| Name | Dialogue |
| scene1 | 追走 |
| スレイ | 騎士団の情報で港の方に進んできたけど… |
| エリーゼ | グレバム達の姿は見えませんね… |
| スタン | 奴らの目的もはっきり分からないし、気持ちばかり焦るな |
| スレイ | メルトキオを出る直前にシンクに接触したみたいだって話だったけど |
| スレイ | やっぱり今回もシンクやヴァンが裏で動いてるって事なのかな? |
| ゼロス | 教団を抜けた後でも、グレバムは国内では影響力があったからな。利用価値はあるんだろ |
| ヴェイグ | …アリスが口にしていた争いこそが理想を生む、という言葉… |
| ヴェイグ | グレバムも奴らと同じなら混乱や争いを起こそうとしているのだろうな |
| ミクリオ | グレバムを支持する人もいるって事は一部のシルヴァラントの兵や民衆も動かせるかもしれないね |
| スタン | ア・ジュール港の時よりも大きな騒動になりかねない… |
| ミクリオ | ああ…。スレイ、グレバムを見つけた後はどうするんだい?わかってるとは思うけど… |
| スレイ | うん…争いなんか起こしたら晶化現象を進行させる原因になってしまう… |
| スレイ | 暴動や混乱を起こそうとしてるならその前に何とか説得出来ればいいんだけど… |
| ミクリオ | それは難しいかもしれないな。スレイ、最悪の場合も考えておいた方がいい |
| ルドガー | なら、グレバムがどの程度の手勢を率いているのか、前もって調べておいた方がいいかもな |
| ミクリオ | そうだね。でも、奴の後ろにはヴァンやシンクがついているかもしれない。慎重に事を進めよう |
| ヴェイグ | 彼らがこの街道を通ったのなら、目撃者も大勢いるはずだ… |
| エリーゼ | そういう人達に、話を聞けるかもしれませんね |
| スレイ | そうだね。誰かいたら声をかけてみよう |
| scene2 | 追走 |
| スレイ | この辺りの街道は人が結構いるな。話が聞けそうな人は… |
| ミクリオ | スレイ、向こうの人に聞いてみるのはどうだろう? |
| スレイ | 行商人…かな?声をかけてみよう |
| スレイ | あの、すみません。この辺でシルヴァラント兵の集団を見ませんでしたか? |
| スレイ | メルトキオの方から来たと思うんですが… |
| 行商人 | ああ、見たぜ。二、三十人くらいの一団が港の方に向かって行ったな |
| ヴェイグ | …やはり他国を攻められるほどの人数ではなさそうだな… |
| エリーゼ | そう…ですね |
| 行商人 | …旅の途中かい?悪い事は言わねぇ、今港に行くのはやめた方がいい |
| スレイ | …港で何かあったんですか? |
| 行商人 | さっきの話に出た兵士もそうだが、キムラスカの反乱軍もシルヴァラント港に向かってる |
| ティア | 反乱軍ですって!?キムラスカで一体何が…? |
| 行商人 | …例の新たな天啓の発表以来、キムラスカではア・ジュール軍による襲撃事件が相次いでいてな |
| 行商人 | 動こうとしない本国に不安と怒りを覚えた民衆が、独自に打倒ア・ジュールを掲げて蜂起したんだ |
| スタン | そんな…!ア・ジュールがそんな事するわけがない…! |
| 行商人 | 俺の知り合いにその反乱軍に参加してる奴がいてな。そいつから聞いたんだが… |
| 行商人 | キムラスカの襲撃を命令されて逃げてきたア・ジュールの少年兵士が証言したんだと |
| 行商人 | キムラスカを今、襲撃しているのはア・ジュールだってな |
| ルドガー | その話が本当なら、酷い話だが… |
| 行商人 | その少年は素顔を隠すため仮面までつけているっていう話さ。ア・ジュールがよほど恐ろしいんだな |
| ゼロス | 仮面の…そいつ、緑髪じゃなかったか? |
| 行商人 | そこまでは知らねぇな。とにかく、港の方は穏やかじゃねぇ |
| 行商人 | 反乱軍はキムラスカ騎士団の制止も及ばず港にまで到達してる。引き返した方が身のためだぞ |
| スレイ | …忠告、ありがとうございます。あなたも気をつけて |
| | |
| ヴェイグ | …キムラスカの反乱軍か…。ゼロス、その少年兵というのは… |
| ゼロス | 間違いなくシンクの野郎だろうな。ア・ジュールがキムラスカを襲うなんて話、振り撒きやがって |
| ゼロス | キムラスカの騎士団も止められなかったなんて… |
| ティア | 漆黒の騎士による王都の襲撃もあったし、各地でもそんな事があったとなると… |
| ティア | キムラスカ騎士団の戦力も分散していたんでしょうね |
| ミクリオ | …待ってくれ。そのシンクが動かしたキムラスカの反乱軍が港に向かっているという事は… |
| スレイ | …!グレバムと港で合流するつもりなんじゃ… |
| スタン | まずいな…。グレバムはキムラスカの反乱軍とア・ジュールに攻め入るつもりか? |
| スレイ | それだけは止めないと…!急いでシルヴァラント港へ向かおう! |
| scene1 | グレバムの行方 |
| エリーゼ | シルヴァラント港までもう少し…というところですが… |
| ヴェイグ | キムラスカの反乱軍とグレバムが合流するとしたらシルヴァラント港だろうな… |
| ヴェイグ | 奴らが港に着く前に追いつきたいところだが |
| ルドガー | ああ。港ともなれば人も増える。無関係な人は巻き込みたくないしな |
| スタン | グレバムは手勢を連れて大人数で移動しているんだろ? |
| スタン | なら、少人数のこっちの方が速く動けているはずだ。きっと追いつけるさ |
| ゼロス | 追いついたらグレバムにはシンクについても洗いざらい吐いてもらわないとな |
| ゼロス | あの仮面野郎にはでっけー借りがあるからよ |
| エリーゼ | ヴァンについても何か知っているでしょうか…? |
| ゼロス | どうだろうな。シンクの影はチラついてるが… |
| ゼロス | グレバムは権力にご執心だ。ヴァンだかシンクはそこを上手く利用してるだけじゃねぇか? |
| ルドガー | ヴァンは…権力が欲しいとか私腹を肥やしたい、とかじゃないんだよな… |
| ティア | …兄さんは、何か強い信念を持って動いていると思うわ。権力とは別の… |
| ゼロス | だよなぁ。それなら騎士団長の座に居座ってただろうし |
| エリーゼ | …自分の理想を成し遂げるために争いをする… |
| エリーゼ | 争いで生まれる理想なんて本当にあるんでしょうか… |
| ティア | そんなもの、あるはずはないわ。でも…何だか、底知れないものを感じるの |
| ティア | 兄さんは、私達の想像もつかない事を考えているのかもしれない… |
| スレイ | ティア… |
| スレイ | そうだとしても、目の前で起こる争いや晶化現象を放っておく事は出来ない |
| スレイ | みんなが幸せに暮らせる世界をオレは守りたい。それが導師の役目だと思うから |
| ミクリオ | …そうだね。そのためにも、早くグレバムに追いつきたいが… |
| スレイ | そろそろだと思うんだけど… |
| エリーゼ | あっ…見てください、向こうに大勢の人が見えます…! |
| ミクリオ | シルヴァラント軍の装備…グレバムに追従した兵士達、だな |
| スタン | 兵士達の中心にいるあの男は…! |
| ゼロス | 間違いねぇ、グレバムの野郎だ! |
| scene2 | グレバムの行方 |
| スレイ | やっと追いついた! |
| ゼロス | ったく手間かけさせやがって… |
| グレバム | お前達は…! |
| グレバム | …神子殿、これはどういう事ですかな?お見送りに来てくださったのですか |
| ゼロス | 期待してもらってるところ悪いが、そうじゃないんだな、グレバムさんよ |
| スレイ | あなたに聞きたい事があって、ここまで追いかけてきました |
| グレバム | 言ったはずだ。即刻この国から去れ、と。それなりの処罰は覚悟の上だろうな? |
| ティア | … |
| グレバム | 神子殿、あなたは我が国の象徴とも言える方… |
| グレバム | そのあなたが他国の間者と行動を共にしているなど民衆が何と思うか… |
| ゼロス | さぁーて、それはどうだろうな?少なくとも、あんたよりは俺さまの方が国民からの信頼も厚い |
| ゼロス | あんたの行動の方が、みんなはどうかと思うんじゃね?元・大司祭サマ? |
| スレイ | それに、オレ達は、ア・ジュールの間者なんかじゃありません |
| グレバム | 黙れ!これ以上私の邪魔をするのなら容赦はしないぞ |
| ティア | お待ちください、グレバム様。兵士を連れて一体どこへ向かわれるのですか |
| ティア | 国王陛下やフィリア司祭の与り知らぬところで兵士を動かしては反乱と受け取られかねないはずです |
| グレバム | ほう、この私が反乱だと?笑止千万とはまさにこの事だな |
| グレバム | 私の行動は全て国を想う故だ。貴様らのようなよそ者にとやかく言われる筋合いはない |
| グレバム | それにフィリアなど…たまたま今の地位にあるに過ぎないただの小娘だ。話にならぬ |
| スレイ | …もう一つ質問があります。あなたとシンクの関係は? |
| グレバム | 知らぬわ!貴様ら、自分の立場が分かっておらぬようだな |
| グレバム | 話は終わりだ。おい、お前達! |
| | |
| 兵士 | はっ! |
| スレイ | …!囲まれた! |
| グレバム | 今度はフィリアの助けは入らんぞ。神罰を覚悟せよ |
| グレバム | かかれ! |
| ミクリオ | 仕方ない、行くぞ、スレイ! |
| scene3 | グレバムの行方 |
| ヴェイグ | …これで終わりだ |
| ルドガー | 兵達は全員片付けた。残るはお前だけ… |
| グレバム | おのれ…役立たず共が… |
| スレイ | お願いします。話を聞かせてください |
| スレイ | あなたが兵を連れて、シルヴァラント港に向かっているのはどうしてなのか… |
| スレイ | それにキムラスカの反乱軍もまるで示し合わせたように港に向かったし、もしかして── |
| グレバム | ええい!貴様らに聞かせる話はない! |
| ゼロス | 何でもいーけどよ、供回りはみんな伸びちまってるんだ。いい加減観念しろよ |
| ゼロス | 俺さまとしては、ついでにシンクの野郎との関係も吐いてくれると嬉しいんだけどな~? |
| グレバム | ぬう… |
| ??? | …繋がりはあるさ。そう言えば満足かい? |
| スレイ | 誰だ…!? |
| ゼロス | この声…まさか…! |
| シンク | 久しぶりだね、「神子様」 |
| ゼロス | へっ…!会いたかったぜ、仮面野郎…! |
| scene1 | 烈風のシンク |
| ゼロス | シンク、探す手間が省けたぜ。お前の方から出てきてくれたんでな |
| シンク | 別にボクは会いたくなかったけどね。仕方なくさ |
| ミクリオ | タイミングがよすぎる。まさか、隠れて様子を伺っていたのか? |
| シンク | 隠れて?お前達が気付かなかっただけさ |
| ゼロス | …相変わらずいけ好かねー奴だな |
| シンク | それにしても、グレバム。せっかくのご自慢の配下も形無しだね |
| シンク | まだ動けそうな奴らを連れて、アンタは先に行きなよ |
| シンク | ここはボクが引き受けてやるからさ |
| グレバム | …。任せたぞ |
| スタン | 待て! |
| シンク | 通さないよ |
| スタン | 何だってグレバムをかばうんだ!やはりお前達は仲間なのか? |
| シンク | 仲間…?フン、反吐が出る言葉だね。あんなのは駒でしかない |
| ゼロス | どうしようもねぇ奴だな。人は道具扱いで女の子にも平気で手を上げる… |
| シンク | あの女騎士の事かい? |
| シンク | 強者が弱者を支配する…それが世の中の仕組みだ。ゴミはゴミの扱いをするだけさ |
| ゼロス | …確かに、そういう考え方もある。俺さまもそれは認めてやるよ |
| ゼロス | ただな、世の中全ての仕組みがそれだけじゃないって事…痛いくらいに教えてやるぜ |
| シンク | はっ!面白い事言うね。全てが満たされた環境で育ってきた神子に何がわかるっていうのさ |
| シンク | 思い知らせてやるよ。このボクがね…! |
| | ヒュッ! |
| ゼロス | おっと! |
| エリーゼ | ゼロス! |
| ゼロス | これくらい大丈夫だって!ここは俺さまに任せてみんなはグレバムを頼む! |
| ルドガー | 一人でシンクを止める気か? |
| ゼロス | このガキんちょには俺さまがしっかり世間の厳しさをわからせてやらねぇと |
| ゼロス | こいつも俺さまの事はずいぶん気に入らないみてーだしな |
| スレイ | オレも残るよ。みんなは先に行って… |
| シンク | …そう上手くいくとは、思わないでほしいね |
| | …ザッ |
| ルドガー | 茂みから伏兵が…!? |
| 兵士 | ここを通しはせん! |
| ゼロス | …やってくれるじゃねぇの |
| シンク | いちいち怒らないでよ。使える駒は用意しておくものさ |
| ヴェイグ | シンクが連れてきた援軍、か…。まずはこいつらを片付けるぞ |
| エリーゼ | はい…!でも数が… |
| ルドガー | …散開して、各個撃破しよう。取り囲まれるとまずい |
| スレイ | ゼロス…! |
| ゼロス | スレイ、お前は目の前の敵に集中しろ!こいつは俺さま一人で十分だ! |
| スレイ | …わかった。でも、気を付けて…! |
| ティア | … |
| シンク | さっさと来なよ、神子様 |
| ゼロス | お望み通りにしてやるぜ! |
| scene2 | 烈風のシンク |
| シンク | はっ! |
| ゼロス | そんな攻撃、食らうかよ! |
| ゼロス | 今度はこっちの番だ! |
| シンク | 甘い! |
| ゼロス | 答えろシンク、お前やヴァンは、一体何を企んでやがる? |
| ゼロス | グレバムを手駒にして…何を起こす気だ! |
| シンク | ふん…さぁね。ボクはヴァンの奴に、手を貸してやっているだけさ |
| シンク | この世界に…復讐するためにね |
| ゼロス | …正気の沙汰じゃねぇな。もっと他にする事ねーのかよ |
| シンク | 神子として、生まれながらに全てを持っているアンタにとやかく言われたくないね |
| シンク | 他人から必要とされ、優遇されてきた…そんな人生を送ってきたアンタにはね |
| ゼロス | … |
| シンク | そら!まだまだ行くよッ! |
| | シャッ! |
| | ガツッ! |
| ゼロス | くっ…!この…! |
| ゼロス | 何でヴァンに従う!?ヴァンが起こそうとしてんのは戦争だろ!? |
| ゼロス | ヴァンに従っていい事あんのかよ! |
| シンク | あるさ。少なくともこんな世界を終わらせてくれる |
| ゼロス | お前まだガキじゃねぇか。何でそんなに世界を憎むんだ? |
| シンク | …ボクは生まれた時から何も持たず、誰からも必要とされなかった。いわば、からっぽの存在だ |
| シンク | この世界はボクを必要としていない。だからボクも、必要としない |
| ゼロス | …それで、世界を呪ってんのか |
| ゼロス | やりきれねぇな…。まるで昔の自分そっくりだ |
| ゼロス | 俺も、生まれながらに神子だった…。だけど、自分で望んだ事じゃない |
| シンク | …何でもいいけどさ。さっさとやられてよ |
| ゼロス | でもな…俺が神子じゃなきゃ、ロイドやコレットちゃん…仲間のみんなに出会えてなかった |
| シンク | 仲間…?はっ、急に何を言い出すんだか。あまり笑わせないでよね |
| シンク | 所詮、人間なんて利害の一致で結びついているだけさ |
| ゼロス | それはお前が誰も信じてねぇから、わからねぇだけだ |
| ゼロス | さっき誰からも必要とされないって、お前は言ったよな? |
| ゼロス | だったら、自分で居場所を作ればよかったんじゃねぇか? |
| ゼロス | 自分が憎んでいた世界でも、信じてくれる奴はきっといる。俺がそうだったようにな |
| シンク | 馬鹿馬鹿しい…。アンタみたいな放蕩神子に説教されたくないね |
| シンク | 守りが疎かになってるよ! |
| ゼロス | …! |
| | ガキーン! |
| ゼロス | くそっ…!剣が…! |
| シンク | これで終わりだ! |
| | ヒュッ! |
| | ガツッ! |
| シンク | ぐっ…!足が… |
| シンク | ナイフだと…一体どこから… |
| ティア | ゼロス、動きを止めたわ!早く剣を! |
| ゼロス | サンキュー!ティアちゃん! |
| scene3 | 烈風のシンク |
| ゼロス | これでしまいだぜ! |
| | ズバーーッ! |
| シンク | うっ、こんな…事が… |
| ゼロス | もう一度聞くぜ、シンク。ヴァンの野郎は、今どこにいるんだ? |
| ゼロス | ヴァンやお前達は、一体何を企んでやがる? |
| シンク | ボクは… |
| シンク | こんな世界…大嫌い…なだけ、ただそれだけさ… |
| | ドサッ… |
| ゼロス | シンク… |
| ゼロス | ふう… |
| | |
| ティア | 終わったようね、ゼロス |
| ゼロス | ティアちゃーん♡あのナイフ捌き、俺さま惚れ惚れしちゃったよー! |
| ティア | あ、ええ… |
| ゼロス | まさに息ぴったり、完璧なタイミングだったよな! |
| ゼロス | これもひとえに、愛の成せる技!やっぱり二人が結ばれるのは運命… |
| ティア | ナイフはまだあるのだけれど…あなたにもお見舞いしてあげた方がいいのかしら |
| ゼロス | ちょっ…!ジョークだよ、ジョーク!そんな恥ずかしがるなって~ |
| ティア | 全く…シンクと戦っている時は、真剣な顔をしてたのに… |
| ティア | そのままではいられないのかしら? |
| ゼロス | 俺さまはいつだって真剣そのもの!今だってティアちゃんに… |
| ゼロス | …いでっ |
| ティア | 腕は立つし、機転も利くのに… |
| ティア | ゼロス、あなたシンクに私の存在を気付かせないないためにわざと挑発していたでしょう? |
| ゼロス | ひゃひゃひゃ!ティアちゃんからの熱い視線、気付かないワケないだろ? |
| | |
| スレイ | ゼロス、ティア! |
| スタン | シンクは退けたのか? |
| ゼロス | おう、シンクなら俺さまとティアちゃんで… |
| ゼロス | って、ええ!? |
| ティア | いない…逃げたの?あの傷で動けるなんて… |
| ゼロス | 仲間が連れて行ったのか?そんな気配もなかったが… |
| ゼロス | …悪ぃ、逃がしちまったらしい。あの傷じゃ、しばらくはまともに動けないとは思うが… |
| スレイ | いや、二人が無事だったならよかった |
| ゼロス | そっちはどうだったんだ?戻って来たって事は、グレバムは… |
| ミクリオ | シンクの部下は全て退けたが…残念ながらグレバムには逃げられてしまった |
| ゼロス | 結局シンクからヴァンの情報を引き出せなかったし目的はわからないままか… |
| スタン | とにかく、港には向かったはずだ。急いでグレバムを… |
| | ピピピ… |
| エリーゼ | この音は… |
| スレイ | パスカルの通信機だ。もしもし? |
| パスカル | あ、スレイ?久しぶりー!元気そうでよかったー♪ |
| スレイ | うん、パスカルも相変わらず元気そうで安心したよ |
| スレイ | でも、連絡くれるなんてどうしたの? |
| パスカル | うん、実はちょっと気になる事があってさ、スレイには伝えた方がいいかなって思って |
| パスカル | 赤の騎士団が何だかみょ~な動きをしてるんだよね |
| スレイ | 妙な動き…? |
| パスカル | うん、急に兵士達を集めたと思ったらそのまま、ウィンドル港の方へ向かって行っちゃったんだ~ |
| スレイ | 赤の騎士団が、ウィンドル港に…!? |
| パスカル | うん、セルディク大公も一緒だったし…怪しいでしょ? |
| パスカル | それに港にはキムラスカからの反乱軍も集まってるらしいし… |
| ルドガー | ウィンドル港に、キムラスカの反乱軍か…。赤の騎士団も動き出したなんて… |
| ヴェイグ | グレバムの目的地もそこだろう。予想以上に相手の動きは早い、と言う事か… |
| スレイ | パスカル、貴重な情報をありがとう。通信機があって助かったよ |
| パスカル | また何か動きがあったら連絡するね。スレイ達も気を付けて! |
| パスカル | じゃね~!ばいば~い! |
| スレイ | 今のパスカルの話… |
| スレイ | セルディク大公率いる赤の騎士団、キムラスカの反乱軍、それにシルヴァラントのグレバム… |
| スレイ | この三つが手を組もうとしてるって事なのかな |
| ミクリオ | おそらくね。そして、今までの話からすると、その三つの勢力の共通の敵はア・ジュールだ |
| ヴェイグ | ア・ジュール相手に戦争を起こそうとしているのか…! |
| エリーゼ | 戦争…まさかそんな… |
| スタン | とんでもない事になってしまう… |
| ティア | とにかく急ぎましょう!グレバムがウィンドル港に渡る前に追いつかないと… |
| スレイ | ああ、行こう! |
| scene1 | 導師と天族 |
| エリーゼ | シルヴァラント港を目指して進んで来ましたが… |
| ティポ | 真っ暗になっちゃったねー |
| スタン | グレバムに追いつくために少しでも先に進みたいけど… |
| ヴェイグ | 戦闘による消耗もある。ここは一度休むべきだと思う |
| ヴェイグ | グレバムも港に着いていたとしてもわざわざ夜に船を出さないだろう |
| スレイ | そうだな、今日はこの辺りで休もう |
| ルドガー | じゃあ手分けして、野営の支度だな |
| ティア | なら今日は私が夕食を用意するわ |
| ゼロス | お、ティアちゃんの手料理か。俺さま楽しみ~! |
| | |
| エリーゼ | この料理…ティアが作ったんです…よね? |
| スタン | まさかボアの丸焼きがどかんと出てくるとは |
| ミクリオ | 随分と豪快だな… |
| ティア | 何か変だったかしら? |
| ヴェイグ | いや。とてもうまそうだ |
| ゼロス | ティアちゃんの料理っていうから女の子らしいもんを想像してたけど…こういうの、ギャップってやつ? |
| ゼロス | 疲れた時はこういう料理だよなぁ!くぅ~!さっすがティアちゃん! |
| ティア | あまり手の込んだものより、野営する時にも困らないような料理を教わる事が多かったから |
| スタン | もしかして、お兄さんから? |
| ティア | …ええ。兄さんは、料理もとても得意だったわ |
| ゼロス | へぇ、キムラスカの騎士団元総長がねぇ…。何でも出来るんだな |
| スレイ | すっごくいい匂い!早く食べよう |
| ライラ | そうですわね |
| スレイ | いただきます! |
| | |
| スタン | ふう~。ごちそうさまでした! |
| ゼロス | 素材を生かした味付けで最高にうまかったぜ! |
| エリーゼ | お腹がいっぱいで…動けません… |
| ティポ | エリーのお腹がまんまるになってるー |
| エリーゼ | わっ、ティポ、お腹触っちゃ駄目です…! |
| ルドガー | ははっ。ちゃんと食休みした方がいいぞ |
| | |
| スレイ | …ライラ。聞きたい事があるんだけどいいかな? |
| ライラ | はい、何でしょう? |
| スレイ | 実は…『神依』について教えてもらいたいんだ |
| ライラ | 神依…ですか |
| スタン | …カムイ?それって何だ? |
| ゼロス | さあ?俺さまも初耳だな |
| ミクリオ | …スレイ、この際だしみんなにも導師や神依の事を話しておいた方がいいんじゃないか? |
| スレイ | そうだな。実は── |
| | |
| ルドガー | なるほど、それが導師…闇に包まれた世界を導く光か |
| ルドガー | スレイ達と出会った当初に聞いた事はあったが… |
| エリーゼ | スレイにはすごく大きな使命があるんですね… |
| スレイ | まだまだ、ライラに助けてもらってばかりだけどね |
| ティア | 天族と一体化出来る神依…そんな術があるなんて知らなかったわ |
| ゼロス | でも、その神依っての…俺さまはまだ見た事がねぇぞ |
| ティポ | ぼくもないー |
| スレイ | そうなんだ。オレは導師にはなったけど、まだ神依化出来ない |
| スタン | …神依化出来ない?どういう事なんだ? |
| スレイ | 何度かライラに聞いたんだけど、神依についてはまだ早いからって教えてくれなくて… |
| ライラ | それは… |
| スレイ | ライラが何か理由があってオレに神依の話をしないのはわかってるよ |
| スレイ | でも、天啓や晶化、それにウィンドル港に集まる赤の騎士団や反乱軍… |
| スレイ | これから、オレ達が立ち向かっていく問題はどんどん大きくなってる |
| スレイ | その問題に立ち向かうために…オレは、神依の力が必要になる時がきっと来ると思ってるんだ |
| スレイ | 晶化現象や天啓を取り巻く混乱で困ってる人達のためにもオレは知っておきたい |
| スレイ | だから、ライラ神依の事、話してくれないかな |
| ライラ | スレイさん… |
| ライラ | あなたのお気持ち、考えはしっかりと聞かせて頂きました。それに、導師としての考え方も… |
| ライラ | …わかりました。神依についてお話します |
| スレイ | ライラ…!ありがとう |
| ライラ | …ただ、スレイさんが仰ったようにこれまで神依に関して、詳しくお伝えしなかったのには理由があります |
| ミクリオ | その理由、とは? |
| ライラ | 実は…神依には、導師と天族の双方が、大きな決断をする必要があるのです |
| ライラ | その為、お話しする機会を、ずっと考えていました |
| ティア | 大きな決断…。何か危険や代償があるのかしら |
| ライラ | 導師が正しい方法で行えば神依自体は安全なものなのですが… |
| ライラ | それより問題となるのは、導師と天族の「契約」です |
| エリーゼ | 契約、ですか…? |
| ライラ | はい、そもそも神依とは導師が天族と一心同体となり、行使するもの… |
| ライラ | 神依化には、導師と天族を繋ぐものとして特殊な契約が必要になります |
| ライラ | そして…神依の契約を結べば両者の繋がりは、とてつもなく強いものとなります |
| ライラ | それは互いの運命すらも、共有するほど… |
| スレイ | それってつまり…オレの役目や目的にミクリオやライラを巻き込むって事だよね… |
| ライラ | 巻き込むというか…運命共同体ですわ |
| スタン | うーん…それって、今までと何が違うんだ? |
| スタン | スレイとミクリオはずっと一緒に過ごしてたんだし… |
| ライラ | この先どんな困難があったとしても、契約した導師と天族は運命を共にする事になります |
| ライラ | スレイさんが、行くと言えば例えそれが地獄でも、共に行かねばなりません |
| ミクリオ | 待ってくれ、ライラ。その言い方はあんまりだろう |
| ライラ | すみません、少し意地の悪い言葉になってしまったかもしれません |
| ライラ | でも…ミクリオさん、あなたもよく考えてください |
| ライラ | これからもスレイさん…導師と共にあり続ける契約を結んだとして── |
| ライラ | よい事も悪い事も、全て共にする事になるんです。その覚悟が、あなたにありますか |
| ミクリオ | ああ。勿論だ。だから契約を──… |
| スレイ | ミクリオ…!これは今すぐに決める問題じゃない |
| ミクリオ | だけど…! |
| ライラ | 導師との契約はとても重要な事です。 |
| ライラ | ですから、この場ですぐ答えを出さなくていいと思います |
| スレイ | …そうだな。オレだけの問題じゃない事は分かったよ |
| ライラ | …私はいつでもスレイさんと契約いたしますわ |
| ライラ | …湖の乙女として、聖剣の担い手に身を捧げる覚悟は、旅立ちの時に出来ています |
| スレイ | ライラ…ありがとう。しっかりオレの答えを出すよ |
| ミクリオ | … |
| ゼロス | …まあ何だ。スレイもミクリオもどうするにせよ、あんまり思いつめんなよ |
| ルドガー | 仮にその神依ってのが出来なくたって、俺達もいるしな。何とかなるさ |
| スタン | 導師だからって一人で背負う事はない |
| エリーゼ | みんなで頑張りましょう…! |
| スレイ | うん、そうだね。…ありがとう、みんな |
| スレイ | …少し周りを見てくるよ。みんなは先に休んでて |
| | |
| ミクリオ | 覚悟…か |
| | |
| スレイ | 天族との契約… |
| ミクリオ | 随分暗い顔をしているな |
| | |
| スレイ | ミクリオ…先に休んでくれてよかったのに |
| ミクリオ | 悩んでいる君を放っておくわけにもいかないだろう? |
| ミクリオ | …スレイ、さっきの神依についての話だけど |
| ミクリオ | 僕は、君と契約する事に何も不都合はないと考えてる |
| スレイ | これは簡単に決めていい問題じゃないだろ |
| ミクリオ | …時間をかけたからって、変わる問題でもないと思うけど |
| ミクリオ | ライラだって、決心をしている。何で僕にはそんなに躊躇するんだ? |
| スレイ | ライラはライラ、ミクリオはミクリオだろ |
| ミクリオ | そんなに僕は頼りないか |
| スレイ | そんな事言ってないだろ! |
| スレイ | …ひとまず、今日は休もう。明日はシルヴァラント港に行ってグレバムに追いつかないと |
| ミクリオ | … |
| scene2 | 導師と天族 |
| ティア | 一通り港を捜してみたけど…グレバムの姿はなかったわ |
| エリーゼ | もう出航してしまったんでしょうか… |
| スタン | うーん…これからどうする?スレ… |
| スレイ | … |
| ミクリオ | … |
| スタン | スレイとミクリオ…。今朝からずっと静かだな… |
| エリーゼ | 二人とも、何だか元気がありませんが…大丈夫ですか? |
| スレイ | うん…平気だよ。な、ミクリオ? |
| ミクリオ | ああ。いつも通りだ。僕は、ね |
| エリーゼ | 体調が悪かったりしたら遠慮なく言ってくださいね |
| スレイ | うん。ありがとう、エリーゼ |
| ライラ | … |
| ヴェイグ | ゼロスはどこだ?一人だけ戻っていないようだが… |
| スタン | あ、ちょうど戻ってきたよ |
| ゼロス | 待たせたな。その辺で聞き込みしてきたぜ |
| スレイ | お疲れ様、どうだった? |
| ゼロス | 残念だが、悪い知らせだ。グレバムは先にウィンドル港に向かっちまってる |
| スレイ | 何だって…! |
| エリーゼ | いくら何でも早すぎませんか? |
| ゼロス | 日の出と共にウィンドルからの迎えの船で出航したらしい |
| ゼロス | グレバムみたいな大物が兵を連れてウィンドルに向かったとあって港の人間は驚いたらしい |
| ルドガー | やられたな…。しかも、ウィンドルからの迎えって事は赤の騎士団か? |
| ゼロス | それに兵を連れて、って事は…あらかじめここで集めた兵士と合流するつもりだったんだな |
| ゼロス | さらにもう一つ… |
| ゼロス | ウィンドル港に集まってる赤の騎士団とキムラスカ反乱軍は打倒ア・ジュールを謳ってるらしいぜ |
| ヴェイグ | 打倒ア・ジュールだと…? |
| エリーゼ | ミクリオの言っていた通りです… |
| ルドガー | そうだな、急がなきゃ…! |
| | |
| 男の声 | うわああああ!? |
| ミクリオ | 今の声! |
| 女の声 | きゃああああ!?魔物の群れが! |
| ゼロス | チッ、またかよ。さっさと片付けようぜ |
| ティア | ええ、被害が出る前に撃退しないと |
| | ガルルルル! |
| ミクリオ | この程度の魔物なら… |
| スレイ | …!ミクリオ、一人で突っ込むな! |
| | グォオオオオ! |
| エリーゼ | !?大変です!後ろからも来てます! |
| スレイ | そんな…! |
| ヴェイグ | スレイ、こっちはオレ達に任せろ!ミクリオの方へ! |
| スレイ | わかった!ライラ、援護を頼む! |
| ライラ | はい!お任せください! |
| scene3 | 導師と天族 |
| ミクリオ | これで最後…! |
| ミクリオ | はっ! |
| | ギャウウウッ! |
| ミクリオ | ふう… |
| スレイ | ミクリオ! |
| ミクリオ | …スレイ |
| | |
| スレイ | 一人で魔物に突っ込むなんて無茶、ミクリオらしくないぞ! |
| ミクリオ | この程度の魔物なら、僕だけでも問題ないさ |
| ミクリオ | …それともスレイは僕が魔物に引けを取ると思っているのか? |
| スレイ | そういう事じゃないだろ! |
| ミクリオ | じゃあどういう意味なんだ。はっきり言ってくれればいいだろ |
| スレイ | 何でそんな言い方になるんだよ。ミクリオを助けに来ただけなのに… |
| ミクリオ | 誰もそんな事、頼んでないだろ |
| スレイ | ミクリオ…お前…! |
| ライラ | お二人とも!その辺で… |
| ライラ | 魔物も全て退治したようですし、みなさんと港の被害状況を確認しませんか? |
| スレイ | …うん、そうだな |
| ミクリオ | …僕は向こうの様子を見てくる |
| スレイ | 待て!一人で行くなって… |
| | …グルル… |
| ミクリオ | …!魔物の声…!? |
| スレイ | ミクリオ、右だ! |
| ミクリオ | 何…!? |
| | グアアアアッ! |
| | ザシュッ! |
| スレイ | ミクリオ! |
| ライラ | ミクリオさん! |
| ミクリオ | っつ…! |
| ミクリオ | この…くらえ! |
| | ズシャーーッ!! |
| | ギャウウウウ! |
| スレイ | ミクリオ、大丈夫か!? |
| ミクリオ | この、くらい… |
| スレイ | 傷が深い…!すぐに治療しないと…! |
| scene1 | 離れる心 |
| ミクリオ | う… |
| | |
| スレイ | 気付いたか、ミクリオ。気分はどう? |
| ミクリオ | ああ…大丈夫だ |
| スレイ | ライラ達がすぐに治療してくれたんだけど… |
| ミクリオ | …そうか、お礼を言わないと…。みんなは? |
| スレイ | 全員、別室で休んでるしお礼は明日でいいよ |
| スレイ | それより、ずっと考えてたんだ。ミクリオ、聞いてくれ |
| ミクリオ | …ああ、何だい? |
| スレイ | これは提案なんだけど、一度、イズチに戻ってみたらどうかな? |
| ミクリオ | …は? |
| スレイ | 長い間留守にしているし、ジイジ達の様子を見てきてもらいたいっていうのもあるけど… |
| スレイ | ミクリオからイズチのみんなに、外の世界がどうなっているかって情報を共有出来るだろ? |
| | |
| ミクリオ | …スレイ! |
| スレイ | …! |
| ミクリオ | そんな回りくどい言い方されるのは御免だ |
| ミクリオ | はっきり言ってくれ邪魔だからイズチに帰れって |
| スレイ | 違う!ミクリオ、オレは… |
| ミクリオ | 僕が足手まといなら足手まといだと、正直に言えばいい |
| スレイ | …! |
| スレイ | …だったら、ちゃんと言うよ |
| スレイ | オレは…今のミクリオとは一緒に行けない。だから、一度イズチに帰ってほしい |
| ミクリオ | スレイ… |
| ミクリオ | ああ、わかったよ…!お望み通り、イズチに戻ってやるよ! |
| | |
| | コンコン |
| ライラ | ミクリオさん、スレイさん?入りますよ |
| ミクリオ | くっ… |
| スレイ | ミクリオ…! |
| ライラ | ミクリオさん!? |
| スレイ | … |
| scene2 | 離れる心 |
| ライラ | ──すみません。お二人のお話を聞いてしまいましたわ |
| ライラ | スレイさん…ミクリオさんの後を、追わなくてよろしいのですか |
| スレイ | … |
| スレイ | …オレだって本当は、ミクリオとずっと一緒に行きたいって思ってる |
| スレイ | だけど…オレのやりたい事に、あいつを巻き込むわけにはいかない |
| ライラ | …それが、ミクリオさんの望みでも? |
| スレイ | 昨日みたいに言い争いになっちゃったら、それが本当にミクリオの望みなのかわからないだろ? |
| スレイ | だから、冷静に考えてほしいんだ。契約してからじゃ遅いし |
| スレイ | もし違ったら、ミクリオの自由を奪う事になる。それだけは嫌だから |
| ライラ | スレイさん… |
| スレイ | ライラは、導師がどんなものかよくわかってる。でも、ミクリオは違う |
| スレイ | オレが自分の意志で導師になる道を選んだように、ミクリオにもミクリオの道を選んで欲しい |
| スレイ | だからこれでいいんだ…少なくとも今は |
| ライラ | スレイさん…そこまでお考えになられていたのですね |
| ライラ | それなら私から何も言う事はありませんわ |
| ライラ | でも…ミクリオさんを一人にしていいのですか?まだ回復しきってないのでは… |
| スレイ | ミクリオなら大丈夫。あの状態で宿の外には行かないよ |
| スレイ | かといって…今は戻って来ないと思う手堅いクセに意地っ張りだから |
| スレイ | ライラ、今話した事は、みんなには言わないでおいてもらえるかな。これはオレ達の問題だから… |
| ライラ | はい…わかりましたわ |
| ライラ | 手堅いクセに意地っ張り…意地っ張りはお互い様なのでしょうけど… |
| ライラ | … |
| | |
| スレイ | ごめん、遅くなって! |
| ティポ | スレイ君遅いよー。船が出ちゃうでしょー? |
| エリーゼ | あれ、ミクリオやライラは一緒じゃないんですか? |
| スレイ | ライラはもうすぐ来るよ |
| スレイ | ミクリオは… |
| スタン | …?どうしたんだ?何か、あったのか? |
| スレイ | ミクリオは、宿に残ってる。イズチに帰る事になったんだ |
| ルドガー | えっ…。それは本当なのか? |
| ヴェイグ | そんなに怪我の状態が悪いのか…? |
| ティア | 確かに軽い怪我ではなかったけれど…治療はちゃんとしたはずよ? |
| スレイ | うん、それは勿論。怪我自体は、心配いらないと思う |
| スレイ | ただ、一度イズチに戻って、外の世界がどうなっているかジイジ達に伝えてもらおうと思って |
| ルドガー | 急な…話だな |
| ルドガー | スレイとミクリオの間で話がついたなら、俺達がどうこう言う筋合いじゃないが… |
| ゼロス | …本当に、いいんだな? |
| スレイ | …うん |
| ゼロス | …そうか。だったらもう何も言わねぇよ |
| スタン | わかった。でも、挨拶くらいしたかったな… |
| エリーゼ | 寂しい、ですね… |
| スレイ | 急でごめん、みんな |
| スレイ | でも、オレ達は早くウィンドル港へ向かわないと |
| スレイ | ウィンドルがどんな状態かわからないけど…十分注意していこう |
| ヴェイグ | ああ。しかし、ライラがまだ… |
| ティア | あ、ちょうど来たわ。ライラ!こっちよ! |
| ライラ | …すみません!お待たせしてしまいましたね |
| エリーゼ | 何かあったんですか? |
| ライラ | いえ、大丈夫です。少し野暮用…といったところですわ |
| スレイ | …よし、じゃあ気を取り直して出発しよう |
| scene1 | 戦乱の狼煙 |
| スレイ | さて…ウィンドル港に着いた…けど |
| エリーゼ | グレバムや赤の騎士団の姿は見当たりませんね… |
| ティア | 港の様子は…少し騒がしいように感じるけど… |
| ルドガー | 赤の騎士団やキムラスカの反乱軍と合流したのだろうか… |
| ゼロス | とにかく、その辺の奴らに話を聞いてみよーぜ。何かわかるかもしれねぇ |
| スタン | そうだな。手分けして聞き込みしてみよう |
| | |
| ジェイド | ──以上、ここまでの情報をまとめますと、 |
| ジェイド | キムラスカは、自国の有志により結成された勢力を、正式に反乱軍と断定しました |
| ジェイド | シルヴァラント国王は、グレバムの動かす一部勢力との関係を否定しています |
| ガイアス | …ウィンドルはどうだ |
| ジェイド | セルディク大公が自らの勢力を拡大すべく、国内の貴族や軍に働きかけている模様ですが… |
| ジェイド | 戦争反対派の声もあり、両者のせめぎあいが続いています |
| ガイアス | …しかし、セルディクが強硬な手段に出るのは時間の問題だろう |
| ガイアス | …天啓公表直後にこの状況…天啓に影響された可能性もあるか… |
| ウィンガル | お話し中に失礼いたします。陛下、急ぎご報告したい事が… |
| ガイアス | ウィンガルか。何だ |
| ウィンガル | …先ほど、国境警備隊より報告が入りました |
| ウィンガル | 我が国とウィンドルの国境に多数の軍勢が現れ、警備隊と戦闘を開始した模様です |
| ジェイド | …! |
| ガイアス | ウィンドル軍が動いたか… |
| ウィンガル | いえ、ウィンドル軍だけではありません |
| ウィンガル | ウィンドル、シルヴァラント、キムラスカによる連合軍だと名乗っているとの事です |
| ジェイド | 連合軍?陛下、これは… |
| ガイアス | …動き出したようだな |
| ガイアス | とはいえ、ウィンドル軍といってもセルディクが動かしているのだろう |
| ガイアス | 正規軍が総力を挙げて来たとは思えん。数だけは揃えたか |
| ガイアス | シルヴァラントやキムラスカの軍勢に関しても、同じ事が言える |
| ウィンガル | 寄せ集めの兵のようではありますが、現在国境を攻撃されているのは事実です |
| ウィンガル | 前線から増援の要請が来ています。こちらもすぐ兵を派遣すべきかと |
| ガイアス | ああ、構わん。それはお前に任せる |
| ガイアス | ただし、スレイ達の情報により、戦争が晶化現象を助長させる事が判明している |
| ガイアス | 戦闘行為はあくまで最小限に留め、民の安全を最優先するよう各部隊に通達しろ |
| ウィンガル | 晶化現象を危惧する陛下のお考えはわかりますが |
| ウィンガル | あまり消極的な姿勢だと、時間稼ぎにしかならないのでは |
| ガイアス | わかっている。時間稼ぎで構わん |
| ガイアス | ジェイド、急ぎ各国との会合の場を設けよ |
| ジェイド | …はい。少々骨が折れそうですが、何とかやってみましょう |
| ガイアス | … |
| scene2 | 戦乱の狼煙 |
| スレイ | ウィンドル港の人達にいろいろ話を聞けたのはよかったんだけど… |
| ルドガー | 正直、認めたくない状況だな… |
| スレイ | ああ…。すでにグレバムは赤の騎士団や反乱軍と合流していて… |
| スレイ | しかも、国境付近では、その一団とア・ジュール軍との間で戦闘が始まっていたなんて… |
| ヴェイグ | 巷では、そのグレバム達の一団…連合軍、と呼ばれていた |
| スタン | 連合軍…本当にア・ジュールを攻めるなんて…奴ら、何て事を… |
| ゼロス | 間に合わなかったな… |
| エリーゼ | このままじゃ、たくさんの人が犠牲に… |
| ヴェイグ | 世界中の晶化の進行も加速するかもしれない… |
| スレイ | … |
| | |
| スレイ | いや、まだ望みはある。きっとまだ、やれる事があるはずだ |
| ライラ | スレイさん… |
| スレイ | オレはみんなが安心して暮らせるそんな世界を守りたい |
| スレイ | だから、戦争が起こっているなら、止めなくちゃいけないんだ! |
| スタン | スレイ… |
| エリーゼ | はい…私だってミラやジュードのために頑張るって決めました |
| ヴェイグ | …そうだな |
| スタン | 戦争を止める、か…こうなったらそれしかないな! |
| ゼロス | おいおい、でも俺さま達だけじゃ何にも… |
| エリーゼ | ゼロス…ゼロスも手伝ってくれますよね…? |
| ゼロス | うっ…。エリーゼちゃんにそんな目で見つめられると、ノーとは言えねぇな |
| ゼロス | 矢でも鉄砲でも持って来いってんだ |
| | |
| スレイ | みんな…!ありがとう |
| スレイ | ガイアスさん達…ア・ジュールの協力は得られるはずだから、連合軍を何とか… |
| ティア | その連合軍だけど、かなり急ごしらえなのか、あまり統率が取れていないみたい |
| ティア | 寄せ集めの集団にしか見えなかったって言う人もいたわ |
| ティア | 手勢だけでは足りずに傭兵を多く雇い入れて、人が増えた事で物資の補給も追い付かないらしいわ |
| ゼロス | ふーん…物資の補給ね…。まぁ急ごしらえの軍隊だからそうもなるだろうな |
| ルドガー | そもそも連合軍は何故ア・ジュールを狙うんだろうか? |
| エリーゼ | そういえば、フィリア司祭が話していましたが… |
| エリーゼ | 天啓をないがしろにした天罰でア・ジュールが滅ぶべきだと言う人もいるとか |
| ゼロス | どこか一国が滅ぶなら、先にア・ジュールを滅ぼせばいいって考えなんじゃねぇの? |
| スタン | 身勝手な考えだけど…そういう事なんだろうな |
| 女の声 | きゃああ!? |
| エリーゼ | 今の声は…? |
| ヴェイグ | 向こうの路地裏の方から聞こえたようだが… |
| ティア | 行ってみましょう |
| | |
| スレイ | あ…! |
| ライラ | 女の人が… |
| 傭兵1 | 俺達はお国の為に戦う兵士だぜ |
| 傭兵2 | ア・ジュールへ行くための足代が足りねえんだ。ちょっとでいいんだ、用立ててくれよ |
| ティア | やめなさい!人を脅して、お金を巻き上げようだなんて最低だわ |
| ゼロス | 絵に描いたようなゴロツキだな |
| 傭兵1 | 誰がゴロツキだ!邪魔するなら容赦しねぇぞ! |
| スタン | 向かってくるか…! |
| scene3 | 戦乱の狼煙 |
| ゼロス | どうだ、まだやる気か? |
| 傭兵1 | くっ、こいつら強え…逃げろ! |
| 女 | ありがとうございました。危うく、またお金を取られるところでした |
| ライラ | また…?今のが初めてではなかったのですか |
| 女 | はい…セルディク様による徴兵の影響か最近はああいう輩が増えて、港の治安が悪くなる一方で… |
| ティア | そうだったの… |
| ルドガー | 戦争で仕事を求めてきた傭兵達だろうな。それも粗暴な輩だったが… |
| スレイ | これも戦争による弊害なんだな… |
| | |
| エリーゼ | 連合軍に攻められているア・ジュールは大丈夫でしょうか? |
| ルドガー | ア・ジュール軍は強いし、正規軍で統率もとれている。早々に敗れる事はないだろうが… |
| ルドガー | 争いが晶化の進行に繋がる事がアニスを通じて伝わっているはずだ |
| ルドガー | それを知っていれば、恐らく積極的な攻撃は避けるだろう |
| ヴェイグ | しかし、防戦一方となればア・ジュールが厳しい立場になる… |
| スタン | 早く、グレバムやセルディクのいるところまで行かないとな |
| ティア | そこまで行くのはかなり険しい道のりになりそうね… |
| スレイ | 少しでも早く、戦いを抑える事が出来ればいいんだけど |
| ゼロス | なら、俺さまにいい考えがあるぜ! |
| エリーゼ | いい考え、ですか? |
| ゼロス | ああ。連合軍は数は多いが、質は大した事はねぇ。さっきの傭兵崩れを見ればわかるだろ |
| ゼロス | ちょっとつつけばほころびが出やすいはずだ |
| ルドガー | というと? |
| ゼロス | ティアちゃんがさっき、物資の補給が間に合っていないって言ってたろ? |
| ゼロス | 補給が間に合っていないという事は補給部隊の警備もおそらく手薄だ |
| ゼロス | 補給部隊を邪魔しつつ、前線に向かう…そうすれば移動しつつ戦力を効率よく削げるぜ |
| ゼロス | 腹が減っては戦は出来ねーからな |
| ティポ | なるほどねー! |
| エリーゼ | …少し、悪い事をする気持ちになりますね… |
| ヴェイグ | まあ、有効な手段なのは確かだろうオレは賛成だ |
| ルドガー | 連合軍に正面から挑む事は出来ないが、それなら俺達でも出来そうだしな |
| スレイ | 上手くいくかな… |
| ゼロス | 案ずるより産むが易しってな。特に反対がないならやってみようぜ |
| | |
| ミクリオ | スレイ達は今頃、ウィンドル港か… |
| ミクリオ | …いや、もう僕には関係ない話か。考えても仕方ない |
| ミクリオ | …この宿も、そろそろ引き払わないと |
| ミクリオ | ん…?テーブルの上に、何か… |
| ミクリオ | これは…手紙…? |
| ミクリオ | … |
| ミクリオ | 手堅いクセに意地っ張り、か… |
| scene1 | 戦地を目指して |
| ゼロス | 待て待て待てーい! |
| 連合軍兵 | な、何だ、お前達は!? |
| ゼロス | さあさあ、全員大人しくしな |
| ゼロス | お前達の運んでる荷物、前線に送る補給物資だろ? |
| ゼロス | 悪いけど、俺さま達のために、そいつをここへ置いてってくんねぇか |
| 連合軍兵 | 何を馬鹿な事を…そんな事が出来るわけがなかろう! |
| ゼロス | やっぱり駄目? |
| 連合軍兵 | 当たり前だ! |
| | |
| ゼロス | そーかい。んじゃ仕方ねぇな。こっちも事を荒立てたくはなかったんだが… |
| ゼロス | 先生~!ティポ先生~!お願いしま~す! |
| | ガサガサ… |
| 連合軍兵 | な、何だ!?まだ誰か… |
| | |
| ティポ | がおおおーーー! |
| 連合軍兵 | 魔物…!?しかも、こんな巨大な…! |
| ティポ | たーべーちゃーうーぞー! |
| 連合軍兵 | うわあああ!? |
| ゼロス | お帰りはあちらでございまーす、ってな |
| | |
| ゼロス | でひゃひゃひゃ!また上手くいったな~ |
| ゼロス | しっかし仮にも軍の補給部隊だってのに、気概がねぇ奴らだなぁ… |
| スレイ | ゼロス…楽しそうだな |
| エリーゼ | こんな事していいのでしょうか… |
| ゼロス | エリーゼちゃんはそう言うけど、先生本人はノリノリみたいだぜ? |
| ティポ | がるるるるー |
| エリーゼ | もう、ティポったら… |
| 村人 | 本当に…この食料持って行っていいのかい |
| ティア | はい。今回の騒動でお困りでしょうし… |
| 村人 | ありがとう、みんなで運ぶよ |
| ルドガー | 奪った品も近隣の住人に渡せるし、いい事づくめだな |
| ゼロス | うーん、この案を考えた俺さま、やっぱり天才? |
| スタン | 調子いいなぁ、ゼロスは… |
| ヴェイグ | とはいえ、目的は戦場だ。これから危険も多くなるだろう |
| ライラ | ええ…。気を付けて進みましょう |
| scene2 | 戦地を目指して |
| カーツ | 第2大隊が敵の防衛線を突破し、ア・ジュール領内に侵入いたしました |
| カーツ | 第4大隊も敵部隊を敗走させ、目下追撃を行っています |
| セルディク | よくやった。ア・ジュール軍も大した事はないな |
| セルディク | かつて我が国が、ア・ジュールを相手にして、これほど勝利を重ねた事はなかった |
| セルディク | これぞまさに、私が真のウィンドル国王としてふさわしい資質を持つ事の証だ |
| セルディク | この勢いのまま、一気にカン・バルクまで攻め入るぞ! |
| カーツ | 大公殿下の仰せのままに。それと…少々、気になる報告が |
| セルディク | 何だ? |
| カーツ | このところ、後方からの補給物資の到着が、滞り気味になっています |
| カーツ | なんでも、輸送ルートに現れる盗賊と魔物の仕業のようでして |
| セルディク | 何をやっているのだ…。まあよい。少々物資の到着が遅れたからといって大きな影響はあるまい |
| セルディク | 物資が足りなくなる前に、さっさとカン・バルクを陥落させてしまえば済む話だろう |
| カーツ | …仰る事はごもっともです。しかし、戦に物資は欠かせぬものであるのも事実 |
| カーツ | この後、ア・ジュールは中央から増援を寄越すはずです。今後に備え補給路は確保すべきかと |
| セルディク | ふむ…。しかし何もお前が行かずとも、他の隊長に向かわせればいいのではないか? |
| カーツ | 大公殿下の仰るように、戦況はこちらが優勢です。少しの間私が離れても問題はありません |
| カーツ | 賊はこの近くのようです。迅速に、確実に仕留めて参ります |
| セルディク | そこまで言うならお前に任せる。わが軍の物資を付け狙う卑しい賊を速やかに成敗しろ |
| カーツ | はっ… |
| セルディク | さあ…もうすぐだ。私はウィンドルとア・ジュールを束ねる頂点となるのだ |
| セルディク | くくく… |
| | |
| ティポ | がーおー! |
| ウィンドル兵 | うわあああ!? |
| | |
| ゼロス | よし、また成功~! |
| スタン | 結構な数の補給部隊を妨害してきたな |
| ルドガー | しかし連合軍の侵攻は、予想していたよりずっと早いようだ… |
| ルドガー | この分だと、守る側のア・ジュールも、かなり苦戦しているだろう |
| エリーゼ | 心配ですね… |
| スレイ | ん…?あれは… |
| | |
| エリーゼ | あ… |
| ヴェイグ | 森が… |
| ティア | 完全に晶化しているわね… |
| スレイ | ここまで進んでるなんて… |
| ライラ | … |
| スレイ | 前に、ウィンドルに来た時もかなり晶化現象は進んでたけど… |
| スレイ | ここまでじゃなかったよな、ミクリオ… |
| スレイ | あっ…と |
| ゼロス | おいおい、ミクリオは故郷に帰ったんだろ?しっかりしてくれよ? |
| エリーゼ | スレイ…無理してませんか? |
| スレイ | はは…大丈夫。ついクセで呼んじゃっただけだよ |
| エリーゼ | それならいいんですが… |
| ルドガー | しかし、これだけ広い範囲の晶化を見たのは、初めてだ… |
| スタン | やっぱり戦争が始まった事が関係してるのかな |
| ヴェイグ | 戦火が拡大していったら…今よりもっと早い速度で晶化現象が進行するかもしれないな… |
| ティア | …そんな事させないわ。そのためにも戦争なんて早く終わらせないと |
| | ピキ…! |
| スレイ | …! |
| | ピキピキピキッ! |
| スレイ | 晶化だ…!みんな、ここから離れろ! |
| | ピキンッ! |
| エリーゼ | また大量の木が… |
| ゼロス | 一度にまとめて晶化しやがった…こんな調子で広がってたのか |
| スタン | 目に見える速さで…!このままじゃ本当に…! |
| スレイ | 早く…戦争を止めないと…! |
| ライラ | … |
| scene1 | 双槍の襲来 |
| スタン | この辺も晶化が進んでるな…。さっきの森程じゃないけど… |
| ルドガー | 元々ウィンドルの北部…ア・ジュールとの国境に近いこの辺は晶化現象の進行が早かったそうだが… |
| ライラ | … |
| スレイ | ライラ、どうかしたの? |
| ライラ | … |
| スレイ | …ライラ? |
| ライラ | あ、はい、何でしょう |
| エリーゼ | 何か気がかりな事があるんですか? |
| ライラ | すみません…ちょっと考え事を |
| ライラ | 私が長くいた湖の遺跡も、ここからはそう遠くないので… |
| ライラ | 遺跡ごと、晶化しているのでは…そんな事を考えていました |
| スレイ | …ライラはあの場所に思い入れがあるんだね |
| ライラ | ええ、思い出深い場所ですから。自分の家みたいなものでしょうか |
| スタン | 家…か。リリスやリオンは大丈夫かな… |
| ルドガー | イニル街まで、この晶化が及んでいないと信じたいが…。エルや兄さんは… |
| ティア | … |
| | |
| ゼロス | うーん…補給部隊が見つからねーな |
| ティア | 少しでもア・ジュール軍の手助けになっていればいいのだけれど |
| ゼロス | こういうのは、ジワジワ効いてくるもんさ |
| ヴェイグ | 何もしないよりはいいだろう。もうすぐ国境だ。戦場は近いぞ |
| ゼロス | …お!補給部隊発見!行こうぜ、先生 |
| ティポ | はーい! |
| スタン | はは…ティポも張り切ってるな |
| エリーゼ | ティポが不良にならないか…心配になります |
| scene2 | 双槍の襲来 |
| 連合軍兵 | うわあああ! |
| ゼロス | よし、これでまた、補給部隊を一つ退散させてやったぜ |
| ティポ | 順調だねー♪ |
| | |
| ??? | いたぞ!こっちだ! |
| スレイ | …!?兵が戻ってきたのか? |
| | |
| 連合軍兵 | 全員動くな!これ以上の狼藉は許さん! |
| ルドガー | 武装兵…連合軍か…! |
| ゼロス | ちっ、ついにバレて救援に来やがったか |
| ??? | 我が軍の兵站を妨害しているのは、お前達だな |
| ゼロス | ん…?お前は…? |
| ヴェイグ | カーツ…! |
| カーツ | む…。お前は…以前メルトキオで… |
| カーツ | …まあいい。我々の邪魔をするのであれば、誰であろうと容赦はしない |
| ティア | いずれ増援が来るかもしれないと思ってはいたけど…赤の騎士団の団長自らが来るなんて… |
| ゼロス | 何にせよ、そっちからやって来てくれたのなら好都合だ |
| カーツ | お前達の目的は何だ。何故、連合軍の補給部隊を襲撃する? |
| スレイ | 戦争を止めるためだ。それ以外に理由なんてない |
| スレイ | 負の感情は晶化現象を助長する原因にもなってる。だから、戦争なんて早くやめないと… |
| カーツ | 晶化現象を助長する…?お前、どこからその情報を得た? |
| スレイ | オレ達の仲間が突き止めた事だ。その仲間も、晶化してしまったけど… |
| エリーゼ | … |
| ルドガー | お前達も、これ以上争うのはやめてくれ。本当に取り返しのつかない事になる |
| カーツ | … |
| 連合軍兵 | カーツ隊長、あの者達の言っている事は… |
| カーツ | 我々を惑わせようとする敵の妄言だ。耳を貸す必要はない |
| カーツ | あの者達を捕らえる。大公殿下の元へと連れ帰るぞ |
| ヴェイグ | …!オレ達が大人しく捕まるとでも? |
| ティア | そうね。全力で抵抗させてもらうわ |
| ゼロス | 赤の騎士団の団長を押さえる事が出来れば戦力を削ぐ事にもなる… |
| ルドガー | だな…みんな、注意していこう。連れてる兵士も少なくない |
| カーツ | …いくぞ! |
| scene1 | 二人の夢 |
| カーツ | ぐっ… |
| ゼロス | どうだ?俺さま達の実力、思い知ったか |
| ヴェイグ | お前の部下は全員退けた…。これ以上の抵抗は無意味だ |
| カーツ | 無意味だと…?そんな事はない…私には…果たすべき…役目が… |
| スレイ | そんな傷で…どうして、まだ立ち上がってくるんだ |
| ライラ | 何があなたをそうまで駆り立てるのですか? |
| ゼロス | もう、やめとけって。セルディクなんて胡散臭い奴に、忠誠を尽くす必要はねーって |
| カーツ | うるさい…お前達に何がわかるというのだ |
| ヴェイグ | ずっと…引っかかっていた。何故お前はセルディクに付き従っているのだろうかと |
| ヴェイグ | あの時、街の人に剣を抜こうとした部下を止めただろう |
| ヴェイグ | お前は考えなしに動いているようでもないし、単なる出世欲で動いているようにも見えない |
| カーツ | … |
| ヴェイグ | 何か事情があるのではないか? |
| カーツ | …私はただ、世界に平和を取り戻したいと思っているだけだ |
| ティア | 矛盾しているわ。だったら何故戦争を起こそうとするの? |
| ティア | それに平和を望むというなら、私達と目的は同じよ。争う理由なんて… |
| カーツ | 違う。お前達の行為は、真の平和の到来を、邪魔しているにすぎん |
| スレイ | オレ達が邪魔…?どういう事だ? |
| カーツ | 私は何としても、理想を実現させる。そのためなら… |
| カーツ | この命…惜しくはない! |
| カーツ | うおおおおっ! |
| スタン | 突っ込んで来るぞ! |
| スレイ | くっ! |
| ゼロス | ちっ…どうなっても知らねーぞ! |
| ??? | そこまでだ。引き際を知れ、カーツ |
| ティア | …!? |
| ルドガー | カーツを止めた…!?あの男は…? |
| ティア | 兄さん…! |
| ヴァン | …ティアか |
| スレイ | ティアの…お兄さん? |
| スタン | と言う事はあの人がヴァン… |
| ルドガー | 何故ここに…! |
| | |
| カーツ | ヴァン…! |
| ヴァン | 手酷くやられたな、カーツ |
| カーツ | くっ…まだ、私は… |
| スレイ | まさか、カーツもヴァンと繋がっていたのか? |
| ルドガー | 連合軍も…いや、そもそも赤の騎士団もヴァンが糸を引いていたという事か…! |
| ヴァン | お前達も小賢しい真似をしてくれたものだな。しかし、もう戦いが止まる事はない |
| ティア | 兄さん! |
| ティア | 一体何をしているの?あなたの目的は何なの? |
| ティア | 答えて、兄さん! |
| ヴァン | …ティア、言ったはずだ。私の理想を妨げる者は何者だろうと排除する、と… |
| ヴァン | それを聞いてなお、私の前に立ちはだかると言うのならば今度こそ… |
| | |
| | チャキ… |
| ティア | …やはり、答えてはくれないのね |
| スタン | やる気か…?また妹に剣を向けるのか、ヴァン! |
| エリーゼ | ティアが、可哀相です…! |
| ゼロス | 酷い兄貴もいたもんだ。許せねぇな、同じ兄としちゃ… |
| ヴェイグ | ここで決着をつけるぞ…! |
| スレイ | たとえどれほど強くても、オレ達の力を合わせれば… |
| ライラ | 勝機はあるはずですわ |
| ティア | いいわ、兄さん。あなたに一切話をするつもりがないのだとしても |
| ティア | 私達は力ずくでも、あなたを止めてみせる! |
| ヴァン | … |
| スレイ | 行くぞ! |
| scene2 | 二人の夢 |
| スタン | うぐっ… |
| ヴァン | …甘いっ |
| | ズバッ! |
| スタン | うわあっ!? |
| スレイ | スタン! |
| ゼロス | よくもスタンを! |
| | ズドッ! |
| ゼロス | うっ… |
| スレイ | ゼロス! |
| スレイ | 何て強さだ…。オレ達を、一人で圧倒するなんて |
| ヴェイグ | カーツ達と戦った後とはいえ…差がありすぎる… |
| ティア | 兄さん…! |
| ヴァン | …これで終わりだ |
| ティア | あの技…!危険よ、みんな退いて! |
| ヴァン | 星皇… |
| ヴァン | 蒼破陣! |
| | ズバーーーーッ! |
| エリーゼ | きゃああああっ!? |
| ティポ | ぎゃーーーーっ! |
| | |
| ヴァン | … |
| ヴェイグ | うっ…! |
| スレイ | みんな…! |
| スタン | くそっ… |
| ゼロス | くっ…体が…尋常じゃねぇ強さ…だぜ… |
| スレイ | …その剣の腕、正しく使えば多くの人を守る事が出来る力なのに…! |
| スレイ | どうしてお前は戦乱を望むんだ…その先に何を求めている! |
| ヴァン | …若き剣士よ。お前もいずれ理解する時が来る。この世の不条理と絶望を |
| ヴァン | 人の力では、変えられぬものがあるという事をな |
| | |
| スレイ | …っ! |
| スレイ | …ライラ、神依だ |
| ライラ | !スレイさん… |
| スレイ | みんなを守りたい。今こそ神依の力が必要なんだ! |
| ライラ | はい、わかりましたわ |
| ヴァン | …!何か隠し玉があるようだな |
| ヴァン | させるか! |
| スレイ | …! |
| ライラ | スレイさん…!危ないッ! |
| | ズバッ! |
| ライラ | きゃああっ!? |
| スレイ | ライラ! |
| ヴァン | これで仲間は全て倒れた。負けを認め、運命を受け入れるがいい |
| スレイ | …嫌だ |
| スレイ | たとえ、一人になってもオレは諦めるわけにはいかない! |
| スレイ | みんなが安心して暮らせる世界を守るんだ。それがオレの…導師の役目だ! |
| ヴァン | ほう、背負うものはあるようだな。…ならば、全力で応えてみせろ |
| | チャキ… |
| ルドガー | く、来るぞ、スレイ…逃げ… |
| スレイ | 逃げない…!オレは、諦めない! |
| ヴァン | …散れ。その剣、次の世で正しく振るわれる事を祈ろう |
| | |
| ??? | ──全く。君って奴はどこまでも… |
| スレイ | …!? |
| | ザァアアアア… |
| | |
| ヴァン | む…!水の壁…!? |
| スレイ | これって…まさか… |
| ミクリオ | 一人で無茶するなんて君らしくないぞ、スレイ |
| | |
| スレイ | …ミクリオ |
| ライラ | ミクリオさん…! |
| スレイ | ミクリオ…どうしてここに…! |
| ミクリオ | ──うぬぼれるな。何が僕のためだ |
| ミクリオ | 確かに、僕は手堅いクセに意地っ張りだ |
| ミクリオ | 君が契約を拒んだ事で余計に意地を張ったさ |
| ミクリオ | だけどな、スレイ。君は肝心な事がわかってない! |
| ミクリオ | イズチを出て、今まで旅をしてきたこの世界を守りたい… |
| ミクリオ | 自分だけがそう考えてるなんて思うな。これは紛う事ない… |
| ミクリオ | 僕自身の意志だ! |
| スレイ | ミクリオ… |
| ミクリオ | 晶化現象が何だ。そんなもの、僕が何とかしてやるさ |
| ミクリオ | へっぽこ導師の、君の力なんて借りなくてもな! |
| ミクリオ | けど… |
| ミクリオ | スレイ。もし君も世界を守りたいと…本気で思っているのなら |
| ミクリオ | 特別に、僕を手伝う事を許してやる |
| | |
| スレイ | … |
| ミクリオ | … |
| スレイ | …ぷっ |
| スレイ | ははは…! |
| ミクリオ | 笑うな。僕は真剣に言ってるんだぞ |
| スレイ | ごめん…でもおかしくて |
| スレイ | そうか…そうだったんだな |
| スレイ | この世界を、守りたい──…。これは、オレ一人の夢じゃない |
| | |
| スレイ | これは、オレ達の… |
| ミクリオ | ──夢だ |
| ライラ | スレイさん…ミクリオさん… |
| ゼロス | …ったく、やっぱりケンカしてたんじゃねぇか |
| ルドガー | 戻ってきてくれて…よかった |
| | ザシャアア!! |
| スレイ | 何だ!? |
| ミクリオ | …!時間稼ぎにしかならなかったか…! |
| ヴァン | ふっ、なかなか面白い術を使うな |
| スレイ | ヴァン…! |
| スレイ | ミクリオ、手伝ってくれ!神依を…! |
| | キィィィンーー… |
| スレイ | !?身体が、光に…何だこれ… |
| ライラ | これは、神依の…! |
| ライラ | スレイさん、まさか教えてもいないのに感覚を…!? |
| スレイ | 力が…漲ってくる…。神依を…発動出来る…のか…? |
| ヴァン | お前達、一体何のつもりだ? |
| スタン | …させるかっ! |
| | ザッ… |
| ヴァン | む… |
| スタン | …スレイ、ミクリオ、ヴァンは俺達が足止めする! |
| ルドガー | 早く神依を!今、ヴァンに勝つにはそれしかない! |
| スレイ | …わかった!ライラ、この後はどうすれば!? |
| ライラ | この後は… |
| ヴァン | 貴様ら…まだ立ち上がるか |
| ゼロス | ああ…悪いがここを通すわけにはいかないんでね |
| ヴァン | 邪魔だ! |
| | ドカッ! |
| エリーゼ | 私だって負けるわけにはいかないんです…! |
| ティポ | ここは絶対通さないぞー! |
| ミクリオ | ライラ!契約の方法を教えてくれ! |
| ライラ | 天族が持つ真の名…それを捧げれば契約は完了します |
| ライラ | ミクリオさん…真名を教える事が天族にとってどういう意味なのかはわかりますね? |
| ライラ | 覚悟の上、スレイさんに真名を… |
| スレイ | ミクリオの真名?そんなのとっくに |
| ミクリオ | 教えているさ! |
| ライラ | まあ…! |
| | |
| スレイ | よし!いくぞ、ミクリオ! |
| ミクリオ | …遅れるなよ、スレイ! |
| | |
| | |
| ライラ | やりました…やりましたわ!神依です! |
| スレイ | これがオレ達の… |
| ミクリオ | 神依…! |
| ヴァン | 何を…! |
| スタン | うわあぁ! |
| ミクリオ | スレイ、みんなが! |
| スレイ | わかってる、いくぞ、ミクリオ! |
| ミクリオ | ああ、さっさと終わらせよう |
| ミクリオ | 君には後で言いたい事が山ほどあるしね |
| スレイ | ははっ、オレだってさ…! |
| ヴァン | …! |
| scene3 | 二人の夢 |
| スレイ | これで…どうだ! |
| スレイ | はあっ! |
| | ズンッ! |
| ヴァン | ほう… |
| ゼロス | すげぇ…俺達が全員でかかっても、まるで歯が立たなかったヴァンを… |
| エリーゼ | 押してます… |
| ティポ | スレイ君達、すごいーっ! |
| ライラ | 初めてでこんなに使いこなせるなんて… |
| ヴァン | …!なかなかやるな… |
| スレイ | はあ…はあ… |
| ヴァン | 導師──スレイと言ったか。私の敵として、よく覚えておこう |
| スレイ | 逃げるのか!? |
| ヴァン | まだその時ではない…。私も今ここで、倒れるわけにはいかんのでな |
| ヴァン | 勝負は預けておく。決着はいずれ… |
| スレイ | まだ…終わりじゃない! |
| ミクリオ | 逃がすか! |
| ヴァン | はぁっ! |
| | ズシャッ! |
| ミクリオ | 砂塵を巻き上げたのか…! |
| スレイ | うっ…!視界が…! |
| ティア | 兄さん! |
| スレイ | ヴァン、待て! |
| スレイ | くっ… |
| スレイ | ヴァンが消えた… |
| ミクリオ | ヴァンだけじゃない。カーツの姿も見えないぞ |
| スレイ | 一緒に連れて行ったのか… |
| スレイ | まだ遠くへは行っていないはずだ。今なら… |
| ミクリオ | いや、それは無理だ。みんなを見るんだ |
| スレイ | あ… |
| | |
| ティア | … |
| ライラ | ティアさん、大丈夫ですか?しっかりなさってください |
| エリーゼ | ティア…!気を失ったようです…! |
| ティポ | うわーん!ティア君がー! |
| | |
| ミクリオ | …今はみんなの手当てを優先すべきじゃないか? |
| スレイ | そうだな…みんなボロボロだ |
| ミクリオ | 周囲を引き続き警戒しつつ、治療を行おう |
| スレイ | わかった |
| scene1 | 約束を胸に |
| ティア | う… |
| ライラ | …! |
| | |
| ティア | …?ここは… |
| ライラ | 目を覚まされましたね、ティアさん |
| エリーゼ | ここは…ヴァンと戦った森の近くにあった村です |
| ライラ | 幸い、この村は連合軍と関わりがなかったので負傷した私達をみなさん快く受け入れてくれました |
| ティア | そうだったの… |
| | コンコン |
| エリーゼ | はい |
| スレイ | ティアの具合はどう? |
| スレイ | …よかった、目を覚ましたんだね |
| ライラ | はい。たった今 |
| スレイ | 向こうの部屋で、これからの事を話し合おうと思うんだけど… |
| スレイ | ティアは起きられる…? |
| ティア | ええ、大丈夫よ。すぐに行くわ |
| ゼロス | ティアちゃん!怪我はどう? |
| ティア | 休ませてもらったしもう大丈夫よ。ありがとう |
| ヴェイグ | そうか… |
| スタン | しかし、スレイ達の神依…導師と天族の一心同体ってああいう事だったんだな |
| スタン | 突然ミクリオが現れた時はびっくりしたけど |
| ティポ | 戻ってきたーと思ったらいきなり男のユージョーしてたねー |
| ミクリオ | みんなには迷惑をかけてしまった。本当にすまない |
| スレイ | みんな。ごめん… |
| ルドガー | 何はともあれ、丸く収まったならよかったよ |
| エリーゼ | ミクリオが戻って来てくれて、心強いです…! |
| ルドガー | さ、ティアも目を覚ました事だし、情報を一度整理しよう |
| スタン | ヴァンは…あの場に現れて、カーツに引き上げるぞって言ってた |
| ヴェイグ | …つまり、ヴァンとカーツは…いや、連合軍とヴァンは繋がっている |
| ゼロス | …ヴァンがカーツやシンクを使って、連合軍をまとめあげた、ってのが正しいのかもしれないな |
| ルドガー | おそらく、赤の騎士団もヴァンがカーツに作らせたんだろう。セルディクを上手くそそのかして… |
| ルドガー | カーツは、戦争を止めようとする俺達の行為が、平和の邪魔だと言っていた |
| エリーゼ | 争いこそが理想を生む…ですか |
| スタン | 晶化を進行させる争いを起こす…って事は、ヴァンは晶化を望んでいるんだろうか |
| ルドガー | ヴァンの理想が何なのかはわからないが… |
| ゼロス | アリスやデクスも利用して各地の混乱も煽ってたから、晶化が目的って線は強いかもな… |
| ティア | 晶化の進行に関係している…確かに辻褄が合うかもしれない |
| ティア | その仮定が正しければ、兄さんは…世界にとっての敵になるわね |
| ライラ | ティアさん… |
| ティア | 晶化現象が、兄さんにとってどんな意味があるのかまではわからないけれど… |
| ティア | とにかく、今は戦争を止める事が先決よ |
| スレイ | ヴァンが争いや晶化を望んでいるなら戦争を止めようとするオレ達とまた戦う事になるよな? |
| エリーゼ | そう…ですね |
| ゼロス | 急いで追いつきたいところだけど今は満身創痍だしよ…少し休んで立て直した方がよくねぇか |
| ヴェイグ | ああ。ヴァンは強い…。それにこの先は戦場だ。万全を期すべきだろう |
| ルドガー | よし、じゃあ今日は解散して明日に備えよう |
| ミクリオ | …ライラ |
| ライラ | はい、何でしょう、ミクリオさん |
| ミクリオ | 手紙、ありがとう。お蔭で誤った判断をしなくてすんだよ |
| ライラ | ふふ。お役に立てて何よりです |
| ミクリオ | おやすみ |
| スレイ | …手紙って? |
| ライラ | 何でもありませんわ。それより、スレイさん |
| スレイ | 何?ライラ |
| ライラ | その…スレイさんとミクリオさんの神依、素晴らしかったです |
| ライラ | 初めて神依をしたとは思えないくらい息がぴったりで… |
| ライラ | お二人がこれまでに培った、絆の賜物なのでしょうね |
| スレイ | そうやって改めて言われると、何だか照れるな…。でも、ありがとう |
| ライラ | スレイさん、私が前にお話しした事を、覚えていらっしゃいますか? |
| ライラ | 導師は闇に飲まれた世界を救う事が出来る、「導きの光」だという事… |
| スレイ | 勿論、忘れていないよ |
| ライラ | 導師であるスレイさんには… |
| スレイ | わかってる。過酷な運命が待ち受けてるんだろ? |
| スレイ | それでも、オレは決めたよ。ミクリオと約束したんだ |
| ライラ | ふふ。そうでした。言うまでもありませんでしたね |
| スレイ | それで…ライラにも改めて言うけど |
| スレイ | ライラも、オレと契約してほしい。オレに力を貸して |
| スレイ | ライラにも過酷な運命ってやつを背負わせてしまう事になるけど… |
| ライラ | スレイさん… |
| ライラ | 晶化が進む中、こんな事を言うのは不謹慎かもしれませんが… |
| ライラ | 私、スレイさん達と旅をするのが、とても楽しいんです |
| スレイ | 楽しい? |
| ライラ | ええ。晶化現象や、戦争が今目の前で起こっていますが… |
| ライラ | 旅の中で、スレイさんやみなさんといると、笑いも絶えませんし…何より、とても頼りになります |
| ライラ | みなさんとなら、きっとどんな困難も乗り越えていける…そう思うんです |
| スレイ | ライラ… |
| ライラ | そして、スレイさんとミクリオさんの神依を見て、確信しました |
| ライラ | スレイさんが導師として歩き始めた今、スレイさんならきっと平和を取り戻せると |
| ライラ | だから、スレイさん。改めて聞くまでもないですわ |
| スレイ | …ありがとう、ライラ |
| スレイ | よし、じゃあ晶化現象の問題が解決して、平和な世界を取り戻せたらオレとミクリオと三人で旅して回ろう |
| スレイ | 世界にはまだまだ、オレ達の知らないところがたくさんある |
| スレイ | いろんな場所へ行って、いろんな景色や、人…街を、たくさん見に行こう |
| ライラ | はい!…約束、ですわね? |
| スレイ | ああ、約束だ |
| スレイ | これからもよろしく頼むよ、ライラ |
| ライラ | はい、こちらこそ。スレイさん |
| スレイ | それじゃ…明日も早いし、そろそろ休んだ方がいいよね |
| ライラ | そうですわね、おやすみなさい、スレイさん。また、明日 |
| スレイ | うん、また明日。おやすみ、ライラ |
| scene2 | 約束を胸に |
| ティポ | ヴェイグ君、おはよー! |
| エリーゼ | おはようございます |
| ヴェイグ | …おはよう。エリーゼ、ティポ |
| ティア | これで全員揃ったかしら? |
| スレイ | いや、ライラがまだみたいだ |
| ゼロス | 何だ、ライラちゃんが遅れるなんて珍しいな? |
| エリーゼ | そう言えば…私が出て来る時、まだ部屋にいましたね |
| ティポ | ライラ君、今日はゆっくりだねー |
| スレイ | おーい、ライラ、大丈夫? |
| ライラ | すみませーん!すぐ行きますー |
| | ガタタッ! |
| ミクリオ | 家具にぶつかったのか? |
| スレイ | ライラー、そんなに慌てなくても大丈夫だよ。オレ達なら… |
| | |
| | ピキ… |
| スレイ | え…?何か光って… |
| ミクリオ | …! |
| ミクリオ | スレイ、離れろ! |
| | |
| | ピシッ…ピシッ…! |
| ミクリオ | これって…! |
| スレイ | まさか…晶化!? |
| ルドガー | しかも宿ごと…!これじゃ中のライラは… |
| スレイ | ライラ!すぐに助けに…! |
| | ピキッ! |
| スレイ | くっ… |
| スタン | うっ…! |
| | ピキピキピキッ…! |
| スレイ | ラ、ライラが…まだ中に… |
| エリーゼ | ミラの次はライラまで…?こんなのって… |
| ティポ | エリー… |
| ゼロス | くそっ…!ライラちゃん…! |
| ティア | … |
| スレイ | そんな…約束したのに…ライラ… |
| | |
| エリーゼ | スレイ… |
| エリーゼ | 晶化を解決して、ライラを元に戻しましょう |
| ミクリオ | そうだ…結晶の中の命は生きている… |
| ミクリオ | スレイ…悔しいが今は堪えよう |
| スレイ | … |
| スレイ | ありがとう、二人とも。大丈夫、もう…決めたから |
| ヴェイグ | …決めた? |
| スレイ | うん…オレ、昨日ライラと約束したんだ |
| スレイ | 晶化現象をなくす事が出来たら一緒に世界を見て回ろうって… |
| ルドガー | 約束… |
| スレイ | …なのにオレがここで止まったらそれだけ晶化の解決が遅くなるだろ |
| スレイ | だから…ライラが晶化したのはショックだし、心細いけど… |
| スレイ | オレは立ち止まらない… |
| ゼロス | …そうだな。いい事言うじゃねぇか少しは導師らしくなってきたってか? |
| エリーゼ | きっとミラや…他の晶化した人達もずっと待ってます…! |
| スレイ | うん。オレが…いや、オレ達でライラを…晶化した人達を必ず元に戻そう…! |
| ヴェイグ | …ああ |
| ティア | こんな…こんな事を兄さんが望んでいるかもしれないなんて… |
| ティア | もし、そうなのだとしたら、許せない…絶対に止めないと… |
| スレイ | ライラ…少しだけ、待っててくれ…! |