NameDialogue
scene1アルヴィンの告白
アルヴィンリオンは…
アルヴィン…きっとリドウのところへ向かったんだろう
リタリドウ…?
ミラリドウだと?何故ここで、その名が出て来る
ミラお前は何を知っているのだ、アルヴィン!
アルヴィン
アルヴィンそう急かすなって。そんなに睨まなくてもちゃんと話すよ
アルヴィン本当はリオンがいる時に聞いてもらいたかったんだが
アルヴィン話すタイミングが遅くなっちまったな…
リタもったいつけてないで早く話しなさいよ
アルヴィン
アルヴィンまずはリドウの目的から話をさせてもらうか
アルヴィン奴は、世界の破滅を目的としているんだ
ルークはぁ!?そのリドウって奴、一体──
アルヴィンまあ、待てって!まだ話し始めたばっかりだろ。もう少し聞いてくれ
ミラいや…待て、アルヴィン。何故お前がリドウの目的を知っているのだ?
アルヴィンそこは誤解されたくないから答えておくが、実はリドウとは古い付き合いでね
アルヴィン手を組まないかと誘われた事があったんだ
アスベルリドウと手を組む…?
アルヴィン勿論断ったぜ
アルヴィンちょっと手荒な方法で奴の事も止めるつもりだったんだが、逃げられちまってな…
アルヴィンだが、その時奴は自分一人殺しても無駄だ、みたいな事を仄めかしていてな
アルヴィン他に仲間がいるという事かと思ったものの、確証が持てなかったんだが…
アルヴィン昨晩、ユグドラシルって奴の存在を聞いてピンと来たんだ
アルヴィンそのユグドラシルが、リドウと世界を破滅させようとしている奴なんじゃないかってな
リッドユグドラシルは戦争を起こす以外にも計画を用意してるみたいな事デュークも言ってたな…
ミラユグドラシルが戦争を誘発し、大精霊を暴走させていた行為は世界を破滅させるためだった…と
アルヴィンそういう事だ
アスベルリドウとユグドラシルが協力関係にあるかも知れない事はわかった
リタでもそこに、リオンがどう関わってくるわけ?
アルヴィンリドウは俺達の中に内通者がいるような事も言ってたんだ
リタ…リオンがその内通者だって言いたいの?
ルーク!?リオンが?
アルヴィン俺の予測だがな
カノンノそんな…
アルヴィン状況からして、リオンはおそらくカノンノのネックレスを持ってリドウの元に向っているだろう
リタあいつが…でも待って。仮にそうだとして、何をするつもりだっていうの?
リタあのネックレスだってカノンノ以外が触れても何の反応もしないのよ?
ミラしかし、あれほどの力を持つ大精霊が宿ったネックレスだ
ミラネックレスを利用する何かしらの当てもあるのかもしれない
ルーク何にしたって、ロクでもねー事に使われる気しかしねーな
リッドアルヴィンの言っている事が本当ならまずい状況なんじゃねぇのか?
アスベル…アルヴィンはどうしてリオンが内通者だと思ったんだ?
アルヴィンああ。それについても説明するよ
アルヴィン俺がリオンと出会った頃…。世界の異変の原因が大精霊の暴走にあるとは、明るみになっていなかった
アルヴィンそれなのに、リオンは初めから大精霊に対して、やたら固執していたんだ
リタ原因がわかる前から大精霊を気にしていたって事?
スタン…。それに関しては、アルヴィンの言う通りかも知れない
リッドアルヴィンの言う通りかもって、そうなのか?スタン
スタン…実は、ルイニス街の氷をどうすれば溶かす事が出来るかリオンと話をしてた時…
スタンリフィルさんから大精霊イフリートの話を聞いたんだ
スタンその時、リオンの反応が急に変わって…
ミラ出会った当初、確かにリオンとお前はイフリートを捜していたが、それはルイニス街の氷を溶かすためだろう?
アルヴィンだが、ルイニス街の氷がイフリートの炎で溶けないと知った後も、リオンの行動は大精霊に固執したものだった
アルヴィンそれに、お前達と会う前はイフリートを捜すというより大精霊を捜しているような行動も取ってたんだ
アルヴィンリオンだけが大精霊の暴走を鎮めるのとは別の思惑でお前達と行動していたと考えれば…
ミラリドウと同じく、リオンも大精霊を回収するために動いていた。そう言いたいのか?
アルヴィンああ
アルヴィンもし、リオンがリドウの元に行くなら全ての大精霊がネックレスに宿ったこのタイミングかと考えてな
アルヴィンお前達の前で、俺の情報を明かした後リオンに事の真相を追及しようと思っていたんだが…
カノンノネックレスもなくなっちゃったし、リオンもいなくなっちゃった…
アルヴィンああ。一足、遅かった
ミラ…信じがたい事だな
リッド大精霊を回収するためにオレ達と一緒にいたって事か?笑えねえよ…
ルークリオンの奴、ずっと俺達を騙してたっていうのかよ…
アスベルリオン…
カノンノ
スタン…リオンが俺達を裏切るなんて、そんな事、あるわけがない
アスベルスタン…
スタンリオンは、ルイニス街が氷漬けになった事を心の底から悲しんでいたんだ
スタンそのリオンが…世界の破滅を企むような奴らと、手を組むはずがない!
スタンネックレスを持っていったのがリオンだったとしても、絶対に理由があるはずなんだ…
アルヴィン俺もそう思ってるよ。リオンは何かしらの理由で無理矢理リドウに従わされているんじゃないかってな
ルーク理由って…あ!もしかして何か弱みを握られたとかか?
アルヴィンおそらく、な。俺はそう踏んでいる
カノンノリオンの弱みって?
アルヴィン想像の域は出ないが、俺が思いつくのはルイニス街だな
スタンリオンはルイニス街を何より大切にしてるから…
リッドだとしたら、ルイニス街を盾に取られて従っちまってるのかもな…
ミラリドウがリオンを通じて情報を得ていたのなら、大精霊の宿るネックレスの事も知っていただろう
ミラ信じたくはないが、もしリドウがネックレスを狙い…
ミラそしてアルヴィンの言う通りリオンが内通者だったとすれば…
ミラ今回のネックレスがなくなった件も、リオンが同時に消えた事も辻褄が合うな…
ルークくそっ、何がどうなってんだ。どうすりゃいいんだよ!
リタ考えるまでもないわ。リオンを追いかけるのよ。リドウの元にたどり着く前にね
ミラそうだな。ネックレスを持って行動しているのなら、大精霊の気配をたどればリオンを追えるだろう
アスベル俺達はネックレスがリドウの手に渡るのを阻止しなければ…
ルークだったらぐずぐずしてねーで、早く行こうぜ!追いつけなくなっちまう
カノンノリオン…
アスベル心配するな、カノンノ。必ずリオンを連れ戻し、ネックレスも取り戻そう
カノンノうん…
scene2アルヴィンの告白
リオン約束の岬はこの先か…
リオン
リオン
アスベルとにかく、こうしてはいられない。ミラ、ネックレスは今どこに?
ミラ
リッド気配を探ってるみたいだ邪魔しないようにしようぜ
アスベルああ…すまない
スタン…。俺も一緒に行かせて欲しい
アスベルスタン…
スタンもしリオンが、本当にカノンノのネックレスを持ち出したなら…
スタン何か事情があるはずなんだ。絶対に!
スタンそれがルイニス街の事なら尚更…。だから何としても俺が助けたいんだ
アスベルスタン…そうだな
ルークまあ、リオンも他の奴よりはまだスタンの話の方が聞く耳あるかもしんねーもんな
カノンノうん、そうだよね。一番の友達だもんね
アルヴィン俺も同行させてくれないか
リタあんたも?
アルヴィンま、俺がついてったところで、どうだってのもあるんだが…
アルヴィンいろいろと思うところがあってね。俺が上手く動いてたら、こうはならなかったんじゃないかってな
アルヴィンそれに、リドウの目的は世界の破滅だ。見て見ぬふりはしてられない
アスベル…わかった。アルヴィンも一緒に行こう
アルヴィンありがとな、アスベル。急ぎで、ジュード達にも事情を話して来るぜ
スタン俺もユーリ達に、今の状況を伝えてくる。すぐに行くから!
リタじゃ、街の入口で落ち合いましょ。先に行って待ってるから
scene1リオンの行方
スタンみんな、待たせてごめん!
ミラ二人とも来たな。では早速行くとしよう
リッドどこに向えばいいかわかったのか?
ミラああ、大精霊達の気配は南から感じ取れる
アスベルよし、みんな。南へ向かおう
リタええ、急ぎましょ
カノンノうん、行こう…
スタンリオン…
scene2リオンの行方
アスベルこの辺りは確か、トーティス村の近くだったな
リタそう言えばそうね。ミラ、大精霊の気配は?
ミラトーティス村より南の方から感じる。まだ近くはないな
スタン
アスベルリオンの事が気になってるみたいだな…大丈夫か?スタン
スタンああ、大丈夫だ
アスベルリオンが誰にも話さずにいたのも何か事情があったのかも知れない。気を落とすなよ
スタン…。違うんだ、アスベル。俺は…自分が情けないだけなんだ
アスベル情けない?
スタンリオンが一人で悩みを抱えて、苦しんでたってのに…
スタンどうして俺はその事に気付いてやれなかったんだろうって
スタン一緒にいたのに、俺はリオンの事何もわかってなかったんだ、って…
カノンノスタン…それは違うと思うよ
カノンノリオンは、みんなに迷惑をかけられないって思ってたんじゃないかな
カノンノそこまでリオンの事考えて落ち込んでるスタンは、情けなくなんかないよ
スタン…。そう、なのかな?
アルヴィンリオンの事は、これ以上俺らが推測しても仕方がない。後は確かめないとわからない事だ
スタン…アルヴィンさんの言う通りまずはリオンに会わなくちゃな
カノンノ今は一刻も早く大精霊の気配に追いついて本当の事、確かめなきゃ…だよね?
ルークアルヴィンの話が本当ならリドウの奴、ただじゃおかねー!
ルークリオンもリオンだ!リドウなんかに従ってんじゃねえっつーの!
リタそうね。あたし達に相談もなしにネックレス持って行った事、後悔させてやりましょ
リッドおいおい…。こえーよ
リッド…ん?
ガサ…
ガルルルル!
リッド魔物か…。ことごとくオレ達の邪魔をしてくるな
アスベル時間を無駄にしたくない。このまま突っ切ろう
ミラああ、そうだな。みんな、行くぞ!
scene1対峙
リドウよく来たな、リオン。元気そうで何よりだ
リオンここに呼びだしたのはお前だろう
リドウ何だか怒ってるみたいだねぇ。怖い怖い
リオン
リドウああ、そうそう。お仲間には、きちんと断りを入れてここに来たのかな?
リドウ何の挨拶もせずに飛び出して来てるんだったら、今頃彼らから悪者扱いを受けてるかもよ
リドウまあ、俺には関係ない事だけどねぇ
リオン
リオン…約束の物だ、受け取れ
ヒュンッ
リドウおっと
リオンそのネックレスに、これまでに契約した全ての大精霊が宿っている
リドウへえ…これにねえ
リドウ…ほう…
リドウあれだけの大精霊を、このちっぽけなネックレスに押し込めておけるとは、すごいもんだな
リドウこれなら零(ゼロ)の塔を復活させるのも楽そうだ…
リオン零の塔…?一体何の話をしている
リドウ教えてほしいなら特別に教えてやろうか?俺のために動いてくれたお礼だ
リオンいちいち勿体ぶるな。僕の時間を潰すつもりか
リドウつれないねえ。まあ、確かに君にとってはいらない情報だろうし…
リドウそれよりも、ほら…何だったかな。君が一番気にしていたあの街の事の方がいいか?
リオンルイニス街の氷は、溶かしたんだろうな
リドウおいおい、あんまりがっつくと、嫌われるぜ。言われた事ないか?
リオン
リドウわかったよ。ルイニス街の氷だが──
scene2対峙
リドウルイニス街の氷だが、あれは…
リドウある意味、確実に解放される。だから、もう君が気にする必要はないんだよ
リオン何…?それは、どういう意味だ
リドウ君がくれた、このネックレスのお蔭で零の塔を復活させる事が出来る
リドウすると、必然的に氷に閉じ込められた君の街は解放される事になるってわけさ
リオン
リドウまぁ、塔が復活するって事は世界の破滅と同義なんだけどね
リオン!リドウ、貴様…
リオン街どころか、この世界の人間まるごと消し去ろうというのか
リドウ遅かれ早かれ、塔が復活すれば世界の破滅はやって来る
リドウリオン。君は特別に、俺の手で解放してやるよ
リオンその姿…
リドウすぐにルイニス街の連中も後を追わせてやるさこれが俺の優しさってやつだ
リオン…もう一度聞く。氷を溶かす手段はないという事か?
リドウあれはね、俺も解き方はわからないんだ
リオンわからない?わからないとはどういう事だ
リドウ言葉通りの意味だよ。元に戻す必要がないから、解き方も知る必要もない
リドウあー、絶望させちゃったかな?ま、それもすぐ終わらせてやるよ
リオン終わらせる?それは僕のセリフだ。貴様は僕の手で終わらせてやる
リドウハッ、言うねえ
scene1ユグドラシル
リドウぐおおおおっ!
リドウがっ…くそがぁ…
ドサッ
リオンはぁっ…はぁっ…
リオンこれは…返してもらう
チャリ…
リオンルイニス街の氷を溶かす方法を他に探さなければ──…
リッドおい、いたぞ!
リオン…!
スタンリオン!こんなところまで来てたんだな
リオンスタン、それにお前達まで、何故ここに…
ミラネックレスの中の大精霊の気配を追って来たのだ
ルークったく、急にいなくなるとか驚かせやがって…って
ルークうぉっ!?人が倒れてるぞ!
アルヴィンこいつは…リドウだな
リオン
カノンノリオン…。もしかしてリドウと戦ったの?
カノンノ怪我してない?突然いなくなっちゃって本当に心配したんだから…
リオン
リオン僕は何ともない
リオン…これはお前に返しておく。勝手に持ち去って、悪かった
カノンノう、うん…
アスベルネックレスに変わりはないか?
カノンノうん、何ともないみたい
ミラ大精霊達の気配も正常だ
リオン
アスベルなぁ…リオン。カノンノのネックレスを持ち去った理由を教えてくれないか
リタそれと、どうしてリドウがそこに倒れてるのかも聞きたいわ
スタンリオン…
scene2ユグドラシル
リオン
リタカノンノのネックレスを持ち出しておいて、何も話さないつもりなの?
ミラお前なら、そのネックレスがどれほど重要なものかわかっているはずだ
リッド何か事情があったんだろ?リドウのとこにネックレスを持って来なきゃいけない理由が
リオン
ルークへっ、どうせあのリドウって奴に脅されてたんだろ?
リオン
スタンリオン…
アルヴィンみんなお前の事を心配してここまで来たんだ。何か答えてやれよ、リオン
リオン僕の事を嗅ぎ回っていた奴がわざわざ、ここまで来るとは余程の暇人だな
アルヴィンこりゃ、どうも。こいつらもそうだけど、俺も一人で突っ走るお前が心配でね
リオン
アルヴィン
リオン全てが振り出しに戻ったというだけだ
アルヴィンそれは、ルイニス街の氷の事か?
リオン僕があの時、リドウを止められていれば、こんな事にはならなかった…
スタンあの時?
リオン世界に異変が起こったあの日、ルイニス街はリドウからの襲撃を受けたんだ
スタンルイニス街が!?
リオンああ、そうだ。僕はその時にリドウと戦った。だが戦いの最中…
リオン奴はルイニス街の全てを一瞬の内に氷漬けにしたのさ
スタンそんな…
リオンそして、大精霊を回収し引き渡せばルイニス街の氷を溶かすと言ってきた
スタンリドウの奴…!やっぱりか…!
アルヴィンリオン、お前…
リオンだが、初めから守る気もなかったんだろう
リオンネックレスを渡すと用済みだとばかりに襲ってきたからな
カノンノ初めから守る気がなかったなんて…。じゃあ、街の人達はまだ…
スタン
ルークけっ、リドウの奴、とことんムカつく野郎だな。けど、それでリオンに倒されてちゃ、ざまあねーな
リタだからって無茶しすぎよ。返り討ちに出来たからいいようなものの…
リッドにしても、リドウの奴…大精霊の宿るネックレスをどうやって使うつもりだったんだ?
ミラわざわざリオンを使ってまで手に入れようとしたのだ。何も手立てがないと言う事はあるまい
ミラリオンは何かリドウから聞いたりはしていないのか?
リオン
リオンネックレスをどう使うつもりなのかは知らないが…
リオン「零の塔を 復活させる事が出来る」そう言っていた
アスベル零の塔?
リッド零の塔…。聞いた事がない名前だな
リッドアルヴィンはリドウと面識があったんだろ?
リッドなら、その零の塔ってのも知ってるんじゃないか?
アルヴィンいや、初耳だ。リドウと塔に関する会話なんてしてないし、心当たりもない
リタ待って。零の塔…零…
リタどこかで聞いた事あるような…。…あー悔しい、思い出せない!
ルーク負けず嫌いで言ってんじゃねーだろうな…
スタンリオン。ルイニス街は今もあのままなんだな…
リオン…ああ
スタン…っ
リオン…無駄足だったな
スタン…リオン!俺が言いたいのは、そんな事じゃない!
スタンお前は…お前って奴は…!
スタンどうして俺に、何も話してくれなかったんだ!
リオン…!
スタン俺だってルイニス街を救いたいのに、黙ってるなんて水臭いじゃないか
スタンお前は大概の事は一人で出来るしそれはよく知ってるさ
リオン
スタン俺は頼りないかもしれない
スタンでも何で一人で抱え込むんだ!俺達、友達だろう!
リオン何度も言わせるな、僕は──…
スタンお前が何と言ったって関係ない!
スタン俺はお前が、一人で苦しむなんて嫌だ!
リオンリドウを止める事が出来なかった。これは僕の問題だ…。お前には関係ない
スタンリオン!
アルヴィン落ち着け、二人とも。リオン、今回はお前が無事だったからよかったようなものの…
アルヴィン独断で動くと悪い状況になった時助けられないだろう
リオン僕を助けるためにお前はあれこれ探っていたというわけか。余計なお世話だ
リッドおい、そういう言い方はねえだろ。事情があるにしろ、お前のやり方はいただけねえよ
ルークだよな。ごめんの一言もねーし、こんな友達持ってるスタンも苦労するよな
リオンふん、だからどうした!
アスベル俺達は一緒に戦った仲間だ。少しは信用してくれてもいいだろう?
リオン
リオン僕は──…
全員
カノンノ何?この光…
アスベル眩しくて見えない…っ
???大精霊の回収もままならないか…。リドウめ、口ほどにもない
アスベル
アルヴィンリドウや大精霊の事を知ってるのか?
ミラ何者だ?
ルーク何だこいつ、一体どっから出てきやがった!?
リタ光の羽根…!?
リッドまさかこいつがデュークやユーリ達が言ってた…
ミラ世界のマナを減少させて大精霊の暴走を促した存在…
アスベルユグドラシル、なのか?
ユグドラシルほう…
ユグドラシル私の名を知っている人間がいるとは。面白い事もあるものだ…
アスベル!お前がユグドラシル…!?
リタ向こうから現れてくれるなんて、捜す手間が省けたわね
ユグドラシル私が直接片を付けなければならないようだな
アスベル何だと?
ユグドラシルむ…
カノンノ…?
ユグドラシルふっ…お前か…
カノンノう…!?
アスベルカノンノ、どうした!?
カノンノわからない…。けど一瞬胸が締め付けられて…
ユグドラシルくくっ…
ユグドラシルそのネックレスを、渡してもらおうか
カノンノ
ルークおい、ふざけんじゃねーぞ!誰が素直に渡すかっつーの!
ミラアルヴィンの予想通りリドウの仲間は、ユグドラシルだったと言う事か…
リッドなら、世界を破滅させようとしている奴って事だな
リタそんな奴に大事なカノンノのネックレスを渡すもんですか
ユグドラシル私の名を知るだけではないのか。実に面白い
アスベルお前にカノンノのネックレスは渡さない、ユグドラシル!
ユグドラシルふはははは!誰を前にしてそんな事を言っているのか教えてやろう──
アスベル来るぞ!
scene1孤高の剣士
ユグドラシル…なるほど。大精霊の暴走を鎮めただけの事はある
ユグドラシルそれなりにはやれるようだな
ルーク!?俺達の攻撃が、効いてないのか?
リタそんな…
ユグドラシルだが所詮、お前達の攻撃などこの私にしてみれば、児戯にも等しい
リッド何なんだよ、こいつ…!
ユグドラシルお前達に教えてやろう。攻撃とは…こういう事を言う
ズドオオオオオンッッ!
全員!?
アスベル──…っ!がはっ!
リオンくっ…!
ミラうっ…!
ユグドラシルお前達と私の間には圧倒的な差がある事を、理解出来たか?
カノンノ…!
カノンノどうして…
カノンノどうしてあなたは、こんな事をするの…?
ユグドラシルどうして、だと?くくっ…お前がそれを言うのは非常に滑稽だな
カノンノどういう事?
ユグドラシルこの世界のたどる道筋に変わりはない。お前達が何をしようとも世界は破滅する
ユグドラシル真の平和のためには世界の破滅が必要不可欠なのだ
アスベル真の平和、だと…?
カノンノ破滅って…そんな…
リオン
ルーク平和のために世界を破滅とか意味不明だっつーの!
リタ大勢の人が巻き込まれた戦争や大精霊の暴走…それが全部、こいつの仕業だったっていうの…?
ユグドラシル愚かな。私はただ導いてやっただけの事
ユグドラシルあるべき世界への回帰のために、必要となる破滅への道筋にな
ユグドラシル人間の間に戦争を引き起こし、マナを濫用させ、大精霊の暴走を引き起こす
ユグドラシルそれにより世界は荒廃し破滅の一途をたどる…
ユグドラシルしかし、零の塔を使うのも面白いと思ってな
リタ零の塔…
リッドリオンも言ってたけど零の塔って何なんだよ。たかが塔が世界を破滅させるってのか?
ユグドラシルお前達の方がよく知っているだろう?零の塔は、この世界で魔導器と呼ばれる代物だそうだ
リタまさか…。零の塔って…
リッドリタ、何か思い出したのか?
リタええ。昔読んだ文献で、その名前を見た気がする
リタ詳しい事は書いてなかったけど、世界を滅ぼす力を持つ魔導器の塔が、世界のどこかに封印されてるって…
ユグドラシル塔は長き時を経た今、その力を失っている
ユグドラシルそれを復活させるには、大量のマナが必要なのだ。──そのネックレスのな
ミラ…今のカノンノのネックレスは、大精霊が集合した高濃度のマナの塊でもある…
リッド塔を復活させるにはうってつけってわけか
アスベルお前はカノンノが全ての大精霊と契約し終えるのを、待っていたんだな
ユグドラシルお前達には感謝をしなければならないかもしれないな
リタ文献の通り、世界を滅ぼすほどの力を持つ危険な塔なのだとしたら…
リタ…そんな物が存在するなんてにわかに信じがたい話だけど…でももし、その話が本当なら
リタカノンノのネックレスを奪われたらあいつが、世界を滅ぼすだけの力を手に入れてしまうって事よね
リタそんな事、させるわけにいかないわ
チャキ…
リオン
ユグドラシル私に剣を向けるとは、愚かな…まだ楯突こうとしているのか…
リオン
ユグドラシルこいつらの仲間のふりなどする必要はないぞ
リオン
ユグドラシルリドウに協力していた貴様など人間達は信用しない
カノンノ何て事言うの!リオンは私達の仲間──…
ユグドラシル言葉では何とでも言えよう。しかし、こいつがお前達を欺いていた事実は変わらない
リオン
scene2孤高の剣士
ユグドラシルリドウに協力した時点でお前の手は既に汚れている
ユグドラシルその女のネックレスを持って私の元へ来い
リオン
スタンおい、ユグドラシル!勝手な事を言うな!
スタンリオンの手は汚れてなんかない…
スタンリオンはルイニス街のみんなを救いたかったから、リドウに従っていたんだ!
スタン何があろうとリオンは俺の友達で、俺達の仲間だ!
カノンノそうだよ。これまでずっと一緒に頑張って来たんだから!
リタリオン、こんな奴の言う事なんか耳を貸す必要ないわ
ミラ私達はリオンを信頼している。それはこれからも変わらない
アスベルユグドラシルの言葉に耳を貸すな。お前の居場所は、ここにある!
リオン
ユグドラシル…とんだ茶番だな
リオンユグドラシル。お前の言う通り僕はリドウに従った
リオンだが、勘違いするな。世界を破滅させようとする奴らに同調した覚えはない!
チャキ…
ユグドラシルくく…
リオン何を笑っている
ミラ…!
リッドどうした?
ミラカノンノ、避けろ!!
カノンノ!?
リドウうおおおおっ!
ガキイィィンッ!
リオンリドウ…貴様!ぐっ…
カノンノリオン!
アルヴィンリドウ、お前まだ…!
リドウネックレスを…そいつを寄こせ!!
ルークちっ、カノンノ下がれ!
リドウ俺の邪魔を──…するなああああっっ!
scene3孤高の剣士
リドウぐうぉぉぉ…っ
リドウ俺はぁ…っ、真の平和のために…!
ルークお、おい!まだ、やろうってのかよ!?
リドウその…ネックレスは…俺達のものだ!
リドウ死ねえええっ!
カノンノいやっ…!
ユグドラシル
リドウなっ…!
ユグドラシル「俺達の」と言ったな、リドウ。だが…今邪魔なのは、貴様の方だ
カノンノえっ!?きゃああっ!?
アスベルカノンノ!?
リッドっと…、カノンノ、大丈夫か?
カノンノだ、大丈夫
ミラユグドラシルに突き飛ばされなければリドウの攻撃が当たっていた…。カノンノを助けたのか?
アルヴィンユグドラシルの奴何を考えてやがる…?
リドウな、何故…
ユグドラシルリドウ、このままでは私の計画が狂うのだよ
ユグドラシル悪いが、ここで消えてもらおう
リドウ何!?
キィィイイン──…
ルークユグドラシルの奴何やってんだ!?
アスベルあの位置だとリオンが攻撃に巻き込まれる!
カノンノそんな…!リオン!逃げてっ!
ユグドラシルまずは一つ
ズドオオオオオンッッ!
リドウぐおおおおおっっ!
リオンぐああっ!
リタ!リオン…!?
リッドおい!ユグドラシルの攻撃で、崖が崩れるぞ!
ズズズ…!
アルヴィンみんな、下がれ!ここだと全員崩落に巻き込まれる!
スタンリオン!!早くこっちに…
リドウうおおおおおっっ!!
リオン…!?
リドウせめて、あの女と…、大精霊を巻き添えにしてやる!おおおおおっ──!
ルークリドウ!あいつ、まだ立ち上がれるのかよ!
リッドくそっ、カノンノを狙ってこっちに…
リドウうおおおお!
リオンくっ…そうはさせん!はああっ!
ガキィィンッ──
リドウリオンっ!お前…っ邪魔をするなあああ!
アスベルリオンっ!?このままじゃ、お前まで…!
スタンリオン!早く逃げ──…
ユグドラシルもういい、下がれリドウ。塵芥となり、消えるがいい──
ズドオオオオオンッッ!
カラ…
アスベル
アスベル!?
リタ何よ、これ…崖がまるごと崩れ落ちてるじゃない…!
カノンノそ、んな…リ…オン…?リオンは!?
ルークリオンも、リドウもいねぇ…っ!おい、リオンはどこいったんだよ!
スタンまさか、リドウもろとも崩落に巻き込まれて…
ユグドラシル初めから、こうしておけばお前達のくだらない戯言に付き合う事もなかったな
ユグドラシルまぁ、目的のものは手に入れたのだ。お前達には感謝しよう
チャリ…
ミラあれはっ!カノンノのネックレスが何故奴の元に…!
リッドカノンノを突き飛ばした時にネックレスを奪っていたのか!?
ユグドラシルくくっ…これさえ手に入れば、お前達に、用はない
ミラ待て、ユグドラシル!
スタンリオン!リオン!!
リタ嘘…でしょ?そんな…こんな事って…っ
カノンノリオンっ…
scene1友を信じる
全員
アスベルリオン…
アルヴィンこの高さからでは…
スタン
スタン…いや、リオンは生きてるはずだ。すぐ捜しに行こう!
リッド崖が吹っ飛んじまったんだぞ?あれじゃ誰だろうと、助からねぇよ…
スタン俺はリオンの事を信じてる。あいつは生きてるはずだ
ミラスタン…気持ちはわかるが…
スタンあのリオンがこれくらいの事で死ぬわけないだろ!
ルーク
カノンノ私も、そう思いたい。リオンはきっと生きてるよ
アスベルスタン…カノンノ…
スタン俺は…リオンを捜してくる!
リタちょっと!スタン!?
リッド…ん?何だありゃあ
ミラどうした、リッド
リッド海が凍ってないか?ずっとあっちの方まで…
ミラふむ、確かにそんな風に見えるが…。ともかく、下に降りてみよう
scene2友を信じる
ザッパーン
カノンノいないね…リオン
スタン捜しきれてないところだってある!俺は諦めないぞ
アルヴィン
リタ本当に凍ってるのね…
リタ…でも、変ね。この気温で海が凍りつくなんて…
リッド普通の氷じゃねえって事か。だとしたら、大精霊の力で…
ミラ…いや、違うぞリッド。あの氷…大精霊によるものではない
ルークじゃあ何だってんだよ、ミラ
ミラあれはおそらく、ルイニス街の氷と同じものだ
ミラ普通の氷でもなく、大精霊によるものでもないとしたら、そう考えて間違いはないはずだ
スタンルイニス街の…。でも、どうしてこんなところに?
アルヴィン…もしかすると、海もリドウが凍らせたのかもな
ルークどういう事だよ?
アルヴィンユグドラシルは、南東の方に飛んで行ったろ?
アルヴィンここから南東の方角には島が見える。ユグドラシルはあの島に向かった可能性が高い
アスベルミラ、ユグドラシルの持ち去ったネックレスの気配は…
ミラ…そうだな。あの島の方から感じる
アルヴィンユグドラシルもリドウも零の塔について話していた
アルヴィンリドウもネックレスを奪ってあの島に行くつもりだったとしたら…
アルヴィン零の塔はあの島にあるんじゃないか?
リッドリドウもあの島に行くため、海を凍らせていたってわけか
リタそれだけのために、わざわざこんな芸当をやってのけたっていうの?
リッド…氷は島まで繋がってるみたいだな
ルークって事は俺達も歩いて島まで行けるって事だろ
ルークどうせユグドラシルは追わなきゃなんねーんだ。ちょうどいいじゃねーか
リタちょっと、島まで氷の上を歩いて行くっていうの?
アスベル確かに危険かもしれないが…。船を手配している猶予はない。ここを進むしかないだろう
カノンノうん…。そうだね
スタン…みんなは、ユグドラシルの行方を追ってくれ
スタンリオンは…俺が必ず見つける
アルヴィン俺も残ろう
アスベルアルヴィン…
アルヴィンアスベル、お前さん達は、ユグドラシルを追うっていう大事な仕事が残ってんだろ?
アルヴィンこんな状況だが、やらなきゃいけない事は見失っちゃあいけないぜ
アルヴィンリオンならそっちを優先しそうだ。たぶん、だがな
アルヴィンだから…リオンの事は俺達に任せてお前達はユグドラシルを追ってくれ
アスベル…ああ、そうだな。リオンの事は頼んだ、アルヴィン
カノンノでも…
ミラカノンノ、ここはスタンとアルヴィンに託そう
スタン絶対にリオンを見つけて、ルイニス街も元通りにしてみせるさ!
カノンノスタン…。リオンをお願い
スタンああ、任せてくれ
リタユグドラシルはネックレスを手に入れた…って事は、いつ例の塔を復活させてもおかしくないのよね
ミラああ。一刻も早くあの島へと向かうべきだろう
ミラユグドラシルを止め、この世界を守らねば
ルークくそっ、何だよムカつく!何だってこんな事になんだよ!
ルークユグドラシルの奴、会ったらぜってーぶっ飛ばしてやる。リオンの分もな!
リッド…だな。すぐにユグドラシルを追いかけるぞ
scene1海上の氷
アスベルこの氷、思ったより頑丈だな
リッド寒くないのに氷の上を歩いてるって変な気分だ
リタもしルイニス街の氷と同じなら…炎でも溶けない、削る事もできない、って事よね…
ミラここら辺りが海岸と島の、ちょうど中間か
アスベルそうだな
カノンノ
アスベルカノンノ、この辺りからは氷の幅が狭くなっている。もっと真ん中を歩いた方がいい
ルーク海もここまで来ると深そうだな。急に氷が割れたりして海にドボンとかねーだろうな
リッド不吉な事言うんじゃねえよ、全く…
ルーク何だよ、ビビってんのか?冗談に決まってんじゃねーか。さっさと走って抜けちまおうぜ!
リタちょ、ちょっと!急がなきゃいけないのはわかるけどもう少し慎重に…
ピシッ!
カノンノ何の音…?
アスベルまさか…
ピシッ!
ピシピシピシッ!
ミラ氷にひびが…!
リッド見ろ!後ろの氷が崩れてるぞ!
アスベルここも危ない──…みんな、急いで島へ!
カノンノう、うん!
scene2海上の氷
ビシッ!
ビシビシビシッ!!
リタはあ…はあ…ちょっと…。どうなってんのよ!
ルークじょ、冗談じゃねーぞ!溶けたり削れたりしねーんじゃなかったのかよ!
ビシィッ!
バキバキバキッ!
ミラくっ…!後ろだけでなく、前まで崩れ始めたか!
リッドみんな、ついて来れるか?カノンノは?
カノンノうん…平気…
ピシッバキバキバキッ!
カノンノきゃあっ!?
アスベル…っ!カノンノ!
カノンノだ、大丈夫っ!ちょっと足を取られただけ!
リッドよし、もう少しだ!
アスベルいや、待て!
リタ…氷が割れてるわ。先がつながってない…これじゃ先に進めないわ!
ミラ…。これだけ氷が残っていればギリギリ行けるか…
アスベルミラ?
ミラ四大よ、私に力を貸してくれ。ウンディーネ!
カノンノわあ…!氷が集まってくる…!
リタ水流で氷を押さえてくれてるのね
ミラウンディーネの力で前方の氷を留めている内に、みんな渡れ!
アスベルわかった!みんな、急ぐんだ!
scene1孤島の地下
ミラ…海上の氷は、だいぶなくなってしまったな…
ルークったく…けど、何とか島にたどり着けたじゃねーか
リッドふー…。ミラがいてくれてよかったぜ…
リタはぁ…はぁ…。どうなる事かと思ったわ。スタン達も大丈夫かしら
アスベル比較的岸の側を捜しているだろうから異変を感じたら、すぐ避難しているとは思うが…
カノンノミラ、さっきはありがとう。ウンディーネにもお礼を言いたいんだけど…
アスベルああ、そうだな
ミラお前達の声は四大にも届いている。ウンディーネも力になれてよかったと言っているよ
ルークそれにしても何で急に氷が溶けだしたんだ?ルイニス街の氷と同じなんだろ?
ミラそのはずだが何故…
アスベルあの氷が溶けるきっかけがあったのだろうか?
リタリドウが仕掛けた氷なら本人がいなくなった事で溶けた…とか?
リッド…ルイニス街の氷も溶けてたりしてな…
ミラ…そう願いたいが…。今はユグドラシルを追う事に専念しよう
ルークっと、あぶねーな。地面に足を取られて、歩きにくいったらねーぜ
リタどこもかしこも泥みたいね。まるでつい最近、海の底から盛り上がって出来たみたい
アスベル新しく出来た島なのか…?ユグドラシルはこの島に向かって行ったんだよな?
リッド塔、なんて見当たらねえぞ…
ミラだが、ネックレスの気配は近い。少なくともユグドラシルは、この島にいるはずだが…
ミラ…!
アスベルミラ?
ミラこの気配…!マナの急激な流れを感じる
カノンノどういう事?
ミラおそらく、ユグドラシルが、ネックレスに宿る大精霊のマナを奪い始めたのだ
アスベル!?何だ、今の光は!
ゴゴゴ…
カノンノこの音…。地鳴り、なのかな?
ゴゴゴゴゴ!
リタ何、地震!?
リッドでかいぞ!
ルークお、おい、この地震も、ユグドラシルのせいなのか?!
ズズズ…
カノンノ収まる気配がないね…
リタ完全に揺れが収まるのを待ちたいところだけど…。悠長にしてる場合じゃないわね
アスベルああ。ユグドラシルを捜さなければ
scene2孤島の地下
ゴゴゴ…!
カノンノまた大きな揺れが…!
ルーク今度のもでかいぞ!
ゴゴゴゴ…!!
アスベルくっ…!
ズズ…
リタ…収まった?
リッドいや、まだ細かい揺れが続いてる
リタこの調子だと、地震は当分収まらなさそうね
ミラ…。この辺りなのだが…
アスベルネックレスの気配か?
ミラああ
リッドここって…岩が連なってるだけだな
ルークユグドラシルなんか、どこにもいねーぞ。塔も見当たらねーし
ミラしかし、確かに気配を感じるのだ。この下からな…
リタ下!?って事は地下にユグドラシルがいるっていうの?
ルーク塔に行ったんじゃねーのかよ?
ミラ気配からすれば、この下で間違いない
アスベル…という事は、どこかから地下に行けるところがあるのかもしれない。手分けして──…
リッドおい、アスベル。わざわざ捜すまでもなさそうだぜ。こいつを見てみろ
リタ何よ、ただの岩じゃない。…あら?
リタ割れ目があるわね。どうにか人が一人通れそうな…。っていうか──
リタよく見たらこの割れ目…自然に出来たんじゃないみたい
リタひょっとして、まさか…
リッドユグドラシルはこの先にいるって考えてもよさそうだな
アスベルよし、降りてみよう。みんな、気を付けてな
ガルル…
カノンノ!?魔物の唸り声が聞こえるよ
ルークこんなところにも魔物がいるってのかよ!?
ガルルル!
リッドちっ、やっぱりか!魔物が飛び出してきやがった!
アスベル倒して先に進む以外、道はない。行くぞ!
scene1零の塔
ズズ…ズズズ…
ピチャン…ピチャン…
リッド…っ!つめてぇ…。水が顔に来やがった
カノンノ揺れが起きる度に、水滴が落ちてくるね
リッドしかもしょっぺえな。海水か?
アスベル周りは海だからな…。あり得るだろうな
リタ人が歩けるように作られてる…
リッドん?どうしたんだ、リタ
リタユグドラシルが岩を割ってこの通路を作ったって思ってたんだけど、違うみたい
リタ足場があるのよ、この通路。あいつなら飛べるから足場なんてなくたっていいじゃない?
アスベルそれなら…。リドウが作った通路かもしれないな
アスベル一人でこの岩場に通路を作るのは難しいと思うが…
ミラリドウに会ったばかりの時は、部下がいたようだった。その者達に作らせたのではないだろうか
リタ何にしても、ろくな事しない連中よ。この先も何があるかわかったもんじゃないわ
アスベルああ…。慎重に進もう
ミラむ…。開けた場所に出たな…
アスベルここは…遺跡か?
カノンノ薄っすらだけど、灯りが点いてる…
リタこれが、ユグドラシルが言ってた零の塔なの…?
ルークんなわけねーだろ。ここ地下なんだぞ。塔ってのは、地上に建ってるもんだろ
リタそうとも言い切れないわ。文献じゃ零の塔は大昔に封印された事になってる
リタ封印されるような物は大抵の場合、同時に慎重に隠されるものよ
リタもし塔が文献通りのものなら、誰も見つけられない場所…
リタ海の底や地の底に隠す事だって、考えられるわ
リタユグドラシルは、大量のマナで塔を復活させるって言ってた。そしてあいつはここに来た
リタもしあいつがここで、ネックレスを使っているとしたら…
カノンノここが…零の塔の中…
ミラ大精霊の気配は、さらにこの下から感じる。ここは、埋もれてしまった塔の上層なのかも知れないな
ルークまだ下があるのかよ…
ミラああ、おそらくな。下に降りる方法を探そう
リッド扉があるぞ。おっと、これは上に行く階段だな
カノンノみんな、こっちにまだ下に降りられる階段があるよ!
アスベル…よし、とにかく、下に行ってみよう。ユグドラシルに追いつかなくては
リッドそうだな。こうなったら、とことん行くしかねえ
scene2零の塔
カノンノ降りて来たけど…。何だろう、この部屋。すごく嫌な感じが…
ミラむ、これは!?
カノンノどうしたの、ミラ?
ミラ大精霊の悲鳴が聞こえる…!
リッドおい!みんな、向こうを見てみろ!
アスベルユグドラシルがいたぞ!
ルークやっと見つけたぜ。今度こそ逃がさねえ!
リタユグドラシルがネックレスをかざしている球体は何…って…
リタまさか、あれは魔核!?
ユグドラシルほう…。ここまで来たのか…
ユグドラシルだが…もう遅い
リッド何をして…、くっ…!ネックレスの光が強くなっていくぞ!
リタ魔核に大精霊のマナを注ぎ込んでるんでしょ!それしか考えられない!
ミラマナを吸い取られた大精霊が、苦悶の叫びを上げている…!
カノンノひどい…もうやめて!
ユグドラシル大人しく眺めていろ。零の塔、復活の瞬間を…
ルークふざけんな!今すぐそのネックレスをこっちに返しやがれ!
ユグドラシルマナの注入が終われば、こんな物いつでも返してやる
リタその前に返せって言ってるのよ!
アスベルユグドラシル!お前の計画はここで止めてやる!
リッド世界の破滅なんてさせねぇ!
ミラ塔の復活などさせない!大精霊達も返してもらうぞ!
アスベルみんな行くぞ!
ユグドラシルくくっ…無駄な事を…
scene3零の塔
ユグドラシル
ミラ今度はどうだ…?
ユグドラシル私の力には到底及ばない…。何故、それが理解出来ない?
リタそんな…!
カノンノ信じられない…
リッド化け物か、こいつ…
ズズズ…
ゴゴゴゴ!!!
ルークうおっ!また地震かよ!?
リタしかも今までの中で、一番大きいわ!
アスベル何が起きているんだ!?
ユグドラシル…これで全ての準備は整った
ミラ魔核が輝いて…!?まさか、マナの流入が終わってしまったというのか!?
ユグドラシルくくっ、これは用済みだ。返してやろう
ヒュンッ!カツン…
カラカラ…
カノンノあ…!
リタネックレスの光が消えかかってる…!
ミラ…大精霊の宿るネックレスをぞんざいに扱うなど!
ゴゴゴゴ!!!
カノンノきゃっ!
ユグドラシル遂に零の塔が、復活の時を迎えたのだ
ユグドラシル世界はもはや、破滅から逃れる事は出来ない
カノンノどうしてそこまでして、世界を滅ぼそうとするの!?
ユグドラシルふっ…
リタ!?ちょっと、待ちなさいよ!ユグドラシル!
ズゴゴゴゴ…!
ミラまた地震が…!
ゴゴゴゴッ
ズドンッ、ガラガラガラ…
アスベル壁が崩れてる!?
ドドドドド…!
リッド崩れたところから、水が入って来てるぞ!
リタまさか…海水!?
アスベルユグドラシルは上に向かっていた。とにかく今はあいつを追いかけよう!
リタそうね。みんな、登るわよ!
ビシッ!
ガラガラガラ!
ドドドドド…!
ルークくそっ、あちこち崩れて、どんどん水が入ってきやがる!
アスベルすごい勢いだな…。早く上に向かわないと溺れてしまうかもしれない…
リッドこっちだ!この扉の先に上に向かう階段が…!
ガシャッ!
リッドっ!?開かねぇ!
リッドこの部屋って最初に入ってきた部屋だよな?
カノンノうん!登りの階段がこの先にあったよ!
ミラ鍵が掛かっているのか?
リタ塔にマナを注入した事で、塔の設備が機能し始めたのかも…。それともユグドラシルの奴が…
ドドドドド…!
ルークおいおい、どうすんだよ。立ち止まってる間に、ここも水に浸かっちまうぞ!
アスベル仕方がない…。階段の先がどうなっているのかもわからない。これ以上は危険だ
アスベルユグドラシルを追うのは一旦中止だ。元来た通路で地上に出よう!
ミラアスベルの言う通り、今はこの状況から脱する事が先決だ
リタ塔から出るわよ!みんな急いで!
リッド何とか…、外に出られたみたいだな
リタ助かった…
カノンノはぁ…はぁ…
アスベルカノンノ、大丈夫か?
カノンノう、うん…
ゴゴゴゴゴ…!
ルークまた、でかい揺れがっ!
ズズズ…!
ガラガラガラ…!
アスベル岩が崩れる!みんな、離れるんだ!
リタうっ、立ってられな…
リタ…!ちょっと、あれ…!
カノンノ何か、地面から出てくる!
ドドドドドド…!!
ドドド…!!
ドオオオン!
リッドあれは…
ルークまさか…
ミラ塔…?
アスベルこ、これが…
カノンノ
リタ零の塔…!