう! |
アグリア | おい、てめぇ、何無駄口叩いてやがる。準備がいつまでも終わらねぇだろ |
エミル | わわっ、ごめんなさい…! |
ガイ | おいおい、善意で手伝おうってのに、そんな言い方はないだろ? |
アグリア | あ?頼んでねぇよ。やる気ねぇなら邪魔だからゆっくりおくつろぎやがれってんだ |
エドナ | …それって、自分達の仕事だから気にせず休んでいて…って言ってるつもり? |
アグリア | あ? |
エドナ | つまり…ワタシ達が働くとあなたが無能だってバレるから困るのね |
アグリア | 誰がンな事言った!見てろ、てめぇら全員分ぐらいあたしが働いてやっからな! |
チェスター | まぁまぁ、そう張り合うなって。みんなで頑張ればいいだろ。月はもう昇ってるんだ、急ごうぜ! |
Name | Dialogue |
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グルメと音楽 夢の競演! | |
カランカラン… | |
ロゼ | いらっしゃいませ!…あっ、ジェイドとハロルド! |
ジェイド | やれやれ、また来てしまいましたよ。近くに来ると、つい足が向いてしまいますね |
ハロルド | 私も、ロゼ達の演奏するジャズが頭から離れなくて研究の合間を縫って来ちゃうのよね~ |
ロゼ | 喜んでもらえてるようで何より!席は、カウンターでいいかな? |
ハロルド | ええ。その方が助かるわ。演奏中でも注文しやすいもの |
ジェイド | そういえば彼は演奏に参加しないのですか?いつもカウンターにいますが… |
ロゼ | 彼…?あぁ、ガラドの事? |
ガラド | 俺は演奏中の接客と調理の係だ。何も提供出来なくてもいいってぇなら演奏するがな |
ジェイド | それは困りますねぇ。美味しい料理と飲み物も楽しみのひとつですから |
ロゼ | じゃ、その美味しい料理と飲み物のご注文は何にしましょ? |
ジェイド | そうですねぇ。私は豆腐料理を何か |
ハロルド | 私は、鮭のムニエル。前に食べて美味しかったのよね。それから飲み物は── |
セネル | 料理あがったぞ |
ザビーダ | おっもうすぐ演奏時間だな。運ぶのは俺様に任せときな |
ロゼ | ありがと!そろそろ急ごっか! |
セネル | ああ、急ぎはするが、そろそろ調理場所の改装を考えてくれ。カウンターの中じゃ限界がある |
ロゼ | あ~演奏もしてるし今の状態だと限界って言ってたもんね…売り上げも好調だしちゃんと考えとく |
セネル | よろしく頼む。あとはこれを作ったら落ち着くから、ガラドと交代する |
ザビーダ | んじゃ、それが出来たら演奏に入るとするかね |
ロゼ | よろしく。いやぁ、それにしても今日も満員御礼だね! |
ザビーダ | ああ。何でもうちの人気にあやかろうと、他のレストランでも店員がジャズ演奏を始めてるらしいぜ |
ロゼ | あ、それあたしも聞いた。お店によっては雰囲気に合わせてジャズ以外の演奏もしてるらしいね |
ガラド | 二番煎じに客を取られちゃ困るな。話をつけてきてやろうか? |
ロゼ | うーん、それよりせっかくだから、もっと盛り上げるってのはどうかな? |
ロゼ | 例えば…他のお店のバンドも招待してうちで演奏会をやるとか! |
ザビーダ | なるほど、便乗されたなら便乗し返してやるって事か |
ガラド | だが、招待するとなると出演料を払わされるんじゃねぇか? |
ロゼ | あ、そっか、それが筋だよね |
ジェイド | それならいい考えがありますよ |
ロゼ | えっ、ほんと!? |
ジェイド | ええ。ただの演奏会ではなく、演奏対決という形で宣伝するのです |
ジェイド | あなた達は挑戦者を迎え撃つという建前にすれば、挑戦者に出演料は必要ありません |
ロゼ | んー、それだと勝者には豪華な賞品が必要になるよね |
ハロルド | あなた達に勝利する人がいればその名誉自体が賞品になるわ |
ロゼ | どういう事? |
ハロルド | 実はね!他のお店の演奏も気になって世間の評判のデータを集めてみたの!そうしたら── |
ハロルド | やっぱり最初にジャズ演奏を始めたあなた達こそが本物だって思ってる人が多かったのよ~ |
ハロルド | ここで重要なのは、一番上手ではなく本物っていう表現ね!実際の技量ではなく印象の問題なの! |
ハロルド | だから技量であなた達に引けを取らないはずの人達が今は不遇な扱いを受けてるってわけ! |
ロゼ | そっか!そこでうちに挑戦して勝てば正当に評価されるようになる!その事自体が報酬になるって事か… |
ガラド | 報酬は名誉…か。面白ぇじゃねぇか |
ロゼ | だったらそれなりに大々的に宣伝しないとね。世間が認める事が大前提になるし… |
ロゼ | 何より挑戦者が集まらないと企画倒れで終わっちゃう |
セネル | なら、フライヤーってやつを配ったらどうだ?演奏会のチラシみたいなやつ |
ガラド | そういう物があるのか。よく知っていたな |
セネル | 近くの店がフライヤーを導入したって聞いて、料理に使うやつかと思って見に行ったら、それだったんだ |
セネル | その時はがっかりしたけど、その情報がこうして役に立つなら結果的によかったかな |
ロゼ | うんうん、役立つ役立つ! |
ロゼ | じゃ、知り合いのギルドに頼んで演奏やってるレストランやカフェでフライヤーを配ってもらおう! |
ジェイド | これは面白くなりそうですねぇ |
ハロルド | ええ、聴きに来ない手はないわね |
セネル | …さて、料理出来たぞ。ガラド、後は頼む |
ガラド | 任せな |
ザビーダ | んじゃ、そろそろ演奏開始と行くか! |
ロゼ | よーし、演奏会に向けて、いつも以上に気合入れて行こう! |
Name | Dialogue |
---|---|
カジノで微笑む幸運の女神 | |
ベルベット | …あら、また当たりね。チップが持ちきれないほど増えたけどカジノってこんな簡単でいいの? |
リフィル | 運ぶのをお手伝いしましょうか? |
ベルベット | あんたは…リフィル?その恰好は… |
リフィル | これは…ちょっと事情があって。それより、チップを運ぶのでしょう?どこに行くの? |
ベルベット | そうね…。次は何にしようかしら。もう一通り回ったと思うけど… |
リフィル | それでこのチップの量という事は、もしかして全勝なのではなくて? |
ベルベット | そういえば負けてないわ |
リフィル | すごいじゃない!あなたならもしかすると…あの人達に勝てるかもしれないわね |
ベルベット | …何の事よ? |
リフィル | 実は、そういう負け知らずのお客様にだけご案内している大勝負があるの |
リフィル | 勝てば特別な景品が手に入るチャンスよ。興味はあるかしら? |
ベルベット | …怪しいわね。何をさせられるのよ |
リフィル | やる事は変わらないわ。店内の好きなところで勝負するだけ |
リフィル | ただし…あなたと同じ負け知らずのお客様と勝ちを競い合うの |
リフィル | 勝負は一回…直接勝敗がつかないルーレットとかはより多くのチップを残した人が勝ちよ |
ベルベット | なるほど、勝ち続けている客同士で潰し合いをさせようってわけね |
リフィル | 何だか聞こえが悪いけれど、簡単に言うとそういう事ね |
リフィル | でもやりがいはあるわよ。その勝負で勝つと、チップとは別に特別なスロットメダルがもらえるの |
リフィル | そのメダルを使って回せるスロットで、さっき言った特別な景品が当たるかもしれないのよ |
ベルベット | へぇ。その景品って何なの? |
リフィル | それは回してからのお楽しみよ。素敵な物…とだけ言っておくわ |
ベルベット | そう。まぁ、あんたが言うぐらいだから期待してもよさそうね |
ベルベット | その勝負、乗るわ。どうせなら、一番いい景品を持って帰るわよ! |
リフィル | それじゃ、ご案内するわ。頑張ってね |
レイア | 相手はベルベットか。手強そうだけど、負けないよ!今日のわたしはついてるからね! |
ベルベット | 負け知らずの客ってあんただったの。言っておくけど、あたしもついてるからここにいるのよ |
レイア | うん、わかってる。だから、どっちがついてるか勝負するんだよね! |
フィリア | ではルーレットで勝負ですね?ベットは決まりましたか? |
ベルベット | そうね。ここは堅実に… |
レイア | ここに全部! |
ベルベット | なっ…!本気なの?確率がどれだけ低いと思ってるの |
レイア | でも当たれば大きいでしょ! |
ベルベット | はずれた時の事は考えないの? |
フィリア | あの、ベルベットさん。対戦相手の賭け方に口を出すのは、マナー違反かと… |
ベルベット | わかってるわよ。ちょっと驚いただけ |
フィリア | それで、ベルベットさんはどうされますか? |
ベルベット | …同じところに全額 |
レイア | えぇーっ!? |
ベルベット | あんた、ついてるんでしょ?だったら便乗させてもらうわ |
レイア | それじゃ勝負つかないでしょ!? |
ベルベット | 賭けられるチップはあたしの方が多く持ってるから当たればあたしの勝ちね |
レイア | そんな…最初からわたしには勝ち目がなかったって事!? |
ベルベット | 勝つ方法はあるわよ。チップを一枚でも手元に残せば、はずれた時にあんたの勝ちになる |
レイア | うーん、そうだけど…それは何か嫌だな。勝負は全力で行きたい! |
ベルベット | じゃあ、これで確定ね |
フィリア | では締め切りますけど…本当によろしいんですね? |
ベルベット | 賭け方に口を出すのはマナー違反なんでしょ。早く回しなさい |
フィリア | そうですね…。それでは、参ります…! |
シャッ── | |
カラカラカラカラ… | |
コン、コロロ… | |
フィリア | これは…! |
レイア | やった!大当たり!!やっぱり今日はついてる! |
ベルベット | あたしも当たりね。だから、この勝負は… |
フィリア | ベルベットさんの勝ち…ですね |
レイア | うん、けど二人共チップは増えたし全力勝負だから後悔はないかな。いい勝負だったよ、ベルベット |
ベルベット | あたしはあんたに便乗しただけよ。お礼を言いたいぐらいだわ |
リフィル | ずっと見ていたけれど、さすがね、ベルベット!これならもう一勝負いけるかしら |
ベルベット | …他にも負け知らずの客がいるって事? |
リフィル | ええ、あと一人。いい景品を狙うならスロットメダルは多い方がいいでしょう? |
ベルベット | そうね。口車に乗ってあげるわ。案内して |
ミクリオ | 君の対戦相手が来たようだね、クンツァイト。ベルベットか…きっと手強いぞ |
クンツァイト | カードの遊戯であれば自分の敗北確率は非常に低い |
ベルベット | カードをご所望ってわけね。いいわ、この勝負お互いに全額賭けましょう |
クンツァイト | 受諾。大量のチップを入手する有効な機会であると判断した |
クンツァイト | 出されたカードの記録と期待値計算、人間心理における戦略選択のデータベースがあれば勝利は確定的… |
ミクリオ | 僕もそう考えてたけど、ディーラーをやってから見解が変わったよ。そもそも確率の収束は── |
ベルベット | 御託はいいから、さっさと始めなさい |
ミクリオ | ああ、そうだったね。それじゃあ、カードを配るぞ |
クンツァイト | …… |
ミクリオ | …ベルベットの勝ち、だね。それも、圧倒的に… |
クンツァイト | 自分は常に最善手を打ち、確率通りに事は進んでいた。だが… |
ベルベット | あんたの言った通り、普通にやってたら負けそうだったからちょっと思い切ってみただけよ |
ミクリオ | それにしたって思い切りすぎだ。こんな勝ち方、見た事ないぞ |
クンツァイト | 出現確率、65万分の1の手。それをこの一発勝負の場で出すとは… |
ベルベット | そうなの?今日はあたしが一番ついてるみたいね |
ミクリオ | それだけじゃない。その思い切った心の強さが運を呼び込んでるんだと僕は思うよ |
クンツァイト | 同意。カードのスキャンでもしていなければとても打てる手ではなかった |
ベルベット | カードのスキャン?まさかあんた、カードを透視していたの? |
クンツァイト | 否定。スキャンは以前、仲間達とババ抜きをした時に禁止だと言われた |
クンツァイト | もっとも、今回の勝負はスキャンしていたとしても同じ結果になっていた…完敗だ |
ミクリオ | ああ、いい勝負だったよ。それに面白い物を見せてもらった。ありがとう |
ベルベット | …負かした相手からお礼を言われるなんて変な感じね… |
リフィル | すごいわね、ベルベット。今日は本当についてるじゃない |
リフィル | この流れが来ているうちにもらったスロットメダルでスロットを回しに行きましょう! |
ベルベット | …?妙に急かすわね。まぁいいけど |
ベルベット | ……本当に当たったわ |
リフィル | すごい、大当たりよ!やっぱりついてる時は行けるものね。私の時もそうだったし |
ベルベット | …?あんたもって、どういう意味? |
リフィル | …実は大当たりの景品ってコレなの |
ベルベット | コレは…「一日体験入店権」…?この店で働くって事? |
リフィル | そう。いい社会勉強になるし、今ならこのバニー服もプレゼントしてもらえるわよ! |
ベルベット | …リフィル、あんた、まさか… |
リフィル | …ええ。実は昨日、一日入店権を当てて、この服を着せられてしまって… |
リフィル | 「選ばれし美女」なんて呼ばれて恥ずかしいから、せめて仲間が欲しくて… |
ベルベット | それであたしにあの勝負を勧めたのね |
リフィル | こんなに上手く行くとは思ってなかったけど |
ベルベット | ええ、確かにね。けど却下。あたしは放棄するわ。働かされる景品なんて意味不明だし |
リフィル | そんな…助けると思って、お願いよ |
リフィル | ふぅ…結局、腹をくくって私一人で頑張るしかないようね |
Name | Dialogue |
---|---|
トリック・アンド・トリート | |
イリア | 何か人が集まってるわね。貼り紙…?えぇと… |
コーダ | イリア、早くメシ食べに行くぞ。お腹ペコペコだ。貼り紙で腹は膨れないんだな、しかし |
イリア | お菓子もらえるって書いてあるわよ? |
コーダ | それを早く言え!お菓子、食べたいんだな、しかし! |
イリア | でも、今すぐじゃないわよ。ハロウィンのイベントに参加したら…だって |
コーダ | ハロウィン? |
イリア | 知らない?仮装して、トリック・オア・トリートって言って回るのよ |
イリア | イタズラかお菓子かって意味ね。言われた人はイタズラされないようにお菓子を渡すっていう風習があるのよ |
コーダ | それを言うだけでお菓子がもらえるのか。最高なんだな、しかし |
ヒルダ | けど、この貼り紙の内容は少し違うみたいよ |
イリア | ヒルダ!急に声掛けないでよ、びっくりするじゃない |
ヒルダ | あら、こんな事で驚いていてはお菓子を取られてしまうわよ |
イリア | は?どういう事よ? |
ヒルダ | ほら、貼り紙をよく読んでみて |
イリア | トリック…「アンド」…トリート? |
ヒルダ | どうも、イタズラして、お菓子までもらう…という意味のようね |
イリア | …ふむふむ。なるほど、仮装して人を驚かして驚かされたらお菓子を渡す…と |
イリア | お菓子もイタズラも両方楽しもうだなんて贅沢なイベントね |
コーダ | イリアはイタズラ好き。コーダはお菓子好き。参加しない手はないな、しかし |
イリア | あたしがイタズラ好きってどういう事よ? |
コーダ | いつも、ルカにイタズラして泣かせて笑ってるんだな、しかし |
イリア | だってそれは、ルカが…とにかく一緒にしないでよね |
コーダ | じゃあ、コーダはお菓子好き!これは変わらないぞ、しかし。参加するんだな、しかし |
イリア | そうねー。あたしもお菓子はほしいし…あ、そうだ! |
イリア | ヒルダ、あたしと組まない? |
ヒルダ | 藪から棒ね。どうして私と?まだ参加するとも言ってないのに |
イリア | あんた、占い師でしょ?誰がどんな驚かせ方をしてくるか占いで出してほしいのよ |
イリア | そうすればあたしは驚かされないし逆に驚かすための作戦も練りやすいじゃない |
ヒルダ | なるほど。面白い占いの使い方ね |
ヒルダ | そんな便利な未来予知のような事が出来るかわからないけど…試してみるのは面白いかもね |
イリア | じゃあ、決まり!これはもう勝ったも同然だわ |
??? | お節介かもしれませんが…少し甘くありませんか? |
ヒューバート | 人の行動が読めたところで驚かすには相応の工夫が必要です |
ヒューバート | 特に軍事訓練を受けた者なら極限状態でも冷静でいられるよう特訓してますからね |
イリア | 何よ。じゃ、あんたは驚かないっての? |
ヒューバート | ええ。ちょっとやそっとでは── |
エル | わっ!! |
ヒューバート | うひっ!? |
イリア | うひ…? |
エル | やった、びっくりさせた!エル、サイノーあるみたい。ルドガー、一緒に参加しよ! |
ルドガー | こら、エル。まだ始まってないんだから驚かせちゃダメだろ |
ルドガー | ごめん、ヒューバート。大丈夫だったか? |
ヒューバート | え、えぇ。大丈夫も何も、全然平気でしたが? |
イリア | うひっ…って言ったわね |
ヒルダ | ええ、私も聞いたわ |
エル | エルも聞いたー! |
ヒューバート | …… |
イリア | あんた偉そうな事言っといてあんな単純な事でうひってんじゃない |
ヒューバート | う、うひってるなんて言葉はありません |
イリア | 今生まれたのよ。あんたのためにね。イシシシシシ |
ヒューバート | …決めました。ぼくも参加します。この屈辱を晴らすために、イリアさんをうひらせて差し上げます |
イリア | あんたも使ってんじゃない |
ロンドリーネ | 何か楽しそうな話してるじゃない。へぇ、トリック・アンド・トリートね |
ヒルダ | あなたも参加するの? |
ロンドリーネ | 面白そうだし、参加しようかな。みんながどんな驚かせ方してくるのか見てみたいし |
ヒルダ | いろんな楽しみ方があるものね… |
シング | みんな集まってどうしたんだ?ん、この貼り紙…。コハクが参加するって言ってたやつか |
シング | 面白そうだな。オレも参加して、コハクを驚かせてやろうかな |
エル | いっぱい集まってきた! |
ルドガー | 賑やかなハロウィンになりそうだな |
イリア | どうせなら、もっとたくさん誘わない? |
イリア | 参加者が多ければその分お菓子がもらえる機会も多くなるわけだし |
コーダ | イリア、いい事言った!たくさん誘うんだな、しかし |
シング | いいね。面白くなりそう! |
ロンドリーネ | 私はどうせなら、こういうの慣れてなさそうな人を誘いたいわね。意外な一面が見られて楽しそうだし |
イリア | あたしはルカとか誘いたいけどお菓子取られるばかりになりそうね。他だと…うーん… |
ルドガー | 俺達も誰か誘うか、エル |
エル | うん! |
ヒューバート | 話が大きくなってきましたね |
ヒルダ | あなたの驚く顔が大勢に知れ渡ってしまうと困るわね? |
ヒューバート | そ、そんな心配はしてません。わかりました、ぼくも誰か誘いますよ |
イリア | みんな、イベント当日はたくさん驚かしてやるから、たっぷりお菓子を用意してなさいよ! |
Name | Dialogue |
---|---|
公演!ウェスタンステージ | |
ティポ | 学園祭の目玉ー!『荒野のルタス街』! |
ティポ | エリー達の劇を少しだけ見せちゃう予告公演の、はじまりはじまりー! |
ティポ | 平和なルタス街…そこに現れたある人物によって波乱が巻き起こるー! |
カランカラン── | |
エリーゼ | いらっしゃいませー |
パスカル | コーヒーとバナナパイを |
ティポ | その名はパスカル!夢とお宝を追い求めるトレジャーハンター! |
ロイド | ちょっといいか?お前、この街の外から来たんだろ?どこかでこんなやつを見なかったか? |
パスカル | さぁ、わかんないなぁ。その子が何かしたの? |
ロイド | 街のギャングから宝を奪って逃げたんだ。ギャングからとは言え窃盗だからな… |
ロイド | もし見かけたら教えてくれ。じゃあな |
パスカル | …やっぱりお宝はコレットが持ってるんだね |
ティポ | パスカルの真の狙いとは!?そして── |
ロイド | 見つけたぞ、コレット!逮捕する! |
コレット | ふふふ、私の銃さばきを見てもそんな口が──…あ、あれ? |
コレット | わわっと…!練習ではちゃんと出来たのに… |
ロイド | おいおい、大丈夫か…? |
ティポ | コレットのドジっ子めー!二人が銃撃戦を繰り広げている中、一方で暗躍する二人…! |
パスカル | 今のうちにコレットの荷物から例のお宝を… |
ズキューン! | |
パスカル | わっ、危ないなぁ |
リチャード | 頭を撃ち抜かれなかっただけありがたいと思うんだね。けど… |
リチャード | 次はないよ。さぁ、そのお宝を僕に渡してもらおうか |
ティポ | リチャード君、ノリノリだねー |
ティポ | 平和なルタス街で四人の腕利きが顔を合わせた時、いったい何が起こるのかー |
テイポ | さらなる乱入者により、物語は新たな展開を迎えるー! |
ナタリア | 四人とも大人しくなさい!はぁっ! |
リチャード | 何、この縄は…! |
パスカル | 投げ縄の名人…カウガールのナタリア!? |
コレット | わわっ、私も捕まっちゃった! |
ロイド | 俺も──って、俺は保安官だぞ!? |
ナタリア | 暴れていたなら同罪です |
ティポ | 街に平和を取り戻すのは正義のカウガールか!?それとも── |
エリーゼ | ルタス街の秩序はわたしが守ります! |
ティポ | これでもかー! |
ポイポイポイ── | |
ナタリア | なっ、それは──! |
パスカル | ダイナマイト!?あれ、本番で使うんじゃなかったっけ──!? |
ドッカーン!! | |
ティポ | まさかまさか!街を裏で牛耳る正体不明の美少女が全てを吹き飛ばしてしまったー! |
ティポ | そこから始まる愛憎渦巻く群像劇…!衝撃の展開の連続をお見逃しなく!本編の上演を乞うご期待ー! |
ロイド | 予告公演は大成功だったな |
コレット | 私、失敗しちゃった… |
リチャード | でもそのお蔭で、本番で成功するかどうか見届けたいってみんな言っているよ |
リチャード | 結果的に宣伝になったし、本番で頑張ればいいんじゃないかな |
ロイド | そうそう。練習では上手く出来たんだし、気にすんなって! |
コレット | うん…ありがと!本番では絶対、成功させるよ! |
ナタリア | そういえば、ダイナマイトを使うのは本番の見せ場の一つでしたが、使ってしまって大丈夫でしょうか? |
パスカル | エリーゼが悪い笑みを見せて終わりの予定だったけど大丈夫だよー、ダイナマイトは、まだまだあるから! |
エリーゼ | あの…ごめんなさい。爆発した方がお客さんの興味を引けるかと思って… |
ティポ | 演技もサイコーだったでしょ!? |
ロイド | そうだな。俺達も楽しかったし、エリーゼの言う通り、お客さんも面白いって言ってくれてたぜ! |
ロイド | それに見せ場は他にもたくさんあるから大丈夫だって! |
コレット | うん。いい宣伝になったんじゃないかな |
ティポ | でしょー!? |
エリーゼ | よかった…。ありがとうございます |
ナタリア | さて…本番まで時間がありますわね。みんなで練習しますか?それとも他の出し物を見て回るとか… |
コレット | 私は銃を回す練習をするよ |
リチャード | 僕としては残りの時間でもう少し宣伝したいかな |
リチャード | せっかく素晴らしい劇が出来たんだ、少しでも多くの人に観てもらいたいからね |
ロイド | そうだ!練習しながら宣伝したらいいんじゃないか? |
パスカル | いいねいいねー! |
コレット | 面白そう!けど、どうやるの? |
ロイド | みんなで役になりきって宣伝しながら学園を回るんだ |
ロイド | そんで、どっかでバッタリ会ったら劇の一場面を演じるんだ。決闘したりとかさ |
ナタリア | なるほど…本番前に役に入り込みつつ咄嗟に台本を思い出す訓練にもなるというわけですわね |
エリーゼ | ではまた、ダイナマイトを使ってもいいでしょうか…!? |
ナタリア | それはさすがに…!エリーゼは序盤の看板娘の状態でお願いしますわ |
エリーゼ | やっぱり、そうですよね… |
ティポ | ケチンボー! |
パスカル | ねぇねぇ、それって筋書き通りにやられなきゃダメ?勝っちゃってもいいの? |
ロイド | いいんじゃないか、劇と同じじゃなくても。その方が面白そうだしな! |
リチャード | ふふ、では次に会う時は敵同士って事だね |
ロイド | おう、学園中を盛り上げてやろうぜ! |
Name | Dialogue |
---|---|
守る力を!自分への挑戦! | scene1 |
ソフィ | ふっ…!はっ…! |
??? | …… |
ソフィ | …!誰!? |
パスカル | とぉーっ! |
ひらり | |
ドサッ! | |
ソフィ | …大丈夫? |
パスカル | あー、惜しい。もう少しで触れそうだったのにー |
パスカル | ソフィ、何だかあたしの事避けるの上手くなってきてない? |
ソフィ | たくさん避けてきたからわかるようになった |
パスカル | そっか~!ソフィって人の戦い方や技をよく観察して真似したりしてるもんね! |
パスカル | もしかすると、あたしがソフィを触りに行く動きも完全に見切られちゃってるのかな |
ソフィ | そうかも…? |
パスカル | きっとそうだよ!さっきみたいな不意打ちでも咄嗟に避けられるぐらいだもん |
パスカル | そんだけ長く深い付き合いって事だよね! |
ソフィ | 長くて深い? |
パスカル | うん!そうだよ~ |
パスカル | 一緒に世界中を旅したり…別の世界まで行ったり、ラムダと戦ったり、いろいろあったし |
パスカル | お互いの事、よくわかってるから、そりゃ動きぐらい読めるよね~ |
ソフィ | パスカルはわたしの動き、読めてるの? |
パスカル | わかってるつもりなんだけど、ソフィの方が一枚上手って感じかな。さっきも避けられちゃったし… |
パスカル | そういえば、ソフィ、あたしが来るまで何してたの? |
ソフィ | 戦いの練習。みんなを守りたいから、もっと強くなりたくて… |
パスカル | どうして?今までも守ってくれてたし、十分に強いと思うけど… |
ソフィ | わたしは、アスベルみたいにみんなを守るの。誰も犠牲を出さずに… |
ソフィ | 今までは、みんなを守るためならわたしはどうなってもいいと思ってた… |
ソフィ | ラムダを倒すためには、それしかないって思ってたから |
パスカル | ソフィ… |
ソフィ | けどアスベルは、わたしも、ラムダも、助けてくれた |
ソフィ | わたしも、そんな風に…。他の誰かも、自分自身も、敵も守れるようになりたい… |
ソフィ | そのために、もっと強くなりたいの。相手まで守るっていうのは簡単な事ではないから… |
パスカル | なるほどねー。ソフィの気持ちはわかったよ! |
パスカル | あたしが協力してあげる!ソフィがもっと強くなれるようにね! |
ソフィ | どうするの…? |
パスカル | これを使うんだよ!じゃ~~ん!「戦闘能力解析装置」! |
ソフィ | …?この小さい板?これで? |
パスカル | うん~。そだよ~。小さいから邪魔にならないでしょ? |
ソフィ | これを身に着けてたらいいんだね |
パスカル | そう。これを着けて戦闘を行えば小さな機械が戦闘能力を解析してくれるんだよ |
パスカル | その人の得意な動きや苦手な動き、癖とか、改善すべき点とか、戦闘データを集めてくれるんだけど |
パスカル | ソフィの観察眼なら、その戦闘データを最大限に活かして強くなれるんじゃないかな? |
ソフィ | 戦闘データで、強く… |
パスカル | そう。アスベルやみんなからも戦闘データを取らせてもらって、それも取り入れたりしてさ |
ソフィ | 何だかすごそう。うん、わたし、やる |
パスカル | そうこなくちゃ!じゃあ早速、アスベル達を呼んでみんなで手合わせしよ~! |
ソフィ | 手合わせ?みんなと戦うの? |
パスカル | うん。魔物退治でもいいけど、強い人同士で戦う方がいろんなデータが取りやすいからね |
ソフィ | わかった。パスカルも手合わせ、する? |
パスカル | 勿論!手加減したらデータは取れないから思いっきりやろうね! |
守る力を!自分への挑戦! | scene2 |
アスベル | ふぅ。やっぱりみんな強いな |
シェリア | えぇ、さすがに疲れたわね |
ヒューバート | 二人共、情けないですね。まだ限界ではないでしょう |
パスカル | 戦闘データはベストな時の動きを取る方がいいから、限界までやらなくてもいいよ~ |
ヒューバート | なっ…!そういう事は先に言ってください |
マリク | いいところを見せたくて力が入り過ぎてしまったようだな? |
ヒューバート | べ、別にそういうわけでは…!わかりました。少し休憩にしましょう |
アスベル | ああ。休憩にお茶の準備でもしましょうか?陛下 |
リチャード | アスベル、そういう冗談はやめてくれといつも言っているだろ?僕ならまだまだ大丈夫だ |
アスベル | はは、これは失礼を。…なんてな |
パスカル | いやー、まさかリチャードが来てくれるとは思わなかったよ~ |
リチャード | アスベルから話を聞いてね。呼んでくれて嬉しかったよ。僕もソフィの役に立てたかな? |
ソフィ | うん。ありがとう、リチャード |
シェリア | ところでパスカル。戦闘データって、あとどのぐらい必要なの? |
パスカル | いくらあっても困る事はないんだけど…そろそろ次の段階行ってもいいかもね |
シェリア | 次? |
パスカル | うん。実はこの「戦闘能力解析装置」はただデータを集めるだけじゃなく… |
パスカル | 集めたデータから、その人が将来どのくらい強くなるかを予測したデータを作ってくれるの |
アスベル | へぇ、面白そうだな。俺はどのくらい強くなれるんだ? |
パスカル | 数字は出てるけど、それじゃピンと来ないっしょ?だからいいもの作ったんだ~ |
パスカル | ソフィ、このゴーグルを被ってみて |
ソフィ | うん |
ソフィ | あれ…?アスベルが二人いる…? |
アスベル | 何だって? |
パスカル | 片方はホログラムだよ。戦闘データを元に作りだした、未来のアスベル |
パスカル | みんなにもゴーグル配るね |
アスベル | …本当だ、俺がいる! |
ヒューバート | 不気味ですね… |
パスカル | 他のみんなのデータも解析完了次第、表示されるよー |
マリク | ふむ…。このアスベル、触れるのか。ただの映像ではないな |
パスカル | ゴーグルからみんなの感覚に信号が送られていて、触れてるように感じられるんだよ |
リチャード | すごいね。髪の一本一本まで再現している |
シェリア | 本当…全く区別がつかないわ |
パスカル | 違うところは、そっちのアスベルはすごく強いっていう事ぐらいだね~ |
アスベル | まるで本物の俺は弱いみたいじゃないか… |
パスカル | ごめんごめん、そうじゃなくて、そのアスベルは、今のアスベルが鍛錬を続けた未来の姿なんだよ |
パスカル | 他のみんなも未来の強くなった姿が映し出されるから、それと模擬戦をすれば… |
ヒューバート | 今の自分達をはるかに超えた強さを身に着けられる…というわけですね |
パスカル | そういう事~!かけてもらったゴーグルはそのための「バトルシミュレータ」なんだよ |
ソフィ | …強くなれる… |
パスカル | ソフィ。彼らを倒すって事は、この先、未来においてもソフィは彼らより強いって事になる |
パスカル | 守るための力の指標としては悪くないと思うけど、どうかな? |
ソフィ | うん。いいと思う。わたし、戦う |
シェリア | ねぇ、これって戦った場合、怪我とかするの? |
パスカル | ホログラムの剣で斬られても傷はつかないよ。でも痛みは実際に感じるけどね |
シェリア | それなら安心ね。痛みは本物っていうのがちょっと怖そうだけど… |
リチャード | パスカルさん、僕からも質問だ。見えている景色が違うようだけど木にぶつかったりとかしないかな? |
パスカル | 大丈夫。障害物のあるところは、代わりの障害物が表示されてるし… |
パスカル | こんなことも出来るよ!ピコピコっと! |
リチャード | …!ここは…! |
パスカル | 障害物の場所だけ現実に合わせていろんな風景を見せられるからいろんな場所で模擬戦が出来るよ! |
マリク | …それは面白そうだが、今回はここで固定にしよう |
アスベル | もしかして、景色が高いところになったら困るから…ですか? |
マリク | …この景色が好きなだけだ |
パスカル | 了解!じゃあ背景は今のままで… |
パスカル | …お!そろそろみんなのデータも解析完了するよ! |
アスベル | 俺達より強い俺達…手強い相手だけど、逆に言えば俺達が到達できる強さでもあるはずだ |
アスベル | みんなで乗り越えてみせよう! |
ソフィ | うん…! |
Name | Dialogue |
---|---|
聖夜のプレゼント大作戦 | |
ロゼ | ──と、いうわけでよろしくね |
ローエン | ええ、お任せください。しかしサンタクロースですか。夢のあるお話ですね |
ロゼ | ま、宣伝活動の一環なんだけどね。みんなが喜んでくれるなら一石二鳥! |
ローエン | それでも、商品を無料でプレゼントするなどそう出来るものではありませんよ |
ローエン | それもサンタに扮して夜中にこっそり配る…なんとも粋ではありませんか |
ロゼ | でしょ?まぁ商品といっても売れ残りだし、懐はそんなに痛まないんだよね |
ローエン | いくらかけたかは関係ありません。これはロゼさんのお優しい心があればこそ |
ローエン | 子ども達を喜ばせようというそのお気持ちに私は感動したのです |
ロゼ | いやぁ、そんなに言われると照れるなぁ |
ローエン | そのような素晴らしいお話の主役に選んでくださるとは…ジジイ頑張りますよ! |
ロゼ | あはは!こっちこそ、快く引き受けてくれて助かるよー |
ロゼ | サンタ役が足りないなぁって思ってた時にローエンさんを見て、この人しかいない!って思ったんだ |
ローエン | いやはや、光栄ですな。お力になれる事がありましたら何なりとお申し付けください |
ロゼ | …あ、それだったら、実はもう一つ手伝ってほしい事があるんだけど…いいかな? |
ローエン | 勿論。私に出来る事でしたら |
ロゼ | この時期、人手が足りてないからほんと助かるよー。それじゃ、こっち来て |
ローエン | ここは…地下倉庫ですか |
ロゼ | うん。みんなへのプレゼントがここにあるんだけど |
ロゼ | ラッピングを手伝ってくれないかな。プレゼントたくさんありすぎて間に合わなくってさ… |
ローエン | なるほど、お安い御用です |
ローエン | ラッピングは重要ですからね。美しい装飾を見ただけで心が踊ります |
ロゼ | そうそう。中身も重要だけど子ども達を喜ばせるには見た目も大事だと思うんだよね |
ロゼ | 朝、目が覚めて、枕元に置かれたプレゼント!まず目に入るのはラッピング! |
ロゼ | 綺麗なリボンに包装紙。そこに感じるワクワクこそがクリスマスの醍醐味だと思うんだ |
ローエン | ええ、同感です |
ローエン | では、早速始めましょうか。包装するには少々時間が必要ですから |
ロゼ | そうだね。じゃあ、この木箱に入ってるラッピングセットで── |
ロゼ | ──あれっ!? |
ローエン | …何もありませんね |
ロゼ | おっかしいなぁ。確かここに… |
商人 | あっ、もしかしてラッピングセット探してます? |
ロゼ | うん。どこにあるか知ってる? |
商人 | それが在庫切れで…。プレゼント用に包装してほしいってお客さんが予想より多くて… |
ロゼ | えぇっ!?新しく発注はしたの? |
商人 | はい。ただ、今の時期は品薄らしく店で使う分がやっと入った状況で… |
ロゼ | わかった。じゃあ、それは店で使って。こっちは何とかするから |
商人 | わかりました |
ローエン | ふむ、困りましたな… |
ロゼ | とりあえず街に出てみよう。馴染みの店がいくつかあるから交渉したら分けてもらえるかも |
ロゼ | …なんて、甘かったかー |
ローエン | どこのお店でも似た状況のようですね |
ロゼ | どうしよう。何か他の方法を考えないと… |
??? | …お?そこにいるのはロゼとローエンか…? |
ユーリ | よう、お二人さん。何だ、随分と辛気臭い顔してんな |
ロゼ | ユーリ!いやぁ、実はちょっと、困った事になっててさ… |
ロゼ | って、あれ?ユーリ、その恰好…もしかしてサンタやるの? |
ユーリ | ああ、子ども達にプレゼントを渡すサンタ役を頼まれちまったんだよ |
ユーリ | ガラじゃねぇが手が空いてたしな |
ローエン | なんと素晴らしい…ロゼさんも、ユーリさんも、愛があふれておりますな |
ユーリ | あふれた分、たまには配らないとな。…ん?ロゼも…って事は… |
ロゼ | うん、実はね… |
ユーリ | …なるほど、それで難しい顔して唸ってたわけか |
ユーリ | それなら少し余ってるから、分けてやろうか? |
ロゼ | えっ、いいの!? |
ユーリ | ああ。オレの渡す分はもう包み終わってるし、ちょっとは足しになるだろ |
ロゼ | ありがとう!助かる! |
ローエン | …なるほど。よい作戦かもしれませんね |
ロゼ | ん、何が? |
ローエン | 街のみなさんから余っているラッピングセットを少しずつ分けていただくのです |
ロゼ | そっか、それいいね!ちょっとでも積もれば山となる…ってね! |
ユーリ | だったらオレみたいにプレゼントをたくさん用意してる奴を捜せばいいんじゃねぇか |
ユーリ | 足りないかもしれないと思えば、多めに用意するだろ? |
ロゼ | 確かに! |
??? | では大きなパーティーに参加する人に聞いてみるのもよいのではないでしょうか |
エレノア | 私の参加するパーティーでもプレゼントをたくさん用意した分、ラッピングセットも多く用意しました |
エレノア | 少しはお渡し出来ると思いますから後で聞いてきますね |
ロゼ | エレノア!聞いてたの? |
エレノア | ええ、立ち聞きするつもりはなかったのですが、困っていると聞こえたもので、つい… |
ローエン | いえいえ。ご提案くださって助かりましたよ |
ロゼ | なるほど、パーティーか。いいねいいね、希望が出てきたよ。それじゃあ、声をかけるのは… |
ロゼ | プレゼントをたくさん持ってる、サンタの格好をした人とか、パーティーに参加しそうな人! |
ローエン | パーティーに参加しそうな人…着飾っている方という事でしょうか? |
ロゼ | そうそう。それもエレノアみたいにクリスマス!…って感じが全身から出てる人ね |
ユーリ | おいおい、まあしょうがねぇ、それっぽい奴に声かけてくか |
エレノア | そうですね、手分けして声をかけていきましょう |
ロゼ | 手伝ってくれるの!? |
エレノア | はい。困っている人を放ってはおけませんから |
ユーリ | ま、乗りかかった船だしな。…っと、早速、サンタ発見! |
ロゼ | ほんとだ!おーい! |
コハク | え? |
コハク | そっか、ごめんね。ラッピングセットは持ってないの |
コハク | けど、みんなに聞いて回る事ぐらいは手伝えるよ! |
ローエン | おお、コハクさんも…。ありがとうございます。みなさん、本当にお優しい… |
ロゼ | それじゃあ、みんなで── |
??? | 危なーい! |
ロゼ | えっ?わぁっ!? |
スレイ | ふぅ、ギリギリ止まったー。ごめん!大丈夫だった?勢いがつきすぎちゃってさ… |
ロゼ | スレイ!?大丈夫だけど…どうしたの、それ? |
スレイ | ロゼの店に行ったら、今は忙しいって聞いてさ |
スレイ | オレも手伝おうと思って、配達の手伝いをしてたんだ。ソリで移動したら速いだろ |
ロゼ | ありがと!助かるけど、安全第一!気をつけて |
スレイ | うん、ごめん。気をつけるよ |
コハク | ねぇねぇ、ロゼのお店の手伝い中ならスレイにも手伝ってもらったらいいんじゃない? |
ロゼ | そうだね。じゃあスレイは、配達先でラッピングセットが余ってないか聞いてみて |
スレイ | よくわからないけど、ラッピングセットを集めるんだな。わかった! |
ユーリ | これだけの人数で手分けすればどうにかなんだろ |
ローエン | ええ、善は急げ。配る前にラッピングする時間も必要ですから |
エレノア | そうですね。みなさんもそれぞれ予定があるでしょうし |
ロゼ | うん、急ごう!それじゃ、行動開始! |
Name | Dialogue |
---|---|
縁起をかつげ!波乱の初詣 | |
カノンノ | わぁ、すごい!書初めに神楽に凧揚げ大会!いろんな催しがあるんだね |
モルモ | どうりで人が多いと思ったよ |
カノンノ | 初詣に来ただけなんだけど、せっかくだからいろいろ見て回ろうかな |
モルモ | いいけど、先にお参りを済ませてからにしようよ。すごく並んでるみたいじゃん |
カノンノ | そうだね。やる事やって、思いっきり遊ぼう! |
カノンノ | ふぅ、無事にお参り出来たねー |
モルモ | 人多すぎだよ。潰されるかと思ったー |
カノンノ | あはは。あっ、見て、おみくじがあるよ。行ってみようよ! |
モルモ | あれ、書初め大会とかに参加するんじゃなかったの? |
カノンノ | 楽しそうな事をしたいの。おみくじも楽しそうでしょ |
モルモ | ま、いいけどさー |
アイゼン | …… |
ライフィセット | また二人とも大凶だ…! |
アイゼン | 俺から離れて引け。そうすればお前はもっといい結果が出るだろう |
ライフィセット | ううん。そうまでして引きたいとは思わないし一緒にいるよ |
アイゼン | そうか…。好きにしろ |
カノンノ | …わっ。二人ともすごい数の大凶!これ全部引いたの? |
モルモ | さすがにそれはないって |
アイゼン | ふっ…、残念ながらこれは自分で引いた結果だ |
ライフィセット | アイゼンはこういう体質で、いくら引いても大凶しか出ないんだ |
アイゼン | お前達もおみくじを引くなら俺に関わらない方がいい。大凶しか出なくなるからな |
カノンノ | すごい体質なんだね… |
モルモ | でも、それじゃあどうしてそんなにたくさん引いてるの?大凶しか出ないんでしょ? |
アイゼン | …まあ、ただの酔狂だ。自分の不運を再確認しているようなものだな |
ライフィセット | 大吉が引けるに越した事はないからね |
カノンノ | うーん…よし!いい事思いついた。モルモも手伝って |
モルモ | いいけど、どうするの? |
カノンノ | はい、出来たよ |
アイゼン | 何だ、これは。ただのおみくじの筒に見えるが… |
カノンノ | 大吉しか入ってないの。無理やりだけど、これなら大吉が出るでしょ? |
アイゼン | 試してみよう |
ガシャーン── | |
ライフィセット | わぁっ、爆発した!? |
アイゼン | どうあっても大吉を引く事は出来ない…という事のようだな |
カノンノ | そ、そんな事ってあるの…? |
ジュード | 今の音、何!?どうかしたの!? |
ミラ | 何かの破片が散らばったようだが…爆発でも起きたのか? |
メルディ | 大吉が棒、飛んできた!当たるとこだったよ~ |
アイゼン | 悪かった。怪我人はいなかったか? |
ライフィセット | みんな驚いてはいるけど実際に当たった人はいなさそうだね |
ミラ | 何事もなかったならいいが…時にジュード、それは何だ? |
ジュード | あぁ、これはね。実は書初め大会に参加してたんだ。今年の目標…なんだけど、どうかな? |
ミラ | うむ、ジュードらしくていいと思うぞ |
カノンノ | 書初め…目標を決める…。…そうだ!またいい事思いついた!ジュード、その筆を貸してくれない? |
ジュード | いいけど、どうするの? |
カノンノ | アイゼン、この筆で紙に大吉って書いてみてよ |
モルモ | ああ、自分で書いてしまえば引いてるわけじゃないから──って、意味あるの、それ? |
アイゼン | …物は試しだ。やってみよう。幸い、不要な紙はたくさんあるからな |
ライフィセット | 全部、大凶だけどね… |
アイゼン | …書くぞ。大── |
ビュオオオオ── | |
メルディ | バイバ!すごい突風よ! |
アイゼン | …紙が飛ばされたな。くっ、もう一度だ。大── |
ビュオオオオン!シュパッ、シュパッ! | |
ミラ | …!危ない!シルフ! |
精霊シルフ | …… |
カノンノ | 今の、何? |
ミラ | かまいたちという風の現象だ。シルフが守ってくれなければ皆引き裂かれていたかもしれん |
アイゼン | 書こうとしていた紙がバラバラになったな… |
ミラ | すまない、咄嗟の事でそこまで守る事は出来なかった |
アイゼン | …いや、いい。これ以上は危険だ、ここらでやめておくとしよう |
ライフィセット | アイゼン… |
アイゼン | お前達も俺に関わったんだ。念のためお守りでも買って帰るんだな |
メルディ | …!そだ、お守り使うとよくないか? |
メルディ | アイゼン、お守り持ってくじ引けば、大吉出るかもしれない! |
ジュード | あ、それいいかもしれないね |
アイゼン | 悪いが、お守り一つで解決するような生半可なものじゃないぞ |
メルディ | 一つでダメなら、たくさん持つ、どうか? |
アイゼン | ……試す価値はあるかもしれんな |
カノンノ | よーし、じゃあお守りたくさん買いに行こ―! |
アイゼン | …よし、引くぞ |
カノンノ | ドキドキ… |
アイゼン | …!これは…! |
ライフィセット | すごい、凶だよ!大凶じゃなくなった! |
メルディ | ワイール!上手くいったよ! |
パン、パン、パパン! | |
アイゼン | なっ…!お守りが… |
ミラ | 全部はじけ飛んでしまったな…アイゼンの不運に耐えきれなかったのだろう… |
ジュード | けど、効果はあったよね |
メルディ | もっとたくさん集めるよ!今度は大吉出るかもな! |
カノンノ | あ、えっと、それが… |
モルモ | ここで売ってるお守りは、さっきので全部だったんだ… |
アイゼン | …ここで、というのは、この近くの売り場で…という意味だな? |
ライフィセット | アイゼン…? |
アイゼン | 今日は人が多いからお守りの売り場も何箇所かに分かれているはずだ |
アイゼン | 全て買い集めるぞ。俺が目指すのは凶ではない、大吉だからな |
ミラ | ふむ、面白そうだな。どのような結果になるか見届けるとしよう |
ジュード | 僕も手伝うよ |
メルディ | メルディも手伝う!大吉見たい! |
カノンノ | 勿論、私達も。どうせこのあたりを見て回ろうとしてたとこだしね |
ライフィセット | これなら本当に大吉に手が届くかもしれないね。アイゼン、僕達も行こう |
アイゼン | …ああ。ここまで世話になっておいてこのままでは終われないからな |
Name | Dialogue |
---|---|
大調査!お正月の過ごし方 | |
エステル | ふぅ… |
リチャード | お疲れ様。来客が続いたから、少し疲れてしまったかな? |
エステル | はい。でも大丈夫です。挨拶に来てくださる方に年の初めから疲れた顔はお見せ出来ませんから |
リチャード | 無理しないようにね。今日の来客予定はもう終わったし少し気分転換でもしようか |
エステル | いいですね。でしたらわたし、やってみたい事があるんです |
リチャード | どんな事かな? |
エステル | 街に出て、皆さんがどんなお正月を過ごしているのか見てみたいんです |
エステル | 毎年、お城では挨拶に来た方々を出迎えている間にお正月が終わっていましたから… |
リチャード | なるほど。民がどんなお正月を過ごしているか見る機会がないからね |
エステル | はい。本には様々な風習が載っていました |
エステル | それらが本当に行われているのか、どのように行われているのか、自分の目で確かめたいんです |
リチャード | 面白そうだね。僕も一緒に行くよ |
エステル | いいんです?出かけてしまって |
リチャード | 気分転換だからね。少しぐらい問題ないよ。早速、実地調査に出てみよう |
エステル | はい、それでは行きましょう! |
スタン | …よし、行くぞリオン。それっ! |
ポーン… | |
リオン | 僕はやらないと言ってるだろう |
ルーティ | なら辞めてもいいけど、羽根を落としたら顔に墨を塗るわよ |
リオン | …!ちっ… |
ポーン… | |
スタン | えっ、そ、そんな方向に…!くっ…間に合わない! |
リオン | ふん、落としたな。僕の勝ちだ |
ルーティ | じゃ、スタンに墨を塗るわね |
リチャード | …ん?筆で顔に…何をしているんだい? |
スタン | リチャード、エステル!羽根つきをしていたところなんだ。これは羽根を落とした罰だよ |
ルーティ | よかったら二人もやって行く? |
リオン | …お前、一国の王の顔に墨を塗るつもりか? |
ルーティ | 負けたらね。仕方ないわよ、罰だもの |
エステル | 罰ではないですよ |
ルーティ | …え? |
エステル | 縁起物である羽根を落としてしまう事は縁起が悪いとされた |
エステル | 魔は黒を嫌うと言われており、顔に墨を塗るのは縁起の悪い者に魔除けを施すためである…です |
リチャード | そんな本も読んでるんだね |
ルーティ | へー、完全に罰だと思ってたわ |
エステル | そうなんです? |
リチャード | 本来の風習と同じ行為が別の意味で伝わっている…興味深いね |
エステル | はい。この調査、予想以上に意義がありそうですね! |
スタン | 調査?何か調べてるのか? |
エステル | はい、実は… |
スタン | へぇ、面白そうな調査だな |
リオン | 王家の人間が直接動くような事とは思えないな。何か裏の意図があるのか? |
エステル | いえ、ただわたしが調べたいと思ったもので… |
リチャード | 公的な調査ではないよ。調査記録の資料は残すけどね |
エステル | スタン、他にどんな風習があるか教えてもらえますか? |
スタン | うーん、急に言われてもなぁ… |
ルーティ | 自然とやってる事とかもありそうだけど…すぐには思いつかないわねぇ |
リオン | …風習が知りたいのなら初詣にでも行ったらどうだ |
リオン | この時期の風物詩がここぞとばかりに集まっているだろう |
エステル | それいいですね!どこに行けばいいんです? |
ルーティ | 待ってて。地図を描いてあげるわ |
sound/se/quest/qu124_se | |
エステル | わぁ、お店がいっぱい。ここが初詣の場所なんです? |
リチャード | 地図によるともう少し先だね。この屋台が並ぶ道を進めば辿り着きそうだ |
??? | あれ、エステルとリチャードじゃん |
アーチェ | 二人も初詣に来たの? |
プレザ | ウィンドルの重鎮がお揃いで…ここには何かあるのかしら? |
エステル | アーチェ、プレザ!はい、初詣を見に来たんです |
リチャード | 深い意味はないよ。お正月の風習について調べていたんだ |
プレザ | なるほど…。それなら少し人が多いけれど屋台を見て行く事をお勧めしますわ |
エステル | このたくさん並んでる屋台です? |
アーチェ | 縁起物とかお正月っぽい物とかいろいろ売ってたもんね。この打ち出の小槌も買ったんだよ |
リチャード | 小槌…?武器…いや、工具かな?それが縁起物なのかい? |
エステル | 打ち出の小槌は、伝承に登場する槌。振れば望む物が出て来るとされ、富の象徴となっている…です |
アーチェ | そうそう、富の象徴!振るとお金がわんさか出て来るんだよね! |
リチャード | ふふ、それが本当なら困るな。国の経済が破綻してしまうよ |
プレザ | 他にも、小人を大きくしたっていう物語もあったわよね |
エステル | はい。それは複数の伝説に登場する不思議な小槌が同一視されて語り継がれたという説もあるそうです |
リチャード | 確かに縁起がよさそうな物だね。その模造品が屋台で売られているという事か… |
エステル | 調査のし甲斐がありそうですね!屋台を見て回りましょう! |
アーチェ | 調査もいいけど、楽しみなよ!難しい事考えずに風物詩を楽しむのもある意味お正月の風習なんだから |
プレザ | 確かに…気軽に楽しめるように形を変えた結果がこういった屋台…と言えるかもしれないわね |
リチャード | なるほど。そういう事なら気楽に、興味のままに動いてみようか |
エステル | はい! |
リチャード | 屋台を一通り見たけど…夏祭りとはまた別の趣があって面白いね |
エステル | 売っている物も、食べ物も少しずつ違いますね |
リチャード | せっかくだから何か食べようか。さっきから美味しそうな匂いに食欲がくすぐられているんだ |
エステル | 実はわたしも、です。せっかくですからお正月らしくお雑煮はどうでしょう? |
リチャード | いいね。行ってみよう |
エステル | …ふぅ、ご馳走様でした |
リチャード | 美味しかったね。具材も、出汁も…特に餅がよく伸びて |
エステル | 餅をお正月に食べる理由には諸説ありよく伸びる事から長寿を祈願するという説の他… |
エステル | 粘り強い人になるようにという説や白く神聖な食べ物として正月という特別な日に食べる説などがある…です |
??? | …とはいえ、実際は美味いから食うとるだけじゃろ |
マギルゥ | どんなに縁起がよくても美味くなければ誰も食わんからの。美味い物に理屈をつけとるだけじゃよ |
エステル | マギルゥ!あなたも初詣に来てたんです? |
マギルゥ | ま、そんなとこじゃの。縁起担ぎなんぞ儂にはどーでもよいがここには特別な場所があってのう |
マギルゥ | 皆がお参りする社のさらに奥…知る人ぞ知る、ありがたーい場所があるのじゃよ |
リチャード | ありがたい場所…?まさか何かが起こるのかい…? |
マギルゥ | 儂らのように術を使う者にとっては力が漲る場所とも言えるのう |
マギルゥ | 知ってか知らずか、術師やハーフエルフがお参りに来ておるのも見かけたわい |
エステル | …!プレザやアーチェも来ていましたね |
リチャード | 力が漲るありがたい場所か…それが初詣の要所となっているのなら僕達の調査にはぴったりの場所だね |
エステル | マギルゥ、その場所を教えていただけますか? |
マギルゥ | かまわんが、ただ教えても面白くないのう… |
マギルゥ | そうじゃ。めでたい日と言えばハト!二人が全力でハトマネをすれば教えてやるぞよ |
エステル・リチャード | えっ… |
リチャード | 教えてもらった場所はここだね |
エステル | 確かに力のようなものを感じますね。ハトマネした甲斐はありました |
リヒター | …誰が来たかと思えば王家の人間が揃って何を企んでいる |
リチャード | 君は…! |
リヒター | よもやこの滝から溢れるマナをまた戦争に利用しようと言うのではないだろうな |
エステル | そんな事はしません。わたし達はただ、初詣について調査に来ただけです |
リチャード | エステルの言う通りだ。変な事はしないと約束するよ |
リヒター | …それならいいが… |
エステル | さっきマナが溢れるって言ってましたけど、この滝に何かあるんです? |
リヒター | 俺もそれを調べに来たんだ |
リヒター | ただの縁起担ぎとされる行いにも略式の儀式が成立して効力を発揮するものがある |
リヒター | マナの溢れる場所での初詣もそれにあたる可能性がある |
リヒター | 実際にここでは小規模だが精霊を介した術が発動していた |
エステル | 精霊…です? |
リヒター | この滝は精霊の住処だ。だからマナが溢れているし、祈りを捧げれば効果も発揮する |
リヒター | おそらくずっと昔からこの土地を守って来たのだろう |
エステル | 初詣は年の初めにその土地を守る精霊などに家内安全や豊作などの祈りを捧げた儀式を簡略化したもの… |
エステル | 現在では年始にお参りをするだけだがかつては年が明ける前から一晩中祈り続ける行事だった…です |
リチャード | なら、この滝にお参りして精霊に年始の挨拶をする事が本来の意味での初詣なんだね |
リヒター | そういう事だな。無論、社に参拝するだけでも構わんが直接挨拶する方が効果は高いだろう |
エステル | でしたら、みんなに、ここにお参りするよう教えた方がいいのでしょうか…? |
リチャード | どうだろうね。大勢が年始の挨拶に押し掛けると精霊もくたびれるんじゃないかな |
エステル | それは…。はい、そうかもしれませんね… |
リヒター | 俺も同感だ。精霊の住処などそう軽々しく人間に教えていいものではない |
エステル | では、ここはこのままで。精霊さん…静かに過ごしてくださいね |
リチャード | …さて、エステル。お正月の風習についての調査も一段落ついたと思うけど… |
エステル | そうですね。けど、まだまだ知らない事がたくさんあると分かりました |
エステル | ですから、その…もう少し調査を続けてもいいですか? |
リチャード | ああ、勿論。僕も、人によってお正月の過ごし方や考え方の違いをもっと知りたいからね |
リチャード | もっといろんな人の話を聞いて調査結果をまとめよう |
リヒター | …俺の調査にも関係ありそうだな。その調査記録、後で見せてもらえるか |
エステル | はい、勿論です!それでは、調査を続けましょう! |
Name | Dialogue |
---|---|
俺様が大道芸チャンピオン | |
フィリア | まぁ、人がたくさん…。お祭りというだけあってとても賑やかですね |
ゼロス | シルヴァラントを挙げて盛り上げようって話だからな。交流のため他国の参加を募ったし |
ゼロス | 俺さま達もその一環で呼ばれたんだろ? |
フィリア | はい。この広場で開かれる大道芸大会に神子も参加して欲しいと要望がありました |
ゼロス | コレットちゃんが用事で来られなかったのは残念だけど… |
ゼロス | フィリアちゃんが来てくれてよかったぜ!やっぱお祭りは華がなくちゃな! |
フィリア | えっと、ありがとうございます…? |
フィリア | 大道芸大会にも審査員として参加しますから頑張ってくださいね |
ゼロス | 勿論!フィリアちゃんのため── |
??? | フィリアさんのためなら火の中水の中!全身全霊を掛けて頑張ります! |
フィリア | あなたは…! |
コングマン | お久しぶりです、フィリアさん!相変わらずお美しい! |
フィリア | コングマンさん…! |
ゼロス | おいおい、俺さまを遮るなよ!まったく。…おまえも大道芸大会に出るのか? |
コングマン | おう。祭りを盛り上げるために闘技場のチャンピオンである俺様にお声がかかったってわけよ |
フィリア | そうだったのですか。今回のお祭りは随分と力が入っているのですね |
フィリア | 私も司祭として、襟を正さなければなりませんね |
コングマン | ご安心ください、フィリアさん!このマイティ・コングマンがお祭りを必ず盛り上げてみせます! |
ゼロス | 俺さまも頑張るぜ!子猫ちゃん達の黄色い声援を浴びるのが楽しみだ |
コングマン | ふん、男の風上にも置けん奴め。俺様はフィリアさん一筋!あなただけのために頑張ります! |
フィリア | は、はい…えっと…よろしくお願いします |
コングマン | うおお、やるぞぉー! |
コングマン | …で。おめえも出し物は舞なのか |
ゼロス | おまえは獅子舞か。まあ、その身体でやると、さぞかし迫力あんだろうな |
コングマン | おう!それが見どころよ |
ゼロス | 俺さまの舞の見どころは繊細な華麗さ!同じ舞でも全然違うって |
コングマン | そうだとしても、舞が続くと観客はまたかと思うやもしれん |
ゼロス | さすが闘技場の人気者。観客の喜ばせ方は心得てるってか? |
コングマン | 俺様の出番は最後だからな。締めに相応しい盛り上がりを作らねばならないんだ |
ゼロス | けど、こういう祭りの出し物で舞ってのは定番だろ?観客もそんなに気にしないって |
係員 | ゼロス様!そろそろご準備をお願いします! |
ゼロス | おっと、出番か。じゃあ、俺さまの華麗な舞を目に焼き付けとけよ |
コングマン | 観客も気にしてない…か。確かにそうだろう。盛り下がったりはしないかもしれん |
コングマン | だが、心から盛り上がれるかどうかはまた別の話だ |
観客の声 | ワーーーーーーー |
コングマン | …ゼロスの奴、やるじゃねえか。舞が続く中、この熱狂をさらに盛り上げるには… |
ティア | あら。ゼロスも舞だったのね |
コングマン | おお、ティアも参加してたのか。…ん?今、ゼロス「も」って言ったか…? |
ティア | ええ。実は私の出し物も舞の予定なのよ |
ティア | 私の場合は色とりどりの傘を使うの。ゼロスの舞とは少し違うのがせめてもの救いね |
ジェイド | いやはや、助かりましたよ。舞にもいろいろありますが完全に同じ芸の者はいないようで |
ティア | 大佐!あなたも参加を? |
ジェイド | ええ。他国からお誘いを受けては、無下にできませんからねぇ。ゼロスと同じような舞を披露しますよ |
ジェイド | もっとも私は彼のように自分の容姿を見せつける趣味はありませんからね。面を使います |
コングマン | 面だと!?まさか獅子舞じゃねぇだろうな |
ジェイド | いえ、この仮面の事ですよ。舞の動きの中で变化術を披露する曲芸です |
コングマン | ならいいが…俺様も、盛り上げるためにもう一捻り欲しくなってきたな |
ティア | それはどうかしら。私は、大迫力を売りにした直球勝負が見てみたいと思うわ |
コングマン | 迫力が売り、か。確かに俺様の場合はその方がいいかもしれんな… |
観客の声 | おおおぉぉぉっ! |
パチパチパチパチ── | |
コングマン | ん?何だ? |
ティア | ゼロスの舞が終わって、キュキュの大道芸が始まったようね |
キュキュ | 回す…飛ばす!高い高い! |
キュキュ | そして──受ける! |
パチパチパチパチ── | |
キュキュ | 次、もっと難しい。空中で受ける! |
キュキュ | 練習でも、時々失敗。だから、成功したら拍手、お願い! |
コングマン | ほう、舞以外の芸をする奴もいたんだな |
ジェイド | 上手い口上ですね。成功するか否か…観客の緊張感が高まっていますよ |
観客の声 | おおおぉぉぉっ! |
パチパチパチパチ── | |
コングマン | 成功か!うぬぬ、すごい盛り上がり具合だ。迫力もある |
コングマン | これは俺様もうかうかしてられんな |
コングマン | …いよいよ次が俺様の出番…。直前の演目はファラの演武だったか。なかなかいい動きをしていたな |
コングマン | 俺様の迫力なら負けはせんが…観客達をもっと熱狂させるにはさらなる決め手が欲しいところだな |
コングマン | …そうだ! |
コングマン | ファラ!舞台を降りるのをちょっと待ってくれ |
ファラ | えっ…? |
コングマン | 見事な演武だったぜ!闘技場のチャンピオンの俺様としては是非、おめえと戦いたいと思う |
ファラ | いきなりだねえ。けど、面白そう!受けて立つよ! |
コングマン | 即断即決、気に入った!だが、ここは闘技場じゃない。大道芸大会だ |
コングマン | だからただ戦うのではなく大道芸を絡めた勝負と行こうじゃないか |
ファラ | …?どういう事? |
コングマン | 簡単だ。俺様は今から獅子舞をする |
コングマン | おめえは演武で俺様を攻撃するんだ。俺様の舞を止める事が出来ればおめえの勝ちだ! |
ファラ | 踊りながら戦うって事?それって大きなハンデじゃない |
コングマン | 悔しかったら止めて見せるんだな |
ファラ | よぉし、見てなさい。後悔させてあげるんだから! |
観客1 | いいぞ、マイティ!さすがチャンピオン! |
観客2 | ファラさん、頑張れー! |
コングマン | よーし、行くぞ!試合開始だ! |
ファラ | はっ!たぁっ! |
バシッ、ガシッ! | |
コングマン | ふはは、いい拳だ。だが、まだまだ! |
ファラ | はぁ、はぁ…うぅ、なんて頑丈なの |
観客3 | ファラさん、大丈夫!? |
観客4 | 頑張れー! |
ファラ | うん…!まだまだ…!イケる、イケる! |
ファラ | この一撃で!たああぁぁ──!! |
ドカッ! | |
コングマン | ぐっ、効いたぜ…!だが…まだ、倒れねぇ…! |
ファラ | あは…すごい。さすがチャンピオン。けど、わたしも、まだまだ。イケ…る… |
ドサッ | |
コングマン | 限界を迎えて、まだ闘志を燃やすその意気やよし!だが… |
コングマン | 俺様の勝ちだ!うおおお!アイ・アム・チャンピオン! |
観客2 | ファラさん! |
観客3 | 演武の後だから疲れてたんだ |
観客1 | ズルいぞマイティ! |
コングマン | なっ…! |
コングマン | (まずい… 盛り上がっていたはずなのに このままでは…) |
フィリア | ファラさん!すぐに治療を! |
コングマン | フィリアさん… |
ファラ | うぅ…ごめん、大丈夫だよ。ちょっと疲れただけ |
ファラ | ねぇ、チャンピオン。休憩したら、もう一度挑戦してもいいかな? |
コングマン | 何…? |
ファラ | このままじゃ、わたしも、みんなも納得出来ないし! |
コングマン | …わかった、いいだろう |
コングマン | ならその間、誰でも俺様の舞に挑戦していい事にしようじゃねえか! |
コングマン | 俺様は舞い続ける!ファラの仇を討ちたい奴はどっからでもかかってこい! |
観客達 | うおおおおぉぉぉぉっ! |
観客1 | やっぱさすがだぜ、マイティ! |
観客4 | 俺も挑戦していいのか!? |
コングマン | 誰でも何人でも何度でもドンと来い!チャンピオンは逃げないぜ! |
ゼロス | ヒュー、粋な事するねぇ |
キュキュ | キュキュも参加、いいのか? |
ジェイド | 何人でも、という事ですし一斉にやってしまいましょうか |
コングマン | うっ、おめえらか…。ああ、構わん、来やがれ!まとめて相手してやろう! |
コングマン | フィリアさんのため…祭を盛り上げたいみんなのため… |
コングマン | そしてファラの心意気に応えるためにも、俺様はこんなところで倒れはせん! |
観客達 | うぉぉぉぉぉぉ!マイティ!マイティ!マイティ! |
ティア | さすがチャンピオンね。最後にしっかり盛り上げたわ |
ファラ | 見てなさい。体力が戻ったら、今度こそ! |
フィリア | あの…盛り上がるのは構いませんが怪我のないようにお願いしますね |
コングマン | 任せてください!よおし、行くぞ!誰からでもかかって来い!ガハハハハ! |
Name | Dialogue |
---|---|
作ろう!特製チョコレート | |
テレサ | 街が賑わっていますね。今日から開かれているというバレンタインフェアの影響でしょうか |
テレサ | 皆さん楽しそうですね。…あら? |
イリア | …うーん… |
テレサ | 浮かない顔をしていますね。どうかしましたか?何か困り事でも |
イリア | あ、テレサ。…そんな顔してた?何でもないわ、大丈夫 |
テレサ | 大丈夫には見えませんよ? |
イリア | いや…聞いたら呆れると思うし |
テレサ | そんな顔をしている人を素通りは出来ませんから |
イリア | じゃあ話すけど…実は前のバレンタインに、勢いでつまんない約束をしちゃってね |
ルカ | イリアが、僕に!? |
ルカ | ありがとう!すっっっごく嬉しいよ! |
ルカ | あはは、やったー!バレンタインに、まさか、イリアからチョコをもらえるなんて! |
イリア | それどういう意味!? |
ルカ | ごめん。正直、諦めかけてたからさ。嬉しくて嬉しくて… |
イリア | なあに、あんた期待してたってわけ?言っとくけど、ホワイトデーは三倍返しだからね! |
ルカ | えっ!三倍!? |
イリア | ホワイトデーだけじゃないわよ。次のバレンタインまでの一年間、この感謝を忘れずにいるように |
イリア | イシシシ。たっぷり奉仕してもらうわ! |
ルカ | …それって、来年のバレンタインもチョコをくれるって事? |
イリア | …! |
イリア | そんな事言ってないでしょ!バカルカ! |
イリア | そんな事言うなら、今回のチョコで一生分、こき使ってやるから! |
ルカ | 話変わってない?感謝とこき使うのって、別物じゃ… |
イリア | あんたの場合は一緒なの! |
イリア | …ってね。それ以来、バレンタインの度にチョコを渡してるのよ |
テレサ | それは約束…ですか? |
イリア | 同じようなものでしょ。あいつをこき使うためにチョコを渡すって言っちゃったんだし |
テレサ | それもまた話が変わっている気がしますが…独特な関係性なのですね |
イリア | まぁそんなわけで約束したはいいけど毎回チョコをあげるのはさすがに面倒だなって考えてたわけ |
イリア | ね?呆れちゃうでしょ? |
テレサ | …呆れてほしいのですか? |
イリア | え? |
テレサ | 今の話…あなたは自分の気持ちを取るに足らない事だと自分自身に言い聞かせていませんか? |
テレサ | 緊張して億劫になるのはわかりますが面倒という言葉に置き換えてしまうと本当に大切にしたい事を見失いますよ |
イリア | …… |
テレサ | あなたが本当はどうしたいのか…私に言う必要はありませんが、自分では認めてはどうでしょう? |
テレサ | 自分で自分の心を縛る事をやめればきっと気分も軽やかになると思いますよ |
イリア | …随分と知った風な事を言ってくれるじゃないの |
テレサ | 私は何も知りません。ただ…どんな状況でも、人を想う気持ちを隠す必要はないと思います |
イリア | …うーん、まぁ、そうなんだけど…正論をズケズケ言われると何か腹立つわねぇ |
テレサ | いつものあなたに戻りましたね。気持ちも晴れたようですし私はこれで失礼します |
イリア | あー…そういう事か。うん、心配してくれて、ありがと |
イリア | はぁ…何だかなぁ… |
イリア | わかってんのよ、そんな事は…別にチョコをあげる事自体は今更どうとも思ってないし |
イリア | 問題は、そのチョコなのよねー。毎回同じチョコってのも面白くない…でも、じゃあ何をあげれば喜ぶんだろ |
マリー | どうした?珍しく元気がないじゃないか。何か悩み事か? |
イリア | マリー!今日はよく声かけられる日ね…そんなに困って見えるのかしら? |
マリー | バレンタインフェアでみんな浮かれているからなおさら目立ってしまうのだろう |
イリア | フェアねぇ。思えばあいつと変な約束したのもフェアを手伝ったのが始まりだったわ |
マリー | …話を聞いてもいいか? |
イリア | いいわ。素直になった方が楽になるってさっきも言われちゃったしね |
イリア | 実は… |
マリー | 毎回違うお菓子を渡したい…か。優しいこだわりだな |
イリア | べ、別にそんなんじゃないわよ。ただ、せっかくだから、いろいろあげた方が面白いかなって |
マリー | それが優しいんだろう。わたしはいつも同じ物を作るのだが今回は新しい物を作ってみようか |
イリア | どんなお菓子作るの?参考にさせてよ |
マリー | まだ考えていないが…材料をたくさん買ってきていろいろと試してみようと思う |
イリア | それだったら、いい場所があるわ!材料も器具もたくさん揃ってて全部使い放題よ! |
マリー | そんな場所があるのか!? |
イリア | 思えば、あたしも最初からそこに行けばよかったのよねぇ |
イリア | …素直にならないと見失うか。確かに思いつきもしなかったわね… |
マリー | …ん? |
イリア | こっちの話よ。じゃ、行きましょ! |
イリア | さあ、ここよ |
マリー | ここは…バレンタインフェアで出すお菓子を作る厨房じゃないのか? |
イリア | そ。前にフェアを手伝った事があってそのよしみで入れてもらえるのよ |
マリー | 確かにここなら、必要な材料も器具も揃っているが使っていいのか? |
ジュディス | 問題ないわ。むしろ助かるぐらいよ |
マリー | ジュディス!助かる…ってどういう事だ? |
ジュディス | 今、ちょうどフェアに出す新しいお菓子をみんなで開発していたところよ |
イリア | みんな? |
ベルベット | あら、あんた達も来たのね。…味見、手伝ってもらうわよ |
ベリル | ぐふふ、ボクの感性を刺激してくれる事を期待するよ! |
マリー | 料理の上手なベルベットに、芸術家のベリルか。心強いな |
イリア | マリーとジュディスも料理上手よね。あたし、手伝えるかしら |
ジュディス | 勿論よ。あなたにはアイデアを出してほしいわ |
ジュディス | せっかく新しいお菓子を作るのなら普通のお菓子じゃ面白くないでしょ? |
ジュディス | いつもルカを弄り倒しているそのイタズラ心を活かして面白いお菓子を考えましょう? |
イリア | なるほど、それだったら任せて!いっくらでも思いつきそう!イシシシシ! |
ベルベット | 早速、試作品を作るわよ。フェアに出すのなら急いだ方がいいんでしょう? |
ベリル | 飾り付けは任せて!ぐふふ、腕がなるなぁ |
マリー | よし、とにかくやってみるか! |
ベリル | これで仕上げ! |
ベルベット | 一応、完成かしら? |
マリー | ああ。見た目も華やかだし味も美味しく出来たと思う |
イリア | けど、何というか… |
ジュディス | 普通に、クッキーねぇ。勿論、内容が普通じゃないのはわかっているけれど… |
マリー | うむ、どうしても知ってるお菓子を少し変えたようなものになってしまうな… |
ベルベット | 材料も味付けも飾りも、これまでにない新しい物なのは確かよ |
ジュディス | でも…新しいクッキーではあるけれど新しいお菓子ではないわね。あくまでクッキーの範囲内というか… |
イリア | あたしのアイデアもなーんか、決まった!って感じがしないのよねー |
マリー | クッキーの中からいろんな味のジャムが出てくるんだったな。わたしはいいと思うぞ |
ジュディス | ええ、面白いと思うわ。でも何か一つインパクトに欠ける気がするのよねぇ… |
ベリル | リクツでは出来ているのに今ひとつピンと来ない… |
ベリル | それは感性の刺激が足りないからなんじゃないかな!? |
イリア | 感性の刺激…か。確かにそんな感じかも |
ベリル | もっと刺激を集めようよ!ほら、せっかくフェアで人がたくさん集まってるんだしさ |
ベルベット | 参加者からアイデアを募るってわけ? |
ベリル | ただアイデアを聞くんじゃないよ。いろんなアイデアから刺激を受けて自分の感性を刺激するんだよ |
ジュディス | なるほど、いいかもしれないわね。私達が作ってるのはフェアに出すものでもあるんだし |
ジュディス | お客さんの意見を取り入れつつ私達なりに工夫したものを作ればきっと喜んでもらえると思うわ |
マリー | わかった。それなら、わたしがお客さんに話を聞いてこよう |
マリー | 時間もないだろうから、みんなは引き続きここで試作品を作っていてくれ |
ベルベット | たしかにそうね。急がないと新しいお菓子が出来てもフェアが終わってるなんて意味ないわ |
ベリル | 作り続ける事で感性が育ってアイデアが出る事もあるもんね。聞き込みはマリーに任せるよ |
マリー | ああ、任せてくれ!では感性の刺激を探して来るとしよう |
Name | Dialogue |
---|---|
想いを届けるプレゼント | sound/se/quest/qu124_se |
カルセドニー | …ん?街が騒がしいな。何かあったのか…? |
リーガル | 割り込みは禁止だ、並んでくれ。最後尾はここだ |
カルセドニー | 何の騒ぎだ? |
リーガル | ああ、すまない。ホワイトデーフェアに出している我が社の商品が予想外の人気でな |
リーガル | 今、列を整理しながら対策を打っているところだ。間もなく落ち着くと思う |
カルセドニー | そうか。何でもないならいいのだが……ホワイトデーフェアか。もうそんな時期なのだな |
リーガル | ああ。今回は男女間の話だけでなく家族や友人など、あらゆる人への日頃のお返しを主題としたのだが… |
リーガル | 予想以上に裾野が広がったようだ。ここまで人が集まるとはな |
カルセドニー | …ここなら僕のお返しを決める手がかりがあるかもしれないな… |
リーガル | 何か悩んでいるのか? |
カルセドニー | 実は恥ずかしい話なんだがあるお方からバレンタインに贈り物をいただいたのだ |
カルセドニー | どんなお返しをするのがいいかどうにも決めかねていてな |
リーガル | ふむ…。なら、そこにある建物に行くといい |
カルセドニー | 何かあるのか? |
リーガル | あそこは、贈り物を手作りする人のための施設だ |
リーガル | 中にいる者達はそれぞれの想いをあそこで形にしている。参考になる事もあるだろう |
カルセドニー | なるほど、行ってみよう。ありがとう |
リーガル | 健闘を祈っている |
カルセドニー | ここか。甘い匂いがするな…お菓子を作ってる者が多いのか |
カルセドニー | 早速、話を聞いてみるかすまない、少しいいか? |
アッシュ | …何だ? |
カルセドニー | おまえは、アッシュ…!意外だな…こういう催しに興味があるなんて |
アッシュ | ちっ、悪いか |
カルセドニー | いや、そういうわけではないが…そうだ、アッシュ。聞きたい事があるんだがいいだろうか |
アッシュ | こっちは忙しいんだ。聞きたい事があるなら、早くしろ |
カルセドニー | アッシュは誰にどんなお返しをする予定なんだ? |
アッシュ | ふん、どうしてそんな事を教えなければならない |
カルセドニー | いや、言いたくないならいいんだ。ある人にお返しを考えているから参考にさせてもらおうと思ってな |
アッシュ | 思いつかないなら普通でいいだろう |
カルセドニー | そうかもしれないが、相手は特別な身分の方…普通で済ますのは気が引ける |
アッシュ | …特別な身分、か… |
アッシュ | …それが何か関係あるのか?おまえがその相手を身分で敬いたいだけなら、それもいいだろう |
アッシュ | だが、一人の人間として想うのならそんな気遣いは無用だろう |
カルセドニー | …!それは… |
アッシュ | ふん、後は自分でよく考えろ |
カルセドニー | ありがとう。参考にさせてもらう |
カルセドニー | …さて、もう少し話を聞いてみるか… |
ジュード | あれ、カルセドニーも来たんだね! |
スタン | 奇遇だな! |
カルセドニー | ジュードにスタンか。ああ、お返しを考える参考にな |
ジュード | そうなんだ。お菓子を作るなら、ここは材料も調理器具も揃っていていいよ |
スタン | お菓子の作り方も、係の人が丁寧に教えてくれるしな |
カルセドニー | そうか。教えてくれてありがとう。二人はどうしてお菓子を贈ろうと思ったんだ? |
ジュード | うーん、どうしてって言われても…そんなに深い理由はないかな |
スタン | 俺はいつも何かと世話になってる妹やじっちゃんへ日頃のお返ししようと思ってさ |
スタン | 妹はいつも美味しいご飯を作ってくれてるから、何となく食べ物がいいと思ったんだ |
カルセドニー | 日常に根付いた感謝の印だから日常に根付いた食べ物を選択した…という事か |
スタン | ええっと…そう、かな…? |
カルセドニー | ジュードも、そうなのか? |
ジュード | 僕は少し違うかな。僕、チョコをもらった時すごく嬉しかったんだ |
ジュード | 感激した気持ちを伝えるには一つ一つの作業に気持ちを込めてお菓子を作るのがいいかなと思って |
カルセドニー | その感激ならわかる!ならやはり、手作りのお菓子が一番いいお返しなのだな |
ジュード | うーん、それはどうだろう?僕はお菓子作りを選んだけどそれって人それぞれなんじゃない? |
ジュード | 僕が感激したのは、チョコを僕に渡そうと考えてくれた気持ちに対してだし… |
ジュード | お返しって、その人の事をどれだけ考えるかって事だと思うんだ |
カルセドニー | どれだけ考えるか… |
スタン | そうだな。俺だって、ご飯を作ってくれてるから食べ物でっていうだけじゃない |
スタン | 妹は毎日、愛情を込めた料理を作ってくれてる…。その事を俺はわかってるって伝えたい |
スタン | だからこそ、俺も気持ちを込めたお菓子を作ろうと思ったんだ |
カルセドニー | 相手の事を想うと自然と贈り物が決まるか… |
カルセドニー | …僕はいつでも、あの方の事を考えている。なのに全然決められないんだ |
ジュード | うーん…「決められない」って事は浮かんでいるものはあるんだよね?それを絞り込めないって事? |
カルセドニー | 言われてみれば…そうかもしれないな |
ジュード | きっとたくさんの想いが入り混じってるんだろうね |
ジュード | でもそれなら、どんな想いを一番伝えたいかを整理出来れば決められるんじゃないかな |
カルセドニー | 気持ちの整理…か。思いもよらなかったな。ありがとう、二人共 |
ジュード | うん、頑張って! |
スタン | 手伝える事があったら、いつでも言ってくれよな! |
カルセドニー | ああ、感謝する |
カルセドニー | さて、次は… |
??? | みゅうううぅぅぅ…!! |
カルセドニー | ん、何だ…!?うわっ!? |
ドンッ | |
ミュウ | みゅう!ごめんなさいですの!お怪我はないですの? |
カルセドニー | ああ。そっちも怪我はなさそうだな。どうしたんだ?急いでいたようだが… |
ミュウ | ミュウはお手伝いしてますの!頼まれた器具や材料をお届けするですの |
ユアン | ミュウ、何を話し込んでいる。頼んでいた砂糖はどうした? |
ミュウ | ごめんなさいですの!こちらですのー! |
ユアン | ご苦労。これで何とか数を揃えられるだろう |
カルセドニー | 数…? |
ユアン | ああ。部下達に配るのだ。たまには労ってやるのも悪くないだろうと思ってな |
カルセドニー | 労う、か…なるほど。いろんなお返しがあるんだな |
ミュウ | ミュウもご主人様に日頃のお返しするですの! |
カルセドニー | おまえもお返しを?この施設の手伝い係ではなかったのか |
ミュウ | みゅうぅぅぅ…。ボクは料理が作れないですの。だから手伝ってもらいたいんですの… |
ミュウ | その代わりにみんなのお手伝いをしてるんですのー |
カルセドニー | なるほど、そういう事だったのか |
アッシュ | 話が聞こえたが…妙な話だな。おまえはあの屑にお返しをするような事があるのか? |
アッシュ | 普段のおまえに対する態度は、お返しどころか、仕返しをされても文句は言えないものだろう |
ミュウ | みゅうぅぅぅ…。うまく言えないですの |
ミュウ | ボクはご主人様の事が大切ですの!それを伝えたいですの! |
カルセドニー | ……。大切に想っている事を伝える…か |
カルセドニー | ふふ、ははははっ! |
ミュウ | みゅっ!?ボク何か、おかしな事を言ったですの? |
カルセドニー | いや、そうじゃないんだ。ただ、どうしてそんな単純な事に気づかなかったのかと思ってな |
カルセドニー | みんなの話を聞いてわかった。僕はあの方にいろいろな気持ちを抱きすぎている |
カルセドニー | 愛する一人の女性として…騎士が守るべき姫君として…人の上に立ち導く尊い方として… |
カルセドニー | 僕はあらゆる意味においてあの方を一番に想い、感謝し、労いたいと思っている |
カルセドニー | だからこそ、どの想いを伝えるべきか絞り切れなくて悩んでいたんだ |
カルセドニー | しかしミュウの話を聞いてその悩みが無意味なものだと思い知らされた |
ミュウ | みゅ? |
カルセドニー | 僕はあの方を大切に想っている。重要なのはその一点だけなのだ |
アッシュ | ふん、長々と語ったと思えば最初に俺が言った事だろう |
ミュウ | お役に立ててよかったですの!お菓子を作るならボクがお手伝いするですのー! |
カルセドニー | ……いや。僕はお菓子は作らない。僕の気持ちを伝えるなら…一輪の花だ |
カルセドニー | あの方自身を表す青いバラ…それを僕の贈り物としよう |
アッシュ | …相手を表す花、か。ふん、考えたな |
ユアン | それなら確かレザレノ・カンパニーがそういった物を仕入れていたか… |
カルセドニー | 外で行列を作っていた店か。後で見に行こう。だが、その前に… |
カルセドニー | その、参考までに聞かせて欲しいのだが…いい贈り物の渡し方は、ないだろうか |
ミュウ | 渡し方があるんですの? |
アッシュ | 相手に渡す時の演出を考えたいという事だろう |
カルセドニー | まぁ、そういう事だ。それにせっかくだから喜んでもらえる演出をしたいからな |
アッシュ | それこそおまえ次第だろう。洒落た店に呼び出すなり勝手に考えろ |
カルセドニー | 洒落た店、か。ありがとう、参考にさせてもらう |
アッシュ | …ちっ |
ユアン | 参考にするのはいいが、一人や二人に聞いただけではただの模倣になってしまうだろう |
ユアン | 大勢の話を聞き、学び、模倣ではない自分なりの答えを探す事だな |
カルセドニー | そうだな。せっかくだ、外にいる参加者達にも話を聞いてまわるとしよう |
Name | Dialogue |
---|---|
カマ~ンお花見!名曲誕生 | |
ジョニー | うーん、満員御礼、盛り上がってるねぇ。お花見はこうでなくちゃ |
ジョニー | 桜も見事に満開だ。こいつはいい歌が浮かびそうだぞ |
ジョニー | …おっ、あそこにいるのは── |
ルビア | わぁ、綺麗な桜。花弁がひらひら舞って、とっても素敵ね |
ジョニー | おー、可憐な少女よ~♪満開の桜に見守られ~♪舞い踊れ妖精のように~♪ |
ルビア | な、何ですか、急に!? |
ジョニー | 新しいジョニーナンバー…つまり新曲さ。題名は『花の妖精の輪舞曲』 |
ジョニー | おまえさんを見かけた瞬間、自然と浮かんで来たんだ。今日は調子がよさそうだぜ |
ルビア | あたしの歌…!?花の妖精、だなんて何だか照れますね |
ジョニー | おまえさんと桜吹雪の組み合わせ…まだ新たな歌が浮かびそうなんだ。少し同行させてもらってもいいかい? |
ルビア | あたしはお散歩していただけですからいいですよ |
ジョニー | それじゃあ、行こうか。新しい歌を求めて |
リアラ | あっ、ジョニーさん。曲を作ってるんですか? |
ジョニー | ああ、見事な桜にいい歌が浮かびそうでな。おまえさんはお花見か? |
リアラ | はい、そんなところです。今日の桜は特別ですから |
ルビア | 特別…?あ、満開って事? |
リアラ | ただの満開じゃないわ。今日は歴史に残る出来事が起こる…わたしはそれを見届けに来たのよ |
ルビア | 歴史に残る出来事…? |
ジョニー | はは、確かにこれだけ素敵な景色だと何かが起こりそうな気がするな |
ジョニー | そういう感性、俺は好きだぜ。おっ、いい歌が浮かんできたぞ |
ジョニー | 花に刻まれし記憶と~♪胸に刻んだ歴史を~♪ |
ジョニー | 語り継げ~♪その瞳に~♪映るものを信じて~♪ |
ジョニー | 題名は…そうだな…『儚き少女と歴史の賛歌』 |
リアラ | わたしの歌ですか…?すごい、こんな短時間で… |
ジョニー | 今日は調子がいいんだ。それに題材が素敵だからな |
リアラ | ふふ、素敵だなんて…。あの…ジョニーさん。わたしも一緒に行っていいですか? |
リアラ | ジョニーさんが作る歌、もっと聞きたいんです |
ジョニー | そう言われて断る理由なんてないさ。一緒に行こうぜ。なあ、ルビア? |
ルビア | もちろん。お花はみんなで見た方が楽しいですもんね |
リアラ | ありがとう |
リアラ | ジョニーさんについて行けば…わたし達の時代に語り継がれているあの瞬間に出会えるはず… |
ジョニー | …おや?そこにおられるのは、まさか… |
リアラ | リチャード…!と、一緒にいるのは、まさか… |
リチャード | やぁ。君達もお花見かな?よかったら一緒にどうだい? |
ナタリア | お弁当もたくさんありますわよ |
エレノア | お茶菓子の用意もありますから是非、皆さんもどうぞ |
リチャード | 今日は無礼講だからね。国も身分も関係なく、この見事な桜を楽しもうじゃないか |
ルビア | 国も身分も…って言っても、この組み合わせ、ただ事じゃないですよ |
ルビア | もしかしてリアラが言うように、本当に歴史的な事件がここで起こるの…!? |
リチャード | はは、大げさだよ。僕達はただ、お花見を楽しんでいるだけさ |
ナタリア | ええ。リチャード陛下やエレノアと偶然お会いしただけですわ。特別な意味はありませんのよ |
エレノア | 私も恐れ多いと思ったんですが、気さくにお誘いくださるのでお言葉に甘えたんです |
リチャード | 桜を見ていて思ったんだ。花を愛でる間ぐらい、国や身分の事は忘れるべきだってね |
リチャード | 桜は誰の上にでも平等に美しい姿を見せてくれる |
リチャード | 風に吹かれて散る時ですら美しさを損なわず、万人に平等であり続ける… |
リチャード | 僕はそういう王に──いや、そういう人間になりたい。だからみんなでお花見をと思ったんだ |
ナタリア | 私達も、そのお話に感銘を受けてこうしてご一緒させていただいてるんですのよ |
リアラ | そうだったんですね |
ジョニー | 素晴らしい話だ!俺も感銘を受けたぜ |
ジョニー | 何か…湧き上がってくるぞ!熱い想い…!熱い歌が…! |
ジョニー | イエーイ!来たぜ!題名は『風と桜のプレリュード』 |
リアラ | …! |
ナタリア | 歌ですか?いいですわね、お花見らしくて |
リチャード | ああ。是非聴かせてほしい |
ジョニー | 勿論さ!行くぜ! |
ジョニー | おお、咲き誇れ~♪王も民も魅了して~♪果てなき空~飽くなき桜~♪ |
ルビア | あはは、こんなに楽しい雰囲気なら歴史的な大事件って感じじゃないわね |
リアラ | ふふ…でも実は、今まさに、歴史的事件が起こっていたりして |
ルビア | えっ…? |
リアラ | 『風と桜のプレリュード』…まだ粗削りだけど、これが完成すれば後世まで語り継がれる名曲になるわ |
ジョニー | そんなに気に入ってくれたのかい?だが粗削りとは言ってくれるね |
ジョニー | 確かに俺も、どこか物足りないような気がしていたところだ。おまえさんも、そう感じるんだな? |
リアラ | ええ。勿論、今の曲も素晴らしいわ。けれど、磨けばもっともっと素晴らしい曲になるはずよ |
リアラ | (だって未来では… もっと素晴らしい歌詞で 万人を感動させているもの) |
ジョニー | いいだろう。おまえさんのその期待に応えようじゃないか |
ジョニー | この桜のように、誰の心にも等しく響く最高の歌を完成させてやるぜ! |
リアラ | ええ!ジョニーさんなら出来ます! |
リチャード | 後世まで語り継がれる名曲とはジョニーとはいえ簡単ではなさそうだね |
ナタリア | ええ。でも是非聴いてみたいですわ |
エレノア | そうですね!夢のような話ですけど信じたいです |
ルビア | ジョニーさん、頑張ってください |
ジョニー | ああ。言っておくけど、夢ってほどあり得ない話でもないぜ |
ジョニー | この桜は、誰にでも平等に美しい。だったら、みんなのその桜への想いを集めた歌にすればいいんだ |
リチャード | なるほど。名案だね |
ジョニー | これだけ花見客がいるんだ。みんなの桜に対する想いを聞いて回れば、歌が出来上がるだろう |
ジョニー | 必ず歌を完成させるから待っててくれよ |
リアラ | はい、いつまでも待っています。わたし、その歌が誕生する瞬間を間近で見たくてここに来たんですから |
ジョニー | 人をその気にさせるのが上手いな。それじゃ、作詞開始だ! |
Name | Dialogue |
---|---|
パジャマパーティー | |
レイア | ふー、いいお湯だった~さっすがウィンドル城、お風呂も広いねー |
ロゼ | お、レイアも上がってきたね。これをあげよう |
レイア | 何これ? |
ロゼ | 新商品のアイマスクだよ。朝までぐっすり快眠保証!他にも快眠グッズいろいろあるよ |
レイア | いいね、ありがとう!けど、出番はないかもしれないよ |
レイア | 今夜は楽しいパジャマパーティー!朝までたっくさん盛り上がるからね! |
ロゼ | 朝までか~、それもいいね。でも、この快眠グッズ達の誘惑に勝てるかな~? |
レイア | うぅぅ…確かに気になる…限界がきたら使わせてもらおっと |
レイア | ねぇねぇ、ところで、リタとアニスが遊んでるそれ何? |
リタ | カードゲームよ。論理的に戦略を立てて相手の手を読むあたしの得意分野だったんだけど… |
リタ | この子、意外とやるわ。手が読めないのよ |
アニス | そんな事ないですよぅ。私も余裕ないし…次はこのカードで、どうかなぁ |
リタ | そうくるわけね。でもそれじゃあ、このカードを出したらあんたもう手がなくなるはずでしょ |
アニス | はうあ!どうしよー!──なーんて |
アニス | 騙されたね!最後に残ったこのカードで大逆転!私の勝ちぃー! |
リタ | うそ!?そのカードがあるなら、もっと早く使うでしょ!? |
アニス | そう思わせる作戦だもん |
レイア | あはは、何だか面白そうだね。よーし、次はわたしも入れてよ。リタの仇を取るんだから! |
アニス | えー、いいけどぉ…レイア相手だと細かい演技が効かなさそうな予感… |
ロゼ | せっかくだし、みんなでやろうよ。何人でも出来るんでしょ? |
レイア | そうだね。シェリアも入る? |
シェリア | ええ、後で混ぜてもらうわ |
レイア | って、シェリア、何それ?顔…? |
シェリア | エステルの化粧品箱を見せてもらってるんだけど…これは何かわからないのよね |
ロゼ | あ、知ってる。パックって言うんだよ |
アニス | 私も使ってるよ。お肌の手入れが出来るんだ~ |
ロゼ | そうそう。美容にいい成分が染み込んでて、顔に貼り付けて使うんだよ |
レイア | へぇ、私も使ってみたいな |
レイア | ところでエステルは?このパジャマパーティーの主催者なのに、どこ行ったんだろ |
エステル | 呼びました? |
レイア | あ、いた! |
エステル | 温かい飲み物を淹れてきたんです。よかったら召し上がってください |
ロゼ | ありがとう!エステルが自分で淹れたの? |
エステル | はい。パジャマパーティーは私的に特別なお友達を集めて行うものですから |
エステル | 人には頼らず、自分でおもてなしをしたいと思ったんです |
ロゼ | へぇ、拘りがあるんだね |
エステル | 拘りと言いますか…こういうパジャマパーティーが憧れだったんです |
エステル | 今日は、立場を忘れてみんなのお友達として過ごさせてください |
アニス | じゃあ、無礼講って事で接待なしでコテンパンにしてもいいって事だよね♪ |
エステル | コテンパン…?何の話です? |
レイア | みんなでカードゲームやろうって話してたの |
エステル | カードゲーム!いいですね、やりましょう! |
シェリア | すごく嬉しそうね。カードゲーム好きなの? |
エステル | だって、パジャマパーティーらしくないです? |
エステル | お友達とお化粧の話をしたりカードゲームをしたり…わたしの憧れ、そのものです |
リタ | …大げさね。呼んでくれればいつでも泊まりにくるのに |
エステル | ありがとうございます。是非、またやりましょうね! |
レイア | 次の事も大切だけど、今夜だってまだまだ長いよ!思いっきり楽しもう! |
エステル | はい。ではまずみんなでカードゲームですね |
シェリア | ねぇ、せっかくだから、負けた人は秘密を打ち明ける…っていうのはどう? |
レイア | いいね、それ! |
リタ | あたしは反対。秘密なのにどうして打ち明けなきゃならないのよ |
アニス | あれぇ?勝つ自信ないの? |
リタ | そうじゃなくて、理不尽だって言ってるのよ |
エステル | お願いします、リタ。お友達同士でナイショのお話をする…それもわたしの憧れの一つなんです |
リタ | …ったく、しょうがないわね。その代わり、容赦しないわよ。絶対に負けないから |
ロゼ | よし、決まりだね!どんな話が飛び出すのか楽しみー! |
Name | Dialogue |
---|---|
学園番長の座は誰の手に? | |
ライラ | ようこそ、当学園へ。あなたが転入生の── |
リオン | リオン・マグナスだ |
ライラ | はい、リオンさん。私は学園長のライラです。今日からよろしくお願いしますね |
リオン | ああ |
ライラ | 緊張していますか?もっと笑ってください。その方がお友達がたくさん出来ますよ |
リオン | 余計なお世話だ。くだらない事を言ってないで、早く転入の手続きを進めろ |
ライラ | 手続きはもう終わってます。後は担任の先生に紹介するだけですわ |
リオン | なら、早くしろ |
ライラ | そうしたいのですが、職員室にいなかったんですよね |
ライラ | そうですわ。学園の案内がてら、一緒に捜しに行きましょうか |
リオン | 捜す?どうして僕が… |
ライラ | いいからいいから。さぁ、行きましょう! |
リオン | …… |
ライラ | …と、ここまでが校庭です。意外と広いでしょう? |
リオン | こんな端まで案内する必要はないだろ |
ライラ | それがあるんですよ。おそらく、この辺りに… |
ライラ | …あ、いました!レイヴン先生!こんなところで休憩ですか? |
レイヴン | あら、学園長。ちょっと朝の散歩をね。…と、そっちは見ない顔じゃない |
ライラ | あなたのクラスに転入してきたリオンさんです |
レイヴン | あー、そういや今日だったわね。ごめんごめん、おっさんすっかり忘れてたわ |
リオン | …お前が担任か |
レイヴン | そういう事。俺様はレイヴン。よろしく頼むな、少年 |
ライラ | レイヴン先生。私は用事があるので彼に学園を案内してあげてください。ここまでに回った場所は──… |
レイヴン | あいあい~。ま、始業までそんなに時間もないし適当にブラブラしながら教室向かうわ |
レイヴン | というわけで、行こうぜ少年 |
リオン | …ああ |
レイヴン | …で、ここが校舎裏。不良がよくここでサボってるからあんまし近づかない方がいいわよ |
リオン | だったら、どうしてわざわざ連れて来る |
レイヴン | んー、まぁ他はあらかた案内したしついでに、サボってる不良がいないか見とくかなあと思ってね |
リオン | …まさかさっき校庭にいたのもそういう生徒を見張るためか? |
レイヴン | まさか。それはちと買いかぶりすぎよ |
レイヴン | …さて。ちょいとここで待っててくれる? |
リオン | 何だ? |
レイヴン | おっさん、急に、もよおしてきちゃってさ~小用を足してくるわ |
リオン | …早くしろ |
レイヴン | はいはい。んじゃ、行ってきまーす |
リオン | …まったく |
キーンコーンカーンコーン── | |
リオン | …予鈴か。しまった、教室の場所を聞いて先に行っておくべきだった |
リオン | 仕方ない、待つしかないか… |
シャーリィ | あのー…すみません、少しいいでしょうか |
リオン | …誰だ |
シャーリィ | わたし、新入生のシャーリィといいます。まだ慣れなくて道に迷ってしまって… |
リオン | 生憎だな。僕も今日転入してきたばかりだ |
シャーリィ | あ、そうだったんですね。困ったな、どうしよう… |
リオン | …ここで待っていれば教師が戻ってくる。奴に聞けばどうにかなるだろう |
シャーリィ | 本当ですか!?よかったぁ…ありがとうございます |
ヒスイ | これに懲りたらとっとと失せな |
男子生徒 | す、すみませんでした! |
スパーダ | てめぇの教室はそっちじゃねーぞ!…ったく“番長”ってのも大変だな |
ヒスイ | 筋の通らねぇ事をする奴が許せねぇだけだ |
スパーダ | へっ、同感だ。予鈴も鳴ったし、オレ達も教室に急ごうぜ、ヒスイ |
ヒスイ | その前に、校舎裏も見に行くぞ |
スパーダ | へいへい。見回りも楽じゃねーな |
スパーダ | ん?見慣れない奴がいるな |
ヒスイ | 一緒にいるのは確か…セネルの妹だったな。こんな所でサボるような子なのか? |
スパーダ | いや、真面目な子だって聞いたぜ。…って事は、あの目つきの悪い野郎に…? |
ヒスイ | …行くぞ |
スパーダ | おう! |
ヒスイ | おい、お前、何してやがる |
リオン | …誰だ |
スパーダ | あん?てめぇ、番長のヒスイを知らねぇのか? |
リオン | 知らん。何の用だ |
ヒスイ | 何してんだって聞いてんだ |
リオン | 答える義理はない |
スパーダ | …って事はやっぱり人に言えないような事をしてやがったんだな! |
リオン | お前達には関係ない |
ヒスイ | ああ?いいぜ、てめぇは勝手にしろ。だが、その子は別だ |
シャーリィ | え、わたしですか…? |
ヒスイ | てめぇがサボるのに新入生を巻き込むんじゃねぇ。その子をこっちへ渡せ! |
リオン | ふん。巻き込まれているのはこちらだ |
スパーダ | ちっ、押し問答してる時間はねぇ。ヒスイ、こうなったら力尽くで! |
リオン | …来るなら来い |
シャーリィ | あ、あの、待ってください。何か話がおかしい気が… |
レイヴン | お待たせ──…あら?これどういう状況? |
シャーリィ | 先生!よかった…実は… |
レイヴン | えーと、つまり…ヒスイ達は、リオンを誤解してシャーリィちゃんを助けようとした |
ヒスイ | ああ |
レイヴン | で、リオンは不良に絡まれたと思ってシャーリィちゃんを守ろうとしたと。かっこいいねぇ |
リオン | 茶化すな。ただの成り行きだ |
レイヴン | ま、どっちも正しい事をしようとしたわけだけど、誤解があったって事だねぇ |
レイヴン | ヒスイ達はこう見えて不良達の面倒見てくれてるのよね |
スパーダ | 先に誤解したのはオレ達だ。謝るぜ。すまねェ、リオン |
ヒスイ | 悪かったな。始業までにシャーリィを教室に送ってやろうと思ったからよ |
レイヴン | おっと、そうだった。嬢ちゃんはもういいから、教室に行ってな |
レイヴン | 教室はあっちの方にずっと行って、右に曲がった辺りから入ればわかるわよ |
シャーリィ | はい。あの、皆さん、誤解とはいえわたしを守ろうとしてくれてありがとうございました |
シャーリィ | ではお先に失礼しますね |
レイヴン | 気を付けてねー |
レイヴン | …で、問題はこっちの三人か。ま、誤解はもう解けたんだからリオンも謝って、終わりにしようや |
リオン | …なぜ僕が謝らなければならない。勘違いしたのは、そいつらだろう |
レイヴン | いや、それはそうだけどさ |
リオン | そもそも、威圧的に番長だのと名乗り力尽くで相手を制そうとするからこういう事態になるんだ |
スパーダ | おい、待てよ。黙って聞いてりゃ、お前の方こそ勘違いしてるぜ |
スパーダ | ヒスイは、みんなから頼られてるから親しみを込めて番長って呼ばれてるんだ |
リオン | どうだかな。バカな不良仲間に慕われてるだけじゃないのか |
ヒスイ | おい、聞き捨てならねぇな。俺を慕ってくれてる奴らまでバカにするんじゃねぇ! |
レイヴン | あーあー、まとまりかけてたのにどうしてややこしくしちゃうのよ |
リオン | 事実を言ったまでだ |
スパーダ | 待てよ、人の勘違いを責めておいて自分は好き勝手言いたい放題かよ |
リオン | 違うというのなら証明してみせろ |
レイヴン | あー、じゃあ、慕われてるって証明するために選挙すれば? |
ヒスイ | おいおい、先生。生徒会長を決めるってんじゃねぇんだぞ |
スパーダ | 適当に誤魔化して終わらせようとすんなよ。オレ達のメンツがかかってんだ! |
リオン | そんな事をして何になる。もう少し考えて発言するんだな |
レイヴン | ええ~、ダメ~? |
レイヴン | (よしよし、怒りの矛先は 俺に向いた…っと。 後は適当に謝って解散にすれば…) |
??? | いいですわね。やりましょう! |
レイヴン | へ? |
ライラ | シャーリィさんから話を聞いて来てみれば…さすがレイヴン先生ですね |
ライラ | 番長だって学園の生徒を代表する存在です。正式に選挙で決めましょう! |
スパーダ | いや、番長ってそういうものじゃないだろ。他の不良連中が納得するかどうか… |
リオン | ふん、やはり生徒に認められてなどいないのだろう |
スパーダ | 何!? |
ヒスイ | そこまで言われちゃ引き下がれねぇな。その勝負、受けて立つぜ! |
スパーダ | ヒスイ。オレも手伝うぜ。他の連中にも声かけてすぐに票を集めてやる |
リオン | くだらんな、勝手にしろ |
レイヴン | あーらら。適当に言った事がまさか実現しちまうとはねぇ |
ライラ | これこそ青春ですわ!どんな結果が出るか楽しみですわね♪ |
Name | Dialogue |
---|---|
憧れのウェディングドレス | |
??? | おお、そこ行く美少女!お主じゃお主!ちょいと話を聞いてはくれんか!? |
アニー | …えっ?わたしですか? |
マギルゥ | そう、お主じゃ!その美しさ、世のため人のために役立ててみる気はないかえ? |
アニー | 美しいなんて、そんな…。でも世のため人のためって、どういう事ですか? |
マギルゥ | 実はウェディングドレスを試着してくれる女子を捜しておってのう |
マギルゥ | 老若男女を魅了する麗しき女子に声をかけてまわっておったのじゃよ |
アニー | わたしは、そんな… |
マギルゥ | 謙遜するでない。滅多に着られない美しい衣装じゃぞ。興味あるじゃろう? |
アニー | 興味は…ありますけど…ウェディングドレスって、一体、どういう…? |
マギルゥ | ならば遠慮は無用!さあ、一名様ご案内~♪ |
アニー | えっ、あ、あの…!? |
マギルゥ | さあさあ、こっちじゃこっちじゃ! |
アニー | あの、わたし、まだよく事情が… |
アーチェ | あれ、アニーじゃん |
アニー | アーチェさん!それに、シェリアさん、カノンノさんマルタさんも… |
カノンノ | アニーも試着を頼まれたんだね |
アニー | という事は、みなさんも…? |
シェリア | ええ。ウェディングドレスの試着なんてなかなか出来ないもの |
マルタ | そうそう。断る理由なんてないよね |
カノンノ | どんなドレスなのかな。ワクワクするね。アニーはどんなのが好き? |
アニー | えっと、わたしは…そうですね、大きなリボンとか付いてるといいかも… |
シェリア | リボンか…いいわね。あぁ、ドキドキしてきちゃった。着替えるのが楽しみだわ |
アーチェ | でもさ、ここで待ってろって言われてもうかなり経つよ。いつまで待てばいいの? |
マギルゥ | ふむ…。これだけ人数がいればよかろう。そろそろ始めるとするかの |
アーチェ | やったー!ドレスはどこ?早速着替えようよ! |
マギルゥ | 待て待て。その前にいろいろと説明せねばいかんのじゃ |
マルタ | ドレスの着付けとか?難しいのかな… |
マギルゥ | なあに、実はお主達にはドレスを着て行ってもらいたい場所があるのじゃよ |
カノンノ | ウェディングドレスのままお出かけするの? |
マギルゥ | そう。行先は… |
マギルゥ | 山!森!湖! |
マギルゥ | その他様々な場所、お天道様の下での試着を頼みたくての |
シェリア | 外で…?でも、ドレスが汚れてしまうんじゃないかしら |
マギルゥ | それじゃ!まさにそれを確かめてほしいんじゃよ |
マルタ | えっと…つまり何をさせたいの? |
アーチェ | もったいぶってないで、教えてよ~ |
マギルゥ | ま、平たく言うと、新しい挙式プランの検証じゃな |
マギルゥ | とある会社で、森や山やその他色々、特別な場所で式を挙げるプランを売り出したのじゃが… |
マギルゥ | これが、ちーっとも売れん。理由は、シェリアの言う通り、ドレスが汚れそうというものじゃ |
アニー | 野外となると足元も気になりますよね。ドレス姿で歩きやすい場所なのか… |
マギルゥ | うむ、それも重要じゃな。しかし、いかに万全に準備すると言葉で説明しても説得力がないらしい |
マギルゥ | そこで実際にドレス姿で候補地に出向き、具合を確かめようというのが今回の目的というわけじゃ |
シェリア | つまり、私達はその調査のお手伝いをするって事ね |
アーチェ | なーんだ、美少女とか何とかやたらと褒めてくれると思ったら利用するつもりで呼び込んでたのね |
カノンノ | でもドレスが着られる事に変わりはないし、別にいいんじゃないかな |
アニー | ええ。むしろ人助けになるのなら喜んで手伝います |
マルタ | うんうん。いろんな場所で試着出来るのも楽しそうじゃない |
マギルゥ | 話はまとまったのう |
アーチェ | ところでさ。あたし達はマギルゥに誘われたけどマギルゥはどうして手伝ってるの? |
マギルゥ | ギクゥ!な、何じゃ、儂が世のため人のために献身的に働いてはいかんのか!? |
アーチェ | べっつにぃ~。けど、今の反応は何だか怪しいなぁ~ |
シェリア | もしかして、まだ何か隠してるの? |
マギルゥ | ま、冗談はおいといて儂はただ、協力したらドレスをもらえるというでの |
カノンノ | あ、いいなー |
マギルゥ | 仕方がないのう。お主たちも、もらえるように儂が交渉しておいてやろう |
アーチェ | やったー! |
マギルゥ | じゃが、もらえるからといってドレスが汚れぬよう尻込みするでないぞ? |
アニー | 確かに、自然に振舞わないと検証になりませんよね |
マギルゥ | そういう事じゃのー♪ |
シェリア | だから内緒にしてたのね。任せて。そこはちゃんと割り切るわ |
マギルゥ | ならばよし!では、いざ、ウェディングドレス試着調査の旅に出発じゃー! |
一同 | おー! |
マギルゥ | …ふ~紹介料の話はバレずに済んだのうさて、せっかくじゃ楽しむとするかの |
Name | Dialogue |
---|---|
ウェディングフェア | |
シング | いらっしゃいませ、ウェディングフェアへようこそ! |
ルドガー | 結婚式場の見学会へご参加ですね。ご案内します。どうぞこちらへ |
キール | まったく、なんて忙しさだ。オープン記念にしたって次から次へと人がくる |
アッシュ | だから仕方なく手伝ってやってるんだろう |
クラトス | では、無駄口を叩かずさっさと動く事だな |
アッシュ | ちっ、わかってる |
ザビーダ | おいおい、そうギスギスすんなって。これから結婚式を挙げようっていうめでたい客を迎えるんだぜ |
ザビーダ | 笑顔で行こうぜ、笑顔で |
アッシュ | …ふん。俺にそんなものを望むな |
クラトス | 若い夫婦の門出に水を差すような事はしない |
ザビーダ | ったく。明るい未来への第一歩なんだ、明るい気持ちで手伝ってやろうぜ |
キール | 三人共、いつまでも喋ってないで仕事をしてくれ。シングとルドガーは走り回ってるぞ |
ザビーダ | おっと、悪ぃ。行こうぜ、お二人さん |
アッシュ | ああ |
クラトス | …… |
クラトス | 『明るい未来への第一歩』か… |
ルドガー | …ふぅ、今ので最後のお客さんか |
シング | みんなお疲れ様。明日も頑張ろう! |
キール | 明日もか…ぼくはもうフラフラなんだが… |
クラトス | 弱音を吐くな |
キール | 仕方ないだろ。動き回ったり、客と話したり、こういうのは性に合わないんだ |
ルドガー | 性に合わないと言うわりには客に振り回されても上手く対応してたように見えたぞ |
キール | 勿論、対応はするよ。客にとっては一生に関わる事だし、いい加減な事はしたくない |
クラトス | それがわかっているなら、弱音など吐かず、最後まで責任を持て |
キール | …手厳しいな。ちょっと疲れて口が滑ったんだ。心配しなくても明日からまた頑張るよ |
クラトス | …そうか。それなら構わん |
アッシュ | …ところでザビーダがいないようだがどこに行った? |
ルドガー | さっきオーナーに呼ばれてたみたいだけど…あっ、戻ってきた |
ザビーダ | おっ、揃ってるな。ちょうどよかった |
ザビーダ | ほれ、オーナーからの差し入れだぜ |
シング | 差し入れ?何だろ? |
キール | これは…服か? |
クラトス | これは新郎の着る服だろう |
ザビーダ | 人によって違うらしいぜ。招待客用の服だったり、いろいろだとさ |
アッシュ | …いい仕立てだが、着る予定はないぞ |
ルドガー | そうだな。普段着にするわけにもいかないし… |
ザビーダ | いや、着る事になるぜ。明日からこの場所でな |
シング | ここで?どういう事? |
ザビーダ | 明日からこれを着て仕事してほしいんだとさ |
ザビーダ | 何でも式場だけじゃなくオリジナルブランドの衣装も売り込んでほしいって話だぜ |
キール | なるほど…でも招待客用はともかく、新郎の衣装は特別なものだろう? |
キール | スタッフが着ているものを本番で着たいと思うだろうか |
ザビーダ | そこは心配ねぇよ。こいつはデザイナーが俺達に合わせて作った特注品なんだと |
ザビーダ | だから新郎にはまた別の衣装を特注で作るっつーわけだ。俺達はその品質を見せつけりゃいい |
ザビーダ | で、そんなわけだから、仕事が終わったらそのままもらっちまっていいって話だぜ |
ルドガー | いいのか?こんな高そうなもの… |
ザビーダ | ああ。だから差し入れだって言ったろ? |
シング | やった!ねぇ、さっそく着てみない? |
アッシュ | どうせ明日着るだろう |
シング | そう言わないでさー。みんなどんな服をもらったか見てみたいしさ! |
キール | まあ、不具合があっても困る。事前に確認しておくのは賛成だ |
ルドガー | なるほど。俺も確認しておきたいな。着替えてみようか |
アッシュ | …ちっ。さっさと、済ませるぞ |
シング | やったー! |
クラトス | …… |
シング | わぁ!みんな、カッコイイな! |
ザビーダ | モデルがいいからな |
アッシュ | 自惚れるな。いい服を着れば、誰でも少しは見れるようになる |
ザビーダ | さっきから服のよさは認めてるな。アッシュにしちゃ珍しいじゃねえの |
アッシュ | まぁな。さすがは特注品というだけある。文句のつけようがない |
キール | ああ。身体にぴったり合っていて動きやすい。一体、いつ採寸されたんだ? |
ザビーダ | 職人の目視らしいぜ。働く俺達の動きを見れば、最適な大きさがわかるんだと |
ルドガー | もはや神業だな。ここまですごいと、お客さんにもお薦めしやすいな |
シング | だね。仕事じゃなくても、みんなにお薦めしたいぐらいだ |
クラトス | …… |
シング | ん…?クラトス、どうしたんだ? |
クラトス | ああ…何でもない。少し思うところがあってな |
キール | 服に何か問題があったのか?それなら早い内に報告した方がいい |
クラトス | 大丈夫だ。服の事ではない |
クラトス | 少し昔の事を──いや、考え事をしていただけだ |
ルドガー | 事情はわからないけど、無理はしなくていいんじゃないか?普段通りの服でも |
クラトス | 気にさせて、すまんな |
ザビーダ | …ま、そう言うなら気にしない事にしようぜ |
クラトス | ああ。それにキールが言っていた通り一生に関わる事 |
クラトス | 夫婦の明るい未来を後押し出来るというのは悪くない |
ルドガー | わかった。それじゃ、明日からはみんなこの格好で仕事だな |
シング | ああ、楽しみだな! |
キール | 服のお蔭か、不思議と気が引き締まるしな |
アッシュ | 服分は働いてやらなくもない |
ザビーダ | それじゃ、引き続き頑張ろうぜ! |
Name | Dialogue |
---|---|
南の海の大騒動!? | |
チャット | さぁ、着きましたよ。この島です!イカリを降ろしてください! |
ソフィ | アイアイサー! |
グリューネ | ソフィちゃんったら、まるで海賊さんみたいねぇ |
パティ | みんな、水着に着替えたかの? |
パティ | ここは人のいない離島じゃ。港もないから、島まで泳いで渡るしかないのじゃ |
レイア | 準備ばっちりだよ |
アイゼン | ああ。いつでもいいぞ |
ジーニアス | みんなもう着替えたの?はしゃいじゃって、子どもだなぁ |
プレセア | 着替えてきましたが…いけませんでしたか? |
ジーニアス | プレセア!そ、その、水着、よ、よく、ににに、にあう…ね! |
プレセア | …?ありがとうございます |
ジーニアス | ボクもすぐ着替えて来るよ! |
クラース | はは、青春だな |
クラース | さて、私はどうしたものか…海に入るつもりはなかったから水着を持ってきてないんだ |
チャット | では上陸用の小型船を使いましょう。全員は乗れませんが他にも同乗したい方がいればどうぞ |
クラース | ありがとう、助かるよ |
アイゼン | …… |
クラース | どうした。アイゼンも乗るか? |
アイゼン | いや、大丈夫だ。こいつらがあれば問題ない |
レイア | ねぇ、海に入るつもりはないって言ってたけど、クラースはどうしてここに来たの? |
クラース | 研究の一環でな。近海のマナの流れを調べていたらこの島に何かありそうでね |
クラース | そこでチャットに頼んで船を出してもらったというわけだ |
チャット | そのお話からお宝の気配を感じたのでパティさんとアイゼンさんにお声がけして… |
パティ | 泳ぐのにもよい島じゃからとうちがレイア達を誘ったのじゃ |
レイア | へぇ、そうだったんだ |
ソフィ | キャプテン。イカリ、降ろしたよ |
チャット | では、ぼくも着替えてきます。張り切って上陸しましょう! |
クラース | さて、私は早速、調査といくか。みんなも、何か不思議な物などを見つけたら教えてほしい |
プレセア | わかりました |
グリューネ | と~ってもいい場所ねぇ |
レイア | うん、日差しは強いけど風があって気持ちいいし何かこう、夏!…って感じがする |
ソフィ | わたし、どこまで泳げるか試してみたい |
アイゼン | あまり遠くまで行くなよ。沖で潮に流されたら戻ってこられなくなるぞ |
ジーニアス | プレセア、見て!完成だよ! |
プレセア | 素晴らしいです。でも気になるところがあるので少し触らせてください |
チャット | これは…!クラースさん、不思議な宝石のような物を見つけましたよ |
パティ | 宝石とな!?…うん?それはシーグラスじゃな |
アイゼン | ああ。綺麗だが波にもまれたガラス片だ。そう珍しいものではないだろう |
チャット | う~ん、ぼくもそう思うんですけど何か不思議な力を感じるんです |
アイゼン | 確かにマナが宿っている。それを感じ取ったんだろう |
クラース | ほう。私は精霊との契約に宝石を用いるが、それに近い性質があるのかもしれんな |
チャット | なるほど…じゃあお宝ってわけじゃないんですね |
クラース | いや、学術的な価値は高いぞ。やはりここに調査に来たのは正解だったようだ |
クラース | 島の奥にも行ってみよう |
チャット | ぼくも行きます。変わったお宝を見つけられそうな気がしてきました |
パティ | うちも行く。宝探しは任せるのじゃ |
アイゼン | 俺も行こう。その調査、興味が出てきた |
クラース | ありがとう、心強いよ。では出発しよう |
グリューネ | あら、みんな、行ってしまうのねぇ |
レイア | わたしはここにいるよ。もっと泳ぎたいし |
ソフィ | わたしも |
プレセア | 私も、この砂像をもう少し調整したいので… |
ジーニアス | うん。ぼくも一緒にいるよ |
グリューネ | それじゃ、お姉さんもここでのんびりしておくわねぇ |
ソフィ | 波だー |
レイア | よーし、突撃ー! |
ザップーン! | |
ソフィ | わぷっ |
レイア | あははは、頭からかぶった!思ったより強かったね |
グリューネ | …あら?本当に? |
レイア | グリューネ、どうしたの? |
ソフィ | 誰かとお話してる? |
レイア | 誰もいないけど… |
グリューネ | まぁ、それは大変ねぇ。わかったわぁ、ありがとう |
レイア | グリューネ…?まさか、この暑さで… |
グリューネ | みんな、もうすぐ嵐が来るわよぉ |
ジーニアス | えっ…?すごくいい天気だけど… |
グリューネ | 今はそうなんだけど、すぐに悪くなっちゃうらしいの |
プレセア | だとすると、この砂像も崩れてしまいますね… |
ジーニアス | 大丈夫だよ、プレセア。また作ろうよ |
レイア | けど、避難って言っても…安全な場所なんてどこにあるの? |
パティ | みんな!嵐が近づいておる、こっちに来るのじゃ! |
チャット | 油断しないでください。今は晴れてますが、船乗りの経験上、すぐに強い嵐になります |
レイア | パティ、チャット!今、グリューネもそう言ってて… |
グリューネ | けど、どこに避難すればいいのかわからないのよねぇ |
チャット | あっちに安全な洞窟があります。今、アイゼンさんとクラースさんで風が入らないよう対策してくれてます |
パティ | 早く戻って手伝うのじゃ。クマノミのように隠れて嵐をやり過ごさねばならん |
レイア | わかった!行こう、みんな! |
クラース | …ふぅ、酷い嵐だったな。すぐに過ぎ去ってくれて助かった |
アイゼン | 海の天気は変わりやすいからな |
チャット | あれ以上続いてたら危険でしたよ |
ジーニアス | プレセア、見て。早速作り直したよ |
プレセア | 素晴らしいです。その亀は本来、水難よけのお守り…嵐から守ってくれたのかもしれません |
クラース | そういう発想で行くと…あの嵐は、この島の精霊からの警告かもな。勝手に調査するな、と |
グリューネ | …?そんなことないわよぉ |
クラース | だといいが…そこそこで切り上げた方がいいかもしれんな |
レイア | もう帰るの? |
ソフィ | でも、船ないよ? |
チャット | …え?ちょっと、何言ってるんですかソフィさん。船ならちゃんと… |
チャット | そこに…あれ、もっと向こうでしたっけ…? |
パティ | もしかして、あれかのう。沖の方に、ポツーンと見えておる… |
チャット | あー!あれですよ!嵐で流されてしまったんですね |
クラース | イカリを降ろしてたんじゃないのか? |
ソフィ | わたし、降ろしたよ? |
アイゼン | 走錨(そうびょう)だ。嵐が強すぎるとイカリを引きずって流される |
パティ | うむ。今はもう流されておらんからイカリはちゃんと降りとるのう |
チャット | でも、あんなに沖にあるんじゃ泳いで行くのも危険すぎますよ |
クラース | 私が乗ってきた小型船があればよかったのだが…流されているようだな |
ジーニアス | そういう事なら、イカダを作ったらどうかな? |
ソフィ | イカダ? |
ジーニアス | うん。材料には事欠かないと思うよ。さっきの嵐で倒れてる木もあるし木こりのプレセアだっているしね |
プレセア | 確かに、この島の木なら造れるかと。木を切ったり加工したりするのはお任せください |
パティ | 名案じゃの! |
グリューネ | 楽しそうねぇ。お姉さん、木を集めちゃうわよぉ |
チャット | あそこまで漕ぐのが大変そうですが…他に方法はなさそうですね |
クラース | それなんだが…チャット。そのシーグラスを動力に使えないだろうか |
チャット | …!なるほど、シーグラスのマナを使って即席のエンジンを作るわけですね |
クラース | 調査用にマナに反応する道具をいろいろと持ってきている。これを使えば… |
チャット | はい。簡単な物なら作れそうです。ただ、効率は非常に悪いのでシーグラスが大量に必要ですが… |
アイゼン | それなら、木と一緒に集めるか |
アイゼン | シーグラスは海岸に落ちている。木は内陸に多いが、さっきの嵐で海に浮かんでいるものもあるだろう |
チャット | 手分けしましょう。ぼくはシーグラスを集めて動力部を開発しておきます |
チャット | みなさんは木を集めて、イカダを作ってください。シーグラスを拾ったらぼくのところへ |
ソフィ | アイアイサー! |
チャット | いい返事です |
チャット | それではみなさん、船を取り戻すためにイカダの材料集め頑張りましょう! |
全員 | おー! |
Name | Dialogue |
---|---|
ビーチに迫る巨大な影!? | |
世界各国で巨大モンスターが発見された | |
巨大複合企業「クランスピア社」は「魔界ニブルヘイム」からの侵攻が本格化した事を知る | |
様々な事変により世界のマナが減少。これを好機とみた魔族は遂に無数の巨大モンスターを送り込んできたのだ | |
「ギガントモンスター」──人や精霊の天敵とも言える恐ろしい魔物である | |
「クランスピア社」社長ビズリーは人間界の未来のため、世界の戦士達と共に闘い続けている | |
そして今、ビズリーの命でギガントモンスターの秘密を探る一人のエージェントがいた── | |
??? | …おっ、そこの影で何か動いたな。はははっ、俺は見逃さんぞ! |
??? | ん、何だ…?──あっ! |
イバル | いてててててっ!?この、卑怯なカニめ!スイカの裏に隠れているとは! |
イバル | この、離れろ…!こいつっ…! |
イバル | …待てよ。社長はこの海岸に魔界ニブルヘイムの秘密を解く情報があると言っていたな… |
イバル | もしやこのカニが!?さっきから離れないがこの力はもしや… |
イバル | 貴様、さてはニブルヘイムの魔物か! |
ノーマ | …何やってんの? |
イバル | おわっ!?き、貴様は…! |
ノーマ | あ~、それ!後で食べようと思って冷やしてたスイカ!さては盗む気ね! |
イバル | ち、違う!俺はただ、仕事で── |
ノーマ | みんな、来て!泥棒だ、盗人だ、怪盗だ~! |
スレイ | 泥棒だって!? |
ミュゼ | それは、お仕置きね。…って、あら、あなたは確かクランスピア社の… |
イバル | そう、マルチエージェント、イバル様だ!泥棒などとは縁遠い気高き男だ! |
スレイ | うーん、変わってるけど悪い人には見えないなぁ |
ノーマ | うん、冗談だもん。慌てるから面白くってさ~ |
イバル | なっ、貴様…! |
ノーマ | ごめんごめん。バルバルも一緒に遊ぶ? |
イバル | バルバル…? |
ノーマ | 気に入らなかった?バルっちとか、イバルンでもいいよ。あだ名のつけやすい、いい名前だねえ |
イバル | 勝手に妙な呼び方をするな!…と言いたいところだが、まあ、許してやろう。特別だぞ |
ノーマ | んじゃあ、バルバルね!決定! |
スレイ | そろそろスイカも冷えただろうからスイカ割りをして食べようと思ってたんだ。一緒にやろうよ |
イバル | ふっ、悪いが、俺は貴様らと違って暇じゃない。今も仕事で来てるんだ |
ミュゼ | お仕事には見えない格好だけど… |
イバル | 社長命令だ。エージェントの服装だと遊びに来た人を驚かせるからな |
ノーマ | へ~、どんな仕事? |
イバル | 部外者にそんな事、教えられるか! |
ミュゼ | あら。それじゃあバカンスだと思われても仕方ないわよ? |
ノーマ | スイカ割りが苦手だから仕事とか言って逃げてるだけかもしんないしね~ |
スレイ | そうなのか?だったら、見てるだけでもいいよ |
イバル | 断じて違う!いいだろう、そこまで言うなら特別に教えてやる! |
イバル | 実は海底遺跡の痕跡を探してるんだ |
スレイ | 遺跡だって!? |
イバル | 何だ、妙に食いつくな… |
スレイ | 好きなんだ、遺跡!この近くにあるの!? |
イバル | 正確には、この近くにあった…だな。今は跡形もなくなっていて、その痕跡を探っているというわけだ |
イバル | 俺の完璧な計算によると滅んだ遺跡の残骸はこの海岸に流れ着いてるはずだ |
ノーマ | という事は、この浜辺って実はお宝ざっくざく!? |
スレイ | それって、どんな遺跡なんだ!?時代は!?建てられた目的は!? |
イバル | そこまでは知らん!だが、そこに重要な情報があった事は確かだ |
スレイ | 重要な情報って事は、歴史的な大発見もあるかも!? |
イバル | 貴様らも聞いた事ぐらいあるだろう。魔界ニブルヘイムからやってきた巨大なモンスター共の事 |
ミュゼ | …ギガントモンスターね |
イバル | その通り!マナの減少につけこんで魔界から送り込まれたデカブツ共だ |
イバル | 今まで、現れたギガントモンスターを迎え撃つ、いわば後手の戦いだったがそれがついに覆るかもしれんのだ |
イバル | 何せ海底遺跡では、魔界ニブルヘイムの研究が進められていたそうだからな! |
スレイ | すごい!今は失われた古代の知識がそこに眠ってるわけか! |
イバル | そうだ。それを見つけさえすれば世界の未来は明るいぞ! |
スレイ | よーし!オレも探すの手伝うよ! |
ノーマ | あたしも!トレジャーハンターの血がうずく~! |
ミュゼ | 私も手伝うわ。マナの減少が関係しているなら他人事ではないもの |
イバル | なっ…貴様らが…!? |
イバル | (まずいぞ…調査を依頼した ギルドの連中ぐらいなら 余裕で出し抜けると思ってたが…) |
イバル | (こいつらには何となく 手柄を取られてしまう気がする!) |
??? | ねぇ、今、古代の知識って言わなかった? |
ライフィセット | そういうの興味あるんだ。僕にも手伝わせて! |
イバル | なっ… |
リアラ | あの、わたしも気になるから参加させてもらっていいかしら? |
イバル | くっ、次から次と…! |
ミュゼ | これだけいればすぐに見つかりそうね。じゃあ、手分けして── |
イバル | 待て待て!手伝うなんて俺は認めないぞ! |
ミュゼ | あら、どうして? |
イバル | 危険だからだ! |
イバル | この調査を阻止しようとギガントモンスターが襲来するかもしれん |
イバル | 調査に参加しているのはギガントモンスター退治に慣れたエージェントやギルドばかりだぞ |
イバル | 素人は足を引っ張るだけだ。というわけで俺は仕事に戻るからついてくるなよ、わかったな!? |
リアラ | 何だか慌ててたわね |
ライフィセット | もしかして本当にギガントモンスターが来るのかも…その前に調査を終わらせるつもりかな |
スレイ | それなら、なおさら手伝わないと! |
ミュゼ | ふふ、そうね。私は危険でも構わないわ。遺跡の残骸、探しましょう |
リアラ | ところで遺跡の残骸って具体的にどういう物かしら? |
ライフィセット | 必要なのは研究してた情報だよね。それが記録されている物で浜辺まで流れ着いているとなると… |
スレイ | 石版…とかありそうじゃないか? |
ライフィセット | そっか、きっとそうだよ! |
ミュゼ | それだけとは限らないけど、まずは石版を探してみましょうか |
リアラ | ええ。探す物がわかっていた方が動きやすいものね。それじゃあ──… |
ノーマ | あ~~~~~っ!! |
リアラ | きゃっ!? |
ライフィセット | ど、どうしたの!?何か見つけた!? |
ノーマ | あいつ、結局スイカ持って行ったよ!やっぱり泥棒じゃん! |
スレイ | はは、慌ててたみたいだからなぁ。カニにも挟まれたままだったし |
ミュゼ | 調査をしてたらまた会えるんじゃないかしら。その時に返してもらいましょう |
ノーマ | よ~し、あいつより先に石版をたっくさん集めてやる! |
スレイ | それじゃあ競争だね。わくわくするなぁ |
ミュゼ | うふふ、海で遊んでいる時よりもいい顔をしてるわね |
ライフィセット | 僕も負けないよ! |
リアラ | わたしだって |
ノーマ | じゃあ、気合も入ったところで…調査開始~! |
Name | Dialogue |
---|---|
熱戦!屋台賑わう夏祭り! | |
ガヤガヤ── | |
ウッドロウ | 随分賑わっているな。前にこの街の夏祭りに来た時はここまでではなかったと思うが… |
ウッドロウ | 心なしか屋台の数も多い。何か上手い工夫をしたようだな… |
町長 | おお、これはこれはウッドロウ様。このような小さなお祭りにお越しくださるとは光栄です |
ウッドロウ | 町長か。何、近くに来る用事があってな。視察がてら寄らせてもらった |
ウッドロウ | かなり盛り上がっているようだが特別な催しでもあるのか? |
町長 | いえ、大した事ではありません。実はちょっとしたキャンペーンをやってまして |
町長 | お祭りの屋台で獲得した景品の数に応じて、さらに賞品がもらえるキャンペーン… |
町長 | その名も「プライズハンター大会」を実施しているのです |
ウッドロウ | なるほど上手く考え出したものだな |
ウッドロウ | 客は祭りの屋台を楽しみながら景品を得る事ができさらに本部から賞品がもらえる |
ウッドロウ | そのため必然的に屋台を回る客が増え収益を見込めると見た経営者も増し屋台が以前より集まったのだな |
町長 | さすがウッドロウ様。ご察しの通りです |
ウッドロウ | 面白そうだ。私も参加して構わないだろうか |
町長 | 勿論です!ウッドロウ様がご参加くだされば、大会は盛り上がる事間違いなし! |
町長 | そうなればこの祭りの成功は約束されたも同然! |
ウッドロウ | 大げさだな。だが、期待に応えられるよう頑張るとしよう |
町長 | それでは受付にご案内しましょう |
ウッドロウ | さて…参加したからには成果を上げねばならんな |
ウッドロウ | 景品をたくさん取れば取るほど大会本部から賞品がもらえるルール… |
ウッドロウ | 競争でないというのは助かる。ゆっくりと取りかかるとしよう |
ロンドリーネ | いたいた。噂のウッドロウ!捜したよ |
ウッドロウ | ロンドリーネ君じゃないか。噂とは、何の事かな? |
ロンドリーネ | プライズハンター大会に参加するんでしょ?町長がそう宣伝してたよ |
ウッドロウ | ああ、なるほど。私の参加で盛り上がるというのはただのお世辞ではなかったのか |
ロンドリーネ | ねぇ、私のチームに入らない? |
ウッドロウ | チーム? |
ロンドリーネ | あ、もしかして知らなかった?この大会はチームで参加してもいいの |
ロンドリーネ | 景品を集めるには人手があった方がいいでしょ? |
ウッドロウ | 確かにそうだな。チームを組んだ方が有利というわけか |
ロンドリーネ | もらえる賞品の数は一緒だから山分けって事になるけどね |
ロンドリーネ | 私は景品をたっくさん集めないともらえない賞品を目指してるから、みんなに手伝ってもらってるわけ |
ウッドロウ | それは合理的な戦略だね |
ロンドリーネ | でしょ!他のメンバーは、今は屋台に挑戦してて…あ、戻ってきた |
ティア | ここにいたのね。景品、取ってきたわよ |
ミラ | 私も成果は上々だ。この分だとすぐに景品が集まるな |
カロル | ねぇねぇ、輪投げが今なら安いって。みんなも一緒に──あれ?ウッドロウ? |
ロンドリーネ | うん。今、チームに勧誘してたとこ |
ウッドロウ | 全員で四人か。粒揃いのようだな |
ロンドリーネ | でしょ。ここにウッドロウが入れば鬼に金棒だよ |
ウッドロウ | はは、ありがたい申し出だが、私はやめておく事にするよ |
ロンドリーネ | えっ、どうして!? |
カロル | もしかして、もう他にチームが決まってるの? |
ウッドロウ | いや、確かにチームに入れば合理的だが、私は一人で挑戦しようと思う |
ウッドロウ | 君達のような強いチームがいるならそれより早く景品を集める。と挑戦状を叩きつけるとしよう |
ミラ | ふむ。競い合う方が大会も盛り上がる。…といったところか? |
ロンドリーネ | なるほど、町長の思惑に乗るってわけだね |
ウッドロウ | ご明察だ。君達を利用するようで忍びないが… |
ロンドリーネ | ううん、面白そうだし、いいよ。じゃあ今からは好敵手同士って事で。絶対、負けないから! |
ウッドロウ | ああ。切磋琢磨するとしよう |
??? | お、みんなも参加するのか? |
ガイ | そうそうたる顔ぶれだな。みんなチームなのか? |
ロンドリーネ | ガイ!ううん。今、ウッドロウに振られたとこ |
ミラ | よい好敵手として戦い、大会を盛り上げようと話していたところだ |
ガイ | なるほどな。どっちにしても俺にとって手ごわい敵かな? |
カロル | 頼もしい味方になる手もあるよ!ガイもボクらのチームに入らない? |
ティア | そうね。ガイは器用だし頼りになると思うわ |
ガイ | 悪いな、ティア。俺は全賞品を狙っててね。チームを組んだらそれは出来ないだろ |
ロンドリーネ | それはそうだね。私達も、みんなそれぞれほしい物があって参加してるし |
カロル | 残念。仲間になってくれたら頼もしかったのになぁ |
ウッドロウ | 私は少し安心したよ。好敵手がさらに手ごわくなるところだったからね |
ガイ | あれ?好敵手って物の例えじゃなく本当に張り合おうって事なのか? |
ウッドロウ | ああ。一人で多数と競うのは難しい事だが挑戦は無謀な方が盛り上がるだろう? |
ガイ | はは、まあ…序盤で大差をつけられなければ勝機はあるかもな |
ウッドロウ | 確かに、差がつきすぎれば興が冷めてしまう。頑張らなければな |
ガイ | それじゃあ、俺は失礼するよ。急がねぇと、取りやすい景品が他の奴に取られちまうからな |
カロル | そっか。大会の賞品は競争じゃないけど取りやすい景品は早い者勝ちなんだ |
ロンドリーネ | 急ごう!ウッドロウには悪いけど圧倒的な差をつけて見せるよ! |
ミラ | ああ。手加減は出来ない。私はこの大会を全力で楽しむと決めたからな |
ティア | そうね。行きましょう |
ウッドロウ | さて、私ものんびりしていられないな。みなに先を越されないよう急ぐとしよう |
Name | Dialogue |
---|---|
あぶない夏 | |
アニス | …ったく、この蒸し暑い森で魔物退治の任務なんて…そもそもどーして私なんだっての |
アニス | だいたい、虫取りで有名な森で虫の魔物が暴れてるって何!?人間への復讐のつもり!? |
アニス | はぁ…ま、いいや。お蔭で森は立ち入り禁止だけど私は任務で入り放題だし |
アニス | 魔物なんかさっさと退治して珍しい虫を取り放題! |
アニス | 今は虫取りが大流行だから珍しいのは何万ガルドにもなるって言うし♪ |
ガサガサ… | |
アニス | …何かいる!魔物?それともお金──じゃなくて虫!? |
アリエッタ | アニス…!どうして、いるの…? |
アニス | 根暗ッタ!どうしてあんたがここに!? |
アリエッタ | アリエッタ、根暗じゃないモン!アニスのイジワルゥ~! |
アニス | …あ!わかった、虫の魔物が暴れてるのってあんたの仕業でしょ! |
アリエッタ | 知らないもん。アリエッタ、関係ない |
アニス | 嘘ついてもダメなんだからね!第一、軍が閉鎖してる森にいるのが怪しい── |
ガサガサ… | |
アリエッタ | …!来た…! |
アニス | えっ…!? |
ギィィィィッ!! | |
アニス | 魔物!? |
アリエッタ | この森の子じゃない…! |
アニス | はぁ!?どういう事!? |
アリエッタ | ブラッディハウリング! |
ギェェェッ! | |
アニス | …倒したって事は、本当に、あんたが犯人じゃないんだね |
アリエッタ | この森には、お友達が住んでる…大きな虫に荒らされて困ってるって…だから、退治に来たの |
アニス | じゃあ、あの魔物は別の場所からこの森に来たって事? |
アニス | あっ、でもでも、子ども達が安全に遊べるようにするってのが任務だから元からいる魔物も退治なのかなー |
アリエッタ | ダメェ!みんな人が怖いから、襲ったりしないもん! |
アニス | そうなの?まぁ確かに、ちょっと前までは魔物の目撃情報もなかったし… |
アリエッタ | お友達傷つけたら、絶対許さな── |
ガサガサ… | |
アニス | …!また魔物!? |
ハスタ | ぶっぶー!怖い魔物だと思った?残念、ハスタお兄さんでーす! |
アニス | あ、あんた確か、元ウィンドル騎士団の…! |
ハスタ | おろ?おいらの事を知ってる君はたしかア・ジュール軍の… |
ハスタ | アンドレアス小雪さん…でしたっけ? |
アニス | 全然違うじゃん! |
アリエッタ | でも、二文字合ってる…惜しい |
アニス | 惜しくない! |
アニス | それより、ここで何やってるの?ここは今日から立ち入り禁止にしてるんだけど |
ハスタ | そうなの?まぁオイラずっとここにいるから今日からって言われても知らねぇな |
アニス | ずっと?どうして…って、まさか…! |
アリエッタ | 大きな虫は、あなたのせい!? |
ハスタ | はい、大正解!ドンドンパフパフ!ほら、虫取りが流行ってるらしいし大きな虫がいたら楽しいでしょ~? |
アニス | ふざけんな!私の仕事を増やしやがって…危険な虫は退治するんだからね! |
ハスタ | ええ~、そいつぁ困るなぁ。でも大丈夫!こんな事もあろうかと虫はまだまだ連れてきてるのさ! |
アリエッタ | まだ、増えるの!? |
アニス | 何が目的でこんな事! |
ハスタ | 目的はねー、もう半分果たしてんの |
ハスタ | この虫は、正義マンホイホイー!ほら、こうやって軍とかが強ーい人を送り込んでくるでしょ? |
ハスタ | しかも正義感の強い腕自慢!そういう奴を、このボクちんがズバッと倒して、こう言うのさ |
ハスタ | お前の敗北は…また一人子どもがエサになる事を意味するのだ…ってね! |
アニス | おかしいんじゃないの!?そんな事させない! |
ハスタ | だったら、捕まえてごらんなさ~い!虫達を倒しながらオイラを追ってこられたら、殺してやるからよ |
ハスタ | てなわけで、シーユーアゲイン、少女達!生きてたらな! |
アニス | あっ、待てー! |
アリエッタ | 逃がさない! |
ギィィィィッ!! | |
アリエッタ | 大きな虫…!あんなにたくさん…! |
アニス | 虫も、あのピンク頭も、ぶっ飛ばす!行くよ、根暗ッタ! |
アリエッタ | 根暗じゃないもん! |
アニス | うりゃー!爪連龍牙昇ー! |
ギェェェェッ!! | |
アニス | はぁ、はぁ、片付いた…! |
アリエッタ | アニス、あれ! |
アニス | 見つけた!ここまでだよ、ハスタ! |
ハスタ | お、生きてここまで来たね。やるぅー! |
アリエッタ | 森から出て行って! |
ハスタ | えー、酷いや。ここはオイラの心の故郷、落ち着く実家みたいなもんなのにー |
アリエッタ | …そ、それじゃあ……あなたも森で育ったの?あの虫は…あなたのお母さん…? |
ハスタ | なんだとう!オイラのお母さんを虫呼ばわりとはどういう了見でい! |
アリエッタ | え…だって…この森が故郷って… |
ハスタ | いんやー?今日初めて来たよ、こんな森。あれ、昨日だっけ?一昨日? |
アニス | こんな奴とまともに話しても無駄だよ。倒して、捕まえるよ! |
ハスタ | やれるもんならな! |
アニス | もーっ!マジむかつく!行くよ! |
アリエッタ | アリエッタも、戦う!お友達を守るんだから! |
ドガッ | |
アリエッタ | きゃっ…! |
アニス | うう、強い…! |
ハスタ | おいおい。もう終わりじゃないでしょ?もっと楽しませてくれよお嬢ちゃん |
アニス | くぅ~…!根暗ッタ、あんたが邪魔するから戦いにくいでしょ! |
アリエッタ | また言った!根暗じゃないもん!それに、足引っ張ってるのはアニスなんだからぁ! |
アニス | いいから引っ込んでてよ! |
アリエッタ | うわーんっ!アニスのバカ!邪魔しないでよ! |
ハスタ | オイラを無視して遊ぶとかチョームカツクんですけど! |
ザシュ! | |
アニス | はうあ! |
ハスタ | 今のお前らと戦ってもつまんな~い。勝つつもりなら二人がかりでかかって来いっつーの! |
ハスタ | つまんねぇつまんねぇ!お前ら虫とでも戦ってろ!じゃあな! |
アリエッタ | また逃げた! |
アニス | もう!根暗ッタのせいだよ!バカ!ドジ! |
アリエッタ | バカはアニスだもん!ドジもアニスだもん! |
アニス | …ちっ、ムカツクけどこのままじゃあのピンク頭に勝てないな… |
アニス | 仕方ない、一時休戦にしよう。今だけ力を合わせようよ |
アリエッタ | …じゃあ、もう根暗って言わないで |
アニス | わかった。ハスタを倒すまでは言わない |
アリエッタ | それなら…うん。お友達のためにもアリエッタ、頑張る |
アニス | じゃあ、早速、あいつ追いかけて── |
ガサガサ… | |
ギィィィィッ!! | |
アニス・アリエッタ | ネガティブゲイト! |
ギェェェッ! | |
アニス | 雑魚に用はないっつーの!行こう、アリエッタ! |
アリエッタ | うん! |
Name | Dialogue |
---|---|
示せ!騎士のチカラ! | |
フレン | では…みな試合には出られないというのかい? |
騎士1 | はい…お役に立てず申し訳ありません |
騎士2 | 模擬戦とは言え、あんな強い人達と剣を交えるなんて、我々には無理ですよ… |
フレン | 勝敗を気にしているのなら騎士として立派な試合をして見せればそれでいいんだ |
フレン | 優劣を示そうというものではない。民が騎士に親しみを持てるように各地の騎士団が合同で企画したもの… |
フレン | だから模擬戦を見た民が、騎士の堂々とした戦いを見て何かを感じ取ってくれれば十分なんだ |
騎士1 | お言葉を返すようですが…それを理解しているからこそ我々には荷が重いのです |
騎士2 | 各地の騎士の代表が相手ですよ。無様に負け姿を晒してしまうに決まっています |
フレン | 困ったな…。僕の隊は急用で、バロニアに戻らなければならないし… |
フレン | 誰かが代わりに出てくれなければ模擬戦に穴を空けてしまう事になる。誰か他に… |
フレン | …!あれは… |
フレン | ユーリ! |
ユーリ | お、フレンじゃねぇか。騎士だらけだとは思ってたが、何かあるのか? |
フレン | ああ。騎士の啓発企画なんだ。騎士と民との親睦会のような感じかな |
ユーリ | なるほどね。騎士は堅苦しくて近寄りがたいって思ってる奴もいるからな |
フレン | だから各地の騎士団が協力して騎士の事をよく理解してもらえるよういろいろな催しをするんだ |
フレン | そのひとつに各騎士団から腕の立つ代表者が参加する模擬戦があるんだが… |
ユーリ | へぇ、面白そうだな |
フレン | 君ならそう言うと思ったよ。僕の代わりに参加してみないかい? |
ユーリ | ははは、おまえも冗談を言うようになったか |
フレン | …頼む、ユーリ。今は元騎士である君が最後の望みなんだ |
ユーリ | おい、大げさだな…どうした? |
フレン | 先ほども言ったように模擬戦に参加しているのは腕に覚えのある実力者達だ |
フレン | そこには僭越ながら僕も参加する事になってたんだけど急な用事で出られなくなってね… |
フレン | 他の隊に代理を頼んだら相手が強すぎるからってみんな尻込みしてしまって… |
ユーリ | なるほどな。そういう事なら、参加してもいいぜ。 |
フレン | 本当かい!?ありがとう、助かるよ |
ユーリ | この貸しは高いぜ |
フレン | はは、覚悟しておくよ。それじゃ、模擬戦用の正装があるからそれに着替えてくれ。それから──… |
ユーリ | こっちは上手くやっとくって。それより、おまえは急用があるんだろ? |
フレン | すまない。事情は説明しておくよ。それじゃ |
ユーリ | …一般人が騎士を相手にするんだから遠慮はいらねぇよな。盛大に暴れてやりますか |
ユーリ | 模擬戦用とは言っても正装ってのはやっぱ堅苦しいな |
ユーリ | さて、模擬戦に出るならここで待ってろって言われたが… |
ユーリ | …なるほどな。各騎士団の腕自慢ってのはこいつらの事か |
クロエ | ローウェル! |
リグレット | …… |
カルセドニー | こいつらとは、失礼な物言いだな |
セルゲイ | だが我々を前にしてこの余裕ある態度…相当な実力者のようだな |
エミル | 実力者なんてもんじゃないですよ!こんなに強い人達ばかり集まって僕、大丈夫かな… |
ユーリ | おいおい、大げさだって。おまえも相当な剣の使い手だろうが |
クロエ | ローウェルも模擬戦に参加するのか?騎士は退役したと聞いていたが… |
ユーリ | ちょっと事情があってな。フレンの代わりだ |
クロエ | そうなのか。シーフォ殿とも手合わせ願いたかったがローウェルであれば不足はないな |
クロエ | 模擬戦とはいえ全力で勝たせてもらうぞ |
ユーリ | えらく気合いが入ってるな |
クロエ | この企画は騎士を志す者への啓発でもあるからな |
クロエ | 騎士を志す女性の希望となれるよう、私は勝利をおさめるつもりだ |
リグレット | 甘いな。騎士に危険はつきもの。安易に希望を与えるだけでなく厳しさも知らしめるべきだ |
クロエ | 言わんとする事はわかる。しかし厳しい道だからこそ希望になりたいと私は思うのだ |
カルセドニー | 確かに、希望を持つ事も厳しさも重要だ。だが、騎士には他にも大切な事がある |
クロエ | 何だ? |
カルセドニー | 忠誠心だ。尽くすべき人、守るべき人のためならどんな力でも発揮出来る |
リグレット | …他人のためにこそ命をかけられるという事に異論はない。だが精神論だけでは戦えまい |
カルセドニー | 戦えるさ。大切な人のためなら。そこにいるエミルなどはいい例だろう |
エミル | え、僕…ですか? |
エミル | 忠誠心とは違うと思うけど、ルークが、おまえならやれるって言ってくれたから |
エミル | それにマルタも応援してくれてるし期待を裏切らないように頑張ろうって思ってます |
セルゲイ | うむ。一見、気弱そうに見えるがその反面、怯えた様子もない |
セルゲイ | 応援してくれる者のために戦う…それがエミルの勇気となっているのだな |
リグレット | …そうした精神論だけで若者を戦場に送り込む事を私は防ぎたいのだ |
セルゲイ | 貴女の憂慮は理解した。だからこそ自分は若者の志を尊重し鍛え、導きたいと思う |
セルゲイ | そのためにも今日の模擬戦を楽しみにしている。様々な技や戦い方を学ばせて貰いたい |
ユーリ | みんな真面目に考えてんだな |
クロエ | ああ。一晩中でも語り合える。だが今日は話し合いをしに集まったわけではない |
カルセドニー | そうだな。それぞれの信念をこの模擬戦で存分にぶつけ合おう |
ユーリ | オレには、んな立派なもんはねぇが強いやつらと本気でやり合えるのは楽しみだな |
ユーリ | フレンのやつに笑われねぇようにちょいと頑張ってみるか |
Name | Dialogue |
---|---|
温泉宿は大騒ぎ | |
アニス | きゃわ~ん!温泉だ~! |
ウィンガル | 浮かれているようだが、これは温泉宿の偵察任務だという事を忘れるなよ |
アニス | ちゃんとわかってますよぅ。けど温泉には入っていいですよね?役得、役得~ |
ウィンガル | …気楽なものだな。プレザ達が他の任務に出ていたから同行させたが… |
ウィンガル | 私一人でもよかったかも知れないな |
アニス | そう言わないでくださいよぅ。お仕事は真面目にやりますから |
ウィンガル | 頼んだぞ。念のため、任務の内容を再確認しておくが… |
ウィンガル | 我々はこのウィンドルに新しく出来た温泉宿の偵察に来た。その理由はわかっているな? |
アニス | 毎年、お月見の時期になると四象刃に手伝いを依頼してくるア・ジュールの温泉宿がピンチなんでしたっけ |
ウィンガル | そうだ。今年は予約がほとんど入らず手伝いは不要だと言ってきた |
ウィンガル | 不思議に思って調べたところ、ウィンドルに新しく温泉宿が出来てそこも月見の名所だという… |
アニス | 完全に競合ですね! |
ウィンガル | その通りだ。しかし、完全な競合なら客は分かれるのが自然だ |
ウィンガル | だが実際は、ほとんどの客がこちらに流れてきている。それには何か理由があるはずだ |
アニス | なるほど。それを見極めるための偵察って事ですね |
ウィンガル | そうだ。月が昇り、宴会が始まれば調査どころではなくなるかもしれん。ここからは手分けするとしよう |
ウィンガル | お前はまず、貸衣装を調べてくれ。他の温泉宿にはない斬新なサービスだと聞いている |
アニス | 貸衣装ですね。わかりました! |
ウィンガル | 私は宴会場に集まっている客に聞き込みをする。それでは、任務開始だ |
ウィンガル | この部屋が宴会場か。用意されている食器の数から見て、かなりの人数が参加するようだな |
ウィンガル | 早速、話を聞いて回るか。まずは… |
ワルトゥ | …ふむ。どうしてこの温泉宿に来たのか…ですか? |
ウィンガル | ああ。似たような温泉宿が他にもあるはずだ |
ワルトゥ | 確かに…昨年までは、ア・ジュールの温泉宿を利用していました |
ウィンガル | では何故、今年はこちらに? |
ワルトゥ | 深い理由などありませんよ。ただ目新しさでこちらに来てみた…それだけです |
ワルトゥ | ア・ジュールの温泉宿には老舗ならではのよさがある…次はあちらに戻るかもしれません |
ウィンガル | なるほど…目新しさは年々薄まるが老舗のよさは深まっていく…そこで勝負を仕掛ければ勝機もあるか |
ワルトゥ | それでも新しいものが好きという人もいるでしょうがね |
ウィンガル | 参考になった。貴重な意見、感謝する |
ワルトゥ | いえいえ |
ウィンガル | 今回ほど客が偏らないのであれば手の打ちようは出て来るな |
ウィンガル | もう少し情報を集めてみるか。次は、そうだな… |
アリーシャ | この温泉宿の魅力…?難しいな… |
ウィンガル | 老舗のア・ジュールではなくこちらを選んだ理由を聞かせてほしい |
アリーシャ | それなら簡単だ。シルヴァラントからなら、こちらの方が近かったからだよ |
アリーシャ | 今回の休暇は短くてね。ア・ジュールは遠くて諦めていたがこちらなら来られたんだ |
ウィンガル | …なるほど。という事はア・ジュールに来るはずの客が流れただけでなく… |
ウィンガル | ア・ジュールに来られないはずの客もこちらなら近いからと来ている可能性があるのか… |
アリーシャ | 少なからずいるとは思う。シルヴァラントではこの温泉宿の開店を喜ぶ声をよく聞いたからね |
ウィンガル | …つまりア・ジュールの温泉宿では賄えなかった範囲の市場を持っているという事か… |
ウィンガル | その規模がわかれば上手く利用して減収どころか利益につなげられる可能性もあるな… |
アリーシャ | 参考になっただろうか |
ウィンガル | もう一つ訪ねたい。この温泉宿に、他にない魅力があるとすれば、何だと思う? |
アリーシャ | そうだな…魅力はいろいろあるが、他にないとなると、貸衣装だろうか |
ウィンガル | 噂の貸衣装か。気になってはいたが、その服もそうか? |
アリーシャ | ああ。美しいだろう?それに、この耳だ |
アリーシャ | お月見に合わせて、ウサギの耳を貸し出しているなんて、洒落が効いているだろう? |
ウィンガル | 確かに斬新だ。…なるほど、目新しさが薄れても老舗に負けないような個性があるのか |
アリーシャ | 私が言える事はこんなところだ。お役に立てただろうか |
ウィンガル | 意見としては十分だ。礼を言う |
ウィンガル | 情報は集まったな。だが具体策に踏み切るには決め手に欠ける… |
??? | すみません、料理を運ぶので道を空けてもらえますか |
ウィンガル | 失礼──ん?お前は… |
フレン | あなたは、ア・ジュールの…! |
マリク | フレン、どうした。配膳はオレがするから料理をこっちに── |
ウィンガル | また見覚えのある顔だな。確かウィンドル騎士団のフレンとマリクだったか |
マリク | ア・ジュールの四象刃…名はウィンガルだったか。どうしてここにいる? |
ウィンガル | そう驚く事もないだろう。新しい温泉宿が出来たと聞いて月見にやってきただけだ |
ウィンガル | そちらこそ、なぜ騎士が給仕のような事をしている? |
マリク | ま、ちょっとした成り行きでな |
フレン | 我々は新しい観光地の警備を手伝うためにやって来たんです |
フレン | ところが想定より来客が多くて、急遽、宴会の準備も手伝う事になったんですよ |
ウィンガル | 昨年までの我々と似たような状況か… |
マリク | そんなわけで忙しいんだ。情報収集なら他でやってくれないか |
ウィンガル | 見抜かれていたか。節穴ではないようだな |
ウィンガル | …… |
ウィンガル | …いや、待て手は足りているのか?もしよければ手伝うぞ |
マリク | それは助かるが…手伝ったところで特に新たな情報は得られないと思うぞ |
ウィンガル | 情報はもう十分得た。私も温泉宿の仕事は経験がある。役に立てる事もあるだろう |
フレン | ありがたい申し出ですが…我々の一存では決められませんね |
マリク | だが猫の手も借りたいのは事実だ。女将に相談するとしよう |
ウィンガル | ああ。頼む |
アニス | 貸衣装、調査してきましたよぉ。こんなに可愛い衣装がありましたぁ~ |
アニス | 普通の浴衣とか無難なのもあって老若男女に大人気って感じでしたよ~ |
ウィンガル | そうか、ご苦労だった。その格好を見れば、どれほど個性的な衣装が揃っているかよくわかるな |
アニス | ところで、何してるんですか?それも貸衣装? |
ウィンガル | これは、この温泉宿の番頭の服だ。手伝うと言ったら喜んで迎え入れてくれた |
アニス | あ、そんな事言って、手伝ってるふりをしながら何か作戦があるんですね |
ウィンガル | ああ。だが手伝いというのも本当だ。これはア・ジュールにとってもこの温泉宿にとっても得になるからな |
アニス | どういう事ですか? |
ウィンガル | 今日は想定よりも多くの客が集まったのだそうだ。その結果が、この帳簿だ |
アニス | 数字いっぱいですね。えっとぉ…要するに月見団子が足りてないって事ですか? |
ウィンガル | そうだ。他の食材は、献立を工夫する事で人数分に合わせる事が出来たようだが |
ウィンガル | 工夫の余地のない月見団子だけはどうしても不足してしまっている |
ウィンガル | そこでア・ジュールの温泉宿から至急、月見団子を届けるように手配しておいた |
アニス | でもぉ、間に合うんですかぁ? |
ウィンガル | テノスの飛空船の使用許可を得た。あれを使えば、まもなく届くだろう |
アニス | えぇっ!?そこまでして敵に塩を送るんですか? |
ウィンガル | そうではない。この温泉宿に、ア・ジュールの月見団子を定着させるのが目的だ |
アニス | …どういう事ですか? |
ウィンガル | 情報を集めた結果、ここには本来ア・ジュールまでは来られない客も来ている事がわかった |
アニス | その情報、私も聞きました。シルヴァラントの人とかがそうだって… |
ウィンガル | つまりここでア・ジュールの月見団子を売る事が出来れば… |
アニス | …!そっか、本来は買えない人達にも売る事が出来るんですね! |
ウィンガル | そうだ。幸いにもウィンドルは、リチャードまんじゅうを売り出すなどア・ジュール同様の菓子文化がある |
アニス | うちもガイアスまんじゅうとかありますもんねぇ。同じ物がウケるかもですね |
ウィンガル | 私の計算では、この市場拡大で我が国は昨年以上の利益を得られる事になるだろう |
ウィンガル | 月見団子を作っている温泉宿も生き延びる事が出来るというわけだ |
アニス | すっご~い!問題解決ですね! |
ウィンガル | まだ解決していない。月見団子を定着させられるかどうか…勝負はここからと言ってもいい |
アニス | あ、そっか。定着って、どうやるんですか? |
ウィンガル | ここからは単純な作業だ。客、従業員は問わない。みなに月見団子を食べさせるのだ |
ウィンガル | そして我々の月見団子が是非ほしいとなれば、継続的に取引する流れとなるだろう |
アニス | わかりました。月見団子を配りまくればいいんですね |
ウィンガル | そういう事だ。ア・ジュール製の物だと宣伝する事も忘れずにな |
??? | その月見団子、持ってきてやったぞ |
ウィンガル | …!この声は! |
アグリア | おら。山ほどあるから全部、客の口につっこむぞ |
ウィンガル | アグリア!どうしてここに… |
ジャオ | わしらもおるぞ。忙しいと聞いて、飛空船に飛び乗って来たわい |
プレザ | 前の任務が終わったから、手伝いがてら温泉にでもつかろうと思ったのよ |
ウィンガル | お前達…勝手な事を…。まあ、いい。人海戦術といこう |
ウィンガル | 月見団子を一人でも多くの人に配りウィンドルの市場に浸透させるぞ |
ジャオ | うむ。その後はのんびり温泉といこう |
アニス | さんせ~い♪ |
ウィンガル | 士気も高まったな。では、宴会までそれほど時間がない始めるとしよう |
Name | Dialogue |
---|---|
探せ!異界のカジノチップ | |
コハク | いらっしゃいませー。ようこそ当カジノへ! |
コハク | ふぅ、手伝う事になったのはいいけど予想以上にお客さん多いや。最近は変な事も起こるし── |
ガシャーン! | |
コハク | …!?また!? |
ヒューバート | お客様、落ち着いてください |
男性客1 | うるせぇ!つべこべ言わず勝負しやがれ!どいつもこいつもビビりやがって! |
ヒューバート | 大きな声を出されては他のお客様の迷惑になりますので── |
男性客1 | 黙れ!文句があるなら、てめぇが勝負しろ! |
ヒューバート | …わかりました。ただし…お客様が負けた場合はお引き取り願います |
男性客1 | いいぜ。負けるつもりはねぇからな! |
ヒューバート | では、カードをお配りします |
男性客1 | ぐぐっ…こ、こんな事が… |
ヒューバート | もう賭けるチップがないようですね。では、約束通りお引き取りいただきましょうか |
男性客1 | くっ…。わかった…暴れたりして悪かったよ |
ヒューバート | …?妙にあっさり引き下がりましたね |
コハク | まただ。急に暴れたと思ったら負けるとすぐに大人しくなる。今日、何人目だろ…? |
アルヴィン | 今日は3人目。この調子がもう数日続いてるんだ。さすがに普通じゃないよな |
コハク | アルヴィンさん!数えてたの? |
アルヴィン | ああ。あまりにトラブルが続くから店から監視役を頼まれてね |
アルヴィン | 内容もちょいと気になって独自に原因を探ってたんだが、コハクは何か気付いた事はあるか? |
コハク | うーん、さっきのお客さんもだけど飲み物を注文したりする時は普通の優しい人ばかりだったよ |
コハク | なのに勝負が始まるとまるで別人みたいになって… |
アルヴィン | 雰囲気が急に変わったって事だな? |
コハク | うん。何か心当たりがあるの? |
アルヴィン | それについては識者のみなさんの見解を聞きたいところだねぇ |
コハク | 識者…?あっ… |
リタ | 無理やり連れ出しておいて何が識者よ |
コンウェイ | いいじゃないか。キミが識者なのは事実だしそこに並べてもらえてボクは光栄だよ |
シンク | どうでもいいよ、そんな事。ボクはここで起きてる現象に興味があるってだけさ |
コハク | リタに、コンウェイに、シンクまで!? |
アルヴィン | ちょうど客の中に、こういう事に詳しそうな連中がいたから協力を頼んだんだ |
アルヴィン | それで、現時点で何かわかった事はあるか? |
リタ | 細かい事はわかんないけど、マナの流れが変ね。何かの術式が働いてるような… |
アルヴィン | …って事は、誰かが術で人を操ってるって事か? |
コンウェイ | その可能性もあるだろうね。そういう術に詳しい人はいるかな? |
コンウェイ | そういえば、シンクくんはこの現象を気にしていたよね。思い当たる事でもあるのかい? |
シンク | …… |
シンク | …まあね。ボクが使う術に近い気配を感じる。負の感情が増幅されてるみたいだ |
コンウェイ | 感情の増幅…カジノ…もしかして… |
男性客2 | た、助けてくれー! |
コハク | !?今の声は…? |
アルヴィン | あそこだ! |
男性客2 | も、もう勘弁してくれ…! |
ヒューバート | 逃げないでください。さぁ、ぼくと勝負です |
ヒューバート | 持っているチップを全部賭けて限界まで戦いましょう。身ぐるみ剥いで差し上げますよ |
コハク | どうしよう。今度はヒューバートがおかしくなっちゃったよ |
アルヴィン | 何だ?この現象、伝染でもするってのか? |
コンウェイ | ある意味、伝染と言えるかもしれないね |
リタ | あんた、何かわかったの? |
コンウェイ | 確証はないけどね。確かめたい事があるから、彼と勝負してきてもいいかな? |
アルヴィン | そりゃ構わないが…ミイラ取りがミイラなんて事にはならないでくれよ? |
コンウェイ | 勝ってすぐに切り上げればきっと平気さ。それじゃあ、行ってくるよ |
コンウェイ | …これで最後かな。勝負! |
ヒューバート | なっ…!この土壇場でブラックジャック…!? |
コンウェイ | ボクの勝ちだね。冷静さを欠いたキミに遅れを取るほど甘くはないよ |
ヒューバート | くっ…!ほら、チップです。ですが勝ち逃げは許しませんよ! |
コンウェイ | どうかな。ボクの考えが正しければきっとこれで… |
ヒューバート | …!あっ、あれ… |
ヒューバート | ぼくは一体、今まで何を… |
コハク | ヒューバート!元に戻ったんだね! |
コンウェイ | 上手くいったみたいだね。もう席を立ってもいいかな? |
ヒューバート | え…?えぇ、はい… |
アルヴィン | これまでと同様、負けたら正気に戻った…か |
コンウェイ | 正確には、チップを失ったら…だね。原因はこの一枚のカジノチップだったんだ |
リタ | …!何よこれ、小さなチップに複雑な術式が組み込んである… |
ヒューバート | ちょっと待ってください。一体どういう事なんです? |
シンク | わからなかったのかい?そのチップの働きで、持ち主の欲が増幅されてたんだよ |
シンク | そのチップを賭けて勝負すれば増幅された感情が暴走する。わかってみれば単純な仕掛けだね |
アルヴィン | なるほどな…。コンウェイはこのチップの事、知ってたのか? |
コンウェイ | ある本で読んだ事があってね。けど…この世界の物ではないはず…どうしてここに… |
リタ | まあ、経緯はいいわ。とにかく、その異界から来たチップが紛れ込んでいたのが原因なのね |
コハク | じゃあ閉店してから、カジノ中のチップを集めて異界のチップを取り除けば解決だね |
アルヴィン | いや、そうもいかないだろ?閉店までにまた被害が出ないとも限らない |
シンク | つまり、豹変してる奴を見つけて勝負してチップを集めるって事?付き合う義理はないね |
アルヴィン | そう言うなって乗りかかった船だろ?それに俺達にはシンクの協力が必要なんだよ |
アルヴィン | チップの仕掛けに自力で気付けたのはお前だけだったろ?コンウェイは本で知ってたわけだしな |
シンク | …… |
シンク | まあいい。普通の客を相手に勝負するよりは楽しめそうだし… |
シンク | こんな術が使われてるのも不愉快だからね |
リタ | 一応言っとくけど、あたし達が豹変する可能性もあるのよ? |
コンウェイ | 異界のチップを賭けなければ術は発動しないようだから、気を付けていれば大丈夫じゃないかな |
アルヴィン | ま、他のチップとはデザインも違うしわかってれば間違えないだろ |
ヒューバート | …事情は把握しました。被害を抑えるために、他のディーラー達にも伝えておきます |
コハク | わたしは、豹変した人を見かけたらみんなに知らせるね |
アルヴィン | んじゃ、そういう事で閉店時間までひたすら勝負と行きますか! |
Name | Dialogue |
---|---|
カボチャランプを取り戻せ | |
リオン | …人が増えてきたな。ハロウィンの祭とやらは今年も盛況なようだ |
リオン | …それにしても…どうして警備を手伝ってやってるだけなのに仮装しなければならないんだ |
街の男 | お、いたいた。そこの死神の格好した兄ちゃん! |
リオン | 何だ? |
街の男 | ああ。ちょいと聞きたいんだがカボチャランプはどこにあるんだ? |
リオン | 何の話だ |
街の男 | ハロウィンの飾りだよ。飾り付けの最中だったんだが残りが見当たらなくてね |
街の男 | 死神の兄ちゃんがさっき運んでただろ?どこに置いたのか教えてくれよ |
リオン | 身に覚えがないな。人違いだろう |
街の男 | そうなのか?確かに兄ちゃんだったと思ったが…困ったな… |
街の男 | 兄ちゃん、警備の人だろ?カボチャランプ探してくれよ。ほら、盗まれたのかもしれねぇし |
リオン | 警備はするが探偵じゃないんだ。探し回っている暇はない |
街の男 | そうか…まぁ警備も忙しいもんな。でも、どうすりゃいいんだ…。このままじゃ飾り付けが足りねぇよ… |
リオン | …盗んだやつがいるなら僕が捕まえてやる。見つけたら教えろ |
ユーリ | そういう事なら、力になれると思うぜ |
リオン | …!おまえは… |
ユーリ | ラピード、ランプの匂いだ。辿れるか? |
ラピード | クンクン…バウ! |
ユーリ | あっちにあるみたいだな |
街の男 | 本当か?いやぁ、助かるよ。じゃあ早速、探しに── |
リオン | 待て、何かおかしい。向こうは街のはずれ…森しかないような方角だ |
街の男 | 確かにそうだ。どうしてそんなところに… |
ユーリ | 本当に誰かが盗んでいったのかもな。森に隠したか、森を抜けて逃げたか… |
ラピード | ワン! |
ユーリ | ああ。とにかく匂いを追ってみるか。何があるかわからねえから、オレ達だけで行こうぜ、リオン |
リオン | どうして僕が |
ユーリ | さっき言ってたじゃねぇか。盗んだやつがいるなら僕が捕まえてやる…ってさ |
リオン | …ちっ。早く案内しろ |
ラピード | ワン! |
街の男 | すまない。よろしく頼んだよ |
ラピード | クンクン…ワン! |
リオン | やはり森の中に向かってるのか |
ユーリ | …お。あそこに誰かいる。何か見てないか聞いてみようぜ |
ユーリ | おーい |
プレセア | ユーリさんに、リオンさん。ラピードさんも。…何かあったんですか? |
ユーリ | 実は探し物をしててな。ちょいと聞きたい事があるんだが── |
リオン | おい、おまえが作っているのは街で使うカボチャランプか? |
プレセア | はい。街の人に頼まれて作っているんです |
プレセア | でも、作っても作ってもいつの間にか減ってしまっていて… |
リオン | 何…! |
ユーリ | 実は街でもランプが持ち去られてるらしくてな |
ユーリ | プレセアの作った物も同じ犯人が持って行ったかもしれねぇ |
ユーリ | 犯人に心当たりはないか? |
プレセア | …いえ、人が来た気配はありませんでした |
リオン | そのカボチャランプ、少し見せてもらうぞ。ふむ…いい出来だな |
プレセア | それはまだ、作りかけですが… |
ラピード | ガルルルル…ワンワン! |
リオン | 騙されるな!そいつは僕じゃない! |
リオン(?) | ふっ、こいつはいただいた! |
リオン | 待て! |
ユーリ | リオンがもう一人…どういう事だ? |
プレセア | カボチャランプ…持って行きましたね |
ラピード | ワン! |
リオン | 追うぞ! |
プレセア | はい。逃がしません |
ユーリ | いや、ランプはオレ達が取り戻してくるぜ |
ユーリ | プレセアは、ランプ作りを続けてくれ。街の連中が困ってるみてぇだからな |
プレセア | …そうですね、わかりました。お任せします |
ラピード | ワンワン! |
リオン | 急ぐぞ! |
ユーリ | ああ! |
ユーリ | 森の奥まで来ちまったな。一体、どこまで── |
リオン | 待て。何か聞こえる |
??? | やめてください! |
ユーリ | あれは…! |
エリーゼ1 | わたしのマネ、しないでください! |
エリーゼ2 | そっちこそ、マネしないでください! |
ティポ1 | ニセモノー!消えろー! |
ティポ2 | そっちこそ、帰れー! |
リオン | また偽物か! |
ユーリ | どうなってんだ、こりゃ!? |
ラピード | グルルル…ガウッ! |
エリーゼ2 | キャッ…!大きな声、やめてください…! |
ティポ2 | なんでわかったのー!?逃げろー! |
ユーリ | うわっ、何だ!? |
リオン | 消えた…! |
エリーゼ | よかった…です |
ティポ | みんな、ありがとー |
ユーリ | ひとまずどうにかなったか。しかし、何がどうなってやがんだ。わけがわかんねぇな |
ラピード | ワンワン! |
リオン | 何か落ちてるぞ。…!これは、カボチャランプか |
ユーリ | 作りかけって事はプレセアのだな。じゃあ、エリーゼの偽物はリオンの偽物と同一人物だったのか |
リオン | 姿を自在に変えられる何者かが僕達になりすまして悪さをしているわけか |
ユーリ | ラピードが嗅ぎ分けられなかったら手が出せないとこだったぜ |
エリーゼ | あの、ティポの偽物もいました。だから…相手は、複数犯だと思います |
ユーリ | 厄介だな。かく乱されねぇように気を付けねぇと… |
ラピード | クンクン…ワンワン! |
ユーリ | 匂いがあっちに続いてるのか。よし、追うぞ |
エリーゼ | わたしも、追いかけるの手伝います |
ティポ | ぼく達のマネっこでイタズラするの許せないもんねー |
リオン | …必要ない。姿を似せて来る相手を大人数で追うのは控えるべきだ |
エリーゼ | そう…ですか… |
ユーリ | …その格好、森を抜けて街にいくんだろ? |
エリーゼ | はい。ハロウィンに参加するんです |
ユーリ | 街の方に行くんなら森の入り口にプレセアがいるからこいつを届けてやってくれないか |
エリーゼ | さっきのカボチャランプ…ですか? |
ユーリ | ああ。頼めるか? |
エリーゼ | はい!任せてください |
ティポ | よゆーだよ! |
ユーリ | んじゃ、よろしくな。気を付けて行けよ |
エリーゼ | はい。みなさんも気を付けて |
リオン | … |
ユーリ | 危ないからって止めるにしてももうちょい気をつかえって |
リオン | …何の事だ。それより、急ぐぞ |
ユーリ | へいへい。んじゃ、ラピード、案内よろしくな |
ラピード | ワン! |
ガサガサ… | |
リオン | …! |
ユーリ | 誰だ…!? |
??? | あれ?その声は… |
パスカル | ユーリ!リオンと、ラピードも! |
エレノア | どうしてここに…? |
ユーリ | パスカルにエレノア?お前達こそ、どうしてこんなとこに… |
リオン | また偽物じゃないだろうな |
ラピード | ワフッ |
ユーリ | どうやら本物みたいだぜ |
エレノア | どういう事です?本物とか、偽物とか… |
ユーリ | ああ、実は… |
エレノア | なるほど…そんな事が… |
パスカル | 実はあたし達もカボチャランプを追って来たんだよ。ね、エレノア? |
エレノア | はい。ここから少し離れた街でもカボチャランプが消える事件が起きていて… |
エレノア | 偶然、空中を飛んでいくカボチャランプを見かけたので追って来たんです |
リオン | 空中を?こちらとは状況が違うな |
エレノア | ええ。ですが、犯人は同じ存在ではないかと |
ユーリ | 心当たりがあんのか? |
エレノア | ええ、精霊に近い気配を感じます。どう呼べばいいかはわかりませんが、実体がない、幽霊のような存在かと |
リオン | 幽霊だと?そんなものを信じろと言うのか |
ユーリ | まぁでも、それならいろいろと説明つくな |
ユーリ | じゃ、呼び方はとりあえず幽霊って事にしといて…それじゃあどう対処すりゃいいんだ? |
エレノア | その事なのですが、実体がないのでこのままでは対処のしようがありません |
パスカル | でも実体があれば捕まえられる!だからあたしが来たってわけ! |
リオン | 回りくどい。結論を言え |
パスカル | 話を盛り上げようとしてるのに、せっかちさんだな~ |
パスカル | 要するに、あたしの「解析機」をちょこ~っと調整すれば今回の相手も見えて触れるようになるから |
パスカル | あとは、ズバーン!バッシーン!と捕まえちゃえばいいんだよ~ |
ユーリ | なるほど、それなら話が早いな |
リオン(?) | ほう、面白い事を考えているな。だが、そう上手く行くかな? |
ラピード | ガルルルル… |
エレノア | リオンが二人…!あれが偽物ですね! |
リオン | もう逃がさんぞ!はっ! |
シャッ──… | |
リオン | くっ…!攻撃がすり抜ける…! |
パスカル | ほんとにせっかちさんだな~。今、解析機を使うから待ってて。え~い! |
リオン(?) | ふん。この光が何だっていうんだ |
リオン | おまえがこの世で見る、最後の光だ |
リオン | はぁっ! |
リオン(?) | くぅっ…!当たっただと…! |
リオン(?) | なら、お返しだ! |
リオン | その構えは…! |
ユーリ | 姿だけじゃなく、技までマネしやがるのか!? |
リオン | ちっ…!いいだろう、ぶつけてやる! |
リオン・リオン(?) | 塵も残さん!浄破滅焼闇!! |
ガキィンッ! | |
リオン(?) | 押されている…!?力は同じはずなのに…! |
リオン | 僕の技の事は、僕が一番よく知っている。つけ入る隙も含めて、な |
リオン | はぁっ!! |
バシュッ! | |
リオン(?) | ばかな…!? |
リオン | 闇の炎に抱かれて消えろ! |
エレノア | やりました!幽霊の気配が消滅しましたよ! |
??? | アリガトウ…タノシかった…またアソボ… |
エレノア | …!今の声は… |
リオン | …ふん。どこまでもふざけたやつだ |
ラピード | ワンワン! |
ユーリ | ランプを落としていったか。でも、これで全部ってわけじゃないよな? |
エレノア | はい。さっきの幽霊は消えましたが、森の中にはまだ多くの気配があります |
リオン | なら、すべて斬るまでだ |
パスカル | 幽霊も、そうやって遊んで欲しいって思ってるみたいだしね~ |
エレノア | 気を付けていきましょう。次はどんな姿で出て来るのかわかりませんから |
ユーリ | こっちのモノマネばかりとも限らねぇって事か。ラピード、嗅ぎ分けは頼んだぜ |
ラピード | ワォン! |
Name | Dialogue |
---|---|
『怪盗エドナの予告状』 | |
ミクリオ | 僕の名はミクリオ。難解な事件を次々に解決する名探偵さ! |
ミクリオ | さて、忙しくなるぞ。ティトレイ警部から緊急の呼び出しだ |
ミクリオ | 美術館に届いた、怪盗エドナからの予告状…今夜イエローダイヤモンドを盗む、か |
ミクリオ | 絶対に阻止してやる。今度こそ逃がさないぞ、怪盗エドナ! |
ミクリオ | 世間を騒がせる美しき怪盗エドナ。彼女には何度煮え湯を飲まされたかわからない |
ミクリオ | 僕はティトレイ警部と共に今度こそ彼女を捕まえると誓った |
エドナ | …ふぅん。随分と厳重な警備体制ね |
エドナ | でも、ワタシに言わせれば穴だらけ。これなら簡単に── |
??? | おい、そこのお前! |
エドナ | …! |
ティトレイ | 今日は美術館は休みだぞ。そもそも立ち入り禁止なのにどうやって入った? |
エドナ | …ワタシ、迷子なの。道がわからなくて、気が付いたらここに… |
ティトレイ | そうだったのか。参ったな…何とかしてやりてぇけど今は余裕ねぇんだ… |
ミクリオ | 警部。騙されてはいけない。彼女は怪しい |
ティトレイ | ミクリオ!怪しいって、どういう事だ!? |
ミクリオ | 彼女のブーツを見ろ。泥で濡れているだろう? |
エドナ | …… |
ミクリオ | この辺りでは最近雨は降っていない。泥が付くとすれば、美術館の裏庭の散水機のあたりだけだ |
ティトレイ | でもよ、裏庭って、特に厳重に警備してるから誰か入ってきたらすぐわかるはずだぞ |
ミクリオ | 怪盗エドナは変装が得意だ。警備員になりすます事ぐらいやってのけるだろう |
ミクリオ | その場合、警備員の多い裏庭が一番潜入しやすいんだ。木を隠すなら森って言うだろう? |
エドナ | ふ…さすがは探偵さん。今日も冴えてるようね |
エドナ | もっとも、捕まえられなければ何の意味もないけど |
ティトレイ | 怪盗エドナ!くそーっ!とっ捕まえてやる! |
エドナ | あなたに捕まえられるかしら?それじゃ、またねお二人さん |
ティトレイ | あっ、待てー! |
エドナ | …ここまでは追ってこないでしょ |
ティトレイ | 待てー!逮捕だー! |
エドナ | なっ…!思ったよりしつこいわね |
ティトレイ | 当たり前だ!ミクリオの推理とおれの体力でどこまでも追い詰めてやるぜ! |
エドナ | つまり、探偵さんはついて来られなかったのね。それなら、これで煙に巻けるわ |
エドナ | えいっ |
ティトレイ | うわっ、何だ!?眩しくて見えねぇ!? |
エドナ | さようなら。また夜、お会いしましょう |
ティトレイ | いなくなってる!ちくしょう!!どこに隠れやがった! |
ミクリオ | 後から思えば、その時がエドナを捕まえる唯一の好機だったのかもしれない… |
ミクリオ | 予告された時間…十重二十重に仕掛けた罠も全て怪盗エドナはすり抜けていった |
ミクリオ | それでも僕達は諦めず、エドナを追い続け、美術館の屋上へと追い詰めたが── |
ティトレイ | ちくしょう、待ちやがれ! |
ミクリオ | くっ、空を飛んで逃げるとは…! |
エドナ | ふん、とんだお間抜け探偵。さすがニブミボね |
ミクリオ | ニブミボ…!?ちょっと待て、勝手に変な台詞を付け加えないでくれ! |
エドナ | 演劇は生き物よ。アドリブにも対応なさい |
ミクリオ | ぐっ…! |
ティトレイ | おいおい。せっかくいいところなのに劇を止めるなよ |
エドナ | そうよ、ミボ。主役のアドリブは謹んで受けなさい |
ミクリオ | 何を言ってるんだ。この劇の題名は「名探偵ミクリオ」…主役は僕だろう!? |
エドナ | でもワタシに逃げられるのよね。勝つ方が主役で当然でしょ |
ミクリオ | 怪盗は悪役だろ!?それにイエローダイヤモンドは死守したんだから、負けたのは怪盗だ |
エドナ | ちゃんと脚本読んだの?怪盗の本当の目的は美術館長が隠した裏金の存在を公にする事だったのよ |
エドナ | 怪盗は正義の味方だし、目的も達成しているのよ |
ミクリオ | ぐっ…それでも題名は── |
エドナ | 題名が間違ってるのよ |
ティトレイ | だから、喧嘩すんなよ!主役が怪盗でも探偵でもどっちだっていいだろ! |
ティトレイ | ったく、練習の度にこれだもんな。よくここまで形に出来たぜ |
ティトレイ | それで、観客第一号の感想はどうだった? |
ナナリー | 面白かったよ。結構、世界観に引き込まれたしねぇ。役作りも完璧じゃないか |
ミクリオ | ナナリーの作ってくれた衣装のお蔭だ |
エドナ | そうね。傘や予告カードも作り込みが細かくて気に入ったわ |
ティトレイ | おれも、すっかり警官気分だぜ。手錠とか、本物みだいだしな |
ナナリー | 気に入ってくれたんなら作った甲斐があったよ |
ナナリー | そうだ、小物で思い出したんだけどあたし、この劇を宣伝するいい方法を思いついたんだ |
ミクリオ | 宣伝か。練習に集中していたから考えてなかったな。どんな方法だい? |
ナナリー | 探偵ものらしく、謎解きキャンペーンをやるのさ |
ティトレイ | へぇ、何か楽しそうだな! |
ナナリー | 前に西部劇をやった連中が学園内で決闘を実演してたろ? |
ミクリオ | 確かにあれは盛り上がっていたね。なるほど、効果は実証済みというわけか |
エドナ | それで、具体的にどうするの? |
ナナリー | まず、参加者は学園内で、出演者…つまりあんた達を捜す |
ナナリー | あんた達は見つかったら、なぞなぞを出題するんだ |
ナナリー | それに正解できた人にはこの大量に余ってる小道具…怪盗の予告カードを渡すのさ |
ナナリー | 予告カードには、その名の通り、演劇の予告が書いてある。さらに… |
ナナリー | たくさん予告カードを集めて来た人には記念品もあげる…ってのはどうだい? |
ティトレイ | 面白そうだ!おれも参加したいぜ! |
エドナ | あなたは、出題する側でしょ |
ミクリオ | いい作戦だと思うけど、僕達だけじゃとても学園中には配りきれないんじゃないか? |
ナナリー | そこは既に協力を頼んでおいたよ何人かに出題者になってくれってね |
ナナリー | 学園中の誰が出題者かわからない…変装した怪盗を捜すような楽しみもあるってわけさ |
ティトレイ | なるほどな~。よく考えられてんなぁ |
ミクリオ | そういう事なら探偵の実力を見せないとな |
エドナ | 謎を出すのは怪盗の仕事でしょ。このキャンペーンこそワタシが主役よ |
ナナリー | それじゃ、全員賛成って事で正式に謎解きキャンペーン開始だね!出題者のみんなにも連絡しておくよ |
コハク | 学園祭はじまったね~ |
リチア | 楽しみですね。どこに行きましょうか |
ヒスイ | いろいろあるからなぁ。目についたところから適当に回っていこうぜ |
リチア | そうですね。ヒスイは何か気になるところありますか? |
ヒスイ | そうだな…お化け屋敷か…喫茶店か…おっ、この壁のチラシに書いてある謎解きキャンペーンってのどうだ? |
コハク | えーっと…なぞなぞに挑戦して記念品ももらえるんだね。面白そう、やってみたい! |
リチア | では問題です…! |
ヒスイ | なっ…えっ!? |
コハク | どういう事? |
リチア | 驚きましたか?実はわたくし、キャンペーンの人に出題を頼まれたんです |
コハク | びっくりした~。隠れた出題者を捜せって書いてたけどそういう事だったんだね |
コハク | よーし、リチアには負けないよ!問題、出して! |
リチア | では、なぞなぞです。謎を解き明かすと現れるのは誰でしょう? |
コハク | 謎を解き明かすと…?うーん… |
リチア | ヒントは、演劇の登場人物ですよ |
コハク | ちょっと待って。何か思いつきそうなんだけど… |
ヒスイ | 俺はまだリチアが出題者って事について行けてねぇぞ… |
リカルド | ん?ヒスイじゃないか。呆然として、どうかしたか? |
ヒスイ | リカルド先生か。別にどうもしねぇよ |
ヒスイ | チラシに書いてあった謎解きキャンペーンってのに参加してるだけだぜ |
リカルド | ほう。お前も参加してるのか。なら、問題だ! |
ヒスイ | なにぃっ…!? |
リカルド | 驚いたか。協力を頼まれたのは生徒だけではないという事だ |
リカルド | さて、お前にはなぞなぞではなく普段の授業から問題を出すとしよう |
ヒスイ | そりゃねぇよ、先生。学園祭だぜ?そういうの抜きにしようや |
リカルド | …ふ。仕方ないな。では、なぞなぞにしてやろう |
ティトレイ | おーっ!あそこで出題しているのってリチアにリカルド先生かよ |
ミクリオ | 本当にいろんな人を巻き込んでいるんだな |
エドナ | ナナリー、一体どんな人脈してるのよ |
ナナリー | 急いでたから手あたり次第頼んだらみんな結構乗り気でねぇ。先生達は問題も考えてくれたりしてさ |
ミクリオ | 協力してくれてる人達に負けないよう僕達も頑張らないとね |
??? | あっ、ミクリオ見っけ!エドナとティトレイも! |
スレイ | 捜してたんだ。ミクリオ、なぞなぞ出してくれよ。知恵比べだ! |
ミクリオ | わかった。スレイが相手なら手加減しないぞ |
ティトレイ | 早速、挑戦者現る…か。忙しくなってきたな!よーし、頑張ろうぜ! |
エドナ | ええ。絶対に解けないなぞなぞを出してあげるわ |
ナナリー | はは、お手柔らかに頼むよ |
Name | Dialogue |
---|---|
リッドのとかげ | プロローグ |
キール | はぁ…ま、待ってくれ…!山登りだぞ…もっと、ゆっくり… |
メルディ | キール遅い!このままじゃ日が暮れちゃう! |
キール | そんなに急いで、足でもくじいたらもっと遅くなるだろ |
メルディ | でも、街が人、待ってるよ。病人いっぱい!お薬必要! |
キール | わかったよ。病人の苦しみに比べたら、このぐらい平気だって言うんだろ |
キール | …ぼくだって心配だから、こうして薬草を取りに来たんだ。…急ごう |
メルディ | ワイール!そうこなくちゃ、な! |
キール | …待て、メルディ |
メルディ | どうした?また休憩か? |
キール | 違う。おまえの足元…その草だ。探してた薬草 |
メルディ | バイバ!これが薬草!? |
キール | よく見ると周りにも生えてるな。どうやら、この辺りに群生しているらしい |
メルディ | やったな、キール!これでみんなが病気、治せるよ! |
キール | ああ。でも、気をつけろ。その薬草はとても栄養価が高く野生動物も好んで食べるんだ |
キール | だから群生地となると、動物や魔物の縄張りになっている事も少なくない |
グルル… | |
キール | 噂をすれば…!メルディ! |
メルディ | はいな! |
メルディ | これで最後! |
ドーンッ! | |
ギャウゥ…! | |
キール | 片付いたか。また次が来るかもしれない。急いで薬草を集めよう |
メルディ | はいな! |
キール | ………… |
メルディ | キール?どうした?ケガでもしたか? |
キール | あぁ、いや、何でもない。ちょっと昔の事を思い出してたんだ |
キール | 小さい頃、リッド達と一緒にこうして薬草を集めに山に登った事があったんだが… |
キール | 今思うと、よく魔物に出くわさず無事だったな…って |
メルディ | メルディ、知ってる!キール、ネションベンしてた頃な!リッドが言ってた! |
キール | なっ…! |
キール | してない!あの時はしなかったのを、リッドも確認したはずだ! |
メルディ | あの時は…? |
キール | あっ… |
メルディ | メルディ、キール達が昔の話聞きたい!けど… |
メルディ | …キール、話しづらいか?この話、やめとくか? |
キール | 気を使うな!別に恥ずかしい話じゃない |
キール | 仕方ない。詳しく話してやる。…誤解されたままなのも嫌だからな |
メルディ | ワイール!とても楽しみ! |
キール | ただし、薬草を集めながらだ。それと、何か言いたいなら話を最後まで聞いてからにする事 |
キール | 途中で妙な詮索をしたり茶々を入れるようなら話すのをやめるからな |
メルディ | わかったよぅ。薬草を集めながら最後まで黙って聞いてるな |
キール | じゃあ、話すぞ。といっても、ぼくも最初は事情をよく知らなかったんだ |
キール | だからリッド達から聞いた話がほとんどなんだけど…あれはもう何年前になるのか── |
リッドのとかげ | scene1 |
早朝、雲がかかっていた空も、太陽が高く昇るにつれて明るく輝きだした | |
リッド・ハーシェルは彼が毎日通っている道── | |
目をつぶっていても迷わないどころか両脇によく茂った草の中につっこむ心配もない | |
──を、走っていた | |
ときどき見上げる空に、あり余る体力を放り投げるように、ジャンプする | |
リッドが地面を蹴るたびに、ブーツの底が土埃を巻き上げ、小さな風が起きた | |
わずかばかりの日々の食料を巣に運ぼうとしている昆虫や… | |
いままさにこの場所を通りかかった蝶たちがあわてて進路を変えるのに、彼はちっとも気づいていないようだ | |
緑豊かなインフェリアの、それもこんなラシュアンのような片田舎の村では、 | |
自然は文字通り特別なものではないからかもしれない | |
作物を育もうと暖かく降り注ぐ雨。動物たちの熾烈ななわばり争い | |
もしかしたら人の生き死にさえ、リッドにはその仕組みの一部として捉えられているのかもしれなかった | |
リッド | キール! |
リッドは、幼なじみの家の垣根をひょいと飛び越えると、そのままキールの部屋の窓に近づこうとした | |
が、すぐ横の物干場にキールの母親のラミナを見つけて、あわてて立ち止まる | |
ラミナ | こんにちは、リッド |
リッド | あ、お、おはよう |
リッドは、まずいところを見つかったと、思わずどもりながら挨拶した | |
「友人を訪ねるときは、門から入って 玄関ドアをノックするものよ」と… | |
常づねラミナに注意されているのを思い出したからだった | |
ラミナ | もしかして、朝ごはんを食べていないのね |
ラミナが苦笑すると、リッドは目を丸くした | |
リッド | おばさん、知ってるの? |
ラミナ | だって、あなた前にいってたでしょう |
ラミナ | オレのうちは朝食前はおはようで、食べたらこんにちはなんだぜ、って |
ラミナは、嫌味に聞こえないよう、答えた | |
リッドは二歳のときに母親を亡くして以来、もう五年も父親とふたり暮らしをしている | |
ビッツが不器用だとはいわないが、男手ひとつで育てていれば… | |
朝食が遅くなったり、食べずに遊びに出てしまうことだってあるだろう、と彼女は思っている | |
リッド | ちがうよ、おばさん |
リッドは大真面目に首を振ってみせた | |
リッド | ファラの家がとりころんでるって。それで食べられなかったんだよ |
リッド | きょうはファラといっしょに朝ごはん食べることになってたんだ |
ラミナ | とりころぶ、じゃなくて、とりこむ、じゃないのかしら |
ラミナは神経質そうな細眉をわずかに寄せ… | |
ラミナ | 取り込んでるですって? |
…と聞き返す | |
ラミナ | いったいなにがあったの |
リッド | 知らね。ファラ、なにもいわなかったもん |
リッド | ただきょうは遊べないかもしれないっていっただけだよ |
リッドは、キールの部屋の窓のほうを気にしながら、ラミナが手に持っているシーツを指さした | |
リッド | おばさん、それ |
ラミナ | ええ。またなのよ |
寝しょんべんたれ、とリッドが笑った | |
ラミナ | 私も困っているんですけどね |
ラミナは、息子のおねしょ癖のせいで毎日布団干しとシーツの洗濯に追われていることは素直に認めながらも… | |
リッドの無神経ないいようには内心少々腹がたった | |
できのいいキールの唯一といってもいい欠点を… | |
粗野な少年に笑われるのは気持ちのいいものではない | |
だが、その気持ちを押さえることくらい… | |
賢い母親にとってはどうということはなかった | |
ラミナ | リッド、残り物でよかったらお食事をなさいな |
リッド | うんっ! |
リッドはラミナを見上げ、心底うれしそうに笑う | |
ラミナ | 少し待ってくれる?これを干してしまったら暖め直すわね |
リッド | べつに、そのままでいいよ。あるもの全部パンにはさんでくれればどこでも食べられるし |
リッドは、そのままラミナのそばを離れた | |
リッド | (ここんちの食堂はきれいだけど、 ナイフとフォークで食べなきゃ いけませんっていわれるもんなあ) |
できれば気持ちのいい丘の上かどこかで食べたいんだけどな、と彼は思いながら… | |
全開になっている窓の枠に手をかける。そのままぴょんと伸び上がった | |
リッド | キール |
リッドは、こちらに横顔を見せて本を読んでいる友だちに声をかけた | |
キール | ああ、リッド |
キールはパタンと本を閉じると上目使いに逆光の中のリッドを見、それからまぶしそうに目を細める | |
リッドは、ふっくらとしたキールの頬に涙のあとが残っているのを目ざとく見つけた | |
リッド | また叱られたのかよ。そりゃそうだな、毎日干して、とりころんで。大変だもんなあ |
キールはリッドの言葉にちょっと変な顔をしたが、なにもいわなかった | |
この友だちはときどきおかしなことをいうし… | |
危ないことをしたり、汚れたりすることにひどく無頓着なところがあるのだ | |
いちいち気にしないことに、キールは決めている | |
キール | ファラはどうしたの |
リッド | 食えなかった |
キール | え |
リッド | 朝メシだよ。なんか家ん中いつもとちがう感じがしてさ |
リッド | ファラがきょうは遊べないかもって |
キール | どうして |
リッド | 知らねえって。おばさんと同じこと聞くなよ |
キールは、手に持っていた本を机の上にきちんと置いてから | |
キール | 誰だって聞きたいさ、そんなことがあれば。ファラに訊ねてみるのがふつうだろう |
と、不機嫌そうにいう | |
リッド | だったらいまから聞きに行こうぜ |
キール | それはかまわないけど…… |
キールは、やっと束ねられるようになった髪に手をやり、庭を見やった | |
母親の姿はない。すでに家の中に戻ったらしい | |
リッド | もうできたかな。弁当たのんであるんだ |
ニッと笑うと、リッドは勢いをつけて着地し、玄関に回った | |
ギズロ | それで、村長のところはどうしたって? |
食堂の入り口まで来ると、ギズロ・ツァイベルの話し声が聞こえてきた | |
ラミナ | さあ、わからないわ。子供の話だけじゃあ……あら |
ラミナは、リッドに気づいて口をつぐんだ | |
ギズロ | やあ、リッド。ファラはなんだって? |
リッド | いまから聞きに行くんだ |
リッドは、キールの父親にも同じ質間をされたことにうんざりしながら… | |
テーブルの上のパンや野菜、ベアのベーコンに視線を当てる | |
リッド | 自分で作っていい? |
ラミナ | どうぞ |
ラミナは食料ののった皿をリッドのほうに寄せてやりながら | |
ラミナ | 様子がわかったら知らせてくれないかしら |
といった | |
リッド | ん、いいよ |
リッドは、彩りも味の組み合わせも考えないまま… | |
ただめちゃくちゃにパンに食べ物をはさみ込みながら頷いた | |
それからふっと顔をあげる | |
リッド | なんでそんなに気にするんだ? |
ギズロ | そりゃ、ノリス・エルステッドは村長だからさ |
ギズロが、当然じゃないかという口調でいう | |
ギズロ | いいことでも悪いことでも、なにかあれば他の村人より早く駆けつけるのが望ましい |
ギズロ | 村長はそういう人間を忘れないだろう |
リッド | 包んで |
リッドは、あれやこれやがはみ出したパン── | |
パンのほうがはさまれているようにも見える | |
──をラミナに差し出した | |
リッド | キ—ルと一緒に行ってくるよ。あいつもちょっと干したほうがいいみたい |
ギズロ | ……なるほど、それは賛成だ。ははは |
ギズロはおかしそうに笑い声をたてかけたが、ラミナの険しい視線に気づいて唇をひきしめる | |
リッドはふたりの様子にはおかまいなしにパンの包みを受け取ると、キールを呼んだ | |
キール | 待てよ。待てったら |
キールは土埃の舞う道の端に寄り、リッドの背中に手を伸ばした | |
リッド | なんだよ |
振り向いたリッドは、キールを軽く睨みつけた | |
キール | もうちょっとゆっくり歩け |
リッド | はあ? |
リッドは笑いそうになる | |
リッド | なにエラそうにいってんだよ |
リッド | 山越えしようってんじゃない。すぐそこのファラんちに行くだけなんだぜ |
リッド | いくらなんでも体よわすぎ! |
キール | ちっ、ちがうよっ。リッドの歩きかたが乱暴だから、埃が目に入るんだ |
キール | 目が悪くなったらどうしてくれる |
キールはキッとリッドを見据えた | |
キール | 本が読めなくなったらこまるだろ?せっかく父さんに新しい本を二冊買ってもらったばかりなのに |
ふうん、とリッドは友達の顔を覗き込んだ | |
リッド | 今度はなんの本? |
キール | 『思考としての天文学』と『インフェリア動植物大全』 |
リッド | なにそれぇ! |
キール | うるさいっ |
リッド | だってつまんなそうじゃん |
キール | つまんないだって? |
キール | 星や動物や植物のことが、いーっぱいいーっぱい書いてあるんだぞ? |
キール | 図表だって挿し絵だって、こーんなに |
リッド | おまえ、ほんとに本ばっか読んでるのな |
リッドはキールを遮り、くるりと前に向き直ると、ふたたび歩き出す | |
本ばかり読んでいるからおねしょが治らないのかな、とリッドは考えた | |
少なくとも自分とファラは本なんて読まないし、おねしょもしない | |
が、結局のところはよくわからなかった | |
キール | リッド。ぼくに前を歩かせろ |
キールが小走りにやってくると、リッドを追い越した | |
キール | ほら、こうすれば土埃がかからないぞ。あははっ……! |
走りながら上体をねじったせいだろうキールの足がもつれたと思うと、あっという間に地面に転がる | |
キール | ……う…… |
キール、とリッドはため息をついた | |
リッド | つかまれよ、ほら。なにもファラんちの前まで来てからわざわざ転ぶことないだろ? |
さし出された友だちの腕にすがりながら体を起こしたキールは、目の前に村長の家を認めると | |
キール | ……ほんとだぁ |
女の子のようにか細く情けない声をあげた | |
リッド | おーい、ファーラー |
リッドはエルステッド家の門の外から思いきり声を張り上げた | |
リッド | ファーラーっ!いないのかよ |
細く窓が開き、ファラが顔を覗かせる | |
彼女はひとさし指を唇に当ててみせてから、中に引っ込んでしまった。 | |
ほどなく、玄関ドアから出てきたファラは、リッドに向かって顔をしかめてみせた | |
ファラ | しーっ、静かにしてよ。きょうは遊べないかもっていったでしょ? |
リッド | だから来たんじゃん。みんな、いったいなにがあったのか気にしてるし |
ファラ | たいしたことないよ |
ファラは、ダークグリーンのおかっぱ頭を振りながら、リッドとキールを均等に見ていった | |
ファラ | 父さんが、ちょっと熱を出したの |
キール | 熱……ひどいのか |
キールは、いつも明るく澄んでいるファラの瞳がやや翳ったブラウンに見えるのに気づいて、訊ねた | |
ファラ | うん……よくわかんないけど、二、三日寝ていれば大丈夫でしょうって、母さんが |
リッド | おばさん?ローティス先生じゃなくて? |
うん、とファラは不安そうに頷いた | |
ローティスというのは、ラシュアンのはずれに住んでいる、年老いた医者の名だった | |
キールは、彼がもともとケガの治療を得意とする医師であり… | |
つまりは内科的な治療が専門ではないことを、両親から聞いて知っていた | |
が、村人はみな、ちょっとした風邪のときは… | |
ローティスに薬を調合してもらうのが習慣になっている | |
キール | (あの先生の薬はみんな、 そのへんに生えている野草で 作ってるんだよな) |
キール | (その気になれば、ぼくにもできる) |
キールは心の中で思いながら、重ねて聞いた。 | |
キール | どうして先生を呼ばないんだ |
ファラ | 呼びに行ったよ、もちろん! |
ファラはムキになって答えた | |
ファラ | でも、お留守だったの。遠くの村で病人が出て、頼まれてきのう出かけちゃったんだって |
ファラ | 五日くらいは帰らないだろうっていわれて、母さん、戻って来たんだ |
リッド | そっか |
リッドは腕組みをした。ようやく筋肉の目立ってきた肩のあたりが、わずかに盛り上がる | |
ファラ | けさ、リッドが来てくれたとき、母さんの帰りを待ってるところだったの |
ファラ | だから外に出られなかったんだよ |
リッド | もういいのか |
うーん、とファラは家の中を振り返るしぐさをし | |
ファラ | 母さんがつきっきりで看病してるからちょっとくらいなら遊んでも……いいかな |
と、笑った | |
リッド | よし。じゃあ、裏山へ行こうぜ。オレ、腹へっちゃって |
リッドが紙包みを見せると、ファラはくすくすと笑いだした | |
ファラ | じゃあ、朝のオムレツの残りがあるから、それも持ってこ |
リッド | え |
リッドはわざとらしくキールの顔を覗き込んでから、ファラに向き直った | |
リッド | それって、おまえが作ったの?それともおばさん? |
ファラ | あたしが作ったやつだったらどうだっていうの。食べられない? |
リッド | まさか。いちおう食いもんだろ |
ファラ | いじわる、リッド |
ファラはぷいと顔をそむけると、家の中に消えた | |
キール | どうしてそういういいかたをするのかな |
キールは、子供らしからぬ上目使いでリッドを見る | |
キール | いつもさんざんファラが作ったごはんを食べてるじゃないか |
リッド | だからだよ。ファラのやつ、台所で怒らせるといつだってムキになって… |
リッド | これでもかっていうくらい料理を作るだろ。ありゃ絶対、飲み物も持ってくるぜ |
キール | おまえって…… |
キールは、あきれてため息をついた | |
やがて、小さなカゴをさげて出てきたファラは… | |
ファラ | けさ、父さんのためにお茶をいっぱい作ったの。それも少し持ってきちゃった |
と、陶製の壜をふたりに示した | |
リッド | ほーらなっ。あはははは! |
キールの背中をバンっと叩き、先に立って歩きだしたリッドを、ファラは不思議そうに眺める | |
ファラ | どしたの? |
キール | さあな |
キールは小さく首を振ると… | |
キール | 村長は薬を飲んでないんだな |
と、真顔で訊ねた | |
ファラ | そうだよ |
ファラ | でも、父さんは体が強いし、そんなに何日も熱が出っぱなしのわけないからさ |
ファラ | ヘーきヘーき。行こ |
キール | ……うん |
キールはひとり振り返ると、ファラの父親が休んでいる家に視線を巡らせてみた | |
が、いつもは誰かしら村人が訪れていて賑やかな家が、いまはただひっそりしているばかりだ | |
ファラ | キール!なにしてんの。置いてっちゃうよ |
彼はハッとすると、あわてて幼なじみたちのあとを追いかけた | |
裏山は、実は山ではない。リッドたちがいつしかそう勝手に呼ぶようになっただけで… | |
実際にはファラの家の裏手から続くなだらかな丘だった | |
しかし、陽当たりがいいのであっという間に彼らの姿をすっぽりと覆い隠してしまうほどに伸びる草や… | |
涼しい木陰を作ってくれる樹々のおかげで、幼いリッドたちは充分に山の気分を味わうことができる | |
三人は、柔らかな下草の生えている場所を選んで、座ることにした | |
ファラ | はい、オムレツに、お茶に、お菓子もあるよ |
ファラはかいがいしくふたりの少年の前に食べ物と飲み物を置くと… | |
からっぽになったカゴを膝の上に載せる | |
ファラ | キールは食べないの? |
さっそく手を伸ばし、がつがつと頬張っているリッドを楽しそうに眺めながらファラが聞いた | |
キール | ぼくは、朝ごはんをちゃんと食べてきたからな |
ファラ | ふうん…… |
ファラ | ねえ、さっきから気になってたんだけど、それ、なにが入ってるの |
ファラは、リッドの手の中でガサゴソと音をたてている紙包みに興味を移して、身を乗り出す | |
リッド | 見る?キールんちの朝メシだよ |
ファラ | えええ?こんなぐちゃぐちゃが!? |
ぐっちゃぐちゃ、とファラはもう一度繰り返した | |
キール | バッ、バカ!なにいってんだよリッド。ちがうだろ |
キール | これはおまえが自分でこういうことにしたんじゃないのか…… |
キールは大真面目に抗議したが、口いっぱいに頬張っているリッドはわざと聞こえないふりをする | |
ファラ | わかってるよ、キール。おばさんがこんなもの作るわけないもん |
キール | ふん |
キールは座ったまま、ふたりにくるりと背を向けた | |
リッド | 腹に……入っちまえば、おんなじだよ |
リッド | どんな食べ方したって、混ざっちまうんだ |
ようやくベーコンのかたまりを飲み下したリッドは、お茶の壜を掴んで悟ったようにつぶやく | |
リッド | おい、いちいちいじけんなよ。キール |
リッドは、背中を丸くして地面をいじっているキールに、ニッと笑いかけた | |
リッド | キールってば、おい……? |
ファラ | どうしたの |
ファラは腰をあげ、キールの肩越しに彼の手元を覗き込む | |
キールは手当たり次第に草を引き抜いては、ぶつぶついいながら放り投げていた | |
リッド | 食える草でもさがしてんのか?腹へってるなら意地はらないでこっちのを食えよ |
ファラ | そうだよ、キール。ねえ |
キールの手がぴたりと止まる | |
キール | ない。やっぱり、ない |
リッドとファラが顔を見合わせていると、キールはようやく振り向いた | |
キール | あの本はかなり正確だといえるかもしれないな |
リッド | なんだ? |
キール | 『インフェリア動植物大全』だよ。まだ全部読んだわけじゃないし、葉の形もうろ覚えなんだけど |
キール | たしかキリアシュトリメラ草は、もう少し東の山の中にしか自生していないとあったんだ |
ファラ | キリアシ……? |
ファラがきょとんとする | |
リッド | なんか、いたそーな名前 |
キール | キリアシュトリメラ草。熱さましに非常に効果があるとされている野草だ |
キール | たぶん、ローティス先生の薬にも調合されているんじゃないかと思う |
ファラ | うわー、キールってすごい。むずかしくてなにいってるのかわかんない |
ファラが、ぱちぱちと拍手した。たちまち、キールの頬がうっすらと紅潮する | |
キール | ぼ、ぼく、もう少しあっちをさがしてみるよ |
キール | ひょっとしたら一本くらい生えてるかもしれないし |
リッド | 迷子になるなよ。草を見つける前に、モンスターに見つかったりしてな |
リッドがしれっというと、キールはぎくりとして唇をひくつかせた | |
キール | お、おどかすなよ。絶対ここにいるんだぞ!勝手に帰ったりしたら、ひどいぞ! |
ファラ | キール、涙目のまま行くと転ぶよ |
キール | うるさいっ |
キールはどたどたと地面にブーツをたたきつけながら、背の高い草をかきわけて行ってしまった | |
ファラ | だいじょうぶかな |
リッド | なにが |
リッドは、りんごの甘煮をはさんだパンケーキを口に放り込むと、世にも幸せそうな顔になる | |
リッド | うんめぇ!だいじょぶだって。それよりさ |
リッドはニッと笑うと、ファラの耳元に顔を近づけた | |
リッド | あいつ、けさもおねしょしたんだぜ。おばさんがシーツ干してた |
ファラ | ふうん。まだ治んないんだ、おねしょ…… |
リッド | やっぱ、オレとちがってまだ子供なんだよ |
リッド | ときどき、ファラより高くなるもんな、声 |
ファラ | リッドは子供じゃないの? |
ファラがおかしそうに訊ねるのを、リッドが「しっ」と遮る | |
リッド | 動くな、ファラ |
ファラ | !? |
ファラは、リッドの手が目にも止まらぬ速さで動くのをみた | |
腰からなにかを掴み取ると、草むらめがけて投げつける | |
それが、目立たぬように装着していた鞘から小刀を抜いたのだとわかるまでいくらか時間がかかった | |
バシュッ──! | |
リッド | 手ごたえ、あったっ! |
ファラ | ……リッド? |
ファラは恐るおそるリッドを見上げる | |
リッド | 聞こえたろ?肉に刃が剌さる音 |
ファラ | ……なにしたの? |
リッド | なにって、獲物を……ちょっと待ってろよ |
リッドは、ファラの顔がまっ青になっているのを不思議に思いながら草むらに分け入り、すぐに戻って来た | |
リッド | ほら、ウサギ |
リッドに耳を掴まれぐったりしている重たげな野ウサギを見、ファラはほうっと息をつく | |
ファラ | なんだぁ、びっくりした |
リッド | キールだとでも思ったのかよ。そんなわけないだろ |
リッドは笑いながら、美しい茶色の毛並みを持ったウサギをファラのカゴに入れてやる | |
リッド | おじさんに。オレ、薬のこととかよくわかんねーし |
ファラ | あ、ありがと |
ファラはウサギに手を伸ばし、まだ暖かいその体温を確かめるように撫でた | |
ファラ | すごいね。こんなことできるんだ、リッド |
リッド | まあな。ふー、食った食った |
リッドは草の上に仰向けに寝転ぶと、つぶやく | |
リッド | きょうも空がきれいだなあ |
はるか高みにある半透明のオルバースを見上げ、それからファラを見た | |
リッド | オレさ、猟師になろうかなー、なーんてね。けっこう向いてると思わねえ? |
ファラ | うんうん。そりゃあ、思うよ |
ファラは、さっきもうひとりの幼なじみにしたのと同じように、ぱちぱちと手を叩いた | |
リッドのとかげ | scene2 |
その夜、リッドは夕食の席につくなりビッツ・ハーシェルに一日のできごとを話して聞かせた | |
ビッツ | それで、結局どうしたんだ |
リッド | うん。キールが草の汁と泥で服を汚しちゃったから、いっしょに家まで行ってやった |
ビッツ | そうじゃなくて |
野菜をとろけるほど煮込んだスープをすすりながら、ビッツは微かに眉を寄せる | |
ビッツ | ローティス先生がいなかったからってそのままただ寝ているのか、村長は |
リッド | たぶんね。だってしょうがないだろ |
ビッツ | 誰かが別の医者を呼びに行ったんじゃなくて? |
リッド | ああ。しばらく寝てれば治るって。ファラんち、すごく静かだった |
ビッツ | ノリス……あの人らしいな |
ビッツはため息をつくと | |
ビッツ | 昔からそうなんだ |
ビッツ | 村長は人のためには足が擦り減るほど駆けずり回るが、自分のために人をわずらわせるのはイヤなんだよ |
ビッツ | たぶん、なるべく誰にも知らせないようにしているんだな |
と、リッドの皿にパンをのせてやった | |
リッド | 別の医者なんて、いたのか |
息子のまっすぐな言葉に、ビッツは思わず笑ってしまう | |
ビッツ | そりゃそうさ |
ビッツ | ローティス先生ひとりで、インフェリアじゅうの病人を診るわけにはいかんだろう |
リッド | じゃあ、母さんは…… |
ビッツ | ん? |
リッド | ううん、なんでもない |
リッドはあわてて首を振る | |
ビッツ | 母さんを治してくれなかったのは、どこの医者かと間きたいんだな |
リッド | ……! |
図星だった | |
リッドはうつむく。その髪をビッツの大きな手がくしゃくしゃとかき回した | |
ビッツ | 心配するな。ローティス先生じゃない |
ビッツ | それに最期は……容態が急に変わってな |
ビッツ | 医者を呼ぼうにも間に合わなかったんだよ…… |
ビッツの声は、囁きから吐息へと変わる | |
リッド | (間に合わなかった……? そんなことがあるんだ) |
リッドの心に恐怖が生まれた | |
リッド | ファラの父さんも……死ぬかもしれない? |
ビッツ | はははっ、まさか |
ビッツはわざとらしい明るさで、息子の心配を笑い飛ばした | |
ビッツ | おそらくは本当に何日かで治ってしまうだろうよ |
ビッツ | でも、俺だって気がかりなのは同じだ |
ビッツ | 明日の朝、村長の家に行って具合を聞いてみるよ |
ビッツ | 思わしくないようなら、近くの村の医者を呼びに行ってこよう |
リッド | うん。そうして |
リッドはほっとしたように微笑むと、パンをスープに浸した | |
死のイメージがぼんやりと、しかし確実に心の中に入ってきた気がする | |
リッドはそれを噛み砕くように、黙もくとパンを平らげ始めた | |
翌朝、ビッツとリッドがエルステッド家に着いたときには、すでに先客がいた | |
リッド | キール! |
リッドは、広い居間に両親といっしょに座っているキールの姿を見つけると | |
リッド | なんでここに? |
と聞いた | |
キール | リッドと同じだよ |
キールはすっきりしない顔のまま、答える | |
ビッツ | 村長はどんなだって? |
ビッツがギズロに訊ねると | |
ギズロ | 熱が下がらんそうだ。いま、ファラが奥さんに様子を聞きに行ってる |
ギズロ | 目が覚めていれば話ができるだろう……ああ、ほら |
と、顎をしゃくった | |
ドアからファラがぴょこんと顔をのぞかせていた | |
ファラ | 母さんが、寝室へどうぞって。リッドのおじさんもどうぞ |
ビッツ | ああ、それじゃちょっと |
ギズロ、ラミナ、ビッツの三人がぞろぞろと居間を出ていってしまうとリッドはキールの顔をじっと見た | |
キール | な、なんだよ |
リッド | おまえ、きのうオレが帰ってから、叱られたろ |
キール | ……ああ |
ファラが、瞳をくるくるさせながらソファに腰かける | |
リッド | あんだけ服を汚せば当然だよな |
リッド | でもおまえは寝る前にちゃんと本を読んだ。あの草がのってるっていう |
キール | 『インフェリア動植物大全』だ! |
リッド | それで夜更かししておねしょして、けさまた叱られた。でもって、また泣いた |
キール | なにがいいたいんだよっ! |
リッド | ものすごくさえない顔~ |
キール | ……っ! |
キールは顔をまっ赤にし | |
キール | きょうは本を読みたかったのに、無理やりお見舞いだっていってつれてこられたんだ |
キール | 母さんは看病の手伝いをするつもりだし、父さんは別の村に医者を呼びに行こうといってる |
キール | 大人の事情につきあわされてるから怒ってるだけだぞ! |
と、早口にまくしたてた | |
リッド | ふーん。オレの父さんも医者を呼びに行くらしいぜ |
リッドは腕を組みかけ、思い出したように腰に手をやった | |
リッド | (よし。ちゃんと持って来てる……) |
リッド | キール。だったら子供がここにいてもしょうがないじゃん。おまえんちで遊ぼう |
キール | え、なんで…… |
リッド | 早く父さんたちにいってこいよ。帰れば本が読めるぜ |
キール | それは……そうだけど |
キールは疑わしそうにリッドをちらちら見ながらも── | |
読書の誘惑には勝てないらしい | |
──居間を出ていった | |
ファラ | なんか楽しいこと考えてるね、リッド。教えてよ |
立ち上がったファラに、リッドはぼそぼそとなにごとか囁いた | |
ファラ | うそっ!あたしもあたしも!ぜったい混ぜてよー! |
ファラはじゅうたんの上を跳ね回った | |
リッドたちがツァイベル家の庭に入ってまず目にしたものは… | |
きのうキールが着ていた服と、シーツだった | |
どちらもきれいに洗濯されて、朝の光の中にはためいている | |
ファラとリッドはなんとなく目を合わせると、薄く笑った | |
キールの部屋はほぼ整頓されていたが机の上にいくつかの本の山ができていた | |
リッド | で、どれだよ、キール。きのうのトリアシ |
キール | キリアシュトリメラだったら!ほんとにリッドはもの覚えが悪いな |
キールはいかにも不機嫌そうに『インフェリア動植物大全』をリッドに差し出した | |
キール | しおりがはさんであるだろう。そこに出てる |
リッド | どれどれ……どうでもいいけど重てえな、この本 |
リッドはベッドの上で本を広げると、ファラといっしょに覗き込んだ | |
ファラ | ふうん。ほんとだ。あたし、読んでみるね |
ファラ | 『キリアシュトリメラ草── トリメラ科の一年草』 |
ファラ | 『葉の形状に特徴があり、 先が三つに割れている』 |
ファラ | 『その根は解熱剤として 広く用いられる。 ぶんふ、ぶんぶ……ぶんぶん?』 |
キール | 分布だよ、ファラ |
キールがいう | |
キール | きのうもいったけど、分布地には残念ながら、ラシュアンは含まれない |
キール | だが、わずか東のウルムの山には自生している可能性が高い |
リッド | ウルム。それ、どのへんだ? |
リッドは壁に張ってあったインフェリアの地図を勝手にはがすとキールが座っている机の上に広げた | |
キール | ……ウルムは、えーと、このへんかな |
キールは地図の端が破れてしまったのに気づいてムッとしながらも、✕印を描き入れる | |
リッド | なんだ、けっこう近いじゃん! |
リッドがうれしそうに叫ぶのに、キールは上目使いで訊ねた | |
キール | それがなにか? |
リッド | え、いや、べつに |
キール | べつに?じゃ、聞くけど、ファラがしょってきた大荷物はなんなんだよ |
キールは、ドアの脇にそっと置かれている布袋に目をやる | |
ファラ | あ、これは……だから、ランプとか鍋とか? |
ファラが小さな手をひらひらさせながら笑った | |
キール | 鍋……って……リッド、ファラ。いっとくけど、ウルムの山までたっぷり半日はかかる |
キール | そんなに高くはないが、険しい山なんだぞ |
ファラ | ものしりだね |
リッドは、ふんと笑った | |
リッド | 父さんたちはいまごろきっと医者を呼びに出発しただろう |
リッド | でも、もしローティス先生みたいに留守だったらどうする? |
リッド | オレたち子供が薬をとってきたら、みんなびっくりするぞ |
リッド | それに、オレとファラは行くことに決めたけど、なにもおまえまでついてくることはないんだ |
リッド | 半日かかってウルムについて、陽が落ちるまでに薬草を採って下に降りれば… |
リッド | あとは夜道でも平気じゃないか |
キール | ………… |
キールは黙って唇をかみしめている | |
ファラ | あたし、早く見てみたいなあ。先が三つに割れてる葉っぱ。そんなの、このへんにはないよねえ |
リッド | そうだよな |
相づちを打ちながら、リッドは『インフェリア動植物大全』のページをぱらぱらと繰った | |
ところどころ目についた文章を拾い読みする── | |
といっても、むずかしくてほとんどわからなかったが | |
リッド | あ!? |
リッドの手が止まったのと、キールがため息をついたのは、同時だった | |
キール | わかったよ。でも、どうなっても知らないからな |
キールは引出しから一枚の紙を取り出すと、リッドに投げて寄こした | |
リッド | なんだこれ |
そこには本に載っているのとそっくりなキリアシュトリメラ草の絵が描かれていた | |
キール | 模写だよ。ゆうべなんの気なしに描いたんだ、珍しい形の葉だから |
キール | 持って行けよ |
ファラ | ありがとう、キール |
ファラがお礼をいうのを、リッドは咳払いで遮った | |
リッド | おい、キール。お茶をいれてきてくれよ。なんか、喉がヘンなんだ、さっきから |
キール | ほんとか? |
まったく信用していない目で、キールがリッドの顔を見つめる | |
リッド | ほんとだよ。なんなら、オレが台所に行こうか?皿とかカップとか割ってもいいなら |
リッド | ……きっとおばさん怒り狂って…… |
キール | ぼくが行く |
キールは珍しくすばやい身のこなしで部屋を出て行った | |
ファラ | 今度はなに |
ファラがわくわくしながら訊ねる | |
リッド | これ、見てみろよ。動物のほうのページに載ってたんだ |
リッドが本をファラのほうに向けた | |
なんだ、とかげじゃない。ずいぶん派手な色だねえ | |
ファラは他の動物のページ── | |
ベアやウサギやピヨピヨ、美しい蝶などの昆虫類まで網羅してある | |
──にざっと目を通してから、ふたたびそのとかげを見た | |
地は黒なのだが、そこに強い黄と紫の縞が入っている | |
なんとも凶まがしい印象を受けるとかげだった | |
ファラ | 『ダンダラワライトカゲ── ナキトカゲ科』 |
ファラ | 『インフェリア全土の山地に ぶんぶ、じゃなくて分布する』 |
ファラ | 『ぞくせつとして、 その黒焼きはやにょうしょうに きくといわれる』 |
ファラ | 『りゅういてんとしては、 同様のもんようをもつ とかげが……』 |
ファラ | うーん、あとは読めないなあ……でも、やにょうしょうって、おねしょのこと、だよね? |
リッド | そうさ。薬草のついでにこれも捕まえて、キールのやつに飲ませてやろうぜ |
リッド | ファラ、新しい紙とペン、とって |
ファラ | うん! |
ファラは机の上からそれらを勝手に取ると、リッドに渡した | |
キールの足音が小さく聞こえてきたのは、そのときだった | |
リッド | げっ。やべぇ、早く写さなきゃ |
ファラ | あたしがなんとかするからっ |
ファラは部屋を飛び出し、廊下の曲がり角でキールを待った | |
湯気の立つカップを載せた盆をささげ持ったキールが目の前に現れると | |
ファラ | えーと……と、とおせんぼっ! |
いきなり両手を広げる | |
キール | なんのまね? |
キールがあきれて訊ねる | |
ファラ | え?いやぁ、なんていうか、急にいじわるしたくなっちゃって |
キール | 通して。熱いから危ないよ |
ファラ | う、うん…… |
ファラはしぶしぶ手を降ろすと、振り向きざまに叫んだ | |
ファラ | リッドぉ。もういいかーい? |
もういいぞぉ、と返事が返ってきた | |
キール | なんだよ。かくれんぼもしてたのか |
キールは首を捻りながら、ファラの脇を抜けて行った | |
リッドのとかげ | scene3 |
キール | うわあああっ! |
キールは、ずりずりと斜面から滑り落ちながら、両手でむなしく虚空を掴んだ | |
いったんバランスを崩した体を、彼の場合、立て直すのは不可能に近かった | |
リッド | ほらよっ |
どこからか手が伸び、キールの手首をぐいと引っ張り上げる | |
キール | ご、ごめん |
リッド | いいかげんにしろよ。さっきからちっとも登ってねえよ、おまえ |
リッド | いちいち戻って来るオレの身にもなれよなー |
キール | でも、ここ、すごいナナメ…… |
早くも声を湿らせているキールに、リッドはあからさまなため息をついてみせた | |
リッド | どうすんだよ、もう夕方だぜ? |
リッド | この時間にはとっくになんとか草を採ってるはずだったじゃん |
リッド | おまえなんかつれてくるんじゃなかった |
キール | なんだよぉ |
キールがリッドの手を振り払う | |
キール | やっぱりいっしょに来いっていったのはリッドたちじゃないかぁ! |
キール | ぼ、ぼくはイヤだったんだ!父さんと母さんにだまってこんな……ううっ |
リッド | 泣くなよ |
リッド | おい、ファラ |
リッドはうんざりして、斜面のずっと上のほうにいるファラを呼んだ | |
リッド | 交代で面倒みようぜ。オレばっか登ったと思ったら戻って世話して、登ったと思ったらまた下って…… |
リッド | いまごろ世界一高い山のてっぺんについてるくらい歩いたぞ |
ファラ | やあよー! |
返事は即座に降ってきた | |
リッドが見上げるファラは、両手を腰に当て、ひどく高慢に見える | |
リッド | (ちぇっ、なんだよ。 村長の娘だと思ってさ) |
リッドたちは、ラシュアンを出るまでに何人もの村人に出会った | |
どのおとなも気さくに声をかけてきたが… | |
ファラの顔を見ると、そこには決まって微かな変化が起きるのだった | |
敬虔さからくる礼儀や親しみのほかに村長に対する媚びが含まれていることを… | |
もちろんリッドが具体的に理解していたわけではない | |
が、自分やキールに対するのとは違う彼らの態度を受けて… | |
ファラまでもが映し鏡のように微妙な変貌を見せるのは、本能的に気持ちのいいものではなかった | |
リッド | しょうがねえな。もう少し登ったら休もうぜ。だからがんばれよ |
リッドは、キールの手をとり直す。今度は振り払われなかった | |
リッド | ひっぱってやるから、明るいうちになんとか草をさがしながら歩いてくれよ |
キール | ……うん |
キールは涙のあとを拳でぐいぐい拭いながら、頷いた | |
濡れた頬に山の冷気が忍び寄ってくる | |
冗談ではなく、早く平坦なところを見つける必要があった | |
キール | リッド。ファラにいって。火を焚けるところを見つけたら、そこで止まってくれって |
リッド | 自分でいえよ |
リッドはそれでも、キールの不安を感じとったようだった | |
力強くキールをひっぱりながら、ずんずん登ってゆく | |
キールは転倒の心配がなくなった分、足元に注意をはらうことができた | |
山に入ったときに強すぎるくらいだった陽差しは… | |
樹々をつたう蔓の一本、透ける緑の葉脈まではっきりと見せてくれていたが… | |
いまは足元に動くものが自分のブーツであると確認できる程度でしかない | |
だが、キールはあきらめないで目を凝らし続けた | |
キール | リッド、待て!この葉……いや、ちがった |
ちぎった葉の一枚を、リッドに手渡す | |
リッド | どれ……なんだ、ぜんぜん割れてないじゃん |
リッド | だいたい、こんなに暗くちゃムリなんだよ |
キール | でも、見つけなきゃ今日じゅうに帰れないよ |
リッド | 今日じゅうだって?いますぐ見つけても…… |
ふたりはそれから、黙りこくって山の斜面を登り続けた | |
リッド | (怖くなんかないぞ。 暗くても、怖くなんか……!) |
リッドはキールの手をしっかりと握りしめる | |
そこだけは、汗ばむほどに熱く感じられるのだった | |
ファラ | あれーっ。ヘンだなあ。またこの木のところに出ちゃった |
ファラは、落胆の声をあげると、小さな肩をがっくりと落とした | |
さっきから何度も同じところを通っている | |
この、特徴のある膨らみを持った樹を左に見て、どんどん登っていくのだ | |
するといつの間にか、地面が下りになっている | |
そしてここへ戻って来てしまうというわけだった | |
歩きやすそうなところを選んで進むので、まっすぐに登っているとはいえないが… | |
それにしても納得がいかない | |
ファラは、足の裏がずきずきと痛みだしたのに顔をしかめながら | |
ファラ | どうして? |
と、つぶやいた | |
すでに夜の気配が迫っているのがわかる | |
いいようのない不安と恐怖に、彼女はぶるっと身を震わせた | |
ファラ | (こんなことなら、 やっぱりあのとき 戻ろうっていえばよかったな……) |
ファラは、ウルムの山の麓に着いたときのことを思い出していた | |
ラシュアンの大河の手前を南下したあたりから、ウルムヘのなだらかなカーブを描く上り坂になった | |
山は、カーブを曲がりきったとき、突然ファラたちの前にその姿を現わしたのだった | |
幾重にも重なり合う樹々に覆われた斜面は濃い緑をしており、侵入者を拒んでいるかのように見える | |
リッド・ファラ・キール | すごーい! |
三人は、目の前に圧倒的な重量感で横たわっているウルムを見上げて… | |
ぽかんと口をあけることしかできなかった | |
ファラ | ……た、高いね |
リッド | ああ……思ったより、ちょっとな |
ファラとリッドは、頷きあいながらコクリと喉を鳴らした | |
キールはと見れば、彼はまっ青な顔で震えている | |
ファラ | キール? |
キール | だ、大丈夫だよ。ちょっと気持ち悪くなっただけ……だから |
太陽の光はすでに天項を越え、あとは沈むだけの体勢に入っていた | |
ファラ | (どうしよう……。 このまま村に帰れば 誰にもバレないよね) |
リッド | じゃ、行くぜ |
そのとき、リッドが意を決したようにいった | |
ファラ | うん! |
ファラは思わずつられて元気のいい返事をしてしまう | |
戻ろうよ、という言葉を彼女は飲み込み、ウルムヘ足を踏み入れたのだった | |
ファラ | (どうせリッドだって、 ほんとは帰りたかったに きまってるよ) |
ファラがそんなことを思いながら、樹の幹に身をもたせかけているうち… | |
ようやく小さな足音が下から這い登ってきた | |
ファラ | リッドぉ!キールぅ!こっちこっち |
肩で息をしながらファラのそばまで来たふたりは、地面にべったり座り込んだ | |
リッド | ここで休むのかよ。オレはもっと上のほうかと思ってた |
キール | でっ、でも。ここでいいよ。火を焚くにはうってつけだ。平らでっ、広さもあるしっ |
リッドの強がりに気づかず、キールは焦って抗議した | |
ファラ | ほんとはもっともっとずっと上のはずだったんだけど |
ファラ | それがさあ、おかしいんだ。この先をずっと行くと、また戻ってきちゃうんだよねえ |
リッド | なんだよ、それ |
ファラ | ……わかんないよ |
ファラは、ふたりの横に腰をおろす | |
ファラ | モンスターに化かされたのかも |
キール | ……そんな |
三人は、ぞっとしながら自分の体を抱きしめた | |
リッド | どうしよう。まっ暗になってきたぜ |
キール | とにかく焚き火だっ |
それはいいけど、とファラは訊ねる | |
ファラ | 今晩、ここに泊まるの? |
リッド・キール | ………… |
沈黙が流れた | |
ぐすっ、と鼻をすすったのはキールだった | |
リッド | 泣くなっ! |
リッドが怒鳴る | |
リッド | そんなひまがあったら薪になるものを拾ってこいよ |
リッド | 暗くて寒いの、おまえだってイヤだろ? |
リッド | 早くっ! |
キールはリッドに肩を乱暴に叩かれ、しゃくりあげながら繁みの中に入っていった | |
ファラ | リッド。ひとにあたるのはよくないよ |
リッド | うるさい。あいつのせいでこんなに遅くなったんだ |
ファラ | それは、そうかもしれないけど…… |
ファラは布袋を引き寄せながら | |
ファラ | それで、キリアシュトリメラ草は? |
と聞いた | |
リッド | ねーよ。こんなに暗いのに見つかるわけないだろ |
リッド | だいたい、ほんとにこの山に生えてるかどうかだって、わかんねーじゃん |
ファラ | なによ、そのいいかた。最初にここに来ようっていったの、リッドだよ? |
リッド | うるさいったら……! |
そのとき、上空で「ギャギャ──っ!」という鋭い声が響いた | |
続いてバサバサという羽音 | |
ファラ | きゃっ、なに!? |
リッド | 鳥……だろ。くそう、見えりゃしとめてやるのにな |
リッドは暗い空を見上げてくやしそうに拳をにぎった | |
リッド | 食いもん、なにもってきた |
ファラ | え。えっとね、お水と干し肉。母さん、ずっと看病してて、あんまりごはん作ってなかったの |
リッド | そっか |
リッドは勢いよく立ち上がると、腰の小刀を抜く | |
それから枯れてなお樹々の幹に巻きついている蔦や… | |
比較的よく燃えそうな小枝などを手探りで切り落とし始めた | |
リッド | ランプと鍋はあるんだよな。こっちは暖まり用だ |
リッドはひと抱えほどの枝葉を、ファラの前にどさっと落としてやる | |
ファラ | うわあ、ありがと、リッド。これだけあればすぐにあったかくなるよ |
ファラ | ランプの火を移せばいいよね |
ファラは歓声をあげ、布袋の口を開けた。そこに両手をつっこんだところで | |
ファラ | あれ |
と、首を傾げる | |
ファラ | わたし、なんか……忘れてるみたいな…… |
リッド | あ? |
リッドは興味なさそうにファラのほうを見て | |
リッド | オレ、腹へっちまったよ。ほかのことなんてどうでもいいや |
と、胃のあたりをさすってみせる | |
ファラ | はいはい、すぐできるよ |
ファラはてきぱきと食事の支度をはじめた | |
煮炊き用のランプに火を入れ、壜の水を鍋にあける | |
手を動かすことで、不安と恐怖が薄れていくのがわかると… | |
あとはむしろ楽しい作業といえるくらいだった | |
湯が沸き始めるころ、キールが戻ってきた | |
キール | うわ、煙いな。なにを燃やしてるんだ |
ファラ | 遅かったね、キール。リッドが燃えそうな枝やなにかを切り落としてくれたんだよ |
ファラは、キールに「そっちに座って」と指さしながら説明した | |
リッド | 迷ったかと思ってたぜ。あれ、おまえの薪は? |
リッドは、キールの手元を見る | |
キール | いや、なんか湿ったのばっかりで……かわりに葉っぱをたくさん採ってきた |
キールはふところから数十枚の木の葉をごっそり取り出すと火にかざしてみせた | |
リッド | そんなの使えねーよ |
キール | ちがうよ。燃やすんじゃなくて、分類するんだ |
キール | ああ、『インフェリア動植物大全』がいまここにあればなあ!持ってくればよかった! |
リッド | バーカ |
リッドはせせら笑う | |
リッド | あんな重いの持ってたらおまえ、ウルムにたどり着く前にぜったいへばってたぜ |
キール | そんなことないよっ |
そのとき、ファラがハッと身をかたくした | |
ファラ | しっ!ふたりともだまって |
リッドとキールは驚いて、ファラを見た | |
パチパチと焚き火の爆ぜる音が、やけに大きく聞こえる | |
キール | ……な、なんだよファラ |
キールが震え声で訊ねた | |
ファラ | いま、誰かが笑ったの |
キール | なんだって |
ファラ | 笑ったんだってば。誰かいる……誰かがわたしたちを見てるんだよ! |
リッド | んなこと……あるかよ |
リッドが泣き笑いの表情で、おそるおそるあたりを見回した、そのときだった | |
カタカタカタカタカタカタカタカタカタ……………… | |
ファラ | きゃあああ、ほらっ。ほらねっ!? |
ファラが悲鳴をあげる | |
リッド | ほ、ほんとだ。でも、笑ってなんかいないぜ。カタカタいってるだけで。なあ |
リッドはキールに同意を求めたが、キールは答えない | |
リッド | カタカタカタ……か。カタカタ鳴るっていえば |
ファラ | いえば、なに? |
ファラがからっぽの布袋を抱きしめて震えながら訊く | |
リッド | うーん、やっぱあれかな。骨 |
ファラ | 骨ぇ!? |
ファラ | リッド、どうしよう。ガイコツだよ。ガイコツが来たんだあ。わたし、食べられちゃう |
キール | しーっ |
泣き叫びだしたファラを制したのは、キールだった | |
キール | 落ち着いて。聞こえるよ、ほら |
ファラ | ………… |
ファラは口元をしっかり手のひらで押さえると、必死で耳を澄ませてみた | |
んふ、んふふふふふふふふふふふふふふふ……………… | |
リッド | ……わ、笑ってる |
リッドが目を丸くする | |
リッド | だっ、誰だっ!?出てこいよ、オレが相手になってやるっ! |
小刀を抜き放ったリッドを見て | |
キール | おまえも落ち着け。みっともない |
キールはひどく冷静にたしなめた | |
リッド | みっともない?なんでだよ |
リッド | あっ、ほらまた聞こえたぞ!カタカタんふんふいってるじゃないか |
リッド | さっきファラを化かしたモンスターだぜ、きっと |
キール | 座れよ。あれは、とかげだ |
リッド | へ? |
キール | ナキトカゲ科のやつは、たいていあんな声で鳴く |
キール | カタカタもんふんふも、たいした違いはない |
キール | 個体によって、かなり鳴き声に幅があるらしいよ |
キール | だからナキトカゲ科なのに、ワライトカゲの名前がついていたりするんだ |
キール | ……とはいっても本で読んだだけで、ほんとに聞くのはぼくもはじめてだけどな |
リッド | ……とかげ |
拍子抜けしたリッドがふたたび座ろうとしたところを、ファラが思いきり引っぱった | |
リッド | なんだよ、痛いだろ |
ファラ | いいからちょっと来てよ、リッド |
ファラは焚き火から少し離れた、繁みぎりぎりのところまでリッドを引っ張ってくると、早口で囁いた | |
ファラ | ねえ、いま鳴いたのって、あれじゃない? |
リッド | あれって? |
ファラ | だから、ほら、ダンダラワライトカゲ、だっけ。やにょうしょうにきく、っていうやつ |
リッド | あ |
リッドのとかげ | scene4 |
リッド | 寝しょんべんの薬か。すっかり忘れてた |
ファラ | わたしも。なにか忘れてるとは思ったんだけど |
そもそもウルムにキールを同行させようと思ったきっかけがとかげだったことを… | |
ふたりはやっと思い出したのだった | |
ファラ | つかまえようよ |
リッド | でも、あいつに見つかるとまずいだろ |
ファラ | うん。キールが素直に食べるわけないもんね |
ファラ | おねしょっていっただけで、泣きながら怒りそう |
リッドは、咳払いをしてから、当の幼なじみを振り向いた | |
リッド | なあ、キール。とかげ、近くにいるんだよな |
キール | え |
火明かりを頼りに分類をはじめたのかぶつぶついいながら木の葉を地面に並べていたキールは… | |
下を向いたままで答える | |
キール | ああ。ふつう、獣は火を怖がるというけど、羽虫なんかは近寄ってくるだろう? |
キール | それを食料にしているやつはやっぱり火のそばに来るんだ |
リッド | なるほど |
いわれてみれば火の周りに、大きな蛾が数匹飛び交っているのが見える | |
リッドは、キールがふたたび木の葉に夢中になったのを見届けてから、ファラに向き直った | |
リッド | すぐ近くにいるってさ。見えないか |
ファラ | えー、どこよ |
ファラは足元を見回したが、動くものの気配は感じられなかった | |
ファラ | どんなとかげだっけ…… |
ファラ | そうだ、リッド。本の絵を写してきたんだよね。それ、見せてよ |
リッド | いいよ |
リッドは、くしゃくしゃに折りたたまれた紙をファラに差し出した | |
ファラは、怪しまれないようにひとりでさりげなく火のそばに戻ると… | |
ランプの調子をたしかめるふりをして、紙を開いた | |
ファラ | ……!? |
顔を上げると、リッドが得意そうに笑っている | |
ファラはその能天気な笑顔にかっとなって、口の形だけで「バカ」といった | |
リッド | なんだって? |
リッドが近づいてくる | |
リッド | バカっていったろ、いま |
ファラ | しーっ。いったよ。だってこれ、なんの絵よ |
ファラは声をひそめながら紙を指さした | |
リッド | 決まってるだろ。とかげに |
ファラ | しーっ、それいっちゃダメ!声が大きいったら! |
ファラが思わずリッドの肩を小突くとバランスを崩した体があやうく火の中へ入りそうになる | |
リッド | うわっちっちっちぃ!なにすんだよっ。やけどするだろ |
ファラ | だってリッドが…… |
キールが、すっと顔をあげる。同時にふたりは口をつぐんだ | |
キール | どうかしたの |
ファラ | うっ、ううん、なんでもない。ごはん、もう少し待ってね |
キール | 別にいいさ。お腹へってないし |
ファラ | そ、そう |
ファラはほっとしながら、ふたたび絵を指さして「これなに」と訊ねる | |
ファラ | とてもじゃないけど、リッドのいうものには見えないよ |
リッド | じゃ、なにに見えるっていうんだよ |
ファラ | それは── |
ファラは絵をじっと見つめていたが、きっぱりとした口調で告げた | |
ファラ | 木くらげ |
ぶはっ、とリッドが吹きだした | |
焚き火の灰が舞いあがる | |
キール | こらっ、リッド!なにするんだよ、葉っぱに灰がかかっちゃうじゃないかっ |
キールが怒ったが、おかまいなしだった | |
リッド | あはははは、木くらげ。木くらげ?あははははは、はははははは |
ファラ | なによう、なんで笑うのよ。自分がへたっぴなくせにぃ |
リッド | だって、なんで、これが……はははははっ |
ファラはあきれてリッドが笑い続けるのを眺めていたが… | |
やがてがまんできなくなって自分も吹きだした | |
ファラ | うふふ、はははっ。リッドったら、ヘンなの。おかしいよ。あはははは── |
ふたりの笑い声は、静まり返った山の暗闇に響き渡り、吸い込まれるように消えていった | |
それでもお腹をかかえ、笑い続ける | |
おとなたちに黙って村を出てきてしまった罪悪感 | |
こんな山の中で動けなくなり、野宿をしなければならない不安と恐怖が… | |
リッドとファラに強すぎる緊張を強いていたのだろう | |
反動からくる笑いは、キールを気味悪がらせるほどだった | |
キール | だいじょうぶか、ふたりとも |
リッド | あははは、ぜんっぜん、だいじょうぶー |
そのときだった | |
地面に転がっていたリッドは、夜空に不思議な光を認め、あわてて起き上がる | |
リッド | なんだ……!? |
星ではない。よく見ると、もっとずっとそばで光っている | |
色は紫に近いだろうか | |
光の縞が七、八本ずつ、ひとかたまりになっているのだった | |
ひとつのかたまりの大きさはリッドの手のひら程度だったが、それが何十、何百と灯っている | |
リッド | お、おい、キール。あれ |
キール | ん? |
周囲の樹という樹が、見慣れない光をくっつけて揺れているようだ | |
ファラ | あはははは……は……? |
ひとりで笑い続けていたファラも、ようやく異変に気づき、いまは静かに息を弾ませていた | |
キール | おまえたちの声に反応して光ってるんだ |
ファラ | なんなの、キール |
キール | とかげ |
うんざりしたようにキールが答えた | |
キール | 本によると、鳥の声や、雷などにも反応してだんだらに光るらしい |
リッド | (とかげ……だんだら……) |
リッドはファラに頷いてみせると、もう一度、今度はキールに気づかれないように小刀を抜いた | |
それから、目にもとまらぬ速さでそれをいちばん近い樹の幹に放った | |
カツッ! | |
覆いをかけたように、そこで光っていた縞状の光が消える | |
とかげを仕留めたのだった | |
驚いたことに、それを合図にするかのように、他のとかげたちも闇に溶けた | |
何百ものカサコソという微かな音で幹を震わせながら、山の深みへと逃れてゆく | |
ファラ | さ、さあ、干し肉のスープがもうすぐできるよ |
ファラはランプをキールから遠ざけると、リッドが小刀を投げた幹へ近づいた | |
刃はみごとにとかげの胴を縦に貫いており… | |
磔になったその尻尾だけがぴくぴくと動いている | |
おそるおそる触ってみると、もう逃げることなどできないのにもかかわらず… | |
尻尾は切れて彼女の手の中に落ちた | |
ファラ | (きゃ、びっくり…… まだぴちぴちしてる) |
リッドが来て、小刀を抜いてくれた | |
ファラはそっととかげを掴むと、鍋の下に差し入れる | |
幸い、キールはなにも気づいていないようだ | |
干し肉を裂いて湯の中に落とす。だしが出れば即席のスープのできあがりだった | |
もともと小ぶりなとかげにはその間に充分火が通り、哀れにもまっ黒い姿に変わっていた | |
多少の剌激臭はあったが、なんとかごまかせそうだ | |
リッド | メシ、できたかー? |
ファラ | うん |
ファラはリッドに耳打ちする | |
ファラ | ほんとに、やるの?バレないかな。きっと苦くてすっごくまずいよ |
やろう、とリッドは即座に答えた | |
リッド | 毎日おばさんに叱られて、かわいそうだろ |
リッド | オレたちのほかに、同じことができるヤツはいないぜ |
ファラ | そだね…… |
ファラは自分を納得させるように深く頷くと… | |
三つのカップを並べ、キールのものにはとかげの黒焼きを砕いて入れた | |
それから干し肉のスープを注ぎまわす | |
リッド | キール!やっとできたぜ。食おう |
リッドはさかんに湯気をあげているカップを… | |
木の葉を傷つけないように注意しながら、キールのそばの地面に置いた | |
キールは「ああ」と、顔をあげた | |
キール | いただきまーす |
ファラは自分のカップで手を温めながら、こっそりキールを盗み見る | |
薄い唇が、カップのふちに届きそうになる | |
ファラ | あっ、あのっ。キール、あのね、そのスープ |
キール | ん? |
ずっ | |
キールがひと口目をすする小さな音がした | |
ファラ | ……た、焚き火の灰が少し入っちゃったかもしれないの |
ファラ | だから苦かったら、ごめんね。うわずみだけ、飲んで |
キール | わかった |
キールはあっさり頷くと、片手で木の葉をさわりながら考えごとにふけり始めたようだった | |
ときどき、思い出したようにカップを口に運んでいる | |
リッド | おい、飲んでるぜ |
リッドが小声でいう | |
ファラ | まずくないのかな |
リッド | あいつ、もともと食いもんに興味ねーだろ |
ファラ | っていうか、味、わかんないんじゃない? |
リッド | たぶんな |
リッドはごくごくと自分のスープを飲みほすと、「うめえ」と笑った | |
ファラ | ねえ、なんでだまってるの |
静かすぎる山の夜に耐え切れなくなって、ファラがいった | |
暖かいスープをお腹に入れてようやくひとごこち着いた三人は、焚き火を囲み、膝を抱えて座っていた | |
いまにも消えそうな火を、無言のままリッドがときおり小枝で突ついては、生き長らえさせている | |
すっかり木の葉の分類を終えてしまったらしいキールも、さっきから押し黙ったままだった | |
いまごろ、とファラはふたたび唇を動かした | |
ファラ | いまごろ母さんたち、心配してるよね。怒ってるかな |
リッド | でも、きっとオレとキールの父さんが医者を呼んできたはずだ。おじさん、絶対よくなってるさ |
リッドが静かに答える | |
キール | そんなに自信があるなら… |
キール | やっぱりもうちょっとラシュアンにいて様子をみてたほうがよかったんじゃないか |
ファラ | そうかもね。キリアシュトリメラ草、見つからなかったし |
キールに頷くファラに、リッドはキッとなる | |
リッド | なんだよ。おまえだって賛成したじゃん |
ファラ | そうだけど |
ファラ | でも、どうしてリッド、あんなに張り切ってたのか……わたしにもわかんなかったよ |
ファラはうつむいた | |
ファラ | このままうちに帰れなかったらどうしよう |
ファラ | モンスターが出て来て食べられちゃったらどうしよう…… |
ラシュアン染めのワンピースの膝に涙が落ちる音が、やけに大きく聞こえる | |
リッドは、ファラが泣くのをじっと見つめていたが、「ごめん」と低くつぶやいた | |
リッド | オレ、間に合わなかったらイヤだなと思ったんだ…… |
キール | 間に合わない?どういう意味だ |
キールが訊ねる | |
リッド | おじさんが死ぬってことだよ |
ファラ | 死ぬ!? |
ファラが肩をびくりと震わせる | |
ファラ | 父さん、死んじゃうの?熱出しただけなのに? |
ファラ | イヤだよ、わたし、そんなの……いやっ! |
リッド | 待てよ、ファラ。おじさんが絶対いま死ぬっていってるんじゃない |
リッド | たぶん平気だよ。でも、みんな死んじゃうんだ、いつか |
ファラ | え |
涙に濡れた目が、リッドを見つめた | |
リッド | オレ、母さんのこと、あんまりくわしく聞いたことなかったんだけどさ |
リッド | こないだ、父さんがいってたんだ。母さんは医者が間に合わなくて死んじゃったって |
リッド | あんまり急に具合が悪くなったから間に合わなかったのか… |
リッド | 間に合わないくらい悪かったから医者がきても助けてもらえなかったのか、わかんねーけど |
ファラ | リッドが二歳のとき、だったんでしょ |
ああ、とリッドはファラに頷いた | |
リッド | オレさ、おまえの父さんまで死んじゃったらやだなって思ったのかもしれない |
リッド | ただ、ラシュアンを出てどっかに遊びにいきたかったっていうのもあったけど |
リッド | もし医者がどこにもいなくても、オレたちがその薬草を持って帰ればいいわけだろ |
キール | 理屈ではな |
キールがもっともらしく腕を組む | |
リッド | うん…… |
リッドは薄く笑った。それからダークレッドの髪の毛の中に手を突っ込むと、かりかりと掻いた | |
リッド | そうなんだよな。最近オレ、父さんに弓や斧や剣の使い方、ちょっと習ってるんだけど── |
なにをいいだすのかと、キールは耳をそばだてた | |
リッド | オレ、けっこう狩りするの、うまいんだよ。な、ファラ |
ファラ | うん。ウサギもらったよ |
ファラが、にこっとする | |
リッド | オレがこいつ、と思うと、その動物は死んじゃうわけだろ。ヘンな感じがする |
キール | ぼくたちが生きていくためなんだからしょうがない。肉や毛皮が必要なんだから |
キール | そういうものだろう |
リッド | そうなんだけど。うーんと |
リッドは、混乱したように首を振った | |
リッド | だから、動物はそうなんだけどさ。人間は猟師のせいで死ぬわけじゃないだろ |
ファラ | 決めるのは、王さま?じゃなくて神さまだよね |
うん、とリッドは頷いた | |
リッド | セイファートだとしたら、気持ちが楽になるなあ |
キール | なにがいいたいのか、よくわからない |
キールは子供らしい神経質さで、きゅっと眉を寄せる | |
そのとき、ファラが「ああっ」と声をあげた | |
ファラ | 大変!火が、消えちゃう! |
燃やせるものを燃やし尽くした炎が、 すーっと冷えていくのを、リッドたちはじっと見ていた | |
ファラ | どうしよう、暗くなっちゃった |
リッド | 寒いな…… |
キール | ……うっ |
鳴咽を洩らしはじめたのは、キールだった | |
リッド | また泣くぅ!うるさいんだよ、おまえ |
リッドは怒り、幼なじみの肩を小突こうと身を乗り出した | |
じゅっ、と灰が音をたてる | |
リッドの涙が落ちたのだった | |
キール | なんだよお。リッドだって泣いてるくせに |
リッド | オレ?オレは泣いてなんかいねーぞっ |
ファラ | やめてよ、ふたりともっ。ケンカしないでよぉ。うわあああ |
ファラが両手を振りまわしながら、ふたりの間に割り込んだ | |
ファラ | だ、だいじょぶだから。朝になったら、山を降りよ? |
ファラ | 途中できっと、なんとか草も見つかるよ |
キールは「キリアシュ……」と訂正しかけたが、ファラの耳には届かない | |
猛烈な眠気に襲われたのだった | |
ファラ | だから、ふたりとも、泣かないで…… |
ファラは、リッドとキールの間にすっぽりと体をおさめると、ゆっくり目を閉じた | |
なぜもっと早くそうしなかったのだろうと思うほど… | |
その隙間はファラの体にぴったりなのだった | |
ファラ | (あったかい──) |
この世界はいま、冷たくて暗い闇にぜんぶ支配されているんだ、とファラは感じる | |
自分は力もないし… | |
あまりにも小さく頼りないので、セイファート神にも見落とされてしまうかもしれない | |
でも、両側から伝わってくる暖かな体温が、それでもいいやと思わせてくれる | |
あっという間に眠ってしまったらしいキールの寝息が聞こえてくる | |
リッドが首をかくんとさせたかと思うと、体をもたせかけてきた | |
自分を受けとめてくれるぬくもりのなかで… | |
ファラもすぐに規則正しい呼吸を始めた | |
んふふふふふふ……………… | |
カタカタカタカタカタカタ…… | |
ときおり、ナキトカゲがお互いを呼び交わす声がしていたが… | |
三人は夢も見ず、ひとかたまりになって眠り続けた | |
リッドのとかげ | エピローグ |
濃い靄の匂いに最初に気づいたのは、リッドだった | |
彼は自分の顎がダークグリーンの髪に埋まっているのを認めると、そうっと体を離した | |
あたりはようやく明るくなりはじめたばかりのようだ | |
ゆうべはまったく聞こえなかった小鳥の囀りが、枝々を渡ってゆく | |
リッド | ん…… |
彼はごしごしと目をこすると、地面を這うようにしてキールのほうへ回った | |
動くと体のあちこちが痛んだ | |
リッド | キール。おい、キール |
ファラを起こさないように、小声で友だちを呼びながら、肩を揺すってやる | |
が、彼はまだぐっすり眠っていて、目を覚ます気配がない | |
リッド | ちぇ |
リッドは、所在なくあたりを見回す | |
焚き火の燃えさしが目に入った | |
リッド | (そうだ) |
彼はキールにふたたび近寄ると、投げ出された足を覆っている服に触れそろそろと手探りする | |
キール | ……な、に……? |
身じろぎしたキールは、次の瞬間、ハッと目を開けた | |
キール | わああっ!リッド、どこ触ってんだよ!?やめ…… |
はははっ、とリッドは笑い声をたてた | |
キール | お、おまえ、そんなことするやつだったのかっ |
キールは片手で服の裾を押さえると、震える指をリッドに向けた | |
リッド | そんなことってなんだよ |
リッド | オレはおまえが野宿で寝しょんべんなんてことになってないかどうか見てやっただけだ |
キール | ねしょん……!? |
キールは、ものすごい勢いでごそごそと自分の体をまさぐった | |
リッド | 安心しろよ。けさはしてないみたいだぜ。よかったな |
キール | よくないっ!! |
騒がしいやりとりに、ファラが体をよじる | |
ファラ | ……どうしたの、ふたりとも |
キール | どうもしてないよ。寝てろよ、ファラ |
キールの剣幕に、ファラは体を起こし、眠そうな目をリッドに向けた | |
リッド | 寝しょんべん、してなかったんだよ |
リッドは、してやったりという表情で告げた | |
ファラ | ほんとっ!?やったね、よかったじゃん |
ファラ | あんまり信じてなかったけど、やっぱり効くんだねえ、とかげって! |
リッド | そうだなっ |
ファラとリッドは手をとりあって飛び上がった | |
キール | おい。とかげって? |
キールが固い声で訊ねる | |
ふたりはびくりとすると、そのまま体を硬直させた | |
ファラ | え、あ……いけない。あのね……えーと…… |
振り向いたファラは、くしゃくしゃになっていたワンピースの裾を直しながら… | |
さりげなく真実を伝えた。 | |
キール | な、なんだって!?ゆうべのぼくのスープに、とかげのく、黒焼きが…… |
話を聞き終わったキールはみるみる蒼ざめた | |
おえええ、と喉が鳴ったが、むろんスープは一滴も出てこなかった | |
ファラ | でも、ダンダラワライトカゲだよ?やにょうしょうに効くんでしょ |
キール | ………… |
キールは涙目でふたりを見上げた | |
リッド | ほら、これ。おまえの本に載ってたから、模写ってのをしてきてやったんだぜ |
リッドは、折りたたんだ紙を広げると、キールに示した | |
キール | ……これは…… |
キール | ふざけるなっ、木くらげじゃないかっ! |
ぶっ、とファラが吹きだした | |
リッド | ダンダラワライトカゲだっていってんだろっ。ゆうべオレが仕留めたんだ |
キール | どうやって特定したんだ |
リッド | とくてい? |
リッドが首をかしげる | |
キール | たしかに何種類かナキトカゲが鳴いてたのは聞いたけど |
キール | 夜尿症に効果があるのは一種類だけなんだぞ |
キール | あの暗さでどうしてわかったのかと聞いてるんだ |
ファラ | だって、間違うはずないよねえ |
ファラは、なにか嫌な予感がするのを押さえながら、リッドの顔を覗き込んだ | |
リッド | おう。だってキール、いったじゃないか。音に反応して光るって |
リッド | だんだらに光ってたやつがそうだろ? |
キール | ちがうっ!! |
キールは頭を抱えた | |
キール | あれは、同じナキトカゲ科だけど、まったく別ものなんだよ |
キール | ダンダラワライトカゲは自光なんかしない。光るのはダンダラドクトカゲだけだっ |
ファラ | 毒とかげ |
ファラはおうむ返しにいい、ぶるっと体を震わせた | |
ファラ | やだ……キールのカップに、丸ごと……一匹入れちゃった |
リッド | おまえ、平気か?腹、痛くねえ? |
さすがのリッドも顔色を変えている | |
キール | いまごろ遅いよっ。ああ、気持ち悪い。うえええ |
ファラ | キール、キール!しっかりしてっ |
ファラはキールの背中をさすりながらリッドにいった | |
ファラ | すぐ帰ろう、ラシュアンに。お腹痛の薬なら、うちにもあるよ |
薬を採りに来てこれかよ、と思ったがリッドも反対する気はない | |
そのときだった | |
風に乗って、徴かに人の声が聞こえた気がした | |
リッド・ファラ・キール | あ…… |
三人は、顔を見合わせる | |
男の声 | おーい、リッドぉ、キールーっ!返事しろー! |
ファラ | 父さんの声っ! |
ファラが飛び上がる | |
ファラ | 父さーん、ファラはここだよぉ! |
がさがさと繁みをかきわける音が登ってくる。もう間違いなかった | |
やがて、密集した樹の幹の間から、ノリス・エルステッドとビッツ・ハーシェルの顔が覗いた | |
リッド | と、父さん…… |
ビッツ | リッド!心配かけやがって |
リッド | な、なんでここがわかったんだよ |
リッドは、自分を強い目で見下ろしている父親から顔をそむけながら聞いた | |
ビッツ | ギズロたちが見つけたんだ、キールの部屋でな |
ビッツ | しおりがはさまった本、印のついた地図 |
あ、とキールは短く声をもらす | |
キール | それで、ぼくの父さんは?怒ってましたか? |
だからここにいないんだ、と思いながらキールがいうと、ノリスが笑った | |
ノリス | ああ。ものすごく怒ってるから、キールを捕まえにちゃんと来てるぞ |
ノリス | ただ、途中で足首を捻挫しちまってな。麓で休んでいる |
キール | そう……ですか |
キールは、ほうっと息をついた | |
ファラ | 父さん、もう熱はいいの?なんだか顔が赤いみたい |
ファラが父親を見上げる。ビッツにくらべると、明らかに汗をかきすぎている | |
ノリス | もうよくなったよ。リッドの父さんが医者を呼んで来てくれたからな |
ファラ | ほんと?ああ、よかった |
ノリスは微笑みながら、ファラのおかっぱ頭を撫でてやった | |
それから、子供たちの奮闘の跡── | |
消えた焚き火や、汚れたままころがっている鍋やカップ | |
──を、ひと通り眺めわたす | |
リッドは黙って父親を見上げた | |
ビッツ | 本当は村長、まだフラフラなんだ。なのに俺も行くといってきかなくてな |
ビッツはそう囁くと、肩をすくめる | |
ひとり娘のファラが心配で、熱が下がりきっていないのに出かけてきたんだな、リッドは思った | |
ファラ | ごめんなさいっ |
ファラがぺこりと頭をさげた | |
ファラ | わたしたち、迷惑かけちゃった……。それなのに……、見つけられなかったの、キリアシ…… |
ノリス | キリアシュトリメラ、か。たしかにあれはよく効く薬草だ |
ノリスは、ふっと笑った | |
ノリス | ファラ、いいさ。父さんは元気になったし、ファラも無事だった |
ノリス | それに、ファラたちがしてくれたのは人間としてとても大切なことだ |
ノリス | 人間は、死ぬまで人間らしい心を持って、家族や友だちを大切にしなくちゃいけない |
ノリス | 父さんもそうやって、ラシュアンの村人とつきあっていきたいと思ってる |
ファラ | ふうん |
ファラは、よくわからないなりに、自分たちの勝手な行動が許されたのだと感じ… | |
心の底からほっとした | |
ビッツ | ん? |
そのとき、ビッツが足元に目を落とすと、しゃがみこんだ | |
ビッツ | これ、もしかして |
ブーツの先で揺れていた草の葉をちぎる | |
それをひと目見るなり | |
キール | あった! |
と、キールが叫んだ | |
葉の先端が、ハサミを入れたようにくっきりと三つに分かれている | |
キール | キリアシュトリメラ草……こんなところに生えてたのか |
リッドは、焚き火のあとからいくらも離れていないことを目で測ると、くやしそうにいった | |
リッド | なんで見つけられなかったのかなあ |
すると、ノリスがひょいと手を伸ばし、ビッツの手から葉を取り上げた | |
そのまま口に運ぶと、むしゃむしゃと食べてしまう | |
キール | ああっ、村長さん!ダメです、それは根っこを煎じて飲むんだ |
ノリス | なーに、気は心さ |
薬草の葉を嚥下してしまうと、ノリスはキールに笑いかけた | |
キール | で、でも、根は薬でも葉や花は猛毒だったりする植物は少なくない…… |
毒、と口にしたせいで、とかげを思い出したのだろう | |
キールはふたたびうずくまってしまった | |
リッド | 父さん。キールを麓までおぶってやってくれない? |
リッド | その……ドクトカゲの入ったスープを飲んじゃったんだ。間違って |
キール | 間違ったんじゃないぞっ、わざとじゃないかっ |
キール | これで死んだらぜーったい化けてでてやるからなあっ! |
ビッツはノリスと目を合わせ、苦笑した | |
ビッツ | 残念だが、ここらの山には強い毒を持ったとかげなんていないね |
ビッツ | 百匹も二百匹も生で食べたっていうなら話は別だが |
ファラ | ううん。黒焼きにしたのを一匹スープに入れたの。飲んだのは、うわずみだけよ |
ファラが律儀に説明する | |
リッド | なんかとかげ違いだったみたいなんだけどさ |
リッド | おかげでけさはキール、寝しょんべんしなかったんだぜ |
ノリス | それはすごい |
ビッツ | じゃあ、そのすばらしいニュースを早くギズロにも聞かせてやろうじゃないか。おいで |
ビッツは頷きながら、大きな背中をキールに向けてやった | |
いつの間にか、まばゆい木洩れ陽がそこここに丸い模様を描いている | |
ウルムの山の新しい一日が始まったのだった── | |
キール | ──という事があったんだ |
メルディ | キール、それから大丈夫だったか? |
キール | ああ。夜尿症はそれ以来随分と改善されて… |
メルディ | …?毒、大丈夫だったかって意味だよぅ |
キール | あ、あぁ…そっちか。一日寝ていたら、すぐに治ったよ |
メルディ | 治ってよかったな!毒も、ネションベンも! |
キール | …この話は、もういいだろっ。それより薬草は集まったのか? |
メルディ | たくさん集まったよ! |
キール | なら、そろそろ街に帰ろう |
メルディ | あ、キール!これ… |
キール | ん…?そ、それは…ダンダラワライトカゲ! |
メルディ | やっぱりこれ、そうか!?持って帰って、黒焼きにしよ! |
キール | ぼ、ぼくにはもう必要ないぞ! |
メルディ | 街の子どもがためよ。キール、何焦ってるか? |
キール | べ、別に焦ってない。そういう事だと思ったよ |
キール | さ、暗くならない内に帰るぞ |
メルディ | はいな! |
Name | Dialogue |
---|---|
瑠璃の夢 | プロローグ |
いとしい娘へ | |
いつもおまえを見守っているよ | |
おまえの心が美しい瑠璃色に満たされるその日まで─── | |
『ミント──』 | |
『この日記をあなたのために 残しておくにあたって、 私は少々とまどっています』 | |
『ここしばらくの間に 何度も予感した危険が…』 | |
『恐ろしい現実となって 私とあなたの身に降りかかる のではないかという不安…』 | |
『それを、こんなものを書くことで、 かえって引き寄せてしまいや しないかと思っているのです』 | |
『むしろなにも気づいていない 顔をしてこのユークリッドで 母娘ふたり…』 | |
『静かに暮らしているほうが いいのかもしれません』 | |
『でも、どうしても 伝えなければならない いくつかのことがあります』 | |
『それに、いつか私が先に いなくなってしまったら…』 | |
『あなたはいままで決して 口に出して私に訊ねようと しなかった疑問を…』 | |
『一生抱えていかなくては ならないでしょう』 | |
『誰にも口外しなかった私の死と共に 答えは永遠に失われるのですから』 | |
『どこから書きはじめましょうか』 | |
『まず、あなたの父親、 アルザス・アドネードのことからに しましょう』 | |
『あなたの金髪と鳶色の瞳──、 アルザス譲りなんですよ』 | |
『彼の死後── そう、あなたのお父さんはもう この世にはいません──』 | |
『あなたを見るたびに彼の髪と 瞳の色を思い出したものです』 | |
『アルザスとの出会いは約二〇年前。 私がダオスを封印した あとのことでした』 | |
『ダオスのことは── この日記帳を開くことのできる あなたなら、もう知っていますね』 | |
『私が子供だったあなたに教えた あの祈りは、ダオス封印の祈祷 だったのです』 | |
『私はもともとユークリッド北部の 法術院で生活していましたが…』 | |
『ダオスを封印してからは そこに帰るわけにもいかず、 あてもなく南へと旅立ちました』 | |
『そして極度の緊張と疲労のため、 山の中で倒れてしまったのです』 | |
『衰弱した私を見つけ、 自分の家に連れ帰ってくれたのが アルザスでした』 | |
『彼はひとりで暮らしている 占星学者でした』 | |
『はじめのうちはひどくさめた目を していたけれど…』 | |
『一緒に暮していくうちに、 私たちは愛し合うように なったのです』 | |
『そしてかわいい娘が生まれ、 彼はその子にミントと 名づけました』 | |
『でも……そのときアルザスの体は すでに不治の病に 冒されていたのでした』 | |
『あなたが一歳になる前に、 看病の甲斐なく彼は亡くなり……』 | |
『私はあなたを連れて ふたたび法術の世界で生きていく 道を選んだのです』 | |
『父親が誰かわかって、 安心したかしら?』 | |
『でも、名前など知っても たいした意味はないのかも しれませんね』 | |
『あなたに話したいことは もっと深い── 人間に関することなのです』 | |
『また書くことにしましょう』 | |
『もうあまり時間がないような 気もするけれど』 | |
『この日記は万一のときに備えて、 私の夢の中においておく ことにします』 | |
『ミント──』 | |
『あなたがいつか 夢見の術を体得したときに、 表紙は開かれるでしょう』 | |
チェスター | しっかし、ひでぇよなぁ |
チェスター・バークライトは、足元に転がっている煤けた棒を蹴飛ばしながら吐き捨てた | |
チェスター | 見れば見るほど派手にやりやがって。なんていったっけ? |
クレス | マルス・ウルドール |
チェスターの横を歩いていたクレス・アルベインは答えたが、すぐにつけ加えた | |
クレス | もうその話はやめよう、チェスター。僕たちはこれからのことを考えるべきだよ |
チェスター | わかってるって。わかってるさ。けど、このありさまを見るとな |
チェスターは足を止め、見渡す限りの焼け野原を睨みつけた | |
アセリア歴四三〇四年── | |
ダオスを倒したのち、トーティス村に戻ったクレスたちを待っていたものは… | |
ダオスの部下によって焼き払われたままの故郷の姿だった | |
チェスターは妹のアミィ、クレスの両親たちをはじめ相当数の墓をすでに建てていたが… | |
それは再生への一歩というにはあまりにも遠く… | |
むしろ在り合わせの木材と石を拾って作った墓碑はわびしさを募らせているだけだ | |
湿った風がクレスたちの背後から吹きつけた | |
クレス | ひと雨くるかな |
チェスター | ああ、オレの言うとおり、さっさと掘っ建て小屋を作っておいて正解だったろ? |
クレス | そうだな |
クレス | ミントは大丈夫かな |
チェスター | ああ?おふくろさんの墓に行ったんだろ? |
チェスター | すぐ近くなんだから大丈夫に決まってるじゃないか |
チェスター | まあ、それだけミントのことが大切なんだろうけど |
クレス | べ、別にそんなんじゃないっ。雨が降ってきたら濡れるじゃないか。それだけだよ |
チェスター | だーかーら。子供じゃあるまいし、ちょっと濡れたぐらいじゃ死なねーよ |
チェスター | っとにおまえってわかりやすいよな |
クレスはきゅっと眉根を寄せると、ひとりでずんずん歩き出す | |
ブーツの下で、どこかの家で使われていた皿の破片がチャリッと音をたてて割れた | |
チェスター | おい、待てよ |
チェスターが苦笑しながら親友を追いかけて行ったあと… | |
雨の最初のひと雫が皿の破片に落ちた | |
水滴は皿の表面を滑り、付着した泥と一緒に地面に吸い込まれて消える | |
それはトーティスの惨状を洗い流そうとしているかのように見えた | |
瑠璃の夢 第一章 | scene1 |
ミント | ただいま |
ミント・アドネードが立て付けの悪い小屋のドアを押して駆け込んできたのは… | |
ふたりが戻ってからしばらくしてのことだった | |
チェスター | 遅かったな。あーあ、ずぶ濡れじゃないか |
クレス | ごめんよ、ミント。迎えに行こうかと思ったんだけど |
ミント | いいのよ。小屋はここしかないし、迷いようもないもの |
髪や服からぽたぽたと雫を垂らしているミントは… | |
クレスから清潔なタオルを受けとると微笑んだ | |
三人が村を再建すると聞いて、トリニクス・D・モリスンが用意してくれたもののひとつだ | |
クレスたちは、ほんの数日前までモリスンの家にやっかいになっていたが… | |
いつまでも村をほうっておくわけにもいかないと、ここに戻って来たのだった | |
廃材を集めてやっとふた部屋ある小屋を建てたところだが… | |
それすらもモリスンが持たせてくれた必要最小限の生活道具がなければ無理だったろう | |
チェスター | 着替えてくれば? |
ミント | ……ええ |
チェスターが気を利かせて言うと、ミントはクレスをちらっと見ながら頷いた | |
小屋は狭かったが、奥にとりあえず板で仕切られただけの部屋がこしらえてあった | |
クレスたちはミントがそこを使うべきだと主張し、なかば強制的に彼女の荷物を入れてしまったのだった | |
クレス | 火をおこしておくよ |
ミント | ああ、夕食の支度なら私が |
クレス | その前に体を暖めなくちゃ。ほら、風邪をひくから早くしたほうがいいよ |
ミント | (なんだか、私だけ悪いみたい……) |
もう、しばらく前から感じていることだが… | |
クレスもチェスターも自分を大事にしすぎているような気がする | |
とくにトーティスの村に戻ってからはろくに小屋を建てる手伝いもさせてくれなかった | |
ケガをしてはいけないから、というのがふたりの言い分だったが… | |
さんざん危険な目に遭いながらダオスを倒した仲間としては、素直に頷けない気分なのだ | |
ミント | (クレスさんたちにはこれから 村の再建という大変な仕事が 待っているんですもの) |
ミント | (私もできる限りのことを しなくては) |
ミントはタオルをきちんとたたみ直しながら、そう自分に言い聞かせた | |
クレス | だからさ、やっぱり聖レニオス教会を中心に考えたほうがいいよ |
クレス | なんてったってトーティスのシンボルだったんだし |
チェスター | そうだなあ。けど、でかいから石材がすごいぜ |
チェスター | まずは人が住めるようにしないとダメだ |
クレス | そうか |
ミントの作ったささやかな夕食をとったあと… | |
クレスとチェスターはテーブルいっぱいに広げられた白い紙の上で顔を寄せ合っていた | |
“新しい地図”とふたりが呼んでいるところの紙には、ほとんどなにも書き込まれていない | |
かつてふたりの家があった場所。その中間あたりにあるこの小屋 | |
それから教会と南の森がわずかに記されているだけだった | |
クレス | そうか……なあ、ここってなにがあったんだっけ |
クレスが小屋の南側をひとさし指で押さえる | |
チェスター | ゴーリの親父さんのとこだろ。忘れんなよバカ |
ゴーリは、早くに両親を亡くしたチェスターとアミィの親代わりをしていた、雑貨屋の主人だ | |
クレス | ごめん。けどこの作業って…… |
チェスター | 言うなよクレス。大変なのは最初からわかってる |
クレス | そうじゃなくてさ。怒るなよ、チェスター |
クレス | チェスターが村を元どおりにしたいって気持ちはわかるよ。でも、これって変だよ |
チェスター | なにが |
クレス | だって『ゴーリ』を作ったって、もう親父さんはいないんだよ |
クレス | 襲われる前のトーティスを再現したって、もうみんな帰ってきやしないんだ |
突然、チェスターがクレスをギロリと睨んだ | |
チェスター | じゃあ、おまえはどうしたいんだ? |
クレス | いや、具体的にどうって案があるわけじゃないけど… |
バンッ! | |
チェスターは両手でテーブルを叩くと眉を吊り上げる | |
食器を洗っていたミントは肩をビクンとさせ、そっと振り返った | |
チェスター | クレス。おまえには思い出がないのか!? |
クレス | ……あるよ。あるに決まってるじゃないか。僕はここで生まれて育ったんだ |
チェスター | だろう? |
チェスター | だったらせめて家や道場や教会なんかだけでも元通りの場所につくりたいとは思わないのか? |
チェスター | それに、考えなきゃならないのはオレたちのことより、死んでいった村人たちのことだろう |
クレス | …… |
クレスが首を傾げると、チェスターはじれったそうに口を開いた | |
チェスター | ほんっとにバカだな |
チェスター | いいか、オレたちは生きてる。その気になりゃあ世界の裏側で暮すこともできるだろう |
チェスター | だが、この村でなんの罪もなく殺されていった村の人たちはどうだ?もうどこへも行けやしないんだぞ |
幽霊、という言葉が思わずクレスの脳裏に浮かんだが、口に出すのははばかられた | |
チェスター | まさか、目に見えないものは存在しないだなんて思ってるわけじゃないだろうな |
クレス | ……それは、アーチェのこととか? |
チェスター | ちがう!!なんでここであいつが出てくるんだよ |
チェスター | そりゃ、どうせあいつは、見えないところで元気にやってるだろうが |
チェスターは大げさにため息をつくと | |
チェスター | じゃあ、こう考えてみろよ |
チェスター | おまえは毎日真面目に働いて生きていたにもかかわらずまきぞえを食って殺された村人だ |
チェスター | いまはもう魂だけになってふわふわと…… |
と、目を宙に泳がせた | |
クレス | わ、わかった |
クレスは苦笑しながら何度か頷き | |
クレス | チェスターのいうとおりだ。僕は、たとえ肉体を失っていてもこの村にとどまりたいと願うだろう |
クレス | だからチェスターはできるだけ昔のトーティスを再現したいってことなんだな |
と、確認した | |
チェスター | そうとも。やっと理解できたか |
チェスター | オレだって現実はわかってるつもりさ |
チェスター | 新しい村人を受け入れれば、昔の面影なんてなくなるぜ |
チェスター | だからせめて思い出の場所だけは確保したいんだよ |
クレス | だったらやっぱり教会は必要だ |
クレスがきっぱりと言い切る | |
チェスター | おふくろの葬儀をやったからか? |
クレス | それもあるけどさ。覚えてないか? |
クレス | 僕たちが人生最初の取っ組み合いをしたのはあそこの控え室だった |
チェスター | そうそう。おまえ、あのころから弱っちくてな~ |
クレス | チェスターこそ、目がこーんなに細くてさあ |
ふたりは顔を見合わせ、げらげら笑ってしまった | |
ミントが立っているのに気付いたのはしばらくしてからのことだった | |
ミント | ……あのう |
クレス | え? |
ミント | 火を落とす前にお湯を沸かしたので。お茶です |
どうぞ、とふたつのカップがコトリと音をたてる | |
クレス | ああ、ありがとう |
ミント | なにかお手伝いすることは? |
いや、と即座に首を振ったのはチェスターだった | |
チェスター | 今夜のところはないよ。先に寝てくれ |
ミント | でも、私にもなにかさせてください |
チェスター | そうだな……明日からはとりあえず留守番を頼みたいんだけど |
ミント | 留守番、ですか |
失望を気取られないように、ミントはさりげなく繰り返した | |
チェスター | ああ。オレとクレスは建築資材の買い出しに行こうと思ってるんだ |
チェスター | それがすめば村に大工たちが入ってくる |
チェスター | そしたらケガ人も出るだろうし、ミントの本領発揮さ |
ミント | そうですね。ケガ人なんて出ないほうがいいですけど |
ミントは微笑んで見せ | |
ミント | おやすみなさい |
と告げた | |
小部屋に引き取ると、ミントはごく簡単にしつらえたベッドに座り、暗闇の中でしばらくそうしていた | |
ミント | (どうしてこんな気持ちに なるのかしら…) |
ミントはいいようのない不安に襲われている自分に驚いていた | |
クレスとチェスターの話に入っていけない | |
自分はこの村の出身ではないのだから当然といえば当然なのだが、この疎外感はどうだろう | |
ミント | (私は必要と されてないのかもしれない) |
ミント | (……いいえ、そんなことないわ。 トーティスの再建に役立てることが きっとあるはずよ) |
もうすぐ建設が始まると、チェスターに聞いたばかりではないか | |
そうすればきっと賑やかで忙しい毎日になるだろう | |
ミント | (たぶん、あの旅の 刺激が強すぎたのだわ。 だから気が抜けてしまったのかも) |
ミントはきっとそうに違いないと自分に言い聞かせると、そっと横たわる | |
なにか大切なことを忘れている気がしたが、間もなく眠りに落ちてしまった | |
瑠璃の夢 第二章 | scene1 |
『ミント』 | |
『あわててこの日記を 書きはじめましたが…』 | |
『なんとか今日も母娘ふたり、 無事に夜を迎えることが できました』 | |
『いま、こうして耳をすますと となりの部屋であなたが静かな 寝息をたてているのが聞こえます』 | |
『窓の外は降るような星空です── 明るい月たちのまわり以外は』 | |
『ねえミント、夜空の星には 本当に人の未来や運命が わかっていると思う?』 | |
『なにを唐突にと、 笑わないでくださいね』 | |
『アルザスはそれを占星学者である 自身の一生のテーマとし…』 | |
『半分だけの結論を持って、 天に召されました』 | |
『半分とはどういうことなのか、 気になるでしょう』 | |
『アルザスはいつも こう言っていました』 | |
『「人間は生まれ落ちた瞬間に、 自分をとりまいていた 星の位置によって…」』 | |
『「一生の運命を 決められてしまうんだ」』 | |
『「それは宿命と言い換えたほうが 正しいかもしれない」』 | |
『「星は決して間違わないし、 誰もそこから逃れることは できないと言われているんだ」』 | |
『「でもね、メリル。 わたしは思うんだ。 人間は無力じゃない」』 | |
『「たとえ悲しみや苦しみが 襲ってくると 星が語っていても」』 | |
『「もしかしたら強い意志と力で それを捻じ曲げることが できるんじゃないだろうか」と』 | |
『彼は、アカデミーで占星学を 学んでいたときから とても優秀な学生だったそうです』 | |
『助手として残れば 教授の椅子も約束してやろう、と アカデミーから言われたそうよ』 | |
『それを断ったとき、 アカデミーの仲間うちでは…』 | |
『「アルザス・アドネードは 金を積まれてどこかの要人の 専属占星学者になったらしい」』 | |
『という噂がまことしやかに 広まったんですって』 | |
『もちろんそれはでたらめで、 彼はその噂に傷つき、 ひとり深い山中で暮らし始めたの』 | |
『そこで私たちは 知り合ったわけだけれど』 | |
『おかしいのは、アルザスは…』 | |
『「きみを山の中で見つけるなんて、 星は教えてくれていなかった」と 驚いていたこと』 | |
『この世に起きるすべての事象は 星によって語られているはずなのに なぜだろうと…』 | |
『あとになって何度もふたりで 話し合いました』 | |
『けっきょく、ダオス封印という とてつもなく強いできごとが…』 | |
『運命を変えてしまったのだろう という結論に達したのですが』 | |
『──もちろん、本当のところは わかりません』 | |
『あのとき、アルザスは こうつぶやきました』 | |
『「だったら自分で変えられる運命も あるかもしれないな」と』 | |
『当時は具体的な意味が わかりませんでしたが…』 | |
『すでに彼は自分の死期を 悟っていたのでしょう』 | |
『星がはっきりとそれを 示していたはずですから』 | |
『アルザスは、 あなたが一歳になる前に 亡くなったと書きましたね?』 | |
『そうです…… 彼は自分の運命を 変えられませんでした』 | |
『だから結論は半分、なのです』 | |
『でも、代わりにミント、 あなたという命が 生まれていました』 | |
『アルザスはいつも 私たち母娘の運命を 気遣ってくれていました』 | |
『彼が最期に私に語ったことを お話します』 | |
『どうか気持ちを強く持ってね』 | |
『アルザスは苦しい息の下で 言いました』 | |
『「言いにくいことだが──」』 | |
『「きみとミントをやがて 想像もできないような 恐怖が襲うだろう」』 | |
『「命も落としかねないような」』 | |
『「いまからちょうど一七年後の 星の巡りがそう語っている」』 | |
『「だが、残りの時間を使って なんとか運命を変えてほしい」』 | |
『「私がきみに出会うことを 予知できなかったような 思いがけない幸福によって」』 | |
『「生き延びてほしいのだ」』 | |
『「ミントがきみから強い意志と力を 受け継いでいれば、 不可能ではないだろう──」』 | |
『想像もできないような恐怖……』 | |
『私にはすぐにそれが ダオスのことだと わかりました』 | |
『けれど、私にはどうすることも できず、封印の祈祷をするのが 精一杯でした』 | |
『そして、今年がその 一七年目なのです』 | |
『正直に言いましょう』 | |
『私は、たぶんアルザスが言っていた “恐怖”によって、命を落とすのでは ないかと予見しています』 | |
『なんとかあなただけでも 生き延びてください』 | |
『私は、あなたがこれを 読んでくれることを祈っています』 | |
『読むということは、私の亡きあとも あなたは無事に生きていると いうことですから』 | |
『こんなに幸福なことはありません。 信じています──』 | |
クレス | ミッドガルズの商人が、どうしてトーティスにいるんです? |
チェスター | おまえも仲間か |
チェスターが少年に向って顎をしゃくると、カイムは弾かれたように首を振った | |
カイム | ちっ、ちがいますっ。僕の父はいまミッドガルズで小さな雑貨店をやっているんですけど |
カイム | 昔、ユークリッドにいたときにクレスさんのお父さんの道場に通っていたんだそうです |
カイム | それで……今度のことを人づてに聞いて…… |
少年が目を伏せると、横にいたローデルがふんと鼻を鳴らした | |
カイム | 父は僕にトーティスの村に行くようにと言いました |
カイム | 村がどういう状態になっているかはわからないけど、なにか僕にできることをお手伝いするようにと |
ローデル | ハッ、そりゃ殊勝なこった |
ローデルが笑うのを、ミントが遮る | |
ミント | そうなの、クレスさん。私、お母さんのお墓でカイムさんに会ってね |
ミント | 小屋まで帰ってきたんです。そうしたらこの人が中にいて…… |
ローデル | 鍵はかかっていなかったぞ |
ローデル | それに、泥棒が入ったところでこんなボロ屋、とられるものはなにもあるまい? |
チェスター | いちいち嫌味なやつだな |
チェスター | ミッドガルズから来た悪徳商人なんだろ?あんた、自分でそう言ったよな |
チェスター | ってことは、だいたい想像がつくぜ |
ローデル | ほう |
チェスター | シンソールで買い占めしたの、あんただろ |
ローデルはにやりと笑った | |
クレス | そうか。おかげで僕たち、ひどい目に遭ったんだからな |
クレス | いったいどういうことなのか、説明してほしい |
ローデル | もちろんだ。とにかく中へ入らないかね |
チェスター | 待てよっ! |
チェスターが追いかける | |
クレスもあとに続こうとしたとき誰かに袖をひっぱられた | |
カイム | クレスさん |
クレス | ああ、カイム君、だよね。なんだかバタバタしちゃって申し訳ない |
クレス | わざわざミッドガルズから来てもらうなんて……ええと、きみのお父さんが |
カイム | ええ。ミゲール先生の教え子でした。でも、そんな話はあとです |
カイム | あのローデルのことは噂で知っています |
カイム | ミッドガルズでも有名なやり手の建築商人で…… |
カイム | 大工をたくさん使って、かなり無理なことするらしいです |
クレス | そうか。教えてくれてありがとう。さあ、僕たちも中へ入ろう |
チェスター | はっきり言えよ、ローデル |
チェスター | 石材と木材を買い占めて、オレたちに何倍もの値段で売りつけようとしてるんだろっ! |
ローデル | 売りつけるだと!?こいつはいい! |
ローデルは突然大声で笑い出した | |
ローデル | そんなケチなことをどうして俺がせにゃならんのだ? |
ローデル | そっちの小僧に聞いてみるがいい。ミッドガルズのローデルといえば、少しは名が通っていると思うがな |
クレス | そうらしいよ |
クレス | 僕も最初、買い占めと聞いたときにはチェスターと同じことを思ったんだ |
クレス | でも、この人はたくさんの大工や職人を使ってるらしい |
ローデル | そのとおり。おまえら、トーティスの生き残りらしいな |
ローデル | 村を再建だと?バカを言っちゃいけない |
ローデル | おまえらだけでそんなことができるわけがない |
ローデル | 再建はこの俺がする。そしてこの先村を仕切っていくのも、俺だ |
チェスター | なんだって!? |
ローデル | これを見ろ |
ローデルはテーブルの上に懐から出した紙を広げた | |
クレス | あっ |
クレスたちにはひと目でそれがトーティスの地図であることがわかった | |
自分で作ったものとはくらべものにならない、精密で専門的なものに見える | |
驚いたことに、すでに地図にはどこにどんな建物を建てるのかが、ペンで細かく記されていた | |
クレス | (やっぱりこの男は 村を自分のものにしようと しているんだろうか) |
ローデル | 俺がこの村の悲劇を聞いたのは、ちょうどミッドガルズで大きな仕事をやり終えたときだった |
ローデル | 前まえから、ユークリッドにも拠点がほしいと思っていたんだ |
ローデル | そこで腕利きの職人を集めてやってきたというわけさ |
ローデル | シンソールでおまえたちの噂を聞いてきた職人がいて… |
ローデル | それで早馬で先回りさせてもらったというわけだ |
ローデル | 先住者なら、ひと言挨拶をしておくのが礼儀かと思ってな |
クレス | 職人の人たちは?一緒じゃないのか |
ローデル | 大部分は都の宿屋さ。とりあえず五〇人連れて来ている |
チェスター | そんなにっ |
チェスター | そりゃ資材を買い占めでもしないと、みんなに仕事が回らないか…… |
チェスター | って、おい、冗談じゃないぞ。オレたちのトーティスをよそ者に勝手にいじくり回されてたまるかよ |
ローデル | そんなことを言う権利はないはずだ。国王でもあるまいし、おまえたちの土地ではないのだろう? |
チェスター | そりゃそうだけど |
クレス | でもローデルさん。僕たちもシンソールで少しですが建築用の資材を買ったんです |
クレス | 馬と人手を借りて……一軒分とちょっとしかお金がなかったけど |
クレス | たぶん明日にはこちらに来るはずです |
ローデル | 一軒!?一軒では村とはいえないだろう |
ローデルは鋭い目をわざとらしく細めて嫌味たっぷりに言った | |
ローデル | なあ、悪いことは言わない |
ローデル | おまえたちの家を建てるならここに建てるといい。それくらいの自由はやろう |
ローデル | だが、あとはこちらに協力するんだ |
やなこった、とチェスターが吐き捨てた | |
チェスター | ちょっと聞くけどな、おっさん。家を何軒建てる気だ |
ローデル | 最終的には一〇〇ほど |
チェスター | ふん。じゃあ、そこに誰が住む? |
ローデル | 拠点がほしいと言ったろ。俺の仕事を手伝う職人を優先的に住まわせる |
チェスター | 大工村かよ |
チェスター | でもって、無理な仕事の取り方をしてもともとユークリッドで大工をしてた連中は日干しになるんだな |
ローデル | ほーう。なかなか世の中の仕組みを理解しているとみえる |
クレスはふたりのやりとりを聞きながら、ローデルが持ってきた地図を見ていたが | |
「あれっ」と声をあげる | |
チェスター | なんだよクレス |
クレス | いや、ここ……ほら、教会がない |
チェスター | ああ、本当だ |
地図には住まいのほか、村人の生活に必要と思われる店や、宿屋などが描き込まれていたが… | |
トーティスのシンボルだった教会はなかった | |
ローデル | 教会だと?ここか? |
ローデル | その場所なら宿屋を建てようと思っている |
クレス | それはダメです |
クレス | 聖レニオス教会は、トーティスの人たちの大切な心のよりどころだったんだから…… |
ローデル | トーティスは死んだんだぞ! |
突然、ローデルが大声をあげたので、クレスとチェスターはびくっと肩を震わせた | |
ローデル | 教会のことなんか知るか。神がいるならなぜこんなひどいことになったんだ!? |
ローデル | とにかく。俺はおまえたちに許可を取ったり、相談にのってもらうためにここに来たんじゃない |
ローデル | 挨拶しに来てやっただけでもありがたいと思えよ |
地図をたたむと、ローデルは | |
ローデル | 邪魔したな |
と言い捨てて立ち上がった | |
チェスター | ……どこに泊まってるんだ?これから都までもどるのか |
ローデル | まさか。途中で先乗りの職人たちが、野宿してるんでな |
ローデルが闇の中に消えていってしまうとクレスは親友を表に連れ出した | |
クレス | なあ、どうする? |
チェスター | どうするったって |
ふたりは夜気の中で途方に暮れてしまう | |
クレス | 僕たち以外の誰かがトーティスを再建するなんて、考えもしなかったなあ |
チェスター | ああ、確かに。しかし、もしオレたちの手で村を元どおりにできたとしても…… |
チェスター | 誰が住むのかはわからないわけだよな |
クレス | そうだけど、あの男のやり方は…… |
チェスター | まあ様子を見るしかないだろうよ。明日にはオレたちの資材が届く。とりあえずはそっちが先だ |
チェスター | オレたちはともかく、ミントにはちゃんとした家が必要だろ |
チェスター | 彼女を安心させるためにもそのほうがいい |
チェスターはクレスの肩をポンと叩いた | |
──その夜、ミントは不思議な夢を見た | |
ミント | (どこかしら、ここは……) |
初めてクレスと時空を超えたときの草原に似ている気もしたが、はっきりと周囲が見えない | |
といって、夜ではなさそうだ | |
空には昼の明るさがないかわりに、冷たい暗さもなかった | |
ミント | (太陽も、月も星も出ていないわ) |
ミントは空を見上げて首をかしげる | |
こんな色は見たことがない、よく知っている青空よりもずっと濃い、澄みきった青だった | |
しばらく空を見ているうちに、ミントは、自分が浮かんでいるような気分になってきた | |
草原だったはずの地面はもうなく、そこも濃い青で満たされているのを眼下に見ることができたからだった | |
しかし、恐怖はない | |
ミント | (なにかしら、この気持ち…… なにかをしなければ いけない気がする……) |
ミント | (誰かを呼ばなくちゃ いけない気がする……!) |
ミントは焦り、そこにないはずの地面を蹴った | |
すると、くるりと体が一回転する | |
窮屈な卵の中で動く、誕生間近の魚になったような感じがした | |
しかし次の瞬間、狭まっていた空間が一気に無限に広がるのがわかった | |
目が覚める | |
ミント | (なんだったのかしら。いまの夢) |
チェスター | よう、早いな |
ミント | あ……おはようございます |
チェスター | 小僧は? |
ミント | まだ寝ているわ |
チェスター | そうか |
チェスターは小屋のまわりの土地をならしているのだと言い、それから怪訝そうに訊ねた | |
チェスター | どうかしたか?クレスなら水を汲みに行ってるけど |
ミント | いいえ、なんでもありません |
夢を見たと言うのは簡単だが、説明するにはあまりにも漠然としすぎていた | |
ミント | あのう、チェスターさん。私、考えたのですけれど |
チェスター | なに? |
ミント | モリスンさんのところへ行ってきてもいいでしょうか |
言ってしまってから、ミントは自分に驚いていた | |
いまのいままでモリスンのことなど、まったく考えていなかったからだ | |
チェスター | そうだな。オレたちも昨日のおっさんのことを早く報告しなくちゃと思ってるんだけど |
チェスター | こっちを放っていくわけにもいかないからな |
ミント | ええ。ですから私が行ってきます。これからどうすればいいか、相談を…… |
ミント | もしかしたらこちらに来てくださるかもしれませんし |
チェスター | 助かるよ。クレスには、もう話したんだろ? |
ミント | いいえ |
チェスター | いいえって、ミント。そういうことはまずクレスに話してだな…… |
チェスターがとまどったとき、当のクレスが戻ってきた | |
クレス | おーい、水は外においておくからな。きょうから人が増えるし、多めに汲んでおいたよ |
ミントとチェスターの視線が一瞬からまった | |
クレス | ああ、ミント起きたのか。おはよう |
朝陽に透ける金髪を掻きあげながら、クレスはにっこりする | |
ミント | おはようございます |
ミントは礼儀正しく会釈すると、そそくさと出かける準備をし | |
ミント | それでは行ってまいります |
と杖を片手にふたたび頭を下げた | |
クレス | あ?なに?行ってきますって、ちょっとミント! |
クレスが追いかけようとするのを、チェスターがぐいと引き戻す | |
クレス | なっ!?なんだよ。離せよチェスター |
チェスター | 大丈夫だ。ミントはモリスンさんの家に行ったんだ |
クレス | なんだって? |
チェスター | ほんとに、なにも聞いてないらしいな |
クレス | ……うん |
チェスター | 立ち入ったこと聞きたくないんだけどさ。ミントとなんかあったのか? |
クレス | へっ? |
チェスター | なにマヌケな声出してんだよ。トーティスに戻ってきてから、ずっと変だろ |
クレス | たしかに……あんまり喋らないなとは思ってたけど、ミントはもともとおとなしいし…… |
クレス | お母さんの墓の近くにいるせいでいろいろ考えてるんだろうと……つまり、悲しんだり、懐かしんだり |
クレス | 違うのかな |
チェスター | なにもなければ、なんでおまえの顔を見るなり逃げるように行っちまうんだ? |
クレス | うーん |
クレスが唸ったとき、小部屋からカイムが出てきた | |
寝癖のついた髪がぼさぼさしており、彼をいかにも少年という感じに見せている | |
カイム | おはようございますクレスさん、チェスターさん。寝坊しちゃってすみません |
クレス | いや、まだ早いよ。眠れたかい |
ええ、と言いながら、少年はさりげなく小屋の中を見回した | |
チェスター | ミントなら留守だ。だから朝飯はおまえにまかせた。作れるか? |
カイム | あ……ええ、はいっ、うちは両親が店で忙しいので、僕がしょっちゅうやるんです |
カイム | 仕事をもらえてうれしいです。おいしいの作りますから |
チェスター | いや、ロクな材料がねーんだ。期待はしてない |
チェスターが土ならしの続きをしに出ていってしまうと、カイムはクレスに聞いてきた | |
カイム | どこに行ったんですか、ミントさんは |
クレス | 知り合いのところだよ |
クレス | ほら、昨日思わぬ横槍が入っちゃったから、たぶんそのことを相談しにいったんだと思うけど |
カイム | そうですか。ねえクレスさん── |
カイム | たしかにローデルはミッドガルズでもいろいろ噂のあるやつですけど、村ができていくのは楽しみですね |
クレス | え!? |
カイム | よそ者の僕がこんなこと言ったら、気を悪くするかもしれないけど…… |
カイム | このままよりは、きっとずっといいです |
カイム | だから、ローデルとうまくいくといいですよね。なんて、無理かな |
カイムは笑った | |
クレスも思わずつられて笑ってしまいながら、確かにそうだなと思う | |
クレス | (あの無惨な思い出を 晒しているよりは…) |
クレス | (早く新しい村を 作ってしまったほうがいいよな) |
クレス | (僕たちの希望を通すように 頑張るのは相当大変そうだけど) |
ふと、ミントの横顔が浮かんだ | |
クレス | (帰ってきたら話をしてみよう。 様子が変だなんて、 チェスターの思い過ごしだよな) |
瑠璃の夢 第三章 | scene1 |
『ミント』 | |
『アルザスが息を引き取る直前に 言い残した言葉については、 すでにお話しましたね』 | |
『私とミントを襲う恐怖のことです。 でも、心配しないでください』 | |
『あなたを安心させるためにも、 今夜はもう少しくわしく 書こうと思います』 | |
『星の巡りによると…』 | |
『私は何者かにとらわれ、 非業の死をとげかねない らしいのですが…』 | |
『ミントの運命は そうとは限りません』 | |
『私に死がもたらされれば…』 | |
『引き代えに天はあなたに 素晴らしい贈り物をすると 囁いているそうです』 | |
『贈り物って、なんでしょうね』 | |
『私たちふたりの生活に、 ついぞ縁のなかった 宝石や金貨ではないでしょう』 | |
『美しい法衣や杖でもありませんね、 きっと』 | |
『もしかしたら愛する人を 見つけたのではありませんか?』 | |
『だとしたら、いまごろは きっといろいろなことに 戸惑ったりもしているでしょう』 | |
『アルザスと共に暮らし はじめたころ、私はよく不思議な 感覚にとらわれていました』 | |
『彼が素っ気なかったせいも ありますが…』 | |
『近くにいればいるほど、 なぜか自分の存在が ぼやけてしまい…』 | |
『心許なくさみしい感じが したのです』 | |
『私は星のこともよくわからないし、 法術師でありながらなんの役にも 立っていない気がして』 | |
『そのくせごくたまに 彼が町まで買い出しに行って 山の中の家でひとりにされると』 | |
『強い孤独にさいなまれました』 | |
『けっきょく、 どんなにアルザスの 口数が少なくても…』 | |
『私にとっては彼と一緒にいるのが いちばんの幸せなのだなあと 考えるようになったのです』 | |
『ほんの数年、短い間でしたが、 一緒に生きることができて 私は幸せだったと思います』 | |
『ミントがどんな男性と 愛し合うようになるのか いまの私にはわかりませんが…』 | |
『その人がどこで生まれ、 どこに住んで何をしていようと…』 | |
『とにかくできる限り 一緒にいてあげなさい──』 | |
『天がくれた贈り物が、 あなたの真の居場所だといいなと 私は思うのです』 | |
ミントがトーティスの村に戻ると、様子は一変していた | |
そこここで、家の建築がはじまっていた | |
まだ土台の段階ではあったが… | |
数十人もの男たちが汗を垂らしながら石を積んだり重たそうな鋸で木材を切ったりしている | |
ミントは早足で小屋まで戻った | |
カイム | あっ!? |
台所にいたカイムが気配に振り返り、ぱっと顔を輝かす | |
カイム | ミントさんっ。お帰りなさい |
ミント | ……なにをしているの? |
這いつくばっている少年に、ミントは怪訝そうに訊ねた | |
カイム | 家具とか食器とか、全部運び出すんです。ここに新しい家を建てるので…… |
カイムはぐずぐずと立ち上がると、言いにくそうに続けた | |
カイム | ほんとは、もうとっくにこの小屋はなかったはずなんですけど…… |
カイム | シンソールからの資材と大工の人たちの到着が遅れたので…… |
ミント | そうだったの。そうですよね、もう取り壊されているはずだったんだわ |
ミント | クレスさんたちは? |
カイム | チェスターさんと一緒に南の森です |
ミント | 南の森?まさか猪狩りじゃないでしょうね |
カイム | なんですか猪って。この間もそんなこと── |
ミント | ああ、あのふたり、子供のころから、しょっちゅうあそこで猪狩りをしていたらしいの |
へえ、とカイムは一瞬目を耀かせかけたが | |
カイム | きょうは違いますよ |
と笑った | |
ミント | とにかく行ってみるわね |
カイム | 待って、僕も |
クレス | ミントーっ! |
なだらかな草地に足を投げ出して座っていたクレスは… | |
ミントの姿を見るなり両手を高く挙げた | |
チェスター | よう。無事に戻ったな |
チェスター | ミント、こっちがオレたちの家を作ってくれる大工のレイニーだ |
レイニーと呼ばれた小柄な中年男は | |
レイニー | よろしくお嬢さん |
と微笑んだ | |
レイニー | こっちは見習いのリフだ |
リフはカイムと同い年くらいだろうか | |
ひどく痩せており、ひょろりとした首を折って無言で会釈した | |
クレス | で、どうだった?モリスンさんは |
ミント | ええ。お金のことは気にするなって…… |
ミント | いまやっている仕事が一段落したら様子を見にきてくれるそうです |
ミント | モリスンさん……自分たちの信念を曲げるなって |
ミント | ダオスを倒したときのことを思い出せって |
チェスター | 大げさだなあ。ローデルの野郎はただのおっさんだぜ |
チェスター | ダオスと一緒にするにはもったいねーよ |
チェスターが吐き捨てるように言う | |
ミント | もしかして私が発ったときより、状況は悪くなっているのかしら |
レイニー | 悪いもなんも、お嬢さん! |
レイニー | シンソールでクレスさんが押さえた大工を、ローデルは出発直前に金で釣ったんだ |
レイニー | 一緒に来るはずだった四、五人はいま、村で土台を組んでるぜ |
ミント | あなた方は誘われなかったんですか? |
レイニー | 誘われたさ、もちろん。なんてったって俺は腕はいいんでね |
レイニー | しかし、職人ってのは金で転んでるうちは二流なのさ |
レイニー | 俺は最初に雇われたところで、約束どおり最高の仕事をするのが信条なんだ |
ミント | まあ。よかったですね、クレスさん。いい方で |
チェスター | よくねえよミント。あっちは五、六〇人はいるんだぜ。資材もたっぷり |
チェスター | あっという間に、ローデルのユークリッドの拠点である大工村が、ここに完成しちまう |
チェスター | そんなのトーティスとは言えないだろ |
ミント | ……ごめんなさい |
クレス | 気にするなよミント。こいつはここのところ、ずっとカリカリしてるんだ |
ミント | あ、いけない |
ミントはパチンと手を合わせ | |
ミント | 大切なことを忘れていました。あのね、クレスさん |
ミント | モリスンさんからの伝言なんですけど… |
ミント | 以前トーティスに住んでいた人たちの名前を教えてほしいんですって |
クレス | 名前?全員の? |
ミント | ええ、そうだと思います。わかりますか |
クレス | うん……わかると思うけど、どうしてまた |
ミント | さあ……理由は言ってませんでした |
クレス | ふうん、そうか。とにかくそれは早急にやるよ |
ミント | お願いしますね |
ミントは曖昧に微笑みながら、私ったらバカみたいだわ、と思う | |
ミント | (ちゃんとモリスンさんに 聞いてくればよかった) |
ミント | (これじゃ子供のお使いみたい) |
クレス | 僕も忘れてたぞ |
ミント | え? |
クレス | 家のことなんだけど。レイニーの相談に乗ってやってくれないか |
ミント | 私がですか |
クレス | やっぱりミントが使いやすいように作ったほうがあとあといいだろ |
ミント | …… |
クレス | あ、いや。別に深い意味はないんだ |
クレス | ただ……しばらくは家が一軒しかないわけだし…… |
ミント | わかりました |
ミントはトクトクと音をたて始めた心臓を意識しながら答えた | |
ミント | (そうよね……) |
ミント | (ふたりきりではないけれど、 クレスさんときちんとした家で、 一緒に暮らすんだわ) |
ミント | (旅ではなく、 戦いのためでもない……) |
ミント | (これからはそういう、 ごくあたりまえの生活を するのよね) |
体が熱くなってくることに、ミントは心地よさを抱いていた | |
それから、問題が山積しているのに幸せを感じている自分を、ちょっぴり恥じた | |
クレスたちがローデルと衝突したのは、その日の夕方のことだった | |
小屋はすっかり取り壊され、みんな空腹を押さえきれない時刻になった | |
廃材で火を起こして夕食の支度をすることになり… | |
カイムとリフは暗くならないうちにと川まで新鮮な水を汲みに行ったのだった | |
チェスター | おい、あいつら遅くないか? |
クレス | そういえば…… |
レイニー | どれ、見てくるよ |
レイニー | どうせ水遊びでもしてるんだろ。ふたりともまだ子供みたいなもんだし |
レイニー | え…… |
レイニーはほんの数秒、暗闇を透かして眉を細めていたが、突然ダッと走り出した | |
レイニー | リフっ!?どうしたんだ、お前っ! |
クレスたちもあわててレイニーの走っていった方向を見つめた | |
ひょろひょろした影が二、三度揺らめいたと思うと、ドサリと倒れる音がした | |
レイニー | リフっ、リフっ!?おい、しっかりしろ |
レイニーに抱き起こされて、見習いの少年は呻いた | |
薄闇の中でも、あちこちケガをして、ひどく殴られたような顔をしているのがはっきりわかった | |
リフ | ううっ……力……カイムがまだ、川……に |
チェスター | なんだと!?くっそう。あの親父、ふざけやがって!!!!! |
クレス | ダメだ、チェスター!落ち着けっ |
チェスター | うるせぇよ! |
チェスターはひとまとめにしてあった荷物の中から弓と矢筒を引っつかむと川に向かって駆け出した | |
クレス | ミント!リフを頼んだぞ |
クレスは叫び、あとを追った | |
ミント | レイニーさんっ、火が消えかかっています!薪を足して、お湯を沸かしてください |
レイニー | けど、リフが…… |
ミント | それは私にまかせて!ああ、水は瓶に残っている分だけでいいですから、早く! |
てきぱきと指示を出しながら、ミントは地面に仰向けに寝かされた少年の顔を覗き込んだ | |
ミント | ヒール! |
背後でパチパチと薪がはぜた。チャプンという水音 | |
レイニー | ……お嬢さん? |
荒れた大地を踏みしめて近づく足音にミントは振り返る | |
心配そうなレイニーの顔が肩越しにリフを覗き込む | |
ミント | もう大丈夫ですよ |
レイニー | え |
ミント | さあ、火のそばに寝かせてあげてください |
レイニー | これは……!?あんた、いったいなにをしたんだ。どうやって治した? |
ミント | 私の母は……昔、法術院にいたんです。それで少し習ったことが |
レイニー | 法術師、なのか |
レイニーはリフを抱きしめると、頭を下げた | |
クレス | いたぞっ!カイムっ、僕だ。しっかりしろっ |
岸辺に上半身を横たえたカイムは、腹部から下を水になぶられながら必死で這い上がろうとしていた | |
クレス | ほら、つかまって |
カイム | ク、クレスさん……。すみません、僕…… |
チェスター | おいっ、クレス。来るぞ。大勢だ……二、三〇? |
矢筒から抜いた矢を番えようとする親友の手を、クレスは素早く押さえつけた | |
チェスター | なにするんだっ |
クレス | ダメだったら。もし当たったら大変なことになるぞ |
大工 | おーい、まだ誰かいるのか。早くテントに戻らないと、また食いっぱぐれるぞ |
どっと笑い声があがる。かなりの人数だ | |
なんだ?という視線をチェスターに向けられ | |
クレス | さあ。大工たちみたいだけど…… |
ズザッ! | |
すぐそばを駆け抜ける足音に、チェスターは目にもとまらぬ速さで弓を構えた | |
チェスター | 止まれっ!止まらないとズブリだからなっ |
足音がぴたりとやむ | |
数十人はいるらしい男たちもシンと静まり返った | |
チェスター | オレの弓は狙いをはずさない。クレスの剣の腕は超一流だぞ |
クレス | おい、チェスター |
クレスが一歩進み出ようとしたとき | |
??? | おい、明りを貸せ |
松明が大きく揺れ、聞き覚えのある声が響いた | |
クレス | ローデル!? |
ローデル | ふん。クレスにチェスターか。なんの騒ぎだ? |
ローデルは大股で近づいてきながら、ふたりにそう訊ねた | |
瑠璃の夢 第四章 | scene1 |
『ミント』 | |
『きょうはダオスについて 書いてみたいと思います』 | |
『ですがダオスが誰で、 どんな人物であるのかについて…』 | |
『ここでくわしく触れるのは やめておきます』 | |
『世界の脅威であったということ くらいはあなたも 知っているでしょうし…』 | |
『彼のやったことについて 書きたいわけではないからです』 | |
『かつてダオスを封印したとき、 私はもちろんひとりきりでは ありませんでした』 | |
『ミゲールとマリア、 そしてトリニクスという 仲間がいたのです』 | |
『私たちは、大変な苦労の末、 ユークリッド南部の地下墓地に ダオスを封印しましたが…』 | |
『仲間にも一度も 言ったことがないことがあります』 | |
『それは、ダオスの行ないにも なにか理由が あったのではないかという疑問』 | |
『つまり、モンスターを操り、 世界を支配し、 人々を恐怖に陥れるには…』 | |
『それだけの事情が あったのかもしれないと 思ったのです』 | |
『あるいは──本当にただの 狂人だったのかもしれませんが』 | |
『戦っているときは それでも夢中でしたが…』 | |
『封印後にその思いは 強くなりました』 | |
『私が法術師だからかもしれません』 | |
『甘いことをと言われるでしょうが、 私にもっとカがあって彼の心を 癒すことができたなら…』 | |
『状況は違っていたかもしれません』 | |
『私が言いたいのは──ミント』 | |
『もしいまあなたにとって敵だと 思える人がいても、優しくして あげてほしいということです』 | |
『人にはそれぞれ 物語と歴史があります。 どんな平凡な人にも』 | |
『それを忘れずに、 決して一面的に見ないでください』 | |
『目を凝らし、 細心の注意を払わなければ、 真実は見えないものです』 | |
『あなたが自身の法術を 深めて行くためにも、 覚えていてくださいね』 | |
チェスター | よーし!そっちにロープの端を引っかけるんだ!あわてるなよっ |
クレスたちはみんなで崩れ落ちた教会の石塔をまっすぐに建て直そうとしているところだった | |
ミントは圧倒され、声をかけそびれて少し離れた場所から彼らを見つめた | |
クレス | おはよう。なんでそんなところに立ってるんだ? |
ミント | あ、いえ。カイムさんとリフさん、元気になったなと思って…… |
カイム | おかげさまで |
カイムが頭を下げると、リフもうっすら笑ってミントを見た | |
チェスター | よーし。梃子と鎖でなんとかなるだろ。朝飯の前に片づくといいんだけど |
チェスターが意味ありげに言ったので彼女はハッとなった | |
ミント | ごめんなさい!すぐ支度をしますね |
朝食はスープとパン粥、モリスンが持たせてくれた少しばかりの干肉だけだった | |
大工1 | うまいや。ローデルのテントの飯とは大違いだ |
大工2 | ほんとほんと。お世辞じゃないよ、ミントさん |
大工たちは口々にミントの味つけを誉めた | |
ミント | 明日になったらきっと材料がたくさんくるでしょうから、分けてもらいましょうね |
ローデルがシンソールで料理女の手配をすると言っていたのを思い出してそう言うと | |
チェスター | さて、それだよ |
とチェスターが難しい顔になる | |
チェスター | 明日になったらあいつらが来る。それまでになんとか教会のカッコをつけないと |
けっきょく石塔は重過ぎて動かなかったのだった | |
レイニー | チェスターさん。話では聖レニオス教会はあとで建て直すんだよな |
チェスター | もちろん |
チェスター | とにかくあそこは教会の敷地で、宿屋を造るところじゃないってことをあのおっさんにわからせりゃいいんだ |
レイニー | ふーむ。どうせ塔を乗せようにも、屋根も壁も粉々だしな…… |
レイニー | じゃ、やっぱり少し壊すか |
クレス | (なるほど。塔の足元を壊して、 軽くするわけだな) |
クレスは、それも仕方ないかと思いながら、隣りのチェスターに視線を当てた | |
キッと唇を結び、なにごとか考えている様子だ | |
クレス | ははーん |
クレスが笑いを含んだ声をあげると、チェスターはハッと我に返る | |
チェスター | な、なんだよっ。変な声出しやがって |
クレス | いま、思ってたろ |
チェスター | え |
クレス | アーチェのこ……と……! |
思いっきり口を塞がれて、クレスはくくく、と息を漏らした | |
クレス | は、離せよ。図星だろ?いいじゃないか、別に思ったってさ |
クレス | 僕だってちらっと考えないわけじゃなかった |
クレス | アーチェがいれば魔法で塔を起こすことくらい、それこそ朝飯前なのにって |
チェスター | うるさい。あいつの魔法は破壊専門だ |
クレス | く、苦しいったら。あははは、チェスター、やめろってはははは |
呆れたレイニーがひき剥がすまで、ふたりは叫び合っていた | |
ローデルが村に到着したのは、昨日と同じような太陽が照りつけだしてからのことだった | |
ローデル | なんだこれはっ |
大工 | 俺が来たときにはもう、こうなってたんです、親方 |
大工 | どかそうにも祟りがあるっていわれると怖くて…… |
ローデル | 祟りだと? |
ローデル | チェスター!クレス!どこだ!? |
チェスター | ──呼んだか? |
塔の向こう側から現われたのはチェスター以下一〇人の男たちだった | |
チェスター | 待ってたぜ、親方 |
ローデル | これはなんの真似だ |
チェスター | さあ |
チェスターはにやにやしながらとぼけてみせた | |
チェスター | オレたちも驚いてるんだ。聖レニオスの日の奇跡ってやつかな |
チェスター | 昨日の朝起きてみたらこうなってたんだ |
チェスター | 村人たちの魂がこの教会を必要としてるってメッセージかもしれないなあ |
ローデル | はっ、なーにが奇跡だ |
おい、とローデルはチェスターとクレスを交互に睨みつけた | |
ローデル | この石についてるロープと鎖の跡……それから、聖レニオスは斧も使うとみえる |
クレス | …… |
鋭い目をまともに向けられ、クレスは思わず視線をそらしそうになったが、持ちこたえる | |
ローデル | 足元の新しい割り口……こりゃあ斧だろ? |
ローデル | しかも俺の目に狂いがなければ、この現場で使ってるやつと、刃の幅が同じときている |
チェスター | なんのことだか |
チェスターがせせら笑うと、ローデルの顔はみるみる朱に染まった | |
ローデル | 騙したな!聖レニオスの誕生祭だと? |
ローデル | ふざけやがって、大事な仕事を一日潰しやがった! |
ローデルはチェスターに跳びかかると、胸ぐらを掴んだ | |
ローデル | おかげで大工たちがミッドガルズに戻るのが一日遅れた! |
ローデル | これがどういうことだかわかるか!? |
チェスター | 知らねーよ |
ペッと男の顔に唾を吐いたチェスターは、次の瞬間、数メートル吹っ飛んでいた | |
クレス | チェスター!大丈夫かっ? |
クレス | ローデルさん。確かに、塔を起こしたのは僕たちです |
クレス | 昨日の夜までかかりました。重過ぎたので斧も使いました |
クレス | でも、こうでもしなきゃ、この教会の敷地に宿屋が建てられてしまう! |
クレス | 前にも言ったけど、この教会はトーティスの人たちにとっての心のよりどころだったんです |
クレス | 確かに村は全滅して死んだかもしれません |
クレス | でも僕にだって思い出はある。チェスターだって…… |
ローデル | …… |
クレス | わかってほしいんです。トーティスはまだ僕らの中に生きてるって |
ローデル | そんな甘い考えが通用するとでも思うのか |
クレス | 宿屋なら、もともとこの東南にありました。同じ場所に建てればいい |
ローデル | いよいよもって話にならん。これまでだな |
ローデルは大工たちを集めると、なにごとか指示を与えはじめた | |
カイム | クレスさん。僕たちが昨日やったことは、ムダだったんでしょうか |
カイム | あいつら、塔を撤去するつもりですよ |
クレス | 仕方ないさ。僕らの気持ちを示せただけでも良しとしないと |
一か月が過ぎた | |
あの石塔の事件以来、親方は完全にクレスたちを無視し続けており… | |
おたがい勝手に仕事を進めているという状態だった | |
よほど大切な事柄に限って、唯一の架け橋であるミントを通じて伝えられた | |
が、クレスたちが驚いたことに、ローデルは石塔を撤去しなかった | |
そんなことに貴重な労力を使うのはバカバカしいとばかりに、放置してあるのだ | |
宿屋は、クレスの提案のためかどうかはわからなかったが… | |
ゴーリの店の東側にあった以前の宿屋の跡地に建てられた | |
チェスターもクレスもローデルの真意をはかりかねていたが… | |
日を重ねるにつれ、あの不格好な石塔が新生トーティスのとりあえずのシンボルのように思えてきていた | |
わずかずつだが、村らしい形をとり始めたトーティスには… | |
噂を聞きつけた行商人が立ち寄るようになった | |
ある日、ユークリッドの都へ行く途中だという行商の男が、ミントあての手紙を持ってきた | |
ミント | まあ、モリスンさんからだわ |
そこには、なかなかトーティスに行けなくて申し訳ないという詫びと… | |
ミントたちへの気遣いが、モリスンらしい簡潔さで綴られていた | |
ミント | 『……それから、この間頼んだ 村人のリストを急いで 届けてほしい』 |
ミント | 『ところでミント、 夢見のほうはどうだ?』 |
ミント | 『夢覗きの布が役に立っていると いいのだが』……モリスンさんたら |
ミントは苦笑した | |
瑠璃色の布は寝具として使わせてもらっていたが、夢見が順調かどうかはわからない | |
ときおり瑠璃色の夢を見、革表紙の本はいつもそこにあるようになったが… | |
相変わらず触れることができないままで目が覚めるのだった | |
ミント | クレスさん、クレスさん |
ミントは手紙をしまうと、家の裏庭で作業をしているクレスのもとへ走った | |
クレス | どうしたんだい |
窓枠と格闘していたクレスは、汗だくだった | |
ミント | あのね、モリスンさんから手紙が来たの |
ミント | 私ったらひと月も放っておいて……頼まれたもの…… |
クレス | なんだっけ。ああ、トーティスに住んでいた人たちの名前? |
クレス | 忙しくて、それどころじゃなかったもんなあ |
ミント | 急いで欲しいって。今夜からできるかしら |
クレス | ああ、やるよ |
クレスが頷くと、ミントは安心したように戻って行った | |
クレス | なあチェスター |
チェスター | やだ |
クレスの背後で石の面取りをしていたチェスターは即座に言い放つ | |
チェスター | やなこった。オレは手伝わない |
クレス | なんだよお。モリスンさん急いでるらしいじゃないか |
チェスター | バカだな。おまえ、オレが心配してるの忘れたのか? |
チェスター | いいチャンスじゃないか。ミントとふたりでたまにはゆっくり話をしろよ |
チェスター | 必要なのは台所の設計の話だけじゃないだろ |
クレス | でも…… |
チェスター | いいかクレス。考えてもみろよ |
チェスター | オレたちには故郷だが、ミントにとっちゃこんな村、なつかしくもなんともないんだ |
チェスター | もっと優しくしてしっかりつかまえとかないと… |
チェスター | 新生トーティスの完成とともに、どこかへ行っちまうかもしれない |
クレス | ミントが……どこかへ?彼女がいなくなるなんて考えられないよ |
チェスター | そうだ。素直で大変よろしい |
チェスター | 同じ時代、同じ村 |
チェスター | 毎日一緒にいられて、おまえらほんとに恵まれてるんだってこと、忘れないでくれよな |
クレス | チェスター |
クレス | (やっぱりアーチェがいなくて つらいんだな) |
親友が背中で言った言葉に… | |
クレスはあらためて、自分たちが経験したあの旅は紛れもない現実だったのだと思った | |
その晩、クレスとミントは新しい自分たちの新しい家のテーブルで向かい合っていた | |
クレス | うーんと |
クレス | まず、ゴーリの親父さんだろ、仕立て屋のニルのとこは、奥さんと子供が……何人いたっけな |
クレス | あとは金物を扱ってたのが…… |
ミント | クレスさん |
ミントはペンを持った手でクレスを遮った | |
彼女はクレスが思い出した人物を紙に書きとめていく係を引き受けていた | |
ミント | そうやってバラバラ思い出すと時間がかかるでしょう |
ミント | こうしたら?地図を見て端から埋めていくの |
クレス | そうだね。確かにそのほうが早い |
クレスは目を閉じ、村の門を思い浮かべた | |
クレス | (ここを潜ると、最初に大きな木が あるんだよな──) |
クレス | (そこを過ぎると 家並みがはじまるんだ) |
クレスは目を閉じたまま鮮やかに甦る村の光景を眺め… | |
そこに生活する気のいい知り合いたちの名を次つぎ口に出していった | |
突然、クレスの脳裏に、賑やかだったころのトーティスが丸ごと現われた | |
溢れる光や、笑いさざめく女たちの服、道場から響く威勢のいいかけ声 | |
マリアの作る暖かい夕食の匂いテーブルに飾られたオレンジと黄色の花── | |
アミィが焼いてきたパイの焦げ── | |
自分でも気がつかないうちに、クレスは泣いていた | |
ミント | さん……クレスさん? |
クレスはハッと我に返った | |
彼は真っ赤に充血した目で、心配そうにこちらを見ているミントを見つめ返した | |
クレス | もう……二度と帰ってこない。みんな、なくなってしまったんだ……大切だったのに |
ミント | クレスさん…… |
ミントはそっと手を伸ばすと、クレスの濡れた頬に触れる | |
クレスは微笑むと、その手を掴んだ | |
クレス | ありがとう、ミント。でも、大丈夫だよ。僕に法術は必要ない |
ミント | そう? |
きみがいれば、とクレスは口の中でつぶやいた | |
ミント | 続けられるかしら |
クレス | もちろん |
クレスはもう一度、さっきの門から入り直してみることにした | |
今度は冷静に村を眺めることができた | |
瑠璃の夢 第五章 | scene1 |
『ミント』 | |
『急いで書きます。 いつにも増した危険を感じます。 これが最後になるかもしれません』 | |
『私たちはおそらく、 ダオスの封印を解く鍵として 扱われるでしょう』 | |
『誰よりも私たちに愛されていたと、 これからも愛されていくのだと 自信を持ってね』 | |
『そして、あなたのそばにいる人を 愛していってください』 | |
『私が今も、 そして死んだのちも アルザスと共にあるように』 | |
『これから私は最後の時間を使って、 この日記帳を夢見の術で封じます』 | |
『いつかあなたが これを読んでくれることを 祈りつつ──』 | |
『追伸:ずっと以前この術のことを 話したら、アルザスは瑠璃色に 大変興味を持っていました』 | |
『瑠璃というのはあなたが 今いる場所の色のことです。 わかりますね?』 | |
『あなたのお父さんは 空の色を連想したようでした』 | |
『ここに、あなたあての手紙を はさんでおきます』 | |
短い夜が明けようとしていた | |
ローデル | うう……っ |
ローデルのうめき声に、ミントは、ハッと目覚めた。 | |
ミント | (……夢?) |
瑠璃色に輝くあの場所にいたような気がした | |
ミント | (そうだわ。 お母さんの日記を読んで……) |
ミント | (いえ、読まないうちに 目が覚めた?) |
ミントはぼんやりしている頭で必死に考えようとしたが… | |
ふたたびローデルが声をあげたので、今度ははっきりとケガ人のことを思い出した | |
ミント | おはようございます、ローデルさん。起きられますか? |
ローデル | ……ああ |
ローデルは、ミントの助けを借りて、ベッドの上に起き上がった | |
ローデル | 驚いたな、生きてるなんて──。法術のおかげか? |
ミント | ええ、多少は。充分でなくて申し訳ないんですけど |
とたん、頭の中に響いた言葉があった | |
ミント | (アルザス・アドネード) |
ミント | !? |
ローデル | どうかした、のか |
ミント | いいえ |
ミントは不自然なほどきっぱりと否定した | |
ローデル | 俺のために疲れさせてしまったんだな……少し休んでくれ |
ローデルの声に力はなかったが、思いやりが感じられた | |
ミント | ありがとうございます。でも大丈夫です |
そのとき、ドアがノックされた | |
リフ | 医者を連れてきたけど |
顔を覗かせたのはリフだった | |
医者 | 骨なんか砕けちゃいませんよ |
ローデルを診た医者は、信じられないといった表情で両手のひらを上向けた | |
医者 | しかし、ここに来る途中、石塔が崩れた現場をリフくんに教えられて見てきたんですが…… |
医者 | よく無事でしたねえ。しばらく静養さえすれば、心配ないですよ |
部屋に集まっていた誰もが昨日のローデルを見知っているだけに… | |
驚異的に回復しているのは法術のおかげだとわかったが… | |
それを医者に話そうとする者はいなかった | |
医者が帰ってしまうと、入れ替わりにチェスターがなだれ込んできた | |
そこにいたクレスとレイニーが驚いて脇によける | |
チェスター | ローデル!いや、ローデルさん |
ガバッと床にひれ伏したチェスターの髪がはねているのを見て、クレスは彼が今まで眠っていたことを知った | |
うなされていて、熟睡できなかったためだろう | |
チェスター | どうしてもあんたに謝らないと、オレ…… |
ローデル | ……チェスター? |
ローデルは目だけでチェスターを見下ろした | |
チェスター | 聖レニオスの日だなんてウソついて、オレが無理に塔を起こしたりしなけりゃ…… |
切れ長の瞳から涙がこぼれ落ちる。肩が震えていた | |
チェスター | 立ってなきゃ倒れるわけないもんなっ!? |
チェスター | オレのせいだよ。許してくれ! |
ローデル | …… |
チェスター | 昨夜、よく眠れなかった |
チェスター | もしあんたが死んじまったらどうしようって、そんな夢ばっかり見てた |
ローデル | チェスター |
チェスター | こんなひどいことして、オレなんかにトーティスを再建できるわけがない |
ローデル | チェスター、聞いてくれ |
ローデルはじっと目を閉じていたが、やがて唇を開いた | |
ローデル | 俺は……誰も恨んでなんかないぞ。今度のことは、聖レニオスの怒りに触れたと思っている |
ローデル | 俺は神など信じてはいないが、村を守るものの存在と言い換えれば、理解できるさ |
ローデル | あのとき、塔の横なんかに立つつもりはなかった。でも引き寄せられた── |
そうだった、とクレスは思い出した | |
ローデルのよろけ方は不自然なくらいだった | |
これまでたくさんの精霊たちと接してきたクレスには… | |
ローデルの説もあながち間違いではない気がした | |
ローデル | だから言うわけではないがな、チェスター。少し協力し合わないか |
ローデル | 私利私欲のためでなく、トーティスのために、だ |
ローデル | クレスもどうだ? |
クレス | 僕は……かまわないけど。大工ばかりの村になるのはちょっと |
ローデル | もうその案はダメさ。逃亡者続出の現場に住もうなんて大工は、そうはいない |
ローデル | 俺は、少々強引にやりすぎたようだ |
ローデル | 信念を曲げるわけにはいかないが、おまえたちにも悪いことをしたと思っているよ |
ローデル | ──だが、ここはいいところだ。村ができあがったあかつきには… |
ローデル | ミッドガルズからの移民も、少しは受け入れてやって欲しい |
ありがとう、とチェスターは囁いた。いまのローデルなら信じられそうだ、と彼は思った | |
チェスター | で、かんじんの話だがな |
チェスターはトリスタンをキッと睨みつける。さっきまで泣いていたとは思えない | |
クレス、ミントと四人で囲む、朝食のテーブルだった | |
トリスタン | 相変わらず目つきが悪いのぉ。こわいこわいっ |
チェスター | とぼけんじゃねーよ |
チェスター | モリスンさんがなにをしにミッドガルズに行ったのか、あんたが知らないわけないだろ |
トリスタン | 知らん知らん |
老人は椅子からストンと滑り降りるとリストの入った布袋を首から下げた | |
トリスタン | では、またな |
クレス | またな、ってトリスタン師匠!? |
トリスタン | 信じる者は救われる |
クレス | え? |
トリスタン | かもしれん、ということじゃ。おんしも頑張んなさいよ |
ポンポン、とクレスの胸を叩いて、老人は出て行った | |
モリスン | ぶえっくしよい! |
モリスンは、派手なくしゃみをひとつした | |
宿屋の主人 | 風邪かい? |
宿屋の食堂で、主人が訊ねる | |
モリスン | いや、そうじゃないんだが |
宿屋の主人 | でもここへ来てからあんた、毎日だよ |
モリスン | たしかに |
宿屋の主人 | 朝飯、昼飯、晩の飯。誰かが飯どきに集まって、噂してるんじゃないのかな |
モリスン | はは、まさか |
モリスンは否定したが、ありそうなことだと密かに思う | |
モリスン | (クレスたちだな) |
宿屋の主人 | で、商売はうまくいってるのかい? |
主人はモリスンを毛色の変わった商人だと思っているらしかった | |
モリスン | まあまあだよ。もうしばらく滞在するかもしれないが |
宿屋の主人 | そいつはいいね |
主人はパンのおかわりを持ってきた | |
一〇日ほどが過ぎると、ローデルの傷も少しずつ癒えてきた | |
ひとりでベッドに起き上がり、食事をとるくらいのことはできるようになっていた | |
ローデル | 問題なく進んでいるか |
ミントが部屋を訪れるたびに、ローデルは質問した | |
ミント | レイニーさんがちゃんとやってくださってますよ |
ローデル | ちょっと見に行きたいんだが……壁の普請のことで、言っておかないといけないことが |
ミント | いけません |
ミント | レイニーさんはきょうも夕方報告に来てくれますから、そのときにしてくださいね |
ミント | 寝ていないとダメですよ |
ミントが許可しないとわかると、親方は仰向けに寝たままで大げさなため息をつく | |
ローデル | はああっ。ミント、家というのはなあ、大工にとっては子供と同じなんだぞ |
ローデル | きちんと成長を見ていないと |
ミント | (子供……やっぱり会いたいんだわ) |
ミント | ローデルさん。頑張っていればきっといいことがありますよ |
ローデル | いいこと?はっ、なんだね。そんなものがあるなら聞きたいもんだ |
ミントはくるりと振り返ると、「秘密です」と答えた | |
それから枕カバーを替えようと、ベッドに近づいた | |
ミント | (アルザス) |
その瞬間、なんの前触れもなく頭の中に浮かぶ | |
が、すでにミントはそれが父親の名だということを知っていた | |
あれ以来、母親の日記の続きを読む機会は訪れていなかった | |
ミントが何気なくローデルを見下ろしたときだった | |
ミント | (あ、この感じ……) |
以前にも同じようなことがあった気がした | |
いや、確かにあった | |
ミント | (ベッドの脇で誰かを見ていた…… こうやって見下ろしていたり、 それから、そう…) |
ミント | (ベッドのシーツをつかんで) |
ローデルが、枕を取りやすいように頭を浮かせた | |
ミントは枕を手前にそっと引きながら考えた | |
ミント | (つかんで?) |
どういうことだろう | |
ミント | (あのとき、誰か、 ペンを走らせていた……) |
ミント | (そう、私はそれを 見ていたんだわ……) |
ミント | (男の人だった…… 鳶色の髪と、瞳……もしかして) |
強い視線を感じ、ミントはハッと現実にひき戻された | |
ローデル | 首が折れそうだよ |
ミント | あ、ああっ、ごめんなさい。すぐ替えますから |
頭を浮かせっぱなしのローデルは | |
ローデル | これもリハビリかな |
とだけ言って、歯を見せた | |
久しぶりの故郷だった | |
都の西側にある、小さな船着き場から陸にあがったカイムは… | |
足元の地面をブーツでトントンと叩いてみた | |
父親に言われて生まれて初めてユークリッド大陸へ行くことになったときは… | |
もっと違う大地が待っているような気がしたものだが、こうしてみると変わりなどない | |
世界はどこも同じようなものなのかもしれない、と彼は感じた | |
カイムはレイニーが用意した地図を広げて確認してみる | |
地図に記されたローデルの家は、クラウドットという町のはずれにあった | |
はずれといってもそこだけ緩やかな高台になっており、町を見下すことのできる一等地だ | |
カイム | へえ |
門の前に立って、カイムは驚いてしまった | |
あちらにもこちらにも、色とりどりのバラが咲き乱れていた | |
??? | なにかご用かしら |
カイム | ひっ |
突然、赤いバラの繁みの陰から声をかけられ、カイムは飛び上がった | |
カイム | (聞かれたかな?) |
カイム | あ、あのう。こちらはロ、ローデルさんのお宅ですよね |
??? | ええ。そうです |
繁みのむこうから姿を現わした女性は咲き誇るバラよりはうんと清楚なイメージだが、かなりの美人だった | |
長い髪を美しく結い上げている | |
??? | あなたは? |
カイム | カイムといいます。……あのう、驚かないで聞いてほしいんですけど…… |
カイムは急にしどろもどろになった | |
ローデルのことをどう伝えるべきか、なにも考えていなかったのである | |
??? | なにかあったのね、ユークリッドで |
ローデルの妻は、ぎこちない沈黙からカイムが運んできた知らせの性格を悟ったようだった | |
??? | そう……それでケガを |
カイム | ご家族の方に来てもらったほうがいいだろうってことになったんです。僕、たまたまこの近くの出身なもので |
??? | ありがとう、カイムさん |
カイム | いえ |
エリン | 私はエリンよ。とにかくうちにお入りになって |
カイム | (うっわあ。すごいうちだな) |
通された応接間の家具や調度は、カイムが見ても相当な高級品であるとわかる | |
エリン | さっそくですけど、ひどいって、どれくらいのケガなのかしら |
カイム | いや、僕は直接会ってないんです |
カイムは出がけにクレスから聞いた説明を、なるべく忠実にエリンに伝えた | |
エリン | まあ、足の骨が…… |
カイム | でも、もう治っているかもしれません。あちらには法術師がいるので |
エリン | 法術ですって? |
エリンの目が驚きに見開かれた | |
そのとき、廊下で足音がした | |
男の子 | ただいま! |
少女 | あれっ、お客さまなの |
ドアを開けて駆け込んできたのは、一〇歳くらいの男の子と、その姉らしき少女だった | |
シリカ | こんにちは。シリカです。こっちは弟のジェール |
ジェール | よろしく |
ふたりは深々と会釈した | |
カイム | 僕はカイム……! |
カイムは、顔を上げたシリカをまともに見たとたん | |
カイム | (かっ、かわいいっ) |
大きな瞳も、波打つ巻き毛も、なにひとつローデルには似ていない。ふたりとも母親似なのだった | |
ジェール | お母さん。ちゃんと並んでたらカードもらえたよ |
ジェールはポケットから数字が書かれたカードを取り出すと、エリンに手渡した | |
エリン | ありがとう。でももうこれは必要なくなったわ |
エリン | すぐにみんなでユークリッドヘ発ちます |
シリカ | ええっ!? |
ジェール | なんでっ |
子供たちは驚いて叫んだ | |
ジェール | せっかくカードをもらったのに……オークションはあしたじゃないか! |
ジェールがぷうっと頬を膨らませ、カイムを睨んだ | |
ジェール | このお兄ちゃんのせいなんだね? |
エリン | いいえ、ちがうのよ。お父さんがケガをしたんですって |
シリカ | えっ |
シリカの顔が泣きそうに歪む | |
シリカ | ほんとですか、カイムさん |
カイム | ああ……でもきっと大丈夫だよ |
カイムは曖昧に少女をなぐさめ、それからエリンに向き直った | |
カイム | いまからすぐ行くんですか?あしたのオークションっていうのは? |
エリン | ああ、このこと |
ローデルの妻は白いカードをカイムに示して苦笑した | |
エリン | クラウドットではふた月に一度、オークションが開かれるんです |
エリン | すごい骨董品なんかはめったに出ませんけれど、とても人気があるの |
エリン | だから入札したい人には前もってこのカードが配られるんです |
エリン | 今回はとても欲しいものがあったものだから、子供たちに並んでもらったんですが |
ジェール | ねえ、行かないの? |
エリン | ええ、ジェール。そんなこと言ってる場合ではなくなったの |
エリン | シリカ、階上へ行って支度をしていらっしゃい |
シリカ | わかったわ。あなたも一緒に行ってくださるの? |
カイム | もちろん! |
カイムはとっさに快諾していた | |
エリンたちと一緒に船着き場に到着したカイムは… | |
思いがけない人物に後ろから肩を叩かれた | |
??? | きみたち。ユークリッドまで行くのなら同じ船にしないか── |
カイム | え……あっ、あなたは!? |
モリスン | きみ!? |
カイム | モリスンさんっ |
驚いたな、とモリスンは唸り、目の前に停泊している小ぶりの漁船を親指でさした | |
モリスン | いや、ユークリッドに行く客が五人揃わないと船は出せないっていうんだが |
カイム | 僕たちはトーティスヘ行くんです |
モリスン | そりゃ好都合 |
エリン | あのう。もしかして、トリニクス・D・モリスン? |
カイムを押しのけるようにして、エリンが前に出る | |
モリスン | そうだが…… |
モリスンがカイムに説明を求める視線を送ったとき… | |
停泊中の小船の甲板に男が姿を現わした | |
船長らしい | |
船長 | おーい。どうなったね? |
モリスン | 揃ったよ。出航してくれ! |
モリスンは海風に逆らって叫んだ | |
モリスン | 話は船に乗ってからにしよう。どうせうんざりするほど時間はあるんだ |
カイムは、なぜローデルの妻がモリスンを知っているのだろうと不思議に思った | |
瑠璃の夢 | エピローグ |
数か月が過ぎた | |
美しくできあがったどの家からも、賑やかで楽しげな声が聞こえてくる | |
ユークリッド大陸を南下する旅人はみな、おぞましい悲劇を乗り越え、再生したこの村を通りたがった | |
村の中央には立派な教会まで建てられていた | |
宿屋には商人たちが多く泊まるので、自然と市がたつ | |
物資は豊かで、人々の顔には希望が溢れているのだった | |
このまま発展してゆけば、村ではなく町と呼ばれるのも時間の問題のように思えた | |
トリスタン | それじゃ、おんしらみんな元気でな |
クレスたちの家の前で、トリスタン師匠はみんなに向かってひょいと片手をあげた | |
誰もこの老人の本当の家を知らなかった | |
が、師匠がこの村に戻ってすぐ、家に帰ってしまったモリスンのところへ行くらしい | |
やはりあそこがいちばん落ち着くのだろう | |
老人が行ってしまうと、チェスターがため息をつく | |
チェスター | あーあ |
クレス | なんだよ。さみしいのか |
チェスター | バーカ。これでまた居心地がより悪くなると思ってさ |
すでにレイニーをはじめとする大工たちは村を去っている | |
ローデルたちミッドガルズ組も、もうここにはいない | |
もっとも、ローデルは村を拡張するために必ずまた来ると言い残していったのだが | |
ただひとりこの地で頑張っているのがカイムだが── | |
彼はいまや宿屋の主人の片腕として、重宝がられていた── | |
住み込みなので、けっきょく家にはクレス、ミント、チェスターの三人だけだ | |
チェスター | なあ、裏庭に小屋建ててもいいだろ |
クレス | またその話か。いいかげんに…… |
チェスター | だって、いっつも当てつけられてるんだぜ、オレ。かわいそうだろうが |
当てつけてるだなんて、とミントが赤くなりながら文句を言った | |
チェスター | それにしても、あの爺さんには感謝だなあ |
チェスターが、感慨深そうに腕組みをする | |
クレスとミントが作ったあのリストを使って… | |
トリスタンは歩けるだけの町や村を回り… | |
亡くなったトーティスの村人に緑のある者を根気よく集めたのだった | |
ほとんどが親戚や友人だったが… | |
老人の移住の勧めにのった人々は、たいてい一族を引き連れて越してきたのである | |
もしかしたらカイムの両親もこちらで雑貨屋を出すかもしれないと聞かされたところだった | |
村の婦人 | こんにちは、アルベインさん。今夜、聖レニオス教会で集会があるそうですよ |
村の婦人 | このあいだ新しい村の名前を決めるって話が出ていたでしょう? |
村の婦人 | たったいま聞いたのだけど、最有力候補は『ミゲール』よ |
村の婦人 | あなたのお父さまの名前なんですってね |
チェスター | 親父さんの名前が村の名前になるのか。すげーじゃん |
クレス | ……なんか落ちつかないな。まだ決まったわけじゃないけど |
ミント | それじゃ、道場も早く建てなければいけませんね |
ミントは裏庭を振り返りながら言った | |
ミント | 私、ちょっと母のところへ行ってきます |
ミント | お母さん |
メリルの墓の前に座り、ミントは話しかける | |
村の活気も、ここまでは届かない。心地いい風が静かに吹いていた | |
ミント | きのう、市へ行ってね。ほら見て |
彼女は持っていた紙包みからなにかを取り出すと、墓石にそっと近づけた | |
ミント | ね?お母さんのと似ているでしょ? |
それは革表紙のついた、真新しい日記帳だった | |
ミント | 私もなにか書き残しておこうと思うの |
ミントは近くの大木の根元に座り、幹にもたれかかると、日記帳をまん中から開いた | |
真っ白な紙の上に、ペンを使うように指を滑らせてみる | |
ミント | (クレスさんと出会った 地下牢のことから 書くべきかしら……) |
ミント | (それとも、ここでの生活を?) |
ミントはあれこれと思いを巡らせた | |
ミント | いつかこれを夢の中に封印することができたら… |
ミント | ずっと先の未来の子供にも読んでもらえる…… |
そこまで言って、くすっと笑ってしまう | |
ミント | その前にまず新しい家族をつくらなきゃね |
ミントはいちばん前のページを開けると… | |
いまも自分の帰りを待っているであろう彼の名前を指で書いてみる | |
それが決して消えてしまわないように… | |
家に戻ったらペンでしっかりとなぞっておかなくちゃ、とミントは思った | |
それが本当に最初の一ページになることを、彼女ははっきりと感じていた |
Name | Dialogue |
---|---|
憧れのホワイトクリスマス | |
ルーク | …ってわけで、バチカルのクリスマスパーティーに出席してくれねぇか? |
ゼロス | 街を挙げての盛大なパーティーか…確かに面白そうだが、悪い、今回は── |
ルーク | そんな簡単に断んなよ。街どころか、国を挙げたパーティーへの招待だぜ |
ルーク | 国賓としてシルヴァラントからも誰か来てくんねぇと、困るんだよ… |
ゼロス | コレットちゃんやフィリアちゃんには聞いてみたのか? |
ルーク | ああ。二人ともシルヴァラントの教会からいろいろ頼まれてて忙しいんだと |
ルーク | お前が最後の頼みなんだよ |
ゼロス | 何とかしてやりてぇけど俺さま、クリスマスはセレスと過ごす約束をしてるんだ |
ゼロス | 例え天地がひっくり返っても中止にするつもりはねぇぜ |
ルーク | だったら、二人とも招待するぜ!それなら問題ないだろ? |
ゼロス | いや、それも無理だ。バチカルまでの旅はセレスの体調が気になるってのもあるが… |
ゼロス | 国賓として行くと、公務になるだろ?セレスとの約束は、神子とか抜きにクリスマスを一緒に過ごす事なんだ |
ルーク | なるほどなぁ…。それでこの修道院でパーティーの準備してるのか |
ゼロス | ああ。あいつが普段いる場所でやった方が家族で過ごしてる感じが出るだろ? |
ルーク | そういう事なら仕方ねぇな |
ゼロス | 悪ぃな。ま、恥はかかせねぇように大臣か誰か紹介するよ |
アーリア | お話中のところ失礼します。ゼロス、ちょっといいかしら |
ルビア | セレスと話してきたわよ |
ゼロス | お!どうだった?欲しい物は聞き出せたか? |
アーリア | それが…あなたとのパーティーがとにかく楽しみなようで、それ以外に望む物はないみたい |
ルビア | 強いていうなら、当日は雪が降ったらいいな…って言ってたぐらいかな |
ゼロス | 雪…か… |
アーリア | どうかしたの? |
ゼロス | いや…何でもねぇ。そっか、ホワイトクリスマスって特別な感じするもんな |
ゼロス | セレスの願いがわかってよかったぜ。パーティーの準備も忙しいのに協力してくれてありがとな |
アーリア | いいのよ。今回は修道院を挙げてあなた達に力を貸すつもりだもの |
ルビア | そうそう。他にも手伝える事があったら何でも言って! |
ゼロス | じゃあ、ダメ元だけど雪を降らせる方法…なんてあるわけねぇよな…? |
アーリア | そうね…雪や氷が発生する術はあるけど… |
ルビア | セレスの希望を叶えるんでしょ?術じゃ、クリスマスの間中、ずっと降らせるのはさすがに無理よ |
ゼロス | …そうだよなぁ |
ルーク | 俺、心当たりあるぜ |
ゼロス | 何、ホントか!? |
ルーク | ああ。バチカルにも雪を降らせてぇからセルシウスに頼みに行く予定なんだ |
アーリア | セルシウスって、あの大精霊の…!?それなら確かに雪を降らせるぐらい出来そうですが… |
ルビア | 大精霊に頼むなんて、本当に出来るの…? |
ルーク | ちょっと遠いけど、居場所はわかってるし、出来ねぇって事もねぇだろ |
アーリア | まさか…!大精霊の居場所を…!? |
ルーク | おう。前にいろいろあってセルシウスに会いに行った事があるんだ |
ルーク | そん時は直接は会ってねぇんだけど場所だけはわかってるぜ。ゼロスも一緒に来るか? |
ゼロス | いいのか!?ありがとよ、助かるぜ! |
ゼロス | ルビア、アーリア。しばらく留守にするけど… |
ルビア | いいわよ。パーティーの準備とセレスの事はあたし達に任せて! |
アーリア | ゼロスは、雪を降らせにユキなさい! |
ゼロス・ルーク・ルビア | ………… |
ゼロス | あ、ありがとな。それじゃあ案内頼むぜ、ルーク! |
ルーク | お、おう! |
ルーク | やっと着いた。この奥にいるはずだ |
ゼロス | さすが、雰囲気あるとこに住んでるなぁ |
??? | …あら?あなた達… |
ジュディス | こんな変わった場所で会うなんて…とても奇遇ね |
ゼロス | ジュディスちゃん! |
ルーク | 奇遇なんてもんじゃねぇだろ。何してんだ?お前も、雪を降らせに来たのか? |
ジュディス | 雪?何の事かしら… |
ジュディス | 私はただ、友達が不思議なマナの流れを感じるって言うからそれを辿って来たの |
ルーク | 不思議なマナ?ゼロス、何か感じるか? |
ゼロス | いや、気づかなかったな |
ジュディス | 私の友達は、ちょっと敏感なの。…それで、あなた達は?雪を降らせるとか言ってたけれど… |
ゼロス | ああ。クリスマスに雪を降らせて欲しいって、大精霊に頼みに来たんだ |
ジュディス | そう、大精霊がいるの。不思議なマナにも関係ありそうね。私もついていっていいかしら? |
ゼロス | もっちろん!大歓迎だぜ!な、ルーク? |
ルーク | ああ、別に構わねぇよ。んじゃ、とっとと奥に行こうぜ。じっとしてたら凍えちまうよ |
ジュディス | 一番奥まで来たみたいだけれど… |
ルーク | おっ…!あれ見ろよ! |
セルシウス | ………… |
ゼロス | 君がセルシウスちゃん?大精霊でもクリスマスパーティーとかするんだな |
セルシウス | ち、違うわ!これは、その…わたしの意志じゃなくて… |
セルシウス | 世界中からマナが集まってきて気が付いたら、こんな格好に… |
ジュディス | 私が追って来た、不思議なマナの事ね |
セルシウス | まるで浮かれているみたいじゃない。大精霊として恥ずかしいわしかも、それを人に見られるなんて… |
ゼロス | まぁまぁ、いいじゃねぇか。似合ってて可愛いぜ~ |
セルシウス | …そういう軽口は嫌いよ。それで、人がわたしに何の用なの? |
ルーク | 実は、頼みがあるんだ |
セルシウス | なるほど、雪を…確かにわたしなら可能でしょう。けど、簡単ではないわ |
セルシウス | キムラスカとシルヴァラントという広範囲に雪を降らせるには、相当な量のマナが必要になる |
セルシウス | 無理に実現しようとしてわたしのマナが枯渇してしまえば、その後で別の影響が出るかもしれない |
ジュディス | それは大問題ね |
セルシウス | そもそも人の都合で自然の天候をどうにかしようなんておこがましい事なのよ |
ルーク | そうかもしんねぇけど…街のみんなの願いでもあるんだよ。どうにかなんねぇかな? |
セルシウス | 人々が願っている…そうね、今の季節なら出来るかもしれないわ |
ルーク | 本当か!? |
ゼロス | 教えてくれ!俺さま、何だってするぜ! |
セルシウス | 単純な話よ。雪を降らせるために必要なマナを集めてきて欲しいの |
セルシウス | わたし自身のマナの消費を最低限に抑える事が出来れば問題ないわ |
ジュディス | とは言っても、それほどの量のマナ、そう簡単に集まるかしら? |
セルシウス | さっき、人々が雪を期待していると言ったでしょう? |
ルーク | ああ。街を派手に飾り付けてたら、みんなが、雪が積もったりしたらさらに幻想的だ…なんて言いだして |
ジュディス | 私がいた街でも、似たような事があったわ |
ジュディス | クリスマスに雪が降って欲しいってみんなで話していたら、突然、不思議なマナが流れ出して… |
ジュディス | そのマナを辿っていたらここにたどり着いたの |
セルシウス | それは、この季節だけに現れる特別なマナよ |
セルシウス | クリスマスの季節には、人々の祈りや願いの力が少し強くなるの |
セルシウス | ひとつひとつは小さいけれど、大勢の人々が祈る事でとても大きなマナを発生させる… |
セルシウス | いわゆるホワイトクリスマスのようなクリスマスの奇跡を起こしているのはこういったマナの力なの |
セルシウス | そして今年はどういうわけか雪を望む想いが多いらしいわ。だからそのマナがわたしに流れてきた |
セルシウス | その影響で、自然とこういう格好になってしまったのよ |
ジュディス | なるほど、そういう事だったのね |
ゼロス | んじゃ、その特別なマナをさらに集めてくれば、いいんだな? |
ゼロス | そうすればセルシウスちゃんの力でクリスマスの奇跡が起こって、雪が降る…と |
セルシウス | ええ。このマナは、クリスマスの雰囲気を楽んでいる人や奇跡を願っている人から発生するわ |
セルシウス | そういった人達に会って、少しずつマナを集めて来てくれたらわたしはその想いに応えましょう |
ルーク | マナを集める…ってどうすりゃいいんだ? |
ジュディス | それなら力になれると思うわ。私の友達なら、マナの流れを把握する事が出来るし… |
ジュディス | シルヴァラントの神子なら、マナの扱いにも長けているでしょう? |
ゼロス | ああ、多少はな |
ジュディス | 私の言うとおりにマナを誘導すればここに辿り着く大きな流れに乗せられるはずよ |
ルーク | じゃあ、あとはたくさんの奴からマナを集めればいいだけだな |
ゼロス | よーし、そうと決まれば、急いで街に戻ってマナを集めるとしますか! |
Name | Dialogue |
---|---|
招福!正月遊びに熱くなれ | |
すず | …賑わっていますね。初詣とはいえ、これほどとは… |
すず | 人だかりの中を速やかに移動するのも忍者として必要な技術…いい修行になりそうです |
すず | 集中して…人の流れを読み切る… |
すず | ──そこです! |
??? | あぶなーい! |
すず | !? |
ヒュッ── | |
──パシッ | |
すず | これは…羽根つきの羽根…? |
イリア | ごめん!気合入れ過ぎて羽根をこっちに飛ばしちゃった。怪我はない? |
すず | ええ、受け止めましたから |
イリア | よかった。それにしても、すごい反射神経ね。あんたと組むべきだったかな… |
すず | 組む…?何の話ですか? |
イリア | 今そこで羽根つき大会やってんのよ。あたしは二人一組の部門に参加してるんだけどね |
イリア | 相方が頼りなくてさ。弱いってわけじゃないんだけど、ちょっと覇気が足りないのよね~ |
すず | …あの、大会の最中でしたら戻られた方がいいのでは… |
イリア | いけない、そうだった! |
すず | 羽根、お返ししますね |
イリア | ありがと!ねぇ、あんたならきっとどんな大会でもいい線行くと思うわ |
イリア | あっちの貼り紙に詳しく書いてあるから何か参加してみなさいよ。じゃあねー |
すず | あ、あの、私は… |
すず | 行ってしまいました。貼り紙…とは、あれの事でしょうか |
すず | ………… |
すず | なるほど、羽根つきだけでなくいろいろな大会が催されているのですね |
すず | けん玉に、凧揚げ…里で流行っていたものが多いですね |
すず | これらの遊びで鍛えられた技術や集中力は、忍者の修行にも活きる物がたくさんありました… |
すず | それらの大会であれば、何か参考になるかもしれませんね |
すず | 少し見に行ってみましょう |
すず | ここでは凧揚げ大会をしているようですね |
すず | …? |
カイウス | うーん、どうやったらもっと高く揚げられるんだ…? |
すず | お困りのようですね。どうかしましたか? |
カイウス | ああ、うん。オレの凧、みんなみたいに高く揚がらないんだよ |
カイウス | すごい勢いで走り続けてるんだぜ? |
すず | それが原因かもしれませんね。ある程度まで揚がったら、走って高度を上げるのは難しくなります |
すず | 上空の強い風に乗せたら、糸を張って、凧の制御に集中するといいでしょう |
すず | あとは糸を伝ってくる感触を頼りに風との対話を楽しんでください |
カイウス | 風との対話…か。何かすごそうだな出来そうな気がしてきたよ |
カイウス | ありがとう!凧揚げ、得意なんだな |
??? | 凧に乗る事もある忍者にとって凧揚げは命に関わる重大な技術だからね |
すず | …!誰です。なぜ、その事を… |
しいな | あはは、あたしだよ!明けましておめでとう |
すず | しいなさんでしたか。明けましておめでとうございます |
カイウス | 明けましておめでとう。しいなも、凧揚げ大会に出るのか? |
しいな | ああ、初詣のついでに、ちょっと適当な大会に出て軽く優勝するつもりだったんだけどね |
しいな | 里でよく遊んだものばかりだし簡単だと思ったんだけど… |
しいな | あんたが参加するんじゃそうもいかなさそうだねぇ |
すず | いえ、私は見物だけ…それに大会はもう始まっているのでは? |
カイウス | 途中参加も出来るから大丈夫だよ。それだけ詳しいんだったら、絶対やるべきだって! |
カイウス | オレも、すずの凧揚げとか見て見たいしさ! |
すず | …わかりました。そこまで言うのなら修行の成果をお見せしましょう |
しいな | これは、藪蛇になっちまったね。まぁいいさ、相手にとって不足なし手加減なしの真剣勝負だよ! |
カイウス | よーし、オレも負けないぞ! |
しいな | ふぅ、なかなかやるね… |
すず | しいなさんこそ…。一通り全部の競技に申し込みましたがなかなか決着がつきませんね |
しいな | 凧揚げは人が乗ったら失格…羽根つきは分身したら失格…二人とも失格続きだなんて |
すず | 里ではみんなやっていたのですが、普通はやらないんですね… |
しいな | 危険行為だとさ。あたし達の常識は常識じゃなかったってことかい… |
すず | 世間に溶け込むのも忍者の務め…私達の勝負は技術の高さではなく失格にならず戦えるか…ですね |
しいな | 何だかやりにくいねぇ |
すず | これも修行です |
しいな | 殊勝だね。ま、それでも負けるつもりはないよ。次の勝負と行こうか |
すず | はい。次は…あちらでやってるけん玉大会でどうでしょう? |
しいな | けん玉…いいね、望むところさ!今度こそ決着をつけるよ! |
カイル | よーし、行くぞー! |
カイル | はっ!ほっ!たぁっ! |
カイル | 連続技から…大技!世界一周!さらに逆回転! |
カイル | どうだ!練習以上に上手くやれた!他の人は… |
すず | たたたた、たぁ! |
しいな | くっ、なんの!磨きをかけたこの技で…はい、はい、はい、はぁー! |
カイル | …な、何だあの技…!それに、速いし正確だ…! |
カイル | くそ、負けないぞ!オレだって…! |
カイル | ていっ、ていっ!それ、もっと速く…! |
カイル | とりゃあぁぁぁっ……!! |
カイル | ──あっ! |
ガンッ! | |
カイル | いてて…頭にぶつけちゃった。くっそー、勝てない…あんなに練習したのになぁ |
アルヴィン | 気を落とすなよ。お前も十分すごかったさ。あの二人が特別すぎるんだ |
カイル | アルヴィンさん!特別って…? |
アルヴィン | 普通なら、お前ぐらい出来れば十分優勝だよ |
アルヴィン | 現に、あの二人に対抗しようなんてお前以外は考えもしてないぜ。みんな戦意喪失しちまってるよ |
カイル | う~ん、何か素直に喜べないなぁ |
アルヴィン | そう言うなって。今回は神技を見学させてもらう事にしようぜ |
アルヴィン | ほら、大技を出すみたいだぞ |
すず | 行きます!玉を増やして…同時に五つでお手玉です! |
バババババッ! | |
しいな | 負けないよ!こっちは八つだ! |
ババババババババッ! | |
アルヴィン | あれは、もうけん玉じゃねぇな。奇術の類じゃねぇか |
カイル | すごい…!でも、オレだって、まだまだ諦めないぞ! |
アルヴィン | だから、もうけん玉じゃねぇって… |
しいな | なかなか決着がつかないね。そろそろ疲れてきたんじゃないかい? |
すず | これも修行…まだまだ行けます |
しいな | そうかい?あたしだって…勝負はこれからさ! |
Name | Dialogue |
---|---|
白き獅子の記憶 | |
ラザリスの作り出した新世界エンテレスティア── | |
その中心である帝都シャングレイスには精鋭の騎士団がいる | |
天帝ラザリスの忠実な部下である彼らは、エンテレスティアの人々の憧れの存在でもあった | |
ロアー | 誇り高き帝都騎士団──白き獅子の諸君。多忙な中、よくぞ集まってくれた |
ロアー | これより、近く行われる生誕祭に備え全隊合同の戦闘訓練を行う |
ロアー | 誰を相手に選んでも構わない。隊長相手でも、分不相応などと思うな |
ロアー | 諸君は一人一人が天帝を守るという使命を果たせるだけの実力を持った強い騎士でなければならないのだ |
ロアー | ならば隊長達とも対等に渡り合えて当然のはず。出来ない者は、出来るまで鍛錬を積め |
ロアー | 以上だ。クロー、ファング、何かあるか? |
クロー | ロアーらしい挨拶だな。だけどまぁ、ちぃとばかし厳しすぎねぇか? |
ファング | ああ。気楽に、みんなで強くなろうぜってぐらいでいいじゃねぇか |
ロアー | ふむ。我らの背負う使命の重大さを伝えたつもりだったが、何かまずかっただろうか? |
クロー | そりゃ使命は大切だけど、もうちっと肩の力を抜けって |
クロー | でないと、本当に力を出さなきゃならない時まで、体力がもたねぇぞ |
ファング | 俺は全力でやる事には賛成だ。でも難しく考えすぎなくてもいいって思うんだよ |
ファング | 楽しく強くなれるならそれが一番だからな |
ロアー | 勿論、体力の温存も、楽しく──つまり士気を上げる事も大切だ |
ロアー | 私は体力を使いきれとも楽しんではいけないとも言ってはいないぞ |
クロー | 連中の顔を見て見ろよ。死ぬ気で頑張るって奴か、もう終わりだって奴ばっかりだぜ |
ロアー | …ふむ。難しいな。気分を和らげる言葉か… |
ファング | ほら、おまえも難しく考えるなって |
クロー | あー、おまえら。とにかく怪我のないようにな |
ファング | そうそう。それと、この合同訓練は俺達がみんなの事をよく知るためのものでもあるんだ |
ファング | 今後、所属の隊以外からも任務の声がかかるかもしれねぇからそん時はよろしくな! |
ロアー | …ふむ、二人が話すとみな、肩の力が抜けて希望に満ちた顔になったな |
ロアー | さすがだ。では早速、合同訓練開始といこう! |
クロー | オレ達も、部下に後れを取らねぇようにしねぇとな |
ファング | 俺はすげぇ強い奴がいた方が嬉しいぞ。どんな奴がいるか、今から楽しみだ! |
ロアー隊の遠征任務 | scene1 |
ロアー | …どうだ、まだ歩けるか? |
騎士団員1 | はい。少し痛みますが、平気です。遠征任務の最中だというのにご心配をおかけして申し訳ありません |
ロアー | 無理はするな。今は傷を治す事に専念しろ |
ロアー | だが、治ったら特訓だぞ。魔物に後れを取るようでは今後が心配だからな |
騎士団員1 | はい。重々承知しております。ロアー様のように強くなれるよう鍛えてやってください |
騎士団員2 | ロアー様、お言葉ですが彼は決して弱いわけではありません。怪我をしたのは私を庇ったからです |
ロアー | そうか。ならばお前も特訓だ。厳しいかもしれないが私達の使命はラザリス様をお守りする事… |
ロアー | 仲間に頼らずともあらゆる事態に一人で対応出来る強さが必要なのだと心得よ |
騎士団員2 | はっ。肝に銘じておきます…! |
ロアー | うむ。では先に進もう。ナムザ街はもうすぐだったな |
ロアー | …そうか、咎人が出たというのは誤報だったのだな |
町長 | はい、騒ぎがあったのは事実ですが誤解だったとわかりまして |
町長 | 街の誰かが既に白き獅子に通報していたとは…。ご足労いただいたのに申し訳ない |
ロアー | 気に病む必要はない。咎人がいなかったのならそれに越した事はないからな |
町長 | お忙しいでしょうが、よかったら街で旅の疲れを癒して行ってください |
ロアー | 気遣い感謝する。怪我をした隊員もいる事だ、今日はここで休ませてもらおう |
町長 | よかった、街のみんなも喜びます!宿は私の方で手配させていただきます |
町長 | そうだ、もしよろしければ是非、ガイアスの道場に寄ってやっていただけませんか |
ロアー | 道場に?別に構わないが、何かあるのか? |
町長 | 彼の道場には白き獅子を目指す子ども達が大勢通っているのです。きっと喜びますよ |
ロアー | そういう事か。わかった、その道場の場所を教えてくれ |
町長 | はい。すぐに地図をご用意いたします! |
ガイアス | よし、模擬戦開始だ。陣形を崩すな |
子ども達 | はい! |
ガイアス | そこ、前に出過ぎだ!自分の役割を意識して連携しろ |
子ども1 | はい、師匠! |
ガイアス | そっちは下がりすぎだ。縮こまらず、仲間が守ってくれる事を信じて攻めろ |
子ども2 | は、はい! |
ロアー | ほう、集団戦か。粗削りだが見事な陣形だ |
ガイアス | 見物か。危ないからもう少し離れて── |
ガイアス | む、その格好…まさか… |
子ども3 | あっ、あの人って…白き獅子のロアー様じゃない!? |
子ども4 | 嘘!?どうしてこんなところに… |
子ども5 | 本物か? |
子ども3 | 聞いて見ればわかるよ。おーい、ロアー様ー! |
ロアー | 何だ? |
子ども5 | 返事した!やっぱり本物だ! |
子ども4 | 白き獅子だ!ロアー様だ! |
子ども3 | みんなに知らせろ! |
ガイアス | 模擬戦どころではなくなったな |
ロアー | 邪魔をしたようだな。すまなかった |
ガイアス | いえ、この集中力のなさは問題です。後でみっちりお説教だな |
ガイアス | …して、白き獅子がいらっしゃるとは何かありましたか? |
ロアー | 用というほどでもないのだ。町長から道場の話を聞いて少し気になってな |
ロアー | 練習を見学させてもらっても構わないだろうか |
ガイアス | ええ、勿論です |
子ども1 | 聞いた!?ロアー様が僕達の練習を見てくれるって! |
子ども2 | よーし、みんな、頑張ろう! |
子ども達 | おーっ! |
ロアー隊の遠征任務 | scene2 |
ガイアス | よし、今日はここまでだ! |
子ども達 | ありがとうございました! |
ロアー | ふむ。息のあった素晴らしい集団戦だった |
子ども1 | ねぇ、ロアー様!練習見てたでしょ?ボク、白き獅子になれるかな? |
子ども2 | あ、抜け駆けはズルいよ! |
子ども3 | ロアー様、僕は!? |
子ども4 | ねぇ、僕の家でご飯食べない? |
子ども5 | ロアー様、サインしてー! |
ガイアス | お前達、失礼だぞ |
ロアー | まぁ気にするな。私は構わない |
ガイアス | すみません。こいつらにとって白き獅子は憧れの存在ですから |
子ども3 | 早く強くなって、ロアー様と一緒にラザリス様をお守りしたいな! |
子ども4 | 僕も!よーし、帰って剣の素振りだ!みんなに差をつけるぞ! |
子ども1 | 僕だって負けないからな!みんな、自主練しようぜ! |
子ども2 | うん! |
子ども5 | よし、ご飯食べたら広場に集合だね! |
子ども達 | おーっ! |
ガイアス | 強くなるには休息も必要だ。くれぐれも無理しすぎないようにな |
子ども達 | はーい! |
ロアー | いい生徒達だな。さて…少し、話を聞いてもいいか |
ガイアス | 勿論 |
ロアー | 子ども達は白き獅子を目指していると言っていたな |
ガイアス | ええ。ほとんどの生徒が白き獅子になるべく精進しています |
ロアー | ただの憧れでなく真剣な目標だという事は今日の練習を見ていてよくわかった |
ロアー | それと町長から聞いたのだが自警団としても活躍しているそうだな |
ガイアス | ええ。といっても、街の近くの魔物退治ぐらいです |
ロアー | それでも危険ではないか?私達はここに来る途中、魔物と戦い怪我人も出した |
ガイアス | 幸い、今のところ怪我人は出ていません。安全最優先の陣が功を奏したようで |
ロアー | あの集団戦法か。確かにあれは強いが、一人一人の実力はまだまだだな |
ガイアス | だからこその集団戦法です |
ロアー | …なぜ弱点を克服させない? |
ガイアス | …?仰る事がわかりませんな。弱点は補うように指導していますが… |
ロアー | ああ、見ていたよ。だがお前の教え方は、弱点を無くそうとはしていなかった |
ロアー | 弱点を弱点として放置したまま長所でそれを補おうとしていた |
ロアー | 集団戦法においては他人との連携でお互いの弱点を補っている。それは本当の強さと言えるのか? |
ガイアス | 弱点を補い合う事で、互いの長所を活かしやすくするべしといつも教えています |
ガイアス | 実際にそれであいつらは実力以上の力を発揮している。これは強さとは言えませんか |
ロアー | つまり、個々の実力は弱いまま…ではないのか |
ガイアス | ………… |
ロアー | 彼らの目指す白き獅子の使命は、他ならぬラザリス様をお守りする事だ |
ロアー | この重大な使命を背負うには相応の実力が必要だ。私はそう思って研鑽してきた |
ロアー | 例え仲間が全て倒れ、最後の一人になろうとも使命を果たせるだけの力が必要なのだ |
ロアー | 集団でなければ力が発揮できない…陣形の一部が欠けただけで弱体化する戦法は白き獅子には相応しくない |
ガイアス | なるほど。ロアー様の考えはわかりました |
ガイアス | 同じ使命を背負うのなら同じように強くなければならない…少なくともそう努力をするべきだ |
ガイアス | そういう事でしょう |
ロアー | そうだ。当然だろう? |
ガイアス | 俺は少し考え方が違います。弱い者は、いくら鍛えても弱い…誰にでも限界というものがある |
ガイアス | だが同時に、誰にでも長所がある。なら人より秀でた部分で、他者の弱い部分を補えばいい |
ガイアス | そうすれば補い合った双方が長所を普段以上に発揮出来る強い戦士となれる |
ロアー | …お前は、まさか弱い者まで白き獅子に入れるつもりなのか? |
ガイアス | ええ。俺の道場では決して脱落者を生まぬと決めています |
ロアー | 甘いな…。それは弱さから目を背けているだけではないのか |
ガイアス | 弱さと向き合うからこそ出来る事です |
ロアー | …なるほど、そうとも言えるか… |
ロアー | ふむ…、そうだな… |
ロアー | ガイアスよ、頼みがある。私と手合わせをしてくれないか? |
ガイアス | …突然ですね。手合わせは構いませんが、理由をお聞かせいただけますか? |
ロアー | 私には、お前の言う事は己の限界を超えられぬ者の言い訳のように思える |
ロアー | だがお前はそんな言い訳をする男には見えない。だから実力を見極めたいのだ |
ガイアス | …わかりました。そういう事なら全力で参ります |
ガイアス | 白き獅子を相手に、俺の実力を全てぶつけさせてもらう! |
ロアー | ああ。遠慮はいらない。いざ、尋常に…! |
ガキィン── | |
ロアー | くっ…!やるな、だが…! |
ロアー | はぁっ! |
ガキィッ──! | |
ガイアス | くっ、重い…!ならば、これで! |
ガキィン── | |
ロアー | 何のっ…! |
ガイアス | さすが白き獅子…!技を出し尽くしてもまだ決着がつかぬとは…! |
ロアー | お前こそ、さすがだ。手合わせはここまでにしよう。これ以上はどちらかが倒れるまで続く |
ガイアス | 俺はそれでも構いませんが |
ロアー | その気概は嬉しいが、私には白き獅子としての使命がある。ここで命を削るわけにはいかん |
ロアー | それに、お前の実力はこれではっきりわかったからな |
ガイアス | ふ…合格ですか? |
ロアー | ああ。お前は強い |
ロアー | お前なら、同じように強くなれるようみなを導く事も出来るはずだ。なぜそれをしない? |
ガイアス | さっき言った通りです。俺の道場からは決して脱落者を生まぬ |
ガイアス | 厳しい鍛錬は強い者を作るがついて来られぬ者も出てきます。それは弱い者を切り捨てるのと同じだ |
ガイアス | 誰もが必要な力を発揮出来る方法を考えて辿り着いた答え…それがあの集団戦法です |
ガイアス | 個の強さだけに頼らず、弱さを認めて補い合う事で本来の何倍もの力を出せる… |
ガイアス | 弱さを自覚して他者を頼る。ロアー様のように強い人には受け入れ難いかもしれませんが… |
ガイアス | 仲間を頼るから弱いのではなく頼れる仲間がいるから強いのだと俺は考えるようになりました |
ロアー | …なるほど。その見方は私にはなかった。目からウロコ、というやつだな |
ガイアス | この道場で子ども達と肩を並べて剣を振っていたからこそ出て来た考えです |
ガイアス | もし俺が、ロアー様のように人を束ねる立場にあったなら結論は違っていたかもしれません |
ロアー | なるほど。私も少し視点を変えてみるとしよう |
ロアー | ふふ、さすが道場だ。私も一皮むけた気がするぞ |
ガイアス | ふ…それを自分で言いなさるか |
ロアー | 感謝するぞ、ガイアス。白き獅子はこれからもっと強くなるだろう |
ガイアス | 貢献出来たのなら本望です |
ロアー | ここにはまた来よう。未来の騎士達にもよろしく言っておいてくれ |
ガイアス | はい |
ロアー | シャングレイスはもうすぐだな。その調子なら予定通り帰り着けるだろう |
ロアー | 怪我をしていた者の調子はどうだ? |
騎士団員1 | はい、すっかりよくなりました。ナムザ街で休ませていただいたお蔭です |
騎士団員1 | もう足を引っ張るような事はいたしません |
ロアー | ……飛び跳ねてみろ |
騎士団員1 | …え? |
ロアー | どうした、やれ |
騎士団員1 | は、はい…。えいっ── |
騎士団員1 | うっ…!いつつ… |
ロアー | やはり、まだ完治してないではないか |
騎士団員1 | 申し訳ありません。しかし、この程度…平気ですので |
ロアー | 無理はするな。誰か、足腰に自信がある者はいるか。肩を貸してやってほしい |
騎士団員2 | では私が。しかし、構わないのですか?先日は、仲間に頼るなと… |
ロアー | うむ。それについては謝ろう。私の考えが硬すぎたようだ |
ロアー | 同じ使命を共有する仲間だ。庇いあい、助け合う事で今以上の力が出せるならそれもいい |
ロアー | 戦闘陣形も見直すつもりだ。その時はお前達の意見も聞きたい。私に見えないものも見えるはずだ |
ロアー | 頼めるか? |
騎士団員2 | はい、勿論!光栄です! |
騎士団員3 | ロアー様…ナムザ街で何かあったのですか? |
ロアー | まぁ、少しな。いい好敵手と出会えた |
騎士団員3 | ロアー様の好敵手とは…一体… |
ロアー | お前達の好敵手もいたぞ。次に来る事があれば紹介しよう |
騎士団員1 | 今度、是非、また行きましょう。そういえば、街の人から聞いた話では近くお祭りがあるそうですよ |
ロアー | そうだな。祭りと言えば、みなも知っての通りもうすぐシャングレイスの生誕祭だ |
ロアー | その生誕祭の警備を無事に終えたら、ナムザ街の祭りに行く時間も作れるようにしよう |
騎士団員1 | 本当ですか!? |
ロアー | ああ。だからまずは生誕祭が何事もなく無事に終わるよう祈ろうか |
ファング隊の重大任務 | scene1 |
ファング | えーと、この辺りだな。よし、全員集合! |
騎士団員達 | はっ! |
ファング | これからこの森に柵を設置し立ち入り禁止区域とする |
ファング | まず立ち入り禁止の範囲に人がいないか確認して、俺達で封鎖する |
ファング | その頃には資材が届くから、柵を組み立てるって段取りだ |
ファング | これはラザリス様直々のご命令だ。みんな、頑張ろうぜ! |
騎士団員達 | はい! |
騎士団員1 | ご報告します。北方面、封鎖完了しました |
騎士団員2 | 続けて報告します。西方面、南方面も封鎖完了いたしました |
ファング | 順調だな。まぁ、こんな郊外の森の奥、誰もいないか |
騎士団員3 | 失礼します。ファング様、東方面で少し問題が… |
ファング | どうした? |
騎士団員3 | この森を通りたいという者が…とにかく来ていただけますか |
ファング | わかった |
ルーティ | だから、通るだけだって。工事が始まってないなら、あたしが通るまでぐらい待てるでしょ |
騎士団員4 | 何度も言ってるだろう。柵がないだけで現在はもう立ち入り禁止なんだ |
ルーティ | 困るのよ。シャングレイスに商品を納入するのにここを通れないと |
騎士団員4 | だからシャングレイス方面なら森を迂回して行ってくれと… |
ルーティ | あんた、簡単に言うけどね。迂回したらどれだけ遠回りになるかわかってるの? |
ルーティ | 商品には食べ物だってあるのよ!もし腐ったりしたら、白き獅子が弁償してくれるんでしょうね!? |
騎士団員4 | そうは言っても… |
ルーティ | あー、もう、まどろっこしいわね。責任者を出しなさいよ |
ファング | 俺が責任者だけど、どうしたんだ? |
騎士団員4 | ああ、ファング様!助かりました! |
ルーティ | ファング様…って、随分と大物が出て来たわね。でも、こっちも商売だし、譲れないわ |
ファング | 状況がわかんねぇんだけど、どうすりゃいいんだ? |
ルーティ | シャングレイスまで急ぐのよ。だからこの森を通りたいの |
ルーティ | この森はあたし達商人にとって重要な近道なのよ。急に封鎖なんて冗談じゃないわよ |
ファング | うーん、悪いけどこればかりはラザリス様から強く言われてる事だからなぁ |
ルーティ | ラザリス様が!?あんた、それを早く言いなさいよ。じゃあ絶対、ダメじゃない…困ったわ |
??? | 山道の方を通ったらどうかな? |
ファング | ん?お前は… |
ジーニアス | ごめん、立ち聞きするつもりはなかったんだけど、ボクもここを通りたくて |
ジーニアス | それで、どうかな?山の方を通れば、森を迂回するよりはずっと早く着くと思うけど |
ルーティ | でも山の方は魔物が出るでしょ?商品を守りながら魔物と戦うなんてそうそう出来る事じゃないわよ |
ルーティ | まぁ、白き獅子が護衛でもしてくれるって言うのなら話は別だけど? |
ファング | ああ、いいぞ! |
ルーティ | ほんと!?やりぃ!言ってみるものね♪ |
ジーニアス | 驚いたな…白き獅子のそれもファング様程の人が二つ返事なんて…! |
ファング | だって、そうしないと困るんだろ? |
ファング | 今回は護衛をつけるし、帰りまでに安全な道にしておくから、今後は山の方を通るようにしてくれ |
ルーティ | それなら文句ないわ。交渉成立ね |
ファング | じゃあ、お前、警護を頼めるか? |
騎士団員4 | はっ!承知いたしました! |
ルーティ | よろしくねー♪ |
ファング | さて、問題は魔物退治か… |
ジーニアス | あの、ファング様。それについて提案があるんですけど… |
ファング | ファングでいいよ。話し方も普通でいい。堅苦しいの好きじゃないんだ |
ジーニアス | 何だか恐縮だけど…そう言うなら… |
ジーニアス | ファング。魔物を全部退治するっていうのは難しいと思うんだ |
ファング | そうなのか? |
ジーニアス | うん。あの山は魔物の巣になってるしちょっと追っ払って終わりってわけにいかない |
ジーニアス | そこで提案なんだけど、退治するんじゃなくて人も共存させてもらうのはどうかな |
ファング | きょうぞん…? |
ジーニアス | というより、棲み分けだね |
ジーニアス | まず山道に街道を敷くんだ。そうして、人が通る場所を明確にしておく |
ジーニアス | 次に魔物達の餌場を用意する。そしたら魔物達は街道を避け、餌場の近くに住むようになるはず |
ジーニアス | 安全な街道があれば人はそっちを通るから、この森の封鎖も上手く進むと思うよ |
ファング | えーと、とにかく山の方に安全な道を作ったらみんな喜んで解決って事だな! |
ファング | さっそく手配しよう! |
ジーニアス | 本当に!?ボクの案を、白き獅子が採用してくれるの!? |
ジーニアス | 何だか感激だなぁ…! |
ファング | いい案なんだから採用して当然だろ? |
ファング | 他にも何か思いついたら教えてくれ! |
ジーニアス | 勿論!あ、そうだ。もう一つ提案があるんだけど… |
ファング | お、何だ何だ? |
ジーニアス | 街道を作るとなると、人員を割かなきゃいけないでしょ? |
ジーニアス | だったら森を封鎖して柵を作るのも効率的に出来た方がきっといいよね |
ファング | あーっ、そうか。そうだな。人が足りなくなるか… |
ジーニアス | まさか、気が付いてなかった? |
ファング | いや、何となく大変そうだと思ってはいたけど、まぁ頑張ればいいかって思って |
ジーニアス | 頑張ってどうにかなるほど街道の敷設は簡単じゃないと思うけど… |
ファング | とにかく対策があるんだろ?教えてくれよ |
ジーニアス | うん。何か書くものを貸してくれる?図にして説明したいんだ |
ファング | わかった。あっちに休憩所の小屋があるからそこで聞こう |
ジーニアス | …と、こういう感じ。この形の物をたくさん作れば簡単に柵が建てられると思うんだ |
ファング | すげぇな。でも簡単に作った柵だと簡単に壊されたりしないか? |
ジーニアス | 大丈夫だよ。一度はめ込んでしまえば、ここがしっかり組み合わさるから… |
ファング | おお、なるほどな! |
ジーニアス | というわけで理論上はこれで上手くいくはずなんだ。ただ… |
ファング | 何かあるのか? |
ジーニアス | うん。この図面と同じ物をたくさん作るとなると、精工な型が必要なんだ |
ジーニアス | 型さえ出来れば、材料は山に落ちてる鉱物が使えるから街道を作ってる内に集まるんだけど… |
ファング | そういう事なら任せてくれ!俺こう見えて、そういう細工は得意なんだ! |
ファング | バッチリ図面通りの型を作ってやるぜ! |
ジーニアス | 本当!?それなら実現出来るよ! |
ファング | よーし、じゃあ早速取り掛かるぜ! |
ファング隊の重大任務 | scene2 |
ファング | ここがジーニアスの言ってた山道だな |
ジーニアス | うん。魔物さえいなければシャングレイスまで一番の近道なんだ |
ジーニアス | …ねぇ、今更だけど本当にやるの?白き獅子とはいえ危険じゃないかな。通るだけならともかく… |
ファング | 大丈夫だって。な、みんな? |
騎士団員1 | ええ。毎日厳しく鍛えられてますから |
騎士団員2 | ここを通るみんなのためにも頑張りますよ! |
ファング | な?それに全滅させるわけじゃなく新しく作った餌場に移住してくれって頼むだけだし、大丈夫だって |
ジーニアス | 頼むって…相手は魔物だよ?きっと戦闘になるよ |
ファング | その時は戦えばいい。魔物だって自分を負かした相手に言われたら素直に移住してくれるって |
ジーニアス | 縄張りをもつ野生動物の習性としてはその通りだけど… |
ファング | ジーニアスの提案してくれた柵の作り方も、餌場の設置も、全部上手く行ってるんだ |
ファング | 今度もきっと大丈夫。心配すんなって |
ジーニアス | う、うん…!それじゃあ僭越ながらボクも一緒に魔物と戦うよ |
ファング | いいのか?でも白き獅子として一般人を危険に晒すわけには… |
ジーニアス | 大丈夫って言ったのはファングでしょ |
ジーニアス | 森の封鎖に人員を割いてて魔物退治できる人は少ないんだから一人でも多い方がいいと思うし… |
ジーニアス | 何より、提案者はボクだ。一般人かもしれないけど部外者じゃないよ |
ファング | …だな。わかった。力を貸してくれ |
ジーニアス | うん! |
グルルル── | |
ジーニアス | …!噂をすれば…! |
ファング | みんな、戦闘準備だ! |
騎士団員達 | はっ! |
ファング | たぁっ! |
バシュッ── | |
グオオ… | |
ファング | くそ、キリがないな。もう何十匹も倒したってのに |
ジーニアス | なら、これでまとめてやっつけるよ!詠唱するから時間を稼いで! |
ファング | わかった! |
ジーニアス | 悠久の時を巡る優しき風よ。我が前に集いて裂刃と成せ── |
ギギィィィィ──! | |
ジーニアス | …あれ? |
ファング | 魔物が逃げてったぞ。ジーニアスの術に恐れをなしたのか? |
ジーニアス | まさか── |
フォォォォ… | |
ファング | ん?何だ、今の声… |
ジーニアス | これって、まさか…! |
フォォォォォォンッ!! | |
ファング | 何だ!?でっけぇ! |
ジーニアス | 山の主だ!しかも、すごく怒ってる! |
騎士団員1 | ば、化け物だぁぁぁ…! |
騎士団員2 | こ、こんな奴と戦うのか…!? |
ファング | 俺がやる!手負いの者は退避しろ! |
フォォォォォォンッ!! | |
ファング | 来る…!ジーニアス、援護頼めるか!? |
ジーニアス | 任せて!ファイアーボール! |
ボンッ! | |
フォォォッ!? | |
ジーニアス | 今だ、ファング! |
ファング | 悪いけど、まずは大人しくなってもらうぜ! |
ファング | この一撃で決める!くらえ!焔牙翔双斬!! |
ズバズバズバッ! | |
フォォォォ… | |
ドーンッ! | |
ジーニアス | 倒れた! |
ファング | やべぇ、やりすぎちまったか? |
フォ、フォォォォ…! | |
ジーニアス | 起き上がったよ!何てタフなんだ…! |
ファング | すげぇ、さすが山の主だな。けどちょっとは弱ってるみてぇだ。今なら…! |
フォォォォォォンッ!! | |
ファング | 待て!聞いてくれ!これ以上、戦いたくないんだ! |
フォ…? | |
ジーニアス | 無茶だよ、ファング。魔物に話が通じるわけない |
ファング | わからねぇだろ。言葉は通じなくても、心は通じるかもしれねぇし |
ファング | なぁ、山の主!これは魔物も人間も傷つけないために必要な事なんだ! |
ファング | これから人間はこの山を通らせてもらわなきゃならない |
ファング | 人と魔物が出会うって事は、人にとっても魔物にとっても危険な事なんだ |
ファング | だから俺達で、魔物が安心して暮らしていけるような餌場を用意したんだ |
ファング | 悪いけど、みんなでそっちに移住してほしい!頼む、わかってくれ! |
フォォ…… | |
ジーニアス | これってもしかして…ファングの言葉を聞いてる…? |
フォォォォォォォォッ!!! | |
ジーニアス | わっ、な、何!? |
ファング | どうしたんだ、急に叫び出したぞ! |
フォォォォォォォォッ!!!フォォ、フォォォォン!! | |
ズシーン、ズシーン | |
ジーニアス | 歩いて行っちゃった… |
ファング | 見ろ、気持ちが通じたんだ!きっとあの雄叫びは、魔物達に移住の事を知らせてるんだぜ! |
ジーニアス | ほ、ほんとなの…!? |
ファング | ああ!これで問題は全部解決だ! |
ジーニアス | 街道も随分完成してきたけど…本当に魔物は出てこないね |
ファング | だから言っただろ?気持ちが通じたんだって |
ファング | 工事が終わったら、山の主のとこに礼を言いに行かなきゃな |
ジーニアス | もう、まるで友達だね |
ファング | 友達か。魔物と友達になれたら、面白そうだな! |
ジーニアス | ファングが言うと冗談に聞こえないよ |
ジーニアス | ふふ…それにしてもファングって変な人だよね |
ファング | 何だよ。悪かったな |
ジーニアス | いや、悪い意味じゃなくてさ。白き獅子の偉い人なのに、全然そんな感じしないなって |
ファング | どういう意味だ? |
ジーニアス | ボク、ファングと会うまで白き獅子って、もっと雲の上の存在だと思ってたんだ |
ジーニアス | だからボクみたいな一市民の提案をここまで採用してくれるとは思わなかった |
ジーニアス | 呼び捨てでいいって言ってくれた時は誰とでも仲良くなれる人なんだって尊敬したぐらいだったけど… |
ジーニアス | ついに魔物とまで友達になっちゃうんだもん。驚いたよ |
ファング | 何だよ。それって全部、ジーニアスが考えた作戦のお蔭じゃないか |
ジーニアス | さすがに友達になるのは作戦に入ってなかったよ |
ファング | ま、いいじゃないか。お蔭で街道が出来てみんな喜んでるし |
ファング | …それにしても、ここを通ってシャングレイスに行く人、増えてないか? |
ジーニアス | きっとみんな、生誕祭に行くんだよ。ボクもそのつもりで森を通りかかったし |
ファング | 生誕祭って、まだ何日も先だろ? |
ジーニアス | うん。だけどせっかくだから早めに行ってシャングレイスを観光したいと思ってさ |
ファング | なるほどなー。随分と長い間引き留めちまって悪かったな |
ジーニアス | ううん。ファングと仲良くなれたし、よかったよ |
ジーニアス | でも、そろそろ行くね。名残は尽きないけど… |
ファング | 寂しくなるな。でも、また会えるさ |
ジーニアス | あ、そっか。生誕祭の時にはさすがにシャングレイスに戻るもんね |
ファング | その時はさすがに警備とかで会ってる時間はねぇかもしれないけど |
ファング | 生誕祭、楽しんでくれよな |
ジーニアス | うん。それじゃあ、またね! |
クロー隊の極秘任務 | scene1 |
レイヴン | よーう。来たね |
クロー | 話って何だ。あんま時間取れねぇぞ |
レイヴン | まぁ、そうつれない事言わないでここの新作パフェでも食べなよ。もう注文しといたからさ |
クロー | あのなぁ、おっさん… |
レイヴン | 生誕祭に向けて作ったラザリス様パフェだと。美味しいって評判よ? |
クロー | こっちの話は聞く気なしかよ。ったく… |
レイヴン | 聞いても一緒。甘い物、嫌いじゃないでしょ? |
クロー | まぁな。ただし、パフェを食べ終わるまでだ |
クロー | それまでに用件を言わねぇとすぐに帰るからな |
レイヴン | はいはい |
クロー | ところで、どうしてテラス席なんだ?これでも有名人なんだ、出来れば人目を避け── |
ガシャーン! | |
クロー | 何の音だ!? |
レイヴン | さぁねぇ。店内で誰かが暴れてんじゃない?ほら、この店ってお酒も出してるし |
クロー | …最初からその酔っ払いをオレに取り押さえさせる魂胆か。普通に通報すりゃいいのに |
レイヴン | 普通に通報出来るなら、この店の店員も、何でも屋に相談なんてしないでしょ |
クロー | わけありか。…オレは止めに入ってもいいのか? |
レイヴン | よろしく頼むよ、クロー様 |
クロー | ったく。後で事情は聞かせてもらうからな! |
クロー | …つまり、夜勤を終えた神兵が毎日ここで酔って暴れてた…と |
レイヴン | そう。んで、相手は士官らしいから、通報しても揉み消されるかもって店員は悩んでたわけよ |
クロー | 白き獅子に通報すりゃよかったんだ。神兵とは指揮関係が違うからな。士官だとしても関係ない |
クロー | 神兵はヴァン宰相が指揮を執るシャングレイスの衛兵で、白き獅子は、ラザリス様直属の騎士 |
クロー | オレ達はヴァン宰相や神兵とはほとんど無関係なんだぞ |
レイヴン | そうかもしんないけど、世間一般にその違いはなかなか理解出来ないもんよ |
クロー | おまえは理解してんだろ?どうして最初から言わなかった |
レイヴン | 事情を話してても、クロー様が直々に来てくれたわけ? |
レイヴン | 相手が神兵の士官って事に店員は不安を感じてるんだからもっと上の味方が必要でしょうよ |
クロー | ……なるほどな。よく考えりゃ、あいつ一人ぐらいならレイヴンだけで取り押さえられるか |
レイヴン | ノーマちゃんが言ってたのよね。何でも屋の仕事は、悩みを解決する事── |
レイヴン | だから事件だけ解決しても悩みや不安が残ってちゃ意味がないってさ |
クロー | 事情はよくわかった。レイヴン、おまえのやり方もな |
レイヴン | …ホントにそう? |
クロー | ああ。オレを引っ張り出すためにはとんでもねぇ搦め手を使いやがる |
クロー | …パフェがまだ来ねぇ。おまえ、注文してないだろ |
クロー | オレが、パフェを食い終わるまでは話を聞くって言ったからか?まだ何かあるんだな |
レイヴン | あらら、お見通しなのね。ホントにおっさんのやり方、理解されてるわ |
クロー | 回りくどい事はやめろ。オレは忙しいんだ |
レイヴン | その忙しいのって…今度連行されてくるっていう咎人のせい? |
クロー | ……レイヴン。どうしてその情報を |
レイヴン | それを今から説明するんだけど、ここで話しても大丈夫? |
クロー | …機密事項だ。何でも屋の事務所で聞こうか |
レイヴン | あいよ。一名様、ご案内~…っと |
レイヴン | ま、散らかってるけど入った入った |
クロー | 散らかってるのはいつもの事だろ |
クロー | …ん? |
??? | あっ… |
レイヴン | 彼女はセレスちゃん。今回の依頼人よ |
レイヴン | セレスちゃん、お待たせ。この人は…まぁ知ってるわよね |
セレス | はい。でもまさか、本当に来ていただけるとは思いませんでしたわ |
クロー | 一体、どういう事なんだ? |
レイヴン | じゃ、単刀直入に。今度連行されてくる咎人… |
レイヴン | 名前はゼロス…赤髪の青年で間違いないわね? |
クロー | ………… |
セレス | あの方は…ゼロスは… |
セレス | 私の恩人なのですわ |
クロー | ………… |
セレス | えっと… |
レイヴン | 大丈夫、話続けて。こう見えて偉~い騎士様って立場上肯定も否定も出来ないだけだから |
クロー | 別に偉ぶってるつもりはねぇよ |
レイヴン | ほら、文句がある時はすぐ言うでしょ。黙ってる間は話してていいのよ |
セレス | わかりましたわ |
クロー | はぁ、もういい。そこまでぶっちゃけられたら黙ってる意味なんてねぇだろ |
クロー | でも先にはっきり言っておくぞ。恩人だろうと何だろうと咎人は咎人だ |
クロー | 見逃してくれって話なら悪い事は言わねぇから、何も言わないまま帰った方がいい |
セレス | いえ、違います。そこは私も理解していますわ。ラザリス様のお達しですから |
セレス | 辛い事ですが、あの方は咎人になってしまわれた…それは受け入れたつもりですわ |
クロー | それじゃあ、何だってんだ? |
セレス | 私、あの方に命を助けられたんですの |
セレス | 魔物に襲われて…逃げようとしたのですけれど咳込んで走れなくなってしまって… |
セレス | その時でしたわ。あの方が身を挺して助けてくれたんですの |
セレス | けれど…私はそのまま倒れてしまってちゃんとお礼も言えなかったんですの |
セレス | 体調が快復してから調べて回ってやっと見つけたと思ったら咎人として捕まっていて… |
セレス | お礼を言いたくても咎人と話してはいけないって近づく事さえ許されませんでしたわ |
レイヴン | そこで何でも屋に相談に来たわけ。クロー様の権限で何とかならない? |
クロー | 事情はわかったし同情はするがこればかりは聞けねぇな |
クロー | 咎人との会話禁止ってのもラザリス様からのお達しだ。白き獅子として許容は出来ない |
レイヴン | あら?それって正確には「咎人の声に耳を傾けてはいけない」じゃなかった? |
レイヴン | あと「咎人と接触してはいけない」…咎人にこちらの声を聴かせてはならないとは言われてないよねぇ |
クロー | …何が言いたい |
レイヴン | じゃあ、例えば、咎人が連行される通り道の近くに、偶然、セレスちゃんがいて… |
レイヴン | 咎人が通るタイミングで、偶然、セレスちゃんが大声でお礼の言葉を叫んだとして |
レイヴン | それが咎人の耳に入ったら何か問題がある? |
クロー | おい、レイヴン |
セレス | どうなんですの?問題あるんですの?はっきり言ってください! |
クロー | さっき、はっきり言っただろ。白き獅子として許可は出来ないって |
レイヴン | あら?あらら?おっかしいわねぇ |
レイヴン | 道端でお礼の言葉を叫ぶのに白き獅子の許可が必要なんだっけ?知ってた、セレスちゃん? |
セレス | 私も初耳ですわ |
クロー | はぁ…わかったよ、勝手にしろ。オレは何も聞いてねぇ。おまえ達が勝手に叫ぶだけだ |
クロー | ま、でかい声が出るよう発声練習しとくんだな |
クロー | 明後日、ちょうど今ぐらいの時間に東の三番通りあたりなら大声出すのにぴったりなんじゃねぇか |
レイヴン | 東の三番ね。ありがとさん |
クロー | じゃ、オレは咎人を迎え入れる準備で忙しいんだ。またな |
セレス | あっ…帰ってしまわれましたわ |
レイヴン | いいんでない?必要な情報はもうもらったし |
レイヴン | 明後日、晴れるといいわね |
セレス | 明後日…?あっ… |
セレス | はい! |
クロー隊の極秘任務 | scene2 |
クロー | どういう事だ |
ヴァン | 今言った通りだ。今日の咎人の護送は私の率いる神兵が行う |
クロー | 白き獅子の仕事だ。そのための厳しい訓練も受けている。宰相も受けていたとは知らなかったぜ |
ヴァン | …あの咎人は普通ではない。特別に保護せねばならんのだ |
クロー | 天帝からそんな話は聞いていないが |
ヴァン | 今、私が伝えた。それで充分だろう |
クロー | 護送ルートの選定や人員配置、その他諸々、こっちは何日も前から準備してきてんだ |
クロー | はいそうですかって渡せるわけねぇだろ? |
ヴァン | 急ごしらえではあるがこちらも護送計画を立てている。この書類を見るといい |
クロー | ………… |
ヴァン | まだ何か問題があるか? |
クロー | (準備は万全のようだな。 文句のつけようがねぇ。 ただ…) |
クロー | (ヴァンのルートだと 東の三番は通らねぇな…) |
ヴァン | 何もないならいいだろう。このまま引継ぎを… |
クロー | いや、問題はある |
ヴァン | 何? |
クロー | 咎人との接触は堅く禁じられている。例え宰相といえどそれは同じだ |
クロー | それに白き獅子では、咎人を天帝以外に引き渡さないよう決めている |
クロー | 少なくとも事情が何も説明されてねぇ今の段階で宰相に咎人を引き渡す道理はねぇ |
ヴァン | ………… |
クロー | おいおい、そんな怖い目で見ないでくれよ。こっちも規則なんだって |
??? | うおーい、大変だー! |
??? | 咎人が逃げたぞー! |
ヴァン | 何!? |
クロー | (…! あの声…) |
ヴァン | ふん、だから白き獅子には任せられぬのだ |
ヴァン | 神兵は私に続け |
神兵達 | はっ! |
騎士団員1 | クロー様!我々も行きましょう! |
クロー | いや、持ち場を離れるな。全員にそう伝えろ |
騎士団員1 | しかし…! |
クロー | よく考えろ。事前の計画では、到着時に伝令が来る手はずだっただろ |
クロー | 咎人は本当に到着していたのか? |
騎士団員1 | す、すぐに確認します! |
クロー | (さっきの声…何でも屋のノーマと レイヴンだったよな…) |
クロー | (まったく、無茶な事してくれるぜ) |
騎士団員2 | クロー様!報告です!たった今、咎人が到着したと伝令が! |
クロー | やっぱり、まだだったか |
騎士団員2 | はい。勿論、逃げ出した事実はありません。しかし、それならこの騒ぎは一体… |
クロー | 大丈夫だ。混乱を治めるから、話を合わせるよう全員に通達してくれ |
騎士団員2 | はっ! |
クロー | さて…と |
クロー | みんな、落ち着いてくれ!咎人は白き獅子が捕えた!もう大丈夫だ! |
ザワザワザワ── | |
クロー | 咎人はこのまま『予定通り』に白き獅子が護送する!近づかないよう、道を空けてくれ! |
騎士団員3 | クロー様。ヴァン宰相の事はよろしいのですか |
クロー | ああ。咎人の護送は速やかに行え。宰相には話をつけてくる |
騎士団員3 | 承知いたしました! |
クロー | さて…と。結局、オレが貧乏くじか |
ヴァン | …騒ぎが収まったようだな。どうやら先を越されたか… |
クロー | よう、宰相。咎人の件は片付いたぜ。今、予定通り護送中だ |
ヴァン | クロー。一時的とはいえ咎人を逃した責任は重いぞ。今からでも我々に引き渡すのだ |
クロー | そもそも逃げられてねぇよ。あの騒ぎはイタズラだったみてぇだぜ |
ヴァン | 何…? |
クロー | いろいろ計画立てたって言ったろ。こまめな伝令計画のお蔭で誰かさんみてぇに慌てずに済んだぜ |
ヴァン | ………… |
クロー | つーわけで、護送は引き続きオレの隊で行うって事で、異論はないよな、宰相? |
ヴァン | くっ… |
騎士団員1 | もうすぐ宮殿だ。大人しく歩けよ |
ゼロス | ………… |
騎士団員2 | しかし回り道だよなぁ。人通りの少ないところを選ぶ必要があったとはいえ… |
騎士団員1 | おい、ぼやくな。これは最重要任務だ、気を引き締めろ |
騎士団員2 | ああ、悪い |
セレスの声 | ゼーロースーさーまー!!! |
ゼロス | …!? |
騎士団員1 | 誰だ!?咎人に話しかけるな! |
騎士団員2 | どこだ、姿が見えないぞ!? |
セレスの声 | 私、どうしてもお伝えしたかったんです! |
ゼロス | (この声…まさか…) |
セレスの声 | 助けてくださって──…けほっけほっ…! |
ゼロス | (セレス…! 無理するな! 聞こえてるから…!) |
セレスの声 | ありがとうございました! |
ゼロス | (セレス…!) |
騎士団員1 | おい、やめろ!話しかけるな! |
騎士団員2 | 咎人、絶対に返事をするなよ! |
ゼロス | (わかってる…。 セレスを咎人と会話した罪人に するわけにいかねぇもんな) |
ゼロス | (セレス…ありがとな。 けど…今のお前は本当のセレスじゃ ねぇんだよな) |
ゼロス | (俺は捕まっちまったけど… まだスレイ達が残ってる) |
ゼロス | (必ず世界を取り戻して… 今度は元通りになったセレスに もう一度言ってもらうぜ…!) |
騎士団員1 | …もう声は聞こえないみたいだな |
騎士団員2 | 急ごうぜ。また何かあったら面倒だ |
騎士団員1 | ああ。ほら、さっさと歩け |
ゼロス | ………… |
ゼロス | (ありがとな、セレス…) |
レイヴン | …ってわけで、上手く行ったわよ。セレスちゃんがお前に「ありがとう」だってさ |
クロー | オレは任務をこなしただけだ。礼を言われる道理はねぇよ |
レイヴン | じゃあ、パフェも奢らなくていい? |
クロー | それは別の話だ。これはおっさんが奢るって言ったんだからな |
レイヴン | へいへい |
店員 | お待たせいたしました。ラザリス様パフェとサバみそ定食でございます |
レイヴン | サバみそはこっちね!いただきまーす! |
クロー | パフェにしなくてよかったのか? |
レイヴン | いいの。昼食まだだったし。これでも結構、忙しいのよ |
クロー | ふうん。ま、いいけど。…ん?このパフェ、えらく豪華だな |
店員 | 当店からのサービスです。あの…クロー様。先日は本当にありがとうございました |
クロー | 何、あれも仕事の内だ。その後、どうだ?酔っ払いはまだ来るのか? |
店員 | はい、謝りに来てくださいました。それに、もうお酒は飲まれません。禁酒してくださるそうです |
店員 | 今ではいい常連さんですよ |
クロー | そいつはよかった |
レイヴン | でも、もうすぐ生誕祭でしょ?他の街から来る人も増えてるし、羽目を外し過ぎる人も出てくるかもよ |
クロー | そん時は、その神兵の士官が何とかすんだろ。罪滅ぼしにもなるしな |
レイヴン | それもそうね |
店員 | ふふ。ではごゆっくりどうぞ |
レイヴン | ありがとね~ |
レイヴン | …なぁ、クロー様よ。おっさんずっと気になってたんだけど |
クロー | 何だ? |
レイヴン | 騎士団をやめて、何でも屋になる気はない?そっちの方が合ってる気がするのよね |
クロー | はぁ?本気で言ってんのか? |
レイヴン | 本気よ。じゃないと、パフェを奢ったりしないって |
クロー | ふーん。なら、真面目に答えるとするか |
クロー | 確かに何でも屋の活動は面白そうだなって思うぜ。性に合ってそうな気もする |
クロー | でも、天帝の下で市民を守るっていう今の活動にも不満はねぇんだ |
クロー | 筋の通らねぇ事をする偉いやつにガツンと言ってやれる立場ってのも捨てがたいしな |
レイヴン | それって酔っ払いの士官の話?それとも、この前の宰相様? |
クロー | さぁな。ま、いずれにせよ… |
クロー | 何でも屋には、おまえがいる。ならオレは騎士団でいいじゃねぇか |
レイヴン | なるほどね。わかったよ、ダメ元だったし、勧誘はスッパリ諦めましょう |
クロー | さて、パフェご馳走さん!また何かあったらよろしくな |
Name | Dialogue |
---|---|
怪しいチョコレート大回収 | |
コレット | ただいま!試供品のチョコ、配り終わったよ~ |
ナタリア | 皆さん、とても喜んでくださいましたわ |
イレーヌ | おかえりなさい、二人とも。あなた達が宣伝してくれたお蔭で商品の売れ行きも好調よ |
コレット | 商品がすごいからだよ。説明したら、みんなびっくりしてたもん |
ナタリア | ええ。チョコが象られたものと同じ動きをするなんて聞いた事ありませんわ |
イレーヌ | 面白いでしょう?機能だけでなく味も妥協しないよう研究に研究を重ねたのよ |
マギルゥ | それにしてもオベロン社も思い切った事をするのう |
マギルゥ | 儂のような魔女を技術顧問として起用するとは |
イレーヌ | あなたの魔術と魔女としての薬学知識は、本物だもの |
マギルゥ | 薬学とは大げさじゃのう。薬の調合に慣れとるだけじゃよ |
イレーヌ | もう一人の技術顧問であるパスカルもあなたがいて助かったって言ってたわよ |
パスカル | うん。あたしの技術とは違った系統の事をいろいろと知っててほんとに助かったよ~ |
パスカル | それに、いい事教えてもらったよ。お風呂に入らない日が続いても気にならなくなる呪文、マギンプイ! |
マギルゥ | どーでもいい事がどーでもよくなる呪文じゃ!って、風呂はどーでもよくないわい! |
パスカル | 気にしない~、気にしない~。ほら、マギンプイっと |
マギルゥ | 儂より使いこなしとる!? |
イレーヌ | ふふ、いいチームだったみたいね |
イレーヌ | そうだわ。せっかくだからコレットとナタリアも新商品を使ってチョコ作りしてみる? |
コレット | えっと、いいの!? |
イレーヌ | ええ。二人がどんな形のチョコを作るか見てみたいもの。早速、準備するわね |
コレット | 出来た! |
イレーヌ | コレットのチョコは犬の形ね |
ワンワン! | |
コレット | すごい!ほんとに吠えるんだね!わっ、尻尾も振ってる!自分が犬だってわかるんだね~ |
パスカル | 作った人のイメージを反映して動く仕組みなんだよ~ |
ナタリア | 見てください!私の作ったバラのツボミが、見る間に咲いていきますわよ |
コレット | わぁ、綺麗!お花、ふわふわしてて本物みたいだね |
マギルゥ | 形はともかく、もう少しでとんでもない味になるところじゃったがのー |
ナタリア | マギルゥが手伝ってくれたお蔭で助かりましたわ |
マギルゥ | あんなの儂じゃて見とれんわ… |
マギルゥ | 料理は魔女が薬を作るような正確さと儀式を行うような手順の正しさが大切じゃからな |
マギルゥ | しかと覚えておくのじゃぞ |
ナタリア | ええ、肝に銘じておきますわ |
パスカル | まぁ、そう言うマギルゥも開発途中で失敗してとんでもない物を作ってたけどね~ |
マギルゥ | 何を言うか!あれはお主が儂に渡したメモが間違っておったからじゃ! |
パスカル | あはは、そうだっけ?それにしたって、あれは酷い失敗作だったよね |
マギルゥ | そうとも言えんぞ?確かに人の食べられる物ではないが魔術には使えそうじゃった |
マギルゥ | だから、ちょいとばかし改良して魔術用にこっそり量産してたりしての |
パスカル | ええっ!?あれをたくさん作ったの!? |
イレーヌ | そんな報告受けてないけれど…どんなチョコなの? |
マギルゥ | 魔術の儀式に使うととっても便利な物じゃ。ただ、人が食べると… |
イレーヌ | どうなるの? |
マギルゥ | さすがの儂でも気が咎めて夜も眠れなくなるようなとんでもない事になってしまうのじゃ |
イレーヌ | 具体的にどうなるのよ?パスカルは、知ってるの? |
パスカル | うん。知ってるよ。あれを食べた人は… |
パスカル | ああ~、ダメ!あたしの口からはとても言えない! |
ナタリア | …口に出来ないほど酷い事になる…というのはよくわかりましたわ |
イレーヌ | そんな危険な物を作るなんて… |
マギルゥ | じゃから、儀式用じゃ!食べたり食べさせたりはせんから大丈夫じゃて |
マギルゥ | それに作った物はちゃんとここに箱に詰めて保管しておるわい |
イレーヌ | 在庫にしては箱が多いと思ったらあなたのだったのね… |
クンクン──ワン! | |
コレット | あの箱がどうかしたの? |
ワォーン!ワン!ワンワン! | |
コレット | きゃっ──! |
スッテーン──… | |
ドンッ!ドサドサドサッ! | |
イレーヌ | コレット!大丈夫!? |
マギルゥ | ぎゃあ~!儂の儀式用チョコが!? |
コレット | びっくりして転んじゃった…ごめんなさい。箱、崩れちゃったね |
パスカル | …!ねぇ、これ箱から飛び出してきたんだけど… |
イレーヌ | これって…コレットとナタリアに配ってもらったはずの試供品!? |
ナタリア | まだこんなに残っていたんですの?…あら、私達が配った物と少しデザインが違いますわよ? |
パスカル | それってもしかして… |
マギルゥ | 儂の作った儀式用チョコの方を配っておったのか!? |
イレーヌ | だったら大変!すぐに回収しないと! |
コレット | もう食べちゃった人はいないかな…? |
パスカル | それは、大丈夫じゃないかなー。元々、直接食べるんじゃなくて材料に使う物として配ってたし |
パスカル | それにもし食べちゃった人がいたら街が大騒ぎになってると思うから |
ナタリア | 大騒ぎって…。食べたらどうなると言うんですの!? |
パスカル | それは──あたしの口からはとても言えない! |
イレーヌ | とんでもない事になるという事実だけで十分よ。急いで回収しましょう |
ナタリア | ええ。バレンタインフェアの会場に入ってくる人に配りましたから今ならまだ会場内にいるはずですわ |
マギルゥ | 儂は念の為会場の外を探そうかの。儂なら、あのチョコに込めた僅かな魔力を探知出来るからのう |
コレット | そんな事出来るんだ!マギルゥがいてよかったねぇ |
パスカル | そのマギルゥが元凶なんだけどね~ |
イレーヌ | オベロン社も総力を挙げて回収にあたるわ。みんな、よろしくね! |
Name | Dialogue |
---|---|
召喚!英雄クローディア | |
??? | …ここは、どこなんでしょうか…私は…一体… |
??? | マスター…?マスター、どこにいるのですか…? |
??? | マスターに…会いたい…! |
クローディア | ──はっ!ここは… |
クローディア | 森…?見慣れない場所ですね。それに、この祭壇のような物は… |
クローディア | …そうだ、マスターは!? |
クローディア | コアクリスタルとのリンクは途切れていない…。そう離れてはいないはずですが… |
クローディア | マスター!マスター、どこですか!? |
ドゴォン! | |
クローディア | ──!これは、戦闘音!?まさか、マスター!? |
クローディア | 急がないと! |
ザビーダ | 何だ、この魔物。初めて見るが、妙に手強いじゃねぇか |
グォォォッ! | |
ザビーダ | おっと、やべぇ…! |
クローディア | はぁっ! |
ズバッ! | |
ギャウゥ…! | |
ザビーダ | うぉ、すげぇ |
クローディア | マスターではなかったのですね。お怪我はありませんか? |
ザビーダ | ああ、だいじょ── |
ザビーダ | 待て、俺が見えてんのか。お嬢ちゃん、一体、何もんだ? |
クローディア | 申し遅れました。私は英雄のクローディアです |
ザビーダ | はっ、自分で英雄を名乗るとは面白れぇお嬢ちゃんだな |
クローディア | もしかして、あなたも英雄ですか? |
ザビーダ | 俺様はそんな立派なもんじゃねぇよ。天族のザビーダだ。さっきは助かったぜ、ありがとな |
クローディア | いえ、お礼には及びません。魔獣討伐は英雄の仕事ですから |
ザビーダ | さっきのやつ魔獣って言うのか |
クローディア | ところで、マスターを見ませんでしたか? |
ザビーダ | マスター? |
クローディア | 王ですよ。見ていませんか? |
ザビーダ | あぁ、王だったらさっき森の外を騎士団引き連れてぞろぞろ歩いてたぜ |
クローディア | 本当ですか!?マスター! |
ザビーダ | あっ、おい!そっちじゃねぇって! |
ザビーダ | …ったく、しょうがねぇな。案内してやるか |
ザビーダ | あそこにいるのがこのウィンドルの王、リチャードだ |
クローディア | あの方が…この国の王?マスターじゃない… |
騎士団員 | ん?何用だ、陛下に用事か? |
クローディア | いえ。人違いのようです。すみません、この辺りで他に王を見かけませんでしたか? |
騎士団員 | 他の王?どこの王の事だ。ア・ジュールか?キムラスカか? |
クローディア | ア・ジュール…キムラスカ…聞いた事のない国の名です… |
リチャード | 騒がしいね。どうかしたのか? |
騎士団員 | こ、これは、陛下!いえ、この二人が人を捜しているそうでして… |
リチャード | そうか。我々で力になれるといいのだが |
ザビーダ | …待て。今、二人って言ったか?もしかしてお前らにも俺の姿が見えてんのか? |
リチャード | 見えているよ。そんな事を聞くという事は…もしかして君は天族なのかい? |
ザビーダ | ああ。どうして見えちまってるのかはさっぱりわかんねぇけどな |
リチャード | 何か事情がありそうだね。話を聞かせてもらえるかな? |
クローディア | はい |
クローディア | …というわけで、私達英雄は、王であるマスターに仕え魔獣と戦い、国を発展させてきました |
クローディア | 私の使命はマスターをお守りする事。そのために早くマスターのもとへ戻らねばならないのです |
リチャード | なるほど…。状況から推測すると、君はおそらく別の世界から来たのだろうね |
クローディア | べ、別の世界…!? |
ザビーダ | 根拠なしに出せる推測じゃねぇよな。何か知ってんのか? |
リチャード | 勿論、根拠はある。順に説明するよ |
リチャード | まず、君はあの謎の魔物達…魔獣と言ったか。あれを知っているんだろう? |
クローディア | はい。魔獣とはずっと戦ってきました |
リチャード | 僕達は違う。魔獣は数日前、突如として世界中に姿を現したんだ |
リチャード | 数が多く、対策が必要という事で、ついさっきまで四大国の代表者が集まる会議が開かれていた |
リチャード | その会議の場で公表された最新の研究結果が── |
リチャード | 魔獣達は、別の世界から来た…というものだった |
クローディア | 別の世界… |
リチャード | その理由は、魔獣が落とした── |
騎士団員 | 陛下!お話中失礼いたします!緊急事態です! |
リチャード | どうした |
騎士団員 | この近くでシルヴァラントの部隊が謎の魔物と交戦中との事! |
リチャード | わかった、救援に向かおう。総員、戦闘準備!シルヴァラントの部隊を援護せよ! |
リチャード | 二人とも、すまない。続きは後で話そう |
クローディア | そうですね。魔獣の討伐は英雄の仕事です、私にもお手伝いさせてください |
ザビーダ | 仕方ねぇ、ついて行くか。肝心な事がまだ聞けてねぇからな |
グアァァァッ! | |
エレノア | くっ…!何の、甘い! |
エレノア | はぁっ! |
グオォッ…! | |
エレノア | そんな…!これでも倒れないなんて…! |
クローディア | 大丈夫ですか!?あとは私に任せてください! |
ズバッ! | |
ギャアアアッ! | |
エレノア | すごい…あなたは、一体… |
クローディア | 英雄のクローディアです。まだ付近に魔獣がいるようです…油断しないでください |
リチャード | 遅ればせながら、ウィンドル騎士団、加勢する |
ザビーダ | 面倒くせぇ、さっさと片付けるぜ。まとめて吹き飛ばしてやる |
エレノア | 陛下直々に…!それにこの力、もしや天族…!? |
エレノア | こんなに心強い援護はありません!みなさん、ありがとうございます! |
リチャード | さて、英雄殿。魔獣との戦い方、手ほどきいただけるかな? |
クローディア | 勿論です。実戦でお見せします。さぁ、行きましょう! |
ズバズバッ! | |
ギャウゥ… | |
クローディア | これで最後ですね |
エレノア | 助かりました。みなさん、ありがとうございます。リチャード陛下まで… |
リチャード | 気にしないでくれ。四大国会議の出席者に何かあったら大変だからね |
ザビーダ | さてと、魔獣も片付けた事だしその会議に関する話の続き聞かせてくれよ |
エレノア | 会議の話…ですか? |
リチャード | ああ。クローディアさんが魔獣と同じく異世界から来た可能性があるんだ |
エレノア | 異世界から…!本当ですか!? |
リチャード | ああ、それを確認するために会議で話題になったアレを彼女に見せようと思うんだ |
リチャード | エレノアさん、例の物は回収出来たかい? |
エレノア | 魔獣が異世界から来たという証拠となった物ですね。先ほどの魔獣も持っていました |
エレノア | これです |
クローディア | これは…!小さいですが、マザークリスタルのように見えます |
リチャード | この世界には存在しない物質で構成されているらしい。やはり君は知っているんだね? |
クローディア | これは初めて見ますが…よく似た物を知ってます |
クローディア | マザークリスタル…未知の力を秘めた宝石で、国に様々な恩恵をもたらします |
クローディア | 例えば…英雄の召喚とか… |
ザビーダ | って事は、英雄であるお嬢ちゃんはそのクリスタルの力でこの世界に召喚されたって事か? |
クローディア | 可能性はあります。でも、不思議ですね… |
クローディア | 世界を隔てるほどマスターと離れているのに、マスターとのリンクは切れてません |
リチャード | これだけ不思議な事が起きているんだ。何があってもおかしくないさ |
リチャード | それに…森の祭壇のような場所で目覚めたと言ったね? |
クローディア | はい |
リチャード | あそこは過去に、僕の親友がある少女と出会った場所なんだ |
リチャード | 彼女は、その時の世界に必要な人だった… |
リチャード | だから特別な力を与えられて現れたのだと聞いた |
クローディア | では、私も今の世界に必要だから特別な存在として呼ばれたという事でしょうか |
クローディア | 特殊な力の働いた召喚だからマスターとのリンクが維持されている…と |
リチャード | あくまで仮説さ |
ザビーダ | クローディアの件はそれで説明つくが天族の俺が見えるようになった理由がまだわかんねぇな… |
エレノア | あの…それについては心当たりがあります |
エレノア | そのクリスタルから、不思議な力が広がって、空間を満たしているのを感じるんです |
エレノア | 何となくですけど、この力が天族を可視化させているのではないかと… |
ザビーダ | そういや森で魔獣と戦ってから変な感じだったな。あいつもクリスタルを持ってたのか |
クローディア | クリスタルには様々な力があります。そういう事もあるかも── |
クローディア | ……!このクリスタル…力だけでなく、マスターとの絆も感じます! |
ザビーダ | マスターって、お嬢ちゃんが捜してる王様か? |
クローディア | はい。森でもマスターの気配を近くに感じていましたが、あの魔獣のクリスタルだったのですね |
クローディア | この世界に突如現れた魔獣…魔獣の持つ小さなマザークリスタル…それを通してマスターを感じる… |
クローディア | そういう事ですか…。マスター…私、わかりました… |
クローディア | リチャード陛下。お願いがあります |
リチャード | 何だい? |
クローディア | 先程の仮説の通りなら、私はマスターの英雄でありながら使命を持ってここに呼ばれました |
クローディア | つまりここに来た事は…マスターに仕える英雄として私に必要な事なのだと思います |
クローディア | それに、この世界のみなさんが魔獣の事で困っているのであれば見過ごすわけにはいきません |
クローディア | どうか私に、魔獣を倒す事、そして国を盛り上げる事を手伝わせていただけないでしょうか |
リチャード | ああ。魔獣に関しては是非とも力を貸していただきたい |
リチャード | 国の事はさすがにお願いできないけどクローディアさんの国の事をいろいろと聞かせてくれると嬉しい |
クローディア | わかりました。では魔獣の事はお任せください。私が何とかして見せます |
ザビーダ | 水を差すようだが、魔獣は世界中にうようよいるぜ。何か策はあんのか? |
クローディア | はい。クリスタルを集めれば解決出来ると思います |
クローディア | マザークリスタルの力は上手く使えば魔獣を味方にする事すら可能ですからね |
エレノア | 味方に…!それはすごいですね |
リチャード | なるほど。そういう事なら、確かにクリスタルを集めれば事態を治められるかもしれないな |
クローディア | それに、このクリスタルから感じるマスターとの絆… |
クローディア | きっとこれを集めれば私はマスターのもとに帰れると思うんです |
ザビーダ | クリスタルに始まりクリスタルに終わるって事か。まぁ納得だな |
ザビーダ | そのクリスタルが少なからず天族にも影響してるんなら、他人事ってわけにもいかなさそうだな |
ザビーダ | 乗りかけた船だ。俺も手伝ってやるよ |
リチャード | ありがとう。他の国にも協力を要請して魔獣を倒し早急にクリスタルを集めよう |
英雄と王都と一時の休息 | |
クローディア | マスター…クリスタルも随分集まり、この保管部屋も狭く感じるほどになってきました |
クローディア | まだマザークリスタルの力には及びませんが… |
クローディア | マスターとの絆は当初よりずっと強く感じられるようになりましたよ |
クローディア | ………… |
クローディア | 誰も見てませんよね…?では大量のクリスタルの中に身をうずめて… |
クローディア | あぁっ、マスター…!こうしてクリスタルに囲まれているとマスターを強く感じます…! |
クローディア | まるで傍にいるみたいです…!マスターの優しい顔が目に浮かんできます…! |
クローディア | マスター、私がいなくても大丈夫ですか…?あぁ、マスター…私は…! |
リチャード | クローディアさん、ここにいるのかい?声が聞こえたけど… |
クローディア | はっ…! |
リチャード | やはりここだったか。…と、出直した方がよかったかな? |
クローディア | い、いえ。な、何かご用でしょうか…! |
リチャード | 今は魔獣の出現情報もないしよかったら、僕の国を見て回らないかと思ってね |
クローディア | それは、願ってもない事ですが…よろしいのですか? |
リチャード | 勿論。君の目から見てウィンドルがどう見えるか聞いてみたいからね |
クローディア | ありがとうございます。ではお言葉に甘えて、街を見させていただきます |
リチャード | ああ。ゆっくり羽を伸ばすつもりで見て来るといいよ |
クローディア | ──とは言ったものの、どこから見て回りましょうか… |
ザビーダ | よう、お嬢ちゃん、散歩か?よかったら案内するぜ |
クローディア | ザビーダさん。奇遇ですね |
ザビーダ | そうでもねぇよ。王様から、今日あたり散歩に出るって聞いてな |
ザビーダ | どうせ俺も観光するつもりだったし一緒にどうかと思ってな |
クローディア | そうだったんですか。ありがとうございます。ではご一緒させてください |
ザビーダ | 任せな。で、どこか行きたいところはあるか? |
クローディア | 具体的な場所は決めてませんが、この国の事をもっと知りたいです |
クローディア | 街の規模や建築様式なんかは資料で見せていただいてますから… |
クローディア | 文化を知るために商店を巡りたいのですが、いいでしょうか? |
ザビーダ | よし、俺についてきな |
ザビーダ | この店はバロニアでも結構有名らしいぜ |
クローディア | ふむふむ…。あれ、あそこにいる人は… |
エレノア | あら?クローディアさんとザビーダではないですか |
クローディア | エレノアさん!確か隣国にお住まいのはずでは…? |
エレノア | はい。今日は騎士団の用事でウィンドルに |
クローディア | という事は、隣国の騎士団が、買いに来るような特別な物がここに売っているのですか? |
エレノア | いえ、もう用事は済んで、今は個人的な買い物です |
エレノア | 知り合いからお土産を頼まれまして何がいいか悩んでいたところなんです |
クローディア | お土産…!いいですね、私もマスターに何か買っていきたいです! |
店主 | お嬢さん達、ウィンドル土産を探してるのかい?だったら、これはどうだね? |
クローディア | これは…何ですか? |
店主 | ウィンドルの遺跡から出土した古代のかざぐるまだ。ウィンドルといえば風だからな |
店主 | 何千年も風を受け続けて、魔法の力を得たって一品よ。特別に一万ガルドでいいぜ |
ザビーダ | 風の力なんて感じねぇな。本当に遺跡から出た物か? |
店主 | 何…?古物商から八千ガルドで仕入れた品だ偽物なわけないだろう! |
ザビーダ | だったらいいがな。残念ながら俺様なら千ガルドでも買わねぇ代物だ |
店主 | まさか…あの古物商に騙された…?くそ、今度会ったら問い詰めてやる! |
クローディア | 遺跡に古物商…それに風…ですか。なるほど… |
クローディア | この国の文化が少しわかった気がします |
エレノア | それはよかったですね |
エレノア | 確かに風はウィンドルの象徴…。知り合いへのお土産は、風車小屋の模型にします |
店主 | それなら五百ガルドだ |
ザビーダ | 妥当だな |
エレノア | クローディアさんはお土産どうします? |
クローディア | うーん…風車小屋の模型もいいですが… |
クローディア | あの、この赤くてプニプニした物は何でしょう…? |
店主 | ん?ただのアップルグミだが…食べると体力が回復する… |
クローディア | 何と、そんな効果が…!不思議な食べ物ですね。マスターへのお土産にします! |
エレノア | どうやら異世界の人には珍しいようですね |
ザビーダ | ああ。いろいろ見せてまわんのが楽しみになってきたな |
ザビーダ | さて、買い物も終わったし次は何か見たいもんあるか? |
クローディア | アップルグミ…とても不思議です。食文化に興味がわいてきました。他にはどんな食べ物が…? |
リチャード | 楽しそうだね。ご一緒してもいいかな? |
エレノア | リチャード陛下! |
リチャード | しーっ。今はお忍びだ。あまり大きな声で呼ばないでくれ |
ザビーダ | 王様も一緒に行くのか?だったらお薦めの店を教えてくれよ。詳しいだろ? |
リチャード | わかった。僕のお気に入りの店を紹介するよ |
クローディア | 王が自ら…ありがとうございます。王室御用達の料亭などでしょうか? |
リチャード | いや、街のアイスクリーム屋さ。これが美味しいんだ |
クローディア | アイスクリーム…!いいですね |
クローディア | さすがにお土産に持って帰るのは無理そうなのが残念ですが… |
エレノア | ふふ。クローディアさん、よほどマスターという方を大切に想っているんですね |
クローディア | はい、マスターは私にクローディアという名をくれた方…命を賭してお守りすると誓っています |
リチャード | 確かに先ほどもクリスタルの保管部屋で── |
クローディア | わぁぁぁっ!い、言わないでください!というか、聞こえていたのですか!? |
リチャード | ふふ、冗談さ。聞こえなかったよ |
エレノア | …? |
ザビーダ | お嬢ちゃん…マスターの話をしてる時はいい顔してやがんな |
エレノア | あ、ザビーダも感じていましたか。最初出会ったときは凛とした戦士という印象でした |
エレノア | それに異世界の人で文化も違う…正直、少し身構えていた部分もありましたが… |
エレノア | こうして見ると、私達と何も変わらないんだって感じますね |
ザビーダ | だな。面白いお嬢ちゃんだ |
クローディア | …?二人して私を見て、どうかしましたか? |
ザビーダ | 気に入ったって話してただけだ |
クローディア | そうですか…?それは、とても嬉しいです |
クローディア | 私も皆さんの事、大切な仲間だと思っていますからね! |
リチャード | 嬉しいね。それじゃあ、行こうか。今は一時の休息を楽しもう |
クローディア | はい! |
誓いのリユニオン | |
リチャード | 小さなクリスタルもこれだけ集まると壮観だね |
リチャード | それに、僕にもわかるぐらい不思議な力を放っている…。これがマザークリスタルの力かい? |
クローディア | いえ、これでもマザークリスタルには及びません… |
クローディア | ですが、マザークリスタルに近い力を発揮しているのは確かです。マスターとの絆も強く感じますし… |
リチャード | 感謝するよ。君のお蔭で、魔獣も姿を見せなくなった |
リチャード | 今日はささやかながら、そのための祝賀会を開くよ。勿論、主役は君だ |
クローディア | そんな…私は英雄としての使命を果たしたまでです |
リチャード | 使命を果たした、という事はお別れも近いかもしれない…。寂しくなるね |
クローディア | そうですね…。最初は早くマスターに会いたいとそればかり考えていましたが… |
クローディア | 今は、また皆さんと一緒にアイスクリームを食べたいと…そう思っています |
リチャード | 君さえよければ、ずっといてくれて構わないが…そうもいかないんだろうね |
クローディア | はい。名残惜しいですが…それでも私の一番の使命はマスターをお守りする事です |
クローディア | …マスターにはたくさんのお土産が出来ました |
クローディア | アップルグミなどの不思議なアイテムもですが… |
クローディア | この世界で経験した全ては、きっと今後の国作りにも役立つでしょう |
リチャード | そういえば、まだ聞いてなかったね。君から見て、この国はどうだった? |
クローディア | 私のいた世界とは環境も目指すものも違いますから簡単に評価する事は出来ませんが… |
クローディア | ウィンドルは活気に溢れ、歴史や伝統を大切にする文化もある素敵な国だと思います |
リチャード | 評価…というより感想のように聞こえるね |
クローディア | そうかもしれません。私はこの国を好きになりましたからどうしても主観が入ってしまいます |
リチャード | それは、何よりも嬉しい評価だよ。ありがとう |
クローディア | それと、外交面についてもとても勉強になりました |
クローディア | 特に魔獣を倒すために手を取り合った同盟国の姿には感銘を受けました |
クローディア | あなた方のような王達がいればこの世界はこれからも発展していくと確信しています |
リチャード | もったいない言葉だな。そう一筋縄ではいかないだろう |
リチャード | けれど、魔獣の一件で各国の絆がより深まったのも事実だ |
クローディア | はい。実は、考えていたのですが… |
クローディア | 私や魔獣がこの世界に現れたのはこの世界の国々が絆を深めて発展するためだったのではないかと… |
リチャード | …確かにそうかもしれない。君達に恥じないよう、この同盟関係を大切にしていかないとね |
クローディア | ありがとうこざいます。そう言っていただければこの世界に思い残す事はありません |
リチャード | …クローディアさん? |
クローディア | そろそろお別れのようです。クリスタルの力が…マスターとの絆が強まっているのを感じます |
リチャード | そんな…せめて祝賀会まで待てないのかい? |
クローディア | ごめんなさい。皆さんにもよろしくお伝えくださ── |
エレノア | ここですね! |
ザビーダ | 間に合ったか? |
クローディア | エレノアさん、ザビーダさん!?どうしてここに… |
エレノア | 祝賀会に招待されて来たんです。そうしたらこの部屋から急に強い力を感じたので、もしや…と |
ザビーダ | 元の世界に帰っちまうんだろ?挨拶もなしに酷ぇじゃねぇか |
クローディア | すみません。でも、最後にお二人に会えてよかったです |
エレノア | 最後だなんて言わないでください。また会えるかもしれないって信じたいじゃないですか |
クローディア | …そうですね。マザークリスタルの力ならばまたいつか… |
リチャード | その時は国を挙げて歓迎するよ。何しろ君は、この世界でも英雄だ |
ザビーダ | それに、俺達の仲間だ。だろ? |
クローディア | はい。皆さん、本当にありがとうございます |
エレノア | お礼なんて水くさいですよ。それより約束です |
エレノア | 元の世界に戻っても私達の事を忘れないでくださいね |
クローディア | 勿論です。皆さんの事…決して忘れません! |
ザビーダ | よし。ってなわけだ、二人とも |
ザビーダ | お嬢ちゃんが世界を隔ててもマスターとの絆を感じてたように俺達の絆ってやつも繋がり続ける |
ザビーダ | これは別れじゃねぇ。ただ遠くに行くだけだ。だから引き止める理由はねぇよな |
エレノア | ええ、そうですね。別れではありませんから |
リチャード | 名残は尽きないが、悲しむ必要はないという事か |
クローディア | ありがとうございます。ザビーダさん… |
クローディア | エレノアさん… |
クローディア | リチャード陛下… |
クローディア | 出来る事なら…また、いつか… |
エレノア | …!クローディアさん!そんな、もう… |
ザビーダ | 帰っちまったか。ま、これで一件落着ってわけだな |
エレノア | …このクリスタル、もう何の力も発していませんね |
ザビーダ | ああ。じきに俺も見えなくなるだろうぜ |
リチャード | そうか、ザビーダさんともお別れになるのか… |
ザビーダ | しけた面すんなって。俺はその気になりゃ会える |
ザビーダ | とはいえ、祝賀会の途中で消えたら騒ぎになっちまうからな。悪いが俺はやめとくぜ |
リチャード | わかったよ。残念だけど仕方ないね |
リチャード | エレノアさんは参加出来るんだろう?クローディアさんの事を説明するの手伝ってくれるかい? |
エレノア | はい、喜んで |
リチャード | それじゃあ、行こうか |
リチャード | ………… |
リチャード | クローディアさん。いつかまた、この世界に来た時に、あなたに笑われないように… |
リチャード | みんなと協力して、この国と世界を立派に発展させると誓うよ |
Name | Dialogue |
---|---|
想いを込めて | |
セネル | さて、上手く焼けたかな? |
セネル | ……うん。ふわふわで香ばしい、いいパンだ。ホワイトデーはこれでばっちりだな |
デクス | 何だと!? |
セネル | うおっ。急にどうしたんだ |
デクス | ばっちりなのは、そのパンか!?オレに譲ってくれ! |
セネル | 急にそんな事言われても… |
デクス | 頼む、何ガルドでも払うから! |
セネル | 金の問題じゃない。これは人に渡すために作ったから譲るわけにはいかないんだ |
デクス | だったら、今から作って…いや、作り方を教えてくれ! |
セネル | 何か鬼気迫る感じだな…事情があるのか? |
デクス | ああ…情けない話なんだが…アリスちゃんへのホワイトデーの贈り物に困っててな… |
セネル | なるほど。でも、どうして俺のパンなんだ?ケーキとかいろいろ売ってるだろ |
デクス | 勿論、ケーキは買ったぞ |
セネル | なら、それでいいじゃないか。それとも手作りにこだわりたいのか? |
デクス | 手作りのお菓子も用意した! |
デクス | それだけじゃないぞ。レザレノ・カンパニー系列の通販で片っ端から買いまくった |
デクス | 花束や、ギフトセット。それから渡す時に備えて、メロメロコウの限定版も! |
セネル | メロメロコウって、香水だろ。何か匂うと思ったら、今もつけてるのか? |
デクス | 勿論。いつどこでアリスちゃんと会ってもいいように常に備えてるんだ |
セネル | こんなに強い匂い、パンの香りが変わるだろ。調理場ではつけないでくれ |
デクス | いいじゃないか。魅惑の香水だぞ。パンについても喜ばれるだけだって |
セネル | それとこれとは別の話だろ… |
セネル | 話が逸れたが、それだけ準備して、まだ足りないのか? |
デクス | 足りない。全っ然、足りない! |
デクス | オレのアリスちゃんへの熱い想いはこれだけじゃ伝えきれないんだ! |
デクス | 贈り物を買っても買っても、作っても作っても、オレの気持ちは表現しきれないんだ! |
セネル | なるほどな…。でもそれは、パンを作っても同じ事なんじゃないか? |
デクス | どういう事だ? |
セネル | それだけ用意してる上に贈り物ばかりたくさん増やしても変わらないだろ |
セネル | それより、今語ってくれた気持ちを書いたメッセージカードでもつけたらいい |
デクス・???・??? | それだ! |
デクス | ん?今、オレ以外にも誰か… |
ルカ | ごめん、聞くつもりなかったんだけど話が聞こえてきて…。僕も贈り物の事で迷ってたから |
アスベル | 俺も、贈り物の事を考えていたら偶然耳に入って、つい… |
デクス | 気にするな。別に聞かれて困るような話じゃない |
セネル | それにしても意外だな。二人ともしっかり贈り物を用意してると思ってた |
ルカ | 贈り物は用意してるんだけど毎回同じような物になっちゃうから何か変化を付けたくって |
アスベル | 俺も似たような感じだな。ちょっとした特別感を出すにはどうすればいいかって考えてたんだ |
アスベル | メッセージを添えるのはいい案だな |
セネル | このホワイトデーフェアの会場でメッセージカードが売ってるのを見かけたから思いついたんだ |
ルカ | だったら、すぐに用意出来るね |
??? | お前ら、メッセージカードを書くのか |
デゼル | どんな内容を書くんだ |
ルカ | あ、デゼルさんもメッセージカードを書くの? |
デゼル | まだ決めてないが、ホワイトデーのお返しを見越した義理チョコを渡されてな |
デゼル | いつも通りに渡したら何を言われるかわからん… |
アスベル | それで悩んでいたのか。みんな似たような悩みがあったんだな… |
デゼル | お前たちはどういった事を書くのか参考までに聞いておきたい |
ルカ | うーん…改めて考えると、言葉に迷うね |
アスベル | そうだな… |
セネル | 意外と難しいものだな… |
デクス | そうか?こうしてる間にオレはカード100枚分ぐらいはメッセージが浮かんだぞ |
セネル | それはそれで…読む方の身にもなれよ |
デゼル | 極端な連中だな |
セネル | せっかくだ、他の人にもどんなメッセージを贈るのか聞いてまわらないか? |
セネル | いろんな人の言葉を聞けば、その中から自分の気持ちを表すのにいい言葉が見つかるだろ |
ルカ | セネルもメッセージカードを書くの? |
セネル | ああ。予定はなかったけど、話していたら書いてみるのもいいかと思ってな |
アスベル | だけど、みんな教えてくれるかな? |
セネル | 強引に聞いたりはしない。それに、向こうも悩んでたら情報交換だって出来るだろ? |
ルカ | そうだね。同じような事で困ってる人は僕達以外にもいると思うし |
デゼル | そういう連中は俺が見つける |
アスベル | そんな事出来るのか!? |
デゼル | 風を読んで、メッセージカードの事を話しているやつを捜す。お前達もそうやって見つけたんだ |
ルカ | すごい。それなら情報交換もすんなり出来そうだね |
デクス | オレも行くぜ。アリスちゃんに気持ちを伝えるための語彙力はいくらあってもいいからな! |
セネル | デクスはみんなの意見を参考にして言葉を絞り込んでいく方がいいと思うが… |
デゼル | …大方の目星はつけた。案内する |
セネル | さすがだな。なら早速、メッセージカードに書く言葉を聞き込みに行こう |
Name | Dialogue |
---|---|
蘇れ!伝説の桜! | |
パティ | ついに辿り着いたのじゃ! |
スタン | ここが、伝説の桜の樹を見られるっていう場所か? |
シェリア | 見渡す限りの桜並木…こんな綺麗な場所が知られてなかったなんて意外ね |
ガイアス | ア・ジュールの古い言い伝えの一つに少し情報があるだけだったからな。調べるのに随分と苦労した |
パティ | じゃがその協力のお蔭でうちはこの場所を見つける事が出来たのじゃ |
グリューネ | 大変だったのねぇ。お姉さん何もしてないのに参加してもよかったのかしら? |
パティ | 勿論なのじゃ! |
ガイアス | 功労者のみという事なら、俺とパティしか参加出来ないな |
パティ | せっかくのお花見が二人だけだと寂しいじゃろ。じゃからみんなを誘ったのじゃ |
シェリア | そういう事だったのね。お蔭で素敵な景色が見られたわ。誘ってくれてありがとう |
スタン | こんなにすごい景色なら言い伝えられるのもわかる気がするなあ |
パティ | ふっ…「結心樹」はこんなものではないぞ |
スタン | けっしんじゅ…? |
パティ | 伝説の桜の名じゃ。道中、船の中でも説明したじゃろ |
スタン | そうだっけ? |
グリューネ | スタンちゃん、あの時はお昼寝してたから聞こえてなかったんじゃないかしら |
スタン | あ、そっか。ごめん |
パティ | まったく、仕方ないのう |
ガイアス | 結心樹は、世界に生きる人の数だけ花を咲かせると言われている。この辺りの樹とは規模も桁違いだ |
スタン | へえ、すごいんだな |
パティ | 結心樹がクジラなら、桜並木はイワシの群れに過ぎんのじゃ |
ガイアス | 言い伝えではこの奥にあるはずだ。行こう |
パティ | これが…結心樹かの? |
ガイアス | 何という事だ… |
スタン | 花が一つもない…!もしかして、枯れちゃったのか…? |
シェリア | そんな…。他の桜は綺麗に咲いているのに、どうしてこれだけ… |
パティ | おかしいのう。こんなはずではないのじゃ |
パティ | 結心樹は、世界中の人々の心と繋がって、その心の数だけ花を咲かせる… |
パティ | 世界に人が生きている限り、枯れる事はないはずなのじゃ |
ガイアス | 確かに言い伝えにはそうあったが事実として枯れている。言い伝えが間違っていたのかもしれん |
グリューネ | …あら?何かしら。声が… |
スタン | …?グリューネさん? |
グリューネ | …まあ、そうだったの。辛いわねぇ |
シェリア | 誰と話してるの? |
グリューネ | わたくし達に出来る事はあるかしら? |
ガイアス | …結心樹と会話しているように見えるが… |
スタン | あっ、きっとそうですよ! |
スタン | 知り合いに、ケヤキの木と話せる女の子がいるんです。だからグリューネさんもきっと… |
パティ | だとすると、結心樹はまだ生きておるという事じゃな! |
シェリア | グリューネさん、樹は何て言ってるの? |
グリューネ | あの枝を見てって言ってるわ |
シェリア | 枝…?あっ! |
ガイアス | 花が咲いているな |
グリューネ | 結心樹ちゃんは、昔は世界中の人々の心と繋がって花を咲かせていたの |
グリューネ | けれど徐々に人が来なくなって、ただの言い伝えになって、忘れられて… |
グリューネ | 気が付くと人々の心と繋がるための力を維持出来なくなっていったそうよ |
パティ | そうじゃったか…。ではこのままでは、樹は死んでしまうのかのう? |
グリューネ | いずれはねぇ…。だけど、わたくし達次第では助けられるみたい |
パティ | 本当か!? |
グリューネ | あの枝の花は、わたくし達の心と繋がって咲いた花… |
グリューネ | 同じようにたくさん人を連れてくればその分、花が咲いて行くそうよ |
スタン | よし、じゃあ知り合いをみんなここに呼ぼう! |
ガイアス | 待て。俺も国民に呼びかける事を考えたがここは少し街から離れすぎている |
ガイアス | 今は整備された道もない。旅慣れた者でなければ辿り着く事は厳しいだろう |
シェリア | でも、昔は世界中の人の心と繋がっていたのよね |
シェリア | 元に戻すためには世界中の人を連れてこないといけないって事じゃあ… |
グリューネ | その必要はないそうよ |
グリューネ | あと何人か連れてきて、結心樹ちゃんの事を強く想えば、本来の力の一部を取り戻せる… |
グリューネ | そして世界中の人が噂か何かで結心樹ちゃんの事を知れば離れていても繋がる事が出来るそうよ |
スタン | みんなで楽しくお花見をして結心樹の思い出を作れば、強く想うっていう事になるよな |
パティ | それなら、うちが、連れてこられそうな人をたくさん誘ってくるのじゃ |
シェリア | 力を取り戻したら、あとは伝説を広めるだけね。私、帰ったら街のみんなに話すわ |
ガイアス | 俺も言い伝えが広まるよう資料を公表するとしよう |
グリューネ | うふふ、何とかなりそうねぇ。結心樹ちゃんがお礼言ってるわよぉ |
ガイアス | 情報の拡散には時間が必要だ。今はとにかく仲間を集め、ここで大宴会を開くとしよう |
パティ | うむ。うちらの力で、結心樹を満開にするのじゃ! |
Name | Dialogue |
---|---|
振り返ろう!7周年回想録 | |
カイル | えーっと…7周年記念のパーティー会場…ここかな? |
カイル | それにしても未来から来たオレが7周年に遡って祝うのって不思議な感じだよなあ |
カイル | みんなもう来てるといいけど… |
カイル | よかった、いた!クレスさんに、アスベルさん、ミラさん、ヴェイグさんも! |
クレス | やあ、カイル。早いね。パーティーの開始はまだまだだよ |
カイル | はい。ちょっとみんなに聞きたい事があって早めに来たんです |
カイル | クレスさん達こそ、早いですね。まだ誰もいないかもって思ったのに |
アスベル | 俺達はパーティーの準備を手伝うために早めに来ていたんだ |
カイル | あ、それじゃあオレも手伝います! |
ヴェイグ | いや、大丈夫だ。準備はさっき終わった |
ミラ | 周年も7回目ともなるとみな手際がよくてな。少し手持ち無沙汰だったところだ |
クレス | それで、聞きたい事って何だい? |
カイル | はい。実は星のカケラの一件から今までに起こった出来事や歴史を詳しく教えてほしいんです |
ミラ | ふむ。歴史か。星のカケラの事からでいいのか?精霊の誕生から語る事も出来るぞ |
カイル | それも気になるんですけど、今は星のカケラにまつわる話とその後の事を特に整理したいんです |
カイル | オレ達は元々、リチャード陛下が闇に染まったままの歴史しか知らなかったから… |
カイル | 星のカケラの一件で歴史が変わって、新しい歴史がどんなものになったのか知りたいんです |
アスベル | そうか…。世界の──とりわけウィンドルの歴史は大きく変わってるんだよな |
ヴェイグ | それなら何故、今なんだ?未来で調べてもよかったんじゃないのか? |
カイル | うーん、オレもよくわからないんですけど… |
カイル | リアラが、この時代に始まった新しい冒険が本格化する前に一度整理しておいた方がいいって |
カイル | 何だっけ。歴史の…ダイビングポッポ? |
アスベル | それを言うならターニングポイントかな |
カイル | ああ!それです! |
ミラ | なるほど、承知した。ではまず星のカケラに関する事から話すとしよう |
ミラ | …と言っても、お前達はソフィと一緒に来ていた当事者だったな |
カイル | はい。だからウィンドルの事は知ってますしティルグの事も聞いてます |
カイル | 他にもいろいろあったって未来に伝わってはいるんですけど詳しい事はわからなくて… |
クレス | そうか…。ダオスの事は歴史の表舞台には出てないからな |
ミラ | ウィンドルだけでなくア・ジュールでも事件はあった。見てきた範囲でよければ話そう |
カイル | ありがとうございます!星のカケラ関係の事はこれで整理出来るとして… |
カイル | その後、オレ達が未来に帰ってからもすごい災害とかあったんですよね? |
アスベル | 大精霊の暴走の事かな。ディセンダーっていう存在に巨大な魔導器の塔… |
アスベル | ちょっと長くなるけど俺とミラなら説明出来るよ |
ミラ | うむ。任せろ |
カイル | よろしくお願いします! |
ヴェイグ | その後、世界が晶化した異変については、前に説明した事があったな |
カイル | はい、エンテレスティアで聞きましたが、念のためにもう一度詳しい話を聞かせてください |
カイル | エンテレスティアの事も、白き獅子側で何があったのかとかミラさんに教えてほしいです |
ミラ | いいだろう |
アスベル | …?エンテレスティア…?白き獅子…? |
クレス | 覚えがないな。そんな事件もあったのかい? |
カイル | あっ…いや… |
カイル | (そうか、あの時の記憶を 持ったままの人って 一部だけなんだった…) |
ヴェイグ | …パーティーが始まるまであまり時間がない。手短に話すとしよう |
ヴェイグ | クレスとアスベルにはいずれ機会があれば説明する |
アスベル | ああ、今度教えてくれ |
クレス | そうだね、今はカイルの話を進めようか |
カイル | (助かった…!) |
カイル | ありがとうございます! |
カイル | それで、その後は確か…新しい島が発見されたって歴史書に書いてましたけど |
アスベル | それはアヴァロン島の事だな。調査隊の俺から説明するよ |
アスベル | あの時は俺、とんでもない事をしてしまったから…。みんなには本当にすまないと思ってる |
カイル | アスベルさんが落ち込んでる…一体、何が…!? |
ヴェイグ | …何かあったんだろう。あまり詮索しない方がいい |
カイル | は、はい… |
アスベル | いや、大丈夫だ。全部説明するよ |
アスベル | といっても、本当に詳しい事はルカ達に聞いた方がいいかもな |
クレス | そろそろみんなも集まってくる頃だ。いろんな人に話を聞いてまわるといいんじゃないか? |
ミラ | ああ。私達だけでも大体の説明は出来るが、色々な視点があった方がいいだろう |
カイル | はい、そうしてみます! |
Name | Dialogue |
---|---|
7周年の絆に感謝を込めて | |
ロイド | いやぁ、表彰式って緊張するもんだなー |
リオン | 意外だな。人前で緊張する性格ではないと思っていたが |
ロイド | 人前に出るのは平気だけど、改まって表彰とか言われるとどうすりゃいいのかわからなくてさ |
ティア | 確かに表彰されるなんてないものね。そういえばベルベットも少し緊張していたんじゃない? |
ベルベット | こういうの慣れないのよ。まさか代表に選ばれるとは思わなかったから、驚いたし… |
リオン | 代表は推薦方式だ。推薦者に報いたいと思うなら堂々と胸を張っていろ |
ベルベット | 言うじゃない。まあ、確かにその通りだけどね |
ロイド | ま、表彰式は無事終わったんだし、あとはパーティーの料理を楽しもうぜ! |
??? | ロイド~! |
コレット | 表彰式、お疲れ様!その服、かっこいいねぇ! |
ロイド | コレット!ありがとな! |
ティア | そういえばコレットは前回、代表に選ばれてたわよね。緊張しなかった? |
コレット | すっごい緊急したよ~。だけど、代表になれてよかったって思ったよ! |
コレット | それに今回はロイドが選ばれてとっても嬉しいんだー。えへへ、前回の私の服とお揃いだよ♪ |
ロイド | そっか。そう言って喜んでくれるなら俺も選ばれてよかったぜ |
ロイド | 推薦してくれた人に感謝しないとな |
ロイド | …っと、そうだ。コレットに渡したい物があったんだ |
コレット | 勲章…?ロイドが作ったの? |
ロイド | ああ。俺が代表に選ばれたって聞いた時にコレットのお蔭だって思ったからさ |
ロイド | 支えになってくれたコレットを俺なりに表彰してやりたいって思って作ったんだ |
コレット | ロイド…!ありがとう。大切にするね |
ティア | ふふ、優しいわね |
ベルベット | これこそ表彰ものね |
リオン | 表彰式で緊張していた男とは思えないな |
ロイド | そんなに茶化すなって!さっき話してたように代表って推薦で決まったんだろ? |
ロイド | 俺はコレットを推薦したかったけど、みんなだって他の誰かを推薦したかったはずだ |
ティア | ええ。でもそう思いつつも、行動で示したのはロイドだけだもの |
ベルベット | そうね。中々出来る事じゃないわ |
コレット | …そだ!ねぇロイド。勲章ってもっと作れる? |
ロイド | 材料さえあればすぐに作れると思うけど…何でだ? |
コレット | ロイドが私にしてくれたみたいに誰かを表彰したいって気持ちの人が他にもいると思うの |
コレット | それにね。本当はこのパーティーに参加してる誰もが、表彰されていいと思う |
コレット | だから、この勲章をたくさん作ってみんなに配りたいの! |
ロイド | みんなって、パーティーに来てる人達か? |
コレット | うん。みんなを表彰して、みんなに勲章を配るの! |
ロイド | そうか、わかった!なら頑張って勲章を作るぞ! |
リオン | おい、待て。簡単に言ってるが、それが出来るならわざわざ代表者を選びはしないぞ |
リオン | どれだけの労力になるかわかっているのか? |
ロイド | んー、大変そうなのはわかるけどま、頑張るさ! |
リオン | …まあ、いいだろう。それなら材料は僕が探してきてやる |
リオン | その代わり、途中で音を上げるなよ |
ロイド | ああ! |
コレット | ロイド、ごめんね。無茶な事言っちゃったかな? |
ティア | 心配いらないわ。私も手伝うから |
ベルベット | 仕方ないわね、あたしも手を貸すわ。三人がかりで作れば何とかなるでしょ? |
ロイド | 心強いぜ!みんな、ありがとな! |
リオン | …大仕事になりそうだな |
ロイド | ああ。でもやりがいはありそうだ! |
ロイド | よし、それじゃあ急いで勲章を作ってみんなで送ろうぜ! |
Name | Dialogue |
---|---|
新作発表!?ドレス研究会 | |
ロゼ | みんな、着替え終わった? |
ミラ | 終わったわよ、どう? |
ロゼ | いいじゃん!バラのとこすごいね。どうなってんだろ? |
クロエ | 私も着替え終わったが…これは、その…照れるな。不釣り合いでなければいいが… |
ロゼ | そんなわけないじゃん!ばっちり似合ってるって |
ロゼ | おお、ソフィはフラワーガールだね!さすが一流デザイナーの作品、ウェディングドレス以外も完璧! |
ソフィ | うん、お花もたくさんもらったの |
アリス | 私も着替え終わったわよ |
ロゼ | おっ、さすが~!大きなリボンが大胆でいいね |
ミラ | 妙に褒めるわね…? |
ロゼ | まあね。お得意様のデザイナーさんが主催するデザイン研究会だから、盛り上げたいと思って |
ロゼ | 少しでもいいと思ったら口に出すようにしてるんだ |
ソフィ | お得意様? |
ロゼ | そう。このドレスの素材はみんなうちで仕入れた最高級品! |
ロゼ | 着心地も肌触りも抜群でしょ?ちょっと値は張るけど、これを揃えられるのはうちだけだよ |
ソフィ | そうなんだ。…うん、柔らかくて気持ちいいよ |
ミラ | それでモデルの紹介も頼まれたの? |
ロゼ | うん。素材を卸しに行った時に、主催者から今日のモデルの事を相談されてね |
ロゼ | あ、ほら、噂をすれば主催者のデザイナーさん達が来たよ |
デザイナー1 | みなさん揃いましたね。私は、本日の研究会を主催させていただいてる者です |
デザイナー1 | 本日は私達の研究会にご協力いただきありがとうございます |
ロゼ | 気にしなくていいって。お得意様の役に立てるならどうって事ないよ |
デザイナー1 | 本当に助かりました。こんなに素敵な方々に来ていただいて研究会も盛り上がる事間違いなしです |
ミラ | ちょっと気になってたんだけど、その研究会って何をするの? |
デザイナー1 | みなさんに着ていただいた新作ドレスのデザインについて議論し研究レポートにまとめるんです |
デザイナー2 | あの、早速ですが、着てすぐの感想を順にお聞かせいただけますか?まず、そちらの方から… |
ミラ | え、私?といっても、こんなにすごいドレスを着る事なんてないから… |
ミラ | ブーケとの組み合わせが素敵だとかそういう月並みな感想しか言えないけど… |
デザイナー2 | 十分参考になります。そこを印象的に感じてくださってるという事ですから |
デザイナー3 | そちらの方はいかがですか? |
クロエ | 私か…最初はウェディングドレスをただ豪華なドレスだと思っていたんだ |
クロエ | だが、袖を通して、違うとわかったよ。これは特別な意味を持ったドレスだ |
クロエ | 今はただの試着だとわかっているが…その、胸が高鳴るものだな |
デザイナー3 | 着ただけでドレスの意味を感じ取りドキドキしていただける…!私達の目指すドレス像そのものです! |
デザイナー3 | どこに特別な意味を感じたかなど後ほど詳しく聞かせてください! |
クロエ | ああ、わかった |
デザイナー1 | そちらのフラワーガールのお嬢さんはいかがですか? |
ソフィ | わたし、この服好きだよ。あのね、色がちょうどいいと思うの |
ロゼ | ちょうどいい? |
ソフィ | うん。上手く言えないけど…。お花は好きだし、みんなの事、綺麗だと思うから |
ソフィ | そんなみんなのためにお花を持つ人は、こんな色がいいって思ったの |
ロゼ | 誘った時から、フラワーガールって聞いて目を輝かせてたもんね |
ロゼ | もう、天性のフラワーガールじゃん! |
ソフィ | そうだったら嬉しいな |
デザイナー1 | 今のご意見、とても的確!それに深いお言葉だったわね。デザインの哲学に通じるというか… |
デザイナー2 | はい。レポートにも書いておきます! |
アリス | みんな大袈裟ね~ |
デザイナー4 | あの…そのドレスはいかがでしょうか? |
アリス | このドレス、あなたが作ったの? |
デザイナー4 | はい。会場にお見えになった時に、強いインスピレーションを感じたので私の新作を少し調整しまして… |
アリス | 私、今日はあなた達をお仕置きしようと思って来たの |
アリス | デザイナーとかいう人達の自己表現のために利用されるのは嫌だし |
アリス | でも、今回はやめてあげる |
デザイナー4 | えっ…?それって…気に入っていただけたという事でしょうか? |
アリス | そう。私を見てドレスの調整をしたって言ってたわね |
アリス | バッチリ、アリスちゃんを最高に輝かせるドレスに仕上がってるじゃない |
アリス | とっても気に入っちゃった♡ |
デザイナー4 | わあ、よかったです!ありがとうございます! |
デザイナー1 | ねぇ、その調整の内容詳しく教えてよ |
デザイナー4 | はい。まず袖の部分を── |
ミラ | 何だかんだ、研究レポートは捗りそうな感じね |
ロゼ | よかったよかった。──ん? |
??? | ──アリスちゃーーーーーーんっ!! |
アリス | この声は…! |
デクス | ここにいたんだね!──って、何て綺麗なんだ! |
アリス | デクス!あんた何しに来たのよ! |
デクス | 何って、アリスちゃんがウェディングドレスを試着するんだ。来て当然じゃないか |
アリス | 試着って…モデルを頼まれただけよ。また鬱陶しい勘違いしてるわね |
デクス | 勘違いも何も、こうして素敵な花嫁衣裳に身を包んでるじゃないか! |
デクス | なんて美しいんだ…。元から可愛いアリスちゃんのよさをこのドレスが引き出してくれてる…! |
アリス | …何よ、わかってるじゃない |
アリス | もう見たから満足でしょ。とっとと帰ってくれる? |
デクス | そうつれない事言わないで。モデルなんだったら、新郎役の俺が横にいてもいいだろ? |
アリス | ……!絶対、お断り!出てけ、この3Kデクス! |
バシーーーン!! | |
デクス | ひ、酷いやアリスちゃん…! |
ドサッ! | |
アリス | まったく、どうしようもないバカなんだから |
ミラ | 見事な平手打ちね… |
ソフィ | うん、腰が入ってた。きっとすごく痛い |
クロエ | あの動きについて来られるとはドレスの伸縮性もなかなかのものだな |
ロゼ | 結婚式中にビンタをする機会は出来れば無い方がいいけど…確かに動きやすいのは嬉しいね |
デザイナー1 | みんな、聞いた?動きやすさ、重要よ! |
デザイナー2 | さっきの大振りのビンタでも全く着崩れてない…どんな構造なのでしょう |
デザイナー4 | それはですね。肩の部分に秘密があって… |
デザイナー3 | なるほど!でも、それなら、ここをこうすれば… |
ロゼ | あはは、あんなドタバタさえも研究材料にしてるよ |
クロエ | それだけみんな研究熱心なんだな |
ロゼ | だね。それじゃあ、あたし達も、いいレポートがたくさん書けるように協力しよ! |
Name | Dialogue |
---|---|
ハスタお兄さんのあぶない夏 | |
アニス | …ったく、この蒸し暑い森で魔物退治の任務なんて…そもそもどーして私なんだっての |
アニス | だいたい、虫取りで有名な森で虫の魔物が暴れてるって何!?人間への復讐のつもり!? |
アニス | はぁ…ま、いいや。お蔭で森は立ち入り禁止だけど私は任務で入り放題だし |
アニス | 魔物なんかさっさと退治して珍しい虫を取り放題! |
アニス | 今は虫取りが大流行だから珍しいのは何万ガルドにもなるって言うし♪ |
ガサガサ… | |
アニス | …何かいる!魔物?それともお金──じゃなくて虫!? |
アリエッタ | アニス…!どうして、いるの…? |
アニス | 根暗ッタ!どうしてあんたがここに!? |
アリエッタ | アリエッタ、根暗じゃないモン!アニスのイジワルゥ~! |
アニス | …あ!わかった、虫の魔物が暴れてるのってあんたの仕業でしょ! |
アリエッタ | 知らないもん。アリエッタ、関係ない |
アニス | 嘘ついてもダメなんだからね!第一、軍が閉鎖してる森にいるのが怪しい── |
ガサガサ… | |
アリエッタ | …!来た…! |
アニス | えっ…!? |
ギィィィィッ!! | |
アニス | 魔物!? |
アリエッタ | この森の子じゃない…! |
アニス | はぁ!?どういう事!? |
アリエッタ | ブラッディハウリング! |
ギェェェッ! | |
アニス | …倒したって事は、本当に、あんたが犯人じゃないんだね |
アリエッタ | この森には、お友達が住んでる…大きな虫に荒らされて困ってるって…だから、退治に来たの |
アニス | じゃあ、あの魔物は別の場所からこの森に来たって事? |
アニス | あっ、でもでも、子ども達が安全に遊べるようにするってのが任務だから元からいる魔物も退治なのかなー |
アリエッタ | ダメェ!みんな人が怖いから、襲ったりしないもん! |
アニス | そうなの?まぁ確かに、ちょっと前までは魔物の目撃情報もなかったし… |
アリエッタ | お友達傷つけたら、絶対許さな── |
ガサガサ… | |
アニス | …!また魔物!? |
ハスタ | ぶっぶー!怖い魔物だと思った?残念、ハスタお兄さんでーす! |
アニス | あ、あんた確か、元ウィンドル騎士団の…! |
ハスタ | おろ?おいらの事を知ってる君はたしかア・ジュール軍の… |
ハスタ | アンドレアス小雪さん…でしたっけ? |
アニス | 全然違うじゃん! |
アリエッタ | でも、二文字合ってる…惜しい |
アニス | 惜しくない! |
アニス | それより、ここで何やってるの?ここは今日から立ち入り禁止にしてるんだけど |
ハスタ | そうなの?まぁオイラずっとここにいるから今日からって言われても知らねぇな |
アニス | ずっと?どうして…って、まさか…! |
アリエッタ | 大きな虫は、あなたのせい!? |
ハスタ | はい、大正解!ドンドンパフパフ!ほら、虫取りが流行ってるらしいし大きな虫がいたら楽しいでしょ~? |
アニス | ふざけんな!私の仕事を増やしやがって…危険な虫は退治するんだからね! |
ハスタ | ええ~、そいつぁ困るなぁ。でも大丈夫!こんな事もあろうかと虫はまだまだ連れてきてるのさ! |
アリエッタ | まだ、増えるの!? |
アニス | 何が目的でこんな事! |
ハスタ | 目的はねー、もう半分果たしてんの |
ハスタ | この虫は、正義マンホイホイー!ほら、こうやって軍とかが強ーい人を送り込んでくるでしょ? |
ハスタ | しかも正義感の強い腕自慢!そういう奴を、このボクちんがズバッと倒して、こう言うのさ |
ハスタ | お前の敗北は…また一人子どもがエサになる事を意味するのだ…ってね! |
アニス | おかしいんじゃないの!?そんな事させない! |
ハスタ | だったら、捕まえてごらんなさ~い!虫達を倒しながらオイラを追ってこられたら、殺してやるからよ |
ハスタ | てなわけで、シーユーアゲイン、少女達!生きてたらな! |
アニス | あっ、待てー! |
アリエッタ | 逃がさない! |
ギィィィィッ!! | |
アリエッタ | 大きな虫…!あんなにたくさん…! |
アニス | 虫も、あのピンク頭も、ぶっ飛ばす!行くよ、根暗ッタ! |
アリエッタ | 根暗じゃないもん! |
アニス | うりゃー!爪連龍牙昇ー! |
ギェェェェッ!! | |
アニス | はぁ、はぁ、片付いた…! |
アリエッタ | アニス、あれ! |
アニス | 見つけた!ここまでだよ、ハスタ! |
ハスタ | お、生きてここまで来たね。やるぅー! |
アリエッタ | 森から出て行って! |
ハスタ | えー、酷いや。ここはオイラの心の故郷、落ち着く実家みたいなもんなのにー |
アリエッタ | …そ、それじゃあ……あなたも森で育ったの?あの虫は…あなたのお母さん…? |
ハスタ | なんだとう!オイラのお母さんを虫呼ばわりとはどういう了見でい! |
アリエッタ | え…だって…この森が故郷って… |
ハスタ | いんやー?今日初めて来たよ、こんな森。あれ、昨日だっけ?一昨日? |
アニス | こんな奴とまともに話しても無駄だよ。倒して、捕まえるよ! |
ハスタ | やれるもんならな! |
アニス | もーっ!マジむかつく!行くよ! |
アリエッタ | アリエッタも、戦う!お友達を守るんだから! |
ドガッ | |
アリエッタ | きゃっ…! |
アニス | うう、強い…! |
ハスタ | おいおい。もう終わりじゃないでしょ?もっと楽しませてくれよお嬢ちゃん |
アニス | くぅ~…!根暗ッタ、あんたが邪魔するから戦いにくいでしょ! |
アリエッタ | また言った!根暗じゃないもん!それに、足引っ張ってるのはアニスなんだからぁ! |
アニス | いいから引っ込んでてよ! |
アリエッタ | うわーんっ!アニスのバカ!邪魔しないでよ! |
ハスタ | オイラを無視して遊ぶとかチョームカツクんですけど! |
ザシュ! | |
アニス | はうあ! |
ハスタ | 今のお前らと戦ってもつまんな~い。勝つつもりなら二人がかりでかかって来いっつーの! |
ハスタ | つまんねぇつまんねぇ!お前ら虫とでも戦ってろ!じゃあな! |
アリエッタ | また逃げた! |
アニス | もう!根暗ッタのせいだよ!バカ!ドジ! |
アリエッタ | バカはアニスだもん!ドジもアニスだもん! |
アニス | …ちっ、ムカツクけどこのままじゃあのピンク頭に勝てないな… |
アニス | 仕方ない、一時休戦にしよう。今だけ力を合わせようよ |
アリエッタ | …じゃあ、もう根暗って言わないで |
アニス | わかった。ハスタを倒すまでは言わない |
アリエッタ | それなら…うん。お友達のためにもアリエッタ、頑張る |
アニス | じゃあ、早速、あいつ追いかけて── |
ガサガサ… | |
ギィィィィッ!! | |
アニス・アリエッタ | ネガティブゲイト! |
ギェェェッ! | |
アニス | 雑魚に用はないっつーの!行こう、アリエッタ! |
アリエッタ | うん! |
Name | Dialogue |
---|---|
輝け!ドリームプロジェクト | |
ロイド | ここでターン!…よし、振り付けは大丈夫だな |
ゼロス | 控室でも練習って、気合い入ってるな。本番の体力取っとけよ~? |
ロイド | 心配すんなって!それよりギリギリまで練習したいんだ |
ロイド | せっかく、俺達、テイルズ オブ ドリームプロジェクトが夏フェスに招待されたんだしさ |
ロイド | 失敗したくないだろ?でも、歌いながら、踊るって難しいんだよなぁ |
ゼロス | 振り付けは覚えたのに歌詞の暗記に自信がねぇって言ってたもんな |
スレイ | そういう時は、振り付けと歌詞を関連させて覚えるといいよ |
スレイ | 例えば手で線を描くような動きは「地平線」を現してるから── |
ロイド | 「地平線超えて」か!わかりやすいな! |
ミクリオ | スレイは振り付けと歌詞からこの歌に込められた意味を考察していたからね |
スレイ | ああ!歌も踊りも理解が深まったから表現力では誰にも負けないよ! |
ミクリオ | 甘いな、スレイ。僕は君より一歩踏み込んだ考察をしていると言っただろ? |
スレイ | それは前にも聞いたけど、オレの解釈とはちょっと違うんだよなあ |
ミクリオ | …この話は本番が終わってからじっくり議論しよう |
スレイ | そうだな。ステージに立てば新しい発見があるかもしれないもんな! |
ルーク | 気合の入れ方にもいろいろあるもんだな。盛り上がりゃ何でもいいけどよ |
ゼロス | そう言うルークはいつも通りって感じだな |
ルーク | へへ、ピリピリしたって仕方ねぇだろ |
ユーリ | まあな。力みすぎると本番で頭が真っ白って事もあるしなぁ |
ユーリ | 今はルークぐらい力を抜いて緊張を解しておくのも大事だと思うぜ |
ルーク | だよな! |
ルーク | ──って、おまえらは何もしてなさすぎだろ!もうすぐ本番だぞ!? |
ユーリ | ん?オレ達は準備完了だぜ |
ルーク | どう見てもいつも通りじゃねーか |
リオン | 事前に説明しただろう。僕達は前座で剣技を披露するから動きやすい服装でいいんだ |
ルーク | そういや、そんな事言ってたな。公務がなけりゃ俺が引き受けてたんだけどなー |
ロイド | 俺も歌詞と振り付けを覚えるので精一杯だからって断っちまったんだよな |
ゼロス | 俺も公務続きだったからなー。その合間に軽く歌詞と振り付けを練習した程度だぜ |
ルーク | よく言うぜ。公務が終わってから夜中までみっちり練習してただろ |
リオン | そうだな。忙しくとも妥協しない姿勢には僕も感心したくらいだ |
ゼロス | おいおいおい、そういうのは言わぬが花ってやつだぜ? |
ゼロス | せっかく俺さまの華麗な姿を見に来てくれたファンのみんなをがっかりさせたくねぇからな~ |
スレイ | はは、ゼロスだけじゃなくてルークとリオンも夜中まで練習場にいたんだね! |
ルーク | へへ、気づかれちまったか。俺だって忙しかったからって遅れは取りたくねぇからな! |
ロイド | 俺だって!歌詞はまだ不安だけど…踊りは身体で覚えたぜ! |
ユーリ | へぇ、気合を入れつつ緊張しすぎてもいねぇか。大した奴らだ |
リオン | ああ。この調子なら本番も問題ないようだな |
ロイド | よーし!そろそろ本番だ!みんな、頑張ろうぜ! |
全員 | おー! |
司会 | お待たせいたしました!夏の音楽フェスティバルのはじまりです! |
司会 | まずはドリームプロジェクトの剣士二人によるパフォーマンスをご覧ください! |
パチパチパチパチ── | |
ユーリ | んじゃ、練習通りに行きますか |
リオン | ああ |
ガキィィィン! | |
司会 | 剣をぶつけ合った! |
ヒュンッ! | |
キン、キンッ! | |
司会 | まるで決闘のような攻防!それでいて舞うような美しい動き!息を呑む素晴らしい演出です! |
観客 | ワァァァァァァ!! |
ロイド | さすがはユーリとリオン!すげぇ動きだな! |
ルーク | へっ、あのぐらい俺だって出来るぜ! |
ゼロス | ああ。動きだけ、ならな。でもルーク、あいつらただ剣を交えてるだけじゃねぇぞ |
ルーク | あん?どういう事だよ |
スレイ | …あっ、オレわかったかも! |
ミクリオ | 右に左に動き回って、攻めも守りも動作が大きい。観客に見せるための工夫が細かいね |
スレイ | そうそう!それに剣のぶつかる音にリズムがあって、音楽みたいなんだ |
ミクリオ | ただ剣技を見せるだけじゃなく、音楽フェスティバルの前座として相応しい内容に昇華させているのか |
ロイド | へぇ、よく考えられてるんだな! |
ゼロス | これは俺さまたちもうかうかしてられないぜ |
ルーク | なかなかやるじゃねぇか、あいつら。観客もかなり盛り上がってきたぞ |
司会 | さて!盛り上がって来たところでいよいよ他のメンバーの登場です! |
観客 | ワァァァァァァ!! |
ルーク | よーし、出番だ。あいつらに負けねぇよう俺達も盛り上げんぞ! |
全員 | おう! |
レイヴン | オヤジ、かき氷一つ。甘くないやつで頼むわ |
店主 | あいよー |
観客 | ワァァァァァァ!! |
店主 | ステージの方、随分盛り上がってんな |
レイヴン | そうねぇ。なんか面白い前座とかやってたみたいよ |
店主 | そうなのかい。俺もこの商売長ぇけど、こんなすげぇ歓声は初めてだぜ |
レイヴン | (剣技で観客を集中させてから 歌に入るって作戦は どうやら成功したみたいね) |
レイヴン | (青年もリオンも、 おっさんが考えた以上に 動き回ってくれてたし…) |
観客 | キャアァァァッ!カッコイイ! |
レイヴン | …ん? |
店主 | へい、お待ち |
店主 | …どうした、お客さん。ボーッとしちまって、夏バテかい? |
レイヴン | いや、あんなにモテるんなら今度はおっさんもステージに立っちゃおうかなぁ…なんてね |
店主 | はははっ!かき氷食って頭冷やしなって |
レイヴン | へいへい |
レイヴン | (本当にステージに立って このオヤジをびっくりさせて やるのも面白そうね) |
レイヴン | (…本気で考えてみちゃおうかな) |
ユーリ | さて、本番はこれからだ。バテてねぇだろうな、リオン |
リオン | 誰にいっている。あの程度、準備運動だ |
スレイ | 客席のみんなも、一緒に歌ってね! |
ミクリオ | 今日は最後まで楽しんでくれ! |
ゼロス | 女の子達も、ついでに野郎共も、俺さまがメロメロにしてやるぜ~ |
ルーク | 飛ばしていくぞ! |
ロイド | よ~し!もっと盛り上がって行こうぜ! |
Name | Dialogue |
---|---|
TOX10周年記念ティポ | |
レイア | この衣装かわいい!みんなのも素敵なんだろうなあ♪ |
エリーゼ | レイア、お待たせしました |
レイア | エリーゼ!わあ、すっごく似合ってるよ! |
ティポ | ふふふー!そーでしょー! |
レイア | うんうん!ティポもいい感じだね |
ティポ | エヘヘー!ぼくはいつもかわいいけどねー♪ |
レイア | ふふっ。今日はいつにも増してテンション高めだね |
レイア | それにしても、こんなにかわいい衣装をプレゼントしてもらえるなんて… |
エリーゼ | はいっ。何というか… |
ティポ | すんごい太っ腹ー! |
レイア | ね!街もお祝いムードですごく賑わってるし今からとっても楽しみだよ~! |
エリーゼ | 私もです!…あの、レイア |
レイア | ん?どうしたの? |
エリーゼ | これ、見てください! |
レイア | わっ、すごい!ティポにそっくりだね! |
エリーゼ | 式典の記念にって街でもらったんです |
ティポ | ぼくに似せて作るなんて、センスあるよねー! |
エリーゼ | 私、とってもうれしくて、みんなの分ももらってきました!はい、レイアの分です! |
レイア | ありがとう!うーん…見れば見るほどそっくり… |
エリーゼ | ふふ。みんなとお揃い、です♪ |
??? | レイア、エリーゼ |
ミラ | 待たせたな。こういった服は慣れなくて少し手間取ってしまった |
エリーゼ・レイア | …! |
ミラ | 二人共、どうしたんだ? |
レイア | …す |
ミラ | す…? |
レイア | すっっっっっごいかわいい! |
エリーゼ | ステキです! |
ティポ | すごい、すごーい! |
ミラ | ありがとう。そんなに褒められるとむず痒いな |
エリーゼ | ミラ。これを持ったらきっともっとかわいいですっ |
ミラ | ん?これは、ティポ…の人形か |
レイア | 私ももらったんだよ。みんなでお揃いにしようってエリーゼが。ねっ |
エリーゼ | はいっ |
ミラ | ふふっ、なるほど。そういう事ならありがたく受け取ろう |
ジュード | 着替えるのに時間かかちゃったな。挨拶もしなくちゃだし、結構緊張してるのかも… |
ジュード | えっと、みんなはどこにいるんだろう。…あ |
ミラ | そうか、エリーゼは今日がずっと楽しみだったのだな |
ジュード | キレイだなあ… |
??? | どうかしたか? |
ジュード | わっ!びっくりした… |
アルヴィン | こんな所で突っ立って、心なしか顔も赤──…あー、なるほど… |
ローエン | 頬を染めるのも致し方ありませんね。みなさん、とても素敵でいらっしゃいますから |
ジュード | ち、違うよ!いや、違わないんだけど… |
アルヴィン | いいっていいって。皆まで言うな |
ローエン | ええ。美しいものを愛でるのはいい事ですからねぇ |
ジュード | もう…二人してからかわないでよ… |
ローエン | ほっほっほ。すみません、ついつい… |
アルヴィン | そう拗ねるなって、…お、噂をすれば |
ジュード | え? |
レイア | おーい!三人共ー! |
ジュード | ! |
ミラ | 全員揃ったな |
エリーゼ | はい。こっちを見ながら、話していたみたいですけど…何か、ありましたか…? |
ジュード | あー、えーっと… |
アルヴィン | いやあ、今日はおたくらが一層キレイだって話してただけだよ |
エリーゼ | …ホントですか? |
ティポ | じーーーーーーー |
アルヴィン | ホントだって |
ローエン | エリーゼさん、本当ですよ。みなさん、よくお似合いです |
エリーゼ | そ、そうでしょうか…!ありがとうございます |
ローエン | えぇ。ね、ジュードさん |
ジュード | !!う、うん…! |
ジュード | 今日は、その…いつも以上に…キレイ、だと思う |
ミラ | …ありがとう。そういうジュードも、よく似合っているぞ |
ジュード | …!あ、ありがとう |
ティポ | エリーも、似合ってるよねー |
ジュード | うん、勿論!エリーゼもレイアも、すごくキレイで見違えたよ |
レイア | えへへ、褒めすぎだよー。何だか恥ずかしくなってきちゃった |
エリーゼ | 顔が熱い、です |
ティポ | ぷ、ぷしゅー――――も~…ジュードくんったら… |
アルヴィン | はは、結構言うじゃないか |
アルヴィン | ……ん?ところで、おたくら何持ってんだ? |
レイア | ああ!これね!ほら、エリーゼ |
エリーゼ | …!そうでした。みんなも、どうぞ |
アルヴィン | これは…ティポのぬいぐるみか? |
レイア | 式典の記念に配ってたんだって |
ミラ | エリーゼがみなでお揃いにしたいと、私達の分ももらってきてくれたんだ |
ローエン | これはこれは、よく出来ていますね |
ジュード | うん。エリーゼ、ありがとう |
ティポ | もーっと褒めてくれていいんだよー? |
ジュード | あはは…。それにしてもすごいなぁ。本当にそっくりだね |
レイア | うんうん。ティポと並べても全然違和感ないし… |
ローエン | 色も様々で見ていて飽きませんね |
ティポ | これで、ぼくみたいに動いたら最高なのにー |
ミラ | …ふむ |
フワッ | |
エリーゼ | わっ…!う、動いてます…! |
ティポ | しゅ、しゅごいー!! |
ミラ | 微精霊に頼んで動かしてみたのだが…。どうだろうか |
レイア | すごいよ!ティポの動き、そっくり! |
アルヴィン | おお、さすが精霊の主 |
ローエン | いやはや、大したものですな |
ジュード | ……… |
ジュード | ──そうだ! |
レイア | へ?どうしたの? |
ジュード | この人形を使って、僕達も式典を盛り上げられないかな |
アルヴィン | 盛り上げる? |
ジュード | ミラが人形を動かしてくれたでしょ?街で配ってる他の人形達も動かしたらもっと賑やかになるんじゃないかな |
エリーゼ | …!とってもステキだと思います…! |
ティポ | わーい!友達、いっぱいだねー! |
ミラ | うむ、いい提案だな。街のみなも喜ぶのではないだろうか |
レイア | うん!私も賛成! |
ローエン | そうと決まれば、人形を集めなくてはいけませんね |
アルヴィン | そうだな。んじゃ、やりますか |
ジュード | うん…、ありがとう! |
レイア | よーし!善は急げ!エリーゼ、行こっ♪ |
エリーゼ | はいっ! |
ティポ | 待ってて、ぼくの友達ー! |
ローエン | ほっほっほ。元気いっぱいですね |
アルヴィン | こりゃ、俺達もがんばんなきゃな |
ジュード | そうだね。みんな、いい式典にしよう! |
ミラ | ああ。今から楽しみだな |
Name | Dialogue |
---|---|
月見団子大作戦 | |
ミント | これで…よし!お待たせしました |
ミント | お月見祭りで出すお団子の試作品完成です |
ミント | キュキュさん、味見していただけますか? |
キュキュ | はい、わかた。キュキュ、食べる! |
キュキュ | モグ…モグ…。ん~、美味しい!ミント、料理上手! |
ミント | ありがとうございます!これでお団子のレシピは、完成ですね |
ミント | お月見祭りで出店すると決まった時は、どうなる事かと思いましたが… |
ミント | 無事に準備が整ってよかったです。これでいつでも、当日に臨めますね |
キュキュ | はい。キュキュ、お祭り楽しみ。ミントと、いっしょ頑張る! |
ハロルド | あら、二人共、何してるの? |
ミント | ハロルドさん。今キュキュさんと、お月見祭り用のお団子を作っていたんです |
ミント | よければハロルドさんもおひとついかがですか? |
ハロルド | へぇ、美味しそうじゃない。ありがとね |
ハロルド | はむっ、ムグムグ…。う~ん、まさに団子!って感じね |
ミント | お口に合いましたか?よかった… |
ハロルド | ん~。でも、どうせなら私のレシピでもっとおもしろ…じゃなくて素敵な団子を作ってみない? |
ミント | 素敵な…とは、一体どのようなお団子でしょうか? |
ハロルド | グフフッ!それは食べてのお楽しみ。楽しい効果が出るお祭りにぴったりの団子よ! |
ミント | まあ、それはいいですね!お客さんに喜んでいただけそうです |
ハロルド | でしょ?それじゃあ今から試しに作ってみましょ! |
キュキュ | あぅ…。キュキュ、心配… |
ハロルド | よし、これで完成よ! |
ミント | 見た目は私の作ったものと変わりないようですね |
ハロルド | フフン!それはねぇ…あっ!あそこに実験台…じゃなくてデュークが! |
ハロルド | ねぇデューク。月見祭りの団子を試作したから、食べてみてくれない? |
デューク | …遠慮する |
ハロルド | せっかく作ったのに。じゃあ、代わりに誰か… |
シング | あれ、みんな楽しそうだね。何してるの? |
ハロルド | いいタイミングだわ、シング。月見祭り用の団子、食べてみない? |
シング | え、いいの?やった、いただきまーす! |
シング | モグモグ…。うん、すっごく美味しいよ! |
キュキュ | 美味しい、よかた。お団子、ハロルド特製! |
シング | へぇ、ハロルドが料理するなんてちょっと意外だな |
シング | って、あれ?なんか喉の調子が… |
キュキュ | シング、声!すごく、低くなてる! |
シング | わ、本当だ!な、なんで!? |
ハロルド | どうやら効果が出てきたみたいね。実はその団子を食べるとものすご~く声が低くなるのよ |
ミント | まあ、ハロルドさんのおっしゃっていた楽しい効果とはこの事だったのですね |
シング | あはは、すごいね!それで、この効き目はいつまで続くの? |
ハロルド | 一週間もすれば切れるわよ |
シング | そ、そんなに…!?それはちょっと困るなぁ… |
キュキュ | 長く続く、よくない。ハロルド、効果切れる薬作る、出来るか? |
ハロルド | はいはい。んじゃ、効果を消す薬を作るわ |
シング | ありがとう、ハロルド!はぁ、よかった… |
シング | お客さんも困っちゃいそうだし、お祭りで売るのは普通のお団子がいいんじゃないかな |
ミント | …そうですね。効果が短ければお客さんに喜んでもらえるとは思うのですが… |
ハロルド | ま、そういうなら仕方ないわね |
キュキュ | ハロルドのお団子、駄目…。お客さん喜ぶ、他にいい案、何かあるか? |
シング | …あっ!それなら果物を使った、味違いのお団子を作るっていうのはどうかな? |
シング | 使う果物は、オレが山に行って採ってくるからさ! |
ミント | 果物ですか。…そうですね、餡にしてお団子で包めば美味しそうです! |
ミント | それではシングさん、お願いしてもよろしいでしょうか? |
シング | うん!オレに任せて! |
キュキュ | ミントのお団子まだまだ美味しくなる。キュキュ、食べる、楽しみ! |
シング | あはは。もしかしたら、美味しすぎてすぐに売り切れちゃうかもしれないね |
ハロルド | う~ん。そうなるとあれを準備しておいた方がよさそうね… |
ミント | お待たせしました、ぶどうと柿のお団子です |
キュキュ | ミント!次のお客さん、普通のお団子、りんごのお団子、三つずつ! |
ミント | はい!今準備しますね |
シング | うわぁ、お客さんがいっぱいだ。大人気だね! |
ミント | シングさん、来てくださったんですね |
キュキュ | お団子、大人気。シングが集めた、果物のおかげ! |
シング | 役に立てたなら、よかった。だけど、これだけお客さんがいると二人だけじゃ大変だよね |
シング | オレも店を手伝うよ! |
ミント | せっかくのお祭りなのによろしいのですか? |
シング | うん、勿論だよ!みんなの喜ぶ顔を見たいからね! |
キュキュ | シング、ありがと。キュキュ達、とても助かる! |
デューク | …団子を一つ |
シング | いらっしゃい!あ、デュークも来たんだね!今用意するから待ってて! |
シング | ──って、話に夢中になってる間にすごい列だ! |
ミント | 本当ですね、すぐに対応をしないと…! |
キュキュ | はい、そうする! |
デューク | …… |
キュキュ | あれ、デューク?もう、行ったか? |
シング | そうみたいだね、お祭りで他に回りたいところでもあったのかな? |
キュキュ | お祭り、楽しむ、いい事!キュキュ達も、お店頑張る! |
シング | お、お待たせしました!ありがとうございます~! |
シング | はぁ、はぁ…。売っても売っても、お客さんの列が途切れないよ… |
ミント | ふう…。人気なのは嬉しいのですが作り置きのお団子がもうなくなってしまいそうです |
キュキュ | あう…お客さん、まだまだいっぱい。キュキュ達、どうする…? |
ハロルド | 予想通り、お困りのようね。 |
ミント | ハロルドさん…! |
ハロルド | こんなこともあろうかと秘密兵器を用意しておいたのよ! |
キュキュ | 秘密兵器!? |
ハロルド | そ、ほら見て。私の最新作、超高速団子製造機よ! |
ハロルド | この器に材料をセットしてボタンを押せば~… |
ポンッ! | |
ハロルド | はいっ!あっという間に、月見団子の出来上がり~! |
キュキュ | ほんと、一瞬!ハロルド、すごい! |
シング | でも、そのお団子食べたらまた前みたいに声が低くなるんじゃ… |
ハロルド | 今回はちゃんとミントのレシピで作ってるわよ |
ハロルド | 試しにひとつ……うん、美味しい! |
シング | よかった、これなら安心してお客さんに食べてもらえるね |
シング | じゃあ、この機械を使ってどんどんお団子を作ろうか! |
ミント | それが、肝心の材料も今ハロルドさんが使ったのが最後の一袋で… |
デューク | …これを使え |
ドサッ | |
シング | デューク!?──って、これ団子の材料の粉だよね |
ミント | デュークさん、さっき材料の在庫が少ないのに気付いて、買ってきてくださったんですね! |
キュキュ | デューク、優しい!キュキュ達、助かる!ありがと…! |
シング | よし、あと必要なのは果物だね。オレがまた森に行って採ってくるよ! |
キュキュ | キュキュは、店残る。残りの団子、お客さん、売る! |
ハロルド | おもしろそうだし、私も手伝うとしますか |
ミント | みなさん…本当に、ありがとうございます |
ミント | お客さんにお団子を食べてもらうために、もう少しだけ、力を貸してください! |
全員 | おー! |
Name | Dialogue |
---|---|
Tales of ARISEの仲間達 | |
オリエ | みなさん、こんにちは!テイルズ オブ アスタリアの案内役オリエです |
オリエ | 実は先日…プロデューサーさんから「Tales of ARISEの魅力に迫れ」と指示がありまして… |
オリエ | いろいろと準備を進めていった結果、な、何と! |
オリエ | Tales of ARISEのみなさんにお越しいただく事になりました!パチパチパチ!! |
オリエ | では早速、アルフェンさんから順番に自己紹介をお願いできますか? |
アルフェン | アルフェンだ、よろしく。俺達の事を知ってもらえるように今日はどんな質問にも答えるつもりだ |
シオン | …シオン。シオン・アイメリスよ。こういった場は慣れていないから、お手柔らかにお願いするわ |
リンウェル | ええと、私、リンウェル!ちゃんと答えられるように、今日はがんばるね! |
ロウ | 俺はロウだ。あんまり頭使う質問は勘弁してくれよな |
キサラ | キサラだ。私もこういう事は不慣れだが、精一杯努めるのでよろしく頼む |
テュオハリム | お初にお目にかかる、テュオハリム・イルルケリスだ。お招きに与り光栄だ |
オリエ | ありがとうございます!それぞれの個性が伺える素敵な自己紹介でしたね♪ |
オリエ | 以上六名のみなさんと、Tales of ARISEの魅力にどーんと迫っていこうと思います! |
ロウ | おい…おい、アルフェン |
アルフェン | …ん?小声でどうしたんだ? |
ロウ | オリエさんって、何か、こう…いいな! |
ロウ | 笑顔が可憐で優しそうだし、すごく話しやすい感じじゃねえ?それになんてったって美人だし |
アルフェン | あ、ああ…まあ言われてみればそうかな |
リンウェル | 何コソコソ話してんの!まったくこれだから… |
ロウ | いてててて…耳を引っ張るなって。なんでお前が怒るんだよ!? |
リンウェル | …天雷の裁き、サンダーブレード! |
ロウ | うわぁっ!!危ねえ、何すんだよ!! |
リンウェル | べっつにー?座談会の開始演出にいいかなって思っただけ |
テュオハリム | うむ、確かに華を添えるのは大事だな |
キサラ | テュオハリム、床を焦がすのを華とはいいません。リンウェルもほどほどしろ |
リンウェル | わ、分かってるけどさ…。シオンはいい訳? |
シオン | …どうして私に振るのかしら? |
シオン | それよりオリエが困ってるわ。話を進めましょう |
オリエ | ふふっ、今のやり取りだけでもみなさんの仲のよさが伺い知れますね |
オリエ | それでは改めて、私から物語の内容を簡単にご紹介させていただきます |
オリエ | 「隣り合う二つの世界、ダナとレナ」 |
オリエ | 「自然あふれる大地のダナは、 魔法や技術が発達したレナから 侵略を受け隷属を余儀なくされる」 |
オリエ | 「そんな時に、 ダナ人の奴隷であるアルフェンは わけありのレナ人シオンと出会い」 |
オリエ | 「ダナ解放の戦いへと 身を投じる事になる…」 |
オリエ | …奴隷解放が目的なんですね。きっと、すごく大変な戦いなんでしょうね… |
アルフェン | 勿論、簡単な戦いじゃない。だが、ダナ人が自由に生きるために俺は戦うと決めたんだ |
オリエ | 熱いお言葉ですね。アルフェンさんの強い意志がひしひしと伝わってくるようです |
オリエ | 私も僭越ながら、みなさんの戦いを応援したいと思います! |
オリエ | それでは次に、主な舞台であるダナについてお伺いします |
オリエ | 「自然あふれる大地」とありましたがみなさんの印象はいかがですか? |
テュオハリム | 私のいたメナンシアはまさに風光明媚な場所だ |
リンウェル | 「緑に覆われし豊穣の国」って言うくらいだからね…。ちょっぴり複雑だけど |
シオン | 初めて足を踏み入れた時は雄大で豊かな自然の美しさに目を奪われたわ |
アルフェン | 風も気持ちいいし、他の国とは大違いだったな |
オリエ | とても素敵な風景なんですね。私も行ってみたいです |
アルフェン | 話しだけじゃ伝わらない部分もある。ダナの自然は実際にみてもらいたいな |
シオン | でも、どの土地も緑豊かというわけではないの |
オリエ | では、その他の国はどのような感じなんですか? |
リンウェル | 私のいたシスロディアはどこもかしこも雪で覆われてて歩くのが大変なぐらい寒い国だよ |
アルフェン | 逆にカラグリアはあちこちから炎が噴き上がる、岩だらけの土地なんだ |
シオン | あそこは野草一つ見つけるのも大変だったわね |
オリエ | 国によって特色が異なるんですね。いつか、ダナをゆっくりと旅してみたいです |
オリエ | 自然以外には、おすすめの場所などありますか? |
テュオハリム | 各地に目を引く遺跡があるな。レナの侵攻の名残ではあるが |
オリエ | そうなんですね!遺跡といえば、リンウェルさんがお詳しいと聞きましたが? |
リンウェル | うん…詳しいっていうか、興味があるだけだけどね。昔のダナの文化に |
アルフェン | それでいえば、レナの技術にも目を見張るものがあるな |
アルフェン | シオンは銃を…何て言ったっけ、“虚空に沈めておける”から持ち歩かなくていいんだったよな |
シオン | レナでは普通の転送技術よ。そうやってあなた、出会った頃からレナの技術に興味を示していたわね |
シオン | 敵であるはずのレナの技術を誉めるなんて、ずいぶん変わってると思ったものだわ |
アルフェン | キサラの盾もシオンの銃と同じで何もないところから現れるよな |
キサラ | ああ、私の盾も、同じ技術が組み込まれたレナ製だからな |
キサラ | お蔭でダナ人の私でも操作するだけで自由に呼び出す事が出来る |
オリエ | すごいです…!転送技術は本当に便利ですね! |
オリエ | ダナとレナの歴史や技術…ますます気になります! |
オリエ | さて、ここまではダナのお話しを中心に伺ってきましたが… |
オリエ | 今度はみなさんにフォーカスを当てて聞いていきたいと思います♪ |
オリエ | 『テイルズ オブ』シリーズ醍醐味の料理についてお伺い出来ますか? |
ロウ | 一番料理が上手いって言や、やっぱりキサラだよな! |
テュオハリム | うむ、手際といい腕前といい、見事なものだ |
リンウェル | 材料の魚も自分で釣っちゃうしね。そうそう、釣った魚はシオンが図鑑に記録してるんだよ |
ロウ | まあ、図鑑と言っても、内容は味の話ばっかだけどな |
シオン | 食べられるかどうかは死活問題だもの。当然の事をしているまでよ |
リンウェル | 確かに旅に食事の確保は重要かも…。それに同じ魚でも料理によって合う合わないがあるし |
ロウ | あーそう言われてみれば肉も種類によって味付けを変えるな。お前もたまにはいい事言うな |
リンウェル | たまにはってどういう事!? |
キサラ | ロウ…誉めるのも言い方次第だと教えただろう… |
アルフェン | キサラの腕前はもちろんだが、みんなそれぞれ個性があって、持ち回りで料理をするから飽きないな |
シオン | そうね。毎日いろいろな料理が出てくるから食べるのが楽しいわね |
キサラ | 特にシオンは食べっぷりがいいからな。私としても作りがいがある |
シオン | …そ、そうかしら |
オリエ | なるほど…料理はみなさんが交代で作られているんですね |
オリエ | ちなみに、アルフェンさんの料理の腕前はいかがですか? |
アルフェン | キサラほどじゃないが、それなりに自信はあるな |
シオン | え… |
リンウェル | ええと、それは… |
ロウ | あ、でも、そういや前に食べたマーボーカレーはマジで美味かったな! |
テュオハリム | うむ、風味も辛さも絶妙、まさに絶品だった |
アルフェン | あの時の香辛料の配合は自分でも最高のさじ加減だったな |
キサラ | この香辛料の入れすぎさえなければ、料理自体は申し分ないのだがな… |
オリエ | アルフェンさん渾身のマーボーカレー私も一度、食べてみたいです♪ |
オリエ | ここまでお話しを伺ってきて、会話の端々からみなさんの過ごした時間の長さが感じられますね |
オリエ | 風景や食事の話題に事欠かないのは、やはり旅を共にする時間が長いからでしょうか? |
アルフェン | そうだな。種族も立場も、育ちも全く違う六人だ。最初から仲がよかったわけじゃない |
アルフェン | 多くの戦いを積み重ね困難を一緒に乗り越えてきたからこそ今の俺達があるんだ |
アルフェン | これからどんな絆を結んでいくのか…この先に見る未来がどんな世界なのかぜひその目で見届けてほしい |
オリエ | なるほど!そこは是非、みなさん自身の目で確認して欲しい…という事ですね |
オリエ | 魅力的なダナの世界…それを守るため命をかけて戦うアルフェンさんたちのお姿… |
オリエ | 築き上げてきた個性豊かな仲間との絆…とてもよく感じられました |
オリエ | …と、話は尽きませんがそろそろお時間のようです |
オリエ | みなさん、本日はお忙しい中、ありがとうございました! |
アルフェン | こちらこそ、今日は俺達の事を知ってもらえるいい機会になったと思う。ありがとう |
ロウ | またいつでも呼んでくれよな |
リンウェル | もう終わりなんて早すぎるよ。まだ話していたいのに… |
オリエ | はい、本当に。もっとお話していたいくらいで── |
オリエ | ん?何か、においませんか…? |
オリエ | あっ!あっちから煙が! |
シオン | 何なの?この煙…まさか火事? |
キサラ | 何だと!?みんな姿勢を低くするんだ! |
テュオハリム | 落ち着きたまえ。この刺激的な匂い…察するにアルフェン、君ではないかね? |
アルフェン | …そうだった!みんなで食べようと思って料理を用意していたんだ! |
オリエ | アルフェンさんの料理…!ぜひいただいてみたいです! |
キサラ | いや、率直に言って初めてでそれは少々難易度が高いと思うが… |
オリエ | ですが、マーボーカレーは絶品と伺いましたので… |
リンウェル | そ、それはまた次の機会にしよ?今回はほら、キサラが、そう、キサラが作るから!ね? |
キサラ | やっと煙が引いたようだな… |
キサラ | さて、気を取り直して。よければ魚を釣りに行かないか?それを料理しようと思うんだが… |
シオン | いいわね。この辺りの魚がどんなものか、味わってみたいわ |
ロウ | よし、んじゃこれからみんなで釣りに行こうぜ! |
オリエ | そうですね!みなさんともっと親睦を深めたいです! |
アルフェン | なら、俺の作った料理は釣りをしながら食べるとしよう |
シオン | …どうしたものかしら |
テュオハリム | 無駄にするのも忍びないし、敢えて挑むも一興だが…まあ道中考えるとしよう |
キサラ | よし、釣り竿は用意した。川辺に向かうとしよう |
リンウェル | ほらほら、オリエさんも、早く、早くー! |
オリエ | はーい、今行きます! |
オリエ | あ、そうそう! |
オリエ | アルフェンさんの料理は、プロデューサーさんが美味しくいただいたそうですよ! |
Name | Dialogue |
---|---|
集めてホタテ・王・ランタン | |
メルディ | カボチャいっぱい、きれい! |
メルディ | バイバ!風船、お化けが顔になってるな |
??? | メルディさん? |
メルディ | ?? |
メルディ | ──リチャード! |
リチャード | やあ。楽しんでくれているかい? |
メルディ | はいな!カボチャや風船たくさんで見ててすごく楽しい! |
リチャード | 喜んでもらえたなら嬉しいよ。企画した甲斐があったな |
メルディ | ワイール!このハロウィンパーティー、リチャードが企画したか? |
リチャード | ああ。今年はウィンドル王国が主催でパーティーを開いていてね |
リチャード | モフモフ族のみんなにも協力してもらっているんだ |
メルディ | 街が飾り、すごいよー! |
リチャード | はは。すごいのは飾りだけじゃないよ |
メルディ | ?? |
リチャード | モフモフ族達が主に担当しているのはパーティー内のイベントなんだ。かなり力を入れているみたいでね |
リチャード | 今から視察もかねて参加する予定なんだけど、メルディさんも一緒にどうかな? |
メルディ | イベントすごく楽しそう!メルディも参加する! |
リチャード | では早速、受付を済ませに行こうか。案内するよ |
メルディ | はいな! |
ジェイ | ようこそ、ハロウィンパーティーへ──あ、リチャードさん。街はどうでしたか? |
リチャード | かなりの賑わいだったよ。こちらは滞りないかい? |
ジェイ | ええ、順調ですよ。お二人もイベントに参加しますか? |
メルディ | はいな!メルディ、リチャードと参加するよぅ |
ジェイ | わかりました。イベント内容をご説明しますね |
リチャード | お願いするよ。実は僕も楽しみにしていて、詳細な内容までは聞いてないんだ |
ジェイ | では改めまして。お二人共、ハロウィンパーティーへようこそ |
ジェイ | パーティーのメインイベント「ホタテ王を目指せ!」のご参加ありがとうございます |
メルディ | ホタテ王?変な名前~! |
ジェイ | 街に隠されたホタテで作ったランタン「ホタテ・王・ランタン」を探し出すゲームです |
ジェイ | 「ホタテ・王・ランタン」を見つけた数に応じて、豪華景品をお渡しさせていただきます |
ジェイ | ランタンは、各所のアトラクションをクリアしてもお渡ししますから挑戦してみるのもいいでしょう |
ジェイ | ランタンをたくさん集めて、ホタテ王を目指してくださいね |
メルディ | ワイール!おもしろそー! |
リチャード | ランタンの中には参加賞としてハロウィンらしくお菓子も入れてあるよ |
メルディ | お菓子! |
ジェイ | 楽しみにしてもらって何よりです。モフモフ族のみんなも喜びますよ |
ジェイ | では、説明は以上ですので、お二人共ぜひ楽しんで来てくださ── |
キュッポ・ピッポ・ポッポ | ちょっと待つキュ! |
ジェイ | キュッポ!ピッポとポッポまで…持ち場で何かあったの? |
ポッポ | 違うキュ!ポッポ達はジェイにもパーティーを楽しんでもらいたいんだキュ! |
キュッポ | そうだキュ!ジェイはキュッポ達のために、寝る間も惜しんで手伝ってくれたキュ |
ピッポ | 受付は任せて、ジェイも遊んできてほしいキュ! |
ジェイ | で、でも… |
リチャード | …じゃあ、こうしよう |
リチャード | ジェイには僕の案内役という形で、ついて来てもらおう。仕事中という事なら問題ないだろう? |
メルディ | いいな、それ!さすがリチャード! |
キュッポ | ジェイ。リチャードさんもこう言ってるキュ。気に病む必要ないキュ! |
ジェイ | …ありがとう。お言葉に甘えようかな |
メルディ | よろしくな、ジェイ! |
リチャード | よし、行こうか |
キュッポ | ハッピーハロウィンキュ~!三人共、いってらっしゃいだキュ~♪ |
メルディ | ここ、見つけた! |
ジェイ | メルディさんすごいですね。また見つけたんですか |
リチャード | そんなところにもあったんだね |
メルディ | ランタン探すの、楽しいな! |
リチャード | そうだね。街を見て回りながらランタンを探して見付けたらお菓子も手に入る… |
リチャード | 人を喜ばせようとするモフモフ族達のおもてなしの心は素晴らしいよ |
リチャード | 協力してもらって本当によかった |
ジェイ | そう言ってもらえて嬉しいです。みんなにも伝えておきますね |
メルディ | ジェイ、嬉しそう! |
リチャード | ああ、ぜひ伝えてくれ。──ん?あれは… |
リチャード | 宝箱?鍵がかかっているみたいだ。隣にあるのは…パズルかな? |
ジェイ | これは、ポッポが作った仕掛けですね |
ジェイ | 説明書きを一緒に置いてあるので、読んでみてください |
メルディ | えーっと… |
メルディ | 「隣にあるパズルを解くキュ!」 |
メルディ | 「正解ならホタテ・王・ランタンを 大量ゲット出来るキュ!! レッツ!チャレンジ!キュ!」 |
リチャード | …ふむ。これは15枚の板を上下左右に動かしながら並び替えて、絵を完成させる形のパズルだね |
ジェイ | はい。ただ…かなり大きいので、協力する必要がありますね |
メルディ | バイバ!みんなでやってみるよ! |
メルディ | うん…しょっ! |
ジェイ | あっ、メルディさん違いますよ。それを逆に動かすんです |
メルディ | あ、こっちだったか |
リチャード | 待ってくれ。その前にこっちを揃えないと上手く並ばないんじゃないかな? |
ジェイ | という事は、戻さないといけないですね…もう腕が痛いですよ |
リチャード | この手のパズルは1枚ずつ着実に揃えていくと楽だと思ったが…それだと動かす回数が増えてしまうね |
リチャード | 無駄なく最短の手数で済むようじっくり考えてから動かした方がいいのかもしれない |
ジェイ | まるで機械の設計のような思考力が求められる…なるほどポッポらしい仕掛けです |
リチャード | ふう…よし、これで── |
ガチャ | |
メルディ | ワイール!宝箱、開いたな! |
リチャード | 完成してよかった…こんなに苦戦する事になるとは… |
ジェイ | 同感です…。やはり一筋縄ではいきませんでしたね |
メルディ | けど、いっぱいもらえたな!大量♪大量♪ |
??? | もー!どうなってるの… |
リチャード | おや、あの声は… |
マルタ | ぜんっぜんわかんない… |
メルディ | マルタ、悩んでるか? |
マルタ | きゃあ!え、メルディ…?ジェイとリチャードさんも… |
リチャード | やあ。何か悩んでいるようだけど…そのカードと関係しているのかな |
マルタ | うん…。どうしてもモフモフ族の里へのペアご招待券が欲しくて挑んでるんだけど… |
ジェイ | さっきのように何かを解いたらランタンが貰えるようですね |
リチャード | マルタさんが悩む難問か…面白そうだね |
マルタ | ダメダメ!これは私とエミルとで行く招待券だから私一人で解かなくちゃ |
リチャード | ではこうしよう。ランタンはマルタさんが取っていいから一緒に解かせてくれないか? |
メルディ | メルディ、手伝うよぅ! |
ジェイ | ぼくも興味あります |
マルタ | …ありがとう。それなら一人じゃわかりそうにないし手伝ってもらおうかな |
マルタ | 詩が表している言葉で回答欄を1文字ずつ埋めるとランタンの隠し場所がわかるらしいの |
リチャード | 回答欄が縦横に重なっていて他の回答がヒントになるパズルのような問題だね |
メルディ | どんな詩、書いてあるか? |
リチャード | 確かめてみよう。「嗚呼、それは大海原に眠る 愛しきもの、キュ」…か |
ジェイ | これは…ピッポが作った詩でしょうね |
マルタ | それはわかったの。縦の1番、「ホタテ」よね |
ジェイ | ええ、おそらく間違いないでしょう |
マルタ | 問題は、そのホタテと交わる問題。横の9番、解答欄が凄く長くて… |
リチャード | 問題の詩は…「麗しき風の国の姫君。 その名は途切れる事なかれ、キュ」 |
リチャード | 風の国…ウィンドルの事かな。バロニアは「風いずる王都」と呼ばれる事があるからね |
マルタ | そうなんだ。じゃあ、ウィンドルの姫君で長い名前といえば… |
ジェイ | エステリーゼさん…でしょうか。途切れる事なかれとありますからフルネームとか |
リチャード | なるほど。エステリーゼ・シデス・ヒュラッセイン…文字数は合うかな? |
マルタ | うん、ぴったり!ここがわかれば、あとは簡単ね! |
マルタ | よし、出来た!浮かび上がったランタンの隠し場所は…「お化けが住む木の上」? |
リチャード | とすると、木の上に何かあるのかな? |
マルタ | …あっ!あの木の枝、お化けの風船が括られてるみたい! |
ジェイ | 確かに、あれならお化けの住む木、と言えるかもしれませんね |
マルタ | 私、行ってくる! |
マルタ | やった!!あったよ! |
メルディ | やったな、マルタ♪ |
リチャード | 力になれたみたいで、よかったよ |
マルタ | みんなありがとう!これでエミルとラブラブ旅行に…きゃーーー♪ |
メルディ | きゃーーー♪♪ |
リチャード | はは、元気だね |
メルディ | リチャード、ジェイ!マルタも一緒に回ってもいいか? |
マルタ | えっ!?ちょっと… |
リチャード | ああ、僕は構わないよ |
ジェイ | 謎解きは人数の多い方が、いろんな意見も出やすいですし解ける確率が上がりますからね |
マルタ | さっきみたいな事になるかもしれないし…うん、一緒に行動させてもらうわ |
マルタ | よろしくね! |
メルディ | マルタも一緒♪嬉しいよぅ! |
リチャード | パーティーはみんなで楽しまないとね |
おおおぉぉぉっ! | |
リチャード | すごい歓声だね |
ジェイ | 「戦士の試練」の方ですね。キュッポ考案の射的ゲームです。行ってみましょう |
キュッポ | はわわわ!すごいキュ!あともうちょっとで満点だキュ! |
エドナ | 少し静かになさいふー… |
マルタ | これは…射的?あそこにいるのエドナよね?すごい集中力… |
リチャード | 彼女からまるで戦士のような覇気を感じるよ… |
ジェイ | …まあ、かなり難しく設定していますからね真剣になるのも仕方ないですが… |
メルディ | すごいな!──はふ、は、は |
メルディ | はっくしゅ!! |
エドナ | ──っ!! |
パヒュン! | |
エドナ | … |
メルディ | あっ |
キュッポ | あー!惜しかったキュ!最後外しちゃったキュ |
エドナ | よくもやってくれたわね |
マルタ | ち、近付いてくるよ…! |
エドナ | …可愛らしい音を出してくれたのは、このお鼻かしら? |
ぎゅーーーーー! | |
メルディ | きゃふ!ご、ごえんなぁ…! |
エドナ | はぁ…全く。ここに来たって事は、あなた達も挑戦するんでしょう? |
マルタ | え、えぇ |
エドナ | それなら、こうしましょう。ランタンは要らないから中のお菓子をワタシによこしなさい |
ジェイ | お菓子だけ…?ランタンは集めてないみたいですね |
リチャード | そのようだね。彼女には別の目的があるんだろう |
マルタ | もしかして…私達のお菓子も全部って事!? |
エドナ | 勿論よ。連帯責任でしょ? |
リチャード | これは、やるしかなさそうだね |
ジェイ | いいでしょう。持てなくなるぐらいのお菓子を、渡して差し上げましょう |
エドナ | あら、言うじゃない。あなた達の実力がどの程度のものかこの目でしっかりと見させてもらうわ |
メルディ | みんな、ごめんな…。メルディ、がんばるよぅ! |
マルタ | 仕方ないね。ランタンは譲ってくれるみたいだし…やってやるんだから! |
リチャード | ふぅ、なかなか難しかったね |
マルタ | 全員で挑戦して、全弾命中はジェイだけだったね。他はみんな参加賞 |
ジェイ | 普段からキュッポの鍛錬に付き合ってますからね。相性がよかったんでしょう |
メルディ | メルディ、一番ダメだったよぅ。エドナ、あんまりお菓子取れなくてごめんな |
エドナ | まぁ、構わないわ。もらった中にパルミエはあったし… |
メルディ | パルミエ…?それ好きか? |
エドナ | 何でもないわ。とにかく、これで許してあげる |
メルディ | ありがとな~! |
エドナ | ワタシは次のお菓子を探しに行くからあなた達もランタン集め頑張りなさい |
メルディ | はいな! |
ピンポンパンポーン | |
ピッポ | みんな~!ホタテ・王・ランタン大量追加キュ!あちこちに隠してきたから探すキュ! |
メルディ | お~!まだまだたくさん探せるな! |
マルタ | 隠してあるのを探すだけなら別れて動いたほうが効率いいかな…ここからは別行動にしない? |
メルディ | はいな!今からは競争!負けないよ! |
リチャード | ジェイ、ここまで案内をありがとう。僕達は解散して、別々に探すけど君はどうする? |
ジェイ | …キュッポ達がせっかく送り出してくれたので、ぼくもランタン探しをする事にします |
リチャード | うん、それがいいね |
マルタ | じゃあ健闘を祈るって事で!豪華景品は譲らないけどね! |
メルディ | がんばろな! |
Name | Dialogue |
---|---|
白熱!温泉卓球真剣勝負! | |
フレン | そろそろカイウスも温泉から上がる頃かな |
フレン | 風呂のタイミングを合わせていなかったから、入れ違いになってしまったけど… |
フレン | 彼が来る前に卓球道具を借りられたから、ちょうどよかったな |
エステル | ふふっ♪素敵なお土産が買えました |
エステル | 早くみなさんにも見せてあげたいです |
フレン | エステリーゼ様、楽しそうですね。何かあったのですか? |
エステル | あ、フレン!いい時に会えました! |
エステル | これを見てください。「リチャードまんじゅう」です! |
フレン | これは…。ひとつひとつがリチャード陛下のお顔になっているんですね |
エステル | そうなんです。売店で見つけて、ついつい買っちゃいました |
エステル | ただ、あまりにかわいらしいので食べてしまうのが少しもったいない気もしますね |
フレン | 私は騎士として王の顔をかじるなんて戸惑います |
エステル | でも、フレンの分も買いましたからちゃんと食べてくださいね |
フレン | ありがとうございます。傷む前には必ず食べきります |
エステル | ふふ、お願いしますね…ところで、フレンはここで何をしてるんです? |
フレン | 私はカイウスが来るのを待っているんです |
フレン | ここには卓球場があるので温泉から出たら卓球をしようと約束をしていまして |
エステル | わぁ、いいですね!卓球は温泉の風物詩の一つだと本にも書いてありました |
エステル | フレン達がよければ、わたしも参加していいでしょうか? |
フレン | はい、ぜひ!人が多い方が盛り上がりますからカイウスもきっと喜びますよ |
エステル | ありがとうございます!今からわくわくしますね |
リカルド | ん?何やら盛り上がっているな |
エステル | あ、リカルド。見てください、リチャードのおまんじゅうですよ |
リカルド | 王の顔になっているのか。大将の首を取ったようで面白いな |
フレン | 不吉な感想はやめてください… |
エステル | リカルドは何をしていたんです? |
リカルド | 庭園の散策に出ていた。なかなか風流だったぞ |
エステル | いいですね。フレン、わたし達も卓球の後で行ってみませんか? |
フレン | ええ、ご一緒させてください |
リカルド | ああ、おまえらは卓球をするのか |
フレン | よかったら、一緒にやりませんか? |
エステル | あ、いいですね!リカルド、どうです? |
リカルド | ふむ…いいだろう |
リカルド | 温泉で解れた身体を動かしたいと思ったんだが、散歩では物足りなくてな |
リカルド | おまえらが俺の相手になるといいが |
フレン | 随分と腕に覚えがあるようですね |
リカルド | ふん。俺のスマッシュの精度を甘く見ない事だな |
フレン | なるほど。狙撃手の腕の見せ所という事ですか |
エステル | とても強そうですね…!お手柔らかに、とは言いません。精一杯挑ませてもらいますね! |
フレン | (相手は凄腕の傭兵だ…。 あの自信は虚勢ではないだろう) |
フレン | (だがエステリーゼ様が 挑戦すると言うのなら…) |
フレン | 私もエステリーゼ様と一緒にあなたに挑もうと思います |
エステル | 一緒にですか?…あ! |
エステル | 参加者が四人集まったから、2対2でも戦えるんですね |
エステル | 一緒に頑張りましょう、フレン! |
フレン | エステリーゼ様は必ず私が勝利に導きます! |
リカルド | まあ、せいぜい全力でかかってくるといい |
エステル | あっ、でもわたし、フレンとも勝負してみたいです |
リカルド | ふむ、何度か組み合わせを変えて対戦するか |
フレン | いいですね、そうしましょう |
エステル | とっても楽しみです! |
カイウス | 悪い、遅くなっちまった!待たせたな、フレンさん! |
カイウス | ってエステルとリカルドさんもいるって事は…もしかして、一緒に卓球やるのか!? |
エステル | はい、参加させていただきます! |
リカルド | 俺もだ。手加減はせんからな |
カイウス | やった!大勢の方が楽しいもんな |
フレン | ところでカイウス。そのミルク、大浴場前の売店で売っていた物かい? |
カイウス | そうそう!やっぱり温泉の醍醐味は風呂上がりのミルクだと思ってさ! |
フレン | 僕も気になっていたんだ。他にもフルーツミルクというのがあっただろう? |
カイウス | あったあった。どっち買おうか悩んだよ |
エステル | フルーツミルク!美味しそうですね! |
リカルド | なら、俺が買ってこよう。ただし、二本だけだ |
リカルド | 卓球で多く勝った上位二名が手に入れる |
エステル | 面白そうですね!これは負けられません! |
カイウス | オレも、もう一本ぐらい欲しいと思ってたんだ。負けないぞ! |
フレン | それなら僕もフルーツミルクを目指そうかな |
??? | あんた達、何してるの? |
エステル | あ、ベルベット! |
ベルベット | これは何の集まり? |
カイウス | 今からみんなで温泉卓球をするんだ! |
カイウス | せっかく合流したんだし、勿論ベルベットもやるよな?勝てばフルーツミルクだぜ |
ベルベット | 勿論って…。まあ、構わないわ |
ベルベット | のんびりするのもいいけど、卓球も温泉の醍醐味よね |
カイウス | じゃあ決まりだな!よし、早速卓球場に── |
ベルベット | カイウス、待ちなさい |
カイウス | え?な、何だよ? |
ベルベット | あんた髪が濡れたままじゃない遊ぶのは、髪をちゃんと拭いてからよ |
カイウス | え!?ほっとけば乾くって! |
ベルベット | ダメよ |
ベルベット | 夜は冷えるでしょ。そのままにしてたら風邪を引くわ |
ベルベット | ほら、拭いてあげるからこっちへ来なさい |
カイウス | い、いいよ!自分で出来るって! |
ベルベット | だったらさっさとそうしなさい。まったく… |
カイウス | …よし、乾いた! |
カイウス | 気を取り直して、今度こそ卓球場に行こうぜ |
カイウス | 絶対にオレが勝ってやるからな! |
エステル | ふふっ、わたしも負けませんよ! |
リカルド | まあ、ひとまず肩慣らしからだ |
ベルベット | とっとと始めましょ |
フレン | (こうして見ると、 一緒に来たメンバー全員が 集まったのか) |
フレン | (エステリーゼ様やみんなの 楽しい思い出になればいいな) |
フレン | …ん? |
リカルド | ベルベット、なかなか気合が入っているようだな |
ベルベット | まあね。勝負事は本気でやってこそでしょ |
ベルベット | というかあんたこそ、随分と入念な準備運動じゃない |
リカルド | まあ、戦いの厳しさってやつを教えてやるとするさ |
ベルベット | ふん、悪くないわね |
ベルベット | ここの温泉は怪我にも効くらしいし、ちょっとくらい本気出しても…平気よね |
フレン | た…卓球の話だよね? |
カイウス | 誰が掛かって来ようがオレは絶対に負けない! |
フレン | カイウスからも本気の闘争心を感じる… |
エステル | フレン。わたし…頑張ります! |
フレン | ええ、がんばりましょう! |
フレン | (卓球とは言え、 戦場のつもりで挑まなくては いけないようだ) |
フレン | エステリーゼ様のためにもこの戦い、絶対に負けられない! |
Name | Dialogue |
---|---|
願いよ届け!絵馬カルタ大会 | |
コハク | 到着!うわぁ、たくさん人が来てるね! |
シャーリィ | 「願いがかなう」神社と噂されているだけの事はありますね |
コハク | そうだね、早速わたし達も願いがかなう理由を探しに行こう! |
シャーリィ | はい!でも、どこから探せばいいんでしょうか… |
コハク | うーん、案内とか出てるかな… |
シャーリィ | あっ、あそこにいる人、もしかして神社の方じゃないですか?何かの催しの衣装に見えますが… |
コハク | 本当だ。聞いてみよう! |
コハク | すみません、聞きたい事があるんですけど… |
コハク | …あれ!? |
リッド | ん?あぁ、おまえらも来てたのか |
コハク | リッド!その格好、どうしたの? |
リッド | あー、これはだな…神社の催しの一つとして舞いをやってくれって頼まれてさ |
リッド | 身のこなしが軽いから、きっと舞踏も上手いだろうって |
コハク | それで舞手をやってるんだ?すごいね! |
リッド | …オレが止める間もなくファラが二つ返事で引き受けて、気付いた時には舞手になっちまってた |
コハク | あはは…。その光景、想像できるかも |
シャーリィ | リッドさんが舞っているところ観てみたいです! |
リッド | はは…次の公演は夜だぜ |
コハク | やった!絶対行こうね、シャーリィ |
シャーリィ | はい!楽しみですね! |
リッド | …ところで、さっきオレに何か聞こうとしてなかったか? |
コハク | あっ、そうだった。わたし達、願いがかなうっていう噂を聞いてここに来たんだけど… |
コハク | 何をすればいいのか、わからなくて…詳しい事知らないかな? |
リッド | んー…。そういや、そんな話を聞いたような。何だっけな… |
ミクリオ | ──それは「絵馬」と「カルタ大会」の事だね |
リフィル | ふふ、知っている顔がずいぶんと集まっているわね |
コハク | ミクリオにリフィル!二人も来てたんだ! |
シャーリィ | 「絵馬」と「カルタ大会」…お二人はこの神社の事に詳しいんですか? |
ミクリオ | ああ、少しね。この神社では、毎年正月にカルタ大会が開かれるんだ |
ミクリオ | 参拝客が絵馬に書いた願いを上の句と下の句に分けて、カルタの読み札と取り札にしてね |
コハク | へぇ~! |
ミクリオ | そして大会で読まれた願いは成就するという言い伝えがある |
シャーリィ | なるほど…。それが「願いがかなう神社」の噂の真相だったんですね! |
ミクリオ | そういう事になるね。ちなみにこれが、そのカルタだ |
コハク | 本当に誰かの願いが書かれてるんだね。えーっと「たくさんの古代遺跡を」… |
ミクリオ | ま、待った!読み上げる必要はないだろう…! |
コハク | えっ!?そんな必死に隠さなくても…あ、もしかしてそれって… |
ミクリオ | …お察しの通り。これは僕の願いなんだ |
ミクリオ | 大会の手伝いで読み手をするから、記念にもらったんだよ |
リッド | へぇ、ミクリオも神社の手伝いしてんのか。誰かに頼まれたのか? |
ミクリオ | いや、募集を見て立候補したんだ。絵馬をカルタにするという手法が興味深くてね |
リフィル | よくわかるわ。本来絵馬は、生馬を納めるという一部地域の風習だったそうだけど… |
ミクリオ | こうして局地的に風習が変化するのは面白いよ。こういう事例は環境的要因の他にも… |
リッド | 盛り上がってるところ悪ぃけど…ミクリオ、時間は大丈夫か? |
ミクリオ | ああ、もうそんな時間か。話は尽きないけれど、僕はそろそろ会場に戻らないと |
リフィル | あら、残念ね。また時間を見つけて話をしましょう |
ミクリオ | ぜひ、そうしよう。それじゃ、失礼するよ |
リフィル | …さて、私は絵馬を書きに行くところだったのだけれど、あなた達はどうするの? |
コハク | わたし達も絵馬を書きに行こうと思ってるよ |
シャーリィ | はい、ぜひ書きたいです。もしよければ、リッドさんも一緒に行きませんか? |
リッド | そうだな。じゃ、みんなで書きに行こうぜ |
コハク | …書けた!みんなはどう? |
シャーリィ | わたしも書き終わりました |
リッド | オレも書けてるぜ。ただ、リフィルが… |
リフィル | ぶつぶつ…ぶつぶつ… |
シャーリィ | 集中しているみたいですね。少し待ちましょうか |
リッド | そうだな |
グゥゥゥゥ… | |
コハク | 今の音は… |
リッド | 悪ぃ、オレの腹だ。参道の屋台で食い物買ってくりゃよかったな… |
シャーリィ | あの、よかったらパンを食べますか?お兄ちゃんの作った新作なんですけど試食として配る用に持ち歩いてまして |
リッド | いいのか!?やったぜ! |
シャーリィ | 後で感想を教えてくださいね。お兄ちゃん、今年はたくさん新作パンを作るって張り切ってて… |
リフィル | 待たせてしまってごめんなさい |
コハク | ううん、全然!えっと、書いた絵馬は係の人に声を掛ければいいのかな? |
リフィル | ええ。それで、願い事を上の句と下の句にわけてカルタに書き写してくれるそうよ |
リフィル | そうして作られたカルタはすぐにカルタ大会の会場に行くとミクリオが話していたわ |
シャーリィ | じゃあ、すぐに読まれるかもしれないんですね |
リッド | 読まれたら願いがかなうって話だったよな。せっかくだしカルタ大会の会場に見に行こうぜ |
コハク | 賛成~! |
リッド | よぉミクリオ、お疲れさん |
ミクリオ | やあ、みんな来たんだね |
男の子1 | ──あっ!さっき踊ってたお兄さんだ! |
男の子2 | お兄さんもカルタしようよ!いいでしょ? |
リッド | オレ?いや、こういうのは… |
ミクリオ | 参加してみたらどうだい?この大会は参加自由だし、今なら一人くらい入れるよ |
コハク | 人気者だね、リッド!参加してきなよ |
リッド | …そうだなよし、やってやるか! |
ミクリオ | 決まりだね。そこの空いてる席に座るといい。では、始めるよ |
リッド | ぜ、全然取れねぇ…! |
シャーリィ | 苦戦してますね。反射神経はすごいのに… |
リフィル | そうね。でもこのカルタは反射神経だけに頼っていても勝てないでしょうね |
リフィル | 上の句を予測し、下の句が読まれる前に反応出来ないとかなり厳しいと思うわ |
リッド | (そうなんだよな。 …仕方ねぇ、目の前の下の句から 上の句を予測してみるか) |
リッド | (まずはそこの札…。 「いろんなパンが作れますように」 …か) |
リッド | (そういやシャーリィが言ってたな。 セネルが新作のパンをたくさん 作ろうとしてるって…) |
リッド | (って事はそこの札は シャーリィの願いか? なら上の句は…) |
ミクリオ | 次を読むよ。「お兄ちゃん」── |
リッド | ──これだ!もらった! |
パンッ! | |
リッド | さあどうだ…? |
ミクリオ | 残念、お手つきだね |
リッド | え!?シャーリィの願いじゃないのか? |
シャーリィ | えっと、リッドさんが取った下の句は確かにわたしの願いなんですが… |
ミクリオ | 「お兄ちゃん」で始まる上の句はいくつかあるんだ |
ミクリオ | 続けるよ。「お兄ちゃんが僕」── |
男の子3 | ──えーっと…これだ!「狩りに連れて行って くれますように」! |
ミクリオ | うん、正解の札だ。願いは「お兄ちゃんが僕を早く狩りに 連れて行ってくれますように」 |
男の子3 | やったあ!ボクの願い、自分で取れたよ! |
ミクリオ | おめでとう。自分で願いを掴み取ったようで縁起がいいね |
リッド | (うーん、予測は失敗か。 やっぱり下の句を読み始めてから 全力で取るしかないか) |
ミクリオ | さて、次を読むよ。「今年こそは長年のたゆまぬ 努力の結果として」── |
リッド | ここは我慢だ。最後まで聞くぞ… |
ミクリオ | 「現在調査中の遺跡から多数の遺物を 発掘し、未解決の考古学研究に 新たな発見をもたらして」… |
リッド | (…長いな) |
男性 | ──取った! |
リッド | うわ!? |
ミクリオ | 正解の札だね。時間の都合上、改めての読み上げは省略させてもらうよ |
男性 | 下の句もすげぇ長文だったからな。わかりやすかったぜ! |
リッド | 今度は最後まで聞こうとしたのが仇になったか… |
コハク | …あれってもしかしてリフィルの願い? |
リフィル | ええ。かなうかもしれないと聞いてつい…我を忘れて書いてしまったのよ |
ミクリオ | さあ次を読むよ「今年も仲間」── |
パンッ! | |
リッド | ──取った!これだろ!?当たりだよな、ミクリオ! |
ミクリオ | ああ。その取り札で正解だ |
コハク | すごい、一瞬で取っちゃったね!でも、どうして? |
リッド | ずっと狙ってたんだ。…オレの願いだからな |
ミクリオ | (なるほど、これは彼の願いか。 「今年も仲間達と楽しく 平和に暮らせますように」…) |
ミクリオ | …ふふ、この願いはもうかなっているようだ |
コハク | やったね、リッド!この調子でバンバン取っちゃおう! |
リフィル | そうね。まだまだいいところ見せてもらわないと |
シャーリィ | 頑張ってください、リッドさん! |
リッド | ああ、ここから巻き返すぞ! |
Name | Dialogue |
---|---|
熱気を帯びるダンスバトル! | |
リリス | …ここでステップ、ステップ、それからターン! |
リリス | 出来た!思い通りに動けると気持ちいいわ!ダンス始めてよかった♪ |
??? | おお、何という逸材! |
リリス | えっ? |
マギルゥ | お主、ダンスを始めて何年じゃ? |
リリス | マギルゥさん!まだ、二週間くらいですけど… |
マギルゥ | なんと!たった二週間でそれほどとは! |
マギルゥ | お主とダンスとの出会いはもはや「運命」という言葉でしか言い表せまいて…! |
リリス | 運命だなんて、そんな大袈裟なものじゃないですよ |
リリス | ダンスが流行ってるって聞いたので、健康のためにいいかなと思って始めただけなんです |
マギルゥ | なるほどなるほど…。生きるために身体がダンスを欲しておったと! |
リリス | そ、そういう言い方も出来るんでしょうか? |
マギルゥ | そうじゃ。つまり天性の才能じゃな。お主のダンスには人を惹き付ける力がある! |
マギルゥ | そこで、ものは相談なんじゃが儂の商売を手伝ってもらえんかの? |
リリス | 商売…?私でお役に立てるなら…でも、本当に初心者ですけどいいんですか? |
マギルゥ | よいよい。さっきと同じように人々を魅了するダンスを見せてくれればよいのじゃ |
マギルゥ | というわけで決まりじゃな!では参るぞ。こっちじゃー |
リリス | この広場でダンスをするんですか? |
マギルゥ | そうじゃぞ。さて、他にも声を掛けた者達がおるのじゃが── |
ロウ | お、戻ってきたな |
アスベル | もう一人手伝いを捜してくるって言ってたけどリリスに頼んだのか? |
マギルゥ | うむ。お主らと共に手伝いをしてくれるぞ |
リリス | 不束者ですが、よろしくお願いします! |
ロウ | おう、よろしくな! |
アスベル | こちらこそ、よろしく頼む |
アスベル | …ところでマギルゥ。何をすればいいのかそろそろ教えてくれないか? |
マギルゥ | そうじゃのー、人手も揃ったしな。儂がお主らに頼みたい事、それは… |
マギルゥ | ダンスバトルじゃ! |
ロウ | ダンスバトル…構わねえけど、それがどうお前の商売につながるんだ? |
マギルゥ | なぁに細かい事は気にするでない。お主らはあくまで楽しくバトルしてくれればよい |
マギルゥ | あとはこっちで上手い事やるからの♪ |
ロウ | ふーん?よくわかんねえけど、まぁいいか。ダンスで勝負すりゃいいんだな? |
アスベル | 詳細が気になるけど…。ひとまず、やってみるか |
マギルゥ | 話しが早くて助かるわい。リリスはどうじゃ? |
リリス | ダンスバトルが盛んなのは知ってたんですがやった事はなくて…最初は見学していてもいいですか? |
マギルゥ | よいよい。誰にでも初めてはあるの~興が乗ったら参戦するがよいぞ |
リリス | はい! |
マギルゥ | ではアスベルにロウ。広場を沸かせてくるのじゃ!ミュージックスタート! |
ロウ | よし、始めるか!どっちから踊る? |
アスベル | 最初はロウに頼むよ |
ロウ | 余裕だな。じゃあ遠慮なく行くぜ! |
ロウ | ふんっ、はっ! |
アスベル | 上手いな!複雑な動きなのに安定している…体幹がよく鍛えられてるんだな |
ロウ | っと…これで、決まり! |
アスベル | 次は、俺の番だ。負けられない! |
アスベル | はッ! |
ロウ | おっ、アスベルもやるじゃねぇか。あの動きはよっぽど鍛えてねぇと出来ねぇぜ |
リリス | 二人共すごいです!私じゃまだ、あんな技は出せない…もっと練習しないと! |
マギルゥ | …いいや。確かに技術は高いがあの二人には足りぬものがある。お主を連れてきて正解じゃったわ |
リリス | えっ…?どういう事ですか…? |
マギルゥ | 見よ、あの二人を… |
ロウ | なあなあアスベル!さっきの技、どうやったんだ? |
アスベル | あれは普段やってる鍛錬の応用なんだ |
アスベル | 腕と腹筋を鍛えるつもりで、こうして… |
ロウ | なるほどな!それなら俺もお勧めの技があるぜ!脚の筋肉に効くんだ! |
マギルゥ | こりゃー!いい加減にせんかー! |
マギルゥ | お主ら、ダンスバトルは交互に技を競い合うものじゃぞ! |
マギルゥ | バトル中に教えあってどうするんじゃ! |
ロウ | あー…うっかりしてたぜ。悪い悪い |
アスベル | 鍛錬になりそうなダンスを見るとつい盛り上がってしまって…ごめん |
マギルゥ | 第一、観客を魅了するには燃え滾る闘争心のぶつかり合いが必要なんじゃ! |
マギルゥ | 儂が手本を見せてやる!悔しかったらお主らの技で儂をギャフンと言わせてみい! |
マギルゥ | よっ、はっ、とぉー! |
ロウ | うっ、悔しいけど確かにすげぇ迫力…! |
アスベル | 確かに引き込まれるものがあるな |
街の男1 | おっ、何だ何だ?すげぇバトルやってるぞ! |
街の女1 | カッコいい!私もあんな風に踊れるかしら |
リリス | わぁ!マギルゥさんが踊りだしたら広場のみんなが集まってきた…! |
ロウ | よーし、なら今度は俺だ!はっ、とぅ! |
街の男2 | あっちの兄ちゃんもすげぇぞ!あんな技初めて見たぜ! |
アスベル | よし、俺も!てや! |
街の女2 | あの人の動き、洗練されていて素敵だわ! |
リリス | みんなすごい。すっかり注目の的… |
マギルゥ | ほれ、何をしておる。リリスも踊らんか |
リリス | わ、私ですか!?でもこんなすごいダンスについていけるかどうか… |
アスベル | そんな気にする事ないさ! |
ロウ | そうそう。ダンスを楽しむ気持ちさえあれば十分だって! |
リリス | ダンスを楽しむ気持ち…そうですね |
リリス | それなら私も負けません!参加させていただきます! |
マギルゥ | その意気じゃ。お主の思う様、踊り狂うがよい! |
リリス | こうかな?えいっ、やっ! |
街の男3 | あのお姉ちゃんは楽しそうに踊るな。笑顔が輝いてるぜ |
街の女3 | うふふ、こっちまで楽しくなっちゃうわね |
マギルゥ | ふっふっふ…思った通りこやつらのダンスにみんな夢中じゃな |
マギルゥ | バトル終了じゃー! |
街の男4 | なんて熱いバトルだったんだ…思わず魅入っちまった! |
街の男5 | ヒュウウッ!お前ら四人共、サイコーだぜ! |
リリス | はあ、はあ…。すごい…いつの間にかこんなに沢山の人が見てたんだ…! |
マギルゥ | うむ。今この広場の視線は儂らのもの。…頃合いじゃな |
マギルゥ | さて!今のバトル、儂は負けを認めるぞ!この三人には完敗じゃあー! |
マギルゥ | というわけで、勝者たる三人にはこのリストバンドを差し出さねばならんのう |
アスベル | リストバンド…? |
マギルゥ | そう。儂らはこのカッコいい「勝者のリストバンド」を賭けてダンスバトルをしておったじゃろ? |
マギルゥ | バトルに勝ってリストバンドをたくさん集めた者こそ真の強者の証じゃからの!! |
ロウ | そ、そうだったのか…!? |
アスベル | いや、そんな話は聞いてないけど… |
リリス | 私も初耳ですね… |
マギルゥ | しっ!いいから話を合わせい! |
街の男6 | あれほどの実力者が勝利の証として持ってるリストバンドか…俺も手に入れられるかな |
街の女4 | やめときなさいよ。あんたじゃ、私にも勝てないわよ |
街の男6 | 何だと?じゃあリストバンドを賭けて勝負するか!? |
街の女4 | 無理よ。私もあんたもリストバンドを1つも持ってないでしょ |
マギルゥ | そこの美人さんの言うとおーり!元手がなければ賭ける事は出来ぬ!しかしそれでは面白くない… |
マギルゥ | 仕方ないのう。珍しい品じゃて、あまり気は進まんが儂が持っておる在庫を売ってやろう |
街の男6 | 本当か!?俺、買うよ! |
街の女4 | 私も!三つ買うわ! |
マギルゥ | これこれ慌てるでない。いくつでも売るが、実力以上の数を身に着ける事は推奨せんぞ |
マギルゥ | リストバンドは勝利の勲章!たくさん買って虚勢を張ってもバトルをすれば実力はバレるからの |
街の男6 | だったら俺は五つだ!そのぐらいの実力はあるぜ! |
街の女4 | 私より上を行こうっていうの?いいわ、早速、そのリストバンドを賭けて勝負よ! |
リリス | なるほど、これがマギルゥさんの言っていた商売なんですね… |
ロウ | まあ、楽しくバトル出来たし、カッコいいリストバンドももらえたし深く考えない事にするか |
アスベル | うーん、ずるい気がするけど… |
街の男7 | おいアンタ!さっきのバトル見てたぜ。リストバンドを賭けて俺と勝負だ! |
アスベル | えっ!?俺はそういうバトルは…ちょ、ちょっと待ってくれ! |
マギルゥ | くくく…作戦大成功じゃ。しかしこれで終わりではないぞ… |
マギルゥ | 次は儂がバトルで勝ちまくって、リストバンドを回収すれば、それがまた売れる… |
マギルゥ | この流行が続く限り、儂は無限に儲かり続けるのじゃ! |
マギルゥ | くくく…あ~はっはっはっはっ!! |
Name | Dialogue |
---|---|
任命!チョコアンバサダー | |
ロンドリーネ | よし、準備は完了ね。あとは販売会の開始を待つだけ── |
ぐうううう~… | |
ティア | …?何の音かしら |
シオン | ご、ごめんなさい。チョコのいい香りがするものだから、ついお腹が… |
ルーティ | 商品の陳列に試食の準備って、ずっとチョコに囲まれてるからね |
ルーティ | そこで朗報!さっき聞いてきたんだけど、あたし達も一通り試食していいそうよ |
ロンドリーネ | おっ、いいね~!これも「チョコアンバサダー」ならではの仕事って事かな |
ティア | お客さんに勧めるなら味を把握しておいた方がいいものね |
ロンドリーネ | んじゃ、試食のチョコをもらって…お待ちかねのシオンから── |
シオン | もぐもぐ…これは…すごく美味しいわ。ほろ苦さと甘みの調和が最高ね |
ロンドリーネ | …って、もう食べてる! |
ルーティ | それじゃあ、あたしは一番高いチョコを… |
ルーティ | すっごい!これは高くても売れるわ… |
ロンドリーネ | ん~、こっちのイチゴを使ったチョコも美味しい~!これはイチゴ好きに勧めないとね |
ティア | このウサギ型のチョコ…。……かわいい♪食べるのがもったいないぐらい… |
ルーティ | …それ食べないの?なら、あたしが… |
ティア | あっ、待って…!もう少し眺めてから…いえ、すぐ食べるけど、その… |
ルーティ | …なるほど、味だけじゃなく鑑賞性も値打ちの一部ってわけね。動物型は売りやすそうだわ… |
ティア | え、ええ。きっと人気が出ると思うわ |
ロンドリーネ | …あ、そろそろ販売会開始だよ!みんな、今日は頑張ろ~! |
全員 | おー! |
マリー | これがチョコレートの販売会か… |
ルーティ | 来たわね、マリー。待ってたわよ! |
マリー | 「売上に貢献しなさい」と言われたからな。今年はここで買い揃えるつもりだ |
ルーティ | 助かるわ。ビターチョコがいいのよね |
ルーティ | お勧めを集めておいたわよ! |
マリー | ありがとう。…ところでルーティはどんなチョコを渡すんだ? |
ルーティ | あたし?特に考えてないわよ |
マリー | スタン達にはあげないのか?ルーティからのチョコを待ってると思うぞ |
ルーティ | そんな事ないと思うけど… |
ルーティ | …ま、どうしてもって言うなら持ってってやりましょ |
マリー | ああ、それがいい。きっと喜ぶだろう |
アニス | やっほー、ティア! |
ティア | あら、アニス。お気に入りのチョコは見つかったかしら? |
アニス | ううん、まだ。どれにしようか迷ってて…お勧めはある? |
ティア | そうね、アニスなら…。こんなのはどうかしら |
アニス | …… |
アニス | ──全然駄目、子どもっぽい |
ティア | そうかしら?私はかわいいと思うのだけど… |
アニス | わかってないなぁ。お金持ちの殿方を射止めるんだから高級感のあるチョコがいいの! |
アニス | あ、でも…お値段は控えめでよろしく! |
ティア | 高級感もあって安く…。難しいわね… |
ルーティ | あら、それならいいアイデアがあるわよ?ちょっと待ってて |
ルーティ | ほら、こうすれば格安チョコでも高級品に見えて高く売れ──じゃなくて、喜んでもらえるわ |
ティア | 何か本音が聞こえた気がするけど…ラッピングを工夫するだけでこんなに高級感が出るなんてすごいわ |
アニス | そのアイデア採用~!じゃあそのチョコとラッピングを二十セットもらおっかな |
ルーティ | まいどありぃ~! |
ティア | 二十セット…随分とたくさん買うのね |
アニス | 数撃ちゃ当たるってね… |
アニス | たくさんの人に渡した方が玉の輿の確率が上がるでしょ? |
アニス | よーっし!待っててね、アニスの王子様~♡ |
ティア | ふふ、アニスらしいわね。健闘を祈るわ |
アニス | ありがとう!ティアも頑張ってね!ばいば~い! |
ティア | アニスには断られてしまったけどこのチョコ、やっぱりかわいいわ… |
ティア | みんなへのお土産に買って帰ろうかしら… |
シオン | いらっしゃいま──…あら、キサラ |
キサラ | チョコアンバサダーの調子はどうだ、シオン |
シオン | 様子を見に来たの?そんなに心配しなくても大丈夫よ |
キサラ | それなら、何よりだ。せっかくだから、いくつかチョコを買いたいのだが… |
シオン | 案内するわ。どういう味がいいの? |
キサラ | そうだな…みんなに配りたいからクセのない食べやすいものがいいな |
シオン | なるほど…。それなら、この商品をお勧めするわ |
キサラ | そうか、ありがとう。…ところで、シオンはみんなにチョコを配ったりしないのか? |
キサラ | もし同じチョコを配るつもりだったら違う物を選んだ方がいいかと思ってな |
シオン | ……考えもしなかったわ。でも、そうね…バレンタインってそういう日だし… |
シオン | 何よりこの美味しいチョコをみんなにも食べてほしいわ |
シオン | ただ…… |
キサラ | ん?何か問題があるのか? |
シオン | …慣れていないのよ、そういうの。何を選んで、どうやって渡せばいいのか… |
キサラ | ふふ。ならば私が協力しよう。みんなが喜んでくれるよう、一緒に考えるぞ |
シオン | ありがとう。お願いするわ |
シオン | …でも、これって逆じゃないかしら。チョコアンバサダーは私なのに… |
キサラ | 細かい事は気にするな。さぁ、まずはチョコを決めよう |
ロンドリーネ | ──あ。ディオくん、メルちゃん! |
ディオ | ロディ!すごいな、ここ! |
メル | こんなにたくさんのチョコ、初めて見ました…! |
ロンドリーネ | そうでしょ、そうでしょ!甘いものからほろ苦いものまで、選び放題だよ! |
メル | 味の種類もいっぱいあるんですね…あの、試食してもいいですか?一番美味しいのを選びたいなって |
ロンドリーネ | 勿論!どれでも試食出来るから言ってね |
ディオ | あんまり食べすぎるなよ。太るぞ |
メル | そ、そんなに食べないもん! |
ロンドリーネ | ディオくん~。繊細な乙女にそんな事言わないの |
ディオ | うっ…。ご、ごめん |
ロンドリーネ | わかればよろしい。メルちゃん、まずは私のお勧めを食べてみて! |
メル | はい! |
メル | これも美味しい!どれも美味しすぎて悩んじゃいますね… |
ディオ | なぁ、まだか?全部買うわけにはいかないんだしさ |
メル | それはそうだけど…。うーん…ロディさんはどれが好きですか? |
ロンドリーネ | そうだなぁ…私はやっぱりこのイチゴチョコ!イチゴの酸味とチョコの甘さが絶品なの! |
メル | わたしも果物とチョコの相性がすごくよくてこれ好きです! |
メル | …決めました。イチゴのチョコにします!自分用と、プレゼント用で |
ロンドリーネ | はーい!お買い上げありがとうございます! |
ディオ | 自分用も買うのかよ!オレのは!? |
メル | うふふ。じゃあ、ディオの分もお願いします |
ロンドリーネ | 全部で3つね。はい、どうぞ |
ディオ | ありがとう。…それじゃあ、ロディせーの… |
ディオ&メル | ハッピーバレンタイン! |
ロンドリーネ | えっ!?私に…? |
メル | はい!いつもお世話になってますので! |
ディオ | へへ、喜んでくれた? |
ロンドリーネ | ありがとう!すっごくうれしい!二人共、大好きだよー! |
ぎゅうぅぅぅぅっ!! | |
ディオ | あいたたた!ロディ!力強い!あだだだだ! |
メル | あうー!もうちょっと緩めてください…! |
ルーティ | ふう、お疲れ様。大盛況だったわね |
ティア | ええ。チョコを選んでいる間、みんな本当に楽しそうで…手伝えてよかったわ |
ルーティ | そうね。あ、そうそう!会場が閉まった後であたし達も買い物していいそうよ |
ルーティ | 特別割引もしてもらえるように交渉してあるから! |
ティア | みんなにお土産を買いたいと思っていたところなの。嬉しいわ |
ロンドリーネ | 私もお礼のチョコを買って帰ろっと!かわいい事してくれたあの二人にすっごいチョコ贈らなくちゃ |
シオン | せっかくだから、私もたくさん買っておくわ。美味しいから買い置きしておきたいし |
ロンドリーネ | あれ?さっきけっこう買い込んでなかった? |
シオン | …み、見てたのね。あれは、自分用じゃなくてお土産に買ったものなの |
シオン | ただ、みんなの好みを知らずに選んだから……気に入ってもらえるといいんだけど |
ロンドリーネ | 大丈夫。友達が選んでくれたチョコだもん喜んでくれるよ! |
ティア | ええ。贈り物に大切なのは、気持ちだもの |
シオン | そうだと嬉しいわ。ありがとう |
ルーティ | さあ、話がまとまったところでチョコを選びに行きましょ!特価商品は早い者勝ちよ! |
ティア | さすがルーティ…最初から最後までブレないわね… |
Name | Dialogue |
---|---|
癒しのネコカフェにご招待! | |
ルル | ナァ~ |
エル | ルル…最近同じ時間に出かけるからこっそりついて来たけどどこまで行くんだろ… |
ルル | ナァ? |
エル | …!うわ、ばれた!? |
ルル | …ナァ~ |
エル | ふぅ…もうちょっと離れてついて行こ |
ガサガサ | |
エル | ぷはぁっ!こんな茂みを通って、いったいどこに── |
エル | あれ!?何ここー!ネコがいっぱいいるー! |
ネコ1 | にゃー、にゃー |
エル | かわいい!ルルの友達かな? |
??? | ──さあみんな。日向ぼっこの時間だよ! |
エル | リンウェル! |
リンウェル | あれ、エル?いつの間に来てたの?入口…からじゃないよね? |
リンウェル | …あ、わかった!ルルと一緒に来たんだね!背中に葉っぱついてるし |
エル | うん、そこの茂みから来たよ。ねえ、ここのネコ達ってみんなリンウェルが飼ってるの? |
リンウェル | ううん。私が飼ってるんじゃなくて一緒にお店のお手伝いしてるんだよ |
エル | お店…? |
リンウェル | そう。ここはネコカフェって言ってネコと遊べる喫茶店なんだ |
エル | 何それ!おもしろい! |
エル | ルル、こんなに楽しそうなとこに遊びに来てたんだ! |
リンウェル | 遊びに…っていうか、ルルはね、お店が忙しい時にフラッと現れて手伝ってくれてるの |
リンウェル | お客さんと遊んでくれたり小さいネコの世話をしてくれたりとっても助かってるんだよ |
エル | そうなの!?ルル、すごーい! |
ルル | ナァ~♪ |
エル | あれ?ルル、何か持ってきてくれたの? |
エル | …メニュー? |
リンウェル | せっかく来たんだからゆっくりして行ってねって言いたいんじゃないかな |
エル | ありがと、ルル。けど、エルあんまりお小遣いない… |
リンウェル | そんなの気にしないでよ。いつも手伝ってくれるルルの招待客からお金なんて取れないもん |
リンウェル | 店長もルルには何かお返ししたいって言ってたし。私から話しておくね |
エル | ホント!? |
リンウェル | うん!ほらほら、こっちの席に座って頼みたいもの選んでて。また後で聞きに来るね |
エル | はーい! |
エル | わぁ…パフェもケーキも、ネコの形だ!すっごくかわいい! |
エル | どれにしよ~ |
コレット | いらっしゃいませ!お水持ってきたよ |
エル | コレット!コレットもここでお手伝いしてるの? |
コレット | うん。私と、リンウェルとライフィセットもいるよ |
エル | そうなんだ! |
エル | ライフィセットも、コレットやリンウェルみたいにかわいい耳を着けてるの? |
コレット | 着けてるよー |
エル | いいなー。エルもつけてみたい |
コレット | これはお店の人用だから…あっ、でも、お客さんに貸し出す用のかわいいのもあったかも |
エル | あるの? |
コレット | うん。探してくるねー |
エル | やったー! |
リンウェル | お待たせ。店長には話してきたよ!何を頼むか決まった? |
エル | あっ、そうだった!どれもかわいくて、まだ決められない… |
リンウェル | わかる!かわいいよね~。ちなみに、見た目だけじゃなく味もとっても美味しいんだよ! |
リンウェル | お薦めは、このパフェかな。実は私が考えたんだ! |
エル | そうなの?すっごくおいしそう!じゃあ、このパフェとジュース! |
リンウェル | えへへ、ありがとう!素敵なコースターも付くから、そっちも楽しみにしてて |
リンウェル | それじゃあ用意出来るまでゆっくりネコ達と遊んでてね |
エル | はーい! |
ネコ2 | にゃあにゃあ |
ネコ3 | みぃみぃ |
エル | みんなかわいいなぁ |
ルル | …ナァ~ |
エル | ルルもかわいいよ! |
ルル | ナァ! |
エル | そういえば、みんなの名前はなんて言うんだろう? |
ネコ3 | みぃ? |
エル | ねえねえ、あなたの名前は? |
ライフィセット | その子は、ウメボシ。横の子はウマだよ |
エル | あ、ライフィセット!ウメボシと、ウマ?変わった名前 |
ライフィセット | コレットが考えたんだ。独特の名前だけど、ネコ達は気に入ってるみたいだよ |
エル | そうなんだ。ウメボシ、ウマ、よろしくね |
ウメボシ | みぃ♪ |
ウマ | にゃあ♪ |
ライフィセット | はい、エル。ご注文のパフェとジュース持ってきたよ |
エル | やったー! |
エル | あ、このコースターリンウェルが言ってたやつ?ネコの肉球になってるー! |
ライフィセット | 面白い絵柄だよね。そのコースター、すごく評判なんだ |
ライフィセット | 何度も通って集めてるって人もいるぐらい! |
エル | 持って帰っていいの!?おうちでも使おうっと |
ライフィセット | 大事にしてくれたら嬉しいよ |
ライフィセット | あと、パフェに使われてるクリームは僕が作ったんだ。ゆっくり楽しんでね |
エル | はーい!いただきまーす! |
エル | おいしかった。ごちそうさま! |
コレット | エルー!あったよー! |
エル | コレット!そのかわいいやつ!? |
コレット | そだよ!早速、着替えてみて! |
エル | うん! |
コレット | わぁ!エル、すっごくかわいいよ~ |
ライフィセット | うん!よく似合ってる! |
リンウェル | 本当にかわいい~!ネコみたいに撫でたいぐらいだよ |
エル | えへへ… |
ルル | ナァ~ |
エル | ルルもほめてくれてるのかな? |
ルル | ナァ! |
エル | ありがと!ネコ達ともっと仲よしになれそう! |
ライフィセット | ふふ、きっと喜ぶよ。そうだ、これを使って遊んであげたらどうかな? |
エル | ネコじゃらし!使ってみる! |
エル | ライフィセットも一緒にネコと遊ぼ! |
ライフィセット | えっ、でも… |
リンウェル | こっちは大丈夫だよ。これもお仕事の内だからお店の事は任せて遊んできて! |
ライフィセット | ありがとう、リンウェル |
エル | ルルも行こっ! |
ルル | ナァ~♪ |
コレット | あはは、すっかり仲よしさんだねー |
コレット | 二人が並んでいると何だかネコちゃんの兄妹みたい |
リンウェル | 本当だね。心がほっこりするよ |
リンウェル | …って、和んでる場合じゃなかった。仕事に戻ろう、コレット!お客さんも来てる! |
コレット | ホントだ!いらっしゃいませ!ネコカフェへようこそー! |
Name | Dialogue |
---|---|
調査!謎のダナフクロウ遺跡 | |
テュオハリム | ほう、これは見事な装飾だな。この苔むした柱…何とも言えぬ趣がある |
アルフェン | 天井も高くて、すごい開放感だな。奥も…ずっと続いているみたいだ |
キサラ | まさか、釣りをしていた湖の近くにこんな場所があるとはな |
アルフェン | テュオハリムが「遺物の声が聞こえる」と言うからついて来てみたが… |
アルフェン | まさか本当にあるとは思わなかった。聞こえるのは嘘じゃなかったんだな |
キサラ | いや、声と言ってもアルフェンが言うのとは違うと思うが… |
テュオハリム | キサラの言うとおりだ。声と言うより、むしろ息吹のような感じだな |
テュオハリム | 何となく、そこにあるような…そんな感覚、と言えば伝わるだろうか |
キサラ | 遺物に好意的であるからこそ呼び寄せられる何かがあるのかもしれませんね |
アルフェン | そういうもの…なのか? |
テュオハリム | ああ。君も遺物と真摯に向き合えばいつか分かるようになるだろう |
キサラ | それは…さすがに難しいと思います |
アルフェン | なあ、足元に転がっている石…鳥の形をしてないか? |
キサラ | 鳥の石像か…。よく見れば、同じような物がそこら中に転がっているな |
テュオハリム | これは、ダナフクロウを模した物か。この丁寧な造り…ダナフクロウへの敬愛を感じる |
テュオハリム | 古代にはダナフクロウを守り神と崇め祀っていた地域があると聞く。ここは、その神殿だったのだろう |
アルフェン | へえ、見ただけで、そこまでわかるんだな |
テュオハリム | 見るというよりは観察だ。この石像…裏にくぼみが見受けられるだろう? |
テュオハリム | この形状から、おそらくどこかに設置して祀られていたのだと推測出来る |
キサラ | 設置されていた…もしかして、あの段になっている場所ではないですか? |
テュオハリム | 確かに、台座のように見えるしくぼみに合いそうな突起もある。試しに乗せてみるとしよう |
ゴトッ | |
テュオハリム | …ほう、ぴたりとはまるな |
キサラ | どうやらあなたの推測は正しかったようですね |
バサバサッ…! | |
フクロウ1 | ホゥ…、ホゥ… |
アルフェン | 本物のフクロウ…?ここへ来る間、一羽もいなかったのに |
フクロウ2 | ホロォ、ホロロォ… |
キサラ | 一体どうしたんだ。次から次へとフクロウが集まってくる |
テュオハリム | この遺跡の主達かもしれんな。勝手に入ってしまい、失礼した |
アルフェン | いや、敵意はなさそうだぞ。むしろ…俺達に感謝しているような気がしないか? |
キサラ | 言われてみれば…。もしかしたら石像を台座に戻した事を喜んでいるのかもしれないな |
アルフェン | ありえるな。だけど、どうしてこれほどまでに石像が散り散りになったんだ? |
テュオハリム | ふむ…これも推測だがここは一度、遺跡荒らしにあっているのかもしれん |
テュオハリム | この台座も、よく見ると宝石が埋め込まれていたような穴が残っている |
キサラ | 金にならない石像は打ち捨てられたまま…というわけですね |
アルフェン | 酷い事をする… |
キサラ | きっとフクロウ達は神殿を元に戻したいと願っていたのだろうな |
アルフェン | ならせめて石像を元の場所に戻そう!奪われた宝石を取り戻すのは難しくてもそのくらいは出来る |
テュオハリム | 無論、そのつもりだ。少し骨が折れそうだが、力を合わせてやり遂げよう |
キサラ | はい。フクロウ達のために出来る限りの事をしましょう |
アルフェン | 任せてくれ。重労働なら慣れている |
テュオハリム | 心強い。では早速作業に取りかかる事にしよう |
テュオハリム | この石像の形と大きさからすると…この台座のサイズが合うな。これと、これは…、ここだな |
アルフェン | テュオハリム、集めてきた石像はどうしたらいい? |
テュオハリム | そこにまとめて置いてくれ。どうやら配置に法則性があるようなのでな |
テュオハリム | 正しき形で戻せるよう考察を重ねた上で置いていきたい |
アルフェン | わかった。配置はテュオハリムに任せるよ |
アルフェン | …ふっ |
テュオハリム | どうしたんだ? |
アルフェン | ああ、石像を台座に戻す度にフクロウ達が喜んでくれているようでなんだか嬉しくてな |
キサラ | なるほど。私も同じだ。言葉が通じなくとも気持ちは通じるものだな── |
キサラ | …む!おい、アルフェン!手が血だらけじゃないか!? |
アルフェン | え?本当だ、気付かなかった… |
キサラ | 手当をするから、よく見せてみろ。全く、嬉しいのはわかるがあまり無茶はするな |
キサラ | 今はシオンが一緒にいない。テュオハリム、お願いします |
テュオハリム | 心得た |
アルフェン | すまない。痛みを感じないから、つい…な。気を付けるよ |
テュオハリム | さて…台座はまだ無数に残っているが… |
キサラ | 石像が見あたらないですね。探せる範囲は一通り見て回ったのですが… |
アルフェン | 崩れた壁の下敷きとかで、隠れているのかもしれないな |
キサラ | これまで以上の重労働になりそうだ。この辺りで一度休憩にしないか?ずっと動き回っているしな |
アルフェン | それもそうだな。そう言われると、腹も減ってきた |
キサラ | ならば、湖で釣った魚を使おう。調理するから少し待っててくれ |
キサラ | 待たせたな。出来たぞ |
アルフェン | おお、美味しそうな焼き魚だな |
テュオハリム | フクロウ達も香ばしい匂いにつられて寄ってきたようだ |
キサラ | ハハハ、せっかくたくさんある事だし、お前達もたんと食べるといい |
フクロウ3 | ホゥ…、ホゥ…! |
アルフェン | …ふぅ、美味しかった。お蔭で力が湧いてきたよ |
キサラ | それならよかった。料理した甲斐があったというものだ |
テュオハリム | では作業を再開するとしよう。今からは私も石像探しの方に参加して── |
コッ…コッ… | |
アルフェン | …!みんな、静かに。足音が聞こえる |
キサラ | 何…!まさか、遺跡荒らしか…? |
テュオハリム | どうかな。痕跡を見るに、荒らされたのは数十年以上前だぞ |
??? | あれぇ…? |
アルフェン | なっ…! |
リンウェル | みんな!すごい偶然! |
フルル | フルルー!? |
アルフェン | リンウェルとフルル!?どうしてここに…! |
リンウェル | ここの近くを歩いていたらフルルが急に鳴き出して、こっちの方に行きたがってね |
リンウェル | それで来てみたら遺跡があったから調べてみようと思って入って来たんだ |
リンウェル | そしたらみんながいたから、びっくりしたよ |
キサラ | なるほど…フルルは、同じダナフクロウ達の気配を感じ取ったのかもしれないな |
リンウェル | ダナフクロウ…?あっ、本当だ、たくさんいる! |
フルル | フルルー! |
リンウェル | それに、あそこに並んでるのってダナフクロウの石像…? |
テュオハリム | ああ。私達が遺跡を訪れた時はこの石像が散乱していてな |
アルフェン | どうやらフクロウ達にとっては大切な石像らしいから全て台座に戻してやりたいんだ |
リンウェル | そうだったんだ…確かにそれは放っておけないね! |
リンウェル | 私も何か、手伝える事はあるかな? |
キサラ | 実は、まだ台座は沢山残ってるんだが石像が足りないんだ |
アルフェン | ここ一帯は探し尽くしたからな。他にどこを見て回ればいいのか… |
フルル | フールルー! |
リンウェル | あれっ、フルル?…そっか、上から探すんだね! |
フルル | フルル、フルルー! |
リンウェル | 早速何か見つけたみたい。みんな、行ってみよう! |
アルフェン | よし、あったぞ!こんなところに空間が隠れていたとは |
テュオハリム | 上から俯瞰的に探すのは有効な手だな |
リンウェル | すごいよ、フルル!これなら石像探しも捗りそうだね! |
フルル | フルルゥ! |
キサラ | 頼もしい仲間も増えた事だ。もうひと踏ん張り頑張るとするか |
アルフェン | ああ。この調子で、みんなで力を合わせて石像をたくさん集めよう! |
一同 | おー!! |
Name | Dialogue |
---|---|
わくわく♪イースター! | |
カノンノ | じゃあ、あとはエッグを隠せば準備完了だね |
ウッドロウ | ああ。街を挙げたイースターだ。皆がエッグハントを楽しめるようよい隠し場所を考えなければな |
エリーゼ | 誰でも楽しめるように見つけやすい隠し場所を探したいです |
ティポ | せっかく作ったエッグだもんねー。みんなに見てほしー! |
ウッドロウ | ならば、手がかりを作るというのはどうかな? |
ウッドロウ | 敢えて違和感を残し、隠し場所に気付けるようにするんだ |
ウッドロウ | あとは、見つけるのは簡単だが手にするのが難しい…というのも皆に見てもらう方法としては有効だろう |
アリエッタ | あ…アリエッタのお友達に手伝ってもらうのは…? |
アリエッタ | エッグを守るの、慣れてるし…見えていても簡単に手は出せない |
カノンノ | それって、エッグを取るためには戦わないといけないって事…? |
アリエッタ | うん。大丈夫、手加減するようみんなにお願いする… |
ティポ | そういう問題じゃないよー! |
エリーゼ | ち、力で守るのはなしにしましょう! |
ウッドロウ | 発想自体は面白くてよかったよ。この調子で意見を出し合っていこう |
カノンノ | そうですね! |
カノンノ | とは言っても、ちゃんと隠せて探し出せる場所かぁ… |
エリーゼ | 物陰…だけでは隠し場所が足りませんよね |
ウッドロウ | …それなら、見えているのに見えないという隠し方にしようか |
エリーゼ | え?どういう意味ですか…? |
ウッドロウ | 実際に見せた方が早いだろう。例えばこの緑のエッグを草の上に置くと── |
コトン… | |
エリーゼ | あっ…!見えなくなりました |
カノンノ | なるほど!これなら、近くでよく見ないと気付けませんね! |
アリエッタ | …これ、知ってる。アリエッタのお友達もよくこうして隠れてる |
ウッドロウ | ああ。まさに魔物や動物が使う保護色の応用だよ |
ウッドロウ | これならば隠せる場所も無数にあるし気付きさえすれば誰でも見つけられるだろう |
ティポ | ウッドロウ君、あったまいー! |
エリーゼ | とってもいいと思います! |
エリーゼ | あ、でも…私のエッグはピンク色なので、同化させる場所がないかもしれません… |
アリエッタ | …本当だ。全部、ピンク色 |
カノンノ | ピンク色、好きなんだね |
ティポ | エリーは、プロピンキストだからねー! |
アリエッタ | プロ…ピン…? |
エリーゼ | えっと…ピンク色をこよなく愛するピンキスト…そのプロフェッショナルです! |
ウッドロウ | なるほど。プロ意識を持つほどピンク色に情熱を注いでいるという事かな |
エリーゼ | はい! |
ティポ | これだけは譲れなーい! |
ウッドロウ | だとしたら、君には見えるはずだ。そのピンク色を最大限に活かせる隠し場所が |
エリーゼ | …!私…プロピンキストとして恥じないよう、工夫して隠します!! |
アリエッタ | アリエッタも、工夫する。見つからないようにする方法、知ってるの、全部試す |
カノンノ | それじゃあ、みんなで工夫しながらどれだけエッグを隠せるか競争しようよ |
カノンノ | 最後に余ったエッグは工夫を教え合って、みんなで隠そう! |
ウッドロウ | 切磋琢磨するという事か。皆がどんな工夫をするのか楽しみだね |
エリーゼ | だいたい隠し終わりましたね |
ティポ | まだ残ってるけどこれ以上は無理ー |
アリエッタ | アリエッタもたくさん隠した。でも…すぐ見つかっちゃいそう…森と違って、街は、難しい |
カノンノ | 私は全部終わったよ!結構自信あるんだ! |
ウッドロウ | ふむ。かなりの数があったと思うが…どうやって隠したんだい? |
カノンノ | ふふ、今も見えるところにあるよ。よーく探してみて! |
エリーゼ | …?どこ…でしょう? |
ウッドロウ | …先ほどと何も変わりは──いや、あそこの一角… |
ウッドロウ | あのような、ウサギの人形飾りは用意していなかったはずだ |
カノンノ | さすがウッドロウさん!正解! |
カノンノ | 私はエッグにウサ耳を付けてみたの |
アリエッタ | かわいい…! |
カノンノ | その子は自信作なの!色だけじゃなくて、形も変えちゃえば飾りと同化させられると思ったんだ |
ウッドロウ | 見た目も賑やかで見つけた時の嬉しさが増すねどのような色でも隠しやすいのもいい |
カノンノ | えへへ。ありがとう! |
エリーゼ | あの、私にも作り方教えてください。ピンク色のウサギさん、作りたいです |
アリエッタ | アリエッタも、残ってる分は動物のエッグにする |
アリエッタ | それと…お友達に似たエッグも作りたい |
アリエッタ | みんなは街のイースターには参加出来ないけど…これなら、一緒にいるみたいだから |
カノンノ | うん!それじゃあ、みんなでいろんな飾りのエッグを作ろう! |
カノンノ | 何とか会場が開くまでに全部隠せたね |
エリーゼ | もう、エッグハントに参加する人達が会場の近くに集まって来てます |
ティポ | ギリギリー!間に合ったー! |
ウッドロウ | 予定より時間はかかったが、皆の工夫のお蔭で想像以上に楽しいイースターになりそうだ |
エリーゼ | 後は、みんなにエッグを探してもらうだけですね… |
ティポ | 見つかるのかなー。見つからないのかなー。緊張するー! |
アリエッタ | すぐに見つかりたくない…だけど…ちゃんと見つかってほしい… |
カノンノ | 見つかりにくそうなところは私達、案内役がちょっとだけ教えたりしてもいいんじゃない? |
ウッドロウ | そうだな。大切なのは隠し通す事ではなく楽しんでもらう事だ |
ウッドロウ | 案内役という立場ではあるが私達もイースターを存分に楽しむとしよう |
カノンノ | はい!もう既に、楽しくて仕方ないです! |
エリーゼ | でも…本番はこれからです |
アリエッタ | うん…!精一杯…頑張る…! |
ウッドロウ | さて、それではいよいよ──イースターの目玉、エッグハントの始まりだ! |
Name | Dialogue |
---|---|
8周年記念インタビュー前編 | 第1回 |
オリエ | こんにちは!今回は『オリエの先出し放送局』──ではなく! |
オリエ | テイルズ オブ アスタリア8周年記念特別企画… |
オリエ | 『オリエの突撃インタビュー!』をお送りします! |
オリエ | 司会は勿論、私オリエが務めさせていただきます! |
オリエ | そして、8周年記念特別企画を一緒に盛り上げるため駆けつけてくれた方をご紹介します! |
オリエ | 一度寝たらなかなか起きない!?羊を引き寄せる長髪の剣士! |
オリエ | スタン・エルロンさんでーす! |
スタン | こんにちはー! |
オリエ | こんにちは、スタンさん!よろしくお願いします |
スタン | よろしくな、オリエ! |
オリエ | 今回インタビューをするのは、スペシャル召喚に登場しているメインクエストの主人公の方々です |
オリエ | 同じく主人公を務めたスタンさんと一緒にいろいろなお話を聞いていけたらと思っています♪ |
スタン | どんな話が聞けるか、楽しみだな! |
オリエ | はい♪司会としての腕の見せ所です! |
オリエ | さて!それでは、一人目の方に登場していただきましょう! |
オリエ | アスタリアはこの人の夢から始まった!?「星のカケラ」編、最初の主人公! |
オリエ | クレス・アルベインさん!8周年を記念して作られた正装に身を包んでの登場です! |
クレス | こんにちは。二人共、今日はよろしく |
オリエ | よろしくお願いします! |
スタン | よろしく! |
オリエ | 早速ですが、「星のカケラ」編での活躍についてお伺いしていこうと思います |
クレス | わかったよ、うーん何から話そうか。あの旅ではいろいろあったからね…ダオスの事や…光の神殿や… |
オリエ | そうですね…。沢山のお話をお伺いしたいところではあるのですが… |
オリエ | まず、スタンさんからクレスさんにお聞きしたい事があるんですよね? |
スタン | ああ、打ち合わせの時に話した事だな |
スタン | 俺からっていうよりはルーティからの伝言って感じなんだけど… |
クレス | ルーティか。「星のカケラ」編ではいろいろと助けてもらったよ |
クレス | 僕とルーティとエステル…三人で旅をして、ダオスとも戦ったんだ |
スタン | そのダオスと戦った後に、ルーティが約束した事を果たしてもらってないって言うんだ |
クレス | あの後…?うーん…約束… |
オリエ | その後って確か、クレスさんはすぐに光の神殿に行ったんですよね |
クレス | ああ。…確かにあの時…何か… |
スタン | えっと、ルーティが言うには光の神殿から珍しいお宝を持って帰るって約束したって… |
クレス | …そうだった! |
スタン | ごめん。俺もこんな事をここで伝えるのはどうかと思ったんだけどルーティが真剣な目をしてたから… |
オリエ | ちなみに、珍しいお宝と言える物はあったのでしょうか…? |
クレス | いや…それらしいものはなかったな。でも約束は約束だし、今度謝りに行くよ |
スタン | まあでも、元から宝がなかったならルーティは気にしないと思うよ |
オリエ | では、約束の件は解決という事で、次の質問にいきますね |
オリエ | 旅が落ち着いてから、クレスさんはトーティス村の復興に尽力されていたそうですね |
クレス | そうなんだ。元通りってわけにはいかないけど随分賑わいが戻ってきたよ |
オリエ | 実はそのトーティス村を取材したところ気になる噂を耳にしたのですが… |
クレス | 噂…? |
オリエ | ずばり、一部でささやかれているミントさんとの熱愛の噂…真相はいかがなんですか!? |
クレス | なっ…えっ…ミ…えっ…? |
オリエ | その慌て方…何かありますね!? |
クレス | いや、えっと… |
スタン | すごく仲いいもんな! |
クレス | えぇっ…!?あの、個人的な事だし、それに、まだそこまでは、その… |
オリエ | …はっ!し、失礼しました |
オリエ | 最近、恋愛小説を読んでいたのでつい気になって、その…申し訳ありません |
クレス | 大丈夫だから、そんなに気にしないでくれ |
クレス | こうやって改めて聞かれるとどう答えていいのかわからないんだ… |
クレス | 今はノーコメントでもいいかな? |
オリエ | はい…!野暮な事をお聞きしてしまって大変失礼いたしました |
クレス | いいんだ。少しでも8周年の盛り上げに貢献出来たならうれしいよ |
オリエ | お気遣いいたみ入ります |
オリエ | さて、そろそろお時間ですね。クレスさん、ありがとうございました |
オリエ | 次回は別の方をお招きしてインタビューを行います! |
スタン | 俺も引き続き一緒に盛り上げていくから楽しみにしててくれよな! |
オリエ | それではそろそろお時間です。『オリエの先出し放送局』お相手はオリエでした |
スタン | 『オリエの突撃インタビュー!』…じゃなかったっけ? |
オリエ | ああっ、そうでした…!『オリエの突撃インタビュー!』次回もお楽しみに! |
Name | Dialogue |
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8周年記念インタビュー後編 | 第1回 |
オリエ | こんにちは!テイルズ オブ アスタリア8周年記念特別企画… |
オリエ | 『オリエの突撃インタビュー!』新たにスペシャル召喚に登場するみなさんと一緒にお送りします! |
オリエ | 司会は引き続き、私オリエが務めさせていただきます! |
オリエ | そして、今回からはこの方が当企画を一緒に盛り上げてくださいます! |
オリエ | 気弱に見えて芯は強い!愛ある弄りに耐え続ける涙目系の主人公! |
オリエ | ルカ・ミルダさんです! |
ルカ | こんにちは。よろしくお願いします |
オリエ | よろしくお願いします |
ルカ | あの…オリエ。今の紹介…さりげなくオリエも弄ってる…よね? |
オリエ | えっと…実はルカさんを紹介するならこうしてほしいとスパーダさんからいただきまして… |
オリエ | そのまま読んでしまいました |
ルカ | もう、スパーダったら… |
オリエ | それだけ愛されている…!という事ですよ、きっと♪ |
ルカ | そうだといいけど… |
ルカ | ごめん、ちょっと脱線しちゃったね。インタビューを始めよう |
オリエ | そうですね。それでは早速、今回インタビューする方をご紹介しましょう |
オリエ | クールな皮肉屋に見えてその内に秘めた情熱は凛々と輝く明星の如し! |
オリエ | 「星のカケラ」編の主人公!ユーリ・ローウェルさんです! |
ユーリ | どうも…と言いたいとこだがすげぇ紹介だな。オレはそんな熱い男じゃねぇぞ |
オリエ | そうでしょうか。これまでのご活躍を考えましても熱い正義感をお持ちだと思いますが… |
ユーリ | 別にそんなんじゃねぇって…。ほら、インタビューすんだろ |
ユーリ | んで、何が聞きたいんだ? |
オリエ | はい、では進めていきますね |
オリエ | 質問ですが「星のカケラ」編での活躍とその後についてお聞きします |
オリエ | ユーリさんは当初、ウィンドルの騎士でしたが事件の中で辞職されましたよね |
ユーリ | ああ。あの時の国の方針についていけなくなっちまったんでな |
ルカ | でも、国の方針ってその後変わったよね |
ルカ | 戻ったりしないの? |
ユーリ | 経緯はどうあれ、国王に啖呵切って辞めた奴を復職させる騎士団なんてねぇだろ |
ユーリ | それに今の気ままな生活が性に合ってるからな |
オリエ | 今回、インタビューでお聞きしたかった事は、まさにその「今の生活」についてです |
オリエ | 気ままな生活と仰いましたが具体的にはどのような事をして過ごされているのですか? |
ユーリ | 別に大した事はしてねぇよ。たまに荒事がありゃ呼ばれたり用心棒を頼まれたりするぐらいだな |
ユーリ | 後はカフェの手伝いやら、奇術団の手伝いやら、いろいろだ |
ルカ | アヴァロン島では調査隊として僕達を助けてくれたよね。あの時はありがとう |
ユーリ | オレは何もしてねぇよ。問題解決の役に立ったのはラピードだしな |
オリエ | 謙遜なさってますけど…ルカさん、その時って相当な大冒険だったんですよね? |
ルカ | うん。話すと長くなるけど、砂漠に異空間といろいろ大変だったよ… |
オリエ | それを涼しい顔で何もしてないと言えるなんて… |
オリエ | 普段ユーリさんが頼まれているという事も、実は大変な事ばかりなのでは… |
ユーリ | おいおい、勝手な想像すんなって。調査隊の任務みたいな事がそうそうあるかよ |
ユーリ | 暴れてる酔っ払いを取り押さえたり、コソ泥を捕まえたり、そんな他愛のない事ばっかだぜ |
ルカ | それも…他愛なくはない気が |
オリエ | 感覚マヒしてませんか? |
ユーリ | …言われてみれば、そうかも知れねぇな |
ルカ | そういえば、気ままな生活って言ってたけど… |
ルカ | そんなに頼まれ事をしてたら忙しいんじゃないの? |
ユーリ | 別に毎日何かあるわけじゃねぇが、頼み事されたら、それをやる。気に食わなかったら断る |
ユーリ | それも十分、気ままだと思うぜ |
ルカ | なるほど…。確かにそうかも |
オリエ | ユーリさんの普段の生活の事、よくわかったような気がします |
ユーリ | こんな話でよかったのか? |
オリエ | はい。こういった裏話をお聞きするのがこの企画の醍醐味ですから |
ユーリ | まぁ役に立ったんならいいけどな |
オリエ | さて、そろそろお時間です。ユーリさん、ありがとうございました |
ルカ | ありがとうございました |
ユーリ | ああ |
オリエ | 次回も別の方をお招きしてインタビューを行います |
オリエ | 『オリエの突撃インタビュー!』次回もお楽しみに! |
Name | Dialogue |
---|---|
楽しもう!雨の日コーデ♪ | |
ソフィ | お花の種、たくさん買えた |
コハク | 街まで来てよかったね |
ソフィ | うん。コハクは、ほしいもの買えた? |
コハク | うん!ミソにミソ漬けの食材!あとは… |
ソフィ | あとは…? |
コハク | 特に決めてないんだけど他にもお店を見て回ろうよ!まずは、あそこの… |
ソフィ | あっ… |
コハク | どうかした? |
ソフィ | 雨… |
コハク | え?…本当だ! |
コハク | ひとまず、雨宿り出来る場所に移動しよう! |
コハク | まさかこんな急に天気が変わるなんて… |
ソフィ | 雨、止みそうにないね |
コハク | そうだね。濡れて帰るしかないのかなぁ… |
ソフィ | ねえ、コハク。このお店、いろんなものが置いてあるよ |
コハク | 雑貨屋さん…雨具も売ってるかもしれないね。入ってみよう! |
カランカラン | |
店主 | いらっしゃいませ。ごゆっくりどうぞ |
コハク | 食器から小物…雨具も売ってるね |
ソフィ | あっちに気になるものがあるから、見てきていい? |
コハク | 勿論!雨具を買うのだけ、忘れないようにね! |
ソフィ | わかった。行ってくる |
コハク | この食器、手作りなのかな…どれも凝ってるなぁ |
カランカラン | |
エミル | ふぅ…やっと着いた |
ルドガー | ここならきっと、雨具を売ってるはずだよ |
コハク | あれ…?エミルにルドガー!二人も雨具を買いに来たの? |
エミル | コハクさん!二人もって事は、もしかしてコハクさんも? |
コハク | そうなの。出かける時は晴れてたから、雨が降るなんて思わなかったよ |
ルドガー | 俺達もだよ…雨が止む気配もないしな |
コハク | それにしても、珍しい組み合わせだね。二人で買い物? |
ルドガー | いや、さっき偶然会ったんだ |
エミル | 僕はマルタと約束してて、まだ時間があるから街を見てたんだよ |
ルドガー | 俺は買い出しだ。エミルに会って話してたら急に雨が降りだして驚いたよ |
コハク | わたし達と同じだねせっかく楽しく買い物してたのに困っちゃった |
ソフィ | 見て、コハク。傘と合羽、選んできたよ |
コハク | わぁ、かわいい!ソフィにとても似合ってるよ! |
ソフィ | あれ?エミルとルドガー |
ルドガー | やあ、久しぶり |
エミル | ソフィと一緒だったんだね |
コハク | そうなの。一緒に買い物してるんだ |
コハク | エミルとルドガーも雨具を買いに来たんだって |
ソフィ | そうなんだ。他にも種類、たくさんあったよ。どれもかわいかった |
コハク | ホント!?わたしも見てくるね! |
ソフィ | エミルとルドガーの合羽は、わたしが選んであげるね |
エミル | えっ |
ルドガー | あ、いや、ソフィ。俺達は自分で── |
エミル | …行っちゃった |
ルドガー | 待つとするか |
ソフィ | 選んできたよ。黒がエミルで、白がルドガー |
エミル | …は、早かったね。これを着ればいいの? |
ソフィ | うん |
ルドガー | 耳とか尻尾とか、合羽には必要ないものが見える気がするけど… |
ルドガー | ソフィのあのわくわくした顔を見たら着ないわけにはいかないか… |
エミル | そう、だね |
エミル | えっと…何て言えばいいのかな… |
ルドガー | 選んでくれたのは嬉しいんだけど、俺達にはかわいすぎないか…? |
ソフィ | そうかな? |
コハク | ただいまー!って、二人共早いね。もう選んでたんだ |
ルドガー | おかえり。俺達のはソフィが選んでくれたんだ |
エミル | ど、どうかな… |
コハク | ん~… |
コハク | うん!二人共すごく似合ってるよ! |
エミル | ほ、ほんとに?子どもっぽすぎたりしない…? |
コハク | そんな事ないよ、大丈夫!さすがソフィだね |
ソフィ | …二人は気に入ってない? |
エミル | そ、そんな事ないよ!選んでくれてありがとう、ソフィね、ルドガー! |
ルドガー | ああ。二人からお墨付きをもらったんだ。間違いないよ…きっと |
ルドガー | それに、これを着て帰ったらエルが喜びそうだ |
ソフィ | よかった。そうなら嬉しいな |
ソフィ | コハクの合羽もお花がたくさんで、かわいい |
コハク | ありがとう! |
ルドガー | その傘は、もしかして合羽とお揃い? |
コハク | そうだよ。合羽だけでいいかと思ったんだけどつい気になっちゃって |
ルドガー | エミル、マルタも雨具を持っていないかもしれないから傘を買っていったらどうだ? |
エミル | …!そうだね、そうするよ |
エミル | でも、好みとかわからないから…ソフィ、選ぶの手伝ってもらってもいいかな? |
ソフィ | うん、いいよ。マルタに似合う傘、一緒に選ぼう |
コハク | 憂鬱に感じる雨の日のお出かけもこの傘と合羽があれば、楽しく過ごせそうだね |
ルドガー | ああ、そうだな |
ルドガー | …そういえばエミル。予定の時間、大丈夫か? |
エミル | …えっ!?本当だ、もうこんな時間! |
ソフィ | エミル。はいこれ、マルタの傘 |
エミル | 早っ…!ありがとう、ソフィ! |
エミル | すみません、お会計をお願いします! |
コハク | 他にほしいものがなかったら、わたし達も支払いすませちゃおっか |
ソフィ | うん、大丈夫 |
店主 | お買い上げ、ありがとうございます |
エミル | みんな今日はありがとう。約束の時間にも間に合いそうだし、いいお土産も出来たよ |
ルドガー | ああ、俺も。それに、エルとルルに買ったお土産もこれなら濡れずにすみそうだ |
ルドガー | 俺達はもう行くけど、二人はまだ買い物を続けるのか? |
コハク | このお店はひと通り見てほしいものも買ったからそろそろ次のお店に行こうか |
ソフィ | 見に行きたいお店、まだまだたくさんあるね |
コハク | そうだね |
コハク | 傘と合羽のお蔭で雨に濡れる心配もなくなったし行きたいところ全部行こう! |
コハク | 雨の日だって、楽しんで過ごそう! |
ソフィ | うん! |
ルドガー | はは、元気いっぱいだな |
コハク | エミルとルドガーも楽しんでね! |
ルドガー | ありがとう。二人のお蔭で楽しく過ごせそうだ |
エミル | コハク、ソフィありがとう! |
コハク | それじゃあ、またね! |
Name | Dialogue |
---|---|
緊急!看板メニュー考案会! | |
レイヴン | お待たせ~。おっさん特製クレープ、どうぞ召し上がれ |
ミント | ありがとうございます。甘い、いい香りがしますね |
シャーリィ | はい!それに、見た目もとてもかわいいです |
シャーリィ | 崩すのがもったいないですね…でも、いただきます! |
シャーリィ | …美味しい! |
ミント | 中に入っている果物は、イチゴ…でしょうか? |
レイヴン | 正解!卸してもらったばかりの新鮮なイチゴを使ってるのよ |
シャーリィ | イチゴの酸味が、クリームの甘さをより引き立てています…! |
ミント | 本当ですね。とても美味しいです |
レイヴン | 喜んでもらえて、おっさん嬉しい! |
レイヴン | ミントちゃん達が来るってアーチェちゃんに聞いた時から試行錯誤した甲斐があったわ |
シャーリィ | そうだったんですね。ありがとうございます |
ミント | そういえば、アーチェさんの姿が見えないようですが… |
レイヴン | アーチェちゃんなら、店長と買い出しに出てるけどもう少しで戻るはず… |
ガチャ | |
レイヴン | おっ、噂をすれば… |
アーチェ | …やっっと着いた!ただいま… |
ドサッ | |
レイヴン | おかえ──って、どうしたのそれ |
シャーリィ | すごい量の食材ですね…。パーティーか何かあるんですか? |
レイヴン | いや~、そんな話は聞いてないけど…大口の注文でも入ったわけ? |
アーチェ | それがさぁ…聞いてくれる? |
レイヴン | …何か訳ありのようね。この大量の荷物を片付けながら聞きましょ |
レイヴン | なるほどねぇ。店長いわく、この店の看板メニューが作りたい |
レイヴン | んで、そのメニュー開発のためにあらゆる食材を買って持って帰らされたと… |
アーチェ | そう!! |
アーチェ | 足りない食材を買うからってついて行ったはずなのに、こんな重いもの持って帰らされるなんて… |
ミント | よく見ると、食材以外にお菓子やパンも混ざっていますね |
シャーリィ | 本当ですね。あっ、プリンパンも入ってる |
アーチェ | 何が参考になるかわからないからって片っ端から買ってたからね~ |
レイヴン | 話はわかったけど、肝心の店長はどこに行ったのよ |
アーチェ | それがさぁ…。偵察も兼ねて、他店を研究するんだ!って行っちゃってさ |
レイヴン | だから一人で持って帰ってきたわけね。そりゃ、ご苦労さんだわ… |
アーチェ | ホント自由なんだから! |
アーチェ | まぁ、看板メニューがほしいって気持ちわからなくもないんだよね~ |
アーチェ | メニューは豊富にあるんだけど、何かこう…これ!ってものがないよね |
レイヴン | そうねぇ。今以上にお客さんを集めたいなら、何かひと工夫必要そうね |
レイヴン | ただまぁ、看板メニューとだけ言われても、ざっくりとしすぎててどうしたもんか… |
アーチェ | そうなんだよね… |
シャーリィ | お店を経営するって大変なんですね |
ミント | そのようですね。考える事がたくさんありそうです |
アーチェ | ねぇ、ミント、シャーリィ。食べてる間だけでいいんだけど…二人の意見ももらっていい? |
ミント | はい、勿論です |
シャーリィ | はい! |
レイヴン | 二人共、あんがとね。飲み物サービスしとくわ |
アーチェ | よーし、それじゃ始めよっか! |
レイヴン | おっさんも、接客がひと段落したら合流するねぇ |
ガチャ | |
レイヴン | いらっしゃいませ~ |
アルヴィン | よっ |
レイヴン | アルヴィンじゃない。ここに来るなんて、珍しいわね |
アルヴィン | 今日の仕事は頭も身体もよく使ったからな |
レイヴン | それは、おつかれさん。注文は? |
アルヴィン | レイヴンのおすすめで頼むぜ |
レイヴン | はいよ。そっちの席で待っててちょうだい |
レイヴン | はい、おまちどー。今日のおすすめはクレープよ |
アルヴィン | サンキュ |
アルヴィン | なぁ。さっきから気になってたんだがあっちの三人は何を悩んでんだ? |
レイヴン | この店の看板メニューになるようなデザートを考えてるのよ |
アルヴィン | 看板メニューねぇ。そりゃ、大変そうだ |
レイヴン | あ、アルヴィンも参加してくんない?知恵は多ければ多いだけ、助かるしね |
アルヴィン | 参考になるかわかんないぜ?それでもいいならいいけどな |
アーチェ | クレープ、ケーキ、パフェ… |
シャーリィ | カフェの定番メニューはひと通り揃っていますよね |
アーチェ | 看板メニューって言うぐらいだから定番じゃない方がいいのかなぁ? |
ミント | そうとは限らないと思いますよ。見た目を工夫してみてはどうでしょうか |
シャーリィ | 見た目…あ! |
ミント | 今日、レイヴンさんにクレープを作っていただいたんですが、見た目がとてもかわいらしかったんです |
ミント | 目で楽しめるメニューを看板商品として置くのもよいのではないでしょうか |
シャーリィ | このお店だけのオリジナルデザイン…。いいですね! |
アーチェ | 見た目かぁ。それいいかも! |
レイヴン | お三方、お待たせ。捗ってる?助っ人、連れて来たわよ |
アーチェ | 助っ人…?って、アルヴィン!来てたんだ、いらっしゃい! |
アルヴィン | よっ。何やら大変そうな事やってるみたいだな |
アーチェ | そうなんだよねぇアルヴィンも手伝ってくれる? |
アルヴィン | ああ。役に立つかはわかんないけどな |
レイヴン | それで、今はどんな感じ? |
アーチェ | えっと、見た目で特別感を出してみようって話してたとこ |
レイヴン | なるほど。そういう方向性も確かにありね |
アーチェ | でもせっかくなら味にもこだわりたいよね |
ミント | でしたら、アーチェさんが得意なフルーツポンチに入れる果物を季節に合わせたものにして |
ミント | それをこの店オリジナルの盛り付けで華やかにする…というのはどうでしょうか |
アーチェ | いいね、それ! |
シャーリィ | あとは…フルーツパンとかどうでしょう |
シャーリィ | 果物の形をしたパン…と思いきや、中に丸ごと果物が入っているんです! |
レイヴン | 随分と、斬新なアイデアね… |
アーチェ | でも、おもしろそう!話題になってみんなが来てくれるかも! |
アーチェ | アルヴィンはどんなのがいいと思う? |
アーチェ | 新しいものじゃなくても、好きなデザートとかあれば教えてよ! |
アルヴィン | 好きなデザート、か… |
アルヴィン | …そうだな。一つ挙げるとしたらピーチパイ、かな |
アルヴィン | 小さい頃、腹を壊すまで食べた事があってさ |
アーチェ | へぇ、よっぽど好きなんだね |
レイヴン | お、ピーチパイなら、飾り付けし甲斐がありそうじゃない |
アーチェ | 何となく意見は揃ったかな。あとは作ってみて…って感じだね |
アーチェ | あたしとレイヴンで試作品を何個か作ってみるから味見をお願いしていい? |
シャーリィ | わたしでよければ、ぜひお手伝いさせてください |
アーチェ | ミントの好きなりんごも入れるから楽しみにしててね♪ |
ミント | ふふ、ありがとうございます。私も微力ながら、お手伝いさせていただきますね |
アルヴィン | 食材が足りなくなったら声かけてくれ |
アルヴィン | 市場に詳しい知り合いがいるからな。新鮮な果物や、食材を卸せないか聞いてみるぜ |
レイヴン | みんな、あんがとね。助かるわ |
アーチェ | それじゃ、看板メニュー目指して── |
全員 | おーっ! |
レイヴン | あれ、そういえばアーチェちゃんの料理の腕前って…デザートなら大丈夫…だっけ? |
レイヴン | …まあ、何はともあれやるとしますか |
Name | Dialogue |
---|---|
迷える教会に救いの手を! | |
アーリア | はぁ…困ったわ |
アーリア | 何かいい案が思い浮かべばいいのだけど… |
ナタリア | あら、暗い顔をして、どうしましたの、アーリア? |
アーリア | おはよう、ナタリア。その、少し考え事をしていて |
ナタリア | 私でよろしければ、相談に乗りましてよ |
アーリア | ありがとう。誰かの意見も聞いてみたかったの。助かるわ |
アーリア | ナタリアは、この近くに古い教会があるのを知っているかしら? |
ナタリア | ええ、歴史ある聖堂があって素敵な教会ですわね |
アーリア | 実は、その教会に訪れる人がほとんどいなくて、財政的にとても困っているのよ |
ナタリア | そういえば、あまり人が出入りしているところを見た事がありませんわ |
ナタリア | 礼拝や巡礼に訪れる人がいないと、建物を維持するだけの寄付金も集まりませんものね… |
アーリア | わたし、あの教会の司祭様とシスターにお世話になった事があるの |
アーリア | だから、少しでも力になりたくて人を呼ぶための催しを開く案を、いくつか考えてみたのだけど… |
ナタリア | その様子だと、反応が、あまりよくなかったようですわね |
ナタリア | どのような案を出したのか、聞いてもよろしいかしら? |
アーリア | ええ、音楽家を招いての演奏会や、合唱の発表が教会の雰囲気に合うんじゃないかって |
アーリア | その他には…ウェディングの催しなども、考えてみたのだけれど… |
サラ | それいいですよ!教会でのウェディング、すっごくいいと思います! |
カノンノ | いま街の人達の間で、古い教会で結婚式を挙げるのが流行ってるんだって! |
ナタリア | あなた達…盗み聞きは感心しませんわよ? |
サラ | あ、ごめんなさい!二人が真剣に話してるから気になっちゃって… |
カノンノ | よかったら私達にも話を聞かせてほしいな |
ナタリア | …確かに街で流行っているのなら、集客は見込めそうですわね |
ナタリア | 司祭様にウェディングが流行っている事を伝えても、説得は難しそうですの? |
アーリア | …難しいと思うわ。わたしが提案した時も、ドレスを用意出来ないと断られたの |
アーリア | 他の案もそうなのだけど、やりたくても今は教会を維持するだけで精一杯だと… |
カノンノ | そっか、残念…。せっかく人が集まりそうな案なのにね |
サラ | 私達で何とか出来ないかな… |
ナタリア | …一つ、いい案が浮かびましたわ |
アーリア | ほ、本当に!? |
ナタリア | ええ、皆さんにもお手伝してもらいますけれどよろしいかしら? |
アーリア | 勿論、手伝うわ! |
サラ | 私も、力になれるなら何でも言ってください! |
カノンノ | わたしも手伝うよ!それに何だか楽しそう!どうするの? |
ナタリア | ありがとう。それでは、まずは── |
サラ | 見て!このドレス、すっごく綺麗! |
カノンノ | まるで絵の中からそのまま出てきたみたい! |
ナタリア | 皆さん、とても似合ってますわ |
アーリア | 司祭様、シスター。えっと…どうでしょう? |
シスター | とっても素敵よ、アーリア |
司祭 | おぉ…年甲斐もなく、思わず見とれてしまいました |
ナタリア | あと何着か揃える事が出来ますわ |
サラ | 司祭様。教会でのウェディングの催し、思いきってやってみませんか? |
司祭 | その、お気持ちは嬉しいのですが、私共にはお返し出来るものが何も… |
アーリア | 心配には及びません。ねえ、ナタリア |
ナタリア | ええ。実は私の知り合いにウェディングプランナーをなさってる方がいるんですの |
カノンノ | その人、ウェディングイベントを開きたいんだけど、いい会場が見つからなくて困ってたんだって |
アーリア | なので、この教会を会場として、提供するのはいかがでしょうか? |
ナタリア | 場所を貸していただければ、ドレスを含め、催しに必要な物はイベントの主催者が用意しますわ |
司祭 | それほどのご厚意に甘えてしまって、本当にいいのでしょうか…? |
アーリア | やってみませんか、司祭様。お世話になったお礼に、わたしも力になりたいんです |
シスター | ありがとう、アーリア。司祭様、ここは彼女達の厚意に、甘えてはみませんか? |
司祭 | …そうですね。みなさん、感謝いたします。どうぞ、お力をお貸しください |
アーリア | 司祭様、シスター…! |
サラ | そうと決まったら、あとは準備するだけですね! |
カノンノ | うん!何だかワクワクするね! |
サラ | えっと、この辺りが日当たりよさそうかな?ドレス、綺麗に見えますか? |
カノンノ | ばっちり!いい感じだよー。そのままポーズ取ってみて! |
サラ | ポーズ…い、いえーい♪なんちゃって |
カノンノ | ふふ、元気いっぱいの花嫁さんだね! |
ナタリア | 記念撮影の場所はこの辺りとして、もう少し照明を多めに設置した方が、綺麗に写りそうですわね |
司祭 | 照明の代わりに使えそうな物が、いくつか倉庫にあったはずです。探してみましょう |
アーリア | ごめんね、みんな。すっかり巻き込んじゃって |
サラ | 巻き込まれたなんて思ってませんよ。こんなに綺麗なドレスを着られて、嬉しいぐらいです |
カノンノ | それにウェディングって、結婚する二人の未来を描くって事だよね? |
カノンノ | そんな素敵なお手伝いなら、喜んで協力するよ |
サラ | けど、ドレスを着て教会にいると、何だか本物の花嫁さんになったみたいで、少し照れますね |
ナタリア | あら、サラったら、もしかして… |
ナタリア | 誰かお相手の姿を想像しましたの? |
カノンノ | えー、誰の事考えてたの? |
サラ | ち、ちがいますっ!そんな…考えてません! |
アーリア | サラったら、隠さなくてもいいのに |
サラ | うぅ~… |
シスター | ふふっ、微笑ましいですね |
アーリア | あっ、シスター。騒がしくしてごめんなさい |
シスター | いいんですよ。この教会にまだ活気があった頃を思い出します |
シスター | ほら、見てください。司祭様も楽しそうに準備を手伝っているでしょう? |
アーリア | ええ、あんな顔の司祭様を見るのは久しぶりです |
シスター | あなたのお蔭ですよ。ここまで協力してくれてありがとうアーリア |
ナタリア | それでは本日のところは、この辺りで失礼いたしますわ |
アーリア | イベント当日まで、引き続き、お手伝いに来ますね |
司祭 | 本当にありがとうございます。お気をつけてお帰りください |
カノンノ | うーん、人助けは気持ちいいね。あっ…いいイメージが浮かんできた!早速スケッチブックに…! |
サラ | この後の細かい準備は、ナタリアさんの知り合いの人も手伝ってくださるんですよね? |
ナタリア | ええ。イベントが開催出来る事になって、張り切っていましたわ |
サラ | 人がたくさん集まるように、私達もお手伝い頑張りましょう! |
カノンノ | あの教会のよさを知って、興味を持ってくれる人が増えるといいね! |
アーリア | あれだけ悩んでいた司祭様も楽しそうに準備をしていたもの。きっと、大丈夫よ |
カノンノ | そうだね。いい催しになるよ! |
サラ | 今から当日が楽しみですね |
アーリア | …みんながいなかったら、この催しは、開催出来なかったわ |
アーリア | みんな、本当にありがとう |
Name | Dialogue |
---|---|
水着で活躍!サマービーチ! | |
カナ | わぁ、海だわ!素敵な景色! |
シング | よ~し、泳ぐぞ! |
シング | ──って、あれは…! |
ガルルル… | |
コレット | 魔物!? |
ジュード | 結構な数がいるね |
カナ | みんなが海水浴するところなのに、危ないわ! |
コレット | 暑いから魔物達も海水浴に来たのかな? |
ジュード | いや、そうじゃないと思うけど… |
カナ | そういえば、人がいないわね…魔物がいるから誰も来てないのかしら |
ジュード | ……。よく見ると砂浜に足跡があるよ。きっとみんな避難したんだ |
ジュード | 足跡が向かってるのは…あっちに見える海の家かな |
コレット | 避難場所があったんだね。よかった~ |
シング | だけど、これだけ魔物に囲まれてちゃ海の家から出られないよね…。何とかしないと! |
カナ | そうね、とても危険だわ。私達で退治しましょう! |
コレット | うん。たくさんいるけど、みんなで力を合わせれば、だいじょぶだよね! |
ジュード | 決まりだね。協力して浜辺の安全を取り戻そう! |
ザシュ! | |
ギャウゥ… | |
シング | いよぉっし!これで最後だ! |
ジュード | ふぅ…まずはひと安心だね。みんな、怪我はない? |
カナ | ええ、平気よ |
コレット | 早く、避難した人達に安全になったって教えてあげよ! |
ジュード | そうだね。海の家に行ってみよう |
シング | うわぁ…すごい人だね。ぎゅうぎゅう詰めだ… |
店主 | き、君達!今来たのか!?外は魔物だらけで危なかっただろう。他に逃げ遅れた人はいなかったか? |
ジュード | はい。他に人はいませんでした。それに、もう心配ないですよ |
シング | 魔物なら退治したから、外は安全だよ |
店主 | た、退治した?あれだけの数を…すごいな、君達は! |
カナ | 海で楽しく遊ぶためだもの!このぐらい、どうって事ないわ! |
男性客1 | 聞いたか?外の魔物を退治したってよ! |
女性客1 | 助かったのね!よかった… |
男性客2 | これで安心して遊べるな! |
女の子 | わぁい、およげるんだー! |
コレット | みんな、喜んでくれてるみたい |
ジュード | 頑張った甲斐があったね |
店主 | 君達はこの浜辺の救世主だよ!よし、お礼だ!この店の物は何でも食べ放題に── |
店主 | ──ああ!しまった! |
カナ | …? |
店主 | 魔物の騒動があったもんで料理の下ごしらえが… |
店主 | これじゃあ、食べ放題どころか店に出す料理がほとんど作れねぇ。何もお礼出来なくてすまないが… |
ジュード | そんな、僕達は大丈夫です!…けど、他のお客さん達が── |
男の子 | そんなぁ。ぼく、おなかすいたのに… |
女性客2 | 仕方のない事だけど…ここの料理を楽しみにしてたから残念だわ… |
男性客3 | 店主さんよ、何とかならねぇか?魔物がいなくなって安心したら腹減っちまってさ… |
女性客3 | 私も~ |
店主 | うぅむ…そうは言ってもな… |
シング | おじさん、下ごしらえのいらない簡単な料理なら出せそう? |
店主 | あ、ああ。出来なくはないが… |
ジュード | 店主さんしかいないから、簡単な料理を作ってる間、下ごしらえに手が回らない…ですね |
店主 | そうなんだ。昼食の時間までにはちゃんとした料理を出せるようにしたいし… |
カナ | それなら、私達がお手伝いすれば問題解決じゃないかしら! |
ジュード | うん、そうしよう。みんなも、いいかな? |
コレット | 勿論!頑張ろうね! |
シング | おじさん、大船に乗った気でいてよ! |
店主 | 君達…!助かるよ、恩に着る! |
カナ | こっちは出来たわ、配膳お願いね! |
シング | 任せて!焼きそばとエビフライ、お待ちどうさま!ごめん、通りまーす! |
コレット | ええっと、ご注文はドライカレーにフライドポテト、かき氷とサイダー、ご飯にネギラーメン… |
コレット | …あれ?フライドカレーとかきポテト、サイダーラーメンにネギ氷とドライご飯…? |
シング | コ、コレット落ち着いて!注文がぐちゃぐちゃだよ! |
店主 | 下ごしらえするなり料理がはけていきやがる。こんなに忙しいのは久しぶりだ! |
カナ | おじさんの手際、すごいわ!ちゃんと間に合っているもの |
ジュード | お昼が近づいて、お客さんもますます増えて来たみたいだ。ここからが正念場だね…! |
コレット | うん!今度こそちゃんと注文を覚えるよ! |
ジュード | …お客さんも落ち着いてきたね。何とか乗り切ったかな? |
カナ | 私、こんなに長い時間キッチンに立ってたの初めてかもしれないわ… |
ジュード | 僕もだよ…。いろいろな料理を作ったからすごく勉強になったけどね |
コレット | そういえば…見た事ない料理を作ってたよね? |
店主 | おっ、気づいたか?新メニュー、その名もサイダーラーメンだ! |
シング | …あっ!途中から何だか甘い香りのするラーメンを運んでると思ってたんだ |
店主 | お嬢ちゃんの言い間違いにピーンと来ちまってな。こりゃいけるぞ、と |
コレット | えっ?わ、私? |
カナ | 味見をさせてもらったんだけど、とっても美味しかったわ! |
ジュード | コレットの言い間違いが生んだ奇跡のコラボレーション…って感じの味だったよ |
コレット | そうだったんだぁ。えへへ、役に立てたなら嬉しいよ |
店主 | お蔭で名物料理が出来上がった!改めて礼を言わせてくれ。ありがとうな! |
店主 | 客が押し寄せてきた時はどうなる事かと思ったが君達のお蔭で無事に乗り切れた! |
カナ | 私達も、滅多にない経験が出来てすごく楽しかったもの。お礼を言うのはこっちだわ! |
シング | お客さんもすごく喜んでくれたしね! |
店主 | いい子達だな…。そうだ、客足も落ち着いたし約束の食べ放題を振舞うが、どうだ? |
ジュード | そういう事なら…せっかくだしお言葉に甘えようか? |
カナ | そうね!お腹もすいたし、サイダーラーメンを食べたいわ! |
シング | いいね!俺もサイダーラーメン!気になってたんだ! |
ジュード | 僕もお願いします! |
コレット | 私も! |
店主 | はっはっは!よぉし、任せときな! |
コレット | はぁ~っ、お腹いっぱい!すっごく美味しかったね~! |
シング | おじさん、本当に喜んでたなあ。手伝ってよかったよ! |
ジュード | うん。いい汗もかいたしみんな疲れただろうけど、これからどうしようか? |
カナ | 海の家の仕事も楽しかったけど…やっぱり、ビーチで遊ぶのも忘れるわけには行かないわよね! |
シング | 海でやりたい事、沢山残ってるしね!泳いだり、ビーチバレーしたり…! |
コレット | うんうん、せっかく来たんだもん!楽しまなくちゃ! |
シング | よ~し、そうと決まれば…ガンドコ行こう! |
カナ | あっ!?シング!? |
シング | あはははっ!水、冷たくて気持ちいいよ!みんなも早く来なよーっ! |
カナ | 一番乗り、取られちゃったわ!私も行く~! |
ジュード | 二人共、海に入る前は準備運動だよ!? |
コレット | ふふ、元気いっぱいだね。さあ、私達も行こ? |
ジュード | うん、そうだね── |
男性客4 | 美味しかったね、海の家の新メニュー! |
ジュード | …ん? |
女性客4 | ああ、サイダーラーメン!おもしろ美味しかった~! |
女性客5 | 一度食べたら癖になるよね!友達にも教えてあげないと! |
コレット | すごい人気だね。ただの言い間違いだったから、ちょっと恥ずかしいけど… |
ジュード | 確かに美味しかったからね。あのお店、また忙しくなるかな? |
コレット | その時は、またみんなで手伝いに行こうね! |
ジュード | そうだね!二人にも、伝えておかなきゃ |
Name | Dialogue |
---|---|
幻の島と隠されし財宝 | |
ザァ…ザァ… | |
パティ | 潮風が気持ちよいのう。絶好の航海日和なのじゃ! |
ユーリ | 海が穏やかなお蔭で船の揺れも少ないしな。快適な船旅だ |
フレン | パティ。「幻の島」への進路はこのままでいいのかな |
パティ | うむ、東へ一直線じゃ。本に書いてあったから間違いないのじゃ |
ユーリ | ここから東って言や、魔の海域って言われてる辺りだよな |
フレン | 魔の海域…か。パティ、その本は信用出来るのかい? |
パティ | うむうむ。何といっても、大海賊グランカレイの航海日誌じゃからの |
ユーリ | その本を信頼すんのはいいが、この船で魔の海域ってのは超えられるのか? |
パティ | 魔の海域は、激しい渦潮に囲まれておるからな。どんな船もカレイのように海の底じゃ |
フレン | 穏やかな話じゃないね。でも、君の事だ。何か策があるんだろう? |
パティ | よくぞ聞いてくれたのじゃ! |
パティ | うちはグランカレイの航海日誌に隠されていた暗号文を解き明かしたのじゃ |
パティ | それによると、数年に一度だけ、渦潮の流れが船を導き「幻の島」へ辿り着けるとあったのじゃ |
ユーリ | なるほどな。それが今日ってわけか |
パティ | そうなのじゃ。冒険家として船を出さんわけにはいかんのじゃ! |
ユーリ | 冒険心に火がついたって事か |
ユーリ | ま、「幻の島」が存在するってんなら、見てみたいよな |
パティ | さすがユーリ、誘った甲斐があるというものじゃ |
ユーリ | しっかし、まさかフレンまで来るとは意外だったな |
フレン | 少し気になる事があったからね |
ユーリ | 騎士団絡みか? |
フレン | ああ。今、騎士団で追いかけている海賊団が大規模な活動をするための準備をしているという情報があってね |
フレン | パティから今日しか行けない「幻の島」と聞いてもしかしたらと思ったんだ |
ユーリ | なるほどな。そいつらも「幻の島」の財宝を狙ってる可能性があるって事か |
フレン | そうなんだ。けど海賊団の狙いが「幻の島」だって確証はないから、他の騎士達は動かせない |
フレン | もしも僕の予想が外れて、海賊団が街や商船の襲撃を計画していた時のために備えておいてもらわないとね |
ユーリ | それで一人で来たのか。確証がない中では妥当なところだな |
パティ | もし他の海賊がいても、うちとユーリがついておる!大船に乗ったつもりで任せるのじゃ! |
フレン | ありがとう、二人共。頼りにさせてもらうよ |
ユーリ | …ところで、パティ。俺達まで海賊の格好する必要あったか? |
パティ | 何を言っとるのじゃ、ユーリ。大冒険には、それに相応しい格好というものがあるのじゃ |
パティ | うちも気合いを入れて、いつもと違う服にしたのじゃ |
ユーリ | そんなもんかね |
フレン | よく似合ってるよ、ユーリ。本物の海賊みたいだ |
ユーリ | へっ、お前もなかなか様になってるぜ |
パティ | お、もうすぐ魔の海域なのじゃ!「幻の島」に向けて全速前進なのじゃ! |
ユーリ | よっ、と。無事に着いたみたいだな。ここが「幻の島」か? |
パティ | うむ。渦潮から渦潮へと流れ流され辿り着いたこの島こそ、まさに本にあった「幻の島」じゃ! |
パティ | じゃが…先客がおるようじゃ |
フレン | ああ。あそこに停泊している船…間違いない、例の海賊団の旗印だ |
ユーリ | でかい船だな。三人で一網打尽ってわけにはいかなさそうだ |
フレン | そのようだね。この場で捕えるのは無理だろう。だからまず、財宝探しを優先しよう |
パティ | フレンはそれでよいのかの? |
フレン | ああ。今は相手の情報を集めたい。財宝を探す内に、見えてくる事もある |
フレン | その情報を持ち帰って改めて騎士団を総動員した捕獲作戦を立てる事にするよ |
ユーリ | そういう事なら、とっとと行こうぜ。先に財宝を見つけられちまったら情報収集も出来なくなるからな |
パティ | では財宝探しに出発なのじゃ! |
フレン | すいぶん山を登ったね。特に何かありそうには見えないけど… |
ユーリ | なあパティ。これも航海日誌に書かれてたのか? |
パティ | いや。うちの冒険家としての勘じゃ |
ユーリ | おいおい…じゃあ、あてもなく歩いてるのかよ |
パティ | うちの知るグランカレイの人物像から財宝を隠しそうな場所を考察しておるのじゃ |
パティ | 同じ冒険家として勘を働かせれば自ずと道が見えてくるのじゃ |
ユーリ | そういうもんか? |
フレン | ふふっ、ここはパティを信じよう |
パティ | うむ!大船に…いや宝船に乗ったつもりでついて来るのじゃ! |
ユーリ | 自信たっぷりだな。んじゃ任せるぜ、船長 |
パティ | あったのじゃ!怪しい入り口なのじゃ! |
ユーリ | マジで見つけるとはな |
フレン | 慎重に入ろう。ここに財宝があるんだとしたら罠が仕掛けられているかもしれない |
ユーリ | そうだな。用心しておくに越した事はな── |
??? | …この出会い、運命を感じるぜぇ |
ユーリ | なっ…!? |
ガキィィンッ! | |
ザギ | ユーリ・ローウェル! |
ユーリ | ザギ!?何でこんなところにいやがる! |
海賊1 | ザギ先生の知り合いか?だったら話が早い。死にたくなけりゃここから手を引きな |
海賊2 | ここは子ども連れで来るような場所じゃねぇぞ |
フレン | お前達は…! |
パティ | 例の海賊団の船員じゃろうな。先生と呼ばれておるという事は、ザギは戦闘員の助っ人かのう |
海賊1 | へっ、その通りだ。俺達は大国の騎士団にも目を付けられてるもんでな |
海賊2 | そこで一騎当千と名高いザギ先生にお出ましいただいたってわけだ。わかったら、とっとと消えな |
ユーリ | …って言ってるが、見逃してくれんのか? |
ザギ | あぁ!?逃がすわけねぇだろ |
ザギ | オレはおまえを、絶対この手で殺す! |
ガキンッ! | |
ユーリ | ちっ…相手するしかなさそうだな |
ザギ | あはははははっ!今日こそ殺してやる!斬り刻んでやるぞ、ユーリィ! |
パティ | ユーリ、手伝うのじゃ! |
フレン | 加勢するよ! |
ユーリ | ああ、助かる! |
ガキン、ガキン! | |
ザギ | あはははははっ!やるじゃないか!最高だ! |
フレン | くっ、強いな… |
ユーリ | このままじゃ埒があかないか。次で終わらせるぞ |
フレン | わかった |
ザギ | 終わってたまるか!もっと、もっと上り詰めようぜ! |
パティ | そこじゃ! |
バキュゥン! | |
ザギ | いいねぇ!もっとくれよ! |
パティ | 崖際に追い詰めたのじゃ!今じゃ、二人共! |
ユーリ | 行くぜ、フレン! |
フレン | ああ! |
ユーリ・フレン | 武神双天波! |
ザシュザシュッ! | |
ザギ | ぐっ──! |
ザギ | くっくっく、うわはははは! |
海賊1 | ザギ先生ーーー!やべぇ、崖から落ちたぞ! |
海賊2 | 撤退だ!俺達も下に降りるぞ! |
フレン | …… |
ユーリ | 見逃していいのか?あの二人ぐらいなら捕えられるぞ |
フレン | ああ、問題ないよ。戦力の情報は得られたからね |
フレン | もしこれ以上の戦力があるならもう一度やってくるだろう |
ユーリ | あいよ |
ユーリ | 何にしろ敵にここを知られたんだ。早いとこ財宝を見つけて船に戻ろうぜ |
パティ | わかったのじゃ! |
パティ | ユーリ、フレン!ついに見つけたのじゃ!宝箱じゃ! |
フレン | 本当にあったんだ…!信じてなかったわけじゃないけどこの目で見ると実感がわくね |
ユーリ | んじゃ、あの海賊共が来ない内にこれ持ってさっさと帰ろうぜ |
パティ | …いや、まだそういうわけにはいかないようなのじゃ |
ユーリ | ん?どういう事だ? |
パティ | 伝説に残っておる財宝はこんな量ではないのじゃ。他にも財宝が隠されているのじゃ |
パティ | きっとさっきの海賊達もそれに気付いたからあっさり帰ったのじゃ |
フレン | なるほど。無理に戦わなくても他の宝を狙えばいいと判断したのか |
ユーリ | 今見つけた財宝だけでも十分じゃねぇか? |
パティ | そういう事ではないのじゃ |
パティ | 冒険家としてまだ財宝があるとわかっていて、放って帰る事など出来ないのじゃ! |
パティ | だからお願いなのじゃ!他の財宝を探すのを手伝ってはくれんかの? |
ユーリ | わかったよ。最後まで付き合うぜ |
フレン | そうだね、僕も付き合うよ。海賊達の情報は多い方がいいからね |
パティ | 二人共…ありがとうなのじゃ! |
ザギの声 | どこに行った、ユーリィィィ! |
ユーリ | はぁ…しぶとい奴だぜ |
パティ | また来てもユーリがいれば平気なのじゃ♪ |
ユーリ | あれに絡まれる身にもなってくれ。ほら、見つからねぇ内に、次の財宝を探しに行くぞ |
パティ | うむ!それでは引き続き、冒険に出発なのじゃー! |
Name | Dialogue |
---|---|
みんなで踊ろう!夏祭り! | |
ビエンフー | 姐さん~!マギルゥ姐さん~! |
マギルゥ | そう大声で呼ばずとも、ちゃんと聞こえておるわい。一体何事じゃ |
ビエンフー | これを見てほしいでフよー! |
ライフィセット | それって、街中に貼ってあるチラシだよね |
ビエンフー | そうでフよ!この街でやる夏祭りのお知らせでフ! |
ロクロウ | ほう、夏祭りか。この時期の風物詩だな。で、それがどうかしたのか? |
ビエンフー | ただの夏祭りじゃないんでフ!何と、ノルミン族を祀る大規模なお祭りなんでフよ~! |
アイゼン | なるほどな。お前も祀られる対象という事か |
ビエンフー | そういう事でフ!いや~、何だか照れるでフね~ |
ベルベット | 祀るほどの存在なの? |
アイゼン | ああ見えて人々に有益な加護を与える存在だ。崇められても不思議はない |
エレノア | 騎士の任務でお祭りの警備をするので関係者の方々とお話ししましたが、ノルミン族への敬意を強く感じました |
エレノア | 想定される参加人数も多くて…屋台もたくさん出店するので例年とても盛り上がるのだとか |
ライフィセット | 屋台か…面白そう!お祭りの屋台って、美味しい食べ物や楽しい遊びがいっぱいなんだよね |
マギルゥ | 坊は興味津々のようじゃのー |
ベルベット | …どうしてあたしの方を見て言うのよ |
マギルゥ | エレノアよ。坊ぐらいの少年が一人でお祭りに来ていれば、どうなるかのう? |
エレノア | お祭りは夜ですから…声をかけて保護する事になっていますね |
ベルベット | …そんなに煽らなくてもあたしも行くわよ。それでいいんでしょ |
ライフィセット | ありがとう、ベルベット!一緒にお祭りに行けて嬉しいよ |
ベルベット | 別に…あたしも興味があっただけよ |
マギルゥ | ふふん、相変わらず、坊に甘々じゃな~♪ |
ベルベット | 何か言った? |
マギルゥ | な~んも言っておらんわい。面白そうじゃ、儂も行くとするかの |
ロクロウ | 俺も行こう。祭りなら美味い心水が呑めるだろうからな |
アイゼン | ああ、地心水も気になる |
エレノア | みんな行くんですね。私は警備なので一緒に行けませんが存分に楽しんできてください |
マギルゥ | 任せよ。この儂がお主の分まで飲めや歌えやドンチキドンチキから騒ぎで存分に楽しんで見せよう |
エレノア | …ほどほどに楽しんできてください! |
ライフィセット | …ねえ、エレノア。このチラシに書いてある「太鼓の打ち手募集」って何? |
エレノア | それは、お祭りの目玉で、太鼓演奏があるんです。その演奏者の募集という事ですね |
ベルベット | 太鼓演奏が目玉なの? |
エレノア | 演奏だけでなく、太鼓のリズムに合わせて、参加者が円を描くように踊るんです |
エレノア | そうやってノルミン族の丸さを称えているのだとか |
ベルベット | …随分変わった風習ね。そんな伝統の太鼓の打ち手を公募で決めていいの? |
エレノア | 主な奏者は達人の方が担います。募集しているのは、横で小さな太鼓を叩いて盛り上げる役割なんです |
ライフィセット | それなら、僕でも出来るかな? |
エレノア | ええ、勿論。練習すれば誰でも出来るそうですよ。定員もまだまだ空いてるようですし… |
エレノア | 後で係の人に話して練習用の資料をもらってきますね。太鼓も借りられないか聞いてみます |
ライフィセット | ありがとう!僕、頑張るよ! |
アイゼン | 祭りの楽しみが増えたな |
ビエンフー | ノルミン族を称える太鼓という事はボクを称える太鼓という事!嬉しいでフよ~~! |
マギルゥ | ふむ、儂も楽しみじゃわい |
ライフィセット | たくさん練習するね! |
マギルゥ | 次はどこの屋台にしようかのー。こっち──やっぱり、あっちじゃ! |
ビエンフー | ビエ~~ン!姐さん、これ以上は持てないでフよ~~! |
ライフィセット | あはは。マギルゥ、楽しんでるみたいだね |
ベルベット | お祭りより、振り回す事を楽しんでるんでしょ |
ライフィセット | ふふ、そうかも。お蔭でちょっと気が紛れたかな |
ベルベット | …緊張してるの? |
ライフィセット | うん、いよいよ本番だなって思うとちょっとだけ… |
ベルベット | 心配しなくても大丈夫よ。あんなに練習したんだから |
ビエンフー | そうでフ!練習に付き合ったボクが保証するでフ! |
ビエンフー | ノルミン族を称える立派な太鼓演奏が出来るでフよ! |
マギルゥ | もし練習通りにならんでもノリと勢いで押し通せば何とかなるもんじゃわ |
ベルベット | 相変わらず適当ね |
ライフィセット | でも、いい感じに肩の力は抜けたよ。ありがとう! |
ライフィセット | そろそろ時間かな。じゃあ、行ってくるね! |
ベルベット | ええ、行ってらっしゃい |
マギルゥ | どれ、坊の演奏に合わせて儂らも踊るとするかのー |
ビエンフー | 「儂ら」…って、何でフか… |
マギルゥ | 決まっておるじゃろ。ビエンフーもベルベットも一緒に踊るんじゃよー! |
ビエンフー | ボ、ボクもでフか!? |
ベルベット | ちょっと、急に言われても振り付けもわからないわよ |
マギルゥ | ノリと勢いで押し通せば何とかなるもんじゃと言ったじゃろ |
ベルベット | 最初からノリと勢いしかないのは問題だって言ってるのよ… |
マギルゥ | ふふふ、儂を甘く見とるな。振り付けは完璧じゃ! |
ビエンフー | エレノア様がもらってきた資料に曲の詳細や振り付けの説明もあったでフからね~ |
ビエンフー | 練習に付き合う内に覚えたんでフ。人前で踊るとは思わなかったでフよ… |
マギルゥ | ええい、何を躊躇っておる! |
マギルゥ | ノルミン族を祀る祭りでノルミン・ブレイブが勇気を出さんでどうするんじゃ |
ビエンフー | それを言われてしまったらやるしかないでフね…! |
マギルゥ | ほれ、ベルベット。儂らの見よう見まねでよいぞ |
ベルベット | 遠慮しておくわ。そういうの、柄じゃないから |
マギルゥ | 坊の太鼓演奏をお主が盛り上げんでどうするのじゃ? |
ベルベット | あたしはビエンフーみたいに乗せられたりしないわよ |
ベルベット | 何を言われようと、踊るつもりはないわ |
マギルゥ | つまらん奴じゃのー。ならば儂らの華麗な舞に見惚れとれぃ! |
マギルゥ | ゆくぞ、ビエンフー! |
ビエンフー | あっ、姐さん!待ってくださいでフ~! |
ライフィセット | やぁっ! |
ドンドンドドン! | |
ベルベット | ………… |
ベルベット | …あたしが盛り上げなくてどうする…か |
ベルベット | あんな言葉に乗せられるわけじゃないけど…手拍子ぐらいなら…ね |
パン、パパン… | |
ベルベット | (練習してる音を 何度も聞いていたお蔭ね。 リズムが自然と出てくるわ) |
パンパン、パパン… | |
ベルベット | …?今、あたし以外にも誰か… |
ライフィセット | えいっ! |
ドンドン、ドドン! | |
パンパン、パパン! | |
ライフィセット | …手拍子? |
ライフィセット | ──!あれは…! |
パンパンパン! | |
ベルベット | 観客みんなが手拍子を… |
ベルベット | 踊りに参加しなくても、会場全体で祭りを盛り上げる…悪くないわね |
ライフィセット | はぁっ! |
ドンドン、カッカッ、ドンドンッ! | |
パンパン、パパン、パンパン! | |
ライフィセット | あはは、何だか会場と一体になったみたいで、すごく楽しい! |
ライフィセット | よぉし!僕も頑張って、もっともっと盛り上げるぞ! |
Name | Dialogue |
---|---|
食欲・芸術・月見音楽祭の秋 | |
マルタ | ん~おいひぃ~♪さすが評判のロイヤルイチゴパフェ!朝から並んだ甲斐があったよ! |
シェリア | そうね。公園のベンチで座って食べましょ |
マルタ | はぁ~い。今日は買い物に付き合ってくれてありがとう、シェリア |
シェリア | いいのよ。私もほしい物があったから丁度よかったわ。美味しいパフェも食べられたし |
シェリア | それにしても、この公園、なんだか賑やかじゃない? |
マルタ | そういえば…人も妙に多いね。演劇の舞台?のようなものを作ってるみたいだし… |
コンウェイ | 月見音楽祭の準備さ。この公園はメインイベントである音楽バンドのライブ会場だからね |
シェリア | あら、コンウェイさん!詳しいですね |
コンウェイ | 音楽祭の会場設営の手伝いだよ。祭りの規模が大きくて朝から大忙しさ |
シェリア | そういえば街の活気もすごかったです。ね、マルタ? |
マルタ | ……音楽、ライブ……!なんかキラキラの香りがする! |
コンウェイ | もしかして興味があるのかい?その様子だと、何かに影響を受けている感じもするけれど |
シェリア | 最近読んだ恋愛青春小説がガールズバンドモノだったらしくて多分それの影響だと思います |
マルタ | ねぇシェリア!私達もやろうよ!ガールズバンド!!! |
シェリア | え、えぇ!?ちょっと待ってマルタ。私達、そういうのやった事ないのよ?素人がいきなりステージに立つなんて |
マルタ | 大丈夫だよ!シェリアはピアノが弾けるじゃない♪私も頑張って楽器覚えるから。ね? |
シェリア | 楽器の演奏は難しいんだけど…。そこまで言うなら仕方ないわね。やりましょうか、ガールズバンド |
マルタ | やったー!ありがとう、シェリア!一緒に夏の青春満喫しよっ! |
コンウェイ | どうやら話はまとまったようだね。音楽祭への申請をしておくよ。キミ達は準備を始めるといい |
マルタ | ありがとう!お願いねコンウェイさん! |
コンウェイ | じゃあ、ボクはこれで。音楽祭当日を楽しみにしているよ |
ティア | …月見音楽祭で野外ライブ…。なるほど、事情はわかったわ。でも、どうして私のところに? |
シェリア | 実は、私がショルダーキーボードで、マルタはギターをやる事になったんだけど… |
マルタ | 演奏しながらボーカルするのって難しくて…それで歌と言えばティアだからスカウトに来たの |
ティア | そういう事だったのね。…協力してあげたいけれど私で大丈夫かしら…? |
シェリア | 勿論よ!ティアの歌声、とても綺麗で素敵だもの |
マルタ | それにね、ライブは可愛い衣裳を用意してもらえるんだって!絶対に楽しいと思うんだ! |
ティア | 可愛い、衣裳…?それは、ええっと、その…ちょっと気になる…わね |
シェリア | …私もピアノは経験があるけど本格的にやっていたわけじゃないし… |
シェリア | ティアがバンドに入ってくれるととても心強いの |
ティア | …シェリア…ええ、わかった。私でよければ協力するわ。一緒にやりましょう |
マルタ | ホント!?ありがとティアー! |
マルタ | や、やった!一通り弾けたよ! |
シェリア | すごいわ、マルタ! |
ティア | ええ、大したものだわ。この短期間でこれだけ弾けるようになるなんて |
マルタ | 二人のお蔭だよ、ありがとう!でも、二人共、自分の練習は大丈夫?私に時間、使いすぎてない? |
シェリア | 心配してくれてありがとう。でも平気よ。キーボードの操作はもうバッチリだから |
ティア | 私も問題ないわ。課題曲も二人との合わせも出来たし後は、当日演奏する曲の作詞かしら? |
マルタ | ごめん。そっちはもう少しかかりそう |
マルタ | シェリアがすっごく素敵な作曲をしてくれたのに… |
シェリア | 全部が初めてなんだから気にしないで |
シェリア | むしろギターの練習と作詞を同時に進めてるマルタはすごいわよ |
ティア | ええ。自信を持っていいと思うわ。ただ、これ以上時間をかけられないのも事実ね… |
シェリア | なら合宿で仕上げるのはどう? |
ティア | 合宿…いい考えね。三人で考えれば上手くまとまるはずよ |
マルタ | …ありがとう、シェリア、ティア。じゃあ、早速合宿の準備をしなくちゃ |
シェリア | ふふ、その前に予定があるでしょ?ライブの衣裳合わせに行かないと |
マルタ | うん、カワイイ!特にピンクのフリルが超カワイイ! |
シェリア | 違う意匠が上手く噛み合ってる…すごくいいわ、この衣装。ティアは… |
ティア | う、うぅ…。あの、これ、肩とか胸元とか足とかいろいろ出すぎじゃない…? |
マルタ | わぁー…!ティア綺麗ー!大人の魅力が溢れてる… |
シェリア | うん、ものすごく溢れてるわ…。ホントに似合ってる… |
ティア | そ、そう…かしら? ありがとう。二人にそう言ってもらえてちょっとホッとしたわ |
ティア | 二人の衣装もすごく素敵よ。いつも以上に可愛らしくて羨ましい… |
コンウェイ | それはステージ用の衣装かな?三人共、それぞれのよさが出て似合ってると思うよ |
マルタ | あ、コンウェイさん。今日もお祭りの準備のお手伝い? |
コンウェイ | そんなところさ。キミ達は衣裳合わせと舞台の視察かな? |
ティア | ええ。少しでも本番当日の空気感に触れておきたくて |
コンウェイ | いい心がけだね。ところで、当日演奏する曲の制作はどうなんだい? |
マルタ | そ、それはその~…。勿論順調だよ?ホ、ホントに! |
コンウェイ | それはよかった。音楽祭は沢山の人が見に来るからね。とても盛り上がるはずだよ |
マルタ | そ、そうだよね。うん。き、期待しててね |
シェリア | 来てくれた人達をガッカリさせられないものね。しっかり練習しなくちゃ |
コンウェイ | …… |
マルタ | コンウェイさんにはああ言ったけど…全然言葉が出てこないよ~… |
シェリア | 簡単に出来るとは思ってなかったけど作詞ってこんなに難しいのね… |
ティア | テーマの選定からやり直しましょう。マルタ、歌を通して伝えたい事とか何かないかしら? |
マルタ | 伝えたい事…?う~ん、そうだなぁ…。やっぱり愛、かな? |
シェリア | それは、エミルへの? |
マルタ | 勿論!シェリアも作曲の時にアスベルの事を想って~とか呟いてたでしょ?アレと同じかな? |
シェリア | な、ななな、何の事、かしら!?私はそういうつもりじゃ…! |
ティア | ふふ。それならテーマは決まりね。私達が作るのはラブソング。詞の内容は… |
マルタ | 私のエミルへの愛を綴ればいいんだ。うんうん、それならいくらでも出てきそう…! |
シェリア | …曲の方、ちょっといじっていい? |
ティア | ええ、勿論よ。私も手伝うわ |
コンウェイ | …人の入りは上場。準備を手伝った甲斐があったね |
??? | ここが音楽祭の会場か…。みんなの出番はいつ頃なんだろう |
コンウェイ | そろそろのはずだよ。早めに行って席を確保しておくかい? |
??? | うん。その方がいいと思う。ギリギリに行って席が埋まってると困るしね |
コンウェイ | そうだね。ペンライトの準備もして万全の態勢で臨むとしようか |
マルタ | そろそろ出番か…。うぅ~緊張してきたぁ~…!失敗しないかな…? |
シェリア | あんなに練習を重ねたんだから大丈夫よ。ほら、深呼吸して。すぅ~はぁ~… |
ティア | ふふ。今日はエミルとアスベルも来るんでしょう? 頑張らないと |
シェリア | けほっ、こほっ!そ、それは、えっと、あの…!実は…呼んでない、の… |
マルタ | うん…歌詞の内容的に何というか。その…直球すぎて…聴かれるとさすがに恥ずかしいっていうか… |
係員 | 間もなくお時間です!ステージまでお願いします! |
ティア | そろそろ時間みたいね。でも、まさか二人を呼んでいないとは思わなかったわ |
ティア | 次の機会には必ず呼びましょう。二人共、きっと喜んでくれるはずよ |
マルタ | 次の、機会か…うん。もし次があればそうするよ。ね、シェリア |
シェリア | ええ、そうね |
コンウェイ | ついに彼女達の登場か。さぁ、二人共、出番だよ |
エミル | マ、マルタ~~~~!が、頑張れ~~~~! |
アスベル | エミル、ペンライトを振ろう!シェリアー!頑張れよ! |
シェリア | アスベル…!? |
マルタ | エ、エミルまで…!?あぁ、横にコンウェイさんがいる!?さてはコンウェイさんの仕業じゃ… |
ティア | 二人共、落ち着いて。さっき言っていた次の機会が今になっただけの事よ |
ティア | 気持ちの準備はまだかもしれない。でも、だからこそ、二人の感情がストレートに伝わるはずだわ |
シェリア | ティア… |
マルタ | …!シェリア、やろう! |
シェリア | …ええ!ティア、お願い! |
ティア | 勿論!さぁ、はじめましょう! |
Name | Dialogue |
---|---|
麗しのファッションショー | |
スタッフ1 | プレセアさん、やはり船は── |
プレセア | そうですか… |
マリク | エステリーゼ様、ここが「ブラック・コレクション」の会場となります |
エステル | …この街は、古くから深黒染めのサテン生地を特産として発展してきた歴史を持つ── |
エステル | そのため黒はこの街のシンボルであり「ブラック・コレクション」は一大イベントとして有名である、です |
マリク | よくご存知で。エステリーゼ様はこの街にいらっしゃった事がありましたか? |
エステル | いえ、訪問は初めてです。でも予習はしてきました。何しろ今回はレザレノ・カンパニーが出資して── |
プレセア | あの… |
エステル | プレセアじゃないですか!もしかして、プレセアも「ブラコレ」の見学ですか? |
プレセア | いえ、リーガルさんの手伝いで臨時スタッフとして「ブラコレ」の運営に参加しているのですが… |
エステル | …もしかして、何かあったんです? |
プレセア | はい。実は── |
マリク | ファッションショーの主役モデルと専属スタッフが、定期船のトラブルで来られないとは… |
プレセア | 結果、ショーは中止となりました…せっかくみなさん楽しみにしていてくれたのに…申し訳ありません |
マリク | プレセアが謝る必要はない。定期船のトラブルは運が悪かったとしか言いようがないからな |
プレセア | ですが、エステルさんやマリクさんをはじめ沢山の方が来られているのに…。残念です… |
エステル | プレセア… |
エステル | あ、あの!主役モデルさんの代役の方はいらっしゃらないのでしょうか? |
プレセア | はい…今いる方々はあくまでも運営のスタッフなので、モデルの仕事をされている人はいません |
エステル | そうなんですね…うーん、何とかわたし達にお手伝い出来る事があればいいんですが… |
エステル | あ、そうです!マリク、モデルさんの代役、出来ませんか? |
マリク | オレが…ですか? |
エステル | はい!マリクなら背も高いですしモデルさん役にはぴったりだと思うんです! |
マリク | …わかりました。モデルの仕事は初めてですが、エステリーゼ様の命とあらば、見事こなしてご覧に入れます |
プレセア | 気持ちはありがたいのですが…今からマリクさん用の衣装を選定するのは難しいのでは… |
マリク | ふむ、確かにブラコレの衣装はどれも特殊な作りの物が多いな。着こなすのは難儀か |
プレセア | はい…専属スタッフの方がいないと、正しく着用するのも難しくて…試しにスタッフが着てみたんですが… |
スタッフ2 | ねぇ、やっぱり駄目!?駄目かしら!?もう私がランウェイを行くしかないと思うの! |
プレセア | … |
マリク | ふむ…言われてみれば、確かに。全体がちぐはぐな印象というか |
エステル | 装飾品も浮いてる気が…?何だかシルエットも不自然ですし |
プレセア | …見ての通り、「ブラコレ」衣装は専門家の方でないと、コーディネートそのものが困難なんです |
マリク | 素人のチョイスでは思い通りの魅力的な衣装にはならないというわけか… |
エステル | やっぱり専門的な知識を持つ方が必要なんですね…どこかにいらっしゃらないでしょうか…? |
マリク | 残念ですが、そう都合よくは… |
??? | この展示品は…特注の夜会服か。特徴的な拝絹付きのピークドラペルに裏地には金の刺繍が施されている |
プレセア | この声は… |
テュオハリム | 敢えて人目に付かぬ部位にこそ技巧を凝らす矛盾…衣装でありながら同時に見る者の見識をも問う、というわけか |
テュオハリム | 視線の主体と客体の交差がテーマとはよくいったものだ。なるほど、これは期待も膨らむというもの |
エステル | テュオハリム!プレセア、彼の知識なら、もしかすると…! |
プレセア | は、はい!あの、テュオハリムさん…! |
テュオハリム | ?何かね? |
テュオハリム | …事情は承知した。来られなくなった専門スタッフの代わりを、私に任せたい、と? |
プレセア | 急なお願いでごめんなさい…ですが何とかショーを開催したいんです。力を貸してもらえませんか…? |
エステル | わたしからもお願いします!テュオハリムの知識があればきっと衣装を着こなせると思うんです |
テュオハリム | 知識と言ってもね。書で読んだ内容そのままを誦じてみせただけだ。言わば付け焼き刃にすぎないのだが… |
テュオハリム | しかし、付け焼き刃とて刃は刃か。服飾は専門ではないが、それでもよければ微力を尽くそう |
プレセア | あ…ありがとうございます!では、次はモデル役が出来る方を捜しに── |
テュオハリム | いや。モデルは君達だ |
プレセア | えっ? |
テュオハリム | 衣装もまた一つの表現。であれば私が人となりを知る君達を題材にするのが適切と言えるだろう |
マリク | なるほど…確かにその通りだ。モデル役、引き受けさせてもらおう。エステリーゼ様も是非 |
エステル | わ、わたしもです!? |
エステル | このデコルテなんかどうです?裾の形もとても個性的で可愛いと思うんですが── |
テュオハリム | 悪くない選択だが、少々教科書的とも言える。ここは一つ、より鮮烈な漆黒の色彩に挑戦してみてはどうかね? |
プレセア | こちらのスカートはどうでしょうか…? |
テュオハリム | ふむ…君に黒はよく馴染む。なればこそ衣装が君に負けてしまう。もう少し華奢な品を選んだ方がいい |
マリク | これはどうだ、テュオハリム。この装いに…黒眼鏡を足して夜でも敢えて視線を隠す、という方針だ |
テュオハリム | …ほう、それは面白い。女性陣とは少々テイストは異なるが君らしい黒の表現は確かにそれだ |
マリク | よし、ならオレのコーデは決まりだ。この手の装いは初めてだが、こいつは傑作の予感がするな…! |
テュオハリム | ああ、早速着替えてくれ給え |
エステル | ああっ、マリクだけずるいです…!プレセア、わたし達も頑張りましょう! |
プレセア | はい…!テュオハリムさんの審美眼に敵うように…! |
プレセア | 着替えは何とかなりましたが…あの、おかしくないですか…? |
エステル | とってもお似合いですよ、プレセア!すごく可愛いです!モデル役にぴったりです! |
プレセア | あ、ありがとうございます…。エステルさんこそ、本当に綺麗です。見とれてしまいます… |
エステル | ありがとうございます。テュオハリムのお蔭ですね。知識も審美眼もお見事でした |
マリク | 全くです。こちらの衣装も警護に対応出来る完璧な装いですよ |
エステル | ええ、マリクもバッチリですね。テュオハリムのお蔭で何とかショーを開催出来ますね! |
??? | それは何よりだが…何故、私まで…? |
エステル | せっかく、いい衣装の組み合わせが見つかったんです。モデル役も是非、ご一緒しましょう! |
プレセア | エステルさんの言う通りです。それに、この街の文化を身をもって体験出来る貴重な機会だと思います |
??? | 同じ目線で文化を味わうには己もそこに身を浸す必要がある、か。確かに、道理ではある |
テュオハリム | どうかね? |
スタッフ3 | 着付けが大変でしたが、何とかなりました! |
プレセア | …! |
テュオハリム | …ん、私には似合わなかったか |
エステル | ち、違うんです!ついびっくりしてしまって… |
マリク | 似合いすぎて驚かれるな、テュオハリム。さて、早速だが次は舞台上での所作を教えてもらえるか? |
テュオハリム | む、それは失敬した。そうだな、君達はモデルとして、身に纏う黒を際立たせる振る舞いを学ぶ必要がある |
テュオハリム | ──そうだとも。靴底が刻む調べを意識し給え。足元を見てはいけない。背筋を伸ばし、視線は前を向くといい |
プレセア | こ、こうでしょうか…!? |
マリク | 流石のオレも、ランウェイ上での所作は学んでいません。テュオハリムに知識があって助かりました |
エステル | 本で読んだ、と言ってましたが…すごい知識量です!わたしも負けていられません…! |
マリク | その意気です。このまま彼のアドバイスに従って練習し、ショー本番に備えましょう |
テュオハリム | 次は君の練習の番だ。さぁ、ランウェイへ |
エステル | あっ、は、はい! |
テュオハリム | そう…夜の帳が降りるように。君の歩みが、今は黄昏の潮目となる。まずはゆっくりと歩んで見せ給え |
エステル | こ、こうでしょうか!? |
テュオハリム | 否、それでは黒の衣装が際立たない。君が黒を体現するのだ。意識し給え、君自身が夜陰の影となる事を |
エステル | ど、どういう意味です!? |
プレセア | テュオハリムさんの表現は難解です… |
マリク | そうでもない。テュオハリムの言葉は詩的だが、だからこそ直感的に理解出来る。こんな感じじゃないか |
テュオハリム | む…!見事だ、マリク!宵闇に舞う一陣の風の如し。その歩み、まさに一つの作品だ |
エステル | どうしてマリクはそんな簡単に出来ちゃうんです!? |
プレセア | 直感的に、感じ取る…私が黒を、表現する… |
プレセア | …私、やってみせます。リーガルさんから預かった、大切な仕事ですから…! |
エステル | プレセア…!そうですね。わたしも、頑張ります! |
Name | Dialogue |
---|---|
トマト争奪!収穫祭リレー! | |
ユリウス | …これが噂に聞く収穫祭か。すごい人混みだな。ルドガー、エル、迷子になるなよ? |
ルドガー | 俺まで子ども扱いして…兄さんこそ、随分楽しそうじゃないか |
エル | トマトなげにトマトおもさくらべ、トマトすくいにトマト仮装大会…?なんかこのお祭り、トマト多いー… |
ルドガー | この街の特産品の一つがトマトだからな。兄さんがはしゃぐのも無理ないさ |
ルル | ナァ~ |
エル | ルルも、メガネのおじさん今日テンション高いって! |
ユリウス | 今日はガイアス王に招待されてみんなでこうして来られたんだ。楽しまないとむしろ失礼だろう? |
ユリウス | このお祭り用の正装だってわざわざ用意してもらったしな。これは、たぶん高級品だぞ |
エル | うん、トマトばっかりなのは嫌だけどこの服は悪くないよね。かわいいし、エルにぴったり! |
??? | ふふ、そう言ってもらえると嬉しいわ♪ |
??? | 楽しんでいるようで何よりだ |
エル | 王様とミュゼ!みんなおそろいなんだ! |
ミュゼ | ええ、みんなに似合うようにオーダーメイドで作ってもらったの |
ルドガー | 旅費から衣装代に宿代…何から何まで手配してくれてありがとうガイアス。楽しませてもらってるよ |
ガイアス | こちらから呼びつけたのだ、気にするな。それより、今はアーストと呼んでもらおう |
ミュゼ | 今日はお忍び参加なの。だからバレないように協力してくれる? |
ユリウス | そういう事であれば、勿論協力させてもらうさ、アースト。…こんな感じで大丈夫だろうか? |
ガイアス | ああ。ところでお前達、この祭りのメインイベントについて知っているか? |
ルドガー | あっちでやってるトマト投げかな。それとも、新鮮野菜大食い大会? |
ユリウス | それらも有名だが、この祭りの目玉は「収穫祭リレー」だ、ルドガー |
ユリウス | 大昔、この街を統治していた領主は変わり者だったらしくてな。祭りの度一族郎党を率いて競争したそうだ |
ユリウス | その伝統が今もこの街には残っていて三人一組のチームで速さを競う──それが「収穫祭リレー」という話だ |
ガイアス | ほう、詳しいな。ならば話が早い。お前達、収穫祭リレーに出場する気はないか? |
エル | エルたちが? |
ミュゼ | 収穫祭リレーの出場条件は「大人二人に子ども一人」なの。あなた達、ぴったりじゃない? |
ガイアス | お前達ならば優勝も狙えるだろう。優勝商品は、この街の特産品である最高級トマト一樽分だ |
ユリウス | …収穫量も少なく、市場には滅多に出回らないあのトマトを一樽か。それは豪華な話だな |
エル | …。ね、ルドガー。エル、収穫祭リレーに出たい! |
ルドガー | ?出るのは構わないけど…優勝してももらえるのはトマトだぞ? |
エル | あ。えっと…エル逃げるの得意だし、なんか面白そう、って思って |
ユリウス | 子どもの部の種目は障害物競走か。エルが同世代の子ども達と触れ合ういい機会じゃないか? |
エル | そ、そう!せっかくのお祭りだもん、エルも楽しいことしたい! |
ルドガー | …そうだな。それじゃ俺達三人で収穫祭リレーにエントリーだ! |
ガイアス | よく言った。手続きはこちらで済ませておこう。やるからには全力を尽くせよ |
ミュゼ | それなら、動きやすいいつもの服に着替えた方がいいかもしれないわね |
ルドガー | 確かに、その方が全力を出せそうだ。この服のままだと汚しそうで心配だしな |
エル | えー、もうきがえちゃうのー?…まぁ、めざすは優勝だもんね。うん、きがえてがんばる! |
実況スタッフ | 今年もやってきました収穫祭リレー!解説は大富豪のご子息アーストさんと付き人のミュゼさんでお送りします! |
ガイアス | アーストだ。よろしく頼む |
実況スタッフ | リレーは野菜食い競争、障害物競走、借り人競争の計三種目!ミュゼさん、注目しているチームはありますか? |
ミュゼ | そうね、気になるのはやっぱり初参戦のルドガーチームかしら。第一走者のユリウスもやる気十分よ |
ユリウス | 野菜食い競争…要はパン食い競走と同じだな。トマトだったら好順位でエルにバトンを繋げそうだが… |
実況スタッフ | 第一種目は、各走者ごとに用意された野菜を食べきらないと次走者にバトンを渡せない点に注意です! |
実況スタッフ | それではいよいよ開始です。収穫祭リレー、用意──スタート!! |
ユリウス | ッ!! |
ガイアス | ルドガーチームのユリウスが首位を取ったな。反射神経、加速力──いずれも見事なものだ |
ユリウス | よし、このまま野菜を…なっ…!?こ、これは…!? |
ミュゼ | ユリウスの野菜は…あら、おっきく黒々と実った、アレは… |
ユリウス | ナスだと!?くっ、なんて事だ…! |
実況スタッフ | おっと、ユリウス選手止まってしまった!なかなかナスに食いつけず次々と後続に抜かされていきます! |
エル | 大変!メガネのおじさん、ナス嫌いだ…! |
ルドガー | 兄さん…! |
ユリウス | …弟達の前で、格好悪い姿は晒せない |
ユリウス | うおおおおお! |
ガイアス | 見事だユリウス。このまま次走のエルに繋げれば十分に遅れは取り戻せるな |
ユリウス | ハァ、ハァッ…!すまないエル、リードを失ってしまった…! |
エル | ううん、後はまかせて、メガネのおじさん! |
実況スタッフ | 第二種目は障害物競走です!ルドガーチームのバトンを継いだエル選手、現順位は三位ですが── |
ミュゼ | あら、すばしっこい。どんどん障害物を抜けてくわね |
エル | いつもルルの子分達とおいかけっこしてるもん! |
ユリウス | ははは、すごいぞエル!しかし、エルがここまでやる気になるとは… |
実況スタッフ | エル選手、小柄な身体を活かし二位まで順位を上げました!そのままアンカーへとバトンを渡します! |
エル | はぁ、はぁ…!ルドガー! |
ルドガー | ナイスだ、エル!後は任せてくれ! |
エル | うん…がんばって!メガネのおじさんのために! |
実況スタッフ | 各チーム、アンカーにバトンが渡りました。トップに躍り出たのはルドガー選手!! |
ガイアス | ルドガーの独走か。だが、第三競技の正念場はここからだ |
ミュゼ | クジを引いて、書かれているお題に沿った人を連れてこないとゴールは出来ないのよね。ルドガーのお題は… |
ルドガー | …「偉い人」…? |
実況スタッフ | 「偉い人」!ルドガー選手のお題は「偉い人」のようです!果たしてこの会場で偉い人を見つけられるのか!? |
ミュゼ | 他チームの選手は「顎髭のある人」「執事」「白衣を着ている人」「新聞記者」なんかを引いたみたいね |
ルドガー | あの、そこのおじいさん!実は偉い人だったりしないですか!?あ、違いましたか…そうですか… |
ルドガー | くっ、偉い人が全然いないぞ!?でも、お忍びで参加しているガイアスを頼るわけにはいかないし… |
ミュゼ | ルドガー、ガイアスがお忍びだから声をかけないのね |
ガイアス | あいつはそういう男だ |
エル | えらい人ー!えらい人いないー!? |
ユリウス | ルドガー、こっちだ!こいつを連れていくんだ! |
ルル | ナァ~~~♪ |
ルドガー | 兄さん!?どうしてルルを…いや、確かに近所じゃボス猫だけど! |
ユリウス | 説明している時間はない。俺を信じてくれ、ルドガー! |
ルドガー | …わかった! |
実況スタッフ | ルドガー選手、猫を抱えてゴールへ向けてラストスパート!他チームの選手をごぼう抜きです! |
ルドガー | うおおおおおおおおおおおおおっ!! |
実況スタッフ | ルドガー選手、一着でゴ───ル!!しかしお題の方は大丈夫でしょうか?審判の判定は── |
エル | ルドガー、優勝おめでとう!! |
ガイアス | …なるほど。収穫祭の創始者は猫に爵位を与え、人と同等に扱う愛猫家だった、というわけか |
ミュゼ | だからルドガーは「偉い猫」でも合格だったのね。それにしてもユリウス、よく知ってたわね? |
ユリウス | たまたま昔、本で読んだのさ。お蔭で優勝出来たんだから何気ない豆知識も侮れないな |
エル | ルドガーやったね! |
エル | これでメガネのおじさんにおいしいトマト、お腹いっぱい食べさせてあげられるよ! |
ルドガー | みんなのお蔭さ。エルもありがとう |
エル | えへへ…エルはルドガーのアイボーだし! |
ルドガー | そうだな。さて、それじゃ今日は腕を振るうぞ。何しろ、最高級のトマトだからな! |
ユリウス | トマト嫌いのエルがあれほどやる気を出すのは妙だと思ったが…。俺のためだったのか |
ルドガー | はは、そうだよ。今日はトマトソースパスタも作るから、期待しててくれよ? |
ユリウス | 全く…お前達は。…。ルドガー、エル…ありがとうな |
ミュゼ | あらルドガー。何を作ってるの? |
エル | あっ、それア・ラ・モード!?エル、それ好き! |
ガイアス | この匂い…なるほど、甘味か。ルドガーの腕前は承知している。その技巧、今こそ俺に見せてみろ! |
ルドガー | うわっ!?みんな落ち着け、まだ調理中…待てガイアス、つまみ食い厳禁だ! |
ユリウス | やれやれ…だが、こんな賑やかなのも悪くないな |
Name | Dialogue |
---|---|
最恐!お化け屋敷決定戦 | |
アスベル | ふぅ…こんなものかな |
ジュディス | お客さんを驚かせそうな仕掛けは出来たかしら? |
アスベル | ああ。昔、ヒューバートに仕掛けたイタズラを参考にしたんだ |
アスベル | 首筋に垂れる水滴に、突然出て来る怪物の顔…どれも上手く出来たと思う |
ジュディス | 『最恐!お化け屋敷決定戦』で優勝出来るわね |
アスベル | ああ!…と言いたいところだけど手強そうな参加者も大勢いるしそう簡単にはいかないかもな |
アスベル | お化け屋敷は今回のハロウィンの目玉だから、みんな気合いが入ってるんだ |
ジュディス | あら、このメンバーなら勝てると思っているわよ? |
アスベル | 勿論、俺も信じてるよ。だけど時間が許す限り最善を尽くそうと思うんだ |
ジュディス | ふふ、なるほどね |
アルフェン | アスベルの言う通りだな。俺ももう少し調整しよう |
すず | いえ、あのぐらいでいいかと… |
アスベル | アルフェンに、すず。二人共お疲れ様。仕掛け作りは上手くいったか? |
アルフェン | ああ。俺はゆらゆらと燃える火の玉を作ったんだ |
アルフェン | 少し作りすぎてお化け屋敷にしては明るくなってしまったかもしれないが |
すず | たくさんの人魂が浮いているみたいでいいと思います |
アルフェン | ありがとう。アスベルとジュディスもよかったら一度見てくれないか |
アスベル | ああ。後で、みんなで一通り見て回ろう |
アスベル | すずは、どんな仕掛けを作ったんだ? |
すず | ありきたりな仕掛けですが… |
すず | 隠し扉に回転床、落とし穴に、矢の降る通路… |
すず | 勿論、怪我をしないよう、柔らかい矢を使用しています |
ジュディス | 忍者ならではという感じね |
すず | 家屋内の仕掛けで来訪者を驚かせるといえばこれだと思ったのですが… |
すず | 今思うと、お化けという主題には沿っていないかもしれません… |
アスベル | それはそれで楽しそうだしいいんじゃないかな |
アスベル | …そういえば、ジュディスはどんな仕掛けを作ったんだ? |
ジュディス | うふふ、私のは単純な仕掛けよ |
ジュディス | 一見、何もなさそうな空間だけどよく見ると顔が浮かび上がっていたりどこからか苦しそうな声が聞こえたり |
アスベル | それは… |
アルフェン | 確かに怖いな |
すず | 背筋がぞっとしますね |
アスベル | …みんなの仕掛けを組み合わせたらもっと面白い仕掛けが作れそうだな。まだ時間もあるし、作ってみないか? |
アスベル | うめき声が聞こえると思ったら隠し扉があって、火の玉が飛び出してくるとか |
アルフェン | 派手な上に、不気味さもあっていいな。やってみよう! |
すず | でしたら、今ある仕掛けに意見を出しあってもう一工夫するのはいかがでしょう |
すず | 私の仕掛けもお化け屋敷らしくなるかもしれません |
ジュディス | いいわね。やる価値はあると思うわ |
アスベル | それじゃあ、みんなで見て回りながらお互いに改造案を出し合おう |
アスベル | よし!お化け屋敷完成だ! |
すず | みなさんの案が上手く混ざっていい仕掛けが出来ましたね |
アルフェン | これならきっと優勝を狙えるぞ |
ジュディス | そうね。楽しみだわ |
アルフェン | いよいよ本番だな。お化け屋敷の準備は万端だ。みんな、衣装も問題ないか? |
ジュディス | ええ。準備の時から着ていたからすっかり着慣れたわ |
すず | そうして自然に振舞えるようにすれば本番で緊張しなくて済むという作戦でしたね |
アスベル | かっこいい服だから着ていたかったっていうのも本音だけどな |
ジュディス | 確かに、本番だけしか着ないのはもったいない素敵な服だものね |
すず | この衣装を用意してくださったアルフェンさんのお知り合いの方…ただ者ではありませんね |
アルフェン | ああ、衣服のこだわりがすごいんだ。今日は近くの『仮装作り大会』に参加してる |
アスベル | そうなのか、みんなでお礼を言いに行かないとな |
アルフェン | そうしてくれると、きっと喜ぶよ。ところで、そろそろお客さんが来始める時間じゃないか |
ジュディス | お客さんが来たら、私達が順に案内役として一緒に入るのよね |
アスベル | ああ。一組につき一人がついて入って、誰か一人は入口に残るように頼む |
アルフェン | 確かこの大会は、お客さんにアンケートで採点してもらうんだったな |
ジュディス | それじゃあ、案内役はお客さんに楽しんでもらえるよう頑張らなくちゃいけないわね |
??? | あっ、アスベル! |
カノンノ | みんなも!もしかして、お化け屋敷作ったの? |
アスベル | いらっしゃい、カノンノ。それと… |
リタ | ちょ、ちょっと、カノンノ。待ちなさいって |
ジュディス | あら。珍しいお客さんね |
リタ | 別に来たくて来たんじゃないわよ。カノンノがハロウィンのお祭りに行くって言うからついて来ただけ |
リタ | まさか、こんなお化け屋敷大会をやってるなんて知らなかったわ |
アルフェン | 二人共、入って行かないか?みんなで作った自信作なんだ。是非、感想を聞かせてほしい |
カノンノ | 面白そう! |
リタ | えっ。あんた入りたいの? |
カノンノ | うん!リタは入らないの? |
リタ | あたしは…ちょっと疲れちゃったし?ここで休んで待ってる事にするわ |
カノンノ | 疲れたって…今来たばかりで、ほとんど歩いてないよ? |
ジュディス | ふふ、お化けが怖いって恥ずかしくて言えないのよね |
リタ | はぁ?べ、別に怖くなんてないわよ!あんた達が作った仕掛けがあるだけでしょ! |
リタ | どんな仕掛けだろうと、全部見破れるんだから! |
すず | それは…ある意味、忍者への挑戦ですね。私がご案内します |
リタ | いや、別に入るとは言ってないけど… |
カノンノ | ねぇ、お願い!せっかく一緒に来たんだし、リタと楽しい思い出を作りたいな |
リタ | うぅ…しょうがないわね。わかったわよ、行けばいいんでしょ |
カノンノ | やったぁ!リタ、ありがとう! |
リタ | 何か口車に乗せられた気もするけど…元々怖くも何ともないし、平気よ!さぁ、そうと決まれば案内しなさい! |
すず | では、こちらにどうぞ |
アスベル | 何だかんだで初めてのお客さんだ。俺までドキドキしてきたよ |
リタ | ひぃぃっ、冷たっ!なになになになに!? |
カノンノ | びっくりした!水滴だね |
すず | タオルを用意してあります。どうぞ |
リタ | 次は火の玉!?青とか緑とか…こ、こんなのただの炎色反応よ!? |
カノンノ | すごい、火の玉たくさんで綺麗! |
すず | 触れると危険ですので気を付けてください |
リタ | うわぁっ!何!?か、隠し扉…!?悔しい、こんな単純な仕掛けで…! |
すず | 単純な仕掛けを巧妙に隠し、驚かせるのも忍者の技術ですから |
カノンノ | 全然気付かなかったよ!こんな風に隠してるんだね。面白ーい! |
リタ | って、か、顔!よく見たら扉の向こうに顔が浮かんでるー! |
カノンノ | きゃっ、本当だ!びっくりした! |
すず | ふふ、驚かれましたか?仕掛けはまだまだありますよ |
リタ | はぁ、はぁ…やっと出口…? |
リタ | ま、まぁまぁだったわね! |
カノンノ | あー、ドキドキして面白かった! |
すず | 楽しんでいただけたようで、よかったです |
アスベル | みたいだな。よかった |
ジュディス | お客さんもどんどん来始めたわね |
アルフェン | よし、次は俺が案内してこよう |
カノンノ | ねぇ、リタ。私達も次のお化け屋敷に行こう!採点するなら、見比べないと! |
リタ | それはそうかもしれないけど…ううっ…ちょっと休憩させなさいよ… |
ジュディス | ふふ、あの子の苦難はまだ続きそうね |
アルフェン | ふぅ…これで何組目だ?休む間もないくらい盛況だな |
アスベル | 好評なのは嬉しいけどここまでとは思わなかったな |
ジュディス | 評価が高い証拠…だといいのだけれど |
すず | みなさん。アンケートの途中結果が出ました。私達、1位だそうです |
アスベル | 本当か!? |
ジュディス | それを聞くと、頑張り甲斐が出て来るわね |
すず | ただ、2位との差は僅差だそうです。まだ気は抜けません |
アルフェン | そうか。これはますます気合いを入れないとな! |
アスベル | ああ。このまま首位を守り抜こう! |
Name | Dialogue |
---|---|
守り神への贈りもの | |
カイル | あ、ここだよ!オレ達の事を招待してくれた村! |
リアラ | のどかな村ね。ここでお祭りがあるの? |
カイル | うん!村の守り神に感謝を捧げるお祭りなんだって |
ハロルド | さっき石碑があったわよ。飢饉に陥った時に祈りを捧げたら豊作になって救われた、って |
ナナリー | それにちなんだ祭りって事だね。でも、なんでカイルが招待されたんだい? |
カイル | 前にこの村が魔物に襲われてた時に助けた事があって、そのお礼に招待してくれたんだ |
ロニ | あー、そういやそんな事言ってたよな! |
ロニ | けど、俺達も一緒でよかったのか? |
カイル | うん。そのほうが盛り上がるからって |
ナナリー | そういう事だったらあんたは真っ先に選ばれるメンバーになるだろうね |
ロニ | おう!盛り上げるのは任せとけ! |
ナナリー | 褒めてないっての! |
ロニ | ん?そうだったのか? |
ジューダス | 騒がしくはなるだろうな |
村長 | カイルさーん! |
カイル | あ、村長さん! |
村長 | こんな山奥までご足労いただいて本当にありがとうございます。皆様、よくお越しくださいました |
リアラ | いえ。こちらこそ、ご招待ありがとうございます |
ナナリー | あたし達も楽しみにしてたんだ。もう盛り上がってるみたいだね |
ハロルド | みんな似たテイストの衣装を着てるのね。もしかして儀式に使うもの? |
村長 | はい、その通りです。皆様の分もご用意いたしましたのでぜひお召しいただきたく… |
ロニ | え、いいのか? |
村長 | もちろんです!さあどうぞ、皆様こちらへ |
カイル | ありがとう、村長さん!みんな、着替えよう! |
リアラ | ええ!どんな衣装なのかしら。楽しみね! |
カイル | みんな、着替えは終わった? |
ジューダス | ああ。…ずいぶん凝った衣装だな |
ハロルド | うんうん、見た目のわりに動きやすいし悪くないわ |
ナナリー | 着慣れなくてちょっと落ち着かないけどね |
ロニ | まあ、お前は自分で選ばない服だろうなぁ |
ナナリー | それはあんただって一緒だろ! |
カイル | でもよく似合ってるよ!みんなでおそろいの服を着るなんてお祭りって感じするね! |
リアラ | ふふっ、本当ね。あとは、はじまるのを待つだけだけど… |
村長 | な、なんだって!? |
ジューダス | どうした?何かあったのか |
村長 | そ、それが、この後の儀式で使う事になっていた供物が事故で届かなくなってしまったと… |
カイル | えっ?それが届かなくなっちゃうとどうなるんですか? |
ハロルド | 供物がないんだもの儀式が出来なくなるんじゃない? |
村長 | はい…儀式だけでなく、その後にはパーティーでも使う予定で… |
ロニ | えっ!?じゃあそっちも出来なくなっちまうって事じゃねえか! |
ナナリー | ここまで準備をしたのにそれじゃみんな困っちまうね |
リアラ | どうにか出来ないかしら…その供物ってどんなものなんですか? |
村長 | 供物は、近くの山に生息している魔物の肉なのですがなにぶん危険な場所で… |
村長 | ですので、せっかくお越しいただいたところ大変申し訳ないのですが今回の祭りは中止に── |
カイル | ちょっと待ってください!その魔物、近くにいるんですよね? |
村長 | はい、そうですが… |
カイル | だったら、オレ達がその魔物を狩りに行ってきます! |
リアラ | いいわね!わたし達6人で行けば魔物がいても大丈夫でしょうし |
村長 | いや!お客様にそこまでしていただくわけには… |
ナナリー | 遠慮する事ないよ。魔物と戦うのは慣れてるからね! |
ロニ | ああ!せっかく準備した儀式や祭りが無駄になっちまうのはもったいねえ |
カイル | このままになっちゃうなんてオレ達も嫌だから場所を教えてください、村長さん |
村長 | 皆さん… |
ジューダス | 放っておいても行くと言い出すようなやつらだ。気にする必要はない |
ハロルド | そういう事 |
村長 | ありがとうございます。本当に、どれだけお礼を言ったらいいか… |
カイル | それは、帰って来てからですよ!まずは無事に儀式が出来るように狩りに行ってきます! |
ナナリー | う~ん、いい空気だね! |
カイル | 本当だね!風景も綺麗だし、ちょっとワクワクするなぁ |
ジューダス | だが、魔物の気配がある。油断はするなよ |
リアラ | ええ。それに、神聖な気配も感じるわ。きっと村の人達の言う「守り神」じゃないかしら |
ハロルド | ふむふむ、つまり実際に守られた事があるのね。だからこその儀式なんだわ |
ロニ | こりゃあ、気合い入れて狩りをしねえとな! |
カイル | うん!村の人達に喜んでもらいたいしね! |
ジューダス | …無駄話をしていられるのはここまでのようだな |
魔物 | グルルルル… |
ハロルド | あら、気合いの入った魔物じゃない |
ロニ | へへ、気合いが入ってるのはこっちだって同じだぜ! |
ナナリー | ああ、儀式のためにも狩らせてもらうよ |
リアラ | ええ。待っている人達がいるんだもの。精一杯やらなくちゃ! |
カイル | よし、みんな頑張ろう! |
Name | Dialogue |
---|---|
開運!初詣と願いの絵馬 | |
ゼロス | あけましておっめでと~!みんなの晴れ着、とっても似合ってるぜ! |
オリエ | あけましておめでとうございます!ゼロスさんもよくお似合いです |
キサラ | あけましておめでとう。晴れ着を纏ってこのような場に来ると何やら背筋が伸びる思いだな |
ゼロス | キサラさまもこりゃまたお綺麗で…本当にその通り。背筋伸びまくっちゃって困るぜ |
ユナ | 背筋だけやのうて、鼻の下も伸びまくってるんとちゃうの? |
シンク | 元旦から節操なさすぎ。相変わらず煩悩の塊だね |
ユナ | 除夜の鐘も自分の無力さに落ち込んでまうわ |
ゼロス | シンクはわかるけどよ、ユナちゃん、久しぶりだってのに俺さまの扱いひどくない? |
ユナ | そんな事あらへんよ。長い事会うてなかったから忘れてもうたんとちゃう? |
オリエ | 本当にお久しぶりですね、ユナさん。到着が間に合ってよかったです! |
キサラ | 世界中を取材して回っていたそうだな |
ユナ | そやねん。けど、みんなとお正月したかったから嬉しいわ |
シンク | やっと順番がまわってきた。詣でるだけでも大行列、やってらんないね |
ゼロス | お、いよいよか!えーと、何か決まりあったよな。普通に手を合わせればいいんだっけ? |
ユナ | そ。手を合わせてくるっと右回り、そんで次はくるっと左回り、三回繰り返して「ワン」と鳴くんや |
ユナ | ウソやけど |
オリエ | もう、ユナさんったら!また嘘をついて! |
キサラ | 二礼、二拍手、一礼だったか。最後に何か言う必要はあるのか? |
オリエ | そうですね。今年の抱負や、願い事などを言ってもいいかもしれませんね |
シンク | こんなに大勢の願い事、一度に聞かされる神サマも大変だね |
ゼロス | 何ひねた事言ってんの!意地張らずにあんな事やこんな事お願いしちゃえよ、ほらほら |
シンク | ちょ、背中を押すな |
オリエ | 今年もみんな健康で、一緒に楽しくすごせますように… |
キサラ | 変わらず大切な人達を守り抜けますように |
ユナ | 抱負や願い事かぁ…いろいろあるんやけどひとまず── |
ユナ | めっちゃ面白いお正月になりますように♪ |
ゴゴゴゴゴ… | |
ゼロス | ん?何の音? |
シンク | この気配…境内に何かがいる! |
ギャオオオオン! | |
キサラ | 何だあの魔物は…!?白くて丸くて、まるで── |
オリエ | まるで、巨大な鏡餅…みたいですね…! |
ユナ | あかん!参拝客が大騒ぎや! |
ゼロス | 餅なら餅らしく大人しく焼かれろ!ファイアボール! |
シーン… | |
ゼロス | え、嘘でしょ?ここはカッコよく決まるとこじゃねーの? |
シンク | 何遊んでるわけ?サンダーブレード! |
シーン… | |
オリエ | どうやら何らかの力によって力を封じられているようです。みなさん、これを! |
ユナ | 何やのこれ。羽子板に、凧に、けん玉に、独楽…? |
ゼロス | 冗談キツいぜ。これで戦えっての? |
キサラ | 他に選択肢はないだろう。私はこの板を使わせてもらう。──はぁっ! |
オリエ | すごいですキサラさん!まるで盾のように羽子板を…! |
シンク | 仕方ないな。ボクはこれを使う。キサラ、援護を! |
キサラ | 任せろ。今だ、シンク! |
シンク | はっ! |
ユナ | 凧糸を使って餅オバケを縛りあげてはるわ。やるやないの |
ユナ | ほなウチとオリエは、独楽回しでもしとこか?ほら、こうして… |
オリエ | けっこうコツがいりますね。よいしょっと…えい! |
ギャアア! | |
ユナ | 初めてにしては、なかなか上手やないの |
オリエ | えへへ♪ |
ゼロス | 独楽ってこんな殺傷能力高いの!?ウソだろ…仕方ねぇな、じゃあ俺はこれで… |
ゼロス | よっ、ほっ、はっ…くそ!意外と難しいな! |
シンク | ちょっと、何けん玉で遊んでるのさ |
ゼロス | いや別に遊んでるわけじゃねーって。っしゃー!、はまったぁ! |
オリエ | すごいです、ゼロスさん!…あれ?何だかけん玉の様子が… |
キサラ | 爆発するぞ!魔物に向かって投げろ! |
ゼロス | おいおいおいおい、マジかよ!?これでも食らえっ! |
ギャアアアアアアアアアア…! | |
ユナ | たーまやー |
オリエ | すごい威力です。けん玉型の爆弾だったんですね…。何て危険な… |
ゼロス | いやいやいや、これ準備したのオリエちゃんでしょ? |
ユナ | なぁ、餅オバケの様子何やおかしない? |
キサラ | 何だ?ぶるぶる震えて膨らんで…!!伏せろ! |
パーーーン! | |
ゼロス | うわーっ!! |
オリエ | ゼロスさん!大丈夫ですか、ゼロスさん! |
ユナ | うわ、酷い…!爆発四散した餅にとりこまれてもうたわ… |
キサラ | 待っていろ、今助ける!くっ、べたべたして取れないな…! |
シンク | しばらくそのままにしておけば? |
ゼロス | くそー!何で俺さまだけ!助けてくれ~!! |
ゼロス | うわ~っ!! |
シンク | うるさいな。目が覚めたんなら、さっさと手伝ってよ |
ゼロス | え…?餅は…?巨大な餅が爆発して… |
シンク | 何寝ぼけてるのさ |
オリエ | ゼロスさん、起きたんですね!もー、だから言ったじゃないですか。飲みすぎですよって! |
キサラ | 初日の出が肴とはいえ、程度はわきまえないとな |
ゼロス | そっか、俺、日の出見て二度寝して…新年早々嫌な夢見たぜ。初詣に行ったら餅の魔物がいてな |
シンク | 正夢だったりしてね |
ゼロス | ないない。夢の中とは大きな違いがあんのよ。ここにユナちゃんがいて── |
ユナ | あけましておめでとさん。遅なってごめんな |
オリエ | ユナさん!到着が間に合ってよかったです! |
キサラ | 世界中を取材して回っていたそうだな |
ユナ | そやねん。けど、みんなとお正月したかったから嬉しいわ |
シンク | …で、ユナが何だって? |
ゼロス | ハハ…ま、まさかね… |
キサラ | ちょうどおせちとお雑煮が出来たところだ |
オリエ | 新年会を始めましょう♪改めましてみなさん、あけましておめでとうございます! |
全員 | あけましておめでとうございます! |
ユナ | や~、随分豪勢やないの!これ、オリエ達が作ったん? |
オリエ | はい!キサラさんと腕によりをかけて作りました! |
ゼロス | 美味いおせち、美味い酒、それに晴れ着姿のハニー達…今年はいい事ありそうだぜ |
ユナ | せやなぁ。おせちとお雑煮食べ終わったら、みんなで初詣も行かへん? |
キサラ | ああ。行こう。さきほど、オリエともそう話していたところだ |
ゼロス | ちょちょ、ちょっとユナちゃん?一つだけ俺さまのお願い聞いてくんない? |
ユナ | 何やの、顔真っ青にして? |
ゼロス | やっぱりさ、平和って何事にも代えられない尊いものだと思うわけよ! |
ゼロス | だから初詣で神様にはこう言って?「めっちゃ平和なお正月に なりますように」…てね! |
Name | Dialogue |
---|---|
雪像コンテストは大乱戦? | |
ファラ | 見てこれ!すっごくかわいい!雪の結晶モチーフの髪飾り♪ |
ロイド | 巨大雪まんじゅうだってよ!でっけぇ!みんなで食おうぜ! |
ヴェイグ | スノーフェスタか…雪にちなんだ品が多いんだな |
リタ | シルヴァラント名物ってだけあってすごい賑わいね。それにしても…あんた達、寒くないの? |
ロイド | このくらいどうって事ないぜ! |
ファラ | 慣れたらイケる、イケる! |
リタ | あ、そう…あたしは寒いわよ |
ファラ | リタ、大丈夫?あ!あれ飲んであったまらない? |
ロイド | スノーフェスタ特製のスペシャルホットドリンク!?飲もう飲もう! |
リタ | 寒い時に飲む、ホイップ多めのココア。最適ね…温まるわ |
ヴェイグ | ああ。こうして雪を眺めながら寛ぐのも、悪くない祭りのすごし方だ |
ロイド | これ美味いなあ。後でコレット達にも飲ませてあげたいな |
ファラ | 喜びそうだね!わたしは、今日忙しくて来れなかったリッド達に、お土産買って帰るよ |
ヴェイグ | ファラ、さっき見ていた髪飾りの店、あとで案内してくれないか? |
ファラ | 勿論!クレアにあげるの? |
ヴェイグ | ああ |
リタ | あたしもあいつらに、何か買って帰るか |
ロイド | なあ、スノーフェスタって雪見てココア飲んでお土産買って…それで終わりなのか? |
リタ | まさか。目玉は雪像コンテストよ |
ロイド | 雪像コンテスト!? |
リタ | 毎年参加者が腕によりをかけて巨大な雪像を作って優勝を競うの。ほら、会場はあっちよ |
ファラ | 面白そうだね!見に行こ! |
ロイド | すっげぇ~!! |
ファラ | 大きいね!! |
ヴェイグ | 圧巻だな。今にも襲ってきそうだ |
リタ | 氷の術とかは使わずに雪像を作るのがルールみたいね |
ファラ | ねえ、飛び入り参加出来るみたい、優勝したら豪華賞品がもらえるって! |
ロイド | 何だって!?っしゃー、やるっきゃねぇな! |
ファラ | 勿論、参加するよね!リタ!ヴェイグ! |
ヴェイグ | オレは… |
リタ | あたしはパス。アドバイスくらいならしてあげるわよ |
リタ | 客観的に見るのも必要でしょ? |
ロイド | たしかに。さすがリタだな。じゃあ俺とファラとヴェイグでそれぞれ作ろうぜ! |
ファラ | いいよ!負けないんだから! |
ヴェイグ | …わかった、やってみよう |
ファラ | よいしょ、っと…じゃーん!自信作だよ! |
ロイド | これでどうだ! |
ヴェイグ | ここはもう少し削って… |
リタ | どれどれ。ファラのそれは…巨大オムレツ? |
ファラ | 大正解!オムレツのなめらかなフォルムと、ケチャップの表現にこだわったの♪ |
リタ | 題材から意外性があるわね。ロイドはノイシュ型の雪だるま? |
ロイド | おう!ちょうどいい氷を見つけたんだ。ノイシュの耳にぴったりだろ? |
リタ | そうね、可愛いじゃないの。で、ヴェイグは… |
ファラ | すごい…!このシャオルーン、今にも動き出しそう… |
ロイド | しかも大きいな!!この短時間でよくここまで…! |
ヴェイグ | いや、まだ仕上がっていない。もう少しここに手を加えて… |
リタ | こだわりがすごいわね。ま、三者三様って感じでいいんじゃない? |
ファラ | それじゃダメだよ、リタ!誰が一番だと思う!? |
ロイド | ここで一位になれないと雪像コンテストでの優勝なんか夢のまた夢だからな! |
リタ | 無茶言わないでよ、三者三様すぎて決めらんないわ。コンテストの結果を待ちなさい |
ヴェイグ | …… |
リタ | あんたも何とか言いなさいよ |
ヴェイグ | …こいつらが動いて、戦う事が出来ればいいのにな |
リタ | …今、何て? |
ヴェイグ | 強さを競い合えれば、勝敗を決めるのも簡単だと…そう思っただけだ |
ファラ | 戦う…? |
ロイド | オムレツとノイシュと、シャオルーンが…? |
リタ | なるほど…いいじゃない |
ファラ | リタ…?どうしたの? |
リタ | そういうの、ハロルドと研究してたのよ。ちょうどいいわね |
リタ | これをこうして…えいっ! |
ゴゴゴゴゴ… | |
ロイド | ほんとに動き出したぞ!!ノイシュ…!頑張れノイシュ! |
ファラ | オムレツが…!オムレツってそこが手だったの!?負けるなオムレツー! |
ヴェイグ | まだ仕上がってないが仕方がない…いけ、シャオルーン |
ドーン! | |
リタ | 物質の種類を問わず動かせるわね。成功だわ! |
ロイド | うわー!ノイシュがー!ノイシュがオムレツに!ビンタされてる! |
ファラ | わたしのオムレツがシャオルーンに食べられちゃう! |
ヴェイグ | 混沌としているな… |
ドーン!ドドーン! | |
ファラ | ちょっと待って、このままじゃ… |
ロイド | 壊れるんじゃないか!? |
リタ | ああ…、急ごしらえだから強度についてはノータッチよ。元はただの雪だから当然── |
ドォォォォォン… | |
ヴェイグ | 何度も衝撃を加えたら、砕け散るな |
ロイド | 俺のノイシュだるまが~!! |
ファラ | わたしのオムレツが~!! |
リタ | あ~…巨大な雪像…じゃなくて、雪山が完成しちゃったわね… |
ヴェイグ | 雪像コンテストどころではなくなってしまったな… |
ファラ | …くちゅっ!うう、ずっと雪を触ってたからさすがに寒くなってきちゃった |
ヴェイグ | どこか店に入って温まろう |
ファラ | うん。でも、もったいないなぁ。この雪山を使って、何か作れそうなのに |
ロイド | 雪山を使って…そうだ! |
ヴェイグ | ロイド?どうした? |
ロイド | 雪山を無駄にしないで温まる、いい方法があるぜ!俺に任せてくれ! |
リタ | かまくらなんて、考えたわね |
ファラ | この中、あったかいってほんと?雪に囲まれてるのにあったかいなんて不思議! |
ヴェイグ | 保温性や、遮音性にも優れてるな |
ロイド | へへっ。そうなんだよ。すごいだろ? |
リタ | 雪像コンテスト会場のど真ん中なのが気になるけどね |
ファラ | みんな、これも雪像の一種だと思って中にわたし達がいても気が付かないんじゃない? |
ヴェイグ | こんな参加方法、コンテスト史上初めてだろう |
ロイド | 俺達らしくていいじゃん! |
リタ | そうね。さ、寒いから早く入りましょ |
ファラ | そうだね!また雪が降ったら、みんなにも作ってあげようよ |
ヴェイグ | ああ。ロイドのお蔭で、作り方は覚えたしな |
リタ | ま、いいんじゃない? |
ロイド | 俺達だけのスノーフェスタでみんなにも楽しんでもらおうぜ! |
全員 | 賛成~! |
Name | Dialogue |
---|---|
きらきら☆スイーツフェス | |
クラトス | コレットが手伝いに行ってほしいと言っていたのはこの街か…? |
エミル | あ、クラトスさん!こっちです! |
クラトス | エミルか |
エミル | 無事に合流出来てよかったです。マルタから、クラトスさんが先にこの街に向かっていると聞いて… |
エミル | スイーツの試食会の「スイーツフェス」の警備、手伝ってもらえるって聞いて安心しました |
エミル | 思ったよりも広い会場で、警備の人数が足りないかもって思ってたんです… |
クラトス | 確かに、会場の広さも気にはなるが… |
男性 | おい、あっちのブース、人が足りてないぞ! |
女性 | こっちも同じよ!仕方ないでしょ、船のトラブルで1日到着が遅れるんだから! |
クラトス | …この様子では警備以前にそもそも開催に支障が出るのではないか? |
エミル | そうなんですよね…コレットとマルタが乗っているのもトラブルのあった船みたいなんです |
クラトス | 今日には到着して明日から開催だと聞いていたが、それどころではなさそうだな… |
エミル | とはいえ、陸路でのお客さんはもう到着してるみたいですし、日持ちしないお菓子もあるから… |
クラトス | …出店は、チョコレート、クッキー、ドライフルーツ、タルト、ケーキ… |
クラトス | この時間ならば明日の仕込みを終えてしまっている店もありそうだな |
エミル | そうなんです…だから中止にするわけにもいかなくて困っているみたいで… |
リンウェル | あっ、エミルとクラトスだ!おーい! |
ミント | お久しぶりです。お二人もお手伝いに呼ばれていたんですか? |
クラトス | 二人「も」という事は、お前達も… |
マリアン | はい。試食会のお手伝いをさせていただく事になっているんです |
リンウェル | けど、何かそれどころじゃない雰囲気だよね…? |
エミル | うん。実は… |
リンウェル | なるほど、それで街中慌ただしい感じだったんだね |
ミント | でしたら、お店のお手伝いも頑張らなければいけませんね |
マリアン | ですが、私達が加わっても人手は足りそうにありませんね |
エミル | うう、やっぱりそうですよね… |
リンウェル | …ねえ、エミルとクラトスも手伝いに来たんだよね? |
クラトス | そうだ。警備の手伝いだが |
リンウェル | 提案なんだけど、ブースの方も手伝ってもらえたりしないかな…?1日だけでいいから! |
クラトス | …私が? |
エミル | ぼ、僕が!? |
マリアン | そうですね。ご迷惑でなければ、お二人にも手伝っていただけると助かるのですが… |
ミント | お願い出来ませんか…? |
エミル | え、えっと…どうしましょうか? |
クラトス | ……。やむを得まい |
クラトス | 1日なら警備にも気を配りながら対応する事も可能だろう |
マリアン | 本当ですか?ありがとうございます…! |
クラトス | だが、警備を疎かにするわけにもいかない |
ミント | ええ、勿論です。どのような分担にするか、相談しましょう |
リンウェル | だね!人手が足りないところを具体的に聞いてこなくちゃいけないし… |
リンウェル | そうだ、私達、フェス用の制服を借りる事になってるんだ。男性用もあるはずだよ! |
ミント | では、まずは主催の方に声をかけて制服を借りてきましょう |
リンウェル | えへへ、クラトスとエミルも私達とお揃いだね! |
エミル | うん。僕達が1日だけブースを手伝うのも了解してもらえたし |
クラトス | 皆、支度は終わったようだな |
ミント | はい。会場全体の配置図もいただいてきました |
マリアン | これで誰が何を担当するか相談しやすくなりますね |
クラトス | ああ。私達が加わったとしても人手不足である事は変わらない |
クラトス | 着替えに向かう間に簡単に会場を見たが、通路にはある程度余裕があるように感じた |
クラトス | しかし、試食会となると皆受け取ったスイーツをその場で食べる事になるだろう |
エミル | 一応、飲食スペースは作ってあるけど…それでも立ち止まる人は出てきちゃうかな? |
リンウェル | 絶対にいないとは言えないよね。それでどんどん詰まっていっちゃうかもしれないし… |
マリアン | 船便の到着が遅れている事を考えると、スタッフだけでなくお客様も少なくはなりますが… |
ミント | それがどれくらいの影響になるかわからないですね… |
クラトス | そのあたりの懸念についてある程度考えてみた |
クラトス | 他のスタッフも含め、この地図に通常時の配置と混雑時の導線、配置について記してある |
エミル | わ、すごい…!これがあれば何があっても対応出来そうですね |
ミント | ええ!後ほど一緒にお店を担当する方々にも共有しておくようにします |
エミル | それじゃあ、配置はそれで大丈夫で…他に確認しておかなきゃいけない事ってありますか? |
リンウェル | あっ!これは配置とかと全然関係ない話なんだけど…ちょっと気になった事があって |
マリアン | どうしましたか? |
リンウェル | 今回って試食会でしょ?いろいろと食べ比べをしたら口の中が混乱しないかなって |
ミント | 確かに、味がわからなくなってしまう可能性はありますね |
リンウェル | だから、飲食スペースにお水とかお茶とか用意しておいたらどうかな? |
マリアン | それはいいですね。お水がある事を伝えれば自然に飲食スペースに向かうでしょうし |
エミル | なるほど!それだったら立ち止まって混雑する事も減るかもしれない |
ミント | お水を置くだけでしたら、今からでもそんなに時間はかからないでしょうし |
ミント | 飲食スペースでたくさんの方がお話が出来る雰囲気があれば情報交換も盛んになりそうです |
リンウェル | たしかに!美味しそうだったら「それどこの?」って聞いちゃうかも |
マリアン | わかります。自分でも食べてみたくなりますし、お土産にもしたくなりますよね |
ミント | それなら素敵な包装も出来るといいかもしれませんね |
リンウェル | それすごくいい~!試食だけじゃなくて販売のスペースもあるんだよね? |
マリアン | はい。もう一度食べたいスイーツを購入して持って帰る事が出来ます |
ミント | では、希望があればプレゼント用にリボンをかけるようにするのはどうでしょう? |
マリアン | 素敵ですね。包装はどうしても時間がかかってしまいますが |
マリアン | リボンをかけるだけでしたらお客様を長くお待たせする事なくお渡し出来ますね |
リンウェル | あ、だったら蝶とかお花とかあらかじめ形を作っておくのはどうかな? |
リンウェル | そうすれば、テープで留めるだけで可愛い贈り物になると思うんだけど |
エミル | …ふふ。みんな楽しそうだなあ |
クラトス | アイデアが溢れて止まらないという様子だな |
エミル | でも、マルタもそういう時があるかもしれないです。スイーツとか、プレゼントとか… |
エミル | 誰かに喜んでもらいたいって思っている時に見せる笑顔ってすごくいいなって思います |
クラトス | …そうだな |
マリアン | あ…すみません。勝手に盛り上がってしまって |
エミル | いえ、いいと思います。来てくれた人達が喜んでくれるといいですよね |
クラトス | ああ。こういう催しはお前達の案を採用する方が盛り上がるだろうからな |
クラトス | トラブルが起きるようなら声をかけてくれ。対応出来るようにしておこう |
マリアン | ありがとうございます、クラトスさん |
マリアン | それでは、ラッピング代わりのリボンを作っておきましょうか |
ミント | そうしましょう。開始までたくさんの時間があるわけではありませんが… |
ミント | 1つでも多くのリボンを作ってプレゼントを彩れるように準備を整えておきましょう |
Name | Dialogue |
---|---|
新入生に想いを込めた花々を | |
クレス | 二人共こっちに来てごらんよ。桜が綺麗に咲いてるのがよく見えるよ |
ミラ | ああ。今年も美しく咲いてくれたな |
クレス | うん。満開の桜並木なんて壮観だね |
ベルベット | そうね。随分花びらが舞ってるわ |
ミラ | 桜吹雪か。綺麗だが、少し寂しくもあるな |
ベルベット | 寂しい? |
ミラ | ああ。まだ散らないでほしいと思ってな |
ベルベット | 感傷的ね。でも、気持ちはわかるわ。…あんなに生き急がなくていいのに |
ミラ | そうだな。…ん?ベルベット、少し動くな |
ベルベット | ちょっと、何? |
ミラ | ──とれた。ほら、見てみろ |
クレス | 桜の花びらが髪についてたのか。風流だね |
ベルベット | いつの間に… |
ミラ | 淡い桃色で本当に綺麗だな… |
ミラ | ふむ、いい事を思いついたぞ。みなで花見をしないか? |
ベルベット | 花見…ね。ま、いいんじゃないの |
クレス | 名案だね。いつにしようか |
ミラ | そうだな…善は急げだ、今日の放課後はどうだ? |
クレス | いいね、楽しみだよ! |
ベルベット | わかったわ |
クレス | ──見えてきた。近くで見ると圧巻だね |
ベルベット | この桜並木、校舎裏まで続いてるのよね |
クレス | せっかくだから端まで見てみようか |
クレス | …あれ?校舎裏に花壇がある。去年までなかったような… |
ミラ | そうだな。それにしても、見事な花々だ。一体誰が── |
クレス | あそこに誰かいる。あれは…ソフィ? |
ソフィ | あれ?みんな、どうしたの? |
ベルベット | あたし達は桜を見にきたんだけどこの花、ソフィが育てたの? |
ソフィ | うん。きれいでしょ |
ミラ | ああ、色とりどりでとても綺麗だ。だが、花壇を作ってまでどうして花を育てようと思ったんだ? |
ソフィ | 本物のお花を、届けたかったの |
クレス | 本物の花を? |
ソフィ | うん。去年、新入生のために折り紙で花を作ったでしょ? |
ソフィ | すごく喜んでもらえたから今年はもっと喜んでほしくて、ライラ学園長に相談したの |
クレス | そうだったのか。だから、たくさん花を育てたんだね |
ベルベット | ここは日当たりもいいし、いい環境だわ |
ソフィ | うん。たくさん咲いてくれて、よかった |
ミラ | すごいな、ソフィ |
ソフィ | えへへ |
クレス | 桜を見にきたお蔭でソフィに会えて、きれいな花も見れてよかったよ |
ベルベット | ふふ、そうね |
ソフィ | あのね、このお花を入学式の会場にも飾りたいの。みんなも手伝ってくれる? |
ミラ | 勿論だ |
クレス | ああ、任せてくれ! |
ベルベット | いいわよ、手伝ってあげる |
ソフィ | ありがとう、みんな |
ミラ | 気にするな。綺麗な花を育ててくれてありがとう |
ベルベット | いい式になりそうね |
クレス | そうだね。思い出に残る入学式になりそうだ |
ソフィ | 喜んでもらえるかな? |
ミラ | 大丈夫だ。自信を持つといい |
クレス | ソフィの想いはみんなに伝わるはずだよ |
ソフィ | そうだと、うれしいな |
ベルベット | じゃあ、どの花をどこに飾るか計画を立てないとね |
ソフィ | ──うん! |