| Name | Dialogue |
| scene1 | 襲撃 |
| ミラ | ウンディーネ!イフリート!シルフ!ノーム! |
| ミラ | 一体どこへ行ってしまったのだ…。こんな事は今まで一度も―― |
| ミラ | …む? |
| ミラ | このただならぬ気配は一体… |
| ミラ | まさか、人間界で何か異変が起きているのか…? |
| | ゴゴゴ… |
| ミラ | …!?何だ、この音は… |
| | |
| | ゴゴゴゴゴ…! |
| | メリッ…! |
| ミラ | なっ…空間に穴が空いた、だと!? |
| ミラ | 何という力だ…このままでは吸い込まれて―― |
| | ゴォォォ!! |
| ミラ | くっ…!これまでか… |
| | |
| ミラ | … |
| ミラ | う… |
| | |
| ミラ | む…? |
| ミラ | ここは……人間界か? |
| ミラ | …! |
| ミラ | これは一体どういう事だ…!?地面は大きく割れ、辺り一面が荒廃している… |
| ミラ | それに、このマナの激減…。さっき感じた人間界の異変の原因は、これだったのか… |
| ミラ | まさか、ウンディーネが話していた戦争再開が原因か? |
| ミラ | …いずれにせよ、地上にこれほどの影響を及ぼすほどのマナの減少はいまだかつて見た事がない… |
| ミラ | ん?これは、精霊達の気配… |
| ミラ | … |
| ミラ | 激減したマナの影響を受けこの世界の精霊達に何か異変が生じているようだ… |
| ミラ | 今のは…ウンディーネの気配…!? |
| ミラ | …そうか、あいつらも私同様人間界へ落とされていたというわけか |
| ミラ | イフリート達も気がかりだが、まずは気配が一番近くに感じられるウンディーネを捜そう |
| | ゴゴゴゴゴ…! |
| ミラ | 地震か!?強い揺れだ…! |
| ミラ | おそらく、この地震もマナの減少が原因なのだろう |
| ミラ | …この激減したマナを元に戻さねば、近い将来、人間界は滅びる |
| ミラ | それだけではない。人間界と精霊界は表裏一体、精霊界にも大きな影響が出るだろう |
| ミラ | …今思えば、精霊界で突然空間に穴が空いたのも、人間界のマナが激減した事が原因だったのだろう |
| ミラ | …クレスやユーリ、ルーク、それにロイド…。皆はどうしているだろうか? |
| ミラ | 無事であってくれるといいが… |
| scene2 | 襲撃 |
| | ゴゴゴ…! |
| ミラ | また地震か… |
| ミラ | 早く四大と合流し、マナ減少の原因を突き止めなければ… |
| ??? | そう上手くいくかな? |
| ミラ | …む?お前達は… |
| ミラ | …どうやら友好的な雰囲気ではなさそうだな |
| ミラ | 私に何の用だ? |
| ??? | おやおや、強気な態度だねぇ。俺達なんて恐れるに足らないって事か? |
| ミラ | それもあるが、そもそも私はお前達に行く手を阻まれる理由などないからな |
| ??? | 理由がない?ははは、度胸はいいけど、察しはあまりよくないみたいだな |
| ??? | 君は俺達の目的を邪魔しようとしている。行く手を阻まれるのには十分な理由だと思うが? |
| ミラ | 何だと…?お前達は何者だ? |
| ??? | 今ここで死んでいく君に名乗る必要なんてないだろ? |
| | |
| | ゴゴゴゴゴ…! |
| ミラ | くっ…こんな時に地震か!? |
| | ズザッ! |
| ミラ | 地面に亀裂が… |
| ??? | くく…順調だな |
| ミラ | …順調?何の話だ? |
| ??? | ま、直にわかるさ |
| 部下 | リドウ様。この女の始末は、我らにお任せください。リドウ様は精霊の回収を |
| リドウ | 精霊の方は既に手は打ってある |
| リドウ | …けど、やらなきゃならない事は山積みだしな。ここは君達に任せるとしよう |
| ミラ | 精霊の回収だと…待て!お前は一体何を…! |
| 部下 | おっと。貴様の相手は我らだ |
| ミラ | 邪魔をしないでもらおう!奴にはまだ聞きたい事がある! |
| scene1 | 思いがけぬ再会 |
| ミラ | はあ…はあ… |
| | ザッ、ザッ… |
| ミラ | なっ、新手だと…!? |
| 部下 | この女は弱っているぞ!全員で挟み撃ちにするんだ! |
| ミラ | くっ…! |
| 部下 | 逃がすな、追え! |
| | |
| ミラ | 行ったか…? |
| ミラ | あの程度の敵をさばき切れぬとは…四大の助力なしだと、私はここまで無力なのか… |
| ミラ | それにしても、あの男…リドウといったか |
| ミラ | 精霊の回収と言っていたが、何を企んでいる…? |
| ミラ | そもそも人間界において、精霊の存在を知る者は限られていると聞く |
| ミラ | それに地震で生じた亀裂を奴が見た時の反応… |
| ミラ | マナ減少の原因にも、何か関係があるとみるべきだろうな |
| ミラ | あの男…リドウにはもう一度会って、詳しい話を聞き出さなければなるまい |
| ミラ | そのためにも、まずは四大を捜し出し、力を取り戻さねば… |
| ミラ | 早くウンディーネの元に… |
| ミラ | うっ…… |
| ミラ | だが、思っていた以上に、身体に傷を負ってしまったようだな… |
| ??? | あれ――?もしかして、ミラ? |
| | |
| ミラ | …!ジュード! |
| ジュード | ミラ、どうしてこんなところに―― |
| ジュード | …ちょっと待って!ミラ、全身傷だらけじゃない!? |
| ミラ | …心配するな、ジュード。これくらい、どうという事はないよ |
| ジュード | そんなの駄目だよ!すぐ治療するからそこに座って! |
| | |
| ミラ | 楽になった…ジュード、ありがとう |
| ジュード | …ミラ、何があったの?ミラがこんなに傷だらけになるなんて… |
| ミラ | ……。話をすると長くなるが… |
| ジュード | …じゃあ、今多発している地震は人間界のマナが激減している事が原因になっていたんだ… |
| ミラ | おそらくな。だから、私は一刻も早く四大を捜し出し、マナ減少の原因を取り除かねばならない |
| ジュード | ミラを襲ったリドウっていう人も何か知っていそうだね |
| ミラ | ああ。私もそう考えている |
| ミラ | 奴にはもう一度会って、詳しい話を聞き出さなければなるまい |
| ジュード | (…でも、四大精霊の力がない ミラをこのまま一人で 行かせたら――) |
| ミラ | ところで、ジュードは何故こんなところにいたのだ? |
| ミラ | 街からもだいぶ離れた場所のようだが… |
| ジュード | 僕は知人に頼まれ事をされて、エリーゼと一緒にカン・バルクへ向かっているところだったんだ |
| ミラ | エリーゼも一緒だったのか? |
| ジュード | うん。でも、向かっている最中、ウィンドルとア・ジュールの国境地帯で大きな地震に遭って… |
| ジュード | 地面が崩落するぐらい大きな揺れだったんだけど、身を伏せて何とか凌いだんだ |
| ジュード | でも…、気付いたらエリーゼがいなくて… |
| ミラ | はぐれてしまった、というわけか |
| ジュード | うん…。あちこち捜してみてはいるんだけど、見つからなくって… |
| ミラ | そうか…。エリーゼ、無事だといいが… |
| ミラ | …ジュード。すまないが私は先に急がねばならない。エリーゼの事は頼むぞ |
| ジュード | … |
| ジュード | …ねえ、ミラ。僕も一緒に行っていいかな? |
| ジュード | 今のミラは四大精霊の力が使えないんでしょ?ミラを襲った人達の事もあるし、放っておけないよ |
| ミラ | …エリーゼの事はどうする? |
| ジュード | わかってる。エリーゼの事だって諦めたわけじゃないよ |
| ジュード | これだけ捜したのに見つからないのはエリーゼがもう別の場所に移動しているからだと思うんだ |
| ジュード | 僕もここから移動するんだったら、あてもなく移動するより、ミラと一緒に行動した方がいい |
| ジュード | それなら、ミラの手伝いも出来るし、行く先々でエリーゼを捜す事も出来るでしょ? |
| ミラ | …… |
| ジュード | 僕じゃ四大精霊の代わりとまではならないだろうけど、出来る限り力になるから |
| ジュード | 駄目、かな…? |
| ミラ | ふふふ…。相変わらず君はお節介だな |
| ミラ | では、共にエリーゼを捜しながら行く事にしよう。私もエリーゼの事が心配だからな |
| ジュード | …ありがとう、ミラ! |
| ミラ | では、まずここから南へ向かおう。先ほどからウンディーネの気配を感じる。そう遠くはないはずだ |
| ジュード | わかった。この辺りは国境付近だから、戦争に巻き込まれないように気を付けよう |
| scene2 | 思いがけぬ再会 |
| ミラ | …ここは、汽水湖か |
| ジュード | 確かここは、テレヌ湖……って、あれ?こんなに大きな湖だったかな? |
| ミラ | ふむ、異変の影響が地形にも変化を及ぼしているのだろう。…さて―― |
| ミラ | ウンディーネ、私だ!出て来てくれ! |
| | ゴオオ… |
| ジュード | 水面に渦が… |
| | ゴオオオオ…! |
| | |
| ウンディーネ | … |
| ジュード | これが水の大精霊ウンディーネ…? |
| ミラ | ウンディーネ、無事か?もう大丈夫だ。さあ、私の元へ… |
| ウンディーネ | ウウウ… |
| ジュード | ミラ、ちょっと待って。何だか様子がおかしい―― |
| ウンディーネ | グオオオオッ! |
| ミラ | ウンディーネ…何をする!?私がわからないのか…? |
| ウンディーネ | ガアアアアッ! |
| ジュード | 駄目だ!ミラの声は、ウンディーネに届いていないみたい! |
| ミラ | どうしたというのだ…!?ウンディーネ…! |
| ウンディーネ | グオオオオッ! |
| ミラ | うっ…! |
| ジュード | ミラ!! |
| ジュード | こうなったら…力づくでも止めないと… |
| ミラ | 待て、ジュード。ウンディーネを攻撃するのは… |
| ジュード | でも…このままだとミラが傷つく一方だよ! |
| ミラ | …だが!くっ、どうすればいいのだ… |
| ウンディーネ | グアアアアッ! |
| ミラ | …! |
| | バシィッ! |
| ウンディーネ | グアッ! |
| ジュード | 君は…? |
| ??? | 大丈夫か |
| ミラ | あ、ああ。すまない… |
| ??? | 何をためらっているのか知らないが、相手は本気だ。このままだと、二人共死ぬぞ |
| ジュード | ミラ… |
| ミラ | … |
| ミラ | …止むを得まい。ウンディーネを止める |
| ミラ | ジュード、力を貸してくれ! |
| ジュード | うん!わかった、ミラ! |
| | |
| ウンディーネ | グルル… |
| ??? | また来るぞ! |
| scene3 | 思いがけぬ再会 |
| ウンディーネ | ウウ… |
| ??? | …よし、何とか倒せたようだな |
| ミラ | … |
| ??? | …どうした? |
| ミラ | ウンディーネがこうなってしまった原因もマナだろう |
| ミラ | マナが減少し、自我を保てなくなっているのかもしれん |
| ミラ | この様子だと、ウンディーネに限らず他の精霊達も自我を失い、暴走状態にあるやもしれん |
| ジュード | 暴走状態… |
| ミラ | …何としてでもマナ減少の原因を突き止めなくては… |
| ??? | おい、お前達…見ろ! |
| ジュード | ウンディーネの身体が…消えていく…? |
| ミラ | いや、これは… |
| ??? | 何が起こった?新たな攻撃か? |
| ミラ | そうか…。もう大丈夫なのだな |
| ジュード | ミラ、ウンディーネは…? |
| ミラ | …ああ、心配ない |
| ミラ | ウンディーネは私の元に戻った事により姿を見せる必要がなくなっただけだ |
| ジュード | そっか、よかった… |
| ??? | よくわからないが…もう危険はないと考えていいのか? |
| ミラ | 大丈夫だ。さっきはすまなかったな、礼を言う |
| ジュード | ありがとう、お蔭で助かったよ。僕はジュード、こっちはミラ。君は? |
| セネル | セネル・クーリッジ、シーブル村のマリントルーパーだ |
| ミラ | ふむ…そうか |
| セネル | …?誰に返事をしている? |
| ジュード | さっきの精霊…ウンディーネと話しているんだよ。ミラ、何かわかった? |
| ミラ | いや…ウンディーネにも今この世界で何が起きているのかはわからないようだ |
| ミラ | ただ、このマナの減少は、やはりウィンドルとア・ジュールの戦争再開が関係している可能性が高い |
| ミラ | 人間界のマナが急激に減少したのは二国間で戦争が再開された後からだ |
| ミラ | ウンディーネ達が、私の前から急に姿を消したのも、戦争によって急激にマナが減少した事が原因だろう |
| ジュード | そうなると、マナに大きな影響を与えるような原因が戦争にはある、って事になるよね |
| セネル | …やっぱりあいつらの推測通りか… |
| ミラ | …?セネル、お前何か知っているのか? |
| セネル | ここでお前達と会う前に、似たような事を話す奴らと会った |
| セネル | この天変地異の発生は、戦争で使われた兵器が原因かもしれない、…そう話していた |
| ミラ | 兵器だと…?その話をしていた者達は、今どこにいるか知っているか? |
| セネル | 真相を探るために、ア・ジュールへ向かったようだ |
| ジュード | ア・ジュール… |
| セネル | さて、俺はそろそろ行く |
| セネル | お前達がこの先、この異変の原因を追究しようと考えているなら、…またいずれ会う事になるだろう |
| ミラ | セネル、お前はこれからどうするのだ? |
| セネル | お前達やあいつらの話が本当なら、この異変を放っておく事は出来ない |
| セネル | 未だに地震は頻発しているし、被害も一向に減る気配がない。…もはや根本の原因を取り除く他ないだろう |
| ミラ | 私達もお前も目指すところは同じ、という事だな |
| セネル | ああ。俺は海の見回りをしつつ引き続き情報を集める事にする。何かわかったら知らせよう |
| ジュード | ありがとう、セネル!気を付けてね |
| ジュード | さて、僕達も行こうか。次はどこかな? |
| ミラ | 少し待っててくれ |
| ミラ | ……。ここからさらに南の方角に、シルフの気配を感じる |
| ジュード | じゃあ、このまま南に進もう |
| ミラ | ああ。ウンディーネの事もある、早くシルフを捜し出そう |
| ミラ | (…マナ減少の原因は戦争の再開。 では、リドウの行動も 戦争と何か関係しているのか?) |
| ジュード | ミラ、どうかしたの? |
| ミラ | いや、何でもない。それでは、出発しよう |
| scene1 | 精霊を案ずる者 |
| ジュード | 森に入ってしばらく経つね。結構奥の方まで来たけど、ここにシルフがいるの? |
| ミラ | ああ。正確には森を抜けた先だが。おそらく、風の通りがいい場所にいるのだろう |
| ジュード | なるほど……ん? |
| ジュード | …!ミラ、あれ! |
| | |
| | ガアアッ! |
| ??? | うっ…! |
| ジュード | 魔物相手に、苦戦をしているみたい!ミラ! |
| ミラ | わかった。行くぞ、ジュード! |
| ミラ | はああっ! |
| | ズバッ! |
| ??? | …!? |
| ジュード | 下がっていてください!いくよ!僕達が相手だ! |
| | |
| ジュード | もう魔物はいないね。怪我はありませんか? |
| ??? | ああ、大丈夫だ。君達のお蔭で助かった。感謝する |
| ??? | む…?これは精霊の気配か…? |
| ミラ | 人間にしては感覚が鋭いな。ウンディーネが私の傍らにいる |
| ??? | ウンディーネといえば…水を司る大精霊じゃないか!まさか契約に成功したという事か? |
| ミラ | 契約?何だそれは? |
| ??? | 精霊を喚び出すには、その精霊と「契約」を交わす必要がある。どの文献にもそう書いてあるだろう? |
| ミラ | …?人間の知識や常識で、私を測られても困るのだが… |
| ジュード | ま、まあまあ!話がややこしくなりそうだからその辺りで… |
| ??? | そうか、すまない。精霊の話を聞くと冷静さを欠いてしまうようだ。助手にも注意されているんだがな |
| クラース | 私はクラース・F・レスター。精霊の研究をしている |
| クラース | 最近頻発している大地震の影響で、世界各地の精霊達に異変が起きているのではないかと、私は考えていてな… |
| クラース | それを調べようと、この森に来たんだが、さっきの魔物と鉢合わせてしまった |
| ミラ | 精霊の異変…?お前も気付いていたのか。人間ながら大したものだ |
| クラース | …私にも理由はよくわからないが、精霊の気配のようなものは、昔から感じる事が出来るようなんだ |
| クラース | だから研究者を志しているのかもな。…さて、その話しぶりだと君達も精霊の異変に気付いていたようだが |
| ミラ | ああ。彼らは今、暴走状態に陥っている可能性が高い |
| クラース | 暴走状態…?精霊が暴走とは…信じられんな。やはり地震が関係しているのか…? |
| ジュード | 僕達は、その精霊達を救うために動いてるんだ。…って言っても、目的はそれだけじゃないんだけどね |
| ジュード | … |
| ミラ | 大丈夫だ、ジュード。…エリーゼも必ず見つかる |
| クラース | … |
| ミラ | どうだクラース、お前も私達と共に来るか? |
| クラース | 君達があのウンディーネと共にあるというのならば、研究者である私にとっては願ってもない話だ。頼む |
| クラース | ジュード、といったか。そのエリーゼという人を捜すのも、手伝わせてもらおう |
| ジュード | ありがとう、クラース |
| クラース | しかし…君は一体何者だ?契約なしにウンディーネと共にあり、精霊が暴走しているという情報まで… |
| ジュード | その辺りはあまり気にしない方向で…とにかく、先へ進まない? |
| ミラ | ああ、そうだな |
| scene2 | 精霊を案ずる者 |
| クラース | …なるほど。話は理解した。まさか精霊達の異変の背景でそんな事が起きていたとはな… |
| ミラ | この状況を打破するためにも四大の力は必要不可欠だと考えている |
| クラース | しかし、何度聞いても驚かされる。契約もなしにウンディーネと行動を共にしているなど… |
| ミラ | 信じられないか? |
| クラース | いや、そういうわけではない。現にこうして気配を感じているからな |
| クラース | 精霊を研究している私からすれば何としてもその原理を解き明かしたいところではあるが… |
| クラース | 契約をしていないとなれば、精霊との関係性の違いか…?ミラ、一つ質問をさせてもらおう |
| クラース | ミラから見て、四大精霊はどういう存在なんだ? |
| ミラ | そうだな。口うるさい小姑みたいな奴ら…という感じだろうか |
| クラース | こ、小姑…!? |
| ミラ | 驚く事でもないだろう?精霊にも人間と同様感情があるし、性格も、皆それぞれ違う |
| ミラ | 例えば、ここにいるウンディーネは温厚だが、シルフは少々皮肉屋な性格だ |
| ミラ | 皆それぞれ私への接し方が違うが、私に世話を焼きたがるところは変わらないな |
| クラース | なるほど…。非常に興味深い話だな |
| ミラ | そうか?人間同士でも、そういう事はあるだろう? |
| クラース | そうかもしれないが、人間同士でも、なかなか他人を指して「口うるさい小姑」とは言えないものだ |
| ジュード | ミラにとって、四大精霊はきっと家族のようなものなんだね。お互いを理解し合っている感じがするよ |
| ミラ | 家族か…。ふむ…深く考えた事はなかったが、そうなのかもしれないな |
| クラース | 人間と精霊が互いを理解し合う、か…確かにそのような関係を築ければ契約など必要ないのかもしれないな… |
| ジュード | あはは…そうだね、僕もそう思うよ |
| | |
| | ヒュウウ… |
| ジュード | ん?風が… |
| クラース | 周囲の気配が変わったな。これは… |
| ミラ | よく気付いたな。ここにシルフがいる |
| クラース | シルフ…風の大精霊か…! |
| ミラ | シルフ!私だ! |
| シルフ | … |
| ジュード | これがシルフ…! |
| クラース | これぞまさしく文献で見た大精霊…!確かに様子がおかしいようだな…。どれどれ…文献との違いは… |
| ジュード | 不用意に近付くのは危険だよ! |
| | |
| シルフ | グオオオオッ! |
| クラース | うおっ!? |
| ジュード | クラース、大丈夫? |
| クラース | ああ、すまない。本物の大精霊を見るのは初めてでやや興奮してしまったようだ |
| ジュード | 気持ちはわかるけど、今のシルフは危険だよ |
| ミラ | シルフ…やはりお前も暴走して、我を失っているようだな |
| ジュード | ミラ… |
| ミラ | ああ、わかっている |
| ミラ | シルフ…少しの間、がまんしてくれ。すぐに正気に戻す! |
| クラース | なっ…大精霊と戦うというのか!?確かに暴走状態とは聞いていたが、そんな無謀な事は―― |
| シルフ | グアアアアッ! |
| ジュード | 来るよ!ミラ、クラース、気を付けて! |
| scene3 | 精霊を案ずる者 |
| シルフ | ウ…ウ… |
| クラース | はあ、はあ…。ま、まさか世界を支える存在と戦う事になるとはな…予想もしていなかった… |
| ジュード | ミラ、どう? |
| ミラ | シルフ…すまなかったな。もう大丈夫だ |
| クラース | 消えた…だが、気配はまだここにあるな。一体どういう状況なんだ…? |
| ジュード | ええと、ウンディーネの時もそうだったんだけど、安定したからもう姿を見せる必要がないんだって |
| クラース | そうか…無念だ…。文献との違いを検証したかったのだが… |
| ミラ | 心配ない。今はウンディーネと共に私のすぐ傍にいる。だが…… |
| ジュード | …どうかしたの? |
| ミラ | …いや、ウンディーネもそうだったのだが、シルフも弱っているように見えるのが気になってな |
| ミラ | お前達、どうしたのだ? |
| ミラ | そうか…そういう事か… |
| ジュード | 何かわかったの? |
| ミラ | …ウンディーネもシルフも、マナ減少の影響で、力が弱体化してしまっているようだ… |
| ジュード | じゃ、四大精霊の力を取り戻しても、ミラの力が完全に元通りになるわけじゃないって事…? |
| ミラ | ああ…マナの減少を食い止めなければ、状況は悪くなる一方だ |
| クラース | … |
| クラース | シルフだけでなく、四大精霊を取り戻すだと…?何とも信じがたい… |
| クラース | …いや、しかし現にシルフの気配は彼女の傍にある。ふむ…信じざるを得ないようだ… |
| ミラ | ……。すまないが、先を急ごう |
| ジュード | …そうだね。四大精霊を捜し出さないといけない状況は変わらないし |
| ミラ | ああ…。次はノームのところへ向かおうと思う |
| クラース | ノーム…地の大精霊か。ミラは居場所がわかるのか? |
| ミラ | ここからさらに南…シルヴァラントの方だな |
| ジュード | シルヴァラント…。大陸を移動する前にエリーゼに会えればいいんだけど… |
| ミラ | ジュード… |
| scene1 | ロイドの友 |
| クラース | よし、シルヴァラントへ入ったな。この辺りで一休みしていくか? |
| ミラ | 私は別に疲れてはいない。それより… |
| ジュード | …やっぱり見つからない |
| ミラ | エリーゼの事か? |
| ジュード | あ、ああ…ミラ!ごめん、知らない間に二人から離れちゃってたみたいだね… |
| ジュード | 結局ここまで、何の手がかりも掴む事が出来なかったなと思って… |
| ジュード | これだけ捜しても会えないって事はひょっとして、あの国境地帯の亀裂と一緒に飲み込まれてしまったとか… |
| ミラ | …。可能性は否定出来んが、まだそうと決まったわけではない |
| ミラ | 大陸が分断された際に亀裂を隔てて離ればなれになった可能性だってある |
| ジュード | …だとしたら、エリーゼはア・ジュールに…? |
| ミラ | ああ。あくまで可能性の一つに過ぎないが… |
| ミラ | …とにかく、諦めるのはまだ早い。エリーゼの事は私も心配だ。一段落着いたらア・ジュールへ行ってみよう |
| ミラ | 戦争の事もある。なるべく早く捜しに行かねばな… |
| ジュード | ミラ…。そうだね、ありがと―― |
| ミラ | おっと… |
| 若い女1 | ちょっと、何ぼーっとしてるのよ! |
| ??? | まあまあ、抑えて抑えて、俺さまのかわいい子猫ちゃん達ーそこのクールな彼女ー、怪我はない? |
| ミラ | この程度で怪我などしていたら、身がもたないぞ? |
| 若い女2 | んまあ、何その態度!せっかくゼロス様が心配して、声をかけてくださったというのに! |
| クラース | やれやれ。世界がこんな状態だというのに、呑気な奴らもいるものだ… |
| 若い女3 | 何よこのオッサン!ゼロス様は大地震の中私達を助け出してくれた王子様―― |
| ジュード | ああ、火に油を…ど、どうもすみませんでした!ほら、もう行こう、ミラ |
| ゼロス | ミラ…?もしかして光の神殿へ行ったミラか? |
| ミラ | ああ、そうだが |
| ゼロス | そうか!あんたがあのミラさまか!いやあ、会いたかったぜ~! |
| ゼロス | ロイドくんから話は聞いてるぜ。一緒に光の神殿へ行ったって |
| ミラ | なるほど。ロイドの知り合いだったか |
| ゼロス | ミラさまには、是が非でも言わなきゃならねえ事があるんだ。と、その前に… |
| ゼロス | 子猫ちゃん達をすぐそこの街まで送り届けてくるから、少しここで待っててくれ |
| ジュード | え…でも… |
| ゼロス | なぁに、すぐ戻るからよ! |
| ミラ | …。騒々しい男だな |
| | |
| ゼロス | まず礼を言わせてくれ。妹のセレスを助けてくれて、ありがとな! |
| ミラ | 妹…そういう事か。話が繋がったぞ |
| ミラ | ロイドが星のカケラに願い、救おうとしていたのはお前の妹の事だったのだな |
| ゼロス | ああ。ミラさまのお蔭でセレスもすっかり回復してる。本当にありがとう |
| ミラ | イニル街の事は、私だけの功績ではない。ユーリ、エル…皆で力を合わせたからこそ成し得たのだ |
| ミラ | …それにしても、不思議な巡り合わせだな。まさかこんな形でロイドの友人に出会うとは… |
| ミラ | 今、ロイドはどうしているのだ? |
| ゼロス | ロイドなら、シルヴァラントのある街を救うために、王都を飛び出したって話なんだけど… |
| ゼロス | それ以降の足取りが掴めなくて、俺さまも今こうして捜してるってわけ |
| ゼロス | ロイドには、いろいろ世話になったし力になれる事があんなら…と思ってな |
| ミラ | 友人を捜しているという割には、女子を脇にはべらせて、楽しそうにしているようだったが |
| ゼロス | さっき子猫ちゃん達も言ってただろ?俺さまは、困ってるあの子達を助けてあげただけ! |
| ゼロス | ま、俺さまってばどこへ行っても大人気だからさ、あの子達が懐いちゃうのも仕方ないんだけどな |
| ジュード | 何か、変わった人だね… |
| ミラ | 何はともあれ、ロイドが無事だとわかって安心したぞ。また会えるとよかったのだがな |
| ゼロス | …だったら、ミラさまも俺さまと一緒にロイドを捜すのを手伝ってくれない? |
| ミラ | ふむ…。そうしたいのは山々だ。だが、マナの減少を食い止めなければこの世界が滅びてしまうからな |
| ゼロス | 世界が滅びるだって?何か、やばそうだけど詳しい話を聞かせてくれ… |
| ゼロス | まさか、そんな状況だとは… |
| ゼロス | …。だったら、俺も一緒に行くぜ |
| ジュード | …!でも、その友達は… |
| ゼロス | 別にその四大精霊って奴を集めながらでも、ロイドは捜せるだろ?どこかでバッタリ会うかもしれねえし |
| ゼロス | 何より、そんな話を聞いて、放っておけるわけねえだろ |
| ゼロス | ミラさまにも恩がある、そいつも返さないといけねえしな。俺さま、案外役に立つぜ? |
| ミラ | …やはりロイドの友、だな。いいだろう、こちらとしても助かる |
| ゼロス | …? |
| ゼロス | あ、そういや俺さまちゃんと名乗ってなかったよな |
| ゼロス | 俺さまはゼロス・ワイルダー。よろしくな! |
| ジュード | ゼロス、だね。僕はジュード、あと、こっちはクラース |
| ジュード | 改めて、これからよろしく―― |
| ゼロス | あ、野郎はどうでもいいやそんな事より、はりきって行こうぜ! |
| クラース | 何というか…軽そうな男だな |
| ジュード | そ、そうだね… |
| scene2 | ロイドの友 |
| ミラ | それにしても…ウィンドルとア・ジュールは、何故戦争を再開したのだ? |
| ミラ | 私達は光の神殿で、世界中に満ちていた負の感情を浄化する事をティルグに願い、かなえられた |
| ミラ | その上で、実際の世界平和は自分達の手で成し遂げると、皆で誓い合った |
| ミラ | 現に両国は戦いをやめ、和平交渉を開始するところまで進んでいたはずだ |
| ミラ | それなのに、何故…。お前達は戦争が再開された理由を知っているか? |
| ゼロス | 何でも、ア・ジュールが突然攻撃を仕掛けてきたのがきっかけって話だぜ |
| ゼロス | ま、元々のあの二国の争いは星のカケラを求めてア・ジュールに攻め入ったウィンドルの国王が原因だ |
| ゼロス | 今更態度を改めたところで、ア・ジュールが許せるはずがねえと思っても、不思議じゃねえよな |
| ゼロス | …何にせよ、今はこの異変の影響で戦争どころの騒ぎじゃなくなっちまってるけどな |
| ジュード | そっか。これだけ地震や地割れが多発していると、軍の被害も大きくなるもんね |
| ゼロス | ああ。特に戦場だった国境地帯が巨大な地割れで崩壊しちまったからな |
| ゼロス | どっちの軍も撤退を始めて、いまじゃ事実上の停戦状態になっているらしいぜ |
| クラース | 私も、戦争のきっかけについてはゼロスと同じ認識だ |
| ミラ | ア・ジュールの攻撃か…。これについてもちゃんと調べる必要がありそうだな… |
| ジュード | このまま戦争が続くと、ますますマナが減っていくっていう事だよね? |
| ミラ | セネルの話だと戦争に、何らかの兵器が使用されているらしい。おそらくそれが原因の可能性が高い |
| ミラ | 今は停戦状態とはいえ、戦争が再開されれば、さらにマナの枯渇は進む。そうなる前に―― |
| | ゴゴゴ…! |
| ゼロス | おっと、地震か |
| ゼロス | これもそのマナの減少が原因なんだよな… |
| ゼロス | まさか、この大地震の背景にそんなスケールのでかい話が隠れていたとはな… |
| ジュード | エリーゼ…無事だといいけど… |
| ミラ | ジュード、君だけでもエリーゼを捜しに行ってもいいのだぞ? |
| ジュード | ううん。一人でもやれる事は今とあまり変わらないからね。だったら、ミラの手伝いをしながらの方が―― |
| | ガサ… |
| クラース | む…? |
| | |
| | ギャオオオオ! |
| クラース | みんな、気を付けろ。魔物だ! |
| scene1 | 寂寞の荒野 |
| ゼロス | こりゃまた…随分と荒れ果てた、寂しいところに来たもんだな |
| ジュード | ここにノームがいるの? |
| ミラ | ああ。間違いない |
| クラース | 確かに精霊の存在を強く感じる。興味深い場所だ |
| ゼロス | 興味深い、ねえ…。俺さまにはその感覚はわかんねえなー |
| クラース | それは残念だ。お前との感性の違いという奴だろう。そもそも精霊というものはだな―― |
| ゼロス | あー!俺さま話を聞くなら、野郎よりミラさまがいい!出来れば、二人っきりで |
| クラース | …確かにミラには劣るが、私にも精霊の知識はあるっ! |
| ジュード | まあまあ、二人ともその辺りで |
| ミラ | む… |
| ジュード | どうしたの、ミラ? |
| ミラ | 気配が乱れている… |
| クラース | …ああ、確かにこれまでの様子とはまた少し異なる |
| ゼロス | 俺さまは何も感じないけどなー。ジュード、お前は? |
| ジュード | 僕も何も… |
| ミラ | この先にノームがいる |
| ミラ | だがこの気配は……誰かと戦っているのか…? |
| ジュード | 戦ってるって…一体誰が… |
| ゼロス | 俺さま達の他にも、四大精霊を正気に戻そうとしてる奴がいるって事か? |
| ミラ | …!まさか、リドウ…? |
| クラース | お、おい!ミラ!?どうしたんだ突然…! |
| | |
| ジュード | リドウって…確かミラを襲った… |
| ゼロス | ジュード!お前も早く来い! |
| ジュード | う、うん! |
| scene2 | 寂寞の荒野 |
| ??? | グオオオオッ! |
| ??? | このヤロウ、コハクを離しやがれ! |
| ミラ | あれは…リドウではなかったか |
| ミラ | ノーム!やめろ! |
| ジュード | 傍に人が…やっぱり戦ってるみたいだ! |
| クラース | 一人はノームに捕まっているんじゃないか? |
| ゼロス | 女の子の前でかっこつけようとして、いらんちょっかいでも出したのかね |
| ジュード | すぐに助けないと! |
| ノーム | グオオオオッ! |
| ??? | 危ない…!お兄ちゃん避けて!! |
| ??? | くっ…駄目か…! |
| | ガシッ! |
| ??? | え…? |
| ミラ | 間に合ったか…おい、大丈夫か? |
| ??? | ああ、ギリギリ何とかな。…ところでお前達は―― |
| ミラ | 説明は後だ。それよりあの娘は… |
| ??? | 俺の妹のコハクだ |
| ゼロス | 妹だと…? |
| ??? | ここを歩いていたら、いきなりあのヤロウに襲われて… |
| クラース | あのヤロウ呼ばわりは感心しないな。あれは地の大精霊、ノームだぞ! |
| ??? | ああ?そんな事知るかよ!精霊だろうが何だろうが、コハクを傷つけるヤツは許さねえ! |
| ゼロス | ふっ… |
| ジュード | ゼロス…? |
| ゼロス | それだったら…かっこいいとこ見せねーとな |
| ノーム | グアアアアッ! |
| ??? | くっ、また…! |
| | ザンッ! |
| ゼロス | おいたはここまでだぜ |
| クラース | …まるで別人のような動きだったな、ゼロス。どうかしたのか? |
| ゼロス | なーに、妹を守ろうと必死になっているそこの兄貴にちょっとばかり共感しただけ |
| ゼロス | 兄貴ってのは…妹を守るもんだからな |
| ゼロス | それにまあ…ロイドくんの熱血ぶりに感化されちまったのかもな |
| ミラ | …大口を叩くだけあって腕も確かなようだな。見直したぞ |
| ゼロス | だろ? |
| ミラ | …それにしても、あの温厚なノームが人に襲い掛かるとは… |
| ノーム | グオオオオッ! |
| ミラ | 待っていろ、今正気に戻してやるぞ…! |
| scene3 | 寂寞の荒野 |
| ??? | ふう…助かったぁ… |
| ??? | コハク!大丈夫か!? |
| | |
| ゼロス | コハクちゃん、俺さまの活躍見てくれた?キミのために、俺さま頑張ったんだぜ |
| ??? | ゴルァ!俺の目の前で、コハクをナンパしてんじゃねー! |
| コハク | あ、あはは… |
| ジュード | ゼロス…戦ってる時は、あんなにきりっとして、かっこよかったのに… |
| | |
| クラース | これがノーム…地の大精霊か。ふむふむ…なるほど…!やはり、ついてきた甲斐があった…! |
| ミラ | よく頑張ったな、ノーム |
| ??? | あいつ、何やってんだ?倒した魔物を嬉しそうに眺めて |
| ジュード | 魔物じゃなくて「精霊」だよ。クラースが聞いたら、また怒るよ… |
| コハク | え…あれ…?さっきの魔物…じゃなくて、精霊が消えた… |
| ??? | 一体何が起きたんだ…? |
| クラース | 話せば長いが、あのミラという女性につくと、姿を現す必要がなくなるそうだ |
| ??? | へぇ。わかったようなわかんねぇような…危険がねぇなら問題ないけどよ |
| ミラ | ああ…わかっている。マナ減少の影響で、お前達の力が元に戻っていない事も |
| ミラ | 精霊界と人間界、そしてお前達のためにも必ずマナ減少の原因を取り除く |
| ミラ | そのためにはノーム、お前の力が必要なのだ。…すまないが力を貸してくれ |
| ミラ | ありがとう…。あとはイフリートが戻れば再び皆が集まる。もう一息だ… |
| クラース | … |
| クラース | …なるほどな。うむ。今なら理解出来る |
| ジュード | ん?何が? |
| クラース | 前に話した事を覚えているか?お前はミラと精霊は家族のようなものだ、と言った |
| クラース | 私は精霊と繋がるには、契約しかないと考えていた。だが…違う。今確信したよ |
| クラース | 彼らには契約など必要としない、深い絆がある。心から繋がっているんだ |
| ジュード | クラース…うん。そうだね |
| コハク | あの、さっきは助けてくれて本当にありがとう!わたしはコハク、こっちは兄のヒスイだよ |
| ジュード | コハクとヒスイ、だね。君達はどうしてこんな何もないところを歩いていたの? |
| コハク | わたし達、行方不明になった友達を捜していて、たまたまここを通りかかったの |
| ヒスイ | まあ、俺はシングなんてどうでもいいがな |
| コハク | あなた達、シングを見なかった?すごく元気がよくって、明るい男の子なんだけど… |
| ジュード | シング…うーん、聞いた事はないな…。力になれなくてごめんね |
| ゼロス | 俺さまも記憶にねえな。しかし、そっちも人捜しなんてな…大地震の影響を改めて思い知らされるぜ |
| ジュード | エリーゼの次は、シングか…地震のせいで行方がわからない人って他にもたくさんいるのかもしれないね |
| | ゴゴゴ…! |
| コハク | あ、地震… |
| ヒスイ | またか…。この地震は一体いつまで続くんだ?本当にいい迷惑だぜ |
| ミラ | 酷くなる事はあっても、まだしばらくは収まるまい… |
| ヒスイ | …それはどういう事だ? |
| ゼロス | …というわけだ。ま、俺さまも精霊やマナ云々の事はあんまりよくわからねえけどな |
| コハク | 不思議な力のはびこった亀裂があちこちに出来てるって話だし、何か変だとは思ってたけど… |
| コハク | まさか、そんな状況だなんて… |
| ヒスイ | … |
| ジュード | ミラ、次はどこへ? |
| ミラ | 次はイフリートだ。これで全ての四大が揃う事になる |
| ゼロス | そいつさえ取り戻せば、ミラさまも本調子になるってわけだな!んじゃ、はりきって行こうぜ! |
| コハク | あの、わたし達も、一緒に行っていいかな? |
| ヒスイ | コハク?まさか… |
| コハク | このままだと世界が崩壊してしまうって事でしょ?そんな話聞いて、放っておけないよ |
| コハク | それに、みんなも人捜しをしてるなら協力し合えるかもしれないし |
| ミラ | コハク… |
| ゼロス | 勿論!コハクちゃんなら大歓迎さ。あ、野郎は別にいいから |
| ヒスイ | 俺も行くに決まってんだろ!コハクがあのノーテン菌を捜しに行くってだけでも心配だってのに… |
| ヒスイ | お前みてえな野蛮な男がいるところにコハクを任せられっかよ! |
| ゼロス | ちぇっ、うるさい兄貴付きかよ… |
| | ゴゴゴ… |
| クラース | む…?またか…。地震発生の頻度が増しているように感じるのは気のせいか?それに―― |
| | |
| | ゴゴゴゴゴゴ…!! |
| ミラ | …何だ!?このすさまじい揺れは! |
| ジュード | 立っているのもやっとだ…! |
| | ズガッ! |
| コハク | そ、そんな…地面に亀裂が…! |
| ヒスイ | くっ、風も強いぞ…!何なんだ突然…何が起きてる!? |
| ミラ | 大地が震えている…これは、まさか… |
| scene1 | 成すべき事は… |
| | ゴゴゴ… |
| コハク | ようやく収まったみたいだね… |
| ミラ | … |
| クラース | … |
| ジュード | 今度の地震は、随分大きかったね |
| ヒスイ | ああ、今までの地震とは比べものになんねぇな。こんなにでっかい亀裂まで出来ちまって… |
| クラース | … |
| ジュード | クラース?それにミラも…二人共どうしたの?急に黙りこくって… |
| ミラ | … |
| クラース | 私は精霊と話が出来るわけではないがかなり危険な予感がする。何故だか違和感を覚えた… |
| クラース | これは…精霊達からの警告…なのか? |
| コハク | 精霊達からの…警告? |
| ミラ | …事態は、想像以上に深刻な状況にある、という事だ |
| ミラ | 世界のマナの残量からして、枯渇寸前とはいえ、もう少し余裕があるものだと思っていた |
| ミラ | …だが、マナは予想だにしない速さで今も尚、減り続けている |
| ジュード | マナが?…でも、どうして?原因だった戦争は今は停戦状態なはず… |
| ジュード | そうなると、戦争の他にもマナを減少させる原因があるっていう事? |
| ミラ | …おそらくな。その原因として考えられるとすれば、大精霊達の暴走の影響… |
| ジュード | 大精霊…?それってイフリート達の事? |
| ミラ | いや、違う |
| クラース | 大精霊とは、精霊の中でもより強大な力を持つ精霊達の事だ。そこに分類される精霊は、四大精霊だけではない |
| ジュード | そんな… |
| ミラ | その大精霊達が暴走する事で、自然の均衡が崩壊し、マナの減少を加速させている |
| ミラ | …あくまで、これも推測に過ぎんがな |
| ゼロス | ミラさまの言う通りなら、それって相当やばいって事? |
| ミラ | … |
| クラース | とにかく…一刻も早くイフリートの元へ行った方がよさそうだ |
| ミラ | ああ…この大地震は、世界のうめきそのもの… |
| ミラ | 早急に手を打たなければ、本当に取り返しのつかない事になる… |
| ジュード | あ…ミラ!クラース! |
| ゼロス | …行っちまったぜ |
| ヒスイ | あの二人、相当ピリピリしてやがったな |
| ジュード | 仕方ないよ…。あの二人…特にミラは精霊達の事やマナについて直に感じ取る事が出来る… |
| ジュード | きっとそれほどまでに切羽詰まった状況って事なんだと思う |
| コハク | ミラ… |
| ゼロス | とにかく、見失う前に早くあの二人を追いかけようぜ |
| コハク | うん、そうしよう! |
| ジュード | … |
| ジュード | ミラ… |
| scene2 | 成すべき事は… |
| コハク | アグニラス山がこんな火山になってるなんて…。本当にここにイフリートが? |
| クラース | ああ、強い気配を感じる。…それにしても、いかにもイフリートが好みそうな場所だ |
| ミラ | … |
| | |
| ヒスイ | おい、ミラ!一人で突き進むのは危険―― |
| ヒスイ | ったく…何だありゃ。人の話をまるで聞いてねえ |
| コハク | わたし達…ひょっとしてついて来なかった方がよかったかな? |
| ゼロス | ないない、それはないって。ミラさまは今、少しばかりナイーブなだけ! |
| ゼロス | コハクちゃんが心配する必要は全くないから! |
| ジュード | … |
| | |
| ミラ | 急がねば… |
| ジュード | ミラ、気持ちはわかるけど、そんなに焦るのはよくないよ |
| ミラ | …焦らずにいられる状況だと思うか?今世界がどれほど危うい事態なのか君達はわかっていないのだ |
| ジュード | 確かに僕達はミラみたいに精霊やマナ、それに世界の状況を把握出来ていないのかもしれない |
| ジュード | …けど、今のミラが明らかに冷静さを欠いているって事はわかるよ |
| ミラ | …何だと? |
| ジュード | イフリートに会って、正気を取り戻させるために戦うんでしょ? |
| ジュード | …なのに、ミラがそんな状態じゃ危険だと思うよ |
| ミラ | … |
| ゼロス | ジュードくんも大変だねえ。せっかく尽くしても、肝心のミラさまがあれじゃな |
| ジュード | 別に僕は尽くしているつもりはないよ |
| ジュード | ミラが焦るのも仕方ないと思う |
| ジュード | …ただ、今のミラはいつもと違うからすごく心配なんだ |
| ゼロス | ジュードくんは健気だね |
| | |
| ミラ | この辺りか… |
| クラース | ああ、私も感じる。濃密な気配を |
| ミラ | イフリート、私だ。出て来い! |
| コハク | …!ねえ、お兄ちゃん…この空気の感じ… |
| ヒスイ | ああ。張りつめてきやがった。何が出て来るんだ? |
| イフリート | … |
| ゼロス | あれが…イフリートか? |
| クラース | ああ、あれこそが火の大精霊…だが、これは… |
| ジュード | 今までに会った他の四大精霊の時とは雰囲気が全然違う…! |
| クラース | 暴走がそれだけ、深刻化しているという事か…? |
| イフリート | グオオオオッ! |
| ゼロス | おっと、いきなりかよ。あっぶねー |
| クラース | 相当気が高ぶっているようだ。こちらも覚悟してかからなければ間違いなく返り討ちに遭うぞ |
| ジュード | そうだね。全員で協力して… |
| ミラ | イフリート!すぐに元に戻す! |
| ジュード | なっ、ミラ!!一人で先走るのは危険だ! |
| イフリート | ガアアアアアッ! |
| ヒスイ | 突っ込んで来るぞ!みんな、備えろよ! |
| scene3 | 成すべき事は… |
| ヒスイ | ったく、キツイ戦いだったぜ… |
| コハク | すごい力だったね…これが暴走した四大精霊… |
| ミラ | 全く…時間がないというのに… |
| ゼロス | ミラさま…。ノームと戦った後はもう少し優しかったのに… |
| クラース | よほど余裕がないのだろう |
| ジュード | … |
| ジュード | あ…イフリートが動いて… |
| ジュード | 危ない!ミラ!! |
| ミラ | …! |
| イフリート | グオオオオッ! |
| | ズガッ!! |
| ジュード | う…っ |
| クラース | ジュード! |
| ゼロス | 大丈夫か!? |
| コハク | 大変! |
| ヒスイ | しっかりしろ! |
| ジュード | ぐっ… |
| ミラ | ジュ、ジュード… |
| ミラ | イフリート!目を覚ませ…!! |
| | ザシュッ!! |
| イフリート | … |
| ミラ | くっ… |
| ジュード | ん… |
| ミラ | ジュード、大丈夫か!?しっかりしろ! |
| ジュード | あ、あれ…僕は…? |
| クラース | イフリートの攻撃からミラをかばった後気絶したんだ。痛むところはないか? |
| ジュード | えっと…うん、大丈夫だよ |
| ジュード | …って、そうだ!イフリートは…!? |
| ミラ | ああ、無事正気を取り戻した。今、お前を心配そうに覗き込んでいる |
| ジュード | …成功したんだね!よかった… |
| ジュード | これで無事、四大精霊がみんな揃ったって事だよね |
| ミラ | ジュード… |
| ミラ | …すまない、君の忠告を聞き入れるべきだった。確かに私は、焦るあまり冷静さを欠いていた |
| ミラ | それゆえに、イフリートの状態を見極める事も出来ずに、がむしゃらに挑んでいき…結果、君を傷付けた… |
| ジュード | ミラ… |
| ミラ | 世界の事もそうだ。目的を成す事だけに囚われていた |
| ミラ | マナや精霊、世界の動きにもっと目を向けながら動いていれば、事態は変わっていたかもしれない… |
| ジュード | …何もかもを一人で抱えすぎないで大丈夫だよ |
| ミラ | …? |
| ジュード | 確かに、マナや精霊達を感じ取れるミラと僕達は立場が違う… |
| ジュード | でも、この世界に生きているという点では、一緒のはずでしょ? |
| ミラ | … |
| ジュード | この世界を何とかしたい、何とかしなくっちゃって気持ちを、誰もが持っているはずなんだ |
| ジュード | だから…一人で背負わず、僕達の事を頼ってほしいんだ |
| ミラ | ジュード… |
| ミラ | お前達… |
| ミラ | …ああ、そうだな |
| クラース | 四大精霊と話をしているのか? |
| ミラ | ああ、四大に叱られた。ジュードの言う通りだとな |
| ミラ | …皆、すまない |
| コハク | 謝る必要はないよ、ミラ |
| コハク | あなたが世界を救いたいと思う強い気持ちがあるからこそ、必死だったんだと思うの |
| ヒスイ | シングのヤツも突っ走りがちだけどお前もそういうタイプだったとはな。意外だったけど、悪かないと思うぜ |
| ゼロス | それにさ、自分の駄目なところに気付いたなら直していけばいい。それだけの話だろ? |
| クラース | 人は失敗を重ね、誤りを自覚する事で成長するものだ。何も気にする事はない |
| ジュード | ミラは一人じゃないよ。僕も…みんなもいるから |
| ミラ | ジュード、それに皆…ありがとう |
| | |
| クラース | では、気を取り直していくか |
| ゼロス | 次のミッションは、マナの減少を食い止める、だっけ? |
| ミラ | ああ、そうだ。そのためには、マナを減少させている全ての要因を潰す必要がある |
| ミラ | マナをここまでの状況に追いやった根本の原因は、ウィンドルとア・ジュールの戦争のはずだ。だが… |
| コハク | 今は、停戦を余儀なくされている、…だよね? |
| ジュード | …という事は、さっきミラが言ってた大精霊達の暴走を鎮めて自然の均衡を元に戻す事に注力すべきなのかな? |
| ミラ | そうなるな。…とはいえ、二国の戦争も遅かれ早かれ再開する事になるだろう |
| ミラ | こちらも、早々に対処する必要はありそうだが… |
| クラース | そっちも警戒しつつ動くしかないだろうな |
| ヒスイ | ああ、そうだな |
| ミラ | …ところで、ジュード…それにクラース、ゼロス、コハク、ヒスイ。お前達はこの先どうする? |
| ミラ | 皆、それぞれ目的があるだろう? |
| ミラ | 各地にいる大精霊達を鎮めるとなれば辺境の地へ赴く機会も増える |
| ミラ | 戦争が再開されれば、戦地に行く事もあるかもしれない。そうなると再会出来る機会も… |
| クラース | 大精霊に会える機会など滅多にあるものではない。無論、私は同行させてもらう |
| ゼロス | ミラさまったら、水臭えな。ここまで来たら俺さまも最後まで一緒に行くぜ? |
| ゼロス | ロイドの奴がここにいたら、きっと間違いなくミラさまと一緒に行く道を選ぶと思うぜ |
| ゼロス | そう考えれば、ミラさまに協力する事は、俺さまからすりゃあいつに力を貸してるも同然だろ? |
| コハク | わたし達も一緒に行くよ、ミラ!シングを捜してるのは今も一緒、だけど… |
| コハク | 無事会えたとしても、この世界がなくなってしまったら本末転倒でしょ? |
| コハク | 大精霊達を鎮めていく中でシングに会えないとも限らないし。ね、お兄ちゃん? |
| ヒスイ | …シングの奴はどうでもいいが、コハクがミラと共に行くというなら俺も一緒に行く、それだけだ! |
| ミラ | クラース、ゼロス、コハク…それにヒスイ…感謝する |
| クラース | ジュード、お前はどうする?兼ねてから捜しているエリーゼを捜しに行っても、誰も咎めはしないぞ |
| ジュード | ううん、僕も一緒に行く。エリーゼが気がかりなのは今も変わらないよ |
| ジュード | だけど、これ以上マナが減少したら、この世界そのものが破滅しちゃうかもしれない… |
| ジュード | だから、そうしないためにも、僕はこのままミラを手伝うよ。勿論、エリーゼを捜しながらね |
| ゼロス | ぐぬ…まだ見ぬエリーゼちゃんと麗しのミラさまを両天秤に… |
| ゼロス | 今のは聞き捨てならねえセリフだな、ジュードくん~? |
| ジュード | …え?あの…僕、そんな意味じゃ… |
| クラース | ま、何はともあれ話はまとまったか。では、時間もない事だ、早速動き出すとしようか |
| ミラ | ああ! |