| Name | Dialogue |
| 恥ずかしいけど… | scene1 |
| ティア | 確か…ここよね?子ども向けの劇をやっているのは… |
| ティア | 動物がモチーフのとても可愛い衣装だって聞いたけど… |
| ティア | どんな内容なのかしら。楽しみ── |
| ??? | ティア! |
| ティア | ひゃあっ!! |
| ガイ | いいところにいてくれた。すまないが、助けて欲しいんだ! |
| ティア | ち、違うの!私は別に劇を見に来── |
| ティア | …って、えっ?ガイ!? |
| ガイ | 劇を…なんだって? |
| ティア | な、何でもないわ。気にしないで。それより、何かあったの? |
| ガイ | ああ…実は今、子ども向けの劇に出てるんだ |
| ティア | ガイが…この劇に?あら… |
| ガイ | ああ、どうしてもって頼まれてさ、引き受けたんだ。で、今日の劇なんだが… |
| ガイ | 他の役を担当する女性が急病で出られなくなってしまったんだよ |
| ガイ | そこでお願いなんだが、代役を頼まれてくれないか? |
| ティア | わ、私が!? |
| ガイ | そんなに大変な役じゃないんだ!ずっと座ってるだけだし、俺達もしっかりサポートするから! |
| ティア | でも…急すぎるわ。それに、私、人前で演技なんて… |
| ガイ | そう言いたくなるのも当然だけど、せっかく見に来てくれた子ども達のためにも…頼むよ |
| ティア | …わかったわ。そんな風に言われたら断るに断れないもの |
| ガイ | すまない、助かる!さっそく、みんなに伝えてくるよ |
| ガイ | それと、これが台本だ。ティアのしゃべるセリフには色が付けてある |
| ガイ | あまり時間がないけど、可能な限り覚えてきてくれ |
| ティア | …わかったわ、セリフだけ覚えればいいのね? |
| ガイ | 他は俺達みんなでフォローするよ。それじゃ、よろしくな! |
| ティア | それにしても、まさか自分が見に来た劇に出演する事になるなんて思わなかったわね… |
| ティア | それってつまり、劇の衣装を着てみんなの前に出るって事よね… |
| ティア | …って、いけない。本番までに台本を覚えないと…! |
| 恥ずかしいけど… | scene2 |
| ティア | …ふう。変わった台詞が多かったけど、なんとか一通り覚えられたわ |
| ティア | …この衣装、可愛いのだけど、みんなの前に出るのは少し恥ずかしいわね… |
| 劇団の男性 | ティアさん!そろそろ出番です! |
| ティア | え、もう出番!?心の準備が…! |
| | |
| ガイ | 「もう、我慢ならない。 俺達は突撃するぞ!!」 |
| ティア | 「ふ、ふふふ、よ、よくぞ参られた。 じゃが、お前達の命は ここまでじゃ」 |
| ガイ | え?何を言って……あっ! |
| ガイ | ティ、ティア!そのセリフは違う! |
| ティア | えっ? |
| ガイ | それは悪役のセリフだ! |
| ティア | え…えええっ!? |
| | |
| ティア | … |
| ガイ | す、すまない…。慌てていた所為で渡す台本を間違えたみたいだ… |
| ティア | … |
| ガイ | で、でも、お客さんはティアのお蔭で大盛り上がりだったよ |
| ガイ | 意外な人物が意外な台詞を言うもんだから最終的にはどっとウケてたし… |
| ティア | そうね、子ども達に不思議そうな視線を向けられて…私は恥ずかしかったわ |
| ガイ | 面目ない… |
| ティア | もういいわ、とにかく終わったのだし、衣装返すわね |
| ガイ | あ、それなんだが、よかったら、その衣装、持って帰らないか? |
| ティア | え? |
| ガイ | 実は今日で終演だから、もう使う事もないし持って帰ってもいいそうなんだ |
| ガイ | いらないなら俺の方で処分しておくが… |
| ティア | 勿体ない! |
| ティア | あ、いえ…そ、それだったら記念に貰っておこうかしら |
| ガイ | あと、お花もたくさん貰ったからお詫びがてら持ってくるよ。ちょっと待っててくれ |
| ティア | ふふ、大変だったけどこんな可愛い衣装を貰えたし、結果的にはよかったのかしら… |
| ガイ | お待たせ…って |
| ガイ | ん?何か嬉しい事でもあったのか? |
| ティア | な、何でもないわ!! |
| 魔物の仲間 | scene1 |
| ナタリア | たまには女二人での旅というのも悪くありませんわね |
| ティア | そうね。こんな風に私達だけでというのも珍しいかもしれないわね |
| ナタリア | 道中、魔物が現れても私とティアがいれば怖いものなしですわ! |
| ティア | ふふ、そうね。でも油断は禁物だわ |
| ティア | 地図によると…少し行ったところに旅人向けの休憩小屋があるみたい。そこで一休みしましょう |
| ナタリア | いいですわね。私、ちょうど喉が渇いてきたところですわ |
| | ──ポツッ |
| ティア | …あら? |
| ナタリア | 雨…ですの…? |
| | |
| | ザーーーッ!! |
| ナタリア | きゃっ! |
| ティア | す、すごい雨…。急いで小屋に向かいましょう! |
| ナタリア | え、ええ! |
| | |
| ティア | ふぅ…。小屋に辿り着いたのはいいけど… |
| ナタリア | 見事にびしょ濡れですわね…。風邪を引かないうちに着替えてしまいましょう |
| ティア | そうね、着替えは、ええと…確かここに入れたはず── |
| ティア | えっ…!? |
| ナタリア | まあ、ティアにしては随分可愛らしい服ですのね |
| ティア | あ、あの、これは違うの!この前ガイに頼まれて劇のお手伝いをして…その時の…! |
| ティア | 間違えて持ってきてしまったみたい… |
| ナタリア | あら、そうだったんですのね。他に着替えはないんですの? |
| ティア | …ええ。これしか入れてこなかったみたい |
| ティア | これからまた旅を続けるのに、さすがにこれは着れないわ。このまま我慢して… |
| ナタリア | 何を仰っていますの!そんな濡れたままでは風邪を引きますわ! |
| ナタリア | 今この小屋には私達だけですし、せめて乾くまでの間着替えるべきですわ! |
| ナタリア | びしょ濡れのままでいるよりはよっぽどいいですもの |
| ティア | う、うう…。そうよね…着替えるわ… |
| | |
| ナタリア | 思ったよりすぐ止みましたわね。通り雨だったようでよかったですわ |
| ティア | …ね、ねえ。ナタリア…そろそろ恥ずかしいから、元の服に着替えたいのだけど… |
| ナタリア | いけませんわ、先ほど濡れた服はまだ乾いていないのではなくて? |
| ティア | け、けど── |
| ティア | きゃっ! |
| ナタリア | ティア!大丈夫ですの? |
| ティア | だ、大丈…痛ッ! |
| ティア | あ、足が…。転んだ時に挫いてしまったみたい… |
| | グァァアアアッ!!! |
| ナタリア | 魔物!?こんな時に…ティア、逃げて──きゃあっ!! |
| ティア | ナタリア!? |
| 魔物の仲間 | scene2 |
| ナタリア | はぁ…はぁ…。何とか、なりましたわね… |
| ナタリア | ティア…無事ですの? |
| ティア | え、ええ…。挫いた足がまだ痛むけど… |
| ナタリア | それにしても、さっきの魔物達、私ばかり狙ってきたようでしたけどなぜだったのでしょう…? |
| ティア | 確かにそうだったわね。動けない私の方が、狙いやすいはずだったのに |
| ナタリア | 何か先ほどと変わった事が──あ! |
| ナタリア | 服ですわ!! |
| ティア | えっ!? |
| ナタリア | その服に着替えたお蔭で、ティアだけ魔物に襲われなくなったのですわ! |
| ナタリア | きっと愛らしいその耳としっぽが魔物達から仲間と認識されたに違いありませんわ! |
| ティア | そ、そうかしら… |
| ナタリア | 間違いありませんわ!先ほどまでの道中ではこのような事ありませんでしたもの |
| ナタリア | いつもその服を着ていればどこに行っても安心ですわね! |
| ティア | い、いつも…!?む、無理!そんなの無理よ! |
| ナタリア | あら、とても似合っていましてよ。可愛いし勿体ないですわ |
| ティア | 魔物に襲われなくなるとしてもいつもこの服なんて、絶対に無理だわ…! |