Name | Dialogue |
scene1 | はじまりの音 |
クレス | おはよう、チェスター |
チェスター | おはよう、クレス。遅かったな |
クレス | ごめん。ペンダントを持ったまま家を出たのに気付いて、いったん置きに帰ったからさ |
チェスター | ペンダントって、お前の15歳の誕生日の時に、親父さんからもらったやつか |
クレス | うん。外でなくしたり、落としたりしたら困るからね |
チェスター | お前はいい奴だな。親父さんにもらった物を、そんなに大事にするなんて |
チェスター | アミィがお前を気に入るのも、しょうがないか |
クレス | ん?何か言ったか、チェスター。アミィちゃんが何だって? |
チェスター | 何でもない。独り言だよ今日も妹は留守番だなって |
チェスター | そんな事より、さっさと森に狩りに行こうぜ |
クレス | あ、うん。そうだね |
チェスター | 今日は負けねえぞ。アミィにも、たくさん獲物をとって帰るって約束したしな |
クレス | 僕だって、やるからには負けるつもりはないさ |
チェスター | よし。出発だ |
クレス | ああ! |
scene2 | はじまりの音 |
チェスター | クレス、そっちの首尾はどうだ? |
クレス | ピヨピヨを4羽獲ったよ。チェスターは? |
チェスター | オレはピヨピヨ3羽… |
クレス | じゃあ、僕の勝ち… |
チェスター | …と、ボア1匹だ!見ろよこの大物を! |
クレス | すごいな!よく一人で仕留めたね |
チェスター | 今日の勝負はオレの勝ちだな、クレス |
クレス | そうだね。ここまではっきりした差をつけられたら、文句のつけようがない |
クレス | 父さんがいつも言ってるけど、チェスターの弓の腕は、やっぱり大したものだね |
クレス | 王都へ出て、騎士団に入ればいいのに。チェスターならきっと色んな人の役に立てるよ |
チェスター | ああいう堅苦しいとこがオレに合うわけねえだろ |
チェスター | お前のほうが向いてると思うぜ |
チェスター | …さて、そろそろ帰るか。アミィの喜ぶ顔を見るのが楽しみだぜ |
| |
| カン! カン! カン!カン! カン! カン! |
クレス | あれは…村の半鐘の音!? |
チェスター | 何かあったのか?急いで戻ろうぜ! |
クレス | ああ! |
| ガルルルル…! |
チェスター | 魔物!? |
クレス | 急いでいるんだ!そこをどいてくれ! |
scene1 | 復讐の炎 |
| カン! カン! カン!カン! カン! カン! |
クレス | 村が燃えてる…!火事か? |
チェスター | 違う!村は襲われてるんだよ!あれを見ろ! |
| |
村の男 | た、助けてくれ…!誰か…! |
謎の騎士 | … |
| ドシュッ! |
村の男 | うわあああ…! |
| |
クレス | ひどい…! |
チェスター | お前…っ!くそっ、これでも喰らえ! |
チェスター | …なんとか追い払ったか |
クレス | あれは…騎士…?村を襲ったのは騎士団なのか!? |
クレス | まさかア・ジュールの軍勢…?国境からは随分離れているのに |
チェスター | そんなのどうでもいい!アミィを助けないと! |
チェスター | アミィ! 今行くからな! |
クレス | 待て、チェスター!まだ敵がいるかもしれない。無闇に突っ込むのは危険だ! |
scene2 | 復讐の炎 |
クレス | …!! |
クレス | おばさん!大丈夫ですか!?これは一体…!? |
村の女 | クレス…無事だったのかい。早く逃げな… |
村の女 | あいつら…あんたのペンダントを奪いに… |
クレス | 僕のペンダント…? |
クレス | うん…? |
クレス | 何か落ちている… |
クレス | これは…勲章? |
チェスター | … |
クレス | チェスター…アミィちゃんは? |
チェスター | ひと足、遅かった…。ちくしょう、アミィが何をしたってんだ…! |
クレス | そんな… |
チェスター | …他の人は…お前の家族は… |
クレス | …僕の父さんと母さんも、僕が駆け付けたときには、もう… |
クレス | 父さん…母さん… |
クレス | 僕がもう少し早く村に戻っていれば、こんな事には…! |
チェスター | …ちくしょう… |
チェスター | …どこの騎士だよ。村を襲って、人を殺して…! |
チェスター | あいつが何をしたってんだ!? |
チェスター | あいつは俺の、たった一人の家族だったんだぞ! |
チェスター | 許さねえ…!絶対に許さねえ!アミィの敵は絶対に取ってやる! |
チェスター | クレス、あの騎士、どこの国のヤツだったかわかるか? |
クレス | …わからない |
クレス | 倒した騎士が本当に騎士団の人間なら組織立った行動という事になる |
チェスター | やっぱりア・ジュールの連中か? |
チェスター | いくら国同士が対立してるからってこんなのあんまりだろ…っ |
チェスター | あいつらの仕業だとしたら、オレは今すぐにでも騎士に志願して、戦場に行ってやる |
クレス | その事なんだけど…さっき気になる事を聞いたんだ。もしかしたら村が襲われた原因は… |
チェスター | 待て、何か来たぞ!…あれは魔物! |
| グオオオオ! |
クレス | 血の匂いを嗅ぎつけて、村に来たのか!? |
チェスター | ちっ、ふざけんな! |
scene1 | 敵の影を追って |
チェスター | 生き残ったのはごくわずかか… |
チェスター | くそっ…おかしいだろ!俺たちが一体何をしたっつーんだ…! |
クレス | チェスター、さっきの話なんだけど敵の狙いは僕のペンダントかもしれないんだ… |
チェスター | どういう事だ? |
クレス | さっきおばさんを助けた時に聞いたんだ。敵は僕のペンダントを探していたって |
クレス | 実際、家に置いておいたはずのペンダントがなくなっていたし…たぶん奴らが持って行ったんだろう |
チェスター | 何でお前のペンダントが…? |
クレス | …それはわからない |
チェスター | 馬鹿言うな!たかがペンダント一つのために、村を襲っただと!? |
チェスター | そのためにアミィを…みんなを殺したっていうのかよ!そんな事、許されると思うのか!? |
クレス | でも… |
チェスター | …オレは許さねえ |
チェスター | クレス、オレ達が見た騎士の手がかりはないか? |
クレス | 手がかりになるかわからないけど、こんな物を拾ったよ |
チェスター | 勲章か…これは重要な証拠になりそうだな。持っている奴は限られているだろうし |
クレス | チェスター、僕はバロニアへ行く |
チェスター | 王都バロニア…? |
チェスター | オレ達が敵討ちに行くとしたら王都じゃねえ、ア・ジュールだろ! |
クレス | 敵の正体はア・ジュールの可能性が高いとは思うけど、確証があるわけじゃない |
クレス | だから、まずはバロニアに行って村の事を報告して、こっちも情報を集めるんだ |
クレス | チェスター。もし何も確かめずに僕達がア・ジュールに行ったとして…僕達だけで何ができる? |
チェスター | …ちっ!そんな事しかできねえのかよ…! |
チェスター | …わかった。クレス、オレも行く |
クレス | いや、チェスターはここに残ってくれ |
チェスター | 何でだよ!?オレを除け者にしてお前だけおじさんやおばさんの敵を取るつもりか!? |
クレス | チェスター!僕がチェスターを除け者にするといつ言ったんだ? |
チェスター | …そうだよな。すまねえ。頭に血が昇っちまって… |
クレス | 僕も同じだ。だからこそ、僕達にできる事をしよう |
クレス | …チェスター、頼みがある |
クレス | チェスターはここに残って、生き残った人を守ってくれないか。また攻められたら、誰も生き残れない |
クレス | バロニア行きと…アミィちゃんの敵を僕に任せて欲しい。これはチェスターにしか頼めないんだ |
チェスター | …オレがこの手でアミィを殺した奴を殺してやりたかった |
チェスター | でも…これ以上誰かが死ぬのは…もっと嫌だ |
チェスター | …わかった |
チェスター | 任せたぜ、クレス。お前はオレの親友だからな。信じるぜ |
クレス | チェスター…。ありがとう。必ず僕が、アミィちゃんの敵を見つけ出してみせる |
| |
クレス | (父さん…母さん… アミィちゃん…それに 死んでしまった村のみんな…) |
クレス | (何としても敵の正体を突き止めて、 敵を取ってみせる…必ず!) |
scene2 | 敵の影を追って |
クレス | ペンダントで村一つ、か。…やはり、ペンダントの事は気になるな |
クレス | 特別な価値があるような物には見えなかったけど… |
クレス | そういえば父さんが、ペンダントについて話したい事があるって、前言ってたな… |
??? | … |
??? | ワンっ! |
| |
クレス | …魔物か!? |
??? | … |
クレス | 何だ、大きな犬か…。考え事をしていたから、気付かなかったよ |
クレス | 鎖がついてるから、野良犬じゃないな。飼い主の姿は見えないけど |
クレス | お前の飼い主はどこにいるんだい? |
??? | … |
クレス | 迷子か?逃げ出して来たのか?それとも…単独行動、とか? |
??? | ワンっ! |
クレス | ははは。まるで人間の言葉がわかっているみたいな反応をするね |
クレス | この辺は危険な魔物も多い。早く家に帰ったほうがいいよ |
クレス | それじゃ |
??? | … |
クレス | おいおい…。僕についてきても、あげられる餌はないぞ |
??? | ガルルルル…! |
クレス | 何だろう…。馬鹿にするなって、怒られたような気がする… |
クレス | 餌が欲しいんじゃないなら、なぜ僕についてくるんだ? |
クレス | 僕を心配してくれてるとか?まさかね… |
??? | グルルルルル……ガウっ!! |
| |
クレス | 魔物!?危ないぞ、下がってるんだ! |
??? | ガウッガウッ、ワォーン! |
クレス | もしかして、一緒に戦うって言ってるのかな? |
クレス | まさかね。でも、その気持ちは嬉しいよ。…よし、いくぞ! |
scene1 | 導かれるままに |
クレス | ここが王都バロニアか… |
??? | ワンっ! |
クレス | 初めて来たけど、大きな街だな。トーティス村とはまるで違う |
| ザッザッザッ… |
クレス | それにしても、兵士の数が多いな |
クレス | 戦争が始まったそうだから、当然といえば当然だけど… |
クレス | あの人たちにこの勲章を見せたら、何かわかるだろうか…? |
クレス | よし、物は試しだ。聞いてみよう |
クレス | すみません! |
ウィンドル兵 | ええい、どけ!邪魔だ! |
クレス | うっ…! |
??? | ワンっ! |
クレス | 駄目か…。とても話を聞いてもらえそうな雰囲気じゃない |
??? | クーン |
クレス | うん?この勲章が気になるのかい? |
??? | … |
??? | ワンっ! |
クレス | あ…!勲章を取られてしまったな。なあ、それを返してくれないか?大事な手がかりなんだ |
クレス | …ついて来いって言ってるみたいだ |
クレス | 犬は嗅覚が鋭いっていうし、もしかしたら… |
クレス | よし、他にアテもないし今は君に賭けてみよう |
クレス | 案内を頼むよ |
??? | ワンっ! |
scene2 | 導かれるままに |
クレス | …勲章は返してもらったけど、一体どこまで行くつもりなんだい? |
??? | ワンっ! |
クレス | 何か手がかりがあって向かってるならいいんだけど… |
??? | …! |
クレス | 急に立ち止まってどうしたんだ?何か見つけたのかい? |
??? | はあ…はあ… |
クレス | あれは… |
??? | ワゥ! |
??? | まあ、ラピード! |
??? | どうしたんです?こんなところで |
??? | かわされた… |
??? | 相変わらず冷たいです… |
クレス | ラピード?ああ、この犬の名前はラピードっていうんだね |
ラピード | … |
クレス | もしかして君がラピードのご主人なのかい? |
??? | そうだったらどんなにいいか… |
??? | 違います、わたしはただのお友達です |
??? | ところで…あなたはどなたです? |
クレス | 僕はクレス・アルベイン。君は? |
??? | 私はエステリ… |
??? | … |
クレス | ? |
エステル | いえ、エステルといいます |
クレス | エステルか。よろしく |
クレス | ところでエステル、随分あわてていたみたいだけど、どうかしたのかい? |
エステル | それは護衛を振り切って… |
エステル | … |
エステル | あ、いえ、何でもありません |
クレス | …? |
ラピード | グルルルル…! |
クレス | 何か見つけたのか、ラピード? |
ラピード | ガウっ! |
エステル | きゃっ…魔物…!?どうして王都内に!? |
scene1 | 勲章の持ち主 |
エステル | いきなり魔物だなんて…。以前はこんな街中に現れるなんて事はなかったのに… |
クレス | じゃあ、最近になって…? |
エステル | はい。国王陛下が星のカケラを集めようとし始めた頃から何かがおかしいです… |
エステル | …一体、この世界はどうなってしまったんでしょう |
クレス | 星のカケラと…国王陛下…? |
エステル | あ、気にしないで下さい…! |
エステル | とにかく、魔物を倒す事ができてよかったです |
エステル | …ほら、ラピード。こちらへ――… |
ラピード | … |
エステル | あ、ちょっと、ラピード? |
エステル | 行ってしまいました… |
エステル | わたし、ラピードにはどうも仲良くしてもらえなくて |
クレス | 参ったな。ラピードをあてにしていたのに… |
エステル | そう言えば、クレスはラピードと何をしていたんです? |
クレス | 調べたい事があって。ラピードに心当たりがあるみたいだったから、案内してもらっていたんだ |
クレス | (まあ、単なる僕の思い込みに過ぎ なかったのかもしれないけど…) |
エステル | そうだったんですか。ラピード、クレスをどこへ連れて行くつもりだったんでしょう |
クレス | どこだろう。本当に案内してくれていたのかはわからないけど、この勲章を見せたら急に走りだしたんだ |
エステル | あれ?これは… |
クレス | もしかして、エステルもこれに心当たりが? |
エステル | はい。これは王家直属の騎士団員のうち、大きな功があった者のみに与えられる、特別な勲章です |
クレス | 王家直属の騎士団…? |
クレス | まさか…じゃあ、村を襲ったのは… |
エステル | …?どうかしましたか? |
クレス | 実は… |
| |
エステル | そんな…どうして騎士団が… |
エステル | あの、それが本当なら、わたし、なんと言っていいか… |
クレス | 別に、エステルが謝る必要はないと思うけど |
エステル | そ、それはそうかもしれませんけど… |
エステル | じゃなくて…ええと…分かりました。わたしが騎士団の元に案内します! |
クレス | そんな事ができるの? |
エステル | え、ええ。任せてください。こっちです |
scene2 | 勲章の持ち主 |
エステル | ! |
| ザッザッザッ… |
クレス | また兵士とすれ違った。本当に多いな |
クレス | あれ?エステルがいない。エステル? |
クレス | あ、いた |
クレス | どこへ行っていたんだ? |
エステル | す、すみません、そこのお店に置いてある物が気になって |
クレス | そうか。でも、突然いなくなったら驚くじゃないか |
クレス | てっきり誰かから逃げていて、あわてて隠れでもしたのかと思ったよ |
エステル | …!! |
エステル | そ、そんな事、あるわけないじゃないですか |
クレス | そうだよね。そんな事、あるわけないか |
エステル | そ、そうですよ。ほら、早く行きましょう |
エステル | あ、もうすぐ目的の場所に着きますよ |
| |
騎士団員 | ここは騎士団の詰所だ。関係ない者は近付くな。帰れ |
クレス | 聞きたい事があるんだ |
クレス | この勲章… |
騎士団員 | ええい、帰れというのに! |
エステル | そんな言い方をしてはいけません! |
クレス | エステル…? |
騎士団員 | あ、あなたはエステリーゼ様…?失礼いたしました! |
クレス | (兵士がいきなり態度を変えたぞ。 一体どうなってるんだ?) |
エステル | クレス、例の勲章を出してください |
クレス | あ、うん |
エステル | この勲章が誰の物か、調べているんです。わかりませんか? |
騎士団員 | これは独立騎士団の、サレ団長に授与された物ではないでしょうか。以前拝見した事があります |
エステル | 独立騎士団のサレですか… |
クレス | そのサレという人は今どこに? |
騎士団員 | 独立騎士団は、現在任務遂行中です。軍事機密ゆえ、詳しい事は、申し上げられません |
エステル | そうですか…わかりました |
| |
エステル | すみません、クレス。肝心の独立騎士団の居場所を、突き止める事ができなくて |
クレス | いや、それはいいんだけど…そんな事よりエステル、君は一体… |
| ガルルルル! |
クレス | くっ…こんなところにまで魔物が! |
scene1 | エステルの正体 |
クレス | 魔物が襲ってきたせいで、話が途中になってしまったけど… |
クレス | エステル、君は一体何者なんだい? |
クレス | さっきの騎士団の人、君を見るなり態度を変えたよね。それにエステリーゼ様って… |
エステル | それは… |
クレス | まあ、うすうす察しはついているけどね |
エステル | …そうですよね。いつまでも隠しておけるわけがないですよね… |
クレス | 正体を当ててみせようか。実はエステルは… |
エステル | … |
クレス | 騎士団の特別団員なんじゃない? |
エステル | …え? |
エステル | あの…何ですそれ? |
クレス | 何です、って言葉の通りなんだけど…もしかして違った? |
エステル | ええ。残念ながら |
クレス | おかしいな…騎士団の人がやけに礼儀正しかったし、色々詳しそうだからてっきり… |
エステル | クレスは面白い人ですね |
クレス | そ、そう? |
エステル | そうですね…あなたには、本当の事をお話しします |
エステル | 実はわたし… |
??? | エステリーゼ様!ここにいたんですね! |
エステル | アスベル!? |
アスベル | やっと見つけましたよ |
アスベル | さあ、城にお戻りください |
クレス | エステル、この人は? |
エステル | 逃げましょう、クレス |
エステル | 急いで! |
クレス | うわっ!?え、エステル!マントを引っ張らないでくれ! |
アスベル | エステリーゼ様、お待ちください! |
scene2 | エステルの正体 |
エステル | ふう…ここまで来れば、大丈夫でしょうか… |
クレス | エステル、さっきの人は誰だい?彼も君の事をエステリーゼと呼んでいたようだけど |
| |
アスベル | 遅かったですね、エステリーゼ様 |
エステル | アスベル!? |
アスベル | きっとここへ来ると思って、先回りして待っていたんですよ |
アスベル | 裏道は俺のほうが詳しいですしね |
アスベル | さあ、城へ戻りましょう。あなたがいなくなったとわかったら、リチャ…陛下も心配されます |
クレス | 城?陛下?一体何の話だ? |
アスベル | 君は何も知らないのか? |
アスベル | この方は、エステリーゼ・シデス・ヒュラッセイン様 |
アスベル | ウィンドル王国現国王、リチャード陛下の親戚にあたるお方だぞ |
クレス | 国王の親戚…?じゃあ、エステルはお姫様って事か…!? |
エステル | すみません、クレス。もっと早く本当の事をお話ししようと思ったんですけど… |
| |
エステル | あのアスベル。わたし、どうしても、お城へ戻らないといけませんか? |
アスベル | どういう事ですか? |
エステル | …… |
アスベル | エステリーゼ様? |
エステル | …わたしは今の陛下のやり方に、疑問を感じています |
エステル | 星のカケラ欲しさに、他国に戦争をしかける行為に、正義があるとは思えません |
アスベル | エステリーゼ様、それは…! |
エステル | ただ、私は世間知らずです |
エステル | 本当はやむにやまれぬ事情が、陛下にもあるのかもしれません |
エステル | それを判断するために、わたしも外に出て、世界の姿をこの目で直接見てみたいんです |
エステル | お願いです。これは陛下と王国のためでもあるんです。行かせてください |
アスベル | しかし… |
エステル | 必ず無事に戻ると約束します。どうか、お願いします |
アスベル | … |
アスベル | …彼は護衛役として、役に立ちますか? |
エステル | クレスの事ですか?それはよく分かりませんけど…あ、でも |
エステル | いい人ですよ。強いですし |
アスベル | … |
アスベル | …わかりました。エステリーゼ様のお言葉を信じます |
エステル | アスベル…!ありがとうございます |
アスベル | 実は、陛下の最近のなさりようには俺も心を痛めていました |
アスベル | エステリーゼ様のご心配は、理解できます。行ってください。後は俺のほうで何とかします |
アスベル | クレスと言ったか。エステリーゼ様をよろしく頼む |
クレス | は、はい! |
アスベル | では、俺は詰所へ戻ります。くれぐれもお気をつけて |
| |
エステル | すみません、クレス。面倒事に巻き込んだみたいで |
クレス | いや…じゃなかった。いいえ、面倒だなんてそんな…それにエステルがお姫様なのに僕は… |
| グオオオオ! |
エステル | また魔物が…! |
scene1 | ルーティ・カトレット |
クレス | さてと…これからどうしよう。アスベルという騎士にもエステリーゼ様を任されてしまったし |
エステル | あの、よければわたしの事はエステルって呼んでください。親しい人はみんなそう呼ぶんです |
エステル | それと敬語もやめてください。クレスは、わたしの従者ではないんですから。いいですね? |
クレス | は、はい…!じゃなかった |
クレス | ああ、わかった |
エステル | …勝手に巻き込んでしまってごめんなさい。わたし、どうしても放っておけなくて |
クレス | とんでもない。助かるのは僕の方だ。僕一人では、騎士団の人に話すら聞いてもらえなかっただろうから |
エステル | クレスはトーティス村を襲った犯人の正体を突き止めることに、全力を挙げてください |
エステル | 私もお手伝いします |
エステル | 村で何が起きたのか、本当の事を知りたいんです |
クレス | ありがとう。エステルにそう言ってもらえると心強いよ |
怪しい男 | オラ!よそ見して、歩いてんじゃねえよ |
クレス | おっと…ごめん |
クレス | …! |
クレス | 懐にしまっていた勲章がない! |
エステル | えっ…? |
クレス | まさか今ぶつかった時に…おい君!ちょっと待ってくれ! |
怪しい男 | へっ!誰が待つかよバーカ! |
??? | はい、隙だらけ |
怪しい男 | うおっ!何しやがる!それは俺のだぞ! |
??? | 盗んだ物を手に持ったまま歩くなんて甘すぎね |
??? | で、盗んどいて、俺のって言った?ふうん、ちょっと騎士サマとでも話する? |
怪しい男 | この…!覚えてやがれ! |
??? | ほら、返すわ。こんな簡単にスリに遭うなんて、よほどの田舎者か世間知らずね |
クレス | ありがとう。お蔭で助かったよ |
??? | どういたしまして。謝礼は30000ガルドでいいわよ |
クレス | お金を取るのかい? |
クレス | 30000ガルドなんて、高すぎて払えないよ… |
エステル | あの、だったらわたしが払います。ちょうど持ち合わせがありますから |
クレス | これは僕の問題だ。エステルにそんな事をしてもらうつもりはないよ |
エステル | いいんです。クレスには色々助けてもらってますから。これくらいの事はさせてください |
??? | (この子、随分羽振りがいいのね。 それに何だか世間知らずっぽいし…) |
??? | (そうだ!) |
??? | ねえあんた達、もしかして、この街に来たばかりなんじゃない? |
クレス | あ、うん。僕は…そうだけど |
??? | やっぱり |
??? | じゃああたしが、色々案内してあげるわ |
エステル | え?あの… |
ルーティ | あたし、ルーティ・カトレット。よろしくね! |
クレス | あはは…。よろしく。あ、あんまりいい予感がしないな… |
scene2 | ルーティ・カトレット |
エステル | ルーティはバロニアの人なんです? |
ルーティ | 出身は違うけど、ここへはちょくちょく来てるから、まあ第二の故郷みたいなものかな |
ルーティ | だから大抵のところへは案内できるわよ。どこへ行きたい? |
クレス | 実は僕達、独立騎士団のサレって人を捜しているんだけど、心当たりはあるかな? |
ルーティ | 独立騎士団…? |
ルーティ | 初めて来た人なら、街中の案内とかそういう事言いそうなもんなのに…随分変わったリクエストをするのね |
クレス | まあ、色々事情があってね |
クレス | どうかな? |
ルーティ | そうね… |
ルーティ | 独立騎士団についてはあたしも名前くらいしか知らない |
ルーティ | でも、そういうのに詳しい情報屋だったら知ってるわ |
ルーティ | 行ってみる? |
エステル | はい!ぜひお願いします |
ルーティ | オッケー。じゃあ案内料追加ね♪1000ガルドにまけとくから |
クレス | や、やっぱりお金を取るのか |
クレス | ルーティ、悪いが僕は… |
エステル | クレス、他に当てもないですし、わたしはお金を払ってでも連れて行ってもらった方がいいと思います |
ルーティ | ま、賢明な判断ね。それじゃ行きましょ |
| |
情報屋の男 | すまねぇ、独立騎士団の動向は俺にもわからん。あれに関しては、全てが謎に包まれているもんでな |
ルーティ | ふーん。あんたがわからないって、相当なものね |
情報屋の男 | 団長のサレに関しては、時々噂が聞こえてくるけどな。よくない噂ばかりだが |
情報屋の男 | 訓練中に気に入らない部下を、事故に見せかけて殺しただの、捕虜を拷問して殺しただのってな |
クレス | そんなひどい事をする人に、勲章が与えられたのかい? |
情報屋の男 | 実力、実績は申し分ないからな。騎士団なんてそんなものさ |
ルーティ | 団長の事はわかっても、肝心の騎士団の居所についてはわからなかったわね |
クレス | 他に誰か、情報を知っていそうな人に心当たりはない? |
ルーティ | まあ、あと何人かはいるけど… |
ルーティ | でもどうしてあんたは独立騎士団にそんなにこだわるの? |
クレス | それは… |
クレス | まあ色々あってね |
ルーティ | ふーん… |
ルーティ | (…どうやらよほどの事情が あるみたいね) |
ルーティ | まあそんなに行きたいっていうなら、連れて行ってあげてもいいけどね |
ルーティ | 事情のあるところ、お金ありってね。案内料はもらうけど、ま、とにかくこのあたしに任せておきなさいって |
エステル | ありがとうございます。ではさっそく… |
クレス | うん…? |
クレス | 二人ともちょっと待ってくれ!向こうから何か来る! |
| ギャオオッ! |
ルーティ | また魔物…!最近多いわね… |
クレス | くるぞ…! |
scene1 | もしも願いがかなうなら |
ルーティ | それじゃ、別の情報屋のところへ案内するわね…って、ん? |
ルーティ | あれは…! |
ルーティ | 二人ともちょっと待って! |
クレス | どうした? もしかしてまた魔物が!? |
ルーティ | 見つけた!1ガルド! |
クレス | お金か。…ルーティ、驚かさないでくれ |
エステル | よく見つけられましたね。わたし、気付きませんでした |
ルーティ | ふふん、でっしょ~?今日はついてるわ♪ |
クレス | ルーティは、お金が本当に好きなんだね… |
ルーティ | …もっとはっきり「がめつい」って言えば?もう言われ慣れてるし |
エステル | そんなにお金が必要だなんて、何か欲しい物でもあるんです? |
ルーティ | 欲しいっていうか… |
ルーティ | 守りたいものがあるっていうか… |
ルーティ | 別に、あんた達に関係ないでしょ |
エステル | そうですか…もしよかったら相談してください。何か力になれるかもしれませんから |
ルーティ | …ありがと。とりあえず、気持ちだけ受け取っておくわ |
ルーティ | そんな事より、早く次の情報屋のところへ行きましょ |
クレス | あ、うん。そうしよう |
scene2 | もしも願いがかなうなら |
情報屋の女 | 独立騎士団に関する情報は、うちにはまったく入ってないねぇ |
ルーティ | そう。あんたのところでも駄目なんて計算外だったわ |
| |
クレス | 二人目も空振りか… |
ルーティ | これだけ徹底的に情報が隠されてるってのは、よほどの事ね |
エステル | 任務遂行中と聞きましたけど、一体何をしているんでしょう? |
ルーティ | もしかしたら、星のカケラに関係してる事なのかも |
クレス | 星のカケラ…? |
ルーティ | あんた、知らないの?今、噂で持ち切りだってのに |
ルーティ | 世界中に飛び散ったっていうそのカケラ欲しさに、王様はア・ジュールと戦争を始めたのよ? |
エステル | … |
ルーティ | 全部の星のカケラを集めると、何でも願いがかなうんだって。ウソくさいけど、うらやましい話よね |
エステル | 正確には、「全てのカケラが揃った時…」 |
エステル | 「…我は姿を現し、願いをかなえん」です |
クレス | その「我」って、誰の事なんだろう? |
エステル | 言い伝えでは光の使いという事になっていますけど、詳しい事は… |
ルーティ | 細かい事はいいじゃない。願いをかなえてくれるんなら誰だっていいわよ、そんなの |
クレス | 何でも願いがかなう、か… |
クレス | もしそれが本当なら、死んだ人を生き返らせる事もできるのかな… |
エステル | クレス… |
クレス | ごめん。こんな事、言うべきじゃなかったね |
クレス | ルーティ、情報屋というのは、まだ他にもいるんだろう?そこへも連れて行ってくれないか |
| |
子ども | だ、誰か! 助けてー! |
ルーティ | あれは…! |
エステル | 子どもが魔物に襲われています! |
クレス | そこを離れるんだ!行くぞっ! |
scene1 | 明かされた事実 |
クレス | ケガはないかい? |
子ども | … |
ルーティ | ちょっと、クレス。あんたがそんな怖い顔してたら、その子がますます怯えるでしょうが |
ルーティ | よしよし、もう大丈夫よ。悪い魔物はやっつけたからね |
エステル | ルーティ、子どもに優しいんですね |
クレス | うん。もしかしたらあれが、ルーティの素顔なのかもしれないね |
子ども | お兄ちゃん、お姉ちゃん、助けてくれてありがとう! |
ルーティ | ん。気をつけて帰るのよ |
ルーティ | ねえ。今、あたしの悪口言ってた? |
クレス | 言ってない、言ってない |
ルーティ | …ふうん。ま、いいわ。さて、三人目の情報屋のところに案内するわね |
ルーティ | 今まで空振りだったし、今度もあまり期待はできないけど… |
ルーティ | まあ駄目元って事で、とにかく、行くだけ行ってみましょ! |
エステル | ルーティ、はりきってますね |
ルーティ | そう?ま、実を言うとこのままあんた達と一緒に行けば儲かりそうな予感がしたって言うか |
エステル | そ、そうですか… |
クレス | ま、まあこれも、ルーティの素顔…なのかもね |
| |
情報屋の男 | 独立騎士団か。それだったら、ついさっき入って来たばかりの新鮮な情報があるぜ |
ルーティ | あら。聞いてみるものね |
クレス | ぜひその情報を教えてくれないか? |
情報屋の男 | 何でも、独立騎士団の団員だったって奴が、脱走兵になったらしい |
情報屋の男 | そいつは東地区の宿屋に、ずっと泊まっているそうだ |
ルーティ | 東地区ね…貴重な情報助かったわ。情報料はいつもの手筈でやっとくから |
情報屋の男 | ああ、たんまり頼むぜじゃあな |
ルーティ | …さて、と。東地区に行ってみる?あの辺はバロニアでも物騒な場所だから、あまりお勧めはしないけど |
クレス | 構わない。連れて行ってくれ |
エステル | お願いします |
ルーティ | ん。それじゃ案内するわ。前言った案内料に、追加で危険手当の検討、よろしく! |
クレス | ははは…本当にルーティは抜け目ないな… |
scene2 | 明かされた事実 |
エステル | ここが東地区なんです? |
ルーティ | うん、そう。さて、宿屋は…あった、あそこね |
クレス | よし、さっそく… |
ルーティ | 待って。相手の素性もよくわからないのに、いきなり踏み込むのは得策じゃないわ |
ルーティ | あたしが様子を見てくる。あんた達はここで待ってなさい |
| |
エステル | ルーティ、大丈夫でしょうか… |
ルーティ | お待たせ。あんた達の会いたがってた相手、連れて来たわよ |
脱走兵 | お、お前達…誰だ? |
クレス | 僕はクレス・アルベイン。トーティス村の件で、聞きたい事がある |
脱走兵 | ト、トーティス村だと!?知らない、俺は何も…! |
ルーティ | どう見ても、知らないって態度じゃないわね |
エステル | お願いします。あなたの知っている事を、教えてください |
脱走兵 | エ、エステリーゼ様…!? |
ルーティ | (エステリーゼ…様?) |
エステル | わたし…この国で、今なにが起きているのか、どうしても知りたいんです |
エステル | どうかお願いします |
脱走兵 | …わかりました。正直にお話しいたします |
脱走兵 | 元々私のいた独立騎士団は、リチャード陛下の命を受けて、星のカケラを探しておりました |
脱走兵 | そんなある日、私はサレ団長の指示で、団長や一部の隊員と共にトーティス村へ向かったのです |
脱走兵 | 村に着くなり、団長は私達に村の人間を全員殺すよう命じました |
クレス | …! |
脱走兵 | 私は驚き、必死に団長を止めようとしましたが聞いてはもらえませんでした… |
エステル | それでサレに命じられるまま、何の罪もない村の人達を、手にかけたのですか |
脱走兵 | …はい。私が独立騎士団を脱走したのもそれが理由です。罪の重さに耐えられなくなり… |
クレス | … |
エステル | クレス… |
クレス | …もう一つ聞かせてほしい。ペンダントの事を、何か知らないか? |
脱走兵 | そういえばサレ団長が、そんな物を探していたような…詳しい事は聞きませんでしたが |
ルーティ | それで、結局あんた達の探してた星のカケラはみつかったわけ? |
脱走兵 | …いいえ |
クレス | … |
エステル | クレス… |
クレス | 僕は… |
クレス | 多くの死んだ村の人の敵として、僕はあなたを殺してしまいたい。…親友とそう、約束したからだ |
クレス | でもあなたはサレを止めようとした。僕達に情報をくれた。…だから、この罪は正しい方法で償って欲しい |
クレス | エステル、この人の事は、君に任せていいかな |
エステル | …サレの命令が常識を逸脱している事はわかります。そのあと、あなたが罪の意識に苛まれた事も… |
エステル | でも、だからといって、罪もない人々を手にかけた事が許されるとは思いません |
脱走兵 | …仰るとおりです |
エステル | ですから、犯した罪がちゃんと裁かれるよう、そしてちゃんと償えるよう掛け合ってみます |
エステル | 犠牲になった人々のためにも。それでいいですか? |
脱走兵 | …はい |
ルーティ | で、そのサレってのは今、どこにいるの? |
脱走兵 | 確か地下墓地がどうのと、言っていた気がしますが… |
クレス | 地下墓地… |
エステル | バロニアの北には、古代の広大な墓地があります。おそらくそこの事じゃないかと… |
エステル | もちろん今は使われていなくて、崩落の危険もあるので、立ち入りは制限されていると聞きましたが… |
クレス | …ルーティは地下墓地には詳しいのかい? |
ルーティ | そんなに詳しいわけじゃないけど、案内くらいだったらできるわよ |
クレス | よかった。じゃあ、お願いできるかな? |
ルーティ | もちろん。あんな話を聞いて、放っておけるわけないじゃない。エステルも行くの? |
エステル | あ、はい。わたしも行ってみたいです |
ルーティ | わかった。じゃあ早速向かいましょ。確か、街の地下通路から地下墓地に繋がってたはず… |
エステル | バロニアにそんな通路が…ルーティ、さすがです! |
ルーティ | まあ黙ってついてきなさ… |
| |
クレス | …!!ルーティ、危ない!後ろだ! |
ルーティ | …ここも、ずいぶんと物騒になったわね |
| ガルルルル! |
クレス | 二人とも、気を付けろ!魔物だ‥! |
scene1 | 地下墓地へ |
ルーティ | 見えた。あそこが地下墓地へつながる地下通路の入口よ |
エステル | ルーティは本当に色々な事を知っているんですね |
ルーティ | まあ大体お金になりそうなところは把握してるからね!でも、実際入るのは初めてよ |
クレス | さ、さすがだね… |
警備兵 | 誰だ、お前達は |
ルーティ | あたし達、地下墓地に行きたいの。古いお墓とかに興味があって、それで… |
警備兵 | この地下通路は立ち入り禁止だ。誰も入れるわけにはいかん。帰れ |
ルーティ | どうしてもダメ? |
警備兵 | 駄目だ |
ルーティ | そ。じゃあ仕方ないわね。二人とも行くわよ |
| |
エステル | あっさり引き下がってしまってよかったんです? |
ルーティ | あの場で押し問答を繰り返して騒ぎが大きくなったら面倒じゃない |
エステル | でも、このままあきらめるのは… |
ルーティ | 誰があきらめるなんて言った? |
ルーティ | 実は他にも、地下墓地の入り口がある場所に心当たりがあるの。そっちに行ってみましょ |
エステル | さすがです!やっぱりルーティは凄いんですね! |
ルーティ | まあね。相手を出し抜くのは、この職業じゃ当たり前の事だから。それじゃ、行きましょ |
scene2 | 地下墓地へ |
エステル | … |
エステル | ここは…何だか薄暗くて少し気味が悪いですね… |
クレス | そうだね、まるで暗い樹海にでも入り込んでしまったみたいだ… |
ルーティ | あたしが前に聞いた話だと、この森の奥に地下墓地へ通じる入り口があるらしいんだけど… |
ルーティ | まあとりあえず進んでけばそのうち見つかるでしょ |
クレス | 入り口を見つけるところまで、手伝ってくれるのかい? |
ルーティ | 当たり前でしょ?こうなったら行くところまで一緒に行くわよ! |
エステル | 結構奥まできたと思うんですけどなかなか見つかりませんね… |
クレス | そうだね |
ルーティ | ねえクレス。さっき脱走兵と話してたトーティス村の事なんだけど…ひょっとしてさ… |
クレス | ん…? |
クレス | ああ…僕の村の話だよ。ルーティにはちゃんと話していなかったね |
クレス | 殺されたんだよ…父さんも、母さんも…村の人達も。ほとんど生き残りがいないくらいにね |
ルーティ | そんな…なんで…! |
クレス | わからない。誰が、何のためにそんな酷い事をしたのか… |
クレス | 僕は、それを追っていたんだ。村に落ちていた勲章を手がかりに辿り着いたのが、サレ… |
エステル | … |
ルーティ | そんな事があったのね… |
クレス | うん…僕はサレを倒さなくてはならない。村のみんなのためにも… |
ルーティ | …でも、これまでに聞いた話が全部本当だとしたら、そのサレってのは相当危険な奴よ |
クレス | そうだね、わかってるよ。でも、僕はみんなの敵を取るために、村を後にしてきたんだ |
クレス | たとえ相手がどれほど危険でも、その気持ちに変わりはないよ |
エステル | わたしも一緒に行きます。この国で何が起きているのか、真相を見極めないと |
ルーティ | あら…? |
クレス | どうしたんだい? |
ルーティ | ねえ、あれ見て。何か鉄柵みたいなのがあるわ |
クレス | こんな暗い森の奥地に… |
ルーティ | まあ、見る限りここくらいしかそれらしいものはなそうね |
エステル | あ、鉄柵の奥…あれって階段じゃないです? |
ルーティ | …!本当だわ…きっとあの階段が地下墓地へと繋がってるのね |
クレス | そうと分かったら、早速行こう! |
| |
| ギギギギ… |
エステル | この階段の奥が地下墓地… |
クレス | ちょっと待って。何か出て来る! |
| ギャオオオオッ! |
エステル | 魔物です!気を付けて! |
ルーティ | そんなやすやすと、いかせてくれるわけがないわよね。さっさと片付けましょ! |
scene1 | 仲間 |
エステル | いきなり魔物なんて…想像していた以上に危険な場所ですね |
ルーティ | 言い忘れてたけど、地下墓地は魔物の巣窟って話よ。きっとあんなのがゴロゴロしてるわ |
クレス | ルーティ、ここまで案内してくれてありがとう。後は僕達だけで、何とかするよ |
ルーティ | あら。本当にいいの? |
クレス | この先が危険な場所なら、無理はさせられないからね |
クレス | 本当はエステルも、来ないほうがいいと思うんだけど… |
エステル | いいえ。わたしも一緒に行きます。ここまで来て、帰るなんてできません |
ルーティ | ああもう、決めた!あたしも、あんた達に付き合うわ |
クレス | いいのかい?でも… |
ルーティ | なんかさ…許せないのよ、そのサレってやつ!あんたの家族、殺されたんでしょ? |
ルーティ | それに、もしエステルになにかあったら、報酬が貰えなくなるじゃない? |
クレス | ルーティ… |
エステル | クレス、ルーティもこう言ってます。ここは三人で行きませんか? |
クレス | … |
クレス | …わかった。その代わり一つ、約束して欲しい。何があっても、自分の身の安全を第一に考えると |
クレス | もちろん僕も、できる限り、二人に目を配るようにするけど…危なくなったら逃げてくれ |
ルーティ | 大丈夫よ。言われなくても逃げるから |
クレス | はは…確かにルーティは、心配いらなさそうだね。…でも、これは本当に約束してくれ |
エステル | 分かりました、約束します。さあ、地下墓地に入りましょう |
scene2 | 仲間 |
クレス | せいっ! |
| ギャオオオッ! |
クレス | …ふう。これで何匹の魔物を倒したかな?かなりの数になるけど |
ルーティ | だからゴロゴロいるって言ったでしょ |
エステル | サレは本当に、ここにいるんでしょうか? |
ルーティ | さあね…いるかもしれないし、いないかもしれない |
ルーティ | けど、サレが本当にここにいるんだとしたら、目的は星のカケラって事になるのかしらね |
ルーティ | あれって、大昔に箒星が落ちてきて、その残骸が世界中に散った物だって言われてるみたいだけど… |
エステル | ここに星のカケラがあるなら、大昔に誰かが拾って、埋葬したという事でしょうか? |
クレス | (あの脱走兵は、サレがペンダントを 探していたと言っていたが…) |
クレス | (ペンダントの石が、 実は星のカケラだったとか…? 僕の考えすぎだろうか) |
ルーティ | そもそも王様は、カケラを手に入れて何をしようってのかしらね |
エステル | それは…わかりません |
エステル | 「自分は選ばれし者だから、全ての カケラを手にする権利がある」としか言ってくれないものですから… |
ルーティ | まるで王様と直接話した事があるみたいな口ぶりね |
エステル | いえ、これは…その… |
クレス | エステル。ここまで来たら、ルーティにも本当の事を話してもいいんじゃないかな? |
エステル | そうですね…あの、ルーティ、実はわたし… |
| グオオオオッ! |
ルーティ | ちょっと待って。話は後よ!その瓦礫の陰に何かいるわ! |
クレス | くっ…!また出たか! |
scene1 | 非道に満ちた瞳 |
ルーティ | エステルがお姫様だったとはね…そういえばあの脱走兵、エステリーゼ様って呼んでたっけ |
エステル | ずっと黙っていて、ごめんなさい… |
ルーティ | ますます大事になってきたわね。初めにあんた達に会った時は、こんな展開、予想してなかったわ |
クレス | もし気が変わったなら、無理について来なくてもいいんだよ |
ルーティ | ここまで首を突っ込んでおいて?お断り。ましてや王族でしょ?がっつりたかれるじゃない |
ルーティ | それに、この国で起きてる事は、あたしにとっても無関係じゃないし。こうなったら、とことん付き合うわよ |
エステル | はい、ルーティが一緒にいてくれると、心強いです |
クレス | それは僕も同じさ。これからもよろしく頼むよ |
クレス | ところで…僕のペンダントの事をどう思う? |
クレス | ペンダントは本当は星のカケラで、そのせいでサレに奪われたんじゃないかなって思ってるんだけど… |
ルーティ | 実物を見てないし、そもそもあたしはカケラに詳しくないから、その辺は何とも言えないわね |
クレス | そうか… |
ルーティ | サレをとっ捕まえて締め上げれば、その辺の事もわかるでしょ |
ルーティ | そうするためにも、さっさとあいつらの尻尾を掴まないとね |
クレス | うん、そうだね |
| |
| ドド---ン! |
ルーティ | 何の音!? |
クレス | この先から聞こえたぞ! |
エステル | 行ってみましょう! |
scene2 | 非道に満ちた瞳 |
エステル | あそこに誰かいます! |
??? | うん…? |
クレス | お前がサレか? |
サレ | … |
クレス | どうなんだ。答えろ! |
サレ | これは驚いた。この辺のドブネズミは、人語を喋れるらしい |
クレス | 僕はトーティス村のクレスだ。お前が独立騎士団を率いて、村を襲った事はわかっているぞ! |
ルーティ | 今更言い逃れしようったって、そうはいかないわよ |
サレ | …ふうん。それで? |
サレ | キミ達が僕の事を知っているなら、それを言われたところで僕が詫びるはずもないと、わかるだろう? |
ルーティ | あんたねえ…! |
エステル | サレ、あなたは仮にも騎士団の一員のはずです。なのにどうして、あんなひどい事を!? |
サレ | これはエステリーゼ様。お目にかかるのは初めてですが、存じ上げていますよ。ご機嫌麗しく… |
クレス | 僕のペンダントを奪ったのも、お前だな? |
サレ | へぇ。これはキミの物だったのか。それでわざわざ取り戻しに? |
クレス | やはり…! |
エステル | そのペンダントは、独立騎士団の探していた星のカケラと何か関係があるのですか? |
サレ | 関係なんてないな…。星のカケラはただの隠れ蓑。僕の目当てはこのペンダントだけ |
ルーティ | どうしてそのペンダントに、そんなに執着するの? |
サレ | 執着?執着か…。フフフ… |
サレ | … |
クレス | サレ!答えろ! |
??? | …決まっているだろう。長きにわたるくびきから、我が身を解き放つためだ! |
エステル | 長きにわたるくびき…?我が身を解き放つ…?ど、どういう意味です? |
??? | ククク…もう少しだ。もう少しで私の目的が、ようやく達せられる…! |
クレス | 待て!逃げるな! |
| ガルルルル! |
ルーティ | 横から魔物が! |
クレス | どいてくれ!邪魔をするな! |
scene1 | 親友の想いをのせて |
クレス | サレを見失った…急いで後を追わないと! |
ルーティ | あいつが向かったのは、きっとこの奥よ |
エステル | 急ぎましょう! |
| |
ルーティ | 何かこんがらがって来たんだけどサレの目的は星のカケラじゃなくてクレスのペンダントだったって事? |
クレス | ああ。でも独立騎士団の部下には星のカケラを探すためと言って、それで僕の村を襲ったんだろう |
エステル | そしてペンダントを奪い…罪もない村の人々を手にかけたんですね |
ルーティ | 口封じをしようとしたのね…!最低だわ |
クレス | あのペンダントは、僕の15歳の誕生日に、父さんからもらった物なんだ |
クレス | どうしてこんな事に…たかがペンダント一つを奪うために村のみんなを殺すなんて…! |
クレス | 僕の命に代えても、サレだけは絶対に許さない…! |
エステル | クレス。憤る気持ちはわかりますが、落ち着いてください |
ルーティ | そうそう。頭に血が昇り過ぎると、ロクな事にならないわよ。ほら、深呼吸でもしなさい |
クレス | あ、うん…。わかった。そうするよ |
クレス | すう…はあ…すう…はあ… |
クレス | よし、もう大丈夫 |
ルーティ | サレがペンダントを使って何かをしようとしているのは、間違いないわね |
エステル | そうですね。何だか悪い予感がします。早く彼に追いつかないと |
クレス | うん、行こう! |
scene2 | 親友の想いをのせて |
クレス | 見つけた、サレだ! |
ルーティ | あいつ、こんなところで何やってんの? |
エステル | 何かの儀式みたいですけど… |
サレ | ようやくこの時が来たぞ…!長年に及んだ忌々しきくびきから、今こそ私は解き放たれるのだ! |
サレ | 目覚めよ、我が真なる器! |
| |
??? | … |
クレス | 誰か現れたぞ!?あれは一体誰だ…? |
| |
ダオス | 我が名はダオス。大いなる実りを求め、デリス・カーラーンより来たりし存在 |
| |
クレス | デリス・カーラーン…?そんな地名は聞いた事がない! |
サレ | ダオスはこの世界の人間じゃない。大昔に別の星からやって来た、侵略者さ |
サレ | ふう…ようやく出て行ったか。すっきりしたよ |
エステル | サレ…!? |
ルーティ | 侵略者ですって?どういう事なのよ! |
サレ | ダオスはかつて人間相手の大戦争を引き起こした。でも、敗れてこの地下墓地に封印されたのさ |
サレ | だが死ぬ事はなく、長い間ここで、復活の時を待っていたというわけ |
クレス | お前とダオスはどういう関係だ? |
サレ | ちょっと前の話だよ。僕は国王陛下の命令で、星のカケラを探すためにこの地を訪れた |
サレ | その時に、ダオスの呼びかける声を耳にしてね。心の中で応じた途端、身体の中に奴の意識が入って来たのさ |
ダオス | 呼びかけに反応したこの者の肉体を、私が乗っ取った。封印を解くためにな |
サレ | ふふ、違うね。キミとは共闘関係だ。確かに身体の主導権は渡していたけど僕は意識全てを手放した覚えはないよ |
サレ | だがその状態も、たった今終わった。お前の意識は肉体へ戻り、この身体は再び僕だけの物だ |
クレス | 僕の村を襲って、村の人を殺し、僕のペンダントを奪ったのは…サレでなくダオスの意志なのか? |
サレ | まさか。あれは僕の意志だよ。ダオスはペンダントを探していたけどそんな事は僕には関係ない |
サレ | 操られたフリをしたまま無抵抗の人間を切り刻むのは、実に楽しかったよ。ははは…! |
クレス | …! |
エステル | ひどい…何て事を! |
ルーティ | あんた、正真正銘のクズね! |
クレス | サレ…!お前は何があっても、絶対に許さない! |
ダオス | …つまらぬな。いつの人の世も、こんなものか…私には、やらねばならぬ事がある |
サレ | おっと、ダオス。行かせないよ。僕はキミも殺さなきゃいけないんだ。…その前に、キミ達を始末してあげる |
サレ | 僕は操られていた事にして、もっと『楽しく』やりたいんだよね。だからキミ達にも死んでもらわなきゃ |
サレ | キミ達が嘆き、絶望する顔をじっくり見せてよ…。あのチンケな村じゃ物足りないんだ… |
ルーティ | 誰があんたなんかにやられるものですか! |
エステル | サレ、あなたのような人に騎士を名乗る資格はありません! |
クレス | 父さん、母さん、アミィちゃん…村のみんな…。みんなの敵は僕が討つ…! |
クレス | チェスター…、君の想いもすべてこの剣にのせるっ! |
クレス | いくぞ、サレ!覚悟しろ!! |
scene3 | 親友の想いをのせて |
サレ | う…うああああ…! |
サレ | う、嘘だろう…?僕が、こんな奴らに…! |
サレ | ははははは、ウソだろう? |
クレス | まだ戦う気か? |
サレ | この僕が…お前らなんかに…やられて… |
サレ | やられてたまるかよ!こんちくしょうがああああッ!! |
サレ | ぐふっ…! |
| |
| ドサッ |
| |
クレス | … |
エステル | これで…終わりです…? |
クレス | ああ…そうみたいだ |
クレス | これで…死んでいった村の人達も、少しは浮かばれるだろうか… |
クレス | …いや、まだだ。サレの身体を操っていたダオスが、まだ残っている |
クレス | …ダオスを放ってはおけない。すべての根源はあいつだ… |
クレス | 自分の復活のために僕のペンダントを…そしてみんなを… |
クレス | あいつがいる限り、また他の人が犠牲になるかも知れない |
エステル | そういえば、サレを置いてどこかに行ってしまいましたね。どこへ行ったんでしょう? |
ルーティ | まだ遠くへは行ってないはずよ。捜しましょ! |
クレス | ああ! |
scene1 | 僕たちのやるべきこと |
クレス | ダオス!見つけたぞ! |
ダオス | … |
クレス | ダオス、僕はお前を許さない!お前は、自分の欲のためにどれだけの人間を犠牲にしたんだ!! |
クレス | そんな事…絶対にあってはならない事だ! |
ダオス | …くだらぬ。卑小な人間ごときが何人殺されようと、些末な事だ |
クレス | …何だと! |
ダオス | どうせお前達人間は、遅かれ早かれ滅ぶ運命にある。この私の手によってな |
エステル | では、サレが言っていた事は本当なんですね。あなたが侵略者だというのは… |
ダオス | お前達から見ればそうなる |
ダオス | 今から遥か昔…私は滅びに瀕した我が故郷を救うため、この世界にやって来た |
ダオス | この世界に満ちる生命エネルギーが、故郷を復活させるのに必要だったからだ |
ダオス | その頃のこの世界は、人間どもが我欲を募らせ、相争い、乱れ切っていた |
ダオス | 人間どもの争いは、この世界そのものを疲弊させ、私が必要とするエネルギーを激減させていた |
ダオス | 人間どもを滅ぼさなければ、この世界に未来はなく、私は故郷を救う事もできぬ |
ダオス | だからこそ私は、人間どもに戦いを挑んだのだ |
ルーティ | でも戦いに負けて、今まで封印されてたって訳ね。ざまあないわ |
ダオス | … |
ダオス | 長きにわたり屈辱を強いられたが、今度こそ、私はエネルギーを浪費する人間どもを根絶やしにして見せる |
クレス | そんな事をさせるかっ!お前の故郷のために、この世界の人間を殺させるわけにはいかない! |
ダオス | フッ… |
エステル | 待って!どこに行くんです!? |
ルーティ | ちょっと!待ちなさいよ! |
scene2 | 僕たちのやるべきこと |
クレス | 待て、ダオス! |
ダオス | ふっ。卑小な人間風情が、たった三人で私を止めようというのか |
ルーティ | どうなるかは、やってみなくちゃわからないんじゃない?あんた、寝起きでしょ? |
エステル | このまま黙って、世界を滅ぼされるわけにはいきません |
ダオス | … |
ダオス | お前達は、人間を守る価値がある存在だと、本気で思っているのか? |
クレス | 何…? |
ダオス | あのサレと精神を同調させ、久しぶりにこの世界の様子を垣間見て、私は確信した |
ダオス | 人間は昔と何も変わっていない…。誰もが己の都合を振り回し、不毛な争いを繰り返してばかりいる |
ダオス | その争いがこの世界に、どれほどの悪影響を与えるか…微塵も考える事なくな |
ダオス | このままではこの世界に未来はない。この世界を存続させるために最も害ある人間を滅ぼして、何が悪い |
エステル | それは… |
ルーティ | 人間が争ってばかりいるってのはあんたの言う通りだけど… |
クレス | … |
クレス | …確かに僕達は、この世界に対して取り返しのつかない事をしているのかもしれない |
クレス | この世界は人間だけのものじゃない。動物や植物…多くの生命が共存する場だ |
クレス | それを人間の都合だけで、好き勝手にしていいわけがない…。ダオス、お前の言っている事は正しい |
ダオス | … |
ルーティ | クレス、あんたこのダオスって奴の言ってる事、認めるワケ!?あんたまであたし達に死ねっての!? |
クレス | いや、そうじゃないよ。だからってダオスがやってきた事を肯定するわけでもない |
クレス | 人によって僕の村の人は殺されたし人が起こした戦争でも人が死ぬ。…だからこそ、僕は思うんだ |
クレス | 世界をこんな風にしたのが僕達人間なら、それを元に戻すのも僕達人間に課せられた義務だって |
クレス | 父さんや母さん、みんなの事は残念で悔しくて仕方ないけど… |
クレス | ダオスから真実を聞いて初めて知る事ができたんだ。僕達人間の愚かさを… |
エステル | クレス… |
クレス | この世界は僕達人間がこれまでの態度を改め、僕達自身の手で守っていくべきだ |
クレス | …違うかい? |
エステル | …クレスの言う通りだと思います |
ルーティ | そうね。あたしも賛成。クレス、あんたいい事言うじゃない |
クレス | ダオス。これだけはわかってくれ。決して全ての人間が、争いを望んでいるわけじゃない |
クレス | 争いが続く今の状況を憂い、何とかしたいと考えている人間は、決して少なくはないはずだ |
クレス | きっとこの状況を変えてみせる。だからこの世界の事は、僕達に任せてくれないか? |
ダオス | …それはできぬ。忘れたか?私はこの世界に満ちるエネルギーを我が故郷に持ち帰らねばならんのだ |
ダオス | 人の言葉など端から信用しておらぬ。…お前達が私の目的を阻むのならばそれを排除するのみ |
クレス | ならば…僕達は今ここで、お前を倒す!お前がこの世界を滅ぼすと言うのならば! |
| |
ダオス | 身の程を知らぬ愚か者どもよ。絶望に焦がれながら死ぬがよい! |
エステル | …来ます! |
scene3 | 僕たちのやるべきこと |
ダオス | ぐふっ…! |
クレス | どうだ、ダオス!これが僕達の力だ! |
ルーティ | 卑小な存在に負けた気分はどう? |
ダオス | 負けられぬ…!私は決してやられはせぬぞ! |
エステル | もう抵抗はやめてください。これ以上やっても無意味です |
ダオス | 黙れ!私は倒れるわけにはいかないのだ。私の帰りを待つ、民のためにも…! |
クレス | まだ立ち上がるのか!? |
ルーティ | 何度だって戦ってやるわよ!覚悟しなさい! |
ダオス | 寄るな!時空転移に巻き込まれたくなければな |
エステル | 一体何が起きてるんです? |
ダオス | 私はどんな手段を用いてもこの世界のエネルギーを手に入れる。…またまみえようぞ、愚かな人間ども |
| |
クレス | 消えた… |
エステル | もう大丈夫なんでしょうか? |
ルーティ | 時空がどうとか言ってたから、もうこの世界にはいない…とか?理屈はよくわからないけど… |
クレス | …ペンダントが落ちてる。ダオスが残していったのか |
| |
エステル | このペンダントが、ダオスを封印していたんですね |
クレス | そういう事だろうね。そんな特別な力があるようには思わなかったけど… |
クレス | 父さん… |
| |
クレス | …!?ペンダントが光りだした…何だこれは…!? |
エステル | な、なにが起こってるんです? |
ルーティ | この光…。ねえ、クレスの言う通りこのペンダントが星のカケラだったんじゃないの?なんてね |
クレス | 星のカケラ…これが… |
エステル | ますます光が強くなっています…まるで、クレスが選ばれし者だって事を教えてるみたいです… |
クレス | 僕が…選ばれし者…? |
ルーティ | 光が…共鳴してる…? |
ルーティ | 嘘、冗談のつもりだったのに…。それ、本当の本当に星のカケラなの? |
クレス | どうなんだろう。でももし仮に、僕が真の選ばれし者なんだとしたら…願いが一つ、かなうんだったよね |
エステル | …何を願うんです? |
クレス | いわゆる普通の願いとは、少し違うかもしれないけど…僕はこの世界を、何とかしたい |
クレス | ダオスに言った事を、口先だけで終わらせたら駄目だ。何としても戦争を終わらせないと |
エステル | そうですね。わたしもそう思います |
クレス | もしこのペンダントが星のカケラで何でも願いがかなうのだとしたら… |
クレス | 世界中で起こっている争いの全てをやめさせるためにその力を使いたい。人が殺し合わないように |
クレス | たくさんの人が死んで、たくさんの人が涙を流す…。戦争は、悲しみしか生まない |
エステル | …クレス |
クレス | もちろん、この願いをかなえるには、星のカケラへ願うだけじゃなく、僕含めみんなの力が必要になるけどね |
ルーティ | ペンダントがクレスの言葉に反応している…? |
クレス | 僕をどこかへ連れて行く…みたいだ |
クレス | 光の神殿…? |
クレス | うん、わかった。行くよ |
エステル | もしかして、星のカケラと対話しているんです? |
ルーティ | 光の神殿!?あたしも行く! |
ルーティ | うっ、弾かれた…!どういう事? |
エステル | そういえば、選ばれし者以外は、神殿へは入れないって、言い伝えにあった気がします… |
ルーティ | えー!いかにも金目のモノがありそうな名前なのに… |
クレス | エステル、ルーティ、ここまでありがとう。僕は神殿へ行くよ |
エステル | わかりました。気をつけて行ってきてくださいね |
ルーティ | ま、駄目な物は仕方ないか… |
ルーティ | あたしの代わりに、珍しいお宝をたくさん持って帰って来るのよ! |
クレス | 二人とも、今まで本当にありがとう。…それじゃ |
| |
ルーティ | 行っちゃった…こんな事なら、ペンダント、もらっとけばよかったわ |
ルーティ | そうすれば、クレスじゃなくって、あたしがカケラに選ばれたかもしれないのに |
エステル | それはどうでしょう…わたしはルーティが何をしようと、選ばれたのはクレスだと思いますよ |
エステル | あの人は選ばれるべくして、選ばれた気がします。あのまっすぐな気性で |
ルーティ | ま、そうかもね… |
ルーティ | ところでエステルは、これからどうすんの? |
エステル | そうですね…わたしは世界の姿をこの目で見るため、ここまでクレスに同行してきました |
エステル | クレスやルーティに色々な話を聞き、サレやダオスと戦い…お蔭で色々な事を知る事ができました |
エステル | クレスだけに全てを任せるつもりはありません。戦争をやめさせるためにできる事をしたいと思います |
ルーティ | あーあー、お姫様は真面目ですこと |
ルーティ | …しょーがないわねー。あたしも手伝ってあげるわよ |
エステル | ルーティ……いいんですか…? |
ルーティ | ここまできたら、当たり前でしょ?何?あたしは信用ならないっての? |
ルーティ | あ、あんたには謝礼もらわないとね♪ |
エステル | …ありがとうございます!ルーティがいてくれたら心強いです! |
| |
エステル | (クレス、わたし達も頑張ります。 どうか無事に 帰ってきてくださいね) |
Name | Dialogue |
scene1 | 三人の遺跡ハンター |
ロイド | へー。ここがシザー遺跡かここに、星のカケラがあるんだよな? |
リタ | 断定はできないけどね。可能性はあるはずよ |
ロイド | 昔の人も律儀だよな。降ってきた星のカケラを奉るためにわざわざこんな遺跡を作るなんて |
コレット | 星のカケラって、今まで誰にも見つけられなかったんでしょ?リタはよくわかったね? |
リタ | 別に大した事じゃないわ。昔の文献を漁って記述を見つけ出して…後は推論よ |
リタ | それに遺跡は全部で4つ。星のカケラがあるとしてもここという保証はないの |
ロイド | それを確認するために、わざわざここまで来たんだろ?早く入ろうぜ! |
リタ | 落ち着きなさいよ。あんた、コレットの護衛なんでしょ?一人で先に行ってどうすんのよ |
ロイド | 悪い悪い。つい… |
コレット | ねえ、リタ。遺跡の封印を解くのに神子の力が必要だって言ってたけど、封印ってどこにあるの? |
リタ | さあ。でも、たいていこういうのは一番奥って相場が決まっているわ |
コレット | そっか。じゃあ、そこまで一緒に頑張ろうね |
リタ | 当然よ。そのために、あんたに声をかけたんだから |
ロイド | そろそろ、行こうぜ。中は危険だって話だし、離れないようにな |
scene2 | 三人の遺跡ハンター |
コレット | わあ~、遺跡の中って、結構広いんだね~ |
ロイド | 結構、暗いな…。二人とも、足元が悪いから気を付けろ |
| ドテッ!カチッ!ヒュンッ!! |
ロイド | な、なんだ!?矢が飛んで… |
ロイド | いや、それより、コレット、大丈夫か? |
コレット | うん。転んじゃった…。えへへ。ドジだね、私 |
リタ | いきなり罠とはやってくれるじゃない |
リタ | やっぱり一筋縄じゃいかなさそうね。その分、期待できそうだけど |
ロイド | コレットも無事だし、気を取り直して行こう |
リタ | …そういえば、あんた達、星のカケラについてどれくらい知ってんの? |
ロイド | 確か全部で6個あるんだろ?それを全部集めると願いがかなうとか何とか… |
リタ | 微妙に違うわ。正確には「カケラを手にし、己に打ち勝った真 の選ばれし者だけが神殿に入れる」 |
リタ | 「星のカケラが全て揃った時、 我は姿を現し、願いをかなえん」よ |
ロイド | 誰が姿を現すんだ? |
リタ | 言い伝えじゃ、光の使いって事になってる。それがなんなのかは知らないけど |
コレット | リタはかなえたい願いがあって、星のカケラを探してるの? |
リタ | まさか。あたしは星のカケラが実在するなら、この手で調べてみたいだけ |
リタ | 願い事なんて興味ないわ |
リタ | 普段は勝手に入れない遺跡だし、ちょうど研究所に調査依頼が入ってくれて助かったわよ |
リタ | 北のウィンドルの王様が、カケラ集めに乗り出してるって噂もあるしね |
ロイド | 俺も願い事とかは特にないけど、星のカケラは見つけたいな。宝さがしみたいで面白いもんな |
コレット | 私は、ロイドと一緒に旅ができるだけで嬉しいよ |
リタ | あーはいはい。そういうのは街に戻ってからやって |
ロイド | あれ…?なぁ、行く手が扉で塞がれてるぞ?行き止まりか? |
リタ | ここがこの遺跡の最深部よ。カケラがあるとしたら、あの扉の先のはず |
リタ | コレット、開けられる? |
コレット | あ、うん。試してみるね |
| ズズズ… |
ロイド | 扉が開いた! |
リタ | 浮かれないの。まだ当たりかどうか分かんないんだから |
| ギャオオオオ! |
ロイド | くそっ、外れか! |
scene1 | 偶然の遭遇? |
リタ | さあ、着いたわ。ここが2つ目の遺跡シャイコス遺跡よ |
コレット | 今度こそ、星のカケラがあるといいね~ |
ロイド | そうだな。前の遺跡じゃ、カケラの代わりに魔物が出て来て驚いたもんな |
リタ | 仕方ないでしょ、うっさいわね。文句があるならはっきり書かなかった昔の文献の著者に言いなさいよ |
| |
??? | いよう、ロイドくんにコレットちゃん! |
ロイド | ゼロス!? |
リタ | 誰、こいつ? |
ゼロス | おっと、自己紹介が遅れたな。俺さまはゼロス・ワイルダー |
ゼロス | ゼロスくんって呼んでね♪ |
リタ | ふーん… |
ゼロス | おや~、冷たい反応 |
ゼロス | ひょっとしてリタちゃん、俺さまの事、警戒してる? |
リタ | リタちゃんとか言うな! |
リタ | 大体、何であんたがあたしの名前知ってんのよ! |
ゼロス | そりゃ、リタちゃん有名だからねぇ。シルヴァラントが誇る、天才美少女魔導士として |
リタ | …あっそ。悪いけど、あたし達急いでるから |
リタ | ロイド、コレット、さっさと遺跡に入りましょ |
ゼロス | じゃあ、またな |
ロイド | なんだ、行っちゃうのかよ |
コレット | またね~ |
ロイド | よし、俺達も行こう! |
| |
ゼロス | …行ったみたいだな |
ゼロス | それじゃ、こちらも行きますかね |
scene2 | 偶然の遭遇? |
リタ | …ねぇ、あのゼロスって奴といつから知り合いなワケ? |
ロイド | んー…結構前からだぞ |
ロイド | あいつが妹のセレスと旅に出てたから会うのは久しぶりだな |
コレット | セレスさんにもまた会いたいね。元気にしてるかなあ~? |
リタ | …あいつ、あたしらの後をつけてきたんじゃないの? |
リタ | 王都の中とかならともかく、こんな遺跡でバッタリなんて怪しすぎるわ |
ロイド | たまたまだろ。そういう事もあるって |
コレット | そうだね! |
リタ | …あんた達、もう少し他人を疑う事覚えた方がいいわよ。どんな事企んでるかも分からないんだから |
ロイド | 企む…? |
リタ | 例えば、あいつも星のカケラを狙ってる、とかよ |
ロイド | 俺達から盗むって事か? |
ロイド | あいつがそんな事するわけないだろ! |
リタ | だったらいいんだけどね。今じゃ、誰も彼もがカケラを探してるっていうじゃない |
リタ | 知り合いだからって、そうじゃないって理由にはならないでしょ |
ロイド | まあ、そう言われればそうだけど |
ロイド | …でも、ここであったのはただの偶然だ! |
ロイド | 変な目的で俺達に近づくなんて、あいつに限ってそれはないって! |
コレット | そうだよね。お友達だもんね |
リタ | あんた達ねえ… |
リタ | まあいいわ。とにかく油断は禁物って事。ほら、行くわよ |
ゼロス | …実はまだ、すぐ近くにいたりしてな |
ゼロス | それにしてもリタちゃん、結構鋭いのな。これは不用意に姿を見せないほうがいいか… |
| |
リタ | ここが最深部ね |
ロイド | また扉があるな |
コレット | じゃあ、また私が開けられるか試してみるね |
| ズズズ… |
ロイド | 開いた! |
リタ | 今度こそ…! |
| ギャオオ! |
ロイド | また外れかよ!? |
scene1 | 気高き剣士 |
リタ | ああもう、また外れだなんて! |
リタ | コレット、悪いわね |
コレット | ううん、私、楽しかったよ |
コレット | ああやって、魔物と戦ったりするのって、いかにも冒険してる感じだったしね |
ロイド | ああ。危ない時もあったけど、本当に楽しかったぜ |
ロイド | それに遺跡はまだ半分しかまわってないし、これからだ |
ロイド | そうだろ? |
リタ | あたしは別に冒険がしたい訳じゃないんだけど… |
リタ | でもそうね。これしきで、めげてらんないわ |
ロイド | ところで、次はどこへ行くんだ? |
リタ | 次に目指すサザ遺跡は、ここから南へ少し行ったところにあるはずよ |
ロイド | もうすぐ日も暮れるし、今日はこの近くのルイニス街に泊まろうぜ |
コレット | あれ…? |
| ガアアアアッ! |
ロイド | 魔物!? |
| |
| ザシュッ! |
ロイド | ! |
??? | この辺りに生息する魔物の中には強敵も多い |
??? | 油断していると命を落とすぞ |
| |
ロイド | お前、凄いな!あんな魔物を一撃で倒すなんて |
ロイド | 今の技、どうやったんだ!? |
??? | …僕が初対面の人間に軽々しく技を教えると思うか? |
ロイド | 行っちまったか…ちぇっ。教えてくれてもいいのに |
リタ | 当然の反応だとあたしは思うけど |
コレット | あの人も同じ方向に向かったみたい。また会えた時に頼んでみたら? |
ロイド | それもそうだな。ありがとな、コレット! |
コレット | えへへ… |
リタ | …とにかく、ルイニス街へ向かうわよ |
scene2 | 気高き剣士 |
コレット | ここがルイニス街?落ち着いた感じのところだね |
ロイド | まずは宿を探すか。飯がうまいところにしようぜ! |
??? | お前達… |
| |
ロイド | おっ、また会ったな |
??? | あの街道を無事に通って来れたのだとすると、それなりに腕は立つという事か |
ロイド | へへ、まぁな! |
ロイド | …あ!そうだ、あの時の技… |
街の男 | リオン、街の北に魔物が出た!手を貸してくれ! |
リオン | …またか。自分達で何とかしたらどうだ? |
リオン | 何度も言うが、僕はこの街の警備兵になった覚えはない |
街の男 | そう言わないで、頼む!リオンだけが頼りなんだ! |
リオン | …仕方ない |
リオン | お前は街の人間を避難させておけ。ケガをしたくなければな |
| |
コレット | あの人、街の人達からすごく頼りにされてるんだね |
リタ | そりゃあんだけ腕が立てば、頼りにもされるでしょ |
リタ | 本人は迷惑そうだったけど |
リタ | まだ技を教えてもらうの諦めてないみたいだけど、忙しそうだし無理なんじゃないの? |
ロイド | そうだな…それは仕方ないからいいんだけど…うーん… |
コレット | どしたの? |
ロイド | あ、いや、何でもない。…そうだよな、忙しいんじゃ仕方ないよな |
| ガアアアアッ! |
リタ | こっちにも魔物が! |
ロイド | くっ…!こっちは俺達で片付けるぞ! |
scene1 | ロイドの考え事 |
リタ | さあ、いよいよサザ遺跡に挑むわよ! |
コレット | わ~、楽しみだね~! |
ロイド | … |
リタ | 遺跡も3つ目だし、いい加減にそろそろ見つかって欲しいもんだわ |
コレット | 星のカケラがみつかるといいね~ |
ロイド | … |
リタ | ちょっと、ロイド |
ロイド | ん? |
リタ | いつもうるさいあんたにそうやって黙ってられると、それはそれで不気味なんだけど |
ロイド | あ、そうか。悪いな |
コレット | ロイド、昨日から変だよ?お腹でも痛いの? |
リタ | どうせどっかで変なものでも食べたんでしょ。あんた食い意地張ってそうだもんね |
ロイド | 別にそういうんじゃねーけど…うまく説明できないや |
ロイド | まあ俺の事はいいだろ。早く遺跡の中に入ろうぜ |
コレット | あ、うん。そだね |
scene2 | ロイドの考え事 |
コレット | あ、扉があるね。ここが遺跡の最深部かな? |
リタ | みたいね |
ロイド | … |
コレット | ロイド…まだ考え事してるの? |
コレット | 私じゃ頼りにならないかもだけど、よかったら相談に乗るよ? |
ロイド | ごめんな、心配かけて。大した事じゃないんだけどさ |
ロイド | ルイニス街で会ったリオンの事をずっと考えていたんだ。あいつ、立派だったよなって |
コレット | そだね。口調はそっけなかったけど、街の人のために一生懸命働いてたもんね |
リタ | なによ、立派なあいつと自分を比べて、落ち込んでたってワケ? |
ロイド | よくわかったな? |
リタ | 馬鹿っぽい…悩んでる暇があるなら、あんたのやりたいようにすればいいじゃない。なんかあるんでしょ |
ロイド | うーん… |
リタ | 何よ、ないのに悩んでんの? |
ロイド | ないってわけじゃねーけど、何ていうか、その… |
リタ | …付き合ってらんない。コレット、扉よろしく |
コレット | あ、うん。 |
| ズズズ… |
コレット | 今度はどうかな…? |
| ギャオオ! |
リタ | また!? |
scene1 | 束の間の休息 |
コレット | …遺跡の中にいる間に、すっかり日が暮れちゃったね |
リタ | また外れた…今度こそって思ってたのに |
コレット | 元気出して、リタ。残る遺跡はあと1つなんでしょ? |
リタ | まあね… |
コレット | きっと、次の遺跡では見つかるよね? |
リタ | 遺跡は4つだけだから、それはそうであってくれないと困るんだけど、できればあそこはね… |
コレット | …? |
ロイド | コレット、リタ。すぐそこに空き小屋を見つけたんだ |
ロイド | この辺の魔物は強いし、夜道を歩くのは危険だ。今日はそこで休もうぜ |
コレット | うん、そだね |
リタ | ところであんたの悩みはもう解決したの、ロイド? |
ロイド | してねーけど…ただ悩んでても仕方ないかと思ってさ。あまり気にしない事にした |
リタ | なによそれ |
リタ | でもそれでいいんじゃない。どうせあんたの頭は難しい事考えるのに向いてなさそうだし |
ロイド | まあな! |
リタ | …なんでそこで嬉しそうな顔すんのよ |
リタ | まあいいわ。それじゃその小屋に案内して |
コレット | なんだかワクワクするね~ |
ロイド | 本当だな!よし、じゃあ行くか |
リタ | はあ…いいわね。お気楽で |
ゼロス | なるほど… |
ゼロス | あと1つか… |
scene2 | 束の間の休息 |
ロイド | ふう。飯も食ったし、あとは寝るだけだな |
リタ | あたしは持ってきた文献を調べたいから、もう少し起きてる |
リタ | 邪魔すんじゃないわよ |
ロイド | コレットはまだ寝ないのか?疲れが取れなくなるから、あまり夜更かししちゃ駄目だぞ |
コレット | あ、うん。それはわかってるけど…もう少しロイドとお話ししたくって |
ロイド | それなら、少し外に出ようか |
コレット | うん! |
| |
コレット | えへへ。嬉しいな |
コレット | 明日、最後の遺跡に行ってこの旅も終わりになるのかな? |
ロイド | そうだなあ…星のカケラが見つかれば、明日で終わりだな |
ロイド | そしたらすぐに王都メルトキオに戻らないといけないんだろうな |
ロイド | コレットは元々カケラが見つかるまで、って約束だったし |
コレット | 私、こうやってロイドと一緒に旅ができて、嬉しかったよ |
コレット | リタには悪いけど、星のカケラがすぐに見つからなくて、よかったって思う |
ロイド | 王都にいる時のコレットは、いつも大変そうだもんな |
ロイド | 神子だから仕方ないんだろうけど |
コレット | みんなが私を神子だって特別扱いするけど…ロイドだけは昔からずっと一緒だよね |
ロイド | コレットはコレットだろ。神子だろうとなんだろうと、俺の幼なじみなのは変わらないしな |
コレット | ありがとう、ロイド |
コレット | あ、あのね。私…ロイドにずっと言いたい事が… |
ロイド | コレット… |
| ガサッ |
ロイド | …うん? |
| ギャオオオオ! |
コレット | 魔物!? |
リタ | 邪魔すんなって言ったでしょ!ぶっ飛ばす! |
scene1 | 消えた神子 |
ロイド | おーい、コレット、リタ、朝だぞー!おーい! |
リタ | うっさい…大声出さないでよ… |
ロイド | おはよう、リタ!コレットはまだ寝てるのか? |
リタ | そうなんじゃないの?多分… |
ロイド | 起こして来てくれよ。朝飯ができたからさ |
リタ | はいはい… |
| |
リタ | え、嘘?どういう事!?コレット?コレット!! |
ロイド | どうした!? |
リタ | コレットがいないの。あんた見てないの? |
ロイド | 何だって!? |
リタ | 布団が冷たい…もう起きてから時間が経ってるみたい。一体どこに行っちゃったの…? |
ロイド | 手分けしてその辺りを捜そう。俺はそっち、リタはあっちを頼む! |
リタ | わかった |
| |
ロイド | いたか!? |
リタ | いない…どこにも… |
ロイド | ああ、くそ!どこ行ったんだよコレット! |
リタ | 他に行けそうな場所…もしかしたら一人でルイニス街に戻ったとか…? |
ロイド | 何でだよ!? |
リタ | 分からないわよ!あたしに聞かれたって! |
ロイド | …悪い |
ロイド | 他にアテもないし…とにかく、ルイニス街に行ってみよう! |
scene2 | 消えた神子 |
ロイド | はあ…はあ…リタ、大丈夫か? |
リタ | あたしは平気…それより早くコレットを見つけないと… |
ロイド | くそ…コレットの奴、どうして一人で行っちまうんだよ… |
リタ | …ねえ、コレットは本当に一人で行ったんだと思う? |
ロイド | どういう意味だ? |
リタ | だっておかしいと思わない?あたし達に何も言わずに一人でどこかに行くなんて |
ロイド | …確かに |
リタ | もしかしたら、誰かにさらわれたとか… |
ロイド | ま、まさか! |
リタ | もしそうなら、あたしのせいだ。一緒の部屋にいたんだから… |
リタ | いや、そもそもあたしが、遺跡探索をするからって、コレットを連れ出したりなんかしなければ… |
ロイド | リタが悪いんじゃない。もしコレットが誰かにさらわれたなら責任は全て俺にある |
ロイド | 俺はコレットの護衛役なんだから。俺がコレットを守らないといけなかったんだから |
リタ | ロイド… |
ロイド | とにかく、急いでルイニス街へ戻ろう。何かわかるかもしれない |
リタ | うん… |
| ガササッ! |
ロイド | む…? |
| ギャオオッ! |
リタ | 魔物!こんな時に! |
ロイド | 邪魔をするな! |
scene1 | 大切な存在 |
ロイド | やっと着いたな。手分けして街の人達に話を聞こう |
リタ | ええ |
| |
ロイド | すいません、そこの人!ちょっとおっとりした金髪の女の子を見ませんでしたか? |
街の女 | …知らないねえ |
ロイド | あ、すいません、そこの人! |
ロイド | 駄目だ…誰もコレットを見ていない。ルイニス街へ戻って来たのは、見当違いだったのか…? |
リオン | む…? |
ロイド | あ…リオンじゃないか! |
リオン | …またお前か。相変わらず騒々しいな。何かあったのか? |
ロイド | それが、聞いてくれよ! |
ロイド | 実は… |
リオン | そんな事になっていたとは…。そういえば街に住む狩人から、気になる話を聞いたな |
リオン | その狩人が今朝、南にあるシーブル村へ向かう街道で、妙な旅人に会ったらしい |
リオン | 旅人は袋に入った大きな荷物を背負っていたが、道中、その荷物に話しかけていたそうだ |
リオン | 生け捕りにした動物に話しかけている奇妙な奴、という話だったが、それがもし人だったとすれば… |
ロイド | まさか…コレット! |
リオン | 今からすぐに向かえば追いつけるかもしれない。行くなら急ぐんだな |
ロイド | ああ、そうする。貴重な情報をありがとう、リオン! |
リオン | …行くからには、必ず助けてやるんだな |
ロイド | もちろんさ! |
リオン | … |
リオン | …僕は…守れているだろうか… |
リタ | あっ、ロイド!どうだった!? |
ロイド | リタ、いいところに!重要な情報を手に入れたぞ。すぐシーブル村に向かおう! |
scene2 | 大切な存在 |
ロイド | 結構歩いたよな。なのに、行けども行けども森だ… |
リタ | そうね。人通りもほとんどないし…いかにも魔物がたくさんいそう |
ロイド | コレットをさらった犯人がこっちに逃げたんだとしたら、目撃者がほとんどいなかったのも頷けるな |
ロイド | それにしても…くそ!一体どこのどいつなんだよ! |
リタ | あのゼロスって可能性はない? |
ロイド | ゼロスが?それはない、あいつは仲間だ |
リタ | 本当に言い切れる?ずっとあたしらに隠れて、こっそり後をついて来てたのかもしれない |
リタ | 星のカケラじゃなく、コレットを攫うために… |
ロイド | 何のために?ゼロスがコレットをさらわなくちゃいけない理由なんてないだろ |
リタ | 誰かの命令で動いてるって可能性は?コレットが神子である事を、快く思わない連中がいるんじゃない? |
ロイド | うーん…それもどうかなあ… |
リタ | …とにかく誰だろうと許せない。見つけたら黒焦げにしてやるわ |
ロイド | とにかく今は、コレットを無事に取り戻す事が先決だ。ほかの事は、あとだ |
リタ | ええ、分かってる |
| ガササッ! |
リタ | 何かいる! |
ロイド | 出やがったか! |
scene1 | 海沿いの村、シーブル |
ロイド | ここがシーブル村か。コレットが見つかるといいけど… |
??? | あれ?また旅人? |
| |
??? | この村に、立て続けに来るなんて珍しいなあ |
リタ | また…? |
ロイド | 俺達の前にも誰か来たのか? |
ロイド | どういう奴だった? |
??? | 赤い髪の男と、金髪の女の子だったよ |
ロイド | コレットだ! |
リタ | 赤い髪の男って、ゼロスでしょ!?やっぱりあいつの仕業じゃない! |
ロイド | そんな… |
リタ | で、二人はまだ、この村にいるの? |
??? | いや、もういないよ。ここから東にあるスールズ村に向かったと思う。道を聞かれたから |
ロイド | 東だな?よし、俺達もすぐに向かおう! |
リタ | ちょっと待って |
リタ | その二人について、他に何か気付いた事はない? |
??? | …ひょっとしたらあの人、星のカケラを探してたのかも |
ロイド | 星のカケラだって? |
??? | オレの聞き間違いかもしれないけど男のほうが、星のカケラがどうとか言ってたよ |
??? | 星のカケラを持っていれば、光の使い・ティルグが願いをかなえてくれるって話だし |
リタ | 伝説の内容が微妙に違うわね… |
リタ | まあ、いいわ。それより、そのティルグって何? |
??? | オレのジィちゃんが言うには、光の使いは「ティルグ」って名前らしいんだ |
リタ | 光の使い、ティルグ… |
ロイド | リタ!行くぞ! |
リタ | え、あ、そうね |
リタ | あ、そうだ、あんた、名前は? |
シング | オレはシング。シング・メテオライト |
リタ | シングね、覚えとく |
リタ | 情報ありがと、恩に着るわ! |
シング | あわただしい人達だなあ… |
scene2 | 海沿いの村、シーブル |
ロイド | リタはスールズ村の事は何か知ってるのか? |
リタ | 名前くらいね。次に行く遺跡のすぐ近くにあるから、そのうち行くかもとは思ってたけど |
ロイド | 次に行く遺跡…じゃあゼロスの目的は… |
リタ | あいつが本当に行きたいのは、村じゃなくて遺跡のほうでしょ。これだけ証拠がそろえば間違いない |
リタ | コレットを遺跡に連れて行って、星のカケラを手に入れるつもりなのよ、あいつ |
ロイド | … |
リタ | やっぱりあたし達の後を、ずっとつけてたのね…油断した。その可能性もあるってわかってたのに |
ロイド | もし本当にゼロスの仕業なら…あいつはどうしてそこまでして、星のカケラを欲しがるんだろうな |
リタ | どうでもいいわよ、あいつの事情なんか |
ロイド | よくない。何の理由もなく、あいつがこんな事をするもんか。きっと、よほどの事情があるはずだ |
リタ | 何でそんなにあいつの肩を持つのよ。いい?あいつは、コレットをさらったのよ? |
リタ | あんた、あいつが旅に出てたって言ってたわよね。これは推測だけど、それってウィンドル王国じゃない? |
ロイド | どこかは聞いてねーけど…どうしてそう思うんだ? |
リタ | 前も言ったでしょ?あの国の王様も、星のカケラを集めてるって |
ロイド | ゼロスはウィンドル国王の命令で動いてるって事か? |
リタ | かもしれないって事よ |
ロイド | うーん…どうなんだろうなあ… |
| ガサッ! |
ロイド | 何かいるぞ! |
| ギャオオオオ! |
リタ | また魔物!? |
scene1 | 村の外れの協力者 |
リタ | やっと着いた。ここがスールズ村か。ずいぶん静かなとこね |
ロイド | ゼロスとコレットは、もうここにはいないかもしれねーけど、一応、村の人に話を聞いてみよう |
ロイド | もしかしたら新しい情報が手に入るかもしれないしな |
リタ | そうね |
ロイド | リタ、そっちはどうだった? |
リタ | やっぱり少し前に、それらしい二人組が村を訪れて、そのまま遺跡に向かったみたい |
ロイド | 俺が聞いた話と同じだ。決まりだな。それじゃ俺達もすぐに行こう! |
リタ | 待って。そう簡単にはいかないわ |
ロイド | 何でだよ? |
リタ | どうしてあたしが、この遺跡を最後まで残してたと思う?あそこが一番厄介だからよ |
ロイド | どういう事だ? |
リタ | あそこの遺跡は、これまでのどの遺跡よりも侵入者撃退のための仕掛けがたくさんあるみたいなの |
リタ | これは噂だけど、今までに挑んで戻った人は誰もいないらしいわ |
ロイド | だからって、行かないわけにはいかねーだろ?今更怖気づいたのか? |
リタ | あんたこそ落ち着きなさいよ!闇雲に行くのは危険だって言ってんのもっと情報が必要だわ |
リタ | 村外れの小屋に住んでるヴェイグって人が詳しいらしいの |
ロイド | じゃあまず、そのヴェイグって奴に話を聞けばいいんだな?よし、行ってみよう! |
scene2 | 村の外れの協力者 |
リタ | あの小屋がそうらしいわね |
ロイド | 声をかけてみよう。おーい! |
??? | 誰だ、お前達…? |
| |
ロイド | あんたがヴェイグか? |
ヴェイグ | そうだが…なぜオレの名前を知っている |
ロイド | あんたがこの近くにある遺跡の事をよく知ってるって、村の人に教えてもらったんだけど |
ヴェイグ | ヴィズリー遺跡の事か…遺跡目当ての人間に話す事など何もない |
ロイド | 頼む!俺の大切な幼なじみが、遺跡に連れていかれたんだ!どうしても助けないと! |
ヴェイグ | 幼なじみだと…? |
ロイド | ああ |
ヴェイグ | …。詳しい話を聞かせてもらおうか |
リタ | なによ、幼なじみって言った途端、急に態度が変わったわね… |
ヴェイグ | なるほど…そういう事か… |
ロイド | 遺跡の中にある仕掛けについて、教えてくれないか? |
ヴェイグ | ああ、いいだろう…。だが、オレが仕掛けを突破したわけじゃない |
ヴェイグ | …オレがこれまで調べたところでは、あの遺跡で特に難所とされる仕掛けは三つある |
ヴェイグ | 一つ目は「登れずの壁」、二つ目は「抜けれずの回廊」、三つ目が「通れずの扉」だ |
ロイド | 「登れずの壁」に「抜けれずの回廊」「通れずの扉」か… |
ヴェイグ | 神子の力なしで、これらの仕掛けを突破するのは至難の業だろう |
ロイド | それでも、行くしかない。色々聞かせてくれてサンキュー |
ヴェイグ | …幸運を祈る |
| |
ロイド | 話が聞けてよかったな |
リタ | そうね。後は早く遺跡に向かいましょ |
| ギャオオッ! |
ロイド | また魔物か!そこを通らせてもらうぜ! |
scene1 | 最後の遺跡へ |
リタ | スールズ村で聞いた話が本当ならコレット達は、このヴィズリー遺跡にいるはずだけど… |
ロイド | ここが…。これまで行った、どの遺跡よりも、でかそうだな |
リタ | 規模だけじゃなくて危険度もよ。忘れないで |
ロイド | でも、コレットがここにいるなら俺は行く |
リタ | ヴェイグから聞いた話以外にも、ここには何があるかわからない。油断しないでよ |
ロイド | ああ、わかってるさ |
ロイド | それじゃ、さっそく… |
ロイド | うん?あれは… |
リタ | 遺跡の中から誰か出て来た…? |
| |
冒険者 | あんた達、この遺跡に入る気か?魔物と仕掛けだらけで、命がいくつあっても足らんぞ。やめとけ |
ロイド | なあ、あんた。赤い髪の男と、金髪の女の子を見なかったか? |
冒険者 | なんだ、あいつらの知り合いか?それならさっき来て入って行ったよ。散々やめろって言ったのに |
ロイド | やっぱりここか。よし、俺達も急ごう! |
リタ | そうね |
ロイド | コレット、今行く!もう少しの辛抱だからな。待っててくれ! |
冒険者 | どうなっても知らねえぞ! |
scene2 | 最後の遺跡へ |
| グオオオッ! |
ロイド | はああっ! |
リタ | 吹っ飛べ! |
| ギャウウーーーン! |
ロイド | まったく…次から次へと魔物が襲ってくるな |
リタ | ロイド!足もと! |
ロイド | うおっ!? |
| ジャキン! |
| |
ロイド | 床からいきなり槍が飛び出してきた…危うく串刺しになるところだった |
ロイド | リタのおかげで助かった。サンキュー |
リタ | 魔物も多いし、仕掛けも多い…聞きしに勝る厳しさね |
ロイド | ゼロスとコレットもここを通ってるんだよな。無事でいてくれよ… |
リタ | ヴェイグも話していたように、向こうは神子の力がある分、あたし達より通りやすいのかも |
ロイド | そうだな…あっちは神子が二人だしな |
リタ | 神子が二人? |
ロイド | ああ、言ってなかったっけ?ゼロスもコレットと同じ神子なんだよ |
リタ | あいつが神子…って、早く言いなさいよ、そういう事は! |
リタ | でも待って…だとしたらゼロスがコレットをさらった理由ってなに? |
リタ | あいつも神子だっていうなら、遺跡の封印はコレットがいなくても自分で解く事ができるはずじゃない |
リタ | …… |
リタ | 足止め…?あたし達はコレットが居なければ封印を解く事ができない |
リタ | それを見越してあいつはコレットをさらったのかも。あたし達がカケラの元へ辿り着けないように… |
ロイド | うーん… |
ロイド | … |
ロイド | もし…もし仮にリタの推測通りだったとしても、きっと何か理由があっての事だ |
ロイド | あいつは、そんな簡単に仲間を裏切るようなヤツじゃない。俺はやっぱりそう思うんだ… |
リタ | まだそんな事言ってんの?あんたいい加減に… |
| ギャオオオオ! |
ロイド | また出たか! |
scene1 | 登れずの壁 |
リタ | …ねえ、あんたとコレットって、昔からずっと一緒なんだっけ? |
ロイド | ああ、幼なじみだからな |
ロイド | コレットに神託が下って、神子候補になる事がなければ、今も故郷にいただろうな |
リタ | コレットが神子候補になった時点で、よく疎遠にならなかったわね。住むところも変わったんでしょ? |
ロイド | コレットが王都に行く事になって、一人じゃ心細いって言うから、俺も護衛役でついて行ったのさ |
リタ | ふーん。それで今も一緒ってわけ |
リタ | なるほど。だからあんたはそこまで必死なワケね |
ロイド | そうさ。だから何としても、俺があいつを守ってやらないと |
ロイド | そういえば…ヴェイグの言ってた三つの難所って、もう越えたのかな? |
リタ | そんな都合よくはないでしょ。きっとこれからよ |
| ドドド… |
ロイド | 何の音だ? |
リタ | 分からない。何だか地響きみたいだけど… |
| ドドドドド… |
ロイド | … |
ロイド | 奥に進むにつれて、どんどん音が大きくなっていくみたいだな… |
リタ | この先に一体何があるっていうの…? |
scene2 | 登れずの壁 |
| ドドドドドドドド…! |
ロイド | これは…滝じゃないか!音と地響きの正体はこいつか! |
リタ | 遺跡の中にこんな大きな滝があるなんて… |
ロイド | 滝の流れ出しているところに先へ進めそうな通路があるけど、あそこまでどうやって行くんだ? |
リタ | なるほど、これが一つ目の試練ってワケね。確かにこれは登れない壁だわ |
ロイド | 何かいい案はないか? |
リタ | そうね…これだけ水の勢いが強いと、無理矢理登るわけにもいかないし |
ロイド | こういう滝って、割と裏側に抜け道があったりするものだけど、ここはどうなんだろうな? |
リタ | そんなありがちで都合のいい話が、簡単にあるわけ… |
ロイド | …あった |
リタ | え?嘘!? |
ロイド | ほら、目を凝らしてよく見てみろよ。滝の向こう側に洞穴みたいなのが見えるだろ? |
リタ | …本当。なによこれ。考え過ぎて損したじゃない |
ロイド | な?上の通路は見せかけで、滝の裏側が本当の道なんだよ |
ロイド | そうと決まれば話は簡単だ。さっさと先へ進もうぜ |
リタ | …ちょっと待って。洞窟から何か出て来る! |
ロイド | 何っ!? |
| ギャオオオオッ! |
ロイド | こいつは! |
scene1 | 抜けれずの回廊 |
ロイド | やっと魔物を倒して、滝の裏側に進めたな |
リタ | 一つ目の難所の正体は滝そのものじゃなくって、むしろあそこにいた魔物だったみたいね |
ロイド | そうみたいだな。まあとにかく、無事に越えられてよかったよ |
ロイド | 次は「抜けれずの回廊」だっけ?そこもさっさと突破しようぜ |
リタ | 抜けれずの回廊か…言葉通りなら、道が複雑で、迷いやすくなってる、とかよね |
ロイド | そういう時は右手を壁に当てて、離れないようにしながら進むといいって親父に聞いたな |
リタ | 確かに、ただの迷路だったら、そのやり方でいつか出口までたどり着けるけどね |
リタ | わざわざ二つ目の難所っていうからには、そんな簡単じゃないでしょ |
ロイド | おいおい、脅かすなよ |
リタ | …? |
ロイド | どうした? 急に立ち止まったりして |
リタ | ここ、さっきも通らなかった? |
ロイド | まさか。俺達ずっと前に進んで来て、一歩も引き返したりしてないだろ |
リタ | …間違いない。ここの壁の割れ目に見覚えがある。あたし達、前もここを通ってる! |
ロイド | そんな…一体どうなってんだ? |
リタ | そしてあたしの記憶が確かなら、次の角を曲がってすぐの床に、大きな石が転がってるはず… |
ロイド | …確かめてみよう |
リタ | 見て! |
ロイド | 本当に石が転がってた…あれなら俺も見覚えがあるぞこれってつまり… |
リタ | …あたし達はもう、「抜けれずの回廊」にいるって事ね |
scene2 | 抜けれずの回廊 |
ロイド | まただ…また同じところに戻っちまった |
リタ | 後ろに引き返す事はできても、先へは決して進めない…まさに「抜けれずの回廊」ね |
ロイド | くそ。何とかならないのか?さっきみたいに、抜け道みたいなものも見当たらないし… |
リタ | たぶんこの回廊のどこかに、仕掛けを解除するスイッチのような物があるんだと思う |
リタ | それでさっきから、あちこち注意して見てるんだけど、こうも見た目が似てると… |
ロイド | スイッチか…せめて何か目印でもあればな…よっと |
ロイド | こうやって目線を下げたら、何か見えてくるといいんだけど… |
ロイド | ん…? |
リタ | どうしたの?滝の時みたいに、また何か見つけた? |
ロイド | あそこの壁の下のところから、鎖みたいな物が出てる… |
ロイド | これは…コレットの首飾りの鎖だ! |
リタ | 本当に!? |
ロイド | 俺があげた物なんだから間違いない。でもどうして、これが壁の下から出てるんだ? |
リタ | もしかしたらこの壁の向こうに抜け道があるのかも。近くを探してみて! |
ロイド | わかった。ええと…スイッチ…スイッチ… |
ロイド | あったぞ!ここにはまってる石だけ、奥に押し込めるようになってる! |
リタ | 押してみるわよ! |
| ガコン! |
| ズズズズズ… |
ロイド | 壁が開いて…向こうに別の通路が! |
リタ | やっと見つけた…これで回廊を抜けられるはず! |
ロイド | やっぱりコレットの首飾りだ。きっと目印として、ここに置いといてくれたんだな |
リタ | ええ、きっとそうね |
ロイド | …サンキュー、コレット。すぐに追いつくからな |
| ガルルルル…! |
リタ | 魔物…! |
ロイド | それがどうした! |
scene1 | 通れずの扉 |
ロイド | あの回廊を抜けてからは、順調だな |
リタ | あれからかなり進んだし、もうだいぶ奥まで来てるはずだけど… |
リタ | そういえば回廊で拾ったコレットの首飾り、ちゃんと持ってる? |
ロイド | もちろん。コレットに返さないといけないしな |
リタ | ならいいけど。ちゃんと大事に持ってなさいよ |
ロイド | 残る難所は一つか。「通れずの扉」…どんな仕掛けなんだろう? |
リタ | 普通に考えたら、開かない扉が道を塞いでて、開け方を探さないと行けないってパターンね |
リタ | 時間を取られそうで、嫌な予感がするわ |
ロイド | カギが開かないっていうなら、ぶっ壊せばいいだけだろ。簡単な話さ |
ロイド | ドワーフの誓い第16番、「成せばなる」だ! |
リタ | …呆れた。馬鹿なんだか、素直なんだか |
リタ | けど、あんたのその単純さのお陰で先に進めた面があるのも確かね。次も一応、期待はしとくから |
ロイド | おう、任せとけ! |
リタ | それじゃ、行くわよ |
scene2 | 通れずの扉 |
ロイド | こいつは!? |
リタ | 魔物! |
| … |
| |
ロイド | おや…? |
| … |
ロイド | こいつ、よく見たら寝てる。起こさないように進んだら、横をすり抜けられるんじゃねーか? |
リタ | ちょっと本気?そんなのうまくいくワケ… |
ロイド | とにかく試してみよう。そーっと、そーっと… |
リタ | … |
| グオオオオ! |
ロイド | うわあっ!駄目か! |
| … |
リタ | この魔物…ロイドが離れたらまた寝た。どうなってるの? |
ロイド | もしかしてこいつが、三つ目の難所なんじゃねーか? |
リタ | 確かに、通路を通せんぼするみたいに塞いでるけど…扉ってそういう事? |
ロイド | もう一度横を抜けられるか、試してみよう。そーっと…そーっと… |
リタ | … |
| グオオオオ! |
ロイド | やっぱりそうだ。こっちが横を抜けようとすると起きて攻撃してきやがる |
リタ | だったら、あたし達の取る手は… |
ロイド | 決まりだな。「成せばなる」だ! |
リタ | 当然!ここまで来て、引き返すなんて冗談じゃないわ |
ロイド | じゃあ今度は同時に行くぞ! |
| グオオオオ! |
scene1 | 信じる気持ち |
ゼロス | 向こうにでかい扉が見えるな。どうやら一番奥まで来たらしい |
コレット | … |
| |
ゼロス | 俺さまを罵っていいんだぜ、コレットちゃん。俺さまはそれだけの事をしたんだ |
ゼロス | それでも…扉の封印は、解いてもらうけどな |
コレット | …?封印は神子の力で解けるってリタが言ってたよ |
コレット | ゼロスも神子なんだから自分で解けるよね? |
ゼロス | … |
ゼロス | さすがのリタちゃんでもこの情報は知らなかったか |
ゼロス | この遺跡の扉はこれまでのとは違う…同じ神子でも俺さまじゃ開ける事はできない |
ゼロス | この扉を開けれるのは、神子の中でも特別なチカラを持つコレットちゃん、ただ一人――… |
| |
ロイド | 見つけたぞ、ゼロス! |
リタ | 今すぐコレットを返しなさい! |
コレット | ロイド!リタ! |
ゼロス | あいつら…追いついて来やがったのか! |
ゼロス | けっ、ここまで来て、捕まってたまるかよ! |
ロイド | あ、こら、逃げた! |
コレット | ロイドー! |
ロイド | コレット!今助ける! |
scene2 | 信じる気持ち |
ロイド | ゼロス、ここまでだ! |
ゼロス | くっ… |
コレット | ロイド… |
ロイド | コレット、遅くなってごめん。もう大丈夫だから |
コレット | うん! |
リタ | さっさとコレットを返しなさい。おとなしく従うなら、少しは温情をかけてあげるから |
ゼロス | 温情ね…さしずめ死刑が永久禁固になるくらいか?神子の誘拐は重罪だろうしな~ |
ロイド | とにかく、まずはコレットを離せ。それから話し合おう |
リタ | 話し合う?あんた、何言ってんの? |
ゼロス | リタちゃんの言う通りだぜ、ハニー。今更、俺達の間で何を話すんだよ? |
ロイド | ゼロス、お前がこんな事をしたのにはわけがあるんだろ? |
ロイド | そのわけを知りたいんだ |
ロイド | 困ってるなら相談に乗る。俺達、仲間だろ? |
リタ | ロイド、あんたねえ… |
ゼロス | … |
ゼロス | くっ…、くくく…! |
ゼロス | ハニー。お前は本当にいい奴だな。今の言葉を聞いて、俺さま… |
| |
ゼロス | …すげえむかついたぜ |
ゼロス | 相談に乗る?仲間だろ?嘘をつけ。本当は腹の中で、俺に腹を立ててるんだろ? |
ゼロス | だったらそれをぶつけてみろよ。この期に及んで善人ぶんな。ぶちのめしたけりゃぶちのめせ |
ゼロス | でないと…俺さまがぶちのめすぜ? |
ゼロス | てやっ! |
リタ | きゃっ!? |
ロイド | ゼロス…本気なんだな |
ゼロス | 冗談でこんな事ができるかよ! |
ロイド | よし。わかった。俺も、本気でお前と戦おう |
コレット | ロイド、それは…! |
| |
ロイド | ただし!俺が戦うのは、あくまでお前の目を覚ますためだ! |
scene3 | 信じる気持ち |
ゼロス | うぐ… |
リタ | コレット、こっちへ!怪我はない? |
コレット | う、うん。だいじょぶ。二人とも、助けに来てくれて本当にありがとう |
ロイド | さあゼロス、わけを聞かせてもらうぜ |
ゼロス | どうしてそんなにしつこいんだよ… |
ロイド | 何度も言ってるじゃないか。仲間が困ってるんだぞ。力になりたいと思うのは当然だろ? |
ゼロス | バカか…いつまでそんな寝言を… |
ロイド | バカはお前だ、ゼロス。お前だって今まで俺の事を、ずっと友達だって言ってただろ? |
ロイド | 友達ってのは、そんなに軽いもんじゃないんだ。そう簡単にやめられるかよ |
リタ | …どこまで単純なのよ、あんた |
コレット | そうだね。でもこれが、ロイドなんだよ |
ゼロス | … |
ゼロス | …セレスが重い病にかかっちまった |
コレット | セレスさんが!? |
ゼロス | 俺達はこの間まで旅に出てたんだ。途中、ウィンドル王国内にあるイニル街ってとこに辿り着いた |
ゼロス | その街に居座ってしばらく経ったある日、急にセレスが原因不明の病にかかっちまってな |
ロイド | 原因不明の病… |
ゼロス | もちろん、ありとあらゆる手を尽くして治そうとはした。でもどうやっても駄目で… |
ゼロス | そんな時、ウィンドルの国王から使いが来て、ある取引きを持ちかけられたのさ |
リタ | 「シルヴァラントにある星のカケラを 持って来たら、妹を治療してやる」とでも言われたわけ? |
ゼロス | …まあな |
コレット | ひどい…人の弱みにつけこむなんて |
ロイド | …話はわかった。じゃあ、ここにある星のカケラを持っていくといい |
リタ | ちょっと! |
ロイド | 人の命が懸かってるんだぞ。カケラだって誰かの役に立てるほうが嬉しいさ。コレット、頼む |
コレット | うん、わかった |
| |
| ズズズ… |
| |
ロイド | よし、扉は開いた。今度はどうだ? |
ロイド | これは…笛? |
リタ | 星のカケラは…どこ?まさか…この笛についてる石が…!? |
コレット | 光り出した…? |
ロイド | うっ、眩しい…! |
ロイド | この光は…ど、どうなってんだ? |
| |
ゼロス | この光輝く石はまさか… |
リタ | …!これって…… |
リタ | もしかしてロイド、あんた、真の選ばれし者になったんじゃない?言い伝えの内容、覚えてる? |
コレット | 「カケラを手にし、己に打ち勝った者 だけが、真の選ばれし者として神殿 に足を踏み入れる資格を得ん」… |
コレット | ロイドが…真の選ばれし者に…? |
ゼロス | これが、星のカケラ… |
ロイド | マジかよ!?何で俺が…一体、どうすりゃいーんだ? |
リタ | そんなの決まってるでしょ。言い伝え通り、光の神殿に行くのよ。選ばれし者にしかできないんだから |
ロイド | 行くったって、どうやって… |
コレット | カケラが光ってるよ。任せろ、って言ってるみたい |
ロイド | そうか… |
ロイド | どうして俺なのかわからねーけど…選ばれたからには、俺にしかできない事があるのかもな… |
ロイド | よし、じゃあ俺、光の神殿に行って来る |
ロイド | ゼロス、悪いけど、カケラを渡すのはもう少し待ってくれ |
ロイド | その代わり…セレスの病気の事も、俺がきっと何とかするから |
ゼロス | …… |
ゼロス | セレスの命がかかってるとはいえやっちゃいけない事をしたってのは自覚してるつもりだぜ |
ロイド | …ゼロス |
ゼロス | …俺さまの事は気にすんな。もし光の使いに会えたら、ついでに願ってくれればいいさ |
ロイド | コレット、ごめん。すぐに帰って来るから |
コレット | 私の事なら、だいじょぶ。ロイドこそ、気をつけてね |
リタ | 神殿に行ったら、中がどうなってるかちゃんと見て来るのよ!帰って来たら聞かせてもらうから! |
ロイド | ああ、わかった。それじゃ! |
| |
ゼロス | 行っちまった…本当に大丈夫なのかよ |
コレット | 平気だよ。ロイドは約束した事を、必ず守ってくれる |
リタ | さてと、ここで待っててもしょうがないし、あたしらも外に出ましょ |
リタ | …あんたも来るんでしょ |
ゼロス | へいへい |
| |
リタ | さて、と。とりあえずスールズ村まで戻ってきたわね |
リタ | ひと休みしたら、コレットを王都まで送り届けるとして、ゼロス、あんたは… |
??? | すいません!この村の人ですか? |
リタ | え?違うけど… |
ゼロス | レイアちゃーん!こんなところで会うなんて、偶然~! |
レイア | ゼロス!? |
コレット | ゼロスの知り合い? |
ゼロス | ああ。ウィンドルの王都に行った時に会ったのさ |
ゼロス | レイアちゃん、元気してたかい?その様子じゃ、まだメルディちゃんを捜してるのかな? |
レイア | 当たり。全然手がかりがなくって…あの子、一体どこへ行ったんだろ |
レイア | あ、ところでゼロス知ってる?イニル街の奇病が原因がわかったって |
ゼロス | 何…?それは本当か!? |
レイア | うん。旅の途中で会った、ミラって人に聞いたんだけど |
レイア | しかも、その原因もすでに取り除いてくれたみたいだから、街の人も、もう大丈夫だと思うよ |
ゼロス | それが本当なら…こうしちゃいられない! |
ゼロス | すぐに戻らないと…でも… |
コレット | いいよ、ゼロス。セレスさんのところへ行ってあげて |
ゼロス | すまない、コレットちゃん!恩に着るぜ。この借りは必ず返すから! |
レイア | ちょっと、ゼロス!? |
リタ | いいの、コレット?あんただってあいつにひどい目に遭わされたのに |
コレット | これでいいんだよ。ロイドがいたら、きっと同じようにしたと思う |
コレット | ロイド…無事に戻って来るのを、待ってるからね |
Name | Dialogue |
scene1 | 旅立ちの日 |
インゴベルト六世 | ………… |
ルーク | どうしたんですか、伯父上。深刻な顔をして |
インゴベルト六世 | おお、ルークか。うむ、我がキムラスカが置かれている状況はお前も知っていよう |
ルーク | 状況?なんか起きてるんですか? |
インゴベルト六世 | …ア・ジュールとウィンドル、さらにはシルヴァラントに不穏な気配があるのだ |
インゴベルト六世 | もしこのまま戦争にでもなれば国境を接する我が国もただでは済むまい |
インゴベルト六世 | キムラスカには野心などない。だが他国はそう思わぬかも知れん。それで悩んでいるのだよ |
ルーク | 戦争…マジかよ |
インゴベルト六世 | すまんが、一人にしてくれ。この問題についてもっとよく考えてみなければならんのだ |
| |
ルーク | 伯父上の心配は戦争か。国王ってのはめんどくせーもんだな |
ルーク | 他の国がキムラスカも敵だって思うかもしれねえなんて…冗談じゃねえ、ふざけやがって |
ルーク | …ん?けど待てよ… |
ルーク | …だったら誰かがそいつらのとこに行って、俺達が敵じゃないって教えてやればいいんじゃねえのか? |
ルーク | もし、それを俺がやってのけたら…それって英雄だよな |
ルーク | 王族の俺が親善大使として行けばそいつらだって文句ないだろ |
ルーク | へへ…よし、やってみるか! |
scene2 | 旅立ちの日 |
ルーク | …で、出てきたのはいいけどよ |
ルーク | なんで、お前がいるんだ、このブタザル! |
ミュウ | ご主人様がお出かけするなら、もちろんボクもついていきますの! |
ルーク | だーっ!邪魔だ、邪魔。お前なんかいたって仕方ねえっつーの! |
ルーク | とっとと帰れ!いいな! |
ミュウ | みゅうぅぅ…分かったですの。さよならですの… |
ルーク | …… |
ルーク | たく…今さら引き帰して伯父上にでも見つかったら面倒だし… |
ルーク | あーもー分かった!ついてきていい!その代わり、絶対邪魔になるなよ! |
ミュウ | はい、ですの! |
ミュウ | ご主人様と旅ができてボクはうれしいですの! |
ルーク | …やっぱむかつく。だいたい親善大使なのにこんなのしかお供がいないとかありえねー |
ルーク | こうなったら誰かよさそうなやつ見つけて、お供に加えてやるか。そうすりゃもう少し格好つくだろ |
ルーク | で、ア・ジュールとウィンドル、シルヴァラントか。どっから行くかな… |
ミュウ | !ご主人様、危ないですの! |
ルーク | あ?どうした、ブタザル? |
ルーク | な、ま、魔物?何でこんなところに! |
scene1 | スカウト開始! |
ティア | お呼びでしょうか、陛下 |
インゴベルト六世 | うむ、現在、隣国間で緊張が高まっているのは知っているな |
ティア | はい。いつ戦争が始まってもおかしくはない状態だと |
インゴベルト六世 | それだけでも十分問題なのだが、新たな問題が生じてな。それでお前を呼んだのだ |
ティア | 私を?私は外交官ではありませんが… |
インゴベルト六世 | 分かっている。実はルークが一人で勝手に我が国の使者として隣国に向かったようなのだ |
ティア | ルークが!?無茶です!それこそ外交経験もないのに、そんな… |
インゴベルト六世 | だから教育係のお前を呼んだのだ。何かおかしな事をしでかす前にルークを見つけて連れ戻して欲しい |
ティア | すぐに後を追います。…ルーク、なんて事を… |
| |
ルーク | さてと。王都を出る前に、お供をスカウトしねーとな |
ミュウ | 誰かあてはあるんですの? |
ルーク | そんなのねーけど、俺が誘えば誰も断らねーだろ。親善大使のお供は光栄な役目だしな |
??? | はあ…はあ… |
ルーク | お、エミルじゃねーか |
| |
エミル | やあ、ルーク |
ミュウ | 知り合いの方ですの? |
ルーク | ああ。エミル・キャスタニエつってな。うちの騎士やってんだ |
ルーク | そうだ、エミル |
ルーク | お前俺のお供にしてやる。うれしいだろ? |
エミル | あ、ごめん。僕、今ちょっと忙しいんだ。話は後にしてもらえる? |
ルーク | あ、おい、エミル、待てよ! |
| |
ミュウ | 行っちゃったですの… |
ルーク | な… |
ルーク | なんだ、あいつ!せっかくこの俺が誘ってやったのに、話もろくに聞かねーなんて |
ミュウ | あの人、忙しいって言ってたですの。それなら仕方ないですの |
ルーク | うるせー!あいつの肩を持つんじゃねーよ! |
ミュウ | みゅう… |
ルーク | このままじゃ収まらねえ。追いかけるぞ、ブタザル! |
ミュウ | みゅうぅぅ、ご主人様、待ってくださいですの~ |
scene2 | スカウト開始! |
エミル | ふう…これで一段落かな |
ルーク | おい、エミル!人の話を勝手に打ち切って、いなくなるんじゃねえっつーの! |
エミル | ごめんね。街に魔物が出て、それを退治するよう命令を受けてたからさ |
ルーク | …しょうがねえな。まあいい |
ルーク | 今からア・ジュールとウィンドルとシルヴァラントに行くからお前も来い |
エミル | ア・ジュールとウィンドルとシルヴァラント…?それって世界中って事じゃない!? |
エミル | いきなり言われても困るよ…。騎士の仕事もあるし、それにこれから約束が… |
ルーク | 約束?そんなもんほっときゃいいだろ。この俺が頼んでるんだ。嫌とは… |
??? | エーミル♪ |
エミル | マルタ?どうしてここに?待ち合わせをしたのはここじゃないよね? |
マルタ | キミが走ってくのが見えたから後を追いかけて来ちゃった。魔物を退治するとこも見てたよ |
マルタ | すっごくかっこよくて、うっとりしちゃった…やっぱりエミルって最高だよね |
| |
ルーク | おい、俺を無視すんな!エミル、お前の言ってた約束ってまさかこいつかよ |
エミル | あ、うん。マルタの買い物に付き合う事になってたんだけど |
マルタ | デートだよ、デート。私、今日をすっごくすっごく楽しみにしてたんだから |
マルタ | 最初にお買い物をして、その後はお茶するでしょ。それから~… |
ルーク | おい、人の話聞けよ! |
マルタ | ねね、早く行こ、エミル! |
エミル | あ、ちょっとマルタ、腕を引っ張らないでよ! |
ルーク | あ、おい! |
| |
ミュウ | 行っちゃいましたですの… |
ルーク | …な、なにがデートだ、ベタベタしやがって、あんなやつらこっちから願い下げだっつーの |
ルーク | こうなったらもう供なんかいらねえ。俺一人でなんとかしてみせるぜ。行くぞ、ブタザル! |
ミュウ | … |
ミュウ | ご主人様、残念そうですの… |
ルーク | うるせーぞブタザル! |
| グルルルル…! |
ミュウ | また魔物ですの! |
ルーク | こんな時にうぜーんだよ! |
scene1 | 異国の少女 |
ルーク | んじゃ、行くか。まずはそうだな…手近なとこでシルヴァラントにするか |
ミュウ | はいですの! |
ルーク | ったく結局お供はブタザルだけかよ |
ルーク | まさかホントに誰もつかまらねーとは思わなかったぜ |
ルーク | あーあ、どっかに気の利いたお供はいねーのかよ |
??? | アンルリ!トゥヤ ムエトゥン ウスメルディ! |
ルーク | な、何だこいつ? |
??? | ウ グイティ ルイスティバアンディン エトゥ ウ?ア・ジュール? |
ルーク | はあ?何言ってっかわかんねーよ。普通の言葉でしゃべれっつーの! |
??? | バイバ!ついうっかり…ごめんな |
メルディ | はじめまして、メルディだよ!今聞いたが事は「ここはア・ジュールですか?」だよぅ |
ルーク | ア・ジュール?んなわけねーだろ。ここはキムラスカだっつーの! |
メルディ | キムラスカ…?また間違えたよ…メルディ、いつになったらリンネル村が帰れるか… |
| |
ミュウ | もしかして、迷子ですの? |
メルディ | はいな。メルディ、ア・ジュールのリンネル村に帰りたいよ |
メルディ | でもどうしてもたどり着けなくて…ずっとあっちへ行ったり、こっちへ行ったりしてるよ |
ミュウ | みゅううぅう…おうちに帰れないのはかわいそうですの… |
ミュウ | ご主人様もア・ジュールに行くって言ってたですの。だから一緒に行くといいですの! |
ルーク | な、おめーブタザル!勝手に言ってんじゃねーよ! |
メルディ | バイバ!二人はア・ジュールへ行くのか? |
メルディ | だったらメルディが事も、連れて行ってほしいよ! |
ルーク | 冗談じゃねーぞ。なんで俺が… |
メルディ | メルディ、頼めるが人、他にいないよ… |
ミュウ | ご主人様… |
ルーク | だー、もう、うぜー!連れてきゃいいんだろ、連れてけば! |
ルーク | その代わり他を回った後だからな! |
メルディ | ワイール!ありがとな! |
ミュウ | よろしくですの!こちらは、ご主人様のルーク様。ボクはミュウですの! |
メルディ | ルークにミュウ…はいな!よろしくな! |
scene2 | 異国の少女 |
ルーク | ったくなんでこう変な奴ばっかついてくんだ、うぜー… |
メルディ | メルディ、ヘンじゃないよぅ。メルディはメルディ。ルークとミュウが頼り! |
メルディ | シルヴァラントの後でいいから、メルディが事、ア・ジュールに連れて行って欲しいよー |
ルーク | しょーがねーな…じゃあ特別に、俺のお供に加えてやる |
ルーク | 親善大使のお供だぞ。光栄に思えよ |
メルディ | はいな! |
ルーク | 本当にわかってんのかよ… |
ミュウ | お供が増えてよかったですの~ |
メルディ | ところでルーク、胸のところが何かついてるよ。それ、何か? |
ルーク | こいつか?見りゃわかんだろ。勲章だよ |
ルーク | 俺は親善大使なんだから、見た目もそれらしくしねーとと思ってよ。家にあったのを持って来たんだ |
ルーク | なんの勲章かは知らねーけど、父上のじゃなさそうだったし、別にいいだろ |
ミュウ | とってもきれいですの~。ご主人様、よくお似合いですの |
メルディ | 家があったクンショウかー。あんまりキレイだから、メルディ、星のカケラかと思ったよー |
ルーク | 星のカケラ?なんだそりゃ |
ミュウ | ミュウも聞いた事あるですの。どこかに現れた光の神殿に入るのに必要だってみんな話してるですの |
ルーク | そういや、父上と母上もそんな話言ってた気がすんな。神殿に行くと願いがかなう、とか |
メルディ | 「星のカケラが全て揃った時、 光の使いが現れ、願いをかなえん」 |
メルディ | メルディが聞いたのは、そんな話だったよ |
ルーク | ふーん、どうでもいいや。別に欲しいものなんてねえし |
ルーク | だいたい、頭下げて頼むなんて俺はごめんだっつーの |
メルディ | ルークは頼むが嫌いか。すごいなー |
ミュウ | きっぱりしてるですの |
| ガルルルル! |
メルディ | バイバ!魔物だよぅ! |
scene1 | ルイニス街の用心棒 |
ルーク | …いつのまにかシルヴァラントに入ってたのか |
ルーク | ずっと歩き通しで疲れたな。この街で一休みしようぜ |
メルディ | メルディ、お腹すいた~ |
ミュウ | 向こうに果物を売ってるお店があるですの |
ルーク | そういや、俺も喉が渇いたな。ちょっと覗いてみるか |
店主 | へい、らっしゃい。リンゴはどうだい?甘くてうまいよ |
ルーク | リンゴか。どれ… |
| ガリッ |
ルーク | うん、なかなかだ。一つもらっていくぜ。じゃあな |
店主 | ちょっとお客さん!お金! |
ルーク | 何で俺が払うんだ?そういうのは屋敷からまとめて支払いが… |
ルーク | …そっか、ここはもうキムラスカじゃないんだった |
ルーク | 面倒くせーな |
店主 | あんた達、まさか代金を踏み倒す気じゃねえだろうな? |
ルーク | な…!人聞きの悪い事言うんじゃねーよ! |
| |
街の男 | 魔物が出たぞ!みんな逃げろ! |
店主 | またか!最近は一体全体、どうなってやがんだ! |
店主 | あんた達、さっさとどこかへ行ってくれ!店じまいするんだからさあさあ! |
メルディ | この辺、魔物がよく出るのか?みんな大変そうだなー |
ルーク | … |
ミュウ | ご主人様、どうしたですの? |
ルーク | くそ、さっきの店の奴、人を泥棒扱いしやがって…! |
ルーク | こんな街、とっととおさらばしてやる。行くぞ! |
メルディ | 街のみんなが困ってるよぅ!みんなが事は助けなくていいか? |
ルーク | けっ、誰がそんな事するかよ! |
scene2 | ルイニス街の用心棒 |
??? | … |
| ガルルルル… |
ルーク | あんなとこで魔物と戦ってる奴がいるな |
メルディ | バイバ!あの人、一人で戦おうとしてるよ |
ミュウ | ご主人様、助けてあげないんですの? |
ルーク | へっ、なんで頼まれてもいねーのにそんな事しなきゃなんねーんだよ |
| ギャウウ! |
ミュウ | 一撃でやっつけたですの! |
ルーク | す、すげえ… |
メルディ | バイバ!すごいチカラ!ルーク、もしかしてあのヒトがチカラの事、わかってたか? |
ルーク | ま、まーな |
メルディ | ルーク、声がヘン。どしたか? |
| |
??? | お前達、旅人か? |
??? | 二日連続で旅の者が街を訪れるとは、珍しい事もあるものだな |
??? | (確か昨日来たのは 二刀流の剣士と魔導士、 それにあともう一人だったか…) |
??? | …お前達は何の用でここへ来た? |
街の男 | ありがとう、リオン。魔物をやっつけてくれて助かったよ |
リオン | 毎日毎日…いい加減にしろ。僕は街の警備兵になった覚えはないと何度言えばわかるんだ |
街の男 | いや、本当に恩に着るよ。リオンがいなかったら、この街はとっくに滅びてる |
リオン | 何度も言うが好きでやっているわけじゃない。勘違いするなよ |
リオン | ああ、お前達。この辺の魔物は強いやつも多いから気を付けろ。別の旅人にも言った事だが |
| |
メルディ | あの人、この街のヨージンボーか何かか? |
ルーク | ああ?俺が知るかよ |
ルーク | くそ、なんか面白くねーぞ…さっさとこの街を出ようぜ |
街の女 | また魔物だわ! |
ルーク | マジかよ、こっちに来やがった! |
scene1 | 森に住む少女 |
ルーク | ったく、前の街じゃ魔物の相手する羽目になって散々だったぜ |
ルーク | シルヴァラントの王都、メルトキオっつったか?まだ着かねーのかよ… |
ミュウ | ご主人様、地図を見てるといいと思うですの! |
ルーク | っせーぞ、ブタザル!俺に指図すんじゃねーよ! |
ルーク | だいたいこの地図がいけねえんだ。ごちゃごちゃ分かりづれーっての |
メルディ | ルーク、ミュウ、こういうのがよくある事。心配しなくても何とかなるよぅ! |
ルーク | ずっと迷子だったお前が言うなっつーの |
ミュウ | ご主人様、あそこに小屋がありますの! |
ルーク | ちょうどいいや。誰か道知ってる奴がいねーか訪ねてみるとすっか |
| |
??? | 誰ですか…? |
ルーク | お、いやがった。お前、ここに住んでんのか? |
??? | …はい… |
ルーク | 何だよ、無愛想な奴だな。まあいいや。王都メルトキオはこの辺じゃないのか? |
??? | …違います |
ルーク | … |
??? | … |
ルーク | … |
| |
ルーク | だーっ、それだけかよ!違うなら違うで、正しい行き方を教えろっつーの! |
??? | 王都へ行くには…ここをまっすぐ…次に右へ…それから… |
メルディ | ルーク、覚えたか? |
ルーク | お、俺に聞くなよ… |
ルーク | そうだお前、王都まで案内しろ |
ルーク | 俺はキムラスカの親善大使だ。光栄に思えよ |
メルディ | ルーク、この人ここ住んでるよ。一緒が行くの、きっとむずかしいよ |
??? | …わかりました |
メルディ | ワイール!ほんとうか!? |
??? | はい…では、行きましょう |
scene2 | 森に住む少女 |
ルーク | そういや、お前、名前なんていうんだ? |
プレセア | 名前は…プレセア・コンバティールです |
プレセア | …あの、みなさんは? |
ルーク | 俺はルーク・フォン・ファブレ。キムラスカの公爵家の跡取りで、親善大使だ |
ルーク | 驚いたか? |
プレセア | そうですか… |
ルーク | 何だよ…張り合いねーな |
メルディ | メルディだよ。ヨシロク…じゃなくてヨロシクな! |
ミュウ | チーグル族のミュウですの。よろしくお願いしますの |
ルーク | プレセアは、何であんな小屋で暮らしてんだ? |
プレセア | 私は木こりです。神子の神殿に、神木を収める仕事をしているので… |
ミュウ | 一人で住んでいるですの? |
プレセア | …はい |
メルディ | 一人かー。誰もいないは、さびしくないか? |
プレセア | さびしい…?そういうのは、よくわかりません |
ルーク | お前、変わってんな… |
| ガサッ |
ルーク | ん…? |
プレセア | 魔物…。危険です |
| ギャオオッ! |
ミュウ | 本当に出たですの! |
プレセア | …殲滅します |
scene1 | シルヴァラントの司祭 |
ルーク | ここがシルヴァラントの王都メルトキオか |
プレセア | …はい |
メルディ | ワイール!大きくて、賑やかが街だなー! |
ルーク | けっ、これくらい、キムラスカの王都バチカルに比べたら大した事ねーよ |
ルーク | プレセア、お前はもういいぞ。ここまで案内ご苦労だったな |
メルディ | せっかくここまで一緒だったのに、お別れするは寂しいよぅ。お城まで一緒がいいよ |
プレセア | いえ…私は他に用があるので… |
ミュウ | お別れですの、残念ですの… |
プレセア | さようなら… |
ルーク | んじゃ、城に乗り込むとすっか |
| |
騎士 | 国王陛下は現在ご病気のため、全ての政務から離れております |
騎士 | わが国には神子もおりますが、こちらも現在は巡検に出ており、不在でして… |
ルーク | マジかよ。はるばる来たってのに冗談じゃねーぞ |
騎士 | 国王陛下がご快復されるまでの間政務を代行されている司祭様なら、神殿にいらっしゃいますが… |
ルーク | なんだよ、代わりがいるのか。じゃあその司祭って奴と話しゃいいんだな |
| |
ルーク | おっ、プレセアじゃねーか。また会ったな |
ミュウ | プレセアさんは、何をしているですの? |
プレセア | 私は…神殿へ行くところです |
メルディ | 神殿?メルディ達と一緒だな! |
ルーク | ちょうどいいや。俺達もそこへ行く用があるから、連れて行ってくれよ |
プレセア | …わかりました |
scene2 | シルヴァラントの司祭 |
ルーク | ふーん、ここが神殿か。城と同じくらい立派なんだな |
メルディ | んと、シルヴァラントが国はオーサマと同じくらい、ミコがエライって聞いた事あるよ |
ルーク | なるほどな。だから神子のいる神殿も、こんなでけーって訳か |
ルーク | えーと、司祭は…おい、そこの女! |
??? | はい。どちら様でしょうか? |
プレセア | … |
ルーク | 俺はキムラスカからやって来た親善大使だ。司祭ってのはどこにいるんだ? |
??? | まあ、親善大使様ですか。遠路はるばるお疲れ様でした |
??? | あの…どういったご用件でしょう? |
ルーク | あ?なんでお前に教えなきゃなんねーんだよ |
??? | 他の者に取り次ぎが必要でしたら私がご案内致しますので |
ルーク | 仕方ねーな…特別だぞ |
ルーク | 今、ウィンドルとア・ジュールが戦争を始めそうになってんだろ? |
ルーク | けど、俺達キムラスカはどっちともやりあうつもりはねえ。もちろんシルヴァラントともだ |
??? | 中立を宣言なさるのですね。インゴベルト六世陛下のご英断を、私も支持いたしますわ |
ルーク | …なんか偉そうだな。なんなんだ、お前 |
フィリア | はい。当神殿の司祭を務めます、フィリア・フィリスと申します |
ルーク | なっ! |
| |
ミュウ | この人が司祭様ですの? |
ルーク | プレセア、知ってたか? |
プレセア | …はい |
ルーク | 知ってたなら早く言えよ! |
プレセア | 聞かれなかったので… |
警備兵 | 司祭様、魔物が! |
| グオオオオ! |
ルーク | なんでこんなとこにまで! |
scene1 | 北へ |
ルーク | ったくあのフィリアって女、性格悪いったらねえぜ。お蔭で恥かいちまったじゃねーか! |
ミュウ | でもキムラスカとは戦わないって約束してくれたですの。よかったですの |
ルーク | 何か釈然としねえ… |
メルディ | うーんと、フィリアと話は終わったから次がア・ジュールか? |
ルーク | ん?ああ、ここからだと、ウィンドルよりは近いみたいだしな |
メルディ | ワイール!メルディ、これでようやく村に帰れるよー |
ルーク | お気楽な奴はいいよな。まあいいや。さっさと次に行くぜ |
ルーク | おいプレセア、ア・ジュールへはここからどう行ったらいいんだ? |
プレセア | 港から船が出ています… |
ルーク | …その港はどうやって行けばいいんだ? |
プレセア | 今いる街道を北へ…それから北東…次に… |
ルーク | だー、分かんねーっつの!説明はいいから、案内してくれ |
プレセア | …わかりました |
メルディ | ありがとな!プレセアと一緒で嬉しいよぅ |
プレセア | では…行きましょう… |
scene2 | 北へ |
ルーク | ここが港か。ここから船に乗ればいいんだな |
プレセア | …はい |
ルーク | ご苦労だったな、プレセア。ここまで来れば大丈夫だ。もう帰ってもいいぞ |
メルディ | たくさん世話なったのに、もうプレセア帰すのか? |
メルディ | ルーク、こういう時は、何かオレイが必要よ |
ルーク | お礼?なんでそんなもん… |
ルーク | …わーったよ、うぜーなあ。おいプレセア、何か欲しい物あるか? |
プレセア | …ありません |
ルーク | あのなあ、人がせっかく…普通は何かあんだろ。正直に言ってみろっつーの |
メルディ | じゃあメルディ、もう少しプレセアと一緒に旅がしたいよ |
ルーク | 何でお前が答えるんだよ! |
プレセア | ……。メルディがそう言ってくれるならそれにします |
ルーク | マジかよ!? |
ルーク | …まあ、それでいいってんならいいけどよ。後から他のにってのはナシだからな |
ルーク | けど遊びじゃねーんだ。一緒に来るなら、お前は俺のお供って事になるんだぞ、いいな? |
プレセア | …はい |
メルディ | ワイール!メルディ、プレセアが一緒、嬉しいよ! |
ミュウ | ボクも嬉しいですの! |
ルーク | ったく、いちいちこんな事ぐれーで大騒ぎすんなっつーの。うぜぇ… |
ルーク | それより、船はまだ出ねーのかよ。待ちくたびれたぜ |
船乗りの男 | ま、魔物に港を塞がれた!このままじゃ船が出せないぞ! |
| ギャオオオオ! |
プレセア | …どうするんですか? |
ルーク | あー!めんどくせー! |
scene1 | 南大陸の伝説 |
ルーク | やっと、ア・ジュールに着いたぜ |
ルーク | メルディもさすがにここからなら、自分の村への帰り方わかるよな? |
メルディ | はいな…たぶん |
ルーク | 俺達は首都の…えーと、カン・バルクか |
ルーク | じゃあな、もう迷うんじゃねーぞ |
メルディ | メルディ一人か~。また迷子が心配だよぅ |
ミュウ | ご主人様…メルディさん大丈夫か心配ですの… |
ルーク | なにが心配なんだよ。ここはあいつの国だろ |
ミュウ | また迷子になったら大変ですの |
プレセア | …同感です |
ルーク | 何結託してんだよお前ら。俺に指図すんじゃねっつーの! |
ルーク | 俺は親善大使だぞ。何をするかは俺が決め… |
ミュウ | … |
プレセア | … |
ルーク | … |
ルーク | だーっ、わかったよ!連れて行きゃいいんだろ連れてきゃ! |
メルディ | バイバ!ルーク、本当にメルディが事、村まで送ってくれるのか? |
ルーク | ただし、先にカン・バルクへ行って、ここの偉い奴と話をしてからだ。分かったか!? |
メルディ | ワイール!ありがとな!ルークは優しいよ! |
ミュウ | 優しいですの! |
プレセア | よかったですね、メルディさん |
ルーク | なんでこうなるんだよ、うぜぇ… |
scene2 | 南大陸の伝説 |
| ザッザッザッ… |
ミュウ | また兵隊さんですの。雰囲気が怖いですの |
ルーク | くそ…あいつら本当に戦争始める気かよ… |
メルディ | メルディ、リンネル村が心配よ… |
メルディ | 戦争が原因は星のカケラ。メルディ、そう聞いたよ。みんな、そんなにカケラが欲しいか? |
ルーク | へっ、くだらねー。そんなもん欲しがるなんてどーせロクでもねー奴に決まってら |
ルーク | そういや、全ての星のカケラが揃った時に現れるっていう、光の使いって何なんだ? |
プレセア | …わかりません |
??? | (こいつら、 星のカケラを探しているのか…?) |
??? | 横一列で歩かれると通行の邪魔だ。よけてもらっていいか |
ルーク | あ?おっと… |
ルーク | …何だあの野郎。偉そうに |
メルディ | あ… |
| |
ア・ジュール兵 | 貴様、怪しい身なりをしているな。どこの何者だ!? |
セネル | シルヴァラントから来たセネル・クーリッジだ |
ミュウ | さっきの人、兵隊さんともめてるみたいですの |
ルーク | けっ、いい気味だぜ |
ア・ジュール兵 | シルヴァラントだと?よその国の人間が何をしている。ちょっと話を聞かせてもらおうか! |
ア・ジュール兵 | うわあーっ!? |
ルーク | なっ!?あいつ、全員をあっという間に倒しやがった! |
| |
セネル | 俺は買い物で来ただけなのに… |
セネル | すまない、俺のほうが通行を邪魔したようだな |
ルーク | … |
セネル | おわびに光の使いについて、俺の知っている事を教える。さっき話していただろう |
セネル | 光の使いは、ティルグというらしい。俺のいる村では、そう伝わっている |
メルディ | ティルグ? |
セネル | それ以上の事は俺も知らないがな。それじゃ |
ルーク | なんだったんだ、あいつは… |
ミュウ | また、魔物ですの! |
ルーク | ったく、次から次へと、うぜーんだよ! |
scene1 | 王との謁見 |
ミュウ | ここがア・ジュールのお城ですの?大勢人がいますの |
警備兵 | ガイアス陛下への謁見を希望する者は、こちらに並べ |
ルーク | けっ、こんなとこ、いちいち並んでられっかよ。面倒くせー |
ルーク | おい、お前。俺はキムラスカから来た親善大使だ。今すぐ国王に会わせろ |
警備兵 | 駄目だ |
ルーク | 何でだよ?俺は親善大使なんだぞ!その俺に、ここに並べっていうのか?いいから早く案内しろ! |
警備兵 | 何と言われようと、駄目なものは駄目だ |
ルーク | なんだよ、この野郎… |
メルディ | ルーク、誰か来たよ。あっち! |
??? | 何事だ、騒々しい |
警備兵 | 陛下! |
ルーク | お前が国王のガイアスか、ちょうどいい。俺はキムラスカの親善大使、ルーク・フォン・ファブレだ |
ガイアス | …親善大使だと? |
ルーク | お前ら、ウィンドルと戦争するんだろ?やるのは勝手だけど、俺達キムラスカを巻き込むんじゃねえ |
ガイアス | …用件はそれだけか。なら、もう用はないだろう。帰るがいい |
ルーク | まだ返事聞いてねーだろ。俺達に手を出さないって約束しろ |
ガイアス | 貴様がキムラスカからの親善大使という証拠はあるのか? |
ルーク | なに!? |
ガイアス | 俺はキムラスカから親善大使が来るという連絡は受けていない |
ガイアス | まして、己の都合のみを押し付ける者の言葉を俺は聞くつもりはない |
ガイアス | お前が本当にキムラスカの親善大使であるならば、国へ戻り、別の者をよこすよう、王に伝えるのだな |
ルーク | おい、待てよ! |
プレセア | …行ってしまいました |
ルーク | なんだよあいつ! |
??? | キムラスカの親善大使ですか |
??? | ふむ… |
scene2 | 王との謁見 |
ルーク | くそ。ガイアスの奴、どこいきやがった |
ミュウ | ご主人様、どうするですの? |
ルーク | このまま引き下がれるかよ!見つけ出して、ぜってー約束させてやる! |
警備兵 | 国王陛下は国内の巡検にお出かけになられた。お戻りになるのは3日後だ |
ルーク | なっ…さっきまでいたくせに3日だと!?馬鹿にしやがって…! |
プレセア | …これからどうするんですか? |
ルーク | …ガイアスの奴がどこ行ったかも分かんねーし、ここでじっとしてても仕方ねー |
ルーク | しゃーねーな。先にさっさとメルディを村まで送っちまうか |
ミュウ | ご主人様、さすがですの!優しいですの! |
プレセア | 私も…そう思います |
メルディ | ごめんな。メルディがみんなの迷惑になってる |
メルディ | でも本当に嬉しいよ。みんな、ありがとな |
| |
警備兵 | うわあああ!? |
警備兵 | 魔物が出たぞ! |
ルーク | ここもかよ。最近はどこでもお構いなしなんだな |
プレセア | …戦います |
ルーク | 冗談じゃねえっつーの。ここには兵隊がごまんといるんだ。そいつらがちゃんと面倒みるだろ |
| ガルルルル! |
メルディ | 魔物がこっち来たよー! |
ルーク | マジかよ、くそっ! |
scene1 | 狂人ハスタ |
??? | さあさあお待ちかねー。ハッスルタイム到来!全て燃やして殺してポン! |
??? | ハスタ隊長!私はこんなやり方には賛成できません。この村にいるのは普通の人々だけです! |
ハスタ | アスベル先生、かっけーっ!でもア・ジュールは敵だから。容赦なんていらないんデスよ! |
アスベル | しかし…! |
ハスタ | これ以上、文句言うと軍規違反だよ?これは陛下のご命令なんだからサ。ドゥ―・ユー・アンダスタン? |
アスベル | リチャ…陛下の… |
| |
メルディ | ワイール!この辺の景色がよく覚えてる。やっとリンネル村に戻って来たよ! |
プレセア | …よかったですね |
ルーク | ったく、とんだ骨折りだぜ。ちゃんと礼くらい寄こせよな |
メルディ | もちろんだよぅ!お礼がするし、友達も紹介するよ! |
メルディ | メルディが一番の友達は、レイア。すごく優しいよ。きっとルーク達とも… |
プレセア | …向こうで何か燃えてます |
ルーク | 本当だ。火事か? |
| |
メルディ | …!燃えてるが場所、リンネル村があるところよ! |
ルーク | な…!? |
| |
メルディ | 村が…燃えてる… |
プレセア | ひどい… |
ミュウ | ご主人様、兵隊がたくさんいるですの |
プレセア | あれは…ウィンドル兵では |
ルーク | …ウィンドルの奴らが攻めてきたってのかよ?まさか戦争が始まっちまったのか!? |
メルディ | レイア!みんな! |
ルーク | あ、おい、メルディ!勝手に一人で行くんじゃねえ! |
ミュウ | ご主人様… |
ルーク | ったく、なにがどーなってんだよ!メルディ! |
scene2 | 狂人ハスタ |
アスベル | … |
ハスタ | アスベルゥ…何で戦おうとしないのかな?ん~?温厚なボクちんもさすがに怒るよ? |
アスベル | 俺は… |
アスベル | 俺はこんなやり方には従えない!こんなのは、栄光ある騎士団の戦い方じゃない! |
ハスタ | 栄光ある騎士団いただきました!いただいちゃいました!君、そんなに陛下に逆らいたいワケ? |
アスベル | 昔のリチャードはこうじゃなかった!もっと優しくて、思いやりがあって… |
アスベル | 俺、直接話をしてきます! |
ミュウ | ひどいですの…家がどんどん燃やされてますの |
メルディ | みんないない…レイアも誰もいないよ…みんな死んでしまったか…? |
ハスタ | おーっと、そこに見えるは村の住人!ようやく見つけたヨーウェルカム! |
ルーク | 誰がこんな村の住人かっつーの。俺はキムラスカの人間だ! |
ハスタ | ないない、そりゃないって。嘘をつくならもっとマシな嘘をつこうぜ、ユー? |
ルーク | 嘘じゃねえ! |
メルディ | なぜこんなひどい事するか?メルディ達、何もしてないよ! |
ハスタ | え~、さてさてここで問題です。このハスタさまは、何でこんなひどい事をするんでしょ~か? |
ハスタ | 1ば~ん 月がとってもキレイだから2ば~ん 空がとっても青いから3ば~ん 太陽がまぶしいから |
ハスタ | ぶっぶ~、正解は4番! |
プレセア | まだ…何も言っていません |
ハスタ | 我らが国王、リチャード陛下の仰せにより、ア・ジュールの全てを灰にしに来ちゃいました! |
ルーク | は、灰にって…何言ってんだ。お前らそれでも人間かよ! |
ハスタ | はい、「それでも人間か」いただきました!じゃあ場も温まってまいりましたところで… |
ハスタ | ハスタ、いきまーす! |
ルーク | くっ、お前らなんかの好きにさせるかよ! |
プレセア | …殲滅します |
scene3 | 狂人ハスタ |
ハスタ | クソ…女ばかり引き連れたチャラ男かと思ったら、思った以上に強いじゃねぇか |
ルーク | 誰がチャラ男だ!だいたいミュウはオスだっつーの |
ハスタ | はい、ハスタくん、残念!でもハスタくんのいいところは、引き際のよさと、切り替えの早さ! |
ハスタ | お前、キムラスカから来たって言ってたよなぁ。だったら、いい事を教えてやる |
ルーク | いい事? |
ハスタ | 我らが国王、リチャード陛下は、キムラスカにも攻め込むつもりだぜ。それも早い時期にな |
ルーク | 何だと!? |
ハスタ | よし決めた!陛下に直訴して、ボクちん、キムラスカ侵攻軍の指揮を執らせてもらお~っと! |
ハスタ | やられた恨みは倍返し!キムラスカの奴らは皆殺し!ヒーハー! |
ハスタ | また会おうぜ、チャラ男!アスタ・ラ・ビスタ・ベイベー! |
ルーク | おい、待てこら! |
プレセア | ウィンドル兵が…後退していきます |
scene1 | ア・ジュールの軍人 |
ルーク | ウィンドルの奴らを追い払ったのはいいけどよ… |
ミュウ | 村の人達は無事ですの? |
プレセア | 一人も…見当たりません… |
ルーク | まさか、全員、死んじまったっていうのかよ… |
メルディ | … |
ルーク | くそ、何でこんな事になってんだ!何でこんな事しなきゃなんねーんだよ! |
ルーク | だいたいウィンドルとア・ジュールは何で戦争なんかしようとしてるんだ! |
プレセア | …ウィンドル国王が、世界中の星のカケラを集めるために、他国を攻めようとしているとか… |
ルーク | それでア・ジュールだけじゃなく、キムラスカまで攻めようってのか。冗談じゃねーぞ…! |
ルーク | 星のカケラだかなんだか知らねーけどこんなのおかしすぎるだろ。どうすりゃいいんだよ… |
村人 | メルディ…? |
メルディ | おばさん!? |
村人 | ああ、よかった!メルディ、よく無事に戻ったね! |
メルディ | おばさんこそ、大丈夫か?村のみんなは!? |
村人 | みんな元気だとも。ウィンドルが攻めてくる前に、全員で裏山に逃げたからね |
ミュウ | メルディさん、よかったですの! |
メルディ | よかった…よかったよぅ。レイアも一緒か? |
村人 | レイア?あの子なら、あんたを捜すって言って、だいぶ前に村を出たきりだよ |
メルディ | そうだったか…メルディ知らなかったよ。レイアはメルディが捜してたか… |
村人 | こんな物騒な状況だし、危ないからやめるように言ったんだけど、聞かなくってねえ… |
村人 | 無事帰ってきてくれるといいんだけど… |
メルディ | レイア… |
| |
メルディ | みんな、今までありがとな。メルディはこれから村のみんなと、後片付けするよ |
ルーク | またウィンドルが攻めて来たら、すぐ逃げろよ |
メルディ | ルーク、お願いがあるよ。もしレイアが会ったら、メルディが村にいるって言って欲しいよ |
ルーク | 伝言…めんどくせーな。もし会ったら、だからな。捜したりはしねーぞ |
メルディ | よろしくな。メルディ、片付けが終わったら、またみんなと一緒に旅がしたいよ |
プレセア | 私も…です |
ミュウ | メルディさんと一緒に旅ができて、楽しかったですの。また会いたいですの |
ルーク | 俺達はそろそろ行くぜ。じゃあな、メルディ |
メルディ | うん、またな! |
scene2 | ア・ジュールの軍人 |
プレセア | 誰か…来ます |
??? | やあこんにちは、皆さん。ちょっとよろしいですか? |
| |
ルーク | なんだよ、あんた |
ジェイド | 申し遅れました。私はア・ジュール軍大佐、ジェイド・カーティスです |
ジェイド | リンネル村を襲った敵軍を撃退してくれたそうで、ありがとうございました |
ルーク | なんだ、この国の軍人かよ。お前らがしっかりしねえからこっちはとんだ迷惑だっつーの |
ジェイド | はっはっは、面目ありません。それはともかく皆さんはこの国の者ではありませんね。何の用で我が国へ? |
ルーク | 国王のガイアスと話しに来たんだよ。キムラスカに手を出すなってな。リンネル村へ寄ったのはついでだ |
ルーク | ガイアスの奴に逃げられちまったんでまた会いに行くところだ |
ジェイド | なるほど。それでしたら私が、便宜を図って差し上げましょうか。村を守っていただいたお礼に |
ルーク | どういう事だ? |
ジェイド | 私が陛下にお話をして、皆さんがすぐに謁見できるように段取りをつけてもよいという事です |
ジェイド | 謁見を希望する人は多いですから、馬鹿正直に待っていてもいつになるかわかりませんよ |
ルーク | 確かに、前に行った時もすげー行列だったな。よしそれならよろしく頼むぜ |
プレセア | … |
ルーク | どうした、プレセア |
プレセア | …話がうますぎる気がします |
ルーク | そうか?この国の軍人が、村を守ったお礼に面倒見てくれんのは当然だろ |
ルーク | もしあいつが俺達をだましてるんならぶっとばしゃいいだけだって |
ジェイド | おやおや、頼もしいですねえ。ですがまずあの魔物をお願いします。凄い勢いでこっちに来てますので |
ルーク | 何っ!? |
| ガルルルル! |
scene1 | 湧き上がる想い |
ルーク | やっとカン・バルクかよ、たりぃ…。…それより、おい、ジェイド! |
ジェイド | はい、なんでしょう? |
ルーク | なんだじゃねえ!さっき、俺達だけに戦わせて自分はぼーっと見てただろ!! |
ジェイド | ああ、すみません。生まれつき体が弱いもので…ゴホッゴホッ… |
ルーク | … |
ミュウ | ジェイドさん、大丈夫ですの? |
ルーク | 軍人のくせに、んなわけねーだろ! |
ジェイド | おや、信じていただけませんか。これは残念ですね |
ティア | ルーク! |
| |
ルーク | げっ、ティアじゃねーか。なんで、お前こんなとこに? |
ティア | それはこっちのセリフよ。どれだけ捜したと思ってるのさあ、キムラスカに帰りましょう |
ルーク | いやだ。帰らねえ |
ティア | 何言ってるの?国同士の交渉に素人が関わらないで。陛下も心配なさっているわ |
ルーク | いやだと言ったらいやだ!俺はぜってー帰らねえからな |
ティア | ルーク! |
ミュウ | あ、あのティアさん、ご主人様の話も聞いてあげて欲しいですの! |
ティア | ミュウ!?あなたまで来てたの?…話って… |
ティア | …信じられない。ルークがシルヴァラントと交渉を成功させたなんて… |
ルーク | 嘘じゃねーって。だよな、ブタザル |
ミュウ | はいですの!ご主人様はちゃんとやり遂げたですの! |
ティア | それで今度は、ジェイド大佐の便宜でア・ジュールのガイアス王に会いに行くというのね |
ティア | 一体どうなってるのかしら… |
| |
ジェイド | 事情説明も終わったようですので、そろそろよろしいですか? |
ティア | し、失礼しました。大佐。私はキムラスカ王家に仕えるルークの教育係、ティア・グランツです |
ジェイド | なるほど、ルーク殿のお守り役でしたか |
ルーク | どーゆー意味だ、お守りって |
ティア | (この人…?) |
ルーク | お前も黙るなよ! |
ティア | え、ああ…そうね。教育係とお守りは違う…と思います |
ルーク | ったく…で、どーすんだ、お前。帰って伯父上に報告すんのかよ? |
ティア | …いいえ、どうせやめろって言っても聞かないんだろうし、私も一緒に行くわ |
ルーク | マジかよ、せっかく羽伸ばせてたのに、うぜぇなあ… |
ミュウ | ティアさん、一緒に旅ができてボクうれしいですの! |
プレセア | プレセアです…よろしくお願いします |
ジェイド | 話がまとまったところで、行きましょうか。うちの陛下のもとへ |
scene2 | 湧き上がる想い |
ルーク | うーん… |
ティア | どうしたの、ルーク? |
ルーク | …これからガイアスに会うだろ。けど、その後、もうウィンドルには行かなくていいんじゃねーかって |
ティア | どうして?あなたは手柄を立てたかったんでしょう?もう飽きてしまったの? |
ルーク | そうじゃねーって。リンネルって村でウィンドルの奴らを見た話しただろ |
ルーク | あいつら、無抵抗の村でやりたい放題してやがった。それにキムラスカにも攻め込むとも言ってた |
ティア | ウィンドルが…そう、もう状況はそこまで切迫しているのね |
ルーク | そんな奴らと今更話し合ったってしょうがねーんじゃねえのかな。それよりもっとなにか別の… |
ティア | そうね…確かにそこまで行動を起こしている国相手には遅すぎるのかもしれない |
ティア | 陛下もア・ジュールよりウィンドルの動きを警戒なさっていたわ |
ティア | でも驚いたわ。旅に出る前のあなたなら、きっとそんな風に考えたりしなかったもの |
ルーク | ま、まーな、それほどでもねーよ |
ミュウ | ご主人様、すごいですの! |
ティア | 喜ぶのは早いわ |
ティア | ウィンドルが脅威というなら、ア・ジュールとの交渉は、絶対に成功させなければならないわ |
ティア | 私達キムラスカにとっては、明暗を分けるほど重要な交渉…。本当に重大な役目よ、ルーク |
ルーク | わ、分かってるっての |
ルーク | そうだ、ジェイド、ガイアスの事、もう少し教えといてくれよ |
ジェイド | うちの陛下ですか?そうですね…統率力と判断力に優れていて、たぐいまれなカリスマ性の持ち主 |
ジェイド | まさに、王とはこういうものだと体現するために生まれてきたような方といったところでしょうか |
ルーク | …自分のとこの王様をよくそこまでベタほめできるな |
プレセア | 私は…怖い人だと思いました |
ジェイド | まあ、上があまり優秀だと下が苦労するので、私としては多少出来が悪い方がありがたいんですがね |
プレセア | …! |
ミュウ | プレセアさん、どうしたんですの? |
プレセア | …何か来ます |
| ギャオオオオ! |
ティア | 魔物!?どうして… |
ルーク | くそっ、行く先々で現れやがって!うぜーんだよ! |
scene1 | 王の提案 |
ガイアス | ジェイドから報告は受けている。まさか、お前が本当にキムラスカの親善大使だったとはな |
ルーク | …こ、この前は悪かった。今日はちゃんとその、話が…したい |
ガイアス | 確かお前が求めていたのは、我が国がキムラスカを攻めない、という約束だったな |
ルーク | ああ。俺達は戦争なんかする気はねーからな。けどウィンドルの奴らがもう始めちまいやがっただろ |
ガイアス | …何が言いたい? |
ルーク | だから、その…俺達と、キムラスカと手を組んで、欲しい |
ガイアス | …ほう |
ルーク | 俺…難しい事はよく分かんねえ。けど、ウィンドルの奴らがリンネルでやってた事を見てたら… |
ルーク | うまく言えねえけど、こんな事繰り返させちゃいけねえって思ったんだ |
ルーク | だから頼む、同盟を結んでくれ! |
ガイアス | … |
ティア | 彼の教育係のティア・グランツです。ガイアス陛下、ルークのしたご無礼はお詫び申し上げます |
ティア | ですが現実に戦端が開かれた以上、敵は少しでも少ない方が両国にとって有益なはずです。どうかご高慮を |
ルーク | ティア… |
ジェイド | 信用していいと思いますよ、陛下。なりゆきとはいえ、リンネルをウィンドルから救ってくれましたし |
ガイアス | その事に関しては、礼を言おう。俺の民をよく助けてくれた |
ルーク | だったら… |
ガイアス | だがその事と、同盟の話はまた別だ |
ルーク | な… |
ルーク | なんでだよ!戦争だぞ!人が死ぬんだぞ! |
ガイアス | はっきり言おう。キムラスカと同盟を組む事で、我が国にどのような益がある? |
ルーク | …! |
ガイアス | ウィンドルがキムラスカにも侵攻を企てている事は、俺も知っている |
ガイアス | キムラスカは単独でウィンドルと戦う力を持っていない。それゆえ、我が国を頼ろうというのだろう |
ガイアス | だが同盟というからには、双方に利がなければ締結する意味がない |
ガイアス | お前の国は俺に何を提供できる? |
ルーク | それは… |
ジェイド | やれやれ、陛下も意地が悪いですね。理想に燃える若者を、そう理詰めで追い詰める事もないでしょう |
ジェイド | 確かに、国力においてキムラスカから我が国が得るものは少ないでしょうし |
ジェイド | ですがここにいる皆さんはなかなかの実力の持ち主です。量はともかく質の面でなら十分戦力になると思いますよ |
ガイアス | お前が言うからには確かなのだろう |
ガイアス | だが、事は国の存亡に関わる事だ。言葉だけで容易に、判断するわけにはいかない |
ジェイド | そう仰るだろうと思って、少しばかり用意しておきました。よろしいですか? |
ルーク | よろしいですかって…なにをだよ |
ジェイド | 嫌ですねえ、皆さんの実力を陛下にお見せする話に決まっているじゃないですか |
ティア | 大佐、まさか… |
ジェイド | 恨むなら陛下を恨んでください。ほら、来ますよ |
ルーク | くっ…! |
scene2 | 王の提案 |
ルーク | はあ…はあ… |
ルーク | これで、終わりか…? |
ガイアス | 確かに、ジェイドが評価するだけの事はあるようだな |
ジェイド | ありがとうございます。私としても、色々取り持ったり準備したりした甲斐がありました |
ルーク | くそ…だからって…いきなり城の中で魔物と戦わせるかよ、ふつー… |
ジェイド | それでどうしますか、陛下? |
ガイアス | お前の言う通り、この者達の実力は口先だけではないようだ |
ルーク | じゃあ… |
ガイアス | だが、いま見せてもらった実力では、我が国に十分な益があるとはまだ判断しかねる |
ガイアス | キムラスカとの同盟がウィンドルとの戦いの枷になる事もあるのだからな |
ガイアス | ジェイド。お前が試せ |
ルーク | …なんだって? |
ジェイド | やれやれ、やはりそう来ましたか。仕方ありませんね、お手柔らかに頼みますよ |
ルーク | あんたが俺達と戦うってのか? |
ジェイド | そういう事です。連戦で気の毒ですが生憎、陛下は言い出したら聞かない方なので、諦めてください |
ティア | …ルーク、気をつけて。この人、態度とは裏腹にただ者じゃないわ |
プレセア | 虚弱体質と言っていたのは…嘘だったんですね |
ジェイド | 死なずに勝てば、陛下も考えが決まるかもしれません。それでは行きますよ |
ルーク | 来るぞ! |
scene1 | 勝利を賭けて |
ミュウ | すごいですの!ご主人様の勝ちですの! |
ジェイド | いやあ、さすがですね皆さん。見事にしてやられました |
プレセア | … |
ティア | … |
ルーク | …これで認めてくれんのかよ? |
ガイアス | ルークと言ったな。お前達の実力、かなりのものだと言っておこう |
ジェイド | おや、陛下のお眼鏡にも適ったようですよ。おめでとうございます |
ルーク | じゃあ… |
ガイアス | まだだ。ジェイド、どういうつもりだ? |
ルーク | え? |
ガイアス | 俺の目をごまかせるとでも思っているのか |
ジェイド | …やれやれ敵いませんね、陛下には。仮にも他国の使節ですし、万一間違いがあったらどうするんですか |
ガイアス | こいつらの実力を見極めろと言ったのはお前だぞ。もう一度だ。今度は真面目にやれ |
ティア | やっぱり…あの人、本気を出してはいなかったんだわ |
プレセア | あの人…嫌いです |
ルーク | マジかよ…どんだけ強えーんだ、あいつ |
scene2 | 勝利を賭けて |
ルーク | ガイアス!次勝ったら、今度こそ同盟の事受け入れてくれるんだろうな!? |
ガイアス | …いいだろう |
ジェイド | では皆さん、申し訳ありませんが、もう一戦、お付き合いください |
ジェイド | …死なないでくださいね |
ティア | 来るわ! |
scene3 | 勝利を賭けて |
ガイアス | そこまで! |
ルーク | …! |
ジェイド | …! |
| |
ガイアス | ルーク、お前の本気、確かに見せてもらったぞ |
ルーク | じゃあ… |
ガイアス | キムラスカは、ア・ジュールとともに戦うに値する力があるようだな |
ガイアス | 我がア・ジュールは、キムラスカと同盟を締結しよう |
ルーク | 本当か!?嘘じゃないんだな!? |
ルーク | やったぜ!! |
ティア | ありがとうございます、陛下 |
ティア | …おめでとう、ルーク |
ルーク | おう、けどお前もガイアスに言ってくれたもんな。ありがとうな! |
ティア | わ、私は別に… |
ミュウ | ご主人様、やったですの!おめでとうですの! |
プレセア | …お疲れ様でした |
ジェイド | いえいえ、どういたしまして |
プレセア | …あなたに言ったんじゃありません |
scene1 | 親切の裏に |
ミュウ | 無事に同盟が結べてよかったですの |
プレセア | はい、よかったです |
ルーク | まったくだ。一時はどうなるかと思ったぜ |
ティア | でも本当にすごい事だわ。シルヴァラントにア・ジュール。この両国と関係を強化できたなんて |
ティア | きっとインゴベルト陛下もお喜びになるわ。あなたはキムラスカの英雄ね |
ルーク | 英雄…か…そういやそうだったっけ |
ティア | どうしたの?なりたかったんでしょう? |
ルーク | そうなんだけどよ…けど、なんつーか… |
ティア | ルーク? |
ルーク | いいや。なんかよく分かんねーや |
ルーク | さあ、帰ろうぜ。もうウィンドルに行く必要もねーし |
ミュウ | 誰か来るですの |
ジェイド | やあ皆さん。お帰りですか |
プレセア | …気配に気付きませんでした |
ルーク | あんたにも世話になったよな。…まだなんかあんのか? |
ジェイド | いえ別に。せっかくですし、途中までお見送りしようかと思いましてね |
ティア | …今度は何を企んでいるんです? |
ジェイド | おや、これは心外ですね。現在、我が国は戦時体制下にあります。私がいた方が国境まで楽ですよ? |
ルーク | それもそうか。じゃあよろしく頼むぜ |
プレセア | 私もシルヴァラントまでご一緒します |
ジェイド | では行きましょうか |
scene2 | 親切の裏に |
ジェイド | ところで、あなたの胸の勲章、なかなか見事なものですね。どうしたのですか |
ルーク | ああ、これか。そういやすっかり忘れてたな。うちの家にあったんだ |
ルーク | どういうものなのかは知らねえ |
ジェイド | なるほど。そんな風に輝くものはあまり他に見た事がありません |
ジェイド | …まるで星のカケラのようです |
ルーク | 星のカケラ…そういやメルディの奴も、そんな事言ってたな |
ジェイド | 全てのカケラを集め、光の神殿に行けば願いがかなう…誰もが知っている伝説ですね |
プレセア | 星のカケラを全て集めるとティルグという光の使いが現れる、とも聞いた気がします |
ミュウ | セネルさんが言ってたお話ですの |
ジェイド | ティルグの事は、私も聞いた事があります。確かシルヴァラントの言い伝えですね |
ティア | ティルグ… |
ジェイド | ティルグはさておき、あなたは星のカケラというものをどうとらえていますか、ルーク? |
ルーク | どうって、別に俺はどうでも… |
ルーク | って、おいまさかア・ジュールもウィンドルみたいに集めてるのか? |
ジェイド | いえ、ウィンドルの王と違って、ガイアス陛下はそういうものに興味はないそうです |
ルーク | ふーん。そういや、伯父上も興味なさそうだったし、王様にも色々あるんだな |
ジェイド | もしカケラの力で一つだけ何でも願いがかなうとしたら、ルーク、あなたなら何を願いますか? |
ルーク | 俺が?そうだな…欲しいもんはたいてい何でも持ってるし… |
ティア | そういう事、あまりさらっと言うものじゃないと思うけど… |
ルーク | 前は英雄とか…けど、なんか今はどうでもよくなっちまった気がする。変だな |
ジェイド | ふむ、なるほど |
ティア | …大佐? |
ジェイド | いえ、少し話がすぎたようです。行きましょうか |
ジェイド | …と、言った傍から魔物のようです。お家に帰るために頑張ってくださいね、皆さん |
| ガルルルル! |
ルーク | そこをどけ、この魔物! |
scene1 | 芽生えた感情の答え |
ティア | みんな大丈夫? |
ルーク | だー、なんだってこんなとこにまで魔物が入り込んでんだよ |
ミュウ | 大変ですの。安心して暮らせないですの |
ジェイド | ふむ、これは面目ありません。戦時体制で部隊を再編したあおりで警備が手薄になっているようです |
プレセア | なんだか、ここで魔物に遭遇すると分かっていたようですが |
ジェイド | 信用いただけないのは残念ですね。さあ、行きましょうか |
scene2 | 芽生えた感情の答え |
ジェイド | さて、では港へ向かうとしましょうか |
ルーク | …なあ、ティア |
ティア | なに? |
ルーク | 世の中って色んな事があるんだな。くやしいけど、俺、なんにも知らなかった |
ティア | ルーク… |
ティア | そうね…あなたが出かけたと聞いて、どうなるかと思ったけど、結果的にこの旅はとても意味があったと思うわ |
ルーク | 悪い奴、弱え奴、国とか戦争とか…正直、まだ分かんねー事だらけだ |
ルーク | けど俺、もっと知りたいと思う |
ルーク | もっと知って、リンネルの村の時みてーな事をなくしてえ。どうすりゃいいか、全然だけど |
ルーク | …無理だと思うか? |
ティア | …簡単な事じゃないわ |
ティア | でも、信じていればいつかきっとできると思う。がんばって |
プレセア | 私も…応援します |
ミュウ | ご主人様、がんばるですの! |
ルーク | へへ… |
ルーク | ん!? |
| |
ルーク | 何だこれ!?勲章が突然光り出しやがった!? |
ジェイド | …やはりそうでしたか |
ルーク | やはり?どういう意味だ、ジェイド!? |
ジェイド | その勲章が、星のカケラだという事ですよ |
ティア | 星のカケラ!?大佐、一体どういう事ですか? |
ルーク | これがカケラ…嘘だろ? |
ルーク | だってこいつは、俺の家にあった勲章だぞ |
ジェイド | あなたのご先祖がカケラを手に入れ、それを勲章に加工したんでしょう。恐らく、星のカケラとは知らずに |
ジェイド | 初めて見た時、文献に記された特徴に通じるものがあったのでもしやと思っていたんですよ |
ティア | まさか、それでずっとついてきていたんですか? |
ジェイド | 確証が欲しかったんですよ。それが本当に星のカケラなのかどうかのね |
| |
ジェイド | 「カケラを手にし、己に打ち勝った 者だけが、真の選ばれし者として 神殿に足を踏み入れる資格を得ん」 |
ジェイド | カケラを得るのが「真の選ばれし者」なら、持ち主の成長があるいはその発現を促すのではないか |
ジェイド | そして今、カケラは発現しました。ルークをふさわしい者と認めた、という事でしょう |
プレセア | ガイアス王の前で戦ったり、行く先々で魔物に遭遇したのは… |
ジェイド | そういう事です。人間、死にそうなくらいの危機が一番、成長するといいますからね |
ルーク | それじゃ、やっぱりお前らもカケラを集めていたのか! |
ジェイド | ア・ジュールはカケラを求めません。ですが他国の手に落ちれば、我が国への脅威となりうる。それだけです |
ジェイド | カケラはこちらで厳重に保管します。大人しく渡してくれれば、身の安全は保証しますが? |
プレセア | …信用できません |
ティア | 私も同感です。失礼ですが、大佐はすでに私達をだましました。今度も違うという保証はありません |
ジェイド | 別に構いませんよ。それならそれで力づくでいただくだけですから |
| |
ジェイド | お詫びといってはなんですが、今度は、私も本当に本気でいかせていただきます |
ルーク | 来るぞ! |
scene3 | 芽生えた感情の答え |
ルーク | どうだジェイド、まだやるのか! |
ジェイド | …これは…予想外でしたね。正直、負けるとは思っていませんでした |
ティア | 大佐、退いてください |
プレセア | 勝負はつきました。これ以上の戦いは無意味です |
ジェイド | …そう簡単にはいかないんですよ。宮仕えの悲しさでね |
ルーク | お前…! |
ティア | …なら、ここで死んでいただくしかありません |
ルーク | お、おい、ティア! |
ルーク | ジェイドはもう動けねえんだぞ! |
ティア | 仕方ないわ。見逃せば、また追ってくるかもしれないのだから |
ジェイド | …妥当な判断ですね |
ルーク | 駄目だ!させねえ! |
ティア | ルーク? |
ルーク | そんな事したら、あのウィンドルの奴らと同じじゃねえか! |
ルーク | そんなの間違ってる! |
ジェイド | …ずいぶん甘いですね |
ジェイド | ティアの言う通り、またあなたを襲うかもしれないんですよ? |
ルーク | うるせえ!俺は戦争は嫌だ!人が死ぬのも嫌だ! |
ルーク | 嫌なもんは嫌なんだよ! |
ジェイド | あなたという人は… |
| |
ルーク | !?カケラの光が強くなった!? |
ティア | ルーク、一体…つっ! |
ミュウ | ティアさん、大丈夫ですの!? |
ティア | これは…? |
ティア | カケラに触ろうとしたら、弾かれたわ |
プレセア | 見えない壁があるようでした |
ジェイド | なるほど…どうやら星のカケラは正真正銘、ルークを選んだようですね |
ジェイド | 「真に選ばれし者」以外にカケラは、もう触れる事もできない |
ジェイド | さすがに、これでは諦めるよりなさそうですね。大人しく白旗を揚げますよ |
ルーク | それはいいんだけど、どうすりゃいいんだ、これ |
ジェイド | 決まってるじゃないですか。「真に選ばれし者」らしく、光の神殿に行くんでしょう |
ルーク | 光の神殿? |
ルーク | マジかよ、いきなりそんな事言われたって… |
ルーク | …な、なんだ!?声みたいなのが… |
ルーク | …このまま神殿に行くだと!? |
ミュウ | ご主人様、誰とお話してるんですの? |
ジェイド | 星のカケラのようですね。どうやら意志のようなものがあるらしい。これは興味深い |
ルーク | 他人事みたいに言ってんじゃねーっつーの! |
ジェイド | 他人事ですよ。私達には触れる事もできないんですから |
ジェイド | ルーク、カケラはあなたを選んだ |
ジェイド | そこには意味があるはずです。それを忘れないでください |
ティア | 大佐… |
ルーク | 行くしかねーってか… |
ルーク | …分かったよ。どうなるか分かんねーけど行ってくる |
ルーク | ティア、伯父上には… |
| |
ミュウ | ご主人様、行ってしまったですの… |
ジェイド | 光の神殿ですか。まさか、本当に行く事になるとは、少しばかり彼がうらやましいですよ |
| |
ティア | ルーク… |
| |
ガイアス | ジェイド、ここにいたか |
ジェイド | 陛下?どうかされたのですか |
ガイアス | ウィンドル軍が攻勢をかけてきた |
ガイアス | 俺もこれから前線に出る。お前も来い |
ジェイド | やれやれ、休む暇もありませんか |
ジェイド | では皆さん、そういう事ですので、これで失礼しますよ |
??? | ガイアス!どこにいるの? |
??? | ねえ。あなた達ガイアスを見なかった? |
ミュウ | ガイアスさんならたった今、ジェイドさんを連れて行ったですの |
ティア | 前線に出るとか言っていたけど… |
??? | 何ですって… |
??? | 私も急がないと! |
プレセア | 今の人…誰だったんでしょう? |
ティア | さあ…知り合いみたいだったけど |
ミュウ | ティアさん、ボク達はこれからどうすればいいんですの? |
ティア | そうね…ルークを待ちたいところだけど、いつどこに戻ってくるのかも分からないし… |
ティア | インゴベルト陛下に各国の動きを報告する必要もあるし、ひとまず、キムラスカに戻りましょう |
ミュウ | ご主人様心配ですの… |
ティア | 私もよ、ミュウ |
ティア | でも、今のルークは以前とは違うわ。信じて待ちましょう |
Name | Dialogue |
scene1 | 対照的な二人 |
フレン | ユーリ、そろそろ見回りの時間だ。出動しよう |
ユーリ | やれやれ、もうそんな時間かよ。毎日毎日、面倒なこった |
ユーリ | たまにはのんびりさせてもらいたいもんだぜ、ったく |
フレン | そんな事を言うものじゃない。たとえ何もなかったとしても、行かないと |
フレン | 僕達が見回りしているところを街の人々に見せる事にも意味があるんだから |
ユーリ | ほんっと真面目だよな、お前は |
フレン | 騎士の務めだ。当然だろう |
フレン | ユーリこそ、もっと任務に身を入れたらどうなんだ |
フレン | それだけの能力はあるはずだ |
ユーリ | 堅苦しいのは苦手なんだよ |
ユーリ | せっかく入った騎士団だが、どうも性に合わねえ。そろそろ潮時かもな |
フレン | またそんな。君はいつもそうやって… |
??? | っと、すまない…!急いでいたもので… |
フレン | いや、こちらこそすまない |
フレン | 君は…アスベルじゃないか |
アスベル | フレン…? |
アスベル | ああ、そうか。これから見回りだったな。がんばれよ |
フレン | ありがとう。 |
フレン | 君も陛下への目通りの許可が出てよかったな |
アスベル | あ、ああ。それじゃ! |
アスベル | (…エステリーゼ様、一体、 どこへ行ってしまわれたんだ) |
フレン | ユーリ、どこへ行くんだ?まだ、話は終わってないだろう |
ユーリ | 分かった分かった。 |
ユーリ | 歩きながらでもいいだろ?のんびりしてっと見回りに遅れちまう |
ユーリ | 今日は北地区からだったか? |
scene2 | 対照的な二人 |
フレン | このところ魔物の出現頻度が高まる一方だな |
ユーリ | この辺だけじゃないぜ。今はどこへ行ってもこんな調子だろ |
フレン | 確かに…一体何が起きているんだろう |
ユーリ | なぜこうなったかの理由なら、考えるまでもねえよ |
ユーリ | やれ戦争だの、カケラ集めだので、今は王国中が殺気立ってる。その気配が魔物にも伝染してんだろ |
ユーリ | つまり、すべき事は一つだ |
フレン | ユーリ…? |
ユーリ | 敬愛すべき我らが国王陛下に、言ってやりゃいいんだよ |
ユーリ | 星のカケラ欲しさに他国に攻め込むなんてやめてください |
ユーリ | 選ばれし者だかなんだか知らないが、光の神殿なんぞに現を抜かしてないで… |
フレン | よせ、ユーリ。陛下の事をそんな風に言うなんて |
ユーリ | おいおい、お前だって今の国王のやり方が正しいなんて思っちゃいないだろ |
フレン | …確かに思うところがないわけじゃないが |
フレン | …だからといって軽々しく言うべきじゃない |
フレン | 僕達騎士団は民衆を守るためにいる。その騎士団を率いる方こそ、国王陛下なのだから |
ユーリ | 民衆を守るため、ね |
ユーリ | それが本当である事を祈るよ、オレは |
ユーリ | お前はお前の信じるようにやれよ。オレはオレで好きにするさ |
フレン | ユーリ、君は昔からそうだ… |
フレン | 君は自分の行動や発言が、どれほど周りに影響を与えているのかわかっているのか? |
ユーリ | それを言ったらお前も、だろ? |
フレン | (ユーリの気持ちも分かる。 だけど平和には秩序が欠かせない。 もし君がそれを乱すなら僕は…) |
| …! |
ユーリ | 話は後だ。大物が出て来やがった |
フレン | ああ、油断するな |
ユーリ | 来るぞ! |
scene1 | 森の迷子 |
ユーリ | さてと、後はこの森を見回れば終わりだな |
フレン | ああ。この一帯は魔物の目撃情報が特に多いところだ。念入りに見て行こう |
ユーリ | オレに言わせりゃ、魔物より人間の方がよっぽどたちが悪いけどな |
ユーリ | …ん? |
| ガサガサ… |
フレン | そこの茂みに何かいるぞ! |
ユーリ | 魔物か? |
| |
??? | あっ…! |
ユーリ | なんだ、子どもじゃねえか |
フレン | どうしてこんなところに… |
ユーリ | おい、お前一人か?親は一緒じゃないのか? |
??? | … |
フレン | もしかして、迷子になったのかい? |
??? | … |
| !! |
フレン | あ、ちょっと君!待ってくれ! |
ユーリ | おいおい、走って逃げちまったぞ |
フレン | 追いかけよう。あんな小さな子を一人で放っておく訳にはいかない |
ユーリ | ったく、世話の焼ける… |
scene2 | 森の迷子 |
??? | はあ…はあ… |
??? | どうしよう…いきなり逃げて来ちゃったけど… |
| ガルル… |
??? | な、何の声? |
??? | …! |
??? | た、助けて… |
フレン | いない…どこへ行ったんだ? |
ユーリ | やれやれ、大した足の速さだ |
フレン | そんなに遠くへは行っていないと思うんだが… |
| |
??? | きゃああ! |
ユーリ | 向こうだ! |
フレン | 急ごう! |
??? | こ、来ないで! |
フレン | いけない、魔物に襲われてる! |
ユーリ | 今助ける! |
scene1 | 少女の願い |
ユーリ | さてと、おい大丈夫か?怪我とかしてねえか? |
??? | あ、ありがとう |
??? | あなた達、悪い人じゃないみたいだね |
ユーリ | まあな。これでも一応は正義の味方の騎士団、だからな |
フレン | 君、名前は?お父さんかお母さんは一緒じゃないのかい? |
エル | エルはエル。エル・メル・マータ |
エル | ママは前からいないしパパは… |
フレン | そうか…辛い事を聞いてしまって、すまない |
ユーリ | おいおい、それじゃまさか一人でここへ来たのか? |
エル | うん。イニル街から歩いてきたんだよ |
フレン | イニル街?随分遠いな |
フレン | どうしてそんなところから? |
エル | いま、街でへんなビョーキがはやってて…みんなすごいつらそうなの! |
エル | だからエル、王様にわけを話して、助けてもらおうと思って来たんだよ! |
ユーリ | で、身ひとつでやってきたって訳か。見上げた覚悟だが、ちょいとばかし無茶がすぎたな |
フレン | イニル街の奇病…噂には聞いた事があるが、まさか本当だとは… |
ユーリ | わざわざこんなとこまで来て嘘付くやつはいないだろ。問題は国王が話聞いてくれるか、だな |
エル | 王様、はなし聞いてくれないの? |
エル | ここまできたのに… |
ユーリ | … |
ユーリ | とりあえず、街の様子を見に行くか。んで、オレから国王に報告する |
ユーリ | それでどうだ? |
エル | ホント?ありがとう! |
ユーリ | そういう訳だから、騎士団への報告は頼むぜ、フレン |
フレン | …仕方ないな。分かった、引き受けるよ |
エル | ええと…あなた達の名前は? |
ユーリ | オレはユーリ。こっちはフレン |
ユーリ | そんじゃ行くとするか、エル |
エル | うん! |
scene2 | 少女の願い |
ユーリ | 歩きづめだが、大丈夫か? |
エル | 大丈夫。エル、歩くの好きだもん |
ユーリ | そうか。疲れたら言えよ |
エル | ユーリ、さっき、セーギの味方の騎士団って言ってたよね? |
エル | 騎士団って、何をする人? |
ユーリ | 何をする人、か。そうだな… |
ユーリ | 平たく言や、悪いやつをとっちめる仕事ってとこだ |
ユーリ | 普段はお偉いさんの警護をしたり、魔物から街を守ったり、泥棒を追いかけたり…そんなとこだ |
エル | エライ人の警護!じゃ、ユーリ達は王様にいつでも会えるの? |
ユーリ | いつでもって訳にはいかねえよ。あっちにはあっちの都合ってもんが |
エル | そうなんだ…残念 |
ユーリ | 心配すんなって。ちゃんとイニル街の病気の事は、オレが報告しておいてやるから |
エル | うん、よろしくね |
ユーリ | そういや、その病気ってのはいつ頃から流行りだしたんだ? |
エル | えーと…ビョーキがはやりはじめたのはひと月くらい前だと思う |
ユーリ | ひと月!? |
ユーリ | おいおい、そんな長い間、放っておかれてたのかよ |
ユーリ | ひと月前といや、国王が軍の増強を始めた時期だが…偶然か…? |
エル | どうかしたの? |
ユーリ | ん?いや、何でもねえよ |
エル | あっ、魔物! |
ユーリ | ちっ、下がってろ! |
scene1 | 腕利きの女戦士 |
ユーリ | ふう…ちっとばかし焦ったぜ |
エル | やったね、ユーリ! |
| ガルル…! |
エル | あっ! |
ユーリ | まだ生きてやがったのか! |
??? | 危ない! |
??? | …何とか間に合ったかケガはないか? |
| |
エル | う、うん…助けてくれてありがと… |
??? | 魔物相手に油断は禁物だ。それと、そこの長髪の男。父親ならちゃんと娘を守るべきだろう |
ユーリ | 父親…って、オレがそんな歳に見えんのかよ |
エル | あ、違うよ。ユーリはエルのパパじゃなくって、セーギの味方の騎士団だよ! |
??? | そうか… |
??? | だが騎士ならば、なおさらだろう |
ユーリ | そう言われりゃごもっともだ。返す言葉もねえな |
エル | あなたは?エルはエル。このひとはユーリ |
ミラ | 私の名はミラ。ミラ=マクスウェルだ |
エル | ミラはここでなにしてたの? |
ミラ | イニル街というところへ行く途中だ。奇妙な噂を耳にしたのでな |
ユーリ | その噂ってのは、あそこで流行っているっていう奇病の事か |
ミラ | 知っているのか |
ユーリ | オレもそれを調べるためにあの街へ向かっているとこなんだよ。エルを送りがてらな |
ミラ | なるほど。目的地は同じか |
エル | せっかくだから、ミラもエル達と行こうよ |
ミラ | …そうだな。私はこの辺の地理に疎いから、同行させてもらえると助かる |
ユーリ | 構わねえよ。こっちも腕の立つ道連れは歓迎だ。よろしく頼むぜ |
scene2 | 腕利きの女戦士 |
| ぐう… |
ユーリ | うん?エル、腹が減ったのか? |
エル | エルじゃないよ!エルそんなこどもじゃないし! |
ユーリ | 違うのか? じゃあ… |
ミラ | …すまない。私だ |
ユーリ | ミラの方かよ。こりゃ意外だったな |
エル | ユーリ、ちょー失礼!エルだってレディーなんだからね |
ユーリ | 悪い悪い。昼飯分けてやっからそれで勘弁しろって |
エル | えっ、食べるものあるの? |
ユーリ | 騎士団で支給された弁当だけどな。 |
ユーリ | 少々分け前が少なくなるが、三人で食べようぜ |
エル | サンドイッチ! |
ミラ | いいのか。すまないな |
ユーリ | これも何かの縁だ、気にすんな |
エル | あ… |
ミラ | どうした、エル? |
エル | …このサンドイッチ、トマト入ってる |
エル | エル、トマト苦手! |
ユーリ | 好き嫌いしてっと大きくなれねえぞ? |
エル | スキキライじゃなくて、シュチョーですー。シュチョーはケンリなんですー |
ミラ | わかった。では私のと取り換えてやろう |
ミラ | こっちはトマトがないからな |
エル | 本当?ありがとう、ミラ! |
ミラ | む… |
エル | もぐもぐ…うん、おいしい |
エル | あれ? ユーリもミラも食べないの? |
ミラ | どうやら邪魔が入ったようだ |
ユーリ | ったく、飯くらい、のんびり食わせて欲しいもんだぜ |
scene1 | 暗然たる街 |
ユーリ | 街が見えてきたな |
ミラ | エル、あれがイニル街か? |
エル | うん、そうだよ |
ユーリ | 遠目にはおかしなところは見えないな |
エル | 街のみんな、大丈夫かな。ビョーキよくなってればいいけど… |
ユーリ | ん…?ちょっと待て |
ユーリ | なにかおかしい。なんだ、この感じは…? |
エル | なんかヘンな気する…。街にいるときは感じなかったのに… |
ミラ | お前達も気付いたか。これはマナの消費が激しいせいだ。…やはりあの街には何かあるようだな |
エル | マナ? |
ミラ | この世界を司るエネルギーとでも言えばいいだろうか。目には見えないがな |
ユーリ | へえ、物知りなんだな |
ミラ | このところ、世界中のマナが著しく減少している |
ミラ | 私はその原因を調べているうちに、この街の存在を知り、それで調査に来たのだ |
ミラ | ところでユーリとエルは、星のカケラの伝説を知っているか? |
エル | エル聞いたときある! |
エル | カケラを手にし、己に打ち勝った者だけが、光の神殿に入れる… |
エル | でしょ! |
ユーリ | ただのおとぎ話のはずが、本当に光の神殿が現れたってんで、世界中大騒ぎになっているな |
ユーリ | お蔭でうちの王様も、全てのカケラを集めようと躍起ときてる |
ユーリ | …それがどうかしたのか? |
ミラ | いや…マナの減少と奇病の流行、それに星のカケラや神殿出現の時期が微妙に重なっているのが気になってな |
ユーリ | 何か関係があると思うのか? |
ミラ | …まあいい。とにかく、街の様子を調べよう |
ユーリ | …だな |
scene2 | 暗然たる街 |
ユーリ | なんてこった。そこら中に人が倒れてんじゃねえか! |
ミラ | 動いている者も総じて元気がないな。皆、明らかに顔色が悪い |
ユーリ | 病気が流行り出したのは、確かひと月前だと言ったよな。こんな状態がずっと続いていたのか? |
エル | エルが出かけるまではこんなじゃなかったよ! |
エル | でもみんなビョーキでつらそうだし… |
エル | エルは元気だから、エルがなんとかしないとって思って、王様に会いに行ったの… |
ミラ | 確かにこの状態は、ただ事ではないな |
ユーリ | ああ、こりゃもう騎士団総出で取り組まないとどうにもならない規模だ |
ユーリ | 問題は、国王がその気になるかどうかだがな |
ユーリ | とにかくもう少し調べてみるか。エル。街の中で、特にひどい状況の場所は分かるか? |
エル | どこもみんなつらそうだけど…一番はあっちかな |
ユーリ | 東側か。分かった、ちょっと見てくる |
エル | うん。でも気をつけてね |
エル | あっちはビョーキも怖いけど、すごい悪い人がいるって聞いたときあるよ |
ユーリ | 何かあったらすぐに退散するさ。それよりお前らはここを動くなよ |
ミラ | ちょっと待て、二人とも。向こうから何か来るぞ! |
ユーリ | 何っ!? |
scene1 | 奇病の原因を探して |
ミラ | ふう… |
エル | 急に魔物が襲ってきてびっくりしたね |
ユーリ | ったく、出鼻をくじかれたな。そんじゃ調査再開といくか |
エル | 街の東側へ行くんだよね |
ユーリ | ああ |
ミラ | すまないが、私は別行動を取らせてもらう |
ミラ | 調べたいことがあってな |
エル | え?ミラ…ここでお別れなの? |
ミラ | そんな悲しそうな顔をするな、エル |
ミラ | 用が済んだらまた合流する |
ミラ | しばらくしたら、街の入り口で落ち合おう。それでどうだ? |
エル | わかった。それならまた会えるね |
ユーリ | 行くのはいいが、一人で大丈夫か? |
ミラ | 心配はいらない |
ミラ | では、また後でな |
エル | 行っちゃった… |
ユーリ | ま、あいつの腕なら大丈夫だろ |
ユーリ | さて、ミラが行っちまったんじゃ、置いていく訳にもいかねえな。この際だ、エル、案内してくれ |
エル | うん。こっちだよ |
scene2 | 奇病の原因を探して |
エル | このあたりだよ。エルもこっちにはあまり来たことがないんだけど… |
ユーリ | 倒れている人間の数が、さっきより多い…確かにひどい有様だな |
ユーリ | それに空気がますます重苦しくなってきてやがる。もしかしたら奇病の源もこの辺りにあるのかもな |
エル | エル、何だかくらくらしてきた… |
ユーリ | 無理すんな。オレ達までやられる訳にはいかないんだからな |
エル | ううん、もう少しがんばる |
エル | みんながなんでビョーキになったのかわかるかもだし |
エル | ユーリもビョーキの理由、知りたいたいでしょ? |
ユーリ | そりゃそうだけどよ |
エル | 大丈夫だから |
ユーリ | わかった。じゃあ後少しだけな |
エル | うん |
ユーリ | これだけ流行る病気のもと… |
ユーリ | 普段から大勢が触れるようなもの、か…? |
ユーリ | たとえば、水とか… |
ユーリ | エル。この街の飲み水は、どこから調達している? |
エル | え?井戸からだよ |
ユーリ | んじゃ、まずその井戸を当たってみるか |
エル | また魔物! |
ユーリ | こんな時にまでかよ! |
scene1 | 不思議な出会い |
ユーリ | とんだ邪魔が入ったな。さて、井戸を調べに行くか |
エル | うん |
??? | ねえ、君達! |
??? | ちょっとお聞きしたいんですけど… |
ユーリ | ん? |
??? | あのさ、この辺で仮面をかぶった人を見なかった? |
エル | かめん…? |
ユーリ | なんだそりゃ… |
ユーリ | エル、心当たりあるか? |
エル | ううん |
ユーリ | だとさ。オレもそんな変な奴は見ていない。悪いな |
??? | そうかあ…どこか別のところに行っちゃったのかな |
??? | とにかく、捜しましょう。バラバラになったら大変だわ |
??? | うん、そうだね |
??? | 君達、変な事を聞いてゴメン!それじゃ! |
ユーリ | … |
エル | … |
ユーリ | 行っちまった。慌しい奴らだな |
エル | かめんの人、まいごになっちゃったのかな? |
ユーリ | さあな |
ユーリ | さあ、オレ達は井戸へ向かおうぜ |
scene2 | 不思議な出会い |
ユーリ | これがその井戸か |
エル | へんなにおいする…鼻がつんとするよ |
ユーリ | なるほど、いかにもって感じだな。こりゃ水が汚染されてんのかもしれねえな |
エル | ユーリ、あれ見て!へんな人いる! |
ユーリ | あいつは… |
??? | … |
エル | ねえ、さっきの人達が捜してた、かめんの人って… |
ユーリ | ああ、どうやらそうみたいだな |
??? | 何だ、お前達は |
??? | 人の顔を見ながら何を話している?僕に用があるなら早く言え |
??? | もし用もないのに僕の足を止めたのだとしたらこの剣で…斬る |
ユーリ | おいおい、いきなり喧嘩腰かよ。血の気の多い奴だな |
??? | … |
エル | エル達、別にあなたの事悪く言ったりしてないよ |
エル | さっき会った人達がかめんの人をさがしてたから、この人なのかなって話してただけだよ |
??? | それは…金髪の男と、茶色の髪の女か? |
エル | うん |
ユーリ | その様子だと、どうやらあいつらと知り合いらしいな |
??? | 二人とどこで会った? |
エル | えと、むこうの… |
ユーリ | 待てエル、なんか来るぞ! |
??? | …! |
scene1 | 再会、そして |
ユーリ | 終わったか… |
ユーリ | お前、なかなかやるもんだな |
??? | ふっ、お前もな |
??? | …おい、先程話した二人の事をもっと… |
エル | あっ、見て!さっきの人達! |
??? | あっ、見つけた!おーい、ジューダス! |
| |
ジューダス | カイル、リアラ。二人とも無事だったか |
リアラ | ソフィの反応を見つけたわ。南にある大陸にいるみたい |
カイル | 君達、また会ったね! |
カイル | あ!ひょっとしてジューダスを探してくれてたとか? |
ユーリ | 偶然さっき出くわしたところだよ |
リアラ | 二人とも、早く行きましょう |
ジューダス | わかっている。そう急かすな |
ジューダス | …そういえばお前達、この街の井戸を調べていたようだが |
エル | うん。ユーリがしらべたいって |
ジューダス | …一つ教えてやろう |
ジューダス | 街の南に作られた施設が井戸の汚染の原因だ。興味があるなら調べてみろ |
リアラ | ジューダス。こっちの世界の人に、あまり干渉しない方が… |
ジューダス | これくらいは構わないだろう |
リアラ | もう。ジューダスったら |
ユーリ | 南の施設ね |
ユーリ | いいことを聞いた。礼を言うぜ |
カイル | じゃ、さよなら! |
リアラ | さようなら |
エル | じゃあねー |
エル | ねぇユーリ、こっちの世界ってどういう意味? |
ユーリ | さあな。とりあえず、オレ達にとっちゃどうでもいいだろ |
ユーリ | それよりエル、今聞いた施設に心当たりはあるか? |
エル | そういえば、みんながビョーキになる少し前に、あっちのほうに新しい建物ができてたよ |
ユーリ | よし。なら次はそいつを調べてみるとするか |
エル | ねぇ、入り口にもどらないの?ミラが待ってるかもしれないよ |
ユーリ | それもそうだな |
ユーリ | んじゃ、入り口に戻ろうぜ |
scene2 | 再会、そして |
エル | あっ、ミラがいるよ |
ユーリ | オレ達より先に戻ってたか |
ミラ | 二人とも無事なようだな |
ユーリ | そっちは何か収穫はあったか? |
ミラ | ああ。街で流行っている奇病の原因を特定した |
ユーリ | …南にある施設か? |
ミラ | そうか。お前達も同じ答えにたどり着いたようだな |
ユーリ | オレ達のほうは、たまたまみたいなもんだけどな |
ミラ | それは私も同じだ。重要な情報を教えてくれた者がいてな。妙な連中だったが |
ユーリ | それって、おかしな仮面被った… |
ユーリ | …いや、なんでもねえ。忘れてくれ |
ミラ | どうもその施設というのは、この国の王が技術者を派遣して、数ヶ月前に設置したものらしい |
ユーリ | 国王が? |
エル | エル、思い出した! |
エル | 施設ができる時、これで暮らしが楽になるってみんな言ってた |
エル | 魔導器(ブラスティア)があればショーライアンタイだって |
ミラ | 私が聞いた話では、その施設の中に魔導器があるそうだ |
ユーリ | こりゃいよいよその施設とやらに行ってみなきゃならねえな |
ミラ | そうだな… |
ミラ | む? |
エル | 何か来るよ! |
scene1 | 魔導器 |
ユーリ | 施設が見えてきたな |
エル | あの中に魔導器があるんだよね? |
ユーリ | そいつが井戸を汚染して、奇病を流行らせてる元凶ってわけか |
ミラ | ああ。しかもその魔導器は、私が調査しているマナ減少の原因にもなっている可能性が高い |
ユーリ | となると、見て終わりって訳にはいかなさそうだな |
ユーリ | とっととぶっ壊しちまうか |
ミラ | 私もそのつもりだ。気が合うな |
エル | エルも手伝う! |
ユーリ | 頼もしいな |
ユーリ | それじゃ、乗り込むとするか |
ミラ | 正面は鍵がかかっているようだな。裏に回ってみよう |
ミラ | ふむ。この排水溝から中に潜入できそうだな |
エル | ここなんかくさいよ… |
ユーリ | 大丈夫か?無理に一緒に来なくたっていいんだぜ? |
エル | 大丈夫! |
エル | ビョーキになった人達を助けるためだもん |
ミラ | 中に入るぞ |
scene2 | 魔導器 |
エル | これって… |
ユーリ | こいつが例の魔導器か?いかにも怪しい形してやがんな |
ミラ | 周囲のマナが減り続けている。やはり、こいつが元凶のようだ |
ユーリ | ん…? |
| ザザー… |
ユーリ | 廃液みたいなのが流れ出してやがる。あれが井戸の水に染み込んでんのか? |
エル | それでみんなビョーキになっちゃったの? |
ユーリ | どうやらその可能性大だな |
ミラ | こんな物を自国の領内に置くとは… |
ミラ | 王の意図は不明だが、こんな物が人間界にあってはならない |
ユーリ | なら、誰かが来てやっかいな事になる前にさっさとやっちまうか |
エル | うん! |
ミラ | よし、やるぞ! |
scene1 | 取り戻した笑顔 |
ユーリ | よし、追手もいないようだし、どうやら無事に脱出できたようだな |
エル | 魔導器を壊せてよかったね! |
ユーリ | ああ。土産も手に入ったしな |
| |
エル | 何これ? |
ユーリ | あの魔導器の魔核(コア)じゃねえかと思う。こいつを外した途端、動きが完全に止まったからな |
ユーリ | この魔核を押さえときゃ、魔導器修理してまた動かそうったってそう簡単にはいかねえだろ |
ミラ | フッ。抜け目のない奴だ |
ユーリ | 褒め言葉と受け取っとくぜ |
| |
エル | 何だか、空気がキレイになったみたい |
ユーリ | だな。てことはやっぱりあの魔導器が奇病の原因だったんだろ。少なくともこれで病の拡大は止まるんじゃねえか |
エル | じゃあもう、心配いらないんだね |
エル | ありがとう、ユーリ!ミラ! |
ミラ | エルもよく頑張ったな |
ミラ | さてと… |
ユーリ | もう行くのか |
ミラ | ああ。次はア・ジュールへ向おうと思う。あの国に関しても、色々不穏な噂を耳にしているのでな |
ユーリ | そうか。じゃオレは王都へ戻って、今回の事を報告するとすっか |
エル | 王様に言っといてくれる? |
エル | もうこの街に、へんなものを置かないでって |
ユーリ | ああ、任せとけ |
ミラ | ではさらばだ、二人とも |
ミラ | 縁があればまた会おう |
ユーリ | オレも行くか |
ユーリ | エル、元気でな。もう無茶はすんなよ |
エル | うん、またね。二人とも! |
scene2 | 取り戻した笑顔 |
ユーリ | さてと、ああ言ったはいいが、実際のところ、どうしたもんかな |
ユーリ | エルが言ったみたいに、「ヘンなものを置かないで」と言って済めば簡単なんだが |
ユーリ | 仮に国王に話ができたとして、オレの頼みが聞き入れられるとはとても思えないしな |
ユーリ | 第一、その国王が設置した魔導器をぶっ壊したなんてバレた日にゃただじゃ済まねえだろうな |
ユーリ | …まあ仕方ない。やるだけやってみるか |
ユーリ | エルと約束しちまったしな |
ユーリ | それにしても…国王のやつ、本気で星のカケラとやらを集めるつもりなのか? |
ユーリ | 神殿だのカケラだの、そんなもんのために戦争だなんて馬鹿げてるぜ |
ユーリ | 誰か言ってやるやつはいないのか? |
ユーリ | 誰か、か… |
| ガルル… |
ユーリ | この唸り声…魔物か? |
ユーリ | やっぱりかよ。ったく、おちおち考え事もできやしねえ |
ユーリ | さっさとケリつけてやる。来な! |
scene1 | 素敵な相棒 |
ユーリ | さて、王都へ戻って来た訳だが… |
ユーリ | 騎士団への報告はフレンに任せたからいいとして、まずどうすっかな |
ユーリ | …考えても仕方ねえ。とっとと国王のとこに直談判に行くとするか |
ユーリ | どうせフレンのやつに相談したって、反対されるに決まってるしな。あいつを巻き込むのはやめとくか |
| |
警備兵 | 陛下はご多忙であらせられる。一介の騎士団員が、いきなり御目通りがかなうはずがなかろう |
ユーリ | 重要な報告があんだけど、それでも駄目なのか? |
警備兵 | 無理なものは無理だ。どうしてもというなら、騎士団を通して正式に申し込め |
警備兵 | もっとも、そうしたところで、いつ御目通りが実現するかはわからないがな |
ユーリ | へいへい、分かりましたよ |
ユーリ | ま、やっぱこんなもんだよな。さて、ここからが本番っと… |
??? | ワンッ! |
| |
ユーリ | ラピードじゃねえか。よくここにいるって分かったな |
ユーリ | ん、まてよ…そういやお前、前にどこからともなく城の中に現れた事あったよな |
ラピード | ワフゥ? |
ユーリ | 抜け道でもあんのか知らねえけど、あん時、お前が通った場所、オレにも教えてくれねえか |
ラピード | ウルル…ワウッ! |
ユーリ | …行っちまった。ちゃんと通じてるといいんだがな |
ユーリ | ま、他に当てもねえし、見失わないうちについていくか。頼むぜ、ラピード |
scene2 | 素敵な相棒 |
ユーリ | …王都の地下にこんなだだっぴろい洞窟があったとはな |
ユーリ | このどっかが城まで通じてる訳か。うまい話ってのはあるもんだな |
ユーリ | にしても、ラピード、よくこんなとこ知ってんな。マジで助かったぜ |
ラピード | ワフッ |
ユーリ | 案外、この洞窟は城が攻め落とされそうになった時に、お偉いさん達が逃げるためのもんだったりしてな |
ラピード | グルル… |
ユーリ | どうした?何か見つけたのか? |
ラピード | ワンっ! |
ユーリ | こいつは…魔物の死体?この傷は同じ魔物の仕業じゃないな |
ユーリ | しかも、まだそんなに時間が経ってない。つい最近、誰かがここを通ったって事になるな |
ラピード | ガウっ! |
ユーリ | 今度はどうした? |
| グルル…! |
ユーリ | こいつは…この死んでるやつの仲間か? |
ユーリ | 仲間をやったのはオレ達じゃないと言っても、聞いちゃくれそうにねえな |
ユーリ | 仕方ねえ。相手になるぜ! |
scene1 | 決断 |
アスベル | リチャード、お願いだ。ア・ジュールから兵を退いてくれ。この戦いには何の得もないじゃないか |
リチャード | 君は王に指図するというのかい?アスベル |
アスベル | 指図だなんて…俺はそんなつもりでは…っだが! |
リチャード | 僕が目をかけているからといっていささか調子に乗っていないか |
リチャード | 僕だって君を処罰したくはないんだ |
アスベル | …リチャード…どうして… |
リチャード | この件については、追って沙汰を下す。今は出て行ってくれないかい? |
アスベル | はっ…(あの優しかったリチャードが…) |
| |
ユーリ | ここは…もう城の中か。あっさり入り込めたな |
ユーリ | この辺は何度か通った事あるが、隠し通路の入り口があるなんて、気付かなかったぜ |
ユーリ | 助かったぜ、ラピード |
ラピード | ワンっ! |
ユーリ | ここからだったら謁見の間はすぐだ。ひとつ国王にお目通り願うとするか |
アスベル | ん…? |
ユーリ | っと、誰か来やがった。隠れろ、ラピード |
ユーリ | えー、お役目お疲れ様です |
アスベル | あ、ああ…お疲れ様 |
ユーリ | … |
ユーリ | あいつは確かフレンと話をしていた…いや、それより、気付かれずに済んでよかったぜ |
ユーリ | そんじゃ、気を取り直して行くか |
scene2 | 決断 |
リチャード | …何者だ? |
ユーリ | 国王陛下の忠実なる僕、騎士団のもんだよ |
リチャード | お前の顔には見覚えがある。確か名前は…ユーリ・ローウェル |
リチャード | 一体ここへ何しに来た?目通りを許した覚えはないぞ |
ユーリ | 国王に覚えてもらえてたとは光栄だな。…イニル街の訳を教えて欲しい |
リチャード | イニル街?何の事だ。おかしな事があったという報告は特に受けていないが |
ユーリ | そうか? |
| |
ユーリ | あんたのこれが随分と悪さをしてたんだがな |
リチャード | その魔核は…!なぜお前がそれを持っている |
ユーリ | なんでもいいさ。それより何のためにあの魔導器を作った? |
ユーリ | あの魔導器のせいでイニル街じゃ奇病が流行って大変な事になっていたんだぜ? |
リチャード | 魔導器の事も知っているのか。…当然だ。全て承知の上で、あそこに魔導器を設置したんだ |
ユーリ | …全部知ってて… |
リチャード | 我が国はこれから、世界中を相手にした大戦争を繰り広げる |
リチャード | 目的は各地に散らばった星のカケラを全て我が手中に収める事だそのためには力が必要となる |
リチャード | 君の持つ魔核を魔導器に組み込めば力となって動いてくれるイニル街に設置したのはその試作機だ |
ユーリ | …そんなくだらねえ事のために、街ひとつ、奇病が流行るにまかせたってのか |
リチャード | たかがその程度、どうという事もあるまい |
ユーリ | てめえ… |
リチャード | そう、たかがだ。お前のような虫けらにも等しい輩に、僕の崇高な理想は理解できまい |
ユーリ | 理解したくねえし、する気もねえ。そんな王を戴くつもりもねえ |
ユーリ | 騎士が王に楯突いちゃいけねえってんなら上等、この場で辞めてやるよ。…落とし前つけさせてもらうぜ |
リチャード | 魔核を持ったままここを無事に出られると思っているのか。警備兵! |
ユーリ | …っ! |
ラピード | ガウっ! |
ユーリ | ちっ! |
scene1 | 偶然か、必然か |
ユーリ | 何とか城からは抜け出せたか。やれやれ、これでオレはお尋ね者かよ |
警備兵 | まだ遠くへは行っていないはずだ!何としても捜し出せ! |
ユーリ | ったくしつこい連中だな。しょうがねえ、このまま王都を出るぞ、ラピード |
ラピード | ワウッ! |
ユーリ | 捕まって魔核を取り返された日にゃ、また魔導器を使われかねないからな。エルに顔向けできなくなっちまう |
ユーリ | とは言うものの、どこに逃げたもんかな。ウィンドルの国内はどこも厳しいか… |
ユーリ | ならいっそ、他の国に行くか。それなら追手も大手を振っては追ってこれねえだろうしな |
ラピード | ガルルルル…! |
警備兵 | いたぞ、向こうだ! |
ユーリ | おっと、いけねえ。行くぜ、ラピード! |
| |
フレン | フレン・シーフォ。参上しました |
リチャード | 来たか、フレン。君は精鋭ぞろいの我が騎士団の中でも、指折りの実力者と聞いている |
フレン | 身に余る評価です |
リチャード | そんな君に、重要な任務を任せたい。反逆者の逮捕だ |
フレン | 反逆者…ですか? |
リチャード | その者は僕に暴言を浴びせたばかりか重要な国家機密の品を奪い逃走中だ |
リチャード | その反逆者を捕らえ、僕の前に連れて来て欲しい無論、生かしたままで |
リチャード | 既に別の部隊を出動させているが、君も一隊を率いて後を追ってくれ |
フレン | 畏まりました。その反逆者の名前は? |
リチャード | ユーリ・ローウェル |
フレン | な…! |
scene2 | 偶然か、必然か |
フレン | … |
騎士団員 | 目撃証言を得られました。どうやらユーリ・ローウェルはア・ジュール方面へ向かったようです |
フレン | ア・ジュールか… |
騎士団員 | 我々もすぐに追いかけますか? |
フレン | …いや、待つんだ。そんなあからさまに目に付く道を選ぶとは思えない |
フレン | 守りの手薄なのは…シルヴァラント方面か。恐らく、ア・ジュールは見せかけだ |
騎士団員 | おお、なるほど |
フレン | …号令を。出発する |
| |
ユーリ | この辺りの山…確かテムザ山といったか |
ユーリ | ここを越えれば、シルヴァラントの勢力圏内だ。そこまで行けば一息つけるだろ |
ラピード | ワフゥ… |
ユーリ | 追手がうまい事ア・ジュールの方に向かってくれてるといいんだがな |
ユーリ | ま、いつまでも騙されてくれるとも限らないし、今のうちに少しでも距離を稼いでおこうぜ、ラピード |
ラピード | ガルルルル…! |
ユーリ | おっと、魔物か? |
scene1 | 揺れ動く気持ち |
ユーリ | よっと…ふう、だいぶ登って来たな。そろそろ山の中腹ってとこか |
ラピード | ワンッ |
ユーリ | さすがに見晴らしがいいな |
ユーリ | せっかく来たんだ。ここで風景でも眺めながら一服するか |
ラピード | ガウッ! |
ユーリ | わかってるって。ちょっと言ってみただけだよ |
ユーリ | さて、もうひとふん張りといくか。さっさと峠を越えちまわないとな |
| |
部隊長 | 反逆者ユーリ・ローウェルはこの山に逃げ込んだようだ |
部隊長 | 反逆者と親交があったという、別部隊の隊長の情報だから間違いあるまい |
部隊長 | その部隊が来るより先に反逆者を捕らえて、手柄は我々の物にしてしまおう |
アスベル | … |
部隊長 | どうした、アスベル・ラント。浮かぬ顔をしているな。何か心配事でもあるのか |
アスベル | い、いえ。そんな事はありません |
部隊長 | ぼさっとしているんじゃないぞ |
部隊長 | 見事反逆者を捕らえた暁には、特別報奨も期待できるだろう。皆、張り切っていけ! |
アスベル | … |
scene2 | 揺れ動く気持ち |
ユーリ | やれやれ…まさか行き止まりにぶつかって、引き返す羽目になるとはな |
ラピード | クーン |
ユーリ | だいぶ時間を無駄にしちまった。こっちに追手が来てるとしたら、だいぶ距離を詰められたかもな |
| |
部隊長 | いたぞ!あそこだ! |
ラピード | ウルル! |
ユーリ | ちっ。言ってる傍から来やがったか。この分じゃ、あんまり引っかかっちゃくれなかったみたいだな |
部隊長 | 反逆者ユーリ・ローウェル!貴様を逮捕する。抵抗しても無駄だぞ! |
ユーリ | そう言われて、はいそうですかとおとなしく捕まる奴はいねえよ |
ラピード | ガルルルル…! |
部隊長 | あくまで抵抗する気のようだな。ならばこちらも容赦はせん。全員、かかれ! |
アスベル | …何かがおかしかった…リチャード… |
ユーリ | あん?あいつ…確かアスベルだったか |
ユーリ | なんか様子が変だな |
部隊長 | 何をしているアスベル!ぼさっと突っ立っているな!早く行け! |
ラピード | ガウッ! |
ユーリ | どうした、ラピード、新手か!? |
| グオオオオ! |
アスベル | はっ!魔物!? |
ユーリ | ったく、取り込み中って時に! |
scene1 | 友への想い |
ユーリ | 魔物を始末しても、それでお終い、といかねえのが残念なところだな |
ラピード | ガルルルル… |
部隊長 | ええい、何をしている!さっさと反逆者を捕えろ! |
アスベル | …よし! |
| |
アスベル | 俺は君を信じる。君と行動を共にしよう |
ユーリ | …あん?おいおい、どういう風の吹き回しだよ |
アスベル | 実は君とリチャードが話しているのを、こっそり聞いていたんだ |
アスベル | リチャードの言動は昔と変わってしまっていて、疑問を抱いていたんだ |
アスベル | 戦争をやめるよう進言したが却下され…それ以上は何もできず、ただ悶々とするばかりで… |
アスベル | そんな時、君がリチャードに向かって騎士団をやめると言ったのを聞いて、目が覚める思いだった |
アスベル | リチャードが今やっている事は国民を幸せにするためじゃない。それをあいつに分からせないと |
ユーリ | お互い国王に思うところあり、か |
ユーリ | いいぜ、だったら好きにしな。その代わり自分の面倒は自分で見ろよ |
ラピード | ワンっ! |
アスベル | ああ!ありがとう |
| |
部隊長 | アスベルまで反逆者になるとは…!この騎士団の恥さらしどもめ! |
ユーリ | こいつらに付き合う気はねえ。さっさと振り切るぞ! |
アスベル | ああ! |
| |
フレン | …この山か。ここにユーリが… |
scene2 | 友への想い |
ユーリ | どうやら、まいたか? |
ラピード | ワウッ! |
アスベル | ああ、大丈夫そうだが、油断は禁物だ。後続が来ている可能性もある |
ユーリ | 人気者はつらいな |
ユーリ | ところで一つ聞いてもいいか? |
アスベル | 何だ? |
ユーリ | 国王の事、名前で呼んでたろ。随分親しげだが、どういう関係なんだ? |
アスベル | …元々国王…リチャードと俺は、子どもの時からの親友なんだ |
アスベル | 昔はあんなじゃなかった。彼は常にこの国の将来を真剣に考え、よき王になろうと努力していた |
アスベル | それなのに…あの出来事があってからというもの、すっかり変わってしまった |
ユーリ | …光の神殿の出現か |
アスベル | ああ。あの神殿こそ、全ての元凶と言っていいだろう |
アスベル | 自分を選ばれし者と公言し、星のカケラを集めるために他国を攻めるなんて…考えられない |
ユーリ | ま、人間、何が原因で変わるかなんて分かりゃしねえが、確かにいきなりそこまでってのはちと解せねえな |
アスベル | 俺もそう思っていた。リチャードがああなってしまったのは何か原因があるのかもしれない |
アスベル | もし本当にそうなら、俺は何としてもその原因を取り除いてあいつを元通りにしてやりたい… |
ユーリ | 友達思いなんだな |
アスベル | 親友とはそういうものさ。ユーリには、そういえる間柄の人はいないのか? |
ユーリ | 親友かどうかはわからねえが…腐れ縁なら心当たりはあるな |
ユーリ | けど心配した事はねえよ。オレよりよっぽどまともだからな。大概の事はオレよりうまくやるだろ |
ユーリ | 真っ直ぐすぎて、融通が利かないのが玉に瑕だが、ああいう奴が真っ当に暮らせる世の中が正しいと思うぜ |
アスベル | 随分楽しそうに話すんだな。ユーリがその人をいかに大事に想っているかが、よくわかったよ |
ユーリ | 言ったろ。ただの腐れ縁だって |
ラピード | ガルルルル…! |
アスベル | 魔物か! |
ユーリ | やれやれ。またかよ |
scene3 | 友への想い |
アスベル | ふう、片付いたか |
ユーリ | もうすぐ日が暮れる。その前に峠を越えちまおう |
| |
ユーリ | こいつは… |
アスベル | 行き止まりか…? |
ユーリ | やれやれ、またか。この辺はどれだけ道が入り組んでんだろうな |
アスベル | 仕方ない。別の道を… |
ラピード | ガルルルル…! |
ユーリ | どうした、ラピード |
アスベル | 誰だ…? |
フレン | ユーリ… |
ユーリ | …フレン! |
scene1 | それぞれの正義のかたち |
フレン | … |
ユーリ | やれやれ…まさかお前が送られるとは、あの国王もやってくれるぜ |
ユーリ | 道理で追手が気付くのが妙に早い訳だ |
アスベル | もしかしてフレンが、ユーリの話していた人なのか…? |
フレン | ユーリ。国王陛下に剣を向け、機密を奪ったというのは本当なのか |
ユーリ | 機密…? |
ユーリ | ああ、魔導器の魔核の事を言ってんなら、そういう事になるだろうな |
フレン | なぜだ、ユーリ。なぜそんな事を! |
ユーリ | …イニル街の奇病の話、覚えてるか? |
ユーリ | あれは街に作られた魔導器が原因だった。作らせたのは国王だ |
ユーリ | しかも奴は奇病の事も承知の上だった。神殿だのカケラだののために街ひとつ丸々犠牲にしてやがったのさ |
アスベル | … |
ユーリ | 国民を犠牲にしてなんとも思わない。そんな王なんざ願い下げだ。まして騎士として仕えるなんてな |
フレン | …だから騎士団を辞めたのか |
フレン | どうしてひと言相談してくれなかったんだ |
ユーリ | …言えばお前は反対するだろ |
フレン | ユーリ… |
フレン | 騎士団を辞めて…それでどうするつもりなんだ |
ユーリ | そうだな…まず魔核をなんとかして、それからどうにかして馬鹿げた戦争をやめさせる方法を考える、ってとこか |
ユーリ | さもないといくら魔導器をぶっ壊したところで、また次のを作られないとも限らねえからな |
ユーリ | …とにかく、これが真相だ。知った上でお前はどうするんだ? |
フレン | …確かに最近の陛下のなさりようには僕も賛同しかねるところはある |
フレン | だからといって!陛下に剣を向けたり、機密を盗んでいい事にはならないはずだ! |
フレン | 陛下に間違いがあるなら、それを忠言によって正すのが騎士たる者の務めじゃないのか! |
ユーリ | それで耳を貸すようなら苦労しねえ。イニル街じゃ現にみんな奇病にやられてんだぞ |
ユーリ | 国王が改心するまで、あいつらに死なずに耐えろって言えるのかよ!そのくらい分かってるはずだろ! |
フレン | 分かっているさ! |
フレン | だけど…だからといって法と秩序は…! |
ユーリ | む…?ちょっと待った! |
scene2 | それぞれの正義のかたち |
ユーリ | はあ…はあ… |
フレン | はあ…はあ… |
フレン | …ユーリ、どうしても… |
フレン | どうしても戻る気はないのか。あくまで魔核を持って他の国に行くつもりなのか |
ユーリ | ああ、もう決めた事だ |
ユーリ | 事実を知っちまった以上、知らない振りはできねえ |
ユーリ | オレなりのけじめってやつだ |
フレン | そうか… |
フレン | こんな事はしたくない。だけど僕は秩序を守ると誓って騎士になった。それに背く事はできない |
フレン | 僕も知った以上、陛下を断じてこのままにはしない。だからといって君を見逃す訳にはいかない |
アスベル | 来るか!? |
ラピード | ガウっ! |
| |
フレン | ユーリ・ローウェル! |
フレン | 騎士団の名において、君を捕らえる! |
ユーリ | へっ、それでこそお前だよ |
ユーリ | やるからには本気だぜ! |
フレン | 行くぞ! |
scene3 | それぞれの正義のかたち |
フレン | 腕を上げたな、ユーリ |
ユーリ | お前もな |
フレン | ユーリ。君はあくまで自分の道を行くというのか |
ユーリ | これがオレの選択だからな |
アスベル | 何だ…? |
ユーリ | どうなってんだ?魔核が突然光り出しやがった |
アスベル | なんて神々しい光なんだ… |
ラピード | ワンっ! |
| |
ユーリ | おいおい、まさかこの魔核が噂の星のカケラだったとか言わねえだろうな |
アスベル | 光がますます強くなったぞ。まるでユーリの言っている事がわかって、同意したみたいだ |
フレン | …確か言い伝えによれば、「カケラを手にし、 己に打ち勝った者だけが…」 |
アスベル | 「…真の選ばれし者として、 神殿に足を踏み入れる資格を得ん」 |
ユーリ | よせよ、二人とも |
ユーリ | 選ばれただの、打ち勝っただの、何の冗談だっての |
アスベル | いや。俺はユーリがカケラを手に入れたのは必然だと思う |
アスベル | 一緒にいた時間は短かったが、それでもわかる。君の考え方や行動は選ばれし者にふさわしい |
ユーリ | ぞっとしねえ話だな。そうだとして、一体、このカケラはオレに何をさせようってんだ? |
フレン | 言い伝えの通りなら、星のカケラは全部で6つ。それをそろえればどんな願いでもかなうというが… |
ユーリ | 6つ…そういやそんな話だったな |
ユーリ | …そうか、なるほどな。いい事聞いたぜ、フレン |
ユーリ | 決めたぜ。オレはこの手で、全ての星のカケラを集めてやる |
フレン | ユーリ!?一体… |
ユーリ | おっと、早まんなよ。こいつは戦争をなくすためだ |
ユーリ | こんなもんがあるから世界中がおかしな事になってる、だろ? |
ユーリ | だったらオレが全部集めてどっかにやっちまえば、どこの国もケンカする理由はなくなるだろ |
ユーリ | どうやらこのカケラも、文句なさそうだぜ |
フレン | あくまで正しいと思う事を曲げなかったユーリの意志に反応しているんだな…それなのに僕は… |
ユーリ | よせよ。お前とオレ、それぞれの正義の形があった。それだけだろ。けど、分かってくれてうれしいぜ |
ユーリ | さてと、そんじゃ他のカケラの手がかりでも探しに、まずは例の光の神殿とやらに行ってみるとすっか |
アスベル | ユーリ。君の考えはよくわかった |
アスベル | 及ばずながら、俺も力を貸すよ。神殿にも同行させてもらおう |
ラピード | ワンっ! |
アスベル | くっ、まぶしい…!この光は… |
アスベル | 星のカケラに…弾かれた…? |
ラピード | ワオーン! |
フレン | 光の神殿に入る事ができるのはカケラに選ばれた者のみ。そういう事なのか…? |
アスベル | そんな… |
ユーリ | どうやらカケラが運んでくれるらしい。ちょっくら行ってくるから寂しくて泣いたりすんなよ |
フレン | 何があるか分からないんだ。油断はしないでくれ |
アスベル | 君の無事を祈っている。心置きなく行ってくれ |
ラピード | ワンっ! |
ユーリ | ああ、行ってくる |
| |
フレン | 行ってしまった…無事に光の神殿にたどり着けるといいんだが |
アスベル | ここまで来たら、ユーリを信じるしかないな |
ラピード | ワンっ! |
| |
フレン | そうだ…今度こそユーリを信じて待つんだ |
フレン | 僕達の、そしてこの国の未来のために |
Name | Dialogue |
scene1 | 決意を胸に |
??? | 君は…誰なんだい? |
ソフィ | わたしはソフィ…。あなたは…? |
リチャード | 僕は…リチャードだ |
ソフィ | リチャードはここで何をしているの? |
リチャード | 友人の事を考えていたんだ |
リチャード | その人は僕にとってたった一人の親友でね…ここはそんな彼と、永遠の友情を誓った場所なんだよ |
ソフィ | そのお友達は今どうしているの? |
リチャード | …死んだ。僕のせいで… |
リチャード | こんなつもりじゃなかった。僕が望んだのは、こんな世界じゃなかった。それなのに… |
ソフィ | …リチャード、かわいそう |
ソフィ | じゃあわたしが、その人の代わりに、リチャードの友達になるよ |
リチャード | ソフィ…ありがとう… |
| |
??? | ソフィ… |
??? | ソフィ…? |
??? | おい、ソフィ! |
| |
ソフィ | あ… |
ソフィ | カイル…リアラ…ジューダス… |
カイル | ソフィ、ぼーっとしてちゃダメだよ。これからが、正念場なんだから |
リアラ | 念のため、これからの手順を、もう一度確認するわよ |
リアラ | 今からわたし達は、王都バロニアの地下神殿に向かい、そこから過去の世界へ飛ぶ |
リアラ | そしてウィンドル国王のリチャードが、星のカケラを集めるのを阻止するの |
ジューダス | あの男が世界をこんな風に、暗黒に包んでしまう前にな |
カイル | オレ達は二度と、元の世界には戻れないかもしれない。それでも、やるしかないんだ |
ソフィ | …うん。わかってる |
ジューダス | おしゃべりはそこまでだ。早く行くぞ |
scene2 | 決意を胸に |
ジューダス | 地下神殿へは、あともう少しで到着するはずだ |
ソフィ | … |
カイル | あれ?ソフィ、剣を持って来たのか?戦う時、ソフィは剣を使わないのに |
ソフィ | あ、うん。これは… |
リアラ | リチャードからもらった物なのよね |
ソフィ | ううん…もらったんじゃない。預かっただけ |
| |
リチャード | う、うう…う… |
ソフィ | リチャード!しっかりして、リチャード! |
リチャード | ソフィ…近付くな…僕に近付いては駄目だ…さもないと僕は君を… |
リチャード | ソフィ…こんな僕を友と呼んでくれた君には本当に感謝している…だからどうか…この剣を… |
リチャード | うわあああああ! |
ソフィ | リチャード!リチャード!! |
| |
カイル | ソフィ?またぼーっとしてるよ |
ソフィ | ごめんなさい… |
ジューダス | …こんな調子では役に立たない。ソフィは置いていくべきだ |
カイル | 今更、何を言ってるんだよ、ジューダス |
ジューダス | 彼女はリチャードに対する思い入れが強すぎる。そんな事では、いざという時に決断が鈍る恐れがある |
リアラ | ソフィ…どうなの?あなたの正直な気持ちを聞かせて |
ソフィ | わたしは… |
ソフィ | 今のリチャードでも、過去のリチャードでもいいから、もう一度ちゃんと話がしたい |
ソフィ | こんな風に世界を闇に包むのはもうやめてって |
ソフィ | リチャードがもし話を聞いてくれなかったら…その時は… |
ソフィ | もう迷わない |
ジューダス | 覚悟はできているのだな?…どんな結末になるとしても |
ソフィ | …うん |
ジューダス | …いいだろう。その言葉、忘れるなよ |
| ギャオオオオ! |
カイル | 魔物だ! |
ジューダス | 魔物に用は無い!蹴散らすぞ! |
scene3 | 決意を胸に |
カイル | ここが地下神殿か… |
リアラ | 思った通りだわ。この辺りはまだ、マナの残留濃度が高い |
リアラ | これだけマナがあれば、わたしの力で、皆を過去に転移させる事ができるはずよ |
カイル | へえ、すごいな!さっすがリアラ! |
リアラ | そうでもないわ。本当に凄かったら、わざわざここまで来なくても、転移はできたはずだから… |
ジューダス | マナとは生命が持つエネルギー…昔はそれこそ、世界中に、マナが満ちていたそうだからな |
カイル | 世界中で、そのマナが減っちゃったのも、リチャードのせいなんだろ?とんでもない話だよな… |
ソフィ | … |
ジューダス | ではリアラ、転移の準備を始めてくれ |
リチャード | 反逆者はここにいるはずだ。何としても見つけ出し、捕らえよ! |
ソフィ | リチャードの声! |
カイル | オレ達を追ってきたのか! |
ジューダス | くっ…!奴らは僕達が食い止める。リアラは早く転移を! |
リアラ | わかったわ! |
ウィンドル兵 | いたぞ!反逆者だ! |
ソフィ | …! |
ウィンドル兵 | 反逆者は全部で4名だ。挟み撃ちにして捕えろ!殺しても構わん! |
カイル | くそっ、やられてたまるか!何としてもオレ達は、過去へ行くんだ! |
ジューダス | リアラ、まだか!? |
リアラ | 準備ができたわ!みんな、わたしの近くへ! |
| キイイイイイン! |
ウィンドル兵 | な、何だこいつら!?いきなり光り出して…あ、陛下! |
リチャード | 逃げようとしても無駄だ、お前達!これでも食らえ! |
| ドゴオオオオオッ! |
ソフィ | きゃああああっ! |
カイル | ソフィ、大丈夫!? |
リアラ | 大変…!ソフィとの距離が遠すぎてこのままだとソフィをうまく転移させる事ができないわ…! |
ジューダス | 何だと? |
リアラ | ソフィ!早くこっちへ…! |
| フイイイイイイイイイン! |
ソフィ | あ……あああああっ! |
カイル | ソフィ! |
リアラ | ソフィーッ! |
scene1 | 過去へ |
| ザザ…ザザ… |
| ザザザ… |
ソフィ | う…うう… |
ソフィ | … |
ソフィ | ここは…どこ…? |
ソフィ | … |
ソフィ | わたしは…誰…? |
| |
??? | ねえねえ! |
ソフィ | …! |
| ドゴオッ! |
??? | ぐぼはあ! |
ソフィ | あ… |
??? | いや~、ナイスパンチ!身体小さいのに、強いんだね! |
??? | あたしの事なら心配いらないよ。こう見えても頑丈だから |
??? | それより、さっき何したの? |
??? | 何もないとこから、突然ば~っと光って出て来たよね? |
ソフィ | え…? |
??? | もしかして転送装置の一種?でもちょっち違うような…ここにはそもそも装置なんてないし |
ソフィ | え…あ… |
??? | どういう仕組みなのかな? |
??? | もったいぶらないで教えて!お願い! |
| グオオオオッ! |
ソフィ | あれは… |
??? | げっ、さっきの魔物!まいたと思ったのに! |
| ガアアアアッ! |
??? | ひいい、まだ怒ってる! |
??? | だからさっきのは、わざとじゃないんだってば~! |
ソフィ | … |
ソフィ | …行っちゃった |
ソフィ | わたし…これからどうすればいいんだろう… |
scene2 | 過去へ |
ソフィ | … |
??? | あれ、さっきの子だ。お~い! |
??? | いや~、まいったよ。さっきあの魔物が昼寝してる時に、うっかり足を踏んづけちゃってさ |
??? | そしたら怒ったのなんの。ず~っと追っかけてくるんだもん |
??? | まあそれはいいとして |
??? | さっきの仕組み、教えて? |
ソフィ | わからない… |
??? | わからない…? |
??? | ちなみにどこから来たの?見慣れない顔だけど |
ソフィ | それも…わからない |
??? | あらら。んじゃ、名前は? |
ソフィ | 名前…わたしの名前は… |
ソフィ | …そう、ソフィ。確かソフィだったはず… |
??? | ソフィか~。かわいい名前だね |
パスカル | あたしはパスカル!よろしくね、ソフィ |
ソフィ | う… |
パスカル | ど、どうしたの? |
ソフィ | 何かを思い出そうとすると…頭が割れるように痛くなって… |
パスカル | ソフィ、もしかして… |
パスカル | とにかく、休んだほうがよさそうだね。顔色も悪いし |
パスカル | この近くに、あたしが世話になってるシーブル村があるから、ひとまずそこへ行こう? |
ソフィ | うん… |
パスカル | よっしゃ。それじゃ… |
| グオオオオッ! |
ソフィ | あの魔物… |
パスカル | うわ、また来た!?いい加減しつこ過ぎるって! |
scene1 | 記憶の欠片を探して |
村の女 | うーん…話を聞いた感じだと、やっぱりこの子は記憶喪失になったんじゃないかなあ |
パスカル | やっぱりか~。あたしもそう思ったんだよね |
ソフィ | わたしが…記憶喪失… |
村の女 | どんなささいな事でもいいから、記憶を取り戻すきっかけがあるといいんだけどね |
村の女 | 名前以外に、何か思い出せる事はない? |
ソフィ | うーん… |
パスカル | あ、無理しなくていいよ。また頭が痛くなっちゃうといけないし |
ソフィ | リチャード… |
パスカル | リチャード?それって…ウィンドル王国の王様の事? |
ソフィ | ウィンドル王国… |
ソフィ | うん、そう…わたし、そのリチャードのところに行こうとしていた…ような気がする |
村の女 | 王様のところに行くって…一体どういう関係なのかしら? |
ソフィ | たぶん…友達…だと思う… |
パスカル | ふむふむ |
パスカル | わかった。じゃあ、あたしがソフィをリチャードのとこまで連れてってあげよう! |
ソフィ | パスカルが? |
パスカル | 村での調査もひと区切りついたから、そろそろ里に帰ろうと思ってたしね。ついでにソフィを送るって事で |
村の女 | 今ウィンドルへ渡るのは大変よ。戦争が始まったって言うし |
パスカル | 大丈夫、大丈夫。あたし、裏道知ってるから |
ソフィ | 本当にいいの?迷惑じゃない? |
パスカル | ぜーんぜん平気だって。気にしなくていいから! |
パスカル | それに、無事に記憶が戻ったら、ソフィが現れた時の仕組みについても何かわかりそうだしね |
パスカル | おばさん、村のみんなによろしくって伝えといて。シングとコハクにも、また会おうねって |
村の女 | ああ、わかったよ |
パスカル | それじゃ、ウィンドル目指して、しゅっぱーつ! |
scene2 | 記憶の欠片を探して |
ソフィ | パスカルは、シーブル村の人じゃないの? |
パスカル | 違うよん。あたしの故郷は、アンマルチアの里ってとこ |
パスカル | シーブル村には星のカケラの言い伝えを調査しに行ってたんだ |
ソフィ | 星の…カケラ…? |
パスカル | 星のカケラってのは、大昔に落っこちてきた箒星の破片なんだ |
パスカル | 世界中に散らばってて、それを手に入れると、光の神殿に入れるって言われてるんだよ~ |
パスカル | 今までは誰も信じていなかったけど、最近になって本当に光の神殿が現れたもんだから大騒ぎになってね |
パスカル | 全ての星のカケラを集めると願いがかなうとも言われてて、欲しがる人がたくさん出てきたんだ |
パスカル | ウィンドル王国のリチャードもその一人だね。星のカケラ欲しさのあまり、戦争まで始めたって話だけど |
ソフィ | 戦争…なんだろう。何かが引っかかる…気がする |
ソフィ | う…また頭が… |
パスカル | ごめんごめん、一度に色々喋りすぎちゃったね |
ソフィ | たぶん…パスカルの話してた事ってわたしにとっても大事なんだと思う…でも… |
パスカル | うんうん。あわてなくていいよ。ゆっくり思い出せばいいから |
パスカル | リチャードに会えれば、それがうまい事刺激になって、記憶を取り戻せるかもしれないね |
ソフィ | うん… |
| ガサガサッ! |
ソフィ | …そこの茂みに何かいる |
| ギャオオオオ! |
パスカル | わあ、魔物!? |
scene1 | パスカルの導き |
ソフィ | ウィンドルへ行くのは、本当にこっちの道でいいの?暗くて人気がないけど… |
パスカル | 裏道だからね。仕方ないよ。今は、船に乗るのも大変だし |
パスカル | 心配しなくても大丈夫。ちゃんとウィンドルに連れてくからさ |
ソフィ | うん、ありがとう |
ソフィ | ねえ、裏道って…どんなの? |
パスカル | 実はこの世界のあちこちには、離れた場所と場所を結ぶ、転送装置ってのがあってね |
ソフィ | 転送…装置… |
パスカル | ほとんどの人は知らないんだけど、その転送装置をうまく使えば、目的地まで簡単に行けるんだよ |
パスカル | びゅーん!すこーん!はい到着ーって感じでね |
パスカル | で、確かウィンドル方面にも数個装置があったはずだから、そこまで一瞬で移動しちゃおうってわけ |
パスカル | ちなみにその転送装置を作ったのは、大昔のアンマルチア族…あたしのご先祖様にあたるんだけど… |
パスカル | アンマルチアの里には転送装置の資料が今でも残ってて、それであたしも装置を使えるってわけ |
ソフィ | びゅーん…すこーん… |
パスカル | うーん、口だとこれ以上、うまく説明できないや |
パスカル | まあやってみればわかるよ。あたしを信用して |
ソフィ | …うん、わかった |
パスカル | さてと…確かこの辺に、装置のある場所へ通じている入り口があるはず |
パスカル | ソフィも一緒に探してくれない?洞窟の入り口みたいになってるから、見ればわかるよ |
ソフィ | うん |
scene2 | パスカルの導き |
パスカル | 見つからないなあ…間違いなくこの辺のはずなんだけど |
ソフィ | パスカル、ここは? |
パスカル | ん?見つかった? |
パスカル | どれどれ? |
パスカル | ああ、ここ、ここ! |
パスカル | すごいソフィ、よく見つけたね! |
パスカル | ご褒美にぎゅーってしちゃう! |
| ひょいっ |
| びたーん! |
パスカル | うう…地面に顔をぶつけた… |
パスカル | なんでよけるの~ |
ソフィ | …さわるの、だめ |
パスカル | そういう事言われると、ますます触りたくなっちゃう性分なんだよね~ |
ソフィ | …だめ |
パスカル | ガードが固いなあ |
パスカル | じゃあお楽しみは後回しにして、中に入りますか |
ソフィ | 入り口が塞がってるみたいだけど、大丈夫なの? |
パスカル | これはカモフラージュされてるだけだよ。悪用されないように、普段はこうなってるんだ |
パスカル | でも大丈夫 |
パスカル | あたし、どうすればいいか知ってるから |
パスカル | まあ見てて~ |
パスカル | ここにスイッチが… |
パスカル | あった。これをピコ、ピコ、ポンっと |
| ズズズズズ… |
| |
ソフィ | 塞がってた入り口が…開いた |
パスカル | ほらね。言った通りでしょ? |
ソフィ | …何か出て来る |
パスカル | …え? |
| ガアアアア! |
パスカル | ぎゃあ!こんなのまで! |
scene1 | アンマルチア族の転送装置 |
パスカル | あれ?こっちで合ってたかな |
ソフィ | 道に迷ったの? |
パスカル | どうだろ…もしかしたらそうかも |
ソフィ | さっきの分かれ道まで、戻ってみる? |
パスカル | ん~、もう少し!もう少しだけ進んでから、決めてもいい? |
パスカル | あ、見つけた!やっぱりこっちでよかったんだ! |
| |
パスカル | じゃーん!これが転送装置だよ!これを使えば、ウィンドルへは、一瞬で行けちゃうからね! |
パスカル | さっそく起動させるね |
パスカル | ピコ、パコ、ポコっと… |
パスカル | …あれ? |
ソフィ | 動かない… |
パスカル | うーん…長い事使わなかったせいで、調子が悪いのかな |
パスカル | ちょっと調べてみるね |
ソフィ | パスカル、大丈夫?もうずっと、いじってるけど… |
パスカル | ごめんごめん。何せ古い装置だし、あたしも何もかも知ってるわけじゃないから、手間取っちゃって |
パスカル | おかしいな。これで動くはずなんだけど…何が足りないのかな |
パスカル | あ、ここのボタンかな?ポチっとな! |
| カチッ |
| フイイーーン! |
パスカル | 動いた!ソフィ、ほめてほめて~! |
ソフィ | … |
| ひょいっ |
| びたーん! |
パスカル | うう…どさくさに紛れてぎゅーってしようとしたのに |
ソフィ | …さわるの、だめ |
パスカル | へいへーい |
パスカル | まあいいや。そんじゃ、さっそくこの転送装置でウィンドルまで飛んで行こっか |
scene2 | アンマルチア族の転送装置 |
パスカル | じゃーん! |
パスカル | ここはもうウィンドルなんだよ凄いっしょ? |
ソフィ | … |
パスカル | ソフィ? |
パスカル | もしかして、また頭が痛くなったの? |
ソフィ | うん…あの装置で移動した時から… |
ソフィ | 前もああやって、一瞬で別の場所から別の場所へ移動した事があったような気がして… |
ソフィ | でも思い出そうとしてたら、頭が…うう… |
パスカル | ソフィ… |
パスカル | …それってやっぱり、あたしがソフィに初めて会った時の事なんだろうね |
パスカル | もしかしたらソフィが記憶喪失になったのも、あの出来事に原因があるのかも… |
ソフィ | そうなのかな… |
パスカル | もしそうなら、無理させちゃってごめんね |
パスカル | あたし、悪い事したかな… |
ソフィ | ううん。そんな事ないよ。パスカルは親切で、わたしをここまで連れて来てくれたんだし |
パスカル | …ソフィ、ありがとね! |
パスカル | それでも、やっぱり心配だから。ここで少し休んでいこう? |
ソフィ | 大丈夫。いけるよ。心配してくれてありがとう |
パスカル | そう…?でも本当に、無理はしちゃ駄目だよ |
ソフィ | うん |
パスカル | じゃあ、外に出ようか。出たところが、王都バロニアだったはずだよ |
ソフィ | バロニア… |
パスカル | これで魔物さえいなければ、スムーズに行けるんだけどね |
パスカル | きっと… |
| ギャオオオオッ! |
パスカル | うおっと!?言ってるそばから出たあ! |
scene1 | 重なった記憶 |
ソフィ | ここは…! |
ソフィ | わたし、ここ、見た事ある…前にも来た事がある…! |
パスカル | そっか。そうなるとやっぱりソフィは、ウィンドルの人なんだろうね |
パスカル | まあ、あのリチャードと、友達になってるくらいだし… |
パスカル | どう?懐かしい? |
ソフィ | 懐かしいっていうか…怖い |
ソフィ | ここにいると胸が締め付けられる。わたし、どうしたんだろう… |
| |
ウィンドル兵 | お前達、ここで何をしている!? |
パスカル | 兵士!?何でこんなところに!しかもたくさん! |
ソフィ | あ… |
ソフィ | 同じ…あの時と… |
パスカル | あの時って? |
ソフィ | うう…頭が…! |
パスカル | ソフィ、しっかりして! |
ソフィ | リチャード…もしかしてここにいるの…? |
パスカル | え…?ソフィ、なにを言って… |
ウィンドル兵 | どうしてお前達が、その事を知っている!?陛下はお忍びでいらっしゃったのに! |
ウィンドル兵 | 怪しい奴らめ、こいつらを捕らえよ! |
パスカル | やば…!ソフィ、逃げるよ! |
ソフィ | う、うん…! |
scene2 | 重なった記憶 |
パスカル | ソフィ、大丈夫? |
ソフィ | うん… |
パスカル | まさかこんなところに、あんなに兵士がいるなんて思わなかったよ |
パスカル | それにしてもソフィ、よくリチャードが来てるってわかったね |
ソフィ | わかったって言うか…前もこういう事があったような気がしたから… |
ソフィ | ところで…わたし達、今どこにいるの? |
パスカル | 神殿の建物の中だよ。構造が複雑だし、逃げるにはちょうどいいかなって |
パスカル | リチャードが本当に来てるなら、ソフィと会わせてあげたいけど、あの兵士の様子だとどうかな…? |
ソフィ | … |
??? | お前達…何者だ? |
ソフィ | あ…! |
ソフィ | わたし、知ってる…前に…会った事がある…! |
パスカル | って事は、もしかして… |
ウィンドル兵 | ここにいたか! |
ウィンドル兵 | 陛下、離れてください。こやつらは陛下を害さんとする賊の可能性があります |
パスカル | やっぱり、この人がリチャード! |
パスカル | ソフィ、思い出せる?この人がリチャードだよ! |
ソフィ | リチャード… |
ソフィ | う…痛い…頭が…割れそうに… |
パスカル | ソフィ、しっかりして! |
| |
リチャード | 怪しい奴らめ…さてはア・ジュールのガイアスが送り込んだ刺客か |
パスカル | 違うって!あたし達、そんなんじゃないよ! |
パスカル | ソフィがリチャードの知り合いだって言うから、ここまで来たんだよ! |
リチャード | お前の事など知らん。かくなる上は、僕が直接、成敗してくれよう |
パスカル | ちょっと!? |
ソフィ | リチャード…やめて |
リチャード | 死ねえ! |
scene1 | 危機一髪 |
リチャード | う… |
ソフィ | リチャード、大丈夫!? |
リチャード | 僕に近づくな! |
リチャード | よくも僕の身体に傷を…許さん。断じて許さんぞ…! |
ソフィ | 違う…わたし…そんなつもりじゃ… |
パスカル | 先に攻撃してきたのはそっちじゃん! |
パスカル | ソフィはリチャードに会いに来たってのに! |
リチャード | だからお前の事など、知らんと言っているだろう |
ウィンドル兵 | 陛下!遊撃隊のようです!どこからともなく… |
ウィンドル兵 | …ぐっ…わあああっ! |
リチャード | …なっ! |
| |
カイル | ソフィ、無事か!? |
リアラ | よかった…やっと会えたわ! |
ソフィ | え…? |
パスカル | ん?もしかしてソフィの知り合い? |
ジューダス | そばにいるのはリチャードか?どうりで兵の数が多いわけだ |
リチャード | 他にも仲間がいたのか |
リチャード | こいつらもまとめて始末しろ! |
リアラ | みんな、ここは一度退きましょう。敵が多すぎるわ! |
パスカル | よし!だったらさっきあたし達が出て来た、転送装置のとこまで戻ろう! |
カイル | えーと…きみは? |
パスカル | 詳しい説明はあと!ほら、ソフィ、逃げるよ! |
ソフィ | あ、う、うん… |
ジューダス | 誰なのかわからんがここはついていくしかなさそうだな |
カイル | そうだな、オレ達も行こう! |
ウィンドル兵 | あいつらを逃がすな! |
scene2 | 危機一髪 |
カイル | ここは… |
カイル | 行き止まりじゃないか! |
ジューダス | お前…僕達をだましたのか? |
パスカル | 違うって!転送装置があるから、ここまで戻って来たんだよ |
リアラ | これは…! |
リアラ | 確か、古代文明の遺物と言われている装置だわ |
パスカル | お、知ってんの? |
パスカル | 今から転送先の設定を変えるから、ちょっちそこで足止めしてて! |
カイル | 足止めって… |
ウィンドル兵 | あそこにいたぞ! |
ソフィ | 来た…! |
ジューダス | くっ、こうなったらやむを得ん!ここで戦うぞ! |
ウィンドル兵 | 奴らを討ち取れ!陛下のご命令だ! |
カイル | ねえ、まだ!?これ以上は、こっちも支えきれないよ! |
ソフィ | もう…限界… |
パスカル | よし、これで最後だね。ここをこうして… |
パスカル | ペチペチ、ピコンっと |
| ヒュイイイイン…! |
ソフィ | …動いた |
リアラ | すごい…!今まで誰も、この装置を動かせた人はいないって聞いてたのに… |
パスカル | さあ、飛ぶよ!ソフィ、また頭が痛くなったら、ごめんね! |
ソフィ | ううん、大丈夫! |
ウィンドル兵 | や、奴らが消えた!?一体どこへ行ったのだ? |
| |
ジューダス | 何とか地上へ脱出できたようだな |
パスカル | ふ~ん、なるほど。この辺だとここの草むらの中に、転送装置が隠れてたんだ |
パスカル | さっきの神殿からなるべく近い所に飛んだ方がいいと思って、設定をいじってたんだけど…うまくいったね |
パスカル | あ、そうだ!ソフィ、頭痛くなってない? |
ソフィ | うん、今度は大丈夫 |
カイル | 助かった… |
カイル | さすがに今度ばかりは、もう駄目かと思ったよ |
リアラ | あなたがあの古代文明の装置を起動させてくれたお陰よ。ありがとう。ええと… |
パスカル | あたし、パスカル。ソフィの友達だよ |
パスカル | そっちもそうなんでしょ? |
カイル | あ、うん |
リアラ | ソフィ、こっちの世界へ来てから今まで何をしていたのか、詳しい話を聞かせてくれる? |
ソフィ | …えっと、誰? |
ジューダス | …誰、だと? |
ジューダス | ソフィ、とぼけるのも大概にしろ! |
パスカル | あ、これには事情があってね… |
| グオオオオ! |
カイル | 兵士の次は魔物かよ! |
scene1 | 再会と別離 |
ジューダス | 記憶喪失だと… |
カイル | ソフィ…本当にオレ達の事、覚えてないのか? |
ソフィ | うん…ごめんね |
リアラ | ソフィだけ安定していない状態で、無理矢理、時空転移したのが原因ね |
リアラ | 何も持たずにいきなり、荒海の中に叩き込んだようなものだから…ごめんなさい |
ジューダス | …過ぎた事は仕方あるまい。ソフィの記憶を戻す方法を探さなければ |
ソフィ | … |
カイル | パスカル、ソフィを助けてくれて、ありがとう!ホントに助かったよ |
パスカル | ううん、それはいいんだよ。それにしてもみんな、大変だね。未来の世界から来るなんて |
パスカル | リチャードがソフィの事を知らないって言ってた理由も、これでわかったよ |
パスカル | …それにしても、未来はリチャードのせいで、大変な事になってるんだね |
パスカル | 全ての星のカケラを集めるために果てのない戦争を続け、しまいには世界をどん底の闇に包んでしまう… |
パスカル | う~ん…できればそうなるのだけは、勘弁してもらいたいなあ… |
ジューダス | だからそうさせないよう、僕達がこうしてやって来た |
パスカル | んで、これからどうするの? |
カイル | ひとまずどこかの街で休まない?オレ、もうくたくただよ |
リアラ | そうね…ソフィと合流するまで、わたし達のほうも色々あったし |
パスカル | だったら、この近くにある街に行ってみない?イニル街って名前なんだけど |
ジューダス | その街なら知っている。ソフィと合流する前にも寄っているからな |
カイル | そうか、それで何となく、この辺の景色に見覚えがあったんだな |
リアラ | この道は前も通ったはずだけど、こんなところに古代文明の装置があるなんて、気付かなかったわね |
パスカル | ソフィも、みんなでイニル街に行くのに賛成って事でいいかな? |
ソフィ | …うん |
パスカル | それじゃ、さっそく行こうか |
scene2 | 再会と別離 |
リアラ | ソフィ、そういえばあの剣はどうしたの?リチャードから預かったっていう、例の… |
ソフィ | わたし、そんなの持ってたの?全然覚えてない… |
カイル | 転送する時は持ってたはずだよ。オレ、確かに見たもん |
パスカル | 剣かあ…。あたしがソフィを見かけた時は、もう持ってなかったよ |
ジューダス | 時空転移の際に、どこかに紛失してしまったのではないか? |
ソフィ | リチャードの剣… |
ソフィ | …たぶんその剣は、わたしにとって凄く大事な物なんだと思う。それだけは、はっきりわかる… |
ソフィ | なくしたってわかった途端、胸が締め付けられて、苦しくなったから… |
リアラ | かわいそうに… |
パスカル | ソフィはリチャードと、本当に仲がよかったんだね |
パスカル | みんなの話を聞いたり、実際に会った印象だと、難しそうな人って感じだけど… |
リアラ | その点はわたし達も、不思議だったわね |
ジューダス | ソフィはよく、「本当のリチャードは皆が知っているリチャードと違う」と言っていたな |
ソフィ | わたしが…そんな事を… |
| |
| プルルル… |
ソフィ | 何の音? |
パスカル | あたしの持ってる通信機だ。誰からかかってきたんだろ。ちょっと出てみるね |
パスカル | …あ、お姉ちゃん?あたしが今どこにいるかって?ウィンドルだけど… |
パスカル | わかってるって。本当はあたしも、すぐ帰るつもりだったんだよ。でも大事な用事ができてさ… |
パスカル | わかった、わかりました!すぐ帰るから。ね? |
| ピッ |
パスカル | ごめん…。みんなと一緒に、イニル街へ行けなくなっちゃった。すぐアンマルチアの里に戻らないと |
ソフィ | …わかった |
ソフィ | 今までありがとう、パスカル |
パスカル | うう…このまま別れるのは、名残惜しいな。ソフィは心配だし、未来の話ももっと聞きたいし |
パスカル | そうだ! |
パスカル | この通信機の端末をあげるよ |
パスカル | これがあれば、離れていても話ができるからさ |
パスカル | あたし、里に帰ったら、星のカケラの事をもう一度詳しく調べてみるね |
パスカル | 何かわかったら連絡するから |
ソフィ | うん、ありがとう |
パスカル | それじゃ、またね!カイルとリアラとジューダスも元気でね~ |
ジューダス | あわただしい奴だな |
リアラ | 少し変わった人だったけど…古代文明の装置に詳しいお蔭で、助かったわね |
カイル | うん。凄くいい人だね。ソフィがこっちで初めて会ったのが、パスカルでよかった |
ソフィ | …何か近付いて来る |
ジューダス | 魔物だ!みんな、気をつけろ! |
scene1 | 光を取り戻した街 |
カイル | そういえばイニル街には、魔導器(ブラスティア)があったな |
ソフィ | 魔導…? |
リアラ | 魔導器というのは、わたし達のいた元の世界で忌み嫌われている装置の事よ |
リアラ | 周辺のマナを吸い上げて、エネルギーに変換してしまう…まさに悪魔の装置と言っていいわね |
ジューダス | リチャードが世界を闇で覆ってしまったのは、その魔導器を大量に製造したのも一因だ |
ソフィ | その魔導器が、この世界にもあるの? |
リアラ | ええ。これから行く街にね |
リアラ | 実物は確認していないけど、記録にはそう記されているわ |
カイル | いっその事オレ達の手で、こっちの世界の魔導器を壊すのはどう? |
カイル | ここで魔導器をなくしておけば、未来が変わって、オレ達の世界も平和になったりしないかな? |
リアラ | イニル街の魔導器を壊しただけでは問題の根本的な解決にはならないわ。似たような装置は他にもあるし |
ジューダス | カイル、僕達の目的を忘れたのか?リチャードと、星のカケラを何とかする事だろう |
カイル | そうだね |
カイル | う~ん、いいアイディアだと思ったんだけどな |
ソフィ | わたし…元いた世界の事、本当に何も覚えていないんだね… |
リアラ | ソフィ… |
ジューダス | …思い出せないほうが、かえっていいかもしれないぞ |
ソフィ | どういう事? |
ジューダス | …いや、いい |
ジューダス | 今言った事は忘れてくれ |
ソフィ | …? |
scene2 | 光を取り戻した街 |
ソフィ | ここがイニル街? |
カイル | あ、うん。そうなんだけど… |
カイル | 前に来た時と雰囲気が違うような… |
リアラ | そうね |
リアラ | 前は魔導器の影響で、街全体の空気がよどんでいたけど、それがなくなっているわ |
ジューダス | 魔導器の運転を止めたのだろう |
ソフィ | …誰かこっちに来る |
カイル | 誰か? |
カイル | …あ、本当だ |
ジューダス | あいつは… |
??? | やっぱり!あのときの人達だ! |
??? | えっと…ジューダスとカイルと…リアラだっけ? |
リアラ | ええ、そうよ |
エル | ねえ聞いて! |
エル | エル、ユーリやミラと力を合わせて、魔導器を壊したんだよ! |
エル | 空気がきれいになってきてるし、街の人のビョーキも少しずつよくなってるよ! |
ジューダス | …そうか |
ジューダス | 魔導器を止めたところで早々環境は変わらんと思っていたが、そうでもなかったようだな |
エル | カイル達は何だかあわててたけど、もう平気なの? |
カイル | ああ。あの時はこの紫の髪の女の子を捜していたんだけど、こうして無事に見つかったからね |
エル | そっか |
エル | はじめまして、エルはエル |
エル | ええっと… |
ソフィ | こんにちは。わたしは…ソフィ |
エル | ソフィ達は、これからどうするの? |
エル | よかったら、エルのうちに来てよ!エル、ソフィとお話してみたいし |
カイル | 本当? |
カイル | ちょうど、一休みしようと思ってたところだし、寄らせてもらうよ |
エル | じゃあエル、先に戻って、お片付けしておくね! |
ジューダス | 前に来た時、黒髪の男に魔導器の情報を与えたのだが…まさか魔導器を破壊して街を救うとはな |
カイル | ああ。ビックリしたよ |
カイル | こっちの世界にも、オレ達みたいになんとかしようとする人がいたんだね |
| きゃあああーっ |
リアラ | 今の悲鳴は何? |
ソフィ | あそこ…!街の中に魔物が…! |
| グオオオオッ! |
ジューダス | 放っておくわけにもいかない。追い払うぞ |
scene1 | 約束 |
エル | 魔物をやっつけてくれて、ありがと |
カイル | こちらこそ、家で休ませてくれてありがとう |
リアラ | お蔭でゆっくりできたわ |
ジューダス | 感謝する |
ソフィ | ありがとう、エル |
カイル | さて。それじゃオレ達は、もう一度、王都バロニアへ向かおう |
ソフィ | エル、またね |
エル | ソフィ。記憶がなくなっちゃうって、大変だと思うけど、元気出してね |
ソフィ | …うん |
エル | エル、ソフィの記憶が戻るように、ちゃんとお願いするからね |
エル | エルはソフィの友達だしね! |
ソフィ | 友達… |
ソフィ | うん。ありがとう、エル |
エル | エルは当然の事言ったまでだし! |
リアラ | いいお友達ができて、よかったわね、ソフィ |
ジューダス | よし。それでは出発するぞ |
エル | 気をつけてねー! |
scene2 | 約束 |
ジューダス | 王都バロニアへ着く前に、今後の方針を確認しておこう |
カイル | リチャードが星のカケラを集めるのを、どうやって阻止するか考えるんだよね? |
リアラ | まだリチャードの手に落ちていないカケラがあるなら、先にそれを手に入れたいところだけど… |
ジューダス | それは難しいだろう。僕達はこの世界に不慣れな上、カケラの所在に関する情報を持っていない |
カイル | だったらリチャードが今持ってるカケラを横取りしちゃうってのはどう? |
ジューダス | それはそれで、リチャードがカケラをどこに隠しているのか、突き止める必要があるな |
カイル | 本人を捕まえて、その辺の事を聞き出せばいいんじゃないかな? |
カイル | うーん。そう考えると、もったいない事したな~ |
カイル | 前に地下神殿でリチャードを見つけてたんだからそのまま捕まえておけば… |
ソフィ | …ごめんね。わたしのせいで |
リアラ | 謝らなくていいのよ。ソフィは何も悪くないわ |
ジューダス | 捕まえるかどうかはさておき、リチャードにもう一度、接触を図るべきだろう |
ジューダス | リチャードの状況を知る事ができれば僕達の対応も決まってくるはずだ |
ジューダス | まず知るべきなのは、リチャードが星のカケラを集めきっているのかどうか、だな |
ジューダス | 集めきっていないのであればまだ間に合う。今すぐにでもリチャードと決着をつけるべきだ |
リアラ | 決着…それってまさか、リチャードを… |
ジューダス | …そうだ。リチャードと戦い、倒す。元の世界がどうなるかはわからんが滅びの未来を避けられる可能性はある |
ジューダス | ただ…その場合、ソフィが問題になってくるがな |
ソフィ | わたし…? |
ジューダス | ソフィ。お前は僕達と旅立つ前にリチャードと戦う事を約束した。記憶を失った、今のお前はどうだ? |
ソフィ | わたしは… |
ソフィ | …リチャードの事をわたしがどう思っているのか、自分でもよくわからない。でも… |
ソフィ | わたしの仲間は、カイルとリアラとジューダスだから。みんなが戦うならわたしも戦うよ |
ジューダス | …その言葉に嘘はないな? |
ソフィ | うん… |
リアラ | 記憶がないのにあなたにこんな約束をさせるなんて…ごめんなさい、ソフィ |
| ギャオオオオ! |
ソフィ | 魔物!? |
カイル | 今、大事な話をしてるんだ!どけっ! |
scene1 | ソフィへの届け物 |
ソフィ | …ここが王都バロニア? |
カイル | ああ、そうだよ。十数年前は、まだこんなにきれいな街だったんだね |
リアラ | …そうね。でももうすぐでわたし達の時代のこの街も、元の姿を取り戻す。わたし達の手で、ね? |
ソフィ | … |
リアラ | それじゃあ、さっそく情報を集めましょう |
リアラ | 今わたし達が一番知りたいのは、リチャードの所在に関する情報ね。あと、星のカケラの事も… |
ジューダス | 兵士の中には、僕達の顔を覚えている者もいるかもしれない。慎重に行動しよう |
カイル | うーん…リチャードはたぶん、城にいるんだろうけど…はっきりした事はわからないな |
リアラ | 考えてみれば、街に暮らす一般人が、国王の動向を把握しているはずがないものね |
ジューダス | せめて城の中に潜入する算段がつけられればいいのだが…そう簡単にはいかないか |
ソフィ | …? |
ジューダス | どうした、ソフィ |
ソフィ | …向こうにいる人が、さっきから、こっちを見てる |
カイル | どれどれ…あ、本当だ。誰だ、あれ? |
| |
??? | … |
??? | ねえ、きみ! もしかして… |
| |
カイル | なんだ?あいつ、誰に言ってるんだ?オレ達の事を知ってるのか? |
リアラ | 待ってカイル!もしかしたら、リチャードに関係のある人かもしれないわ |
ジューダス | 逃げるぞ |
ジューダス | 増援を呼ばれたりしたら、厄介だ。僕達が用があるのはリチャードだけだからな |
カイル | わかった。みんな、走るぞ! |
リアラ | ソフィ、行くわよ! |
ソフィ | う、うん |
| |
??? | あ、ち、ちょっと!待ってよ! |
scene2 | ソフィへの届け物 |
ソフィ | はあ、はあ… |
カイル | …さっきの人、うまくまけたかな? |
リアラ | 多分…あれから結構走ったし… |
??? | な、なんで逃げるんだよ!ひどいじゃないか! |
ソフィ | …! |
ジューダス | お前… |
??? | 待って!オレは別に怪しい者じゃないって!あ、この国の兵でもないよ! |
??? | えっと、間違ってたらごめん。きみ…ソフィって言うんじゃない? |
ソフィ | どうしてわたしの事… |
シング | やっぱり!聞いてた特徴の通りだ。会えてよかった! |
シング | オレはシング・メテオライト。シーブル村から来たんだ |
ソフィ | シーブル村…シング…? |
カイル | シーブル村って、ソフィがこっちの世界に来た時、最初に行った場所だよね? |
ジューダス | そのシーブル村の住人が、ソフィに何の用だ? |
シング | ウィンドルに行くって聞いたからさ!コハクって女の子と一緒に――… |
ソフィ | コハク…シングとコハク…! |
シング | ?オレ達の事、知ってるの? |
ソフィ | 確かパスカルが言ってた。村を出る時に、シングとコハクによろしくって |
シング | ああ、パスカルか!そういえば、あれ?パスカルは… |
リアラ | パスカルなら里へ帰ったわ |
シング | そっか…それは残念だなあ。また会えたら、コハクもきっと喜んでたと思うよ |
ジューダス | …で、何の用なんだ? |
シング | ああ、そうだ!えっと、オレ達はソフィに届け物をしに来たんだ |
ソフィ | わたしに届け物…?それって何なの? |
シング | コハク、ソフィに…って、あれ? |
シング | コハクがいない…。どこに行っちゃったんだろ? |
シング | おーい、コハク!どこにいるんだ! |
| |
??? | シング! |
警備兵 | ア・ジュールの密偵め!待て! |
ソフィ | 大変…あの人、追われてる |
シング | コハク!今助ける! |
ソフィ | あ…待って! |
カイル | 女の子を追い掛け回すなんて… |
ソフィ | どうする? |
リアラ | 決まってるわ、助けましょ! |
scene1 | 甦る記憶 |
シング | しまった、行き止まりか! |
コハク | どうしよう… |
警備兵 | もう逃がさんぞ |
ソフィ | あの人達、逃げられなくなってる! |
カイル | 助けよう! |
カイル | せいっ! |
ジューダス | 食らえ! |
ソフィ | やああっ! |
警備兵 | ぐああああーっ!? |
| |
シング | ありがとう。助かったよ! |
コハク | シング、あの紫の髪の女の子、もしかして…! |
シング | うん。あの子がソフィだよ |
コハク | よかった!わたし達、これをあなたに届けにきたの |
| |
ソフィ | この剣は… |
シング | 村の海岸に落ちてたんだ。きっと、きみの落し物だろうって、村のみんなが話しててさ |
コハク | 作りもいいし、きっとなくして困っているって思ったの |
ソフィ | わたし… |
| |
ソフィ | … |
リチャード | (ソフィ…こんな僕を 友と呼んでくれた君には 本当に感謝している…) |
ソフィ | … |
リチャード | (だからどうか…この剣を…) |
ソフィ | … |
ソフィ | そうだ…この剣…リチャードがくれたんだ…リチャードは…わたしの…友達… |
| |
カイル | …記憶を取り戻したのか!? |
リアラ | わたし達の事もわかる? |
ソフィ | わかるよ…みんなの事も、自分がどこから来て、何をしようとしていたのかも… |
ジューダス | … |
ソフィ | シング。コハク。剣を届けてくれて、本当にありがとう |
シング | ううん、どういたしまして!きみに渡す事が出来て、よかったよ |
| |
警備兵 | ア・ジュールの密偵がいたぞ!こっちだ! |
コハク | 大変、見つかっちゃった! |
シング | あの人達、オレ達の話、全然、聞いてくれないんだよな…。密偵なんかじゃないのにさ |
シング | あの人達の事は、こっちでなんとかするよ。だからソフィ達は気付かれないように行って! |
コハク | シーブル村に遊びに来てね!歓迎するから! |
シング | みんな、元気でね! |
| |
ソフィ | 行っちゃった… |
ジューダス | 僕達もここを離れよう。兵士に目をつけられると厄介だ |
scene2 | 甦る記憶 |
ジューダス | さて…リチャードの所在と、城にいるなら中に潜入する方法を何とか突き止めなければな |
カイル | なら手分けして情報を集めよう。そのほうが早いと思うんだ |
リアラ | そうね… |
ソフィ | … |
リアラ | ソフィ、それでいいかしら? |
ソフィ | あ、うん… |
ジューダス | … |
カイル | 落ち合う場所はここでいいかな。じゃあまた後で! |
カイル | 駄目だ…リチャードがどこにいるのか、全然わからないや… |
リアラ | わたしのほうも、めぼしい情報は得られなかったわ…ソフィは? |
ソフィ | わたしもわからなかった。ごめんね |
カイル | あとはジューダスだね |
ジューダス | みんな、わかったぞ。リチャードは城にいない。軍を率いてア・ジュールに向かったようだ |
カイル | さすがジューダス!じゃあ、オレ達もさっそく… |
ジューダス | あわてるな。今、王都の正面から出るのは危険だ。警備が厳しくなっている |
リアラ | だったら、どうすれば… |
ジューダス | 警備の比較的手薄な裏道がある。そこを通って外に出るぞ。こっちだ |
| |
ソフィ | 王都の中にも、こんな人気のない場所があったんだね |
ジューダス | この辺は魔物も出るそうだ。それで人が寄りつかないらしいが、今の僕達には好都合だな |
| ギャオオオオッ! |
カイル | さっそく出たな! |
リアラ | みんな、気を付けて! |
scene1 | 新たなる決心 |
ソフィ | 何とか無事に、王都の外に出られたね。…次はどうするの? |
ジューダス | ア・ジュールはここからだと北だ。だから僕達もそちらへ向かう |
カイル | そういえばウィンドルとア・ジュールが全面戦争を始めたのって、今頃だったっけ? |
リアラ | ええ。わたし達の時代の記録によれば、これから両国の間で、大規模な戦闘が行われるはずよ |
リアラ | それによる影響は二国間に留まらず、周辺国にも飛び火して、世界中が戦火に包まれてしまうの |
ジューダス | それも全て、リチャードが、星のカケラを独占しようとした事が原因だ |
ジューダス | あの男の暴走により、世界は破壊し尽くされ、最終的に闇に包まれてしまう… |
カイル | それがオレ達の知っている歴史だね |
ソフィ | リチャードは…昔から戦争をしたがるような人だったの? |
リアラ | そんな事はないわ。むしろ初めは善政を行なっていて、名君と呼ばれていたみたい |
ソフィ | だったらどうして… |
ジューダス | あの男は自分の理想の世界を作ろうと願い、そのために星のカケラを求めたのだと言われている |
カイル | その結果生まれたのが、オレ達のいたあの闇に包まれた世界ってのが納得できないよ… |
ソフィ | リチャードはわたしに、こんな世界は望んでいなかったって言ってたよ… |
ジューダス | 口では何とでも言える。だが結果的にああいう世界を生み出したのは、他ならぬあの男だ |
カイル | だからオレ達は、何としてもリチャードが星のカケラを集めるのを阻止しないといけないんだ |
リアラ | ソフィがリチャードに同情するのもわかるけど…今のわたし達は、こうするしかないの |
ソフィ | …うん、そうだよね。わかってる…けど… |
| |
リチャード | (僕は取り返しのつかない事を してしまった…いずれ必ず、 報いを受けるだろう…) |
リチャード | (こんな事を言っても、 信じてもらえないだろうが… 僕の中には…もう一人別の僕が…) |
| |
ソフィ | (わたし…やっぱり信じたいよ) |
ソフィ | (本当のリチャードはみんなが 知っているリチャードとは 違うって…) |
カイル | ソフィ、どうかしたの? |
ソフィ | ううん、何でもない。心配かけてごめんね |
ジューダス | …とにかく、北へ向かうぞ |
scene2 | 新たなる決心 |
| ピピピ… |
カイル | 何の音だ? |
ソフィ | あ…パスカルにもらった通信機が鳴ってる |
| ピッ |
ソフィ | パスカル、どうしたの? |
| |
パスカル | あ、ソフィ!つながってよかった~♪ |
パスカル | 今、ちょっち話していい? |
パスカル | 星のカケラに関して新しくわかった事があるから、それを伝えようと思ってさ |
パスカル | 星のカケラを手に入れて、カケラに認められると、真の選ばれし者になるのは知ってる? |
| |
リアラ | 確かに言い伝えでは、そうなっているわね |
ジューダス | その真の選ばれし者だけが、光の神殿に足を踏み入れる資格を持つのだったな |
| |
パスカル | でもね。星のカケラを手に入れた者が全員、必ずカケラに認められるとは、限らないみたいなんだよ |
パスカル | そんで、ここからが問題なんだけど…星のカケラに認められなかった者は、邪念に侵されちゃうんだって |
| |
カイル | 邪念に侵されると、どうなるの? |
| |
パスカル | まるで何かにとりつかれたか、別人に入れ替わったかのように、性格が凶暴になっちゃうらしいんだ |
パスカル | この事を知って、あたし、ソフィが前に言ってた言葉が、すごく気になってさ |
パスカル | ほら、言ってたでしょ? |
パスカル | 「本当のリチャードは、 みんなが知ってるリチャードとは 違う」とかなんとか… |
| |
ソフィ | あ…じゃあもしかして… |
| |
パスカル | うん。ひょっとしたらリチャードは、星のカケラの邪念に、とりつかれてるのかもしれないよ |
パスカル | 何かあの王様、最近になって急に人が変わったって言われてるしさ |
パスカル | 怪しいと思わない? |
| |
ジューダス | その邪念を、取り除く方法はあるのか? |
| |
パスカル | たぶん…リチャードが持ってる星のカケラを、取り上げちゃえばいいんじゃない? |
パスカル | そうすれば邪念から解き放たれて、元に戻れると思うの |
パスカル | …どうかな?参考になった? |
| |
ソフィ | うん。すごく。ありがとう、パスカル |
| |
パスカル | えへへ、どういたしまして。それじゃ、頑張ってね~ |
| |
| ピッ |
ソフィ | みんな… |
リアラ | いい話を聞いたわね、ソフィ |
ジューダス | これでお前の迷いも、完全に晴れたのではないか? |
ソフィ | わたしが悩んでた事、知ってたんだ… |
ソフィ | うん。わたし、もう迷わないよ |
ソフィ | リチャードに会って、星のカケラの邪念を取り除いてみせる |
カイル | よし!そうとわかれば、急いで戦場に向かおう! |
| ガアアアア! |
ソフィ | 魔物…! |
ジューダス | こんなところで終わるわけにはいかない… |
ジューダス | いくぞ、みんな! |
ソフィ | わたし達は、負けない! |
scene1 | リチャードを追って |
ジューダス | この辺りが、ウィンドルとア・ジュールの両軍が激突する戦場のはずだ |
カイル | そうみたいだね。いろんなところから兵士の叫び声とか、大軍の移動する音が聞こえてくる |
リアラ | 両軍の戦闘に巻き込まれないよう、注意しないといけないわね |
ソフィ | これからどうすればいいの? |
ジューダス | ウィンドル軍に参加しているふりをしながら、リチャードの居場所に関する情報を集めるのがいいだろう |
カイル | あそこに部隊がいるぞ。さっそく話を聞いてみよう |
カイル | おーい! |
| |
ウィンドル兵 | お前達は… |
ソフィ | …! |
ウィンドル兵 | 覚えているぞ!地下神殿で、陛下を害さんとした賊だな!性懲りもなくまた現れたか! |
カイル | しまった…!あそこにいた奴らだったのか! |
ソフィ | 違う。わたし達は賊なんかじゃ…! |
ジューダス | 話の通じる相手ではなさそうだ。ここは逃げるぞ |
カイル | 急げ! |
ウィンドル兵 | 待て!待たんか! |
| |
リアラ | もう追ってこないわ…何とか逃げられたみたいね |
ジューダス | だがあの様子では、他の部隊にも遅かれ早かれ情報が伝わるだろうな |
リアラ | ここから先は、隠れて行動したほうがよさそうね |
カイル | ごめん…オレのせいで… |
ソフィ | ううん、カイルは悪くない。あの場は仕方ないよ |
カイル | ありがとう…ソフィは優しいなあ |
リアラ | それじゃ、行きましょう |
scene2 | リチャードを追って |
ソフィ | あれからだいぶ進んだけど… |
カイル | リチャードはきっと本陣だと思うんだけど…なかなかたどりつけないな |
ジューダス | この辺は地形が複雑で、どこに軍が展開しているか把握しにくいからな |
ジューダス | おまけに僕達はウィンドル軍に追われる身で、身を潜めながら移動しなければいけないときている |
リアラ | 時間がかかるのも仕方ないわね |
ソフィ | 向こうから誰かが来るよ |
リアラ | そこの草むらに隠れましょう。みんな、急いで! |
| ザッザッザッ… |
カイル | あれは…ウィンドルの兵士じゃないぞ |
ジューダス | ああ。ア・ジュール軍だ |
ア・ジュール兵 | 兵器工場に潜入したウィンドルの工作員が、当戦場に紛れ込んだという情報が入った |
ア・ジュール兵 | 工作員は男女2人組。帽子を被った男と、金髪の女だ。見つけ次第捕らえよ! |
| ザッザッザッ… |
カイル | よかった…オレ達には気付かなかったみたいだ |
ソフィ | 今の人が言ってたのって、わたし達の事じゃないよね? |
リアラ | もちろん。わたし達は兵器工場なんて行ってないし、この中には帽子の男性も金髪の女性もいないもの |
カイル | そういえば最初にイニル街に行った時、金髪の女の人に会ったな。もしかしたら、その人の事かも |
リアラ | まさか…そんな偶然… |
| ガサガサ… |
ソフィ | そこに何かいる… |
| グオオオオ! |
ジューダス | くっ!ア・ジュール軍の後は魔物か! |
scene1 | すべてを救うために |
カイル | ふう…いくら何でも、いい加減見つかってもいいと思うんだけど… |
ソフィ | …!みんな、向こうを見て! |
ジューダス | 向こう…? |
| |
リチャード | 全部隊、前へ!ア・ジュール兵どもを蹴散らせ! |
リチャード | この戦いは僕の理想とする世界を実現させるための大きな一歩となる |
リチャード | ひるまず進め! |
カイル | いたぞ、リチャードだ! |
ソフィ | リチャード! |
リチャード | …?あいつらは… |
親衛隊長 | ガイアスの放った刺客かもしれません。正体のわからぬ者は、敵と捉えておくのがよいかと… |
親衛隊長 | ですがご安心ください。陛下には決して近付けさせません |
リチャード | うむ。ここは任せたぞ |
リチャード | 崇高な戦いを、あのような下賤なネズミどもに汚されたくはない |
親衛隊長 | はっ! |
ソフィ | リチャード、待って! |
リアラ | せっかくここまで来たのに…このままでは逃げられてしまうわ! |
親衛隊長 | 賊を討ち取れ!逃がすな! |
カイル | ここで、引き下がれるか!オレ達の手で、未来を変えるんだ! |
カイル | みんな、行くぞ! |
ソフィ | リチャード、今助けるからね…! |
ジューダス | 蹴散らすぞ! |
scene2 | すべてを救うために |
ソフィ | リチャード! |
リチャード | お前達…!どこまでしつこく、僕に迫ってくる気だ |
カイル | お前が星のカケラを手放すまでだ! |
ジューダス | これ以上、お前の好きにさせるわけにはいかない。未来の世界を守るためにな |
リアラ | あなたの野望もここまでよ |
リチャード | 薄汚いネズミどもめ。ならば僕の手で直接、引導を渡してやろう |
ソフィ | リチャード、お願い。元のリチャードに戻って |
ソフィ | リチャードは星のカケラの邪念にとりつかれているだけ!カケラを手放せば元に戻れるから |
リチャード | わけのわからない事を |
リチャード | 大体お前は何者だ?元も何も、僕はお前を知らないぞ |
ソフィ | わたしはリチャードの友達だよ。ほら、これを見て |
リチャード | その剣は、僕の…! |
リチャード | 馬鹿な。なぜお前がそれを持っている!? |
リアラ | リチャードも同じ物を… |
ソフィ | わたし、未来のリチャードから、この剣を預かったの |
ソフィ | わたし達、未来から来たんだよ |
ソフィ | 未来のリチャードは、苦しんでた。永遠の友情を誓った友達が死んで、それを自分のせいだって言ってた |
リチャード | 永遠の友情を誓った友達だと…なぜその事を知っている?誰にも話していないのに |
リチャード | だが、死んだとはどういう… |
ソフィ | それに、自分のせいで世界を闇に包んでしまった事を悔いてて望んだのはこんな世界じゃないって… |
ソフィ | わたし、そんなリチャードを助けてあげたくて、それで、友達になったんだよ |
リチャード | 友達…お前と僕が友達… |
リチャード | 僕が星のカケラの邪念にとりつかれたというのは…本当なのか…? |
ソフィ | うん。だから今すぐカケラを手放して |
ソフィ | そうすれば、元に戻れるから |
リチャード | そう…だったのか… |
カイル | リチャードが話を聞いてくれた!? |
リアラ | 正気に戻ったの? |
ソフィ | リチャード。星のカケラをこっちに渡して。ね? |
リチャード | わかった… |
ジューダス | ソフィ!近付くな!そいつは正気に戻ったふりをしているだけだ! |
ソフィ | …! |
リチャード | …消えろ |
ソフィ | あうっ! |
カイル | ソフィ!! |
カイル | リチャード、お前…!! |
リアラ | ソフィ、しっかりして! |
ソフィ | リチャード…どうして… |
リチャード | 貴様ごときの戯言に、僕が耳を傾けると思ったか! |
ジューダス | ソフィ、こいつに何を言っても無駄だ!諦めろ! |
ソフィ | リチャード! |
| |
リチャード | 死ねえ! |
scene3 | すべてを救うために |
リチャード | 馬鹿な…お前達ごときに、この僕が…! |
ソフィ | リチャード、しっかりして! |
リチャード | 近寄るな…! |
リチャード | 星のカケラは誰にも渡さん。僕は…真の選ばれし者だ! |
ジューダス | リチャードの剣が、光り始めたぞ!? |
リアラ | もしかしてあれが、星のカケラ? |
ソフィ | リチャード! |
| パキィィィィン! |
カイル | あっ!リチャードの剣が砕けた! |
リチャード | う…うわあああああああ! |
ソフィ | リチャード! |
| |
リチャード | …ここは…どこだ…? |
リチャード | 僕は…一体…何だか長い間、夢を見ていたようだ… |
ソフィ | リチャード、元に戻ったんだね! |
ソフィ | よかった…! |
ジューダス | やはりあの剣が、星のカケラだったようだな |
ジューダス | リチャードの剣が砕けた事で、リチャードにとりついていた邪念も消え去ったという事か |
カイル | やった…やったぞ!これで未来は変わる。オレ達の世界は救われるんだ! |
リチャード | …ソフィと言ったね。君の言う通り、僕は本当にカケラの邪念にとりつかれていたのかもしれない |
ソフィ | リチャード… |
リチャード | 僕は…ウィンドルを、もっと豊かな国にしたかった |
リチャード | 全ての民が、餓える事も、魔物の脅威にさらされる事もなく、幸せに暮らせる国を作りたかった |
リチャード | そんな時にあの剣を手に入れ…それから僕は変わってしまったんだ |
リチャード | あの剣を手にしてからは、寝てもさめても、星のカケラの事ばかり考えるようになった |
リチャード | 全てのカケラを手中に収めたい、そのためなら何をしてもいい…そんな風に思うようになった |
リアラ | パスカルの言った通り、星のカケラの邪念に、とりつかれてしまったのね… |
リチャード | 時々、我に返ったかのように、気持ちが鎮まる事もあったが、それもわずかな間に過ぎなかった |
リチャード | すぐに激しい衝動がぶり返し、怒りや憎しみの感情に覆われた…自分が自分でないかのように… |
ジューダス | ソフィが僕達の世界でリチャードに出会った時は、たまたま正気に戻っていたのだろうな |
カイル | そのリチャードが、ソフィに剣を託したのは…助けて欲しかったからなのかもね |
リチャード | ああ。僕は…一体なんという事を、してしまったのだろう…! |
リチャード | いくら正気に戻ったとは言え、もはや… |
リチャード | でも、僕は──…! |
リチャード | 全軍に命ずる!我が国はこれより全軍撤退する! |
リチャード | ア・ジュール軍への攻撃は一切禁止とし、戦線から離脱する事を最優先に動くのだ! |
ジューダス | ウィンドル兵は混乱しているようだな |
カイル | 仕方ないよ。急に今まで言ってた事と真逆の事を命令されるんだから、何で?ってなるのが普通だと思う |
リアラ | でも、この戦争を止める事が出来るのはリチャード本人だけ…。大変だとは思うけど、ここが正念場ね |
ソフィ | …リチャード |
| |
親衛隊長 | 陛下!ア・ジュール軍が、大攻勢をかけてきました! |
リチャード | なにっ!?我が軍は争う意志を捨て、撤退しているいうのに、なぜ…! |
親衛隊長 | 突然の撤退命令を受け、前線の部隊を始め、全兵が混乱…指揮が乱れているとの報告を受けています |
親衛隊長 | ア・ジュールは、うろたえる我々に気付き、一斉攻撃を仕掛けてきたものかと思われます… |
リチャード | …! |
親衛隊長 | 陛下!交戦の指示を…!このままでは、すべてがア・ジュールの思うがままです… |
リチャード | …くっ、一体どうすれば… |
ジューダス | まずい状況だ。ア・ジュールはこの勢いでウィンドル領土まで侵攻してくるつもりだろう… |
リアラ | リチャードが正気に戻ったのだから彼が世界を滅ぼす事はなくなったわ。でも… |
カイル | このままア・ジュールに負けたら、未来に『ウィンドル』っていう国がなくなっちゃうかも知れない! |
ソフィ | …そんな…! |
ジューダス | …その可能性は高い。この状況…一体どうしたら… |
リチャード | … |
リチャード | (これ以上戦争を拡大させるわけには いかない…だが、ここで撤退すれば ア・ジュールの侵略は免れない…) |
リチャード | (ウィンドルを危険にさらす事を 承知の上で撤退を貫くか…。 それとも──…) |
親衛隊長 | 陛下…! |
リチャード | … |
リチャード | (…貧困の民を救い格差をなくし、 王国をより素晴らしい国にしたい) |
リチャード | (僕はいつだって、 国の事を考えてきた…) |
リチャード | (星のカケラを集めようと思ったのも すべては我がウィンドルのため…) |
リチャード | (…星のカケラは、 僕を試したのかもしれない) |
リチャード | (国をよくしたいという願いを、 自らの力ではなくカケラに求めた 時点で、僕は失格だったんだ) |
リチャード | (何も迷う事はない、答えは1つ…) |
リチャード | (すべての原因は僕だ。 例え死ぬ事になっても、 必ず国境は…) |
リチャード | (ウィンドルだけは守ってみせる!) |
リチャード | よし…全軍に命ずる!前言撤回、これより交戦を再開せよ!全軍前線へ向かい、国境を死守するんだ! |
リチャード | 僕も後で向かう!それまでの指揮は、お前に任せる。…行け! |
親衛隊長 | 陛下…!ありがとうございます…!! |
カイル | リチャード… |
カイル | もう、戦いは避けられないのかよ…! |
ジューダス | …そういう事だな |
リアラ | でも、このまま戦いが続けば、戦火は確実に世界中に拡大して、この時代のこの世界は… |
ソフィ | そんな…そんなの嫌だよ |
ソフィ | この時代にはパスカルも、エルも、シング、コハクだって…みんな… |
カイル | ソフィ… |
ソフィ | わたし…この世界も救いたいよ。未来の世界だけじゃなくって、今わたし達のいるこの世界も |
| |
カイル | ソフィの剣が光り出したぞ!? |
ジューダス | そうか。リチャードの砕けた剣が星のカケラだったのなら、それと同じソフィの剣も、また… |
カイル | 星のカケラだって事?それじゃ今度は、ソフィが邪念に…! |
リチャード | いや、僕の時とは反応が違う |
リチャード | こんな風に、優しくて、神々しい光は、見た事がない… |
ソフィ | どういう事? |
リアラ | もしかしたらソフィは、星のカケラに認められたんじゃないかしら |
カイル | それって、真の選ばれし者になったって事? |
ソフィ | うん…いいよ |
カイル | 誰と話しているんだ? |
ソフィ | よくわからないけど…光の神殿に来いって、言われた気がするの |
カイル | やっぱり…!間違いないよ。ソフィは真の選ばれし者なんだ! |
ソフィ | 光の神殿に行けば、わたしの願いはかなうのかな |
ソフィ | この世界も、未来も、救えるのかな |
ソフィ | もしそうなら…わたしはその可能性を信じたい |
カイル | 待ってくれよ、ソフィ!オレ達も一緒に行く! |
カイル | うわっ、何だこれ?身体が弾かれたぞ! |
リチャード | 光の神殿に入れるのは、真の選ばれし者となったソフィだけという事なのだろう |
リアラ | そんな… |
ソフィ | カイル、リアラ、ジューダス、心配しないで。目的を果たして、ちゃんと帰ってくるから |
ジューダス | 僕達の事は心配いらない。安心して行ってこい |
ソフィ | リチャード、友達を大切にしてあげてね。きっとまだ間に合うと思うから |
ソフィ | それと…わたしもリチャードの友達だよ。覚えておいてね |
リチャード | ソフィ…! |
ソフィ | それじゃ、行って来るね |
| |
カイル | 行っちゃったね…。光の神殿って、どんなところなんだろうな。オレもついていきたかったよ |
リチャード | … |
ジューダス | リチャード、行くのか… |
リチャード | 彼女に任せきりにはできない。自分の後始末は自分でつける |
リチャード | 僕は前線へ行く。ア・ジュールを食い止め、王国を守る事に死力を尽くすつもりだ |
リチャード | 一時的に凌ぐ事ができたら、ア・ジュールのガイアス王へ和平交渉を持ち込みたいと考えている |
ジューダス | …和平交渉? |
リチャード | ああ。この世界のために、僕なりに出来る事は何でもやるつもりだ |
ジューダス | リチャード…。よし、ならば僕達も手を貸そう |
リチャード | 君達が…? |
カイル | ああ。この世界を守る事は、未来のオレ達の世界を守る事にもつながるし |
リアラ | ソフィが安心して帰って来れるようにしなくちゃ |
リチャード | わかった。苦労をかけるが、よろしく頼む |
カイル | 任せて! |
| |
リアラ | ソフィ…あなたにこの世界と、わたし達の未来の世界の命運を託すわ。どうか無事で… |
Name | Dialogue |
scene1 | 災いの予感 |
ミラ | … |
ミラ | …! |
ミラ | …また、マナが減った… |
精霊イフリート | … |
ミラ | ああ、わかっている、イフリート。これは今に始まった事ではない |
ミラ | 人間界でマナの減少が目立つようになったのは…ここ1年くらいか |
ミラ | そうだな、シルフ? |
精霊シルフ | … |
ミラ | ここまで続くと、さすがにもうただの自然現象とは考えにくい |
ミラ | 人間界に、確実に何かが起きている |
精霊ノーム | … |
ミラ | ふむ。ウンディーネとノームもそう思うか |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | ん?原因に心当たりがあるか? |
ミラ | そうだな… |
ミラ | 人間界に出現したという光の神殿。それと、各地に飛散したという星のカケラ… |
ミラ | まだはっきりした事はわからないが時期を考えると、それらがマナ減少に関係している可能性は高いだろう |
ミラ | … |
ミラ | やはり人間界に行く必要があるな。人間界でマナ減少の原因を突き止め、対処せねばなるまい |
ミラ | 人間界を守る事、それが精霊の主、ミラ=マクスウェルの務めだ |
四大精霊 | … |
ミラ | そうか。お前達もついて来るか。それでは… |
ミラ | 行こう。人間界に |
scene2 | 災いの予感 |
ミラ | 四大。最近の人間界の動向を教えてくれ |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | ふむ…ウィンドルの国王が、自らを選ばれし者と称し、星のカケラを全て集める事を宣言した、か |
ミラ | 星のカケラの話は、耳に挟んだ事がある |
ミラ | 確か、全部で6個という話だったな |
精霊ノーム | … |
ミラ | なるほど。ウィンドルはその星のカケラほしさに、隣国のア・ジュールに攻め込んだのか |
ミラ | ア・ジュールの側もウィンドルに対抗すべく、積極的な軍備増強を行なっている |
ミラ | この両大国の衝突は他国にも影響を与え、シルヴァラントやキムラスカにも動揺の兆しあり、か… |
ミラ | … |
ミラ | …人間というのは、なぜこうも争いごとを好むのか |
ミラ | マナの減少が人間間の争いを助長したのか、あるいはその逆か…判ずるのは難しいところだがな |
精霊イフリート | … |
ミラ | ああ、わかっている |
ミラ | これは今となっては、もはや人間界だけの問題ではない |
ミラ | 精霊界も以前と比べて荒れている。今まで姿を見なかった魔物が現れるようになったのはその一例だ |
ミラ | 人間界と精霊界は裏表の関係。どちらかに変化が生じれば、もう一方にも必ず影響が生じる… |
ミラ | む…? |
ミラ | … |
ミラ | 魔物…?こんなところにまで入り込んでくるとは |
ミラ | 撃退するぞ。四大も私に続け! |
scene1 | 人間界へ |
ミラ | こうして人間界に来るのも、考えてみると久しぶりだな |
精霊イフリート | … |
ミラ | 以前と比べて、変わったところはあるかだと? |
ミラ | そうだな… |
ミラ | ぱっと見は変わらないが、空気の感じは明らかに違っているな |
ミラ | 前はもっとマナが豊かで、多くの生命に満ちあふれていたが、今はどこか荒んだ印象を受ける |
精霊ノーム | … |
ミラ | 当然だろう。マナはあらゆる生命の源でもある。そのマナが減れば、生命の活気も衰えるのは道理だ |
ミラ | もし何者かが人為的にマナを減らしているのだとすれば、それは許されるものではない |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | さて、これからどうするかだが… |
ミラ | これだけマナが減少していると、人間の暮らしにも何か異変が起きているかもしれない |
ミラ | まずはどこかの街へ行き、情報を集めるとしよう |
ミラ | 四大。この辺で一番大きな街はどこになる? |
精霊シルフ | … |
ミラ | なるほど。ここから南に行くと、このあたりを治めるウィンドルの王都があるのか |
ミラ | ではまず最初に、その王都を目指すとしようか |
scene2 | 人間界へ |
ミラ | ここがウィンドルの王都かさすがに大した繁栄ぶりだが… |
ミラ | マナが今の調子で減少を続ければ、果たしていつまでもつ事か |
精霊シルフ | … |
ミラ | 心が荒れている人間が多い? |
ミラ | 今この国は戦争中だからな。そうなるのも仕方あるまい |
ミラ | ここへ来る間も、多くの兵が戦場に向かって移動していくのをお前達も見ただろう? |
精霊イフリート | … |
ミラ | 愚かな行為…そうだな。確かにその通りだ |
ミラ | さて、お前達は、街でマナ減少の手がかりを探ってくれ |
ミラ | 私もこの辺で情報を収集する。では、また後でな |
騎士団員1 | 聞いたか。例の奇病の噂 |
ミラ | (奇病だと…?) |
騎士団員2 | ああ。イニル街で流行ってるんだろ。王都に伝染しないといいんだけどな |
騎士団員1 | あの街で病気が流行った理由は、やはりあの… |
ミラ | おい、お前達。その話、詳しく聞かせてくれないか? |
騎士団員2 | な、何だお前は。人の話を盗み聞きするんじゃない! |
騎士団員1 | お前に話す事など何もない! |
ミラ | (行ってしまった… あの様子では、口を割らせるのは 難しそうだな) |
四大精霊 | … |
ミラ | お前達、戻ったか |
ミラ | 何か収穫はあったか?こちらは気になる話を聞いたぞ |
精霊イフリート | … |
ミラ | ふむ。隣国ア・ジュールで、新技術を用いた兵器が開発されている噂がある、か… |
ミラ | その新技術とやらがマナ減少と何か関係があるのではないかと、お前達は考えているのだな |
精霊シルフ | … |
ミラ | 両方とも調べる必要がありそうだが…どちらを先にするか |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | …そうだな。イニル街から先に行くか。同じウィンドル国内だしな |
ミラ | よし、そうと決まれば… |
女 | きゃああああ! |
男 | 魔物だ! |
ミラ | 魔物?こんな街中に? |
scene1 | 同じ場所を目指して |
ミラ | イニル街へ行くのはこの道でいいのか? |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | うむ…人間界の地理に疎いからな…案内がいればいいのだが、そんな都合のいい話があるわけも… |
ミラ | む?あれは… |
| |
??? | あっ! |
ミラ | 危ない! |
| グオオオ… |
| |
ミラ | …何とか間に合ったかケガはないか? |
??? | う、うん…助けてくれてありがと… |
ミラ | (この二人…父娘か?) |
ミラ | 魔物相手に油断は禁物だ。それと、そこの長髪の男。父親ならちゃんと娘を守るべきだろう |
エル | あ、違うよ。ユーリはエルのパパじゃなくって、セーギの味方の騎士団だよ! |
ミラ | (ふむ、読みが外れたか…だが、 騎士と子どもがこんなところで 一体なにをしているのだ…?) |
エル | あなたは?エルはエル。このひとはユーリ |
ミラ | 私の名はミラ。ミラ=マクスウェルだ |
エル | ミラはここでなにしてたの? |
ミラ | イニル街というところへ行く途中だ。奇妙な噂を耳にしたのでな |
ユーリ | その噂ってのは、あそこで流行っているっていう奇病の事か |
ミラ | 知っているのか |
ユーリ | オレもそれを調べるためにあの街へ向かっているとこなんだよ。エルを送っていくついでにな |
ミラ | なるほど。目的地は同じか |
エル | せっかくだから、ミラもエル達と行こうよ |
ミラ | (四大はどう思う?この二人、 敵意はなさそうだが…) |
精霊シルフ | … |
ミラ | (確かにイニル街に行くのであれば、 ついて行くのが得策か…) |
ミラ | …そうだな。私はこの辺の地理に疎いから、同行させてもらえると助かる |
ミラ | では、行くとしようか |
scene2 | 同じ場所を目指して |
ミラ | ユーリはエルを家に送るためにイニル街へ向かっていると言ったな。それはつまり… |
ユーリ | つまり、エルの家はイニル街にあるってこった |
ユーリ | だろ、エル? |
エル | うん |
ミラ | では街の状況についても詳しいのだな。差し支えなければ、教えてもらえないか? |
エル | ユーリにも話したんだけど、最近へんなビョーキがはやってて具合わるいひとがたくさんいるの |
エル | ビョーキがうつるからって、街を出てくひともたくさんいて、助けてくれるひともいなくて… |
エル | だからエル、王様に頼んで、助けてもらおうって思ったの |
ミラ | なるほど… |
ミラ | (想像していた以上に、 事態は深刻そうだな…) |
ユーリ | で、こいつははるばるイニル街から王都のそばまでやってきた |
ユーリ | オレの方は、騎士なんかやってたばっかりに、こうして付き合う破目になってるって訳だ |
ミラ | ほう、ユーリは騎士なのか |
ミラ | 弱き者に手を差し伸べる、立派な騎士道精神だな |
ユーリ | 立派かどうかは知らねえけどな |
ユーリ | けど、こんな子ども一人で送り返して、夢見悪い事になんのも考え物でな |
ミラ | その通りだな。それで、国王には話はできたのか? |
ユーリ | いや、まだだ。さすがにいきなり国王が相手してくれるとも思えなかったんでな |
ユーリ | だからオレが街の状況を確認して、エルの代わりに国王に報告しようと思ってる |
エル | よろしくね、ユーリ |
ユーリ | ま、やるだけやってみるさ |
精霊ノーム | … |
ミラ | (何…?魔物がひそんでいる?) |
ミラ | 二人とも、気を付けろ! |
ユーリ | あんなところに! |
ユーリ | なんでわかったんだ、ミラ? |
ミラ | 理由を説明している暇はない。こいつを撃退するぞ! |
scene1 | 病に侵された街 |
ユーリ | そろそろか…? |
ミラ | (やはり予想した通りか。 この辺一帯はマナの消費が激しい) |
ミラ | (四大。先に街へ入り、 探りを入れてくれ。頼んだぞ) |
四大精霊 | … |
| |
ユーリ | 街が見えてきたな |
エル | なんかヘンな気する…。街にいるときは感じなかったのに… |
ミラ | お前達も気付いたか。これはマナの消費が激しいせいだ。…やはりあの街には何かあるようだな |
エル | マナ? |
ミラ | この世界を司るエネルギーとでも言えばいいだろうか。目には見えないがな |
ユーリ | へえ、物知りなんだな |
ミラ | ところでユーリとエルは、星のカケラの伝説を知っているか? |
エル | エル聞いたときある! |
エル | カケラを手にし己に打ち勝った者だけが、光の神殿に入れる… |
エル | でしょ! |
ユーリ | ただのおとぎ話のはずが、本当に光の神殿が現れたってんで、世界中大騒ぎになっているな |
ミラ | その騒ぎとマナの減少、そして奇病の流行…。すべての時期が微妙に重なっているのが気になってな |
ユーリ | 何か関係があると思うのか? |
ミラ | …まあいい。とにかく、街の様子を調べよう |
ユーリ | だな |
scene2 | 病に侵された街 |
ミラ | これは… |
ユーリ | なんてこった。そこら中に人が倒れてんじゃねえか! |
ミラ | 外から見た時に予感はしてはいたが、思っていた以上にひどい状況だな |
ミラ | (この有様…単にマナが減少した だけでは説明がつかない) |
ミラ | (他にも原因があるようだな) |
ユーリ | 街で病気が流行り出したのは、確かひと月前だと言ったよな。こんな状態がずっと続いていたのか? |
エル | エルが出かけるまではこんなじゃなかったよ! |
ミラ | (1ヶ月前か…その頃この街に何が あったのか、調べなくてはな。 それにしても…) |
ミラ | 街がこんな状態だと、治安の悪化も心配だな |
エル | チアン? |
ユーリ | 悪さする奴が増えてないかって事だ |
エル | …悪いひと多くなってるよビョーキがはやる前はそんな事なかったのに。それに魔物も… |
ユーリ | これだけたくさん病人が出てりゃ警備の手だって足りなくなんだろ。魔物が入り込んでもおかしくないな |
ミラ | あの王都でさえ魔物が出るのだ。こんな小さな街ならなおさらだろう |
ユーリ | そりゃごもっともだ。ここには騎士団すらいないしな |
ユーリ | エル。街の中で、特にひどい状況の場所は分かるか? |
エル | どこもみんなつらそうだけど…一番はあっちかな |
ミラ | む…? |
ミラ | ちょっと待て、二人とも。向こうから何か来るぞ! |
ユーリ | ちっ…! |
scene1 | 仮面の男 |
ミラ | ふう… |
エル | 急に魔物が襲ってきてびっくりしたね |
四大精霊 | … |
ミラ | 戻って来たか、お前達。何かわかったか? |
エル | え?戻って来たって何の事? |
ミラ | なんでもない。ただの独り言だ |
ミラ | (街の南に妙な施設を見つけた?) |
ミラ | (ふむ…確かめてみるか) |
ユーリ | ったく、出鼻をくじかれたな。そんじゃ調査再開といくか |
エル | 街の東側へ行くんだよね |
ミラ | (東か…私の行きたい方角とは 異なるな) |
ミラ | すまないが、私は別行動を取らせてもらう |
ミラ | 調べたい事があってな |
エル | え?ミラ…ここでお別れなの? |
ミラ | そんな悲しそうな顔をするな、エル |
ミラ | 用が済んだらまた合流する |
ミラ | しばらくしたら、街の入り口で落ち合おう。それでどうだ? |
エル | わかった。それならまた会えるね |
ユーリ | 行くのはいいが、一人で大丈夫か? |
ミラ | 心配はいらない |
ミラ | では、また後でな |
| |
ミラ | さて。その南にあるという施設に行ってみるか |
| |
ミラ | これは…! |
ミラ | マナがいきなり減っただと…一体何が起きた? |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | お前達の見つけた施設と関係があるかもしれないな。急ぐぞ! |
scene2 | 仮面の男 |
ミラ | この道をまっすぐ行ったところに、お前達のいう施設があるのだな |
精霊イフリート | … |
ミラ | 確かにこの辺は、マナの量は街の他のところと比べても少ない… |
ミラ | 自然にこうなるとは考えにくいな。やはり何かしら人為的な原因があるという事か? |
ミラ | む…? |
??? | … |
ミラ | (こいつ…何者だ? 物腰にまったく隙がない) |
??? | そこのお前 |
ミラ | 私に何か用か? |
??? | 金髪の男と、茶色の髪の女を見なかったか? |
ミラ | 金髪の男と茶色の髪の女…? |
ミラ | いや、見ていないが |
??? | そうか |
??? | ならばいい |
ミラ | 明らかにただ者ではなかったな。かなりの実力の持ち主のようだ |
ミラ | くっ、まただ…! |
ミラ | またマナが、急激に減少したぞ |
ミラ | 原因を作っているのは、やはりこの先にある施設か? |
通りすがりの男 | う… |
ミラ | おい、しっかりしろ。いきなり倒れてどうした?大丈夫か? |
通りすがりの男 | … |
ミラ | 気を失ったか… |
ミラ | これ程急激にマナが減ったりすれば影響を受ける者が出るのも無理もない |
精霊イフリート | … |
ミラ | どうする、だと? |
ミラ | 人目につく場所まで連れて行くしかあるまい |
ミラ | この男をここにこのまま放置すれば、確実に生死に関わるだろうしな |
| グオオオオ! |
ミラ | 魔物だと?こんな時に! |
scene1 | 不思議な2人 |
ミラ | 具合はどうだ?ここまで来れば他の人間もいるから後は何とかなるだろう |
通りすがりの男 | ご親切にありがとうございます。本当に助かりました |
ミラ | さて。もう一度あの施設まで行ってみるか |
ミラ | …うん? |
| |
??? | いないなあ、ジューダス。どこに行ったんだろ |
??? | 魔導器(ブラスティア)を気にしていたから、きっとその近くだと思うんだけど… |
ミラ | (あれは…仮面の男が話していた、 金髪の男と茶色の髪の女か?) |
ミラ | お前達。ちょっといいか? |
ミラ | 先ほど仮面をかぶった男に会ったが、お前達の知り合いではないのか? |
??? | 仮面の…?それ、ジューダスよね、カイル! |
カイル | うん! |
カイル | ねえ、その仮面をかぶった人と、どこで会ったの? |
ミラ | 街の南にある施設の近くだ |
カイル | やっぱり魔導器のところだ。リアラ、もう一度行ってみよう! |
ミラ | もう一つ聞いてもいいか? |
ミラ | お前達、あの施設の事を何か知っているのか? |
リアラ | 直に見たわけではないけど…あの施設の中にあるのは、魔導器と呼ばれる装置よ |
カイル | この国の王様が数ヶ月前に、技術者を呼んで建てたんだって。でも、何で作ったのかわからないんだ |
カイル | オレには難しくてよくわからないけどその魔導器は生き物の命を吸い上げて動力源ってヤツにしてるらしいんだ |
カイル | 魔導器を動かすと、人が飲むと危険な水をたくさん出すんだって。だから街の人が病気なんだと思う |
カイル | あ、そういえば…ア・ジュールって国にはもっとすごい魔導兵器があるんだって |
ミラ | 魔導兵器…だと? |
カイル | うん、多分魔導器と同じ。それを兵器に… |
リアラ | カイル。こっちの世界の人に、あまり干渉するのはよくないわ |
カイル | あ、うん。そうだったね |
リアラ | そろそろ行きましょう。早くしないと、ジューダスと合流できなくなるかもしれない |
リアラ | じゃあわたし達はこれで。さようなら |
ミラ | … |
| |
ミラ | あいつら、一体何者だ…?やけに色々な事を知っていたな |
ミラ | こっちの世界と言ったのも気になる… |
ミラ | …だが、ひとまずマナの減少の原因がわかったのは収穫だな |
ミラ | 奇病の原因は、やはりあの施設か |
ミラ | 魔導器…確かそう言っていたか |
精霊ノーム | … |
ミラ | そうか。ユーリとエルがそろそろ戻って来るかもしれないな |
ミラ | また合流すると約束した手前、行かないわけにもいくまい。先にふたりと合流しよう |
scene2 | 不思議な2人 |
ミラ | 街の入り口まで戻ったが…ユーリとエルはまだ来ていないか。このまま待つとしよう |
精霊ノーム | … |
ミラ | 魔導器…生命を吸い上げて動力源にする装置か… |
ミラ | 生命がマナを指すのは確実だろう。この国の王が設置を命じたと言っていたが… |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | そうだな。誰が作ったのか、確認する必要があるだろう。そうせねば問題は解決しない |
エル | あっ、ミラがいるよ |
ユーリ | オレ達より先に戻ってたか |
ミラ | ふたりとも無事なようだな |
ユーリ | そっちは何か収穫はあったか? |
ミラ | ああ。街で流行っている奇病の原因を特定した |
ユーリ | …南にある施設か? |
ミラ | そうか。お前達も同じ答えにたどり着いたようだな |
ユーリ | オレ達のほうは、たまたまみたいなもんだけどな |
ミラ | (もしかしたらユーリ達も、 あの三人に会ったのかもしれんな) |
ミラ | どうもその施設というのは、この国の王が技術者を派遣して、数ヶ月前に設置したものらしい |
エル | エル、思い出した! |
エル | 施設ができる時、これで暮らしが楽になるってみんな言ってた |
エル | 魔導器があればショーライアンタイだって |
ユーリ | こりゃいよいよその施設とやらに行ってみなきゃならねえな |
ミラ | そうだな… |
ミラ | む? |
エル | 何か来るよ! |
scene1 | その原因となるもの |
ユーリ | この先に例の施設があるんだな |
ミラ | ああ |
ミラ | (さっき、この辺で仮面の男と 会ったのだったな…あの三人組は、 無事に再会できただろうか) |
| |
ミラ | 施設が見えてきたな |
エル | あの中に魔導器があるんだよね? |
ユーリ | 見て終わりって訳にはいかなさそうだな |
ユーリ | とっととぶっ壊しちまうか |
ミラ | 私もそのつもりだ。気が合うな |
エル | エルも手伝う! |
ユーリ | 頼もしいな |
ユーリ | それじゃ、乗り込むとするか |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | (この先に武装した兵が多数いる? …わかった) |
ミラ | 正面は鍵がかかっているようだな。裏に回ってみよう |
エル | 厳しいの?エルには何も見えないよ |
ミラ | 先ほど近くまで行って確認した。間違いない |
ミラ | (四大に教えてもらったと言っても、 何の事か理解できないだろうしな) |
ユーリ | …ま、いいさ。ここはミラの忠告に従っておこうぜ、エル |
ミラ | ふむ。この排水溝から中に潜入できそうだな |
エル | ここなんかくさいよ… |
ユーリ | 大丈夫か?無理に一緒に来なくたっていいんだぜ? |
エル | 大丈夫! |
エル | ビョーキになった人達を助けるためだもん |
ミラ | 中に入るぞ |
scene2 | その原因となるもの |
エル | これって… |
ユーリ | こいつが例の魔導器か? |
ミラ | 周囲のマナが減り続けている。やはり、こいつが元凶のようだ |
ミラ | (マナを動力源にしてエネルギーに 転換する装置か。 とんでもない代物だな) |
ミラ | (しかし…ほとんどの人間はそもそも マナの存在すら知らないというのに どうしてこんな物が作れたのか) |
ミラ | (今回の一件、 わからない事が多すぎる。) |
ミラ | (どうやらかなり根が深そうだな) |
| ザザー… |
ユーリ | 廃液みたいなのが流れ出してやがる。あれが井戸の水に染み込んでんのか? |
ミラ | なるほど。それも奇病が流行った一因か |
ミラ | こんな物を自国の領内に置くとは… |
ミラ | 王の意図は不明だが、こんな物が人間界にあってはならない |
ミラ | (そうだ…この魔導器は、 明らかに人間の手に余る。 どのような使用目的があっても) |
ユーリ | なら、さっさとやっちまうか |
エル | うん! |
ユーリ | 警備の連中が来る前に決めちまおうぜ |
ミラ | よし、やるぞ! |
scene1 | また会う日まで |
ミラ | 警備の連中は追いかけて来ないな。無事に脱出できたようだ |
エル | 魔導器を壊せてよかったね! |
ユーリ | ああ。土産も手に入ったしな |
| |
ミラ | これは何だ? |
ユーリ | あの魔導器の魔核(コア)じゃねえかと思う。こいつを外した途端、動きが完全に止まったからな |
ミラ | ちょっと見せてもらっていいか? |
ミラ | … |
ミラ | ふむ…こうして見ただけでは、何なのかよくわからないが… |
ユーリ | この魔核を押さえときゃ、魔導器修理してまた動かそうったってそう簡単にはいかねえだろ |
ミラ | フッ。抜け目のない奴だこれは返すぞ |
| |
エル | 何だか、空気がキレイになったみたい |
ミラ | この辺はもう大丈夫だろう。時間はかかるが、減少したマナも少しずつ元に戻るだろう |
ミラ | そうすれば自然と、奇病も収まっていくはずだ |
エル | じゃあもう、心配いらないんだね |
エル | ありがとう、ユーリ!ミラ! |
ミラ | エルもよく頑張ったな |
ミラ | さてと… |
ユーリ | もう行くのか |
ミラ | ああ。次はア・ジュールへ向おうと思う。あの国に関しても、色々不穏な噂を耳にしているのでな |
ユーリ | そうか。じゃオレは王都へ戻って、今回の事を報告するとすっか |
エル | 王様に言っといてくれる? |
エル | もうこの街に、へんなものを置かないでって |
ユーリ | ああ、任せとけ |
ミラ | ではさらばだ、二人とも |
ミラ | 縁があればまた会おう |
ユーリ | オレも行くか |
ユーリ | エル、元気でな。もう無茶はすんなよ |
エル | うん、またね。二人とも! |
scene2 | また会う日まで |
精霊シルフ | … |
ミラ | …うむ、わかった。ア・ジュールへ行くには、このまま北西へ進めばいいのだな |
ミラ | この辺はイニル街へ行く際も通ったが、その時と比べると、空気が少しはよくなったな |
ミラ | 逆に言えば、あの魔導器がどれほど周囲の環境に悪影響を及ぼしていたかという事になるが… |
精霊イフリート | … |
ミラ | 何のためにあんな物が作られたのか、だと? この国の王の目的は、間違いなく兵器への転用だろうな |
ミラ | あの金髪の少年…カイルと言ったか。彼の話では、ア・ジュールにある魔導兵器はさらに大がかりらしいが… |
ミラ | ア・ジュール王も、考えている事は同じのようだな。魔導器の力を用いて、相手国を攻め滅ぼそうとしている |
ミラ | そんなことをしてマナを濫費し、戦争に勝っても、得られるのは荒廃しきった土地だけだというのにな |
ミラ | 何とも愚かしい事だ… |
精霊ノーム | … |
ミラ | …私を励ましてくれるのか、ノーム |
ミラ | 心配はいらない。こんな事でへこたれたりはしない |
ミラ | たとえ前途に何が待ち受けていようと私は己の使命を全うする |
ミラ | 精霊の主として、な |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | ほう。ウンディーネはあのユーリが持っていたコアが気になるか |
ミラ | 私も気にはなっている。魔導器はあのコアによって動いていた |
ミラ | あのコアはいったい何なのだ?ウィンドルもア・ジュールも一体どこで手に入れたのか… |
| ガルル… |
ミラ | …魔物か!? |
scene1 | 偶然の出会い |
ミラ | ア・ジュールへ向かうには、ここから船に乗らないといけないのか |
ミラ | 随分混雑しているな。この分だと船に乗るまでに、だいぶ待たされそうだ |
??? | メルディ、どこなの?もしいたら返事して! |
??? | はあ…ここにもいないか。あの子一体、どこに行ったんだろう |
ミラ | おっと… |
??? | あっ、ごめんなさい!ぶつかっちゃった… |
ミラ | 私は大丈夫だ。気にしなくていい |
ミラ | ところで、何かあったのか?思い悩んでいるような様子だったが… |
??? | あ、はい。わたしの友達の事を考えてて… |
??? | 知りませんか?長い髪を頭の両脇でこう結んでて… |
ミラ | そういう髪型で私が知っているのはイニル街のエルくらいだな… |
??? | え、エル…?もしかして、エルの事知ってるの!? |
ミラ | ああ。さっきまで行動をともにしていた。 |
??? | よかったー!エル、無事なんだー! |
??? | 王都の近くまで一緒だったんだけど途中で別れなくちゃならなくて… |
??? | ちゃんと王様に会えたのかな? |
??? | エルの街、変な病気が流行っていて王様に助けてもらうって言ってたけど |
ミラ | ああ、王様には会えていないが、その病気ならもう大丈夫だ。原因を取り除いたからな |
??? | ホント!? |
??? | よかったー。これでエルも、前みたいに無事に暮らせるんだね |
??? | あ、ごめんなさい!まだ名前名乗ってなかったね |
レイア | わたし、レイア・ロランド |
レイア | あなたの名前も教えてもらっていい? |
ミラ | ミラ=マクスウェルだ |
レイア | ありがとう、ミラ!エルの事教えてくれて |
レイア | あ、わたしそろそろ行かないと |
レイア | エルも心配だったんだけど、別の友達を捜してるの |
レイア | じゃあね、ミラ。また、どこかで会ったらよろしくね! |
ミラ | ああ、またな |
ミラ | エルの知り合いか。世間は狭いな |
ミラ | さて、船に乗るなら、切符を入手しなくてはな |
scene2 | 偶然の出会い |
ミラ | 船の切符は買えたが、これだけ待っている客が多いと、乗り込むまでに時間がかかるな |
ミラ | ウィンドルとア・ジュールは戦争をしているのに、人の行き来がこれだけ盛んというのも、不思議な話だが |
ミラ | 仕方ない。順番が来るまで待つとしよう |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | そうだな。この間に、ア・ジュールに着いてからどうするか考えておいたほうがいいかもしれん |
ミラ | 魔導兵器がどこにあるか、突き止めるのが何より先決だ。すぐにわかればいいのだが |
精霊シルフ | … |
ミラ | 魔導兵器を見つけたらどうするか?そんな事、考えるまでもない |
ミラ | 魔導兵器は人間が手にすべき技術ではないとよくわかった。であれば、破壊するべきだろう |
精霊イフリート | … |
ミラ | …根本的な原因を突き止めなければきりがない事も無論承知している。そちらの調査も進めないとな |
??? | きゃああああ! |
ミラ | 何だ? |
| ガアアアア! |
ミラ | 魔物?こんなところに現れるとは! |
scene1 | 雪の国、ア・ジュール |
ミラ | ここがア・ジュール… |
ミラ | ウィンドルほどひどくはないが、この国もマナがだいぶ減っているな。やはり魔導兵器の影響か |
ミラ | さて…その魔導兵器の情報を集めなくては |
ミラ | 私はその辺りにいる者にそれとなく話を聞いてみる。お前達も色々と調べてみてくれ |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | …よし、始めるか |
ミラ | ううむ…何人かに尋ねてみたが、誰も魔導兵器の事は知らないか |
ミラ | ウィンドルの時のように、上手い具合に情報を入手できるといいのだが… |
精霊イフリート | … |
ミラ | おお、お前達戻ったか。首尾はどうだ? |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | 兵士同士がそれらしい話をしているのを聞いた…? |
ミラ | よくやった。それで? |
精霊シルフ | … |
ミラ | …ほう。新兵器を開発している兵器工場があるのか |
ミラ | 明らかに怪しいな。場所はどの辺りかわかるか? |
精霊ノーム | … |
ミラ | 首都カン・バルクの近郊…なるほどな |
ミラ | よし、その工場へ行ってみるとしよう。魔導兵器はそこにある可能性が高い |
scene2 | 雪の国、ア・ジュール |
ミラ | む…? |
ア・ジュール兵1 | そこの女、止まれ! |
ミラ | 私に何か用か |
ア・ジュール兵1 | 今我が国は戦時中につき、検問を行なっている。お前は我が国の者か? |
ミラ | いや、キムラスカだ。知り合いを訪ねて、カン・バルクに向かう途中だ |
ア・ジュール兵1 | キムラスカか… |
ア・ジュール兵2 | 隊長殿。この女は特に怪しい物は所持しておりません |
ア・ジュール兵1 | そうか。行っていいぞ |
ミラ | すまんな |
ミラ | …ふう。咄嗟にごまかしたが、うまくいったようだな |
精霊ノーム | … |
ミラ | 嘘はよくないと言われてもな。あの場合、仕方ないだろう |
ミラ | 精霊界から来たとは言えないし、ウィンドル出身だなどと思われたら警戒されるだろうしな |
ア・ジュール兵1 | うわあああ!? |
ミラ | あれは…魔物?さっきの兵達を襲っているのか |
ミラ | ええい、このまま見捨てては置けん! |
scene1 | 敵か味方か |
ミラ | この道を行った先に、兵器工場があるのだな |
ミラ | 工場に近付くにつれて、マナが少なくなっている。やはり魔導兵器の影響か |
精霊イフリート | … |
ミラ | (…ああ、私も気付いていた。 何者かが後をつけて来ているな) |
ミラ | (相手の目的がわかるまではと、 今まで気付かないふりをしてきたが… そうも言ってはいられないか) |
ミラ | おい、そこのお前 |
ミラ | 私に用があるのなら、こそこそ隠れたりせず、堂々と出て来て話したらどうだ |
??? | へえ、気付かれてたか。うまい事気配を隠したはずなんだけどなあ |
| |
ミラ | 何者だ? |
??? | おっと待った。オレはお前の敵じゃない |
スパーダ | オレはスパーダ・ベルフォルマ。お前、兵器工場へ行くんだろ?港で色々聞いて回ってたしな |
ミラ | … |
スパーダ | そう怖い顔するなって。…実はオレも目的地は同じなんだが、協力し合わないか? |
ミラ | お前も兵器工場へ…? |
スパーダ | オレの狙いも魔導兵器だ。こういえば、納得してもらえるか? |
ミラ | …どうやら色々と知っているようだな |
スパーダ | まあな。オレはお前の敵じゃない。詳しい事は道中に話すさ |
ミラ | …わかった。ひとまずは行動をともにしよう |
スパーダ | 話が早くて助かるぜ。それで、お前の名前は? |
ミラ | ミラ=マクスウェルだ |
ミラ | スパーダ、予め言っておく。もし怪しい素振りを見せたら…その時はわかっているな? |
スパーダ | わかってるって。本当に怖い女だな |
ミラ | では兵器工場へ向かおう |
scene2 | 敵か味方か |
ミラ | スパーダ、お前は魔導兵器についてどれくらい知っている? |
スパーダ | 理屈はよくわからねえけど、凄まじいエネルギーを生み出す装置だって聞いてるぜ |
スパーダ | うちの王様はその魔導兵器をウィンドルとの戦争に使うつもりらしい |
ミラ | (やはり思った通りか…) |
ミラ | それで、お前は魔導兵器をどうするつもりだ? |
スパーダ | どうするって…そうだなあ |
スパーダ | 小さければ失敬するとこなんだが、大きいとそうもいかないだろうな。その時はぶっ壊すか。ヒャハハハハ! |
ミラ | うちの王様、と言うからには、お前はア・ジュールの人間だろう。それなのになぜそんな事をする? |
スパーダ | 自分の国の戦争の邪魔は、普通しねえよ。でもよ、どうも胡散臭いと思ってな |
スパーダ | その魔導兵器ってのは、無限に使えるって触れ込みなんだが、そんなうまい話があるとは思えねえ |
スパーダ | さすがにうちの王様がそんな胡散臭い物に惑わされるのはちょっとな。だから取り上げるのさ |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | (嘘は言っていないと思う、か。 そうだな。私も同意見だ) |
ミラ | なるほど。お前はお前なりの信念を持って、行動しているのだな |
スパーダ | 少しはオレの事を信用したか? |
ミラ | 少しはな |
ミラ | お前はこの国の事情に詳しいようだな。ア・ジュールの魔導兵器は… |
スパーダ | ちょっと待った。話は後にしたほうがよさそうだ |
| ガアアアア! |
ミラ | 魔物か! |
scene1 | 激闘 |
スパーダ | おっ、見えてきたぜ。あれが兵器工場だ |
| |
ミラ | やはりここも警備は厳しそうだな。また排水溝から潜入するか |
スパーダ | また? |
ミラ | 私はここへ来る前に、ウィンドルの施設にも行っているからな |
スパーダ | それも魔導兵器に関係するのか?あっちでも研究してるって聞いてるぜ |
ミラ | ああ。だが向こうはもう心配ない。装置を破壊して、再建できないよう手も打った |
スパーダ | 魔導兵器を壊すのは慣れてるってか。頼もしいな。こっちもその調子で頼むぜ |
スパーダ | それはそうと…さっき魔物に襲われる前に、何か言いかけてなかったか? |
ミラ | ああ、あれか |
ミラ | ア・ジュールの魔導兵器の建造を決めたのは王自身か?それとも、誰か他の人間の提案なのか? |
ミラ | お前はその事について、何か知らないか? |
ミラ | (もし他の人間の提案だとすれば、 今回の一連の件のカギを 握っているかもしれん…) |
スパーダ | なるほど。聞いた話じゃ、魔導兵器の建造は、ある女が持ち掛けたらしい |
スパーダ | オレも会った事はねえけど何でもすげえ、イイ女だとか |
ミラ | ほう。女なのか |
スパーダ | 名前も聞いたんだけど…何て言ったか…ミ…ミ…ミュウ? |
ミラ | ミュウ?イイ女というより、どちらかというと動物を連想させる名だな |
スパーダ | あー…それっぽい名前なんだが…悪い。忘れちまった |
ミラ | …わかった。なら仕方あるまい。…見ろ。排水溝があったぞ |
スパーダ | よし、中に入ろうぜ |
scene2 | 激闘 |
スパーダ | うまい事潜り込めたけどよ、なんか変な感じがするぜ… |
ミラ | この一帯のマナが減少しているからだ。魔導兵器が稼働しているとこうなるようだ |
ミラ | (ただ稼働しているだけでこれだ。 兵器として実用されれば、 多大な被害が出るだろう) |
スパーダ | よくわかんねえけど、そうか。うん?あれは…! |
ミラ | どうした? |
| |
スパーダ | ここ、いかにも何かがあったように見えねーか?今は何もねえけど… |
ミラ | 一足遅かったか…どうやら魔導兵器は、別のところに運び出されてしまったようだ |
??? | ふふ、残念だったわね |
ミラ | お前は…? |
スパーダ | 誰だ? |
??? | こんにちは、ミラ。それともはじめましてと言ったほうがいいのかしら |
ミラ | 私を知っているのか? |
ミュゼ | 私はミュゼ。あなたと同じ精霊よ |
スパーダ | う、浮いてる…!?それに精霊って…。おい、どういう事だ? |
ミラ | その説明は後だ。ミュゼ。お前が精霊だとしたら、なぜこんなところにいる |
四大精霊 | … |
ミラ | (四大も、奴の事は知らないか… いったい何者なのだ?) |
| |
スパーダ | 思い出したぜ、こいつだよ!うちの王様をそそのかして、魔導兵器を作らせた女ってのは |
ミュゼ | そそのかしただなんて…私はマナの存在も知らない人間に、有効な活用方法を教えてあげただけよ |
ミラ | なぜそんな事をする。それがどのような影響を及ぼすか、想像はつくだろう! |
ミラ | 現にお前がもたらした魔導兵器のせいで人間界のマナは激減しているのだぞその事をどう思っているのだ |
ミュゼ | そんなの、どうでもいいわ。私はあの人に喜んでほしくてやっているだけだもの |
ミラ | ミュゼ。精霊の主として命じる。人間界にある全ての魔導兵器を、即刻処分しろ |
ミュゼ | 嫌だと言ったら? |
ミラ | 力ずくでもそうさせる |
ミュゼ | そちらの彼も、ミラの肩を持つのかしら? |
スパーダ | おまえらの話はさっぱりだけどよ、結果的には、オレの目的もミラと同じだからな |
ミュゼ | そう。だったらそれで構わないわ。…二人がかりでいらっしゃい! |
scene3 | 激闘 |
ミュゼ | うう… |
ミラ | さあ、ミュゼ。答えてもらおうか。ここにあった魔導兵器をどこへ移した? |
ミュゼ | 誰が言うものですか! |
ミュゼ | ひどい…よくも私にこんな事…許さないわ。絶対に許さない |
ミュゼ | あなたの想い通りになんてさせないわ、ミラ。絶対に邪魔はさせない |
ミュゼ | 元はと言えば、こうなったのは全部あなたのせいなのよ。その事を思い知らせてあげる! |
ミラ | 私のせい…だと?それはどういう事だ |
スパーダ | 飛んだ…!? |
ミラ | 待て! |
ミラ | 逃げられた…ミュゼの奴、一体どこへ魔導兵器を運んだのだ… |
ミラ | (私のせい… あの言葉の意味は一体…) |
スパーダ | その事を知っていそうな人に、心当たりあるぜ。行ってみるか? |
ミラ | 本当か?ぜひ連れて行ってくれ。一体どこの誰だ? |
スパーダ | …うちの王様さ |
scene1 | 国王・ガイアス |
ミラ | ア・ジュールの首都は初めて来たが、大した繁栄ぶりだな。ウィンドルの王都と比較しても遜色ない |
スパーダ | ア・ジュールの王は昔から何かと、ウィンドルに張り合っているからな。あっちに負けまいと必死なのさ |
ミラ | それは今の王も、という事だな |
スパーダ | まあな。…さて、城門に到着だな。行くぞ |
ミラ | 正面から堂々と行っていいのか? |
スパーダ | いつも排水溝からじゃ芸がないだろ?ここはオレに任せとけって |
| |
警備兵 | 止まれ、何者だ! |
スパーダ | オレの名はスパーダ・ベルフォルマ。陛下のお召しを受け、参上した |
警備兵 | ベルフォルマ家の方でしたか。失礼いたしました、どうぞ |
スパーダ | 行くぞ、ミラ |
ミラ | あ、ああ |
スパーダ | どうだ、うまくいっただろ? |
ミラ | お前は随分と顔が広いのだな |
スパーダ | オレが、というより、オレの家が、だけどな |
スパーダ | あんま言いたくねーけど、ベルフォルマ家ってのは、この国じゃそれなりの格なんだよ |
スパーダ | まあ、たまにはこうやって家の名前を使うのもいいだろ。さっさと王様に会おうぜ |
scene2 | 国王・ガイアス |
ガイアス | む…? |
スパーダ | ご無沙汰しております、陛下 |
ガイアス | ベルフォルマ家の七男か。確か、スパーダといったな。…一緒にいる女は誰だ? |
ミラ | 私はミラ=マクスウェル。お前がこの国の王か? |
ガイアス | いかにも。俺がア・ジュール王、ガイアスだ。 |
スパーダ | ミラ、ここはオレに任せとけ |
ミラ | わかった。お前にまかせる |
スパーダ | 陛下、私もベルフォルマ家の一員として、戦場に赴く事になりました |
ガイアス | そうか。で、用件はそれだけか |
スパーダ | つきましてはご挨拶がてら、魔導兵器の事をお伺いしてくるよう父上に言われまして… |
ガイアス | あれはまだ工場で実験中だ。今すぐ実戦に投入する予定はない。戦況によほどの変化でもない限りな |
スパーダ | あ、あれ…左様ですか… |
ミラ | (どういう事だ? 工場に兵器はなかった…。 奴は嘘をついているのか?) |
| |
部下 | 陛下、前線より急報です! |
ガイアス | … |
ガイアス | …………何だと!? |
スパーダ | 何かあったのですか、陛下? |
ガイアス | ウィンドルが大攻勢をかけてきた。国境付近に敷いた防衛線が突破されかかっていると報告があった |
ガイアス | 俺も直ちに現地へ向かう。スパーダ、お前もすぐ向え |
スパーダ | 御意 |
| |
スパーダ | ふう…とんでもない事になったな |
ミラ | ウィンドルがこのタイミングで攻勢をかけてくるとは… |
通りすがりの男 | うわあああ! |
警備兵 | 魔物が出たぞ! |
スパーダ | 魔物!?街の中だってのに…!おい、ミラ、行くぞ! |
| ガルルルル! |
ミラ | ああ!一気に片をつけるぞ! |
scene1 | いざ、戦場へ |
ミラ | さて。これからどうするかだが… |
スパーダ | そうだな…ここは一度、情報を整理しようぜ |
ミラ | …スパーダ、お前はガイアスが話した事をどう思う? |
スパーダ | あの口ぶりじゃ、魔導兵器が既に工場にないって事は、知らねえだろうな |
ミラ | 嘘をついたわけではないと? |
スパーダ | ああ。あの人がそんな事をする必要はないだろ? |
スパーダ | あのミュゼって女が、独断でやったのかもしれねーしよ |
ミラ | いずれにせよ…魔導兵器のありかをはっきりさせる事はできなかったな |
スパーダ | でも見当はついただろ。防衛線が破れかかってるってのは、よほどの変化だと思うぜ |
ミラ | 魔導兵器が戦場に投入される可能性があるという事か |
スパーダ | ま、そう考えるのが妥当だろうな。下手すりゃミュゼのヤツが、とっくに設置を終えてるかもな |
ミラ | だとしたら…次に向かうところは決まったな |
スパーダ | ああ、戦場だ |
scene2 | いざ、戦場へ |
ミラ | そういえば、スパーダ。お前は星のカケラの事は知っているか? |
スパーダ | そんなには知らねーな。持っていれば例の、光の神殿に入れるって事くらいだぜ |
ミラ | 私が聞いた話では、神殿に入れるのはカケラを手にし、己に打ち勝った真の選ばれし者だけが、だが |
スパーダ | 光の神殿に入れれば、何でも願いがかなうんだっけ? |
ミラ | それは… |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | 願いがかなうのは星のカケラが6個そろった時、だそうだ。 |
スパーダ | だそうだ…?まるで誰かに言われたみたいに話すんだな |
スパーダ | まあ、星のカケラに関しては、そんな感じで詳しくは知らない。別に欲しいとも思わないしな |
ミラ | 皆がお前のようならいいのだがな。ウィンドルの国王など、カケラ欲しさに戦争を始めたと聞く |
ミラ | ガイアスはどうなのだ?何か耳にした事はあるか? |
スパーダ | うちの王様は神頼みみたいな事には興味がないと思うぜ。あの人は自分を信じているからな |
ミラ | その割に、魔導兵器にはすがろうとしているようだが |
スパーダ | そこはオレも、気に入らねえけどな。ウィンドルに対抗するために、仕方なくってところもあるんだろ |
ミラ | スパーダ。お前が当初言っていた、魔導兵器を破壊したいという気持ちは今も変わりはないか? |
スパーダ | ああ。そこは信用してくれていいぜ。もう、かっさらうわけにもいかねえだろうしな |
ミラ | それならいい |
精霊シルフ | … |
ミラ | む…? |
スパーダ | どうした? |
ミラ | 魔物がいる! |
| グオオオオ! |
スパーダ | ちっ、トロトロしすぎちまったみてえだな |
scene1 | 魔導兵器を追って |
スパーダ | この辺りだな…既に両国の兵がやり合ってる |
精霊ウンディーネ | … |
ミラ | (ああ、私も気が付いた。 あたり一帯のマナの流れが、 かなり乱れているな) |
ミラ | (今のところは魔導兵器ではなく、 多くの人間が放つ殺気が 原因になっているようだが…) |
スパーダ | どうかしたか、ミラ? |
ミラ | いや、何でもない |
スパーダ | さてと、ここまで来たら、次は前線を目指さねーとな |
スパーダ | この辺は地形が複雑だから、ア・ジュールとウィンドル双方の部隊が入り乱れて動いているはずだ |
スパーダ | 下手をすると敵の大部隊と遭遇して面倒な事になる可能性もある。気をつけろよ |
ミラ | 敵か…危険なのは、ウィンドル軍だけではあるまい |
ミラ | ア・ジュール側が私達の事を、敵と間違える可能性もあるのではないか? |
スパーダ | ああ。こうやって勝手に動いているとそうなる危険性は、どうしても出てくるんだよ |
スパーダ | だから、両軍から追われるハメにならないよう、できるだけ注意しながら進むしかねえ |
ミラ | わかった。無益な戦闘は極力避けたいからな。お前の言う通り、注意して進もう |
ミラ | (魔動兵器…必ず見つけて 破壊する。そして…ミュゼ…。 奴はいったい何を企んでいる?) |
scene2 | 魔導兵器を追って |
ア・ジュール兵 | 誰だ!? |
スパーダ | スパーダ・ベルフォルマ。国王陛下の勅命を受け、行動中だ。通してくれ |
ア・ジュール兵 | ベルフォルマ家の…!失礼いたしました |
スパーダ | ところで聞きたいんだが、魔導兵器がどこに配備されているか知っているか? |
ア・ジュール兵 | 魔…? |
スパーダ | 知らないみたいだな。それならいい |
ミラ | 魔導兵器の情報を知っている者には、なかなか会えないな |
スパーダ | 時間がないってのによ… |
ア・ジュール兵 | 何?軍の中に裏切り者がいる、だと? |
ア・ジュール兵 | 兵器工場に潜入…男女2人組…帽子を被った男に金髪の女…?まさか… |
ミラ | …! |
スパーダ | ヤバい!逃げろ! |
スパーダ | どうやら、オレ達が兵器工場へ行った事が、広まり始めてるみたいだな… |
スパーダ | 魔導兵器がなくなった事をオレ達のせいだと誤解されたら、たまったもんじゃないぜ |
ミラ | 早く魔導兵器を見つけるぞ。このままでは身動きが取れなくなる |
| ザッザッザッ… |
スパーダ | …この足音の数、別の部隊か。ここは隠れてやり過ごすしかなさそうだな |
ウィンドル兵 | ア・ジュールの工作員がこちらへ逃げたと報告があった。何としても見つけ出せ! |
ウィンドル兵 | 工作員は全部で4名!紫髪の少女と茶髪の少女、金髪の少年、仮面の男だ! |
| ザッザッザッ… |
スパーダ | ア・ジュールだけでなく、ウィンドルのほうも大変みたいだな |
ミラ | 茶髪の少女と金髪の少年と仮面の男?紫髪の少女に心当たりはないが、まさかな… |
| ガサガサ… |
スパーダ | また別の部隊か? |
| グオオオオッ! |
ミラ | 邪魔をするな! |
scene1 | ゆるぎない意志 |
スパーダ | その話、本当か? |
ア・ジュール兵 | はい。この先の山の山頂に、巨大な大砲のような見慣れない兵器が設置されていると聞きました |
スパーダ | ミラ、どう思う? |
ミラ | そうだな… |
精霊イフリート | … |
ミラ | (山頂の方角から、 マナの減少を感じる… おそらく魔導兵器の影響だろう) |
ミラ | どうやらそれが魔導兵器の可能性が高いな |
スパーダ | わかった。これでようやく場所を突き止めたな |
スパーダ | よし、急ごうぜ! |
| |
スパーダ | あそこに見えるでかいのが、もしかして… |
ミラ | ああ、間違いない。魔導兵器だ |
ミラ | (すでに大量のマナがエネルギーに 転換されているようだな…) |
ミラ | (これでは いつ使われてもおかしくない) |
ミラ | よし、急いで破壊するぞ |
| |
ミュゼ | そうはさせないわ! |
ミラ | ミュゼ! |
ミュゼ | あなた達に私の邪魔はさせない。ここで黙って見ていなさい |
スパーダ | 目の前で魔導兵器が使われるのを、はいそうですかと黙って見てられるかよ! |
ミラ | ミュゼ!お前はなぜそこまでして、人間同士の戦いに首を突っ込む? |
ミュゼ | 私はガイアスを喜ばせたいだけ。他に理由はないわ |
スパーダ | うちの王様…? |
ミュゼ | 無駄話はもう終わりよ。ここで死ぬあなた達に、詳しい事を教えても仕方ないわ |
ミラ | 何… |
ミュゼ | さあ、覚悟しなさい! |
scene2 | ゆるぎない意志 |
ミュゼ | あなた達、しつこいわね |
ミラ | ミュゼ、聞かせろ。お前がガイアスにそこまで肩入れするのはなぜだ? |
ミュゼ | そんなの決まってるじゃない。彼が私の事を、必要だと言ってくれたからよ |
スパーダ | 王様が? |
ミュゼ | だから私は魔導兵器を作って、強大な戦力を生み出して、彼の望みをかなえてあげるの |
ミラ | そんな私利私欲のために… |
ミラ | 貴重なマナを浪費し、人間界のみならず精霊界をも危機に陥れるとは…! |
ミュゼ | あなたにはわからないわ! |
ミュゼ | そうよ。生まれた時から光の当たる場所にいて、精霊の主とみんなに持ち上げられてきたあなたに… |
ミュゼ | ずっと陰の存在であり続け、誰にも顧みられなかった私の気持ちがわかるはずがない! |
ミラ | そんなお前を、ガイアスだけが受け入れたと? |
ミュゼ | そう。だから私は魔導兵器を使って、彼の望みをかなえてあげると決めたの |
ミュゼ | 世界を統べる王になりたい、世界を牽引する者になりたいという、彼の望みをね |
スパーダ | うちの王様も、とんでもない女に見込まれたもんだな |
ミラ | お前のねじまがった私欲のせいで、世界を危機にさらす事はできない。魔導兵器は全て破壊する |
| |
ミュゼ | ミラ。あなたは私が殺してあげる。姉としてのせめてもの慈悲よ |
ミラ | 姉だと…!? |
ミュゼ | さあ、覚悟なさい! |
scene3 | ゆるぎない意志 |
スパーダ | ここまでだぜ! |
ミュゼ | うう…どうして…どうしてこんな… |
ミラ | ミュゼ、聞かせてくれ。お前は本当に…私の姉なのか? |
ミュゼ | そうよ。あなたは私を知らなかったけど、私は知っていた。陰からいつも見ていたんだから |
ミュゼ | あなたは生まれながらに精霊の主で、常に光のあたる場所にいて、みんなに愛されてきた… |
ミュゼ | 一方私は、ずっと日陰に置かれ、誰からも必要とされず、実の妹にさえ存在を知られずに過ごしていた… |
ミュゼ | 姉妹なのにどうしてこうも違うの、とずっとずっと思ってきたわ… |
ミラ | …それでお前は、兵器工場で会った時、私のせいだと言ったのだな |
スパーダ | なるほどな。だったら、これからお互いわかり合えるよう腹割って話し合えばいいじゃねえか |
ミラ | ミュゼ。お前を追い詰めたのは、私の責任でもあるのかもしれない |
ミラ | 済まない… |
ミラ | だが、それでも私は、魔導兵器を破壊しなければならない |
ミラ | これは人間界には余る物だ |
ミュゼ | やめて! |
| |
| ド---ン! |
| |
スパーダ | これだけぶっ壊せば、もう直せねーだろ |
ミュゼ | 終わった…全て終わってしまった… |
ミュゼ | 魔導兵器を失ってしまった私は、もうガイアスの力になれない |
ミュゼ | もう彼に必要とされない… |
ガイアス | 余計な心配だな、ミュゼ |
ミラ | ガイアス! |
ガイアス | ミュゼ。俺がお前を必要だと言ったのと、魔導兵器とは、何の関係もない |
ガイアス | 俺がお前を必要だと言ったのは、お前自身の能力を評価したためだ |
ガイアス | それ以上でもそれ以下でもない |
ミュゼ | ガイアス… |
ガイアス | 俺は魔導兵器の助けなど借りずとも、祖国を守り、いつの日かこの世界を統一してみせよう |
ガイアス | ミュゼ。お前は俺の命に従い、存分にその力を発揮すればいい。余計な気を回すな |
ミュゼ | ああ…ガイアス…ありがとう…! |
スパーダ | …これで一応、丸く収まったのか? |
ミラ | そうだといいが…うん? |
ミラ | お前達、魔導兵器の残骸の中から何か見つけてきたのか |
精霊ノーム | … |
ミラ | これは…クリスタル魔導兵器の主動源か…? |
ミュゼ | その通りよ。そのクリスタルがなければ、魔導兵器を動かす事はできないわ |
ミラ | そうか。ではこのクリスタルは私が回収させてもらう |
ガイアス | 魔導兵器の研究を行なっているのは、我が国だけではない |
ガイアス | この1つを回収したところで、魔導兵器はまたどこか、別の国で使われる事になるだろう |
ミラ | … |
ミラ | なら全て回収するまでだ、人間界にはただの1つすら残さん |
ミラ | それが私の進むべき道だ |
| |
ミラ | 何だ…?クリスタルが光り出した… |
ミュゼ | 何てきれいな光… |
スパーダ | ミラ。もしかしたらそれ、星のカケラなんじゃねえ? |
ミラ | このクリスタルがか?もし本当にそうだとしたら、なぜ急に光り出したのだ? |
ガイアス | …マクスウェル。もしそのクリスタルが、本当に星のカケラだとしたらどうする? |
ガイアス | もしそうだとしたら、お前はこの先、ウィンドルを敵に回す可能性もあるぞ |
ガイアス | あの国の王が、カケラを狙っている事はお前も知っていよう |
ガイアス | それでもお前の意志は変わらないか? |
ミラ | 無論だ。その程度の事で、私の意志は揺らいだりはしない |
ガイアス | なるほどな。伝説が本当なら… |
ガイアス | お前はもしかすると星のカケラに認められ、「真の選ばれし者」になったのかもしれん |
スパーダ | じゃあ、これで光の神殿に入る資格が得られたって事か |
ミラ | (もし星のカケラとクリスタルが 同じ物なら、全てのカケラを集める 事で、私の目的は達成できるか…) |
ミラ | 光の神殿へ行けば他のカケラについて、何かわかるかもしれない |
ミラ | …よし、行ってみるとしよう |
| |
ミラ | まるで私の言葉に答えるかのような光り方だな |
ミラ | そうか。このまま連れて行ってくれるのか |
スパーダ | ミラ、オレも一緒に行くぜ |
スパーダ | うっ、弾かれた…? |
スパーダ | それに、これ以上、ミラに近付けないって、どういう事だ? |
スパーダ | もしかして、選ばれたのはミラだけ…? |
スパーダ | クソ、もう一度! |
スパーダ | やっぱりダメか… |
スパーダ | なんでオレは、光の神殿へ連れて行ってもらえねーんだ? |
ガイアス | スパーダ。お前には星のカケラをどうしたいかという、明確な意志はあるのか? |
スパーダ | なるほど、そこがミラとの差か… |
ミラ | スパーダ、色々と世話になった。ここからは私だけで行って来る |
スパーダ | オレの方こそ、ありがとな。気をつけろよ |
ミラ | ガイアス。ミュゼの事を、よろしく頼む |
ガイアス | お前が心配するまでもない |
ミュゼ | ミラ…私の事を心配してくれるの? |
ミラ | たった一人の姉だからな |
ミラ | …では、行ってくる |
スパーダ | 行っちまったか… |
ガイアス | 感傷に浸っている暇はないぞ。ウィンドルとの戦いがまだ継続中だという事を忘れるな |
ガイアス | 今は敵の動きを食い止めねばならぬ。二人ともついて来い |
ミュゼ | わかったわ、ガイアス! |
スパーダ | やれやれ。これから忙しくなりそうだぜ… |
| |
スパーダ | …ミラ。無事に戻って来いよ |
Name | Dialogue |
scene1 | 光の神殿 |
クレス | ここは…?光の神殿に着いたのか? |
クレス | …いや、ここは…外か |
クレス | あれが…光の神殿なのか…? |
クレス | なんて大きいんだ…それに、この荘厳な雰囲気は… |
クレス | 「カケラを手にし、己に打ち勝った者 だけが、真の選ばれし者として、 神殿に足を踏み入れる資格を得ん」 |
クレス | 確かそういう言い伝えだったな… |
クレス | あの神殿の中で、一体何が待ち受けているんだろう |
| カサッ |
クレス | …誰かいるのか!? |
| |
ソフィ | あ… |
クレス | 君は…? |
ソフィ | わたしは…ソフィ |
ソフィ | あなたは? |
クレス | 僕はクレスクレス・アルベイン |
クレス | ここにいるという事は、もしかして君も星のカケラを? |
ソフィ | あ、うんこれ… |
クレス | へえ、君が持っているカケラは剣なのか |
クレス | 僕が持っているのとは違うんだね |
ソフィ | ペンダント… |
クレス | そういえば、星のカケラは、1つじゃないんだっけ |
クレス | だったら、僕以外にカケラを持つ人とここで会っても、不思議じゃないって事か… |
ソフィ | 他にもまだいるのかな? |
クレス | その可能性は十分あると思うよ |
クレス | もしかしたら、先に神殿の中に入っているかもしれない |
ソフィ | 神殿の中に… |
クレス | ソフィと言ったね。よかったら、僕と一緒に行かないか? |
クレス | 神殿の中は何があるかわからないしお互い協力できる事も、あると思うんだ |
ソフィ | うん、いいよ |
クレス | ありがとう。それじゃ、中に入るとしようか |
scene2 | 光の神殿 |
クレス | せやっ! |
ソフィ | はあっ! |
| ギャウウッ! |
| |
クレス | ふう…終わったか |
ソフィ | ここ、魔物が多いね |
クレス | ああ。しかも柱が多くて、見通しが悪いのが厄介だ |
ソフィ | うん…。これじゃあ柱の陰に魔物が隠れててもすぐには気付けない |
クレス | …神殿と言うから、もっと清らかで安全な場所かと思っていたけど、とんでもなかったね |
クレス | これは思っていた以上に、先へ進むのは大変かもしれない |
クレス | 心してかからないと |
ソフィ | 二人一緒でよかったね |
クレス | 僕もそう思うよ |
クレス | 一人だったら、どんなに苦労した事か… |
| ガタッ! |
ソフィ | クレス、危ない! |
クレス | また魔物か!? |
ルーク | 何だよ、魔物かと思ったら、人間かよ。脅かしやがって |
クレス | 君は…もしかして… |
ルーク | ん? |
ソフィ | あなたも星のカケラを持っているの? |
ルーク | 何でそれを…って |
ルーク | ひょっとしてお前らも、なのか? |
クレス | ああ。僕はクレス・アルベイン |
クレス | こっちはソフィだ |
クレス | 君の名前も教えてくれないか? |
ルーク | …ルークだ。ルーク・フォン・ファブレ |
ルーク | あーあ、神殿に連れて来られたのは俺だけかと思ってたのに、何だか拍子抜けだぜ |
クレス | 僕もソフィと会った時は少し驚いたけどね |
クレス | でも、よく考えたら、星のカケラは6つあるって話だし、現に僕とソフィも1つずつ持っている |
クレス | …だとしたら、僕達と同じように星のカケラを持った人が他にいたって、不思議な事じゃないよ |
ルーク | そりゃ…そう言われりゃそうだけどよ… |
ソフィ | 二人とも、気をつけて!そこの柱の陰に何かいる! |
| グオオオオッ! |
ルーク | ったく、ここまで来ても魔物かよ。勘弁してくれよ… |
クレス | 三人で協力して戦おう。いくよ! |
ルーク | お、おう、わかってるっつーの。指図すんな! |
scene1 | 出会いと再会 |
ソフィ | 終わったかな…? |
クレス | ああ。そうみたいだ |
ルーク | ったく、どうなってんだよ。魔物だらけじゃねーか |
クレス | 僕達も気になっていたんだ |
クレス | ここは本当に、言い伝えにある光の神殿なんだろうか? |
ソフィ | 嫌な空気が満ちてる… |
ミラ | …話し声がすると思ったら、先客がいたようだな |
ルーク | 何だ、また新顔かよ |
ルーク | お前も星のカケラを持って、ここへ連れて来られたクチか? |
ミラ | …ミラ=マクスウェルだ。その物言いだと、お前達も星のカケラを持っている、という事か |
ソフィ | うん。これで、選ばれし者は四人… |
ミラ | 確か、星のカケラは全部で6つあるという話だったな |
ミラ | …なら、あと二人。カケラを持つ者が現れれば全てそろうという事になるのか |
クレス | うん、おそらくそう考えて間違いないと思う |
ミラ | ふむ… |
ミラ | 物は相談だが…お前達が持っている星のカケラを私に譲ってくれないか? |
クレス | 譲ってくれって…そんな事を、いきなり言われても困るよ |
ミラ | 私のなすべき事は、全ての星のカケラを回収する事。そのためにここへ来たのだ |
ルーク | 何わけのわかんねー事を! |
ルーク | 俺達の星のカケラを使って、自分の願いだけをかなえようっつーのかよ |
ミラ | そうではない |
ミラ | ただ、星のカケラ…このクリスタルは世界を危機に貶める種のようなもの… |
ミラ | これが存在し続ける限り、世界は常に、崩壊の危険と隣り合わせという事になる |
ソフィ | これが、ミラの星のカケラ… |
| |
ミラ | ああ。このクリスタルこそ、魔導兵器の主動源… |
ルーク | ま、魔導兵器!? |
ミラ | …そうだこの種の装置は、動かすだけで世界中のマナを著しく消耗する |
クレス | マナ…? |
ミラ | いわば、世界を司るエネルギーのようなものだ |
ミラ | マナが枯渇すれば、生物は死滅し、世界はいずれ崩壊する |
ルーク | なっ…! |
ミラ | これで私の目的はわかっただろう? |
ミラ | もう一度言う。お前達の持つ星のカケラを、私に譲ってほしい |
ソフィ | … |
ルーク | … |
クレス | … |
| |
クレス | ミラ、君の話はわかった。でも…これを見てほしいんだ |
ミラ | これは… |
クレス | 僕の持っている、星のカケラだ |
クレス | 君のとは形が違う。そうだろう? |
クレス | 僕もここへ来て、みんなと会って気付いたんだけど、星のカケラはそれぞれ「物」が違うんだ |
ルーク | …そう言われてみりゃ、そうだな |
ルーク | 俺のは、クリスタルでもペンダントでもねえ勲章だし |
ソフィ | わたしのは、これ |
ミラ | … |
クレス | ミラ、君の目的や意志はわかったよ |
クレス | でも、君の探しているクリスタルとは異なる。もし僕達がカケラを渡しても… |
ミラ | …ああ。そういう事なら無論、私に渡す必要はない |
クレス | わかってくれてありがとう |
クレス | …ん?でも、ちょっと変だな… |
ルーク | どうしたんだ?急に難しい顔なんかしやがって |
クレス | …今ここには、複数の「選ばれし者」がいる |
クレス | その選ばれし者達が、それぞれ別々の願いをかなえたい場合、どうなるんだろう? |
ソフィ | あ… |
ミラ | 以前、願いをかなえるにはカケラを6個そろえる必要がある、と聞いた事がある |
ミラ | それに、言い伝えにも「全員の願いがかなう」とは、記されてはいない |
ミラ | そうなると、選ばれし者が複数いてもかなえられる願いは一つ、と考える方が自然かもしれないな |
ルーク | ここからさらに、ふるいにかけられるって事か? |
ルーク | ここまで来て冗談じゃねえぞ |
クレス | まだ、はっきりそうだと決まったわけじゃないけど…どうなのかなって思っただけで… |
ソフィ | 一つ…だけ… |
ミラ | … |
ルーク | …な、何だよ。お互い黙って見つめ合ったりして |
ルーク | お前らまさか… |
| ドドーン! |
ミラ | 何の音だ? |
ソフィ | 奥の方から聞こえてきたよ。また魔物かな… |
scene2 | 出会いと再会 |
ミラ | ここは… |
クレス | 柱だらけの場所を抜けたと思ったら、今度は随分広いところに出たな |
ソフィ | さっきの音は、こっちの方から聞こえてきたと思ったけど… |
ルーク | こうだだっ広くて、薄暗いと、どこに何があるかわかんねえな |
| ドーン! |
クレス | みんな!向こうだ! |
| |
ユーリ | ちいっ! |
ロイド | ユーリ、大丈夫か!? |
ユーリ | 問題ねえ、と言いたいところだが、こいつの相手をするのはちっとばかし骨が折れそうだな |
ロイド | くそっ、せめて味方がもっといれば…! |
ソフィ | 誰かが魔物と戦ってる。もしかしてあの人達も… |
ミラ | あれは…ユーリか? |
クレス | 知っている人なのかい?とにかく、放ってはおけない |
クレス | 僕達も行こう! |
ルーク | お、おいマジかよ! |
ルーク | ったく、しょうがねえな |
ルーク | おら!手伝ってやるからぼやぼやしてんじゃねえぞ! |
ユーリ | ん?何だ、お前ら、どっから湧いて出た…って |
ユーリ | おいおい、ミラじゃねえか |
ミラ | また会ったな、ユーリ |
ロイド | ユーリの知り合いなのか。ここにいるって事は、やっぱりみんな星のカケラを…? |
クレス | 詳しい話は後だ。先にこいつを片付けよう |
ソフィ | うん! |
ルーク | さっさと終わらせてやるからな。お前ら、手抜くなよ! |
scene1 | 不和 |
ロイド | よし、勝ったぞ! |
ユーリ | 助太刀サンキュ。お蔭で助かったぜ |
ミラ | 気にするな。あの魔物がここにいる限り、いずれ戦う事になっていただろうしな |
ロイド | ところで…さっきも言いかけたけど、お前達も星のカケラを? |
ルーク | ああ。四人とも持ってるぜ |
ロイド | これでカケラを持つ者が、六人揃ったって事か… |
クレス | ここで、こうして出会ったのも何かの縁だと思うし、改めて、みんなで自己紹介しないか? |
ソフィ | うん、そうだね |
クレス | 僕は、クレス・アルベイン |
クレス | ウィンドルにある、トーティス村の出身だよ |
ルーク | !! |
ユーリ | ユーリ・ローウェルだ |
ユーリ | 前はウィンドルの騎士団にいた。もうやめちまったけどな |
ルーク | ウィンドル…こいつも… |
ロイド | お前、どうしてウィンドルって聞くたび、嫌そうな顔をするんだ? |
ロイド | あ…もしかして、お前…ア・ジュールの出身か? |
ルーク | 違う!勝手に決め付けんじゃねえ! |
ルーク | 俺は!ルーク・フォン・ファブレ、キムラスカの人間だ |
ロイド | キムラスカの奴が、何でウィンドルを目の敵にするんだ? |
ユーリ | さあな。うちの王様が厄介事振りまいてんのは確かだが、キムラスカとはまだのはずだぜ |
ルーク | …るせーな。俺の事はいいから、次いけ、次! |
ロイド | 俺はロイド・アーヴィング。シルヴァラントから来た。よろしくな |
ミラ | ミラ=マクスウェルだ |
ミラ | 私は精霊界から来た。ゆえに、どこの国出身、というわけでもない |
クレス | 精霊界…? |
ミラ | …うむ。ただ、その話は、話せば長くなりそうだ。また別の機に話すとしよう |
ソフィ | …わたしは、ソフィ |
ソフィ | 信じてもらえるかわからないけど、わたし…未来から来たの |
ロイド | 精霊界から来たミラと、未来から来たソフィ… |
ロイド | …何かよくわからないけど、二人ともすごいところから来たんだな |
クレス | うん…みんな世界中のあちこちから、この神殿に集まって来たんだね |
クレス | 不思議な縁もあるんだな… |
ユーリ | さて、自己紹介も終わったところで、これからどうするかだが… |
ミラ | ここはお互いの持つ情報を、交換すべきではないか? |
ミラ | 誰が何を知っていて、何を知らないのか…整理するのがいいと思うが |
ソフィ | じゃあ、みんなでお話ししながら、先へ進もう? |
クレス | そうだね。それじゃ、そうしようか |
ルーク | … |
scene2 | 不和 |
ユーリ | …へえ。こうして聞いてみると、オレ達の持っている情報は、どれも大体同じみたいだな |
クレス | そうだね。じゃあもう一度、確認のために振り返ってみよう |
クレス | まずは… |
クレス | 「カケラを手にし、己に打ち勝った者 だけが、真の選ばれし者として、 神殿に足を踏み入れる資格を得ん」 |
クレス | 僕達はその言い伝えの通りに、カケラに選ばれ、神殿にやって来た。これが一つ目の共通の情報だね |
ソフィ | …星のカケラは全部で6個あって、今はわたし達一人一人が、1つずつ持ってる |
ソフィ | これが二つ目の情報… |
ユーリ | ああ。仲良く分け合ってるってわけだ |
ルーク | …けっ。何が仲良くだっつーの… |
ミラ | ウィンドルの国王が星のカケラを欲しそれがきっかけとなって、隣国ア・ジュールとの戦争が始まった |
ミラ | この事も、星のカケラを巡る全員の共通認識ととらえていいのではないか? |
クレス | うん。これが三つ目の情報だね |
ロイド | 星のカケラの力が発現すると、選ばれし者以外は、カケラに触れられなくなる |
ロイド | この神殿へ来る直前、俺達全員の身に起きたこの事が、四つ目の共通の情報だな |
ユーリ | 後は…オレ達選ばれし者は、どういうわけか、星のカケラと、話ができるらしいってとこか |
ソフィ | これが五つ目の情報…。お話できるのはいつもじゃないけど |
ルーク | … |
ミラ | 全員が共通で認識しているのはこんなところか…他に何か、独自の情報を持つ者はいるか? |
ロイド | 俺の国シルヴァラントには、星のカケラの一つを、どこかの遺跡に埋めたって言い伝えが残ってたな |
ロイド | 俺の仲間のリタが古い文献を調べたらその事がわかって、カケラを見つけたんだけど… |
ユーリ | 面白そうな話だが、カケラが全部手元にそろった今、あまり手がかりにはなりそうもねえな |
ロイド | …だったらこれはどうだ?言い伝えに出てくる「光の使い」は、ティルグって名前らしい |
ソフィ | ティルグ… |
クレス | その名前は初耳だ。確かな情報なのかい? |
ルーク | …俺もその話は聞いた |
ルーク | シルヴァラントに、言い伝えが残ってるらしいぜ |
ユーリ | おっ、ようやく喋ったな |
ユーリ | 今までずっと黙ってたから、腹でも痛いのかと心配したぜ |
ルーク | …ふん |
ミラ | 他に何か、ルークの知っている事はあるか? |
ルーク | そういやジェイドってやつが、持ち主の成長が、星のカケラの発現に繋がるって言ってたな |
ロイド | 成長ねえ… |
ソフィ | …わたしも一つ、知ってる事がある |
ソフィ | 星のカケラを手に入れたとしても、真の選ばれし者としてカケラに認められなかった場合… |
ソフィ | その人は、邪念に侵されてしまう… |
ミラ | 邪念…だと? |
ソフィ | リチャードが…突然変わってしまったのは、そのせい |
ユーリ | うちの国王がか? |
ユーリ | …なるほどな、そういう事かよ |
ルーク | … |
ロイド | じゃあ俺達も、真の選ばれし者として認められてなかったら、邪念に侵されて変になってたのか!? |
ソフィ | うん |
ルーク | …何が邪念だ。ふざけやがって |
ミラ | いきなりどうしたのだ? |
ルーク | 国王がそうだからって、それで他の奴らは悪くねえとでも言うつもりかよ! |
クレス | それは…僕とユーリの事かい? |
クレス | …ルーク、君はどうしてそんなにウィンドルを嫌うんだ? |
ユーリ | なるほどな、大方、ウィンドルに何か恨みでもあるって口か? |
| |
ルーク | しらばっくれてんじゃねえ! |
ルーク | 俺はお前らなんかと一緒に行くつもりはねえからな |
ユーリ | 別にいいんじゃねえか?オレ達と行動するのが嫌なら、好きにすりゃいいさ |
ユーリ | ウィンドル出身ってだけでいちいち突っかかられるのも鬱陶しいしな |
ルーク | 何だとこの野郎…! |
ソフィ | ケンカ、だめ! |
ミラ | こんな時までいがみ合うとは… |
ミラ | つくづく、争いが好きなのだな。人間というのは |
ロイド | なっ…人間がみんな、争いが好きみたいに言うな |
ロイド | 本当は争いたくなくても、事情があって争うなんて事も、結構あるはずだしさ |
ミラ | どうなんだ、ルーク。お前にも、「やむにやまれぬ事情」とやらが、あるのか? |
ルーク | 事情なんか知るかよ!ウィンドルだってだけで十分じゃねーか |
ロイド | おいおい… |
ミラ | まったく… |
| |
クレス | 先の状況がわからない以上、みんなで協力し合わなければいけないのに…どうしてこうなるんだ |
| グオオオオオ… |
ソフィ | 何の音!? |
ロイド | 見ろ、あそこに魔物が! |
ソフィ | …!こっちを狙ってる! |
| ギャオオオオッ!! |
ミラ | ええい、こんな時に! |
scene3 | 不和 |
ロイド | 想像以上に手こずったな… |
ユーリ | この分だとまだまだいそうだな。ったく、先は長そうだってのに |
ソフィ | うん。神殿を進むにつれて、敵がどんどん強くなってる気がする… |
クレス | …ここはやはり、お互い協力し合って、進むべきだと思う |
ミラ | 私は別に構わんが…それが嫌だと言う者もいるからな |
ルーク | るせえ!俺は絶対に嫌だからな |
ユーリ | さっきも言ったが、そんなに嫌なら好きにすりゃいい |
ルーク | ああ? |
ユーリ | オレ達といたくねえんだろ?だったらどこへでも行きゃいいだろうが |
ルーク | な、何で俺が行くんだよ!ふざけんなっつーの! |
ユーリ | 一緒にいたくねえけど、一人になんのも嫌だってか? |
ユーリ | ったく、しょうがねえやつだな |
ロイド | おい、待てよユーリ。一人でどこへ行く気だ |
ユーリ | オレが好きにさせてもらうのさ |
ユーリ | どっちかが去るしかねえんなら、こうするしかねえだろ |
クレス | よすんだ、ユーリ。単独行動は危険だ |
ユーリ | 一方的に毛嫌いされてる相手と、是が非でも一緒にいたいと思うほど、オレも物好きじゃねえしな |
ルーク | 俺が悪いってのかよ!?元はと言えばお前らが…! |
ミラ | はあ… |
ソフィ | ケンカはだめなのに… |
ロイド | みんな、ちょっと待て! |
ロイド | そこの装置みたいなものが急に動き出したぞ! |
| フイイーーーーン |
| ビーッ!ビーッ!ビーッ! |
ミラ | 何が起きているというのだ…? |
| ブオンッ! |
クレス | くっ…!何だ、この光は! |
ルーク | まぶしくて何も見えねえ…! |
ユーリ | …なあ、勘違いならいいんだが、オレ達の身体、浮いてねえか? |
ソフィ | この感覚…まさかどこかに飛ばされる…? |
ロイド | と、飛ばされるーっ! |
scene1 | それぞれの傷跡 |
クレス | ここは…? |
ミラ | いきなり別の場所へ飛ばされたようだが… |
ミラ | ここも光の神殿の中か? |
| ボウッ! |
ルーク | あっちい!何だよここ!?そこら中から炎が噴き出してんじゃねーか! |
ミラ | どこをどう見ても、のんびりできそうな所ではないな。さっさと抜けた方がよさそうだ |
クレス | 待ってくれ。人数が足りない |
ミラ | む?たしかに… |
ミラ | 今ここにいるのは、私とクレスとルークの三人だけか |
クレス | ユーリ!ソフィ!ロイド!近くにいるのか?いたら返事をしてくれ! |
クレス | 誰の返事も聞こえない…近くにはいないようだ |
ミラ | 分断されてしまったというわけか |
ミラ | せめて、いなくなった三人が、一緒にいるといいのだが |
クレス | とにかく、今はあの三人を見つけて、もう一度合流する事を最優先で考えよう |
ルーク | ちっ。どうせなら、ウィンドルの奴だけまとめていなくなればよかったのによ |
クレス | ルーク…どうして君は、僕達ウィンドルの人間をそんなに目の敵にするんだ? |
クレス | 理由があるなら教えて欲しい |
クレス | わけもわからず拒絶されても、どうすればいいのか…わからないんだ |
ルーク | …本当に知らねえのかよ |
ルーク | …だったら教えてやる。俺がお前らを信用できない理由を |
| |
クレス | そうだったのか…ア・ジュールの村を、ウィンドル軍が襲って… |
ルーク | ひでぇ有様だったぜ |
ルーク | しかも隊長のハスタは、いずれ、キムラスカも攻めるって言ってた |
ルーク | そんな連中の仲間をおいそれと信用なんかできるかってんだ |
クレス | そんな事が… |
クレス | すまない、知らなかった事とはいえ、何て言えばいいのか… |
ミラ | 邪念に侵されていたとはいえ、ウィンドルの国王がしてきた行いは簡単に許される事ではない |
ミラ | あの国王は、他国ばかりでなく自分の国の民をも虐げてきたからな |
ルーク | なっ…自分の国民まで…!? |
ルーク | …ちっ、何なんだよ一体… |
クレス | … |
ミラ | クレス…難しい顔をしてどうした? |
クレス | …悲劇が起きたのは、僕の故郷の村だけじゃないんだと思ってね |
ルーク | な、何だ、どういう事だよ? |
クレス | …あまり思い出したくはないけど、君達には知っておいてもらいたい |
クレス | …歩きながら話そう |
scene2 | それぞれの傷跡 |
ミラ | クレスの故郷の村が、そんな事になっていたとはな… |
ルーク | 信じられねえ…リンネル村よりひどいじゃねーか |
クレス | 僕の村を襲ったのは、国王陛下でなく、独立騎士団長サレの意志だったわけだけど… |
ミラ | 国王にも責任はある |
ミラ | サレやハスタのような者を指揮官の地位に就けたのだからな |
ミラ | それにイニル街で魔導器を製造したのは、国王の指示だ |
ミラ | 今や邪念を解き放たれたといえど、現に、数え切れないほどの人間が命を落としている |
ミラ | …世界がこんな事になっているのだ、決して無実というわけではない |
ルーク | … |
クレス | …ルーク |
クレス | 君が僕達ウィンドルの人間に、不信感を抱く理由はよくわかった |
クレス | だけど、これだけは言わせてくれ。全員が全員、サレやハスタ、それに国王陛下のような人ばかりじゃない |
クレス | いきなり全面的に信じてくれとは言わないけど…せめて僕達の事を見た上で、判断してくれないか |
ルーク | … |
クレス | この事はミラにもわかって欲しいんだロイドも話していたけど、みんな好き好んで争っているわけじゃない |
クレス | 現に僕は、世界中で起こっている争いを止めたいと、本気で思っている |
クレス | この神殿へ来たのも、そのためだ |
クレス | もし星のカケラを全て集める事で、本当に願いがかなうのなら… |
ミラ | 光の使いティルグに、戦争をなくして欲しい、とでも頼むのか? |
クレス | それも一つの手かもしれないと、思っているよ。もちろん、それだけに頼るつもりはないけど |
ルーク | … |
ミラ | … |
ミラ | …そうだな。考えてみれば、私の知っている人間も、皆が争い好きというわけではなかった |
ミラ | 一つの事例だけを取り上げて、人間全てを語るのは早計だったな |
ミラ | すまなかった |
クレス | ありがとう |
クレス | …ルークはどうだい? |
ルーク | まだ…よくわかんねえ。もう少し考えさせてくれ |
ルーク | …けど、お前が悪い奴じゃなさそうだって事は…信じてやってもいい。多分、あの…ユーリって奴も |
ルーク | 考えてる間、また全員で行動すんのはもう文句言わねえ |
ルーク | …また合流できたら、だけどな |
クレス | わかった。それで十分だよ |
| グルル… |
ミラ | 今、何か聞こえなかったか? |
ルーク | 俺も聞こえた。何か唸り声みたいな… |
クレス | 二人とも、向こうを見ろ! |
ルーク | ちっ、出やがったな |
| グオオオオッ! |
scene1 | ソフィの想い |
| ボウッ! |
ロイド | あちちっ!こっちは駄目だ。火の勢いが強すぎて進めない。そっちは? |
ユーリ | こっちは無理をすれば、何とか先へ行けなくもない…ってところだな |
ロイド | じゃあ、別の道を進んでみるか |
ソフィ | どうしよう…クレス達が見つからないよ |
ソフィ | クレス!ミラ!ルーク!いないの!? |
ユーリ | …返事なし、か。どうやらあいつらとは、完全に分断されちまったようだな |
ソフィ | 早く捜そう。このままじゃ… |
ロイド | あ、うん… |
ソフィ | ロイド…嫌なの? |
ロイド | 嫌ってわけじゃないけど…顔を合わせたら、また、言い合いになるだろ? |
ユーリ | まあな。会うなりまた痛くない腹探られんのは勘弁だしな |
ソフィ | でも… |
ユーリ | そんな顔すんなって。オレだって勝手の分からねえ場所で、戦力は多い方がいいさ |
ユーリ | ま、このままうるさい事言う奴がいないってのも、それはそれで静かでいいけどな |
ソフィ | … |
ロイド | とにかく、今はこの場を、俺達三人で切り抜けよう。クレス達の事は、その後だ |
ユーリ | だな |
ロイド | よし、それじゃ先に進もうぜ |
ソフィ | …うん |
scene2 | ソフィの想い |
ソフィ | 1、2の…やっ! |
ソフィ | 今のタイミングで駆け抜ければ、炎を避けられるよ。二人ともやってみて |
ユーリ | 了解だ |
ユーリ | 1、2の…せいっと! |
ロイド | 1、2の…よっ! |
ユーリ | どうやら、何とか誰も黒焦げにならずここまで進んで来られたな |
ロイド | ソフィが俺達に、タイミングを教えてくれたお蔭だな。サンキュー! |
ソフィ | … |
ユーリ | どうした、ソフィ。また難しい顔して。やっぱりいない奴らが心配か? |
| |
ソフィ | ユーリもロイドも、そんなにみんなと一緒に行くのは嫌? |
ソフィ | みんなで一緒にいた方が協力もできて、きっといいよ |
ロイド | 俺は別に、全員で一緒に行くのが嫌なわけじゃないけどな |
ユーリ | オレだって別に嫌だと言った覚えはねーぜ。ミラとは前にも一緒に行動した事もあるしな |
ロイド | 拒んでいたのはあっちだし。問題はルークの方にあるってユーリは考えてるんじゃないか |
ソフィ | じゃあルークが、一緒でもいいって言ったら? |
ユーリ | オレは構わねえよ。一人でなきゃ嫌だってわけでもねえし |
ソフィ | わかった |
ソフィ | じゃあ次にルークに会ったら、言ってみる |
ロイド | 逆に、どうしてソフィは、全員で一緒に行く事にそこまでこだわるんだ? |
ソフィ | …わたし、この世界を救いたくて、それでこの神殿へ来たの |
ソフィ | この神殿へ来れば、今世界中で起きている争いを止める方法が見つかるかもって思って |
ソフィ | でも… |
ロイド | そうか、わかったぞ |
ロイド | ソフィが言いたいのは、こういう事だろ? |
ロイド | 「目の前の人間とも わかり合えなくて、 世界を救うなんてできるかよ!」 |
ソフィ | …うん |
ロイド | まあ、確かにその通りだな… |
ロイド | それを言われると何も言い返せないっていうか… |
ロイド | よし、俺もソフィの言う事に賛成だ。全員で一緒に行こう |
ユーリ | 何だ、あっさりしてやがんのな |
ユーリ | しょうがねえか |
ソフィ | じゃあ、ルークと仲直りしてくれる? |
ユーリ | ま、あいつ次第ってとこだな |
ユーリ | とにかくみんなともう一度合流する、そうしてから答えを出す、それでどうだ? |
ソフィ | うん、わかった |
ソフィ | ありがとう、ユーリ |
| ガタッ… |
| |
ロイド | 二人とも、気をつけろ。そこの炎の陰に、何かいる! |
| グオオオオッ! |
ユーリ | ったく、邪魔なんだよ! |
scene1 | かなえたい願い |
ルーク | あの火のせいで髪の先が焦げちまったじゃねえか!どうしてくれんだよ、ったく… |
ミラ | 焦げた部分だけ、切ってしまえばいいだろう |
ルーク | き、切ってしまえばって…お前なあ! |
クレス | む…?あれは… |
ミラ | らせん階段だな。随分上の方まで続いているようだ |
ソフィ | クレス!ミラ!ルーク! |
クレス | ソフィ!それにユーリとロイドも |
ミラ | 三人とも無事だったか |
ユーリ | まあ、何とかな |
| |
ロイド | これでまた六人が集結したってわけか |
ルーク | … |
ソフィ | ユーリ、さっきの話… |
ユーリ | ああ、ソフィから話したけりゃ、話してもいいぜ |
クレス | ちょっといいかな?ユーリ達に報告があるんだ |
クレス | 別行動をしている間にルークと話をして、全員で一緒に行く事を了解してもらえたよ |
ロイド | そうなのか?ルーク |
ルーク | あ、ああ…まあな |
ユーリ | どうやらソフィがわざわざ話すまでもなかったようだな |
ソフィ | ユーリもそれでいいんだよね? |
ユーリ | 言ったろ。オレは別に構わないってな |
ロイド | ミラも、俺達と一緒で、構わないんだな? |
ミラ | 私は初めから、皆で一緒に行動する事に反対はしていなかったぞ |
ロイド | そ、そうか。うん…そうだったな |
クレス | じゃあ改めて、全員で一緒に行くとしよう |
ソフィ | うん |
| |
クレス | … |
クレス | うーん…さすがに、いきなり仲良くってわけにはいかないか… |
scene2 | かなえたい願い |
ルーク | このらせん階段、無茶苦茶長いな。かなり登ったはずなのに、まだ終わりが見えねーぞ |
ミラ | … |
ソフィ | どこまで続いてるのかな? |
クレス | どこまでだろう…ちょっとわからないな |
ルーク | … |
ユーリ | … |
ロイド | … |
ミラ | … |
クレス | … |
ソフィ | … |
ルーク | だーっ!何だよこの重い空気は!もっと普通にしろ、普通に! |
ユーリ | お前が言うなっての |
ユーリ | だいたい、ひたすら階段登り続けて、みんな疲れてんのにどうしろってんだ? |
ルーク | るせえ!…ったく、この際だから全員に聞くけどよ… |
ルーク | このまま神殿の奥に進んで、例のティルグって奴に会えたとして…その後はどうするつもりなんだ? |
ルーク | 願いをかなえてもらうにしても、もしティルグに一つだけって言われたら、どうするんだよ? |
ソフィ | そういえば、ユーリやロイドと合流する前にもその話をしてたね |
ミラ | そうだったな。結局、結論が出ないまま、ここまで来てしまったが… |
ルーク | その時になって、また言い合いになるのは、俺は嫌だからな! |
ルーク | そうなるくらいなら、今ここで一番マシな願いを決めようじゃねえか |
ルーク | どうせお前らだって、なんか考えてる願いがあるんだろ? |
ユーリ | いいぜ、別に隠すようなもんじゃねえし。そんじゃオレから言わせてもらうか |
ユーリ | 星のカケラを全部集める、願いっていうか、それがオレの目的だ |
ルーク | …なんだそりゃ。願いはねーのかよ?だったら何で星のカケラを集めるんだ? |
ユーリ | 国同士で喧嘩しようって馬鹿をやめさせるためだよ |
ルーク | やめさせるって…ウィンドルの事か? |
ユーリ | ウィンドル?いや、どっちの国をとか、そういう話じゃねえ |
ユーリ | 「戦争」そのものをなくしちまいたいんだよ、オレは |
ユーリ | カケラなんてもんがあるからおかしな事になってるってんなら、それをなくしゃ話は早いだろ |
ルーク | カケラをなくして戦争を止める…そういやミラもそんなような事言ってたよな |
ユーリ | ミラも?そうなのか? |
ミラ | 私の場合は、マナの減少を食い止めるという事を最終目的としているがな |
ミラ | ユーリの言うように、戦争を止める事も勿論だが、それ以前に、世界はマナなくしては成立し得ない |
ルーク | とりあえず次は…ソフィ、お前はどうなんだ? |
ソフィ | わたしは…未来を、自分の世界を救うためにここへ来た |
ソフィ | リチャードが元に戻って、わたし達の未来は変わった |
ソフィ | …でも、この世界で起こっている戦争は、今もまだ終わってない |
ソフィ | だから、わたしはここにいる。この世界も救いたい。…みんなを守りたい |
クレス | ソフィ… |
クレス | 君の願いは、僕の考えている事と似ているね |
クレス | ただ僕は……その願いをかなえるにはティルグの力だけではどうにもならないと思っているよ |
クレス | 結局は、僕達人間が変わらなきゃ、同じ事は起きると思うんだ。何度だってね |
ソフィ | うん…じゃあ、クレスの願いは──… |
クレス | うーん…まあ、具体的に何をって、考えているわけではないんだけど |
ロイド | へえ…。みんな、思ってた以上に、スケールの大きい事を考えてたんだな |
ユーリ | そういうお前は何を願うつもりなんだ、ロイド? |
ロイド | 俺か?俺は仲間のゼロスの妹が病気で苦しんでて、治してやれたらと思ってる… |
ルーク | 妹の病気? |
ロイド | ああ。旅先で、原因不明の奇病にかかっちまったらしい |
ロイド | ゼロスの代わりに、ティルグにはセレスの病気を治してほしいって願おうと思ってる |
ユーリ | 原因不明の奇病、ね。おい、ミラ? |
ミラ | …ああ、聞き覚えのある言葉だ。ロイド、その病気にかかった者はどこの街で発症したか、わかるか? |
ロイド | …?確か、ウィンドルのイニル──… |
ユーリ | …ビンゴだな |
ミラ | ああ |
ロイド | ? |
ルーク | …おい、お前ら!何勝手に納得したって顔してんだ。俺達にもわかるように説明しろっつーの |
ユーリ | ああ、悪い悪い。ウィンドルのイニル街で奇病が流行るって事件があってな |
ユーリ | 調べたら、その原因はあの街に設置された機械、魔導器だったんだよ |
ロイド | じゃあ、セレスの病気はそのせいだったのか… |
クレス | その魔導器というのは今どうなっているんだ? |
ユーリ | 調べたついでにオレとミラでぶっ壊しちまったよ |
ソフィ | そういえば…イニル街に行った時、エルが言ってた。街の人の病気、少しずつよくなってるって |
ユーリ | 何だ、ソフィ。お前エルに会ったのか?元気にしてたか? |
ソフィ | うん |
ミラ | 原因が取り除かれた事で病の方も沈静化に向かったようだな |
ロイド | よかった…じゃあ、セレスの病気はもう大丈夫なんだな |
ミラ | ああ、おそらくな |
クレス | …ロイド。これで、君の願いは、かなったって事になるのかな? |
ロイド | ああ、そういう事らしいな!これで、ゼロスも安心するだろう。ありがとな!ユーリ、ミラ |
ロイド | セレスの病気が治って、俺の願おうと思っていた事は解決はした |
ロイド | …あとは、そうだな。「俺にしかできない事」を探しながらこの先を進む事にするぜ! |
クレス | ロイドにしか、できない事? |
ロイド | ああ!選ばれたからにはそれなりの理由があるはずだ! |
ロイド | それが何なのかは、まだハッキリ掴めてねーけどさ |
ロイド | 俺が神殿へ来る事を決めたのは、きっとそこには、俺にしかできない事があるって思ったからなんだ |
ルーク | 自分にしかできない事、か… |
ユーリ | さて、これでお前以外は全員話したわけだが… |
ユーリ | お前はどうなんだ、ルーク。何を願いたくて、ここに来たんだ? |
ルーク | お、俺はその…まだよく分からねえ。ただ願いとかそういうのは、正直、どーでもいいっつーか… |
ユーリ | へえ、そりゃ意外だな。てっきり、あれこれたくさん出てくるかと思ったんだが |
ルーク | わ、悪ぃかよ…! |
ミラ | …ふむ。己の私欲を満たすために、ティルグに会いたいと思う者は、とりあえずこの中にはいないようだな |
ロイド | そりゃそうだ。そんな奴は、そもそも星のカケラに選ばれたりしないだろ |
クレス | 僕達は、お互いにもっとわかり合えると思う。ここで会ったのも必然じゃないかな |
ロイド | へへ、そうかもな |
ソフィ | …みんなが少し、仲良くなったみたい |
ユーリ | まあ、無闇にいがみ合うより、仲良くするに越した事ねえのは確かだな |
ソフィ | ユーリも仲良くできそう? |
ユーリ | どうだろうな。ま、なるようになるだろ |
| ザザ…ザザ‥ |
クレス | …ん?何の音だろう |
| ズザ…ザザザ…! |
ルーク | 下の方から…って、魔物かよ!? |
| ギャオオオオ!! |
scene1 | 繋がってゆく心 |
ミラ | 何とか魔物を退けたようだな |
ロイド | ここらでひと休みしないか?ずっと階段を登りっ放しだったし、それに、ほら… |
ルーク | ん? |
ルーク | おいマジかよ、この階段…こんだけ登ってきたのにまだあんのかもう足が棒みてーだっつーの |
ソフィ | …あそこに休めそうな場所があるよ。そこで少し休む? |
クレス | … |
クレス | いや、ここは多少無理してでも、急いで階段を登り切った方がいいと思う |
クレス | さっきの魔物のせいでかなり脆くなっているからね |
| ギィ…ギィ… |
ミラ | ふむ…この強度だと、いつ崩れてもおかしくはなさそうだ |
ミラ | 皆、ここはこの階段を登りきる事を先決としよう |
ロイド | うーん…確かにその方がよさそうだな |
ユーリ | んじゃま、さくっと登っちまおうぜ |
ルーク | …マジかよ、たりぃなあ… |
scene2 | 繋がってゆく心 |
クレス | ソフィ、さっきはありがとう |
ソフィ | …? |
クレス | ユーリとロイドの事だよ。みんなで進む事を、二人に話してくれたんだろう? |
ソフィ | うん、わたしもそうした方がいいって思ったから |
クレス | …そうか、ありがとう。君がいてくれてよかったよ |
クレス | 僕一人だったら、あのままみんな、バラバラになってしまっていたと思う |
ソフィ | …わたし一人でもだめだったよ |
ソフィ | でもね、あの時みんなと話してみんなの事を知って…うれしい気持ちになったの |
ソフィ | …わたしの世界のひと達も、みんなで話し合って、うれしい気持ちがたくさんになったらいいな |
クレス | …ソフィ |
| |
ロイド | ミラ、ずっと歩きっぱなしだけど、大丈夫か? |
ミラ | ああ、問題ない。ロイドこそ大丈夫なのか? |
ミラ | 結局、休憩できず終いになってしまったが… |
ロイド | 俺は、まだまだ大丈夫だぜ! |
ロイド | …でも、少しくらい休んどいた方がよかったかもってのが本音だけどな |
ミラ | 自分の事だけではなく、他の者の事も考えていたんだな |
ロイド | ああ、いや、そんな大層な事じゃないけどさ |
ロイド | 何だかんだいっても、ミラやソフィよりは体力はあると思うんだ |
ロイド | まだ先は長いし、ちょっと休めたら少しは楽になるかなって思ってただけだよ |
ミラ | …ロイド |
ロイド | ん? |
ミラ | いや… |
ロイド | …? |
ミラ | …その、さっきは悪かった |
ロイド | …ミラ? |
ミラ | ここにいる皆や、道中に行動を共にした仲間達… |
ミラ | 少なくとも、私が出会った人間達は皆、お前のように相手を思いやれる心を持っていた |
ミラ | …なのに、些細な出来事だけで、人は皆、争いを好んでいるような言い方をしてしまった |
ミラ | すまなかった |
ロイド | ああ…いや、俺の方こそ何かムキになっちまってさ、かっこわりーよな |
ロイド | …ミラ、ごめん |
ロイド | あと、ありがとうな |
| |
ルーク | ったく、どんだけ長ぇんだこの階段… |
ユーリ | 見た感じ、全体の8割ってとこか。まあ、真っ直ぐ登ってりゃあ嫌でもその内着くだろ |
ルーク | …って思いながら、ここまで来たっつーの! |
ルーク | あー…うぜぇ。こんな事になるくらいなら、光の神殿なんか来るんじゃなかったぜ |
ユーリ | そうぼやくな。…そういやルーク、お前は、かなえたい願いとかそういうのはないって言ってたよな |
ルーク | ん?ああ。何だよ、悪いのかよ |
ユーリ | そうじゃねえって。ただ…だったらお前が星のカケラに選ばれた理由は何だろうって思ってな |
ユーリ | クレスやソフィには「願い」があってそれをかなえたいと思う強い意志がある |
ユーリ | はっきりした願いこそねえものの、オレやミラには、「目的」がある |
ユーリ | ロイドは…そうだな、あいつの願いは思いもしねえところでかなっちまったわけだが―― |
ユーリ | それ以前に、ここへ来る事に対して強い信念を持ってる |
ユーリ | で、お前だ。ルーク、お前は何で星のカケラに選ばれたんだ? |
ルーク | … |
ルーク | …そんなのわかんねーよ。ジェイドは、俺の成長がキッカケだどうのって言ってたけど |
ユーリ | 成長? |
ルーク | ああ。つっても俺自身は大して何が変わったっつー事もねーし |
ユーリ | 何かあんだろ。例えばすごく衝撃を受けた事とか |
ルーク | 衝撃か…そういえば前にウィンドルの奴らがア・ジュールのリンネルって村に攻め込んでるのを見たな |
ルーク | …めちゃくちゃになってる村とか怯えてる村人とか…すげー胸糞悪くなる光景だった |
ルーク | あれ以来、戦争ってもんがマジで嫌だって思うようにはなったっけな。人が…たくさん死ぬなんて |
ユーリ | なるほどな。それでウィンドル出身のオレやクレスを毛嫌いしてたってわけか |
ルーク | ああ。…でもよ、クレスと話してわかったんだ |
ルーク | ウィンドルだからっつって、みんながみんな、ああじゃねーって。…だから、その…… |
ユーリ | ん? |
ルーク | …さっきはよ、その…なんつーか…悪かったな |
ユーリ | お前… |
ユーリ | ま、分かってくれりゃ、それでいいさ |
ユーリ | オレは気にしてねえし、お前も気にすん―― |
ユーリ | ん…?ちょっと待て。何か聞こえる |
| |
| ギギ…ギ… |
ロイド | あ、あれは…さっき倒した魔物!? |
| グオオオオッ! |
| ビシッ!バキバキバキッ! |
ユーリ | いや、よく見ろ。さっきの奴とは比べ物にならねえほどでかいぜ |
ルーク | …ちっ、好き放題暴れやがって…階段が崩れたらどうすんだ! |
ソフィ | どうしたら…走って登りきる?それとも、ここで迎え討つ? |
ミラ | いや、頂上はまだ見えない現状、登りきるという判断は厳しいだろう |
ロイド | だったら、ここで迎え討つ!それしかねーよな!? |
クレス | ああ!みんな、協力して一気にカタをつけよう! |
scene1 | 守りたい存在 |
ミラ | 何とか魔物は倒せたが…ソフィ、起き上がれるか? |
クレス | 手を貸すよ。ほら、掴まって |
ソフィ | うん。ありがとう |
ミラ | …あまり無理はするな。まだ先は長い |
ソフィ | このくらい、平気だよ |
ロイド | …にしても、この階段、酷いな。あちこちがボロボロだぜ。それに、ほら… |
ルーク | …こ、この高さはやべーな…。底がまるで見えねえ。落ちたら間違いなく即死だな |
ユーリ | …とはいえ、のんびり進んでるわけにもいかねえだろ。ま、足元に注意して進もうぜ |
| ガラガラガラ…ガラガラ… |
ミラ | どんどん崩れ始めている…。皆、先を急ぐぞ |
scene2 | 守りたい存在 |
ルーク | くそ…まだ…着かねえのかよ! |
クレス | もう少しだ…頑張ろう、ルーク! |
| ビシッ!バキ… |
ロイド | おい、アレ見ろよ!遂に上の階にもヒビが入り始めたぞ…大丈夫なのかよ!? |
ユーリ | なら、崩れ落ちる前に走り抜けるしかねえだろ! |
ミラ | ああ、止まるな!そのまま進め! |
| ズシーン…!ズシーン…! |
ソフィ | この音は…? |
クレス | 下からだ!何かが僕達の後を追って来る! |
| グオオオオッ! |
| ズシーン! |
| ガラガラガラ… |
ロイド | お、おい…あの魔物…階段をぶっ壊しながら登って来るぞ! |
ルーク | な、何つー破壊力だ…ちっ…追い付かれてたまるかよ! |
ミラ | 逃げ切りたいのは山々だが…そう簡単にはいかなそうだ |
| グオオオオオオオオ!! |
クレス | すごいスピードだ…! |
ソフィ | もう追いついて来たよ! |
ロイド | くそっ…どうする!? |
ユーリ | やれやれ。奈落の底に叩き落とされる前に、何とかするしかねえだろ! |
scene3 | 守りたい存在 |
ユーリ | …どうなる事かと思ったが、何とか倒せたみてえだな |
| ガラガラガラ… |
ユーリ | …さっきよりさらに階段がボロボロになっちまったな…。とにかく先を急――… |
| ギギ…ギ… |
ロイド | あれは…どういう事だ!?倒したはずの魔物が… |
| グオオオオッ! |
| ビシッ!バキバキバキッ! |
ルーク | ば、馬鹿野郎!そんなに暴れるなっつーの!このままじゃ階段が…! |
ソフィ | 上の方にもヒビが…このままじゃ階段ごと、みんな下に落とされちゃうよ! |
ユーリ | ったく、仕方ねえ。こうなったら… |
ユーリ | お前らは先に行け。ここはオレが食い止める |
クレス | 食い止めるって…まさか一人で、ここに!? |
ユーリ | このまま全員おだぶつになるよかマシだろ。とっとと――… |
ルーク | …な、何言ってんだ、お前!わけわかんねえ事言ってんじゃねえよ! |
ユーリ | ガキみたいに喚くなっての。時間がねえんだ、早く行けよ |
ソフィ | ユーリ…ダメ…! |
ロイド | お前一人を残して先になんて行けるかよ! |
ルーク | そうだ、一人でカッコつけてんじゃねえぞ!勝手にいなくなるとか許さねえからな! |
ユーリ | おいおい、何を急に… |
ユーリ | …ふっ |
ルーク | なっ…こんな時に…!!ヘラヘラ笑ってんじゃねえよ! |
ユーリ | いや…お前が星のカケラに選ばれた理由が少しわかった気がしてな |
ルーク | ちっ、茶化すんじゃねーよ!俺は人が死ぬのは嫌なんだっつーの! |
ユーリ | ははっ |
ユーリ | さあ、マジで時間がねえ。アイツがここにたどり着く前に早いとこ行ってくれ |
ユーリ | 心配すんなって。アイツ仕留めたら、オレも後から追いかける |
ルーク | …けど! |
ミラ | ユーリ…どうやら決意は固いようだな |
ユーリ | …あいにくとな。その代わり、そっちの世話は任せたぜ |
ミラ | … |
ミラ | わかった。皆、ここはユーリに任せて、行こう! |
ロイド | だけど! |
ミラ | ユーリの意志を無駄にするな!急げ! |
ロイド | …ちくしょうっ! |
ソフィ | ユーリ! |
クレス | …くっ! |
ルーク | … |
ユーリ | … |
| グオオオオッ! |
ユーリ | …ああは言ったものの、階段は崩壊寸前、言ってる間に魔物は目の前、と |
ユーリ | これ以上ないってくらい状況は最悪。さて、どうしたもんかな |
ユーリ | …しょうがねえ、腹ぁくくるとするか! |
| ガタガタ… |
ユーリ | やべえ、階段が崩れそうだ |
ユーリ | 崩壊が先か、魔物の死が先か…一か八か、賭けてみるか |
ユーリ | はあああああっ!! |
| グギィィ… |
ユーリ | よし…!これで―― |
| ゴオオオ!ガタガタガタ… |
ユーリ | ちっ、階段が…! |
ルーク | …お、おい!下の方、階段が崩れて…! |
ミラ | くっ…!落ちたか… |
クレス | ユーリ…! |
ソフィ | そんな…! |
| |
ロイド | …!いや、見ろ!瓦礫に掴まって何とか持ちこたえたみたいだ…!! |
| |
ロイド | お、おい、ルーク!? |
ルーク | くそっ!!持ちこたえろ!!落っこちんじゃねえぞっ!!! |
ミラ | ルーク…!私達も、行くぞ!まだ間に合う! |
ロイド | ああ! |
| |
ユーリ | …くっ、絶体絶命ってか |
ルーク | ユーリィィィ!!今行く!!そんまま踏ん張ってろ!! |
ユーリ | ルーク…!?何戻って来てんだ、あの馬鹿! |
ユーリ | 来るんじゃねえ!!お前まで落ちるぞ! |
ルーク | うるせー!行くっつったら行くんだよ!! |
| バキバキバキ…! |
ユーリ | !! |
ルーク | ユーリ!!! |
ユーリ | … |
| |
ユーリ | …ありがとな |
ルーク | なっ…! |
| |
ルーク | そん…な |
ソフィ | …間に合わなかった |
クレス | …ユーリ |
ロイド | 馬鹿野郎…っ!! |
ミラ | …… |
ルーク | 嘘…だろ |
ルーク | 後から追いかけるってそう言って… |
ルーク | ユーリ… |
ルーク | ユーリィィィィィィ!!!! |
scene1 | 前進 |
クレス | はあ、はあ……… |
| ビキッ!バキッ! |
ミラ | …今にも崩れそうだな |
ロイド | あと少しだ!あきらめなければ、絶対何とかなる!だから、走れ! |
ソフィ | あそこで階段が終わってるよ! |
| ビシッ!バキバキバキ…! |
クレス | くっ…!間に合うか…? |
ミラ | 皆、飛べ!はああっ! |
ソフィ | やっ! |
クレス | たああっ! |
ロイド | せやっ! |
ルーク | だああっ! |
| ズズーン!ガラガラガラ……! |
| |
クレス | 階段が…崩れていく… |
ロイド | ほら見ろ…何とかなっただろ…ぜえ…はあ… |
ソフィ | でも…ユーリが… |
ルーク | …くっ…!! |
| |
ルーク | あいつ、最後まで格好つけやがって…それで落ちてちゃしょうがねえじゃねーか…! |
ロイド | 軽々しく最後とか言うな!ユーリはきっと生きてる! |
クレス | ロイド…君がそう思いたい気持ちは、よくわかるけど… |
ルーク | …お前も見ただろ!?俺達の目の前であいつが落ちてくのを… |
ロイド | …それはそうだけど、でも!ユーリは生きてる、絶対そうに決まってる! |
ロイド | あいつとは会ったばかりだったけど、どんな奴か、何となくわかるんだ |
ロイド | あいつはキザなところもあったけど、ただのかっこつけじゃなかった。言う事、やる事に必ず中身が伴ってた |
ロイド | そんなユーリが、軽々しく自分の命を捨てるはずがない。きっと勝算があって、ああしたはずだ |
ロイド | そうさ…そうに決まってる。あいつが死ぬなんて…そんなの認められるかよ… |
クレス | ロイド… |
ルーク | …んなの…俺だってそう思いてえっつーの! |
ロイド | … |
ロイド | ミラ…お前はどう思うんだ? |
ロイド | お前は、俺よりユーリの事に詳しいんだからわかるはずだろ。俺の言ってる事、間違ってないよな? |
ミラ | … |
ミラ | …あの状況で、ユーリが生きているとは正直、考えがたい |
ロイド | 何だよ…!お前までそんな事を…! |
ミラ | だが…ロイドと同じように、信じたいという気持ちもある |
ミラ | 確かにあの男は、そう簡単にあきらめるような性格ではなかった。そこに、いちるの望みを賭けたい |
クレス | ミラ… |
ミラ | そして一つ、はっきりしている事は…ここで私達が悲嘆に暮れるのを、ユーリは望むまいという事だ |
ミラ | あいつが生きているにしろ、いないにしろ、な |
| |
クレス | …そうだね。僕達にはもはや、先へ進むしか道がない。立ち止まるわけにはいかないんだ |
ルーク | …俺は行くぜ。でないと、あいつにまた嫌味言われちまうからな |
ロイド | そうだな…その通りだ。よし、行こう! |
クレス | ああ! |
ロイド | ミラ、その…ありがとう。俺の事、励ましてくれたんだよな? |
ミラ | フッ…どうだろうな。お前の暑苦しさに、いささか当てられたのは確かだが |
ソフィ | う… |
ルーク | ソフィ?どうかしたのか? |
ソフィ | ううん…何でもないよ |
| ガシャーン! |
ロイド | 何だ、この大きな柵は!? |
ミラ | まるで、私達を追い立てようとしているかのようだな |
ルーク | ったく…次は何が待ち受けてるってんだよ |
scene2 | 前進 |
| ガシャーン! |
ロイド | くっ、まただ…また柵に行く手を塞がれたぞ |
クレス | じゃあ、こっちはどうだろう |
| ガシャーン! |
ルーク | 駄目だ、こっちも塞がれた! |
ミラ | 随分広い部屋に出たと思ったが、自由に動ける場所はほとんどないな。ちょっと進むたびに、柵に遮られる |
ロイド | くそっ、どういう事だ…! |
ソフィ | … |
ルーク | おい、ソフィ |
ソフィ | え…? |
ルーク | え、じゃねえよ。さっきから何か変だぞ、お前。顔色も悪ぃみてーだし… |
ソフィ | ううん。平気だよ |
ルーク | 本当かよ…あんまり無理すんじゃねーぞ。ぶっ倒れても知らねえからな |
ソフィ | うん、大丈夫。ありがとう…ルーク |
ルーク | れ、礼とか言ってねーで、とにかく無理すんなよ。いいな! |
| ガシャーン! |
| ガシャーン! |
| |
ミラ | 今度は左右を塞がれたか…どうやらこのまま、まっすぐ進めという事らしい |
ロイド | おい、向こうに何かいるぞ! |
クレス | あれは… |
ルーク | あの魔物のとこにしか進めねーって事か。くそっ、ふざけやがって |
ソフィ | くっ… |
| グオオオオッ! |
ロイド | また厄介そうなやつが… |
クレス | ああ…。でも大丈夫、みんなで協力すれば必ず倒せるはずだ |
クレス | 僕達は、先へ進まなきゃならない。何としてでもね |
ソフィ | …うん。こんなところで、倒れるわけにはいかない…わたし達は、負けない! |
ミラ | ああ、では行くぞ! |
scene1 | 傷ついた少女 |
クレス | ロイドの言った通り、かなり強い魔物だったけど何とか勝てたね |
ロイド | ああ。でも…今の戦いでみんな、結構無理しちまったんじゃないのか? |
ルーク | 無理も何も、へとへとだっつーの。今みてーな戦いが何度も続いたら… |
ソフィ | … |
ミラ | ソフィ、どうした? |
クレス | ソフィ!? |
ルーク | おい、しっかりしろ! |
ソフィ | ルーク… |
ルーク | やっぱお前、変だぞ…平気、とか何とか言ってたけど… |
ソフィ | っつ…! |
ミラ | …ソフィ、これはあの時魔物にやられた―― |
ソフィ | このくらい大丈夫…みんなだって、傷付いてる。わたしだけじゃない… |
ルーク | ……ったく、何でさっき聞いた時に言わねーんだよ |
ルーク | だいたいお前、小さい身体のくせして無理しすぎなんだよ |
ロイド | ルーク、そんな言い方… |
| |
ルーク | おら、ソフィ。背負ってやっから、乗れ |
ソフィ | だめ…ルークが大変になる |
ルーク | だーもう、いいから、ぐだぐだ言ってねえで乗れっつーの! |
ミラ | フ… |
ミラ | ソフィ。ルークがここまで言うのだから厚意に甘えてはどうだ? |
クレス | うん、そうだね。僕もそれがいいと思う |
ソフィ | …わかった。じゃあ、お願いするね |
| |
ソフィ | …重くない? |
ルーク | 全然。これくらい楽勝だぜ |
ロイド | へへ…ルーク、お前偉そうだけど、実はいい奴なんだな |
ルーク | るせえ。偉そうは余計だっつーの |
ルーク | 言っとくけど、ずっとこのままじゃねーからな。元気になったら、すぐ降ろすぞ |
ソフィ | うん…本当にありがとう |
ミラ | よし、では行くとしよう |
クレス | 向こうに通路が見える。行ってみよう! |
| |
ミラ | ここは…どうやら、さっきとは別の部屋へ出てきたようだな |
ソフィ | ルーク、大丈夫? |
ルーク | …へっ。これくらい、どうって事ねーよ |
クレス | うん…?そこにいるのは魔物か!? |
ミラ | …いや、魔物ではないな。あれはただの彫像だ |
ルーク | 何だよ、驚かせやがって |
ロイド | よく見ると、同じような彫像が、あちこちにあるな |
クレス | 何だか気味が悪いな。…先を急ごう |
scene2 | 傷ついた少女 |
| …チャリン! |
クレス | ルーク、星のカケラを落としたよ |
ルーク | 今ソフィを背負ってて両手が塞がってて拾えねーんだ。拾っといてくれ |
クレス | わかった |
ロイド | そういや星のカケラって、選ばれし者になれなかった奴が手にすると、邪念に侵されるんだっけ |
ミラ | ウィンドルの国王がそうだったという話だったが、具体的にはどうなってしまうのだ? |
ソフィ | 全てのカケラが欲しくなって、そのためだったら何をしてもいいと思うようになるんだって |
ソフィ | 怒りや憎しみで胸がいっぱいになって自分が自分でなくなる…って、リチャードは言ってた |
クレス | 僕達の中には、自ら望んだわけでなく偶然カケラを手にした者も多い |
クレス | もしカケラに選ばれなかったら、その時邪念に侵されていたのかもしれないと考えると、ぞっとするよ |
ルーク | う…そう言われると、そうだな |
ミラ | 今回、何より問題だったのは、その邪念に侵されたのが、ウィンドルの国王だった事だな |
ソフィ | うん…リチャードは何とか元に戻ったけど… |
ミラ | もはや国王が元に戻っただけでは、事態の解決にはならん。戦争が始まってしまった以上はな |
ロイド | そうだな…そこを何とかしない事には、根本的な解決にならないんだよな |
ソフィ | … |
| …ズシン! |
ロイド | 今の音は何だ? |
ルーク | お、おい、また何か、出てくるんじゃねーのか |
| |
クレス | 言ってるそばから出たぞ! |
ソフィ | ルーク、わたしを下ろして。もう平気だから |
ルーク | 本当に大丈夫かよ?今度こそ無理すんじゃねーぞ |
ソフィ | うん |
| グオオオオッ! |
ミラ | よし、全員で力を合わせて、あいつを倒すぞ! |
scene1 | 絶体絶命 |
ルーク | 勝ったぞ!どうだ参ったか! |
ミラ | 油断するな。完全に終わったと決め付けるのは、まだ早い |
ロイド | わかってる。それで今まで、痛い目を見てきたもんな。らせん階段の二の舞はごめんだ |
ソフィ | 今度はどう…? |
クレス | …!?彫像の目が光った…? |
ロイド | おい、見ろ!さっき倒した魔物が…! |
| ガアアアアッ! |
ルーク | ま、また動きだしやがった! |
ミラ | 皆、もう一度だ! |
クレス | うおおおおっ! |
ソフィ | はああああっ! |
| |
ロイド | はあ…はあ…さすがにこれで、終わりなんじゃないのか…? |
ミラ | そうだといいが… |
クレス | また彫像の目が…! |
| グオオオオッ! |
ルーク | まただ!絶対に倒したのに!一体、どうなってんだよ! |
ソフィ | はあ…はあ… |
ロイド | ソフィ、大丈夫か? |
ソフィ | う、うん… |
ミラ | いつまでも、こいつの相手ばかりしていては身がもたん。ここは振り切って、先へ進もう |
クレス | そうだね。ソフィも心配だし…そうしよう |
| ガアア…! |
ロイド | 今だ、みんな走れ! |
| グオオオオッ! |
ソフィ | 魔物が後を追って来るよ! |
ルーク | だーっ!しつこいんだよ! |
scene2 | 絶体絶命 |
| グオオオオッ! |
ロイド | あいつ、まだ追って来るぞ! |
ルーク | しつこいにも程があるぜ。いい加減にしろっつーの! |
ソフィ | く… |
| |
| ドサッ! |
ミラ | ソフィ、しっかりしろ! |
ソフィ | ごめんなさい…みんなは、早く行って… |
ロイド | 何馬鹿な事言ってんだ!ここでソフィだけ、見捨てていけるか! |
ルーク | おら、歩けねーんなら、また俺が背負ってやる |
ソフィ | … |
ミラ | 魔物に追いつかれるぞ! |
クレス | やむを得ない…ここで迎え撃とう! |
ロイド | このおおおっ! |
ルーク | うらあああっ! |
| ガアアアアッ! |
| |
ミラ | 魔物の動きが止まったが…今度はどうだ…? |
クレス | 問題はこの後だ。まわりにある彫像の目が光ったら、また動き出すかも… |
ソフィ | 彫像の目が光ったよ! |
| グオオ…! |
ロイド | クレスの言った通りだ。魔物がまた動き出そうとしている! |
ルーク | くそっ、何度も何度も…キリがねえ |
クレス | 彫像の目の効果で、魔物は再び動き出す… |
クレス | あ…ひょっとして、あの彫像を破壊すればいいのか…? |
ミラ | ああ、おそらくな。だが、こうも数が多いと彫像までは――… |
| ズバッ! |
ミラ | 何だ…? |
ソフィ | 彫像が壊れた…? |
| ズバッ! |
ロイド | お、おい!一体何が起きてるんだ…!? |
| |
??? | よし。これで目障りな彫像は、全部ぶっ壊し終わったな |
ミラ | …!その声は… |
ソフィ | まさか… |
ロイド | 今の声は間違いなく… |
| |
| ユーリ!!! |
ユーリ | よう。お互い無事でなによりだ |
ルーク | ユ、ユーリ、お前… |
ユーリ | おっと、積もる話は後にして、先にあの魔物を片付けようぜ。今度こそとどめを刺せるはずだ |
クレス | よし!みんな、もうひと踏ん張りだ! |
scene1 | 選ばれし者達 |
ユーリ | よし、もう動き出す気配もねえな |
ユーリ | やっぱり彫像の放つ光が、魔物を復活させてたってこったな |
ソフィ | ユーリ… |
クレス | 本当にユーリ…君なのかい? |
ユーリ | ああ。そっくりさんでも、幽霊でもねえぜ。正真正銘の本物だ |
クレス | よかった…。ユーリが無事で、本当によかったよ |
ミラ | …よく生きていたな、ユーリ。これで、ロイドが話していた通りになったな |
ロイド | ほら見ろ!だから言っただろ?ユーリは絶対生きてるって! |
ユーリ | 信じてくれてたってわけか。ありがとさん |
ルーク | … |
ユーリ | … |
ユーリ | どうした、ルーク。んな妙な顔して。てっきり死んだとでも思ってたか? |
ルーク | なっ… |
ルーク | あ、あんなとこから落っこちたら普通は死んだと思うっつーの! |
ユーリ | ほう、みんなはオレが生きてるってずっと信じてくれてたのに、お前は冷てぇんだな |
ルーク | ち、違…!俺も信じてたっつーか…生きてればいいなって思ってたっつか…だから、その…… |
ユーリ | 冗談だよ、本気にすんなって |
ユーリ | …あん時、オレを助けようと必死に走ってきてたお前の姿は、ハッキリちゃんと覚えてるぜ |
ルーク | …!!ぐっ、あれは――… |
ユーリ | ありがとな |
ルーク | …お、おう |
ソフィ | えっと、さっきは下まで落ちずに済んだって事? |
ユーリ | 平たく言えばそんなとこだ |
ユーリ | 何とかあっちこっちと飛び移ってるうちに、うまい場所を見つけてな |
ユーリ | 苦労したぜ?何せ、階段がなくなったところを、またえっちらおっちら登ったんだからな |
ユーリ | ようやく追いついたと思ったら、お前らときたら鬼ごっこなんかしてるときた |
ユーリ | で、いかにも怪しそうな彫像があったんで壊してみたらこれが大正解だったってわけだ |
ミラ | お前の機転がなかったら、私達の方が力尽きていただろう。感謝する |
ユーリ | 留守の借りを返したってとこだ。気にすんなよ |
クレス | 借りだなんて…それはむしろ、僕達がユーリに言いたい事だよ。とにかく、ありがとう |
ソフィ | これでまた、六人で揃って進んで行けるね |
ルーク | そうだな |
ロイド | ん、あれは…みんな、向こうを見てみろよ |
| |
ミラ | 石が階段状に並んで浮いている…次はあそこを進む事になりそうだな |
ロイド | この先、どこまでこの神殿が続くのかわからないけど、俺はもう、何も心配してないぜ |
クレス | そうだね。僕達六人が力を合わせればどんな困難も乗り越えて行ける…そんな気がするよ |
ソフィ | …うん。わたしもそう思う |
ミラ | 私もだ |
ロイド | ああ、俺も! |
ルーク | 異論はねえよ |
ユーリ | だな |
クレス | よし、それじゃあ行こう、共に! |
scene2 | 選ばれし者達 |
ルーク | よっ…、ほっ… |
ユーリ | こうやって浮かんでる石を飛び移りながら上に登るってのは、なかなかスリルがあるな |
ロイド | みんな、くれぐれも注意しろよ。足を踏み外したら大変だからな |
ソフィ | ロイドも、落ちないように気をつけて |
クレス | ソフィの言う通りだよ。僕達の事を心配しすぎて、自分の足下を疎かにしないでくれ |
ミラ | まったくだ |
ユーリ | そういや、ティルグにかなえてもらう願いだが… |
ユーリ | 結局、誰の願いにするかうやむやだったな |
ルーク | …それなんだけどよ。その…あー…笑うんじゃねえぞ? |
ソフィ | …? |
ルーク | 俺達がそれぞれかなえたいと思ってる願いって…実はあんまし変わんねーんじゃねーかっていうか… |
クレス | …確かにそうだね。明確な願いがあるにしろ、ないにしろ… |
クレス | ここにいる全員の根っこにあるのが、「この世界を何とかしたい」という思いなのは、間違いないだろうし |
ロイド | まあ…そうかもな |
ミラ | 方法の一つは、今起きている戦争をやめさせる、という事になりそうだが |
ソフィ | じゃあ、ティルグに会ったら、その事を願うの? |
ロイド | それは、前にクレスが言ってたように根本的な解決にはならないと思うな |
ユーリ | …かもな。カケラの件がなくてもこれまで戦争はいくらでもあった |
ユーリ | そもそも手前で巻いた種を、光の使いに尻拭いをしてもらうってのも都合のいい話だが |
ユーリ | たとえ、そうしたところでおおもとが変わらなきゃ、また同じ事が繰り返されるんだろうよ |
クレス | … |
クレス | …だったら、僕達の願う事、僕達にできる事は一つ |
ルーク | って事は… |
ロイド | みんなの願いが全て、その一つでかなっちまうって事だよな? |
ミラ | ああ、そういう事だな。さらには懸念していた事も、解消される事になる |
ミラ | …私達に課せられるものは大きいがそれを成し遂げた時、きっと新しい未来が開けるはずだ |
ソフィ | うん… |
ユーリ | よし、願い事も決まった事だし、後はいよいよティルグに会うだけってわけだ |
| ズルッ…! |
ロイド | うおっ!足が滑…! |
ユーリ | おっと、大丈夫か? |
| |
ロイド | へへ、助かったぜユーリ。サンキュー! |
ソフィ | だから気をつけてねって言ったのに… |
ロイド | ごめんごめん。嬉しくなって、ついはしゃいじまった |
ロイド | … |
ロイド | 俺さ、何かわかった気がするよ。選ばれし者として神殿に来た理由が |
ルーク | …?何なんだ? |
ロイド | ま、教えてやんねーけどな! |
ルーク | は?何だよそれ!じゃあ、最初っから言うなっつーの! |
ロイド | へへっ |
ミラ | … |
ミラ | …不思議なものだな。始めは皆、警戒心が先に立っていて、協力し合える空気ではなかったのに… |
ミラ | 今はこうして、ごく自然に、互いの手を取り合っている |
クレス | そうだね。ようやく僕達は互いを理解し、信じ合えるところまでたどり着く事ができたんだ |
クレス | …僕は、人と人は、必ずわかり合えると思ってる |
クレス | だから…たとえ困難な状況にあっても、わかり合うための努力を決して放棄してはいけないんだ |
ミラ | …ああ |
| |
ユーリ | お…、どうやらようやく飛び石が終わるみたいだな |
ソフィ | 向こうの方で、何か光ってる… |
ルーク | 何の光だ?もしかして、ティルグか? |
| ズズン! |
| |
ロイド | 出たか…!そろそろ何か来る頃だと思ったぜ |
ユーリ | もし向こうの光がティルグなら、その手前にいるこの魔物は、さしづめ最終関門ってところだな |
ルーク | けっ、ここまで来たら、今さら何も怖くねえっつーの |
ミラ | では、乗り越えるとしよう。私達全員の力で! |
ソフィ | うん! |
| グオオオオッ! |
scene3 | 選ばれし者達 |
ソフィ | 勝った… |
ルーク | おい見ろよ、光が… |
クレス | 大きくなってる? |
ロイド | 行ってみようぜ! |
| |
ユーリ | どうやらこの光は、ティルグそのものってわけじゃなかったようだな |
ミラ | 随分と神々しい光だな… |
ソフィ | あ… |
ソフィ | みんな、今の…聞こえた? |
クレス | ああ。星のカケラが、語りかけてきたような気がするよ |
ルーク | この光の中へ入れ、か…?それじゃ、この先にティルグが…? |
ミラ | 皆、覚悟はいいな? |
ロイド | もちろんさ。そんなの、聞くまでもない |
ユーリ | んじゃ、腹くくってご対面といくとしようぜ! |
| 光の祭壇 |
ミラ | ここは… |
クレス | まるで祭壇みたいだ |
ソフィ | 何か書いてあるよ。あれは…魔法陣? |
ロイド | 魔法陣か…。いかにも何か出てきそうだな |
ルーク | へ、変な事言うなっつーの。本当になったらどうすんだ |
ユーリ | 文字みたいなのが書いてあるな。誰か読めるか? |
ソフィ | わからない… |
ロイド | 俺もだ |
クレス | 誰にも読めないのか… |
ユーリ | おっ…? |
ルーク | おいミラ、何か光ってんぞ |
ソフィ | そういうルークも、光ってる |
クレス | みんな同じ…?この光の正体は… |
ミラ | 皆の持つ星のカケラか…? |
ロイド | あっ、俺のカケラが…! |
ユーリ | 勝手に浮き上がりやがった… |
クレス | 魔法陣が! |
ミラ | 光り出した…これは… |
ルーク | な、何だこれ、星のカケラと共鳴してるのか? |
| |
ソフィ | ……っ! |
ロイド | まぶしすぎる…!これじゃ目を開けてられないぞ! |
ユーリ | ちっ、何だ一体!? |
| |
ルーク | お、収まったのか…? |
| |
クレス | あ、あれは…!? |
| 光の使いティルグ |
ユーリ | どうやら、この神殿の主のおでましみたいだな |
ルーク | じゃあ、あいつが光の使い…ティルグって事かよ? |
ミラ | まだ断定はできないが、ただ者ではなさそうなのは確かだ |
クレス | あれがティルグだったら、本当に願いをかなえてくれるのか? |
ソフィ | この感じ…違う… |
ロイド | そうだな。どっちかって言ったら、願いをかなえるより、ぶち壊すほうが得意そうに見えるぞ |
ルーク | 面倒くせえ。どっちかなんて試してみりゃ分かるだろ |
ミラ | ルーク!不用意に近付くな! |
ユーリ | やべえ、来るぞ!みんな伏せろ! |
クレス | くっ…!みんな、大丈夫か!? |
ロイド | ああ、何とかな |
ソフィ | 危なかった…。だけど、今なら大丈夫 |
ルーク | へっ、あれぐらい、今さらどうって事ねーっての |
ミラ | どうやら戦うしかなさそうだな |
ユーリ | らしいな。さっさとケリつけるとすっか |
ソフィ | うん…! |
ロイド | よーし、やってやる!これですべてを終わりにしてやる! |
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クレス | (これは…! 前に見た夢の光景 そのままじゃないか) |
クレス | (そうか…そうだったのか。 僕はあの時… これを見ていたんだ) |
ミラ | どうした、クレス? |
クレス | …やっとわかったんだよ。ずっと疑問に思っていた事にようやく答えが出たんだ |
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クレス | あの時、僕は…確かこう言ったはずだ。僕の持つ力全てを出し切ってみせる! |
ユーリ | 力合わせりゃ何とかなんだろ。けど、油断はすんなよ |
ミラ | ああ。私達はもう、ただ旅をともにしただけの間柄ではない |
ソフィ | 一緒に戦う仲間だから |
ロイド | みんな、準備はいいか? |
ルーク | 任しとけっつーの |
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クレス | (そうだ…ここまで来たら信じよう。 みんなでここまでたどり着いた、 絆の力を!) |
クレス | よし、やるぞ! |
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| はあああああっ! |
| 明日へ |
ソフィ | はあ…はあ… |
ミラ | 終わったのか…? |
ユーリ | あんだけやったんだ。そう願いたいもんだな |
ルーク | 俺達の勝ち…なんだよな? |
ロイド | よーし!終わったぞ! |
クレス | いや、まだ油断はできない |
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クレス | (前に見た夢がもし本当なら… この後…) |
ロイド | この光は…? |
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ユーリ | ちっ、まだ終わりじゃねえってか!? |
ルーク | 一体どうなってんだ? |
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クレス | (やはり… あの夢の通りなのか…) |
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ソフィ | あ…!あれは… |
クレス | え…? |
クレス | 違う…夢の通りじゃない |
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ミラ | お前は誰だ? |
ティルグ | 我が名は…ティルグ |
ティルグ | この世界に舞い降りし、光の使いなり… |
ソフィ | きれい… |
ユーリ | …こいつがティルグの本当の姿だってのか |
ティルグ | 選ばれし者達よ… |
ミラ | 私達の事か? |
ティルグ | 我が取り込まれし闇を払い、我を解放せし事に感謝する |
クレス | 取り込まれたって、どういう事なんだ? |
ティルグ | 我は夢を見ていた。初めは健やかな夢…だが、それがいつからか、悪夢に転じた |
ティルグ | 果てなき争い、憎しみの連環…終わる事なき悪夢が深き闇となりて我を取り込んだのだ |
ユーリ | なるほどな。だから最初、あんな姿をしてたってわけだ |
ティルグ | 選ばれし者達よ。なんじらは何を求めて、神殿に足を踏み入れた? |
クレス | 僕は…宿敵のダオスを倒した時に、世界をこのままにしておいてはいけないと思って |
ユーリ | カケラが全部そろえば、くだらねえ戦争も終わるかもしれねえって思っただけだよ |
ルーク | 俺の場合は、気が付いたらここにいた…っつーかまあ、成り行きだな |
ロイド | 自分がカケラに選ばれたからには、自分にしかできない事がここにあるんじゃないかと思って |
ソフィ | わたしは自分の世界を救うためにこの世界に来たの。そしたら、この世界も救いたくなって |
ミラ | マナの減少を食い止めるためには星のカケラを全て集めるのが最善だと判断したからだ |
ティルグ | …なるほど |
ティルグ | なんじらの話を聞き、さらに、この目に世界のありようを映して…我は理解した |
ティルグ | なぜ我が闇に取り込まれたのか…その理由をな |
ロイド | 世界のありようを映すって、どういう事だ? |
ソフィ | …!あれは… |
ルーク | お、俺達の世界が… |
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ユーリ | くそっ、ここまで切羽詰まっちまってるのか |
クレス | 果てなき争い、憎しみの連環…ティルグの言った通りだ |
ソフィ | たくさんの負の感情が、渦巻いている… |
ルーク | こんな事ばっかやってたせいで、ティルグがおかしくなっちまったっていうのかよ? |
ミラ | おかしくなったのは人も同じだ。負の感情が欲望に火をつけ、遂にはマナの危機までもたらした |
ロイド | これが、俺達人間のしてきた事なんだな… |
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クレス | … |
ソフィ | … |
ルーク | … |
ミラ | … |
ユーリ | … |
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ティルグ | さて…選ばれし者達よ |
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ティルグ | 「全てのカケラが合わさった時、 我は姿を現し、願いをかなえん」 |
ティルグ | なんじらは見事に心を合わせ、全てのカケラを集めただけでなく、闇に取り込まれた我をも救った |
ティルグ | なんじらこそ真の選ばれし者達。今こそ願いをかなえよう。なんじらは、何を望む? |
ミラ | 願いか‥ |
ロイド | それだったら、もう決まってるよな |
ユーリ | …だな |
ソフィ | じゃあ、みんなで一緒に言おう? |
ルーク | うぜーな、なんでそんな事……って分かった、分かったよ。言えばいいんだろ、一緒に |
クレス | 光の使い、ティルグよ。僕達の願いは… |
| 世界の平和―― |
ユーリ | 今、争いを煽ってる負の感情ってやつを消してくれるだけでいい。あとはオレ達が自分でやるさ |
ロイド | 確かにそれが、俺達全員の願った事だよな |
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ティルグ | …その願い、かなえよう |
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ティルグ | もうじき、この神殿は役割を終え、姿を消す…なんじらを外まで連れて行こう |
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ティルグ | 本当にこれが、なんじらの願った事なのか |
ティルグ | 世界の平和そのものを願う事もできたのだぞ。それなのに、なぜ… |
ルーク | あんな恥ずかしい事、何度も言わせんなっつーの |
ミラ | 誰かに与えられた平和では、いずれ同じ事の繰り返しになる。大切なのは自ら平和を願い、成す事だ |
クレス | 世界の平和は、僕達自身の手で成し遂げなければならない…みんなで話し合って、そう決めたんだ |
ソフィ | そう。それがたとえ、どれほど困難な道のりだとしても |
ユーリ | いつか自分らの力で平和を守れるようになってみせる。…ずっと誰かに面倒見続けてもらうんでなく、な |
ティルグ | なるほど。なんじらの覚悟、しかと見届けた |
ティルグ | なんじらがその気持ちを持ち続ける限り、我も希望を抱き続ける事ができそうだ |
ティルグ | さて…なんじらに興味は尽きぬが、そろそろ別れの時のようだな |
ティルグ | 我は再び長き眠りに就くとしよう。新たな選ばれし者達が現れる、その日まで |
ミラ | さらばだ、ティルグ |
ソフィ | おやすみ |
ロイド | またな! |
ルーク | また悪い夢見てうなされんじゃねーぞ |
ユーリ | ま、そん時はオレ達がまたしっかり目を覚まさせてやるさ |
クレス | ティルグ、ありがとう |
ティルグ | では…さらばだ |
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ロイド | いっちまった… |
ソフィ | あ…神殿も… |
クレス | 消えていく… |
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ユーリ | まるでオレ達まで、長い夢を見ていたみたいだな |
ルーク | おい、変な事言うなっつーの。これは夢じゃねえよな?なあ? |
ミラ | ああ。夢などではない。たしかに現実だ |
クレス | 大事なのはこれからだ。ティルグに宣言した通り、世界の復興を果たさなくては |
ロイド | ティルグがいい夢を見られるように |
ミラ | ソフィが自分の世界へ帰っても、安心できるようにしておかなくてはな |
ソフィ | みんなの事は信じてるよ。わたしも、わたしの世界で頑張る |
ユーリ | そんじゃま、そろそろ帰るとすっか |
ルーク | ふいー、やっと家に帰れるか… |
ミラ | 初めに顔を合わせた時はどうなるかと思ったが… |
ロイド | この六人で行動するのも、悪くはなかったな |
ソフィ | うん、すごく楽しかったよ |
ルーク | へっ、俺はもうこりごりだけどな |
クレス | そうかな?僕には楽しそうに見えるけど。君の顔を見れば分かるよ |
ロイド | また会えるかな、俺達 |
ユーリ | どうだろうな。けど、本気で願えばどうとでもなんだろ |
ミラ | では出発しよう |
クレス | それぞれの道へ |
ユーリ | それぞれの未来へ、だな |
ロイド | みんな、またな! |
ルーク | 元気でやれよな、お前ら! |
ソフィ | きっとまた会おうね。約束だよ! |