| Name | Dialogue |
| 守られているだけでは | scene1 |
| リチャード | うん… |
| 側近 | どうなさいました?陛下 |
| リチャード | 僕は日々、昼も夜もなく王としての務めを果たしているつもりだ |
| リチャード | そして、外に出かけた際は、騎士団員達が僕の周りにつき身を守ってくれる |
| リチャード | だが守られてばかりいるうちに、自分で剣を振るう機会が減って、勘が鈍ってしまったように思うんだ |
| 側近 | 陛下にお怪我でもあれば一大事でございます故、致し方ございません |
| リチャード | だが、王とはいえ、いざという時のために、戦えるようにしておく事も必要だと思っている |
| リチャード | 勘を取り戻すため…というわけではないが外へ出てこようかと思っていてね |
| リチャード | どうかな?フレン |
| フレン | ですが…私もやはり心配です。それに陛下をお守りするために我々騎士団がいるのですから |
| フレン | 剣の腕を磨くという事でしたら騎士団の訓練場にいらっしゃってはいかがでしょう? |
| リチャード | 訓練場、か… |
| リチャード | いや、やはり森へ出てくるよ。昔行ったきりだ。気分転換も兼ねたいし、何より… |
| 側近 | な、何を仰るのです!あの森には凶暴な魔物がたくさん… |
| リチャード | だから行くんじゃないか。魔物との戦いの場を知らずして国王は務まらない |
| リチャード | そうと決まったらすぐ出発だ! |
| 側近 | ああ!お、お待ちください!陛下! |
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| リチャード | さて…ああ言って出てきてしまったが、どう行こうか |
| フレン | 陛下!お待ちください! |
| リチャード | フレンか。衛兵達も…どうしたんだい? |
| フレン | 僭越ながら陛下、森に行かれるのでしたら、騎士団がお供させていただきます |
| リチャード | ありがとう。でも、今回は僕一人で十分だよ |
| フレン | いけません、森には魔物もいます。お一人では危険すぎます! |
| フレン | ウィンドルを治める陛下の身に万が一の事でもあれば、私は…! |
| リチャード | そうか…君を困らせても仕方ないな。では一緒に行こう |
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| リチャード | 昔は一人で森に来て、こっそり剣術の練習をしたものだ。まあ遊び半分だったけどね |
| リチャード | 久々に来てみると、昨日の事のように思い出すよ |
| フレン | そうでしたか。ですが、やはりお一人での行動は賛成できません |
| フレン | 特に先日から雨が続いた事もあってこの先は足場も悪くなっているとの報告もあります |
| フレン | 斜面が崩れる恐れもありますし、どうかくれぐれもお気を付け── |
| | グオオオオ! |
| | ギャウウウ! |
| リチャード | 魔物か!傾斜の上から…!しかもなかなかの大型が複数…。いいだろう、僕が相手に── |
| フレン | 陛下!お下がりください!騎士団が対処します! |
| 守られているだけでは | scene2 |
| | グワアアア! |
| フレン | 魔物が飛び降りて来た!みんな気を付けるんだ! |
| | ドオオオーン! |
| リチャード | なっ!地面が崩れる…! |
| フレン | 陛下!こちらへ! |
| 衛兵 | うわぁぁ…! |
| フレン | 着地の衝撃で地滑りが…! |
| リチャード | 衛兵達が…魔物と共に落ちて行った!フレン、彼らを追おう! |
| フレン | …彼らもウィンドルの騎士です。きっと大丈夫です。それより、こちらにもまだ魔物がいます |
| リチャード | ああ、しかも一匹ではないな。ここは僕も… |
| フレン | いえ、騎士としての務めを果たさせていただきます!お下がりください! |
| フレン | はあーっ! |
| | ギャウウウ! |
| フレン | ぐうっ! |
| リチャード | フレン!大丈夫か!?この数の魔物を一人で相手するなんて無茶が過ぎる! |
| フレン | 大丈夫、大した事はありません。まだやれます! |
| | ギャウウウ! |
| リチャード | はぁっ!! |
| | ギャアアア! |
| フレン | へ、陛下!? |
| リチャード | 黙って見てはいられない!僕が魔物の相手をする! |
| フレン | 陛下、しかし…! |
| リチャード | 敵は多いし、君が倒れれば、どのみち僕も戦うことになる。それより力を合わせた方がいいはずだ |
| フレン | …分かりました。ですが私より前には出ないで下さい。行きます! |
| | はああーっ! |
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| リチャード | はぁ…、はぁ…。今のが最後の魔物か。何とか倒せたな… |
| リチャード | フレン、怪我は大丈夫か!? |
| フレン | …申し訳ありません。お守りすべき陛下に助けていただくなど…騎士失格です |
| リチャード | 何を言っているんだ。仲間が傷ついている時に助けるのは当然の事だろう? |
| リチャード | それに王だからと言って、守られているだけでは駄目なんだ。自ら剣を取る事もなければ… |
| リチャード | そもそも、森に来た本来の目的こそそういう事だったのだし |
| フレン | 仰る事は分かります。しかし… |
| リチャード | いいかい、フレン。僕の役目は国民を守る事だ。そしてフレン、君も国民の一人だろう? |
| リチャード | 僕を守るという事が君の役目であり、君を守る事が僕の使命でもある。何か問題があるかい? |
| フレン | 陛下… |
| リチャード | さあ、ゆっくりしている暇はない。はぐれてしまった衛兵達を捜しに行こう |
| リチャード | 僕の腕も鈍ってはいないようだ。まだまだ君達には負けないからな |
| 童心にかえろう | scene1 |
| リチャード | 街が賑わっていると思ったら今日は休日か |
| リチャード | 戦争中は、休日の事など考えもしなかったが… |
| 側近 | 平穏が訪れたとはいえ、陛下も日々のご公務続きでお疲れの事でしょう |
| 側近 | 少しゆっくりされてもよろしいのではないですか? |
| リチャード | そうしたいところだが、いざとなると何をしたらいいのかよくわからないんだ |
| リチャード | そう言えば、もうすぐアスベルが報告にやってくる頃ではなかったかい? |
| 側近 | はい、その予定になっております |
| リチャード | アスベルと話していると楽しいんだ。昔を思い出すよ。ある意味それが息抜きになっているのかも知れない |
| アスベル | 陛下、任務のご報告に参りました |
| リチャード | ああ、早速頼むよ |
| アスベル | ──以上です |
| リチャード | うん、報告ありがとう。ところでアスベル、今日これから時間はあるかい? |
| アスベル | えっ?時間…ですか?はい、ありますが… |
| リチャード | ああ、ここからは友達として話そう。普段の感じで話してくれないか? |
| リチャード | 今日は休日だろう?僕もゆっくり過ごそうかと思ってね。よければ一緒に過ごさないか? |
| アスベル | リチャードも休みを取れるようになったんだな。一緒に、何をしようか… |
| アスベル | うん。やはり、昔のように過ごすのがいいんじゃないか? |
| リチャード | 昔のように…? |
| アスベル | いろんなところに行って、いろんな遊びをしただろう?どこか、良いところは… |
| アスベル | あ、そうだ!確か、近くの街で祭りをやっているはずだ。そこへ行ってみないか? |
| リチャード | 祭りか!それはいい考えだ。もう何年も参加できていないからな |
| 側近 | お待ちください!陛下が突然街に行かれますとたちまち大混乱になってしまいます |
| 側近 | お出になるなら、それなりの護衛をつけさせます |
| アスベル | 護衛なら俺が。俺に任せてください |
| リチャード | アスベルがいてくれれば心強い。問題はないよ |
| 側近 | むぅ…。陛下がそう仰るのならば。ではアスベル、くれぐれも頼んだぞ |
| アスベル | はい! |
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| アスベル | リチャードとこうやって二人で出かけられる日がまた来るとは思わなかったな |
| リチャード | 僕もだ。それに祭りに行けるなんて。どこか夢を見ているようだよ。せっかくだ、存分に楽しもう |
| 童心にかえろう | scene2 |
| アスベル | よし、ようやく着いたぞ!この街へ来るのは久々だな |
| リチャード | 懐かしいね。街並みは随分と変わったようだけど昔のままの空気を感じる |
| アスベル | 屋台はもう少し奥に出ているようだ。早速回ってみよう |
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| リチャード | 途中の演劇に夢中になっている間にこんなに暗くなっていたとは。まだ全て回りきれていないのに |
| リチャード | ふっ、しかしアスベルは祭りに来てもカレーを食べるんだね |
| アスベル | でも美味かっただろ?こういうところの食事ってなかなか侮れないんだ |
| リチャード | ああ、確かに美味しかったよ。その後に食べたチョコバナナもね。童心にかえった気分だ |
| リチャード | ん?あれは…。アスベル、腹も満たされた事だし、腹ごなしにあれをやらないか? |
| アスベル | あれ、って…?ああ、射的か。懐かしいな。わかった、やろう!負けないからな! |
| 観衆 | リチャード国王がいらっしゃってるぞ… |
| 観衆 | リチャード国王よ。射的するんだって… |
| アスベル | なっ…さすが国王。どんどん人が集まって来たぞ… |
| リチャード | さて、では行くぞ!はっ! |
| 観衆 | おおーっ!当たったぞ! |
| アスベル | すごいじゃないか、リチャード! |
| リチャード | たった1発じゃないか。まぐれみたいなものさ。さて、あと何発当てられるかな… |
| リチャード | ははは、参ったな… |
| アスベル | 参ったな、って…全部的中させるとは… |
| リチャード | 次はアスベルの番だ。いいところ見せてくれよ |
| アスベル | 今のを見せつけられたら自信がなくなったよ…。それにこんなにたくさんの人に囲まれて… |
| アスベル | 駄目だ、集中しなければ…行くぞ! |
| アスベル | 5発中3発か…。リチャードに負けてしまった! |
| リチャード | 惜しかったね。だが、僕もまだまだ腕は衰えていないようだ |
| リチャード | よし、ほかの遊びをしようか |
| 観衆 | ガヤガヤ… |
| アスベル | 何だか観衆の数がさらに増えたような… |
| リチャード | おお、これは…輪投げか!次はこれをやろう |
| 観衆 | 国王様、今度は輪投げに挑戦されるようだぞ |
| アスベル | …何なんだ、このプレッシャーは…。じゃあ次は俺からだな |
| アスベル | ああ、駄目だ…。半分しか入らなかった。みんなの視線が痛い… |
| リチャード | フフッ、次は僕だ。行くぞ!はっ! |
| 観衆 | す、すごい…。全部入れてしまわれるなんて、これが王たる資質か… |
| 観衆 | もっと近くで見ようぜ!おい、あんた邪魔だよ! |
| アスベル | うわっ!みなさん、押さないで!危ないですから押さないでー! |
| アスベル | リチャード!このままじゃ危険だ。一旦移動しよう! |
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| アスベル | ここまで来れば…。ふぅ、どうなる事かと思った… |
| アスベル | リチャード、すまない。俺が連れ出したばっかりにこんな事になってしまって… |
| リチャード | どうして謝るんだい?僕はとても楽しかったよ。さて!次は何して遊ぼうか? |
| アスベル | まだ遊ぶのか!? |
| アスベル | リ、リチャード…。あはは、昔のリチャードに戻ったみたいで、良かったよ |