| Name | Dialogue |
| 王の品格 | scene1 |
| ミュゼ | もう少ししたら港につくわね |
| ミュゼ | それにしても突然、港へ視察に行くなんてどうしたのガイアス? |
| ガイアス | 我が国の貿易が、現状どうなっているのか見ておきたくてな… |
| ジェイド | 陛下、直接ご自身で視察しなければ気が済まないという、その姿勢は実に素晴らしいと思うのですが… |
| ジェイド | 命を狙われる危険もありますし、随伴する身としては正直、賛成しかねるものがありますね |
| ガイアス | わかっている。だが、貿易はこれから我が国を発展させるための重要事項だ |
| ガイアス | これから貿易を優位に進めるためにも、自分でも現状を把握して… |
| ガイアス | 待て… |
| ミュゼ | …?ガイアス、どうかしたの? |
| ガイアス | そこの木の陰に隠れている奴俺達に何の用だ? |
| 男 | ちっ…ばれたか剣の達人という噂は本当のようだな |
| 男 | ガイアス、お前の命をもらいに来た |
| ミュゼ | ! |
| ジェイド | やれやれ、申し上げた傍からですか |
| ジェイド | この通り陛下は人気者なんですから、もう少し自重していただかないと |
| ガイアス | …… |
| 男 | 何をごちゃごちゃ言ってやがる。覚悟しろ、ガイアス!! |
| 王の品格 | scene2 |
| ガイアス | …空破…天裂陣! |
| 男 | ぐあああっ…!!! |
| ジェイド | お見事です陛下 |
| ジェイド | お怪我はありませんか? |
| ガイアス | ああ、怪我はない。だが… |
| ミュゼ | 服が破れちゃったわね…。お腹が見えちゃってるわ |
| ジェイド | 服とは言え陛下に剣を当てるとは、一人で向かってくるだけの事はありますね。大したものです |
| ジェイド | とはいえ、そのままというわけにもいきませんし、お着替えを── |
| ガイアス | 買うのも着替えるのも手間だ。このままでよい |
| ジェイド | お言葉ですが、陛下 |
| ジェイド | そんな破れた服のまま港に行けば、何事かと国民が動揺しかねませんよ |
| ガイアス | …仕方ない、港に着いたら代わりの服を探すぞ |
| ジェイド | 港までそのまま行くつもりですか? |
| ジェイド | …やむを得ません、陛下にはこれを着ていただきます |
| ミュゼ | どういう事? |
| ジェイド | ここに陛下のお召し物が一着、あるにはあるのですよ |
| ガイアス | 準備がいいな… |
| ジェイド | 正直、想定外ではあるのですが、そのお姿のままよりはましかと。どうぞ、陛下 |
| ガイアス | … |
| ミュゼ | あら、似合ってるじゃない |
| ジェイド | ええ、とてもよくお似合いです。その点は疑問の余地はありません |
| ジェイド | 雪国であるア・ジュール国で敢えて屋外で水着を着たのは、陛下が初めてかも知れませんが… |
| ガイアス | …… |
| ジェイド | 大丈夫ですか、陛下。寒くはないですか? |
| ガイアス | 少しだけ冷える |
| ジェイド | 少しだけ…ですか。さすが、何事も規格外な方ですね |
| ミュゼ | ねえ、水着なんて何処で手に入れたの? |
| ジェイド | つい先日、行商人から熱心な売り込みを受けましてね |
| ジェイド | 一着くらいはあってもいいだろうと思い、購入しておいたのですよ |
| ミュゼ | ジェイドの分はないの? |
| ジェイド | ええ、陛下の分だけです |
| ジェイド | それに、あったとしても、ここで着るには寒すぎます |
| ガイアス | それを…俺に着せるとはどういう事だ? |
| ジェイド | ですから、破れた服の代わり、あくまで国民に見られないための応急処置ですよ |
| ガイアス | こんなものを着てる方が、王としての品格を疑われるのではないか? |
| ジェイド | そうでない事を祈りましょう。とにかく港に行けば、まともな服が手に入ります。それまでの辛抱ですよ |
| ミュゼ | …水着姿のガイアスも素敵よ |
| ジェイド | 案外、寒さをも超越するそのお姿を見れば、刺客も逃げ出すかもしれませんね |
| ガイアス | …お前達… |
| ガイアス | 俺で遊んでるのではなかろうな…? |
| 俺が出る | scene1 |
| ジェイド | …と、こちらの件に関しての報告は以上になります |
| ガイアス | …なるほど |
| ガイアス | その件に関しては了解した。早急に手を打とう |
| ガイアス | ところでア・ジュール港の流通が滞っていた件はどうなっている? |
| ジェイド | ア・ジュール港ですか… |
| ジェイド | 現在も海上で魔物の群れが船を襲い、船や積荷を破壊する事態が頻発しています |
| ジェイド | 漁業も魔物が出る海域に近いため一時的に船の運行を見合わせています |
| ガイアス | そこまでは知っている |
| ガイアス | 確か、魔物を討伐するという話だったが? |
| ジェイド | はい、討伐隊を何度も向かわせてはいるのですがなにぶん相手は水中ですので |
| ジェイド | 加えて、素早い魔物らしくなかなか成果が上がらないようです |
| ジェイド | 報告によると、いくら倒しても群れの親玉がすぐにまた仲間を呼び寄せてしまうそうです |
| ガイアス | なるほど、随分と厄介な相手の様だな |
| ジェイド | はい。そろそろ別の手を打たなければと考えていたところでした |
| ガイアス | これ以上は待てないな… |
| ガイアス | 俺が出る。本件の討伐隊に出動要請、港に船を出すよう手配しろ |
| ジェイド | お待ちください、陛下。陛下が直接出向かれる程の話では… |
| ガイアス | これ以上野放しにしておけば、民の日常生活に大きな影響が出る |
| ガイアス | そうなる前に解決しておきたい |
| ジェイド | …わかりました |
| ジェイド | そこまで仰られるのでしたら。すぐに船を手配します |
| | |
| ガイアス | 妙に静かな海だな… |
| ジェイド | そろそろ魔物が出現する海域です、陛下 |
| | |
| | ギャオオオオッ! |
| ジェイド | おや、噂をすれば。あれが例の群れの魔物です |
| ガイアス | ふん、どうやら向こうはやる気のようだな… |
| ガイアス | 総員、攻撃態勢に入れ! |
| 俺が出る | scene2 |
| ジェイド | 雑魚は全て倒し終えました。あとはあそこにいる、一番大きい魔物のみですね |
| | ギャオオオッ! |
| | ザボーンッ |
| ガイアス | …海中に潜ったか…! |
| ジェイド | まずいですね…。おそらくあれが親玉です |
| ジェイド | あれを倒さない事にはまた群れを成してやってきて、船が襲われる事になります |
| ガイアス | 逃がすわけにはいかないな |
| ガイアス | 必ず片を付けるぞ! |
| ジェイド | 陛下、何を…? |
| ジェイド | 突然、服を脱ぎ始めたと思ったら、水着を着こんでらしたのですか |
| ガイアス | ミュゼに念のため着て行けと言われてな |
| ガイアス | 腰にロープを巻いて行く。五分経っても目立った動きがなければ、引き上げろ |
| ジェイド | まさか、潜るおつもりですか?危険すぎます、陛下! |
| ガイアス | 任せたぞ |
| | ザバァン!! |
| ジェイド | …いやはや、常々常識を超えた方だとは思ってはいましたが… |
| ジェイド | ア・ジュールの凍えるような海に飛び込むとは…我々、軍人も形なしですね |
| | |
| ジェイド | …静かですね |
| 兵士 | さすがの陛下も水中での戦闘に苦戦されていらっしゃるのでは… |
| ジェイド | …万が一、間違いがあってはいけません。一度、ロープを引き上げて── |
| | サバァァァアアアアン!!! |
| ジェイド | 水柱…!? |
| | |
| ガイアス | 戻ったぞ |
| ジェイド | 陛下、ご無事でしたか |
| ガイアス | ああ、親玉と思われる魔物は倒した |
| ジェイド | やれやれ、討伐隊が苦戦していた親玉をあっさり倒してしまうとは、恐れ入りました、陛下 |
| ガイアス | この程度の魔物を討伐出来ないとは…我が国の兵もまだまだだな |
| ガイアス | 今後の兵の訓練として水中戦演習も組み込むとしよう |
| ジェイド | 恐れながら陛下、ア・ジュールの海での水中戦演習は厳しいかと |
| ガイアス | む…何故だ? |
| ジェイド | こんな海に並の人間が飛び込めば、たちまち凍えて、泳ぐどころではありませんよ |
| ジェイド | 心臓麻痺続出で軍が壊滅状態に陥るのがオチでしょう |
| ガイアス | …そうか…。では今後に備えて別の対策を練る必要性があるな… |
| ジェイド | いやはや、頼もしい方なのは確かですが… |
| ジェイド | ここまで型破りだと、気苦労が絶えませんね |
| ジェイド | まあ、お陰でお仕えしていても一向、飽きる事がありませんが |
| ガイアス | ジェイド、何か言ったか? |
| ジェイド | いえ、陛下が非常にお強く、素晴らしいお方だと申し上げただけですよ |
| ジェイド | さぁ、陛下。城に戻るといたしましょうか |
| ガイアス | …そうだな |