| Name | Dialogue |
| 俺が弟だったら… | scene1 |
| アスベル | 久しぶりだな、ヒューバート。元気だったか? |
| ヒューバート | 森で待ち合わせとは…一体何なのですか、こんなところで |
| アスベル | そういう言い方するなよ。俺達三人、昔はよくこの森で遊んだじゃないか |
| シェリア | そうね、いつも一緒だったわね |
| シェリア | 今はあまり会えなくなってしまったけど… |
| アスベル | そういえば、ヒューバートは子どもの頃よく泣いてたよな |
| ヒューバート | 兄さんに泣かされてたんですよ!模型などをよく壊されましたからね |
| シェリア | ヒューバート、落ち込んでたものね。大事に作り上げたのに…って |
| アスベル | 悪かったって… |
| アスベル | って、お前、そんな事よく覚えてるな… |
| ヒューバート | やった側は気にしていなくても、やられた側は昨日の事のように憶えているものです |
| ヒューバート | …そもそも兄さんは、あの時の行いを反省しているのですか!? |
| アスベル | ずいぶん前の話だ、許してくれよ。子どもの頃の事じゃないか |
| ヒューバート | 人の物を壊してしまったら、きちんと謝らないと駄目でしょう?それが過去の事でも、です! |
| アスベル | わ、わかったよ…悪かったって |
| シェリア | うふふっ |
| アスベル | 何だよ、シェリア? |
| シェリア | 小さい頃はあんなにアスベルに泣かされてたヒューバートの方が、何だかお兄さんみたいね |
| アスベル | ヒューバートはしっかり者だからな |
| アスベル | …それによく怒るし |
| ヒューバート | よく怒るというのは余計でしょう |
| アスベル | もし、俺が弟でヒューバートが兄だったらどうなってたかな… |
| アスベル | そうだ!今日だけ兄と弟を入れ替わってみないか? |
| ヒューバート | はぁ!?兄と弟を入れ替わる!? |
| ヒューバート | 何をバカな事を言っているのですか |
| シェリア | 面白そうじゃない。少しの間やってみたらどう? |
| ヒューバート | シェ、シェリアまで… |
| アスベル | いいじゃないか、いつもと違う立場になるってのも、新しい発見があるかもしれないぞ? |
| ヒューバート | ぐっ…。仕方ありませんね |
| ヒューバート | で、どうするんです? |
| アスベル | ん~…そうだな、まあそれは歩きながら考えよう |
| アスベル | な、ヒューバート兄さん! |
| ヒューバート | に、兄さん… |
| 俺が弟だったら… | scene2 |
| アスベル | 雷斬衝!! |
| | ギャウウウ! |
| ヒューバート | さすが、騎士団で剣技を磨いているようですね |
| アスベル | まあな…って |
| アスベル | おいおい、今はそっちが兄なんだから敬語はやめろよな |
| ヒューバート | これは癖みたいなものですから、今更直せませんよ |
| アスベル | そんなんじゃ雰囲気出ないだろ? |
| アスベル | ほら、敬語やめてみてくれよ、兄さん |
| ヒューバート | くっ… |
| ヒューバート | えー、なかなか…いい腕を…しておる |
| アスベル | くくく…何だよ、しておる、って |
| シェリア | さすがにしゃべり方まで変えるのは厳しそうね |
| アスベル | じゃあ、敬語のままでいいか |
| アスベル | そこがヒューバートらしさでもあるもんな |
| ヒューバート | …わ、悪かったですね |
| ヒューバート | 急に変えろと言われてもすぐに変えられるはずないでしょう |
| ヒューバート | 弟だったら弟らしく、つべこべ言わないで兄の言う事を聞いてくださいよ! |
| アスベル | はいはい、わかったよヒューバート兄さん |
| シェリア | 何このやりとり…。結局、言ってる事がいつもと変わらないような… |
| アスベル | まあいいじゃないか。せっかくだしもうしばらく── |
| | ガサガサ |
| アスベル | む? |
| | ガルルルル! |
| シェリア | 魔物── |
| シェリア | ヒューバート!危ないわ! |
| ヒューバート | ぐわっ! |
| アスベル | ヒューバート! |
| アスベル | こいつ…よくもやってくれたな! |
| | グオオオオ! |
| アスベル | 食らえ!風牙絶咬! |
| | ギャアアア! |
| ヒューバート | に、兄さん… |
| シェリア | ヒューバート、大丈夫!? |
| ヒューバート | え、ええ…、油断していました |
| ヒューバート | ですが突き飛ばされただけで怪我はありません |
| アスベル | 森の奥は魔物も出るし、用心して歩けよ |
| ヒューバート | …すみません |
| アスベル | だけど、あの頃のお前なら今頃は大泣きしてたよ |
| アスベル | 強くなったんだな…ヒューバート |
| ヒューバート | 兄さん… |
| アスベル | …あ、悪い。俺は今、弟役だったよな |
| ヒューバート | ふっ、もういいじゃないですか。兄と弟を入れ替えるなんてやめにしましょう |
| ヒューバート | 兄さんは兄、ぼくは弟です |
| ヒューバート | やっぱり、兄さんには兄でいて欲しいです |
| アスベル | ヒューバート… |
| ヒューバート | と、とにかく、無様な姿を見せてしまいましたね。すみません… |
| アスベル | 当然の事をしただけだ。俺はお前の兄、だからな |
| シェリア | 何だかんだ言ってもアスベルはヒューバートのお兄ちゃんなのよね |
| | |
| ヒューバート | だから!どうして兄さんはいつもそうなんですか! |
| アスベル | わかったって言ってるだろ。そんなに怒るなよ、ヒューバート |
| ヒューバート | またそうやってごまかして… |
| ヒューバート | 大体、兄さんはいつも── |
| シェリア | はあ…やっぱりこうなるのね。アスベルとヒューバートらしいといえばそうだけど… |
| シェリア | …二人とも、街の中なんだから静かにしてー! |
| ヒントを探して | scene1 |
| アスベル | こうか? |
| アスベル | …うーん、ちょっと違うな |
| アスベル | じゃあ…こうすればいいのか? |
| アスベル | 手はこう、脚はこうするのがいいだろうか… |
| | |
| シェリア | アスベルったら、今朝からずーっと小屋にこもって、一体何をやっているのかしら…? |
| ヒューバート | おや、シェリアも来ていましたか |
| シェリア | あら、ヒューバート。もしかして、あなたも? |
| ヒューバート | ええ、兄さんと会う約束をしていたのですがここにいると書き置きが… |
| ヒューバート | 久々に会いに来たのに突然の予定変更なんて…まったく、困った人です |
| シェリア | そう…。私もさっき声をかけたんだけど「一人で考えたい事がある」って |
| シェリア | ずっと小屋にこもって、何だか一人でぶつぶつ喋ってるの |
| ヒューバート | ふむ…。それは不可解ですね |
| ヒューバート | ぼくとは約束をしていたのですし、声をかけてみましょう |
| | ガチャ |
| | |
| アスベル | はぁ…はぁ… |
| シェリア | ア、アスベル、大丈夫? |
| シェリア | ずっと閉じこもって、しかもずいぶん疲れているようだけど… |
| アスベル | ああ、大丈夫だ |
| アスベル | それより、今から街へ行ってこようと思うんだが、二人はどうする? |
| ヒューバート | なっ…!約束していたにも関わらず急に一人になりたいと言い出したかと思えば… |
| ヒューバート | 今度は急に街に行くって、一体どういうつもりですか! |
| アスベル | すまないが、大事な事なんだ |
| アスベル | ヒューバートとの約束はその後に守るから! |
| ヒューバート | はあ…。仕方ありませんね… |
| ヒューバート | まぁ、今日は非番にしてきましたので構いません… |
| シェリア | アスベルったら、突然どうしたのかしら… |
| シェリア | 少し心配だわ |
| シェリア | 待って、アスベル!私も行くわ!ちょうどお買い物も行きたかったし |
| ヒューバート | そうと決まったら、さっそく出かけましょうか |
| | |
| アスベル | ふむふむ、なるほど…。あっちにもあるぞ |
| シェリア | アスベル、武器や防具で飾られた展示用の人形を見ているみたいね |
| ヒューバート | ええ、新しい装備品でも欲しくなったのでしょうか |
| アスベル | ああ、こういう角度ならいいかもしれないな |
| アスベル | …こんな感じだろうか |
| シェリア | 人形と同じポーズしてる… |
| シェリア | 私、アスベルが部屋にこもってた時以上の不安を感じるわ… |
| シェリア | 任務が忙しくて疲れてるのかしら… |
| ヒューバート | …いえ、約束した時も元気そうでしたしそうではないと思うんですが |
| アスベル | もっと腰を落としたほうがいいのか? |
| アスベル | それとも重心は高めのほうがいいか… |
| アスベル | うーん、悩ましいな… |
| ヒューバート | あの姿…なるほど |
| ヒューバート | 技の型をいろいろ試しているのではないでしょうか |
| シェリア | 技の型?新しい技を考えていて…ってそういう事? |
| ヒューバート | ええ、その可能性がありますね。兄さんも国を守るためなら努力を惜しまない人ですから |
| 街の女性 | きゃぁーっ!魔物よ! |
| アスベル | 魔物だと!? |
| アスベル | くっ、まだまとまっていないが…とりあえず向かおう! |
| シェリア | アスベル、待って! |
| ヒントを探して | scene2 |
| アスベル | ふう、何とか街に入り込む前に済んだが… |
| アスベル | うーん… |
| シェリア | どうしたの、アスベル?浮かない顔して… |
| シェリア | 魔物は無事倒せたじゃない |
| アスベル | あ、ああ… |
| ヒューバート | ものすごく悩んでいるようですね。新技の開発にここまで真剣だったとは |
| シェリア | そうね、こんなに思いつめるなんて… |
| アスベル | もうしばらく街を回っていいか?あと少しで何かが見えてきそうなんだ |
| シェリア | ええ、もちろんよ!アスベルの気の済むまでいいわよ! |
| ヒューバート | ここまで来たら、最後まで見届けないと帰れませんからね |
| アスベル | 悪いな、二人とも… |
| アスベル | うーん、どれも何か違うんだよな… |
| ヒューバート | 兄さん、騎士団の訓練場などに行ってみてはどうです? |
| ヒューバート | 何かヒントになるものがあるかもしれませんよ |
| アスベル | 騎士団ではなかなか閃かなかった。違った刺激が必要だと思うんだ |
| シェリア | 違った刺激ねぇ… |
| シェリア | あら?あれは何かしら? |
| ヒューバート | 三人組の大道芸人ですね。人の集まる街を回っているんでしょう |
| アスベル | 三人とも剣を持ってるな。一、二、三本か |
| アスベル | あれで一体何を… |
| アスベル | おお!すごい!何という剣さばきなんだ |
| ヒューバート | ジャグリングというやつですね |
| シェリア | 一つ間違えたら大ケガよ…!…怖くて見てられないわ |
| ヒューバート | そろそろフィニッシュではないでしょうか… |
| 大道芸人 | はいっ、はいっ、はいーっ! |
| | 決まった! |
| シェリア | すごいわ!初めて見たけど感動するわね! |
| ヒューバート | 一朝一夕ではできない芸当ですね。素晴らしい |
| アスベル | 見えたっ! |
| アスベル | そうか!これだ! |
| シェリア | アスベル?まさか、ついに閃いたの? |
| アスベル | ああ、大道芸人のパフォーマンスのお蔭でいいものを思いついた! |
| ヒューバート | しかし、兄さん、いくら何でもあれは無理ですよ |
| ヒューバート | やるにしても相当な時間が… |
| アスベル | 大丈夫!努力すれば何とかなるさ |
| アスベル | そうと決まったら、今すぐ帰って練習だ! |
| アスベル | 二人とも、悪いけどちょっと手伝ってくれないか? |
| ヒューバート | ぼく達もですか!?さすがにそれは… |
| シェリア | いいわ、それがアスベルの悩みを解消する助けになるなら…喜んで! |
| ヒューバート | シェリア… |
| ヒューバート | 仕方ありませんね、今回は兄さんのために一肌脱ぎましょう |
| | |
| シェリア | えっ?これって… |
| ヒューバート | に、兄さん…? |
| アスベル | ああ、勝利の決めポーズだ!さぁ、もう一度三人でいくぞ! |
| シェリア | ま、まさかアスベルが悩んでいたのって… |
| ヒューバート | 我が兄ながら…騎士団での立場が心配になりますね |